平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成三十年十月二十六日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長保坂まさひろ君
副委員長内山 真吾君
副委員長鈴木 章浩君
副委員長まつば多美子君
けいの信一君
鈴木 邦和君
もり  愛君
森澤 恭子君
山口  拓君
尾崎あや子君
曽根はじめ君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長古谷ひろみ君
理事福田  至君
管理部長岡安 雅人君
事業部長長嶺 浩子君
企画担当部長吉村 恵一君
渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務石井 浩二君
豊洲市場総合調整担当部長福崎 宏志君
豊洲市場事業連携担当部長影山 忠男君
豊洲市場事業推進担当部長堀   真君
豊洲市場事業調整担当部長前田  豊君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松田 健次君
財政調整担当部長猪口 太一君
築地調整担当部長豊洲市場特命担当部長兼務西坂 啓之君
移転支援担当部長赤木 宏行君
環境改善担当部長佐々木宏章君
技術調整担当部長鈴木  理君
施設担当部長渡辺 正信君
建設技術担当部長吉野 敏郎君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十九年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○保坂委員長 ただいまから平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、中央卸売市場長から紹介があります。

○村松中央卸売市場長 去る十月十五日の当分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介させていただきます。
 豊洲市場総合調整担当部長の福崎宏志でございます。豊洲市場事業連携担当部長の影山忠男でございます。豊洲市場事業推進担当部長の堀真でございます。豊洲市場事業調整担当部長の前田豊でございます。財政調整担当部長の猪口太一でございます。築地調整担当部長の西坂啓之及び技術調整担当部長の鈴木理でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○保坂委員長 紹介は終わりました。

○保坂委員長 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡安管理部長 十月十五日の当分科会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 資料は全部で三項目ございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移(過去十年間)でございます。
 市場ごとに耐震改修等工事費及び修繕工事費の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。2、豊洲市場整備等に係る事業費、執行済額についてでございます。
 (1)、豊洲市場整備に係る事業費、執行済額につきまして、土壌汚染対策費、建設費、用地取得費及びその他関連工事費等の項目ごとに、上から計画額、年度ごとの執行済額をお示ししてございます。
 また、(2)、追加対策工事に係る事業費、執行済額につきまして、予算現額、執行済額をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。3、豊洲市場整備に係る国庫交付金の推移でございます。
 平成二十三年度から平成二十八年度までの豊洲市場整備に係る国庫交付金につきまして、名称、事業費、交付申請額、対象事業をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○保坂委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木(邦)委員 私からは、平成二十九年度の決算を通じて、主に市場会計の持続性について、六点質問をさせていただきます。
 初めに、中央卸売市場の事業の特徴について確認をいたします。
 東京都は、市場業者から、売り場、駐車場、冷凍設備、光熱費などの使用料を受け取っています。平成二十九年度の決算においては総額百五十一億円であり、これが市場会計における営業収益に当たります。
 私が最初にこの数字を見たときに、十一市場全体の施設使用料としては、正直かなり安いのではないかと感じました。そして、営業収益の中心が施設使用料である以上、ここが安いと市場会計としては厳しいのではないかというのが素直な感想でございました。
 実際に、例えば、築地市場では、周辺相場よりも半額近く安い賃料で市場業者は営業していたと聞いております。しかし、それでも築地市場で水産物を扱っていた仲卸業者の三五%が経常赤字です。つまり市場業者の営業利益率がほかの業態と比べても相当低いのではないかと考えられます。
 そこで、初めに、東京都中央卸売市場の水産物部及び青果部の卸売業者、仲卸業者の直近の営業利益率について伺います。

○長嶺事業部長 市場業者の営業利益率ですが、卸売業者は、平成二十八年度決算で、水産物部は〇・三一%、青果部は〇・五一%となってございます。また、仲卸業者は、平成二十八年中に決算期を終える事業者の事業報告書を集計した結果、水産物部は〇・二一%、青果部は〇・七五%となっております。

○鈴木(邦)委員 ただいまご答弁にもありましたけれども、特に水産物部は、卸売あるいは仲卸業者さんは、大体〇・二から〇・三%の営業利益率であるというお話でございました。
 農林水産省のデータによれば、平成二十八年度の全産業の営業利益率は三・〇%です。先ほどのご答弁でも確認できましたけれども、市場業者の営業利益率は、やはりほかの産業と比較しても相当低いという特徴があるといえます。正直、ビジネスモデルとしては、売っても売ってもなかなかもうからないという構造だと思います。
 中央卸売市場における生鮮食品の卸売業者は、取扱金額が三十年で半分近くに減少するなど厳しい状況にあります。特に水産物や青果物ですら卸売市場を経由しないものが四割から五割となってきている中で、中央卸売市場の公益性を問う声もあります。一般消費者は、スーパーの生鮮食品は産地から直送されており、卸売市場を経由していないイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
 そこで、改めて、中央卸売市場の公益性、公共的役割とは何か、伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場は、季節や天候などの要因により、安定した供給を必ずしも確保できない生鮮食料品等、これらを全国各地から集荷するとともに、スーパーや小売店など実需者のニーズに応じまして、品目、量を分荷し、消費者に届けるための流通拠点でございます。
 また、卸売業者が出荷者からの荷の受け入れを拒否することや、出荷者または仲卸業者等に対して差別的取り扱いを行うことは禁止されておりまして、生産者や実需者がいつでも利用できる開かれた取引の場としての役割を担っているところでございます。
 こうした基本的役割に加えまして、中央卸売市場は、加工パッケージなど多様化するニーズへの対応や災害時における生鮮食料品の流通確保など、多面的な役割を期待される公益性の高い社会的インフラでございます。

○鈴木(邦)委員 ただいまのご答弁にもありましたように、中央卸売市場は、確かに公益的な役割を果たしており、生産者、消費者の双方にとって今なお重要なインフラであるということがわかります。
 ここからは、平成二十九年度決算を通じて、市場会計の持続性について考えていきます。
 今後の市場会計を考えると、二つの大きな課題があると考えております。
 一つは、築地市場から豊洲市場に移転したことによって増大するランニングコストです。
 昨年の市場問題プロジェクトチームの報告書によれば、開場後の豊洲市場の収支における費用は、減価償却費を除くと八十九億円となる見込みです。一方で、収益は六十八億円という試算ですが、この差し引きで新たに二十一億円の赤字が見込まれます。これが一つ目の課題です。
 そして、二つ目の課題は、施設の改修費によるコスト増です。
 旧築地市場だけでなくほかの市場も老朽化が進んでおり、市場会計における施設改良費は、今後増大していくと見込まれます。
 そこで、市場施設の改修経費である施設改良費の二十九年度決算額は幾らだったのでしょうか、また、今後は、年間五十億円の支出を見込んでいる施設改良費について、市場会計としてどのように対応していくつもりなのか、伺います。

○岡安管理部長 施設改良費の二十九年度決算額は約十七億九千九百万円でございます。昨年の市場のあり方戦略本部では、市場施設の改修経費としまして、平成三十一年度以降、年間五十億円とした上で、今後の市場会計の収支を試算したところでございます。
 今後の各市場の施設の老朽化や維持更新等の対応に当たりましては、市場会計が保有する資金や国庫交付金、企業債などを効率的に活用することとし、引き続き市場会計の持続可能性が確保できるよう適切に運営してまいります。

○鈴木(邦)委員 ただいまのご答弁にもありましたように、平成二十九年度決算額の施設改良費は約十八億円でありまして、平成三十一年度以降については、年間五十億円として試算をしているということでございました。つまり平成三十一年度以降は、約三十二億円の支出が新たに発生する可能性があるということです。先ほどの豊洲移転に伴うランニングコスト増大分の二十一億円と合わせて、平成三十一年度以降は毎年五十三億円の支出が新たに発生するという試算になります。
 中央卸売市場会計の営業収益は、税抜きでこの五年間、百四十億円前後で推移してきたのに対して、営業費用は百六十億円前後で推移してきました。このような事業規模で、収益的収支及び資本的収支において、平成三十一年度以降は毎年五十三億円の支出が新たに発生するのだとしたら深刻な状況だと思います。
 先ほどのご答弁では、市場会計の保有資金、国庫交付金、企業債などで対応するという方針でございましたが、保有資金の取り崩しには限界がありますし、国庫交付金はこれまでも受け取ってきたものであり、国の財政状況を考えれば、今後ふえていくという見通しは立てづらいものです。そして企業債というのは当然借金ですから将来返済していく必要があります。もちろん、企業債の発行などによって一時的に資金を確保することは可能ですが、毎年五十億円近い支出が積み上がった結果、将来的に大きなツケとなる可能性については、ここで指摘をさせていただきたいと思います。
 さて、市場会計については、市場跡地の売却益というのが非常に大きなウエートを占めております。築地市場跡地の扱いについては、もちろんこれからの議論だと思いますが、私が気になっているのは売却益の試算です。
 例えば、市場問題プロジェクトチームの報告書によれば、過去には、神田市場の跡地を三千七百億円という評価で一般会計に有償所管がえをしたものの、実際に一般会計から民間への売却益は四百億円でした。この三千三百億円という差額は地価の変動では説明できないほど大きく、一般会計からの事実上の資金投入という指摘を受けかねない規模です。過去の売却については、きょう取り上げませんが、市場跡地の売却額については慎重に見ていく必要があると考えます。
 そこで、数年前には三千五百億円の試算であった築地市場跡地の売却額が、現状では四千三百八十六億円の試算となっていますが、上方修正した要因について伺います。

○岡安管理部長 約三千五百億円といたしました築地市場跡地の売却収入額につきましては、平成二十二年一月一日現在の近傍地の公示地価等から試算したものでございます。
 一方、四千三百八十六億円につきましては、平成二十九年一月の第五回市場問題プロジェクトチームに示した金額でございまして、環状二号線整備に関連して算定いたしました築地市場用地の価格を踏まえまして算出した金額でございます。

○鈴木(邦)委員 地価の変動や時勢によって、数年でこれだけ売却益が変わっているということは、私たちも改めて認識をしなければならないと感じております。また、仮に一般会計へ有償所管がえをするとしても、その後、民間に売却する金額については、やはり議会としてしっかりと注視していく必要があると考えます。
 さて、築地市場は、開場から八十三年で移転しましたが、ほかの十市場もかなり老朽化しているのが現状です。現時点で具体的な計画はもちろんないと思いますが、いずれは築地のように、移転や再整備を考えなければならない時期が来るかもしれません。
 そこで、平成二十九年度時点で、開設から五十年を超えている市場とその年数について伺います。

○岡安管理部長 二十九年度時点で、開設から五十年を超えている市場は三市場ございます。
 豊島市場は、昭和十二年の開設から八十年、淀橋市場は、昭和十四年の開設から七十八年、足立市場は、昭和二十年の開設から七十二年が経過してございます。

○鈴木(邦)委員 ただいまご答弁いただきましたように、この豊島、淀橋、足立の三市場については、既に築地市場に近い開設年数となっている状況です。この三十年間で、中央卸売市場全体の取扱金額は半減しており、将来的なことを考えると、これまでの市場と同じモデルのまま施設を更新していくのは難しくなっていくかもしれません。
 そうした状況下で、ことし、卸売市場法の改正法が成立しました。本年三月に、農水省が公表した資料によれば、二〇二〇年から適用される改正法によって、新しいビジネスモデルが可能になるとされています。
 例えば、産地から仲卸業者へ直接仕入れて輸出できるようにしたこと、また、商物一致の原則を緩和し、農産物を産地から小売店に直送できるようにしたこと、あるいは市場間で卸売業者同士の取引を可能として農産物の過不足を柔軟に調整できるようにしたことです。いずれもこれまでの規制を緩和し、市場としての新たなモデルを期待した内容です。
 そこで、将来的な人口減少に伴い、国内の生鮮食品などの需要が減少する中、海外へ販路を求める必要もあると考えますが、市場業者による輸出への取り組み状況や課題について伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国の成長戦略における農林水産物の輸出拡大への取り組みや、海外における日本食への関心の高まりなどから、海外への輸出に取り組む市場業者が存在してございます。
 輸出されている品目といたしましては、青果物では、ブドウ、イチゴなどの果物、水産物では養殖魚を含むタイやカンパチなどの鮮魚を生け絞めしたもの、花きでは、コチョウラン、シンビジウム、食肉では牛肉が代表的な例でございます。
 卸売市場からの輸出に当たりましては、相手国が求める衛生基準等への対応や、輸出に関するさまざまな手続が必要なことから、市場関係業者が取り組みやすくするためには、これらの課題の研究が必要であると考えているところでございます。

○鈴木(邦)委員 ありがとうございます。ぜひ輸出の課題については、今後、研究を重ねていただきたいと思います。
 本日は、平成二十九年度の決算を通じた市場会計の持続性、特に豊洲移転と施設更新に伴う支出の増大にいかに対応するのか、そして改正市場法に合わせた市場の再構築が重要だという思いから質疑をさせていただきました。
 今後も、議会としては、この市場会計について厳しく注視をしていきたいと思っております。
 また私は、昨年一年間、経済・港湾委員会で市場局の皆様とお仕事をご一緒させていただきました。本当に大変な一年間だったと思いますが、この一年間の皆様のお仕事に、この場をおかりしまして改めて深く感謝を申し上げて、私の質疑を終わります。

○けいの委員 よろしくお願いします。
 平成二十九年度は、中央卸売市場会計にとって一つの節目となる年でありました。六月には、豊洲市場へ移転するとの方針が示され、夏には臨時会において補正予算が成立、十二月には豊洲市場の開場日が決定されました。移転延期以降のさまざまな検証を経て移転に向けた具体的な動きが出始めた年、こういう年度であったと考えます。
 そこで、主に豊洲市場にかかわる経費を中心として、その決算の内容について質問させていただきたいと思います。
 初めに、市場会計全体の状況について確認します。
 平成二十九年度決算は、どのような特徴があるのか、説明をお願いいたします。

○岡安管理部長 平成二十九年度決算におきましては、豊洲市場への移転延期後、主要建物下に盛り土がなされていなかった問題や市場会計の持続可能性などの課題が明らかになり、専門家会議や市場問題PTなどでさまざまな検証を行ってまいりました。
 一方、移転に向けた準備が本格化し、引っ越し作業の再構築を初め、造作工事や習熟訓練への対応、豊洲市場の広報PRなどを実施してまいりました。
 さらに、十一市場の施設の維持更新などに適切に対応するなど、中央卸売市場全体の円滑な運営に心がけてきたところでございます。
 二十九年度決算は、こうした内容が反映されたものになっていると認識してございます。

○けいの委員 ありがとうございます。
 次に、追加対策工事についてお伺いいたします。
 昨年六月、専門家会議は、それまでの空気や地下水の測定結果など、科学的なデータに基づいた検証を経て追加対策に関する提言を取りまとめました。一昨年九月の専門家会議の設置以降、約九カ月間にわたり精力的に検証を進めてこられた平田座長を初めとする専門家会議のメンバーの方々には、改めて敬意を表したいと思います。
 ここで示された専門家会議の提言はどのようなものであったか、また、提言に基づく追加対策工事の内容はどのようなものであったのか、確認を求めます。

○吉野建設技術担当部長 豊洲市場では、主要な建物下に盛り土がなく、地下ピットとなっている状態を受けて、一昨年九月に改めて専門家会議を設置し、リスク管理上、必要な対応策等について検討いただいてきました。
 専門家会議では、空気や地下水質の客観的なデータなどを踏まえ詳細に調査、検証し、豊洲市場の法的、科学的な安全性について確認いただくとともに、地下ピット内での水銀等ガス濃度上昇防止策や地下水管理システムの機能強化など、将来のリスクを見据えた追加対策について、昨年六月に提言をいただきました。
 都では、提言を踏まえ、地下ピット内における換気設備の設置及びコンクリートの打設や建物下への揚水施設の設置及びウエルポイント工法の実施等の地下水管理システムの機能強化といった追加対策工事を実施し、本年、七月に完了させたところでございます。

○けいの委員 追加対策工事を行って本年七月に無事に完了したということです。
 そもそも追加対策工事は、建物下に盛り土がなかったことを受けて実施されたものでありますけれども、盛り土と同等の効果が得られたのか、そして工事完了後、知事はどのようなメッセージを発信したのか、確認いたします。

○吉野建設技術担当部長 追加対策工事により、各建物の地下ピットでは、水銀等ガスの量の低減が図られており、七月三十日に専門家会議からは、床面コンクリート及び換気設備の維持管理が適切に行われていくことにより、将来にわたって盛り土と同等の機能を果たすことができると考えられると評価していただきました。また、将来のリスクを踏まえた安全性が確保されたことを確認いただいたところでございます。
 こうした専門家会議の評価も踏まえ、翌七月三十一日には、知事から、豊洲市場は安全であり安心してご利用いただける旨の発言がございました。

○けいの委員 追加対策工事によって、さらなる安全性の向上が図られたということでありました。現在、豊洲市場は、安全・安心な市場として稼働しているということで認識しております。
 次に、豊洲市場の使い勝手の向上についてお伺いします。
 昨年九月には補正予算が成立し、その中では、追加対策工事だけではなく、業界要望に応えるための使い勝手の向上に向けた予算も計上されました。
 そこで、この補正予算によって使い勝手向上のためにどのような取り組みを行ったのか、説明をお願いいたします。

○渡辺施設担当部長 使い勝手の向上に向けた取り組みとして、平成二十九年度においては、ターレスロープについて、走行時の安全性の向上を図るための大型カーブミラーの設置や、六街区東側ランプウエー付近のカーブ部分における交通の円滑化のためのアスファルト舗装の着色や車両動線の見直しのほか、場内サインの改善等を行ったところでございます。

○けいの委員 開場前には、業界団体による習熟訓練が行われており、都は、こうした訓練を踏まえて、寄せられた業界の意見に向き合いながら、豊洲市場の使い勝手の向上に取り組んでこられました。
 一方で、実際に市場として運用することで、訓練では気づかなかった部分が見えてくるということも考えられます。
 開場した後も、業界の意見を聞きながら、継続的に使い勝手の向上を図るべきだと考えますが、見解を求めます。

○渡辺施設担当部長 円滑な市場運営を実現するためには、業界団体の声を聞きながら、豊洲市場の使い勝手を継続的に向上させていく必要がございます。
 開場後の実際の施設利用を通して業界からいただいた意見につきましては、内容を確認した上で、都として必要性を勘案しながら、運用方法や施設の改善など可能な限り工夫を重ねてまいります。
 引き続き、実際に市場を動かしていく業界とともに知恵を出し合いながら、より安全で使いやすい市場の実現を目指してまいります。

○けいの委員 市場施設は、業界にしっかりと活用してもらって、その機能を十分に発揮させていくことが重要です。
 市場移転はゴールではなくスタートです。今後も、業界と二人三脚で、ますます使いやすく機能的な市場づくりをお願いいたしたいと思います。
 次に、市場業者への支援について伺います。
 豊洲市場の開場を円滑に迎えるためには、開設者である東京都の取り組みだけではなく、市場業者一人一人の取り組みを進めていくことも重要であったと考えます。とはいえ、移転対象となる市場業者の数は約九百と非常に多く、また、会社の規模や経営状況も一様でないことから、移転に向けた取り組みを進めるためには都の支援が不可欠であったと思われます。
 都は、市場業者の取り組みを支えるため、さまざまな移転支援策を講じてきました。また、移転延期に伴って、既に設備投資等を行っていた市場業者に対する補償も進めてきたと聞いております。
 そこで、これらの取り組み状況を確認させていただきます。まず、移転支援策の実績についてお伺いします。

○赤木移転支援担当部長 都は、豊洲市場に移転をする市場業者の経済的な負担を軽減をし、円滑な移転を進めるために移転支援策を実施しております。
 移転支援策の内容でございますが、制度融資等の利用者に対する利子補給事業、また制度融資等では、資金需要を満たさない仲卸業者や業界団体等を対象としました市場独自の融資事業を実施しております。
 それに加えまして、環境に配慮した先進市場である豊洲市場の実現に向けて、環境負荷低減、省エネルギー等に対応した設備の導入促進のための補助事業を実施しております。
 平成二十九年度の支援実績でございますが、利子補給事業として二百八十六件、一億二千万円、市場独自の融資事業として三百三十六件、五億五千万円、環境・省エネ設備補助事業として六百二設備、四億一千万円を支出いたしまして、市場業者の資金繰りなど移転に伴う不安の解消などに取り組んでおります。

○けいの委員 それでは、あわせまして、補償の実績についてはいかがでしょうか。

○影山豊洲市場事業連携担当部長 豊洲市場への移転延期に伴います補償につきましては、移転に向けて豊洲市場に準備した設備の価値の減耗や築地市場での営業を継続するために、経常経費を超えて行った設備修繕費、豊洲市場に準備した設備を築地市場で活用するために要した移設費などを対象に補償を行ってまいりました。
 平成二十九年度の実績としましては、約千五百件、約五十億円の補償費を支出しており、その内訳につきましては、設備の価値減耗分が約四十二億円、設備修繕費が約四億円、移設費等が約四億円となっております。

○けいの委員 それぞれで、それなりに大きな規模での支援や補償が行われてきたということが確認できました。
 こうした取り組みを実施するに当たって、都は個別相談を行いながら、市場業者の準備を支えてきたと聞いております。また、支援や補償以外にも、造作工事や引っ越し準備の相談にも応じてきたとのことです。
 都議会公明党は、こうした相談対応の際に、市場業者に寄り添った丁寧な対応を求めてまいりましたが、どのような対応を行ってきたのか、都の取り組み状況を伺います。

○影山豊洲市場事業連携担当部長 都におきましては、豊洲移転サポート相談室や補償の相談ブースなど各種相談対応のためのスペースを設けまして、個別相談に対応するための体制を整えてきました。
 相談対応に際しましては、市場業者の方々の資金繰りなどの課題や移転にかかわる不安などを丁寧に聞き取るほか、補償金の交付申請に係る書類作成をサポートするといった取り組みを行ってまいりました。
 また、造作工事に係る技術的なアドバイスや引っ越しに係る注意点の伝達など、個々の市場業者の状況に即して、きめ細やかな対応に努めてきたところでございます。

○けいの委員 我が党の求めに応じ、都が丁寧な対応を行っていただきました。こうした対応が実を結んで豊洲市場への移転が大きな混乱もなく実現できたものと感謝します。
 次に、開場前に報道されていた豊洲市場のひび割れについてです。
 このひび割れは、昨年秋には把握されていたとのことですが、昨年度中に補修工事が行われていれば今回のような騒ぎにはならなかったのではないでしょうか。
 昨年度にひび割れの補修を行っていた場合、どの予算で執行することになったのか、確認をお願いいたします。

○渡辺施設担当部長 ひび割れの補修といった工事は、施設の維持管理の一環として修繕費の執行により行うこととしております。

○けいの委員 開場直前の時期にさまざまな形で報道されたことによって、豊洲市場の安全性に不安を感じた方もおられると思います。
 この問題については、既に、さきの経済・港湾委員会において我が党の上野議員が質疑をしており、ここではポイントを絞って再度、確認をさせていただきます。
 地盤沈下によるひび割れについて安全上の問題はないのか、改めて見解を求めます。

○渡辺施設担当部長 まず、豊洲市場の主要な建物については、地中深くのかたい地層まで達するくいによって支えられており、沈下によって建物の構造に影響を与えることはございません。
 今回のひび割れは、建物周りの地盤が時間をかけて圧密され、徐々に沈下したことにより生じたものでございます。圧密沈下は一定の時間が経過することで収束するものであり、豊洲市場用地において、今後、大幅な沈下が生じるものではありません。また、盛り土が適切に締め固められていることから、突然の陥没等が起こることはありません。さらに、盛り土は有効に機能しており、地下の揮発性物質等により周辺環境に影響を与えることもございません。
 したがいまして、食の安全に関する問題や市場業務への支障が生じることはございません。

○けいの委員 ありがとうございます。建物は、地中深くの地層まで、くいによって支えられている、沈下は圧密の沈下である、ひび割れによって有毒なガス等が上がってくることはない、したがって安全性に問題がないということを明快にお答えいただきました。
 いたずらに都民の不安があおられるようなことがないように、都は、今後も、しっかりとした説明を行っていくことを要望します。
 今回の件を踏まえると、施設の維持管理を適切に行っていくことが重要であると考えますが、今後の取り組みについてお伺いします。

○渡辺施設担当部長 豊洲市場がその機能を存分に発揮するためには、施設のふぐあいが発生した場合に、迅速に補修、復旧を行う必要があります。
 今回のひび割れにつきましては、市場業者の安心に資する観点から、早期に契約を締結し、九月末に補修工事を完了させたところでございます。また、経過観察の対象とした九カ所についても、今後、補修等が必要とされる場合には速やかに対応してまいります。
 都としては、巡回等による日常の点検を定期的に行うとともに、市場利用者の声に耳を傾けることにより、ふぐあい等の早期発見に努め、その状況に応じて必要な補修工事を迅速に行うなど施設の維持管理を適切に行ってまいります。

○けいの委員 この施設の維持管理、この点については、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 今回のひび割れは、圧密沈下が原因とのことですが、地盤沈下が発生したことをもって、豊洲市場は軟弱地盤の上に建っており、液状化の心配もあるといった主張をする人たちが一部にはまだいるようです。都民がこういった不正確な主張を信じて不安を感じるようなことがあっては絶対になりません。そのためにこの点についても確認をしておきます。
 まず、圧密沈下と液状化とではメカニズムが異なると思いますが、それぞれの違いについて説明をお願いいたします。

○佐々木環境改善担当部長 圧密沈下は、埋立地などにおいて盛り土を行った場合に生じるものであり、土の重さが増加することで地中深くの粘性土層が圧縮されることで生じるものであります。
 一方、液状化は、地下水位が高い状況において、締め固められていない砂層に地震による力が加わり生じるもので、圧密沈下の原因となる粘性土層では生じにくいのが一般的でございます。

○けいの委員 ありがとうございます。今のご答弁ですと、圧密沈下は粘性土層というやわらかい地層が圧縮されて起きるもの、液状化は粘性土層ではなく砂の部分で起きるということです。
 つまり、それぞれの現象が発生する地層そのものが異なるということだと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○佐々木環境改善担当部長 そのとおりでございます。

○けいの委員 対象となる地層が異なるということであれば、圧密沈下が発生したから液状化も起きるという論理は成り立たないと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○佐々木環境改善担当部長 先ほど答弁させていただいたとおり、圧密沈下と液状化とでは対象となる地層が異なることから、圧密沈下が発生したことをもって液状化が発生しやすい地盤であるというものではございません。

○けいの委員 今、やりとりをさせていただいたことで、圧密沈下と液状化の関係については確認できたと思います。そもそも液状化については、しっかりとした対策をとっていれば、その被害を防ぐことが可能です。東日本大震災の際も、液状化対策を実施していた場所では、液状化による被害は発生しませんでした。
 私も舞浜駅周辺の視察に行ってきました。東京ディズニーリゾートがありますけれども、あの中は地盤改良を行って液状化対策がしっかり施されていると。当時、中では全く、ひび割れが数カ所起きただけで、液状化は一切起きていない。それに対して施設から一歩出た道路の向こう側は、地表がめくれ上がって、柱が、マンホールが浮き上がってくるというような、そういう状況でありました。これ一つとっても、いかに地盤改良、液状化対策がこうした震災のときに効果的であるかということが確認できます。
 そこで、豊洲市場では、この液状化についてどのような対策を行っているのか、お伺いします。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場用地では、平成二十三年三月の東日本大震災の後に、建物敷地外については同年十一月以降の土壌汚染対策工事において、また、建物敷地については平成二十六年二月以降の建物建設工事において液状化対策を実施いたしました。
 具体的には、敷地全域で砂やコンクリートによる締め固め等の対策を実施しており、市場問題プロジェクトチームにおいて大地震に対しても効果があることが確認されております。

○けいの委員 ありがとうございます。豊洲市場では、しっかりとした対策がとられているということが、今、わかりました。
 地表、アスファルトの一部のひび割れをもって危険だ、危険だというような、そういう一部の方々が今後出ないように、私も強く念願します。誤った情報によって都民が不安を感じることのないように、都としてもわかりやすい説明を心がけていただきたいと思います。
 一般の都民は、建設のエキスパートばかりではありません。こうした構造上の問題を丁寧に、皆さんの口から、そして私たち議員も広く都民に周知していかなければいけないと、このように決意しております。
 最後に、都民見学会についてです。
 都民や市場の取引関係者など多くの方々に豊洲市場を正しく理解してもらうために、何よりも実際に現地を見てもらうことが有効です。
 このため我が党は、都民を対象とした見学会の開催を提案し、都は、これに応えて、昨年度から公募による豊洲市場の見学会を実施してまいりました。
 そこで、まず、これまでの実施回数や参加者数など見学会の実績について伺います。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 都民の方々に豊洲市場を実際に見ていただき、市場の仕組みや施設の魅力を感じていただくことは重要と考えてございます。
 そのため、都では、公募による都民見学会や親子見学会に加えまして、地元住民や市場関係者の方を対象とした見学会を開催するなど、さまざまな立場の方に見学していただいてきております。
 そのうち、都民見学会及び親子見学会につきましては、昨年六月からことし九月までに二十八回実施いたしまして、三千名を超える方々に参加していただいたところでございます。

○けいの委員 三千名を超える非常に多くの方々に参加していただいたということです。
 次に、これまでの見学会では、参加者に対してアンケートを実施してきたということですが、実際に豊洲市場を見学した方からはどのような意見があったか、お伺いいたします。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 実際に、豊洲市場を体感した方々に、率直な意見や感想を聞くことは重要と考えてございまして、これまで参加者にアンケートをお願いしてきたところでございます。
 見学会に参加された方からは、安全性の確保に向けた取り組みを知り、とても感心したといったご意見や、実際に場内を回り市場全体の規模感や雰囲気がわかり、よかったといったご意見がございました。また、豊洲市場も、築地のようににぎわってほしいという期待する声もございました。

○けいの委員 私の知人も一人参加させてもらった方がいますけれども、マスコミ報道とか漏れ伝え聞く情報では、どれほど汚いのか、危険なのかという先入観に覆われた状態で行って、もう広くて、きれいで、清潔でという、そういう声を私も直接伺いました。実際に施設を肌で感じてもらうことがどれほど有効であるかという、そういう証拠が今回の意見で寄せられたということのようです。
 これまでの見学会は、開場前に実施してまいりました。市場の開場に伴って、飲食店や物販店など食事や買い物を楽しむことができる環境が整い、連日大変多くの来場者でにぎわっている豊洲市場ということです。満喫されているそうです。
 本年の第一回定例会の一般質問で私も主張させていただきましたが、今後とも、豊洲市場の機能や魅力を来場者の方々にしっかりとPRしていくべきだと考えますが、改めて都の見解を求めます。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場では、市場の持つさまざまな魅力や機能を発信するため、ハード、ソフトの両面にわたる工夫を凝らしてございます。
 具体的には、ハード面では、見学者専用の通路が設置され、この通路から実際の取引の様子を見ることが可能となっていますほか、市場の仕組みや機能を紹介するためのPRコーナーも整備されてございます。
 また、ソフト面におきましては、日本橋や京橋といった築地市場開場以前からの歴史を紹介するほか、実物のターレなどを展示してございます。それらの展示物につきまして、多言語による説明表示を充実させるなど、外国の方も含めたさまざまな来場者の方に楽しんでいただける環境を整えてございます。
 さらに、来年一月十五日からは、職員が案内いたします小中高校生を対象とする団体見学会、さらに、マグロの卸売り場と同じ空間に設置された見学デッキで競りを体感できる見学を開始する予定でございまして、これらの取り組みを通じまして、多くの方々に市場施設や機能等を深く理解していただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。

○けいの委員 さまざまご答弁ありがとうございました。
 市場にとって激動の二十九年度となりましたけれども、このたびの豊洲市場のオープン、大盛況は、これまでの市場当局の皆様、業界関係者の皆様、地元区の皆様の大変なご努力、ご尽力のたまものであると心より感謝申し上げます。
 築地市場が長年にわたり親しまれてきたからこそ、関係者や来場者が変化に対応するのは大変なことです。
 今後もぜひ、しっかりとした取り組みを進めて、長年にわたり国内外に親しまれる、魅力にあふれた豊洲市場をつくり上げていっていただきたいということを強く求めまして、質問を終わります。

○鈴木(章)委員 私からも、幾つか質問をさせていただくわけですけれども、小池知事になりまして初めての決算ということで、本当に、この決算というのは、これまでの取り組みを総括する上でも大事な質疑ではないかなというふうに思います。
 私も、経済・港湾委員会の中で幾つか質疑をさせていただきましたけれども、やはり一つ一つもう一度過去にさかのぼって、そしてその全てのことに対してしっかりと受けとめて、それを次の発展につなげていくことが何よりも大事なのかなというふうに思っております。
 当時、小池知事が就任されて、この豊洲市場の移転問題が、まさに小池劇場の舞台になってしまったということは大変残念な思いがいたしております。黒い頭のネズミを探す、前任者をつるし上げて、さまざまな皆様方に資料を要求したりと、そういった困難があって、本当に生産性のない仕事に携わってきた皆様には、大変なご苦労だったんだなということも改めて示させていただきたいというふうに思います。
 知事の判断で移転を延期した豊洲市場でありますけれども、延期の理由として、改めていうまでもないわけですけれども、安全性への懸念、巨額で不透明な事業予算、そして情報公開の不足という三つの疑問を挙げておりました。そもそも、このことがどのような問題だったのかというふうに、今となっては大変思うわけでございますけれども、二年間の検証でその疑問が解消されたのか、やはりそこの部分も本当に疑義が残るものというふうに思います。
 一方で、移転延期に伴って当初予定していたことを実施したり、それまで計画していたこととずれが生じてしまったということにもつながっているというふうに思います。
 二十九年度決算の審査に当たりまして、本日、この延期中のさまざまな都の対応状況を確認するとともに、豊洲市場開場後の市場運営の方向性等について確認をしていきたいというふうに思います。
 初めに、豊洲市場に関連する経費についてです。
 移転延期中である平成二十九年度においては、豊洲市場に関連してどのような経費が執行されてきたのか、一つ一つ内容や金額等を確認してまいります。
 初めに、市場関係者による準備の状況について伺います。
 豊洲市場は、施設の配置や物流動線など築地市場とは大変大きく異なっており、こうした新たな環境になれるための訓練、いわゆる習熟度訓練が行われてまいりました。私たちも、経済・港湾委員会で、この豊洲移転、そして開場後の円滑な運営に当たっては、最も注意してしっかりと業界団体の皆様と一緒になって取り組んでいただきたいということを強く要望させていただいたわけです。
 二十九年度において市場関係者は、習熟度訓練を鋭意行ってきたようでありますけれども、それはどのような内容で、都の支出として幾ら執行したのか、お伺いいたします。

○影山豊洲市場事業連携担当部長 市場関係者は、これまで実際の開場時を想定しまして、車両の動線や店舗、施設の配置、荷の搬送方法などについて習熟訓練を通じて確認してまいりました。
 訓練の実施に際しましては、個別業者の習熟訓練に加えまして、卸業者、仲卸業者、買参人などの多くの関係者が参加した合同習熟訓練も行われたほか、実際に荷を使って作業を実施するなど、創意工夫をしながら訓練を実施してきたところでございます。
 訓練は業界団体が主催して行われるため、都として習熟訓練のみを目的とした支出は行っておりません。
 なお、都では、習熟訓練や造作工事なども含めまして、さまざまな目的で豊洲市場に入場する関係者のために入退場管理の業務委託を実施してきたところでございます。

○鈴木(章)委員 先ほどの質疑にもありましたけれども、開場日、いろいろ混乱があったわけですけれども、そうした混乱を見ると、やはりもう少ししっかりと皆さん方の理解を得るような努力というものも必要だったんではないかなというふうに私たちは思っております。
 市場関係者も主体的に準備を進めてきたということですけれども、この間の習熟度訓練だけで本当にそれがクリアに解決ができたのかということを思うと、経済・港湾委員会のときに質疑させていただいたことというのが生かされたのかということも本当に今思っております。
 先日、豊洲市場が開場しましたけれども、開場初日に、場内の渋滞やターレの接触事故などが報道されておりました。また一部の市場業者からは、ターレスロープが走りにくいという声も出ておりました。
 開場直後ということもあり、私たちもいたし方ない部分もあるというふうには思っておりますけれども、都は習熟訓練などを通じて課題などを検証してきたのではないか、そして対応状況を含めてどのように取り組もうとしていたのか、見解をお伺いいたします。

○影山豊洲市場事業連携担当部長 習熟訓練を通じまして、市場関係者の豊洲市場への理解が深まるとともに、使い勝手の向上や車両動線の安全確保といった課題を改めて確認できたところでございます。
 訓練の結果を踏まえまして、業界団体からは、ターレスロープの改善等の意見をいただいたところであり、こうした要望に対応しまして、都におきましては、カーブミラーの大型化や走行車線の見直しなどの工事を完了させ、安全性や使い勝手の向上を図ってきたところでございます。
 一方で、全ての関係者の方が訓練に参加できたわけではございませんので、新しい施設になれるまでには一定の時間が必要になると考えており、都としましても、業界団体と連携してターレ等の走行時の安全確保など、開場後の市場運営の円滑化に努めてまいります。

○鈴木(章)委員 今、答弁ありましたけれども、先ほども話しましたけれども、開場初日ということで、多少のそういった混乱というのは予想されておりました。しかしながら、築地から豊洲に移転をする大きなメリットというのは、衛生状況がしっかりしている、そういったことを考えると、今回、開場初日に荷さばきを道路上でされていた方々もいらっしゃるという話も聞きましたし、そういった問題が結構出ていましたけれども、こうした部分というのは、しっかりと、私たちもあのとき、経済・港湾委員会の質疑でも、そして予算委員会でも話をさせていただきました。そういったことを踏まえながら、皆さんに理解をいただくということが何よりも大事だということも何度も指摘をさせていただいたわけですけれども、こういった状況が当日生まれてしまったということであるわけでございます。本当に残念だというふうに思います。
 豊洲市場というのは、衛生管理をきちんと行うという考えのもとに整備されているということを考えますと、やはりしっかりと豊洲市場というものがどういう目的でつくられたのかということも、もう一度皆さんと一緒に共有する必要があるというふうに思いますし、コールドチェーンを確保する上で一番大事なのは、施設ではなくて市場関係者の意識を高めていかなくては、幾らそういった施設ができても全く生かされないということにつながってしまうわけでございまして、都と業界団体がもう一度お互いに連携して、品質管理、衛生管理を徹底的に努めていただきたいというふうに思います。
 次に、築地市場についてお伺いいたします。
 築地市場は、豊洲市場の延期に伴いまして引き続きの運営となってしまったわけですけれども、これも全くの想定外だったというふうに思います。かなり老朽化が進んでいた築地市場に対して、運営を続けるために、さまざまいろんな修繕とか実施してきたわけですけれども、そのかかった全体の執行額についてお伺いいたします。

○渡辺施設担当部長 豊洲市場への移転までの間、築地市場におきましては、市場が支障なく運営できるよう適切に維持管理を行ってまいりました。
 平成二十九年度に実施した主な修繕工事は、ふぐあいが出たシャッターや扉、雨漏り修理などの建物補修、場内の路面補修、冷凍冷蔵設備を動かすための電気設備の修理、ろ過海水設備の配管修理などであり、全体の執行額は約二億五千万となっております。
 このほか、路面、マンホール、グレーチング、便所等の修繕の一部は、都の職員が直接実施しております。

○鈴木(章)委員 いうまでもない話ですけれども、この経費というのは、移転が延期されなければ本当は支出する必要のなかった費用であり、移転延期によって市場会計に無駄な負担がかかったということがよくわかりました。
 豊洲は安全だけれども安心はない、築地には安心があるというふうに、おもしろい回答を知事が当時しておりましたけれども、この安心というのが一体何なのかということは、本当に、もう一度冷静に受けとめる必要があるのかなというふうに私は思います。
 こうした費用はほかにもあるというふうに私は思います。移転延期に伴って業者への補償金が発生したわけですけれども、その補償金について、二十九年度全体の執行額について伺います。

○影山豊洲市場事業連携担当部長 豊洲市場への移転延期に伴います補償につきましては、平成二十九年度は、約千五百件、約五十億円を支出してございます。
 具体的には、移転に向けて豊洲市場に準備した設備の価値の減耗分として約四十二億円、築地市場での営業を継続するために経常経費を超えて行った設備修繕費として約四億円、豊洲市場に準備した設備を築地市場で活用するために要した移設費などとして約四億円の補償金を交付したところでございます。

○鈴木(章)委員 補償で五十億かかったという話ですけれども、この経費も先ほどと同じ、移転延期がなければ必要なかった代表例なわけです。
 補償について金額以外にも確認しておくべき点があります。それは補償費用の財源なんですけれども、移転延期の判断をしたのは知事であって、その影響によって補償が必要になったわけです。であるならば、補償費用の財源に、市場関係者の使用料を充てるというのはおかしいじゃないかというような主張もこれまでの質疑にもあったわけですけれども、私たちは至極真っ当な主張だというふうにも思っております。
 過去には、この補償金について、市場関係者の使用料を充てるのかどうか議論をされたかと思いますけれども、その支出に当たって財源がどうなったのか、改めてお伺いいたします。

○岡安管理部長 移転延期に伴う市場業者への補償金につきましては、市場業者が支払った使用料を直接その財源に充てることは適当でないことから、市場会計の保有資金であります建設改良積立金を活用することとしたところでございます。

○鈴木(章)委員 これ、先ほどの質疑にもありましたけれども、市場会計の積立金を充てる、この積立金というのは、大田市場に移転するときに、いろいろな部分で、また積立金も入っているわけですけれども、市場関係者の使用料も、都民の税金も、いわゆる充当しがたいという中での苦肉の策だったということであります。
 そもそも、こうした手段をとるしか、こうした手段をとる必要がなかったということは、私は、移転延期がなければ本当に必要なかったということも、改めてまた指摘しておきたいというふうに思います。
 市場関係者は、自分たちの使用料で賄われている市場会計の健全性、持続可能性というのを本当に心配しております。市場業者の中には、中小零細企業の方々が大変多くて、先ほど使用料が安いというお話もありましたけれども、経営が苦しい中で支払った使用料というのが、自分たちの仕事がしやすい環境づくりにきちんと生かしてもらえるのかということをとてもよく見ておられます。
 また、厳しい経営環境の中で、豊洲市場への移転に伴う負担の増加も心配されております。豊洲市場は、施設の規模も大きくて、また温度管理も行われているため、多分電気料もこれまで以上にかかるのではないかと懸念されております。衛生管理を高度化するという意味では必要ですけれども、閉鎖型で温度管理が徹底された市場としてのメリットを十分に発揮していかないと、こうした費用も無駄になりかねず、何のための移転だったのかということにもつながりかねません。中小零細企業も多い市場業者の方々が、こうした負担がある中でしっかりと利益を出せるような取り組みを、都として責任を持っていただきたいというふうに思います。
 安心というのは当たり前なんですけれども、これからは、やはり業者と一緒になって、豊洲移転を伴ったことを一つの契機として、さらなる魅力の創出と発信に努めていくことが何よりも大事だというふうに思います。そして、中小零細企業の方々も、こうした負担がある中でもしっかりと利益が出せるような取り組みを、都として一緒になってやっていただきたいというふうに思います。市場開設者として、東京都のこうしたことが本来の、私は責任ではないかなというふうに思っております。
 次に、追加対策工事について質疑します。
 移転延期中の平成二十九年度の事項として、やはり触れておきたいのが追加対策工事であるわけです。
 専門家会議の平田座長さんは当時、盛り土がなく、地下ピットのような空間があっても、市場は安全であるので市場として使うことは可能という趣旨の発言をされていたというふうに記憶しております。また、この追加工事については一部の事業者、ゼネコンの方からは、開場しても技術的には高さ四・五メートルある地下空間の中では施工可能だったのではないか、そして二年間も必要だったのかというような話も伺っております。
 安心を重ねるための工事とはいえ、追加対策工事には相当の経費を費やしたと考えていますけれども、どのようなきっかけで、改めて、追加対策工事が行われることになったのか、その内容についてお伺いいたします。

○吉野建設技術担当部長 豊洲市場では、主要な建物下に盛り土がなく地下ピットとなっている状態を受けて、一昨年九月に改めて専門家会議を設置し、リスク管理上必要な対応策等について検討いただいてきました。
 専門家会議では、空気や地下水質の客観的なデータなどを踏まえ詳細に調査、検証し、豊洲市場の法的、科学的な安全性について確認いただくとともに、将来のリスクを見据えた追加対策について提言いただきました。
 具体的には、地下ピット内における換気設備の設置及びコンクリートの打設や建物下への揚水施設の設置及びウエルポイント工法の実施等の地下水管理システムの機能強化について提言をいただいており、都では、これら提言に基づく追加対策工事を本年七月に完了させたところでございます。

○鈴木(章)委員 いわゆる追加対策工事というのは、盛り土がなかったための代替案だったわけですけれども、工事を実施する以前から、法的に、そして科学的には安全性は確認されていたということであるというふうに思います。このあたりが都民の方に非常にわかりづらい今回の問題になっているというふうに私は思います。
 工事を実施する前と実施した後では、安全面で見るとじゃあ実際に何が変わったのか、お伺いいたします。

○吉野建設技術担当部長 専門家会議の提言に基づく追加対策工事について、専門家会議による確認調査の結果、地下ピットについては各建物の地下ピットの床面コンクリートは水銀等ガスの侵入がない状態となっており、計画どおりに換気されることで、地下ピット内の空気の水銀等ガス濃度は問題のない状態で維持されることを確認していただいております。
 また、地下水管理システムの機能強化については、全体として地下水位の低下が促進されている状況が認められるとともに、地下水の揚水能力が強化され、想定していた揚水能力が確保されていることを確認していただいております。
 専門家会議からは、空気調査等の結果から、地下水管理システムの機能強化などの追加対策工事を実施する以前から、建物一階部分及び屋外の地上部の空気は科学的な安全が確保された状態であり、その状態が維持され続けているとした上で、東京都が実施した追加対策により、将来のリスクを踏まえた安全性が確保されたことを確認したと評価していただいており、追加対策により豊洲市場のさらなる安全性の向上が図られたものと認識しております。

○鈴木(章)委員 この盛り土がなかったという問題においては、基本的には、組織の中のコミュニケーションのそごがこういった大きなことにつながってしまったんだということを私たちは思っております。
 そうした中で、二度とそういったことが起きてはならないわけですけれども、しかしながら、盛り土があったとしても、地下空間は必要だったというような技術者会議の見解もあるというふうにも私たちは思っているわけです。
 今回の、盛り土がなかったこうした対応が、改めて、この二年間の追加対策工事につながってきているわけですけれども、今回の追加対策工事自体について、都としてどのように評価をしているのか、お伺いいたします。

○吉野建設技術担当部長 専門家会議では、主要建物下に盛り土がなかったことから、盛り土が果たしていた機能にかわる対策等を検討していただきました。検討に際し、同会議において、地下ピット内にたまっていた水の水質、主要建物の地下ピット内と建物一階部分及び建物の外の空気を測定し、地下ピット内の空気調査で水銀濃度が指針値を超過していたことを確認いたしました。
 追加対策工事により、各建物の地下ピットでは、水銀等ガスの量の低減が図られており、専門家会議からは、床面コンクリート及び換気設備の維持管理が適切に行われていくことにより、将来にわたって盛り土と同等の機能を果たすことができると考えられると評価していただきました。
 都としましては、追加対策により豊洲市場のさらなる安全性の向上が図られたものと認識しており、今後、管理を適切に実施するとともに、引き続き正しい情報発信を行っていくことで、豊洲市場を安全・安心な市場として運営してまいります。

○鈴木(章)委員 追加対策工事が行われて、その結果、盛り土と同等の効果という話がありました。これはいわゆる地下空間の空気の安全性がより増したという話だというふうに思います。
 しかしながら、ご承知のように、地下水の環境基準はまだクリアしていない、それで地下水の水位も変わっていないというところを考えると、実際に当初考えていた結果が、ここで生まれているのかということに対しても、私たちはこれからもしっかりと検証していかなきゃいけないというふうにも思っております。
 そもそも追加対策工事の効果についてですけれども、都民が一体理解しているのか、環境基準値との関係も原因の一つだというふうに私は思っております。
 現在も、豊洲市場の地下水は、今いったように大変環境基準を超過して厳しい状況にある中で、知事は、ここ開場に近づいてきた中で安全宣言を出したわけでございますけれども、この環境基準を超過していても安全という、そういった疑問の声も上がっております。
 そもそも今回の問題で、豊洲市場の延期の決断以前に、専門家会議の方々は、豊洲市場の安全性というのは法的にも科学的にも担保されているという話があった、しかしながら安心がなかったというふうな知事の独断の中で、安全性への懸念、そして巨額で不透明な事業予算、情報公開不足という三つの疑問を掲げて始まってきたわけです。
 結局、ここに来てできたことは--盛り土がなかったということは大変大きな問題だったわけですけれども、しかしながら今後の豊洲市場を考えた中では、盛り土があったとしても地下空間というのは少なからず必要だったという見解であるというふうにも思っております。
 そしてまた、安全性への懸念ということに対しても、地上部分においては、安全性はもう既に担保されていた。しかしながら地下空間の安全性というのに疑義があるから、今回コンクリートを張り、そしてまた換気をして、そしてまた地下水浄化システムの揚水機能の補完をしたという話なわけです。
 しかしながら地下空間の安全性は、それは、より安全になったわけですけれども、さらにその下の地下の部分においては、いまだ環境基準をクリアしていないという現実がある。
 そして、じゃあ、巨額で不透明な事業予算という話においても、基本的には、この事業予算は二年間延期したことによってさらに膨らんできているというのが、きょうの質疑でも証明されているわけですけれども、この部分で、巨額で不透明な事業予算の不透明というのが、何をもって不透明だったのかということも、この二年間ではしっかりと解決がされていない。
 そして情報公開不足という話も挙げられておりました。確かに、関係部局の中のコミュニケーションのそごによって、盛り土が、あるはずのものがなかったということが明らかになったわけですけれども、土壌汚染対策と盛り土がなかったという問題においては、どのように都民の方々につながっていったのか、発信されていったのかということを考えると、私は、今、豊洲にとって一番大事なのは、豊洲市場は安心・安全であり、当然、安心な市場であり、そしてさらに衛生面においても、本当に魅力的な市場になっていかなくてはいけないという、その魅力を大きく損ねてしまっている要因になったのが、今までのやりとりだったというふうに私たちは思っております。
 突然、知事が、築地は守る、豊洲は生かすという話の中で、築地の豊洲移転の延期が行われたわけですけれども、この部分においても、結局、業界団体の方々は知事に裏切られたということで、先ほど開場のときに、築地市場に居残って、最後まで移転に対して反対といっていた方々の姿を見ると、私たちは、これまで豊洲移転に対して、本当に、業界団体や多くの方々の努力をいただくという、そうしたいろんな方々の努力の中で、豊洲移転が決定して歩んできたわけですけれども、それがこんな、いとも簡単に崩されて、この二年間というのは一体何だったのかということを思わざるを得ません。
 そうした中で、今、きょうは決算でありますから、こうしたことをしっかりと踏まえながら、やはり二度と私たちが--今回、このような状況になってきたということに対しては反省も込めて、これからにつなげていかなくてはならないというふうにも思っております。
 また、情報公開不足という話においても、まさに情報公開が必要だといっていた知事が、これもしっかりと押さえていかなきゃいけないのは、平成二十八年の十二月二十八日に、検査済み証が東京都から出ているにもかかわらず、そのときに、しっかりと情報発信もしない、そして予算委員会の質疑において、実は一月に知っていましたというような、それがまさに情報公開が不足しているという、私は一番の問題だというふうにも思っております。
 今、豊洲市場が多くの注目を浴びていて、そして皆さんの関心が高かったときに、こうしたしっかりとした情報、一番大事な情報が何でこんな、一カ月半もおくれてしまったのかということに対しても、やはり私たちが口でいうだけではなくて、情報公開が何で必要なのか、そして情報公開をしっかりしていくためにはどういったことをしていかなきゃいけないのかということも、反省していかなくてはいけないというふうに思います。
 今回、追加対策工事で地下空間の安全性というものは、より担保されたという話になっておりますけれども、しっかりと地下空間の空気の状況を開示して、本当に皆さん方に安心を与えていけるような取り組みにしていくことも、私たちは大事だというふうに思っております。
 今、安全性の話ありましたけれども、そこでもう一つ確認させていただきたいことは、都議会の付帯決議を受けて、いわゆる無害化を目指していた時期があるわけですけれども、現在では、都の方針が変わってきているわけです。それは先ほども話もありました、昨年六月の基本方針が出た際に変わったわけです。
 確認いたしますけれども、無害化にかわる新たな方針、どのタイミングで、どういった経緯で、どういった趣旨で定めたのか、改めてお伺いいたします。

○吉村企画担当部長 いわゆる無害化をめぐりますこれまでの議論の経過につきましては、昨年六月に開催しました市場のあり方戦略本部の中でつまびらかにいたしておりまして、環境基準以下という目標が達成できていない状況を真摯に受けとめ、専門的、科学的で妥当な対策を講じることで、都民の理解を得られるよう努めていくという、今後の対策の方向性について明らかにしております。
 また、専門家会議の検証を通じまして、法的、科学的な安全性を確認いただくとともに、同月、将来のリスク管理を図るための追加対策を実施することが提言されております。
 その上で、今お話がございましたように、昨年六月の基本方針では、豊洲移転に際し、専門家会議の提言に基づく追加対策工事や豊洲市場の安全性の発信について示されております。
 こうしたさまざまな議論を踏まえまして、現実的な取り組みを進める必要があると判断いたしまして、昨年七月に開催いたしました市場移転に関する関係局長会議の中で、無害化にかわる新たな方針を定めたものでございます。
 具体的には、追加対策工事の着実な実施により地上の安全に万全を期すこと、地下水管理システムの適切な運用により中長期的に水質の改善を図っていくこと、さらに、正確な情報発信によって都民や市場業者の理解につなげていくこととしているものでございます。

○鈴木(章)委員 この二年間、さまざま迷走しましたけれども、追加対策工事も終わって、やはり執行機関の皆様方、そして私たち議会、そして何よりも市場業者の方々、そして都民の方々も、皆さんが新たな気持ちで、開場のときに、団体の方がおっしゃっておりましたけれども、さまざまなことを乗り越えて、築地で培った魅力というものを、今度は豊洲でさらにそれを膨らませていくんだという話がありましたけれども、私たちもそういった同じ気持ちで、これからも取り組んでいかなくてはならないというふうにも思っております。
 しかしながら、私たちももう一度、先ほどの、この二年間の取り組みもそうですけれども、情報公開の発信の仕方もそうですけれども、反省すべきところは反省しながら、これからも検証しながら、豊洲市場の魅力を高めていけるように取り組んでいくことが何よりも大事だというふうに思います。
 次に、第十次の卸売市場整備計画について、この策定にかかわってきたものとして、豊洲市場の二年間の移転延期に伴って当初計画との間にずれが生じてしまっているのではないかというような思いで幾つか確認をさせていただきます。
 豊洲の移転延期に伴って、この整備計画上予定していた他市場の整備や運営に影響が、まず、あったのかなかったのか、お伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第十次東京都卸売市場整備計画は、平成二十九年二月に策定した当初は、豊洲市場の開場が未確定であったため豊洲市場に係る取扱量見込等を含まない暫定計画でございましたけれども、豊洲市場への移転方針の決定後、平成三十年、本年五月に整備計画の改定を行い、豊洲市場を正式に位置づけた経緯がございます。
 豊洲市場以外の各場につきましては、整備計画に定めた市場別の計画に基づき必要な施設整備を実施しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、卸売市場として必要な施設の維持更新のため、低温倉庫や冷蔵庫の改修、変電設備や消火設備の更新など、各市場の施設設備の状況を踏まえまして、市場業務に支障が生じないよう段階的に整備を行っているところでございます。
 また、卸売市場の機能強化策といたしましては、例えば、加工パッケージ機能を備える大田市場の青果プロセスセンター、こちらにつきましては、平成二十八年度から工事に着手しているなど整備計画に基づき施設整備を実施しているところでございます。

○鈴木(章)委員 先ほどの質疑にもありましたけれども、ほかの市場の施設整備というのは、計画に基づいて進めてきたということであります。これは当然のことなわけですけれども、現行整備計画では、豊洲市場の整備に当たって、築地市場の跡地の売却というのが当然前提になった話ですけれども、その売却の話というのは、今、実際どのような形になっているのか、お伺いいたします。

○岡安管理部長 豊洲市場整備の財源としましては、中央卸売市場会計の保有資金及び国庫交付金、企業債を充てておりまして、このうち企業債の償還に当たりましては、築地市場跡地の処分収入を充当していく予定でございました。なお、跡地処分額の試算といたしましては、昨年一月の第五回市場問題PTにおきまして四千三百八十六億円と報告したところでございます。
 その後、市場会計が長期にわたり持続可能性を確保できるよう改めて精査することとし、財政収支の観点から、築地市場の跡地につきましては、長期貸付や一般会計への有償所管がえなど多角的に検討しているところでございます。

○鈴木(章)委員 この話というのは、今後の話の中で最も大事な話なわけです。知事が移転延期を表明してから既に二年が経過しています。この間、市場会計の持続可能性については、幾度となく議論されておりましたけれども、先ほども申し上げましたけれども、この市場会計の取り扱いというのは、本当に多くの市場業者が注目しているところであって、ある程度時間を区切って方向を示していかないと、本当に今後の整備計画にも影響が出かねないと危惧している方々がたくさんおります。
 この第十次の整備計画も、もういよいよ次の計画に移っていかなきゃならない中で、この財源がどうなるのかということが、いつ示されるのかということが、本当に皆さん注目している中で、私たちもさまざまな機会の中で、この部分は一体いつになったら報告はいただけるのかという話を再三させていただきました。
 その中で、小池知事、こういうことをいっているんですね、平成二十八年九月の職員訓辞の中で、あらゆる仕事には期限を決めて取り組んでいただきたいと存じます、行政にありがちな、検討をします、この言葉で長引くことがないようにしていただきたいと思います、検討が必要となる場合には、どれだけの日数で検討するのか、いつまで、どうするのかということを明確にしていただきたいということを皆さん方に知事はいっているんですよ。
 しかしながら、この話というのは、昨年の委員会でも私もさせていただきましたけれども、いまだに決まっていないというのが現実であり、この部分は、皆さんの所管ではないということもわかってはおりますけれども、しかしながら、これからの計画に大変大きな影響を与えるということも、私は確認しておきたいというふうに思います。
 そして築地の再開発検討経費が、市場会計で今計上されているわけです。築地市場の跡地を検討するこの経費こそ、豊洲市場の移転延期がなければ市場会計から支出しなくてもよかったわけですけれども、何でこの市場跡地の検討が市場会計に経費として計上されているのか、こうした疑問のある中で、その見解を改めてお伺いいたします。

○岡安管理部長 移転延期後、主要建物下に盛り土がなされていなかった問題や市場会計の持続可能性などの課題が明らかになり、専門家会議や市場問題プロジェクトチームなどでさまざまな検証を行ってきたところでございます。
 こうした検証を踏まえ、豊洲市場への移転と築地の魅力を最大限に生かした再開発の実現に向け、具体的な取り組みを進めてきたところでございます。
 築地市場の跡地につきましては、市場会計が継続的に運営できるよう、長期貸付する場合や一般会計に有償所管がえをする場合など、財政収支の観点から多角的に検討をしているところでございます。
 お話の経費は、築地再開発に係る委託調査や築地再開発検討会議の運営などに要した費用でございまして、中央卸売市場会計が旧築地市場用地を保有していることから市場会計に計上したものでございます。

○鈴木(章)委員 第十次の整備計画というのが、もう終わりに近づいてきている中で、先ほど、計画どおり進んでいるという話はいただきました。
 しかしながら、次の計画に移っていかなければならない中で、この市場会計が、本当に、今後どうなっていくのかということが物すごい問われる中で、私は早くこの結論を出して次につなげていかなきゃならないというふうに思っておりますし、先ほどの質疑にもありましたけれども、市場業者の使用料で成り立っているこの市場会計というものの今後ということも考えていかなくてはならないというふうにも思っておりますので、築地再開発の検討に至るまでの経緯やその内容を考えたときに、こうしたことが市場関係者の理解が得られるのか、本当に私は今懸念しているところです。
 豊洲市場ばかりが今注目されておりましたけれども、今後は、整備計画に基づいて、各市場の必要な施設整備などしっかりと進めていただきたいというふうに思いますし、開場して五十年を過ぎている市場が三市場もあるという話の中では、各市場の特性に応じた機能強化をやっぱり図っていく、そしてこれからの中央卸売市場のために全力で取り組んでいかなくてはならないというふうに思っております。
 改めてこの豊洲市場開場後の全十一市場について、今後どのように整備、運営していくのか、お伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第十次東京都卸売市場整備計画におきましては、卸売市場における集荷、分荷機能、価格形成、代金決済などの卸売市場の持ちます基本機能を生かしていくため、卸売市場として必要な施設の維持更新などの老朽化対策や環境対策に加えまして、品質、衛生管理の高度化や消費者の多様なニーズへの対応など、時代の要請に応える取り組みを推進していくことが重要であるとしているところでございます。
 今月開場いたしました豊洲市場以外の各市場につきましては、まず既存施設の維持更新にあっては、各市場の施設設備の状況を踏まえまして、照明器具のLED化、冷蔵冷凍設備の改修、変電設備や消火設備の更新など、維持更新工事を計画的に実施しているところでございます。
 また、機能強化につきましては、各市場が施設の規模や立地、取扱数量、商圏などそれぞれ異なる特性を有しているため、都と市場関係業者による経営戦略の策定を踏まえまして、産地などの出荷者や小売店、スーパーなどの実需者からのニーズに応えられるよう戦略的な取り組みを推進してまいります。

○鈴木(章)委員 これまで築地ブランドという話、言葉もよく聞かれましたけれども、築地ブランドを築いてきたのは、仲卸業者、市場業者の方々の目ききや努力、そういったところによるものが大変大きいというふうに思っております。
 そうした中で、そうした事業者の方々がやりやすい環境にしていくのは当然なんですけれども、あわせて皆さん方が一緒になって、この豊洲の魅力をしっかりと創出して、そしてそれを発信して、そしてその二つが両輪となって、これからも取り組んでいくことが、新しいこの豊洲市場の発展につながっていくものというふうに思います。
 先ほどの質疑の中でも、さまざまな都民の方が訪れて、本当に、にぎわいがあったという話も伺いましたけれども、そうしたことを一つ一つ積み重ねながら、これからもすばらしい豊洲の発展を目指して頑張っていただきたいなというふうに思います。
 これからも、豊洲市場の市場会計の持続可能性、健全性については、しっかりと私たちも検証していきたいというふうに思っておりますし、また、これからも環境の問題においても、まだまだ地下水において、そしてまた地下においては、一〇〇%環境基準をクリアしてきているわけでありませんので、そういった部分も注意をしながら、これからもしっかりと正しい情報を発信して、豊洲市場は安全で安心で、そしてさらに魅力ある市場として、私たちも頑張っていきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。きょうは本当にありがとうございます。

○尾崎委員 二〇一七年度の中央卸売市場会計について質問します。
 最初に、豊洲市場にかかわる問題です。
 事実確認したいことが幾つかありますので伺っていきたいと思います。
 豊洲市場は、そもそも埋立地です。しかも東京ガス工場跡地で深刻な土壌汚染があり、四十ヘクタールと広い面積で、これまでの大規模な土壌汚染対策工事も、地下水管理システムの工事も、日本では初めてであり、世界にも類のないようなものでした。土壌汚染対策の大きな二つの柱は、一つは盛り土を行うこと、もう一つは地下水の水位を管理するということでした。
 二年前、日本共産党都議団が建物下にあるはずの盛り土がないことを発見しました。建物下の地下空洞には水たまりがあり、都政を揺るがす大問題になりました。私たちは、地下水管理システムについては、本稼働してからも水位が下がらず、地下水管理システムは破綻していると、これまでも厳しく指摘をしてきました。
 豊洲市場では、地下水位を一定に管理する、地下水位の目標のA.P.プラス一・八メートルにすることが液状化対策の大前提ともなっていました。建物下の地下空洞のたまり水をなくす、地下水位を下げることに東京都は必死になり建物下の強制排水を行いました。
 私は、地下水を下げるために強制排水すること自体が地下水管理システムが破綻した証拠だと考えています。しかも、豊洲市場の中にバキューム車が入り地下水の揚水作業を行っていたことにびっくりしました。
 そこで伺います。
 豊洲市場では、二〇一七年九月からバキューム車による地下水の揚水作業を行っていますが、いつまで運行していたのか、伺います。

○佐々木環境改善担当部長 バキューム車による揚水は、専門家会議の提言に基づく旧観測井戸の揚水井戸化の効果を早期に発現するために実施したものでございます。
 まず、追加対策工事に先立ち、昨年九月中旬から十一月上旬までの間、二十一カ所ある全ての旧水位観測井戸において作業を実施いたしました。
 追加対策工事の契約後は、降雨の状況を踏まえつつ、井戸の状態調査や水中ポンプの据えつけに先立つ準備作業として、本年三月上旬から四月中旬までの約一カ月間、作業を実施いたしました。

○尾崎委員 バキューム車は、旧観測井戸の揚水井戸化する追加対策にかかわって、追加対策工事前の昨年九月中旬から十一月上旬までの期間と、追加対策工事の契約後のことし三月上旬から四月中旬までの期間に運行していたものだということがわかりました。
 それでは、バキューム車はどのようにして地下水の揚水作業を行っていたのか、具体的に教えてください。

○佐々木環境改善担当部長 旧観測井戸において、井戸底付近までおろしたホースをバキューム車に接続し、井戸内にたまった地下水を揚水しました。揚水した地下水はバキューム車で運搬し、排水施設棟で適切に処理した上で下水道へ排水しております。

○尾崎委員 旧観測井戸で直接バキューム車が地下水を揚水し、地下水管理システムの処理場に運んでいたということです。
 私は、バキューム車について、経済・港湾委員会でも取り上げてきました。二〇一八年三月の経済・港湾委員会の質疑では、バキューム車については、今後の旧観測井戸からの揚水作業について追加対策工事の事前作業として実施することとしており順次作業を開始すると答弁がありましたが、大事なことだと思いますので、改めて実施状況について伺います。

○佐々木環境改善担当部長 追加対策工事の契約後は、降雨の状況を踏まえつつ、井戸の状態調査や水中ポンプの据えつけに先立つ準備作業として、本年三月上旬から四月中旬までの約一カ月間、作業を実施いたしました。

○尾崎委員 先ほどの答弁でもあったように、三月上旬から四月中旬までということです。ということは、十二月が追加対策工事の契約ですから、一月、二月の雨が少ないときを除き追加対策工事の準備作業として三月、四月にバキューム車が必要だったということです。要するに、雨が降る時期にはバキューム車がないと大変な事態になるということです。
 それでは、追加対策工事で旧観測井戸を揚水井戸にかえたのは、各街区で何カ所になっているのか、伺います。

○佐々木環境改善担当部長 追加対策工事では、旧観測井戸に水中ポンプや送水用のパイプ管等を設置することにしており、こうした工事を行った井戸は、五街区で七カ所、六街区で五カ所、七街区で五カ所の合計十七カ所でございます。

○尾崎委員 旧観測井戸は全てで二十一カ所です。各街区で七カ所でした。追加対策工事を行い揚水井戸にかえたのは十七カ所ということですから、六街区で二カ所、七街区で二カ所は揚水井戸にはかえていないということです。
 バキューム車は、旧観測井戸の追加対策工事にかかわって運行していたということですが、追加対策工事が終わってもバキューム車は運行していたのかどうか、伺います。

○佐々木環境改善担当部長 旧観測井戸におけるバキューム車による揚水作業は、追加対策工事の完了後は実施しておりません。なお、現在は、ウエルポイント工による揚水した地下水を搬送するためにバキューム車を活用しております。
 具体的には、開場後も降雨等の状況に的確に対応できるようウエルポイント工による揚水作業を継続しておりますが、工事完了後に地下水を送水するための仮設の配管類を撤去したことに伴い、揚水した地下水を一時的に貯留する仮設のタンクから、地下水管理システム貯留槽までバキューム車により運搬しております。

○尾崎委員 バキューム車は、現在も豊洲市場で運行しているということがわかりました。今は、ウエルポイント工により揚水した地下水を運んでいるということですから、ウエルポイント工を残置している限りバキューム車を走らせるということになります。やはり地下水管理システムは破綻していると厳しく指摘しておきます。
 追加対策によって、地下水位は下がったところもありますが、雨が降れば地下水位は上昇し、なかなか下がらない。本来の目標である地下水位はA.P.プラス一・八メートルです。ところが、当面はA.P.プラス二メートルとなり、追加対策のウエルポイントも、当初の仕様書では八十日間だったのに一本を除いてあとは全て残置しているという状況です。しかも、バキューム車で地下水管理システムの処理場まで運ばなければならない、余りにもひどい状況です。
 財政的な負担も、いつまでかかるのか明確にできないのではありませんか、この点でも無責任だと厳しく指摘をしております。
 次に、地下ピットの強制排水で集めた地下水は、一旦排水設備に入ることになると思いますが、排水設備は各街区何カ所ありましたか、途中で排水設備はふやしていたのか、処理の仕方について詳しく教えてください。

○吉野建設技術担当部長 豊洲市場では、追加対策工事において地下ピット内に揚水ポンプを設置するまでの間、地下ピットに仮設ポンプを設置して建物下の地下水を排水しており、この強制排水は平成二十八年十二月から平成三十年一月まで実施いたしました。強制排水の排水設備につきましては、五街区と七街区は一カ所ずつ、六街区は三カ所に設置しており、排水設備の箇所数は変えておりません。
 具体的な処理の流れとしては、地下ピットから水中ポンプで水をくみ上げて、地上部に設置した水槽に送り、その後、pH処理装置で希硫酸を加えて、pHが基準内であることを確認した上で排水用の貯留槽に水を移して下水に放流いたしました。

○尾崎委員 地下水位の高い六街区は、排水施設を三カ所設置したということがわかりました。pH処理については、地下水管理システム処理場ではなく、その場で処理をして下水に流したということです。
 それでは、pH処理装置で使った希硫酸の量はどのくらいになるか、伺います。

○吉野建設技術担当部長 強制排水を開始した平成二十八年十二月から平成三十年一月までに地下水の排水に際して中和に用いた希硫酸の総量は、おおむね一万三千三百キロでございます。強制排水における中和処理は、pH処理装置において地下水のpHの値が自動計測された後、その数値に応じて処理が行われることとなります。

○尾崎委員 豊洲市場用地での地下水処理は大変重要な問題だったと思いますが、どうして強制排水した地下水のpHの値を記録して残す仕組みにしなかったのですか、都の対応が甘いといわなければなりません。
 地下水管理システムの処理場では、下水に流せる基準にするために薬品などを使っています。現在、この最終処理のところには、地下水管理システムや地下ピット内にある釜場で集めた地下水、地下ピット内に入り込んだ雨水、ウエルポイント工で集めた地下水など、さまざまなところで集めた地下水が処理されています。
 地下ピットから強制排水していたものは、先ほどご答弁があったように、水槽に集め、pH処理装置で希硫酸を加えて下水に流せる基準内にしていくということでした。豊洲市場用地の地下水はpHが高いことは以前から明らかになっていました。やはり東京ガス工場跡地だったことが原因だと思われます。
 私たちは、地下水の水質調査をきちんとすべきだと、この間何度も要望してきました。東京都は、地下空洞に水たまりがあった二年前、どこから来た水なのか、水の由来を調べるために水質調査を一回だけ行いました。
 私は、ことしの三月の経済・港湾委員会で取り上げて、水質組成を判断する基本的データであるヘキサダイヤグラムのパネルを紹介したことがあります。本来であれば、左右対象になるはずですが、豊洲市場用地の水質調査では、地下空洞にたまった水たまりの調査では左右のバランスが悪いことがはっきりしました。都が行った水質調査はこの一回だけです。しかもpHがなぜ高いのかについては調べていません。
 改めて、地下水の水質調査を系統的に行うべきだということを申しておきます。
 それでは、排水設備に集まる水の量はどうやって管理していたのか、伺います。

○吉野建設技術担当部長 強制排水の排水設備は自動運転で制御しておりました。また、排水時には、作業開始前と終了時に加え、排水作業中に適宜巡回で地上部の排水設備の状況を確認し、地下ピットからの排水を管理しておりました。

○尾崎委員 この排水設備から水があふれたことはありますか。

○吉野建設技術担当部長 強制排水の排水設備から水があふれるという事態は確認しておりません。

○尾崎委員 自動運転で制御していて、地下ピットの強制排水の排水設備から水が漏れたことはないということでした。
 このパネルをごらんください。このパネルの上の写真は六街区西側の写真ですが、ここにタンクのようなものが四つまとまってあります。
 これは何をする施設なのか、伺います。

○佐々木環境改善担当部長 ただいまご説明のございました施設でございますが、地下水管理システムの機能強化対策工事の際に、地下水の送水管への接続管等が完成するまでの間、地下ピット内などから揚水した地下水を一時的に貯留し、排水施設に送水するために設置したタンクであり、既に撤去済みでございます。

○尾崎委員 この写真の上のこの四つの施設は、ただいまご答弁あったように、強制排水の排水施設ではなくて、地下水管理システム機能強化の追加対策にかかわる地下ピット内などからの揚水された地下水のタンクだということがわかりました。
 この施設から水が漏れたことはありますか。

○佐々木環境改善担当部長 このタンクにおいて排水作業をする際には、監視用の作業員を配置し、タンク内の水位の状況等を確認しながら作業を行っており、適切な管理のもとで排水が行われていたと認識しております。
 工事期間中、施工業者からこのタンクから水が漏れたとの報告は受けておらず、水が漏れたことはないというふうに認識しております。
 なお、このタンクには、ごみなどを除去するためのフィルターが設置されており、日々フィルターを取り外して清掃しておりました。清掃の際に使用した水道水やフィルターを取り外す際に出た水によって周囲が漏れた可能性は考えられます。
 このほか、タンクを囲ったバリケードの下部には遮水性が高いビニールシートを設置しており、降雨後に、たまった雨水を排除する際に路面がぬれた可能性もございます。
 仮に、フィルターを取り外す際に地下水が出たとしても、その量はごくわずかであり、周辺環境に影響を与えるものではないというふうに認識をしてございます。

○尾崎委員 もう一度パネルを見ていただきたいと思います。下の写真は、ことし五月十五日に撮影した写真です。写真を撮影した人は、五月十五日、午前八時四十分から九時二十分まで水があふれていた、こう話しています。すごいにおいもあったということです。そして、それ以前にも水漏れがあったということを話していました。
 上の写真は、ことし四月二十六日に撮影したものですが、下の写真と同じ場所です。四月二十六日に撮影した方は、ここが白くなっている、そして五月、撮影したときに、ここは水が漏れていた。同じような場所で白い跡が残っている。そして、四月二十六日に写真を撮っていますけれども、これ以前にも水が漏れているのを目撃していると話しているんです。
 地下ピットの強制排水は、先ほどご答弁で、ことしの一月に終了しています。二月から追加対策工事が本格的にスタートしています。写真の施設は、地下ピットの釜場からの揚水とウエルポイントからの揚水をタンクに入れていたということです。東京都は、水漏れは承知していないとのご答弁でしたが、この写真が真実なのではないでしょうか。
 先ほどのご答弁で、二つの可能性が考えられるということでした。タンクのごみなどを除去するためのフィルターを取り外して清掃するとき使用した水道水や、フィルターを取り外す際に出た水によって周辺がぬれた可能性、もう一つは、設置しているビニールシートにたまった雨水があふれた可能性があるということです。
 しかし、フィルターを取り外す際に地下水が出たとしても、その量はごくわずかであり、周辺環境に影響を与えるものではないと認識しているというご答弁でしたが、断定はできないと思います。水漏れの可能性が少しでも考えられるのであれば、防犯カメラなども設置していると思いますので、きちんと確認することを求めておきます。
 処理をする前の地下水が、もしあふれてしまったというのであれば大問題です。下水に流せる基準ではないことは、先ほどのpHの処理をして下水に流さなければならないという話もあったとおり、pHだけ見ても明らかです。今からでも事実の確認を行うよう厳しく求めておきます。
 次に、築地市場の豊洲市場への移転にかかわる移転支援や補償金などの実績について、幾つか質問します。
 まず、二〇一七年度の豊洲市場への移転支援の内容、内訳と金額はどうなっているのか、伺います。

○赤木移転支援担当部長 豊洲市場への移転支援策につきましては、市場業者の移転に関する経済的な負担を軽減し、円滑な移転を推進するために実施をしてございます。
 具体的には、制度融資等に対する利子補給事業、制度融資等では資金需要を満たさない仲卸業者や業界団体向けに市場独自に実施をしております各種融資事業、さらに環境負荷軽減、省エネルギー等に対応した設備の導入促進のための補助事業を実施しております。
 平成二十九年度の支援実績といたしましては、利子補給事業として二百八十六件、一億二千万円、各種融資事業として三百三十六件、五億五千万円、環境・省エネ設備補助事業として六百二設備、四億一千万円を支出いたしました。

○尾崎委員 ただいまのご答弁の中で、利子補給事業として二百八十六件、一億二千万円ということでしたが、借入金の総額は幾らになるのか、伺います。

○赤木移転支援担当部長 豊洲市場の移転支援策として実施をいたしました利子補給事業の融資総額でございますが、平成二十九年度末で、先ほど申し上げた二百八十六件、百三億円となっております。

○尾崎委員 二〇一七年度だけで制度融資等に対する利子補給事業として二百八十六件、市場独自に実施している各種融資事業として三百三十六件ということでした。合わせると六百二十二件になります。
 築地市場の水産部、青果部の事業者数から見ると、多くの人たちが移転にかかわって融資を借り入れて設備などを準備したことがわかります。利子補給があることで市場業者の背中を後押ししたとも考えられますが、豊洲市場への移転がなければ借りる必要はなかった借金です。
 今後は、この融資、借入金の返済が必要になってきます。利子補給事業の借入金の総額が百三億円ということです。二百八十六件ですから、単純にはいかないと思いますが、単純に計算すると、一社当たり約三千六百万円の借り入れになります。
 また、市場独自の各種融資事業は三百三十六件で五億五千万円ということですから、これも単純に計算すると一社、千六百三十万円の借り入れということになります。売り上げがふえなければ借金の返済も困難になります。
 仲卸業者の経営状況は、ちょっと前の資料になりますけれども、二〇一四年、平成二十六年で、水産仲卸業者の方は、四一・五%の方々が赤字業者ということで資料がまとめられています。大変な事態です。
 豊洲市場移転延期に伴う市場関係者に対する補償金の内訳について伺います。
 何件になるのか、教えてください。

○影山豊洲市場事業連携担当部長 豊洲市場への移転延期に伴う補償としましては、平成二十九年度は約千五百件、約五十億円を支出してございます。
 具体的には、移転に向けて豊洲市場に準備した設備の価値の減耗分として約四十二億円、築地市場での営業を継続するために、経常経費を超えて行った設備修繕費として約四億円、豊洲市場に準備した設備を築地市場で活用するために要した移設費等として約四億円の補償金を交付してございます。

○尾崎委員 移転延期に伴う補償の実績は約千五百件、金額では約五十億円ということでした。
 私は、この数字の背景には、たくさんの市場関係者の苦悩があるということを感じています。補償の相談や書類づくりなどを考えると都の皆さんのご苦労もあったと思います。
 しかしそれ以上に、市場関係者の皆さんが大変な思いをしたということを、ぜひ覚えておかなければならないと思います。市場関係者の方たちにすれば、この補償があったから生活をつなぐことができる、救われたと思っている方もおいでだと思います。
 二〇一七年度の豊洲市場の維持管理費は幾らになるのか、内訳と金額について伺います。

○岡安管理部長 平成二十九年度の豊洲市場の維持管理費といたしましては、電気や水道などの光熱水費が約九億円、警備や清掃、設備保守などの委託料が約七億円でございまして、決算額といたしましては合計で約十六億円となってございます。

○尾崎委員 豊洲市場は、まだ開場していない状況で年間十六億円、移転延期が決まって、その当時はマスコミでも維持費が高いと批判され、警備などは縮小したということを思い出しますが、それでも年間十六億円かかったということです。単純には計算できないと思いますけれども、一日平均で約六百万円以上になるのではないかと思います。余りにも維持管理費がかかり過ぎだと思います。
 昨年の夏は、カビが大量に発生し、電気代などもかなり増額になったのではないかと考えられます。しかし、本格的に開場すれば、交通のための誘導員などをふやすこともしなければならない、維持管理費は大幅な増になると予想されます。
 次に、築地市場の水産仲卸業者の推移について伺います。

○長嶺事業部長 築地市場の水産仲卸業者数の過去五年間の推移でございますが、各年とも四月一日現在で、平成二十六年は六百六十四社、平成二十七年は六百四十一社、平成二十八年は六百二社、平成二十九年は五百五十一社、平成三十年は五百三十六社となっております。

○尾崎委員 築地市場の水産仲卸業者数は、ただいまご答弁あったように毎年減少しています。十年前の二〇〇七年は七百九十六社でした。二〇一七年が五百三十六社ということですから、この十年間で二百六十社も築地市場の水産仲卸業者が減っています。
 豊洲市場が十月十一日に開場しましたが、豊洲市場で開場している水産仲卸業者数は四百九十二社とも聞いています。この一年でさらに四十四社も減ってしまいました。二〇〇七年と比べると三百四社も減ってしまっているのです。築地市場の水産仲卸業者の大幅減少について、都は減少の要因についてどのように認識しているのか、伺います。

○長嶺事業部長 近年における人口減少や少子高齢化の進展という社会状況の中で、厳しい経営環境にある中小企業者の数は、全国的に長期にわたり減少傾向にございます。
 築地市場の水産仲卸業者につきましても、中小零細企業が多く、経営者自身の高齢化、後継者問題など、さまざまな事情により事業をやめる方があり、業者数が減少したものと認識しております。

○尾崎委員 築地市場の水産仲卸業者の数は減少しても、名義の譲り渡しなどがあり、店舗数は変わらない。結局、水産仲卸の業者数が減って大型化しているということです。
 地域の魚屋さんやおすし屋さん、飲食店の皆さんは、なじみの仲卸業者の方がいなくなるということで不便になることがあると思います。これまでの水産仲卸の目ききが、店舗が大型化することでどこまで引き継がれるのか、目ききが発揮されるのか、疑問になってきます。店舗が大型化することで、これまでのサービスが変わってしまうのではないでしょうか。
 水産仲卸業者の営業は赤字がふえ、事業主の高齢化の問題は深刻です。経営にかかわる支援こそ東京都が強めるべきだと要望しておきます。
 次に、築地市場の水産物の取扱量の推移について伺います。

○長嶺事業部長 築地市場の水産物の取扱量の五年間の推移でございますが、平成二十五年は四十八万三千九百五十一トン、平成二十六年は四十五万二千四百十五トン、平成二十七年は四十三万六千二百七十四トン、平成二十八年は四十万九千八百六十七トン、平成二十九年は三十八万五千五トンとなっております。

○尾崎委員 築地市場での水産物の取扱量も毎年毎年減少しています。都は、豊洲市場の開場後の取扱量目標を掲げていますが、実現できるのかという問題です。
 農水省の認可申請の事業計画は、二〇一九年度に約四十九万トン、二〇二三年度には約六十二万トンと試算しています。完全に実現不可能な目標であるといわなければなりません。やはり事業計画が余りにも過大であったことが今回の決算でも明らかになったと厳しく指摘しておきます。余りにも無責任な事業計画です。
 次に、建設改良費の執行率は四四・六%、そのうち施設拡張費が一七・一%、施設改良費五〇・四%と、予算とかけ離れているのはなぜか、伺います。

○岡安管理部長 予算現額に対する決算額の執行率が四四・六%となった主な理由につきましては、二十九年度中に予定をしておりました市場施設の拡張工事及び改良工事におきまして、各工事でさまざまな調整がございまして、結果的に必要な予算を、翌年度である三十年度に繰り越したためでございます。
 なお、こうした繰越額を含めた執行率は七六・九%となっております。

○尾崎委員 豊洲市場の追加対策工事について、日本共産党都議団は反対し、二〇一八年度の予算の繰り越しについても反対してきました。反対の大きな理由は、追加対策工事として建物下の地下ピットにコンクリートを打設しても、コンクリートにひびが入れば有害物質を完全に封じ込めることはできないと専門家会議も認めていたからです。そして、地下水管理システムの強化を行っても、目標水位にいつになったら到達できるのかを示せなかったからです。食の安全・安心のため、土壌汚染が残る豊洲市場への移転は、私たちは許されないと考えています。
 中央卸売市場会計決算では、先ほどのご答弁のように、豊洲市場の追加対策工事の大部分が翌年に繰り越されたということです。そうであるならば、二〇一七年度の補正予算を組んでまで本当に必要だったのかといわなければなりません、二〇一八年度の予算でも十分だったのではありませんか。
 また、築地市場の改良費について、二〇一七年度予算は十億円を計上しました。老朽化が激しく雨漏りもする、道路がでこぼこでターレで走って転んでしまったなどの声も上がりました。二〇一七年度予算を決めた当時、小池知事は、築地市場の移転は延期を決め、必要な築地市場の改修は行うということになっていたはずです。
 ところが、小池知事は、昨年の都議選以降、食の安全・安心を守る、築地を守るの公約を投げ捨てて豊洲市場への移転を強行してしまいました。築地市場で予算の十億円を使って改修すれば、それだけでも、あと何十年と築地市場で商売が続けられたのではないでしょうか。築地での再整備が可能なのかどうかの本気の検討をすべきだったと思います。
 予算に基づいて決めたことを執行するのが当然だと思いますが、二〇一七年度予算の執行状況に疑問が残ります。先ほどの答弁で、繰越額を含めて執行率は七六・九%とご答弁されましたが、ごまかしだといわなければなりません。
 きょうの決算特別委員会には、小池知事は出席していませんが、改めて小池知事の公約違反に抗議をして、質問を終わります。

○保坂委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時二十九分開議

○保坂委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山口委員 私からも、豊洲市場問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 二十九年度決算では、八月補正予算で盛り込まれた追加対策工事などの支出も見られるわけでありますが、私たちは、築地市場の豊洲移転に関する条例が提案をされた平成二十八年度第一回定例会の討論において、万が一にも基準値を超える汚染が確認された場合には、専門家の知見を受けた適切な対応や情報公開に取り組み、市場の安全・安心の確保に向けて万全を期されることを求めてまいったわけであります。
 こうしたことから、私は、追加対策工事は当然のことだと考えますし、また、東京都においても、過去、万が一の場合を想定した答弁を確認することができるわけであります。
 そこで、まず、小池知事誕生以前、築地市場の豊洲移転に関する条例が改正をされる段階において、万が一の事態が生じてしまった場合の都の対応方針について確認をしておきたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 お話の点につきましては、二年間のモニタリング調査に関連して、これまで何度かご質問をいただいており、当時は、万が一、基準値を超える状況が確認された場合には、専門家の知見もいただきながら市場関係者や都民の安心や理解が得られるよう適切に対応していくこととしていたと承知しております。

○山口委員 手順はいろいろあると思いますが、専門家会議の知見を得ながら適切に対応していくということは既定路線であったと考えます。
 ところで、最近、築地にマグロ塚をつくる会からのお話を伺う機会がありました。一九五四年の「第五福竜丸」の事件では、原爆マグロのあおりを受けて鮮魚の価格が暴落をしました。マグロの競りも中止になったと聞いております。被爆したマグロは実際に取引がないにもかかわらず、全国的な補償問題に波及するなど甚大な風評被害であったそうであります。
 都は、競りまで中止になった当時の状況を承知されているのでしょうか、当時の風評被害を教訓に現在に生かされているものはあるのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○石井渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 当時の状況につきましては、東京都中央卸売市場史などに記録がございます。
 それによれば、「第五福竜丸」が漁獲したマグロは、昭和二十九年三月十六日に築地市場に入荷いたしましたが、当市場当局はこれを隔離、埋没廃棄いたしました。また、その後に入荷したものにつきましては、都が国の指示を得て厳重な検査を実施いたしまして、翌十七日は平常どおり開市し、場内の魚は検査済みである旨周知いたしましたが、ホンマグロなどは大暴落、鮮魚相場も平均三割下落し、十九日はマグロなどに買い手がつかず競りを中止したとのことでございます。
 六十年以上の時が経過した現在におきましても、風評被害払拭のためには、正確な情報をわかりやすく発信し、食の安全・安心に関する都民の理解を促進していくことが重要と考えてございます。
 そのため、都といたしましては、客観的なデータをホームページなどで公表したり、実際に現場を見ていただく機会を設けるなど、さまざまな方法を活用して積極的なPRに取り組んでいるところでございます。

○山口委員 マグロ塚は、核兵器の怖さであったり、平和のとうとさを訴えるものであるわけでありますが、私たちは、こうした過去の教訓をしっかりと生かしていかなければならないと考えているところであります。
 昨年度、決算委員会で、我が会派の西沢委員から、築地の取扱金額は、水産、青果を合わせて年間五千二百億円、仮に風評被害が起こって一割売り上げが落ちれば、影響額は五百億円超になる。二割ならば一千億円超ということを申し上げてきたわけであります。
 実際、どれほどの風評被害が生じたかは、金額として想定をすることは難しいとは思いますが、少なくとも開場後に環境基準を超える汚染が検出されていた場合、追加対策工事は困難をきわめたのではないでしょうか、確認をしたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 今回実施した追加対策工事は、主要な建物下に盛り土がなく地下ピットとなっている状態を受けて、改めて設置した専門家会議において、将来のリスクを見据えた追加対策について提言いただき、その提言を踏まえ実施したものでございます。
 開場後の工事の困難性でございますが、仮定の話であるため一概にお答えすることは難しいのですが、一般的に工事を行う場合、工事ヤードの確保や工事車両と市場車両との動線の区分け、工事中の安全性確保などを図る必要があり、営業している市場において実施する場合は、これらを業界と綿密に調整する必要があると認識しております。

○山口委員 追加対策工事も短期間で終わらせることは難しかったのではないかと認識をしているところであります。
 平成二十九年度の八月補正予算では、専門家会議の提言に基づく追加対策工事として三十億円、債務負担行為十一億円を見積もっていたわけでありますが、決算額は三千万円程度でほとんどを繰り越したわけであります。これは入札制度改革による契約の不調によるものでありますが、私たちは、平成二十九年十二月六日の代表質問においても、追加工事の実施に向けては柔軟な対応も必要だと述べ、入札制度改革にこだわらない対応を求めてまいりました。
 いずれにせよ、時間的制約がある中で無事契約もなされ、追加対策工事も完了したわけでありますが、地下ピット追加対策工事や地下水管理システムの機能強化対策など、追加対策工事はどのような決算状況になったのでしょうか、お伺いします。

○佐々木環境改善担当部長 専門家会議の提言に基づく追加対策工事は、その多くが昨年十二月の契約締結後、詳細工程の作成等の準備を進めた上で、本年二月以降に本格的な工事に取りかかりました。主要な工事は、平成三十年度に実施していることから、平成二十九年度の決算額は約三千万円となっております。なお、平成三十年度分を含めた執行総額は約三十八億円と見込んでおります。

○山口委員 追加対策工事の三十八億円については、一部には、この経費が無駄ではなかったのかという指摘があるわけであります。
 しかし、私は、五百八十六億円と見積もっていた土壌汚染対策費が八百五十九億円に膨れ上がり、それでもなお、いわゆる無害化が実現されない中にあって、三十八億円という規模の追加対策工事は意味があったと考えます。
 問題は、それらが着実に機能をし、効果を上げていることを豊洲の安全と安心に資するよう、積極的に情報提供していくことにあるんだと考えます。とりわけ地下水管理システムの機能強化対策では、早期の地下水低減と安定的な管理が重要でありますが、最近の十月五日までは、A.P.三メートルを超える地点もあり、ようやく三メートルを下回っている状況であります。
 地下水位の管理状況と今後の見通しについても確認をしておきたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 地下水管理システムにつきましては、追加対策工事により、揚水量は工事実施前に比べ確実に増加しており、専門家会議の評価において、揚水機能の強化が図られていることを確認していただきました。
 地下水位については、九月の降雨量が過去十年間の平均降雨量よりも大幅に増加したため、九月から十月にかけて一時的に上昇したものの、現在では、平均でAPプラス二メートルを下回っております。
 都としては、地下水管理システムを適切に運用していくことで、地下水位は着実に低下していくものと考えております。

○山口委員 市場の安全・安心の確保のためには、何といっても都民や市場関係者の皆様とのリスクコミュニケーションは欠かせないわけであります。
 こうしたことから、都は、平成二十四年七月に、土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会を設置いたしましたが、この間の開催状況や協議会の今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会は、学識経験者、市場業者、地元区、都民などから構成され、豊洲市場の土壌汚染対策工事の進捗状況や地下水管理について関係者間で情報共有し、意見交換を行う場として平成二十四年七月に設置され、これまでに七回開催してまいりました。
 現在、豊洲市場で実施している空気と地下水質調査については、これまで専門家会議に評価をいただいた上で公表しておりますが、七月三十日の専門家会議による追加対策の有効性の確認結果公表の際に平田座長からも説明があったとおり、今後は、本協議会に引き継いでいくこととしております。
 今後、開催時期等について協議会委員と調整を図ってまいります。

○山口委員 開場前の九月二十三日にも、マンホールから地下水が噴き出たことで市場関係者の不安をあおることとなってしまいました。また、使い勝手についても、各事業者からはさまざまな要望が出ており、こうした要望に真摯に対応していく必要があると思います。
 しかし、開場したからには、とりわけ食の安全・安心という観点から、二度と市場関係者の皆様を不安にさせるような事態を生じさせてはならないと思いますが、改めて都の決意をお伺いしたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 食の安全・安心を確保するためには、都と業界が情報共有と連携を図りながら豊洲市場を適切に運営していく必要がございます。
 開場前に確認された舗装のひび割れやマンホールからの溢水については、安全性の問題や市場業務への影響を生じるものではございませんが、業界からはさまざまなご意見をいただいたところでございます。
 このため、都としては、迅速に補修や再発防止策を講じるとともに、こうした都の対応状況などについて、業界団体にも情報提供を行ったところでございます。
 また、使い勝手に関する業界からの要望につきましては、食の安全・安心の確保という観点を踏まえ、これまでと同様に業界団体と必要な調整を行ってまいります。
 引き続き、業界と相互に協力し、安全・安心な市場として豊洲市場を運営してまいります。

○山口委員 最後に要望として申し上げますが、安全・安心にとにかく万全を期していただき、その上で使い勝手の改善や積極的なPRなどを通じて、豊洲市場が世界に誇れる市場になるよう、積極的にぜひとも取り組んでいただくよう要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○もり委員 中央卸売市場について質問させていただきます。
 中央卸売市場は、生鮮食品等の円滑な供給を確保することを通じて、都民の食の安全・安心を守り、消費生活の安定に資するという重要な役割を担っていただいております。
 二十九年度決算においては、第十次東京都卸売市場整備計画に基づき、品質、衛生管理の高度化、物流の効率化、多様なニーズへの対応を目指した施設整備に取り組んでいただいております。卸売市場として最低限求められる機能の確保や老朽化施設の維持更新、省エネ、温暖化対策のために必要な施設整備については、東京都が主体となり計画的に実施するとしています。
 築地、豊洲市場ばかりが注目を集めますが、花きを含めれば日本一の物流量を誇る大田市場の羽田空港に近接した立地を生かして、日本の食文化の発信、インバウンドへの対応という視点からも、東京二〇二〇大会や輸出の促進を見据え、市場関係者による食の安全確保に関する基準への対応も急務であります。
 そこで、平成二十九年度より、大田市場の冷蔵冷凍設備の更新工事が計画に盛り込まれておりましたが、市場設備の整備における老朽化設備の更新の取り組みと進捗状況についてお伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、第十次東京都卸売市場整備計画に基づき、各市場の施設設備の状況を踏まえまして、卸売市場として必要な施設の老朽化対策として施設設備の維持更新工事を実施しているところでございます。
 具体的には、低温倉庫や冷蔵庫の改修、変電設備や消火設備の更新などでございまして、市場業務に支障がないよう、複数年度にわたり計画的に整備を行ってございます。
 平成二十九年度におきましては、大田市場を含む全ての市場の施設設備の維持更新工事といたしまして約十八億円を執行しているところでございます。

○もり委員 こちら、通常業務を踏まえながら工事を進めなければいけないということで困難と思いますが、ぜひ引き続きお取り組みをよろしくお願いいたします。
 老朽化施設の設備更新において、現場からは、生産から消費までコールドチェーンが途切れないような施設整備への要望があります。また、市場内の駐車場の不足について強い要望が上げられており、市場内の違法駐車が横行している現状が、荷おろし場の確保は大変困難だという現状なども私も見てまいりました。ぜひ市場関係者の方が円滑に事業が行えるよう、駐車違反の取り締まりと駐車場の整備を要望いたします。
 また、現場の青果業の方より、福岡市などでは小売業のために冷蔵庫を整備しているというお話も伺いました。食品ロスの課題において東京都としても、現在チームもったいないを部局横断的に立ち上げ、食品ロスの削減に取り組んでいるところであります。
 処分、損切り、小売だけではなく、卸の段階で一日も早く出してもらえたら廃棄が減るという思いがあるという現場の声をお聞きしました。
 食品ロス削減に向け、市場でもできること等ありましたら取り組んでいただきたいとお願いを申し上げます。
 次に、食肉市場についてお伺いいたします。
 食肉市場では、施設の老朽化対策とともに、衛生管理の国際基準であるHACCP導入に向けた取り組みも急務です。二十九年度の取り組みをお聞かせください。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食の安全について消費者の関心が高まる中、食肉市場におきましても、衛生管理の国際標準でありますHACCPの導入は重要な課題であると認識しているところでございます。
 このため、都と業界とで組織いたしますHACCP推進会議を平成二十七年一月に設置いたしまして、今年度末までのHACCP導入を目標に定め、ソフト面を中心にハード面の必要な整備もあわせて取り組みを進めてきたところでございます。
 ソフト面につきましては、競り場など、さまざまな関係者が利用する施設におきましては、全ての市場利用者が守るべき統一的な衛生管理ルールを策定することが重要でございます。
 このため、HACCP推進会議の下部組織といたしまして、都及び業界の実務担当者による統一ルール検討部会を平成二十八年十月に設置し、平成二十九年度には、施設の使用状況、作業動線及び衛生環境等、現場実態の把握と協議を重ねまして、本年九月に統一ルールとして決定したところでございます。
 ハード面につきましては、平成二十九年度に、市場関係者が競り場に入場する際の衛生対策として大動物競り場前の手洗い設備増設のための改修工事を実施いたしました。

○もり委員 国際基準への対応というものは急務であり、また、東京二〇二〇大会におきまして世界中からお客様がいらっしゃるということで、食肉の関係では、ハラールへの対応など新しい問題にも迫られていると感じております。
 ぜひ、それぞれの市場の特色を生かして、さらに市場が全体的な取扱量などは減っているということですが、やはり都民の食の安全・安心を守る拠点として、さらに市場が活気あるものであるよう、整備が進むように願いまして、質問を終了いたします。ありがとうございます。

○曽根委員 私からは、豊洲新市場の安全対策について、昨年度の決算の関連でただしていきたいと思います。
 まず、昨年秋に発見されたという、市場の建物と周辺地盤との間の圧密沈下によるひび割れの処理についてお伺いします。
 これは、二〇一七年度の市場会計において、こうした圧密沈下が起きたときに対処できるためのメンテナンスの費用というのは、どれぐらい計上されていたんでしょうか。

○岡安管理部長 豊洲市場を含めまして、他市場の運営などに必要な日常的な修繕費用につきましては、毎年、市場会計の管理費の中の営繕費として計上しております。
 平成二十九年度の予算額は、約八億五千万円でございます。

○曽根委員 市場全体とはいえ、補修予算には八億五千万円が確保されていたということで、豊洲は開場していませんでしたが、これを使って修理はできたはずであります。特に、先日、我が党の議員が現場を視察しました六街区のひび割れは、数センチの幅で地面に亀裂ができていました。
 六街区の地盤沈下のひび割れというのは、昨年秋に見つけたとのことですが、誰が、いつ発見し、なぜそのときに安全性の調査や補修をしなかったんでしょうか。

○渡辺施設担当部長 水産仲卸売り場棟西側のバースにおける舗装のひび割れについては、昨年の秋ごろに施設を巡回する中で職員が把握いたしました。
 このひび割れは、圧密沈下に起因するものであり、時間の経過とともに収束するため、今後、大幅な沈下や突然の陥没等につながるものではなく、また、プラットホームの下にあり、トラック等のタイヤが乗り上げる位置にはないことから市場業務に支障を与えることはございませんでした。
 このため、沈下の状況等を見定めた上で適宜補修しようと考えておりました。

○曽根委員 これは、ただの普通の埋立地だったらば、そういうお答えでいいかもしれませんが、地下には汚染が残されていることは誰もが知っていることであり、当然ながら、こうした地面にひび割れができた場合、地下からの揮発などによる微量物質が出てくることを懸念するのが当然で、こういったことを専門家会議に協議や相談をすべきだったんじゃないでしょうか、なぜしなかったんでしょうか。

○渡辺施設担当部長 このひび割れは、圧密沈下が原因と想定され、市場機能や安全上支障はなく、その後、引き続き経過観察を行ったところ沈下自体は落ちついておりました。加えて、盛り土が有効に機能しており、表層の舗装にひび割れが生じても、地上部の安全性に問題はないと認識しております。
 今回のひび割れについて、専門家会議委員に情報提供を行ったところ、平田座長からは、引き続き都が適切に維持管理をすることが必要であるとの助言をいただいております。
 なお、豊洲市場では、これまでの空気調査の結果から、屋外の大気について、科学的な安全性は確保された状態にあると考えられるとの評価を専門家会議からいただいております。

○曽根委員 念のためお聞きしますが、その専門家会議に情報提供してコメントをいただいた時期というのは、今回公表されてからじゃないんですか。

○渡辺施設担当部長 専門家会議に情報提供した時期でございますけれども、公表した時期と合わせて情報提供させていただいております。

○曽根委員 私、どうも都は、こうしたひび割れなどに対する見方が甘過ぎるように思います。
 建物と地面の間に数センチのすき間ができていてですよ、その原因は、都が先ほどの説明があったように、地下深くの有楽町層という粘土層が圧密で縮んだんだというのが原因だとすると、そこから地盤の中でずれが起きたことになりますよね。それが地上まで上がってきているわけですよ、ずれが。十メーター近くになるでしょうか。すると、ずっとその地盤のずれは地下から上がってきていると見ざるを得ません。そういう点でいうと、地下の方から、微量であっても汚染物質が何らかの形で上昇してくる可能性を考えない方がおかしいと私は思うんです。
 しかも、この場所が余りいい場所じゃないんですよ。この六街区の西側ですかね、建物の外れのところに見つかったひび割れというのは。その建物の内側に向かって水平距離で、そうですね、三十メートルぐらいでしょうか、中に入ったところにモニタリングポイントがありますよね。そのポイントというのが、豊洲のモニタリング調査をしている中で、百七十倍ではありませんが、今、二番目に高い濃度のポイントなんですね、D11-5というポイントです。しかも、これはピンポイントじゃなくて、そのD11-5のモニタリングポイントの半径二十メーターぐらいの範囲に基準の、このD11-5は、五月のデータでは基準の三十二倍の濃度でしたが、そのほかに二十七倍、十七倍、十八倍というモニタリングのポイントがこの中に集中しているんです。つまり、そのすぐ建物外側にこの亀裂が見つかっているんですね。
 これはもう、ずっとモニタリング調査を昨年度もやってきたわけですから、当然、都の側は認識していなければならない問題だし、建物の中と外で随分違うように見えますけれども、地下はつながっているんですね。しかも、つながっているだけじゃなくて--もちろん壁も遮水壁もありませんので土壌でつながっているんですけれども、しかも建物の中の地下水を引っ張り上げるために、揚水井戸は建物の外に置いていますから、建物の下の地下水は、この建物の外の揚水井戸で引っ張るという、もともとの日水コンの地下水位の、地下水位管理の設計になっているわけですよ。そのために、水道(みずみち)をつくるために、砕石層を五十センチの厚さでずっと下に敷いて、そこで水が流れやすいようにしたわけですよね。
 したがって、建物の中にもし、私の予測でいうと、一定の範囲で、少なくとも基準の十倍以上の濃度のベンゼンを含んだ地下水が一定の範囲でたまっているとすれば、それは、建物外に影響しないという保障はないというのが豊洲のこの場所の実態じゃないかと思いますので、当然ながら安全性はまず検証しなきゃならないということだと思います。
 今後も、場所によっては、また状況違いますけれども、もし同様のひび割れが発生した場合、今回と同じように対処するのか、それとも、もうちょっと厳密な調査をやるのかという点は問われますが、いかがですか。

○渡辺施設担当部長 圧密沈下は時間の経過とともに徐々に収束するものであり、豊洲市場において、今後大幅な沈下等が生じるとは考えておりませんが、一方で、アスファルトは圧密沈下のほか、温度変化や車両通行の荷重などによってもひび割れが生じるとされており、今後もさまざまな要因により小規模なひび割れが発生する可能性がございます。
 都としては、こうしたひび割れが生じた場合に備えて適宜点検を行い、状況の把握に努め、必要に応じて補修するなど適切に対応してまいります。

○曽根委員 私、専門家会議に問い合わせしたかどうかについてお聞きしたのは、専門家会議は、例えば、建物地下のピットにコンクリートを打設しましたよね、その打ったばかり--二カ月ほどたてばひびが入ってくるからということで、微量な物質の測定をあそこで行ったわけです、フラックスチャンバー法という方法を使って。しかし、はっきりいえば、私は、ほとんどその打った、打設して二カ月足らずのコンクリートの地下からの汚染物質の上昇はちょっと考えにくいなと思います。
 しかし、そこまで厳密にやっていながらですよ、そこからわずか三十メートルしか離れていない地面に五センチの幅の亀裂が、しかもかなり深くなっていたかもしれないところにあいているのに何にも測定しないというのは、余りにもね、科学的、合理的に見ておかしいというふうにいわざるを得ないわけなんです。
 そういう点では、フラックスチャンバー法がいいかどうかはわかりませんが、今後ひび割れを補修した部分であっても、こうしたものの汚染物質の影響はちゃんと調査すべきだと思うし、それこそが安全の確認ということになるんじゃないでしょうか、いかがですか。

○渡辺施設担当部長 今回のひび割れは、舗装の表層部に発生したものでございまして、その下の路盤や盛り土は有効に機能しておりました。このため、地上部の安全性に問題はなく、地表部で汚染物質等の調査をする必要はないと考えております。
 なお、豊洲市場では、これまでの空気調査の結果から、屋外の大気について科学的な安全性は確保された状態にあると考えられるとの評価を専門家会議からいただいております。

○曽根委員 地上部の大気の調査というのは、大体背の高さぐらいのところで空中ではかるものですから、このすき間から出てきて、もし万が一出てきているとしても、それは拡散された後の話になります。
 私は、こうした地面に何らかの地下の影響が出ないようにするということで、都が開場に踏み切った以上は、こうしたすき間などがあった場合には、直ちに安全性を確認するということは、今後も厳しく求めておきたいと思います。
 次に、昨年一月に開場前の最後とされていた九回目のモニタリング調査で、かなり高濃度のベンゼンが発見されましたが、その後のモニタリングの継続調査について質問をいたします。
 この昨年一月に公表されましたモニタリング井戸による九回目の調査の中で、基準を大幅に超えるデータが多数発見され、その後も、その正確さが検証された結果、毎月のモニタリング調査が今続いているわけです。もしこの九回目での結果が、劇的変化がなかった場合には、もともとの予定では、地下水調査というのは、この後、どのように行われる予定だったんでしょうか。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場用地では、土壌汚染対策工事が完了した平成二十六年十一月より、汚染土壌を掘削除去した区画を対象に、土壌汚染対策の効果の確認やリスク管理の一環として二年間モニタリングを実施いたしました。
 九回目のときに基準を超える汚染が確認されなかった場合についてのご質問でございますが、仮定の話であり、一概にお答えすることは難しいのですが、平成二十年の専門家会議の提言等において、開場後も継続して地下水質をモニタリングしていくことについて提言をいただいていることから、こうした提言を踏まえ適切に対応していたものと考えます。

○曽根委員 九回目に大変な、突然、劇的なデータの変化が起きて、それ以後、やはり厳密な調査が必要になったということで、これは偶然のように見えますけれども、私たちは、以前からの地下の汚染が、ある意味隠されていた部分があるんじゃないかというふうに思っています。二〇〇八年の当時の専門家会議の提言で、既に開場後も地下水の調査は必要だというふうに提言されていたのは大変重要で、今後も、モニタリング調査を含めて地下の調査は引き続き継続をすると、少なくとも現状のレベル以下に下げないと、ということは強く求めておきたいと思います。
 この中で、昨年一年間ずっとやってきて、最高濃度のモニタリングポイント、これは六街区ではなく五街区のK37-4というポイントですけれども、ここではベンゼン濃度が七十九倍で発見されてから、直近では百七十倍までかなり変動しています。
 当初、専門家会議のメンバーの中に、濃度は次第に低減していくのではないかと予測した方もいましたが、やはりこの予測は明らかに誤った推測だったといわざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

○佐々木環境改善担当部長 専門家会議において、汚染地下水を徐々に回収し、地下水汚染を徐々に浄化していく、あるいは汚染物質を除去していくことで、徐々に濃度は下がっていくといった発言等があったことは承知しております。
 豊洲市場用地は、街区周縁を遮水壁で囲んでいることから、新たな汚染の可能性がなく、地下水管理システムにより、地下に浸透した雨水を継続的に揚水していくことで、徐々に汚染地下水は回収されるものと考えており、今後、中長期的に地下水質は改善されるものと認識しております。

○曽根委員 私は今、外界と遮水壁などで隔てられているという話についても後で疑問を述べたいと思いますが、少なくとも、今、地下水をかなり当初の予定よりも多くくみ上げておりますが、これによって地下にたまった水が上の方に引き寄せられてきて、その途中で土壌に含まれる汚染物質の影響を受けて汚染濃度が大きく変動しているということではないかと。
 だとすれば、地下水位を下げるための地下水のくみ上げというのは、逆に地下に眠っている汚染を引き上げることになっているという可能性は考えられないかどうか、この点をお聞きします。

○佐々木環境改善担当部長 専門家会議では、地下水で汚染が確認されている状況について、地下水管理システムによる地下水の揚水により地下水流動に変化が生じたことが影響した可能性や、局所的に基準をわずかに超過する軽微な土壌汚染が残存していた可能性のほか、透水性の低い土壌の間の汚染地下水が地下水管理システムの稼働によって移動した可能性、局所的に土壌汚染が残存していた可能性があるとしております。
 なお、地下水の揚水を継続していくことで徐々に汚染地下水は回収されるものと考えており、中長期的に地下水質は改善されるものと認識しております。

○曽根委員 もう一つ、外から水は入ってきていないということに対して、専門家の中でも、既に昨年度までに豊洲新市場全域でくみ上げた地下水量、この量は、この間にこのエリアにしみ込んだ雨量をはるかに超えているんじゃないかという指摘もありますが、どうですか。

○佐々木環境改善担当部長 地下水管理システムが稼働し始めた平成二十八年八月から平成三十年三月末までに揚水した地下水量は、おおむね十万九千立方メートルでございます。
 一方、雨の地中への浸透量は不明でありますが、地下水の揚水により地下水位は低下していることから、揚水量は浸透量よりも多かったと推定しております。

○曽根委員 この十万九千立米の地下水をくみ上げてきたと、これに対して、それを中和するのに使った希硫酸の総量は幾らですか。

○佐々木環境改善担当部長 地下水管理システムが稼働し始めた平成二十八年八月から平成三十年三月末までに、地下水の排水に際して中和に用いた希硫酸の総量は、おおむね四万二千キログラムでございます。

○曽根委員 これは、希硫酸というのは、今一般的に使われる酸の中で一番強力な酸で、pHはほとんどゼロか一ぐらいなんですが、この希硫酸を四万二千キロ、つまり四十二トン投入して十万九千トンの地下水を中和したと、大体pH八ぐらいまで抑えたというふうに考えると、大体もとの地下水全体の平均のpHが一一前後だったのかなと。
 私たちが最初に地下ピットの中で見つけた、たまり水もその程度でしたから、豊洲の地下の地下水をくみ上げて、どこをくみ上げても、大体このぐらいのpHの強アルカリの水が出てくるという点では、自然界では考えられない状態が、豊洲の地下ではいまだに続いているということが大前提でなければなりません。
 この中で、二〇一六年の八月の工事終了直後から昨年度末、つまりことしの三月の段階までに十万トン以上くみ上げたと、ところがその間に雨がしみ込む量は、正確にはわかりませんが、建物や道路は流れますので、地面がむき出しになっていたところにしみ込んだと考えると、四十ヘクタール全体に降った雨の量の大体二割程度がしみ込んだという推定をしてみたんですが、そうすると、十万トンの水をくみ上げて、十八カ月前とことし三月がそれほど地下水位が変わっていないと仮定すれば、毎月七十ミリから八十ミリの雨が降ったということになります。これは、この間の雨量の経緯から見て明らかに多過ぎるということになって、やはり私は、豊洲に降った雨よりも多い地下水量がくみ上げられていると、それは外から入ってきた地下水が含まれているというふうに推定できると思います。
 そういう点では、この問題は、実は、今後もずっと地下水をくみ上げ続けると、私の予想では、粘土層の下から外の海の海水が入ってきてどんどんどんどん、粘土層の際まで汚染されていた部分が地上に上がってきてしまうという危険があるというふうに予測されますので、これは新たな対策の方向を検討すべきだというふうに申し上げておきたいと思いますが、この点で、外からの水の流入を詳しく調べるということは検討してもらえるでしょうか。

○佐々木環境改善担当部長 地下水管理システムの機能強化により、地下水位の低下が促進されている状況が認められているということは専門家会議でも確認していただいております。
 また、九月は、降雨量が過去十年間の平均降雨量よりも大幅に増加したため、九月から十月にかけて地下水位は一時的に上昇したものの、現在では、平均でA.P.プラス二メートルを下回っております。
 このように、地下水の揚水を継続していくことで、地下水位は着実に下がっていくものと考えており、街区周縁に設置した遮水壁等は適切に機能していると認識していることから、特に調べることは考えておりません。

○曽根委員 時間来ましたので、最後に意見を申し上げておきますが、やはり東京都も、海水や地下水の流入を完全に遮水壁と下の有楽町層でシャットアウトしているとは断定できないはずです。
 今まで豊洲の地下は、外界から閉じられた巨大なプールという前提で対策が打たれてきましたが、実態はそうではないということは、今後もさまざまな角度で明らかになっていくと思います。外側から地下水や海水の流れ込む規模や量がどの程度かによって、地上での地下水くみ上げが、地下深くの汚染物質まで引っ張り上げることになりかねないということは指摘しておきたいと思います。
 実は、二〇〇八年当時の専門家会議、やはり座長は平田さんだったんですが、彼はこの八回目の専門家会議のときに、基準の四万三千倍という非常に高濃度のベンゼンを含むタールの塊のようなピンポイントの汚染物質が出てきたということについて、こういったピンポイントの汚染は、ボーリングで全て発見するのは到底不可能であって、全て除去し切れたとはいえないということをこのときに認めています。それを発見するのは、これからは盛り土の工事など、工事中に肉眼で発見するしかないというようなことも述べています。土壌汚染対策の専門家として、都が考えた汚染対策では、やっぱり汚染は取り切れていないということの彼自身の事実上の敗北宣言だったんじゃないかと受けとめております。
 豊洲では、しかし、これから水産や青果など卸や仲卸の業者、買い出し人、そして一般のお客さんなど、万単位の人数で毎日仕事をし、訪問することになります。市場の安全と安心については、都の責任で万全の対策をとらなければなりません。地下の汚染を残したままでの操業に踏み切った以上は、都の重大な責任を自覚して必要な調査と対策をとるよう、我が党は今後も徹底して求めていくし、また、私自身もこの点は引き続き、機会があればただしていきたいと思います。以上で質問を終わります。

○保坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○保坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後四時十七分散会

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