平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成三十年十月二十四日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長保坂まさひろ君
副委員長内山 真吾君
副委員長鈴木 章浩君
副委員長まつば多美子君
けいの信一君
鈴木 邦和君
もり  愛君
森澤 恭子君
山口  拓君
尾崎あや子君
曽根はじめ君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長斎藤 真人君
技監小野 恭一君
総務部長梅村 拓洋君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務相田 佳子君
調整担当部長米今 俊信君
港湾経営部長蔵居  淳君
港湾振興担当部長戸谷 泰之君
臨海開発部長中村 昌明君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務山岡 達也君
臨海副都心まちづくり推進担当部長矢部 信栄君
港湾整備部長原   浩君
計画調整担当部長竹村 淳一君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長松本 達也君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
港湾局関係
・平成二十九年度東京都臨海地域開発事業会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都港湾事業会計決算(質疑)

○保坂委員長 ただいまから平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都臨海地域開発事業会計決算及び平成二十九年度東京都港湾事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梅村総務部長 十月十五日に開催の当分科会で要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらん願いたいと存じます。
 要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり九項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。臨海地域開発事業会計における土地処分の状況でございます。
 平成二十九年度の土地処分の状況について、臨海副都心地域とその他の埋立地に区分し、それぞれ場所、面積、金額を記載しております。
 なお、単位については、面積は平方メートルで、金額は百万円で記載してございます。
 二ページをお開き願います。臨海地域開発事業会計における公共用途での土地処分実績でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間における土地処分の実績について、それぞれ用途、面積、金額を記載しております。
 なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は百万円で記載してございます。
 三ページをお開き願います。臨海地域開発事業会計における資金運用益の推移でございます。
 預金運用益につきまして、平成二十五年度から二十九年度までの五年間における実績及び期末残高を百万円単位で記載してございます。
 四ページをお開き願います。臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載してございます。
 なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は百万円で記載してございます。
 五ページをお開き願います。臨海副都心地域を除く埋立地の土地処分実績でございます。
 こちらも前のページと同様に、平成二十五年度から二十九年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載してございます。
 なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は百万円で記載してございます。
 六ページをお開き願います。株式会社東京臨海ホールディングスの当期純利益等の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間における縦の欄にございます四項目、当期純利益、現金及び預金の期末残高、投資有価証券の期末残高、長期借入金の期末残高につきまして、百万円単位で記載してございます。
 七ページをお開き願います。東京テレポートセンターに対する臨時駐車場の延べ貸付面積及び貸付料でございます。
 平成二十七年度から二十九年度までの三年間における延べ貸付面積及び貸付料を記載しております。
 なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は千円で記載してございます。
 八ページをお開き願います。臨海関係第三セクターのビル入居率の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの各年度末におけるビルごとの入居率をパーセンテージで記載してございます。
 九ページをお開き願います。臨海副都心用地の長期貸付等に係る賃貸料収入の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間における賃貸料収入につきまして、それぞれ長期貸付等及び暫定利用を記載してございます。
 なお、単位につきましては百万円で記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○保坂委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○もり委員 都民ファーストの会東京都議団、もり愛でございます。平成二十九年度決算に関連して、臨海部地域開発事業と海上公園整備について幾つか質問をさせていただきます。
 東京二〇二〇大会では、臨海地域の未処分地や海上公園内に、多くの競技会場が整備される計画があり、東京の臨海部は、まさに東京の競争力強化と日本の経済成長を牽引するための人、物、情報、技術が交流する、MICE、国際観光拠点として期待されている地域です。
 東京二〇二〇大会の開催とその成功に向けて、計画どおりの造成、開発を進めるとともに、東京二〇二〇大会の先も見据えたレガシーとして、大型クルーズ客船ふ頭の整備やバス、水上交通等の交通アクセスの充実、羽田国際空港との連携強化等、東京港全体のブランド価値を高め、世界に大きくPRしていただきたいと願っております。
 そこで、平成二十九年度に実施された臨海地域の中核となる臨海副都心の開発状況について確認をさせていただきます。
 昨年度の決算を確認したところ、土地の処分の実績は二件、収入額は十六億円と非常に少ない現状となっておりました。土地処分の取り組み状況についてお伺いいたします。

○中村臨海開発部長 臨海副都心は、東京二〇二〇大会の主要会場として、未処分地の多くが競技会場や大会関連用地として活用されていくことを見据え、大部分の土地処分を見合わせております。
 昨年度は、平成二十八年度以前に契約した土地処分に係る分納代金十六億円を収入いたしました。また、土地処分を継続していた一部の区画については、本年七月に進出事業予定者を決定するなど、着実に土地処分を推進しております。

○もり委員 臨海副都心の未処分地を東京大会の競技会場や関連用地に活用するとの答弁をいただきました。大会成功のために不可欠な取り組みであることがわかりました。
 大会開催により、このエリアの注目度は飛躍的に高まることが期待をされています。
 先日は、東京ベイエリアビジョンの策定に向けた基本コンセプトが発表となり、東京、日本の今後の成長をつくり出す場所として東京ベイエリアを世界に発信し、各地域の特色をより生かす、そして官民連携のもと次世代を担う若者の視点や自由な発想を生かすとされております。そこには、陸海空の結節点、東京の玄関として羽田が描かれております。
 羽田国際空港へのアクセス強化として、新空港線蒲蒲線の早期実現や、城南島、京浜島といった大田区の製造業の集積地を経由する羽田アクセス線の検討、花きも含めれば日本一の物流量を誇る大田市場の場外市場の整備も含め、所管は多岐にわたりますが、東京港の多様な魅力に光を当てた臨海部の活性化に取り組んでいただきたいです。
 そして、大会後に臨海地域の未処分地や競技場跡地を民間に売却する際には、東京都として大きなビジョンを持って開発を進めていただきたいと要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、臨海地域の水辺空間についてお伺いいたします。
 東京二〇二〇大会では、臨海地域の未処分地や海上公園内に多くの競技場が整備される計画があります。臨海地区に多くの観客が足を運ぶこととなり、東京の水辺の魅力を知っていただくよい機会となります。
 そこでまず、東京二〇二〇大会の推進を念頭に置いた海上公園整備の考え方についてお伺いいたします。

○中村臨海開発部長 海上公園は、かつて高度経済成長期に失われた海辺を都民に取り戻すという構想からスタートしたものであり、東京都の条例により、水際近くの公園緑地を整備、保全するとともに、海面である水域を公園区域に取り込んでいることが最大の特徴です。
 昨年五月に策定した海上公園ビジョンにおいて東京二〇二〇大会では、ベイエリアに設置される競技会場の多くが海上公園内に立地することから、大会に訪れる国内外の人々が水辺を楽しみ、快適で安全に過ごせるようにおもてなしをすることも、海上公園の役割として位置づけ、海上公園の整備を推進しております。

○もり委員 海上公園は、海面である水域を公園区域に取り込んでいることが最大の特徴とのことで、今後の公園整備に当たっては、ぜひ子供たちが東京の水辺に親しむことができるよう、親水性を高めた整備を進めていただきたいと考えます。
 昨年は、港湾審議会の委員も務めさせていただきました。昨年策定された海上公園ビジョンは、にぎわいと自然あふれる海辺を目指してと題し、環境配慮や防災力の向上など、社会的要請に応えた公園機能の一層の強化、東京二〇二〇大会のレガシーを生かすとともに、周辺地域との連携を図り、民間活力を生かした、にぎわいの創出に取り組むことが基本的な考え方とされています。
 私の地元の大田区には、絶滅危惧種の渡り鳥コアジサシが、毎年、昭和島にある東京都水再生センター屋上に飛来し、NPO法人リトルターン・プロジェクトと市民の皆さんが、毎年、営巣地の整備と保全活動に取り組んでおられます。
 葛西海浜公園の干潟では、ラムサール条約湿地への登録が目指されており、ぜひ高度経済成長期に失われた海辺を都民に取り戻すという理念に基づいて、魅力的な水と緑のネットワークの創出、生物多様性の推進、環境負荷軽減、安全・安心な公園づくりの具体例として、干潟やいそ浜の整備など、東京湾における多様な生物の生息区域の拡充を推進し、海上公園ビジョン実現に取り組んでいただきたいです。
 東京大会においては、臨海副都心はアーバンクラスターに位置づけられ、若者に人気のスケートボードやBMXの会場ともなります。これらの競技会場に隣接する有明親水公園について伺います。
 同公園は、東雲運河や緑豊かな旧防波堤を望み、都心部とは思えないすばらしい環境を備えております。同公園の取り組み状況並びに今後の整備の考え方についてお伺いいたします。

○中村臨海開発部長 有明親水海浜公園は、平成二十九年度から園路や広場の整備を進めているところでございます。大会時には、隣接する有明アリーナなどの観客の移動動線としても活用する予定でございます。
 大会後は、ベンチやパーゴラなど休息できるスペースの整備や桜の植樹などを行い、水辺の魅力が身近に感じられる公園となるよう取り組みを進めてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 最後にもう一つ、昨年度の決算に計上されている臨海緑道公園について伺います。
 この公園は、大会の顔ともいうべき選手村に隣接する公園として計画されておりますが、同公園の整備の考え方と取り組み状況についてお伺いいたします。

○中村臨海開発部長 今、もり委員、臨海緑道公園とおっしゃられましたけれども……(もり委員「晴海の」と呼ぶ)晴海のということでよろしいですね。
 晴海緑道公園は、大会後に住宅棟に生まれ変わる選手村に隣接しておりまして、住宅棟の緑地と一体となった緑地空間の創出に向けて、平成二十九年度に設計に着手したところでございます。
 大会中は、選手などの快適な空間となるよう大会までに整備を進めるとともに、大会後は、新たな市街地の居住者、来訪者の憩いの空間とするため、大会時の利用状況に応じて改修工事を実施いたします。

○もり委員 ありがとうございます。晴海緑道公園ついて開発計画を伺わせていただきました。
 選手村は、大会後にレガシーとなる新しいまちとして生まれ変わる場所として期待をされております。晴海緑道公園は、このまちの憩いの場、にぎわいの場として活用されることが期待されているため、しっかりと整備を進めていただきたいです。
 そして、大会時には、先ほどの有明親水公園も含めて、水と緑が調和した美しい景観も形成していただき、こうした自然豊かで魅力的な水辺が都心部にもあることを、国内外から来訪する多くの方にぜひ知っていただきたいと考えます。
 そして、東京港は物流が中心の産業港として発展してきた歴史があり、現在も日本有数の物流港でございますが、東京が、今後一層美しく活気ある臨海部を有する水の都として、都民が水辺に親しむとともに、船にも親しむことができるよう、物流以外の船も着岸できるよう自治体と連携し、防災桟橋の平時の活用の推進や係留所の整備、マリーナの整備も欠かせないと考えております。
 東京二〇二〇大会までは、会場整備が最優先となりますが、ぜひ大会後、多様な舟運事業が東京湾においても行われるよう、臨海部開発に対し願いを込めまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○まつば委員 決算審議に当たりまして、臨海副都心の防災対策について質問をさせていただきます。
 六月の大阪府北部地震、また七月の西日本豪雨災害、九月の北海道胆振東部地震、また台風被害など、災害が全国各地で発生をしておりまして、防災対策の強化というのが大変重要である、このように考えております。
 臨海副都心についての防災対策について質問をさせていただくわけでありますけれども、この臨海副都心は、多くの方々が来訪される場所でもございますので、答弁につきましては、そのまま都民の皆様が答弁を聞いていただいてもよくわかるように、丁寧に詳しくご説明をしていただきたいというふうに思います。
 北海道胆振東部地震では、札幌市内の一部で液状化現象が発生をいたしました。臨海地域は、東京港内の埋立地に立地をしているという、こういう立地の特性から大規模地震により液状化現象などの災害が発生するのではないかと、こういう危惧をお持ちの方もおられます。そしてまた、臨海副都心におきましては、東京二〇二〇年大会の主要会場となるということでもございますので、防災性の確保、これは大変重要であることはいうまでもございません。
 そこでまず、災害対策のうち首都直下地震などの備えについてお伺いをいたします。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心では、開発当初から地震に強い安全なまちづくりを目指し、さまざまな対策を講じてきているところでございます。
 上下水道を初め電気、ガス、情報通信などのライフラインについて、耐震性の高い共同溝に収容し、その周辺の地盤には液状化対策のための地盤改良を施すことにより、関東大震災級の地震にも耐え得る構造となっております。
 なお、平成二十四年四月、東京都防災会議が発表しました首都直下地震等による被害想定を踏まえまして、改めてその耐震性について専門家による検証を行い、十分な安全性が確保されていることを確認しております。
 また、主要な交通インフラである「ゆりかもめ」の橋脚や緊急輸送道路のルートにある橋梁につきましては、阪神・淡路大震災を教訓として耐震補強を実施してまいりました。このうち「ゆりかもめ」につきましては、対策は既に完了し、緊急輸送道路のルートにある橋梁につきましては、今年度末ののぞみ橋の耐震化工事の完成をもって、全て完了する予定でございます。
 さらに、民間の建物につきましても臨海副都心まちづくりガイドラインに基づき液状化対策を行っております。

○まつば委員 ただいまのご答弁で、首都直下地震などの備えについては、着実に進められているということを確認させていただきました。
 次に、高潮対策でございます。
 本年九月には、台風二十一号の接近に伴う高潮の影響で、関西国際空港の滑走路などが冠水をいたしまして機能停止に陥ったという事態が発生をいたしました。臨海副都心につきましても、台風による高潮の被害が発生するのではないかと、こういう懸念もございます。
 そこで、臨海副都心の高潮対策についてお伺いをいたします。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心の高潮対策につきましては、過去に最大の被害をもたらした伊勢湾台風級の高潮にも耐えられるよう、地盤高を東京湾平均海面から、いわゆるT.P.で五・四メートル以上の高さで整備してございます。
 なお、この高さは、東京都の防災会議の想定最大津波高でございますT.P.の二・六メートルよりも高く、十分な安全が確保されていると考えております。

○まつば委員 十分な安全が確保されているものと考えられているということでご答弁がございました。
 ところで、本年三月に東京都は、高潮浸水想定区域図を作成し公表されました。これは水防法の規定に基づいて、想定し得る最大規模の高潮による氾濫が発生した場合に、浸水が想定される区域を示したものでございます。
 この図を見てみますと、浸水する地域を色で表示をしているわけでございますが、臨海副都心内の首都高速湾岸線の一部が着色、色がついているというふうに読み取れるわけですけれども、浸水をする可能性があるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 都では、想定し得る最大規模の高潮に対しまして、避難体制などの充実強化を図るため、本年三月に、高潮浸水想定区域図を作成し公表しております。
 お尋ねの首都高速湾岸線の一部でございますけれども、首都高速湾岸線は、臨海副都心開発が始まる前から開通してございまして、臨海副都心開発で整備した地盤高であるT.P.五・四メートルよりも低くなってございます。このため、想定し得る最大規模の高潮により浸水が想定されております。
 既に、道路管理者とこの点につきまして情報共有しておりまして、浸水のおそれがある場合には、道路管理者において通行規制等の措置がとられるとのことでございます。
 今後とも、高潮発生時における関係機関との情報連絡体制に万全を期してまいります。

○まつば委員 一部において浸水する可能性がある、浸水の想定があるということでございました。この道路管理者、首都高速道路株式会社であると思いますけれども、そこの道路管理者と高潮発生時には情報共有の体制が今とられているということでございますけれども、万一の際に被害が発生しないように、引き続き情報共有を図っていただきたいと思います。
 あわせて、今後は、高潮特別警戒水位の設定を早急に行っていただきまして、都民の命を守るという視点から、この高潮対策について万全の体制で進めていただきたいというふうに思います。
 次に、ソフト対策について確認をさせていただきたいと思います。
 臨海副都心は、いうまでもなく、働いている方もいらっしゃいますし、住んでいる方もいらっしゃいます。また、観光客の方、都民が利用する施設もございますので、多くの来訪者の方があるわけです。
 災害発生時に、この多くの来訪者の方々が安全かつ安心して行動していただく、そういうためには、まず、進出事業者の方々がこのエリアの防災対策、また、発災時の対応について理解をしておくということが、まず第一であるというふうに思いますけれども、都の取り組みについてお伺いをいたします。

○中村臨海開発部長 臨海副都心は、地区の不燃化が進んでおり、万が一火災が発生しても地区内に大規模な延焼火災のおそれがなく、広域的な避難を要しない区域に指定されております。
 また、発災時の一時滞在施設として、平成二十九年度に、お台場海浜公園の一部が指定施設となるなど、エリア内に十施設を確保するとともに、食料、毛布、簡易トイレ、発電機などの備蓄を行っております。
 これらの取り組みを周知し、的確な案内、誘導等に役立てるため、現在、進出事業者等で構成する東京臨海副都心まちづくり協議会と連携して、臨海副都心防災ガイドの作成に着手しているところでございます。

○まつば委員 二十九年度に、お台場海浜公園の一部が一時滞在施設として新たに指定されたとか、また、臨海副都心防災ガイドの作成に着手というようなお取り組みをされていらっしゃるということでございますけれども、こうした臨海副都心というのが広域的な避難を要しない区域に指定されていること等も含めまして、進出事業者の方々がまずご理解をいただいて、そこからしっかりと情報発信をしていただくということも踏まえて、取り組みをさらに進めていただきたいと思います。
 特に、来訪者の方々の中には、海外からのお客様、観光客の方も大変多いわけでございますけれども、海外からの方々については、防災情報というのを確実にお伝えするということが大変重要である、これは北海道胆振東部地震においても教訓となっていることであります。
 そうした意味では、防災情報を海外からの来訪者の方々にお伝えをしていく、その取り組みというのが大変重要でございますが、今、どういう状況になっているのか、お伺いをいたします。

○中村臨海開発部長 海外からの来訪者の多くは、スマートフォンを通じて情報を得ることが想定されることから、これまで臨海副都心では、主要施設や「ゆりかもめ」の駅舎などに無料のWi-Fi環境を整備してまいりました。
 また現在、防災情報の多言語化に向け、まちづくり協議会と連携して、一時滞在施設を示すガイドマップを多言語で作成中であり、本年度中に完成する予定でございます。あわせて、公共交通機関や商業施設に設置されている多言語対応のデジタルサイネージ等を通じて防災情報を提供する仕組みづくりを行ってまいります。
 今後も、まちづくり協議会を初め地元と連携しながら、さらなる対策の強化に努めてまいります。

○まつば委員 今、さまざま、まちづくり協議会等も含め、地元区、地元と連携をされながら対策をされているというご答弁でございました。
 この防災対策につきましては、一時滞在施設の備蓄品のことであったり、指定であったり、また、東京都防災アプリというのが、ことし三月一日からスタートしておりますが、そうしたことが総務局の総合防災部を中心に進められているということでもございます。
 理事者の方の中には、私よりもよっぽど詳しい方も、港湾局の中にもいらっしゃいますので、申し上げるまでもございませんけれども、この東京都防災アプリについては、多言語にも対応されておりまして、防災マップもこの中に入っております。一時滞在施設というところをクリックしますと、例えば、お台場海浜公園というのが出てきまして、そこをクリックすると、ここへ行くというのが出てきまして、そこを押すとルート案内があるというようなアプリでもあります。
 ですので、今、ご答弁の中では、一時滞在施設を示すガイドマップを多言語化で作成中という話もございましたけれども、こうした既に東京都として発信をしているアプリ等も紹介をするというようなことも含めて、さまざまな角度から万全に情報が行き渡るような、そうした取り組みを進めていただきたいということも要望させていただきたいと思います。
 きょうは、ハード、ソフト両面につきまして、災害対策、防災対策を質問させていただきましたけれども、今後も万全の対策を講じていただくように要望いたしまして、質問を終わります。

○鈴木(章)委員 東京都議会自由民主党はこれまで、東京二〇二〇大会の主要会場となる臨海副都心において、大会期間中に訪れる多くのお客様を受け入れる準備を着実に行うことはもちろんでありますけれども、やはり大会後のレガシーを生かした魅力あるまちづくりを展開していただきたいということで、財政基盤の充実に努めるように主張してまいりました。
 そこで、臨海地域開発事業会計の現状と、大会後も見据えたまちづくりの方向性について幾つか質問させていただきます。
 先ほどの説明にもありましたけれども、平成二十九年度決算では、臨海副都心の土地処分実績が二件、十六億円の収入があり、その収入も二十八年度以前に契約した案件という話でありました。また、土地処分が減少している要因についても、未処分地を、東京二〇二〇大会の競技会場や関連用地として活用するため、土地の売却を見合わせてきたという経緯もご説明いただきました。
 大会開催のためやむを得ない事情があることはわかったものの、大会後のまちづくりを見据えて財源を確保していくということが何よりも大切だというふうに思っておりますけれども、現在の土地売却以外の収入状況についてお伺いいたします。

○中村臨海開発部長 現在、臨海副都心の未処分地については、東京二〇二〇大会の競技会場や関連用地として活用するため大半の未処分地の売却を中止しているところでございます。
 一方、平成二十九年度は、長期貸付に係る賃料として約六十六億円、事業用借地権設定に係る土地貸付料として約十三億円を収入しており、土地売却以外の収益を確保しているところでございます。

○鈴木(章)委員 土地売却以外の収入を確保していく努力、そしてまた、それが持続的な臨海開発に欠かせないものであるわけです。そうした大会後のまちづくりに向けた財源確保に努めているということは、今、確認できましたけれども、公営企業会計でありますので、やはり会計上の健全性というのは何よりも求められているという思いの中で、これまでの企業債について償還が可能なのか、今後の会計運営の見通しについてお伺いいたします。

○中村臨海開発部長 平成二十九年度末現在、約一千八百七十三億円の企業債残高があり、今後、平成三十二年度に約八百九十八億円、平成三十六年度には約九百七十五億円を償還する予定となっております。
 一方、平成二十九年度末の決算時点で約二千九十五億円の内部留保資金があるほか、約四十一ヘクタールの未処分地の土地が残されており、企業債の償還に対応できる資産を保有していると考えております。

○鈴木(章)委員 これまでも、会計の運営が危ぶまれた時期もあったわけですけれども、今、ご説明いただきまして、土地処分方式の見直しとか企業債の借りかえなど、適切な会計運営を行ってきた結果、現在では、残された企業債償還に対応できる資金と資産も有しているということで、本当に大分よくなってきたなというふうに思います。
 やはり会計の健全性というのが、これからのこの地域の開発に本当に欠かせないものであるわけですので、これからもそうした部分においては、しっかりと収入確保して取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 そして次に、そうしたベースの中で、大会の成功というのは最優先課題ではありますけれども、今から大会後も見据えたこの臨海副都心のまちづくりをしっかりと進めていくべきという観点で、これから幾つか質問していきたいというふうに思います。
 東京大会では、カーボンオフセットやゼロエミッションなど、環境に配慮した取り組みを進めていくということとしております。
 大会の主要会場となる臨海副都心においても、環境に配慮した取り組みが必要と考えておりますけれども、これまでの取り組みについてお伺いいたします。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心では、開発当初より、CO2排出量の少ない低炭素型都市の実現に向け、地域冷暖房による省エネや中水道システムによる水資源の循環利用などを行うことにより、環境に優しいまちづくりを推進してまいりました。
 また、水に親しめる緑豊かなまちを開発の基本方針の一つとして、シンボルプロムナードを初め公園などの整備により、緑化空間を創出するとともに、進出する事業者に対しては、臨海副都心まちづくりガイドラインに基づき、新築時において敷地面積の四〇%以上の緑化面積を確保するよう誘導をしております。
 現在は、新たな緑化空間の創出に向けて、有明アリーナへのアクセス動線ともなる有明親水海浜公園の整備を実施しているところでございます。
 引き続き、緑化空間の確保を行うなど環境に配慮した開発を推進してまいります。

○鈴木(章)委員 この臨海副都心というのは、他都市にも手本となるような、今、環境配慮型のまちづくりを開発当初から進めているという答弁でありました。エネルギーの独立性だけでなく快適性ということも求められる中で、今、環境というのは、世界でも大変な大きなテーマであるわけでございますので、ぜひ世界一の東京を発信するためにも、そうしたモデル地域となるような取り組みを、これからも取り組んでいただきたいということと、それをしっかりと発信していただきたいなというふうに思います。
 関心のあるそういった都市だけでなく、特に都民の方にも、臨海地域というのは物すごく最先端の、環境に配慮された地域なんだということがわかっていただけるような取り組みも必要ではないかなというふうに思います。
 ぜひ今後とも、こうしたまちづくりを継続するとともに、このエリアのすばらしいまちづくりを発信していただきたいというふうに思います。
 次に、大会の成功に寄与するだけでなく、大会後の快適なまちづくりにつながる取り組みについて幾つか確認をしていきたいというふうに思います。
 この夏の記録的な暑さというのは記憶にまだ新しいところでありますけれども、気象庁の発表によりますと、東京におけることしの七月、八月の三十五度以上の猛暑日というのは、昨年の二日からことしは十二日にも及んだというふうに報道されております。
 東京二〇二〇大会の主要会場である臨海副都心における暑さ対策というのは、何よりも万全を期していかなければならないというふうに思うわけですけれども、そうした取り組みについてお伺いいたします。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心における暑さ対策は重要な課題と認識しており、平成二十九年度からさまざまな対策を進めております。
 まず、大会に向けた取り組みといたしまして、競技会場周辺の道路につきましては、台場地区でトライアスロンのランコースを中心に遮熱性舗装への改良をするとともに、観戦客が涼をとれるよう街路樹の緑陰づくりにも取り組んでおります。
 また、大会後の快適なまちづくりも見据えた取り組みとしまして、臨海副都心の交通アクセスの拠点となるりんかい線の駅前広場では、歩道部に、水分の蒸発により路面温度を低下させる保水性ブロックを使用いたしまして、そうした再整備にも着手をしたところでございます。
 このほかに、複数の競技会場への観客動線ともなるシンボルプロムナード公園におきましては、この夏の実証実験を踏まえまして、休息をとることのできる日よけ、それから微細ミスト、これらを組み合わせまして、クールスポットを設置していくこととしております。
 こうした取り組みにより、大会時の選手や観客の受け入れ環境の向上を図るだけでなく、大会後の快適なまちづくりにつなげてまいります。

○鈴木(章)委員 今、大会に向けて、暑さ対策を万全に取り組んでいるという話がありました。
 ことしの夏は猛暑で、二〇二〇年の夏もどういった夏になるかわからないわけですけれども、猛暑になる可能性も高いというふうにいわれている中で、残されているのは、もう本当に二年を切っている、そうした中では、早期に対応して、ぜひ来年の夏あたりは、その快適性を、私たちも、そして都民の皆様も確認ができて、共有できるような形で大会に進めていけたらすばらしいなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 あわせて、魅力的なまちづくりにつながる取り組みについて質問します。
 臨海副都心は、平成当初から開発が始動して、年月をかけ、まちが成熟して観光拠点としての知名度も定着してまいりました。その一方で、建物の老朽化なども見え始めてきているのかなというふうに思います。
 臨海副都心のブランドの価値を維持向上して、さらなる来訪者を呼び込んでいくための方策も考えていかなければならないというふうに思っておりますけれども、東京都の取り組みについてお伺いいたします。

○矢部臨海副都心まちづくり推進担当部長 都はこれまで、来訪者に対する利便性の向上に向けてインフラの整備を行うとともに、多言語対応やデジタルサイネージを初めとする外国人観光客の受け入れ環境整備など、臨海副都心の魅力向上に資する民間事業者の取り組みに対しても支援を行ってまいりました。
 このような取り組みとともに、副委員長ご指摘のとおり、まち開きから二十年以上を経て、臨海副都心では、まちの成熟化に伴う老朽化した施設への対応も必要と認識しております。
 このため、施設のバリアフリー化に対しても支援を開始するなど、臨海副都心を訪れるさまざまな人々が、常に快適で不自由なく過ごすことができるような取り組みも、官民一体となって着手しております。
 今後も、民間事業者と協働して臨海副都心の魅力向上に努めてまいります。

○鈴木(章)委員 私たちは、この地域の開発というのは、官民が一体となって取り組んで、そして、民間の活力を十分に生かして整備をしていっていただきたいということを、ずっと常々要望してまいりました。
 そうした中では、会計の健全性だけでなく、まちづくりも、快適性そしてまた環境に配慮した持続可能性の高い地域として、そしてまた、今は憩いの地域としても発展してきているのかなというふうに思っておりますので、本当に皆様の取り組みには敬意を表するわけですけれども、これからもいろいろと民間の事業者方、いろんな悩みや課題があるというふうにも思っておりますので、そうした課題に対しても丁寧に対応していただいて、官民で本当に世界に誇れる地域として、このベイエリアの発展のために取り組んでいただきたいというふうに思います。まさに東京の顔となるような地域になっていくことを心から期待をしております。
 そしてさらに、東京大会という、そうした契機を好機として捉えて、大会後も見据えて、臨海副都心の魅力を、さらに世界に発信できるように取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問にします。ありがとうございます。

○尾崎委員 二〇一七年度の臨海地域開発事業会計の決算について伺います。
 最初に、資料要求しまして、臨海関係第三セクターのビル入居率の推移を出していただきました。
 大事な問題なので改めて伺いたいと思いますけれども、臨海関係第三セクターのビルの入居率について伺います。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度末時点の入居率といたしましては、テレコムセンタービルが八一%、台場フロンティアビルが一〇〇%、有明フロンティアビルが九五%、青海フロンティアビルが七四%、ニューピア竹芝ノースサウスタワー及びホテル棟が一〇〇%でございます。

○尾崎委員 東京都の関連の事業所を除くと、入居率はそれぞれどうなりますか。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各ビルの貸付床面積のうち、東京都の施設が使用している床面積の割合は、二十九年度末時点で、テレコムセンタービルが一〇%、有明フロンティアビルが一%、青海フロンティアビルが九%でございます。

○尾崎委員 東京都の関連の事業所、施設が使用している床面積の割合の合計は二〇%となっているということですから、東京都の関連の事務所を除くと大変厳しい状況だということがわかります。都の関連施設を除けば、テレコムセンタービルは七一%の入居率になります。青海フロンティアビルは六五%の入居率となるわけです。
 テレコムセンターには、東京都立産業技術研究所のロボット産業支援プラザが入っていますが、その面積はどのぐらいでしょうか。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ロボット産業支援プラザの面積は二千三百三十四平方メートルとなってございます。

○尾崎委員 東京ロボット産業支援プラザは、テレコムセンターの東側の棟の一階、二階、三階を利用しています。テレコムセンターの案内板では、一階フロアに企業名の記載がない階が十フロア以上もありました。
 青海フロンティアビルにはミナトリエが入っていますが、面積はどのくらいでしょうか。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ミナトリエの面積は千百九十四平方メートルでございます。

○尾崎委員 青海フロンティアは二棟あり、一階から二十階、もう一棟は一階から十一階まであります。ミナトリエは二十階の全てを使っています。ビルの案内板では、三つのフロアは空白になっていました。テレコムセンタービルや青海フロンティアビルに東京ロボット産業支援プラザやミナトリエが入居しなければ大変な事態になったのではないでしょうか、惨たんたる状況であるといわなければなりません。
 そこで、東京テレポートセンターのビル事業の経営状況について、売り上げの推移はどうなっていますか、また、貸しオフィスの本業での営業利益の推移はどうなっているのか、伺います。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十七年度から三カ年で見ますと、売上高が百七十九億円、百七十八億円、百七十七億円で推移してございまして、営業利益につきましては、五十八億円、五十三億円、五十三億円での推移となってございます。

○尾崎委員 三年間の売上高は毎年減少していることがわかりました。営業利益は二〇一七年度と二〇一六年度は同じですが、二〇一五年度と比べると五億円も減少しています。売上高については、二〇〇七年度決算、十年前ですが、二百二十九億円ありました。十年前と比べると五十二億円も減少しています。
 ここ数年、品川地区の賃貸オフィスビルの入居率は上昇しています。さまざまな調査のデータがありますが、二〇一七年の森ビル株式会社が行った東京二十三区オフィスニーズに関する調査によると、新規に賃貸する場合の希望のエリアでは日本橋が一位ですが、二位には、前年よりも四ポイントもふえて品川の駅周辺が選ばれています。品川がなぜ人気があるのか、リニア中央新幹線の工事進捗や品川新駅の方向性が具体化してくる中で、品川エリアの注目が高まっていることが要因ではないかと推測されています。
 一方、最下位は、台場、青海、有明などです。利便性だけではない理由があるのではないでしょうか。安易に都の関連事務所を呼び込むのではなく、賃貸オフィスのニーズなどについて都としても独自の調査を行い分析することが必要なのではないでしょうか、現実をきちんとつかむことだと思います。
 都はこれまでも、東京テレポートセンタービルについて、計画的な修繕、投資を実施しており、今後もこうした取り組みを着実に進めることで、ビルの商品価値の維持向上が図られていくものと認識していると答弁してきました。
 そこで、大事なことなので改めてお聞きします。
 東京テレポートセンタービルの老朽化対策が必要になってきていると思いますが、対策などについてはどう考えていますか。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京テレポートセンターのビル事業におきましては、これまでも、計画的な修繕、設備の更新により、老朽化対策を実施してきたところでございます。
 今後も、こうした取り組みを着実に進め、オフィスビルとしての商品価値の維持向上が図られていくものと認識してございます。

○尾崎委員 どうしたらオフィスビルとしての商品価値を上げることができるのか、ただいまの答弁ではなかなか見えてきません。真剣に検討すべきです。
 東京テレポートセンターは築二十二年です。しかも、テレコムセンタービル、有明フロンティアビル、台場フロンティアビルの地下には、東京臨海熱供給株式会社の地域の冷暖房プラントがあります。ほかの地域では、冷暖房プラントはどんどんなくなってきていると聞いています。建物の老朽化と熱供給事業を含めると予断を許さない状況だと指摘しておきます。
 次に、東京都臨海副都心おもてなし促進事業についてです。
 港湾局のホームページを見ると、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の成功及び臨海副都心のMICE、国際観光拠点化に向けて、臨海副都心において民間事業者が行う新たな観光資源の創出や、外国人来訪者の受け入れ体制環境の整備に対する補助制度、東京都臨海副都心おもてなし促進事業を二〇一七年度より実施していることがわかります。
 二〇一七年度は、一件当たりの補助限度額は一億円ということですが、東京都臨海副都心おもてなし事業の予算と決算についての推移を伺います。

○矢部臨海副都心まちづくり推進担当部長 東京都臨海副都心おもてなし促進事業は、平成二十七年度から実施している事業で、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化に向けて、民間事業者が行う外国人来訪者の受け入れ環境整備や、新たな観光資源の創出を推進するため開始したものであります。
 予算額は毎年度三億円で、平成二十七年度は約二億六千万円、平成二十八年度は約四千万円、平成二十九年度につきましては約六百万円を支援してまいりました。

○尾崎委員 予算額は毎年度三億円なのに、ただいまのご答弁のように、決算額は二〇一五年度は約二億六千万円、二〇一六年度は約四千万円、二〇一七年度は約六百万円と、どんどん減ってきています。しかも、二〇一七年度は予算の五十分の一です。予算と決算が余りにもかけ離れており、都の事業として必要なのか、検証が求められているのではないでしょうか。
 それでは、東京都臨海副都心おもてなし事業の件数についての推移を伺います。

○矢部臨海副都心まちづくり推進担当部長 平成二十七年度は、観光案内アンドロイドやデジタルサイネージの設置など十三件、平成二十八年度は、商業施設の案内サインの多言語化、無料Wi-Fiサービスの拡充など十五件、平成二十九年度につきましては二件を支援してまいりました。

○尾崎委員 件数についても、二〇一七年度は少な過ぎるといわざるを得ません。
 どうしてこんなに件数が少ないのか、二〇一七年度の事業補助対象事業の内容と応募業者数について伺います。

○矢部臨海副都心まちづくり推進担当部長 平成二十九年度は、事業者から十五件の問い合わせをいただいて調整等を進めてまいりましたが、事業者側の経営判断や関連工事の遅延などにより補助金申請が見送られ、先ほどご答弁したように最終的に二件の応募がありました。
 内容は、臨海副都心の無料巡回バスの運行情報の多言語化を図る取り組みに対しての支援と、大型商業施設において、来訪者に多言語化を含め情報をより多く見やすく発信できるよう、案内表示板をデジタルサイネージに改善する取り組みを支援したものでございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁のように相談は十五件あったということです。でも、最終的には二件から応募ということでした。
 選定事業者と選定理由について伺います。

○矢部臨海副都心まちづくり推進担当部長 一件目は、先ほどご説明しましたが、臨海副都心まちづくり協議会が運営する無料巡回バスの取り組み事業に補助を行ったものでございます。この取り組みにより、外国人来訪者が地域内を容易に回遊できるようになり、より多くの施設を訪れていただけるようになるほか、訪問者の利便性を高めるなどきめ細やかな対応をすることにより、臨海副都心に対する海外の評価が向上するなどのメリットが認められることが選定の理由でございます。
 二つ目は、森ビル株式会社が運営する商業施設の来訪者案内事業に対して補助したものであり、多言語対応したことにより海外からの来訪者の利便性が向上すること、また、このサイネージを活用して臨海副都心のさまざまな観光情報等を発信できるようにしたことで、多くの人に臨海副都心全体のPRをできることから選定したものでございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、外国人来訪者の利便性向上や、サイネージを活用し臨海副都心全体をPRできることから、森ビル株式会社に補助ということですが、本当に都が支援しなければならないものなのでしょうか、疑問です。
 私は、二〇一四年度の決算質疑でも、大手企業であり超優良企業に、MICE補助事業で東京都が支援しなくても、自社の設備で十分にやれるだけの力がある会社ではないだろうかと指摘したことがあります。東京都臨海副都心おもてなし促進事業でも同じことがいえます。二〇一七年度は二件で、そのうち一件は森ビル株式会社です。
 ちなみに、インターネットなどで調べましたら、森ビル株式会社の二〇一八年三月期決算を見ると、経常利益は五百七十億円で前年度比一三・九%増になっています。当期純利益は四百二億円で前年度比四六・三%増にもなっています。東京都が支援の対象にすべきではありません。
 都が支援すべきところは、多言語化が必要でも自社の努力ではなかなか難しいというような中小企業や小規模企業にこそ行うべきです。
 今回のように、応募数も二件と少ない状況であり、大企業の支援を行うような事業であれば、事業そのものをどうするのかを検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。今のような状況で続けるというのであれば、もうやめるべきだと申し述べて、質問を終わります。

○山口委員 それでは、私からも臨海地域開発事業会計に伴う財政基盤強化プランを初めとして、幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。
 臨海副都心は、東京二〇二〇大会の競技会場や関連施設が数多く立地をされる場所であります。大会終了後は、そのレガシーが根づき、より一層魅力と活力あふれるまちへと発展していくポテンシャルを秘めているわけでありますが、大会後のまちづくりを円滑に進めていくためには、それを支える安定した財政基盤が必要で不可欠であることはいうまでもないわけであります。
 これまで、臨海副都心開発は、開発者負担区分の見直しや事業費の精査を初め、平成十三年の二月のベイエリア21の策定に伴い、当時の臨海副都心開発事業会計を埋立会計、羽田沖会計と統合し、いわゆる三会計の統合によって、臨海地域開発財政基盤強化プランを策定するなどして収支の改善を図ってきたところであります。
 さらに平成十八年三月には、強化プランのさらなる取り組みを策定しているところであるわけなんです。
 そこでお伺いをしたいんですが、この臨海副都心開発をめぐる財政的な計画の推移について確認をするとともに、このさらなる取り組みの目的についてお伺いをしたいと思います。

○中村臨海開発部長 委員ご指摘のとおり、臨海副都心開発事業の財政基盤を強化するため、平成十四年三月に臨海地域開発財政基盤強化プランを策定しました。平成十八年三月には、その後の十年間の会計運営の安定化を図り着実に開発を進めていくことを目的として、臨海地域開発財政基盤強化プランのさらなる取り組みを策定し、これ以降、これに示す方向性を基本に開発を進めているところでございます。

○山口委員 十年間の会計運営の安定化を図る目的で策定をされた、このさらなる取り組みでは、都債、つまり企業債が償還をする平成二十九年度までを資産期間として会計の収支を示してきたところであります。
 しかし、企業債は償還をされず、平成二十九年度末の残高は千八百七十三億円、償還時期は平成三十二年に八百九十八億円、平成三十六年に九百七十五億円となっているわけであります。
 そこで、このさらなる取り組みに比べて、企業債の償還が進まなかった理由は何であるのでしょうか、お伺いをしたいと思います。

○中村臨海開発部長 さらなる取り組み策定以降、平成二十九年度より、早期に償還を完了させる予定でしたが、リーマンショックなど経済状況の変化が生じたため、会計の柔軟性を確保する観点から、借りかえを平成二十二年度及び平成二十六年度に実施いたしました。
 この結果、平成二十九年度末の決算時点で約一千八百七十三億円の企業債残高があり、平成三十六年度末までに償還する予定でございます。

○山口委員 もう少し踏み込むと、また、このさらなる取り組みでは、平成二十九年度までに土地処分が完了する、企業債も償還が完了することとなっています。その上で、内部留保資金が千九百三十一億円残ることとなっているわけでありますが、現状との相違とその理由についてお伺いしたいと思います。

○中村臨海開発部長 現状との相違についてでございますが、土地処分については、二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致活動を開始して以降、東京二〇二〇大会開催を控える現在に至るまで、競技会場や大会関連用地として活用することを見据え、青海地区北側及び有明北地区を中心に土地処分を中止しております。
 そのため、約四十一ヘクタールの未処分地が資産として残されております。
 また、平成二十二年度及び平成二十六年度に企業債を借りかえたことにより約一千八百七十三億円の企業債残高があります。
 一方、平成二十九年度末現在、内部留保資金は二千九十五億円確保されております。

○山口委員 今、時系列でさまざまな角度から、さらなる取り組みにおける想定と現状の相違を確認させていただいたところでありますが、そこで、平成二十九年度末の時点で一千八百億円を超える企業債残高と、その償還の見通しについて改めてお伺いしたいと思います。

○中村臨海開発部長 今後の償還に当たっては、平成二十九年度末の決算時点で約二千九十五億円の内部留保資金があるほか、約四十一ヘクタールの未処分地の土地が残されており、十分に対応できる見通しとなっております。

○山口委員 臨海副都心地域が計画当初よりも緩やかに発展、成熟をしてきていることはわかりますし、何よりも検証可能な長期の財政見通しを示したことの意義は大変大きいものと考えています。この財政見通しのもととなった臨海地域開発財政基盤強化プランは、ベイエリア21の策定、三会計の統合に伴い策定をされたものであります。
 現在、新しい東京ベイエリアビジョンの検討が始まっているところでありますが、この中では当然、地下鉄新線の整備やIRの誘致なども検討されることになっていくんだろうと思います。
 ぜひとも東京ベイエリアビジョンの策定とともに、財政的なプラン、財政的な見通しを示し、臨海部の魅力と活力にあふれたまちづくりを進めていただくように要望したいと思います。
 続いて、株式会社東京臨海ホールディングスについてお伺いをします。
 臨海地域開発事業会計の平成二十九年度決算においては、都から臨海ホールディングスへの長期貸付金五十億円が計上されております。
 改めてこの長期貸付金の意義とその効果についてお伺いをしたいと思います。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 株式会社東京臨海ホールディングスでは、グループファイナンスの仕組みを導入してございます。
 グループファイナンスは、傘下のグループ各社が保有する資金や都からの貸付金を集約し、グループ内への融資や一括運用を行うことでグループ全体の資金効率を高めることを目的としてございます。
 都からの長期貸付金は、グループファイナンスを安定的に稼働させるための核となる資金を貸し付けるものでございまして、集約した資金は、公益的な事業展開を行う子会社への設備更新費用の貸し付けなど東京臨海ホールディングスが機動的な運用を行ってございます。
 具体的な資金の使途としては、「ゆりかもめ」の車両更新資金として貸し付けた実績がございます。また、集約した資金の運用益の一部をお台場レインボー花火の開催など、臨海副都心地域のにぎわい創出に資するイベント経費などに充当し、地域全体の発展に貢献するよう活用しているところでございます。

○山口委員 今、「ゆりかもめ」への貸し付けというご答弁がありましたので、「ゆりかもめ」について確認をさせていただきたいと思います。
 「ゆりかもめ」の利用者は年々ふえ続け、平成二十七年度には、年間約四千五百五十五万人が利用されているということでありましたが、平成二十八年度、二十九年度は足踏みが続いているように感じるところであります。
 この要因は何であると認識をされているでしょうか、お伺いをしたいと思います。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、「ゆりかもめ」の年間利用客数は、平成二十七年度に、過去最高の約四千五百五十五万人を記録しております。二十八年度、二十九年度につきましては、オフィスビルのテナントの一部に就業者の減少がございましたが、利用客数はともに約四千四百万人と引き続き高い水準を維持しております。

○山口委員 また、「ゆりかもめ」は、豊洲市場が開場したことによって、市場への数少ない公共交通機関の一つとして期待をされているところでもあります。一方で、平成三十一年から三十二年にかけて、東京ビッグサイトの利用が制限されることから、収益減少の指摘もあるところであります。
 「ゆりかもめ」の収益向上、利便性向上に向けた今後の取り組みをあわせて伺いたいと思います。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 東京二〇二〇大会では、東京ビッグサイトが、メディア施設であるIBC、MPCとして活用されるため、展示会の減少に伴う「ゆりかもめ」の利用客数の減少も予想されますが、一方で、大会を契機に臨海地域の注目度が高まり、観戦客を初めとして国内外から多くのお客様の来訪が期待されております。
 こうした状況も見据えまして、「ゆりかもめ」としては、利用客確保を狙い、さまざまな企画事業を展開しているところでございます。
 例えば、ことしの夏に開業したデジタルアートミュージアムとのコラボによる一日乗車券の発行など、臨海副都心の進出事業者との連携を行っているところでございます。
 あわせて、東京二〇二〇大会に向けて、駅舎の案内サインの刷新や新型車両の導入などを着実に進めることにより、お客様の利便性向上に努めてまいります。

○山口委員 今、オフィスビルのテナントの一部に就業者の減少があったというご答弁をいただいたところでありますが、臨海ホールディングスの設立の発端は、三セクビルの事業の破綻であったわけであります。
 そこで、先ほどの答弁にもありましたが、特に問題となっていたテレコムセンタービルと青海フロンティアビルの入居率と、そのうち東京都及びその関連団体が入居している現状について確認をしたいと思います。
 また、テナント誘致に向けた取り組みについても、あわせてお伺いしたいと思います。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度末時点の入居率として、テレコムセンタービルが八一%、青海フロンティアビルが七四%となってございます。そのうち東京都の施設が使用している床面積の割合は、テレコムセンタービルで一〇%、青海フロンティアビルで九%でございます。
 株式会社東京テレポートセンターのビル事業におけるテナント誘致に向けた取り組みといたしましては、テナントを仲介する多数の大手不動産業者との連携強化を図り、内覧会を積極的に開催するといった取り組みに加えまして、新たに中小の仲介業者についても、所有ビル施設の説明会を実施するなど仲介の機会拡大を図る取り組みを進めてございます。また、ホームページをリニューアルし、ビル紹介の動画を掲載するなど、オフィスや会議室の積極的なPRに努めていくこととしてございます。
 今後も引き続き、こうした積極的な営業活動を展開し、入居率の維持向上に取り組んでいくとのことでございます。

○山口委員 やはり、この部分の積極的な東京都の取り組みというのは非常に重要になってくると思いますし、ぜひ連携を図って強化をしていただきたいと思います。
 東京臨海ホールディングスについては、「ゆりかもめ」やビッグサイトを初め進出事業者とともに連携をしながら地域の魅力向上に向けて今後も取り組むとともに、ビル事業については不断の見直しを行うことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○曽根委員 私からも、臨海副都心開発事業について、ちょっと歴史的なことも含めて何点か、お聞きしたいと思います。
 今、何人かの方も質問されましたが、臨海副都心開発というのは、昨年度は、開発外の豊洲などの土地処分があっただけで、いわば副都心開発地域の土地処分はなかったというふうに資料で出ております。残された開発用地は、残されていますけれども、オリンピック関連などで縛りがかかっていて、現状は副都心開発というネーミングの事業にしては足踏み状態が続き、また、これまで開発してきた三セクビルの入居状況も厳しいということは、他の議員の質問でも明らかにしたとおりです。
 そこで、昨年度の臨海開発の状況を、少し長いスパンで俯瞰して明らかにするために、歴史的な経過についてただしておきたいと思います。
 臨海副都心開発の事業が本格的に動き出したのは、一九九〇年代に入ってからだったと思いますが、バブルの真っ最中に計画され、開発地域の地価が毎年二・五%ずつ二十五年余りにわたって上がり続けるという想定のもとで、総額十兆円を超えるともいわれる事業としてスタートをいたしましたが、その直後にバブル崩壊が起こり、地価は逆に下がり続け、のっけから開発の破綻が必至の状態になってきました。
 まず最初に、新たな副都心とともに、東京の金融センターやビジネス街をつくるという、こうしたコンセプトの見直しが迫られたんだというふうに私は記憶しております。
 そこで、臨海副都心開発の基本的なまちづくりの構想、コンセプトはどのように変化してきたのかをお伺いします。

○中村臨海開発部長 臨海副都心開発は、昭和六十一年の第二次東京都長期計画や平成元年の臨海副都心開発事業化計画において、東京の一点集中型の都市構造を転換するため、七番目の副都心として育成していくこと、国際化、情報化という時代の要請に的確に応えて未来型都市を創出することを目的として開発を開始いたしました。
 その後、平成九年に策定した臨海副都心まちづくり推進計画や、平成十三年の東京ベイエリア21において、職、住、学、遊のバランスのとれた複合的なまちづくりを開発のコンセプトとして設定するとともに、平成十八年には新たに観光交流のまちづくりの視点を加え、開発を進めてきているところでございます。

○曽根委員 今、お話のあったように、昭和六十一年、つまり八六年から検討が始まった当時は、当然のように副都心の主要コンセプトの一つに、新たな七番目の副都心における金融センター構想というのが当時の記録にはありましたが、開発が本格化する九〇年代に既にバブルの崩壊が本格化し始めた関係で、これはもう消えてなくなってしまったわけです。
 その後は、とにかく開発用地を買ってくれるところに売らなきゃならない、もしくは貸し付けなきゃならないということで、職、住、学、遊という、いわば何でもありのまちづくりに変化せざるを得なかったというのが私のこの間の実感です。
 さらにその後、防災広場やがんセンターなど、医療機関、大規模保育園なども次々と導入をしてきました。しかし、それでも莫大な開発企業債を発行したその返済は到底賄えず、二〇〇〇年代に入って企業債の返還に破綻の危険が迫り、そこで臨海部で保有してきた東京都のあらゆる資産や資金をつぎ込むための三会計統合が強行されました。
 三会計統合の際に、埋立会計、羽田沖会計から統合された土地資産、また、保有資金はそれぞれどれほどだったでしょうか。

○中村臨海開発部長 三会計統合前の平成十二年度時点での埋立事業会計につきましては、売却予定の土地面積が約八十四ヘクタール、内部留保資金が約二百六十二億円、同会計から臨海副都心開発事業会計に出資していた土地が百六十三ヘクタール、貸付金が約二千九百二十億円です。
 羽田沖埋立事業会計につきましては、保有する土地はなく、内部留保資金が約五百九十三億円、同会計から臨海副都心開発事業会計の土地出資はなく、貸し付けていた資金が約七百十億円でございます。

○曽根委員 三会計統合、すなわち埋立事業会計と、当時、羽田空港関係で羽田沖埋立事業会計、二つの埋立会計がありましたが、埋立事業会計の方が保有資金二百六十二億、貸し付けが二千九百二十億、これは臨海に貸し付けていましたので統合でチャラになるわけです。羽田沖の方も、五百九十三億円の保有資金と臨海への貸し付け七百十億円。金額の明らかになる資産だけでも合計四千四百八十五億円が臨海開発との統合で消えてなくなるということになりました。
 しかも、先ほどお話のあったように、百六十ヘクタール余りの臨海副都心開発の開発用地というのは、全て埋立会計からの、もともとは買い取りをすると、開発会計によって買い取るということで、金額としては総額一兆一千億円という試算が出ておりました。これが会計統合で全く支払い不要になったわけです。さらに、埋立会計が保有していた未開発の地域八十四ヘクタール、これがもし臨海開発と同じ金額と試算すると五千六百億円相当になるということになります。
 かなり大ざっぱな計算ですが、総合計では二兆円をはるかに超える資金と資産が、他の会計から臨海副都心開発事業会計につぎ込まれたということになります。これによってようやく開発は息をついて、借金の返済資金がショートすることが回避されたというのがこの間の経過だったんではないでしょうか。
 それで、昨年度の決算において、臨海副都心開発のスタートから二十五年以上も経過し、当初想定された成熟期を迎えているわけですけれども、この企業債の借金返済の見通しはどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

○中村臨海開発部長 先ほど来、お答えしておりますが、平成二十九年度末現在、企業債の残高は一千八百七十三億円となっております。
 一方、平成二十九年度末の決算時点で、内部留保金が約二千九十五億円のほか、未処分の土地も残されており、企業債の償還に十分対応できる資産を保有しておると考えております。

○曽根委員 この企業債というのは、過去に二回大きな返済の繰り延べを行って、辛うじてその資金ショートを免れてきたわけですが、今回は、返済繰り延べをしなくても返済は可能であると。すなわち平成三十六年度には、借金返済を終了させる見通しは、残された土地を処分しなくてもあるというのが今のお金上の計算だと思います。
 それで、残された開発の用地は、どこに、何カ所、面積はどれぐらいあるんでしょうか。

○中村臨海開発部長 青海地区北側及び有明北地区を中心に約四十一ヘクタールの未処分地が残っております。

○曽根委員 約四十一ヘクタールがまだ残されていると。開発全体の約三分の一強ぐらいですか、未処分になっている。これはいろんな理由があって未処分になっているわけですが、臨海副都心開発は既に二十五年以上がたち、この事業概要にもありますように、成熟期を迎えるということになっています。借金返済の見通しも立っていると。
 したがって、残された開発用地をどうしても処分しなければ、開発事業が収束できないという段階ではないというふうにもいえると思います。
 したがって、例えば、オリンピックの用地として既に利用が決まっている有明北なども含めて、今後の長期の都民的な利用は--副都心開発のコンセプトも、もう当初からかなり変わってしまっているだけに、改めて臨海地域、そして都民全体にいかに活用されるのか、活用すべきかという方向で、開発用地から外して、今後の活用を、新たな都民利用を検討すべき段階に来ているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中村臨海開発部長 臨海副都心開発におきましては、これまでも、都民利益の向上に資する開発を行ってきていると考えております。
 今後でございますけれども、残りの土地についても、よりよいまちづくりを進めるため、その取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。

○曽根委員 これまでも、都民利益の向上に資するものとなってきたかという点では、私たちは大いに、これまでも批判をしてまいりましたが、今後、よりよいまちづくりに貢献するという点で、臨海副都心事業でなければできないというふうにはお答えにならなかった点は、今後にとって--四十一ヘクタール、しかも場所は有明北で、かつて水面だったところを、ハゼの生息地だったところを埋め立てたところですし、一方は、以前から都民提案を募集したりして、いわば都民の声も聞きましょうという形で臨海副都心の中で扱われた、いわゆるセンター広場の周辺の用地ですので、これを私たちが非常に警戒しておりますカジノやIRの方向で開発されるようなことを、一方的に東京都が進めるようなことは断じて許されないということは申し上げておきたいと思います。
 臨海副都心開発というのは、会計統合を前にして、これは大分前のことですが、当時の石原知事が進むも地獄、退くも地獄といわざるを得ないほど、どん底の状態だったわけです。開発事業だけではなくて、開発会計が建設した三セクビルも全て経営破綻して債務超過に陥り、破綻処理をして細々と続いている状態です。
 当然ながら、港湾局はもちろん生活文化局、総務局、産労局、建設局などが、それぞれの出先機関を三セクビルに移して、赤字補填に協力する事態がいまだに続いております。
 こういう点でも、東京都の大変な全都民的損害をもたらした、かつてない大規模な開発、この教訓を、やはり今後に生かすことが、今、私たちにとって大きな課題になっているというふうに考えます。
 せめて、最終処分先が決まっていない用地について開発から除外し、都民にとって最もふさわしい活用の道を改めて探るように求めて、私の質問終わります。

○保坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○保坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時二十九分散会

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