委員長 | 藤井 一君 |
副委員長 | 柴崎 幹男君 |
副委員長 | 斉藤まりこ君 |
副委員長 | 関野たかなり君 |
滝田やすひこ君 | |
田村 利光君 | |
うすい浩一君 | |
おときた駿君 | |
あかねがくぼかよ子君 | |
つじの栄作君 | |
増田 一郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 佐藤 伸朗君 |
次長 | 小泉 健君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 今村 保雄君 | |
理事 | 中島 高志君 | |
総務部長 | 桜井 政人君 | |
都市づくり政策部長 | 久保田浩二君 | |
住宅政策推進部長 | 佐々木秀之君 | |
都市基盤部長 | 荒井 俊之君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 山下 幸俊君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
都営住宅経営部長 | 佐藤 千佳君 | |
基地対策部長 | 高原 俊幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
防災都市づくり担当部長 | 安部 文洋君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 松崎 浩一君 | |
局務担当部長 | 齊藤 敏君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 | |
サービス推進部長 | 山口 真君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 樋口 隆之君 | |
計画調整担当部長 | 末村 智子君 |
本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十九年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十九年度東京都病院会計決算(質疑)
○藤井委員長 ただいまから平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○増田委員 それでは、私の方から、泉岳寺駅地区市街地再開発事業につきまして何点か伺わせていただきます。
本事業のある品川エリアは、羽田空港への玄関口であることに加え、二〇二七年に開業が予定されているリニア中央新幹線の始発駅となること、そして、JR品川車両基地跡地の大規模開発が行われるなど、都内でも有数の重要な再開発エリアとなっております。
また、同地区は、羽田空港を介して海外都市や国内地方都市へのアクセスも非常に容易であり、また、同地区がアジアヘッドクオーター特区の指定も受けていることから、さまざまな外国企業の誘致や、新たな文化、観光機能を持った交流空間の拠点として、東京の国際間競争力の向上という点からも、大いにその役割が期待されているところであります。
実際、今から四年前に策定されました品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四におきましても、品川エリアは、大手町、丸の内、有楽町に並ぶ拠点として位置づけられているところでございます。
本再開発事業は、そのような重要なエリアにおいて進められている都施行の再開発事業ということになるわけであります。
そこで、まず初めに、改めて本事業の目的とその整備スケジュールについて伺います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅周辺では、JR東日本の車両基地跡地などを中心として開発が進められておりまして、今後、泉岳寺の駅の利用者がさらに増加することが見込まれることなどから、駅利用者の安全性、利便性の確保を図るため、駅の改良が不可欠でございます。
さらには、平成三十二年のJR新駅暫定開業までに、新駅と国道一五号を結ぶ都市計画道路補助第三三二号線を整備することも急務となっております。
このため、泉岳寺駅地区におきましては、再開発事業により、鉄道施設の改良と幹線道路などの都市基盤整備を一体的なまちづくりで進めることとしておりまして、今年度は事業計画を決定し、さらには、JR新駅周辺のまち開きが予定されています平成三十六年度の完了を目指して取り組んでまいります。
○増田委員 ただいまの説明で、本事業が、品川、新駅とも一体となった泉岳寺駅の開業や関連する道路整備など非常に重要な事業であること、そして、平成三十六年完成を目指す時間軸について確認させていただきました。
さて、ここで改めて平成二十九年度都市再開発事業会計決算説明書を見てみるわけでございますけれども、本事業に関する予算額は十億一千万円でございますが、それに対して決算額が一億九千七百万円余りと、執行率にしまして約一九・六%。その数字だけを見ますと、非常に低位にとどまっているわけであります。
一般的には、余り執行率が低いようですと、当初予定していた工事が予定どおりに進んでいないのではないか、事業スケジュールに何か遅延が発生しているのではないかと懸念されるところでありますが、そこで、本件の執行率が低い理由につきまして、何か特段の事情があるのか、伺いたいと思います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区の平成二十九年度に予定していました主な事業内容は、用地取得と再開発ビルの基本設計などでございます。
用地取得につきましては、早期に地区外への転出を希望していた地権者と話し合いを進めたところ、再開発ビルへの入居希望と変更となったことから不要となりました。
基本設計につきましては、当初、地権者の要望によりまして宿泊施設を導入することを想定しておりましたが、その後、地権者の意向が変わったため、設計業務を発注する必要がなくなりました。
こうしたことから、当初、予算計上していました費用が不用となったものでございます。
○増田委員 今のご説明で、本件の執行率が低くとどまっている理由は、事業が遅延しているのではなくて、もともと開発地域外に移転を希望していた地権者さんとの話し合いが進んだ結果、その地権者さんが、やはりでき上がったビルへの入居を希望するようになったと。その結果、取得費用が不用になったと、このように理解をいたしました。
また、ビルの仕様についても、当初の要求よりも、やや簡便に済んだ、そのようなことと理解いたしました。
これらはいずれも、地権者とのコミュニケーションの結果、余計な経費が抑えられたということと理解いたしますので、前向きに評価したいと思うところであります。引き続き、適切な事業執行に努めていただければと思います。
次の質問ですけれども、昨年の本委員会の質疑におきまして、本事業に関する事業協力者の選定については、その時点で未定であるということでありました。
そこで、事業協力者の選定について、現時点でどのようになっているか、そしてまた、その選定方法がどのような形をとられるのか、それについて伺いたいと思います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 本事業におきましては、早い段階から権利者への生活再建に関する情報提供等を行い、権利者の合意形成を促進するため、民間のノウハウ等を活用する事業協力者方式を導入しまして、公募により本年七月に決定しております。
選定に当たりましては、建築や環境を専門とする学識経験者などの外部委員により構成する特定建築者等選考委員会におきまして、募集要領及び企画提案書について審査を行ってございます。
○増田委員 本事業の推進にとって必要な事業協力者が、適切な手続にのっとって選定されているということを確認させていただきました。
それでは、本件において建設される再開発ビル、建物についてでございますけれども、当然、土地の有効活用という見地から、相応の規模、高さを持つものになるものと理解しております。
一方で、東京湾岸地域に林立する高層ビルが、いわゆるヒートアイランド現象の一因になるという、そのような指摘もあるわけであります。
本事業は東京都が施行する再開発でもありますので、そこに建設される再開発のビルにつきましては、周辺地域への環境にも十分配慮された設計になっている必要があるものと考えます。
そこで、そういった点、すなわち環境への配慮等につきまして、今回どのような計画をされているのか、伺います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 当地区を含む品川駅北周辺地区につきましては、都や区、学識経験者等で構成する委員会におきまして、まちづくりの基本的な考え方や空間整備のあるべき方向を示しました品川駅北周辺地区まちづくりガイドラインを平成二十九年三月に作成してございます。
このガイドラインにおきまして、まちづくりの方針として、風と緑で空間をつなぐことが位置づけられております。
このため、当地区におきましても、例えば風の道を確保するため、まとまった空地を設け、周辺と連携して十分な隣棟間隔を確保するとともに、建物低層部の高さを五十メートルに抑える計画としております。
このように、国際交流拠点にふさわしい、環境に配慮した再開発ビルとなるよう検討を進めております。
○増田委員 今のご回答で、周辺地域を含めて、いわゆる風の通り道、こういったものを確保するなど、環境に十分配慮した設計とされているとのことですので、一定の安心感を得たところでございます。
私からの質問は以上でございますが、この泉岳寺駅地区の再開発事業につきましては、引き続き、地権者や周辺住民との十分なコミュニケーションを図っていただきまして、スムーズに事業を推進していただく一方、また、特にこの地域につきましては、羽田空港から東京に来られる多くの外国人にとって最初に目にする東京のまち並み、そういった玄関口としての位置でもございますので、どうか国際交流拠点にふさわしいまちづくりとなるよう、引き続きお願いをしたいと思います。
以上で終わらせていただきます。
○うすい委員 泉岳寺駅地区においての再開発事業における本事業の目的と整備スケジュールについて、本事業の目的について、またスケジュールについては増田委員から質問がありましたので、私からの質問は控えさせていただきますけれども、その上で、泉岳寺駅は、今あったように、羽田空港に直結をし、空港需要の増加に対応していく上でも重要な役割を担っております。
泉岳寺駅周辺地域のポテンシャルを高めるためには、隣接する開発エリアに整備される山手線新駅と連携させることが重要であります。
また、新駅への動線の確保に当たっては、エレベーターを整備するなど、利用者への配慮が欠かせないと考えます。
本事業では、泉岳寺駅と新駅をどのようにアクセスさせていくのか、お伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 本事業におきましては、泉岳寺駅の地下駅前広場を新たに整備し、この広場から再開発ビルを経由し、JR新駅へアクセスするデッキに接続することで、泉岳寺駅と新駅をつなぐ歩行者ネットワークを構築いたします。
その整備に当たりましては、高齢者や障害者等が容易に移動できるよう、エレベーターやエスカレーター、スロープなどを設置し、バリアフリーに配慮してまいります。
こうした取り組みにより、このまちを訪れる全ての人が安心して快適に移動できるよう努めてまいります。
○うすい委員 今の答弁で、バリアフリーにも配慮をしたアクセスが検討されているとのことで、大変安心をしたところでございます。
次に、地権者や借家人の方々との合意形成についてお伺いします。
再開発事業を円滑に進めるためには、地権者や借家人の方々の一人一人の個々の事情やさまざまな要望に対応しながら合意形成を図っていくことが非常に重要であると考えます。
そこで、本事業ではどのように合意形成に取り組んできたのか、お伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 本事業におきます合意形成についてですが、平成二十七年十一月に都施行による再開発事業の実施を表明してから、地権者とまちづくり勉強会を五回開催し、それを踏まえまして、平成二十八年九月には、地権者の代表十四名と都及び港区で構成する再開発協議会を設置してございます。
先月には、第十四回目の協議会を開催しまして、再開発ビルの動線計画や施設平面配置などにつきまして意見交換を行っております。
さらには、権利者の一人一人の個々の事情やさまざまな要望に対してきめ細やかな対応が行えるよう、昨年六月に開設いたしました地区事務所において個別相談などを実施しておりまして、多くの方々にご利用いただいております。
今後とも、権利者と十分話し合いを重ねるなど丁寧な対応を行い、円滑な合意形成に努めてまいります。
○うすい委員 引き続き、地権者や借家人の方々に対して丁寧な対応を行うとともに、事業スケジュールにおくれが生じないように進めていただければと思います。
泉岳寺駅地区の再開発はこれから本格化する事業だと思いますが、今後も、新しいまちづくりによる地域の発展と、権利者の方々のよりよい生活再建を実現いただくよう切にお願いして、私の質問を終わります。
○柴崎委員 泉岳寺駅地区の市街地再開発事業について何点かお伺いしたいと思います。
この品川エリアにつきましては、先ほどから議論がございますが、山手線の新駅の建設やその周辺開発が進められておりまして、将来はリニア中央新幹線の導入が予定をされているなど、注目されているエリアの一つであります。
こうした地域におきましては都施行の再開発が進められていくということでありますので、そこでまずお伺いしたいのは、この泉岳寺駅地区における平成二十九年度の主な事業の内容と、先ほど決算額は約一億九千万ということでご答弁がございましたので、その主な内訳を説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区につきましては、平成二十九年度は、事業計画策定に向けました準備作業といたしまして、用地補償費を算定するための物件調査や、再開発ビルの基本計画を策定するための調査等を実施しております。
二十九年度の決算額は約一億九千七百万でございまして、その主な内訳は、物件調査委託等といたしまして約八千万円、再開発ビルの基本計画の委託としまして約五千三百万円、事業計画図書の作成業務等といたしまして約三千万円でございます。
今後とも、年度内の事業計画決定に向けまして手続を進めてまいります。
○柴崎委員 今、ご答弁いただきましたので、よく内訳もわかりました。
こうした中で、泉岳寺駅地区を含む品川駅北周辺地区のまちづくりにつきましては、東京の新たな顔づくりとしても位置づけられている重要な拠点整備だと考えております。
品川駅北周辺地区で進められているほかの開発と主体が異なったといたしましても、このコンセプトなどが統一感のあるものになっていることが、全体として調和がとれたまちづくりを進めていくということで極めて重要だと考えております。
そこでお伺いいたしますが、隣接をしているJR車両基地跡地における開発と統一感のあるまちづくりに向けまして、これからどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 品川駅北周辺地区におきまして統一感のあるまちづくりを進めるため、都や区、学識経験者等で構成する委員会におきまして、平成二十九年三月に品川駅北周辺地区まちづくりガイドラインを策定しております。
この中で、品川駅とJR新駅、泉岳寺駅の三つの駅が連携し、まち全体をにぎわいでつなぐ、エキマチ一体のまちづくりを実現することとしております。
さらに、平成二十九年七月には、このガイドラインの運用委員会を設置し、具体的な事業の調整を行ってございます。
これらを踏まえまして、JRなど他の開発事業者と、建設するビルのデザインなどにつきまして調整を図りながら、統一感のあるまちづくりを進めてまいります。
○柴崎委員 今、ご答弁いただきましたけれども、このガイドラインに基づいて、隣接をする開発との調和のとれたまちづくりにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
そして、この都施行の再開発事業におきましては、権利床を含む再開発ビルの価値を高めていくことも重要だと認識しているところであります。
品川駅北周辺地区では、隣接するJRの開発でも業務や住宅などのビルが計画をされていることから、先ほども議論がございましたけれども、権利者との合意形成、これを進めていくためには、やはり本事業で建築をする再開発ビルの商品としての価値を高めていく、こういったことが必要だろうと思います。どのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 本地区の再開発ビルにつきましては、羽田空港へのアクセス等にすぐれた地下鉄泉岳寺駅と直結する地区のポテンシャルを生かし、さまざまな機能を備えた複合ビルとして整備する計画となってございます。
具体的には、地下一階に新たに駅前広場を整備し、駅と一体的なまちづくりを進めてまいります。
また、権利者の要望を踏まえながら、住宅、業務、商業の三つの機能を備えるとともに、住宅の一部には、起業家向けの小規模なオフィス機能を持ったSOHOの導入を図ってまいります。
さらに、約三百五十戸の住宅を新たに供給しますことから、港区と協議し、子育て支援施設を整備してまいります。
このように、多様な都市機能を備えた国際交流拠点にふさわしい再開発ビルとなるよう、検討を進めているところでございます。
○柴崎委員 今、ご答弁いただきましたが、再開発ビルが魅力ある建物となるように、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
そして、品川は、今後さらなる発展が期待をされているわけであります。泉岳寺駅地区の再開発事業の成功が、新しいまちづくりと周辺地域の発展につながるよう要望いたしまして、私からの質問を終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○藤井委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都病院会計決算を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 去る十月十五日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、合計八件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
都立病院における経営指標の推移を入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、その推移を記載しております。
三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移でございます。
(1)は分娩件数の推移を、(2)は周産期医療受け入れ件数の推移を、それぞれ各年度、病院別に記載しております。
七ページをごらんください。7、各都立病院の薬剤師の定数及び現員の推移でございます。
薬剤師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
八ページをお開き願います。8、各都立病院の個室使用料の収益の推移でございます。
各年度の個室使用料の収益の推移について病院別に記載しております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○藤井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○つじの委員 私から、病院経営本部に対して質問させていただきたいと思います。
病院経営本部は、都民の命と健康を守ることを使命とし、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との密接な連携を通じて良質な医療サービスの確保を図るという役割を担っていると決算概要で説明がありました。
そこでまず、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた医療とは、具体的にはどのような医療を指しているのか、また、民間では対応困難な医療を提供しているとのことですが、具体的にどのような医療のことをいっているのか、お伺いします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院は、各診療科が連携して、さまざまな合併症や症状等に対応した治療を行うための診療支援機能、いわゆる総合診療基盤を活用し、法令等により対応が求められる医療や一般の医療機関では対応が困難な医療などを行政的医療と位置づけ、その提供を基本的役割としてございます。
高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられました医療といたしましては、新生児集中治療管理室、いわゆるNICUや、母体胎児集中治療管理室、いわゆるM-FICU等の高度な設備や、リスクの高い妊産婦、新生児に対します高度な技術が必要となります周産期医療、総合診療基盤を活用した高度な医療が必要となります重篤患者に対します救命救急医療等がございます。
民間での対応が困難な医療といたしましては、新型インフルエンザやエボラ出血熱等の患者発生に備えまして、専門の医療スタッフや専用の設備、感染防護具の整備が必要となります感染症医療等がございます。
また、小児がん医療など、民間での対応が困難である新たな医療課題につきましても、医療提供体制が確立するまでの間、行政的医療として先導的に取り組んでございます。
○つじの委員 民間では対応困難な医療を具体的に説明いただきました。また、行政的医療の位置づけについても説明いただきました。ご説明いただき、ありがとうございます。
都立病院では、行政的医療を安定的に、継続的に提供することを基本的役割とすることは当然ですが、一方で、行政的医療を提供していくためには、一般会計からの繰入金が必要となります。
一般会計繰入金は都民の皆様からの税金が投入されており、その金額や総収益に占める割合などについては、厳重な検討と議論が必要と考えます。民間の病院経営者の中には、一般会計繰入金の存在が民間病院の経営を圧迫していると主張されるような方もいるようです。
そこで、病院経営本部では、一般会計繰入金の対象となる行政的医療の範囲や算定方法など、医療提供体制等、医療環境の変化に応じて随時必要な見直しを行ってきたとしていますが、具体的に、いつ、どのような見直しを行い、その結果どうなったのか、お伺いします。
○児玉経営企画部長 近年における一般会計繰入金の見直しの具体的な例といたしましては、がん医療につきまして、平成二十三年度から繰入対象病院を、がん医療を行っている全ての病院から、がん診療連携拠点病院の指定を受けている病院に限定し、五億五千万円の繰入金の縮減を図りました。
また、平成二十五年度には、心臓病医療に要する経費につきまして、都内における循環器系を標榜する病院の増加等を受け、繰入対象の範囲を小児に対する特殊な医療に限定したことにより、繰入金が十九億六千万円の減となりました。
同じく平成二十五年度に、リハビリテーション医療につきまして、都内における回復期リハビリテーション病床の増加に伴い、行政的医療から除外したことにより、繰入対象医療からも除外し、三億四千万円を縮減いたしました。
なお、直接的な医療に要する経費ではございませんが、平成二十九年度には、建設改良に要する経費のうち企業債利息等につきまして、総務省の通知、地方公営企業繰出金についてにおいて定める基準に合わせたことにより、七億二千万円の繰入金の縮減につながったところでございます。
○つじの委員 がん医療、心臓病医療、リハビリテーション医療など、民間で十分に対応できる分野を適切な時期に見直していることが確認できました。
また、平成二十九年度は、国の基準に基づき、一般会計繰入金の見直しを実施していることは理解できました。
このような見直しを行ってきた一般会計繰入金のあり方が適切かどうか、病院経営本部の認識をお伺いします。
○児玉経営企画部長 一般会計繰入金は、都立病院の基本的役割であり、採算の確保が困難な行政的医療を提供するための不可欠な経費として、地方公営企業法などに基づき、一定のルールを定め、算定しております。
繰り入れの対象につきましては、医療環境の変化等に応じて随時必要な見直しも行っており、適切に算定していると認識しております。
しかしながら、一般会計繰入金は都民の税金を財源とするものであり、今後も不断の見直しを徹底するとともに、一層の経営改善に努めてまいります。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。
次に、行政的医療を適正に都民に提供していく上で必要となる他の医療機関等との密接な連携について、具体的にどのような職種の病院スタッフがどのように連携を行っているのか、お伺いします。
○山口サービス推進部長 都立病院が行政的医療を適正に都民に提供するためには、地域の医療機関等との役割分担のもと、相互に密接な連携を図っていくことが重要でございます。
都立病院は、主として急性期の患者の診療を担っており、診療所や他の病院など地域の医療機関から患者の紹介を受けますとともに、急性期を脱した場合は、紹介元の医療機関への返送や地域の医療機関への逆紹介を行っております。
また、顔の見える関係を構築するため、医師等の病院職員による医療機関訪問、連携医の登録制度、医療連携ニュースの発行、都立病院の医師プロフィールの配布、地域の医療機関との症例検討会などさまざまな活動を行い、連携協力に取り組んでおります。
さらに、平成二十七年度に、社会福祉士や精神保健福祉士等の医療ソーシャルワーカーや看護師等の多職種で構成します患者支援センターを全都立病院に設置し、円滑な転退院に向け、地域医療機関や地域包括支援センター、訪問看護ステーション等の関係機関との連絡会等を通じて連携の強化を図っております。
こうした取り組みを継続しました結果、都立の総合病院の紹介率は、平成二十五年度の七四・一%から平成二十九年度には八二・六%となり、八・五ポイントアップしました。また、返送、逆紹介率も三五・四%から四五・九%となり、一〇・五ポイントアップいたしました。
今後も、地域の医療機関等との一層の連携強化に取り組んでまいります。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。都立病院と地域の医療機関の連携がとれるよう、東京都側からの積極的な働きかけがあることが理解できます。
地域医療機関からの紹介、逆紹介の数は比較的大きくなっており、客観的にも地域医療機関との連携が近年強化されていることを知ることができました。
引き続き、都民の生命と健康を守るため、地域医療機関との連携の密接を図られますよう要望いたします。
次に、質の高い医療の提供についてお伺いします。
さきの北海道胆振東部地震では、国内で例のない長時間停電、いわゆるブラックアウトが発生しました。道内の病院でも混乱が生じ、非常用電源を院内に装備しながらも、燃料の枯渇が懸念された報道もありました。
専門家によると、首都圏でも今後、可能性は低いものの、同様の事態が起こり得るとの指摘もあるようです。
私は、実際、地震の後、九月末に札幌まで出向き、現地の医師の友人、知人から発災時の様子を伺いました。友人の話によれば、友人の勤務先でも、日常の診療とは異なる様相だったようです。
また、停電中の様子も伺いましたが、エレベーターがとまっているため、マンションの高層階への飲料水の持ち運びに難渋し、信号が消えているので、夜間の車の移動に不安を覚えたなど、お話をお伺いしました。
そこで、首都災害の前提となる災害規模と、非常事態での体制を想定している期間と、基幹災害拠点病院である広尾病院を初めとした各都立病院の備えについてお伺いします。また、その備えについて、広く都民に広報するべきであると考えますが、見解をお伺いします。
○児玉経営企画部長 福祉保健局が策定している災害時医療救護活動ガイドラインでは、首都直下型の地震として、東京都防災会議が平成二十四年に公表したマグニチュード七・三の東京湾北部地震や多摩直下地震を想定しております。
ライフラインにつきましては、東京都災害拠点病院設置運営要綱において、自家発電機等を保有し、三日分程度の燃料を確保することや、流通を通じて適切に供給されるまでに必要な量として、三日分程度の水などを備蓄することが求められております。
広尾病院では、平成二十九年十一月に広尾病院整備基本構想を策定し、今後、これらの基準を満たしつつ、施設、設備面を抜本的に強化することとしております。
また、広尾病院を初めとする全都立病院が耐震基準を満たしており、神経病院を除く災害拠点病院に指定されている都立病院は、要綱に基づいてライフラインを三日分程度確保しているところでございます。
神経病院につきましては、多摩総合医療センターを含む多摩メディカルキャンパス内において災害時相互応援に関する協定を締結しており、災害時には、この協定に基づいて連携して対応することとしております。
こうした災害医療の取り組みは、都立病院新改革実行プラン二〇一八に記載するとともに、ホームページ等を通じて広く広報を行っているところでございます。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。
次に、重点医療課題への取り組みについてお伺いします。
まず、広尾病院において救急体制を強化するため、救命センター等改修工事を実施とありますが、経営の視点から、改修前後で患者数の変化、収支の改善効果があったのか、お伺いします。
○児玉経営企画部長 広尾病院の救命センターの改修工事は、救急患者の待合室と搬送ルートが交錯していたため、患者のプライバシーが確保できるよう、動線の改善を主な目的として、平成二十八年十月から平成三十年三月まで実施いたしました。
改修期間中も、三次救急に対応する救命救急センターとして継続して救急車及び救急患者の受け入れを行い、改修の前後を比較して、患者数等の大幅な変動はなく、収益にも大きな影響はございませんでした。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。広尾病院での改修工事が、特に収益に影響はなかったとの説明を受けました。
しかしながら、以前、私自身、麻酔科に勤務していたときに、救急外来を医師として患者さん対応に当たった経験から、救急外来を受診する患者さん及びその家族の方々のプライバシーが守られることや、また、救急外来のスタッフが働きやすい合理的な動線を改修によって確保できたことは、大変な医療の質の向上であると実感でき、結構なことだと考えております。
次に、多摩総合医療センターでは、低侵襲な治療を可能とする手術支援ロボットシステムを導入とありますが、改めて、機器の内容、実施した治療の種類と件数及び診療報酬金額を明示していただきたいと思います。平成二十九年度において収支は計画どおりであったのか、検証いただきたいと思います。また、計画の進捗をどのように管理しているのか、お伺いします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年度、多摩総合医療センターに導入いたしました手術用支援ロボットは、3Dカメラと手術器具を取りつけた四本のアームを組み合わせて内視鏡手術を行うものでございます。
昨年度の実績についてでございますが、事前の準備といたしまして、医師、看護師、臨床工学技士がオンライン研修を行い、その後、十月末に機器を設置した後に、そのセットアップや実機によります基本操作訓練を実施してございます。
これらのトレーニングプログラム実施終了後、平成三十年一月下旬からの約二カ月間におきまして、ロボット手術の適応症例を見きわめながら、前立腺がんの手術を六件実施し、その診療報酬は約五百七十万円でございました。
平成二十九年度は導入初年度でございまして、機器の購入、設置等の準備期間でありましたことから、診療報酬の収益は見込んでございませんでした。
進捗状況についてですが、定期的に病院経営本部と病院との間で意見交換を実施し、課題解決や取り組みの推進に向けて対応してございます。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。平成二十九年度の手術支援ロボットシステムを使用した手術数、収益など、実績はわずかですが、これは当初から織り込み済みのことと理解しました。
個人的なことになりますが、私自身、十数年患っていた心臓の弁膜症に対して、手術支援ロボットシステムを導入している民間病院で、ことし四月十六日に心臓手術を受けました。低侵襲の手術であり、入院期間は十二日間、手術後二週間で仕事に復帰し、六月二十日には第二回定例会で一般質問に登壇することもできました。
低侵襲の手術が可能となるロボットシステムのメリットを私自身が体験したわけですが、このメリットを、多摩総合医療センターで導入されたこのシステムを用いた手術を通して、多くの都民の皆様にも享受していただきたく思います。
今後、手術の保険適用も広がると聞いております。大いに期待したいところでございます。
次に、感染症医療体制の充実についてお伺いします。
決算概要説明では、新型インフルエンザ、エボラ出血熱の受け入れに備え、感染防護具の整備とありましたが、まず、感染の流行や蔓延について、どの程度の規模を想定して、どのくらいの感染防護具の数量を準備しているのか、お伺いします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画におきまして、都民の約三〇%が罹患し、職員約四〇%が欠勤する状況が八週間続くことを想定した対応を図ってございます。
都立病院では、こうした状況に対しまして、勤務可能な六割の職員で確実に感染症患者への対応が可能となるよう、感染防護具を五万七千セット備蓄することを目標としてございます。
平成二十九年度には五千四百セットを新たに整備し、目標数の七二・六%であります四万一千四百セットを備蓄してございます。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。
次に、感染症の発生に備え、ふだんより研修や訓練を実施しているとお聞きしていますが、平成二十九年度の具体的な内容と実施回数などをお伺いします。また、研修、訓練の成果を、誰が、どのように評価しているのか、お伺いします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第一種感染症指定医療機関であります駒込病院と墨東病院におきましては、保健所等の関係機関と連携し、新型インフルエンザやエボラ出血熱等の患者の受け入れを想定した訓練を、平成二十九年度に合計三回実施してございます。
この二つの病院におきましては、ほかにも、定期的に救急外来での受け入れ訓練や感染症科の病棟看護師によります防護具の着脱訓練等を実施してございます。
訓練後、感染症科の責任医師をトップといたします委員会において検証を行い、必要に応じて、対応マニュアルの見直しや、検証内容を次の訓練内容に反映するなど、事業継続計画のマネジメントを推進してございます。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。災害発生の想定もそうですけれども、感染症の蔓延も、あらゆる角度から事態を想定し、日ごろより準備する、備えることが肝要かと思います。
引き続きの対策、計画の立案、そしてその実施と、万が一に備え、都民の生命と健康を守るため、東京都の役割を果たすべく、努力の継続を期待します。
次に、未収金についてお伺いします。
さきの厚生委員会資料によれば、この数年にわたり、病院経営本部の努力があり、全体的に未収金は減少していると解釈できます。
一方、海外からの訪日旅行者も在日外国人の方々も、この近年、急激にふえている状況がございます。都立病院における外国人患者の未収金額は、先日の厚生委員会での答弁によると、健康保険に未加入のケースが多く、高額になりやすい状況もうかがえます。
そこでまず、外国人患者に対する未収金対策についてお伺いします。
○山口サービス推進部長 平成二十九年度末時点におけます過年度未収金の残高は、回収努力や不納欠損処理を行いました結果、前年度と比較して約八千三百万円減少し、約九億一千百万円となりました。このうち外国人患者の未収金は約一億五千六百万円、全体に占める割合は約二割となっております。
都立病院におきましては、保険証を持たない外国人の未収金対策としまして、受診の際に、旅行保険加入の有無やパスポート等の身分証を確認しますほか、必要に応じて大使館に本国の住所地を照会するなど、医療費回収に必要な情報の把握に努めております。
長期間の留学、就業など、日本の公的制度が適用される方につきましては、院内の医療ソーシャルワーカーや病棟看護師、医事課職員などが連携を密にとりながら、可能な限り早期に高額療養費制度や生活保護などを案内しております。
なお、外国人患者の未収金の金額につきましては、本人の申告によるもののほか、病院の担当者が氏名や面談等から外国人と判断し、集計したものでございます。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。既に都立病院としてさまざまな未収金対策がなされており、その効果もあることが確認できました。
さて、先日、外国からの患者さんに対する未収金対策において、ある具体的な対策例があることを私は知り得ました。ある都内の大学附属病院では、航空会社のキャビンアテンダントの勤務歴のある看護師が英語を話すなどコミュニケーション能力にたけており、外国人の患者さんに受診、入院前後に治療費や診療内容など説明しており、外国からの患者さんの未収金が劇的に減じたとのテレビニュースがありました。
そこで、都立病院でも同様の役割を果たす担当者がいらっしゃるのか、お伺いします。また、担当者がいるとすれば、どのような職種で、どのように病院内で連携をとって対策を行っているのか、お伺いします。
○山口サービス推進部長 都立病院では、外国人患者が最も多い広尾病院に、平成二十七年度から医療通訳四名を、また、平成二十八年度に外国人向け医療コーディネーターとして看護師一名を配置しております。
外国人向け医療コーディネーターは、外国人患者の受診に当たり、院内各部署との必要な調整や療養に関するさまざまな相談に対応する役割を担っております。
外国人向け医療コーディネーターや医療通訳が外国人患者から医療費の支払いに不安があると相談を受けた場合には、医事課職員に連絡し、早期に情報共有を図るなど、連携して未収金の発生防止に努めております。
○つじの委員 具体的な説明をいただき、ありがとうございます。
さて、来年のラグビーワールドカップ、東京二〇二〇大会開催を控え、ますます海外からの訪都旅行者もふえる見込みでございます。
都立病院では、外国人の患者さんに対する広報がより一層必要になると考えますが、都立病院では、平成二十九年度にはどのような対策を行っているのか、お伺いします。
○児玉経営企画部長 訪日外国人の増加に伴い、外国語対応の印刷物やホームページなどの広報の一層の充実が必要であると認識しております。
平成二十九年度に実施しました、都立病院を受診した外国人患者に対するアンケート調査では、母国語と第二言語を含めて、英語、中国語、韓国語、日本語の四カ国語で対応できる患者の割合は九三・二%と大多数を占めており、外国語では、特に英語、中国語、韓国語での案内が重要であると考えております。
そのため、印刷物につきましては、都立病院を紹介するリーフレットの英語版、中国語版、韓国語版を作成しております。
また、ホームページにつきましては、本部及び全都立病院で英語版を、本部及び墨東病院で中国語版と韓国語版を作成しておりましたが、平成二十九年度は、これらに加え、大塚病院、駒込病院において中国語版と韓国語版を、広尾病院、多摩総合医療センターにおいて中国語版を新たに作成いたしました。
今後とも、本部及び各都立病院において、外国人患者向けの広報を一層充実してまいります。
○つじの委員 ご説明いただき、ありがとうございます。近年、急激にふえてきている海外からの観光客、在日外国人の方々に対し、東京都が対策を講じていることがわかりました。
未収金対策で最後の質問になります。
以前より、未収金対策の一環として、既に医療費の支払いにクレジットカード使用が可能になっています。
さらに、昨年度の公営企業会計決算の認定に付された意見の中で、未収金の発生を一層防止するため、電子マネーの導入による医療費等の支払い方法の多様化を図るとありますが、平成二十九年度における対応状況についてお伺いします。
○山口サービス推進部長 都立病院では、平成十七年度からクレジットカードの利用を開始し、患者が診療費等を支払う際の選択肢の拡大に取り組んでまいりました。
電子マネーにつきましては、昨年度、配線工事や医事会計システムの改修、関係職員への説明などの事前準備を進めまして、本年三月に、デビットカードの利用とあわせて広尾病院に先行して導入し、支払い方法の多様化を図りました。
なお、年内には全ての都立病院で対応してまいります。
○つじの委員 ご説明いただき、ありがとうございます。昨今の社会の変容に応じて、都立病院でも未収金対策がなされていることが理解できました。
近年の社会情勢、あるいは、今後、二〇二五年問題などあり、医療機関を取り巻く状況は、民間、都立病院ともにますます厳しくなってくるものと予想しております。
旭川市議会は、今月十日、赤字が続く市立旭川病院の経営を再建するため、期間限定ですが、医師を含む医療職職員らの給与を下げる条例改正案を可決しました。赤字の理由としては、患者数の減少、医師不足の深刻化などがあるようです。
北海道と東京では取り巻く環境に違いがありますが、公立の医療機関でこのような事態に陥っていることを知れば、他山の石として、都民の生命と健康を守ることが使命の都立病院の運営に今以上の経営的な真剣さを求めたいと思います。
また、先日、国土交通省より、KYB株式会社及びカヤバシステムマシナリー株式会社が製造した免震、制振オイルダンパーの国土交通大臣認定などへの不適合についての情報提供がありました。
都の施設においても、東京都庁第一、第二庁舎を含め、複数の都有建築物が該当のオイルダンパーを使用しているとの報告があります。
都立病院の中では、松沢病院本館に設置されている免震オイルダンパーに該当のものが使用されております。同病院のホームページに患者さん向けのお知らせがありますが、その中であるように、国土交通省等の情報を踏まえて、東京都の関係部署と協議し、確実に対応していただくことを、患者さんを守る精神科医としての立場から、また、一都民の立場から強く望みます。
また、今後も、都民の生命と健康を守ることを使命とする都立病院の経営が健全で永続的に行われ、都民の皆様が安心して受診でき、治療が行われるなど、都民の視点に立った都民ファーストの都立病院の運営を期待します。
以上、私からの質疑を終了します。ご答弁いただき、ありがとうございました。
○うすい委員 よろしくお願いします。
都立病院の基本的な役割は、都全域に高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供することであり、この行政的医療を都立病院が継続的かつ安定的に供給する体制を構築するために、病院経営本部では、平成二十五年三月に都立病院改革推進プランを策定し、さまざまな取り組みを行ってきたと認識しているところでございます。
このプランでは、病院経営において必要な四つのクオリティーを、医療の質と患者サービス、都立病院を支える人材、迅速で的確な危機管理体制、そして経営力と位置づけて充実強化することとしております。
平成二十九年度は計画の最終年度に当たりますが、どのような充実強化が図られたのか、確認をさせていただきたいと思います。
初めに、医療人材の育成への取り組みについて質問をさせていただきます。
病院事業は労働集約的な側面が強く、それを担う医療人材の育成が、直接、医療の質や安定した経営基盤の構築につながるものと考えます。
都立病院では、東京医師アカデミーや東京看護アカデミーといった独自の取り組みにより、医師、看護師の確保を図るとともに、資質の向上に積極的に取り組んできたと思います。
東京医師アカデミーでは、都立、公社病院の約七千床のスケールメリットを活用して総合診療能力を有する専門医を育成するとともに、ER、島しょ医療など行政的医療に資する研修を行い、多くの修了生を都立、公社病院や都内の医療機関に配置されていることと思います。
そこで、平成二十九年度における東京医師アカデミーの実績についてお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 これまで学会ごとに認定されてきた専門医を日本専門医機構が統一的に認定する新専門医制度が平成三十年度から導入されました。
平成二十九年度は、新たな制度に応じた魅力ある研修プログラムを策定し、これに基づく採用活動を行った結果、例年と同様に百名を超えるシニアレジデントを採用することができました。
また、八十一名がアカデミーのコースを修了し、そのうち半数を超える四十四名を都立病院及び公社病院で採用し、これらを含めて六十名を超える修了生が都内の医療機関において勤務するなど、東京の医療現場で活躍する医師を育成いたしました。
さらに、輸入感染症の初期対応を学ぶための研修や語学研修を新たに開始し、感染症医療や外国人患者に対する医療への対応能力の向上を図ったところでございます。
○うすい委員 これまでの実績を見ますと、運営がうまくいっているということがわかりましたし、また、行政的医療を担う人材を育成するための取り組みもしっかり行われているということを理解させていただきました。
東京医師アカデミーでは質の高い医師を計画的に育成し、都立、公社病院を中心に、東京における医師の確保に寄与してきたと思います。
そこで、これまでの実績を踏まえた上で、さらに発展させていく必要があると考えますが、見解を伺います。
○児玉経営企画部長 国において、医師の働き方改革や地域偏在を是正する方策が検討されており、医師の採用は、今後、より困難になることが予想されております。そのため、医師の確保、育成は、今後も重要な課題であると認識しております。
東京医師アカデミーでは、超高齢化社会における医療ニーズに応えるため、引き続き、高い専門性と総合診療能力を兼ね備えた東京の医療を担う専門医の育成に取り組んでまいります。
また、これまで培ってきた医師の育成ノウハウや、都立、公社病院の豊富な医療資源を活用し、他の医療機関との研修医の相互派遣研修などを通じて地域医療を担う医師の育成に取り組むなど、東京の医師の確保、育成に貢献してまいります。
○うすい委員 都立病院の新たな役割である地域医療の充実への貢献を踏まえた方向性であることを理解しました。
先日、京都大学の本庶佑特別教授にノーベル医学生理学賞が授与されるとの発表がありました。教授の免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見をきっかけにオプジーボなどのがん治療薬の開発が進み、新たな治療法としての普及が大いに期待をされております。都立病院でも、オプジーボなどのがん治療薬に関して、開発段階での治験や、安全性や治癒効果を高める手法についての臨床研究に取り組んでいると聞いております。
今後も、質の高い医師の育成や、教育、研究機関等との連携強化などを推進し、医療の発展に貢献できるよう取り組んでいただくことを強く要望させていただきます。
次に、看護師の確保、育成に関する取り組みについて伺います。
東京看護アカデミーを開始した時期は、診療報酬の改定を契機に、全国の病院で看護師の獲得競争が激化したことにより、都立病院でも看護職員の採用や離職率の上昇に苦労されてきたと聞いております。
こうした状況を打破するために、看護職員のキャリア開発を支援する東京看護アカデミーの取り組みにより、職員の定着と資質の向上を図ってきたと認識をしているところであります。
そこで、平成二十九年度の東京看護アカデミーの実績についてお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 東京看護アカデミーでは、職員の定着や資質の向上を図るため、新人からベテランまで、一人一人の習熟段階に応じたキャリアの形成を組織的に支援し、新卒看護職員の定着のための教育カリキュラムや認定看護師等の資格取得支援などに取り組んでいるところでございます。
平成二十九年度は、ベテラン職員の視野の拡大を図るために、他の都立病院で看護実務を経験するゼネラルナース派遣研修を本格的に開始し、六名が参加しました。
また、認定看護師、専門看護師につきましては、平成二十九年度に新たに十名が資格を取得し、年度末での在籍者は合計百四十四名となりました。
専門性の高い知識を生かした専門外来、研修会やコンサルテーションの実施、委員会活動やチーム医療での中心的な役割を担うなど幅広く活躍しており、医療の質の向上を図っているところでございます。
○うすい委員 質の高い看護を提供するために、看護職員の資質向上が図られていることがわかりました。
そこで、これまでの実績を踏まえた上で、看護職員の育成に対する今後の課題や方向性についてお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 医療を取り巻く環境は大きく変化しており、疾病構造の変化や、これまでの病院完結型から地域包括ケアシステムを支える地域完結型の医療に転換が図られる中、医療提供体制を適切に整備していく必要がございます。
そのためには、専門分野に卓越したスペシャリストの育成を行う一方で、病院の役割や実情、地域の状況に精通したゼネラリストを育成することも必要でございます。
今後とも、医療ニーズに合わせて認定看護師や専門看護師を着実に育成していくとともに、訪問看護ステーションに職員を派遣するなど、地域連携の推進に貢献できる研修などを充実してまいります。
○うすい委員 次に、先ほどもございましたが、都立病院の外国人患者対応について伺います。
平成二十九年に東京都を訪れた外国人旅行者は、過去最多の約一千三百七十七万人であり、対前年比で五・一%増でありました。
都は、東京オリンピック・パラリンピック大会が開催される二〇二〇年の訪都外国人旅行者を二千五百万人、二〇二四年には三千万人とする目標を掲げており、今後一層の増加が見込まれるため、東京を訪れる外国人が安心して医療を受けられる体制づくりが大変に重要であると考えます。
まず、都立病院における平成二十九年度の外国人患者の受診状況についてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度、都立病院全体での外国人の新入院患者数は八百九十七人で、新入院患者全体の一・〇%、外来患者数は一万一千三百五人で、全体の〇・六%でございました。
病院別に見ますと、新入院患者は、小児総合医療センターが四百九十二人で、外国人患者割合は四・九%と最も高く、続いて広尾病院が二百三人で、割合は一・九%でございました。
一方、外来患者につきましては、広尾病院が四千八百三十一人で、外国人患者割合は二・四%と最も高く、次いで小児総合医療センターが三千百八十一人で、割合は一・六%でございまして、新入院、外来ともに、広尾病院、小児総合医療センターの割合が高い傾向にございました。
国籍別に見ますと、新入院、外来ともに、中国、韓国、フィリピン、アメリカの四カ国が多く、新入院で約三〇%、外来で約四〇%を占めてございます。
○うすい委員 今の答弁でございますと、都立病院全体として、外国人患者の割合は、率としてはそれほど多くはありませんけれども、患者数としては一万人を超える外来患者が来院をしております。
都立病院では、外国人患者対応としてさまざまな取り組みを行っているようでありますが、平成二十九年度は、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPの認証取得に向けた取り組みを推進したとの説明がございました。
そこで、JMIPの認証取得に向け、具体的にどのような取り組みを行ったのか、伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院におきましては、東京二〇二〇大会の前年度であります平成三十一年度までに、全ての都立病院でJMIP認証を取得し、外国人患者の診療体制を整備することとしてございます。
平成二十九年度は、既に認証を受けてございます広尾病院を除く七病院のうち、三十年度にJMIPの受審を予定してございます駒込病院、墨東病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの四病院におきまして、取得に向けました準備に集中的に取り組んでございます。
具体的には、英語や中国語だけでなく、少数言語も含め、さまざまな言語に対応できるよう、映像通訳サービスや音声翻訳アプリが使用できるタブレット端末を導入したところでございます。
外国人患者対応マニュアルの整備や施設案内表示に外国語を併記するなど、多言語による診療体制の整備も図ってございます。
このほか、全ての都立病院を対象に、職員に対します語学研修の実施や異文化理解を深める研修を実施することで、職員の外国人患者への対応力の強化を図ったところでございます。
○うすい委員 今後、東京は国際都市としての真価が問われると思います。在日、訪日を問わず、外国人の方々が適切な医療を安心して受けられるよう、都立病院には、引き続き積極的に取り組むことをお願いしたいと思います。
続いて、各都立病院における昨年度の取り組みについて、病院別に伺いたいと思います。
まず、墨東病院の水害への備えについて伺います。
墨東病院は、墨田区、江東区、江戸川区から成る区東部二次保健医療圏において、医療対策拠点が設置される地域災害拠点中核病院として、災害時に都民の生命を守るための重要な役割を担っていると認識しております。
平成二十八年五月に国土交通省より公表された荒川水系荒川洪水浸水想定区域図によれば、荒川の決壊により、区の東部地域に被害が及ぶことが想定をされております。墨東病院もその区域に含まれており、墨東病院周辺で最大浸水深三メートル、浸水継続時間約五十八時間の被害が想定されております。
水害発生時にも医療機能を継続させるためには、食料、医療品の備蓄などに取り組むほか、あらかじめ想定した条件をもとに対応を検討し、水害時に備える事業継続計画、すなわち水害編のBCPの策定や、これに基づく訓練が必要であります。
平成三十年七月の西日本の豪雨では医療機関も大きな被害を受けており、水害編のBCPの重要性が改めて浮き彫りになったところであります。
そこで、墨東病院は、平成二十九年三月に、水害編のBCP、事業継続計画を策定したとのことでございますが、まず、その内容について伺います。
○児玉経営企画部長 墨東病院は、平成二十八年三月に、内閣府が水害時における避難、応急対策の今後のあり方報告を公表したことも踏まえ、水害発生時においても災害拠点病院としての役割を果たすため、平成二十九年三月に、事業継続計画である水害編のBCPを策定いたしました。
病院業務に係る水害対応は、事前の気象情報の収集などにより、発災前からの対応が可能である一方で、実際に浸水した場合には、災害対応期間が長期にわたる可能性があるといった特徴がございます。
そうした特徴を踏まえ、本計画には、水害発生後にもできるだけ機能を維持して病院運営を継続するため、発災前に取り組むべき事前行動計画、いわゆるタイムラインを定めて、優先度の高い対策を実施することや、ライフラインの復旧など診療再開に向けた準備を行うことなどを盛り込んでおります。
○うすい委員 墨東病院で策定されたBCP水害編が、地震等の災害とは異なる特徴を有した水害に対応した形で策定をされ、事前の準備から発災時の優先業務、その先の復旧までを目指した計画であることがわかったわけでございます。
一方で、BCPを策定するだけでは十分とはいえず、水害発生時にBCPを機能させるための平時からの準備や訓練、すなわち事業継続マネジメントといわれるBCMが重要であります。
そこで、墨東病院の水害編のBCPについて、また、平成二十九年度におけるBCM、事業継続マネジメントの取り組みについてお伺いします。
○児玉経営企画部長 墨東病院では、平成二十九年十一月に、超大型台風の発生による河川の氾濫と病院への浸水に備え、浸水の六時間前を想定し、全部署は、電源確保、入院患者の状態に応じた患者搬送と受け入れ、物資、資器材の搬送、業務調整の検討、災害対策本部への状況報告等を行うなど、BCPに基づいた対応手順を確認する訓練を実施いたしました。
院内各部署で検討が行われ、患者搬送における医師と看護師との情報共有、協力体制の再確認、業務調整の考え方についての理解促進など、さまざまな成果が得られました。
また、非常用物資を分散配置する必要性などの課題も判明したことから、各病棟に簡易トイレや栄養調整食品などの非常用物資の一部を分散配置するなどの対応を行ったところでございます。
○うすい委員 墨東病院では、BCP水害編の策定後、これに基づいて、水害を想定した訓練が昨年十一月に実際に行われ、成果が得られるとともに、判明した課題にも適切に対応しており、しっかりとBCMに取り組んでいることがわかりました。
こうしたBCMの推進に当たっては、今後も、たゆまぬ努力でPDCAサイクルを回し、災害対策を着実に進めていただく必要があります。
そこで、墨東病院における水害対策についての今後のBCMの進め方について伺います。
○児玉経営企画部長 委員ご指摘のとおり、各種訓練や研修の実施、訓練結果を踏まえた計画等の点検、検証といったPDCAサイクルに基づいてBCMを推進することは重要であると認識しております。
このため、さまざまな想定に基づいた訓練等を継続的に行っていくことが必要であると考えております。今年度も、職場単位での訓練など、形式や前提条件を変えて訓練を実施する予定でございます。
墨東病院では、引き続き、訓練や日常的な点検等を通じて課題を把握し、水害発生時においても災害拠点病院としての役割を果たせるよう、適切に対応してまいります。
○うすい委員 墨東病院が今後もBCMを推進して、訓練等を中心に、さまざまな角度から対応を検討し、水害への備えを強化していく方針であることを理解いたしました。墨東病院には、万が一においての水害発生時においても、都民の命をつなぐ責務をぜひとも全うしていただくことを心からお願い申し上げます。
また、同じ災害という観点から、先週よりマスコミで報道されている免震、制振用オイルダンパーの問題についても、先ほどもありましたけれども、若干触れておきたいと思います。
国土交通大臣の認定に不適合のおそれのあるダンパーと同一製品が松沢病院にも設置されていたと報道されました。
国交省によれば、一部の建築物において構造安全性を検証した結果、基準の乖離が大きい不適合ダンパーが設置されていたとしても、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれはないとの見解が第三者機関から得られているとのことでありました。
これについては、病院側に落ち度ということではなく、被害を受けた側であることは十分に理解するところではありますが、とりわけ、患者さんやその家族、利用者にとっては心配であることは間違いないところであります。病院としても、その不安を取り除く努力をする必要があると思うわけであります。
この問題は発覚したばかりであり、施設ごとの詳細な情報は、他の自治体等でも得られていないと報道されているところであります。他に都庁舎にも設置されていたことが判明していることでもあり、今後、財務局などの関係部署とも緊密に連携を図り、不適合な製品があれば交換等を求めるなど、できるだけ速やかに対応していただくことを要望させていただきます。
次に、病児、病後児保育について伺います。
働く保護者がふえる中、病児、病後児保育のニーズは高まっています。
都はこれまでも、病児、病後児保育の実施主体である区市町村の取り組みを支援してきたわけでありますが、都立病院では、墨東病院が唯一、病児、病後児保育室を開設しているところであります。
そこで、墨東病院の病児、病後児保育室の二十九年度の取り組みと利用状況について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院におきましては、事業主体であります墨田区から事業を受託し、平成二十八年二月から病児、病後児保育を実施してございます。
平成二十九年度は、墨田区からの要請に応えまして、二名でありました受け入れ定員を十月から四名とし、受け入れ枠の拡大を図ってございます。
こうしたこともございまして、平成二十九年度の延べ利用者数は二百三十五人でございまして、平成二十八年度の百七十九人と比べ一・三倍に増加し、地域住民の利用ニーズに確実に応えてございます。
○うすい委員 都立病院が率先して区市のニーズに協力することは重要であります。各区市では、待機児童の解消に向け、保育施設の増設を図るなどの取り組みを積極的に推進しており、保育の増加により、病児、病後児保育のニーズも増加していくものと思われます。
そこで、都立病院における病児、病後児保育の今後の展開について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院におきましては、子育て環境の充実に取り組む区市等を支援するため、地元自治体のニーズを踏まえまして、小児科のあります五病院におきまして病児、病後児保育を行うこととしてございます。
今後の展開といたしまして、既に実施しています墨東病院においては、隣接区のニーズに対応する広域利用について、引き続き検討してまいります。
また、現在、実施に向け、保育室整備の設計等に着手してございます駒込病院及び小児総合医療センターにおきましては、今後、建築工事を実施するとともに、開設に向け、地元区市と事業内容の調整を行ってまいります。
さらに、広尾病院、大塚病院におきましても、今後の改築、改修に当たって、実施主体となる区のニーズなどを踏まえ検討してまいります。
○うすい委員 墨東病院において広域利用を検討しているとの答弁がございましたが、私の地元足立区に隣接する葛飾区には、公社病院ではありますけれども、東部地域病院があります。
墨東病院においても広域利用を検討されているように、今後、他の都立、公社病院で病児、病後児保育を実施する際には、複数の区市のニーズに応じる広域利用をぜひ検討していただきたいと思います。
病児、病後児保育は、保護者の方々にとっての安心感につながる大切な施設であります。都は、東京都子供・子育て支援総合計画において、平成三十一年度までに都内に百六十カ所の病児、病後児保育施設の設置を目指していますが、平成三十年七月現在で百四十六カ所と、目標には届いていません。
引き続き地元との調整を進め、都立病院においても本事業の着実な推進を強く要望させていただき、次の質問に移ります。
昨年度、多摩総合医療センターに導入された手術用支援ロボット、ダビンチについて、私からも確認をさせていただきます。
ダビンチは、患者の腹部に複数の小さな穴をあけてロボットアームを進入し、医師は3Dモニターでの遠隔操作により手術を行うため、開腹手術に比べて傷口が小さくて済み、術後の早期回復や疼痛軽減等、患者のメリットも大きいわけであります。
二十九年度の実績については、先ほど、つじの委員からも質疑がありましたので、私からは質問は控えますが、低侵襲な手術ということで、今後の活用が期待されるところであります。
そこで、多摩総合医療センターにおける手術用支援ロボットの今後の活用について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年度の診療報酬改定によりまして、従来から保険適用でありました前立腺がんと腎臓がんに加えまして、胃がん、食道がん、直腸がん、肺がん等にも保険適用の対象が拡大されてございます。
この中でも、前立腺がんに加えて、保険適用となることが予測されていた胃がんにつきましては、昨年度のうちに体制を整え、今年度から支援ロボットによる手術を開始したところでございます。
今後、ロボット操作に習熟した医師や手術スタッフの育成に努めまして、安全性を確保しながら手術件数をふやすとともに、前立腺がん、胃がん以外の手術についても検討を進めてまいります。
また、最先端の手術につきまして、ホームページや広報誌などで普及啓発を図るとともに、地域の貴重な医療資源として、他の医療機関に対しても積極的にアピールしてまいります。
○うすい委員 前向きな答弁、ありがとうございました。
最後に、駒込病院におけるがん患者への就労支援の取り組みについて伺います。
がん対策基本法は、議員立法により平成十八年六月に成立をしました。この法律は、がんが国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状等に鑑み、がん対策に関し基本理念を定めるなど、がん対策を総合的かつ計画的に推進することを目的としているものであります。
しかし、法の成立から十年となる中で、医療技術は進歩し、医療を取り巻く環境も大きく変わっており、平成二十八年の改正においては、がん患者の就労に関する視点が盛り込まれたわけであります。私たち公明党としても、がん対策を一貫してリードしてきたところであります。
具体的には、基本理念に、がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備が図られることが加えられています。
また、国と地方公共団体は、がん患者の雇用の継続や円滑な就職に資するよう、事業主に対するがん患者の就労に関する啓発と知識の普及など必要な施策を講ずることや、事業主の責務として、がん患者の雇用の継続等に配慮するよう努めることなどが定められたわけであります。
国民の二人に一人ががんに罹患するといわれており、がんと診断され、治療のため仕事をやめざるを得ない場合もありますが、治療と仕事の両立が図れるよう、患者さんを支援する取り組みが今後ますます重要になってくると思うわけであります。
都立病院においては、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院が、ハローワークと連携をして、がん患者の就労支援に取り組んでいると認識をしております。
そこで何点か伺います。
初めに、駒込病院におけるがん患者の就労支援の内容と平成二十九年度の実績について伺います。
○山口サービス推進部長 都立病院では、医療ソーシャルワーカーを中心に多職種で患者、家族からのさまざまな相談にワンストップで対応する患者支援センターを設置しております。
このセンターでは、就労に関する相談として、病気や治療内容、勤務上配慮が必要な事項を患者が就業先に説明するための助言などを行っております。
また、駒込病院では、ハローワークと連携し、がんと診断され、長期療養の必要な患者が治療を行いながら仕事との両立を図ることを目的とした就労支援を平成二十七年度から行っておりまして、週一回、ハローワークの専門相談員である就職支援ナビゲーターが病院を訪れ、職業紹介や就労に係る相談に応じております。
駒込病院におけます平成二十九年度の実績は、がん患者以外の患者も含めまして、病院の医療ソーシャルワーカーが対応した就労に関する相談は二百七十八件でございました。
また、ハローワーク職員による出張就職相談件数は四十件でございまして、そのうち十四件が就職につながっております。
相談者のうち、四十歳代及び五十歳代のいわゆる働き盛りの世代が全体の約七割を占めております。
○うすい委員 支援の取り組みによって患者さんの就職に結びついていることがよくわかりました。
駒込病院では、週一回、ハローワーク職員による出張就職相談を行っているとのことであります。就労を希望される患者さんを適切に相談につなぐことや、治療と仕事の両立を検討している患者さんやご家族にも、こうした取り組みを漏れないように知ってもらうことが重要でございます。
そこで、がん就労相談に関する周知方法について伺います。
○山口サービス推進部長 駒込病院では、医師の診察や患者支援センターの医療ソーシャルワーカーが行います医療相談の中で、患者の要望や生活状況、体調等を考慮して就労相談を案内しております。
また、来院した方の目に触れられるよう、外来待合のモニターに出張就職相談の案内画面を掲出しておりますほか、患者支援センターの活動や相談内容、イベント等を案内しますセンターだよりに相談の開催日時などを毎回掲載し、紙での配布やホームページで広く周知を図っております。
さらに、厚生労働省が発行した両立支援に関するリーフレットやハローワークの求人票などを、患者、家族の情報交換や交流の場であります院内の患者サロンに置き、自由に手にとれるよう工夫しております。
○うすい委員 患者さんやご家族に対して、さまざまな方法で周知が図られ、また、求人情報なども入手できるよう配慮されているとのことでありました。引き続き、多くの皆様が情報に触れられるように対応をお願いしたいと思います。
ところで、冒頭、がん対策基本法について触れさせていただきましたが、事業主の責務として、がん患者の雇用継続等に配慮するよう努めることが定められたわけであります。
しかし、事業主である企業がその責務を果たすためには、がん患者の症状やがんの治療について正しい知識を持ち、理解することが必要であります。
基本的には、ハローワークを所管する厚生労働省などが企業等に啓発を図るものと考えますが、病院としても、病院に来る患者さんの支援だけではなく、関係機関と連携をして企業側に理解を求めることが必要であると考えます。
そこで、最後に、がん治療に関して企業の理解を深めるために、昨年度、病院が行った取り組みについて伺います。
○山口サービス推進部長 がん患者が治療と仕事の両立を実現するためには、企業等に対して、がん治療に関する正しい知識を広めることが重要でございます。
国の機関であります東京労働局では、病気の治療と仕事の両立支援の推進を目的としまして、都内の経営者団体、医療機関、社会保険労務士会などの関係機関が参加します東京地域両立支援推進チームを平成二十九年七月に立ち上げました。
駒込病院は、この東京地域両立支援推進チームに参画し、研修会等のイベントを通じた治療と仕事の両立に向けての機運の醸成や、各関係機関との相互協力体制を構築するなど、両立支援を推進しております。
平成二十九年度には、企業経営者や人事労務担当者、産業医等を対象としたセミナーに駒込病院の医師を派遣して講演を行うなど、医療者側からの視点で、治療と仕事の両立に向けた啓発活動を実施いたしました。
今後も、関係機関と密接な連携を図り、患者の症状や治療内容に応じて企業等に配慮をお願いしたいことを広く伝えていくとともに、企業等からの個別の講演依頼にも積極的に対応するなど、理解促進を一層進め、がん患者の就労支援を促進してまいります。
○うすい委員 ありがとうございました。病院が関係機関とチームを組み、治療と仕事の両立支援を推進していること、また、積極的に企業向けの講演にも対応し、理解促進を図っていこうとしていることを理解させていただきましたが、医師を初め医療従事者は、診療など本来の業務で多忙だとは思いますが、引き続き、企業ががん患者の就労について理解を深められるよう、ぜひとも、がん患者の方々に寄り添う気持ちで継続的な取り組みを進めていっていただきたいことを切に要望して、私の質問を終わります。
○田村委員 平成二十九年度決算について伺います。
世界に類を見ないスピードで超高齢化社会を迎える東京では、住みなれた地域で安心して暮らせる医療提供体制の整備が急務となっています。
都立病院の基本的役割は、高水準で専門性の高い診療基盤に支えられた行政的医療の提供であり、二〇二五年の医療の姿を示す東京都地域医療構想の実現に向け、先導的な役割を果たしていくことが求められています。
今後、各病院が有する高度専門医療の強みに磨きをかけ、他の医療機関等との密接な連携を通じて、都民が真に求める医療を確実かつ効率的に、効果的に提供していくことが必要であります。
一方、国においては、財政制度等審議会の分科会で、高齢化の進展による医療費の増加や少子化による支え手の減少、医療の高度化、高額化など、社会構造の変化を受けて、持続可能な社会保障制度を確保するための検討が行われています。その中では、診療報酬の適正化や医療提供体制の改革など、病院の経営に大きく影響する可能性がある議論もなされています。
都立病院が、こうした医療環境の変化に適切に対応しながら健全な病院運営を維持していくためには、一層の経営改善の取り組みによって経営力を強化していくことが欠かせません。
そこでまず、平成二十九年度における収支の状況についてお聞きします。
都立病院の経営指標の一つである自己収支比率について、過去五年間の推移及び平成二十九年度の実績について伺います。
○児玉経営企画部長 自己収支比率は、一般会計繰入金を除いた診療収益などの収益と経常的な費用との割合であり、病院会計の自律性を見る上での重要な経営指標の一つでございます。
過去五年間における推移につきましては、平成二十五年度は七六・三%で、これは昭和三十九年に都立病院が地方公営企業法を適用して以来、過去最高の自己収支比率でございました。
その後は、二十六年度は七五・一%、二十七年度が七五・六%、二十八年度が七四・七%と推移し、二十九年度は、前年度よりも〇・二ポイント減の七四・五%となっております。
○田村委員 この五年間において、自己収支比率は、平成二十五年度を最高に、以降は低下傾向で、二十八年度と二十九年度の比較ではほぼ横ばいともいえますが、数値としては前年度比マイナスが続いています。
そこで、平成二十九年度において収支が悪化した原因について伺います。
○児玉経営企画部長 医療費適正化等の観点から、近年の診療報酬改定では入院期間を短くするよう誘導されており、平成二十九年度は、在院日数の短縮化などにより延べ入院患者数が減少し、都立病院全体の病床利用率は、前年度より一・五ポイント減の七九・三%となりました。
しかしながら、新たな施設基準の取得や手術件数の増などにより、診療単価は入院、外来ともに上昇し、入院収益は前年度よりも三億六千七百万円、外来収益は三億三千九百万円、それぞれ増加いたしました。
一方、費用につきましては、医療従事者の負担軽減のため、看護補助者や医師事務作業補助者などの非常勤職員を増員したことや、給与改定、共済組合掛金の負担率改定の影響などにより、給与費が前年度よりも九億六百万円の増となりました。このほか、収益増に伴う材料費の増加が三億八千八百万円ございました。
このように、収益は増加したものの、それを上回る費用の増があり、結果として収支が悪化したものでございます。
○田村委員 収支が悪化した理由について説明がありました。給与改定や共済制度改正に連動した費用増など、確かにやむを得ない面もあると思いますが、収支の改善を図っていくためには、経営改善に向けた継続的な努力が必要です。
収益増を上回る費用増があったとのことですが、そうした状況にあっても、都立病院としてさまざまな対策を講じられたことと思います。
そこで、平成二十九年度における経営改善の具体的な取り組みについて伺います。
○児玉経営企画部長 昨年度は、病院経営本部において、病院ごとの収支改善目標を設定し、本部と病院が一体となって経営改善に取り組みました。
主な取り組みといたしましては、収益確保につきましては、大塚病院で看護補助者の配置による加算の取得や、駒込病院でハイケアユニットの開設に伴う入院料の算定を開始したほか、各病院において取得可能な施設基準の届け出を行い、診療収入の増加を図ったところでございます。
また、医師の確保等により、手術件数が都立病院全体で約一千七百件増加したことや、外来化学療法の充実などにより、診療単価は入院、外来ともに向上いたしました。
費用節減につきましては、医療機器の保守契約に関して、初めて複数年契約を導入したほか、これまでと同様に、医薬品、診療材料の品目の見直しや共同購入の推進などの取り組みを行ったところでございます。
今後とも、引き続き、経営改善に向けた取り組みの一層の推進に努めてまいります。
○田村委員 収益の増加、費用の節減のために、さまざまな取り組みを行っていることはわかりました。しかし、結果的には、平成二十九年度決算は収支の改善には至っていません。より一層の経営改善に向けて、継続的に努力してください。
一方で、冒頭に述べたとおり、都立病院の基本的役割は、行政的医療を適正に都民に提供することです。法令等に基づき対応が求められる医療や、一般の医療機関では対応が困難な医療など、不採算な医療を担うことが都立病院の使命です。
今後、ますます医療を取り巻く経営環境が厳しさを増すことも予想される中、都立病院がこれからも良質な医療サービスを都民に提供し続けるためには、健全な経営基盤の確立が重要であることはいうまでもありません。
行政的医療を適正に都民に提供するという使命を果たしつつ、効率的な運営とのバランスを保ちながら、都民に質の高い医療を安定的に提供し続けていくことを要望いたします。
次に、多摩総合医療センターの地域医療支援について伺います。
多摩地域では、区部に比べて高齢者人口の増加が急速に進むことや、高度な医療を提供できる医療機関が少ないといった医療課題への対応が必要です。
府中市にある多摩メディカルキャンパスは、三つの都立病院と医療関連施設が一カ所に集まり、まさに多摩地域の医療拠点となっています。平成二十二年三月には多摩総合医療センターと小児総合医療センターが開設され、それぞれ多摩地域の基幹的な病院、小児医療の拠点としての役割を担っています。
昨年度策定された多摩メディカル・キャンパス整備基本構想において、老朽化した神経病院の改築を軸にキャンパスを再整備していくということが示されました。そこで、キャンパス内の特徴のある多摩総合、小児総合、神経病院の三病院がそれぞれの強みを発揮するとともに、相互の連携を推進することで、キャンパス全体での医療機能を強化していくこととされています。
一方、国は、これまでの病院完結型医療から地域完結型医療への転換へと動いており、患者が身近な地域で安心して療養を継続できるようにするために、地域連携が求められています。
そうした中、多摩総合医療センターは、平成二十五年度に都立病院として初めて地域医療支援病院の承認を受けました。その後、地域医療機関と連携しながら、地域医療支援病院としての機能、役割を果たせるよう努めてきたと思います。
しかし、地域医療ネットワークの中核病院としての機能を十分に果たしているのかを見る上で、他の病院から紹介されてきた方の率、紹介率と、その逆に、他の病院を紹介した方の率、逆紹介率の動向が重要な指標だといえます。
そこで、多摩総合医療センターについて、地域医療支援病院の重要な指標である紹介率と逆紹介率の平成二十九年度の実績について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度と地域医療支援病院承認直後の平成二十六年度を比較いたしますと、紹介率は、二十九年度が七五・五%、二十六年度が六八・〇%でございまして、七・五ポイント増加してございます。
逆紹介率につきましては、二十九年度が八七・〇%、二十六年度が七七・一%でございまして、九・九ポイント増加してございます。
○田村委員 紹介率、逆紹介率ともに伸びているということは、病院間の連携が密になっていることのあらわれであると考えます。
多摩総合医療センターは、開設以来、総合周産期母子医療センターや地域がん診療連携拠点病院になるなど、周産期医療やがん医療等において、高度で専門的な医療を提供する一方で、地域との連携を重視した病院運営を行っていることがわかりました。
多摩地域は広域であるため、多摩総合医療センターのような中核病院と地域医療機関との連携ネットワークの構築が推進されることになれば、多摩地域の住民にとって安心して生活を送ることができます。
そこで、地域医療機関とのネットワークの構築において、多摩総合医療センターは、今後の医療環境の変化を踏まえ、地域医療への支援にどのように取り組んでいくのか、伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカル・キャンパス整備基本構想におきまして、キャンパス全体の役割の一つといたしまして、地域医療支援の拠点を掲げてございます。
多摩総合医療センターにおきましては、患者相談支援センター機能の充実等によります患者、家族、地域への総合的な支援を実施してまいります。
また、地域医療機関等を対象にいたしました講習会等の拡充を図ることなどで、地域医療人材の育成を支援してまいります。
さらに、急性期を脱した患者の円滑な地域移行を推進するため、民間救急車によります転院搬送体制を強化することなどによりまして、地域医療機関との連携を促進してまいります。
今後とも、多摩総合医療センターは、地域の医療機関との機能分担と密接な連携を図りまして、多摩地域の医療提供体制の中核的な役割を果たすことで、多摩地域の医療水準の向上に寄与してまいります。
○田村委員 多摩メディカルキャンパス整備については、基本構想を踏まえて、病院の施設規模や配置計画等に関する基本計画を今年度中に策定していくと聞いております。
多摩地域の住民が身近な地域で適切な医療を受けられるよう、キャンパス整備を着実に進めていき、医療機能を強化することにより、多摩地域全体の医療水準が一層向上することを切に期待しております。
次に、広尾病院整備基本構想について伺います。
我が国では、平成七年の阪神・淡路大震災、そして平成二十三年の東日本大震災、平成二十八年の熊本地震を初め、ことし六月には大阪で最大震度六弱、九月には北海道で最大震度七の地震が発生するなど、自然災害が続いています。
特に北海道では、道内全域で長期間の停電が発生し、多数の重症患者に対応しなければならない災害拠点病院でも診療制限を行わざるを得ず、患者の生命が危機にさらされる深刻な事態となりました。
さらに、気候変動の影響などによる大雨や台風、大雪、竜巻などは、従来よりも、発生頻度、規模ともに増大しつつあるのではないかと誰もが感じているところであります。
特に、ことし七月に甚大な被害をもたらした西日本豪雨では、多くの病院で医療機器が浸水したことに伴って医療機能が麻痺したことも記憶に新しく、想定外の災害に対する病院施設や設備の脆弱性があらわになりました。
一方、都においては、特に首都直下地震の脅威が年々高まっており、平成二十九年度に都が実施した都民生活に関する世論調査では、防災対策が、都民が都に特に力を入れてほしいことの一位になっています。
災害から都民の生命を守ることは都の最大の使命であり、とりわけ広尾病院は、都心部唯一の基幹災害拠点病院として今後も首都災害医療の中核を担っていくため、いつでも、どのような状況でも即応し、医療を継続的に提供できるよう、施設や設備面においても万全の体制を確保していくことが強く求められています。
こうした中、病院経営本部は、昨年十一月に広尾病院整備基本構想を策定し、新病院が果たすべき役割や機能などに関する基本的な考え方を示しました。
そこで、今後、整備を着実に進めていってもらうために、この基本構想に掲げた災害医療に関する施設、設備面の整備方針について、改めて確認いたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、大地震発生時におきましても診療機能を維持、継続するための基盤といたしまして、免震構造を新たに採用することに加えまして、新病院でも引き続き水や電気などのライフラインを多重化するため、井戸設備や非常用発電機等を整備してまいります。
また、島しょ救急の対応はもとより、災害時におきましても多くの被災者に適切な医療を提供するため、引き続き屋上ヘリポートを整備するほか、平時の二倍程度の入院患者の受け入れや災害対策本部の設置、トリアージの実施など、災害医療を円滑に展開していくためのスペースを確保してまいります。
さらに、自然災害のみならず、NBC災害にも安全かつ確実に対応するために、除染用のシャワーに加えまして、汚染水による二次被害を防止するための専用貯水槽もあわせて整備してまいります。
これらの整備の具体的な内容につきましては、委員お話しのように、最近の大規模災害におきます病院施設や設備等の被害状況などを踏まえるとともに、他自治体の災害拠点病院等におきます最新の整備内容なども参考にしながら検討を進めてまいります。
○田村委員 災害医療に関する施設や設備の整備方針について確認できました。
広尾病院の整備に当たって最も大事なことは、広尾病院が、新病院の整備を通じて、その役割や機能を高め、首都東京の安心を支える責務を今後も確実に果たしていくことであると理解しています。
その一方で、都は、広尾病院の整備地を短期間のうちに移転から現地建てかえ整備へ変更したことによって、都民に不安を抱かせました。この点について、我が党は、二十九年第三回都議会定例会の代表質問においても言及したところでありますが、こうした経緯も踏まえた上で、今後はしっかりと着実に整備を進めてもらい、都民の信頼回復に努めていただきたい。
また、広尾病院は、災害医療のみならず、島しょ医療の基幹病院として、島しょの患者のいわば命綱ともいえる重要な役割も担っていることから、新病院においては、島しょ救急患者の確実な受け入れ体制が一層強化されることを期待しています。
さらには、先ほど多摩総合医療センターの地域医療支援に関する質疑でも取り上げたとおり、地域包括ケアシステムの構築や地域の医療水準の向上を目指していくためには、都立病院が率先して地域に対して貢献していくことが必要であると考えます。
そこで、新病院では地域に対してどのように貢献していくのか、伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院整備基本構想におきましては、地域包括ケアシステムの構築をサポートする取り組みの実施や広尾病院に求められる役割を担うことで、地域医療に対してさらなる貢献を果たしていくこととしてございます。
具体的には、急性期治療後の患者が回復期等を担う地域の医療機関などへ移行するまでの受け皿が必要な場合に、新たに確保いたします地域貢献病床におきまして、地域の状況に応じまして、一定期間、患者を受け入れる機能を持たせることとしてございます。
また、医療と介護の円滑な連携体制を構築していくため、地域包括支援センター等の関係機関に対しまして広尾病院みずからが積極的に働きかけ、地域の医療人材の研修受け入れや認定看護師等による勉強会などを開催してまいります。
さらに、島しょと本土の関係者間で顔の見える診療システムを構築し、緊密かつ詳細に情報共有を行うことで島しょ患者の円滑な転院や帰島につなげていくため、ICTを活用いたしましたウエブ会議を導入いたします。
○田村委員 広尾病院が地域に対してどのように貢献していくのかがわかりました。
災害発生時などのいざというときには地域から頼りにされ、また、日常的にも地域包括ケアシステムの構築を強力にサポートする体制を構築することで、地域からさらに信頼される病院づくりを進めていってほしいと思います。
一方、広尾病院は公的病院であって、常に地域の要請に臨機応変に対応する病院運営が求められていることから、新病院の整備を待たずしても、実施可能なものから取り組みを進めていくことで、都立病院としての役割をしっかりと果たされることを期待し、私の質問を終わります。
○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時五十二分休憩
午後三時十四分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 まず初めに、資料の提出、ありがとうございました。
私からは、駒込病院と一般会計からの繰入金、そして、それに付随して経営形態のあり方の検討について伺います。
まず、駒込病院についてです。
駒込病院は、私の地元の足立区の方々が多く利用している病院です。病院の概要の冊子にも掲載されていますが、居住地別の患者の内訳でも、入院で二一・七%、外来で一八・三%の患者が足立区からの方々で、区民に親しまれ、信頼されている病院です。
また、足立区が属する区東北部医療圏は、地域で中心的な役割を担うがん診療連携拠点病院がないため、地域のクリニックや民間の病院からも、とても頼られている都立の病院です。
改めて伺いますが、都立駒込病院が果たしている役割について、東京都はどのように認識しているでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 駒込病院は、がん医療及び感染症医療におきます都の拠点としての役割を果たしてございます。
がん医療におきましては、都道府県がん診療連携拠点病院といたしまして、都におけるがん医療水準の向上に貢献するとともに、合併症を伴うがん、難治性がん、希少がん等にも取り組んでございます。
感染症医療では、第一種、第二種感染症指定医療機関といたしまして一類、二類感染症等に対応するとともに、エイズ診療中核拠点病院といたしまして、高度な医療の提供とエイズ診療に関します人材の育成に取り組んでございます。
○斉藤委員 都道府県がん診療連携拠点病院として、都のがんの医療の向上、合併症を伴う難しいがん治療などに対応しているということ、また、感染症の指定医療機関としての役割を担っているということです。
私は先日、駒込病院の視察に行かせていただき、現場の方々にもお話を聞かせていただきましたが、駒込病院では、合併症を伴うがん、希少がんにも対応し、また、全国に九カ所しかない造血幹細胞移植推進拠点病院としても最先端の医療を担っているということを伺ってきました。
同時に、足立区、北区、文京区、荒川区の四区で患者の八割を占め、地域にとっても大切な病院になっています。がん医療はもちろんのこと、二次救急医療機関としても地域の安心を支えています。
駒込病院で食道がんの治療をしたという患者さんのお話も地元で伺いましたが、入院のときも、お金の心配なく治療に専念することができて、本当に助かったというお話をしていました。安心してかかれる、難しい症例でも受け入れてもらえるということは、都立病院が信頼される根幹部分だというふうに思います。
民間では受け入れが難しい患者さんでも受け入れることができる重要な役割を果たしているのが都立病院だと思いますが、国の診療報酬の見直しの影響を受けて、都立病院の在院日数は、全体としても短縮する傾向にあります。
そこでまず、昨年、二〇一七年度の駒込病院の平均在院日数について確認させてください。
○児玉経営企画部長 駒込病院の平成二十九年度における平均在院日数の実績は十四・七日でございました。
○斉藤委員 二〇一二年は十七・八日でしたから、約三日短くなったわけで、大分短縮が進んでいることがわかります。
早期に状態が回復できるようにする、退院後の環境を整えるといったことで早く退院ができるのであればよいことですが、回復していないのに無理に退院させるということは、もちろんあってはなりません。
診療報酬上、収益を上げようとすれば、在院日数を短縮することが求められるわけですが、患者さんの状態などによっては、在院日数は長くならざるを得ません。駒込病院は、そうした患者さんも受け入れることで平均在院日数が長くなる面があるのではないかと思いますが、病院経営本部としては、駒込病院のどういう特性が平均在院日数に影響していると認識しているでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 駒込病院は、がん及び感染症を中心といたしまして、高水準で専門的な医療を提供してございます。こうした役割のもと、他の疾患をあわせ持つがん患者、あるいは造血幹細胞移植を必要とする患者、そういった治療に時間を要する患者も積極的に受け入れてございます。
在院日数につきましては、こうした患者の容体などに応じて影響されるものと考えてございます。
○斉藤委員 在院日数は、合併症など難しいがんの患者さんを受け入れていることや、患者さんの容体などにも影響されるということです。
造血幹細胞移植は在院日数が長くなりますが、関東甲信越に二カ所しかない拠点病院として、役目を果たさなければなりません。
また、視察に伺ったときは、駒込病院では、がんが進行したステージ三やステージ四の患者さんも多く受け入れているということで、その中では在院日数が長くならざるを得ないということも伺いました。
駒込病院では、ステージ三、四の患者さんは、実際にはどのくらいの割合いらっしゃるのでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 暦年のデータであります院内がん登録によりますと、平成二十九年一月から十二月の速報値では、駒込病院での初診のがん患者のうち、ステージ三の患者の割合は一二・七%、ステージ四の患者の割合は一七・八%でございました。
○斉藤委員 合わせて三割に上るということです。
このうち、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんの五大がんについては、他病院と比較が可能だということなので、ステージ三、四の患者さんの割合についてお伺いしましたが、都内のがん診療連携拠点病院等の二十九施設の五大がんの患者さんのうち、ステージ三の割合が一〇・七%、ステージ四の割合が一二・八%ということでした。
一方、駒込病院は、ステージ三が一一・二%、ステージ四が一四・七%だということです。
都内のがん診療連携拠点病院の平均なので、公的病院もこの中では多いですし、病院全体の数よりも受け入れを多くしていると思いますが、その比較の中でも、駒込病院の方がステージ三、ステージ四の割合が高くなっているということになります。
民間では難しい患者さんの受け入れをすることは、都立病院として果たすべき役割であり、その分、在院日数が長くなったとしても、それは必要な役割を果たしているということのあらわれだというふうに思います。こうした役割を、引き続き積極的に果たしていただきたいというふうに思います。
次に、差額ベッド代についてです。
先日、都立駒込病院を存続・充実させ地域医療を守る会の方々が、駒込病院の医療体制の充実と病院運営についての要望を病院に提出しています。公立病院として、さらなる医療体制の充実を図って、誰もがお金の心配なく、安心してかかれる医療体制を広げられるように、差額ベッド代をなくしてほしいと要望しています。
現在の駒込病院の有料病床数について確認させてください。
○山口サービス推進部長 都立病院では、個室使用料を徴収する病床数を当該病院の総病床数の二割以内としております。
駒込病院におきましては百二十二床設置をしておりまして、全体の病床の約一五%でございます。
○斉藤委員 八百一床のうちの百二十二床、一五%が有料病床だということです。以前は七十床台でしたので、かなりふえてしまっている状況です。
お金のあるなしにかかわらず、ひとしく医療を提供するのが都立病院の役割であり、民間にできない大切な役割です。こうした形で収益をふやすということではなく、むしろ患者負担を減らしていくことを私からも強く要望いたします。
次に、抗がん剤の暴露対策について伺います。
がんの高度医療に取り組んでいる駒込病院において、抗がん剤による、発がん性を有する抗がん剤の暴露から、薬剤師など医療スタッフや患者さんたちを守ることが重要です。
現在の駒込病院での抗がん剤の暴露対策はどのようになっているのか、伺います。
○山口サービス推進部長 抗がん剤の調製は、日本病院薬剤師会が定めます抗がん薬調製マニュアルに基づき対策を行っております。
具体的には、一〇〇%屋外排気が可能な安全性の高いキャビネットを設置することや、抗がん剤調製室から通院治療センターまではオートリフトを使用して搬送すること、作業時の防護具着用などでございます。
病棟や外来におきましては、日本がん看護学会などが定めます、がん薬物療法における曝露対策合同ガイドラインに基づき対策を行っております。
具体的には、点滴交換時の手順や、薬剤の飛び散りや液漏れ等が発生した場合の対応などを定めております。
○斉藤委員 日本病院薬剤師会や日本がん看護学会などが定めるガイドライン等に基づいて暴露対策を行っているということですけれども、これまでに駒込病院で発がん性を有する抗がん剤が調製室から漏れるようなことはあったか、伺います。
○山口サービス推進部長 抗がん剤を取り扱う業務におきましては、微量の薬液が防護服等に付着することが避けられないことから、さまざまな暴露対策を講じております。
なお、平成二十四年に、専用のシールに付着した薬剤を検出するサンプリングシート法による調査を行いましたところ、抗がん剤の調製室の外側で発がん性を有する抗がん剤が検出されたため、より詳細な検査としまして、ワイプという拭き取り素材を用いた試験を追加で実施いたしました。
その結果でございますが、学術論文で推奨される安全基準の範囲内でございまして、問題はないと確認をしております。
○斉藤委員 二〇一二年に行った調査の中で、調製室の外側で発がん性物質を検出したということですが、学術論文で推奨される安全基準の範囲内だったということです。しかし、検出された以上、万全の対策をとることが求められると思います。
その後、発がん性を有する抗がん剤が調製室の外に漏れ出ていないか、また、その後にどのような対策を講じたのか、定期的にモニタリングなどは行われているのか、伺います。
○山口サービス推進部長 駒込病院ではこれまでも、安全キャビネットや個人防護具を適切に使用して調剤作業を行ってきましたほか、特に抗がん剤を扱う職員に対して勉強会を開催し、暴露対策に必要な知識の向上を図ってまいりました。
調製室の外で安全基準の範囲内ではございますが、発がん性を有する抗がん剤が検出されたため、オゾン水等を使用した調製室や薬剤科執務室内の拭き取りや、靴の履きかえを改めて徹底いたしました。
また、患者への点滴投与に当たりましては、薬液漏れや、手や指への接触を防ぐ器具を使用して点滴用の管と抗がん剤入りのパックを接続するなど、作業を行う職員への一層の安全確保を図っております。
さらに、年一回、調製室や薬剤科執務室内の拭き取り試験を行い、飛散した抗がん剤等の数値を測定し、問題がないことを確認しております。
○斉藤委員 調製室の外に漏れ出ていたことがわかった後には、靴の履きかえなどを徹底しているということ、また、薬剤科内の拭き取り試験を年に一回行っているということです。
しかし、漏れ出た経路は靴からだというのは可能性であり、科学的にそうだと確定されているわけではないと思います。抗がん剤の中には揮発性の高い薬剤もあるため、漏れ出た経路をしっかりと検証する必要があると思います。
年一回の拭き取り試験の範囲は薬剤科内だけだということです。科の中が基準以下なので、その外も大丈夫だという考えだというふうに思いますが、確実に確認するには、薬剤科の部屋の外も調べる必要があると思います。万全を期していただくよう要望をいたします。
この抗がん剤の調製を行う仕事についてですが、これまでもご答弁にあるように、髪の毛や皮膚、目なども暴露しないように、完全に体を覆う防護服を着て行われるものです。発がん性を有する物質にさわらないように、脱ぐときも厳格に順番が決められています。
一度、防護服を着た後は、二時間、三時間と仕事を続けるため、トイレ休憩もとりづらく、ストレスがあります。常に危険な薬剤を扱う仕事のために、精神的なストレスも大きいということです。
このように負担の大きい抗がん剤の調製を行う薬剤師の仕事に対して特殊勤務手当をつけることを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○児玉経営企画部長 特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務その他著しく特殊な勤務に従事した職員に支給するものでございます。
特殊勤務手当につきましては、都はこれまでも、必要に応じて不断の見直しを行うなど、適切な対応を行っております。
○斉藤委員 特殊勤務手当の支給については、今のご答弁のとおり、給与条例の第十三条に、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務その他著しく特殊な勤務と要件が示されています。これに基づいて、現在、都立病院職員に支給されている特殊勤務手当の中には、防疫等業務手当や放射線・有害物等取扱業務手当などがあります。
発がん性物質を有する抗がん剤を扱うため、重装備の防護服で長時間仕事をしなければならないストレスを抱える薬剤調製の仕事は、まさにこの要件に当てはまるものだと思います。
職員の環境を守ることは、患者さんたちの命を守ることにもつながるものです。がんの高度医療を担う駒込病院にふさわしく、抗がん剤の調製を行う職員に特殊勤務手当をつけることを強く要望いたします。
次に、一般会計からの繰入金について伺います。
二〇一七年度の駒込病院への一般会計からの繰入金は幾らか、また、繰入金はどういう経費に入れられているのか、項目ごとの金額を教えてください。
○児玉経営企画部長 平成二十九年度決算におけます駒込病院の収益的収入に係る一般会計繰入金は六十四億円でございます。
項目ごとの繰入金額は、高度医療経費が五十二億四千七百万円、保健衛生行政経費が三億二千百万円のほか、救急医療経費が三億三千三百万円、建設または改良に要する経費が一億一千四百万円、小児医療経費が三千三百万円、特殊医療経費が三億五千万円でございます。
○斉藤委員 駒込病院全体で六十四億円、そのうちの大半が高度医療で五十二億四千七百万円ということです。
この高度医療の費用の中身は何か、改めて教えてください。
○児玉経営企画部長 一般会計繰入金における高度医療経費の内訳は、駒込病院に関してですが、がん医療経費、骨髄移植医療経費、高度医療器械減価償却費等でございます。
○斉藤委員 事前に金額の内訳を伺ったところ、がん医療が四十二億八千八百万円、骨髄移植が六億六千八百万円で、この二つで大半を占めます。
これは、先ほど質疑しましたように、難しいがんの症例や合併症のある患者さん、ステージの進行した患者さん、骨髄移植を必要とする患者さんなど、高度だったり、入院が長くなりやすく採算がとりづらいなど、民間では受け入れが難しい患者を受け入れるために必要な費用だということだと思います。
次に、保健衛生行政とは具体的にどんな内容か、こちらも改めて伺います。
○児玉経営企画部長 駒込病院の保健衛生行政経費の内訳は、感染症医療経費、エイズ医療経費、院内保育室運営経費でございます。
○斉藤委員 感染症医療経費やエイズ医療経費だということです。
例えば感染症の対応は、まさに採算性を重視する経営の中では難しいものだと思います。駒込病院は三十床の感染症の病床がありますが、急な感染拡大に対応するためにも、ある程度、病床はあけておかなければなりません。
災害時の対応なども同様ですが、採算を求めては成り立たない医療を行うことが公立病院の大きな役割だというふうに思います。
そこで、改めてですが、なぜこうした医療分野に一般会計からの繰り入れを充てているのか、東京都の認識について伺います。
○児玉経営企画部長 都立病院は、各診療科が連携してさまざまな合併症や症状等に対応した治療を行うための診療支援機能、いわゆる総合診療基盤を活用し、法令等により対応が求められる医療や、一般の医療機関では対応が困難な医療などを行政的医療と位置づけ、その提供を基本的役割としております。
一般会計繰入金は、都立病院の基本的役割であり、採算の確保が困難な行政的医療を提供するための不可欠な経費として、地方公営企業法などに基づき、一定のルールを定め、算定を行っているものであると認識しております。
○斉藤委員 今、ご答弁いただいた内容は、非常に重要なことだと思います。
一般の医療機関では対応が困難な医療などを行政的医療と位置づけ、その提供を基本的役割としている。まさに駒込病院で担っているようながんの高度医療、感染症医療、救急医療や、また、そのほかの都立病院で担っている周産期医療、小児医療や精神医療など、診療報酬に問題があるという面もありますが、現に採算をとることが困難で、採算性を求められる経営の中では対応が難しいこれらの医療に対応することが公立病院の使命だというふうに私も考えます。
一般会計の繰入金は、採算の確保が困難な行政的医療を提供するために不可欠な経費であるという先ほどの答弁は、まさにこうした医療を支えるために必要な財源であって、これがなくては行政的医療が崩壊するという真っ当な認識ではないかというふうに思います。
一般会計からの繰り入れについて、赤字といって削減するべきもののように、議論もこの間されてきましたが、赤字というのはとんでもないことであって、これは公立病院の正当な収入だというのが当然の考え方だというふうに思います。
ところが、ことし一月の都立病院経営委員会では、この一般会計繰入金を問題視する発言が相次ぎ、その中で、独立行政法人化を検討するべきという提言が出されました。このことに対して、今、多くの都民の方々が不安の声を上げています。
第二回定例議会では、都立病院を都立直営として守ってほしいと、短期間のうちに集まった二万六千筆もの署名が届けられました。提出後も、次々とこの署名は届けられているそうです。
先ほど述べた駒込病院の地域医療を守る会では、今回、足立区の病院やクリニックを対象に、都立病院についてのアンケート調査を行っています。そこには、独法化については反対の声が多く、都立病院の役割を評価し、独法化ではそれが崩れることを懸念する、そういう声が集まっています。
その一部を紹介します。独法化により経営的観点から医療が評価されれば、医療内容の低下が危惧されます、都として、経営的にも税をきちんと投入して医療レベルを維持し、むしろ向上させるべきと考えます、また、都立病院は都民の健康を守るのが使命だと思います、そのために、採算はある程度無視してよいと考えます、独法化には反対です、そして、独法化はとんでもないと思う、都税を使って診療体制をより充実させることが都民に喜ばれることだろうと、そういう声です。
私は、同じ医療に携わる地域の民間の病院やクリニックからのこうした声は、非常に重要なものだと思います。経営第一や採算重視では、特に行政的医療は守れないと、都民も、そして医療従事者も危惧をしているんです。
東京都は、現在、経営形態のあり方について検討しているわけですが、確認いたします。
なぜ、今、独法も含めた都立病院の経営形態のあり方の検討をしているのか、改めて伺います。
○末村計画調整担当部長 平成三十年一月の都立病院経営委員会報告では、高齢化や医療の高度化など医療環境が大きく変化する中でも、都立病院が都民ニーズに迅速かつ的確に応えていくことが求められました。
また、現在の都立病院では、医療サービスの新たな展開や充実に必要な人材確保や予算、契約など、制度面での制約があることが指摘され、より柔軟な経営形態である地方独立行政法人への移行について提言がなされたところでございます。
こうした提言を踏まえまして、平成三十年三月に策定いたしました都立病院新改革実行プランにおいて、都立病院が効率的かつ効果的な運営を促進し、行政的医療を安定的、継続的に提供していくための経営形態について検討するとしたものでございます。
○斉藤委員 人材確保等の制度面での制約があるということが指摘をされたということですが、私は、今の答弁には重要なことが抜けていると思います。
都立病院経営委員会の報告書にはこう書かれています。収益力の向上、経費の圧縮、一般会計の経費負担の抑制など、あらゆる面から経営力の強化につながる仕組みづくりが期待されると。その上で、最終的に都立病院の一般地方独立行政法人への移行について検討すべきと、ここには書かれているんです。
そもそも経営形態を検討したのは、経営力向上についての検討部会です。その報告書に書かれているように、大きな目的に一般会計からの経費負担の抑制、削減があるということは明らかだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○末村計画調整担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、平成三十年三月に東京都病院経営本部が策定いたしました都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、都立病院が効率的かつ効果的な運営を促進することで、行政的医療を安定的、継続的に提供していくための経営形態について検討していくとしたものでございます。
○斉藤委員 同じことを繰り返されましたけれども、報告書に一般会計の経費負担の抑制とはっきり書いてあるんです。報告を議論した経営委員会で一般会計繰入金を問題視する発言が繰り返されたことからも、ここに大きな目的があることは明らかです。
都立病院が経営を全く考えなくてよいということではありませんが、今の都立病院への繰入金額は、基本的には、採算をとるのが難しく、民間の医療機関では実施が困難な医療を提供していることによるものであり、必要不可欠なものです。その削減が前面に出る独立行政法人化は、都民の必要とする医療の提供とは両立しません。
都の七兆円の財政規模からしても、過大ということではないと思います。行政的医療を安定的、継続的に提供するためというならば、一般会計からの繰り入れを責任を持って続けることが一番ではないでしょうか。
都立病院の都の直営を堅持して、都民のための医療を充実させることを強く求めまして、私からの質問を終わりにします。
○おときた委員 私からも、病院経営本部の経営形態、独立行政法人化について質問をいたします。
都立病院は、平成十三年に策定された都立病院改革マスタープランに基づき、行政的医療の提供を基本的役割としてきましたが、マスタープランの策定から十五年以上が経過し、病院を取り巻く医療環境は大きく変化しています。
特に、超少子高齢化を迎え、都財政の悪化も懸念されている二〇二五年以降に向けて、持続可能性を高めた、さらなる経営体制の強化を早期に行っていくことが必要不可欠です。
これまでも都立病院は、経営管理体制の強化、コスト削減、未収金対策などに取り組んできましたが、現行の体制でできる改革は限界に近づき、近年は収支の改善が見られない状態が続いています。
こうした状況を踏まえて、本年一月、都立病院経営委員会から、今後の都立病院のあり方についてが提出され、他の経営形態と比較して、一般地方独立行政法人が制度的に最も柔軟であり、今後の都立病院にふさわしい経営形態であることがはっきりと明記をされました。
また、本年三月に都政改革本部が策定した二〇二〇改革プランにおいても、病院業務について地方独立行政法人化制度活用の対象業務となっており、当時の特別顧問らは、都立病院の独立行政法人化について強い意欲を示されていたと仄聞しています。
さらには、総務省も新公立病院改革ガイドラインにおいて、経営形態の見直しとして地方独立行政法人化を推奨しており、人事面、財務面での自律性が向上し、経営上の効果を上げているケースが多いとまで言及をしております。
私は、これらの報告書の結論などに強く賛同するものであり、都立病院は速やかに独立行政法人に移行すべきとの、先ほどの斉藤副委員長とは真逆の立場から、順次、質問を行います。
初めに、具体的な経営状態について、平成二十九年度の一般会計からの繰入金は幾らであったのか、また、過去五年間の繰入金の推移についてお伺いをいたします。
○児玉経営企画部長 平成二十九年度決算における一般会計繰入金は三百九十四億円でございました。
過去五年間の一般会計繰入金の推移につきましては、平成二十五年度が三百九十億五千五百万円、二十六年度が三百九十八億円、二十七年度が三百八十七億一千六百万円、二十八年度が三百九十九億七千八百万円と、おおむね三百九十億円前後で推移しております。
○おときた委員 報告書にもあったとおり、約四百億円の繰入金の発生が常態化しており、改善の兆しが残念ながら見られません。これはそのまま都民負担に直結しています。
もちろん、都立病院は民間ではできない役割を担うことから、収益構造が民間医療機関と異なることは十分に理解しています。しかしながら、現在の都財政が豊かであるからといって、このような負担が当たり前である状態を是とし続けることには明らかに無理があります。
そこで、一般会計から多額の繰り入れが常態化している状況について、持続可能な経営という観点から、都はどのように認識しているのかをお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 都立病院は、法令等に基づき対応が求められる医療や、一般の医療機関では対応が困難な医療、高度な医療水準とそれを支える総合診療基盤により対応する医療など、採算の確保が困難な医療を行政的医療として実施しているところでございます。
一般会計繰入金は、こうした行政的医療を提供するために不可欠な経費として、地方公営企業法等に基づき、一定のルールを定めて、適切に算定しているものと認識しております。
また、繰入対象となる医療の範囲などにつきましては、医療環境の変化等に応じて随時見直しを行っております。
安定した経営基盤の確立強化及び効率的かつ持続可能な病院運営に向けて、今後も引き続き経営改善の取り組みを進めてまいります。
○おときた委員 経営改善の取り組みを推進するとの言葉もありましたが、前半のご答弁を聞くと、採算のとれない行政的医療を行っているのだから仕方ないのだというようにも聞こえます。
しかしながら、実際には、自治体の財政が逼迫している地域では、公立病院の独立行政法人化が進み、行政的医療を継続しながら経営改善に成功している事例も数多く見られます。
そもそも東京都では、平成十九年度の都立病院経営委員会報告書においても、同様に、独立行政法人化こそがふさわしいとの答申を得ておりました。にもかかわらず、経営形態の変更という抜本的な改革が先送りにされ、他の自治体に大きくおくれをとり、その間も年間約四百億円という都民負担を継続してきました。この先送りが行われてきたことは極めて遺憾であります。
そこで、平成十九年度の報告から、その後、どのような検討が行われてきたのか、また、委員会報告書で明確な結論が示されていたにもかかわらず、現在まで変化が起きなかった理由は何だったのか、都の所見をお伺いいたします。
○末村計画調整担当部長 平成十九年度の都立病院経営委員会報告では、地方独立行政法人が最も柔軟で都立病院にふさわしい経営形態であるとした上で、移行に係る課題への検討が求められておりました。
具体的には、当時は非公務員型の地方独立行政法人におきまして、いわゆる医療観察法に基づく指定入院医療機関の運営ができなかったことが課題でございましたが、平成二十一年の省令改正によりまして、現在は、非公務員型の地方独立行政法人への移行後も運営が可能となってございます。
また、平成十六年度の初期臨床研修医制度の開始に伴いまして、大学医局の人員派遣機能が低下し、医師の採用環境が極めて厳しい状況への対応が課題でございましたが、都は、平成二十年度に東京医師アカデミーを創設するなど、質の高い医師の育成、確保の仕組みを構築いたしました。
そのほか、地方独立行政法人の導入事例が少なかったことに伴いまして、先行の導入事例の検討が十分でなかったということも課題として指摘をされましたが、他の自治体におけます地方独立行政法人の導入事例も増加するなど、平成十九年度当時とは状況が変化してございます。
こうした課題への対応とともに、経営形態別の経営状況や、経営形態の見直しを行った自治体病院に関しまして、情報収集と分析を行ってきたところでございます。
○おときた委員 いろいろと丁寧なご答弁をいただきましたけれども、まさに十年前にも今回と同趣旨の委員会報告を受けているわけですね。そして、その間にも法的な課題がクリアされ、他の地方自治体でも導入事例がふえてきた。にもかかわらず、都は、独立行政法人化をしなくてもできる改善には取り組む一方で、抜本的な変化を起こすことを避けてきたようにも思えます。次の十年間も同じように、検討の名のもとに実施が先送りされるのではないかと、私は非常に強く危惧をしております。
長年、議論されてきた病院業務に関しては、都政改革本部で示された改革プランの言葉をかりれば、既に見える化の段階は終わっており、事業改革の次のステージ、すなわち独立行政法人化での改革という段階に移っているはずです。
きょうの委員会質疑に先立ち、私は、二〇一四年に実際に地方独立行政法人へと移行した大阪市民病院機構を視察し、理事長ら関係者のお話を約二時間にわたってお伺いしてまいりました。
厳しい経営環境に置かれていた大阪市民病院は、独立行政法人に移行した後、新入院患者数、入院診療単価、入院医療形態が、いずれも二割近く増加するなど、目覚ましい変化を見せています。医業収益も、平成二十五年の二百九十億円から、平成二十九年には三百六十二億円になるなど、七十二億円、二五%の増加となっています。
お話をされていた独法化のメリットは、まさしく多岐にわたりましたが、特に大きいのは予算、人事制度の柔軟化です。
これまでは単年度予算で議会承認が必要である予算が柔軟化されたことで、独立行政法人化された医療機関は、必要なときに必要な投資がしやすくなります。
また、公務員として厳しく規定されていた人員数や人件費も弾力化されるので、採用活動も臨機応変にできることになり、また、報酬体系の見直しが経費削減とモチベーション向上の双方につながったといわれています。現在、人件費が高どまりしている都立病院には、まさにこの改革が必要ではないでしょうか。
また、外部人材を登用した経営会議体の導入、職種ごとに権限移譲を行った組織体制の見直しなどを実現し、独法化以前には決してできなかったガバナンスの強化に成功したそうです。
独法化に反対する人々は、時に、経営改善は独立行政法人化をしなくてもできるということをおっしゃいますが、独立行政法人化以前から一貫して理事長、病院長を務められてきた方が、こうした改革は独立行政法人化をしなければ到底なし得ることはできなかったと、そう述べていたことは大変重みがあると感じています。
このような成功事例は既に全国に複数あることも踏まえて、改めて、平成三十年一月に示された報告書にて地方独立行政法人化が示唆されています。この事実を重く受けとめ、都は、地方独立行政法人化を本格的に検討していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○末村計画調整担当部長 平成三十年一月の経営委員会報告におきましては、都立病院が果たすべき役割として、災害医療や救急医療など行政的医療の提供と地域医療の充実への貢献が求められるとともに、こうした役割を果たすため、より柔軟な経営形態である地方独立行政法人への移行についての検討が提言されたところでございます。
高齢化の進展により、医療需要の増加や、病院完結型から地域完結型医療への転換など、医療のあり方が変化する中、誰もが安心して医療を受けられる環境を確保していくための提言であると受けとめてございます。
こうした提言を受け、本年三月に策定いたしました都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、効率的かつ効果的な運営を促進し、都立病院としての役割を安定的に果たしていくための経営形態のあり方につきまして、病院現場の運営実態を踏まえ、検討するといたしました。
○おときた委員 先ほど来のご答弁の繰り返しかなというところであるのですが、全体に、私は慎重なトーンのご答弁だなと感じるところもございます。
独立行政法人化を行うといえば、労働組合を初めとする人々が強い抵抗をするということは間違いはありません。しかし、公立病院は、公務員のためではなく、都民のためにこそ存在します。
大阪市民病院機構でも、独立行政法人化以前は公務員の勤務体系重視で、休憩時間なども利用者目線がなくとっていたが、こうした姿勢が利用者目線で劇的に改善されたとの事例報告がありました。まさに今回の報告書が最後に求めた職員の意識改革の成果であります。今こそ政治のリーダーシップによって、都も独立行政法人化に向けて強く動き出すべきであると考えます。
さて、独立行政法人化をするに当たっても、幾つかの方法がございます。具体的には、現在、都立病院は八つありますが、これを一つの法人としてまとめて経営していく方法、もう一つは、一病院一法人として八つの独立行政法人を設立する方法です。
独立行政法人化のメリットの一つは、経営責任を明確化することです。八つの規模が大きい病院を一つの法人として運営すると、その経営責任が不明確になり、結局のところ、赤字体質が継続してしまうということが強く危惧されます。
また、個々の病院ごとに独法化をすれば、各病院のポテンシャルに見合った人材確保も可能になります。現在のような各病院で増員すらできないという、がんじがらめの人事制度による人材難、そして、それに伴う施設稼働率の低さを打破できるというメリットも考えられるわけであります。
そこで、独立行政法人化の検討に当たっては、単に法人化するだけではなく、個別の病院を独立行政法人化することも同時に検討するべきだと考えますが、都の検討の方向性をお伺いいたします。
○末村計画調整担当部長 病院を運営する全国の地方独立行政法人には、複数の病院を一つの法人のもとで運営する事例や、病院ごとに法人を設立し運営する事例があると承知をしております。
都立病院が共通で行う研修等の人材育成面や、医薬品などの共同購入などの経営面におけるスケールメリットも踏まえながら、より効率的、効果的な運営となるよう、経営形態のあり方について検討を進めてまいります。
○おときた委員 複数の病院がまとまっていた方が、人材育成や器材、資材調達などにおいてスケールメリットがあるということは理解ができます。一方で、そうしたメリットは、異なる法人間でも連携を図ることで享受できる点もあり、経営責任が不明瞭になるデメリットと冷静に比較をして考える必要があります。
ただでさえ抵抗の大きな独立行政法人化をさらに八つもつくるということになれば大きな反発が起こることは予想されますが、経営形態を大きく転換できる機会は、事実上は一度きりしかありません。まずは、しっかりとあるべき姿、理想の形態を見据えた検討を行っていただきたいと思います。
最後に、地方独立行政法人化について、今後、どのように具体的な検討を行っていくのかをお伺いいたします。
○末村計画調整担当部長 各病院がその役割を果たしていくための効果的、効率的な経営のあり方につきまして、病院運営を支える人材確保や、柔軟かつ迅速な経営に資する予算、契約などの視点から、病院現場の運営実態を踏まえ、課題の整理や分析を進めております。
引き続き、課題の分析、検証を行うとともに、地方独立行政法人を初め地方公営企業法の全部適用や指定管理など、公立病院として想定される経営形態につきまして、メリット、デメリットの検証を行うなど、丁寧に検討を進めてまいります。
○おときた委員 ありがとうございます。きょうのご答弁を伺っておりますと、慎重に、丁寧にといった言葉も散見されました。もちろん、現場の意見と向き合うことも含めて、丁寧に物事を進めていくことは重要です。
一方で、こうした大きな変化については、最後は政治がリーダーシップを発揮して、スピーディーに、強力に推し進める必要があります。
大阪市の事例でも、最後は、政治のトップであった橋下氏と現場のトップであった理事長、病院長が不退転の決意で現場と向き合ったと、そのように聞いております。
都民負担が日々発生している現状においては、一刻の猶予もないと考えるべきです。十年越しの報告書内容にのっとり、地方独立行政法人化の検討、そして実現を速やかに行うことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時二分散会
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