平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成三十年十月二十二日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長藤井  一君
副委員長柴崎 幹男君
副委員長斉藤まりこ君
副委員長関野たかなり君
滝田やすひこ君
田村 利光君
うすい浩一君
おときた駿君
あかねがくぼかよ子君
つじの栄作君
増田 一郎君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長中嶋 正宏君
技監田村 聡志君
理事黒沼  靖君
総務部長松丸 俊之君
職員部長金子 弘文君
経理部長志村 昌孝君
サービス推進部長小山 伸樹君
浄水部長青木 秀幸君
給水部長尾根田 勝君
建設部長特命担当部長兼務狩野 裕二君
経営改革推進担当部長石井 英男君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小平 基晴君
設備担当部長横谷  守君
多摩水道改革推進本部本部長岸本 良一君
調整部長坂井 吉憲君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長本荘谷勇一君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成二十九年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)

○藤井委員長 ただいまから平成二十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたりまして、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいります。質疑については、平成二十九年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都水道事業会計決算、平成二十九年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松丸総務部長 さきの分科会におきまして要求のありました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。水需要予測と実績の推移でございます。
 将来の水需要の見通しと、平成二十五年度から二十九年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの八ッ場ダム建設にかかわる総事業費、都の負担額、そのうち水道局の負担額及びその他の負担額の推移をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況でございます。
 浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの設置年度、発電規模及び平成二十九年度の発電実績をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープラン及び東京水道経営プラン二〇一六の二つの計画における計画期間、目標年次及び計画値並びに平成二十九年度の耐震継ぎ手率の実績値をそれぞれお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。水道管路の布設年度別管理延長でございます。
 配水本管及び配水小管の布設年度別管理延長を一定期間ごとに区切ってお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。監理団体への委託料及び主な委託内容でございます。
 水道局が所管しております東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの二つの監理団体につきまして、平成二十九年度の委託料及び主な委託内容をそれぞれお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。国際貢献の新たな取り組みに関する海外出張に要した経費の一覧でございます。
 平成二十九年度における海外出張に要した経費を、出張先の国名とともにお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。水道料金の減免実績でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの減免額と減免件数について、その内訳と合計をお示ししております。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わります。よろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 最初に質問させていただきます。
 都の水道事業は、東京水道経営プラン二〇一六という事業計画に基づきまして健全な事業経営が行われており、財政的にも計画的な運用がなされているというふうに認識をしております。
 一方で、高度経済成長期に集中的に整備をしてきた膨大な水道施設が平成三十年代に一斉に更新時期を迎えるということや、首都直下型地震などのさまざまな脅威に備えていく必要があるということから、厳しい事業環境にもございます。
 そのため、不断の努力で一層効率的な事業運営を望むところであり、私の方からは、それに関連いたしまして、六つのテーマについてお伺いをいたします。
 まず、一点目です。スマートメーターなどIoTの活用についてお伺いをいたします。
 ご存じのとおり、ICTの発達は目覚ましく、IoT、AIなどの技術革新は、さまざまな産業において起こっております。行政においても技術革新を取り入れていくということは重要です。
 水道局では、平成二十八年二月二日にスマートメーター化モデル事業を発表しました。昨年の決算特別委員会においては、我が会派の都議から、東京水道あんしん診断について、その四年半での六十億円という膨大な事業費に鑑み、スマートメーターなどのIoT活用による業務効率化の余地はないのかと質問をいたしました。
 残念ながら、あんしん診断につきましては、その活用が難しいということではありましたが、それに限らず、スマートメーター化モデル事業について、他の公共事業者とも必要な連携を進めていただきたいと思います。
 晴海の五丁目地区におけますモデル事業とその後の取り組み状況について、まずお伺いをいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本事業は、東京二〇二〇大会の選手村となる晴海五丁目地区におきまして、電気、ガス、水道のスマートメーターを用いて検針データを自動で収集する共同システムを構築するものでございます。
 平成二十九年度は、共同システムの構築に向け、検針データの送受信の手順及びデータ形式につきまして、他の公共事業者との調整を実施いたしました。
 また、局内におきましても、関係部によるワーキンググループを設置し、データ形式やメーターの仕様、使用水量の見える化を初めとする付加価値サービスの具体的な内容など、自動検針のシステム開発に向けた仕様を検討いたしました。
 引き続き、モデル事業の実施に向け、関係事業者と連携し、必要な調整や局内検討を着実に進めてまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
 業務効率を高めるという上で、スマートメーターなどのIoT活用は有効でありますが、水道局では、スマートメーター化モデル事業のほかにも、ARやAIの活用について検証を行っていると聞いています。費用対効果だけでなく、サービス向上の観点からも検証をして、導入に向けた調査研究を行っていただいているということです。
 そこで、水道局におけるIoTやAIなどICT全般に関する取り組みの状況についてお伺いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 将来の労働力人口の減少や情報化社会の急速な進展などを踏まえますと、IoTやAIなどの新技術を積極的に活用していくことは、水道事業の効率化やお客様サービス向上の観点から重要でございます。
 このため、当局では、東京都ICT戦略を踏まえ、平成三十年一月に東京都水道局ICT戦略検討・活用推進委員会を設置し、さまざまなICT技術の活用に向けた検討を進めております。
 その成果の一つとして、本年七月に、ホームページのコンシェルジュ機能などを持つAIチャットボットを導入いたしました。導入後の月平均アクセス数は約一万三千件でございまして、お客様からの問い合わせに対するサービス向上に寄与しているものと認識しております。
 今後も、局の諸課題の解決に向け、IoT、AIなどのICT技術の活用を積極的に推進してまいります。

○あかねがくぼ委員 AIチャットボットというところで新技術を積極的に活用しているといった姿勢は大変評価できると思います。引き続き、IoT、AIなどの新技術を活用していただいて、業務効率化やサービス向上に向けて取り組みをお願いしたいと思います。
 続きまして、二点目として、自律点検改革についての質問です。
 昨年の公営企業会計決算特別委員会全局質疑におきまして質問させていただいたわけですが、局長からは、PDCAサイクルを通じて不断の業務改革を推進する、そういった力強いご答弁をいただきました。我が会派からは、さまざまな改革については、引き続き取り組んでいただきたいと要望したところであります。
 そこでまず、水道局におきます自律点検改革の取り組み、平成二十九年度までの実績についてお伺いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局では、水道事業の見える化を図ることを目的といたしまして、平成二十八年九月に自律点検・改革推進本部を設置し、職員のみならず、お客様からも業務改革の提案を募り、局事業の再検証を行っております。
 平成二十九年度末までに、職員やお客様から九百三十五件の提案が寄せられ、これを都民ファースト、ワイズスペンディング、情報公開の都政改革における三つの原則と当局独自の危機管理の視点で分類し、検討した結果、四百十三件が採用され、百件が実行されております。
 具体的には、郵便料金後納制度の多面的活用による業務の効率化や、電子化、ペーパーレス化による費用の削減などが実現しておりまして、局の取り組みの成果が着実に出ているものと認識しております。

○あかねがくぼ委員 昨年度に引き続きまして、継続した改革に取り組んでいただいているということです。
 業務効率化の事例としては、郵便料金の後納制度の多面的な活用に取り組んだということでありますけれども、この郵便料金後納制度の多面的活用の内容についてお伺いいたします。

○志村経理部長 郵便料金後納制度は、月ごとの発送件数が多数となる場合に、切手を張らずに発送し、まとめて料金を支払うことで、現金の取り扱いや切手の管理が不要となる制度でございます。
 今回の取り組みは、郵便物の発送が少量の部署を取りまとめ、この制度を導入することで、現金の取り扱いや切手の管理を不要とするものであり、また、伝票作成等の会計処理が不要な口座振替のシステムを拡大適用することで、事務の改善と省力化を実現するものでございます。
 あわせまして、郵便物の後納の表示部分に東京水などのデザインを取り込みまして、局事業のPRを行うものでございます。
 このように、郵便料金後納制度を多面的に活用するアイデアは職員からの提案でございまして、局全体に拡大し実施しております。
 さらに、この制度の導入を契機としまして、料金受取人払い制度や電子内容証明郵便などを組み合わせて利用することで、一層の効率化につなげております。
 なお、本年五月の都政改革本部会議においてこの取り組みを発表したところ、高い評価を得ております。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。キャッシュレスの推進により事務の効率化を図り、都政の生産性を高め、さらに、生産性向上だけではなくて、水道事業のPRにもつなげていったという点は大変よい取り組みだと思います。
 また、職員の方からの提案が局全体に拡大をした、業務の生産性が向上した、そういった例でもありまして、まさに自律点検改革の精神が具現化されているという、よい例と思います。
 他局にとりましても、従来から慣習的になっているような業務を見直すきっかけ、改革や改善マインド、これを高めていく動機づけにもなっていくと思いますので、ぜひ水道局の職員皆様から業務改革、改善の機運をつくり、その波を他局へもつなげていただきたいと思います。
 願わくば、業務効率化がどの程度できたのかというところを定量的にお示しできるような計測も、今後ご検討いただきたいなと思うところではありますが、今後の自律点検改革につきましてどのように進めていただくのか、お伺いします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 職員が自律的にみずからの業務を見直すとともに、お客様の生の声を局事業に生かすことは、効率的、効果的な局の事業執行につながりますことから、自律点検改革の取り組みは重要でございます。
 今後も、職員に改革のマインドをより一層根づかせ、改革案の提案と着実な実施を促進いたしますとともに、お客様からの声につきましても、直接の訪問により課題をお伺いし、局事業の改善につなげるなど、不断の業務改革を推進してまいります。

○あかねがくぼ委員 組織や個々の職員の方が自律改革を絶えず実行するということによって、都民から信頼される都政へとつながるものであると考えます。都民ファースト、ワイズスペンディング、そして情報公開、この原則にのっとりまして、今後も継続して業務改善、業務改革に取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、三点目として、小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業についてお伺いします。
 都民目線でまず水道事業を見ますと、そのイメージというものはさまざまであろうかと思いますが、日本の水道水について、そのまま飲むことができるというところは共通の認識としてお持ちだと思います。これは世界的にも大変珍しいことでして、日本の水道事業が世界に誇れる価値であります。
 近年では、水道の水をそのまま飲まず、ペットボトルを購入したり、水筒を持参する、そういった方も多くはなってきているんですが、蛇口から直接水を飲むことができるというのは、日本が築き上げてきた水道文化でもありますので、それを次世代に引き継ぐとともに、蛇口からの水道水でもそのままおいしく飲める、そのための直結給水化というものを促していただくことは重要な施策と考えます。
 水道局では、小中学校の水飲み栓を直結給水方式に切りかえる事業を実施しておりまして、平成十九年度から二十八年度まで、都営水道区域にある小中学校の三割については直結給水化を達成したということで聞いています。
 これまでの実績と評価、そして、それに基づいて実施をしておりますフォローアップ、この目的についてお伺いします。

○尾根田給水部長 小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業は、平成十九年度から平成二十八年度まで、六百六十三校の公立や私立学校で実施いたしておりまして、事業目標である給水区域内の三割の小中学校で直結給水化を達成しております。
 モデル事業開始から毎年実施しているアンケート結果を集計いたしますと、学校での水道水を飲む児童生徒が、工事実施前の七〇%から、工事実施後には八二%に増加し、家から水筒を持参する児童生徒が二六%から一二%に減少しております。
 また、直結給水化された学校の児童生徒や教職員からの自由意見として、水道水が冷たくておいしい、安心できるなど、高い評価を得ております。
 一方、モデル事業の実施状況を区市町別に見ますと、校舎の耐震化を優先するなどの事情により、実施率が三割に満たないところもありましたことから、こうした実施率の低い区市町や私立の小中学校で直結給水化を促進させるため、平成二十九年度から平成三十二年度までフォローアップを行うこととしたものでございます。
 フォローアップの初年度となる平成二十九年度は、実施率の低い区市町を対象に、十校の小中学校で直結給水化を実施いたしました。

○あかねがくぼ委員 水筒を持参する人が減ったり、水道水のおいしさを実感していただいているという様子がよくわかりまして、水道事業のプレゼンスの向上というところに大変寄与していると思います。
 一方で、モデル事業としての投資をしているわけですから、直結給水化の広がりにつながっていただきたいところであります。この事業の波及効果についてもお伺いします。

○尾根田給水部長 モデル事業で直結給水化を行った区市町の中では、従来の水道の蛇口の水よりも冷たい水が出て、衛生的にもすぐれている水道直結化工事を、一〇〇%を目指して今後も順次進めていくこととしている区もあるなど、区市町みずからの取り組みとして直結給水化を促進していることを把握しております。
 また、区市町へのアンケート調査によりますと、約八割の区市町が、今後、独自に直結給水化の検討を進めていくという回答を得ております。
 こうしたことから、モデル事業の所期の目的である直結給水化のPRや、その促進効果が十分に発揮されていると認識しております。

○あかねがくぼ委員 子供たちにとりまして、直接蛇口から水を飲む、そういった環境が整って、水道水のおいしさが実感できるということは、世界に誇る水道事業の普及啓発という意味でも、大変に有益な事業だと思います。
 先ほどのご答弁では、平成三十二年度まで実施するということではありますが、終了後には、この事業についてしっかり検証をして、業務改善、新たな施策展開につなげていただきたいと思います。
 続きまして、四点目として、配水管耐震継ぎ手化についてお伺いします。
 都民にとって、蛇口をひねれば水道水が出るということは当たり前になっています。しかし、これは平時であればそうですが、一たび災害が起きれば当たり前ではない、そうなってしまう可能性があるわけです。ことし九月に起きました北海道胆振東部地震では、五万七千戸以上が断水をしていたということは記憶に新しいことです。
 水道局では水道管耐震継ぎ手化事業を進めていただいておりますが、断水被害を効果的に軽減するため、避難所などの重要施設への給水ルートでの耐震継ぎ手化を優先していただいているところであります。
 震災時に多くの都民が集まることになる避難所での水の確保、これは都民の生命、身体を守るために最重要な課題であります。
 避難所となる中学校につきましては平成三十一年度に完了、避難所となる小学校につきましては平成三十四年度に完了、それ以外の避難所については平成三十七年度までに完了させるというふうに聞いています。
 避難所への給水ルートの耐震継ぎ手率と目標達成の見込みについてお伺いします。

○尾根田給水部長 当局では、区市町が指定する避難所約二千六百カ所を対象に、供給ルートとなる配水管の耐震継ぎ手化を進めております。
 平成二十九年度末の避難所への供給ルートの耐震継ぎ手率は、中学校は六三%、小学校は五八%、残る全ての避難所は四六%となっております。
 このうち、平成三十一年度を完了目標とする中学校につきましては、既に工事の実施に向けた調整を進めており、目標達成に向けて順調に取り組んでおります。
 引き続き、目標達成に向け、避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化工事を着実に進めてまいります。

○あかねがくぼ委員 着実に進捗をしているということを確認できました。今後も継続をしていただきたいと思います。
 さて、東京二〇二〇大会の開催まで二年を切りました。そこで、オリンピック・パラリンピック競技大会会場への供給ルートの耐震継ぎ手化の進捗と今後の見込みについてもあわせてお伺いいたします。

○尾根田給水部長 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場等への供給ルートの耐震継ぎ手率は、平成二十九年度末で八二%となっております。
 引き続き、関係機関と綿密な調整を図りながら、東京二〇二〇大会の前年である平成三十一年度の完了に向け、着実に進めてまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。こちらも着実に進めていただいているということで、継続して整備をお願いしたいと思います。
 続きまして、五番目のテロ対策についての質問をさせていただきます。
 安全で安心できるまちづくりを目指していく上では、自然災害に対する備えとは別の視点での備えが必要であります。
 東京二〇二〇大会やラグビーワールドカップなど、今後、東京では国際的にも大規模なイベントの開催が予定をされています。こうしたイベントを控え、最重要のライフラインである水道施設をテロから守っていくために、テロへの対策に万全を期すということは必要であります。
 テロ対策につきましては、昨年、私が所属をしておりました公営企業委員会でも質疑をさせていただきまして、その続きの内容になりますが、平成二十九年度に東京都水道局テロ対策パートナーシップを創設し、東村山浄水場近隣の自治会等との、国内で初めてパートナーシップ協定を締結したと聞いています。
 このパートナーシップの具体的内容について、まずお伺いいたします。

○松丸総務部長 テロにつながる不審物、不審者の早期発見には、地元住民の皆様からの早期連絡が特に有効でございます。
 このため、当局では、平成二十九年十月、浄水場等の基幹水道施設を我がまちの浄水場として近隣住民の方々に親近感を持って見守っていただく東京都水道局テロ対策パートナーシップを創設いたしました。
 この制度に基づき協定を締結させていただいた自治会等の皆様に、不審者や不審車両発見時に通報するなどの協力をいただくとともに、パートナーシップ参加者限定の施設、訓練見学会などを実施しております。
 こうした取り組みにより、地域と一体となって、基幹ライフラインである水道施設の安全性向上に取り組んでまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。昨年の公営企業委員会質疑においては、東村山浄水場以外の基幹施設においても、近隣の自治会等とのパートナーシップ協定を締結して、連携を強化していくということを要望させていただきました。
 そこで、東村山浄水場を含めたパートナーシップ締結の状況についてお伺いします。

○青木浄水部長 東村山浄水場につきましては、平成二十九年十月十九日に実施いたしました水道局テロ対処訓練に合わせ、地元の九つの自治会とパートナーシップの協定を締結してございます。
 また、他の浄水場におきましては、警察、地元区市と調整の上、近隣の町会や自治会にパートナーシップ制度の説明を行いまして、ご理解、ご協力をいただけるよう働きかけてまいりました。
 この結果、二十九年度末の時点で、東村山浄水場を含む八カ所の浄水場におきまして、周辺の二十九の自治会などと協定を締結し、地域住民の方から見守っていただける体制を整備したところでございます。
 今後も、浄水場で実施するテロ対処訓練に警察、自治会に参加していただくなど連携を強化いたしまして、地元のより多くの住民の方に浄水場を身近な施設として見守っていただくことで、テロの脅威に備えてまいります。

○あかねがくぼ委員 近年のテロ攻撃といいますと、サイバー化してきているというのもありまして、東京二〇二〇大会を控えて、電気、ガス、水道など重要インフラについては、サイバーテロへの対策も万全を期す必要があります。
 仮にサイバーテロにより水道機能が麻痺をした、そういった場合は、都市生活だけでなく、生命に直結するような深刻な影響が予想されます。そして、その混乱ははかり知れません。
 そこで、安定給水に直結するシステムのサイバーテロ対策について、基本的考え方と現状の取り組みについてお伺いいたします。

○横谷設備担当部長 水道局では、安全でおいしい水を安定的に供給するため、浄水場や給水所等の制御システムで浄水処理や水圧などを適切にコントロールしております。
 このため、制御システムを確実に運用することが重要で、万が一、サイバーテロによる攻撃を受けても給水に影響が及ばないよう、予防的対策を中心としたサイバーテロ対策を実施しております。
 ハード面の対策としては、インターネットから遮断することで不正アクセスを防止することや、関係者以外の入室を制限する厳格な入退室管理などに取り組んでおります。
 また、ソフト面の対策としては、内閣サイバーセキュリティセンターや警視庁などとの連携、第三者機関による監査、さらに職員のセキュリティー研修を実施するなど、組織の内外両面からセキュリティー対策の向上を推進しております。
 こうしたハード、ソフト両面からのさまざまな取り組みにより、万全の対策を実施しております。

○あかねがくぼ委員 さまざまな取り組みを行っていただいているということを理解いたしました。
 しかし、どれほどの予防策を講じたとしても、完璧にということはなかなかないわけでありまして、自然災害やテロのリスクをゼロというところに至ることは難しいかと思います。万が一の事態に備えまして、危機管理を徹底していただくことを改めて強く要望いたしておきます。
 最後に、監理団体について何点かお伺いしたいと思います。
 全国の水道事業におきまして、PFIなど、さまざまな官民連携の手法を導入している例がございます。東京の水道事業においては、基幹的業務を水道局と監理団体が担う一体的な事業運営の体制を構築してきたところであります。
 そこでまず、水道局と監理団体が水道事業の基幹的業務を担う一体的事業運営体制の基本的な考え方についてお伺いします。

○石井経営改革推進担当部長 当局では、定型業務を初め、民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託するとともに、水道事業における基幹的業務を当局と監理団体が担う一体的事業運営体制を平成十八年度から構築してまいりました。
 事業運営上の役割分担としましては、経営方針策定など事業運営の根幹にかかわる業務を当局が担い、施設の運転管理及び維持点検などの事業運営上重要な業務を監理団体が担っております。また、請負工事等の定型的業務は民間事業者に委託をしております。
 これにより、公共性の確保と効率性の発揮を両立させながら、責任を持って、安全でおいしい高品質な水を安定して供給していく体制を構築してございます。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
 次に、この考え方に基づいて監理団体が担っている業務の内容と平成二十九年度の実績についてもお伺いします。

○石井経営改革推進担当部長 技術系業務を担う東京水道サービス株式会社は、三園浄水場など五カ所の浄水場の運転管理業務のほか、多摩地域の施設管理業務、都内全域の給水装置業務、配水管の設計、工事監督業務などを担っており、平成二十九年度の業務委託の総額は約百七十億円でございます。
 徴収系業務を担う株式会社PUCは、二カ所のお客様センター運営業務のほか、区部五カ所及び多摩十二カ所の営業所、サービスステーション業務などを担っており、平成二十九年度の業務委託は総額で約百十六億円でございます。

○あかねがくぼ委員 監理団体の二社は、浄水場の運転管理や営業所業務など水道事業の基幹的業務を幅広く担っており、両社を合わせた委託額が三百億円弱ということであります。
 東京水道サービス株式会社の常勤社員数については、調べたところ約千三百名、株式会社PUCについては約六百名でありまして、水道局からの委託業務の増加に伴って、ここ十年ほどで急激に増加をしているということでありました。
 安全でおいしい水の安定供給には、水道局のみならず、監理団体二社の存在が不可欠であるということは、この業務内容や人員数、委託額などから見てもわかります。
 しかし、監理団体に関しては、天下りですとか透明性に欠けるなどのご批判もよく耳にするところであります。
 年間三百億円近い業務を監理団体に委託していますので、それに対する都民の理解を得るためには、水道局による監理団体に対するガバナンスの強化、また、監理団体との契約内容や経営実態について透明性を確保するということが必要不可欠ではないかと考えます。
 そこで、水道局の監理団体に対するガバナンス強化や透明性確保の取り組みについてお伺いをいたします。

○石井経営改革推進担当部長 監理団体に対しましては、当局の経営方針等の徹底を図るとともに、経営上重要な意思決定に対しては、ガバナンスを強化するため、三分の二以上の議決権比率を維持しながら、現役都職員を取締役として派遣するほか、局長及び監理団体の社長等で構成するグループ経営戦略会議を開催するなどの取り組みを実施しております。
 また、契約についての透明性を確保するため、当局と監理団体では、契約方法や金額、件名などの情報を公表しているほか、経営に関する情報として、当局は監理団体との連結財務諸表、監理団体は役員情報や事業報告書などを公表してございます。
 これらにより、当局の監理団体に対するガバナンスの強化や透明性の確保に取り組んでいるところでございます。

○あかねがくぼ委員 ガバナンス強化と透明性の確保については、さまざま取り組んでいただいているということがわかりました。
 今後も引き続き、この継続とさらなる強化を要望して、私の質問を終了といたします。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 本年は、大阪や北海道で大規模な地震が発生をしまして広域的な断濁水が起こり、多くの住民が被害を受けたわけでございます。
 そうした中にあって、首都直下型地震の切迫性も指摘をされておりまして、東京も、いつ大規模震災が発生するかわからないわけでございます。こうしたことから、まず、水道局における災害時の対応策について確認をさせていただきたいと思います。
 大規模災害が発生した際、断水による都民生活への影響を最小限にとどめるため、管路の耐震化は極めて重要であります。とりわけ被災時には多くの被災者が避難所を訪れるため、避難所への水の供給が途絶えれば衛生上の問題が生じるなど、地域住民の命にもかかわることにつながります。
 昨年度も、我が党は、避難所の給水管の耐震化を早期に一〇〇%を目指すべきと要望したところであります。
 そこで、改めて避難所の給水管の耐震化状況についてお伺いします。

○尾根田給水部長 震災時におきましても避難所の給水を確保するためには、ご指摘のとおり、避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化に加え、給水管の耐震化もあわせて進めていくことが重要でございます。
 このため、平成二十五年度から、避難所敷地内における水道メーターまでの給水管の耐震化を進めており、避難所約二千六百施設のうち、平成二十九年度末現在、二千百四十八施設、八四%の整備が完了しております。
 引き続き、平成三十一年度完了に向け、着実に整備を進めてまいります。

○うすい委員 今、答弁があったとおり、残り一六%の整備でありますので、今後とも力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、水道メーターまでの耐震化を実施しても、蛇口までの給水管が被害を受ければ、避難者が水を使えない事態となります。こうした場合、耐震化された給水管に蛇口つきのスタンドパイプを取りつけられる応急給水栓を設置すると聞いております。
 そこで、応急給水栓の設置状況についてお伺いしたいと思います。

○尾根田給水部長 応急給水栓の設置は、避難所建物内の給水管に被害が生じた場合でも、敷地内での迅速な応急給水を可能とするために重要でございます。
 応急給水栓の設置には、避難所の施設管理者である各区市町等との覚書を締結する必要があり、その調整を進めてまいりました。その結果、現在、対象施設の九二%に当たる避難所につきまして、各施設管理者と覚書を締結しております。
 覚書が締結できた施設につきましては、平成二十九年度から応急給水栓の設置を進めており、避難所約二千六百施設のうち、平成二十九年度末現在、四百十二施設、一六%の整備が完了しております。
 引き続き、残る覚書の締結に向け、鋭意調整を行うとともに、順次、応急給水栓の設置を進め、平成三十一年度の完了を目指してまいります。

○うすい委員 各区市町の状況もそれぞれ異なりますし、なかなか大変だと思いますけれども、地域住民への影響を最小限にとどめるべく、積極的に調整を行い、着実に取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、我が党では、応急給水の実効性を高めるため、区市町が行う地域住民と連携した応急給水等に関する水道局の支援の重要性を繰り返し主張してきたところであります。
 こうした我が党の主張を受け、水道局では、東京消防庁と連携をした、区市町が行う応急給水用資器材等を使用した訓練の支援事業を平成二十八年度に二区二市で試行し、その結果を踏まえて、平成二十九年度から本格実施をされたところでございます。
 そこでまず、本格実施に当たって、より多くの区市町に活用してもらうため、どのような取り組みを行ったのか、お伺いします。

○小山サービス推進部長 区市町が行います応急給水用資器材等を使用した訓練の支援事業でございますが、平成二十九年度からの本格実施に当たっては、多くの区市町に活用してもらえるよう、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 まず、支援事業の対象を拡大しまして、総合防災訓練など参加者が多い大規模訓練に加えまして、新たに、区市町からニーズの多かった比較的小規模な防災訓練についても支援対象といたしました。
 次に、内容の充実も図っておりまして、震災時における地域住民の役割の大切さ等をわかりやすく説明する地域水道キャラバンをメニューに追加して、支援事業の参加者には応急給水活動などに対する理解を一層深めていただいたところでございます。
 さらには、各区市町に対しましては、支援事業の認知を高めるために、防災課長会などのさまざまな機会を捉えまして、この支援事業に関するPRを継続して実施いたしました。

○うすい委員 支援事業を活用してもらうため、さまざまな取り組みを実施していることを確認させていただきました。
 次に、平成二十九年度における支援事業の実施内容とその効果について伺います。

○小山サービス推進部長 平成二十九年度の支援事業につきましては、さまざまな取り組みを行った結果、十八区市の訓練に対して実施いたしまして、平成二十八年度の参加者、約一千四百名を大幅に超える約三千六百名の住民の方に参加をいただきました。
 支援事業を行った後に実施した区市へのアンケートでは、訓練がより実践的になった、それから、今後も支援事業を活用したいなどの意見がございました。
 また、参加した多くの住民の方からも、実際に応急給水や初期消火活動を体験でき、災害時対応への理解が深まったなどの意見をいただいたところでございます。
 こうしたことから、支援事業の実施によって、区市と地域住民の災害対応力がより高まったものと認識いたしております。
 なお、支援事業で得られた参加者などからの声は、今年度の支援事業の改善等にも活用をいたしております。

○うすい委員 いざというときに迅速な対応を行うには、当然、これは日ごろからの実践的な訓練で住民に知ってもらうことが不可欠であると思います。この訓練こそが、いざというときに必ず生きてくると思いますし、支援事業は非常に有効な取り組みであると考えます。
 こうしたことから、多くの区市町で活用してもらいたいし、また、多くの声を活用し、支援事業を改善していくことが非常に重要であり、今後も継続的に取り組んでもらいたいと思いますが、水道局の見解を伺います。

○小山サービス推進部長 ご指摘のとおり、この支援事業に対する多くの声を活用して改善等につなげていくことは重要であるというふうに認識いたしております。
 このため、今年度は、区市町へ実施を案内する際に、当該支援事業の意義、効果などのほか、参加者からの具体的な声を紹介するなど、よりわかりやすく改善を図ったところでございます。
 また、支援事業の内容についても、区市町からの意見を踏まえまして、防災訓練の実施内容等に応じて支援事業のプログラムを柔軟に変更するなどの対応を行っております。
 さらに、訓練の際には、消火栓などからの応急給水ができることを知らなかったとの意見が多かったことから、新たに東京国際消防防災展や東京都防災展にブースを出展いたしまして、消火栓などからの応急給水が可能であることを広くPRいたしております。
 今後とも、この支援事業で得られた貴重な声を活用いたしまして改善等を図ってまいります。

○うすい委員 本年度、私の地元の足立区では、十一月の総合防災訓練で、地域水道キャラバンと同時開催による支援事業の活用を調整していると聞いております。ぜひ多くの方に実際に応急給水や初期消火を行ってもらい、理解や連携が深まることを大いに期待しまして、次の質問に移ります。
 首都直下地震などが発生をし、広範囲で甚大な被害が生じた場合には、東京都水道局のみでの対応には当然限界があり、他の事業体との連携が重要と考えます。
 本年六月に発生した大阪の地震では、広域的な断濁水が発生をし、自衛隊も出動するとともに、他県からの応急給水支援も実施をされたわけであります。
 そこで、災害時における他事業体との相互の応援の仕組みをどのように構築しているのか、お伺いします。

○松丸総務部長 災害時における水道事業体間の相互救援につきましては、日本水道協会による全国組織の中での応援体制に加え、大都市間における個別の相互救援の取り組みがございます。
 大都市間における連携の取り組みといたしましては、平成二十八年度、仙台市との間で災害時の相互応援に関する覚書を締結しております。
 また、首都直下地震だけではなく、南海トラフ巨大地震も含めた大規模災害時への対応を見据えると、より広範で有機的な連携体制の構築が必要であることから、本年一月及び二月、関西方面の水道事業体である大阪市及び岡山市との間で相互救援活動に関する覚書を新たに締結いたしました。
 こうした相互救援の仕組みを構築することにより、他の水道事業体との連携を強化し、首都東京における災害対応に万全を期してまいります。

○うすい委員 災害時の広範囲な連携の取り組みが構築されていることを確認させていただきました。今後とも、覚書が有効に機能するように取り組んでもらいたいことを要望させていただきます。
 次に、災害対策に関連をして、私はこれまで、住民の皆様から震災等発生時に建物の老朽化による倒壊等を危ぶむ多くの声をお聞きし、そしてさらに、治安悪化の観点からも、空き家問題の解決にいち早く取り組ませていただき、提言等を行ってきたところでございます。
 空き家対策は、まず地域の状況を適時把握することが重要でありますが、なかなかそれを把握することが課題であります。
 一方、水道局は、二カ月に一回、水道メーター検針のため全戸を訪問するなど、地域と非常に密接にかかわっており、空き家の状況も把握しやすい状況にあるわけであります。こうしたことから、空き家対策において、一般行政と連携した取り組みを行っていると聞いているところであります。
 そこで、空き家対策について、水道局の取り組み状況についてお伺いいたします。

○小山サービス推進部長 当局では、お客様の水道料金等を算定するため、原則二カ月に一度、検針員が現地を訪問し、水道メーターを検針いたしております。その中で、空き家などの水道を使用していない建物の情報も把握してございます。
 そこで、この不使用の情報を空き家対策の一つとして活用してもらうことといたしまして、平成二十九年七月に、当局は都市整備局と連携をして、要望があった区市町に対して情報提供を行いました。
 具体的に申しますと、四十二の区市町からの情報提供の要望がございまして、これを受け、水道が半年以上不使用となっている建物の所在地と、それから水道使用中止日の情報、六十万件を提供いたしました。
 この取り組みは、多くの区市町から継続の要望がございますので、平成三十年度以降も毎年一回提供することといたしております。

○うすい委員 現場を持っている水道局の取り組みは、区市町にとって大きな力となります。空き家対策では、空き家かどうか確認することも大切でありますが、倒壊の危険性など、建物の実態、状況を知ることが極めて重要でございます。こうした情報が区市町に適時伝われば、より一層の効果が期待されます。
 そこで、建物に関する一層の現場情報を提供することができないか、水道局の見解を伺います。

○小山サービス推進部長 ご指摘のとおり、建物の状況を把握することは、災害対策上重要でございます。
 このため、当局では、区市町に対する年一回の情報提供に加えまして、新たな取り組みも検討しているところでございます。
 まず、空き家と判断して水道メーターを取り外した建物の情報について提供することを検討しております。
 それから、検針員が、原則一年以上不使用となっている建物について状況を確認している仕組みがございまして、これを活用して、窓ガラスが割れているとか、大量にごみが放置されているといった情報を、区市町の要望に応じて、毎月一回、提供することなどを考えてございます。
 今後、これらの取り組みの早期実施に向けて準備を進めまして、現場を持つ当局の業務を生かして、空き家対策に協力してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。空き家対策は非常に重要でございまして、新たな取り組みについてはぜひ早期に実現をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、今後とも、区市町などと連携して積極的な対応を行っていただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
 震災時の飲料水を確保するために、浄水場や給水所などの施設は応急給水拠点となっているということと、特に給水所は、安定給水を確保するために重要な施設であるということも聞いております。
 そこで、改めて給水所の機能についてお伺いしたいと思います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 給水所は、浄水場から送られてきました水をためておきまして、水の使用量の時間的な変化に応じて配水量を調整することで、安定して配水区域の水を供給するための施設でございます。
 また、震災時における応急給水の拠点としての機能も有しております。

○うすい委員 水道局が策定した東京水道経営プラン二〇一六では、現在、五つの給水所が整備中とされており、その中でも、私の地元足立区の江北給水所は、今年度完成する予定とされております。区部東部地域の安定給水を一層向上させるためにも、江北給水所の早い完成が望まれるところであります。
 そこで、江北給水所整備の現在の進捗状況についてお伺いします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 江北給水所の整備につきましては、平成二十九年度に配水池及びポンプ棟の築造工事が完了いたしました。
 現在、完成に向けて、場内整備などの工事を施工しておりまして、本年十月下旬から施設運用の試運転を開始し、平成三十一年二月から本格稼働する予定でございます。

○うすい委員 江北給水所は、予定どおり今年度に完成をし、稼働する見込みであることがわかりました。どうぞよろしくお願いします。
 江北給水所完成後の上部利用についてでございますが、平成二十五年の予算特別委員会において、にぎわいのある施設の誘致を求める地元の声を反映させるべきとの我が党の主張に対しまして、水道局は、地元の意見も考慮しながら検討していくと答弁をいただいたところであります。
 江北給水所は、足立区の主要幹線の角地に面しておりまして、大変にすぐれたところに位置していることから、当該地を含む周辺のまちづくりに関しては、長期的視点に立って考えていく必要があると思います。
 そうした中、足立区においても、江北地区のエリアデザイン計画を近々公表予定と聞いております。そのため、今後の江北給水所の上部利用に当たっても、その立地特性を生かしまして、水道局としての利活用を図りつつ、ぜひ地元の方々の意見を踏まえ、例えば要望の強いスポーツ関係施設なども含めて、地域の発展に役立つものとなるように、引き続き足立区と調整をしながら検討を進めていただきたいことを要望させていただきます。
 次に、冒頭の質問で震災時の応急給水について取り上げましたが、平成二十三年の東日本大震災以降、震災に対する意識が高まった一方で、電力供給が火力発電主体になったことで、我が国の地球温暖化への意識が停滞している印象も若干受けるわけでございます。
 震災当時ですが、都内でも電力の供給能力が大幅に落ち込み、計画停電が生じるなど、大口需要家である水道局も大変な影響を受けたと聞いております。
 電力使用量の削減はとても大きな課題であります。そこで、水道局の電力使用量の平成二十九年度の実績についてお伺いいたします。

○松丸総務部長 当局では、高度浄水処理やポンプ圧送など、浄水過程や送配水過程において多量の電力を使用しており、その使用量は都内の総使用量の約一%に相当いたします。
 平成二十九年度の電力使用量は年間約八億キロワットアワーで、料金は約百四十二億円でございます。

○うすい委員 電力使用については大口需要家であることを確認させていただきました。
 また、電力使用量を削減すればコスト削減にもつながり、地球温暖化の防止ともなります。
 先日の新聞報道によりますと、国連の気候変動に関する政府間パネルが、地球温暖化が今のペースで続くと、二〇三〇年から二〇五二年の間に、世界の平均気温が産業革命前より一・五度上昇するおそれがあり、自然災害や環境面のリスクが深刻になると予測する特別報告書をまとめたとのことでございました。
 都も、喫緊の課題として、環境確保条例による温室効果ガス排出削減を図るなど、さまざまな地球温暖化防止策に取り組んでいるところと認識をしております。
 そこで、水道局の地球温暖化防止を初めとする環境対策の考え方と取り組み状況について伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局は、電力の大口需要家であることに加え、限りある貴重な資源である水を原料としていることから、環境対策を局の重要な施策の一つとして位置づけております。
 このため、環境負荷の低減に向け、取り組むべき施策と目標を明らかにした環境計画を平成十六年から三年ないし五年ごとに策定し、環境対策を推進してまいりました。
 現在は、平成二十七年に策定した環境五か年計画に基づき、省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入、水源林の保全など、さまざまな施策を展開し、環境対策、とりわけ温室効果ガス排出量の削減に取り組んでおります。
 このうち、エネルギー施策の一つである太陽光発電に関しましては、平成三十一年度までに発電規模累計八千キロワット以上まで導入を拡大するという目標に対し、既に平成二十九年度末現在で八千五百五十八キロワットの設備を導入するなど、計画に掲げた目標に対し、着実に取り組みを進めております。

○うすい委員 水道局は、さまざまな環境対策の取り組みを実施していることを確認させていただきました。
 都では、環境確保条例により温室効果ガスの削減義務率を定めておりますが、地球温暖化防止に対する取り組みが特にすぐれている事業所をトップレベル事業所として認定をし、削減義務率を軽減しております。
 決算の説明において、水道局は、羽村導水ポンプ所がトップレベル事業所に、稲城ポンプ所が準トップレベル事業所にそれぞれ認定されていると聞いております。
 認定を受けるためには、さまざまな基準をクリアする必要があると思いますけれども、トップレベル事業所の認定を取得する上での課題と対応についてお伺いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 トップレベル事業所の認定取得は、温室効果ガス排出量の削減義務達成に貢献する一つの策でございますが、取得に向けましては、高効率機器の導入に加え、取得を目指す職場の機運醸成や職員の意識啓発を十分に図っていくことが重要でございます。
 このため、給水所などのポンプ設備にインバーター方式を、また、事業所などの照明器具にLEDを採用するなど、電気の使用量が少ない高効率な機器の導入を積極的に推進しております。
 また、事業所内に若手職員を中心としたプロジェクトチームや省エネ推進会議を設置し、省エネルギー対策について定期的に話し合うなど、組織一丸となって省エネに取り組む体制を構築しております。
 こうした取り組みにより、平成二十七年度以降、当局の五つの施設がトップ及び準トップレベル事業所に認定されておりますが、これは、民間を含めました東京全体で、当局と同じ区分で認定された十事業所の半数を占めるものでございます。

○うすい委員 今、答弁があったとおり、十事業所のうち五事業所が水道局の施設というのは、誇ることのできる、すばらしい実績であると思います。
 水道局がさまざまな工夫をしていることを理解させていただいたところでございますけれども、しかしながら、電力の大口需要家として、これに甘んじることなく、さらなる対策が必要であるわけでございます。
 そこで、今後の取り組みについて伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後の温室効果ガス削減義務の強化を見据えますと、トップレベル事業所の認定取得は重要な取り組みでございます。
 このため、老朽化設備の更新に合わせまして高効率設備を導入するなど、水道事業経営とのバランスを十分に考慮しながら継続的に省エネルギー対策を推進いたしますとともに、引き続き、認定取得に向けて検討を進めてまいります。
 こうした取り組みとあわせまして、トップレベル事業所の認定等を通じ、環境に対する当局の積極的な取り組みを広く発信してまいります。

○うすい委員 認定取得にはさまざまなご苦労があり、課題があることを改めて認識したところでございます。地球温暖化防止のため、施策のさらなる推進を要望させていただきたいと思います。
 次の質問でございますが、財政運営についてでございます。
 こうした震災対策や環境対策はもちろん、安定給水を行うことに当たっては安定した財政基盤が必要であります。また、公営企業として、単年度ではなく、複数年度での財政運営が重要となります。
 水道事業は膨大な装置産業でありますから、長期的視点に立っての企業債の発行を行うべきと考えております。
 二十九年度の決算を見ますと、企業債の発行が約四百四億円、企業債の残高が約二千三百九十三億円となっております。
 そこで、企業債の発行について、指標などで他事業体と比較すると、水道局はどのような状況で、どのような評価をしているのかをお伺いいたします。

○松丸総務部長 当局は、将来の施設更新、特に大規模浄水場の集中的な更新を見据え、計画的に企業債残高を圧縮してまいりました。
 その結果、企業債残高は、ピーク時の昭和五十九年度末には約八千百七十九億円でございましたが、平成二十九年度末には、その三分の一以下の、先生ご指摘のとおり、約二千三百九十三億円となっております。
 この企業債残高は、給水収益二千八百八十七億円を下回っている状況にあり、水道事業体における代表的な経営指標である給水収益に対する企業債元利償還金の割合で見ますと、平成二十九年度末で七・四%でございます。
 こうした状況は、他の主要都市の同様の指標が一五%から三〇%程度であることと比較し、低い状況にございます。このため、安定給水を確保するために必要な施設整備を行っていく財源として、企業債を発行する余力が一定程度あると認識しております。

○うすい委員 企業債の発行状況について、安定した財政基盤を築いていることを確認させていただきました。
 しかしながら、今後、大規模浄水場の更新などを控え、財政面については、先ほども申し上げましたが、中長期的な視点が必要であります。
 そこで、最後に、中長期的な財源措置の方法についてお伺いいたします。

○松丸総務部長 当局では、高度経済成長期に整備した大規模浄水場が、平成三十年代以降、集中的に更新期を迎えるなど、将来を見据えた施設の計画的な更新とその財源確保が大きな課題となっております。
 こうした状況の中、財政面におきましては、不断の経営努力を行いつつ、企業債は、世代間の負担の公平性に配慮し、適切に活用していくなど、中長期的な視点に立った健全な財政運営を行ってまいります。

○うすい委員 将来に負担を残さぬよう、中長期的な視点に立っての財政運営をきちんと進めていただきたいことを切に要望しまして、私の質問を終わります。

○柴崎委員 本決算特別委員会におきましては、事業の進捗状況や財政状況、計画と実績を整理して課題を抽出し、明らかにした上で質疑をしてまいりたいと思います。
 東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインであることはいうまでもありません。将来にわたりまして水道事業を持続的に運営していくためには、切迫性が指摘される首都直下地震のほか、豪雨による浸水や渇水など、さまざまなリスクに備えていくことが必要であります。
 人口の集中が進み、都市機能も集積しているこの東京におきましては、一旦断水が起これば、都民生活にも大きな影響を与えるだけでなく、都市活動が停滞してしまうわけであります。
 平成二十八年四月に発生した熊本地震では、水道施設についても甚大な被害が発生し、断水は、熊本を含む七県で最大四十四万戸にも及びました。
 また、本年七月には、西日本を中心とする集中豪雨により、浸水による取水施設等への被害が発生し、最大約二十六万三千戸が断水したことは記憶に新しいところであります。
 危機管理に万全を期し、水道水を二十四時間安定供給することは、都民生活や都市活動を支える上で最も重要であります。水の安定給水を確保するためには、事故や災害に強い施設の整備が必要であります。
 水道水を給水する水道システムのうち、導水管や送水管、給水所は、水道施設の骨格を形成する重要な基幹施設であります。そこで、基幹施設の整備の取り組みから伺ってまいりたいと思います。
 まず、利根川水系と多摩川水系の原水連絡管二重化の整備について伺います。
 利根川水系と多摩川水系を相互に融通できる原水連絡管は、通常時はもとより、渇水や水質事故時及び地震などの災害時に大きな役割を果たす極めて重要な導水管であります。
 これまで我が党は、原水連絡管の二重化を積極的に整備するよう主張してまいりました。そして、昨年の答弁においては、東京二〇二〇大会に向けて整備を進めていると伺いました。
 そこで、改めて、原水連絡管二重化の整備の取り組み状況とその進捗状況について伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 原水連絡管二重化の整備についてでございますが、水道局では、平成二十二年度に第二朝霞東村山線の工事に着手いたしました。
 本工事はシールドトンネル工法によるもので、平成二十八年度までは、想定外の大きな玉石の出現によるたび重なるシールド機械の掘進停止によりまして、トンネル築造工事におくれが発生いたしました。しかし、平成二十九年度におきましては、全線のトンネル築造工事が完成し、トンネル内配管の約八割が完了いたしました。
 トンネル築造工事のおくれにより、東京水道経営プラン二〇一六で掲げた平成三十年度完成が平成三十二年度に変更となりましたが、現在、計画どおりトンネル内配管工事を行っておりまして、東京二〇二〇大会までに通水することとしております。
 なお、トンネル内の配管工事に当たりましては、綿密な管種の選定を行うことで、約三億円の事業費の低減をいたしました。

○柴崎委員 事業費削減のために、管種の見直しにより三億円の低減を行ったということは評価したいと思います。
 地中内の施工であるため、想定できないことが起きることはやむを得ないこととはいえ、二年の遅延となるわけであります。原水連絡管の整備は、渇水や事故時での対応に必要な施設であるため、早期の完成を要望するものであります。
 一方、長期にわたる大規模工事を円滑に進めていくためには、地域住民の理解と協力を得ることが重要と考えます。
 そこで、整備工事に当たっての地元への配慮についてお伺いいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 工事に当たっての地元への配慮についてでございますが、本整備はシールドトンネル工法による工事のため、立て坑箇所は長期にわたる工事拠点となることから、トンネル築造工事後は、周辺家屋への環境影響に配慮いたしまして、立て坑を囲う防音施設の大きさを最小限にいたしました。
 また、資材搬入口も、道路通行への影響を考慮した位置に変更するなどの対応も行いました。

○柴崎委員 住民に理解を得るよう取り組みを推進するとともに、東京二〇二〇大会を控える中、今後、工事におくれが生じないよう工事管理を徹底していただき、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、送水管の二重化整備とネットワーク化について伺いたいと思います。
 本年六月に発生いたしました大阪府北部を震源とする地震では、送水管が破損し、二十万人以上が断水等の被害を受けたわけであります。このような大規模地震の発生によりまして個々の施設が機能を停止しても給水を確保できるよう、水道施設全体としてのバックアップ機能の強化が必要であります。
 重要管路である送水管については、これまでも、災害や事故時等において送水管が機能を停止した際に、給水所への十分な水の確保ができない場合があると聞いております。
 そこで、送水管の二重化、ネットワーク化の取り組み状況についてお伺いいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 送水管の二重化、ネットワーク化の取り組みについてでございますが、朝霞浄水場から上井草給水所に送水する朝霞上井草線の二重化となる第二朝霞上井草線の整備につきましては、平成二十七年度に工事着手いたしました。
 平成二十八年度までは、トンネル築造のための立て坑工事において、軟弱地盤対策が必要となったことから、工事のおくれが生じました。しかし、平成二十九年度には、シールド発進のための立て坑が完成し、トンネル築造工事に着手いたしました。
 本工事は、東京水道経営プラン二〇一六では平成三十二年度完成となっておりますが、朝霞浄水場内の既設管の移設等の追加工事もございまして、現在、平成三十五年度完成に向けて施工中でございます。
 また、送水管のネットワーク化として、臨海部の有明給水所への送水の二系統化整備につきましては、平成二十九年度に工事着手いたしました。本整備の完成は平成三十一年度を予定しておりましたが、トンネル築造のための立て坑工事では、近接する共同溝の安全対策の協議や想定外のコンクリート支障物の出現によりまして工事におくれが生じましたことから、現在、平成三十二年度完成に向けて施工中でございます。

○柴崎委員 朝霞上井草線の整備は三年おくれとなり平成三十五年度に、有明給水所の二系統化整備については、完成時期が一年おくれるということで平成三十二年度になるということであります。
 有明給水所は、東京二〇二〇大会の開催地となる臨海地区の安定給水に資する重要な施設であることから、おくれることなく着実に送水管整備を行うことが必要だと考えます。
 そこで、今後、整備の進捗を着実に図るために、どのような点に留意し施工を行っていくのか、伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 有明給水所整備における施工の留意点についてでございますが、今後予定しているトンネル築造工事や配管工事などは、昼夜間による施工を計画していることから、安全対策に万全を期してまいります。
 また、複数の工事を同時に施工する必要があることから、綿密な調整を行い、工事におくれが生じないよう工程管理を徹底してまいります。

○柴崎委員 有明給水所の送水管の二系統化の早期完成に向けて、おくれることがないよう、しっかりと工程管理を行っていただきたいと存じます。
 送水管に引き続き、配水区域に水を供給するための拠点となる給水所の新設整備について伺いたいと思います。
 都内においては、一つの浄水場や給水所から給水している配水区域が広大になっている地域があります。災害や事故時等に断水や濁水の影響が広範囲に及ぶおそれがあると聞いております。
 このため、安定給水を確保するためには、配水区域を分割して、各区域に拠点となる新たな給水所の整備が求められているわけであります。東京水道経営プランでは、新たな給水所として江北給水所や上北沢給水所、王子給水所の整備を行っているわけであります。
 そこで、給水所の新設整備の進捗状況について伺いたいと思います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 給水所の新設整備についてでございますが、区部東部の足立区を配水区域とする江北給水所の整備につきましては、平成二十九年度に配水池及びポンプ棟の築造工事が完了し、現在、平成三十一年一月完成に向けて、場内整備工事などを施工中でございます。
 また、区部西部の世田谷区及び杉並区を配水区域とする上北沢給水所の整備につきましては、平成二十五年度に既存施設撤去工事に着手いたしました。平成二十八年度までは、他企業構造物への影響を回避するため、その対策の追加等により工事におくれが生じましたが、平成二十九年度には、土どめ及び掘削工事が完了し、配水池本体の築造工事に着手いたしました。東京水道経営プラン二〇一六では平成三十一年度完成を予定しておりましたが、現在、平成三十三年度完成に向けて、配水池築造工事を施工しております。
 さらに、北区、足立区及び荒川区を配水区域とする王子給水所の整備につきましては、平成二十八年度に配水池築造工事に着手いたしました。経営プランでは平成三十五年度完成を予定しておりましたが、平成二十九年度に土砂搬出のための土質調査を実施したところ、一部の箇所で基準値を超える物質が検出されたため、その安全対策等に万全を期す必要があることから、完成時期は平成三十七年度となる見込みでございます。

○柴崎委員 江北給水所については今年度の完成を予定しているなど、整備の進捗がうかがえるところであります。
 上北沢給水所については工事のおくれがありましたが、現在、順調に工事が進捗しているということで、引き続き、しっかり工事を行っていただきたいと思います。
 一方、王子給水所の整備では、平成二十八年度に配水池築造工事に着手したものの、土壌汚染に対する安全対策等の対応のため、完成が二年遅延するとのことであります。
 そこで、王子給水所の工事に当たっては、住民に安心していただく取り組みが必要と考えますが、局の見解を伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 王子給水所の整備につきましては、土壌汚染に対する安全対策を含め、着実に工事を進めてまいります。
 また、土壌汚染で基準超過物質が確認されたことから、円滑に工事を進めるためには、地域住民の方に対し、地下水調査の結果などを適切に情報提供していくことが重要でございます。
 このため、土壌調査の結果を踏まえた安全対策の一環として、地下水モニタリングを継続的に実施し、その結果を工事現場に掲出するなどにより公表いたします。
 さらに、周辺住民の方に説明会を適宜開催し、工事進捗をお知らせするとともに、要望等をお伺いするなど、きめ細かな対応に努めてまいります。

○柴崎委員 整備に当たりましては、土壌汚染の安全対策を確実に実施するとともに、地元住民への理解を十分に得ながら工事を進めていただきたいと思います。
 都の水道管の長さは、地球の約三分の二周に相当する約二万七千キロメートルにも及ぶものであります。そのため、全ての管路を耐震継ぎ手化するためには、多くの時間が必要となるわけであります。
 既に、ほとんどの水道管の材質自体は強度にすぐれた管になっていることから、我が党では、減災の観点から、優先度を踏まえた耐震継ぎ手管への取りかえを実施すべきと提案してきているところであります。
 水道局におきましては、これを踏まえて、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を実施しているわけであります。こうした重要施設への供給ルートの進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

○尾根田給水部長 当局では、断水被害を効果的に軽減するため、重要施設への供給ルートの配水管を耐震継ぎ手管に取りかえております。
 平成三十一年度を完了目標とする主な重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、平成二十九年度末で、首都中枢機関、救急医療機関等は八八%、避難所となる中学校につきましては、先ほどもご答弁させていただきましたが、六三%、一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅につきましては五一%となっております。
 また、平成三十四年度を完了目標とする避難所となる小学校への供給ルートの耐震継ぎ手率は五八%でございます。

○柴崎委員 事業を着実に進めていることは理解をいたしました。
 しかしながら、平成二十八年度は、利根川水系ダムの渇水や、近年の労務単価の上昇などによりまして、工事の発注件数が減少したと仄聞いたしております。また、事業者からも、管工事案件の受注機会が減少しているとの声も聞いております。この状況では、東京水道経営プラン二〇一六に掲げた目標の進捗に影響を与えるのではないかと懸念しております。
 平成二十八年度及び平成二十九年度の配水小管工事の取りかえ延長の実績を伺いたいと思います。

○尾根田給水部長 配水小管の取りかえ延長の実績につきましては、平成二十八年度は約四百八十五キロメートルであり、平成二十九年度は約三百四キロメートルでございます。

○柴崎委員 平成二十九年度の取りかえ延長の実績が減少していることはわかりました。
 財政上の制約もあるわけでありますが、東京の安定給水を維持するためには、可能な限り工事を進めていく必要があると思います。
 また、管工事事業者の技術力を維持していくことも重要であり、一定程度の工事発注件数を確保することが必要だと考えます。
 平成三十年度はどのように対応しているのか、伺います。

○尾根田給水部長 平成三十年度予算におきましては、厳しい財政状況の中、配水小管の取りかえに予算を重点的に配分いたしまして、平成三十年度は、平成二十九年度を上回る約三百三十キロメートルを予定しております。
 また、平成三十年度の管工事発注件数は約四百件を予定しておりまして、計画的に工事を発注しております。

○柴崎委員 災害発生時の断水を回避することは非常に重要であります。引き続き、取りかえ工事の確実な事業執行を強く求めるものであります。
 加えまして、避難所に避難された方々に確実に水を届けるためには、配水管から分岐する給水管の耐震化も不可欠であります。これまで我が党は、避難所等における給水管の耐震化や応急給水栓の設置を強く要望し、そして実現をさせてまいりました。
 そこで、避難所の給水管耐震化及び応急給水栓の設置の状況について伺います。

○尾根田給水部長 避難所への給水を確実なものとするためには、供給ルートとなる配水管の耐震継ぎ手化とともに、給水管の耐震化も極めて重要と認識しております。
 このため、平成二十五年度から、避難所敷地内における水道メーターまでの給水管の耐震化を進めており、避難所約二千六百施設のうち、平成二十九年度末現在、二千百四十八施設、八四%の整備が完了いたしました。
 また、平成二十九年度からは、避難所での迅速な応急給水を可能とするため、応急給水栓の設置を開始し、避難所約二千六百施設のうち、平成二十九年度末現在、四百十二施設、一六%の整備が完了しております。

○柴崎委員 避難所の給水管耐震化につきましては、東京水道経営プラン二〇一六において、平成三十一年度までに避難所、主要な駅での給水管耐震化率一〇〇%を目標に取り組んでいるわけであります。
 しかしながら、高等学校、大学等の避難所施設においては進捗状況が厳しい状況であることも仄聞いたしております。
 まずは避難所の給水管耐震化について、平成三十一年度までの目標達成に向けてどのような取り組みを進めるのか、お考えをお聞かせください。

○尾根田給水部長 避難所の多くは小中学校でございますことから、給水管の耐震化工事に際しましては、児童生徒の安全確保の観点から夏休み期間中の施工となるなど、施工時期や施工時間等にも一定程度の制約が生じます。
 平成二十九年度末で残っている対象施設約四百避難所につきましては、今後、学校関係者等と調整を綿密に行うとともに、進捗管理を徹底し、計画的に取り組むことで、平成三十一年度の完了に向け、確実に整備してまいります。

○柴崎委員 避難所の給水管耐震化とあわせて進めている応急給水栓の設置についても、平成三十一年度の目標達成に向けてどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。

○尾根田給水部長 応急給水栓の設置に際しましても、給水管の耐震化と同様、施工時期や施工時間等に一定の制約が生じます。
 これに加えまして、応急給水栓の設置には施設管理者との覚書の締結が必要であり、これまで締結に時間を要してまいりました。平成二十九年度末で、未設置の対象施設約二千二百避難所のうち、約千六百の避難所につきまして、各施設管理者との覚書を締結しております。
 このため、覚書を締結している避難所につきましては、設置工事の時期等について早期に調整が進められることから、今後二年間で設置できると見込んでおります。
 また、覚書が未締結の避難所につきましては、各施設管理者との調整を綿密に行い、早期に覚書を締結いたします。
 こうした取り組みを進めるとともに、進捗管理を徹底することで、避難所の給水管耐震化と同様に、平成三十一年度までに応急給水栓を設置してまいります。

○柴崎委員 平成三十一年度完成に向けて、さまざまな手段を講じまして取り組んでいただくよう、強く要望いたすところであります。
 次に、私道内給水管整備についてでありますが、平成二十七年度までは工事単価の増加に対応した規模を維持していたわけでありますが、平成二十八年度から規模が縮小傾向にあるわけであります。
 平成二十七年度の整備延長は六十四キロメートルであったものが、平成三十年度には四十四キロメートルと、三割以上減少しているとのことであります。こうしたことでは、計画どおり耐震化が進まなくなるわけであります。
 このような状況について、理由をお聞かせいただきたいと思います。

○尾根田給水部長 私道内給水管整備事業は、給水管の漏水防止と耐震性向上を目的に進めております。このため、平成六年度から事業を開始いたしまして、順次、対象範囲を拡大しながら事業を進めてきております。
 ご指摘のとおり、平成二十八年度以降は、近年の労務単価や資材単価の高騰により、急激に工事単価が上昇したことから、施工規模は縮小となりました。このため、掘削範囲の縮小や配水管の埋設深度の見直しなど、工事コストの縮減対策を講じ、安定的な工事の確保に努めてきているところでございます。
 その結果、平成二十九年度につきましては、工事単価の減少分で工事を追加することで、予定規模三十九キロメートルに対しまして、約四十二キロメートルの施工が完了いたしました。
 今後も引き続き、工事コストの縮減や発注量の平準化に努め、進捗管理を徹底し、東京水道経営プラン二〇一六に掲げた平成三十七年度八五%の目標達成に向け、計画的に進捗してまいります。

○柴崎委員 避難所の給水管耐震化と応急給水栓の設置、さらには私道内給水管整備については、避難所の設置者との調整や工事単価の上昇など、計画どおり進まない理由があるということがわかったわけであります。しかしながら、平成三十七年度までの目標に向けて取り組みを進めていただきたく思います。
 あわせて、決算ベースでこの数字を見ていきますと、平成二十七年度には約百二十八億円あったものが平成二十八年度には百二十億円、平成二十九年度に至っては約八十四億円と大きく落ち込んでいるわけであります。
 そもそも、工事単価の上昇による施工規模の縮小ということだけではなくて、予算そのものが減少してしまっていることも大きく影響していると思われます。
 これらの耐震化事業は、都民生活を守る上で重要な取り組みであることはいうまでもありません。したがって、予算の獲得に向けて全力で取り組むことを強く要望するところであります。
 こうした中で、計画達成に向けて今後の取り組みに対する決意をお聞かせください。

○尾根田給水部長 避難所における給水管の耐震化及び応急給水栓の設置は、震災時における避難所での給水を可能とする重要な取り組みでございます。
 また、私道内給水管整備につきましては、漏水防止はもとより、耐震性の向上のためには必要な取り組みでございます。
 首都直下地震の切迫性が指摘される中、こうした震災対策を着実に進めていくことが水道局の責務と認識しております。
 一方、関係者との調整が必要なことや工事単価の上昇など、事業を進める上での課題もございます。このため、震災時の安定給水をより強固なものとするため、目標の達成に向けて一層の創意工夫を講じながら、事業を着実に推進してまいります。

○柴崎委員 極めて重要な工事であるとともに、あわせて、工事に関係する中小事業者におきましても、年間発注予定を参考にしながら、さまざまな準備に取り組まれております。したがって、事業規模が大きく下回った場合には、各事業者にとりましても大変厳しい状況が予想されるわけであります。都の責任において、工事単価の上昇に対応することを今後取り組むべきと考えます。
 また、創意工夫の余地がまだまだあると思いますので、今後のさらなるご努力を要請するものであります。
 水道事業は、水道料金を中心とした資金調達を行い、水道施設の更新や維持管理等への財源に充てております。
 しかし、近年、水道料金の収入は伸び悩む一方、東京の総人口は減少するとも予測され、将来的に減収の可能性もあるわけであります。限られた財源において、業務運営経費の縮減や収入の確保など、経営努力は必要不可欠であります。
 平成二十九年度は、経営に関しましてどのような努力をされてきたのか、伺いたいと思います。

○松丸総務部長 水道局では、将来にわたり安定した事業運営を継続していくため、不断の経営努力を実施しております。
 平成二十八年度から平成三十二年度までを計画期間とする東京水道経営プラン二〇一六では、五年間で百五十億円の経費縮減と収入確保に努めることを目標に掲げております。
 平成二十九年度には、民間への業務移転や執行体制の見直しによる事務の効率化により約二億円、工事コストの縮減や業務運営コストの縮減により約二十七億円、用地の売却や定期借地権制度の活用など資産の有効活用により約八億円、合計約三十七億円の経費縮減と収入確保を達成いたしました。
 これにより、東京水道経営プラン二〇一六により掲げた平成二十九年度の経営努力の計画値、約二十四億円を約十三億円上回る経営努力を実施いたしました。

○柴崎委員 二十九年度決算においては、プランの計画額から十三億円もの増収を確保できたということは、このことについては評価をしたいと思います。こうして得られた財源を水道施設の補修や施設整備に充てるということで、ライフラインを次世代へつなげていっていただきたいと思います。
 給水所の新設や耐震継ぎ手管などの施設整備を計画的に行うことは、災害や気候変動などに強い水道をつくり、将来起こり得るさまざまな危機に対応できる体制を構築することにつながるものと思われます。
 今回、質疑の中で、水道局で整備を進めている幾つかの施設で進捗のおくれがあることが明らかになりました。水道局が、経営努力により施設整備に充てる財源を確保していることや、進捗におくれがある案件についても適切な対応がとられていることは評価いたしますが、さまざまなリスクに対して万全の備えをするためには、計画にのっとった対応が不可欠であります。
 今後は、進捗の適切な管理を通じて施設整備計画を円滑に進めていただくよう、改めて要望させていただきまして、次の質問に移ります。
 次は、工業用水道の決算について何点か質問いたします。
 先月の第三回定例会で工業用水道事業廃止条例が可決されました。ご案内のとおり、この問題は、既に平成十六年度、そして二十六年度の包括外部監査で指摘されておりました。
 もともと都における工業用水道事業は、地盤沈下対策として始められたものであります。そして、平成二十七年度の地下水対策検討委員会では、都内では地下水位が全体として回復傾向にあり、地盤沈下も沈静化傾向が継続しているが、局所的には地盤収縮などの課題が依然として残っているとして、現行規制を継続しながら、さまざまな角度からデータ分析を行うことで地下水の実態を浮き彫りにし、時間をかけて丁寧な検証に取り組んでいく必要があるとしております。
 このように、工業用水道事業は都民生活の安全に直結する重要な事業であります。このため、事業の抜本的な経営改革の方法や将来的な事業のあり方について検討していた有識者会議も、結論を出すのに、平成二十六年十二月から本年の六月までの期間を要したものと思われます。
 ところが、この報告が出た途端、これまで都の地盤沈下対策に協力してきた都内中小企業ユーザーの方に事前の説明をすることなく、突然、事業廃止を発表し、三カ月後の定例会に廃止条例が上程されたわけであります。
 委員会として事業廃止を想定したアンケートはとっていたようでありますが、事業主体である東京都が廃止を決定するというのとは全く次元の違う問題であります。廃止を発表した後、慌てて各事業者の方に説明に回ったと仄聞いたしておりますが、まさに本末転倒といわざるを得ません。
 平成十六年に監査の指摘を受け、十年後の平成二十六年に有識者委員会を設け、ことしになってようやく報告がまとまったのであります。すると、その三カ月後にいきなり事業を廃止したわけであります。都民の安全・安心を守る事業への取り組みとしては、余りにも性急かつずさんであるといわざるを得ません。
 東京都は、今回、事業廃止をするに当たり、最も大きな理由としているのが、ユーザーの減少などによる赤字、老朽化した施設の更新に多額の費用がかかるというものであると理解をしております。
 そこでまず、工業用水道の料金収入について、平成二十九年度から直近三カ年の決算額及びこれまでの推移についてお伺いいたします。

○松丸総務部長 工業用水道料金の収入は、平成二十七年度が約七億一千万円、平成二十八年度が約六億八千万円、平成二十九年度は約六億九千万円となっております。
 工業用水道の需要は、各種公害規制強化等による工場の都外転出に伴う利用者の減少、水需要の合理化等により年々減少しております。
 料金収入に影響する基本水量は、昭和四十九年度の日量三十七万立方メートルをピークに、平成二十九年度は日量三万六千立方メートルと、約十分の一に減少しております。料金収入も、昭和五十八年度の二十八億九千万円をピークに減少傾向でございます。

○柴崎委員 工業用水道事業をめぐる経営環境が非常に厳しい状況であるということはよくわかりました。
 そうした中にありましても、メンテナンスは当然必要であります。委員会の検討も継続中で、事業廃止の具体的な話が全くない中、平成二十九年度において、所管局としては、今後も一定期間は事業を継続していくという前提で作業を進めていたことだと思います。
 そこで、平成二十九年度における工業用水道配水管の更新及び撤去に要した費用と、更新及び撤去した配管それぞれの延長はどの程度だったのか、あわせてお伺いいたします。

○青木浄水部長 工業用水道の配水管の更新につきましては、特に漏水の危険性が高い材質の管路等を対象といたしまして、平成十年度からの八カ年を計画期間といたします改築事業計画に基づき実施をいたしておりましたが、これ以降は、布設年度が古く、漏水の危険性が高い管路を取りかえてまいりました。
 平成二十九年度は、板橋区蓮根や墨田区横網のほか、東京二〇二〇大会の会場周辺など、延長約一・七キロメートルを取りかえ、費用は約六億六千万円でございます。
 また、工業用水道の利用の取りやめに伴い不要となりました配水管につきまして、二十九年度は延長〇・九キロメートルを撤去し、費用は約七千万円となってございます。

○柴崎委員 今、ご答弁いただいたわけでありますけれども、二〇二〇年大会も視野に入れて、取りかえ工事に約六億六千万円、撤去工事には約七千万円ということになるわけですから、合計で七億三千万円が投じられたということでありますね。それが、ことしになっていきなり事業廃止条例が提案されるということなど全く想定せずに、着々と事業を進めていたことがよくわかりました。
 事業廃止も一つの行政施策であります。当該事業に関する方々に丁寧に説明をし、意見を伺うことが必要であります。事業主は東京都であります。いうまでもなく、説明責任は都にあるわけであります。そして、地盤沈下対策という観点からは、工業用水道のユーザーの方々だけではなくて、全都民に対して説明していく責任があります。
 有識者会議の委員長は、会議では地下水については議論をしていないことを明らかにする一方、都が規制している地下水の利用については、モニタリングなどをしながら、慎重に引き続き検討すべきとの見解をお示しになっております。
 工業用水道事業を廃止するに当たっては、地盤沈下対策との関係を説明しなくてはならないわけであります。水道局としては、庁内で関係部署としっかりと連携をし、事業所管局として、きちんとユーザー、そして都民に説明をする必要があると考えます。
 そして、今回、工業用水道事業を廃止するに当たって、一般会計から一千億円を超える繰入金を投入する計画とのことであります。この点についても、都民への説明責任の観点から十分な議論が必要であります。
 そこで、現状における工業用水道事業への一般会計繰り入れの状況を確認したいと思います。一般会計からの繰入金について、その考え方と直近三カ年の決算額について伺いたいと思います。

○松丸総務部長 一般会計繰入金は、稼働配水施設の不採算部分を繰り入れ対象経費として算出しております。
 直近三カ年の決算値は、平成二十七年度が約四億七千万円、平成二十八年度は約五億七千万円、平成二十九年度は約六億八千万円となっております。

○柴崎委員 四億七千万円、五億七千万円、そして六億八千万円ということで、徐々に繰入額がふえてきているわけでありまして、この事業運営が厳しい状態が続いていたことがよくわかりました。
 さきの連合審査会においては、都の水道事業に大変造詣が深い有識者会議の委員長が、もう少し早く手を打つべきであった、正直申しまして都の怠慢であったのではないか、あるいは、工業用水を廃止するというのは東京都の都合、そして、一方的に中小企業の方に押しつけるというのは問題だと、このように問題の本質を明確に指摘されているわけであります。
 これまで水道局は、工業用水道事業を、地盤沈下対策としての必要性を踏まえ、着実に事業を進めてきたと理解しております。それが、廃止すべきという報告を受けた途端、ユーザーに事前説明もせずに、支援策の詳細、そして財源問題、既存施設の取り扱い、会計処理など、議会としっかりと議論をすることをしないで、報告から三カ月で廃止を決定したわけであります。スピード感を持って施策を進めるということとは全くかけ離れた、中身を議論することもなく、ただひたすらに廃止することだけを慌てて可決するというものでありました。
 水道局は、ユーザーの声を丁寧に聞いて水道事業を進められております。有識者会議の委員長も、日本全体の中で東京都の役割は非常に大きい、そして、東京都というのは世界に誇れる水道事業であると発言をされております。私ももちろん同感です。その意味におきましても、今回の水道局の対応には大きな疑問が残ります。
 地盤沈下対策、支援策の詳細、そして財源の問題など、引き続きしっかりと説明責任を果たし、世界に誇れる水道事業を推進している水道局の名に恥じないよう、きちんとした取り組みを展開していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十五分休憩

   午後三時十四分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 まず、資料の提出をありがとうございました。
 私からは、震災対策と老朽化した管路の更新、そして、水道局の監理団体である株式会社PUCへの業務委託について質疑をさせていただきます。
 まず、震災対策についてです。
 ことしは大きな震災や豪雨災害が相次ぐ中で、ライフラインとしての水道事業が果たしている重要な役割について認識を新たにすることとなりました。
 現在、水道局が行っている水道管路の耐震継ぎ手化の対策は、震災時においても可能な限り都民へ給水を継続すること、また、漏水の事故をなくし、消防のための水を確保するためにも、とても重要な対策です。
 そこでまず伺いますが、昨年、二〇一七年度の水道管路の耐震継ぎ手化の予算額と決算額、耐震化した距離はどのようになっているでしょうか。

○尾根田給水部長 平成二十九年度の送配水施設整備事業における配水管取りかえの予算額は約九百三十億円、決算額は約八百億円でございます。
 また、配水管の取りかえにより耐震継ぎ手化を行った延長は、約二百九十キロメートルでございます。

○斉藤委員 予算額約九百三十億円に対して決算額は八百億円ということなので、執行率は八六%ということになります。予算額と決算額の差については先ほど伺いましたけれども、特にオリンピック関連施設の周辺では工事が立て込んでいて、工事の進捗がおくれているということも伺いました。施行主との調整も必要だと思いますが、着実に進めていただきたいと思います。
 水道局では、マスタープランや経営プランの中で、耐震継ぎ手化の目標について、二〇二〇年度までに五〇%、二〇二五年までに六一%と掲げています。資料によると、昨年度の到達は四三%となっています。災害時であっても安定した水の供給をしていくためにも大切な事業ですので、目標達成も前倒しにできるように取り組みを進めていただくことを求めます。
 この耐震継ぎ手化について、水道局では対策を行う場所を重点化して進めております。救急医療機関や避難所となる小中学校、また、一日当たりの乗車人数が二十万人を超えているターミナル駅など、それぞれ目標に対しての進捗状況について伺おうと思いましたが、これまでの質疑の中に、小中学校に対しての進捗状況というのはご答弁がありました。
 改めて、救急医療機関や一日当たりの乗車人数が二十万人を超えているターミナル駅についての目標の進捗状況をお聞かせください。

○尾根田給水部長 平成三十一年度を完了目標とする需要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率でございます。
 平成二十九年度末で、首都中枢機関、救急医療機関等は八八%でございます。それから、一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅でございますが、五一%となっております。

○斉藤委員 一昨年度の到達についても私たちは確認をしておりますが、一昨年度は、首都中枢、救急医療機関は八五%、避難所のうち中学校が五三%、駅は四三%でしたので、この一年間で、中学校で一〇%、主な主要な駅では一〇%弱の耐震継ぎ手化が進んだということになります。
 救急医療機関等については、目標到達はほかよりも進んでいるものの、昨年は三%しか進んでいないということになります。特に、災害時に救急医療機関で水が使えないような事態にならないように取り組みを強化していただきたいと思います。
 水道局のマスタープランの中では、耐震継ぎ手化の対策の具体的な取り組みの中に、被害が大きいと想定される地域という記載があります。これは、実際にはどういう地域が想定されているのでしょうか。

○尾根田給水部長 被害が大きいと想定される地域は、東京都防災会議による地震の被害想定をもとに作成された液状化の危険度や地震動に加え、水道管路の耐震継ぎ手化の進捗などを考慮いたしまして、断水率の高い地域を想定しております。

○斉藤委員 首都直下型地震における断水率の想定ということで、経営プラン二〇一六にも地図が示されていますが、その地域が被害が大きいと想定される地域だということでした。
 それを見ますと、多摩直下型でも、東京湾北部地震の想定でも、私の地元の足立区は断水率が四〇から六〇%、そのほかの江東五区や大田区などでは断水率が六〇%ということが示されています。
 この被害が大きいと想定される地域ですが、優先箇所と位置づけられていても、何年までに何%という具体的な目標設定はありません。足立区では木密地域も多く、災害時に火災が発生したときに断水が起これば、火も消せなくなってしまうと心配する声もあります。
 この間、これまでに経験したことがないような災害が続き、首都圏でも、今後三十年以内にマグニチュード七クラスの直下型地震が起こる確率が七〇%ということが想定されています。改めて、東京都水道局としても、取り組みの強化を再検討していく必要があるのではないかと考えます。
 この被害が大きいと想定される地域にも目標設定を行うこと、また、ほかの重点箇所での目標値の引き上げなどを検討していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 現在、今後の施設整備のあり方について、外部の有識者のご意見を伺いながら検討を進めております。
 この中で、効果的に断水被害を軽減できるよう、耐震継ぎ手化の整備について検討を行っております。

○斉藤委員 今後の整備のあり方について検討を進めているということでした。ぜひ前向きに前進できるよう強化をしていただきたいというふうに思います。
 次に、老朽化した管路の更新について伺います。
 六月十八日に発生した大阪北部地震では、老朽化した水道管の破裂によって大規模な断水が起こりました。高槻市で破裂した水道管は、布設から五十五年、吹田市で破裂したものは五十三年が過ぎていたということが報道されています。
 布設から五十年を超える管路がまだ残っている東京都としても、他人事ではない事故だと思いますが、大阪北部地震での水道管の破裂事故について、都としては検証を行っているのか、また、その教訓をどう生かしていくのか、教えてください。

○尾根田給水部長 大阪北部地震における水道施設への影響につきましては、地元自治体からの情報収集に加えまして、土木学会地震工学委員会主催の、二〇一八年六月十八日、大阪府北部地震の調査報告会に出席いたしまして情報収集をいたしております。今回の地震では、老朽化した管路の破裂が発生したとの情報を得ております。
 今後も、情報収集を進めるとともに、この地震による老朽化した管路が破裂したという教訓を踏まえまして、管路の更新などを積極的に推進してまいります。

○斉藤委員 土木学会主催の調査報告会などで情報を収集しているということです。
 私も、破裂した管路の管理をしている大阪広域水道企業団に、管路の材質などについても伺いました。地震当時、高槻市と吹田市、大東市の計三カ所で破裂、漏水事故が起きたということですが、高槻市と吹田市の管の材質はダクタイル鋳鉄、大東市のものは、ダクタイルの前に使われていた強度の低い高級鋳鉄管というものだったということです。
 また、日本ダクタイル鉄管協会にも伺いましたが、ダクタイル鋳鉄管も規格が更新されていて、古い規格のものだと材質の伸びがよくないということがあるということでした。
 東京都でも、もちろん、老朽化した管路は強度の高いダクタイル鋳鉄管で更新を行っているところですが、東京都では、強度の低い鋳鉄管による管路は何年以前に布設されているものなのか、また、現在どれくらい残っているのか、教えてください。

○尾根田給水部長 強度の低い鋳鉄管でございますが、おおむね昭和四十年代までに布設されておりまして、平成二十九年度末で、約二十キロメートルが残存しております。

○斉藤委員 約二十キロメートルがまだ残っているということですが、どのような場所に残っているのでしょうか。

○尾根田給水部長 強度の低い鋳鉄管は、河川横断部や地下埋設物が密集した施工が困難な箇所に残存しております。

○斉藤委員 工事施工が困難なところに残っているということですが、この対策は、ぜひとも強化をして取り組んでいただきたいというふうに思います。
 老朽化した管路の更新対策というのが、東京のライフラインを守るとともに、事故を起こさず、都民の生活や財産を守るためにも非常に重要なことだということを改めて痛感させられることがありました。
 七月に北区の西ケ原で二度にわたって起きた水道管の破裂事故です。地震などとは関係なく、東京の都心で突如として起こった事故に、まさかという大きな衝撃が走りました。事故現場の水道管は、まさに布設から六十年以上がたち、老朽化が激しい状況だったということです。
 先日、私は、北区の地元の曽根はじめ都議とも連携をして、この事故現場に伺いまして、周辺の方々からお話を伺ってきました。地元の方々によると、事故現場のすぐそばの本郷通りの下には地下鉄南北線が通っていて、地下での工事が長年続いていたということです。また、マンションやビルの建設工事も通り沿いで続いているということで、確かに、今も周辺では建設工事が行われている状況でした。管路の老朽化の問題だけでなく、地盤からの影響も何かあり得るのではないかという心配の声がありました。
 今後の対策の中では、あらゆる要素から管路の状況を確認して早急な対策をとっていただくよう、要望をいたします。
 この漏水事故では、近くの商店街が大きな被害を受けました。とても活気のある商店街で、八百屋さん、お魚屋さん、雑貨屋さんのほかに、花屋さんや用品店、カフェなどが軒を連ねているんですけれども、この店舗に、事故当時は泥水が膝の上のあたりまで流れ込んできたということです。商品も泥水につかったり、冷蔵庫などの設備が壊れてしまって、いまだに一〇〇%の営業が再開できていないというお店もありました。
 西ケ原の事故現場で浸水被害があったのは二十六件だったと聞いていますが、この方々への補償はどのようになっているのでしょうか。

○尾根田給水部長 まずは、北区西ケ原の漏水事故によりまして被害に遭われた住民の皆様に対しまして、心よりおわびを申し上げます。
 今回の漏水事故では、地元商店街に泥水が流れ込み、一般家屋のほか、診療所、店舗などが浸水いたしました。これにより、医療機器や業務用冷蔵ケースなど、営業に必要な機械機器の故障、販売商品の傷み、片づけ等のため営業を停止するなどの被害が生じております。
 現在、原状回復に要した費用など、被害の詳細を個別に確認させていただいておりまして、これまでに賠償を辞退された方を除く二十二件の方と調整を行っております。

○斉藤委員 補償の状況について現地でもお話を聞いてきましたが、書類の提出を何度していても、これでは上が認めないといわれて書類を返されたりして、もう四カ月がたとうとしているのに全然話が進まないという声を多く聞いてきました。
 そこで確認をしたいのですが、漏水事故があったときの補償の基準はどのようになっているのでしょうか。

○尾根田給水部長 漏水事故が発生した場合は、国家賠償法を根拠に、漏水事故と損害との間に因果関係を有すること、実損または原状回復の程度を超えない金額であることを基本といたしまして、個別に状況を確認し賠償を行っております。
 損害状況が確認できたものにつきましては、迅速に支払いを行うよう努めております。

○斉藤委員 実損または原状回復の程度を超えない金額であることを基本とするということですが、その確認で補償がおくれているというようなことでしょうか。
 用品店も幾つかありましたが、泥水につかったものでも、クリーニングに出したらまた売れるのではないかとか、陳列の棚なども、泥水につかったところだけ補修できたらいいのではないかとか、とにかく無理なことをいってくるということで、水道局に対する不信感が口々に語られました。
 いうまでもありませんが、泥水につかった洋服を洗ったとしても、それはもう商品にはなりません。これには私もちょっと驚きました。事故を起こしたのは水道局なのに、被害に遭った人たちを疑うような状況で、ひどいんじゃないかという厳しい意見も聞いてきました。
 また、傷んで売り物にならなくなってしまった商品については、売価ではなく仕入れ値で補償するということをいわれているということも伺いました。しかし、当然ですけれども、商店の方々は商品を売ることで生計を立てているので、売価での補償がなければ生活も成り立たないし、営業のための資金繰りもできません。
 営業できなかった期間の営業補償もきちんとするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○尾根田給水部長 今回の漏水事故によりまして被害に遭われた住民の皆様には、おわびを申し上げるとともに、その被害状況をお申し出いただくよう説明しております。
 また、賠償の対象や必要な書類などについてお問い合わせをいただいた場合には、丁寧に説明するよう努めております。
 お話の営業補償につきましても賠償の対象としており、これまで被害をお申し出いただいた方は十件でございまして、このうち二件は既に支払いを完了しております。
 引き続き、被害者の皆様には誠意を持って対応してまいります。

○斉藤委員 今、二件については完了しているということもありました。しかし、今、ご答弁いただいているような丁寧な対応とは印象が全く違う話が現場では聞かれます。四カ月もたっているのに、全然、のらりくらりとして進まないという声が圧倒的でした。今、営業補償を行うという答弁でした。しっかりこれはやっていただきたいというふうに思います。
 特に、設備が壊れて事故前と同じ営業ができていない店舗に対しては、長引けば長引くほど補償額も大きくなります。商店の方々の被害を値踏みするようなことではなく、誠実に対応していただき、早急に求められる補償を行っていただくように強く要望いたします。
 次に、水道局の監理団体、株式会社PUCへの業務委託について伺います。
 東京都は監理団体を指導監督する立場にあり、事業概要にも東京都からのガバナンスを強化していくことが示されています。
 知事が掲げる都政改革の一部として、総務局では現在、各監理団体に経営改革プランを作成させて、その内容が総務局のホームページでも公開されています。
 まず、基本的なところですが、監理団体を指導監督するに当たって、総務局と監理団体所管局、つまり水道局との間でどのような役割分担がされているのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 総務局は、監理団体の指導監督に関する事務の統一的な処理を図るための総合調整を行ってございます。
 また、監理団体を所管する各局等、水道局もここに入りますが、こちらは、東京都監理団体指導監督基準等に基づいて、監理団体に対する直接的な指導監督に関する事務を処理しているということでございます。

○斉藤委員 総務局は統一的な事務を図るための総合調整、水道局は、東京都監理団体指導監督基準に基づき、監理団体に対する直接的な指導監督をするということです。
 株式会社PUCについて伺います。
 先ほどガバナンスの強化ということもいいましたが、水道局では、PUCの持ち株比率も引き上げて、今では八四%の株式を東京都が保有して東京都水道局の関与を強化していると認識しています。
 そのPUCでは、二〇一六年度から専任社員制度を導入しています。この専任社員制度の導入経緯について、水道局は、先ほどの監理団体指導監督基準に基づいて、どのように関与しているのか、教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 株式会社PUCの専任社員は、業務別に勤務地を限定した常勤の雇用形態でございます。
 この専任社員制度は、役割に応じた多様な雇用形態を整備し、特定の業務に従事する社員をバランスよく配置することで、多様な働き方へのニーズに応えるとともに、事業の安定的かつ効率的な運営を図るために構築したものと聞いております。
 また、当局の監理団体に対して指導監督を的確に行うため、監理団体との間では業務運営に関する協定を締結しておりまして、定款の変更や役員の選任等、会社の運営上重要な事項については、当局に協議をするということになってございます。
 お話の専任社員制度の導入につきましても、当然、これに該当するというふうに考えております。その協議に当たりましては、法令や当局の経営方針との適合関係について確認を行ったところでございます。

○斉藤委員 この制度の導入に対して、東京都監理団体指導監督基準に基づいて、関係規定の制定について協議をしているということ、それから、この専任社員制度が法令等や水道局の経営方針等と適合しているということを確認しているというご答弁でした。
 東京都監理団体指導監督基準の第8に、職員の人事及び給与に関する指導監督の基準が示されており、監理団体の職員の採用、任用制度、また給与にまで非常に強い権限を水道局が持っていることがわかります。
 PUCは、経営改革プランの中で、専任社員比率を高めることを目標として掲げていますが、この経営改革プランの中身や目標設定について、水道局はどのように確認あるいは関与しているのか、教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 今回、株式会社PUCが策定した経営改革プランは、自己点検等を踏まえて抽出した経営課題について、平成三十年度から三カ年で重点的に取り組む改革事項を取りまとめたものでございます。
 当局は、総務局の依頼に基づき、監理団体に同プランの策定を指示するとともに、その内容について調整を受けてまいりました。調整に当たっては、法令や当局の経営方針との適合関係について確認を行いました。
 お話の専任社員比率、また、その経営プランの中身についてもですが、こういったところ、特に専任社員の比率の目標としているところについては、法令や当局の経営方針に反するものではないというところで、私ども水道局としては、監理団体の自主性、自律性を尊重し、この経営改革プランについて認めているところでございます。

○斉藤委員 専任社員の比率の目標についても、水道局の経営方針等との適合を確認して認めているというご答弁です。
 このPUCの専任社員制度をめぐって、東京都労働委員会に対して、労働者の方々が会社側の不当労働行為を申し立てる労働争議が起きています。専任社員制度の導入が労働者側に事前の協議や合意がないままに行われ、労使間で結んでいた事前協議、合意協定に違反すると訴えているものです。
 昨年十月には組合側の全面勝利の和解が成立をして、都労委は会社側に対して、労働条件の変更に当たっては、労使間の覚書及び確認書に基づき、事前に労使にて協議を行い、労使の合意をもって実施することを確認するということ、そして、会社は今後、組合から専任社員の労働条件に係る協議を申し入れられた場合には誠実に協議に応じることを求めました。しかし、その後も会社側のこの和解協定の不履行と不誠実団交があり、組合は再び本年九月七日に不当労働行為の申し立てを行っています。
 この専任社員制度の内容について確認なんですが、専任社員と正社員の業務の違いと、そして、給与水準、処遇の違いについて教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 専任社員は、勤務地限定でお客様サービスのプロフェッショナルとして、現場業務に専任的に従事しております。その他の正社員は、現場業務に限らず、企画立案、総合判断を含む業務に総合的に従事しているものでございます。そのため、就業規則、賃金規定では、それぞれの役割と責任に応じた給与水準、処遇を定めていると聞いております。
 具体的な給与水準、処遇でございますが、当然、業績評価によっても変わる面はございますが、一般的なモデルとして、専任社員は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を参考にした高校卒業程度をモデルとする年俸制であり、勤続十一年目で業務主任に昇任することができるというものです。
 これに対しまして、その他の正社員は、大学卒業程度をモデルとする月給制で、勤続七年目で主任に昇級するという仕組みになってございます。

○斉藤委員 今、給与水準、処遇の違いについてご答弁がありましたけれども、今のご答弁のとおり、この専任社員は年俸制で、高卒で入社初年度は二百四十万、住宅手当や扶養手当などは年棒に含むという規定で、実質は手当がほとんどありません。一時金も、パフォーマンス手当という名目で、規定上は、査定によってはゼロということもあるという内容です。働く労働者に対して非常に不利な条件になっています。同じ業務を行う労働者の間に処遇の格差が持ち込まれている状況です。
 専任社員は勤務地が限定されているということもおっしゃいましたが、実際には、都内でも四分割されたエリア内での勤務であり、専任社員以外の正社員としても、勤務地の変更はほぼ都内だけで、本人の同意が必要という点からすれば、ほとんど条件に違いはないわけです。
 専任社員の生涯モデル賃金について、PUCの現場の方々が試算をしています。それによると、年収の差は、入社二年目から早くも三十万以上近くの差がつき、三十歳では、年収は正社員の六六%まで落ち込み、以後、五十五歳までの働き盛りの世代にわたって、ずっと正社員の年収の六〇%台に抑え込まれたままになるということが試算されています。
 こういう雇用を水道局の方針のもとにつくり出していることについて、どう認識されているでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 株式会社PUCの専任社員制度は、多様な働き方へのニーズに応えるとともに、事業の安定的かつ効率的な運営を図るために構築したものであり、お客様サービス業務のプロフェッショナルとしての、長期的、安定的に業務を行うことが期待されるもので、持続可能である責任ある執行体制の実現に寄与するものと聞いております。
 なお、監理団体社員の労働条件は、雇用者と被雇用者により決定されるものと認識をしております。

○斉藤委員 多様な働き方のニーズに応える、そういう言葉でもって待遇に格差を持ち込むということ、私、これは重大な問題だというふうに思います。
 それから、その労使の問題については、当事者間の問題というような発言でしたけれども、今まで伺ってきたとおり、このPUCの経営方針には、東京都水道局の経営方針が大きく反映されているわけです。その方針に沿っているものだということを確認を行った上で、こういうことをやっているわけです。
 次に、人件費や給与体系に密接にかかわる問題として委託料について伺います。
 二〇一七年度のカスタマーサービス業務に関するPUCの委託料は幾らだったか、また、どのように積算しているのか、特に人件費はどのように考えられているのか、教えてください。

○小山サービス推進部長 お客様窓口業務については、二十三区内の営業所、多摩地区のサービスステーション及びお客様センター業務が含まれております。
 二十九年度の株式会社PUCへの委託料は、六十一億四千百万円でございました。
 次に、業務委託費については、人件費総額と、それに見合う事務費等を合わせて適切に積算しております。
 また、その人件費総額については、公共機関などが公表する客観的な人件費の単価に、過去の実績に基づく業務量を乗じて算出しているところでございます。

○斉藤委員 二〇一七年度の委託料は、カスタマーサービス業務ということですけれども、六十一億四千百万円ということですが、水道局では、二〇〇六年から多摩地域のサービスステーションの業務をPUCへの委託を開始し、二〇一一年に多摩地域の二十六市町のサービスステーションの委託を完了しています。区部では二〇一一年から板橋区の営業所業務が委託され、続いて足立区、中野区などの業務も委託され、現在では区部の五カ所の営業所の業務がPUCに委託されています。それに伴ってPUCの業務量はふえており、その業務をこなすために、人員数は、十年前の二〇〇八年度から昨年度までに、ほぼ二倍の人員になっています。
 ところが、同じ期間のカスタマーサービス業務の委託料を見てみると、その金額は約一・四倍に抑え込まれています。業務量がふえているのに、それに見合った人件費の増加がないために低賃金にせざるを得ない、あるいは、そのための仕組みをつくっているといわざるを得ない状況なのではないでしょうか。
 PUCの経営改革プランのカスタマーサービス事業のページでは、事業費用の項目に、人件費抑制のため、契約社員、パート社員の活用を図っているところであると示され、人件費抑制のために専任社員制度を二〇一六年度から導入したと、あからさまに書かれています。
 PUCの強引な専任社員制度の導入は、東京都のコスト削減の対象に人間の労働を落とし込む、そういう方針と、低く抑え込んだ委託料が原因になっていることは明らかではないでしょうか。
 さらに、この専任社員制度でひどいのは、未来のある若者を積極的にこの制度で採用し、生涯にわたって低賃金で働かせようとしているところです。
 PUCの経営改革プランの経営課題解決のための戦略というページでは、株式会社ならではの雇用手法の導入を図り、人材の確保、育成及び人材の活用体制の整備を図ると記され、具体的には、高卒を対象として専任社員の配置拡大を図ると記載されています。
 東京都水道局の方針のもと、未来のある若い人たちをターゲットに安い労働力を広げていくことに対して、水道局はどのように認識しているのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 先ほどもご答弁を申し上げたのですが、PUCの専任社員制度は、多様な働き方へのニーズに応えるとともに、事業の安定的、効率的な運営を図るために構築したものでございます。営業所業務一つをとっても、そこでプロになっていただくというか、そういう形の中で一つの業務に邁進していただく。
 総合社員の方は、やはりそうはいっても、いろんな経営の場面に立ち会うということになりますので、それなりに仕事の量を含めて広がるわけでございます。
 そういった中で、まさにエキスパートとして、ルーチン的な業務になりますが、そこについてはお任せできる、そういう社員の制度をつくってございます。
 実際の人事制度の設計でございますが、仮に、今やっているお仕事よりも、もう少し幅を広げたいというようなことがあれば、総合職への転職制度ということで、内部選考になりますが、そういう形の複線ルートで人事上の処遇も考えてございますので、いろいろと多岐にわたる方法を考えているというところもございます。

○斉藤委員 今、こういう制度もあるということでご紹介もいただきましたけれども、まだ始まったばかりの制度の中で、実際にそういう保障というのはないわけです。圧倒的に従来の正社員とは不利な条件に置かれていると。組合の方々の話によると、採用された方々は、そういう仕組みについて細かく説明を聞いていないという方が多数だということもいわれています。
 監理団体指導監督基準に基づいて監理団体の職員の採用、給与にも権限を持って、内容を確認して、このPUCの専任社員制度の導入についても、局の方針と適合しているということを先ほどは答弁しておりました。そういう直接的な指導監督を行っていること、局の経営方針とのすり合わせ、そして委託料の抑制、多くの点で、PUCの社員の労働条件に関与しているということが実態ではないでしょうか。
 それに、PUCの役員は半数が水道局の現職です。経営改革プランの策定や専任社員制度の導入の決裁にも水道局の職員がかかわっているということです。
 原因をつくっておいて、その結果には、当事者との間の問題なんだというふうに関係ないということでは、余りにひどいといわなければなりません。
 PUCの組合の方々は、この六月に専任社員についてのアンケート調査を社内で行っています。その中身を少し紹介したいと思います。
 処遇が違うことについて、今の専任社員制度に納得していますかという問いに、過半数の五五%の方が納得していないと答えています。専任社員と正社員で作業内容や責任範囲に差があると思いますかという問いには、圧倒的多数の九四%の方々が差がないと答えています。また、定期昇給などの制度の違いについてどう思うかという問いについては、七〇%の方が差があり過ぎるというふうに答えています。
 自由記述のアンケートには切実な声が寄せられています。同じ仕事で処遇が違うのは納得がいかない、給料が低くて生活するのが苦しい、このままだと続けたくても続けられない、将来的に家庭を持つようになったら、とても生活できる水準にあるとは思えない、また、高校生をだましていないか、満足な交渉もなく実施された専任社員制度、せめて事後的にでも、その待遇改善について真摯に応じるべきだという声が書き込まれています。
 私は、東京都がこのような官製ワーキングプアを生み出していくようなことは許されないというふうに思っています。労働者を踏みつけにして、そこにあぐらをかいているような東京都ではいけないと私は思います。
 さらにアンケートには、同じ職場で同じ仕事をしているのに明確な処遇の差があり、著しく士気が下がる、また、現行の制度のままでは、優秀な人材や一人前に成長した人材がやめていってしまうと思う、こういう声が集まっています。
 この制度は、働く人たちを苦しめているだけでなく、質を保ったサービスを継承できず、PUCの存続にもかかわる重大な問題なんだということを、水道局としても重く受けとめなくてはならないと思います。
 今、PUCの労働者と経営者側の間で起きている労働争議、具体的には、労働条件の変更に当たっては、事前に労使で協議し合意するという当然のことを約束しているにもかかわらず、それを守っていない、そういうことに対して、水道局は大きな責任を持っていると考えますが、これについての認識はどうでしょうか。
 指導監督をするという立場なら、働く人たちの訴えに対して、PUCの経営側がきちんと応じるように指導するということが本来だと考えますが、いかがでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 今、委員ご指摘の争議の件についてでございますが、私どもの方も、本年九月に株式会社PUCの社員が所属する労働組合が東京都労働委員会に行った、不当労働行為救済申し立てということで行っているわけですが、主な内容につきましては、申立人である労働組合から労働条件にかかわる協議を申し入れた場合には誠実に協議に応じるようにということになっているんですが、それが応じられていないというようなご主張をいただいております。
 一方、これに対して株式会社PUCの方では、これまで申立人の協議には常に誠実に対応し、協議に応じてこなかった事実はないということなんですが、これは窓口を閉ざしたということではなくて、必ず団交には応じるようにしていますけれども、その中身が、労働組合の方はいまだゼロ回答じゃないかというようなことで、そこで食い違いを見せているというようなことで、かなり協議が難航しているということも聞いております。
 ただ、いずれにしましても、本件は現在、公平な立場での第三者機関である労働委員会において審査が継続中ということもございますので、まずは、その経過を注視していきたいというふうに考えてございます。

○斉藤委員 経過を注視していきたいということで、東京都が関与するという立場じゃないということだというふうに思いますが、PUCはことしの春闘で、社員の処遇改善を求める組合側に対する回答として、こう答えています。
 都政改革、二〇二〇改革プランの一つである監理団体改革の進行によっては、当社事業の方向性も大きく影響するものであるということ、そして、監理団体改革の中で、三カ年の、東京都監理団体が策定する経営改革プランを作成しており、今後は都庁グループの一員としても自律的な改革に取り組むことから、今までどおりの独自性を維持した経営は容易ではないということを想定しているというふうに答えているんです。PUCの会社側が社員の処遇に対して、東京都からの影響が大きく、独自性を維持した経営は難しいということをいっているんです。東京都はこれに無関係ではなく、水道局の方針が大きく関与しているということは、明らかではないでしょうか。
 今、協議、団交している中で、応じていないということじゃなくて、協議がまとまっていないんだというお話もありましたけれども、東京都として、やっぱり働く方々に対する誠実な姿勢は見せなければいけないというふうに私は思います。
 無駄を省いていかなきゃいけない、そういう改革の中で、削減するべき無駄というものの中に人件費を含めているということ、私、これは大きな矛盾をしているというふうに思います。働く人たちを大切にしていかなければ、水道局の事業の存続も危ぶまれるわけです。無駄というなら、ほかにもたくさんの無駄があります。どこを無駄と捉えるか、これが問題になるわけです。
 今行われているこの労働争議に対して注視するというようなお答えでしたけれども、指導監督をするという立場なら、働く人たちの訴えに対して、PUCの経営側がきちんと応じて、そして働く人たちへの要求に応じていくこと、こういうことを指導していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。もう一度、ご答弁をお願いします。

○石井経営改革推進担当部長 繰り返しになる部分がございますが、ただ一点、今、委員の方のご指摘の中で、人件費の見込み方についてのご指摘というようなことがあったのですが、私ども、委託料の積算につきましては、人件費の総額は客観的な根拠に基づいて算出しており、委託業務の遂行に必要な経費は十分に計上されております。
 ただ、一方、地方公営企業である水道局の経営は、監理団体への委託業務も含め、企業の経済性を発揮することが基本原則であって、経営の効率化への努力が常に求められております。
 これは、料金水準を上げないで、ご負担をいただかないようにしながら、何とか経営努力をしていかなきゃいけないという中での効率化というのは、いろんなところのステージで必ず求められることでございます。このため、監理団体の委託料の水準にかかわらず、効率化に向けた取り組みを行わなきゃいけないということもあります。
 ただ、今のPUCのお話のところは、済みません、どうしてもすれ違いになりますけれども、この制度というものは、特定のそういった分野についてエキスパートになっていただくということで、他の総合社員のように、いろんなステージでいろんなことをやっていただくということではない。その分、給与体系については、その職務、職責に応じて違う形になっているということは、これは一般論としてどこでもあることなのかなというふうに考えております。
 ということですので、私どもは、これが違法だというふうなことは考えていないところでございます。

○斉藤委員 私も違法だということをいっているわけではありません。東京都が、人件費の抑制のために専任社員制度を導入しているということ、これは認めてやっているわけですよね。これは働く人たちに対する東京都の姿勢が問われる、そういう問題ではないかというふうに思っています。
 東京都から、今、お答えは繰り返しのお答えでしたけれども、これは、きちんと今後の重大な課題として考えていただきたいというふうに思います。
 東京都からPUCへのカスタマーサービス業務の委託料も、こうした結果を招いている以上、私は適正なものではないというふうに思います。PUCの社員の処遇改善に会社が取り組むように、それが実現できるように指導していくこと、そして、会社が社員の処遇をきちんと行えるように、東京都からの委託料をそれに見合ったものに見直ししていくことを求めて、私からの質問を終わらせていただきます。

○おときた委員 私からは、主に、平成二十九年度の都政改革本部の水道局における自律改革の取り組みにおいても示されております特命随意契約の検証と、そしてオープンデータの取り組み、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
 初めに、特命随意契約の検証について質問いたします。
 一昨年にも、まさに当委員会で強く私が要望させていただきましたが、水道局におかれましては、本来は例外的措置であるはずの随意契約の多さが問題となっており、不断の見直しが必要であると考えます。
 そして、その私の一昨年の要望に加えて、特命随意契約についての点検を、平成二十九年度には都政改革本部が重ねて指摘をしたところであります。
 そこでまず、確認の質問となりますが、直近の平成二十九年を含めまして、契約締結件数と契約形態別の件数及び割合、過去五年間の随意契約の構成比についてお伺いをいたします。

○志村経理部長 平成二十九年度の契約締結件数でございますが、全体で四千四百八十一件でございます。
 契約形態別の件数と割合でございますが、一般競争入札が三百七十九件で八・五%、指名競争入札が二千二百九件で四九・三%、随意契約が一千八百九十三件で四二・二%でございます。
 また、過去五年間の随意契約の構成比につきましては、平成二十五年度が四一・六%、平成二十六年度四一・四%、平成二十七年度四二・一%、平成二十八年度四四・六%、平成二十九年度が四二・二%となってございます

○おときた委員 残念ながら、随意契約に関しては、その割合が徐々に年々ふえているか、ほとんど変わっていないということがわかりました。
 個別のケースにそれぞれ理由があることは理解をしておりますが、随意契約はあくまで特定条件を満たした例外的なケースなのであり、その割合を減らす一層の努力をなす必要がございます。
 そして、随意契約のうち、最も例外的である特命随意契約については、特に厳しい要件で行っていかなければならず、都政改革本部からも特命随意契約を再検証すべきとの提言が挙げられておりました。
 そこで、指摘を受けて、水道局では具体的にどのようなことを行ったのか、お伺いをいたします。

○志村経理部長 特命随意契約に関する事務につきましては、より適正な遂行を確保するため、平成二十八年度末に、翌年度の特命随意契約を予定している全案件について総点検を実施し、社会経済情勢の変化等を踏まえ、競争入札に移行が可能なものにつきましては見直しを行ってまいりました。
 また、平成三十年五月には特命随意契約に関する指針を定め、特命随意契約が可能な事例を明示し、局内に周知してございます。
 具体的には、既に設置されている設備機器の保守、修繕等で、当該機器の製造者等でなければ履行できないものや、既に稼働している情報システムの運用管理、改善業務等で、当該システムの開発者等でなければ履行できないもの等に限り、特命随意契約の締結ができることとしてございます。
 さらに、新規に特命随意契約を行う場合には、事業所に契約締結権限を委任している案件も含めまして、契約事務を総括する部署での厳格な審査を行うことといたしました。
 加えて、特命随意契約に分類される企画コンペ方式による契約締結手続におきまして、外部委員による企画提案の審査を実施するなど、公平性、透明性を向上させる取り組みも実施してございます。
 こうした取り組みによりまして、適正な事務の遂行に取り組んでいるところでございます。

○おときた委員 これまでの都政改革本部の指摘は非常に期待できるものであり、本件についても的を射た指摘であったと考えます。
 そして、それを受けた水道局が指針を定められたこと、そして、全案件で事前に厳格審査をすることは大きな前進であると考えますが、一方で、今、議会で聞けば明快なご答弁もいただけるんですが、そうした審査や基準の具体的な中身が、局外に対しては公表されていないことには疑問を覚えております。
 その点は後ほども確認させていただくといたしまして、では、個別の案件ではどのような見直しが行われていたのでしょうか。
 具体的には、平成二十八年、一昨年の決算特別委員会で私が指摘し、見直しを求めた検針及び徴収業務における特命随意契約の締結については、現状、どのような対応が行われているのかをお伺いいたします。

○小山サービス推進部長 検針業務は、水道事業において、水道料金算定の根幹をなす業務でございまして、安定した履行能力を担保する必要がございます。
 このため、本件業務に関する委託契約につきましては、競争性や透明性を確保しつつ、安定した履行能力を担保する手法として、履行能力等審査方式を順次実施してまいりました。
 しかしながら、この契約形態は随意契約でございますので、その後、鋭意検討を進めてまいりまして、今後は、契約の客観性を一層高めるために、外部有識者の視点を取り入れた総合評価方式による競争入札へと変更することといたしました。
 平成二十九年度は、この競争入札に関する制度設計や運用手続の策定などを行いまして、今年度は契約締結に向けた技術審査を行うなど、平成三十一年度からの導入を目指して取り組んでいるところでございます。

○おときた委員 検針及び徴収業務について、総合評価方式による競争入札の導入が順次進められているということで、指摘を受けての迅速な対応を評価いたします。引き続き、競争性、公平性、透明性の確保に努めていただきたいと思います。
 そして、今後、特命随意契約は、できる限り減らしていく方向で改革を進めるべきと考えますが、改めてこの点の水道局の見解をお伺いいたします。

○志村経理部長 随意契約によることができる場合は、地方公営企業法施行令により限定列挙されてございます。
 特に特命随意契約につきましては、その契約の目的や性質に照らしまして、競争入札に適さない事例であるかなど、その理由が法令に適合しているかどうかを案件ごとに厳格に審査してございます。
 引き続き、特命随意契約の適用につきましては、不断の見直しを行いながら適切な運用を図ってまいります。

○おときた委員 繰り返しにはなりますが、特命随意契約は、ともすれば癒着を招いて予算が高どまりしてしまうおそれがあることから、なるべく避ける方向で行政は運営に当たるべきであります。今後も、厳格な審査と適正な運用をしっかりと行っていくことを強く望みます。
 また、特命随意契約が行われた案件については、広く情報公開し、そのチェックを誰でもができるようにすることで、デメリットである癒着などのおそれを低減させることができると考えます。
 特命随意契約についての公表について、その方法をお伺いいたします。また、改善点などがあると考えているか、局の見解をお伺いいたします。

○志村経理部長 契約情報の公開につきましては、契約手続の透明性及び公正性を高めるために重要なことと認識してございます。
 水道局ではこれまでも、電子調達システムや局のホームページを利用し、全ての特命随意契約に係る特命理由や入札経過を示した経過調書、四半期ごとの工事契約案件の情報を公表するなど、情報公開に取り組んできてございます。
 今後とも、関係局と情報共有を図りながら適切に対応してまいります。

○おときた委員 入札情報サービスのサイトなどでとのことでありますが、特命随意契約は、先ほど述べましたように、誰からも簡単に見えるようにし、審査に耐えるものとするべきであり、特にわかりやすく表示されることが重要であると考えます。
 ご答弁いただいたように、オンライン上で個別案件については調べることが可能であるものの、これだけでは水道局の契約の全体像がわかりません。
 また、先ほど、都政改革本部の要請に応える形で特命随意契約の指針が定められたこと、そして、全案件で事前に厳格審査をすることにしたというご答弁がございまして、これは評価されるものであるものの、その中身が外部からはわからない、ブラックボックスになっていては元も子もありません。
 他の道府県では、特命随意契約の指針や審査基準を一定程度公開している事例があるとも仄聞しております。加えて、全体の件数や、その中で特命随意契約がどれだけあるかなどの情報もあわせて提供することで、都民にとっての判断材料がふえると考えます。
 指針、審査基準や全体件数の公表を水道局から率先して行うべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○志村経理部長 繰り返しで恐縮でございますが、契約情報の公開につきましては、契約手続の透明性及び公正性を高めるために重要でございまして、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
 水道局ではこれまでも、電子調達システムや局のホームページを利用し、指名競争入札における指名基準等の契約事務取り扱い上の要綱や、工事契約に係る件数、落札率等の情報を公開してまいりました。
 より一層の情報公開につきましては、適正な行政運営の確保や競争入札の公正、公平性の観点から、都として一体的な対応が必要でございますので、関係各局と連携しながら検討してまいります。

○おときた委員 都として一体的な対応が必要というご見解をいただきましたけれども、水道局は、公営企業として独自に情報公開に踏み切ることも私はできると思います。特に契約件数が多い水道局は、公営企業の責務の一端として、情報公開の徹底、フルオープンが求められていると考えます。常に横並び、足並みをそろえるということではなく、特に重要である特命随意契約については、他局に先駆けて情報公開の推進を率先して行っていただきたく要望いたします。
 また、審査基準や全体件数が非公表となっている東京都全体のルール自体については、引き続き私も財政委員会などで取り上げ、ルール策定を一義的に担っている財務局に改善を要望していく次第でございます。
 続いて、二点目として、オープンデータの取り組みについて質問いたします。
 都政改革本部からの提案も受けて、本年三月にオープンデータの公開が始まったというところですが、その具体的な取り組み内容について、まずお伺いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、都民や事業者と連携した課題の解決、行政の効率化、新たなサービスの創出などのため、オープンデータ化を進めており、当局も、この動きに合わせまして取り組みを推進しております。
 具体的には、総務局と連携し、平成二十九年九月から三十年二月にかけ、当局のホームページに掲載されているデータから、オープンデータとして公開可能なデータの選別を実施いたしました。
 そのうち、公開の優先度が高いデータ約一千件につきまして、平成三十年三月に、都のオープンデータカタログサイトに掲載いたしますとともに、当局ホームページの情報公開ポータルサイトにも公開いたしました。

○おときた委員 本年三月から始められたということですが、今後、開かれた行政、オープンガバメントを進めるためにも、一層の量の拡充とともに、質の向上も目指されるべきと考えます。
 具体的には、実際にオープンデータサイトを拝見させていただきましたが、膨大な資料が一覧表示となっていて非常に検索がしにくく、利用者に使いづらいものとなっているように感じられました。カテゴリー分けで見やすくしたり、検索機能を設置するなど、都民目線、利用者目線でのサイト構築を図っていただきたいと思います。
 この点は後ほどもお伺いしたいと思いますが、その前に、サイト構築に関連いたしまして、このオープンデータ公開に当たって、かかった費用について確認したいと思います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度でございますが、当局ホームページへの掲載にかかわる費用といたしまして、一万六千四百十六円を支出いたしました。

○おときた委員 行政の施策に関する決算では、一万六千四百十六円という破格な安さの数字が示されたわけでございますけれども、このように、情報公開やオープンデータの取り組みというのは非常に安価で行え、かつ効果的に都民にアプローチできる、そういった可能性を秘めた施策だということがわかります。
 もちろん、データを集計して公開することにマンパワーが必要となるものの、当初から、極力、全てのデータは公開されるのだという意識のもとで通常業務に取り組んでいけば、改めて公開用にデータを作成する手間は最小化できるはずです。ぜひとも都におかれましては、オープンデータの政策を引き続き推進していただきたいと思います。
 さて、水道局のオープンデータについては、公開から約半年が経過して、アクセス数やダウンロード数など、実際の利用状況についてはどのようになっているでしょうか。その点、お伺いいたします。特に、企業や研究者からどのようなアプローチがあり、どのような利用がなされてきたのか、確認をいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今月十七日までの閲覧数は、都のカタログサイトにおける当局データに対しましては一千四百十七件、当局ホームページにおけるオープンデータ一覧に対しましては二千三百十八件、合計三千七百三十五件となっております。
 そのうちダウンロード数は、当局ホームページにつきましては、カウント機能を有していないことから把握できておりませんが、都のカタログサイトからは百十件となっております。
 なお、企業や研究者からの直接の問い合わせは、これまでのところございませんが、現在の都のカタログサイトが開設される以前の平成二十七年度に、局ホームページに掲載いたしました給水拠点位置情報のオープンデータを活用し、スマートフォンのアプリが作成された事例を把握しております。

○おときた委員 給水拠点位置情報というのは、今後需要があるということは間違いなく、こうしたことからも、水道局には、都民にとって有益な情報が多数、まだまだ眠っているということが推察できると思います。
 ただ、現時点では、この活用事例が、以前から公開されていたオープンデータ関連の一件のみということ、そして、アクセス数やダウンロード数についても、まだまだ物足りない数字であることから、今後一層、都民や事業者に活用していただくために、広報や周知徹底が必要だと考えます。
 オープンデータの公開について、周知や広報はどのように行っているのか、お伺いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 総務局が行っております都としての周知のほか、当局といたしましても、平成三十年三月のオープンデータ掲載時に、局ホームページのトップ画面にあるトピックス欄におきまして、データの公開を周知いたしました。
 また、水道の業界紙に対しましても、データの公開について情報提供を行うなど、周知に向けて取り組んでおります。

○おときた委員 水道局は公営企業であり、先ほども述べましたように、情報公開にかかわる活動を進める責務が大いにあると思います。残念ながら、業界紙でも、まだこのオープンデータの取り組みを取り上げた実績のあるところはないようですので、ぜひとも水道局独自の広報の取り組みを拡充して、水道局から率先してオープンデータの取り組みを進めて拡充していただきたいと思います。
 オープンデータの質問の最後に、先ほども述べましたように、始まったばかりということもありますが、カテゴリー分けがされていない、検索機能がないなど、オープンデータのサイトは、やや使いづらいものになっております。
 都民の利便性向上に向けて、さらなるオープンデータの拡充、改善を期待するところでありますが、今後の方向性、対応についての見解をお伺いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 オープンデータの取り組みを推進していくためには、データの利活用を促進いたしますとともに、認知度の向上を図ることが重要でございます。
 このため、まずは、新規に作成したデータについて追加で掲載してまいりますとともに、昨年度掲載したデータにつきましても、修正等があれば適宜更新を行うなど、オープンデータを量、質ともに充実させてまいります。
 あわせて、局ホームページでは数多くのデータが列挙されておりますことから、カテゴリー分けを行うなど、利用される方の利便性の向上に資する改善を行ってまいります。
 また、これらの取り組みを継続的に実施いたしますとともに、データを広く活用していただきますよう、局ホームページやツイッターなどを通じ、周知を図ってまいります。

○おときた委員 カテゴリー分けなどの利便性向上について、あるいは広報について、私が指摘をしたとおりの前向きなご答弁があったことを評価いたします。行政の情報が多くの都民の利益になるよう、局のオープンデータの一層の充実と周知を改めて要望いたします。
 発言の最後に、先ほどからも議論に上がっている工業用水道について、一言意見を申し述べます。
 昨年度の工業用水道事業会計を見ても明らかなように、工業用水道は、時代の変化に伴い、結果として多くの都民負担を必要とする運営が続いてまいりました。そのため、工業用水道の廃止については、財政上の理由から廃止をすることが都民全体の利益にかなうことであり、これは妥当であると考えます。
 しかしながら、その廃止に伴って考案されている支援策については大きな疑問が残っております。工業用水道ユーザーと工業用水道非ユーザーとの公平性を保つこと及び都民の負担を抑えることという視点が不十分であり、都が示された支援策は、有識者委員会の報告書と比べると、都民に百億円近い負担をふやすものであって、これは看過できないものと我が会派は考えます。
 特に都の支援策にあります据置期間という概念は、足かけ五年をかけて審議され、綿密な調査のもとに報告、提案された有識者委員会の報告書にはないもので、根拠不十分な期間であります。
 公営企業委員会で私が繰り返し指摘をしてきたとおり、都の示された支援策は、内容面においても、手続面においても非常に問題の残る支援策であり、この抜本的な見直しを改めて求めまして、私の発言を終わります。

○田村委員 私からは、水源林の管理と多摩地区の水道について伺います。
 まず、水源林の管理についてですが、安全でおいしい水を安定的に供給するためには、安定した水源の確保が何より必要です。そのためには、緑のダムともいわれる森林を良好な状態に保ち、水源となる水を育むことが重要です。
 日本は四季がはっきりしており、山紫水明の国といわれますが、水源としてみれば、季節による降水量の変動が大きいことから、特に保水機能を持つ森林の役割は非常に大切です。
 ことしは明治元年から百五十年に当たる節目の年です。荒れた森林の再生への取り組みが始まったのも明治時代であり、多摩川上流の水源林についても、水道局が百十年以上も前から荒廃した森を水道水源林として保全管理しています。これまで管理してきた水道水源林を後世に引き継いでいくことが我々の責務であります。
 くしくも、来月、健全で活力ある森林を育て、次世代に引き継ぐことの大切さを伝えることを目的に毎年開催されている育樹祭が東京都で開催されるなど、森づくりの機運が高まっています。
 水道局では、これまで二万四千ヘクタールという広大な水道水源林を管理してきましたが、多摩川上流域には、ほぼ同域の民有林があり、手入れが行き届かず荒廃している森林が増加しています。荒廃した森林は、山崩れを起こしたり、降雨により多くの土砂が押し流されるおそれがあり、土砂の堆積が少なく良好な状態にある小河内貯水池への影響も懸念されます。このため、我が党は、水源林保全の重要性を繰り返して主張してきました。
 水道局は、水源地保全の課題に積極的に取り組むため、平成二十九年三月に、みんなでつくる水源の森実施計画を作成しました。
 そこで、改めて、みんなでつくる水源の森実施計画を策定した背景、目的を伺います。

○青木浄水部長 水道水源林とほぼ同面積であります多摩川上流域の民有林は、林業不振の影響などによりまして、手入れが行き届かず、荒廃した森林が増加しており、土砂流入等による小河内貯水池への影響が懸念されております。
 また、将来にわたり良好な水源の森をつくるためには、都民の皆様に豊かな水を育む森づくりの大切さを知っていただく必要がございます。
 一方、平成二十七年度に水道局が行った調査では、水源地保全の取り組みに対しまして、期待度は高いが認知度は低いという結果となってございまして、より多くの方々に水源地の重要性等をご理解いただく必要があると認識しております。
 こうした課題に対応するため、平成二十九年三月に、小河内貯水池周辺の民有林の積極購入と、都民や企業など多様な主体と連携した森づくりを柱とした、みんなでつくる水源の森実施計画を策定したところでございます。

○田村委員 今の答弁にもありましたが、小河内貯水池に影響する民有林の荒廃に対しては、早急に対策を講じていくことが何より重要だと思います。
 私も、小河内貯水池周辺の荒れた森林に大変な危機感を抱いております。そして、そうした手入れの行き届いていない民有林を水道局がみずから所有、管理し、再生に取り組むことは大変意義があると考えています。
 そこで、実施計画の柱に据えた民有林の積極購入について、具体的な内容と平成二十九年度の実績を伺います。

○青木浄水部長 小河内貯水池及びそこに流入する主要河川周辺は、森林の荒廃が進み、地形も急峻でありますことから、小河内貯水池への影響が特に懸念されることから、約二千ヘクタールを水道局が購入し、健全な森林として保全いたします民有林重点購入地域と位置づけたところでございます。
 重点購入地域には約一千百名の土地の所有者がおりますが、森林管理の重要性をご説明申し上げながら積極的に売却を働きかけ、おおむね十年間で購入を推進する計画としてございます。
 民有林の積極購入事業の初年度でございます平成二十九年度は、特に緊急性の高いエリアの約三百名の土地所有者に対しまして、意向等を伺うアンケートを送付し、働きかけを開始したところでございます。
 こうした取り組みを通じ、民有林重点購入地域におけます平成二十九年度の購入実績は、十四件、約八十ヘクタールとなってございます。

○田村委員 重点購入地域の千百名という多数の所有者から売却の合意を得るのは大変なことだと思います。
 そこで、重点購入地域に対する今後の取り組みを伺います。

○青木浄水部長 これまでに実施をいたしました土地所有者へのアンケートを踏まえまして、売却意向がある民有林につきましては、購入手続を速やかに進めてまいります。
 売却意向がない土地の所有者に対しましては、直接訪問等によりまして粘り強く事業への理解を求め、購入につなげていけるよう、継続的に働きかけを実施してまいります。
 アンケートが未発送の残り八百名の土地の所有者に対しましては、順次、売却の意向を確認してまいります。
 一方、重点購入地域は山林でございまして、当該地域に居住していないことから、所有者が不明な場合が多い状況となってございます。このような場合には、所有者の特定に向け、土地家屋調査士への調査業務を委託するなど、迅速な購入につなげてまいります。

○田村委員 山林の売買においては、所有者の特定や境界確認の難しさなど、市街地における土地売買にはない山林特有のさまざまな課題があります。膨大な時間と労力を伴うと思いますが、将来の都民に安定した安全でおいしい水を届けるために、着実に事業を進めてもらいたいと思います。
 実施計画のもう一つの柱は、多様な主体と連携した森づくりです。
 これは都民や企業との連携を強化していくとのことでありますが、まず、都民と連携した森づくりの平成二十九年度の実績を伺います。

○青木浄水部長 都民と連携した森づくりにつきましては、より多くの方に、水源林への関心や理解を深め、水源林への来訪にもつなげるため、水源林等の最新情報を提供いたします多摩川水源サポーター制度を平成二十九年四月から開始いたしまして、平成二十九年度末時点で千二百六十九名に登録していただいております。
 また、サポーターが実際に水源林を体感するイベントを平成二十九年度に六回実施いたしまして、百四十四名に参加していただいたところでございます。
 さらに、平成三十年三月からは、水源林の保全に、より積極的に貢献をしたい個人や団体などから広く協力金を募る東京水道水源林寄附金の制度を開始したところでございます。

○田村委員 都民がさまざまな形で水源林の管理にかかわれることは大変有意義であります。しかし、大事なことは、今の答弁にあったイベントに参加した都民の皆さんが水源林を体感し、水源林保全の重要性についての理解を深めていただけたかどうかにあります。
 そこで、水源林体験イベントの参加者からはどのような声が聞かれたのか、伺います。

○青木浄水部長 多摩川水源サポーターを対象に実施いたしました水源林体験イベントにおきまして、水源林への理解度やツアーに参加した感想などを聞くアンケートを実施いたしましたところ、九割を超える参加者から、水源林の大切さや役割などを理解したとの回答がございました。
 このほか、水道局が広大な森林を管理していることを初めて知った、水源林の保全はとても大切なので、もっと取り組みを宣伝するべきなどの意見が寄せられてございます。

○田村委員 実際に多くの参加者が水源林保全の重要性をより身近に感じ、水道局の取り組みへの理解も深まったことがわかりました。より多くの都民に水源林保全の意義を理解してもらうことが重要なので、積極的な広報や水源林を体験する機会創出等の取り組みをさらに充実させてもらいたいと思います。
 実施計画では、新たに、企業を対象としたさまざまな取り組みも行うとしています。
 そこで、企業と連携した森づくりの平成二十九年度の実績を伺います。

○青木浄水部長 企業と連携した森づくりにつきましては、水道水源林の一部にネーミングライツを設定しました東京水道企業の森及び企業からの協賛金を水源林の保全に活用いたします企業協賛金の二つの取り組みを平成二十九年四月から開始したところでございます。
 東京水道企業の森でございますが、平成二十九年度末までに六社と協定を締結いたしまして八百十九万円を収入するとともに、協働による森林保全作業や、参画企業とイベントに共同で出展するなどの活動を実施したところでございます。
 企業協賛金につきましては、平成二十九年度末までに、九社から合計二十口、二百万円の協賛金を受け入れてございます。
 この二つの取り組みによりまして受け入れました収入金、千十九万円は、水源林を保全、育成するための間伐や枝打ちなどの費用に充当したところでございます。

○田村委員 企業に森林の保全に一定の役割を果たしてもらうことは、企業CSRの観点からしても有意義と考えます。今後も、企業との連携により取り組みを進めてもらいたいと思います。
 そして、こうした取り組みが企業の間に根づいて継続的に発展させていくためには、参画する企業のメリットも十分に検討し、企業と水道局、双方にとって有意義な取り組みとなるよう、常に改善していくことが望ましいと考えます。
 そこで、東京水道企業の森と企業協賛金の取り組みに参加している企業の反応を伺います。

○青木浄水部長 東京水道企業の森の六社及び企業協賛金を受け入れました九社に対し、感想や要望を伺うため、アンケート及びヒアリングを実施いたしました。
 その結果、森林保全体験などの取り組みにつきまして、全ての企業から、社員研修やCSR活動の観点で満足しているとの意見がございました。
 また、連携して情報発信を強化していきたい、水源林内でさらにさまざまな活動を実施したいなどの要望が寄せられたところでございます。

○田村委員 高い環境意識を持ち、積極的に水道局との連携を進めたいと考えている企業が参画されていることを確認いたしました。企業はもとより、社員の皆さん、さらにご家族の方にも水源林のことを知っていただき、保全の取り組みに参加してもらえるよう、さらなる内容の充実を期待しております。
 さらに、私から提案ですが、企業の顧客の皆さんを水源林に連れてきていただくことを企業に促すことも、ぜひ検討していただきたいと思います。
 質疑にあった小河内貯水池周辺の民有林の積極的購入や多様な主体と連携したさまざまな事業は、長期にわたり良好な水源林を守り続けるために重要な取り組みと考えます。引き続き、工夫を加えながら積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、多摩地区の水道について伺います。
 多摩地区の水道は、もともと市や町が独自に経営を行っていましたが、水源不足や料金水準の格差などの課題が出てきたことから、昭和四十年代の後半以降、市営、そして町営の水道の都営一元化が進められてきました。
 その結果、現在、一元化は二十六市町に及んでおり、給水人口、約三百九十万人、配水管管理延長約一万キロメートルと、全国第二位の水道事業体である横浜市に匹敵する規模となっております。
 しかし、市や町単位で構築してきた施設を引き継いだことから、広域水道としてのスケールメリットを十分に発揮できていない現状があります。こうした課題に対応していくため、水道局は昨年三月に多摩水道運営プラン二〇一七を策定しました。この運営プランにおいて、局は、多摩地区を四つのエリアに分け、地域特性に応じた施設整備を進めていくこととしています。
 そこで、確認の意味で、多摩地区における水道設備の課題及び今後の施設整備の考え方について伺います。

○本荘谷技術調整担当部長 多摩地区におきましては、各市や町が水道事業を運営していた経緯から、市町域ごとに配水区域や浄水所、給配水所等の施設が多数存在するとともに、施設の老朽化が進んでいるなどの課題がございます。
 そのため、平成二十九年三月に策定いたしました多摩水道運営プラン二〇一七におきましては、水源や地形、地盤の高低差、給水人口等の地域特性を踏まえまして、多摩地区を、多摩川を中心に上流地域、左岸西部地域、左岸東部地域、右岸地域の四つのエリアに区分し、市町域にとらわれない合理的かつ適切な配水区域に再編することとしております。
 あわせて、それぞれの配水区域の拠点になります浄水所、給水所等の再構築を進めていくこととしております。

○田村委員 多摩地区は、区部に近い市街地だけでなく、山間部も含むというのが大きな特徴であり、整備に当たっては、それぞれの地域特性を踏まえて進めていくことが重要となることは納得できます。
 そこでまず、山間部を含む多摩川上流地域の施設整備の考え方と平成二十九年度の実績を伺います。

○本荘谷技術調整担当部長 奥多摩町や青梅市西部などを含みます多摩川上流地域は、山間部が多いため、起伏が大きく、小規模な施設が点在しているという特徴を持っております。
 そのため、高低差が大きい地形に合わせまして配水区域を再編するとともに、隣接する配水区域との連絡管整備によるバックアップ機能の強化や、膜ろ過処理の導入によります浄水所の整備改良を推進していくこととしております。
 平成二十九年度には、奥多摩町の小河内浄水所及び大丹波浄水所で、老朽化による施設更新に合わせまして、膜ろ過処理施設の築造工事を実施しました。
 なお、小河内浄水所及び大丹波浄水所は、本年、平成三十年七月に運用を開始しております。

○田村委員 山間部においては、地形上の制約があり、住居なども点在していることから、配水区域を再編することは難しいと想像できます。そうした上で、地域特性に合わせた整備を進めていくことは理解しました。
 こうした中、奥多摩町の浄水所が二カ所完成したことは、地元も大変喜んでいると聞いております。
 これらの浄水所には、新たに膜ろ過処理が導入されたとのことですが、なぜ奥多摩の浄水所に膜ろ過処理を導入したのかを伺います。

○本荘谷技術調整担当部長 奥多摩町にある多くの水源につきましては、豪雨による原水濁度の上昇などの水質上の課題があり、これまで浄水処理が困難となる場合がありました。
 このため、浄水所の更新に合わせまして、濁りなどの不純物を的確にろ過できる膜ろ過処理を導入することで、既存の処理と比べて、原水水質の変化にも適切に対応することが可能となりました。
 さらに、膜ろ過処理を導入することによりまして、自動運転や遠隔制御方式で浄水所を運転管理できることから、維持管理が容易となるというメリットもございます。

○田村委員 奥多摩の浄水所のように、小規模な施設が点在し、現地での即時対応が難しい浄水施設において、給水安定性及び維持管理性を向上させるため、自動運転や遠隔制御を可能とする膜ろ過処理の導入が有効であることがわかりました。
 それでは、全く違った特徴を持つ、市街地が多い多摩川左岸東部地域の施設整備の考え方と平成二十九年度の実績について伺います。

○本荘谷技術調整担当部長 立川市や三鷹市などを含みます多摩川左岸東部地域は、平たんな地形の上に市街地が形成されており、比較的、給水人口が多い特徴を持っております。
 このため、配水区域を拡大し、区部並みの大規模な配水区域への再編を図るとともに、区域の拠点となる浄水所、給水所等を整備し、既存の小規模の施設を統廃合することで維持管理性を向上させることとしております。
 平成二十九年度につきましては、清瀬市におきまして多摩北部給水所の新設工事を行うとともに、調布市の深大寺浄水所、立川市の柴崎浄水所、府中市の幸町浄水所におきまして配水池の拡充工事を実施しました。

○田村委員 このエリアでは、地域特性に合わせて、区部に近い施設整備を進めていることがわかりました。
 多様性に富む多摩地区では、地域の特性に合わせた整備を進めていくことが合理的です。
 また、市、町から引き継いだ施設には老朽化が進んでいるものが多く、その対応も急務です。給水安定性の確保のためには、計画的な整備更新が必要だと考えます。
 そこで、今後どのように整備を推進していくのか、伺います。

○本荘谷技術調整担当部長 現在、多摩地区には約二百カ所もの浄水所、給配水所が存在します。
 このため、整備に当たりましては、施設の重要度を踏まえまして、老朽化が進行している施設を優先的に更新してまいります。こうした整備は長期にわたることから、既存施設を有効活用しながら施設整備を実施していくこととしております。
 さらに、多摩地区の施設の多くが昭和四十年代から五十年代に築造されたものであり、近い将来、一斉に更新時期が到来します。
 そのため、水道施設を効率的に管理運営する手法であるアセットマネジメントを活用しながら、適切な維持管理のもと施設の延命化を行うことによりまして、更新時期の平準化を図っていくこととしております。
 これにより、安定給水を確保しながら拠点となる浄水所、給水所等を整備し、既存施設の統廃合を進めることで維持管理性の向上を図ってまいります。

○田村委員 市、町から引き継いだ施設には課題が多いことがわかりました。これらの施設は、昭和四十年代から五十年代の高度経済成長期に整備されたものであり、全国各地が抱える社会インフラの共通課題であると認識しております。一朝一夕には進まない大きな課題ですが、長期的な視点を持って着実に整備を進めていただきたいと思います。
 続いて、管路について確認します。
 以前、多摩地区の水道施設を視察した際に、送水管については、市町へ水を送るため、一元化当初から都によって整備がなされており、現在はバックアップ機能を強化するためのネットワーク化が進められているとの説明を受けました。
 このネットワーク化の仕上げとなるのが、整備中の多摩南北幹線であります。多摩南北幹線の整備について、計画と進捗状況を伺います。

○今井施設部長 東村山浄水場から拝島給水所に至る延長約十六キロメートル、口径二千ミリメートルの送水管であります多摩南北幹線は、当初、平成三十年度に完成する予定でございました。
 しかし、多摩南北幹線に送水する美住ポンプ所の築造工事におきまして、狭隘な敷地内で、当初想定しておりませんでした旧事務所の基礎や、あるいはポンプ井など、大規模な支障物の撤去が必要となりました。撤去に当たり、地元からいただいた騒音、振動抑制のご要望を踏まえ、撤去工法を見直したことによりまして、完成時期が延伸いたしました。現在は、平成三十二年度の完成に向け、着実に整備を推進中でございます。
 平成二十九年度は全てのトンネル築造工事が完成し、引き続き、トンネル内配管工事や立て坑築造工事を実施中でございます。
 なお、トンネル内配管は、事業費の削減を図るため、管種を検討し、約五億円を削減いたしました。

○田村委員 工事が進んでいる最中でも随時見直しを行い、工事費を削減したことは評価できます。しかし、当初計画から完成予定がおくれた点については、やむを得ない事情があると理解はするものの、工事期間が延びた影響を直接受ける周辺住民はもとより、給水安定性の面で、広い範囲の都民に影響があります。一日でも早い完成を目指し、着実に整備を進めていただきたいと思います。
 最後に、都民に最もかかわりのあるサービス面について確認しておきます。
 市、町の水道を引き継いだ歴史的背景から、当初は、施設面だけでなく、サービス面でも区部と多摩地域で違いがありましたが、これまでにかなりの部分が解消されてきました。それでも、いまだ残っている違いもあると聞きます。
 そこで、区部と多摩の都民サービスの違いをどのように解消してきたのか、また、残る違いをどのように解消するのか、伺います。

○坂井調整部長 多摩地区では、市町営水道を都営水道に一元化する際に、住民に身近な業務を各市町に事務委託してきた、こういう経緯がございまして、お客様サービスにおきましては、委員お話しのように、区部との差異が存在してございました。
 このため、当局では、平成十六年度から、順次、事務委託を解消する中で、多摩お客様センターの開設、それから利用可能な金融機関の拡大など、区部と同様、居住区域にとらわれない広域的なお客様サービスの拡充に努めてまいりました。
 さらに、平成二十九年度におきましては、検針時に請求書をその場で発行するサービスを開始したことによりまして、区部と多摩におけるサービス面での差異は、おおむね解消したところでございます。
 今後でございますけれども、区部と多摩地区の料金徴収システムの統合などを進めることによりまして、区部、多摩相互に情報の参照が可能となりますことから、さまざまな問い合わせに対しまして、より迅速なお客様サービスを実現してまいりたいというふうに考えてございます。

○田村委員 サービス面の違いも解消されてきていることがわかりました。
 多摩地区三百九十万人の生活を支えるライフラインとして、給水安定性とサービスのさらなる向上のため、引き続き、ハード、ソフト両面において着実に取り組みを進め、多摩水道運営プラン二〇一七のサブタイトルにあるとおり、強靱な広域水道を目指していくことを強く要望し、私の質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認めまして、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時五十四分散会

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