委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
副委員長 | 細田いさむ君 |
副委員長 | 米倉 春奈君 |
平 慶翔君 | |
三宅 正彦君 | |
西沢けいた君 | |
斉藤れいな君 | |
河野ゆりえ君 | |
田の上いくこ君 | |
石川 良一君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長技監兼務 | 邊見 隆士君 |
次長 | 小泉 健君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 今村 保雄君 | |
理事 | 佐藤 伸朗君 | |
総務部長 | 桜井 政人君 | |
都市づくり政策部長 | 久保田浩二君 | |
住宅政策推進部長 | 佐々木秀之君 | |
都市基盤部長 | 中島 高志君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 山下 幸俊君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
都営住宅経営部長 | 小野 幹雄君 | |
基地対策部長 | 青山 忠幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 佐々木 健君 | |
防災都市づくり担当部長 | 安部 文洋君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 宮城 俊弥君 | |
局務担当部長 | 齊藤 敏君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 内藤 淳君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 | |
サービス推進部長 | 谷田 治君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 大久保達也君 | |
計画調整担当部長 | 末村 智子君 |
本日の会議に付した事件
平成二十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十八年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十八年度東京都病院会計決算(質疑)
○神林委員長 ただいまから平成二十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十八年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○桜井総務部長 去る十月十六日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の平成二十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
資料は、都市再開発事業会計施行環状第二号線新橋・虎ノ門地区の事業費と財源及び施設建築物の規模並びに泉岳寺駅地区の事業内容等の一件でございます。
次のページをお開き願います。
(1)、環状第二号線新橋・虎ノ門地区、〔1〕、事業費と財源につきましては、事業期間、事業費とその財源内訳並びに年度別決算の状況を記載してございます。
〔2〕、施設建築物の規模につきましては、建物延べ面積と、その建物における住宅戸数を記載してございます。
(2)、泉岳寺駅地区につきましては、事業内容と事業費を記載してございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○斉藤委員 よろしくお願いします。
環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業におきましては、立体道路制度を適用し道路と建築物を共存させることで土地を有効活用し、再開発後も地域に暮らし続けたいという地元の地権者の方々の気持ちに応え、また新たなにぎわいを生み出すという狙いがあると伺っております。
地上部道路の街路樹デザインには、日本の四季を感じられるような趣向が凝らされ、それぞれのゾーンごとに樹種を変化させ、特色ある広場が連なる四季の広場通りを創出されております。
緑豊かで魅力ある地上部道路の整備が魅力的な都市空間を形成し、周辺地域のさらなるまちづくりの力を引き出し、ひいては東京全体の都市再生につながると、大きく期待をされております。
そこでまず、立体道路制度を適用したことで、歩道周辺のエリアが具体的にどのように活用される可能性がありますか、ご教示ください。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 新橋-虎ノ門間の環状第二号線は、広域交通を担う地下本線と地域内交通を担う地上部道路の二層構造となっているため、地上部道路である新虎通りにつきましては、ゆとりのある広い歩道空間を確保することが可能となりました。
都は、この新虎通りにつきまして、四十メートルの道路幅員の中に片側十三メートルの緑豊かな歩道空間を確保し、都心地域に国内外から集まる人々の交流の場ともなる東京を代表する景観を備えた空間として整備してまいりました。
この道路の整備を契機として、沿道では、建物の共同建てかえなど、新たな開発が誘導され、にぎわいのあるまち並みの形成に向けた取り組みが始動しております。
また、広い歩道を生かして、新虎通りエリアマネジメント協議会などがオープンカフェなどを展開しており、今後さらに地域の新たな魅力の創出が期待されるところでございます。
○斉藤委員 新虎通りに新たに設けられた広い歩道空間が有する可能性についての言及をいただきました。ありがとうございます。
新虎通りに関しては、まず立体道路制度によって、地上部道路に大きなキャンバスを広げていただいて、その上にこれからどんなにぎわいを描いていくのかを地域の方のお力もいただきながら考えていく、まさに新しい手法のまちづくりの取り組みが開始されているのだということがわかります。
道路を整備すると同時に、環状第二号線新橋・虎ノ門地区に可能性という大きな空間を生み出した都市整備局の事業の功績はたたえられるべきだと私は考えております。
新虎通りは洗練されたデザインの中にも、安らぎ、温かみを感じる道路附属物などを配置して工夫されていると伺っております。そして、その管理については、地域の方々がエリアマネジメント協議会を設置し、行政と連携して行っているということを伺っております。
エリアマネジメント協議会が担っている役割とはどのようなものですか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 新虎通りエリアマネジメント協議会は、沿道の企業などで組織する一般社団法人を事務局として設立し、地元の方々とともに道路空間を良好な状態に保持し、その空間を活用してまちの価値を向上するため、日々活動を行ってございます。
具体的には、道路管理者との協定により、新虎通りの清掃活動や歩道上のオープンカフェやイベントの開催などの活動を継続的に展開してございます。
○斉藤委員 まさに持続していくまち並み形成に向けた取り組みとして、地域の方たちが主体となってエリアマネジメントを行っていく活動を展開されているということがわかりました。
この協議会には、取り組みの継続性を重視して、大企業にも参画をいただきつつ、地域の町会の方たちもメンバーであるということですので、このエリアが新しい技術と昔からの知恵や風土を生かしたまち形成を進めていかれることを期待しておりますことをお伝えし、次の質問に移らせていただきます。
平成二十八年度は、事業の総仕上げともいうべき虎ノ門地区の地上部道路の大型中央分離帯や歩道舗装が行われたというふうに認識をしております。
環状第二号線地上部道路である新虎通りは、デザインなどに工夫をされているものですが、その計画はどのように検討されてきたのかを伺います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 新虎通りにつきましては、広幅員の歩道空間を生かしまして、地域の交流やにぎわいを創出するとともに、緑豊かで魅力ある道路として整備することが望ましいことから、都は、地元権利者、港区及び学識経験者による地上部道路景観検討委員会を設置し、質の高い道路デザインを立案いたしました。
具体的には、歩道部のれんが舗装や歩車道照明のデザインの統一、また、埋蔵文化財調査で出土した江戸時代の間知石の活用などにより、都市的で洗練されるとともに、安らぎや温かみの感じるデザインとなっています。
○斉藤委員 新虎通りのデザインは、場所によっては車道部分が片側七メートルに対して、歩道部分は片側十三メートル、そして曲線形に緩やかに湾曲したようなデザインがとられているところもあるということで、非常に特色ある近未来的なものとなっていると認識しております。こういった検討も地上部道路景観検討委員会で、地域の方もまじって行われてきたというご答弁をいただきました。
実際に今年度の決算事業内容にかかわる部分でしたので、ここまではあえて質問させていただきましたが、引き続き決算の額で一つ気になるところがありましたので、ご質問させていただきます。
平成二十八年度東京都都市再開発事業会計決算において、環状二号線地区都市再開発事業費の決算額が予算現額に対して五六・七%の執行率となっていますが、この理由を伺います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 平成二十八年度における主な事業内容は、環状第二号線の工事完了に伴い、道路管理者への引き継ぎに要する仕上げ工事などでございます。
予算では、過年度の実績等から事業量を想定しておりましたが、工事の実施に当たりまして、道路管理者と現地立ち会い等により、改めて協議したところ、仕上げを要する施工箇所が減少したことから、執行率が五六・七%となったものでございます。
○斉藤委員 予算現額より決算額が低くなった結果という理由は、見積もりが過大であったわけでも、工事が進まなかったということでもなく、むしろ本来であれば必要となるような仕上げ工事が前年までの道路管理者協議をしっかりと行ってこられたことにより、大きく縮小することができたからというご答弁でございました。
今後は、道路管理者が引き継がれ、地域の思いも乗せながら、環状二号線地区の新たなまち並み形成が推進されていくことと思いますが、その基盤となる部分は、長い年月をかけて地域住民の方々や有識者の方たちとの打ち合わせや会合を重ねてきた末の結晶であるのだと、道路周辺に集まってくるであろうにぎわいを目にするごとに、私も思い出すことになりそうです。
このエリアが東京の新たな象徴となりますことをお祈り申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業について伺います。
日本の成長を牽引する国際交流拠点として、駅の機能強化や駅とまちの一体的な整備を、具体的にどのような計画目標を定めていらっしゃいますか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅は、羽田空港にアクセスする京浜急行と都心部や成田空港にアクセスする都営浅草線との接続駅として、広域的な結節機能を担っており、空港需要の増大に伴い、その重要性は高まっております。
加えて、駅周辺では、JR東日本の車両基地跡地などを中心とした国際交流拠点として開発が進むことから、今後、泉岳寺駅の利用者はさらに増加することが見込まれております。
こうした駅利用者の増加への対応や、乗りかえを含む利用者の安全性、利便性の確保を図ることから、駅施設の改良が必要でございますが、国道の空間内だけではホームの拡幅が困難であるため、隣接する民有地を含めた整備が不可欠でございます。
さらには、平成三十二年のJR新駅暫定開業までに、JR新駅と国道一五号を結ぶ都市計画道路補助第三三二号線を整備することも急務となっております。
国際交流拠点としての一翼を担う泉岳寺駅地区におきまして、こうした広域的、根幹的な都市施設である鉄道施設や幹線道路などの都市基盤と一体的なまちづくりを、平成三十六年度のまち開きにあわせ確実に実施してまいります。
○斉藤委員 泉岳寺駅周辺の利用者がさらに増加を見込まれている中で、駅施設や補助第三三二号線の整備が急務であるというご答弁をいただきました。泉岳寺駅は現状でもラッシュ時には幅員五メートルのホームが非常に混雑するということから、ホームの拡幅とそれに伴う隣接民有地を含めました整備を進めていただくとともに、JR新駅も建設される予定でありますこのエリア一帯を先導し牽引するような事業計画を今後も進めていただきたいと考えております。
次に、決算の内容についてです。
泉岳寺駅地区都市再開発事業費が、予算現額二億五千万に対して決算額一億四千百九十万五千三百三円と、執行率が五六・八%と低い理由をお教えください。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区の平成二十八年度における主な事業内容は、再開発ビルの基本計画の検討や、従前建物の物件調査などでございます。このうち再開発の基本計画は、従前の所有形態や建物用途が多岐にわたるため、権利者の意向を踏まえるとともに、地域の立地特性を踏まえて検討する必要がございます。
このため、建築計画について、当初五案程度を想定しておりましたが、事前に権利者と精力的に話し合いを進めることにより、二案に絞り込むことができたことから、執行率が五六・八〇%となったものでございます。
○斉藤委員 五案立てるはずだった建築計画を、地元調整を綿密に丁寧に進められたため、二案に絞ることができたということが予算執行率の低い理由であるという答弁をいただきました。ありがとうございます。
既に再開発が進められている環状第二号線虎ノ門地区においては、再開発計画当初に東京都が目指されていた地域の地権者や借家人の方々が住み続けられるまちという構想に対して、実際にはさまざまな理由から移転を選択されて転出をされた方も多かったと伺っております。
計画から再開発完了まで非常に長い年月を要した虎ノ門地区の例が当てはまるとは考えにくいですが、この泉岳寺地区の再開発の拠点であり先駆者となる当事業において、地域住民の方々にはどのような理解促進や意見交換を行っておられますでしょうか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、平成二十六年九月に策定しました品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四に、泉岳寺駅の機能更新と駅周辺のまちづくりにつきまして位置づけており、その実現に向けて、港区と連携し、地元と話し合いを進めてまいりました。
平成二十七年十一月に、都施行による再開発事業の実施を表明して以降、地権者とまちづくり勉強会を五回開催するとともに、平成二十八年九月には、地権者の代表者十四名と都及び港区で構成する再開発協議会を設置し、事業スケジュールや計画案について合意形成を図ってきたところでございます。
この十月二十四日にも第八回目の協議会を開催し、再開発ビル内に導入する施設や動線計画について意見交換を行ったところでございます。
また、都市計画素案の説明会については、地元権利者、借家人、地区内居住者及び近隣住民の方々などに対して計四回開催し、延べ約五百名に出席していただき、生活再建や建築計画、JR新駅へのアクセス確保などについて、ご意見、ご要望をいただいたところでございます。
今後とも、現地の地区事務所を活用した個別相談などにおいて、入居または転出の希望に応じて、権利者の生活再建を支援するとともに、広報紙えきまちだよりによる情報提供を行うなど、きめ細やかな対応に努めてまいります。
○斉藤委員 環状第二号虎ノ門地区の再開発事業の事例と比べてみましても、泉岳寺地区の地域住民の皆様には、引き続き住み続けたいという希望をお持ちの方が非常に多いというふうに伺っております。
引き続き、ぜひ綿密かつ丁寧な協議会や勉強会を開催していただきまして、地域の皆様に寄り添った再開発の取り組みを進めていただきますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。
○三宅委員 私からも、環状第二号線新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業についてお伺いいたしますが、重複する部分は割愛させていただきます。
平成二十八年度の決算書を見ますと、予定していた施設建築物と公共施設の整備に関する工事の全てを完了したとのことであり、平成二十八年度の決算は、当地区事業の総決算ということになります。
そこで何点かお伺いいたします。
一般的に市街地再開発事業は、住民の方々の合意を得る期間やビル建築の工事期間が必要であるため、事業スパンが長く、社会経済状況の影響を受けやすい事業ともいわれています。
当地区の事業は民間の組合再開発とは違い、環状二号線の整備という極めて公共性の高いものでありますが、事業収支を確保することも重要と考えます。
そこでまず、環状第二号線新橋・虎ノ門地区の事業収支は、最終的にどうだったのか、お伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 環状第二号線新橋・虎ノ門地区の事業収支につきましては、敷地処分収入や国庫補助金などの財源を確保するとともに、民間のノウハウも生かして、付加価値の高い再開発ビルの整備に努めた結果、平成二十八年度末現在、事業に要した費用に対しまして、約四十九億円の収益を確保してございます。
○三宅委員 都心の一等地で長期の事業期間を有した当地区の事業におきましても、確実に事業収支を確保されていることがわかりました。この点、大変安心いたしました。
さて、現地を見ますと、新虎通りと呼ばれている幅広い地上部道路が整備され、歩道部分には、路上店舗を活用した旅する新虎マーケットが東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催まで展開されるなど、往来する人々でにぎわっております。
また、立体道路制度を活用して整備した虎ノ門ヒルズは、当エリアのシンボルともなっており、外国人を含めた多くの来場者で活況を呈しています。
一時期、マッカーサー道路とも呼ばれ、長らく地元の合意が得られず、事業化できなかった新橋-虎ノ門間の環状二号線の整備を、地元の方々の生活再建を図りながら、都がみずから市街地再開発事業を実施したからこそ実現できたものと思っております。
そこで改めて、環状第二号線新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業の事業効果についてお伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 環状第二号線新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業は、区部の骨格的な幹線道路である環状第二号線の整備にあわせて、都心部の拠点形成に向け、再開発ビルの建設や周辺のまちづくりを一体的に進める事業でございます。
この事業の実施に当たりましては、道路上に再開発ビルを整備できる立体道路制度を活用したことにより、道路整備に対する地元との合意形成が急速に進むとともに、土地を重複利用できたことから、道路と再開発ビルのそれぞれの整備費用が軽減できました。
新橋・虎ノ門地区において整備した環状第二号線は、都心部と臨海部を結ぶ重要な幹線道路として、交通物流ネットワーク機能の強化のみならず、周辺道路の渋滞緩和や、緑豊かでにぎわいのある道路空間の形成など、既に多くの効果を発揮してございます。
また、再開発ビルでございます虎ノ門ヒルズでは、大規模なカンファレンス施設やホテルなど、国際的なビジネス交流拠点にふさわしい機能の導入が図られ、国際競争力の強化に寄与、貢献してございます。
加えまして、周辺地区におきましては、ビジネス支援機能や外国人も暮らしやすい居住機能を備えた民間の再開発が複数立ち上がるとともに、これとあわせた地下鉄日比谷線新駅と、この新駅に直結するバスターミナルの整備などが本再開発事業を契機として連鎖的に進められております。
○三宅委員 この事業によりまして、長年手つかずだった環状二号線の整備を実現し、さらに、虎ノ門エリアが国際ビジネス交流拠点として発展する起爆剤ともなって、東京の都市再生、ひいては東京の国際競争力の強化に大きく貢献しているということがよくわかりました。
今後も、この環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業で培った実績やノウハウを生かして、東京の市街地整備を着実に推進していただくようお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○河野委員 私は、泉岳寺駅地区市街地再開発事業について伺います。
平成二十八年度から都市整備局は、泉岳寺駅地区市街地再開発事業をスタートさせました。資料もお願いいたしましたが、平成二十八年度の決算額は約一億四千二百万で、主な事業内容は物件調査委託、基本計画などとなっています。
この事業にかかわる基本的な点について、確認の意味も含めて質問をさせていただきます。
まず、関係する権利者数についてお示しください。土地所有者、土地建物所有者、借地権者、借家の方の権利者数、それぞれお願いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区市街地再開発事業区域内におけます現時点での土地所有者は五名、土地建物所有者は約七十名、借地建物所有者は一名、借家人は約五十名でございます。
○河野委員 では、再開発ビルの建設計画はどのようなものでしょうか。敷地面積、建築面積、延べ面積、容積率、高さ、そして用途などについてお示しください。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 港区で都市計画決定予定でございます本再開発事業の施設建築物は、敷地面積が約八千五百平方メートル、建築面積が約四千九百平方メートル、延べ面積が約十一万平方メートル、計画容積率が一〇〇〇%、高さの限度が百六十メートル、主要な用途といたしましては、住宅、業務施設、商業施設及び駐車場となっております。
○河野委員 大変大きなプロジェクトだと思うんです。私は、まちづくりで最も尊重されなくてはならないのは、関係住民、そして周辺住民の方々の理解、合意、納得だと思います。
都が施行者となって事業を始めるに当たって、権利者、関係住民への説明会の開催状況、先ほども質問があり、答弁もされておられましたが、その状況と、その中で出されている住民の方々の意見や要望について、詳しくお示しいただきたいと思います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、平成二十六年九月に策定しました品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四に、泉岳寺駅の機能更新と駅周辺のまちづくりについて位置づけておりまして、その実現に向けて、港区と連携し、地元と話し合いを進めてまいりました。
平成二十七年十一月に、都施行による再開発事業の実施を表明して以降、地権者とまちづくり勉強会を五回開催するとともに、平成二十八年九月に、地権者の代表者十四名と都及び港区で構成する再開発協議会を設置し、事業スケジュールや計画案について合意形成を図ってきたところでございます。
また、都市計画素案の説明会につきましては、地元権利者、借家人、地区内居住者及び近隣住民の方々に対しまして、計四回開催し、延べ約五百名に出席いただき、生活再建や建築計画、JR新線へのアクセス確保などについて、ご意見、ご要望をいただいたところでございます。
今後とも、現地の地区事務所を活用した個別相談などにおきまして、入居または転出の希望に応じまして、権利者の生活再建を支援するとともに、広報紙えきまちだよりによる情報提供を行うなど、きめ細かな対応に努めてまいります。
○河野委員 今、全体、合意形成に向けて、そして事業の内容を周知していく上で、説明会、あるいは勉強会とか取り組んでこられたということですが、予定地区内の権利者以外の方々、近隣住民の方、その皆さんへの説明は具体的にはどういう状況だったのか、それから、泉岳寺の駅のすぐそばには、区営住宅、災害対策住宅がありますけれども、こういう方々に対しての説明についてはいかがなされているでしょうか、お答えください。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 先ほどの答弁でも述べましたけれども、都市計画素案の説明会につきましては、地元権利者、借家人、地区内居住者、これは地区内居住者には区営住宅等も含まれますが、及び近隣の住民の方々に対しまして、計四回開催し、延べ五百名に出席していただき、生活再建や建築計画、JR新駅へのアクセス確保などについて、ご意見、ご要望をいただいたところでございます。
○河野委員 説明会をされてきて、参加された人数とかもおっしゃっていただきました。具体的にはいろんな要望が出されていると思うんですけれども、それについては詳しく触れられておりませんので、またこれについては私たちも意見を申し上げることがありますので、今、ご答弁承っておきます。
これまで都市整備局が事業を進めた第二種再開発事業では、施行者の東京都に対し適切な指導助言を行うとして、民間の事業協力者を置いてきましたが、泉岳寺駅市街地再開発事業では、事業協力者は予定されているのでしょうか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 本再開発事業におきまして事業協力者を導入するかにつきましては、現段階では未定でございます。
○河野委員 現段階で未定ということは、事業協力者については、予定をするということもあり得るということで受けとめておいてよろしいですか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 ただいまご答弁させていただきましたように、本再開発事業におきましては、事業協力者を導入するかにつきましては、現段階では未定でございます。
○河野委員 未定ということで、おっしゃらないということですね。
大橋地区や環状二号線新橋・虎ノ門地区などでは、施設建築物の建築や工事、保留床の取得や管理処分を行う特定建築者を置きましたが、泉岳寺駅再開発事業、ここではどのようになるでしょうか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 本再開発事業におきまして特定建築者を導入するかにつきましては、これも現時点では未定でございます。
○河野委員 次の質問です。予定している住宅床の面積、計画戸数と住宅用途部分の位置はどういう計画になっていますでしょうか。再開発ビルの高さ限度、これ、説明の計画素案についてということで、私たちもいただいておりますし、地域にも配られていると思うんですが、ここでは高さ限度百六十メートルとなっていますけれども、今の段階で計画されていることでお示しいただきたい。住宅の戸数とか、その位置についてお答えをお願いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 本再開発事業におけます施設建築物の計画においては、住宅建設の目標を約三百五十戸としておりまして、住宅は建物高層部に配置する予定でございます。
なお、住宅の延べ面積につきましては、今後確定していくことになります。
○河野委員 私たちがいただいているこの印刷物、地下に駐車場、その上に商業施設、その上に業務施設、その上に住宅床ということになりますから、住宅の配置はかなりの高さになるのではないかと私たちは受けとめております。
高さの限度が百六十メートルということで、都市整備局のお考えは百六十メートルが上限の高さで、それ以下もあり得るということはお話しされているようですけれども、百六十メートルという数字が出されているという重みはありますので、かなり高いところに住宅床が配置になるということを、私はそういうふうに認識いたしますので、間違っていたら後でお答えください。
では、次です。泉岳寺駅再開発ビルで販売する住宅の価格はどのくらいを予定されておられるでしょうか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 現在は都市計画決定前の段階にこの事業はございます。住宅の販売価格につきましては未定でございます。
○河野委員 この間、東京都が施行者となって進めてきた第二種再開発事業での住宅の価格は、かなり力のある、資産や収入がある人でないと入居が難しいと率直に思います。これ、三年ぐらい前のPRというか宣伝のチラシのコピーなんですけれども、例えば虎ノ門ヒルズレジデンスでは、賃貸住宅の価格は、一DK、五十・四平米で月額六十万円。もう少し階高が上がりますと、もっと高い九十万プラスの金額になっていくということで、賃貸でこれくらいの、月額六十万というのはすごい高家賃だなと思います。
北新宿の分譲住宅です。この価格は、このチラシですが、一DK、三十七・三八平方メートルで四千二百八十万です。
働く人の実質賃金が今、五年連続減り続けているということが大きな問題になっておりますけれども、このような高額な住宅に勤労世帯が入居するのはとても難しい。そして分譲住宅についても購入できない人がほとんどではないかと感じるんですね。
泉岳寺駅再開発地区ではどのように価格を設定か、今出せないとおっしゃっていますけれども、そういう高額な家賃負担を行わない、過大な負担を都民に背負わせない、そういう点でお考えがあったらお示しをいただきたいと思います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 都施行の市街地再開発事業におけます権利床の価格につきましては、これまで権利者の負担軽減に配慮し、近傍類似の取引価格である、いわゆる時価より低廉な価格としております。
一方、権利者以外の方々に分譲、賃貸される保留床の価格や賃貸料につきましては、近傍類似の取引価格等を参考に定めております。
泉岳寺駅地区におきましても同様でございます。
○河野委員 現在、地区内のマンションに住んでいる土地建物所有者、そして分譲賃貸の住宅に入居する人たち、そういう方々に過大な負担がかかることはないというような趣旨の答弁だと私は受けとめておきますので、これは記憶しておきたいと思います。
ことし三月に策定されました東京都住宅マスタープランでは、東京に暮らす全ての方々の豊かな住生活の実現が不可欠であるとされています。これが住宅マスタープランです。
この住宅マスタープランの考え方に基づいた事業として、泉岳寺の再開発事業も取り組むべきと考えますが、このプランに照らしてどのような整備が計画されているか、お答えをいただきたいと思います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区につきましては、泉岳寺駅の改良の必要性及び駅とまちを一体的に整備する特殊性を踏まえまして、市街地再開発事業を施行するものでございます。
品川駅周辺では、JR東日本の車両基地跡地などを中心とした国際交流拠点として開発が進むことから、本事業においても、その一翼を担う泉岳寺駅地区にふさわしい住機能を持つとともに、駅改良に伴い影響を受ける権利者の生活再建にも配慮した住宅を整備してまいります。
こうしたことから、本事業の計画は東京都住宅マスタープランの基本方針に掲げます豊かな住生活の実現と持続に合致するものでございます。
○河野委員 先ほど再開発ビルの高さ限度百六十メートルになっていると申し上げました。私は現地に行ってみました。計画予定地の国道一五号線沿いに少し歩いてみましたけれども、周辺には今、百メートルを超えるような建築物は、私自身は見つけられませんでした。
この地域周辺では突出した高いビルが建ち上がることになる、泉岳寺の駅の再開発ビル、百六十メートル上限ですから、なると感じました。地域の方々からは、ビル風の心配もあり、環境が悪化するのではないかと、こういう意見があるとも聞いています。
都市整備局は、環境の問題、悪化させないということについての配慮は、どのような検討をされておりますか。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 品川駅、田町駅周辺地区では、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四におけるまちの将来像の一つとして、海側からの主要な風の道に配慮した環境都市づくりの実現を掲げております。
泉岳寺地区におきましても、この風の道に配慮し、まとまった空地を設けるとともに、周辺と連携して十分な隣棟間隔を確保することや、建物低層部の高さを五十メートルに抑えるなど、環境に配慮した計画としております。
○河野委員 質問、何点かさせていただきました。都市計画決定前であるとかいろんなことが、現段階ではそういう状況にあるということが理由になって、事業協力者の問題や、特定建築者の問題とか、あるいは住宅の価格をどのように予測されているかとか、さまざまな、都民にとっては大事な問題について、具体的には未定ということでしかお答えいただかなかったのはちょっと残念かなと思います。
都が情報公開、都民に開かれた都政ということをいわれている中で、やはり情報公開がまちづくりに対しての信頼関係を住民とも築いていくという立場でしっかり取り組んで、その点の都の責務をしっかりと果たしていただきたいと思います。
私は、この泉岳寺の市街地再開発事業について意見を述べさせていただきたいと思います。
本事業は、JRが品川駅と田町駅の間に新駅をつくり、十三ヘクタールに及ぶ細長い土地を区画整理事業で開発することを予定して、これと一体となる形で計画されていると受けとめています。
この区画整理地区につくられる建築物が泉岳寺再開発ビルと肩を並べた高さになれば、東京湾からの海風を遮る壁になってしまい、ヒートアイランド現象を引き起こす、そういうことも地域の方は心配をされています。
説明会においての地域住民の方々からの意見や要望について、環境問題については先ほどのご答弁では触れておられませんが、私たちが聞く範囲では、その説明会などでそういう意見も出されているというふうに伺っておりますので、環境を守ってほしいという強い要望については、正面から受けとめていただきたいと思います。
加えて申し上げておきますが、泉岳寺駅地区市街地再開発事業は、経済的に豊かな層だけでなく、低所得者層、中間層も含め、多様な生活実態にある都民が豊かな住環境のもとで生活できるようにすることが重要です。
きょうは、私の質問に、本当に多くのご答弁、未定ということで終始してしまったんですけれども、事業協力者、特定建築者になるのは大手の企業になります。
大手ディベロッパーがもうかることにつながっていく高額な価格の住宅供給ではなくて、保育園や学校、学童保育などの施設にも心を配り、都民生活に過大な負担がかからないように努力するべきであることを申し上げて、質問を終わります。
以上です。
○西沢委員 市街地再開発というのは、土地の高度利用であったり、都市機能の更新であったりというようにまず認識をしているわけでありますが、特に都議会議員選挙後の最初の決算ということで、都市整備局が、公営企業会計の決算特別委員会で議論するということに少し違和感を覚えた、特に初当選をされた方なんかは違和感を覚えられた方もいらっしゃるんじゃないかと思います。
こういった形で、特別委員会の中で項目ごとに質疑をさせていただくというのは、議会側からもしっかりとチェック機能を働かせることができるということで、すごくいいことだとは私は思います。その一方で、例えば汐留の開発であったり、豊洲の開発というのは、こうはなっていないわけですね。
改めて、まず確認の意味も込めて質問しますが、この都市再開発事業会計は平成十四年からこうした形になったわけでありますが、平成十四年度に企業会計方式で設けられたのはどのような経緯があったのか、お伺いをいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 再開発事業の事業収支をより明確化させるため、平成十四年度に貸借対照表を用いて資産や負債などの会計情報を明らかにすることができる公営企業会計を導入いたしました。
会計情報の公表によりまして、事業の透明性が高まり、都民に対する説明責任を一層果たせるようになるとともに、職員による高いコスト意識を徹底することができました。
これらを通じまして、会計情報を的確に事業に反映させ、採算性を重視した事業運営が可能となりました。
○西沢委員 採算性を重視した事業運営の実現、透明性も高まりました、そして都民の皆様に対しての説明責任を果たすことができるようになったということだと思います。
つまり採算性を重視すると、こうした事業運営をやっていく必要があるんだということだと思うんですね。その以前にあった直営の亀戸・大島・小松川地区、それから白鬚西、赤羽北地区、この事業の悪化というところが一つのきっかけにもなっているというふうに聞いたりもします。
事業悪化、つまり再開発について、採算というところからすると一回失敗しているというところがあって、そのことを踏まえて、透明性を高めて、そしてしっかりとチェックもできて、職員の皆さんにもコスト意識を持ってもらった上で事業できると。こういった制度になっているということを改めて確認させていただきました。
そして、きょうも議論していますが、泉岳寺駅の地区の概要について伺うわけですが、昨年、平成二十八年度決算のときから追加をされたこの項目で、駅の周辺の利用者がさらにふえていくということであります。
こうした財政面も踏まえて、既にちょっと議論されていますが、改めて確認の意味も込めて、こうした議論を踏まえて、この地区の概要についてお伺いをいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅は、羽田空港にアクセスする京浜急行と、都心部や成田空港にアクセスする都営浅草線との接続駅として、広域的な結節機能を担っており、空港需要の増大に伴い、その重要性は高まっております。
加えて駅周辺では、JR東日本の車両基地跡地など、駅周辺の開発が進むことから、今後、泉岳寺駅の利用者はさらに増加することが見込まれます。
こうした駅利用者の増加への対応など、安全性、利便性を確保するためには、駅施設の改良が必要でございますが、国道の空間内だけではホームの拡幅が困難であることから、市街地再開発事業により、駅とまちの一体的な整備に取り組むものでございます。
本事業の施行面積につきましては約一・三ヘクタールでございまして、JR新駅と国道一五号線を結ぶ都市計画道路補助第三三二号線などの公共施設の整備、地区内権利者等が入居する施設建築物の整備を行う計画としております。
○西沢委員 概要についてざっとお伺いしましたが、極めて難しい部分もあるという話で、大変だと思いますが、引き続きこれは進めていただくことに特段何かいうつもりはないんです。
ただ、泉岳寺駅のこの改良に伴うものということであれば、これは東京都交通局が負担をすべきものもあるんじゃないかなと思います。
交通局の負担はどうなっているのか、お伺いをいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区につきましては、泉岳寺駅の改良の必要性及び駅とまちを一体的に整備する特殊性を踏まえて、市街地再開発事業を施行するものでございます。
また、本再開発事業は、泉岳寺駅の改良に起因していることから、必要な事業資金について、高速電車事業会計から都市再開発事業会計へ出資を受けてございます。
○西沢委員 高速電車事業会計、つまり交通局からお金はもらっていて、その上で都市整備局がやるところは都市整備局がやってと、出どころは別のところからちゃんとやっていますよということを確認させていただきました。
今の答弁もありましたが、一体的整備の特殊性、やはり特殊な事業になるということがわかるわけでありますが、今回のこの再開発、さらにいえば一ヘクタールということであれば、本来であれば地元の港区が実施すべき事業ということもいえると思うんですね。今回、この事業を東京都が実施するということになった意図についてお伺いをいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅は空港アクセスなど広域的な結節機能を担っており、空港需要の増大に伴い、その重要性が高まっていることに加え、駅周辺の開発に伴い駅利用者が増大することから、こうした利用者の安全性、利便性の確保を図るために、駅施設を改良することが必要でございます。
さらに、JR新駅暫定開業までにJR新駅と国道一五号を結ぶ都市計画道路補助第三三二号線を整備することが急務となっております。
こうした広域的、根幹的な都市施設である鉄道施設や幹線道路などの都市基盤と一体的なまちづくりを確実に進めるため、港区と協議し、東京都が施行することといたしました。
○西沢委員 リニアの開業も将来に見据えて、特殊な事業であり、大きな、国際化も進んでいきますし、利用者もふえていくしというところで、大変な事業であるということはよくわかりました。
その上で、採算性を重視するということはもちろんですけれども、これはしっかりやっていただきたいということを要望するとともに、先ほども議論ありましたが、やはり地域住民の方々にも配慮していただいた上で進めていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○神林委員長 ほかにございませんね。--発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 ご異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○神林委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十八年度東京都病院会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 去る十月十六日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、表紙の目次にございますように、合計八件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、その推移を記載しております。
三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を、病院別に記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受入件数の推移でございます。
(1)は分娩件数の推移を、(2)は周産期医療受入件数の推移を、それぞれ各年度、病院別に記載しております。
七ページをごらんください。7、各都立病院の薬剤師の定数及び現員の推移でございます。
薬剤師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
八ページをお開き願います。8、各都立病院の個室使用料の収益の推移でございます。
各年度の個室使用料の収益の推移について病院別に記載しております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○平委員 平慶翔でございます。
都立病院は、都民の生命、健康を守る、全ての都民のための病院であり、より多くの都民に都立病院の持つ高水準の医療機能を生かした適切な医療を提供するために、病院経営本部の担う役割は大変重要であると考えております。
私からは、東京都病院会計決算、平成二十八年度の主な事業実施状況の中から、災害に備えた体制強化の取り組みについて、経営力強化の面から未収金回収について、また費用の縮減に向けた取り組み、この主に三つの内容から質問をさせていただきます。
まず、都立病院の災害対応についてでございます。
昨年の熊本地震では多大な被害が発生したことは記憶に新しく、医療現場においては、NICU内の酸素ボンベが倒れるなど、院内の対応に追われる一方で、救急患者が数多く運ばれ、混乱が起きました。
現場では、職員による適切な動作が求められてまいります。国の中央防災会議では、マグニチュード七クラスの首都直下地震が発生する確率を、ここ三十年間で七〇%と推定をしております。
緊迫性が高まっていることからも、東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の首都直下地震が起きた場合において、都民の安全・安心を守るために、広尾病院は、都道府県において災害医療の中核的な役割を担う、区部で唯一の基幹災害拠点病院として、都内全域の災害拠点病院に対する訓練や研修を行うなど、都の災害医療体制を牽引していると伺っております。
そこで、基幹災害拠点病院である広尾病院は重要な役割を担うこととなりますが、その役割について、まずお伺いをいたします。
○児玉経営企画部長 広尾病院は、委員お話しのとおり、都道府県において災害医療の中核的な役割を果たす、区部で唯一の基幹災害拠点病院として、都内全域の災害拠点病院に対する訓練や研修を行うなど、都の災害医療体制を牽引しております。
原則として、震度六弱以上の地震が発生した際には、広尾病院に区西南部保健医療圏の医療対策拠点が設置されることとなっております。
また、広尾病院の副院長が区西南部保健医療圏の医療救護活動を統括し、調整を行う地域災害医療コーディネーターとして、医療救護班やDMATなどの医療チームの配置の調整や、傷病者を受け入れる病院の確保などを行うこととなっております。
さらに、平時においては、地域災害医療コーディネーターは、災害医療に係る情報共有や具体的な方策の検討、医療連携体制の構築を目的に、地元自治体や災害拠点病院などの関係機関を招集して、地域災害医療連携会議を開催しております。
○平委員 広尾病院では、都内の災害拠点病院に対する研修を行うとともに、二次保健医療圏内で各種の活動を行っているとも伺っております。
災害拠点病院としての機能を発揮するためには、近隣の渋谷区などの地元自治体や関係機関と連携体制を構築しているとのことでございますが、平成二十八年度に広尾病院は具体的にどのような取り組みを行ったのか、お伺いをいたします。
○児玉経営企画部長 平成二十八年九月に、事前に被害想定等を明かさないブラインド方式で広尾病院が防災訓練を実施した際には、災害拠点病院や区市町村の災害担当者など、九十五名が訓練を視察しました。
また、同じく平成二十八年十二月には、区西南部保健医療圏の関係機関相互の連携等について確認及び検証することを目的に、実際の災害を想定した傷病者の搬送、受け入れ医療機関の調整、医療救護班の要請や派遣などの災害図上訓練を行いました。
さらに、平成二十九年三月には、区西南部保健医療圏内の渋谷、目黒、世田谷の三区のほか、災害拠点病院やその他の病院、地区の医師会、歯科医師会及び薬剤師会、消防庁などが参加した地域災害医療連携会議を開催し、災害図上訓練の課題と、その対応策の検討を行うなど、地元三区を初め関係機関との連携強化を図ったところでございます。
○平委員 ありがとうございます。広尾病院が災害図上訓練や地域災害医療連携会議を開催し、地元自治体や医師会など関係機関との連携体制を強化しているとのことでございましたが、災害発生時において、広尾病院は災害拠点病院として、多くの重症患者を受け入れることが求められております。
災害拠点病院としての機能を発揮するためには、受け入れる負傷者数に応じた訓練を行う必要があると考えますが、広尾病院で受け入れる負傷者数は何人と想定しているのか、わかればお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 首都直下地震などの大規模災害発生時に、広尾病院を初めとする各病院が受け入れる傷病者数を具体的に想定したものはございません。
東京都防災会議の報告書である首都直下地震等による東京の被害想定においては、区市町村別の人的被害の状況が示されており、区西南部保健医療圏の重症者の想定人数は合計二千六百三十二人となっております。
災害拠点病院は、主に重症者の収容、治療を行うこととされており、区西南部保健医療圏には、広尾病院を含めて六つの災害拠点病院が指定されています。重症者の合計人数を六病院が同じ規模で対応すると仮定すれば、一病院当たり約四百四十人の受け入れとなります。
○平委員 この九月に公表された広尾病院整備基本構想というものがこちらにございます。この中に、災害拠点病院には、災害時に平時の二倍程度の入院患者を受け入れられるスペース確保が求められるが、現状は平時の一・二五倍にとどまっている、災害対策本部やトリアージスペース、応援医療チーム等の参集スペース等が十分ではないということがここに記載をされております。
平成九年に基幹災害拠点病院に指定をされた広尾病院は、昭和五十五年に竣工した建物であるため、災害時のトリアージスペースを想定した建物でないと思われます。
しかし、先ほどご答弁いただきました区西南部保健医療圏の重症者の想定人数は合計二千六百三十二名ということでございました。そして、受け入れ人数は四百四十人ということでございますが、これを適正と考えているのであれば、災害医療を展開するスペースが十分に確保できていないということを懸念いたします。
災害はいつ発生するかわかりません。その現状において、広尾病院はどのようにトリアージスペースを確保するのか、お伺いをいたします。
○児玉経営企画部長 委員お話しのとおり、広尾病院は昭和五十五年に竣工した建物であるため、災害時のトリアージスペースを想定した建物ではなく、災害医療を展開できるスペースが現状では十分に確保できておりません。
このため、院内のトリアージスペースをできるだけ確保するため、正面玄関や外来待合、救急外来などのスペースを工夫して利用するなど、災害時の対応に備えております。
広尾病院が実施した防災訓練においても、一定の条件のもとでの被害想定に基づき、これらのスペースでトリアージを行い、その都度、課題を点検、検証して、見直しを図っているところでございます。
○平委員 先ほどのこの広尾病院整備基本構想において、整備方針として、広尾病院は整備がされますので、平時の二倍程度の入院患者に対応できるスペースや、災害対策本部、トリアージスペース、災害医療を展開する上で必要なスペースを確保する、そして、敷地内は災害医療を想定した建物配置とすることと、さまざまな工夫を取り入れて整備をするということも明記をされております。
東日本大震災、熊本地震が起こることは、誰もが予想をしませんでした。答弁いただきましたように、その都度、課題の点検、検証を図り、常に災害が起こることを想定し、不断の見直しを行っていただくことをお願いいたします。
続いて、未収金回収の未収金対策についてお伺いをいたします。
経営収支を向上させるためには、収益の増加と費用抑制の両面からの取り組みが必要でございます。収益については、未収金の観点も重要であり、病院全体の収入と比較すると割合は少ないかもしれませんが、できるだけ発生を抑制し、そして残高を減らす必要があると考えております。
そこで、平成二十八年度の未収金の金額、回収額及び不納欠損処理をした額をお伺いいたします。
○谷田サービス推進部長 平成二十八年度末時点における過年度未収金の残高は九億九千四百三十九万円で、平成二十七年度末と比較して一千百六十三万円の増となりましたが、包括外部監査の指摘を受けました平成二十二年度末の残高十一億八千四百二十八万円と比較しますと、約一億九千万円減少しているところでございます。
監査の指摘を受け、都立病院では平成二十三年度以降、全病院共通のマニュアル整備や非常勤の専任職員の配置など体制強化を図り、電話催告や現地訪問など回収業務を推進するとともに、患者さんによっては生活保護などの公的助成につなげるなど、発生防止にも努めてまいりました。
こうした地道な取り組みの継続により、平成二十八年度は約二億五千六百万円の医療費を回収いたしました。
一方、債務者と全く連絡がとれないなど、回収努力を続けてもなお実質的に回収不能と判断されたもののほか、時効の援用ですとか相続放棄がなされたものなど、約六千五百七十万円について不納欠損処理を行ったところでございます。
○平委員 ありがとうございます。発生を抑止したということを伺いました。着実な取り組みの積み重ねによって未収金が減少していることもわかりました。
こういった回収努力は必要だと思いますが、これからについても最少のコストで最大の効果が得られるように工夫を行うことが重要でございます。
これまでも残高は減少、これまで見ても、昨年度からは若干上がってはおりますが、包括外部監査の指摘を受けた平成二十二年度末のここから見ると、減ってきているなというふうに感じます。相応の努力をしているとは思いますが、手間ばかりかかっている印象も一方で受けております。
そこで、都立病院では効率的に回収業務を行ったのか、お伺いをいたします。
○谷田サービス推進部長 未収金回収については早期着手が重要であることから、発生した病院において対応することを基本としております。
未収金発生直後の段階では、まず料金収納を行う委託業者が電話や文書で催告を行い、その催告後も支払いいただけない案件については、債権回収業務の経験のある専門職員が中心となりまして、ノウハウを生かしながら折衝を行っているところでございます。
一方、交渉に応じないなど、病院のみで対応が困難な案件については、債権回収を専門といたします弁護士に、平成二十八年度では合計百十四件、納付交渉の委任を行ったところでございます。
委託業者や専門家の活用など、個々の事案の段階に応じながら、効率的かつ効果的に未収金対策を進めております。
○平委員 ありがとうございます。回収業務は各病院で行い、共通のルールに沿って統一的に行われているとのこと、また、常勤職員だけではなく債権回収の経験者を雇用したり、また弁護士のノウハウを活用するなどして、プロの目も入れて、めり張りをつけて実施しているということ、ご答弁の内容でわかりました。
外部に委託しているということでございましたが、コストに見合った効果が図られているのか、そうした視点も必要だと思います。
そこで、未収金回収の専門職員の年間報酬額及び委任した弁護士への報酬額の実績もお伺いしてよろしいでしょうか。
○谷田サービス推進部長 未収金回収専門員は、平成二十八年度は八病院合計で十二名おりまして、一人当たりの年間報酬は二百三十三万二千八百円、十二名合計で二千七百九十九万三千六百円でございました。
また、委任を行った弁護士への報酬額は百十四件、全て合計しますと二百八十三万二千円でございました。
なお、二十七年度に弁護士委任を行いました件数は二百件でございまして、支払った報酬額は四百九十六万八千円、弁護士交渉により納付合意に至った金額は二千三百九十五万八千円でございました。
○平委員 今、例として挙げていただきました弁護士委任につきましては、報酬に比して多くの回収が図られているということがわかりました。
専門職員については、常勤の職員や委託職員などと連携をしながら業務を行っているため、今ここで正確な費用対効果を論じるのは難しいかもしれませんが、いずれにせよ、未収になってしまったことから、先方と交渉するのは相当な労力を要することが予想をされます。まずは未収金を極力出さない仕組みづくりが重要ではないかというふうにも考えます。
そこで、未収金発生抑止、防止に向けてどのように取り組んだのか、お伺いをいたします。
○谷田サービス推進部長 未収金発生防止に向けましては、患者支援センターの医療ソーシャルワーカー、略してMSWと申しますが、そのMSWや病棟の看護師、医事課の職員が緊密に連携し、問題を抱えた患者さんの早期発見に努め、高額療養費制度や難病医療費、生活保護など公的助成制度等を案内し、申請につなげるよう努めたところでございます。
また、診療費等のクレジットカードでの支払いを導入しておりまして、平成二十八年度の利用率は三五・五%でございました。
こうした努力の結果、平成二十二年度に約四億四千万円だった未収金の発生額は、二十八年度には三億五千八十九万円まで縮減されているところでございます。
○平委員 患者さんの大半はきちんと医療費を払っていただいていると思います。公平性の観点からも、しっかりとこの未収問題、取り組むのは当然だと考えます。
一方、都立病院では、経済的に困窮した方でも断ることなく受け入れ、平等に医療を提供しているというふうにも伺っております。
都民の命、健康を守る都立病院としての役割を果たしながらも、経営収支を常に念頭に置いて、効率的に未収金業務を推進していただくことを強く要望して、次の質問に移らせていただきます。
費用縮減に向けた取り組みから、事務部門の業務の効率化についてお伺いをしたいと思います。
病院の事業を細分化いたしますと、患者の診察、そして治療を行うことが中心であるのはもちろんでございますが、都民の税金を投入しているからには、ワイズスペンディングの観点を持たなければならないと思います。
人件費に多くの経常経費を要しておりますが、医師、看護師等は必要不可欠でございます。一方、事務的作業に要する人員も数多いと伺いますが、そういった業務の背景には、業者にサービスを委託したり、給与を支払ったりといった事務部門の業務が多数存在し、診療を支えていることと思います。
しかし、こうした事務部門については、経営の観点からも効率化することが望ましく、特にIT、IoTの導入が効果的と考えております。
そこで、病院事業における平成二十八年度の事務部門のIT化、IoT化の状況についてお尋ねをいたします。
○谷田サービス推進部長 都立病院では、電子カルテシステムを初めとする診療系システム及び財務会計システムを初めとする事務系システムを導入しまして、患者サービスの向上と事務の効率化を図ってまいりました。
また、物流管理業務のように業務委託をしまして、多様化する診療材料等の発注、在庫管理業務の効率化を目的とした物流管理システムを活用しながら、バーコード読み込み等による事務の省力化や情報の一元管理を実現しているものもございます。
事務部門のIT化に関する平成二十八年度の取り組みといたしましては、職員の研修やアンケート業務の効率化、またペーパーレス化を目的として導入しているeラーニングシステムをさらに活用するとともに、出張に係る事務の効率化を目的とした庶務事務システムの導入などを実施したところでございます。
引き続き、事務部門を含めた病院事業におけるIT化による業務効率化を進めてまいります。
○平委員 委託業者のものではありますが、物流管理システムもIT化をされているということ、医療系システムによって患者さんのスムーズな受診が可能になっていること、また事務系システムによっても事務手続の手間も省かれたということはわかりました。
一方で、病院は医薬品や衛生用品の購入など、非常に契約が多いとも聞いております。契約の数だけ支払い業務が発生しているということで、ある程度IT化はされているとしても、これは膨大な作業量だというふうに思います。
また、こういった発注をかけたときに戻ってくる納品書、そういった紙ベースのもののペーパーレスというのも図っていかなければいけないのかなというふうにも思います。
今回は決算ということで、あえて質問はいたしませんが、私としては新しい提案もしていきたいというふうに考えております。都立病院においても、まだまだ効率化できる余地があると思いますので、さまざまな観点からご検討いただくことを要望いたしておきます。
今回、東京都病院経営本部それぞれの課の職員の皆様と接する中において、医療現場の皆さんとも密に連携を図りながら、医療の質と患者へのサービスの向上、人材育成、危機管理体制や経営力など、医療環境が急速に変化する中においても、継続的かつ安定的に行政的医療を提供する都立病院のさらなる改革を目指し、日々ご努力をされているということを感じさせていただきました。
都民の生命、健康を守るため、引き続きご尽力いただきますようにお願いを申し上げ、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○細田委員 私からは、平成二十八年度決算から、ちょっと同じ広尾病院になりますけれども、広尾病院の島しょ救急についてのお尋ねをいたします。
さて、公明党の提案によりまして、平成十九年度から東京型ドクターヘリ事業が開始されています。この事業は、島しょ地域と多摩山間部も含めまして、救急患者の搬送を円滑に行うために、東京消防庁等が保有するヘリコプターに医療機器を装備するとともに、医師が搭乗して島しょ地域などに向かい、医療機関に収容するまでの間、医療処置を行いながら搬送するという事業であります。
この事業は、広尾病院を初めとする都立病院のほか、現在、十一カ所の医療機関の協力のもとで運営をされており、遠距離の運航や夜間の飛行、複数患者の同時搬送を行うことが可能であります。二十四時間三百六十五日の運航が行われています。
この事業開始に伴って、添乗医師の派遣や搬送患者の受け入れを行う協力病院を確保できましたことにより、患者搬送時間の短縮や患者の症状に応じた、より適切な病院の選択も可能になった、このように聞いています。
一方、広尾病院においては、この事業の開始の前から添乗医師の派遣や病院屋上へのヘリポートでの離発着などに取り組んでこられました。
そこで伺いますが、平成二十八年度の広尾病院の屋上ヘリポートの利用件数、そして島しょ患者の受け入れの人数はどうでしょうか、お尋ねいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度における広尾病院屋上ヘリポートの利用件数は、患者受け入れに伴う利用件数に加えまして、島しょ地域へ向かう際の医師添乗に伴う利用件数も含め、合計四十七件でございました。また、救急患者受け入れ数は四十三人で、平成二十七年と比較しまして九人増加しております。
利用件数四十七件のうち約六〇%に当たる二十九件につきましては、十七時から翌朝九時までの夜間帯に離発着をしております。
なお、平成二十八年度にヘリコプターを利用して島しょから本土に搬送された二百三十八人の救急患者のうち、広尾病院が受け入れた患者数は百九十三人で、全体の約八〇%を占めております。
○細田委員 二百三十八人のうち百九十三人で、全体の八〇%ということで、広尾病院では、島しょ地域の救急患者の円滑な受け入れのために、このヘリコプターの運用に関して、それでは、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、この点について伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院では、昭和五十六年に屋上ヘリポートの使用を開始し、日中の離発着に限定して運航を行っておりました。
しかし、重症患者に対しては、一刻も早い救命措置を施すことが重要であることから、地域の方々のご理解、ご協力のもと、平成二十年三月から屋上ヘリポートの夜間離発着を含めた二十四時間の運用を開始しております。
また、同年四月には、広尾病院に近接する赤坂プレスセンターヘリポートを使用した平日日中の救急搬送が開始され、さらに平成二十四年一月からは土日祝日の日中も含めた運用も開始されたことに伴い、広尾病院においては救急患者受け入れの一層の効率化や円滑化が図られたところでございます。
こうした取り組みにより、救急受け入れ体制の拡充や、搬送時間の短縮など、島しょ住民の命綱といえる救急医療を支えてきたところでございます。
○細田委員 救急患者の容体は一様ではございません。広尾病院での受け入れが困難なケースもあると思いますが、このような場合に、ほかの都立病院、また公社病院においては、どのような対応をされているのでしょうか、お伺いします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 島しょ救急患者につきましては、島しょ医療の基幹病院である広尾病院が積極的に受け入れを行っておりますが、患者の疾患や症状に応じて、他の都立、公社病院においても受け入れを行っております。
平成二十八年度の都立、公社病院が受け入れた島しょ救急患者数の合計は二百十八人で、そのうち広尾病院以外で受け入れた患者数は二十五人、全体の約一〇%となっております。
具体的には、リスクのある妊産婦や新生児の搬送に当たって、総合周産期母子医療センターであります大塚病院、墨東病院、多摩総合、小児総合医療センターにおいて受け入れを担っております。
また、このほかにも感染症や人工透析、高圧酸素療法、精神科救急などについて、他の都立病院や公社病院においても、その特性を生かした対応をしております。
○細田委員 島しょの地域に生活する方々の安全、そして安心を確保するために、十一病院もそうなんですけれども、広尾病院のみならず、全ての都立、公社病院において、その命綱としての役割を十分に果たしている、このことがわかりました。二百三十八人のうちの二百十八人ですから、九割を超える方を都立広尾病院を初め、都立、公社病院で受け入れているということで、今後ともしっかりと前に進めていっていただけるよう、よろしくお願いいたします。
さて、二点目に、がんの放射線治療についてお尋ねいたします。
今、日本人の二人に一人ががんになりまして、三人に一人ががんで亡くなる、まさに日本はがん大国ともいえる状況であります。今後、高齢者の方々がますますふえていく東京において、がん患者が急激に増加することが予想されています。
そこで、がん患者に対する放射線治療について何点かお伺いいたします。
最近、放射線治療の技術が進歩して、従来より放射線をがん細胞に集中させて、がんへの放射線量を増すことにより治療効果を上げて、そして、がんの周りの正常細胞への放射線量を減少させて、副作用を減少させることができる高精度放射線治療が行われております。
公明党は、高精度の放射線治療装置を都立病院に導入するよう提案してきました。これに対して都は、二〇一三年に、都立駒込病院内に高精度放射線治療の専用装置であるトモセラピー、サイバーナイフ、そしてVero、この三台の装置を導入いたしました。
まず伺いますけれども、この三台の高精度放射線治療装置の内容と特色についてお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、トモセラピーにつきましては、CTで撮影のように、横になった患者さんの周りを回転しながら、大腸や膵臓がん等、複雑な形状の腫瘍にあわせて放射線を照射することができる装置でございます。
事前のプログラムにより、放射線の強度に濃淡をつけることが可能となり、正常な臓器への放射線量を最小限に抑えつつ、放射線をがんに集中させることができます。
次に、サイバーナイフでございます。最先端のロボット技術と画像照合技術により、主に脳腫瘍など頭頸部のがんに対しまして、さまざまな方向から一点に集中し照射する装置でございます。
照射中も患者さんのわずかな動きを感知しながら、ロボットアームが位置を補正するため、誤差一ミリ程度の高精度な治療が可能となっております。
最後に、Veroでございますが、赤外線認識センサーとエックス線透視複合システムを用いて、臓器の動きにあわせて照射する装置でございます。
例えば、呼吸によって上下に動く肺がんに対しまして、放射線のビームを動かす動体追尾照射を行うことができます。
このように、さまざまながんに対して高性能かつ最適な治療を行える特色を有しております。
○細田委員 詳細なまとめたご説明ありがとうございました。この三台、三種類の放射線治療機、それぞれ放射線の照射方法が異なるために、各装置の得意とするがんの種類や部位が異なって、そして高度に対応していく。
この三種類の放射線装置、専用の治療室もあわせて三種類そろえている。これは全国で珍しいと聞いております。ほかにあるのかどうかと公表はされていないので、明確にはわからないけれども、駒込病院、全国で、東京都にある、三つそろっている設備である、このように思っています。
この三台の高精度放射線治療装置の稼働実績はどうなっているのでしょうか。この点をお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 三台の放射線治療装置の平成二十八年度における稼働実績は、トモセラピーが五千二百七十三件、サイバーナイフが二百六十六件、Veroが四千六百七十九件、合計で一万二百十八件と、平成二十七年度の実績と比較いたしまして、四百二十八件増加しております。
○細田委員 大変多くの患者さんが利用されているとのことで、昨年度比も四百二十八件増加されているということで、都民の皆様初め、全国から集まられていると思うんですけれども、放射線の治療は相当の照射回数を必要とする、このように聞いております。
治療に当たっては、どのような対応をされているのかをお尋ねします。そして、治療を待っている患者さんはいるのでしょうか。この点について答弁を求めます。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がんに対する主な治療方法には、手術療法、放射線療法、化学療法などがあります。がんの状態や進行状況に応じ、単独またはこれを組み合わせて行う集学的治療を行っているところでございます。
放射線治療は、がんを切らずに治療することができ、他の治療方法と比べ身体への負担が少ないというメリットがございます。高齢な患者の増加が見込まれており、先ほど稼働実績を答弁させていただきましたが、高精度放射線治療装置の実績は増加しているところでございます。
治療方針が確定してから放射線治療を行うまでには、放射線治療医による診察と説明、そしてCTやエックス線検査等による治療に向けた放射線線量のシミュレーション、治療計画の作成などが必要でございます。これにはおおむね二週間を要しているところでございます。
こうした日数と患者への負担等も考えながら治療計画を作成しておりまして、現在、待機患者については生じてございません。
○細田委員 今後ともさらに進めていくために、ここのキーパーソンといいますか、中心となるのが医学物理士の確保、育成であるというふうに思います。
高精度な放射線治療装置を安全かつ効率的に運用していくためには、優秀な放射線腫瘍医と、また放射線技師と看護師、また専門的な物理工学的知識のあるこの医学物理士との連携が重要である、このようにいわれております。
今後ますますがん患者がふえて、放射線治療のニーズがふえるというふうに予想されている中で、必要とされるスタッフの育成が急務であります。特にこの医学物理士がますます必要になってきますので、現状はまだまだ人材が不足している、こういう状況です。
そこで、都立病院に勤務する平成二十八年度の医学物理士の人数、それから今後の育成と取り組みについてどのように対応していくのか、この点について伺います。
○児玉経営企画部長 医学物理士は、高精度放射線治療における治療計画の立案、検証、管理を行うなど、放射線治療の安全性や治療成績の向上に重要な役割を担っています。病院経営本部では、医学物理学に関する高度な知識、経験を有する医療技術職を平成二十四年度以降四名採用しており、この四名は現在、駒込病院で医学物理士として放射線治療の業務に従事しております。
今後の超高齢社会の中で、放射線治療の適用患者は増加することが予想されることから、治療を担う人材の確保、育成は今後一層重要になると考えております。
一方、現状では、我が国の医学物理士は、一般財団法人医学物理士認定機構によりますと、平成二十八年五月三十一日現在、全国でも九百五十名程度しかおらず、英国や米国などと比較して、医学物理士の数は少ないといわれております。
今後はさらに増加が予想される放射線治療ニーズに的確に対応するため、必要な診療体制に応じた医学物理士の採用を行うとともに、次期中期計画を策定する中で、診療放射線技師に対する医学物理士の資格取得支援を検討するなど、放射線治療を担う人材の確保、育成に引き続き取り組んでまいります。
○細田委員 しっかりと資格取得も支援していただいて、そして、その人材確保、育成に取り組んでいくという、これを着実に前進させていただきたい、このように思います。
この医学物理士、国家資格ではないということが、これがなかなかふえていかないという要因の一つでもあります。都としても、医学物理士の国家資格化、国や関係機関に働きかけていただくことを要望いたします。
また、放射線治療機器は、開発、また発展していっています。都立病院においても、このような状況をしっかりと注視しながら、さらなるがんの撲滅に向けた、がん対策の治療体制を不断に、たゆまぬ努力を続けていっていただくことを、整備していただいていくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○三宅委員 私からは、まず都立病院の国際化対応について伺いたいと思います。
訪日外国人旅行者数は平成二十五年に一千万人を超え、それからわずか三年後の平成二十八年には二倍の二千万人を超えるまで増加しております。また、東京を訪れる外国人につきましても、平成二十八年には既に一千三百万人を超えており、東京二〇二〇大会を契機に、今後も外国人旅行者数は急激に増加していくことが見込まれています。
このように、国際都市東京の存在感や魅力が高まっている中で、在留外国人、訪日外国人の患者に対する日常診療の円滑化や、さらなる受け入れ体制の充実を図っていくことは、外国人の快適で安心な滞在をサポートするばかりではなく、東京二〇二〇大会開催時に東京を訪れる外国人への医療提供という観点からも大変重要なことであると思っております。
そこで、平成二十八年度は都立病院の国際化についてどのような取り組みを行ってきたのか、まずお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 三宅委員のお話にございましたが、外国人が安心して病院を受診できる医療提供体制の整備は急務でございます。
このため都立病院では、平成二十六年度以降、語学や異文化理解等に関する研修に取り組んできまして、平成二十八年度は百七十九名が語学研修を受講し、九十二名が異文化理解の研修を受講しております。
また、都立病院におきまして外国人患者が最も多い広尾病院では、平成二十八年度にさまざまな取り組みを先導的に実施しました。
具体的には、英語三名、中国語二名の院内通訳の配置に加えまして、韓国語、タイ語、ロシア語など五カ国語の外部通訳にテレビ電話でつながるサービスを導入しております。
さらに、この院内通訳や外国語医療コーディネーターを患者支援センターに配置することで、外国人患者の療養に関するさまざまな相談に対応するとともに、外国人対応マニュアルを作成し、院内各部門で共有、徹底することで、いつでも、どこでも、どの部門でも、適切な医療サービスが受けられる体制を構築してまいりました。
このような取り組みにより、外国人患者に対する支援体制が整備されている医療機関として、平成二十九年三月に、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPと申しますが、これを取得したところでございます。
今後は、広尾病院のノウハウを生かしながら、他の都立病院におきましてJMIPを取得し、国際都市東京にふさわしい医療提供体制の構築に貢献してまいります。
○三宅委員 国際化対応に関連しまして、外国人の未収金対策について質問いたします。
昨年度、広尾病院が、部長おっしゃられたとおりJMIPを取得したとのことでありますが、外国人患者の受け入れ体制の強化に伴い、懸念されるのが医療費の未払いの問題だと思います。
訪日外国人は増加し続けていますが、日本人のように海外旅行の際に保険に加入する人の割合は少ないとも聞いています。こうした方々が病院を受診した際の医療費は全額負担になるため、大変高額で支払えないケースも出てくることが予想されます。
そこで、平成二十八年度の過年度未収金の金額と、そのうち外国人患者の割合など、外国人の未収金の現状についてお伺いいたします。
○谷田サービス推進部長 平成二十八年度末時点における過年度未収金の残高は九億九千四百三十九万円で、このうち外国人患者の未収金は一億五千七百二十六万円でございまして、全体に占める割合は一五・八%となっております。
国籍別で見ますと、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュの順に多く、この三カ国で全体の七割弱を占めております。
なお、平成二十八年十一月から二十九年三月末における外国人患者の割合は、最も割合が高い広尾病院で二・八%、都立八病院全体で一・〇%でございました。
○三宅委員 外国人の未収金の割合、一五・八%とのことでありました。外国人患者の割合が全体で一%とのことであるので、未収金に占める外国人の割合が非常に高いということがわかります。
では、これら外国人患者への未収金対策として、どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○谷田サービス推進部長 外国人患者については、保険証を持たない方に対して、パスポート等の身分証を確認しているほか、医療費の支払いがない場合などは、必要に応じて区市町村や大使館に対し、住民票登録や本国の住所地等を照会するなど、医療費の回収時に必須となります連絡先の確保に努めているところでございます。
一方、長期間の留学、就業など、日本の公的制度が適用される方については、院内のMSWや病棟看護師、医事課職員などが連携を密にとりながら、可能な限り早期に高額療養費制度や生活保護などをご案内しております。
また、現金の持ち合わせがない方のために、クレジットカードでの支払いを導入しているほか、全額の支払いが困難な場合には、分割での納付をお願いするなど、徴収努力を行っております。
こうした取り組みを着実に実施することにより、外国人未収金対策を進めてまいります。
○三宅委員 この外国人の未収金につきましては、帰国後連絡がとれなくなるなど、回収が難しい場面も少々あると思いますが、公平性の観点から、経営管理の視点からも、今後とも未収金の発生防止、回収に鋭意取り組んでいただくことを要望いたして、次の質問に移ります。
次に、島しょ医療について質問いたします。
広尾病院は島しょ医療の基幹病院として、これまで長きにわたって島民のとうとい命を数多く救ってまいりました。
平成二十八年度に実施したワンデー調査では、広尾病院の入院患者の一五%、外来患者の四・四%が島しょ地域の患者であることからも、広尾病院は島民にとってなくてはならない存在であり、大きな信頼や、また期待を寄せているところでございます。
私はこうした中、島民からの要望が特に高かった患者家族宿泊施設の増設に関しまして、平成二十八年予算特別委員会の総括質疑において質問し、平成二十八年度、その年から、従来の三室を五室に拡充する旨のご答弁をいただきました。
そこで、広尾病院における平成二十八年度の患者家族宿泊施設の利用人数についてお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院では平成十五年四月に、島しょに在住する患者家族のための宿泊施設を、広尾病院内にございますさくら寮内に二室設置しております。その後、平成十六年五月に三室、平成二十八年五月には五室に増設したところでございます。
平成二十七年度の延べ利用者は七百二十六名であったのに対しまして、平成二十八年度の延べ利用者数は九百九人となっており、増設に伴って百八十三人増加したという結果になっております。
○三宅委員 島しょの入院患者と家族の双方が病院の近くで見守り、また見守られる環境が整備されていることは、何ものにもかえがたい安心につながるものであると思っております。私も実際に島の方々から感謝の言葉をいただいておりますので、改めてお伝えしておきたいと思います。
また、広尾病院では、島しょの患者が広尾病院から退院したり、帰島した後においても、引き続き安心して入院や療養生活を送ることができるような支援に取り組んできたと聞いています。
そこで、患者の退院支援に関して、具体的にどのような取り組みを行ったのか、お伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 島しょ地域では、医療、介護資源が不足していることから、広尾病院の退院調整担当看護師と島しょのケアマネジャー等との間で、帰島する患者の日常生活や療養上の注意事項などに関する情報を事前に共有することで、帰島後に必要な患者の療養環境と受け入れ環境のミスマッチの防止に努めております。
このため退院調整担当看護師は、患者さんの病態や、家族が介護にかかわることの可否、経済状況などの背景を詳細に確認した上で、退院後の転院先や帰島後の介護等の療養環境につきまして、院内の医療ソーシャルワーカーなどとともに検討を行い、平成二十八年度には五十九件の退院調整を実施したところでございます。
さらに、患者の転院先や入所先となっている三十五カ所の医療機関や介護施設等の担当者との連携連絡会を開催しまして、情報交換や困難事例の共有などを行うことで、広尾病院との連携に加えまして、参加した施設間での連携体制も構築しております。
また、平成二十八年度は、画像伝送システムを活用し、新島のケアマネジャーと広尾病院の退院調整担当看護師との間で、帰島する患者に関するカンファレンスを試行的に一回実施しております。
○三宅委員 広尾病院が島しょ地域へのきめ細かい支援に尽力していることがわかりました。
一方で、今のご答弁にもありましたように、島しょ地域では医療や介護資源が不足しているとともに、また、島ごとに状況が異なっているため、円滑な退院や帰島のためには、本土と島しょの情報共有や顔の見える関係づくりは非常に重要だと思います。
昨年度の画像伝送システムを用いたカンファレンスは試行ということもあって、一回のみという開催ではございましたが、今後は本土と島しょとの間で緊密かつ詳細に情報共有を行うことができるよう、広尾病院整備基本構想案で示されたICTを活用したウエブ会議などのシステムの導入をぜひお願いしたいと思います。
また、先ほど質問にもありましたが、救急搬送の件でございます。まさに私も八年前、島しょ住民の一人として、私も救急搬送された一人でございます。
救急搬送に関しましては、搭乗医師の確保等に、ヘリコプターに乗っていただける医師の確保に時間がかかって、なかなか島に、すぐヘリに来ていただけない、そういったような課題もありますので、それは早急に対応していただくよう、これは要望だけしておきますので、よろしくお願いいたします。
次に、墨東病院についてお伺いいたします。
平成二十九年三月に、都内で六カ所目となる母体救命対応総合周産期医療センター、いわゆるスーパー総合周産期センターに指定されました。
区部東部地域に立地する唯一の総合周産期母子医療センターである墨東病院が母体搬送を必ず受け入れるスーパー総合周産期センターの指定を受けたことは、都の周産期医療体制の充実に大きく貢献したものだと思います。
我が党は、周産期医療の充実には、救急機能の強化が重要であるとの認識のもと、墨東病院の救急機能の強化を都に要請してまいりました。
スーパー総合周産期センターは、緊急に母体救急処置が必要な妊産婦を必ず受け入れるという役割であり、母体の重症度が高いことから、高度な救命救急診療に対応できることが重要だと思います。
そこで、墨東病院における救急機能強化の取り組みについてお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院におきましては、平成二十六年五月に、新棟開設にあわせまして救命救急特定集中治療室を六床から十二床に、心臓疾患集中治療管理室を三床から六床に増床いたしました。
また、脳卒中集中治療室六床とハイケアユニット二十床を新たに整備するなど、救命救急機能の強化を図ってきたところでございます。
こうした整備を経まして、平成二十七年度に、特に高度な救命救急に対応できる高度救命救急センターの指定を受けております。
平成二十八年度に救急車で搬送された患者受け入れ実績は六千四百五十七人、そのうち生命の危機を伴う重症、重篤な救急患者でございます三次救急患者は千九百五十四人と、多くの重症患者を受け入れております。
加えまして、内科的治療と外科的治療が同じ部屋で実施可能なハイブリッド手術室を平成二十九年三月に整備いたしまして、救急機能のさらなる強化に取り組んでいるところでございます。
○三宅委員 墨東病院は、区部東部地域で唯一の救急救命センターであります。引き続き機能の強化を図り、この地域の中核病院としての機能をぜひ発揮していただきたいと思います。
周産期医療の機能強化につきましては、平成二十八年第一回定例会の我が党の代表質問におきまして、母体胎児集中治療管理室の改修を行い、ハイリスク妊産婦への対応をさらに強化するとの答弁がございました。
そこで、墨東病院の周産期医療におきまして、平成二十八年度にどのような機能強化を行ったのか、お伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二十四時間体制で母体と胎児の管理をしている母体胎児集中治療管理室、いわゆるM-FICUには、さまざまな医療機器が設置され、多くの医療スタッフが関与することにより、万全の体制でハイリスク妊婦の管理を行っております。
墨東病院のM-FICUは狭隘で、治療の実施には手狭であったことから、平成二十八年度にM-FICUと隣接する病室を一体的に改修しまして、病床一床当たりの面積を拡充しております。
これにより、治療の安全性の一層の向上を図るとともに、患者搬送やスタッフの効率的な動線を確保できる環境を整備いたしました。
また、産婦人科の医師や助産師について人員体制の強化も行っております。
このように、ハード、ソフト両面から周産期医療体制の充実を図り、平成二十九年三月に、緊急に母体救命措置が必要な妊産婦を必ず受け入れるスーパー総合周産期センターの指定を受けております。
○三宅委員 スーパー総合周産期センターのうち、高度救命救急センターの指定を受けている病院は都内で二病院しかなく、そのうちの一つが墨東病院であります。
墨東病院におきましては、こうした高度な機能の連携を一層強化し、今後とも区部東部エリアを初め、都における母体救命の最後のとりでとしての役割を果たしていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。
○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時十四分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
発言を願います。
○米倉委員 資料をありがとうございました。都立大塚病院について何点か伺います。
現在都は、都立大塚病院の老朽化に対応するために、大規模改修を行うための基本設計を行っています。
昨年度行った施設設計の概要について、まず伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大塚病院の建物は築三十年が経過し、老朽化が進んでおります。このため、劣化が著しい機械設備や配管類など、更新を中心とした改修工事を実施することとしております。
平成二十八年度につきましては、この改修工事のための基本設計を実施したところでございます。
基本設計の内容につきましては、全体の工事工程、改修を行う範囲、外来や病棟などエリアごとの改修方法や工事手順、工事期間中の病床等などが記載されてございます。
○米倉委員 工事全体のスケジュールや工事の方法、手順などを検討されたということでした。
工事中の病床数についても検討されたということですが、都立大塚病院の病床数は通常五百床です。
改修中の病床数は幾つに減るんでしょうか。病床が減らされた分については、他病院などで代替の受け入れは確保されるのかも伺います。また、改修工事後について、もとの病床数に戻るかどうかも伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病棟の改修に当たりましては、病棟全体を大きく三つのエリアに区分し、四カ月ごとに一つのエリアを休止しながら、これを繰り返して改修することとしております。
改修中の病床等につきましては、病棟の構造により、三百十床から三百七十床程度の運用となる予定でございます。
また、病棟の一部休止期間中は、院内の稼働病床を最大限活用するとともに、地域の医師会や医療連携を通じまして、工事内容の周知を図り、患者さんへの影響を最小限に抑えるよう努力をしてまいります。
また、今回の改修では、療養環境の向上を図るため、二床室の個室化や大塚病院の重点医療であります周産期医療の産科病棟を六床室から四床室に改修するなど、患者の療養環境を向上させていきます。基本設計上、改修後の病床数は四百八十床程度となる予定でございます。
○米倉委員 改修中に五百床の病床が最も少なくなるときには、約六割の三百十床になるということです。
大塚病院は、小児、周産期医療、救急医療、在宅療養患者の急変時の受け入れなど、地域で重要な役割を果たしている病院です。工事期間は一年以上になりますから、患者への影響を最小限に抑えるためには、手だてが必要です。診療を行いながら改修を行うことによる難しさはあると思いますが、最大限の努力が必要です。そうした取り組みを求めておきます。
今回の改修によって、もともと五百あった病床が四百八十床程度になる、つまり約二十床減るということですが、病床数は減らさないようにすべきだと考えますが、いかがですか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の改修工事では、老朽化した設備等の更新のほかに、産科病棟における六床室の四床化への改修や、各病棟にある二床室を一床室に改修することで、アメニティーを充実させ、療養環境の向上を図ることとしております。
特に、各病棟にある一床室の利用状況は一〇〇%に達する病棟もあるなど、一人部屋の需要は高いということになっております。一人部屋の個室の増設によりまして、患者さんの要望に応えることができるというふうに考えております。
なお、平成二十八年度の大塚病院の病床利用率は七七・四%でありますから、さらに効率性の高い病床運用に努めることで十分に病院運営が可能であるとともに、患者サービスを低下させないような努力もあわせてしていきたいというふうに考えております。
○米倉委員 今後、高齢社会化はますます進みますから、医療需要は高まっていきます。また、格差と貧困が広がる中で、経済的に困難な患者への医療提供に積極的に取り組むことなど、大塚病院がさらに役割を果たしていくべきことも少なくありません。
都立病院が最も優先するべきなのは、医療を必要とする方が受けられないという事態を起こさないことです。今の稼働率だけで判断せず、都立病院として役割を果たしていくためにも、病床数を減らさないということを強く求めておきます。
改修中の周産期医療の受け入れについてですが、先ほど改修中に病床は最小で三百十床に減ると答弁されました。これにより周産期医療の受け入れに影響はあるんでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工事期間中の診療体制につきましては、周産期医療の重要な機能でございますNICU、GCU、M-FICUは、工事工程や手順を工夫することにより、休止することなく運営を継続する計画としております。
○米倉委員 工事工程の工夫で改修による受け入れに影響がないようにするということでした。
都立大塚病院は、主にハイリスク妊産婦を対象に、高度で専門的な周産期、小児医療を提供する病院です。この点はとりわけ大塚病院がかけがえのない役割を果たしていますから、改修中も機能は保たれるということは重要です。
確実に受け入れが保証されるよう求めておきます。
現状の周産期医療の実績についても伺います。
周産期医療の実績と、どういう地域から受診する方が多いのか、また、最も遠くから搬送される方はどこからになるのか、伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大塚病院における平成二十八年度の分娩件数は千四百七件、母体搬送受け入れ件数は百六十四件でありました。
産婦人科の実績でありますが、平成二十八年十月のワンデー調査によれば、入院患者数は四十五名であります。区別に見ますと、豊島区十二人、文京区七人、北区五人、練馬区四人、足立区四人であり、これら五区で全体の七割を占めております。
次に、母体搬送について、明確な距離についてはわかりませんが、千葉県や神奈川県から搬送を大塚病院で受けているケースがございました。
○米倉委員 大塚病院の近隣五区で七割を占めている、そして一番病院に近い豊島区、文京区で入院患者の半分近くを占めているということでした。近隣住民の皆さんから必要とされている一方で、都外からも緊急搬送で受け入れがあるということです。地域を中心に非常に大事な役割を果たしていらっしゃると思います。
その中でも、社会的な支援を必要とする方の受け入れは、やはり都立病院として果たすべき重要な役割だと思います。
そのことに関連して、未受診妊婦の受け入れ状況についても伺います。
東京都は、通常の妊婦健診を受けずに分娩または入院に至った、全妊娠経過を通じての妊婦健診の受診回数が三回以下、最終受診日から三カ月以上の受診がないのいずれかに当てはまる妊産婦を未受診と判断し、その状況について調査を行ったことがあります。
未受診妊婦は妊娠経過に関する情報が少なく、出産時の母体及び新生児の安全が確保しにくい、妊娠、出産に対する知識も少なく、出産後の子育てにも影響が出やすいなど、いわゆる医学的にも、社会的にもハイリスクである場合が多く、専門的な対応も必要としているといわれています。
東京都は、産科医師や新生児担当医師、看護師等の確保を図り、二十四時間体制で患者の受け入れ体制を確保するための医療施設を整備して、促進していらっしゃいます。
現在、都内には、周産期母子医療センターと周産期連携病院が三十七施設ありますが、この三年の未受診妊婦受け入れ件数はどうなっていますか。また、そのうち大塚病院での受け入れ件数がどの程度かも伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、都内の周産期母子医療センター及び周産期連携病院における未受診妊婦受け入れ件数でございますが、平成二十八年度の実績はまだ公表されておりませんが、平成二十六年度につきましては九十三件、平成二十七年度には百一件となっております。
大塚病院における母体搬送受け入れ件数につきましては、未受診妊婦受け入れ件数が、平成二十六年度二十七件、平成二十七年度は三十七件、平成二十八年度は二十三件でございました。
○米倉委員 平成二十七年度で見てみますと、三十七施設全体で百一件、未受診妊婦を受け入れており、そのうち三十七件、三七%が大塚病院の受け入れになっているということです。大塚病院が都内の母子医療を支える上で重要な役割を担っているというふうに思います。
そもそもは妊婦健診を受けられるようにする対策を講じることが重要なんですが、同時に、未受診妊婦に対する適切な支援を行うことが実際求められております。
福祉保健局ではそのために、先ほど少し紹介をしましたが、未受診妊婦の状況について調査を行っておりまして、その中身を見てみますと、健診を受けていない理由の一番が経済的理由となっています。一九%に上るということが明らかになっております。
また、一般と比較して十代の母が多い、母の合併症が多い、低出生体重のことが多いなど、多面的な支援を必要としていることも明らかとなっております。
こうした状況からしても、未受診妊婦を受け入れる病院で、未受診妊婦の社会的な困難について、社会福祉の視点で患者や家族の方々の相談に乗ることで、経済的、社会的、心理的な悩みなどの問題解決のサポートをすることは非常に重要です。
また、そもそも妊娠、出産にかかわっては、初めての経験、新たに知らなければならない制度も一般の妊婦の方にとっても、多いわけですから、MSW、医療ソーシャルワーカーの役割は非常に重要です。
そこで伺いますが、大塚病院では、MSWは周産期医療部門には何人配置されているんでしょうか。常勤、非常勤それぞれについて伺います。また、MSWの対応件数、主な相談、対応内容についても伺います。
○谷田サービス推進部長 大塚病院における周産期医療にかかわるMSWの人数は二名でございまして、いずれも常勤職員でございます。
平成二十八年度における周産期医療に関する相談対応件数は、延べ五千五百三件でございまして、相談件数全体の約一七%を占めております。
相談内容としては、分娩等に係る費用に関することや、子供の予防接種、乳幼児健診など子育てに関することが多くなっております。
費用に関する相談に対しましては、出産一時金など、支援制度の説明や紹介を行いまして、子育てに関する不安に対しましては、区市町村の新生児訪問事業の説明等を行っております。
さらに、未受診妊婦を初めとしました出産後の子供の養育に特に支援が必要であります特定妊婦には、退院に向けて周産期コーディネーター等と協力しながら、保健所や福祉関係施設と連携しまして、育児に関する相談への対応や療育施設への入所調整などを行っております。
○米倉委員 常勤職員二人で昨年度は延べ五千五百三件の相談に対応しているということです。
相談内容を伺いましても、妊娠、出産する多くの方にとって必要な費用や子供の成長にかかわる内容となっています。保健所、福祉施設との調整も多くの時間を要すると思いますし、経済的、社会的困難を抱えた方々についてはとりわけ丁寧な支援が必要で、そのためには手厚い人員配置が必要だと考えます。
さらに充実していくことを求めるものです。
次に、外国人の受診状況についても伺います。
都内在住外国人数は、ことし一月段階で約四十八万人、都内人口の約三・六%となりまして、今後も増加が予想されます。そうした中で、東京でも安心して医療にかかれる環境を整備することは重要です。
大塚病院での外国人の分娩件数は今どのくらいあるんでしょうか。日本語が通じない患者への語学対応をどういうふうにしていらっしゃるかも一緒に伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大塚病院における平成二十八年度の外国人の分娩件数は、双子、多胎の場合なども一件とカウントしますと百七十五件ございました。
診療に当たっては、日本語が通じない患者様に対しては、東京都医療機関向けの救急通訳サービスや、AMDA国際医療情報センターの多言語電話相談などを活用して対応しております。
また、平成二十六年度以降、職員の語学研修を実施するとともに、患者が使用する問診票や同意書などの書類につきまして多言語翻訳を行うなど、外国人患者が安心して受診できる環境整備に取り組んでおります。
○米倉委員 大塚病院の分娩件数の一割以上が外国人ということがわかりました。日本語が通じない患者に対する支援もさまざまに取り組んでいるということですから、引き続きの環境整備を求めておきます。
次に、小児精神外来についてです。
大塚病院に児童精神科外来を開設し八年になりました。この三年の受診実績について伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大塚病院の児童精神科外来における診療実績は、平成二十六年度延べ患者数六千六百六十五人、うち新来患者数五百二十二人、平成二十七年度延べ患者数六千六百七十八人、うち新来患者数五百四十四人、平成二十八年度延べ患者数につきましては五千八百十二人、うち新来患者数は三百六十七人となっております。
○米倉委員 受診数、特に新来患者数が昨年度については前年度の五百四十四人から三百六十七人に減少したということですが、この理由は何なのでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十七年度は常勤医三名でありましたが、平成二十八年度は常勤医一名、非常勤医三名の体制となったことから、患者数が減少しております。
○米倉委員 二十七年度末から常勤医が三人から一人に減ったと、今もそのままということですが、もう一年半たっております。新来患者数が大きく減るとなりますと、受診したいという方が診察を受けられない事態も起こっているのではないかと心配をしております。
そもそも児童精神科外来を受診するには、どういう仕組みになっているんでしょうか。予約してから外来受診するまで、どの程度患者は待つことになるのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大塚病院の児童精神科外来の初診予約は、診療予定月の二カ月前の月初めから受け付けを開始することとしております。
また、初診に先立ちまして電話連絡を行い、紹介状の有無や家族状況、本人の状態など、診療に必要な情報を事前に収集してございます。
なお、緊急を要する患者さんの場合には、随時受け入れを行うなどの対応をとっております。
○米倉委員 診察予定月の二カ月前の月初めに受け付けをするということですが、児童精神科外来の常勤の医師は一人ですから、受けられる数はやはり限られます。その月の受け付け数が埋まってしまった場合はどういう対応になるんでしょうか。実際に患者はどのくらい待っているのか、伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度は常勤医一名、非常勤医三名で対応していたことから、受け付け開始から数日で初診の予約の枠が埋まってしまうという状況が生じておりました。
予約枠が埋まった場合には、次の予約開始時期をご案内しているところです。
なお、先ほども答弁させていただきましたが、緊急を要する患者さんの場合には、随時受け入れを行うなどの対応を行っております。
○米倉委員 緊急を要する患者の場合は随時ということですが、二カ月前の月初めの数日で予約が埋まってしまうと、そこから約三カ月かそれ以上待たないと、そこで予約がとれなかった方は受診できないということになります。成長発達の途上にある子供にとって、三カ月というのはかなり長い期間だと思います。
ちょっと確認をさせていただきたいんですが、児童精神科の患者は、やはり基本的には早く受診できる方がいいと思いますが、病院経営本部としてもそういう認識でよろしいんでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどもご答弁させていただきましたが、患者さんの状況につきましては、いろいろな状況を踏まえてございます。
緊急の場合には、先ほどご答弁させていただいたとおり受け付けを行っているところですが、患者さんの状況やいろんなことにつきましては、予約時に行っているような事前の問診や電話連絡、患者の症状を確認することが重要だと思っております。
一般的には、やはり早い対応をすることが治癒、回復に向けての対応だというふうには考えてございます。
○米倉委員 やはり早い方がいいということですので、新規の受診数を確保し、早期に受診を確保できるように努力をしていただきたいと思います。
そのためにも医師確保が急がれておりまして、病院経営本部としては、この医師の確保にどう取り組むんでしょうか。
○児玉経営企画部長 児童精神科の医師につきましては、平成二十九年八月二十日現在、児童青年精神医学会の認定医が全国で三百三十名と限られている中、大学医局への働きかけを継続的に行い、医師が派遣されるよう要請を行っております。
また、東京医師アカデミーにおいて、児童青年精神科コースを設け、専門医を育成しているところでございます。
引き続き、こうした取り組みにより医師の確保に努めてまいります。
○米倉委員 さまざま取り組んでいらっしゃるということでした。早期に医師が確保できるように引き続き力を尽くしていただきたいと思います。
最後に、今後の都立大塚病院のあり方について伺います。
昨年度、東京都は、地域医療構想を策定しました。国は二〇一五年に策定した経済財政運営と改革の基本方針で、社会保障の自然増を三千億円から五千億円も削減する方針を示し、その具体策の冒頭に地域医療構想を挙げました。
地域医療構想に関する国の定めた計算式に基づきますと、今後高齢化が進むにもかかわらず、全国的に病床数が大きく減らされることになっています。
これは、療養病床の入院患者のかなりの部分が在宅に移行できるという前提で計算されていることなどによるものですが、都の地域医療構想の検討会でも、この前提には無理があるという意見が出されています。
その他にも、経済的なことなど、さまざまな理由で顕在化している医療需要が考慮されていないなど、国の推計方法には問題があると思っています。
しかし、そのような国の推計方法に基づいても、大塚病院のある区西北部二次医療圏を含め、東京都は病床数全体はふえるものとなっています。
これは、今の東京都全体の病床数が少ないことや、今後高齢化が進む中で医療需要がふえていくことを反映したものだと思います。
したがって、東京都としても、むしろ東京の医療提供の体制は充実させていく必要があると思いますし、都立病院も減らしていくというようなことがあってはならないと思います。
そこで伺いますが、昨年度出された地域医療構想を受け、大塚病院の今後のあり方についてはどのような検討を行っていますか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院が今後担うべき医療につきましては、平成二十八年六月に、外部有識者で構成されております都立病院経営委員会に議論を付託しております。
経営委員会では二十八年九月、今後の都立病院の担うべき医療の方向性に関する検討部会を、続きまして本年五月には、今後の都立病院の経営力向上に向けた取組に関する検討部会を設置し、現在検討を行っていただいているところでございます。
○米倉委員 内容は検討中だということですが、大塚病院の果たしている重要な役割について、縮小されることがないよう求めたいと思います。
また、先ほどお話しになった二十床程度縮小となることについても、現行の規模が維持されるよう改めて要望します。
都立病院は、三次医療などを担っている病院ですが、受診されているのは周辺の地域の方が多く、地域住民への医療提供を重視して運営していく必要があると思います。
そこでお聞きしますが、大塚病院の患者は主にどのような地域から来ていますか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年十月に実施しましたワンデー調査によりますと、大塚病院の入院患者数は三百九十七名、外来患者数は九百二十一名でございました。
区別に見ますと、入院患者数は、患者の多い順になりますが、豊島区百六十三人、文京区六十六人、北区三十三人、練馬区二十四人、板橋区二十二人。外来患者につきましては、豊島区四百八人、文京区百六十五人、北区六十九人、板橋区三十七人、練馬区二十八人となっており、それぞれ全体の四分の三を占めているところでございます。
○米倉委員 やはり地域の方の受診が多いわけです。大塚病院の役割が縮小、後退するようなことはあってはならないと思いますが、そうでない方向で検討する場合であっても、やはり地域の住民の声をよく聞いて進めていく必要があると思います。
そこでお聞きしますが、病院の位置づけについて検討する場合には、事前に地域の住民や関係者に説明をして意見を聞く機会が必要と考えますが、こういう機会はあるんでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、地域で必要となる医療機能の確保につきまして、構想区域ごとに設置されています医療機関、医療関係団体、区市町村等で構成されております地域医療構想調整会議におきまして、平成二十八年十一月から順次検討を実施しているところでございます。
病院経営本部といたしましては、次期中期計画の中で検討していく考えでございます。
○米倉委員 地域医療構想調整会議の構成員は、答弁にありましたとおり、医療機関や医療関係団体、区市町村等になっています。そうした方々に意見を聞くことは私も必要なことだと思いますが、地域住民に直接説明をして意見を聞くというものにはなっておりません。
また、先ほど答弁のあったように、大塚病院は文京区からの患者が多いわけですが、調整会議は二次医療圏単位で行われており、大塚病院のある区西北部二次医療圏には文京区は含まれていませんから、会議の構成員にも含まれておりません。やはり大事な都立病院ですから、調整会議だけでなく、地域での説明会やパブリックコメントなどさまざまな形で住民と対話を行っていく必要があると思います。
都立病院のあり方は都民参加で検討していくべきだということを述べて、質問を終わらせていただきます。
○西沢委員 特に私の方から、財政面、財務面から質疑をさせていただきたいというように思います。
今週、決算審査においては、水道局、下水道局と、そしてきょうは病院経営本部という形で質疑となりますが、いずれの局でもいえることでありますけれども、公営企業の役割として、利益だけを追求していく、利益だけを上げていくということでもありませんし、その使命を果たすに当たっては、やはり、だからといって赤字をずっと垂れ流すというようなこと、税金の繰入金をふやしていくということも違うと思います。
その一方で、病院経営本部としては、公共の福祉の増進というような役割がある中で、そのバランスというものが重要であるということを申し上げた上で、質問に入らせていただきたいと思います。
特に収入、支出に分けて、きょうもちょっとお聞きしていきたいと思いますが、まず、収入の部分という中で、きょうの要求資料の中にもありますが、病床利用率についてです。
病床利用率については全体で八〇%と近年下がり続けてきていることが読み取れるわけでありますが、特に広尾病院は六〇%台という形で、かつての広尾病院からしてみると、少し寂しい状況にあるという中であります。
なぜこれほどまでに病床利用率が低下をしているのか、病床利用率低迷の原因、本部としてどのように分析をしているのか、まず最初にお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 病床利用率が減少傾向となっている主な要因としましては、医療機能の分化、連携と医療費適正化の観点から、近年の診療報酬改定で入院期間を短くするよう誘導されているため、平均在院日数が短くなってきていることが挙げられます。
厚生労働省が毎年度実施している調査によれば、病床利用率は全国的に近年減少傾向にあり、平均在院日数は全病床の平均で、五年前の平成二十四年度の三十一・二日から、平成二十八年度の二十八・五日へと二・七日短くなっております。
都立病院も同様に、平均在院日数は、平成二十四年度は十八・一日だったものが、平成二十八年度は十六・七日と、一・四日短くなっております。
新入院患者数はこの間増加傾向にあるものの、主に平均在院日数の短縮に伴い、病床利用率が減少したものと考えております。
また、広尾病院の病床利用率の低下に関しましては、これに加えて、平成二十七年度に医師の退職が多かったことが影響しました。平成二十八年度は医師を確保し、診療体制の強化や医療連携の推進など、病床利用率の向上に向けた取り組みを行いましたが、その成果がすぐにはあらわれず、年度後半から改善したものの、年間を通じて六五・六%となったものでございます。
○西沢委員 それなりの理由を今ご説明いただきましたが、病床利用率の低下とともに自己収支比率も低下をしているわけであります。自己収支比率が低下をして、これに連動する形で一般会計繰入金が増加していると。つまり都民の税金がその分入れられているということがわかるわけであります。
きょうも十年前の平成十八年度と比較してみたいと思いますが、十年前、平成十八年度と比較して、繰入金はどのように推移をしているのか、お伺いいたします。
○児玉経営企画部長 一般会計からの繰入金は、平成十八年度は三百五十六億六千万円、平成二十八年度は三百九十九億七千八百万円でありました。この間、多摩総合医療センター、小児総合医療センターなどの開設に伴う影響もあり、平成二十一年度には四百六十億六千九百万円を計上しましたが、その後は圧縮を図り、平成二十四年度以降はほぼ横ばいとなっております。
なお、自己収支比率につきましては、平成十八年度の七〇・九%から、平成二十八年度は七四・七%へと改善しております。
○西沢委員 高くなったり低くなっている時期はありますし、改善している部分もあるという答弁がありましたが、いずれにしても、一般会計の補填は高いというふうに私は感じます。
一般会計の繰入金が高どまりしているという背景には幾つか原因があると考えられるわけでありますが、歳出面のチェック、収入に比較して支出のチェックというのも必要であると思います。
経常費用のうちの多くを占めている給与費、職員給与費について、これは他の公立病院と比べてどのように分析をされているのか、エビデンスデータでご答弁いただきたいと思います。
○児玉経営企画部長 総務省が取りまとめている全国の地方公営企業の決算に基づき、一般会計繰入金を除く医業収益を一〇〇とした場合の給与費の割合、いわゆる給与費比率を見ますと、平成二十八年度における都立病院の合計は六〇・四%でございました。
また、政令指定都市の地方公営企業法適用病院における平成二十八年度決算の状況を調査したところ、給与費比率は平均で五八・八%でありました。全国自治体病院協議会が実施した全国の自治体病院の平成二十八年度決算見込みによれば、全国平均の給与費比率は五七・一%となっており、都立病院の合計はいずれと比較しても上回っております。
給与費比率の差に関しましては、職員の平均年齢や地域の民間給与実態等も考慮して定められた各自治体の給与水準の違いなど、さまざまな要因があり、一概に都立病院の職員給与費が他の公立病院と比べて高いとはいえないと考えております。
○西沢委員 経費の大きなものを占める給与費に関して、これが圧迫しているんじゃないのかという懸念については、一概にそうはいえないというようなことでした。職員の給与関係費が問題ないということであれば、これは、ほかの固定費用というものの十分な精査が必要になるんだろうということを申し上げておきたいというように思います。
公共の福祉の増進とともに経済性を発揮するということが求められる病院経営本部でありますが、今議論してまいりましたが、病床利用率、それから自己収支比率、この向上にはどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
○児玉経営企画部長 病床利用率の向上には新入院患者の確保が重要となります。このため各病院では、地域の医療機関との連携強化や、断らない救急の徹底などを図ってまいりました。
こうした取り組みによりまして、平成二十八年度の紹介率は、前年度よりも一・七ポイント増の七七・七%、返送、逆紹介率は前年度よりも四・三ポイント増の四五・一%と、これまでで最も高い実績となりました。
収益確保のための取り組みとしましては、新たな施設基準の取得に努め、例えば墨東病院では、総合的かつ専門的な急性期医療を二十四時間提供できる体制を整備し、総合入院体制加算を取得することで、年間約一億六千万円の増収となりました。
また、手術件数が都立病院全体で前年度よりも一千件以上増加したことなどにより、診療単価は入院、外来ともに上昇し、平成二十八年度の入院収益は、前年度と比較しまして二億九千六百万円、外来収益は九億三千六百万円、それぞれ増加しました。
一方、費用節減のための取り組みとしましては、後発医薬品への切りかえを一層促進し、医薬品使用数量に占める後発品の割合が前年度よりも一〇・一ポイント増の八八・〇%となったほか、医薬品、診療材料の共同購入の取り組みをさらに進めることで、約一億七千万円の削減効果を上げることができました。
今後も質の高い医療の提供と患者サービスの向上を図りながら、引き続き経営改善の努力を進めてまいります。
○西沢委員 さまざまな努力をしているということがわかりました。収入、病床利用率のアップには、断らない救急であったり、二十四時間の体制であったり、また支出の削減に関しては、後発性の医薬品への切りかえだというような、こうした努力はぜひ今後もたゆまぬように進めていただきたいというように思います。
というのも、何度も申し上げていることでありますが、自己収支比率が悪化すると、都民の税金である一般会計から繰り入れられると。つまり、努力をしても努力をしなくても、収入が減ろうがふえようが、一般会計からその分補填されるということになると、どうしても経営努力というところにインセンティブが働かないから、どうしてもそういった部分が出てしまうんじゃないかということが心配になるわけであります。
現在、次期中期計画の策定ですか、都立病院改革推進プランは平成二十五年から二九年、つまり来年から、新たなプラン策定をしているというように思います。
今まで申し上げてきたような指摘に対して、このプランにどのように反映していくのか、どのような改革を行っていくのか、お伺いをいたします。
○児玉経営企画部長 先ほどもご答弁いたしましたが、都立病院では収益確保と費用削減のためのさまざまな取り組みを進めております。
一方で、病院経営本部では、職員の経営意識の一層の向上を図り、効率的な病院運営を実現するため、バランススコアカードによる経営管理も行ってまいりました。
平成二十八年度もバランススコアカードにおいて、本部及び各都立病院が自己収支比率などの財務的な指標も含めた多角的な視点で目標を設定し、目標達成に向けた具体的な改善の取り組みを行いました。
また、院長から本部長への病院運営方針のプレゼンテーションや、経営管理の取り組みに関する病院と本部との意見交換等の実施を通じて、経営改善に対する職員の意識改革などにも取り組みました。
都立病院の運営に関しましては、患者さんからいただく診療費等に加えまして、都民の税金も投入されている事業である以上、経営努力を行うことは極めて重要であると認識しております。
この認識のもと、次期中期計画の策定の中においても、経営改善の取り組みを十分検討して、実施につなげてまいりたいと考えております。
○西沢委員 今いろいろとご努力いただく、もしくは改革をご説明いただきました。病院経営本部と、それから都立病院との関係の中で、私たち都議会民進党は、病院経営本部に限らずですけれども、やはり第三者の目を入れるべきであるということ--これは東京都の全事業においてもそうですけれども、外部の目を入れることによって、見えないものが見えていく、透明性も高まっていくということを申し上げてまいりました。
この都立病院の運営、それから評価、今ご答弁いただきましたこの改革の方向性について、第三者の目は入っているんでしょうか、お伺いをいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、医療の質の向上と効率的な運営を実現するため、病院や企業の経営、財務事務などに精通した専門家による助言や、実効性の高い改善策の提案を得ることを目的としまして、外部有識者で構成されております都立病院経営委員会を設置しております。主な活動内容は、都立病院の経営全般や当該年度の事業計画等についてご議論いただき、助言や提案を行っていただくことでございます。
また、平成十九年度に総務省が策定しました公立病院改革ガイドラインでは、公立病院が策定した改革プランにつきまして、有識者等が参加した委員会で年一回以上点検、評価するとされたことから、平成二十年度以降、経営委員会において毎年度の行動計画について評価、検証を実施しております。
平成二十八年度は委員会を二回開催し、平成二十七年度決算概要、平成二十八年度病院経営本部行動計画等について議論を行い、行動計画の策定に当たっては具体的な数値目標を設定し、到達点を明確にすべきなどと具体的な助言をいただいたところでございます。
○西沢委員 この委員会の方で外部の目があるよという話でございますが、広尾病院については、昨年度来検討が行われて、当初移動する予定でありましたが、現地での建てかえと、それから病床数の適正化を盛り込んだ整備基本構想が発表されたわけであります。病床の適正化や、それから地域医療との連携が新たに打ち出されたところでありますが、これは非常に大きなポイントだと思うんですね。
病床の適正化というところは、きょう申し上げてきた財政面のところもそうですし、それと、これからの都立病院のやはり役割というところにおいては、行政的医療はもちろんですけれども、地域医療との連携というところが少し大きな肝になってくると思います。
大変重要なポイントだと思いますが、ほかの都立病院でもこのような努力が必要なんじゃないかと私は考えるわけでございますが、認識をお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院が今後担うべき医療につきましては、平成二十八年六月に、都立病院経営委員会に議論を付託したところでございます。
委員会では平成二十八年九月、今後の都立病院の担うべき医療の方向性に関する検討部会による検討を開始し、本年九月に、行政的医療の安定的かつ効率的な提供、特性や専門を生かした高水準な医療の提供、地域医療への充実への貢献の三つの方向性が提言されたところでございます。
また、都立病院が担うべき医療を効果的かつ一層効率的に果たしていくため、今後の都立病院の経営力向上に向けた取組に関する検討部会を本年五月に設置し、現在検討を行っていただいているところでございます。
この二つの検討部会からの検討結果に基づき、経営委員会において議論を行い、その後、委員からの最終報告を踏まえ、都立病院の次期中期計画の検討を進めていく考えでございます。
○西沢委員 経営委員会の方で議論をしてきたわけだし、これからも議論をした上で、それを踏まえて方向性を示すということだと思います。経営委員会の役割というもの、もしくは議論というものが、都立病院の方向性に非常に大きな影響を与えているというようなことが今の答弁でもわかるわけであります。
そうすると、経営委員会の選任はどのようにしているのかと。経営委員会のメンバーはホームページでも見られるわけでありますが、企業経営者だったり、民間の病院の院長さんでいらっしゃったり、医師会から、もしくは看護協会から、さまざまな団体から入られているわけでありますけれども、選任は誰がして、そしてどう決めているのかと。客観性をちゃんと担保しているのかということが不安になるわけですが、お伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 西沢先生からお話のあったとおり、都立病院経営委員会の委員につきましては、医療関係団体や患者団体など幅広い分野から多様な視点と知見を得ることができる委員構成としております。
また、委員の選択につきましては、都の附属機関等設置運営要綱に定め、委員選任基準に基づき選任をし、客観性や公平性を確保しているところでございます。
○西沢委員 つまり、例えば東京都が発注している何か工事であったりとか、物の調達に関して、それを受注する側であったりとか、東京都と密接に利害関係のある人はこの中にはいないということでよろしいわけですね。--はい。引き続き、こうした経営委員会が、第三者の目というのは非常に重要であります。けれども、その第三者の目というのが曇りのない目であるということも担保していかなければいけないというようなことを申し上げておきたいと思います。
最後に、いうまでもなく都立病院の役割は、民間ベースでは成り立たない行政医療を確保し、広く都民の生命と健康を確保することであります。
そうした使命を果たすには、経済性を発揮し、安定した経済基盤を確保することが不可欠でもあります。その一方で、都民の皆様に対しての公共の福祉の増進という役割もあります。このバランスが重要であります。
一層の努力と不断の経営の見直しを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
○田の上委員 都立病院は八病院あり、普通病院は六施設で、うち産科がある施設は四施設、総合周産期母子医療センターは三施設となっています。
まず、周産期医療について伺います。
都立病院は、全ての都民のための病院として、限られた医療資源を適切に提供するため、急性期の患者を対象としていますが、リスクのある妊娠をしている方しか診療しないのでしょうか。また、高齢妊娠は、地域の小さな産科医院などでは敬遠されてしまいますが、高齢妊娠そのものはリスクに入らないのでしょうか、伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院においては、大塚病院、墨東病院、多摩総合、小児総合医療センターが総合周産期母子医療センターの指定を受け、高度な医療が必要なリスクの高い周産期医療を提供しているところでございます。また、これらの病院と広尾病院では、地域の医療機関から紹介された妊婦に対しまして、通常分娩にも対応しております。
厚生労働省が定める診療報酬のハイリスク分娩管理加算の対象は、妊娠二十二週から三十二週未満の早産の患者や四十歳以上の初産婦、前置胎盤、多胎妊娠等の患者であって、かつ、医師がハイリスク分娩管理が必要だと認めたものとされております。
○田の上委員 通常分娩にも対応されているということがわかりました。また、四十歳以上の初産婦や前置胎盤、多胎妊娠等もハイリスクとして対応されるとのことでございます。
昨今は高齢出産が著しくふえております。平成二十七年三月改定の東京都周産期医療体制計画によると、三十五歳以上の母からの出生率は、平成十二年に一万六千五百十七人であったのに対し、平成二十五年には三万八千三百八十九人となっており、二倍以上の増加、四十歳以上だけ見ると四倍以上も増加しております。
こういった高齢妊娠の方の病院選びは非常に難しく、リスクを含めた受け入れ体制の整っている施設を探し、妊娠中の移動を考えたアクセス、費用などを考えながら、限定された医療機関の中で選ぶことになります。
都立病院でハイリスク分娩とされる方の定義や、通常分娩に対応しているということは、なかなか知り得ないことなのではないかと思っております。
実は、私は昨年、四十六歳という超高齢で初めて出産をしているのですが、そのときに都立病院に問い合わせをさせていただいたところ、ハイリスクではないとだめというふうにいわれました。応対する方がどれだけの理解をしているのかという問題にもなるのかもしれませんが、受診する側はわからないので、そこでいただいた情報が全てになってしまいます。
医療機関だからといって、情報提供に対して受け身でよいとも思えません。必要とされる妊婦が都立病院の医療情報にアクセスできる仕組みはないのでしょうか、伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都医療機関案内サービス、「ひまわり」と申しますけれども、ハイリスク分娩に対応する医療機関や正常分娩を実施する医療機関を検索することが可能となっております。
加えまして都立病院の各病院は、医療機能や主な設備、取り扱い実績等についてホームページに掲載するほか、「ひまわり」への医療情報の登録を行うなど、積極的な情報発信に努めております。
○田の上委員 妊婦は自分で情報を一生懸命探すんですが、口コミのサイトなどでは、サービスであるとか施設整備ぐらいしかわからないんです。
「ひまわり」についてなんですが、産科領域の一次診療という形で墨田区江東橋を検索したんですが、墨東病院が出てきませんでした。ほかの産院は、ちなみに検索で出てきました。
ハイリスクにしか対応できないというふうに捉えてしまうので、やはり工夫が必要なのかなというふうに思っております。
都立病院としては、通常分娩の枠に限りがあるのも理解できますし、殊さら病院のPRをするわけでもないとは思うのですが、該当患者から見てわかりにくい、アクセスしにくい面があるということを指摘させていただき、改善を要望いたします。
大塚病院の大塚モデルは、産婦人科の医療資源を効率的に活用するため、大塚病院が地域の、三十四週以降の健診をする、正常分娩に近い時期での受け入れをするというものでございますが、この仕組みを利用する方は二十八年度どれくらいいたのでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度の大塚病院における分娩数は千四百七件であり、そのうち大塚モデルによる分娩件数は六百四十九件と、全体の約五割でありました。
また、この実績につきまして、平成二十六年度は五百七十八件、平成二十七年度は五百九十三件と、年々増加しております。
○田の上委員 産科の少ない地域では、さまざまな工夫がされているものと思っております。平時は地域の医療機関で受診し、リスクが認められる場合に専門医療機関へという地域連携の仕組みはよく理解できるんですが、大塚モデルはちょっと違って、通常分娩の場合に適用される独自制度でございます。
私も初めは妊娠後期に医療機関を変更する、この制度がなぜ受け入れられているのかよくわかりませんでしたが、同じ医療機関で受診する方が本当は安心感が得られるのではないかというふうにも思ってみたんですけれども、しかしながら、結果を聞きますと、分娩だけでも大塚病院を希望する妊婦さんがとても多いということで、その評価の高さに大変驚きました。
このようなセミオープンシステムは今後もほかの都立病院で展開されるのでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員お話しのセミオープンシステムは、分娩を受け持つ中核病院と身近な地域の診療所等の相互の紹介を通じまして、患者のリスクを踏まえた医療機能に応じた役割分担を進める取り組みでございます。
このシステムは、妊産婦の利便性が保たれること、地域の診療所等の妊娠や分娩管理に伴うリスクの軽減、分娩を受け持つ中核病院の外来患者数の減少に伴う負担の軽減など、妊産婦と医療機関の双方にメリットがある取り組みであると認識しております。
他の都立病院におきましては、地域の医療機関と適切な役割分担のもと、連携により周産期医療に取り組んでおります。
○田の上委員 妊産婦と医療機関の双方にメリットがある仕組みとのことです。
大塚病院の場合は、ハイリスク分娩と通常分娩との割合を考えながら、また地域の医療機関との役割分担が適切にできている成功事例だと考えます。
今後、都内各所でも、時代のニーズや地域のニーズにより、さまざまな形が考えられると思います。限られた医療資源を活用して、引き続き工夫をしていただきたいと要望いたします。
一方、望まない妊娠等により、妊婦健診等未受診のまま妊娠後期に突入する妊婦などがいると思います。都立病院での受け入れの対応について伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院において、平成二十八年度に母体搬送として受け入れた未受診妊婦の実績は、総合周産期母子医療センターである大塚病院が二十三件、墨東病院が八件、多摩総合医療センターが五件と、合計で三十六件でありました。
○田の上委員 搬送される以外に、長い間未受診のままだった妊婦が外来の受け入れ医療機関を探すのは大変だと思います。
現状はどのようになっているのか、お聞かせください。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 妊婦健診を受診していない妊婦は、母体や胎児に対するさまざまなリスクを含む可能性があるため、まずは妊婦健診の受診を勧めることが重要であります。
このため、例えば大塚病院では、妊婦健診を受診せず、分娩先が見つからない方に対しまして、自治体や妊娠相談ほっとラインに相談するようホームページで案内するほか、直接の問い合わせがあった場合につきましては、患者支援センターで案内をしているところでございます。
また、都立の総合周産期母子医療センターの三病院では、セーフティーネットとして未受診妊婦の受け入れにも対応しております。
○田の上委員 自治体や妊娠相談ほっとラインに相談するように大塚病院のホームページなどでご案内しているとのご答弁でございました。
未受診妊婦をふやしてしまう原因は、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、経済的な問題や知識を得る場所が足りないことにあるともいわれております。家族や周囲に相談することもできずに赤ちゃんが育っていってしまう。そういった方々がいかに情報にアクセスできるのかは大変な課題だと考えております。
まず一義的に受診を勧めるのは当然のことでございますが、個々の都立病院では実際に未受診の妊婦を受け入れはしているものの、公式には受け入れできないとホームページに書かれているわけでございます。
情報にアクセスできないまま搬送になってしまうケースを減らすためにも、病院経営本部と福祉保健局の連携の中で、妊娠相談ほっとラインや各自治体の女性センターなど、該当妊婦が相談する、アクセスすると考えられるような機関に都立病院の情報提供を広げていくことを要望いたします。
高齢出産を含め、ハイリスク分娩がふえる中、総合周産期母子医療センターのある病院は限られています。総合周産期母子医療センターに求められる要件とはどのようなものでしょうか。総合周産期母子医療センターがない地域での都立病院の対応はどのようになっているのでしょうか。あわせて伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 総合周産期母子医療センターの指定には、M-FICUやNICUを備えること、また、産科医及び新生児科医が二十四時間勤務していることなど、常時母体及び新生児搬送受け入れに必要となる高い基準を満たす必要がございます。
平成二十八年度の都立病院の総合周産期母子医療センターの三施設の実績は、母体搬送受け入れ五百六件、新生児搬送受け入れ三百八十四件であり、多くの周産期搬送患者を受け入れております。
その他の都立病院については、例えば広尾では、リスクの高い妊産婦を近隣の総合周産期母子医療センターでございます日本赤十字社医療センターに紹介するなど、他の医療機関との連携により取り組んでいるところでございます。
このように限られた周産期の医療資源を最大限活用し、多くの妊産婦に対応しております。
○田の上委員 私の周りでも搬送されるケースであるとか、転院になるケースですとか、いろいろ聞いているんですけれども、総合周産期母子医療センターをふやしてほしいといいたいところなんですけれども、なかなかハードルが高いことも承知しております。
また、総合周産期母子医療センターの指定には、かなり高い基準が求められており、産科医、新生児科医の充実も必要であるということも認識しているつもりでございます。
小児科医不足、特に新生児科においての医師不足は深刻だと聞いております。また、産科医師不足はここ何年も日本産科婦人科学会でも、厚生労働省でも指摘されているところです。
日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の地域基幹病院のデータでございますが、分娩取扱病院の常勤産婦人科医数は、施設当たり、二〇〇八年の四・九人から、二〇一六年には六・五人に増加したものの、妊娠、育児中の医師の割合の増加等により、夜間勤務可能な医師数の増加は限定的で、推計月間在院時間は、二〇〇八年三百十七時間から、二〇一六年二百九十九時間なのだそうです。
都立病院では、子育て中の女性医師や看護師を対象とした当直免除や短時間勤務の導入をしていたかと思います。産婦人科医の勤務環境の改善を進めながら、二十四時間対応を確立させるためには、産科、産婦人科医数をふやすしかありません。
ここ数年の都立病院における産婦人科医数の推移と勤務状況を教えてください。
○児玉経営企画部長 平成二十八年十月一日現在の産婦人科の常勤医師数は、広尾病院が四・五名、大塚病院が十一名、墨東病院が十二名、多摩総合医療センターが十五名であり、四病院合計で四十二・五名でございます。
前年の十月一日現在と比較しますと、四病院の合計は四十五名で、二・五名減少しておりますが、ここ数年はほぼ同数で推移しております。
勤務状況につきましては、平成二十八年度において、産婦人科医師二名が育児短時間勤務の制度を利用し、また五名が院内保育室を利用するなど、育児と仕事の両立を図っております。
○田の上委員 少し減ってはおりますが、全体的にほぼ変わらずというところで推移しているとのこと、理解をいたしました。また、女性産科医が仕事に復帰できるような仕組みもつくられているとのことでございました。
いろんな方から女性医師をもっと活用するようにというようなお声は今までにもあったかと思いますが、非常にライフワークバランスと、そして医師をふやすという、いろんな命題の中で大変かとは思いますが、引き続きご努力をお願いしたいというふうに思っております。
次に、助産師の数は各病院でどれくらいいるのか、推移とともに伺います。また、助産師についても当然働きやすい環境づくりが必要と思いますが、あわせて取り組みを教えてください。
○児玉経営企画部長 助産師の数は、平成二十八年十月一日現在、広尾病院が二十四・八名、大塚病院が四十七名、墨東病院が四十二名、多摩総合医療センターが三十八名で、四病院合計で百五十一・八名であります。
前年の十月一日現在と比較しますと、四病院の合計は百五十一・三名であり、ほぼ同数で推移しております。
また、都立病院では、女性医師を初め、助産師や看護師などの女性職員が出産、育児などを経てもなお働き続けられるよう、全ての病院に院内保育室を整備し、加えまして、二十四時間保育や育児短時間勤務制度を導入するなど、働きやすい職場環境を整備しております。
○田の上委員 こちらもほぼ同数とのことでございます。職場環境整備にも力を入れていただいているとのことで、ありがとうございます。引き続きご努力をお願いしたいというふうに思っております。
産科医の数など、十分な医療体制をつくるのは大変なことです。私は、専門的な知識に基づき、母子やその家族のニーズに応じて自然な妊娠、出産に関するケア、また母乳育児に関するケアを提供する助産師の役割は大きなものであり、限られた医療資源という命題がある中で、助産師は産科医不足の体制を補う上で大変重要だと考えております。
昨今は、助産院よりも病院に勤務する助産師がふえており、また民間では、院内助産所設置の病院も都内では七院あります。医療と連携しながらの母子保健事業が進んでいるものと認識しております。
そこで、産科医不足に助産師の調整で対応できる仕組みも含めて、今後の体制を考えていくべきと考えますが、見解をお聞かせください。
○児玉経営企画部長 都立病院のケースでお答えさせていただきたいと思いますが、都立病院の助産師は、医師の指示のもとで妊産婦の管理や分娩などを行うことにより、産婦人科医師の負担軽減に寄与しております。
そのほか、墨東病院では、周産期支援コーディネーターとして患者の相談支援を行い、また大塚病院では、出産準備教室の開催や、母乳育児相談外来を開設するなど、助産師は重要な役割を担っております。
今後も助産師がその役割を発揮し、産婦人科医師や他の関係職員とも連携協力しながら、チーム医療を推進する体制を整備していくことが重要であると認識しております。
○田の上委員 私自身も産前から産後まで、助産師さんにとても助けていただきました。また、分娩時にも実際に子供を取り上げたのは、医師ではなくて助産師さんでした。
医療と保健という違いはあるのかもしれませんが、限られた医療資源の中で、チーム医療としての取り組みということで、今後もぜひ工夫をしていっていただきたいというふうに要望いたします。
厚生労働省の資料では、骨髄移植と同様に臍帯血移植が年々ふえています。臍帯血は胎児の血液であり、幼若で増殖能力に富む造血幹細胞が含まれています。
厚生労働省の臓器移植対策室の二〇一〇年の資料によると、造血幹細胞移植においては、WMDA、世界骨髄バンク機構では、骨髄移植よりも臍帯血移植の割合の方が高くなっています。
しかしながら、臍帯血は移植治療に使用するまで凍結保存をしなければならず、処理と保存には無菌管理が必要と聞きます。このため、出産による臍帯血の採取はどこでも可能なものではなく、産科病院とは契約制になっています。
そこで伺いますが、採取における整えなければならない条件は難しいものなのでしょうか。都立病院で実施できないかと考えますが、見解をお聞かせください。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 臍帯血の採取は、患者の安全のため、分娩室または分娩室と同等の清浄度を有する場所で採取することや、採取するスタッフは適切な教育訓練を受けることが必要となっております。
臍帯血の採取は正常妊娠、分娩を対象としておりますが、都立病院の産婦人科は重症な疾患により緊急に母体救命措置や緊急帝王切開が必要な妊婦や、妊婦健診を受けない、いわゆる未受診妊婦、精神科身体合併症の妊婦など、リスクのある妊産婦への対応が多く、安定的に臍帯血を採取する状況にないことから、現在、採取施設にはなっておりません。
今後の対応につきましては、各都立病院の実態を踏まえ、必要性を見きわめていく考えでございます。
○田の上委員 私が調べたところ、造血幹細胞移植情報サービスというところのホームページでは、都内で採取できる施設は九院しかありませんでした。出産時にドナーとして提供できる臍帯は、採取時にドナーの負担が大きい骨髄移植よりも提供しやすいものとして捉えていますが、採取できる施設が少ないところが課題でございます。
現在、都立病院での臍帯血採取は行っていないとのことでございましたが、冒頭伺ったところ、都立病院ではハイリスク分娩だけではなく、通常分娩も受け入れているとのことでした。
今後の対応については、実態を踏まえて必要性を見きわめるとのことで、通常分娩の比率も見ていく必要があるのかもしれませんが、希望する方の気持ちを尊重し、また公的病院としての役割ということにも鑑み、都立病院で臍帯血採取ができるよう整備をしていただけないものかと思います。今後の検討を要望いたします。
次に、高齢化関連で伺います。
平成二十六年の年齢階級別受療率を見ると、七十五歳以上が突出して高くなっております。高齢化とともに入院を伴う医療もふえています。
成年後見制度が活用されていない独居高齢者のような方々の対応はどのように行っているのでしょうか、伺います。
○谷田サービス推進部長 平成二十八年度に実施した都立病院のワンデー調査によりますと、七十五歳以上の患者の割合は、入院、外来合計で二三・五%でございました。単身で暮らす高齢患者は、家族などキーパーソンとなる身近な支援者が見つけにくいことから、退院が困難となり、入院が長期化することが懸念されます。
こうした患者には、患者支援センターのMSWや退院調整看護師が中心となって転院先確保や在宅療養移行に関する調整を実施しております。特に認知症など、患者みずからが意思決定できない場合については、ご家族に成年後見制度のご案内を行うなどして、制度の活用を図っております。
しかしながら、さまざまな事情で当該制度が適用できない場合には、区市町村の福祉事務所と連携をとり、福祉施設や在宅医療介護サービスなど地域生活に移行できるよう支援しているところでございます。
○田の上委員 ありがとうございました。他局の担当になるのかもしれませんが、意識不明で搬送されたり、また、先ほどおっしゃっておりました認知症のケースなども考えると、成年後見制度の普及が必要だと強く感じるものでございます。
以前、民間の医療機関のソーシャルワーカーさんと話し合ったことがありますが、転院のときにも資産が動かせないために、相手先に受け入れてもらえず、その病院を出ることができないなど、同様の問題を抱えておりました。機会を捉えて、成年後見制度について、患者さんやご家族に都度伝えていただきたいと要望をいたします。
昨年七月に地域医療構想を策定し、将来の東京の医療の姿をグランドデザインとして掲げました機能区分別の病床数の必要量が示されたとのことですが、都立病院は地域の中でさまざまな機能を求められています。
医療機関ごとに特色を出すのも大事ですが、一方で診療科が充実していることも必要ではないかと考えます。見解を伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、都では、構想区域ごとに設置されております医療機関、医療関係団体、区市町村等で構成される地域医療構想調整会議におきまして、地域で必要となる医療機能の確保について、二十八年十一月から順次検討を実施しているところでございます。
また、少子高齢化の進行に伴う疾病構造や受療行動の変化、地域医療構想を踏まえた対応など、医療を取り巻く環境が大きく変化していることから、都立病院が今後担うべき医療につきまして、平成二十八年六月、外部有識者で構成されております都立病院経営委員会に議論を付託したところでございます。
こうした議論や検討の状況を踏まえ、今後の都立病院の担うべき医療の方向性について引き続き検討してまいります。
○田の上委員 都立病院としては、専門性を高める面と、行政的医療としての側面と、またさらには地域医療の充実というものがございまして、いろいろな課題があるとは思いますが、また今後の都立病院の担うべき医療の方向性について検討を重ねているということでございますので、いろいろな形で情報を取り込みながら、また考えていっていただきたいというふうに思います。
都立病院は、地域医療の補完としての役割も求められております。都内の病院数は六百四十八と大変多くなっておりますが、全国平均と比較し、民間医療機関の割合が高くなっています。
都立病院と民間医療機関との連携が必要ですが、転院の取り組みはどのように行っているのでしょうか。また、医療制度の改革で在院日数の短縮が実施されたころから、退院支援という形で注目がされていますが、患者やご家族に不安を与えないように、十分な説明や対応を行っているのかをあわせて伺います。
○谷田サービス推進部長 入院患者に転院が必要となった場合には、患者支援センターのMSWが中心となり、患者の病状、ご家族の希望や経済状況など、さまざまな条件を勘案し、療養型病院やリハビリテーション病院、介護福祉施設など、患者にとって最も適切な転院先を提示するよう努めております。
平成二十八年度にMSWが対応した相談においては、転院を含む退院支援が最も多くなっておりまして、十九万三千五百二十件でございます。これは全体のMSWの相談の半数以上を占めております。
転院先が決まった際には、看護師が患者の病状や投薬情報、日常生活の自立度など、療養生活に必要な情報をサマリーとしてまとめまして、転院先の病院に情報提供を行っております。
また、日ごろからの連携先となっている地域の医療機関に対しては、定期的に連絡会議を開催するなど、関係構築の強化に努めております。
いずれの場合も、患者やご家族の意向を十分に踏まえながら調整を進め、今後の療養生活に不安を抱かず、安心して転院していただけるよう、支援に努めているところでございます。
○田の上委員 MSWが中心となり、細かな対応をしていただいていることがわかりました。中には転院や在宅移行が困難なケースもあると思います。都立病院ならではの入院の長期化もあるものと推測をしております。大変なご苦労をされていると思いますが、ぜひともご丁寧な対応をこれからもお願いしたいと思っております。
都立病院は、行政病院として、高齢患者の増加や医療ニーズの変化など、あらゆる面から取り組みをすることが求められています。これまでの貢献に感謝し、引き続き都民のためのたゆみないご努力をお願いして、質問を終わらせていただきます。
○神林委員長 そのほかございますか。よろしいですか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後四時三十五分散会
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