平成二十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成二十九年十月二十三日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長神林  茂君
副委員長おじま紘平君
副委員長細田いさむ君
副委員長米倉 春奈君
平  慶翔君
三宅 正彦君
西沢けいた君
斉藤れいな君
河野ゆりえ君
田の上いくこ君
石川 良一君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長中嶋 正宏君
技監田村 聡志君
理事総務部長事務取扱黒沼  靖君
職員部長筧   直君
経理部長志村 昌孝君
サービス推進部長小山 伸樹君
浄水部長青木 秀幸君
給水部長尾根田 勝君
建設部長特命担当部長兼務牧田 嘉人君
経営管理担当部長坂井 吉憲君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
IWA世界会議準備担当部長兼務
小平 基晴君
特命担当部長石井 正明君
設備担当部長横谷  守君
多摩水道改革推進本部本部長岸本 良一君
調整部長金子 弘文君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長本荘谷勇一君

本日の会議に付した事件
平成二十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成二十八年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成二十八年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)

○神林委員長 ただいまから平成二十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十八年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどをよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十八年度東京都水道事業会計決算及び平成二十八年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○黒沼理事 さきの分科会におきまして要求のありました資料を取りまとめ、お手元に配布をしてございます。その概要につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入ります、一ページをお開きいただきたいと思います。水需要予測と実績の推移でございます。
 将来の水道需要の見通しと、平成二十四年度から二十八年度までの一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担でございます。
 平成二十八年度の八ッ場ダム建設に係る総事業費、都の負担額、そのうち水道局の負担額及びその他の負担額をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。多摩川水系、利根川、荒川水系の年間取水量の推移でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの多摩川水系及び利根川、荒川水系の年間取水量をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。各浄水場等における自然エネルギー等による発電状況でございます。
 浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備について、それぞれの設置年度、発電規模及び平成二十八年度の発電実績をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープラン及び東京水道経営プラン二〇一六の二つの計画における計画期間、目標年次及び計画値並びに平成二十八年度の耐震継ぎ手率の実績値をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。漏水率の推移でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの漏水率の推移をお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をそれぞれお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。監理団体への委託料及び主な委託内容でございます。
 水道局が所管しております東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの二つの監理団体につきまして、平成二十八年度の委託料及び主な委託内容をそれぞれお示ししてございます。
 恐れ入ります、九ページをお開き願います。国際貢献の新たな取り組みに関する海外出張に要した経費の一覧でございます。
 平成二十八年度における海外出張に要した経費を、出張先の国名とともにお示しをしてございます。
 一〇ページをお開き願います。収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの収益的収支、資本的収支、損益勘定留保資金のそれぞれにつきましてお示しをしてございます。
 一一ページをお開き願います。長時間労働面接対象者数でございます。
 平成二十八年度における長時間労働面接の対象となった職員数を月別にお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。水道料金の減免実績でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの減免額と減免件数につきまして、その内訳と合計をお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○神林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○おじま委員 トップバッターでございます。よろしくお願いいたします。
 早速、私からは、工業用水道事業について伺いたいと思います。
 まずは背景から入らせていただきますと、高度経済成長期、工業各種産業においても水の需要が急増いたしました。地下水のくみ上げが多く行われて、それに伴って地盤沈下が発生をしたということでございます。それを防止するための行政施策として、地下水揚水規制が行われたと。その代替措置として、この工業用水道の整備がされた、昭和三十九年度に給水が開始されたということでございます。
 その当初の懸念であった地盤沈下については、鎮静化をしているということでございまして、事業を始めたそもそもの目的は達成をされたといえるわけでございます。
 しかし、そのそもそもの地盤沈下対策の一方で、東京の各種産業を支えてきたという側面もありました。しかし、国の産業立地施策、あるいは工業規制の強化による工場の都外転出、オイルショックを契機に、水使用の合理化も進んできて、需要も年々落ち込んできたということでございます。
 工業用途の利用者数、契約件数は、昭和五十一年度がピークでございまして、六百六十四件、それが二十八年度では百八十五件、四分の一になっておるわけでございます。当然、これに伴って料金収入も減っております。
 そのような中で、さらに施設の更新期を迎えてしまったということでございまして、これはもう事業としては限界ではないかということで、包括外部監査でも事業の廃止も含めた抜本的な経営改革が必要という意見がされております。
 これを受けて、庁内でも検討が進められてきたという経緯でございました。
 先日の決算説明でも、事業の実施状況や財政状況の大枠はお話がございましたが、改めて、事業運営主体である水道局さんに昨年度の決算の数字をもとに、まずは経営状況から確認をしていきたいと思います。
 初めに、平成二十八年度の料金収入について伺います。

○坂井経営管理担当部長 平成二十八年度の料金収入でございますけれども、約七億円となってございます。これは料金収入のピークでございました昭和五十八年度の約二十九億円に比べまして、四分の一に減少してございます。
 その原因といたしましては、ただいまお話にございましたように、工場の都外への転出、あるいは水道、水使用の合理化などによりまして、料金収入に影響いたします工業用水道の需要が減少していることが挙げられます。
 具体的には、工業用水、雑用水を含めました基本水量の推移を見てみますと、ピークでありました昭和四十九年度は日量約三十七万立米でございましたものが、平成二十八年度は日量約三万七千立米となってございまして、水量が十分の一まで減少しているという状況でございます。

○おじま委員 今ご答弁いただきましたとおり、基本水量が十分の一で、それに伴って料金収入は四分の一ということで、経営的にも明らかに厳しいのだと思います。
 一方で、水道局さんの努力もございました。平成九年度に工業用水道事業経営改善計画が実施をされるなど、さまざまな経営努力が講じられてきたということでございます。
 その取り組み内容と、具体的な中身について伺います。

○坂井経営管理担当部長 水道局では、工業用水道事業を安定的に運営していくため、これまで需要の拡大や経営改善に取り組んでまいりました。
 需要の拡大につきましては、工業用水道施設の余剰能力を活用いたしまして、昭和四十八年度から洗浄用水などの雑用水の供給を開始いたし、また、昭和五十一年度からは集合住宅のトイレ用水の供給も開始したところでございます。
 経営面におきましては、ただいま副委員長からもお話のございましたように、平成九年度の工業用水道事業経営改善計画、これに基づきまして、江東地区と城北地区の二事業を統合するとともに、浄水場につきましては、南千住浄水場と江北浄水場を廃止いたしまして、三園浄水場へ一元化するなど、事業のスリム化を図ってまいりました。
 また、平成十二年には施設の維持管理業務、それから平成十六年には料金の徴収業務をそれぞれ水道事業に委託するなど、業務執行体制の効率化に努めてまいりました。
 こうした事業のスリム化や業務執行体制の効率化など、こうした取り組みによりまして、これまでに二百十名おりました職員を七名にまで減員させてございます。さらに事業を取り巻く環境の変化などに対応いたしまして、昭和五十年度以降、五回の料金の改定を行うとともに、資産の利活用、それから不用となった事業用地の売却などを行いまして、収入の確保に努めてきたところでございます。

○おじま委員 収入面、支出面、特に事業統合、スリム化、二百十人いたという職員を今七人という数まで圧縮したというお話もいただきました。そういう努力をされてきているわけでございます。
 しかし、さきの財政委員会でも答弁がございました、一般会計から毎年何億の繰り入れがないと事業として収支がもたないというわけでございます。二十八年度においては、収益的収支、いわゆる損益の部で五億七千万、資本的収支の部で二億四千万、合わせて八億と一千万という補填が一般会計からされているということで、独立採算の原則としては破綻をしておるわけでございます。
 一方で、最初に触れたように、施設については事業開始から五十年以上が経過をして、配水管も施設そのものも老朽化が進んでいるやに聞いております。その状況についても確認をさせてください。

○青木浄水部長 工業用水道事業は、昭和三十九年度に給水を開始して以来、五十年以上が経過してございまして、浄水施設、配水施設ともに老朽化が進行してございます。
 工業用水の浄水処理を行ってございます三園浄水場におきましては、多くの機械、電気設備が運用を開始した昭和四十六年度から継続して使用されておりまして、既に部品の製造が中止となっている機器もあるなど、施設の維持管理が困難な状況となっております。
 また、配水管でございますが、延長約三百四十四キロメートルのうちの約六割が法定耐用年数でございます四十年を超えている状況にございます。中でも配水区域の骨格となります配水本管につきましては、延長約百八キロメートルのうち九割以上が法定耐用年数を超えている状況にございます。

○おじま委員 かなりの部分が耐用年数を超えてしまっているというお話もございました。老朽化が相当進んでしまっているということでございます。
 これは、本来の事業のあり方でいえば、老朽化した施設については更新をすると。しかし、この更新に二千三百三十億円がかかるといわれております。この更新経費二千三百三十億という数字は、大変重いと思っております。
 この事業については、事業の廃止も含めた抜本的経営改革の結論を、とりあえずは今、待たなければならない状況でございます。
 当面は現状の施設をもっての運営を前提としながら、何とかやっていかなくてはならないだろうと思います。その当面について、これまでもそうですけれども、安定給水を確保していかなければならない、その必要がございます。
 老朽化という現状を踏まえての事業運営について、水道局さんとして、どのような点に留意をされているのか伺います。

○青木浄水部長 工業用水道を安定的に供給するため、定期的な施設の点検など、適切に維持管理を実施してございます。
 三園浄水場におきましては、ポンプの状態など、日常点検によりきめ細かく把握し、異常が確認された場合には、適宜補修を行ってございます。配水管につきましては、弁類の外観点検など、管路附属設備の診断を的確に行った上で、老朽化したボルトの交換を初め、必要な補修を実施しているところでございます。
 また、突発的な事故につきましても、マニュアルの整備や訓練の実施など、水道事業と同一の対応を行うこととしてございまして、非常時の給水の確保にも努めているところでございます。

○おじま委員 可能な限りの努力をされてきているということでございました。しかし、先ほども申し上げたとおり、この施設の限界、それを前提とした事業も限界だということでございます。改めて事業の廃止も含めた抜本的な経営改革の検討が必要なことがわかるわけでございます。
 そもそもの事業のあり方、存続、廃止も含めた検討については、これは基本的に財務局で、揚水規制は環境局、中小企業支援については産業労働局、そして、施設管理とユーザー対応を含めた事業の運営が水道局さんということでございます。
 最初に触れたとおり、まだこの工業用水を使っている相手先、ユーザーがいるわけでございます。そして、その現場の対応に当たっていただいているのが事業運営主体たる水道局さんでございます。
 その水道局として把握をされているユーザーの現状、これを教えてください。

○青木浄水部長 工業用水道は、地盤沈下防止のため、揚水規制の代替水供給という行政施策として開始したものでございまして、工業用水道のお客様は、平成二十八年度末で五百三十九件となってございます。そのうち工業用の用途でお使いのお客様は百八十五件、残りのお客様は雑用用途で使用されてございます。
 工業用途でお使いの百八十五件のうち、揚水規制により井戸を廃止したお客様が約四割存在しております。また、事業規模の面では、八割に当たります百四十八件が中小企業でございまして、業種別に見ますと、皮革、化学、食品が合計で九十六件と過半数を占めてございます。
 雑用用途のお客様につきましては、約八割がトイレ用水や洗車用水として使用していただいております。

○おじま委員 今、八割が中小企業だというお話、ご答弁ありました。仮に、この方々に工業用水道をやめますというお話をしたときに、その後使っていただくのは上水道で、そことの料金差の話も出てくる。料金負担としては何倍にもなるわけでございます。
 こういう課題も初め、そのユーザー、各種産業、中小企業に悪影響がないように現場の声をしっかり聞いて、それを踏まえたきめ細やかな対応が求められるわけでございます。
 このような必然性の中で、水道局さんとしては、ユーザーに対するアンケートを行ってきたと聞いております。このアンケートについて、どのようなやり方だったのか、成果としてはどうだったのか、これを伺います。

○青木浄水部長 アンケート調査でございますが、工業用水道事業のあり方の検討を進めるに当たりまして、お客様の今後の需要見通しや経営改革に対する意見などを把握するため、平成十九年度と平成二十六年度に実施をしたところでございます。
 調査に当たりましては、お客様に工業用水道事業の現状や経営改革の検討状況をご理解いただくためにリーフレットを作成し、わかりやすく丁寧に説明を行った上で意見を聴取したところでございます。
 調査の方法につきましては、お客様の企業規模や業種、使用用途などが多岐にわたりますため、職員がお客様を直接訪問し、対面で聞き取る方式により実施したところでございます。
 こうした調査によりまして、アンケートの記入では把握し切れないお客様のご意見やご要望、ご不安につきましても、きめ細かく聴取することができたものと認識しております。

○おじま委員 直接訪問、対面でということで、これは真摯に当たられているということだと思います。
 しかし、この後、本格的に存続か廃止かの話が出てくれば、また、その説明もあるわけでございます。声も聞かなければならない。これからさらにやっていただかなくてはならないことがまたふえてくると思います。
 さきの財政委員会の答弁で、現在また改めてこのアンケートを実施中と伺いました。この結果もまた出てくるわけでございます。その内容についても引き続きしっかり検証していただきたいと思います。
 もちろん、一方で、ユーザーの方々に現実も理解をしていただかなくてはならないわけでございます。行政として、この厳しい判断を迫られているということも率直にお伝えをした上で話をしなければならないと思います。そういう意味でも、丁寧に対応を行っていただきたいと思います。
 いずれにせよ、質疑の中で確認をさせていただいたとおり、結論が急がれる課題でございます。財務局を初め各局と連携をする中で、速やかに方向性を定めていただきたいことを求めまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○細田委員 私からも何点かお伺いさせていただきます。
 私は、これまで江東区議会議員のころから防災対策特別委員長を務めるなどと、さまざまな政策の提言をさせていただきました。防災訓練の充実など、地域防災力強化について重点的に取り組んできたんですけれども、この視点から、水道局の震災対策を中心に、本年度、二十八年度決算から何点かご質問いたします。
 二十八年度は四月に熊本で大地震が発生して、熊本市だけでも約三十三万戸にも及ぶ広範囲の断水により、住民の方々がさまざまな困難に直面いたしました。
 また、昨日からの記録的な超大型台風二十一号、これが直接本州、また関東に上陸して--本当に被災された方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、この被害が最小限となることを祈っているんです。
 記録的な局地的集中豪雨がありました二年前、平成二十七年九月関東・東北豪雨では、鬼怒川が氾濫して常総市の四十平方キロメートルが浸水いたしました。この水害では、水道は最大一万二千軒が断水して、復旧までに十二日間を要している、このように記憶しています。
 また、水道局も、利根川、荒川、江戸川、多摩川の氾濫に備えた浸水対策の必要性に言及して、平成二十八年度の経営プランで公表されています。
 震災はいつどこで発生するのか、これはわからない状況であります。
 そこで、発災時の応急の給水について伺いますが、震災時に断水しないのが一番ですけれども、仮に断水に至った場合でも、被災した住民への給水を絶やさぬよう、当然のことでありますが、水道施設が復旧するまでの応急給水が極めて重要になってまいります。
 そこでまず、応急給水の具体的な実施方法について現状を伺います。

○小山サービス推進部長 震災や豪雨災害等により断水が発生した場合は、区市町と当局が連携いたしまして、次の三種類の方法で応急給水を行います。
 まず第一に、浄水場や応急給水槽など、現在、都内に二百十二カ所で設置している給水拠点において応急給水を実施いたします。
 それから、第二に、災害拠点病院などの医療機関や、給水拠点から遠く離れている避難場所などに給水車等の車両を用いて水を運搬して応急給水を行います。
 第三には、給水拠点での応急給水を補完するために、避難所においてあらかじめ指定した消火栓などで区市町が仮設給水栓を組み立てて応急給水を実施いたします。
 こうした多様な方法により、基幹ライフラインとして、有事の際にも住民の方へ確実に水が行き渡るように備えているところでございます。

○細田委員 基幹ライフラインとしての応急給水について、実施していかれる三段階の仕組みを確認いたしましたけれども、一方、震災時にこの速やかな応急給水を行うためには、実際にこの応急給水を行っていく主体であります、区市町や地域住民と連携した応急給水の訓練の実施が不可欠であります。
 ここは習熟していかなくてはいけないし、普及していかなくてはいけない、こういう観点から、応急給水の訓練は活発に行ってきている、このように理解しているんですけれども、実績はどうなのか、そして、成果、感覚、このようなものはどのように進んでいるのか、この点をお尋ねいたします。

○小山サービス推進部長 当局では、浄水場などの給水拠点において、原則として年一回、給水訓練を実施しております。訓練については、残留塩素の検査や応急給水用資器材の組み立てなど、実際の応急給水に即した実践的かつ多様な内容となっております。
 平成二十八年度ですが、区市町職員、地域住民、学校など、多くの方々に参加を呼びかけまして、合計で百十三回実施いたしております。また、参加人数ですが、住民約六百十名、学校生徒約千六百七十名など、合計で三千名を超える状況となっております。

○細田委員 百十三回、三千名を超えるという、拡大ができてきているという、こういうようなご答弁でありましたけれども、住民参加型の訓練、これを多く実施してきたということで、応急給水の体制の整備に関する取り組みについては、公明党としてもこれまでさまざまな提案をさせていただきました。
 消火栓を活用した応急給水というのもこの一つなんですが、水道局では、平成二十五年度から平成二十七年度にかけて、こうした提案を受けて、区市町へ応急給水用資器材、大変重要な資器材ですが、これを貸与する、そして、区市町の職員に対して、この訓練を実施されてきました。この応急給水用資器材は、工具を使わずに組み立てることが可能なものとなっております。
 一方で、震災時には、行政による対応には一定の限界がありますから、消火栓などを活用して応急給水を区市町が迅速に行うためには、地域住民の皆様のご理解と連携が必要不可欠なものとなってまいります。
 災害時、震災時、火災による被害も大きな懸念がありますけれども、この消火栓の活用というのは、東京都がしっかりと進めている、燃えない、燃え広がらないまちづくり、この大きな効果をこれで発揮していきますし、この不燃領域率の低い木造集合住宅の密集地域では、地域住民による消火の初期活動を行うことができる極めて重要な消火の、また防災の武器、用具になっています。
 このようなことから、我が会派は、区市町が行う地域住民と連携した訓練への支援については、一層の取り組みをあわせて要望させていただきました。
 水道局では、平成二十八年度から東京消防庁と連携して、区市町が避難所等において実施する住民向けの訓練の支援事業を開始していると聞いておりますが、そこで、東京消防庁と連携した訓練、この支援事業の実施状況についてはどのようになっているのか、この点をお聞きします。

○小山サービス推進部長 ご指摘のように、区市町が地域住民と連携して、応急給水や初期消火を行う体制を整備し、震災時対応の実効性を高めていくことは非常に重要であるというふうに認識いたしております。
 このため当局では、平成二十八年度に区市町が行う地域住民向けの訓練が、より実践的な内容となるよう、東京消防庁と連携し、応急給水訓練と初期消火訓練を支援する体制を整備いたしました。
 昨年度は、試行として、台東区、杉並区、小平市及び西東京市の二区二市で訓練を支援いたしまして、小学生からシニア層まで幅広い世代の多くの方が参加をされました。
 本年度からは本格実施として、各区市町で一回程度の実施を目指し、さまざまな機会を捉えて、当該支援事業の活用を働きかけているところでございます。

○細田委員 ことしは、私の地元の江東区でも来月十一月に実施される予定、このように聞いております。区の総合防災訓練でも、この支援事業が行われると聞いていますけれども、多くの方々に、また多くの自治体で実際に応急給水を行ってもらって、理解や連携が深まるということを大いに期待しています。
 今、ご答弁いただきましたけれども、水道局が応急給水体制の確保のために進めてきたさまざまなことについて、ぜひ広く都民に理解をさらに広めていっていただいて、関心を深めていっていただく、身近なものにしていく、そのことが重要であると考えています。
 震災時の応急給水の取り組みについて、さらに積極的にPRをしていくべきと考えますけれども、どのように震災時の応急給水の取り組みに関する件の周知、PR、これを都民の方々に、また広く世間に発信し実施してきたのか、この点について答弁を求めます。

○小山サービス推進部長 応急給水の取り組みについては、局のホームページやツイッター、トレインチャンネル、それから各営業所が発行する地域水道ニュースなど、多様な媒体により広く発信を行っております。
 先ほどの東京消防庁と連携した支援事業の際も、消火栓による応急給水等についてわかりやすく説明したリーフレットを訓練の参加者に配布いたしております。
 また、給水拠点を記載したメモ帳など、PRグッズを作製いたしまして、イベントや水道キャラバンなどで配布しているほか、給水拠点に関する情報はQRコードを用いて入手しやすくするようにしております。
 このようにさまざまな手法を用いて応急給水の取り組みに関するPRを行っておりますが、ご指摘を踏まえ、引き続きあらゆる機会を捉えて、効果的な発信に努めてまいります。

○細田委員 あらゆる機会を捉え、いいご答弁だと思いますが、住民の命をつなぐ極めて重要な応急給水という取り組みでありますので、ぜひ一層の工夫を凝らしていただいて、住民の、都民の皆様の目に見える形のPRをよろしくお願いいたします。
 さて、大綱二点目で水道キャラバンについて伺います。
 先ほどご答弁にありました水道キャラバン、平成十八年度から開始していますが、これまで我が会派は、水道事業の理解を促進する上で非常に意義のある取り組みとして、対象の拡大を提言してきました。
 この水道キャラバンは、開始時には小学生のみを対象とされていましたが、水道局では、平成二十五年度からは乳幼児や保護者の方々など子育て世代向け、これにも対象を拡大されてきていて、現在では多くの学校や地域で実施されるようになってきています。
 プランを見ますと、毎年度千二百校ですか、そして、さらに二十八年度からは、町会や自治会の地域活動にも取り組んでいる方々、これらの方々に向けての新たな水道キャラバンも開始している。
 また、新たな地域水道キャラバンについては、応急給水などの震災時対応に関する地域住民の関心を一層深める、このような地域の防災力が高まることを願っているわけです。
 そこで、この二十八年度から新たに開始された地域水道キャラバンの意義、学校だけじゃなくて、四年生の児童だけじゃなくて、地域に百六十回、百八十回、そしてこれから二百回と進めていく水道キャラバンの意義と実施状況についてお尋ねします。

○小山サービス推進部長 新たな地域水道キャラバンでございますが、地域活動を担っているシニア世代などを主な対象として、震災時対応への理解を深めることなどを目的に実施いたしているところでございます。
 平成二十八年度は、試行として十回実施いたしまして、局の管理職員がキャラバン隊に加わり、震災に備えた施設整備や応急給水等をより詳しく説明するなど、工夫した内容としております。
 参加者にアンケートをとりました結果では、九割以上の方がためになったというふうに回答いたしておりまして、震災時には自分も応急給水に協力したいとのご意見もいただくなど、震災対策を初めとした水道事業への理解促進に大きな効果を上げているところでございます。
 こうしたことから、本年度は実施回数の拡大を図りまして、引き続き地域水道キャラバンを通して、震災時対応等に関する住民の理解や関心を一層深めてまいります。

○細田委員 自分も応急給水に協力したい、そういうような声が出てきているということは、地域が主体となってきているということで、ぜひそういう取り組みをさらに広げていっていただきたい、このようにお伝えしておきます。
 さて、今度はソフト面だけではなくて、ハード面の避難所の給水管の耐震化について少々お伺いします。
 震災時に自助は七、共助が二、こういう割合で、公助一というふうに、皆様がよくわかっていることですけれども、この応急給水体制の整備が極めて重要です。断水による都民生活への影響を最小限にとどめるために、一の割合かもしれないけれども、極めて重要なこの公助のたゆまぬ進展というものが何よりも重要であります。管路の耐震化を確実に進めていくということは、都民の生命を守る行政の、水道局の責務でございます。
 震災時に給水を継続するためには、配水管と配水管から個別に分岐している給水管のそれぞれが耐震化されている必要がありますけれども、東日本大震災においては、都内でも各家庭に直接つながっている給水管、この多くは塩化ビニール製の給水管だと思いますが、この多くが被害を受けた、このような報告もなされております。
 特に震災時には避難所に多くの人々が集まることから、生活用水などを確保して、避難所の生活に支障を来さないためにも、避難所につながっている給水管の耐震化を推進していく必要があります。
 そこで、避難所の給水管の耐震化の進捗状況はどうなっているんでしょうか、お尋ねいたします。

○尾根田給水部長 当局では、避難所等の重要施設への配水管について、供給ルートの耐震継ぎ手化を優先的に実施しておりますが、ご指摘のとおり、震災時に避難所の給水を継続するためには、給水管の耐震化を早期に進めていくことも重要でございます。
 このため、避難所敷地内における水道メーターまでの給水管の耐震化を平成二十五年度から実施しており、平成二十八年度末現在、避難所二千五百五十六施設のうち千八百九十二施設、約七四%の耐震化が完了しております。

○細田委員 七四%ということで、引き続き、早期に一〇〇%を目指して進めていってください。目標より早くて全然構わないわけで、よろしくお願いします。
 そして、この避難所の給水管の耐震化も含めて、避難所の給水を確保するためには、管路の耐震化も計画的に着実に進めていただきたいと思います。水道メーターまでの給水管が耐震化されても、建物が甚大な被害を受けてしまえば、蛇口が使用できなくなるなど、避難者が水を使えない、こういう事態が起きてしまいます。
 水道局では、このような場合に迅速な応急給水を可能にするため、耐震化された給水管に蛇口つきのスタンドパイプを取りつけられる応急給水栓を設置することとしていますが、これは本当に高く評価できるものでございまして、積極的に設置を進めていくべきと考えます。
 避難所への応急給水栓の設置についてはどこまで進んでいるのか、この取り組み状況についてお伺いいたします。

○尾根田給水部長 応急給水栓の設置に当たりましては、施設管理者である区市町等と合意形成をした上で実施する必要があり、平成二十九年三月末時点で、二十四区市町と覚書を締結いたしました。
 覚書を締結した区市町につきましては、平成二十九年度より順次応急給水栓の設置を開始しております。
 覚書が未締結の区市町等につきましても、引き続き事業効果や有効性を丁寧に説明し、理解を得ながら、平成三十一年度末までに全ての避難所への応急給水栓の設置完了を目指してまいります。

○細田委員 協定の未締結のところがあるということで、三十一年度までに目指されるということ、温度差が、それぞれの自治体の状況が違うのかもしれませんけれども、丁寧にその状況を伺いながら、また、手続がとにかく早く進んでいくということを目指しながら、着実に進めていただきたいというふうに思います。鋭意の努力をお願いします。
 避難所の給水管の耐震化と応急給水栓の設置とも、三十一年度末の完了を目指しているということなので、避難所の工事を限られた期間に完了するためには、どんな、さまざまな課題があるんですけれども、二十八年度末までの工事の状況、耐震化完了に向けた課題、この解決は三十一年度を目指していって、二十八年度末まではどうだったのか、この取り組みと、それから得た課題というものについてお尋ねいたします。

○尾根田給水部長 避難所の多くは小中学校であることから、工事に際しては、生徒の安全確保を最優先に考えることが重要となります。このため、休校日での施工が必要になるなど、施工時期や施工時間等の制約を受けることがございます。
 着実に事業を推進していくためには、今後も学校関係者等との調整を早期の段階で綿密に行うとともに、施工に当たりましては、限られた期間と時間の中で効率的に実施できるよう、計画的に取り組んでまいります。

○細田委員 確かに避難所、小学校、中学校、夏休みじゃないとできなかったり、日中になかなかできないという事情があると思いますので、綿密な打ち合わせをしっかりやっていくということなので、計画どおり積極的に進めて、前に進んでいくように努めていただきたいと思います。
 続きまして、自家用発電設備の整備の取り組み状況、この二十八年度の状況等を伺います。
 この避難所の給水管の耐震化や応急給水体制の整備など、地域防災力の取り組み、これは今伺いましたけれども、一方で、水をつくって配っていく、この施設である浄水場や給水場が震災時に稼働できなければ、水の供給そのものが途絶えてしまいます。
 東日本大震災においては、多くの水道事業体で停電や、停電による断水があったことからも明らかなように、震災時の給水を確保するには、給水場における電力の確保も重要であります。
 平成二十八年度の決算書によりますと、東日本大震災の後の計画停電の影響により、東京都でも断水、また濁水が発生した教訓から、水道局では自家用の発電設備の整備に取り組んでいると思います。
 二十八年度末までの自家用、非常時の発電設備の整備、取り組み状況についてはどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。

○横谷設備担当部長 当局では、震災時に電力事業者からの電力供給が途絶する可能性があることを踏まえ、浄水場の施設能力を一〇〇%発揮できるよう、浄水場等に自家用発電設備の整備を積極的に推進しております。
 こうした取り組みの目標を定めた東京水道施設整備マスタープランでは、平成三十三年度末までに大規模停電時における給水見込み量を一〇〇%確保することとしております。
 大規模停電時に給水に影響を与える施設については、自家用発電設備の整備を進め、平成二十八年度に区部で一施設、多摩で十一施設の整備を行い、そのうち八施設が完了しました。
 これにより、平成二十八年度末までの累計で二十一施設の整備が完了し、大規模停電時における給水見込み量に対する給水可能な量の割合は六六%となっております。
 今後とも引き続き自家用発電設備の整備を進め、大規模停電時における給水の継続が可能となるよう、電力の確保に努めてまいります。

○細田委員 都内全域に震災が起こって、大規模停電が発生した場合でも、命をつなぐ水は欠かすことができないので、今いわれたような、ちょうど三分の二まで整備が進んできているということなので、着実に進めていただきたい、このように要望いたします。
 そして、この自家用発電設備なんですけれども、非常時に使うもの、常用のものもあるんだと思うんですが、ガスタービンの発電機、それからディーゼルの発電機、こういうものがあると思います。
 ここで伺いたいのですが、ちゃんと動くように点検、また定期的な試運転、こういうことをされているのか、また、環境対策としては、こういう非常用のものなので、大気汚染防止法や、また都が平成十三年に策定された環境確保条例には当たらないものであるというふうに理解をしておりますが、当然安全な、環境に優しい形の運用がされるべきであり、これらに配慮した方がいいと思いますが、都はどういうふうな見解を持って、この発電機を維持、そして使用しているのか、また、いこうとするのか、この点の今の見解をお伺いします。

○横谷設備担当部長 非常用自家発電設備につきましては、東京都水道局自家用電気工作物保安規程により、油漏れなどの巡視点検を週一回、試運転による異音の有無などの定期点検を月一回、絶縁抵抗測定などの精密点検を年一回実施しております。
 非常用発電設備については、騒音、振動に関しては常用発電機と同じ制約を受けるものの、大気汚染防止法施行規則附則により、ばい煙発生施設の規制は対象外でございます。
 しかし、自家用発電設備は、必要なときに迅速に運転を開始することが不可欠であることから、定期的な試運転などにより維持管理する必要があります。このため、発電機の設計や日常的な維持管理においては、周辺環境等に十分配慮して実施しております。

○細田委員 わかりました。周辺環境に十分配慮して、これからもたゆまなく配慮していって取り組んでください。
 そして、非常用また常用だったとしても、結局、送水されて水が家庭に行き渡らなくちゃいけない、また、応急給水所に行き渡らなくちゃいけない、こういう観点から、動かなくちゃいけないわけで、そうすると、浸水対策、東日本大震災のときにはこれがすごく悔やまれる話であるわけですけれども、この浸水対策等は大丈夫なのか。
 たくさんの施設の中で、百四十一あると理解していますけれども、みんなちゃんと動くのですか、届くのですか、水が届きますかという、こういうような浸水対策は大丈夫なのかということについてお伺いいたします。

○横谷設備担当部長 当局では、内閣府の中央防災会議大規模水害対策に関する専門調査会が公表した河川氾濫による浸水被害想定などに基づき、被害が生じる可能性がある浄水場や給水所などにおいて、止水堰や防水扉などを設置し、非常用自家発電設備の浸水対策を実施しております。

○細田委員 浸水対策を実施しているから動くと、そういう理解でよろしいですよね--という理解でおりますので、もし違ったらご答弁いただければと思うのですが、次に進みたいと思います。
 震災対策を進める上で、さらには将来にわたる持続可能な水道事業を続けていくためにも、最もこれは重要なことなので、財政基盤、財政運営について伺います。
 全国の水道事業体に目を向けますと、財政基盤に課題を抱えていて、老朽化した管路の更新や施設の耐震化を進めることが困難な事業体もあるようであります。
 平成二十八年度の決算を見ますと、純利益約三百三十五億円ありまして、前年度の決算と遜色はございません。
 一方で、企業債の新規発行額が前年度決算に比べますと九十五億円増加しています。企業債の残高二千二百三十三億円となっていますが、金額でいえば大きな印象を受けますけれども、平成二十八年度末の企業債の残高について、どのように見解を持っていらっしゃるか、また、ほかの水道事業体との比較も踏まえた局の認識についてお尋ねいたします。

○黒沼理事 当局はこれまで、将来の施設更新、特に大規模浄水場の集中的な更新時期が間もなく到来いたしますが、こういったことを見据えまして、計画的に企業債残高の圧縮に努めてまいりました。
 その結果、平成二十八年度末の企業債残高でございますが、ピークでございました昭和五十九年度末には約八千百七十九億円ございましたので、これに比較しますと、三分の一以下の約二千二百三十三億円となってございます。
 一方、平成二十八年度の給水収益でございますが、こちらは二千八百七十二億円でございまして、企業債残高が給水収益を下回っているというような状況でございます。
 他の主要都市の水道事業体でございますが、この給水収益と企業債残高の割合でございますが、おおむね企業債残高は給水収益の二倍から四倍程度といった状況でございまして、こういったことから勘案しますと、企業債残高と基幹的収益のバランス、そういう観点では良好な財政状況を維持していると認識しております。

○細田委員 他と比較して、企業債の残高、給水収益に対しては良好な状況、低い水準である、そういう点でいいますと、都は他と比べて極めて良好な財政状況であるんだ、このようなことは確認できました。
 けれども、持続可能な水道事業の運営のためには、これから基幹施設を含めて、大規模浄水場なんかの計画的な施設更新をこれから続けていくわけですから、そのための財源の確保は極めて重要な、必要不可欠なことであります。
 給水収益を前年度決算と比較しますと、ほぼ同水準ですから、今後も給水収益の大幅な増加を見込むのは難しい、このように思います。
 そういうことを考えますと、財政状況を勘案して、財源として企業債を適切に注視しながら、良好だからといって、それに偏るわけじゃなくて、よくよくハンドリングしながら、適切な財政運営をしながら進んでいっていただきたい、このように要望いたします。
 そこで、平成二十八年度の決算の状況を踏まえて、持続可能な水道事業の運営のための財源の確保についての考え方を伺います。料金収入というのがほとんど全てだと思うんですが、財源の確保についての考え方についてお尋ねいたします。

○黒沼理事 当局はこれまでも、事務事業の効率化など不断の経営努力や、大規模浄水場の更新のための積立金の活用等によりまして、現行の料金水準をまずは維持する、それと同時に、施設の計画的な更新に必要な財源を確保してまいりました。
 これに加えまして、平成二十八年度には、東京水道経営プラン二〇一六におきまして、その財政運営の考え方に基づき、企業債残高の増嵩、今、副委員長からもお話がございました、これに十分留意をしながら、企業債を今後適切な規模で発行し、将来の更新需要、したがいまして、施設の整備等の財源に活用していく所存でございます。
 この企業債の活用に当たりましては、中長期的な視点に立ちまして、整備した施設は現役世代だけではなくて次世代、次の世代に受け継がれる、こういった視点を踏まえまして、世代間の負担の公平性に十分配慮することが極めて重要と考えております。
 今後とも企業債の適切な活用などにより、持続可能な水道事業の運営のための財源の確保に努めてまいります。

○細田委員 今、理事からご答弁ありましたように、企業債、将来に過度の負担を残さないように、十分配慮しながら活用をしていただきたいと思います。
 また、持続可能な水道事業の運営のために中長期的な視点に立っていただいて、世代間の負担を平準化していく、こういうことも重要な視点であると思います。
 今後も適正な水準での企業債の発行を考慮していただいた上で、健全な財政運営を進めていただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○三宅委員 まず、都民生活や都市活動に欠かすことのできない水の安定供給に向けた水道局の取り組みから伺ってまいりたいと思います。
 東京都の水源の約八割を占める利根川水系では、昨年六月の渇水により、過去最長七十九日間に及ぶ一〇%の取水制限が実施されました。台風などによる降雨により貯水量は回復し、取水制限は解除されたものの、そう都合よく雨が降るとは限りません。
 私も三回ほど視察に行きましたが、現在、利根川上流で建設中の八ッ場ダムは、ダムの上流部に豪雪地帯を抱える広大な流域を持ち、降雨等を効果的に貯留できる施設だと理解しています。国は、過去の中断で本体工事がおくれている八ッ場ダムが完成していれば、昨年夏の取水制限は回避できたとしております。
 八ッ場ダムの事業費は、昨年の基本計画変更において約七百二十億円もの大幅な増額となりましたが、八ッ場ダムは首都東京の安定給水に欠くことができない重要な施設であるという我が党の一貫した認識から、やむを得ず同意したものです。
 そこで、八ッ場ダムにおける現在の工事の進捗状況と、国に対する都の取り組みについて伺いたいと思います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 八ッ場ダムは、昨年六月にダム工事の基幹となるダム本体部のコンクリート工事を開始いたしました。
 また、今年三月には、ダムの本格的な築造に当たり、ダムの恒久的な機能保持や工事の安全を祈願するための定礎式がとり行われました。
 その後、工事は順調に進捗し、現在はダムの高さ百十六メートルのうち約四割の高さまでコンクリート工事が完了してございます。
 八ッ場ダムは、利根川水系における渇水リスクの軽減に大きく貢献できる必要不可欠な水源施設であり、都として国に対し、計画どおり平成三十一年度の完成厳守とコスト縮減を求めてまいります。

○三宅委員 近年、渇水が頻発している一方で、局地的な豪雨や洪水が日本各地で発生しており、異常気象は増加傾向との報告もあります。八ッ場ダムは、安定給水はもとより、洪水調節の効果が期待できるため、治水上も重要な役割を担っていると思います。
 ただいま八ッ場ダムの建設事業が順調に進捗していることが確認できましたが、引き続き平成三十一年度の完成の厳守と事業費の増加がないよう、国に対して強く働きかけていくことを要望したいと思います。
 次に、都のもう一つの重要な多摩川水系の水源について伺います。
 多摩川の上流域には広大な森林が存在しています。約百年以上前、乱伐により荒廃した多摩川上流域の御料林を東京府が譲り受け、水道水源林の管理を開始いたしました。
 以降、水道局が長年にわたり適切に管理してきたことで、多摩川上流域の約半分を占める水道水源林は緑豊かな森林に再生しています。
 再生した森林の持つ水源涵養や土砂流出防止機能などにより、小河内貯水池は五十年以上経過しても土砂の堆積が極めて少なく、非常に良好な状態にあると聞いております。
 このように適切に管理されている水源林に比べ、民有林では荒廃が進み、貯水池への影響が懸念されております。我が党はこれまでも、この対策の必要性について主張してまいりました。
 局は、今後十年間に取り組む水源林管理の方向性を示した第十一次水道水源林管理計画を平成二十八年六月に策定し、平成二十九年三月には、みんなでつくる水源の森実施計画を策定いたしました。
 そこで、改めて、第十一次水道水源林管理計画と、みんなでつくる水源の森実施計画の主な内容について伺いたいと思います。

○青木浄水部長 水道局では、水道水源林を適切に管理することで、多摩川の安定した河川流量の確保と小河内貯水池の保全を図るため、おおむね十年ごとに水道水源林の管理計画を策定してまいりました。
 平成二十八年六月に策定をいたしました第十一次水道水源林管理計画におきましては、水源林の適切な管理はもとより、民有林の再生を重要な柱として位置づけるなど、多摩川上流域全域を見据えた森林管理の方向性を提示したところでございます。
 一方で、こうした当局の取り組みに対する認知度は低く、将来にわたりまして水源の森づくりを継続していくためには、多くの都民に水源地保全への理解を浸透させていく必要がございます。
 また、水源林とほぼ同規模である民有林の多くで荒廃が進行してございまして、土砂の流入等による小河内貯水池への影響が懸念されております。
 こうした課題に対応するため、都民や企業などの多様な主体と連携した森づくりと、民有林の積極購入を柱といたしましたみんなでつくる水源の森実施計画を策定したところでございます。

○三宅委員 貴重な多摩川の水源地を将来にわたって保全していくためには、都民を初め多くの方々に対し、水源林保全の取り組みへの理解と豊かな水を育む森づくりへの協力は欠かせないものと思います。
 今のご答弁にもありましたとおり、実施計画の二つの柱のうちの一つである都民や企業との連携は、さまざまな活動を通じて水源地保全への理解を深めることにつながると考えます。
 そこで、昨年度策定した実施計画に基づく都民、企業との連携の取り組み状況についてお伺いいたします。

○青木浄水部長 都民との連携につきましては、より多くの方に水源地への関心や理解を深めていただくため、登録した方に水源地の最新情報を提供いたします多摩川水源サポーター制度を本年四月に立ち上げまして、九月末で約千二百名の方がサポーターとして登録をいただいております。
 加えまして、水源地保全に積極的に貢献したいという方から協力金を募る制度について、今年度内の募集開始に向け検討しているところでございます。
 企業との連携につきましては、水源林の一部にネーミングライツを設定いたしまして、その収入金を水源林の保全に活用する東京水道企業の森と、協賛金を水源林の保全に活用いたします企業協賛金制度の二つの取り組みを本年四月から開始いたしました。
 ネーミングライツにつきましては、これまで六社と協定を締結いたしまして、参画企業が森林保全活動を行うほか、当局のイベントに出展していただくなど、さまざまな活動を実施していただいております。
 企業協賛金につきましても、これまで七社から協賛金を受け入れてございます。

○三宅委員 今ご答弁の中にありました、積極的に貢献したいという方から協力金を募るという、我々もしたいんですけど、これは寄附行為になっちゃうんですかね。ちょっと済みません、これは置いておきます。
 実施計画の取り組み状況がよくわかりました。これからも都民や企業との連携を積極的に進めていただきたいと思います。
 そして、実施計画のもう一つの柱が民有林の積極購入であります。水道局では、荒廃した民有林を再生するため、平成十四年度からボランティアによる多摩川水源森林隊の取り組みを行ってきたと聞きますが、民有林は約二万二千ヘクタールにも及ぶため、荒廃に歯どめがかかっていないということでございます。このような状況を踏まえると、局が直接管理できる民有林購入の取り組みは、とても重要であると思います。
 そこで、平成二十八年度及びこれまでの民有林の購入実績についてお伺いいたしたいと思います。

○青木浄水部長 水道局では、所有者が手放す意向のある民有林につきまして、平成二十二年度から公募による購入を進めてきてございまして、平成二十八年度の購入実績でございますが、十三件約五百八十一ヘクタールでございます。これまでの合計で約一千八百六十一ヘクタールを購入してございます。
 なお、みんなでつくる水源の森実施計画に基づき、今年度から小河内貯水池への影響の大きい民有林の所有者に対し、森林管理の重要性などを丁寧に説明して売却を働きかけ、積極的に購入を推進することとしております。

○三宅委員 民有林の購入が公募により進められてきたことはわかりました。これに加えて、答弁にございましたとおり、局は小河内貯水池への影響が大きい民有林を積極的に購入し、将来にわたって豊かな水を育む水道水源林の適切な管理と、小河内貯水池の保全に努めていただきたいと思います。
 次に、導水施設の二重化についてお伺いいたします。
 安定給水を確保するためには、事故や災害に強い施設を整備することも重要であります。利根川水系と多摩川水系の原水を相互融通する原水連絡管は、前回の東京オリンピック直前の昭和三十九年に完成し、当時、オリンピック渇水と呼ばれた大渇水への対応にも大きな役割を果たしたとお聞きしております。
 しかし、この原水連絡管も整備後、半世紀以上が経過し、老朽化が進み、さらに耐震性にも課題があると聞いております。
 こうした中、水道局では、この原水連絡管を二重化するため、新たに第二原水連絡管を整備しています。第二原水連絡管は、平常時はもとより、渇水時や水質事故時、災害時などに大いに役立つ非常に重要かつ唯一の施設であり、東京水道の大動脈、生命線であると認識しており、これまで我が党は、第二原水連絡管の積極的な整備を主張してまいりました。
 そこで、現在整備を進めている原水連絡管二重化の整備状況についてお伺いいたします。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 現在、水道局では、原水の相互融通機能の強化と既存施設更新時のバックアップ機能を確保するため、第二原水連絡管を整備中でございます。
 この第二原水連絡管は、地下約三十メーターの深い強固な地盤に築造することで耐震性の向上を図ることにより、震災等の非常時における安定給水の確保にも寄与するものでございます。
 平成二十二年度より着手した本事業も、平成二十八年度までに全延長十六キロメートルにわたるトンネル築造が既に完了し、トンネル内の配管についても、約四割を施工してございます。真夏の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、渇水の備えとしても寄与する第二原水連絡管の整備を着実に進めております。

○三宅委員 この二重化をするための工事が着実に進んでいるということが確認できました。
 また、東京二〇二〇大会を控える中、この原水連絡管による相互融通機能がさらに強化されると伺い、平常時に限らず、非常時におきましても安定給水が確保できることを確信いたしました。
 今後も東京水道のさらなる安定給水に向けた整備を着実に進めていただくよう要望いたしたいと思います。
 これまで水道局における安定給水を確保する取り組みについて確認してきましたが、東京には区部や多摩地域のほかに島しょ地域がございます。島しょ地域は、美しい自然や豊かな海洋資源に恵まれているものの、島の水道は小規模な水道事業体が運営しております。
 これらの地域の水道は、台風などの自然災害に加え、水源状況が天候に左右されやすく、また、職員の数も少ないことから、災害発生時や渇水時の対応に大変苦慮しています。
 実際に、昨年六月に利島村にて渇水が発生した際には、利島村から技術的支援要請があり、これを受け、東京水道に支援を行っていただきました。
 そこで、改めて、利島村の渇水発生時における東京水道の支援内容についてお伺いいたしたいと思います。

○坂井経営管理担当部長 利島村は、水道水源といたしまして、雨水と井戸水に依存してございますが、平成二十八年五月以降、浄水場の設備故障と雨量の不足によりまして、水事情が非常に悪化いたしたところでございます。
 このため、村におきましては、渇水対策本部を設置するとともに、当局に対しまして技術的支援の要請を行ったものでございます。
 当局ではこれを受けまして、昨年六月、局職員及び監理団体でございます東京水道サービス株式会社の社員を六月九日から七月十四日まで、延べ三十五日にわたりまして派遣をいたしたところでございます。
 現地におきましては、村の要請に基づきまして、貯水池や浄水場の点検に加えまして、村が渇水対策用に手配いたしました応急型海水淡水化装置、この運転支援、それから井戸水源の復元などにつきまして、当局が持つノウハウ、技術力等を活用した支援を行いまして、利島村の安定給水に努めたところでございます。
 その後、断続的な降雨によりまして貯水量が回復いたしましたため、村の渇水対策本部の解散をもちまして、協力支援については終了といたしたところでございます。

○三宅委員 このような有事におきまして、技術力やノウハウを持つ東京水道が島しょ地域へ支援を行うことは大変意義のあることだと思いますし、また、島しょ住民にとりましては本当に心強いことだと思います。
 さきの第二回定例会におきまして、局は、渇水等の有事だけではなく、平時においても島しょ地域に対する水道施設の適切な維持管理に向けた技術支援に取り組んでいくとしており、今後は有事だけではなく、平時における支援についても、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、直結給水方式への切りかえ促進について伺いたいと思います。
 都では、平成二十五年度に水源の約八割を占める利根川水系の全浄水場で高度浄水処理の導入を達成し、高品質な水を供給しています。
 しかし、マンションなどの貯水槽方式の建物では、管理が不十分だと水質が低下し、高品質な水が蛇口まで届かない場合があります。貯水槽水道の適正な管理も重要ですが、抜本的な対策として、直結給水方式の普及を促進させることも重要であると考えます。
 そこで、直結給水方式の普及促進の取り組み状況についてお伺いいたします。

○尾根田給水部長 水道局では、既存の建物で貯水槽水道方式から直結給水方式への切りかえを促す施策として、平成十九年度から、直結切りかえ見積もりサービスを無料で実施しております。
 さらに、平成二十四年度から、直結給水方式に切りかえる際に給水管の口径を現状より大きくする工事が必要になる場合に、局が施工する取り組みを実施しております。
 また、平成二十八年度からは、切りかえ工事の資金調達を支援するため、貯水槽水道点検調査時に建物の管理組合向けに融資取扱金融機関を紹介する取り組みを実施しております。
 こうしたさまざまな取り組みを通じまして、直結給水率は、平成二十八年度末で七三%まで向上し、着実に事業を推進しております。

○三宅委員 さまざまな取り組みを進め、直結給水率が向上していることが確認できましたが、今後とも安全で高品質な水を都民に届けるため、直結給水方式の普及促進に向けて、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、我が党が提案して始めた小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業について確認したいと思います。
 日本は蛇口から直接水を飲むことができる数少ない国であります。この蛇口から直接水を飲むことができるという文化を次世代につなげていくことも重要だと考えます。
 この事業は、平成十九年度から平成二十八年度までに、給水区域内の小中学校の三割に相当する学校の直結給水化を事業目標としていますが、目標の達成状況と事業効果についてお伺いいたします。

○尾根田給水部長 平成二十八年度の実績でございますが、公立校六十校を実施いたしまして、十年間では六百六十三校の公立校や私立校、内訳でございますが、公立六百三十九校、私立二十四校、これを実施しておりまして、当初の事業目標でございます三割の小中学校で直結給水化を達成しております。
 また、事業効果についてでございますが、実施校の児童生徒や教職員へのアンケート調査では、冷たくておいしい、安心できるなど、高い評価を得ております。
 さらに、同調査では、学校の水道水を飲む児童生徒が工事実施前には七一%から工事実施後には八三%に増加し、家から水筒を持参する児童生徒が二六%から一二%に減少するなど、直結給水化のメリットを実感していただいているところでございます。
 一方、区市町ごとの実施状況につきましては、校舎の耐震化を優先するなどの事情により、直結給水化の実施率が三割に満たないところもございます。こうした区市町や私立につきましては、平成二十九年度から平成三十二年度までにフォローアップを実施していくこととしております。

○三宅委員 目標値を達成したことは大いに評価できますが、実施率の低い区市町については、事情を考慮しながら引き続きフォローアップを実施していただきたいと思います。
 次に、水道管の震災対策についてお伺いします。
 いまだ記憶が鮮明に残る東日本大震災や熊本地震を初め、近年、マグニチュード七を超える巨大な地震が各地で発生しています。巨大地震が発生し、市民生活は震災直後の混乱で不自由を余儀なくされる中、水道管路の被害による断水は一層困難を強いられています。
 水道局では、水道管の耐震継ぎ手化を進めていますが、都内の水道管の長さは地球の約三分の二周にも及ぶため、我が党の提言に基づき、減災の観点から、現在、首都中枢機関、救急医療機関などや避難所等、重要施設への供給ルートについて優先的に耐震継ぎ手化を進めているところであります。
 そこで、これまでの取り組みの確認となりますが、水道管路の耐震化対策と重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率についてお伺いいたします。

○尾根田給水部長 水道局では、耐震性にすぐれたダクタイル鋳鉄製の水道管への更新を計画的に進めてきており、管自体の耐震化はほぼ完了しております。
 加えまして、阪神・淡路大震災で水道管の継ぎ手部が多く抜け出した教訓を踏まえまして、平成十年度から、継ぎ手部に抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を全面的に採用しております。その結果、平成二十八年度末の水道管路全延長に対する耐震継ぎ手管の占める割合でございます耐震継ぎ手率は四二%となっております。
 主な重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率につきましては、平成二十八年度末時点で、首都中枢機関、救急医療機関等については八五%、避難所のうち、中学校につきましては五三%、一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅につきましては四七%でございます。さらに、開催が目前の東京二〇二〇大会の競技大会会場等については七三%まで達しております。
 これらの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化については、平成三十一年度の完了を目指して取り組みを推進しているところでございます。

○三宅委員 管路全体の耐震継ぎ手率は四割を超えたということですので、一定の進捗が図られていることが確認できました。
 答弁にございました、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化につきましては、東京大会の前年度である平成三十一年度までに確実に整備を進めるよう改めて要望しておきます。
 ところで、平成二十四年四月公表の都の被害想定によれば、マグニチュード七・三の東京湾北部地震の発生による区部東部地域等では、断水率が六〇%を超えることが想定されており、それらの地域におきましては、震災対策を着実に進めていく必要があります。
 また、緊急輸送道路につきましては、地震により道路の下の水道管で漏水が発生した場合、震災時の消火活動や救助活動、救援物資の輸送等の活動に大きな支障を与えることが懸念されています。
 そこで、断水被害が大きいと想定される地域及び緊急輸送道路の耐震継ぎ手率についてお伺いいたします。

○尾根田給水部長 委員ご指摘のとおり、水道局では、地震による断水の被害が大きいと想定される地域及び漏水により救助や物資輸送に影響を及ぼすおそれのある緊急輸送道路につきましても、優先的な耐震継ぎ手化が必要と認識しております。
 おのおのの平成二十八年度末の耐震継ぎ手率につきましては、被害が大きいと想定される地域は四二%、緊急輸送道路は四一%となっております。
 これらの耐震継ぎ手率は、水道管路全体と遜色のない進捗であり、今後も重要施設への供給ルートとともに、耐震継ぎ手化を進めてまいります。

○三宅委員 水道局が危機意識を持って管路の耐震継ぎ手化に取り組んでいることを確認できました。緊急輸送道路には放射方向に広がる国道を初め環状七号線や環状八号線等の主要幹線道路が指定されており、耐震継ぎ手化に向けての工事は大規模な交通規制を伴う等により、困難性が極めて高いと思われますが、沿道の住民や関係者との丁寧な調整のもと、引き続き震災に強い東京の水道の構築に向け、耐震継ぎ手化を全力で進めていただきたいと思います。
 次に、国際貢献についてお伺いいたします。
 国は、インフラシステム輸出戦略において、上下水道分野における地方自治体との協働を明示するなど、官民連携によるインフラ輸出を推進しています。
 アジアの途上国においては、急激な経済成長や人口増加等による水不足などが課題となっており、東京水道の持つ技術やノウハウを活用しての支援に大きな期待が寄せられています。
 特に漏水や盗水などの料金収入に結びつかない無収水の削減は、世界でも低い漏水率を誇る東京水道が貢献できる分野だと思います。
 また、海外での事業実施に当たっては、ODAで国の財政支援を受けるスキームにより、水道財政への影響を抑えながら実施しているとお聞きしています。
 中でも、ミャンマーのヤンゴン市における無収水対策事業は我が党も後押ししており、平成二十六年度の事業では約四百世帯の地域に対し、無収水率の大幅な削減や二十四時間給水の実現などの成果を出してきました。この事業をさらに広域展開する契約を平成二十八年十月に締結したところであります。
 そこで、広域展開する無収水対策事業の概要と、現在の状況についてお伺いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 今回の事業は、平成二十六年度の事業と同様に、水道管の修理、取りかえや水道メーターの設置等、世帯数約二万四千世帯、事業期間約六年間と規模を大幅に拡大して実施しております。
 事業費につきましては、国内の地方自治体が海外で実施する無収水対策事業としては過去最大規模の約十八億円、全額日本のODAによる支援を受けております。
 これまで水道管やメーターの設置状況等の現地調査を行い、現在、インフラ整備の実施計画を作成しているところでございます。
 一方、無収水を削減するだけではなく、削減した無収水率を維持していく取り組みも重要であり、維持管理の技術やノウハウを現地の水道事業体に根づかせる必要がございます。
 このため、インフラ整備に引き続き技術指導を行いながら、維持管理を行う事業の実施も予定しており、本年七月にはヤンゴン市と基本事項に合意し、現在、詳細な契約条件の交渉を行っております。

○三宅委員 今後も東京水道の持つ高い技術力やノウハウを生かして、国際貢献に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 ここまでさまざまな取り組みについて伺ってまいりましたが、これらの取り組みを支える財政基盤についてお伺いいたします。
 水道は、一千三百万人の都民生活と首都東京の都市活動に欠かせないライフラインであります。将来にわたって、平時はもとより、事故時や災害時においても、首都東京の安定給水を確保するために必要な施設の更新や、管路の耐震継ぎ手化などのさまざまな取り組みを目標に向かって着実に進めていく必要があります。
 そして、目標達成のためには、財源の確保も必要であります。局は、健全で安定的な財政運営を行っているものと理解していますが、改めて財政状況を確認したいと思います。
 平成二十八年度における財政状況についてお伺いいたします。

○黒沼理事 平成二十八年度の財政状況につきまして、収益的収支、資金収支、そして主要な財政指標、この三点でお示しをさせていただきますと、まず、収益的収支でございますが、収益的収入が三千三百六十六億円、収益的支出が三千三十一億円でございまして、差引純利益は三百三十五億円でございます。
 この純利益に合わせまして、固定資産の減価償却等による内部留保、それから企業債、一般会計繰入金等の資金を財源としまして施設整備等の投資を行った結果、資金収支でございますが、八億円の剰余となってございます。このように収益的収支、資金収支ともに黒字ということで、健全な財政を維持しているものと認識しております。
 これに加えまして、公営企業の長期的な財務状況の安全性を見る主要な財政指標の一つでございます自己資本構成比率がございます。これは、資金の調達の源泉であります負債と資本に占める返済不要な自己資本の割合を示してございます。
 不断の経営努力を続けるとともに、企業債残高を圧縮してきた結果、今回の決算値では、この自己資本構成比率につきましては八五・三%となりまして、国内の主要都市の水道事業者の中で最も高く、財務状況の安全性は高い水準にあると認識をしております。
 しかし、今後、高度成長期に整備をしました施設が、一斉に更新時期が到来いたします。こうしたことを踏まえまして、起債の増発等による財源確保も必要になってございますので、こうしたさまざまな指標等をベンチマークとしながら、健全な財政運営を維持してまいります。

○三宅委員 改めて水道局が健全で安定的な財政運営を行っていることが確認できました。引き続き、健全で安定的な財政運営によりまして、持続可能な事業運営が行われるよう期待いたしまして、質問を終わります。

○米倉委員 資料の作成をありがとうございました。初めに、水道事業の震災対策について伺います。
 迫り来る首都直下地震に対し、全庁を挙げた、被害発生を最小限に抑えるための予防対策を重視することが今求められています。
 そこで、震災対策や、また震災発災時に水道局として果たすべき役割について伺います。

○尾根田給水部長 水道局では、震災時においても可能な限りお客様への給水を継続することが水道事業者としての役割であると認識しております。
 そのため、水道管路の耐震継ぎ手化等の震災対策を進めるとともに、震災時には区市町と連携した災害時給水ステーションの開設等により、応急給水が迅速に実施できるよう体制を整えております。

○米倉委員 都民への給水を確保するということが役割ということですが、では、昨年度の水道管路の耐震継ぎ手化の予算額と決算額、耐震化された距離はどうなっていますか。

○尾根田給水部長 平成二十八年度の送配水施設整備事業における配水管取りかえの予算額は五百七十三億円、決算額は五百八十億円、取りかえ延長は約二百四十キロメートルでございます。

○米倉委員 過去五年の決算も見させていただきましたが、執行率は毎年一〇〇%に近く、予算についても二〇一二年度は五百三億円でしたが、今のお話でも、昨年度については五百七十三億円に予算が引き上げられているということでした。実績についても、予算に対して目いっぱい進められているということです。耐震化の規模を拡大しているということは重要だと思います。
 この耐震継ぎ手化ですが、水道局は重要施設などについては耐震化の数値目標を掲げています。目標に照らして、それぞれの到達はどうなっていますか。

○尾根田給水部長 平成三十一年度の完了を目指して取り組みを進めている主な重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率でございますが、平成二十八年度末時点で、首都中枢機関、救急医療機関等につきましては八五%、避難所のうち、中学校につきましては五三%、一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅につきましては四七%となってございます。

○米倉委員 今、お答えになった重要施設については、あと三年で一〇〇%耐震化するということでした。
 目標に照らしますと、避難所となる中学校や一日の乗車人数が二十万人を超える主要駅の到達が五〇%前後となっていることは、さらに耐震化のスピードを引き上げることが求められていると思います。
 人員や予算の配置などの強化を要望しておきます。
 耐震継ぎ手化については、水道局は重要施設以外への給水ルート以外、例えば東部低地帯や緊急輸送道路についても耐震化を進めています。
 どのように耐震化を進めているのかということと、どういった目的があるかも伺います。

○尾根田給水部長 重要施設への供給ルート以外の耐震継ぎ手化についてでございますが、地震による断水の被害が大きいと想定される地域では、断水被害を軽減させることを目的としております。
 また、緊急輸送道路では、救助や物資輸送に影響を及ぼすことがないよう、漏水を防ぐことが目的となってございます。

○米倉委員 給水を確保するという位置づけにとどまらず、発災時の救援などの妨げにならないようにということで耐震継ぎ手化を進めているということです。
 これはさらに進めていただきたいと思っています。
 同時に、震災対策としては、甚大な被害になり得る木造住宅の密集地域などで大規模な延焼火災を防ぐことが課題となっております。東日本大震災を踏まえ閣議決定されました首都直下地震対策推進基本計画では、この計画のベースになったワーキンググループの最終報告というものがありますが、ここでは首都直下地震で首都圏が一万六千人もの火災による死者が想定されていると書いております。
 過去の阪神・淡路大震災の火災被害などを見ましても、水道が断水したことにより消火栓は頼れないということで、それ以前に配備してきた消防水利で火災に対応するというケースが起きていますが、やはり用意してきた消防水利では火災に対応できずに、結局燃え広がるという事態が生まれております。
 震災時の火災対策として、今、消防庁は、そうした過去の事態がありますので、地震の影響で消火栓の配管が壊れ、消火栓が使えなくなる場合についても有効な消防水利を整えておく必要があるとして消防水利整備を進めておりますが、水道局としても、東京消防庁や地元自治体と連携し、消防水利を確保するなどの火災対応を講じていくことが重要と考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
 また、震災時に水道施設が使えることは、消防水利をより多く確保する上で重要だと考えます。水道局の認識や、これまでの取り組みについても伺います。

○尾根田給水部長 水道局で実施している水道管路の耐震継ぎ手化によりまして、震災時には管路の抜け出しによる断水等を軽減でき、その結果、消防用水の確保にも効果的であると考えております。
 また、平成二十四年六月に、消火栓と同等の機能を持つ私道内に設置した排水栓につきまして、初期消火活動に地元自治体が活用できる旨の覚書を東京消防庁と締結したところでございます。

○米倉委員 今、ちょっと認識についてお答えがなかったと思うので、もう一度伺いたいのですが、消防水利を東京消防庁なんかと連携して確保していくということは重要と考えるのですが、水道局としてはどういう認識ですか。

○尾根田給水部長 失礼いたしました。水道局としても重要であると認識しております。

○米倉委員 水道局としても消防水利を確保していくことは重要だということでした。
 先ほど紹介しましたこのワーキンググループでは、地震火災による死者は一万六千人に上ると想定されているのですが、ただし、出火を防止し、加えて初期消火を行えば、初期消火の成功率を上げればということですが、そうなれば死者は八百人まで減らすことができると。つまり九五%死者を減らすことができると強調しています。
 大地震の際には、同時多発で出火すると想定されております。燃え広がりを防ぐためには、消防隊の到着を待たずに初期消火の成功率を上げることが必要だと思います。
 こうした状況を踏まえまして、私の地元の豊島区でも、消防団の皆さんは日ごろから震災対策を想定して、訓練に力を尽くしていらっしゃいますし、同時に、豊島区としても、一般の住民の方でも消火活動が行えるようにということで、区内の児童遊園などに街かど消火栓という水道栓を利用した消火セットを設置してきました。
 豊島区から詳しく話を伺いますと、消防団のように日ごろから訓練していない方でも消火活動が行えるようにということで、日常使いなれている水道栓を利用した消火セットを配備しているということでした。今、条件がある公園なんかについては、もうこのセットを設置し終えたということで、今、豊島区としては、街かど消火ハリアーといいまして、持ち運び可能な、やはり水道栓を利用して消火が行える資器材の設置を進めております。
 より多くの住民の皆さんが初期消火をできるようにと取り組みが進められておりますが、東京全体の管路の耐震化を見ますと四二%となっています。大地震が起きれば、消火栓も水道管も多くの地域で利用できなくなる可能性があります。
 こういう事態を考えたときに、水道局として行っている水道管路の耐震継ぎ手化は、火災の被害が甚大になり得ると想定される地域、火災危険度が高い地域ですが、こうした地域では位置づけていくことが必要と考えます。
 そこで伺いますが、水道局では、火災危険度が高い地域について、この水道管路の継ぎ手化など、耐震化がどこまで進んでいるかということは把握しているのでしょうか。

○尾根田給水部長 木造密集地域等の火災危険度が高い地域では、道路の拡幅や新設等の道路整備の進捗に合わせまして、水道管の取りかえや移設等の整備を行っております。
 一方で、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化につきましては、当局が目標年次を定め、計画的に取りかえを実施しております。
 このことから、火災危険度が高い地域については、重要施設への供給ルートと同様の進捗管理はなじみませんが、道路整備が行われる情報を得た場合には、速やかに水道管の取りかえ等に向けた調整を行いまして、耐震継ぎ手化に努めております。

○米倉委員 火災危険度が高い地域については、耐震継ぎ手化、どこまで進んでいるかは局として把握していないということでした。
 今後、ぜひ状況を把握して、耐震化計画上で位置づけていただきたいと強く要望しておきます。
 次に、水道料金の減免制度について伺います。
 水道事業は、憲法二十五条に基づく国民の生存権、国民の命にかかわるサービスです。国連総会においても、二〇一〇年、水と衛生設備に対する人権に関する宣言が採択されましたが、ここでは生活と全ての人権の十分な享受のために欠かすことのできない人権とされています。誰もが水にアクセスできることは、基本的な人権となっています。
 ですから、水道局が低所得者や社会福祉施設、企業などを対象に水道料金の減免を行っていることは当然必要な仕組みだと思っています。同時に、今の減免制度で十分かどうかと、必要な方が減免を受けられている状況になっているかどうかは検証が必要だと考えています。
 そこでまず、社会福祉施設の減免について伺いますが、社会福祉施設については、減免の対象となる施設と対象とならない施設があります。水道局は対象となる施設をどういう考え方で整理していますか。

○小山サービス推進部長 水道料金の減免の対象となる社会福祉施設でございますが、特別養護老人ホームや障害者支援施設などでございまして、対象外となる施設は、相談支援事業や訪問事業などの施設となっております。
 また、国や地方公共団体が設置、経営する施設も対象外とさせていただいております。
 対象の考え方でございますが、当該社会福祉事業を実施する上で水道料金の負担が大きく、減免の実施意義等が認められる施設に限定するものということで整理をいたしております。

○米倉委員 水道局の判断によって、また、水を多く使用するなど、そういう判断がある中で対象を決められているということでした。
 確認をしておきますが、これは当然の話なのですが、今対象となっている施設については、水道局としても減免が必要だと判断されているということでいいんですよね。

○小山サービス推進部長 今、減免を実施している施設については、それが妥当だということで判断して、減免を実施させていただいているところでございます。

○米倉委員 水道局としても、今対象としています特別養護老人ホームなどの社会福祉施設については、水道料金の減免が妥当だと、必要だという判断でやっていらっしゃるということでした。
 社会福祉の施設を経営されている、運営されている方々からは、この制度が非常に喜ばれております。豊島区内で認知症グループホームを運営されている方からは、やはり入所者に入浴していただくですとか、そこで生活をされる場合、水の使用量が本当に多くなるんだということで、減免制度がないと困ると、この制度はぜひ続けてほしいということを伺っております。
 大事な制度だと思うのですが、今、同時に、地域の福祉施設運営者の方からお話を伺いますと、認知症グループホームですとか小規模多機能施設のような施設の規模自体が小さい施設は大概減免が受けられるんだということなんですが、特別養護老人ホームなど施設が大きくなる場合に、減免の対象となる特養ホームだけでなくて、対象にならない事務所機能なんかを抱えている施設を併設する場合が多々あると。そういう場合に、減免が受けられないケースが出ているということをやはり伺います。実際、豊島区の特養ホームを見てみましても、八割の施設が減免対象外の施設と併設となっております。
 そうした中で、以前、私も委員会で取り上げさせていただきましたが、実際には対象となる施設が減免を受けられないという事態が生まれております。あるグループホームとデイサービスセンターで四十三名の高齢者が利用されている施設では、同じ建物の中にやはり減免対象外となる訪問介護を行うヘルパーステーションを抱えているということで、減免が受けられないというふうになっております。
 ただ、実態を伺いますと、一月の水道料金は、施設全体で約十五万円にも上るということで経営を圧迫しております。この水使用量の大部分が、やはり利用者の入浴など生活にかかわるものと伺っています。
 やはり必要な福祉施設が減免を受けられるように、事務所機能が入る、そうした減免対象外の施設が併設されている施設についても対象とするような改善が必要だと思うんですが、いかがですか。

○小山サービス推進部長 まず、先ほどの答弁の繰り返しで恐縮なんですが、対象の考え方は、当該社会福祉事業を実施する上で水道料金の負担が大きく、減免の実施意義等が認められる施設に限定するというふうになっております。これは施設の大小にかかわらず、別に施設が大きいからとか小さいからとか、そういうことで区別しているわけではございません。
 それから、次に、対象施設と対象外施設が同一建物に併設されている場合のことについてご質問がございました。
 この場合、対象施設部分だけの水道使用量を客観的に算出するということが不可能でございまして、このようなケースでは、減免の実施に対する水道使用者間の公平性、客観性等を確保することが困難であることから、適用の対象とはなっておりません。
 一方、それぞれに水道メーターが設置されている場合には、客観的に使用水量を特定することができますので、対象施設部分は減免の対象というふうになります。よろしくお願いいたします。

○米倉委員 一つの建物の中に減免対象となる施設と減免対象とならない施設があった場合に、それぞれにメーターが設置されていれば、減免が受けられるということでした。
 しかし、実際には、一つの建物には一つの水道メーターを設置するという原則があるわけです。そうなれば、やはり減免が受けられない施設が出てくるのは当然だと思います。
 そもそも東京都自体が、土地が限られた都内で地域の介護サービスの拠点をつくっていくというために、併設型の施設というものを場合によっては補助までつけて促進しているんです。そういう中で、水道料金については、その場合は減免の対象外になってしまうということでは、やはり整合性がないと思います。
 そもそも都議会の決議というものでは、社会福祉施設については、水を多く使う施設だけに限定せず、社会福祉施設全体について減免を求めているわけです。社会的な役割や施設の実態から見ても、福祉に資する事務所として併設している場合は、対象施設に特養ホームに事務所がひっついている場合でも減免対象とすることが趣旨から照らせば望ましいというふうに思います。
 それが難しいというならば、これも以前も提案しましたが、介護などの事業者は、介護保険の給付対象事業とそれ以外の事業を行っていたり、複数の介護保険の給付対象事業を行っているケースが実際多いんですね。そういう中で、会計はどう区分するかということについては、厚労省が都道府県宛てに案分の基準などを示しているわけです。
 水道局は、それぞれの施設がどの程度水を使用するかということは、データとしても蓄積があると思うんです。実績をもとに、ほかのそうした基準なども参考にして、独自の基準を考案するなどして、グループホーム、特別養護老人ホームなど、必要な施設が受けられるような仕組みを検討していただきたいと強く求めておきます。
 次に、都議会の水道料金の減免措置に関する決議ですが、これは低所得者世帯についての特別の減免措置も講ずるべきとしています。
 水道局は決議を受けて水道料金の減免を行っていますが、対象はどういう考え方で決めていますか。

○小山サービス推進部長 まず、最初のお話も含めまして、水道料金の減免の基本的な考え方を申し上げておきたいと思いますが、水道事業は、お客様に水道水を供給しまして、その使用に応じてお支払いいただいた料金を財源として経営しております。これは税金で運営される一般行政とは異なるものでございます。
 こうした観点から、料金の減免というのは、水道事業の受益者負担の原則を踏まえまして、水道使用者間の公平性に配慮して、慎重かつ限定的に行わねばならないということが基本でございます。
 低所得者世帯に対する減免についてのお尋ねでございますが、この水道事業の受益者負担の原則の例外として、減収分を一般会計が負担することを前提に、公益性、客観性、合理性が認められる場合に限定して実施をしているというところでございます。
 具体的には、生活保護法により生活扶助の認定を受けている方や、児童扶養手当法により児童扶養手当を受給されている方などを対象としているところでございます。

○米倉委員 一般会計を前提にして、低所得者世帯への減免制度を行っているということです。
 一般会計を前提にしてということですから、水道局としては、独自の判断とともに、財務局と協議をして対象を決めているのかということでよろしいのでしょうか。

○小山サービス推進部長 一般会計からの補填を前提にしてということで申し上げたとおり、当然その場合は財務当局、関係各局などと協議をいたしているところでございます。

○米倉委員 今、ご答弁でもありましたが、低所得者を対象とした減免というときに、生活保護法による扶助を受けている世帯、ひとり親家庭を対象とする児童扶養手当を受けている世帯、障害児の養育者への特別児童扶養手当などを対象にしているということでした。
 しかし、今の対象ですと、低所得者の本当に一部しか減免が受けられないということなんですね。奈良市や小樽市など、ほかの自治体では、非課税世帯に当たる所得の世帯については水道料金を減免するというような仕組みを持っておりまして、生活が困窮したとしても水にアクセスできるような仕組みを構築していらっしゃいます。
 水道局としても、料金減免の対象を所得による減免を行うなど、拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 減免額についても、世帯人数がふえれば水道使用量は当然ふえます。しかし、今の減免の仕組みを見てみますと、世帯人数がふえても、減免される部分というのは、基本料金を含めた十立方メートル分までとなっています。
 世帯人数がふえれば減免される減免料金を上げるなど、生活実態に合わせた改善が必要だと思いますが、いかがですか。

○小山サービス推進部長 繰り返しで恐縮なのですが、水道事業というのは、お客様からの水道料金で賄う受益者負担を基本原則として経営をいたしております。こうした観点から、料金の減免措置は、水道使用者間の公平確保の観点から、慎重かつ限定して実施する必要があると、これが基本でございます。
 現在実施している減免でございますが、都議会の決議等を踏まえ、減収分を一般会計が負担することを前提に、公益性、客観性、合理性が認められる場合に限定して、あくまでも例外として実施しているわけでございます。
 このため、お話のあった所得による減免を含めた拡充、あるいは世帯人数に応じたこういう減免などについては、こういう公益性、客観性、合理性に照らして限定的、例外的にやっているという観点を踏まえ、水道事業者独自の経営判断として実施することは考えていないところでございます。

○米倉委員 慎重にというのは当然の話だと思うんです。ただ、都議会の決議を踏まえて減免されているというわけで、ここにはどう書いているかというと、都民生活を守るために低所得者の料金減免を求めているわけですね。やはりこちらも趣旨に照らせば、対象の拡大は必要だと思います。
 世帯人数がふえれば、水の使用量がどうなるかということは、水道局のホームページで調査結果が示されております。今の料金の減免の枠というのは、一月十立方メートルまでの料金となっていますが、世帯人数が二人以上になれば、料金の減免枠は超えるわけですね。しかも、使用量が多くなるほどに単価が上がる従量料金と水道料金はなっていますから、世帯人数が多いほどに負担が重くなるということがわかります。
 水道局は、議会の決議を受けて、どういう方を減免対象にするかということは、客観性ですとか合理性だとか、そういうことに基づいて判断されているということなんですが、財務局との協議で決めているわけです。
 私たちも減免制度がさらに拡充するように、一般会計からさらに補填をということは求めたいと思いますが、やはり水は人権ですから、皆さんもそういう立場で、実態に合った減免制度になるように力を尽くしていただきたいんですね。それは強く要望しておきたいと思います。
 最後に、水源林管理についてです。水道局が行っていますみんなでつくる水源の森実施計画についてです。
 ことし七月の九州北部豪雨により、多数の山腹崩壊と流木などが発生をし、その流木が原因で橋の決壊や河川の溢水が引き起こされ、福岡県朝倉市など甚大な被害が起きました。この多数の山腹崩壊は、人の手が入らなくなり山地が荒廃したことが原因と林野庁も指摘をしています。
 水道局は長年、水道水源林の管理をしていますが、みんなでつくる水源の森実施計画では、多摩川上流の民有地を購入し、森林の再生を行っています。水源の保全に加え、豪雨時などの山腹崩壊の防止という観点からも極めて重要と考えますが、認識を伺います。

○青木浄水部長 水道局では、購入した民有林を含め、多摩川の安定した流量確保や小河内貯水池の保全を図るため、水道水源林が持つ機能を最大限に発揮させるよう、適切に管理してまいりました。
 森林は、水源涵養や水質浄化などの機能のほか、樹木の根が山の土をしっかりと押さえることにより、土壌の侵食や山崩れを防ぐ土砂流出防止の機能を持ち、山腹崩壊を防止する役割を果たしていると認識してございます。
 多摩川上流域の民有林につきましても、平成二十二年度から公募による購入を進めており、購入後速やかに土砂流出防止などの森林が持つ機能を最大限発揮させるよう、適切に管理を行っております。

○米倉委員 七月の九州北部豪雨は、積乱雲が次々と発生し、線状に連なり、数時間にわたって集中的に豪雨が起こる線状降水帯が発生し引き起こされました。線状降水帯はどこでも起こる可能性がありまして、また、発生を予測することも困難といわれております。
 二〇一五年、北関東で多大な被害を出した豪雨も線状降水帯が発生したもとで起こっております。また、このときは東京都でも豪雨被害が起こっています。
 多摩川上流では、現在も荒廃した山地があります。万が一、こういった場所に線状降水帯が発生し豪雨となった場合、山腹崩壊の危険性は軽視できません。
 豪雨などによる山腹崩壊に対し、水道局ではどうした対策をとっていらっしゃいますか。

○青木浄水部長 森林所有者による適正な整備保全が基本であることを踏まえまして、当局では、所有する水道水源林のうち、山腹崩壊等の危険性がある箇所につきましては、落石防止柵や堰堤を設置するなど、予防的対策を実施してきております。
 万が一、崩壊が起こった場合でも、土どめの設置などによりまして、崩壊の拡大防止や山地の復旧対策を迅速に実施しております。

○米倉委員 山腹崩壊を防ぐこととあわせ、万が一起きたときも被害を最小に食いとめる対策を行っているということでした。
 近隣の住民の安全を守ることにつながるのはもちろんのこと、多摩川水系には小河内ダムを初め羽村取水堰、また国交省管理ですが、各地に堰があり、これら重要な水道施設を守ることは、都民生活を守ることにつながります。引き続き対策を進められることを求めておきます。
 指定された民有林重点購入地域で山腹崩壊のおそれがある森林についてなんですけれども、みんなでつくる水源の森実施計画では、手入れの行き届かない森林がふえ、土砂流出による小河内貯水池への影響が懸念されていますと記載があります。これについては、局としてどのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

○青木浄水部長 小河内貯水池周辺は、特に地形が急峻で、適切な手入れが行われていない民有林が多いことから、土砂が流出する危険性が高い状況となってございます。
 このため、こうした地域約二千ヘクタールを重点購入地域として設定いたしまして、積極的に所有者に購入を働きかけているところでございます。
 購入後は速やかに状況調査を行った上で、山腹崩壊の対策を含めまして、必要な措置を適宜適切に実施していくこととしてございます。

○米倉委員 多摩川水系は、東京都の水源の二〇%を占め、重要な役割を果たしています。
 水道局が行っている水源林の再生、保全の事業は、都民の暮らしを支えるだけでなく、豪雨など山腹崩壊等の災害への対策にもつながります。
 災害防止の観点も踏まえ事業の引き続く推進を求めて、質問を終わります。

○神林委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十四分開議

○神林委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○西沢委員 私の方から改めて質疑をさせていただきたいと思いますが、まず冒頭に、先ほども質疑ありましたが、水道の蛇口をひねればすぐにおいしい水が飲めるというのは、やっぱり日本の誇るべきものであり、東京都の誇るべきものであると。それを担っていただいている水道局の皆様には深く感謝をしつつ、質疑に移らせていただきたいと思います。
 この水道、公営企業の役割というのは、利益を追求するだけのものでは当然ありませんし、かといって公共サービスで経費がどうとか、赤字でどうとか、そのままでもいいというものではなく、そのバランスというものが大事なんだろうというように思います。
 その意味で、これから少子高齢化や人口減少、社会経済状況が大きく変化をしていくという中で、この都民のライフラインである水道事業のあり方を、これを十年前の決算数値と比較するということで確認をしていきたいというように思います。
 水道局のホームページに掲載があります平成十八年から二十七年までの損益計算書の推移を見ると、経常利益が一貫して減少しているということが読み取れるわけであります。
 この経常利益というのを平成十八年のところを見てみると、大体五百七十二億円ぐらいあったものが、昨年の決算ベースで見ると三百三十七億円ぐらいと四一%も減少していると。前年度ベースで見ても、前年度比で七・八%減っているというようなことがわかるわけであります。
 やはり四一%、半分までいかないけれども、収入が四割も減っているということは、ちょっと大丈夫なのかなと思うわけですが、当の水道局はどのように分析をしているのかお伺いいたします。

○黒沼理事 水道事業の財政状況につきまして、十年間の比較でというお話がございました。
 今お話がございましたとおり、平成二十八年度の経常利益でございますが、平成十八年度と比較しますと、今、委員もお話ございましたとおり、額にしまして二百三十五億円減少してございます。これは主にリーマンショック、あるいは東日本大震災といった影響で給水収益が大幅に減少したことなども寄与しております。
 一方、経常費用でございますが、切迫性が指摘されております首都直下地震等に備えまして、これまでもご質疑いただきましたが、耐震継ぎ手化事業等を推進しておりますので、二百十億円ほど増加したことなどがございます。
 これら、先生、冒頭にお話ございました収益と費用のバランスということで財政状況を見ますと、一つの指標としまして、経常収支比率という比率がございます。この比率は一〇〇%を上回っていればおおむね良好な状況ということでございますが、この経常収支比率で見ますと、十八年度の経常収支比率は一二〇・五%でございました。平成二十八年度につきましても九・三ポイントほど低下をいたしましたが、一一一・二%でございます。
 したがいまして、経常利益につきましては減少してございますが、おおむね適正な水準の範囲で推移をしているものと認識しております。

○西沢委員 経常利益ということでいうと、リーマンショックということとか、さまざまありましたけれども、経常収支比率ということで見ると、適切な水準で推移しているということで、私もそれは承知をしているところでございます。
 もちろん、四割も収益が減っているということだけれども、経常収支比率では問題ないということでありますが、今後、どうなっていくのかというところが当然課題になります。
 収益は、きょうも議論がありましたけれども、一気にふやすことは当然できないわけですね。リーマンショックのとき一気に減るとかということはあったとしても、一気に収益がふえるということはないと。であれば、これから経費をどのように支出を抑えていくのかというようなところがポイントになろうかと思います。
 そこで、損益計算書を並べて見るわけでありますが、給水収益が減少すると同時に、営業費用である配水費、給水費が十八年度と比べて大きく伸びている。特に給水所から給水区域内に水を配るための配水管などを補う配水費は、十年前に比較して三二%も増加をしているということがこの損益計算書から読み取れるわけであります。
 これは、三二%もふえているというのは、経常費用の中の営業費用のうちの大きなものを占めるのがこの配水費ですが、これが三二%もふえるというのは、これはいかにも伸び過ぎなんじゃないかというふうに思うわけであります。
 そこで、この配水管工事について、これまで労務単価がふえているという答弁が過去にもございましたが、都の管工事の単価がほかの自治体と比べてどうなのか、エビデンスデータでお答えいただきたいと思います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 各自治体の二十七年度決算書で公表されている、管布設延長と事業費から管工事の単価を試算いたしましたところ、一メートル当たりの布設工事費は、当局が約二十四万四千円であるのに対しまして、横浜市は約十九万二千円、大阪市は約十六万九千円となってございます。
 ただし、決算書の数値は、さまざまな管工事を合算したものでございまして、大まかな比較ということになりますので、標準的なモデルについて、国の積算基準に基づき算出した工事単価との比較結果を回答させていただきたいと思います。
 口径百ミリから二百五十ミリ、総延長一・七キロメートルの配水管を取りかえるモデル、これは当局の標準的なモデルになりますけれども、このモデルにつきまして、国の積算基準で約三・四億円、当局の基準では約三・八億円となりまして、当局の方が一二%程度高くなります。このように、ほかの自治体及び国との比較では、総じて当局の工事単価が高い結果となってございます。
 この主な要因といたしましては、他市に比べまして、大都市東京でございますので配水量が多いということで、当局の工事には大口径管の割合が多いということがございます。
 また、都内の路上工事は住宅や店舗が近接し、埋設物がふくそうしていることなどから、一日の標準作業量が小さくなってしまうということがございます。さらに、工事の断水による住民や店舗への影響も低減するため、当局では配水小管工事におきまして、仮配管方式というものを採用してございます。こういった事柄が挙げられます。
 これらに加えまして、都内の労務単価が一般的に高いことも工事単価を押し上げる要因となっていると考えております。

○西沢委員 いろいろとご説明をいただきましたが、もう一回ちょっと確認しますけれども、決算書ベースで見ると、他の自治体に比べて総体的に高いということでいいのでしょうか。いいということですか。じゃ、一応いいですか。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 決算書ベースでは高いということでございます。

○西沢委員 つまり、他の自治体に比べると高くなっている。その理由はさまざまご説明をいただきましたが、例えば、東京都独自の理由というものがあったと思いますが、他の自治体の同じような都市部と比較して、どうなんでしょうか。
 具体的に何を基準に価格設定をして、東京都そのものの基準とはどう異なっているのか、そこに合理的な理由があるのかどうか、お伺いいたします。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 積算に用いる労務単価や資材単価は、都道府県別に定められていることに加えまして、各自治体では、それぞれの契約状況や現場の施工環境を踏まえた独自の積算基準を運用しているところでございます。
 他都市の積算基準につきましては、公表はされているものの、適用の基準や考え方が公表されていないというところがございまして、詳細については不明なところがございます。
 なお、都におきましては、工事現場の状況を調査し、その状況に応じて適切に積算内容を設定しているところでございます。

○西沢委員 他の自治体に比べて高いと。高いけれども、その理由については、詳細についてはわからないと。でも、さっき東京都で高くなる理由は、大口径が多いんじゃないかとか、いろいろご説明をいただいたと思うんですけれども、それは、その自治体と比較しているというわけではないんですか。東京都として、こういったことが理由なんじゃないかと思っているということなのでしょうか。
 他の自治体と比較して、東京都は、明確に、合理的にこうだと、だから高いんだということではなくて、高いんじゃないかと、その辺ちょっと、もう一度お願いいたします。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 先ほど、東京都の高い要因について申し上げましたのは、東京都の工事現場の特殊性として、ふくそうしている工事現場がございますので作業量が少なくなるとか、配水量が非常に大きくなりますので大口径のものの割合が多く占めるとか、そういうことが要因になっているというふうにお答え申し上げた次第でございます。
 また、他事業体の積算につきましては、その積算の考え方、適用の考え方、そういったものが公表されていないので、詳細については不明なところがございますというふうにお答えしたところでございます。

○西沢委員 他の事業体、他の自治体については公表されていないからわからないけれども、東京都には東京都の理由があると。ちょっとよくわからないところもあるんですけれども、そういう答弁でした。
 いずれにしても、配水費というのは増額しているということには違いないわけですが、平成二十九年度の事業概要で、予算ベースになりますけれども、この配水費は二十八年度の予算ベースでいうところでいうと、率にして二一・五%、来年度予算についても増額が見込まれているということがわかるわけで、さらに雪だるま式に増加をしていくというような状況なのかなと思うわけですが、こういった状況はどのように認識をしているんでしょうか。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 配水費につきましては、直近三カ年を見ますと、予算額の推移と同様に決算額も上昇傾向にございます。
 平成二十六年度は九百九十二億円、平成二十七年度は一千四十二億円、平成二十八年度は一千百億円と上昇傾向にございます。特に管工事の決算額が上昇傾向にございまして、その要因は、繰り返しになりますけれども、各種の単価の変動や契約状況や都内の施工環境等を踏まえた積算基準の改定が反映されたものと認識してございます。
 なお、局では、コスト管理委員会を設置いたしまして、工事だけではなく、計画から維持管理に至る事業運営のあらゆる段階におけるコスト縮減に取り組んでいるところでございます。

○西沢委員 もちろんですね、不適切な支出というものがあったり、そういったものを監査でも、それは東京都の監査もそうですし、外部監査もそうです、そういった仕組みはあろうと思いますし、契約についても第三者の目を入れるというのは、私たちがずっといってきたことも取り組まれていると思います。
 その上で、政策的な判断というのは、やはり議会の場で、決算の場で議論するというのは重要であるというように思います。その上で、配水費、収益がどんどん減っているという中で、経常収支比率は一定だよと、そういった意味の中では、配水費がふえていく、これからもふえていきますよということになると、やっぱり心配になってくるというようなところは当然だと思うんですね。
 今、ご答弁ありましたけれども、単価も上がっていますと。ただ、単価は上がっていますけれども、これは国土交通省でいただいた資料ですけれども、全国比にすると、労務単価の伸び率というのは平成二十八年で四・九%だけれども、東京都の先ほどの配水費の伸び率というのは五・五%で、労務単価の伸び率がふえているわけですよね。
 だから、一概に労務単価の上昇だけが配水比率を押し上げているということではないということがいえるのだと思いますし、さらにいえば、他の自治体と比較しても、決算書ベースで高いわけですよね。だけれども詳細はわからない。わからないけれども、決算書を見ると高くなっているというような状況。
 だからこそ、改めて申し上げたいのは、他の自治体としっかりと比較をしていくと。積算が公表されていないということであっても、それはお互いの自治体によってもプラスになることだと思いますから、このままで、はい、わかりました、そうですというわけにはちょっといきませんから、ぜひ、こうした明確な、合理的な理由で、東京都のこの配水費の伸びは高くなっているよということがいえるようにしていただきたいというように思います。
 もう一つ、貸借対照表に目を通したいと思うんですけれども、この貸借対照表に目を通してみて、大規模浄水場の更新積立金の推移に、これはいわゆる貯蓄、貯金というか積立金の推移を見ると、平成二十年から五十億円ずつふえていますけれども、ここ数年ちょっとその伸びが減っているということですが、これはどういうことなのか、確認のためにお伺いをいたします。

○黒沼理事 ただいまのご質問にご答弁する前に、その前の委員からのご質問にお答えさせていただきたいと思います。
 配水費の上昇、あるいは労務単価等の上昇、決算値ベースでは高いんだけれども、他都市との比較が客観的にできていないというお話でございました。
 建設部長からの答弁では、他都市の積算単価等は公表されているけれども、適用の基準ですとか、そういったところがわからないのでというお話をさせていただきましたが、例えばモデル工事を設定して、東京と横浜と大阪を比較するといったようなことは可能であるかもしれません。これは研究課題として検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまのご質問にお答えさせていただきます。
 大規模浄水場の更新積立金の十年間の状況でございますが、高度成長期に整備をしました大規模浄水場は今後、一斉に更新時期を迎えます。
 このため、大規模浄水場の更新積立金は、この更新に要する膨大な資金需要に備えまして、自己財源を確保するため、平成十九年度から年度末の未処分利益剰余金の中から毎年五十億円、十年間で五百億円を積み立てる計画でございます。
 この五百億円の根拠でございますが、実は、大規模浄水場を更新するときに、その浄水場をとめてしまうわけにいきません。そのために、新しく代替の浄水場をつくります。これは新設になりますので、それまでの内部留保資金がございません。当時の十九年度の試算によりますと、一千億以上のお金がかかります。その中で、国庫補助金を当てにしても約六百億円ほどの財源が必要になります。そうした観点から、十年間かけて五百億円を積み立てていこうと、こうした考え方でございます。
 このため、平成十九年度決算認定後、平成二十年度から積極的に積み立てを始めまして、この九年間で四百五十億円積み立てができております。二十七年度と二十八年度につきましては、今申し上げました代替の浄水場、これは境浄水場と三郷浄水場で建設をする予定でございますが、この更新のための代替浄水施設の進捗に合わせまして、二十七億円の取り崩しを行っております。その結果、二十八年度末の積立金は四百二十三億円となってございます。
 なお、平成二十八年度の決算におきましても、未処分利益の剰余金の処分案としまして、所期の目的どおり、毎年の五十億円の積み立てを計上してございます。長くて恐縮でございます。

○西沢委員 まず、積立金については、予定どおり進んでいるよというような答弁だと思います。先にちょっとこっちの話を進めますけれども、積立金はこの二年で、つまり取り崩しているということがわかるわけであります。
 もちろんそれなりの理由がありますけれども、先ほど冒頭から、ちょっとこの議論を進めているに当たっては、利益が減っていますよと。支出もふえていますよと。さらに、いってみれば貯金も減りますよということになると、やっぱり心配になる。
 積立金が減少していく状況を踏まえ、これを今踏まえた上で、もう一回見解をお伺いいたしたいと思います。

○黒沼理事 ただいまご質問ございましたとおり、今後の財政収支のバランスは、収益と支出の双方を見た上で、所期の目的に従った形で積立金を充当していきませんと、委員ご指摘のとおり、せっかく積み立ててきたものが、資金ショートを起こしたことによって充当するということになりかねません。
 といったことから、財政収支のバランスにつきましては、年度年度の予算及び執行管理、それから決算分析、そういったものを含めまして、きちっと留意をした上で積立金の推移も見守っていきたいと考えております。

○西沢委員 いろいろと工夫してやっていくという話ございました。しっかりその辺はやっていただけると思いますし、お願いしたいというように思います。
 改めて、きょう議論してまいりましたけれども、先ほど理事から、他の自治体との比較というところについては、モデル事業ということでできるんじゃないかという、極めて前向きなご答弁もいただきました。
 ぜひ、これで終わりということは当然ない、不断の見直しというものは皆様の方でやっていただいているというように思いますが、今、東京都水道局の経営、すぐに立ち行かなくなるという状況ではないというようには確かに思います。それは皆様が努力して、いろいろやっていただいているということであります。
 一方で、この余力があるうちに、いざとなったときにどうなるのかという経営基盤をしっかりと構築していくということは、当然重要だというように思います。だからこそ、工事単価の精査をすべきだという話、それから他の自治体との比較をすべきなんじゃないかというようなことをきょう申し上げさせていただいたわけであります。
 改めて、全体の事業量、単価も含めて、こうしたものを精査するなど、経営計画のフレームを見直していくべきだと思いますが、局の見解をお伺いいたします。

○黒沼理事 水道事業は、水源、浄水、送配水等の施設から成る大規模かつ長大な装置システムで構成をされております。これら全てのシステムを良好な状態に保ち続けるため、中長期の視点に立った投資計画、それからその財源の裏づけとなる収支計画、これを現在の東京水道経営プラン二〇一六で明らかにしてございます。
 計画期間は二十八年度からの五年間でございますが、各年度の料金収入、あるいは工事などの実績は、ただいまご質疑いただきましたとおり、日々の毎年毎年の気候、気象条件による配水量の変動、あるいはリーマンショック等の経済状況の影響等、さらには、工事の現場状況の問題等により、経営プランと差が出てまいります。
 このため、事業実態を踏まえまして、各年度、単年度の予算編成におきましては、成果重視の観点から事業の優先度を再評価しまして財源を見直すほか、東京の特性や経済情勢を踏まえつつ、工事単価につきましても不断の見直しを行うなど、経営プラン期間中の収支均衡を念頭に必要な修正や見直しを行ってまいります。
 また、総務省からは、経営戦略策定の要請を初めまして、長期的なスタンスで経営の基本計画を策定すべきとの意見が寄せられております。これも十分認識しております。
 今後とも投資及び収支計画の不断の見直しによりまして、常に強固な財政基盤に基づく安定した事業運営に努めてまいります。

○西沢委員 ちょっと申告時間を過ぎて恐縮でございます。もう終わります。
 るる質疑させていただきましたが、特に水道、それから浄水という大きな社会資本の更新は、将来にわたる都民の安全と安心を守る礎であります。
 東京の過去をひもとけば、江戸時代の昔からオリンピック、それから上水道の確保は、東京の行政に課された重大な役割であります。
 こうしたことを踏まえ、堅実で将来にわたり持続可能な水道行政を求め、質問を終わらせていただきます。

○平委員 都民ファーストの会、平慶翔でございます。
 私の方からは、水道事業会計、平成二十八年度の主な実施内容から、貯水槽水道の適正管理、また小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業、さまざまな脅威への備え、災害などに備えた施設整備、そして、東京水道あんしん診断、主に四つの事業の内容から質問をさせていただきます。
 まず、直結給水方式の普及に向けた取り組みについてでございます。
 水源、水質の保全や浄水施設に万全を期していただくことはもちろんですが、そうしてつくられたおいしい水が最終的に蛇口に届けられることが重要であるため、水道局では、直結給水化の取り組みを強化していること、先ほど質問をされました三宅委員に対する答弁で確認をさせていただきました。
 この直結給水方式については、安全で高品質な水が直接蛇口に届けられることに加えて、配水管の圧力を利用するため、省エネルギーで給水でき、貯水槽の設置が不要なことから、点検や清掃等のメンテナンスが不要といったメリットを有しております。
 貯水槽水道方式については、災害や事故等においても貯水槽内の水が使用されることができる一方で、管理が不十分な場合には、水質悪化による衛生上の問題が生じることがあると伺いました。
 そこで、おいしい水を提供するためには、貯水槽水道の適切な管理が必要であると思いますが、管理が不十分な貯水槽水道の対策について、お伺いをいたします。

○尾根田給水部長 貯水槽水道は、設置者による適正かつ継続的な管理が不可欠となります。
 このため、水道局では、貯水槽水道の設置者に対しまして、施設の適正管理を促すため、平成十六年度から給水区域内の全ての貯水槽水道を対象として、点検調査を継続して実施しております。
 この点検調査の結果、管理が十分でない施設に対しましては、適正管理に向けた指導や助言、改善提案をするとともに、あわせて多くのメリットを有する直結給水方式への切りかえについてもPRしております。

○平委員 ただいまの答弁によって、貯水槽水道の基本的な、抜本的な対策としては、直結給水方式の普及促進が重要だというふうに認識をいたしました。
 平成二十八年度末における都内の直結化の区部、多摩地域それぞれの状況について、私自身、確認をさせていただいたところによりますと、区部では、給水件数約五百五十五万件に対して直結給水率は七一%、多摩地区では、給水件数約百九十五万件に対して直結給水率は七九%と確認をさせていただきました。
 あわせて、給水件数約七百五十万件に対して直結給水率は七三%となっておりますが、先ほどこれは確認させていただいたのですけれども、まだ直結化できていない区部が百六十三万件、そして、多摩地域においては四十二万件、全体で二百五万件ございます。
 直結給水方式にするタイムスケジュールについて、今わかればお伺いさせてください。

○尾根田給水部長 直結給水方式の今後の計画でございますが、平成三十二年度を目標といたしまして七三%、それから、長期的には平成三十七年度を目標としまして七五%まで直結給水化を進めていく計画となっております。

○平委員 ありがとうございます。着実に進んでいるということはわかりました。
 直結給水に関して、次世代を担う小中学生を対象とした、蛇口から水を飲むという日本の水道文化を引き継ぐことを目的に、水道水に対する関心、また、教育の一環として取り組んでいる小中学校の水飲み栓直結給水化を実施していることを、これも三宅委員の質問により確認をさせていただきました。
 事業の経緯として、平成十九年度から公立小学校を対象に開始し、平成二十二年度には公立中学校及び私立小中学校を対象に加え、平成二十八年度までを事業期間として実施してきたとのことでございました。
 小中学校の直結給水化の普及推進に向けては、事業費用が多くかかってくるかと思われますが、水道局としてどのような助成をし、また、区市町との費用負担がどうなのかは重要な課題であると思います。
 そこで、このモデル事業における水道局と区市町の費用負担についてお伺いをいたします。

○尾根田給水部長 給水設備は、学校に財産として帰属することから、工事費のうち、材料費相当分は学校の設置主体でございます区市町等に負担していただき、材料費を除くその他の工事費用を水道局が負担する考え方に基づきまして、給水方式により費用負担割合を定めてございます。
 具体的には、配水管の圧力で直結給水する直圧直結給水方式につきましては、全体の工事費用のうち材料費に相当する二割を区市町等が、そのほかの工事費用に相当する八割を当局が負担しております。
 また、増圧ポンプを使って給水する増圧直結給水方式につきましては、同様に四割を区市町等が、六割を当局が負担しております。

○平委員 ありがとうございます。水道局も費用を負担し事業を推進しており、モデル事業というからには、実施効果についても検証をされなければならないと思います。
 先ほど、水筒を持ってくる子供たちが、この事業から二六%から一二%と少なくなったということでございました。
 子供たちに安心しておいしい水を提供する意味合いにおいても、引き続き区市町と連携を図りながら、着実に小中学校の直結給水化に取り組んでいただきますようにお願いをいたします。
 続きまして、地震対策に関しての質問をさせていただきます。
 これは細田副委員長から、災害時の応急給水についての対応、また避難所の給水管の耐震化についてご質問がございました。また、三宅委員、米倉委員からは、継ぎ手についての質問もございました。私自身、小学校一年生のときに阪神・淡路大震災を経験しておりまして、こういった観点からも、地震に対してまた違った視線から質問をさせていただきます。
 水道は欠かすことのできないライフラインであり、平常時はもとより、震災時や事故時においても給水が確保できる取り組みが必要でございます。東日本大震災では、先ほどからお話があったように、水道管の継ぎ手の抜け出しによる被害が多発したほか、避難所でも断水が発生をいたしました。
 国の中央防災会議においては、マグニチュード七クラスの首都直下地震が発生する確率、この三十年以内で七〇%と推定をされており、特に一部地域では断水率が六〇%を超えるということでございます。
 水道管の耐震化の取り組みは重要な施策の一つであり、喫緊の課題であります。水道管自体の耐震化はほぼ完了しており、平成十年度からは、継ぎ手部に抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を全面的に採用して、水道管路の耐震継ぎ手化を進めており、平成二十八年度末には四二%になったというふうに先ほどお伺いをいたしました。
 この耐震継ぎ手化事業について、水道局が公表している区市町別の耐震継ぎ手率の資料を確認させていただきましたところ、地域によって、その進捗に差異があるとの印象を受けました。
 局は、計画的に事業を行ってきたということでございましたが、地域によって耐震化の進捗に差が生じている理由についてお伺いをいたします。

○尾根田給水部長 水道局では、これまで計画的に水道管路の取りかえを行っておりまして、平成二十八年度の送配水施設整備事業における配水管の取りかえ延長は約二百四十キロメートルに達しております。
 この膨大な延長の取りかえに当たりましては、原則、布設年次の古い管及び水道管自体の腐食のおそれや液状化危険度が高い地域に布設された管から進めてまいりました結果、地域により耐震継ぎ手化の進捗に差が生じたものでございます。

○平委員 計画的に水道管の老朽化、また液状化危険度を踏まえた地域を優先し進めてきた結果、地域による耐震継ぎ手率に差が生じているということを理解できました。
 一方で、水道局が公表している東京の水道管の総延長は約二万七千キロメートルと膨大であるため、耐震継ぎ手化に向けての管路の取りかえには、どのくらいの時間が必要になるのか想像がつきません。
 首都中枢機関及び救急医療機関等や避難所など、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を優先的に進めているということで、先ほど答弁いただきましたが、さらに、避難所となる中学校及び一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅への供給ルートの耐震継ぎ手について、当初の目標である平成三十四年度から前倒しをして、東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会への供給ルートとともに、平成三十一年度までに完了させる予定であると先ほど確認をさせていただきました。
 この二万七千キロメートルということなんですけれども、このオリンピック会場、またそういった首都中枢機関だとか、あとは乗車人数が二十万人を超える主要な駅以外の継ぎ手化に対する今後のタイムスケジュールというものはお伺いできますでしょうか。

○尾根田給水部長 重要施設以外の給水ルートの耐震継ぎ手化ということでございますけれども、今、優先的に、先ほど申し上げました避難所では、中学校につきましては三十一年度までということでございますが、例えば具体的に、それらは既に前倒しをして三十一年度ということにしてございまして、そのほかの避難所でございますとか、ここに挙がっていない重要な施設につきましては三十四年度までにルートの耐震継ぎ手化を進めていくという計画になってございます。
 そのほかの管路につきましては、その後、順次計画的に進めていくという計画でございます。

○平委員 ありがとうございます。首都直下地震の切迫性が指摘されるなど、大地震はいつ発生するかわかりません。局が取り組んでいる重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化以外も、都民の生活に直結した水の安全を守るために、引き続き着実に進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、東京水道あんしん診断についてお伺いをいたします。
 東京水道あんしん診断、これ、平成二十七年度から行われているということでございますが、本事業の目的について、取り組み等をお伺いさせてください。

○尾根田給水部長 東京水道あんしん診断でございますが、本事業の目的には三つの大きな柱がございます。
 一つ目は、全てのお客様宅を対象に個別に訪問を行い、高度浄水処理の導入を初め水道局の取り組みに対する理解を深めていただき、漏水調査や水質調査等の実施によりまして、蛇口まで高品質な水が届いていること実感していただくことでございます。
 二つ目は、お客様からの生の声を聴取し、きめ細かくニーズを把握することでございます。
 そして、三つ目でございますが、局職員及び監理団体社員がお客様と直接触れ合うことによって、サービスマインドの向上を図ることでございます。
 これらの目的を達成するため、平成二十八年度は百九十四万件の診断を実施いたしたところでございます。

○平委員 ありがとうございます。都民の自宅を全戸訪問するということで、事業費はかなりの人件費がかかっている一大事業であると思われます。
 水道局に事業費を伺ったところ、四年半で六十億円ということでありました。本来、水質調査で安心・安全が確認された上で都民の自宅の蛇口に届くのであって、行き過ぎたサービスなのではないかというふうに思う一方、漏水調査においては二千五百件という漏水を確認しているということで、お客様へ安心を届けるという観点からは目的を達成していると思います。
 しかし、先ほど申し上げたように、都民の大事な水道料金が四年半で六十億費やされております。主に人件費でございますが、これを聞きますと、スマートメーターなどIoTを活用し、効率化が図れないものかというふうに思います。ご見解をお伺いいたします。

○尾根田給水部長 水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える上で欠くことができない基幹ライフラインでありまして、電気やガスの保安点検のように、各家庭内の漏水や全ての蛇口に安全で高品質な水が届いていることを直接確認する診断を実施することは有意義であると考えております。
 現在のスマートメーター技術では、本業務のうち、漏水の有無を検知することは可能でございますが、本事業の目的である東京水道への理解を深め、信頼を高めていただくとともに、お客様のニーズを今後の事業に適切に反映していくためには、全てのお客様宅に直接訪問し、漏水調査や水質調査をお客様の目の前で実施することや、お客様の生の声をきめ細かく聴取していくことが有効であると考えております。
 一方で、お話にございましたとおり、IoTなど情報通信技術の進歩は目覚ましいものがございます。自動検針や見える化、見守りサービスなど、さまざまな業務への展開が期待できると考えております。
 引き続き、通信面やコスト面での課題解消の状況や、通信技術の動向などを把握してまいります。

○平委員 ありがとうございます。現時点では、スマートメーター化には乗り越えるべき課題があり、活用がなかなか難しいということでございました。
 しかし、一方で、IoTは日進月歩であります。将来、スマートメーターによる漏水調査や水質調査等の実現性が高まれば効率性も上がるので、今後とも前向きにご活用をご検討いただきたいというふうに思います。
 続いて、そのスマートメーターモデル事業についてお伺いをいたします。
 現在、晴海地区において、先ほど話題にいたしましたスマートメーターを導入するモデル事業を実施するというふうに伺っております。
 そこで、スマートメーター化モデル事業の平成二十八年度の進捗についてお伺いをいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 このスマートメーター化モデル事業でございますが、二〇二〇年東京大会の選手村となる晴海五丁目地区をモデル地区といたしまして、電気、ガス、水道のスマートメーターを用いて、検針データを自動で収集する共同システムを構築するものでございます。
 平成二十八年度におきましては、私ども東京都水道局、東京電力及び東京ガスの三者が昨年二月に設置いたしました実務協議会により、共同システムの構築に向けた検討、調整を行いました。
 また、局内におきましても、関係部によるワーキンググループを設置し、先ほど答弁のありました通信方式や見守り、見える化サービスの具体的内容等を検討いたしました。

○平委員 ありがとうございます。実務レベルで具体的な検討が進んでいるということを理解いたしました。
 今後、スマートメーター化の取り組みが進めば、水道だけでなく、電気、ガス、事業者の訪問検針も必要なくなることも期待されます。
 スマートメーター化モデル事業における東京電力、また東京ガス等のほかの公共事業者との連携についてお尋ねをいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 水道局、東京電力、東京ガス等の公共事業者は、実務協議会での調整と並行いたしまして、それぞれの事業者ごとにスマートメーターの導入に向けた検討を行ってございます。
 しかし、メーターの設置環境のほか、スマートメーターにより必要とする情報や、お客様へ提供するサービス内容等が各事業者により異なっている実態もございます。これに加えまして、近年のICT技術の進展に伴い、新たな通信方式に基づく低コストのサービスが提供されるなど、事業を取り巻く環境が大きく変化しております。
 こうしたことから、本モデル事業におきましては、さまざまな通信方式を比較検討していく中で、電気、ガス等、他事業者とも必要な連携を進めてまいります。

○平委員 ICT技術自体の進歩や各事業者のニーズの違いなど、まだまだ調整すべき課題があるということを今の答弁によって確認をさせていただきました。
 しかし、スマートメーター化モデル事業の今後の取り組みについて、何かお考えがあればお伺いさせてください。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 スマートメーター化モデル事業でございますが、今後ですが、通信に関する最適なICT技術を見きわめ、また、メーター価格の動向なども踏まえながら進めていくことが必要かと考えております。
 今後でございますが、技術革新の状況や最適コスト、また、お客様ニーズを的確に捉まえた上で、関係部による検討を引き続き進め、見守り、見える化サービスの詳細や通信方式を組むメーターの仕様などを確定してまいります。
 また、検針データを処理するシステムの構築につきましても検討を進めますとともに、オリンピック・パラリンピック準備局を初めとする関係局、また、晴海五丁目地区の開発を行う建築事業者等との調整を密に行い、本モデル事業を着実に推進してまいります。

○平委員 ありがとうございます。引き続きスマートメーターの導入について、必要な連携を実施し、将来の効率化に向けた取り組みについてご尽力をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、テロ対策についてお伺いをいたします。
 先週、東村山浄水場で、地元自治会を中心として、警察や消防とも連携をし、テロ対処訓練を実施したということが報道されておりました。テロ対策は、安定的に水道事業を運営する上で重要な課題でございます。
 そこで、水道局は、テロ対策にこれまでどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。

○黒沼理事 これまでも局の重要施設でのテロの発生に備えるため、さまざまな対策を実施してまいりました。
 まず、ハード面でございますが、毒物等の混入に備えるため、浄水場のろ過地に覆蓋化、ふたをするなど、あるいは、不審者の侵入防止対策としまして侵入防止センサー、こういったものを備えた高さ二・五メートルの周囲柵を整備するなどを行ってまいりました。
 一方、ソフト面では、昨年、警視庁と連携をいたしまして、テロ対策診断、この警備診断を実施していただきました。この助言を踏まえ、これまで一部の浄水場で実施をしていた住民の方への一般開放、大変恐縮ですが、これを自粛させていただいたり、警備会社による警備時間を拡充するなど、ソフト対策も強化をしてまいりました。
 さらに、今お話がございましたが、東村山の訓練に先行いたしまして、平成二十八年度には、局として初めて警察、消防と連携をしましたテロ対処実動訓練を金町浄水場で実施したところでございます。

○平委員 ありがとうございます。水道のような誰もが利用するライフラインで、テロに備えた取り組みを行うことは重要でございます。
 しかし、近年、より高度化するテロに対して、警察や消防での取り組みに加え、より多くの主体による対応が必要だというふうに考えます。
 そこで、テロ対策に警察や消防だけでなく、地元住民にも参加していただくことの意義をお伺いいたします。

○黒沼理事 テロにつながる不審者や不審物の早期発見には、地域のことを一番よく知っていらっしゃる住民の方々がその異変をいち早く察知し、通報していただくことが何よりも効果的でございます。
 そのためには、地域住民の方々に水道施設、特にこの中でも面積が極めて広く、重要性の高い浄水場につきましては、我がまちの水道施設という意味合いで親近感を持っていただき、多くの目で主体的に見守っていただくことが重要でございます。
 こうしたことから、先日、東村山浄水場の近隣の自治会等と東京都水道局テロ対策パートナーシップ協定を国内で初めて締結いたしまして、そのキックオフイベントという意味も含めまして、同浄水場でテロ対処訓練を実施したところでございます。
 今後も、他の水道の基幹施設でも地域の理解を得まして、地元自治会等との協定締結を図り、テロの抑止力の向上につなげてまいります。

○平委員 ありがとうございます。地元住民とも連携を図り、多様な主体とテロ対策に取り組むことで、水道施設へのテロに対する抑止力も向上すると考えられます。
 しかし、東京を取り巻く社会情勢は、北朝鮮がミサイル発射実験をたびたび行うなど、より緊迫の度合いを増しております。
 最後となりますが、重要なライフラインである水道事業を確実に行っていくため、危機管理の強化についてお伺いをいたします。

○黒沼理事 水道は命に直結します、まさしくライフライン中のライフラインであると認識しております。
 一たび大規模なテロや首都直下地震等の災害が発生し、東京の水道に大きな被害が生ずれば、首都機能は大幅に低下し、日本全体に与える影響ははかり知れません。
 一方、二〇二〇大会を間近に控えまして、基幹ライフラインである水道施設へのテロへの脅威も一層高まっております。
 こうした状況を踏まえまして、当局としても、さまざまなテロ対策に鋭意取り組んでいるところでございますが、近年の高度化したテロに対し、さらに万全を期すためには、予防保全、それから、初動応急対策など、さまざまなアプローチにより対策を複合的に講じていくことが重要でございます。
 このため、平成二十六年度には、局の対策をまとめたセキュリティー対策行動計画を定めるとともに、対策の実効性を高めるための訓練を繰り返し行い、さらに、この訓練によりまして判明した課題を検証、改善していく、こうしたPDCAサイクルを回すことにより、危機対応力の強化を図っているところでございます。
 今後ともさまざまな脅威に対する危機対策の強化に取り組み、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとしての使命を全うしてまいります。

○平委員 強い思いで東京水道の使命を果たしていくという決意を黒沼理事からお伺いすることができました。
 今後とも東京の水道を守っていくという強い気概を持って、有事への対策を含めてお願いしたいと思います。ご答弁いただきました皆様、まことにありがとうございました。

○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神林委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会といたします。
   午後四時十八分散会

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