平成二十七年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十八年十月三十一日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長鈴木 隆道君
副委員長遠藤  守君
副委員長和泉 武彦君
副委員長今村 るか君
大門さちえ君
おときた駿君
斉藤やすひろ君
山内れい子君
里吉 ゆみ君
栗山 欽行君
河野ゆうき君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務邊見 隆士君
次長別宮 浩志君
技監都市づくり政策部長事務取扱上野 雄一君
理事佐藤  敦君
理事航空政策担当部長事務取扱佐藤 伸朗君
総務部長今村 保雄君
住宅政策推進部長桜井 政人君
都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務中島 高志君
市街地整備部長選手村担当部長兼務奥山 宏二君
市街地建築部長青柳 一彦君
都営住宅経営部長営繕担当部長兼務永島 恵子君
基地対策部長山口 祐一君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 健君
防災都市づくり担当部長山下 幸俊君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長齊藤  敏君
病院経営本部本部長内藤  淳君
経営企画部長矢田部裕文君
サービス推進部長谷田  治君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務大久保達也君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十七年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十七年度東京都病院会計決算(質疑)

○鈴木委員長 ただいまから平成二十七年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 去る十月十九日の当分科会におきまして要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の平成二十七年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、都市再開発事業会計施行環状第二号線新橋・虎ノ門地区の事業費と財源、施設建築物の規模及びこれまでの進捗状況と今後の予定の一件でございます。
 次の一ページをお開き願います。(1)、事業費と財源につきましては、事業期間、事業費とその財源内訳並びに年度別決算の状況を記載してございます。
 (2)、施設建築物の規模につきましては、建物延べ面積と、その建物における住宅戸数を記載してございます。
 (3)、これまでの進捗状況と今後の予定につきましては、平成二十七年度末までと今後の予定についての事業費及び用地取得面積を記載してございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○和泉委員 私からは、都が都市再開発事業会計で進めている環状第二号線新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業について伺います。
 本地区は、平成十四年に着手しておりますが、私も学生時代、このかいわいで青春時代を過ごしましたので、事業着手前のまちの姿というものは、よく記憶をしております。
 環状第二号線というのは、幅広い幹線道路が開通して、虎ノ門ヒルズなどの再開発ビルが完成している姿、これはまさに隔世の感があります。本再開発事業の対象となっている環状二号線の地上部道路は、先月の十月七日にリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックメダリストの凱旋パレードが盛大にとり行われました。
 パレードは虎ノ門ヒルズ前からスタートし、銀座の中央通りへ向かうルートとなり、沿道の観衆から多くの声援が送られ、大変大きな盛り上がりを見せていました。虎ノ門ヒルズ前の歩道にも、幾重にも人並みがパレードを取り囲み、人々の笑顔と新たに整備されたまち並みが非常に印象的に報道されておりました。
 これまで地元の方々とさまざまな調整を重ね、着実に整備を進めてきた道路が、こうしたオリンピック・パラリンピックのパレードという華々しい舞台として脚光を浴びたということに感慨を受けているところであります。
 先日、私も改めて現地を視察いたしましたが、幅員が広いゆとりのある歩道というものは、れんがや石張りで美しく舗装されており、おおむね整備が進んでおり、多くの人々が散歩を楽しむかのように通行をしておりました。工事の完成時期も近づいてきていることと思われます。
 そこでまず、環状二号線の地上部の道路の平成二十七年度の整備内容、また、環二地区の市街地再開発事業の収支の見込みについて伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 環状第二号線新橋・虎ノ門地区の地上部道路は、既に平成二十五年度末に交通開放をしております。
 平成二十七年度は、歩道部分におけます電線共同溝、歩道舗装など仕上げとなる工事を実施しており、平成二十八年内に完成する予定でございます。
 また、事業収支につきましては、再開発ビルや道路などの整備に要した費用に対しまして、必要な敷地処分収入や国庫補助金などの財源を確保しており、収支不足は生じない見込みでございます。

○和泉委員 環状二号線地上部道路の整備状況についてはわかりました。
 事業収支につきましては、収支不足は生じないという見込みだという答弁をいただきました。事業の完了に向けて、引き続きご尽力いただければというふうに思います。
 都の行う市街地再開発事業は、高い公益性を有しておりますから、その事業が及ぼす効果についてというものは大いに期待されているところであります。
 本地区では、一昨年の五月に最後の再開発ビルとなる虎ノ門ヒルズが完成いたしました。虎ノ門ヒルズでは、これまでに、国際交流拠点にふさわしいさまざまな取り組みが展開されており、海外からの来訪者を含め多くの人々でにぎわっております。
 ただ、まちのにぎわいは、新たにつくられた再開発ビルのみでつくられるものではありません。この地域でさまざまな人々が働き、そして暮らし、交流し、これらを支える機能が複合的に形成されることにより、地域の魅力やにぎわいが持続的なものになると考えられます。
 そこで、環二地区の市街地再開発事業は、周辺のまちづくりにどのような効果を与えているのかを伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 環二地区の虎ノ門ヒルズ周辺では、本再開発事業を契機に、ビジネス支援機能や外国人も暮らしやすい居住機能を備えた民間の再開発など、国際的なビジネス、交流拠点の形成を目指したプロジェクトが連鎖的に進められております。
 これにあわせまして、日比谷線新駅の整備や、この新駅と虎ノ門駅に直結するバスターミナルの整備など交通結節機能の強化に向けた取り組みにも着手しております。
 また、地上部道路の沿道では、建物の共同建てかえなど新たな開発が順次始まっており、にぎわいのあるまち並みの形成に向けた取り組みが始動しております。
 加えまして、広幅員の歩道を生かして、地元エリアマネジメント団体がオープンカフェなどを展開しており、地域の新たな魅力を創出しております。

○和泉委員 ただいまの答弁で、本地区の市街地再開発事業が周辺地域の開発やにぎわいづくりの起爆剤となり、さまざまな効果をもたらしていることはよく理解できました。
 本地区は完成が間近であり、いよいよ事業の総仕上げの段階となっております。この間、事業の遂行に当たっては、社会情勢の変化などに対応するために、さまざまな創意工夫を行ってきたものと考えます。
 そこで、最後に、今後の東京のまちづくりに反映させていくという観点から、環二地区の市街地再開発事業を進める中で、どのような知見や経験が得られたかを伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本地区では、市街地再開発事業により、都心部の渋滞緩和や都心部と臨海部を結ぶ交通ネットワークの強化に資する重要な骨格幹線道路である環状二号線の一区間を開通させることが可能となりました。
 本地区への事業着手に当たりましては、地区外への転出について地権者の合意形成が困難であったことから、長い間、事業化できない状態が続いていました。
 このような状況の中、立体道路制度を活用することによって現地での生活再建が可能となり、急速に地元との合意形成が進みました。
 また、特定建築者制度を活用することにより、民間事業者の資金やノウハウを活用して、ホテル、大規模会議場など国際交流拠点に資するさまざまな機能が導入されるとともに、付加価値の高い住宅を権利者へ提供することができました。
 これらの環二地区で経験し得られた知見を十分に生かして、新たに着手する泉岳寺駅地区の再開発事業を初め、東京が抱えるさまざまな都市づくりの課題の解決に生かしてまいります。

○和泉委員 ありがとうございました。環二地区の市街地再開発事業が周辺地域の活性化や国際交流拠点の形成に大きな役割を担っているということが十分理解できました。
 本地区のほかには、大橋地区や北新宿地区など、都がこれまで実施してきた市街地再開発事業では、民間事業者では困難な根幹的な幹線道路の整備、それから都市の防災性の強化というものをあわせて実施してこられました。
 都は、これまで蓄積された経験やノウハウを十分に生かして、今後の東京のまちづくりに着実に取り組んでいただき、東京を世界で一番の都市にしていただくことを期待いたしまして私の質問を終わります。

○里吉委員 私からも、環状二号線新橋・虎ノ門地区についてお伺いをいたします。
 この環状二号線新橋・虎ノ門地区の事業収支の見込みについてと、また、この地区の地権者と借家人のそれぞれの人数について、従前の人数、また、再開発ビルに入居した人数、それぞれ伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 環状第二号線新橋・虎ノ門地区の事業収支につきましては、再開発ビルや道路などの整備に要した費用に対しまして、必要な敷地処分収入や国庫補助金などの財源を確保しておりまして、収支不足は生じない見込みでございます。
 また、地権者と借家人の人数についてでございますが、環二地区の事業計画決定時点におきましては、地権者は四百五十八人、借家人は四百八十四人でございます。これらの方々のうち再開発ビルに入居した人数は地権者が百七人、借家人は六人でございます。

○里吉委員 事業収支については収支不足は生じない見込みということですが、この点については今後注目しておきたいと思います。
 そして、地権者、借家人の入居についてですけれども、この間、我が党の質問に、都は、道路建設とまちづくりの一体改革、従前住民が住み続けられるまちづくりを進めるんだというふうに回答してきました。
 しかし、今ご答弁にもありましたように、特に借家人は一・二%しか住み続けられないということだと思うんですね。結果的には大部分の方が住みなれたまちから出ていかなければならないことになりました。
 第二種再開発は土地収用法適用事業として強制買収が伴うものです。そのため、都市計画法第七十四条では、都市計画事業のために土地を手放すこととなる者の生活上の不安を軽減し、事業に協力しやすくするため、通常の補填のほかに、申し出があれば生活再建のための措置を講ずるよう努めるべきことが施行者には義務づけられています。
 ここは決算の場ですから意見として申し上げておきますが、都は、地権者や借家人の方々の生活再建が円滑に進むようさまざま対応してきた。入居する地権者に対しては、所有する資産で従前の住居または営業面積が確保できない場合は権利床並みの価格で従前の面積まで取得できるよう配慮したなど、きめ細かい対応をしてきたとこれまで説明してまいりましたが、結局多くの方が住みなれたまちから追い出されているのです。
 かつて東京都が行ってきた白鬚西団地では、同じ第二種市街地再開発事業ですが、住宅建設目標四千五百戸のうち千百七十五戸の公営賃貸住宅を地区内に建設し、この事業によって住宅に困窮する借家人、権利床取得が困難な住民へこれらの住宅をあっせんして、最終的には八百六十九戸の地元権利者が入居しています。
 都施行の再開発事業においては、公共性、公益性、経済性を見きわめることが大切であり、こうした再開発事業の今行っているようなあり方については、根本から見直しをするべきだということを求め、質問といたします。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 ただいまお話がございましたが、再開発事業を行う際に、従前の権利者や借家人につきましては、地区内に残るか転出するかについては、それぞれみずからの選択によるものでございます。
 転出の希望者に対しましては、代替地のあっせん、不動産情報の提供、移転資金の貸し付け、都営住宅のあっせん等、生活再建についてきめ細やかな対応をしております。
 再開発事業は極めて公共性の高い事業でございます。このような対応を行いながら実施してきたものでございます。

○里吉委員 そういう公共性の高いところだからこそ、そこに住んでいる方の理解と納得を得て行えるような再開発事業をやっていただきたいということで、要望させていただきます。

○今村委員 それでは、私からも質疑をさせていただきたいと思います。
 二〇一五年度の都市再開発事業会計決算書を見ますと、大半が環状二号線新橋・虎ノ門地区の公共施設工事費となっています。
 二〇一四年度までに従前の権利者が入居した再開発ビルは全て完成をしておりますし、いよいよ事業の完成に向けた総仕上げの段階に入っております。残る環状二号線の地上部の道路整備が精力的に推進されています。
 そこで、環状二号線新橋・虎ノ門地区において、二〇一五年度に実施した道路整備の主な工事内容について、まず伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 平成二十七年度に実施しました道路整備では、歩道部分における電線共同溝工事、れんがや自然石を使った歩道舗装工事、道路標識の設置工事、道路管理者への引き継ぎに必要な補修工事などを実施しております。

○今村委員 二〇一五年には仕上げとなるさまざまな工種の道路整備工事が行われたということが確認できましたが、一方で、公共工事は公平、公正な競争入札がなされ、それらの情報が適切に公開されなければならないと考えます。
 そこで、二〇一五年度に当地区で実施した道路整備で入札が行われた工事について、その発注工事ごとに予定価格と落札率を伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 平成二十七年度に実施しました道路整備で、入札により契約を行った発注工事は四件でございます。
 予定価格と落札率は発注工事ごとに、街路築造工事が予定価格一億二千二百二十万八千四百八十円、落札率八七・四%、道路標識設置工事が予定価格二千百十万七千五百二十円、落札率八六・八%、ほかに道路引き継ぎ補修工事が二件ございまして、それぞれ予定価格が千九百六十四万七千三百六十円と千八百五万三千二百八十円、落札率が八六・六%と九八・七%でございます。

○今村委員 都の契約ルールにのっとり適正に入札が行われたものというふうに思っておりますけれども、中には比較的落札率の高いものが見受けられます。
 そこで、ただいまご答弁いただいた工事について、発注工事ごとに指名業者数と応札者数を伺いたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 ただいま答弁いたしました発注工事につきましては、指名業者数は四件とも十者でございます。
 応札者数は、街路築造工事が二者、道路標識設置工事が六者、道路引き継ぎ補修工事二件はいずれも二者でございます。

○今村委員 指名競争入札による手続が適正に行われており、入札状況が問題ないことは理解をいたしました。
 環状二号線の地上部道路は既に交通開放がされており、人や自転車の通行を確保しながらこれらの工事を迅速に進めるためには、さまざまな苦労があったというふうに思われます。
 そこで、最後に、この道路整備工事の実施に当たって特に留意した点などについて伺いたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 環状二号線の地上部道路は、歩道も含めて平成二十五年度末に交通開放されており、多くの歩行者や自転車が往来しております。
 このような状況の中、交通管理者との協議により歩行者や自転車の通行に支障を来さないよう、作業帯と仮設通路を明瞭に区分し、この通路を作業状況に応じて小まめに切りかえるなど、万全な安全対策を講じてまいりました。
 また、沿道にお住まいの方々に対しましては、日常の生活や営業活動、建物の建てかえ工事などに支障がないよう、作業時間や工事日程について入念な打ち合わせを行うなど、丁寧な対応を行ってまいりました。

○今村委員 複数の工事が競合する中で、歩行者の安全や地元住民の利便性を確保しながら工事が実施されてきたことをお聞かせいただきました。
 当地区の再開発事業は長年の経過がありまして、地元も、一刻も早い事業完成を期待しているというふうに伺っています。
 早期完成に向け、今後も引き続き着実に事業を進められるよう要望し、質疑を終わります。

○おときた委員 私からも、簡潔に一点だけ確認をさせていただきます。
 昨今、都民の、入札や工事費用あるいは予算の執行率といった部分への注目度が高くなっています。執行率に関しては、低ければ問題というわけではなく、何らかの理由で予算よりコストセービングできたというのであれば、むしろ評価されるべきではありますが、当初の計画との乖離については、適切な説明を行わなければ都民にあらぬ誤解を招くという可能性も否定はできません。
 そうした観点から、平成二十七年度決算説明資料を見ますと、環状二号線地区都市再開発事業費の執行率は四六・五%と五割未満にとどまっています。執行率が低くとどまっている理由は何か、こちらの詳細を伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 環状第二号線新橋・虎ノ門地区におけます平成二十七年度の執行内容は、地上部道路の歩道部分の仕上げとなる舗装工事などであり、同年度内の完成を予定しておりました。
 しかしながら、この道路は既に交通開放を行い多くの人々が往来していることから、交通管理者との協議や沿道にお住まいの方々との調整により、施工日や施工時間の制約、同時期に施工できる範囲の縮小などを余儀なくされました。
 また、国道一五号に接続する部分におけます水道、ガス、電気の各埋設管の設置について、国道管理者や埋設企業者相互の調整により、その工事に長期間を要したことから、当該部分の歩道整備の着手がおくれることとなりました。このため、これらの工事の一部を平成二十八年度に繰り越すこととなりました。
 このようなことから、平成二十七年度の執行減が生じており、お話の執行率となっております。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、工事の一部を繰り越す計画変更によるものだということが理解できました。
 しかしながら、計画におくれが出ているということも、またこれは課題の一つです。決算の対象年度ではありませんが、では、この平成二十八年度に繰り越しをした工事について、その工事の整備状況について簡単に教えてください。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 平成二十八年度に繰り越した工事は、れんがや自然石を使った歩道舗装や街路樹等の歩道の仕上げ工事であり、平成二十八年内に完成する予定でございます。

○おときた委員 この部分については、これ以上の計画変更はないということで安堵したところでございます。
 工事の長期化については、都民の方からも不安が指摘されているところでもあり、早急な完成を望むものです。
 また、不測の事態に対して変更が行われることはもちろんやむを得ないところではありますが、今後も適切な予算執行、そして計画の策定を行っていただくことを要望いたしまして私の質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○矢田部経営企画部長 去る十月十九日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成二十七年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、都立病院における経営指標の推移から、8、各都立病院の個室使用料の収益の推移までの計八点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
 都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
 一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費につきまして、その推移を記載しております。
 三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
 一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
 医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
 五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
 産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移につきまして病院別に記載しております。
 六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受入件数の推移でございます。
 (1)が分娩件数の推移、(2)が周産期医療受入件数の推移を、各年度、病院別に記載しております。
 七ページをごらんください。7、各都立病院の薬剤師の定数及び現員の推移でございます。
 薬剤師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移につきまして病院別に記載しております。
 八ページをお開き願います。8、各都立病院の個室使用料の収益の推移でございます。
 各年度の個室使用料の収益の推移につきまして病院別に記載しております。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大門委員 最初に、病院会計の平成二十七年度決算の状況について確認させていただきます。
 平成二十八年度版の病院経営本部の事業概要によれば、都立病院の基本的役割は、法令等に基づき対応が求められる医療などを行政的医療と位置づけて、適正に都民に提供し、他の医療機関等との密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることとあります。
 これまで、都立病院改革マスタープランや二次にわたる事業計画により、東京ERの確立、強化や、東京医師アカデミーの開設、都立病院の再編整備など、さまざまな取り組みを行ってきたと記載されています。
 その後も医療を取り巻く環境は、急速な少子高齢化、人口減少社会の到来、国の医療制度改革など急速に変化していることから、平成二十五年度から二十九年度までの事業計画である都立病院改革推進プランを策定し、医療の質と患者のサービス、都立病院を支える人材、迅速で的確な危機管理体制、経営力と病院経営に必要な四つのクオリティーを充実強化していくと記載されていました。
 平成二十七年度決算は、この事業計画の中間年度に当たるわけですが、これらの事業を推進し、よい事業を提供していくためには、何よりもまず安定した経営基盤が欠かせません。経営が不安定になると、本来行政が行うべき医療サービスが継続的に提供できなくなります。
 そこで、初めに、都立病院の経営状況について伺いますが、都立病院の経営指標として重視している自己収支比率について、二十七年度決算値と過去の状況について伺います。

○矢田部経営企画部長 自己収支比率は、みずからの診療収益などで、どの程度まで費用が賄えているかを把握する指標でございます。
 一般会計繰入金を受け入れて行政的医療を提供している都立病院におきましては、重要な指標となっております。
 再編整備に伴う病院の改修や改築工事が順次完了した五年前の平成二十三年度は、自己収支比率が七二・六%でございましたが、平成二十五年度には過去最高の七六・三%まで改善いたしました。
 平成二十六年度におきましては、消費税率の改定影響もあり七五・一%に下がったものの、昨年度、平成二十七年度決算におきましては、七五・六%まで改善し、前年度対比で〇・五ポイント改善いたしました。

○大門委員 自己収支比率については、消費税率の改定影響などもあり、平成二十六年度には悪化したものの、平成二十七年度には〇・五ポイント改善したとのことであり、継続的な経営改善に取り組んできた成果があったものと考えます。
 今後の経営改善に努め、安定した経営基盤の確立に努めていただきたいと思いますが、国の医療制度改革を初めとして、民間医療機関や公立病院を問わず、医療を取り巻く経営環境はますます厳しくなっていると聞いています。
 平成二十七年度の決算書では、都立病院全体の病床利用率は八一・一%となっており、年延べ入院患者数が前年度よりも減少していることがわかります。
 病床利用率の減少は直接収益減につながるものであり、病院経営に大きな影響を与えるものだと思います。
 そこで、都立病院の病床利用率の推移とその状況について伺います。

○矢田部経営企画部長 都立病院全体の病床利用率につきましては、平成二十三、二十四年度はともに八五・二%、二十五年度は八五・五%、平成二十六年度は八三・七%であり、平成二十五年度をピークに減少傾向が続いております。
 病床利用率が減少傾向となっている主な要因につきましては、近年の診療報酬制度では入院期間を短くするように誘導されていることから、平均在院日数が短くなってきたことなどが挙げられます。
 都立病院全体の平均在院日数は、平成二十三年度は十九日だったものが、平成二十七年度は十六・九日と、五年間で二・一日短縮されております。
 これは、都立病院に限ったことではなく、厚生労働省が毎年度実施しております医療施設調査・病院報告の概況におきましても全国的に同様で、病床利用率は減少傾向、平均在院日数は短縮傾向となっております。

○大門委員 病床利用率の減少は、平均在院日数の短縮から、全国的に同様な傾向となっているとの答弁がありましたが、病床利用率を確保するということは病院収益のかなめであり病院経営の基本そのものであると考えます。
 平均在院日数の短縮は、患者さんにとっても、早期の社会復帰という観点からも大切なことだと思います。
 しかし、病院経営として、施設、設備の有効活用の観点からも、病床利用率の減少は気になるところです。
 そこで、病床利用率を向上させるためどのような取り組みを行っているのか伺います。

○矢田部経営企画部長 平均在院日数が短くなったことにより、病床利用率は減少傾向となりましたが、病床利用率を改善するため、新たな入院患者の確保に努めております。
 新たな患者を確保するためには、例えば院長や診療科部長など、医師がみずから各地域の医療機関の訪問や連絡会及び研修会の開催などを通じまして、顔の見える関係を築き、医療連携の強化に努め、地域の医療機関からの紹介患者をふやすなどの取り組みを行っております。
 その結果、都立病院全体の平成二十七年度の新規入院患者数は、八万八千四百三十二人で、五年前に比べますと七千六人増加しており、さらに新規入院患者の増加を目指してまいります。
 また、患者サービスの向上に向けた研修の実施や、病院機能評価を定期的に受審するなど、質の高い患者サービスを提供し、患者に選ばれる都立病院を目指す取り組みも行っております。
 今後とも、新たな入院患者の確保を図り、病床利用率の向上に努めてまいります。

○大門委員 この数年間の病床利用率は減少傾向にあるものの、新たな入院患者の確保に向けて紹介率をふやすなどの取り組みをしていることがわかりました。
 一方で、最初に答弁があったように、自己収支比率は改善傾向となっているとのことですので、新たな入院患者の確保を初めとして、そのほかにも経営改善のため、さまざまな取り組みを行っていると思います。
 そこで、平成二十七年度においては、そのほかにも具体的にどのような経営改善の取り組みを行ってきたのかを伺います。

○矢田部経営企画部長 経営改善を行っていくためには、収益の向上と費用の縮減が重要だと考えております。
 まず、収益の確保のためには、平成二十七年度は診療単価の向上を図るため、小児総合医療センターで、人員を効率的に配置することで上位の小児入院医療管理料を取得したほか、墨東病院では、新病棟開設に伴いまして、ハイケアユニット入院医療管理料などの新たな施設基準を取得いたしました。
 その他の病院におきましても、がん患者指導管理料など取得可能な施設基準の届け出を行いました。
 また、費用の縮減のためには、後発医薬品の導入促進による材料費の抑制に取り組みました。
 さらに、医療未収金の存在は病院経営上の大きな課題でございます。そのため、未収金の発生抑制に取り組むとともに、未収金回収専門員を活用して積極的な回収を行っております。
 今後も、質の高い医療の提供と患者サービスの向上を図りながら、引き続き経営基盤強化への取り組みを進めてまいります。

○大門委員 今後、民間医療機関や公立病院を問わず、医療を取り巻く経営環境はさらに厳しくなっていくことが想定されています。
 このような状況の中で、都立病院は、それぞれの地域において求められている医療、担うべき医療を見定めて、柔軟な対応を行っていく必要があると考えます。
 そのためには、これまで以上に効率的な運営を行い、経営力を高めていくことが必要ではないでしょうか。
 今後とも、都民に質の高い医療を安定的に提供し続けていくためにも、経営基盤強化の取り組みを継続的に行っていくことを要望いたします。
 次に、先日、病院経営本部長から説明のあった墨東病院の救急医療について伺います。
 墨東病院は、区東部医療圏で唯一の救命救急センターであり、地域における救急医療の最後のとりでとして、多くの都民に頼りにされています。
 墨東病院では、平成二十六年度に新たな建物を整備し、平成二十七年度には他の建物の改修を含めた全ての工事が完了し、医療機関や診療体制が強化されました。特に救急医療に関しては、集中治療室の増強や新たな医療機器の導入など、さまざまな救急医療機能の強化が図られたと聞いています。
 このような強化された救急医療機能が年度を通じて発揮されるのは、平成二十七年度が初年度となります。
 そこでまず、平成二十七年度における墨東病院の救急救命センターの患者受け入れ状況について伺います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 救命救急センターは、主に生命の危機を伴う重篤な救急患者に対しまして、高度な医療を総合的に提供する医療機関でございます。
 墨東病院では、東京ER・墨東として三百六十五日二十四時間、初期から三次までの救急医療を提供しているところでございます。
 当院の救命救急センターにおける平成二十七年度の救急自動車等搬送受け入れ人数は二千百六人で、都内でトップレベルとなっております。
 また、受け入れ要請数に対する受け入れ患者数の割合、これを応需率と申しますけれども、平成二十七年度が八三・四%で、新館整備前の二十五年に比べまして一三ポイント上昇している状況にございます。

○大門委員 救急医療機能の強化によって、より多くの重症患者さんの受け入れが可能になり、区東部医療圏における安全・安心がさらに高まったと感じております。
 また、二十七年度には、これまでの整備による機能強化や患者受け入れ実績などにより、高度救命救急センターとして墨東病院が指定を受けたとのことです。
 そこで、高度救命救急センターに特徴的な医療機能と墨東病院における症例実績について伺います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 高度救命救急センターは、救命救急センターであることに加え、広範囲熱傷や急性中毒など、特殊な疾病の患者に対する救命行為を行うために必要な相当高度な診療機能を有することが求められております。
 墨東病院では、指定に向けまして実績を積み重ね、平成二十七年度は重症の熱傷を三十件、急性中毒を百十五件受け入れてございます。
 当院の救命救急センターは、平成二十八年二月に、都内で三番目、区東部医療圏といたしましては初めてとなる高度救命救急センターに指定されております。

○大門委員 高度救命救急センターは、重症の熱傷などの特殊な疾病にも対応できる救命救急センターとのことでした。
 特殊な疾病の患者はそれほど多いわけではありませんが、対応できる体制を整えておかなければなりません。病院経営においては不採算な部門であり、民間病院ではなかなか対応しにくいと思います。
 高度救命救急センターは、現在、都内で三つしか指定されていないため、区東部医療圏だけではなく、より広いエリアを対象として、ほかの医療機関との連携を図りながら対応し、都民の期待に応えてほしいと思います。
 次に、病児、病後児保育について伺います。
 都立病院では初めて、墨東病院で病児、病後児保育が開始されました。病児、病後児保育事業の実施主体は区市町村であり、墨田区から受託して実施していると聞いています。
 病児、病後児保育は、病気の回復期に至らない病児や病気の回復期にある病後児を対象としており、一般的に保育所では預かってもらえない児童を対象としています。
 本来ならば子供と一緒にいたいのが親の気持ちであると思いますが、仕事の都合上やむを得ず子供を預けることができる施設があることは、仕事と育児を両立するご家庭には非常にありがたいことだと思います。
 まず、墨東病院の病児、病後児保育室のこれまでの運営状況について伺います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院の病児、病後児保育室は、平成二十八年二月に定員二名で開設し、土曜日、日曜日、祝日及び年末年始を除き、毎日午前八時三十分から午後六時まで利用可能でございます。
 開始直後である平成二十七年度の二カ月間の利用人数は、開設間もないということもありまして、二名でありました。
 その後、墨田区と連携し、広報媒体を活用して事業のさらなる周知等を図るなど認知度の向上に努めまして、四月以降は利用人数もふえ、九月までの延べ利用患者数は百二十九名となっております。

○大門委員 病児、病後児保育の安定的な運営は、地域住民に安全・安心を与えるものと考えます。
 しかしながら、病児、病後児保育は特性上、利用率が安定しません。その上、子供の病状回復などによるキャンセルが多いといった特徴もあります。そのため、不採算となりがちで、なかなか広まらないという現状もあると聞いています。
 区市のニーズが前提ではありますが、今後も都立病院が率先して協力することも重要であると考えます。
 そこで、墨東病院での実績を踏まえ、都立病院における病児、病後児保育の拡大についての今後の取り組みについて伺います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院の病児、病後児保育室における墨田区民の利用枠は現在二名でございます。その拡大につきましては、利用状況などを踏まえ、現在、墨田区と協議中でございます。
 また、隣接区のニーズに対応する広域利用につきましても、あわせて検討を進めているところでございます。
 他の都立病院につきましては、小児総合医療センターの所在しております府中市等と調整を行っているなど、小児科のある都立病院におきまして、区市の実施規模を踏まえ、施設整備など条件が整った病院から順次実施していく考えでございます。

○大門委員 現代は、世界のボーダーレス化や、さまざまな業種に女性が進出していることもあり、働き方やライフスタイルも実に多様化しています。
 例えば、新宿区には二十四時間保育を行っている認可保育園がありますが、こうした保育園を利用されている方にも、病児保育、病後児保育のニーズはあると思いますので、今後、利用日や利用時間の拡張なども考えていただけたらと思います。
 都立病院は、高水準の医療機能を生かして多くの都民に適切な医療を提供する役割を担っていることから、限られた医療資源を最大限活用するという観点から、都民サービスを拡充することも求めておきます。
 最後に、平成二十七年度の都立病院運営について総括していただくとともに、それを踏まえて、今後どのように都立病院の運営に当たるのか、病院経営本部長のお考えをお聞きして質問を終わります。

○内藤病院経営本部長 平成二十七年度決算におきましては、前年度よりも収支が改善したものの、平均在院日数が短縮する中で新たな入院患者の確保が課題となるなど、まだまだ改善努力の余地が残っているものと認識してございます。
 先ほど担当部長が答弁いたしましたように、救急患者の積極的な受け入れや費用の節減に取り組んでいるところでございますが、委員からもご指摘いただきましたように、都民の皆様に必要な医療サービスを継続的に提供していくには、さらなる経営力の強化が欠かせないものと認識してございます。
 また、医療を取り巻く環境が大きく変化しておりまして、地域医療構想の策定など地域医療のあり方が見直されていく中、各地域の医療機関の状況や地元自治体のニーズに応じて、都立病院が担うべき役割も見定めていく必要があると考えております。
 今後とも、これまで以上に各都立病院と本部が一体となって、経営基盤の強化に取り組んでいくとともに、地域との連携を一層深めながら、都民にとって安全・安心な医療の提供に万全を期してまいりたいと考えております。

○遠藤委員 それでは、私の方からも本日の議題になっています平成二十七年度病院会計決算について質問させていただきます。
 きょうのテーマは、今、都民の重大関心の一つでありますオリンピック・パラリンピックの事業の推進における病院経営本部と担当局との関連、連携の話、二点目に、都立の病院に全て配置をされました患者支援センターの取り組み、そして私のライフワークでもございます、がん対策に関する普及啓発、この三点について質問させていただきたいと思います。
 初めに、平成二十七年度における東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に対する病院経営本部の協力、そして関与について質問をいたします。
 これについては、過日の水道局並びに下水道局でも同様の質問をいたしました。繰り返しになりますけれども、各局にはリエゾンオフィサーとして、オリパラ担当の部長、さらには課長が設置をされているわけであります。
 役割としては、準備局との連携、さらには都庁の他の局との情報共有、相互連携の強化、場合によっては大会組織委員会との連絡、協調という点もあるのではないかと、このように思っております。
 そこでまず、平成二十七年度を含む、これまでの病院経営本部における協力について伺いたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病院経営本部では、全局で構成されております二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施準備会議や、その下部組織でございます各種部会などに参画しているところでございます。都立病院が持つ専門性を生かし、円滑な大会開催に向けた協力を行っております。
 例えば、安全・安心部会に設置されております感染症対策分科会におきましては、病院経営本部職員と都立病院の感染症科の医師二名が参画し、輸入感染症の発生リスクや急速な感染拡大の対応などについて検討しております。
 また、東京二〇二〇に向けた東京都「暑さ対策」推進会議にも参画し、外国人受け入れを含めた医療体制の整備なども進めております。
 一方、本部内におきましては、病院経営本部及び全都立病院で構成しております都立病院国際化対応検討委員会を設置し、東京二〇二〇大会開催期間中に想定される外国人患者の増加への対応に取り組んでいるところでございます。
 東京二〇二〇大会開催まで残すところ四年を切りました。大会の成功を安全・安心の観点から支えるため最大限の努力をしてまいります。

○遠藤委員 いよいよ、あした知事から、都政改革本部からオリンピックの施設関連の見直し案というものも発表されると聞いております。今後、ますます我々議会との議論も、さまざまな関係機関との調整も進んでくるんだと思います。
 今、都政のもう一つの最大の課題になっております豊洲の問題では、議会と執行機関との間の議論の不十分さ、さらに我々からいわせていただければ、虚偽の答弁があったり、または執行機関において専門家会議や民間事業者との調整の記録の不正確さ、さらには局における曖昧な事務の引き継ぎ等々、無責任な体制が残念ながら露呈したわけであります。
 これは、都政の大きな不信につながったわけでありますので、二度とこうしたこと、オリパラの準備の過程においては、このようなことがあってはいけないと思いますし、病院経営本部においても、オリンピックとの絡みで、こんな無責任なことが後日露呈してはいけないと思います。
 これについて、今後どういった点に配慮して検討を進めていくのか答弁をいただきたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどご答弁させていただきましたが、病院経営本部では、都立病院が持つ専門性を生かして、円滑な大会開催に向けた最大限の協力を行ってまいります。
 今後につきましては、東京二〇二〇大会の実現に向け、さまざまな場面で会議体が設置され、議論がなされるものと考えております。
 会議体では、記録性を担保するための議事録、透明性を確保するための情報公開などに重点を置き、さらに継続性を持たせるため、担当者などの適正な引き継ぎもしっかりと行うことが重要であると認識しております。
 また、事業を進める過程におきまして、コンプライアンスに基づく事業者との契約など、確実に行うことも重要だというふうにあわせて認識してございます。
 そして、これらをしっかりと進めるためには、病院経営本部長のもと、強固なガバナンスを構築し、議会との開かれた議論を通じまして、都民への説明責任と信頼を得ることが最も重要であるとも認識しております。
 都立病院の持つ高い専門性が生かされ、世界のアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できると同時に、世界中から日本に訪れる人々に、安全・安心の観点からその一翼を担い、東京二〇二〇大会を支えてまいります。

○遠藤委員 わかりました。東京五輪をめぐって、病院経営本部が係る事業で、後に都民、さらには議会から、今答弁がありました記録性のこと、また透明性の観点、そして継続性の視点、こういった点、さらには知事が掲げるワイズスペンディング、こうした観点から、決して後ろ指を指されることがないように、ぜひ緊張感を持ってお互い仕事をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次いで、患者支援センターについて質問をさせていただきます。
 入院中の患者または通院の途上の患者さんの治療はもちろんのことでありますけれども、特に入院中の患者さんが退院後も安心して地域に帰れる、または他の病院に転院をされる、さらには在宅や施設に移る、こういった相談業務が非常に重要だということで、我々は都立病院における相談支援業務の充実を訴えてまいりました。
 これを受け、都は、都立病院の患者の皆さんへの相談や地域移行、さらには転院、こうしたものの充実を図るために、患者支援センターの検討が始まり、二十六年度には多摩総合医療センターでのモデル事業が行われました。
 私も皆さん方からご案内いただいて、この多摩総合を拝見しましたけれども、本当に相談機能だけでこれほどスペースを設け、また、スタッフを十分に配置して行われているということで、非常に心強いし、この取り組みが後に拡大すれば大変にいいサービスになるなということを当時痛感いたしました。
 そこで、こうした取り組みが拡大し、さきの委員会で説明のあった決算資料を見ますと、二十七年度には広尾病院、さらには墨東病院でこの患者支援センターの設備工事費が計上をされておりました。
 そこで、この両病院における施設並びに人員等の整備状況を、改めて報告を求めたいと思います。

○谷田サービス推進部長 都では、平成二十六年度にモデル事業として実施いたしました多摩総合医療センターでの実施結果を踏まえ、二十七年度に全ての都立病院で患者支援センターを設置いたしました。
 患者支援センターでは、医療ソーシャルワーカーや退院調整看護師など、関連するさまざまな職種を一体的に組織して、ワンストップの相談体制を構築し、円滑な転退院支援を行うとともに、患者が安心して入院できるよう、入院前に手術の説明や服薬指導を行う入院サポートを導入いたしました。
 さらに、在宅療養移行支援を強化するため、院内の多職種チームが訪問看護ステーションや地域包括支援センターとの意見交換を行う等、地域との連携強化に努めております。
 こうした患者支援センターの機能を十分に発揮するために、二十七年度は墨東病院や広尾病院でスタッフが常駐する執務室や相談ブースの拡張工事を実施いたしましたほか、退院調整を担当する専任の看護師をそれまで配置されていなかった六病院に配置するなど、必要な施設及び人員の整備を行ってまいりました。

○遠藤委員 今、答弁いただきました相談窓口の一本化、さらには入院サポート、地域移行の支援、こうした取り組みについては、全ての都立病院で共通の取り組み、課題、対応だと思います。
 一方、都立病院は、それぞれの独自の医療を提供しているわけであります。地域性も異なれば、また、患者さんの特徴も異なるわけでありますので、そういった意味では、全体の話と個別具体という独自のカラーを出すという点も必要なのかと思っております。
 この辺について、どう差別化、区別化、こうしたものを図ってきたか答弁を求めたいと思います。

○谷田サービス推進部長 八つの都立病院は、それぞれ特徴的な医療機能を持ち、患者が抱える課題もまちまちでございます。
 そのため、患者支援センターでは、先ほど答弁した取り組みに加えまして、各病院の特性を生かした相談業務を展開し、患者に対するきめ細かな支援を行っております。
 例えば、外国人患者の割合が高い広尾病院では、英語が堪能な医療ソーシャルワーカーを採用し、外国人患者からの相談に対応しております。
 周産期医療が重点医療である大塚病院では、ハイリスク妊産婦の受け入れと地域移行支援を円滑に行うため、周産期医療コーディネーターとして専任の看護師が調整業務に当たっております。
 また、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院では、緩和ケアに関する認定看護師や臨床心理士を配置しているほか、患者さん同士の情報交換や交流を行う患者サロンを開催するなど、さまざまながん相談を実施しております。

○遠藤委員 最後は、答弁にありましたがん対策について質問します。
 今や、いうまでもなく、がんは国民の二人に一人が罹患する病であるといわれております。夫婦であればどちらかが、がんにかかる可能性があるというのが現在のデータであります。
 がんであると診断された場合、患者さん家族はさまざまな治療方法、手術療法にするのか、放射線なのか、さらには化学療法なのか、どういう治療法を選択するのか、さらに、そのかかる医療費、さらに患者さんが現役なのか、リタイアされた方なのか、子供がいるのか、いらっしゃらないのかとか、さまざまな状況が違うんだと思います。
 さらに、退院後のQOL、それに基づいて再就職をどうするのかとか、非常に多岐にわたる課題、問題があるんだと思います。
 これまで我が党は、がん対策として、予防から治療、そして終末期、緩和ケア等に至るまで幅広い取り組みを提言し、そして病院経営本部としても、この我が党の提案にさまざま応えてこられたと、このように認識をいたしております。
 現在、こうしたがん対策の中において、政府が特に力を入れているものの一つに、がん教育というものがございます。国は平成二十四年度にがん対策推進計画を五年ぶりに改定し、このがん教育というものも政府を挙げてしっかりと取り組むと。そして、そういった目標を立てたわけであります。
 この目標達成を目指して、がんの授業、いわばがん教育でありますけれども、これを自治体に委託するモデル事業を二十六年度からスタートさせたわけであります。このがん教育についても、都立病院における患者支援センターの今後の取り組みとしてしっかりと充実をさせていくと、こういう意向が、ことしの予特での我が党の質問に対しそういった答弁があったと、このように記憶をしております。
 先ほども答弁がありました、駒込病院が都道府県がん診療連携拠点病院ということで、都の中核のがん医療の拠点になっておりますけれども、ここにおけるがん教育支援の実態、実況、これまでの取り組みについて、まず答弁を求めたいと思います。

○谷田サービス推進部長 学校現場におけるがん教育への支援についてでございますが、がん診療連携拠点病院は診療機能の充実強化のみならず、がん教育を初めとするがんに関する普及啓発に努めることもその役割の一つとされております。
 そのため、駒込病院では、近隣区の要請に基づきまして、小中学校に赴いて、がんについての正しい知識や検診による早期発見の重要性などを伝える講演会を実施しております。
 初年度である昨年度は、児童生徒や保護者、教職員などを対象に計十回開催し、参加者からは、がんの予防や早期発見の大切さがわかったとの感想や、命や生き方まで考えるきっかけとなったとの声も聞かれておりまして、がんに関する意識啓発が着実に図られていると認識しております。

○遠藤委員 命や生き方まで考えさせる非常に有意義な授業である、こういう感想が聞こえてくるというのは本当にすばらしいと思います。ぜひ国のがん対策の先駆けともいえるものだと思いますので、より積極的に対応していっていただきたいと思います。
 学校現場における教育のみならず、その一方で、広く一般都民に対して、がんに関する正しい知識の普及啓発をすることもまた大変重要であります。
 そこで、都立病院におけるがんに関する普及啓発活動、二十七年度を中心に報告をいただきたいと思います。

○谷田サービス推進部長 都立病院では、がんを初めとするさまざまな疾病への理解や予防の取り組みを推進するため、地域住民を対象とした公開講座を実施しております。
 二十七年度は、全都立病院で合計九十七回開催しておりまして、このうちがんに関する例といたしましては、墨東病院では、オレンジバルーンプロジェクトという緩和ケアの普及啓発イベントの中で心のケアに関する講演を行いましたほか、小児総合医療センターでは、福祉保健局と共同で行います小児がん診療連携推進事業の一環といたしまして、子供のがんを考える、よりよい教育支援を目指してをテーマに、市民公開講座を開催いたしました。
 今後も地元行政や住民のニーズを考慮しながら、普及啓発の充実に努めてまいります。

○遠藤委員 全都立病院で九十七回、この市民公開講座等々を開いているということでありました。
 ただ、この種のこういったセミナー等々は、他の病院でも、また民間でもさまざまなものをやっていますので、ぜひこの都立病院、また、駒込病院がかかわるものでありますので、いいものであることだけは違いないと思いますので、さらに内容をブラッシュアップすると同時に、しっかりとインフォメーションをして、一人でも多くの方に聞いてもらう、そういう知恵と工夫と努力をしていただきたいと思います。
 先ほど、がん教育について触れましたけれども、ちょっと前後して申しわけありませんけれども、これは行政や専門のドクター、さらにがん患者さん、経験者、がんサバイバーの方といわれておりますけれども、今後、都におけるがん教育を推進するに当たって、やはり仮称でありますけれども、がん教育推進協議会といったタスクフォースというか、早急にこういうものを設置していく必要が私はあるんだと、このように思っております。
 その際は、今、種々答弁がありましたとおり、現場の経験、さらには臨床の知恵を持った病院経営本部が、これにかかわるのは教育庁や、さらには福祉保健局等々との連携、協調になると思いますので、ぜひその各局のつかさになっていただいて、この協議会設置を促していただきたいと、このように思います。
 それも含めて、最後に、今種々答弁がありましたとおり、二十七年度の実績を踏まえて、今後、都立病院としてどのように患者支援を充実させていくのか、これについて本部長の決意を聞いて私の質問とさせていただきます。

○内藤病院経営本部長 急速な高齢化の進展によりまして、がんや合併症など、継続的な療養を必要とする患者さんが増加する中で、退院後の在宅医療や福祉施設などへの円滑な移行支援がますます重要になってくるものと認識してございます。
 一方、核家族化の進展などの社会環境の変化に伴い、患者さんが抱える問題も、医療に関するものばかりでなく、生活保護などの経済的な問題や就労の問題など、複雑多様化してございます。
 こうした変化を踏まえ、都では、先ほど担当部長がご答弁したとおり、平成二十七年度に全ての都立病院に患者支援センターを設置いたしまして、ワンストップの相談窓口を整備したところでございます。
 このことによりまして、これまで治療行為が中心であった都立病院におきまして、患者さんの視点に立ったさまざまな相談に対応する新たな体制が整ったものと認識してございます。
 都立病院を受診する全ての患者様が適切に医療を受けられることはもとより、退院後は安心して地域に戻っていけるよう、相談業務の拡充や地域の医療、介護サービスなど、関係機関とのさらなる連携強化に努め、患者の立場を第一に考えたきめの細かい支援を実現してまいる所存でございます。
 また、最後に、先ほど遠藤副委員長の方から、がん教育の協議会を初めといたしますがんの予防、早期発見に関する知識の普及啓発に向けたがん教育全般に対する強いご要望を伺いました。病院経営本部といたしましても、今後、関係局とも連携しながら、がん教育の充実に向けまして、その一助となるよう努めてまいります。

○里吉委員 それでは、私からも質疑を行ってまいります。
 都民に必要な医療を提供していく都立病院の役割を果たしていくためには、いうまでもなく、そこで働く方々のマンパワーが必要です。そういった点から幾つか伺っていきたいと思います。
 まず、薬剤師の拡充について伺います。
 いただいた資料の七ページ目ですけれども、薬剤師の定数及び現員の推移がございます。ここで見ますと、駒込病院では薬剤師の定員が平成二十三年度から二十七年度に十三名ふえております。
 まず、この理由、背景について伺います。

○矢田部経営企画部長 ただいま委員ご指摘のように、駒込病院の薬剤師は十三名定数がふえております。
 その主な理由は、病棟におきまして、医師や看護師等と連携して行う病棟薬剤業務の実施体制整備のための増員を図ったことでございます。

○里吉委員 病棟で勤務する薬剤師をふやしたということでご答弁がありましたけれども、改めて、この病棟で勤務する薬剤師がいることでどのような効果があるのか伺いたいと思います。

○矢田部経営企画部長 薬剤師が病棟で勤務し、入院患者への服薬指導などを行うことによりまして、医師、看護師の負担軽減につながるとともに、薬物療法の有効性や安全性の向上が見込まれます。
 なお、経営上の効果につきましては、診療報酬の請求におきまして、病棟薬剤業務実施加算が算定できる一方で、職員配置に伴います人件費の負担がふえることから、プラス面、マイナス面をあわせて考える必要があると考えております。

○里吉委員 効果もあるけれども人件費負担があるので両方考える必要があるというお答えでした。
 私、一点気になるんですけれども、せっかく定数をふやしているんですが、現員のところを見ますと、平成二十四年度からずっと三十四名で昨年まで変わっていないわけです。これは現在どうなっているのか伺いたいと思います。

○矢田部経営企画部長 駒込病院の薬剤師の今年度、平成二十八年十月一日現在の職員数は四十四名ということで、現在は定数を充足しております。

○里吉委員 ことしは、今年度十月現在では四十四名で充足しているということで、この間なかなか定員数を確保できていなかったわけですから、定数もふやして、さらに充足できたということで、一歩前進だと思います。
 しかし、さらにふやす必要があるというふうに私は思います。薬剤師が病院でどのような仕事をしているのか私も勉強させてもらいましたが、例えば駒込病院では、がん診療連携拠点病院ですから、病棟だけでなく通院で治療する方が通う通院治療センターにも薬剤師が常駐する必要があると思います。入院病棟や他の病院も含めて、さらなる拡充を要望しておきたいと思います。
 次に、看護師の労働条件、今回は特に夜勤体制について伺ってまいります。
 入院患者のいる病棟の看護師にとって夜勤は仕事の一環です。そういう中で、まず最初に、都立病院における平成二十七年度の看護師の夜勤体制はどのようになっているのか伺いたいと思います。

○矢田部経営企画部長 全病院を合わせまして百五十八ある病棟のうち、二人夜勤は精神科など四十四病棟、三人夜勤は一般の急性期病棟を中心にいたしまして九十一病棟、また、四人以上の夜勤の病棟が二十三病棟となっております。
 このうち四人以上の夜勤体制となる病棟につきましては、新生児集中治療管理室、いわゆるNICUや、また、救命救急センターなど、手厚い看護配置を必要とする病棟でございます。

○里吉委員 精神科など四十四病棟は二人夜勤ということでした。私の住む地元世田谷区には精神科専門であります都立松沢病院がありますが、知り合いに松沢で働いている看護師さんもいまして、お話を聞きますと、夜勤では、保護室を二名対応している間一般室は全く見ることができない。準夜勤でも、訴えてくる患者さんへの対応で全く休憩がとれない、こういうとても二人では回せないんだというふうに訴えていらっしゃいました。
 また、ここは他の民間病院で対応できない患者さんも回ってくるなど、そういう状況で、精神科だから勤務が軽いというわけではないし、また、ほかの二人夜勤の病院もそうだと思うんですが、二人夜勤だと、何らかの事情で一人が勤務できなくなると一人になってしまうということです。少なくとも二人夜勤という状態は減らしていっていただきたいと要望しておきます。
 さらに問題は、こうした苛酷な夜勤勤務にもかかわらず、夜勤の回数が多くなり、慢性疲労でいつ事故が起きてもおかしくないという声が幾つもの病院から出されていることです。
 そこで、次に、夜勤体制について、昨年度の実績を伺いたいと思います。
 まず、育児等の事情で夜勤に入っていない看護師の方はどれくらいいるのか伺います。

○矢田部経営企画部長 平成二十七年十月の実績でございますが、病棟に勤務する看護要員のうち、夜勤に入っていない職員は二百八十三人で全体の八%に当たります。
 夜勤に入っていない理由は、出産、育児や病気などによるものであり、配置に当たりましては病棟運営に支障を来さないよう配慮しております。

○里吉委員 夜勤の回数は、お伺いしましたら目安は三交代が月八回と。三交代が八回なら、当然、今、少しずつふえています二交代は四回以内であるべきだと思いますが、夜勤に入っていない看護師さんの分を他の職員の方がかわっていらっしゃると思うんですね。そうすると、この目安を超えて夜勤をしている看護師さんもいらっしゃると思うんですが、どれぐらいいらっしゃるのか伺いたいと思います。

○矢田部経営企画部長 平成二十七年十月の夜勤回数の実績は、三交代で九回以上の割合は約五割、二交代で五回以上の割合は約三割でございました。
 一人当たりの夜勤回数の平均は三交代で八・〇九回、また、二交代が三・九三回とほぼ目安の水準でございます。
 なお、看護師の夜勤業務は法定労働時間の範囲内で行われる通常業務でございまして、夜勤回数について、労働関係法令におきまして特に定めはございません。

○里吉委員 今、平均の回数をいっていただいたんですけれども、夜勤回数の平均、最初に答えていただいた夜勤に入っていない職員の方も含めての平均の数だと思うんですね。夜勤回数ゼロの方はずっと入れないわけですから、残っている方で実際に夜勤をやっている職員の中で平均はどれぐらいなのか、それもお答えいただきたいと思います。

○矢田部経営企画部長 夜勤回数ゼロの職員を除いて計算いたしますと、一人当たりの平均夜勤回数は三交代で八・七二回、二交代が四・三〇回となります。
 しかしながら、病棟は日勤も含めて業務を行っておりまして、夜勤をしていない職員を除くことは一般的な統計の捉え方ではないと考えております。

○里吉委員 今、答弁いただきましたけれども、夜勤をしていない人を除くのは一般的な統計の捉え方ではないというご答弁でしたけれども、私がこれを問題にしているのは、夜勤回数が多くなることで、その一人一人の看護師さんの健康ですとか、仕事に対する集中力ですとか、そういうことが問題になるのではないかということでお伺いしてきたわけです。
 夜勤回数は働いている看護師さんの命や健康にかかわる問題ですから、そもそも平均ではなくて、一人一人の回数で見るべきだと思うんですね。先ほどご答弁いただいたように、三交代では九回以上が五割、二交代では五回以上が三割いるというお答えでした。こういうことを改善する必要があるんじゃないかと思います。
 診療報酬の夜勤時間の計算では、夜勤をしていない人を除くことになっているということもあると伺いましたので、そうした見方に基づけば、そもそも夜勤に入っていない看護師さんは除いて計算するべきだということをつけ加えておきたいと思います。
 例えば、どういう実態か具体的な数で見てみますと、広尾病院、三交代ですが、夜勤ゼロの方二十八人、夜勤九回が三十七人、十回が四十四人、十一回以上が五十六人、こういう実態です。
 しかも、これは十月の実績ですから、新人が入職してきた四月には、すぐには夜勤ができないとか、三月を待たずに年内でやめる方がいたりすると、年度末に向かって職員数が減るとか、いろいろな動きがあると伺いました。そういう月は、もっと一人当たりの夜勤数がふえている可能性が高いわけです。
 私の知り合いの方も都立病院で看護師として働いていたのですが、二人目のお子さんを産んでも元気に働いていたので、先日連絡をとってお話を聞いてみようと思ったら、やめていたんですね。
 一人目のお子さん出産後も一年以内に復職、二人目を出産後も一年以内に復職していましたので、このまま都立病院で仕事を続けるんだろうと思っていたのですが、十五年目にして退職したそうです。夫の理解や近くに実家もあって助けてもらえるということで、彼女は夜勤もしていたそうですが、本当にきつかったといっていました。
 お話を聞きましたら、二交代で十六時間夜勤といっても、入院患者さんのカルテのチェックや前の仕事からの引き継ぎやいろいろあって、仮眠はとるにしても二十時間拘束はしょっちゅうだったと。新人と組むときは、その担当分もチェックしてフォローしながら、二人から三人で夜勤をこなす、命を預かる緊張した現場で、長時間労働で本当に大変だったといっていました。
 また、都立病院としての専門性を発揮するためにさまざまな研修も受けたし、専門性を高めるために自分でも勉強してきた、そういうことをこなしながら看護師の仕事をするには、余りにも都立病院の現場は慢性的な人手不足だったと。自分も夜勤はきつかったけれども、減らしてくれとはとてもいえる状況じゃなかったといっておりました。だけれども、結局、子供を二人育てながらこんな状況で働き続けるのは無理だと判断して、十五年目で退職したそうです。こんなケースは珍しくないと思うんですね。せっかく育ててきた看護師が働き続けられない状況が生まれてしまっている、これが今の都立病院の現状ではないかと思うんです。
 そういう意味では、この現状を変えるために、今後の検討とか何か考えていることがあれば一言お願いしたいと思います。

○矢田部経営企画部長 ただいま夜勤回数ゼロ回を除いた数をもって、委員お話しいただきましたけれども、先ほどご答弁申し上げたように、夜勤回数ゼロ回の職員を除いた計算でいきますと、一人当たり平均夜勤回数は三交代で八・七二回、二交代四・三〇回ですが、ちょっと古い統計でございますけれども、日本看護協会の調査によりますと、これ、平成二十二年の統計でございます。三交代夜勤は平均して八・四八回、また、二交代夜勤については四・六二回ということで、いずれも都立病院は全国の平均夜勤回数をまだ下回っているといった現状がございます。
 なお、看護要員を初め、職員が働きやすい環境につきましては、さまざまな方策を今講じて環境整備を図っているところでございます。

○里吉委員 実際、いろいろお話を聞いてみますと、対応はとっていないわけではないと思いますが、女性が子供を産んで育てながら働くにはまだまだ厳しいのが夜勤のある病院現場だと思います。免除されている方のしわ寄せは、やはり別の看護師に行っています。さらなる対策が必要だと思います。子育てや病気で難しい方を免除するのは当然ですから、それを踏まえて定数全体をふやす必要があると考えます。
 それから、夜勤免除が就学前までというのも厳しいと私は思います。小学校に入学した途端夜勤ができるかといえば、環境が大きく変わる子供、不安を抱えている子供で、個人差はありますけれども、小学校低学年まではこの免除も必要だと思います。
 産休の場合、臨時職の看護師で対応しているとのことですが、臨時職ですから夜勤は難しいと思います。少なくとも年度途中の欠員についても、産休など当然あるわけですから、基本的にあらかじめ常勤で埋めることや、場合によっては期限つき、任期つき職員などの制度も活用することを要望して私の質問を終わります。

○今村委員 それでは、私からも質疑をさせていただきたいと思います。
 病院経営本部では、現在、都立病院改革推進プランに基づき、さまざまな取り組みを進められています。
 都立病院改革推進プランを見ると、墨東病院ではさまざまな機能強化が図られることとされており、二〇一五年度東京都病院会計決算説明書には、病棟などの改築工事費として約十一億が記載をされています。
 墨東病院で二〇一五年に行った工事と、それによって強化された医療機能について伺います。
 また、工事に伴い病院の収支状況にどう影響があったか、あわせて伺います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院において平成二十七年度に行った主な工事は、重症度の高い患者に対しまして集中的な治療を行うハイケアユニット、いわゆるHCUや、心臓疾患集中治療管理室でございますCCUなどの整備でございます。
 HCUにつきましては、平成二十七年六月から運用を開始しておりまして、救急受け入れ体制が強化されたということになります。
 また、CCUは循環器疾患の救急患者受け入れ体制を強化するための病床でございまして、平成二十八年六月から運用を開始してございます。
 なお、工事期間中につきましては、一時的に運用病床の若干の変動はあったものの、患者の受け入れ等に影響が出ないよう配慮しながら工事を実施しております。

○今村委員 墨東病院の整備工事では患者の受け入れに大きな影響がなかったということでありますけれども、二〇一五年度と前年度の決算書を比較してみますと、病床利用率が多くの病院で悪化をしているようであります。
 病床利用率が悪化している主な要因と病床利用率向上に向けた対策はどのようにされているのか伺う予定でありましたけれども、先ほどこの二つ、同じ質疑が行われたので、答弁は必要ありません。
 病床利用率減少の主な要因については、平均在院日数の短縮があるとのことでありましたし、今日当然行うべきことであります。それとともに、多くの患者さんによりよい医療を提供できるよう努めていただきたいというふうに思います。
 そうしたことが、結果的に安定的な病院経営につながり、患者さんの経済的、そしてまた身体的負担も軽減をされることとなります。引き続き病床利用率の向上に努められるよう要望をしておきます。
 次に移ります。
 一方で、質の高い医療を継続的に提供していくためには、適切な医療機器の更新整備も必要なことと考えます。二〇一五年度においても、さまざまな高額な医療機器を購入したとあります。
 そこで、どのような機能を持つ高額医療機器を購入したのか、購入金額一億円以上の案件について伺い、その入札状況についてもあわせて伺います。

○谷田サービス推進部長 平成二十七年度における都立病院での高額医療機器の購入実績でございますが、契約金額が一億円以上のものは、正確で迅速な診断を可能としますCT、MRI及び心臓疾患に関する画像精度の向上を可能にいたします血管連続撮影装置など六件でございました。
 この六件全ては、財務局において、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令に該当いたします、いわゆるWTO一般競争入札を行ったものでございます。応札業者数は、三者の入札が一件、二者が四件、一者が一件でございました。
 また、落札金額については、一番高額の案件は、広尾病院で購入いたしました血管連続撮影装置とその周辺機器一式で三億九千七百三十九万円でございました。

○今村委員 MRIやCTなど、都立病院が高度な医療機能を維持するために不可欠な機器であると考えますが、ただ、今の答弁によりますと、四億円近くもする医療機器もあるとのことであります。これだけ高額な機器を購入する場合、契約手続における透明性や競争性はしっかりと担保されていなければなりません。
 このような医療機器購入時の入札においては、落札金額や応札各者の入札金額の公表など、透明性を確保しなければならないと考えます。都の取り組みについて伺います。

○谷田サービス推進部長 入札結果の公表については、東京都公式ホームページにあります東京都電子調達システムにおいて、落札金額及び入札者氏名や各者の入札金額等が記載された入札経過調書を公表しておりますほか、財務局の契約担当窓口でも閲覧できるようにしておりまして、透明性を十分確保してございます。

○今村委員 入札手続における透明性が担保されていることはわかりました。
 透明性に加え、複数者が入札に参加するなど競争性が確保されていることも大変重要です。聞くところによりますと、高額医療機器の中には、一社しか製造していないものもあるということであります。
 そこで、一社しか製造していない医療機器を購入する際、都はどのように競争性を担保しているのか伺います。

○谷田サービス推進部長 一社しか製造していない医療機器を購入する場合でも、この医療機器を販売できる業者は複数あり、入札に参加することは可能であることから、競争性は担保されていると認識しております。
 なお、病院事業の必要性から一社しか製造していない医療機器を購入機種として指定する場合には、購入目的や、この目的を満たすために必要な性能、条件等を指定理由として明らかにし、病院内に設置している製品指定委員会等で調査、審議を行いまして、厳格に決定しております。

○今村委員 一社のみ製造している医療機器の購入に当たっては、院内での調査、審議を厳格に行い、競争性が担保されているということがわかりました。
 外来、入院患者数の確保や必要な医療機器の整備などはもちろん、病院運営で最も重要なことの一つは、医師や看護師などのマンパワーの確保であります。
 そこで、看護職員定数の充足率について伺います。
 また、看護師確保のためにどのような取り組みを行っているのか、あわせて伺います。

○矢田部経営企画部長 平成二十七年十月一日現在の看護要員の充足率は九九・八%でございまして、前年同月と比べ〇・四ポイント増加しております。
 看護師確保策といたしましては、平成二十七年度は就職説明会を開催するほか、民間の就職説明会にも積極的に参加してPRを行っております。
 また、新卒者のほか経験者採用も行い、平成二十七年度は都内で合わせて十回採用選考を行ったほか、大阪、名古屋、仙台などで八回の地方選考を実施し、受験機会を拡大しているところでございます。
 これによりまして、平成二十七年度に実施した選考では、新卒者三百三十九人、経験者五十七人を採用いたしました。

○今村委員 前年同月と比べ〇・四ポイント増加しているとのご答弁もありましたが、看護師確保のためにさまざまな取り組みを実施されていることを理解いたしました。引き続き看護師の定数充足に向けた取り組みをされるよう要望しておきます。
 次に、医師について伺います。
 近年、女性医師がふえてきていると聞いており、医師、特に女性医師を確保する上では、女性が働きやすい職場環境の整備が重要となります。
 都立病院における女性医師の割合と医師、特に女性医師、女性職員が働きやすい職場環境づくりにどう取り組んでいるのか伺います。

○矢田部経営企画部長 都立病院では、女性医師の割合は平成二十七年十月一日現在で二六・四%、およそ四人に一人が女性医師でございまして、前年同月と比べ一・四ポイント増加しております。
 また、都立病院におきましては、女性医師を初め女性職員が出産、育児などを経てもなお働き続けられますよう、全ての病院に院内保育室を整備し、加えて二十四時間保育や育児短時間制度を導入するなど、働きやすい職場環境を整備しております。

○今村委員 医療人材の確保、職場環境の整備といった取り組みは非常に重要です。病院は経営も同時に考えなければなりません。医師や看護師の体制が強化されていけば、当然人件費も増加をします。
 そこで、二〇一五年度の給与費と給与費比率について、前年度の比較でお伺いいたします。

○矢田部経営企画部長 平成二十七年度の給与費は、七百四十一億四千五百万円でございまして、前年度の七百三十億六千七百万円と比べ、十億七千八百万円増加しております。
 増加要因といたしましては、看護要員など人員体制の強化や、地方公務員共済制度における保険料の算定方法の変更などが影響したものでございます。
 給与費比率につきましては、単純に給与費と医業収益から算出した給与費比率は五五・六%となっておりまして、前年度の五五・五%と比較して〇・一ポイントの増となっております。

○今村委員 給与費比率は若干高くなっているようですが、看護師確保とともに給与費比率とのバランスも十分考慮しながら、今後も病院経営に努められるよう要望しておきます。
 これまで病院の改修や医療機器、マンパワーの確保などについて質疑をし、目的に沿って病院運営が行われていることが理解でき、評価をいたします。
 ところで、病院の老朽化に対しては、経営プランなども含めて改修や改築をさまざまな角度から検討していくことになるかと考えます。
 その際には、改修、改築のあり方の調査や整備に係る調査を専門機関などに委託して実施することが一般的です。
 昨年、二〇一五年度は都立病院整備のための調査を実施しておりますが、その費用は当初予算に計上されていませんでした。その費用はどのように確保したのか伺います。

○矢田部経営企画部長 平成二十七年度予算におきましては、収益的支出のうち医業費用として、病院運営に係るさまざまな業務委託など約四百四十二億円の委託料を計上しております。
 当初予定はしていなかったものの年度途中に調査を実施する必要が生じたため、この委託料の中から契約に伴う差金等を使用して対応いたしました。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をさせていただきます。
   午後二時四十分休憩

   午後二時五十分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き分科会を開会いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 生活者ネットワークではこれまでも、周産期医療についてたびたび取り上げてまいりました。妊婦や新生児の緊急受け入れが重要なのはいうまでもありませんが、新生児のNICUやGCUからの円滑な退院を支援することも病院の役割として重要です。こうした認識のもと、二〇一五年度決算の質疑に当たり、都立病院の周産期医療の取り組みについて質問していきたいと思います。
 まず、都立病院における周産期医療のうち、新生児部門の医療体制についてお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 都立病院においては、大塚病院、墨東病院、そして多摩総合医療センターの産科を合わせました小児総合医療センター、この計三カ所が総合周産期母子医療センターに指定されておりまして、NICU及びGCUを整備しております。
 大塚病院及び墨東病院ではNICUを各十五床、GCUを各三十床、小児総合医療センターではNICUを二十四床、GCUを四十八床整備しております。
 こうした新生児科を運営するため、平成二十七年度は、新生児科医師は三病院合わせまして三十五名、看護要員につきましては、NICUでは入院患者三名に対し一名、GCUでは入院患者六名に対し一名と、手厚い人員配置を行っております。
 また、スタッフには学会認定の周産期専門医資格を有する医師や、日本看護協会認定の新生児集中ケア認定看護師がおりまして、治療や看護に当たっております。

○山内委員 都立病院が新生児の受け入れについて体制を整備していることは改めて確認させていただきました。
 次に、周産期母子医療センターに指定されている三つの病院における分娩件数やNICUの実績をお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 各病院では、母体の救命救急や未受診妊婦の出産を含むハイリスク出産等に対応しております。
 平成二十七年度における三病院での分娩件数は、双子など多胎の場合を一件とカウントいたしますと三千四百五十五件でありまして、その約半数に当たる一千七百十三件がNICUやGCUに入院しております。

○山内委員 ハイリスク出産などを数多く受け入れているという結果、NICUやGCUへの入院も約半数に上るということです。
 この中でも特に問題となるのが、私は未受診妊婦さんではないかと思っております。胎児にとっても母体にとってもリスクが大きいと聞いております。
 そこで、未受診妊婦の受け入れ状況と、未受診妊婦の出産はどのようなリスクが伴うのかお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 平成二十七年度の未受診妊婦の受け入れ件数は三病院合計で五十五件であり、そのうちNICU等への入院は二十六件となっております。
 妊娠中は母子ともに健康の管理を行う必要があることから、出産までに定期的に妊婦健診を受け、産科医が適切な保健指導を行うこととなっております。しかし、定期健診を受けていないと母子の健康状態を十分に把握できないことから、死産や早産、母子感染など分娩時のリスクが非常に高くなります。

○山内委員 未受診妊婦の分娩は非常にリスクが高いとのことです。こうした方への早期支援が非常に重要であると考えております。
 つい先日も、生まれて間もない乳児の遺体が見つかったという痛ましい事件がありました。望まない妊娠で、妊娠したことを誰にも相談できず、妊婦健診を受けられることも知らずに、悩みに悩んで、自宅や公園のトイレなどで出産する事例もあり、赤ちゃんをどうしていいかわからずに遺棄してしまったり、自分の手で赤ちゃんの命を絶ってしまったりという痛ましい事件が後を絶ちません。
 その多くが未成年の女性だったり、高校生だったりしております。何とかして母子ともに支えたいと切に思っています。
 都立病院で未受診妊婦を前年度五十五件受け入れたということですが、今回はどんな理由で未受診だったのかなど内容まではお伺いいたしませんが、受け入れのおかげで赤ちゃんの命が救われたと思っております。
 しかも、そのうちの約半数がNICU等への入院になっていることもわかりました。救われた命が豊かに育まれるよう、手厚い退院支援を要望いたしたいと思います。
 また、この現状を踏まえ、リスクへの対応という視点からも、ぜひ福祉保健局や教育庁等関連する部局と連携し、実態把握をして、望まない妊娠や未受診が減るような対策を講じるよう要望しておきます。
 それに関連をいたしますが、二〇一〇年度及び二〇一一年度の二年間にわたり、東京都NICU退院支援モデル事業が墨東病院を中心に区の東部地域で実施されました。墨東病院では、NICU入院児支援コーディネーターとして配置された看護師と医療ソーシャルワーカーを中心に、入院早期から子供と家族の状況に応じて、在宅移行に向けた支援プログラムの作成や退院後に必要となる訪問看護等の各種サービスの提供について関係機関と調整を行うなど、在宅療養に向けた支援により、長期入院児の数が減少するなど取り組みに成果があったと聞いております。
 モデル事業の結果を踏まえて、都立病院で在宅移行支援を行っていると聞いておりますが、その取り組みについてお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 墨東病院のモデル事業の成果を踏まえまして、NICUやGCUに入院する患者の円滑な退院を支援するため、各病院では、平成二十四年度から順次、在宅療養移行後の社会的支援と医療ケアの両面を支援するコーディネーターを一名ずつ配置しております。
 退院に向けてさまざまな支援を必要とする母子の療養環境等の整備を行う必要があることから、コーディネーターが中心となり、医師や医療ソーシャルワーカー等と協力しながら、出産前から保健所や福祉関係施設と連携し、育児に関する相談への対応や養育施設への入所調整、地域の子育てに関する情報の提供などを支援しております。
 さらに出産後は、在宅酸素療法や経管栄養など家庭での医療ケアの指導を行うなどしておりまして、外来受診時から出産、NICU退院後の療養生活まで、母子双方に対して切れ目なく支援を行っております。

○山内委員 退院後も母子双方に対して切れ目のない支援をしていくとのことですが、母親だけでなく、家族や兄弟、姉妹、さらに子供が生まれる場合など、さまざまな支援が重要になってくると思います。地域での支援体制、医療機関や療育機関、訪問看護ステーションなどとの連携もさらに充実させていくよう要望いたします。
 次に、精神科疾患の患者さんの退院支援についてお伺いいたします。
 日本の精神病院の入院者数は世界で特出して多く、地域移行が進んでいないことが指摘されてまいりました。二〇〇四年に厚生労働省が策定した精神保健医療福祉の改革ビジョンや二〇〇六年に施行された障害者自立支援法に基づいて、現在の精神医療は入院医療中心から地域生活中心が潮流になっておりますが、残念ながら現状は、症状がよくなっているのに病院のほかに居場所がなく長期入院を続けざるを得ないという、いわゆる社会的入院の人もまだ多くいると聞いております。
 先進諸国では、精神科の在院日数は平均二十日程度という報告もあります。こうした中で、都立病院においても患者さんの地域移行はどのように進められているのでしょうか。
 特に松沢病院は、精神科医療の専門病院として重篤な精神疾患や身体合併症を持つ患者さんを数多く受け入れていると聞いており、地域移行が大きな課題となっていると思います。
 そこでまず、松沢病院における入院期間別患者数の推移についてお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 松沢病院においては、入院患者の地域移行を進めた結果、入院期間が一年以上の患者数は、各年度三月三十一日現在で比較しますと、平成二十三年度から二十七年度にかけまして二百七十五人から百七十九人と、九十六名減少しております。一方、入院期間が一年未満の患者数は四百四十一人から五百三十九人と、九十八人増加しております。

○山内委員 患者さんが地域に帰って生活していくためには、ご家族や協力者のサポートのほかに、医療、福祉施設など、さまざまな関係者をうまくつないでいく必要があると考えます。松沢病院はどのように入院患者の退院促進に向けた取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 松沢病院では、従来からの社会復帰支援室による退院支援に加え、平成二十六年度に精神専門のソーシャルワーカーや退院調整看護師による退院促進チームを立ち上げ、各病棟の退院支援カンファレンスで助言を行うなど、チームによる退院支援を開始いたしました。
 この取り組みをさらに進めるため、平成二十七年度からは、各病棟に退院促進のためのリンクナースを配置しまして、退院支援に関する研修等を通じて院内全体の退院促進機能の一層の強化を図ってまいりました。
 また、こうした取り組みを効果的なものとするため、ソーシャルワーカーを中心に地域医療機関や行政機関、社会復帰施設との連絡会や事例検討会を開催するなど、地域との顔の見える関係構築に努めております。

○山内委員 多職種チームと病棟の看護師さんが協力して、地域とも連携しながら、患者さんの地域移行を支えているということがわかりました。患者さんの中には十年以上も入院している方もいると聞いております。そうした方を地域に移行するのは困難が伴うと思いますが、組織で一体となってこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 特に、精神疾患の当事者、いわゆるピアサポーターの方や、地域で当たり前に暮らせる地域移行を目指している関係者の声を聞きながら、退院への働きかけや病院と地域との調整を進めていただきたいと思います。
 さて、松沢病院では、重点医療の一つとして精神科救急を掲げており、都の精神科夜間休日救急診療事業を担い二〇一五年度は合計四百八十六人の患者を受け入れたと聞いております。救急患者の中には自傷他害のおそれがあり、緊急性が高い患者さんに対して、医師の判断に基づき、本人の同意なしで入院を決定する措置入院も含まれており、この診断を行う医師は精神保健指定医であることが必要であります。
 その精神保健指定医に関連して、先日、新聞報道等でも大きく取り上げられましたが、全国で八十九名の指定医がその資格を不正に取得したとして、資格の取り消し処分を受けることになりました。その中には五名の都立病院の医師の名前もございました。今回の処分を受けての病院経営本部の対応についてお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 今回取り消し処分を受けた医師の中には、お話のありましたとおり、申請当時、都立病院に在職していた五名が含まれておりますが、このうち四名は既に退職し、一名が在職しております。
 精神保健指定医は、患者さんの権利を制限する措置入院や身体拘束の判定を行うなど極めて重い職責を担っております。患者中心の医療を掲げる都立病院において、このような行政処分が下されたことは大変遺憾であり、重く受けとめております。
 今回の処分を受けまして、関係医師への事実関係の詳細確認、医師の在職中に行われた指定医業務の有効性の検証、厚労省に提出する症例管理の徹底など、組織を挙げまして再発防止に取り組んでまいります。

○山内委員 処分が行われて間もないので、現在、詳細を確認しているとのことで詳しくは聞きませんが、再発防止に取り組み、診療への影響が出ないようにしていただきたいと思います。
 次に、男女平等参画や配偶者暴力への対応についてお伺いしたいと思います。
 東京都生活文化局は、男女平等参画のための東京都行動計画及び東京都配偶者暴力対策基本計画の改定を予定しており、パブコメでの意見の募集をしたところであります。
 この二つの計画の中には、都立病院の取り組みも示されております。例えば男女平等参画のための東京都行動計画では女性専用外来の設置が、東京都配偶者暴力対策基本計画では虐待対策や配偶者暴力に関する研修などを行うとされています。
 これらの計画に記された男女平等参画や配偶者暴力対策に関する都立病院の取り組み状況についてお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 まず、男女平等参画のための東京都行動計画に示された取り組みといたしましては、大塚病院、墨東病院、多摩総合医療センターの三病院で、女性特有の身体症状やストレスなどによる心身の変調を総合的に診察することを目的として、女性専用外来を設置しております。二十七年度の患者実績は、三病院合計で八百八十五人でございました。いずれの病院でも女性医師が診療を担当するとともに、通常の外来よりも初診の診察時間を長く設定し、患者一人一人の症状や不安に丁寧に対応しております。
 次に、東京都配偶者暴力対策基本計画に関する取り組みといたしましては、各病院で虐待対策の対応手順を定めるとともに、虐待対策委員会を中心に疑い事例などに対応しております。また、配偶者暴力の早期発見と適切な対応に必要な知識を習得するため、二十七年度は、駒込病院及び多摩総合医療センターで、DVへの理解と適切な支援をテーマとした院内研修を実施いたしました。

○山内委員 今回の計画の改定に当たって、東京都の施策の方向性を踏まえて充実強化した取り組みはあるのかお伺いしたいと思います。

○谷田サービス推進部長 各病院では、人権擁護や男女平等参画の観点からも、ただいま答弁いたしました虐待対応やDV対策など、さまざまな取り組みを行っております。
 今回の改定される計画の趣旨を踏まえ、取り組み内容の充実を図ってまいります。

○山内委員 ことし二月に開設した墨東病院の病児、病後児保育室のことも運営状況など質疑をしようと思っておりましたけれども、重なりますので割愛させていただいて、意見だけ申し述べさせていただきます。
 本来なら、病気のときには有給で休暇をとれるような社会にしていくことが重要だと思っております。しかし、残念ながら、仕事が忙しいときなど休暇をとるのが難しい現状では、病児、病後児保育は大変ありがたいものだと思います。
 墨東病院において、地元自治体である墨田区と連携し、都立病院として初めてとなる病児、病後児保育を実施したことは大変結構なことだと思っております。また、他の隣接区とも協議をしているというご答弁が先ほど伺えたかと思いますが、期待をしております。病児、病後児の負担にならないよう十分配慮をしながら、安心して預けることができるような体制を整えていただきたいと思います。
 また、先ほども小児総合医療センターのことについて出てまいりました。府中市と協議しているということでございましたけれども、小児総合医療センターは、府中市、国分寺市、国立市の市境にあります。そのことも留意しながら、多摩地域への拡充をぜひお願いしたいと要望して、質疑を終わります。

○おときた委員 私からは、まず、かねてより指摘をしておりました東京DMATカー、災害時医療支援車の有効活用についてお伺いをしたいと思います。
 平成二十三年に東京都緊急対策事業の一環として導入が決定され、二十を超える台数が配備をされたDMATカーですが、運用状況は余り活発とはいえない状態が続いています。全車両の運用実績は、年間トータルで訓練も含めて数十回にとどまることが多いようです。
 もちろん災害緊急用ですから出番がないのは望ましいことではありますが、車両という特性上、ある程度の走行を行わなければ維持管理をすることすらままならないのが現実ですし、これほどの機材を搭載した医療資源を眠らせておくのは余りにも非効率的な面もあるのではないかということは、かねてから複数の有識者や、そして議員たちからも指摘があったところでございます。
 そこで、都立病院に配備されている東京DMATカーの平成二十七年度の稼働状況について伺います。

○矢田部経営企画部長 東京DMATカーは、大規模災害発生時に被災現場での活動支援を目的として導入されたものでございます。
 平成二十七年九月の茨城県常総市の豪雨災害時には、多摩総合医療センターが医療救護班派遣の移動手段として出場し、現地では薬品の搬送などを行いました。また、これ以外には、広尾病院におきまして病院イベントで三回、防災訓練参加の際に二回出場いたしました。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、豪雨災害時に活躍されたということは非常にすばらしいことだと思うんですが、直近の一年間で文字どおり数えるほどしか出番がなかったというところです。
 一方で、病院間の患者転送を行う際に、車両不足などの理由から救急車が使われるということも東京都では常態化しており、こうした用途にDMATカーを活用すべきではないかという意見も根強く存在します。
 そんな中、平成二十七年度は、この状況に変化がございました。これまで病院経営本部は、DMATカーの活用方針については福祉保健局の管轄との見方を示してきたと思いますが、その福祉保健局から新たな通達が出されたところです。
 そこで、平成二十八年三月に福祉保健局から出された災害時医療支援車、東京DMATカーの適切な管理等の推進についてというこの通知、簡単にこの概要を伺うとともに、こちらを受けて病院経営本部としてどのような検討を行ったのかを伺いたいと思います。

○矢田部経営企画部長 平成二十八年三月三十一日に福祉保健局から出されました通知によりますと、東京DMATカーは緊急の要請に応じて、いつでも出場できる体制を確保する必要がございますが、活動に支障がない範囲で配備された病院が行う業務に活用できるとのことでございました。
 病院経営本部といたしましては、病院の意見を聞きながら、東京DMATカーの活用について、例えば転院搬送に使えないかなどといった検討を行ってきたところでございます。車両の構造上、患者搬送に適していないことや、また、運転が容易でないことなどの制約がございますが、引き続き医療救護班としての出場や訓練を初め、可能な範囲で有効に活用してまいります。

○おときた委員 福祉保健局の通達では、規制緩和と申しますか、活動に支障がない範囲で配備された病院が行う業務に活用できる、もっと活用してほしいと、そういった旨の通達を出したというところでございます。
 病院経営本部としては、東京DMATカーの活用について、車両の構造であるとか、運転手の確保ができないなどで活用は進まないという課題を認識しているということも理解はできました。
 しかしながら、福祉保健局から、このように活用をぜひ促してほしいという通知が出ていることからも、病院経営本部としてもこれまで以上に前向きに、積極的に東京DMATカーの活用を検討すべきだと考えます。
 東京DMATカーを配備した各病院が患者転送などに積極的な活用を行えば、東京消防庁の緊急搬送の負担が軽減するなど、東京都全体の利益になることも考えられます。活用においてさまざまな課題はあるとは思いますが、DMATカーの活用に向けた努力を続けていただきたいということを要望としてお伝えしたいと思います。
 続きまして、都立病院における聴覚障害者等の対応についてお伺いをいたします。
 今年度からは障害者差別解消法も施行され、二〇二〇年東京パラリンピックを控える首都東京においては、これまで以上に障害者の方々への対応が重要になることは論をまちません。
 ところが、都立病院における言語聴覚障害者対策という点について見ますと、医療機関の診察を予約する際の手段が、お電話が中心となっておりまして、これでは言語や聴覚に障害のある方がご自身で連絡をとることはできません。現状、こうした方々への対応は都立病院においてどのように行われているのか、これを確認したいと思います。

○谷田サービス推進部長 都立病院では、来院する患者さんの中にはさまざまな障害を持った方もいらっしゃることから、それぞれに応じた適切な配慮を行っております。
 言語聴覚障害のある方に対しましては、外来受付などに筆談用のバインダーやメモボードを用意するほか、申し出があれば必要な援助を行うという表示である耳マークの掲出、外来での待ち受け表示器を使用した患者さんの診察室への誘導など、さまざまな配慮を行っております。
 しかしながら、診療予約につきましては、現在の症状、診療情報提供書の有無、ない場合は非紹介患者初診加算料の負担に関する説明、受診を希望する診療科や病院指定の日時での受診が可能かどうかなど、さまざまな双方向でのやりとりが必要なことから、電話で行うこととしております。
 都立病院に電話で受診予約が必要なのは初診のときがほとんどでありまして、言語や聴覚に障害のある方については、家族や友人などの代理の方や、かかりつけ医からの受診予約を受け付けているのが現状でございます。

○おときた委員 患者さんが来院した後は、メモボードであるとか筆談対応であるとか、そういった配慮を行っているのはすばらしいことであると思います。
 半面、入り口の部分で、やはりそこの対応は現実問題としてなかなかできていないと。これ、前回私が厚生委員会で質問した際も、代理の人から電話予約を受けているので特に支障はないというご答弁をいただきまして、これは過去のことではありますけれども、これは本当に健常者視点でしかない残念な答弁であったと感じています。
 聴覚障害者の方々の、自立をしたい、自分で行えることは極力自分で行いたいというのは切なる思いであり、また、人権の観点からも当然に尊重されなければならないことであると思います。
 既に技術によって解決可能なことであり、民間の医療機関では既に初診も含めてメールやインターネットによる予約を受け付けているところもある以上、公的機関である都立病院も考え方ややり方を改める必要があると強く感じております。
 そこで、公的な機関である公立病院こそ先駆けて、言語聴覚障害者対応のために、メールやインターネットによる対応を導入すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 病院においては、障害を持つ方はもちろん、高齢者や子供など訪れる全ての人が安心してサービスを受けられるよう、合理的な配慮を行うことが重要でございます。
 こうした観点から、言語聴覚障害を持つ方に対しましては、コミュニケーションを円滑にするための配慮に努めておりますが、診療予約については先ほど申し上げた理由から電話予約としておりまして、メール等の導入については、さまざまな制約に応じた実現可能性や事業への影響の程度などの視点を踏まえまして、総合的に判断して対応する必要があると考えております。

○おときた委員 前回、この質問を取り上げた際は、こうした実施には多くの課題を有しているということで、事実上ゼロ回答と申しますか、難色を示す一方のご答弁でしたが、今回は、総合的に判断して対応する必要があるということで、少しだけ前に進んだご答弁をいただいたように感じております。
 例えば、あくまで一例ではありますけれども、日本財団が運営している電話リレーサービスというものがあります。これはテレビ電話のようなシステムで、手話などの通訳者などに接続をして、オペレーターを介してではありますけれども、聴覚障害、言語障害をお持ちの方でも通話が可能になるシステムで、既に多くの実績を有しています。
 例えば、メールやインターネットなどのフォームからご予約をいただいて、病院側からこうしたサービスを使って折り返しの電話をする、そういったことも検討に値するのではないかと思っています。
 技術は日進月歩で進化をして、法令の整備など障害者を取り巻く環境も変わっています。ぜひとも東京都、そして都立病院から障害者の自立や権利を尊重するモデルとなる対応が実現することを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、外国人患者の受け入れについて質問させていただきます。
 我が国を訪れる外国人は、政府の観光庁の統計によりますと、二〇一五年には千九百七十四万人と、十五年前と比較して四倍以上の統計が出ているわけでございます。
 私も十年前、国土交通省の大臣秘書官であったときのビジット・ジャパン・キャンペーン、一千万を超えるのも本当に大変だったんですが、隔世の感がございます。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開かれる二〇二〇年に向けまして、さらに訪日外国人は増加するものと考えられます。これに伴いまして、医療機関における外国人患者の的確な対応が必要となってくると思われます。
 しかしながら、訪日外国人からは言葉が通じる病院が少ないとの声が上がる一方、医療機関からも言葉が通じないと問診の正確性に影響し、的確な診断、治療ができないとの懸念が出ていると仄聞しています。
 受診を本当に受けるべきかどうかということで、受診拒否ができないという非常に外国人の対応に苦慮されている現場もあるようですけれども、新聞報道によりますと、こうした課題に応えるために、国、厚生労働省は、初めてとなる医療機関の大規模な実態調査に乗り出すとの報道もございました。
 東京二〇二〇大会まで残すところ四年を切った中で、開催地東京におきまして、国の動きを待つことなく積極的に医療の国際化に取り組む必要があると思います。そのため、都立病院が先頭に立ちまして、外国人が安心して医療を受けられる環境整備を図るべきと考えております。
 私は、ことしの三月の予算特別委員会におきまして、都立病院が外国人患者受け入れ医療機関認証制度、いわゆるJMIPの認証取得を着実に進めていくべきであると提案をいたしました。東京二〇二〇大会の前年度までに全都立病院で取得するとの答弁がございましたが、全ての都立病院がJMIPの認証取得に向けて着実に取り組むことを要望しておきます。
 本日は平成二十七年度の決算ということですので、その観点から、外国人患者受け入れに関して質問したいと思います。
 そこでまず、都立病院では、外国人患者を積極的に受け入れるためどのような観点から環境整備を進めてきたのかを伺いたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京における国際化が進展し、外国人患者の増加が見込まれる中、都民だけでなく東京を訪れる外国人にとっても安全・安心の医療を提供するため、都立病院における体制整備は重要なことであると認識しております。
 このため、都では、全ての都立病院が参画して平成二十六年に設置した都立病院国際化対応検討委員会におきまして、外国人患者受け入れに必要な対策を検討し、取り組みも行っているところでございます。
 この委員会では、語学能力の向上など職員の対応力の向上、施設整備を含む患者サービスの向上といった観点から検討を進めております。一方、外国人患者の増加に伴う未収金の発生も課題でございまして、発生の未然防止とともに回収にも取り組んでいるところでございます。

○斉藤委員 今のご答弁で、職員の語学能力の向上という観点を挙げられておりましたけれども、異国の地、日本で体調を崩して不安になっている外国人患者にとりましては、言葉が通じるということが最大の安心感につながると考えるわけであります。
 そこで、平成二十七年度における病院職員の外国人患者への対応力向上のための取り組みについて、重ねてお伺いしたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 職員の外国人患者への対応力向上のため、英語でございますけれども、語学研修と異文化への理解促進のための研修を平成二十六年度から実施しております。
 語学研修につきましては、平成二十七年度は、都立病院全体で語学リーダー養成コースで六十一人、初中級コースで百六十四人、合計二百二十五人の職員が受講しております。
 また、研修の成果につきましてですが、研修実施前後で語学レベルを八段階で評価しておりまして、受講後は、全体的にレベルが向上しているという結果が出ております。
 加えまして、異文化理解研修につきましては、実際に外国人への診療を行っているNPOの医師から、言語や医療制度など注意すべき点や、診察室での外国人患者への接し方の実例や対応方法などについて講義をいただき、六十一人が受講しております。

○斉藤委員 今のご答弁で、語学研修や異文化理解研修もしていると。一定の成果があると。八段階のレベルでどのくらいの方がどういうふうに分布しているか細かくは伺いませんけれども、受講後は全体的にレベルが向上しているという評価でございました。こうした研修は、外国人対応への苦手意識の克服という意味でも重要であると考えます。
 一方、施設案内表示などハード面を含めまして多言語対応ですね、英語だけでなく、多言語対応を進めることによりまして、患者サービスの向上を図ることも重要であろうかと思います。
 そこで、外国人患者サービス向上の観点から、平成二十七年度は、都立病院はどのような取り組みを行ってきたのかを伺いたいと思います。

○谷田サービス推進部長 都立病院では、外国人患者の方にも各病院の診療科や紹介、予約制など受診の仕組みをご理解いただき、円滑に診察を受けていただけるよう、英語版のホームページや病院紹介リーフレットを作成し、周知に努めております。
 平成二十七年度は、問診票や入院、外来案内、個人情報取扱同意書など、合計四百五十三種類の帳票類の英語翻訳を行いまして、外国人患者さんが受診しやすい環境整備を行ってまいりました。
 また、栄養科職員によるPTでは、ピクトグラムを多用して、指さし確認により宗教上の制約やアレルギーの有無、食欲状態などを聞き取るためのコミュニケーションツールを作成いたしました。
 さらに、二十八年度以降、各病院において施設内案内表示の多言語化などを順次進めていくために、平成二十七年度は先進的な病院の調査を行ったところでございます。

○斉藤委員 日本語でコミュニケーションができない外国人--日本語というのは大変に世界各地でどこまでツールとして使える言語なのかということでは、限られた言語だと思いますけれども、安心して都立病院を受診できるようにするためには、ハード面、ソフト面、両面からの総合的な対応が必要だということで認識は共有させていただいております。
 ちょっとこのパンフレットを見たんですけれども、病院にたどり着いたときにこれがあっても、これは要するに英語版のGUIDE TO TOKYO METROPOLITAN HOSPITALSということで、都立の病院について英語版で、どういう病院かということが地域なども含めて記入されているガイドなんですが、これがどこに置いてあるかということであります。
 病院にたどり着いてからこういうものがあって、再診するときには便利かもしれませんけれども、最初はやはり救急搬送ということで、恐らく都立病院を指定して外国人の方が行くことはまずないとは思うんですけれども、私はこの問題、実は都立病院だけではなかなか対応は難しいだろうというふうに基本的には思っております。
 しかしながら、都立の病院としてできること、それを今、外国人対応ということで懸命に取り組んでいらっしゃるというふうに思います。特に診療科や疾病の名称など専門用語も大変多い世界でございますので、外来、病棟などのさまざまな場面で、今後、多言語対応をいろいろ工夫しながら進めていっていただきたいと思うわけでございます。
 質問は最後になりますけれども、この外国人患者の受け入れに伴う未収金の問題であります。
 これは、国の方も今回調査するに当たりまして、各医療機関について、未収金の問題についての声も聞きたいというふうに関心を持っているようでございますけれども、この問題につきましては、先般、第三回定例会の厚生委員会で、我が党の高倉良生委員から、外国人の未収金対策について質問をしているところでありますが、未収金全体に占める外国人患者の割合が相対的に高いことなどが質疑を通じて明らかになっております。
 そこで、確認の意味を含めまして、都立病院における平成二十七年度の外国人患者にかかわる未収金の状況と、どのような対策を講じているのかを伺いたいと思います。

○谷田サービス推進部長 平成二十七年度末時点における都立病院の過年度未収金残高は、全病院合計で九億八千二百七十六万円となってございます。そのうち外国人患者の未収金の割合は一六・〇%、金額で申しますと一億五千七百四十七万円でございます。
 未収金が発生する主な要因といたしましては、日本人患者と同様ですが、保険証の不所持や所持金不足などのほかに、旅行客が旅行保険に未加入であった場合などが挙げられます。
 外国人患者で未収金が発生した場合は、日本人と同様に、電話や文書による支払い催告を行うことを原則としていることから、保険証を持たない方については、運転免許証やパスポート等、身分証を確認するなど連絡先の把握に努めております。
 また、区市町村に対して外国人登録の照会を行うとともに、必要に応じまして大使館に対して患者の住所地や当該国の社会保障、医療の状況等について情報提供するよう依頼しております。

○斉藤委員 平成二十七年度決算ということで、都立病院の外国人対応について種々伺ってまいりました。今後ますます増大する外国人患者に適切に対応することは、都立病院としても大きな課題であろうかと思います。
 都立病院の問題というよりも、日本の国民皆保険制度、医療保険制度が、ここまでの来日外国人の数をどこまで想定したかという問題がございまして、これは医療経営というか病院経営を考えても、外国人の方にかかり切りになってしまうと、本来の国民皆保険制度という、この制度の前提を揺るがしかねないというか、病院としても運営が大変困難であるという声も聞いているわけでございます。
 この問題は、一つ都立病院だけでなく総合的に、外国人の来日、訪都外国人も大変ふえておりますけれども、東京全体で取り組んでいく考え方も必要ではないかと。これは福祉保健局の医療計画の議論を待つことになると思いますけれども、都立病院の側からも積極的に現場の大変さを、そういった計画の策定に声を上げて、都立病院だけで抱えることなく、広く連携をとりながら、この外国人の医療の問題は取り組んでいくべきであろうと考えるわけであります。
 今後、引き続きこの外国人の医療問題を取り上げてまいりたいと思いますが、きょうの質疑は以上でございます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は 終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承を願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時三十一分散会

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