平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成二十七年十月二十八日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長崎山 知尚君
副委員長栗林のり子君
副委員長尾崎あや子君
副委員長田中たけし君
小林 健二君
堀  宏道君
小松 久子君
ほっち易隆君
田中 朝子君
新井ともはる君
小宮あんり君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長岸本 良一君
管理部長野口 一紀君
事業部長白川  敦君
新市場整備部長飯田 一哉君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務金子 光博君
財政調整担当部長坂田 直明君
移転支援担当部長長田  稔君
新市場事業推進担当部長櫻庭 裕志君
移転調整担当部長赤木 宏行君
基盤整備担当部長若林 茂樹君
施設整備担当部長佐藤 千佳君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十六年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○崎山委員長 ただいまから平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、中央卸売市場長から幹部職員の紹介があります。

○岸本中央卸売市場長 去る十月二十三日付で兼務発令のありました当局幹部職員を紹介させていただきます。
 オリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします市場政策担当部長の金子光博でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○崎山委員長 紹介は終わりました。

○崎山委員長 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○野口管理部長 去る十月十六日の当分科会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。1、築地市場の耐震改修等工事費、修繕工事費の推移、過去十年分でございます。
 過去十年間の築地市場の耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移について記載しております。
 二ページをお開き願います。2、豊洲市場整備に係る当初事業費、執行済額及び見込み額についてでございます。
 土壌汚染対策費、建設費、用地取得費及びその他関連工事費等の項目ごとに、上から、計画額、平成二十六年度までの執行済額及び見込み額を記載し、豊洲市場整備に係る事業費の見込み額をあらわしてございます。
 三ページをお開き願います。3、豊洲市場用地における土壌汚染対策に関する見積もり及び実績についてでございます。
 上から、汚染土壌量、土壌汚染対策費及び仮設土壌処理プラント処理別土量につきまして、それぞれの見積もりと平成二十六年度末までの実績を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、豊洲市場整備に係る国庫交付金の推移でございます。
 平成二十三年度から平成二十六年度までの豊洲市場整備に係る国庫交付金につきまして、名称、事業費、交付申請額、対象事業についてそれぞれ記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○崎山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小宮委員 豊洲市場の移転に向けた都の支援について伺います。
 昨年の十月には、新市場の整備予定地での土壌汚染対策工事が完了しました。また、ことしの七月には、新市場の名称が豊洲市場と命名されました。来年十一月七日に豊洲市場の開場日も決定し、いよいよ移転が目前に迫ってきたということを強く感じております。首都高からも施設整備が着々と進んでいる様子を、私もよく通ると、うかがっておるところです。これまで完成予想図としてイメージされてきた新市場の姿が現実の形となって豊洲の地に立ち上がってきており、移転への実感が湧いてきているところです。
 私は、平成二十三年の本委員会の第一分科会の質疑において、新市場の整備に当たっては、施設の充実はもとより、その担い手となる市場業者の円滑な移転が不可欠であり、市場業者の意見や要望に沿った効果的な支援策を講じるべきであると求めてまいりました。
 本日は、本分科会で、豊洲新市場移転支援事業費として、平成二十六年度決算として約六千九百万円を執行したとの説明が先日あったわけですけれども、これまでどのような支援を行ってきたかということを、過去の経過も確認しながら伺ってまいりたいと思います。
 まず、豊洲市場への移転に当たって、市場業者からどのような要望があったのか、確認のために伺います。

○長田移転支援担当部長 都では、平成二十一年度から二十三年度にかけて、全市場業者を対象とした個別面談を二回実施したほか、特に経営状況の厳しい事業者を対象としまして、移転に関する具体的な要望などをお聞きしてまいりました。
 その中で、市場業者が豊洲市場で展開する事業への不安を解消するための窓口の設置や、設備投資や運転資金の確保といった経営安定化に向けた資金や移転資金への支援に関する強い要望がございました。さらに、移転を機に、業界団体が構成員とともに取り組む事業に必要な経費に対する支援の要望などがございました。

○小宮委員 相談窓口の設置の要望や、さまざまな資金の確保といったご要望があったということです。仲卸業者を初めとする中小零細事業者にとって、移転というのは経験したことのない大事業です。今後の経営の見通しを立てたり、さまざまな準備を進めたりしていくことは大きな負担にもなります。このため、都が市場業者の身になって、要望に合ったような相談などに対応していくことが重要であります。
 そこで、都による市場業者への相談対応などの取り組み状況について伺います。

○長田移転支援担当部長 都では、個々の市場業者が抱える移転に伴う経営上の不安や課題に対応するため、平成二十二年十一月に、築地市場に豊洲移転サポート相談室を設置し、移転に伴うさまざまな相談や情報提供を行ってまいりました。
 さらに、都が公認会計士や中小企業診断士、弁護士に委嘱し、直接、築地市場の仲卸業者と面談して経営状況の分析と助言を行う経営相談事業を平成二十四年度から実施しております。この経営相談事業を利用した市場業者の中には、公認会計士の助言を通じて、厳しい資金繰りに対応するため、移転時支援策を活用して経営改善につなげることができた事例もございます。

○小宮委員 相談体制をつくり、きめ細かく、そうした市場業者からの相談に対応してきているということはわかりました。
 加えて、市場業者の要望に合った移転に向けた資金の確保について、個々の市場業者に対して、資金調達を円滑に行うための資金面からの支援も重要です。
 そこで、都の市場業者に対する資金面からの支援について、具体的な取り組み内容と実績を伺います。

○長田移転支援担当部長 豊洲市場への移転に当たりましては、市場業者を取り巻く経営環境が厳しいことから、移転に要する資金需要への対応は非常に重要な課題であると認識をしております。
 このため、都や日本政策金融公庫の制度融資を利用した場合に利子補給を行う利子補給事業を初め、制度融資だけでは資金需要を満たすことのできない市場業者に対しましては、金融機関と連携をして、市場独自の融資制度である仲卸・関連事業者融資事業を新たに設け、いずれも平成二十六年十月から実施しております。
 また、個々の市場業者だけでなく、業界団体が移転に向けた事業を実施するために必要となる資金を融資する制度として業界団体融資制度を創設し、平成二十六年十月から実施するとともに、環境負荷を低減する設備を導入した市場業者に対しましては、費用負担を軽減するため、環境・省エネ設備補助事業を平成二十六年四月から先行して実施してまいりました。
 これらの制度の利用実績は、平成二十六年度末現在で、利子補給事業の申し込みが三十四件、融資実行額が約九億二千万円、仲卸・関連事業者融資事業は、それぞれ二件、二千万円、業界団体融資事業では、水産物部卸売業者の団体などによる施設の低温化など、コールドチェーンの構築に向けた取り組みに二件申し込みがあり、約九億五千万円、融資を実行しております。また、環境・省エネ設備補助事業では六十三件の申請に対応をしてきております。

○小宮委員 多岐にわたる資金面からの支援策をご答弁いただきました。中でも、業界団体融資事業というのを利用して、市場の重要な担い手である業界団体が、コールドチェーンの確立という、築地では実現し得なかったそうしたものの確立をするなど、市場全体にかかわる課題をみずから解決していこうということは、移転後に、より新鮮で安心な生鮮品を都民に提供することにおいても、市場の機能を最大限に発揮させるために大変重要な取り組みであると考えます。
 今後も、業界団体の要望に十分配慮しながら、支援をしっかりと行っていただきたいということを要望しておきます。
 さて、冒頭にも申し上げたとおり、施設整備も着々と進み、移転を目前に控える中にあって、市場業者にとっては、営業に必要な自前の設備をしっかりとこれから整えていくことが大きな課題となってきます。
 そこで、営業店舗の内装工事や設備の整備について、市場業者に対する支援も重要であると考えますが、都が行った取り組み内容について伺います。

○赤木移転調整担当部長 豊洲市場開場に合わせて市場業者が営業を開始するためには、消防や食品衛生に関する法令等を踏まえた市場業者による内装工事や設備工事が適切かつ円滑に行われることが重要でございます。
 このため、都では、平成二十七年一月に、造作工事に係る相談窓口を築地市場内に新たに開設いたしまして、都が委託した建築、設備の専門的知識を有する業者とともに、市場業者に対する工程調整や設計に関する事前相談やアドバイスを行っております。

○小宮委員 これまでの答弁から、個々の市場業者や業界団体の要望を受けて、さまざまな支援策を手厚く実施しており、移転に向けた取り組みを進める市場業者を強く後押ししてきたことがうかがえます。
 しかしながら、利子補給事業を例にとると、築地市場の業者数約九百者に対して、平成二十六年度の実績が三十四件というのは、支援策の活用がまだまだこれからかなというふうにも感じます。市場業者が支援策を利用するに当たっては、個々の市場業者の経営状況や施設整備の進捗ぐあいなど多くの事情があるとは思いますが、都が市場業者からの要望を受けてつくったこうした支援策の効果が広く浸透していくことがこれから重要であると思います。
 そこで、都は、今後どのような点に配慮して取り組むのか、伺います。

○長田移転支援担当部長 移転時支援策の運用を開始するに当たりましては、これまでも、市場業者への説明会を六回開催したほか、業界団体などからの要請に応じまして個々に説明を実施するなど、制度の周知に努めてまいりました。
 水産仲卸業者などの中小企業者につきましては、豊洲市場での営業店舗の場所が本年八月に最終的に決定したことなどもあり、店舗の仕様や導入設備の見通しが立つにつれて具体的な資金需要が今後発生すると見込んでおります。こうした状況にもしっかりと対応していくため、引き続き、業界団体とも協力して市場業者に支援制度の周知を図っていくとともに、各種相談窓口を通じて的確に市場業者の要望を酌み取りながら、資金面での支援はもとより、移転に伴うさまざまな相談に対しても丁寧に対応をしてまいります。

○小宮委員 これまで、さまざまな取り組みを行ってきたことはよくわかりました。
 新市場の開設は、都民に新しい未来を開くものでなければならないと思います。都民の食生活を支えてきた築地市場が生まれ変わったことで都民の生活がどう変わるのか、いいかえれば、築地の培ってきた伝統を継承しつつ、築地ではできなかった、どんなことが豊洲に移転することで可能になるのか。市場に入る業者の皆さんが、新しい市場だからこそ可能になったさまざまなサービスを活用し、それを都民に提供する、毎日買い物をする都民の皆さんが、それを八百屋さんや魚屋さんの店先で実感をする、それでこそ、豊洲への移転という大事業が都民にとって意味のあるものになると考えます。
 新市場開設に向けての市場長の決意を伺います。

○岸本中央卸売市場長 豊洲市場への移転に当たりましては、これまで築地において八十年の歴史の中で培われ、産地や消費者からの高い信頼に裏づけられた市場業者の集荷力や販売力をしっかりと豊洲市場に継承していくことが重要でございます。
 さらには、今お話がございましたとおり、豊洲市場におきましては、コールドチェーンの確立による高度な品質、衛生管理が可能となりますことから、市場業者がその強みを十二分に生かし、新たな事業にも積極的に取り組むことで、豊洲市場を、都民の皆様にさらなる食の豊かさを提供できる首都圏の基幹市場として発展させていきたいと考えております。
 そのためにも、豊洲での新たな事業展開に希望と意欲を持つ市場業者が安心して移転できるよう、業界の声に十分に耳を傾けながら、平成二十六年度に立ち上げた移転時支援策を着実に実施してまいります。加えて、限られた期間にスムーズに引っ越しを行うための移転計画の策定や、市場業者が行う造作工事に関する相談対応の強化などについても、都として全力で取り組み、来年十一月の移転開場に向け万全を期してまいります。

○小宮委員 ありがとうございました。
 先ほども申し上げたように、豊洲新市場は、都民に新しい未来を、夢を運んでくる市場にならなければならないと思います。そのためには、目前に迫った移転を控え、さまざまな悩みや不安を持つ市場業者の皆さんに丁寧に向き合っていただき、それらを一つずつ解決していくとともに、都民に新しい東京の食のスタイルというものを提供し、市場業者には新たなビジネスモデルを提示し、東京にもう一つのにぎわいを創出する、豊洲市場がそんな拠点となっていってほしいと思います。
 豊洲市場の可能性をさらに高めていくべく、市場業者と、そこを利用する都民の皆さん、そして、市場から毎日の食卓に運ばれる新鮮で安心できる食品を待ち望むそうした都民の皆さんのために、引き続いてしっかりとした対応をいただくことをお願いしまして、質問を終わります。

○栗林委員 それでは質問をさせていただきます。
 卸売市場は、いうまでもなく生鮮食料品の安定供給と、極めて重要な役割を担っております。私の地元世田谷区にも、青果と花きを扱う世田谷市場がございます。先日も、十月十八日でしたでしょうか、世田谷市場まつりが開催され、私も、もちろん毎回参加をさせていただいていますけれども、年に一度の市場まつりということで、地域の皆様にこの市場が開放されるという、大変お安くお野菜とかお花も購入ができますので、朝早くから、開場が十時ですけれども、その前から行列ができるほどの地域の皆様も大変楽しみにしている市場まつりでございます。
 東京卸売市場は、拠点市場だけでなく、こうした十一の市場が地域に根を張って都民の生活に安心を提供しているということは大変重要ではないかと思います。
 また、三・一一以降、東北の被災地の支援として、積極的に応援も、この市場を通じて行っていただいております。世田谷の市場まつりのときにも、福島県のブースを毎回、出していただいているようでございます。
 そこで、これまでの取り組み状況を伺わせていただきます。

○白川事業部長 中央卸売市場ではこれまで、被災産地である福島県からの要望等を踏まえ、青果、水産の市場業者や消費者を対象とした被災産地支援研修会を開催するとともに、各市場の市場まつりにおける福島県支援ブースの設置などにより、被災地産品に対する風評被害の払拭や消費の拡大に努めてまいりました。
 平成二十六年度の取り組みにつきましては、都内の消費者団体を対象に、福島県いわき市の小名浜魚市場において被災産地支援研修会を開催し、現地における検査状況の視察や漁業関係者の方々との意見交換を通じまして、産地の安全・安心の取り組みを実感していただき、広く都内の消費者の方々に福島県産品の安全性を発信していただく取り組みを行ったところでございます。
 さらに、被災産地支援研修会に参加された方々の意見を取りまとめ、中央卸売市場のホームページに掲載し、周知を行ったほか、お話の世田谷市場など八市場の市場まつりにおきまして福島県PRコーナーなどのブースを設け、県産品の紹介や検査のパネル展示などによりまして、福島県産品に対する理解の促進や不安の解消に努めたところでございます。

○栗林委員 ありがとうございます。引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。
 現在、中央卸売市場において、やはり重要なのは、豊洲市場の整備と、この築地市場からの円滑な移転であります。来年十一月の開場に向け、豊洲市場用地では建築工事が着々と進み、建築物の外観があらわれるようになりました。
 昨年二月でしょうか、私も当時、経済・港湾委員会で起工式に参加させていただきましたけれども、その後、さまざまな困難も乗り越え、あと一年となりました。外からも、その姿、形が目に触れられるようになりまして、注目度がますます増していき、豊洲市場の期待が高まっていくものと思います。
 と同時に、やはり忘れてはならないのは、何より重要なのが都民、消費者の卸売市場への信頼であります。特に食の安全・安心という、消費者の皆さんの持つニーズに卸売市場がしっかり応えることが大事でございます。とりわけ豊洲市場の整備に当たっては、土壌汚染問題という食の安全・安心に大変影響を与えかねない問題があり、そういう経緯もございました。この土壌汚染対策に万全を期すこともさることながら、その取り組み内容や結果を、今までも十分ご説明はされていらっしゃいますけれども、都民、消費者への情報提供を、より説明を丁寧に続けていくことが重要になってきております。
 しかし、残念ながら、土壌汚染が心配との理由から、いまだに豊洲市場に対する批判的な声も聞こえてまいります。このような批判的な情報は、東京を訪れている外国人観光客にも不安を与えるようなことにもなりかねません。こうした不安を吹き飛ばすだけの、より正確な情報提供とより丁寧な説明がさらに求められていると思います。
 そこで、確認も含め、まず、この土壌汚染対策工事が完了した平成二十六年度までに要した土壌汚染対策費と実施した土壌汚染対策工事の内容について伺います。

○若林基盤整備担当部長 豊洲市場用地における土壌汚染対策は、我が国を代表する学識経験者により、科学的知見から、人が生涯この土地に住み続けても健康への影響がなく、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安全・安心を十分確保するものとして提言を受け、実施したものでございます。
 具体的には、ガス工場操業地盤面から下二メートルについて、汚染の有無にかかわらず敷地全体を全てきれいな土に入れかえ、さらにその上に二・五メートルのきれいな土による盛り土を行うことで、合わせて四・五メートルのきれいな土で覆う。また、ガス工場の操業に由来する汚染土壌については全て掘削除去するとともに、汚染地下水についても全て環境基準以下に浄化します。掘削除去した汚染土壌については、豊洲市場用地内に仮設土壌処理プラントを設け処理した上で、掘削除去した箇所への埋め戻し材として再利用する。さらに、遮水壁の設置や液状化対策をあわせて行うなど、総合的な対策工事を実施したものでございます。
 これら一連の対策に要した事業費は、平成二十六年度末で総額八百五億円でございます。

○栗林委員 説明を伺いますと、本当に、これでもか、これでもか、これでもかというほどの対策を講じていただいているのではないかと思います。この国を代表する専門家の英知を結集して行っていただいた土壌汚染対策工事を実施し、そして、平成二十六年度までに八百五億円の費用を要したということでございます。生鮮食料品を扱う市場として、都民や市場関係者の安全・安心を考えた、万全を期して取り組んだ結果と受けとめております。
 しかし、都が工事実施前に行った土壌汚染調査について、一部の調査が不足していたのではないかという批判があると聞いております。豊洲市場の開場があと一年と迫る中、新しい顧客の開拓、また、地道に営業戦略を練っていらっしゃる築地の業界のお一人お一人の努力が、そうしたことで水を差しかねないということも心配でございます。事実とは違う間違った情報がこれ以上ひとり歩きしないよう、再度確認をさせていただきたいと思います。
 豊洲市場用地において都が実施した工事前の土壌汚染調査がどのような内容のものであったか、改めて伺います。

○若林基盤整備担当部長 都が実施しました土壌汚染調査は、専門家会議の知見に基づき、豊洲市場用地全域にわたり、表層土壌と地下水の調査を実施した上で、汚染のおそれのある区画については、ガス工場操業時の地盤面から不透水層上端まで、深さ方向に一メートル間隔で土壌を確認し、豊洲市場用地の汚染状況を詳細に把握したものでございます。こうした調査については、国が指定した指定調査機関が調査の内容を確認し、土壌汚染状況報告書として取りまとめております。
 都は、この報告書により区域の指定の申請を行い、土壌汚染対策法に基づき汚染区画の区域指定がなされたものでございます。
 その後、この区域指定に基づき土壌汚染対策工事を実施し、平成二十六年十月に全街区において全ての工事が完了したことを、翌十一月に開催しました技術会議において、汚染土壌の掘削状況や大気、地下水、土壌の調査結果など、客観的なデータに基づき確認を受けたことにより、市場用地の安全性を確認したものでございます。

○栗林委員 市場用地の汚染状況を詳細に把握した調査をもとに区域の指定がされ、その後、対策工事を実施し、そして、技術会議において工事の完了確認を受け、安全性を確認したということでございます。法の手続等をしっかり踏まえたものであり、都が実施した土壌汚染調査は問題がないということはよく理解できます。こうした事実を説明して、市場関係者はもとより、広く都民や消費者に不安を抱かせないようにしていただきたいと思います。
 土壌汚染対策工事が完了して市場用地の安全性が確認された今、重要なのは、今後の安全・安心に対する都民の信頼をいかに得ていくかでございます。具体的には、市場用地におけるリスク管理を確実に実施するとともに、その内容を広く都民や消費者へわかりやすく丁寧に伝えて理解してもらう、これが何よりも安心につなげていくことになると思います。
 都は、こうしたリスク管理の一環として、対策工事の完了以降、地下水のモニタリングや地下水管理システムによって永続的に徹底したリスク管理を行うと説明をされています。
 そこで、現在実施している地下水のモニタリングの状況について伺います。

○若林基盤整備担当部長 土壌汚染対策工事完了後、土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインに定められた手法に基づき、昨年十一月から地下水のモニタリングを年四回実施し、その結果をホームページ等で公表してまいりました。いずれの結果も、各街区に設置した二百一カ所の観測井全てにおいて、土壌汚染対策法における地下水基準を満たしたものでございました。
 引き続き、地下水管理システムが稼働する開場までの期間、地下水のモニタリングを継続して実施し、その結果については速やかに公表して、都民や市場関係者の安心につなげてまいります。

○栗林委員 現在のところ、地下水のモニタリング結果は、全ての箇所で地下水基準を満たしているということでございます。都は、こうした客観的事実に基づく結果を速やかに公表はしていますけれども、リスク管理を行う上で大変重要なことでございます。
 地下水管理システムについて確認をさせていただきたいと思います。
 地下水管理システムについては、既に整備工事に着手したと聞いておりますけれども、改めてその具体的な内容について伺います。

○若林基盤整備担当部長 地下水管理システムは、地下水管理により地下水位を一定に保つことが重要との専門家会議の提言を受け、それを踏まえた技術会議において、敷地全体にわたり地下水位を常時監視制御する最先端のシステムとして構築するとされたものでございます。
 具体的には、地下水の水位を、APプラス一・八メートルから、上限はAPプラス二メートルの管理水位以下に維持するため水位計を設置し、水位が上昇した場合には、揚水ポンプを稼働させるとともに、水質についてもモニタリングを継続的に実施するものでございます。
 井戸の配置については、市場施設の配置を考慮した上で、長雨や集中豪雨等に対応できる位置、能力を算定し、三つの街区合わせて、五十八カ所の揚水井戸と二十一カ所の地下水位観測井戸等を設置するものでございます。
 加えて、災害により、万が一、停電が発生した場合でも、システムの稼働に必要な非常用電源を確保するなど、都民や市場関係者の安心に資するよう機能の確保を図ってまいります。

○栗林委員 最先端の技術に基づく地下水の管理システムが、平常時だけではなく、災害時の非常時においてもしっかりとその機能を果たすということでございます。開場前、開場後を通じて、市場関係者はもとより都民や消費者の安全を確保するために、リスク管理の取り組みを確認させていただきました。
 安心を確保する取り組みでは、その取り組みについて理解してもらうことが重要であり、そのためには、都民や市場関係者とのリスクコミュニケーションを図っていくことが大事でございます。今まで我が党も、都に対して、たびたび要望してきたことではありますけれども、都民や市場関係者との情報共有というものをこれからはどのように図っていくか、改めて確認させていただきます。

○若林基盤整備担当部長 都が実施しました土壌汚染対策について、将来にわたって、広く都民や市場関係者に情報提供していくことは重要であり、開場後に稼働する地下水管理システムについてもリスクコミュニケーションに取り組んでまいります。
 具体的には、地下水質の監視箇所や頻度、降雨による地下水位の変動に応じた水位管理の方法のほか、災害による万が一の停電にも対応できる予備電源を備えていることなど非常時の対応策等について、市場関係者や都民代表、学識経験者等で構成する土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会やホームページ等を通じ、情報提供や意見交換を行ってまいります。また、地下水質の監視状況についても、引き続き広く情報提供して、都民や市場関係者の安心に資するよう、しっかりと取り組んでまいります。

○栗林委員 以上、質疑をさせていただき、二点確認させていただきました。一つ目は、豊洲市場用地における土壌汚染対策が適法な手続を経て実施され、無事に完了したということ、二つ目は、リスク管理の一環として、地下水モニタリングや開場後の地下水管理システムにより、引き続き万全な体制を図るとともに、リスクコミュニケーションの視点に立って、常に情報をオープンにしながら、都民、消費者や市場関係者と情報を共有していく、この二点確認をさせていただきました。
 やはり八百五億円という費用をかけた事業でございます。土壌汚染というマイナスを、ただ単にゼロにしたのではなく、プラスにしたという付加価値がそこで生まれたものがたくさんあると思います。そういったことも、この日本の技術によって完成したということを、自信を持って世界にも向けてPRをしていくことも大事ではないかと思います。
 また、今までの汚染対策の状況等、データとか、一般の私たち都民が理解するのは大変難しい言葉が多いので、やはり一言で安心が伝わるような、今後、開場に向けてキャッチコピーなど、そういったことも工夫をしながら、豊洲市場イコール安心、こういった対策をぜひ考えていっていただきたいと思います。
 先ほど小宮委員の方も触れていらっしゃいましたけれども、築地から豊洲に六百以上ぐらいの事業者さんが移転をされるのではないかと思いますけれども、決して希望に胸膨らませ喜んでいる方ばかりではございません。むしろ不安を抱えている方が多いと思います。やはり移転するには、新たな設備への投資、今までのお得意さんは、果たしてこれからもおつき合いしてくださるのだろうかとか、新たな顧客は開拓できるのだろうかとか、むしろ不安の方が多いのではないかと思います。相談体制も整えていただいているようではございますが、よりきめ細やかな、身に寄り添うがごとく相談支援、こういったこともしっかり図っていただきたいと思います。
 いよいよ豊洲市場は来年十一月に開場いたします。そのとき、都や市場関係者の皆さんが胸を張って堂々と自信を持って、誇りを持って、豊洲市場は生鮮食料品とともに皆様に安心を届ける市場ですと、そのように宣言することができる市場になっていただきたい、それを切に願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○尾崎委員 私の方からも、二〇一四年度中央卸売市場会計決算について質問します。
 最初に、豊洲市場について幾つか伺います。
 いただいた資料に、豊洲市場に係る当初事業費、執行済額及び見込み額では、当初の計画額が四千三百十六億円でしたが、見込み額も入れた事業費は五千八百八十四億円となっています。当初の一・四倍にもなっています。
 土壌汚染対策費の計画額、二〇〇九年二月ですが、五百八十六億円でしたが、事業費は八百四十九億円と大幅な増額になっていますが、その理由について伺います。

○若林基盤整備担当部長 土壌汚染対策費の主な増加理由でございますが、土壌汚染対策工事の実施に伴い、対策範囲を確定するために行った調査の結果により、処理する土の量が増加したこと、汚染土壌を処理する仮設土壌処理プラントで洗浄処理をした際に発生する残渣の量が増加したこと、及びその処分先が、東日本大震災の発生に伴い、セメント工場から管理型埋立処分地へ変更になったこと等に加え、地下水管理システムの施設整備費等の増加によるものでございます。

○尾崎委員 土壌汚染対策費の計画額が五百八十六億円でしたが、処理する土地の量がふえたから、最終的には八百四十九億円までかかってしまった。土壌を調べたら、ベンゼンやシアン化合物、ヒ素などの有害物質で高濃度汚染されていることがわかり、その対策費が二百六十三億円もふえてしまったということです。
 そもそも、食の安心・安全を最も確保しなければならない市場というものを東京ガス操業の跡地につくるということから、こうした費用の増加という問題が起きているということです。
 対策工事そのものも、談合疑惑がありながら入札を強行、当初の予定より洗浄処理費をふやしたり、法律に基づく帯水層底面調査を怠った調査報告書の提出、汚染も完全には除去しないなど、多くの問題を抱えた対策工事となりました。
 豊洲市場の土壌汚染対策の原因者負担として東京ガスへの負担、地下埋設物の撤去に係る費用負担について、現時点でどうなっていますか。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊洲市場用地における土壌汚染対策の原因者負担について、東京ガス株式会社は、平成十九年三月までに法令上必要な対策を完了していましたが、平成二十三年三月、都の申し入れに応じまして、社会的責任を果たすため、七十八億円を土壌汚染対策経費の一部として負担を行いました。以後、今日に至るまで、平成二十三年に同社と締結した費用負担に関する協定書に定めのない事項等が生じていないことから、同社に対し、土壌汚染に関する追加の費用負担を求める状況にはございません。
 地下埋設物の撤去に係る費用負担は、今後、平成十八年に同社等と締結した地下埋設物の取扱いに関する協定書の合意内容に基づきまして、同協定書で規定された項目以外の地下埋設物の撤去に係る費用について、東京ガス株式会社等に適切に負担を求めてまいります。

○尾崎委員 東京ガスの負担額は七十八億円ということです。この金額での合意が発表されたのは二〇一一年三月です。土壌汚染対策費が増加していったのはその後です。結果的に、原因者である東京ガスの負担額は、土壌汚染対策費全体のわずか九%にしかなりません。
 東京都は、深刻な土壌汚染があったにもかかわらず、高い価格で土地を購入しました。普通であれば、土壌汚染対策費用は、原因者である東京ガスの負担で行うべきものであり、そういう土地であれば、土地の購入費も、当然見直しがあるはずだったのではないでしょうか。
 地下埋設物については負担を求めていくということは、既に昨年もいっていたにもかかわらず、結果が発表されていません。
 二〇一四年度の建設費は二百八十三億円となっています。トータルの建設費については、二〇一三年三月の経済・港湾委員会において千五百三十二億円を見込んでいると答弁していましたが、今回提出された資料では二千七百五十二億円となっています。建設費が増加した理由は何でしょうか。

○佐藤施設整備担当部長 豊洲市場の建設費につきましては、都が整備することとなりました旧民間施設の整備費を加えて一千五百三十二億円を見込んでおりましたが、東日本大震災からの復興や経済復調による全国的な建設工事需要の高まりなどを背景といたします資材価格や人件費の高騰のほか、地中障害物の発生などによりまして、建設費を二千七百五十二億円に見直しているものでございます。

○尾崎委員 建設費について、いただいた資料を見ると、当初の計画額は九百九十億円です。今ご答弁がありましたように、旧民間施設の整備費を加えて千五百三十二億円だということですが、それでも、今後の見込み額を入れると、千二百二十億円も超えて二千七百五十二億円になっています。
 整備費の増加の主な要因の一つは、深刻な土壌汚染対策工事が完了していないにもかかわらず、建設工事着工したことによる経費の増大です。土地が法律的には汚染地のままとなり、汚染土が拡散しないように厳しい管理が義務づけられ、処分先も規制されます。そのため経費がふえることになりました。
 もう一つは、入札参加企業が、各工事に対して一つのグループ企業だけという問題があります。しかも、どのグループも土壌汚染対策工事の請負事業とほぼ同一です。落札金額は予定価格どおりです。ほかに請け負う企業、企業グループがなかったという一連の事態が工事費増大の要因になっている可能性があります。
 次に、二〇一四年度に実施した市場流通推計調査結果について、築地市場の結果はどうだったのでしょうか。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場流通推計調査は、東京都中央卸売市場から搬出される生鮮食料品等の搬出状況の実態を把握するものでございまして、卸売市場整備計画の策定などの基礎資料として、おおむね五年ごとに実施しているワンデー調査でございます。
 調査結果のうち、築地市場における搬出台数及び人数は、水産物部が四千七百八十七、青果部が一千二百十七の計六千四でございました。築地市場における搬出量を地域別に見ますと、水産物部では、二十三区は約四六%、多摩地区は約一〇%、都外が約四二%、青果部では、二十三区は約五三%、多摩地区は約一%、都外が三九%となっております。
 次に、搬出台数及び人数について業態別に見ますと、水産物部では、業務用が約三七%、専門小売店が約一九%、食料品スーパーが約一〇%の順となっており、青果部では、業務用が約三〇%、専門小売店が約二三%、食料品スーパーが約八%の順となっております。
 また、搬出台数及び人数を輸送手段別に見ますと、水産物部では、二から四トンの小型トラックが約二三%、軽自動車が約一八%、二トン未満の小型トラックが約一四%の順となっております。青果部では、ライトバン、ワゴンが約二五%、二から四トンの小型トラックが約一六%、二トン未満の小型トラックが約八%の順となっております。
 さらに、搬出台数及び人数を利用時間別に見ますと、水産物部では、七時台が約二三%、八時台が約二〇%、九時台が約一六%の順となっており、青果部においては、一時以前が約二一%、七時台が約二〇%、八時台が約一八%の順となっております。

○尾崎委員 市場流通推計調査結果について詳しく説明をしていただきました。今回の結果を見ると、築地市場の場合、搬出の時間帯別では七時、八時、九時台がピークとなっており、六千四台が総数ですけれども、その半数、三千三百六十二台をこの時間で使っている。二トンから四トンの小型トラックの利用が千二百九十七台で一番多いこともわかりました。水産物部の場合も七時、八時、九時がピークであり、最も多いのが二トンから四トントラックが千百二台、軽自動車が八百八十二台となっています。この結果から、築地市場は、近隣の飲食店や小売店を支える重要な役割を果たしていることが明らかになります。
 豊洲市場で確保されている搬出車両用が使用する六街区の駐車スペースは、施設整備計画では千二台となっており、ピーク時間帯の駐車スペースが不足します。さらに、車両の集中による物流コストの増大も同時に懸念されます。豊洲市場の整備は、今後も実態に合わせた再整備、追加負担が生じかねない状況であると考えます。
 次に、豊洲市場以外のほかの既存市場の施設整備費、大きい工事について、最近五年間ではどの程度かかっていますか。

○坂田財政調整担当部長 豊洲市場を除く市場施設の整備に関する工事請負費は、平成二十二年度は約八億九千六百万円、二十三年度は約十五億九千八百万円、二十四年度は約十八億八千万円、二十五年度は約十億八千四百万円、二十六年度は約二億八千七百万円でございます。

○尾崎委員 豊洲市場以外の市場施設に関する大きい工事費について、ただいま答弁をしていただきました。決算書を私も細かく見てみました。全ての建設改良費から豊洲市場分を除くと、例えば、二〇一四年度が二十八億円になります。毎年数十億円かかっています。二〇一五年度についても約二十億円以上予定されています。
 次に、羽田飛行場に新しくできた羽田鮮魚センター、築地場外市場など、民間流通事業者の進出について、どう認識していますか。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本年九月に開業した羽田鮮魚センターは、羽田空港を利用して、空輸を中心とした新たな流通の仕組みを構築し、全国の新鮮な魚介類を首都圏の飲食店や海外に向けて販売する民間の取り組みと聞いております。
 また、築地市場の場外市場は、食関連の多種多様な店舗が数多く集積し、市場と一体となって築地に活気とにぎわいをもたらしており、中央区では、築地市場移転後も、その活気とにぎわいを継承するため、場外に築地魚河岸を整備することとしております。
 一方、東京都の中央卸売市場は、都民の食生活の安定を担保、それから、都民の食の安全を確保、生産者、実需者がいつでも利用できる開かれた取引の場という公共的役割を担っております。都民の安定した食生活を実現する上で、中央卸売市場の役割は依然として重要であると認識しており、今後も、都の十一の中央卸売市場が連携して相互に補完しながら、その機能を発揮するとともに、市場関係者とも協力して市場の機能強化や活性化に取り組み、引き続き公共的役割を着実に果たしてまいります。

○尾崎委員 二〇一五年九月から始まった羽田鮮魚センターは会員制のようですが、市場流通との競争も激化することになるのではないでしょうか。また、築地場外市場は、今まで築地市場とともに歩んできたわけですが、場外に築地魚河岸ができれば、今まで築地市場で買っていた地元の小売店や飲食店の方たちは築地で済ませ、豊洲市場まで来ないリスクもあるのではないでしょうか。
 豊洲市場は、築地市場の取引先をそのまま引き継ぎ、物流機能を強化して新たな取引先をふやすことを目指していましたが、既に荷の流通経路の多様化が始まっていることが明らかです。加えて、これから少子高齢化、人口減少社会、成熟社会を迎え、かつアジア各国との競争の激化など、全体の荷が減少することが危惧されます。結果的に、巨大な物流センター化した負担が市場関係者に及ぶことを心配せざるを得ません。
 次に、企業債について伺います。
 企業債の今後の利息分について、仮に、それぞれ十年償還として計算した場合、どのように見積もられますか。

○坂田財政調整担当部長 平成二十六年度までに新規に発行した企業債について、平成二十七年度以降、償還期限内に発生する企業債利息の合計は約百三億円となっております。

○尾崎委員 二〇一四年度決算書と二〇一五年度の予算書をあわせてみると、豊洲市場の工事がほぼ完了する二〇一五年三月末での保有資金は四百七十億円ですが、企業債の残高は三千六百億円です。今後、企業債の償還に伴う企業債利息は百三億円かかるということもわかりました。来年度支払い予定が二百億円、さらには整備費の増加の可能性もあります。財源は、築地市場跡地の売却収入と国庫交付金を充てるということを以前から説明されていますが、豊洲市場以外の十の市場も、老朽化対策などの費用が今後もかかることがわかりました。
 また、豊洲市場の駐車場スペースの問題も新たになり、追加工事などが発生する可能性も明らかになりました。さらには、全体の荷、豊洲市場の荷も減少するおそれもあり、収益的収支の悪化が考えられます。
 築地市場の関係者からは、設備造作の撤去に関する原状回復の費用は、使用指定を受けている者の負担で行うという考えはおかしいという声も上がっています。
 こうしたことを考えると、二〇一六年十一月の開場先にありきで進めるのではなく、豊洲市場への移転計画は凍結し、市場関係者の要望、意見をよく聞き、納得と理解が得られるようにすることを求めて、質問を終わります。

○新井委員 食品への意図的な毒物の混入、いわゆる食品テロに関します未然防止についてお伺いしたいと思います。
 昨年の食品に関するニュースで一番衝撃を受けましたのは、冷凍食品の製造中に毒物を故意的に混入したニュースです。とても私も衝撃を受けました。事件後、食品安全管理、危機管理の対応に関して、国でも、抜本的な対応策について検討するために第三者委員会を設置し、最終報告に基づき対応策を進めたと伺っております。
 意図的な毒物混入というのは特殊性を持った事例でございまして、卸売市場関係者や食品衛生対策だけで防止することはとても困難であり、どのような対策をしたとしても、完全に防ぐことはできないと考えております。リスク管理を行うことや、日ごろからの信頼関係を構築することが最も重要だと思っております。
 そこで、食品テロが危惧される中、市場においては、食品の安全・安心を確保するためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。

○白川事業部長 市場におきましては、市場内に流通する食品の安全・安心を確保し、食品に関する事件、事故の未然防止を図るため、関係機関が連携し、市場業者の衛生管理の徹底を推進しているところでございます。
 中央卸売市場では、開設者として、東京都卸売市場整備計画に基づきまして、衛生対策上必要な施設整備を行うとともに、品質、衛生管理の適正化に向けた業務巡回調査や講習会の開催、パンフレットの作成、配布等を通じまして、市場業者の衛生意識及び自主管理の向上を図っております。
 また、福祉保健局市場衛生検査所では、食品衛生関係法令に基づきまして、日々、市場業者に対する監視、指導を行い、衛生面での取扱状況の確認や有害、不良な食品の排除に努めております。
 このような仕組みによりまして、市場における食品の安全・安心の確保を図っているところでございます。

○新井委員 先ほど講習会という答弁がございましたが、講習会では食品取り扱いについて実施しているということです。具体的には、市販されていたシラスにフグの稚魚が混入して回収されるケースが相次いだことについても出たということです。
 フグを販売するには毒部分の除去をする必要性がありまして、たとえ稚魚であっても、未処理で販売すると食品衛生違反になるということです。フグの専門家の方に聞いても、シラスに混入した程度の量なら、食べても健康に影響は出ないものだと聞いております。しかし、フグが見つかれば、法律上回収せざるを得えず、シラスを取り扱う業者については、大変、頭を悩ませたものだと聞いております。
 食の安全・安心に係ります問題については、いろいろと発生する可能性は随時あるわけでございます。そこで、中央卸売市場におきまして、食の安全・安心に係る事件、事故の発生に対してどのような対応を行っているのか、お伺いします。

○白川事業部長 万が一、市場において衛生上問題のある食品の流通が確認された場合には、問題をいち早く把握し、必要に応じて流通をとめるなど、被害を最小限に抑えることが重要でございます。
 このため、中央卸売市場においては、日ごろから関係機関との連携を密にするとともに、平成十五年度からは、都、卸売業者、仲卸業者から選任された安全・品質管理者、通称SQM、セーフティークオリティーマネジャーといっておりますが、これを各市場に配置し、食品に関する事件、事故情報を市場関係者間で迅速に共有できる体制を構築しております。
 さらに、事故等の発生時におきまして、市場関係者が迅速、適切な対応を行えるよう、食品衛生法に違反する食品等の市場内流通が判明した場合を想定した在庫調査や情報伝達等の机上訓練を定期的に実施し、危機管理対策を推進しております。
 中央卸売市場におきましては、今後とも、食品に関する事件、事故の未然防止及び発生時の被害拡大防止に係る対策を徹底し、都民の安全・安心な食生活を支えてまいります。

○新井委員 食品管理、衛生管理等に係る運用面でのキーポイントは、先ほど答弁でもございました安全・品質管理者、通称SQMだと思っております。中央卸売市場におけます商品による被害の発生時の連絡調整、また、食品の安全性を確保するための事業や、自主的な衛生管理や、環境保全の改善に関しまして、取り組みをしっかりと推進していただきたいなと思っております。
 次に、多摩地域で唯一の市場でございます多摩ニュータウン市場についてお伺いしたいと思います。
 多摩ニュータウンは、昭和四十六年から入居が始まりまして、その人口は、昭和五十五年に六万人、昭和六十年には十万人に達し、当時のまちは活況を呈したと聞いております。このような中、多摩ニュータウン市場は、昭和五十八年五月に開場し、以来、多摩地域唯一の中央卸売市場として、都民に野菜や果物等を安定的に供給する流通拠点となっております。そこで、本日は、このような歴史のある多摩ニュータウン市場に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、多摩ニュータウン市場について、最近の取引高の推移についてお伺いをいたします。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩ニュータウン市場の取扱高の推移でございますが、平成二十三年より、取扱数量及び取扱金額とも増加傾向にございます。
 具体的には、取扱数量は、平成二十三年の約一万六千トンに対しまして、平成二十六年には約二万三千トンに増加し、取扱金額も、平成二十三年の約三十三億八千七百万円に対しまして、平成二十六年は約五十一億四千三百万円に増加しており、取扱高は、近年、順調に伸びているところでございます。

○新井委員 多摩ニュータウン市場が順調に取引高を伸ばしていることはよくわかりました。開場から三十二年間の長きにわたり、都民に野菜や果物を安定的に供給し、今もなおその任を粛々と果たしていることに対し、多摩地域出身者として敬意を表したいと思います。
 さて、多摩地域には青果の民設民営地方卸売市場が四場あり、都民への生鮮食料品流通において大きな役割を果たしていると聞いております。そこで、民間市場の存在を踏まえて、多摩ニュータウン市場がどのような考え方で運営されているかは、多摩地域で生活を営む住民にとって重大な関心事でございます。
 そこで、多摩地域で生鮮食料品を安定供給するに当たり、都は多摩ニュータウン市場をどのように運営していくのか、見解をお伺いします。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご指摘のとおり、多摩地域の生鮮食料品流通においては、集荷力のある地方卸売市場が中心的な役割を果たしております。
 平成二十六年の取扱数量で見ますと、多摩ニュータウン市場が約二万三千トンに対しまして、国立市場、それから東久留米市場、八王子北野市場及び青梅青果市場の多摩地域全地方卸売市場の合計は約三十三万九千トンとなっており、多摩地域における中央卸売市場と地方卸売市場を合わせた全取扱数量の九三・六%を地方卸売市場が占めております。
 多摩ニュータウン市場は、多摩地域における唯一の中央卸売市場であり、これらの多摩地域の地方卸売市場とネットワークを形成し、相互に補完することによりまして、多摩地域の生鮮食料品流通を支えてまいります。

○新井委員 引き続き、多摩地域の住民に生鮮食料品を迅速かつ安定的に供給すべく、多摩ニュータウン市場と地方卸売市場とが手を携えながら努力を重ねていただくことを要望しまして、質問を終わりにします。

○田中(朝)委員 私からは、中央卸売市場の活性化についてお伺いをいたします。
 今、中央卸売市場を取り巻く環境というのは変化をし続けています。少子高齢化、ひとり暮らしの増加、産地直送など食品流通チャンネルの多様化、また、トレーサビリティーなど食の安全への意識、消費者のニーズの変化、またこれからは、先日のTPP合意による影響なども出てくるのではないでしょうか。十年、二十年前とは、中央卸売市場に望まれるものや期待されるものも激変をしています。また、市場の外の流通がふえて、卸売市場を経由する率がピークの六割ぐらいにまで減っている今、今後の中央卸売市場をどう活性化させていくかという観点から幾つかご質問をさせていただきます。
 まず、平成二十三年度に策定された第九次東京都卸売市場整備計画について、この計画は、平成二十三年度から二十七年度の計画期間ということは、今年度が最終年度ということになります。
 まず最初に、これまでの第九次東京都卸売市場整備計画の整備内容や進捗状況をお伺いします。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第九次東京都卸売市場整備計画は、平成二十三年度から平成二十七年度までを計画期間といたしまして、都民の食の安全・安心への期待に応える、生産者、実需者の多様なニーズに応えるなどの方針に基づきまして、都の中央卸売市場の機能強化等を図るとともに、東日本大震災を踏まえた卸売市場の災害対応力の強化等に取り組むこととしております。
 この計画に基づきまして、首都圏における生鮮食料品流通の中核を担う拠点として豊洲市場の整備を進めるとともに、各市場の特色や特性を生かした施設整備などを行っております。
 これまでの主な整備内容といたしましては、北足立市場などにおける品質管理の高度化に向けた施設整備、淀橋市場のリニューアル事業や大田市場の荷さばき場建てかえ工事などによる物流の改善や多様なニーズへの対応、それから非常用発電機の整備による災害対応力の強化に取り組んでおります。

○田中(朝)委員 それぞれの市場の特性や特色を生かした取り組みがいろいろ行われてきたということがわかりました。その中でも、大田区の大田市場で、一昨年、平成二十五年から、鮮度の高い魚を首都圏の消費者に提供するという目的で始まった、おおたの朝獲れ鮮魚事業というのが非常に好評と聞いています。
 この大田市場の朝獲れ鮮魚事業の実績及び評判はいかがでしょうか。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大田市場水産物部の朝獲れ鮮魚事業は、都と市場関係者が連携した市場の活性化に向けた取り組みの一つとして、平成二十五年度から実施している事業でございます。
 この事業では、産地の協力のもと、朝、小田原等で水揚げされました新鮮な魚をその日のうちに首都圏の飲食店等に試験的に販売することによりまして、継続的な取り扱いに向けた課題や今後の展開の可能性につきまして検証を行っております。
 平成二十五年度は、計四日間実施いたしまして、五キログラム箱で百八十六ケース、平成二十六年度は、計十五日間に拡大いたしまして、五キログラム箱で千五十ケースを販売いたしました。
 事業実施後のヒアリングにおいて、産地からは、地道な取り組みを継続することで漁師の理解も深まり、さらに協力が得られる、大田市場関係者からは、実需者の認知度が高まってきたことから、定期的に実施することで市場に根づいていくといったように、取り組みの継続について前向きな意見が多く寄せられたところでございます。

○田中(朝)委員 産地の漁師さんからも、また大田市場の関係者の方々からも継続希望の声があり、また、もちろんこれは一般消費者にとっても喜ばれる取り組みとして、この朝獲れ鮮魚事業というのは大きく評価できるのではないかと思います。
 さて、この朝獲れ鮮魚事業を実施している大田市場のすぐ近くで、先ほど尾崎副委員長の方からもちょっとお話がありましたけれども、羽田空港第二ターミナルのそばの航空貨物ターミナル施設内に、先日、先月の九月二十九日に民間の羽田鮮魚センターが開設されました。この羽田鮮魚センターは、全国各地から空輸、空輸だから羽田空港内にあるのですけれども、空輸を中心として集まる鮮魚を仕分けや加工して、オンラインマーケット--羽田市場というマーケットです--を通じて首都圏の飲食店に販売する新しい流通プラットホームで、これからアジアなどにも輸出販売をしていくということです。
 朝とれた新鮮な魚、これは全国の漁場でとれた新鮮な魚が、関東近県では、国道一六号線の内側であれば、その日の午後三時から四時ぐらいには飲食店に届けられるということです。
 現在、まだ始まったばかりですけれども、契約している全国の漁業者は三百人、会員の飲食店は約千件、羽田の地の利を生かして、長崎県産と北海道産など産地の異なる鮮魚を一尾ずつから詰め合わせることができる。場所もこの大田市場から近く、また同じく新鮮な魚を提供している朝獲れ鮮魚事業を始められた大田市場にとっては、非常に大きな競合になるといえるのではないかと思います。
 まだ始まったばかりではありますけれども、非常に評判がよくて、今、需要を受け切れないという状況だそうですけれども、この羽田鮮魚センターですけれども、このような民間との競合にさらされる大田市場は、これに対し、これからどのように取り組んでいかれるのか。また、今後、こういった民間との競合というのがどんどんいろいろなところでふえていくと思いますけれども、これに対する中央卸売市場としての戦略をお伺いいたします。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本年九月に開業した羽田鮮魚センターは、羽田空港を利用して、空輸を中心とした新たな流通の仕組みを構築し、全国の新鮮な魚介類を首都圏の飲食店や海外に向けて販売する民間の取り組みであると聞いております。
 一方、東京都の中央卸売市場は、都民の食生活の安定を担保、それから都民の食の安全を確保、生産者、実需者がいつでも利用できる開かれた取引の場という公共的役割を担っております。
 卸売市場経由率は近年低下しておりますが、青果、水産物で水産物の約五割から六割が卸売市場を経由しており、都民の安定した食生活を実現する上で、その役割は依然として重要であると認識しております。
 大田市場水産物部では、平成二十四年度に策定した経営戦略に基づき、朝獲れ鮮魚事業のほか、仲卸業者と地域の鮮魚店や飲食店が協働した取り組みを行っており、引き続き、市場関係者と連携しながら市場の活性化を図ってまいります。
 今後も、都の中央卸売市場は、十一の市場が連携して相互に補完しながら、その機能を発揮するとともに、市場関係者とも協力して市場の機能強化や活性化に取り組んでまいります。

○田中(朝)委員 この羽田鮮魚センターに関して、私はこの質問の準備等のために理事者の方とお話ししているときに、お話しした方、数名いらっしゃいましたけれども、どなたもご存じなかったですね。こういった情報を入れるということもきちんとやっていかないと、もう対抗できないのではないかと思います。
 こうした民間の同じような仕組みとの競合、それに加えて、冒頭にも申し上げたとおり、産地直送などの食品流通チャンネルの多様化などで卸売市場を経由する率はピークの六割まで減っている、こういった現在こそ、中央卸売市場の今後のあり方については真剣に考えていかなければならないのではないかと思います。
 そこで、中央卸売市場のメーンである水産物、また青果物の取扱量及び取扱金額の近年の傾向についてお伺いをいたします。

○白川事業部長 平成二十六年の中央卸売市場の水産物、青果物の取扱数量及び取扱金額についてですが、水産物では、取扱数量が約四十七万九千トンと、対前年比較で約三万五千トン減少いたしました。取扱金額では、約四千六百二十二億七千三百万円と、対前年比較で約百三十三億二千七百万円増加いたしました。
 青果物では、取扱数量は約二百七万七千トンと、対前年比較で約三千トン増加し、ほぼ横ばいの状況でありました。取扱金額では、約五千四百十億六千九百万円と、対前年比較で約九十三億九千九百万円増加をいたしました。
 水産物の過去五年の取扱数量は減少傾向にありますが、取扱金額は、天候に左右されやすい生産地の出荷や流通量、景気の影響等によります単価の変動で増減はあるものの、近年は増加傾向を示しております。青果物では、過去五年の取扱数量は小幅な増減はありますが、ほぼ横ばいでございまして、取扱金額は、水産物と同様に、増減はあるものの、近年は増加傾向を示しております。

○田中(朝)委員 今のご答弁で、近年は、取扱量がちょっと減少傾向、取扱金額が増加傾向ということでした。ここのところ、少し景気が持ち直しているということも関係していると思われます。
 この取扱量、また取扱金額も非常に重要だと思いますけれども、同時に、この市場の業者さんの経営がうまくいっているか、いっていないかというところが、また同じように非常に重要だと思いますけれども、水産物、青果物の市場業者さんの経営状況の傾向についてもお伺いをいたします。

○白川事業部長 初めに、卸売業者の経営状況についてでございますが、平成二十五年度決算では、水産物部、青果部ともに、取扱数量は減少いたしましたが、売上単価が上昇したことなどによりまして売上高が増加し、それぞれ増収増益となっております。
 さらに、過去五年間の赤字事業者数を見ますと、水産物部では、一者から三者の間で変化をしてまいりましたが、平成二十五年度では赤字事業者はなくなり、また、青果部では、一者から二者の間で推移をしておりましたが、平成二十五年度では一者に減少し、それぞれの経営状況は、若干ではありますが、回復基調にあると考えております。
 次に、仲卸業者の経営状況でございますが、過去五年間の赤字事業者の割合は、水産物部では、おおむね四割から六割の間で推移しておりまして、最近二年間ではその割合は減少傾向にありまして、平成二十五年では三九・九%となっております。また、青果部でも、おおむね三割から五割の間で推移し、直近二年間ではその割合は減少傾向にあり、平成二十五年では三四・〇%となっております。
 このように、仲卸業者の経営状況は改善方向に向かいつつありますが、依然として三割から四割の事業者は赤字経営を行っており、厳しい状況であると考えております。

○田中(朝)委員 特に仲卸業者さんの経営状況が比較的厳しいということになると思います。
 また、もう少し長い期間で水産物、青果物の取扱量の推移を見てみますと、ピークである三十年ほど前のバブルのころ、これ、ピークは昭和六十二年のようですけれども、比べると、現在は六割から七割程度にまで落ち込んでいることがわかります。景気の動向だけを頼りにして、このままの形で各中央卸売市場を続けていくと、間違いなく、いずれは統合再編ということになりかねません。取扱量がピークの半分になったら、単純に二つの市場を一つにまとめればいいということになります。
 実際、横浜市では、二カ所あった横浜市中央卸売市場の一つである横浜南部市場が、ことし三月三十一日に廃止となり、もう一つの横浜市中央卸売市場本場へ統合されています。今、南部市場は、民間による加工、配送、流通の場になって、あと民営地方卸売市場も行われているということですけれども、今のままでいると落ち込んではいくと思いますけれども、しかし、まだまだ時代に合わせた対応をしていくことによって、中央卸売市場の持つ利点が生かされる余地はあるのではないかと考えます。
 そこで、市場活性化策としての都の基本的な考え方と具体的な取り組みについてお伺いします。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の中央卸売市場は、首都圏の基幹市場としての役割を担っている市場や、地域のニーズに対応した役割を担っている市場など、それぞれ特色を有しております。こうした各市場の特色を最大限に生かせるよう、第九次東京都卸売市場整備計画に基づく市場の整備を着実に進めるとともに、市場関係業者の意欲的な取り組みの支援を行っていく必要があります。
 このため、都は、経営活性化支援事業により、仲卸業者や売買参加者の団体等による市場活性化につながる経営上の業務改善や販路拡大に向けた活動などの先駆的な取り組みに対する支援を行っております。また、足立市場や大田市場水産物部等において、都と市場関係業者が一体となって卸売市場としての経営戦略を策定し、その実現に向けた取り組みを実施しているところでございます。

○田中(朝)委員 都も、さまざまな活性化策として具体的な取り組みをしているということがわかりました。しかし、これからは時代の変化や状況に合わせた対応をしていくために、従来の慣習的な意識や行動を変えて、新しい試みを積極的にしていくことが重要であると思います。
 例えば、市場の差別化を図って、この市場でしか手に入らないものを扱ったり、また、いろいろな形でブランド化をしていったり、また、これは九州の四つの市場で行われているわけですけれども、卸がインターネットマーケットで提携をして共同仕入れをしています。また、市場によっては、第三セクターの運営、これは高崎市の総合卸売市場で成功しています。また、先ほど申し上げた南部市場のように民間市場にするという、あらゆる可能性を排除せずに、いろいろな角度からの活性化を図っていくべきと考えます。
 また、別の面からの活性化策としては、市場を都民に身近なものにしていく努力も必要なのではないでしょうか。多くの人が市場にかかわれるようにすることで、より一層の活性化が図られると思います。
 都民にとって市場を身近に感じてもらうための都の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。

○野口管理部長 卸売市場が地域に根づき円滑に業務を行うためには、都民に中央卸売市場の持つ機能や役割を理解していただくことが重要であると考えております。
 このため、都では、年間を通し、市場まつりや食育に関する講習会、市場見学会を実施し、都民と卸売市場との交流を深める機会を確保してまいりました。また、市場の仕組みを解説したパンフレットの配布やホームページ等の活用により、卸売市場に関するさまざまな情報を広く都民に提供してまいりました。
 具体的に、平成二十六年度におきましては、大田市場など十市場で市場まつりを開催したほか、築地市場など六市場で食育講習会等を延べ二十四回開催し、約六百人の参加を得ました。また、学校の社会科見学を含む約五万八千人の見学者を受け入れてまいりました。さらに、市場の機能や役割をわかりやすく伝える観点から、新たに小学校高学年向けのDVDを作成し、学校等へ貸し出すなどの活用を図っているところでございます。
 今後も、こうした取り組みを引き続き実施し、市場を身近に感じ、関心を持っていただくための取り組みを進めてまいります。

○田中(朝)委員 聞くところによりますと、足立市場では、市場関係者が有志で、二カ月に一回、魚を一般の都民でも購入できるようにしているということを聞いています。また、淀橋市場では、近くにある戸山団地の店舗が撤退してしまって、高齢化した団地の住民が都心部にいながら買い物難民になっているということから、淀橋市場の関係者の方々が生鮮品を積んだトラックで戸山団地を回り、買い物支援をしているということもお聞きしています。こうした市場関係者による自主的な活性化策も、都として積極的に支援をしていくべきではないでしょうか。
 冒頭に第九次東京都卸売市場整備計画についてお伺いをいたしましたが、次の五年間、第十次整備計画では、市場の機能をどうするかということだけではなくて、市場そのものが存続するかどうかという危機に立っているという認識もぜひ持っていただきたいと思います。
 流通チャンネルの多様化という状況下でも、これからも市場が重要な役割を果たしていけるよう、時代の変化を先取りして対応しながら、多面的な活性化を図っていくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小松委員 では、私から質問させていただきたいと思います。
 先ほど来、話もありました第九次東京都卸売市場整備計画ですが、これを東京都は策定されまして、都民の生活に必要な生鮮食料品などの流通を確保するため、市場施設の整備、維持管理などの事業を行っています。
 しかし、近年、生鮮食料品は、市場外流通がふえるなど流通の形態が多様化しまして、卸売市場を取り巻く状況は厳しさを増しています。
 このような現状のもとですが、この第九次整備計画の基本的な考え方について確認したいと思います。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年、生鮮食料品等の流通構造は、出荷団体の大型化、量販店のシェア拡大、業態の多様化、大口需要者による産地との直接取引などの流通チャンネルの多様化などに伴い、大きく変化しております。このような流通構造の変化に加え、加工品や輸入品といった卸売市場を経由することが少ない物品の流通の増加などを背景といたしまして市場外流通が増大し、市場経由率は低下傾向にございます。
 こうした卸売市場を取り巻く環境の急激な変化を踏まえまして、東京都は、平成二十四年一月に、第九次東京都卸売市場整備計画を策定いたしました。この計画では、都民の食の安全・安心への期待に応える、生産者、実需者の多様なニーズに応える、市場の活性化を図る、財政基盤を強化するの四つを中央卸売市場整備の方針として示すとともに、地方卸売市場の機能強化や、東日本大震災を踏まえた卸売市場の災害対応力の強化などにも取り組むこととしているところでございます。

○小松委員 それでは、取扱金額と数量について確認したいと思います。
 生鮮食料品の各部類と花きの取扱数量及び取扱金額、ここ三年間どのように推移しているか。また、生鮮食料品の二〇一四年の取扱数量は、ピーク時と比較してどのような状況になっているのか、お伺いします。

○白川事業部長 生鮮食料品の各部類と花きの平成二十四年から平成二十六年の取扱数量及び取扱金額の推移を見ますと、水産物部は、取扱数量は毎年減少し、減少傾向でございますが、取扱金額は逆に毎年増加し、増加傾向を示しております。
 青果部では、取扱数量は小幅な増減はしておりますが、ほぼ横ばい傾向でございます。取扱金額は毎年増加し、増加傾向を示しております。
 また、食肉部においては、取扱数量も取扱金額も毎年増加し、増加傾向にありまして、特に取扱金額の増加が大きいところでございます。
 花きにおきましては、取扱数量も取扱金額も、毎年わずかながら減少し、減少傾向となっております。
 次に、生鮮食料品の平成二十六年の取扱数量とそれぞれのピーク時との比較でございます。
 水産物部については、昭和六十二年がピークで約八十九万トンでありましたが、平成二十六年では約四十七万九千トン、率にしてピーク時の約五三・九%となっております。
 青果部については、水産物部と同様に、昭和六十二年がピークで約二百九十三万三千トンでありましたが、平成二十六年では約二百七万七千トン、率にしてピーク時の約七〇・八%となっております。
 また、食肉部については、平成元年がピークで約十二万四千トンでありましたが、平成二十六年では約八万七千トン、率にしてピーク時の約七〇・二%となっております。

○小松委員 生鮮食料品の取扱数量は、ピーク時と比較した場合、水産物、青果物、食肉、どれをとっても減っていますが、特に水産物の減少は、ピーク時と比べて五三・九%と著しいものがあります。
 事業者数も減少しているのではないかと思うところですが、二〇一四年度の水産物事業者数とその数の推移について、いかがなものか、お伺いします。

○白川事業部長 水産物部三市場の事業者数は、平成二十七年四月一日現在で、卸売業者が十者、仲卸業者が七百三十六業者、売買参加者が三百六十二業者でございます。
 五年前からの推移を見ますと、卸売業者が平成二十三年から二十四年にかけて二者減少したほか、仲卸業者は、年間十業者から三十業者程度減少し、平成二十二年に比べ百十二業者減少いたしました。また、売買参加者も毎年減少を続けておりまして、平成二十二年に比べ三十五業者減少しております。

○小松委員 事業者数もかなり減ってきていることがわかりました。高齢化や後継者問題などもあると思いますが、豊洲への移転が近づく中で、廃業する事業者も少なくないと聞いています。
 また、市場外流通に回る分がふえているにしても、魚の消費量自体が全体的に減っていることは明らかです。水産庁が公開しているデータで見ますと、日本人は世界で一番、水産物の一人当たり消費量が多いわけですが、厚労省の調査によれば、日本の消費者は魚離れが進行しておりまして、二〇〇九年に魚と肉の消費量が逆転して以来、肉が魚を上回る消費動向が続いています。人口も減っていく中で、魚の消費が今後大きく増加することにはならないと考えます。
 しかし、けれども、今、和食が無形文化遺産に登録されたことで、魚を食べる食文化が日本の中で見直されている部分はあり、この業界が直ちに衰退していくとは思いません。その意味で、市場を活性化するための事業者支援は非常に重要だと考えます。
 築地市場が豊洲に移転するに当たり、業者に対して、準備のための財政的支援や営業上の支援など、先ほども質疑がありましたが、都がサポートに取り組んでおられると聞いています。しかし、築地だけでなく、どの市場でも、仲卸業者は中小規模ないしは零細規模の事業者がほとんどであり、営業を継続するためにさまざまな支援を必要としていると考えます。
 そこで、仲卸業者に対して、都はどのような支援策に取り組んでおられるのか、お伺いいたします。

○長田移転支援担当部長 仲卸業者は、市場で取引される物品の評価や分荷を担う中央卸売市場における中心的な役割を担っていることから、市場の活性化を推進していく上では、仲卸業者がみずから経営基盤を強化していく取り組みが重要であると認識しております。
 このため、都ではこれまで、公認会計士などの専門家が仲卸業者に対する経営上のアドバイスを行う経営相談事業や、仲卸業者の団体が開催する研修会に都が講師を派遣する事業を実施してまいりました。
 また、仲卸業者の団体が経営上の業務改善や販路拡大に向けた取り組みを企画実施する場合に費用の一部を都が補助する経営活性化支援事業を平成二十一年度から実施しております。この補助事業を活用して、平成二十六年度には、マーケティングやフラワーデザイナーなどの専門家を招いて勉強会を開催して仲卸業者のスキルアップを図る事業など、九件の先進的な取り組みに対して支援を行いました。

○小松委員 世の中一般の中小企業や零細企業、家族営業などと同様の課題を仲卸業者も抱えているということです。市場を取り巻く環境が変わり、市場に求められる機能も、今、変質しつつあるときですが、業者をサポートして卸売市場全体の活性化に努めていただきたいと思います。
 続きまして、環境、特にごみ問題についてお伺いしたいと思いますが、市場施設内の環境対策として、廃棄物の対策に二〇一四年度はどのように取り組んだのか、お伺いします。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十六年度に都の中央卸売市場から発生した廃棄物の総量は約四万トンであり、その内訳は、輸送中の荷傷みや、商品の小分け、加工等によって発生する野菜くずや魚のあらなどの一般廃棄物が約七割、輸送に利用された木製パレットや使用済みの発泡スチロールなどの産業廃棄物が約三割となっております。
 都は、市場関係業者と協力いたしまして、食品リサイクル法及び容器包装リサイクル法などの趣旨にのっとりまして、廃棄物発生抑制及び食品廃棄物の包装資材などのリサイクルに取り組んでおります。
 各市場では、業界団体が運営主体となりまして、使用済みの発泡スチロールを溶融固化し、プラスチック製品の原料とするほか、青果部では、野菜くずなどをバイオマス発電や飼料の資源として活用し、また水産物部では、マグロの頭などを飼料として再利用するなど、さまざまな取り組みを行っております。
 また、都は、リサイクルを推進する観点から、発泡廃棄物及び木製パレットについて、業界団体が行う再生処理に要する費用の一定割合を補助するとともに、発泡廃棄物など処理施設などの導入に対する補助を行っております。
 今後とも、都は、市場関係業者と協力し、廃棄物の一層の削減及びリサイクルの推進を図ってまいります。

○小松委員 廃棄物の削減策として、リサイクルに力を入れて取り組んでおられることを今確認しました。
 先日、築地市場の中を視察させていただきましたが、生臭さや不快なにおいを感じなかったのは、衛生管理が行き届いているんだなと安心したところです。それでも、カラスなどの鳥あるいは小動物を目撃したという話も聞いています。生ごみの処理が適切になされるよう、これからも環境対策の取り組みを徹底させていただきたいと思います。
 続きまして、牛肉の安全対策の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 食の安全対策として、牛肉のBSE検査と放射性物質検査についてどのように実施してきたのか、お伺いいたします。

○金子市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 牛肉のBSE検査については、福祉保健局は、四十八カ月齢を超える牛及び生体検査において、と畜検査員が必要と判断した牛について検査を行っておりまして、平成二十六年度は百九十四頭の検査を行いました。
 牛肉の放射性物質検査につきましては、芝浦と場でと畜した全ての牛について、中央卸売市場、福祉保健局、卸会社が協力いたしまして検査を実施しており、平成二十六年度は九万八千九百九十六頭の検査を行いました。
 平成二十六年度におけるBSE検査で陽性となった牛はおりません。また、平成二十六年度における放射性物質検査で基準値を超えた牛も、またおりません。

○小松委員 国産牛肉の安全と安心を確保するため、BSE検査と放射性物質検査は欠かせないものです。今後もこの検査は継続していただくよう求めます。
 卸売市場について消費者の立場から考えてみますと、私自身も、市場を介さない産地直送型で生鮮食料品を購入しておりますが、これは、食の安全のためには流通過程での透明性が必要であり、トレーサビリティー、追跡可能性のしっかりしたものを選択しているからです。先ごろのTPP合意に基づく事項による影響を、当然、今後は受けることになるとは思いますが、今後の卸売市場のあり方を考えるとき、このような消費の仕方も消費者のニーズとして捉えていただきたい、検討課題にしていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。

○崎山委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○崎山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 以上をもちまして、第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時四十一分散会

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