平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十七年十月二十六日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長崎山 知尚君
副委員長栗林のり子君
副委員長尾崎あや子君
副委員長田中たけし君
小林 健二君
堀  宏道君
小松 久子君
ほっち易隆君
田中 朝子君
新井ともはる君
小宮あんり君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長武市  敬君
技監石山 明久君
総務部長浜 佳葉子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長矢部 信栄君
港湾経営部長古谷ひろみ君
港湾経営改革担当部長蔵居  淳君
臨海開発部長山口 祐一君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務原   浩君
営業担当部長有金 浩一君
港湾整備部長小野 恭一君
計画調整担当部長角  浩美君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長神山 智行君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について
港湾局関係
・平成二十六年度東京都臨海地域開発事業会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都港湾事業会計決算(質疑)

○崎山委員長 ただいまから平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、港湾局長から幹部職員の紹介があります。

○武市港湾局長 去る十月二十三日付で当局の幹部職員に異動がありましたので、ご紹介させていただきます。
 企画担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長と兼務となりました中村昌明でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○崎山委員長 紹介は終わりました。

○崎山委員長 次に、決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都臨海地域開発事業会計決算及び平成二十六年度東京都港湾事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浜総務部長 十月十六日開催の当分科会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり九項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。臨海地域開発事業会計における公共用途での土地処分実績でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの五年間における土地処分の実績について、それぞれ用途、面積、金額を掲載しております。なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は百万円で掲載してございます。
 二ページ目をお開き願います。臨海地域開発事業会計における資金運用益の推移でございます。
 預金運用益について、平成二十二年度から二十六年度までの五年間における実績及び預金期末残高を百万円単位で掲載してございます。
 なお、債権運用益につきましては、二十二年度以降、実績なしとなっております。
 三ページをお開き願います。臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの五年間における土地処分の実績について、各年度の面積、金額及び実績の内訳を掲載しております。なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は百万円で掲載してございます。
 四ページをお開き願います。臨海副都心地域を除く埋立地の土地処分実績でございます。
 こちらも前ページと同様に、平成二十二年度から二十六年度までの五年間における土地処分の実績について、各年度の面積、金額及び実績の内訳を掲載しております。なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は百万円で掲載してございます。
 五ページをお開き願います。株式会社東京臨海ホールディングスの当期純利益等の推移でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの五年間における、縦の欄にございます四項目、当期純利益、現金及び預金の期末残高、投資有価証券の期末残高、長期借入金の期末残高を百万円単位で掲載してございます。
 六ページをお開き願います。東京テレポートセンターに対する臨時駐車場の延べ貸付面積及び貸付料でございます。
 平成二十四年度から二十六年度までの三年間における延べ貸付面積及び貸付料を掲載しております。なお、単位につきましては、面積は平方メートルで、金額は千円で掲載してございます。
 七ページをお開き願います。埋立土の受け入れ量、主な搬入元、受け入れ収入額の推移でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの五年間において、受け入れ土量の搬入元を都及び都以外に区分いたしまして、それぞれの受け入れ土量及び合計、受け入れに伴う収入額を掲載しております。なお、単位につきましては、土量は千立方メートルで、金額は百万円で掲載してございます。
 八ページをお開き願います。臨海関係第三セクターのビル入居率の推移でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの各年度末におけるビルごとの入居率をパーセンテージでお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。臨海副都心用地の長期貸付等に係る賃貸料収入の推移でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの賃貸料収入を百万円単位で掲載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○崎山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 平成二十六年度の会計決算に関して、臨海副都心MICE拠点化推進事業について質問をさせていただきます。
 都では、臨海副都心のMICE、国際観光機能等の充実に資する事業に補助金を交付するMICE拠点化推進事業を平成二十四年度に創設し、二十六年度までの三年間、実施をしてまいりました。
 臨海副都心は、東京の競争力強化と日本の経済成長を牽引する国際的な戦略拠点として発展可能な重要な地域であります。東京がアジア諸都市との厳しい競争を勝ち抜くためには、臨海副都心ならではの特色ある開発を進めることが必要であります。
 MICE、国際観光拠点化を推進していくためには、MICE施設の充実、ホスピタリティーの向上が欠かせません。そのためには、都のみならず、民間事業者も含めた多様な主体による知恵と努力の結集が必要であり、臨海副都心におけるMICE、国際観光拠点化を推進する補助制度の充実が極めて重要であります。
 MICE施設についていえば、東京ビッグサイトなどで開催される大規模な会議には必ず分科会が伴うものであり、それを開催するのに十分な会議場が必要であります。
 そこでお伺いしますが、都は、分科会ができる会議場の整備をどのように進めてきたのか、お伺いをいたします。

○有金営業担当部長 平成二十四年度から開始した補助制度では、MICE機能の充実を一つの柱としており、これまでの三年間で、TOC有明、ホテルグランパシフィックLE DAIBAに各一つ、旧ホテル日航東京であるヒルトン東京お台場に二つの計四つの会議場の整備に対し支援を行いました。
 具体的には、TOC有明には、これまで臨海副都心に不足をしていた、五百人を超える会議の開催が可能な一千平方メートル以上の中規模会議場として、すぐれた遮音性と高いセキュリティーを持つWiFi通信環境を備えた会議場が整備をされました。この会議場では、平成二十四年十二月の事業開始から、東京ビッグサイトと連携した会議など三百四十九件の利用がございました。
 また、ホテルグランパシフィックLE DAIBAでは、レインボーブリッジや東京タワーなど東京の観光名所を一望できる眺望を生かしたホテルの高層階に会議場を整備し、海外からのインセンティブツアーなど、平成二十五年二月の事業開始から、三百七十件の新たな利用がございました。さらに、海外からの参加者二千人を含む六千人規模の国際水協会世界会議の誘致にも寄与したと聞いております。
 なお、ヒルトン東京お台場の会議場につきましては、平成二十六年度の補助事業で整備し、本年四月からの稼働となっております。

○ほっち委員 国際会議の誘致には、会議場の充実が重要であることがわかりました。さらに、会議の参加者やその家族の多くは、会議の開催期間中、その地域に滞在をするため、不自由なく過ごせるような環境の整備が必須であります。その地域のホスピタリティーの充実も大きな要素となります。
 こうしたことから、多言語環境を整備することは、国際会議の誘致につながるほか、外国人来訪者の利便性向上にも大きな効果があると考えます。
 特に、ICTの普及に伴って活用が広がっていますタッチ式デジタルサイネージは、多言語により来訪者が必要とする情報を自分で選んで取得することができ、大変有効なツールだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○有金営業担当部長 外国人来訪者への多言語対応の取り組みとして、補助制度を活用して、デジタルサイネージでの情報提供に取り組んでおります。具体的には、観光情報や、日本食など飲食店の情報を提供する多言語対応のタッチ式デジタルサイネージを、ホテル、商業施設、「ゆりかもめ」の駅などに七台が整備され、情報を自分で選んで取得することができるなど、外国人来訪者の利便性を向上させたと評価しております。
 ことし二月の春節の際には、中国などからの多くの来訪者がございましたが、ホテルに設置してあるデジタルサイネージの中国語の利用が通常の三倍となるなど、多くの方に利用され、大変喜ばれたと聞いております。
 また、災害の発生時には、このデジタルサイネージを活用し、災害情報や避難情報などを多言語で表示するなど、外国人来訪者への的確な情報提供が可能となっております。

○ほっち委員 観光情報を多言語で提供するだけではなくて、災害時にも活用できるということです。災害対応という面でも、臨海副都心が先進的に多言語環境の整備に取り組んでいるというのは大変心強いことだと思います。
 このデジタルサイネージの整備は、順次、各施設が整備を進めており、今年度も新たに整備をする施設があると聞いています。引き続きこの取り組みを継続していただきたいというふうに思っております。
 臨海副都心が世界に伍するMICE、国際観光拠点となるためには、会議に来た人たちがより楽しめるまちにしていくことも重要であります。MICEに先進的に取り組んでいるシンガポールやマカオでは、ホテルでのエンターテインメントショーや噴水を使ったショーなど、多くの人々が楽しめる工夫がなされております。
 そこでお伺いいたしますけれども、臨海副都心においては、来訪者の方々に楽しんでいただく取り組みとしてどのようなことを行っているのか、お伺いをいたします。

○有金営業担当部長 臨海副都心では、平成二十六年度までに、お台場海浜公園からシンボルプロムナード公園に至る約二キロメートルにわたるイルミネーションが補助制度を活用して整備されました。加えまして、東京ビッグサイトでは、壁面を使った、常設としては国内最大規模のプロジェクションマッピングに取り組み、特に注目を集めております。こうした取り組みは、新たな観光資源としてメディアでも大きく報道され、臨海副都心を訪れる多くの人々に好評を博しております。
 なお、東京ビッグサイトでは、今週末から、東京モーターショーの開催に合わせ、期間中にしか見られないプロジェクションマッピングを実施する予定となっております。

○ほっち委員 MICE拠点化推進事業は、民間事業者の創意工夫を引き出すことに成功し、各施設がMICE施設の充実や多言語対応、新たな観光資源の創出に取り組んだことで、まち全体の魅力アップ、ひいては臨海副都心のブランド力の向上に寄与しているということがわかりました。
 最後に、MICE拠点化推進事業を三年間実施してきて、臨海副都心全体の発展にどのような効果をもたらしたのか、お伺いをいたします。

○有金営業担当部長 三年間の取り組みによりまして、MICE機能の充実や多言語環境の整備が、多くの国際会議や展示場などの誘致に結びつき、ビジネス、観光などによる外国人の来訪者が増加をしております。
 また、先日、産業労働局が発表いたしました平成二十六年度国別外国人旅行者行動特性調査によりますと、都内を訪れた外国人来訪者の約三割が臨海副都心を訪問しており、韓国や台湾、インドネシアの旅行者からは、満足した場所として臨海副都心を上位に挙げております。
 こうしたことから、この補助事業を実施したことによりまして、臨海副都心のMICE、国際観光拠点としての魅力は着実にレベルアップしてきたと考えております。

○ほっち委員 臨海副都心にさまざまな国から大変多くの来訪者があるというのは、他の地域に先駆けて、多言語環境の整備とか、また、特色ある新たな観光資源の創出を進めてきたからだというふうに思っております。今後も引き続き、民間事業者の創意工夫を引き出し、臨海副都心のまちの魅力を高めて、その発展に資するよう先進的な取り組みを行っていくことを要望しまして、次の質問に移ります。
 臨海副都心は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会において多数の競技会場が予定をされ、国内外から注目される地域であります。また、東京大会後の我が国の持続的な成長に欠かせない重要な地域でもあります。このため、これからも気を緩めることなく、なお一層の努力でまちづくりを進めることが必要不可欠であります。このような視点から、開発を支える財政基盤となる臨海地域開発事業会計の概略から始め、今後の開発の方向について質問をさせていただきます。
 まず初めに、臨海副都心を支える都市基盤等の総事業費と現在の進捗率についてお伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 臨海副都心開発全体の総事業費でございますが、こちらは、環状二号線などの広域幹線道路やレインボーブリッジなどを整備する広域交通基盤事業と、上下水道などのライフラインとそれらを収容する共同溝、公園緑地、地域内道路などを整備する地域内都市基盤事業の二つに分けられます。これら二つを合わせまして二兆一千八百億円でございまして、平成二十六年度末で約九五%が執行済みとなっております。
 今後は、二〇二〇年東京大会の開催に向け、環状二号線の整備など、残された都市基盤の整備を着実に完了させていくこととなります。

○ほっち委員 臨海副都心の開発は、宅地の造成や周辺の都市基盤を整備するために企業債を起こし、整備後に付加価値の高まった土地を民間事業者に処分の上、起債を償還するという仕組みの事業であります。
 環状第二号線の残された部分の整備を除いて、大規模な基盤整備については、ほぼ完了しているということでありますので、今後は、土地処分を促進し、残る起債償還を着実に行っていく必要があります。
 そこで、土地処分に係る平成二十六年度の決算状況について、平成二十五年度との比較を含めてお伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 平成二十五年度決算における土地処分に係る収入といたしましては、土地の売却等による土地処分収益が約百五十三億円、長期貸付等の賃貸料収益が約八十三億円となってございます。
 また、平成二十六年度決算額といたしましては、土地処分収益が約八十億円、賃貸料収益は前年同額の約八十三億円となっております。

○ほっち委員 ただいまの答弁のように、主たる起債償還財源である処分収益は、平成二十五年度決算における約百五十三億円に対し、二十六年度は約八十億円と半減をしています。
 安定的な財政運営を行っていく上で、土地処分は重要な要素でありますが、土地処分収益が半減となっている状況をどのように捉えているのか、見解をお伺いいたします。

○山口臨海開発部長 二十五年度の土地処分につきましては、民間事業者への公募売却等が好調で、収益も百五十億円を超えるものとなりましたが、平成二十六年度は処分件数が減少いたしまして、約七十三億円の収入でございます。
 一方で、長期貸付等の賃貸料収益約八十三億円は、毎年度、同額程度の収入となっておりまして、安定的な財政運営に寄与してございます。
 こうしたことから、平成二十六年度決算における土地処分収益の減少については、当面の財政運営において大きな支障はないと考えてございます。

○ほっち委員 臨海副都心のようなまちづくりには、長い年月がかかるものであります。このため、財政運営の面においても、短期的な視点だけではなく、中長期的な視点を持って取り組んでいくことが重要です。このような視点から、当会計の運営を判断するに当たっては、収入の面とともに、起債償還の状況が一つの目安となります。
 そこでお伺いをいたしますが、起債償還の状況はどのようになっているでしょうか、お伺いいたします。

○山口臨海開発部長 平成二十六年度決算時の起債償還状況でございますが、起債総額五千百八十五億円のうち、平成二十六年度末までに三千三百十二億円、約六四%を償還済みでございます。

○ほっち委員 臨海副都心においては、開発に着手した平成元年直後のバブル崩壊以降、二十年にわたって、デフレ経済の停滞の中でしっかりとした財政運営を継続し、着実に開発を進めてきたということがわかりました。
 ところで、さきの予算特別委員会において、臨海副都心では、土地処分の公募を凍結し、まずは東京大会に優先的に対応することを表明されました。東京大会を成功に導くため、公営企業である臨海地域開発事業会計において積極的に未処分地を活用していこうとする姿勢は大いに評価ができるものであります。
 そこで、確認のため、お伺いをいたしますが、東京大会を優先し、土地処分を凍結することで、今後の財政運営に影響はないのでしょうか、お伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 今後の東京大会の行政需要の発生を見据え、中長期的な視点のもと、財務面のさらなる健全性の強化を目指しまして、平成二十六年度起債償還額のうち九百七十五億円を十年債の発行により借りかえ、今後の会計運営上必要な資金を確保したところでございます。
 一方で、臨海地域開発事業会計の平成二十六年度末時点での企業債償還残額は千八百七十三億円となっております。また、今後の幹線道路等の都市基盤整備などに対し、最大一千百億円程度の資金需要も見込まれます。
 この財源といたしましては、平成二十六年度決算時点の千四百五十五億円の内部留保資金と、今後、未処分地の処分に努めることにより、対応は可能であると考えております。

○ほっち委員 土地処分を凍結させても、財政運営においては問題がないということが、ただいまの答弁でわかりました。その上で、今後の臨海副都心の発展を考えると、東京大会後の切れ目のない開発を進めていくということが重要であります。
 二〇二〇年は、東京大会開催という重要な年でもありますが、一方で、東京においても、人口減少の局面を迎え、本格的な少子高齢社会が到来するというふうにいわれております。また、大会後には、公共事業も減少し、東京が低迷の時代へと向かう転換期であるという見方もあります。このような見方に対して、我が党では、将来を見据え、日本の経済再生を早期に実現すべく、力強い景気対策の実施や観光立国の推進などを強力に推し進めておりますが、臨海副都心開発においても、大会後の社会経済状況を見据えた取り組みが必要であります。
 そこで、大会後を見据え、臨海副都心の開発をどのように進めていくのか、見解をお伺いいたします。

○武市港湾局長 臨海副都心は、MICE、国際観光機能が集積するとともに、大規模な開発用地を有しております。また、今後、環状二号線や東京港トンネルなど道路網が整備されることによりまして、都心などとのアクセス向上が図られ、さらには、羽田空港国際線の発着枠拡大や、大型クルーズ客船ふ頭の整備も進められることとなります。
 これを機に、BRTの導入など、臨海副都心と周辺の地域を結ぶ交通手段をさらに多様化し、充実させることにより、世界トップレベルのMICE、国際観光拠点として、より一層の発展を遂げることができると考えております。
 今後も、東京大会の先を見据え、青海地区北側を核とした複合型MICE拠点の形成を推進し、将来にわたる東京の持続的発展を牽引してまいります。

○ほっち委員 二〇二〇年大会は東京を世界にアピールできる絶好の機会で、重要なことでありますけれども、二〇二〇年はあくまでも通過点であり、その十年先、二十年先もしっかりと見据えて、世界第一の成熟都市として次の世代に継承していくことであります。
 東京を代表するまちの一つである臨海副都心においても、こうした視点のもとに、大会後もインバウンドをふやし、日本の経済成長を牽引し続けるため、IRも視野に入れた切れ目のない開発を推進していくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小林委員 我が党はこれまで、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、主要会場である臨海副都心における海外からの来訪者の受け入れ環境整備の重要性をさまざま提案してまいりました。
 東京の中でも、特に臨海副都心は、こうした環境整備により、国際観光において最も先進的なエリアとしてその魅力を高めていく必要があり、大会の開催時には多くの海外からの来訪者に楽しんでいただくエリアとして、ますます発展していくことが求められると思います。
 そこで、都が平成二十四年度から二十六年度まで三年間実施してきたMICE拠点化推進事業を中心とした海外からの来訪者の受け入れ環境の整備への効果という視点から、何点か確認をさせていただきます。
 まず、臨海副都心への海外からの来訪者の状況が現在どのような状況になっているのか、お伺いいたします。

○有金営業担当部長 観光庁の統計によりますと、一月から八月までの我が国への外国人来訪者の合計は約一千三百万人となっております。これは、昨年一年間の外国人来訪者数に匹敵をする数字であり、その特徴といたしまして、中国や韓国、台湾からの来訪者が六割を占めております。
 臨海副都心におきましても、商業施設へのヒアリングでは、アジアからの来訪者が非常にふえ、ことし一月から六月までの半年間で、銀聯カードでの売上額が四倍になったと聞いております。
 こうしたことから、臨海副都心への海外からの来訪者数は、昨年の約百五十万人を大幅に超えると見込まれます。

○小林委員 臨海副都心も、銀座など他の地域と同様に、中国などから多くの来訪者を迎え入れて、にぎわっているという様子でございますけれども、日本を訪れる外国人来訪者は、特にショッピング、また日本食を楽しみに来られる方が多いと伺います。今後の外国人観光客の増加を考えると、外国人観光客が観光情報を取得して、一人でもまち歩きを楽しめるような環境整備を加速させていく必要があると考えます。
 臨海副都心において、こうした環境整備にどのように対応しているのか、お伺いいたします。

○有金営業担当部長 観光庁の調査によりますと、外国人来訪者が旅行中困ったこととして、無料WiFiサービスを使える環境が少ないことが一番に挙げられております。このことから、誰もが使える無料WiFi環境の整備は不可欠であると考えております。
 そのため、臨海副都心では、民間事業者がこの補助制度を活用し、国内外全ての携帯電話会社の端末が無料で利用できる東京お台場FreeWiFiの事業を開始し、WiFiスポットを、外国人来訪者が多く訪れるお台場海浜公園や「ゆりかもめ」の駅など、主に公共スペース三十カ所に整備をいたしました。
 また、外国語で観光案内を受けられる場所が不足をしているため、「ゆりかもめ」の各駅では、駅スタッフが海外からの来訪者に、多言語対応のタブレット端末を使って、英語、中国語、韓国語の各言語で案内業務を行っております。

○小林委員 臨海副都心において、インターネット環境などを着実に整備しているとのことでございますけれども、それでは、このインターネット環境を整備されている中で、実際に海外からの来訪者にどのぐらい利用されているのか、お伺いいたします。

○有金営業担当部長 東京お台場FreeWiFiは、平成二十五年の事業開始以来、WiFiスポットの拡充や、利用登録画面の対応言語を二カ国語から四カ国語へふやすなど、順次、利便性向上を図ってまいりました。直近では、月平均四千人程度の外国人の利用登録がございます。
 また、「ゆりかもめ」の全駅で利用されている多言語対応タブレット端末は、乗りかえ案内だけではなく、臨海副都心の観光案内の情報も提供できることから、外国人への案内に月四百件程度利用されております。特に、臨海副都心への玄関口である新橋駅や、商業施設、ホテルが集積する台場駅での利用が多くなっております。

○小林委員 海外からの来訪者にとって、無料のインターネット環境の提供やタブレット端末を活用した案内など、他の地域に先駆けた取り組みがなされていることは大変大事なことであると思います。
 おもてなしの心といっても、その心がどう形にあらわれているのかが重要になってくると思います。日本のショッピングや和食、文化、歴史など、日本を存分に堪能してもらうための入り口は、情報でのおもてなしともいえるのではないかと思います。情報を豊富に、わかりやすく発信していくことは、外国人観光客が日本を楽しむ選択肢の幅を広げることにつながると思います。引き続き、WiFiスポットの拡充や情報量の充実など、民間や関係局とも連携しながら、さらなる利便性向上の環境整備を促進していただきたいと思います。
 外国人観光客に安全・安心の観光を提供していくためには、さまざまな取り組みが求められますが、最も身近なことで考えれば、旅行中に病気になった際に病気の受け入れ体制、特に言葉の壁をどう乗り越えて安心してもらうかが大切であるかと思います。
 臨海副都心には、がん研有明病院という医療機関が立地していますが、専門的な疾病に対する高度医療機関というイメージですが、一方で、二次救急に対応する医療機関でもあり、海外からの来訪者が臨海副都心で急病になった場合には、がん研有明病院で受診することもあるかと思います。
 がん研有明病院における外国人患者の受け入れ環境の整備に向けて、都は、どのような取り組みに支援を行っているのか、お伺いします。

○有金営業担当部長 都では、毎年約五百名の外国人患者が受診をしておりますがん研有明病院に対しまして、言葉の問題を取り除き、外国人の患者がより安心して受診ができるよう、平成二十四年度から同病院の取り組みを支援しております。
 具体的には、患者が医師に英語や中国語などで表示された画面を指して症状を伝えることができるタブレット端末や、外国人の患者と医師など医療スタッフがテレビ電話を利用し、通訳者を通して会話ができるテレビ通話システムなどの導入を支援してまいりました。

○小林委員 このような医療面での外国人への対応の充実に資する取り組みが、海外からの来訪者へ安心感を与え、ひいては臨海副都心の魅力向上に寄与するものと考えます。毎年約五百名の外国人患者が受診しているとのことですが、今後、患者数の増加も予想されますので、引き続き環境整備の充実をお願いしたいと思います。
 ところで、日本を訪れる外国人のうち、中国、韓国、台湾からが約六割を占めているそうでありますが、最近は、経済成長著しいマレーシアなど、東南アジア諸国からも非常にふえていると聞いております。それらの国々からの来訪者には、多くのイスラム教徒、ムスリムの方々も含まれております。
 我が党はかねてより、ムスリム旅行者の受け入れ環境の整備に問題意識を持っておりまして、昨年の第一回定例会では我が党の上野和彦議員が、また、本年三月の経済・港湾委員会で木内良明議員がそれぞれ取り上げております。特に、経済・港湾委員会で木内委員が、食事や礼拝など、日本とは異なった文化や慣習を持つムスリム旅行者に対して、安心かつ快適に滞在してもらえる受け入れ環境の整備が大切と問うたのに対しまして、当時の営業担当部長より、最近は、ムスリムの方だけではなく、日本人の間でもハラール対応の食事を楽しむ方々がふえてきているため、これらの取り組みにより、国内外から来訪するさまざまなお客様に対して、食文化を通した新たなおもてなしができるのではないかと考えておりますとのご答弁がございました。
 そこで、ムスリムの方々の受け入れ環境を整備するためには、言葉の問題以外にも、ハラール対応の食事の提供なども重要でありますが、都はどのように取り組まれてきたのか、お伺いいたします。

○有金営業担当部長 ムスリムが多いマレーシア、インドネシアからの来訪者数は、ことしの八月には、前年同月比で、それぞれ二四%増、一六%増と、その伸びは著しいものがございます。
 そのため、都は、臨海副都心をマネジメントする臨海ホールディングスや、地元の進出事業者で構成されるまちづくり協議会と連携をしまして、進出事業者向けに、ムスリムの方の文化や風習、飲食対応などの基礎知識を学ぶセミナーを開催するほか、ムスリム対応ハンドブックを作成し、配布してまいりました。
 また、東京ビッグサイトでは礼拝室が整備され、お台場にあるホテルの一つでは、予約制ではございますが、常時、ムスリムの方も安心して食べられるハラールメニューの提供を開始しております。
 引き続き、商業施設やホテルでの礼拝室の整備や、ハラール対応飲食店の拡充に向けまして、進出事業者などに普及啓発を行ってまいります。

○小林委員 先日、私は、所用で臨海副都心を車で走行する機会がございました。ふだん余り訪れる機会がありませんでしたが、久しぶりにまち並みを見て、改めて臨海副都心の持つ魅力を実感いたしました。長く東京に住んでいる方でも、東京の顔としての臨海副都心の新たな魅力をまだ感じておられない、また、行ったことがないという方も、まだまだ多くいるのではないかと思います。外国人観光客はもちろんのこと、多くの都民、国民にも、臨海副都心の存在をさらに大きくアピールしていく必要もあるのではないかと思います。
 臨海副都心において、国内外の人々がその魅力を堪能できる環境整備が強化され、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、さらに魅力的なエリアとしていくための取り組みを推進していただきますよう、改めてお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○尾崎委員 二〇一四年度の臨海地域開発事業会計の決算について伺います。
 先日、臨海副都心を改めて視察させていただきました。東京熱供給株式会社のプラントや土地処分をしたところ、セントラル広場、ダイバーシティ、フジテレビ周辺も港湾局の方にご案内していただき、ありがとうございました。
 最初に、二〇一四年度のMICE拠点化事業について質問します。
 臨海副都心のMICE、国際観光拠点化に効果が高いと認められる民間事業者の事業を都は補助していますが、対象となった事業と民間事業者数、金額について伺います。また、二〇一五年度はどうなっているのか伺います。

○有金営業担当部長 臨海副都心MICE拠点化推進事業として、平成二十六年度に都が補助をした民間事業者数は十社でございます。主な事業といたしましては、アフターコンベンションとして新たな観光資源となるイルミネーションの整備や、外国人旅行者からの要望の高い無料WiFi環境の整備、さらに、急患で搬送される外国人旅行者の受け入れ環境整備に係る事業などでございます。補助金の総額は、二億四千九百二十五万八千円でございます。
 なお、平成二十七年度でございますが、十三社に交付決定をしておりまして、商業施設や病院の案内誘導サインの多言語化などが予定をされております。交付予定額は約三億円でございます。

○尾崎委員 東京都のホームページを見ると、二〇一四年度の補助事業の概要と申請事業者名が掲載されています。事業者名を見ると、東急不動産株式会社、森ビル株式会社、富士ゼロックス株式会社、トヨタ自動車株式会社、ソフトバンクモバイル株式会社など、どこも大手企業であり、超優良企業の名前が並んでいます。MICE補助事業で東京都が支援しなくても、自社の設備投資で十分にやれるだけの力のある会社ではないでしょうか。
 MICE拠点化推進の補助事業で民間事業者が設置したイルミネーションは、一度設置した後はどうなるのでしょうか。デザインを変えたり、撤去することはあるのでしょうか。また、償却可能な期間など、どうなっているのか伺います。

○有金営業担当部長 本補助事業は、初期投資経費を対象としております。設置後は、事業者がみずから運営をし、都は、定期的に実施報告を受け、指導監督することとしております。
 今お話のありましたイルミネーションにつきましては、デザインの変更は、定期的に色を変えるなど、事業者が創意工夫を凝らして実施しております。都といたしましては、魅力の向上につながり、レベルダウンとならない取り組みについては変更を認めております。
 事業の期間は事業者の事業申請書によりますが、撤去に関しましては、募集要項により制限をかけており、耐用年数前に財産処分を行う場合は補助金返還を求めることとしております。

○尾崎委員 観光の目玉になっているイルミネーションの整備への補助事業、初期投資経費が対象ということでしたが、東京都が補助しなくても実施できるだけの力がある名立たる企業ばかりのように思います。
 また、イルミネーションなどの撤去については募集要項で制限をかけている、耐用年数前の財産処分は補助金返還を求める、償却可能な期間については事業者の事業申請によるものとの答弁でした。その募集要項では制限はあっても、その根拠となる補助要綱には、財産処分の制限について期間の定めはなく、実績報告も当該年度分が義務づけられているだけです。この事業には、これまで毎年数億円も公金を支出してきたものですから、厳しく管理するよう求めておきます。二〇一四年度の決算並びに二〇一五年度の募集要項を見る限り、このような事業はもうやめるべきではないかと考えます。
 次に、資料をつくっていただきました臨海関係第三セクターのビル入居率の推移を見ると、テレコムセンタービル、青海フロンティアビルなどの現行入居率が七〇%台となっています。この入居率について、どのように認識していますか。

○中村企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年の景気の動向などから、都心におけるオフィスビルの入居率は上昇傾向にございます。また、民間の調査によれば、品川地区の賃貸オフィスビルの空室率も二年連続で低下するなど、臨海地域に近い区域においても、このところの上昇の兆しが見られているところでございます。こうした傾向は臨海地域にも波及し、株式会社東京テレポートセンターのビル事業にもあらわれてくると考えております。
 なお、今年度に入りまして、入居率が八〇%を超えたビルもございます。

○尾崎委員 近年急増の林立している品川区の賃貸オフィスビルと比較しても、交通の便やビルの斜陽も比較にならない差があるのではないでしょうか。さらに、少子高齢化、人口減少、成熟型社会を迎えており、全体の需要が伸びない中で、より競争が激しくなっている点を厳しく見ておく必要があると思います。
 資料によると、二〇一四年度末の入居率は、テレコムセンタービルは七四%、青海フロンティアビルは七六%になっています。この二つのビルのうち、東京都の関連の事業所を除くと、入居率はどのぐらいになるのでしょうか。

○中村企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それぞれのビルの貸付床面積のうち、東京都の施設が使用している床面積の割合は、テレコムセンタービルで九%、青海フロンティアビルで六%でございます。

○尾崎委員 今のご答弁があったように、都の施設を除くと、別のいい方をすれば、テレコムセンタービルは六五%の入居率、青海フロンティアビルは七〇%となり、惨たんたる状況であるといわなければなりません。
 都心におけるオフィスビルの入居の改善傾向が、今後、臨海地域に波及してくると見ているようですが、テレコムセンタービルの入居率は、二〇〇七年度末から二〇〇八年度末には九五%ありましたが、この五年間は改善傾向は見られません。
 この貸しオフィス業を担っている東京テレポートセンターの経営状況は、二〇〇七年度決算で、売り上げは二百二十九億円あったものの、二〇一四年度決算では百七十五億円に減少し、本業による営業利益は九十五億円から五十四億円に減少しています。
 都心の業務ビルが高効率、高性能で供給過剰ぎみになる中、東京テレポートセンターのビル事業における老朽化対策、計画的な修繕については、どのような課題があると認識していらっしゃいますか。

○中村企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 株式会社東京テレポートセンターのビル事業においては、これまでも計画的な修繕、投資を実施してきているところでございます。
 今後もこうした取り組みを着実に進めることで、ビルの商品価値の維持向上が図られていくものと認識しております。

○尾崎委員 ビルの商品価値の維持向上を図っていくとのことですが、今後の課題が深刻であり、そう簡単にはいかないと思います。
 東京テレポートセンターのビル事業は、臨海ホールディングス事業の三分の一を占めるわけですが、臨海ホールディングスの事業報告では、所有ビルの老朽化対策が急務である、オフィスビル間の厳しい、激しいテナント獲得競争が依然として続いている、計画的な修繕、投資を実施などの課題が指摘されています。
 テレコムセンタービルなどは築二十年、オリンピック後には大規模改修の時期を迎えることになるのではないでしょうか。現実を厳しく受けとめる必要があると思います。都として、必要な指導、助言を行っていくことを求めておきます。
 老朽化対策が求められるテレコムセンタービル、有明フロンティアビル、台場フロンティアビルの地下には地域冷暖房のプラントがあります。東京臨海熱供給株式会社は、同居している各ビルとはどのような権利関係があるのですか。

○中村企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各ビルに設置されているのは東京臨海熱供給株式会社のプラント等でございますが、これらの設備と各ビルにおける権利関係は区分所有の形態となってございます。

○尾崎委員 東京臨海熱供給株式会社の熱供給事業について、今後どのような課題があると認識していますか。

○中村企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 熱供給事業は、平成二十六年度、約八億八千万円の当期純利益を上げるなど、これまで安定的な経営を行ってきております。
 今後も、青海地区北側の開発が予定されており、これにより安定的な経営が続いていくものと認識しております。

○尾崎委員 東京テレポートセンターのビルのうち、有明フロンティアビル、テレコムセンタービル、台場フロンティアビルについては、いずれも地下、地上に東京臨海熱供給株式会社の施設が同居しています。ビルの維持補修、大規模改善に当たって、それぞれ同居していることについて、どのような課題があると認識していますか。

○中村企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 三つのビルで東京臨海熱供給株式会社のプラント等が設置されている部分は、当初より、ビル事業を行う部分とは別に維持管理することを前提に設計されております。したがいまして、ビル事業に必要な維持補修、大規模修繕に当たって、プラント設備等がビルの維持補修、大規模修繕に影響を与えることはない、そのように認識しております。

○尾崎委員 維持管理は別になることを前提に設計といいますが、具体的な説明は今ありませんでした。
 地域冷暖房は、安定供給、安全性、地球温暖化を緩和、省エネの推進など、大きな役割を果たしてきましたが、今後の課題も明らかになってきています。
 来年四月からは、電力の自由化が始まります。国では、エネルギー事業改革の一環として、熱供給事業者に対する規制の合理化や需要家保護に向けた法改正が進められています。
 地域熱供給事業は、全国的には先細りで、撤退も、微増ですがしています。東京臨海熱供給株式会社の事業報告書では、熱を製造するコストに大きなウエートを占めるエネルギー価格の動向や設備更新に係る建設コストの上昇など、予断を許さない状況にある、こうした中で、営業開始以来二十年を経過する設備も更新時期を迎え、設備の維持管理はもとより、更新に合わせた高効率機器の導入など、設備更新計画の着実な実施が喫緊の課題となっていると指摘されているではありませんか。
 東京テレポートセンターのビルの老朽化と、東京臨海熱供給株式会社の建物の老朽化と熱供給事業を含め、予断を許さない状況だということを、都としても認識する必要があると思います。
 次に、一昨年の決算委員会で、都市基盤整備に係る総事業費は二兆一千八百億円で、このうち九三%が執行済みで、今後は約一千六百億円を執行する見込みとの答弁がされましたが、どのような事業を予定しているのでしょうか。見直す必要性については、どのように認識しているのか伺います。

○山口臨海開発部長 平成二十四年度以降の執行総額といたしましては、平成二十五年度は約三百二十五億円、平成二十六年度は約百五十五億円、また、今後の執行予定額としては約一千百億円となってございます。
 各年度及び今後の執行ともに、主な内容としては、環状二号線やシンボルプロムナード公園、区画道路等の整備でございます。これらは臨海副都心まちづくり推進計画において位置づけられた広域交通基盤等でございまして、既に着手しているものの、残工事が中心であることから、見直しの必要はないと考えております。

○尾崎委員 都はこれまで、多額の企業債を発行し、都市基盤整備などを行ってきました。二〇一四年度の決算では、千五百三十五億円の企業債の償還を行い、九百七十四億円の企業債を借りかえました。
 臨海地域開発事業会計の企業債について借りかえをしてきましたが、今後の償還時に借りかえが可能となる額は、制度上はどうなっているのか伺います。

○山口臨海開発部長 総務省の通知に基づく建設改良費の財源に充てた地方債の償還に係る原則によれば、制度上の今後借りかえ可能額は、平成三十二年度償還時は約四百四十八億円、平成三十六年度償還時は約四百八十七億円となります。

○尾崎委員 臨海地域開発事業会計は、今後、二〇二〇年に約九百億円、二〇二四年に約一千億円弱の企業債の償還の山場を迎えることになります。今後の償還予定額は二千億円近くなります。
 現在、現金化可能な資金は千四百億円ほどありますが、今後、千百億円の都市基盤整備資金も必要となる中、引き続き資金の確保が大きな課題となっているということを指摘して、質問を終わります。

○新井委員 私からは、臨海副都心MICE拠点化推進事業についてお伺いしたいと思います。
 何人か、このことについて質問された委員の先生方がいますので、かぶらないように質問をしていきたいと思っています。
 私の手元の方に、平成二十六年九月三日に港湾局が報道発表されたMICE拠点化推進事業の資料があるわけでございますが、このMICE拠点化推進事業の平成二十六年度の補助対象事業についてのお知らせ、いろいろなことをやっているわけなんですね。最新の技術を使いながらとか、新しい取り組みだとか、例えばウイングレットの共同利用サービス、誰もが体重移動をしながら前後左右、自由に動けるような、なおかつリチウム電池を使って小さな電気自動車みたいな、そういった近未来的な乗り物の共同開発をやっていたりだとか、あとはイルミネーション、普通のイルミネーションではなくて、インタラクティブなイルミネーションをやってきたということなんですね。ちょっと聞きましたら、映像をタッチしますと、映像がいろいろと反応してくれる--ドーム型のものをつくって、そのところに例えば雪だるまを映写して、雪だるまをタッチすると雪だるまが崩れるという、そういった双方向的な、動きのあるイルミネーションもアジア初でやったということなんです。その他いろいろな新しいものもやっているということです。
 民間事業者がこの事業により支援を受けて進めている取り組みの中には、新しい技術を活用しました事業も多くあります。今回、技術的な観点を中心に質問させていただきます。
 まず、臨海副都心部分で、平成二十五年度から、民間事業者が補助制度を活用しまして、お台場FreeWiFiを行っております。そこでまず、そのお台場FreeWiFiの特徴についてお伺いいたします。

○有金営業担当部長 お台場FreeWiFiは、国内外全ての携帯電話会社の端末が一日最大六時間、一回百二十分まで無料で利用ができるため、利用者は、接続時間を気にすることなく観光情報を取得し、臨海副都心エリアの観光スポットを散策することができます。
 平成二十六年度末時点で、WiFiスポットを公共スペース三十カ所に整備をし、四カ国語対応により、広くサービスを展開しております。
 また、このお台場FreeWiFiは、不正利用を防止するため、メールアドレスを登録の上、パスワードを入手するセキュリティーの高いシステムを採用しております。

○新井委員 このお台場FreeWiFiの特徴について、ちょっとお伺いをしましたら、セキュリティーが高いというのが特徴だということなんですね。メールアドレスを登録して、そのメールアドレスを登録したものから返信が来て、パスワードが書いてある。パスワードを入力して、それを認証してからインターネットに出るというものでございます。
 メールアドレスを登録するんですけれども、例えばメールが返ってこない、要は、メールアドレスは登録するけれども、それによってパスワードをメールで送りつけてこなくても認証できる、いわゆる関係ないメールアドレスを登録したとしても認証できるようなサービスなんかも、実は世の中にはあるんですね。
 それで、ちょっと、あるキャリアさんに聞いてみました。そこのキャリアさんは、メールアドレスの認証をかけないんですね。要は、パスワード認証みたいなものをかけていないんです。誰でもインターネットに出られるようなシステムなんですけれども、何でお台場FreeWiFiに、わざわざメールを返してパスワードの認証をかけないんだという話をさせてもらいました。そうしましたら、ローミングといいまして、日本のキャリアは三つのキャリアがございまして、そのキャリアにローミングできる海外の企業というのが大変少ないといいますか、半分あるかないかぐらいだそうなんですね。ですから、海外から来たお客さんが、実は、日本のあるキャリアに対してローミングできない場合があるということなんです。ローミングできないということは、メールが受信できない、携帯電話の通話ができないということなんです。そうしますと、メールアドレスを登録したとして、メールが戻ってくるのを待っているんですけれども、メールが届かないわけなんです。そうすると、認証ができないので、なかなかその無料WiFiを使えないということなので、それでメールアドレスによる認証をかけていないという話でした。
 それで、今後、お台場FreeWiFiなんかも、メールの認証だけじゃなくて、メールが受信できない方については電話によるそういった、多言語対応で、電話で認証をかけるということをやるということでした。
 でも、その電話による認証なんですけれども、外国人が持っている電話が使えればいいのですけれども、もし使えない場合は公衆電話でやるしかないので、なかなかその辺も、考えてもらいたいなというのと、あと、世の中的に、今、SNSを使った認証、例えばフェイスブックだったりとか、ツイッターだったりとか、海外の方でも、そういった持っているアカウントを使って認証するということも有効的なのかなと思いますので、ぜひ検討をしていただきたいなと思っています。
 利用者の視点に立った使い方をよくしていくことというのは、これは重要だと考えています。WiFiのサービス以外に、いろいろなプラスアルファのサービスというのは、今後、重要なのかなと思っています。
 例えば、ある都道府県のやっていたサービスによりますと、外国の方が店に入りましたと。お品書きがこう書いてあります。お品書きのバーコードをスマートフォンで読み込ませてあげると、多言語対応でそのお品書きの説明が書いてあると。また、その店の専用端末を使うと、バーコードを読んであげると、多言語対応のオペレーターとつながって、その店のいろいろなメニューについて説明を受けられる。そういったサービスを行っているところもありますので、例えば、WiFiプラスアルファの何かサービスなんかがあればいいのかなと思っています。
 外国人来訪者の利便性向上に向けました、広範囲で無料WiFiを整備することだけでなくて、利用者の視点に立った、使い勝手をよくしていく必要性があると思いますが、お台場FreeWiFiについて、利用者の利便性を高めるためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○有金営業担当部長 このお台場FreeWiFiにつきましては、まず、利用者が登録するための画面を立ち上げますと、トップページに臨海副都心の観光情報を紹介するインターネットサイト、お台場netが限定的に見られるようプログラミングされております。このお台場netから他のリンク先にはアクセスできないようにセキュリティーがかかっているシステムとなっております。
 したがいまして、このお台場netにつきましては、臨海副都心への来訪者が利用登録する前でありましても検索することができ、すぐに地域全体の情報を得ることができるということで、非常に利便性の向上を図っているところでございます。

○新井委員 先ほど答弁のありましたお台場netによりますと、インターネットに出る前に、地域全体の情報検索ができるということなんですね。これは、インターネットに出る手前に、そういうウェブサーバーみたいなものを立てて、それでいろいろな情報をとることができるということだと思っています。
 そのほかに、例えば、そこのエリアで使えるようなアプリケーションをダウンロードできるとか、そういったサーバーを立ててあげるとか、いろいろな外国人の方の要望を聞きながら、新しい取り組みなんかもぜひしていただきたいなと思っております。
 次に、MICE拠点化事業の多言語によります観光音声ガイドの事業選定についてお伺いしたいと思っています。
 これは専用モバイル端末によります観光音声ガイドというものなんですけれども、これはこれまで、今まで、美術館など屋内の施設で利用されるものが結構多かったんですね。そういった屋内で使われていた専用端末を今回改良しまして、それで、一人でもまち歩きを楽しめることができるというツールだと聞いております。
 このエリアにおきます観光音声ガイドの特徴についてお伺いしたいと思います。

○有金営業担当部長 この観光音声ガイドの特色でございますけれども、GPSと地図情報を連携させました専用の端末によりまして、利用者がまち歩きをしながら臨海副都心全域の約九十カ所の観光スポットに近づくと、自動的に画像と四カ国語の音声で情報を取得することができるものとなっております。
 また、臨海副都心エリアならではの取り組みとして、インターネットへの接続や、乗りかえ案内アプリによる検索もできるほか、貸出場所のホテルに設置をしてありますプリンターに端末をかざしますと、都内観光スポットの地図などの情報を得ることができるようになっております。
 さらに、貸出施設内、例えばフジテレビでは、収録するスタジオなどが見られる無料見学コースなどに設置をしてありますアクセスポイントから固有の情報も聞くことが可能となっております。
 現在、この端末は、台場地区のフジテレビのほか、有明地区の東京ベイ有明ワシントンホテルなど三つのホテルの合計四施設で百八十台の貸し出しを行っております。

○新井委員 この百八十台の貸し出しを行っているということです。ぜひ積極的に、海外の方とかを含めて、使っていただくようにPRの方をしていただきたいなと思います。
 先ほどの答弁にありました、観光スポットを地図で打ち出したりだとか、あとは、フジテレビに行くとアナウンサーの音声ガイドを聞くことができるということなんです。これは、ローカルWiFiといいますか、そのWiFiの設置されている場所にちなんだサービスを提供しているというものなんですね。
 今、スマートフォンなんかも大分普及されていますので、スマートフォンにいろいろなアプリケーションをダウンロードさせて、いろいろなサービスを受けさせてあげると、いろんな広がりがあるのかなと思っています。
 お台場FreeWiFiも観光アプリと連携することで、位置情報により周囲の施設のクーポン券の入手が可能になるなど、幅広いサービスの提供ができると考えています。このクーポンの入手なんですけれども、例えば、WiFi近くにビーコンというものを立ててあげると、そこのWiFiの近くに来た人がそのビーコンの電波を受け取って、そのWiFiの近くにある、例えば店のクーポン券をポップアップしたりとか、そういうものもできるので、そういったやり方もできるのかなと思っています。
 民間事業者によります新たな技術を活用しました創意工夫のある取り組みが、臨海副都心の魅力向上につながると思っています。引き続き、民間事業者の新たな技術を引き出す取り組みを進めていただくことを要望しまして、質問を終わりにします。ありがとうございました。

○田中(朝)委員 私からは、まず、臨海副都心開発についてお伺いいたします。
 東京湾の埋め立てによって形成された臨海副都心は、今や新しい都市空間となっています。羽田空港からのアクセスもすぐれ、また住宅などの居住機能もふえて、東京の観光スポットとして、たくさんの若者でにぎわうお台場、また、アミューズメントやショッピング施設が次々に開業して、週末の気軽な観光地としてにぎわっています。
 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、大型クルーズ船が停泊できる新たな客船ターミナルや、ふ頭の整備、また、MICE、国際観光拠点化の推進などもあり、臨海副都心は、まだまだこれからの発展が望めることというのは、都民にとっても非常に楽しみであるといえます。
 こういったように、今、成功しているといえる臨海副都心開発ですけれども、そもそも、なぜこの臨海副都心開発に取り組むことになったのか、最初にお伺いいたします。

○山口臨海開発部長 臨海副都心開発事業化計画が策定された平成元年当時は、都心の異常な地価高騰や住宅問題など、さまざまな都市問題が顕在化し、それらへの対応が必要でございました。また、当時、衛星通信などの技術が急速に発展し、国際的ネットワークが構築され、東京も国際化、情報化に対応した拠点づくりが求められておりました。
 これらの課題に対しまして、当時、未利用地であった東京港の埋立地を活用して、不足していたオフィスや住宅を供給することで、東京の都市構造を多心型に導くとともに、情報通信機能を充実させ、世界都市東京の国際化、情報化に対応した拠点づくりを推進し、世界に誇り得るまちを建設していくというのが、臨海副都心開発当初の基本的考えでございます。

○田中(朝)委員 日本は島国ですので、こういった埋め立てを昔から行うことで新たな国土を創出して、当初、港や工業地域、空港などとして利用してきたと思います。現在では国土の約〇・五%以上が埋立地だそうですけれども、この埋立地の造成をできるのは、都道府県とか区市などの地方公共団体のみで、民間にはできないということをお聞きいたしました。ということは、都における臨海副都心の開発というのは、埋め立てることにより新しい土地をつくり出し、また、そこを新たな都市空間にするという、非常にダイナミックで大規模な、都はディベロッパーといえるのではないかと思います。
 となれば、その事業としては、土地の販売収入等で埋立地の造成等の投資額の回収を図るものでなければならないと思いますが、臨海副都心における土地処分の仕組みについてお伺いをいたします。

○有金営業担当部長 現在、臨海副都心では、長期貸付、売却の恒久的な処分のほかに、暫定利用の制度を活用して段階的にまちづくりを進めております。
 開発当初は長期貸付のみでの処分でございましたけれども、平成十三年度に売却方式も導入し、事業者の進出機会の拡大につなげております。また、当面、処分予定のない未利用地につきましては、臨海副都心のにぎわい創出を目的として、暫定利用の制度を活用した十年程度の事業用定期借地権設定による貸し付けを行っております。
 土地の処分や利活用に当たりましては、公募を原則とし、土地価格は、東京都臨海地域開発規則に基づき、適正な時価により評定した額を算出しております。

○田中(朝)委員 今ご答弁にもありましたように、この臨海副都心の中の土地の幾つかは、東京都が暫定的な貸し出しを行っている土地となっているとのことです。この臨海副都心の開発を進めていた九〇年代後半に、バブルの影響で企業の進出が頭打ちになって、また、当時は交通の便も悪かったお台場地区などの買い手がつかなかったために、確実に事業者を募るため、比較的安く、十年間の期限をつけて土地を暫定的に貸し出したということによるということをお聞きしました。
 この貸出期限つきの用地は、現在のパレットタウン、また大江戸温泉物語などですけれども、当初は、十年で土地を原状回復、いわゆる更地にして返還をする契約となっていました。パレットタウンは、二〇一〇年六月に、あの観覧車も含めて全部閉鎖する計画であったということですし、また、大江戸温泉物語は二〇一三年に営業を終了するとしていましたけれども、いずれも延長をされているとのことです。
 そこでお聞きをいたしますけれども、こういった土地の暫定利用というのは、今後も続けていくのでしょうか。また、暫定利用の契約期間の延長の取り扱いに関する考え方と、土地返還に当たっての条件についてお伺いをいたします。

○有金営業担当部長 臨海副都心では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に優先的に対応するため、土地処分を中止しているほか、当面、新たな暫定利用制度を活用した事業展開の予定もございません。
 また、現在、暫定利用として貸し付けしております土地の契約期間の延長の取り扱いにつきましては、事業者からの申し出があった場合に、当面、処分の予定のない土地に限り、まちのにぎわいを創出し、土地の有効活用ができると認めた際に延長を認めております。契約期間終了時には、原状回復をして返還していただくこととなっております。

○田中(朝)委員 今のお話だと、やはりまちのにぎわいを創出している、要するに、うまくいっていたので期間を延長しているということですから、これは副都心に関しては喜ばしいことだと思います。
 これに加えまして、二〇二〇年のオリンピック大会の開催決定以降、外国人旅行者が非常にこの地域にも増加傾向にあるということですけれども、今、都内で、旅行者の方たちが非常に宿泊予約がとりづらくなっているということがいわれています。エアビーアンドビーのような民泊も昨今ふえていて、この間、大田区でしたか、そういった条例もできましたけれども、こういったところから、二〇年オリンピック・パラリンピックの外国人旅行者に対して、臨海副都心では、平成二十五年度に有明地区の区画をホテル事業者に売却していらっしゃいます。ホテル需要が逼迫する中で、とても時宜を得た処分だと思いますけれども、このホテルの特色と期待される効果をお伺いいたします。

○有金営業担当部長 このホテルでございますけれども、客室数は約四百室を予定しておりまして、ビジネスホテルの中では広い間取りで、外国人も快適に過ごせる空間が確保されております。平成二十九年十一月にオープン予定となっております。
 特に、「ゆりかもめ」とりんかい線の駅に挟まれ、二路線の利用が可能であり、各観光地へのアクセスもよく、観光の拠点にもなり得る施設と考えております。
 このホテルの開業によりまして、臨海副都心内のホテルの客室数は約四千室となります。

○田中(朝)委員 今のご答弁にあったように、このホテルの存在というのは、今の宿泊がとりにくい中では非常に存在が大きなものとなると思います。
 今のご答弁だと、臨海副都心のホテル客室数が約四千室になるとのこと。これは、臨海副都心と同程度の面積にある六本木や赤坂のホテル客室数に匹敵するものになります。東京大会までに、臨海副都心は、たくさんの外国の方々をお迎えすることが可能となって、ますますの発展が期待できるのではないかと思います。
 次に、埋立地の地盤沈下についてお伺いをいたします。
 埋立地というと、素人考えですけれども、まず心配するのが土地の地盤沈下や液状化であると思います。一般的に埋立工事というのは、初めに、地盤沈下や液状化対策として、必要な箇所に地盤改良を行うと思うのですけれども、先日、埋立地である大田区城南島の動物愛護相談センターに伺った際、施設の建物の周囲の地盤がかなり沈下していて驚きました。建物が地面から浮き上がっているような、いわゆる抜け上がりというんだそうですけれども、この抜け上がりを起こしていて、地中にあるはずの配管が地上に見えているところもありました。また、入り口の階段は、当初から二、三段つくって足しているということでした。
 あの建物の状況を見ると、誰もがかなり驚くと思いますけれども、埋立地というのは、どこでもこれぐらいの地盤沈下が起こっているのでしょうか。城南島の地盤沈下の原因と現状をお伺いいたします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 東京港には、軟弱で沈下しやすい有楽町層という地層が広く分布しております。委員ご指摘の城南島の地盤沈下につきましては、この有楽町層に起因するものでございます。
 城南島は、この有楽町層が約六十メートルと厚いため、他の地域と比べ沈下量が大きく、観測を始めました昭和四十八年から二・五メートルほど沈下しております。
 他の地域の沈下量は、約〇・五メートルから一メートル程度となっております。

○田中(朝)委員 二・五メートルぐらい、見た感じも本当にそれぐらいだったような感じでしたけれども、今のご答弁だと、有楽町層という軟弱な地層が六十メートルと厚いのが城南島の地盤沈下の原因ということだとすると、もしかすると、ここは埋立地には向かなかったのではないかということをちょっと感じるところもあります。
 これまで城南島はかなり、今おっしゃったように沈下をしているわけですけれども、今後は大丈夫なのでしょうか。もっとどんどん沈下をしていくということがないのかどうか、お聞きをいたします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 城南島のここ二、三年の沈下量は減少傾向にございまして、今後は終息に向かうものと考えてございます。

○田中(朝)委員 終息に向かわないと、またあと二メートルぐらい沈下してしまうと、本当に大変なことになると思います。
 先ほどお話に出した動物愛護相談センターは東京都の施設ですけれども、同じ地盤沈下をしているこの土地についても、売却や貸し出しをすることをしているようであります。個人的には、地盤沈下しているとわかっている土地を、わざわざ買ったり借りたりはしたくないと思うところですけれども、こういった売却先や借り主などの相手方には、こうした地盤沈下の事実がきちんと伝えられているのでしょうか、お伺いいたします。

○山口臨海開発部長 用地の売却等に当たりましては、この土地が沈下しやすい場所であることを理解してからご購入等いただけるように、公募の際の要項に、直近の地盤沈下の変動量を記載してお伝えしております。
 また、港湾局のホームページでは、工事などの際にも役立てていただけるように、臨海地域内で六地点、これは昭和四十五年からの地盤沈下の観測データを掲載して周知を図っているところでございます。

○田中(朝)委員 周知は図られているということですけれども、この地盤沈下自体、顕著な地盤沈下が起きると建物の周囲の地盤が沈下をして、支持層で支えられている建物は沈下しないために、先ほどの動物愛護相談センターのように、地盤よりも建物が高く残ってしまう。建物は動かないわけですから、抜け上がりをどうしても起こしてしまいます。抜け上がりというのは、見た目はよくないけれども、建物本体は異常を起こさないわけですね。
 しかし、この建物周辺に埋設してあるガス管とか水道管などの埋設管が、地盤沈下とともに一緒に沈下をすることがあって、もとの位置を保つ建物と埋設管の接合部で破断などが発生するおそれも出てきます。そうなると、建物が機能しなくなって、使用者に大きな影響を及ぼすということも考えられます。
 東京都は毎年、この埋立地の地盤沈下の調査を行っていらっしゃいますけれども、やはり大きく地盤沈下するような土地は価値も低くなって、また、抜け上がりを起こした建物は、見た目が本当に異様です。埋立地の地盤沈下に関しては、ぜひこの先も慎重に見ていっていただきたい、これを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○小松委員 それでは、臨海部のまちづくりについてお伺いいたします。
 豊洲・晴海地区は、かつては、上屋、倉庫などの港湾物流施設が立地する地域だったわけです。その跡地におけるまちづくりについて、港湾局は、豊洲・晴海開発整備計画を策定され、良好な開発を目指しているというふうに聞いています。
 昨年、二〇一四年四月には、豊洲・晴海開発整備計画の改定を受ける形で港湾計画が一部変更されています。
 そこでまず、豊洲・晴海開発整備計画の基本的な考え方についてお伺いいたします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 豊洲・晴海開発整備計画につきましては、豊洲・晴海地区のまちづくりの方向性につきまして、都が関係者のコンセンサスを得まして取りまとめた行政計画でございます。
 豊洲・晴海地区は、都心と臨海副都心の中間に位置する立地特性を有してございまして、本開発整備計画におきましては、その開発の基本方針といたしまして、この地域で、職住近接の都市型居住のまちの形成、業務、商業、居住、文化などが調和した複合市街地の形成、東京の海の玄関にふさわしい文化と交流のまちの形成を目指すこととしてございます。
 個別の開発におきましては、本開発整備計画を基本に開発事業者が具体の開発計画を策定し、良好なまちづくりに取り組むこととしてございます。

○小松委員 昨年変更されました港湾計画書によりますと、豊洲・晴海開発整備計画の一部改定に伴って土地利用計画が変更されています。晴海五丁目にオリンピック・パラリンピックの選手村をつくり、その後、住宅を整備することになったため変更したものです。
 この二〇一四年三月の豊洲・晴海開発整備計画の改定内容についてお伺いいたします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会におきましては、選手村を晴海五丁目を中心とした都有地に整備し、大会終了後に、宿泊棟に改装を加え、住宅などとして後利用することとなっております。このため、後利用の住宅などが整備される区域につきましては、主に国際交流拠点であった土地利用計画を、住宅地、新設の教育施設等及び公益施設の用地に変更をいたしました。
 これに伴いまして、晴海地区の居住人口を三万一千人程度から一万二千人増の四万三千人程度に、また、就業人口につきましては、三万九千人程度から三千人減の三万六千人程度に変更してございます。
 計画の改定に当たりましては、上下水道や小中学校など必要となるインフラを想定し、適正な規模の開発となるよう検討、調整の上、開発の条件といたしまして、居住、就業の各人口フレームを設定しております。

○小松委員 今回の開発整備計画見直しによる人口フレームは、変化の幅が大変大きく、居住人口が一・四倍近くにもなります。このようなまちづくりを進めますと、まちの様子が急激にすっかり変わってしまいます。そのため、地元関係者との合意形成が欠かせないものになります。
 晴海地区には、もとからの居住者や、この地区で働き事業を営むなど、多くの関係者がいらっしゃいます。この地区のまちづくりに当たって、地元住民などとの合意形成をどのように進めておられるのか伺います。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 まちづくりにおきましては、地元の住民を初めとする関係者の理解と協力が不可欠でございます。
 このため、本開発整備計画の今回の改定に際しましては、オリンピック・パラリンピック招致決定を踏まえまして、関係局とともに、地元区や住民、地権者、晴海地区まちづくり協議会などと協議を重ね、合意形成を図ってまいりました。
 また、昨年度も、晴海地区の今後のまちづくりにつきまして、引き続き地元の意見や要望の聴取に努めてきたところでございます。

○小松委員 臨海開発は、オリンピック・パラリンピック招致によって、まちづくり計画が大きく変わってしまう事例の一つだということだと思います。これで開発の方向性がある程度はっきりしたことになりますが、開発に当たっては環境配慮が重要です。
 東京都は、海の森を起点として、お台場、晴海から皇居、新宿御苑、明治神宮など、都内の大規模な緑地を街路樹でつないで緑のネットワークとし、海からの風を都市の内部に導く風の道として機能させる計画を持っておられます。風の道により、緑地を抜ける風が都心部のヒートアイランド現象を抑制する効果が期待できるとされています。再開発によって、臨海部からの風の道を確保できるような空間や建築物となるように要望いたします。
 東京都でも、人口減少の到来が見えています。臨海部において大きな住宅開発を今後も続けるということにはならないものと考えます。むしろ、広い空間を生かして緑や公園をふやし、再生可能エネルギーを生み出す場とするなど、これからの時代を見据えた土地利用のあり方が必要になってくると考えます。そして、再エネ利用によって新たなまちづくりの展望も開けるのではないかというふうに考えます。
 それでは、自転車走行空間の整備について、続けてお伺いします。
 自転車は、手軽で環境負荷の少ない交通手段であるとともに、健康増進にもつながることから、自転車で安全に走行でき、自転車を利用しやすいまちづくりを目指していきたいと私たちは考えています。
 昨年度公表されました東京都長期ビジョンにおいて、自転車が安全に回遊できるよう、自転車走行空間の整備を推進することが位置づけられました。臨海部においても自転車走行空間の整備に取り組むとされ、期待しているところです。
 そこで、港湾局の所管する道路における自転車走行空間の整備方針についてお伺いいたします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心を中心とする臨海部におきましては、商業施設やコンベンション施設など多くの人々が訪れる施設が立地するとともに、港の景観が楽しめる海上公園などが整備されております。
 今後、このような多くの観光客が集まる施設や東京大会の競技会場などの周辺に重点を置きまして、誰もが自転車で安全かつ快適に走行することができるよう、自転車走行空間の整備を推進していくこととしてございます。

○小松委員 この考えに基づいて整備を進めるということではありますけれども、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックには多くの観光客も訪れますから、観光客の自転車利用も見込まれるところです。
 二〇二〇年までに完了させる自転車走行空間の整備延長や昨年度の取り組み状況について伺います。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海部におけます自転車走行空間につきましては、大会開催までに約三十二キロメートルの整備を目指すこととしてございます。
 昨年度は、今年度以降の設計、工事に向けまして、交通量等の必要な調査を行うとともに、交通管理者等の関係機関との調整を進めたところでございます。

○小松委員 今後、オリンピック・パラリンピックまでに三十二キロメートルの自転車走行空間整備ということではありますが、安全性や快適性を実現した自転車利用を進めるためには、連続した走行区間が必要でありまして、そのためには、港湾局が管理している道路だけではなく、国や区などが管理している道路と一体となって走行できる自転車走行空間とすべきです。
 自転車走行空間の連続性をどのように確保していくのか、お伺いいたします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 自転車走行空間の整備に当たりましては、港湾局が管理しております道路と国道、都道、区道との連続性の確保が重要であります。そのため、各道路管理者と、整備形態や整備スケジュール等につきまして整合を図るとともに、施工段階におきましても円滑な工事が進められるよう、十分に調整及び連携を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、臨海部における安全で快適に利用できる自転車走行空間の確保に努めてまいります。

○小松委員 先ほども述べましたように、都内全域で自転車を利用しやすい道路整備を求めているところです。臨海部やその近くでは自転車シェアリングも始まっています。臨海副都心エリアなどは一つ一つの施設が大きいため、移動手段として自転車利用が有効と考えられます。安全で快適な走行空間の整備を進めていただくことを求めまして、質問を終わります。

○崎山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○崎山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時三十八分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る