平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

平成二十七年十月二十三日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長崎山 知尚君
副委員長栗林のり子君
副委員長尾崎あや子君
副委員長田中たけし君
小林 健二君
堀  宏道君
小松 久子君
ほっち易隆君
田中 朝子君
新井ともはる君
小宮あんり君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長塩見 清仁君
次長鈴木 尚志君
総務部長小泉  健君
職員部長土岐 勝広君
資産運用部長広瀬 健二君
電車部長岡本 恭広君
自動車部長渡邉 範久君
車両電気部長石井 明彦君
建設工務部長野崎 誠貴君
企画担当部長根木 義則君
安全管理担当部長裏田 勝己君
鉄軌道事業戦略担当部長仁田山芳範君
バス事業経営改善担当部長牧野 和宏君
技術調整担当部長奥津 佳之君
技術管理担当部長谷本 俊哉君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・平成二十六年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○崎山委員長 ただいまから平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十六年度決算の審査から逸脱しないよう行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都交通事業会計決算、平成二十六年度東京都高速電車事業会計決算及び平成二十六年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小泉総務部長 過日の分科会で要求のありました資料を、お手元の平成二十六年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。事業別非常勤職員数の推移でございます。
 各事業における非常勤職員数を過去五年間分記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。地下鉄事業においてバリアフリー化した内容と費用でございます。
 平成二十六年度に地下鉄事業においてバリアフリー化した内容ごとに、整備駅数及び決算額を記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○崎山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中(た)委員 交通局は、いうまでもなく公営企業局であり、行政として公共の福祉の増進に努める責務がある一方で、企業として経済性も追求しなくてはなりません。公共性と経済性をいかに両立させるかが大きな課題であると認識をしております。
 私は、公共性の追求と経済性の追求は二律背反の関係にあり、両者のバランスをいかにとるかは、経済環境や時代の要請などを踏まえて判断すべきだろうと思っております。
 今後ますます少子高齢化が進み、オリンピック・パラリンピック開催に向け、外国人観光客が増大する中で、交通局の、都営交通の果たすべき役割は大変大きいと認識をいたしております。
 このような認識を持ちつつ、本日は、交通局の平成二十六年度決算の審査に当たりまして、公共性と経済性の両立といった視点から、地下鉄事業とバス事業について質問を行います。
 まず、地下鉄事業について伺います。
 地下鉄事業は、平成二十六年度決算は、乗車料収入の堅調な伸びなどを背景に、経常収支は百八十八億円の黒字、特別損益を含めた当期純利益も百八十六億円の黒字となっております。平成十八年度に、昭和三十五年の浅草線開業以来初めての黒字を計上して以降、累積欠損金も着実に減らしてきております。
 アベノミクスによる景気回復や外国人旅行者の増加傾向も追い風に、今後も乗車料収入の増加が見込まれる中、こういうときこそ、守勢に回らず、得られた利益を将来のために積極的に投資に回していくことが重要と考えます。二〇二〇年には、オリンピックとともにパラリンピックが開催されることも踏まえますと、とりわけバリアフリーの充実は、公共の福祉の向上の視点からも必要であります。
 交通局では、ホームから地上まで段差なく移動できる、いわゆるワンルートの整備を平成二十五年度に既に完了しており、今は、乗りかえ駅でのエレベーター整備に取り組んでいると伺っております。
 そこでまず、乗りかえ駅におけるエレベーター整備に向けた平成二十六年度の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○野崎建設工務部長 交通局では、人に優しい公共交通機関を目指し、バリアフリー化を推進しておりまして、お話のように、平成二十六年三月に、都営地下鉄全百六駅のエレベーター等によるワンルート整備を完了いたしました。
 引き続き、都営地下鉄相互の乗りかえ駅や、東京メトロなど他路線との乗りかえ経路等へのエレベーター整備に取り組んでおりまして、乗りかえの際に、一旦、地上へ出て道路上を迂回しなければエレベーターを利用できない等の状況を改善してまいります。
 平成二十六年度は、東京メトロとの乗りかえ駅で国立競技場の最寄り駅の一つでもございます大江戸線青山一丁目駅や、JR新宿駅などとの乗りかえ駅である大江戸線新宿西口駅などの六駅で設計を実施いたしました。設計完了後、この六駅につきましては工事を発注いたしましたが、いずれも入札不調となり、契約に至っておりません。

○田中(た)委員 オリンピック・パラリンピック関連の駅やターミナル駅などで整備に取り組んでいるとのことでありますが、東京メトロやJRなど他線の路線との乗りかえがスムーズになれば、事業者の垣根を越えて移動しやすくなることなどから、この取り組みについては評価したいと思っております。
 しかし、設計が完了していても、工事に着手し、エレベーターが完成しなければ、実際に利用者の利便性は向上いたしません。資材の高騰や人手不足などから、公共工事の入札不調が続いていることは私も承知しておりますが、不調の原因をしっかりと把握し、それに見合った対策を講ずることで、ぜひともエレベーターの整備を進めていただきたいと思っております。
 そこで、入札不調の原因をどのように認識しているのか、また、今後どのように対策を講じていくのか、お伺いをいたします。

○野崎建設工務部長 入札不調についてでございますが、地下鉄改良工事は、鉄道施設の安全を確保しながら夜間の限られた時間内で作業を行う必要があるなど、特有の厳しい条件があることから、収益性が低い工事と見られており、人手不足が続く建設業界では、地下鉄改良工事は敬遠される傾向にあることが主な要因と認識しております。
 交通局ではこれまでも、積算金額と実勢価格の乖離縮小を目指し、主要な資材等について価格動向を定期的に確認し、適時適切に積算単価に反映することや、積算歩掛かりと経費率の見直しなどの対策を講じてまいりました。
 また、エレベーター設置工事につきましては、耐震補強工事を組み合わせるなど、工事規模の拡大を図る対策も講じてまいりました。
 現在、さらなる取り組みとして、作業時間が限られるなど個々の現場条件を積算価格に反映するための見積積算方式の試行を開始し、価格面での乖離縮小に努めるとともに、安全性に十分配慮した上での入札参加要件の緩和や、発注予定情報のきめ細かい提供など、技術者不足に配慮した対策も実施しております。
 こうした取り組みにより、今年度に入りましてから、一部の工事において成果があらわれてきております。
 今後とも、さまざまな不調対策に取り組み、安全・安心の確保や質の高いサービスの提供等に向け、事業を着実に推進してまいります。

○田中(た)委員 我々都議会自民党の入札・契約制度改革プロジェクトチームの意見も取り入れながら、工夫を凝らして、応札意欲の湧くような不調対策を講じ、着実な事業執行が行われますように強く要望いたします。
 次に、安全対策について伺います。
 鬼怒川の堤防決壊による浸水は、私もその映像を目の当たりにし、自然災害の猛威に非常に大きな衝撃を受けました。東京でも近年、ゲリラ豪雨が多発しており、決して他人ごとではありません。
 水は高いところから低いところへ流れるものであり、地下空間というのは、地上よりもリスクが高いと思っております。地下鉄施設への水の流入を防ぐためのハード対策はもちろん必要でありますが、それにも限界があります。乗客の安全を確保するためには、ハード対策に加え、万一、水が流入した場合にも、速やかに乗客を避難させることができるよう、事前にしっかりと準備をしておくことが不可欠であると認識いたしております。
 そこで、これまで地下鉄浸水対策についてどのように取り組んできたのか、ハード、そしてソフト両面からお答えをいただきたいと思います。

○裏田安全管理担当部長 都営地下鉄におきましては、沿線各区が平成十二年九月に発生した東海豪雨を受けて公表したハザードマップに基づきまして、浸水防止設備の改良や増設を進め、当局が管理しております駅出入り口等につきまして、必要とされる全ての箇所で、平成二十五年度までに整備を完了いたしました。
 具体的には、周辺の過去の浸水被害や地形を考慮し、駅出入り口に止水板や防水扉を設置いたしますとともに、地下鉄内の自然換気を行うために歩道上に設けた通風口に浸水防止機を設置いたしました。
 また、地下施設である以上、常に万一の浸水の可能性に備え、お客様を適切かつ迅速に避難誘導することが最優先でございまして、平成二十六年度には、全ての地下駅において、水防法に基づく避難確保計画を策定してございます。
 この計画を踏まえまして、都営地下鉄全体で、駅、運転、保守の各部門が合同して、お客様の避難誘導、止水板や土のうの設置、部門間の情報伝達等を内容とした自然災害防止訓練を毎年行いますとともに、日ごろから職場単位で個別に訓練を実施しております。
 今後とも、ハード、ソフト両面から浸水防止対策に適切に取り組んでまいります。

○田中(た)委員 一定の対策は既に進んでいるようでありますが、今後とも訓練を重ねるとともに、日ごろから安全意識の向上に努め、いざというときの対応力を高めていただくよう、よろしくお願いいたします。
 続いて、増収対策について伺います。
 経営状況は改善しつつあるとはいえ、こういうときこそ、積極的な投資を行いつつも、中長期的な視点に立ち、手綱を緩めることなく、公営企業としての足元をしっかりと固めておくことが重要となります。
 今後、二〇二〇年大会に向けて、訪日外国人旅行者は増加の一途をたどると見込まれることから、この機会を逃すことなく、日本人はもちろん、外国人にとっても使いやすいよう利便性向上を図ることで、都営地下鉄にいい印象を持ってもらい、リピーターになってもらうことが、収益性のさらなる向上のためにも重要と考えます。
 そこで、平成二十六年度におきまして、訪日外国人旅行者の利便性向上にどのように取り組んだのか、お伺いをいたします。

○岡本電車部長 都営地下鉄では、近年、大幅に増加している訪日外国人旅行者の利便性向上を図るため、これまで、案内サインの多言語化や外国人向けの案内冊子の配布など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 平成二十六年度からは、都営地下鉄と東京メトロの全線を割安で最大三日間利用することができる外国人旅行者向けの企画乗車券、Tokyo Subway Ticketを、羽田、成田の両空港及び海外の旅行会社等で販売しております。
 また、乗車券の購入や駅周辺の観光に関する外国人からの問い合わせが多い駅を中心に、英語対応が可能なコンシェルジュを配置しておりまして、二十六年度に四駅、二十七年度に二駅ふやし、現在では二十駅まで拡大しています。
 さらに、昨年十二月からは、訪日外国人旅行者から要望が多かった無料WiFiサービスの提供を、浅草、六本木など外国人の利用の多い都営地下鉄三十五駅で開始しました。
 今後、訪日外国人旅行者が安心して快適に都営地下鉄をご利用いただけるよう、さらなる利便性の向上に取り組んでまいります。

○田中(た)委員 東京が国際都市としてさらなる飛躍を遂げるためにも、訪日外国人旅行者の利便性向上は不可欠であり、都心部のネットワークを形成する都営地下鉄は重要な役割を担っております。二〇二〇年大会、そしてその先を見据え、引き続き、さらなる利便性向上に向けて取り組むとともに、その魅力を広くPRして、積極的にインバウンドの取り込みを図るよう要望いたします。
 また、東京を訪れる観光客の数でいえば、外国人観光客は千万人単位でありますが、国内観光客は億人単位であり、圧倒的に国内観光客の方が多いわけであります。外国人観光客対策だけではなく、地方から来る国内観光客に対しても、沿線観光スポットやお勧めの店舗紹介をするなど、都営交通を利用していただくための取り組みに、ぜひともご尽力をいただきたいと思います。ソウル市を紹介するのもいいですが、都内の観光スポットをさらに紹介し、利用者拡大につなげていただきたいと思っております。
 続いて、バス事業について伺います。
 バス事業の経常収支の推移を振り返りますと、近年、黒字で推移しておりましたが、毎年約二十五億円の東京電力株の配当金収入がなくなった平成二十三年度決算で赤字に転じております。そして、平成二十五年度決算で三年ぶりに黒字となったものの、今回の平成二十六年度決算では、約六億円の経常損失と、再び赤字となっております。
 そこでまず、経常収支が赤字となった主な理由をお伺いいたします。

○小泉総務部長 バス事業につきましては、東京電力株式会社の配当金収入がなくなったことなどにより、平成二十三年度決算で経常収支が十八億円の赤字となりました。このため、乗車料収入の増加を図るために、路線、ダイヤの見直しなどを行うとともに、経費の縮減を図るため、車両の使用期間の延長や備品、消耗品の節減など、徹底した経営改善を進めてまいりました。こうした取り組みにより、平成二十四年度の経常収支は四億円の赤字、二十五年度は五億円の黒字となりました。
 しかしながら、平成二十六年度は、乗客数の増により乗車料収入が約一億八千万円の増収となったものの、給与改定や退職者数の増により人件費が三億二千万円増加したほか、委託料、修繕費が増加したこと、テナントの退去に伴う賃貸料収入が減少したことなどにより、経常収支は六億円の赤字となったものでございます。

○田中(た)委員 乗車料収入は前年度を上回ったものの、それ以上に経費は増加し、赤字となり、とりわけ人件費は三・二億円増加したとのことであります。
 バス事業では、経常費用の約六割を運転手を初めとする人件費が占めており、人件費の動向は、経営を中長期にわたって左右する重要な要素であります。
 そこで、十年前と比較して、人件費はどのように推移しているのか、お伺いをいたします。

○小泉総務部長 都営バスにおきましては、これまで、経営計画に基づき、平成十五年度から、路線バスの運行などの業務を外部に管理委託することにより職員定数の削減を図るなど、経営効率化の取り組みを推進してきており、平成二十六年度におきましても、新たに路線バス五系統を管理委託いたしました。また、平成十九年度からは、バス運転手など現業系職員の給与水準を一〇%引き下げるなど、人件費の削減に努めてまいりました。
 こうしたことにより、バス事業の人件費は、十年前の平成十六年度が約二百九十九億円だったのに対し、二十六年度は約二百四十五億円となり、約五十四億円、率にして約一八%の減少となっております。

○田中(た)委員 この間の経営努力により、人件費総額の抑制に努めてきたことは理解いたしました。
 しかし、路線バスの管理委託の拡大については、人件費が減少する一方、委託料の増加につながることから、その効果は双方を比較してみなければならないと思っております。
 そこで、管理委託により、どの程度コスト削減効果が得られているのか、平成二十六年度の実績をお伺いいたします。

○牧野バス事業経営改善担当部長 平成二十六年度の管理の委託につきましては、委託契約金額が約三十五億円、委託路線は四十四系統でございます。
 管理の委託によるコスト削減効果につきましては、委託金額を直営で運営した場合の人件費などと比較して算出した場合、平成二十六年度におきまして三割程度の削減効果に相当いたします。

○田中(た)委員 管理委託により着実に経費削減効果が得られていることを確認いたしました。引き続き、サービス水準の維持に十分留意しながら経営効率化を図っていただきたいと思います。
 しかし、このような効率化効果がある中においても、平成二十六年度の決算は赤字となっております。こうした中、路線やダイヤの見直しにより利用者の増加を図るべきことは当然ながら、さらなるサービスの向上により、既存の路線も含めて魅力を高め、ひいては収益性を高めていくことも重要と考えます。
 そこで、平成二十六年度は、バス事業においてどのようなサービス向上を図ったのか、お伺いをいたします。

○渡邉自動車部長 都営バスでは、サービス向上のために、停留所における上屋、ベンチの整備やバス接近表示装置の増設、バス車内の案内表示装置の更新などを進めております。
 上屋やベンチの整備につきましては、一定の歩道幅員が確保でき、支障物のない箇所に順次整備を進めており、平成二十六年度におきましては、上屋二十四棟、ベンチ五十二基を設置いたしました。
 バスが幾つ前の停留所まで来ているのかをお知らせするバス接近表示装置につきましては、平成二十六年度は二十基増設しております。
 このほか、四カ国語で表記するバス停留所をふやすなど、外国人観光客にも利用しやすいよう案内等の改善に努めております。
 バス車内につきましては、次の停留所名をお知らせする次停留所名表示装置の更新に際し、フルカラー液晶ディスプレーを採用することで情報案内の充実を図っております。平成二十五年度、二十六年度の二年間で、当初計画を上回る百十三両のバスに設置したところでございまして、今後、平成二十八年度末までに全車両への導入を目指してまいります。
 また、平成二十六年三月から全車両で開始した車内での無料WiFiサービスにつきましては、本年四月から八月までの一日当たり平均で約一万二千件以上の利用となるなど、好評をいただいております。
 今後とも、こうしたサービスの充実に取り組み、お客様の利便性や快適性の向上を図ってまいります。

○田中(た)委員 もとより、公営企業は、利益の追求だけを主たる目的とするものではなく、単年度の決算のみをもって一喜一憂するものではないと思っております。赤字決算ではあるものの、それをもって短絡的にサービスを抑制するのではなく、都民サービスの向上も着実に進めている点は一定の評価をしたいと思います。
 都バスをより魅力的なものとし、収益性の向上を図るためにも、引き続きサービスの向上にしっかりと取り組むようお願いをいたします。
 さて、これまで地下鉄事業とバス事業について伺ってまいりましたが、運行にかかわる、いわゆる本業の部分では公共性と経済性の両立を図ることはもちろんのこと、こうした本業を支えるためにも、私は、公営企業としての経済性の発揮において関連事業が果たすべき役割は非常に重要であると考えております。
 冒頭も申し上げましたが、交通局は、公営企業局として公共性と経済性のバランスが求められております。私は、そのバランスは、時代の変化や経済環境、時代の要請とともに変化すべきであり、その時代に応じて公共企業としての役割を果たしていくべきだと思っております。
 今日の地下鉄事業の環境を見るに当たりまして、東京メトロの動向は絶えず意識すべきだと思っております。東京メトロは、平成十六年に株式会社化、民営化され、積極的な事業展開が行われており、今後はさらに株式上場も予定されているため、今まで以上に、より積極的な事業展開が予想されております。また、他の鉄道事業者も、積極的に収益向上に向けた取り組みが行われております。本業の鉄道事業はもちろんのことではありますが、関連事業として、駅構内での店舗展開をする流通事業や不動産事業、広告事業などにも積極的に進出しており、そのような競合他社と競争するためにも、都営交通の公益性、公共性を維持しつつも、経済性にも力を入れ、より積極的に事業展開すべきだと私は思っております。そして、そこで得られた収益を公共性の高い事業に投資していくべきだと思っております。
 そこで、地下鉄及びバス事業の収益力を高めるため、関連事業について、平成二十六年度にどのような取り組みを行ったのか、お伺いいたします。

○広瀬資産運用部長 交通局におきましては、地下鉄事業やバス事業などの本来事業の経営基盤の強化に寄与するため、土地、建物など資産の有効活用や広告事業、構内営業など、多岐にわたる関連事業を展開しております。
 地下鉄事業におきましては、利用されるお客様のニーズに応え、利便性の向上に努めているほか、広告事業における新たなデジタル媒体の導入にも取り組んでおります。
 平成二十六年度は、駅構内の店舗の新設や自動販売機、海外発行カードにも対応したATMの増設のほか、六本木駅ホームにデジタルサイネージ広告の設置などを行いました。
 バス事業におきましては、長期的に安定した収入を確保することが重要であることから、自動車営業所用地やその跡地など、大規模用地の有効活用を積極的に進めております。
 平成二十六年度は、巣鴨自動車営業所の敷地の一部を三十年間貸し付けることとしたほか、目黒分駐所跡地の利活用のため参画している再開発事業を進めてきたところでございます。
 今後とも、こうした関連事業を着実に推進し、本来事業の経営基盤強化に努めてまいります。

○田中(た)委員 最近、まち中を歩いていても、デジタルサイネージ広告をよく見かけるようになったと思います。こうした新技術も積極的に取り入れながら、さらなる収益性向上に努めていただきたいと存じます。また、ぜひ競合他社の動向もしっかり踏まえた上で、今後の積極的な展開を強く要望していきたいと思います。
 これまで公共性と経済性の両立という観点から質問をしてまいりましたが、公営企業の経営には、この両者のバランス感覚が強く求められると思います。例えば、仮に一時的に赤字を出しても、都民サービスの向上を優先させるべき場面もあるでしょうし、世の中の発展のために、公営企業として一定の役割を担うべき場面もあると思います。
 地下鉄、バス両事業は、二〇二〇年大会開催時には、観客やスタッフの輸送において重要な役割を担うことが見込まれますが、その準備のためにも積極的な投資が必要なことと思います。
 また、バス事業においては、水素社会の実現に向けて、来年度には燃料電池バスの営業投入も計画されておりますが、採算性だけを考えれば厳しい側面があることも否定できません。しかし、都営バスには、ぜひとも燃料電池バスの普及促進に向けた呼び水としての役割を果たしていただくことを強く期待いたしております。社会を変革していくための先鞭をつけるのも、地方公営企業の役割ではないかと思っております。
 一方で、こうした積極的な投資を可能とするのは健全な財政基盤があってこそであり、また、必要な都民サービスを中長期にわたって安定的に提供し続けるためには、経営の健全性が重要なのはいうまでもありません。また、企業間競争が激しくなる中、積極的な事業展開も求められると思っております。
 公共性と経済性をバランスよく発揮していくことが公営企業経営の肝であると考えますが、今後の事業運営に向けた局長のご決意をぜひお伺いしたいと思います。

○塩見交通局長 交通局は、明治四十四年、前身である東京市電気局の創設から百年余にわたり、都民生活や東京の都市活動を支える役割を担ってまいりましたが、その間、関東大震災や戦災などにより事業が壊滅的な打撃を受け、また、モータリゼーションなど交通潮流の激変により事業環境が極度に悪化するなど、幾度も財政危機に直面し、経営はまさに苦難の連続でありました。
 これに対しまして、都電の廃止、撤去といった事業再編や人員削減、バス運転手の給与水準の引き下げなどの内部努力によりまして経営を再建し、これらの危機を乗り越えてまいりました。
 本日ご審議をいただいております平成二十六年度決算では、全事業合計で約百五十億円の黒字を計上し、一時の危機的状況は脱しているものの、バス事業は赤字を計上し、また、地下鉄事業も長期的には乗客数の大きな伸びが期待できないなど、先行きは決して楽観できる状況ではございません。
 しかも、さらなる安全の確保や質の高いサービスの提供のために必要な投資は行っていかなければならず、さらに、二〇二〇年大会開催に向けた取り組みや水素社会の実現など、対処すべき課題が増大しております。
 したがいまして、交通局は、引き続き、安全の確保を最優先に、東京の交通政策を体現できる都庁の唯一の組織として、まちづくりなど都の施策と十分連携し、世界一の都市東京の実現のため、その使命を果たしていく一方で、将来にわたり都営交通を安定的に経営していくため、さらなる内部努力による収益性の向上や経済の効率化を進め、経営基盤の強化を図る必要がございます。
 こうした認識のもと、田中副委員長のご指摘もまさにそうしたことであると理解しておりますが、局事業の運営に当たりましては、中長期的な視点のもと公共性と経済性を両立させ、これまで以上にお客様から信頼され支持される都営交通、地下鉄、バス、都電など総体としての都営交通を目指して、局一丸となって課題解決に取り組んでまいる所存でございます。

○田中(た)委員 ただいま局長から力強いご決意をいただきました。ぜひ我々も、交通局の皆様とともに、この課題に取り組んでいきたいと思っております。
 東京のさらなる発展のために都営交通が果たすべき役割は非常に重要であります。都営交通の強みは、地下鉄とバスを両方運営していることであり、両者の相乗効果をより発揮させることにより、収益の向上を図れるところにあります。その強みを生かすように積極的に取り組むべきだと私は思っております。
 また、私の持論ではありますが、収益向上のためには、地下鉄や都電の延伸も考えるべきだと思っております。意識すべき東京メトロの路線を見ますと、全ての路線は、終着点は他の路線と接続されております。一方、都営地下鉄は、浅草線は西馬込で、三田線は西高島平で、そして、大江戸線は光が丘で終点となっております。大江戸線は、近い将来、大泉学園方向への延伸はあるようでありますが、それぞれの路線、途中で駅がとまっているのではなく、他の路線と接続することによって--また、崎山委員長の地元にもあります都電荒川線も、王子駅とは接しておりますけれども、他の主要ターミナル駅とは接しておりません。例えば、堀先生の地元の池袋駅などに接続するなど、そういう積極的な延伸施策を講ずることを通じて、ぜひ収益向上を図っていただくようなご検討もいただきたいと思っております。
 ぜひとも、中長期的な視点のもと、さらなる公共性の発揮と、健全経営を維持していくための経済性の追求とのバランスを強く意識した事業運営を行うことを強くお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○栗林委員 それでは質問させていただきます。
 今お話もございましたけれども、都営交通を取り巻く事業環境は厳しい状況が続き、今後も、少子高齢化が進展をして人口減少が見込まれる中、乗客数の大幅な増加は余り期待できない、そういう状況でございます。
 また、災害に対応する備えとして防災力を強化することが求められるなど、施設の安全性の向上にも万全を期さなければならない状況もございます。
 社会も変化し、バリアフリー新法、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の制定からも九年が経過し、またあわせて、観光客が急増する--一昨日の報道では一千五百万人に近づくという、そういう日本を訪れる観光客がふえているというところでございます。外国人向けの交通機関の環境整備もあわせて求められているところでございます。
 そうした中、都営交通は、安全で快適な輸送サービスの提供に加えて、公営交通としての社会的役割を果たし、人と環境に優しく誰もが利用しやすい公共交通機関にすることが重要でございます。そこで、福祉、観光、文化振興、環境といった視点から何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず、都営地下鉄における福祉施策の推進について伺わせていただきます。
 視覚に障害のある方から、都営と私鉄乗り入れの駅、この乗りかえ、乗り継ぎの駅が非常に利用しにくいというご指摘がありました。また、地下鉄の利用等にさまざまな苦労をしているというお話も聞きました。音とか、また触覚による案内や誘導が大変重要ではないかと思います。
 視覚に障害のある方も安心して駅を利用できるようにするために、これまでの取り組み状況をお伺いいたします。

○岡本電車部長 都営地下鉄では、視覚に障害をお持ちのお客様が安心してご利用いただけるよう、視覚障害者誘導用ブロックや点字運賃表を全ての駅の構内に設置しております。また、改札口付近に、駅構内の切符売り場やトイレなどの位置を点字等で案内する触知案内図を設置するとともに、ホーム上の階段及び改札口への誘導チャイムの設置を進めています。
 平成二十六年度末時点で、触知案内図については八十五駅百三十九カ所に設置しています。また、ホーム上の階段への誘導チャイムについては七十一駅二百十八カ所、改札口への誘導チャイムについては、当局が管理する全百一駅の百七十四カ所に設置しています。
 今後も、視覚に障害をお持ちの方にも安心して都営地下鉄の駅をご利用いただけるよう、点字や音声などによる案内設備を適切に整備してまいります。

○栗林委員 視覚障害だけでなく、また車椅子を利用する方など、さまざまな障害のある方々にとっても、エレベーターの設置や駅構内のユニバーサルデザインが求められているところでございます。
 都営地下鉄では、車椅子をご利用の方など誰もが使いやすい券売機や改札に向けてどのように改善をされてきたのか、取り組み状況を伺います。

○岡本電車部長 都営地下鉄の自動券売機につきましては、車椅子のお客様にも利用しやすいよう、低い位置に設置しております。
 また、視覚に障害のあるお客様にも、音声案内などによりご利用いただけるようにしております。
 さらに、全ての駅の各改札口において、少なくとも一台は通路幅の広い自動改札機を設置しておりまして、車椅子のお客様などの利便性向上も図っております。
 今後とも、障害をお持ちの方など誰もが使いやすいよう、ユニバーサルデザインに配慮した施設設備の整備を進めてまいります。

○栗林委員 改善に取り組んでいただいているところではございますが、高齢の方や障害のある方は、そうしたハードウエアによる案内とか誘導だけではなく、駅の係員さんによるサポートがまた必要ではないかと思います。こうしたときに、駅係員の、駅員さんに、介助の専門性といいますか、心得があると、より一層安心して利用できるのではないかと思います。
 地下鉄駅員さんによる介助の充実に向けた取り組みについて伺わせていただきます。

○岡本電車部長 都営地下鉄では、高齢者やお体の不自由なお客様が快適にご利用いただけるよう、全ての駅にサービス介助士の資格を持った駅係員を複数名配置しております。
 サービス介助士の資格を持った駅係員は、車椅子の操作方法や視覚障害者への介助の実技講習を受講するなどして、おもてなしの心と介助にかかわる専門的知識を身につけており、お客様が判別できるよう、バッジを着用しています。
 平成二十六年度は、新たに七十五名の駅係員が資格を取得し、年度末時点の有資格者数は千四十名となっています。さらに、現在は、資格取得の対象者を運転士や車掌にも広げ、さらなる介助の充実を図っています。
 今後も引き続き、サービス介助士の資格取得を進めてまいります。

○栗林委員 ますますの取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、都電を通じた観光、文化振興について何点かお伺いをいたします。
 先日の第三回定例会の我が党の一般質問で、高倉議員が都電の魅力向上について質問をし、貸切電車による都電落語会に関する質問をさせていただきました。都電の話題づくりに加えて、落語という日本の伝統文化の振興にも寄与する取り組みであるということで、こうしたさまざまな工夫を凝らした都電の魅力を高めていくことが大変重要ではないかと思います。
 そこで、都電の魅力向上に向けての今までの取り組みについて伺います。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 荒川線は、東京に残った唯一の都電でございまして、利便性の高い地域の身近な足として長く親しまれておりますが、さらに新たな利用客を獲得していくためには、荒川線の魅力を向上させる取り組みが重要であります。
 これまで、都電おもいで広場の整備やレトロ車両の導入のほか、六月の路面電車の日や十月の荒川線の日といった記念イベントの開催、都電マスコットキャラクター、とあらんの活用、都電カレンダー等の各種グッズの販売などを実施してまいりました。
 平成二十六年度には、若者向けにリニューアルした情報誌「とでんで。」を発行し、荒川線の魅力向上のための取り組みや沿線の話題について、より多くのお客様に知っていただき、ご利用につながるようPRを行ってまいりました。
 また、平成二十六年八月から、お話の貸切電車による都電落語会がスタートし、現在話題となっております。

○栗林委員 都電は、沿線地域の方々の足であると同時に、沿線地域を活性化させることにも大変重要な役割を持っているのではないかと思います。沿線地域と密接に連携をしていくことが不可欠であります。
 そこで、沿線地域の活性化に向けて、地域との連携の取り組み状況はどのようになっているか、伺わせていただきます。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、荒川線の魅力向上と沿線地域のさらなる活性化を図るため、これまで、毎年、沿線区と協力してさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 例えば、沿線の桜やバラの開花時期に合わせて、車内を装飾した都電さくら号やバラ号を沿線区と連携して運行し、花の見どころをPRするなど、旅客誘致に努めてまいりました。
 また、沿線で実施されるバラの市などに局職員が出向き、都電グッズを提供したり、チラシを配布したりするなど、地域のイベントに協力してまいりました。
 さらに、平成二十六年度には、夏休み期間に、沿線の名所などをめぐる荒川線スタンプラリーを沿線四区と連携して実施し、約二千名の参加をいただいてまいりました。

○栗林委員 一般質問の高倉議員の質問での答弁で、本年五月に、世界最大級の旅行者向け口コミサイトで評価の高い観光施設として認証されたとのお話がありました。
 実は、私も昨日、初めて都電に乗せていただき、崎山委員長の地元で、私、今まで見たことはあったのですが、乗ったことがなくて、昨日初めて乗車させていただき、その停留場に書かれていた、トリップアドバイザーのエクセレンス認証を受賞しましたという掲示がありました。
 この中に、ホームから見える電車が近づいてくる風景、車内から見える風景、全てが絵になりますと書いてありましたが、本当にそうでした。何ともいえない人情味あふれる、そのまちの空気が漂う、これは都電ならではのすばらしい光景でもあり、乗り物だなということを感じまして、都電は観光面でも高い魅力を持っているんだなと思いました。
 国内外からの観光客に対して、さらにもっと魅力を発信していくべきと考えますけれども、これまでの取り組みについて伺います。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 都電の集客力を高めていくためには、その魅力を国内外からの観光客に広く発信していくことが必要であると考えております。このため、これまで、広報誌に加え、フェイスブックやツイッターを活用し、沿線の見どころなどの情報を広く発信してまいりました。
 こうした中、本年五月には、お話の世界最大級の旅行者向け口コミサイトであるトリップアドバイザーから評価の高い観光施設として認証を受けました。これを契機と捉えまして、先月からは、各停留場や車内でステッカー等を掲出し、このサイトと共同で荒川線のPRを行っております。
 今後とも、荒川線の魅力を国内外に発信していくため、フェイスブックやツイッターにおける沿線情報発信の回数をふやすなど、きめ細やかな対応に努めてまいります。また、多くの外国人にも荒川線をご利用いただけますよう、外国語での案内冊子を発行してまいります。

○栗林委員 昨日乗せていただいたときに、乗る際に、こういうビンゴゲームみたいなカードを手渡されまして、乗降客のニーズ調査をちょうどしていたんですね。お客様、乗られた方は、筆記は多分できないということを考えて、ビンゴゲームみたいにプツプツと倒していく。あなたの年代はとか、目的はとか、もう皆さん、乗ったらカードを持ってプツプツと真面目に全部取り組んでいらして、おりるときに駅員さんに渡すという、そういうニーズ調査をされていました。
 やはりこういった改善を常に考えて、こういったニーズ調査もされているんだなと思ったのと同時に、また、荒川線は一両ですよね。見渡したら、シルバーシートはないのかなと思ったら、前に二つ優先席があって、あとはほとんど自由席だけれども、どういうわけか、年配の方が全部座っていらして、若い方が座っていても、ご年配の方が入ってきたら自然に席を立つという、そういうルールというか、優しさが根づいているところには感動いたしました。こういった光景を外国の観光客の方がごらんになったら、またこれも、すごい文化があるんだということで、やはり大事な、本当にあれは貴重なといいますか、観光資源だと思いました。
 また、あわせまして、荒川車庫前というところでおりまして(実物を示す)注目のこの袋でございますが、荒川車庫前にグッズを売っていますというのがあったので買ってきました。ちゃんとお金を出して買ってまいりました。これはTシャツですね。あといろいろなグッズがあるんです。メジャーとか、こういうのも販売されているんですが、こんなかわいいのがあるんですが、残念ながら飾る場所がないので、紙でこれをくださいといって、それで、サンプルが、何かかごに入れたのが出てきて、そこから選ぶというのは、とても何か昔風のといいますか、ネットの時代であるにもかかわらず、紙を持って、じゃ、これとこれをください、かごにサンプルが入っていると。もったいないので、これからもう少し目立つところとか、そういったところに実物を飾って、もっと多くの方に、目に触れて買っていただくような、そういう改善もされた方がいいのかななんていうことも感じました。
 また、その車庫からちょっと行ったところに商店街があって、そこはやっぱり都電とともに生きてきたというか、商店街なんですね。これは都電もなかですね。こういったものも、名物として都電もなかも、すごく売れているようでした。あとはキーホルダーとか、お菓子屋さんで、ちゃんと都電のキーホルダー、こういったことも四百円で売られていましたし、やっぱり地域と本当に密着した中で地域も盛り上げていく、そんな取り組みを見せていただきながら、さらに応援をさせていただき、また、日本の、東京の誇るべき一つの観光資源としてPRをしていきたいなと思った次第でございます。
 それでは、話は変わりまして、次に、都バスにおける環境対策について伺います。
 環境配慮については、リユース、リサイクル、リデュースというように、繰り返し使い、廃棄物や負荷を減らしていくといったことが重要でございます。
 こうしたことをバス事業で考えますと、都内は交通量が多く、走行中に車線変更や加速、減速などがたびたび必要になるなど、走行環境が厳しい現状でございます。こうした都内での走行には使えなくなっても、安全性を担保した上で、他の地域ではまだまだ走行ができるという車両が順次出てくるのではないでしょうか。この地域では役割が終わっても、別の地域では十分使えるというウイン・ウインの関係、こういった関係が成り立つのではないかと思います。
 こうした他の諸都市で活用できるリサイクルは、環境面でも意義があることに加え、車両を必要とする他都市にとっても大変喜ばれることになります。
 そこで、使用を終えたバスの車両の活用の考え方と、他都市、他事業者での活用実績について伺います。

○渡邉自動車部長 交通局では、安全で安定的な運行を確保するために、計画的に車両を更新しております。廃車するバス車両につきましては、購入を希望するバス事業者に売却し、路線バスとして引き続き有効活用を図っていただくことが望ましいと考えております。
 平成二十六年度におきましては、国内の公営及び民間の路線バス事業者に対しまして、交通局が廃車するバス車両についての購入意向調査を実施し、購入を希望した岩手県、宮城県、長崎県などに所在する七つの路線バス事業者に合計三十七両を売却いたしました。これらの車両につきましては、各事業者において車体の再塗装等を行った後、現在、それぞれ営業運行に活用されております。

○栗林委員 リユースやリサイクルに加えて、車両から日常的に生じる環境負荷を低減させていくこともあわせて重要でございます。そのためには、環境負荷が小さいタイプの車両にしていく必要もあるのではないかと思います。
 そこで、低公害型車両の導入について、これまでどのように取り組んできたのかを伺わせていただきます。

○渡邉自動車部長 交通局では、環境に優しい車両の普及促進を図るため、これまで、他事業者に先駆けて最新型の低公害型車両を導入してまいりました。
 具体的には、平成六年度から十八年度にかけて、粒子状物質や窒素酸化物の削減に寄与するCNGバスを導入いたしました。さらに、平成十九年度から二十四年度にかけましては、二酸化炭素削減にも寄与するハイブリッドバスを導入いたしました。
 現在では、新たに導入する車両は、全て最新の自動車排出規制であるポスト新長期規制に適合し、ハイブリッドバスと二酸化炭素排出量が同等の環境性能にすぐれた車両としております。
 今後とも、環境に優しい車両を積極的に導入してまいります。

○栗林委員 水素社会の実現に向け、燃料電池自動車の普及など、官民挙げて取り組みが今進みつつあります。ことし七月には燃料電池バスの走行実験が行われまして、私も試乗させていただきました。乗り心地は本当に静かで快適だった上に、走行中は水しか排出させないことなどが、将来、環境負荷低減に大きな役割を果たすものと期待をしているところでございます。
 多数のバスを抱えて、環境面でも先駆的な役割を果たしてきた交通局として、今後も燃料電池バスの普及に向けて積極的に取り組み、協力していくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、決算について幾つか伺います。
 私が住んでいる東大和市は、都営バスの路線が、梅70系統の一つしかありません。そこでまず、都バスについて伺います。
 安全対策とあわせ、施設、車両のバリアフリー化は、都民の強い要望であり、重要な取り組みです。私のところにも、バス停にベンチが欲しいという要望は多くの市民から寄せられています。
 東京都交通局経営計画二〇一三によると、バス停の停留所上屋やベンチの整備について、二〇一四年度は、上屋二十棟、ベンチ五十基となっていますが、梅70系統ではどうなっていますか。二〇一四年度末の設置数と都バス全体の設置数、梅70系統での設置が可能なところはどのくらいあるか、伺います。

○渡邉自動車部長 上屋、ベンチの設置につきましては、道路占用許可基準において、歩行者等の通行に支障のないよう、設置可能な歩道の幅員などが定められております。さらに、設置に支障となる地下埋設物がないことなど、さまざまな制約がございます。
 このような中、都営バス全体では、平成二十六年度末現在、上屋千四百九十二棟、ベンチ九百五十七基を設置してございます。
 梅70系統におきましては、全体的に歩道の幅員が狭い区間が多く、上屋等を設置できる場所が限られており、駅ターミナル内など条件を満たす場所に、上屋二十四棟、ベンチ三基を設置してございます。
 今後も、お客様の利用状況や道路占用許可基準を踏まえながら設置の可否を判断し、対応してまいります。

○尾崎委員 梅70系統では、現在の停留所の数は八十一ですから、その中でベンチが三基というのは少ないのではないかなと思ってしまいます。上屋が二十四棟あれば、もう少しベンチの設置ができるのではないかとも思います。せめて上屋があるところにベンチの設置を進めていただき、可能なところは早期に上屋、ベンチを設置していただくよう要望しておきます。
 決算書説明によると、梅70系統は、二〇一四年度から、小平市花小金井一丁目七百八十九番一先から花小金井一丁目七百六十七番四先まで路線延長になりましたと報告が書かれています。現在、梅70系統は、どこからどこまでの路線になっていますか。

○牧野バス事業経営改善担当部長 梅70系統につきましては、多摩地域から都心地域への通勤通学客の増加に対応するため、昭和二十四年八月、青梅車庫前から荻窪駅前間で運行を開始いたしました。その後、何度かの運行区間の変更を経まして、平成二十七年四月からは、青梅車庫前から西武新宿線の花小金井駅北口間で運行しております。

○尾崎委員 梅70系統は現在、今ご答弁がありましたように、花小金井駅北口から青梅車庫まで約二十キロメートルの長距離です。時間で見ると、約二時間二十分かかることになっています。
 四市一町をまたぐこの路線ですが、その中の武蔵村山市は、私の活動地域でもありますけれども、鉄道が走っていない地域です。そのため、バスの役割は、ほかの市と比較にならないほど重要なものとなっています。
 西武鉄道西武拝島線の東大和市から梅70で武蔵村山市に通勤をしている人もたくさんいます。朝などは、バスに乗りおくれると大変なので、走ってバス停に向かう人の姿が目立ちます。また、公立昭和病院には、乗りかえなく梅70で行けるので助かっている、小平市民の方からは、西武鉄道花小金井駅からすぐに乗れるようになったので利用しやすくなったという声も寄せられています。
 しかし一方で、運行回数が減ったので困っているという声もあります。二〇一四年度に減便されていますが、状況について伺います。

○牧野バス事業経営改善担当部長 梅70系統につきましては、関係自治体の公共負担を前提に運行しており、運行回数などにつきましても、関係自治体と協議を行って決めております。
 平成二十六年度の運行回数につきましても、同様に協議を行い決定しており、青梅車庫前から西武線の柳沢駅までの区間で申し上げますと、一日当たりの運行回数を十五回から十二回に変更いたしました。

○尾崎委員 市民の方からは、もう少し、せめて一時間にあと一便ふやしてほしいとの要望もあります。市の職員にも話を聞きましたが、市民の要望に応えたいという思いが、便がふえればいいという、そういう思いがあるけれども、一方で、市の負担金もふえるので悩ましい問題なんだともいっていました。
 そこで、梅70系統は、都と関係する市が協定を結び、運行費については市の負担金がありますが、経過について伺います。

○牧野バス事業経営改善担当部長 梅70系統につきましては、著しい赤字となっていたため、関係自治体と協議を行い、昭和五十九年六月に、関係自治体の負担を前提に存続を図ることといたしました。
 公共負担の内容につきましては、関係自治体と協議を行っており、関係自治体の負担額は、欠損額の三分の二としております。

○尾崎委員 二〇一四年度は、減便があった関係で、市の負担が減ったところもあったようです。しかし今後は、西東京市が外れたことによって、各自治体の負担金がどうなるのかと心配する声もあります。関係自治体と協議して決めているということでありますけれども、本来であれば、著しい赤字系統であっても、存続させることそのものが公共交通都バスの役割だと思います。
 多摩地域の交通政策は、区部で働く人を、鉄道を中心にして大量輸送することを基本につくられてきました。このため、日常生活を支える地域交通の整備は大きく立ちおくれており、多摩地域には多くの交通不便地域があります。団塊世代の大量退職時代を迎えた中、この問題の解決は急務となっています。多摩地域における公共交通のあり方、役割について検討する時期に来ていると思います。多摩地域の公共交通について検討を強く要望しておきます。
 次に、都バス全体にかかわることですが、障害者団体の方から、車椅子でバスに乗るとき、バスが停車する位置によって乗車しにくいとの声が出ています。運転手の方たちへの徹底などの要望が出ていますが、いかがですか。

○渡邉自動車部長 バスが停留所に停車する場合は、バスの乗降口を停留所の所定の位置に合わせ、道路の左端に停車させることとしております。
 しかしながら、停留所付近に駐車車両がある場合は、所定の位置にとめることができず、お客様にご不便をおかけすることもございます。こうした場合につきましては、乗務員には、できるだけ停留所に近い位置に停車させるよう指示しております。また、警察などの関係機関に対しまして、停留所付近の路上駐車の取り締まりを要望しております。
 今後とも、車椅子を利用されるお客様がスムーズに乗降できるよう取り組んでまいります。

○尾崎委員 道路、歩道の状況は、さまざまであるということは承知をしております。運転手は、停車の際、乗降口を所定位置に合わせて道路左端に停車するのが基本だということですが、実際はいろいろあるわけです。障害者の方からは、バス停に車椅子が見えないから停車する位置がうまくいかないのだろう、事前に次のバス停に車椅子で乗車する人がいることを知らせる機能があればスムーズにいくんじゃないかという要望まで出ています。
 障害者の皆さんにとっては切実な問題なので、今後も、運転手の方への指導など、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、都営地下鉄について伺います。
 経営計画二〇一三に基づいて、お客様の安全・安心を確保するため、さまざまな事業を計画的に推進していただいています。最近は、男女が協力して育児をするイクメンという言葉もあるように、男性も積極的に乳幼児を連れて出かける姿を多く見かけます。
 そこで、一般トイレ、女子トイレ、男子トイレに、おむつがえのベビーシートやベビーチェアの設置実績について伺います。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、トイレの改良に取り組んでおります。
 平成二十六年度は、ベビーシートにつきましては、五駅の女子トイレと四駅の男子トイレに設置いたしました。また、ベビーチェアにつきましては、五駅の女子トイレと男子トイレに設置いたしました。

○尾崎委員 女子トイレに、ベビーシートやベビーチェアは、今や当然のように設置されています。きょうのご答弁のように、男子トイレにも設置が進んでいるということでしたので、大変重要だと思います。今後も推進していただくよう要望するものです。
 トイレは、障害者にとって、とても大事なものだと思います。誰でもトイレの設置は二〇一〇年に完了していますが、障害者団体の方から、介助用のベッドがあるユニバーサルトイレを設置してほしいなどの声が寄せられています。
 介助用ベッドが設置されているところは幾つありますか。

○谷本技術管理担当部長 ご指摘の介助用ベッドは、バリアフリー整備ガイドラインでは、おむつ交換シートとされておりますが、おむつ交換シートにつきましては、地下鉄の限られた空間の中で、現場の状況に合わせて整備しておりまして、平成二十六年度は新宿線本八幡駅の誰でもトイレに設置いたしました。

○尾崎委員 福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルで決められた内容だけでは、せっかく車椅子トイレをつくっても使えないんだ、介護者と一緒にトイレに入るのでカーテンを設置してほしいという、障害者の皆さんからの声も寄せられています。
 障害の状況や車椅子の大きさなどによって違ってくると思いますが、障害者の皆さんの要望をよく聞いていただき、設計段階で障害者の方々に見てもらうなど、必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、障害者団体との定期的な意見交換を行っております。
 トイレの改修等に当たりましては、引き続き、障害をお持ちの方を初めとするお客様のご意見を参考に適切に対応してまいります。

○尾崎委員 障害者の皆さんからは、介助者がいる場合、位置などを介助して用を足している間は、介護者は壁に向かって立つなどしている、カーテンがあるとプライバシーが保てお互い安心できる、こういう声も寄せられています。また、便器と手洗いや、壁の間が一メートルなく、車椅子が便器に向かえない場合がある、手洗いがちょっと高い、出っ張っているだけでも使えなかった、非常ベルが一方の側だけだと、反対側に落ちたときに押すことができない、ひもを垂らすなど二カ所以上つけていただくなど工夫してほしいと、トイレに関してはたくさんの要望が寄せられます。
 実際に使ってみないとわからない、使ってみてふぐあいがわかるということもあります。ぜひ当事者の声を聞いていただいて、改善していただくことを要望しておきたいと思います。
 次に、運賃について質問します。
 二〇一四年度から消費税八%に増税されたことに伴い、運賃の引き上げが行われました。決算では、消費税分も含まれて処理をされ、決算報告書では仮受消費税及び地方消費税として金額が出ていますが、交通局全体での消費税の増税分は幾らになりますか。

○小泉総務部長 仮受消費税及び地方消費税につきまして、交通局が所管する三会計の合計で申し上げますと、平成二十六年度は約百二十九億四千万円でございます。税率を五%と仮定して計算いたしますと、約八十二億七千万円となりまして、その差額は約四十六億七千万円でございます。

○尾崎委員 運賃改定に伴う機器の改修は幾らかかりましたでしょうか。

○小泉総務部長 平成二十六年の四月一日及び六月一日付で運賃改定を行いました。このために行いました機器改修に要した費用は、これは、他社の運賃改定に伴って平成二十五年度にICカード関係の機器を改修した費用を含めてございますけれども、全事業会計合計で約九億八千万円でございます。

○尾崎委員 二〇一三年十二月九日の公営企業委員会質疑で、我が党が、運賃改定に伴う機器の改修はどのぐらいかかるのかとの質問に、機器の改修に、全事業会計で約八億円と答弁されていました。機器改修は、今のご答弁で、他社の運賃改定も含め九億八千万円だったということです。また、同委員会で、運賃改定に伴う消費税転嫁分については約四十億円と答弁されましたが、実際には、値上げ分は、概算で約四十六億七千万円だったということがわかりました。私は、運賃改定によって都民に及ぼした影響が大きかったと痛感しています。
 決算書を見ると、高速電車会計の当年度純利益が百八十五億円、交通事業会計の当年度純損失は三十四億円、あわせて、二〇一四年度の当年度純利益は百五十一億円です。運賃値上げが議論された二〇一二年度決算の当年度純利益よりも約四十三億円ふえたことになります。高速電車会計の流動資産一千五百二十億円、流動負債は七百五十億円ですから、保有資金が七百六十九億円、交通事業会計の流動資産は四百十億円、流動負債は百七十一億円ですから、保有資金は二百三十九億円となり、合わせると保有資金は一千八億円になります。
 我が党は、消費税を仮に転嫁しても、同じ額を値下げすれば、現行運賃は維持できるのではないかと主張してきました。決算書を見ても、消費税転嫁分を値下げできる財政状況であったのではないかと思われます。
 今、雑誌やテレビなどでも下流老人という言葉が使われ、話題になっています。私のところにも、このままでは暮らしていかれないと相談に来る人がふえています。収入はふえないのに負担ばかりがふえる、切り詰めるところは切り詰めているが限界だ、今までバスを使っていたが、節約のために歩くようにした、百円でも十円でも節約しているという声もありました。
 また、妻が病院に定期的に通っているので、車を手放さないで我慢して持っていたが、七十五歳を過ぎて、子供たちから、年をとってからの運転は危ないから、心配だし、もう運転はやめてほしいといわれて、いよいよ免許を返した、これからはバスや電車を乗り継いで病院に行くことになるんだということも話していました。
 警視庁の統計によると、運転免許を自主返納した人は、二〇一三年は十三万七千九百三十七人で、十年前の一万六百三十二人の十倍以上になっています。
 通学通勤はもちろんですが、都民が外出する際、公共交通は都民にとってなくてはならないものであり、役割はますます大きくなっています。だからこそ、今回の運賃の引き上げがあったとしても、利用者は減っていない大きな根拠だったと私は思います。
 公営企業の経営の原則をうたった地方公営企業法第三条では、地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないとなっています。
 交通局の経営計画二〇一三の中でも、都営交通の使命をしっかり果たし、お客様に信頼、支持される都営交通を目指すとしているわけですから、この立場で一層取り組んでいただきたいと要望します。
 政府は、二〇一七年四月から消費税一〇%に引き上げるとしています。消費税増税に係る運賃引き上げはどうなるのか、既に都民の不安は広がっています。今回の運賃引き上げで、都民にどのような影響があったのか調査を行い、検証すること、運賃引き上げにかかわった機器改修を今後の運賃に転嫁しないよう求めて、質問を終わります。

○谷本技術管理担当部長 先ほどの答弁で、介助用ベッドの数が幾つあるかというご質問がございましたが、平成二十六年度は本八幡駅の誰でもトイレに設置いたしましたが、現在の総数でいいますと、十二カ所でございます。

○新井委員 東京都におけます業務効率に資するTAIMSと称します全庁的な情報ネットワークを平成九年から構築しているんですね。それで、TAIMSは、都の内外との情報交換、組織の壁を越えました情報共有、都民、企業、ほかの自治体等との共同による質の高い行政運営を実現するためのシステム基盤と位置づけられて、都庁にとっては不可欠なLANだと思っております。
 一方、交通局では、公営企業という立場で、たゆまぬ経営努力を行いながら、独自に各種業務システムの構築を実施してきたと聞いております。TAIMSについては、業務を遂行するためには必要だと思いますが、この間、全ての駅に設置されていたというのではなく、限られた駅にしか設置されてこなかったということです。そこで、昨年の二十六年度は、設置されていない駅に対して、TAIMSのネットワーク部分を構築したと聞いております。
 そもそも、交通局におけますTAIMSと総務局におけるTAIMSの違いや関係性について、よくわかりづらいと思っております。
 そこでまず、交通局におけます情報ネットワークの概要と、知事部局における情報ネットワーク、いわゆる総務局TAIMSとの関係性についてお伺いします。

○小泉総務部長 交通局は、昭和四十年に汎用コンピューターを導入いたしまして、主に、大量かつ定型的な事務処理に使用してまいりました。
 その後、ITの進歩に伴い、サーバーを利用したシステムへのダウンサイジングが可能となりましたことから、段階的にシステムの再構築を進め、ネットワーク技術を利用したシステムの整備を行ってまいりました。平成十五年には、全庁的なネットワークであるTAIMSと接続し、全庁的な情報の交換や共有化を行っております。
 なお、交通局の情報ネットワークは、地下鉄の線路沿いに敷設いたしました交通局独自の光ファイバーケーブルをネットワーク回線として活用し、既存インフラの有効活用を図っております。

○新井委員 昭和四十年に汎用コンピューターを導入したことからも、早い段階から、交通局における情報ネットワークは、独自に業務処理をするものとして構築したということがわかりました。もともと長年にわたって構築されてきた交通局のネットワークを、平成十五年に総務局のTAIMSに接続したということです。
 また、キャリアが各家庭に光ファイバーを設置する前に、交通局の独自の光ファイバーのネットワーク回線をつくったということなので、当初としては、これ、かなり斬新的なネットワークだったと思っています。せっかく大容量のネットワークがございますから、今後も、活用も含めてぜひ検討をしていただきたいなと思っています。
 次に、IT基盤の整備に係ります最近の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 交通局では、地下鉄事業やバス事業など、さまざまな分野で業務を展開しています。お客様サービスの観点、とりわけ、今後一層の増加が見込まれます海外からの訪問客や年配のお客様からの問い合わせに対応する上で、ITを活用できる環境の整備は重要だと考えております。
 そこで、IT基盤の整備に係ります最近の取り組みについてお伺いします。

○小泉総務部長 交通局では、人事、給与や財務会計などの業務処理における省力化、迅速化を図り、正確性を向上させるため、業務系システムのネットワーク基盤を構築いたしましてITを活用してまいりました。
 また、ホームページ上で、都営バスや都営地下鉄等の時刻表、路線、運賃等の基本情報に加えまして、運行状況や沿線の観光情報など、さまざまな情報を提供いたしますとともに、遅延証明書を発行したり、お客様の声を受け付けたりするなど、ITを活用したお客様サービスの向上に努めてまいりました。
 さらに、都営地下鉄の各駅におきましても、先ほど委員からご質問がございましたように、お客様に、駅周辺施設への経路や、駅の近隣で開催されるイベントの情報のご提供、また、他社線への複雑な乗りかえ経路のご案内など、より迅速、正確にできるよう、平成二十六年度に、当局管理の全百一駅に交通局TAIMSネットワークの基盤を整備いたしました。

○新井委員 実は、現場の方に、昨年度、交通局管理の全百一駅に、交通局TAIMSネットワークの基盤の整備について、今年度から、平成二十七年度から端末の配備がされることになっていることについて意見を聞く機会がございました。
 個人的には、利便性も向上して、現場の方というのは喜んでくれるのかなと思っていましたが、いろいろと三点ほど指摘されまして、一点目が、そもそも現場は紙ベースでいろいろと動いておりまして、なかなかこのシステムがそぐわないと。例えば、自分が休みをとるのであれば、自分のかわりの人を探してきて紙ベースで申請をしているので、交通局TAIMSとして端末が配備されたとしても、その使い方のイメージがなかなかつきづらいということです。
 二点目に、交通局管理の全百一駅のうち、職員の方がいるというのは、その半分以下だと。大半というのは、別会社の方に委託されておりまして、職員は助役として一人だけ置くだけなので、このTAIMSの端末の管理についてちょっと懸念をしている。
 また、三つ目に、一路線に一、二カ所あります乗務区については、二百五十人から百五十人もの多くの方がいらっしゃるんですけれども、そういう中、少ない端末をどういうように使っていくのかというのも疑問だというご指摘をいただきました。
 私は、サービスの向上に向けまして、平成二十六年度に、この交通局管理の全百一駅に交通局のTAIMSのネットワーク部分の整備が行われたことはすごく評価をしています。
 また、今回のネットワーク部分につきましては、新規で線を引くのではなくて、既存のネットワークを使用しながら、VLANといって、仮想的なVLANのセグメントを使って構築をしましたので、コスト的に見ても、これはいいことですし、また、その駅によっては、新たにこの線を引くというのは、なかなか難しいというところもあると思うんです。
 私も配線の仕事をしていたときもありまして、建物だったりとか、そういったものを構築するときに、こういった配線をするということを前提につくっていないものですから、一番初めに配線をした人が勝ちなんですね。後から配線しようと思っても、なかなか配線がしづらいというところもあるわけなんです。そういう中で、この既存のネットワークを使いながらやったというのは、現実的に見ても評価できるものかなと思っています。
 平成二十七年度から端末を順次、整備をしていくということなので、現場の方にも活用していただけるような工夫をぜひしていただきたいなと思っております。
 最後に、サイバーセキュリティーについてお伺いします。
 年金機構におけます情報の大量流出や都庁でのウイルス感染報道などに見られるとおり、サイバー攻撃の巧妙化、悪質化が進んでおりまして、セキュリティーの確保も極めて重要でございます。
 そこで、交通局のセキュリティー対策についてお伺いします。

○小泉総務部長 初めに、先ほど、委託駅における安全管理のお話がございましたけれども、委託駅におきましても、直営の助役を置きまして責任者として配置しております。また、パスワード管理などを含めまして安全対策をとっているところでございます。
 ただいまのご質問のサイバーセキュリティーについてでございますけれども、交通局におきましては、サーバーや端末に最新のウイルス対策ソフトを導入いたしまして、ウイルスの検知を行うなどセキュリティー対策を講じるとともに、システムの脆弱性を洗い出して対策を講じるためのシステム監査を実施しております。
 また、職員のセキュリティー意識の向上を図るため、セキュリティー研修を行うとともに、近年増加しております標的型メール攻撃など、最新の攻撃事例を踏まえた訓練を行っております。
 引き続き、サイバー攻撃に関する情報収集を的確に行い、対策の強化を図ってまいります。

○新井委員 都庁のウイルス感染報道のやつは、動きのある広告とかウエブアプリを表示させるようなアドビフラッシュプレーヤーの脆弱性をついた、こういったウイルスだったわけでございますけれども、このアドビフラッシュプレーヤーというのは、パソコンを購入したときから、最初からインストールされているというものでございまして、この古いバージョンのままにやっていると、かなりその脆弱性をついてウイルス感染をするというものでございました。都庁の中でも数台被害に遭ったということで、ほかのいろいろなところでも被害に遭ったわけでございます。
 どんなに気をつけたとしても、インターネットにつながっている限り、ウイルス感染をする可能性というのはあるわけです。引き続き、セキュリティーの確保も十分留意しながら、ネットワーク環境の整備や運用に当たっていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○田中(朝)委員 私からは、平成二十六年度の決算審査に当たりまして、都営交通におけるバリアフリーの対応について何点かお伺いをいたします。
 ことし三月の公営企業委員会で大江戸線の新型車両の特徴についてお伺いして、交通局が単なる技術革新だけではなくて、お客様の要望などを真剣に取り入れて、さまざまな工夫を行ってサービス向上に努めているということを確認いたしました。また、その後も、都営新宿線、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーの新車導入を予定していると、そのとき答弁がありました。
 こういった新車の導入について、交通局では人に優しい車両というのをコンセプトに展開していると、最近の新聞報道等で連日大きく取り上げられているのを目にいたしました。
 そこで、まず最初に、人に優しい車両のコンセプトとは、具体的にどのようなものかをお伺いします。

○奥津技術調整担当部長 人に優しい車両のコンセプトは、安全・安心の確保を最優先に、誰もが快適に都営交通をご利用いただけることを目指した車両製作の考え方でございます。
 これまで都営交通が長い歴史とともに積み上げてまいりました車両設計のノウハウやお客様の声、ご利用状況を踏まえ、さらには、他の鉄道会社のよい点も積極的に取り入れているものでございます。
 この中には、お年寄り、お子様、妊婦や障害をお持ちの方など、誰もが安全で安心して快適に都営交通をご利用いただけるようなユニバーサルデザインの要素も含まれております。
 昨年度より導入している大江戸線、新宿線、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーの新造車両におきまして、この人に優しい車両のコンセプトを順次、適用しているところでございます。

○田中(朝)委員 公営企業委員会の方でも述べさせていただきましたけれども、現代においては、移動に費やす時間というのが非常に多くなってきていて、誰もが安全性や快適性を十分に実感して交通機関を利用できるということは、社会的な要請としても、非常により重要度が高まってきているといえると思います。
 今のご答弁にもあったとおり、誰もがというところがポイントであり、高齢者やお子さん、妊娠している方、障害をお持ちの方など、全ての方が安全性や快適性を十分に実感できていなければならないと思います。
 この中で、特に車椅子を使っている方などの利用を想定したバリアフリーの観点で、実際に、車両において、このコンセプトがどのように生かされているかをお伺いいたします。

○奥津技術調整担当部長 人に優しい車両は、誰もが安心してご利用いただけますよう、車内のバリアフリーの充実にも努めております。
 具体的には、ベビーカーや車椅子のお客様が利用しやすいスペースの確保、つり手や手すりの増設、ドアの開閉を知らせる表示灯の設置、ドア乗降口付近に注意を促す黄色の着色などを行っております。
 車椅子のお客様につきましては、一編成に二カ所以上の車椅子スペースを確保いたしますとともに、近くには乗務員と連絡がとれるインターホンを設置し、横手すりも通常より低い位置に設けるなど、きめ細かな配慮をしているところでございます。
 今後も、安全な車両という本質をしっかりと確保しつつ、その時々の社会要請に迅速かつ的確に応えていくことで、よりよい車両を提供してまいります。

○田中(朝)委員 今のご答弁で、車内のさまざまな部分に安全性、快適性の観点で利用者本位の工夫がされており、体が不自由な方も安心して乗車できるようになっているということがわかりました。
 今のご答弁の中で、都営地下鉄には、車椅子のスペース、一編成に二カ所ということでしたけれども、車両に関しましては、JRがことしの秋から、新車両には全車両に車椅子、ベビーカー用のフリースペースを設けるということをお聞きしました。こういった方向性は、車椅子、もちろんベビーカーをご利用の方もですけれども、利用なさっている方にとっては、非常に喜ばしい方向性だと思います。都営地下鉄もこういう流れにおくれることなく、人に優しい車両をぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、駅におけるバリアフリーについてお伺いをします。
 車椅子の利用者が構内を移動する場合には、駅の階段が非常に大きな障害となります。そのことから、エレベーターの設置は不可欠となっています。
 既に都営地下鉄では、全駅で、ホームから地上へバリアフリーで移動することができるルートを確保していることは高く評価できると思います。
 しかし、駅の構造上、エレベーターの設置スペースの確保が難しいことから、エレベーターのかわりに、駅の係員が操作して車椅子利用者を上ったりおりたりさせることができる車椅子用階段昇降機--いわゆるエスカルという商品名だそうですけれども--を設置することによりワンルートを確保している駅があるということをお聞きしております。
 今、都営地下鉄の駅で設置をしているエレベーターと、エスカルのような階段昇降機の二十六年度末時点での設置状況について、まず伺います。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 平成二十六年度末時点で、交通局が管理いたします全百一駅におきまして、エレベーターは合計二百十五基設置しております。
 また、お話のありました階段昇降機につきましては、七駅で合計十基設置しております。

○田中(朝)委員 今、エスカルの数は非常に少ないということがわかりました。方向性としては、エスカルよりもエレベーターに変えていくということをお聞きしています。
 しかし、車椅子利用者のお話では、この都営地下鉄に設置しているエスカルの中には、重量制限があるため電動車椅子が使えないタイプもあり、不便な思いをしているとお聞きしています。
 このところ、電動の車椅子を利用するお客様というのが非常にふえていると思いますので、車椅子の重量も、電動ではないものに比べて総じて重くなっているわけですけれども、都営地下鉄の駅では、重量制限でこの階段昇降機エスカルが使えない場合はどのような対応をしていらっしゃるのか、お聞きいたします。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 階段昇降機の重量制限は、通常百八十キロでございまして、制限により使用できない場合は少ないと考えられます。
 しかし、仮にご利用いただけない場合には、お客様にご同意をいただいた上で、駅備えつけの軽量の車椅子などに乗りかえていただき、階段昇降機を使用してお客様をご案内いたしております。
 また、お客様の所有する車椅子につきましては、別途、階段昇降機などで駅係員が運搬することとしております。

○田中(朝)委員 状況に応じて丁寧な介助の対応をしていただいているということがわかりました。車椅子の利用者の方々からも、都営交通の対応は進んでいるというお話をお聞きしております。
 しかし、今、ご答弁にあったとおり、重量制限百八十キロということですけれども、大体、電動車椅子の重さというのが百キロから百三十キロということです。そうしますと、やっぱり大柄な方とか、特にこれからパラリンピックに向けて、大きな外人の方とか、そういった方も多く訪日されると思いますけれども、そういった車椅子の利用者の方、また、その上、お荷物を車椅子の方でもお持ちになりますので、お荷物が多い方は膝に乗せて乗ることになるわけですけれども、そうしますと、またそれにプラスして重量が重くなり、重量制限百八十キロでは、今後足りなくなることの方が多いのではないかという危惧を利用者の方々は抱いていらっしゃいます。
 また、障害によっては、軽量の車椅子への乗りかえができないという、難しいという方も多くいらっしゃると思います。せっかくエスカルを設置しても、それが使えないとなると、ワンルートの確保というのは非常に難しくなります。
 エスカルによる対応によりワンルートを確保している駅などでは、車椅子のご利用者さんの一層の利便性向上を図るため、電動車椅子の重量化の傾向など、利用者を取り巻く状況の変化にも対応する必要があると思います。
 今後、エスカルを更新、新しくするときには、こうした車椅子利用者の実態にもぜひ配慮をしていただきたいと思います。
 次に、都営バスのバリアフリーについてお伺いをいたします。
 車椅子の利用者の方々にとっては、バスは最も身近な交通機関です。都営バスでもこれまで、人に優しいバス車両を導入していらっしゃると思いますけれども、まず、都営バスにおける車椅子対応車両の導入状況についてお伺いをいたします。

○渡邉自動車部長 交通局では、バリアフリー対策として、車椅子を利用されるお客様を初め誰もが利用しやすいノンステップバスを導入しており、平成二十四年度末には、交通局所有の全ての路線バス車両のノンステップ化を完了し、現在、千四百五十二両を保有しております。
 これらの車両は、全てに車椅子スペースやスロープ板を備えているほか、車高を下げる装置を導入し、スロープ板の傾斜を緩やかにすることで円滑な乗りおりができるようにしております。

○田中(朝)委員 今のご答弁で、都営バスのハード面の整備は十分に進んでいると評価できると思います。
 一方で、ソフト面の方ですけれども、バスの場合は、車椅子の方がご乗車になるとき、その対応は、運転手さん、乗務員の方が一人で行わなければなりませんが、この車椅子の方が乗車する際の乗務員の方の対応をどのようになさっているのかについてお伺いをいたします。

○渡邉自動車部長 車椅子を利用されるお客様にご乗車いただく際の乗務員の基本的な対応手順でございますが、まず、停留所においてご乗車の意思を確認した上で、バス全体の車高を下げる操作を行います。
 次に、車椅子スペースの座席を畳んでスペースを確保いたします。その際、他のお客様がお座りになっている場合は、席をお譲りいただくようお願いいたします。
 続いて、スロープ板を取り出して中扉に設置し、乗務員が車椅子を押すなどして、お客様を車内にご案内いたします。その後、車椅子のブレーキが確実にかかっていることを確認して、車椅子に固定ベルトと横転防止ベルトを装着いたします。
 最後に、スロープ板を収納し、車高を戻した上で発車することとしております。

○田中(朝)委員 今のご答弁にもあったとおり、バス、今はワンマンバスですから、乗務員の方がお一人で対応するのは、とても大変なことだなというのは感じます。とはいっても、乗務員の方が車椅子の特性などを正しく理解して安全を確保することというのは、これは不可欠であると思います。
 ことしの春に、車椅子を利用されている方が都営バスに乗車中に、バスの前に急に乗用車がぴゅっと割り込んで来て、乗務員の方が急ブレーキをおかけになって、かけたにもかかわらず、車がバスと接触してしまうという事故が起きました。
 その際には、今のご答弁にあったように、車椅子を、まずその固定ベルトと横転防止ベルトを装着するということをおっしゃいましたけれども、そのどちらも装着をされていなかった。そのために、急ブレーキをかけたときに、車椅子が勢いよく前に走ってしまって前の座席に突っ込んで、車椅子に乗っていらっしゃる方ですから、足がお悪いわけですけれども、その足を両足、あと腰をけがしてしまったという事故が起きました。
 この事故は、お聞きするところによりますと、健常者の、普通のほかのお客様にとっては、そんなに大した事故ではなくて、ちょっとつかまればいいというぐらいの事故だったわけです。ですから、車椅子の方も、もし固定ベルトと横転防止ベルトがついていれば、こういったけがもなかったかもしれないというぐらいの事故だったわけです。
 そうなりますと、決められた対応をしていなかったために起きたということであることから、この場合の乗務員の方々、また交通局などの責任というのは大きいのではないかと思います。
 こういったことが起こることのないよう、乗務員の車椅子の方への対応方法については研修を実施しているということをお聞きしましたけれども、この研修を受けていても、乗務員の方が十分にその重要性、車椅子の特性を理解ができていなくて、また、車椅子への対応や車椅子利用者の安全確保について徹底されていないケースが現在まだ見られることがあります。
 今でも、そのけがをした方は、バスのご利用を連日のようになさっているわけですけれども、実際、現在も固定ベルトはほとんど装着をしてもらえないということをお聞きしております。
 車椅子の方の乗車中の事故防止、これはもうあってはならないことですので、事故の防止を図り、乗務員が事故、また災害の発生時において適切な対応を行うためには、乗務員の方々に対して、車椅子の当事者の意見を聞いて理解をしていただくなど、乗務員の指導教育を徹底させるということも必要だと思います。
 車椅子の対応について、乗務員の方々への指導教育をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、ご所見をお伺いいたします。

○渡邉自動車部長 都営バスでは、乗務員研修や添乗調査などを通じて乗務員教育に取り組んでおります。
 車椅子を利用されるお客様への対応につきましては、全ての乗務員を対象に、DVD教材や実車を使用し、乗降時の対応手順や接遇等について、毎年、研修を実施しております。また、障害者団体との意見交換会や、車椅子を利用される方が講師を務める外部機関研修に参加しております。
 しかしながら、委員のご指摘のような事例が発生したことを重く受けとめ、車椅子のお客様への適切な対応について、改めて全乗務員に徹底させてまいります。
 今後とも、車椅子のお客様のご意見を取り入れた研修内容の充実や研修教材の活用などにより、引き続き乗務員の接遇能力と意識の向上に取り組んでまいります。

○田中(朝)委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、車椅子をご利用なさっている方々ご本人がその研修の講師とかになって、直接その乗務員の方々に、車椅子というのはこういう特性があるから、こういうふうにしてほしいとか、そういうことをじかにいえるような研修などもぜひ考えてみていただきたいと思います。
 こういった予期せぬ事故、また災害の発生時には、車椅子を利用されている方々というのは、私たち健常者とは異なって、自由にご自分で動くことができないわけですので、非常に不安で怖い思いをなさっていると思います。都営バスでは、車椅子利用者への対応をさらに踏み込んで、利用者の立場や目線に立った対応を進めるべきだと思います。
 また、今回もさまざまなことを車椅子の利用者の方々からお話をお聞きしたんですけれども、その中では、地下鉄とか都バスが、朝晩の混雑のときなどに、車椅子の方というのは乗車させてもらえない。混んでいるので乗れないわけですね。そうしますと、混んでいる車両が何台か続くと、何台もその場で待っていなければならないということをお聞きしました。また、地下鉄構内のエレベーターも同じで、エレベーターは、そんな五台も六台も乗れるわけではないですから、何台かの車椅子の方々だと、やっぱり順番に何往復も待って、そして乗らなければならない。ちゃんとした時間プラス一時間以上を見て外出をなさるということもお聞きをしました。
 私たちは車椅子を使っていないと、普通のハードのバリアフリーが整っていれば、何となく、どこでも外出おできになるのかなと思いがちですけれども、そういったお話を聞いて、自分も思いやりとか想像力が欠けていたなということを痛感いたしました。
 そういったことから、ハード面のバリアフリーは、かなりもう都営のバスや地下鉄では進んでいるということを評価させていただいておりますけれども、これからは、そういったソフト面とか、あと障害をお持ちの方への認識、また対応のバリアフリー化の充実というのが必要であると思います。
 最初にいったように、公営交通は、全ての人、誰もが安全性、快適性を十分に実感して利用できるようにしていかなければならないわけですから、ぜひ交通局は、公営交通の代表として、ますますの安全性、そして、全てのお客様サービスの再考を目指していただきたいと思います。そしてそれが、結果としては、都営交通のさらなるイメージアップに必ずつながると考えます。そのことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小松委員 それではお伺いいたします。
 先日、日暮里・舎人ライナーを利用する機会がありまして、その際に感じたことの中から質問させていただきたいと思います。
 昼間の時間帯でしたので、通勤通学の乗客とは違う客層で、沿線にお住まいの方たちが、幅広い年代層の方たちが乗っていたわけですが、往復の車内で、乗客同士の会話の中に、韓国語、中国語、そしてまた、ポルトガル語かスペイン語かと思われるような言葉が聞こえてきました。住民なのか、旅行者なのかはわかりませんけれども、外国の方が多く利用するんだなというふうにわかりました。
 都営地下鉄でも、中国語の会話が聞こえてくることはよくありますし、外国人旅行客を目にしないことはないといっていいほどです。そこで、住民にせよ、旅行客にせよ、外国人が都営交通を利用する場合の駅構内の施設の利便性、そして配慮の必要なことなどについてお伺いしたいと思います。
 鉄道の駅における案内サインの表記ですが、日本語のわからない人にとって、その人たちが利用する場合を想定しますと、整備されているだろうかというふうに思います。
 都営地下鉄やライナーの駅では、外国人に向けた多言語表記について、アルファベットでは表記されているわけですが、英語が読める外国人ばかりではもちろんありません。また、駅名と路線名以外にも、駅構内で必要な案内サインというのは大変多いわけですが、英語以外の多言語による案内も必要と考えます。
 そこで、駅の案内サインにおける多言語表記はどのように整備されているのか、お伺いいたします。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、外国人旅行者が安心して利用できるよう、駅ホーム案内板の駅名や駅長事務室、トイレなどの主要施設の案内サインを、日本語に加え、英語、中国語、ハングルの四カ国語で表記しております。
 さらに、さまざまな国からの外国人旅行者にもよりわかりやすくするため、非常口などについてはピクトグラムを利用してご案内しております。

○小松委員 地下鉄では、四言語、そしてピクトグラムでも表示されているということです。しかし、日本語がわからない利用者にとっては、案内サインの意味がわからないということは大変心細いものでして、外国人が安心して利用できるような表記の整備をお願いしたいと思います。
 次に、トイレについてです。
 トイレは、国によって、また、その土地の事情やインフラの整備状況によっても使い方が異なるもので、外国に行って戸惑ったという話は大変よく聞きます。特に水の流し方、細かいことなんですが、日本では、手の形のイラストだけで何も文字サインがないというものは大変多く、舎人ライナーの駅のトイレもそうだったのですが、わからない人には、これで手をかざせば水が出るということがわかるだろうかというふうに思いました。
 どのボタンを押すのか、レバーを押すのか、ひねるのか、引っ張るのか、わからないこともあります。また、サインやマークが見当たらないこともよくありまして、これでは不親切だというふうに感じます。まして、自分がもし外国人の旅行者で、これが見なれない様式だとすると、どんなに戸惑うだろうかというふうに心配になります。トイレの水を流す形式やデザインは世界共通でないわけですので、どこをどうすれば水を流せるのかという、一目でわかるようなサインが必要だと思います。
 トイレに関して、水の流し方など、外国の人にもわかりやすいように示す必要があると思いますが、これまでの取り組みについて伺います。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 近年、増加する外国人旅行客の中には、日本のトイレの使い方がわからない方がいることは承知しております。
 このため、駅のトイレでは、外国人旅行者に正しい使用方法をご理解いただくために、便器洗浄ボタンや非常時の呼び出しボタンの名称を英語等の外国語で記載したシールを張るなどの工夫をしております。
 今後とも、全てのお客様に快適に駅のトイレをご利用いただけるよう、取り組んでまいります。

○小松委員 これは駅に限らないわけですが、公共施設のトイレが衛生的で清潔感があって快適ということは、そのまちの好感度に大きく貢献します。公共施設のトイレが快適で使いやすいと、その土地のイメージアップにつながります。そして、使いやすいことのためには、使い方がわかるということは最低限必要なことであって、わからないことには、もう話になりません。見てわかるサインをさらに工夫し、表示を含めてユニバーサルデザインということを追求していただきたいと思います。
 外国人旅行者が電車を利用する際には、目的地にたどり着くために、さまざまな情報を入手できることが必要です。案内サイン以外にも、訪日外国人利用者に役立つ情報提供を積極的に行う必要があると思います。
 駅において、外国人旅行者の電車利用を支援するためには、どのような情報提供を行ってこられたのか、お伺いいたします。

○仁田山鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、駅において、各種のパンフレットなどにより外国人旅行者が必要とする情報を提供しております。
 具体的には、切符の購入方法やICカードの利用方法を紹介する冊子、お得な一日乗車券等の情報も掲載された観光案内冊子、東京メトロを含めた駅ナンバリング路線図等の配布を行っています。
 また、そのほかにも、外国人旅行者の利用が多い駅には、英語を話せますコンシェルジュを配置しております。

○小松委員 東京の鉄道は、地下鉄を含めて、きめ細かく整備されています。それだけに、便利であるだけに乗り継ぎが複雑でして、日本語がわかる我々でも、迷った経験のない人はいないほどです。
 わかりやすい案内サインは大事なことであり、案内サイン以外にも取り組みを行っておられるようではありますが、外国人旅行者が不自由なく電車を利用できるよう、紙情報や駅構内のコンシェルジュというお話がありましたが、また、先ほどWiFiサービスのお話もありましたけれども、ホームページなどのオンライン情報の充実にも努めていただきたいと思います。
 それでは続きまして、都営交通における女性の労働環境についてお伺いをいたします。
 この九月、いわゆる女性活躍推進法が施行されました。舛添知事も女性の活躍推進をうたい、東京都では独自のロゴマークをつくられて、生活文化局を中心にさまざまなイベントが開催されているところです。
 男女平等参画推進は時代の必然であるわけですが、この法の理念に基づきまして、あらゆる職場において女性が能力を発揮できるような環境整備が求められています。交通局においても、これまで以上に女性が各職場に進出し、活躍できるような労働環境を整備する必要があると考えます。
 そこで、過去三年間における交通局の女性職員の人数と割合の推移についてお伺いをいたします。

○土岐職員部長 交通局の職員は、男女を問わず、ひとしく局事業を支える貴重な人材であり、局における採用や昇進等につきましては、男女の区別なく実施しております。
 これまで過去三年間におけます女性職員の人数と割合の推移についてでございますが、平成二十四年四月一日当時では、女性職員は百六十四人で、常勤職員に占める割合は二・六%、平成二十五年度では百六十九人で二・七%、平成二十六年度では百八十一人で二・九%となっております。

○小松委員 二・六、二・七、二・九、わずかずつですが増加はしてきたということを確認しました。
 交通局の職員の多くは、地下鉄やバスなど第一線で働く現場の職員でありますが、このような職場の多くは、これまで男性職員のみであったというふうに聞いています。
 しかし、近ごろは、他の鉄道でもそうですが、鉄道やバスに乗りますと、女性乗務員などの姿を見かけるようにもなりました。女性の職業の選択肢が広がって、活躍の場が広がっているというふうにいえると思います。交通局におきましても、女性職員が現場で活躍できるよう、配属に際しては、そのための取り組みが必要と考えます。
 そこでお伺いしますが、地下鉄運転士やバスの乗務員などの女性現業職員の配置状況と、現場を支える女性職員の進出に伴う課題は何でしょうか、お伺いをいたします。

○土岐職員部長 まず、交通局における女性現業職員の配置状況でございますが、平成二十六年四月一日時点で、地下鉄、バスの乗務員や駅係員など四十八人を配置しております。
 女性職員の配置に当たりましては、これらの職員は宿泊を伴う勤務もあることから、女性用の仮泊室やトイレなどの施設を整備していくことが課題でございます。特に地下鉄では、駅構内の空間が限られていることなど、さまざまな制約がありますが、今後も、駅の改修工事などとあわせて、女性用施設の整備に計画的に取り組んでまいります。

○小松委員 女性がさまざまな現場で生き生きと働くことができるように、引き続き施設の整備を進めていただきたいと思います。
 また、ハード面だけでなく、ソフト面でも環境整備が必要です。現場の職員は、不規則勤務であったり、体力を必要とする仕事も多くあったりすると思いますが、特に女性職員が妊娠した場合には、母体の保護を最優先に考える必要があります。
 出産後においても安心して仕事を続けられる環境も大切であるわけですが、そこで、不規則勤務の女性職員が妊娠や出産、子育てをする場合にどのような対応をなさっているのか、お伺いいたします。

○土岐職員部長 妊娠期間中の職員には、体への負担軽減のため、不規則勤務を日勤勤務に切りかえたり、事務室内での業務に従事させるといった配慮を行っております。子育て中の職員には、育児時間や子供の看護休暇などの支援制度の活用促進を図っております。
 また、東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランに基づきまして、仕事と子育ての両立についての相談や問い合わせなどに対応する両立支援アドバイザーを、各職場において職員の中から選任し、子育て中の職員の支援を行っております。
 今後とも、これらの取り組みを推進し、女性職員が安心して妊娠や出産、子育てをできるよう支援してまいります。

○小松委員 それでは、都営交通における安全対策について、続いてお伺いいたします。
 道路交通事故の状況について、内閣府が交通安全白書というものをつくっておりますが、その二〇一四年版を見ますと、二〇一三年中の交通事故発生件数は全国で約六十三万件でありまして、負傷者数は約七十八万人、死亡者は四千三百七十人というふうになっています。
 前年比で、それぞれの数は減少しています。しかし、死亡者数の前年比減少率はわずかです。余り減っていない。高齢者の死亡が十二年ぶりに増加に転じてもいます。死亡者数の減少幅が微減にとどまっている背景として、この白書では、高齢者の人口の増加、そして、飲酒運転による交通事故の減少幅が縮小しているということを挙げています。交通事故情勢は厳しい状況にあるというふうに白書では書いています。
 このような状況を踏まえまして、公共交通事業者であります交通局では、乗客を安全に目的地まで輸送するため、日々、厳しい体制のもとで業務に取り組んでおられるものと認識しています。都民や利用者の信頼を損ねないためにも、事故は決してあってはならないことですが、交通局では、経営方針の中で、安全の確保を最優先の使命としておられます。
 そこでまず、都営交通としての安全対策への認識についてお伺いいたしたいと思いますが、これまでどのような考えで安全対策に取り組んでこられたのでしょうか、伺います。

○裏田安全管理担当部長 交通事業者にとりまして、お客様の安全・安心を確保することは最大の使命でございまして、交通局におきましては、これまでも、安全・安心の確保を経営方針の第一に掲げ、安全対策に取り組んでまいりました。
 さらに、平成十七年のJR福知山線の事故の発生などにより創設された運輸安全マネジメント制度に基づきまして、安全確保のための管理体制などを定めた安全管理規程及び安全方針を定め、安全統括管理者を選任するなど、安全管理体制を強化いたしました。
 この体制のもと、毎年度、安全方針の実現に向けた目標及び具体的な取り組み計画である安全重点施策を定めて実行し、その成果をチェックして改善を行う、いわゆるPDCAサイクルの取り組みを継続して行っております。
 このことによりまして、安全対策の実効性を確保するとともに、経営トップから現場職員まで、局職員全員の安全意識の浸透を図っております。
 今後とも、局一丸となりまして安全対策を着実に実施してまいります。

○小松委員 組織的に取り組みを実施されているというふうにわかりまして安心しましたが、この安全対策として、乗務員の健康管理ということも、日ごろから取り組むことが必要であるというふうに考えます。
 安全の確保の面から、乗務員の健康管理をどのように実施されているのか、お伺いいたします。

○土岐職員部長 地下鉄やバスなどの乗務員につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、年二回、健康診断を実施し、自覚症状の有無や視力、聴力、血圧などを定期的に測定しているほか、三十歳以上の乗務員には、毎年、心電図検査を実施しております。また、SAS、いわゆる睡眠時無呼吸症候群の早期発見のため、全乗務員に対し、定期的な検診を行っております。
 これらの結果、検査値が基準を超えた場合は業務停止措置を行い、改善が図られたことを確認の上、乗務に復帰させております。
 さらには、職員のメンタルヘルス対策として、ストレスチェックや産業医を中心とした精神保健相談を行うなど、指導の充実を図っております。
 このほか、現場におきましては、日常的に、乗務の前後に、管理者が対面点呼で体調の異常の有無を確認するとともに、酒気帯び運転防止策として、乗務前にはアルコール検知器を使用して確認を行っております。
 今後も、乗務員の健康管理に万全を期して対応してまいります。

○小松委員 いうまでもなく、公共交通の乗務員は、大勢の人の命を預かる立場ですので、健康管理は大変重要です。
 死者が出るような重大な事故を起こした乗務員は、健康上に問題があった場合が多いと認識しています。心身の不調は重大事故に結びつく可能性があるということです。
 検査のルールがあっても、実際に実行されていなかったというようなことがあってはなりません。特にアルコールについては、専門家から依存性を指摘されております。治療をきちんと受けて、健康を完全に回復するまでは、乗務以外の任務についていただくというふうな対応を求めるところです。
 これからも安全運行に努めていただくようお願いしまして、質問を終わります。

○堀委員 平成二十六年度の決算に当たりまして、何点かお伺いをいたします。
 初めに、軌道事業についてお伺いします。
 かつて東京を網の目のように走っていた都電は、車偏重社会の進展により自動車交通量が増大した影響を受けて、昭和四十年代に次々と廃止されましたが、荒川線は、路線の大部分が専用軌道であることや、沿線住民からの路線存続の強い要望によって、唯一残された路線であります。
 荒川区の三ノ輪橋から北区、豊島区を通り、新宿の早稲田までの十二・二キロメートルを、日中はおおむね五十六分、一乗車百七十円の均一料金という、バスよりも低廉な運賃で乗車できる、まさに地域住民の日常生活に密着した路線であり、都民の貴重な交通手段であるとともに、東京の大事な観光資源でもあります。
 しかしながら、平成二十六年度の決算によりますと、経常収支で二億四千四百万円の赤字との報告がございました。
 そこでまず、近年の都電荒川線の経営状況の推移についてお伺いをいたします。

○小泉総務部長 荒川線は、東京に残った唯一の都電であり、利便性が高く、地域の身近な足として長く親しまれており、まさに東京都交通局の歴史とともにある重要な路線でございます。
 しかしながら、近年は厳しい経営状況が続いております。一日平均の乗客数につきまして、過去五年で申し上げますと、平成二十二年度は五万人、二十三年度は四万九千人、二十四年度は四万五千人と減少傾向でありました。二十五年度は四万六千人と増加いたしましたが、二十六年度は四万六千人と横ばいでございました。
 経常収支につきましては、平成二十年度以降、赤字基調となっております。過去五年で申し上げますと、平成二十二年度は四百万円の黒字を計上しましたが、二十三年度以降は赤字が続き、二十三年度は一億九千百万円、二十四年度は一億九千七百万円、二十五年度は一億七千七百万円、二十六年度は二億四千四百万円の赤字をそれぞれ計上し、大変厳しい状況にあるものと認識しております。

○堀委員 今、答弁の中で、まさに都電は、交通局の歩みとともにあるというようなお話がございました。そういった中で、近年、厳しい財政状況が続いているということでございます。
 それでは、なぜこのような経営状況が厳しいのか、近年、赤字が続いている要因についてお伺いをいたします。

○小泉総務部長 収入につきましては、先ほどお答えしましたように、乗客数が減少しておりますことから、基幹的収入である乗車料収入は減少傾向にございます。
 一方で、費用につきましては、平成二十年度以降、老朽化した車両十両を新型車両へ更新するとともに、変電所設備の更新などを行ってまいりました。さらに、東日本大震災を契機といたしまして、踏切の停電時の電源確保を目的とした工事を実施するなど、安全、安定運行を確保するための投資を行ってまいりましたことから、減価償却費が増加傾向にございます。また、老朽化した設備の修繕費なども増加しております。
 こうしたことから、近年、赤字が続いているものと認識をしております。

○堀委員 乗客数が減少傾向であることに加えて、老朽化対策などによる費用の増加が要因ということでございますが、利用者の減少が見込まれる中でも、安全・安心を確保するための老朽化対策は着実に行わなければならないと思っております。
 そこで、収入の確保が重要となるわけでございますが、軌道事業では、運賃収入のほかに、車内などに広告を掲出することにより収入を得ております。乗車料収入が減少傾向にある中で、この広告による収入は、額は少ないかもしれませんけれども、貴重な収入源だと認識をいたしております。中でも車体ラッピングによる広告は、道路のすぐ近くを走る荒川線では非常に効果的な広告であると認識をいたしております。
 そこで、平成二十六年度の荒川線の広告料収入、とりわけ車体のラッピング広告による収入状況についてお伺いをいたします。

○広瀬資産運用部長 荒川線におけます平成二十六年度の広告料収入は、五千三百万円でございます。そのうち、車体のラッピング広告収入は千六百万円であり、重要な収入源となっております。
 しかしながら、車両更新に伴う廃車予定車両にはラッピングできないことなどから、平成二十六年度については、車両更新の影響により、前年度に比べ、車体のラッピング広告収入が二百万円減少いたしました。また、今後も老朽車両の更新が予定されており、当面、厳しい状況が見込まれております。
 今後は、ラッピング広告のほか、車内広告や停留場看板、電柱など各種媒体への広告出稿の獲得に努めるとともに、新たに車内液晶モニターを活用した広告販売を開始するなど、ご指摘の荒川線の広告料収入の確保に取り組んでまいります。

○堀委員 新たに車内液晶モニターを活用した広告販売を始めたということでございますが、各種媒体を利用して、今後の収入増に期待したいと思います。
 乗車料収入を確保し、収支を改善していくためには、沿線以外の多くの方々にも都電荒川線を利用していただけるよう、積極的な乗客誘致対策が必要なのではないでしょうか。
 都電荒川線は、私の地元豊島区に限って見ても、鬼子母神のある雑司ケ谷、サンシャインシティや新区庁舎のある東池袋四丁目、また、とげぬき地蔵のある庚申塚と、沿線には魅力ある観光スポットが数多くございます。
 また、大塚では、沿線の方々のボランティア活動による都電とバラをテーマにしたまちづくりがあり、本年、農林水産省と国土交通省が提唱する全国花のまちづくりコンクールにおきまして国土交通大臣賞を受賞し、そして、先日、表彰を受けられました。
 地元では、こういった事業について、大塚バラ祭りというのを開催いたしております。これは、一年間の活動の報告、また事業計画等々を発表すると同時に、フォトコンテストも開いておりますけれども、ここには、毎年、都電荒川線の荒川電車営業所長、ことしは村山部長さん、そして野末所長さんもおいでいただいて、一緒にイベントに参加をしていただいております。
 そして、そのフォトコンテストなんですけれども、都電とバラを一緒に写すようなコンテストで、その会場は、もう全部写真であふれているのですが、その中でちょっと注目すべきは、このフォトコンテストに参加されておられる方々が、ほとんど区外の、豊島区以外の方が写真を撮りに来てくださっている。あるいは、東京都ではなくて、ほかの県からおいでになって写真を撮って参加をし、そして、表彰者の八割が区外の方が表彰を受けられている。これが非常に重要ではないかと思っていますし、新たな観光の目玉といっても過言ではない。そういった区外から多くの人を呼び込む事業に今なりつつあるということで、これから、この観光資源をうまく生かしていく、沿線以外からの乗客誘致に取り組むべき、これは地域住民の力なくしてはなし得ないことだと思っておりますので、近隣の皆様方のご協力もいただきながら、これは豊島区に限ったことではなく、他区においても、ぜひ交通局が連携をしながら進めていただきたいと思っております。
 昨年、我が党は、都電荒川線を活用して緑のネットワーク化を図り、美しい都市空間の創出に取り組むべきであると提案をいたしました。また先日、私からも、緑のネットワーク化は、景観向上とともに、先ほどのボランティアによるバラをテーマにしたまちづくりのような地元の取り組みを後押しし、新たな観光スポットになる可能性も秘めていると提案いたしました。
 そこで、都電荒川線を活用した緑のネットワーク化に向けて、これまでの取り組み状況についてお伺いをいたします。

○根木企画担当部長 交通局ではこれまでも、沿線の景観向上を図るため、地元区等と連携し、バラやツツジなどによる沿線緑化に取り組んでまいりました。
 また、都では、荒川線の併用軌道が通る補助八一号線の整備を進めておりますが、このうち向原停留場から東池袋四丁目停留場の区間につきましては、地元の意向を踏まえ、道路整備の中で軌道内の緑化を行うこととしております。交通局といたしましても、緑化後の維持管理作業に協力してまいります。
 さらに、荒川線を活用した緑のネットワーク化に向け、軌道内緑化の本格的な事業展開に向けた課題を整理するため、本年六月に、関係各局で構成する検討会を立ち上げました。この検討体制のもと、まずは、軌道内での生育に適した品種等の選定に向け、緑化技術を有する企業を先般、公募したところであり、来月中には企業を決定し、今年度中に検証実験を開始する予定でございます。

○堀委員 今のご答弁ですと、軌道内の緑化が具現化されるべく、あと一歩のところまで来ているようですし、緑のネットワーク化に向けて着実に進んでいるということがわかりました。
 軌道内の緑化と沿線の方々と連携した沿線緑化による緑のネットワーク化を進め、荒川線沿線の魅力を大いにアピールして乗客誘致に取り組み、経営状況の改善に努めていただきたいと思います。
 次に、新交通事業についてお伺いをいたします。
 舎人など足立区西部地域は、比較的都心に近い地域でありながら、主要な交通手段がバスしかなく、道路の混雑時には、日暮里まで一時間以上かかることもある交通不便地域だと聞いております。そこに、地域住民念願の日暮里・舎人ライナーが平成二十年三月に開業し、見沼代親水公園駅から日暮里駅までわずか二十分で結ばれることとなり、都心へのアクセスが飛躍的に向上されました。その利便性から、開業以来、日暮里・舎人ライナーの沿線ではマンションの建設化が進み、利用者は増加傾向にあるようです。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの乗客数及び収支の状況についてお伺いをいたします。

○小泉総務部長 日暮里・舎人ライナーは、平成十九年度末の開業以来、乗車人員が順調に増加しまして、平成二十六年度は一日平均七万一千人のお客様にご利用いただき、前年度、二十五年度と比較いたしまして、一日当たり四千人の増となりました。
 一方、平成二十六年度の経常収支は、二十五年度と比べて一億九千百万円改善いたしましたが、十一億六千五百万円の赤字となっております。
 お客様の数はふえておりますものの、初期投資が多額であり、さらに、開業後も、輸送力増強や安全、安定運行に必要な追加の設備投資を行ってまいりましたことから、今後も、当分の間は赤字基調が続くものと見込んでおります。

○堀委員 混雑の緩和に向けて努力をされていることがわかりましたけれども、かなりの増加率であるということもわかりました。日暮里・舎人ライナーの沿線では、今もマンションの建設が進んでおり、今後しばらくは利用者の増加が見込まれます。平成二十八年度にも一編成の増備を行うとのことでありますが、引き続き、沿線の開発動向なども踏まえながら、朝のラッシュ時間帯の混雑対策を着実に進めていただきたいと思います。
 一方、朝の混雑に比べ、昼間の時間帯は、日暮里・舎人ライナーの利用者は多くないように見受けられます。昼間の利用者がふえるためには、沿線に商業施設や娯楽施設などの集客施設が誘致され、そこを訪れる人たちがふえることが最も効果的ですが、これは交通事業者である交通局が単独でできるものではなく、地元区の力が必要です。ぜひ、これまで以上に地元区との連携を深めていただきたいと思います。
 さて、開業以来、大変多くの方に利用されている日暮里・舎人ライナーですが、一部の駅を除いて無人で運営されております。そのため、駅で事故やトラブルなどがあった場合、利用者の方々は、地下鉄駅のように、すぐそばにいる駅員に対応を求めるといったことができません。日暮里・舎人ライナーの利用者の中には、駅員がいないことを不安に思われている方もいらっしゃると思います。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの緊急時の駅における対応についてお伺いをいたします。

○岡本電車部長 日暮里・舎人ライナーの駅は、日暮里駅は係員が常駐していますが、ほかの駅は係員の巡回により管理しております。
 係員が常駐していない駅についても、監視カメラや警報装置などの機器により、各駅構内の状況を指令所から常時監視しています。また、異常発生時にお客様から通報を受けられるよう、全ての駅に非常通報器を設置しています。
 こうした監視体制のもと、警報装置の作動やお客様からの通報により、急病人など緊急事態を把握した場合には、指令所の指示により、巡回中の係員や日暮里駅の係員が急行し、お客様の救出やホームの安全確認などの対応を行うこととしています。
 平成二十六年度には、急病人やけが人の救護などの理由で、計十三回、駅係員が緊急出動いたしました。

○堀委員 駅員がいない駅についても、異常時には係員が対応をとれる体制が整っていることがわかりましたけれども、より安全性を図るべく取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、車内ではいかがでしょうか。日暮里・舎人ライナーの車両は無人運転を行っているため、運転手も車掌も電車には乗務しておりません。
 そこで、故障などで車両が駅間で停止した場合の対応についてお伺いをいたします。

○岡本電車部長 車両故障等により駅間で車両が停止した場合は、係員が当該車両に駆けつけ、手動運転をすることとしています。万一、手動運転ができない場合には、別の車両を連結して停止車両を移動させ、次の駅でお客様におりていただくか、または、反対側の走行路に車両を横づけし、お客様に乗りかえていただくこととしています。
 さらに、停電時により全ての車両を動かせない場合には、係員の誘導により、最寄り駅まで徒歩でお客様の避難誘導を行うこととしています。
 このような対応を確実に行うことができるよう、毎年、駅間停止を想定した避難誘導訓練を実施しています。
 なお、平成十九年度の開業以降、駅間停止が六件ございましたが、平成二十五年度以降は発生しておりません。

○堀委員 車両が停止した場合にも、さまざまな状況を想定して、係員が駆けつけるなど状況に合わせた対応がとられていることがわかり、少しほっといたしました。
 今や日暮里・舎人ライナーは、一日当たり七万人を超える方々に利用される、沿線の方々にとっては欠かすことのできない重要な路線となっております。利用者がこれからも安心して快適に利用できるよう、引き続き万全な安全対策に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小林委員 大分質問も重なってまいりましたので、若干、趣旨がかぶる点もあるかもしれませんけれども、ご了承いただければと思います。
 私からは、地下鉄事業に絞ってお伺いをさせていただきます。
 近年、訪日外国人旅行者数は著しく増加しておりまして、日本政府観光局の発表によると、平成二十六年は約一千三百四十一万人でありましたが、平成二十七年九月までで一千四百四十八万人に達し、既に昨年を上回っております。このうち、平成二十六年に東京都を訪れた外国人旅行者は、訪日外国人旅行者の約七割に当たる約八百八十七万人であります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、外国人旅行者数の増加が見込まれる中、外国人旅行者が安心して移動、滞在できる環境の整備は不可欠であります。その環境整備の上で重要な一つは、言葉の壁を乗り越えることであります。ふなれな日本人でもわかりづらい地下鉄駅において、安心して外国人旅行者に地下鉄を利用してもらうためには、駅係員が、まずは英語で基本的な応対ができるようにすることが大切であると考えます。
 地下鉄職員の英語教育にどのように取り組んでこられたか、お伺いをいたします。

○土岐職員部長 都営地下鉄ではこれまで、乗車券の購入方法や目的地への行き方などの基本的なご案内を英語でもできるよう、駅係員に対する英会話研修を研修所で実施してきたところでございます。また、乗車券の紛失を初めとしたさまざまなトラブルに英語で対応するなどのより実践的な対応力を向上させるため、平成二十六年度から全ての駅で、各駅の実情に合わせたOJTを実施しております。
 なお、今年度から、研修所で行う英会話研修の対象を助役などにも拡大するとともに、通信教育を受講する職員への補助制度を拡充するなどにより、職員の英会話能力の強化を図っております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、外国人のお客様にもきめ細かく対応できる人材の育成に努めてまいります。

○小林委員 外国人旅行者の大事な移動手段である地下鉄でありますので、駅係員の皆様にはご努力いただくことになると思いますが、着実なスキルアップを図り、おもてなしの心で安心・安全の対応をお願いしたいと思います。
 一方で、他社線への乗り継ぎなど、着実に利便性が高まっている都内交通網でありますが、ともすれば、その利便性は、交通網の複雑さと表裏一体でもあります。また、その駅ごとの周辺施設や観光地なども多彩であり、駅係員の役割として、より複雑な案内を要求されることもあるかと思います。
 こういった対応には語学堪能なスタッフが必要であり、都営地下鉄では、先ほどもございました、現在、二十駅にコンシェルジュを配置しているとのことでございますが、このコンシェルジュの具体的な案内サービス内容についてお伺いいたします。

○岡本電車部長 都営地下鉄では、外国人観光客や高齢者などの鉄道にふなれなお客様のため、英語も話せるコンシェルジュを現在二十駅に配置しています。コンシェルジュは、お客様に積極的に声をかけ、乗車券の購入方法、他社線などへの乗りかえ方法、遅延、運休などの運行情報、駅周辺の観光情報の提供など、親切丁寧な案内を行っています。
 平成二十四年度からは、英語以外の言語にも対応できる翻訳ソフト等を組み込んだタブレット端末を順次導入し、平成二十六年度には、コンシェルジュ全員に携行させて適切なご案内に活用しています。
 また、コンシェルジュが常駐している都庁前駅の案内所については、昨年十二月に、日本政府観光局から、常時英語対応が可能であり、広域の観光案内などを行える案内所として、都内では十四カ所のみ認定されているカテゴリー二の認定を受けました。
 今後も、おもてなし最前線の役割を果たすため、駅における案内サービスの充実を図ってまいります。

○小林委員 今後とも、職員の英語教育の充実とともに、案内サービスの向上にぜひとも努めていただきたいと思います。
 次に、駅施設についてお伺いいたします。
 私は、過日、おもてなしの視点でトイレの快適性に取り組んでいる民間のトイレ機器メーカーを視察いたしました。このメーカーが外国人を対象に実施したアンケート調査で、日本に来て日本の公共トイレで困ったこととの問いでは、和式トイレの使い方がわからなかったというものが最も多い答えでございました。
 洋の東西を問わず、トイレは重要な問題でありますが、とかく駅のトイレというのは汚いというイメージがつきまといます。公共交通機関のトイレについても、きれいに、清潔に保つことに努めつつ、和式便器を洋式化するなど、外国人旅行者にとっても使いやすい環境を整えていく必要があると思います。
 そこで、都営地下鉄におけるトイレのグレードアップの取り組み状況についてお伺いします。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、外国人のお客様を含め全ての方が駅のトイレを快適にご利用できるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレに改良する取り組みを、平成二十二年度からトイレのグレードアップ事業として計画的に行っております。
 具体的には、トイレ出入り口の段差の解消、手すりやベビーチェアの設置などに加え、鏡と荷物棚を備えたパウダーコーナーの設置、防菌、消臭の内装材の採用など、トイレのグレードアップを図っております。また、近年は、日本人のお客様も含め、和式便器の洋式化の要望がふえていることから、現場の状況に合わせて洋式便器をふやす取り組みも進めております。
 平成二十六年度は、新橋駅など五駅五カ所を整備し、これまでに二十一駅二十三カ所のグレードアップを完了いたしました。
 今後とも、お客様にとって利用しやすいトイレの整備に努めてまいります。

○小林委員 洋式便器をふやす取り組みも着実に進めながら、障害者や高齢者などにも利用しやすく、快適性を追求したトイレのグレードアップを今後も着実に推進していただきたいと思います。
 次に、SNSを活用した情報発信についてお伺いします。
 目まぐるしい技術革新が遂げられている昨今、迅速に有益な情報を発信していくことは、行政サービスにおいても重要な取り組みであります。近年は、さまざまな情報入手のツールがありますが、以前、交通局では、スマートフォン向けの都営アプリの配信を行っていたと記憶をしております。全国的にも、アプリを開発して行政サービスに取り組んでいる自治体がふえておりますが、私はかねてより、都庁の行政サービスの一つとして、各局の皆さんとアプリの開発についてさまざま意見交換をしてきましたが、なかなか開発に向け一歩踏み込めない状況がございました。
 こういった中で、交通局が全庁的にも、他局に先駆けてアプリを活用されていたことは大変すばらしいと思っております。残念ながら、都営アプリは現在配信を終了したとのことでありますが、いずれにしても、さまざまなツールを活用した情報提供の充実は、今後の大事な課題であると思います。
 そこで、SNSなどを活用した都営交通の情報提供の取り組み状況についてお伺いいたします。

○小泉総務部長 交通局では、ホームページやツイッター、フェイスブックといったSNSを積極的に運用いたしまして情報の提供に努めております。
 ホームページにつきましては、平成十一年四月に局事業等を紹介するために開設し、以来、都営地下鉄や都営バス等の運行情報の配信、四言語による多言語対応、スマートフォン対応など、新たなコンテンツの追加やリニューアルを適宜行い、内容の充実を図ってきております。平成二十六年度は、一日平均約八十万件のアクセス数がございました。
 ツイッター及びフェイスブックにつきましては、平成二十三年に都営交通百周年記念事業として実施しました後、それぞれ平成二十四年一月と四月に公式に開設をいたしました。
 ツイッターでは、都営地下鉄等の運行情報を初め、台風接近時や降雪時における注意喚起、局事業のPRなどを投稿しております。直近の状況として、昨日、十月二十二日現在で、十四万八千七百二十七人のフォロワーがいらっしゃいます。
 フェイスブックにつきましては、都営交通の歴史や豆知識などの読み物記事を初め、ユーザー参加型のクイズイベント記事を掲載するなど、お客様が都営交通により親しんでいただけるよう工夫を重ねております。昨日時点で一万六千三百九十五の「いいね」数をいただいております。
 なお、ツイッターのフォロワー数及びフェイスブックの「いいね」数とも、都庁内で開設しておりますアカウントの中では二番目に多い数となっておりまして、SNS等を活用することで多くの方に情報提供ができているものと考えてございます。

○小林委員 今ご答弁いただきましたように、ホームページは一日平均八十万件のアクセス、また、ツイッターのフォロワー数が約十四万八千人、フェイスブックの「いいね」が約一万六千人と、非常に関心の高さがうかがえますので、その時々のユーザーのニーズを敏感に察知しながら、引き続き、さまざまな媒体を活用した情報発信に努めていただきたいと思います。
 それでは最後に、都営地下鉄大江戸線についてお伺いをいたします。
 私の地元練馬区にとって、都心部への大事な足として大江戸線は重要な路線であり、開業以来、乗客数は伸び続けております。私も、光が丘からよく利用させていただいており、利便性を実感している一人であります。
 大江戸線は、他の路線の車両に比べ小型車両で、都心部の狭隘な空間を走行できるという特色を有していますが、それゆえ、朝のラッシュ時など混雑が気になるところがあります。このような特色があるからこそ、特に混雑緩和対策は重要であると思います。
 今後は、大江戸線の輸送力を増強するために、三編成の車両増備の検討を進めているとのことですが、改めて、大江戸線の混雑状況と混雑緩和対策の取り組みについて確認をいたします。

○岡本電車部長 大江戸線の平成二十六年度における最混雑区間の混雑率は、中井駅から東中野駅間で、朝ラッシュ時の一時間当たり、平均で一四六%でございました。
 交通局では、毎年、定期的に乗客量調査を実施し、混雑の集中する時間帯や区間の実態を把握しております。その調査結果や将来の乗客数の予測等を踏まえ、ダイヤ改正を実施し、さらに、必要に応じて車両の増備を行い輸送力の増強を図るなど、混雑緩和対策を実施してまいりました。

○小林委員 今後とも、車両の増備やダイヤ改正など、需要に応じた対応は、適時、検討をお願いしたいと思います。
 また、大江戸線は、小型車両という特徴から車内空間が狭いこともあり、混雑緩和とともに、乗り心地の改善など、車内の快適性の確保が重要であると思います。
 そこで、大江戸線の車内における快適性の向上に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○奥津技術調整担当部長 大江戸線は、車内の快適性の向上に向けまして、車内空調環境の改善、つかまりやすいつり手や手すりの増設、袖仕切りの大型化を行っておりますほか、小まめな車輪の転削によります乗り心地の改善や車内騒音の低減などの取り組みを行ってまいりました。
 さらに、ことし四月に運用を開始した大江戸線の新型車両におきましては、合わせガラスの採用によります静音性の確保、利用しやすい低い荷棚への変更など、さらなる快適性の向上に努めているところでございます。
 今後とも、新技術を積極的に取り入れ、乗り心地の向上や快適な車両の提供に、より一層努めてまいります。

○小林委員 大江戸線を利用されている区民の方より、駅停車時におけるブレーキ操作について、もう少し緩やかに停車できないかといった声をいただくことが間々あります。特に混雑時の急制動や騒音は不快な思いをされる方もおりますので、先ほどのご答弁にもありましたが、新技術を積極的に取り入れながら、更新時の車両のグレードアップも含め、乗り心地の改善に引き続き努めていただきたいと思います。
 大江戸線は、平成三年の練馬-光が丘間の第一期開業以来、平成九年の放射部開業、平成十二年の環状部開業と順次延伸し、乗客数も着実に増加しておりますが、地元練馬区においては、光が丘から大泉学園町の延伸実現のために、練馬区長を会長として、区議会や延伸予定地域の町会代表の皆様と大江戸線延伸促進期成同盟を立ち上げ、長きにわたって早期延伸に向けて取り組んでこられました。一昨年十二月には、当時の志村練馬区長とともに太田国土交通大臣に面会し、早期延伸に関する要望書を直接手渡し、太田大臣にも熱心に耳を傾けていただきました。
 平成十二年の運輸政策審議会において、光が丘から大泉学園町への延伸を二〇一五年までに整備着手することが適当な路線として位置づけており、目標年次となっている本年、地元の思いはますます高まっております。先日、延伸が予定される地域の町会長にお目にかかった際も、繰り返し熱く延伸への思いを語ってくださいました。
 国の交通政策審議会では、本年度中に次期答申を取りまとめる予定でありますが、これに先立ち、都では昨年度より、学識経験者などで構成される委員会を設置し、今後の鉄道ネットワークのあり方などについて調査検討を進め、ことし三月には中間のまとめ、七月には、検討結果を広域交通ネットワーク計画についてとして取りまとめ、発表されたところでございます。
 今後は、本まとめに示した広域交通ネットワーク計画に関する都の考え方を国の交通政策審議会に提示し、次期答申への反映を求めていくとしておりますが、この中で、光が丘から大泉学園町への延伸は、整備について優先的に検討すべき五路線の一つとして位置づけられました。整備効果として、本路線は、区部周辺部に存在する鉄道利用が必ずしも便利でない地域内を結ぶことで沿線の利便性の向上に資する路線である、また、区部北西部に駅勢圏に含まれていない地域があり、本路線の整備により鉄道駅へのアクセスが改善する効果がある、また、都心部の中核拠点や都市周辺部とのネットワークが強化されると記されております。
 このたびの取りまとめは、主に都市整備局を中心に進められたと思いますが、広域交通ネットワーク計画の中で、大江戸線の延伸が、整備について優先的に検討すべき路線として位置づけられたことについて、交通局の認識についてお伺いいたします。

○根木企画担当部長 今回公表されました広域交通ネットワーク計画についてでは、大江戸線の延伸につきましては、整備について優先的に検討すべき路線に位置づけると同時に、あわせまして、今後の課題として、収支採算性を確保するためには、沿線まちづくりの具体化等による将来的な輸送需要の確保が必要であり、また、既存の補助制度以上の資金を確保することが必要となることから、事業スキーム等の検討の深度化が必要であると記載されております。
 まずは、地元区において具体的なまちづくりの検討が進められ、あわせて、新たな事業スキームについて、国を初め関係機関において検討が深度化される必要があると考えてございます。
 交通局といたしましても、今後とも、これらの動向とあわせ、地元区や関係局と連携し、事業化につきまして、採算性も含め、引き続き検討を進めてまいります。

○小林委員 これまでも、この延伸については再三再四にわたり要望してまいりましたが、このたび、都で検討され、取りまとめられた結果に、地元の期待も大いに高まっております。乗り越えなければならない課題も承知をしておりますが、ぜひとも実現するために検討を着実に進めていただき、また知恵をおかしいただきまして、地域住民の悲願であります延伸を何としても実現していただきますよう強く強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○崎山委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○崎山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたします。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十八分散会

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