委員長 | 鈴木貫太郎君 |
副委員長 | 高倉 良生君 |
副委員長 | 松村 友昭君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
理事 | 田中 健君 |
理事 | 大松あきら君 |
理事 | 桜井 浩之君 |
理事 | 山崎 一輝君 |
理事 | 畔上三和子君 |
栗山よしじ君 | |
宮瀬 英治君 | |
まつば多美子君 | |
柴崎 幹男君 | |
鈴木 錦治君 | |
上田 令子君 | |
西崎 光子君 | |
松田やすまさ君 | |
北久保眞道君 | |
宇田川聡史君 | |
中村ひろし君 | |
大西さとる君 | |
大島よしえ君 | |
早坂 義弘君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部長 | 醍醐 勇司君 |
中央卸売市場長 | 岸本 良一君 |
都市整備局長 | 安井 順一君 |
港湾局長 | 多羅尾光睦君 |
交通局長 | 新田 洋平君 |
水道局長 | 吉田 永君 |
下水道局長 | 松田 芳和君 |
本日の会議に付した事件
平成二十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
・平成二十五年度東京都病院会計決算
・平成二十五年度東京都中央卸売市場会計決算
・平成二十五年度東京都都市再開発事業会計決算
・平成二十五年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・平成二十五年度東京都港湾事業会計決算
・平成二十五年度東京都交通事業会計決算
・平成二十五年度東京都高速電車事業会計決算
・平成二十五年度東京都電気事業会計決算
・平成二十五年度東京都水道事業会計決算
・平成二十五年度東京都工業用水道事業会計決算
・平成二十五年度東京都下水道事業会計決算
○鈴木(貫)委員長 ただいまから平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
これより決算の審査に入ります。
平成二十五年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
なお、去る十月二十日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり、報告書が提出されております。
朗読は省略をいたします。
〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕
○鈴木(貫)委員長 これより質疑に入ります。
この際、一言申し上げたいと思います。
質疑に際しましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従い運営してまいりたいと思います。
また、質疑を行う際には、平成二十五年度決算の審査から逸脱をされないよう、各委員のご協力のほどよろしくお願いをさせていただきたいと思います。
なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせをさせていただきます。質疑時間は厳守をさせていただきたいと思います。
次に、理事者の皆様に申し上げたいと思います。
答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握され、簡潔明瞭に答弁をされるよう、委員長としてお願いを申し上げます。
なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言をされますようお願いを申し上げたいと思います。
これより発言を順次許してまいります。
まず、柴崎委員の発言を許します。
○柴崎委員 平成二十五年度の決算の審査に当たりまして、まず、交通局の安全対策について何点かお伺いいたします。
交通事業にとりまして、安全の確保は最も重要な課題であります。日本の公共交通機関は、世界でもぬきんでて、安全、正確に大量の乗客を輸送する仕組みを有していることはいうまでもありません。
また、都営交通は、地下鉄、バスなど合計で一日当たり約三百十五万人が利用しておりまして、多数の乗客を安全、確実に輸送するという重い責務を有していることは改めて指摘するまでもありません。
私たちの生活は、移動を抜きにしては成り立ち得ません。余りにも当たり前過ぎて、ふだん意識することはありませんが、毎日決まった時間に通勤通学をし、関係先とビジネスを進め、必要なものを買いに行き、余暇を楽しんでおります。こうした日々の活動の全ては、公共交通機関に対する信頼があってこそ成り立つものであり、その信頼の裏づけの最たるものが安全な運行であると思います。
都議会自民党は、公営企業会計決算特別委員会の質疑におきまして、これまでもたびたび安全の確保に対する取り組み状況を確認してまいりましたが、本日はこのような問題意識のもと質疑を進めたいと思います。
さて、交通局がこの九月に公表した安全報告書を拝見しましたところ、安全確保に向けたさまざまな取り組みが記載されております。こうした中、安全に関する投資の状況をまとめたページが目にとまりました。
それによると、平成二十五年度に交通局の経営する鉄軌道事業全体で、安全関連設備の改良、修繕に約二百二十一億円を投入したとのことであります。
事業規模の面から、地下鉄事業が、この大部分を占めているものと思われますが、平成二十五年度の地下鉄事業の安全関連の設備投資の主な内容はどういうものか伺います。
○新田交通局長 交通事業者にとりまして、安全・安心の確保は最大の使命であり、この使命を全うするため、交通局では、これまでさまざまな安全対策を講じてまいりました。
平成二十五年度における地下鉄事業の安全関連設備投資の主な内容でございますが、昨年四月に、大江戸線全駅にホームドアの設置を完了させますとともに、本年二月には、総合指令の運用を全面的に開始いたしました。また、国基準を上回るさらなる耐震対策や地下鉄構造物の長寿命化に積極的に取り組みましたほか、老朽化した変電所や車両の更新等を行ってまいりました。
今後とも、お客様の安全・安心確保のため必要な投資を適切に行うことにより、施設、設備、車両等、安全輸送を支える基盤の整備に万全を期してまいります。
○柴崎委員 都議会自民党といたしましては、折に触れまして、公営企業会計決算特別委員会の質疑で、地下鉄事業が連続して黒字を計上し、経営状況が改善してきた中で、安全性の向上につながる積極的な投資も必要であると意見を述べてまいりました。ただいまの答弁によりますと、我が会派の意向が十分に反映されていることが確認できました。
また、昨年四月に整備が完了した大江戸線のホームドアは、我が会派が必要、重要性を指摘し、事業化されたものであり、これによって大江戸線のホームの安全性が大きく改善されました。そして現在では、平成三十一年度の完成を目標に、新宿線への導入が進められているところであります。
また、本年二月に、全面的に運用を開始した総合指令は、いわば安全運行のかなめであり、我が会派は、地下鉄の設備投資の中でも特に重要な取り組みと捉え、事業の進捗状況を注視してまいりました。
交通局は、周到な準備期間を経て総合指令を構築したかと思いますが、総合指令の内容とメリットについて伺います。
○新田交通局長 都営地下鉄の総合指令は、それまで分散配置していました各線の運輸指令と電力指令を一カ所に統合いたしますとともに、新たに旅客指令や、故障発生時の指示等を行う車両指令及び信号通信指令の機能を加えました。
このことにより、総合指令と運転保守等との各部署との連絡体制が強化されまして、運輸指令相互間の応援体制を即座にとれるようになりましたため、事故や災害等の異常時に、運輸指令を中心に各指令が連携を図り、より迅速で適切に情報収集や指示等の対応をとることが可能となりました。
さらに、旅客指令を新設いたしましたことで、お客様に対してより迅速に情報を提供することも可能となりました。また、仕様を統一した最新のシステムを導入したことで、通常時においても、指令員同士が連携し、より正確で安定的な運行を確保できるようになったところでございます。
○柴崎委員 地下鉄事業の経営状況が改善してきた中で、このような安全性の一層の向上を図る上で有効な投資に、費用対効果を検証しつつ、今後も継続的に取り組むことを求めたいと思います。
鉄道の安全は、さまざまな施設設備により支えられており、必要な投資は継続的に行っていくことが重要であります。同時に、こうした施設設備は、人の手によって適切に維持管理されてこそ本来の機能を発揮するものであります。
ところで、都庁においても、団塊の世代を中心とした職員の大量退職を経て、職員の世代交代が大きく進みました。そしてこれに伴い、技術系職場を中心に、技術の継承や若年層の技術力の向上が課題となっていると仄聞しております。
そこで、安全は人が支えているという観点から、保守職場の職員の技術力の向上と技術継承のためにどのような取り組みを行ってきたのか伺います。
○新田交通局長 都営交通の安全を確保していく上で、保守等の職員の技術力向上と技術の継承を図るとともに、将来を担う若手の人材を確保することは極めて重要な課題でございます。
このため、交通局としましては、専門研修やOJTを行いますとともに、鉄道総合技術研究所などの外部機関の技術研修に職員を派遣し、最新の知見を習得させるほか、他の鉄道事業者やグループ会社も参加する技術発表会を開催し、事業者の垣根を越えて専門知識やノウハウの共有を図っております。
また、若手の人材を確実に採用するため、昨年度から、工業高校等への訪問活動を強化しますとともに、今年度は、高校生の就職活動の内定時期に合わせ、合格発表を前倒しいたしました。
今後とも、こうした取り組みを通じて、都営交通の安全を支えるプロフェッショナル職員の確保と育成に努めてまいります。
○柴崎委員 交通局は、地道な取り組みを行っていることが確認できましたが、職員の皆さんにも、ぜひとも自分たちが安全を支えているという責任感と気概を持って職務に当たっていただきたいと思います。
ところで、東京都が出資する「ゆりかもめ」や多摩都市モノレールなど鉄道会社は、いずれも会社の規模が小さくて、社員が幅広い経験を積むことが難しいところもあるかと思います。交通局は、これまでも職員の派遣や運転免許取得のための研修生の受け入れなどを通して支援をしてきたと聞いております。
今後は、こうした人事交流の輪を広げるなどして、各社の安全を支える社員の育成に積極的に協力していただきたいということを意見として申し上げておきます。
日々の地下鉄の運行には、施設設備の維持管理に当たる保守職員のほかにも、乗務員や駅員、指令所の職員など多くの職員がかかわっており、安全の確保における人的な要素は足し上げていくと非常に大きなものになると思います。人為的なミスに起因する事故を未然に防ぐためには、事故原因の分析等を通して得た知見から、いわゆるヒューマンエラーを防止する取り組みが重要であります。
そこで、地下鉄のヒューマンエラーの防止に向けてどのような取り組みを行ってきたのか伺います。
○新田交通局長 多くの職員がかかわっております地下鉄の安全確保におきましては、ご指摘のとおり、ヒューマンエラーを防止する取り組みが極めて重要であると認識しております。
このため、交通局では、各種の教育訓練を通じて、職員に対し繰り返し規定や取り扱い手順等の確実な理解を図り、基本動作、基本作業を徹底させますとともに、ヒューマンエラーをテーマとした事故防止研修を実施し、安全意識の向上を図っております。
また、ヒヤリ・ハット情報を収集分析して組織内で共有するため、各職場において事例研究等のグループ討議を行い、その成果を各職場を越えて発表するなど、事故の芽を未然に摘むための取り組みを推進しております。
今後とも、ヒューマンエラーによる事故防止に引き続き取り組み、安全の確保に万全を期してまいります。
○柴崎委員 ヒューマンエラーをゼロにすることは難しいかと思います。そうであればこそ、エラーの可能性を一つ一つ潰していくような地道な取り組みが重要なのだと思います。引き続き着実な取り組みをお願いするところであります。
ここまで、地下鉄事業を取り上げて、交通局の安全対策についてただしてまいりました。交通局のもう一つの主力事業であるバス事業は、人やほかの車も通行する道路を利用するがゆえに、乗務員の状況判断や運転技術などの人的な要素が、より直接的に輸送の安全にかかわる場面が多いと思われます。
交通局の安全報告書によりますと、平成二十五年度の事故は三百四十六件あり、減少傾向にはあるようですが、前年度と比べるとほぼ横ばいであります。都内の道路は混雑も激しく、その中で多くの乗客を乗せて大型バスを運転する乗務員は、大変な苦労をしているんではないかと思います。
そこで、バス事業の事故防止のためにどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。
○新田交通局長 厳しい走行環境の中で、バスの安全運行を確保するためには、乗務員一人一人が安全に関する高い意識を持ち、常に基本動作を徹底することが不可欠でございます。
このため、都営バスでは、日々の厳正な点呼を通じて乗務員に安全運行に必要な指示、確認を行いますとともに、路線上の危険箇所を表示したハザードマップの周知やヒヤリ・ハット情報などに基づく注意喚起に努めております。
また、ドライブレコーダーの画像などを活用した安全研修を全ての乗務員に年四回実施し、危険の予測と回避などバスを運転する上での技能や心構えを習得させておりますほか、運転訓練車の活用による乗務員の運転特性に応じたきめ細かな改善指導を行っております。
今後とも、こうした取り組みを推進し、乗務員の安全意識と運転技術の一層の向上を図り、事故防止に努めてまいります。
○柴崎委員 バス事業につきましても、引き続き着実な事故防止の取り組みをお願いいたします。
ここまで、地下鉄事業とバス事業に着目し、安全性の向上に向けた投資の状況と人的な面での安全確保の取り組みについて幅広く質疑をしてまいりました。冒頭に述べましたとおり、交通事業の基本は、乗客を安全に輸送することであります。継続的な設備投資や日々の地道な事故防止の取り組みこそが交通局のキャッチフレーズである、あなたと東京を支える力でありたいの原点なんだと思います。
今後、交通局が、観客等の輸送に大きな役割を果たすことが期待されているオリンピック・パラリンピック競技大会も見据えて、引き続き安全対策に積極的に取り組むことを期待いたしまして、次の質問に移ります。
次に、中央卸売市場について伺います。
人口の減少や高齢化、そして世帯構造の変化や女性の社会進出等の社会環境の変化により、市場を取り巻く状況は急激に変化し、卸売市場経由率の低下や取扱数量の減少傾向も続いております。
こうした状況の中で、市場業者に深刻な影響を与えるとともに、開設者である東京都にも大きな課題を突きつけていると思います。そうした中、都は平成二十三年度に第九次東京都卸売市場整備計画を策定し、今後の卸売市場整備の基本的考え方や、各市場の整備計画を明らかにしておりますが、計画期間も、ちょうど折り返しに入りました。
そこで、この整備計画の基本的な考え方とそれに基づきどのように取り組みを行っているのか、改めてお伺いいたします。
○岸本中央卸売市場長 第九次東京都卸売市場整備計画では、卸売市場の持つ公共的役割を踏まえ、十一の中央卸売市場と十四の地方卸売市場が連携し、都民の生鮮食料品等の安定供給という責務を果たしていくこととしております。
このため、都民の食の安全・安心への期待や、生産者、消費者の多様なニーズに応えるなどの基本的な考え方に基づき、品質管理の高度化や物流の効率化等の機能強化を進めております。
具体的には、築地市場から移転する豊洲新市場は、流通環境の変化に対応した高度な品質、衛生管理施設を備えるとともに、多様なニーズに対応する機能を備え、先進的な市場流通を実現する卸売市場として整備いたします。
また、他の中央卸売市場では、淀橋市場等において、卸売り場の低温化のための電力増強工事を行ったほか、大田市場では、荷さばき場を拡張することにより物流改善を図りました。
さらに地方卸売市場におきましては、東久留米水産地方卸売市場の建てかえ工事に対する施設整備事業費補助を行うなど、それぞれ着実に取り組みを進めておるところでございます。
○柴崎委員 厳しい状況の中にありまして、今後の卸売市場はどうあるべきか、業界も東京都の整備内容には注目し、また、期待もしていると思います。
特に流通の現状を見ますと、川上から川下までのさまざまなニーズに応えることは、市場業者も開設者も待ったなしの状況だと考えております。
私は、都議会を代表いたしまして、昨年、海外都市調査といたしまして、イタリア最大の市場であるミラノ市場を視察いたしました。ミラノ市場におきましては、再整備計画の中で、いわゆるコールドチェーンによる衛生管理を重要な課題として取り組んでいる状況をつぶさに見てまいりました。
これらの卸売市場に求められる機能として、特に温度管理、そして、温度管理を基礎とする品質、衛生管理、物流の効率化などが重要なものであると考えておりますが、これらの機能を果たしていくための課題についてお伺いいたします。
○岸本中央卸売市場長 委員ご指摘のように、卸売市場において品質、衛生管理や、物流の効率化といった機能強化を図ることは、都民の食の安全・安心への期待や、生産者、消費者のニーズに応え、引き続き卸売市場としての責務を果たしていくためにも大変重要でございます。
これらの機能強化のための投資は、市場業者の負担増ともなりますことから、市場取引の活性化に結びつく効果的な施設整備となるよう、運用方法も含め、市場業者と慎重に調整を図らなければならないという課題がございます。
こうした課題を踏まえながら、市場業者と十分連携し、市場施設を適切に整備することによりまして、品質、衛生管理の高度化や物流の効率化など、市場機能の強化を着実に推進してまいります。
○柴崎委員 平成二十五年度を含めて、市場における喫緊の重要課題について質問してまいりましたが、卸売市場が流通過程においてなくてはならない機能を有していることは誰もが認めるところであります。
今後、豊洲新市場はもちろん、他の市場におきましても機能強化を図り、生鮮食料品の都民への安定供給を引き続き確保するなど、さらなる施策を展開していただきたいと強く申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
続きまして、臨海地域開発事業会計についてお伺いをしたいと思います。
臨海副都心におきましては、オリンピック・パラリンピック東京大会において、多数の競技会場の設置が予定されているほか、大型客船ターミナルの整備なども計画されておりまして、今後、国内外からより多くのお客様が訪れる地域となるわけであります。
オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、臨海副都心を、これらのお客様を迎えるにふさわしいにぎわいと魅力を兼ね備えたブランド力のあるまちとしていくことが重要であります。
先日の第一分科会において質疑がありましたが、臨海地域開発事業会計では、土地処分が進み、そして、臨海副都心におきましても、これまでに七割の土地処分が完了しております。そして残る未処分地につきましては、今後は、MICE、国際観光拠点として発展させるために開発を進めていくことになります。
そこで、まず、平成二十五年度の土地処分を踏まえた臨海地域開発事業会計の収支状況と残る未処分地の資産価値についてお伺いをいたします。
○多羅尾港湾局長 臨海地域開発事業会計の収支状況については、平成二十五年度決算の損益収支の面で、有明南K区画の売却など、着実に土地処分が進み、収入総額は約二百八十三億円となっております。これに対して、支出総額は約二百二十二億円であり、その結果、約六十億円の経常利益を上げております。これにより、資金収支の面では、平成二十五年度末時点で、内部留保残高が約一千九百五十四億円となっております。
また、残る未処分地の資産価値は、現時点で約三千億円でございます。
○柴崎委員 現在の収支状況はわかりましたが、一方で、決算状況を見ますと依然として二千四百三十二億円、企業債残高を有しております。今後は、オリンピック・パラリンピックの開催を控えまして、臨海副都心におきましても、この土地需要に最優先で対応していくことが予想され、さまざまな状況に適切に対応できる柔軟な財政運営が求められてまいります。
このため、本年度の起債償還に当たりましては、一部の借りかえを予定していると聞いておりますが、臨海副都心ならではの必要な取り組みを積極的に進めていくとともに、今後の社会経済情勢を見据えつつ、企業債償還を着実に行っていく必要があります。つまり、中長期的に安定的な財政運営を行っていくことが重要であります。
そこで、今後の財政見通しにつきまして、ご所見を伺います。
○多羅尾港湾局長 臨海地域開発事業会計の中長期の主な支出項目としては、まず、償還すべき企業債残高が約二千四百三十二億円でございます。
次に、今後、幹線道路等の都市基盤整備に伴う費用としては、最大一千六百億円ございます。これらを合わせると、今後、約四千三十二億円の資金需要が発生してくると見込まれております。
この財源としては、現時点で約三千億円の価値を持つ未処分地と、内部留保金一千九百五十四億円を合わせた約五千億円相当の資産があり、対応は十分可能であると考えております。
しかしながら、委員ご指摘のとおり、今後処分を予定している未処分地においては、オリンピック・パラリンピックへの対応など、さまざまな公的需要への対応が必要となってまいります。
このため、平成二十六年度予算において、本年度の償還額一千四百五十五億円のうち九百七十五億円を借りかえることとしたものでございます。この借りかえにより、財務面での健全性が一層強化され、今後の中長期的な視点を持ったまちづくりにとって必要な柔軟かつ安定的な財政運営が可能となるものと考えております。
○柴崎委員 今、局長の答弁をいただきまして、今後の財政運営につきましては、柔軟に対応できるとわかりました。
今後は、オリンピック・パラリンピックを成功に導くとともに、MICE、国際観光拠点として、臨海副都心を着実に発展させていくためには、ブランド力の向上に向けた取り組みが必要であります。
こうしたことから、今後とも、大局的な視点で財政運営に取り組み、盤石な財政基盤を構築して、臨海副都心開発を着実に推進していくことを切に願いまして、私からの質問とさせていただきます。
○鈴木(貫)委員長 柴崎委員の発言は終わりました。
次に、早坂委員の発言を許します。
○早坂委員 まず、水道局決算について伺います。
平成二十四年四月に発表された首都直下地震等による東京の被害想定によれば、冬の夕方十八時、毎秒風速八メートルという状況下で、東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の大地震が発生した場合、最悪で十八万八千棟の建物が全焼し、火災による死者は四千人を超えるとされています。
区別に見ると、品川区では、区内全ての建物のうち三二%、大田区では、区内全ての建物のうち二四%が全焼するとされています。阪神・淡路大震災は、建物被害、東日本大震災は津波被害でしたが、次に、我々が経験するであろう首都直下地震は火災被害だということを肝に銘じた上で、被害軽減策を講じる必要がございます。
相手が火災ということならば、まずは、火を出さない努力が必要です。しかし、火災が発生してしまった場合、これをいかに小さなうちに消しとめるかが重要です。火を消すには水が必要です。そこで、水道管路の耐震化が重要なファクターになってくるわけです。
阪神・淡路大震災では、水道管自体が地震で破損したという被害が報告されました。そこで、東京都水道局では、水道管をダクタイル鋳鉄管という強い素材に取りかえをほぼ完了しましたので、水道管が地震で破損する心配は、今日ございません。
しかし、破損はしないものの、水道管と水道管のつなぎ目が外れてしまうおそれは残っています。これを解消するために、耐震継ぎ手に取りかえていく必要があります。
そこで、水道局では、平成二十五年度から新たな耐震継手化十ヵ年事業を開始しました。その内容と平成二十五年度の取り組み状況について伺います。
○吉田水道局長 平成二十五年度から実施しております水道管路の耐震継手化十ヵ年事業は、十年間で延長五千キロメートルを取りかえていくこととしており、平成三十五年度末の耐震継ぎ手率を五七%まで向上させてまいります。
この事業では、首都中枢機関や救急医療機関など三百七十五カ所に加え、新たに避難場所及び主要な駅約二千六百カ所への供給ルートにつきましても優先的に耐震継ぎ手化することとしております。このうち、首都中枢機関や救急医療機関などにつきましては平成三十一年度までに、また、避難所となる小中学校及び主要な駅約千九百カ所につきましては、平成三十四年度までに取りかえを完了いたします。
平成二十五年度は、五百四十二キロメートルの取りかえを実施し、耐震継ぎ手率は三五%となっております。
○早坂委員 ご答弁では、十年間で五千キロの水道管の耐震継ぎ手化を図るとのことでした。五千キロといえば、東京-大阪間の十倍、管路の耐震化にはどうしても時間がかかります。首都直下地震の発生が切迫する今日、火災危険度が特に高い地域などに優先順位をつけて実施すべきと考えます。
ところで、東京都は、本年四月に首都直下地震等対処要領を発表しました。すなわち、警察、消防、自衛隊などの救出活動が円滑に展開されるよう、公園などが大規模救出救助活動拠点に指定されたのです。
耐震継ぎ手化の優先順位は、こういった新たなニーズもしっかりと考慮すべきと考えます。ご見解を伺います。
○吉田水道局長 都立公園や清掃工場などの大規模救出救助活動拠点は、首都直下地震などが発生した際に、各救出救助機関のベースキャンプや医療活動スペースなどとして活用されることになっております。
震災時におきまして、これらの拠点で断水が発生いたしますと、各機関の正常な救出救助活動が滞ることとなり、人命救助に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、可能な限り給水を確保することが重要であります。
このため、平成二十五年度から実施しております耐震継手化十ヵ年事業の中で、都営水道の給水区域にある五十六カ所全てについて、平成三十一年度までに供給ルートの耐震化を優先して実施してまいります。
○早坂委員 平成二十五年度は、水道事業における二つの面で大きな節目の年になりました。一つは、利根川水系の高度浄水処理が四半世紀の歳月を経て一〇〇%を達成したこと、もう一つは、東京都の水がめとして重要な八ッ場ダムの建築再開に向けた計画変更が行われたことです。
中でも八ッ場ダムは、ダム検証の名のもとに、民主党政権により工事が中断され迷走しました。昭和三十九年の東京オリンピック渇水、高度経済成長への対応、近年の渇水、異常気象による水資源への影響など、例を挙げれば枚挙にいとまがないほど、その必要性に疑う余地がないにもかかわらずです。都市のインフラとして水道がどれほど重要なのか、そのことを再認識すべきであります。
そこで、安定給水の確保に向けた水道局長のご決意を伺います。
○吉田水道局長 東京の水道は、都民生活と都市活動を支える上で欠くことのできない重要なライフラインであります。
日本は、昭和三十年代から高度経済成長期に入りましたが、例えば、当時の記録によりますと、前回のオリンピック開催直前、渇水による給水制限は最大五〇%に至り、自衛隊や米軍までもが応急給水を実施し、その対応に当たりました。
現在におきましても、保有水源の脆弱性や浄水場の更新、首都直下地震への対応などの課題に直面するとともに、今後、気候変動による渇水リスクの増大なども想定されます。
このため、数十年から百年といった長期の視点を持って必要な施策に取り組むことが重要であり、八ッ場ダムなどによる水源確保とともに、浄水場の更新や震災対策などの施設整備を着実に進め、将来にわたる安定給水の確保に万全を期してまいります。
○早坂委員 水源確保を初め、施設の整備は、長期的な視点に立って着実に行ってもらいたいと考えます。
さて、東京水道が長年の努力で達成したものに、もう一つ、世界に誇る低い漏水率がございます。戦後、最悪で八〇%もあった漏水率は、現在では二%にまで低減されました。世界を見渡してみても、これだけ大規模な事業体の中で、わずか二%というのは、ほかに例を見ないすばらしいことです。これは、東京水道が計画的かつ着実に管路の更新を進めてきたことや、ベテラン職員が保有するかすかな漏水音を聞き分けるたくみのわざがあってこそのものであります。
一方で、アジア諸国に目を向けると、急激な経済成長や人口増加に伴い、水不足や水質の悪化が深刻な問題となっています。特に、漏水など収入に結びつかない水の比率は、多くの都市で一〇%から四〇%、中には五〇%を超えるところもあり、水道事業経営の大きな課題となっています。
そこで、これらの解決に向けた国際展開に対する基本的な考え方と、平成二十五年度の取り組みについて伺います。
○吉田水道局長 平成二十五年度の国際展開の取り組みについてでありますが、海外から三百八十一名の研修生を受け入れたほか、台湾との技術協力の覚書締結やタイでの無収水対策パイロット事業などを行っております。
さらに、ミャンマーのヤンゴン水道に関する整備改善協力チームを民間企業とともに結成し、技術協力に取り組んでまいりました。その成果として、本年十月、ヤンゴン市の一部地域における漏水調査、水道管の取りかえ及び修繕などの無収水対策事業を契約するに至りました。
今後も、経済成長や人口増加が見込まれるアジアでは、東京水道の技術に対しましてニーズが高まっていくと考えられます。このため、都市外交の一環として、都市問題の解決に向け、東京水道の技術力を活用し、研修の受け入れや職員派遣などの国際貢献に取り組むとともに、民間企業と連携して、政府開発援助、ODAを活用した事業展開を一層推進してまいります。
○早坂委員 インフラの整備を一朝一夕になし遂げることは極めて困難です。東京水道は、一世紀以上にわたり首都東京の都市活動と一千三百万都民の生活を支える技術と経験を積み重ねてきました。長年培った技術を生かし、日本企業の海外展開を後押しするとともに、アジアの水道事業の改善に向けて一層力を尽くしてほしいと思います。
世界に誇れる最高水準の水道は、まさに東京の宝です。将来にわたる安全でおいしい水の安定供給という重要な役割を果たすため、今後とも、強靱な水道インフラ整備の積極的な推進をお願いいたします。
次に、下水道局決算について伺います。
近年、私たちの実感として異常気象がふえています。平成二十四年十一月に、東京都建設局が発表した中小河川における東京都の整備方針に、それを裏づけるデータが載っています。私たちが取り組んでいる雨の量、すなわち、計画降雨は、河川も下水道も時間雨量五十ミリ、これは、そもそも三年に一回の確率で降るとされている量です。それが、昭和五十五年から平成元年までの十年間で既に二十回、平成二年から平成十一年までの十年間で四十二回、平成十二年から平成二十一年までの十年間で五十三回降っています。また、そもそも百年に一回の確率で降るとされてきた時間雨量百ミリ以上の雨も、ここ十年間で六回降っています。
一方で、平成二十五年度末現在の区部下水道の五十ミリ浸水解消率の進捗状況は六七%、そういう整備状況下で異常気象が発生している現状認識のもと質問をさせていただきます。
下水道局は、昨年、平成二十五年十二月に、豪雨対策下水道緊急プランを策定し、これまでの整備水準である時間五十ミリへの降雨への対応に加えて、時間七十五ミリの降雨への対応が必要な地区四カ所を選定するなどしました。
申し上げるまでもなく、下水道の浸水対策として大規模な施設整備を行う場合には、その完成までには長い期間が必要です。そこで、被害が大きいところを選んで集中的な対策を実施することにしたのです。
この豪雨対策下水道緊急プランでは、平成三十一年度までに整備効果を発揮するとしています。その内容について伺います。
○松田下水道局長 豪雨対策下水道緊急プランでは、七十五ミリ対策地区や五十ミリ拡充対策地区において、新たな下水道施設の整備などにより、近年多発する局地的集中豪雨などに対応することとしております。
しかしながら、これらの施設の完成には長期を要するため、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、設計施工上の工夫を行い、オリンピック・パラリンピック開催前の平成三十一年度までに整備効果を発揮させていく予定でございます。
具体的には、下水道幹線の増強に先行して、この幹線に雨水を流し込むために準備した下水道枝線を、幹線が完成するまでの間、暫定的に貯留施設として活用したり、既存の下水道管をネットワーク化させるバイパス管を整備するなど、さまざまな工夫を行いまして効果をできる限り早期に発揮させてまいります。
○早坂委員 平成三十一年度までにということは、二〇二〇年三月までにということです。東京オリンピックの開催期間は、その年の七月二十四日から八月九日までの十七日間、すなわち、真夏のゲリラ豪雨の季節です。オリンピックを安心してお迎えできるよう、引き続き浸水対策を進めていただきたいと思います。
ところで、私の地元杉並区阿佐谷地区を含む桃園川幹線の流域は、これまでもたびたび浸水被害が発生しており、昨年、平成二十五年八月には、時間雨量六十七ミリという非常に激しい雨が降り、二十棟もの床上、床下浸水が発生しました。
この阿佐谷地区における下水道浸水対策について、私は、平成二十四年の第三回定例会本会議で一般質問し、下水道局長から、新たな下水道幹線の設計に着手する旨の答弁がありました。この流域のうち、浸水被害の常襲地であるJR阿佐ケ谷駅南口周辺においては、下水道局が雨水貯留管を建設し、その完成式典で、私は、都議会公営企業委員長としてテープカットをさせていただきました。
しかしながら、さきに述べましたとおり、桃園川幹線の流域全体では、いまだ昨年のような浸水被害が生じています。昨年のこの浸水被害を受け、下水道局は、豪雨対策下水道緊急プランにおいて、阿佐谷地区を含む桃園川幹線流域を、五十ミリ拡充対策地区の一つとして選定し、浸水対策を強化することになりました。
そこで、桃園川幹線流域における平成二十五年度の下水道の取り組み状況について伺います。
○松田下水道局長 桃園川幹線の流域につきましては、お話のとおり、昨年の浸水被害の発生を踏まえ、豪雨対策下水道緊急プランにおいて、時間五十ミリを超える豪雨への対策を進める五十ミリ拡充対策地区の一つに選定をいたしました。
具体的な対策として、桃園川幹線を増強する第二桃園川幹線を整備することといたしまして、豪雨時には、この流域に既に整備してある一千九百立方メートル貯留できる調整池とあわせて、時間五十ミリを超える降雨に対しても浸水被害を軽減してまいります。
現在、平成二十四年度より進めている実施設計と並行して、幹線のトンネル工事に必要な立て坑の用地確保のため、関係者との協議を精力的に進めておりまして、引き続き、できる限り早期の工事着手を目指して取り組んでまいります。
○早坂委員 冒頭申し上げたとおり、私たちは、三年に一回の確率で降るとされてきた五十ミリ対策を着実に進めてきました。ところが、現実には、百年に一回とされた百ミリの雨がここ十年間で六回も降っています。このことを考えれば、長い時間を要する下水道ハード整備の完成を待つだけで、被害が軽減できるわけはありません。
ハード整備は、最も被害が深刻なところと社会的影響が大きいところに集中させる、そして、浸水常襲地の情報を住民の皆さんにきちんとお知らせするなどして、住民の皆さんご自身による対策を講じてもらうような意識啓発、すなわちソフト対策をさらに充実させる、ありとあらゆる努力で被害を軽減させることが、今、求められているのだと思います。下水道局の皆さんのさらなるご努力を、議員の立場から引き続き応援申し上げます。
ところで、東日本大震災では、各地で下水道管とマンホールの接続部が破損し、下水が流れなくなりました。その結果、避難所ではトイレが使用できなくなり、衛生状況の悪化、避難生活を強いられた方々への強いストレスなど、大きな社会問題となりました。切迫する首都直下地震において、復旧時にトイレが使えないといったことが起きないよう対策が必要です。
そこで、下水道局が進めている下水道管とマンホールの接続部の耐震化の特徴と、平成二十五年度の進捗状況について伺います。
○松田下水道局長 阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大規模な地震の際、下水道管とマンホールの接続部が破損し、避難時や復旧時にトイレが使えないといった深刻な事態が発生いたしました。その原因は、下水道管とマンホールの構造が異なり、それぞれが地震の揺れに対して別々に動くため、接続部が外れたり破損したものでございます。
その対策といたしまして、下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更をし、地震の揺れによる力を吸収することで、耐震性の向上を図る技術を監理団体である東京都下水道サービス株式会社や民間企業と連携し、開発いたしました。
この技術は、道路を掘り返すことなく、マンホールの中で作業ができるため、周辺の地下埋設物に影響されず、また、道路上の交通にも大きな影響を与えることなく効率的に対策工事を行うことができます。
下水道管とマンホールの接続部の耐震化は、震災時に人が集まる避難所や、災害拠点病院などの排水を受け入れる下水道管を対象といたしまして、平成十二年度から対策を進めておりまして、平成二十五年度は、広域避難場所である和田堀公園一帯など二百五十三カ所を完了させました。
これによりまして、区部全体で目標の二千五百カ所を上回る二千六百三十三カ所について、当初計画の二十七年度より二年前倒しし、対策を完了いたしました。
さらに現在は、ターミナル駅や区の庁舎など災害復旧拠点一千カ所に新たに対象を拡大し、対策を進めているところでございます。
○早坂委員 避難所などに係る下水道管とマンホールの接続部の耐震化は、道路を掘り起こさない技術によって目標を上回る箇所を、しかも、計画より二年前倒しで完了させたとのことであります。
一方で、東日本大震災では、千葉県浦安市などで液状化現象によりマンホールが浮上し、道路の通行に大きな影響を与えました。
そこで、下水道局が進めるマンホールの浮上抑制対策について、その特徴と平成二十五年度の進捗状況について伺います。
○松田下水道局長 マンホールの浮上抑制対策は、復旧時の緊急車両の通行など、交通機能の確保のために極めて重要でございます。マンホールが浮上する原因は、液状化現象により地盤内部で地下水圧が上昇し、その圧力をマンホールが受けて浮上するものでございます。
平成十六年の新潟県中越地震におきまして、このようなマンホールの浮上の被害が多発したことから、地下水の圧力が上昇した場合に、その地下水を下水道管内に流入させ、地下水圧の低減を図る消散弁をマンホールの側壁に設置することで、マンホールの浮上の抑制を図る技術を東京都下水道サービス株式会社や民間企業と連携して開発いたしました。
この技術も、下水道管とマンホールの接続部の耐震化と同様に、道路を掘ることなくマンホールの中から作業を行うことができます。開削工事に比べて工期やコストを大幅に縮減できます。
このマンホール浮上抑制対策の進捗状況でございますが、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路など、区部全体で五百キロメートルを対象として平成二十年度から二十二年度までの三年間で対策を完了させました。その後、避難所などと緊急輸送道路を結ぶ道路七百キロメートルを新たな対象といたしまして、このうち二十五年度までに四百キロメートルの対策を完了いたしました。
これによりまして、既に完了している緊急輸送道路分を含め、累計で、合計、全体で一千二百キロメートルの約八割に当たる九百キロメートルの対策を完了いたしました。
今後も、引き続きこれらの取り組みを着実に進め、都民の安全・安心を確保してまいります。
○早坂委員 マンホールの浮上抑制対策も、道路を掘り起こさずに対策が可能であり、工期だけでなくコストも抑えられるとのことでありました。
これまでの質疑から、下水道局は、東日本大震災の教訓から、災害の特性を踏まえた技術開発を行い、効果的に取り組みを進めていることが確認できました。
下水道の浸水対策、震災対策は、私たちの暮らしにかかわる重要な施策です。下水道事業は、その性格上、何も問題がなくて当たり前で、当局に届く都民の声は苦情がほとんどではないかと想像します。
一方で、異常気象などの影響で都民が求める安全レベルは高くなっていく、他方で、下水道事業には長い時間と多額の費用を必要とする、そういった困難な状況下での下水道局の皆様のご労苦に感謝し、引き続き、施策の選択と集中、新たな技術開発と活用にご尽力くださいますようお願いいたします。
次に、病院経営本部決算について伺います。
全国の多くの公立病院では、医師不足など、医療提供体制の維持に苦労しており、経営状況も依然として厳しい状況になっています。
このため、国は平成十九年十二月に、公立病院改革ガイドラインを策定しました。その中で、地方自治体に対し、平成二十五年度までを標準期間とした公立病院改革プランを策定して、経営効率化などに取り組みを求めています。
一昨年の本公営企業会計決算特別委員会においても、我が党より経常収支比率などの経営指標について、その達成状況を確認したところです。今後、医療環境がますます厳しくなっていく中で、公立病院の役割は、地域医療を安定的、継続的に確保する上でますます重要になってまいります。その機能強化のためには、健全な経営が不可欠であることはいうまでもありません。
そこで、公立病院改革プランの最終年度であった平成二十五年度において、経営の効率化で最も重要な指標である経常収支比率について、全国的にどのような結果となったか。また、都立病院の経常収支比率及び経常収支から一般会計繰入金を除いた自己収支比率について伺います。
○醍醐病院経営本部長 公立病院改革プランの対象となる病院は、平成二十五年度末で、全国で八百九十二病院でございます。経常収支比率の全国平均は、プラン策定前の九五・七%から九九・八%となり、全国的に経常収支比率が向上しております。
都立病院においても同様に、一〇一・二%から一〇二・四%となり、さらに収支の改善が進んでいる状況にございます。
また、自己収支比率でございますが、プラン策定前の七〇・四%から七六・三%となり、過去最高の自己収支比率となりました。
○早坂委員 全国的に見れば、経常収支比率は改善しているものの、いまだ赤字の病院もあるようであります。都立病院においては、経常収支は黒字を維持しているものの、その中には、多額の一般会計繰入金が含まれています。感染症医療や精神科医療など不採算な行政的医療を担っていることから、繰入金はやむなしと考えます。
しかしながら、公営企業である以上、効率的な運営に向けて、経営改善を進めていくことは当然のことであります。自己収支比率は、過去最高とのことであり、経営改善が進んでいると理解いたしました。
さて、国は、今後策定が予定されている地域医療ビジョンを踏まえ、これと一体的に整合のとれた公立病院改革を進めることが可能になるよう、新たなガイドラインを策定するようです。
病院経営本部では、国の方針である二〇二五年に向けた医療提供体制等の再編を見据えた上で、既に平成二十五年三月に都立病院改革推進プランを策定しています。
そこで改めて、都立病院改革推進プラン策定に当たっての基本的考え方と、初年度となる平成二十五年度において、どのような取り組みを行ったのか伺います。
○醍醐病院経営本部長 都立病院改革推進プランは、これまで推進してまいりました患者中心の医療、人材育成や再編整備等、改革の成果を最大限生かしつつ、少子高齢化の急速な進行、目前に迫る医療制度改革などに対応し、医療の質を向上させるために策定をしたものでございます。
平成二十五年度におきましては、墨東病院の東京ERの機能強化や独立した感染症病棟の整備を進めたほか、各都立病院が、急性期を脱した患者が安心して地域に戻れるよう、患者支援センターのあり方の検討などに取り組んでまいりました。
引き続き、国等の動向や地域の状況を踏まえ、都立病院の基本的役割である行政的医療を安定的、継続的に提供してまいります。
○早坂委員 都立病院は、引き続き地域の医療機関などとの役割分担と機能分化を進めながら、今後とも、行政的医療を適正に都民に提供していただきたいと思います。
ところで、先月十月二十七日に引き続き、先週末にも、東京と大阪で、エボラ出血熱の疑い例が発生しました。未知の感染症がいよいよ現実的な脅威として私たちの身近に迫っています。
感染症医療は、都立病院が使命としている行政的医療の最たるものであり、今まさにその使命を果たすべきときが来ています。しかしアメリカでは、エボラ出血熱患者の治療に当たった看護師が二次感染する事態も生じております。患者への適切な治療の提供とともに、医療従事者の安全確保も含め、感染拡大防止策が極めて重要です。
現在は、エボラ出血熱が目前の課題となっておりますが、新型インフルエンザを初めとする新興感染症を含めた感染症医療全体への取り組みが望まれます。
そこで、都立病院における感染症対策全般について、平成二十五年度の取り組み実績を伺います。
○醍醐病院経営本部長 委員お話しのとおり、感染症への対応は、都立病院が取り組むべき行政的医療の中でも最重要課題の一つでございます。平成二十五年度には、新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行を踏まえまして、都立病院で構成される感染症対策委員会に、感染症病床を有する荏原病院、豊島病院を初めとした全ての公社病院を加えまして体制の強化を図るとともに、マニュアル及びBCPを改定いたしました。
また、医療従事者への二次感染等を防ぐためには、日ごろの訓練が重要でありますことから、感染症指定医療機関である四つの都立公社病院におきまして、東京検疫所等関係機関との合同訓練を行ったほか、病院ごとに、感染症患者の搬送受け入れ訓練や防護服の着脱訓練を実施いたしました。
今後とも、感染症から都民の命を守るため全力を尽くしてまいります。
○早坂委員 明日十一日には、第一種感染症指定医療機関である都立墨東病院、駒込病院、公社荏原病院の三病院及び関係機関で、エボラ出血熱患者の移送受け入れ訓練が実施される予定と伺っております。
都内で万一患者が発生した場合には、これらの病院が治療現場として最前線に立つことになります。そこで働く医療従事者の安全を守る意味でも、引き続き対策の強化に努め、都民の信頼に応えてほしいと強く念じます。
○鈴木(貫)委員長 早坂委員の発言は終わりました。
次に、高倉副委員長の発言を許します。
○高倉委員 初めに、都立病院のがん対策について質問いたします。
東京都のがんによる死亡者数は年々増加し、都の死亡者数のおよそ三人に一人に及んでおります。平成二十五年三月に、都は、がん対策推進計画の第一次改定を行い、基本方針として、予防の重視、高度ながん医療の総合的な展開、患者、家族の不安の軽減、がん登録とがん研究の推進を掲げています。
超高齢社会において高度ながん医療を推進するには、患者の負担や苦痛が少ない高度な治療を推進していくことも重要であります。駒込病院には、高精度放射線治療装置、トモセラピー、サイバーナイフといった三台の高度な放射線治療装置が導入されています。これら最新型装置を整備したことで、これまで以上に患者の負担が少ない高度な治療を可能にしたと思います。
そこで、駒込病院の高度ながん治療の代表例ともいえる最新型の放射線治療装置の平成二十五年度の実績をお伺いいたします。
○醍醐病院経営本部長 超高齢社会において高度ながん医療を推進するには、診療科が異なる複数の医師や医療従事者が治療計画について議論し、最適な治療方法を決定することに加えまして、お話のとおり、低侵襲な治療を提供することが一層重要でございます。
駒込病院に導入した三台の最新型の放射線治療装置は、周囲の正常な組織を傷つけずにがん細胞のみに放射線を集中して高精度に照射を行うため、患者の負担や苦痛が少なく、がんを効果的に治療するものでございます。
平成二十五年度は、放射線治療の体制充実を図るとともに、適用疾患や対象部位を拡大したことによりまして、高精度放射線治療装置の稼働実績が八千百四十七件となりまして、前年度の五千八百八十件を大きく上回りました。
引き続き、保有する機能を最大限生かし、患者の状態に応じて最も適した治療の提供に努めてまいります。
○高倉委員 病院が有する高度な機能を最大限生かした質の高い治療を今後も進めてほしいと思います。
次に、小児がん対策について伺います。
小児がんは、子供の病死原因の第一位です。年間発症者は全国で約二千人から二千五百人であり、小児がんを扱う施設は全国で約二百カ所程度と推定されます。医療機関によっては限られた経験の中で医療を行わざるを得ない可能性もあります。医療資源の集約化により、質の高い小児がん医療や支援体制を提供できる環境が求められてきました。
国は、治療が困難な小児がんにつきまして、患者が質の高い小児がん医療や支援を受けることができる体制を確保するため、全国の中核的な機関として、平成二十五年二月に、小児がん拠点病院として全国で十五病院を指定しました。
東京都においては、都立小児総合医療センターと国立成育医療研究センターの二病院が指定されました。これは、小児総合医療センターの小児がんに対する高度な治療や支援体制が高く評価された結果であると考えられます。
そこで、小児総合医療センターにおける小児がんの取り組みについてお伺いをいたします。
○醍醐病院経営本部長 小児がんには、小児医療の専門知識、多様な経験、高度な技術を結集した治療が重要でございます。小児総合医療センターにおける平成二十五年度の小児がん入院患者は二百五人でございまして、その治療には、複数の専門診療科が連携して、手術、放射線治療、化学療法はもとより、造血幹細胞移植や骨髄移植を行っております。
また、総合診療基盤を生かしまして、他の医療機関では対応が困難な再発がんや難治性のがん、合併症に対して高度な治療を行うとともに、成長過程に合わせまして、必要な患者に長期のフォローアップを行っております。
さらに、新たな治療法の開発に向けまして、医師が主導する治験や他の施設との共同研究に積極的に取り組んでおります。
今後とも、小児総合医療センターの高度な機能を結集して、小児がん医療のさらなる充実に努めてまいります。
○高倉委員 小児がん治療は、子供の成長過程で行うものです。発育や発達、臓器の障害など、治療が原因となる後遺症や合併症を引き起こすケースもあると聞いております。そのため、小児医療の専門知識や高度な技術を結集した治療方法の決定は非常に重要であります。
がんをピンポイントで治療する陽子線治療は、そうしたリスクを少なくする上で効果的であるといわれております。将来的に、陽子線治療の導入に向けた検討も行っていくことが必要だと考えます。
また、小児がんは、成長に伴う長期のフォローアップが必要となるため、小児総合医療センターが行っている集学的な治療や、複数の診療科による長期フォローアップは重要な取り組みです。小児がん医療の中核施設としてしっかりと役割を果たしていくよう求めます。
がん対策を一層推進するためには、がんの種類ごとの患者数や生存率、治療成績など、正確な実態把握を行うがん登録が極めて重要です。我が党も、がん対策にとって有効ながん登録を国の事業として位置づけ、正確ながん情報を集約する体制を整備することが重要であると主張してまいりました。
国は、平成二十五年十二月に、がん登録等の推進に関する法律を制定し、科学的知見に基づいたがん対策の推進や、がん登録のさらなる充実を図ったところです。
現在、がん登録には、地域がん登録、院内がん登録、臓器がん登録があります。がん登録のさらなる充実を図るためには、その基礎となる院内がん登録の充実が不可欠であります。
そこで、都立病院における院内がん登録の状況についてお伺いいたします。
○醍醐病院経営本部長 院内がん登録でございますが、がんの診断、治療を行った全ての患者の診療経過や予後に関する情報を登録し、がん診療の実態を把握するとともに、この情報を分析活用することにより、がん医療の水準の向上を図るものでございます。
都立病院では、がんを取り扱う全ての病院で院内がん登録を行っております。平成二十五年度の新規登録件数は一万百十七件でございまして、登録開始以降の総登録件数は九万九百五十三件となりました。また、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院は、平成二十五年度に都内拠点病院等四十三施設の院内がん登録データの集計分析を行うとともに、がん登録に関する知識向上の研修を都内の医療機関に行いました。
引き続き、院内がん登録を推進し、がん対策の充実を図ってまいります。
○高倉委員 院内がん登録は、将来のがん治療にも役立つ重要な取り組みであります。がんを取り扱う都立病院において、この取り組みを積極的に進めていただくよう要望いたします。
次に、都電荒川線について質問をいたします。
平成二十五年度の決算資料によれば、都電荒川線の乗車人員は一日四万五千五百五十人です。前年度比で四百九十四人、一・一%の増加ですが、増加傾向にあるわけではなく、近年の乗車人員の推移は横ばいであります。
一方、少子高齢化など、これから利用者が減っていく要因は多く、乗客の確保に努めていかなければ営業は成り立ちません。そこで、乗客の確保に向けて注目されることの一つが貸切電車の活用であります。
荒川線では、通常の旅客とは別に、早稲田から三ノ輪橋までの間で、車両一両全部を貸し切る事業を行っていますが、これが、実は大変評判がいいわけであります。
そこでまず、貸切電車の運行実績についてお伺いいたします。
○新田交通局長 都電荒川線の貸切電車の運行実績につきましては、平成二十五年度は、百七十九件のご利用で二百六十九回の運行を行い、収入は約三百四十万円でございました。その利用の内容といたしましては、小学校や幼稚園の遠足やグループの小旅行に多く使われておりますほか、車内での演奏会や俳句会などのイベント、さらには、映画やドラマの撮影など、さまざまでございます。
なお、貸切電車は、通常の運行に支障のない範囲で予約を受け付けておりまして、運賃は、片道運行一回につき一万三千八百二十円であり、レトロ車両など好きな車両を指定できるようになっております。
○高倉委員 今ご答弁いただきましたけれども、平均すると二日に一回は運行していることになりますが、目的別の貸し切りの内容では、平成二十五年度は、幼稚園や小学校の遠足などが約四割、地域や高齢者施設のイベントなどが約三割、映画やドラマの撮影、また、個人の誕生パーティー等がそれぞれ約二割と聞いております。貸切電車については、映画やテレビにもっと露出をしていけば、宣伝効果も大きくなり、収益アップにつながると思います。
実は今、荒川線では、貸切電車の中で落語を聞く都電落語会が毎月行われ、テレビ局が取材に来ております。江戸時代から伝わる落語と百年以上の歴史を持つ都電のイメージがマッチしまして、新たな東京の名物になると注目され、都議会公明党でも、沿線区選出の同僚議員が公演初日に視察をいたしました。
テレビ番組の「笑点」のメンバーで著名な落語家が、運転席の真後ろに設置された高座に座り、名人芸を披露し、車両の中は爆笑の連発に沸いていました。都電落語会は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて毎月行われるとのことであります。交通局としても、都電落語会は、乗客数アップの絶好のチャンスです。
交通局がさらにできることとしまして、沿線区との連携があります。都電落語会運行初日の八月二十二日は、豊島区内でオープニングイベントがあり、翌日は大塚阿波踊りが開かれるなど、沿線地域のお祭りと連動し、相乗効果で大いににぎわいました。
今後は、沿線の北区、荒川区、新宿区におけるイベントと連携していけば、さらに盛り上がり、その宣伝効果は大変大きなものになると期待できます。地元区との連携について都の取り組みをお伺いいたします。
○新田交通局長 交通局では、これまでも毎年地元区とともに、荒川線の魅力向上と沿線の活性化を図るため、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
例えば、桜の季節には、都電「さくら号」を運行し、バラの開花時期には、都電「バラ号」を運行し、地元区の協力を得て車内の装飾を行っております。そのほか、沿線で実施されるバラの市など地域のイベントにおきまして、グッズの提供やチラシの配布を行うなど、地元区と連携して荒川線のPRを行っております。
さらに、平成二十四年度に交通局が事務局となって、地域活性化協議会を立ち上げ、昨年度から、沿線の名所や各区が推奨するスポットをめぐる荒川線スタンプラリーを四区連携で初めて実施し、多くの方の参加をいただいたところでございます。
○高倉委員 都電は、専用軌道でありますので渋滞はありません。住宅地の中をきめ細かく走り、町屋、王子、大塚など主要駅も通り、JR、地下鉄、バスと併用すると大変便利であります。こうした荒川線の利便性、魅力をより多くの人に知っていただくことで利用者を確保していくことが大切であります。
都電の魅力を若い世代や観光客を初め、広く情報発信し、都電のイメージアップ、収益向上を目指して取り組んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○新田交通局長 荒川線は、東京に残った唯一の都電であり、利便性の高い地域の身近な足として長く親しまれておりますが、新たな利用客獲得のためには、その魅力を観光客や若い世代にも広く発信することが重要でございます。
このため交通局では、これまでも、都電おもいで広場の整備やレトロ車両の導入のほか、当局が企画監修した観光情報誌の発行や、都電マスコット、とあらんのイベントでの活用など、荒川線の魅力向上に取り組んでまいりました。
引き続き、若者向けにリニューアルした沿線情報誌による効果的なPRや、沿線のイベント情報のホームページでの紹介、さらには貸切電車による落語電車の運行などの話題づくりを通じて、荒川線の情報を積極的に発信し、より多くのお客様にご利用いただけるよう努めてまいります。
○高倉委員 次いで、水道事業の震災対策について、決算書に基づいてお伺いします。
水道局では、安全でおいしい水が蛇口から飲めること、渇水や地震のときにも水道が使えることなどを実現するために、平成二十五年に東京水道経営プラン二〇一三を策定いたしました。
このプランでは、切迫性が指摘をされている首都直下地震などの発生に備え、震災対策を主要な施策に位置づけ、今までの取り組みを加速させていくとのことであります。
決算書によると、震災対策として、防災機能のさらなる強化、電力確保に向けた取り組み、そして応急体制の充実という項目を設け、水道施設や水道管の耐震化、自家用発電設備の増強などを推進しております。
震災時に断水して最も困るのは、飲み水はもちろんですが、風呂やトイレなどの生活用水です。施設の耐震化は、震災時の給水を可能な限り確保するために重要であります。
そこでまず、水道施設の耐震化の取り組みに当たっての考え方についてお伺いをいたします。
○吉田水道局長 水道局では、震災対策を最重要課題の一つとして位置づけ、断水のない水道の構築を目指し、平成二十五年九月に、東京都水道局震災対策事業計画を策定いたしております。
本計画では、震災時にも給水を可能な限り確保するため、水道システム全体の耐震化を効果的、効率的に推進することとしております。
具体的には、浄水場の耐震化につきましては、施設の連続性に配慮するとともに、給水所などでは、重要度の高い施設から順次耐震化を進めております。また、管路につきましては、首都中枢機関や救急医療機関などに加え、避難所である小中学校への供給ルートなどの耐震継ぎ手化を優先して実施しております。さらに、自家用発電設備の増強や配水本管テレメーターなどの電源確保に取り組んでいるところでございます。
○高倉委員 水道システムの耐震化を積極的に推進していることにつきましては、高く評価をいたしたいと思います。
一方、東京のような大都市では、震災時、どこか個別の施設が停止をしても、ほかの施設から給水できるよう、水道管のネットワーク化を図ることで、バックアップ機能を強化し、広域的な水運用を行うことが不可欠であります。
この広域的な運用を適切に行うために必要なのが、水道管の圧力などを常時把握する配水本管テレメーターと残留塩素などの水質情報を収集します自動水質計器であります。このような機器を都内各所に整備し、その情報を活用しながら、浄水処理やポンプ運転を行うことで、きめ細かな水運用が図られております。
震災時でも、安定給水を維持するためには、配水本管テレメーター等の機能が確保されなければなりませんが、さきの東日本大震災では、計画停電の影響でこれらの機能に支障が生じたと聞いております。
そこで改めて、さきの震災による配水本管テレメーター等の障害の発生状況についてお伺いいたします。
○吉田水道局長 当局では、安全でおいしい水を安定的に供給するため、約三百十カ所ある配水本管テレメーターと約百三十カ所ある自動水質計器により常時水圧などのデータを収集、監視することで、断水や管路異常などを把握し、広域的な水運用を行っております。
さきの東日本大震災では、計画停電の影響によりまして約八十カ所の機器が機能を停止し、水圧、水質などの情報が得られない状態となり、その周辺地域におけます断水の状況や管路の異常、水質の状況など、迅速かつ的確に把握することが困難となっております。
○高倉委員 さきの震災では、停電区域内において、配水本管テレメーター等の機能が停止したとのことでした。震災により大規模停電が発生し、数多くの機器の機能が停止をすれば、広域的な水運用が困難になることは容易に想像できます。
また、機器の機能が停止することによりまして、断水地域や管路の異常などを把握できなくなれば、復旧活動のおくれにつながるのではないかと懸念されます。
都議会公明党は、これまで、震災時におきましても、配水本管テレメーター等を確実に機能させるための電源確保の必要性を主張してまいりました。決算書を見ますと、この電力確保に向けた取り組みの一つとして、配水本管テレメーター等へのバッテリーの設置が順次行われております。
そこで、これまでの進捗状況と取り組みを進めていくに当たっての課題についてお伺いいたします。
○吉田水道局長 当局では、三日間停電した場合でも、配水本管テレメーターと自動水質計器の機能を維持するため、バッテリー設置の工事を順次進めているところでございます。
現在の進捗につきましては、配水本管テレメーターは、平成二十五年度までに二十八カ所の工事が完了し、また四十二カ所の工事に着手しております。また自動水質計器は、二十五年度から六十八カ所の工事に着手しております。
これらの配水本管テレメーターと自動水質計器は、局用地のほか公道や公園などの公有地などに設置しておりますが、中でも、配水本管テレメーターは公道に多く設置されており、歩行者などの通行の妨げとならないよう、現状の占有面積は必要最小限のものとなっております。そのため、現状の面積では十分な容量のバッテリーを設置できない箇所があることなどが課題となってございます。
○高倉委員 バッテリーを設置する面積が確保できない場所があるといったことでありますけれども、確かに、狭い歩道に配水本管テレメーターが設置されている場合には、バッテリー設置のために、その土地を広げた場合に、歩行者などの通行の妨げになることも想像ができます。
これらの機器は、効果的、効率的な水運用を行うために、水圧や水質のデータを収集したい地点に設置してあります。ここでなければならないと、場所がある程度限られるところに難しい課題があると思います。
そこで、今後の計画と課題の解決に向けた対応につきましてお伺いいたします。
○吉田水道局長 配水本管テレメーターへのバッテリー設置につきましては、着手済みのものも含めまして、平成三十四年度までに二百六十カ所の工事を実施いたします。その他の約五十カ所につきましては、管路の取りかえが予定されている場所などであり、今後、配水本管テレメーターの設置場所なども含めまして検討を進めてまいります。
自動水質計器につきましては、平成二十七年度までに全箇所におけるバッテリー設置工事の完了を目指しております。
課題の解決に向けた取り組みにつきましては、現在、占有面積の拡大や占有場所の移動などにつきまして、関係機関と順次協議を進めております。また、太陽光パネルを活用したバッテリーの小型化に向けた調査研究を行うなど、多様な手段によりまして課題を解決していくことで、震災時におけます水運用に万全を期してまいります。
○高倉委員 次いで、下水道の浸水対策、特に昨年度下水道局が策定をしました豪雨対策下水道緊急プランについてお伺いをしたいと思います。
近年、これまでの下水道の整備水準であります時間五十ミリを超える猛烈な豪雨が何度も降り、時間百ミリにも至る場合もあるわけであります。
このような豪雨への治水対策につきまして、都では、下水道だけでなく、河川の対策や流域対策も含め総合的に行ってきておりますけれども、その治水対策の整備水準につきましては、都が設置した総合治水対策調査委員会が昭和六十一年に出した、いわゆる六十一答申と呼ばれる報告に基づき、既定計画の時間五十ミリから長期計画の時間七十五ミリ、そして基本計画の時間百ミリへと段階的に治水水準の向上を図ることとしていると聞いております。
このような中で、下水道局では、昨年、豪雨対策下水道緊急プランを策定し、最大で時間七十五ミリの豪雨への対策を行うこととしましたけれども、今回このように、雨水整備水準の見直しをした意義についてお伺いいたします。
○松田下水道局長 下水道局では、これまで、お話のいわゆる六十一答申以降、下水道施設全体で、時間五十ミリの降雨に対応する取り組みを進めるとともに、浸水により深刻な被害のおそれがある大規模地下街について、時間七十五ミリの降雨への対策を進めてきました。
しかしながら、近年、時間五十ミリを超える豪雨が頻発しており、昨年七百棟を超える甚大な浸水被害が生じたことから、豪雨対策下水道緊急プランでは、下水道整備の目標をこれまでの時間五十ミリから一部引き上げ、甚大な浸水被害が生じた市街地を対象に、時間七十五ミリの対策を行う七十五ミリ対策地区や、時間五十ミリを超える降雨に対しても被害を軽減する五十ミリ拡充対策地区を設けるなど、下水道の雨水整備水準のレベルアップを図ることといたしました。
これは、ことし六月に改定された東京都豪雨対策基本方針にも反映されているところでございます。
○高倉委員 このプランでは、下水道の雨水整備水準につきまして、時間五十ミリの降雨に対する対策を進めつつ、浸水被害の実態を踏まえ、甚大な被害が生じるおそれがある地域について、時間七十五ミリを含めた対策に踏み出したことは、現実に即した対応であり、高く評価をいたしたいと思います。
答弁にありました五十ミリ拡充対策地区には、常に浸水被害のおそれがあります杉並区荻窪の大宮前幹線流域、また、杉並区阿佐谷や中野区東中野の桃園川幹線流域などが含まれておりまして、迅速な対応が求められているところであります。
今後、これらの地区における対策に当たっては、コストの問題や技術的に困難を伴うことなどさまざまな課題があるというふうに思います。
そこで、豪雨対策下水道緊急プランにおける七十五ミリ対策地区や、五十ミリ拡充対策地区で着実に施設整備を進めるには、さまざまな工夫が必要であります。その点につきましての見解をお伺いいたします。
○松田下水道局長 豪雨対策下水道緊急プランにおける七十五ミリ対策地区や、五十ミリ拡充対策地区では、新たな下水道施設の整備が必要でございますけれども、これらの施設は規模が大きく、整備に要するコストの縮減が求められます。また、都内の密集市街地において大規模な施設整備を行うため、工事用地の確保や工事現場周辺の保全なども課題となります。
そこで、施設の設計に当たりましては、流出解析シミュレーションを活用し、浸水被害の状況、降雨の強度、地形、河川や下水道の整備状況など、現場条件をきめ細かく設計内容に反映いたしますとともに、既存の下水道幹線の地下空間を活用して新たな施設を計画したり、近隣に整備した調整池などを活用してまいります。
さらに、工事に当たりましては、複数箇所で同時に施工することなどによりまして、完成時期を前倒しするほか、さまざまな工夫を行いまして、効果的、効率的に施設整備を進めてまいります。
○高倉委員 下水道につきまして、もう一点だけお伺いしておきます。
猛烈な豪雨に対応するには、都民の自助、共助を促すソフト面での対策も重要であります。下水道局でも取り組みを進めていくべきだと考えますけれども、この点につきましてのご見解をお伺いいたします。
○松田下水道局長 お話のような豪雨から都民の生命や財産を守るためには、施設整備によるハード対策に加えて、降雨情報の提供などソフト対策にも一層力を入れていくことが必要でございます。
このため、豪雨対策下水道緊急プランに基づきまして、ハード対策に加えて、東京アメッシュの精度の向上や、ツイッターなどによる情報発信、区と連携した幹線水位情報の提供拡大など、ソフト対策にも積極的に取り組んでまいります。
今後とも、ハード、ソフトの両面からの取り組みを推進いたしまして、浸水に強い都市東京の実現に貢献してまいります。
○高倉委員 どうぞ、さらに全力を挙げて取り組みを進めていただきたいと思います。
次いで、臨海副都心について質問いたします。
臨海副都心は、開発から四半世紀を迎え、今では、日本有数のビジネス、観光の拠点へと成長してまいりました。その背景には、行政と民間との協働がありました。この中で、MICE拠点化推進事業は、民間事業者のすぐれたアイデアを活用し、臨海副都心の目指すMICE、国際観光拠点化に寄与する効果的な事業であります。
選定されました事業を見ますと、さまざまな取り組みがあることがわかります。しかしながら、さきの第一分科会におきまして、大企業の資産になるものは各自でやるべきとの意見もあったわけであります。
そもそもこの補助金は、大企業へのばらまきなどではなく、東京がアジア諸都市との厳しい都市間競争を勝ち抜くために大変効果的な事業であると思います。
そこで、本事業の意義とその効果についてお伺いしたいと思います。
○多羅尾港湾局長 シンガポールなど、急速な発展を遂げているMICE先進諸都市と互角に競い合い、東京がアジアのヘッドクオーターとしての地位を確保するためには、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化が不可欠でございます。
そのためには、今、官民が協働し、危機感を持って迅速に対処していかなければならず、都が民間のすぐれた取り組みを引き出し、支援することも重要でございます。この取り組みの効果として、地域全体が一体となり、スピード感を持ってMICE、国際観光拠点化を推進することが可能となったと考えております。
なお、当該補助事業は、臨海副都心MICE、国際観光拠点化を推進しようとする強い意欲があり、提案事業が先進的で実現性が高く、かつ、このエリア全体への波及効果の大きい事業であれば、応募事業者の規模を問わず選定しております。
このような取り組みを継続していくことにより、MICE、国際観光拠点化に向けた臨海副都心のブランド価値がさらに高まり、ひいては東京のプレゼンスの向上につながっていくと考えております。
○高倉委員 発表資料を見ますと、エリア外の事業者からも応募がありまして、臨海副都心に対する関心の高さがうかがえるわけであります。
昨年五月、このMICE拠点化推進事業により整備されたホテルのMICE会場が、国際水協会の視察団へのプレゼンテーション会場として活用されまして、その後、同年九月に東京開催の招致が成功いたしました。その際、臨海副都心のすばらしい眺望を一望できるMICE会場は大変好評だったと聞いておりまして、早くもその成果があらわれたのではないかというふうに思います。
シンガポールなどのMICE先進都市では、アフターコンベンションを充実させております。臨海副都心でのMICE拠点化推進事業の効果は大変大きく、相当数の来訪者の増加につながり、臨海副都心のブランド力向上につながっております。
この地域が、四半世紀をかけて、現在のまちに発展するまでには、開発の初期段階から進出してきた事業者が都と協働しまして、まちを盛り上げてきた歴史がございます。一部に、民間に対し補助を出すという手法だけを捉え、狭い視野で本事業を批判する向きがあるようでありますけれども、これはその目的を見ることなく本質の理解を欠いた的外れな意見であります。
今後とも、大局的なまちづくりの視点に立ち、臨海副都心から東京の経済成長を牽引していくため、民間事業者と連携しながら、MICE、国際観光拠点化に向けて邁進していただきたいと思います。
最後に、中央卸売市場についてお伺いをいたします。
東日本大震災は、東北地方を中心とした産地に甚大な被害をもたらしました。都議会公明党は、東京に多くの生鮮食料品を供給し、東京の食の一翼を担ってきた被災産地の復興支援は何よりも重要なことであると考えまして、都に対して、被災産地への支援を強く求めてきたところであります。
中央卸売市場は、我が党が提案した被災産地支援研修会の開催など、被災産地への支援策を実施してまいりましたけれども、震災後三年八カ月が経過する中で、市場の行った支援事業の成果や効果について見解を求めたいと思います。
○岸本中央卸売市場長 中央卸売市場では、被災生産地への支援といたしまして、農水産物流通支援金や被災産地支援研修会などの取り組みを行ってきております。
このうち流通支援金は、被災地の復興と安定的な出荷を確保するため、震災直後の平成二十三年から二カ年にわたり約十七億六千万円を震災被害を受けた出荷団体等に交付し、農水産業の早期復旧を後押しいたしました。
また、副委員長のお話の支援研修会でございますが、原発事故の影響を受けた福島を支援するため平成二十四年度から実施しているもので、これまで市場関係者や消費者団体など、延べ三百六十四名が現地を訪れ、検査体制の視察や出荷関係者との意見交換を行いまして、県産品の安全・安心を確保する現地での取り組みを小売業者や消費者に伝えることで風評被害の解消に努める取り組みを継続的に実施してきております。
さらに、市場業界が主体となりまして、市場まつり等での被災地の県産品の販売や、現地の漁業組合等との意見交換を実施するなど、被災産地への理解や交流が深まり、支援の輪が着実に広がっているものと考えております。
○高倉委員 これからも、被災地への支援、これは大変重要であるというふうに思います。さまざまな風評被害に、いまだに大変苦しんでいる福島を初めとして、宮城、岩手、本当にこうした各県への全力の支援をお願いしたいと思っております。
先般、私も都議会公明党の調査団の一人としまして、岩手県に行ってまいりましたけれども、当初、震災による大変な被害がありましたけれども、その後、復旧が進みまして、いろんな設備の面でも復旧が進んできていると、こういった状況を見てまいりました。
そうした中でも、やはり販路の拡大に向けて、東京からの支援、本当に期待をしておりました。ぜひ、中央卸売市場、ますます全力を挙げていただきまして、被災地支援に取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わりたいと思います。
○鈴木(貫)委員長 高倉副委員長の発言は終わりました。
この際、議事の都合によりまして、おおむね十五分間、再開時間は二時五十五分とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。休憩いたします。
午後二時三十七分休憩
午後二時五十四分開議
○鈴木(貫)委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
松村副委員長の発言を許します。
○松村委員 初めに、地下鉄の浸水についてです。
都営地下鉄の浸水対策は、一旦起これば甚大な被害が出ることからも、万全の対策が必要です。
そこでまず、これまで都営地下鉄であった浸水について伺います。
○新田交通局長 近年、都営地下鉄では、大きな浸水被害は発生しておりませんが、列車の運行に支障のあった主な浸水といたしましては、直近では、平成元年八月一日、集中豪雨に伴う目黒川の氾濫によりまして、浅草線五反田駅の構内及びトンネル内に浸水した例がございます。
○松村委員 浸水があったケースについてお聞きしましたが、答弁は、列車の運行に支障があった主な浸水ケースとして、五反田駅の事例でお答えいただきました。運行に支障が生じるほどでなくても、大雨で出入り口から水が流れ込み止水板で防ぐような事例も時々起きていると聞いています。
いずれにしましても、近年、これまで想定していなかったような集中豪雨が頻発しています。さらに開発が進む中で、地下道が網の目のようにつながり、思いもしないところから水が入り込んでくる可能性も考えられることなどからも、これまで以上に浸水対策を万全に行うことが、都民の安全確保のために重要ではないでしょうか。
現在、都営地下鉄駅の浸水時避難確保計画の現状はどうなっていますか。また地下鉄、地下街、隣接ビル等の管理者と連携が必要な駅はどこですか、お伺いいたします。
○新田交通局長 都営地下鉄では、全ての地下駅において水防法に基づく浸水時避難確保計画を平成二十四年三月までに策定いたしました。また、隣接ビル等他の管理者と連携が必要な駅は、大手町駅や新宿西口駅などでございます。
○松村委員 私は、大江戸線の幾つかの駅に伺い、浸水時避難確保計画の聞き取りを行ってきましたが、改定中で今ないとか、主務駅にありますからそちらでごらんくださいなどの対応で、率直にいって、いざというとき本当にその計画が生かせるのか不安になりました。
同時に、新宿西口駅の二〇一二年、平成二十四年三月策定の浸水時避難確保計画、今手元にいただきましたけれども、これを見ますと、隣接ビルからの浸水状況の把握など、隣接した施設を介しての浸水被害の想定は不十分です。浸水防止対策、避難計画なども、隣接ビルの管理との連携などは書かれていませんでした。
浸水対策計画に浸水予想区域図による浸水想定箇所を特定して明示し、避難経路、避難誘導計画を具体化する必要があると思いますが、いかがですか。
○新田交通局長 交通局が駅ごとに策定しております浸水時避難確保計画は、避難誘導、浸水防止活動や訓練に関する事項を定めたものでございまして、地元区が作成したハザードマップを参考にしております。この各区が作成しておりますハザードマップには、浸水想定区域が示されておりますため、各駅の浸水想定箇所は、局として当然把握しております。
さらに、各駅で浸水のおそれが生じました場合には、実際の状況に応じて、より適切かつ確実にお客様を安全に避難誘導することができますよう、避難確保計画や異常時対応マニュアルにおいて、具体的な行動手順等を定めますとともに、毎年、浸水等を想定した訓練を実施しております。
○松村委員 ハザードマップと今いわれましたけれども、新宿西口駅の、この浸水時避難確保計画に添付されていたのはこれなんですね。これは新宿区そのものが出した、しかもこのA4で。この避難確保計画は、各駅に備えて、豪雨のときに職員がそれを取り出して、どういう避難誘導をしたらいいのかとか、お客様の安全に万全を期すと思うのですけれども、これが一枚添付されているだけで、例えば、どの出口から水が入ってくるかという判断は、私は全くできないというふうに思います。
例えば、浸水予想箇所を把握しているということですけども、それは都営地下鉄が管理している出入り口についてのお話だと伺いました。しかし、他の鉄道会社や事業者が管理している出入り口であっても、地下道でつながっていればそこから浸水するかもしれません。それらを含めて浸水想定箇所、避難経路、避難誘導計画など早急に具体化するよう求めておきます。
ちなみに、これインターネットで公開していて、これは都の方から、他の局ですけれども、比較的きちっとできている、モデルになるといわれてたのが八重洲地下街等浸水対策計画でした。これはインターネットで資料を見ましたけれども、そこには、例えば、添付資料に、浸水対策が必要な開口部とか、それから浸水想定が、この部分に浸水が想定されるという、そういう具体的なものが公表されておりますし、恐らくその現場に備わっているものだというふうに思います。ぜひ、今後の課題としても具体化するよう求めたいと思います。
それからまた、訓練を実施しているとの答弁ですが、分科会での畔上議員への答弁では、本決算年度は、勝どき駅で一回やった切りです。全ての駅で定期的に行うことを求めておきます。
現在の計画は、東海豪雨を想定したものですが、中央防災会議が指摘する荒川が氾濫した場合に、氾濫水が流入する可能性がある駅についても浸水箇所を特定し、避難経路や避難誘導計画にすべきではありませんか。
二〇一三年、平成二十五年度に水防法が改定されて、先ほどの今改定中だという幾つかの駅で聞いた話も、そういうことを指しているらしいので、ぜひ、やはりこの機会に、そうした計画にする必要があるんではないかというふうに考えております。
この点について、新たな中央防災会議の指摘する路線について、駅についても、その計画を取り入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○新田交通局長 まず、現在取り組んでおります改定作業の関係でございますが、平成二十五年九月に行われました施行規則の改正、これは自衛水防組織の設置に関するものでございます。既に全駅に設置されております自衛消防組織の枠組みを活用することが可能であるとされておりますことから、現在、浸水時避難確保計画の文言整理をしているところであり、これは速やかに終える予定でございます。
また、都営地下鉄では、浸水のおそれが発生しました場合には、浸水時避難確保計画に基づき、各駅のマニュアルに従ってお客様を安全に避難誘導することとしております。
また、お話の中央防災会議が発表した首都圏における大規模水害の被害想定を受けまして、現在、国や都では、その対策を検討しておりまして、交通局ではその動向を踏まえた上で、水防法上の水防管理団体である沿線各区と連携して適切な対応を検討してまいります。
○松村委員 そういうマニュアルがきちっとあるといったけれども、やはりしっかりと生かせる、いつ起きるかわからないとか、そういうことが、また、最近の状況では、この前も、下水道管が破損して、思わぬところから地下に大量の水が出て列車がとまったというような事例も、ほかでもありました。
そういう意味では、現場の職員が適切に動ける、避難訓練も、指摘したように、きちっとやる必要がありますし、やはり行動に生かせなければ何もならないというふうに思うので、その点は、より実効性あるものに改善していただきたい。
それから同時に、二〇一〇年の中央防災会議の被害想定は、二百年に一度のカスリーン台風級の豪雨による河川の決壊での浸水です。シミュレーションによれば、都営地下鉄では、大江戸線など五路線に浸水すると想定しています。国や都とも協議し、避難確保計画に反映するよう求めます。
次に、下水道局に伺います。
下水道局は、経営計画二〇一三で、私の住む練馬区を初め、新たに二十地区を重点地区に追加し、昨年末に策定した豪雨対策下水道緊急プランでは、さらに、対策地区を追加し、浸水対策の取り組みの充実強化を図るとしています。
そこで、経営計画二〇一三における三カ年の浸水対策の総事業費は幾らで、財源の確保についてはどのように考えているのか伺います。
○松田下水道局長 経営計画二〇一三における浸水対策の事業費でございますが、三カ年で七百九十三億円でございます。
この財源の確保につきましては、雨水公費の原則に基づく一般会計からの繰入金を確実に確保するほか、浸水対策事業は、基本的に国費対象事業として位置づけられておりますことから、国に対しまして、一層の財政措置の拡充を要望するなどして、引き続き国費収入の確保に努めてまいります。
○松村委員 都内での再開発により、かつての田畑や緑地が果たしていた雨水の一時貯留や地下浸透させる機能が弱まり、都市型水害が増加しています。それに対して、貯留施設、豪雨に対応できる新たな幹線整備を中心にした場合、莫大な税金がかかることになります。
緊急プランによる七十五ミリ対策地区と、五十ミリ拡充対策地区の主な取り組みは、既存の下水管の下にさらに巨大な対策幹線を敷設するという計画です。莫大な財源とともに、長期間の工期を要することにもなります。そこで、流れ込む前にもっと降った雨を下水管に取り込まない対策、施設整備に力を尽くすべきです。
緊急プランでは、小規模緊急対策地区での取り組み内容に、メニューの例として、雨水をためて地面にしみ込ませる浸透ます、浸透トレンチの設置を挙げていますが、道路や歩道に降った雨を下水に流さずしみ込ませることのできる透水性舗装の記述はありません。
下水道管に雨水が入る前のこうした対策を、もっと都市整備局や建設局に、また国や区市町村など、道路をつくり管理する関係機関にも数値目標を持って取り組んでもらうことを要請すべきではありませんか。
○松田下水道局長 都では、東京都豪雨対策基本方針に基づきまして、既に関係局が適切な役割分担のもと連携して豪雨対策を進めております。
お話の透水性舗装を含む流域対策の目標については、東京都豪雨対策基本方針の中で、時間十ミリ降雨相当の雨水流出抑制を実現するとしているところでございます。
○松村委員 ぜひオール都庁として、雨水浸透ます、それから浸透トレンチ管、透水性舗装などによる雨水流出抑制の数値目標を持った対策をとるよう、下水道局としても強く働きかけるなど、雨水の下水管への流入抑制をとるよう要望しておきます。
実は、なぜ、下水道局にいうのかといわれる思いがあるかもしれませんけども、本来下水は、やはり汚水の処理です。たまたまというか、私の練馬区も含めて、都市部ということで合流管になったために、雨水を下水道としても引き受けなければならなかった。
しかしその練馬では、下水道が、そのために河川が改修できないので遅々として進まない。そういう中で下水道局が先頭を切って雨水流出抑制型公共下水道という、こういう下水道をやって、あらゆる、今いった浸透ますだとか、トレンチ管だとか、物すごい効果があるものをやって、河川改修を行わなくても済んだという、私そういう経験があるもので、やはり各局がそれぞれ取り組む、または、そういうさっきいった十ミリの流域対策があるんだといっても、そこは、下水道局としてもやはり重要な役割を果たしていただきたいというふうに思います。
それから、とりわけ透水性舗装は、短時間降雨に対して、雨水流出抑制効果が極めて高いものです。透水性舗装は、少なくとも降雨量の約六〇%の流出量が抑制されることがわかったとの実験的研究結果も発表されています。
ところが都の水道や下水その他の公共工事においても、道路を掘って工事した後の復旧舗装が現状維持とすればよいとなっているため、透水性舗装は広がっていません。
少なくとも下水道工事の復旧舗装は、全て透水性にするぐらいの決意を持って他局にも働きかけるべきでありませんか。
○松田下水道局長 先ほども申し上げましたが、豪雨対策につきましては、東京都豪雨対策基本方針に基づきまして、関係局が連携して進めております。
下水道工事における道路舗装の復旧につきましては、道路法に基づく占用許可条件として、道路管理者から指定された種類の舗装により実施しているものでございます。そのため、透水性舗装の取り扱いについては、国道など道路管理者の判断によるものと考えております。
○松村委員 透水性舗装は、ヒートアイランド対策としても有効ですし、既存の法制度の枠内にとどまらない検討をしていただきたいと思います。
いろいろ私も調べてみたら、最近、和歌山あたりは、大型道路というか、かなりそういう道路、これまで歩道とかそういうところに限られていた透水性も、さらにそういう大型道路にも--非常に耐震性があるというか、長期間維持できているという、そういう実験というか、検証結果も出ておりますので、ぜひ、これはオール都庁として、関係する局長さんもおりますから、要望しておきたいというふうに思います。
ところで、今夏の豪雨で河川が、のみ込まれない下水が逆流し、マンホールのふたが下水とともに噴き上がった事故がありました。ことしの夏にそういうニュースを見て私も改めて思ったんですけれども、本決算年度も含めて、こういうマンホールのふたが飛散するという事故は、たびたびというか結構あるんだということを聞きました。
都内のマンホール数は、四十八万個あり、継ぎ手などをつける液状化に伴う浮上抑制対策を二〇一四年度末までに九百七十キロメートルとのことですが、この計画値を達成したら、豪雨などによるマンホールのふたの浮上、飛散抑制箇所は全体の何%が安全になるのでしょうか。計画を大幅に引き上げるべきだと考えますが、今後の考え方を伺います。
○松田下水道局長 マンホールのふたについてでございますが、全体で約四十八万個ございます。今、飛散防止型のマンホールを平成四年度より取りかえを進めておりまして、全体の三分の二に当たる三十万個のマンホールについて、飛散防止のふたの取りかえを既に完了しているところでございます。
現在、マンホールのふたについて、路面等の異常の有無を目視で確認をして、その点検結果によって、マンホールのふたの取りかえを計画的に行っているところでございます。
○松村委員 ちょっと正確に質問が伝わっていなかったのかもしれませんけれども、失礼いたしました。それでは、本決算年度は約一万一千カ所のマンホールのふたを交換したとありますが、マンホールぶたのデザインについて第二回定例会で前向きに検討するとの答弁がありました。オリンピック・パラリンピック開催に向けて取りかえていくのも結構ですが、一日も早く安全なふたに交換することを要望します。
最後に、八ッ場ダムについて伺います。
八ッ場ダム建設予定地の工事で、建設資材として使われた鉄鋼スラグから環境基準を超えるフッ素が検出されました。毎日新聞の報道によると、代替地三カ所で採取した砕石を第三者機関で鑑定した結果、環境基準の五倍から二十三倍の溶出量のフッ素が検出されたとのことです。水道局は、この問題をどのように認識していますか。また、今後どのように対応するのでしょうか。
○吉田水道局長 事業者であります国土交通省は、十月二十七日、鉄鋼スラグに関する調査の中間取りまとめについてを公表しております。
この中間取りまとめによりますと、平成三年度以降に施工いたしました群馬県内の国の直轄工事約三千八百工事のうち、鉄鋼スラグの混入の可能性がある材料が、現時点で露出した状態となっております九十二の工事の施工箇所において、材料の調査を実施しているということでございます。その九十二工事の中の二十六工事の施工箇所におきまして、鉄鋼スラグと類似する材料を確認したということが報告されております。
今後の対応といたしましては、国土交通省は、有害物質の含有量等につきまして、群馬県からの助言などを踏まえまして、分析試験などを実施し、結果がまとまった後に公表するとしております。
当局といたしましては、事業者である国土交通省におきまして適切に対応するものであるというふうに考えてございます。
○松村委員 公営企業委員会でも、五月二十日に現地を視察しましたが、高台移転のための大規模な造成工事やつけかえ道路の工事が急ピッチに進められていました。また私は、七月十五日も再度現地に行きましたが、注意深く見ると至るところにスラグが露出しているのを確認しました。
移転住民の健康はもとより、水源水として使用するには、スラグの完全な撤去など、安全性が確認されることが大前提となると思いますが、どうでしょうか。
○吉田水道局長 環境への影響につきましても、現在、事業者の国土交通省において調査中ということでございます。当局といたしましては、国土交通省におきまして適切に対応するものであると考えております。
なお、利根川、荒川の両水系から取水いたします当局を含む水道事業者四十三団体で構成いたします利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会では、水質異常や事故の発生の際、通報連絡することになっておりますが、今回の件にかかわりますフッ素などの物質に伴う影響につきましては、これまで、全ての加盟四十三団体からの報告はされておりません。
○松村委員 これまでは、そういう影響が報告されていないということですけれども、じわじわというか、やはりそういう影響が出てくるということは、十分可能性があると考えられます。
そういう点では、国任せというだけではなく、積極的に東京都としても、やはり都民の飲み水、その水源ですから、本当に、その点は検証していかなければならないというふうに思います。
それからもう一つ、現地に行って山からの土砂崩壊の現場も確認しました。浅間山の噴火による火山灰に厚く覆われたこの地は、今後、豪雨や地震による大規模な土砂災害によって、ダムそのものが機能しないような可能性を、私は否定できないと感じました。
さらに先月、市民団体や地質専門家らが、つけかえ国道一四五号の路肩のコンクリートに大きな亀裂ができていることを確認しています。地質専門家は、熱水変質帯が建設工事で地上に露出し、酸化してさらに弱くなった。地すべりが始まっている可能性があると指摘しています。こうした状況について、どのような見解をお持ちですか。
○吉田水道局長 まず、先ほどの副委員長お話しの水道水としての安全性ということでございます。水道局では、これまでも、この国土交通省の中間の取りまとめが出る前から、フッ素につきましては、水質検査項目になってございます。利根川水系の各浄水場におきまして、原水並びに浄水についてフッ素濃度につきましては、適切に検査を行い、安全であることを確認してございます。
また、ただいまの熱水変質帯でございますが、十一月二日の一部新聞報道にあった内容だと思いますが、現時点では、この件につきまして、国土交通省から影響があるという説明は受けていない状況でございます。
いずれにいたしましても、事業者である国土交通省において適切に対応するものであるというふうに考えているところでございます。
○松村委員 鉄鋼スラグは、フッ素だけではなく六価クロムも、先ほどの第三者機関で環境基準を超えるものが出ているというような報告もあったやに私は思いましたから、いずれにしても、万全を期さなければならないというふうに思います。
いずれにしても、公営企業決算の第二分科会の要求資料に、水需要の将来の予想をしておりますけれども、明らかに今、一日の最大配水量、約四百七十三万立方メートル、これは平成六年に比べると、約百万立方メートルぐらい下がってるんですよね。そういう水需要のもとと、それから、同じく決算資料に出されました八ッ場ダム事業費に係る東京都の負担、この決算年度には八億円、その前の年には十一億、さらに十五億、十六億、二十二億と、こういうやっぱり巨額なお金を使っております。そういう意味では、過大な水需要に基づいて計画されたものであり、その必要性は我が党はないと考えます。中止を強く求めます。
以上で質問を終わります。
○鈴木(貫)委員長 松村副委員長の発言は終わりました。
次に、中村委員の発言を許します。
○中村委員 それでは、公営企業会計決算全局質疑に当たり、病院経営本部、水道局、下水道局に質問します。
初めに、病院経営本部の決算について質問します。
都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を都民に提供していく重要な役割があります。昨今では、高齢化に伴う認知症の対応、デング熱やエボラ出血熱などの感染症への対策、危険ドラッグなどの薬物対応なども含めて、さまざまな課題がある中、医療に関する課題への対応はより一層重要性を増しています。
また、高度な専門医療機関が多くある都心部に比べて、多摩地域では地域の医療全体をリードしていくという点でその重要性は大きいといえます。多摩地域では、都立病院の再編整備により、旧府中病院が多摩総合医療センターに、八王子小児病院、清瀬小児病院、梅ケ丘病院が小児総合医療センターにそれぞれ移転統合し、多摩メディカルキャンパスが整備されました。
移転統合が行われた平成二十一年度と比較すると、平成二十五年度の都立病院全体の病床利用率、診療単価、自己収支比率は、いずれも大きく改善しています。経営状況の改善は評価はいたしますが、安定的な経営基盤を維持しながら、都民に真に必要な医療を提供し続けていただくことこそ重要です。
決算特別委員会に当たりそのような視点から幾つか質問します。
まず、この多摩メディカルキャンパスは、限りある医療資源を最大限に活用しながら、都民が求める行政的医療を効果的に提供していくことを目的として整備されました。中でも、小児総合医療センターは、小児三病院の統合により、子供のあらゆる疾患に対応できる病院として医療機能の充実が図られたと認識しています。
初めに、再編整備により、小児総合医療センターに集約された小児医療の機能はどのように強化されたのか伺います。
○醍醐病院経営本部長 小児総合医療センターにつきましては、再編整備事業における小児三病院の統合により、心から体に至る医療機能の集約を図るとともに、平成二十二年八月に、こども救命センターの指定を受け、平成二十五年度には、百三十一件の小児重症患者を受け入れるなど、都における小児医療の拠点として機能強化を図っております。
また、多摩メディカルキャンパス内に開設された小児総合医療センターと多摩総合医療センターが相互に連携することによりまして、小児医療から成人医療への移行期医療の充実や総合周産期母子医療センターの一体的な運用を図るなど、それぞれの医療資源を有効に活用し、多摩地域における医療の質の向上を果たしているところでございます。
○中村委員 都立病院改革推進プランでは、多摩メディカルキャンパスを都における最も高度に機能集約した医療施設群として整備するとしています。引き続き一層の機能強化を図ってもらいたいと思います。
また、答弁にあったとおり、小児総合医療センターには、旧梅ケ丘病院が移転統合され、区部にある大塚病院には、児童精神科外来が設置されました。私は、平成二十二年に厚生委員会に所属をしていましたが、昨今、発達障害を初めとする子供の精神疾患がますます大きな問題になってきていると感じています。子供の精神疾患は、早期発見、早期治療が極めて重要であることはいうまでもありません。今後も、小児総合医療センターを中心に、引き続き小児精神疾患への十分な対応をお願いします。
次に、松沢病院の精神医療、中でも薬物依存症医療について伺います。
近年、厚生労働省は、がん、脳疾患、心臓疾患、糖尿病の四大疾患に精神疾患を加えて五大疾患としたこともあり、その対応は、ますます重要となります。特に近年、精神疾患としての依存症の問題が深刻化しており、アルコール、薬物、ギャンブルなどさまざまな依存症があります。とりわけ昨今では、危険ドラッグが大きな問題になっています。
そこで松沢病院において、危険ドラッグなどの薬物依存症にどのように対応しているのか、その取り組みについて伺います。
○醍醐病院経営本部長 松沢病院では、薬物、アルコール依存症病棟におきまして薬物依存症患者を受け入れ、解毒や精神疾患などの専門治療を行っております。平成二十五年度に、新たに薬物、アルコール依存症病棟に入院した患者二百六十五人のうち百一人が危険ドラッグによる中毒患者を含む薬物関連疾患の入院患者でございました。
また、薬物依存症の治療には、患者同士の交流や生活リズムの確保、依存症への正確な知識の提供が有効であるため、平成二十四年度から退院後の患者などを対象とした依存症デイケアを開設し、依存症からの早期回復を支援しております。
○中村委員 危険ドラッグを初めとする一般社会への薬物汚染は、薬物やアルコール問題が関与した事件や事故が後を絶たず、その問題は一層深刻さを増しています。
危険ドラッグは、その成分が多様で、その症状のあらわれ方もそれによって多様ではあるようです。こうした問題は、取り締まりの強化などの対応が必要なのはいうまでもありませんが、松沢病院には、引き続きこうした専門的な精神医療にも的確に対応してもらいたいと思います。
次に、精神科身体合併症医療について伺います。
精神疾患患者の身体の合併症への対応は大きな課題です。東京が他地域に比べ救急車の搬送時間が長くなっている原因の一つがこの合併症救急であるともいわれています。
そこで、松沢病院を初め都立病院では、精神科身体合併症医療にどのように対応しているのか伺います。
○醍醐病院経営本部長 松沢病院では、一般の病院や他の精神科病院では治療が困難な身体合併症患者に対応するため、閉鎖病棟を含む二百六十二床の病床を確保しておりまして、平成二十五年度は、九百四十三人の新入院患者を受け入れました。
また、夜間及び休日には、福祉保健局との契約による精神科身体合併症医療事業として、松沢病院を初め、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センター、それから保健医療公社の豊島病院におきまして、都内全域を対象に、身体及び精神症状が重い救急患者の迅速な受け入れを図っております。
さらに、救命救急治療の必要な患者につきましては、救命救急センターを有する都立病院における身体的治療と松沢病院における精神科治療との連携を図りながら、身体合併症患者への適切な治療を行っております。
○中村委員 身体合併症医療への対応は、身体及び精神のいずれにおいてもその症状に応じた医療を提供する必要があり、民間病院では難しいケースもあります。精神と身体とで両方診られる病院はなかなか見つからないと、まずは身体の治療を行って、その次に精神の治療をと、病院を移動させざるを得ないケースもあるようなので、できれば一つの病院で両方の対応ができることが望ましいと思います。
改革推進プランでは、松沢病院の取り組みを強化するとされています。都立病院全体での体制を含め、さらなる強化を図るよう要望します。
病院経営本部への最後の質問として、患者の地域移行への支援について伺います。
超高齢社会を迎えた今日、単身の高齢者などもふえており、急性期を脱した後の療養生活に対する支援はより必要になっています。また、精神医療においては、海外と比べ社会的入院が多いといわれる中、長期入院している精神疾患患者の地域移行や、福祉への橋渡しなどの支援をあわせて行っていくことも、都立病院の重要な役割です。
しかしながら、そうした取り組みは、都立病院だけでできるものではなく、地域の医療機関や医師会、在宅医療を担う介護事業者などとの連携協力が不可欠です。
都立病院における医療連携の状況と在宅療養支援の取り組みについて伺います。
○醍醐病院経営本部長 各都立病院では、医療連携協議会、臨床症例検討会、連携だよりの発行などを通じて、地域医療機関との連携の構築に努めてまいりました。この結果、平成二十五年度における都立病院の患者紹介率が七四・二%、紹介元の医療機関に返したり、地域の医療機関に照会する、いわゆる返送逆紹介率は三九・八%となっておりまして、毎年度増加傾向にあります。
また、在宅療養の支援につきましては、ケースワーカーや退院支援看護師を中心に、地域包括支援センターとのカンファレンスなどを通じて、退院後の地域生活への円滑な移行に取り組んでまいりました。
今後、設置を進める患者支援センターにおいても、これまでのノウハウを活用しながら、個々の患者の状況に応じたきめ細かい支援を行ってまいります。
○中村委員 医療連携に関する都立病院全体の実績と在宅支援の取り組みについて理解できました。患者支援センターを中心に体制を強化することにより、患者や家族が安心して療養生活を送ることができる環境を整備してもらいたいと思います。
地域の中で重要な役割を果たしている公的病院をしっかり守り、必要な医療機能を確保していくことは、都民の皆様からも大きな期待の声が寄せられていますので、引き続き最重要課題として取り組んでいただきたいと思います。
数ある課題と向き合い、これからも都民に真に必要な医療を提供し続けていく都立病院の活躍に期待して、病院経営本部への質問を終わります。
次に、水道事業関係に関して質問します。
高度成長時代に整備された水道管や浄水場が老朽化し、今後更新の必要が迫られる中、平成二十五年度も将来の大規模浄水場の更新に備えて五十億円積み増しをしたとのことですし、決算年度は起債をかなり抑えたようです。
しかし、今後は起債もふえる見込みであり、厳しい経営が予測される中、決算年度からスタートした東京水道経営プラン二〇一三では、三年間で百億円の経営努力を行うとのことでしたので、安全な水の供給が行えることには当然支障がないようにしながら、着実に事業を進めていただきたいと思います。
水道局は、平成二十四年三月に策定した東京水道施設再構築基本構想をもとに、順次施設整備を進めています。さらに、多摩地域での取り組み方針として、平成二十五年五月に多摩水道改革計画二〇一三が策定されました。計画期間は、平成二十五年から五年間となっています。施設整備なので時間はかかると思いますが、計画目標で期限がある項目は、テレメーター、自動水質計器の電源確保と契約方法の見直しのわずかに二つのみで、他の項目は全て五年間の矢印が引かれているだけになっています。もう少し具体的に年次を定めていただいた方がいいと思います。
特に多摩地域では、武蔵野市、昭島市、羽村市、また、一元化の要望が出されている檜原村の三市一村以外は都営水道に一元化されました。しかし、市営や町営時代に築造された小規模な浄水所等の水道施設が多数あり、多くの施設で老朽化が進行するとともに、区部に比べ脆弱な状況にあります。
私は、平成二十三年度の決算特別委員会の全局質疑においても、事務委託解消後の多摩地区水道の取り組みについて重要な課題として認識し、質問しました。その後、先ほど述べた多摩水道改革計画を策定し、都営水道にふさわしい施設を再構築するための取り組みを推進しています。計画では、小規模施設の統廃合を図ろうとしています。
そこで、まず最初に、多摩地区の小規模水道施設の統廃合の考え方について伺います。
○吉田水道局長 多摩地区には、浄水所が七十カ所、給水所などが百二十六カ所点在しておりまして、ほとんどは、市や町が水道事業を経営していた時代に整備された小規模施設であり、施設管理の効率化が図られておりません。また、浄水所の約八割が築造後四十年以上経過し老朽化が進行しております。
さらに、事故時にバックアップとして機能する給水所の配水池容量が不足しているなど多くの課題を抱えております。
このため、老朽化が進行し、配水池容量が不足しております施設から優先的に更新や整備を行うこととしております。整備に当たりましては、今後の維持管理の効率性向上の観点から、施設の統廃合も視野に入れているところでございます。
○中村委員 老朽化が進行する浄水所や給水所の状況などについてわかりました。今も存在する施設には、整備年次の違いから耐用年数の違いがあり、白紙の上に配置をするわけでもないのですが、水の安定供給が確保され、かつ財政的にも最適な再編事業を行うよう求めます。
しかし、拠点施設を統廃合するだけでは安定給水にはなりません。これまでは各市や町が給水の範囲だったため、管路が狭い範囲でそれぞれの給水拠点を中心に整備されているため、拠点が統廃合されれば、当然それをつなぐ水道管路の見直しも必要になります。
区部に比べると、多摩地区の配水区域の大きさは三分の一未満とのことで、配水区域の再編整備や水道管路の強化が必要になります。とりわけ、都営一元化の大きな目的の安定した給水の確保だけに、渇水や事故、大震災などいつ起こるかわからないことに備えるためには、また、市町が設置した管路の老朽化も考えると早急に管路の強化が必要です。
そこで、統廃合を進めるほかに、多摩地区の安定給水を確保する上での水道管路の整備について取り組みを伺います。
○吉田水道局長 多摩地区では、これまで市や町ごとに給水してきた経過から配水管網などの整備が区部と比べて不十分な状況でございます。また、バックアップする管路が十分でないため、漏水事故の際、断水が広範囲に及ぶとともに、老朽化した管の取りかえが困難な状況にございます。
このため、市や町の区域を越えた配水管の整備を重点的に行うなど、管路のネットワークを構築し、事故時や管路更新における給水の安定性を向上させてまいります。
○中村委員 市町の区域を越えた管路の整備を行い、ネットワークを強化するとのことでしたが、先ほども述べたように、多摩水道改革計画には、計画年次五年間、順次実施としか記載がありませんので、明確に実施する年次を定めて、できるだけ早急な取り組みをお願いします。
また、これまで多摩地域では、重要な水源として井戸も活用してきました。最近は高度浄水施設の整備が完了し、東京水もおいしくなったとはいわれていますが、かつて三鷹市では、深井戸から半分、東京都の水道から半分受け、ブレンドして給水していました。おいしいという基準は人にもよるので、一概にはいえませんが、当時はおいしかったという印象の人もおり、一元化しても深井戸を残すべきではないかという声を聞くこともあります。
もとより渇水、事故、災害などへの備えを考えると、こうした井戸は残しておく必要性があります。現在、市町が整備した水源井戸は二百八十本あり、今後、更新、統廃合していくとのことです。
そこで、多摩地区の小規模井戸をどう活用していくのか伺います。
○吉田水道局長 多摩地区には、今お話にありましたとおり二百八十本の水源井戸がありますが、施設の多くは、昭和三十年代から四十年代に整備されたもので老朽化が進行してございます。また、これら水源井戸のうち二十九本は、水質悪化、地盤沈下、水位低下などによる揚水量の減少などの原因により休止をしております。
このため、地下水は将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難でございますが、引き続き、地盤沈下や水質の動向に十分配慮しつつ、維持管理に努め、災害や事故時などにおきます備えとして、可能な限り活用を図っていくこととしてございます。
○中村委員 今後も、小規模井戸については、災害や事故時等の備えもあるので、可能な限り活用を図るとの答弁でした。また、安定的な水源と位置づけることはできないとのことですが、全く認識をしないということなくではなく、貴重な自己水源として水量を把握し、保全、活用を図ることが必要だと思いますので、ぜひとも検討していただきたいと思います。
さて、今、震災時の話もしましたが、震災等の災害時には、自助、共助に根差した活動が不可欠になります。このため、円滑な応急給水活動を行うためには、町会、自治会のほかボランティア団体との連携も必要になります。さらに、震災時の復旧体制を強化するためには、地元事業者の活用など、多摩地区の特性を踏まえた体制を整えるべきと考えます。
また、市の防災訓練にも、水道局の職員が参加をしていただいているのですが、これまでは、近くの市役所の職員がすぐに来られるという安心感があったので、震災が起きた際に、都の職員は各給水所などに到達できるのか、そうした不安の声もあります。
そこで、事務委託解消後の災害時の給水には、どのように取り組んでいるのかお伺いします。
○吉田水道局長 災害時に、給水拠点で当局職員の参集を待たずに、地域住民や多様な主体が容易かつ円滑に応急給水を行えるよう、多摩地区では、更新工事にあわせて整備する六カ所を除きまして、平成二十五年度までに、給水拠点七十六カ所を改造し、応急給水区画等を整備してございます。
また、避難所周辺の消火栓などを活用した応急給水を地域住民などが行えるように、市や町と覚書を締結し、必要な資器材を当局から貸与するとともに、当局と市や町が連携し、地域住民などが参加する応急給水訓練を毎年多数実施してございます。
加えて、震災などの応急復旧には、地元事情に精通いたします地元事業者の協力が不可欠であるため、地元事業者などと災害時におけます協定を締結しておりまして、このような事業者には工事契約におきまして実績を評価しているところでございます。
○中村委員 給水拠点を改造して応急給水区画を整備しつつあるため、私も改めて近くの給水所に行ったところ、正門の横に地図が張ってあり、敷地の裏側にあるというので回って応急給水区画の場所を確認しました。改めて、今回見に行って気づいたのですが、これまで目立った広報がされていた記憶はなく、今後地域の方々に知っていただくことは必要かと思います。
通常、震災時は、学校などの避難場所に来るため、給水所を利用した訓練も行われているようですが、通常の防災訓練ほど広範囲に広報しているという感じはしません。市や町から要請があれば協力するとのことでしたので、ぜひ積極的に、市役所や町役場、地域の町会、自治会に働きかけていただき、より多くの方に参加していただける訓練を実施していただきたいと思います。
また、先ほどの答弁で、震災時の応急復旧には、地元事業者の協力が不可欠で実績を評価するとのことでした。計画にも、地域の事情に精通し、現場にも近い地元事業者の育成等を図るとの記載がありますが、これまで地域の安定給水の確保のため、市や町に協力してきたため、引き続きそうした体制がとれるよう取り組んでいただきたいと思います。
さて、災害対策については、繰り返しになりますが、地元との連携が必要になります。大島の土砂災害のときに報道されたような、都と地元自治体との連携がとれていないと対応がおくれてしまいます。
そこで、事務委託解消後、市、町との連携体制は万全なのかお伺いいたします。
○吉田水道局長 事務委託解消後も、災害対策や水道管整備などの事業を円滑に行うためには、市や町との連携協力体制が不可欠でございます。このため、平成二十四年二月に、当局と多摩地区二十六市町で構成いたします多摩水道連絡会を設置いたしまして、全市町を対象とする総会と多摩地区を四つに分けたブロック会をそれぞれ年二回ずつ実施してございます。
連絡会では、災害対策など、市町との連携が必要な課題につきまして、各地域の特性なども踏まえて、情報共有や意見交換を行っております。こうした取り組みを通じ、市や町との連携体制を強化し、万全を期しているところでございます。
○中村委員 二十六の市、町と水道局とで多摩水道連絡会が設置されているとのことでした。全ての市、町が一堂に集まる全体としての連絡会も、情報の共有化や近隣自治体同士の連携という点では重要ですが、それとは別に水道局とそれぞれの市や町とも、より一層密接な関係を築くことが重要です。
今後も、都民の皆様に、平時も災害時も安定した給水ができるよう要望して水道局への質問を終わります。
最後に、下水道局の決算について質問します。
下水道事業では、初期に整備した下水道管、水再生センターなどの老朽化施設の更新などで大きな財政支出が見込まれます。また震災への対応、豪雨対策等、やらなければならない対策が多く、経営的には大変厳しい状況が予想されます。
そうした中、都は、平成二十五年二月に東京都下水道事業経営計画二〇一三を策定しました。計画期間は二十七年度までの三年間ですが、中長期的な目標としてそれ以降も掲げ、事業のめどを示しているのはわかりやすくてよいと思います。計画においては、少なくともこの計画期間の三年間は、区部下水道の料金水準や流域下水道の維持管理負担金単価を維持するとのことです。都民の生活実態からすれば妥当な判断だと思います。
とはいえ、区部で、料金収入の減少を見込んでいることから、経営的に楽観できる状況ではありません。平成十二年をピークに企業債残高を着実に減らしてきたことは評価しますが、今後の事業展開を考えると、経営努力の着実な実施が必要です。
そこで、下水道局では三年間で二百十二億円の企業努力を計画していますが、その取り組みの内容と平成二十五年度の実施状況について伺います。
○松田下水道局長 平成二十五年度からの三カ年を計画期間とする経営計画二〇一三における企業努力といたしましては、新技術、新工法の活用や、省エネルギー型設備の導入などによる建設から維持管理までのトータルコストの縮減や、芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用ビルの建設など、資産の有効活用による収入の確保、業務執行体制の見直しによる職員定数の削減などにより、三カ年で二百十二億円の企業努力を実施することとしております。
経営計画の初年度である平成二十五年度は、計画額を五億円程度上回る約六十一億円の成果を上げました。今後とも、お客様に最少の経費で最良のサービスを安定的に提供できるよう、不断の企業努力に取り組んでまいります。
○中村委員 資産の有効活用として、芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用についてもお答えがありました。下水処理場の上のビルなので、入居してくれるかとの不安がないわけでもなかったのですが、計画後に、田町駅と品川駅の間に建設される新設駅がこの場所に隣接してできることになり、デッキでつながるとのことです。商業的な価値が大きく上がることが期待できますので、有効活用していただきたいと思います。
さて、昨今の気象状況の変化による集中豪雨が頻発する中、これまでも多くの質疑が行われました。私からは、集中豪雨だけではなく、比較的まとまった雨で浸水の被害がなくても河川に放流されることから、環境面、衛生面で改善する必要がある合流式下水道の改善について質問します。
東京では、明治初期のコレラの流行への対策と浸水被害の解消を急ぐため、早期の下水道整備が求められました。このため、区部の大部分と多摩地域の一部では、汚水と雨水を一つの管で流す合流式下水道を主に採用することで、早期に下水道の整備が進められました。
一方、合流式下水道では、晴天時には、水再生センターに集められた汚水がきれいに処理され、河川や海などに放流されている反面、大雨が降った際には、汚水まじりの雨水が放流されるという課題があります。
下水道局では、こうした課題に対応するため、雨天時の下水を貯留する施設の整備等の対策を進めていますが、貯留施設は規模が大きく、完成には相当の期間が必要となるため対策を早めることが重要です。
そこでまず、区部における合流式下水道改善の平成二十五年度までの取り組み状況と今後の取り組みについて伺います。
○松田下水道局長 合流式下水道の改善対策のうち、これまでに、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水する下水道管の整備や、はけ口から河川などへ流出するごみなどの流出抑制対策はおおむね完了しております。
現在は、感潮区間や閉鎖性水域のように、流れの少ない河川区間など十四水域で、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備や、水の流れが滞りやすい水域から水の流れのある水域への放流先の変更などを重点的に進めております。
さらに今後は、水再生センターの既存の沈殿施設の改造により、早期に導入でき、汚濁物をこれまでより二倍程度多く除去することが可能な高速ろ過技術を導入する予定でございます。
○中村委員 下水道局が直接対応する区部での取り組み状況を伺いました。
多摩地域の下水道は、公共下水道を管理する市町村と流域下水道を管理する都が一体となって機能が維持されています。新たに下水管が整備されたところは分流式なので大丈夫なのですが、かえって早く整備した合流式の地域が、八処理区中、野川、北多摩一号、二号の三処理区であり、こちらは都が関係市と連携して早急な対応が求められます。
各市でも対応をそれぞれ行いますが、都も幹線等の対応が必要ですし、各市への支援も必要です。
そこで、多摩地域の流域下水道の合流式下水道改善の平成二十五年度までの取り組み状況と今後の取り組みについて伺います。
○松田下水道局長 多摩地域の下水道のうち、合流式下水道の割合は全体の約四分の一を占めます。流域下水道としては、公共下水道を管理する市と連携しながら合流式下水道の改善を実施しております。
具体的には、公共下水道においては、雨水浸透ますや小規模な貯留施設を設置しております。一方、流域下水道においては、高速ろ過施設や大規模な貯留施設などを設置しております。
今後とも、関係市と連携して、良好な水環境と環境負荷の少ない都市を実現するために、多摩地域の合流式下水道の改善に努めてまいります。
○中村委員 豪雨の後、汚水のまざった雨がまちにあふれることがあり、衛生上の問題が発生します。感染症の問題などもあるため、各市町村は消毒をすると聞いています。そのため、合流式の仕組みを広報し、大雨が降る間は、トイレを我慢してくださいとはいえないとしても、お風呂や洗濯は待ってもらうことはもっと広報してもよいかと思います。
多摩地域の下水道は、各市町村が公共下水道を管理し、都が幹線と水再生センターを管理しています。単独処理区の編入については、八王子市、立川市は流域下水道への編入が決まり、あとは三鷹市だけになっています。編入がおくれた場合、三鷹市も現在の施設の延命を図るなど、財政的な負担が大きくなると思います。
そこで、単独処理区を流域下水道に編入するメリットと、流域下水道の取り組みについて伺います。
○松田下水道局長 単独処理区を流域下水道へ編入するメリットについてでございますが、これまで、単独処理区の処理場で困難であった施設の更新や震災対策、高度処理が可能になるとともに、スケールメリットを生かして、施設整備に係る建設事業費の軽減や維持管理に関する費用の縮減などを図ることができます。
流域下水道の取り組みといたしましては、編入に必要な手続や施設整備を進めていくとともに、適切な技術支援を行っているところでございます。
○中村委員 単独処理区の流域下水道への編入は、東京都市長会からも、以前から強く要望されています。この編入については、都市整備局が平成二十一年に策定した多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画に位置づけられています。八王子市、立川市ではようやく進むことになりましたが、三鷹市の下水処理施設もかなり老朽化していますので、編入を検討していただきたいと思います。
下水道事業は、本来は市町村事務ですが、区部は都の下水道局が直接行い、多摩地域も幹線と処理施設の多くを下水道局が担当し、本来の都道府県事務である市町村の指導助成は都市整備局が担当しています。
質問した流域下水道の編入も合流式下水道の改善も、より一層円滑な業務運営、都民サービスの向上を図る観点から、下水道局は、都市整備局ともさらに連携を強めていただきたいと思いますし、長期的に見たときの都全体の下水道事業のあり方についても検討していただきたいというふうに思います。
以上をもちまして質問を終わります。
○鈴木(貫)委員長 中村委員の発言は終わりました。
次に、宮瀬委員の発言を許します。
○宮瀬委員 私の方からは、二十五年度の交通局の広告事業についてお伺いをいたします。
個人的な話で恐縮ではございますが、私、実家が高島平にありまして、都営三田線に三十五年乗り続けてまいりました。まず冒頭、本当に長年ありがとうございます。
そして、その感謝の一方で、よくご近所の方々から、都営地下鉄はメトロよりも高いといった声が聞こえてまいります。実際の初乗りは十円差でありますが、九キロメートル区間までは二十円差であります。十キロメートル区間で比較しますと、東京メトロは二百円、都営地下鉄は二百七十円と七十円も差がついております。
さらには、ほかの方からは、もっと上手に広告収入でもうければ、消費税増税で値上げしなくても済むし、もっと運賃を安くできるはずでしょうといった大変お詳しいご意見までいただいております。
運賃につきましては、そう簡単な問題ではないでしょうし、さまざまな議論があるかと思いますが、広告収入の増収を図ることは、局事業にも貢献すると考えております。
本日は、微力ながら、民間で広告営業を十年やってきた経験から、民間の視点から決算の質問をさせていただきます。
まず最初に、交通局として広告事業をどのように捉え、また、プランやビジョンはどうなっているのかお伺いをいたします。
○新田交通局長 広告事業は、交通局の所有する駅空間や車両等を有効活用し、鉄道事業や自動車事業など、本来事業の経営基盤の強化に資することを目的として実施しているものでございまして、今後、少子高齢化が進行する中、長期的には、乗車料収入の大幅な増加が見込めないことから、広告事業などによる収入を確保していくことは重要であると認識しております。
そのため、交通局経営計画二〇一三におきまして、新規の広告媒体の開発や駅広告看板など、既存媒体の再編整備を進めることによりまして、広告媒体の価値を向上させ、広告料収入の拡大に取り組むこととしております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。広告事業は収入確保と経営基盤の強化のために行われていることを確認させていただきました。
では、その中身についてお伺いいたします。平成二十四年度と比較し、二十五年度の全体の広告収入及び地下鉄の広告収入と、広告種類別の入稿率、すなわち掲載率をお伺いいたします。
○新田交通局長 交通局の平成二十五年度の広告料収入は三十五億四千万円で、平成二十四年度と比較しまして三・二%の減収となっております。そのうち地下鉄の広告料収入は二十九億四千万円で、平成二十四年度と比較して二・三%の減収でございます。
平成二十五年度の広告媒体別の掲載率でございますが、地下鉄の主要媒体では、中づり広告が二一・二%で、前年度に比べて三・七ポイント減、窓上広告が七二・五%で〇・九ポイント増、駅張り広告が二三・一%で〇・六ポイント増、電飾広告が五六・二%で、〇・五ポイント増となっております。
○宮瀬委員 地下鉄、都バスなど、都営交通局関連の資料を拝見させていただきますと、平成二十五年度の乗客数は一日当たり約三百十五万人、月間延べ九千五百万人のリーチ、接触人数がありまして、売り上げが年間三十五・四億円となっております。
一方、私の方で何社か媒体者に確認をさせていただきましたが、月間六百万人リーチで売り上げを年間四十四億稼ぐといった会社もございました。また、大手広告会社が毎年出しております二〇一三年媒体別広告費調査によりますと、交通広告のマーケットは前年比でいうと、二〇一二年比で一〇三・九%増、二〇一三年で一〇一・五%増と伸びているにもかかわらず、交通局広告売り上げは、九六・八%と三・二%の減であります。民間と比べましてより多くの改善の余地があるかが、客観的な数字でもあらわれております。
そこで、新たな抜本的な取り組みが必要と考えますが、二十五年度の広告料収入の拡大に向けてどのような戦略や指標に基づいて創意工夫や優先順位を設けて取り組んできたのか。また、その数値をどのように評価しているのかお伺いをいたします。
○新田交通局長 交通局では、経営計画に基づき、広告料収入の拡大を図るため、広告の販売を委託している広告代理店と連携強化を図り、大江戸線のホームドアステッカー広告など、新たな広告媒体の導入や、駅構内の電飾看板のリニューアル等、既存媒体の再編整備に努めてまいりました。
また、広告主のニーズに合わせた掲出期間の弾力化や新規掲出に対する割引料金の適用等の販売促進策を実施してまいりました。その結果、大江戸線のホームドアステッカー広告では、年間延べ五十八件の掲出があるなど、一定の成果が得られたものもございます。
一方で、主要な媒体である中づり広告について、出版業界からの広告申し込みが前年度に比べて減少したことなどにより、平成二十五年度の全体の広告料収入は減収となっております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。ご努力されてきたことは十分わかりますが、一方で、既存のやり方の延長線上のものも多く、残念ながら新たな取り組みとして聞かれたものが、ホームドアステッカー広告の五十八件。その五十八件の広告売り上げが全体売り上げに占める割合がどれほどあるかは、値引きもありますのでお聞きしませんが、やはり、まだまだ打ち手が不足しているように思われます。
ご答弁の中で、広告代理店との連携強化とありましたので、代理店向けの営業体制のみだとお見受けいたしましたが、お金を出しているクライアントのことをもっと知らなければなりません。
そこでまず、地下鉄の主要媒体における全クライアント数と上位十社の全体に占める売り上げ比率はどうなっているのかお伺いをいたします。
○新田交通局長 交通局の広告における平成二十五年度の広告主の状況でございますが、地下鉄の主要媒体である中づり広告、窓上広告、駅張り広告、電飾広告の合計で見ますと、広告主の数は合計千七百五十四であり、上位十社の占める売り上げ比率は約一六%となっております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。上位十社で一六%ということは、上位二十社のクライアントで約二〇%ぐらいでしょうか。また、先日お伺いしたところ、主な業種が不動産、金融、レジャーなど、サービス業とのことでありました。
そこで、千七百五十四社全ての広告主に担当はつけられませんが、上位二十社で約二〇%を占めるわけでありますから、より効率的な営業体制の強化が求められます。
例えば、上位二十社のクライアントには、広告代理店とともに、業界別直接クライアント営業へと移行する体制づくりを提案させていただきます。広告事業にかかわる現場職員が六名とのことでありましたから、一人当たりわずか三社程度にすぎません。
また、広告を出して、実際にどう認知や購買につながったかをはかる調査をクライアントごとに実施し、実際に広告を出すことで、商品がどれだけ売れるのかをデータによって証明、提供し、営業ツールとして活用することも有効だと考えます。
さて、最後に広告商品についての質問にまいります。
先ほどご答弁の中で、中づり広告が二一・二%で、前年度に比べ三・七%減とありました。中づり広告は、山手線では二〇一五年秋以降なくなる予定であります。主力販売商品のシフトチェンジが必要と考えます。
民間では、今、ネットの伸長もあり、コンテンツを流用できるディスプレー広告やデジタルサイネージ広告が人気であります。いきなり電車内のモニター動画の設置は難しくとも、PLが合えば、メトロのように、ホームに液晶パネルを設け、時間別のアプローチをしていくといったことも可能となります。
例えば、主なクライアントであります不動産業者にとって、電車を待っている乗客の正面から、家の間取りや奥行きを駅ごとに内容を変えて動画が流れるといったことができたとしたら、魅力的な広告スペースになるのではないでしょうか。
このように、新商品のさらなる拡大開発、他局や異業種とのコラボ、広告企画の立案など積極的に進めるべきと考えますが、二十五年度の数字や評価を受けての今後の方向性についてお伺いをいたします。
○新田交通局長 平成二十五年度の広告料収入が前年度に比べて減収となっている中で、広告料収入の拡大を図るためには、新たな広告媒体を導入するなど、都営交通の広告価値を向上させていくことが重要であると考えております。
そのため交通局では、大江戸線六本木駅において、ホームの柱を利用した六十五インチモニターのデジタルサイネージ二十四面を、平成二十六年五月から試行的に導入いたしました。
デジタルサイネージにつきましては、設置場所の確保や多額の設備投資、継続的な広告の確保など、さまざまな課題がございますが、六本木駅における稼働状況等を踏まえて、今後の事業展開について検討してまいります。
今後とも、他局との連携なども含め、さまざまな手法を検討、実施することにより、交通局にとって重要な財源である広告料収入の確保に努めてまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。今後、六本木の駅の柱だけを活用したデジタルサイネージだけではなく、電車内での動画広告など、これからつくる新型車両には、液晶モニターなど計画的に順次取り入れていただきたいと思っております。
また、車内モニターを新車両の導入ごとに設置していきますと、最大で全車両完備までに二、三十年かかってしまいますので、電車を待っているホームの乗客に、線路の正面のスペースを生かしたデジタルサイネージの設置も、繰り返しになりますが、あわせて要望いたします。
そういった、目立つ場所でのデジタルサイネージは、効果の向上だけではなく、一日二百四十万人の乗客に向けた都からのリアルタイムでの重要な発信ツールにもなり、災害時の連絡等にも活用が期待されます。
最後になりますが、ここまで営業力や商品力の強化に触れてまいりました。私の現場の感覚でいえば、業界的に、席に座っていれば自動で広告が入ってくるといった時代が十年前に既に終わった感がございます。民間でも変化に対応し、創意工夫をし続けております。局長も、時には、先ほど申し上げました売り上げ比率の高い上位二十社のクライアントに対しまして、トップセールスをかけていただくなど、積極的に広告を取りに行くことはいかがでしょうか。
また、東京都の強みは、資産が多いことで、美術館や都立病院などがある駅でのサンプリングや東京マラソンなどのイベントと連動した企画など、さまざまな展開が可能であります。もちろん東京都は、株式会社ではございませんので、利益を追求するといったことではなく、いかに効率化し、収益事業を高めてコストを吸収していくかが大事であります。
広告事業は、利益率が高いので、PLの見込みが立てば、ある意味、専門職でもありますから、民間の実務経験者を中途採用したり、さらなる広告スペースの拡大など、人、物、金といった経営資源を積極的に投入し、拡大していくことが重要です。また、広告が潤えば、経営基盤の強化にもつながり、先ほど、デジタルサイネージモニターの例も挙げましたが、震災対策のさらなる充実にもつながっております。
私も、ここまで大変厳しいご意見もいわせていただきましたが、批判だけではなく、具体的な提案をさせていただきましたので、微力でございますが、幾らでも私の知見等を活用、もしご入り用でありましたら、ご協力させていただきます。
日本には、古来より、三方よしの言葉がありますが、交通局も都民もクライアントも他局のイベントも震災対策も、三方だけではなく、四方も五方もよくなるような取り組みを交通局に要望いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○鈴木(貫)委員長 宮瀬委員の発言は終わりました。
次に、上田委員の発言を許します。
○上田委員 本決算に当たり、公会計導入を念頭に各局の公営企業会計事業運営をファイナンスの観点で横串し、現状分析と意義をたださせていただきます。
まず、交通事業ですが、累積欠損金の一一四%を占めるのが新交通事業で百十七億円、この欠損金をどのように解消していくのか、実現性を含めて伺います。特に、雪害対策など、設備投資を続ける中、減価償却費をどのように圧縮していくのかをお尋ねします。
○新田交通局長 日暮里・舎人ライナーは、開業以来、乗車人員が順調に増加し、収支は改善しておりまして、当分の間は、支払い利息や減価償却費などの資本費負担が重く、赤字基調が続きますものの、今後、経常収支が黒字に転換すれば、累積欠損金は減少していくものと考えております。
また、減価償却費は、設備等の償却が進むことにより減少していくと考えておりますが、輸送力増強のための車両増備など、新交通事業の運営上必要な設備投資は、常に将来収支を念頭に、着実かつ適切に行ってまいります。
今後とも、経営改善の取り組みを着実に進め、経営安定化を図ってまいります。
○上田委員 また、高速電車事業会計には三千八百四十六億円の欠損金があります。原因である多額の企業債利息をどのように圧縮し、九千八十五億円の長期債務もどのように返済していくのか伺います。
○新田交通局長 高速電車事業の支払い利息につきましては、企業債の償還を着実に行うことで縮減に努めているところであり、さらに、高金利の企業債の繰り上げ償還を継続的に国に要望しております。
また、長期債務につきましては、平成二十五年度においては、約三百億円圧縮するなど、近年着実に減少してきており、今後とも、より一層の経営改善に取り組み、その縮減を図ってまいります。
○上田委員 そもそもなのですが、交通局全体において、長期債務や欠損金はどの程度であれば妥当か、健全なのかと考えているかについての所見をお聞かせください。
○新田交通局長 単年度で見ますと、平成二十五年度では、交通局全体で経常黒字約百四十億円を計上し、累積欠損金は減少いたしました。また現在、長期債務につきましては、起債を抑制することでその縮減に努めております。
しかし、依然として約三千九百億円の累積欠損金と、約九千五百億円の長期債務を抱えており、今後とも一層の経営改善に取り組んでまいります。
○上田委員 縮減計画を承知しましたが、さらなる縮減をお願いいたします。
東京メトロとのサービス一体化の取り組みです。各局質疑で答弁いただきましたが、一方、事業者としてはライバルという側面もあります。サービス一体化を進めながらも、どのようにメトロと競い合っていくのか伺います。
○新田交通局長 交通局では、お客様の利便性向上を図るため、東京メトロと連携しながら、東京の地下鉄のサービス一体化を進めておりまして、これまで、案内サインのデザインの統一化、外国人旅行者向けの都営、メトロ共通の企画乗車券の発売、乗りかえ駅における改札通過サービスなどを行ってまいりました。
今後とも、連携してさまざまな取り組みを進めていくとともに、おもてなしなど、サービス面で東京メトロと競い合い、高め合っていくことで、より一層お客様に信頼、支持される都営地下鉄を目指してまいります。
○上田委員 メトロに負けぬ集客を目指してください。
中央卸売市場ですが、営業損失が続いており、欠損金が五十六億円、損失の一因として管理費の占める割合の高さもあるようで、一般会計補助金を営業外収益として調達され、トータルとしては、決算上、黒字になっていることは理解しておりますが、この繰り入れの根拠となる地方公営企業法十七条は、あくまでも、できる規定であり、同法三条の基本原則に立ち返れば健全経営は当然のことで、実際、一般会計からの繰り入れをしていない局もあります。
より一層の健全経営に向けて、欠損金の解消にどのように取り組むのかお伺いいたします。
○岸本中央卸売市場長 中央卸売市場会計は、取引業務の指導監督に要する経費など、本来、市場会計が負担することが適当でない行政的経費を除き、市場使用料等の企業収入により独立採算を原則として運営しております。
そのためには、支出の抑制や積極的な収入確保に努めるとともに、費用対効果を踏まえた施設整備など、全体としての収支バランスを図りながら、長期的な視点に立った安定的な市場運営を行う必要がございます。
これまで、使用料等の確実な徴収や市場用地の有効活用など、さまざまな収益向上策を実施するとともに、国庫交付金や一般会計補助金の積極的な確保にも努めてまいりました。また、企業債の繰り上げ償還等によるコスト縮減にも取り組んでまいりました。
こうした結果、営業損失は、平成九年度の約三十六億円から二十五年度で約十三億円に縮小し、経常損益は、平成十二年度以降黒字となっておりまして、近年は三億から五億円程度の利益を計上しております。
さらに、お話の累積欠損金も、平成十九年度末の約百八十五億円から、二十五年度末には約五十六億円と大幅に減少しております。
今後とも、コスト縮減や収入確保の取り組みを進めることで、累積欠損金のさらなる縮減に努めてまいります。
○上田委員 一般会計の原資もまた税金でありますことを鑑み、引き続きの健全経営をお願いいたします。
続きまして、港湾事業についてです。
各事業において欠損金は出ていないことを評価します。ただ、臨海地域開発事業の進捗については、臨海地域開発規則に当たり、契約締結、財産管理、処分については、企業法四十条に、条例または議会の議決によることを要しないとあり、事業が都民不在で、是非も問われず推進されていることを危惧しておりますことから、事業運営の都民へのディスクロージャーとアカウンタビリティー強化への所見をお伺いいたします。
○多羅尾港湾局長 臨海地域開発事業における用地等財産の取得、管理及び処分に関しては、地方自治法施行令及び地方公営企業法の規定に従い、東京都臨海地域開発規則を設け、これに基づき実施しております。
ただし、一定規模以上の不動産の譲渡等については、その種類、名称、数量及び処分の態様を予算議案に個別に明示し、ご審議いただいているところでございます。
また、臨海地域開発事業会計の事業運営については、一般会計事業と同様に情報公開条例の対象であり、条例に基づき適切に対処しております。さらに、臨海地域開発事業の事業運営全般については、当決算特別委員会においてご説明し、ご審査をいただいているところでございます。
今後とも、地方公営企業法の趣旨にのっとり、効率的、機動的な事業運営を行うとともに、法令制度に基づき、適切に説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
○上田委員 次に、水道事業です。
経常利益成長率は、売上高成長率より高く良好な状態にあり、総資産成長率、人件費増加率は、売上高成長率よりも低く、局のキャパ以上の増加はなく、バランスのとれたものとなっております。
一方、さきの入札汚職事件で、職員二人が地公法違反容疑で書類送検され、平成二十四年に続き再発したということで対策本部を立ち上げました。ちゃんとやっていますでは終わらせない、局全体の規律意識を高める点をどうするかもあわせ、引き続いての健全経営に向けて、今後の取り組みについてお伺いします。
○吉田水道局長 当局職員が契約情報の漏えいをしたことに関しまして、都民の皆様方並びに委員の皆様方に対し、深くおわび申し上げます。
当局では、事件発覚の後、直ちに、水道局汚職等防止対策本部を設置した上で、今回の事件の原因究明と徹底した再発防止の確立に、現在、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
今回の事実を極めて重く受けとめまして、綱紀粛正の徹底を図るとともに、お客様の信頼回復に職員一同が全力で取り組んでいるところでございます。こうした取り組みによりまして、引き続き健全経営に努めてまいりたいと考えております。
○上田委員 健全経営のご努力は、数字に見えるところでございます。
さて、国際貢献についてです。
舛添知事が八月に、東村山浄水場視察で、都市外交の大きな武器になると発言された国際貢献につき、二十五年度の実績を踏まえ、ODAと連携した国との役割分担と事業費負担の考え方をお示しください。
○吉田水道局長 東京水道の国際展開につきましては、都市外交の一環として、都市問題の解決に向け、東京水道の技術力を活用し、研修受け入れや職員派遣など、国際貢献に取り組むとともに、民間企業と連携して、政府開発援助、ODAを活用した事業展開を推進しております。
開発途上国では、財政基盤が脆弱であり、施設整備に必要な財源として当該国や地方政府による公的資金の投入が困難なことから、事業展開には日本のODAを活用した財政支援が不可欠であります。
こうした考えのもと、平成二十五年度からプロジェクトの組成を検討してまいりましたミャンマーのヤンゴンにおける無収水対策事業は、国が財政支援を行い、東京水道が長年培ってきた技術を活用するスキームで、本年十月に契約したところでございます。
○上田委員 財政支援は、国ということが明らかになりました。理解しました。
次に、水道水源林についてです。
知事会見にて、多摩産材を使うことで多摩の森林が守れ、東京の大洪水を防ぐことができるとありました。水源林の管理育成に当たって、産業労働局、環境局など関係各局との二十五年度の連携の取り組みについての所見と課題をお聞かせください。
○吉田水道局長 水道局では、森林の持つ水源涵養機能、土砂流出防止機能、水質浄化機能などを発揮させることを目的といたしまして、多摩川上流域に約二万三千ヘクタールの森林を所有し、管理してございます。
一方、多摩川上流域には、多くの民有林もあることなどから、産業労働局や環境局などの関係各局と連携して、森林保全に取り組むことが重要と認識しております。
平成二十五年度は、東京都花粉症対策本部や東京都シカ保護管理計画検討会の会議におきまして、森林保全についての課題を共有し、間伐や枝打ちによるスギ花粉対策、鹿の侵入防止柵の設置による森林被害対策、治山事業などにつきまして実施したところでございます。
○上田委員 森林事業の推進を求めるものです。
次に、下水道事業です。
八王子水再生センターなど七カ所の老朽化施設の更新があり、インフラ整備においても、健全財政の維持は必要で、予特にて、企業債償還元金対減価償却費比率は一〇〇%以下が望ましいと言及したとおりでございます。
この観点に立ち、投下資本の回収と再投資のバランスをどうとっていかれるか伺います。
○松田下水道局長 投下資本の回収と再投資のバランスについてでございますが、下水道事業における施設整備は、新規投資、更新投資ともに国費と企業債を主な財源としております。
企業債は、償還年数が三十年と国が定めているのに対しまして、下水道施設の平均耐用年数は四十年程度となっており、各年度に発生する減価償却費よりも、企業債の元金償還金の方が大きくなります。
当局におきましては、独立採算の原則のもと、企業内に留保される減価償却費に加えて、収益的収支から生ずる純利益をもって企業債の元金償還の財源とする財政運営を行っております。
現行の下水道料金につきましても、こうした財政運営を前提に設定されておりまして、お話の投下資本の回収と再投資のバランス、いわゆる企業債の償還元金対減価償却費比率を一〇〇%以下とするという考え方はとっていないところでございます。
○上田委員 その件につきましては、また、意見開陳で述べたいと思います。
次に、病院事業についてです。
経営利益を出し、経営面では安定していると評価しますが、都民の需要に応える良質なサービスの確保に向けて医療過誤を防ぎ、事故を最小限にとどめるための稽査、職員の規律づけのモニタリング機能を本部としてどう取り組まれているのか所見を伺います。
○醍醐病院経営本部長 病院経営本部では、インシデント・アクシデント・レポート制度により、ヒヤリとしたり、ハッとした事例につきまして、軽微なことでもレポートとして提出するよう職員に指導しており、平成二十五年度の報告件数は二万四千二百三十五件でありました。
これまで、レポートの集計結果をもとに、全都立病院共通の医療事故予防マニュアルを整備し、病院に配布してまいりました。また、医療安全活動の基礎となるこのレポート制度を活用しながら、外部有識者を含めた都立病院医療安全推進委員会で定期的に議論するなど、医療安全対策の充実強化に努めております。
○上田委員 安全対策の強化ということですが、昨年末の文書質問の答弁によれば、都立病院において、二十三件の誤嚥事故が発生、本年六月には、医療介護推進法も成立した節目となりますことから、二十五年度の事故事例報告を踏まえて、地域包括ケアを鑑みた医療、介護連携の所見をお聞かせください。
○醍醐病院経営本部長 平成二十五年度において食事中にのどを詰まらせる事例など、誤嚥に関する報告は四十九件でございました。院内での誤嚥を防止するため、医師は患者の飲食物を飲み込む機能を評価し、それに応じたリハビリテーションを実施するなど、患者の身体機能の向上に努めております。
また、患者の在宅療養への移行に当たり、患者の症状や身体機能に関する情報を地域の医療機関、訪問看護ステーションや地域包括支援センター等と共有するなど、地域で療養する患者を支援する取り組みを行っております。今後、こうした取り組みをさらに充実させてまいります。
○上田委員 誤嚥性肺炎を発生すれば、高齢患者は命にかかわることから、対策の徹底を求めるものです。
最後に、都市再開発事業です。
新虎間の開通は、戦後七十年に及ぶ東京都及び都民の悲願であったと存じます。再開発事業にあっては、地域住民と東京都職員、特別区職員とでは、専門性、法的知識等も鑑みると、圧倒的な情報の非対称性に都民がさらされることになります。
再開発事業に反対する住民も、受け入れる住民も、優劣ない条件のもと、都民利益を守るフェアな交渉環境と丁寧な配慮が必要不可欠と考えます。
ついては、都施行の再開発事業におけるこれまでの住民対応の経過と事業の成果について伺います。
○安井都市整備局長 都施行の再開発事業は、幹線道路を初めとする重要な公共施設の整備とあわせまして、周辺市街地の更新を一体的に進め、安全で活力あるまちの実現などを目的に実施してございます。
事業の推進に当たりましては、権利者に対しまして、都が定める損失補償基準に基づきまして、適正かつ公平な補償を行ってまいりました。生活再建に配慮し、再開発ビルへの入居に係る相談にきめ細かく応じるとともに、代替地や都営住宅を移転先としてあっせんするなど丁寧に対応してまいりました。
こうした結果、事業の成果といたしましては、北新宿では、木密地域の改善とともに、副都心にふさわしいまち並みを形成し、放射六号線が開通してございます。
また、大橋地区では、ジャンクションの整備により、高速道路網が強化されまして、また、新橋・虎ノ門地区では、環状二号線の開通とともに、沿道におけます市街地の再編が進むなど防災性の高い魅力あるまち並みが形成されてございます。
○鈴木(貫)委員長 上田委員の発言は終わりました。
次に、西崎委員の発言を許します。
○西崎委員 私からは、まず、精神障害者の地域移行支援について伺いたいと思います。
日本の精神病院の入院数は、世界の中でも突出して多く、しかもその六五%が一年以上の長期入院になっています。そのため、国は、二〇〇四年に精神保健医療福祉の改革ビジョンを策定し、その中で、入院医療中心から地域生活中心へという基本的な方策を示し、精神疾患患者の地域移行に向けた取り組みを推進してきています。
都においても、精神疾患患者や家族が地域で安心して生活を送ることができるよう支援することは重要です。
ことしの都議会第三回定例会で、生活者ネットワークの山内議員の一般質問におきまして、都立松沢病院における患者の地域移行支援について取り上げました。その質疑の中で、退院に向けた生活相談や退院後の定期的な訪問看護、さまざまなプログラムによりますデイケアの実施など、松沢病院が患者の社会復帰と地域での生活支援に積極的に取り組んでいることを確認させていただきました。
そこで、平成二十五年度の都立松沢病院における精神疾患患者の地域移行支援に関する具体的な取り組み実績について伺います。
○醍醐病院経営本部長 松沢病院は、一般の精神科病院では対応が困難な急性期医療や専門性の高い精神疾患医療を提供するとともに、急性期を脱した患者が地域に円滑に移行できるよう支援をしております。
平成二十五年度の入院患者に対する退院援助等の相談実績は六万二千九百一件、訪問看護は四千九百六十一件、社会生活に必要な機能の回復を目指したさまざまなプログラムを提供するデイケアは、延べ利用者数が二万四千五百四十二人、一日当たりの利用者数は百一・七人でございました。
これらの取り組みによりまして、平成二十五年度には、一年以上入院している患者が前年度から約一〇%減少いたしまして二百十一人となり、平均在院日数も前年度から六・九日減少いたしました。
○西崎委員 松沢病院が長期入院患者の退院を促進し、地域生活に定着できるよう取り組み、実際に、長期入院患者も減少していることはわかりました。長期入院をしていると生活力を失い、病院生活へ結局依存してしまって、地域生活への復帰を諦めてしまうケースもあると聞いております。
今後も、精神障害者の地域移行に向けた取り組みを積極的に進めていっていただきたいと思います。
患者が地域で安心した生活を送るということが大切という点では、認知症患者にも同様のことがいえると思います。
先日の新聞報道で、軽度認知障害者と呼ばれる予備軍を含めて、六十五歳以上の四人に一人という割合で、日本は、認知症大国だと書かれておりました。これからますます増加すると予測される認知症の人に対する支援策が求められます。
都は、認知症の人が住みなれた地域で安心して生活できるよう、認知症疾患医療センターを指定して、地域における支援体制を構築していくことを目指しています。
私の地元世田谷区にあります都立松沢病院は、認知症疾患医療センターに指定されており、今後、認知症患者の増加が見込まれる中で、その役割は大変重要になってくると思います。
そこで、松沢病院の認知症に関する取り組みについて何点か伺いたいと思います。
初めに、松沢病院はどのような認知症医療を提供しているのか。また、その実績についてもあわせてお聞かせください。
○醍醐病院経営本部長 松沢病院では、認知症患者の早期診断、早期治療を行うため、物忘れ外来での診察や検査による鑑別診断を実施するとともに、暴力、幻覚など行動症状のある患者や身体合併症を持つ患者に急性期の入院医療を実施しております。
平成二十五年度の物忘れ外来の実績でございますが、延べ外来患者数が前年度から九二・五%増加いたしまして三千五百十七人、新規外来患者数が前年度から四八%増加いたしまして四百五十人でございました。
認知症病棟の実績でございますが、新規入院患者が、前年度から四〇・三%増加いたしまして三百三十四人、病床利用率は前年度から八・〇ポイント上昇して九三・一%でございました。
○西崎委員 松沢病院が、認知症患者に対して適切に医療を提供していることはよくわかりました。今のお話で、いろいろ実数を挙げてご説明いただきましたけれども、平成二十五年度の物忘れ外来の患者数、大変多くて三千五百十七人ですか、かなりのパーセンテージ、ほかの人数にしても上がっているということですけれども、今後もこの数はふえていくのではないかと思っております。
また、認知症の人の徘回による行方不明については、このところ、報道でもかなりいわれておりますけれども、この問題、あるいは家庭内における対応など、困難な事例も多い中で、退院して自宅に戻った患者やその家族は、さまざまな不安を感じながら生活を送ることになり、精神的なケアも必要だと考えます。
認知症疾患医療センターには、医療の提供だけではなく、患者や家族などへの支援も役割とされています。松沢病院における患者や家族への支援に関する取り組み実績について伺います。
○醍醐病院経営本部長 松沢病院では、患者やその家族などが認知症に関する悩みや心配事を電話などで相談できるよう、精神保健福祉士、保健師等が専門医療相談を実施しております。
平成二十五年度の相談件数は一万三千三百九十五件、前年度に比しまして六千十三件、八一・五%の増となっており、平成二十四年四月の開設以来、実績は大幅に伸びております。
さらに、患者本人が受診を拒む場合に、家族のみが来院し、専門医に相談する専門外来を平成二十四年十二月から実施するなど、家族の支援にも取り組んでおります。
○西崎委員 平成二十五年度の相談件数は一万三千三百九十五件ということで、かなり多いと思いますけれども、平成二十四年度の開設以来、実績が大幅に伸びているということは、それだけ社会のニーズが高いということだと思います。
認知症患者を支える家族にとっては、専門医療機関だけではなく、地域で患者を支援できる環境があることも大きな安心感につながると考えます。そのため、地域における認知症医療への対応力の向上は急務です。
都立松沢病院の世田谷区における地域連携の取り組み実績についてお聞かせください。
○醍醐病院経営本部長 地域において、患者や家族を支援するためには、専門医療機関や診療所、訪問看護ステーション、介護施設等が緊密な連携を図り、地域全体で認知症患者を受け入れる体制づくりが重要でございます。
松沢病院は、認知症疾患医療センターの担当圏域である世田谷区等を対象といたしまして、地区医師会や地域包括支援センター、区の所管部署等が参加する連携協議会を開催し、事例検討会を行うなど、連携強化に向けて取り組んでおるところでございます。
また、かかりつけ医が継続して患者を診察できるよう、認知症診断のためのクリティカルパスを活用いたしまして、世田谷区にある医療機関等との連携を図っております。
今後とも、認知症患者や患者を支える家族が地域で安心して生活できるよう、地域の連携体制の構築に向けて中心的役割を担ってまいります。
○西崎委員 松沢病院が認知症疾患医療センターとしての役割を果たして、世田谷区とも地域連携を進めていることはわかりました。引き続き、しっかりと取り組んでいただくことを要望しておきます。
次に、周産期医療について伺いたいと思います。
低出生体重児の増加、ハイリスク妊娠の増加などによって、周産期医療に対するニーズが高まる一方で、周産期医療を担う小児科、産科、産婦人科の病院数は減少しており、妊婦や新生児の緊急入院が困難な状況にあると思います。
生活者ネットワークは、これまでも周産期医療についてたびたび取り上げてまいりましたが、特に長野県立こども病院を視察してからは、乳幼児、新生児のNICUからの退院支援について質問をしてまいりました。それは、ハイリスクの出産が多い中で、NICUを幾ら整備しても、退院して在宅に戻ることができる出口を見つけられないとこの問題は解決できないと考えるからです。
都立病院では、大塚病院、墨東病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センターが総合周産期母子医療センターとして、母体、胎児を集中管理するMFICUやNICUを有し、妊婦や新生児の緊急入院の対応など、高度な周産期医療を提供しており、都民の期待も大きいと思います。中でも、墨東病院は、母体搬送の受け入れ数が都内で最も多いと聞いています。
そこで、平成二十五年度の墨東病院の周産期医療の実績について伺います。
○醍醐病院経営本部長 墨東病院は、MFICU九床、NICU十五床を有し、ハイリスク妊娠に対する医療や新生児への高度な医療を実施しております。
平成二十五年度の母体搬送の受け入れ件数は、都内で最も多い二百四十件となっておりまして、新生児搬送は百三十六件と、都内で三番目に多い受け入れ数となっております。また、MFICUの病床利用率は八二・九%、NICUの病床利用率は九九・七%でございました。
○西崎委員 墨東病院が都内の周産期医療において重要な役割を果たしていることはわかりました。今のお話ですと、NICUの稼働率が九九・七%と高い状況だと思います。
墨東病院では、平成二十二年度からNICU入院児支援コーディネーターとして、看護師と医療ソーシャルワーカーを配置して、入院早期から子供と家族の状況に応じて在宅移行に向けた個別の支援プログラムを作成して、退院後に必要となる訪問看護等各種サービスの提供について、関係機関と調整を行うなど、在宅療養に向けた支援を行っており、こうした取り組みが重要だと思っております。
墨東病院での平成二十五年度におけるNICUからの退院支援に向けた取り組みについてお聞かせください。
○醍醐病院経営本部長 平成二十五年度は、NICUに入院した新生児に対し継続的な医療ケアの必要性や家族の状況等を把握した上で、五十八人の新生児に退院に向けた支援を行いました。
また、退院後も、地域の医療機関や子供家庭支援センター、児童相談所等を交えて育児計画を見直すなど、継続した支援を行っております。
さらに、訪問看護ステーションの看護師への研修や保健センター、診療所等が参加する退院支援に関する会議の開催など、地域の関係機関との連携強化を図っております。
こうした取り組みにより、平成二十五年度のNICUの平均在院日数は、前年度より三・四日減少し、二十五・六日となりました。今後とも、墨東病院を初め、都立病院における周産期医療の充実に向けて取り組んでまいります。
○西崎委員 今後も、都立墨東病院を中心とした周産期医療の充実に向けて取り組むことを要望して、次の質問に移ります。
世田谷区の下水道の浸水対策について伺います。
近年の地球温暖化に伴いまして、気候変動を背景に、時間五十ミリを超える集中豪雨が増加しております。平成二十五年度東京都区部において浸水被害が発生した降雨は六回確認されています。このうち、時間五十ミリを上回る豪雨は四回でした。
平成二十五年に最も多くの被害をもたらした七月二十三日の集中豪雨では、城南地区を中心に、時間百ミリ前後の強い雨が一時間程度降り続き、多くの被害が出ました。その際、世田谷区では、弦巻地区や深沢地区など、約百六十棟の床上床下の浸水被害が発生しております。対策の実施が強く求められています。
先ほどお話がありました豪雨対策下水道緊急プランを下水道局では策定したと聞いておりますが、そこで、具体的な取り組み状況を伺いたいと思います。
まず、世田谷区内において、昨年の豪雨で甚大な浸水被害が生じた地区での豪雨対策下水道緊急プランに基づく対策の内容と、平成二十五年度の取り組み状況をお聞かせください。
○松田下水道局長 世田谷区内におきましては、弦巻地区や深沢地区で、昨年七月の豪雨により甚大な浸水被害が発生したことから、豪雨対策下水道緊急プランにおいて、これらの地区を七十五ミリ対策地区に選定し、時間七十五ミリの降雨に対応できる施設を整備することといたしました。
具体的には、既存の下水道施設を活用しつつ、蛇崩川幹線や呑川幹線を増強する施設を整備することとし、平成二十五年度より調査設計を進めておりまして、今後も引き続き対策の具体化に向けて取り組んでまいります。
○西崎委員 昨年の豪雨では、奥沢地区や桜地区など大規模ではないものの、ほかにも浸水被害が発生した地区があります。
そこで、これらの世田谷区内でのほかの浸水被害が発生した地区について、豪雨対策下水道緊急プランに基づく対策内容と平成二十五年度の取り組み状況についてお聞かせください。
○松田下水道局長 豪雨対策下水道緊急プランでは、被害箇所が点在するなど、被害が比較的小規模な地域については、小規模緊急対策地区として位置づけておりまして、被害要因や現場状況に応じた短期的対策を緊急に実施することとしております。
世田谷区の奥沢、尾山台、桜、世田谷地区では、浸水被害が点在して発生したため、これらの地区を小規模緊急対策地区として、平成二十五年度より、地元区などと連携して、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどの対策を進めておりまして、平成二十八年度までに完了させる予定でございます。
○鈴木(貫)委員長 西崎委員の発言は終わりました。
以上で本日予定をいたしておりました質疑は全て終了いたしました。
お諮りいたします。
平成二十五年度東京都公営企業各会計決算の認定についてに対する質疑は、これをもちまして終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木(貫)委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
なお、十一月十九日の十二時四十五分から理事会を、また、十三時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いを申し上げます。
以上をもちまして本日の委員会を閉会させていただきます。
午後四時四十三分散会
第1分科会で行われた平成25年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
平成26年10月29日
平成25年度公営企業会計決算特別委員会
第1分科会委員長 中屋 文孝
平成25年度公営企業会計決算特別委員長
鈴木 貫太郎 殿
1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成26年9月25日に設置され、次の案件を審査した。
・平成25年度東京都公営企業会計決算中、中央卸売市場、港湾局及び交通局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月10日(説明聴取・資料要求) 交通局、中央卸売市場、港湾局
10月20日(質疑) 交通局
10月22日(質疑) 中央卸売市場
10月24日(質疑) 港湾局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成25年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 バス事業について
ア 路線等の見直しの考え方について
イ 運行情報検索による利便性の向上、GPS導入の効果及び高齢者向けの案内サービスについて
ウ 平成25年度の都バス一日乗車券の発売実績と過去3年間の推移について
エ 貸切バス事業の需要及び利用案内の周知方法について
オ 青梅地域における運行本数の減少の影響と近隣自治体の公費の投入について
カ 江戸川区の深夜バス及びAL01系統の利用状況と今後の方向性について
キ 障害者・高齢者へのソフト対策及び各種マークの取組状況について
〔2〕 株式会社はとバスへの管理の委託について
ア 管理委託の状況と効果について
イ 事故数の対直営比較及び事故数と委託規模拡大との相関性について
〔3〕 都電荒川線について
ア 専用用地における芝生化等の検討について
イ 地域密着型イベントの内容とあらかわ遊園との連携について
ウ 都電おもいで号に対する反響について
〔4〕 日暮里・舎人ライナーについて
ア 経営状況と混雑対策について
イ 降雪時の運行確保への対応及びこれまでの取組について
ウ 乗客数の急速な増加傾向及び今後の予測について
エ 輸送量増強への対応について
オ 早起きキャンペーンの実施効果について
〔5〕 経営及び事業運営について
ア 経営計画2013について
イ 長期債務の計画的な完済について
ウ 資産管理と活用状況及び代替地を保有する意義について
エ 不動産を保有する意義について
オ 関連団体等とのグループ経営の意義、効果及び監査の指摘への対応について
カ 職員定数の削減及び監理団体の活用による経営の効率化について
〔6〕 安全対策等について
ア 都営バスにおける物件事故の傾向について
イ 都営バスにおけるドライブレコーダーを活用した事故の再発防止策と設置の効果について
ウ 東日本大震災を踏まえた都営交通の早期復旧及び危機管理対策について
エ テロ等に向けた警察との連携について
オ 運輸安全マネジメント制度に基づく内部監査の取組の結果について
カ 東京交通サービス株式会社の監理団体化による安全対策の連携強化について
〔7〕 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた推進体制の構築及び都営交通のPRについて
〔8〕 駅ナカ保育の実現に向けた取組について
〔9〕 広告事業について
ア 中小企業の広告を割安で掲載することについて
イ 都政事業広告の相乗効果及び実態について
〔10〕 都営交通お客様センターについて
ア ダイヤ、設備、車両等に関する意見や要望等について
イ サービスの向上への対応について
ウ 寄せられた意見のサービス改善への反映について
〔11〕 職員の健康管理と女性職員が活躍するための職場環境の整備について
ア 職員数削減の影響、職員の年齢構成及びメンタルヘルス疾患による休業者数について
イ 平成21年度以降5年間の女性職員数及びその割合の推移について
ウ 女性職員の宿泊勤務用の施設の整備状況及び環境整備への取組について
(2) 平成25年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 地下鉄事業について
ア 各線の混雑状況及びこれまでの輸送力増強への取組について
イ 平成25年度における省エネルギー化への取組状況と今後の取組について
ウ 平成25年度に実施したイベントへの応募状況及び反響について
エ ToKoPoの利用実績と効果について
オ 主な企画乗車券の発売枚数及び発売促進に向けた今後の取組について
カ 地下鉄のサービス一体化のこれまでの取組について
〔2〕 経営及び事業運営について
ア 過去5年間の決算の推移について
イ 乗車人員の対前年度比及び増減理由について
ウ 平成25年度と東日本大震災以前との乗車人員の比較について
エ 経営計画2013について
オ 長期債務の計画的な完済について
カ 資産管理と活用状況及び代替地を保有する意義について
キ 不動産を保有する意義について
ク 関連団体等とのグループ経営の意義、効果及び監査の指摘への対応について
ケ 職員定数の削減及び監理団体の活用による経営の効率化について
〔3〕 浸水対策について
ア 対策のこれまでの取組について
イ 東京都豪雨対策基本方針に基づく更なる対策の強化について
ウ 駅において浸水のおそれが生じた際の対処方法及び障害者への対応について
エ トンネル湧水の処置について
オ 駅出入口における浸水防止設備の設置状況について
カ 駅の浸水防止設備の作動における駅係員の関与について
キ 防水扉を操作する事態の想定について
ク 防水扉の電動化について
ケ 平成25年度の国庫補助金及び一般会計補助金の交付対象事業について
〔4〕 トンネル構造物の長寿命化を図るための取組について
〔5〕 安全対策等について
ア 浅草線の可動式ホーム柵の検討状況について
イ ダイヤが乱れた際の対応及び事故発生時の最寄り駅への停車について
ウ 係員呼出しのインターホンの設置について
エ ホームドア設置の効果及び未設置路線への設置について
オ 災害発生時の子ども、妊産婦及び障害者に対する避難誘導対策について
カ 東日本大震災を踏まえた都営交通の早期復旧及び危機管理対策について
キ テロ等に向けた警察との連携について
ク 運輸安全マネジメント制度に基づく内部監査の取組の結果について
ケ 東京交通サービス株式会社の監理団体化による安全対策の連携強化について
〔6〕 バリアフリー対策について
ア 平成25年度における視覚障害者の安全対策について
イ ホームの点状ブロックが駅によって異なる理由について
ウ 全駅の点状ブロックの点検について
エ 全ホームの点状ブロックのJIS規格への改善及び視覚障害者の意見の聴取について
オ エスカレーターの音声案内の整備について
カ 駅職員のサービス介助士資格取得の効果と今後の目標について
〔7〕 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた推進体制の構築及び都営交通のPRについて
〔8〕 駅ナカ保育の実現に向けた取組について
〔9〕 広告事業について
ア 中小企業の広告を割安で掲載することについて
イ 都政事業広告の相乗効果及び実態について
〔10〕 都営交通お客様センターについて
ア ダイヤ、設備、車両等に関する意見や要望等について
イ サービス向上への対応について
ウ 寄せられた意見のサービス改善への反映について
〔11〕 職員の健康管理と女性職員が活躍するための職場環境の整備について
ア 職員数削減の影響、職員の年齢構成及びメンタルヘルス疾患による休業者数について
イ 平成21年度以降5年間の女性職員数及びその割合の推移について
ウ 女性職員の宿泊勤務用の施設の整備状況及び環境整備への取組について
(3) 平成25年度東京都電気事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 電気供給先の変更による経営状況の変化について
〔2〕 経営計画2013について
〔3〕 職員の健康管理と女性職員が活躍するための職場環境の整備について
ア 職員数削減の影響、職員の年齢構成及びメンタルヘルス疾患による休業者数について
イ 平成21年度以降5年間の女性職員数及びその割合の推移について
(4) 平成25年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
〔1〕 豊洲新市場について
ア これまでの土壌汚染対策の取組について
イ 平成25年度末及び現在における土壌汚染対策工事の進捗状況について
ウ 平成25年度における処理土量の増加に伴う契約及び土壌汚染対策に係る予算の執行について
エ 汚染原因者の負担額の見直しに係る検討結果とその後の対応状況について
オ 地下埋設物の処理費用の東京ガス株式会社に対する負担請求について
カ 平成25年度末における準備工事、汚染地下水対策などの土壌汚染対策費の内訳について
キ 土壌汚染対策の完了までの処理経過及び地下水モニタリングの実施方法について
ク 市場本体施設の工事の進捗状況について
ケ 建設費用の財源の確保について
コ コールドチェーンの実現に向けた施設計画について
サ 仲卸売場の使用の見通しについて
〔2〕 卸売市場の整備について
ア 東京都卸売市場整備計画(第9次)における中央卸売市場の整備方針について
イ 平成25年度の豊洲新市場を除く市場整備の決算状況と整備内容について
ウ 多摩地域の地方卸売市場への支援事業の目的と内容及び今後の取組について
エ 世田谷市場における花き低温荷捌場の整備内容と効果について
オ 施設の老朽化への対策について
カ 市場の統廃合について
キ 平成25年度における中央卸売市場の再生可能エネルギーの導入と省エネ対策への取組について
ク 中央卸売市場における環境負荷の低減に向けた取組について
ケ 太陽光パネルの導入の状況と課題について
コ 災害対応力の強化に向けた取組について
〔3〕 足立市場について
ア 平成25年度決算における排出汚水処理設備設置工事と市場整備の拡充のための予算が未執行の理由及びその対応について
イ 平成25年度における施設整備と補修工事の執行状況について
ウ 市場の一般開放の目的及び状況について
エ 市場の活性化に向けた更なる取組の必要性について
〔4〕 仲卸業者について
ア 経営状況及び支援への取組について
イ 公募による新規参入の方法及び平成25年度の実績について
ウ 公募における業界関係者との事前調整について
〔5〕 被災地支援について
ア 被災産地支援研修会の実施状況及び研修の成果の周知について
イ 福島県や都の復興に向けた取組を都民にPRすることの必要性について
〔6〕 経営及び事業運営について
ア 市場を経営することの意義及び今後の取組について
イ 平成25年度における事業の達成状況及び資本的収支の執行率の低さの原因について
ウ 市況と事業者の業績の把握について
エ 累積欠損金額と企業債の残高及び年間の利子支払額について
オ 平成25年度における市場まつりの実施概要及び決算額について
カ Tokyo Ichiba Walkerの発行目的について
キ TOKYO ICHIBA PROJECTの内容の見直しについて
(5) 平成25年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
〔1〕 決算等について
ア 平成25年度における臨海副都心の用地処分に係る決算状況について
イ 大井ふ頭その1・その2間水域埋立事業の執行率が低迷している理由について
ウ 株式会社東京テレポートセンターへの臨時駐車場の貸付実績が増加した理由及び普通自動車一台当たりの貸付面積の算出方法について
エ 平成25年度における臨海副都心地域の土地処分について
オ 特別支援学校を青海地区に開校した理由について
カ 平成25年度における東京都臨海副都心MICE拠点化推進事業の補助対象事業者数及び主な事業について
キ 臨海副都心における補助事業の実施の理由について
ク 平成25年度における臨海副都心地域とその他の埋立地の土地売却先の用途及びその他の埋立地における執行率が低い理由について
ケ 報告団体・監理団体への委託の経済性、効率性及び公平性について
〔2〕 臨海副都心開発について
ア 今後の土地の処分方針について
イ 土地の売却、長期貸付及び暫定利用のそれぞれの開発区画における街並みの統一感の担保について
ウ ビー・エム・ダブリューグループを暫定利用の事業者として決定することの効果について
エ 暫定利用の延長の取扱いに関する考え方及び土地返還の条件について
オ 暫定利用期間が経過した施設について
カ 土地処分への取組の課題と解決策について
〔3〕 臨海副都心における外国人旅行者の受入環境について
ア 宿泊施設の整備状況及び多様なニーズに対応した受入環境について
イ 外国人旅行者を対象としたイベントの開催状況について
ウ ULTRA JAPAN 2014の開催状況について
エ 現在の外国人旅行者の来訪の状況について
オ 補助事業を活用した外国人旅行者との円滑なコミュニケーションを図るための取組と効果について
カ 無料Wi-Fi環境の整備に向けた取組状況について
キ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けた受入環境の整備への取組について
〔4〕 臨海副都心まちづくりガイドラインについて
ア 策定の目的と経緯について
イ 緑化面積の確保に向けた開発事業者の誘導について
ウ 緑化率の引上げによって増加する緑化面積について
エ 太陽光発電の導入への取組状況について
〔5〕 株式会社東京臨海ホールディングスについて
ア 設立の経緯と役割について
イ グループ経営計画の達成度及び都の経営の監督方法について
ウ グループ経営の意義及び付加価値について
エ 設備投資における計画額と実績額の差額発生の理由及び建築資材の高騰による影響について
オ グループ経営計画におけるビル事業の今後の見通しについて
カ 平成25年度におけるテレコムセンタービル及びフロンティアビル3棟の入居率について
キ 平成21年度から平成25年度までのテレコムセンタービルの都施設の入居状況について
ク グループ経営計画における有明、青海、台場、竹芝の4地区のテナント誘致による成果の検証及び今後の取組について
ケ 平成22年に改訂されたグループ経営計画におけるビル事業の収益力の強化への取組の実績及び効果について
コ 都からの無利子貸付金の意義と効果について
サ 有利子負債の返済の見通しについて
〔6〕 条例による臨海地域開発事業の実施について
(6) 平成25年度東京都港湾事業会計決算(港湾局所管分)
〔1〕 東京港の交通混雑対策について
ア 平成25年度における青海コンテナふ頭用の車両待機場の利用状況及び供用開始による効果について
イ 大井ふ頭その1・その2間水域埋立事業の執行率の低迷が及ぼす大井地区における車両待機場整備事業への影響について
ウ 東京港の交通混雑解消に向けた考え方及び取組姿勢について
〔2〕 東京港の管理・運営について
ア 空コンテナ置き場などのコンテナ関連施設の役割について
イ コンテナ関連施設の整備実績について
〔3〕 貯木場の有効活用について
ア 東京港における林産品及び原木の取扱量の10年前との比較について
イ 貯木場の有効活用について
〔4〕 報告団体・監理団体への委託の経済性、効率性及び公平性について
第2分科会で行われた平成25年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
平成26年10月29日
平成25年度公営企業会計決算特別委員会
第2分科会委員長 松村 友昭
平成25年度公営企業会計決算特別委員長
鈴木 貫太郎 殿
1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成26年9月25日に設置され、次の案件を審査した。
・平成25年度東京都公営企業会計決算中、病院経営本部、都市整備局、水道局及び下水道局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月10日(説明聴取・資料要求) 水道局、下水道局、病院経営本部、都市整備局
10月20日(質疑) 水道局
10月22日(質疑) 下水道局
10月24日(質疑) 都市整備局、病院経営本部
2 本分科会における質疑の概要
(1)平成25年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
〔1〕 貯水槽水道の適正管理について
ア 平成25年度の取組状況について
イ 点検調査の協力を得られない原因及び点検調査を設置者に促す方策について
〔2〕 水道水質モニターの成果と制度の展開について
〔3〕 民有林購入事業について
ア 事業の課題への取組及び事業の進捗状況と今後の見込みについて
イ 購入した森林の整備状況と今後の予定について
ウ 外国資本による森林買収に関する国の調査結果について
〔4〕 多摩地区の水道について
ア 多摩水道改革計画2013の内容について
イ 小規模水道施設の整備について
ウ 送水幹線の完成による効果と整備状況について
〔5〕 広報・広聴計画2013について
ア 計画の概要と平成25年度の取組について
イ 計画の見直しの状況について
〔6〕 水道キャラバンについて
ア 平成25年度の実績について
イ 地域における水道キャラバンの参加者からの意見等の反映について
〔7〕 水道水の安全性の周知方法について
〔8〕 浄水場の見学について
〔9〕 平成25年度における東京都水の科学館の来館者数と新たな取組について
〔10〕 水道管路の耐震化について
ア 新たな被害想定における復旧日数と耐震継手化の取組状況について
イ 計画の実現による平常給水に復旧するまでの日数及び断水率について
〔11〕 応急給水について
ア 応急給水槽の管理について
イ 給水拠点等の現場対応について
ウ 給水車の積載量、配置台数及び配置場所について
エ 営業所における給水車等の配備について
オ 給水拠点の役割と都内の設置数について
カ 給水拠点の設置基準と管理・運営について
〔12〕 浄水場の耐震化の状況及び今後の見通しについて
〔13〕 再生可能エネルギーについて
ア 導入に向けた取組について
イ 江北給水所への小水力発電の設置及び施設上部の活用計画について
〔14〕 江北給水所における道路陥没事故について
ア 事故の原因、対策及び影響について
イ 工事着手前の調査状況について
〔15〕 水道管管理図の電子閲覧について
ア 電子閲覧システムの構築及び運営について
イ 利用者の数と範囲について
ウ 今後の運用方法について
〔16〕 震災対策について
ア 震災時の体制とマニュアルについて
イ 発災後72時間の対応について
ウ 訓練の内容及び平成25年度の取組について
エ 災害相互応援都市の決定方法について
オ 東日本大震災による職員の派遣実績とその教訓について
カ 阪神淡路大震災の教訓について
キ 震災時の広報活動について
〔17〕 浄水施設や水源地におけるテロ対策について
(2)平成25年度東京都工業用水道事業会計決算(水道局所管分)
〔1〕 工業用水道事業について
ア 需要の減少の状況と事業の運営状況について
イ 経営改革に関する検討について
(3) 平成25年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
〔1〕 安全・安心の取組について
ア 下水道管の再構築の計画及び取組状況について
イ 下水道管の更生工法について
ウ 水再生センター及びポンプ所に設置されている機械や電気設備の再構築の取組状況について
エ 流域下水道における設備の更新の取組状況について
オ 大規模地下街を含む浸水対策の取組状況について
カ 豪雨対策下水道緊急プランの取組状況について
〔2〕 マレーシア下水道整備プロジェクトについて
ア 取組内容、規模及び意義について
イ 契約合意に至った要因及び課題について
ウ 東京の企業への貢献及び経済波及効果について
〔3〕 国際展開事業の全体像、ビジョン及び今後の方向性について
〔4〕 高度処理について
ア 導入の経緯と取組状況について
イ 準高度処理施設の整備状況について
ウ 新たな高度処理の内容について
エ 水質改善と省エネルギーの両立を図る最適な高度処理を早期に導入することについて
〔5〕 合流式下水道の改善対策の内容及び区部における改善対策の取組状況と効果について
〔6〕 震災対策の取組について
ア 復旧(機能確保)までの日数と対策について
イ 円滑な復旧に向けた水道局との連携について
ウ 水再生センター及びポンプ所の耐震化の状況について
エ 既に耐震化が完了している施設の地震動対応レベルと東京都耐震マークの表示状況について
オ マンホールと下水道管の接続部の耐震化及びマンホールの浮上抑制対策の取組状況について
カ マンホールトイレの設置条件、取組状況等について
〔7〕 中川水再生センターと土づくりの里について
ア 土づくりの里の施設内容及び土の搬入搬出状況について
イ 搬入される建設発生土の土壌汚染対策及び搬入搬出車両に対する安全対策について
ウ 中川水再生センターの計画汚水量が減少した理由及び水処理施設の今後の計画について
〔8〕 大田区内における下水道事業の取組について
ア 上池台地区における浸水対策の内容と取組状況について
イ 水再生センター間を結ぶ連絡管の目的と効果について
ウ 森ヶ崎水再生センター及び芝浦水再生センター間を結ぶ連絡管の施設の概要と整備の進捗状況について
エ 森ヶ崎水再生センターの再生可能エネルギーを活用した発電の取組状況について
〔9〕 下水道工事における入札不調の発生状況及び対策について
(4)平成25年度東京都都市再開発事業会計決算(都市整備局所管分)
〔1〕 都施行の3地区(北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区)の市街地再開発事業について
ア 3地区の市街地再開発事業を都施行で実施した意義及び目的について
イ 公営企業会計を導入した趣旨及び経緯について
ウ 大橋地区の事業収支の改善結果と公営企業会計全体の収支見通しについて
エ 事業が東京全体の都市づくりに果たす役割について
オ 大橋地区の平成20年度特定建築者募集において生じた事業収支の差額の平成25年度末の状況について
カ 平成25年度決算における大橋地区の施設建築物処分収益及び処分原価並びにその戸数、面積及び金額について
キ 景気スライド条項の内容について
ク 大橋地区における事業収支の赤字分の解決方法について
ケ 3地区の事業における都市計画法第74条に規定された生活再建のための措置への対応について
コ 3地区における従前の地権者及び借家人の人数と地区内に残った人数について
(5)平成25年度東京都病院会計決算(病院経営本部所管分)
〔1〕 決算について
ア 平成25年度の自己収支比率の実績及び過去5年間の収支状況について
イ 平成25年度における経営改善の取組について
ウ 一般会計繰入金の受入れの考え方及び平成24年度決算との比較について
〔2〕 墨東病院の整備について
ア 新館の整備による感染症の管理体制の強化について
イ 「東京ER・墨東」の機能強化について
ウ 整備に係る工事費用と今後の整備内容について
〔3〕 広尾病院におけるガス常用発電機の整備内容及び導入効果について
〔4〕 小児総合医療センターの取組について
ア 平成25年度における救急医療と周産期医療の実績について
イ ドクターカーの稼働状況について
ウ 臨床研究を支援する体制の充実への取組状況について
〔5〕 認知症医療について
ア 平成25年度における松沢病院の認知症病棟の運営状況について
イ 松沢病院における地域との連携の取組について
ウ 専門医療相談などの認知症患者の家族を支援する取組について
〔6〕 建物清掃委託(業務)について
ア 墨東病院の建物清掃委託の契約方法及び平成25年度の契約金額について
イ 一年ごとの一般競争入札による契約が及ぼす病院の良好な環境保持への影響について
ウ 契約業者の下で働く清掃業務従事者の労働環境の確認について
エ 感染性一般廃棄物の運搬業務従事者における教育訓練の内容確認について
オ 複数年度の契約が可能となるための見直しについて
カ 入札に先立つ標準積算単価の提示について
〔7〕 震災対策について
ア 災害拠点病院となっている都立病院の耐震化の状況と東京都耐震マークの表示及び医薬品等の備蓄状況について
イ 災害拠点病院において燃料備蓄を3日分とする根拠と備蓄を更に増やす取組について
ウ 大規模地震発生時における医師、看護師等職員の確保について
エ 都立病院における職務住宅の医師と看護職員の居住割合について
オ 都立病院における職務住宅以外から参集する医師や看護職員の宿泊場所等の確保について
カ 発災後72時間の初動体制と平成25年度における災害対策の取組内容について
キ 都と区の合同総合防災訓練における都立病院としての取組について
ク 首都直下地震への対策及び電力の確保に向けた取組について
〔8〕 大塚病院の在宅医療機関を支援する取組及び他の都立病院への取組の拡大について
〔9〕 感染症対策について
ア ハード面の整備への取組及びソフト面の対策のこれまでの経緯について
イ 防護具の着脱訓練に参加した職員数及び防護具の備蓄数と算出基準について
〔10〕 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた都立病院における外国人対応への取組と今後の計画について
〔11〕 平成25年度における医療費の未払金の額と外国人患者分の額及び今後の対応について
〔12〕 平成25年度の院内保育の利用実績及び利用率向上への取組について
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