出席委員 | 十一名 |
委員長 | 松村 友昭君 |
副委員長 | 田中 健君 |
副委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 桜井 浩之君 |
栗山よしじ君 | |
宮瀬 英治君 | |
まつば多美子君 | |
松田やすまさ君 | |
北久保眞道君 | |
大島よしえ君 | |
早坂 義弘君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 安井 順一君 |
次長 | 浅川 英夫君 | |
技監 | 佐野 克彦君 | |
理事 | 櫻井 務君 | |
理事 | 西倉 鉄也君 | |
総務部長 | 細渕 順一君 | |
都市づくり政策部長 | 上野 雄一君 | |
住宅政策推進部長 | 今村 保雄君 | |
都市基盤部長 | 佐藤 伸朗君 | |
市街地整備部長 | 鈴木 昭利君 | |
市街地建築部長 | 久保田浩二君 | |
都営住宅経営部長 | 永島 恵子君 | |
基地対策部長 | 筧 直君 | |
企画担当部長 | 福田 至君 | |
防災都市づくり担当部長 | 佐々木 健君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 太田 誠一君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 醍醐 勇司君 |
経営企画部長 | 中野 透君 | |
サービス推進部長 | 野瀬 達昭君 | |
経営戦略担当部長 | 高野 豪君 |
本日の会議に付した事件
平成二十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十五年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十五年度東京都病院会計決算(質疑)
○松村委員長 ただいまから平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十五年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○細渕総務部長 去る十月十日開催の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
資料は、ごらんのとおり三件でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。1、都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源及び施設建築物の規模でございます。
(1)、事業費と財源につきましては、北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区及び大橋地区の各地区ごとに、事業期間、事業費と、その財源内訳並びに年度別決算の状況を記載してございます。
(2)、施設建築物の規模につきましては、各地区ごとの建物延べ面積とその建物における住宅戸数について記載してございます。
次に、二ページをごらんください。2、三地区のこれまでの進捗状況と今後の予定でございます。
各地区ごとに平成二十五年度末まで及び今後の予定についての事業費及び用地取得面積を記載してございます。
最後に、三ページをお開き願います。3、大橋地区における景気スライド条項による敷地譲渡価格の変更額及びその経緯でございます。
敷地譲渡価格の変更額及び経緯を記載してございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○松村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○栗山委員 平成二十五年度決算を見ると、都市再開発事業会計で施行している三地区のうち、大橋地区は既に事業完了、北新宿地区及び環状第二号線地区もいよいよ事業の総仕上げ段階となっております。
大橋地区は、既に大橋ジャンクションと二棟の再開発ビルが完成、ジャンクションの屋上庭園もにぎわいを創出しております。
北新宿地区では、放射六号線が交通開放され、九棟の再開発ビルのうち七棟が既に完成しております。
環状第二号線地区においても、本年三月、環状二号線を交通開放し、最後の再開発ビル、虎ノ門ヒルズも五月に完成しました。
本日は、改めて事業の全般を総括する観点から何点か質問をいたします。
まず、まちづくりの事業主体には幅があり、例えば既成市街地に道路や高層ビルを整備し、機能更新を図るのであれば、民間施行の再開発でも実現は可能であります。
一方、新橋-虎ノ門間の環状二号線の整備については、重要な幹線道路でありながら、当地に残りたいという地元の要望に応えられず、半世紀にわたり事業化できずにおりました。
しかし、都がみずから再開発事業に取り組み、移転先のビルを建築しながら道路整備を進めたことにより、本年三月に計画決定から約七十年の月日を経て、環状二号線の開通にこぎつけることができました。
環状二号線の整備は、都が施行することでしか、なし得なかったのではないかと思っております。
そこで、環状二号線地区や北新宿地区、大橋地区など三地区の再開発事業を都施行で実施した意義、目的をお伺いします。
○鈴木市街地整備部長 都施行の再開発事業は、三地区いずれも根幹的な幹線道路の整備を目的とした極めて公共性の高い事業でございまして、都心や副都心など高度に集積した既成市街地において、計画的な市街地形成と道路整備を一体的に行うことで、地元の皆様の理解と協力を獲得してきたものでございます。
例えば、環状第二号線新橋・虎ノ門地区におきましては、地域に残りたいという地元地権者の皆様のご意向を勘案しまして、立体道路制度も活用し、移転先ともなる三棟の再開発ビルを建築することで、都心と臨海部を結ぶ環状二号線を整備いたしました。
また、北新宿地区では、木造住宅が密集する地域におきまして、現道がない中で防災性の高い安全な市街地を形成しながら、青梅街道のバイパスとなる放射六号線を整備いたしました。
さらに大橋地区では、首都高中央環状線と三号渋谷線が接続する大規模なジャンクション施設による地域分断を解消し、環境に配慮した利便性の高い、魅力的なまちづくりを行いました。
○栗山委員 都施行再開発事業の意義が大変大きなことがよく理解できました。
私の地元の大橋地区では、再開発により新しいまち並みができ上がり、ジャンクション屋上の目黒天空庭園が目黒区の魅力のスポットの一つとなっております。
次に、まちづくりといういわばハードの事業である市街地再開発事業に公営企業会計が導入されていることについて質問をいたします。
そもそも料金収入により運営されている上下水道や都営交通事業が公営企業会計であることは理解できます。
そこで、都施行再開発事業になぜ公営企業会計を導入したのか、その趣旨と経緯についてお伺いいたします。
○鈴木市街地整備部長 再開発事業の事業収支をより明確化させるため、平成十四年度に貸借対照表を用いて資産や負債などの会計情報を明らかにすることができる公営企業会計を導入いたしました。
会計情報の公表によりまして、事業の透明性が高まり、都民に対する説明責任を一層果たせるようになるとともに、職員による高いコスト意識を徹底することができたものでございます。
これらを通じまして、会計情報を的確に事業に反映させ、採算性を重視した事業運営が可能となったものでございます。
○栗山委員 公営企業会計を導入した趣旨、経緯については理解しました。
過去の公決分科会質疑を見ますと、大橋地区の事業収支に関する質疑が多数ありました。私も目黒区議会でもお話を聞いておりましたが、議事録によれば、平成二十年度、特定建築者に敷地を処分した際、リーマンショックの影響を受けて約六十億円もの事業収支不足が発生するという事業ストップにつながりかねない事態に陥ったということで、見ております。
このため、都はこの間、収支改善に向けての事業費の縮減やさらなる収益の確保に努力を続け、昨年度末の時点で収支不足を当初の半分まで圧縮しました。
さらに、平成二十五年度には七戸の保留床を完売するなど、引き続き収支改善に努力をしてまいりました。
それから一年、今年度の決算審査では、大橋地区の収支が既に確定したはずだと思います。また、ほかの二地区についても施設の整備がほとんど完了し、会計全体の収支も見えてきました。
そこで、大橋地区の事業収支の改善結果と企業会計全体の現時点の収支見通しについてお伺いいたします。
○鈴木市街地整備部長 大橋地区では、平成二十五年度も引き続き収支改善に努力し、平成二十五年度決算としまして、委員ご指摘のとおり、都の保留床残り七戸を昨年七月に完売し約二億円、景気スライド条項に基づく敷地譲渡金額の増額変更により約五億円の収益を確保いたしました。
この景気スライド条項は、リーマンショックによる当時の厳しい経済状況を踏まえ、市況の回復を見込んで、敷地譲渡金額の増額変更ができる極めてまれな契約条項であり、特定建築者と協議を重ね、その合意を取りつけ、締結に至ったものでございます。
こうしたこれまでの収支改善の結果、最終的に都の保留床売却収益により約十七億円、国の緊急補助制度を活用したさらなる国費の確保により約十億円、先ほどの景気スライド条項によりまして約五億円の収益を確保いたしました。
このほか、特定建築者を公募した平成二十年度以降、人件費の抑制や歩行者デッキ建設費の見直しなど、より一層のコスト縮減を行い、事業経費を約九億円削減いたしました。
これらの収支改善の取り組みによりまして、収支不足額を当初不足額の三分の一、約十九億円まで圧縮することができました。
一方、他の二地区では、予定を上回る敷地処分収益を確保し、既に平成二十四年度に四百億円の利益剰余金を一般会計に繰り出すなど、企業会計全体の収支は堅調であるため、大橋地区の収支不足額は企業会計内で適切に処理いたしました。
○栗山委員 大橋地区における収支不足を最終的に十九億円まで圧縮、企業会計全体の収支は堅調で、同一会計内で処理したとの答弁でありました。
地区別に見れば、大橋地区での収支不足はあるものの、会計全体でのカバーが可能とのことであり、事業収支の側面で良好といえます。公営企業会計導入の目的は達せられたことと思います。
とはいえ、本来、幹線道路など重要な都市基盤の整備を目的とする都施行の再開発事業について、事業採算のファクターのみで評価するのはやや乱暴な意見であると思います。
再開発事業は、事業の性格上、景気の変動によって事業収支が大きく左右される傾向にあります。一方、都市基盤の整備は、完成後、その事業効果が次第に高まり、末永く発現されるものであります。したがって、再開発事業の一時的な収支不足のみをもってその事業の評価を定めてはなりません。
我が党は、かねてから都民の生命、財産を守るための必要な都市基盤の整備は積極的に推進すべきとの立場です。必要な基盤整備は確実に行うべきであり、都施行再開発事業による効果の発現の側面からもしっかり評価することが大切です。
三地区ともに基盤の整備がほぼ完了し、それぞれ既に効果が発現していると思うが、いずれの施設をとっても東京全体から見て重要な広域的基盤です。その事業効果は、施行地区周辺にとどまらないと思います。
そこで、都施行の再開発事業が東京全体の都市づくりに果たす役割についてお伺いいたします。
○鈴木市街地整備部長 これまで都施行三地区の市街地再開発事業によりまして、都心の稠密な市街地において重要な幹線道路を整備し、東京の広域交通ネットワークの形成に大きく寄与いたしました。
例えば大橋ジャンクションは、来年三月に全線開通する首都高速中央環状線と三号渋谷線を既に結節し、高速道路ネットワークを強化することで交通の流れをよりスムーズにするだけでなく、老朽化する首都高速を大規模改修するために大きな役割を果たすことになります。
また、環状二号線は、都心部と臨海部との交通、物流ネットワークの機能を強化する重要な基盤施設であり、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、オリンピックレーンとしても活用される路線であります。
さらに、新橋・虎ノ門地域の基軸となる道路としまして、周辺のさらなるまちづくりを連鎖的に進める起爆剤としても期待されているものでございます。
このように、都施行の再開発事業は、今後の東京全体の都市づくりに極めて重要な役割を果たす都市基盤を整備する事業だと認識しております。
○栗山委員 最近の報道によれば、新橋・虎ノ門地域において、東京メトロ日比谷線の新駅設置やバスターミナル整備の構想が打ち出されているとのこと。まさに環状二号線の整備が沿道も含めた地域のさらなるまちづくりを加速させているといっても過言ではございません。
また、大橋地区についても、大橋ジャンクションの開通後、首都高速中央環状線では来年三月に品川線が完成し、全線が開通します。答弁のとおり、必ずや将来の首都高の大規模修繕にも大いに役立つものと確信しております。
さらには、北新宿地区も含め都施行の再開発事業が東京全体の都市づくりに大きく貢献していることを改めてよく理解いたしました。
いずれの事業も総仕上げ段階にありますが、しっかり仕上げ、事業を締めくくっていただくことこそが大切、そのことを要望して質問を終わります。
○大島委員 資料ありがとうございました。
私は、まず最初に、二〇一三年度に一-一棟施設建築物、クロスエアタワー、この売却が完了いたしました大橋地区の再開発事業について質問をいたします。
この大橋地区の再開発は、全面買い取り型と呼ばれる第二種市街地再開発事業で、再開発前の権利を一旦は施行者が買い取って、残りたい者には再開発ビルの床を与えるという方式です。
買収方式といっても、土地収用法適用事業として強制買収が伴うため、施行者は公共団体、つまり自治体や公団に限られていました。
施設建築物の建築は、施行者みずから行うことが原則となっていますが、大橋地区では特定建築者制度を活用し、市街地再開発事業において整備する再開発ビルを東京都にかわって民間事業者に建築させました。
大橋地区の特定建築者の公募では、やっと三回目に入札が成立しましたが、採算ラインの七十九億円を大きく下回る十九億円で、六十億円の差額が生まれました。
二〇〇六年八月に決定した地上百メートルのプリズムタワーと呼ばれる一-二棟の特定建築者は、東急不動産、東急電鉄、三井不動産、有楽土地が入り、二〇〇九年三月に決定した地上百六十メートルのクロスエアタワーと呼ばれる一-一棟は、東急不動産、東急電鉄、三井不動産レジデンシャル、有楽土地を特定建築者として決定しています。
また、この特定建築者の公募に先立ちまして、事業協力者、これを採用し、これも公募で決定しましたが、二〇〇五年二月に大橋パークタワープロジェクトチーム--これは三井不動産、大林組と、東急・大成グループ--これは、東急不動産、東京急行電鉄、有楽土地、東急コミュニティー、大成建設、この二者でした。
こうした大企業が自治体施行の再開発に事業協力者として参加し、横滑りのように特定建築者になり、こうした開発で利益を得るという構図は明らかです。
昨年度の当委員会では、二〇〇八年度に行われたこの再開発ビルの特定建築者募集の際、社会情勢の変動で採算ラインを下回る敷地譲渡価格で決定せざるを得ず、事業収支に約六十億円の差額が生じたことを都は説明しました。
大橋地区の事業の収支は、二〇一三年度末現在でどのようになっているのかお伺いいたします。
○鈴木市街地整備部長 大橋地区の収支不足額でございますが、昨年度はその約六十億が二分の一の約三十億、さらに現在、当初の三分の一、約十九億円まで圧縮することができております。
○大島委員 現在は十九億まで圧縮できているということですが、都は六十億円の収入不足について、支出事業費の縮減を図るとともに、新たな事業収入の確保に向けて、国費の確保や東京都の保留床販売、また特定建築者との契約において、市況が回復した場合に、敷地譲渡金額を増額変更する旨を定めた、いわゆる景気スライド条項を定めるなど、さまざまな取り組みを進めてきたとしています。
収支の改善の内容については、先ほど栗山委員の方から質問がありましたので、ダブりますので質問はしません。
国費で約十億円、都の保留床販売収益で約十七億円、景気スライド条項で約五億円、建築コスト縮減等で約九億円ということで、合計四十一億円。六十億円から四十一億円を引いた十九億円が現在のところ残っていると、こういう状況だということであります。
二〇一三年度決算における大橋地区の施設建築物処分収益と処分原価とはどのようなものなのか、また、その戸数と面積及び金額を明らかにしていただきたいと思います。
○鈴木市街地整備部長 まず、大橋地区の施設建築物収益でございますが、東京都保留床の売却収益でございます。
また、処分原価でございますが、建築敷地及び施設建築物の整備に要した費用でございます。
東京都保留床の数でございますが、七戸となっておりまして、その専有面積は約六百八平方メートルでございます。
施設建築物処分収益は、したがいまして五億九千六十九万五千円、その処分原価は三億九千六百六十七万二千円余でございます。
○大島委員 先ほども述べましたけれども、事業協力者が決定されると、どのような業界事情があるのかはわかりませんけれども、他のディベロッパーやゼネコンは特定建築者への応募に名乗りを上げません。
環状二号線新橋・虎ノ門地区の一街区を例外として、どの地区も特定建築者の応募には、その前に決まっていた事業協力者しか名乗りを上げず、すんなりと特定建築者になっています。
つまり、一旦事業協力者に決まると、土地を購入して、ビルを建て、保留床を売る特定建築者も、大体その事業協力者になることが決まってしまう。これでは、市場の競争原理は機能しないと思います。
一方、いつまでも特定建築者が決まらずに、再開発ビルが建たず、関係住民や店舗の経営者を地区外に移住させておくわけにはいかないし、補償もかさんでしまう。こうしたときには、ディベロッパーやゼネコンに足元を見られ、買いたたかれてしまう。
中でも、今回の大橋地区の一-一棟、クロスエアタワーについては、不動産鑑定のもとに公募したときに、第一回目は百九十億円で出しましたけれども、不調に終わりました。二回目は、都が既に用地買収で費やした費用、採算ライン七十九億円で出しましたけれども、これも不調に終わりました。
結果として、三回目は最低価格すら決めず、相手のいい値、十九億円で落札という経過をたどり、不動産鑑定機関の評価に基づいてつけた百九十億円から最終的には十九億円まで、実に九割も値引きしたわけですから深刻です。
東京都保留床の完売に続き、特定建築者の保留床も完売したことから、特定建築者に対して景気スライド条項に基づく協議を行い、いただいた資料によれば、五億七百二十一万円余が昨年十一月六日に特定建築者から支払われ、都が収納したとなっています。
市況が回復した場合に、敷地譲渡金額を増額変更する旨を特定建築者との契約において定めたものです。もちろん、都との協議を重ねて契約したものですから、その内容については都も合意しているものです。
それでは、この景気スライド条項の内容について明らかにしていただきたいと思います。
○鈴木市街地整備部長 いわゆる景気スライド条項でございますが、特定建築者との敷地譲渡契約におきまして、市況が回復した場合に敷地譲渡金額を増額変更する条項でございまして、平成二十一年四月に特定建築者と確認した敷地譲渡金額の変更に係る算定基準に基づきまして、保留床完売後に協議して確定するというものでございます。
○大島委員 それはその条項の中身なんですけれども、分譲の収入金額とか販売経費などを確認した上で協議を行ったということですから、その内容について詳細は出せないのでしょうか。
○鈴木市街地整備部長 具体的な中身についてはお出しできません。
○大島委員 具体的な率とか金額などについては、特定建築者の事業活動情報なども含まれているということで答えられないといっているんでしょうけれども、東京都はこれまで、民間を活用すれば効率的であるかのようにいってきました。
しかし、こういう肝心のところでは、企業秘密とか企業を守るという立場で、その内容も都民の前に明らかにできない。一体どのような契約だったのかはベールに包まれたままではありませんか。
保留床は、平均坪単価三百万円台前後で売り出されたといわれています。保留床の専有面積はおよそ一万坪ですから、約三百億円台前半の売り上げになります。権利床等の整備費、これは百九億円から、保留床部分の工事費は、高くても約二百十億円程度と類推されますから、利益は差し引きで百億円前後と思われます。
一方、敷地代は、特定建築者のいい値で値引きされて十九億円で買われたのですから、宣伝費やその他の経費、保留床の値引きなどを考慮しても、最終的な特定建築者の利益は数十億円から百億円を超えるということもあり得るという莫大なものになっているのではないでしょうか。スライド条項を適用したといっても、収納したのは五億円程度ですから、余りにも少な過ぎるのではないでしょうか。
敷地代十九億円について、都は、応募者が提案した敷地価格が厳しい不動産市況を反映した価格であると推測したと説明をされておりましたが、同じ大橋地区内に先行して建てられた再開発ビル、プリズムタワー、これが坪単価で四百万円台前半で売り出されたことからしても、クロスエアタワーの保留床、百九十億円が十分の一の十九億円になってしまうような劇的な値崩れの算定は、今日的に見て都として妥当だったのでしょうか。
劇的な値崩れすることもなかった特定建築者の保留床による利益は莫大なものになっており、十分に不動産価格が確保された以上、五億円などといわずに、企業の社会的責任にふさわしい追加をさらに求めるべきと思います。
それでは、これまでの努力によって回復できなかった収支の赤字分、どのように解決されるのか伺います。
○鈴木市街地整備部長 他の二地区で予定を上回る敷地処分収益を確保しておりまして、企業会計全体の収支は堅調な状況であることから、大橋地区の収支不足額は公営企業会計内で処理いたしました。
○大島委員 他の二地区では黒字なので、全体の公営企業会計の中でその赤字分を吸収できるというふうに答弁されましたけれども、私、先ほど述べましたように、企業から、五億円などといわずに、莫大な利益を上げているのですから、社会的責任にふさわしい追加をさらに都として求めるべきではないかと思います。
第二種再開発は、先ほども述べたとおり、土地収用法適用事業として強制買収が伴うものです。そのため、都市計画法第七十四条では、都市計画事業のために土地を手放すこととなる者の生活上の不安を軽減し、事業に協力しやすくするため、通常の補填のほかに、申し出があれば生活再建のための措置を講ずるよう努めるべきことが、施行者に義務づけられております。
第二種再開発は、この条項が無条件で適用されます。これは、大橋地区を初めとする、北新宿、環状二号線新橋・虎ノ門地区の三地区の事業においても同様の第二種再開発事業で行われておりますので、それぞれの地区において、この七十四条はどのように対応されたのかお伺いいたします。
○鈴木市街地整備部長 再開発施行区域内の地権者や借家人は、第二種再開発事業におきましても、みずからの選択により、区域内に残ることも、転出することも、制度上可能でございます。
都施行の三地区におきまして、これら地権者や借家人の方々の生活再建が円滑に進むよう、さまざまな対応を行ってまいりました。入居する地権者の方に対しましては、所有する資産で従前の居住、または営業面積が確保できない場合、権利床並みの価格で従前の面積まで取得できるよう配慮いたしました。
また、それぞれのご希望によりまして、ふやした床の支払いにつきましては、最長十年間の分割払い制度も設けました。
また、転出する地権者の皆様に対しましては、代替地のあっせんや移転先に関する不動産情報の提供、移転資金の貸し付けなどを行うとともに、住宅等に困窮する借家人の方々に対しましては、あいている再開発住宅や都営住宅等のあっせん、周辺の賃貸物件の情報提供など、きめ細かな対応をいたしました。
○大島委員 それでは、大橋地区、北新宿地区、環状二号線新橋・虎ノ門地区における事業計画決定時点のそれぞれの従前の地権者、借家人の人数と地区内に残った人数を教えていただきます。
○鈴木市街地整備部長 三地区それぞれの地区におけます事業計画決定時点の地権者、借家人の方々の人数と地区内に残られた方々の人数でございますが、まず北新宿地区では、地権者百七十三人、借家人二百二十一人、このうち入居された地権者六十四人、借家人一人でございます。
次に、環状第二号線新橋・虎ノ門地区では、地権者四百五十八人、借家人四百八十四人、このうち入居された地権者が百七人、借家人が六人でございます。
最後に、大橋地区でございますが、地権者百八十一人、借家人百六十五人、このうち入居された地権者が八十六人、借家人が一人でございます。
○大島委員 東京都の再開発事務所が出しております事業概要を私、見てみました。それを見ると、北新宿地区では、都市計画決定時点で権利者数百九十三人、借家人が二百八十七人、合計四百八十人いました。
環状二号線新橋・虎ノ門地区では、平成十三年十二月時点で権利者数は四百五十八人、借家人は四百八十四人で、合計九百四十二人。
大橋地区では、都市計画決定時の平成十六年一月には権利者二百二十三人、借家人三百二十六人、合計五百四十九人が住んでいました。
今ご答弁のあった事業計画決定時点で、この数を比較してみますと、北新宿地区では、権利者で二十人減り、借家人では六十六人減っていて、さらに入居して残った方は六十五人ですから、四百十五人が地区外に移転せざるを得なかったということになります。
同時に、新橋・虎ノ門地区では、これは同数ですが、八百二十九人がまだ入居できていません。
大橋地区では、権利者は四十二人減り、借家人は百六十一人、半数に減っています。八十七人が入居していますが、四百六十二人が地区外に移転しているという状況です。
多くの方が住み続けられないというこの現状があります。これをしっかりと見る必要があると思います。特に借家人の方たちのその後の状況が心配です。
同じ都施行の第二種市街地再開発事業として行いました白鬚西地区では、住宅建設目標四千五百戸のうち千百七十五戸の公営賃貸住宅を地区内に建設し、この事業によって住宅に困窮する借家人を初め権利床取得が困難な住民へこれらの住宅への入居をあっせんし、最終的には八百六十九戸の地元権利者が入居しています。
また、商売や工場を継続できるようにと、権利床だけでなく東京都の商業や工業の賃貸床も数多く用意しました。入居から二十数年たった今でも、操業を継続している工場が幾つもあります。
第二種市街地再開発事業は、高度の公共性を有することを理由として土地収用法が適用され、強制買収を伴いますが、その一方で、都市計画法第七十四条の生活再建措置の規定も無条件で適用されるのです。
ですから、都もかつては、白鬚西地区のように住民と協議を重ね、必要な資金投入も行って、地域の住生活、コミュニティ、産業を継承、発展させながら、まちづくりを進める努力をしてきたのではありませんか。
ディベロッパーや大手ゼネコンなど開発業者には、赤字を出しても他の事業で穴埋めして手厚く支援しながら、地域住民や経営の生活や営業再建には冷たい、こういうやり方を改めて、いま一度かつての姿勢に立ち戻ることを強く求めて質問を終わります。
○松村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○松村委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十五年度東京都病院会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中野経営企画部長 去る十月十日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、都立病院における経営指標の推移から、8、平成二十五年度における都立病院の災害対策関連経費までの八点でございます。
資料番号1から資料番号5までと資料番号7につきましては平成二十一年度から二十五年度までの五カ年の推移を、資料番号6につきましては平成二十三年度から平成二十五年度までの三カ年の推移を、資料番号8につきましては平成二十五年度の実績をお示ししております。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
都立病院における経営指標の推移を入院、外来別に記載してございます。
二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費につきまして、その推移を記載してございます。
三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載してございます。
四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載してございます。
五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移につきまして、病院別に記載してございます。
六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移でございます。
各年度の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移について、病院別に記載してございます。
七ページをごらんください。7、各都立病院の薬剤師の定数及び現員の推移でございます。
薬剤師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載してございます。
八ページをお開き願います。8、平成二十五年度における都立病院の災害対策関連経費でございます。
昨年度、都立病院の災害対策に要した経費を種別に記載してございます。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○松村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○桜井委員 それでは、平成二十五年度東京都病院会計決算について、私の方から質問をさせていただきます。
国は、平成二十四年二月に閣議決定されました社会保障・税一体改革に基づきまして、医療サービス提供体制の制度改革として、急性期病床の位置づけを明確化して、医療資源の集中投入による機能強化を図るなど、病院病床機能の役割分担と連携を推進しております。
団塊の世代が後期高齢者となるいわゆる二〇二五年問題に向けて、二年ごとに実施される診療報酬改定と、五年ごとに実施される保健医療計画の見直しにより、その実現を目指していくこととしております。
都立病院はこれまで、医療機能の集約化や周産期医療の充実、救急医療、精神科医療等の強化を図ってきており、また、平成二十五年三月には、新たに都立病院改革推進プランを策定し、二〇二五年問題に備えた取り組みも始めていると聞いております。
今後、さらに医療環境が急激に変化していく中では、何よりもまず安定した経営基盤のもとで、病院運営が必要であると考えます。
そこで、平成二十五年度における決算状況について、何点かこれから伺わさせていただきたいと思います。
まず、都立病院の経営指標の一つである自己収支比率について、二十五年度決算における実績と過去五年間の収支状況について最初にお伺いいたします。
○中野経営企画部長 自己収支比率でございますが、一般会計繰入金を除いた診療収益などの収益と経常的な費用との割合でございまして、病院会計の自律性を見る上で重要な経営指標の一つでございます。
平成二十五年度決算におきましては、七六・三%となりました。これは、地方公営企業法適用以来過去最高の自己収支比率でございました。
過去五年間の推移でございますが、平成二十一年度における都立病院全体の自己収支比率は六七・〇%でございましたが、平成二十二年度には六九・三%、二十三年度七二・六%、二十四年度七五・二%となりまして、平成二十一年度以降、自己収支比率は毎年度改善しております。
これは、平成二十一年度につきましては、旧府中病院などの移転に伴う再編整備の影響が大きく反映いたしまして、自己収支比率が七○%を割り込んでおりましたが、二十二年度以降につきましては、再編整備による病院の改修、改築工事が順次完了いたしまして、患者数が増加傾向となったことや、診療報酬改定などにより自己収支比率が向上する結果となったものでございます。
○桜井委員 今の答弁にもありましたが、自己収支比率は過去最高の結果だということでありますが、都立病院ではそれぞれ経営改善にも取り組んでいるというふうに思います。
そこで、平成二十五年度決算においては、どのような経営改善に取り組んできたのかお伺いいたします。
○中野経営企画部長 平成二十五年度におきましては、これまでの経営改善策を継続的に実施しながら、収益向上などに努めております。
具体的には、専従の看護師を配置いたしまして、褥瘡ハイリスク患者ケア加算を取得したほか、一般病棟入院基本料を一部見直しまして、小児入院医療管理料を届け出るなど、新たな施設基準を取得して収益力の強化を図っております。
また、後発医薬品などの採用拡大により費用の縮減に努めているほか、未収金の確実な回収を図るため、非常勤職員を増員するなど、さらなる取り組み強化を実施しているところでございます。
○桜井委員 収支が改善してきたことがおおむね確認できましたが、それでも自己収支比率が七六・三%ということは、その不足分を一般会計から繰入金で補っているということになると思います。
一般会計からの繰入金を減少させるということも安定的な経営基盤を目指す上で必要だろうというふうに考えます。
そこで、一般会計繰入金についてどのような考え方で受け入れているのか、また、前年度決算と比べどうだったのかお伺いいたします。
○中野経営企画部長 一般会計繰入金でございますが、地方公営企業法に基づき受け入れているものでございまして、感染症医療、精神医療など、公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費、つまり本来、一般行政が負担すべき業務を企業が肩がわりしているような場合の医療に係る経費について繰り入れているほか、がん医療や周産期医療など、公営企業の性質上、能率的な経営を行ってもなお、その経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められる経費について繰り入れを行っております。
平成二十五年度の収益的収支における一般会計からの繰入金は三百九十億五千五百二十一万円で、前年度と比較して八億三千四百八十六万円、率にして二・一%の減となりました。
この主な要因としましては、入院収益で病床利用率の向上や手術件数の増加などにより、前年度比で十億五千七百二十三万円増収となったことや、外来収益でも患者の増加に加え、投薬、注射収益などの増により、前年度比で十億三千八百四十二万円増となったことが影響しているほか、松沢病院において改築整備後、入院、外来患者の増加による収支改善が大きかったことなどが影響しているものと考えるところでございます。
○桜井委員 一般会計繰入金は、都立病院において、民間等では対応困難な不採算な医療などを中心に、都民に提供するという役割を担っているからこそ、一般会計に相応の負担を求めているものであると私も認識いたしております。
引き続き経営改善に努め、安定した経営基盤のもとで病院経営を行っていただきたいとお願い申し上げます。
次に、冒頭で申し上げたように、都立病院はこれまで、二〇二五年問題に備え、医療機能の集約化や周産期医療の充実、救急医療、精神科医療等の強化を図ってきているとのことでありますが、その一環として、平成二十五年度の決算の概要説明において本部長より、墨東病院における感染症管理体制の強化や東京ERの強化、また、広尾病院における災害に備えた体制強化について説明がありました。
墨東病院の整備につきまして、私も第一回定例会でも質問いたしましたが、また、本年五月に行われた新館の開棟式にも出席しまして、改めてその内容について確認したいと思います。
一点目は、感染症管理体制の強化であります。
西アフリカで、ただいま大変マスコミ等でも報じられておりますが、猛威を振るうエボラ出血熱の感染者は今月に入り八千人を超え、アメリカ国内でも初の感染者が発生するなど、さらなる感染拡大が懸念されております。また、国内ではデング熱が発生し、海外渡航歴がない方の感染が確認されました。
都では、蚊媒介感染症対策会議を開催して、国においても予防指針を来年三月までに策定することを決めるなど、対策に取り組んでおります。
さらに、地域に目を向けると、新型インフルエンザへの対応もまた焦眉の課題であります。区東部保健医療圏は、二〇〇九年に新型インフルエンザの集団感染が多数発生した際、都内十三の保健医療圏の中で患者数が最大でありました。
あらゆる感染症の脅威が迫る中、区部の広域基幹病院であり、感染症指定医療機関である墨東病院に寄せられる期待は極めて大きいと思います。
今回の整備は、地域の医療課題を解決するために実施された東京都地域医療再生計画に基づき行われたと聞いております。新館が整備されたことにより、墨東病院の感染症の管理体制がどのように強化されたのかお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 区東部保健医療圏は、人口当たりの病院数が全国平均を下回っておりまして、感染症に対応できる医療機関が不足していることから、墨東病院におきまして、地域医療再生計画に基づき約二十億円の交付金を受けて、感染症診療機能に関する施設整備を行ったところでございます。
具体的には、他の病棟や外来から独立して対応することが可能な感染症外来を設置したほか、エボラ出血熱やSARS等の患者を受け入れる第一種感染症病床を二床、第二種感染症病床は八床整備するとともに、これらの感染症指定病床を補完する緊急対応病床などを整備したところでございます。
今回の整備におきまして、空調など最新の設備が導入されたことにより、万が一、一類及び二類感染症が都内で発生した場合でも、これまで以上に迅速かつ安全に患者の受け入れを行うことが可能となっております。
さらに、新型インフルエンザなど流行時には、国内発生期、都内発生期といった発生段階に応じて、臨時的に感染症病床に転用できるスペースも確保しております。
○桜井委員 感染症医療はまさに行政的医療であります。一昨日には、墨東病院において、エボラ出血熱を初めとする一類感染症の受け入れなどに関する研修が国立国際医療研究センターとの連携によって行われたというふうに聞いております。
新たな設備と医師、看護師等、病院職員の備えもあわせて、これからも墨東病院が感染症指定医療機関としての役割を十分に果たすことを強く期待したいというふうに思います。
二点目は、東京ERの機能の強化についてであります。
高齢化に伴う合併症を有する患者や重症患者が増加する一方、救急告示医療機関が減少しており、さらなる救急医療の充実強化が今日求められております。
東京ERでは、初期から三次までの患者を二十四時間三百六十五日絶え間なく受け入れをされております。特に、区東部保健医療圏で唯一の救命救急センターが設置され、最後のとりでとして多くの救急患者を受け入れている東京ER・墨東の拡充が待たれていたところであります。
第一回定例会でも聞きましたが、決算特別委員会に当たり、具体的にどのような機能強化が図られたのか改めてお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 東京ER・墨東の機能強化についてでございますが、増加する救急患者の救命率の向上を図るため、患者に対する看護師の配置が二対一となる救命救急特定集中治療病床を六床から十二床に増設するとともに、重症熱傷に対応する水治療室の機能強化を図っております。
また、CT検査と血管撮影が同室で行えるIVRCTシステムを配置し、検査から診断、処置に至るまで、重症患者を移動させることなく、迅速に診察することが可能となっております。
さらに、急性脳血管障害、心筋梗塞、一酸化炭素中毒などの患者に対し、大気圧よりも高い気圧環境の中で、高濃度の酸素を吸入させることによりまして、血液循環を促進させて治療を行う高気圧酸素治療室を新設しております。
適用が想定される患者数でございますが、過去の実績から、IVRシステムは年間六百五十人、高気圧酸素治療室は六百二十人程度と見込んでおります。
○桜井委員 私も開棟式の際にIVR-CTシステム、それから高気圧酸素治療室を見させていただきました。最新の医療機械の性能もさることながら、新館一階の救急車の入り口から初期診療室、さらには四階の救命救急センターに直結する大型のエレベーターなど、迅速に重症患者を搬送できる機能的な施設配置にも大変感心いたしたところであります。
今回の墨東病院の整備は、平成二十三年度から始まりまして、平成二十七年度まで長期にわたって行われると聞いております。整備に係る工事費用と今後の整備内容についてお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 今回の整備では、平成二十三年度から二十五年度にかけて新館の建設を行うとともに、診療棟から新館に救命救急センターなどが移転した後のスペースに、二十七年度までにユニット系治療室を整備する計画となっております。
工事費用は、二十五年度までの実績で約五十二億円、二十六年度から二十七年度にかけては、計画額で約三十七億円を見込んでおります。
今回の具体的な整備内容でございますが、高度な治療を行う脳卒中集中治療室を六床、ハイケアユニットを二十床整備するとともに、心疾患集中治療室を三床から六床に増床いたします。
これらのユニット系治療室につきましては、診療棟の四階にございます手術部門とワンフロアでつなぐことにより、重症患者のスムーズな移動を確保いたしました。
○桜井委員 ただいまの答弁を伺いまして、長期間にわたり大変大きな規模で行われていることを理解いたしました。工事の完了まで、患者や地域の皆様、工事関係者の安全にくれぐれも配慮しながら、計画的に進めていただきたいと思います。
本年第二回定例会におきまして、舛添知事は我が党の代表質問に際しまして、墨東病院が高度救命救急センターの指定を目指していくとの決意を述べられたわけでありますが、その大きな目標に向かって、これからも一人でも多くの命を救うための最善の努力を着実に積み重ねていただくことを期待いたしております。
次に、広尾病院の災害対応力の強化についてお伺いいたします。
東京都では、東日本大震災以降、災害に強い首都東京の実現に向けた緊急対策事業を実施してまいりました。都立病院においても、大震災の教訓を踏まえて、発災後も病院機能を継続させるために必要なライフラインの拡充を図ってこられたと思います。
ただいま尋ねました墨東病院においても、今回の整備にあわせ、停電時に三日分の電力を確保するための非常用発電の増強や、浸水時にも貯水量を確保するための給水ルートの複線化を行うなど、災害対応力の強化が図られたと聞いております。
都立病院は、墨東病院を含む七病院が災害拠点病院に指定されておりますが、その中でも広尾病院は救命救急センターを有し、災害医療においても中心的な役割を担う基幹災害拠点病院であります。
広尾病院では、ライフライン拡充策としてガス常用発電機を導入したと聞いておりますが、具体的にはどのような整備を行ったのかお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 広尾病院では、電力の多様化、分散化を図るため、平成二十五年十二月に緊急対策の一環といたしまして、耐震性の高い中圧ガス管から供給される都市ガスを燃料とする常用発電機を導入したところでございます。
総事業費は約五億三千万円で、国の分散型電源導入促進事業として約一億七千万円の補助金を受けて実施したものでございます。
災害時に商用電力の供給が途絶えた場合でも、これまでの重油を燃料といたします非常用発電機に加え、このガス常用発電機を活用することにより、これまで以上に傷病者の受け入れや救急医療などの診療機能を継続することが可能となっております。
○桜井委員 発災後、速やかに傷病者を受け入れて必要な診療を行うこと、救急患者や急性期の患者に切れ目なく医療を提供することは、災害時に中心的な役割を果たす基幹災害拠点病院として特に必要なことであると思います。
それらを可能とするために整備されたガス常用発電機は、災害時の備えという意味では大変有意義である一方、導入費用も多額に上ることから、その費用対効果についても十分考慮されていかなければならないと考えます。
そこで、広尾病院のガス常用発電機の導入効果をどのように認識しているのかお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 このガス常用発電機は、コージェネレーションシステムとして導入しておりまして、平常時にも商用電力との適切な併用運転を行うことにより、コスト削減と省エネルギー対策を同時に実現することが可能となっております。
具体的には、必要な電力量の二五%をガスによる自家発電によって賄うとともに、発電によって生じた廃熱を給湯や冷暖房などに利用することにより、年間、光熱費の総額は約一千五百万円、エネルギー消費量は一五%程度削減できる計画となっております。
ガスコージェネレーションは、現在、広尾病院など四つの都立病院に導入されておりますが、今後はその稼働状況を検証した上で、施設整備の更新時などにあわせて他の都立病院への導入を検討してまいります。
○桜井委員 ことしの冬は、電力の安定供給に最低限必要な余力が確保できるという見通しが政府によって示されたようでありますが、電力の需給は中長期的に見れば全く予断を許されない状況であると思います。引き続き、省エネや節電に資する取り組みをお願いしたいと思います。
先日、舛添知事と我が党の村上幹事長が広尾病院を訪れまして、NBC災害訓練の様子やガス常用発電機の稼働状況などを視察されました。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを控え、救急災害医療の拠点としての広尾病院の役割を改めて認識されたようであったと思います。
東京を世界で一番の都市にするために、都民の命と健康を守る都立病院の役割に引き続き期待をいたしまして、私からの質問を終わらさせていただきます。
○まつば委員 初めに、周産期、小児医療について質疑させていただきます。
私は、チルドレンファーストを掲げまして、一貫して子育て支援の充実について都に求めてまいりました。
都議会公明党におきましても、少子社会対策プロジェクトチームを立ち上げまして、先月、九月一日には、安心して産み育てられる東京にと題する第一次提言の申し入れを都に対し行ったところであります。
その中でも触れておりますが、若い世代全体が抱えている不安要因を取り除き、子育てしやすい社会の仕組みづくりを今後の政策、施策の軸に据えていく必要があると考えております。
特に産科、小児科医院の減少傾向が続いている中にありまして、安心して出産、子育てができる環境の整備が不可欠であり、周産期及び小児医療の充実が大変に重要であります。
都立病院では、ハイリスクな妊産婦、新生児の搬送受け入れ体制を充実するとともに、小児重症患者への対応力を強化するなど、周産期、小児医療を重点施策としております。
子育てをする家庭にとりまして、身近な地域に頼れる小児科があることは大変安心できることであると同時に、高度な小児専門医療を展開する病院の存在も欠かせないわけであります。
そこで、都における小児医療の拠点として、開設から四年が経過した小児総合医療センターの取り組み実績について何点か質問いたします。
小児総合医療センターでは、東京ER・多摩小児において、三百六十五日二十四時間体制の総合的な救急医療を提供しております。
また、救命治療が必要な小児重篤患者を受け入れるこども救命センターにも指定されておりまして、多摩地域における小児救急の拠点となっております。
そして、多摩総合医療センターと一体となって、多摩地区の総合周産期母子医療センターとしての役割を担い、NICUを必要とする新生児への高度な医療を提供しております。
そこで初めに、平成二十五年度における小児総合医療センターの救急医療と周産期医療の実績についてお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 小児総合医療センターの救急医療における実績についてでございますが、東京ER・多摩小児の救急患者数は三万八千四十四人、一日当たり百四・二人となっておりまして、前年度対比一・八%の増加でございました。
そのうち救急車による搬送は三千四百三人で、前年度と比べ四・四%の増加となっております。
また、小児の重篤患者を受け入れるこども救命センターとしての搬送実績でございますが、百三十一件でございまして、これは都内発生件数の約四分の一に当たるとともに、多摩地域に限定いたしますと、発生件数の約七割を受け入れたこととなります。
また、多摩総合医療センターと一体で運営しております総合周産期母子医療センターの実績といたしましては、NICUの病床利用率が九九・八%となっております。
そうしたことから、平成二十五年度に新たな取り組みとして、NICUからの円滑な退院に向けた支援を図るため、NICU入院児支援コーディネーターとして看護師一名を配置し、人工呼吸器の管理や福祉サービスの紹介など、医学的、社会的側面から在宅への移行に向けた家族支援を行っております。
○まつば委員 ただいまのご説明から、救急医療につきましても、また、周産期医療につきましても、ともに利用者は多く、小児総合医療センターが都の小児医療の拠点として運営されていることを確認させていただきました。
また、二十五年度からの新たな取り組みといたしまして、NICU入院児支援コーディネーターを配置し、家族支援を始めたとのことであります。
医療の発達により、今ではわずか五百グラムに満たない小さな命も救えるようになりました。その一方で、退院後も医療的なケアを継続的に必要とするケースもふえていると聞きます。家族のもとで小さな命が力強く育まれていくよう、家族支援の取り組みも引き続きお願いしたいと思います。
我が党では、小児総合医療センターの開設に当たりまして、多摩地域の周産期、小児医療体制を確保するため、都に対しドクターカーの配備の強化などを要望した経緯があります。
現在、小児総合医療センターでは、旧八王子小児病院から移転配備された新生児ドクターカーと追加配備された小児用ドクターカーの合わせて二台体制で、多摩地域全域の医療機関との連携において活用が図られていると聞いております。
そこで、小児総合医療センターが運用するドクターカーの稼働状況についてお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 小児総合医療センターは、多摩地域の周産期医療、小児医療を支える拠点病院といたしまして、新生児用及び新生児にも対応できる小児用の二台のドクターカーを備えております。
平成二十五年度のドクターカーの出動件数は合計で五百六十五件でございまして、平均すると一日当たり一・五件の出動となっております。出動件数の約六六%が新生児の搬送でございます。
搬送元を区市町村別に見ますと、八王子市が七十一件、立川市が三十六件など多摩地域からの搬送が全体の七割を占めておりますが、近隣の県の医療機関が搬送元となるケースも二十三件発生しておりまして、中には静岡県から小児総合医療センターに搬送された事例もあるなど、地域医療機関と小児医療の基幹病院を結ぶネットワーク構築に貢献しております。
○まつば委員 ただいまのご答弁で、ドクターカーは稼働率も高く、新生児及び小児救急搬送において、ますます重要な役割を果たしていることがわかりました。
限られた小児医療資源の中で、医療機関同士がネットワークを充実させることにより、多くの患者さんが適切な医療を受けられるよう、引き続きドクターカーを活用していただきたいというふうに思います。
さて、先月、iPS細胞からつくられた網膜細胞の移植手術が成功したとの報道がありましたが、医学の進歩は目覚ましいものがあります。
質の高い医療を都民に提供するためには、都立病院においても臨床研究体制を整備し、新たな治療技術の開発につなげていくことが重要だと考えます。
平成二十五年三月に策定された都立病院改革推進プランでは、小児総合医療センターにおいて、臨床研究支援のための体制を充実するとの記載がありますが、取り組み状況はどうなっているのかお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 小児総合医療センターでは、高度で専門性の高い医療を提供するとともに、臨床研究や新薬開発のための治験などに取り組んでおります。
より公正で透明性の高い臨床データの管理体制を構築し、精度の高い臨床研究の推進を図るため、平成二十五年四月に医師、CRCと呼ばれる臨床研究コーディネーター、データマネジャー、生物統計家など、専門性の高い人材で構成される臨床研究支援センターを開設したところでございます。
同センターにおきましては、院内の各部門の治験と臨床研究を支援するとともに、他施設共同研究においても計画立案や統計の相談に応じるなど、院内はもとより、外部施設の研究支援も行っております。
平成二十五年度においては、研究倫理の教育と啓発を目的とした臨床研究講座を八回開催し、CRC及びデータマネジャーによる臨床研究支援を二十四回実施いたしました。
今後とも、臨床研究支援センターを最大限活用し、研究成果から新たな診断方法や治療方法の開発につながるよう、臨床研究にも積極的に取り組んでまいります。
○まつば委員 今後とも、小児医療の発展のために、小児総合医療センターに集積された貴重な症例をもとに、臨床研究にも力を入れていただけるようにお願いをいたします。
また、患者さんの支援といたしまして、HPS、ホスピタル・プレー・スペシャリストという小児医療の中で遊びを効果的に活用し、病児や障害児とその家族を支援する専門職がございますけれども、その活用も大切であるというふうに思っております。
この専門職は、イギリスで一九六〇年代に始まったものであります。同様の専門職で、CLS、チャイルド・ライフ・スペシャリストというのがあります。
都議会公明党では、このHPS養成講座を全国で唯一行っている静岡県立大学短期大学部及びHPSが実際に活躍している病院のプレールームを視察しております。子供の不安を軽減し、医療体験をプラスに転じるために役割を果たす、大変によい取り組みだと聞いております。
都立小児総合医療センターでも、このHPS、ホスピタル・プレー・スペシャリストの資格を持った方が既に二十五年度以前からお一人いらっしゃると聞いております。今後も、HPSの活用も進めていただけるよう要望させていただきます。
次に、認知症医療の取り組みについてお伺いいたします。
都の推計によれば、何らかの認知症症状を有する人は、現在都内で約三十八万人おられ、十一年後の二〇二五年には約六十万人、実に高齢者人口の約二割まで急増するとされております。
認知症患者さんへの医療と介護の連携による対応は喫緊の課題となっております。そのため都では、平成二十四年四月には認知症疾患医療センターを都内十二カ所、指定し運用を開始するなど、さまざまな対策を進めております。
私の地元杉並区にある認知症疾患医療センター、浴風会病院では、診断を初め専門相談やアウトリーチなど、地域における医療と介護の連携づくりなど、さまざまな取り組みを行っております。
一方、浴風会病院においては、認知症の専門医療を行う入院病棟がないため、都立松沢病院に入院を依頼することがあると聞いておりまして、松沢病院が都内全域を対象に専門性の高い入院医療を提供していることを認識しております。
第二回定例会一般質問でも、私は、松沢病院の認知症医療について質問したところでございますが、今回、決算に関する質疑でありますので、平成二十五年度における松沢病院の認知症医療の実績と具体的な取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
初めに、松沢病院の認知症病棟の平成二十五年度の運営状況についてお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 松沢病院の認知症病棟は、現在、七十七床の病床を確保しておりまして、暴力、幻覚などの行動、心理症状の強い患者さんや身体疾患を併発している患者さんを対象といたしまして、専門性の高い入院治療を行っております。
他の認知症疾患医療センター等からも、急性期症状が激しくなった患者さんの転院を受け入れており、都における精神科医療の拠点としての役割を担っております。
平成二十五年度の新規入院患者数は、前年度の二百三十八人を大幅に上回りまして三百三十四人となっております。病床利用率は九三・一%で、前年度より八・〇ポイントの上昇となりまして、平成二十四年五月に新しい本館診療棟を開設以来、順調な運営を行っております。
一方、さらなる医療の質の向上を図るため、平成二十五年度には認知症病棟において、医療、看護、法律分野の専門家による評価を実施し、精神障害のある方の人権を尊重したより高いレベルでの患者中心の医療、看護の実践に努めております。
○まつば委員 入院患者さんが増加しているということがわかりましたけれども、認知症医療に対する松沢病院の役割が大変に大きいということを物語っているというふうに思います。引き続き、都全域を対象に適切な入院治療が行える体制の強化をお願いしたいと思います。
ところで、松沢病院には、認知症疾患医療センターとして、地域の医療機関、地域包括支援センター、区、保健所など関係機関のネットワークづくりなど、地域連携の推進という役割もあります。
そこで、松沢病院ではどのように地域連携に取り組んでいるのかお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 松沢病院では、認知症疾患医療センターの担当圏域である区西南部保健医療圏を対象といたしまして、地区医師会や区の所管部署、各区の家族会の代表等が参加する認知症疾患医療・介護連携協議会を開催しております。
平成二十五年度は、顔の見える関係づくりに向けまして、新たに事例検討会を主催するなど、連携強化に努めております。
さらに、同年度には、圏域内の地域包括支援センターや地区医師会、住民等を対象とする研修会を十五回、自治体等が開催する研修会等への講師派遣などを二十四回行いまして、地域の人材育成にも努めております。
○まつば委員 認知症患者さんが住みなれた地域で安心して暮らすためには、関係機関が密接に連携することが必要であります。そのため松沢病院には、連携体制の構築に向けて中心的役割を担っていただきたいというふうに思います。
最後に、ご家族の支援についてお伺いいたします。
認知症の方が退院して自宅に戻られた場合、家族に支えられて生活を送られることになりますが、患者さんから目が離せない認知症の介護につきましては、家族の方々にとって、身体的にも精神的にも大きな負担ともいえる状況であると、私もさまざまご相談をお受けする中で感じております。
家族の方々は、日々さまざまな不安を感じながら、認知症の方の介護を行っているのが現実であり、そうした家族の不安を解消する取り組みも非常に重要であります。
そこで、家族等からの認知症に関する相談にも対応する専門医療相談など、家族を支援する取り組みについてお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 認知症患者の方を介護されておりますご家族に対して、専門的な支援を提供することは大変重要なことだと考えております。
松沢病院では、医師、精神保健福祉士、保健師で構成された社会復帰支援室において、電話、面談等による専門医療相談を実施しておりまして、平成二十五年度の相談件数は一万三千三百九十五件で、都内に十二カ所ある認知症疾患医療センターの中で最も多くの相談を受けております。
そのほかにも、患者さんご本人が受診を拒む場合に、家族のみが来院し、専門医の相談を受ける専門医による物忘れ家族相談を実施しており、平成二十五年度の相談実績は三十六件となっております。
また、介護を行っておりますご家族等に対しまして、認知症の一般的医学情報や対応方法、社会資源について情報を提供する物忘れ家族教室や認知症患者家族会を開催しております。
今後もさまざまな側面から家族の支援に取り組んでまいります。
○まつば委員 冒頭に申し上げましたけれども、松沢病院は専門性の高い、ある意味では深刻な症状で入院治療が不可欠な患者さんを受け入れていただいております。
そうした患者さんも急性期症状が治まれば退院されることになりますが、ご家族の支援について、今の質疑でも充実を図っていただいていることがわかりましたけれども、引き続きしっかり家族支援に取り組んでいただくことをお願いいたします。
ただ、どうしても自宅に戻ることができない事情、状況の方もいらっしゃるということもあります。大変に困っていらっしゃる、そうしたご相談も、私もお受けしたりすることもございます。
病院経営本部の所管ではないことではありますけれども、退院後の多様な受け入れ施設の拡充というのを図っていくことも大事であるというふうに思っておりまして、退院後の受け入れ施設の課題について、私も問題意識を持っております。
認知症患者さんは、今後増加していくことが予測されております。認知症の患者さんの早期発見、早期治療、また入院治療、施設の問題、家族支援等に至るまで、認知症患者さんを支える取り組みを都庁挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っております。
その認知症医療の中心拠点として、都全域を対象とした精神科専門病院である松沢病院におきましては、引き続き認知症医療に対する取り組みの充実を図り、都民に信頼される医療の提供を推進していただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。
○大島委員 私は、まず最初に、病院の清掃委託についてお伺いしていきます。
病院の清掃委託の目的には、建物及び附帯設備の安全維持並びに良好な環境の保持を計画的かつ適正に管理することにより、病院の円滑な運営を図ると書かれています。
都民に医療サービスを提供する場で作業するわけですから、一般的なオフィスビルの清掃などと比較いたしますと、院内感染を避けるための細心の注意とか、患者さんへの気遣いなどが必要な業務であると思います。
現在、清掃業務の委託を行っているのは墨東病院のみと聞きますが、契約方法及び二〇一三年度の契約金額についてお伺いいたします。
○野瀬サービス推進部長 墨東病院における建物清掃委託業務については、一般競争入札で行っており、平成二十五年度、二〇一三年度の契約金額は一億一千九十二万四千百円でございました。
○大島委員 清掃業務委託を単独で行っているのは墨東病院のみなんですね。契約は、今、ご答弁ありましたように、毎年、一年契約の一般競争入札が行われています。
入札に当たって、入札参加者には仕様書というのが渡されるんですね。私もいただきましたけれども、何かすごい厚い資料なんです。この仕様書に基づいて入札されるということなんですが、現場を見ることも、直接の説明会とかもないままで、この紙だけで入札金額を決めて入札するということです。
経年で契約金額を見てみますと、二〇一二年度の契約金額は六千七百二十万円、二〇一一年度は一億四千四百九十万円、ここに倍の開きがあるんですね。そして、二〇一三年度は、先ほどご答弁ありましたように一億一千九十二万円、二〇一四年度は七千六百六十八万円で、ここもかなりの開きがあるんです。
こうして毎年請け負う業者が変わっています。二〇一〇年度までは、同じ業者が大体一億五千万円前後で契約してきたようですが、業者が毎年変わるだけでなくて、年ごとの契約金額に大きな差があるということが気になりますし、かなりのダンピングが行われているんではないかということも聞いています。
こうした状況で病院の良好な環境の保持に支障はないのでしょうか。
○野瀬サービス推進部長 東京都の契約制度では、工事または製造請負契約で最低制限価格を設定できるとされておりますが、委託契約では最低制限価格の制度はなく、仕様書で定めている業務水準を確保しつつ、競争原理に基づく経済性を最大限発揮する入札方式を採用しております。
契約金額は、各年度における東京都の契約制度にのっとった適正な入札手続の結果であります。清掃業務が仕様書どおりに適切に履行されていることを確認しており、清潔で衛生的な病院の環境については良好に保たれているものと考えております。
○大島委員 最低制限価格がないということなので、入札でこの業務をとろうとすれば、だんだん安い金額になっていくと。もちろんそれでやっても、仕様書どおりに清掃が行われていかなければならないというのは当然のことですよね。
しかし、この仕様書を見ますと、仕様書には受託者の責務というのがあるんですけれども、そこには医療法、労働基準法及びその他関係法令を遵守するとあるんです。
契約業者のもとで働く清掃スタッフの賃金や労働条件など、労働環境について確認しているんでしょうか。
○野瀬サービス推進部長 都と清掃スタッフであります業務従事者との間には雇用関係はなく、労務管理については受託者である会社の責任において行われるものでございます。
○大島委員 雇用関係はない、それは確かなんですね。ただ、契約する会社が毎年変わっても、雇用されている労働者はその都度首になってしまうというんではなくて、また次の新しい会社と雇用契約を結んで働いている人が多いようです。
そのために、会社の待遇とか賃金とか勤務時間とか人数を比較することができるんですね。時給が引き下げられたとか、交通費が削られたとか、ひどいときは給料の遅配があったなどという訴えも聞きました。
もちろん労務管理は受託している会社の責任ではありますが、少なくともこの仕様書どおりに受託者の責務が果たされているかどうか、例えば最低賃金は守られているのかとか、時間外手当はきちんと支払われているのかとか、社会保険には加入しているのかなど、最低の法令遵守を確認すべきではないかと思います。
また、墨東病院は、先ほどもありましたけれども、第一種感染症指定医療機関になっています。感染性の廃棄物の収集、運搬業務については、特別管理産業廃棄物収集運搬業という許可を持っている業者とまた別途に委託契約を結んでいるんですけれども、この感染症一般廃棄物の入った専用容器を集積所まで運ぶのは、実はその病院の清掃をしている清掃スタッフの仕事なんですね。
この仕様書には、業務従事者の教育訓練を実施するというふうに書いてあるんですが、どのような教育訓練を行っているのか確認しているんでしょうか。
○野瀬サービス推進部長 業務従事者に対する必要な教育訓練などの実施は、仕様書で受託者の責務として定めております。
感染防止に関する手順については、例えば感染性一般廃棄物の収集容器を取り扱う際の手袋の着用、容器の横倒しの禁止、搬出時のこん包方法など、受託者が業務従事者に行う教育内容を、病院が指導しております。
○大島委員 病院が直接清掃スタッフに対して指示するということは、これまたできないわけなんですよね。だから当然、そういう形でやるんですけれども、受託した業者がどの程度やっているのか責任者から話を聞くことぐらいは、できるんじゃないかなというふうに私は思っているんですね。
実はこの仕様書に感染性廃棄物専用容器の収集、配置、管理という項目があるんですけれども、次のような指示が書かれています。一、各病棟等の感染性一般廃棄物の入った専用容器の管理を行うこと。二、各病棟等の感染性一般廃棄物の入った専用容器を集積所まで運び、空の容器と交換すること。三、外来部門の感染性一般廃棄物の入った専用容器を集積所まで運び、空の専用容器と交換すること。四、外来部門等のトイレの汚物等及びごみ箱から出るおむつ等の専用容器への詰め込み作業を行うこと。
そして、日常清掃業務内容というのが表になっているんですけど、その作業箇所に、便所、汚物処理室、これは病室の便所を含むと書いてありますが、その作業内容として汚物入れ、おむつ入れの内容物を処理し、容器を洗浄する、くず入れの内容物を処理し、容器を洗浄する、ここまでやるように指示されているんですね。
さらに、業務上の注意事項という項目では、感染症病棟、手術室、準備ホール棟、救命救急センター、ICU、CCU、NICU、GCU、M-FICU、分娩室、中央滅菌材料室、薬剤科製剤室等の清潔区域においては、院内感染対策マニュアルを遵守すると書かれているんです。
一体どれだけの清掃作業員がこの院内感染対策マニュアルを知っているのでしょうか。院内感染などの危機管理、またみずからの衛生状態を良好に保つ必要性など、必要な教育訓練は受託者の責務だといって、病院という特殊な環境で働く人たちが、どのような教育や訓練を受けているのかも確認しないでいるのは、余りにも危機意識が欠如しているといわざるを得ません。早急に改善することを強く要望します。
さて、病院の給食調理委託についても、一年ごとの一般競争入札による契約でしたが、二〇一三年度から変更されたと聞きました。どのような契約方法になったのか、また変更した理由をお伺いいたします。
○野瀬サービス推進部長 都立病院の給食調理委託については、平成二十五年度から従前の一般競争入札から総合評価競争入札といたしました。
給食調理委託における総合評価競争入札は、治療の一環として位置づけられている病院給食の重要性に鑑み、適切な事業者を選定することで経済性を確保しつつ、より一層業務の質を向上させることを目的に、試みとして導入したものでございます。
○大島委員 給食の調理委託について、今回、二〇一三年度から契約方法が変更になったんですけれども、そのきっかけになった一つが、広尾病院で給食調理業務委託というのが二〇一二年度の競争入札によって、今までの業者よりも一千万円近く低い価格で落札した委託業者に交代したと。低価格が優先されたことによって、その年の四月当初、定時に病院の給食が出せずに、朝食はおくれる、そうすると、また昼食はおくれる、夕食が夜の九時過ぎになったということもあったそうで、特に糖尿病の患者さんなどは、治療食ということで病院食を食べているわけですから、もうかなり大きな影響があって、それで結局、献立を簡素化したり、看護師さんも応援して何とか食事を提供したということがあったと聞いています。
こうしたこともきっかけとなって契約方法が変わったんだと思いますが、一般競争入札でやられてきたということの弊害がこういうところにも出てきたと、そう思っています。
病院給食は治療の一環として位置づけられていることから、もともと直営で実施されてきました。我が党は直営に戻すべきだと考えています。
しかし、民間委託された中でも、業者選定に当たっては、一般競争入札から経験や実績が評価される総合評価競争入札になり、三年間の複数年契約が行われるということです。
墨東病院以外の都立病院の清掃業務は建物管理委託として行われていると聞いておりますが、この契約はどのようにしているのかお伺いいたします。
○野瀬サービス推進部長 駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター及び松沢病院では、清掃業務はPFI事業として実施しております。広尾病院、大塚病院及び神経病院においては、清掃業務のほか、警備、電話交換業務や設備運転保守業務を一体として、総合評価競争入札による複数年にわたる契約を締結しております。
○大島委員 ほかの病院では、単独でないということですよね。これは、警備とか電話交換、それから設備運転保守業務、こういうところは専門的な要素が多くて、一年ごとの一般競争入札で委託業者が毎年変わるようでは病院の運営に支障を来すということから、経験や実績が評価される総合評価競争入札によって、三年間の複数年契約が行われているということです。
給食についても、そういうことで総合評価制度で三年契約となっているという答弁が先ほどもありました。
一方、墨東病院で行われている清掃業務は、誰にでもできる単純作業なので、毎年業者が変わっても病院運営に支障はないと考えているのでしょうか。
しかし、先ほども述べましたように、感染症などに対応するある程度の知識や対応能力が求められ、特別な危機管理が必要な、病院という事業所での清掃は、単純な業務ビルなどの清掃と同一視できるものではありません。
清掃業務委託も総合的評価制度を取り入れ、単年度制を改めて複数年度の契約が可能になるように見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
また、適正な価格競争となるよう、入札に先立って標準積算単価を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○野瀬サービス推進部長 予算単年度主義の原則に基づき、契約についても単年度で行うことが原則ではございますが、都立病院では、これまで経済性の向上と業務の質の向上を図ることを目的に、総合評価競争入札や複数年にわたる契約を試みとして導入してまいりました。
墨東病院では、大規模な改築、改修が進行中であり、委託業務の基本的要件である建物の面積などが変動することから、現在の契約方法を採用しております。清掃業務委託への総合評価競争入札、複数年にわたる契約の導入については、他の都立病院における執行状況や関係部署との調整を踏まえながら、適切に対応してまいります。
また、都における委託契約の制度では、入札に当たって標準積算単価を事前に示す手続とはなっておりません。
○大島委員 他の都立病院における施行状況とか関係部署との調整を踏まえて対応していただくということなので、期待したいというふうに思うんですけれども、先ほどもいいましたように、感染性廃棄物専用容器の収集、配置、管理という大変危険な作業を伴う労働者が、時給九百円程度の最低賃金すれすれで、特殊手当もないまま働いているというのが現状です。
賃金が安いので若い人はなかなか入ってこないんだそうです。年金をもらいながら働いて、やっと生活ができる状況だと聞きました。
低入札が続けば、そのしわ寄せは雇用されている方たちに行きます。適切な勤務環境の確保は、適切な業務を行う前提でもあります。適正な価格競争ができ、経験や実績が評価される契約方法に改善されることを強く求めておきます。
次に、震災対策についてお聞きします。
首都直下地震など大規模地震災害が発生した場合、都の新たな被害想定では最大で約十五万人が負傷するとされています。
災害拠点病院となっている都立病院の耐震化の状況及び医薬品や医療資器材を含めた備蓄の状況についてお伺いします。
○中野経営企画部長 都立病院の耐震化につきましては、平成二十年に策定されました東京都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震化整備プログラムに基づきまして計画的に耐震化を進め、全て完了しております。
また、医薬品、医療用資器材などにつきましては、発災後三日間七十二時間分を備蓄しておりまして、災害時においても医療を継続するための対策を講じているところでございます。
○大島委員 耐震化は全て完了ということなんですが、耐震化が完了した建物には耐震マークはついているんですか。
○中野経営企画部長 全ての建物にマークがつけられているものと確認しております。
○大島委員 大規模な災害が発生したときにも、医療提供の機能が維持できるということが大変重要だと思っています。
地震発生時における医師や看護師、職員の確保はどのように行うのかお伺いいたします。
○中野経営企画部長 病院経営本部では、発災後早期に診療体制を確保するため、災害時都立病院職員参集ルールを定めております。
具体的には、都内で震度六弱以上の地震が発生した場合、原則として所属病院から直線距離二十キロ圏内までに居住し、二十四時間以内に到着できる職員につきましては、所属する病院に参集し、それ以外の職員は自宅から最寄りの都立病院に参集することとしております。
このルールに基づきまして、平日午後八時に発災した場合の参集可能人員数を駒込病院を例に予測いたしますと、通常の八割程度の職員が発災から二十四時間以内に参集可能となるというところでございます。
○大島委員 発災時の状況で参集できる人数というのはかなり変わってくると思いますけれども、所属病院から直線距離で二十キロ、ここを徒歩とか自転車などで参集する職員の方たちは大変だと思います。
先ほど駒込病院について例示していただきましたけれども、私の住む足立区からは最も近い都立病院がこの駒込病院なんですね。医師や看護師を含めまして、二十四時間以内に八割程度の職員が参集可能ということです。
都立病院には、医師や看護師の居住する職務住宅というのがあるとのことですが、二〇一三年度では何割程度の医師と看護師が居住しているんでしょうか。また、職員が希望すればこの職務住宅というのには入居できるのでしょうか。
○中野経営企画部長 都立病院では、病院敷地内、または近隣に医師、看護職員用の職務住宅を設置しておりまして、平成二十五年九月一日現在の設置数は、看護職員用千百三十九室、医師用三百六十一室でございます。
現員数に占める職務住宅使用者の割合は、平成二十五年九月一日現在、医師約二七%、看護職員約二〇%となっております。
職務住宅の使用対象者でございますが、東京都立病院職務住宅管理要綱等で定めておりまして、要件に合致する職員であれば、住宅の空き状況に応じて入居が可能となるところでございます。
○大島委員 先ほどいただいた資料を見ますと、二十五年度で医師、看護師などの職員なんですけれども、現員で六千四百四十人いらっしゃるということで、かなりの方たちが従事しているんですけれども、その分でいうと職員住宅が少し少ないのかなという感じもいたします。
入居の要綱を読ませていただきました。使用者の義務という中に、災害、水害等の非常事態が発生した場合、管理病院の災害対策業務に従事するということや夜間等緊急登院の必要がある場合、登院要請があった際に応じることとありました。
そうなると、いつも、いつ呼び出しが来るのかわからないなということで、緊張してゆっくり休めないのかなとちょっと心配にもなるんですけれども、同時に、公務員として都民のために頑張っているということに感謝したいというふうに思っています。
都立病院に勤務する医師の約二七%、看護職員の約二〇%が病院の敷地内の職務住宅に住んでいるということは、いざというときに駆けつけていただけるということですから、とても心強いものがあります。
しかし、職務住宅以外から参集する医師や看護師の方は、来るのは来るんでしょうけれども、帰ることができなくなってしまいますよね。こうした職員の宿泊する場所というのは確保できているんでしょうか。また、こういう方たちが二十四時間働くわけにもいきませんので、休憩や仮眠をとる場所というのは確保できているのかお伺いいたします。
○中野経営企画部長 発災時の診療状況によりまして、参集いたしました職員を帰宅させることが困難な場合は、院内にございます当直室、会議室、職務住宅などを臨機応変に活用いたしまして、宿泊、休憩、仮眠をすることとなります。
○大島委員 そういう場所で、ある程度休憩や仮眠がとれるということはいいことだというふうに思うんですね。
ただ、職務住宅の使用期限というのを要綱で見ますと、都に採用されたときから八年を経過した日までとなっていて、若干の延長は認められているようですが、経験を積んだベテランの職員は住めない条件になっているんですね。
また、空き状況にもよるということなんですけれども、希望者全員が入居できるわけではありません。
災害時の対応を考えれば、職務住宅の増設とか休憩室の拡充なども、時期を見て検討するように要望しておきたいと思います。
最後に、都立病院改革推進プランについてお聞きいたします。
二〇一三年三月、今後五年間の都立病院のあり方を示す都立病院改革推進プランが発表されました。
この第1章の医療機関等との協働の推進の中で、都、区市町村、地域医療機関等の役割分担を踏まえ、在宅医療を実施する関係機関を支援する取り組みを検討すると書かれています。
在宅医療機関を支援する取り組みとして、医療の質と患者サービスの向上の中では、地域医療機関等との協働の推進というのが掲げられておりました。
二〇一三年度第二回都立病院経営委員会、この議事録を見てみますと、在宅医療機関支援を検討する中で、地域の医師会との連携などで都立大塚病院が注目されていました。特に急性期病院の在宅療養支援が最も望まれているのではないかといわれています。
地域の医師会との連携などで、都立大塚病院がどんな取り組みを行っているのかお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 大塚病院では、地域医療機関や訪問看護ステーションなどの地域医療従事者が高度で専門的な医療の知識を習得できるよう研修を開催しており、平成二十五年度の開催実績は六件でございます。
また、在宅療養の患者さんの容体が悪化した場合の救急対応などにより、在宅医療を実施する医療機関を支援しております。
平成二十五年度からは、在宅療養者の容体が急変した際に、患者の入院先の確保が円滑に行えるよう、文京区と在宅療養者の一時入院に関する協定書を締結したところでございます。
さらに、文京区地域医療連携推進協議会、豊島区在宅医療連携推進会議に参画し、それぞれの役割分担を踏まえ、在宅医療を支援する仕組みについて、区や医師会等とともに検討しております。
○大島委員 大塚病院というのは豊島区にあるんですよね。それが文京区の医師会と大塚病院が連携をとって一時入院に関する協定書を結んだというのは、何か画期的なのかなと思うんですね。
で、在宅療養者の容体が悪化した場合とか急変した場合でも、一時入院先が確保されるということで、患者としても、地域の医療機関としても、とても安心できる内容ではないかと思います。
こうした取り組みをぜひ他の都立病院にも広げていくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○高野経営戦略担当部長 他の都立病院におきましても、在宅療養の患者さんの容体が悪化した場合の救急対応などによりまして、在宅医療を実施する医療機関を支援しております。
また、都立病院の認定看護師が在宅における疼痛アセスメントなどについて訪問看護ステーションの看護師に研修を行うなど、地域医療機関等の人材育成にも取り組んでおります。
さらに、地元区市や地域医療機関等が参加する医療連携協議会を開催するなど、連携体制も構築しております。
○大島委員 先ほどの経営委員会の議事録を見ますと、これからの在宅医療を広げていくときにどのような課題や問題点があるかなど、大塚病院の取り組みについて分析し、これを全都の病院に広げることについて役立てるような取りまとめの仕方をしていきたいという発言もありました。
地元の区市や医師会などとの連携強化、拡充を行っていただきたいと思います。
都立駒込病院は文京区にありますけれども、足立区の患者がとても多いと聞いておりますので、駒込病院でもぜひこうした取り組みを行っていただくように要望しておきたいと思います。
そして、都立病院経営改革プランについては、経営形態の見直しについては、情報収集を行うという記述にとどまっておりまして、新たな独立行政法人化など、具体的な経営形態の見直しは盛り込まれませんでした。
都立病院の運営は直営で行い、今お話しした地域の医療機関との連携も含め、医療内容の充実や人材育成、患者への支援など、都民が求める役割の充実に努めていただきますように要望いたしまして、質問を終わります。
○松村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時休憩
午後三時十五分開議
○松村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○田中委員 私からは、感染症対策についてまず伺いたいと思います。
エボラ出血熱の感染拡大が続いております。世界保健機構、WHOは、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言いたしました。十月十日、死者が四千人を超えたことを発表し、東アジアに到達する可能性も否定できないと指摘もしております。
エボラウイルスは、致死率が五〇%とも九〇%ともいわれておりまして、大変高い値でありまして、確立された治療法も予防法もないこともあり、日本国内でも不安の声が上がっています。
各空港では、国際便の乗客者全員を対象に、サーモグラフィーを使った体温のチェックのほか、今回の発症地である西アフリカに滞在した乗客に申告してもらい、聞き取り調査をするなど、国も対応をとっているところであります。
日本国内でも、エボラ出血熱が疑われる患者が出た場合、エボラ熱を含む危険性が最も高い一類感染症に対応できる施設を全国で四十五医療機関、指定しています。その中におきまして都立病院においては、感染症対策において施設面、つまりハード面の整備をこれまで進めてきたかと思いますが、これまでの取り組み、そして経緯を伺います。
○野瀬サービス推進部長 都立病院では、駒込病院と墨東病院が第一種及び第二種感染症指定医療機関として、エボラ出血熱などの一類感染症やSARSなどの二類感染症、または新型インフルエンザなどに対応しております。
これまでの具体的なハード整備の取り組みとして、駒込病院において平成二十二年度までに実施した施設改修の中で、第一種感染症病床を二床新設するとともに、第二種感染症病床を十床から二十八床に増床いたしました。
また、墨東病院では、平成二十五年度までに実施した新館の整備において、第一種感染症病床二床、第二種感染症病床八床について、陰圧性能にすぐれた最新の空調設備を導入するなどの機能強化を図りました。
さらに、第一種及び第二種感染症病床を補完する病床である感染症対応病床を、駒込病院では六十四床、墨東病院では整備中のものも含めて三十床確保しております。
○田中委員 エボラ出血熱は、これまでもアフリカ大陸では感染が何度か認められてきたのでありますが、今回は感染症の治療に当たった医療関係者の二次感染がアメリカとスペインで相次いだことが大きな衝撃となりました。
医療体制や感染症の体制が整っていると思われていました欧米で二次感染が起きた原因はさまざまいわれておりますが、まだ特定には至っていないということであります。
先ほどハードの整備については、都立病院のこれまでの取り組みについて伺ったところでありますが、防護服の扱いや研修といったソフト面での対策もあわせて必要とされているところであります。
これらのソフト面での対策についてのこれまでの取り組みの経緯を伺います。
○野瀬サービス推進部長 駒込、墨東の両病院においては、平時より感染症の患者が来院した際のマニュアルを定め、毎月一回、医師、看護師が防護具の着脱訓練を行い、毎年一回は病院全体で患者受け入れの訓練を実施しております。
また、最近の西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行を受け、両病院それぞれでエボラ出血熱に関する講習会などを実施いたしました。
今後とも、危険性の高い感染症が国内で発生、または流行した際に、直ちに患者を受け入れるとともに、地域住民や病院職員の安全に万全を期すための取り組みを継続してまいります。
○田中委員 毎月一回、医療関係者、また看護師が防護服の着脱訓練を行っているということでありますが、これまでその訓練にトータルしてどのくらいの職員が参加し、実践してきたのか伺います。
○野瀬サービス推進部長 駒込病院における平成二十五年度の防護具の着脱訓練は、医師、看護師など延べ四百三十五人の職員が訓練に参加しております。同様に、墨東病院においては延べ三百三十九人の職員が訓練に参加いたしました。
○田中委員 これまでかなり多くの訓練がされてきたということがその数ではわかるんでありますが、その中で着脱訓練ということで、これは使い捨てというか、一日二回ほど着がえて使うということです。私、行けなかったんでありますが、おとといの墨東病院の訓練のときに、参加した同僚議員がそれを見てきたということであります。
そういう意味では、防護具というのはかなりの準備が必要かと思いますが、現在、都立病院では、防護具というのをどのくらい用意しているのか、数を伺いたいと思います。
○野瀬サービス推進部長 都立病院で準備している防護具は、防護服、二重で使用する手袋、シューズカバーなどをワンセットとしております。
常時用意している防護具の数は、駒込病院では四百セット、墨東病院では二百セットでございます。このほか、緊急時の対応分として本部で約五万セットを備蓄しております。
○田中委員 駒込で四百で、墨東で二百ということで、準備されているのはわかったんですけれども、本部で五万というと唐突で、かなり多いという数と見受けられるんですが、その五万という数というのは、算出基準、また算出根拠というのはどのようなものではかっているのか伺います。
○野瀬サービス推進部長 防護具の数量の算定に当たりましては、各病院で感染症医療にかかわる職員約五百人が八週間にわたり一日当たり二回使用すると想定して算出したものでございまして、最大五万六千セットとなりますが、防護具の使用期限切れによる更新などがありまして、現在、約五万セットを備蓄しております。
○田中委員 計算しますと、五百掛ける八週間ですから、八掛ける一週間で七掛ける二で五万六千ということでいいかと思います。
今のを聞きますと、ハード面でもこれまでかなりの整備を進めてきて、ソフト面でも訓練人数、また、防護服のセットも用意しているということであるんですが、先ほどの米国の例でも、同じようにセットを用意し、また、ハードも整備していたということであるんですが、医療従事者が二次感染の被害を受けてしまったということであります。
そんな中、アメリカでは早速防護具の着脱方法を改め、新たな防護具の取り組みにも、また購入にも、取り組み始めているということも聞いておりますが、都立病院における防護具の着脱方法を初めとする対策については、医療従事者の二次感染があってはならないことでありますので、このようなものが防げるような状況に今現在の体制でなっているのか伺います。
○野瀬サービス推進部長 都立病院における防護具の着脱方法については、髪の毛や素肌の露出の禁止、防護具の正しい装着方法、装着後の確認を本人以外が行うことなど、病院においてマニュアルを定め、医療従事者への二次感染の防止を図っております。
米国疾病対策センター、CDCが今月二十日に発表した医療従事者がエボラ出血熱患者に対処する際の新たなガイダンスでは、医療従事者は厳密な訓練を経て防護具の扱いに習熟すること、それから、防護具の着脱は訓練を受けた者の監督下で行うことなどが示されております。
現在の都立病院のマニュアルでは、この新たなガイダンスで示された要件を満たしているため、現行の手順を確実に実施することで、医療従事者への二次感染を防ぐことができると考えております。
○田中委員 この間、マスコミを中心にさまざまな情報が飛び交う中、私も専門家でないものですから大変心配しておりまして、一般的な都民の人も本当に東京の、また日本の対応は大丈夫なのかといったことを思っているかと思いますが、今聞きまして、アメリカよりも先んじて対策マニュアルをつくっているということでありますので、ぜひそれを徹底していただきまして、ハードの面、ソフトの面からの対応を伺いましたが、十分な取り組みをこれからもしていただきたいと思っております。
アメリカの例に戻すと、看護師連合の審査によれば、八五%がアメリカではエボラ熱対策の教育を受けていないという報告も上がっているようであります。やはり大切なのは、研修や訓練を引き続き絶え間なく行うことかと思っております。
これ、なかなか都だけではできず、国との連携も大きな課題かと思いますので、ぜひ国との連携もしっかりと行いまして、これまで以上に油断なく感染予防訓練に徹底して取り組むことを要望したいと思います。
次に移ります。次は、外国人対応と医療費の問題についてお聞きしたいと思います。
東京に住む外国人の数はおよそ四十万人。出身国は二百カ国近くあるといわれています。外国人のコミュニティや関連の出版物も多数あり、東京は外国人にとって住みやすい地域と、また場所となりつつあります。
また、訪日客も毎年増加し、東京には多くの定住者、またビジネスマン、また旅行者と、さまざまな形での外国人が滞在しています。
その動きに対して都は、外国人に配慮した保健医療サービスの提供を行っています。福祉保健局では、外国語による医療情報サービスや保健、予防等に関する外国語パンフレットを作成、また東京消防庁では救急で使用する表現を十一カ国語で記載したコミュニケーションマニュアルを作成し、救急車に積載するなど多くの取り組みが今始まっているところであります。
外国人によってより住みやすい、滞在しやすい環境を整備するために、また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けても、都立病院の多言語化、多言語対応や、また外国人対応への取り組みが求められております。
これまでの取り組みを伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長 都立病院におきまして、外国人を含め誰もが安心して医療を受けられる環境を整備することは大切なことであると考えております。
平成二十五年度の取り組みについてでございますが、本年一月から二月にかけまして、全都立病院において外国人患者の受け入れ実態調査を実施し、その結果といたしましては、外国人の受診割合は、都立病院全体で一・〇%、外国人が最も多い広尾病院では三・二%となっております。
都立病院では、これまでも来院する外国人患者に対しまして必要に応じて通訳を活用するなど、適切な対応に努めてまいりましたが、今後、国際化の進展等により外国人患者の増加が見込まれますため、本年二月には、医師、看護師を初めさまざまな職種で構成される都立病院国際化対応検討委員会を設置いたしまして、職員向けの語学研修、ホームページや問診票等の帳票の多言語化、施設内の案内表示の外国語による表記など多言語による診療体制の整備について検討を進めております。
○田中委員 都立病院全体で一%ということでありますので、百人に一人というと多いか少ないかというと、毎日必ず数十人の人が都立病院を訪れているということで、さらにその数はふえていくかと思います。
対応の中では特に職員の語学研修など、多言語対応の診療体制には、一朝一夕にはいかず時間がかかる対策もありますので、早急に取り組みを始めて、外国人を含め、誰もが安心して医療を受けられる体制の整備を望みたいと思います。
その一方で、外国人の医療費の未払いというのも問題に上がっております。この問題は何度か取り上げられているかもしれませんが、平成二十三年度末に東京都内における未払い金というのが五年ぶりに減少に転じたことが話題になりましたが、一方で、外国人と見られる患者では逆に、二十三年度末、二千百万円ふえて、全体の二割を占めたということでありました。
そこで、平成二十五年度の未払い金の額と、そのうち外国人の患者分の額を伺います。
○野瀬サービス推進部長 平成二十五年度末時点での個人未収金累計額は約十一億六千二百万円となっており、このうち外国人と思われる患者の個人未収金額は約二億四千七百万円でございまして、個人未収金額全体に占める割合は二一・三%でございました。
○田中委員 二億五千万円近いお金ということで、二〇%を超え、二一・三%ということで、大変に大きな額だと私も思います。
この流れは、外国人がふえる中で、受け入れをどんどんとふやすことを私も進めていくべきだと思いますが、一方で未収金の額もさらに進むことも考えられます。
都としては、今後、この対応についてどのようなことを考えているのか伺いたいと思います。
○野瀬サービス推進部長 診療時に支払いができなかった外国人は、その多くが手持ち金不足や保険証の不所持でありました。
これまで、外国人で診療時に支払いができない患者に対しては、健康保険制度や公的支援制度の説明、それからパスポートなどの身分証の確認を行うなど、未収金の発生予防に努めてまいりました。
未収金となった場合の回収対策としては、電話による催告、督促状の送付や区市町村、入国管理局に住民票や外国人登録の照会を行うなどして患者とコンタクトをとり、支払いを促しております。
今後とも、さまざまな対策を講じながら、未収金の発生防止と回収に努めてまいります。
○田中委員 もちろん、都立病院、公立病院でありますから、どんな人でも受け入れることというのが大前提ではあるんですが、やはり中には悪意のある患者さんもいる可能性もあります。
日本は、生活保護のときにもありましたけど、ただで医療を受けられると、ただで生活できるというようなことが外国で流布されているといった例もありました。
ぜひこれからの国際化の一方で、このように外国の、悪意ある人につけ込まれないように、この対策も進めていかなくてはなりません。
外国では救急診療を受ける際には、先にパスポートや保険の有無、支払い能力可能を提示させるというのは常識といわれておりますし、また、各国によっては事前に支払いをして、そして自分が持っている保険で戻ってくるといった方法をとる国も多々あります。
ぜひこの対策、これまでと変わらない対策ではなかなか進んでいかないと思いますから、例えば窓口対応においては、海外の民間保険の対応についても熟知し、金銭トラブルが生じないような研修を行ったり、また、先ほどいいました、事前に支払って後から保険会社に請求するといったような形をとるだとか、あらゆる対策を考えて、これまでと同じやり方では未収金対応はなかなか前進しないと思いますので、あらゆる対策をするということを述べてもらいましたが、厳しい対応で臨むことも私は国際化に向けての取り組みだと思っておりますので、要望したいと思います。
最後に、院内保育についてお聞きしたいと思います。
私は、平成二十三年の一定の厚生委員会において、平成二十一年度の院内保育業務運営の委託契約について質疑をしました。
都立病院の院内保育というのは、認可外保育施設指導監督基準に基づいて運営しておりまして、この基準においては、児童六人に対して保育士一人の配置、また、保育士は最低二名必要となっているということを承知しております。つまり、児童の定員は最低で十二人となることから、単純に定員を減らして稼働率を上げることは難しいということも、この委員会の議論でも理解しました。
しかし、毎年の委託契約を結ぶ際には、いつ子供さんが生まれる予定があるのか、また、いつから何人ほど来るのかなどの利用見込み、また利用実態をしっかりと調査して、それに合わせた契約を結ぶべきであるということを提言させてもらいました。
そこで、その後の利用実績について伺いたいと思います。
まず、平成二十五年度の院内保育の利用実績を伺います。
○中野経営企画部長 院内保育室の利用でございますが、年度当初からの利用のほか、年度途中での育児休業からの復職者等が利用する場合、あとは夜勤などの勤務日のみに利用する例などございまして、月によったり、または日によって保育児童数にばらつきが生じているのが実態でございます。
平成二十六年一月の一カ月間の利用実績につきまして、規模の大きなところを例に申し上げますと、多摩総合医療センター、小児総合医療センターと神経病院が共同で利用している院内保育室でございますが、定員四十八名に対し利用実績が四十八名、墨東病院では定員三十六名に対しまして利用実績が二十九人となっております。
都立病院全体では、定員百五十六人に対しまして利用実績は百二十七名でございまして、利用率は八一%となっておりまして、平成二十二年一月の利用率七四%よりも向上しているところでございます。
○田中委員 このときの質問において、私、二十一年度を例にしまして、豊島病院などは十四人に対して、先ほどいろんな例があるといったのも踏まえてなんですが、一、二名の利用しかないときもあり、大変利用率が低いことも取り上げて、課題として挙げさせてもらいました。
今、二十五年となって、かなり利用率が上がってきたことがわかり、大変うれしく思っておりますが、利用率が上がったのは、どのような工夫をして利用率アップを図ったのか伺います。
○中野経営企画部長 契約の定員を決める際には、これまでも利用見込み調査を実施してきたところでございますが、現在におきましては、契約規模を決めるに当たりまして、出産予定者、復職予定者の調査のほか、個々人の地域の保育所への申し込み状況の確認を行うなど、精度向上に努めております。
また、契約開始後におきましても、利用実績を適時把握するとともに、年度途中の採用予定者の利用希望を確認するなど、随時定員の見直しを行っております。
さらに、平成二十五年度の契約からは、各病院の契約の定員と利用実績に差が生じた場合には、都立病院全体の定員の中で、各病院の定員の増減が可能となるよう契約を変更させていただきました。
このように、各病院の利用見込みと利用実績のきめ細かな把握と契約の見直しによりまして、契約の定員と利用実績の差をできるだけ小さくするよう工夫しているところでございます。
○田中委員 二十五年度からは、各都立病院の中で需要が少ないところと多いところで融通ができるということで、これまでは各都立病院の契約人数が決まっておりまして、それを途中で変えても契約の額がなかなか下がらないということも指摘させてもらったんですが、今度はトータルとして定員を見直しているということで、大変にいい取り組みだと思っております。
都立病院の院内保育というのは昭和四十四年から始まっておりまして、歴史がありまして、四十五年以上の長い長い歴史があります。
企業においても院内保育を進めるべきだという声もあり、今現在進んでいる中、民間でもこの整備がぜひ進むように、今回、柔軟な契約方法を都がとったということでありますが、これが民間のモデルとなるように、さらに利用実績を積んでいただければと思っています。
以上で終わります。
○宮瀬委員 平成二十五年の東京都病院会計決算の概要では震災対策が触れられておりましたので、私の方からは震災対策を取り上げさせていただきます。
さて、病院は最後の命のとりでであることはいうまでもありません。都立病院の多くは、日ごろから地域医療の中核を担う拠点病院として都民から大きな期待を寄せられております。
一方、平成二十四年四月、東京都総務局が発表した冬の十八時に首都直下地震が発生したときの被害想定は、死者約一万人、負傷者約十五万人。その十五万人の負傷者を誰が治療するのか。私立病院、診療所、医療救護所、場合によっては地元住人、そして災害拠点病院となる都立病院、その役割はとても重要であります。
都民にとって都立病院がいついかなるときも稼働し、治療可能な状態であることは必要不可欠であります。そのためにも、首都直下地震に平時から備えること、とりわけ発災後七十二時間の対応が最重要であると認識しております。
今回は、実際に宮城県庁、現地病院等に行きまして、七十二時間の実際の対応に特化してお話をお伺いしてまいりましたので、本日は、その知見や観点から決算の質問をさせていただきます。
まず最初に、都立病院の発災後七十二時間の初動体制と、二十五年度に取り組んだ災害対策の内容についてお伺いいたします。
○中野経営企画部長 現在、全ての都立病院では、災害時に病院運営を確実に継続できるよう、院内の優先業務や対応手続等を定めましたBCP、事業継続計画を策定しております。都内で震度六弱以上の地震が発生した場合には、BCPに基づきまして各病院で災害対策本部を立ち上げ、病院を挙げて対応することになっております。
こうした初動対応を的確に実施するため、各病院では毎年、首都直下地震を想定した総合防災訓練を実施しておりまして、平成二十五年度は都立病院全体で約千七百名が参加いたしました。
さらに、病院の全職員を対象とした災害医療の基礎知識やトリアージの技術を習得する研修を実施するなど、職員の知識及び技術の向上に努めているところでございます。
○宮瀬委員 ありがとうございました。マニュアルの策定、毎年の訓練が各病院で行われていることが確認できました。
一方、実際の災害対応におきましては、都立病院単体の対応だけでなく、DMAT、福祉保健局、警察、自衛隊など、各関係機関と連携しなければなりません。そのための訓練も必要と考えます。
都の総務局においても、ことし四月、首都直下地震等対処要領を発表し、各機関の連携がうたわれました。
そこで、今年度も東京都と杉並区の合同で総合防災訓練が行われましたが、都立病院としてどうかかわり連携したのか、所見をお伺いいたします。
○中野経営企画部長 平成二十六年度の東京都・杉並区合同総合防災訓練では、都立松沢病院の医療救護班が医療救護活動訓練に参加いたしまして、災害拠点病院への支援活動として、傷病者に対する医療処置を行いました。
また、都立広尾病院の東京DMATは、晴海ふ頭での救出救助活動拠点運営訓練に参加いたしまして、海上保安庁等と連携しながら、船の上での医療処置や患者搬送を実施いたしました。
今後もこうした訓練に積極的に参加いたしまして、関係機関との連携を推進してまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。総合防災訓練においての連携を確認させていただきました。今回は、松沢病院と広尾病院が参加されたとのことでありましたが、残りの都立病院に関しましてもぜひ今後参加していただきますようお願い申し上げます。
また、今後は医療措置のみならず、患者の受け入れの訓練も引き続き総合防災訓練で実施していただくことを要望いたします。
平素からの防災対策に過去の大震災の反省をどう生かすかは大変重要であります。阪神・淡路大震災においては、病院施設が壊れ、また多くの人が病院に殺到し、救えたはずの人の数が五百人に上ったといわれております。
とある病院では多くの患者が病院に殺到、その七割が軽症者であり、医療関係者がその対応に追われ、生死にかかわり、救急救命が必要な患者への対応が十分に行うことができなかったと聞いております。
このように、首都直下地震においても患者が殺到する事態が予想されますが、都立病院としてどう取り組んできたのか所見をお伺いいたします。
○中野経営企画部長 都におきましては、災害時に限られた医療資源を最大限活用するため、傷病者の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めるトリアージを行いまして、その程度に応じまして受け入れる医療機関を区分することになっております。
災害拠点病院でございますが、主に重症者の受け入れ、治療を行いまして、中等症者につきましては災害拠点連携病院が、軽症者につきましては診療所等がそれぞれ受け入れ及び治療を行う役割となっております。
こうした役割分担に基づきまして、災害拠点病院に指定されております都立病院は、重症者を中心とした受け入れを適切に行ってまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。十五万人といわれる負傷者を災害拠点病院、災害拠点連携病院、診療所、医療救護所等と、どう役割分担して受け入れていくのか。
東日本大震災の際においても、各病院内ではトリアージ後の軽症患者が滞留し、病院内での救急救命医療活動に支障が出たと聞いております。
災害拠点病院に指定されている都立病院の役割は、重症患者の治療等のために、ともすれば軽症者の受け入れ拒否、または他へ誘導するケースのことの方が多いことが十分予想されます。
しかし一方で、実際に多摩総合医療センターを見てまいりましたが、トリアージを院内で行うスペースやトリアージ後の待機場所を確保している都立病院もございます。
このように患者の受け入れ問題は、現実的には画一的なルールの適用は難しいと思われます。もちろん原則論を大切にしながら、各病院ごとに時と状況に応じてどの状態の患者であれば都立病院に入れるのか、また、入れない場合どこに誘導するか、近隣地域の病院や診療所等を含め、被害の大きさに応じた事前の取り組みが重要であると考えます。
先ほどの総合防災訓練では、広尾病院や松沢病院が医療措置を行ったとありますが、繰り返しになりますが、今後は総合防災訓練において、都立病院においても患者の受け入れも重視した訓練への参加を望みます。
また、あらかじめ軽症者が都立病院に来ないような事前の取り組みや、区市町村の広報活動の支援が必要と考えております。
ちなみに、静岡市では認定された市民たちがみずから市民トリアージを行い、訓練を行っております。病院前や避難所前においても、再度、医師による二次トリアージを行うことで、リスクを軽減させた新たなトリアージ方法もあるようでございます。
そういった新たな取り組みの活用や防災訓練、また、広報活動など、ぜひ福祉保健局や区市町村、地元医療関係機関や住民と連携しながら、救えたはずの命といった言葉が二度と使われぬよう要望いたします。
さて、次はハード面対策についてお伺いいたします。
二十五年度の決算説明におきましては、墨東病院の病棟等改築工事において新館の整備が行われたとあります。その中でも、非常用発電機の設置やそれに伴う燃料タンクの増設が行われ、発災後七十二時間の燃料が確保されたとお伺いいたしました。
まさに病院に電気がなければ、手術や治療もすることができぬことはもとより、入院患者の生命維持にまで危険が及ぶ事態が予想されます。
電力確保が重要でありますが、他の都立病院の電力確保に向けてどう取り組んできたのか所見をお伺いいたします。
○中野経営企画部長 都立病院では、これまで全ての災害拠点病院におきまして非常用発電機を設置するとともに、七十二時間相当の燃料を確保してまいりました。
また、発災から非常用発電が稼働するまでの数分間の停電に対応するため、全ての病院に無停電電源装置を設置してまいりました。
さらに、広尾病院、大塚病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センターでは、耐震性の高い中圧ガスを燃料とするガス常用発電機を導入しておりまして、商用電力の供給が途絶えた場合でも、一定の電力の確保が可能となっております。
今後も、災害時においても病院機能を維持できますよう、電力の多様化、分散化を図りまして、複数の電力源の確保に努めてまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。全ての都立病院において七十二時間分の燃料が確保されていることが確認できました。
あわせて、全ての都立病院で電力の多様化、分散化を図っていただき、さらに一層リスクヘッジをしていただければと思います。
しかし、一方で東日本大震災の際は、発災後、多くの現地病院が孤立、新たな重油の給油や救援がない中で、備蓄燃料や非常用電源の活用や節電により、何とか自力で五日間電力を維持、確保した病院もあったと聞いております。
しかし、新たな燃料補給のない中、ついにその電力を喪失し、搬送された患者を受け入れることができず、他の病院に泣く泣く転送したと聞いております。
また、東北大学小児科の教授が宮城、岩手、福島県の被災三県の四百六十八小児科医療機関に対して行ったアンケート調査によりますと、電気が実際に使えなかった日数は平均三・八日間、宮城県に限っていえば六日間といわれております。
また、震災後、燃料の備蓄を何日分に、追加したかの問いに至りましては、三県平均で五・四日間、宮城県では六・二日間となり、備蓄をふやしております。
そういった状況の中で、東京都では二十五年度の取り組みの中で、燃料の備蓄は三日分とされております。災害拠点病院において、三日分ではなく燃料備蓄を五日分にするなど、さらにふやしていく取り組みが必要と考えます。
そこで、備蓄を三日としている根拠と、備蓄をさらにふやしていく取り組みについて所見をお伺いいたします。
○中野経営企画部長 災害拠点病院では、厚生労働省が定める指定要件で、通常時六割程度の発電容量のある自家発電設備等を保有し、三日分程度の燃料を確保しておくことと定められておりまして、東京都地域防災計画の中でも同様の対策を定めております。
備蓄をふやす取り組みについてでございますが、東京都では、災害拠点病院の非常用発電燃料を安定的に確保するため、石油関係団体との間で石油燃料の安定供給に関する協定を締結しております。
この協定では、都があらかじめ重油や軽油などの燃料を購入した上で、指定されたガソリンスタンド等に備蓄する、ランニングストック方式と呼ばれる方式を採用しておりまして、病院敷地内の備蓄量をふやさずに、燃料の供給を受けることが可能となっております。
今後も、災害時にも確実に病院機能を維持できるよう、関係機関と連携しながら万全の備えと実効性のある対策を講じてまいります。
○宮瀬委員 ご答弁の内容ですと、ガソリンスタンドに既に購入してある燃料があるので大丈夫ではないかというご答弁でありました。
平成二十四年九月に出されました東京都災害医療協議会の災害医療体制のあり方について、災害拠点病院は三日分程度の水、燃料、医薬品等を備蓄しなければならないとあります。しかし、どうでしょうか。その災害医療体制のあり方の中には、七十二時間から一週間程度はライフライン等が復活し始めている段階とも書かれております。
水に関しては、そもそも全国の流通量が多く、また、普通の車両などでも運搬が可能、最悪は人力で運ぶことも可能でありますので、三日以内に補充される可能性は確かにございます。
私自身も東日本大震災の直後、NGOとして被災地支援のために現地ニーズ調査を行いましたが、各避難所とも、水は何とかありますといった声が多く聞こえてまいりました。
しかし、一方で燃料に関しましては長期にわたって不足状態が続き、ガソリンスタンドも常に品切れ状態でありました。また、首都直下地震という未曽有の事態の中で、本当に百二十二カ所の指定ガソリンスタンドが健在で、本当に購入した燃料備蓄がある状態なのか。はたまた道路が寸断された状態が四日目から通行が可能になっているでしょうか。果たして、発災後四日目から本当に全都立病院に燃料がある状態といえますでしょうか。
正直に申し上げますと、どのような状態であるかは誰にもわからないと思います。であるならば、実際に先ほどデータを申し上げましたとおり、東日本大震災の後、三日以上電力が使えなかった現場の病院が、その教訓から備蓄量を上げている事実もあるわけでありますので、想定外ということにはなりません。
水、医薬品、燃料を一くくりにせず、水、医薬品、燃料と、それぞれ状況に合った備蓄計画が必要と考えております。最悪の事態を想定した上での対策、すなわち急性期といわれる一週間、いや、せめて五日間だけでもよいので、病院自体が変動リスクの高い他環境や状況に依存せずに電力を維持確保できる取り組みが必要と考えております。
もちろん、各病院それぞれの事情やスペースの問題、また予算の問題もあると思いますが、全都民がひとしく都立病院にお世話になり、命が救われる可能性もありますので、私の周りではその費用負担に不平不満をいう人はおりませんでした。
都立病院は都民の税金で成り立っている公共性の高い病院であり、災害拠点病院の中でもかなめ中のかなめであります。燃料の備蓄増の問題は、単に病院経営本部だけで解決できる問題ではないことは承知しておりますが、何とぞ病院経営本部が主導して、各関係機関に働きかけていただくことを強く強く要望いたします。
最後になりますが、本日、首都直下地震に対する訓練やトリアージ、また、燃料の確保などさまざま質問をしてまいりました。近い将来、実際に首都直下地震が起きまして、その後振り返るときに、都立病院に救えた命があった、そういったことが決してないよう、私も微力ながら全力でご協力することをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。
○松村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後三時五十七分散会
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