平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十六年十月二十二日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長中屋 文孝君
副委員長高倉 良生君
副委員長山崎 一輝君
副委員長畔上三和子君
柴崎 幹男君
鈴木 錦治君
上田 令子君
西崎 光子君
宇田川聡史君
中村ひろし君
大西さとる君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長岸本 良一君
管理部長坂巻政一郎君
事業部長野口 一紀君
新市場整備部長加藤  仁君
市場政策担当部長日浦 憲造君
財政調整担当部長移転調整担当部長兼務金子 光博君
移転支援担当部長長田  稔君
新市場事業推進担当部長飯田 一哉君
基盤整備担当部長若林 茂樹君
施設整備担当部長中山  衛君

本日の会議に付した事件
平成二十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十五年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○中屋委員長 ただいまから平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十五年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○坂巻管理部長 去る十月十日の当分科会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。1、築地市場の耐震改修等工事費、修繕工事費の推移、過去十年分でございます。
 過去十年間の築地市場の耐震改修等工事費及び修繕工事費の推移について記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、豊洲新市場の建設費について、執行額の推移、予算額でございます。
 豊洲新市場の建設費につきまして、平成二十三年度から平成二十五年度までの執行額の推移及び平成二十六年度の予算額を記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、豊洲新市場用地における土壌汚染対策に関する見積もり及び実績についてでございます。
 汚染土壌量、土壌汚染対策費及び仮設土壌処理プラント処理別土量につきまして、それぞれ見積もりと平成二十五年度末までの実績を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、豊洲新市場整備に係る国庫交付金の推移でございます。
 平成二十三年度から平成二十五年度までの豊洲新市場整備に係る国庫交付金につきまして、名称、事業費、交付申請額、対象事業について、それぞれ記載してございます。
 五ページをお開き願います。5、中央卸売市場会計の工事請負契約における一者応札、入札不調、随意契約件数等の推移でございます。
 上段の1で、工事請負契約における一者応札件数等の推移、中段の2で、工事請負契約における入札不調件数の推移、下段の3で、工事請負契約における随意契約件数等の推移につきまして、それぞれ区分ごと、年度ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中屋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 私の方から、初めに、中央卸売市場の施設整備と地方卸売市場への支援について質問いたします。
 都内は、十一の中央市場と十四の地方市場の連携により、首都圏に生鮮食料品を供給しています。その中で、新たに移転整備する豊洲新市場はもちろん、その他の市場も生鮮食料品流通の重要な役割を担っていることから、その整備も極めて重要と考えます。しかし、卸売市場を取り巻く環境は厳しいのが現状であります。
 そこで、こうした厳しい状況の中、平成二十三年度から二十七年度の五カ年を計画期間とする第九次整備計画に基づき、中央卸売市場の整備を計画的に実施していますが、その整備方針をまずは伺います。

○日浦市場政策担当部長 人口の減少等による食料消費量の減少傾向や、加工品や外食、調理済み食品などの需要の増加等を背景として、市場経由率は低下傾向にございます。
 都においても、卸売市場の取扱数量は減少しており、水産では、昭和六十二年のピークに対し、平成二十五年は約四割減の五十一万トン、青果では、昭和六十二年のピークから、平成二十五年は約三割減の二百七万トンとなっております。
 こうした状況の中、第九次東京都卸売市場整備計画では、卸売市場の公共的役割を踏まえ、都民の食の安全・安心への期待に応える、生産者、実需者の多様なニーズに応える、市場の活性化を図る、財政基盤を強化することを基本方針として市場整備を推進いたしました。
 この基本方針のもと、具体的な施策として、食の安全・安心を確保するための卸売り場等の低温化や、東日本大震災を踏まえ、卸売市場の災害対応力の強化等に取り組んでまいりました。

○鈴木委員 ただいま示された四つの基本方針に基づいて、十一の中央卸売市場を整備していることがわかりました。
 東京の卸売市場といえば、ややもすると、築地市場、大田市場、そして、築地市場から移転する豊洲新市場ばかりに目が向いてしまいがちであります。これらの市場は、首都圏における基幹市場として、もちろん重要であります。しかしながら、東京は、その抱える人口一つとってみても、都市としての規模が他都市とは比較にならないほど巨大であり、これらの市場だけで都民の台所という役目を果たすことは不可能であります。よって、その他の市場についても、やはり機能強化を図っていかなければならないと私は考えます。
 今回の決算審査年度である平成二十五年度は、第九次整備計画の中間の年となっています。そこで、平成二十五年度の豊洲新市場を除いた市場整備の決算状況と主な整備内容について伺います。

○日浦市場政策担当部長 平成二十五年度における豊洲新市場を除く施設拡張費は、約二十一億二千万円を執行いたしました。
 品質、衛生管理のための低温化の取り組みとして、淀橋市場における卸売り場の低温化のための電力増強工事や、世田谷市場花き部仲卸業者荷さばき場の整備を行いました。なお、世田谷市場の荷さばき場については、仲卸組合が空調機等を設置し、定温化いたしました。
 災害時においても、卸売市場は、生鮮食料品等の安定供給を担う重要な社会的インフラとしてその機能を発揮するため、平成二十四年度まで五市場で非常用発電機を整備いたしました。平成二十五年度は豊島市場に設置し、今後、全市場に導入していく予定でございます。
 計画の残り二カ年においても計画を着実に実施し、生鮮食料品の安定供給を確保するとともに、災害時においても公共的な役割を十分に発揮できるよう、引き続き努めてまいります。

○鈴木委員 ただいまの答弁は、今後の市場運営上、非常に重要な要素を含んでいると私は思います。
 まず、品質、衛生管理のための低温化事業にも取り組んでいるとのことですが、これからの卸売市場には、食の安全・安心確保のための品質、また衛生管理が最も重要であります。そのためには、ハード面での整備と運用面での工夫、この両方を考えながら進めていく必要があります。
 豊洲新市場において高度な品質、衛生管理を目指すべきであることは当然でありますが、それだけではなく、他市場においても、開設者と市場業者とが連携し、卸売市場の機能強化を図る施設整備を着実に実施することにより、都民への安定した生鮮食料品の供給や、食の安全・安心の確保に努めてもらいたいと思います。
 また、災害時にもしっかりと対応することは非常に重要であります。緊急時においても、可能な範囲で生鮮食料品を供給するなどの役割を果たすことが求められており、こうした役割を遂行する上で、非常用発電機の整備による電源の確保は欠かせないものであります。こうした課題にも的確に対応をしていただきたい。
 さて、東京都には十一の中央卸売市場がありますが、そのほとんどが二十三区内に立地しており、私の地元でもある多摩地域には、多摩ニュータウン市場が一つあるだけであります。つまり、多摩地域における生鮮食料品流通は、民間の地方卸売市場が大変重要な役割を果たしており、東京全体の生鮮食料品流通を考えた場合でも、地方卸売市場の役割が同様に重要であると考えます。
 一方、近年、多摩地域においても、青果の地方卸売市場が相次いで廃止されるなど、多摩地区の地方市場を取り巻く流通環境も一層厳しさを増しています。
 私は長年農業に従事しておりまして、生産者としての作物を、世田谷市場であったり、多摩ニュータウン市場であったり、また、多摩の地方卸売市場へ出荷してまいりました。そういった経験から、多摩地区における地方卸売市場が生鮮食料品の供給拠点であることはもちろん、さらには、築地市場などの消費地市場とは異なる、いわゆる産地市場的な側面もあわせて持つなど、非常に重要な役割を果たしていることを肌で感じております。
 多摩地域の地方卸売市場がこれまで果たしてきた役割を引き続き担ってもらうには、都としてもしっかりしたサポートが求められると強く思うところでございます。
 このような状況のもと、都は、昨年度の決算では、地方卸売市場への支援として助成金約一億二千八百万円の支出を行っていますが、その事業目的と具体的な支援内容について伺います。

○野口事業部長 多摩地域の地方卸売市場は、生鮮食料品等を都民に安定的に供給する上で、中央卸売市場と同様、重要な役割を担っており、多摩地域の生鮮食料品流通では、地方卸売市場がその中心的役割を果たしております。
 そのため、地方卸売市場の適正かつ健全な運営を確保し、生鮮食料品流通の円滑化と都民の消費生活の安定化を図ることを目的に、地方卸売市場の開設者等の行う事業に対して補助を行っております。
 まず、施設整備事業費補助でございますが、これは、多摩地域の青果、水産の市場開設者等が市場機能の維持向上を図るための施設整備を行う場合に経費の一部を補助するものでございまして、平成二十五年度におきましては、東久留米水産地方卸売市場の建てかえ工事や、青果物を取り扱います東久留米地方卸売市場の倉庫棟新築工事など、三市場の施設整備事業に一億一千八百三十万円を支出いたしました。
 次に、管理衛生費補助でございますが、これは、場内の衛生保持を図るため、廃棄物の処理に要する経費の一部を補助するもので、平成二十五年度におきましては、十二地方卸売市場に対しまして約九百九十万円を支出いたしました。
 そのほかに、地域貢献事業補助として、市場流通に対する理解を深め、食育の推進を図るために行う市場見学等に対しての経費の一部を補助しております。

○鈴木委員 卸売市場を取り巻く環境の変化から、地方卸売市場の経営を担う開設者、卸売業者の経営も大変厳しくなっていると聞きますが、都の地方市場への支援に対する認識についてお伺いをいたします。

○野口事業部長 多摩地域の地方卸売市場では、厳しい経営環境の中、施設の老朽化対策が大きな課題となっている市場も少なくなく、補助事業の対象工事の拡大の声も届いております。
 そのため、都では、そうした要望も踏まえまして、本年度、施設整備事業費補助の制度を見直し、大規模な工事から軽微な工事まで弾力的かつきめ細かに対応できるよう、補助対象事業の拡大を図ったところでございます。このことにより、各市場の財務状況に応じた事業が効率よく実施でき、産地や消費者のニーズに見合った施設整備等が進められていくものと考えております。
 そのほかに、卸売会社の財務状況や経営実態を把握し、経営改善につなげられるよう助言を行う経理検査や、市場業務の適正かつ健全な運営が確保されるよう市場を巡回し指導を行う業務指導を定期的に実施しており、さきに申し上げました助成事業も含めまして、ハード、ソフトの両面から、多摩地域の地方卸売市場をきめ細かに支援しております。

○鈴木委員 さきに申し上げましたとおり、東京における生鮮食料品の流通は、十一の中央卸売市場と民間の地方卸売市場とが、その役割を補完し合うことで成り立っています。
 都が開設者である中央卸売市場はもとより、地方卸売市場についてもその重要性を認識し、補助金等によりしっかりと支援して、都民の期待に応える体制づくりを図る必要があります。これからも首都圏の生鮮食料品の流通確保にしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 さて、都内の中央卸売市場であって、多様な顧客のニーズに対応できる新たな施設の設置等により国際的にも通用する市場として整備する豊洲新市場について伺います。
 これまで我が都議会自由民主党は、現在の築地市場の現状を鑑み、早急に新たな市場を整備することが必要であるとの認識のもと、豊洲新市場の整備を推進してきました。
 新たな市場には、これまで以上に温度管理など品質管理ができることは当然のこととして、生鮮食料品を扱う市場として食の安全・安心を確保するため、まずは新市場用地の土壌汚染対策を十分にすることが不可欠であると認識しております。
 そこで、都がこれまで行ってきた土壌汚染対策の取り組みについて、改めて伺います。

○若林基盤整備担当部長 都では、豊洲新市場用地の安全・安心を確保するための対策の策定、対策実現のための具体的な技術、工法について検討する目的から、学識経験者による専門家会議及び技術会議といった二つの会議体を設置し、これまで、その会議体の提言に基づく対策を実施してまいりました。
 具体的には、街区周縁部に遮水壁を設置し、周辺地域との地下水の移動を遮断した後、ガス工場操業地盤面から深さ約二メートルのAPプラス二メートルまでの土壌について、汚染の有無にかかわらず、全てきれいな土に入れかえる、また、APプラス二メートルより下については、操業由来の汚染土壌を全て掘削除去し、地下水についても環境基準以下に浄化するものでございます。
 都では、こうした土壌汚染対策について、土壌及び地下水におけるガス工場の操業に由来する汚染対策が完了したことを、客観的データに基づき、技術会議において確認してまいりました。

○鈴木委員 都はこれまで、専門家会議及び技術会議の提言に基づき、土壌汚染対策を確実に実施してきたことはよくわかりました。
 ところで、そろそろ全街区で土壌汚染対策工事が終了になるころだと思いますけれども、平成二十五年度末までの執行状況と、現在の進捗状況がどのようになっているのか伺います。

○若林基盤整備担当部長 五街区、七街区におきましては、ガス工場の操業に由来する汚染土壌、汚染地下水の対策、液状化対策及び盛り土など、全ての工事を平成二十五年度末までに完了しており、執行額はそれぞれ、五街区が約百二十八億円、七街区が約九十四億円となっております。
 六街区につきましては、敷地西側の汚染土壌の掘削及び汚染地下水の浄化を平成二十五年度末までに完了しており、執行額は約三百五十六億円となっております。
 このほか、調査設計を初めとした関連費用として、平成二十五年度末までに約二十三億円を執行しており、平成二十五年度末における執行額は合計で約六百一億円となっております。
 現在、六街区では、汚染土壌の掘削を全て完了しており、敷地東側の一部において、汚染地下水対策、液状化対策、盛り土などを残すのみとなっております。これら残りの工事につきましても、十月末を目途に施工を完了する見込みでございます。

○鈴木委員 土壌汚染対策工事が着実に進捗していることがわかりました。
 土壌汚染対策については、多額の費用に見合う安全・安心を確保し、都民や市場関係者の信頼を得ることが何より重要であり、将来にわたり安全性を確保するためには、継続的に地下水の水位、また水質を監視し、管理するなど、リスク管理にも取り組んでいくことが必要であると考えます。ぜひとも、今後も対策を怠ることなく、しっかりと取り組んでほしいと思います。よろしくお願いします。
 土壌汚染対策が終了に向かって、また、本体施設の建設もいよいよ本格的な段階に入ってきました。これだけの大規模な工事は、その進捗をしっかりと管理していくことが重要であると思います。
 そこで、水産卸売り場棟などの市場本体施設の進捗状況はどのようになっているのか伺います。

○中山施設整備担当部長 青果棟や水産卸売り場棟などの市場本体施設については、本年二月に建設工事に着手し、各街区ともに工事を進めているところでございます。
 現在のそれぞれの工事の状況でございますが、五街区青果棟は、地中障害物撤去工事、くい工事、基礎工事を行っております。六街区水産仲卸売り場棟は、地盤改良工事、くい工事、基礎工事を行っております。七街区水産卸売り場棟は、くい工事、基礎工事、七街区管理施設棟は、くい工事を行っております。
 今後は、各街区において、くい工事、基礎工事に続き、上部の躯体工事などを進めていく予定でございまして、引き続き、綿密に調整を行い、安全管理や品質管理に万全を期し、円滑に工事を進めてまいります。

○鈴木委員 これからも、豊洲新市場の開設に向けて、新市場用地における土壌汚染対策を確実に進めるとともに、本体施設の建築を着実に進めていただき、新市場の整備を遅滞することなく、しっかりと進めていただきたいと思います。
 これまで質疑してきたように、卸売市場はさまざまな問題を抱えています。人口減とそれに伴う消費の減退、消費者のニーズや流通環境の変化に伴う卸売市場に求められる役割の変化、依然として厳しい市場業者の経営環境など、枚挙にいとまがありません。こうした問題を一つ一つ解決し、都民の食を支え続けていくことが都に課せられた使命であります。
 あわせて、都民の胃袋を満たすだけではなくて、栄養や食生活の面からも、一日の野菜の摂取目標値は一日三百五十グラム以上、また、果物の目安は百グラム程度ですが、十分な量の野菜をとっている都民は約三割にすぎないといわれております。市場まつりなどのイベントや福祉保健局とタイアップをしながら都民の健康を維持する意味からも、東京の中央卸売市場や地方卸売市場が持つ役割はとても重要でございます。
 そして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向け、和食はユネスコの無形文化遺産に登録をされた中で、日本の食は、さらに世界からの脚光と注目を集めることは間違いありません。日本を訪れる観光客の方々が日本の食文化に触れ、世界の多くの国々から、日本ならではの食やその食材を求めるニーズが高まってくることは想像にかたくないところでございます。さきに申し上げた問題を解決していくことは、日本の食を求める期待に応えていく端緒にもつながっていくのであります。
 これらに応えるべく、高度な品質、衛生管理や物流の効率化など、国際的にも通用する市場として豊洲新市場を整備すべきでありますし、同時に、他の中央卸売市場についても、さきにただしたような機能強化を図り、さらには、地方卸売市場についても必要なサポートをしっかりと行っていくべきであります。
 これらの取り組みを通じて、東京の卸売市場が一体となって、生鮮食料品等の安定供給のみならず、都民を初め都を訪れる多くの方々のニーズに応えていくことができるように強くお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○高倉委員 東日本大震災から三年七カ月ほどが経過をしたわけであります。
   〔委員長退席、山崎副委員長着席〕
 かなりの年月が経過をしている中で、依然として被災地では、風評被害を初めとして、各県の産品の販売、こういったことに大きな課題を持っているのではないかなというふうに思います。
 一方で、やはり被災地以外のところに住んでいる、私たちもそうですけれども、月日がたつに従って、震災の記憶の風化、こういったことも懸念をされている状況の中だというふうに思います。
 中央卸売市場は、そうした中にあって、この間、被災地の支援に具体的に全力を挙げて取り組んできたということは、私も高く評価を申し上げたいというふうに思っております。
 私ども都議会公明党も、この三年余りの間に繰り返し被災地を訪れまして、さまざまな要望を受けながら、被災者の視点に立って都議会でも支援を提案してきたところであります。
 そうした中で、福島につきましては、農産品や水産品、それから畜産物に関しまして、国民、都民の食卓に並んでも何ら影響のない仕組みづくり、こうしたことが、いろいろな関係者のさまざまな取り組みがあって進められてきたと思います。しかしながら、一方で、依然として、消費者の間に残るいわゆる風評被害によりまして福島の生産者が大変苦しめられている、こうした状況もあるわけであります。
 ことしの七月に、私は都議会公明党の同僚議員とともに、福島市の--福島は桃も特産の地域でありまして、桃の選果場、選果というのは、桃の実をいろいろな大きさに分けたりする選果場に行きまして、関係者の方々といろいろ意見交換をしてまいりました。出荷量は次第に戻ってきているというお話でもありましたけれども、一方で、やはり風評被害といったものがいまだに懸念をされている、こういうようなお話もあったわけであります。
 私たち都議会公明党としては、この間、具体的な支援策を提案してきたわけでありますけれども、その中で、市場の関係者あるいは消費者団体の方々を対象として被災産地で研修会を開催して、そして、検査状況の視察あるいは生産者との直接の意見交換、こうしたことを通して被災地の県産品の安全・安心を理解してもらう、こういったことを提案してきて、これを中央卸売市場として実施をしていただいたということについて評価をしているところでありますが、こうした効果のある取り組みについては、今後とも継続をしていくべきではないかというふうに思います。
 そこで、平成二十五年度も含めまして、これまでに実施をした研修についてお伺いしたいと思います。

○野口事業部長 都が実施しました被災産地支援研修につきましては、平成二十四年度に、福島県農業総合センターやJA全農の直販所におきまして青果部市場関係者二百四十七名が参加した研修会に引き続きまして、平成二十五年度は、水産物部の市場関係者六十二名が、いわき市地方卸売市場小名浜魚市場におきまして検査状況の視察や漁業関係者との意見交換を行いました。
 また、昨年度、新たに、都内の消費者団体等五十五名が、福島県農業総合センターやJA全農の直販所におきまして検査状況の視察や生産者との意見交換等を行いまして、現地における安全・安心の取り組みを実際に見聞きしていただく取り組みも実施いたしました。
 被災産地での取り組みや見聞きした内容につきましては、都のホームページへの掲載による周知や各市場での報告会の開催、さらに、小売業者などから消費者や販売先に直接伝えてもらう、そうした取り組みなどを含めまして実施いたしました。

○高倉委員 今、二十四年度、それから二十五年度と、二カ年間で多くの方が参加をして大変有意義な研修会だったという答弁でありました。
 こうした中で、研修の成果として、参加をした市場の関係者あるいは消費者の方だけではなくて、参加できなかった多くの都民にも現地のこうした取り組みをより知ってもらうということは大変重要だというふうに思いますけれども、この点についての取り組み、ご見解についてお伺いをしたいと思います。

○野口事業部長 これまで、研修に参加した方からは多くの声をいただきました。
 市場関係者からは、農産物は検査されているので安全だと思った、もっと消費者へそれを伝えていくべきだと思う、福島の野菜や果物の安全・安心を確認したので、これから福島の商品を販売し、宣伝していきたいなどの意見が出されました。
 また、消費者団体の方からは、話で聞くのとは違い、実際に現地での取り組みを見て、直接携わる人から話を聞くことで安全・安心を体感できた、これから東京で現地の取り組みを伝えたい、福島県内でこれだけの検査をやっていることを知らない人がたくさんいるということは残念、現地の取り組みをもっと大勢の方に知ってほしい、今後、機会あるごとに発表していきたいなどの意見が出されました。
 一方、福島県からは、県産品が敬遠されるなど、いまだ風評被害が残っており、水産物につきましては、試験操業の段階であることから、今後とも継続して支援をお願いされております。
 このため、都といたしましては、県の要望を踏まえ、引き続き、こうした取り組みを進め、現地の状況等を広く消費者の方に伝える必要があると考えております。

○高倉委員 今いろいろな声も紹介をしていただきましたけれども、実際に直接現地の状況を見ていただくということは本当に有効であるということだと思いますし、これを広く伝えていくということは、風評被害の解消にも大変有意義であるというふうに思っております。
 研修会に参加をした人を通して多くの情報が消費者に伝わって、それが風評被害の解消につながるということで、今後とも、先ほど申し上げましたけれども、ぜひ継続をした取り組みをお願いしたいというふうに思っております。
 今、答弁の中で、研修会に参加をした方から、検査などの取り組みを知らない人がたくさんいるということは残念であると、こういった声もあったわけでありますが、研修会等のPRだけでは、対象者がやはり限定をされてしまうという面もあるのではないかなと思います。
 東京都や福島県の取り組みにつきまして、さらに幅広く都民にPRをする必要があるのではないかなというふうに思いますけれども、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

○坂巻管理部長 東京都中央卸売市場では、毎年、市場まつりを開催してございます。この市場まつりは、平成二十五年度実績で約十三万人、各市場で平均一万八千人を超える来場者があります大規模なイベントでございます。
 市場まつりは、風評により販売が伸び悩む福島県産品の安全性について、多くの都民にPRできる絶好の機会であることから、平成二十四年度から福島県産品の販売を通じた被災産地の支援に取り組んでございます。
 このうち、平成二十五年度に開催した北足立市場などの市場まつりでは、会場の一角に特に福島支援コーナーを設け、福島県産品を陳列、販売いたしました。
 さらに、平成二十五年度、新たな取り組みといたしまして、PRコーナーを設け、来場者に対し、映像やパンフレットを用いて検査体制についての情報を提供するとともに、福島県産品を福島県の方から直接手渡しし、その場で試食していただくことで、安全なだけでなく、おいしさについてもPRしたところでございます。
 これらの取り組みに加え、被災産地を支援する研修会の実施結果や、農畜水産物の放射性物質検査情報等を局のホームページに掲載することにより、幅広く都民、消費者に対して情報提供しているところでございます。

○高倉委員 今後とも、ぜひ積極的に広報をお願いしたいというふうに思います。
 この点について、きょうは福島のことだけのお話をさせていただきましたけれども、被災県はもちろんほかにも、宮城県ですとか岩手県といったようなところもあるわけであります。放射線の影響ということではないと思いますけれども、そういった両県につきましても、県産品の販売の促進といったことについては、強い願いとともに、都としての応援といいますか、こういったことも要望しているんだというふうに思います。
 ことしも、私ども岩手にも行ってまいりまして、いろいろなお話を聞いてまいりましたけれども、当初、この震災によって壊滅的な打撃を受けたわけですけれども、その後、例えば加工品なんかの設備もだんだん復旧をしてきて、いよいよそういったものをさらに本格的に販売していきたい、こういった願いも聞いてきたところであります。この点については、また別な機会に質疑もさせていただければというふうに思っております。
 次いで、東日本大震災を契機として、再生可能エネルギーの導入あるいは省エネ対策、こういったエネルギーに関する多様な対応といったものが重要になってきているというふうに思います。
 中央卸売市場では、仲卸の店舗ですとか、あるいは冷蔵庫、低温倉庫、そういったエネルギーを大量に消費する施設を有しているわけであります。生鮮食料品に対する鮮度の保持あるいは安全性を確保するための施設整備といったものが進む中で、さらに市場全体としてのエネルギー需要といったものも高まってくるという面もあると思います。
 そうした中で、省エネなどの環境対策に取り組んでいくことは大変であるというふうに思いますけれども、工夫を凝らして積極的に進めていくということは、市場としての社会的な責任を果たすということにも通じるのではないかというふうに思います。
 そこで、中央卸売市場において平成二十五年度に取り組んだ再生可能エネルギー導入、また、省エネの対策について明らかにしていただきたいと思います。

○日浦市場政策担当部長 中央卸売市場は、再生可能エネルギー導入の取り組みとして太陽光発電設備の設置を進めております。
   〔山崎副委員長退席、委員長着席〕
 老朽化した建物が多く、設備の設置可能な場所が限られている中、平成二十五年度は、食肉市場センタービル屋上に百五十キロワットの太陽光発電設備を設置して、使用電力の抑制を図ったところでございます。
 省エネルギー対策といたしましては、豊島市場で、卸売り場に初めてLED照明を導入いたしました。これまで卸売り場の照明は、商品の見ばえや効率性を総合的に勘案し、主にセラミックメタルハライドランプを採用してまいりました。近年のLED照明の目覚ましい進歩を受け、商品の見ばえなど、生鮮食料品取引への影響を市場業界と共同で検証して器具を選定し、試験導入を図ったところでございます。
 この豊島市場をモデル事例とし、市場業界の意向も踏まえ、卸売り場のLED化などを進めております。

○高倉委員 今、さまざまな説明がありましたけれども、こうした対応について、私ども都議会公明党もこれまで、さまざまな形で提案、主張をしてまいっておりますので、ぜひ取り組みをさらに強化していただきたいというふうに思います。
 卸売市場は、産地と消費地との結節点ということでありまして、都民の台所として日々旺盛な経済活動が営まれているわけでありますが、そうした中で、事業活動に伴う電力などのエネルギー消費、また自動車からの排ガス、こうしたことによって環境に大きな負荷を与えているということもまた事実であります。
 第九次東京都卸売市場整備計画においては、中央卸売市場整備の施策の中で、市場の機能強化に向けて環境問題への対応が位置づけられております。この対策を着実に進めていくということが重要であると思いますけれども、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

○日浦市場政策担当部長 中央卸売市場においては、生鮮食料品等に対する品質保持を確保するための施設整備が進むにつれて、市場全体のエネルギー需要が高まっております。しかし、昨今のエネルギー需給の見通しや環境を取り巻く厳しい状況の中、中央卸売市場は、環境負荷低減の責務を果たすため、さまざまな取り組みを行っております。
 具体的には、施設新設、更新の際は積極的に省エネ型設備を導入しているほか、世田谷市場、北足立市場、食肉市場の三市場に太陽光発電設備を導入いたしました。現在、整備を進めております豊洲新市場では、二千キロワットの太陽光発電設備を導入する計画となっております。
 また、小型特殊自動車の排出ガス対策として、電動車への切りかえを推進するため、充電設備を増設しております。平成二十六年二月一日現在で、小型特殊自動車全体に占める電動化率は七一・九%と、年々向上しております。
 これらの取り組みにより、今後とも、業界と密接に連携しながら環境対策を着実に進めてまいります。

○高倉委員 本日は、風評被害の解消対策、また、省エネ、環境対策について質疑をさせていただきました。こうした取り組みは、都民の食生活を支え、食の安全・安心に責任を持つ立場として、また、社会の持続的発展にも責務を果たしていかなければならない中央卸売市場として、しっかり取り組んでいくべき課題であるというふうに思います。
 短期的な成果といったことも重要でありますけれども、より長期的な視点でこうした課題に着実に取り組んでいただくように要望いたしまして、質疑を終わりたいと思います。

○畔上委員 資料の作成、ありがとうございました。
 私からは、豊洲新市場の土壌汚染対策工事について伺いたいと思います。
 先ほどご説明の中で、豊洲新市場の土壌対策工事は、地下水管理を除けば、ほぼ終了だというご説明がありました。
 その土壌対策ですけれども、二〇一三年度の当初予算では、処理土量の増加があるということで八十六億円、それから、施設の建設工事の竣工時期の延伸、こういうことが問題になりました。また、最終補正では、洗浄処理プラントからの残渣、この処分費が上がったということで九十億の増加ということになりました。
 そこで、まず伺いたいのですが、土壌汚染対策全体に関するそれぞれの工種ごとの経費の実績、すなわち、見積もりなどで明らかにされております準備工事、汚染地下水対策、汚染土壌対策、液状化対策、埋め戻し、盛り土、そして地下水管理、これごとに実績を明らかにするように、私、資料要求をさせていただきましたが、総額でしか明示されておりません。その理由をまずお聞かせください。

○若林基盤整備担当部長 当初見積もった土壌汚染対策費は、技術会議において、新市場用地全体を一括的に捉え、工種ごとの費用を積み上げたものでございます。
 しかし、実際の土壌汚染対策工事は、街区ごとの工事として発注しており、その中には、土どめの設置や掘削のように、汚染土壌対策、汚染地下水対策などの各工種にまたがり、明確に区分することができないものが含まれております。このため、実績としては、工種ごとに明確な金額を算出することができないものでございます。

○畔上委員 たしか、ことしの一定の経済・港湾委員会で、仮設土壌処理プラントにおける最終的な処理土量や処理費用については現在精査中だと、このようにご答弁されておりました。
 また、地下水管理は別工事ですけれども、液状化対策、埋め戻し、盛り土、準備工事など、各工種として区分できるのは明確にできると思うんです。
 先ほど、汚染土壌や地下水対策でまたがるものがあるというご答弁があったんですけれども、仮にそういった工種にまたがるもの、区分ができないものがあるとするならば、やっぱり区分できるものはきちんと区分して、またがるものはまたがるものとして内訳を出すことは可能ではないでしょうか。
 先ほど、できないというご答弁だったんですけれども、この土壌対策工事が完全に終わった段階で決算額として示すときには、各工種ごとの金額を明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

○若林基盤整備担当部長 先ほども答弁しましたとおり、工事が終わったとしても、工種ごとの実績としては、明確な金額を算出することはできないものでございます。

○畔上委員 そういうことでしたら、市場会計としての液状化対策も、汚染土壌処理プラントで処理した費用も、それから管理型の処分場への搬出経費など、この工種ごとに区分した費用の結果が全くわからないと。これでは、各工事が本当にどうだったのかというチェックのしようがないじゃありませんか。
 では、伺いたいんですが、二〇一三年度当初予算の処理土量の増加分の掘削、そして運搬、仮設土壌処理プラントでの処理作業、想定外の地下構造物の処理、最終補正された分の洗浄処理残渣の運搬、それから管理型の処分場への搬出などをこの二〇一三年度に契約したわけですけれども、その契約というのは、それぞれどのように行われたのですか。

○若林基盤整備担当部長 今ご質問のあった工事項目のうち、必要と認めたものにつきましては、街区単位で、既に契約している土壌汚染対策工事の契約内容の変更により対応しております。

○畔上委員 つまり、結局、見積もってはみたものの、設計変更という形で契約者と合意できる形で対応したということであります。しかも、それぞれの内訳の金額は、予算段階ではしっかり見積もりを示したのに対し、いざ決算となると示すことができないと。
 地方公営企業法の三十条の第七項では、決算について作成すべき書類というのがありますが、ここには、当該年度の予算の区分に従って作成した決算の報告だというふうになっております。
 また、都財政の用語辞典で調べてみたんですけれども、このように書いてありました。決算は、予算の執行の事実をありのままに示すことにより、予算の見積もりに遺漏、いわゆる手抜かりがなかったかどうか、財政の健全性の原則により、かつ議会の議決に従って執行されたかを実績によって検討するんだという旨のことが辞典にも紹介されていました。
 この工事は請負業者が、土壌汚染対策工事も、それから建設工事も同一の業者が中心となったJVなんです。かつ工事費が、当初予算約四千億が五千億になる、さらにもっと増加する可能性があるということで、私は、やはりこの工事の費用の管理をしっかり行う必要があるんじゃないかというふうに思います。
 都民から見ても、本当にこれが実績としてどうだったのかということをきちんとチェックできるようにしていただきたい、そのことを強く申し上げておきたいと思います。
 さて、提出していただきました資料で示されました土壌汚染処理に要したお金というのは、二〇一三年度段階では決算額で六百一億円だということでありますが、先ほどのご説明では、まだ六街区が残っているということで、これからになってくるわけですけれども、二〇一三年度の当初予算で八十六億円積み上げた、そして最終補正で九十億円追加したわけですから、当初の土壌汚染対策経費として見積もられていた五百八十六億円から、少なくとも百七十六億円、合わせて七百六十二億円相当になるというふうに見られるわけですね。まだ決定ではありませんが、そういうふうに考えられるわけです。
 補正を含めてここまで莫大な費用がかかってしまったということについては、どのように認識されておられますか。

○若林基盤整備担当部長 都が行っている土壌汚染対策工事は、これまでご説明してきましたとおり、食の安全・安心を十分確保するために行ってきたものでございます。

○畔上委員 私が申し上げたいのは、このような莫大な費用が積み重なって支出せざるを得なくなったというのは、そもそも深刻な土壌汚染の土地にわざわざ築地市場の移転を強行した、そのことによるものだということであります。
 この間、我が党は、新市場予定地の土壌汚染対策が、食の安全・安心を担保する科学的な知見も都民合意も得られたものではないんだ、だから現在地再整備にすべきだと繰り返し求めてまいりました。これまでも何度か立ちどまって見直すチャンスがあったにもかかわらず、見直しはしないで、市場移転するための工事を強行したわけです。都民の皆さんが納得できないというのは、私は当然だというふうに思います。
 七百六十二億円というお金は、例えば、先ほど資料をつくっていただきましたが、築地市場の過去十年間の耐震補強工事と修繕工事を合わせても約二十九億円なんですね。どれほど大きなお金が、大変なお金がこの土壌対策でかかっているかということは明らかではないでしょうか。このことを私は指摘しておきたいと思います。
 原因者負担の問題も、これも曖昧にできない問題だと思っております。
 二〇〇六年十月の公営企業会計決算特別委員会で、新市場建設調整担当部長さんは、東京ガスの操業に基づく汚染物質が発見された場合は東京ガスが処理する旨の答弁をなされております。
 二〇〇七年六月の経済・港湾委員会で、新市場建設調整担当部長さんは、この処理基準を超える操業由来の汚染土壌については、二〇〇五年五月、東京ガスとの間で、同社が適切に処理するという確認書を交わしていますというふうにご答弁されております。
 その後、二〇一一年三月に、一部費用ということで、東京ガスが七十八億円負担するということで合意をしたわけです。
 しかし、その後にさらに、二〇一三年度に、当初予算の数字で八十六億円近い土壌汚染対策工事費が増加したわけですが、それに伴い、汚染原因者の負担の見直しを考えていないのか、こういう議会での指摘に対しまして、市場長は、当時、過去の経緯及び現に操業由来汚染が確認されたことなどを総合的に勘案して今後の対応を検討してまいりますというご答弁をされておりました。
 そこで伺いますが、その後、土壌対策費用の追加負担についてどのような検討をされたのでしょうか。その結果、どのような対応をされたのでしょうか。それぞれ具体的にお示しください。

○加藤新市場整備部長 豊洲新市場用地におけます土壌汚染対策費用につきましては、東京ガス株式会社等が、平成十九年三月までに法令上必要な対策を完了いたしましたが、その後の都の調査により、ガス工場の操業由来汚染が確認されましたことから、平成二十三年三月、東京ガス株式会社等は、社会的責任から都の申し出に応じまして、土壌汚染対策費の一部負担に呼応したところでございます。
 都といたしましては、このような過去の経緯や法的な観点などを総合的に勘案しまして、引き続き対応を検討してまいります。

○畔上委員 今、今後も引き続き検討というお話なんですが、昨年度の予算の議会でのご答弁だったんですね。あれから一年半もたって、検討の結果についても説明できないというのは、東京ガスに負担を求めるそういう姿勢は本当にあるんだろうかと指摘せざるを得ません。しかも、どれだけかかったのか、土壌汚染対策経費の内訳を示すものも持ち合わせていないと、先ほどのご答弁であったわけですから、東京ガスに求めようがないわけです。
 私は、東京ガスに、先日、直接確認をいたしました。そうしたら、東京都からは、その後、負担についてのお話は全くありませんということでありました。先ほどのご答弁で検討というふうにおっしゃったんですが、そのご答弁にぜひ責任を持っていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、二〇一三年度の予算質疑のときに問題になったのが、いわゆる想定外の地下埋設物が出てきたということであります。当時の議会での答弁を見ますと、基盤整備部長は、都は当初、建設基礎などの地下障害物の位置や量を東京ガスの昭和三十年代当時の図面をもとに把握し、土壌汚染対策工事を実施した、しかし、実際に工事を進めると、各街区周縁部での遮水壁工事などで、図面に存在しないはずのところに基礎やくいが出てきたんだ、そして電線ケーブルや埋設管などが出てきた旨のご答弁をされております。
 そこで伺いたいのですが、実際に工事を進める中で、図面には存在しないはずのところにあった地下埋設物については、東京ガスへの負担はどのようにするのでしょうか。その根拠についてもお示しいただきたいと思います。

○加藤新市場整備部長 豊洲新市場用地におけます地下埋設物についてでございますが、都と民間地権者で平成十八年に締結いたしました、豊洲新市場予定地内に残置される地下埋設物の取り扱いに関する協定書というものがございます。地下埋設物につきましての扱いにつきましては、そこで定められております。
 都は、地下埋設物につきましては、この協定書に基づき適切に対応してまいります。

○畔上委員 豊洲新市場予定地の土地購入に先立つ二〇〇六年一月の財産価格審議会で、地下埋設物の数量確認について説明を求められ、説明者の方は、東京ガスと東京都で数量を確認していると回答されています。さらに、追加の埋設物の扱いについても質問され、説明者は、担保できるような形で約束を結ぶ予定と回答されています。
 その後、二〇〇六年三月三十一日に協定書が交わされました。その協定書を改めて私も見てみたんですが、その条文の第一項で地下埋設物の残置数量について確認しておるんですが、第二項では、前項の数量と異なる場合においても、都も東京ガスも異議を申し立てないものとする、このようになっておりました。この協定書に、当時の新市場の整備担当部長が調印もされておられました。
 土地を購入する際の土地価格を評定する審議会では、追加の埋設物の取り扱いについては担保できるような形で約束を結ぶ予定と、こういうふうに説明しておきながら、いざ協定書を結ぶ際には、そんな規定もつくらずに合意をされていると。
 ご答弁を今伺ったら、協定書に基づいて適切に対応したというふうにおっしゃったんですが、結局、財産価格審議会では、追加の埋設物について追加負担できるようなそういう担保をとるので、それを加味した価格を評定してもらって結構だというようなことを説明しながら、実際にはそうしなかったと。これは適切な対応と果たしていえるのでしょうか。私は、そうはいえないんじゃないかと思っています。
 これまで、何点か私伺わせていただきましたけれども、土壌対策の工事については、当初の予定よりも約百八十億の増加分の算定が適切だったのかどうかのチェックもできない。そして、増加分についての東京ガスへの負担に対する姿勢の問題もありました。そして、地下埋設物の処理費用については、土地購入価格評価と事実が異なる説明など、どれもこれも到底納得できるものではないと思います。こうした重大な問題を抱えたままの市場建設を進める、そういう都の責任は、私は重大だといわざるを得ません。
 そのことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

○加藤新市場整備部長 ただいま、委員のご指摘がございましたけども、先ほど来答弁を申し上げたとおりでございます。
 都といたしましては、施設の老朽化が著しく、敷地も狭隘である築地市場から一刻も早く移転し、高度な衛生管理や物流の効率化を実現することにより、産地や顧客のさまざまなニーズにも対応できる多様な機能を有する豊洲新市場を早期に整備することが何よりも重要であると考えております。
 今後も、新市場の整備に向けまして、土壌汚染対策工事、建築工事など、市場業界と密接な連携を図りながら全力を挙げて取り組んでまいります。

○中村委員 それでは、平成二十五年度の中央卸売市場の決算について質問します。
 まず、改めて市場の役割について伺います。
 最近では、流通の仕組みが大きく変わり、民間の事業者による市場を通さない流通もあると聞きます。また、大手流通事業者による産地直送もふえています。しかし、消費者にとって食の安全を確保したり、小規模な小売店の取引を支えていくなど、公設市場に求められる役割は依然として大きいと思います。
 そこで最初の質問として、改めて都が市場を経営することの意義と、今後どうなっていくと考えているのか、まず伺います。

○日浦市場政策担当部長 市場経由率は、長期的に見ると低下傾向にございますが、水産物で約六割、青果物では国産で見ると約九割を占めており、生鮮食料品流通において、市場は依然として重要な役割を担っております。
 都民の食生活の安定や食の安全を確保するため、卸売市場が持つ集荷、分荷機能や相対取引をも対象とした価格形成機能等、市場の基本的機能を発揮し、公正な取引が確保できるよう、都が開設者となり市場を運営しております。
 これらの基本的機能に加え、加工やパッケージ、効率的な物流の実現など、都と市場業者が連携して市場の機能強化を図り、川下のニーズに応えることも必要と考えております。

○中村委員 都民にとっても大変重要なさまざまな機能が市場にはあることを改めて確認させていただきました。
 また昨今では、福島での原子力発電所の事故に対して、放射能についても、市場を通るものは産地において検査が行われ、全て安全性が確認されているということから、市場を通すことが付加価値としてもあるかと思います。引き続き、食の安全についても取り組んでいただきたいと思います。
 とはいえ、商売は都が直接行うわけではありませんので、都は公設市場としての果たすべき役割を通して流通量をいかに確保するか、そして、事業者の方々を支えていくことを通して消費者の利益になるように都の役割が期待されます。
 そこで、市況や事業者の状況について伺いたいと思います。
 決算年度の二十五年度は、水産物と青果物については、市場での取引量は減少または横ばいになっているのに比べ、売り上げは伸びており、個々の事業者の営業利益もふえていると考えます。これは、円安や景気、消費税導入前の駆け込み需要などにもよるものと考えられますが、都は、市況や事業者の業績をどう捉えているのかお伺いします。

○野口事業部長 平成二十五年度決算の中央卸売市場の取扱数量及び取扱金額につきましては、水産物では、取扱数量が約五十万五千トンと、前年に比べ約二万二千トン減少いたしましたが、取扱金額では約四千四百七十九億一千万円と、前年に比べ約五十二億七千万円増加いたしました。
 また、青果物では、取扱数量は約二百八万一千トンと、前年に比べて約一千トンの増加、これに対しまして、取扱金額は約五千三百四十三億八千万円と、前年に比べ約百六十九億円と大きく増加いたしました。
 市場で取り扱う生鮮食料品につきましては、天候に左右されやすい生産地の出荷、そして流通量、さらに景気の動向や為替相場など、さまざまな要因が日々の取引に大きな影響を与えており、平成二十五年度につきましては、天候不順を初め、市場への入荷量が伸び悩み、取引が比較的高単価で推移したことが結果として事業者の営業利益に反映されたものと捉えております。
 ただし、このような状況は一時的なものであり、個々の事業者の業績が回復基調にあるとはいえません。事業者の多くは、依然として厳しい経営環境に置かれているものと考えております。

○中村委員 事業者の二十五年度の経営状況ということの検査結果についてはこれから早期に分析し、それにより困難な状況などがあれば、一口に事業者といっても多種多様なご意見や立場もあるかと思いますので、よく話を聞いて今後の施策に反映させていただきたいと思います。
 こうした社会状況では、事業者の経営も大変厳しくなっています。水産仲卸業者では、条例上の財務基準に抵触する事業者も多いと聞いていますが、この事業者の経営状況やその対応について伺います。

○野口事業部長 市場を取り巻く経営環境は、景気回復のおくれや流通環境が大きく変化する中、仲卸業者におきましては、従前からの顧客でありました鮮魚、青果店といった専業小売店が大幅に減少し、多様な商品を取り扱う食料品スーパーが主流となるなど、ますます経営が厳しくなっております。
 特に水産物を取り扱う仲卸業者では、都で定める三年連続の経常損失など指導対象となる三つの財務基準のいずれかに抵触する事業者が多く、直近の平成二十四年では約六九%の事業者がこれに該当しております。
 このため、都では、定期的な財務検査や業務指導を行うとともに、赤字を計上している事業者に対しましては、経営改善を図るため、公認会計士や弁護士、中小企業診断士等を交えました経営相談、指導を実施しております。さらに、業界団体が取り組む流通改善や顧客、販路拡大等の活性化事業に対して支援を実施しているところでございます。

○中村委員 条例上の基準に抵触をしても、すぐに経営難というわけではないことは聞きましたけれども、とはいえ、六九%というのはかなり高い割合であり、厳しい状況にあることは変わりありません。
 とりわけ築地市場においては、事業者の組合の調べによると、豊洲新市場への移転については、経営が厳しくて廃業するしかないという事業者も何割かあるようです。引き続き事業者への支援をお願いします。
 また、公設市場として利益を上げることだけが目的ではないにせよ、事業者の利益がふえれば、市場会計自身の営業利益にも反映をされます。二十五年度は、市場会計の決算として、取引量は減っても、単価が上がり取扱金額がふえているため、営業利益は増加しているようです。しかし、営業費用を見込んだ営業損益は赤字のようです。
 卸売市場会計は、昭和四十二年度以降、連続して赤字になっています。経常収支は、平成十二年度以降黒字とはいえ、厳しい状況にあります。
 現在の累積欠損金、企業債の残高と年間の利子支払い額は幾らか、伺います。

○坂巻管理部長 営業損失につきましては、本年度決算では約十三億円となってございます。過去、平成九年度には約三十六億円の営業損失を計上する時期もありましたけれども、その後、経費節減等により改善傾向にございまして、損失は大幅に縮小してきてございます。
 また、経常収支につきましては、施設使用料の改定や企業債繰り上げ償還等によるコスト縮減により、平成十二年度以降黒字で推移してございます。平成二十五年度決算では約五億円の黒字でございまして、純利益においても約三億円の黒字を確保してございます。
 企業債残高につきましては約一千四百九十三億円でございまして、年間の企業債利息は約二億円となってございます。
 累積欠損金につきましては近年減少しており、平成二十五年度末で約五十六億円でございます。

○中村委員 ただいま答弁にもあったとおり、収支は改善傾向にはあるとはいうものの、累積欠損金が五十六億、企業債残高が一千四百九十三億円で、年間利息が二億円ということです。さまざまご努力いただいて、累積欠損金については縮減しているようです。とはいえ、早期に解消することを考える必要性はあるので、引き続きご尽力いただきたいと思います。
 こうした会計状況の中で、二年後に豊洲新市場の開場を迎えることになります。豊洲新市場建設に向けた財源はどのように確保していくのか伺います。

○坂巻管理部長 豊洲新市場整備のための財源といたしましては、市場会計の保有資金、国庫交付金のほか、築地市場跡地の処分に伴う収入を充てていくということにしてございます。

○中村委員 新市場の建設は、現在の築地の土地の売却収入を充てるようですが、跡地についての利活用または処分などの方針が未決定のままの状況が長期間に及ぶと、市場会計としては、その間も利子の支払いなどが積み重なっていきます。財産の管理を所管する財務局や、都市計画を所管する都市整備局など関係局と連携しながら、早期に財源の確保に向けて協議していただきたいと思います。
 さて、豊洲新市場建設の財源見通しの話をしましたが、決算年度は第九次卸売市場整備計画に基づいて各市場で事業が行われていますが、とりわけ豊洲新市場においては、土壌汚染対策工事から本体工事の着工が始まりました。
 卸売市場計画では、流通圏を設定し、需要量の見通しをしています。その需要量と整備計画は、そもそもどのように関連づけられているのか伺います。

○日浦市場政策担当部長 都道府県卸売市場整備計画は、その区域ごとの生鮮食料品等の流通事情に応じて、卸売市場の適正な配置方針や施設の規模等を定める計画でございます。そのため、計画目標年度の流通圏における需要量や市場取扱量を推計し、計画的に整備を行うことにより、都民への生鮮食料品等の安定供給の確保を図っております。

○中村委員 新たな市場をつくるので、新たな需要を見込むこともあるかと思います。今の築地が手狭ということでより広い豊洲に移ることになることはあるにせよ、その分、需要がふやせるように尽力していただいて、整備中の施設が後年度に過剰な規模になることがないようにしていただきたいと思います。特に、他の十カ所の中央卸市場の取引も吸収してしまうということもあるかもしれませんので、予想して、十一の市場で全体としての取り組みをお願いします。
 また、昨今の労務単価や建設資材価格の急激な上昇等が原因となって、公共工事も不調になるケースも続きました。二十五年度当初予定した事業はできたのでしょうか。資本的収支の執行率が余りに低いのですが、原因は何か、改めて伺います。

○坂巻管理部長 平成二十五年度決算におきます資本的支出は約五百二十三億円で、予算現額に対する執行率は五七・七%となってございます。これは、土壌汚染対策工事におきまして、汚染土壌の処理残渣の受け入れ量が制限された影響などで工期を翌年度に延伸したこと、あるいは、豊洲新市場青果棟などの建設工事の再発注に伴い、工事着手が年度末にずれ込んだことなどにより、約三百十三億円を翌年度に繰り越したためでございます。
 これらの工事の二十五年度執行額五百二十三億円に、二十六年度への繰越額である三百十三億円を加味した執行率は九二・二%となってございます。
 一方、資本的収入は三百九十九億円で、予算現額に対する執行率は五三・一%でございます。これは、先ほど申し上げた土壌汚染対策工事及び豊洲新市場青果棟などの建設工事につきまして、二十五年度の工事出来高に相当する企業債収入や国庫交付金収入を計上したためでございます。

○中村委員 決算上は大幅に執行率が低くはなっていますが、繰り越した分を入れると高い執行率とのことです。とはいえ、時期がずれ込んだことは事実ですし、当初計画よりも大幅に事業費が膨らんだことで、会計としては厳しくなります。引き続き行われている事業については、その見積もりを適切に行っていただきたいと思います。
 また、昨年度は、五街区と七街区の土壌汚染工事が完了し、建設工事が始まった年度でもありました。改めて、どういうプロセスで五街区と七街区の土壌汚染工事が完了したか伺います。あわせて、地下水のモニタリングの方法がずっと決まっていないのですが、そろそろ決まってもいいんじゃないかと思いますが、方針を伺います。

○若林基盤整備担当部長 土壌汚染対策のプロセスにつきましては、豊洲新市場用地の安全・安心を確保するため、学識経験者による専門家会議及び技術会議といった二つの会議体を設置し、これまで、その会議体の提言に基づく対策を実施してまいりました。
 具体的には、街区周縁部に遮水壁を設置し、周辺地域との地下水の移動を遮断した後、ガス工場操業地盤面から深さ約二メートルのAPプラス二メートルまでの土壌について、汚染の有無にかかわらず全てきれいな土に入れかえる、また、APプラス二メートルより下については、操業由来の汚染土壌を全て掘削除去し、地下水についても環境基準以下に浄化するものでございます。
 都では、こうした土壌汚染対策について、土壌及び地下水におけるガス工場の操業に由来する汚染対策が完了したことを、客観的データに基づき、技術会議においてこれまで確認してまいりました。
 土壌汚染対策法の地下水モニタリングにつきましては、土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインに基づき、建築施設の配置等を勘案しながら、地下水を採取する観測井を設置し、モニタリングを実施してまいります。

○中村委員 私も、この汚染対策が非常に重要だということで思いましたので、五街区と七街区のときの技術会議については傍聴し、確認されたというところは拝見させていただきました。
 今後、六街区の対策も間もなく終わるようですが、当然しっかりやっていただきたいと思います。何より食の安全が大切ですので、土壌汚染対策については行っていただきたいと思います。
 また、地下水についても、モニタリングの方法を決めるのは簡単ではないようですが、そういった状況が早くわかった方がいいところがありますから、できるだけ早急に行っていただきたいと思います。
 また、既に建設が始まっている豊洲新市場では、六街区の水産仲卸売り場棟と七街区の水産卸売り場棟が道路で分割され、離れています。生鮮食料品を途切れることなく低温の温度管理を行うコールドチェーンを進める上では課題が大きいとは思いますが、市場全体としてコールドチェーンが実現できる施設計画となっているのか、伺います。

○加藤新市場整備部長 豊洲新市場の整備におきましては、食の安全・安心を確保する上で、商品を適切な温度で管理していくことが重要でございます。そのため、市場全体として温度管理が可能な閉鎖型施設としているほか、衛生管理などの品質管理のあり方を検討しているところでございます。
 例えば、六街区の水産仲卸売り場棟と七街区の水産卸売り場棟の間は、補助三一五号線の下に四本の屋内連絡通路を設けるなど、閉鎖型の一体施設として利用可能な計画としております。

○中村委員 既に建設工事は行われていますが、まだ開場に向けて調整していかなければならないところが多くあるようです。コールドチェーンは新市場の特徴の一つだと思いますので、関係者の意見を調整して行っていただきたいと思います。
 以上、さまざま質問しましたが、公設市場の役割としての機能を発揮し、厳しい経済状況や流通の変化の中で関連事業者を支え、ひいては消費者のために最大の効果を果たすのが役割だと思います。新市場の開設に向けても、関係者の意見を十分に聞き調整し、何より食の安全を確保していただくよう要望しまして、質問を終わります。

○上田委員 平成二十五年度決算に当たり、東京都中央卸売市場の存続に向けての現状課題を中心に審査させていただきたいと思います。
 市場とは、いうまでもなく、卸、仲卸、小売業者があって成立をいたします。殊に水産物、青果物、花き、食肉などの多種多様な生鮮食料品を、買い手のニーズを捉え、適材適所に販売をする仲卸の存在は、中央卸売市場にとって市場機構の中心としても、消費者側にとっても殊に重要な存在といって過言ではありません。仲卸なくしては市場は成立しませんことからも、その取り巻く環境、経済状況に非常に高い関心を持つところでございます。
 卸売業界は、もともと人件費率の高い業界でしたが、各部類別に見ても全てにおいて、こちら、ことし三月の仲卸業者の経営状況の方を拝見させていただいておりますけれども、前年同様、人件費が減少した業者が増加した業者よりも大きく上回っております。営業損益の状況も、前年調査よりは減ったものの、赤字業者が五五・三%となっております。二期連続赤字計上の業者は四三・七%となっておりますことからも、仲卸業者の取り巻く経営環境は、かなり厳しいと判断せざるを得ないところでございます。
 東京都としては、この現状をどう捉え、それに対してどのような分析をされているのか、伺います。

○野口事業部長 市場を取り巻く経営環境は、リーマンショック以降の景気の低迷、産地や小売の大型化など流通環境の変化を受け、大変厳しい状況が続いており、仲卸業者にあっては、景気の動向もさることながら、専門小売店の減少や大型量販店の台頭による流通の変化が経営に大きく影響しております。
 このような状況のもと、仲卸業者の過去五年の経常赤字業者の割合は、おおむね四〇%から五五%の間で推移しております。直近の平成二十四年では、約四五%の事業者が経常赤字となっており、前年の約五五%に比べ、おおむね一〇ポイント程度、赤字業者は減少いたしましたが、依然として厳しいことに変わりはないと考えております。
 経常赤字会社の割合につきましては、特に売上高三億円未満の小規模な事業者におきまして五〇%以上とその割合が高くなっており、経営改善を図る観点からは、経営の統合、合併等による販路拡大や経営基盤の強化が必要と考えております。
 都といたしましては、個々の仲卸業者の経営改善のため、経理、業務検査による改善指導や、公認会計士等による経営相談を行うとともに、市場全体の活性化を図る観点から、業界団体が流通改善や顧客拡大等に取り組む活性化事業に対して支援を実施しております。

○上田委員 仲卸業者への経営指導は、事業者にとっては大変ありがたいことだとは思います。しかしながら、東京都の方でも集約しているとは思いますけれども、こちらを見ていただければわかるように、数字にあらわれているとおり、改善を図るのがかなり困難そうに見えることからも、MアンドA等、集約していくための一歩踏み込んだ経営指導や専門的ノウハウの提供、こちらは個々が決めることでありますから押しつけることではないですけれども、打破の一環としての、何というのですかね、経営マネジメントの方策をサポートといいますか、提案することも指導の中に含めることも検討していっていただければというふうに求めさせていただきたいと思います。
 次は、仲卸の新規参入状況についてです。
 今まででも何者か市場からまさに淘汰されていってしまった仲卸さんもいらっしゃるところで、平成二十四年度十二月現在、千二百十二業者となり、前年より三十二業者減少し、平成元年から見ると、五百八十二業者、三二・四%も減少、市場別前年比では、築地が二十四件、足立が三件、青果部では、淀橋二件、大田、豊島、葛西が一件、花き部では板橋一件となっております。仲卸という産業自体に、もはやなり手や需要がないのではないかということを懸念するものでございます。
 つきましては、平成二十五年度の新規参入の状況、実績とそれに対する考え方、なかなか入ってこないということは、需要がないというより、もしかしたらば入りづらい等の参入障壁などはないのかということも知りたく、質問する次第でございます。

○野口事業部長 仲卸業者の公募につきましては、各市場におきまして、仲卸店舗にあきが発生した際に、他の仲卸業者の譲り受け、譲り渡し等の有無を確認するなど、業界関係者と調整した上で行うこととしております。
 平成二十五年度における仲卸業者の公募の実績は、豊島市場青果部、そして大田市場水産物部で行われており、豊島市場では、一事業者の募集に対して一事業者の応募、大田市場では、延べ八事業者の募集に対して四事業者の応募があり、それぞれ一事業者、四事業者を新たに採用し、仲卸業務の許可を行いました。
 そして、新規参入の障壁にならないのかというその考え方でございますけれども、公募に当たりまして、業界との調整とは、同じ市場内の仲卸業者の中で、事業を譲り受け、譲り渡しを希望している方がいるかなどを確認するものでございます。
 事業の譲り受け、譲り渡しなどは、厳しい経営環境にさらされている仲卸業者にとりまして、販路や事業の拡大を図り、経営基盤の強化や経営改善に寄与するものと考えております。
 また、市場取引につきましては、公平公正な取引が求められ、卸売市場法や条例でさまざまな要件が定められており、公募に際しましては、市場業務の経験や業務を的確に遂行することができる資力、信用力、知識を有する者であることなども確認をしております。
 公募につきましては、業界関係者と調整後、公平公正な対応に努めておりまして、このことが新規参入者の障壁になるとは考えてございません。

○上田委員 いま一度確認させてもらいますけれども、やはり業界関係者の調整をすることというのは、もしかしたらば、新規参入者の方が実力も体力もあるのかもしれません。そういった場合のことなんかは考えられないのでしょうか。

○野口事業部長 業界との調整といいますのは、先ほど申し上げましたように、同じ市場内の事業者の中で、事業を譲り受けたいのか、もしくは譲り渡しをしたいのかということの希望を確認するものでございます。これは、条例上で、仲卸業者については、事業の譲渡、つまり譲り渡しですけれども、譲り受けができるというような規定になってございます。
 まず、私どもとしては、そういう方に対しまして、あきが発生した場合に、そういった需要があるかどうかを確認させていただく、それが先決だろうというふうに考えております。さらに、そこであきが埋まらないという場合には、公募により新規事業者を募集する、そういう手はずで進めているものでございます。
 そういうことで、その公募に当たりましても、さまざまな審査を設けておりますので、私どもとしては、新規参入の障壁になるとはちょっと考えてはございません。

○上田委員 仲卸さんのところは組合もありますので、きっとそちらの方からもお話を聞いて客観的な、手を挙げる方、ここのあいたところに入りたいという方の状況というのも、恐らく東京都の方もしっかりと情報を得た上で調整をされているのかというふうに考えております。
 一方で、ちゃんと募集した結果として、残念ながら、八事業者に対し四事業者しか来なかったということは、一見、残念な結果ではありますけれども、広く募集をしたというふうなことは評価していただきたいと思いますし、あきが埋まるように、この件に関しましては呼びかけ等は続けていっていただきたいというふうに思います。
 これまでのご答弁を踏まえて、さらに個別に考えていきたいと思います。
 築地の仲卸業者でございますけれども、そのうちの四五・七六%が経常赤字、債務超過は五〇・八五%と厳しい状況が見てとれます。
 東京都は、事業概要でもありますように豊洲新市場移転支援事業を実施しており、先ほど来、経営のサポートをしていることは十分承知しておりますけれども、このサポートがあっても移転を断念する事業者が相当数に上るのではないかということを危惧しております。
 先ほど来、同僚委員がさまざま質問したとおり、土壌問題も解決をして、立派な豊洲ができました、がらがらでしたということは絶対にないようなことは願っておりますので、全てが埋まる見通しは立っているのかどうかについてお答えいただければと思います。

○野口事業部長 豊洲新市場への移転に当たりましては、市場業者が抱える不安を解消し、安心して移転できるよう、業界団体と連携しながら、移転の準備から移転後に至る各段階に応じた支援策を順次実施しているところでございます。
 しかし、水産仲卸業者の中には、販売先の減少等から商売の先行きに対しての不安や、経営者自身の高齢化、後継者問題などの個々の事情により、移転を希望しない事業者もおります。業界団体からは、そうした事業者の中には、自身の事業を他の事業者に譲り渡したり、合併したいというニーズがある一方で、豊洲移転を機に、販路拡大や新たな事業展開を模索し、経営規模の拡大を計画している事業者も多く、事業の譲り受けや合併の受け皿としてのニーズもあるというふうに聞いております。
 このような状況を踏まえました上で、水産仲卸業界とも随時調整を図りながら店舗数を配置することとしていることから、現段階では全ての店舗が利用される見込みでございます。

○上田委員 来るオリ・パラを目指しまして国際都市を担っていく東京におきまして、オリンピック会場とも近いこの豊洲は、まさに国際市場になっていくような期待を私も抱くところでございますので、新たな業界や外資系など、幅広く参入を促すことこそが豊洲新市場の活性化につながると考えております。築地市場の既存事業者内だけの調整には、ちょっと大丈夫かなという疑問が残るので、既存仲卸以外の事業者が新規に参入できる機会を積極的に設けるべきではないのかなと考えております。
 といいますのは、今のご説明にあった経営規模の拡大を計画している既存事業者さん、新聞報道にもなっておりましたけれども、これから数年、どのような状況になるかわからない、移転時に経営状況に変化が生じることもないともいい切れません。移転が完了した後、先ほど来申し上げたように、空き店舗が発生してしまったということにならないように、今後も東京都は緊張感を持って事業を推進され、議会はそれを監視していくことになるかと思われます。
 その際、でも、よんどころのない状況で空き店舗がどうしても出てしまった場合は、先ほど申し上げましたように、フェアな市場原理に従って、公募をかけ、経営能力もある、意欲もある新規事業者が外部から入れる、生かせる機会を望むものであります。
 次に、老朽化が進みます市場のあり方、二十五年度も建設改良費には八百九十二億円投入されているところでございますが、十一市場になりまして二十年以上が経過をしておりまして、東京都を取り巻く物流ロジスティック環境が大きく変わっていると考えております。
 また、異常気象が常態化する中、食品にストレスを与えない、事業者の労働環境も鑑みたコールドチェーン整備が--先ほど来、豊洲の方は大丈夫というふうには考えておりますが、残る十市場におきましてコールドチェーンの整備も求められているところです。
 先ほどのとおり、仲卸業者が、あの経営状況では自力でインフラを整える経済的余裕はない、仮に東京都が用意してくれたところで電気料金も払えないような仲卸業者さんもあると仄聞をしております。こうした中で、老朽化が進む中の現状把握と対応につきましてご説明ください。

○日浦市場政策担当部長 都には十一の中央卸売市場があり、それら十一の中央卸売市場がそれぞれの特徴や強みなどを生かしながら相互に補完し合い、同一の開設区域内において、一体としてその機能を発揮しております。
 都の中央卸売市場は全体的に施設の老朽化が進んでおりますが、適宜、修繕、改修により機能の維持更新を図っております。
 さらに、生鮮食料品等の流通環境の変化に伴って変わっていく生産者、実需者の多様なニーズに応えるため、荷さばき場の低温化が可能となるよう淀橋市場仲卸売り場棟のリニューアルや、物流改善のため大田市場の荷さばき場建てかえなど、都と市場業者が連携し、機能強化を図っております。
 施設整備に当たりましては、各市場施設の現状や市場業者の経営状況に留意し、業界とも十分協議しながら、市場機能の維持、強化に適切に対応することが必要と考えております。

○上田委員 東京都におかれましては、十一市場のそれぞれの必要性、限られた財源の中での努力をしているということと今の説明内容は受けとめさせていただきますが、長期的展望、幅広い視野に立ち、選択と集中、集約を促す時期に入ったのではないか、修繕、維持、更新にもそろそろ限界があるのではないかというふうにも考えております。
 今後は、急速な、世界最速で進む少子高齢化によるマーケットの縮小が予想される一方、インターネットの普及等により中間コストも抑えられますことから、生産者と小売店が直接取引をしたり、何より、電話一本、メール一本で発注が済む利便性もあり、増加し続けている市場外流通にどう対応していくかが問われている時期となっております。
 施設老朽化対策は、長期的視野に立って実施しているわけではなく、二十五年度のご報告の整備内容においても、その都度の発生主義的に対応せざるを得ない状況でいらっしゃいます。三十年以上たった施設も多くなっている中で、利用できてあと二十年ぐらいかなというふうに思うところであります。
 豊洲には、先ほどおっしゃっているように集約されることは大きな期待を持っておりますが、新規に建てかえることが現実的ではない残る十市場においての将来の統廃合を視野に入れる時期に入ったと私個人は考えているものですが、この点についての見解を伺いたいと思います。

○日浦市場政策担当部長 繰り返しになりますけども、都には十一の中央卸売市場があり、それぞれの強みを生かしながら相互に補完し合い、同一の開設区域内において、一体としてその機能を発揮しており、十一市場が必要であると考えております。
 これら十一の市場の立地や施設状況などの特徴を生かし、各市場の市場業者は、さまざまな活性化に取り組んでおります。例えば大田市場水産物部では、鮮度にこだわり、朝どれの鮮魚を商品化した朝穫れ鮮魚ボックス事業を平成二十五年度から行っております。また、北足立市場などでは、都と業界が協力して都民を対象とした講習会を開催し、生鮮食料品等の流通事情や商品知識に関する情報提供を行う食育推進活動などを行っております。
 市場を取り巻く状況は厳しいですが、十一の中央卸売市場において、都が施設整備に取り組むとともに、業界の意欲的な取り組みを支援することにより、都と業界が一体となって活性化を図り、都民に豊富で多様な生鮮食料品等を供給するという市場の役割を果たしております。

○上田委員 ご答弁ありがとうございました。
 幕末、関東大震災、戦前戦後を経て、常に花のお江戸の食を支えてきた歴史を持つ東京の市場で、その存在意義は、私自身も、実家が大正時代から市場のお世話になりまして飲食店を営んでいたことからも、身にしみて理解をするところではありますが、紛れもなく努力もされていらっしゃいます。しかし、課題認識もしっかりお持ちということを、ご答弁の中でも、私もわかりました次第でございます。二十五年度も、都も事業者も、現場を知る者として骨身にしみていることは重々承知をしているということです。
 何しろ市場ということですので、常に市場原理のもと、都民全体の市場だけではなく、一般会計、国庫補助金も投入されていることから、英断を下す時期も来るやもという視野も入れまして、今後も事業の存続、継続に向けてのご努力をお願いしたいと思います。
 また、多分、市場の活性化の一環ということで、豊洲新市場は東京の市場活性化の起爆剤として捉えていることを読みとらせていただきました。移転対象となる築地市場や、ほかの都の施設などに置いてあるこの「Tokyo Ichiba Walker」ですけれども、何を目的に作成し、誰に周知をすることを念頭に入れているのか、配布方法、対象について、その費用対効果について現状と考え方をお示しください。

○坂巻管理部長 多くの都民に卸売市場の役割や機能を理解してもらうため、平成二十四年度から広報プロジェクトでありますTOKYO ICHIBA PROJECTを開始してございます。
 二十五年度につきましては、築地市場移転の必要性に対し、広く都民の理解を促進するため、ららぽーと豊洲店のラジオタイアップイベント、豊洲新市場用地等を見学するバスセミナー、豊洲新市場ガイドブックの発行などを実施しておりまして、二十五年度のTOKYO ICHIBA PROJECTの決算額は九千百七十九万九千円でございます。
 このプロジェクトの一環として、都民が手にとりやすいよう編集した「Tokyo Ichiba Walker」を四回、計二十万部発行いたしまして、築地市場駅などの各駅や都内の郵便局、都庁、各市場、市場まつりなどのイベント等で配布してございます。
 内容といたしましては、築地市場で働いている方々の声を通じて、市場の魅力や豊洲新市場への思いなどを発信いたしました。これに対して、多くの都民の方から、築地市場移転の必要性について理解が深まったとの回答をいただいてございます。

○上田委員 豊洲新市場移転については、土壌汚染の課題は残るものの、都民の一定の理解が進む中、広報の役割はその部分は終えているのではないかということで、二十万部で一億円ということで一部五百円、私の江戸川区の広報も二十万部全戸配布していますが、一部五円程度でございまして、費用対効果を鑑みながら、その内容や目的、継続を見直す必要があるのではないのか、検討状況を伺いたいと思います。

○坂巻管理部長 TOKYO ICHIBA PROJECTでございますけれども、委員、今おっしゃいました約一億円でございますが、プロジェクト全体で約九千百万円でございまして、このプロジェクトの一環、その中の一つとして「Tokyo Ichiba Walker」の発行をしているということでございます。
 また、TOKYO ICHIBA PROJECTでございますが、二十四年度は都内十一ある中央卸売市場の役割や機能について、二十五年度は築地市場の移転の必要性に対する都民の理解促進を行ってまいりました。
 豊洲新市場の施設建設が目に見えてくる中で、新市場の魅力やより具体的な機能を周知する段階に入ってございますので、引き続き、都民の理解を深めるための取り組みが必要であると考えてございます。
 また、プロジェクトは、全般的な卸売市場の機能や役割を伝えていくことをコンセプトとしてございますので、新市場を初め、都が設置いたします十一の市場について多くの都民の理解が得られるよう、引き続き広報に取り組んでまいります。

○上田委員 一億円の内訳、詳細を承知しませんので、大変失礼を申し上げました。
 厳しいことは申し上げましたが、東京都も力を合わせて十一市場を支えていくということでいらっしゃいます。また、江戸川区には葛西市場もございますことからも、こちらの方も恐らく存続を続けるということでありますので、残る十市場も含めましての本来の目的を、広報活動に活用をされるものがせっかくあるのであれば有効活用していただきたいと思います。
 最後になりますが、資料5を拝見した入札状況でございます。
 随契は全体金額の〇・六%、一者応札も不調によるものと了解をしております。不可避の事情があったことを加味すれば、おおむね健全に行われたものと評価をさせていただいております。
 不調については、新聞報道などもあり、注目が集まったところではありますが、厳しい建築業界の外的要因もあることは重々承知しております。関係各局と連携を図りまして、引き続き適正、公正な請負契約を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○西崎委員 昨夜、テレビで、食の安全について、トレーサビリティーということでまた番組が放映されておりましたけれども、ことしの夏、中国の食品加工会社で使用期限切れの食肉を使っていた問題が発覚いたしました。その鳥肉を国内のハンバーガー店やコンビニなどが仕入れていることがわかり、消費者に中国製の鳥肉商品の不安が高まりましたが、いつの時代になっても、食をめぐる事件は後を絶ちません。
 最近では、消費者が野菜や肉を購入するときには、産地を必ず調べるという人が多いと思います。また、国内産にこだわる人もふえてきているのではないでしょうか。
 さて、食の安全・安心を支え、生鮮食料品の流通拠点になっているのが市場だと思います。私は、平成二十一年度の公営企業会計決算特別委員会総括質疑において、中央卸売市場との議論の中でも、市場として積極的に食の安全確保、食育に向けた取り組みを進めていくことは確認させていただきました。
 食育推進の場として、これまでもお話が出ておりますけれども、市場の事業の中で効果的な事業として市場まつりがあると思います。以前にも確認させていただきましたけれども、改めて伺いたいと思います。
 平成二十五年度における市場まつりの決算額とその概要についてお聞かせください。

○坂巻管理部長 市場まつりは、食生活の向上や生鮮食料品等の消費拡大を目的といたしまして、市場業者が主体となり毎年開催されておりまして、平成二十五年度は、世田谷市場を初め七市場で開催され、来場者数も約十三万人と大変好評を得てございます。
 市場まつりでは、青果物の即売のほか、食育講習会や市場の仕組みに関するパネル展示など、さまざまなイベントが行われてございます。平成二十四年度からは、風評により販売が伸び悩む福島県産品の安全についてPRするなど、被災産地の支援にも取り組んでございます。
 このまつりに対しまして、都は、卸売市場に対する都民の理解促進を図るための広報や、来場者の安全確保にかかわる経費を負担しておりまして、平成二十五年度は約三百四十万円を執行したところでございます。

○西崎委員 私の地元であります世田谷の市場まつり、今お話がございましたけれども、ちょうど先週の日曜日にありました。残念ながら今回は行くことができませんでしたけれども、以前、何度か伺ったときには、野菜、花の即売会、地域住民の人たちによるバザーなど、誰でも楽しめる催しが行われており、日曜日ですので家族連れも多かったと思います。食育や食品の安全性について学べる工夫、展示もされておりました。
 市場まつりは、ふだん接点の少ない卸売市場と消費者が直接触れ合う貴重な機会だと思います。最近では、子供たちは野菜がどのようにとれるのか知らない、畑とか土をさわったこともない子供もいるという話を聞きます。スーパーで野菜ができるみたいなところもありまして、私も、世田谷にも実はまだ畑が残っておりまして、お手伝いをしたことがあるんですけれども、土のついた野菜がどんなに新鮮で、どんなにおいがあるのかというのはすごく感動的でした。
 今後も、活気のある市場まつりを利用して、市場のPRとともに、食育にもぜひ力を入れていっていただきたいと思います。
 食育とともに、最近は花育という言葉があるそうです。花をさまざまな場で普及するように取り組んでいると聞いています。花のビジネスが何兆円ビジネスだとかいわれておりますけれども、冠婚葬祭、贈答用、装飾等の需要があり、また、品質改良により多くの種類が販売されております。
 世田谷市場は、青果物とともに花きも取り扱う中央卸売市場として配置されていますけれども、その品質管理など、取り扱いも慎重になっていると聞いております。
 世田谷市場では、平成二十五年度に花きの定温荷おろし場を整備したと聞いておりますが、その整備内容と期待される効果について伺います。

○日浦市場政策担当部長 世田谷市場花き部の仲卸業者荷さばき場につきましては、都が約九百三十平方メートルにわたって天井と壁を設置し、仲卸組合が空調機等を整備し、定温化したものでございます。これにより温度管理が可能となり、取引の活性化が期待できます。

○西崎委員 定温での品質管理は、水産、青果に限らず、花きにおいても必要であり、今後も、市場で取り扱う商品に合った管理方法で適切に対応していただきたいと思います。
 一方、市場では、環境にも配慮した施設整備が必要です。ほかの委員からもお話がございましたけれども、生活者ネットワークは、市場に限らず、環境に優しい社会の実現、そのための施設整備を主張してまいりました。そうした中、東日本大震災以降、再生可能エネルギーの活用が注目されています。
 そこで、太陽光パネルの導入状況や導入に当たっての課題について伺います。

○日浦市場政策担当部長 太陽光発電設備につきましては、平成十三年度に世田谷市場で産業用モデルとして三十キロワット、平成二十二年度に北足立市場で二百キロワット、平成二十五年度には食肉市場に百五十キロワットの施設を設置いたしました。現在、整備を進めている豊洲新市場におきましては、五街区と七街区と合わせて二千キロワットのメガソーラーを導入する計画でございます。
 太陽光発電設備の導入に当たりましては、十分なスペースや発電量に優位な方位を確保する必要があること、屋根の強度や発電設備の加重も考慮した建物自体の耐震強化など技術的な課題がございます。

○西崎委員 太陽光パネルの整備にはさまざまな、今お話しいただいたような課題があることは理解できますけれども、震災以降の状況を考えますと、課題を解決しながら、さらに導入を前向きに検討していただきたいと思います。
 また、震災以降、都でも災害対策にこれまで以上の対応が求められると思いますが、食品を扱う市場としての役割も重要ではないかと思います。
 そこで、震災に関連して伺います。市場の災害時の対応や災害対応力の強化に向けた整備についてお聞かせください。

○日浦市場政策担当部長 震災発生時における中央卸売市場の重要な役割として、被災者のための生鮮食料品の調達が求められております。
 市場では、こうした役割を果たすために必要な電力等のエネルギー不足に備えることとし、全市場に非常用発電機の整備を進めております。平成二十四年度まで五市場の整備を完了し、平成二十五年度は豊島市場に設置し、災害対応力の強化を図っております。

○西崎委員 生鮮食料品の安定的流通を主な目的、機能としての市場の存在は非常に大きいと考えます。公共的な施設としての市場もまた大きな存在だと思います。災害時の施設活用という観点からも万全を期していただきたいと思います。
 これまで平成二十五年度決算に関連して質問してまいりましたが、都民にとっては、いずれも重要な施策と施設整備であります。市場のあり方や活用方法について今後も積極的に検討し、推進していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○大西委員 先ほど畔上副委員長とのやりとりの最後で、新市場整備部長が、新市場の整備が何よりも重要だと発言されましたが、私はこれは少し違うんじゃないかなと思います。部長の立場からいわれるのは当然理解できますが、東京都としての立場では、新市場も重要ですが、他の十一の多くの市場の整備も大切だと思うからです。
 私は、長年この立場に立って発言してきましたが、先ほど、私の隣の鈴木委員も同じ趣旨の意見も表明され、上田委員に対する答弁の中でもそのような認識をされているという、答弁の中でよくわかって安心はしておりますが、きょうは決算ということですので、決算特別委員会ですので、この東京都中央卸売市場会計決算説明資料について、まず何点かお伺いをいたします。
 この中に、一七ページ、建設改良費の中に施設拡張費というのがございます。これは、概要説明の中では、市場施設の整備拡充に要する経費を支出したと、こうなっておりますが、この中の表を見れば、ちょっと私の地元の足立市場で恐縮なんですが、ここだけが、予算額があるにもかかわらず決算がゼロとなっております。まず、これはなぜか、その理由を伺います。

○日浦市場政策担当部長 足立市場では、下水道法に定める排水基準に適合させるため、市場から排出される汚水の油分を除去する排出汚水処理設備設置工事を平成二十五年度予算に計上いたしました。
 しかし、工事に先立つ調査の結果、新たに汚水原因が見つかったことから、排水基準への適合に万全を期すため、改めて効果的な対策を検討することといたしました。
 今後、水質改善を図るための効果的な方法について調査を実施し、その調査結果に基づき適切に対応してまいります。

○大西委員 今のご説明で、排出汚水処理設備設置工事は次にそのままいくということだと思いますが、それ以外にも、よく見れば、せっかく整備拡充に要する経費を計上しているにもかかわらず、その一番右には不用額が出ているところも結構多いと見られます。一旦、予算がついたからといって、それを使い切る必要というのは当然全くないわけでございますし、それを圧縮したり節約するのは当たり前のことでございます。
 でも、一方で、この施設の老朽化に対して、本当に苦しんでいる市場が多いのも事実です。このような整備を望む声が多い、こういう状況の中で、この未執行の理由と対応をお伺いいたします。

○日浦市場政策担当部長 施設拡張費で未執行となった主な事項は、淀橋市場リニューアルに伴う舗装等整備工事及び葛西市場災害対策用発電機設置工事でございます。
 淀橋市場リニューアルに伴う舗装等整備工事につきましては、入札の結果、作業員や技術者の確保が困難との理由により入札不調となり、再入札を行うこととしたため、年度内の工期確保が困難となったものでございます。
 一方、葛西市場災害対策用発電機設置工事につきましては、入札の結果、最低制限価格を下回る応札となり、適正な履行を確保するために再入札としたことから、年度内の工期確保が困難となったものでございます。
 これらの工事につきましては、平成二十六年度へ予算を繰り越し、当初目的どおりの事業執行を行っております。

○大西委員 どうせ整備をするなら、やはり少しでも早い方が、逆に利用する者の立場にとっては、それまでの間、待たなきゃならないんですから、いろんな理由はあろうかと思いますが、ぜひなるたけ早く整備をしていただけた方がいいんじゃないかと思います。
 そこで、また地元に戻って申しわけないですけれども、この二十五年度の足立市場における施設の整備や補修工事の執行状況について伺います。

○日浦市場政策担当部長 足立市場では、平成二十五年度は、駐車場舗装補修工事や充電設備補修工事等、老朽化への対応や機能維持を図るなど、日常業務に支障のないよう補修工事等を適宜行っております。なお、執行額は約二千五百万円となっております。

○大西委員 足立の駐車場のでこぼこは結構な、強烈ですので、なるたけ、もう少しきれいにできればなという思いもございます。
 次に、市場の一般開放についてお伺いいたします。
 私は、こういう場で何度も、この一般開放は、年一回じゃなしに複数やってもいいんじゃないかということを何回か発言しておりますが、足立市場では、ことしから一般開放が複数回行われたといわれておりますが、まず、その目的と実施状況について伺います。

○日浦市場政策担当部長 足立市場では、平成二十五年度における企画検討の結果、本年七月十二日及び九月十三日、両日とも土曜日でございますけども、営業日を活用したイベントとして足立市場の日を実施いたしました。
 足立市場の日は、地域の消費者等に足立市場の業務の状況をつぶさに見ていただくことにより市場への理解を深めてもらうとともに、市場内業者との販売を通じた対話により消費者の魚食、食育への興味や理解を広め、ひいては地域の市場としての活性化を図ることを目的として実施いたしました。

○大西委員 この一般開放、本当にすばらしい効果が生まれていると私も思います。
 ただ、一般開放により、この市場の活性化を図っていただこうというのはわかりますけれども、今の足立市場の現状を真剣に見れば、やはりまだまだ、さらなる活性化が必要だと思います。今後の対応を伺います。

○日浦市場政策担当部長 都はこれまで、都と市場業者で構成する皆で足立市場の将来を考える会を開催し、活性化に向けた市場業者の主体的な取り組みを促してまいりました。その結果として、市場業者が中心となり、今回の足立市場の日を実施し、一定の成果を得ることができました。
 市場のさらなる活性化のためには、市場業者の主体的、積極的な取り組みが重要であると考えております。都といたしましては、市場業界と協力し、市場の活性化に取り組んでまいります。

○大西委員 ありがとうございました。
 豊洲のみならず、ほかの十一の市場でも、人が集まる市場をぜひつくっていただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

○中屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中屋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四分散会

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