委員長 | 松村 友昭君 |
副委員長 | 田中 健君 |
副委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 桜井 浩之君 |
栗山よしじ君 | |
宮瀬 英治君 | |
まつば多美子君 | |
松田やすまさ君 | |
北久保眞道君 | |
大島よしえ君 | |
早坂 義弘君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 松田 芳和君 |
技監 | 渡辺志津男君 | |
総務部長 | 小山 哲司君 | |
職員部長 | 安藤 博君 | |
経理部長 | 熊谷 透君 | |
計画調整部長 | 坂根 良平君 | |
施設管理部長 | 神山 守君 | |
建設部長 | 中島 義成君 | |
企画担当部長 | 永野 実君 | |
技術開発担当部長 | 前田 淳一君 | |
施設管理担当部長 | 田中 宏治君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 黒住 光浩君 |
管理部長 | 関 雅広君 | |
技術部長 | 松島 修君 |
本日の会議に付した事件
平成二十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成二十五年度東京都下水道事業会計決算(質疑)
○松村委員長 ただいまから平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十五年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○熊谷経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の平成二十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。
平成二十一年度から二十五年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。監理団体への委託内容と委託料の推移でございます。
当局が所管しております監理団体、東京都下水道サービス株式会社への主な委託内容と、過去十年間の委託料をお示ししてございます。
三ページをごらん願います。区部下水道事業における収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
平成二十一年度から二十五年度までの区部下水道事業の収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
区部における下水道マンホールの総数と緊急輸送道路等における浮上抑制対策の計画と実績の推移をお示ししてございます。
五ページをごらん願います。再生可能エネルギー等による主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
再生可能エネルギー等による主な発電設備につきまして、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十四年度、二十五年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移と仮設トイレの設置ができるマンホールの数でございます。
区部におけるマンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移及び仮設トイレの設置ができるマンホールの数をお示ししてございます。
以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○松村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○松田委員 私からは、下水道における安心・安全の取り組み、そして国際展開の取り組みについて質問を何点かさせていただきます。
まずは、老朽化施設の再構築についてお伺いいたします。
東京二十三区の下水道管の総延長は一万六千キロメートルに及ぶと聞いております。これは、地球の直径が一万二千七百キロということですので、それよりも長い、貫いてしまうような長さであるといいます。
このうち法定耐用年数である五十年、これを超えてしまった下水道管は約一割の千五百キロメートル、これは距離にすると大体東京から那覇まで行ける距離だそうですが、高度経済成長期に整備された大量な下水道管がこれからも耐用年数を一斉に迎えると聞いております。
都議会自民党では、以前より都民の安心・安全を守るためには、老朽化した下水道管の再構築が欠かせないと主張しております。
そこでまず、下水道管の再構築についてどのような計画で進められているのかをお伺いいたします。
○坂根計画調整部長 下水道管の再構築についてでございますが、下水道局では、安全で快適な都民生活や社会経済活動を継続的に支えるため、将来にわたって安定的に下水道機能を確保すべく、老朽化した施設の再構築を進めております。
事業の実施に当たりましては、施設の劣化状況を調査、評価し、適切な維持管理を行うとともに、ライフサイクルコストを勘案し、アセットマネジメント手法により、法定耐用年数より三十年程度延命化し、経済的耐用年数である八十年程度で、効率的かつ計画的に再構築を進めております。
整備年代によりまして区部を三つのエリアに区分いたしまして、特に整備年代の古い都心四処理区、一万六千三百ヘクタールを対象に、平成四十一年度までに再構築を完了させることとしております。
○松田委員 東京の下水道は、明治時代から百年以上の歴史があると聞いておりますが、今の質疑でも、これまでに建設された膨大な下水道管を計画的に再構築しているということがわかりました。
また、事業費で見ても、下水道建設費のうち、老朽化した施設の再構築が約五割を占めており、再構築に重点的に取り組んでいることがわかります。
私の地元板橋区でも、今、板橋や加賀付近で再構築工事が行われておりますが、下水道管の再構築について、二十五年度の取り組み状況を板橋区を含めてお伺いいたします。
○中島建設部長 下水道管の再構築の平成二十五年度における取り組み状況についてでございますが、再構築は平成七年度の取り組み開始以来、老朽化の進行に合わせてスピードアップを図ってまいりました。
平成二十四年度で四百四十八ヘクタール、平成二十五年度で五百七十七ヘクタールの再構築を完了し、累計で都心四処理区の三二%に相当する約五千二百ヘクタールの再構築が完了いたしました。
そのうち板橋区内では、対象面積三百二十三ヘクタールのうち、三九%に相当する累計百二十六ヘクタールの再構築が完了いたしました。
○松田委員 ありがとうございます。おおむね四割程度が完了しているということがわかりました。これからも着実に進めていっていただきたいと思います。
さて、下水道管の再構築には、道路を掘り返さずに対策を進めることができる更生工法という特殊な工法を活用しながら行っているということを聞いております。
まず、この更生工法というのはどういう技術であるかお伺いいたします。
○前田技術開発担当部長 下水道管の更生工法についてでございますが、お話のとおり、更生工法は道路を掘り返さずに下水道管の内側から補強する工法でございます。例えば、下水道局の多くの再構築工事で採用しておりますSPR工法は、老朽化した下水道管の内側に硬質塩化ビニール製の板を巻き立てて新しい下水道管をつくり、古い下水道管と新しく完成した下水道管の間隙をモルタルで埋めまして、一体化させる工法でございます。
この工法は、下水道局と監理団体であります東京都下水道サービス株式会社のほか、民間企業二社が共同で開発した技術であります。
これには、下水を流しながら効率的に施工ができる特徴がありまして、既存の下水道管の内側に新たな下水道管をつくることで、新しく敷設した管と同等以上に機能を回復し、耐用年数をさらに五十年程度延ばすことが可能であります。
さらに、口径の小さな枝線から大口径の幹線まで施工が可能でありまして、管の断面が円形の下水道管だけでなく、四角や馬蹄形の下水道管の再構築にも利用できるものであります。
このような工法を活用し、効率的に下水道管の再構築を進めております。
○松田委員 ありがとうございます。下水道管の再構築は、工夫を凝らして進めていることがわかりました。
ただ、SPR工法、板橋区でことしかなり大雨が降ったときに、逆にこれがマイナスになってしまったことがありました。板橋四丁目付近だったんですが、ここはただ、地形的にかなり急な坂になっているので、中に巻いてある塩化ビニールが全部剥がれてしまって、結果的に詰まってしまって、そこから浸水があったということもありました。
現場に行って見てみたんですが、かなり水浸しになってしまって、一番低いところであったお風呂屋さんなんかもう営業ができないぐらい、三日間ぐらい休業したという話を聞きました。
やはりこういった工法は、その場所場所で特性に合わせて行っていっていただければなというふうに思っております。
さて、下水道の機能を安定的に発揮させるためには、下水道管の再構築も必要でありますが、下水を処理する水再生センターや水をくみ上げるポンプ所などの機能も大切であります。それらに設置されている機械や電気の設備の再構築も同じく重要でございます。
こういった設備は、土木施設に比べて耐用年数が短いと聞いておりますが、区部の水再生センターやポンプ所には約四千台の膨大な台数があると聞いております。老朽化した施設設備を維持管理していくためには、効率的に再構築していくことが必要であると考えます。
そこで、下水道局は設備の再構築にどのような取り組みをしているのか、平成二十五年度の状況も含めてお伺いいたします。
○坂根計画調整部長 水再生センターやポンプ所などの設備の再構築につきましては、老朽化対策とあわせまして、雨水排除能力の増強や省エネルギー化などの機能向上を図っております。
そこで、昨年策定いたしました設備再構築基本計画に基づき、設備を計画的に補修するとともに、一年当たりの建設費と維持管理費の合計が最小となる経済的耐用年数で再構築を行うアセットマネジメント手法を活用いたしまして、法定耐用年数より二倍程度延命化し、効率的かつ計画的に再構築に努めております。
四千台に上ります主要設備のうち、平成二十五年度は六十五台を再構築いたしまして、累計で千六百五十台の再構築を完了いたしました。
○松田委員 ありがとうございます。設備の再構築も計画的に進められているということがわかりました。
ところで、区部より後から普及が進められている多摩地域の流域下水道の水再生センターにおいて、最も新しい浅川及び八王子水再生センターでも稼働から二十年以上が経過をして、設備の老朽化が進行しているのではないかと思われます。
そこで、流域下水道の水再生センターにおける設備の更新について、平成二十五年度の取り組み状況をお伺いいたします。
○松島技術部長 流域下水道におきましても、経年により補修費などが増加するため、区部と同様にアセットマネジメント手法を活用し、事業の平準化を図りながら、効率的に更新を進めております。
設備を更新する際には、地球温暖化対策や再生可能エネルギー活用の拡大など、新たな課題に対応するため機能の向上を図ることとしております。
平成二十五年度には、南多摩水再生センターにおいて、温室効果ガスの削減効果の高い汚泥ガス化炉への更新とあわせて、これまで未利用であった低温域の焼却廃熱を活用したバイナリー発電の導入に着手いたしましたほか、主要設備六台の更新を行いました。
○松田委員 ありがとうございます。更新の際に、既存の機能に加えて、機能向上まで図られているということを確認させていただきました。
次に、浸水に対する対策、取り組みについて確認させていただきます。
近年、地球温暖化などの影響で台風や局地的な豪雨が増加しており、昨年やことしには全国各地で豪雨が発生し、東京でも浸水被害が発生いたしました。
浸水からまちを守る取り組みは、都民の生命と財産を守り、社会経済活動を支えるものであり、非常に重要なものでございます。
下水道局では、浸水の危険性が高い地域において対策を進めておられますが、我々都議会自民党におきましても、下水道の整備を進め、水害に強いまちづくりを進めるように政策提言をしております。
そこで、これらの地区における下水道の浸水対策について、平成二十五年度の取り組みをお伺いいたします。
○中島建設部長 下水道局では、昨年策定した経営計画二〇一三に基づき、浸水の危険性が高い地区で対策を進めております。
まず、浸水の危険性が高い対策促進地区二十地区につきまして、平成二十五年度末で足立区小台地区など七地区で対策が完了しております。
また、かつての川を下水道幹線として利用している浅く埋設された幹線の流域などについて、幹線からの雨水の逆流により浸水被害が発生している地区などの重点地区二十地区を経営計画二〇一三において新たに選定いたしました。
このうち、平成二十五年度には、板橋区小茂根、向原地区などで調査設計を進め、練馬区田柄、桜川地区など四地区で対策工事を進めております。
○松田委員 ありがとうございます。着実に対策が進められていることがわかりました。
今お話ありました練馬区田柄、板橋区の桜川を結ぶこの地域、今、工事がこれから始まるところでありますが、先日見に行ったところ、ちょうど隣で老人クラブが毎日毎日、グラウンドゴルフというのをやっていまして、早く進めてもらいたいなということをいっていましたので、できる限り早目にお願いしたいと思います。
また、東京は都市化が進んでおり、ターミナル駅を中心に大規模な地下街があり、限りある土地を有効に活用して都市のにぎわいを創出しております。
このような地下街は多くの人が利用しているので、浸水被害が起きればその影響は大きなものとなり、対策が必要であります。
そこで、大規模地下街の浸水対策について、平成二十五年度の取り組み状況をお伺いいたします。
○中島建設部長 下水道局では、浸水発生時に人命や都市機能への重大な影響が予想される大規模地下街九地区につきまして、時間七十五ミリの降雨に対する対策を行っております。
平成二十二年度までに池袋駅地区など四地区で対策を完了しており、平成二十五年度は新橋、汐留駅地区で着手し、既に着手している渋谷駅東口地区とあわせ、二地区で貯留施設などの整備を進めたところでございます。
○松田委員 ありがとうございます。地下街の浸水対策をしっかりと進めていただいていることがわかりました。
一方、最近では時間五十ミリを超える雨もふえており、昨年は時間五十ミリを超える豪雨が発生し、合計七百棟を超える甚大な浸水被害が発生いたしました。
このため、下水道局は、雨水整備水準のレベルアップを含めた局地的集中豪雨の対策として、豪雨対策下水道緊急プランを策定したと聞いております。
そこで、豪雨対策下水道緊急プランについて、平成二十五年度の取り組み状況をお伺いいたします。
○坂根計画調整部長 昨年十二月に策定いたしました豪雨対策下水道緊急プランでは、昨年の豪雨により浸水被害が生じた地域におきまして、過去の浸水の発生状況も踏まえ、降雨強度、くぼ地や坂下などの地形状況等を確認し、雨水整備水準のレベルアップを含めた対策を行うこととして、三種類の対策地区を定めたところでございます。
具体的には七十五ミリ対策地区四地区及び五十ミリ拡充対策地区六地区で、これまでの整備水準を上回る豪雨対策に緊急的に取り組んでいくこととし、昨年度末までにいずれの地区につきましても、具体的な対策の検討に着手しております。
また、被害が比較的小規模な六地区につきましては、小規模緊急対策地区として位置づけ、区などと連携しつつ、雨水ますの増設やバイパス管の整備などの対策を早期に実施することとし、昨年度は四地区で区と連携し、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどの対策を実施いたしました。
なお、他の二地区につきましても、ことしの雨季までに逆流防止弁の設置などを完了いたしました。
○松田委員 ありがとうございます。整備水準のレベルアップも含めた浸水対策についてよくわかりました。
この取り組みも都民の安心・安全を守るために、ぜひ進めていただきたいことでございます。
下水道局は、都民の安心・安全を守るため、インフラの老朽化や浸水から都民の生命、財産を守る取り組みを積極的に推進していることを確認させていただきました。
次に、マレーシアの国際展開について幾つか確認させていただきます。
先日、下水道局から、マレーシアでの下水道整備プロジェクトについて契約合意に至り、東京下水道の技術力を発揮した海外プロジェクトが本格始動したとの発表がありました。
都議会自民党では、ことしの四月に行政調査団をマレーシアに派遣し、プロジェクトの取り組み状況などを確認するとともに、関係者を激励してきたところでございます。
今回の十日のプレス発表では、東京下水道の国際展開が一つの成果を上げたものであり、大変喜ばしいものだと思います。
そこでまず、このプロジェクトに関して、平成二十五年度までの取り組み内容についてお伺いいたします。
○永野企画担当部長 このプロジェクトは、平成二十二年に住友商事株式会社から、マレーシアの下水道事業の計画策定について協力要請があったもので、これを受けまして、当局独自に現地調査等を行った結果、現地の抱える下水道分野の課題解決に、東京下水道の経験やノウハウを生かして貢献できると判断したことから、支援を行うことを決めたものでございます。
平成二十三年三月には、マレーシア政府に対し、マレーシア全域の下水道再整備に関するマスタープランを民間企業と共同で提出し、さらに平成二十四年六月には、具体的な場所を特定したモデルプロジェクトの提案を行ったところでございます。
平成二十五年十二月には、東京下水道の技術とノウハウを含む技術提案書をマレーシア政府に提出しております。
○松田委員 ありがとうございます。今の答弁から、四年以上の長きにわたって支援を行ってきた案件がようやく契約合意に至ったということが確認できました。
国際展開は、案件がスタートして短期間で成果が出るという類いのものではなく、ここまで到達するには相当の努力が必要であったと推察いたします。
さて、東京以外の都市でもこういった海外での案件形成に積極的に取り組んでいるところもあると聞いております。その中でも、このプロジェクトは自治体が関与したプロジェクトとしては大変大規模なものだと思います。
そこで、改めて提案したプロジェクトの規模についてお伺いいたします。
○永野企画担当部長 本プロジェクトは、マレーシアの首都クアラルンプール郊外のランガット地区におきまして、下水道管約百キロメートル、ポンプ所十カ所、そして一日当たり二十万立方メートルの下水処理能力を持つ下水処理場を整備するものでございます。
このプロジェクトの対象面積は、山手線内側の一 ・二倍ほどに当たる約八十平方キロメートルで、総事業費は数百億円規模と見込んでございます。
○松田委員 ありがとうございます。非常に大きな規模であることがわかりました。このようなことは東京都の下水道にしかできないことだと思います。
では、ここでなぜ東京下水道はこのようなプロジェクトを進めてきたのか、これまで四年もの長い年月をかけて、どのような狙いを持ってこの困難な事業に取り組んできたのか、東京下水道がプロジェクトに取り組む意義について改めてお伺いをいたします。
○永野企画担当部長 本プロジェクトでは、東京の技術力を生かし、管渠、ポンプ所から処理場に至るまでの下水道システム全体を設計から建設、維持管理まで一括して行うこととしてございます。
このように、東京の技術仕様が活用される取り組みを通じまして、現地の水環境の改善に寄与するとともに、日系企業の参入機会を創出し、東京、ひいては日本の産業力の強化に貢献していくことを期待してございます。
○松田委員 今ご答弁いただきましたとおり、東京下水道は、現地の水環境の改善により、国際都市東京の国際貢献を具現化するだけではなく、日系企業の参入機会の創出も期待できる取り組みを進められており、評価ができるものだと思います。
ほかの都市と比べても、ここまで進捗したプロジェクトはなく、我が国初だろうと思われます。
このプロジェクトは、六年をかけて施設の整備を行うだけではなく、維持管理までを行うということですから、契約合意に至ったとしても、ようやくスタートラインに立ったところだと認識しております。
本日は決算特別委員会ですので、今後の展開などは別の機会に委ねますが、プロジェクトはこれからが本番でございます。これに東京の技術とノウハウが確実に反映されて、現地の水環境の改善に寄与するよう、引き続き着実に取り組んでいただくことをお願い申し上げます。
最後になりますが、我が党の政策である世界で一番の都市東京を実現し、災害に強い安全な東京をつくっていくためには、これまで伺ってきたような下水道の取り組みをぜひともこれからも進めていく必要があると考えます。
そこで、都民の安心・安全を確保するための取り組みについて松田局長の決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
○松田下水道局長 先ほど来、東京の下水道におけます安全・安心の取り組みに関しましてご質疑をいただいたところでございますけれども、委員のお話にもありましたように、近年のゲリラ豪雨と呼ばれるいわゆる集中豪雨の増加や、いつ発生してもおかしくない状況にございます首都直下型地震への対応など、都民の生命や財産を守る取り組みが今まさに求められていると思います。
災害に強い都市をつくり、都民の安全・安心を確保することや都市インフラの整備更新を進め、成熟した都市東京のプレゼンスを高めていくことは、世界一の都市東京を実現していく上で必要不可欠なものでございまして、下水道局に強い期待が寄せられているものと認識しております。
このため、昨年二月に策定いたしました経営計画二〇一三でも、お客様の安全・安心を守ることを主な取り組みの柱といたしまして、老朽化施設の再構築や浸水対策などの施策を積極的に推進しております。
さらに、頻発する局地的な集中豪雨を受け、昨年十二月に策定いたしました豪雨対策下水道緊急プランに基づいて、雨水整備水準のレベルアップを含めた浸水対策の充実強化を図っているところでございます。
今後とも、局一丸となりまして、下水道事業の着実な推進を図り、都民の安全・安心の確保に向け全力を尽くしていく所存でございます。
○大松委員 私からは、平成二十五年度の東京都下水道事業会計決算のうち、下水処理水の水質を改善する高度処理施設の整備、合流式下水道の改善などについて質問いたします。
東京都は、長期ビジョンの中間報告で、海や川で都民が水に親しめる環境と調和した都市を掲げておりますが、それを実現するために最も重要な施策が下水道であります。
例えば、現在東京湾では年間九十日も赤潮が発生しています。その主な要因は窒素とリンでありまして、これらを削減するために、都は下水道の処理能力の高度化に全力を挙げていただいております。
特に東京湾は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの会場となります東京ベイゾーンに当たります。水の都東京の魅力を世界に発信していくためにも、下水道の高度処理を進め、東京湾の水質改善にさらに積極的に取り組んでいく必要があります。
そこで、決算書を見ますと、平成二十五年度は東京湾に放流する下水処理水の水質を改善するために、窒素やリンを大幅に削減する高度処理施設として、砂町水再生センターで処理能力が日量六万立方メートルの施設などが稼働しております。
そこでまず、高度処理の導入の経緯と平成二十五年度までの取り組みについて伺います。
○坂根計画調整部長 窒素とリンを大幅に削減する高度処理につきましては、平成八年度に新規で稼働いたしました有明水再生センターに導入したのを初めとして、平成二十五年度までに浮間水再生センターなど十三カ所の水再生センターにおいて、累計で一日当たりの処理能力百十九万立方メートルを導入しております。これは、平均処理水量約五百四十万立方メートルの約二割に相当するものでございます。
○大松委員 高度処理は毎日百十九万立方メートル、全体の処理量の約二割ということであります。
従来の処理方法で窒素が一〇〇、リンが一〇〇排出されるとする場合、高度処理では窒素を六五、リンを四〇に抑えられます。
しかし、この施設整備に時間がかかるのが難点でありまして、この約二割を達成するのにも、平成八年度から十八年間かかっています。東京オリンピック・パラリンピックが六年後ということを考えますと、施設整備のスピードアップが求められるわけであります。
そこで注目されますのが準高度処理施設です。高度処理で排出される窒素が六五、リンが四〇に対して、準高度処理では窒素八五、リン五〇で、処理能力が若干低くなりますけれども、既存の施設の改造により整備ができるため、早期に導入ができます。
決算書によりますと、平成二十五年度は、新河岸水再生センターで処理能力が日量九万二千立方メートルの施設が完成しています。
これまでの準高度処理施設の整備状況について伺います。
○神山施設管理部長 大松副委員長お話しのとおり、高度処理は施設の規模が大きく、新たに施設を整備するには費用や時間がかかるため、効果の発現までに多くの時間が必要となります。
そこで、従来の高度処理と比べ窒素とリンの除去率が若干低いものの、標準的な処理法と比べて窒素とリンの除去率を高めることができる準高度処理の導入を平成二十二年度から進めております。
準高度処理は、既存施設を改造することで従来の高度処理より早期かつ低コストで導入できることに加えまして、標準的な処理法に比べ電力使用量をふやすことがないため、水質改善と省エネルギーの両立が図れる手法として積極的に導入しているところでございます。
この準高度処理につきましては、平成二十五年度までの四カ年で、新河岸水再生センターなど十一カ所の水再生センターにおいて、一日当たり百二十二万立方メートル分を導入いたしました。
高度処理と準高度処理を合わせました処理能力は、平均処理水量の約四割に相当し、準高度処理の導入前の平成二十一年度末から三倍以上に増加するなど、導入のスピードアップを図ってきております。
○大松委員 日量百二十二万立方メートルということで、これも全体処理量の約二割に当たるわけでありますけれども、これは平成二十二年度からの四年間で達成した実績であります。
同じ約二割でも、十八年かかった高度処理施設に比べますと大変に早いと。東京オリンピック・パラリンピックまで六年間ありますから、この間に大幅にふやしていくことが考えられます。整備コストや電力使用量の低さなども考慮すれば、準高度処理にも力を入れていくべきであります。
その上で、決算書を見ますと、都は、水質改善と省エネルギーの両立を図ることができる新たな高度処理技術を開発したとあります。さきの第二回定例会でも、公明党の代表質問に対し、下水道局長が新たな高度処理を今後導入していくと答弁されています。
この新たな高度処理の具体的な内容について改めて伺います。
○前田技術開発担当部長 今お話のございましたように、東京湾の水質改善を進めるとともに、下水処理に係るエネルギーの削減を図っていくためには、従来の高度処理や準高度処理の導入を進めつつ、新たな水処理の技術が必要であります。
そこで、平成二十三年度より民間企業などと共同研究を進め、水質改善と省エネルギーの両立を図る新たな高度処理を平成二十五年度末に開発いたしました。新たな高度処理は、従来の高度処理と同等の窒素、リンの除去率を確保するとともに、これまで下水処理に必要としていたポンプや攪拌機などの設備が不要となり、従来の高度処理と比べ電力使用量を二割以上削減できるという長所がございます。
また、新たな高度処理は、既存の水槽を改造することで早期の導入が可能でありますが、準高度処理よりも一日に処理できる下水の量がやや少ないこと、水処理に用いる水槽の深さが一定程度必要といった条件がございます。
この新たな高度処理を今年度は芝浦水再生センターへ、平成二十七年度は葛西、浅川の二つの水再生センターへ導入することとしております。
○大松委員 新たな高度処理施設も、既存の施設の改良で整備ができますので、施設整備のスピードアップが図れます。
高度処理、準高度処理、そして新たな高度処理を加えた三つの処理法は、窒素とリンの除去率、電力使用量、整備コスト、整備期間など、それぞれ一長一短がありますけれども、うまく組み合わせて、二〇二〇年に向けて最適な高度処理を早急に導入するよう取り組んでいくべきです。都の見解を求めます。
○坂根計画調整部長 これら三種類の高度処理につきましては、先ほど申し上げましたとおり、水質改善効果、電力使用量、導入に要する期間や技術的条件など、それぞれに特徴がございます。
このうち、新たな高度処理につきましては導入事例が少ないことから、運転管理のノウハウの蓄積や施設の状況に合わせた効率的な導入方法などの検討を行っていくとともに、国と連携いたしまして国費対象事業としての位置づけを確立していく必要がございます。
そこで、今後このような条件を整理した上で、早期に水質改善と省エネルギーの両立を図るべく、最適な高度処理の早期導入に取り組んでまいります。
○大松委員 東京湾の水質改善に向けまして、窒素やリンを削減する高度処理とともに、雨天時の水質を改善するための合流式下水道の対策も重要であります。
区部の八割の地域では、合流式で下水道の普及が進められてまいりました。汚水と雨水を分けて集めて処理する分流式下水道とは違いまして、汚水と雨水を同一の下水道管で流すために、下水道管を一本整備すればよくて、このために早期に普及が進み、衛生環境が改善され、浸水被害の軽減も図られてきたわけであります。
しかしながら、その一方で合流式下水道では、都市を浸水から守るために、雨天時には汚れた下水を河川や海に放流せざるを得ない、こういう課題がございます。
そこで、東京オリンピック・パラリンピックに向けまして、東京湾の水をきれいにしていこうという機運が高まっている今、合流式下水道の改善の必要性もクローズアップされてきております。
決算書によれば、平成二十五年度は、芝浦水再生センターなどで雨天時貯留池の整備が進められております。合流式下水道の改善対策の内容について、都の取り組みを伺います。
○坂根計画調整部長 合流式下水道の改善対策といたしましては、雨天時の汚れた下水の放流回数や放流量を削減するための取り組みが必要でございます。そのため、雨天時の下水をより多く水再生センターに送って処理をするための下水道管の整備や、降雨初期の特に汚れた下水を貯留し、雨がやんだ後に水再生センターに送水し処理するための貯留施設の整備を進めております。
加えて、雨水はけ口からのごみなどの流出を抑制する対策も行っておりまして、具体的には、都が民間企業と開発した水面制御装置の設置などを進めてございます。
○大松委員 雨天時の汚水の放流回数や放流量などが削減されるわけでありますけれども、区部における合流式下水道の改善対策の取り組みの状況とその効果について都の所見を求めます。
○中島建設部長 雨天時の下水をより多く水再生センターへ送って処理するための下水道管の整備につきましては、計画している百五十六キロメートルのうち百五十五キロメートルが完了しております。
また、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設につきましては、平成二十五年度までに百三万立方メートルを完成させました。
現在は、王子第二ポンプ所など十二カ所で合計二十一万立方メートルの整備を進めており、オリンピック・パラリンピックの開催に向け、平成三十一年度までに百四十万立方メートルを整備することとしております。
また、水面制御装置などの設置につきましては、対象である七百三十三カ所のうち七百二十一カ所が完了しております。
これらの対策の効果の例といたしまして、平成十六年度に貯留施設が完成した神谷ポンプ所では、雨天時の放流回数を約七割削減しております。
また、水面制御装置は、合流式下水道から河川などへ放流されるごみの流出を七割以上除去できるものでございます。
○大松委員 それでは、最後に局長に伺います。
東京都下水道事業経営計画二〇一三によれば、合流式下水道の改善では、将来的には汚濁負荷量が分流式下水道と同程度まで削減されると明記されておりまして、大変期待ができます。
また、高度処理や準高度処理などについては、施設整備のスピードアップ、処理能力の向上も期待ができるわけでございます。ぜひ東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年には、東京湾の水が変わったなと都民に実感していただけるような成果が出るよう、頑張っていただきたいと思います。
下水道局長の決意を伺い、質問を終わります。
○松田下水道局長 東京の下水道は、東京オリンピックを契機に急速に整備が進みまして、平成六年度には普及概成一〇〇%を達成いたしました。その結果、河川や東京湾の水質は、一定の限界はありますけれども、従前と比べまして大幅に改善してきたところでございます。
一方、それに伴いまして、都民のニーズもより高度化しておりまして、私ども、そういったニーズに対応していくことが必要だと考えております。
また、今後、世界一の都市東京の都市づくりにおきましては、文化や観光などさまざまな観点から見ましても、さらなる水質の向上を図り、水辺の魅力を一層高めていくことが求められていると思います。
こういった今後の都市づくりにおきまして、下水道が果たす役割は最も基礎的、そして極めて重要な使命を負っているものと認識してございます。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックはもちろん、その後の東京をも見据えまして、副委員長からいろいろご指摘もいただきましたように、最適な高度処理の早期導入や合流式下水道の改善対策などを積極的に推進いたしまして、東京湾等の水質改善に関して都民の実感が得られるよう、全力を尽くしてまいります。
○大島委員 私からも下水道局のことで、経営計画二〇一三を見ますと、先ほども質問がありましたけれども、二十三区内の下水道管の総延長が約一万六千キロメートルあるということで、こうした下水道管の管理や、また再構築についても大変大きな努力をなさっているということを聞きまして、本当に重要な使命を負っている局なのだなということを再確認しております。
こうした状況のもとで、南関東ではマグニチュード七程度の大地震が今後三十年以内に七〇%の確率で発生すると推測されておりまして、水道局への質問でも取り上げたんですけれども、私は都民の震災対策への関心が高まっている中で、下水道局における震災対策についてお伺いしていきたいというふうに思っております。
東日本大震災では、被災地からの支援要請も受けまして、岩手県などの被災地に四人の職員を長期に派遣したり、浦安市の下水道施設の復旧業務を支援したと決算概要の説明でお聞きしました。こうした貴重な経験をぜひ都民のために、東京の震災対策に生かしていただきたいと思っています。
都民は、大震災の際のライフラインの機能停止、これに大きな不安を感じています。特にトイレ復旧の要望が高く、下水道の復旧についての関心は非常に高いと思います。都の新たな被害想定では、下水道の被害率は、区部、多摩地域を含めて二三%程度としておりますが、下水道が使用できるまでに復旧するには、どの程度の日数を見込んでいるのかお伺いいたします。
また、復旧にかかわる職員の方たちの確保や民間団体との協力も欠かせないと思いますが、復旧のための対策はどのように考えているのかお聞きいたします。
○坂根計画調整部長 お話しいただきました被害率の中には、ひび割れなど軽微な損傷も多く含まれており、この中で応急復旧が必要となるのは、下水道管が大きく破損し、下水を流す機能に支障が出ている箇所でございます。
東京都地域防災計画では、首都直下型地震等の発災時において、下水道は三十日間での復旧目標を掲げております。
そこで、この目標を達成するために、大規模地震の発生後速やかに応急復旧ができるよう、監理団体である東京都下水道サービス株式会社のほか、下水道の維持管理を専門に行っています団体などと、災害時における応急復旧に関する協力体制を整えております。
具体的には、人員や資機材の確保、情報連絡体制などに関する協定を締結するとともに、防災訓練を定期的に共同で実施するなどの備えを講じてございます。
○大島委員 東京都下水道サービス株式会社やその他民間の専門の団体などと定期的に共同でさまざまな協定を結んで訓練をしているということを聞きまして、いざというときの体制づくりというのが着々と進んでいるのかなというふうに思っております。
私は、復旧の際に水道と下水道の整合というのも必要だというふうに思っています。例えば、水道は復旧して水は出るようになったんだけれども、下水が復旧しないで、結局水が流せないとか、その反対に、下水は復旧したんだけれども、水が出ない、これでは生活がなかなかできません。
こうした問題も含めまして、復旧に向けてどのような対策を進めていくのか、話し合いなどは下水道局と水道局とでできているんでしょうか。
○坂根計画調整部長 東日本大震災では、下水道が復旧するまで水道の使用が制限されることがありました。このことから、下水道局では水道局と連携し、首都直下型地震など発災時における円滑な復旧に向けた取り組みを既に行っております。
具体的には、両局の連絡会による定期的な情報交換や訓練などを実施しているところでございます。
○大島委員 両方の局で定期的な情報交換をしているということなので、いざというときには、同じように復旧ができていけばいいなというように思っています。
次に、こうした下水を処理する水再生センターやポンプ所の耐震化というのも非常に重要だというふうに思っておりますが、二〇一三年度の耐震化の状況についてお伺いいたします。
○中島建設部長 水再生センターやポンプ所の耐震化につきましては、想定される最大級の地震動に対する施設の耐震化を進めております。
水再生センター、ポンプ所のうち、建築物や上部の覆蓋が広域避難場所などに利用されている箇所の耐震化は既に完了しております。
引き続き、水をくみ上げる揚水のほか、簡易処理や消毒など、震災時においても必ず確保すべき機能を担う施設の耐震化を進めておりまして、区部での対象施設九十九カ所のうち、平成二十五年度末で八カ所の施設で対策を完了し、二十カ所の施設で対策に着手しており、三十一年度までに対策を完了させることとしております。
○大島委員 ありがとうございます。上部が覆蓋されて、広域避難場所になっている、水再生センターなんか結構そういうの多いんですけれども、そこの耐震化はもう既に完了しているということで、大体避難場所とかに指定されておりますから、安心して避難できるのだなというふうに思っております。
また、その他の部分につきましても、この後、三十一年度、あと五年後までには全ての対策が完了できるというお話でしたので、心強く思っております。一日も早く完了させていただきたいというふうに思います。
想定される最大級の地震動に対する施設の耐震化を進めているというふうなご答弁でありましたけれども、既に耐震化が完了しているところは、レベル二の地震動対応となっているんでしょうか。
また、東京都は二〇一二年四月から、都民が安心して建築物を利用することができるように、地震に対する安全性を示す耐震マーク表示制度を実施しておりますけれども、耐震化された地上の建築物については、このマークは張られているんでしょうか。お伺いいたします。
○中島建設部長 建築物や上部の覆蓋が広域避難場所などの施設につきましては、建築基準法に基づき耐震性を確保しております。
震災時においても必ず確保すべき機能を担う土木施設につきましては、レベル二の地震動に対応することとしており、八カ所の施設で対策が完了しております。
なお、建築物につきましては、耐震マーク表示制度に基づく表示を実施しているところでございます。
○大島委員 耐震マークにつきましては、都市整備局などが積極的に普及しようということでやっているものですから、耐震化の取り組みというのを広く目に見える形で進めていくという点では、建築物に張っていくということが非常に大事かなというふうに思っておりますし、都民にも協力を求めているんですね。
ですから、下水道の施設のところには、結構皆さん見学に訪れたり、覆蓋化されている上の公園などに来るたびに、ここは大丈夫かなというふうに思う方も多いというふうに思いますので、ぜひ地域の住民に安心だということを示していく上でも、こうしたところにマークは表示していただきたいというふうに思っております。
次に、阪神・淡路大震災では、マンホールと下水道管の接続部分が壊れやすかったと聞いています。いただいた資料、ありがとうございます。これによりますと、マンホールと下水道管の接続部の耐震化は、二〇一三年度末で約二千六百四十カ所完了しているというふうになっております。
マンホールの浮上抑制対策も含めまして、下水道管渠の耐震化の取り組み状況についてお伺いいたします。
○中島建設部長 下水道管とマンホールの接続部の耐震化は、震災時に人が集まる避難所や病院などの排水を受け入れる下水道管につきまして、平成二十五年度までに区部全体で目標の二千五百カ所の耐震化を完了させました。
さらに、現在、ターミナル駅や区の庁舎など災害復旧拠点に対象を拡大し取り組みを進め、二十五年度までに累計で約二千六百四十カ所を実施しており、二十七年度までに二千九百カ所を完了させる予定でございます。
また、マンホールの浮上抑制対策については、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路など、区部全体で五百キロメートルの対策を二十二年度末に完了させました。
現在は、避難所などと緊急輸送道路を結ぶ道路に対象を拡大し対策を進めており、二十五年度末累計で約九百キロメートルの対策を実施いたしました。
○大島委員 いただいた資料を見ますと、経営計画二〇一三による二十七年度末の計画値は二千九百カ所ということで、これが達成できるとかなり進むのではないかと思いますし、各年度ごとの実績数を見てみましても、割と早い時期に達成ができるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思っております。
それで、震災時に下水道が復旧するまでの間、トイレの機能を確保するということが非常に重要だと考えています。マンホールに仮設トイレが設置できる条件というのはどのようなものでしょうか。
また、このいただいた資料では、仮設トイレの設置ができるマンホールの数は約五千六百カ所となっておりますが、仮設トイレの設置や管理は一体どこが行うのか、また、マンホールトイレの取り組み状況についてお伺いをいたします。
○神山施設管理部長 下水道局では、避難所の周辺におきまして、し尿の収集運搬をする必要のないタイプの仮設トイレを設置できるマンホールの指定を進めているところでございます。
仮設トイレが設置できるマンホールにつきましては、避難所などの周辺において、区から要請があった場合に、し尿が堆積しない程度の水量があり、道路交通や応急活動などの支障にならない場所を対象に指定しているところでございます。
平成二十五年度末で区部で指定したマンホールは、約五千六百カ所となっております。
なお、仮設トイレの設置や管理は、各区が行うこととなっております。
○大島委員 トイレの問題というのは本当に重要な問題なので、そういう意味では、各区と調整や打ち合わせなどもしていただいて、積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思っております。
また、障害者の方たちへの配慮という点で、これは区にいうべきものかもしれませんけれども、仮設トイレの設置も障害者対応ができるようなものというのを充実していっていただきたいなというふうに思っております。
次に、私の地元足立区に中川水再生センターというのがありまして、そこに土づくりの里というのが併設されているんです。この土づくりの里についてお伺いしていきたいというふうに思います。
中川水再生センターには、水処理施設の増設までの暫定施設ということで、建設残土などを処理する土づくりの里というのがあります。この施設の内容と二〇一三年度の状況についてお伺いいたします。
○中島建設部長 土づくりの里は、下水道工事から発生する建設発生土を受け入れて改良し、改良土を下水道工事の埋め戻し用の土として再利用するための施設でございます。
下水道工事で発生する建設発生土の埋立処分量の削減や建設発生土の資源としての有効利用のために必要な施設でございます。平成二十五年度は、土づくりの里における建設発生土の受け入れ量は約八万一千立方メートルであり、搬出した改良土の量は約九万八千立方メートルであります。
○大島委員 この土づくりの里というのは、東京都が持っている残土の処理施設としては唯一のものだと聞いています。
震災時には、ここにストックされている改良土などを道路陥没などの応急復旧にも活用することが可能だということも聞いています。そういう点では非常に重要な施設だというふうに思っておりますが、地元の住民の間では、水処理施設の増設までの暫定施設であるという認識が広がっております。
しかも、この施設に搬入される土、これについて、土壌汚染対策はできているのかという不安があります。実は、中川の公園になっているところなんですけれども、ここで放射能の測定をしましたら、大変高い値が出たということで、こういう問題も含めて非常に不安の声が上がっています。
また、一日百台を超す搬入搬出の車両、これへの安全対策などについても不安の声があります。
こうした土壌汚染対策とか、搬入搬出車両への安全対策というのはどのように行っているのかお伺いいたします。
○中島建設部長 受け入れる建設発生土の土壌汚染対策についてでございますが、土壌汚染対策法に基づき、有害物質に関する土質試験を行い、その結果の提出を義務づけ、汚染されていないことが確認された建設発生土を受け入れております。
また、土質試験の結果につきましては、足立区及び地元町会にも報告をしております。
次に、安全対策についてでございますが、運搬車の出入りに際しての安全管理のため、環状第七号線の出入り口に昼夜間ともに交通誘導員をそれぞれ二名配置し、歩行者にも十分配慮した上で運搬車に対する誘導などを行っております。
○大島委員 私もこの施設に見学に行きまして、ちょうど搬入搬出の出入り口というのが環七通りに面して設置されているんですね。この入り口のすぐそばに環七を渡る横断歩道橋というのが設置されておりまして、そのおり口が、ちょうど搬入路の門があるすぐ脇におりるようになっているんですね。そのおり口のために、実は歩道が非常に狭くなっておりまして、もう半分ぐらい見えないというか、使えないという状況があるんです。
地元からは、下水道局がこの敷地をもうちょっと提供してくれれば、下の歩行者の安全ももっと守れるのにというような声も聞いております。
こうした歩行者の不安は本当に解消していきたいなというふうに私は思いますし、土づくりの里というのが暫定施設だということですから、水処理施設を増設するとか、ここを改良するとかいう場合には、ぜひこうした地元の意見も聞いていただいて、土地を提供するとか、安全に渡れるような対策をしていただきたいというふうに思っております。
誘導員の方がちゃんとついておりますので、非常にありがたいというふうには思っております。私が行ったときも、ちょうどトラックが出てくるところで、誘導員さんがトラックをとめて、渡る歩行者の方を優先して、どうぞどうぞとやってくれているんですけれども、どうぞどうぞとやってもらって、行った先にちょうど歩道橋のおり口があって、向こうから来る人が逆に見えなくて、どうぞどうぞと行ったその人が、向こうにいる方とぶつかってしまったとか、そんな状況も見ました。ですから、安全対策という点では、さらに監視していただきたいなというふうに思っております。
二〇〇九年の七月に、流域別下水道整備総合計画というのが変更されました。このことによって、区部公共下水道全体計画も変更されています。中川水再生センターの計画汚水量というのも見直されておりまして、一日当たり五十九万立米から三十三万立米と半分ぐらいに減少しているんです。
こうした見直しによって減少した理由は何なのかお伺いいたします。
○坂根計画調整部長 流域別下水道整備総合計画につきましては、平成二十一年に人口や産業など社会情勢の変化を踏まえて、計画汚水量の見直しや窒素やリンなどの目標水質を新たに設定するなどの変更が行われました。
その結果、中川水再生センターの計画汚水量は、一日当たり五十九万立方メートルから三十三万立方メートルに変更されたものでございます。
○大島委員 中川水再生センターの水処理施設の上部には、区部では唯一の都市計画法に基づく都市計画公園がありまして、地域の住民の皆さんに開放されているんですね。
近くの小学校の農園などもありまして、子供たちは土に触れ合ったり農作物などを育てて、収穫祭なども行われています。また、芝生広場なども整備されておりまして、地域の皆さんが散歩やジョギングなどで利用し喜ばれています。
今後、計画汚水量が大きく減少する中で、中川水再生センターの水処理施設の増設計画はあるのかどうか伺います。
○坂根計画調整部長 水処理施設の計画につきましては、流域別下水道整備総合計画に基づき、施設計画を進めているところでございます。
施設計画に当たっては、水質改善のための高度処理の導入ですとか、老朽化施設への再構築などの課題にも対応するため、今後とも計画的かつ段階的な整備を検討してまいります。
○大島委員 中川水再生センターも含めまして、処理施設の上部が覆蓋化されて公園になっていて、しかもそこは一時避難場所に指定されて、防災公園としても整備されています。
今後、水再生センター全体がどのように施設整備、変わっていくのかはわかりませんけれども、今後起きるであろう大地震に備える予防対策や応急対策をより一層進めていただくとともに、地域の皆さんの要望なども聞いていただいて、処理施設の整備を進めていっていただくことを強く要望し、質問を終わります。
○田中委員 まず、大田区の下水道局の取り組みについて伺いたいと思います。
初めに、浸水対策でありますが、平成二十五年度は全国的にも幾度もゲリラ豪雨など猛烈な大雨が降り、東京でも局地的な大雨などで多くの浸水被害が発生しました。きょうの資料要求における報告において、床上、床下の浸水の数を見ても明らかであります。私の地元上池台地区でも、時間五十ミリを上回る大雨で浸水被害が発生いたしました。
この浸水被害の多発を受けて、下水道局では、昨年の十二月に豪雨対策下水道緊急プランを策定し、これまでの整備水準である時間当たり五十ミリの降雨の対応に加えて、時間当たり七十五ミリの降雨への対応が必要な地区を選定して、効果的に対策を実施していくことといたしました。
この大田区の上池台地区については、このプランにおいて対策地区の一つにしていただきまして、浸水対策が進められることとなりました。
そこで、大田区上池台地区における浸水対策の内容について、平成二十五年度の取り組み状況を含めて伺いたいと思います。
○中島建設部長 大田区上池台地区におきましては、昨年七月の豪雨により甚大な浸水被害が発生したことから、豪雨対策下水道緊急プランにおいて、七十五ミリ対策地区の一つに指定し、時間七十五ミリの降雨に対応できる対策を開始したところでございます。
具体的には、下水道幹線や調整池など、これまで整備してきた施設を最大限に活用しつつ、洗足池幹線を増強する施設を整備することとし、平成二十五年度は早期の対策実施に向けて調査設計を進めました。
○田中委員 この地域は、今、答弁にもあったんですけれども、これまで公園の下に調整池も整備していただいたり、幾つかの浸水対策を進めてきたんでありますが、それでもなお、大雨が降ると、浸水被害がこれまで続いてまいりました。
今回の七十五ミリ対応というのは、地元でも大きな期待をしております。本年度は調査設計とのことでありますが、一日でも早く整備が進んで、地域の安心・安全を確保していただきたいと思います。
次に、水再生センター間を結ぶ連絡管というものについて伺いたいと思います。
これも地元でありますが、大田区にある森ヶ崎の水再生センターというのは、稼働を開始したのが昭和四十一年ということで、既に五十年近くが経過している施設であります。
老朽化の対策というのは、他のインフラ同様、水再生センターについても大変必要不可欠なことではあると思いますが、水再生センターの施設は規模が大きく、特に森ヶ崎は物すごい大きなセンターであるんですけれども、その中で下水処理も継続して実施していく必要があります。
水再生センターの再構築には長期間を必要とし、また長い再構築期間の間、施設を一部休止しなければならず、これに対応するために下水道局では、水再生センター間を結ぶ連絡管の整備を進めていると聞いております。
そこでまず、この連絡管の目的と効果を伺います。
○坂根計画調整部長 連絡管は、水再生センターの再構築時の下水処理の機能と緊急時のバックアップ機能を確保する目的で整備を進めております。
具体的に申し上げますと、水再生センターの再構築時には、一部の処理施設を一時的に休止させる必要があり、処理能力が減少することから、水再生センター間で下水などを相互に送り、下水処理を継続することができるよう、連絡管を水再生センターの再構築に先行して整備し、再構築時に不足する処理能力を補完するものでございます。
また、連絡管は、震災時などに一方の水再生センターが被災した場合でも、下水をもう一方のセンターに送って処理することができるバックアップ機能を有し、危機管理対応を強化する役割も担ってございます。
○田中委員 連絡管というのは、もともとは水再生センターの再構築に必要ということで整備を進めてきたということでありますが、それだけではなくて、最後の答弁にもありました災害時にも危機管理対応として必要だということであります。
名前が連絡管というと、単に連絡管という名前だけですから、なかなか内容がわからないんで、名前を変えろとはなかなかいいづらいんですけれども、わかりやすい説明をしていただければと、必要性をもう少しいっていただければと思っております。
大田区にある森ヶ崎の水再生センターについても、芝浦の水再生センターとの間を結ぶ連絡管の整備が進められております。
この連絡管の施設の概要と平成二十五年度の進捗状況を、工事費を含めて伺います。
○中島建設部長 連絡管は、京浜運河の地下約六十メートルの位置に内径六メートルのトンネルを延長約八キロメートルにわたって、シールド工法を用いて整備し、整備したトンネル内に下水の送水管などを敷設するものであります。
平成二十五年度は、大井ふ頭中央海浜公園内において、工事費約二十三億円をもって連絡管のシールド工事に必要な立て坑の設置工事に着手いたしました。
○田中委員 お聞きしますと、この事業は平成十八年から十九年にかけて庁内で議論がされて、平成二十四年度に認可がおりて、昨年から始まったばかりの事業ということであります。
もちろん、長い検討の末この事業が進んでいることかと思いますが、送水量が日量十三万トンという巨大な連絡管であり、完成までに十年以上かかると。さらに建設費も数百億かかるということで、大規模な公共工事であります。
さもすると、お金がかかり過ぎるんじゃないかと。無駄ということはいえませんが、その公共事業どうなんだと捉えられる可能性も否定はできません。
特に地下での工事ということで、先ほどの連絡管という名前だけでは、わかりづらいというのもあったんですけれども、事業の姿が見えないということがあります。道路だと大変お金がかかるのも同じなんでありますが、できてからそこを通ると、便利になったな、よかったなということで、大変効用というのを私たちも実感できるわけでありますが、連絡管や下水道局の工事というのは、先ほどもいいましたように見えない分、私たちに実感がありません。
ぜひともしっかりと進捗状況も報告してもらって、また、必要性を理解してもらうための広報も改めて必要だと感じております。
調べますと、連絡管というのは以前も設置されておりまして、例えば多摩川の上流の水再生センターと八王子の水再生センターを連絡管で結び一体的に運用することで、八王子の水再生センターの予備施設を活用することができることになり、多摩川の上流水再生センターの焼却炉の更新に当たっては、二基の焼却炉を大型化して一基に集約することができて、当初かかる更新費が約十三億削減できたといった例もあるということもお聞きしております。
このような効用が森ヶ崎と芝浦の連絡管にも生まれることを要望いたしますし、さまざまな形での説明責任をぜひ果たしていただきたいと思います。
引き続き、下水道事業についてお聞きしますが、安全で快適な生活や良好な水環境の形成などに大きく寄与している一方で、大量のエネルギーを消費しているのも事実であります。その量は、都内で使用される電力の約一%に及んでいます。
この結果、下水道局は、東京都の事務事業の活動で排出される温室効果ガスの約四〇%、これも毎年、かなり努力の末減らしてきたということもお聞きしておりますが、そうはいっても、四〇%、大変大きな値であり、これを排出する最大の温室効果ガスの排出者ともなっております。
そんな中で、森ヶ崎の水再生センターでは、下水処理などに使用する電力についても、極力再生可能エネルギーの活用を図っていると聞いております。
水再生センターというのは、二十四時間三百六十五日休みなく下水処理をしているわけで、その処理に必要な設備を動かすには電力確保が欠かせません。再生エネルギーの活用は、電力確保においては重要な取り組みであると考えます。
そこで、森ヶ崎の水再生センターの再生可能エネルギーを活用した発電の取り組み状況について伺います。
○神山施設管理部長 森ヶ崎水再生センターでは、一日に約百十万立方メートルの下水を処理するために、ポンプや送風機などの設備で年間に約一億キロワットアワーもの大量の電力を使用しております。
このため、下水処理に必要なエネルギーの確保の観点から、再生可能エネルギーを活用して発電した電力を下水処理に利用する取り組みを進めてきております。具体的には、森ヶ崎水再生センターで、これまで下水汚泥から発生する消化ガスによるバイオマス発電や処理水の放流落差と豊富な水量を利用した小水力発電を行っております。
これによりまして平成二十五年度は、森ヶ崎水再生センターで消費する電力の約二割に相当する二千二百七十万キロワットアワーを発電したところでございます。
○田中委員 下水道局は、スマートプラン二〇一四という冊子の中で、下水道局が使う総エネルギー量に対する再生可能エネルギーの割合を、平成三十六年度までに二〇%以上を目指すことを掲げています。
森ヶ崎は、今答弁ありましたが、二〇%、今現時点で超えているということで優等生なわけではありますが、まだ他の水再生センター等はこれに及んでいないということで、これからの取り組みであります。
ぜひとも再生可能エネルギーの活用を進めて、目標達成に向けてこの取り組みを推し進めていただければと思います。
さて、これまで確認させていただいたように、下水道局はさまざまな取り組みを行っていますが、これらの取り組みを着実に推進するためには、公共工事による施設の整備が不可欠であります。
しかし、近年、下水道工事にかかわらず、公共工事全般で契約が成立しない、不調が全国に広がっておりまして、東京でも同じような状況にあります。私も第一回の定例会で不調問題、全体的な東京都の問題としても取り上げさせていただきました。
さまざまな事業を着実に進めるためには、契約の不調対策というのも大変重要な課題であると考えます。
そこで、平成二十五年度の下水道局の工事における不調の発生状況について伺います。
○熊谷経理部長 平成二十五年度に入札に付しました予定価格二百五十万円以上の工事案件は、全体で九百七件ございました。このうち、申込業者が応札を辞退して、契約が不成立となった不調の件数は百二十六件で、その割合は一三・八%でありました。
○田中委員 これを聞きますと、また、額によっても契約の不調の率が違うということで、今回は二百五十万円以上の全ての工事案件を出していただいたわけでありますが、それでもこの割合一三・八ということで、大変に高い割合であるということが数字でよくわかります。
そんな中で、不調対策に対しては、下水道局でもこれまでいろんな取り組みをしてきたということもあわせて伺っておりますが、今回、このような不調に対してどのような対策を講じているのか伺います。
○熊谷経理部長 応札を辞退した業者へのヒアリング等では、多くの業者が辞退理由として、積算金額と実勢価格との乖離と技術者の不足を挙げております。
これを踏まえ、下水道局では、庁内各局とも連携して対策を講じてまいりました。具体的には、積算金額と実勢価格との乖離に対しましては、労務単価を見直し、適切に予定価格に反映させるなどの対策に取り組んできたところでございます。
また、技術者の不足に対しましては、より柔軟に技術者を配置できるよう、主任技術者について、一定の要件を満たせば二件の工事を兼務できるように条件を緩和する制度を平成二十六年四月からの実施に向けて、平成二十五年度中に整備したところでございます。
○田中委員 二点大きな対策ということで、労務単価の見直しによる適正価格、予定価格への反映と、また技術者不足に対していってもらいました。
労務単価は、各業界、建設業初め多くのところで大変課題になっておりまして、国として引き上げが行われたわけでありますが、それでもなお、まだ実勢価格との乖離が開いているという声を多く聞きます。ぜひ小まめにこの見直しを図っていただいて、少しでも予定価格に反映させる努力をしていただきたいと思います。
また、技術者の不足について具体的な例を挙げてもらいました。二件の工事を兼務できるということで、話を聞きますと、近くの五百メートル離れたところでも、同じ工事でもそれぞれ今までは、主任の技術者を置かなきゃいけないということで、それを確保するのが大変で、二つの工事をやりたくてもできなかったと。
それで、緩和してもらうことで、一緒になって工事ができて、大変効率がいい事業となり得るんじゃないかということも、現場の工事事業者の人にも聞きました。ぜひこれも着実に実行していただきたいと思っております。
この不調対策の取り組みというのはわかりましたが、やはり根本的に解消するのは、それぞれの業界、これも下水道事業者に特定したわけでなく、建設業や職人の人、あらゆる業界での課題ではありますが、技術者不足や技術者への教育などの課題を、業界の立場になって理解することが私たちも含め必要だと感じています。
技術者教育に関して下水道局は、昨年十月、人材の育成と技術の継承を図る実習施設として、下水道技術実習センターを新たに設置しました。私も、多くのほかの委員の方も見学された方は多かったかと思いますが、今まで組織内に蓄積してきた下水道局の技術を、広く社会に、一般の民間や監理団体等にも還元して、ともに技術を実習していくという仕組みがつくられました。
ぜひ将来にわたって安定的な事業を提供していくために、民間事業者も含めて下水道業界全体に、トータルマンパワーという言葉、下水道局で使われますが、これを確保して、これまで培ってきた技術やノウハウを確実に継承していただきたいと思います。
下水道工事の継続的かつ安定的な受注に資するように、業界の抱える問題にも、ともに取り組んでいただきながら、引き続きあらゆる面からの不調対策を積極的に進めてほしいということを要望しまして、質問を終わります。
○宮瀬委員 過日の下水道局における平成二十五年度決算の説明におきまして、国際展開事業が述べられておりました。私の方からは、その国際展開事業についてお伺いいたします。
イギリスの経済誌、エコノミスト社が科学、政治、人口、経済など、二十の分野の指標で予想する二〇五〇年の世界によりますと、二〇一〇年時点で、日本が占める世界のGDPのシェアは五・八%、アジアの発展途上国は二七・九%、二〇五〇年には日本は一・九%と、現在の三分の一まで減少し、逆にアジアは四八・一%へと拡大。実にアジアは世界の富を約半数、占めるに至るといわれております。
このままでは、衰退してしまう日本がいかにアジアの富を取り込むのか、ひいてはアジアとともに東京がどう相互発展、成長していくかは喫緊の課題であります。
水に限ってみましても、井戸を掘った人の恩を忘れるなという言葉が中国にあるように、今、発展途上のアジアにおいて、現地の水問題を改善させ、信頼を得ることは、将来的に人、物、金、情報を東京に呼び込んでいくための布石として大変重要であります。
また、私ごとで恐縮ではありますが、十五年前よりNGOを主催しておりまして、アジアにて学校建設等、小規模ながらインフラ建設に携わっておりましたので、そういった現場の経験から、本日は決算の質疑をさせていただきます。
そこで改めまして、下水道局における国際展開事業の全体像やビジョンについてお伺いいたします。
○永野企画担当部長 下水道事業の国際展開は、東京都下水道事業経営計画二〇一三に基づいて行っています。その目的は、下水道施設が十分でない国や、地域などの課題解決に寄与することや、下水道関連企業の海外展開を後押しすることで、日本の下水道事業の活性化と産業力の強化に貢献することであります。
これまでに培った技術力や経営ノウハウなどの強みを生かし、海外インフラ整備プロジェクトなどの推進、個別技術の海外展開及び人材交流と情報ネットワークの強化の三つを柱に取り組んでございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。最も大事な事項の一つですので、まず最初に確認させていただきました。
民間企業においては、事業計画をつくるに当たりまして、まず現状を正確に捉え、プランを明確化し、その後、いわゆるPDCAサイクルを最重視しておりました。この後の質問は、その観点を軸にお伺いさせていただきます。
まず、今回のマレーシアの事業についてお伺いいたします。
今回、なぜマレーシアで、どのような判断基準や指標、すなわちKPIをもって関与を始めたのか、またそれによって得られる成果は何を見込んでいたのかお伺いいたします。
○永野企画担当部長 このプロジェクトは、平成二十二年に住友商事株式会社からマレーシアの下水道事業の計画策定につきまして協力要請がありました。これを受けまして、当局独自に現地調査等を行った結果、小規模な下水処理場の散在やその処理水質の悪化、汚泥処理施設の未整備による環境問題の発生など、多くの課題があることが調査結果により確認されました。
これらの課題解決に向けては、東京下水道の技術とノウハウが活用できると判断し、マレーシアの安定した政治経済情勢を踏まえまして、国の支援を得て、マレーシアへの関与を決めたものでございます。
このプロジェクトのように、東京の技術が活用される取り組みを通じ、現地の水環境の改善に寄与し、日系企業の参入機会を創出することを期待してございます。
○宮瀬委員 ありがとうございました。ここでのポイントは、現地調査において現状を数値化し、何を重点指標とし、どのようにどれぐらい改善していくのかの仮説がしっかりとなされたかにあると思っております。ぜひ今回得られました現地調査の数値データを再度精査していただき、プランにおける明確な指標、KPIや数値を今後示していただくようお願い申し上げます。
さて、次の質問でありますが、本プロジェクトの課題や苦労した点はどこにあったのか、また、契約合意に至った要因、決め手は何だったのでしょうか。お伺いいたします。
○永野企画担当部長 国際展開を推進するに当たりましては、多種多様な課題がございます。下水道事業にかかわらず、海外での事業全般に見られる課題といたしましては、為替の変動に対するリスクや各国固有の法制度、規制などを詳細に把握することの困難性が挙げられます。
このプロジェクトでは、これまでマレーシア国で前例のない技術や運転ノウハウを提案していましたことから、マレーシア側の理解を得るのに多くの労力を要しました。
契約合意に向けては、政府間協議など国土交通省を初め関係省庁との連携のもと、これまでの間、提案内容に盛り込まれている東京下水道の技術について、マレーシア政府に対しさまざまな機会を捉えて十分な説明を行い、受注を目指してきたものでございます。
○宮瀬委員 ありがとうございました。成功の要因は、現場調査とコミュニケーションを現地政府としっかりとることと。また、課題としては、現地慣習を理解することの難しさ、そして政治状況や為替変動リスクを挙げていただきました。
本プロジェクトの契約合意に至る過程において、しっかりと成功要因や課題を改めて見つけ出し、さらにそれを具体的に数値化することで、次の事業展開のKPI、指標に生かすことができると考えます。大変重要なことだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さらには、まだ気の早いことでありますが、日本は他の先進諸国や海外へのインフラ輸出に積極的に取り組む中国などと比べ、こういった取り組みのアピールがとても弱いと思われます。ぜひこういったすばらしい取り組みを建設段階から現地の人にどうPRしていくのか、また、東京都民にその貢献をどう伝えていくのか、ぜひグローバル企業の社会貢献事業、CSRにおけるPR事業を十分に参考にしていただきたいと思います。
続きまして、国際展開事業の全体についてお伺いいたします。
さて、今まで海外のことばかり触れてまいりましたが、次は国内、東京の話に移りたいと思います。
景気回復の兆しは見えているものの、いまだ東京の中小企業は大変厳しい状況に置かれております。そういった状況の中での国際展開事業は、ともすれば人、物、金、情報など都の資産を投入して、都民にどんなメリットが具体的に得られたのかと、誤解を持つ方も一部にはいらっしゃるかもしれません。
私自身も、海外での国際協力活動をする際には、日本国内の人から、日本国内で苦しんでいる人がたくさんいるのに、そちらのことはどうでもいいのと問われることも、間々あります。
そこで、東京都は、都に対するどのようなメリットを期待して、コンソーシアムを支援しているのかお伺いいたします。
○永野企画担当部長 当局では、これまで培ってきた技術力や経営ノウハウを強みとして国際展開に取り組んでございます。その目的は、下水道施設が十分でない国や地域などの課題解決により、現地の水環境の改善に寄与することであります。
また、プロジェクトに東京下水道の技術仕様が盛り込まれていることから、日系企業の参入が期待できると考えてございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。ただいまご答弁の中に、日系企業の参入ということがございましたが、冒頭の質問の中でビジョンについてお伺いしたところ、産業力の強化への貢献という言葉もございました。
産業力の強化への貢献とは、今後どれぐらい強化し、どれぐらい貢献していくのか、また、マレーシアの事業に関しましても、日本企業、とりわけ東京の企業への貢献や経済波及効果など、どう目指していたのかお伺いいたします。
○永野企画担当部長 下水道は、土木、機械、電気など多様な技術が複合的に用いられている裾野の広い事業でございます。海外での下水道整備プロジェクトに、東京下水道の技術仕様が採用されることにより、下水道事業にかかわっている幅広い分野の日系企業にとって海外の事業に参入する機会につながりまして、経済波及効果が期待されると考えてございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。数量、数値はなかなかいえないと思いますが、本日、新聞記事になっておりましたように、ラグビーワールドカップの東京開催での経済効果も八百六十六億円と事前に発表されており、都にはそのノウハウがあると思います。ぜひ関係各所と連絡を取り合っていただき、算出していただければと思っております。
今後、今回のマレーシアでの事業は、そういった指標を得られる海外でのモデルケースになりますので、東京の企業や現地への貢献、都税収への付与を数値化する努力をしていただければ、もっとこういった事業が加速されると思っております。
また、本日は決算ですので質問としませんが、先ほど私が申し上げましたNGO活動では、日本の貢献にはならないのかという問いに対しましては、現地で建てた学校と東日本の被災地にある中学校との姉妹校締結を結んだり、支援している子供たちとの英語教育を通じた交流事業を通じて、日本の子供たちのためにも貢献できるようなスキームを組み、大変喜んでもらっております。
ぜひ下水道局の国際貢献事業においても、今回のマレーシアでの取り組みをしっかりとグローバル人材の育成を挙げる教育庁と連携していただきたいと思っております。本事例を建設段階からグローバル教育の教材事例として取り上げていただくこともよいかもしれませんし、また、恩恵を受ける地域のマレーシアの子供たちとの交流を図るのもよいかもしれません。
また、教育庁だけではなく、東京都の産業力強化ということで、もちろん東京の中小企業のアジア進出を応援している産業労働局とさらに連携していくことも必要と考えます。
最後の質問になります。二〇二〇年に完成予定のマレーシアの本プロジェクトは、調査から契約まで四年、着工から完成まで六年、合計十年がかかるという計算になります。一プロジェクトに対しまして調査から完成まで十年かかると、単純計算すれば、二〇五〇年までにあと三案件の実現となるスピード感であります。
冒頭申し上げましたとおり、このままですと日本の世界に占めるGDPのシェアは、現在の三分の一になってしまいます。
そこで、東京の産業力の強化を急ぐ意味においても、早く次の案件のために今のうちから種をまいておくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
○永野企画担当部長 マレーシアの下水道整備プロジェクトは、官民連携により下水道システム全体を海外で展開するものでございまして、新しいことばかりのプロジェクトでございます。
今後も現地の法制度や商慣習の違いなど、さまざまな課題を一つ一つ解決させていかなければなりません。東京下水道としては、スタートラインに立ったばかりのこのプロジェクトをまずは成功させ、実績を上げることが第一と考えてございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。一つの事業を確実に実現させる、それは大変すばらしいことであります。
しかし一方で、民間企業では一つの新しい事業を確実に実現させながら、同時に次の事業への種まきをすることは、スキームレスな発展のためには大変大事なことでありますし、東京都にはそのポテンシャルがあると思っております。
アジアにおけるインフラ需要は、二〇三〇年までに一千二百兆円ともいわれ、アジア開発銀行のレポートによりますと、二〇一〇年から二〇二〇年までに八兆ドルとされております。また、経済産業省の試算では、世界の水インフラ市場は、二〇二五年には八十兆円規模と、約二倍以上の成長予測がされており、下水に関しましても三十五・五兆円、内訳を見ますと建設関連で二十一・一兆円、管理運営サービス十四・四兆円とされております。
いずれにせよ、巨大なチャンスがアジアにはあります。しかし、都の政策スピードとアジアにおけるインフラ需要が増大するスピードにはまだまだ大きな乖離があることは否めません。
繰り返しになりますが、東京都にはそのポテンシャルがあります。その数ある東京都の政策の中で、本事業は攻めの事業だと認識しておりますので、ぜひCLAIRを持つ総務局、今まで話に出ました産業労働局、教育庁、財務局、そして政策企画局と連携しながら、本事業を進めていっていただきたいと思います。
そのためにも、繰り返しになりますが、マレーシアの事業が一方的な現地への貢献のみならず、東京の中小企業への貢献、グローバル教育への活用、さらには都税収の付与等、しっかりと数値やデータで立証されることができれば、本事業にもより都の人材や予算の投入などが図られるのではないでしょうか。
マレーシアにおける東京都の国際貢献事業、ことし、二〇一四年にマレーシアの整備地域、ランガット地区で生まれた子供も、二〇五〇年には三十六歳の働き盛りとなります。その働き盛りの人が小さいときから東京の下水道にお世話になった、東京は最高のビジネスパートナーだといってくれるような取り組みにつながることを心より望みます。
最後になりますが、日本には古来より近江商人の売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よしの考え方がございます。都、現地、都民とが三方よしになるよう、下水道局の国際展開事業に大きな期待を寄せまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○松村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後二時四十七分散会
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