平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会速記録第四号

平成二十五年十一月二十二日(金曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長木内 良明君
副委員長吉倉 正美君
副委員長山加 朱美君
副委員長かち佳代子君
理事中山 信行君
理事あさの克彦君
理事近藤  充君
理事鈴木 隆道君
理事大島よしえ君
小林 健二君
河野ゆうき君
清水 孝治君
塩村あやか君
山内れい子君
中山ひろゆき君
尾崎あや子君
木村 基成君
栗山 欽行君
桜井 浩之君
新井ともはる君
川松真一朗君
神林  茂君
林田  武君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長塚本 直之君
東京都技監都市整備局長兼務藤井 寛行君
港湾局長多羅尾光睦君
交通局長新田 洋平君
水道局長吉田  永君
下水道局長松浦 將行君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について(意見開陳)
・平成二十四年度東京都病院会計決算
・平成二十四年度東京都中央卸売市場会計決算
・平成二十四年度東京都都市再開発事業会計決算
・平成二十四年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・平成二十四年度東京都港湾事業会計決算
・平成二十四年度東京都交通事業会計決算
・平成二十四年度東京都高速電車事業会計決算
・平成二十四年度東京都電気事業会計決算
・平成二十四年度東京都水道事業会計決算
・平成二十四年度東京都工業用水道事業会計決算
・平成二十四年度東京都下水道事業会計決算

○木内委員長 ただいまから平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 本決算につきましては、いずれも質疑を終了いたしております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○栗山委員 私は、都議会自由民主党を代表して、平成二十四年度公営企業会計決算について意見の開陳を行います。
 最初に、病院会計について申し上げます。
 一般会計繰入対象経費の算定方法及び負担区分の一層の明確化に努めるとともに、引き続き経営改善努力を行い、強固な経営基盤の構築に努められたい。
 高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療については、安定的かつ継続的に公的医療機関としての役割を果たされたい。
 PFIによる病院の経営に当たっては、病院と民間事業者との協働体制を強化するとともに、業務履行状況を適切にチェックする体制を構築するなど、経営の効率化や患者サービスの一層の向上に努められたい。
 二十四時間三百六十五日、いつでも誰もが医療を受けられる安心社会の実現のため、次代を担う若手医師を育成、確保する東京医師アカデミーによる臨床研修の充実を図るとともに、確保、定着に向けた取り組みを一層推進されたい。
 次に、中央卸売市場会計について申し上げます。
 豊洲新市場については、引き続き土壌汚染対策工事を着実に進めた上で、首都圏の基幹市場として、また、国際的にも最先端の市場としてその機能を果たすよう、鋭意整備を進め、確実に二十七年度開場されたい。また、市場業者が安心して移転できるよう、その要望を踏まえた効果的な支援を行われたい。
 環境対策の取り組みとして、市場業者と協力して省エネに取り組むとともに、自然エネルギーの活用等に取り組まれたい。
 第九次東京都卸売市場整備計画を踏まえ、卸売市場で求められているニーズを的確に把握し、市場機能の強化や活性化に向け施設整備等を推進していただきたい。
 災害においても、生鮮食料品等の安定供給を担う重要な社会的インフラとして、その機能が発揮できるよう、災害対応能力の強化に努められたい。
 次に、都市再開発事業会計について申し上げます。
 北新宿地区市街地再開発事業については、新宿副都心にふさわしい土地の高度利用と都市基盤の強化を図り、生活環境の改善と防災性の向上を推進されたい。
 環状二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業については、都市の骨格を形成する環状二号線とその周辺を含めた一体的なまちづくりを行い、東京の都市再生に向け、魅力ある複合市街地の形成を推進されたい。
 次に、臨海地域開発事業会計について申し上げます。
 臨海副都心の開発は、東京の活力と創造力を生み出し、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業であります。東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、臨海副都心のポテンシャルと貴重な開発余地を生かしつつ、民間の創意工夫を引き出しながら、IRも視野に、MICE、国際観光機能の一層の充実を図られたい。
 臨海副都心地域と都心部とを結ぶ環状二号線など、広域幹線道路の整備を積極的に推進するとともに、都民の憩いの場である緑豊かな海上公園の適切な管理に取り組み、さらには、都心に近接した豊かな水環境を生かしたまちづくりを目指し、積極的に事業を進められたい。
 次に、港湾事業会計について申し上げます。
 東京港が首都圏四千万人の生活と産業活動を支える物流拠点として欠くことのできない重要な社会基盤施設であり、利用者ニーズに的確に応えて施設を整備し、貨物誘致や事業運営の効率化を推進するなど、さらなる国際競争力の強化を図られたい。
 次に、交通事業会計について申し上げます。
 バス事業は、赤字経営であることを踏まえ、さらなる効率化に努力されたい。また、安全対策の推進や、バス停施設、運行情報サービスの充実など利便性の向上に努められたい。
 軌道事業は、安全対策やサービスの向上に努めるとともに、安定的経営の実現に向け、経営の効率化に一層努力されたい。
 新交通事業は、早期経営安定化に向け、乗客誘致や関連事業の増収を図るとともに、監理団体を活用し、安全と経営効率化を両立されたい。
 次に、高速電車事業会計について申し上げます。
 経営は引き続き改善傾向でありますが、多額の累積欠損金や長期債務の解消、縮減に向け、増収努力と一層の効率化を図り、経営基盤を強化されたい。
 東日本大震災の教訓を踏まえた地下鉄構造物の耐震補強、地下鉄への浸水対策や実践的訓練、危機管理体制の充実など、防災対策の強化に取り組まれたい。また、総合指令の構築を進めるとともに、新宿線などのホームドア設置に向け、具体的な検討を進められたい。
 次に、水道事業会計について申し上げます。
 東京水道施設再構築基本構想に基づき、長期的な観点から、渇水や気候変動などのさまざまなリスクを十分考慮し、将来の首都東京にふさわしい施設の再構築を着実に進められたい。
 八ッ場ダムなどの新規水源開発については、国等に一層促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、関係自治体と連携して推進に努められたい。
 また、都民の貴重な水源地を守り続けるため、民有林購入事業の一層の充実など、荒廃した民有林対策を進められたい。
 水道管路の耐震継ぎ手化の重点的、優先的整備、浄水場等の自家発電設備の増強、主要幹線二重化等のバックアップ機能の拡充や私道内給水管の整備など、災害、事故対策を強化されたい。
 安全でおいしい水プロジェクトで掲げた貯水槽水道の適正管理や直結給水化の推進などの施策を積極的に取り組まれたい。
 水道局と監理団体が連携した効率的で責任ある運営体制の構築に努められたい。
 多摩水道改革計画二〇一三に基づき、都営水道にふさわしい広域水道としてのメリットをさらに発揮できるよう、多摩地区水道の再構築に向けた課題と災害対応能力の強化に向けた課題に積極的に取り組まれたい。
 諸外国の水事情改善に貢献するとともに、日本経済の活性化のためにも、東京水道の持つ技術、ノウハウなどの強みを生かし、公民連携を図りながら積極的に国際ビジネスに当たられたい。
 工業用水道事業については、安定給水及び施設の安全性を確保するとともに、効率的な事業運営を推進し、財政の安定化に努められたい。
 最後に、下水道事業会計について申し上げます。
 東京都下水道事業経営計画二〇一三の達成に向け、全力で取り組み、都民サービスの一層の向上を図られたい。
 老朽化施設の更新に合わせ、雨水排除能力の増強など、機能向上を図る再構築を計画的に推進されたい。
 頻発する局地的集中豪雨に対応するため、浸水対策を推進されたい。
 高度防災都市づくりに向け、下水道施設の耐震化及び耐水性の強化を推進されたい。
 東京湾など公共水域の水質を改善するため、合流式下水道の改善や高度処理を推進されたい。
 アースプラン二〇一〇に基づき、再生可能エネルギー等の活用、省エネルギー型機器の導入を進め、温室効果ガス排出量の削減に努められたい。
 流域下水道事業は、市町村と連携、協同し、効率的、効果的に推進されたい。
 下水道のニーズがある国等の課題解決に寄与するなど、国際展開を推進されたい。
 経営の効率化に取り組み、国費等の財源確保を図るなど、経営基盤の強化に努められたい。
 以上で各会計に対する意見を申し上げましたが、公営企業は、都民の生活になくてはならない事業であります。
 コスト管理、意識の徹底は必要不可欠でありますが、公共サービスの本旨を踏まえ、安全・安心はもとより、一層の経営改善と都民サービスの向上を図り、都民の信頼をさらにかち取るよう全力で取り組まれることを要望し、私の意見開陳を終わります。

○小林委員 都議会公明党を代表して、平成二十四年度の公営企業会計決算について意見開陳を行います。
 初めに、共通事項について申し上げます。
 まず、経常利益及び経常損失の合計は九百二十一億円の黒字となりましたが、利益額は三年ぶりに前年度比で減少しており、今後も不断の改善努力が求められます。また、累積損益は、全会計合計で百七十九億円の黒字となり、四年ぶりに累積欠損金が解消されるなど一定の評価をするものです。
 公営企業の事業は、都民生活に密接に関連しており、その本来の目的である公共の福祉を増進していくために、社会経済情勢の変化を踏まえつつ、都民ニーズを的確に反映していくことが必要です。
 同時に、企業の経済性発揮の観点から、効率的、効果的な経営が求められており、こうした視点を踏まえ、引き続き各局が経営環境の改善を図りながら、さらなる経営合理化に努めていくよう求めます。
 次に、各事業会計について申し上げます。
 初めに、病院事業会計について申し上げます。
 一、都立病院は、行政的医療を適正に都民に提供するとともに、都内医療の質的向上に貢献されたい。加えて、さらなる収益の確保や省エネ対策、薬品などの共同購入の充実など、経営改善に向けた多様な努力を行い、安定した経営基盤を確立されたい。
 一、災害拠点病院として、都立病院は、発災時における医療提供体制の確保に万全を期すとともに、一定期間が経過した後も継続的に医療を提供していくため、BCPに基づき着実にBCMを推進するなど、災害対策を一層強化されたい。
 一、がん診療について、集学的治療を積極的に実践して患者の治療の選択肢を広げるほか、院内がん登録の精度向上、地域の医療機関との連携、小児がん拠点病院に指定された小児総合医療センターにおける移行期医療の強化など努められたい。
 一、東京医師アカデミーにおいて、専門性の高い優秀な医師の育成、確保に努めるとともに、指導医へのインセンティブ付与や女性医師が働きやすい勤務条件の改善などにより、総合的な医師確保対策を推進されたい。
 次に、中央卸売市場会計について申し上げます。
 一、豊洲新市場については、市場業者の要望を踏まえた効果的な支援策を実施し、丁寧に移転を推進していただきたい。また、広く都民の理解が深まるよう、PRを積極的に行われたい。
 一、第九次卸売市場整備計画に基づき施設整備に努められたい。
 一、地球温暖化対策として、電動小型特殊自動車の電源設備の充実など、温室効果ガス削減に引き続き取り組まれたい。
 一、東日本大震災の被災地を支援するため、今後とも被災地の状況の変化に応じ、市場としての取り組みを引き続き進められたい。
 次に、都市再開発事業会計について申し上げます。
 都市の骨格を形成する幹線道路とその周辺部の都市機能を再生し、生活環境の改善と防災性の向上を図るため、北新宿地区及び環状第二号線新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業を推進されたい。
 次に、臨海地域開発事業会計について申し上げます。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、さまざまな取り組みによりにぎわいを創出しながら、MICE、国際観光拠点化を推進していくとともに、環状二号線などの整備などに着実に取り組まれたい。また、臨海地域の土地処分においては、効果的な開発を誘導されたい。
 次に、港湾事業会計について申し上げます。
 今後も、日本のメーンポートとしての東京港の地位を維持していけるよう、京浜三港連携の中で事業運営の効率化に努め、利用者ニーズに的確に応える施設整備を行い、貨物誘致を推進されたい。
 次に、交通事業会計について申し上げます。
 一、交通事業会計を取り巻く経営環境の変化を踏まえ、乗客誘致など増収対策を進めるとともに、経営の効率化をさらに推進し、引き続き収支改善に努められたい。
 一、ドライブレコーダーや運転訓練車の有効活用などにより、安全対策をさらに充実されたい。
 一、都バス、都電の停留所などにおけるきめ細かい運行情報や、携帯端末などを活用した新たな情報サービスの提供など、運行情報サービスの充実を図るとともに、上屋やベンチの設置など利便性の向上に努められたい。
 一、全ての人々が利用しやすい低公害ノンステップバスによる環境対策、バリアフリー化の取り組みを継続されたい。
 次に、高速電車事業会計について申し上げます。
 一、監理団体も活用し、ハード、ソフト両面にわたる安全対策に万全を期されたい。
 一、浅草線と新宿線におけるホームドア設置に向け、積極的に取り組まれたい。
 一、地下鉄駅におけるバリアフリー化を推進し、いわゆるワンルート確保を早期に実現されたい。駅施設の誘導チャイム、音声案内触知図やサービス介助士の充実などを図られたい。
 一、地下鉄の通信環境を強化するとともに、ICカードを活用したポイントサービスの環境施策との連携に取り組まれたい。
 一、駅構内を魅力的で利便性の高い空間とし、さらなる収入の確保を図るとともに、障害者が働く店舗としての利用など公共の福祉の増進に努められたい。
 一、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、大江戸線の延伸など都営地下鉄の輸送力の増強、利便性の向上に努められたい。
 また、電気事業会計については、安定的で適切な経営に努められたい。
 次に、水道事業会計について申し上げます。
 一、将来にわたる安定給水を確保するため、新規水源の開発促進を国などに対して引き続き強く要望するとともに、国庫補助金などの拡大導入に努力されたい。
 一、近年の水源水質悪化や水質事故に鑑み、水道水源の水質保全対策について、国に対し強く要望されたい。
 また、水質監視体制に万全を期し、残留塩素の低減など都独自の水質目標を達成するよう、浄水から給配水に至る総合的な施策を推進し、都民が求める安全でおいしい水の供給に努められたい。
 一、浄水施設及び送配水施設の整備を積極的に推進されたい。
 また、事故時や震災に備え、首都中枢機関等に加え、避難所や主要な駅への供給ルートや被害が大きいと想定される東部地域の耐震強化に優先的に取り組むなど、新たな水道管路の耐震継手化十ヵ年事業の推進に努められたい。
 さらに、東日本大震災の教訓も踏まえ、区市町や他事業体との共同訓練の充実、住民みずからが主体となる応急給水の支援など、危機管理対策に万全を期されたい。
 一、水資源の有効利用を図るため、漏水防止対策、広報による節水意識の高揚、循環利用及び雨水利用の促進など節水諸施策を推進し、節水型都市づくりに努められたい。
 一、東京水道経営プラン二〇一三に盛り込まれた経営努力や監理団体と連携した効率的事業運営の推進など、経営基盤の強化に努められたい。また、事業評価制度を活用して、都民への説明責任を果たし、より一層信頼の向上に努められたい。
 一、多摩水道改革計画二〇一三に基づき、多摩地区水道の再構築や地域との連携強化などへの取り組みを積極的に推進されたい。
 一、太陽光発電などの再生可能エネルギーの有効活用や発生土の再利用など、資源リサイクルに努めるほか、環境取り組み状況の情報発信など、東京都水道局環境計画二〇一三-二〇一五に掲げた総合的な環境施策を推進されたい。
 一、水道局の取り組みについての都民の理解を高めるための日常の広報活動とともに、非常時においても、広く都民に正確な情報を迅速に提供できるよう、情報伝達手段の多様化に努められたい。
 次に、工業用水道事業会計について申し上げます。
 安定給水及び施設の安全性を確保するとともに、事業運営の効率化、財政の安定化に努められたい。
 最後に、下水道事業会計について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇一三を着実に実行し、一層の都民サービスの向上と経営の効率化に努められたい。
 一、老朽化施設の再構築をスピードアップして進められたい。
 一、頻発する局地的集中豪雨に対応するため、基幹施設の浸水対策を推進されたい。
 一、下水道管渠や水再生センター、ポンプ所の耐震化、耐水化など、震災対策を着実に進められたい。
 一、合流式下水道の改善や高度処理を積極的に推進し、東京湾の水質改善に貢献されたい。
 一、アースプラン二〇一〇を着実に推進し、下水処理の過程で発生する温室効果ガス排出量の削減に努められたい。
 一、多摩地域の流域関連公共下水道を実施する市町村との協同を基本に、流域下水道事業を効率的に進められたい。
 一、すぐれた技術やノウハウなどを活用して、国際展開に積極的に取り組まれたい。
 以上で都議会公明党の意見開陳を終わります。

○大島委員 日本共産党都議団を代表して、二〇一二年度公営企業会計決算に対して意見を述べます。
 昨年度は、東日本大震災と福島第一原発事故から一年となり、震災被害からの復興支援、放射能汚染対策など新たな課題に取り組みながら、都民の福祉、暮らしを守り、改めて防災対策の強化とともに、大量更新期を迎えた老朽化施設への対策、低炭素社会への取り組みの強化が求められていました。
 東京都の公営企業事業は、公共の福祉を増進するために、水や食の安定供給、命を守る医療の確保、さらには、都民生活を支える公共交通や都市基盤の整備など多様な分野に及びます。それだけに、大震災や都市型災害にも強いインフラと都民の安全を守るシステムや体制を確保することが必要です。
 決算特別委員会の質疑を通して、上下水道施設の耐震化対策、都営地下鉄駅の浸水対策、地下鉄ホームの安全対策などの一層のスピードアップとともに、放射能汚染対策や再生可能エネルギーへの取り組みの強化などが求められました。
 また、効率的運営の名のもとで、職員の削減や業務委託が引き続き継続され、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事は、欠陥工事のまま継続し、工期を延ばし、経費を増大させざるを得ない事態になっていることも問われました。
 都の公営企業事業が都民の願いに応え、安全・安心を最優先にして、都民生活を支える本来の責務にふさわしい役割を果たすことを求めて、以下、会計ごとの意見を述べます。
 まず、下水道事業会計です。
 福島原発事故に伴い、汚泥焼却灰などから放射能物質が検出された影響で資源化が不可能となったため、中央防波堤外側埋立処分場に埋立処理をしています。今後も、費用の増加分は、人件費分を含め、引き続き東京電力に賠償を求めること。
 下水道処理施設の省エネ化、再生可能エネルギー活用の取り組みを強化すること。
 次に、水道事業会計です。
 福島原発事故による損害賠償金が東電より支払われていますが、各浄水場での発生土は有効活用ができず、埋立処分をしている状況です。引き続き人件費分も含め、東京電力に適切な賠償を求めること。
 各浄水場で太陽光発電や小水力発電など、再生可能なエネルギーの活用、高効率なコージェネレーションシステムの導入を促進すること。
 次に、病院会計です。
 都立病院として、安心・安全の医療を提供する上で欠かせないのが人員体制です。特に深刻な医師、看護師不足を改善し、全国的にも社会問題となっている産婦人科医、麻酔科医の確保のためにも、関東及び大都市圏で下から三番目に低い都立病院医師の給与を引き上げること。また、過重労働となっている看護師の夜勤について、実質三人体制、月八日以内を遵守する体制を確保すること。
 高い医療費が医療の抑制につながっています。都立病院は直営を堅持し、拡充すること。また、都民の命を守る役割を発揮するために、無料低額診療制度を実施することや、窓口での制度周知を行うこと。
 病院窓口などに、難聴者のための磁気ループを導入すること。
 次に、都市再開発事業会計です。
 道路整備とまちづくりの一体開発といいながら、再開発事業により、従前住民の多くが住み続けられない都施行の再開発事業は、公共性、公益性、経済性を見きわめて抜本的に見直しを行うこと。
 次に、高速電車及び交通事業会計及び電気事業会計についてです。
 安心・安全な公共交通を進めるため、運営の民間委託をやめ、本来の都営交通の立場に立つことが求められています。地下鉄浅草線、新宿線におけるホームドアの整備を、乗り入れている他社とも積極的に協議し、早急に目標と計画を明らかにすること。
 日暮里・舎人ライナーのラッシュ時の混雑解消への取り組みを強化すること。
 聴覚障害者の転落防止対策として、光で注意を喚起する列車接近表示器を増設すること。
 都電荒川線の全ての駅に、視覚障害者がホームからの転落防止の防護柵を設置すること。
 ゲリラ豪雨など、浸水、水害から地下鉄の被害を防止するため、東部低地帯にある浅草線本所吾妻橋駅の手動式防水扉は電動式に改善し、止水板など浸水対策を抜本的に見直し、強化すること。
 次に、臨海地域開発及び港湾事業会計についてです。
 臨海副都心開発の基盤整備にかかわる企業債の償還について、来年度一千九百億円の手持ち金で、償還額のピークを乗り越えたとしても、その後、二千三百億円の土地売却益を上げなければ、資金ショートを起こす状況にあることを明らかにしました。
 これまでの企業債の償還期限は二〇二〇年度ですが、今年度と来年度までに、各企業債の償還で約一千六百億円を使う一方、二〇一五年度までに、都市基盤整備に一千六百億円を投資するというわけですから、その財源を確保しなければなりません。有明北地区の土地は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックで使用した後の売却ですから、売却益があっても企業債の償還期限に間に合わない状況にあります。
 さらに、アジアヘッドクオーター特区構想に基づき、臨海副都心に外国企業や国際会議施設などを呼び込み、国際観光の一大拠点として開発を誘導するために新たな投資をするというなら、その財源も確保しなければなりません。決して楽観できる事態でないことを改めて指摘しておきます。
 公共への土地処分もなくてはならない施設で当然とするなら、これまで、税金の投入を極力抑えるとしてきた方針に歯どめがきかなくなるおそれがあります。
 土地の暫定利用についても、契約開始当初は、議会への資料で、賃料、貸付期間、施設内容、事業者名を明らかにしていたのに、最近行われた暫定利用の契約延長は、議会に報告もなく、公募も行われず、割り増し料金に変更したことさえ、今回質問されて初めて明らかにしたものです。事業概要やホームページで知らせているというものの、契約期間が延長されたことなど、どこにも書かれていません。契約の終期などを公開することについては、事業者に一定の配慮が必要な場合もあるでしょうが、今回のようなやり方では、都民の利益になる活用方法かどうかをチェックできないことを指摘しておきます。
 次に、中央卸売市場会計です。
 規制緩和のもとで、卸売市場の経由率や取扱量の減少傾向が続く中で、市場関係者の経営悪化が進むなど、卸売市場をめぐる状況は一段と厳しくなっています。
 豊洲新市場については、建設工事はストップし、築地現在地再整備への検討を再開すること。
 市場関係者からの意見要望を受けとめて、各市場の機能や経営活性化の取り組みを強化すること。
 各市場の施設整備を拡充するとともに、盗難防止や緊急修繕、整備、安全性の確保などに努めること。
 以上です。

○中山(ひ)委員 私は、都議会民主党を代表して、平成二十四年度公営企業会計決算の認定に当たり意見を申し上げます。
 まず、公営企業会計に共通する事項について申し上げます。
 平成二十四年度、我が国の経済は、東日本大震災からの復興需要や政策効果、世界経済の緩やかな持ち直しから回復に向けて動きが見られました。
 各公営企業においては、全十一会計のうち、病院会計及び交通事業会計が損失額を減らしながらも続けての赤字、都市再開発事業会計も赤字、高速電車事業会計など七会計が黒字、工業用水道事業会計が続けて収支均衡となりました。
 平成二十四年度決算は、交通、水道、下水道の三カ年経営計画の最終年度の年でした。計画の間には、東日本大震災があり、公営企業としては防災力の向上のため取り急ぎ取り組むことや、計画どおりに進まなかった部分もあったと考えられますが、引き続き多様化する都民ニーズに応えていくため、目標を着実に実施することを求めます。
 また、決算情報から今後のトレンドを予測し経営改善に取り組むなど、社会情勢の中で常に変革を行いながら、スピーディーに事業運営を行っていくことを求めるものです。
 以上、総括的な意見を述べ、それぞれの会計について申し上げます。
 まず、病院会計について。
 一、都民に都立病院の必要性をしっかり認識してもらうため、不断の経営努力を積み重ねるとともに、医療サービスの充実を図ること。
 一、都立病院がどのような社会情勢の中でも、都民の医療を民間病院と手を携えて支えていく関係をより強化すること。
 次に、中央卸売市場会計について。
 一、中央卸売市場の活性化に向けて、小売業や飲食店への営業を行う仲卸の取り組みの後押しをすること。
 一、消費者に対して、築地や大田などの中央卸売市場のブランド認知度を高める方策を行うこと。
 一、豊洲新市場の用地の土壌汚染対策工事を確実に実施し、市場の安全・安心に万全を期すこと。
 一、業者にとっての関心事で重要な豊洲新市場の市場使用料については、市場業者側と細部を詰め、理解を得ること。
 一、築地市場で培ってきたノウハウを含めた築地ブランドを残すため、中央区や業者などと連携を深めて取り組むこと。
 一、市場の課題や将来を考えるため、市場財政白書の発行を再開し、都民や市場関係者に情報を提供すること。
 次に、都市再開発事業会計について。
 一、都施行の市街地再開発事業においては、緑化の推進を図るなど、快適で魅力的なまちづくりに着実に取り組むこと。
 次に、臨海地域開発事業会計及び港湾事業会計について。
 一、臨海副都心が国際的な観光都市へと発展するため、今後より一層便利な情報通信環境を整備すること。
 一、外国人への言葉のコミュニケーション不足に対応するため、民間のIT技術の活用など、さまざまなアイデアを取り入れること。
 次に、交通事業会計、高速電車事業会計及び電気事業会計について。
 一、最近、他の鉄道事業者において、列車の火災、脱線など、安全を揺るがす事態が相次いでいることから、都営地下鉄を安心して利用できるよう、しっかりと安全対策に取り組むこと。
 一、東京スカイツリーなど新たな観光地周辺の利便性の向上や路線の充実を図るとともに、観光路線バスのPRに引き続き取り組むこと。
 一、IT技術を活用した都営バスのサービス向上策については、今後の技術の進展に合わせて導入し、乗客へのサービスや快適性向上につなげること。
 一、都営交通が公営でなければならない意義を見据え、民間企業にも負けない対応力、経営努力を続けること。
 次に、水道事業会計及び工業用水道事業会計について。
 一、水道技術の海外供与による国際貢献を進めることについては、水道経営の収入増など、その貢献が都民に還元される視点を持って行うこと。
 一、水道事業における給水収益予測は、過去実績や経済見通しだけではなく、今後の各世帯収入の増減などを意識して判断していくこと。
 一、公営企業として、反社会的勢力との関与が明確になった指定金融機関みずほ銀行に対し、後に、水道工事など指名業者で同様な問題が発生した場合を見据え、東京都契約暴力団対策措置要綱に反しない対応を行うこと。
 一、東京水道経営プラン二〇一〇では、原水費を当初計画と比べ多く支出することで、東京水道経営プラン二〇一三の費用負担を低く抑えた。こうした状況変化に機敏に対応する対応力が求められているため、今後も、計画中であっても常にブラッシュアップしていくこと。
 最後に、下水道事業会計について。
 一、公営企業として可能な限りの企業努力に取り組み、下水道料金水準をできるだけ維持すること。企業努力を検証、報告できる体制を構築すること。
 一、下水道施設の老朽化に対して、再構築計画をできるだけ前倒しするなど尽力すること。
 一、一酸化二窒素を削減する汚泥焼却技術など、下水道関係設備に新たな技術を開発、導入することで、電力使用量や温室効果ガスの削減につなげること。
 一、下水道の役割について、さまざまなアイデアでコストをかけずに効果あるPRを行い、都民の理解と協力を仰ぐこと。
 一、下水を自然環境に戻せる技術の革新など、技術のフロントランナーとして人類に貢献するため、たゆまない経営努力を続けていくこと。
 以上で都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○塩村委員 みんなの党を代表しまして、平成二十四年度公営企業会計決算についての意見開陳を行います。
 多様化する都民ニーズに応えるため、公営企業の事業内容は多岐にわたります。多大なる重責を担う公営企業に健全かつ効率的な運営が求められることはもちろんですが、東京都と民間の役割分担については、不断の検証を重ね、行政のスリム化を図っていかなくてはいけません。公営企業全般においては、この視点を常にお持ちいただきたいことを強く要望しまして、個別の意見について述べさせていただきます。
 まず、病院会計について申し上げます。
 一、都立及び東京都所管病院を中心として、かかりつけ医との役割分担を通じて、地域医療との連携を図られたい。
 一、都立及び東京都所管病院においては、災害時対応並びに外国人対応の強化充実を進められたい。
 一、病院など医療資源の適正配置を行い、小児医療など不採算部門への一層の支援を図られたい。
 一、地域がん登録を推進し、在宅緩和ケアの支援体制を拡充されたい。
 次に、中央卸売市場について申し上げます。
 豊洲新卸売市場の運営は、食の安全に配慮しつつ、民間活力を取り入れた効率的な運営形態とされたい。あわせて、効率的な市場運営の実現に向け、各市場の整理統廃合、または、既存施設の活用を含む転用の検討をされたい。
 一、中央卸売市場の使用料設定においては、施設の新旧やコールドチェーン等インフラの有無に応じて、便益を考慮した適切な使用料体系を構築されたい。
 一、管理運営費の縮減や市場用地貸し付け等により、資産の有効活用で収益の改善を図っていかれたい。
 次に、臨海地域開発事業会計及び港湾事業会計について申し上げます。
 一、臨海副都心の開発に当たっては、MICE拠点化推進事業を効果的、戦略的に進められたい。
 一、環状二号線などの広域幹線道路や共同溝の整備を確実に進め、臨海副都心の都市基盤整備を行い、臨海副都心の価値を高められたい。
 一、国際基幹航路数の減少に歯どめをかけ、さらに東京港の価値を高める施策を講じられたい。
 一、大型客船ターミナルだけではなく、首都東京の海の玄関口としてメガヨット等、中小外国船係留施設などの整備を検討し、国際的観光拠点として臨海副都心の都市整備を講じられたい。
 次に、交通事業会計及び高速電車事業会計について申し上げます。
 一、都営バス事業については、効率化を図るとともに、ナイトバスの運行など利便性向上にも努められたい。
 一、都営地下鉄事業は、東京メトロとの早期経営統合を目指し、また、深夜営業も行うなど、経営の効率化、利便性の向上を図られたい。
 一、モノレールや新交通事業において、降雪時の対応強化や、災害時の安全対策の拡充を図られたい。
 最後に、水道事業会計、下水道事業会計について申し上げます。
 一、東京都の上下水道運営ノウハウを、途上国のインフラ整備に生かし、さらなる国際展開を目指されたい。
 一、ゲリラ豪雨等での水害を防止するため、対策促進二十地区や被害が予想される地域の下水道管やポンプ所の施設を整備し、雨水排除能力を高められたい。
 一、小学校、中学校で行われている水飲栓直結給水化モデル事業を促進されたい。
 以上でみんなの党の意見開陳を終わります。

○山内委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、本委員会に付託された平成二十四年度の公営企業会計決算について意見を申し述べます。
 平成二十四年度は、前年に起きた東日本大震災と原発事故の衝撃と混迷する政治への失望から、多くの企業や都民がさまざまな復興への取り組みを展開しました。
 こうした復興需要などにより、企業の収益はやや持ち直し、都税収入は二・六%、千七十三億円の増となり、一般会計における経常収支比率は、前年度に比べ二・五ポイント改善されました。しかし、景気の動向に影響を受けやすい都財政は、今後も注意深い財政運営が必要であることは明らかです。
 一方、都民の重要なライフラインである上下水道、交通、市場や病院は、震災以降、耐震化や防災対策の強化に取り組み、公営企業の役割が改めて認識されているところです。
 オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まり、景気の好影響が期待されていますが、これから迎える少子高齢社会を見据え、長期的な視野に立って、企業としての社会的貢献と公としての役割を精査し、効率的な事業運営に全力で取り組むとともに、事業者としての危機管理の徹底及び都民に向けた情報提供のあり方など、安全かつ良質な公共サービスの提供に不断に取り組むことを要望いたします。
 以下、個別の会計についての意見を申し述べます。
 初めに、病院会計について。
 一、災害対策は、あらゆる角度から検証し、病院機能の維持、患者の安全確保に万全を期すこと。
 一、救急医療体制については、精神科初期救急、二次救急、身体合併症の受け入れの整備を充実すること。
 一、NICUやGCUからの退院促進のため、地域の受け入れ支援体制を整えること。
 一、退院や転院に当たっては、患者にかかわる多職種による医療チームで十分に患者や家族と相談し、不安を軽減するためのきめ細やかな支援を拡充するとともに、地域の病院、診療所などとのネットワークづくりに積極的に参画すること。
 一、多摩地域の小児救急医療の充実を一層充実すること。
 一、災害拠点病院でもある都立病院は、その役割を十分果たせるよう、福祉保健局や総務局とともに、区市町村との連携、協力関係を密にし、合同の実践的な訓練を実施すること。
 交通事業会計及び高速電車事業会計について。
 一、全ての交通機関において、都民の利便性と安全確保のため、バリアフリー化を進めるとともに、外国人、障害者、旅行者にもわかりやすい案内表示を進めること。
 一、災害時の対応マニュアルを徹底させ、非常時を想定した当事者参加の実践的訓練を行うとともに、災害時の駅や車内での利用者への的確な情報提供と安全確保に努めること。
 一、節電対策を一過性のものとせず、可能な限り無駄をなくし、省エネを推進すること。
 一、施設整備は、ユニバーサルデザインへの転換を進め、特にトイレについては、誰にでもわかりやすいデザインにすること。
 一、都営交通における女性職員の労働環境の整備をさらに進めること。
 一、障害者や子供の女性専用車両利用について周知を進めること。
 下水道事業会計について。
 一、水環境の改善と水循環の促進の視点から、早期の合流改善を進めること。
 一、施設における太陽光発電設備の導入をふやし、再生処理水や下水熱などの未利用エネルギーの有効活用を進めること。
 一、下水道施設の耐震化を着実に促進すること。
 一、下水汚泥や放流水に含まれる放射能測定を継続し、結果の公表及び保管の安全管理を徹底すること。
 水道事業会計について。
 一、水源地付近の民有林を地域の林業者と協力して、水道水源林として保全を進めること。
 一、水需要予測は、実績と実態に合わせて再度早急に見直しを行うこと。
 一、多摩地域の地下水源は、未統合市も含めて把握し、都の独自水源と位置づけて保全をすること。
 一、応急給水などの訓練は、地元自治体、地域住民と連携して行うこと。
 最後に、中央卸売市場会計についてです。
 一、食品安全条例に基づき、安全な食品の管理の観点から、食品危害対策マニュアルを十分に活用し、安全・品質管理者への研修を実施し、安全性に問題のある食品に関しては、市場に入れない、流通させないことを徹底して行うこと。
 一、生産・流通履歴、トレーサビリティーシステムや産地表示を徹底すること。
 一、築地市場の移転については、食品の安全性を第一に、関係団体との合意を進めること。
 以上で意見開陳を終わります。

○木内委員長 以上で意見の開陳を終わります。
 なお、本決算を認定する際は、意見を付することといたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○木内委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 また、意見案文の取りまとめにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○木内委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十六分散会

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