委員長 | かち佳代子君 |
副委員長 | 吉倉 正美君 |
副委員長 | あさの克彦君 |
副委員長 | 鈴木 隆道君 |
小林 健二君 | |
清水 孝治君 | |
山内れい子君 | |
尾崎あや子君 | |
木村 基成君 | |
川松真一朗君 | |
林田 武君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長技監兼務 | 藤井 寛行君 |
次長 | 中嶋 正宏君 | |
技監 | 安井 順一君 | |
理事 | 櫻井 務君 | |
理事 | 佐野 克彦君 | |
総務部長 | 浅川 英夫君 | |
都市づくり政策部長 | 永島 恵子君 | |
住宅政策推進部長 | 細渕 順一君 | |
都市基盤部長 | 西倉 鉄也君 | |
市街地整備部長 | 鈴木 昭利君 | |
市街地建築部長 | 久保田浩二君 | |
都営住宅経営部長 | 上野 雄一君 | |
企画担当部長 | 福田 至君 | |
防災都市づくり担当部長 | 佐藤 伸朗君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 太田 誠一君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 醍醐 勇司君 |
経営企画部長 | 和賀井克夫君 | |
サービス推進部長 | 中野 透君 | |
経営戦略担当部長 | 野瀬 達昭君 |
本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十四年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十四年度東京都病院会計決算(質疑)
○かち委員長 ただいまから平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十四年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○浅川総務部長 十月二十一日開催の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
資料は、1、都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源及び施設建築物の規模外一件でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。1、都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源及び施設建築物の規模でございます。
(1)、事業費と財源につきましては、北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区及び大橋地区の各地区ごとに、事業期間、事業費と、その財源内訳並びに年度別決算の状況を記載してございます。
(2)、施設建築物の規模につきましては、各地区ごとに建物延べ面積とその建物における住宅戸数を記載してございます。
次に、二ページをごらんください。2、三地区のこれまでの進捗状況と今後の予定でございます。
各地区ごとに平成二十四年度末まで及び今後の予定について、事業費及び用地取得面積を記載してございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○かち委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○木村委員 それでは、始めさせていただきます。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが東京に決定してから二カ月が経過いたしました。七年後の開催に向けて、競技施設や周辺インフラの整備に全力かつ迅速に取り組んでいくことが重要になってまいります。
さて、本日の決算審査の対象は、公営企業会計で事業を実施する都施行再開発の三地区ということであります。
環状第二号線新橋・虎ノ門地区については、平成十四年の事業認可以降、まちづくりを主体とした従来型の再開発事業と幹線道路の整備を一体的に進め、都心と臨海部を接続する重要な道路ネットワークを構成する大きなきっかけになりました。また、大橋地区についても、平成十七年以降、再開発事業とあわせて、首都高速道路のジャンクション整備を行うことで、既に供用した中央環状線新宿線から品川線への延伸の大きな足がかりとなり、平成二十六年度末に予定する品川線の完成をもって、いよいよ首都圏三環状道路の一つである首都高速の中央環状線が環状高速として供用することになります。
東京が七年後にオリンピック・パラリンピックを迎える際には、オリンピックレーンとして、その開催を支えることになる最も代表的な都市基盤が、再開発事業というまちづくりの手法によって、その整備が大きく前進したということに私は大きな感慨を受けております。
そこで本日は、環状第二号線新橋・虎ノ門地区と大橋地区の再開発事業についてお伺いしたいと思います。
まず、環状第二号線新橋・虎ノ門地区でありますが、事業パンフレットにもあるように、環状二号線は都心と臨海部を結ぶ交通、物流ネットワーク機能の強化、並行する晴海通りの渋滞緩和など、多くの効果が期待できる重要な幹線道路であります。有楽町から築地のあたりは日本を代表する地域でありながら、慢性的な渋滞が生じています。東京を世界で一番の都市にするためにも、人と物の流れがスムーズに行き交わなければなりません。この点、都議会自民党の公約とも合致する事業であると、改めて評価をさせていただきます。
また、環状二号線の新橋・虎ノ門地区は、現道の外堀通りにつながる区間であり、実際に現地に行きますと、環状第二号線新橋・虎ノ門地区の再開発事業によって、ダイナミックに建物と道路が立体状に整備されております。
そこでまず、環状第二号線新橋・虎ノ門地区の進捗状況についてお伺いをいたします。
○鈴木市街地整備部長 環状第二号線新橋・虎ノ門地区でございますが、こちらは都心部から臨海部に至る交通の大動脈として極めて重要な環状二号線のうち、新橋-虎ノ門間の延長約一・四キロメートルを、再開発事業により道路整備を進めております。
この区間は、現道である外堀通りと臨海部をつなぐ重要な区間でございますが、当地での生活再建をご希望されます地元の皆様が多くいらっしゃることへの対応から、計画決定以来、なかなか事業化できずにおりました。
こうした状況に対し、平成元年に創設されました立体道路制度を活用した再開発事業を実施することによりまして、地元の合意形成が急速に進み、平成十四年度に事業着手いたしました。現在、地上部の道路について街路築造工事に着手し、下水道、電線共同溝、舗装工事を順次施行中でございます。
一方、権利者の皆様の入居先となる再開発ビル三棟につきましては、二棟が既に完成いたしました。残る一棟を含む三街区は、平成二十三年度に着工をし、本年三月には最上階まで上棟をしており、現在は内装や設備工事を施行しております。
今後、新橋-虎ノ門間の道路は平成二十五年度末に供用を開始する予定でございまして、三街区については平成二十六年度の完成を目指しております。
○木村委員 ただいまのご答弁から、道路、それから再開発ビル、ともに完成間近とのことでございますので、安全かつ高品質で工事を仕上げていただくよう要望しておきます。
ところで、二〇二〇年の東京オリンピックを契機に、東京にはアスリートや観衆、メディアが世界中から集まってくると思われます。また、東京には今後、外国企業やビジネスマンの活動拠点として、ますます国際交流機能の充実が求められてくるのではないでしょうか。
中でも新橋・虎ノ門地域は、アジアヘッドクオーター特区の中心に位置する商業やビジネス機能が高度に集積したポテンシャルの高いエリアであり、そうした機能の充実こそが重要だと思います。このエリア内で実施する当地区の再開発事業においては、そのための先導的な役割が求められるのではないでしょうか。
そこで、環状第二号線新橋・虎ノ門地区が国際交流に果たす役割についてお伺いをいたします。
○鈴木市街地整備部長 環状第二号線新橋・虎ノ門地区でございますが、委員ご指摘のとおり、国際競争力強化が期待されるアジアヘッドクオーター特区の中で、東京都心・臨海地域に位置づけられております。
都は、国際交流機能の充実といった視点を重視して、この地区におけるまちづくりを進めてまいりました。
具体的には、三街区におきまして、ホテルや会議室など、国際的な文化交流機能の導入を図るとともに、事務所スペースには海外企業の誘致も進めております。
また、地上部の道路については、四十メートルの幅員を有効に活用し、緑豊かな歩道空間を確保するなど、都心地域に国内外から集まる人々の交流の場ともなる、国際都市東京を代表する景観を備えた空間として整備しております。
○木村委員 文化や交流機能を備えた超高層ビル、それから東京を代表する魅力的な地上部道路など、国際交流機能の充実に向け、着々と整備が進んでいる状況がわかりました。こうしたすてきな道路や建物が多摩地区、とりわけ小金井市にも欲しいと私は心から思った次第でございます。
この事業が完了する来年度が待ち遠しい、そんな気持ちでいっぱいです。この再開発事業がオリンピックのときはもとより、将来にわたって東京が世界に誇れる国際都市として発展していく、その起爆剤となることを期待しています。
都市整備局においては、引き続き、私たち自民党が目指す、東京を世界で一番の都市にする政策の実現に向けて、ご尽力をお願いいたします。
続いて、大橋地区について伺ってまいります。
大橋地区については、中央環状線と三号渋谷線とをつなぐ高速道路ネットワークの形成に欠かせない大橋ジャンクションを整備することにあわせて、周辺のまちづくりを一体的に行った環状第二号線新橋・虎ノ門地区と同様、大変重要な事業であります。
私は、本分科会での審議に先立ち、都施行再開発の三地区それぞれについて、これまで本分科会でどのような質疑がされたか、議事録を一通り確認いたしました。
その中で、大橋地区については事業収支に関する質疑がたびたび取り上げられており、平成二十年のリーマンショックの影響を受け、特定建築者に再開発ビルの敷地処分を行った結果、収支の不足が発生したとのことです。
現在、都は収支改善に向けて、さまざまな取り組みを行っている最中と承知しておりますが、平成二十四年度の決算書を見る限り、都市再開発事業会計の利益剰余金から約四百億円を一般会計に繰り出しております。当会計全体としての収支は堅調といえるのではないでしょうか。
そこで、大橋地区の事業収支の改善状況と今後の処理についてお伺いをいたします。
○鈴木市街地整備部長 当地区の事業は、首都高速中央環状新宿線の全線供用に向け、極めて重要な結節点である大橋ジャンクションを早期に整備するために、都が当時の首都高速道路公団にかわりまして、再開発手法により、一体で周辺のまちづくりを進めたものでございます。
平成二十年度、再開発ビルの特定建築者募集の際、委員ご指摘のとおり、社会情勢の変動によりまして急激に景気が悪化する中、ジャンクション整備にご協力いただきました地元権利者の皆様の早期生活再建を図ることが重要であったことから、採算ラインを下回る敷地譲渡価格で決定せざるを得ず、事業収支に約六十億円の差額が生じました。
このため、収支の改善に向け、支出事業費のさらなる縮減を図るとともに、新たな事業収入の確保に向けて、国費の確保や東京都の保留床販売、また特定建築者との契約において、市況が回復した場合に敷地譲渡金額を増額変更する旨を定めた、いわゆる景気スライド条項を定めるなど、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
この結果、国費を最大限確保するとともに、今年度に入り、東京都保留床の完売に続き、特定建築者の保留床も完売したことから、特定建築者に対して景気スライド条項に基づく協議を行いました。
こうした取り組みにより、収支の差額につきましては、平成二十四年度末時点で当初の約二分の一とするとともに、今年度の取り組みによりまして、さらに圧縮できる見通しでございます。
収支の今後の処理につきましては、都市再開発事業会計全体の堅調な状況を踏まえ、本会計内で適正に処理を行ってまいります。
○木村委員 収支改善に向けたさまざまな取り組みが行われ、大分改善がなされているようであります。当地区の収支については、都市開発事業会計内での処理が可能ということで、大変安心をいたしました。
そもそも再開発事業は景気の動向に大きく左右される場合があるわけですから、大橋地区のように重要な道路整備の一翼を担う事業を、収支のみで評価することは適切ではないと考えます。だからといって、収支ももちろん大切だということはいうまでもありません。再開発事業は総合的に評価することが重要だと考えています。
私たち都議会自民党の地元目黒区選出の鈴木隆道副委員長によりますと、当地区の再開発は、高速道路事業者である首都高速道路株式会社にかわって東京都が施行した事業であり、ジャンクションの建設構想が地元に公表されて以来、地元の皆様のご苦労は三十年以上にも及ぶ大変なものだと伺っております。
このような大橋地区の事業が、平成二十二年のジャンクション開通に続き、再開発ビルや公園などの公共施設も昨年度をもって整備が完了し、ことし三月には地元を中心にまち開きイベントが開催されております。
そこで、まちづくりが完成した大橋地区の再開発事業が果たした成果についてお伺いをいたします。
○鈴木市街地整備部長 大橋ジャンクションは、首都圏三環状道路の一つでございます首都高速中央環状線の開通や、高速道路ネットワークの形成に欠かせない極めて重要な施設でございまして、その整備が急がれておりました。また、既に市街化された当地区に面積約二・七ヘクタールもの大規模な都市施設を早期に整備するためには、地区内での生活再建を求める多くの地元の皆様の声に応えていくことが必要でございました。
この事業が果たした成果といたしましては、まず何よりも都がその事業の重要性、緊急性に鑑み、みずから施行者となって再開発事業を進めたことにより、権利者の皆様の合意形成が急速に進み、その結果、ジャンクションの整備を達成し、中央環状新宿線の早期開通に貢献したことでございます。
また、立体道路制度を活用しまして、高速道路用地の上下空間を再開発ビルの敷地として有効活用したことにより、ビルの床面積を拡大することができ、店舗、事務所、公益施設、住宅などの整備によりまして、周辺の都市機能の強化が図られました。
○木村委員 ただいまの答弁にありましたように、都市機能が集積した市街地に調和させながら、ジャンクションという大きな都市基盤施設を構築することができたのはすばらしいことだと思います。こうした成果が得られたのは、まず、高速道路事業と再開発事業との連携であり、さらには地元の皆様と一緒になってまちづくりを進めてきたあかしだと評価をいたします。
当地区の事業については、平成二十二年の予算特別委員会において、鈴木隆道副委員長が質問を行った際、当時の石原知事が、稠密な市街地に大規模なインフラを整備する範となる事業、このように評価されたと伺っております。大橋ジャンクションの整備と一体的に周辺のまちづくりを行ったこの再開発事業については、都心部における基盤整備のモデルとして、ぜひ機会を捉え、全国に発信していくべきだとご提案、ご要望をさせていただきます。
本日お聞きした二つの地区において、都がみずから再開発事業を実施したからこそ、重要な都市基盤である環状二号線や中央環状線の整備が進んだことがよくわかりました。
質問の冒頭にも申し上げましたが、七年後のオリンピック・パラリンピックを成功させるとともに、東京の国際競争力を高め、都市の再生を果たすためには、こうした都市基盤の整備を早期に、また確実に進めていくことが重要であります。
最後ですが、質疑を締めくくる意味で、都施行再開発事業が東京の都市再生に果たした役割について、東京都技監にお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
○藤井東京都技監 都施行の再開発事業についてでございますが、この事業は都市機能の更新を進めるとともに、例えば、新橋・虎ノ門地区における国際交流機能の充実を図るなど、東京の魅力と活力の向上に大きく寄与するものでございます。
新橋・虎ノ門地区において整備しております環状二号線は、都心部と臨海部を結び、交通、物流ネットワーク機能の強化のみならず、周辺道路の渋滞緩和や、緑豊かでにぎわいのある道路空間の形成など、多くの効果が期待できる重要な幹線道路でございます。
また、大橋地区において整備した大橋ジャンクションは、首都高速中央環状新宿線と三号渋谷線を結節させ、高速道路ネットワークを強化することで交通の流れをよりスムーズにし、東京の国際競争力の強化にもつながるものでございます。さらに、都心への流入交通を分散させることで、老朽化する首都高速を大規模改修するために大きな役割を果たすことにもなります。
このように、都施行の再開発事業が東京の都市再生に果たした役割は、極めて大きいと認識しております。都といたしましては、この三月に完成させた大橋地区に引き続きまして、環状第二号線新橋・虎ノ門地区などの事業を着実に推進してまいります。
○尾崎委員 北新宿地区、環状二号線新橋・虎ノ門地区は平成二十六年度完了予定、大橋地区は、今ご説明もありましたけれども、平成二十四年度完了という状況です。
そこで、三つの再開発事業におけるそれぞれの従前権利者のうち、再開発後に入居した権利者の人数、借家人の人数は何人になりますか。
○鈴木市街地整備部長 再開発事業におきましては、権利者や借家人は、みずからの選択により地域内に残ることも、転出することも可能でございます。また、転出を希望された借家人に対しても、生活再建対策として、移転先に関する不動産情報の提供や都営住宅等へのあっせんに努めるなど、きめ細かな対応をしてございます。
ご質問の北新宿でございますが、地権者の方百七十三人、借家人の方が二百二十一人、このうち、再開発後に入居された地権者の方が六十四人、借家人の方が一人でございます。
また、環状第二号線新橋・虎ノ門地区でございますが、地権者の方四百五十八人、借家人の方四百八十四人、このうち、入居された地権者の方が百七人、借家人の方が六人でございます。
さらに、大橋地区でございますが、地権者の方百八十一人、借家人の方百六十五人、このうち、入居されました地権者が八十六人、借家人が一人でございます。
○尾崎委員 今ご回答がありましたように、北新宿地区では、地権者百七十三人に対して開発後入居者した方は六十四人ということですから、三七%にしかなりません。借家の方は二百二十一人もいらしたのに、入居はわずか一人です。〇・〇〇五%にしかなっていません。従前権利者全体が三百九十四人のうち、再開発後入居できたのはわずか六十五人ですから、〇・一六%です。
環状第二号線新橋・虎ノ門地区では、地権者四百五十八人に対して入居した人は百七人で、二三%の人しか残らなかったことになります。借家の方は四百八十四人もいらしたのに、入居はわずか六人、〇・〇一二%です。従前権利者全体九百四十二人のうち、再開発後入居できたのは百十三人で、〇・一二%にしかなりません。
大橋地区では、地権者百八十一人のうち、入居したのは八十六人で四八%、借家の方は百六十五人でしたが、入居は一人で〇・〇〇六%です。従前権利者総数三百四十六人のうち、再開発後入居できたのは八十七人で、〇・二五%でした。
この間、我が党の質問に、都は、道路建設とまちづくりの一体改革、従前住民が住み続けられるまちづくりができると回答してまいりました。しかし、従前住民のほとんどが住み続けられない事態になり、結果的に、住みなれた土地から出て行かなければならないことになったわけです。この点から見ても、道路建設とまちづくりを一体改革で進めてきた、この三つの再開発がどうだったのか、都民の目線での検証が求められます。
平成二十四年度で事業が完了した大橋地区についてですが、大橋地区の特定建築者公募では三回目に入札が成立し、採算ラインの七十九億円を大きく下回る十九億円となり、六十億円の差額が生まれました。昨年度の質疑では、この差額補填の努力の取り組みとして、都が権利を有する保留床の売却、国の緊急の補助金制度の活用などによる国費の確保、スライド条項の設定などが挙げられました。
先ほど木村委員の質問もありましたので、この点の質問はダブる質問になるので省略しますが、ご回答があったように、国の緊急の補助制度の活用などによる国費は最大限確保していく、東京都の保留床は本年度で全て完売した、景気スライド条項については、特定建築者の保留床完売に伴って協議をしている、こういうご回答でした。
それでは、スライド条項については、完売した時点でお互いに協議をするということになっているということでしたが、協議は行われているのでしょうか。できれば具体的な内容や文書なども交わしているのか伺いたいと思います。
○鈴木市街地整備部長 先ほどの私の答弁に関連した数字で、先生ご指摘で、例えば北新宿地区で権利者数三百九十四人に対し六十五人、〇・一六%というふうにおっしゃられたんですけれども、一六%ということで、同じく環二地区で一二%、大橋地区で二五%ということで、よろしくお願いいたします。
ご質問に対するご答弁をさせていただきます。
いわゆる景気スライド条項でございますが、平成二十一年四月に、特定建築者と確認しました敷地譲渡金額の変更に係る算定基準に基づきまして、保留床完売後に協議して確定するものでございます。
特定建築者が保留床を本年八月末に完売したことから、分譲収入金額や販売経費等を確認の上、協議を行いました。したがいまして、お尋ねの文書等によってお約束したものでございます。
○尾崎委員 数字は訂正をさせていただきます。済みません。
ただいまのご回答では、スライド条項についても協議は行われており、都の保留床については四十九戸完売したということで、国の緊急の補助金制度の活用、スライド条項の設定などが確定し、差額六十億円が、売却赤字の最終処分については平成二十五年度の決算に反映されるということです。
平成二十五年度の決算で赤字が多少圧縮されたとしても、赤字には変わりはありません。特定建築者制度の活用で、民間のビル事業のノウハウを活用するなど、再開発事業の円滑な推進を図っていくということでしたが、しかし、地元住民が地域に残ることができず、権利が手放された分の保留床は、都みずからが販売に乗り出さざるを得ない事態となった一方で、民間の特定建築者は景気が激変する中でも着実に利益を上げたわけです。
都施行の再開発事業においては、とりわけ公共性、公益性、経済性をどう見きわめていくのかが重要になっています。再開発事業のあり方について根本から見直すべきだと要望し、私の質問を終わります。
○かち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○かち委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○かち委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十四年度東京都病院会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○和賀井経営企画部長 去る十月二十一日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんください。
資料は、目次にございます七点でございます。
資料番号1から資料番号5までと資料番号7につきましては平成二十年度から二十四年度までの五カ年の推移を、資料番号6につきましては平成二十二年度から二十四年度までの三カ年の推移をお示ししております。
恐れ入りますが、一ページをお開きください。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
都立病院における経営指標の推移を入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、その推移を記載しております。
三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について、病院別に記載しております。
六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移でございます。
各年度の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移について、病院別に記載しております。
七ページをごらんください。7、各都立病院の薬剤師の定数及び現員の推移でございます。
薬剤師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○かち委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○木村委員 私たち自民党は、先般の都議選で掲げた政策集、東京を世界で一番の都市にの中で、都民の命と健康を守るために二十四時間三百六十五日、いつでも誰もが医療を受けられる安心社会の実現に向け、全力で取り組んでいるところであります。
先日、厚生労働省が公表した資料によれば、精神疾患による入院患者数は全国で三十二万三千人、東京都では二万五千人と、疾病分類別の患者数としては最も多くなっています。また、別の統計では、十年前は全国で二百五十八万人であった精神疾患患者数が三百二十万人を超え、東京都においても二十七万五千人となるなど、その対策が急務となっております。
平成二十五年三月に改定された東京都保健医療計画においても、医療計画に反映すべき疾病として、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病の四疾病に精神疾患を追加するなど、精神疾患医療の重要性が増しているところだと思います。
こうした中、松沢病院を精神医療センターとして整備し、平成二十四年五月には新館での運営を開始した旨の説明が、先日の公営企業会計決算特別委員会においてございました。
そこでまず、再編整備によって、医療機能がどのように充実強化されたのかについてお伺いをいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 精神疾患患者は、統合失調症や鬱病、神経症、ストレス障害、薬物、アルコール依存、認知症など、近年全国的に増加しており、その対策は喫緊の課題となっております。
松沢病院では、これらの課題に対応し、都における精神医療のセンター病院としての役割を果たすため、精神科急性期医療を中心に、他の医療機関では対応困難な救急医療、身体合併症医療、薬物依存などの特殊医療について機能強化を図りました。
施設整備に当たっては、施設内に分散していた病棟を新館の一カ所に集約し、部門間の連携を効率化いたしました。また、より多くの重症患者を受け入れられるよう、従来は百床程度であった個室、保護室を三倍となる三百床に増床いたしました。
こうした新館の開設などのハード面だけでなく、身体合併症医療の体制強化に向けて内科医師を二名増員したほか、病棟の看護体制を手厚くするために看護師を三十二名増員するなど、ソフト面の充実も図りました。
○木村委員 ただいま松沢病院の医療機能の充実強化について説明をいただきましたが、松沢病院がハード、ソフト両面ともに充実を図り、まさに東京の精神科医療の中心を担う病院としてリニューアルしたということがわかりました。
このような高度な医療、そして特殊な医療は、都民にとってなくてはならないものだと思います。しかし、その一方で非常にコストがかかるため、経営の効率化も行う必要があります。財政負担を縮減し、サービス向上のメリットが期待できる事業手法が、民間の力を活用するPFIです。病院経営本部では、この松沢病院を含む四つの病院をPFI手法として再編整備をしてきました。
そこで、精神科病院である松沢病院において、PFI事業を実施するに当たり、財政負担の縮減効果がどうなっているのか、また、施設整備においてどのような創意工夫がなされたのか、この点についてお伺いいたします。
○中野サービス推進部長 PFI手法と都が直接実施する場合を比べまして、事業期間全体での都の財政負担額の縮減効果、いわゆるバリュー・フォー・マネーは、落札時四・五%となっております。
PFI事業では、事業を実施するために設立された特別目的会社、いわゆるSPCが都と協議を踏まえつつ、みずからの創意工夫により、設計、建設、施設の維持管理、運営業務などを実施していく仕組み等をとっております。
松沢病院の新病棟につきましては、SPCの提案を踏まえまして、ベッドのレイアウトの工夫や間仕切りの設置などにより、四床室においても患者のプライバシーが確保できるよう配慮しております。
また、デイルームや廊下に設けたデイコーナーには、ところどころにソファーや椅子を配置し、患者が思い思いにくつろげる空間を提供しております。
スタッフステーションにつきましては、病院職員の提案によりオープンカウンターを採用し、患者が職員に声をかけやすい、開放的なつくりとなっております。
民間の発想と職員の意見の反映など、PFI手法を生かした療養環境の整備により、患者がプライベートな空間を確保しながら、患者同士の交流など、病室以外で過ごす時間が多くなるという効果も出ております。
○木村委員 今回答をいただきましたが、SPCの職員と病院職員が意見を交わしながら患者さんが過ごしやすい空間づくりを行ったというのは、PFI事業のメリットを生かしているんだと感じました。また、患者サービスの向上も図られていることがわかり、とても安心をいたしました。
今後もSPCの職員と病院職員とが協力して、さらに充実した医療が提供できるよう努めていただきたいと思います。
次の質問です。先ほど、個室、保護室を三百床にふやしたというご説明がありました。こうした再編整備による機能強化の結果、平成二十四年度の松沢病院における入院患者数などの運営状況はどのようになったのか教えてください。
○野瀬経営戦略担当部長 平成二十四年度の延べ入院患者数は二十六万九千二百七十二人で一日当たり七百三十八人、また、延べ外来患者数は十万八千百十二人で一日当たり三百六十九人となっております。
一日当たりの患者数を前年度と比較すると、入院では八人減少し、外来では十八人増加いたしました。
この入院患者数の減少は、五月の新館開設に伴い、患者さんの移動を安全に行うため、患者数を抑制したことによるものでございます。
運営がより安定してきた十月以降の下半期の実績は、入院が一日当たり七百六十九人で、前年度と比較して二十三人増加し、外来は一日当たり三百八十六人で、前年度と比較して三十五人増加いたしました。また、新入院患者数は二千百十二人で、前年度と比較して五百六十人増加いたしました。
さらに、個室、保護室を増床したことにより、重症の患者を多く受け入れることができるようになった結果、精神科措置入院診療加算の算定数が前年度から百件増加し三百六十五件となったほか、精神科隔離室管理加算の算定件数が前年度と比較し千件以上増加し六千五百四十一件となりました。
○木村委員 患者数の実績についてご説明をいただきました。新館が開設されてから入院、外来ともに患者数が増加しているということですから、より多くの方々にご利用いただいているということだと思います。
首都東京のセンター病院としての役割を松沢病院には期待しております。さまざまな困難や課題があると思います。それでも、求められている役割を果たしてくださるよう期待をしております。
次に、都立病院の救急医療についてお伺いいたします。
東京都保健医療計画の救急患者及び救急医療機関等の状況によれば、救急患者搬送数は、平成二十三年は六十三万八千九十三人、平成十年と比較して三三%増加しているとあります。また、消防庁の最新の調査では、平成二十四年は六十四万九千四百二十九人と、さらに一万件以上増加しています。
六十五歳以上の搬送患者数は、平成二十三年は二十九万三千三十六人であり、平成十年と比較して約二倍と急増しており、平成二十四年でも三十万五千七十一人と引き続き増加の傾向にあるわけです。
このような状況の中、都立病院は東京ERを運営し、救急医療体制の充実を図ってきました。
そこで質問です。東京ERを含む都立病院の救急患者の受け入れ実績はどのようになっているのか教えてください。
○野瀬経営戦略担当部長 救急患者数は、平成十年度は十二万七千十六人、二十四年度は十七万三千四百二十一人で約三七%増加しております。
救急車搬送患者数は、平成十年度は二万四千八百八十六人、二十四年度は三万四千五百五十三人で約三九%増加しております。
また、搬送患者数の内訳を見ると、重症患者の増加などにより、救急車搬送患者のうち入院した患者数は、平成十年度は九千三十五人、二十四年度は一万四千三百十三人と、約五八%増加しております。
特に、生命危機を伴う重症、重篤患者に対応する救命救急センターは、都内で二十六カ所指定されており、都における救命センター延べ患者数は十九万八千九百三十九人でありました。そのうち、都立病院の救命救急センターでは、二万二千五人を受け入れており、全体の一一・一%を占めております。
○木村委員 東京都の救急医療体制は、民間病院、それから都立病院を初めとする国、公立病院などの協力のもとに築かれていますが、都内の救急患者を受け入れる救急告示医療機関は減少しているわけですから、都立病院の役割は非常に重要だと考えています。
東京ERが開設して既に十二年が経過いたしました。その間、少子高齢化を背景とした医療環境は大きく変化をいたしました。私たち都議会自民党は、次世代の医療ニーズに対応した東京ERの機能強化を図るよう公約として掲げています。
ことし三月に発表された都立病院改革推進プランでも、次世代の医療環境に対応した東京ERの機能強化を図るとされています。
そこで、このプランでは、救急医療の強化として東京ERをどのように強化していくのか、そのことをお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 救急搬送患者の高齢化に伴う合併症を有する患者や重症患者の増加に対し、先進的な医療機器の導入や施設改修を行い、東京ERの機能強化を図ってまいります。
具体的に申し上げますと、墨東病院で、特定集中治療室、ICU及び心臓疾患や脳卒中に対応した集中治療室の整備や、急性脳血管障害などの病態の改善を図る高気圧酸素治療装置を設置いたします。広尾病院では、救急の処置診療室の改修や、内科と外科が一体で治療を行うハイブリッド手術室の整備に向けた検討を行うなど、救急受け入れ体制の強化を図るとともに、多摩総合医療センターでは、心臓疾患への機能強化を検討してまいります。また、小児総合医療センターでは、小児のためのICUであるPICU機能の拡充やER病棟を設置するとともに、看護体制の充実を図るなど機能強化を進めてまいります。
救急を取り扱う全ての都立病院において、中等症や重症の患者に対する救急医療機能の安定的な確保に向け、トリアージ機能と、円滑な転退院を支援する体制の充実を図ってまいります。
○木村委員 東京ERの機能強化については、医療環境の変化に対応すべく引き続きしっかりと対応をお願いいたします。
さて、小児救急については、重症症例に対し迅速かつ適切な救命治療を行うために、症状に応じた医療体制を確保する必要があります。特に重症、重篤な患者さんへの対応として、こども救命センターが都内四カ所に指定されています。小児総合医療センターもその一つです。
そこで、平成二十四年度における小児総合医療センターの小児救急の実績と、特に重症、重篤な症例を扱うこども救命センターとしての実績を教えてください。
○野瀬経営戦略担当部長 平成二十四年度における小児救急患者数は三万七千三百六十人、前年度と比較して五百九十三人ふえております。また、重症及び重篤な患者を対象とするこども救命センターとしての実績は、平成二十四年度は百二十八人となっております。特に、こども救命センターの実績は、都内実績四百四十六人のうち約二九%を占めております。
さらに、多摩地域に限定いたしますと、百四十人のうち約八二%に当たる百十五人を小児総合医療センターが受け入れております。
重症の事例としては、交通事故による重度の脳挫傷、けいれん発作から生じた呼吸困難を引き起こした患者さんに対しまして、人工呼吸器による集中治療を施したものがありました。
小児救急医療の特徴として、軽症から中等症が非常に多いこともありますが、結果として軽症から重症、重篤な患者まで多くの症例に対応しております。
○木村委員 小児総合医療センターが、多摩地域における小児救急の拠点となっていることが実績からもよくわかりました。
小さな命を守っていくためには、もう一つ重要なことがあります。周産期医療の確保であります。
多摩総合医療センターと小児総合医療センターが一体となって総合周産期母子医療センターを運営しています。これは、都立病院が行った再編整備によって、新たに機能強化されたものです。母体搬送は、いわば周産期医療の救急医療であり、必ず受け入れをする必要があります。
そこで、多摩総合医療センターと小児総合医療センターで行っている総合周産期母子医療センターの平成二十四年度における患者実績についてお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 ただいまのご質問に対する答弁でございますが、多摩総合医療センターと小児総合医療センターは、開院直後から一体となって、母体と胎児におけるリスクの高い妊娠に対する医療や高度な新生児医療を提供する総合周産期母子医療センターの指定を受けております。
平成二十四年度における全分娩数は千四百件、前年の千百八十三件と比較して約一八%ふえております。このうち、妊娠合併症などハイリスク分娩は六百七十八件、帝王切開四百八十三件、多胎妊娠分娩七十件、母体搬送受け入れは百四十八件となっております。
中でも、重症な疾患により緊急に母体救命措置が必要な妊産婦を必ず受け入れることとしている母体救命対応総合周産期母子医療センターの対象となる患者は、都内全体で八十六件でありましたが、このうち多摩小児総合では十五件を受け入れております。これは全体の約一七%に当たります。
このように、リスクの高い妊産婦などが迅速に救命措置を受けられる体制を確保しております。
○木村委員 再編整備の結果、都内で最大のNICUの病床を有する小児総合医療センターと多摩総合医療センターが密接に連携し、今後も多くの命を救ってくれることを切にお願いいたします。
次に、待てない医療として脳卒中があります。三年に一度行われる大規模調査、平成二十二年度版の厚生労働省の国民生活基礎調査ですが、これによると六十五歳以上の要介護の直接原因の第一位は脳卒中となっており、その比率は二四・一%となっています。また、介護度四の三〇・三%、介護度五の三三・八%が脳卒中を原因としたものとなっております。
現在、効果的な治療として血栓溶解療法、t-PAがありますが、四時間半以内に対応することが効果的であるといわれています。
そこで、都内における脳卒中医療の状況と都立病院での対応についてお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 都は、都全域で統一的、広域的な対応を要する脳卒中医療の連携を協議する東京都脳卒中医療連携協議会を設置運営し、脳卒中に関する普及啓発、救急医療受け入れ体制の構築をしてきております。
また、救命及び後遺症軽減のため、脳卒中発症後の患者を速やかに適切な急性期医療機関に救急搬送できる仕組みを構築するため、東京都脳卒中急性期医療機関を認定しており、平成二十五年七月現在で百六十機関、うち血栓溶解療法、t-PAを実施できる機関は百十七機関となっております。
これらt-PA実施機関では、脳卒中を専門とする医師の勤務体制により、脳卒中急性期患者の受け入れが可能となる日や時間帯が異なることから、都全体でネットワークを組み二十四時間対応できる体制を整備しております。都立病院では、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センター、大塚病院が参画しております。
○木村委員 これまでの質疑を通して、松沢病院が東京都における精神医療のセンター病院としての役割を果たし、また、都立病院が東京都の救急医療体制の中で重要な役割を担っていることが理解できました。
こうした、いわゆる行政的医療に都立病院がしっかりと取り組むことで、私たち都議会自民党が目指す、都民の命と健康を守る安心・安全都市東京を実現していただきたいと思います。
それでは最後に、今までの質疑を踏まえて、今後の病院経営に当たっての病院経営本部長の考え方をお聞かせいただけますでしょうか。
○醍醐病院経営本部長 今後の病院運営に当たりまして、都立病院としての重要な役割でございますが、高水準で専門性の高い総合診療基盤のもと、これまで質疑のありました精神科医療ですとか救急医療、周産期医療など行政的医療を都民に提供し、他の医療機関等との密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図っていくことでございます。この役割を継続して安定的に果たしていくことが、我々の使命であると認識しております。
この使命を果たすためには、いかに厳しい医療環境にありましても日々不断の経営努力を行い、経営基盤の一層の強化を図っていくことも重要であります。これからも各病院と本部が一体となって取り組んでまいる所存です。今後とも、都民が安心できる医療体制を確保し、都民の期待に応えてまいります。
○小林委員 私からは、初めに、昨年三月の厚生委員会で質問いたしました件につきまして、その後の取り組みについて何点か確認をさせていただきたいと思います。
先ほど木村委員の方からもご指摘がございましたけれども、一昨年、国は、医療計画における医療連携の体制を整えるべき疾病に精神疾患を加えましたが、その意味でも松沢病院の果たすべき役割は、今後ますます重要になってくるというふうに思います。
昨年五月に松沢病院の新館が運営開始となり、医療機能の一層の充実が図られたところでありますけれども、充実強化の一つ目として、若年者の統合失調症のための早期の治療、支援を行うべく青年期病棟が開設をされました。
そこで、再編整備により新設された青年期病棟の平成二十四年度の稼働状況と、若年者の精神疾患への取り組み状況についてお伺いをいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 松沢病院の青年期病棟は、統合失調症を初め、鬱病、強迫性障害などの精神疾患に対し、早期に介入、治療できるよう急性期病棟の一病棟として四十床を設置いたしました。
青年期病棟の平成二十四年度の延べ入院患者数は八千八百九十三人、一日当たりの入院患者数は二十四・四人でした。
病床利用率は、年間平均七〇・六%でありましたが、開設当初から徐々にふえ、平成二十五年三月には八六・六%まで増加いたしました。
入院患者を疾患別に見ると、統合失調症が三九%、発達障害が二三%、神経症、適応障害が一三%などとなっております。
外来診療については、通常の精神科外来に加え、発症後五年以内の若年者などに対し、多職種チームによる心理的、社会的な支援を行いました。また、ご家族への支援として、統合失調症に関する家族講座や青年期ファミリーサポートプログラムを実施いたしました。
特に青年期ファミリーサポートプログラムは、青年期病棟に入院した急性期患者のご家族を中心に、精神保健福祉士からの情報提供やご家族同士の情報交換を行い、ご家族が抱える不安や疑問の軽減に努めております。
○小林委員 ありがとうございます。大変に残念なことでありますが、みずからの命を絶たれる方々が依然として多く見られる社会状況にございます。
本年六月に発表された平成二十五年度自殺対策白書によりますと、原因、動機別の自殺死亡率は健康問題が最も高く、その健康問題における原因、動機、詳細別自殺者数の推移を見ると、鬱病による病気の悩み、影響が最も高い人数でありました。
また、年齢、階級別の自殺死亡率の推移では、全体的には二十歳代で自殺死亡率が高まる傾向にある、また、二十歳代未満では平成十四年に一旦大きく低下したものの、その後上昇傾向にあると分析をされております。
精神疾患と自殺を決して短絡的に結びつけたくはありませんが、この白書の報告を見ますと、若年層に対する早期治療、早期支援は極めて重要であるというふうに思います。さらに、今ご答弁にもありましたが、青年期ファミリーサポートプログラムの実施によるご家族への支援も大切な取り組みであります。
私も都政に送り出していただいてから、心の病気で苦しまれている方やそのご家族から多くのご相談をいただいております。ともすれば好奇の目、偏見にさらされる状況がある中、誠実な対応を私たちは求められていると思います。
病院は命を守ることが最大の使命でありますので、未来ある青年を守り抜くためにも、青年期病棟の今後の一層の充実と、青年期ファミリーサポートプログラムのさらなる強化で、ご家族を安心へと導く取り組みをぜひともよろしくお願いしたいと思います。
次に、松沢病院の医療機能の充実の二つ目として、認知症対策の強化がございます。
昨年、松沢病院内に認知症疾患医療センターが開設されました。認知症医療の中心的な役割を担うべく開設されたわけですが、この認知症疾患医療センターとしての取り組みと稼働状況についてお伺いいたします。
○中野サービス推進部長 松沢病院では、都の指定を受け、平成二十四年四月に認知症疾患医療センターを開設いたしました。
診察は物忘れ外来で行っておりまして、初診日に、認知症専門医の診察、臨床心理士による心理検査、頭部MRI検査を一括して行いまして、鑑別診断を実施できる体制を確保いたしております。
平成二十四年度には延べ千八百二十七人が物忘れ外来を受診しまして、そのうち三百四人の鑑別診断を実施いたしました。また、認知症に関する知識、対応に関する啓発活動といたしまして、研修会を計十五回開催し、延べ六百人を超える参加者がございました。
地域から信頼される認知症疾患医療センターとして、今後さらに、運営を充実させてまいります。
○小林委員 さらに松沢病院では、医療安全管理体制の強化を図るため、昨年度にインシデント・アクシデント・レポートのシステムが導入されました。インシデントとは、患者に障害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場などで、冷やりとしたり、はっとした事象のこと、アクシデントとは、医療従事者が予想しなかった悪い結果が患者に起こった事象のこと、このように定義をされていますが、これらの事象に関するレポートをITを活用して提出、集計できるシステムが、都立病院八病院のうち七病院で既に導入されており、残る松沢病院においても昨年度導入がなされました。
そこで、平成二十四年度のレポート集計結果について、他の都立七病院と比較した報告内容の特徴と、これに対してどのように医療安全対策を講じているのか、お伺いをいたします。
○中野サービス推進部長 都立病院全体のインシデント・アクシデント・レポートの報告内容は、薬の飲み忘れ等の薬剤関連、点滴等が外れてしまう抜去、転倒、転落の順に多く、これら三種類の全体に占める割合は約三分の二となっております。
松沢病院は総合病院と比較して身体的疾患の患者割合が低いことから傾向が異なりまして、転倒、転落、薬剤、誤配膳等の食事関連の順に報告が多く、これら三種類の全体に占める割合は六割弱となっております。
松沢病院では、こうした傾向を踏まえ、患者が転倒しにくい院内シューズの採用、患者ごとのリスク評価に基づく個別対策の実施などの各種取り組みを実施しております。
○小林委員 今ご答弁の中で、他の総合病院と比べて身体的割合が少ないことから傾向が異なるとのご指摘がありましたが、逆に、精神的疾患の患者割合が多いことから予期せぬ事態ということも十分考えられると思います。
全ての都立病院で、このインシデント・アクシデント・レポートを安全管理のために十二分に役立てていただきたいと思いますが、傾向の異なる松沢病院は、特に、今後も注視をしていっていただきたいというふうに思います。
次に、BCP策定についてお伺いをいたします。
昨年の厚生委員会におきまして、BCPの策定状況について質問しました際に、平成二十三年度に東京ERを設置している四病院で策定、平成二十四年度以降に残る四病院と病院経営本部で策定するとのご答弁がございました。
その後の策定状況と策定の状況を踏まえた今後の取り組みについてお伺いいたします。
○和賀井経営企画部長 平成二十四年度には残る四病院でございます大塚、駒込、神経、松沢の各都立病院及び病院経営本部でBCPを策定いたしました。
BCPは、策定後も関係する諸計画の修正や病院施設の改善状況に合わせ、不断の見直しは必要でございます。平成二十四年十一月の東京都地域防災計画の修正において、新たに災害医療コーディネーターを中心とした災害医療体制が示されたことなどに合わせまして、今年度にはBCPの一部修正を行ったところでございます。
今後とも、都政のBCPなどの修正が行われた場合には所要の修正を行い、実効性のあるBCPを備えてまいります。
○小林委員 今ご答弁にもありましたが、BCPが策定された今、実効性のあるBCPを備えていくには事業継続マネジメント、BCMも大切になってまいります。
昨年、BCMの取り組みについてお伺いした際、災害時にとるべき行動が職員に定着するよう研修、訓練に努めていくとのご答弁がございました。
災害時、病院は命を守るとりででありますので、生きたBCP、BCMの取り組みを今後ともぜひともよろしくお願いしたいと思います。
最後に、小児総合医療センターについてお伺いいたします。
先月、私は同センターを先輩議員とともに視察をいたしました。本年二月に小児総合医療センターは小児がん拠点病院に指定されたわけですが、現在の取り組みをさまざま勉強させていただきました。
その際、勉強させていただいた一つが、小児医療から成人医療への移行医療の取り組みであります。多摩総合医療センターと連携した移行医療モデルの構築を目指されているとのことですが、移行期医療について病院経営本部としてどのような問題意識を持たれておられるのか、見解をお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 限りある小児の医療資源を最大限に有効活用し、高度専門的な医療をより多くの小児患者に提供していくためには、医療人材、機能の集約や他の医療機関との密接な連携体制を構築していくことが大切ですが、小児科の対象年齢を超えた十五歳以上の患者、いわゆるキャリーオーバー患者の成人の診療科への円滑な移行が必要であります。
小児総合医療センターにおけるキャリーオーバーの外来患者は、平成二十四年度では三万七千八百九十二人で外来全体の患者数の約一九%、うち二十歳以上の患者は一万一千七百五十七人で約六%を占めております。
移行期医療の推進には、移行後の受け皿となる多摩総合医療センター、神経病院との連携が重要であり、小児総合医療センターが小児三病院を移転統合し、これらの病院と同一のキャンパスに開設した目的の一つが、この移行期医療への円滑な対応の構築にあります。
さらに、今年度、小児総合医療センターでは、これまで以上に移行期医療を推進するため、新たに専任のコーディネーターなどを配置した移行期外来を施行いたしました。
また、病院経営本部では、多摩メディカルキャンパス将来構想検討委員会を設置し、その中で、移行期医療についてもキャンパス全体にかかわる課題として検討することとしております。
○小林委員 この移行期医療については、今後の大事な課題と私も認識をしておりますので、多摩メディカルキャンパス将来構想検討委員会における検討を今後とも注視していきたいというふうに思います。
次に、小児科医の確保についてですが、厚生労働省の医師、歯科医師、薬剤師調査によれば、都内の医師総数は平成八年に二万九千百三十六人だったのが、平成二十二年には三万七千五百五十二人と二八・九%ふえているにもかかわらず、逆に、小児科医師数は四千二百十七人から三千九百三人へと七・四%減少しております。
そのため、医師総数に占める小児科医師の割合も一四・五%から一〇・四%まで、四・一ポイントも減ってきており、小児科医を目指す人材もふえてはいないと思われます。
このように、現場では小児科を志す人材が不足しておりますが、病院経営本部として、小児科医の確保、育成について、どのような取り組みをされているのかお伺いいたします。
○和賀井経営企画部長 お話のように、小児科医を目指す人材が少なくなっている中、都では、平成二十年度から専門医を育成する研修体系であります東京医師アカデミーを運営いたしまして、若手医師の確保に努めてまいりました。
小児科につきましては、総合診療能力を有するシニアレジデント、より高度な専門医を育成するサブスペシャリティレジデントによりまして、小児科専門医の育成を行っているところでございます。
具体的には、各都立病院をローテイトして幅広い視野を養うとともに、全病院合同の研究発表会を開催する等の研修プログラムによりまして、臨床、研究等への積極的な取り組みを促し、臨床、研究、双方に秀でた医師の育成を図っております。
こうした取り組みの結果、平成二十四年度の小児科コースへの応募者数は二倍程度の競争率となり、現在五十六名の小児科研修医が各病院に在籍をするとともに、平成二十四年十月一日現在、都立病院の小児科医師数は定数九十七に対しまして現員百一となっており、必要な人材を確保しているところでございます。
今後とも、東京医師アカデミーの取り組みなどによりまして、引き続き、高度な専門性を有する小児科医師の確保、育成に努めてまいります。
○小林委員 ありがとうございます。私は二度、小児総合医療センターをきょうまで視察させていただきましたが、森のホスピタルをコンセプトとした非常に優しい温かな雰囲気の施設だなと感じました。
小さいながら病と向き合っている子供たちを温かく包み込み、安心を与え、未来への希望を送っていく、小児科医師とは、まさにとうとい役割を担っているのではないかと思います。
高い専門性はもちろんのこと、子供に対する温かなまなざし、そして、未来の宝である子供への尊敬の念を持った、すばらしい小児科医師を今後とも輩出していただきますよう念願し、お願いをいたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○尾崎委員 私の方からは、最初に清瀬小児病院について伺います。
清瀬小児病院は、地元の清瀬市、東久留米市、東村山市だけではなく、埼玉県所沢市、全国から子供の命を守ってほしいと頼りにされてきました。その清瀬小児病院が、今は更地になっています。
今回の決算では固定資産除却費等が計上されていますが、清瀬小児病院の建物等の撤去及び除去は幾らぐらいかかったのでしょうか。
○和賀井経営企画部長 清瀬小児病院の建物等の撤去及び除去は、平成二十三年度から平成二十四年度にかけて実施をいたしました。
撤去費につきましては、二年間総額で約三億七千六百万円、うち平成二十四年度分は約二億四千五百万円でございます。
また、建物等固定資産を除却したことに伴う除却損は総額で約十三億七千三百万円、うち平成二十四年度分は約六億九千八百万円でございます。
○尾崎委員 それでは、跡地の利用についてはどう考えているのでしょうか。
○野瀬経営戦略担当部長 病院経営本部として利用する計画はないため、今後の庁内需要の有無について調査検討を行っております。
○尾崎委員 平成二十二年十二月には、都議会において、清瀬の自然を守る会から提出された旧都立清瀬小児病院跡地の緑地保全に関する請願が趣旨採択されています。清瀬小児病院の跡地には、名木、巨木にも指定されているアカマツがあり、昨年の十一月、清瀬市の市長が都知事に対して、旧清瀬小児病院跡地の緑地保全について要望しています。
今回改めて、清瀬市からもお話を伺いました。都職住宅跡地のように民間住宅化してしまうのを懸念しているとのことでした。市民からも、緑をそのまま残してほしい、公園にしてほしい、小児病院の跡地なので子供のための施設をつくってほしい、特養ホームをつくってほしいなど、さまざまな声が寄せられ、期待も広がっています。
清瀬市や市民の要望をよく聞いて、今後のことを決めていただきたいと要望するものです。
次に、障害のある方や高齢者の方への窓口での対応について伺います。
まず、都立病院の受付窓口サービスとして、手話通訳者の派遣やタッチパネルなどの対応はどうなっていますか。
○中野サービス推進部長 都立病院では、受付窓口に手話通訳者やタッチパネル方式の案内板は現在用意しておりませんが、外来に総合案内を設置しまして、受診に関する相談を受けるほか、案内係員の配置、ボランティアによる案内など、人手による丁寧な対応を行っているところでございます。
また、院内の案内表示につきましても、できるだけわかりやすくなるよう配慮しており、職員などによる案内とあわせて、患者さんが安心して受診できる環境づくりに努めているところでございます。
○尾崎委員 障害のある方が自分の体調や症状を正確に伝えることで、診療もスムーズに進むと考えます。そこで、耳が聞こえない人には手話通訳が必要だと思います。都立病院が先駆けて導入することで、ほかの病院での導入も進んでいくと考えます。都立病院でこそ、障害のある方の立場に立ってご検討いただきたいと思います。
次に、ボランティアの方々がおいでだということですが、ボランティアの役割は何でしょうか。
○中野サービス推進部長 病院のボランティアでございますが、患者の受診のサポートですとか、入院生活をより快適に過ごしていただく手助けを主に行っております。
具体的には、外来での案内、入院患者への図書貸出サービス、小児患者への朗読サービス、各種コンサートの実施など、活動内容は多岐にわたっておりまして、患者さんが安心して病院を利用できるよう活動しているところでございます。
○尾崎委員 地域のサークルなどでは手話のサークルもふえていると聞きます。ボランティアに参加してくださっている方々の中にも、手話ができるという方もいるかもしれません。手話のできる方を積極的に位置づけていただきたいと思います。
最近、話がよく聞き取れないという声が寄せられます。騒音のある場所や大勢の人が集まる場所では、補聴器で音声を正確に聞き取ることは困難です。公共施設やホールなどでは磁気ループが設置され、よく聞こえると喜ばれています。
東京工業大学の中村健太郎教授が二〇一〇年に実施したアンケートでも、聞こえの支援が必要な場所の第一は病院だという結果が出ています。
そこで、受付窓口への磁気ループ設置について、どうお考えか伺います。
○中野サービス推進部長 集団補聴設備、いわゆる磁気ループにつきましては、観覧席や客席を有する施設で、高齢者や障害者の方々が集団で利用する場合を想定して、東京都福祉のまちづくり条例の施行規則で設置が義務づけられております。病院施設については対象外となっております。
病院の受付窓口につきましては、常時職員を配置し、個別に患者さんやご家族の問い合わせに対応しておりまして、適切にご案内ができているものと考えているところでございます。
○尾崎委員 東京都福祉のまちづくり条例では、病院施設は対象になっていないというご回答でしたが、病気になれば必ず誰でも利用しなければならないのが病院です。
磁気ループをつくっている企業では、官公庁、金融機関、病院、郵便局、旅行代理店などのざわざわしたカウンターでは、お年寄りの方や耳の聞こえにくい方の場合、うまく会話ができずに不安が高まっていると、カウンターで簡単に使えるような新製品をつくっています。
長野県の市立大町総合病院でカウンター型の磁気ループが導入されています。高齢者の方が安心して病院に通えるためには、よく聞き取れるということが欠かせません。病院にこそ磁気ループの設置が必要です。まずは都立病院で導入することではないでしょうか。
難聴者の人口がふえ、都内では六十万人から二百万人の難聴者がいるといわれています。中でも、七十歳以上の高齢者のおよそ半数は加齢症の難聴と推定されており、高齢化が進む中、今後さらにふえていくことは確実です。
総合窓口で丁寧な対応をしていただいていても、話が聞こえなければどうにもできません。ぜひ、病院を利用する高齢者の方々のご意見も聞いていただき、検討をお願いいたします。
次に、無料低額診療についてです。
都民の暮らしの状況は大変深刻になっています。私は週一回、生活相談会を行っていますが、その中で六十五歳の女性から、乳がんだと診断されたがお金がないのでお医者さんに行かれないという相談を受けました。
中小業者団体の実態調査では、ぐあいが悪いときに我慢すると答えた方が一六・八%、売薬で済ますが一四・四%で、この二つを合わせると三一・一%にもなります。ぐあいが悪くても病院に行かなかったことがあると回答しているのは三七・八%で、病院に行けなかった理由については、治療費が高いと答えたのが一九%にもなっています。
また、中小業者団体の助け合いである共済会は、二〇一二年四月から二〇一三年三月までの仲間の中での死亡者は百六十八人に上っています。そのうち自殺者が三人、その他の災害が三人ですから、これを除けば百六十二人のうち入院してから死亡までの日数がたった一日だったのが二十五人で一五・四%です。入院してから十日までに亡くなった人は二十人で一二・三%、合わせて四十人となって二五%にもなるんです。
四人に一人が入院してから十日までに亡くなったということになります。医療費が高いという問題と、仕事を休むと生活ができなくなるという問題があるわけですが、医療費が高いことが医療抑制につながっていることは明らかです。
必要な治療が的確にされれば守られた命です。都立病院は、全ての都民のための病院であり、限られた医療資源を最大限有効に活用し、より多くの都民の皆さんに都立病院の持つ高水準の医療機能を生かした適切な医療を提供していく、これが役割です。
そこで伺います。都立病院として無料低額診療事業に踏み出すことが求められていると思いますが、どうでしょうか。
○中野サービス推進部長 本事業は、社会福祉法に基づく社会福祉事業として位置づけられておりまして、その実施につきましては、都立病院の役割は経営に与える影響、地域医療機関との医療連携のあり方や役割分担、加えて、国の動向など、さまざまな課題があると認識しているところでございます。
○尾崎委員 さまざまな問題があるということですが、都民が安心して病院にかかれるためには、都立病院でこそ、今ある制度をフルに活用すべきだと思います。
では、無料低額診療制度事業を公的病院で導入する場合、どのような規定になっているのでしょうか。
○中野サービス推進部長 本事業を公的病院で導入する場合、社会福祉法に基づきまして都道府県知事に所定の事項を記載し、届け出を行う必要がございます。
○尾崎委員 公的病院でも無料低額診療制度事業を導入できるということです。
私は先日、無料低額診療制度を導入している病院を見学してきました。
病院の入り口に、無料低額診療制度が使える病院だということを知らせるのぼり旗を立てていました。受付のカウンターにはパンフレットが置いてあり、廊下には制度の仕組みを知らせるものが張り出されていました。
体調を崩した四十代の女性は、半年前に街頭相談で受け取った無料低額診療のパンフを持って、病院の相談窓口に来たといいます。
相談窓口の担当者からも話を伺いました。最近の特徴は、親の年金を頼りに暮らしている四十代、五十代の非正規労働者になっている人や、ひきこもりになっている人が多いということでした。
フリーターの四十代の男性は、働けなくなり、親も年金だけだから生活が大変と自殺を図ったそうです。相談に乗って、ようやく生活保護の申請をして暮らせる状況になったといいます。
生活保護基準以下の人が多いが、生活保護へのバッシングも強まっているため、生活保護申請に踏み切れない人もいるということです。その場合、無料低額診療制度を提案しているということでした。
また、医療費が高くて払えない患者さんに無料低額診療制度を知らせながら相談に乗ることで、借金がある、子供がひきこもりなど、生活全般にわたる相談になっていきます。相談窓口を担当している人は、書類をそろえるのに時間がかかる場合もあります。
最初は、お金がないことをいいたくない、恥ずかしい、自分が悪いと考えていた人も、一人じゃない、相談できるところがあるんだと思えるようになり、今後の生活、人生設計につながっていく、無料低額診療はお金がなくても医療を受ける権利を侵害しない、慢性疾患は継続した治療が必要ですが、これを保障する上でも重要な制度だといっていました。
都立病院こそ、都民の生活実態をつかみ、都民の命を守るための役割を発揮すべきときではないでしょうか。都立病院が無料低額制度を実施することで、制度が広がることにもつながります。
孤独死がふえ、自殺者が年間三万人を超えたのは、消費税が五%に増税された翌年、一九九八年からです。来年の四月から消費税が八%に増税されれば、都民の暮らしはますます大変になるのは目に見えています。都立病院での導入を検討していただくことを強く求めます。
最後に、都立病院の窓口で無料低額診療の制度を知らせるパンフや、実施している病院、診療所の紹介を張り出していただくことなど、医療費支払いに関する相談の際にも、今後のことも考えて、制度と実施している医療機関を紹介していただくことをお願いをして私の質問を終わります。
○あさの委員 私からは、決算の委員会ということでございますので、決算の数字と、それから経営について何点か質問をさせていただきたいと思います。これまで、この第二分科会の中でもさまざまな局に対して同様の質問をしておりますので、お答えいただければと思います。
まず最初に、この二十四年度決算資料の方を見させていただければ、予算現額、予算に掲げている数字と決算との数字というのが、どうしても、これはなかなか思いどおりにいかないというところがあるでしょうけれども、この数字に乖離がどうしても出てしまうということで、まず、この二十四年度決算における収入の部分、予算と比較して数字が変わっておりますけれども、これについての評価について伺いたいと思います。
○和賀井経営企画部長 予算と比較してとのご質問のため、消費税込みの数値でご説明させていただきます。
平成二十四年度決算におきます経常収益は約一千五百二十六億一千三百万円でありまして、予算現額一千五百九十八億二千五百万円に対する執行率は九五・五%でございます。
一方、経常費用の決算額は約一千四百九十七億二千二百万円でございまして、予算現額約一千五百九十三億一千七百万円に対する執行率は九四・〇%となっております。
このように、収益、費用ともおおむね同等の執行率となっておりますことから、収支バランスのとれた決算になったものというふうに考えております。
○あさの委員 ありがとうございます。確かに、執行率自体はバランスがとれていて、病院の経営体質というか、経営のやり方上、どうしても患者さんがたくさん来れば、その分だけ費用もふえていくという形になりますし、一方で、じゃ、もうけるために患者さんがたくさん来ればいいかというと、それはそれで健康な方がいいわけですから、そこの部分も含めると、この数字の乖離については特にどうこういうつもりはありません。ただ、ある程度の予測というのが、戦略という意味でも必要になってくるので、その部分は考えていかなきゃいけないと。
逆に、予算と比べるということよりも、今度は、じゃ、決算が推移としてどうなったのかというところを見ていかなきゃいけないと思いますので、この二十四年度決算における収入が過去五年間の推移を見てきた中ではどうだったのか、それについての評価についても伺いたいと思います。
○和賀井経営企画部長 決算の比較につきましては、消費税抜きの数値にて説明をさせていただきます。
平成二十年度以降の経常収益の推移につきましては、平成二十一年度に東京都保健医療公社に移管しました豊島病院分を控除すると平成二十四年度まで一貫して増加をしてございます。
平成二十年度は約一千二百七十一億三千九百万円であった経常収益は、平成二十四年度には約一千五百二十五億一千八百万円となっておりまして、約二百五十三億七千九百万円、率にして二〇・〇%増加をしております。
これによりまして、経常収益から一般会計繰入金を控除し、経常費用で割りました自己収支比率は、平成二十年度の七一・七%に対しまして平成二十四年度は七五・二%となり、三・五ポイント改善するとともに、過去最高の値となっております。
○あさの委員 この五年間で経常収益というのが増加しているということがわかりました。
実は、きょういただいた資料を見ていきますと、例えば入院や外来の患者さんの数というものを見ていくと、その間の増減は多少あるんですけれども、平成二十年度と比べて平成二十四年度というのが、実は双方ともに五年間で見ると患者さん自体は減っているんですね。
患者さん自体が減っているにもかかわらず収益をきちっと上げていると。もちろん医療費そのもの、あるいは、一人当たりの患者さんの出すお薬代だったり、治療にかかるお金、単価が上がっているということもありますけれども、何よりも収益率を上げて、過去最高となっているというこの状況は、まさに病院経営本部として、そして各病院ごとに取り組んできた経営改善、そういった努力のあかしだろうと思います。
当然これは、もちろんこれから先も続けていかなければならないと思いますが、実際に、では、その経営改善の取り組みとはどのようなことをしているのか、この平成二十四年度に病院経営本部で、どのような経営改善の取り組みをしたのかを伺いたいと思います。
○和賀井経営企画部長 平成二十四年度におきましては、診療報酬改定で新設されました施設基準を新たに取得するとともに、各病院の医療提供体制を整備しまして、現行より上位の基準を取得したところでございます。
こうした取り組みなどによりまして、入院診療単価は五万三百三十六円と、前年度から二千五百七十一円、率にして五・四%向上し、収益増に寄与してございます。
一方、採用品目の見直しなどによりまして、診療材料の削減、後発医薬品導入の促進などによる材料費の抑制など、費用の縮減にも積極的に取り組んできたところでございます。
○あさの委員 先ほどの経営指標の推移という数字からも、確かに今のご説明の話がわかるわけであります。入院の診療単価も平成二十年度が三万八千七百四十二円、平成二十四年度で、今ご説明ありましたとおり五万三百三十六円というところで、単価がここでもかなり上昇しているわけですね。
率の計算は、今すぐ、ちょっと出ませんけれども、先ほどのご答弁の中でございました経常収益の中では二〇%増加している。ここにかなり寄与している部分があるのかなという気がいたします。
そういった経営改善の取り組みというのは非常に大切ですし、これは一般会計からの会計の繰り入れというものを受けている都立病院ということを考えても、それを理解していただくためにも、これからも進めていっていただきたいと思います。
ただ、この経営努力というのは、ずっと続けていっても、残念ながら、民間病院の方々にいわせると、民間病院の方は民間病院の方で、公的病院、いわばこの都立病院のことを指して、都立病院は赤字になればお金をもらえるからいいじゃないかというような、いい方は悪いですけれども、そういう見方をしている方もいると。
ここについては、はっきりいって、もう私は平行線だと思っています。それぞれの役割がありますし、患者の側に立てば、当然病院が経営だけに走って、つまり、もうかる医療だけを特化してやっていってもらっては困るわけで、当然のことながら命を救うということに対して、しっかりと取り組んでいっていただかなければいけない。
しかし、残念ながら、国は、医療費の削減というのを前面に打ち出すような政策を常にとっておりまして、もう二十年近く、平成七年度の大きな医療制度改革があってから、全国的に病院というのはおおむね赤字傾向というか、非常に経営が厳しくなっている。
その経営の中で、各民間病院はかなり努力をしておりますけれども、その努力の方向というのも、その病院ごとの個性が出ておりまして、先ほど申し上げたとおり、経営、つまり、もうかる方にひたすら走っていってそれをやっているところ、それから、規模の利益を使って大規模な病院グループをつくることによって、大きく利益を出す事業を抱えながら、その事業で他の病院の赤字部分を上手に補填して、グループ全体として利益を担保するような仕組みをとっているところ、あるいは、もうしようがないので、できる範囲の中で粛々と規模を縮小しながら行っていたりというところもあります。
私の地元練馬区でも、既に、この十年ぐらいを見ると病院が三つほど閉鎖しておりますし、近年では日大の光が丘病院が撤退をするというところもございました。
また近隣に目をやりますと、例えばお隣の埼玉県志木市にあった市民病院も民営化するというような動きもあって、例えば、小児医療やさまざまな医療体制を現地で確保するためには、病院の経営というのは、ちゃんと見ていかなきゃいけないんですけれども、一方で、その病院の経営自体を苦しめているのが、実は今の制度になっているのではないかという疑念も生まれてくるわけであります。
この公立病院についても、これをやって経営努力をきちっとしていく中で、少しずつ少しずつ収益率が改善されていっているわけでありますけれども、正直私は、このこつこつと一生懸命やっている経営改善手法も、そろそろ限界に来るんじゃないかなという思いもあります。
例えば、公立病院というのは地方自治法や地方公営企業法などの法令が適用されております。
例えば、例を挙げていきますと、契約制度の中も、民間の病院の経営に携わる事務局のような方々からの話を聞けば、民間病院では大きな設備を導入するときには、製薬会社、あるいはその医療機器を販売する会社とさまざまな交渉をすることで、かなり格安に入れることができる。あるいは製薬についても、薬の納入の仕方についてもいろんなやり方があって、それを受け入れることで病院の経営というのを上手にやっていくということができていたと。
それが逆に公立病院になりますと、そういった入札や何かで公に情報が出されてしまうがために、例えば、実際にはほかの病院にはもっと安く入れている機械でさえ、表に数字が出る以上は一定以上の値引きはできないというのがあったり、あるいは、これは局の方々、本部の方々の説明の中でもちょっとお聞きしたことでありますが、薬も何年かに一度改定をされる保険点数の改定のときに、基準となるような調査の入る病院については、やはり製薬会社さんは自分のところの薬は安くしてもらっちゃ困りますので、その病院に対しては余り安く入れることができないといった、さまざまな事情を抱えているということをお聞きしております。
こういった契約制度を代表に硬直化してきたものというのは、実は病院という経営の中では正直そろそろ、いわゆる一般的な地方自治体のものとは少し切り離して考えていかなきゃいけないんではないかなと私は思えるわけであります。
そこで、この現場の病院経営、病院の運営といったものの特殊性をよく理解している経営本部として、その特殊性をしっかりと訴えて、国に対して、そういった地方自治体に求められるような契約や何かに対する制度の改正について働きかけたらどうかと思うんですけども、いかがでしょうか。
○野瀬経営戦略担当部長 都立病院は公立病院として、都民からの税金や使用料を原資としている以上、地方自治法及び地方公営企業法にのっとり、その運営に公平性や透明性の確保が求められております。
例えば、副委員長ご指摘のございました契約についてでございますが、一般競争入札を原則としており、都立病院は、これまでもこの原則のもとに医薬品、診療材料の共同購入などさまざまな工夫を行い、費用の縮減に努めてまいりました。
また、感染症医療、精神科救急医療など、診療報酬だけではその費用を賄い切れない医療を積極的に提供しているため、一般会計から繰り入れを受け入れております。
なお、診療報酬制度などの改善については、病院運営の実態に合うものとするため、福祉保健局と共管で、国に対し提案要求を行っております。
○あさの委員 最初に申し上げたとおり、経営改善をこつこつとやっていることは僕も非常にわかるんですね。今病院が置かれている、都立病院が置かれている制度の中でできる範囲で物すごい努力をして、今おっしゃったように、一般公募の入札というものをやりながらも共同購入をしてみたりとか、そういったことで先ほどいった規模の利益を提供してみようとか、やっているのは非常に努力はよくわかると。
ただ私も、最初にいったように制度としての限界値、つまり、制度の中でやるにはもうそろそろ限界なんじゃないかなという気がいたしますので、これは我々議会としてもしっかりと研究をした上で、やはり国に対してちょっと働きかけていかなきゃいけないなという思いはございます。
今は、さまざまな情報が実は手に入る時代になりまして、入札がいっとき、我が会派もそういった主張をしていた人もおりましたけれども、入札が全てにおいて善であるという発想は、そろそろ少し考え直す時期に来ているのかなと。
ダンピングの問題等も出ておりますし、あるいは、こういった逆に入札を実施することで、ほかの入札をしていないところよりも高く買わなきゃいけないという現象も起きてきているということを考えますと、そろそろこの辺についてもしっかりと我々もやっていきたいと思いますので、ぜひ病院経営本部としても積極的な情報提供、あるいは、そういった部分についての問題、課題意識というものも持っていただければありがたいなと思っております。
さて、これまでの経営の数値等を見させていただきましたが、この東京の人口のピークというのが約二〇二〇年ごろ、少子高齢化は加速度的に進んでおりますし、日本全国は既に人口減少社会に入っております。
東京ひとり勝ちといいながらも、GDPの伸び率は過去の数値で見ますと実は東京は伸びていなくて、過去五年間を見たときにGDPが伸びているのは三県のみ、埼玉、千葉、沖縄のみが伸びていて、残りはすべてGDPが減少しているというような時代に入っております。
そういったことを考えますと、もはやこれまでの我々日本人が戦後経験してきた時代とは変わっていき、これから誰も経験したことのない下落の時代、あるいは、その中でどのようにして維持を保っていくか、さまざまなパラダイムも変わっていく時代に入ってくると思われますが、そういったこの東京の人口も変わっていく、その時代の変更の中で、人口減少の中では、やはり高齢化の進展など、患者数としては、つまり病院の経営という観点から見ると、どうしても高齢者の方の方が病人になる確率は高いというのは統計上わかっておりますから、高齢者がふえることによって患者数の増加という要因もありますけれども、全体としてのパイはどんどん縮小していくということが考えられます。
その中で進歩していく医療体制という意味では、設備の更新というか、新しいものを取り入れていかなきゃいけない。先ほどいった人材も確保しなきゃいけない。そういった費用のかかる部分も踏まえて、今後の都立病院の医療提供体制はどうなっていくのかについて伺いたいと思います。
○野瀬経営戦略担当部長 都立病院は、法令などに基づき対応を求められる医療、一般医療機関では対応が困難な医療や、都民ニーズが高い医療などを行政的医療として適正に都民に提供し、東京都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的な役割としております。
これまでも医療環境の変化に対応するため、再編整備など都立病院改革を進めてまいりましたが、今後とも、人口減少、高齢化の進展や医療ニーズの変化に対応し、必要に応じて行政的医療を見直すなど医療体制を充実強化してまいります。
○あさの委員 一般的な健康な都民の皆さんや民間の病院を経営されている方から見れば、都立病院に対して一般会計からのお金が入っているということが、どうも何かおかしいんじゃないかと。つまり、ほかの病院は普通にやっているんだから、都立病院だって普通にやればいいじゃないかという思いがある方もいらっしゃる。その辺は、情報の伝達がちゃんとできていないことだと思います。
例えば、病院経営本部としても、指標の一つとして、そういった行政的医療が都立病院に占める割合がどのくらいあるのかといったことについても、ぜひ情報の伝達というものをやっていただきたいですし、一方で、病院経営の難しさというのは、その行政的医療だけをやっていては都立病院に勤めるお医者さんの能力が育たない。
だからこそ、幅広い、ほかの病院でやっていることもやりながら、人材を育てつつ行政的医療もやらなきゃいけないという難しさがあるということは重々理解しておりますので、ぜひ情報の伝達というか、広報という意味も含めて、これから先、さらに都立病院としての役割、位置づけというものを自覚しながら、しっかりと努めていっていただければと思います。
そういったことを要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○山内委員 お伺いいたします。超高齢化と人口減少が同時に進んでいく中、高齢かつ介護が必要になったときにも、その人がその人らしく個人として尊重されて、本人が望む場合には最後まで自宅で、地域で暮らし続けられるように、社会が支えていけるようにしていくことが重要です。
そのために、中核的な役割を果たす病院と地域の医療、福祉が在宅療養をどう支えていくか。その上での課題を明らかにして解決していかなくてはなりません。
そこでまず、中核的な公的医療機関として、都立病院は都民のニーズをどのように把握し、医療サービスを提供しているのかお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 病院経営の長期計画として、ことし三月に策定した都立病院改革推進プランでは、都民の医療ニーズを把握するため、同時期に策定された東京都保健医療計画や生活文化局が行った保健医療に関する世論調査を参考といたしました。
これに加え、病院経営本部が独自に行った都立病院に関するアンケート調査で、一般都民を対象にウエブ利用によるインターネット調査を行い、あわせて、都立病院に来院された患者、家族へのアンケートを実施し、参照といたしました。
これらのアンケート調査では、今後都内で充実させる必要がある医療分野について、都民、来院者のいずれも、約半数が救急医療、がん医療を上げていました。
今後とも、救急医療、がん医療など、行政的医療を中心に都民ニーズを踏まえた高水準の医療を提供してまいります。
○山内委員 病院経営本部が独自にアンケートを行ったということは、やはり現場のニーズを拾うという意味では重要なことだと思います。そこで、そのニーズの中で、緊急医療やがん医療に対する期待が大きかったことがわかりました。
そして、まずその中で、緊急医療の充実に向けて、平成二十四年度の都立病院の救急患者について、高齢者、重症者の割合も含め実績をお伺いいたします。
○中野サービス推進部長 平成二十四年度の都立病院の救急の総患者数は十七万三千四百二十一人でございまして、そのうち入院した患者は二万八千九百七十四人、一七%でした。
救急車で救急搬送された患者数は三万四千五百五十三人で、そのうち入院した患者は一万四千三百十三人、四一%でございました。
なお、救急車で搬送された患者のうち、六十五歳以上の患者さんの占める比率は、小児総合医療センターを除きまして四一%でございました。
○山内委員 救急搬送される患者さんには、重症の方、そして高齢の方が多いということはよくわかりました。
この患者さんたちが急性期を脱した場合には、返送、逆紹介などを通して退院支援をすることになると思いますが、平成二十四年度について、多摩総合医療センターの返送、逆紹介の実績をお伺いしたいと思います。
また、在宅医療に円滑に移行するために、入院早期から患者さんを中心に、医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、在宅主治医、地域のケアマネジャー、訪問看護ステーション等と調整して、在宅療養に移行できるように退院支援をしているとのことでございましたが、具体的にはどのような手順で行われるのかお伺いしたいと思います。
○中野サービス推進部長 平成二十四年度におきます多摩総合医療センターの患者紹介率は八八・四%、紹介元の医療機関に患者さんをお返ししたり、救急等で来院した患者さんを地域の医療機関に紹介する返送、逆紹介率につきましては四五・二%でございました。
次に、在宅療養への移行の支援方法でございますが、患者さんの生活状態や経済状態、サポート体制などにより、さまざまなケースが考えられます。
例えば、在宅での介護が必要であれば介護保険制度の紹介、介護認定申請のための包括支援センターへの連絡等を行います。また、在宅医療が必要であれば地域の訪問看護ステーションや在宅診療所の紹介や調整を行います。
また、必要に応じまして、都立病院のケースワーカー、退院支援看護師が、在宅医療を行う医師や訪問看護ステーションの看護師、包括支援センターのケアマネジャー等とカンファレンスを持ち、それぞれの施設が患者に対してどのようにかかわっていくべきかを決めるなど、きめ細やかな対応を行っているところでございます。
○山内委員 先ほどのアンケート調査によりますと、都立病院に関する期待に、緊急医療とともにがん医療が上げられておりました。およそ三人に一人ががんで亡くなっているという現状において、がん疾患に対する医療も都立病院が提供する医療の中で、非常に重要な位置を占めています。
そこで、平成二十四年度の都立病院の患者のうち、がん医療で入院している患者の実績をお伺いいたします。
○中野サービス推進部長 平成二十四年十月に実施いたしましたワンデイ調査によりますと、都立病院の入院患者数四千二百八十四人中、がん患者は九百六十二名、比率にして二二・五%でございました。
がん患者の比率が最も高い病院は、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院でございまして、六百八十八人中がん患者は四百八十六人、七一%でございました。次に多いのが、地域がん診療拠点病院である多摩総合医療センターでございまして、六百九十三人中二百十四人、三一%でございました。
○山内委員 がん対策として予防や治療の充実はもちろんなんですが、先ほどから申し上げますように在宅療養の取り組みが必要かと思います。
そこで、在宅療養の支援体制の取り組み状況はどうなっているのかお伺いいたします。
○中野サービス推進部長 都立病院では、がん患者に対する相談支援を行っておりまして、例えば、駒込病院では年間八千五百四十九件、多摩総合医療センターでは千九百十七件のがんに関する相談を受けております。
相談内容は、がんに関する情報の提供や緩和ケアなど多様でございますが、在宅療養の患者さんから、治療した後も食事がうまく食べられない、あるいは酸素吸入についてなど、さまざまな相談をお受けしているところでございます。
相談には退院支援看護師やソーシャルワーカーが対応しまして、具体的なケアの方法について助言したり、在宅診療を行う医療機関や、訪問看護ステーションとの調整を行うなど、地域での療養生活への移行を支援しているところでございます。
○山内委員 救急医療やがん医療に対する都立病院への都民の期待は大きいものがあります。
その一方で、急性期医療を脱した患者さんが、安心して円滑に自宅に戻れるようにすることも重要です。都立病院では、退院支援として患者中心の在宅療養を進めていくために、カンファレンス等を行っています。
生活者ネットワークでは、実態を把握しながら、在宅療養を安心して送れるように支援体制の充実を求めてまいりました。
実際に、地域で在宅療養をしているご本人や家族とお話をしますと、まず、在宅療養をやっていけるのか、そして、急変したらどうしようかなどと不安がいっぱいあるそうです。
特に、夜間や休日に急変したときに、救急車を呼んだ方がいいのか、どんな状態なら朝まで待ってよいのか、人工呼吸器や点滴、静脈栄養など、どこまでを望むのかなど、患者本人も、そして家族も揺れ動くのだそうです。
そうした不安を少しでも解消し、質の高い在宅療養ができるようにするには、退院の際の移行支援が重要であり、地域で在宅医療を行っている医師や、さまざまなサービスの提供により、在宅療養生活の一歩を踏み出せるかどうかが見えてくるのだとおっしゃっていらっしゃいました。
患者さんや家族が地域の在宅医療に関する情報や理解を深め、日ごろから急変時の対応について十分に考え、今後は、さらに、死までも受け入れていけるような終末医療のあり方について、支援や体制づくりが退院移行支援には求められております。
今年度から都立病院改革推進プランが始まりました。そこで、仮称患者支援センターを設置するとしております。地域の医師会や地域福祉等と連携して、患者さんが最後までその人らしく暮らすことができるように、患者支援体制、在宅医療支援体制を充実することを要望いたします。
次に、周産期医療についてお伺いいたします。
二〇一一年三月、多摩総合医療センター、小児総合医療センターは、救命救急センターと総合周産期母子医療センターが密接に連携し、母体救命対応総合周産期母子医療センターに指定されました。
その背景には、都内で産科、産婦人科を標榜する医療機関が減少し、一九七五年には、昭和五十年ですが、二百八十八あった施設が二〇一一年には百十六施設となっている現状があります。
生活者ネットワークでは二〇〇九年に、どこで子供を産みますかという聞き取り調査を行いました。それによりますと、出産場所は病院が圧倒的に多かったのですが、助産所や自宅を選ぶ人も予想以上にありました。
また、多摩地域には、産科、産婦人科を標榜する病院が少ないことも明らかになり、万が一の場合の不安に対する対応が望まれました。
こうした中で、安心して赤ちゃんを産むために、二〇〇八年、都は周産期母子医療センター、病院診療所を中心とした顔の見える連携を図るため、周産期医療機関連携ガイドラインを策定いたしました。
そこでは、ローリスクに対応する一次医療は一般の産科病院、診療所、助産所等の協力医療機関等が担い、ハイリスク妊婦、新生児への対応や二十四時間体制での救命救急医療を担う多摩総合医療センターのような周産期センターや大学病院、国立医療センター等の三次医療機関と連携して取り組むとされています。
そこで、現在、多摩総合医療センターで連携している産科の医療機関、助産所はどのくらいあるのか、また、どのような連携を行っているのかお伺いいたします。
○中野サービス推進部長 多摩総合医療センターが連携しております医療機関は、平成二十四年四月一日現在、千三百十二カ所でございますが、このうち産科を標榜している医療機関は三十九カ所でございます。
妊娠初期の段階で紹介されてくる場合もございますが、地域の産科医院で三十三週まで検診を受けていただき、何か異常があった場合や三十四週以降に、多摩総合医療センターに来ていただいて分娩を行うといった連携を実施しているところでございます。
○山内委員 分娩中に容体が急変した場合や低出生体重児、ハイリスク妊娠など、母体救命対応総合周産期母子医療センターは大きな役割を果たしてきたと思います。多摩総合医療センターと小児総合医療センターにおける周産期医療の実績についてお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 多摩総合医療センターと小児総合医療センターが一体となって母体胎児集中治療管理室、M-FICU九床、新生児集中治療管理室、NICU二十四床、NICU退院後のケアをするGCU四十八床を運営しております。
平成二十四年度における実績は、M-FICUの延べ入院患者数が三千三十六人、一日当たり八・三人でありました。NICUの延べ入院患者数は八千六百三人、一日当たり二十三・六人。GCUの延べ入院患者数は一万五千七百二十二人、一日当たり四十三・一人でありました。
また、平成二十四年度における母体搬送、新生児搬送の受け入れ件数は、それぞれ百四十八件、三百五十七件ございました。
○山内委員 以前、生活者ネットワークで視察いたしました諏訪中央病院や長野県立こども病院では、地域の診療所との連携による医療ネットワークが確立されており、周産期医療についても、母体と新生児の搬送システムの確立や小児科、産科など専門医療だけではないチーム医療が行われていました。
そこで、周産期医療におけるチーム医療の取り組みについてお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 多摩総合、小児総合医療センターでは、ハイリスク出産の際には小児総合医療センターの新生児科医師が立ち会い、必要に応じて新生児を速やかに小児総合医療センターに搬送するなど、連携しながら診療を行っております。
また、多摩総合医療センターでは、総合周産期母子医療センターとして母体搬送やハイリスク妊婦を受け入れており、他科との連携は重要でございます。特に、精神疾患合併妊婦、神経内科疾患合併妊婦、結核妊婦については、関係各科と密接に連携して受け入れを行っております。
引き続き、総合診療基盤を有する基幹病院として、地域からの受け入れ要請に適切に対応してまいります。
○山内委員 在宅移行が可能なNICUやGCUの入院児を対象に、円滑な退院に向けた在宅への退院支援や、在宅移行後の継続した支援を実施するために、都立墨東病院ではモデル事業を行ってまいりました。
それを踏まえて、小児総合医療センターでは、どのような在宅移行訓練や退院後の支援体制を行っているのかお伺いしたいと思います。
○野瀬経営戦略担当部長 小児総合医療センターでは、子ども家庭支援部門を設置しており、職種や科を横断して支援サービスのためのチームを構成しております。院内各部門や地域医療サービス機関と連携し、慢性疾患や障害を持つ患者の退院と在宅生活への支援を行っております。
また、療育相談、介護相談、育児相談の内容に応じ、必要な看護サービスを提供しております。
平成二十四年度においては、退院支援を百四十三件、相談業務を二千三百三十三件実施いたしました。また、訪問看護師との円滑な連携を図るため、訪問看護ステーション六施設に対し、研修を行いました。
在宅療養患者を支援する医療機関、療育施設などとの連携を強化し、転退院調整機能の強化を図り、急性期を脱した患者の円滑な地域医療機関への移行を支援してまいります。
○山内委員 二〇〇九年三月に行われたシンポジウム、東京都の医療崩壊を防ぐにはによると、その年の総務省消防庁が発表した周産期救急搬送の実態調査で、救急隊が病院を探すまでにかかった照会回数、つまり、電話をかけて断られた回数が、東京都は二十六回と全国最大、搬送に要した時間も三時間を超え、全国のワーストの地区となっています。
産科、産婦人科を標榜する病院が少ない多摩地域にとって、地元の病院や助産所で産みたいという要望を支えるために、母体救命対応、総合周産期母子医療センターとしての多摩総合医療センター、小児総合医療センターの役割は大きく、今後もそういった地域の病院や助産所等と連携を図っていくように期待をいたします。
最後になりますが、小児医療についてお伺いしてまいります。
福祉保健局が行っております医療施設調査では、東京都で小児科を標榜する医療機関は一九八五年には三百二十七施設ありましたが、年々減少し、二〇一一年には百十九施設となっています。小児医療は地域の診療所を基盤とした初期診療に支えられていますが、対応が困難な症例や救急医療の対応が必要です。
そこで、小児総合医療センターの救急医療の実績についてお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 小児総合医療センターにおける救急医療の平成二十四年度における実績は三万七千三百六十人、うち救急車の搬送が三千二百五十九人であり、重症及び重篤な患者を対象とする東京都こども救命センターとしての実績は百二十八人でありました。
○山内委員 医師不足や地域医療機関との連携を図るために、小児総合医療センターではドクターカーを設置しております。地域と小児総合医療センターをつなぐドクターカーは、どの程度稼働し、地域医療機関との連携を図っているのかお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 小児総合医療センターは、多摩地域の小児救急、周産期医療を支える拠点病院として三百六十五日二十四時間対応できる小児用、新生児用の二台のドクターカーを備えております。
平成二十四年度のドクターカーの運用実績は五百八十七件であり、一日当たり一・六台が稼働し、地域医療機関と小児医療の基幹病院を結ぶネットワークを構築しております。
○山内委員 小児総合医療センターでは総合診療部というのを設けています。一般的な小児疾患の子供に加え、成長期の子供に特有な心の問題が原因で体の症状が出ることがあります。
専門家は専門的に症状を見ていますけれども、心と体を総合的に生活や生活の周辺のことも配慮しながら子供を診断するといいます。この総合診療部、専門診療部の設置とチーム医療は評価するものです。
そこで、総合診療部の運営実績についてお伺いいたします。
○野瀬経営戦略担当部長 総合診療部は、総合診療科と心療小児科の二科で構成されており、病気の原因が体か心か不明の症状や、体と心の両面から治療を必要とする症例に対して、一般小児科医、心療小児科医などが協力して対応しております。
また、専門的疾患の各科への振り分けや初期治療を行っており、平成二十四年度の総合診療科における延べ入院患者数は一万八千六十一人で、うち新入院患者数は二千九十九人でありました。
○山内委員 地域の小児科医というのは、日ごろの検診や病気などを通して、その子供の成長とともに変化に気がついたり、心の問題なのか身体的なものなのかなど、身近な相談窓口として、子供にとっても親にとっても心強い存在となっていました。
しかし、地域の小児科医が減少している中で、そうした子供を心と身体、生活全般のことも含めて診断してくれるという意味で、都立病院のこの総合診断にこれからも期待いたしまして、私からの質問を終わります。
○かち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○かち委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後三時十分散会
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