平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成二十五年十月二十八日(月曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長かち佳代子君
副委員長吉倉 正美君
副委員長あさの克彦君
副委員長鈴木 隆道君
小林 健二君
清水 孝治君
山内れい子君
尾崎あや子君
木村 基成君
川松真一朗君
林田  武君

欠席委員 なし

出席説明員
下水道局局長松浦 將行君
次長石原 清次君
総務部長小山 哲司君
職員部長安藤  博君
経理部長熊谷  透君
計画調整部長渡辺志津男君
施設管理部長坂根 良平君
建設部長中島 義成君
企画担当部長永野  実君
技術開発担当部長神山  守君
施設管理担当部長野口 毅水君
流域下水道本部本部長黒住 光浩君
管理部長須田  潔君
技術部長松島  修君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成二十四年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○かち委員長 ただいまから平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十四年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○熊谷経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成二十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。
 平成二十年度から二十四年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。監理団体への委託内容と委託料の推移でございます。
 当局が所管しております監理団体、東京都下水道サービス株式会社への主な委託内容と、過去十年間の委託料をお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。区部下水道事業における収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
 平成二十年度から二十四年度までの区部下水道事業の収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
 区部における下水道マンホールの総数と緊急輸送道路等における浮上抑制対策の計画と実績の推移をお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。再生可能エネルギー等による主な発電設備の規模と発電量でございます。
 再生可能エネルギー等による主な発電設備につきまして、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十三年度、二十四年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
 以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○かち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 私からは、下水道事業の取り組みにつきまして、過去一年間行われました私ども自民党の先輩方の質問を踏まえまして、幾つか確認の意味を含めてお伺いしたいと存じます。
 私が都議会議員になりましての感想といたしまして、東京都のこの公営事業のすばらしさと。特に、今回質問させていただきます下水道ですとか上水道の事業につきましては、これは目をみはるような成果があるんではないかと深く思っているわけでございます。
 市議会のときの下水道の決算審査といいますと、一般会計の後に行われるものでございまして、どうしてもおざなりになっていた部分がございますが、今回改めて再認識させていただきましたので、しっかりと質問をさせていただきたいと存じます。
 そんな中の下水道事業でございますけど、いわゆる近年、公共インフラの老朽化というのが大きな社会問題となっているのは周知の事実でございます。一千三百万人を超えます都民が生活して、日本のエンジンとして昼夜にかかわらず活動している我が東京都においては、この老朽化対策、あるいは都市の再生といったものにつきましては、これは待ったなしの状況でございます。
 特に下水道施設は、都民生活や都市機能を支える重要なインフラでございまして、下水道管が老朽化し劣化が進むと、道路の陥没の発生ですとか土砂の流入による、これは下水の機能の低下を招き得るわけでございます。そうしますと、都民の生活はもとより都市の活動の安全性や快適性も脅かすことになろうかと思うわけでございます。
 全長一万六千キロメートルと聞き及んでおります区部の下水道管は、二十年後には半分の約八千キロメートルが法定耐用年数の五十年を超えると聞いておりまして、スピード感を持って再構築を進めていくことが重要だと思うわけでございます。
 そこで、まずは、下水道管の再構築の取り組み状況についてお伺いしたいと存じます。

○渡辺計画調整部長 下水道管のうち、比較的規模の小さい下水道枝線の再構築につきましては、整備年代により区部を三つのエリアに区分し、最も古い都心部の約一万六千ヘクタールを第一期再構築エリアとして取り組みを進めており、平成二十四年度までに、その約二八%が完了しております。
 今後は、法定耐用年数の五十年を超える下水道管が急増することから、アセットマネジメント手法を活用し、適切な維持管理により下水道管を八十年程度まで延命化し、事業の平準化を図ってまいります。
 また、道路を掘らずに下水道管を内側から補強する更生工法を、一層活用することにより、整備ペースを約二倍にスピードアップし、第一期再構築エリアについて、平成四十一年度までの完了を目指してまいります。
 さらに、規模の大きな下水道幹線の再構築につきましては、区部では約一千百キロメートルの下水道幹線がございまして、これまで整備年代が古い四十七幹線百三十キロメートルを対象に再構築を進めてきており、平成二十四年度までに約四十一キロメートルが完了しております。
 今後は、老朽化調査の結果から、劣化が著しい幹線などを新たに加え、百十五幹線約三百キロメートルへ対象を拡大し、整備ペースを三年間で十六キロメートルから二十キロメートルへと三割ほどスピードアップいたします。
 これらの取り組みにより、都市活動を地下で支える下水道の機能を将来にわたり安定的に確保し、都民が安心して安全に暮らせる東京の実現に貢献してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。聞くところによりますと、さまざまな施策ですとか、あるいは施工の工夫を凝らしていただきまして、下水道管の再構築にしっかりと取り組まれていることが、私は理解できたと思うわけでございます。
 今後も、安全で快適な都民生活を支えるため、東京の膨大な下水道の資本について、計画的に、かつ効率的に再構築することを継続していただきたいと要望するものでございます。
 さて、集められた下水を処理する施設は、二十四時間三百六十五日、下水道機能を、これは当然のことながらとめることはできないため、いざという地震のときについても安定的な下水道機能を確保する必要があると思います。
 中でも、都内にある二十の水再生センターや八十を超えるポンプ所は、下水道管で集めた汚水を処理したり、雨水を排除する下水道の核となる施設でございます。そのため、水再生センターなどの耐震化を進め、下水道機能を確保していくことは、極めて重要な取り組みだといえるわけでございます。
 この水再生センターやポンプ所は、施設の規模が非常に大きく、一度に全ての耐震化を図ることは難しいと思うわけでございますが、耐震化をどのように行っていくのか、まずは、その考え方についてお伺いをしたいと存じます。

○渡辺計画調整部長 水再生センターやポンプ所の耐震化につきましては、想定される最大級の地震動に対応できる取り組みを進めております。
 お話のとおり、水再生センターやポンプ所は、施設の規模が大きいことから、全ての耐震化には長期間を要するため、震災時においても、必ず確保すべき機能を対象として対策に取り組んでおります。
 具体的には、水再生センターにおいては、流入してきた下水をくみ上げる揚水機能を担うポンプ施設や、下水中の比重の大きい汚れなどを沈殿させる第一沈殿池、消毒機能を担う塩素接触槽、さらには処理された下水を放流する放流渠を、また、ポンプ所におきましては、雨水の速やかな排除などを行うため、流入してきた下水をくみ上げるポンプ施設、下水を放流する放流渠を対象としております。
 水再生センターやポンプ所の耐震化を積極的に推進し、震災時においても、これらの下水道機能を確保してまいります。

○清水委員 水再生センターなどの耐震化の考え方については、よくよく理解ができたわけでございます。
 それでは、具体的にどのような耐震化の取り組みがなされているのか、せっかくでございますので、お示し願いたいと存じます。

○渡辺計画調整部長 施設の耐震化につきましては、区部では十三の水再生センターと八十五のポンプ所、多摩の流域下水道におきましては七つの水再生センターを対象に取り組んでおります。
 水再生センターなどの耐震化の取り組みとしては、まず、対象としている施設の耐震診断を行います。その結果、強度が不足している場合には、壁や柱に鉄筋コンクリートの増し打ちをするなどの対策を講じております。
 平成二十四年度は、区部では浜町ポンプ所など六施設、流域下水道では清瀬水再生センターなど三つの水再生センターで工事を実施しております。平成三十一年度までに対象となっている全ての水再生センターとポンプ所で対策を完了させてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。ただいまの答弁から、災害時においても水再生センターやポンプ所の機能に支障がないよう、耐震化が着実に進められていることが確認できたと思います。
 一方、これらの水再生センターやポンプ所は、川や、あるいは海などに面しており、地震に伴う津波による被害も想定されているわけでございます。さきの東日本大震災は、その地震はさることながら、やはり津波の恐ろしさ、そして、直近では大島の豪雨災害等、水の恐ろしさというものにつきましては、我々都民は思い知らされているわけでございます。
 そこで、さらに水再生センターやポンプ所の津波対策等の取り組みについて、状況をお示し願えれば幸いでございます。

○坂根施設管理部長 下水道施設を地震時の津波から守る対策といたしましては、東京都防災会議で示された最大津波高さに対し、施設への浸水を防ぐ取り組みを進めております。
 都内には、想定された最大津波高さより低い敷地にある施設が三十四カ所あるため、これらを対象としまして、建物の開口部や出入り口への止水板の設置や、電気設備の高所移設などによる耐水化を実施しております。
 このうち、沿岸部にあり、優先度の高い東品川ポンプ所では、計画を前倒しして平成二十四年度末に対策を完了いたしました。
 なお、水再生センター、ポンプ所以外の津波対策として、下水道管への逆流を防ぐ高潮防潮扉の操作につきましても、対象としている二十カ所において、下水道管に敷設している光ファイバー通信網を活用した遠方制御による自動化などを図り、閉鎖の迅速性や安全性を確保いたします。
 これらの取り組みにつきましては、平成二十八年度までに完了させてまいります。

○清水委員 ありがとうございました。下水道施設の耐震化や津波対策の取り組みが、これは着実に実施されていることが、よくよくご答弁でわかったわけでございます。引き続き、さらなるスピード感を持って取り組んでいただければと思うわけでございます。
 ただいま答弁がございました耐震化対策を含めまして、東京の下水道技術はこれまでさまざまな課題を解決してきたと、私は先輩議員からよくよく聞かされているわけでございます。
 今後は、この技術を国内のみならず、国際的にも展開していくべきだと考えているわけでございます。その理由の一つといたしまして、幸いにもせんだって、私たちのこの東京は、二〇二〇年のオリンピックの開催地に決定をしていただきました。
 これは、確かにいっときは喜ばしいことなのかなと思っているわけでございますが、いつまでも浮かれているわけにはまいりません。やはり決定の決め手となりました、このおもてなしの心、そういった気持ちを持って、やはり、国際貢献、これから東京が先頭となってしていかなければならないと思っているわけでございます。
 下水道事業の国際展開につきましては、ことしの我が党の第二回定例会の代表質問におきましても、東京のすぐれた技術を海外に発信し、世界の水環境の改善と日本の産業力の強化に貢献していく旨の答弁がございました。
 そこで、世界に誇る東京発の技術といたしまして、海外に展開しているものにはどのような技術がこの分野であるのか、確認の意味も含めまして改めてお伺いしたいと存じます。

○永野企画担当部長 海外で展開している東京発の技術として、具体的には、水の流れを活用し、電力などの動力を要せず、雨天時に合流式下水道から河川などへ放流されるごみの流出を七割以上除去できる水面制御装置や、道路を掘り返さずに下水を流しながら老朽化した下水道管を再生するSPR工法、さらには、震災時の液状化現象による水圧をマンホール内に逃がして浮上を抑制し、緊急輸送道路などの交通を確保する技術で、既設のマンホールに簡易な工事で設置可能なフロートレス工法があります。

○清水委員 ありがとうございました。ただいまご答弁の中でございましたフロートレス工法につきましては、せんだって、ご案内を私たち都議会議員もいただきました北多摩第一号、南多摩水再生センター間の連絡管の竣工式のときにも、ご披露していただきました。
 何かこのくらいの、丸いプラスチック製でできている本当に単純な仕掛けなのかもしれませんけど、それを既存の管に設置ができるというふうなことを説明をいただきまして、すばらしいことを考える方がいるんだなと、世の中には頭がいい人がたくさんいるんだななんて、一人で感心していたわけでございますが、そういった東京発の技術に関して海外でも関心が示されているということは、これは大変喜ばしい限りだと思うわけでございます。
 せっかくでございますので、今そういった東京の技術が、どのような形で世界の皆さんに役に立っているのか、その実績をお示し願えればと思います。

○永野企画担当部長 まず、水面制御装置につきましては、ドイツ、韓国及びアメリカの企業とライセンス契約を締結し、欧州で十一カ所、韓国で二カ所設置されております。
 SPR工法は、アジア、北米、欧州など海外十三カ国で約七万六千メートルの施行実績があります。
 また、フロートレス工法につきましては、平成二十三年に大地震があったニュージーランドの企業に対しまして、平成二十四年度、新たに技術供与を行っております。
 これらの技術は、それぞれの国のニーズに応えるものでありまして、今後も拡大が見込まれております。

○清水委員 東京のすぐれた技術が海外でも着実に実績を上げていることが、よくよくわかったわけでございます。今後も相手国のニーズなどをしっかりと把握した上で、実情に即した事業展開を行い、世界に貢献していくべきだと思うわけでございます。
 そこで、改めて、下水道事業におきます国際展開の今後の取り組みにつきまして、これは、私たち自民党は、東京が世界で一番の都市になろうじゃないかという目標を掲げてございますので、そのような趣旨に沿ったような大きな気持ちで、ご答弁を願えればと思うわけでございます。

○永野企画担当部長 東京の下水道は、都市機能が高度に集積した東京において、たゆまぬ努力とさまざまな改良を重ねながら、その技術を磨き、今では世界最高の水準に至ったものと認識しております。
 東京下水道では、これらのすぐれた技術力を活用し、今後も、個別技術の海外展開や、下水道施設に課題を抱える国や地域に対するインフラ整備プロジェクトの推進、さらには、人材交流と情報ネットワークの強化を着実に進めまして、世界の水環境の改善に貢献してまいりたいと思います。

○清水委員 ありがとうございました。下水道事業の国際展開につきましては、日本の産業力の強化にもつながる取り組みとして、高く評価をしているわけでございます。
 今後とも、東京のすぐれた技術を海外に発信していくよう強く期待しているわけでございますが、できましたら、最後にこの件につきまして、私の質問の最後に局長からご答弁いただければうれしいなと、今思った次第でございます。
 次に、多摩地域の流域下水道の取り組みについてお伺いしたいと思うわけでございます。
 私の地元、立川市では、流域下水道事業が制度化される前から、市が単独で下水道整備を進めてまいりました。そこにある処理場は、稼働から四十年以上経過しておりまして、大変老朽化が進み、また、狭い敷地に立地しているため、施設の更新や耐震などへの対応が新たな問題となっているわけでございます。
 多摩地域の下水道にとって、単独処理区の編入を進めることは、単独処理区が抱える課題を解決するだけでなく、広く多摩地域全体の下水道事業の効率化に寄与するものと考えるわけでございます。
 そこで、単独処理区の流域下水道への編入の効果と取り組み状況について、まずはお伺いしたいと思います。

○松島技術部長 単独処理区の流域下水道への編入の効果についてでございますが、流域下水道が取り組んでいる耐震化への対応や高度処理導入等のメリットを受けることができ、安全・安心のまちづくりや水環境向上が期待できます。
 また、流域下水道のスケールメリットを生かすことで、単独処理区を存続した場合に比べ、施設の更新費や維持管理費の縮減に寄与できるといった効果がございます。
 次に、編入に向けた取り組み状況でございますが、平成二十四年度は、法手続や市との役割分担の調整等に精力的に取り組み、施設整備に係る役割分担などを定めた基本協定を立川市、八王子市と締結いたしました。

○清水委員 ありがとうございます。本当に精力的に関係機関との調整を進めて、編入に協力していただいていると感謝申し上げる次第でございます。
 基本協定の締結など、関係市と東京都の合意が得られたことは、編入を進めていく上で、これは大きく前進したと高く評価するものでございます。しかし、これを早期に編入を実現するためには、さらなるこの進展が求められているわけでございますが、編入に関する今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○松島技術部長 編入に関する今後の取り組みといたしましては、公共下水道から流域下水道へ編入する際の汚水の受け入れ量や受け入れ時期、受け入れ方法などの技術的な事項の協議、あわせて、それに伴う都市計画、事業認可変更などの法手続や実施協定の締結などを、着実に推進していくことが必要であります。
 引き続き、下水道局では、編入の早期実現に向け積極的に調整を進めるとともに、きめ細かい技術支援を展開し、多摩地域の下水道事業の発展に貢献してまいります。

○清水委員 これは、関係市としては早期に編入を希望しているわけでございまして、その実現のためには、やはり解決しなければならない課題があることは十分わかったわけでございます。
 今後、東京下水道の豊富な経験とノウハウを活用し、関係市と連携を強固なものとして多摩地域の下水道事業、これは進めていただきたいと思うわけでございます。
 多摩地域の下水道は、各家庭の排水を受け入れる下水道管を市町村が設置管理する公共下水道と、幹線や水再生センターなどの基幹施設を都が設置管理する流域下水道の二つから成り立っているわけでございます。
 したがって、事業を効率的、効果的に進め、多摩地域の安全・安心を支えていくためには、これは市町村と東京都が緊密に連携をしていくことが大切だと考えているわけでございます。
 そこで、市町村との連携につきまして、これまでの取り組み状況についてお伺いしたいと存じます。

○松島技術部長 市町村との連携につきましては、これまで単独処理区の流域下水道への編入への取り組みのほか、公共下水道と流域下水道を一体とした下水道管の台帳システムの構築や、水質検査の共同実施により維持管理業務の効率化を図ってきております。
 また、震災時などに避難所の仮設トイレから発生するし尿の運搬、搬出、それから、各水再生センターへの受け入れなどについて定めた覚書を全三十市町村と締結いたしました。
 平成二十四年度は、この覚書の実効性を高めるため、実際にバキュームカーを使用した実践的な訓練を実施いたしました。
 さらに、市町村の課題について意見交換するとともに、これまで下水道局が培ってきた技術やノウハウを多摩三十市町村に提供する場として、新たに下水道情報交換会を実施し、技術支援の強化を図っております。

○清水委員 特に流域下水道では、多摩地域全体の安全・安心確保を目指し、日々努力されていることがよくわかったわけでございます。そして、新たな取り組みとして、下水道情報交換会と称される会を実施されたとのことでございますが、日本の下水道をリードする東京下水道ならではの発想があってのことだと思うわけでございます。
 せっかくでございますので、この委員会の場で、この情報交換会の内容につきまして、ご披露していただければと思うわけでございます。

○松島技術部長 情報交換会の内容についてでございますが、多摩地域の公共下水道の下水道管については、総延長の約四割が三十年以上経過しており、今後、耐用年数を超過する下水道管が増加する見込みとなっております。
 そのため、市町村においては、下水道管の更新、耐震化などを計画的に進めていくことが大変重要となってまいります。既に一部の市ではこれらの事業に着手しておりますが、今後、他の市町村も本格的に取り組んでいかなければならないと考えます。
 そこで、平成二十四年度は、下水道管渠の老朽化対策や耐震化をテーマに、講義や更生工法のデモンストレーションを実施いたしました。また、市町村は財政面等の制約を踏まえた長期的な更新計画を策定するなど、いわゆるアセットマネジメントを進めていくための準備も必要となってきております。
 このため、今年度の情報交換会は、区部のアセットマネジメントの考え方や更生工法活用によるコスト縮減など、公共下水道の更新計画の策定をテーマに実施することとしております。
 さらに、この情報交換会を相互の情報交換、それからノウハウの共有の場のみならず、先般開設した下水道技術実習センター等を利用して、人材育成の機会としても活用していきたいと考えております。
 今後とも、各区市町村のご意見、ご要望をお伺いしながら継続的に実施してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。今後も市町村のニーズに合った内容で技術支援等を積極的に進めていただくとともに、多摩の市町村と十分に連携し、事業を進めていただければと思うわけでございます。
 本日は、浸水対策以外、網羅的に私が思うところ、あるいは過去一年間、先輩議員が行った質問を踏まえて、決算の質問をさせていただいたわけでございます。
 総じて申しますと、冒頭申し上げましたとおり、本当によくやっているなと思うわけでございまして、この収支等、事業ですから収支を見なければなりませんけど、この収益的な収支を見ても申し分ないなと私は思っているわけでございます。
 特に、この技術的な精度の高さというものにつきましては、今回の質疑の中でるるご披瀝があったと思うわけでございますが、そういった技術を、この東京都だけで皆さんに便益を供給するわけではなくて、先ほど申し上げましたとおり、これからは世界で一番の都市を目指していくというふうな気構えを、ぜひとも私ども自民党と共有をしていただいて、そういったすぐれた東京都の技術を世界的に発信していただきたい。こういうことを思っているわけでございます。
 先ほど唐突に局長に対しての質問要求をさせていただいてしまいましたが、もしお答えをいただけるなら、この点につきましては、ぜひご答弁を頂戴して終わりたいと思います。以上です。

○松浦下水道局長 東京下水道の技術力を生かしたさらなる国際展開についてでございます。
 東京下水道は、明治十七年の神田下水に始まりまして、既に百二十年以上の歴史がございます。下水道は、その時代、時代の最新の技術を活用しまして、お客様の安全で快適な生活と高度に集積した東京の都市活動を支えてまいりました。
 また、ことしは、下水道局が発足してから、ちょうど五十一年目の年に当たります。下水道は、この五十年間、安全・安心を支える施策、快適な水環境を創出する施策から国際展開に至るまで、多くの課題や困難に対しチャレンジし、道を切り開いてまいりました。
 このような事業促進の原動力となりましたのは、先人たちの知恵や努力によって築き上げられてきたこの東京下水道の技術力であります。
 東京下水道は、先ほども企画担当部長の方からちょっと触れましたが、今や、更生工法としてのSPR工法や、合流式下水道の改善設備である水面制御装置などの技術を、海外に輸出するほどになっております。
 また、マレーシア国との間では、包括的な下水道プロジェクトを進めるなど、国際展開にも局一丸となって積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、下水道関連企業の国際展開を局一丸となって後押しすることで、東京、ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化に貢献してまいる所存でございます。
 今後とも、都議会や関係市町村の方々とも認識を共有しながら、多摩地域、そして東京の将来を見据え、日本の下水道を牽引していく気概を持って、新たな半世紀に向かって、国際展開も含めて、下水道事業の展開を図ってまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○小林委員 私の方からは、災害対策及び下水道局の技術開発という視点で、何点かお伺いをさせていただきます。
 初めに、災害対策でございますが、いうまでもなく、首都東京の高度防災都市づくりは、喫緊の都政の最重要課題であり、全庁を挙げて取り組んでいくべきものであります。特に、近年、集中豪雨や、また大型台風などが頻発する中で、都内における浸水被害も多く発生しており、浸水対策は、首都ならではの重要な課題であるというふうに思っております。
 平成二十二年度から二十四年度までの三カ年を計画期間とする東京都下水道事業経営計画二〇一〇においても浸水対策の推進は大きく位置づけられているわけですが、この経営計画の最終年度となる本年二月には、私の地元練馬区の中村・豊玉地区において浸水対策を目的とした貯留量約二万五千立方メートルを要する貯留施設が完成をいたしました。
 この地域は、長年にわたって浸水対策が課題であり、地元住民の方の関心も高く、私も地域の方々と工事中の貯留施設を見学しましたが、このたびの完成を迎え、地域の浸水に対する安全性が向上したことは大変に喜ばしく思っております。
 今日まで下水道局として一つ一つ浸水対策を推進されてきたと思いますが、下水道施設の整備による浸水対策の取り組みについて、平成二十四年度末の状況について初めにお伺いをいたします。

○中島建設部長 下水道局では、時間五十ミリの降雨に対する浸水被害の解消を目指し、雨水の排除能力を増強する幹線やポンプ所など、基幹施設の整備を進めております。
 浸水の危険性が高く、優先的に整備することとした対策促進地区の二十地区につきましては、平成二十四年度までに墨田区八広など七地区で対策が完了し、平成二十九年度までに二十地区全てで対策が完了する予定でございます。
 お話のとおり、練馬区中村地区におきましても、本年二月に貯留施設が完成し、稼働しており、引き続き、より多くの雨水を取り込むための枝線工事を進めております。
 また、かつての川を利用している浅く埋設された幹線の流域などを、新たに重点地区二十地区として取り組むこととし、平成二十四年度には渋谷区恵比寿南など三地区で工事を進めております。
 さらに、特に浸水被害の影響が大きい大規模地下街九地区では、時間七十五ミリの降雨への対応を進めており、平成二十四年度までに東京駅八重洲口など四地区で対策が完了いたしました。

○小林委員 ありがとうございます。このような施設整備などのハード面での対策を着実に進めていく一方で、都民に対し、被害を未然に防いでいく情報発信などのソフト面も、あわせて充実させていく必要があると考えております。
 近年のゲリラ豪雨など気候の急激な変化を考えると、浸水に備えたリスクコミュニケーションの充実は、技術革新に伴うさまざまな媒体を利用して、迅速的確に情報を発信していくことが大事であるというふうに思います。
 そこで、都民に対する情報発信など、ソフト面での取り組み状況についてお伺いをいたします。

○坂根施設管理部長 浸水被害を軽減するためのソフト対策といたしましては、降雨や浸水に関する情報提供の充実を図る取り組みを進めており、お客様がみずから浸水に備えられるよう支援を行っております。
 具体的には、東京アメッシュにより、降雨情報をホームページなどでリアルタイムに配信し、降雨状況の把握に役立てていただいており、平成二十四年度のアクセス件数は六千百万件を超えております。
 また、下水道管内に敷設した光ファイバーネットワークにより、練馬区田柄川流域など、浸水被害が多く発生していた地域の八つの下水道幹線の水位を把握し、関係区へ提供しておりまして、その情報を区の水防活動に活用していただいております。
 さらに、毎年六月を浸水対策強化月間として、お客様に自助による浸水への備えをお願いするなど、浸水対策の取り組みを強化しております。
 今後とも、これらの取り組みを積極的に進め、浸水に対する安全・安心を確保してまいります。

○小林委員 昨今のこのSNSの進展、また日進月歩の技術開発によって、情報提供の手段や迅速性、これは格段に飛躍しているというふうに思います。
 私は、かつて、先駆的に携帯電話を活用した災害時の情報提供の取り組みを行った横浜市に行って、市の職員から取り組み状況を伺ってきましたが、なぜ携帯電話を活用しようと考えたのかと、きっかけについて担当の市職員にお伺いをしたときに、その市職員は、災害対策のために使えるものは何でも使おうと思ったというふうにいっておりました。
 私たち都議会公明党も、昨年の第二回定例会で、携帯端末の特性を活用した災害時の情報提供の必要性というものをお訴えをしまして、都として、本年三月よりスマートフォンやタブレット端末に対応した防災ポータルサイトというものを立ち上げましたが、下水道局としても、今後の浸水対策における情報発信を、さらに、充実強化していっていただきたいというふうに思います。
 あわせて、近年、五十ミリを超える降雨が頻発しておりますことから、雨水整備水準のレベルアップを図るなど、着実な浸水対策の強化をお願いしたいと思います。
 次に、下水道の震災対策についてですが、下水道施設の中でも、道路の下などに埋設され、都民にとって最も身近な下水道施設である下水道管が、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模な地震時に破損して、トイレなどが使用できなくなり、住民の生活に大きな影響が生じた事例が数多くございます。
 東日本大震災以降、私も幾度となく地域住民の方と防災対策について意見交換をする場がございましたが、そこで必ずといっていいほどご心配の声が上がるのが、トイレの問題でございます。
 下水道局では、災害時のトイレ機能を確保する取り組みとして、区と連携し、仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定の拡大を図っていると思いますが、区部における仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定拡大について、私の地元、練馬区の取り組み状況も含めて、あわせてお伺いをいたします。

○坂根施設管理部長 仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定につきましては、避難所などの周辺において下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、交通や応急活動などの支障とならない場所を対象に、区と調整して、指定拡大を図っております。
 二十三区内では、平成二十四年度に百三十カ所を指定し、累計で四千六百九十カ所となっております。このうち練馬区内では、これまでに百九十二カ所のマンホールを指定してございます。
 今後とも区と連携して、指定拡大に取り組んでまいります。

○小林委員 ありがとうございます。二十三区内のマンホールが約四十八万カ所あるというふうに聞いておりますので、累計で四千六百九十カ所指定ということですので全体の約一%でありますが、四十八万カ所という膨大なマンホールの数ですので、まだまだ仮設トイレを設置できるマンホールの指定の可能性は、大いにあるというふうに思っております。ぜひとも区などと積極的に連携して、指定拡大をさらに推進をしていっていただきたいと思います。
 災害時に使える仮設トイレの拡充を図っていく一方で、下水を処理する水再生センターなどへ下水を導く下水道管も大変重要でございます。下水道管が地震時にも安定して機能を発揮するよう対策を進めることは、極めて重要でございます。
 そこで、下水道管の耐震化について、区部全体、また練馬区の平成二十四年度末の進捗状況についてお伺いいたします。

○中島建設部長 下水道管の耐震化は、避難所など二千五百カ所のトイレ機能を確保するため、これらの施設から排水を受け入れる下水道管につきまして、管とマンホールの接続部の耐震性向上を図る対策を進めております。
 区部全体で平成二十四年度は四百二十五カ所で対策を終え、累計で二千三百八十カ所が完了いたしました。このうち練馬区内では、避難所として指定されている光が丘公園など百四十四カ所を対象とし、平成二十四年度には二十六カ所で対策を終え、累計百三十五カ所が完了いたしました。
 平成二十五年度末までに区部全域で対象としている全ての避難所などで対策を完了させることとしております。さらに今後は、災害復旧拠点となる国、都、区の庁舎など約約一千カ所に対象を拡大し、対策を進めてまいります。

○小林委員 本年度末までに区部で対象としている避難所の対策を完了させ、さらに今後、災害復旧拠点に対象を拡大するということでございますので、着実かつスピーディーな取り組みをお願いしたいと思いますが、二十三区内の下水道は平成六年度末に一〇〇%の普及を果たしており、下水道管の耐震化は、当然のことながら既存のマンホールや下水道管に対して、工事を実施しているものでございます。
 東京は、さまざまな都市機能や人口が集まり、下水道の耐震化工事は交通量の多い道路や市街地での施行がほとんどであり、工事を行うに当たり、さまざまな制約条件がある中で整備を進めなければならないわけですが、このような環境下での耐震化を進めるに当たって、工夫されている施工技術についてお伺いをいたします。

○神山技術開発担当部長 平成七年に発生いたしました阪神・淡路大震災の際には、下水道管とマンホールの接続部が損傷し、下水道機能に大きな障害が発生いたしました。
 その理由といたしましては、地震時に、下水道管とマンホールが地震の揺れに対して別々に動くことで、下水道管とマンホールの接続部が外れたり、破損することで、下水が流れなくなったためでございます。
 このため、当局が、監理団体である東京都下水道サービス株式会社や民間企業と共同で開発した技術を活用して、耐震化を進めてきております。
 具体的には、下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更して、地震の揺れによる力を吸収することで、下水道管とマンホールの接続部の耐震性の向上を図る技術であり、平成十二年度から導入してきております。
 この技術は、道路を掘らずにマンホールの中で工事を行えるため、交通量が多い道路や市街地においても小さな作業エリアで工事をすることが可能であり、周辺環境への工事の影響をできる限り少なくできる長所がございます。さらに、道路を掘削して行う工法よりもコストを縮減することもできる工法でございます。

○小林委員 今、この工夫されている施工技術、これについてお伺いをいたしましたが、東日本大震災などでは、液状化現象によりマンホールが浮き上がる現象が各地で確認され、道路交通の機能に大きな支障を与えました。
 東京にも東部低地帯などに液状化しやすい地域が広がっており、大きな影響が生じる可能性がある一方、道路を掘らずに対策を進めていくことも重要であるというふうに思います。
 そこで、マンホールの浮上を抑制するために工夫されている技術についてお伺いをいたします。

○神山技術開発担当部長 平成十六年に発生した新潟県中越地震におきまして、液状化現象に伴い、マンホールが多数浮上し、下水道機能のみならず交通機能にも支障を与えたことを踏まえ、道路を掘らずに施行することができるマンホール浮上抑制対策の技術を開発いたしました。
 平成二十年度から液状化の危険性が高い地域の緊急輸送道路などにおいて、この技術を積極的に活用して対策を進めてきております。
 この工法は、液状化現象により、地盤の内部で上昇した地下水圧を、マンホール内に逃がす消散弁と呼ばれる装置をマンホールの壁面に設置することで、マンホールの浮上を抑制するものでございます。
 工事に当たりましては、専用の施工機械を用いることでスピーディーに施行し、道路を掘って対策を行う場合に比べて、工期の短縮を図ることができる工法でございます。

○小林委員 ありがとうございます。この東京都下水道事業経営計画二〇一〇においても、このマンホールの浮上抑制対策、これは主要な施策として位置づけられているわけですが、計画の最終年度となる平成二十四年度末のマンホール浮上抑制対策の進捗状況について確認をいたします。

○中島建設部長 マンホールの浮上抑制対策は、平成二十二年度までに緊急輸送道路など約五百キロメートルでの対策が完了しており、平成二十三年度から緊急輸送道路と避難所などを結ぶアクセス道路に対象を拡大して取り組みを進めております。平成二十四年度は約二百十キロメートルで対策を終え、累計で約二百八十キロメートルが完了いたしました。
 今後も、道路を掘ることなく下水道管の耐震化を図る技術や、マンホールの浮上を抑制する技術を積極的に活用しまして、地震時においても、トイレ機能と交通機能を確保できるよう、下水道管の耐震化に取り組んでまいります。

○小林委員 さまざま工夫されている技術についてお伺いをいたしましたが、こうして開発した技術は、都の下水道事業に活用していくとともに、ほかの都市の事業でも使えるものは幅広く展開していく、このようなことが大事ではないかというふうに思います。
 その際、開発した技術に対して特許などを取得し、知的財産権を守っていくということも重要でございます。
 そこで、現在、下水道局が保有する特許などの件数はどのくらいあるのか、また、直近ではどのようなものを出願しているのか、お伺いをいたします。

○熊谷経理部長 平成二十四年度末時点で、下水道局では、特許権、実用新案権など、出願中のものも含めて百七十件の特許等を有しております。これは、都庁全体が保有する特許等の総件数の約五割を占める実績となっております。
 保有する特許等の内訳といたしましては、下水道管渠に関するもの三十一件、水処理に関するもの三十九件、汚泥処理に関するもの二十二件などとなっております。
 直近の出願状況ですが、平成二十四年度に出願したものとして、下水の処理過程で発生する一酸化二窒素の濃度を測定する際に測定の妨げとなる成分を取り除く装置や、下水汚泥を効率的に燃料化するために、水を吸収しやすい有機溶剤を用いてより少ないエネルギーで脱水汚泥の乾燥を促進する技術がございます。

○小林委員 この都庁全体の約五割の特許を下水道局が保有しているとのことですが、下水道事業の推進に当たって、他局の事業における技術では適用できない、そのために、下水道局として民間とも協力をしながら必要な技術開発を行ってきたということが、都庁の半分を占める特許などの数になっているというふうに思っております。
 都民のために、何をしなければならないのか、何が必要なのかを考えて、今ある技術、また制度では対応できないのであれば、新たなものを生み出していく。この姿勢は全庁的に共有をしていかなければならないと思いますので、この下水道局の取り組み、また経験というものを、都庁内にぜひとも広げていっていただきたいというふうに思います。
 下水道というのは、ふだん私たちの目に触れることは余りありませんが、当たり前のように日常生活を支えているものの大事な柱の一つが、この下水道であるというふうに思います。
 日本の歴史をひもといたときに、日本では、ヨーロッパのように伝染病に余り悩まされることがなかったために、衛生問題が顕著ではなかった。そのために、この下水道整備がおくれてしまったという指摘もありますけれども、今や、この日本の下水道技術は、先ほどの特許などの数にもあらわれているように、海外からも注目をされ、国際展開するまでに至っております。
 縁の下の力持ちという言葉がございますが、まさにこの言葉のとおり、人知れず、しかし、その存在なくしては都民生活が成り立たないのが下水道であるというふうに思います。
 震災、浸水対策、地球温暖化対策、水質改善対策など、なすべき課題は山積しておりますが、今後とも快適な都民生活を支えていくために、文字どおり縁の下の力持ちとして、ご努力いただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○尾崎委員 私の方からは、東京電力の原発事故にかかわる放射能の影響について伺います。
 私の住んでいる東大和市やお隣の武蔵村山市では、東京狭山茶の放射能による風評被害がいまだにあって、お茶製造販売業の方は大変な思いをしています。中には、東京狭山茶という屋号が入っていったものを変えての商売を続けている業者の方もいる次第です。
 東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故は二〇一一年三月十一日でしたが、同年五月には、立川市や八王子市などの下水処理場の汚泥から、高濃度の放射性物質が検出されたことがマスコミでも報道され、話題になりました。
 原発事故による放射能の影響は、下水の汚泥処理についても大きな影響を受けたと思います。
 最初に、流域下水道の汚泥焼却灰の処分について、どのような影響、変化があったのか、まず事故前はどうだったのか伺います。

○松島技術部長 流域下水道では、七カ所の水再生センターから年間約二十六万トンの下水汚泥が発生していました。東日本大震災前は、この下水汚泥の全量を焼却し、セメント原料などの資源として活用しておりました。

○尾崎委員 それでは、原発事故後はどうなったのでしょうか。その点について伺います。

○松島技術部長 福島第一原子力発電所の事故に伴い、汚泥焼却灰などから放射性物質が検出された影響により、資源化が不可能となりました。
 多摩地域には焼却灰を埋め立てできる管理型処分場もないことから、関係区ほか多くの方々のご理解をいただき、飛散防止の措置を講じた上で中央防波堤外側埋立処分場に埋め立て処分しております。

○尾崎委員 先ほどのご回答で、七つの水再生センターから年間二十六万トンの下水汚泥が発生し、現在焼却灰は、再資源化を中止し、埋め立て処分しているということでした。そのようなことであれば、放射能検査や仮置き場、作業所なども含め、費用の増加があると思いますが、その増加分は市町村の負担になっているのでしょうか。その点について伺います。

○小山総務部長 福島第一原子力発電所の事故に起因した放射性物質の対応によりまして増加した経費につきましては、東京電力への賠償請求の対象となっておりまして、関係市町村の負担とはならないものでございます。

○尾崎委員 昨年の決算特別特別委員会で我が党は、原発事故の影響については国と東電に強く賠償を求めるべきだと要望してきましたが、東京電力の賠償は現在どのようになっていますか。

○小山総務部長 現在、放射線の測定費用や放射性物質を含む汚泥焼却灰等の保管処分費用など、当該の事故との因果関係が明確になったものにつきまして、順次、東京電力に対して賠償請求を行ってございます。
 平成二十四年度決算では、下水道事業会計全体で約二億二千万円の収入となっているところでございます。

○尾崎委員 約二億二千万円というご回答でしたけれども、このほかにも人件費などについても賠償対象となっているのでしょうか。

○小山総務部長 人件費につきましても、追加的な負担を余儀なくされた手当等は、賠償対象となる旨を確認してございます。

○尾崎委員 下水道局のホームページには、下水処理における放射能濃度等測定結果が掲載されています。下水汚泥焼却灰の放射能濃度は逓減傾向にあるようですが、まだまだ高い状況です。今後も賠償請求を続けていくことになると思いますが、いかがでしょうか。

○小山総務部長 これまで事故発生から支出した経費につきまして、順次、請求を行ってきておりまして、今後も適切に賠償請求を行ってまいります。

○尾崎委員 きょうの質疑を通じまして、この問題がいつまで続くのか、いつ解決するのか、全く見通しがつかない状況だということがわかりました。セシウム134は半減期二年、ところが、セシウム137は半減期三十年です。
 六十年後で四分の一、百二十年後でようやく十六分の一になるということです。引き続き、国と東電に賠償を求めることを要望していきます。
 福島の原発事故から二年七カ月が経過しても、このような事態があるわけです。国は、事故の収束宣言をしましたが、収束などしていないことが明らかです。我が党は、事故収束宣言を撤回し、原発はゼロにして、再生可能エネルギーへの転換を政府に求めています。
 私の地元、東大和市内の空堀川河川敷の約百平方メートルにわたる地点で、地上一メートルの高さでの空間放射線量率がほぼ毎時〇・二マイクロシーベルト以上であることが確認されました。最高地点は毎時〇・三三マイクロシーベルトで、東大和市駅前バスターミナルでは毎時〇・〇七マイクロシーベルトですので、約四・七倍になっています。先月にも調査をしましたが、若干の逓減はあるものの、基本的に同様なことが確認ができています。
 地上五十センチから一メートルの高さで毎時〇・二三マイクロシーベルト以上という数値は、環境省が年間被曝線量一ミリシーベルト以上になるとして定めた汚染状況重点調査地域の除染基準に相当するというものです。
 私たちは、専門家に現地を見てもらい、こうした高い空間放射線量率が出た要因について見解を伺いました。その結果、増水時に地域の放射性物質を含んだ汚泥が河川敷に流れ込んだので、周囲よりも比較的高くなったことに加えて、すぐ上流部に開口している下水道の雨水管によって原発事故発災後の放射性物質を含んだ雨水、汚泥が、その雨水管を通じて集中的に繰り返し流れ込み、堆積したことによるものと推定されるとのことでした。
 都民の安全を考慮して、雨水管の放流口が併設されている河川敷については、その周辺の調査を行うよう、既に五月、東京都に要望していますが、改めて都に対して調査と除染を行い、東電に賠償を求めるものです。
 下水道処理施設は、都内でも有数のエネルギー消費事業所となっています。原発に頼らない社会、地球温暖化対策のため、下水道として、省エネ化、さらに、太陽光発電や小水力発電など、再生可能なエネルギーの活用を進めるよう求めて、私の質問を終わります。

○あさの委員 私からは、この二十四年度決算について、経営状況、それから事業内容等についての質問をさせていただきたいと思います。
 他会派さんと少し重なるところがありますが、その部分についてはさくさくと進めさせていただきたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 まず最初に、経営状況についてお伺いいたします。
 決算説明の際にいただきました資料、東京都下水道事業会計決算説明資料の一ページ目に収益的収入という項目がございますが、その中での営業収益の根幹をなします下水道料金というものの収入がございます。二十四年度の予算の時点では千六百九十二億二千八百万円というふうに見積もっておられましたけれども、決算額では約千六百六十七億三千六百万円ということで、執行率九八・五%という数字になっておりますが、この差が約二十四億九千二百万あるということになっております。予算と決算で大分乖離されているというふうに感じますけれども、この乖離の理由について伺いたいと思います。

○小山総務部長 下水道料金収入の予算と決算の乖離についてでございますが、収入率は九八・五%でございまして、おおむね予算の見込みに近いものであったというふうに考えてございます。
 乖離の理由を強いて挙げるとすれば、東日本大震災以降、省エネルギー、省資源に対する都民の意識が高まりまして、一層水の利用を控えるようになったというようなことが考えられると思います。

○あさの委員 水は資源であるという考え方をしていけば、できるだけ使用量を抑えていくという発想はいいことでありますし、ただ、抑えられると、今度は、実は下水道局としての収入が減ってしまうという、非常に難しいジレンマがあるということも理解します。
 また、予算を組んでやるというのは、普通の企業とはちょっとなかなか乖離する部分はあると思いますが、ただ、やはり発想として、一般企業として考えるのであれば、当然、売り上げの根幹をなす収益、この部分で収入を上げるんだというところが、どのくらいになるのかというところはしっかりと読み込んで、それをどうやってでも達成するんだという気概というのが、実は企業では必要になってきます。
 この公営企業、特にこのライフラインである下水道を担っていらっしゃる下水道局として、もちろん、だからじゃんじゃん使ってくださいというPRができるわけでもなく、また、予算の段階で、ある程度の額を見積もっておかなければ、支出の方の予算が組めなくなってしまうというところもございますので、その中身について理解は示したいと思いますが、発想として、企業経営の感覚というのは忘れないでいっていただきたいと思います。
 では、その中身で、料金収入というのが、少しずつ、毎年毎年ですね、環境意識の高まりなのかどうかわかりませんが、年々減少傾向にあるという話を伺っております。だとすると、当然のことながら、下水道局としての収入、収益というのが下がっていく。その中で、下水道のサービスというのが、どのような影響が出るかということについて、非常におそれを感じるところもございます。
 それで、だとして、水の利用を控えるのがどんどんどんどん進んでいくことによって料金の収入が下がっていけば、当然、では単価を上げなきゃいけないという発想になり得るものだと思いますが、将来、それでは料金改定するとなると、またそれはそれで私としても心配になるわけでありますが、将来に向けた料金改定というのについてどのように考えているのか伺いたいと思います。

○小山総務部長 ご指摘のとおり、下水道料金収入は平成十一年度をピークに、使用者の小口化傾向などもございまして、減少傾向が続いている状況にございます。
 一方、支出の面では、膨大な下水道施設を適切に維持管理していくために多額の経費がかかるとともに、電力料金の改定などの状況もございます。
 さらに、老朽化施設の再構築など、施設の建設や改良にも財源が必要となるなど、厳しい経営環境が続いてございます。
 このような中にありまして、建設から維持管理に至るトータルコストの縮減や職員定数の削減など、業務執行体制の見直しを進めますとともに、資産の有効活用による収入の確保を図るなど、可能な限りの企業努力に取り組むことで収支の改善に努め、平成十年度から現行の下水道料金水準を維持してきたところでございます。
 今後も安定的な下水道サービスの提供を実現するため、不断の経営効率化に取り組み、健全な財政運営に努めていく考え方でございまして、ことし二月に策定した経営計画二〇一三におきましても、料金水準を維持することとしてございます。

○あさの委員 これからも料金水準をできるだけ維持するんだというご答弁をいただきました。まさに本当にそれをお願いしたいと思います。またそれを、都民の皆さんに理解を求めていくためには、先ほど申し上げました収入、そして支出という発想だけではなくて、やはり利益率といったものを上げていくんだという発想をぜひ持っていただきたい。そして、それをぜひ世の中に対してPRしていくということを求めていきたいと思います。
 公営企業というのはなかなか難しい、特にこの下水道局の仕事内容ですと、一般の民間企業のように営利の追求だけはしていられないと。しかし、一方で、公営企業とはいっても企業がついている以上、とはいっても利益はちゃんと出していかなきゃいけないという、なかなかジレンマが非常に強いところだと思いますが、それでもその中において、皆さん方の努力というものが見えるような形で、そして、それがちゃんと検証できる形で、数値として報告できるような体制を常に続けていっていただきたいと思います。
 続きまして、ここが他会派さんともちょっと話がかぶってくるところだと思いますが、事業の中身について伺いたいと思いますが、下水道施設の再構築について、まず伺いたいと思います。
 この再構築ですけれども、先ほどの話があったとおり、下水道施設というのは、これから先、老朽化していく中で、再構築を進めていかなければいけないという話がございます。先ほども他会派さんのご答弁の中でも大分重なる部分がありますが、この部分について、再度伺っておきたいと思います。この計画と平成二十四年度末での進捗状況について伺いたいと思います。

○渡辺計画調整部長 区部の下水道は、百年余りの歳月をかけ、平成六年度末に一〇〇%普及概成を達成しました。しかしながら、施設の老朽化が進んでいることから、平成七年度より再構築を計画的に実施してきております。
 具体的には、下水道管のうち比較的規模の小さい枝線については、整備年代の古い都心部の約一万六千ヘクタールを対象に、平成四十一年度末までの完了を目標に再構築を進めてきており、平成二十四年度末までに対象地域の約二八%に相当する四千六百ヘクタールの再構築を完了させました。
 また、規模の大きな下水道幹線については、全体で約一千百キロメートルのうち、昭和三十年代以前に整備され、老朽化が進んでいる百十五幹線、約三百キロメートルを対象に再構築を進めておりまして、平成二十四年度末までに約四十一キロメートルを完了させました。
 さらに、水再生センターやポンプ所などの設備の再構築につきましては、主要な機器約四千台のうち、平成二十四年度末で累計約一千六百台の再構築が完了いたしました。
 今後も引き続き、下水道施設の再構築を計画的に進め、お客様の安全で快適な都民生活や都市活動を支えてまいります。

○あさの委員 ご答弁ありがとうございます。先ほどの他会派さんのお話の中でも、三年で二十キロペースとかですね、三割アップしましたとかという話もございました。今のお話の中でいけば、整備年代の古い規模の小さい枝線について、約二八%進んでいますと。規模の大きな下水道幹線については、今お話にございましたとおり、老朽化が進んでいる約三百キロメートルのうち四十一キロメートルですから、これがおおよそ七%強という状況だと思います。それから、主要な機器については、台数でいけば四割程度が進んでいるという状況だと思われます。
 これから先、もちろんどんどんどんどん老朽化というものが出てきますし、もちろんそれについて計画的に進めているということでございますから、計画をできるだけ前倒しするぐらいのつもりで速度アップ、スピードアップを進めて、どんどんどんどん再構築というのを行っていっていただきたいと思います。そのためのご努力ということについても、ご尽力をぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、汚泥の焼却設備についてもお伺いをしたいと思います。
 汚泥焼却炉ですけれども、実は先日、流域下水道の清瀬にございます水再生センターというところを、中身を見てまいりました。施設が非常に大きくてですね、国体の際には、その上部にありますサッカー場を使って、女子サッカーの試合が行われるなど、非常に広大な施設でございました。
 さらに、非常にきれいにも整備されておりますし、実際にその処理場のシャッターをあける--あけてもほとんど感じなかったんですが、あける寸前まで、その近くに行ってもほとんどにおいを感じないというぐらい、すばらしい設備だなと思いました。
 また、そこの場でも、非常に、職員の皆さん方にも丁寧にさまざまな説明をいただいたことについては、この場をかりて感謝も申し上げたいと思います。
 その模様についても、私は実は動画で撮影をさせていただきたいという申し込みをしまして、それについても快く受けていただきました。都の部署、あるいはさまざまな施設というのは、動画撮影での視察というのを申し込むと断るところが非常に多いんですね。これから先の時代は、できるだけ表に見える形、もちろん見せられないものは当然ありますから、断るのは当然の権利として、私は構わないんですけれども、むしろPRした方がいいと思うものは積極的にそういうのも受け入れていただければありがたいなと。
 そういった意味で、清瀬の水再生センターというのは、積極的に受け入れていただき、そして、さまざまなものを見せていただくということで、非常にいい勉強になりました。
 ところで、その際、見させていただきましたガス化炉というのが、たしか平成二十二年度に運転開始をしているんじゃないかと思いますけれども、その当時といってもまだ三年前ぐらいですか、その当時で世界最新の技術といわれるようなものを使って行っていたと思います。非常に機能がすぐれていまして、電力を供給して、またそれを使っていくというようなことも行っておりました。
 下水道施設はどうしても非常に多量な電力を使いますけれども、このガス化炉によって補填をしていくということも、非常に、中でぐるぐるエネルギーを回せているという発想で、すばらしいものだなと思います。
 余りにもすばらしいと思いましたので、ほかの施設にもどんどん導入しているのかなということをその場でもお伺いさせていただきましたが、実はこのガス化、その汚泥を処理していく技術というのが、日進月歩で三年たっただけでも物すごいいろんなものが設備が進んでいて、本質的な技術論のところはそんなに変わっていないんだけれども、さらにさまざまな付加技術などがどんどんどんどん追加されていて、いろんなものが今はあるんですと。それに応じて、必要なものに応じて、その地域の特性に応じて、整備を進めているというようなお話を伺いました。
 この下水道設備の中でも特に非常に規模が大きくて、いわゆる地球の温暖化の影響を疑われております温室効果ガスの排出に、最もかかわりの強い汚泥の焼却設備については、温室効果ガスの削減などが図られる、そういったような最新技術の導入が必要であると考えております。
 そこで、このガス化炉のような新しい技術を用いた汚泥焼却設備には、まずどのようなものがあるのかについて伺いたいと思います。

○神山技術開発担当部長 下水道局では、当局が作成した地球温暖化防止計画でございますアースプラン二〇一〇に基づき、下水汚泥の焼却時に発生する二酸化炭素の約三百十倍の温室効果を持つ一酸化二窒素の削減に着目し、その削減効果の高い汚泥焼却技術の開発、導入を図ってまいりました。
 お話の清瀬水再生センターの汚泥ガス化炉は、下水汚泥を低酸素状態で熱分解してガス化することで、温室効果ガスを大幅に削減するものでございます。
 このほか新しい技術を取り入れた汚泥焼却設備といたしまして、ターボ型流動焼却炉と多層型流動焼却炉の二つがございます。汚泥の焼却時には空気が必要なわけでございますが、ターボ型流動焼却炉は、焼却に必要な空気を電力を使って送り込む送風機のかわりに、運転中に電力を必要としないターボチャージャーという設備に変更することで、電力使用量を大幅に削減できる焼却炉でございます。
 また、多層型流動焼却炉は、焼却に必要な空気を複数の位置から焼却炉の内部に送り込み、効率的に汚泥を焼却することで、補助燃料と一酸化二窒素を大幅に削減する設備であり、更新時だけではなく、既存の焼却炉の部分的な改造にも対応できるというメリットがございます。

○あさの委員 今伺っただけでもかなりさまざまな技術があって、すばらしいなと思います。こういった新しい技術開発には、より効率的かつ効果的な性能を目指して、さまざまな創意工夫というのが本当に込められているんだなということが実感できました。
 今後もこういった温室効果ガスの増加というのが見込まれていく。今おっしゃっていたN2Oや、それから二酸化炭素、CO2といったものも削減していかなきゃいけないと思いますけれども、この最新技術の導入というのを着実に進めていくために、どのようになっているのか、この温室効果ガスの削減などに寄与する汚泥焼却設備の平成二十四年度末までの導入状況と、それから今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○渡辺計画調整部長 温室効果ガスの削減などに寄与する汚泥焼却設備の平成二十四年度末までの導入状況についてでございますが、まず、お話のとおり、清瀬水再生センターで既に汚泥ガス化炉を整備済みでございます。
 また、ターボ型流動焼却炉は、浅川水再生センターに整備が完了し、葛西水再生センターなど二カ所で整備中でございます。さらに、多層型流動焼却炉は、新河岸水再生センターなど二カ所で整備が完了し、東部スラッジプラントなど三カ所で整備を進めております。
 今後とも、焼却設備の再構築に合わせ、新しい技術の導入を図ってまいります。

○あさの委員 この汚泥焼却設備ですけれども、非常に下水道局らしいというか、出口の部分でも抑制をしていくということが非常に大切だと思うんですね。
 よく水道でいえば入り口というか、供給されるのが上水道、そして、その出口となるのが下水道でございます。電力も、発電所というのがいわゆる入り口、供給側でございまして、そして使用する側、この場合は、下水道局さんでいえば、水再生センターのポンプだったりさまざまな電力設備というのを使いますし、今現在の日本全国におけるさまざまな設備というのも、かなり電力というのを使ったりいたします。
 何かというと、常に再生可能エネルギーという言葉も出てまいりますが、もちろん再生可能エネルギーも重要だとは思いますけれども、私としては、こういった汚泥焼却設備のように、むしろ出口のところで、今まで使っていた分の電力をどのように抑制していくかという発想での技術進歩というのも非常に大事だと思いますし、そこに取り組んでいる下水道局の皆様方に敬意を表したいと思います。
 これからも、もっともっとこういった技術をさらに進歩させていただきまして、それをできるだけ、これから新たに、先ほどのご質問等にもありました、世界中で新たに整備される下水道関係の設備などで積極的にこういった新しい技術を採用していくことで、最初から世界中の電力使用量、ひいては温室効果ガスの削減につながるような取り組みを期待していきたいと思います。
 さて、このようにさまざまな取り組みをしていただいている下水道局でございますが、実際なかなか目に触れないというのがさまざまなお話でもございましたし、私自身も実感するところでございます。
 お恥ずかしながら、私もこの間、水再生センターに行かせていただきまして、下水道の処理のすばらしさ、そしてその進歩ですね、私が子供のころに学んだことよりもはるかに進歩していて、物すごくすばらしいものになっているんだということを勉強させていただきました。こういった下水道局が行っている取り組みについて、しっかりと広報していくことも、これから先、重要であると思います。
 下水道局の広報施設であります虹の下水道館というのがこの二十四年度にリニューアル工事を行いまして、今年度早々にはオープンしたようでございますけれども、今年度に入って約半年たっている状況でございますが、まず、この二十四年度上半期と、そして、ことしの上半期を比べまして、入場者数というのはどのように変わっているのかお伺いしたいと思います。

○小山総務部長 虹の下水道館についてでございますが、「どかんと感動!下水道」ということをリニューアルのコンセプトとしてございまして、お客様に、下水道ってすごい、おもしろい、ありがたいと感じていただけるよう、実物大の下水道管やポンプ設備などを展示し、ここでしか体験することができない空間をつくり出しまして、これにより下水道の役割や重要性を体感していただけるよう運営してございます。
 リニューアルオープンいたしました、ことし四月二十日から九月末までの虹の下水道館の来場者数は約二万三千人でございまして、昨年同時期に比べ約四〇%、六千四百人余り増加しております。リニューアルの効果があらわれていると考えてございます。

○あさの委員 私、まだ実はこの虹の下水道館はパンフレットしか見ていなくて申しわけないんですが、一度行こうとは思っておりますけれども、非常に評判のよい下水道館であるというふうに伺っております。
 今現在、四〇%以上ふえているということで、これもリニューアルの結果が出たんだなと思いますが、もとはといえば、リニューアルしたこと自体は、この広報施設自体のまずは来場者数をふやしていくということですが、本当の目標は何かというと、下水道に対する理解を深めてもらうということだと思うんですね。ということであれば、その目標に対して効果をしっかりとはかっていくことが必要だと私は思います。
 今回でいえば、もちろん人数がふえたことがまず大前提、すばらしいことで、結果が出ているといえると思いますが、さらに、それがどのくらいの理解に進んでいるのかということを、ちゃんと確認できるようなものをしていくべきではないでしょうか。
 ホームページの中に、例えばキッズコーナーというのがございまして、バーチャル下水道というところがございます。そのコーナーをずっと追っていくと、大体、学校や自宅のトイレなどから水がどのように流れて、どのように処理されて、そして、その途中途中で更新に対する工事のあり方や、さまざまな今の下水道局の取り組みについて学びながら、最終的に河川に水が戻っていく、水再生されていくというところまでを、ゲーム感覚で取り組んでいける非常におもしろい取り組みではございますけれども、例えばこういったものも含めて取り組んでいく中で、仮称ですけれども、下水道博士検定とか、どのくらい理解が進んでいるんだろうかということが効果的にはかれるようなものも考えていただけるといいのかなと思います。
 下水道局の先ほどの、今のリニューアルのコンセプトにもありました「どかんと感動!下水道」とか、その前に、油をできるだけ流さないでいただきたいといった「油・断・快適!下水道」キャンペーンとか、こういった委員会の場でぱっと聞くと、何かただの駄じゃれっぽく聞こえる言葉ではございますけれども、ただ、私、実はこういう感覚は非常に重要だと思うんですね。何せ行政がやることはかたいといわれるわけですから、公営企業の皆さん方は、こういう一瞬ちょっとくだらないかなと思うようなことでも、それによって意識が高まる、あるいは関心を持ってもらえるんであれば、こういった言葉も多用していくのは非常に歓迎すべき事態だと私は思っております。
 これまでの質問の中で、下水道局というのが施設の再構築、これは着実に努めていただきたい。先ほどのキッズコーナーのホームページの途中でも、実は年間に--今現在がどうなっているかきちっと確認をしておりませんが、年間でもまだ、例えば道路の陥没等につながることが数件ありますよとかというのも出ておりますので、そういったことも含めて、それが起きないような再構築を着実に、そしてスピーディーに進めていただくということ、それから、先駆的な技術も導入していただいておりますし、都民の安全と安心を支えていただいているということもよくわかってきたわけであります。
 さて、一番大事なことは、その都民の理解と、そして協力を仰ぐことだと私は思います。ふだん余り目にしない下水道というもの、どうやって都民の方々に理解を進めていくか。これは、もう本当に広報、PRにかかっているといっても過言ではありません。
 そこで、今後、どのような方策でPRを進めていくのかを伺いたいと思います。

○小山総務部長 下水道は、一旦整備が進みますと、目につきにくい、当たり前の存在になりまして、関心が薄れ、事業に対する理解というものも得られにくくなりがちでございます。このため、見えない下水道を見える化する、こういった広報活動に力を入れてございます。虹の下水道館のリニューアルは、その取り組みの一つでございます。
 また、下水道施設としては日本初の重要文化財であります旧三河島汚水処分場喞筒場施設も復元工事、保存工事を完了いたしまして、近代下水道の歴史を体感できる施設として、ことしの四月に一般公開をいたしました。
 見える化の取り組みにつきましては、これらにとどまらず、多摩地域の流域下水道の連絡管を初め、実際の下水道施設の計画段階から取り組みたいというふうに考えてございます。
 さらに、平成二十四年度からマスコットキャラクターのアースくんを用いて新たにツイッターを始めるなど、広く都民の皆様に情報発信するほか、浸水対策強化月間、「油・断・快適!下水道」キャンペーンや各種のイベントも充実させて取り組んでまいります。
 今後ともお客様とのコミュニケーションの充実を図りまして、下水道の役割や大切さを理解していただき、東京下水道の応援団をふやしていきたいというふうに考えてございます。

○あさの委員 ありがとうございました。下水道の役割というのは本当に重要でして、非常に大切なライフラインであることは間違いありません。都民の皆様方も、上水道、つまり自分の口に入ったり、あるいはさまざまなところで使用する水の出てくる給水のところには非常に意識を持っていくんですが、実は使った水は必ずどこかに出ていくんだと。そして、それはまたきれいな形で自然に返されていくんだということまでは、なかなか意識が向かない場合も多いのではないでしょうか。
 都民の方々に協力を仰ぐということが、実は下水道の--例えば、施設の延命化であったりとか、あるいは自然環境の保護であったりとか、さまざまな汚泥の焼却一つとってもそうですが、そういったものも含めて、実は都民一人一人の協力を仰ぐことが最もコストが安く、効果が高いことだと私は考えております。
 その観点でいくためには、実はこの広報、PRというところにも力をかけていただきたい。もちろん、ここに湯水のごとくお金をかけるという意味ではなくて、今はさまざまな手法があって、そして、いろんなアイデアで、そんなにコストをかけなくても効果のあるPRというのもできるわけでございます。そういった部分を一つ一つ考えながら、ぜひこれまでの下水道というのが、これから公営企業を堅持しながら、何でもかんでも民営化するというような流れには乗らずに、東京都としてもしっかりと努めていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

○山内委員 質問させていただきます。
 まず、合流式下水道の改善から伺います。
 東京は、明治時代から近代下水道の整備を進め、人々の快適な生活環境を実現してきました。トイレの水洗化などによる衛生環境の改善と頻発する浸水被害への対応は、人口が急激に増加する二十三区にとっては、早急に整備しなくてはならない課題でした。そこでとられたのが、汚水と雨水を一つの管で流す合流式下水道という方式だったのは、やむを得ないこととは思います。
 しかし、一本の管を整備すればよい合流式下水道は、安く、早く整備ができる反面、大雨が降ったときに下水道管から河川や海などへ放流する吐き口から、汚水まじりの雨水が流れ出て、水環境に大きな影響を与えているという問題があります。
 最近多発しているゲリラ豪雨では、あっという間にマンホールが持ち上がるなどの状況が起きたり、河川の水質悪化の一因ともなっています。
 東京の良好な水環境を創出するには、合流式下水道を改善する取り組みが重要であると考えます。
 そこでまず、合流式下水道を改善する取り組みについてお伺いいたします。

○渡辺計画調整部長 合流式下水道の改善対策については、これまでに、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水する下水道幹線、吐き口から河川などへ流出するごみなどを取り除く水面制御装置、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設などの整備を行っております。この貯留施設にためた下水については、雨がやんだ後に、水再生センターへ送水し、処理してから放流しております。
 また、雨天時に放流された下水の影響を受けやすい流れの少ない河川区間などで、十四水域を対象に重点化して取り組み、例えば、水質への影響が少ない大きな河川や海などへ放流先を変更する対策も進めてきております。

○山内委員 合流式の改善をしているということはお伺いいたしました。平成二十四年度末での合流式の改善の状況をお伺いいたしたいと思います。

○中島建設部長 平成二十四年度までに、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水する下水道幹線の整備につきまして、対象である百五十六キロメートルのうち百五十五キロメートルが完了するとともに、水面制御装置などの設置につきましては、対象である七百三十三カ所のうち七百十八カ所が完了しております。
 降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備につきましては、平成二十四年度に砂町水再生センターで二万立方メートルが完成し、累計で約百三万立方メートルとなっております。
 引き続き、良好な水環境を創出するために、合流式下水道の改善に取り組んでまいります。

○山内委員 今のお話で、ごみの流出を抑制する水面制御装置というのが出てきておりました。今年度ではございませんけれども、今後、高速ろ過施設というんでしょうか、雨天時の流出下水を、ろ材で汚濁物を除去する施設も、今後三カ所というお話でしたでしょうか、整備していくということでしたので、期待をしたいと思っております。
 合流式下水道は、想定以上の雨が降った場合、下水管や水再生センターが対応し切れなくなってしまうことは問題として残るもので、可能な地域においては雨水浸透を推進していくべきではないかと考えております。
 その上で、東京の水環境をより早く、よいものにしていくために、水再生センターにおける取り組みを積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、下水道における再生可能エネルギー等の活用についてお伺いいたします。
 石油などの化石燃料から再生可能エネルギーに転換することで温室効果ガスの削減ができます。また、今後の電力供給源をさまざまなエネルギー源に分散し、電力確保のリスクを分散させる観点からも、再生可能エネルギー等の活用を推進していく必要があると考えます。
 下水道局は、下水を処理する過程で大量のエネルギーを使用し、都内の使用電力の約一%を消費している事業者であることからも、再生可能エネルギー等の活用をしっかり進めていくべきです。
 経営計画二〇一〇の中では、環境負荷の少ない都市の実現に貢献するために、地球温暖化対策の一環として再生可能エネルギーの活用等を進めていると伺っております。
 そこで、下水道事業の再生可能エネルギー等の活用について、平成二十四年度の発電量を含めてお伺いいたします。

○坂根施設管理部長 下水道局では、下水処理水の放流落差と豊富な水量を利用した小水力発電や、下水汚泥の処理過程で生じるメタンガスや焼却廃熱等を活用した発電事業、また、発電効率を高めるために太陽の動きに合わせパネルを回転させる太陽光発電設備の導入など、再生可能エネルギー等の活用を進めております。
 平成二十四年度の下水道事業における再生可能エネルギー等による年間発電量は約三千八百万キロワットアワーであり、これは一般家庭の約一万一千世帯分の年間使用電力量に相当するものでございます。

○山内委員 年間発電量が一千万キロワットアワーを超える下水汚泥を活用した発電は、再生可能エネルギー等の活用に大きな役割を果たしていると考えます。
 そこで、規模の大きい下水汚泥を活用した発電の内容についてお伺いいたします。

○坂根施設管理部長 下水汚泥を活用した発電で大規模なものは、主に森ヶ崎水再生センターと東部スラッジプラントで導入しております。
 森ヶ崎水再生センターでは、下水汚泥を消化する過程で汚泥中の有機物が分解して発生するメタンガスを発電燃料として利用し、発電しております。平成二十四年度の年間発電量は約二千二百万キロワットアワーであり、これは当該事業所の使用電力量の約二割を賄うものとなっております。
 また、東部スラッジプラントでは、汚泥焼却炉の廃熱を回収し、発電に利用しており、平成二十四年度の年間発電量は約千三百万キロワットアワーでございまして、当該事業所の使用電力量の約三割を賄っております。

○山内委員 次に、太陽光発電についてお伺いいたします。
 太陽光発電は、一般家庭でも普及されているように、建物の屋根などの空間を利用することで導入しやすいのではないかと考えます。
 私も葛西水再生センターを見学して、その様子を見せていただきました。また、京葉線からも電車からも見えます。大変有効な施設利用だと思われました。
 そこで、太陽光発電の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○渡辺計画調整部長 太陽光発電につきましては、ただいまお話のございました葛西水再生センターで、平成二十一年度に出力四百九十キロワットの発電設備を導入する取り組みを行っております。
 しかしながら、これまで太陽光発電の導入に当たりましては、パネルを支える基礎部分の低コスト化が課題となっております。
 このため、今後は、水処理施設のふたに直接太陽光パネルを張りつけるなどの工夫により、設置コストの縮減を図りつつ、発電規模で一千キロワット、すなわちメガワット級の太陽光発電設備を森ヶ崎水再生センターと南多摩水再生センターに導入いたします。
 また、分散型電源といたしまして、小規模な太陽光発電設備を、庁舎などの上部を利用いたしまして十三カ所、合計で約一千キロワットを設置、導入してまいります。

○山内委員 再生可能エネルギー等については、生活者ネットワークは小水力や下水熱などの活用も求めてまいりました。再生可能エネルギー等の活用は、エネルギーの確保にも地球温暖化対策にも効果が見込めることから、下水道局には、引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますが、放射能測定についてお伺いいたします。
 平成二十三年の公営企業委員会の質疑において、下水道の放射能状況についてお伺いいたしました。その際、汚泥の焼却施設の排ガス対策や焼却灰の運搬対策などを含め、安全管理を確認いたしました。また、それまで行われていませんでした放流水の放射能測定についても質問し、その測定を行い、ホームページ等で公表するように要望いたしました。
 そこで、平成二十四年度の下水放流水に含まれる放射能濃度の測定及び公表状況についてお伺いしたいと思います。

○坂根施設管理部長 東日本大震災後、国から明確な対応方針が示されない中、下水道局は、お客様の安全・安心を確保する観点から、独自に水再生センター放流水の放射能濃度を測定し、平成二十三年五月に公表いたしました。
 これまで放流水の放射能濃度につきましては、放射性物質汚染対処特別措置法上の測定義務は課せられておりませんが、汚泥焼却施設を有する水再生センターについて、平成二十四年二月以降、月に一度の頻度で測定を行い、その結果をホームページで公表しております。
 同様に、汚泥焼却灰や焼却炉排ガス、敷地境界の空間放射線量などの測定結果につきましても自主的に測定をいたし、ホームページで公表しております。
 今後とも、お客様の安心・安全のため放射能濃度の測定を継続し、結果について公表してまいります。

○山内委員 福島第一原発の事故はいまだ収束しておりません。都民の安心と信頼を得るためにも、今後とも放射性物質を測定し、情報公開に取り組んでいただきたいことをお願いいたしまして、私からの質問を終わります。

○かち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○かち委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十六分散会

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