平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成二十四年十月二十六日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長大西さとる君
副委員長中村ひろし君
副委員長橘  正剛君
副委員長きたしろ勝彦君
田中  健君
栗林のり子君
矢島 千秋君
柳ヶ瀬裕文君
伊藤 ゆう君
高木 けい君
石毛しげる君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長塚本 直之君
管理部長塩見 清仁君
事業部長横山  宏君
新市場整備部長志村 昌孝君
市場政策担当部長江藤  巧君
企画調整担当部長森本 博行君
移転支援担当部長高木 良明君
新市場事業計画担当部長加藤  仁君
新市場事業推進担当部長日浦 憲造君
基盤整備担当部長加藤 直宣君
施設整備担当部長久保田浩二君

本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十三年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○大西委員長 ただいまから平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、中央卸売市場会計について、まず初めに、地方卸売市場についての質問をします。
 都には十一の中央卸売市場がありますが、多摩地域には多摩ニュータウン市場が一カ所あるのみです。一方、都内には地方卸売市場が十五カ所ありますが、そのうち多摩地域には、青果五市場、水産三市場、花き四市場の、合わせて十二市場あります。そのため、多摩地域においては、地方卸売市場が大変重要な役割を果たしています。
 とりわけ東京多摩青果株式会社が開設する東京都国立地方卸売市場は、以前、三鷹市にあった市場も統合し、年間取扱高五百億円を超え、多摩地域における生鮮食料品の一大拠点になっています。私も先般訪問し、お話も伺ってきましたが、懸命に努力を重ね、多摩における都民生活を支えていただいています。
 そこで、多摩地域の流通の現状において、中央卸売市場と地方卸売市場がどのような役割を担い、そこに対して、都はどのような取り組みをしているのか伺います。

○江藤市場政策担当部長 副委員長ご指摘のとおり、現在、多摩地域では、一つの中央卸売市場に加え、従来から多摩地域における生鮮食料品等流通の役割を担ってきた、規模の異なる十二の地方卸売市場が開設されております。取扱数量から見ても、地方卸売市場が多摩地域における生鮮食料品等流通の中心的役割を果たしていると認識しております。
 中央卸売市場と地方卸売市場とでは、卸売市場法における位置づけ、開設者の制限、取引にかかわる規制の程度等の差異はありますが、生鮮食料品等の円滑な流通を確保するための物流拠点という意味においては、地方卸売市場も中央卸売市場と同様の役割を果たしているところであり、地方卸売市場は、中央卸売市場とネットワークを形成し、相互に補完し合いながら運営されております。
 都といたしましては、中央卸売市場である多摩ニュータウン市場については、開設者として必要な施設整備、維持管理を行っております。また、各地方卸売市場については、市場運営の指導監督を行うとともに、これらの市場が多摩地域において生鮮食料品等流通の中心的役割を果たしていることを踏まえ、助成事業を行うなど、都民の日常生活に欠かせない生鮮食料品等の安定供給という責務を果たしております。

○中村委員 昨年度の決算では、地方卸売市場への支援の取り組みとして、この助成事業費として一億三千百六十万円余が計上されています。
 都としては、どのような目的でこの事業を行っているのか、また、具体的にどのような支援が行われたのか伺います。

○横山事業部長 都は、中央卸売市場とともに、都民の食生活を支え、地場産品取り扱いなど地域の多様な需要にこたえている地方卸売市場の運営を支援するため、施設の機能向上のための整備費や衛生管理、市場見学等に対して助成事業を実施しております。
 平成二十三年度は、四市場における倉庫等の施設整備や卸売り場の耐震診断などに約一億二千万円を補助することで、地方卸売市場の施設の老朽化や耐震性を改善するとともに、十四市場の廃棄物処理に約一千万円、六市場の市場見学に約二十五万円を補助することで、地方卸売市場の場内衛生の向上や地域貢献に役立っております。

○中村委員 平成十七年四月に策定された第八次卸売市場整備計画において、多摩地域の流通について、さまざま記載がされています。
 決算年度である二十四年一月には、その次の計画である第九次東京都卸売市場整備計画が策定されました。その中では、多摩地域においては、地方卸売市場が生鮮食料品等流通の中心的役割を果たしていることを踏まえ、東京都は、多摩地域の地方卸売市場と連携し、生鮮食料品等の安定供給に寄与していくこととするとあります。
 ぜひ引き続き、この地方卸売市場の支援を行い、とりわけ多摩地域の都民の生活を支えていくよう積極的な支援をお願いして、次の質問に移ります。
 次に、築地市場の移転関係について質問します。
 都議会民主党は、平成二十三年度の市場会計予算について修正案を提案し、原案に反対しました。修正案の内容は、豊洲新市場関連予算二十一億三千八百五十八万円のうち、基盤整備費等十億八千七百三万円を除く、土壌汚染対策費十億四千百九十八万円と豊洲新市場建設工事費の九百五十七万円を削除するものでした。
 そこで、私たちが修正を求めてきた項目について、二十三年度決算における執行状況について確認をしたいと思います。
 まず、土壌汚染対策費十億四千百九十八万円についてですが、この十億四千百九十八万円は、決算審査意見書一五ページによれば、二十四年度への繰り越しとなっています。また土壌汚染対策としては、平成二十三年八月三十日に、東京都はJV三者と、五、六、七街区の土壌汚染対策工事として五百四十一億七千四百七十五万円の契約を交わしていますが、これらも含めて、二十三年度じゅうに執行された土壌汚染対策費はあったのか、まずは確認します。

○塩見管理部長 豊洲新市場用地におきます土壌汚染対策工事につきましては、平成二十三年の八月に、今お話がありましたように、三街区合計で五百四十一億七千四百七十五万円の契約を締結しております。この契約は、平成二十四年度にわたる工事であり、今年度、出来高確定後に支出することになっているため、平成二十三年度中の予算執行はございません。
 なお、契約後に、平成二十三年十月から十一月にかけまして、三街区合計で五十四億一千七百三十万円を前払い金としては支払っているところでございますが、これは出来高確定前のものであるため、予算執行には当たらないものとなっております。

○中村委員 土壌汚染対策費十億四千百九十八万円は、二十三年度は未執行であるということですが、なぜ二十四年度への繰り越しとなったのでしょうか。東京都が想定している土壌汚染対策の工事スケジュールに影響はないのか伺います。

○塩見管理部長 平成二十三年度予算に計上いたしました土壌汚染対策工事費の十億四千百九十八万円につきましては、鋼管矢板など土壌汚染対策工事に必要な資材の購入にかかわる経費を計上したところではございます。
 これら資材につきましては、当初、私ども都が一括調達し、予定地内で保管することを想定いたしましたところ、改正土壌汚染対策法の適用による土壌の移動にかかわる制約等から、予定地内での保管場所の確保が困難となり、一括調達による経費削減効果が見込めないことが明らかになりました。
 また、都による資材の一括調達が東日本大震災の復興の妨げとなるという懸念もございました。
 これらのことから、資材調達につきましては工事契約に含めることといたしまして、その結果、代金支払いを今年度に行うこととなったため、予算を繰り越したものでございます。
 こうした理由でございますので、予算繰り越しに伴うスケジュールへの影響はございません。

○中村委員 私たちは、二十三年度予算の議決当時、汚染原因者である東京ガスの負担などが明らかでないことなどを修正理由の一つにしていましたが、予算の議決後、三月二十五日に、東京都は東京ガスとの間で合意を交わしました。
 負担の内容は、東京ガス二億円、東京ガス豊洲開発株式会社七十六億円の計七十八億円で、この七十八億円というのは、平成十七年五月に東京都と東京ガスとが締結した確認書にある、東京ガスが実施すべき対策内容と同様の対策を改めて実施すると想定した場合の金額を算定したものということです。
 そこで、この積算根拠というものをより具体的に伺います。

○日浦新市場事業推進担当部長 東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社の負担額についてでございますけれども、この七十八億円は、ただいま副委員長のお話にもございましたが、平成十七年五月に締結いたしました豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書で定めました内容と同様の対策を東京ガス等が改めて実施すると想定した場合の対策経費がどれくらいになるかということから算出したものでございます。
 具体的には、ガス製造工場の操業地盤面から深さ二メートルまでの処理基準を超える汚染土壌処理に係るもの、及び、それより下、深さ二メートルより深い部分で処理基準の十倍を超える汚染土壌処理に係るものを基本としつつ、土壌処理に必要な仮設プラント等の経費などにつきましても、土壌処理量の比率等により積算したものでございます。

○中村委員 積算根拠は今お伺いしましたが、東京ガスの負担額七十八億円は、土地売却代金とセットで、既に、二十三年三月に東京都に全額支払い済みと理解していいのでしょうか。確認します。

○塩見管理部長 豊洲新市場用地の土壌汚染対策に係る東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社の一部費用負担につきましては、平成二十三年の三月、合意に至りまして、協定書の締結を行ったことから、その負担額を平成二十二年度の収入として計上するとともに、決算の経理処理的には未収金として処理したものでございます。
 また、同時期に、同社と豊洲新市場用地の売買契約を締結しており、その契約金額を平成二十二年度の支出として計上するとともに、未払い金として処理したところでございます。
 その後、平成二十三年四月、協定書に基づき、両社に対して、土地代金から未収金の額を控除して支払ったものでございます。
 このように経理処理を行っておりますことから、両社の費用負担にかかわる収入につきましては、平成二十二年度決算に計上されているものでございます。

○中村委員 ことしの九月十三日に東京都が公表した豊洲新市場用地における土壌汚染対策工事に伴う調査の結果についてによると、不透水層のかなり深い部分からも、ガス工場操業に由来するベンゼンなどが確認されました。
 東京都はこれまで、有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いと答弁していたので、二深度、すなわち二メートルも掘り下げれば汚染がないと認識していたとも思えます。
 しかし、底面管理調査によって、最大で六深度、すなわち六メートル掘り下げたところなど、深いところからも汚染が確認され、処理しなければならない土の量も、これまで想定したものよりふえるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、これにあわせて、事業費についても、場合によってはふえるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○加藤基盤整備担当部長 これまでの不透水層内の調査によって確認いたしましたガス工場操業に由来する汚染も含めまして、対策すべき土量につきましては、今後行う調査がすべて終わった段階で確定してまいりたいと考えてございます。
 また、土壌汚染対策工事の工事費につきましては、今後の調査結果を踏まえ、工事全体の中で整理してまいります。

○中村委員 不透水層内から検出された高濃度の汚染は、明らかに東京ガスの操業由来に基づく汚染です。東京都と東京ガスとが合意した東京ガスの負担額七十八億円は、例えば仮設プラントの経費などについて、処理量の比率等で積算したとしており、処理量が変われば積算結果も変わってくるように思われます。七十八億円の負担という額の大小は別にして、今後、土壌の処理量や工事費などが確定した段階で、改めて東京ガスの負担が合理的な内容であったのかを検証する必要があるのではないかということを意見として述べておきます。
 次に、二十三年度予算に計上されていた新市場建設工事費九百五十七万円についてですが、これは建築確認申請に必要な事務経費として、建築主が東京都なので計画通知ということになりますが、この事務手数料の経費であったはずです。その内容を確認します。
 また、あわせて、二十三年度は実施設計を行う予定であったはずですが、これら経費も含めて、二十三年度中に執行された豊洲新市場建設工事費はあったのか確認します。

○塩見管理部長 平成二十三年度予算に計上いたしました建設費九百五十七万円は、今お話のありました計画通知の手続にかかわる手数料でございます。
 この計画通知につきましては、当初、平成二十三年度に手続を行うことを予定しておりましたが、施設計画に係る市場業界からの要望等への対応などから、時期を見直しまして、平成二十四年度に行うことといたしました。
 このため、この手数料につきましては、平成二十四年度予算に再計上いたしまして、平成二十三年度は執行しておりません。
 また、実施設計につきましては、平成二十三年十月に契約を締結しておりますが、平成二十四年度にわたる契約であることから、今年度、完了後に支払いを行うこととなっておりますため、平成二十三年度中の予算執行はございません。
 なお、先ほども申しましたように、同様に三億六千万円の前払い金は支払っておりますが、これは出来高確定前のものであるため、予算執行には当たらないものでございます。

○中村委員 建設工事費で二十三年度中に執行したものはなく、計画通知に必要な事務経費九百五十七万円も二十四年度予算に計上し直したということですが、二十四年度の予算計上でいいのであれば、そもそも二十三年度予算に計上する必要はなかったのではないでしょうか。
 二十三年度内に執行できる見込みはなかったのでしょうか。また、東京都が想定している市場施設の建設スケジュールに影響はないのでしょうか、伺います。

○久保田施設整備担当部長 計画通知は、建築基準法に基づき、都道府県等の建築物につきまして、建築工事等に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するかどうか、建築主事の審査を受けるための手続でございます。
 平成二十三年度の予算要求に当たりましては、二十二年度に基本設計に着手をし、翌二十三年度には実施設計を進めるとともに、計画通知を行う予定でございました。しかしながら、設計作業を進める中で、施設計画について市場業界から要望が出されたことや、東日本大震災を踏まえた対応が必要となったことなどから、計画通知の時期を見直しまして、平成二十四年度予算に必要な事務経費を再計上いたしました。
 なお、既に今年度、六街区の水産仲卸売り場棟の計画通知を提出しておりまして、そのほか、今後、順次必要な計画通知を提出する予定でございます。あわせて、適切な建設工期を設定いたしまして工事発注してまいります。
 こうしたことによりまして、新市場の開場に向けた建設スケジュールの予定に影響はございません。

○中村委員 豊洲新市場の基本設計は、当初の仕様書によれば、納入期限が平成二十三年六月三十日までとなっており、その後、二十三年度内に実施設計に入る予定になっていました。
 このような中、東京都は、ことし三月十三日の予算特別委員会において、民主党の門脇議員の質問に対して、各業界から設計に対するさまざまな追加要望が出されたことや、東日本大震災の教訓を踏まえた対応が必要となったことから、基本設計と実施設計を一体のものとしてとらえて業界との協議を進めることとしたとした上で、六月末を目途に業界との協議を取りまとめる予定だと答弁しています。
 そこで伺いますが、この基本設計、実施設計はまとまったのでしょうか、伺います。

○志村新市場整備部長 豊洲新市場の施設計画につきましては、ただいま副委員長からお話がありました、本年三月の予算特別委員会でご答弁いたしましたとおり、東京都は、基本設計と実施設計を一体のものとしてとらえ、市場業界と調整を図りつつ策定作業を進めてまいりました。こうした市場業界との調整を進めることにより、各街区の施設配置、施設内における売り場や事務所等のレイアウト、電気、設備の設置位置など、具体的な施設内容についておおむね整理をいたしました。
 これにより取りまとめた計画案を、現在、業界に提示しているところでございまして、業界とは近々合意する予定でございます。
 なお、実施設計は、工事発注図書の作成や積算等を行うものでございまして、こうした作業につきましては今後も進めてまいります。

○中村委員 実施設計の業界合意に時間がかかっているようですが、そもそも東京都は、豊洲新市場の建設工事で三十カ月を見込んでいました。つまり平成二十六年度末、すなわち平成二十七年三月末から逆算すると、ことし十月末には工事に着手していなければならないはずです。また、建設工事はWTO案件となるため、入札手続で三カ月程度かかるのではないかと思われますが、これはいつごろ建築工事に入る予定なのでしょうか。

○久保田施設整備担当部長 市場施設の建設工事は、土壌汚染対策工事と調整の上、建物部分の整地時の地盤面を基礎下に下げ、掘削土量を削減するほか、建物の階数を低減することなどにより、工期の短縮を図っていくこととしてございます。
 したがいまして、必要な入札手続を行い、六街区の水産仲卸売り場棟の建設工事は今年度中に着手をいたします。
 また、五街区の青果棟、七街区の水産卸売り場棟と管理棟につきましては、平成二十五年度の早い時期に着手をいたしまして、スケジュールどおり完了することを目指してまいります。
 建設工事につきましては、ガス工場の操業に由来する土壌と地下水の汚染物質を確実に除去し、技術会議におきまして汚染処理が完了したことを確認した後、建物を支えるくい工事などに着手してまいります。
 市場用地の安全・安心に万全を期した上で、建設工事の工程管理を確実に実施し、市場施設の建設を着実に進めてまいります。

○中村委員 二十六年度末までにという答弁ですが、私たち都議会民主党は、汚染された土壌が無害化をされ、安全な状態になっていなければ、豊洲新市場の開場には反対であり、開場スケジュールよりも食の安全を確保していくことの方が都民にとっては重要であるということを主張してきました。
 今回は決算審査でもあるので、その執行状況を確認するにとどめますが、私たち都議会民主党が提案していた修正案どおり、土壌汚染対策費、建設費が全く執行されていないにもかかわらず、東京都がこだわっている開場スケジュールについても大きな影響を与えていなかったということを確認しておきます。
 以上で質問の方を終わります。

○栗林委員 それでは、私の方からは、市場のPRと食育、花育についてお話を伺わせていただきます。
 食育、最近では、「花」の「育」で花育という、そういう取り組みもあるように伺っております。そのような事業を通じて、消費者の消費拡大というすそ野を広げていくことは、市場の取扱量の減少など流通環境の厳しい市場業者の経営活性化や基盤の強化にもつながる要因の一つと考えています。
 市場は、東京の食の玄関として大きな役割を持っていると思います。生鮮食料品等の円滑な供給を確保して、そして、都民の食生活の安定や食の安全など重要な役割を担っているところです。
 こうした中、中央卸売市場は、水産物三市場、青果九市場、食肉一市場、花き五市場という重要な市場を運営し、さらなる活性化に向けた取り組みが必要であります。ちょうど今、この時期は、各市場で市場まつりが開催されていると思います。市場を理解していただいて、また利用をしていただく大変いい機会にもなり、地域の皆様は楽しみにされているイベントの一つにもなってきているかと思います。
 私も、地元、世田谷市場まつりは、毎年、参加をさせていただいています。ことしも、今月十四日、開催されておりました。開場前から、オープン前から、大きなバッグ、キャリーバッグ、ガラガラのようなものをお持ちになられて、大勢の方がもう並んでいらっしゃいました。場内には被災地応援コーナーも設置をされておりまして、生産者から直接話を聞いて、また現物を見て、そして、それを手にとって安心を実感していただく大変よい機会になっているかと思います。
 市場が地域により親しまれていくためにも、この市場をPRするためにも、この市場まつりは大変有効ではないかと思います。
 そこでまず、この市場まつりのねらいと開催状況についてお伺いをいたします。また、その中で特徴的な取り組みがあれば、あわせて伺いたいと思います。

○塩見管理部長 市場まつりは、都民の皆様に卸売市場と生鮮食料品に対する理解を深めていただくとともに、食生活の向上や食育、花育の普及などを目的といたしまして、都と市場の業界とが協力して開催しているものでございます。
 今年度は、既に、今お話しの世田谷市場を初め食肉市場、足立、北足立市場など六つの中央卸売市場で開催するとともに、国立の地方卸売市場では、多摩地区青果まつりを開催したところでございます。今後は、板橋、豊島など三つの中央卸売市場で開催する予定でございます。
 また、昨年度は、世田谷市場を含む七つの中央卸売市場と国立地方卸売市場でも開催したほか、福島第一原発事故による風評被害の解消に向けて、築地市場の「買って食べて、応援しよう! in築地」を初めとする産地支援イベントを計十二回開催したところでございます。
 市場まつりの特徴といたしましては、生鮮食料品等の即売のほか、市場の仕組みを理解していただくために模擬競りなどを行い、また、魚のさばき方教室、野菜を使った料理の紹介、試食、フラワーアレンジメント教室など、食育や花育の取り組みなどが行われているところでございます。

○栗林委員 市場まつりを通して、地域の皆様にも、情報提供のほか、非常にさまざまな還元ができているのではないかと思うんですけれども、今お話の中で、市場まつりで、食育、また花育のコーナーが設けられたというお話がありましたけれども、食育は、市場まつりという年に一度のイベントだけでなくて、恒常的に取り組むことが必要ではないかと考えます。その辺はどのように取り組みを行っているのか、伺いたいと思います。

○塩見管理部長 卸売市場は、生鮮食料品流通の基幹的な役割を果たす中で、食材に関する情報やノウハウが豊富に蓄積されております。したがいまして、食育の拠点としての機能を有する施設であるということができると思います。
 中央卸売市場では、こうした蓄積を生かして、しゅんの食材の見分け方や、魚のさばき方に関する料理教室を開催するなど、市場ならではの食育の取り組みを実施しております。昨年度は、五市場で計二十二回の料理教室等を開催し、延べ六百二十八人が参加をいたしました。今年度は、新たに食育・花育ルームを設置いたしました北足立市場での取り組みも含め、六市場で計二十八回の料理教室等を開催する予定でございます。
 今後とも、食に関する情報をホームページで提供するほか、豊富な知識、経験を有する人材を講師として派遣する、いちば食育応援隊事業などとともに、各市場の特色を生かした食育、花育の取り組みを積極的に行ってまいります。

○栗林委員 大変効果的な事業だと思います。お野菜も、最近はカット野菜とかいうものがスーパーで並んでいると、もともとの形がわからないような、そういったお子さんたちも出てきている。それは大変なことになってしまいますので、しっかりこの食育等にも力を入れていただけるとありがたいと思います。
 今、答弁の中で、都が行う食育とか、また花育についてのお話がありましたけれども、一方で、業界が主体となって行っている取り組みがあるとも聞いております。
 北足立市場では、業界が主体となって花育に力を入れた事業を展開しているということですが、その具体的な内容と効果、そして反響、こういったところを伺いたいと思います。

○高木移転支援担当部長 北足立市場では、二十三年度においても、花き部の市場業者が、花をめでるということを広げようと花育事業を積極的に展開しております。都でも、こうした市場業者が行う販路拡大等を目的とした事業を経営活性化事業として支援をしております。
 北足立市場での具体的な内容は、幼稚園や保育園において、市場業者が提供した材料により、専門の講師の指導のもと、園児たちがフラワーアレンジメントを体験するというものでございます。幼児期から花に親しんでもらうということを目的に実施しております。
 その効果としては、園児本人はもちろん、家族そろって花への愛着が増し、花屋さんが身近な存在となったとの感想も寄せられ、事業の順番を待つ園がふえるなど、その反響は大きなものがあります。
 この事業は、内容がすぐれていることから、昨年度、市場として表彰し、あわせて、各市場関係者を集めて事業内容の講演を行い、参考としていただいたところでございます。
 今後とも、このような食育や花育を含む活性化支援事業に積極的に取り組んでまいります。

○栗林委員 やはり食もそうですし、お花もそうですけれども、食はやはり、健康なたくましい体をつくっていく大事な教育にもなりますし、またお花も、心とか精神とか、そういう豊かさを育てるような教育にもつながってまいります。
 最近は、フラワーセラピーという、花のエネルギーを培った、いやし効果、こういったことにも注目が集められておりますので、こういった食育、また花育に力を入れていただきたいと思いますが、これは文字どおり「育」、はぐくむことでありますので、時間もかかるものであります。時間がかかるだけに、決して絶やしてはいけない事業ではないかと思います。ひいては、市場の取扱量の改善、また、市場業者の活性化にもつながっていくものではないかと思います。
 そこで、多くの生鮮食料品等が集まる市場そのものを、まずは身近に感じていただくという観点から、この市場のPRを行っていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○塩見管理部長 市場のPRに当たりましては、市場の役割や機能について、都民の皆様に十分ご理解をいただき、ご指摘のように、まずは市場を身近に感じていただくということが非常に大切であると考えております。
 このため、市場まつりや食育、花育の取り組みのほか、各市場で見学の受け入れを行うとともに、生鮮食料品の安全性に係る正確な情報をホームページで提供し、福島第一原発事故による風評被害の解消にも努めているところでございます。
 今後とも、よりわかりやすい情報の提供に努めるとともに、市場に関心のある都民の皆様はもとより、ともすれば、そうでない都民の皆様方にも、私どもが積極的にアプローチをしていくということが大切だと思いますので、お話のありましたような身近な話題を切り口にしながら市場の役割や機能を伝えていく新たな広報プロジェクトを開始することで、市場に対する都民の理解の促進に努めてまいりたいと考えております。

○栗林委員 今後とも、さらに活性化支援、また安定運営につながるよう、長い目でしっかり支援していただくことを要望し、質問を終わらせていただきます。

○田中委員 最後の質問ですので、頑張りたいと思います。
 今、栗林委員の方から市場まつりの話がありました。私も、地元が大田でありまして、大田の市場まつり、十月二十一日でありましたが、参加をさせていただきました。
 先般、この大田市場で行われた市場まつりは、どのくらいの来客数があって、どのような内容だったかをまず伺います。

○塩見管理部長 大田市場まつりは、都と市場の関係業界とが協力いたしまして、お話の今月二十一日に開催したところでございます。
 当日は天候にも恵まれまして、地元大田区を初め目黒区、品川区などから多くのお客様においでいただきまして、約三万人が来場したというふうに聞いております。
 内容といたしましては、野菜、果物、水産品、花の販売のほか、魚のさばき方教室やフラワーアレンジメント教室など、食育、花育の取り組みも行いました。さらに、福島第一原発事故による風評被害が続く福島県を支援するためのコーナーを設け、福島県産の野菜、果物などを販売したところでございます。

○田中委員 今、委員からも議論があったとおり、市場というのはなかなか行かなくて、市場まつりは大変いい機会であると思っております。特に大田においては、ちょっとアクセスが、陸路では悪いというのが難点ではあるのですが、しかしながら、今、羽田空港や、また、大田区としても船着き場をつくったりして、水路の開発を、舟運の開発をしているところであります。ぜひこの市場まつりを上手に利用して、また推進していただき、そういった観光客、または、臨海部の有効な資源としてこれから使っていただけるようにここで要望させていただき、次の質問に移ります。
 我が民主党の会派は、大田市場の物流改善も、この間、訴えさせていただきました。私自身も二年前にも質問させていただき、昨年も山口都議が一般質問で質疑をして、適切な利用を約束いただいたものだと思っております。
 この大田市場の積み込み場の問題ということでありますが、その配分、また北口の立体荷さばき場の入居の問題など、市場当局に、課題というか、宿題というか、この間、訴えてきたものがあるかと思いますが、その現在の状況はどうなっているのかを伺います。

○江藤市場政策担当部長 大田市場青果部は、建設計画時の取扱規模を超え、施設規模及び取扱量ともに、我が国最大でございます。中核的な拠点市場として、活力に満ちた市場として発展を続けております。
 その一方で、大田市場では、取扱量の増加に伴う狭隘化が進み、施設使用のあり方が大きく変化したことにより、さまざまな問題が生じてまいりました。都は、この状況に対応するため、屋根つき積み込み場などを整備し、場内物流の改善に取り組んできたところでございます。
 これらの対応の中で発生してまいりました、ご指摘の積み込み場問題などに対して、現在、都は、買参組合と仲卸組合との協議を進めるなど、解決に向けて精力的に取り組んでいるところでございます。

○田中委員 この質疑の中では、パッキングなどの不適切な作業実態についても取り上げられておりました。これも積み込み場等の利用がうまく進んでいないということのあらわれであります。
 八月には、札幌で、皆様ご記憶にあるかと思いますが、浅漬けの、あのようなO157の食中毒の事件も起きて、さらには、先般十月十二日には、厚労省から、そういった取り扱いの指導も全国に出されたところであります。
 何といっても、市場は、大田市場に限りませんが、食の安全が第一でありますから、この積み込み場の問題、また荷さばき場の問題は、今年度、五年ごとの改定時期にちょうど当たるということでありますから、しっかり対応していただきまして、この物流改善が当初の計画のとおり実行されることを強く要望したいと思います。
 さらに、大田市場の話を進めさせてもらいますと、大田市場は水産物部がありまして、平成元年の九月に開場して、城南地域における小売業に対しての供給を進めてきました。
 しかしながら、この間、大きく取扱量が減少をして、当時、百店舗ほどあった店舗が、今や五十数店舗となってしまいました。
 この大田市場の水産物部の取扱量の減少を、今どのように考えられているのか。また、それに対して、これまでどのような対応がとられてきたのか、伺います。

○横山事業部長 大田市場の水産物部は、ほかの水産市場と同様に、長期的な低下傾向といいますか、そういう状況にございます。特にこの五年間の落ち込みが非常に大きくなっておりまして、その中でも、市場全体の減少率を上回るような大幅な減少状況になっております。
 原因でございますけれども、平成二十年のリーマンショック等による景気の冷え込みによりまして、ただでさえ体力が落ちていた市場業者の経営が急激に悪化いたしまして、この間、大田の水産仲卸業者で三割の十七の業者が廃業いたしました。また、二者しかないのですが、そのうち主要な卸売業者が経営不振から解散になりました。そういうことで、ほかの市場に比較して、業者数が著しく減少するというようなこともございました。さらに、昨年の東日本大震災による入荷の減の影響も大きかったと考えております。
 都はこれまで、こうした状況に対して、低温卸売り場ですとか、それからコンテナ冷蔵庫の導入など、施設整備を中心に活性化を図ってまいりましたが、こうした事態に直面いたしまして、活魚のカンパチとかオマールエビといった、従来扱ってこなかった品目を市場業者と協力してふやすことで新たな販路の開拓を図るほか、昨年からは、新規の仲卸業者の出店を求めて、今、空き店舗が大変多いものですから、その一般公募を実施してまいりました。
 そのように、ソフト面を含めた幅広い対策を市場業者とともに取り組んでおります。

○田中委員 活魚の水槽は私も見てきまして、この整備を進めていただいておるということで販路が拡大してきたという話も少し聞いてまいりました。また、今、仲卸の業者の方も、出店を随時呼びかけているということではありますが、しかしながら、景気の大変厳しい現状も踏まえ、空き店舗が四割という現状があり、青果の部門は大変活況であるにもかかわらず、隣の水産物部が大変に寂しい現状であることは変わりありません。
 この空き店舗が四割を超える状況をどのように進めていくか、これを前回の質疑の中でも推進していくということでありましたが、具体的な進捗状況について伺います。

○横山事業部長 大田市場の水産物部では、昨年度以降になりますけれども、特に活魚の取り扱いを、品目も含めて五割ほどふやしております。
 さらに、仲卸業者の新規募集を、その後も継続的に行っておりました。特に仲卸業者の公募には力を入れておりまして、これまで、空き店舗を対象に、それ以後、二回公募しております。さらに、ことしの七月にも公募を追加いたしまして、三回合計で、七業者、十三店舗を新たに開業いたしました。
 これらの新規の仲卸業者の中には、東京市場内に拠点確保を目的といたしました、他県から入ってきた大手業者の参入もございます。また、複数の店舗を一気に使用するような事業展開も行っておりまして、取扱量の増加にこういったことが寄与するのではないかと期待しております。
 今後も、これからまたやるのですけれども、応募期間を長くとって、少しでも応募しやすい工夫を加えて、可能な限り多くの仲卸業者が、元気のいい仲卸業者が参入できるような一般公募を予定しておりまして、引き続き大田市場の市場活性化に取り組んでまいります。

○田中委員 具体的に七業者、十三店舗が開業したということは喜ばしいことであり、先ほどの、五年間では十七業者が廃業したということでありますが、それを何とかカバーして、それ以上の開業ができますように、引き続きの努力をお願いしたいと思っております。
 水産物部は、どうしても築地の話が、この委員会でも、また皆さんの中でも出てきますが、大田市場、さらには足立市場というのも、この東京にはございます。
 この足立市場も、大田と同じく大変厳しい現状が続いているということでありますが、この間、どのような活性化の取り組みが同じように行われてきたのかを伺います。

○江藤市場政策担当部長 足立市場につきましても、近年、取扱数量が減少しておりまして、活性化が大きな課題となっております。
 こうした状況への対応策として、足立市場では、活性化を図るため、昨年度、都と市場関係業者で構成する検討組織において、今後の足立市場のあり方について検討し、策定した経営展望の中で取り組むべき課題を明らかにいたしました。
 今年度は、この経営展望に基づき、顧客サービスの向上や新たな顧客の拡大などについて、都と市場関係業者が一体となって、引き続き検討を進めているところであります。
 先日開催いたしました市場まつりにおきましても、初めて模擬競りを実施するなど、具体的な取り組みにも着手したところでございます。

○田中委員 足立においては、今、答弁がありましたように、やっと昨年、そのようなあり方検討会ができて、今まさにその実践中ということで、課題が明らかになったということであります。ぜひ大田のように十三店舗が新たに開業したというような話も、また、前向きな、進展したということも皆さんからお聞きできるように、これからも発展を願いたいと思います。
 そして、ここで足立を取り上げさせてもらったのは、もちろん水産部門という話もあるんですが、築地や大田は海に近い海岸部ということもあり、地震や津波、津波においては、その被害は予定されておりませんが、どのような被害があるかわかりません。そういった意味では、どうしても市場、特に水産物部は、海に近い、海岸部に近いということで、その被害を受ける可能性が高いわけであります。
 水産物部においては、この足立市場は内陸部にあるということで、そういった意味ではリスク分散、何かあったときにその物流がとまってしまわないように、とまらないで内陸部で回すことができる、東京の物流はとまらないといったことも可能になるわけであります。
 そういった意味では、単に今の状況が厳しいから何とかするではなくて、そういった面もとらえて、今のこの現状を、取扱高の減少をとめて、さらに活性化を図っていくという視点も忘れないでいてほしいと思っております。
 以上で質問を終わります。

○大西委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 以上をもちまして、第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後一時四十八分散会

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