平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成二十四年十月二十四日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長上野 和彦君
副委員長興津 秀憲君
副委員長吉原  修君
副委員長相川  博君
加藤 雅之君
鈴木 章浩君
山内れい子君
かち佳代子君
伊藤まさき君
門脇ふみよし君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
水道局局長増子  敦君
次長大村 雅一君
総務部長福田 良行君
職員部長松宮 庸介君
経理部長松丸 俊之君
サービス推進部長冨田 英昭君
浄水部長酒井  晃君
給水部長佐々木史朗君
建設部長田村 聡志君
企画担当部長今井  滋君
サービス企画担当部長吉野  明君
設備担当部長佐久間 勝君
多摩水道改革推進本部本部長吉田  永君
調整部長浅沼 寿一君
施設部長山田  廣君
技術調整担当部長青木 秀幸君

本日の会議に付した事件
 平成二十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成二十三年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)

○上野委員長 ただいまから平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都水道事業会計決算及び平成二十三年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○福田総務部長 さきの分科会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願いたいと思います。水需要予測と実績の推移でございます。
 将来の水道需要の見通しと平成四年度以降の一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担でございます。
 平成十九年度から二十三年度までの八ッ場ダム建設に係る総事業費、都の負担額、そのうち、水道局の負担額及びその他の負担額をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。多摩川水系の年間取水量の推移でございます。
 平成十四年度から二十三年度までの羽村及び小作の取水堰と砧浄水場及び砧下浄水所における取水量の合計をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。各浄水場における自然エネルギー等による発電状況でございます。
 各浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備それぞれの設置年度、発電規模及び平成二十三年度の発電実績をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 平成三十一年度と二十四年度の耐震継ぎ手率の計画及び平成二十一年度から二十三年度までの耐震継ぎ手率の実績値をそれぞれお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。漏水率の推移でございます。
 平成四年度以降の漏水率の推移をお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 平成十四年度から二十三年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。監理団体への委託料及び主な委託内容でございます。
 水道局が所管しております二つの監理団体について、東京水道サービス株式会社については、平成十四年度から二十三年度までの委託料と主な委託内容、また、株式会社PUCについては、監理団体に指定された平成十八年度から二十三年度の委託料と主な委託内容につきまして、それぞれお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。国際貢献の新たな取り組みに関する海外出張に要した経費の一覧でございます。
 平成二十二年度及び二十三年度における海外出張に要した経費を出張先の国別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
 平成十四年度から二十三年度までの収益的収支、資本的収支、損益勘定留保資金のそれぞれにつきましてお示ししてございます。
 以上をもちまして、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議をいただきますようお願い申し上げます。

○上野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○門脇委員 それでは、委員長にご指名をいただきましたので、決算審議に当たりまして、水道局の国際協力というか、国際貢献事業について何点かお伺いをいたします。
 幾つかあるんですが、その質問に入る前にというか、この質問も広い意味では国際交流というか、国際協力事業の一環ですけれども、今月の二日にプレス発表になりました、私、当時、公営企業委員会の委員でございましたので、すぐ資料をちょうだいいたしましたけれども、タイ王国首都圏水道公社との無収水対策事業の実施に関する覚書の交換についてであります。
 当該事業につきましては、二日の現地時間、タイの午前十時から契約を交わす予定になっていたんですけれども、一部の報道機関ではありましたけれども、延期されたということをお聞きしました。
 水道事業は国際的に高い評価を得ている東京都の水道局としては、監理団体のさらに関連会社ということになるんでしょうか、TSS-TESCOバンコク社でございますけれども、が当事者になっているとはいえ、ビジネスとして国際社会に進出するのは初めての画期的なものと私どもも位置づけており、期待をいたしておりました。
 また、私もちょっと、若干情けないことであるんですが、最初、この無収水対策事業というのは何のことかよくわかりませんで、ワープロで打ってもこういう字が出てこなかったんですけれども、少し、調べてみるとまでいわないんですけれども、古くなった水道管から水が漏れる、いわゆる漏水、それから、余り日本では考えられないんですけれども、水を盗む、盗水というんでしょうか、これまでは、今いったように我が国では余り考えられませんけれども、アジアの諸国にとっては深刻な問題であることはわかりました。
 ですから、今回のタイ王国におけます事業展開は、少し表現を拡大すれば、複雑な国際政治環境の中で、日本のアジア地域におけるステータスのアップという視点から、とても期待しているわけですけれども、一部とはいえ、今回の契約締結が延期されたとの報道について、事実の関係をお伺いいたします。

○福田総務部長 東京水道サービス株式会社は、タイの水道公社とかねてから無収水対策事業の実施に関して交渉を行ってまいりました結果、十月二日、バンコクにおいて、同公社と覚書を締結いたしました。
 覚書の内容は、東京水道の方法を用いた無収水対策のパイロット事業の実施について合意したというものでございます。この覚書につきましては、国際契約の慣例の一つであり、着実に本契約まで進めるための手順として締結したものでございます。

○門脇委員 そういう経過があったということで、安心はいたしましたけれども、先ほど申し上げましたように、今回のケースは、都の水道事業が実質的に初めて外国に進出するものですから、相手国や当該公社の期待というものは大変高いものがあると思います。
 それから、これについてはお答えは結構でございますけれども、昨年、ベトナムでの浄水場建設に関する事業も展開されると発表されておりますので、こちらの進展も期待をしているところでございます。
 それでは、冒頭申し上げましたように、水道局の国際協力、とりわけアジア地域でのそれについて質問をいたします。
 私は基本的に、東アジアにおける日本の立ち位置が、領土に関連した諸問題などもあり、以前よりは厳しくなっていると認識をいたしております。一方、東南アジアや南アジアなどでは、日本の技術力や経済力に対する期待が過去よりも高まっていることも事実でしょう。
 国際貢献、国際協力の方法、やり方というのはいろんなものがあると思いますけれども、それ自体がずばり透明感のある水に関する支援を行うということは、先ほども申し上げたとおり、広くアジアにおける日本の地位というものを高めるということにつながるということに間違いはないと思っておりますし、私たちもそういうふうに思っております。
 改めて考えてみますと、今、国連加盟国百九十数カ国ありますけれども、蛇口をひねればいつでも水が出てくる国は、そのうち一体何カ国あるのか。そして、その水が飲料水として飲める国が一体どのくらいあるのか。そして、さらに申し上げれば、その水がおいしく飲める国というのは一体どのくらいあるのか。私、わかりませんけれども、もう本当にわずかな数字ではないかと思います。もちろん日本は、東京はその一つでありますけれども。
 そして、我が国は今日まで、発展途上国の経済的支援のために、政府開発援助、ODA、あるいはオダといういい方をしているわけですけれども、通じて、各国のインフラの整備を行ってまいりました。水道施設も、無償資金協力やその他の形で、円借款等の形で整備をされております。そして、そのことは感謝をされているんですけれども、残念ながら、時間が過ぎ去ると、整備した施設が、いわゆるハードの部分でありますけれども、使われなくなるという指摘もあります。
 その理由については幾つかあると思いますけれども、人材の育成、機械や施設や設備がハードだとすれば、いわばソフトの部分が十分でないように感じます。どのような部分でも、次世代を担う人材育成がおろそかになれば、持続性、継続性が失われるわけですから、人材育成の重要性というものを感じるのは私だけではないと思います。
 そして、将来的には海外の水道事業が、その国が自立できるように、その都市が自立できるように、相手国の人材育成にしっかりと取り組む必要があると考えておりますし、その意味では、水道事業運営のノウハウを持っている自治体、日本でも幾つかありますけれども、そのトップに位置づけられているというのが我が東京都だと思っております。
 水道局が作成したパンフレット、これですが、これは半年ぐらい前につくっていただいて、カラーで大変わかりやすくなっておりますし、これをあけると、二ページに局長の写真も出ておりますけれども、このパンフレットを見ると、きょうは別に詳しく紹介しませんけれども、東京都水道局が国際貢献、国際協力を積極的に進めているという実情がこのパンフレットだけでもよくわかります。
 そこで、きょうは特に世界各国での人材の育成についてお伺いいたします。
 まず、総括的に、水道局としてこれまで、今申し上げたことについてどのような取り組みをしてきたのか教えていただきたいと思います。

○今井企画担当部長 水道局では、昭和六十年代から、主として、独立行政法人国際協力機構、いわゆるJICAのスキームを活用した国際貢献を実施しております。具体的には、海外からの研修生や視察の受け入れを実施するとともに、職員を派遣して現地で直接技術指導を行うなど、世界各国の水事情改善に協力しております。
 また、平成二十年度から、水道局の呼びかけで、台北、ソウル、バンコクなどの水道事業体とアジア水道事業体人材ネットワークを構築しており、定期的に人材育成などに関する情報交換を行っております。

○門脇委員 水道局が長年、研修生の受け入れや、逆に職員を海外に派遣して技術指導を行い、各国で実績を上げたことを評価するものでありますし、これはちょっと個人的な思い入れもあって大変恐縮なんですが、例えば、台湾の台北市と交流を進めていることなどもよいことではないかと思います。
 私自身も、会派の日台友好議員連盟の秘書長として活動を続けておりますし、また、少し前になりますけれども、樺山先生がご存命のときに、自民党と民主党で一回限りの訪台団をつくりまして、そして、台湾・台北に行ったことをよく覚えております。
 そのときに猪瀬副知事も行かれて、台北の副市長とお話をしたこともあるんですけれども、きょうはそのことはお話はいたしませんけれども、今後も、アジア各国を中心として、さらなる人材育成を広げ、交流の輪を拡大していただきたいと思います。
 次に、少し具体的にお伺いをいたします。これまで世界の国の中でどのような国を対象として研修生の受け入れを実施してきたのか、また、直近、昨年度平成二十三年度の実績もあわせてお知らせください。

○今井企画担当部長 研修生や視察の受け入れは、これまでアジア諸国を中心として世界各国から受け入れており、過去五年間を見ても百カ国以上から二千人以上受け入れております。平成二十三年度は、韓国、タイなど、アジアから二百四十二人、アフリカから四十八人など、あわせて三百二十九人の研修生等を受け入れました。
 また、相手国での技術指導は、タイ、ベトナム、バングラデシュなどの国に対して、昭和六十一年から延べ百人程度職員を派遣して実施してきております。平成二十三年度は、インドなどに短期の職員派遣を行いました。

○門脇委員 ありがとうございます。そうですね、先ほどいったこの取り組みのリーフレットを拝見させていただいても、世界の思っている以上に、どこかに地図が出ていましたね。最初のところ、四ページ、五ページですけれども、南米とか、今、ご説明にもありましたけれども、アフリカ、それから中東、アジアがやっぱり一番圧倒的に多いんですけれども、本当に幅広く受け入れていただいているというふうに思います。
 五年間で、今お話があったように百カ国以上と。それから、人数では二千人以上という数字は、私も比較をする資料というのは特に持っていないんですけれども、これは多分ということでお話しすれば、世界でも東京でなければできないことなんだろうなと、そのように考えております。
 そして、冒頭にも申し上げたように、この国の首都である、すなわち我が東京都、東京が広くアジア地域に貢献しているということは、繰り返しますけれども、今日的な日本が置かれている、政治のことはこの場でお話しすることではありませんけれども、今の置かれている状況から判断しても、やっぱり大変有意義なことではないかと、私はそんなふうに考えております。
 また、ところで、水道局では、監理団体である東京水道サービス、TSSと連携して、アジア地域各国を中心に国際貢献をいたしておりますけれども、そのような環境の中で、この東京水道サービスは事業としての人材育成の取り組みを行ってきたのか、少し具体的な事例を示してお答えください。

○福田総務部長 当局では、平成二十二年度から、東京水道サービス株式会社を活用した国際貢献ビジネスを推進し、各国の水道事情を改善しようとしております。
 東京水道サービス株式会社は、海外での漏水調査や水道施設の維持管理などの事業に取り組む上で、人材育成の事業もあわせて行っておりまして、具体的には、例えば、ベトナムやマレーシアなどから水道事業体の職員を受け入れ、事業運営に必要な知識やノウハウの習得を目的とした研修を実施しております。
 また、これらの国に対しては、同社の社員を現地へ派遣し、直接技術指導も行っているところでございます。

○門脇委員 私は、質問の冒頭でも申し上げたとおり、相手の国の人材育成がなければ、真の意味での国際貢献にはならないと考えております。どこの国ということは申し上げませんけれども、ヨーロッパの列強の中では、いってみると、やるだけやって利益を上げて、はい、さようならという国も実際あることも事実であります。繰り返しますけれども、我が国が置かれている現状を見詰めれば、なおさらだと思います。
 その視点に立てば、水道局やTSSが取り組んでいる人材育成の事業は、私は国際的な評価というものが、基準はなかなか難しいですけれども、十分にたえられるものだと認識をいたしております。
 次に、研修などの実施に当たって、これまでどのような技術やノウハウが求められてきたのか、たくさんあると思いますので、必要性の高い事例を幾つかお示しいただきたいと思います。

○今井企画担当部長 水道局に対する各国からの研修のニーズとしましては、日々の水道事業運営で培ったあらゆる水質に対応できる浄水技術、水質管理技術でございます。また、漏水率三%を実現した漏水防止技術に関しても要望が多いため、研修・開発センターのフィールドを活用した実習メニューを研修に盛り込んでおります。
 近年では、水源から浄水場、各家庭の蛇口に至るまでの総合的な水運用に関するノウハウにも高いニーズがございます。

○門脇委員 お答えのように、各国が東京に期待するものが数多くあり、しかも広範囲にわたっておりますし、また、その規模もかなり大きいようです。まさに東京水道が、発展途上国だけではなくて、世界の国々での水道に関する諸課題の解決に向けて頑張っていると。水道局本体も、それから監理団体も、さらに、その監理団体の関連会社も、現地法人も、たくさんあるわけですけれども、そんなふうに思っております。
 最後の質問になりますけれども、長年にわたる人材育成という観点から、国際協力、国際貢献では、具体的にどのような成果、実績があったのか、これについても国名を挙げてお示しいただければと思います。

○今井企画担当部長 これまでの成果としましては、例えばタイでは、JICAの協力により水道技術訓練センターが設立された際に、水道局が昭和六十一年度から職員を派遣するなどして、経営管理や水質管理、施設維持管理等の教育訓練を長期にわたり実施いたしました。その結果、現在では、独自の研修や研究開発を行うノウハウが確立しております。
 また、ベトナムにおいても同様に、水道技術センターが設立された際に、平成十二年度から職員を派遣しており、水道経営、配水計画などの研修コースの立ち上げに協力してまいりました。

○門脇委員 ありがとうございました。質問は以上でございますけれども、水道局や関連団体の不断の努力により、各国に訓練センターができて、そこでまた人材育成がされ、こうした取り組みはとても有意義なものと思います。
 そして、冒頭でお話を申し上げましたけれども、海外の水道事業が、結局は相手国が自立できてこそ、本当の意味での国際貢献といえると思います。我が国もいろんなプラントがあって、積極的に海外に出ていっているわけですけれども、先ほど冒頭のところというか、申し上げましたけれども、そういう意味では、やっぱり水というのは、そのものが大変クリーンというか、透明性のあるものですから、これは東京都の中でもこれから積極的に進めていただきたい。
 今後も、水道局とTSSがもちろんよい意味で連結を強化していただき、技術、ノウハウを海外で遺憾なく発揮していただいて、人材育成を通じて世界の水道事情の改善に取り組み、少なくてもその分野では東京都、もちろん国を含む場合もありますけれども、東京水道がそれらの国から感謝されるように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員 今の質問にも若干関連するんですけれども、私も水道事業の国際展開ということを主に質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 私はかつて、アフリカのスーダンで国連が活動している、そうした活動に参加をさせていただきました。また、ボランティアでフィリピンやバングラデシュでのNGOの活動にも参加しました。
 その中で、よく人体の半分というのは水でつくられていて、水は人間が生きていく中で欠かせないものであるわけですけれども、当時の私、日本で、水道というのは本当に蛇口をひねればいつでも安全でおいしいお水が飲めたわけですけれども、そういった水道インフラというのが世界では当たり前でなかったことに大変驚きを覚えたことを昨日のように覚えております。
 発展途上国のどこの国も、生きていくためには水は欠かせないわけですけれども、その水を命の川の恵みで賄っていたわけであります。川の水を飲料水や、そして生活水で使うとともに、その命の川というのは排水にも使われているんだということで、私自身、そのことに対しても大変な驚きを覚えました。また、生活の中では、女性や子どもが水くみが大きな仕事になっていたことも本当に鮮明に覚えております。
 そのことを通して、本当に水道というのが、その水道インフラというのがどれだけ大切なのかということを私もずっと長く感じておりましたけれども、今、この都議会で水道局の皆様方の取り組みを見させていただいて、これだけのご努力の中でこの東京の水道事業というのが賄われているんだということを改めて再確認をさせていただいていることに、本当にありがたい思いと、皆様には敬意を表する次第でございます。
 そこで、本日は、冒頭述べさせていただいたように、水道の国際展開と、そしてまた、渇水を含めたリスク対応などについて幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、水道の国際展開について伺います。
 今日、人口増加や経済の発展に伴って、水は世界じゅうでますます貴重なものになっております。また、水資源の確保というのが、安全保障上、本当にこれは各国の主権国家の課題にもなっているわけであります。特に成長著しいアジア地域においては、その水の確保が追いつかず、各国の政府や水道事業体の大きな悩みであるとも聞いております。
 都議会自民党の中には、オイスカ議連、服部会長を中心として活動させていただいておりますが、私は、その植林作業の一環でモンゴルにも行かせていただきました。モンゴルのウランバートルというのは、ご承知のように、今、経済成長が著しくて、人口の集中、過密化というのが大きな社会問題になっております。
 その中で、モンゴル・ウランバートルの水というのは地下水を活用しているわけでありますけれども、地下水の汚染、そしてまた、工業用水の拡大に伴って地下水の枯渇が大変大きな問題になっております。
 この部分においては、東京都の水道局の皆様にも本当にいろいろ知恵をいただいているというふうに伺っておりますけれども、そこで、やはり今後、一番取り組まなくてはいけないのは、安全で効率的な水道インフラの整備、特に漏水率を低くしていくということであるというふうにも伺っております。
 日本のそうした技術力を持って、アジアの水問題の改善に取り組んでいくことというのは、相手国の発展を助けるとともに、さらに国際関係の中のネットワークの強固に私はつながっていく欠かせないものだというふうに思っておりますし、また、企業にとっては、これからは世界に出ていかなくてはいけないというビジネスチャンスにもつながっていくと考えております。
 我が党は、途上国の水事情改善が、ひいては日本経済の振興に資するものとして、国際貢献ビジネスの取り組みを積極的に推し進めてきたわけでありますけれども、まず初めに、この二十三年度における国際貢献ビジネスの取り組みの現状をお伺いいたします。

○福田総務部長 平成二十三年度の取り組みとしては、まず、企業間のマッチングや、当局に寄せられる情報の提供などを通じて、海外展開を目指す日本企業の取り組みを支援する仕組みとして、国際貢献ビジネス民間企業支援プログラムを創設いたしました。昨年十月から登録企業の公募を初め、現在、商社やメーカーなど六十三社の企業に登録いただいております。
 次に、将来的な成長が見込まれるバングラデシュ人民共和国へ、水道局職員と東京水道サービスの社員から成る東京水道国際展開ミッション団を本年一月末に六番目の訪問国として派遣し、現地のニーズや実情を把握するとともに、東京水道のノウハウや技術の紹介を行ってきたところでございます。

○鈴木委員 平成二十二年度から始めた国際貢献ビジネスも三年目に入ったわけであります。事業立ち上げの時期から具体化のフェーズに移りつつあるのではないかというふうにも私は思います。
 また、東京水道が今まさに海外で展開している水ビジネスの状況についてこれから伺っていきたいというふうに思っておりますが、先ほど東京水道サービス株式会社が、先日の新聞にも出ておりましたけれども、タイ王国で水道公社と覚書を締結したということが、いよいよ海外展開進出の本格化に私はなっていっているんだなということで、期待をしているわけでありますが、これは、東京が誇る漏水率の低さが海外展開の切り札になっていることを示す実例だと思っております。
 このタイでの取り組みについて、成功に結びつくまでの具体的な経過を改めてお伺いしたいと思います。

○福田総務部長 タイと東京水道の間の取り組みにつきましては、昭和六十一年度、バンコクに訓練センターが開設されるに当たり、当局職員を現地に派遣し、技術協力を行った経緯がありました。以降においても、水道事業運営に関する意見の交換や、無収水対策の研修を実施するなど、相互に信頼関係を深めてまいりました。
 こうした取り組みを続ける中で、昨年度、東京水道サービスが無収水対策の実地試験を行ったところ、当初二八%であった試験エリアの無収水率を三%にまで削減するという良好な結果をおさめた経過がございます。
 こうした信頼関係や昨年度の実績が高く評価され、具体的な案件の受注が濃厚となったことから、今後のタイにおける水道事業の受け皿として、東京水道サービスの現地法人を先月設立いたしました。
 十月二日、タイの水道公社との間で無収水対策パイロット事業に関する覚書を締結いたしました。現在は、契約に向けて細部の詰めを行っているところでございます。

○鈴木委員 今の答弁を聞かせていただきまして、まさに今までこの東京水道サービスの実績が本当に契約につながったということがわかるわけであります。バンコクと東京とのガバメント・ツー・ガバメント、いわゆるGtoGを築き上げた信頼関係、現地で証明した実力がこうした成果につながったものであるわけであります。今後もぜひ各都市へのアピールを強めて、積極的に海外に乗り出していってほしいと思います。
 そして、タイでの事例で東京の強みが世界で通用することがわかったわけです。無収水、すなわち漏水や盗水など、料金収入に結びつかない水の比率が高いことは、アジア諸国の共通の課題であると私は思っております。このことは、我々の前に大きな可能性が広がっているということに私はほかならないと思っております。
 そこで、この漏水対策を柱とした取り組みの今後の広がりについてお伺いいたします。

○福田総務部長 東京の無収水率は四%程度でございますが、アジア諸国では、おおむね一〇から四〇%でございまして、中には五〇%に近いところもございます。ご指摘のとおり、アジア諸国では無収水対策が課題となっております。
 一方、ミッション団や海外での技術協力を通じて収集した情報などから、東京水道が長年培ってきた漏水防止や水道メーター管理のノウハウは、途上国の水問題の解決に貢献できるすぐれた技術、ノウハウであることがわかってまいりました。
 また、無収水の削減は、現地の水道事業体の経営改善にもつながり、日々の安定給水の礎となるものでもあります。
 そこで、今後は、タイの先ほどの事例を足がかりに、台湾やマレーシアなど、無収水対策の関心の高い国に対して事業を展開してまいります。

○鈴木委員 私たちが東京にいると、無収水率が実情としては五〇%に近いというのは本当に考えられないような状況ですけれども、これからも水道局がアジアの水事情の改善に向けて本当に着実に取り組んでいってほしいというふうに思っておりますし、そのことがさらに東京の魅力の評価に私はつながっていくものであるというふうに、皆さんが本当に大きな期待を持って、私たちもこれからも支援していきたいというふうに思っております。
 世界の水ビジネス、特に施設の維持管理や運営の分野は、今後、大きな成長が見込まれております。しかし、一部商社による海外水道事業の買収は幾つか報道されているものの、日本のメーカー等の維持管理分野への参画はいまだ難航しているようであります。途上国で運営面のビジネスをとっていくためには、日本企業が乗り越えていかなければならない共通の課題があるんだなというふうにも思うわけであります。
 これまでの取り組みをビジネスにつなげていくために、途上国ではどのような点が課題となっているのかをお伺いいたします。

○福田総務部長 アジア地域では、水道事業の発注者である水道事業体の財政基盤が脆弱でありまして、日本の水道システムを当初から大規模に導入することが困難な国も多いというのが現状でございます。また、事業化調査により、経営ノウハウが少ないことがわかり、運営面でのサポートが必要となることもございます。
 ただ、その一方で、東京水道にはアジアの途上国から毎年数多くの研修生が訪れており、日本の水道技術を自国に導入したいという意向も寄せられております。
 そこで、各国の実情に応じた導入規模や、国際協力機関の資金を得るなどの方法により、徐々に取り組み対象を広げていくといった地道な活動も必要であるというふうに認識しているところでございます。

○鈴木委員 ただいまの答弁を伺いますと、海外には海外の事情があるんだなということが理解できるわけであります。しかし、今回のタイなどのように、東京が率先して現地水道事業の一角にかかわることで、いずれは施設建設などのハード事業においても日本企業にチャンスが回ってくるのではないかということも期待できるわけであります。
 最近は、欧州危機の影響を受けて、フランスなどのいわゆる水メジャーの動きは鈍化しているようでありますが、まだまだその実力というのは、やはり脅威であります。
 一方、東京水道は、日本の首都のライフラインとして、一千三百万都民に二十四時間安全でおいしい水を供給しており、これまで築き上げてきた東京ブランドは、私は国際的にも信用を得ているのではないかというふうにも思っております。
 そこで、東京水道に対する世界の評価を水道局はどのように感じておるのかお伺いいたします。

○今井企画担当部長 東京の水道に対する世界からの評価としましては、平成十六年にイスタンブール市が公表した資料の中で、東京が第一位の総合評価を受けております。これはパリやロンドンなど世界の十三大都市の水道事業を比較したもので、東京は総合的な管理運営や効率性などの項目で高い評価を受けました。
 また、今年度には国際水協会から、当局の漏水率三%への挑戦の取り組みが東アジア地域大賞及び世界賞を受賞いたしました。この賞は世界各地の革新的ですぐれた取り組みをたたえるもので、こうしたことからも東京水道は世界から高く評価されているものと認識しております。

○鈴木委員 先日報道された世界の都市ランキングにおいては、東京は四位に位置づけられております。私は、水道は間違いなくナンバーワンであるというふうにも思っておりますし、これは、ただ漏水率が低いだけとか、そういうシステム的なことではなく、質のナンバーワンであるというふうに思っておりますので、ぜひそのことに自信を持ってこれからも取り組んでいっていただきたいなというふうに思っております。
 ぜひその力を生かして、アジア諸国で海外における水道運営のモデルを示していっていただきたいというふうにも私は思っております。そのことによって日本企業のビジネスチャンスが広がっていくということにもなるというふうにも私は思っておりますので、ぜひそういう自覚も持っていただければというふうにも思うわけであります。
 先日行われましたIMFでの世界各国の首脳による浄水場等の視察は、私はいいチャンスであったというふうにも思います。また、その会議の場や平成二十三年度に開催されたIWAアジア太平洋地域会議等の国際会議で配られました三五〇ミリリットルや五〇〇ミリリットルのペットボトル「東京水」は、どちらも好評だったと聞いております。より多くのお客様にアピールできるものとして、ペットボトルに多様なバリエーションを持たせることは、私は今後有効な手段ではないかなというふうに思うわけであります。
 そこで、水道局でも、例えば、備蓄用として二リットルなどの大きなペットボトルで「東京水」を製造する考えがあるのかをお伺いいたします。

○吉野サービス企画担当部長 現在のペットボトル「東京水」は、お客様に高度浄水処理水を手軽に飲んでいただく広報用ツールとして平成十六年七月から製造し、安全でおいしい水道水のPRに活用しております。
 しかし、昨年の震災を機に、水の備蓄に対する意識も高まっており、また、ニーズもあることから、今後、容量の大きいペットボトル「東京水」の製造について検討してまいります。

○鈴木委員 今、各学校や企業に、帰宅困難者に対しての対応で、防災の備蓄品をふやしております。その中で、やはり水のペットボトルというのはたくさん各企業や各事業体に置かれているんですけれども、寂しいことに、「東京水」というのはないんですよね。ぜひとも今後、二リットルのペットボトルであれば、私は、PRだけでなく備蓄用としても本当に十分活用できるというふうに思っておりますので、力を入れていただきたいということと、さらに、宅配によりお客様に配送することで、利便性もよく、広報にも幅が出るものと思っておりますので、ぜひとも検討していただきたいというふうに思います。
 このように、水質もよく、おいしいと高い評価を得ている東京の水道水をより多くの人に飲んでもらう機会を充実させることで、都民のニーズにこたえるとともに、国際的な認知度の向上が図れるなど、より高い効果があると考えております。ぜひとも、こうした部分において、皆さんにさらに頑張っていただくことをご期待申し上げます。
 次に、渇水を含めたリスク対応について幾つか質問をいたします。
 ことしは暑い日が大変続きまして、九月になっても気温が三十度を超える日が多く、厳しい残暑となったわけであります。九月の平均気温は観測史上最高を記録するなど、異常気象の顕在化を感じたわけであります。
 そのような中で、利根川水系では十一年ぶりに渇水となったと報道されました。今回の渇水では、たった一カ月雨が少ないだけで取水制限となっており、このことは、都の水源がまだまだ不十分であることのあかしであるというふうに私は思います。
 まず、ことしの渇水において都民への給水をどのように守ったのかを具体的にお伺いいたします。

○酒井浄水部長 利根川水系では、七月には平年を上回るダム貯水量が確保されていましたが、八月の少雨により、わずか一カ月間で大きく貯水量が減少し、九月上旬には過去三番目に少ない貯水量となりました。この結果、九月三日には、利根川水系渇水対策連絡協議会の幹事会が開催され、厳しいダムの貯水状況や今後の対応について協議がされました。これを受け、水道局では渇水対策本部を設置し、対応方針に基づき、ホームページやツイッター等で都民により一層の節水をお願いしたところでございます。
 その後も、降雨が少ない状況が続いたため、九月十一日から利根川水系において一〇%の取水制限が実施されました。この取水制限に伴いまして、原水連絡管による東村山浄水場への送水量を減量いたしましたが、都民への影響を最小限に抑えるため、幸いにも、貯水率が八割を超えていた多摩川水系の小河内貯水池からの放流を増量することで対応できました。その結果、都民への安定給水を確保することができました。

○鈴木委員 結果的には事なきを得たというか、どうにかなったわけですけれども、もし七月に渇水が起きていれば、都民に大きな影響が及んだのは間違いないというふうに思っております。
 水資源というのは、降雨や降雪といった自然現象に大変大きく左右されます。近年の異常気象を考えると、今後、これまでにない、経験したことのないような厳しい渇水が発生することも考えられるわけであります。
 そこで、将来起こり得る渇水に今後どのように対応していくおつもりなのかをお伺いいたします。

○今井企画担当部長 本年は、八月初旬にほぼ満水だった利根川上流ダム群の貯水量が、わずか一カ月間雨が少ないだけで大きく減少し、取水制限が実施されました。この夏の例から見られるように、利根川上流ダム群の貯水量はいまだ十分ではなく、都の水源が脆弱であることを改めて認識しております。
 また、将来、温暖化により積雪が大幅に減少するなど、気候変動による水資源への影響が懸念されており、今後、これまでに経験したことのない、厳しい渇水が発生することも予測されます。
 このようなことを踏まえ、現在建設中の八ッ場ダムの一刻も早い完成を求め、安定した水源の確保をするとともに、水系間の相互融通機能の強化などの取り組みを総合的に推進し、厳しい渇水時においても安定給水の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

○鈴木委員 アメリカやオーストラリアなどで大干ばつが起きるなど、本当に世界各地で今までに考えられないような異常気象が発生しているというふうに報じられております。このような状況を考えると、人ごとではなく、本当に人が生活する上で欠かすことのできない水道を将来にわたって安定供給していくためには、私は、八ッ場ダム建設はまさに急務の事業であるというふうに思わざるを得ないわけであります。
 また、今の答弁にありましたように、渇水の影響などを最小限にするためには、異なる水系の水を相互に融通する機能など、水源を活用する取り組みも、今後もっと積極的に進めていかなくてはならないと思っております。
 そこで、相互融通機能の強化に向けた具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○田村建設部長 朝霞浄水場と東村山浄水場との間で、利根川水系と多摩川水系の原水を相互融通する原水連絡管は、平常時はもとより、渇水時や水質事故時、災害時などに大いに役立つ重要な施設でございます。しかし、昭和三十九年の完成から約五十年が経過しているため、老朽化が進行するとともに、耐震上の脆弱さが顕在化しております。
 このことから、災害時や事故時におけるバックアップ機能の確保や、渇水時などにおける給水の安定性を向上させるため、原水連絡管の二重化に向けた整備工事を実施しているところでございます。
 新たに整備する連絡管は、地下三十メートル程度にあります、地震の影響が少ない、かたい地盤に布設することで、耐震性も強化していくこととしております。
 工事は、平成二十二年度に着手をして、現在、連絡管を布設するトンネルを築造するために、立て坑の築造やシールドマシンの製作を行っておりますが、平成三十年度の完成に向けて引き続き整備工事を着実に実施してまいります。

○鈴木委員 今ご答弁にありましたように、事故や災害時にも相互融通のかなめとなる原水連絡管の二重化整備の着実な推進を期待しております。
 また、将来にわたり水道事業を運営していくためには、渇水を初めとするリスクに的確に対応していかなければなりません。気候の変動や、いつ発生してもおかしくない首都直下地震など、さまざまなリスクが考えられます。首都東京で一たび大規模な断水が起これば、都民生活や都市活動に大きな影響が生じるわけであります。こうしたリスクに対する備えをより万全にしていただきたいと思っております。
 そこで、最後に、将来にわたる安定給水に向けた局長の決意を改めてお伺いして、私の質問を終わります。

○増子水道局長 水道事業の最大の使命は、都民生活や都市活動を支えるため、安全な水を安定して供給することであり、将来起こり得るさまざまなリスクに対しても十分に備えていく必要があります。
 このため、厳しい渇水にも対応できるような水源の確保や原水連絡管の二重化などのバックアップ機能の強化を初め、施設の能力増強、更新や耐震化など、さまざまな施策を積極的に推進してまいります。
 こうした取り組みを着実に進め、あらゆるリスクに直面しても水の供給を途絶えさせない水道システムを構築することにより、一千三百万都民の暮らしの安全と安心、そして、首都東京の都市活動を将来にわたり支え続けてまいります。

○加藤委員 それでは、私からも水道局の取り組みについて幾つか伺ってまいります。
 まず最初に、安全でおいしい水の取り組みについて伺います。
 水道局では、都民に安全でおいしい水を届けるために、利根川水系の原水を取水している全浄水場に高度浄水処理を順次導入しております。
 私の地元墨田区には、主に金町浄水場からの水が配られておりますけれども、かつては、特に夏場の水道水はカビ臭いといいますか、おいしいとは思えなかったのですが、平成四年に高度浄水処理が導入されてからは、今までと違っておいしいと思えるようになりました。
 先般、利根川水系でのホルムアルデヒドの流出事故の際には、高度浄水処理が導入されていれば除去できるといったことも報道され、ただおいしさだけではなく、安全性という面でも効果があることがわかりました。
 そこでまず、平成二十三年度現在の高度浄水処理の導入状況、それから、今後の見通しについて伺います。

○田村建設部長 利根川水系を水源とする浄水場への高度浄水処理の導入についてでございますが、これまで平成四年度に金町浄水場の一部に導入して以降、三郷、朝霞、三園、東村山浄水場に順次導入し、平成二十三年度末現在で利根川水系の原水の約七割を高度浄水処理しております。
 さらに、利根川水系から取水する全量を高度浄水処理するため、現在、金町、三郷、朝霞浄水場において高度浄水施設を整備しており、平成二十五年度末の完成に向けて整備工事を着実に進めてまいります。

○加藤委員 ただいまの答弁で、平成二十五年度末までには利根川水系の原水が全量高度浄水処理されることがわかりました。来年度中の導入完了ということでありますが、ぜひ着実に整備を進めてもらいたいと思います。
 また、現在でも、既に金町浄水場だけでなく利根川水系を原水とする浄水場には、全量ではないものの、高度浄水処理が導入されているとのことでありますので、私だけでなく都民の皆さんも、水道水がおいしくなったという変化に気づかれているのではないかと思います。
 そこで、飲み水としての水道水に対する都民の満足度はどうなっているのか伺います。

○吉野サービス企画担当部長 当局では、水道事業に対するお客様の評価や要望を的確に把握するため、定期的にお客様満足度調査を実施してきており、家庭での飲み水としての水道水に対するお客様の満足度は、平成十五年度には、非常に満足、満足、やや満足を合わせて二八・一%でございました。
 そこで、局として、より多くのお客様に水道水を飲んでいただくため、平成十六年六月に、安全でおいしい水プロジェクトを立ち上げました。そして、計画的に施策を推進した結果、平成二十三年度には満足度が五二・五%と大きく向上してきております。

○加藤委員 約半数の都民の方が満足するようになったということは、十五年度から倍近くに伸びているということで、大変喜ばしいことだと思います。
 しかし、私は、まだまだこの満足している人の割合が五割では少ないのではないかと思います。原因はいろいろあると思いますけれども、水道水がまずかったころに飲まなくなったまま、市販のミネラルウオーターなどを飲料用としてふだん飲んでいて、その後、この高度浄水処理が導入されて、おいしくなったことを知らずに不満であると回答している人もいるように思います。
 そこで、この高度浄水処理の導入を知っている方はどのぐらいいるのか伺います。

○吉野サービス企画担当部長 お客様満足度調査では、当局が推進している各種施策の認知度についても調査を行っており、平成二十三年度には、高度浄水処理の導入による安全でおいしい水道水の供給について、四一・六%の方が、知っている、あるいは聞いたことがあると回答しております。

○加藤委員 ただいまの答弁では、高度浄水処理の導入を知っている人は半数にも満たないとのことであります。
 我が会派では、これまでも水道局のこの取り組みを応援してきており、PRの重要性についても意見させていただいたところであります。水道局では、提案を踏まえて、さまざまなPRを実施していると思いますが、より多くの都民の方に高度浄水処理を知ってもらい、水道水を飲んでもらえるよう工夫してPRをしていくことが必要だと思います。
 そこで、高度浄水処理を知ってもらうために現在実施しているPRの取り組み状況を伺います。

○吉野サービス企画担当部長 当局では、高度浄水処理の認知拡大に向け、さまざまな取り組みを実施しております。主な取り組みとしては、新聞折り込みにより全戸配布している「水道ニュース」やイベントなどで配布しているペットボトル「東京水」により、高度浄水処理した水道水の安全性やおいしさをより多くの都民の皆様にPRしております。
 また、平成二十四年六月には、水道水とミネラルウオーターとを飲み比べる東京水飲み比べ五千人キャンペーンを実施いたしました。この飲み比べキャンペーンには八千七百十九人にご参加をいただき、そのうち約四二%の方々から水道水の方がおいしいとの回答があり、この飲み比べ結果を広くPRすることにより、高度浄水処理した水道水のおいしさをこれまで以上にアピールしております。

○加藤委員 今お話がありました東京水飲み比べ五千人キャンペーン、これ、私もすごいなと思ったんですけれども、水道水は東京都庁舎わきの蛇口から採水して入れて、一方は市販のミネラルウオーターというのを二つのコップに、どっちかがわからないようにして飲むんですけれども、それで、四二%の方が水道水の方がおいしいというのはすごいなというふうに思います。
 そうした意味で、さまざまな手法により工夫してPRを展開しているということがわかったわけですけれども、今後もこうした取り組みを継続的に実施することで、着実に効果が出てくるのではないかと思います。引き続き、高度浄水処理した水道水のおいしさを都民の方々にアピールしていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 次は、給水拠点の施設改造についてですけれども、地震の発生後は断水の発生が想定されます。四月に公表された都の被害想定では、東京湾北部地震での断水率は約三五%、元禄型関東地震では約四五%となっており、都民生活を支えるために不可欠な水をいかに都民へ提供するかが重要と考えます。
 一方、東日本大震災を受けて、住民の間には、自助、共助の考え方が広まってきていますが、発災時の応急給水において、そうした自助、共助を生かす体制はどのように整えられているのか伺います。

○福田総務部長 浄水場や給水所では、給水の安全性確保のため、一般の方の立ち入りができない、そういう形で行われております。そういうことから、水道局職員が応急給水に必要な資器材等を設置し、区市町の職員が応急給水を実施することとなっております。
 しかしながら、震災直後には職員が速やかに参集できないことも想定されるところであります。こうしたことから、職員の参集を待たずに住民みずからが円滑に応急給水を行えるよう、水道施設用地内に住民向けの応急給水エリアを区画するなど、施設の改造をすることとしております。

○加藤委員 自助、共助の考えを生かした応急給水を可能とする施設の改造を進めていることはわかりました。
 今の答弁で、職員の参集を待たずに住民みずからが応急給水を実施できるよう施設の改造をするとのことでありますが、具体的にはどのような施設になるのか伺います。

○福田総務部長 浄水場や給水所の一部のエリアを区切るとともに、施錠の方法を変更することなどにより、水道施設に立ち入らなくても応急給水活動が可能となる区画をまず確保していくわけでありますが、その区画内には、常設の給水栓に加えて仮設給水栓を接続することにより、蛇口を増設できる立ち上げ給水栓も設置することとしております。
 また、必要に応じて給水のためのポンプを整備し、さらに、停電時に備えた自家用発電機なども整備いたします。

○加藤委員 施設の改造内容についてはわかりました。また、住民みずからが応急給水できるよう工夫がされていることは、災害対策として大変重要で評価できます。
 では、こうした改造が完了した施設はどの程度あるのか、これまでの施設改造の状況について伺います。

○福田総務部長 当局の応急給水拠点となる施設の改造につきましては、無人の施設などを中心に、平成二十三年度末までに十一カ所で完了しております。今後も、改造が必要な施設において順次整備を行ってまいります。

○加藤委員 施設の改造を引き続き精力的に進めていただきたいと思います。
 そして、施設の改造後は、地域住民の自助、共助により施設が適切に使用され、円滑な応急給水が行われるよう、都としても住民を支えることが求められます。
 そこで、施設改造を実施した後の住民支援としてはどのような方策が必要と考えるか伺います。

○福田総務部長 改造を完了した施設においても、現実に発災したとき、住民みずからが応急給水を実施できるようにするには、事前の訓練が重要となります。そのため、局では、区市町と連携し、地域住民との合同訓練を実施してまいります。訓練を行い、実際に応急給水を体験していただく中で、施設の適切な使い方を伝え、発災時における住民みずからによる応急給水の実効性が高まるよう支援してまいります。

○加藤委員 幾ら施設整備をしても有効に活用されないと意味がありません。ぜひ改造した施設において地域と連携した訓練を積極的に行って、住民の十分な理解を支援し、応急給水の効力を高めてもらいたいと要望します。
 関連して、給水拠点を補完する消火栓を活用した仮設給水栓による応急給水も、同様に地域との連携が必要であります。平成二十三年度には、消火栓等を活用した応急給水の訓練が十六回行われたと聞いておりますが、まだまだ都民に知られていないのが実態ではないでしょうか。
 私の地元墨田区でも、昨年度まで、この消火栓等を活用した応急給水訓練は一度も行われておりません。そうしたこともありまして、先日、水道局の皆さんや地元の関係者にもご協力をいただき、初めての応急給水訓練のデモンストレーションを行いました。初めてですので、恐る恐る私も試飲してみたんですけれども、全く違和感なく飲むことができて感動いたしました。来月も区内一カ所で訓練を行うことになっております。
 そこで、こうした訓練が行われていることを広く周知することで、都民の訓練に対する参加意欲を高めることができると考えますが、いかがでしょうか。

○福田総務部長 発災時の応急給水が円滑に行われるようにするためには、なるべく多くの都民の参加を得た訓練を実施することが必要であります。そのためには、ご指摘のとおり、訓練の様子などを紹介することで、都民の方々の訓練に対する参加意欲を喚起していくことが重要であるというふうに考えております。
 今後においては、水道局のホームページや「水道ニュース」などを活用して広く周知を図り、応急給水に対する関心や意識を高めながら、多くの都民の参加を求めてまいります。

○加藤委員 今後、水道局では、スタンドパイプ式の仮設給水キットというんですかね、これを区市等に配備していただけるとのことですので、多くの住民参加ができるよう取り組んでいただきたいと思います。
 また、地域で訓練を計画、実行するに当たっては、地元区市町が窓口だとお聞きしておりますけれども、町会や自治会から要望があった際には、局としてもできるだけ協力をお願いしたいと思います。
 これまでの答弁で、安全でおいしい水の供給や応急給水についてさまざまな角度から取り組んでいることがよくわかりました。震災等を踏まえ、今求められているのは、ふだんからの水に対する安心感であります。
 そこで、最後に、都民が常に安心して水道を利用できるようにするためどのように取り組むのか、局長の見解を伺います。

○増子水道局長 水道局には、東京に暮らす一千三百万人の方々に、平常時においても、震災時においても、安心して水道を使っていただけるように努める使命がございます。
 そのため、まず、安全でおいしい水の供給を目的として、利根川水系の高度浄水施設を来年度末までに完成させてまいります。
 また、震災時に断水が発生した場合に備えては、自助、共助による円滑な応急給水ができるように、施設の改造や訓練を積極的に実施してまいります。
 あわせて、こうした施策に対する都民の理解を得られるよう、幅広いPRを展開してまいります。
 水道に対する都民の信頼度をさらに高めていくため、引き続き最大限努力してまいります。

○加藤委員 今後の取り組みに期待しておりますので、よろしくお願いします。終わります。

○かち委員 東京の水道事業は、約千三百万人の都民に水道水を提供しており、長い歴史の中で、配水管の延長は二万六千三百四十八キロメートルにもなっています。命に直結する重要な都民の生活基盤の一つです。
 昨年の東日本大震災により、東京でも停電による断水などさまざまな影響を受けました。今後起こり得る首都直下の大地震や津波に見舞われても、水道水の確保が命をつなぐかぎとなります。また、都民へのサービス向上や環境対策への取り組みも求められているところです。こうした観点から、平成二十三年度決算に当たり何点か質問します。
 まず、震災、防災対策についてです。
 昨年の東日本大震災の教訓や首都直下地震の被害想定などから、都の水道施設の震災対策への課題をどのように認識されているのか、まずお聞きします。

○今井企画担当部長 水道局は、これまでも水道施設の耐震化や送配水管のネットワークの強化など、さまざまな震災対策を積極的に推進しております。引き続き、水道施設の震災対策を局の重要課題の一つとして位置づけ、計画的に取り組んでいきます。
 また、水道施設の更新は、長期にわたり大幅な能力低下が継続することとなります。このため、更新時の能力低下を補う代替施設の整備が必要であると考えてございます。

○かち委員 東日本大震災による都水道施設への被害状況とその影響について伺います。

○福田総務部長 東日本大震災による当局の水道施設の被害につきましては、四カ所の浄水場等で沈殿池や排水処理の設備の一部が破損するなど被害があったものの、いずれも軽微な被害でありまして、浄水処理に大きな支障を来すことはありませんでした。
 また、配水管や給水管などの管路については四百五十件の被害が確認され、その四分の三に当たる三百三十一件が給水管の被害でありました。これら給水管の被害は、特に塩化ビニール管で多く発生しておりまして、ステンレス化された給水管での被害はほとんどございませんでした。

○かち委員 水道管の断裂や断水というような大きな被害はなかったようですけれども、最も多かったのが、塩化ビニール管の給水管の破損被害が三百三十一件、七五%が私道内給水管とのことでした。これらのステンレス化を促進する必要があると思いますが、そのためには、現在、十軒以上がまとまらないとできないなどの規定がありますが、こうした基準の緩和が必要ではないかと思いますが、その取り組み状況について伺います。

○佐々木給水部長 私道内給水管のステンレス化の取り組みについてでございますが、平成六年度より、漏水防止や出水不良解消などを目的に私道内に配水管を布設し、給水管をステンレス化する私道内給水管整備工事を行ってきております。その後、整備対象を順次拡大し、平成二十一年二月からは、私道内の給水管が三本以上、またはお客様が十世帯以上ある私道を対象として私道内給水管のステンレス化を進めてまいりました。
 昨年の東日本大震災におけます給水管の被害状況をかんがみまして、本年平成二十四年九月より、これまで対象としていなかった小規模な私道の給水管につきましてもステンレス化を進めているところでございます。

○かち委員 配水管、給水管まではよくても、そこから自宅に行くところの給水管がどうしてもウイークポイントのようになっております。そこをやっぱり手当てすることが求められておりますので、ぜひこの取り組みを促進していただきたいというふうに思います。
 福島原発事故に起因し、一時期、計画停電が行われましたが、このときに多摩地域で断水や濁水件数が相当数見られました。災害時の停電対策の現状はどのようになっているでしょうか。

○佐久間設備担当部長 災害時の停電対策としましては、自家発電設備を運転したり、配水系統を切りかえることにより、断水等の影響が最小限となるよう対応しております。
 東日本大震災を踏まえ、災害時においても安定的な給水を確保できるよう、現在、停電時にも浄水処理や配水ポンプの運転を継続できる自家発電設備の整備を進めております。

○かち委員 影響が最小限になるように、自家発電のあるところは運転できたようですけれども、それを充足しているわけではないわけですね。各浄水場での自家発電機能の整備率と達成目標はどのようになっているでしょうか。

○佐久間設備担当部長 自家発電設備の状況につきましては、平成二十三年度末で、東村山や金町など、主な浄水場につきまして、その合計の施設能力の約五割を給水できる自家発電設備を整備しております。停電時においても、大規模浄水場にその能力を最大限に発揮させるための自家発電設備を増強していきます。

○かち委員 努力はされているけれども、まだ合計施設能力の五割ということです。道半ばです。実際、実害があったわけですから、衛生管理の向上という点からしても、早急に全施設に普及されること、そのための計画と目標年次を持って進めることを求めておきます。
 非常用発電だけでなく環境対策としても、発電と熱利用のできる効率性の高い常用コージェネレーションシステムを現在、東村山、金町、朝霞、三園の四施設で行っておりますけれども、もっと増強すべきだと思いますが、その取り組みについて伺います。

○佐久間設備担当部長 水道局は、これまでもコージェネレーションシステムにつきましては、自家発電設備の排熱を排水処理設備のスラッジ加温に活用するなど、排熱利用による効果が大きい大規模浄水場に積極的に導入してきております。
 今後も引き続きコージェネレーションシステムにつきましては、電源の二系統化や電力不足の状況等を勘案しながら導入してまいります。

○かち委員 地震によって最も影響を受けやすく、給水に支障を来しやすいのが配水管の継ぎ手部分だといわれています。配水管の耐震継ぎ手管への取りかえが急がれているわけですが、局としても計画を倍加して、平成三十一年度までに四八%を目指しているということですが、対象総延長は幾らあるのか。昨年度の実績は前年度から二%の更新でありますが、その事業費と延長をお答えください。

○佐々木給水部長 平成二十三年度末の水道管の取りかえ対象延長でございますが、約一万九千キロメートルほどございます。また、平成二十三年度の管の取りかえにかかりました事業費は五百九十七億円、そして、施工延長は四百五十五キロメートルとなっております。

○かち委員 継ぎ手管の耐震化工事は大規模ではないんですけれども、いろいろ調整作業があり難しいんだといろいろいわれていますけれども、水道水を配水する上で、この継ぎ手が損傷を受け、大震災や液状化によって最も断水や漏水を起こしやすい問題を抱えています。対象総延長は全長一万九千キロの配水管の継ぎ手耐震化は、このペースでは四十年以上もかかってしまいます。総力を挙げて目標をさらに引き上げ、耐震化を促進することを求めておきたいと思います。
 浄水場のろ過池の耐震化は平成二十二年から二十四年まで七六%のまま続いております。平成二十八年度には九八%の達成を目指すとしていますが、あと四年です。その理由と今後どのように進めていくのかお聞きします。

○酒井浄水部長 平成二十二年度から二十四年度までの三カ年は、高度浄水施設築造などの施設能力に係る大規模工事を実施しており、安定給水確保のため、浄水場ろ過池の耐震化率は横ばいとなっております。今後、平成二十八年度の目標達成に向け、改良、補修工事などの施設能力に係る工事と十分な調整を図り、ろ過池の耐震化を進めてまいります。

○かち委員 同じ施設で高度浄水処理の築造中ということで、ろ過池の耐震化が後回しになってしまったというわけですが、優先順位が逆ではないかと思います。早急にろ過池の耐震化に取り組むことを求めておきます。
 平成三十一年度までに九四%の達成目標の給水所等の配水池の耐震化の昨年二十三年度までの実績は五八%ですが、その内容と事業費について、また、今後どのように進めるのかお聞きします。

○酒井浄水部長 平成二十三年度は、練馬給水所一号配水池外六カ所で配水池の耐震化を実施いたしました。これらの配水池耐震化工事の事業費の合計額は約十三億円となっております。
 また、配水池につきましては、平成三十一年度の目標達成に向けまして、安定した水運用を確保しつつ、耐震化を進めてまいります。

○かち委員 るる伺ってきましたが、経営プラン二〇一〇は、当然、震災前に計画したものであり、実際の到達点は、いずれもほぼ道半ばです。あと十年弱でこれらを一〇〇%に近づけるという計画ですが、首都直下地震などの確率が高まる中で、このペースでは到底間に合わない状況になっています。今後新たに計画を策定するに当たって、大幅な前倒しで進められることを再度強く求めて、次の質問に移ります。
 先ほども質疑がありましたが、現在、水道局は高度浄水処理水を「東京水」としてPRしていますが、その用途、また、この間の製造実績や製造費などについてお聞きします。

○吉野サービス企画担当部長 ペットボトル「東京水」は、お客様に高度浄水処理した水道水を手軽に飲んでいただく広報用ツールとして平成十六年七月から製造し、PR用に活用しております。
 製造本数及び製造費用につきましては、平成二十一年度は約四十二万本で約三千二百万円、平成二十二年度は約三十七万本で約二千八百万円、そして、平成二十三年度は約五十一万本で約三千七百万円でございます。

○かち委員 「東京水」のPR事業については、その意義については、私は疑問を持っている者の一人ですけれども、昨年の放射能汚染問題が発生したときに水パニックが起きかねない状況を回避できたのは、東京都からこのペットボトルの配布ができたことだと思います。
 現在、震災対策の一環として、一人三リットルの水を確保していくことが求められていますが、高齢のひとり暮らしや障害者など災害弱者といわれるような方々、保育園や学校などで大量に備蓄しておかなければならない問題、定期的に交換しなければならないなど、どのようにしたらいいかと相談を受けてもおります。
 都民サービスの観点から、希望する個人、福祉施設や教育施設などに宅配するようなシステムが必要ではないでしょうか。また、リットルポットの整備も必要だと思いますが、見解を伺います。

○吉野サービス企画担当部長 容量の大きいペットボトル「東京水」の製造及び宅配につきましては、先ほどもご答弁いたしましたとおり、震災を機に、水の備蓄に対する意識やニーズも高まっていることから、今後検討してまいります。

○かち委員 ぜひ具体化を図られることを望んでおきます。
 次に、監理団体の委託業務について伺います。
 水道局の監理団体である、TSS、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCへの委託料の推移について資料を出していただきましたが、TSSは主にハード面、PUCはソフト面の業務とのことですが、監理団体TSSへの委託料がこの十年間で四倍にふえていますが、その理由についてお聞きします。

○福田総務部長 当局では、監理団体を活用した一体的事業運営体制を構築して、水道事業の基幹的業務、経営方針の策定など、事業運営の根幹にかかわるコア業務と、民間事業者に委託した業務の指導監督など、事業運営上、重要な業務である準コア業務に分けて、これまで水道局が行ってきた業務を局と監理団体が担うことといたしました。この方針に基づきまして、当局職員が直接担っていた区部の給水装置業務などを順次東京水道サービス株式会社に対して委託してきたところでございます。
 さらに、多摩地区の事務委託解消という大きな出来事がございました。二十三年度末に多摩地区水道も都営完全一元化を完了したわけですが、これに伴いまして、多摩地区の市町職員約千百人が担っていた業務のうち、施設管理等の技術系業務についても順次東京水道サービス株式会社に委託してまいりました。
 これらの要因によりまして、東京水道サービス株式会社への委託業務料が大幅に増加したものでございます。

○かち委員 これまで水道局が直接担っていた業務が委託化によってふえたとのことですけれども、そのことによって経営のスリム化などとして人員削減が進められてきたわけです。
 経営プラン二〇一〇では、二〇一〇年から二〇一二年までに百七十名の人員削減計画が出されました。これは業務の委託化と一体のものであると思いますが、この間に具体的にはどのような業務が委託、あるいは統廃合されたのでしょうか。

○福田総務部長 ただいま指摘がありましたように、平成二十二年度から二十四年度の三カ年における職員定数は、実績ベースでも百七十名の定数削減を行っております。
 この期間における監理団体への具体的な業務委託の内容といたしましては、東京水道サービス株式会社に給水装置業務や配水管の設計業務、小作浄水場の運転管理業務などを委託しております。また、株式会社PUCには、板橋及び足立区の営業所業務を委託しております。

○かち委員 二〇一〇年度では、給水管工事業務とか支所の配水管設計業務、建設事務所工事監督業務、漏水業務の見直し、また、九営業所の営業収納係の統合などが行われたわけです。二〇一一年度では、板橋営業所の業務移転、文京、台東営業所の統廃合、蒲田分室の廃止、小作浄水場業務移転、支所の漏水防止業務の統合などの削減が行われたということです。そして、この三年間で百七十人が削減されました。
 この結果、大規模工事関係の配水管工事だけではなく、宅地関係の給水管工事にかかわる業務がすべてTSSに移管されることになるわけです。二〇〇〇年以降だけでも、既に千七百人近い人員削減が行われており、この中に給水の中止、停止、徴収整理業務なども、お客様センター、PUCに委託されています。
 こうした業務を委託する場合、どのようなやり方で行っているのでしょうか。例えば、昨年の板橋営業所の業務移転の場合を伺います。

○冨田サービス推進部長 板橋営業所につきましては、平成二十三年八月から、当局所管の監理団体であります株式会社PUCへ業務移転したところであります。業務移転に際しましては、移転後の営業所の業務水準を維持するため、当局職員をPUCに退職派遣させることにより、当局が持つ業務のノウハウをPUCへ継承してまいります。
 退職派遣につきましては、期間を三年程度とし、移転後の営業所に占める退職派遣職員の割合を段階的に減少させることで、円滑かつ安定的な業務移転の実現を図っております。

○かち委員 一定期間、職員を派遣しつつ、段階的に引き揚げて、数年後には完全委託ということになるようですけれども、その間に技術の継承などをしていくということですが、確かに形の上ではソフトランディングのように見えますけれど、実際にはさまざまな矛盾を抱えることになるわけです。板橋営業所のように、当初は七割台の派遣であっても、その後、五割、三割、ゼロというふうに派遣職員は引き揚げていきます。
 TSS、監理団体では、逆に固有職員や非常勤職員が徐々にふえていくことになり、賃金格差が生まれたり、技術の継承、蓄積という点でも弱体化していくことは否めません。都の水道事業における人材育成と技術の継承をどのように図っていくのかお聞きします。

○松宮職員部長 当局では、監理団体社員を当局の研修へ受け入れるなど、一体となった研修を実施しております。また、業務履行能力を確保するため、監理団体への局職員の派遣を進めており、局派遣者と監理団体社員との連携協力のもとで業務を行っております。これら、局と監理団体との一体となった取り組みにより、人材育成、技術継承を図っているところでございます。

○かち委員 監理団体と局一体で技術継承を行っているんだ、研修を行っているんだというお話でしたけれども、世界にも誇れる技術を持つ都の水道事業が現場から離れていってしまっては、やがて現場のことがわかる人材が水道局そのものの中にいなくなるということであり、技術の蓄積も継承もできなくなり、都民の財産の損失になります。このような際限のない業務委託は見直すべきだと申し上げておきたいと思います。
 また、文京、台東営業所の統廃合について、この間の経緯についてお聞きします。

○冨田サービス推進部長 当局では、公営企業として、より一層効率化を図るため不断の経営努力を行っており、これまでも営業所の統合等を行ってまいりました。文京営業所と台東営業所の統合に当たっては、業務量や職員数の規模等を勘案し、実施したものであります。
 統合先については、立地条件や執務室のスペースの確保の面から文京営業所といたしましたが、設備等の老朽化のため現在改修中であり、仮庁舎に一時移転をして業務を実施しているところでございます。

○かち委員 統廃合によって台東区から営業所がなくなるということに対し、拙速だということで、台東区議会でも問題になりました。
 台東区民にとっては、低所得層の減免申請に文京区まで足を伸ばさなければならなくなったことなど、困惑の声も上がっています。統廃合、移転についての台東区や住民の理解を得る努力が不足していたのではないでしょうか。
 現在、統合した台東、文京営業所は、改修工事のため、仮移転をしているわけですけれども、その場所はどこで、期間、面積はどのくらいでしょうか。

○冨田サービス推進部長 移転先の仮庁舎の住所は、文京区後楽二丁目五番一号飯田橋ファーストビル一階でございます。広さにつきましては約千六百平方メートルで、移転期間は平成二十四年一月十日から平成二十五年一月二十五日までとしてございます。

○かち委員 ほぼ一年間、統合して人数が約倍化した後の移転ということであり、合理的なやり方とはいえません。改修工事後に統合すれば、余計な経費を出さなくても済んだのではないでしょうか。
 なぜ改修工事の後に台東区や住民理解を得てから統合しなかったのかお聞きします。

○冨田サービス推進部長 先ほどの答弁でもお話しさせていただきましたとおり、当局では不断の経営努力を行っておりまして、これまでも営業所の統合を行ってまいりました。また、統合に当たっては、業務量や職員数の規模等を勘案して実施してきたものでございます。
 文京営業所につきましては、築三十五年以上が経過しておりまして、庁舎の老朽化が進んでいるため、当初からこれは改修を予定していたものでございます。庁舎改修を行うタイミングに合わせまして統合を行ったものでございます。
 なお、住民の方々に対しましては、広報東京都、区報、「水道ニュース」、私ども水道局のホームページ等に掲載するなど、さまざまな手法によって広報いたしまして、十分に住民の方々には周知し、ご理解をいただけたものと考えてございます。

○かち委員 広報すれば理解を得られるというのとは直結をしない問題であります。
 そして、老朽化しているから、その機会に統廃合して人員削減をしようというふうなことですけれども、この統廃合によって人員は四名減らされたということになるわけですけれども、やり方としては、老朽化した文京の施設を改修工事をやった後に統合すれば済むわけですよね。それをしないで統合を先にして、世帯をふやした後に改修するから、その世帯分の広さを必要とする施設が必要になるということになるわけです。
 仮にですけれども、家賃が月千五百万円だったとすれば、一億八千万円になるわけですよね。それが半分で済めば、四人分の人件費をクリアできてしまうというふうに思うんです。そういう意味では、住民サービスへの配慮よりも人員削減を優先したということで、経費削減、人員削減の一方で、このような拙速で不合理な統廃合には、都民の理解は得られないということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、水需給計画について伺います。
 八ッ場ダムの必要性の是非をめぐっては、昨年の十二月、検証委員会の答申を受けて、工事再開の閣議決定がなされましたが、本年度予算では総額百三十五億円ということでしたけれども、八ッ場ダム工事の進捗状況はどのようになっているでしょうか。

○今井企画担当部長 平成二十三年度末の進捗率は、事業費ベースで約八一%となっております。現地の進捗状況でございますが、用地取得が八八%、家屋移転が九二%、つけかえ鉄道は七四%の規模が完成しております。国道や県道のつけかえ道路は八八%が供用開始しております。

○かち委員 いろいろな経過がある中で、一応八ッ場ダムについては工事再開ということになったわけですけれども、その後、官房長官の裁定によって、利根川水系の河川整備計画とダム建設予定だった地域に対する生活再建の法律の成立実現ができた暁でなければ、本体工事の十八億円は執行できない状況になっているわけです。
 本年夏の渇水状況の中で、実際、東京の水道水の取水制限の期間は先ほど質疑がありまして、三週間ということでした。利根川水系の取水制限で一〇%の制限は、利根川水系の日量三百万トンのうち三十万トンの取水を抑制したということですけれども、これによって東京の給水に影響はあったのかどうか、また、多摩川水系での貯水率の変化はどうなったのかお聞きします。

○酒井浄水部長 利根川水系の取水制限に対しましては、幸いにも、貯水率が八割を超えていた多摩川水系の小河内貯水池からの放流量を増大することで対応しました。その結果、都民への安定給水を確保することができました。取水制限が短期間であり、かつ、台風等の降雨があったため、多摩川水系の貯水率に大きな影響はありませんでした。

○かち委員 都民の水がめである小河内ダムを持つ多摩川水系の年間取水量は平均でも三億トンであり、年じゅう八〇%前後の貯水を満たしており、この夏の猛暑、渇水の影響も受けていませんでした。
 一方、昨年の都民の水需要は一日最大配水量で四百七十九万トン、一日平均配水量で四百二十九万トンであり、引き続き減少傾向にあります。厳しい経済環境の中で、震災復興や防災対策に財源を集中しなければならないとき、地すべりの危険が指摘されており、利水、治水の上でも検証が疑問視されている中での八ッ場ダムの建設は見直すべきだと再度申し上げて、質問を終わります。

○上野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時開議

○上野委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 ちょっと声が聞きづらいことをおわびいたします。東日本大震災及び福島第一原発事故以後の対応についてお伺いいたします。
 福島原発の事故発生に伴う放射性物質の漏出によって、放射性物質が大きな影響を与えています。原発事故では、放射性沃素の低減対策として活性炭を活用したと聞いています。放射性沃素に対する活性炭の効果が不明な中で、どのような経緯で活性炭を活用することとしたのか、実証実験は行ったのか、お伺いいたします。

○酒井浄水部長 放射性沃素の浄水処理につきましては、知見の数は少ないものの、粉末活性炭による除去効果を示す研究が存在しておりました。そのため、昨年の三月二十一日から、降雨状況を踏まえて粉末活性炭の注入を強化いたしました。水系により注入量の違いはございますが、通常時の三倍から六倍の粉末活性炭を注入し、放射性沃素の低減に努めてまいりました。
 また、今回の放射能対策の中で、試料水を用いた当局の実験によれば、放射性沃素の除去率を大幅に向上させるためには、前弱塩素処理と併用して粉末活性炭を注入することが極めて効果的であることがわかりました。

○山内委員 水道水の放射性セシウムへの対応はどうなのか、お伺いいたします。

○酒井浄水部長 放射性セシウムでございますが、河川水中の土に吸着されやすいため、沈殿池などの浄水処理の過程で、土とともに完全に除去されます。このため、水道水中の放射性セシウムにつきましては、検査を開始して以来、現在まで全く検出されておりません。

○山内委員 昨年三月二十二日、金町浄水場の水道水から二百ベクレルを超える放射性沃素が検出されたことから、乳児の摂取を控えるよう指示が出されたことは、都民に大変な衝撃となりました。瞬く間にボトルウオーターが店頭から姿を消しました。乳幼児のいる家庭だけではなく、不安に駆られてボトルウオーターを多くの人が買いに走ったことは、おいしい水ばかりでなく飲み水の安全が都民にとって緊急で最重要の課題であることを改めて確認することとなりました。
 多摩地区でも、三鷹市、町田市等五市のほか、後日、八王子市の一部も対象に含まれたことがわかるなど、情報伝達等の混乱も起きました。
 二日後の三月二十四日、生活者ネットワーク・みらいは都知事あてに、水道水からの放射性沃素検出への緊急対応に関する申し入れを行いました。水道局は、全浄水場の原水と浄水及び原水が経由している各水系についての放射能分析を継続し、その結果を公表すること。水道局は、放射性物質がどのような経路を通して混入してくるのか把握し、使用する原水を選択すること。都民への情報提供に当たっては、都民への不安のばらまきにならないよう適切かつ明確な表現に努めることを要望いたしました。
 そこで、同様の原発事故が発生した際の対応及び都民への情報提供等についてお伺いいたします。

○酒井浄水部長 万一、同様な原子力発電所の事故などが発生し、原水中の放射性物質濃度が上昇した場合などには、浄水処理を強化するとともに、前弱塩素処理と併用で粉末活性炭の注入を増強して対応してまいります。
 また、原水における放射性物質の状況を考慮し、原水の相互融通や送配水ネットワークを活用した水運用を行うことにより、安全な水道水の供給に努めてまいります。
 また、都民への情報提供については、浄水及び原水の放射性物質の検査を実施し、検査結果を速やかにホームページなどで公表するとともに、局内で情報共有を図り、お客様からの問い合わせに対して的確に対応してまいります。

○山内委員 福島原発事故は、いまだ収束しておりません。引き続き放射能測定と結果の公表を行うこと、そして、そのデータを長期にわたって保存することを要望いたします。
 また、豪雨時等、土砂に付着した放射性物質が水道原水に流入する可能性や、福島原発から放射性物質が再度放出されるような事態が起きることも考えられます。
 ご答弁にもあったように、原水連絡や送配水のネットワークを活用していくとのことですが、例えば、本年五月の防災対策特別委員会で生活者ネットワーク・みらいの西崎委員が指摘いたしましたが、利根川水系の浄水場からホルムアルデヒドが検出された際に、東京都は水道管のネットワークを生かして対応することができました。生活者ネットワークでは、このときの緊急対応を大変評価しております。
 こうした緊急時には、混入の経路を素早く把握し、使用する原水を選択して、複数ある経路を十分に活用していくことや、多摩地区の地下水源活用率を上げるなど、水道局としてできることを素早く適切に検討することを要望いたします。
 次に、水道事業の一元化に伴う応急給水についてお伺いいたします。
 多摩地区では、これまでそれぞれ市町が水道業務を運営してまいりましたが、順次委託を解消し、都が直接業務を行う一元化に転換してまいりました。現在は、二十六市町の水道事業が都に統合されています。
 都は、一元化によって、非常時においてもバックアップ機能を強化できるとしています。しかし、統合によって市町には水道担当部署がなくなり、水道関係に詳しい担当者がいなくなったこともあり、都と市町がどのように連携するのかわかりにくくなったと聞いております。
 そこで、東日本大震災等の教訓を踏まえ、災害対策についてどのように市町と連携を進めたのかお伺いいたします。

○浅沼調整部長 市町との連携についてでございますけれども、当局では従前から、市町職員も参加します応急給水訓練の実施や、市町の防災会議への当局職員の参画を順次進めております。これに加えまして、昨年度には当局と二十六市町から成ります多摩水道連絡会を当局が主体的に設立し、市町との連携強化を図っているところでございます。

○山内委員 大地震が発生し、断水になった場合、給水拠点は都の管轄であるため、まず、都の職員が給水拠点に駆けつけ、かぎをあけ、給水するまでを担い、その後、市民に配水するのは市の役割となっています。役割分担が複雑で、しかも、都の職員は日常的に身近な存在になっているわけではありません。また、いざというときに都の職員がすぐに駆けつけられるのか、疑問でありました。
 立川市や私の地元の国立市や国分寺市など自治体の声もあり、生活者ネットワークは非常時に実際に円滑な応急給水ができるのかを指摘し、住民と身近な自治体とともに具体的な連携、対応を求めてまいりました。
 先日、私も、立川市がやっている、立川市で行われた都と市と自治会での共同の応急給水訓練に参加いたしました。そこで、改善されたことを実感いたしました。
 そこで、給水拠点と応急給水における取り組みがどのように改善されたのかお伺いいたします。

○浅沼調整部長 震災時の応急給水拠点のうち、浄水所や給水所等におきましては、当局職員がかぎをあけ、資器材を設置することとなっております。しかし、震災時には想定を超える事態もあり得ることから、当局職員の参集を待たずに、水道施設の安全性を担保しつつ、円滑な応急給水ができるよう、応急給水の活動エリアと、浄水所、給水所のエリアを区画するなどの施設改造を順次実施しているところでございます。

○山内委員 実に簡潔なご答弁をいただいておりますけれども、東日本大震災以前から防災対策として、都と防災担当に限らず、市町関係部署との協力、連携体制を整えることや、情報共有、意見交換を行い、いざというときに有効な、使い勝手のよい対策を打っていただきたいことを要望してまいりましたが、東日本大震災を機に、さらにその必要性を指摘してまいりました。
 ことし二月に発足した多摩水道連絡会では、市町と特に連携が必要な重要課題等を取り扱うこととし、水道施設用地内の市町防災倉庫等の取り扱いや、発災事故時における市町との連絡体制、給水拠点における応急給水施設の整備などが盛り込まれておりました。まさに要望してきたことへの具体的な対策が進められていると安堵しております。
 また、多摩地域の特性を踏まえた実務的な会議も進められているとのことなので、現場での実際の不都合や地域に合わせた対策への改善を今後もさらに進めていただけるものと期待しております。
 次に、消火栓を使っての応急給水についてお伺いいたします。
 立川での防災訓練の際、消火栓を活用したスタンドパイプと蛇口スタンドでの給水を拝見いたしました。そこで、スタンドパイプの活用についてのお考えをお伺いいたします。

○浅沼調整部長 消火栓を活用した応急給水は、これまでの応急給水拠点よりも数も多く、補完的な活用ができると考えております。
 応急給水拠点より身近な小中学校などの避難所におきまして、消火栓による応急給水が実施できれば、震災時における水の確保が容易となります。
 このため、スタンドパイプ等の資器材は当局が調達し、避難所を所管する区市町に管理していただく方向で協議を進めてまいります。
 また、区市町や自治会、町会などと連携強化を図りまして、避難所での応急給水訓練を実施してまいります。

○山内委員 スタンドパイプと蛇口のスタンドの仮設給水キットを実際に拝見いたしまして、非常に軽く持ち運び可能であり、使いやすいことがわかりました。消防等の連絡等も含めて、どのぐらい準備し、どこに配置するのか、各自治体が地域性に合わせて検討していけるよう、都としても協力的に進めていただきたいと思っております。
 また、震災で停電になったときに、多摩地区にもたくさんある応急給水用井戸を使えるようにしていくための整備を順次進めていくと聞いておりますが、なるべく早く活用できるように要望いたします。
 次に、地下水の比率等の現状についてお伺いいたします。
 多摩地域では、年間を通して約三割の地下水が含まれた水道水を使用しています。地下水は生活している足元にある水であり、渇水時や遠くから水を引けない災害が起きたときなど、自家発電を進めていく中で、いざというときにも活用できる貴重な水源であると思います。
 多摩地域での平成二十三年度の地下水揚水量とその割合はどのぐらいかお伺いいたします。

○青木技術調整担当部長 多摩地区統合二十六市町におきましては、現在、二百五十一本の井戸が稼働中でございまして、平成二十三年度の地下水揚水量は一日平均約二十万立方メートルでございます。これは、多摩地区統合市町における配水量の約一八%に相当いたします。

○山内委員 安全でおいしい地下水を活用し続けるために、地下水を保全しながら使い続けていくことが必要です。その一つとして、都では、経過年数、能力の低下などを踏まえて、水源井戸の掘りかえ工事を行っていると聞いています。
 そこで、二〇一一年度の井戸の掘りかえの状況と、水質が悪化している井戸の対策をお伺いいたします。

○青木技術調整担当部長 平成二十三年度におきましては、七カ所で井戸の掘りかえを実施いたしております。
 また、水質悪化に伴い休止している井戸については、クリプトスポリジウムによる汚染のおそれや、トリクロロエチレン、1・4ジオキサンなどの物質の検出が原因となっております。これらに対応するための浄水処理設備の導入は、敷地が狭く、設置が困難なことや、除去方法が確立されていないことなどから、当面、水質検査を継続し、水質動向の把握に努めてまいります。

○山内委員 二〇一一年度は、汚染によってくみ上げをとめた井戸はなく、トリクロロエチレンについては、曝気による除去で地下水を使い続けています。汚染された水源井戸については、引き続き除去方法を研究すると同時に、汚染源を突きとめることも重要です。環境局とも連携して調査をしていただきたいと思います。
 多摩地域の水道水で地下水に依存している割合は、未統合市を含めると一八%よりも、もっと高くなります。生活者ネットワークでは、遠くの水より足元の水を大事にした施策を提案し、特に多摩地域の地下水について、優位性や、保全しながら使い続けていくことを求めてきました。多摩地域の地下水を水道水源として位置づけるよう改めて要望いたしまして、質問を終わります。

○興津委員 それでは、私の方からは、水道管の耐震化という問題点と、あと契約についてということで、二件に関しまして質問させていただきたいと存じます。
 まず、一点目の水道管の耐震化につきましては、先ほど来、るるご議論があったところでありますので、質問の内容を端的に絞らせていただきます。したがいまして、端的にお答えいただければというふうに思っております。
 まず、一点目なんですけれども、耐震の継ぎ手化ですけれども、これの推進は、ある意味、スピード感を持って行うべきだろうというふうに考えるんですけれども、東京都の考えをいただければと思います。

○今井企画担当部長 水道局では、耐震強度にすぐれたダクタイル鋳鉄管への取りかえをほぼ完了しており、平成十年度からは、さらなる耐震性の向上を目指し、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への取りかえを積極的に進めております。
 さらに、平成二十二年度からは、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を推進しており、計画を前倒しし、これまでの取りかえをほぼ倍増するなど、総力を挙げて水道管路の耐震化に取り組んでおります。

○興津委員 わかりました。ありがとうございます。先ほどいただいた資料におきましても、実績と計画の進捗というのが順次こうやって進められているなということがわかりますので、ぜひともスピード感を持って、前倒し、前倒しということで、予算の関係もあるとは思いますが、進めていただければというふうに思います。
 さて、現在、東京都におきましては、地域防災計画の見直しが始まっているところであります。従前の二つの大きな地震プラス、また大きな地震二つということで、四つの想定ということに今なっているわけでありますが、この四つの想定される地震に対しての対応策をどのようにお考えになったのかお伺いいたします。

○今井企画担当部長 今回の被害想定では、最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が広範囲に及ぶなどの特徴があり、水道の被害想定結果もその影響を受けております。
 このため、震災時の断水被害を最小限にとどめるよう、現在、四つの想定地震にも配慮した水道管路の取りかえ計画を検討しております。

○興津委員 新しく想定された二つの地震にもということでご答弁いただきました。ありがとうございます。
 その中の一つは、立川断層型地震というのが含まれております。私どもが生活している国立、国分寺、立川、府中近辺、こちらの方に激甚な大きな地震の想定もされているところでありますので、多摩地区の耐震化も順次進めていきたいというふうに思っていますけれども、特にこの立川近辺といいますか、多摩地区ということに限定させていただきまして、その進捗状況のお考えを伺わせていただきたいと存じます。

○青木技術調整担当部長 多摩地区におきましては、これまでも水道管路の耐震化や送配水管ネットワーク化などの施設整備により、震災対策を積極的に推進してまいりました。
 現在、新たな首都直下地震等による東京の被害想定を踏まえ、多摩地区においても、想定される地震動や液状化危険度、耐震継ぎ手率の進捗状況などに留意した効果的な管路の耐震化について検討を行っております。

○興津委員 わかりました。ありがとうございます。最初に申し上げたとおり、最初の段階では二つの想定地震ということでしたが、今回はそこに二つ足されておりますんで、立川断層ということでありますので、その辺も抜かりなく配慮していただきまして、検討、そして工事の進捗の方、ぜひ心からお願いさせていただきたいと存じます。
 それでは、引き続きまして、二件目でありますが、契約案件についてということであります。
 都水道局では、工事発注に際して一般競争入札を行っているというふうに承っていますが、入札に当たりまして、総合評価方式の拡大、見直しが行われたというところであります。
 この見直しの目的は一体どのようなものであったのでしょうか、お聞かせいただきたいと存じます。

○松丸経理部長 総合評価方式は、工事の品質確保を目的として、価格の優劣に加え、企業の技術力も評価して落札者を決定するものでございます。
 平成二十三年度からは、工事のさらなる品質確保を目指すため、対象案件を大幅に拡大し、実施しております。

○興津委員 ありがとうございます。ここで一番大事にしなければいけないのは、工事品質の担保ということなんだろうというふうに思います。
 したがいまして、入札の見直しということで、総合評価方式ということに現在至っているわけでありますが、これに関しては、ある意味なんですけれども、入札をさせていただく業者さんのレベルというのは、一定程度の担保がなければいけないということになるわけでありますが、そうなってきますと、そこにいま一歩足らない、もう一歩上りたい、なかなかそこへ行けないという業者さんも中にはいらっしゃるのかもしれません。
 そういったこともありまして、中小企業の皆さん方の入札参加の機会をできるだけ、絞らないようにというのもおかしなことかもしれませんけれども、第一義は品質確保ということを中心にして、その辺にも目配りをいただければなというふうに思います。
 さて、次ですけれども、入札が決定いたしまして、落札してから、その工事案件におきまして設計変更というのが起こるのでしょうか。また、それがあるのであれば、その理由、また、その件数が年間どれぐらいありまして、全入札案件に対しての百分比、一体何%なのかを伺います。

○松丸経理部長 設計変更は、工事着手後に、主として事前調査と異なる現場の状況や住民からの要望、道路管理者や交通管理者の指示等に対応するため、当初の設計を変更して工事を行うものでございます。そのうち、軽微なものを除く設計変更に対して、契約額の変更をしております。
 平成二十三年度の実績といたしましては、工事の契約件数は全体で七百八十五件であり、そのうち契約額を変更するに至った契約変更の件数は百二十九件でございます。これは、比率にいたしますと全体の一六%に相当いたします。

○興津委員 ありがとうございます。入応札が終わりまして、決定した後にこの設計変更が起きるということは、現場の状況というものがやっぱりありますので、それはそれでもって起こり得るというふうには思います。ただ、それが全体の一六%であるということに関して、事前の地盤調査等々がもう少し丁寧に行われるべきではなかろうかという思いも一方ではあります。
 ということと同時に、契約額を変更するということに相なっているわけでありますけれども、よっぽど大きな変更が起きれば増額ということも当然また起きるでしょう。また、その逆も真かもしれません。
 ということでありますので、予算の増減ということに関しまして、慎重な対応といいますか、見積もりを行っていただいて、その透明性、だれから見ても、あ、これはそうだよねということなんですけれども、その透明性も確保していただきたいということを重ねてお願いさせていただきます。
 そして、次なんですけれども、入応札に関しまして、落札率の平均、大体何%なのでしょうか。また、その落札率の最高、最低、また、低入札審査等が行われまして、結果として落札に至った案件を含めてのご回答を願いたいと思います。

○松丸経理部長 平成二十三年度の工事契約の平均落札率は九〇%となっております。最高落札率は一〇〇%、最低落札率は六九%でございます。

○興津委員 今ご報告いただきましたとおり、案件は少ないのかもしれませんが、最高が一〇〇%、入札価格の開示がされていますので、それに関して数字的に合わせて一〇〇%ということなんでしょうが、ここから先は感想を申し上げるわけにはいきませんけれども、一〇〇%がそこに存在しているということが今わかったわけであります。
 続きましてですけれども、本年の九月に、残念なことではありますけれども、元水道局係長による汚職事件というものが発生いたしました。この事件は、現在起訴されているという事件であると思いますので、本日はこの事件に関しては質疑はいたしません。
 ただ、この事件が発生する根底として、水道局全体の体制に何か不備があったんではなかろうかと、どうしても思わざるを得ないところがありますが、それに関しましてのお考えがありましたらお聞かせください。

○松宮職員部長 今回の汚職事件の発生は、都民の信頼を著しく損なうもので、二度と起こさないため、原因究明と再発防止を徹底しなければならないと考えております。
 今回の事件では、多数回の接待を受けるなど、当該職員の公務員としての自覚の欠如が大きな要因と見られ、局職員への汚職に対する意識づけが徹底し切れていなかったと考えております。
 一方、本件はいわゆる単純収賄容疑で起訴されたもので、入札、設計変更等に係る不正、便宜供与は認められず、局内部での情報漏えいもなかったものです。

○興津委員 まず、ご答弁いただきましたとおりに、二度と起こさぬように原因追及と再発防止策を徹底するという決意表明をいただいておりますので、まさしくそれを実行していただきたいというふうに私は思うわけであります。二度とあってはいけないことであると思いますし、そこから先は申し上げませんけれども、局内でもって努力をしていただきたいと思います。
 また、この内容といたしましては、当該職員の公務員としての自覚が欠如していたということでありますので、その方本人の問題でもあるというところでもありますが、やはり局全体として、そこに目が向かなかったということも、また一方では事実だろうというふうに思います。したがいまして、局内としてもきちっとした対応策を進めていただきたいということであります。
 今後への再発防止対策として、一回から三回にわたりまして、水道局汚職防止対策本部会議というのが行われたというふうに伺っております。これはホームページの方にも掲載されていますが、これの会議録等がありましたらば、提出を用意いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○松宮職員部長 今回の事件を受けた汚職防止策につきましては、現在、全庁的な再点検、検討の最中でございまして、局の本部会議の議事内容についても、未確定の案や整理途上の議論が含まれております。このため、現時点で本部会議の記録を対外的に公表する場合、未成熟な情報による誤解を与えるおそれがあり、これを提出することはできないと考えております。
 なお、本部会議の開催内容につきましては、節目でプレス発表等を行うことにより、緊急的な取り組み項目等、公表すべき情報は公表しております。
 今後とも、最終的な汚職防止策を取りまとめた際など、適切な時点で本部会議での議論の内容等も含めて、必要な情報を公表してまいります。

○興津委員 私的には、理解がなかなか進むところではありません。この会議録というものを、ご答弁いただきましたとおりに、未成熟な情報、誤解を与えるというようなおそれがあるということで、この議事録なり会議録でしょうか、これを提出することはできないというのが今のご答弁の趣旨であるなというふうに思います。
 それであれば、この会議の記録につきまして、例えば情報開示請求等が出された場合は、水道局としては、どのように対応されるんでしょうか。

○松宮職員部長 会議録の開示請求が行われた場合には、東京都情報公開条例に基づき、所定の手続、期限等によりまして、具体的な記載内容を精査し、開示、非開示等を決定の上、開示等を行っていくこととなります。
 なお、本部会議における議論は、現在途上でございまして、その成果は防止策としてわかりやすく取りまとめ、公表する予定でございます。
 都民の皆様に局の取り組みを十分ご理解いただき、ご意見を広く得て、効果的な防止策を実現していく所存でございます。

○興津委員 今後の対応のところまで踏み込まれてご答弁をいただいたわけでありますが、情報公開請求におければ、このような順序立てでもって提出をすることになるということだろうと思います。
 といいながらも、我々がやはり、我々がといいますか、一般的に対応策を進めていくのに、その政策の決定過程、これは防止策ができましたら公表しますという答弁でしたけれども、その政策の決定過程がどのように経過しているのかということは、やはり議事録なり会議録というところを精査させていただかなければ、なぜここに至ったのかということがわからない。そういう状況じゃないかと思います。
 したがいまして、この議事録なり会議録でしょうか、これは現時点では提出することができないという局の対応につきまして、甚だ私自身は疑問に思っております。
 では、次にですけれども、この対策本部の会議の構成員はどなたなんでしょうか。その選抜の理由についてもお伺いしたいと思います。

○松宮職員部長 本部の構成員は、局長を本部長とし、本局の各部長が本部員となっております。
 局トップの直接指揮は不可欠であること、各部署の業務実態に即した職場からの汚職の危険性排除とともに、公務員としての自覚を徹底するため、それぞれの事業所管部の長を本部員としているものでございます。

○興津委員 重ねてもう一問させていただきますが、先ほどのご答弁で、入札、設計変更等に係る不正、便宜供与は認められずということで、局内部での情報漏えいもなかったという形のご答弁をいただきました。その検証と客観性はどのように担保されているんでしょうか、お伺いします。

○松宮職員部長 起訴状の公訴事実におきまして、入札、設計変更等に係る不正、便宜供与は認められておりません。また、局と本人との接見で得た情報と関係部署職員に対する情報管理の実態調査で得た事実とを照合しました結果、局内部での情報漏えいもなく、入札、設計変更等に係る不正、便宜供与は認められませんでした。

○興津委員 わかりました。起訴状の公訴事実ということをもってして、不正、便宜供与はなかったということは、それはそれでもって理解ができます。
 そのことと同時に、先ほどの一つ前の質問にご答弁いただきましたけれども、対策本部の構成員という方が、ホームページの方にも掲載されていまして、実は本部長を局長とされ、そして以下本部員さんということで、これは水道局の局員さんだけで実際には構成されていますね。ということなんですね。
 私が何を申し上げたいのかというのは、ここは一たんまとめますが、局の内部の方だけで対策本部をつくられているという事実、そして、その政策決定における会議録というものは、今の時点では開示ができない。私は、この二つは、やはり理解ができない。私が理解ができないといってもしようがないんでしょうけれども、そのことは強く指摘をしたいと思います。
 例えばなんですけれども、ちょっと局が違って恐縮なんですけれども、都立の広尾病院の医療事故の報告書がありますが、事案というものが違うので、一概に対比はできないかもしれません。しかしながら、本委員会が今回病院における今回の事故に関して、第三者的な立場にある組織とはいえないことから、報告書の公正さを確保するため、顧問として外部委員に参加していただき、客観的立場からの意見や判断を仰ごうとしたというふうにあるわけですよ。
 この第一回目の本部会議というのは、本当に、発覚後、即座に立ち上げられていらっしゃいますんで、これに関しては、局員の人たちだけでもってやるというのは、それはいたし方がないことだろうと思います。事実関係の研究ということなんでしょうけれども。
 二回、三回ということになってくれば、それはある意味、客観性を持って、外部委員を入れるなり、外部の人を入れるなり、局をまたいだ人を入れるなりという形で、私は、ここは対応すべきだろうと。
 新聞記事にもたくさん書かれました。いろいろと書かれております。その内容については、今の質疑でその表題にあるような内容はないということは今確認ができましたので、私は安心していますが、この進捗の取り扱い方というものに関しては、再考いただくということを私は強く要望させていただきたいと思います。
 それでは、最後になりますが、水道局の汚職防止対策本部会議の議論を踏まえ、今後の具体的な対応策をどのように進められていくのか。また、その対応をどのように、実施していく時期はいつごろになるのか。最後に再発防止に対しましての意見、お考えをきちっといただきたいと思います。

○松宮職員部長 本部会議を踏まえ、緊急対策として、全職員を対象に各部署での服務規律の徹底、汚職防止の職場研修、セルフチェックシートによる自己点検といった取り組みを実施してまいりました。
 また、注意喚起の一斉メールの送信や、利害関係者との接触ルールの遵守の徹底なども実施してまいりました。
 これらの取り組みとともに、今後の全庁的な汚職防止策の決定を踏まえ、速やかに局としての実施策を最終的に取りまとめ、職員が一丸となって汚職防止に全力で取り組んでまいります。

○興津委員 ありがとうございます。水道局の職員さん、たくさんいらっしゃいます。皆さん、本当に額に汗をして日々仕事をされていることと存じます。
 この当該職員さんの一件におきまして、不幸にもこのような報道がされ、そして立件されたということでありましたけれども、皆様方の仕事というのは、都民の生活を守るための水ですから、透明性を持ってやっていただきたいと思うことと同時に、都民の命と安全をきちっと守るということを今まで以上に、また襟を正して行っていただきたいということを重ねてお願いさせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○和田委員 東京の水道事業というのは、明治三十一年、水を流すこと、すなわち通水を始めてから今日まで、都市基盤の最もかなめとなる施設として稼働して、東京の首都機能の大きな、あるいは都民の生活をしっかり担ってきているということであります。
 幸田露伴が「水の東京」という、東京の水政策について一番早く文化人としては筆をとったあの小論が明治三十五年の文章でありますから、ちょうど東京の水が三十一年に通った後、それを見ながら幸田露伴は、川の流れと水道そのものの今日的、あるいは歴史的な一つの経緯をあそこにつづったものだというふうに思いますので、まさに長い長い歴史の中に、東京の水道水行政はあるということであります。
 今、手元にあります決算資料によりますと、平成二十三年度末におきます給水件数は七百二万、前年度と比較いたしますと五万七千件、パーセンテージにしますと〇・八%ふえていると、こういうふうになっております。
 一方で、年間総配水量は十五億三千七百四十四万立方メートルでありまして、残念なあの東日本大震災の影響から、前年度と比較して三千百八十九万立方メートル、二%の減というふうな数字が上がってきております。
 有収率、すなわち料金収入となる有収水量などにつきましても、九五・八%という数字が掲げられております。相当にあの震災の影響があったといわざるを得ません。
 収支状況でありますけれども、総収益は三千二百七十億円、総費用は二千九百六十七億円でありますから、差し引いて三百三億円というのが純利益というふうに数字上にはなっております。
 財政状況は、資産として二兆六千九百九十七億円、負債が二千八百五十三億円でありますから、資本といたしましては二兆四千百四十四億円という数字で、二十三年度の決算の大まかな報告を私どもにいたしております。
 私どもは、これをどう評価するかということでありますけれども、総じて今申し上げたような震災などの背景などを考えますと、これから申し上げます私なりの一つの個人的な評価で、水道局の二十三年度の決算についての私なりの考えを申し上げておきたいと思います。
 東京都の水道局は、平成二十三年度、目標管理と成果重視という視点を掲げまして、私が今申し上げました東京水道経営プラン二〇一〇ということに掲げました五つの課題をこの二十三年度に努力をいたしております。
 まず、安全でおいしい水の安定的な供給、二番目に広域的な事業運営、三番目にお客様サービスと広報広聴の展開、四番目に次世代を見据えた施策の推進、そして、最後の五番目には経営基盤の強化という五本の柱を東京水道経営プラン二〇一〇で掲げているもののちょうど中間地点が、我々が今決算を審議しているこの平成二十三年度ということであります。
 その主要施策というのが今申し上げた五つのものでありますけれども、それを私なりに概観しながら、最終的に一定の評価をし、その後に本日の質問を具体的にさせていただきたいと思うんです。
 まず、第一番目の安全でおいしい水の安定的な供給ということでありますが、この件に関しては、利根川水系の高度浄水処理、それを一〇〇%達成しようじゃないかというようなことで、金町、三郷、それから朝霞浄水場といったところをしっかり整備をしてきているのが二十三年度であります。
 さらに、内容的には、追加塩素の注入設備を導入したりして、また、残留塩素の低減などをするということで、水の質的な改善もここでダイナミックに取り組んでいるということであります。
 さらに、同じく耐震継ぎ手管の二重化といいましょうか、複合化といいましょうか、重ねて安全を保つというようなこと。さらに、浄水場設備の更新や改良といったような経年管、あるいは初期ダクタイル管の取りかえといったようなことなども積極的に行ってきております。
 その結果、平成二十三年度の漏水率、しばしば議論になりますけれども、これは二・八%ということで、前年から少し落ちてはいますけれども、おおむね二・八%という線を保ってきているということも私は評価だろうと思っております。
 次に、第二の主要施策であります広域的な事業運営ということでありますけれども、これは多摩地域の水道で、多摩水道改革計画二〇一〇-二〇一四というものの事業を極力推進いたしまして、多摩水道連絡会といったような連絡会を設置し、住民サービスの向上を図ってきているというところであり、ともすると目が粗くなりがちな水道行政にしっかり細かな配慮をしているというのが多摩水道連絡会の設置だろうというふうに思っております。
 第三番目は、お客様サービスと広報広聴の展開であります。この二十三年度においては、具体的に浄水場の見学コースなどを整備したり、あるいはその間の広域的なニュースの発行など、大きな姿勢でキャンペーンを張っているということも私なりに認めているところであります。
 四番目には、次の世代を見据えた施策であります。これは、平成二十三年度に葛西給水所の小水力発電という目新しい整備をいたしましたし、あるいは練馬など三カ所の給水所、羽村導水などの二カ所のポンプ所、こんなことが都民の健康と安全を確保する環境に関する条例というものに基づいて、優良特定地球温暖化対策事業所という形で認定を受けているところです。これなども民間に先駆けて、当然、都民の健康、安全を推進しているという大きな成果がここにあらわれていると思います。
 それから、最後の五番目でありますけれども、経営基盤の強化ということです。平成二十三年度は、八月から板橋営業所の業務を株式会社PUCに委託をいたしました。さらに、職員も八十人ほど減という形であります。
 ナレッジバンクの活用もしかり、また水道技術エキスパートの認定などをして、今いわれている団塊世代の後の後進の指導という意味で、技術継承ということの意も用いているということで、概観いたしますと、私が一つのメルクマール、尺度として掲げました東京水道経営プラン二〇一〇というものの中の五つの主要主題に照らし合わせますと、平成二十三年度のそれぞれの決算状況は、おおむね私はよしという形に個人的にはしているところであります。
 このような全体総括を踏まえて、まだまだ私は懸念をしている次世代を見据えた施策の推進ということについて、具体的に質問に入りたいと思うんです。
 それは、水をどう使うかということは、かつて「日本人とユダヤ人」という本が出ました。イザヤ・ベンダサンというえたいの知れない名前の本だということで、一つのブームになりましたが、その「日本人とユダヤ人」という中に、日本人は、水と空気はただだと思っているというような書き出しがあって、なるほど、いわれてみると空気と水というのを日本人はただだと思ってぜいたくに使ってきたな。水を朝一番の仕事として、空の水おけをかついで一時間、二時間歩いて水をとりに行ってくるというのは子どもの仕事、そして、それがまた当たり前のように明朗に毎日行われているという南の国の事象なども時折我々は目にすることであります。
 そういうことを考えますと、たかだか二、三メートル歩いて蛇口をひねりますと、きれいで、そして、おいしい水が手に入るという日本が、どれほど豊かで恵まれた国かということを実感しなければなりません。
 しかし、我々はこの豊かさの中で、それを当たり前として受けとめて、あろうことか自販機の水でなければ満足できないような世代まで出てきて、本来、皆様方、水道局が努力をしている水づくりの本当の意味でのとうとい努力や、その成果としての上質な水、おいしい水というものを、もっと評価すべきをしていないという現状があります。
 こんなことを正していくためには、それこそ明治三十五年に幸田露伴さんが書いた「水の東京」という文章に立ち返るならば、私どもは、教育のところからここを押さえていかない限り、私たちの大事な水の東京、東京の水というものを認め、そしてまた広げていくことはできないだろうというふうに思うところなのです。
 そこで私は、さきに申し上げた次世代を見据えた施策の推進という中で、水辺文化の継承ということから、水道キャラバンについて絞って何点か質問をし、教育的な意味で水を、小学生を初め、もっと若く、幼稚園や保育園の子どもたちからしっかり評価をさせて、それを東京じゅうに広めていく、あるいは日本じゅうに広めていくというようなことが、水道行政を通じて都民を教育していく大事な仕事だろうと私は思っているわけであります。
 質問に入りますが、この水道キャラバンは、このようなリーフレットで、読みやすいような形で知らしめられておりますけれども、この導入した目的、それとまた、ここに至る経緯はどういうふうな形で取り入れられたんでしょうか。

○吉野サービス企画担当部長 水道キャラバンの導入の経緯でございますが、従前、水道局では、小学四年生を対象に、水道教室という名前の教室を実施しておりました。この教室の内容をさらに充実し、規模を拡大させたものが現在の水道キャラバンであり、平成十八年度から実施しております。
 また、キャラバンの目的でございますが、次世代を担う子どもたちに、蛇口から直接水を飲むという日本が誇る水道文化を守り、継承していくことでございます。
 なお、キャラバン導入初年度には、八十四校に対しまして実施し、運営経費としては約二千九百万円でございました。

○和田委員 平成十八年というと、ちょうど六年前になります。六年目をことしも迎えているわけですが、当初は都内の大体一千二百校ぐらいある小学校に八十四校、小さく小さくスタートしたのが平成十八年でありました。
 今お答えでも二千九百万円という予算でスタートしたわけでありますが、これが私ども北区にも来ました。そして、子どもたちがこのキャラバンに出会いまして、私の知り合いの小学生も、初めて水のとうとさを知ったというような、教育的に目を開かされたという意見も身近に聞いております。
 したがって、皆様方がやっている効果は着実に地域に広がってきているということをまず申し上げると同時に、このことをきっかけに、やはり水道文化というものを教育的に広げていく、水道の高度化というようなことも大事でありますが、もっと水道というものが命と切り離せない、水というものが私たちの生活に片時も離せないものだということの切迫感、緊張感というものを水道行政の中に生かしていく必要があるだろうというふうに思うところであります。
 それでは、今、決算を迎えている二十三年度の実績、あるいは経費などについて具体的にお伺いいたします。

○吉野サービス企画担当部長 平成二十三年度における水道キャラバンの実績でございますが、対象とする小学校は、国立、公立、私立、特別支援学校を含む都営水道給水区域内の約千三百六十校でございます。二十三年度は、目標とした千百校を上回る千百六十八校において実施いたしました。
 なお、キャラバン運営にかかわる二十三年度の経費は、約二億四千八百万円でございます。

○和田委員 この配っている東京の水道水を学ぼうというチラシの中を見ますと、リーフレットの中では、水道キャラバン、年度別実施校数というのを六年間での延べ合計は四千六百八十一校というふうに書いてあるんですね。確かに単年度では、今お答えのとおりだと思いますが、累積しますと五千に近づいて各小学校に回っております。
 したがって、二度目も、あるいは場合によっては三度目もあるかもしれない。そういう繰り返しの中で、今、私が紹介したように、身近なところで経験した子どもたちは、水の本当のとうとさを知ったということをいっております。
 それだけ教育効果が上がってきているというふうに思いますし、四千七百近い小学校に繰り返し繰り返し行って、水の大切さや、あるいは水のよって来る水源から今日までの、そこの場所までの、蛇口までのルートなどについての説明をされているんだろうと思いますが、そのようなことの具体的な、どういう教育を行っているのかお聞かせください。

○吉野サービス企画担当部長 水道キャラバンは、お申し込みのあった小学校にキャラバン隊を編成して訪問いたします。小学校の学習指導要領に沿って、授業を実施しております。
 具体的な内容でございますが、若手劇団員の寸劇による進行により、映像を初め、子どもたちが参加、体験できる実験などを交えまして、水道水のできる仕組みなどについて、わかりやすい授業を行っております。

○和田委員 子どもたちを対象にしますと、交通ルールの問題なんかも警視庁がやっている子どもに対する理解を深めるキャンペーンなどは、おっしゃるとおり、寸劇だとか臨場感があふれるような形で子どもたちにスムーズに理解していただくような努力をしています。
 同様の手法だろうと思うんでありますが、何しろ子どもたちが喜んで、水に理解を求められるような、そういう環境をつくっていただきたいと思いますし、ここにも書いてあるとおり、映像ですとかジオラマですとか沈殿実験とかろ過実験とか、自分たちが直接かかわって実験し、水と触れ合うことができる。改めて蛇口以前の水の形態を知ることができるということを体験させるというようなことで、子どもたちに、私はいい影響が与えられているというふうに思います。
 この子どもたちの反応ですとか、あるいは学校などはどういうふうに当局のこの種のPRについての評価、感想を持っているんでしょうか。

○吉野サービス企画担当部長 キャラバン隊による寸劇や映像、実験などによる授業が進むにつれまして、子どもたちは笑顔で生き生きと目を輝かせながら主体的に授業に参加しております。
 キャラバン実施後の教職員のアンケートでも、授業だけではわかりにくい、そういうところを実際に目で見て実感できたなど、キャラバンを体験されたほぼ全員の先生から高い評価を得ております。

○和田委員 今、答弁いただいたことに尽きるんでしょうけれども、また私の手元のこのリーフレットを見ますと、先生方へのアンケートという結果では、水道キャラバンの全体的な印象はいかがでしたかというふうに聞きますと、とてもよかったという先生方が八二%、よかったという人が一八%、よくなかったとか、余りよくなかったというのは〇%でした。
 次年度の水道キャラバンを希望しますかということを先生方に聞きましたら、希望するというのは九五%でした。それから、無回答が四、希望しないというのが一%という圧倒的に印象はよくて、学校は希望しているという数字が上がってきているわけでありますから、六年間で四千七百校、皆さん方の勧誘もあるんでしょうけれども、学校から学校へ伝わって、これほどまでに実績が上がってきているということでありますし、何よりも小学校四年生の子どもたちが社会科の授業の中にこれを組み入れられて、ともすると授業というのは臨場感がなくて、先生がホワイトボードに書いたり、あるいは読み上げたりすることで終わってしまうのに、水の精製過程、あるいはろ過過程など、自分が水に触れながら勉強できるわけですから、少し毛色の違った授業として、子どもたちも歓迎しているだろうと思うんです。
 私は今、子どもや学校の感想ということでお話ししましたが、先ほどの答弁にも、先生の一般的な受けとめ方でありまして、私のこの資料にも先生方へのアンケートの結果が八二%と九五%歓迎しているということでありまして、生徒、児童の数字については、私、はかり知れなかったんでありますけれども、これからの一つの課題として、受け手である子どもたちに、四年生一回きり、この機会はないと思いますけれども、しかし、これをこの学校で次の後輩にあなたは伝えたいと思いますかというようなアイテムをつくれば、これは当然、次に伝わっていくわけでありましょうから、そういう子どもたちの意見も聞くことなどのアンケートもぜひ加えてほしいというふうに思います。
 いいことずくめのように見えるこの水道キャラバンでありますけれども、二十三年度については、何か新規の取り組みをなさったんでしょうか。

○吉野サービス企画担当部長 水道キャラバンの内容につきましては、生徒、教職員からのアンケートなどを参考に、授業の内容や実験などのカリキュラムを毎年一部見直して実施しております。
 平成二十三年度におきましては、子どもたちの学習意欲を一層高めるため、水源林ジオラマを使用した実験や、実際に現場で働いている職員によるインタビューを放映するなど、よりわかりやすい内容に見直しをして実施しております。

○和田委員 教室の静的なそういう授業とは違って、ジオラマを導入したり、あるいは実験したり、経験者の声を聞くというふうに、ダイナミックというか、動的な授業をやることで、子どもたちも静かに聞きなさいとか座っていなさいというのと違って、大変喜んで授業を受けているという風景が私もほうふつとすることができます。
 したがって、歓迎されている様子は先生方のアンケート調査にもありますが、多分子どもたちも歓迎だろうと思いますけれども、教育効果を、先ほど申し上げたとおり、子どもたち、児童の側の方の数字もぜひつかむような工夫をお願いいたしたいと思うんです。
 そして、いよいよ最後なんでありますけれども、これから二十三年度の実績を踏まえて、どういうふうな形で、より発展過程の水道キャラバンを考えていらっしゃるのかということについてお伺いいたします。

○吉野サービス企画担当部長 平成二十四年度は、まだ年度の途中でございますが、現在までに千二百二十二校から申し込みがございます。ということで、今年度は千二百二十二校、実施を予定しております。
 今後は、小学校におけるキャラバンのさらなる充実を図るとともに、地域のイベントなど、学校以外の場においても実施を検討してまいります。

○和田委員 水道局といたしますと、昭和三十年代に造設された浄水場などが、いわゆる更新時期に間もなく入ってきて、大きくそちらの方の物理的な対応に追われることになると思います。当然そうなると思います。
 そしてまた、首都直下型の地震などもいわれておりますから、それに対する水道行政の対応も必要だろうと思います。
 しかし、かといって今、私が質問をしてまいりました水道行政の教育的な意味、あるいは水道文化の継承といったようなことをなおざりにしていい理由にはなりません。
 したがって、私はここに十分、水道行政というと、水を高度浄水したものをできるだけ広くというふうに思われがちでありますが、一転して、余り目立たないながらも、水を大事にする、あるいは水は命、そしてまた水の持っている文化といったようなものを広げて、自動販売機よりも、自分で蛇口をひねった方が経済的であるし、また、玉川上水をつくった玉川兄弟のああいう苦労も含め、東京都に脈々と流れている水道のありようを我々も継承できるのだというような形で、しっかり意欲を持って水道に取り組んでいただきたいというふうに思うんです。
 水道職員は四千人といわれておりますけれども、そういう方々、執行部の皆さんもそうです、それから、二つの監理団体も含め、この方向に一丸となって、二十四年度以降、進んでいただきたいと申し上げ、二十三年度水道行政の決算の私なりの意見を申し上げました。
 以上です。

○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○上野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして水道局関係を終わります。
 これををもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る