委員長 | 上野 和彦君 |
副委員長 | 興津 秀憲君 |
副委員長 | 吉原 修君 |
副委員長 | 相川 博君 |
加藤 雅之君 | |
鈴木 章浩君 | |
山内れい子君 | |
かち佳代子君 | |
伊藤まさき君 | |
門脇ふみよし君 | |
和田 宗春君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 小川 健一君 |
次長 | 石原 清次君 | |
総務部長 | 小山 哲司君 | |
職員部長 | 安藤 博君 | |
経理部長 | 熊谷 透君 | |
計画調整部長 | 黒住 光浩君 | |
施設管理部長 | 渡辺志津男君 | |
建設部長 | 野村 俊夫君 | |
企画担当部長 | 永野 実君 | |
技術開発担当部長 | 坂根 良平君 | |
施設管理担当部長 | 野口 毅水君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 松浦 將行君 |
管理部長 | 須田 潔君 | |
技術部長 | 中里 隆君 |
本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成二十三年度東京都下水道事業会計決算(質疑)
○上野委員長 ただいまから平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十三年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十三年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○熊谷経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。
平成十九年度から二十三年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。監理団体への委託内容と委託料の推移でございます。
当局が所管しております監理団体、東京都下水道サービス株式会社への主な委託内容と、過去十年間の委託料をお示ししてございます。
三ページをごらん願います。区部下水道事業における収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
平成十九年度から二十三年度までの区部下水道事業の収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
区部における下水道マンホールの総数と緊急輸送道路等における浮上抑制対策の計画と実績の推移をお示ししてございます。
五ページをごらん願います。再生可能エネルギー等による主な発電設備の規模と発電量でございます。
再生可能エネルギー等による主な発電設備につきまして、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十二年度、二十三年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○上野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○伊藤委員 私からは、設備の再構築と財源確保、そして監理団体について何点か質問いたします。
現在、下水道局が管理する下水道管の総延長は約一万六千百二十九キロメートルにも及び、都内二十カ所の水再生センターでは、毎日、約五百三十二万立米もの大量の下水を処理しております。
この膨大な規模の施設を適切に維持管理していくために、業務運営を見直し、経営の効率化を不断に進めるだけでなく、環境やエネルギーなどの社会的要請にこたえていかなくてはなりません。
都では、三百六十五日二十四時間休むことなく、安定的な運営が求められる下水道事業を確実に運営すべく、経営計画二〇一〇を策定し、それに基づき、さまざまな取り組みを進めていただいているところであります。平成二十三年度は、この三年計画のちょうど真ん中の年度に当たるわけであります。
そこで、平成二十三年度における下水道局の主な取り組み状況についてお伺いいたします。
○小山総務部長 経営計画二〇一〇でございますが、平成二十二年度から二十四年度までの三カ年を計画期間としております。
中間年に当たる平成二十三年度の主な取り組みでございますが、区部の取り組み例といたしまして、老朽化した下水道管の再構築につきまして、目標四百ヘクタールのうちの三百九十三ヘクタール、一時間五〇ミリの降雨に対応した対策促進地区数につきましては、目標三地区のところ三地区、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の貯留量の目標、五万立方メートルのうち五万立方メートル、多摩地域の取り組み例でございますが、窒素及び燐を削減する高度処理の能力、一日当たり六万立方メートルのうちの四万立方メートルなどを実施してございまして、いずれもおおむね順調に目標を達成しているところでございます。
なお、区部と多摩を合わせました建設改良事業費は約千六百九十億円でございますが、このうち再構築事業が占めるウエートが最も大きくなってございます。
○伊藤委員 まばらではありますけれども、おおむね計画どおり達成していただいているということであります。
再構築事業が最大のウエートを占めているということでありますけれども、区部では早くから下水道が整備され、長い年月をかけて築かれてきたため、下水道施設の老朽化対策は喫緊の課題でございます。
下水道管の中でも規模が大きく、大量の下水を集める下水道幹線が、老朽化などによりその機能を失った場合の影響は甚大であり、着実に再構築を進めることが重要であると考えます。
この再構築を行う前提として、まずは下水道幹線の老朽化の度合いを把握することが不可欠でありますけれども、都ではどのような調査を行い、下水道幹線の老朽化状況を把握しているんでしょうか、お伺いをいたします。
○渡辺施設管理部長 下水道管の老朽化の調査は、通常、口径の大きい幹線では、調査員が管の中に入りまして、目視などにより幹線内部のコンクリートや鉄筋の腐食状況、ひび割れなどの損傷の程度を調査しております。
一方で、水位が高く危険が伴う場合には、民間と共同で開発いたしました調査用テレビカメラつきロボットを活用して調査を行っております。
区部においては、平成十八年度から三年間で、調査可能な幹線はすべて調査を実施し、損傷の著しい箇所を特定するなど、老朽化の状況を把握しております。
○伊藤委員 平成十八年度から三年間で集中的に幹線については調査をしていただいたということであります。
こうした幹線の老朽化状況は、目視や調査用テレビカメラつきロボットを活用した調査により、適切に把握していただいているということでありますけれども、その調査結果をもとに下水道幹線の再構築を進めていく必要がありますけれども、再構築について、平成二十三年度末の進捗状況についてお伺いいたします。
○野村建設部長 幹線の調査結果に基づきまして、補修による延命化を図るとともに、計画的に再構築を実施してございます。
具体的には、幹線は規模が大きく、道路を掘ってつくり直すことが困難なため、管の内部から補強する更生工法を主に採用してございます。これにより、コスト縮減や工期の短縮を図るとともに、工事現場周辺のお客様への生活の影響を少なくすることにも努めております。
経営計画二〇一〇では、区部の下水道幹線約千百キロメートルのうち、昭和三十年代以前に整備され、老朽化が進むなど、対策が必要な幹線約百二十キロメートルについて再構築を進めることといたしておりまして、平成二十三年度末では約三十八キロメートルが完成してございます。
○伊藤委員 対策が必要な百二十キロメートルのうち約三分の一、三十八キロメートル、再構築が完成しているということであります。着実に再構築を進めていただいているということでありまして、引き続きどうぞしっかりと取り組んでいただければと思います。
東京のような都市施設が密集し、さらには人口も過密な地域では、更新工事がなかなかやりづらい地域ではないかと思いますけれども、ただいまの答弁の中で、下水道管の内部から補強する更生工法を活用し、再構築を進めているということでありました。
これは、道路を掘らずに下水道管の更新工事が可能なSPR工法と呼ばれる技術と聞いておりますけれども、このSPR工法とは、どのような技術なんでしょうか。
○坂根技術開発担当部長 SPR工法は、下水道局と東京都下水道サービス株式会社のほか、民間企業二社が共同で開発した技術でございます。
具体的には、老朽化した下水道幹線の内側に硬質塩化ビニール製の板を巻き立てて、新しい下水道管をつくり、古い下水道管と新しく完成した下水道管の間隙をモルタルで埋め、一体化させる工法でございます。
この工法は道路を掘ることがないため、交通や周辺環境の影響が小さくでき、下水を流しながらの施工ができる特徴がございます。
また、既存の下水道管の内側に新たな下水道管をつくることで、新しく敷設した管と同程度まで機能を回復し、耐用年数をさらに五十年程度伸ばすことが可能であります。
さらに、小さな枝線から大口径の幹線まで施工が可能で、円形の下水道管以外の四角や馬蹄形の下水道管の再構築にも活用できます。
これらの特徴があるSPR工法は、交通量の多い厳しい都市部の施工環境の中で、工事に適した工法でございまして、東京を初め、国内にとどまらず、海外の都市でも活用されております。
○伊藤委員 道路を掘り返さなくても工事をできるということで、交通渋滞の抑制、さらにはコストも安く上がるのではないかなというふうに思っております。
このように、韓国やドイツや米国で実際この工法を用いて工事をした例もあると聞いております。世界に通用する技術を民間と協力して、東京発で行っているということは、非常に頼もしい限りであります。
しかし、既に耐用年数を超えた下水道管は全体の約一割に相当する一千五百キロメートルに達しております。昭和四十年から五十年代に全延長の約五割が建設をされておりまして、今後一斉に更新の時期を迎えるわけであります。
次に、下水道幹線と同様に、下水道の基幹施設であります水再生センターやポンプ所についてお伺いをいたします。
これらの施設でも全体の四割を超える施設で耐用年数を超過しておりまして、老朽化がかなり進んでおります。毎日膨大な下水を処理する水再生センターなどにおいて、水処理を行うためのポンプなどの機械、電気の設備を適切に維持管理するとともに、計画的に再構築をすることは不可欠でございます。
そこで、水再生センターやポンプ所におけるポンプなどの主要な設備の再構築事業を推進するための基本的な考え方についてお伺いいたします。
○黒住計画調整部長 設備の再構築に当たりましては、老朽化対策にあわせて省エネルギー化や温室効果ガス排出量の削減などの機能向上を図っております。
また、コンピューターなど、技術革新が早い設備などでは、技術の陳腐化に伴い再構築を行う場合もございます。設備は土木施設などに比べて、耐用年数が二十年程度と短く、主要な設備だけでも約四千台と膨大にございます。また、故障により機能が停止した場合は、直ちに下水道機能の維持が困難になるような場合もございます。
このため、適切に点検や補修を行い、予防保全や延命化を図るとともに、老朽度や省エネルギーなどの機能向上の必要性などを総合的に勘案しつつ、計画的に再構築を行っております。
○伊藤委員 計画的にやっていただいているということでありますけれども、一日も施設をとめることができませんので、引き続き対応方お願いしたいと思います。
一方で、下水道事業というのは、独立採算の公営企業として運営をされております。これまで指摘してきたように、膨大な施設の更新のためには、安定的な経営基盤と、きちんとした財源の確保が必要であると考えます。
有利子負債は現在約二兆円ある一方で、固定資産、流動資産を含めて約六兆七千億円もの、これまた膨大な資産がありまして、直ちに経営が危機的な状況になるということは考えにくいわけでありますが、長期的に見れば、これは楽観視をすることができません。
そこで、長期的な財政収支を安定させるために、どのような取り組みを行っているんでしょうか。
○小山総務部長 下水道事業では、一〇〇%普及を目指して短期間に集中的な建設投資を行ってまいりました。その結果、平成十二年度には企業債残高が約三兆円にまで達しました。その後、建設投資の重点化などによりまして、着実な残高縮減に努め、将来にわたる負担の軽減を図ってきたところでございます。
今後、老朽化した施設の再構築や膨大な施設の維持管理など、必要な事業を確実に実施していくためには、引き続き国費等の財源確保を図るとともに、経営の効率化を進めていく必要がございます。
具体的には、建設から維持管理にわたるトータルコストの縮減や、資産の有効活用による収入の確保を図るとともに、業務執行体制の見直しを進めまして、平成二十二年度から二十四年度までの三年間で二百人の職員定数の削減を行うなど、可能な限りの企業努力に取り組んでいるところでございます。
今後とも公営企業としての公共性、経済性を発揮し、より一層の経営効率化に努めることで経営基盤を強化し、安定的な下水道サービスを提供してまいります。
○伊藤委員 有利子負債が三兆円あったものを約十年以内で二兆円まで減少させ、将来負担の軽減を図っていることや、三年間で二百名という定数の削減を行っていただいている。さまざまな企業努力をしていただいて、経営基盤の強化に取り組んでいただいていることはよくわかりました。
しかし、金利がこれからどうなるのかということはだれも想像がつきませんけれども、金利が上がった場合とか、また震災に襲われた場合については、財政収支が悪化するということも考えられますので、よりよいサービスを都民に提供していくために、気を緩めず、引き続き経営の効率化に取り組んでいただきたいと思います。
次に、下水道局所管の監理団体、東京都下水道サービス株式会社、TGSについて何点かお伺いいたします。
TGSのホームページ上に公表されております平成二十三年度非競争型受託等事業運営状況報告書を見ますと、特定契約で社団法人東京下水道設備協会に一千百五十五万円で下水道設備設計マニュアル改定作業委託という契約がございます。
まず、この下水道設備設計マニュアル改定作業委託はどのような内容なんでしょうか。
○永野企画担当部長 下水道設備設計マニュアルは、ポンプ設備や監視制御設備など、多岐にわたる下水道設備の最新の技術や設計に関するノウハウなどを盛り込んだものでございまして、当局が設備工事を設計する際に、基礎資料として確認、参照しているものでございます。
したがいまして、技術革新など、最新の状況を反映するため、定期的に改定する必要がございます。
当局は、同マニュアルの改定業務を水再生センターの保全管理業務を受託するなど、都の設備に精通するとともに、高い技術力を有する東京都下水道サービス株式会社、TGSへ委託してございます。
本契約は、TGSがマニュアル改定に必要な技術情報、設備情報の収集整理や図面の作成など、業務の一部を東京下水道設備協会へ委託しているものでございます。
○伊藤委員 マニュアルを定期的に改定する必要があるということでありますけれども、調べてみますと、毎年さまざまなマニュアル改定を特定契約でこの法人に委託をしておりますけれども、それはなぜでしょうか。
○永野企画担当部長 設備設計マニュアルは、設備の種類別にポンプ設備や受変電設備など、二十二種類に分けて作成してございまして、順次改定を行っております。TGSは、これらのマニュアルの改定業務の一部を東京下水道設備協会に委託してございます。
TGSが同法人に特定契約で委託しているのは、下水道設備を扱う幅広い分野のメーカーにより構成された唯一の法人であり、各メーカーの最新の技術情報などを迅速かつ効率的に収集できるためでございます。
○伊藤委員 二十二種類もの非常に重要な設計を行うための基礎的な資料でありますこのマニュアルを委託している、特定契約をしているということでありますけれども、ご答弁の中では、各メーカーの最新技術の情報など、迅速かつ効率的に収集できるためということでありますけれども、ホームページを見ましたら、この法人は東京都の下水道事業を直接受託する大企業を中心に設立をされたものであります。
いわば、このような業界団体に毎年特定契約で事業を委託することは、形式的に問題があるのではないかと思いますけれども、都の所見をお伺いします。
○永野企画担当部長 先ほどの答弁と一部重複いたしますけれども、東京下水道設備協会は、東京都における下水道設備の質的向上を図るために、専門技術の向上や維持管理に関する技術的調査研究、普及啓発などの事業を行うことを目的としまして設立された法人であり、下水道設備を扱う幅広い分野のメーカーで構成された唯一の法人でございます。
TGSは、マニュアル改定に当たり、同法人の会員以外のメーカーからも独自のヒアリングなどにより最新情報を収集するなど、特定メーカーに偏ることのないよう、業務を遂行してございます。
その上でTGSは、このようにして得た技術情報を整理いたしまして、都が求める設備の設計に活用できる基礎資料としてまとめてございます。
したがいまして、TGSがマニュアル改定業務の一部を特定契約により同法人へ委託することは問題ないと考えてございます。
○伊藤委員 今のお答えでは、同法人へ委託することは問題がないということでありますけれども、確かにこの業界団体に入っていないほかのメーカーについてもTGSがしっかりと情報をとるために努力をしていただいているということですので、偏りがないということで、それはそのとおりなのかもしれませんけれども、経営計画二〇一〇では、事業実施に責任を持つ下水道局を中心として、局、監理団体及び民間事業者が、それぞれの特性を生かした役割分担のもとに協働し、運営していきますとして、平成二十七年度までにこの基本的な考え方に基づく事業運営体制を構築するとしております。
しかし、このように重要なマニュアル改定業務を法人へ委託していると、局自身にノウハウがなくなってしまう、低減をしてしまう可能性があるのではないかと思いますけれども、都の所見を伺います。
○小山総務部長 下水道設備設計マニュアルでございますが、これは当局が設備工事を設計するに当たりまして欠かせないものでございますが、主に標準化、定型化が必要な技術を対象とした基礎資料でございます。マニュアルとして、どの技術を標準化、定型化すべきかにつきましては、当局が判断しているところでございます。
また、具体的な設計に当たって、採用事例のない技術や、まれにしかない事案につきましては、当局が個々に情報を収集し、判断して設計を行っているところでございます。
さらに、マニュアル改定業務の指導監督を通じても技術上のノウハウを獲得しておりまして、これらのことから、この業務を委託いたしましてもノウハウの維持向上が図られているというふうに考えているところでございます。
今後も業務委託など、さまざまな手法を活用して効率化を図ってまいりますが、事業実施に責任を持つ下水道局として、下水道事業のノウハウが低減しないよう十分留意してまいります。
○伊藤委員 そもそも平成十四年からマニュアル改定をするということでありますけれども、それ以前は、長く下水道業務に携わっている熟練した職員が多数いらっしゃって、そういった方々にノウハウが蓄積をしてきたと。しかし、それが大量退職をして都庁からいなくなってしまったがゆえに、こういう対応をとるということもご説明いただいております。
ほかの、実際と違って東京都の下水道技術というものは非常に独特なものも、特徴的なものもございますので、ぜひともその都度、きちんとした最新の技術を取り入れて、都民に、よりすばらしいサービスをぜひとも提供を今後ともしていただきたいというふうに思います。
時代が変われば、そのときのやり方というものがあると思います。平成二十七年までに事業体制を構築するということでありますので、今後、局の対応なども拝見させていただきたいと思いますし、下水道事業というのは、都民が直接、余り実態として感じていただけない事業だと思います。例えば、水道をひねれば水が出てくるということと違って、汚水や雨水を適切に処理をすると。まさに、いわば縁の下の力持ちなんだろうというふうに思います。
大変地味ではありますけれども、一日もこのサービスを欠かすことは都民の生活上できませんので、るる質問してまいりましたけれども、これらの課題に対して、非常にハードルが高いものもあるかもしれませんけれども、今後とも適切な対応をしていただくことをお願い申し上げまして質問を終わります。
○相川委員 私から、まず初めに、下水道管の耐震化について伺いたいと思います。
東日本大震災や阪神・淡路大震災など、過去の大規模地震では、ライフラインの被害によって、住民生活に大きな支障を来した。特に下水道が被害を受けた地域では、トイレが使用できないというような衛生面で多大な影響が出たことは周知の事実であります。
首都東京においても、地下に網の目のように張りめぐらされた下水道管は、都民生活や社会経済活動を支えるために、大規模地震の発生時にもその機能を確保する、このことが求められているんだと思います。
東京でいつ発生してもおかしくない大規模地震に備えて、被害を最小限にとどめるためには、予防対策というものが急務であり、その一つとして、下水道管の耐震化が重要であることは、今さら私が申し上げるまでもありません。
先月の第三回定例会におきまして、我が党の野島幹事長の代表質問で、下水道管の耐震化の取り組み状況について確認をさせていただきました。耐震化は避難所などを対象に着実に進んでおり、今後、対象施設の拡大も図る、こういう答弁をいただきまして、大いに評価をさせていただいております。
一方で、区部の下水道管は交通量の多い道路の地下深くに埋設されていることが多く、下水道工事には困難を伴うため、下水道局では独自に開発した耐震化技術により対策を進めていると聞いております。
そこで、下水を流す機能確保のための予防対策として、どのような技術を用いているか、また、その技術によりどのような効果があるのかを伺いたいと思います。
○坂根技術開発担当部長 過去の大規模地震におきましては、下水道管とマンホールの接続部が損傷し、下水を流せなくなる被害が出たほか、地盤の液状化に伴い、道路上にマンホールが浮上し、応急復旧活動に必要な緊急車両などの通行に支障となりました。
下水道管とマンホールの接続部につきましては、接続部を柔軟性のある構造に変更し、耐震性の向上を図る技術を開発し、平成十二年度から導入しております。
また、マンホールの浮上につきましては、液状化により地盤の内部で上昇した水圧をマンホール内に逃がす装置を設置することによりまして、水圧の上昇によるマンホールの浮上を抑制する技術を開発し、平成二十年度から導入しております。
これらは民間企業と共同で開発した東京下水道独自の技術でございまして、道路を掘らずにマンホールの中で工事を行えるため、交通量が多いなど、都心部の施工環境に対応できる特徴がございます。
避難所からの排水を受ける下水道管や緊急輸送道路などにあるマンホール等、対策が必要な箇所につきましては、こうした技術を活用し、着実に進めてきた結果、東日本大震災におきましても、下水道管とマンホール接続部の損傷やマンホールの浮上は発生しておりませんで、開発した技術の効果が発揮されたものと認識しております。
○相川委員 下水道局が開発した下水道管とマンホールの接続部の耐震化技術、マンホールの浮上抑制の技術に基づいて対策が進んでいると。このことは大いに評価ができ、引き続き新しい技術を開発して、積極的に活用して取り組んでいただきたいというふうに申し上げておきます。
次に、耐震化されていない下水道管が被害を受けた場合について伺います。
本年四月に公表されました東京都防災会議の被害想定では、マグニチュード七・三の東京湾北部地震が発生した場合に、区部の下水道管は大きな被害を受けて、その最大被害率は約二七%とされています。その場合、都民生活に甚大な影響を与えるために、応急復旧により、早急に下水道を使用できるようにしなければなりません。
都の地域防災計画の見直し素案では、下水道の復旧目標は三十日間とされていますが、具体的にどのような作業を行い、そして三十日間の復旧目標を達成するために、どのような取り組みを行っているのかお答えいただきたいと思います。
○渡辺施設管理部長 お話しいただきました被害想定の中には、ひび割れなど、軽微な損傷も多く含まれておりますが、この中で応急復旧が必要となりますのは、下水道管が大きく損傷し、下水を流す機能に支障が出ている箇所になります。
応急復旧は、下水道管が大きく損傷した箇所では、排水管とポンプを暫定的に設置して排水機能を確保したり、土砂が流入して下水道管が詰まった箇所では、管内の土砂に高圧力の水を吹きつけて除去し、バキューム車で吸い上げることにより下水を流す機能を回復させることなどが考えられます。
大規模地震の発生後、速やかに応急復旧ができるよう、監理団体である東京都下水道サービス株式会社のほか、下水道の維持管理を専門に行っている団体などと災害時における応急復旧に関する協力体制を整えております。
具体的には、人員や資機材の確保、情報連絡体制などに関する協定を締結するとともに、防災訓練を定期的に共同で実施するなどの備えを講じております。
今後とも関係団体などとの連携をより一層充実させ、大規模地震への備えに万全を期し、三十日間での復旧目標を達成してまいります。
○相川委員 私個人的には、三十日間で果たして応急復旧ができるのかと思っておりましたけれども、ただいまの答弁をお聞きしまして、大変心強く思っております。大規模地震による都民生活への影響を最小限にするために、引き続き着実に取り組んでいただきたいと思います。
次に、多摩地域の流域下水道における高度処理の取り組みについて何点か質問いたします。
多摩川は、いうまでもなく東京を代表する河川であり、都民にとってもかけがえのない水辺空間であります。
江戸時代、多摩川の水は、玉川上水を経て江戸市街の上水としてそのまま利用されており、幕府の厳重な管理下に置かれ、清流が維持されていました。また、多摩川の水は、飲料水だけではなくて、かんがい用水としても利用され、武蔵野台地に潤いをもたらしていました。
ところが、高度経済成長期に都市化が急激に進んで、大量の生活排水が流れ込んだため、水質は徐々に悪化をいたしました。
私は昭和から平成に変わった翌年の平成二年でありますが、八王子市を源流として、日野市で多摩川に合流する、これは八王子の母なる川であります浅川を舞台に、子どもたちが川で遊んでいない、あるいは、どぶ川と化してしまった浅川というものに、八王子と日野の両市民の関心を呼び起こして、かつての清流を取り戻す、そんな思いで、八王子市役所の北側の河川敷をスタートとして、日野市の万願寺にありますふれあい橋をゴールとする十一・八キロメートルを、手づくりのいかだなどで川下りを競う浅川サバイバルレースという、こんなイベントを八王子と日野の仲間たちとともに立ち上げました。
始めて三年ぐらいのときに、当時の日野市長、有名な革新市長でありましたけれども、君たちがやっていることは浅川を荒らしていると、こういうふうに批判されまして、市長室に乗り込んで、あなたは毎年浅川にコイを放流しているけれども、そのコイの放流というものが浅川の生態系をめちゃくちゃにしているんだと、こんな反論をして翌年からコイの放流をやめさせたと。きのうのことのように思い出します。
このイベントは、それから十八年続けまして、皆さんの努力で浅川が清流にほぼ戻ったと、平成十九年に所期の目的を達成して実行委員会を解散いたしました。
また、それとは別に、ことしは多摩川のアユの遡上数が過去最高を記録したというそんな報道がされておりました。生活排水で汚れていた多摩川も下水道の普及によって水質が大幅に改善されています。
これらは、まさに下水道局の努力の成果であると大いに評価をいたしておりますが、下水道の普及と多摩川の水質改善の関係について、より詳しく説明をお願いしたいと思います。
○中里技術部長 多摩地域では、昭和四十年代前半から、都と市町村が連携して下水道の普及に取り組んできた結果、平成二十三年度末の下水道普及率は九九%に達しております。
都市化の進展とともに人口が急増し、下水道普及率が四六%でございました昭和五十五年の多摩川中流部の水質は、河川の水質指標でございます生物化学的酸素要求量、BODが一リットル当たり十二ミリグラムで、比較的汚れに強いとされておりますフナやコイでさえも生息は困難な状況でございました。
しかし、昨年度にはBODが一リットル当たり一・七ミリグラムと三十年前に比べ大幅に改善され、ヤマメやイワナなどの清流の魚も生息できる水質となっております。
○相川委員 今のお話で、多摩川の水質が大きく改善したと。これは私の実体験でもよくわかります。皆さんの努力に敬意を表したいと思います。
多摩川はレクリエーションや環境学習など、都民の憩いの場として大いに活用されており、市街地に近接した貴重な自然空間として、都民にとっても大変身近な存在であります。その多摩川のさらなる水質改善と東京湾の富栄養化防止対策について伺います。
今後、さらに良好な水環境を形成していくために、富栄養化の一因である窒素や燐を削減していくことが重要な課題と考えますが、決算概要を見ますと、下水道局は水質改善の先駆者として、流域下水道の各水再生センターに窒素や燐をより多く除去するための高度処理の導入を進めているようであります。これまでの導入状況について、先ほどと重複してしまうかもしれませんが、お答えをいただきたいと思います。
○中里技術部長 現在、多摩川中流部の河川水量の約半分を下水処理水が占めておりまして、下水処理水質の向上は多摩川の水環境の向上に大きな効果がございます。
流域下水道では、平成十二年度から多摩地域の水環境の改善と東京湾の富栄養化の防止を図るため、各水再生センターに窒素と燐をより多く除去するための高度処理の導入を順次進めているところでございます。
その結果、平成十六年度には流域下水道のすべての水再生センターで高度処理が可能となり、平成二十三年度末には一日当たり約五十一万立方メートルの高度処理施設が稼働し、流入下水量に対する高度処理水の割合は五割以上になっております。
なお、平成二十三年度は流域下水道のすべての水再生センター七カ所で建設工事を実施し、このうち北多摩一号水再生センターにおいて、一日当たり約二万九千立方メートルの高度処理施設を完成させました。
○相川委員 流域下水道で積極的に高度処理を進めてきたと。よくわかりました。
先日、ある会合で我が党の比留間大先輩が、府中市選出でありますけれども、多摩川に一千万匹以上のアユが遡上しても、においがあって食べることができない。昔は府中の多摩川で屋形船を出して、投網でアユをとって、その場で食していたと。こんな時代をもう一回取り戻せないかということを強調されていました。
私は、そのかぎは二つあると思います。一つは、これは下水道局の守備範囲じゃありませんけれども、渇水期でも水の流量を確保すると。これは雨水浸透ますを徹底的に普及させるとか、あるいは源流部の山の樹相を変えて保水力を高める。
二、三年前だったと思いますけれども、ある大学教授と話しておりましたら、八王子の陣馬山に降った雨が、たった三日で東京湾まで流れちゃう。これは本当に問題なことでありまして、これを何とかしなきゃいけないと。そして、何よりも高度処理、この問題にあるのではないかというふうに思います。
最後に、流域下水道における高度処理への今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○中里技術部長 流域下水道では、多摩地域の水環境のさらなる向上を図るため、高度処理の割合を高めることとしております。
具体的には、施設の増設時には高度処理施設にするとともに、老朽化施設の更新にあわせ、順次高度処理への転換を図り、平成二十七年度までに一日当たりの下水流入量の六割に相当いたします六十三万立方メートルの施設を稼働させることを目標に、鋭意、施設整備を進めているところでございます。
今後とも高度処理の導入を積極的に推進し、多摩地域の水環境の向上に貢献してまいります。
○相川委員 水環境のさらなる改善のために、今後も積極的な取り組みをお願いして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○加藤委員 私からは、水再生センター間のバックアップ機能の確保と、下水道管の老朽化対策について伺いたいと思います。
阪神・淡路大震災や東日本大震災では、下水処理場が被災したことにより、長期にわたって下水の処理機能が停止した地域がありました。
首都東京の都市活動を支えるため、都では二十の水再生センターで下水を処理しておりますけれども、大規模地震の発生時にもその機能を確保し、都民生活や社会経済活動への影響を最小限にすることが不可欠であります。
このため、水再生センターが被災したとしても、下水の処理機能を停止させないよう、バックアップ機能を確保することが極めて重要であります。
こうしたことを踏まえ、下水道局では水再生センターの機能のバックアップをどのように確保しているのか、まず伺います。
○黒住計画調整部長 区部の下水道につきましては、二十三区を十の処理区に区分し、それぞれの処理区にある水再生センターで下水を処理しております。
下水の処理過程で発生する汚泥につきましては、水再生センター間を結ぶ送泥管で汚泥を送り、区部では汚泥処理を五カ所に集約化することで効率化を図るとともに、複数の送泥管を整備することでバックアップ機能を確保し、安全性の向上に努めてまいりました。
今後は汚泥に加え、汚水なども送ることができる水再生センター間のネットワーク化を推進することにより、震災時にも下水道機能を安定的に確保するとともに、このネットワークを活用し、水再生センターの再構築を行ってまいります。
また、多摩の流域下水道におきましては、多摩川を挟んで対面に位置する水再生センター間で、汚水や汚泥を相互に送る連絡管を整備し、バックアップ機能を確保するなどの取り組みを進めており、既に一本目の連絡管が稼働しております。
○加藤委員 多摩の流域下水道では、既に一本目の連絡管が稼働しているということでありますが、流域下水道における連絡管の整備状況について伺います。
○中里技術部長 連絡管は施設整備や維持管理の効率化と震災時などのバックアップ機能の確保を目的として整備を進めているものでございます。汚水や汚泥を相互に送ることができる全国でも先駆的な取り組みでございます。
流域下水道では、平成十五年度に多摩川上流水再生センター、八王子水再生センター間で工事に着手し、平成十八年度から稼働しております。
二本目となる北多摩一号水再生センター、南多摩水再生センター間につきましては、既にトンネル工事を完了させ、現在、送泥管などの敷設工事や関連する設備工事を実施しているところでございまして、今年度末の完成に向け、鋭意整備を進めております。
また、三本目の北多摩二号水再生センター、浅川水再生センター間は、今年度、工事に着手し、早期の完成を目指してまいります。
○加藤委員 多摩地域では連絡管の整備が着実に進んでいるとのことで、大いに評価をいたします。
今後は、さらに首都機能や人口が集積する区部においても、連絡管の導入を進め、水再生センター間で相互に活用していくことも必要と考えます。
そこで、区部における連絡管整備の取り組み状況について伺います。
○野村建設部長 区部における水再生センター間のネットワーク施設として、首都機能が集積している地区の排水を受ける芝浦水再生センターと、処理区域の面積が最も大きい森ヶ崎水再生センター間において、これまでの汚泥に加え、汚水なども送る機能を有する連絡管を整備してまいります。
この連絡管の活用により、災害時においても下水道機能の信頼性を大幅に向上させるだけでなく、芝浦水再生センターの再構築時に不足する水処理能力を森ヶ崎水再生センターで補完してまいります。
現在設計を進めており、早期の工事着手に向け、関係者との協議、調整を進める等、全力を挙げて取り組んでございます。
○加藤委員 一刻も早い工事着手に向けて、引き続き着実に取り組んでもらいたいと思います。
次に、下水道管の老朽化対策について伺います。
私の地元の墨田区で五月に開業しました東京スカイツリーが立地する押上・業平橋地区とその周辺は、開業以来、新たな観光名所として、多くの人で連日にぎわっておりますが、古くから栄えたこの地区にある下水道管は、埋設されてから長い年数が経過しています。
先日、他局の工事でスカイツリー周辺の下水道管の写真を見る機会がありましたが、確かに老朽化しているなという印象を持ちました。
区部の下水道は、明治期以来、百二十年余りの歳月をかけて築かれましたが、古くに埋設された下水道管は、その分だけ損傷が進んでおります。
そこで、下水道管の老朽化状況及びその対策としての再構築の基本的考え方について伺います。
○黒住計画調整部長 区部の下水道管の総延長は約一万六千キロメートルに達しており、そのうち一割程度に当たる約一千五百キロメートルが既に耐用年数の五十年を超過しております。
加えまして、今後、耐用年数を超える下水道管が急増してまいります。このため、補修による延命化を図るとともに、計画的に再構築を進めております。
また、再構築は老朽化対策とあわせて、耐震性の向上でありますとか、雨水排除能力の向上を図るなど、効率的に進めてきております。再構築の実施に当たりましては、工期短縮やコストの縮減などにも努めております。
具体的には、まず管の内部をテレビカメラなどにより調査し、健全度を把握、評価した上で、健全なものはそのまま活用しております。
また、軽微な損傷があるものは、下水を流しながら、管の内側から補強して、新しく敷設した管と同程度まで機能を回復させることが可能な更生工法などを活用しております。
この工法は、道路を掘らずに施工できるため、工事現場周辺のお客様の生活への影響を少なくすることもできるものでございます。
○加藤委員 下水道管の老朽化対策というものは、耐震性の強化など、機能の向上とあわせて進められているとのことで、その基本的な考え方を確認いたしました。
また、区部の下水道管の総延長は約一万六千キロメートルに達しているとのことであります。区部下水道管の再構築の平成二十三年度末の進捗状況について、墨田区の状況とあわせて伺います。
○野村建設部長 口径の小さい枝線と呼ばれる下水道管の再構築につきましては、整備年代の古い都心四処理区、約一万六千三百ヘクタールを対象に、平成四十一年度までの完了を目指して事業を進めてございます。
区部の下水道の普及概成直後の平成七年度から順次再構築を進めており、平成二十三年度末までに、都心四処理区の約二五%に相当する約四千百ヘクタールの再構築を完了させました。
墨田区では、約千二百ヘクタールのうち約二八%、おおむね三百三十ヘクタールが完了いたしました。
○加藤委員 再構築を着実に進められているというふうに確認をいたしました。
一方で、今後、高度経済成長期に整備された下水道管が一斉に耐用年数を超えるとも聞いており、より一層のスピード感を持って取り組むことが必要です。そのことを要望しまして質問を終わります。
○かち委員 下水道事業は、都民生活にとって重要な生活基盤の一つです。一たん機能が停止すると、これは一大事です。昨年の東日本大震災の教訓からも、これだけ人口が密集した大都市での下水道の停止は、都民生活の停止につながります。
また、管の老朽化によって、道路の陥没や漏水事故という問題もあります。都においては、高度成長期の人口増に対応して、大量に敷設された上下水道管が耐用年数を迎えており、緻密なメンテナンスと更新、敷設がえの緊急度と重要性が増しています。
さらに、首都直下型地震に備えて防災対策も急がれています。平成二十三年度決算に当たり、そうした観点から何点かお聞きします。
昨年の東日本大震災の教訓や、迫り来る首都直下地震の被害想定などから、都の下水道施設の震災対策の取り組み、また、下水道管などの大量更新期を迎えての課題をどのように認識しているのか、まずお聞きます。
○黒住計画調整部長 首都直下地震などの大規模な地震が発生しても、地震動や津波に対し、下水をくみ上げる揚水の機能や簡易処理、消毒など、下水道が必ず確保すべき機能などを保持することが必要であると認識しております。
既存施設につきましては、施設数が膨大であることから、施設の重要度などに応じ、優先度を定め、計画的に対応しております。
これまでも水再生センターなどの施設や下水道管の耐震化、液状化によるマンホールの浮上抑制対策などを進めてまいりました。
また、老朽化した施設の再構築につきましては、既に耐用年数を超えたものが約一千五百キロメートルもあり、今後、耐用年数を超える下水道管が急増してまいります。
このため、下水道の普及概成直後の平成七年度から再構築事業に着手しており、今後も整備年代の古い都心四処理区について、平成四十一年度末までに完了することを目標に、経営計画二〇一〇におきましても、整備ペースを二割アップするなど、今後も着実に事業を推進してまいります。
○かち委員 先ほど来出ておりますけれども、都の耐用年数を超えた下水道管の延長は千五百キロに及び、残る一万四千五百キロのうち、半数が一斉に更新期を迎えることになります。
区部では、道路陥没が毎年千件も発生し、その原因の八割が取りつけ管の破損によるものだといわれています。
なぜ陥没するのか、理由はいろいろあるようですけれども、激しい交通量の道路の下などでは、重量に耐え切れず陥没することもあるでしょう。また、低地帯で、埋設位置よりも、地下水がそれより高い地域では、下水道管が地中で水没している状態にあるような場合、中が空洞の下水道管に小さな穴があけば、下水道管は地下水の集水管のようになってしまうというふうにもいわれています。
地下水は周辺の土砂を巻き込みながら下水管に入ってきて、土砂が堆積することで管の周辺の土壌が空洞化し、道路陥没の原因にもなると聞きました。このような道路陥没防止対策をどのように進めていくのかお聞きします。
○黒住計画調整部長 下水道管が原因で発生する道路陥没のうち、七五%程度は宅地内の排水管と道路内の下水道管をつなぐ取りつけ管の損傷などが要因でございます。
このため、取りつけ管を衝撃に強い硬質塩化ビニール管に取りかえる対策を実施しております。
具体的には、再構築事業にあわせて実施することに加えまして、取りつけ管に特化した対策として、道路陥没の多い地区を重点化し、硬質塩化ビニール管への取りかえを実施しております。
その結果、対策が完了した地区におきましては、道路陥没は減少しております。
○かち委員 今後は約七千キロの老朽管が一斉に更新期を迎えるわけですので、対症療法から始めていくのはいいんですけれども、それにとどまらず、計画を前倒ししてペースアップを図っていただきますよう求めておきます。
下水管の耐震化で重要課題の一つは、マンホールの浮上抑制対策です。既に幹線道路五百キロに対する対策は完了したとのことですが、避難所などへのアクセス道路では、目標の千五百キロに対し、平成二十三年度の実績と進捗率についてどのようになっているでしょうか。
○野村建設部長 浮上抑制対策は、地盤の液状化によるマンホールの浮上を抑制するもので、震災時の交通機能を確保するための対策として進めてございます。
これまでは重要な路線である緊急輸送道路について実施してまいりました。昨年度より、緊急輸送道路と避難所などを結ぶアクセス道路等を新たに対象として追加し、平成二十三年度は約七十キロメートルを実施いたしました。
中長期的な目標値千五百キロメートルに対しましては、進捗率は約五%でございます。また、平成二十四年度末の目標値三百キロメートルに対しての進捗率について見ますと、約二三%となってございます。
○かち委員 先ほどの質疑にもありまして、幹線道路については目標の五百キロをやり切ったので、さらに三百キロ追加して八百キロに引き上げたということで、アクセス道路の分も含んでやっているんだというお話でしたけれども、累積では二〇%程度ということで、千五百に対しては、まだまだ道半ばにも行っていない状況でありますので、さらなるペースアップが必要ではないかと思います。
それぞれの地区防災計画などとの関係で調整すべき課題はいろいろあると思いますけれども、マンホールの浮き上がり防止は、幹線道路ばかりでなく、避難所へのアクセス道路や病院やターミナル駅など、重要施設へのアクセス道路においても、非常に重要なかなめであります。さらなる促進を求めておきたいと思います。
次に、大震災を受けても、下水処理機能を失わないための対策が必要です。震災時の応急対策として、非常用電源を確保した水再生センター、ポンプ所の施設数目標、九十七カ所に対し、平成二十三年度の実績と進捗率はどうでしょうか。
○野村建設部長 停電時などに備え、水再生センターやポンプ所では、非常用発電機やナトリウム硫黄蓄電池等の非常用電源を確保してございます。
現在、その容量をさらに拡充する事業を区部のすべての水再生センターとポンプ所、九十七カ所を整備目標として進めてございます。
平成二十三年度の施工実績は十一カ所で、うち二カ所が完了いたしました。また、平成二十三年度末の進捗率は約五二%でございまして、経営計画二〇一〇の目標五十カ所を達成してございます。今後も発電容量の拡充に着実に取り組んでまいります。
○かち委員 区部のポンプ所で、外部から冷却水の供給が停止した場合でも、ポンプ運転が可能となる耐震化したポンプ台数の導入は、目標が七百二十五台に対し、二十三年度の実績、また進捗率はどのようになっているでしょうか。
○野村建設部長 断水時においても運転可能なポンプとして、冷却水が不要なポンプである無注水型ポンプの整備を推進してございます。
平成二十二年度末には、既に二百七十三台の無注水型ポンプをほとんどのポンプ所等に導入しております。
平成二十三年度には新たに二十六台を整備し、区部の水再生センターなどでの中長期的な目標台数七百二十五台に対しまして、平成二十三年度末の進捗率は約四一%でございます。
○かち委員 いずれも鋭意努力されているということはわかりますが、非常用電源確保の水再生センターは、目標九十七カ所について五十カ所、耐震化ポンプの導入整備率は四一%ということで、これもいずれも道半ばというところです。
これらは、たとえ震災に見舞われても、下水道の最低の機能を確保する上で欠かせない整備ですが、それらを完了するまでには、これからあと十年以上要することになります。
震災対策の強化が問われている今日、これらの完成時期をもっと前倒しすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○黒住計画調整部長 非常用電源や無注水型ポンプは、整備の対象となる施設数が多いことから、計画的に導入しております。
また、無注水型ポンプの整備に当たりましては、既存のポンプを停止し、撤去した上で設置しなければならないため、雨の多い時期を避けての工事となるため、整備には時間を要します。
しかしながら、いつ地震が起きるかわからない中、震災対策を急ぐ必要があることから、既に経営計画期間における目標を前倒しで進めるなど、整備のスピードアップを図っております。
具体的には、非常用電源につきましては、平成二十四年度末までの経営計画期間中の整備目標の四施設に対し、一年前倒しをいたしまして、平成二十三年度末には既に整備を完了しております。
今後も引き続き積極的に整備を推進してまいります。
○かち委員 よろしくお願いします。
下水管とともに、集めた汚泥を処理し、水再生をする重要な施設が水再生センターとポンプ所です。これらの耐震化対策の取り組みの現状はいかがでしょうか。
○野村建設部長 下水道局では、これまで水再生センターやポンプ所の既存施設について、関東大震災クラスの地震を想定し、耐震化を行ってまいりました。今後は想定される最大級の地震動として、マグニチュード八・二の海溝型地震等に見直しを図ってまいります。
既存施設については、施設数が膨大であることから、優先順位を定め、計画的に整備を進めてまいります。
平成二十三年度までに管理棟などの建築物や、水再生センター上部の避難場所として利用している施設については、すべて安全性を確保しており、ポンプ所などの耐震化は、九十七カ所中十七カ所が完了してございます。
○かち委員 ポンプ所については二〇%弱完了ということですけれども、再生センターの上部は、すべてにおいて耐震化が完了されているというお話でしたが、水再生センターは施設の特徴から、いずれも地下施設が体積的に非常に多くを占めています。耐震工事の困難性を抱えているのが現状であり、そこが遅々として進んでいない状況ではないでしょうか。
東日本大震災と津波が大災害をもたらしたことから、東京都は昨年六月に学識経験者と下水道局を初め、関係部局も参加して、地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会を立ち上げ、これまでの大震災に対する耐震性能を検証するとともに、東京の沿岸部や低地帯における耐震、耐水対策など、今後の課題について、ハード面を中心に議論を重ね、本年八月に提言がまとめられました。
下水道施設に関して提言では、ポンプ所や水再生センターにおいては、新規の施設は将来にわたって最大級の地震に耐えられる設計であるとありますが、これはほんのわずかです。既存の施設では、最低限の下水道機能の確保と安全性確保のため、関東大震災級の震度に耐え得る耐震対策を進めているけれども、施設の機能を維持しながらの工事となるため、すべての下水道施設の耐震化を完了するには時間がかかると述べています。これでは、刻々と迫ってくる首都直下地震には耐えられないということであります。
提言では、今後、将来にわたって最大級の強さを持つ地震動にも下水道機能を確保できるように必要な対策を検討する必要があると書かれています。下水道機能と安全確保は最優先すべきであり、立ちおくれは許されない問題です。
この提言をどのように受けとめ、具体化されるのかお聞きします。
○黒住計画調整部長 地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会の提言を受け策定した基本方針の中で、耐震対策につきましては、マグニチュード八・二の海溝型地震等に対し、耐震強化を図ること、耐水対策につきましては、東京都防災会議が示した想定津波高さに対して、水再生センターやポンプ所の開口部の水密化などにより、設備への浸水を防ぐ対策を行うこととしております。
この基本方針に基づき、年内には整備計画を策定し、緊急性の高い施設について、今年度から対策を実施してまいります。
○かち委員 年内に整備計画を策定し、必要な箇所については直ちに実施するということですので、推移を直視していきたいと思います。
次に、放射能対策についてお聞きします。
昨年の福島原発事故由来の放射能汚染による影響は、下水汚泥処理対策においても大きな影響を受けたと思いますが、どのような影響があったのかお聞きします。
○渡辺施設管理部長 福島第一原子力発電所の事故に伴い発生した放射性物質の影響により、汚泥の資源化が停止したことで、汚泥焼却灰の全量を南部スラッジプラントに搬入し、混練り処理した後、中央防波堤外側埋立処分場に埋め立てせざるを得なくなりました。
特に焼却灰を全量資源化していた多摩地域では、新たに埋立処分場を確保することができず、焼却灰を仮置き保管することを余儀なくされるなどの影響を受けました。
その後、関係区などと協議を行い、ご理解を得て、多摩地域の焼却灰も区部と同様に南部スラッジプラントで混練り後、中央防波堤外側埋立処分場に埋め立てることで汚泥処理を滞りなく進めることができました。
○かち委員 これまで下水道事業として、下水汚泥の有効利用、リサイクルなどに活用していたものが、放射能汚染によって利用できなくなったわけです。
東部スラッジセンターでの汚泥の炭化による火力発電の燃料利用や、汚泥のリサイクル利用の停止、多摩の処理場から南部スラッジセンターでの混練り化等により、南部スラッジプラントでの負荷は、通常の三倍から四倍もの負荷がかかっているのではないかと思われますが、これらの数量はどのぐらいになるんでしょうか。また、影響額はどのぐらいと見ているんでしょうか。
○渡辺施設管理部長 二つのご質問のうち、私からは量的な内容についてお答えいたします。
震災前の平成二十二年度の汚泥資源化率は、区部で七〇%を超え、多摩地域では一〇〇%でありました。平成二十二年度の汚泥資源化の主なメニューは、セメント原材料、汚泥炭化物、粒度調整灰などであり、資源化の実績の合計は、焼却灰に換算して一日当たり約九十トンでございました。
震災後の放射能の影響で資源化が停止したため、区部の焼却灰の埋立量は一日当たり三十トン程度であったものが、南部スラッジプラントで飛散防止措置などを施した後、全量埋立処分となり、三倍程度の約百トンに増加しました。
加えて、多摩地域の焼却灰も埋め立てることになったため、全体では百二十トン程度に増加しました。
なお、搬入調整など、土曜、日曜の影響を考慮した年間数値の実績は、平成二十二年度の約一万一千トンから、平成二十三年度は約三万三千トンに埋立量が増加しております。
○小山総務部長 放射性物質への対応による影響額でございますが、汚泥処理など、現在も影響が続いているものもございまして、また、経費としても因果関係があるのはどの範囲なのかなど、明確になっていないものもございます。
このため、数字として正確に把握し切れておりません。
○かち委員 これらの対策は、今後どのようにしていくのでしょうか。
○黒住計画調整部長 下水道工事で使用する鉄筋コンクリート管などの材料につきましては、安全性が確認できたため、既に一部資源化を再開しております。
汚泥焼却灰に含まれる放射性物質の濃度が逓減傾向にあることを踏まえ、セメントなどへの再利用についても再開できるよう、関係者と調整をしているところでございます。
○かち委員 一部資源化といっても、下水道用の工事用材として使うというようなことであり、商品化はまだできていないということです。エコセメントについても調整中ということで、ずっと停止したままということですね。多摩地域のリサイクルが麻痺しているという状況になるわけです。
南部スラッジプラントへの多大な負荷、最終処分場の延命も図らなければならないときに、やはり例年の三倍以上の埋め立てを余儀なくされているということになるわけです。影響額は正確には把握し切れていないとのことですが、これらの賠償を当然東京電力に求めるべきと考えますが、今後、これらの対応をどのようにしていくのかお聞きします。
○小山総務部長 増加いたしました経費の賠償問題についてでございますけれども、東京電力から概括的な賠償スキームなどが示されてはおりますが、細部につきまして、明らかでないものも多くございます。
今後、適切に請求してまいりたいというふうに考えてございます。
○かち委員 東電は過酷事故対策の必要性を繰り返し指摘されていたにもかかわらず、安全神話のもとに、国と一緒になって対策をとってこなかったことから、あのような大事故になり、これだけ広範囲に放射能をまき散らした責任は重大です。都として、国と東電に強く賠償を求めるべきであると再度申し上げておきたいと思います。
次に、再生可能エネルギーと省エネ対策の拡大についてお聞きします。
昨年の本委員会での質疑でもお聞きしましたけれども、水再生センターには、広大な沈殿槽があり、太陽光発電の条件があるのではないかと思われます。しかし、太陽光発電は、葛西水再生センター一カ所しかまだできておりません。
アースプラン二〇一〇では、森ヶ崎水再生センターにも導入を検討すると記されていますが、検討状況はどうでしょうか。
○黒住計画調整部長 太陽光発電の導入には、コストや広大な設置スペースを要するなどの課題がございます。
水再生センターの敷地は広いものの、施設の上部を公園やスポーツ施設などとして地元区などに開放しており、太陽光発電設備を設置できるスペースは限られております。
このため、森ヶ崎水再生センター内の上部利用の計画がない一部施設での導入に向けて、太陽光パネルの価格動向や基礎構造の低コスト化、維持管理への影響などについて検討を行っているところでございます。
○かち委員 太陽光発電が急速に広がってくる中で、技術的にもかなり進展しています。軽いパネルなんかも出てきておりますので、ぜひ沈殿槽なんかも利用して、こういう太陽光を導入されることをぜひ早急に検討していただきたいというふうに思います。
また、今、下水道局が設置している再生可能エネルギー設備は、ほとんどが大手企業に依拠している状況ですが、中小企業の開発力も取り入れるべきだと昨年申し上げましたが、それに対し、昨年の一月に設置した技術開発推進計画二〇一〇で、中小企業も含め、産学公の連携で、再生可能エネルギーを初め、さまざまな技術開発について公募していくんだというようなご答弁でした。
その後の取り組み状況はどうでしょうか。実際、中小企業を起用した例はあるのでしょうか。
○坂根技術開発担当部長 下水道局では、これまで新技術の開発に当たりまして、中小企業を含む、さまざまな民間企業等と連携し取り組んでまいりましたが、開発した技術の中には、実用化に至らないものもあるため、すぐれた技術を開発する上で、民間企業の開発意欲を高めることが難しいという状況がございました。
そこで、開発インセンティブを向上させるため、開発した新技術を導入する工事をあらかじめ指定して、共同研究者を募集し、技術開発を進める仕組みを昨年度から新たに導入したところでございます。
今後、この仕組みを用いることによりまして、民間企業の開発意欲が高まり、再生可能エネルギーの活用技術を初めとして、中小企業を含む民間のすぐれた技術を開発していくことができるものと認識してございます。
○かち委員 今後、中小企業の導入も期待できるというふうに受けとめました。
開発研究というのは、あの山中教授もおっしゃっていましたけれども、九回失敗して、一割しか成功しないんだということで、こういうことにも開発への資金を投入するということも必要ではないかというふうに思います。
下水道局はさまざまなことに対して、いろいろ技術開発もされてきていることも、私、これを読んでよくわかりましたし、ぜひそういう面でいろんな知恵を集中して技術開発に取り組んでいただきたいというふうに思います。
大量の電力エネルギーを使用する下水道事業であるからこそ、少しでもクリーンで持続可能なエネルギーを拡大する必要性があるわけです。
技術開発推進計画二〇一〇の中で、職員の皆さんにアンケートをとって、その結果が資料として挿入されていましたが、挿入されていた中で興味深かったのは、技術開発が特に必要であると思う分野について、下水道施設全体としても、また、水再生センターで行うべき第一位が再生エネルギーであり、下水道局職員の皆さんも再生エネルギーの拡大に高い意識を持っているということを改めて認識をいたしました。
あらゆる可能性を駆使して水再生センターに太陽光発電など、再生エネルギーに取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、森ヶ崎水再生センターでは、PFI事業ではありますが、汚泥から発生するメタンガスを利用してのバイオエネルギー発電を行っております。その効果について伺いたいと思います。
○渡辺施設管理部長 森ヶ崎水再生センターにおける発電事業は、下水汚泥を消化させる工程で、汚泥中の有機分が分解して発生するメタンガスを発電設備の燃料として活用するものでございます。
平成二十三年度の年間発電量は、約二千万キロワットアワーであり、この発電量は、温室効果ガス約七千五百トンに相当いたします。発電した電力は当該事業所の使用電力量の約二割を賄っております。
○かち委員 約二千万キロワットアワー、そして温室効果ガス七千五百トン削減、そして電力の二割を賄っているということでは、非常に有効性が高いんじゃないかというふうに思うんですが、電気料金の軽減という意味からも大きな役割を果たしているのではないかと思いますが、このようなバイオマスエネルギーを他施設にも拡大することが重要だと思いますけれども、その可能性についてはいかがでしょうか。
○黒住計画調整部長 汚泥処理の一つの工程である消化につきましては、臭気の発生でありますとか、消化の工程で発生する高濃度の汚水の処理、温度管理等の運転管理の難しさなど、多くの課題がございましたので、東京都では消化による汚泥処理を順次廃止してきております。継続しているのは森ヶ崎水再生センターのみでございます。
このため、今後、消化ガス発電を拡大していく予定はございません。
○かち委員 しかし、発電効率は二〇%もあるし、これだけの費用対効果もあるんじゃないかというふうに思うんですが、さまざまな課題はあるというふうにもお聞きしました。処理工程、運転管理の難しさ、また、スペースも必要だというようなことではありますけれども、まさに、これこそ技術開発で実現できるのではないかという思いもします。ここで見切りをつけないで、今後も研究開発を続けていっていただきたいというふうに要望しておきます。
下水道事業は、都の事業所の中で最も大量のCO2を排出している事業として、地球温暖化対策に率先して取り組む責務を負っています。
アースプラン二〇一〇では、二〇二〇年度までにCO2を二〇〇〇年度比二五%削減目標に向け、一四年度までに一八%まで削減する計画ですが、この進捗状況はいかがでしょうか。
○黒住計画調整部長 下水道局では、平成二十二年に策定したアースプラン二〇一〇に基づき、温室効果ガスの削減対策を推進しております。
具体的には、徹底した省エネルギー化、新たな燃焼方式の汚泥焼却炉の導入などにより、一酸化二窒素や二酸化炭素などを大幅に削減してまいりました。
このプランでは、下水道事業から発生する温室効果ガスを二〇二〇年度までに二〇〇〇年度対比で二五%以上削減することを目標に、中間目標といたしまして、二〇一四年度までに一八%以上の削減目標を設定しております。
平成二十三年度、すなわち昨年度、二〇一一年度の温室効果ガスの排出量は約七十七万トンでございまして、二〇〇〇年度対比で二二%削減しており、二〇一四年度までの削減目標を既に達成しております。
しかしながら、今後頻発する集中豪雨への対応などにより、温室効果ガスの増加が見込まれるため、対策を不断に継続してまいります。
○かち委員 さまざまな技術開発などによって、CO2削減計画は順調に進んでおり、目標を上回って進んでいるというお話でしたが、二〇二〇年度で二五%削減というのは、決して十分というわけではないんです。
本来なら、京都議定書に基づけば、九〇年比二五%削減です。対策を不断に継続していくとのご答弁でありましたが、影響力の大きい大規模事業所である下水道事業での省エネ対策や再生エネルギーの拡大、未利用エネルギーの活用など、技術開発によってさらなるCO2削減のスピードアップを図られることが、東京全体の省エネ、地球温暖化対策の牽引力になるのであり、その先導的な役割を果たされることを強く求めて質問を終わります。
○山内委員 ちょっとのどを痛めていまして、お聞き苦しくて申しわけございません。
下水汚泥等の放射性物質についてお伺いしたいと思います。
平成二十三年、二〇一一年の福島原発事故後の下水汚泥の放射能汚染対策として振り返ってみますと、昨年五月から区部の下水汚泥は全量混練り後、埋立処分、多摩地域の下水汚泥は施設内保管、同じく五月から脱水汚泥、焼却灰、空間放射線量を測定して、ホームページにて公表し始めました。
六月に示された国からの通知を踏まえて、十月から二十三区の焼却汚泥に関しては、シールドトンネルなどの材料として資源化を再開したと聞いています。
そこで、どのような基準で資源化を再開したのかお伺いいたします。
○渡辺施設管理部長 昨年六月に国から通知された放射性物質が検出された脱水汚泥等に係る当面の対応についてによりますと、脱水汚泥等を利用した副次産物について、市場に流通させずに、地方公共団体等が公共事業等で使用する場合には、副次産物が使用される形態で、地方公共団体がクリアランスレベル以下と確認できるものは使用して差し支えないと示されております。
また、同じく国から通知された放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取り扱いに関する考え方におきまして、安全性の評価方法が示されております。
下水道局では、従来から焼却灰を材料として活用したセグメントや鉄筋コンクリート管などの製品を市場に流通させることなく、みずから下水道局の工事で使用してまいりました。
福島第一原子力発電所での事故を受け、一たん資源化を見合わせていたこれらの製品について、国の通知に基づき、下水道管として埋設した場合の周辺環境への影響や、工事における作業者への影響などに対する安全性を評価し、昨年の十月二十四日より資源化を再開しました。
再開した製品段階の放射能濃度は、一キログラム当たり百ベクレルという国の定めるクリアランスレベルを下回っております。
○山内委員 二〇一一年度の汚泥焼却灰の放射性物質の検査結果を時系列で見ますと、昨年の十月まではセシウム137で一キログラム当たり一万ベクレルを超える水再生センターもあり、それ以降も場所によっては、セシウム134、137を合計すると一キログラム当たり一万ベクレルを超えるといった汚泥焼却灰の放射能濃度が高い場合もあります。
高い数値であっても資源化するのか、公表されている数値と資源化したときの百ベクレル以下という数値をどのようにとらえたらよいのか、市民からはわかりにくいという意見がございます。
そこで、焼却灰の放射能濃度が高い場合、資源化をどのように行っているのかお伺いいたします。
○渡辺施設管理部長 汚泥焼却灰の放射能濃度は、ホームページで公表しておりますとおり、逓減傾向にありますが、水再生センターにより差異が生じております。
このため、資源化に当たっては、比較的放射能濃度の低い南部スラッジプラントと、新河岸水再生センターの汚泥焼却灰を鉄筋コンクリート管などの資源化製品に一から二%添加しております。この際、材料となる汚泥焼却灰や製品の放射能濃度を確認するなど、管理を徹底しております。
これにより、資源化再開後の昨年十月以降、放射能濃度が最も高い場合であっても、資源化製品として一キログラム当たり七十二ベクレルと、国の定めるクリアランスレベルである百ベクレルを下回っております。
今後とも放射能濃度の管理を適正に行いまして、製品の安全性の確認に努めてまいります。
○山内委員 二十三区の焼却灰の資源化については、東京都の下水道局の工事で使用し、汚泥焼却灰の数%、一、二%だけを添加するのであって、用途や使用場所が限定できるから安全性が担保される、それで再開しているということですね。
また、多摩地域の汚泥焼却灰も昨年十月からは中央防波堤の外側埋立処分場で管理処分していると聞いています。現在も資源化については、市場には流通していないということを確認させていただいたと思います。
今後も脱水焼却灰とか、空間の放射線量の測定と公表、そして安全性の確保や適正な管理に努めていただくよう要望いたします。
次に、ディスポーザーの設置についてお伺いしたいと思います。
ディスポーザーとは、本来、生ごみ粉砕器で、台所の調理ごみを砕いて、水と一緒に下水道に流し込む機器の総称で、下水道や下水処理場、ひいては海や川に与える負荷が大きいことから、生活者ネットワークでは、ディスポーザーの使用自粛の強化を求めてまいりました。
一九九八年、平成十年に旧建設省では、下水道などに影響を与えないディスポーザー排水処理システムが実用されたことを受けて、建築基準法に基づく大臣の認定が行われて、東京都も排水処理システムであるディスポーザーについては使用を認めたという経緯があります。その後、二〇〇〇年、平成十二年に認定制度が廃止されましたが、社団法人日本下水道協会の基準に適合したものは使用を認めています。
また、東京都では、二〇〇五年の五月施行の改正下水道条例施行規程により、ディスポーザー排水処理システム以外の単体ディスポーザーの使用は認めていません。
使用を認めているディスポーザー排水処理システムは、大型マンションなどに設置されている例が多いですが、排水管に水と一緒に生ごみを入れて粉砕し、流し、排水処理装置で処理措置をしてから下水道に流す仕組みになっている生物処理タイプと、排水処理部で処理した後、粉砕した生ごみを乾燥等、圧縮して、家庭でごみとして処分する機械処理タイプがあるかと思います。そのタイプの二つに対しては、東京都は適合シールをつけて認めております。
また、設置後、維持管理が必要で処理装置から出る汚泥の処理や保守点検、水質などの自主管理が必要となっていますが、そこで、ディスポーザー排水処理システム装置の設置の届け出件数の過去五年間の推移はどうなっているのか、また、自主管理、検査の状況は把握しているのかお伺いいたします。
○野口施設管理担当部長 区部におけるディスポーザー排水処理システムの届け出でございますが、年百件前後で推移しておりまして、過去五年間の合計は五百四十八件でございます。
ディスポーザー排水処理システムにつきましては、適切に使用されないと、下水道や公共用水域への負荷が大きくなるために、設置後の維持管理を適正に行っていただくことは重要であります。
これらのシステムにつきましては、設置する前に維持管理等に関する計画書の提出を求めまして、設置する全件を対象に検査を実施しております。
また、設置者に対しましては、汚泥の処理も含めまして、保守点検及び水質検査を行うことを義務づけております。
さらに当局では、こうした保守点検及び水質検査の結果につきまして提出を求めるとともに、システムの規模や水質の状況等を考慮いたしまして、抜き取りによる水質検査をすることによりまして、維持管理が適正に行われるよう指導しております。
○山内委員 先ほども申し述べましたけれども、二〇〇五年以降、単体ディスポーザーは使用できなくなっておりますけれども、単体ディスポーザーの販売及び使用の自粛について、どのような周知を行っているのかお伺いいたします。
○野口施設管理担当部長 下水道局におきましては、粉砕された生ごみが直接下水道に流れ込む単体ディスポーザーは使用できないこととしておりまして、排水設備の計画届け出書の提出時のほか、さまざまな場面で設置しないよう、指導及び周知をしております。
具体的には、排水設備工事事業者、住宅設備業界、さらには販売業者の団体などに対しましても、単体ディスポーザーについては設置しないよう、文書により協力を求めております。
また、各種イベントでのリーフレット配布や当局のホームページ等の広報媒体によりまして、単体ディスポーザーは使用できないことを広くお客様に周知しております。
今後とも機会をとらえ、継続して周知に努めてまいります。
○山内委員 粉砕した生ごみをそのまま下水道に流してしまう単体ディスポーザーは使用できないということになっていますが、実態は東京都も市も把握できていないのが現状です。
しかし、インターネット等を見ますと、単体ディスポーザーの広告はふえています。最近では主婦も、おふろやキッチン等の直しを地元の業者ではなくて、インターネットで調べて依頼することも多くなっているため、単体ディスポーザーが禁止ということに気づかないまま検討しておられる家庭も多いようです。
私の友人が、インターネットで販売している業者に問い合わせたところ、単体ディスポーザーに対して、役所は取りつけに対して自粛というあいまいな表現を使っており、処理システムがついていないディスポーザーもつけられると答えているそうです。しかも、ごみ減量になり、省エネになるとも宣伝しているようです。しかし、ごみは消えてなくなるわけではなく、下水道処理には負担がかかっているわけです。
都では、指導、周知に力を入れておりますが、単体ディスポーザーを販売している業者をチェックし、協力をさらに求めていくことが重要だと思います。また、市民にも十分周知していくことが必要です。
生活者ネットワーク・みらいは、東京湾や都内の河川の水質を改善し、適切な水辺環境を創出することをかねてから訴えてまいりました。また、長期的な政策として、東京湾で泳げるようにすることを以前から政策として掲げてきています。
都民が排出する水の管理を考えれば、家庭や事業者からの排水は排水者が自覚をしてもらうとともに、理解と協力をしてもらうことが欠かせません。水辺環境の悪化の原因とならないよう、引き続きディスポーザーの使用に関する指導を適切に行っていただきたいと思います。
最後に、再生可能エネルギーについてお伺いいたします。
都では、地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギーの活用を進めています。石炭、石油に象徴される化石燃料から再生可能なエネルギーに転換することで、環境への負荷も少なくなり、温室効果ガスを削減することにもなっています。
特に三月十一日の災害以降、原発に頼らないエネルギーの推進も求められています。脱原発を実現するために、再生可能エネルギーの活用を促進していかなくてはなりません。
下水道局では、都民生活や社会経済活動から発生する大量の下水を処理する中で、この処理水を活用した小水力発電に取り組んでいます。
また、下水を処理する過程で大量の下水汚泥が発生しますが、これは生物由来の再生可能なバイオエネルギーであり、この汚泥を活用した発電事業にも取り組んでいます。
そこで、再生可能エネルギーの活用における小水力発電と下水汚泥を活用した発電事業の取り組み状況についてお伺いいたします。
○渡辺施設管理部長 小水力発電は、下水処理水を放流するときの二、三メートル程度のわずかな落差と豊富な水量を利用して発電を行うもので、森ヶ崎水再生センターと葛西水再生センターに導入しております。
平成二十三年度の年間発電量は、両センターを合わせまして約六十三万キロワットアワーであり、これは一般家庭、約百七十世帯分の電力使用量に相当いたします。
また、下水汚泥を活用した発電は、森ヶ崎水再生センターと東部スラッジプラントで実施しております。森ヶ崎水再生センターにおける発電事業は、下水汚泥を消化する工程で、汚泥中の有機分が分解して発生するメタンガスを発電設備の燃料として活用するものでございます。
平成二十三年度の年間発電量は、約二千万キロワットアワーであり、発電した電力は当該事業所の使用電力量の約二割を賄っております。
また、東部スラッジプラントでは、汚泥焼却炉から出る廃熱を回収して発電に利用しております。
平成二十三年度の年間発電量は、約一千四百万キロワットアワーであり、発電した電力は当該事業所の使用電力量の約三割を賄っております。
○山内委員 下水道局は大量のエネルギーを消費する事業であり、都内で消費する電力の約一%が使われています。エネルギー政策は大きな転換期に来ており、原発に頼らないエネルギー政策へとかじを切ることが求められています。
太陽光や水力などに代表される自然エネルギーの活用を進めるとともに、都庁のみならず、都内全域の現状と、今後を見据えたエネルギービジョンを描くことが必要であることを申し述べて、生活者ネットワーク・みらいの質問を終わります。
○和田委員 私は、東京都の下水道事業経営計画二〇一〇をもとにいたしまして、合流式下水道の改善、また、具体的には王子第二ポンプ所などの改善について質問をいたします。
東京は、かつて隅田川が大川と呼ばれていたころから、まさに水の都というべきたたずまいを見せておりました。江戸のまちを縦横無尽に川が走っておりまして、その光景は、まさに江戸の風物詩でありました。
明治になりましても、いわゆる文豪といわれております幸田露伴は「水の東京」という小さな小論の中で、このように書いております。
その冒頭は、「上野の春の花の賑ひ、王子の秋の紅葉の盛り、陸の東京のおもしろさは説く人多き習ひなれば、今さらおのれは言はでもあらなん。たゞ水の東京に至つては、知るもの言はず、言ふもの知らず、江戸の往時より近き頃まで何人もこれを説かぬに似たれば、いで我試みにこれを語らん」という形で冒頭、幸田露伴は「水の東京」の文章の筆をとっているわけであります。
それから、少し進みますと、具体的に荒川ですとか、あるいは隅田川、赤羽川などなど、具体的な川名を挙げて、それの具体的な表現をしたわけでありますけれども、石神井川についてはこう書いてあります。
「石神川を収めてまた東に向かつて去る。石神川は秋の日の遊びどころとして、錦繍の眺め、人をして車を停めて坐に愛せしむる滝の川村の流れなり。水上は旧石神井村三宝寺の池なれば、正しくは石神井川といふべし。この川舟楫の利便は具へざれども、滝の川村金剛寺の下を流れて後、王子の抄紙場のために幾許かの功を為して荒川に入るなり」と、こうなっております。
まさに今、私どもが身近に石神井川を見る風景を露伴は、この文章は明治三十五年の文章でありますけれども、具体的に「水の東京」というタイトルで、東京と水、すなわち下水道について書いているところであります。
さて、こういうような情勢を受けながら、今日的に私どもの東京都の経営計画二〇一〇を見ておりますと、この中で、いわゆる合流式、分流式という下水の手法が出されておりますが、区部においては、おおむね八〇%が合流式、そしてまた、分流式が二〇%。多摩においてはその逆で、二〇%が合流で八〇%が分流というような数字になっているようであります。
この分流、合流の長所短所については、今ここでは述べませんけれども、現実的に区部では八〇%が合流式で進められております。
その長所は一点、すべての下水を一つの管におさめるものですから、経済的、また迅速に下水が拡大、普及できるという利点で、今日まで東京の下水道政策というのは立派に大都市の中でも世界に伍して、ぬきんでた成果を上げてきていると私は思っているんです。
さて、このように長所のある合流式でありますけれども、私どもの地元の石神井川などでは、平成二十一年などに新聞やテレビで大変騒がれる事態になるような光景もありました。
下水道局では、経営計画二〇一〇に基づいて、合流式、あるいはその補完的な分流式をうまく使い分けているわけでありますけれども、この下水道事業の経営計画二〇一〇を前提にして、次に何点か質問する次第であります。
この経営計画二〇一〇では、石神井川など、重点十四水域を定めて合流式の下水道の改善を進めているところです。
この合流式下水道というものの一点特徴は、雨天時に合流式下水道ということの持っている放水量を減らしませんと、合流式下水道というのは合流の欠点をさらけ出してしまうということであるわけでありますが、これについて、経営計画二〇一〇では、ちょうどこの決算の平成二十三年は中間点になるわけですけれども、どういうような取り組み改善を図ってきているのかお伺いいたします。
○野村建設部長 合流式下水道の改善対策には、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水し、処理するための下水道幹線の増強や、降雨初期の特に汚れた雨水を貯留し、処理する貯留池の整備などがございます。
これらのうち、下水道幹線の増強につきましては、平成二十一年度までにおおむね整備を完了してございます。
貯留池の整備などについては、平成二十一年度に策定いたしました経営計画二〇一〇におきまして、雨天時に河川などへ放流される汚濁負荷量を削減するために、石神井川など十四水域を定めて対策を強化することとしてございます。
主な取り組みといたしまして、経営計画の三年間の累計目標である貯留量、百二万立方メートルのうち、平成二十三年度末までに百一万立方メートルが完成してございます。
○和田委員 今の答弁の最後の方で、経営計画の三カ年の累計目標であります貯留量の百二万立方メートルに対して、百一万までもう達成をしているというようなことであります。
こういうふうに、ほぼ計画を前倒しするような形ででき上がりつつあるというようなことは、下水道工事そのものが、地下でおおむねできるということもあって、地権者等との交渉もないといえばそうかもしれませんが、やはりその間、着実に計画を練って、そして効率的に工事を行うというような段取りも含め、東京都の下水道局のすぐれた一つの知恵なり工夫があらわれているものということで、評価をいたすところであります。
ただいま答弁にもありましたけれども、石神井川もその十四水域の中に先ほど申し上げたように入って、重点的な対策を進められるべき水域でもございます。
ところが、夏になりますと大変悪臭が漂いまして、これが通常、当たり前なんだというふうに付近の住民はずっと考えてまいりました。
ところが、平成二十一年にあの悪臭事件が勃発したわけです。JR王子駅の南口というところになりますが、そこのトイレを原因とするという悪臭事件でありますが、これについて、どのような総括をされているのかお伺いいたします。
○渡辺施設管理部長 お尋ねの事案は、昭和四十一年に王子駅南口トイレが設置された際、排水管が誤って雨水放流管に接続され、石神井川に排水が流出していたものでございます。
平成十年から十四年にかけて、首都高速道路の工事の際、接続がえの機会があったものの、改善されることなく、不適切な状態が約四十年間にわたり継続されたものでございます。この事案が問題となった後、下水道局の指導により、JR東日本は排水管を適切に接続する工事を行い、問題の解消が図られました。
その後、石神井川の臭気対策を当局、建設局、北区及びJR東日本の四者が共同で行うことになりました。
このうち、平成二十二年度から北区が石神井川の臭気対策実験を行うこととなり、下水道局とJR東日本は、平成二十二年度から二十三年度までの二年分の実験費用について、約五千万円ずつを負担し、実験に協力いたしました。
○和田委員 今の答弁を確認しますと、首都高速道路の工事のときに、誤って下水が接続したのを正す、直すという機会があったにもかかわらず、それをそのままに存続させて、今、お答えだと四十年間そのまま汚水の垂れ流しが継続していた。したがって、その付近でにおうのは当たり前の一つの風景になっていたというのは、四十年間垂れ流しになっていれば当たり前のことであります。
そこで、たまたま王子駅南口の利用者が少なかったので、そのうわさがそれほど広がらなくて済んだのかもしれませんけれども、やはり、どちらにいたしましても悪臭が大きな事件になったのが平成二十一年、それから二十二、二十三年と、それぞれJR東が五千万、それから下水道局が五千万という費用をかけて、負担割合でこの悪臭除去に努力をしているということでありますが、原因者はどう見てもJR東であるのに、なぜその原因にかかわりのない下水道局が半額の五千万を払わなきゃならないのか。ここは全く奇異な話です。
もともと高速道路の工事のときに直そうと思えば、JRの敷地の中なのですから、当然JRの資格の中で、トータル幾らかをかけて直せばいいのに、その後始末に、JRは当たり前で五千万円出すべきでしょうけれども、下水道局までそれに加担して五千万円払わなきゃならないというのは、全く納得ができません。
しかし、これは過去のことですからともかくといたしましても、やはりこの種の問題が四十年間も放置をされていたということについては、大変付近の住人も怒っておりますし、北区当局も我々選出議員としても、大変、いまだに怒りと不可解さをぬぐえないところなのであります。
この対応について、北区と下水道局がかかわるわけでありますけれども、最近の北区の公園河川の担当者によりますと、二十二年、二十三年の処理では、高濃度の酸素水によって、浮遊物でありますスカムというものの発生を抑制する方法をとったそうであります。
それは当局から下水道局の方にも話があったと思いますけれども、多少の効果はあったようでありますが、しかし、この二十四年度になっては、その反省を生かして、パーフェクトじゃなかったようなので、水流発生装置を採用して、これで何とか、もう少し効果を上げたいということで、北区は、間もなく十一月ごろと聞いておりますけれども、このスカムの、そしてまた悪臭除去をスタートしようということであります。
この問題なのは、浮遊物であるスカムというものを東京都の下水道局がある意味では協力をして、それを集めたものは処理場に持っていって協力していることで、二十二、二十三年、過ごしているようであります。
したがって、その二カ年が終わったからといって、これを打ち切らずに、今年度以降、JRと東京都は五千万円ずつ出したという経緯もありましょうから、協力して、この対処策にはぜひ解決の方向に力をかしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
トイレ排水管の接続の間違いが原因であったということであり、それが四十年間も続いたということは、北区にとっても大変恥ずかしいことでありますし、JRにとってもそうですし、東京都にとっても、関係する自治体としても、反省を大にしなければならないと思うんであります。
そしてまた、合流式下水道の改善ということも重要であると言を待ちません。下水道局では、既に石神井川下流において、王子第二ポンプ所や王子西一号幹線、あるいは下水道局のもう一つの線であります堀船一号幹線を整備するなどというふうに、具体的に地域では精力的に進めているわけでありますけれども、王子西一号幹線、これは総事業費六十億円というふうに聞いておりますし、その事業の目的は、貯留池整備などをして、浸水被害の軽減を図るというふうになっているんでありますけれども、これの進捗状況並びに完成後の改善効果などについてお伺いいたします。
○野村建設部長 王子第二ポンプ所、王子西一号幹線及び堀船一号幹線の目的は、一つ目には、合流改善対策といたしまして、降雨初期の特に汚れた雨水を貯留するとともに、水の流れが滞りやすい石神井川から、水の流れのある隅田川へ放流先を変更すること、二つ目には、浸水対策として、雨水排水能力を増強し、一時間五〇ミリメートルの降雨への対応を図ることでございます。
このうち、王子西一号幹線は、平成二十二年度に工事着手し、平成二十五年度の完成に向け、内径二・六メートル、延長約二・三キロメートルのトンネルを築造しております。
完成後は、北区東十条、王子、豊島地区の浸水被害の軽減を図るとともに、石神井川への三カ所の吐け口からの放流がなくなることとなります。
また、幹線をポンプ所に先駆けて完成させ、暫定的に雨水を約一万二千立方メートル貯留することにより、早期に浸水被害の軽減を図ることといたしてございます。
○和田委員 今のご答弁では、東十条とか王子とか、豊島地域の浸水被害にも有効であるということであります。
それから、暫定的に雨水を一万二千立方メートル貯留することで、これまた浸水の効果があるだろうということでございます。
どちらにいたしましても、大変低地に属する地域でございますから、これらの工事を確実に行うことによって、随分と効果が上がってくるというふうに思うところでございます。
したがいまして、これからの工事の進みぐあい、二十三年度決算を前提にしながら、その勢いを増して、ぜひ進めていただきたいというふうに思うところです。
同じく堀船一号幹線でありますが、これについても二十億円の事業費が想定されております。対象地域は、堀船、西ヶ原、栄町、上中里といった地域の雨水処理を主に政策課題としておりますけれども、これについての現状と完成後の効果について、同じくお伺いいたします。
○野村建設部長 堀船一号幹線は、平成二十六年度の完成に向け、内径二メートル、延長〇・七キロメートルのトンネルを築造するものでございます。現在、トンネルを発進させる立て坑を築造中でございます。
完成後は、北区堀船、西ヶ原、栄町及び上中里地区の浸水被害の軽減を図ることができます。
また、本幹線もポンプ所に先駆けて完成させ、暫定的に雨水を約二千立方メートル貯留し、早期に浸水被害の軽減を図ってまいります。
○和田委員 これまた具体的に場所を挙げて答弁をいただいております。堀船とか、あるいは西ヶ原とか栄町とか上中里とかいう、これまた同じように低地域でありますから、一日も早く対応策としての浸水被害を軽減できるような本管、ポンプ所に先駆けての完成が待たれるということでありますけれども、また、暫定的に二千立方メートルの貯留ということで、地域の保全のためにも、この完成は同じように急がれるということであります。
最後になりますけれども、王子第二ポンプ所の完成は三十二年度というふうに二〇一〇年のこの本には書いてありますけれども、おおむね、これは百億円という事業費が計画をされております。地域は、王子とか東十条とか豊島地域というふうに大変広い地域を想定したポンプ所の建設でありますけれども、これについても同様の変化、効用についてお伺いいたします。
○野村建設部長 王子第二ポンプ所の完成によりまして、東十条、王子、豊島地区などからの石神井川への雨天時の放流がなくなることによりまして、石神井川の水質が改善されることとなります。
また、王子第二ポンプ所には、降雨初期の特に汚れた雨水を貯留する施設が整備されることから、放流先である隅田川へ雨天時に放流される汚濁量が減少し、隅田川の水質改善が期待されるものでございます。
さらに、王子第二ポンプ所の完成により、この流域の一時間五〇ミリメートルの降雨に対する治水安全度が高めることができるようになります。
○和田委員 先ほど幸田露伴の「水の東京」も引用させていただきましたけれども、近くにはもみじ寺という大変もみじがきれいなお寺があったり、そのところを石神井川、地元では音無川といっておりますが、それが流れてきて一つの風情をなしていました。
しかし、そこが四十年間ほうっておいたための悪臭で大混乱になって、東京都も五千万、JRも五千万というような、そういうある意味では醜態を演じてしまったということであります。
これから視点を前に据えて、今、答弁いただいたような幹線整備やポンプ所整備などによって、次の新しい景観形成に向かって、そして水のきれいな地域をつくるということで、下水道事業のさらなる発展を目指していただきたいというふうに思います。
潤いのある水辺環境の創出、安心・安全のまちづくりといったような二〇一〇年の経営計画プログラムに沿った鋭意な努力を期待して私の質問を終わります。
○上野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時七分散会
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