委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 石森たかゆき君 |
副委員長 | 山下ようこ君 |
副委員長 | 山田 忠昭君 |
山崎 一輝君 | |
斉藤やすひろ君 | |
星 ひろ子君 | |
島田 幸成君 | |
かち佳代子君 | |
原田 大君 | |
吉田康一郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 飯尾 豊君 |
次長 | 長谷川 明君 | |
技監 | 安井 順一君 | |
理事 | 松井多美雄君 | |
理事 | 藤井 寛行君 | |
総務部長 | 田崎 輝夫君 | |
都市づくり政策部長 | 町田 修二君 | |
住宅政策推進部長 | 鈴木 尚志君 | |
都市基盤部長 | 石川 進君 | |
市街地整備部長 | 遠藤 正宏君 | |
市街地建築部長 | 砂川 俊雄君 | |
都営住宅経営部長 | 瀧本 裕之君 | |
企画担当部長 | 邊見 隆士君 | |
民間開発担当部長 | 藤塚 仁君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 五十嵐 誠君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 川澄 俊文君 |
経営企画部長 | 藤田 裕司君 | |
サービス推進部長 | 別宮 浩志君 | |
経営戦略・再編整備担当部長 | 齊藤 和弥君 |
本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十二年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十二年度東京都病院会計決算(質疑)
○谷村委員長 ただいまから平成二十二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十二年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○田崎総務部長 十月十七日の当分科会でご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
お手元に配布しております当局の平成二十二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
資料は、1の都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源及び施設建築物の規模外一件でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。1の都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源及び施設建築物の規模でございます。
北新宿地区、環状二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区の三地区につきまして、事業期間、事業費と、その財源内訳並びに年度別決算の状況を記載してございます。また、各地区ごとの建物延べ面積と、その建物における住宅戸数について記載してございます。
次に、二ページをごらんください。2の三地区のこれまでの進捗状況と今後の予定でございます。
地区ごとに平成二十二年度末までの事業費、用地取得面積と今後の予定を記載してございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山下委員 それでは、私からは東京都が進めている三つの市街地再開発事業、具体的には北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区、それに大橋地区について伺います。
ことし三月十一日の東日本大震災の甚大な被害は、日本人に防災対策のさらなる強化の必要性を訴えるものとなりました。東京都の市街地再開発事業のうち、特に防災の面から注目すべきと考えられるのは北新宿地区です。かつては木造住宅が密集し、火災に脆弱な地域だったと認識しております。地震に伴い、大規模な火災が一気に発生した場合を危惧する声も多く聞かれました。しかし、現在では再開発事業が進み、新しいまちに生まれ変わりつつあります。
そこでまず、この北新宿地区の平成二十二年度決算における事業費ベースの進捗率と防災面での取り組みについて伺います。
○遠藤市街地整備部長 北新宿地区市街地再開発事業の平成二十二年度決算におきます事業費ベースの進捗率は九六%でございます。
この北新宿地区の事業は、都市計画道路放射第六号線と青梅街道の交差部に位置する約四・七ヘクタールの区域で行っております都市計画事業でございます。平成十年度から事業に着手してございます。
北新宿地区は、新宿副都心の一角に位置しながら、お話がございましたように狭隘な道路が多く、また細分化された宅地に木造住宅が密集するなど、防災上、危険な地域でございました。
この事業では、防災面の取り組みといたしまして、放射第六号線を整備して延焼遮断帯を形成するとともに、生活道路を整備して緊急車両のアクセスの向上を図っております。また、再開発ビルを建設しまして、従前八割を占めていた木造住宅をすべて建物不燃化を図ることとしております。
これらに加えまして、約五千平方メートルの空地には、災害時にトイレとして利用できるマンホールや、かまどとして使えるベンチを整備しておりまして、周辺からも逃げ込むことのできる震災に強いまちづくりを進めているところでございます。
○山下委員 続いて、人と車との共存という観点から、環二地区と大橋地区を取り上げます。
環二地区では環二本線、大橋地区では大橋ジャンクションという幹線道路の整備と、まちづくりを一体的に実施している事業と承知しております。このうち大橋ジャンクションは既に去年三月、供用を開始しましたので、きょうは二十二年度決算ということで、ここでは環二地区の平成二十二年度決算における事業費ベースの進捗率と道路整備の進捗状況について伺います。
○遠藤市街地整備部長 環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業の平成二十二年度決算におきます事業費ベースの進捗率は七三%でございます。
この再開発事業により整備します新橋・虎ノ門地区の環状二号線は、広域交通を担う地下トンネルの本線と地域内交通を担う地上部道路の二層構造となってございます。このうち虎ノ門地区につきましては、立体道路制度を活用しまして、地下の道路と再開発ビルが一体となった構造で計画してございます。
お尋ねの道路整備の進捗状況でございますけれども、地下トンネルの本線につきましては、建設局施行の街路事業でございまして、平成十九年度から工事に着手してございます。
なお、再開発ビルと一体的に施工する虎ノ門地区の分につきましては、ことしの四月に着手してございます。
他方、地上部道路につきましては、再開発事業として都市整備局が整備を行うものでございまして、今年度から順次、工事に着手してまいります。
○山下委員 東京都が進めているこの三地区の再開発事業のすぐれている点は、もともとの住民が、その地域にそのまま住み続けられるということだと思います。また、もともとの住民だけでなく、マンションなどには新たな人々も入居し、活気ある新しいまちの誕生にもつながります。
そこで、東京都では人々の暮らしという観点から、従来の住民や新たにその地区に入居される人々に対して、どのように配慮しながらまちづくりを進めているのか伺います。
○遠藤市街地整備部長 再開発事業におきまして、地区内で生活再建を希望される権利者の方には、地区内に建設いたします再開発ビルに権利が変換されることになります。このことによりまして、従前の権利を持たれている方は再開発ビルに入居するということが可能となるわけでございます。
また、地区外に転出を希望される方に対しましては、施行者であります東京都が代替地とか、あるいは移転先の物件のあっせんなどを行っておりまして、個々の方々の事情に応じましてきめ細かく対応し、地区外での生活再建が図れるよう努めてきたところでございます。
とりわけ都施行の再開発事業は、再開発事業によりまして道路整備するということが重要でございます。道路整備によりまして、広域交通ネットワークの形成、あるいは地域の利便性の向上が図られるということになるわけでございます。また、再開発ビルの建設や公園や緑地の整備によりまして、住環境の改善、あるいは防災性の向上が図られることになるわけでございます。
このように再開発事業は、ただいまお話がございましたような人々の暮らしへの配慮、これに十分に配慮したまちづくりを進めてきたところでございます。
○山下委員 よくわかりました。
人にも環境にも配慮したまちづくりを進める上では、植物を植える、すなわち緑化も非常に重要な要素です。新宿駅の西口地下広場には、大橋グリーンジャンクション進行中という大きな広告ビジョンが掲示されていて人目を引きます。
そこで、三つの地区の再開発事業での緑の整備内容と今後の予定を伺います。
○遠藤市街地整備部長 都施行の再開発事業では、計画段階から環境に優しいまちづくりに向けまして、さまざまな創意工夫を行いまして、緑地の確保に努めてまいりました。
北新宿地区につきましては、街区全体で約八千四百平方メートルの緑地を確保する計画でございまして、これは地区全体の敷地面積の約三割を占めてございます。
次に、大橋地区でございますけれども、この地区では地元目黒区が首都高速大橋ジャンクションの屋上を利用した公園整備を実施しておりまして、平成二十四年度に完成する予定でございます。また、首都高速道路の換気所の屋上には、田植えもできる自然再生型の緑地空間が首都高速道路会社によりまして整備されてございます。これらを合わせまして、大橋地区全体で約一万三千六百平方メートルの緑地が確保されることとなってございます。
さらに、環状第二号線新橋・虎ノ門地区でございますけれども、この地区では三つの街区に合わせて六千五百平方メートルの緑地を確保する計画でございます。加えまして、環状第二号線の地上部道路につきましては、広い歩道空間を活用いたしまして、街路樹などによりまして、グリーンロードネットワークにふさわしい、厚みのある緑を整備することとしてございます。こちらの方の全体の完成は平成二十六年度までを予定してございます。
○山下委員 三地区ともダイナミックな緑化推進の状況がよくわかります。
かつては、開発イコール緑の減少と思われましたが、時代は移り、緑を守る開発に、さらに、二十一世紀の現在は、もはや開発は緑をふやすことを意味するものであると私は考えます。
都民の中にはいまだに開発は緑を減少させると思っている人もいるようですが、理念のある、高尚な開発は緑化をダイナミックに躍進させるものであると私は声を大にしていいたいと思っております。
そして、そのような観点から、東京都の再開発事業は二十一世紀型のまちづくりの模範であると考えます。これからも首都東京、そして世界の大都市東京にふさわしい都市整備を遂行することを要望して、質問を終わらせていただきます。
○石森委員 それでは、私からは、都施行再開発事業につきまして三地区全体を通して何点か質問させていただきたいと思います。
私の地元、八王子市では、JR八王子駅の南口におきまして、民間による再開発事業が進められ、昨年十一月に事業が完了いたしました。
公益施設や商業施設、住宅が一体となった、多摩地域で最も高いサザンスカイタワー、拡張された駅前広場によって、駅は多くの人々で活気に満ちあふれ、魅力あるまちとして生まれ変わったところであります。
現在、再開発事業につきましては、民間を中心として、都内で数多く進められている中にありますが、都は都心部において、北新宿地区、環状二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区の三地区で再開発事業を実施しております。
そこでまず、これら都施行再開発事業の意義についてお伺いをしたいと思います。
○遠藤市街地整備部長 現在、東京都は、お話がございましたように北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区の三つの地区におきまして、市街地再開発事業を実施してございます。
これらはいずれも権利者を初めとする地元の合意を図りながら、根幹的な幹線道路の整備とあわせまして、従前権利者が入居する再開発ビルの建設や、周辺のまちづくりを一体的に進める点に際立った特質がございます。
環状第二号線新橋・虎ノ門地区の例で申し上げますと、この環状第二号線は、都心部から臨海部に至る交通の大動脈として極めて重要な道路でございます。
終戦直後に都市計画として定められましてから、この道路の整備をめぐってはさまざまな議論がなされてきたところでございます。
もとより、都心の稠密な市街地に幹線道路を整備するということは非常に困難を伴うものでございまして、この地区では、地域に残りたいという地元権利者の意向を勘案して、立体道路制度を活用した再開発事業によって、道路整備と再開発を一体的に進める、このような発想を打ち立てまして、これを都みずから再開発事業者となって地元へ乗り込む、このような決断をしたわけでございます。
そして、これを地元に提案することで、事業への合意が急速に進みまして、今日の事業化に至ったという経緯がございます。
また、さらに、この環状二号線の整備、再開発ビルの建設は、この道路の沿道を含む地域のさらなるまちづくりの力を引き出す契機となりまして、ひいては東京全体の都市再生の一層の促進につながるものと、このように考えてございます。
○石森委員 意義につきまして詳しくご説明をいただきました。
さて、先ほど触れられておりましたけれども、本年三月には、巨大な東日本大震災が発生いたしました。
これによって、首都直下地震やプレートが連動する巨大地震の危険性も懸念されているところでございます。日本の頭脳部、心臓部である首都東京を高度な防災都市へと生まれ変わらせることが、喫緊の課題となっておりまして、現在、さまざまな施策展開が進められているところでございます。
都施行再開発事業については、幹線道路の整備や再開発ビルを建設することにより、防災面での効果があると考えられております。そこで、都施行再開発事業三地区における防災面での期待される効果についてお尋ねいたします。
○遠藤市街地整備部長 防災面の期待される効果でございますが、まず北新宿地区につきましては、道路と周辺市街地を一体的に整備することによりまして、木造住宅密集地域の解消が図られ、地区内を通る放射第六号線、これが延焼遮断帯の機能を果たしております。
また、この地区の第一街区に確保いたします約五千平方メートルの緑地は、災害時における地域住民の一時避難場所として機能することが期待されてございます。
次に、新橋・虎ノ門地区で整備する環状第二号線ですが、都心部と臨海部を結ぶ重要な幹線道路でございまして、災害発生時の緊急輸送道路、あるいは延焼遮断帯となることが期待されてございます。
大橋地区につきましては、再開発事業によりまして、行きどまり道路や外周道路の整備がなされまして、防災性の向上、あるいは緊急車両のアクセスが著しく改善されてまいります。
さらに、大橋ジャンクションは、首都高速の中央環状線と高速三号線が連絡される重要な施設でございまして、災害発生時には、第一次緊急輸送道路に指定されている首都高速道路の結節点としてその機能を果たすことになります。
○石森委員 この都施行再開発事業につきましては、幹線道路と周辺市街地との一体的な整備により、地域の持つ魅力を高め、防災性や生活環境を向上させるとともに、当地で従前権利者の生活再建を実現することができると思います。
さらに、都市部の交通渋滞の緩和や地域周辺における開発が誘発されるなど、事業によるさまざまな波及効果が期待できるところでございます。
これらを早期に達成するためには、事業を計画どおり進捗させることが何よりも重要でありますが、この都施行再開発事業三地区の事業の進捗状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
○遠藤市街地整備部長 事業の進捗状況と今後の見通しでございます。
まず、北新宿地区につきましては、放射第六号線は平成二十一年二月に四車線全線開通済みでございます。
また、九棟の再開発ビルのうち四棟が既に完成、さらに二棟が今年度末完成の予定で、現在工事中でございます。未着工の三棟につきましても、二十六年度までに完成の予定でございます。
次に、環状第二号線新橋・虎ノ門地区につきましては、環状第二号線は、地上部道路と地下の本線部との二層構造になってございまして、地上部道路につきましては、今年度から工事に着手いたします。
地下の本線部につきましては、街路事業といたしまして、平成十九年度から工事に着手してございます。これらは、平成二十五年度に完成の予定でございます。
また、この地区の三棟の再開発ビルでございますが、このうちの最初の再開発ビルにつきましては、平成十九年に完成しております。二棟目につきましては、ことしの四月に完成してございます。残る虎ノ門街区の超高層ビルにつきましては、ことしの四月に着工してございまして、現在、鋭意工事中でございます。平成二十六年度の完成を予定してございます。
最後に、大橋地区でございますが、中央環状新宿線大橋ジャンクションは、昨年の三月に完成し、供用開始してございます。
一方、再開発ビルにつきましては、二棟の超高層ビルのうち一棟は平成二十年度に完成してございまして、もう一棟は昨年三月に着工し、二十四年度の完成を目指して、現在、工事が進められているところでございます。
○石森委員 ここまで都施行再開発事業の意義や進捗状況についてご答弁をいただきました。
都施行再開発事業は規模が大きく、権利者が多数となることから、事業期間が長期となり、その間、社会経済状況の変動などの影響を受けやすくなります。
三年前には世界同時不況の引き金となったリーマンショックが発生し、日本経済も大変大きなダメージを受けたところでございますが、このような社会経済状況の大きな変化が、少なからず事業に影響を与えているのではないかと危惧しているところでございます。
そこで、現時点での都施行再開発事業三地区の事業収支の見通しについてお尋ねいたします。
○遠藤市街地整備部長 都は再開発事業の実施に当たりまして、再開発ビルの建設に民間の資金やノウハウを活用することを目的として特定建築者制度を導入してございます。これによりまして、再開発事業の推進を図ってきたところでございます。
都施行再開発事業におきましては、特定建築者への敷地処分収益が事業収入の多くの部分を占めてございまして、事業収支の均衡を図る上で重要な要素となってございます。
三地区のうち、北新宿地区と環状第二号線新橋・虎ノ門地区につきましては、特定建築者制度を使いました、すべての街区におきまして、敷地処分価格が予定を上回る価格をもって処分ができてございまして、事業採算が確保される見通しでございます。
他方、大橋地区につきましては、権利者の生活再建を早期に図る必要があったことから、平成二十年度、現在建築中の再開発ビルについて、特定建築者の募集を行ったところ、折からの急激な景気悪化の影響を受けた譲渡価格とならざるを得なかったところでございます。
このため、特定建築者との敷地譲渡契約におきまして、市況が回復した場合に、譲渡価格を増額変更する、いわゆるスライド条項を盛り込むとともに、不動産市況に対応した国の緊急の補助金制度を活用しまして、さらなる国費の確保にこれまで継続的に努めてきたところでございます。
さらに、都が権利を所有する保留床につきまして、特定建築者と連携しまして、昨年九月から戦略的かつ機動的な販売活動に取り組んできてございます。
大橋地区につきましては、このような収支改善に向けたさまざまな取り組みを今後とも積極的に進めてまいります。
○石森委員 都施行再開発事業三地区は、東京の都市再生に資する重要な事業であります。
三地区いずれも事業が目に見える形で進捗してきておりまして、新たな防災対策や、事業採算性の確保に向けた取り組みにも尽力しているというようなご答弁もございました。
今後も事業環境の変化に柔軟に対応しながら、引き続き都施行再開発事業を計画どおり着実に進めていただきますよう要望して質問を終わります。
○斉藤委員 よろしくお願いします。私からは、都が施行する再開発事業のうち、私の地元であります目黒区の大橋地区市街地再開発事業について、いわゆる大橋ジャンクション周辺のことにつきまして質問をさせていただきたいと思います。
現地では、巨大なループ状の首都高速中央環状新宿線の大橋ジャンクションが既に完成いたしまして、その隣では、二棟の開発ビルのうち一棟が既に完成、もう一棟も着々と工事が進行中でございまして、この地域を走るたびに、この施設を仰ぎ見ながら、地域がこれから皆さんが喜んでいただくような形で変貌してくることをわくわくしながら見詰めているわけございます。
この地域に新しい命が吹き込まれまして、新たなまちが誕生しようとしているわけでございます。
大橋ジャンクションにつきましては、その形状はローマの円形劇場、コロッセオをほうふつとさせるような大規模な建築でございまして、ひときわ目立っているわけでございます。
ロケーションも渋谷という非常ににぎわいのあるまちに近く、このような大規模なジャンクションの整備と一体となったまちづくりは、都を初めとして関係者の知恵を絞った歴史的な事業、国の中でも極めて注目すべき事業であると考えております。
以前は、この地域は戸建て住宅や業務ビル、工場、バス車庫などが本当に混在しておりまして、本当に狭隘な道も多く、いざ緊急時にも、災害上非常に問題がある地域として問題視されておりましたけれども、平成の初め、首都高速道路公団が大橋ジャンクションの計画を地元に発表したところ、大変合意を得ることが難しく、長らく事業に着手できなかったと聞いております。
そこで、大橋地区で都が再開発事業を実施することになった経緯をお伺いしておきたいと思います。
○遠藤市街地整備部長 大橋ジャンクションでございますが、平成二年に都市計画決定を行いまして、平成六年から当時の首都高速道路公団によりまして用地買収など、事業が進められてまいりました。
お話がございましたように、当時から地域住民の方から、ジャンクション建設による地域分断、住みなれた土地からの立ち退きなどを懸念する声が上がりまして、地元では幾つかのまちづくりの勉強会が立ち上がり、非常に熱心な議論が繰り返されてまいりました。
そうした中から、当地での生活再建を可能にし、また、ジャンクションと一体となったまちづくりを行う手法としまして、再開発事業を望む要望が強く地元から提出されるに至りました。
こうした地元の要望、あるいは首都高速道路公団の要請を受けまして、大橋ジャンクションの整備の緊急性にかんがみまして、平成十五年一月に都がこの事業をみずから施行主体となって行うことを決定したものでございます。
○斉藤委員 首都高速道路公団や目黒区、また、地元からの要請によりまして、都が再開発事業を実施することになった経緯を今伺ったわけでございます。
反対した方のお声もあったわけですけれども、そのような生活再建につきまして合意を得て、このような歴史的な事業が着手されることになったわけでございます。
この大橋地区の再開発事業につきましては、巨大なジャンクションの整備と一体となったまちづくりを行うために、かなり複雑、また、特殊な事業、そのような側面がございます。
また、再開発エリアに占めるジャンクションの用地が大変広く、再開発ビルを建てる敷地が限られている、これも道路に非常に隣接したところにビルを建てる計画があるわけですけれども、民間では大変手が出しにくい、いわゆる開発しづらい、そういったロケーションでもあったわけでございます。
都には再開発事業の実績や豊富なノウハウ、執行体制等がありまして、都がみずから施行主体となることで、地元の信頼も得られ、事業が円滑に進んでいると認識をしております。
そこで、都施行再開発事業と首都高速道路事業を同時に実施するという、これは本当に我が国としても、極めて先駆的な取り組みでございますけれども、事業上どのような効果があったのかをお伺いしたいと思います。
○遠藤市街地整備部長 再開発事業と道路事業を同時に実施することの効果でございますが、まず一つといたしまして、大橋ジャンクションの完成までの工期短縮が図られたという点でございます。
具体的には、都施行の再開発事業を実施することによりまして、地区内の権利者の方が再開発ビルに入居できる、このようなことから権利者の合意形成が急速に進みまして、用地買収、用地取得を円滑に進めることができることになりました。
この結果、再開発事業の実施表明からわずか七年ほどで、大橋ジャンクションの施設が完成しまして、昨年三月に中央環状新宿線を供用開始することができたという点でございます。
二点目は、この中央環状新宿線の道路区域の一部に、立体道路制度を適用いたしまして、再開発ビルの建築敷地として重複利用した、こういった点でございます。
このことによりまして、建物の床面積を拡大することが可能となりまして、店舗、事務所、公共施設、住宅等の都市機能の増進を図ることができました。また、広場等のオープンスペースを確保することも可能となったわけでございます。
このように、再開発事業と道路事業とを同時に実施することによる相乗効果は、仮にそれぞれを個別に実施した場合と比べまして、約一・五倍の便益があると、このように試算してございます。
○斉藤委員 一・五倍の経済効果、そういったものも見られるということでございましたが、それで、経済状況の変化ということではリーマンショック、これはかつての公営企業のこの決算委員会でも何度も取り上げられまして、その都度事業収支のことにつきまして心配のご質問もあったようでございますが、このような大きな経済変化というものは本当に予測ができるものではないということで、そういったことをある面では、覚悟の上でまちづくりといいますか、生活再建を含めた地域の声を受けて、都が責任を持ってこういった事業を行ったことを私は高く評価したいと思っております。
こういった地元権利者の円滑な生活再建やジャンクションの早期整備などの効果が今のご答弁でよくわかったわけでございます。
また、目黒区が策定しました大橋一丁目周辺の地区整備計画でございますけれども、この大橋地区を中核としたまちづくりの目標といたしましては、住むことの豊かさが実感できるまちづくり、また、にぎわいと活力にあふれたまちづくり、そして、先ほど山下副委員長からも、グリーンジャンクション等の話もございましたが、環境に配慮したまちづくりということで、そういったものが三つの柱として掲げられているわけでございます。
この整備計画を踏まえまして、目黒区が事務局となっているこの大橋一丁目地区まちづくり推進協議会や、昨日も行われたようですけれども、都のしゃれた街並みづくり推進条例に基づいた準備協議会、しゃれ街準備協議会など、さまざまな活発な話し合いが行われているようでございます。
私も、地元にありましては、このまちづくりにあって、環境やにぎわい、こういったことで、そこで暮らす方々の生活感といいますか、巨大なジャンクションでありますので、えてしてこれは大きな、巨大な国家プロジェクトという視点が強く注目されるところでございますが、全く逆な地域の視点、人の視点というのが重要であると考えているわけでございます。
そこで、大橋地区再開発事業によりまして、この地域のまちづくりにどのような効果が期待できるのかを伺いたいと思います。
○遠藤市街地整備部長 地域のまちづくりの効果でございますけれども、大橋地区におきましては、都施行の再開発事業を実施することにより、ジャンクションとその周辺の共生のまちづくりが初めて可能となりまして、多くの事業効果をもたらしてございます。
具体的に申し上げますと、覆蓋化した、覆いをかけたジャンクションの屋上に設置される公園、あるいは敷地内の広場の緑化によりまして、約一万三千六百平方メートルの緑が創出されます。この地区のみどり率が約三六%に向上してございます。
また、地元目黒区によりまして、周辺地域に分散していた図書館や地区のサービス事務所などの公共公益施設を再開発ビルの中に集約移転することとなっておりまして、この地区の触れ合いと交流のある、にぎわい空間が生まれることになっております。
さらに、地区周辺道路などが拡幅されまして、安心・安全、快適な住環境が整備されるとともに、狭隘道路の解消、建物の不燃化、耐震化によりまして、地区内はもとより周辺を含めたこの地域全体の防災性の向上に大きく貢献してきているところでございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。今のご答弁、また、これまでの答弁で、都が再開発事業によりまして実施しているまちづくりのさまざまな効果が確認できたわけでございます。また、期待されるところでございます。
先日、首都高の部分ですけれども、田植えをしている小学生の姿が報道されまして、地元の菅刈小学校の子どもたちが田植えをして、そして稲刈りをするという、それをしかも、このジャンクションの真上でやるという、大変ニュース性のあるお話がございましたが、こういった行事なども、日ごろから緑を非常に愛しながら、地域の方はさまざまな活動をしております。
近くには西郷山公園だとか、菅刈公園、さまざまな緑の保全環境教育を行っている地域の方々もおられますので、ぜひともこういった事業なども地域によく連携をとりながら、みんなを巻き込みながら行っていただくようなこともお願いしておきたいと思います。
また、防災上のお話でございますけれども、このようなジャンクション、巨大な施設ができますと、地域の方々は、いざ阪神、東日本大震災のような地震の直後、これから東京直下のような地震が起こった場合に、非常に頼りたくなるというか、そういった防災施設について自分たちの地域にはどのようなことが期待できるかということを、より一層関心が高くなっておりますので、そういったお声もぜひ聞いていただきたいと思います。
この大橋地区のまちづくりは、都、首都高、そして目黒区、また、地元住民が連携して進めてきた極めてまれな事業でございますが、さまざまな要望をこれからも、ビル風対策ですとか、あるいは防災に対する要望だとか、さまざまな協議の場を通じて、その声が上がってくると思います。
こういった声をどこに届けていったらいいのかというふうに地元の方が迷われた場合には、ぜひとも都がしっかりとそういったご意見を受けとめていただきまして、より一層、このまちづくりに貢献していただきたい、このように心から願うものでございます。
引き続き着実な事業の推進とともに、今後、目黒区や地元が行っていくまちづくりへの支援を強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○かち委員 この三つの再開発事業は、大変長い経過をたどっておりまして、もう二十年前後になるのかと思いますけれども、私も機会あるごとに議会で質問をさせていただきましたが、改めてきょう、大橋地区の開発について質問させていただきたいと思います。
この都市再開発事業は、北新宿地区と環状二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区の三つの再開発事業を道路建設と一体の再開発だとして、民間資金の活用で、特定建築者制度を用いて、大手ゼネコン企業などと一体になって、都が直接行う第二種再開発事業です。
我が党はこれまでにも、東京都が市況に影響されやすい不動産業のような事業である都施行の再開発事業に都民の税金を多額につぎ込むことに反対をしてきました。
とりわけ平成二十年度の決算委員会で、私も質問しましたが、大橋地区再開発計画の一-一街区については、特定建築者公募が二回にわたって不調に終わり、三回目は、相手の言い値で落札という異常事態でありました。そのため、採算ラインが七十九億円だったにもかかわらず、十九億円で決着となったものです。
その六十億円の損失分については、経済動向が改善したら、その分を増額して払ってもらう、先ほどもありましたが、スライド条項を用いたというようなお話がありました。しかし、その内容については公開できないというものです。
都民の税金を使うのに、そういう契約をしなければならないこと自体が異常だと思います。このような状況を招いた行政としての責任が問われます。
この損失を埋めるため、局としても、みずからも収益活動を行い、節減対策をとるとしています。平成二十一年度の決算質疑では、国に対しても、国の都市・地域再生緊急促進事業による補助制度を活用して国費の確保に努めていくという答弁をされております。
それでは、平成二十二年度に国からの負担金の決算額として、どのような効果が上げられたのでしょうか。
○遠藤市街地整備部長 今から三年前の平成二十年、世界的な金融市場の混乱、いわゆるリーマンショックが発生しまして、これによって、我が国の住宅不動産市場を取り巻く環境は大きく急激に変化する時代となりました。
このことを背景に、この年の暮れ、国は、市場の活性化を通じた経済再生を図るための緊急対策を決定いたしまして、今お話がございました都市・地域再生緊急促進事業の補助金制度を二十一年一月に創設してございます。
大橋地区の再開発事業の事業収支の均衡を図るため、都は、この制度を活用することとしまして、平成二十年度から補助金の導入を図ってきたところでございます。
二十二年度の決算額につきましては約三億円でございます。
○かち委員 そうですか。私がお願いした資料の中に、国費の七億円というのがあるんですけれども、この中に三億円というのが入っているということでいいんですか。
○遠藤市街地整備部長 そのような理解で結構でございます。
○かち委員 これまで五年間の年度別決算の状況を出していただいておりますけれども、七億円が特別反映して高くなったかといえるような数字ではないと思うんですね。経年でいろいろ、五億円のときもあるし、ゼロのときもあるし、それは国の工事があるときには決算に反映されるけれども、そうでないときには入らないし、しかも、国の方としても、予算がある中での範囲での補助金ですので、予算上ないとなればそれまでという話であって、今の損失金に対しては、大変追いつかないような負担金の実態だというふうに思います。
それで、都としても増収の努力をするとも述べておりますけれども、どのような努力をされてきたのでしょうか。
○遠藤市街地整備部長 都の増収の努力でございますけれども、ただいま申し上げました国の緊急の補助金制度の活用に加えまして、特定建築者との敷地譲渡契約におきまして、市況が回復した場合に、譲渡価格を増額変更する、いわゆるスライド条項を盛り込んでございます。
また、東京都が権利を有する保留床につきまして、特定建築者との連携によりまして、戦略的かつ機動的な販売活動に取り組んできてございます。
○かち委員 十九億円の契約時に、景気がよくなったらスライドで、その分、増収になったらそれを都の方に回すというお話だったと思うんですけれども、じゃ、どういう中身なのかということは都民には知らされないという中身ですよね。一体どこで都はそれを収拾できるのかというのもわからない、そういう状況です。
そして、とうとう都みずからがマンションの売却に踏み出すということになったわけですけれども、大橋地区の一-一街区の当マンションの権利床はどのぐらいあって、保留床はどれくらいなのか。
権利者が入る予定だった戸数がキャンセルしたので、その分を東京都自身が販売することになったとのことですけれども、その戸数はどれくらいあるのですか、また、このような経過はほかにあるのでしょうか。
○遠藤市街地整備部長 権利者保護の観点から、都市再開発法におきまして、権利床の撤回が認められておりまして、その場合、撤回された権利床は施行者に帰属することになってございます。
お尋ねの大橋地区一-一棟の管理処分計画を決定した時点での権利床は二百四十六戸でございます。このうち、これまでに撤回の申し出があった戸数は四十八戸でございます。
なお、この四十八戸につきましては、現在、東京都が保留床として権利を有してございます。
また、これまで例があったかという点でございますが、都施行再開発事業におきまして、保留床を販売してきた事例はこれまでにも多数ございます。直近では、北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区に例がございます。
○かち委員 直近の例では環二で、二件あったということですけれども、過去には多数あったというお話がありますけれども、こういう特権者制度を使っての再開発事業というのは、この三事業が初めてだと思いますので、以前のものとはちょっと性質が違うんだというふうに思うんですね。
それで、今回は、権利床が二百四十六戸のうち四十八戸、約五分の一がキャンセルということになったわけですけれども、この影響は大変大きいと思います。
東京都が、広報でも掲載しておりますけれども、販売に乗り出したものの内容が載っていました。価格は二千七百九十万円から八千九百八十万円、広さは三十・九六平方メートルから八十八・六八平方メートル。現在まで、六月、七月、九月と三回募集をしていますけれども、現在、何戸販売し、何戸売却されたのでしょうか。
○遠藤市街地整備部長 撤回の申し出があった四十八戸のうち、二十三戸を販売に供したものでございますが、お尋ねの売却した戸数につきましては、保留床の販売戦略にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○かち委員 二十三戸を売り出したけれども、何戸売れたかはいえないということでは、もう今後の見通しというのは、とても私たちが読めない状況にあるわけです。
これが来年度完成までに、もし四十八戸が売れ残ったらどのように対処されるのでしょうか。
○遠藤市街地整備部長 都の保留床につきましては、これまで、特定建築者と協定を結びまして、電車の車内モニターやインターネットを通じた広告をタイムリーに打つなど、戦略的かつ機動的な販売活動を展開してきてございます。
また、ジャンクション施設の現場見学会やイベントでの広報、メディアへの出演など、職員みずからも積極的に販売活動に取り組んできたところでございます。
このように完売に向けまして、今後とも精力的に販売活動を推進してまいります。
○かち委員 四十八戸売れ残ったら大変だから、それを完売するために必死に努力をされているということはよくわかりましたけれども、でも、物事を進めていくときには、リスクもやっぱり考えて、こういうときはどうするということを想定して動かないと、事が進まないというふうに思うんですよ。
結局、それが売れ残れば、都民の損失、赤字を抱えるということになるんだというふうに思います。
たとえ四十八戸全部完売したとしても、今の販売価格の平均をとって六千万としても、二十八億円余りにしかなりません。しかも、キャンセルした権利者には相当の権利金を払っているのですから、差益は追いつきません。
国からもさほど期待できない、特権者とのスライド条項だって、特権者に損をするような内容は考えられません。結局、東京都が多額の負債を抱える再開発事業だったということは、自明の理だと思います。このようなハイリスクを免れない事業に都民の税金をつぎ込む再開発事業は見直すべきです。
北新宿地区でも、環状二号線地区でも権利者の五割から七割以上が転出し、借家人に至っては一から四%しか残れない、従前住民が住み続けられないまちづくりだということからしても、このような道路建設と一体型の再開発都施行で行う事業は見直すことを再度求めて質問を終わります。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○谷村委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十二年度東京都病院会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○藤田経営企画部長 去る十月十七日の本分科会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、都立病院における経営指標の推移から、7、都立病院の非常用自家発電設備及びコジェネレーションシステムの設置状況までの七点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成十八年度から平成二十二年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
なお、本資料から資料番号5までにつきましては、それぞれ同様に、平成十八年度から平成二十二年度までの推移をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、その推移を記載しております。
三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について、病院別に記載しております。
次に、六ページをお開き願います。6、各都立病院の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移でございます。
各年度の分娩件数の推移及び周産期医療受け入れ件数の推移について、病院別に記載しております。
七ページをごらんください。7、都立病院の非常用自家発電設備及びコジェネレーションシステムの設置状況でございます。
非常用自家発電設備及びコジェネレーションシステムの設置状況につきまして、病院別に記載しております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○島田委員 私の方から病院経営本部について、決算についてご質問させていただきます。
近年、医療の充実がますます強まっておりまして、特に都立病院は、都民の安全・安心を守る生活基盤であります。その存在意義は極めて高いということは、もう周知のとおりでございます。関係各位の皆様方には敬意を表するところでございます。
そうした中、平成二十二年度でありますが、都立病院を対象とした包括外部監査がありまして、また、三月には、PFI事業で進めてきた多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの開設がありました。都立病院にとっては、また、病院会計にとっても、大きな節目の年であるということがいえるというふうに思います。
当年度の経営状況を見ますと、四億余円の純利益を生じておりますけれども、医業外収益を除く医業収益だけを見てみますと、再編整備に伴う人件費増、あるいは減価償却費等の経費増により、医業費用が医業収益を上回る状況、これは二百八億余円でございますが、継続しておりまして、今後の経営面は依然として厳しい状況にあるということがいえると思います。
そうした観点から、平成二十二年度の病院会計決算に関連して、幾つかご質問をさせていただきます。
第二次都立病院改革実行プログラムでも示されておりますとおり、都立病院は、その運営に当たり、内部的な経営管理の手法として経営指標を定め、目標数値に基づく管理を行ってきております。
そこで、都立病院の運営の基本指標であります自己収支比率について、平成二十二年度の目標値と、その実績はどうなっているのかをお伺いいたします。
○藤田経営企画部長 平成二十二年度の病院経営本部全体の自己収支比率の目標値は六七・七%であったのに対しまして、決算値は目標を上回ります六九・三%となっております。
病院経営本部及び都立病院では、職員の経営意識の向上を図り、効率的な病院運営を行っていくため、バランススコアカード、いわゆるBSCと申しておりますが、これにより経営管理を行っており、このBSCにおきまして、自己収支比率などの財務的な目標に加えまして、患者サービスや人材育成など、多角的な視点で目標を設定いたしまして、その目標達成に向けた具体的な改善を行っているところでございます。
○島田委員 目標値六七・七%に対して、決算値六九・三%ということで、目標を上回っているということは評価したいと思いますが、七割が自己収支比率ということで、三割が一般繰り入れの方から頼っているということでございます。
都立病院はご承知のとおり、周産期医療、あるいは救急医療等、収益性の面から見ると、厳しい、特定な医療を扱っているという状況であると思いますが、厳しい都財政の折ですので、ぜひ経営努力をしていただいて、そして、こういう状況の中では、ただいまお話にあったとおり目標値を定めまして、そして、その目標の達成に向けて、各病院が具体的な取り組みを行うこと、これが非常に重要だというふうに思っております。
都立病院においては、お話にありましたバランススコアカード、BSCを用いて、いろいろ経営努力を行っているということでございます。
都立病院においては、このBSC、バランススコアカードをどのように活用しているのか、また、これまでどのような効果があったと考えるのかをお伺いいたします。
○藤田経営企画部長 BSCは、病院経営本部及び各都立病院に加えまして、それぞれの病院の診療科など、部門ごとに作成してございます。
それぞれのBSCでは、年度当初に各指標の目標値と、その目標値を達成するための具体的な取り組みを定めまして、各病院の幹部職員や部門長などで構成いたします運営会議等の場を通じて、職員一人一人が目標や具体的な取り組みを共有できる仕組みとしてございます。
BSCは四半期ごとにその進捗を確認いたしますとともに、KPIオーナーと申しますけれども、これは、キーパフォーマンスインジケーター、KPIということでございますが、そのオーナーと呼びます各指標の責任者が随時状況を把握しながら適切な対応を行うことといたしております。
また、各病院の目標値に対する達成度合いを評価いたします業績評価制度もあわせて導入をいたしておりまして、目標達成に向けた病院の積極的な取り組みを促す仕組みといたしております。
これらによりまして、各病院や各部門の状況に合った目標値を設定いたしまして、現場の実態に即した対応策を実践することができることから、目標達成に向けました各病院各部門の主体的な取り組みにつながっているというふうに考えております。
○島田委員 私もそのBSC、バランススコアカードを拝見いたしましたけれども、この中では、良質な医療サービスの確保を図るために、四つの視点、顧客の視点、それから財務の視点、内部プロセスの視点、学習と成長の視点と、四つの区分に分かれまして、それぞれの戦略的目標、それから業績評価指数を設けて、取り組みを行っているというのはわかります。
特に一番上のところにあるのは、患者の満足度のところでございまして、この質問は、あなたは全体としてこの病院に満足していますかという問いがありまして、このアンケートの質問に対する肯定意見の割合が、特に最上位の割合というのが一番上で、本当に満足しているということでございますね。
この最上位の満足度を見ますと、病院経営本部で二十二年度目標値は七〇%に対しまして六九・六%と、あと〇・四%足りないわけでありますけれども、ぜひ今後は、この七〇%まで行くようにしていただきたいというふうに思いますし、その他の項目もいろいろ、経営の指標だとか、自己収支比率とか、病床利用率とかいろいろ項目に分かれてございます。
それらの目標が到達しているところはさらに高い目標に向けて改善していただきたい、そしてまた、目標に到達していないところは、その目標の到達に向け、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。
何よりも経営状況をしっかり把握して、その経営状況を幹部だけでなく、現場の職員一人一人が共有して、そして一丸となって、病院経営本部、そして現場の病院が一丸となって、その改善に向けて努力することが大切であると、そういうふうに思っております。
包括外部監査では、このBSCの活用によって、病院現場一人一人のさらなる周知徹底など幾つかの問題提起がなされているというふうに思います。それらを踏まえながら、今後も効果的な活用をお願いしたいということで次の質問に移りますが--包括外部監査では、個人未収金の管理についても改善するよう取り上げられております。
しかし、お話を伺ってみると、公立病院である都立病院は、救急患者や、外国人の患者が多いということもありまして、こうした患者の中にはどうしても診療費が支払えず、このため病院では、診療費を徴収することができず、未収金として抱えてしまうことも多いとのことでありました。
そこで、都立病院における個人未収金はどれぐらいの金額になっているのか、過去五年間の過年度未収金額の推移についてお伺いをいたします。
○別宮サービス推進部長 都立病院全体の過去五年間の過年度個人未収金の金額の推移でございますけれども、平成十八年度末で約九億二千八百万円、十九年度末では九億六千万円、二十年度末では九億九千八百万円、二十一年度末で十一億五千六百万円、二十二年度末で十一億八千四百万円となってございます。
○島田委員 平成十八年度末では九億二千八百万円ということで、それから二十二年度末では十一億八千四百万円と、年々未収金がふえ続けているということは、大きな問題であるというふうに認識をしております。
この推移が高くなっているのはどんな要因があるのでしょうか、お伺いいたします。
○別宮サービス推進部長 都立病院では、未収金の回収につきましては、さまざまな努力を現在しているところでございますが、どうしても診療単価自身の全体の膨らみもございますが、実際、さまざまな理由で回収できない未収金につきまして、民間企業等でございますと、民間収納機関ですかね、不納欠損等をするケースが多々ございます。
私ども都立病院もその制度に基づきまして、前定例会でも不納欠損処理をさせていただきましたけれども、なかなかその取り組みにおきまして、さまざまな課題がございまして、一生懸命取り組んでおりますが、どうしても不納欠損処理等がなかなかできないような理由がございまして、個人未収金がふえてきているというような事情がございます。
しかしながら、当然、外部監査等でも指摘されておりますとおり、私ども具体的な取り組みをさまざまにしているところでございます。
○島田委員 今、お話もありましたが、第三回定例会では、都立病院の診療費等の未収金を私債権として放棄したとの報告がありました。
こうした診療費については、病院において、今お話がありました、未収金の発生から回収努力を重ねてはいるけれども、なお支払いがない場合にはやむを得ず債権放棄に至るということでございました。
都立病院では、この私債権放棄に至るまで、具体的にどのような取り組みを行っているかお聞きしたいと思います。
○別宮サービス推進部長 私債権放棄に至るまでの未収金回収等の取り組みでございますが、まず、病院窓口におきましては、高額療養費の現物給付制度というものや、また、出産育児一時金直接払い制度など、公的支援制度につきまして、該当する患者さんに情報提供をし、制度の活用を促すとともに、医事担当職員だけではなく、医療ソーシャルワーカーや医師、看護師等が連携して情報共有をいたしまして、未収金発生防止等に努めております。
また、未収となった患者さんに対しましては、電話による支払いの催告、催告書の送付、必要に応じまして、住所の確認や現地調査、また、分割納付の勧めや保証人による支払いの交渉などの徴収努力を重ねております。
しかしながら、そうした取り組みにもかかわらず、時効期間を経過して、行方不明などの状態で実質的に回収不能となり、時効の援用の確認を得ることができない場合に、債権を放棄するものでございます。
放棄に当たりましては、東京都債権管理条例施行規則第九条に基づきまして、関係局と協議の上、東京都債権管理条例第十三条に基づきまして放棄決定を行い、同条例第十四条に基づきまして、都議会へ報告させていただくことになります。
都立病院といたしましては、引き続き未収金の発生防止、回収に努めてまいります。
○島田委員 今の質問によりまして、都立病院では、いろいろな手続を行いまして、やむを得ないものに限って、私債権の放棄を行っているということは確認できました。
厳しいこういう都財政で、先ほども申し上げたとおり、厳しい経営状況にあるというふうに思っておりますので、債権放棄となりますことから、引き続き、今、おっしゃっていたような、適切な手順をしっかり踏むことをよろしくお願いしたいというふうに思いますし、そしてまた、さらにこのような未収金の回収に当たっては、現場の、一義的には病院が中心となって行うという話を聞いております。
ただ、非常に額も大きくなっておりますので、さらに回収困難な案件というのがずっとたまってきていると思います。
現場のところではなかなか難しい、そういったようなところまで追っかけて回収するというふうに思いますので、病院経営本部の専門部署で、幾つか今既に行っているということでありますけれども、未収金回収における本部の体制整備、例えば一般の銀行でありますと、厳しい不良債権などは特定な部署、専門的な職員が専門的な知識で追っかけているというふうなのが、普通の銀行なんかで行われていると思いますので、本当にこれだけ大きな金額になりますと、これは大きな問題となりますので、ぜひその点は本部の体制の整備を一層充実していただきたいと、そんなふうに思っております。
未収金の解消に向けて、都立病院が引き続き全力を挙げて努力するよう要望しておきたいというふうに思います。
最後ですけれども、包括外部監査報告では、直接医療サービスを提供していない、間接部門である病院経営本部の業務にかかわる費用を縮減することが必要であるというふうにいわれております。ちょっとさっきの質問と矛盾するようなところもありますが、ご容赦願います。
この費用の主なものは、本部職員の給与費であると推測されます。そこで、平成二十二年度の本部職員の給与費が幾らだったのか、また、二十一年度と比べてどうなったのかお伺いいたします。
○藤田経営企画部長 平成二十二年度の本部職員の給与費でございますが、給与費の中には、本俸たる給料、それから職員手当、法定福利費、退職手当などが含まれておりますけれども、平成二十二年度につきましては約十億二千百三十七万円でございまして、前年度、二十一年度と比べますと、約二億二千七十三万円の減となっている状況でございます。
これは、主に多摩総合医療センター及び小児総合医療センターが平成二十二年三月に開設いたしましたことに伴いまして、開設準備のための要員等、約十五名が減となったことによるものでございます。
今後も再編整備事業の進捗や、先ほど先生からの未収金のお話もございましたが、病院経営本部の抱える課題それぞれに応じた適切な職員配置を行いますとともに、なおかつ効率的な業務執行に努めてまいります。
○島田委員 再編整備がかなりありまして、本部のところの職員がいるというのはわかりました。その体制を柔軟に見直してきている。わかりました。今後も都立病院の直面する課題に応じた職員を適切に配置しつつ、病院事業の中ではコストセンターといえます本部の業務の一層の効率化をよろしくお願いいたします。
まとめですけれども、今回の質疑で申し述べたこと以外にも、病院経営本部では、PFI制度による委託業務の見直し、あるいはスケールメリットを生かした備品、用品、あるいは薬剤の共同購入、あるいは後発医薬品の使用推進など、さまざまな取り組みを行っているというふうに思います。
今後もこうした取り組みをぜひ推進していただきたいというふうに思います。こうした取り組みによりますさらなるコストの削減や、収益の増加への取り組みを行うなど、一層の経営努力を行っていただきまして、経営基盤を強化するとともに、患者中心の医療、そして医療サービスの向上をお願い申し上げまして、質問を終わります。
○山崎委員 墨東病院は、病院経営本部による第二次都立病院改革実行プログラム及び福祉保健局による東京都地域医療再生計画に基づき、感染症、そして救急救命などの機能を集約し、また、あわせて診療棟の部分改修を行うことで、医療機能の強化を図る整備計画が進められております。
私からは、この墨東病院の医療機能強化の整備計画の内容について、四点ほど質問をさせていただきます。
私の地元の江東区は墨田区、江戸川区の三区から成る区東部保健医療圏に属しております。この地域は近年、地下鉄などの交通網の整備が進んだことからも、都心に隣接した住宅地として魅力ある高層住宅が建設され、人口の増加が今著しいわけでございます。
一方で、東京都の医療行政はおおむね二次保健医療圏ごとにそれぞれ医療施策が進められておりますが、病院の数や医師の数について、いずれも全国平均値を下回っている状況にあります。
そのような中、東京都が平成二十二年一月に発表した東京都地域医療再生計画、東京都の保健医療計画で示された施策を推進するものであり、非常に期待が大きいわけでございます。この計画では、地域の中核的な医療機関である墨東病院が重要な役割を担っている部分が大きいと聞いております。
そこで、まず初めに、地域医療再生計画における墨東病院の役割についてお伺いします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 東京都地域医療再生計画における区東部保健医療圏の目標でございますけれども、まず第一に、小児医療及び周産期医療の確保を図るため、地域の医療機能を強化し、医療機関などとの連携体制を確立して医療水準の向上を図ること、第二に、新型インフルエンザなど新たな感染症の患者さんを受け入れて、軽症から重症まで対応できる病床を整備して、パンデミック期における医療提供体制を強化することだと認識しております。
墨東病院は、この計画を実施する際の中心的な病院として位置づけられております。
具体的な取り組みを申しますと、小児医療として、小児救急医師確保緊急事業に参画すること、周産期医療として、NICUからの円滑な退院を支援するための在宅支援モデル事業の事業主体となること、新興感染症に対する医療体制を確保することなどがございます。
○山崎委員 地域医療再生計画の中で、墨東病院が中心的な役割を担っていることがよくわかりました。
区東部保健医療圏は、平成二十一年度の新型インフルエンザ集団発生時、都内にある十三の保健医療圏の中でも患者数が最大だったわけでございます。
今後ますます感染症の脅威が高まる中、新興感染症への対応は、軽症から重症、そして新生児から成人まで、幅広い年齢層に対応する重要な対策であります。また、患者や医療従事者が感染しないような設備面での工夫も同時に必要なことであると思います。さらに、少ない医療資源が有効に機能するよう、地域の医療機関との医療連携もあわせて重要であると考えます。
そこで、感染症診療機能は今後の施設整備を含め、どのように強化をされるのかお伺いします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 墨東病院は感染症指定医療機関でございまして、これまでも区東部保健医療圏における中核病院としてその機能を果たしてまいりました。
新型インフルエンザを初めとした新興感染症への脅威が高まる中、外来及び入院されている患者さんへの感染を防ぐため、他の外来や病棟から独立させて感染症に罹患された患者さんに対応することが可能な感染症外来を設置するとともに、感染症対応病床を整備してまいります。
具体的に申しますと、エボラ出血熱など一類感染症に分類される疾患に対応する病床を二床、SARSなど二類感染症に分類される疾患に対応する病床を八床再整備するほか、重症化して人工呼吸器などを装着した患者さんを受け入れる感染症緊急対応病床を三十床整備しますとともに、陰圧対応可能な人工透析室も設置いたします。
また、通常時は会議室などの用途に使用しながら、パンデミック時には病床を設置できるようなスペースを院内に確保しまして、軽症から重症まで対応可能な感染症診療機能を構築いたします。
あわせて、平常時の段階から感染症医療に関する地域連携体制の強化を図るため、墨東病院を中核とした地域連携を協議する会議の中に、新たに新型インフルエンザや新興感染症発生時における地域連携を協議する部会を設けまして、地域全体で感染症診療体制を整備してまいります。
○山崎委員 エボラ出血熱など、そして今お話のあったSARS、一類感染症や二類感染症に対しての診療は行政医療として極めて重要なものであり、万が一これらの感染症が出現をした場合、都立病院が持てる力を最大限活用できるようにお願いをしておきます。
一方、新型インフルエンザなど、新興感染症の脅威は現実的なものであり、いたずらに誇張するわけではないが、この秋にでも流行する可能性があります。計画どおり感染症診療体制の整備ができるように、この点も要望をするところであります。
ところで、墨東病院は救急救命センターとして、ERを含め、年間五万件を超える緊急患者を受け入れているわけであります。感染症診療機能の強化も重要でありますが、救急救命医療の強化なども人口が増加をする地域にとっては極めて重要であると考えます。
そこで、救急救命医療はどのように強化をされているのか伺います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 墨東病院は、区東部保健医療圏最後のとりでとして、区東部医療圏最大の病床を持つ基幹病院として、さまざまな医療需要にこたえております。特に救急需要は高まる一方でございまして、救命救急医療の強化とユニット系治療室などの新築や増築を行い、治療効果のさらなる向上を目指すこととしております。
具体的に申し上げますと、救命救急特定集中病床の強化を行いまして、救命率の向上とともに、治療効果の向上を図ってまいります。また、高度な治療を行うための脳卒中ケアユニット、いわゆるSCUを六床、ハイケアユニット、いわゆるHCUを二十床整備してまいります。
あわせて、心疾患への対応といたしまして、心臓疾患特定集中治療室、CCUをこれまでの三床から六床へ増床いたします。さらに、高気圧酸素治療室の設置や救命救急病床の一部を陰圧対応にするなど、感染症への診療機能の向上を図ってまいります。
そして、整備に当たりましては、検査室の整備、あるいはERのワンフロア化によりまして、患者さんのスムーズな搬送を可能にするなど、診療環境の整備を進めてまいります。
○山崎委員 今の答弁にもございましたが、とにかく墨東病院が区部の東部医療圏の中でとにかく基幹病院であり、まさに最後のとりでである、そういう形でとらえられていると思いますので、ぜひこの整備計画を着実に推進をしていただき、墨東病院の医療機能を拡充してもらいたいことを要望したいと思います。
地域の期待も大いに高まっていることもありますので、計画はきちんと遂行をされているのかどうか、最後に、計画の進捗状況と今後のスケジュールを確認したいと思います。二十二年度における計画の進捗状況と今後の予定についてお伺いします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 東京都地域医療再生計画及びそれにあわせて行います墨東病院の医療機能強化につきましては、平成二十二年度に基本設計を終えておりまして、その概要について、ただいま地域の住民の方々への説明を行っているところでございます。
今年度からは本格的な工事が始まりまして、平成二十五年度末には改築工事を終了する予定でございます。また、この工事に引き続きまして、診療棟の改修工事を行い、総合医療センターとしての診療基盤の強化を図りまして、区東部保健医療圏を対象とした基幹病院としての役割を担ってまいります。
○山崎委員 都立墨東病院は、区東部地域の住民にとって不可欠な病院であると認識をしています。そのような病院にあっては、先般の東日本大震災や台風による災害時においても、その医療機能を維持し、地域住民の生命、命を守る役割が求められるわけであります。
墨東病院はこれまでも災害拠点病院として、また、地域の基幹病院として施設整備などを整えてきましたが、今回、都の緊急対策事業として、ガスによる発電機の導入や非常用発電の強化、給水機能の強化などを行うと聞いております。
このような、いつ、いかなる場合においても医療機能を維持していくための対策は極めて重要であり、これからも着実に実施をしてもらいたいと思います。
今後も墨東病院が地域の中核的な医療機関としての機能を果たし、江東区を中心とした区東部地域の住民が安心して暮らせるよう、病院経営本部が一丸となって、各施策の実施に向け努力されることを希望して私の質問を終わります。
○斉藤委員 よろしくお願いします。私の方からは、平成二十二年度の決算の中から、都立病院におけるPFI事業についてお伺いをしたいと思います。
都立病院のPFI事業は、都立病院改革における都立病院の再編整備の推進に合わせて導入されまして、昨年の三月には、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが開院いたしました。私も視察をさせていただいた病院でございます。
先月には、がん・感染症医療センターとして全面改修工事を行ってきた駒込病院がリニューアルオープンをするなど、着実に進捗していると実感しております。
また、精神医療のセンターとしましては、整備を行っている松沢病院についても来年度のオープンに向けて新館の工事が進んでいると伺っているものでございます。
PFI事業は平成十一年に関係法律が成立いたしまして、公共施設等の建設、維持管理、運営など、民間の資金、そして経営能力、技術的能力を活用して行う新しい手法といたしまして導入されました。全国で三百を超える事業が実施されていると伺っております。
都におきましても、都立病院のほかには水道局の浄水場と下水道局の水処理センターにおける常用発電設備や教育庁におけるユース・プラザなど、こういった整備にこの手法が導入されているようでございます。
このPFI事業でございますけども、包括契約、そして長期契約、そして性能発注というものがあることなど、従来型の事業とは異なる点も多くありまして、公共にはそのメリットを生かした取り組みが期待されると同時に、PFI事業として実施するか否かの判断や事業者の選定につきましては、慎重なプロセスを経た上で進めることが求められているわけでございます。
事実、病院PFI事業につきましても、そうしたプロセスを確実に踏みながら進めてこられたと思います。例えば契約についていえば、病院PFI事業では、総合評価一般競争入札によることとし、価格のみならず事業に対する理解度、そして姿勢、また提案内容などにつきまして、外部委員を含む審査委員会で審査をして、事業者を選定した上で実施されているものでございます。
事業の実施に当たりましては、経済性の観点から見れば、都民に対しましてもできるだけ安価に行われることが望ましいことはいうまでもありませんけれども、そういった経済的な観点の一方で、質の確保も重要なファクターでございまして、病院PFI事業では事業者を選定する時点で、こうした要素も含みながら事業を進めてきているわけであります。
従来にない手法であったこともありまして、導入当初、都議会ではさまざまな議論を尽くしておることを議事録でも確認させていただきました。駒込病院はPFI事業をやったら都立病院じゃなくなるんじゃないかというような、そういったお声なんかもあったというふうに、議事録を拝見しながら確認したわけでございますが、そういった新しい手法であるがゆえに、なかなか議論も多くされてきたこの手法でございます。
議論が尽くされた上でなされてきたこのPFI事業でございますが、三つの事業の契約金額、それぞれのPFIを導入する病院を全部合わせますと五千億を超える非常に大きな規模でございまして、また、事業が長期にわたって実施されることもございますので、今までもそうでございましたけども、今後もチェックをしっかりしていくことが必要であると考えております。
そこで本日は、先月にリニューアルオープンしました駒込病院のPFI事業に焦点を絞りまして、これまでの成果を確認するとともに、今後の課題について明らかにしてまいりたいと思います。
まず初めに、駒込病院におけますPFI事業の実施の状況についてお伺いしたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 まず、既存建物の全面改修を行う施設整備業務についてでございますが、平成二十年七月に着工して、本年三月までにすべての病棟の改修を行いまして、先月末に外来診療部門が竣工したことから、当初予定どおり九月末にリニューアルオープンしてございます。
本年三月に発生しました東日本大震災によりまして、一部建築資材の部品調達先が被災した影響を受けまして、放射線診療部門など一部の工事は現在も続いております。ただ、植栽などの外周工事を含めまして、今年度内に改修工事を終える見込みとなってございます。
運営面では、病院の医療周辺業務を担う施設などの維持管理業務、医療事務等の運営業務及び医薬品等の調達業務を都立病院における三つのPFI事業の中で最も早い平成二十一年四月に開始し、おおむね二年半が経過したところでございます。
○斉藤委員 先日、我が党のメンバーもこの駒込病院のオープンにつきまして視察をさせていただいたところでございますが、放射線治療部門、我が党も一生懸命導入についてご主張させていただきましたので、その完成を楽しみに待っているわけでございます。
駒込病院のPFI事業の特徴といたしましては、病院の診療を継続して、そして改修工事を行うという特徴があったわけでございます。病院を閉じることなく改修を行うことで、患者の皆様にとっては大変心強く、また地域の医療を安定的、継続的に提供するという点でも大変よかったのではないかと思っておりますけども、一方で、そのような、いながらの改修工事といいますか、継続しながらの改修工事であるがゆえに、ご苦労も多かったと思います。
そうした中で工事が進み、当初予定どおりにリニューアルオープンができたということでございます。施設整備、運営業務とも事業の方はスケジュールどおりに進んできておりますけれども、PFI事業ならではのメリットが発揮されているのかどうか、この点が気になるところでございます。
また、このことにつきましては、これまでも都議会の場を通じて我が会派が取り上げてきた問題でもございます。そもそもこのPFI事業の導入時にどのようなメリットが期待されていたのかをお伺いしたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 PFI事業につきましては、事業期間全体を通じての財政負担の縮減額、いわゆるバリュー・フォー・マネーを算出しまして定量的なメリットがあることを確認しまして、その上で、PFI事業として実施することによって期待できる定性的なメリットを加味するということで事業の導入を図ったものであります。
具体的に申し上げますと、都と事業者との役割分担による医療サービス水準の向上、長期包括契約による医療周辺業務の効率化、設計、施工、運営を一体的に発注することによる施設整備及び運営の効率化、さらには医療環境の変化への迅速な対応や事業者による病院経営支援を期待して導入したものでございます。
○斉藤委員 この定量的なメリットにつきましては、事業を導入する際に検証した上で契約を提起しておりますので、これに裏打ちされた毎年度の予算計上と業務執行がしっかりなされることによりまして、そのメリットが事業期間、長期にわたるんですが、その事業期間を通じて行われることになると理解いたしました。
一方で、この定性的なメリット、これはただいまご答弁いただきましたように、さまざまなことが期待されているわけでございますが、PFIを導入してよかったと実感できる部分でもあるわけでございます。
これまでの事業を通じまして、具体的にどのようなメリットがあったのかを、さらに伺いたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 実際にどのようなメリットがあったのかというご質問でございますけれども、設計の段階で申しますと、手術室を初め、中央診療部門の効率的な配置や個室数の増加など、事業者の提案による創意工夫が図られております。
工事の施工におきましては、騒音、振動の患者さんへの影響などを考慮しながら、工法や工程を適宜見直すことにより、予定どおり、おおむね三年の工期で先月に無事リニューアルオープンを果たすことができました。
改修工事中は、駒込病院の整備運営事業を行うための特別目的会社であるSPCのマネジメントのもと、施設整備業務を担う協力企業と施設の維持管理業務や運営業務を担う協力企業が連携して、一体となって取り組むことで、患者さんや職員などの安全確保や工事段階ごとに行った各部門の移転を事故もなく、無事に円滑に行うことができました。
運営面で申しますと、SPCがリードして、協力企業によるテーマ別改善運動、いわゆるQC活動に毎年継続的に取り組んでいるほか、院内の医療機器のデータベース化による今後の機器更新に向けた支援や、診療材料の価格削減に向けた提案や交渉活動など、病院経営支援の取り組みが開始されております。
○斉藤委員 ありがとうございます。工事についていえば、工法を変更するにも、公共の直接工事の場合にはどうしても内部の手続などに時間を要することがございますが、PFI事業で実施したことによりまして、柔軟で迅速な対応が図られまして、それがこのスケジュールどおりのオープンにつながったことがわかったわけでございます。
工事中の患者の皆様、さまざまあったと思います。また、病院のスタッフの安全確保のお話もございます。施設設備と運営業務を問わず、複数の事業者がこのSPCマネジメントのもとでよく連携しながら取り組んできていること、これがPFI事業の特徴の一つである包括契約のよさとしてあらわれているものと思います。
また、運営面では、事業者みずからの業務改善活動や病院経営を支援する取り組みも着実に開始されているということでございます。
これまでの質疑でPFI事業のメリットがあらわれてきていることは確認できたわけでございます。さらに、PFI事業では従来型の仕様発注でなくて、公共が業務に求める水準を示す性能発注、この性能発注ということは耳なれない言葉ではございますけども、性能発注を行っていることから、都の求める業務の水準を事業者がしっかり満たしているかどうか、これを都がしっかりとチェックしていくことが必要でございますので、この点につきましても確認をしたいと思います。
そこで、事業者の業務の履行状況をどのようにチェックしているのかをお伺いします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 性能発注でありますPFI事業では、事業者が行う業務の履行状況をチェックする仕組みとして、いわゆるモニタリングがございます。モニタリングでは、毎月SPC自身が行うセルフモニタリングの報告を受けまして、それをもとに、病院が都の求める業務要求水準を満たしているかどうかを確認しています。
駒込病院におきましては、施設の維持管理業務や運営業務を開始した当初、モニタリングを通じて改善を促すことで業務の早期安定化につなげたほか、実際にSPCに対して業務改善勧告を行うなど、モニタリングを活用したチェックによりまして、SPCによる業務提供が適切に行われるよう取り組んできております。
今後もモニタリングを通じまして、事業者の業務の履行状況を確認することはもとより、事業者が常に業務の効率化や改善に取り組むことを促してまいります。
○斉藤委員 包括契約であるPFI事業では、SPCがこの間に入るために都のチェックが行き届かないのではないかというような心配もございました。指摘もされてきたわけでございますが、そんなことはないと。
モニタリングの仕組みがあるということで、その仕組みを活用してしっかりと事業者の業務をチェックしていることが今のご答弁でもわかったわけでございます。
さらに、業務改善勧告、こういったものがあるわけでございますので、そういった手法も活用しながら、しっかりと引き続きチェックをしていきたいと思います。
長期にわたるPFI事業では、継続的に業務の向上が図られていくことが期待されます。今後も事業者の行う業務をよくチェックし、医療サービスの向上につなげていただきたい、このように要望したいと思います。
これまでの事業の実施状況や事業の中であらわれているメリットについて、これまで伺ってまいりました。今後さらに期待できるメリットや課題につきまして、どのように考えているかをお伺いしておきたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 今回のリニューアルオープンによりまして、病院機能が全面的に稼働することから、運営面では今後さらに業務の効率化や改善が図られていくものと期待しております。
具体的に申し上げますと、業務フローの継続的な見直しによる患者さんの待ち時間の短縮に向けた取り組みや、後発品、あるいは同種同効品への切りかえの提案など、医薬品や診療材料の経費縮減に向けた取り組みなど、患者さんに対するサービス、経営支援両面での取り組みが期待できると考えております。
また、大規模停電時や感染症の患者さんが発生した場合を想定した訓練などにも、現在、既に病院と事業者が連携して取り組んでいるところですが、長期包括契約であるPFI事業では、非常時の対応について、事業者間でも連携を図りながら継続的に向上を図っていくことも期待できます。
今後は、こうしたメリットをより多く、より効果的に引き出していくため、SPCと病院とのパートナーシップを日ごろから強化するとともに、モニタリングなどを通じまして、SPCの統括マネジメント機能の向上を常に促していくことが必要であるというふうに考えてございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。災害時、東日本大震災後、さまざまな形で防災力の向上、そういったことに対する対応、ハード、ソフト両面からの取り組みが期待される中で、事業者間での連携を図りながら継続的に行っていくことができるという、そういった効果も期待されるというご答弁でございました。患者サービスの面、経営支援の面、非常時の対応など、今後も期待できるメリットが見込まれるということでございます。
本日は、駒込病院のPFI事業につきまして伺いました。事業が順調に推移していることがわかったわけでございます。
これまでご答弁いただきましたように、PFI事業のメリットを生かしていくには、日ごろからの取り組みや継続的な取り組みも今後求められてまいります。
患者サービスの一層の向上と、医療スタッフがよりよい医療を提供していける環境の整備、こういったことをしっかり今後とも事業者と一体となって取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わります。
○かち委員 私からは、児童精神科医療と看護労働について伺います。
近年、児童精神科受診を求める子どもたちがふえています。旧梅ケ丘病院での一日当たりの外来受診児の数は年々ふえ続け、二〇〇一年までの十年間で一・五倍ほどにふえています。
これだけで子どもの心の悩みがふえたと断定することはできませんが、ADHDやLDなど、一昔前にはちょっと変わっていると見過ごされていた子どもたちの存在が注目され、発達障害と位置づけられたことも要因の一つであるといえます。
しかし、よくいわれる軽度発達障害児は、現行の乳幼児健診では発見されにくく、診断も年齢によって流動的で、何の対応もなされないまま就学することが多く、その結果、学校不適応を生じ、思春期以降は社会への不適応をもたらすことになり、いじめの対象になったり、さまざまな現象が社会的問題となっています。
そのためにも、児童精神科医療において、乳幼児期、あるいは小学校低学年時期に早期発見によって養育環境を整備し、教育、福祉分野と連携して弱点をカバーして、社会生活が営まれるようにすることが大変重要になっています。
都立病院改革実行プログラムによって、昨年三月末をもって三つの小児病院が廃止され、府中の都立小児総合医療センターに統廃合されました。都立梅ケ丘病院の児童精神科医療もここに移されました。
新しい小児総合医療センターにおける小児精神科医療の今日までの患者数など、医療の状況について伺いたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターは、心と体の総合的な医療を行うため、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を移転統合して、平成二十二年三月に開院いたしました。
開院に当たりましては、受け入れ体制に万全を尽くすため、当初からフル稼働とせず、病棟の段階的なオープンなど徐々に体制を強化していったため、平成二十二年度の受け入れ患者数は、平常時と比べてやや少ない実績となっております。
段階的に受け入れる患者さんをふやした結果、入院患者数は一日当たり百十六・七人、年間延べにして四万二千五百七十九人、外来患者数は一日当たり百二十六・七人、年間延べにして三万七千二百四十五人でございまして、今のところ順調な滑り出しとなっているというふうに考えております。
○かち委員 平成二十二年度は、開設したものの移行期であり、まだその全貌を見きわめることはできませんけれども、少なくとも世田谷、大田など、区部西南部地域の子どもたちにとって心の診療が遠くなって、受けにくくなったことは事実です。
先日、都立大塚病院に新しくできた児童精神科外来を伺ってきました。都立梅ケ丘病院の廃止に伴って、区部における小児精神科外来を補足するという意味で開設して三年目になります。
開設当時は医師二名からのスタートでしたけれども、今年度から三名体制にしたとのことです。診療の合間に医師からもお話を伺うことができました。
大塚病院児童精神科外来を受診する子どもたちの推移はどのようになっているでしょうか。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 大塚病院の実績でございますけれども、平成二十二年度の外来患者数は一日当たり十七・八人、年間延べにして五千二百三十一人でございました。
ちなみに、患者さんの居住エリアでございますけれども、区西北部が三七%、区中央部が一六%、区東北部がそれぞれ一三%となってございます。
○かち委員 体制強化の背景からもわかるように、LD、ADHDなど、発達障害の子どもたちの受診がふえ続けている状況にあります。
受診に当たっては、福祉、教育現場からの相談を経て予約を受け付けているとのことでしたけれども、予約状況は毎月、月初めに二カ月先の予約を開始しますが、すぐに埋まってしまうとのことでした。児童精神科の医師や病院が不足している現状を物語っています。
現在、都として、医師アカデミーにおいて人材育成を行っていますが、小児精神科を研修する医師は、毎年どのぐらい輩出しているのでしょうか。
○藤田経営企画部長 児童青年精神科コースの定数は各年度五名でございまして、平成二十二年度の応募者は十五名でございました。
○かち委員 十五名の応募があって、輩出されていくのは五人ずつ出ているということでした。
児童精神科で求められているのは診断力だということでした。お子さんが発達障害で、今後治療を続けなければならないのかどうか、様子を見ていていいのかどうか、いざというとき相談できる医師がいるかどうか、こういうことが大変重要だとお聞きしました。ゆえに初診に時間がかかるということです。ここでは九十分かけていると聞きました。
しかし、今の診療報酬では、十分でも九十分でも同じ単価です。これでは、やる気があっても開業することは困難です。ですから、民間の児童精神科医院は甚だ不足しているというのが実態です。
先ほどご答弁がありましたように、大塚病院児童精神科外来を受診しているお子さんの住んでいる地域というのは、区西北部が三七%、区中央部が一六%と、このような偏在をしております。
小さいお子さんには兄弟姉妹がいたりして、通院のために遠くへは行きにくいという条件もあるかと思います。やはり区内でも、区西北部地域に潜在する問題です。大田、目黒、世田谷など、区部南部や西部地域から受診できていないということです。
八百八十万人が住む二十三区に、民間ではまれな児童精神科の公立医療機関が一つでは足りません。私も知人から相談を受けました。子どもが拒食症で、早く診てもらいたいのに、小児総合医療センターに電話をしたら、五カ月先だといわれたとのことです。これが特殊なのではなく、民間病院でも児童精神科の予約は三カ月から五カ月先が普通だといわれました。
お話を伺った医師は、児童精神科では、本来発達障害だけでなく、不適切な養育による情緒不安定などの心の問題にもっと対応していく必要がある、それを進めるには児童精神科の医療機関が少な過ぎるのですと話されていました。
ところで、廃止した都立梅ケ丘小児病院の現在の建物の状況はどうなっているのでしょうか。所管はどこになるでしょうか。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院の敷地及び建物は、病院経営本部が引き続き所管をしております。そのままの状態で今残っておりますので、防犯上、防災上の観点から、年明けには建物の解体を行うことにしてございまして、現在、業者の選定などの準備を進めているところでございます。
○かち委員 現在も病院経営本部の所管であり、以前に伺ったときには、当初十月予定の解体工事が延期になっている、年明けなんだというお話がありました。世田谷区としても、梅ケ丘病院の跡地利用についての構想を検討していた経過もありますが、区民からはさまざまな意見が寄せられ、何よりも取得するための財源問題も大きく、いまだ取りまとめられていないと伺っています。
まだ都病院経営本部の所管です。これまでにも述べてきたとおり、児童精神科医師は毎年五人ずつ都の医師アカデミーで輩出されているし、希望者もたくさんいるということ、区部に一つでは足りない現状、まだ間に合う状況からしても、旧梅ケ丘病院の敷地内に、例えば小児総合医療センターの分院などの形で、せめて児童精神科外来機能だけでも開設することを求めますが、いかがでしょうか。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 今、医師がそれぞれ多数輩出されているのでというお話がございましたけれども、精神科医療は医師一人で行うものではなくて、特に幼児、児童を扱う児童精神科は、医師、看護師のほか作業療法士、心理士、精神保健福祉士、保育士がチームを形成して治療に当たるというものでございます。
そういうことから考えますと、小児総合医療センターの統合の目的の一つは、医師だけでなく看護師や心理士等のスタッフを含めた医療人材の集約化によって児童精神科医療をさらに充実強化するものであるというふうに考えてございます。
外来を新たに設置することにつきましては、単に医師の配置だけの問題ではなく、医療スタッフなど限りある医療資源も効率的に活用しなければならないことを考えますと、難しいというふうに考えております。
○かち委員 もちろん医療を提供するという問題においては、医師を中心にしてコメディカルのスタッフがいなければできないというのは重々承知の上なんですけれども、でも肝心なのはそれを進める医師がいるかどうかであるということと、今回、大塚外来に伺って本当に実感したんですけれども、厚い医療が必要ではなくて、診断力なんだと、診断する機会が必要なんだと、その機会を八百八十万人の区部の皆さんに提供するのにもう一つつくるということは、私はやろうと思えばできることだと思うんです。
都民にとって不足している医療を提供することは都立病院の役割です。心の悩みを抱える子どもたちに必要な診療、診断を提供するために、民間では困難な児童精神科外来を梅ケ丘病院の跡地に開設することを検討することを強く求めておきたいと思います。
次に、看護労働について伺います。
平成二十二年六月に閣議決定された新成長戦略では、高齢化や医療技術の進歩に伴う環境変化に対応し、質の高い医療、介護サービスを安定的に提供する体制を整備することとされています。
しかしながら、看護師等については、夜勤を含む交代制などにより、厳しい勤務環境に置かれている者も多い。必要な人材の確保を図りながら、看護師等が健康で安心して働ける環境を整備し、雇用、雇うということですね、雇用の質を高めていくことが喫緊の課題であるとしています。
そして、本年六月十七日、厚生労働省五局の局長連名で、看護師等の雇用の質の向上のための取り組みについてという通知が各都道府県知事あてに出されました。その内容をどのように受けとめているでしょうか。
○藤田経営企画部長 ただいま委員お話しの通知につきましては、存じておるところでございます。通知にもございましたとおり、昨年でございますが、平成二十二年十一月に設置をされました国のプロジェクトによります検討結果の取りまとめを受けまして、平成二十三年六月十七日付ということで発せられました厚生労働省医政局長名ほか連名でございますが、こういった通知でございます。
もとより医療機関は、質の高い医療サービスを安定的に提供できる体制を整備することが求められており、必要な人材の確保を図りながら、安心して働ける職場環境を整備し、雇用の質を高めていくための取り組みについての通知というふうに理解してございます。
この通知には、行政の取り組み、それから医療機関における取り組みということが例として示されておりますけれども、ちなみに都立病院におきましては、これまでも都立病院改革を進めてくる中で、既にさまざまな取り組みに着手しておりまして、平成二十二年度におきましても、引き続き看護職員等の職場環境の改善に積極的に取り組んできたところでございます。
○かち委員 もともと日本の看護要員の配置基準は、欧米諸国に比べても大変低いわけですけれども、こうした根本問題まで踏み込んでの解決策とはとてもいえないものですけれども、それでも今後、医療現場の勤務環境の改善に向けた課題と対応に関する幅広い知見の収集及び分析に努めていくと書かれています。
また、中央社会保険協議会において、看護師等を含めた病院医療従事者の負担軽減策に関して、平成二十二年、診療報酬改定結果を検証しつつ、医療従事者の勤務状況、病院の長時間勤務に対する取り組みなどを踏まえ、次期診療報酬改定に向けて検討を行う、このように書かれているものです。
都立病院における看護師の入職率と離職率、こういうものはどのようになっているでしょうか。
○藤田経営企画部長 入職率というのは、ちょっと--申しわけございません。平成二十二年度の看護師の離職率でございます。これにつきましては八・〇%でございます。過去には、離職率が一〇%を超えている年度もございましたけれども、平成二十年度以降、離職率でございますが、低い数値で安定的に推移をしているところでございます。
○かち委員 数字的には全国平均よりも低い数字で定着をしているということでしたけれども、先ほどもお話がありましたけれども、本年二月に出された包括外部監査の報告書がありますけれども、病院経営本部が行った職員の満足度調査の結果が掲載されています。
対象は、医師、看護職、医療技術者、事務系となっているんですが、その中にこういう調査結果が出ておりました。
職種別の満足度調査結果ということで、都立病院全体の医師と看護師と技術系と事務職。(資料を示す)赤が看護職ですね。青が医師なんですけれども、これを見てわかるように、看護職のところが極端に低いんですよね。五〇%を割っているのも数カ所あるということで、ピンクで書いたところが看護職の特に意識の満足度が低いということがここにあらわれているわけです。
このような調査の結果、特に看護職においては、職場の環境が良好かどうか、職務や職場に見合った給料を受けているかどうか、都立病院で働くことにやりがいを感じるかなど、十二問中五項目で看護職が他職種に比して大変著しく低いことがわかります。
包括外部監査からは、特にやりがいについては五〇%を下回る低さとなっており、病院運営のかなめである看護要員の満足度の向上が緊急の課題であると指摘しています。
そして、先進例について調査分析し、効果の高い取り組みについては、都立病院全体で横断的に取り組むよう検討することを求めています。
まず、病院経営本部として、この満足度調査を行う意義について伺うとともに、この結果をどのように受けとめているでしょうか。また、どのように改善を行っていくのかお聞きします。
○別宮サービス推進部長 まず、職員満足度調査の意義でございますが、職員満足度調査は、職務を遂行するに当たりまして、職員の満足度や問題意識等を把握することによりまして、都立病院の業務改善、また経営改善に資することを目的として、平成十六年度から実施してございます。
お話しの包括外部監査にあります職員満足度の調査結果は、平成二十一年十月に実施したものでございます。医療職場におきましては、看護職員の職務は重要な役割を果たしておりまして、ご指摘の項目も含めましてほかの項目の満足度も向上させ、働きやすい職場づくりを推進することが重要であるというふうに考えております。
各病院、各職場におきまして、こういった二十一年の結果を踏まえまして、具体的な職場環境の改善をすべき課題等が各病院、各職場において異なるとは考えておりますけれども、都立病院全体としまして、平成二十一年度から働きやすい病院づくり運動というものを実施しておりまして、職場ごとにさまざまな視点から改善に取り組んでおります。
こうした取り組みなどから、ご案内の平成二十一年度の結果と、それから昨年、平成二十二年度の看護職員におけます職員満足度調査結果を比較してみますと、職場環境につきまして見ますと、全体で二十一年度が三七・一%でしたが、二十二年度が七四・七%に向上いたしまして、給料面でも三〇・〇%が四〇・四%ということで向上しているという状況がございます。
○かち委員 二十二年度の包括報告書しか出ていないから、二十二年度決算だから、私はこれを使ったのであって、そういうお話を今初めて聞きましたのでね。でも、改善をしていることは大変結構なことです。職場の環境がよくなったと。それはすばらしいことですよ。
しかし、給与のところは、まだ五〇%にいっていない。これも事実、問題ですよね。だから課題はまだ残っているのは事実なんです。こういう問題がまだ残っているということで、職場全体でも取り組んでいるし、病院全体でも取り組んでいるということはわかりましたけれども、やっぱりそこに、どうしてこういう意識になるのかということのもうちょっと深い分析が必要だと思うんです。
根本には、国の定数基準や看護報酬体系に起因するところが大きいとは思うんですけれども、そこで、都立病院における外来、手術室での定員と実員、非常勤看護師の割合などはどうなっているでしょうか。
○藤田経営企画部長 外来につきましては、常勤職員定数百三十八名、非常勤職員定数が七十八名、非常勤を常勤換算した場合の非常勤割合は三一%となっております。
手術室は、常勤職員定数二百四十五名、非常勤は定数上の措置はございません。
現員につきましては、各病院の運用によりまして、それぞれの部署に配置しているところでございます。
○かち委員 もともと外来や手術室の看護技術というのは、診療報酬で認められていない、そこに根本の問題があります。外来は、一応定数としては、患者さん三十人に一人の看護師定数となっていますけれども、数の上では、今ご答弁がありましたように常勤、非常勤を合わせればその基準を上回っているようですけれども、結局、常勤では満たし切れないという問題があります。
また、七対一看護体制を維持していくために、助勤という形で病棟応援に入るということが恒常化しているというふうにも聞いております。入る病棟も固定化しているのではなく、日々必要なところに回されるということで、その精神的ストレスや緊張感は多大なものがあるわけです。
都立病院における看護師の平均夜勤日数はどうなっているでしょうか。
○藤田経営企画部長 それぞれ平成二十二年十月の実績の数値で申し上げますと、三交代病棟では月七・九二回、それから二交代病棟におきましては三・九〇回となってございます。
○かち委員 三交代、二交代でお話しいただきましたけれども、それを換算すると八日以内だよというお話だったと思うんですね。平準化すれば八日を超えていないということですけれども、同じ病棟の中には、夜勤のできない、しないナースもいるわけです。
とりわけ最近の新卒看護師は、実習時間も減ってきていることもあって、就職してから現場研修の中でひとり立ちができるように育ってもらわなければならないという状況です。
現場から聞きますと、入職して三カ月などでは、とても夜勤に入れる状況ではないとのことです。日本看護協会の調査でも、夜勤に入るまでの研修期間を延長することが、入って一年、二年で離職するという危機的な時期があったんですけれども、それを食いとめることができたという報告もあり、半年ぐらいは新人の夜勤を免除するということが実態です。
しかし、その分人手を厚くすることはできません。結局、指導的立場にある中堅層に負担がしわ寄せられ、バーンアウトして、このクラスの離職者がぽろぽろと後を絶たないと聞いています。
昨年度の医療労働組合の大都市看護部門の夜勤実態調査に対するある都立病院の結果では、一カ月の夜勤回数が年間平均ゼロ回、一回から七回、八回、九回の四分類で、九回以上が三六・七%と最も多く、八回が二九・八%となっています。八回以上が六割を超えています。この実態はこの病棟だけではないと思います。
看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づく基本方針では、複数を主として月八日以内の夜勤体制の構築に努めることとしています。平均化してしまうのではなく、八回、九回以上の夜勤をしなければならない実態があるのかどうかを病院経営本部としてつぶさにつかむ必要があると思います。そして、それをなくす方向で体制を構築していくことが求められていると思います。
都は、平成二十年度から短時間常勤勤務制度を導入してきました。これまで働き続けたくても、夜勤ができることが条件で、子育てなどで夜勤ができなくなれば、非常勤になるかやめるしかないというのが看護現場の実態でした。
こうした現状を解消するために、我が党はかねてから短時間常勤制度の導入を求めてきたところです。それが働き続けられる希望にもつながり、現場としても人員確保につながるものとなりました。
現在、短時間常勤勤務をしている看護師等はどれくらいいるのでしょうか。また、短時間常勤勤務者の労働実態はどのようになっているのか、夜勤は免除されているのかどうかお聞きします。
○藤田経営企画部長 まず、短時間常勤勤務の実態ということでございますけれども、育児短時間勤務を行う職員は、勤務日数、勤務時間の異なる現在四パターンの勤務形態を定めてございます。
具体的に申し上げますと、週十九時間二十五分、それから週十九時間三十五分、それから週二十三時間十五分、それから最後が週二十四時間三十五分勤務ということになってございまして、その中からみずからに合いました勤務時間を選択することとなってございます。短時間勤務の職員の中にも、希望いたしまして夜勤に従事している者もございます。
ちなみに、給料月額は勤務時間数に応じた額になりますけれども、夜勤に従事しない場合は、いわゆる給料の調整額は支給が受けられないということになってございます。
具体的には、実態の方でございますけれども、例えばこちらの多摩総合医療センター、10S病棟のある平日の勤務表によりますと、勤務人数は、日勤帯十五名、準夜帯三名、深夜帯三名というようなことでございます。
ただ、助勤、いわゆる短時間のものがどのぐらいかというのは、ちょっと手元に今、数字の方がございません。
○かち委員 働き方の多様化、選択の自由というようなことで、いろいろな勤務パターンが提供されているということではありましたけれども、一般的にいえば、子育て中のお母さんは、授乳もさせなきゃいけないし、保育園に迎えにも行かなくちゃいけないし、そういうことからすれば、日勤で短時間で帰れても常勤扱いしてもらえるというようなことで取り入れてきたのだと思うんですけれども、お聞きすると、希望すれば夜勤にも入っているということでした。
そこに、今の病院における求められる医療技術の高度化、日常業務の煩雑さ、密度の濃さが浮き彫りになっているんだと思います。日勤では余りに業務が多くてこなし切れないので、夜勤を希望したという方の話も聞きました。
もちろん、個々には多様な働き方ということもあるでしょうが、高度医療を標榜する都立病院の現場は、実に大変多忙なんだということがわかります。業務の効率化で電子カルテが導入され、各勤務ごとの引き継ぎ項目も簡素化され、いわゆる申し送り時間というのも極めて圧縮されてきております。
短期入院で患者さんの入退院が激しいために、みずから患者の情報収集をしなければならない、仕事に入れないのが実態です。そのため、一時間前に出勤して情報収集をする、これが当たり前になっているんです。
病院における看護の職場は、やはり二十代、三十代が最も多く、必然的に結婚、妊娠、出産、子育てを両立してこそ雇用の質を高めることになると思います。そのためには、結婚、出産、子育てなどの条件を加味した人員体制の構築がなければ不可能です。
より安全で快適な医療を提供するためにも、また災害時には都立病院が最も災害の拠点になる立場でもあります。そのためにも、看護定数を実態に応じて定めなければ、その役割を果たすことができないと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
○藤田経営企画部長 看護職員の定数につきましては、各都立病院の実態に応じまして、今後とも実態を把握し、精査しながら、実態に見合った定数の配置というふうに考えていきたいというふうに思います。
○かち委員 こうした問題に独自に積極的に取り組んでいる自治体もあるんです。神奈川県立病院では、既に二十年以上前から妊産婦の夜勤免除を徹底する取り組みが始まっています。そのため、仕事の調整要員制度があって、妊娠中の看護師四人に対し一人を採用し、産前産後休暇、育児休業取得者については、二人に一人を正職員で対応しています。
今、都立病院では、産休に入る前まで夜勤勤務をしている人もいると聞いております。母性保護の観点からも、妊娠したら夜勤は免除の条件を整備していくことを初め、都立病院で働くことにやりがいと誇りを持って働くことができることが都内、地域中小病院での看護環境を改善するモデルともなります。
ぜひとも現場の実態をつぶさにつかんで、改善に一層努力されることを求めて、質問を終わります。
○谷村委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十六分休憩
午後三時二十九分開議
○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○星委員 よろしくお願いします。私からは、まず、医療機器の購入について質問をいたします。
二十二年度病院会計決算説明資料によりますと、さまざまな医療機器の購入に関しての経費が列挙されていますが、特に高額医療機器といわれる磁気共鳴断層撮影装置、いわゆるMRI、またCTスキャナーなど、これらは、いずれも更新時期による買いかえとのことですが、医療分野は日進月歩の速度で技術の進歩を遂げているというふうにも聞いています。
こうした機器に関しても、最先端のものは、断層の細かさや画像処理の速さなど機能が大変向上したというふうに聞いております。MRIやCTスキャナーなど医療機器の機能向上とはどのようなものなのか、まずお伺いをいたします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 MRIとCTは、いずれも体の断面を撮影する装置でございまして、人体の内部組織が詳しくわかる医療機器でございます。
MRIは、生体を構成する物質に磁気が共鳴する現象を利用した撮影装置でございまして、主に脳神経系の画像診断に威力を発揮するものと認識しております。
二十二年度は、磁気の強さを示すテスラという単位が三・〇テスラという高性能なものを購入いたしましたが、機能面では、撮影時間の短縮やコンピューターの後処理による3D画像などの解析上の向上がございます。
CTは、人体を横断する平面に対しエックス線を照射し、検出されたデータをコンピューター処理して画像化するエックス線診断装置でございますが、従前の機器に比べまして撮影時の被曝量が少なく、断層撮影のスライスが〇・五ミリ間隔で可能となることや、一回転のスキャンでは百二十八スライスを撮影できるなど、高精細で高品質なデータが得られ、小さな肺がん病巣なども発見できるようになってございます。
○星委員 技術革新やコンピューターの解析技術の向上により治療に有効な診療データが分析できるようになったことは、診療を受ける患者にとって大変有効なことだとは思いますが、患者の視点にさらに立ってみると、具体的なメリットがどのようにあるのか、患者に安心してもらい、検査や治療への理解を深めてもらうことも必要だというふうに思います。
私のところにも、乳がん検診で検査時にとても痛い思いをしたとか、造影剤を使う検査は危険を伴うんだとか、検査につい足が遠のくような、そういった声も聞こえることもあります。
また一方で、多くの病院がある東京において、患者やその家族は、インターネットや口コミを通じ最新鋭の設備を備え、それを使いこなす高い水準の医療技術、また診療実績などを求め、情報をひたすら集め、病院選びの参考にしているという話も聞きます。
こうなると、情報を持てる人と持てない人とで医療の格差が生じないよう、今日の医療機器の機能向上のメリットが広く患者に還元されるべきものであるというふうに考えます。
そこで、患者側のメリットについて、どのような点があるのかお聞きしたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 患者さんのメリットということに関してでございますけれども、例えばMRIやCTに関して申し上げますと、撮影時間の短縮は、検査時に息をとめていただく時間が短くなることや、一回の検査で必要な画像が得られることから、患者さんの負担軽減となります。
特にお年寄りやお子さん、呼吸器系の疾患の患者さんにはメリットが非常に大きいというふうに考えております。
また、高精細で高品質な画像は、画像処理することであらゆる角度から分析をすることが可能となりまして、これまで発見することが難しかった部分について病変を見つけることが可能となるなど、診療に大きく貢献できるものというふうに考えてございます。
さらに申し上げますと、検査が詳細になることで、患者さんへの治療方法の説明、いわゆるインフォームド・コンセントがよりわかりやすく、患者さんが納得され、ご同意されてご自分の治療方法を選択することも、より可能となるというふうに考えてございます。
加えまして、手術時に患者さんの体を侵襲することが少なくなりまして、予後の回復期間も短くなるなどのメリットもあるというふうに考えてございます。
○星委員 ありがとうございました。そういう技術革新が、今日では患者への負担軽減になっているということはわかりました。
身近なところでは、胃カメラの検査なども、私も経験がありますけど、鼻から入れて検査することで苦しくない、経鼻内視鏡というんでしょうか、あと、心臓病検査におきましても入院の必要もなく、検査時間はわずか十五分から二十分程度で、患者にはすこぶる優しい、負担の少ない検査もできるようになっているというふうに聞いています。
多くの患者にとって、痛くなくて、そして早く診断がつき、適切な治療につながるのが望ましいことだと思います。
さらにいえば、こういった高額医療機器の導入は、経営面でも寄与するのが望ましいというふうに思います。経営が改善されれば新たな医療機器もさらに購入するということができるようになると思います。
ただ一方で、日本は先進国で最もこういった高額医療機器というものが普及していて、患者を集めるために中小の病院でも競ってこの高額機器を導入しており、医療費が膨張する一因ではないかというような指摘もあるようです。
機能は専門的かつ特色もさまざまあるということになりますと、選定には高度な専門的な知識が必要だというふうに思いますけれども、都立病院で購入する機器については、どのような方法で決められているのかお伺いをいたします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 病院では、予算要求時期に合わせまして、医師を初めとした医療スタッフが診療科ごとに要望をまとめまして、さらに、病院長を含めた院内の検討委員会で、病院の医療課題に沿ったものであるか、あるいは患者さんの負担軽減に資するものであるか、さらには患者さんの数、稼働状況、収益性などを総合的に勘案して導入機器を検討しております。
また、これらの要望は、病院経営本部で診療実績や社会的ニーズなどを再検討しまして予算化を図ることとなってございます。
○星委員 ありがとうございます。病院経営本部としては、常に患者目線に立っていただきまして、患者に高度医療をわかりやすく説明していただきたいし、すぐれた医療を提供し、病院経営にも寄与する適切な医療機器の購入をしていただきたいと思います。
また、引き続き経営面でも改善を進め、進化する機器の購入にも備えていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
次に、がん対策について質問をいたします。
国は、二〇〇六年にがん対策基本法を、翌年の二〇〇七年六月にがん対策推進基本計画を閣議決定いたしました。これに基づき、がん対策は総合的かつ計画的に進められることになり、全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう整備を進めています。
また、二〇〇八年三月には、がん診療連携拠点病院の整備についてが厚生労働省健康局長から出され、がん診療連携拠点病院の整備に関する指針を定めて、都道府県は専門的ながん医療の提供等を行う医療機関の整備を図るとともに、がん診療の連携協力体制の整備を図る、また、がん患者に対する相談支援及び情報提供を行うため、都道府県がん診療連携拠点病院にあっては都道府県に一カ所、地域がん診療連携拠点病院にあっては二次医療圏ごとに一カ所整備することとなっています。
東京都では、駒込病院とがん研有明病院が二〇〇八年二月に都道府県のがん診療連携拠点病院として指定を受けているというふうに聞いています。
がんは、一九八一年から死因の第一位で、最近では総死亡の約三割を占めるという統計もあり、だれもが質の高いがん医療を受けられる体制をつくることが早急に求められています。
そこでお尋ねをいたしますが、駒込病院が指定された都道府県がん診療連携拠点病院とは、どのような役割なのか、まずお伺いをいたします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 がん診療連携拠点病院の整備に関する指針によりますと、都道府県がん診療連携拠点病院は、原則として、先ほどご指摘がございましたように都道府県に一カ所整備することとされておりまして、その役割の主なものとしましては、まず診療機能として、外科的、内科的、放射線治療などの複数の治療を組み合わせた集学的治療の体制があること、さらに、緩和ケアを提供する体制を有すること、各学会の診療ガイドラインに準じた標準的な治療など、患者さんの状況に応じた適切な治療を提供することなどが要件となっております。
また、検査及び治療等を含めた詳細な診療計画表、クリティカルパスを整備することや、化学療法の提供体制も整備されていなければなりません。
さらに、地域医療機関からの紹介患者さんの受け入れや、逆に地域の医療機関に対してがんの患者さんを紹介するなど、病病連携、病診連携体制も図られていることも必要となります。
特に、都道府県におけるがん連携を推進するため、都道府県がん診療連携協議会を設置しまして、当該都道府県におけるがん診療の質の向上及びがん診療の連携協力体制の構築に関して、中心的な役割を担うこととなってございます。
○星委員 ありがとうございます。駒込病院ががん対策の拠点となっていること、また、都道府県がん診療連携協議会の運営を担っているということもわかりました。
参加している病院に蓄積されている治療方法や緩和ケアなどの体制、診療ガイドラインに準じた標準的治療が、連携する病院や診療所に伝わっていくことは、だれもがどこでも質の高い医療を受けられることにつながっていく仕組みであり、とても重要であると思います。
それでは、駒込病院は、具体的にどのようにがんの医療連携を推進していくのかお伺いをいたします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 駒込病院に設置いたしました都道府県診療連携推進協議会の中では、地域連携クリティカルパス、東京都医療連携手帳を整備する検討を進めております。
この連携手帳は、がんの患者さんが手術など専門的な治療を行った後に使用するもので、患者さんの五年ないし十年先までの診療計画を立てたものを一冊にまとめているものでございます。
連携手帳は、患者さんが医療機関を受診する際に持参されることで、専門病院の医師、かかりつけ医などが患者さんの治療経過などの情報を共有することで、適切な治療が可能となってまいります。
平成二十二年二月から試行版として運用を始めたところでございまして、引き続き検討を行っていくこととなってございます。
○星委員 地域連携クリティカルパスですけれども、東京都医療連携手帳につきましては、今お答えにありましたように、試行版が二十二年二月から運用を始めたというふうに今お聞きしました。
実践的な整備を進め、連携する病院や診療所をふやしていくことで、だれもが、暮らす、自分の身近な地域で質の高い医療を受けられる近道になるというふうに思っております。
また、地域連携クリティカルパスは、がんに限らず、脳卒中、脳梗塞などの脳血管障害、心臓病、糖尿病、そしてさらにC型肝炎や、さまざまな難病などの疾病から、大腿骨骨折とか、あるいは高齢者介護を含めて、全国にはいろいろな事例があるというふうに聞いております。
大病院と地域の病院、そして在宅ケアに連携して取り組む仕組みは、これからさらにますます重要性を増していると思います。病院経営本部は、さらに患者中心の医療を目指して、患者目線に立った医療を推進していただくことを求めて、質問を終わらせていただきます。
○山下委員 それでは、私からは、まず都立病院改革について伺います。
先日の川澄病院経営本部長からの決算概要説明で、三百六十五日二十四時間の安心と患者中心の医療の実現を目指して、都立病院の改革に取り組んでいるというお話がありました。また、先ほど来、各委員の質疑でも、経営の改革、改善に関するお話がありました。
病院のアメニティー向上や、医師、看護師の増員など患者中心の医療を実現していくためには、大きな費用がかかると思われます。
その一方、高齢化の進行などに伴い医療費は増加の一途をたどり、各病院では、経営改善が大きな課題になっているという現状があります。
患者中心の医療を実現していくとすると、病院の収支がさらに圧迫されるのではないかと一般には考えられがちです。
そこで都立病院では、三百六十五日二十四時間の安心、患者中心の医療といった理想と支出の抑制という現実的な問題をどのように両立させて改革を進めているのか伺います。
○藤田経営企画部長 これまで都立病院では、患者中心の医療の実現に向けまして、患者権利章典の制定、医療事故防止マニュアルの策定など、医療安全管理対策の充実強化、広尾、墨東、多摩などで東京ERの開設や、女性専門外来、あるいはセカンドオピニオン外来など、患者ニーズに応じた専門外来の実施、患者さんの支払い手段を多様化いたしますクレジットカードによる決済方法の導入、あるいは患者さんの身体的負担を軽減するより低侵襲の治療法の導入などを行ってまいりました。
これらの実現に当たりましては、副委員長ご指摘のとおり一定の経費がかかっているというところでございますけれども、これは一方で、患者サービスを充実することによりまして、患者数増など収益に寄与している面もございます。
また、例えば後発医薬品の採用拡大は、病院のコストを縮減いたしますとともに、患者負担もあわせて軽減することにつながっております。
また、医師、看護師等の体制強化は、患者様への医療サービスを充実するとともに、診療報酬上の施設基準加算、こういったものの取得にもつながってございます。
今後も、これまでと同様に患者中心の医療を実現しつつ、都立病院総体として経営改善に取り組みを行いまして、効率的な病院運営に努めてまいります。
○山下委員 患者中心の医療を実現させつつ経営の健全化を進めていることがわかりました。これからもこのような方針で都立病院改革に取り組んでいただきたいものと思います。
ところで、患者中心の医療現場、つまり、患者の視点に立った安全で安心できる質の高い医療サービスを提供するための取り組みの一つに、病院での緑化の推進も挙げられます。患者さんにとって、病院での入院生活や外来での待ち時間などは、ストレスがたまりやすいものと思われます。
ストレスをはかる指標として、唾液アミラーゼや脳波などがあることを病院経営本部の皆様ならご存じのことと思います。
私は先ごろ、人間のストレスと植物の関係について複数の研究者に調査を委託し、結果を得たところでございます。
例えば、ストレス時に活性値が上昇する唾液アミラーゼに関しては、国立大学法人豊橋技術科学大学大学院の松本博教授に実験を委託し、緑化をしたオフィスではアミラーゼ活性値の上昇が抑えられるというデータを得ておりますし、脳波については、桐蔭横浜大学工学部の飯島健太郎准教授が、ブロック塀を眺めているときと生け垣を眺めているときの脳波を比較すると、生け垣の場合はリラックスした状態をあらわすアルファー波を多く発生しているという、中村隆治、藤井英二郎という二人の他の研究者の成果を報告書の中にまとめています。
これらのことからも、病院の緑化、生命の息吹を感じる緑の存在は、患者さんのストレスを和らげる、つまり、心をいやすための大切な要素であると考えます。
東京都内で複数の病院施設を運営する病院経営本部は、平成二十二年度当初予算の概要における省エネルギー対策等の推進のための取り組みの中で、緑の都市づくり推進のため、患者の療養環境にも配慮し、緑化を進めるとしています。
そこで、都立病院の緑化の方針について伺います。
○別宮サービス推進部長 都立病院は、緑の東京年十年プロジェクトの基本方針に基づきまして緑化を推進しております。
緑には、温暖化抑制機能や、副委員長が先ほどご指摘のとおり心をいやす機能がございまして、特に病院におきましては、患者さんに安らぎや潤いを与えるなど、その役割は多様かつ重要でございます。
このため都立病院では、再編整備にあわせまして、屋上緑化や患者さんが自由に散策できる庭園の整備を推進するとともに、すき間空間を有効に活用し、可能な限り院内外の緑の創出に努めております。
○山下委員 それでは、これまでの具体的な緑化の取り組みと成果について伺います。
○別宮サービス推進部長 具体的には、病院内におきましては、従来から病棟デイルームや外来待合、エレベーターホールなど随所に観葉植物を配置いたしまして院内環境の整備に努めております。
また、さらなる緑化推進の観点から、すき間に緑化プランターを配置するすき間空間への緑化にも取り組んでおります。
屋外におきましては、平成十三年度に広尾病院の産科病棟や小児科病棟のある四階病棟テラスの緑化を行い、また、再編整備にあわせまして、平成二十二年三月には松沢病院医療観察病棟の屋上緑化を、また、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの整備では屋外庭園の整備を行いました。
さらに、今年度開設いたしました駒込病院の緩和ケア病棟につきましては、緑を配置した屋上庭園を配置するなど、病院ごとに医療機能や緑化の効果を考えた療養環境づくりを進めてまいりました。
引き続き、患者さんにとってよりよい環境づくりを推進してまいります。
○山下委員 よくわかりました。先ほどのご答弁にもありましたように、東京都は、これまで緑あふれる東京の実現を目指し、街路樹倍増計画や建物の屋上緑化などを進めており、都の施設においても実態に即した緑化を行っていると認識しております。
都立病院での緑化の推進は、患者さんへのサービス向上につながるのはもちろんのこと、患者さんのために身を粉にして働く医師、看護師を初めとする職員の皆さんの心身の健康維持にも役立つものと考えます。
先ほどお話ししたストレスの軽減だけでなく、植物には、空気の質の改善という科学的な働きもあります。人体に有害な揮発性有機化合物の吸収、分解、さらに消臭などによって病院が働きやすい職場になり、それがまた医療サービス向上につながるものと考えます。
このような観点からも、都立病院でなお一層緑化が進められますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○吉田委員 皆様お疲れさまでございます。本日最後の質問者でございます。よろしくお願いいたします。まず、病院経営本部の、そして都立病院の皆々が、都民の命と健康と安全を守るため、日夜全力で努力をされていますことに心より感謝を申し上げます。
都立病院の医療人材の確保につきましては、ここ数年の議会での議論も踏まえまして、さまざまに取り組みをされていると伺っております。
本分科会に提出されました資料、この4ですね、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移によれば、平成二十二年度は、前年度と比較し、特に医師や看護要員で定数、現員ともに増加していることがうかがえます。
このことは、都立病院の再編整備とともに、七対一看護体制の拡充を初め、医療提供体制が充実強化していることをあらわしていると思います。
まずは、この確認のためにお伺いしますが、この資料における医師及び看護要員の、この三年間の充足率の推移について伺います。
○藤田経営企画部長 まず、医師につきましては、平成二十年度は九五・六%、平成二十一年度は九六・一%、また、平成二十二年度は九六・八%と、毎年着実に充足率を上げてきております。
また、看護要員につきましては、平成二十年度は九九・六%、平成二十一年度は一〇一・九%、平成二十二年度は一〇五・三%と充足率を上げてきてございます。
○吉田委員 平成二十年度以降、充足率は年々増加傾向にあって、まず医師について体制が強化されていることが明確にあらわれています。また、看護要員についても、確保のための着実な取り組みなどによって看護体制の拡充が進んでいるわけであります。
この常勤職員の配置状況はご説明のとおりでございますが、医師については一〇〇%には達していない。平成二十二年度で九六・八%ということでございますが、私、これ以外にも非常勤の職員が医師を初め多く配置されて都立病院の医療提供に貢献していると考えております。
そこで、平成二十二年度の医師の充足率について、非常勤医師を常勤換算して含めた場合の数値をお伺いいたします。
○藤田経営企画部長 非常勤医師につきましては、さまざまな勤務形態がございますけれども、これを常勤換算いたしますと、合計で一千九十六名となりまして、常勤定数に対する充足率は一二五・一%となってございます。
○吉田委員 充足率が一〇〇%を超えていると。こういう数値となっておりますのは、都立病院がこれまでに医療人材の確保に向けて一生懸命に取り組んでこられた成果だと感じております。
私は、昨年三月の第一回都議会定例会の厚生委員会で、ここ数年の間に医師については、宿日直手当が三万円と以前のほぼ倍増になるなど給与面での改善が進んでいること、また、チーム医療における専門性を持つ看護人材の活用が医療崩壊を食いとめる上で重要な役割を果たすのではないか、また、都立病院が持つ高度な医療機能を十分発揮していくため、専門分野において卓越した能力を持つ者への処遇も必要じゃないかということを申し上げた次第であります。
その際、御本部から取り組みの状況についてお伺いし、今後の人材確保や育成の成果が大いに期待ができますし、また、有能な人材が安定的にそろうことで都立病院の高度で専門的な医療提供体制が継続的に確立し、患者、サービスのさらなる向上につながるものと心強く感じたところであります。
この都立病院は、公的医療機関として都民の生命と健康と安全を守るため日夜ご努力をされているわけでありますが、一方、そこで働く職員の処遇、そして勤務環境の改善にも一生懸命に取り組んで人材確保策を継続して推進しておられるものと思います。
本日は、決算の委員会ということで、改めて、医師及び看護要員などについて、平成二十二年度までの処遇改善等について、その具体的な内容についてお伺いをします。
○藤田経営企画部長 平成二十年度は、初任給調整手当適用区分変更に伴います増額、指導医業務手当の新設、異常分娩手当の新設、育児短時間勤務制度の導入、あるいは院内保育室の拡充、医療クラークの導入、病院賠償責任保険加入による医療リスクへの対応といったものに対応してきてございます。
また、平成二十一年度でございますが、緊急登院に対応した交代制勤務等業務手当の増額、救急医療業務手当の新設、あるいは産科医業務手当の新設等を行ってございます。
また、平成二十二年度には、平成二十一年度に継続をいたしまして医師公舎の追加借り上げ、また、二十四時間院内保育室の拡大や保育年齢の延長等、院内保育室の拡充などが挙げられるところでございます。
処遇改善や勤務環境改善以外にも、看護キャリアパスの充実、あるいは資格取得支援の拡大等、医療スタッフのスキルアップにも引き続き取り組んでいるところでございます。
○吉田委員 ただいまご丁寧にご答弁いただきました。都立病院が医療人材の確保、育成についてこれまでも積極的に取り組んでこられましたし、その結果として医療提供体制がしっかりと拡充、整ってきているということは、本当に私は評価をさせていただきたいと思います。
本日も各会派の委員の先生方からいろいろと質疑がございましたけれども、今後もこれまで同様取り組みを継続し、都民に対してさらなる充実した医療が提供されるように、しっかりと取り組んでいただきますようにお願いいたしまして、次の質問に移ります。
次に、廃止をされましたというか、統合されました清瀬小児病院の移転後の北多摩北部地域における小児医療の確保についてお伺いいたします。
都は、多摩地域における小児救急医療体制の整備のために、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を移転統合し、平成二十二年三月に小児総合医療センターを開設されました。
移転に当たりましては、私ども民主党から地域医療を確保するための緊急要請を行いまして、都からは、医師の派遣などの対策を約束していただいたという経緯がございます。とりわけ北多摩北部地域については、清瀬小児病院が、その地域の小児医療の中心的な役割を果たしてきましたので、初期救急に関しても清瀬小児病院に患者が集中する傾向があったかと思います。
このため、当時は、清瀬小児病院を頼りにしていた地域の皆様の不安は大きく、移転しても安心して医療が受けられる体制があるのか、これをきちんと確保する体制を構築する必要がございました。
この対応として、都は、一般会計ではありますけれども、東京都保健医療公社の多摩北部医療センターに二系列の救急受け入れ体制を構築し、同センターに小児総合医療センターの医師を派遣するなど、密接な連携を図りながら地域の小児救急医療体制を確保していくとされたわけであります。
引き続き、北多摩北部地域の後医療をしっかりと確保していただいていると思いますので、この平成二十二年度の決算に当たりまして、その後の状況を確認してまいりたいと思います。
まずは、この清瀬小児、移転後の地域の小児医療体制をどのように構築してきたのか、再度ご確認をしたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターでは、清瀬小児病院移転前に、十三床でありました小児病床を移転に合わせて三十五床に増床いたしまして、受け入れ体制を構築してまいりました。
また、小児救急外来の当直を二系列で実施するとともに、地区医師会との連携協力による平日五日の準夜小児救急の実施などによりまして、地域の小児救急体制を維持継続してきております。さらに、多摩北部医療センターを小児総合医療センターの特別連携病院として位置づけまして医師の交流を図るなど、密接に連携しながら小児医療体制を確保しているところでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。当時こういうふうに頑張ってまいりますとおっしゃっていたことを、その後着実に実施していただいているというご答弁であります。
この北多摩北部地域の後医療について、多摩北部医療センターが中心的に担っていく体制であること、そして、しかし、それを任せきりにしないで小児総合医療センターの特別連携病院と位置づけて、人的な連携を図りながら、この小児救急医療体制を確保、維持していただいていることを確認いたしました。
この特別連携病院としての連携について、もう少しお伺いしたいと思います。この、清瀬小児病院が受け持っていた地域の小児救急を多摩北部医療センターに引き継ぐに当たって、小児総合医療センターとしてどのように連携してきたのかお伺いします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 清瀬小児病院が移転した直後から、小児総合医療センターの医師を継続して派遣することで、多摩北部医療センターにおける小児医療の診療体制を確保、維持しております。
具体的に申し上げますと、移転直前に常勤医師が四名体制であったところ、二十二年三月時点でシニアレジデントを含めて九名体制、五月からは十一名体制となっております。
このほか、小児総合医療センターに多摩北部医療センターのシニアレジデントを一定期間受け入れまして、多摩北部医療センターの医療水準の向上に努めているところでございます。
○吉田委員 小児総合医療センターは、多摩地域における小児救急医療体制を支えて、こども救命センターとして三次救急も担っていく役割がございます。特に、開設後の平成二十二年度は病棟の段階的な開棟など、すぐには軌道に乗らなかったと思われますので、安定するまで医師を初め、関係の皆様大変ご苦労されたと思います。
そうした中でも、多摩北部医療センターとしっかりと連携していただきながら、清瀬小児病院の後医療である北多摩北部地域の小児医療体制の確保に向けて努力をされてきたものと考えます。
多摩北部医療センターの医師の皆様ももちろん努力をされていると思いますが、小児総合医療センターとの連携があって初めて地域の皆様が安心できる医療体制が機能している、こういうことを感じました。
そこで、この体制はしっかりしているんだということで実績についてお伺いをいたします。多摩北部医療センターにおける平成二十二年度の小児救急患者の実績はどれだけだったのかお伺いします。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターの平成二十二年度の小児救急外来患者数でございますけれども、七千七百五人でございまして、移転前でございますが、平成二十年度と比較して三千三百二十五人の増加で一・八倍、平成二十一年度と比較しまして八百三十五人の増加、一・一倍となってございます。
○吉田委員 七千七百人余りということでございます。この初期救急の患者の数というのは、例えば、ことしはRSウイルスがはやっているようでございますが、インフルエンザの流行などは、その時々の状況によって大きく変化をいたしますので、一概に、数字を単純に比較することはできませんけれども、移転後の体制を全くとっていなかった段階の平成二十二年度と移転後の平成二十二年度を、乱暴にですけれども、単純に比較すると、多摩北部医療センターの受け入れ患者数は実に二倍近くになっているというご答弁でございました。
こうした数字を聞かせていただいても、医療体制の確保に関する緊急要請を行って、これを受けとめていただいて、実際に体制を確保していただいたということは、本当によかったと思っております。
当時、清瀬小児病院が担っていた小児初期救急の患者数は約一万人ということで伺っております。この一万人の患者さんを確実に受けとめていただける、こういう体制をつくってもらえているんだと認識はいたしますけれども、この七千七百という数字は若干少ないようにも感じるわけでございます。
そこで、この実績でありますが、地域の皆さんの医療が、それはきちんと確保できているんですよということを改めてもう少し丁寧に、詳しくお伺いしたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 地域医療につきましては、初期医療は地元の医療機関、入院の必要な二次医療は多摩北部医療センター、あるいは公立昭和病院などの中核病院、専門医療は小児総合医療センターがそれぞれの役割を担っております。
小児救急につきましては、多摩北部医療センターのほか、近隣の中核病院においても受診機会が適切に確保されておりまして、清瀬小児病院に集中していた患者さんが地域の医療機関に分散化していると考えております。
具体的に申し上げますと、地域の医師会が実施する準夜帯の小児救急診療は、平成二十一年九月より、従前の週三日から週五日に体制を強化しておりまして、一日当たりの患者さんの数は、平成二十年度に三・五人であったものが平成二十一年度は四・五人、平成二十二年度は五・四人と、移転前に比べて、数で申し上げますと二名程度ふえております。
また、公立昭和病院の一日当たりの小児救急の患者さんの数は、平成二十年度に九・三人であったものが平成二十一年度は十一・三人、平成二十二年度は十一・〇人と、移転前に比べて、やはりこちらも二名程度ふえたというふうに聞いております。
このほか、清瀬小児病院には埼玉県からの多くの患者さんが来院しておりましたけれども、清瀬市に隣接する所沢市の市民医療センターでは、清瀬小児病院の移転後の対応を含めまして従前の準夜帯に加えまして深夜帯の救急診療を平成二十一年十月から週四日に、そして本年、平成二十三年一月から週五日に拡大したというふうに聞いております。
この結果、一日当たりの小児の救急患者さんの数は平成二十年度に二十四・四人でございましたが、平成二十一年度には三十五・一人、平成二十二年度には三十四・六人と、移転前に比べて十人程度ふえたと伺っております。
○吉田委員 これは、多摩北部医療センターでの患者数の増加のほか、ほかの中核病院である公立昭和病院では一日当たり二人増、もともと埼玉県からの患者さんが多数いらっしゃったわけですが、その方々は埼玉県内の医療機関で受診されて一日当たり十人増、そのほか、当然、地元の診療所などでも患者さんはふえているでしょうから、それまで一万人という患者さんは、これまでの清瀬小児病院一点集中でずっと来られていた状況から、各医療機関に分散して、結果的に地域の医療はきちんと確保されている、機能しているんだというご説明であったと思います。
しかしながら、これがきちんと機能しているんだということをいうためには、皆さん渋々そうされているということでなくて、地域の皆様が安心して子どもを育てる環境にあると感じていらっしゃるか、また、地元の医師会の先生方が過度の負担感を持たずに今の新しい体制に理解、協力をいただいているかなど多面的な分析をして、その結果を受けて初めて総括できるものと考えます。
そこで、地元の各自治体あるいは医師会の先生方は、清瀬小児病院移転後の小児医療体制についてどのような評価を今していらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。
○齊藤経営戦略・再編整備担当部長 清瀬小児病院移転後の地域の小児医療体制を確保するために、小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、及び西東京市の各自治体や各地区医師会、並びに公立昭和病院、病院経営本部などで構成する小児初期救急医療体制推進協議会が設立されまして、年二回程度意見交換を行っております。
清瀬小児病院の移転前は、ご指摘もございましたように、移転後の小児医療に対して不安の声も寄せられたことも事実でございますが、多摩北部医療センターなどの救急外来の充実化などの対応を実施したことで、先ほど数字をお示しさせていただきましたように、当初より混乱のない、安定した状態が続いております。
同協議会におきましても、各自治体より、住民の方々からは現体制で困っているとの意見は届いていない、あるいは現在の体制は着実に住民の方々に浸透しているなどといった肯定的な見解が示されておりまして、地域の方々から相応の評価をいただいているものというふうに認識しております。
今後とも、地元自治体との連携を密にしまして、地域における小児医療の状況を見据えながら、地域の方々が安心できる医療体制を確保していきたいというふうに考えております。
○吉田委員 ありがとうございます。私ども民主党が緊急要請をさせていただいて、それをできる限り一生懸命取り組んでいただいて、都には北多摩北部地域の小児医療体制をしっかりと確保していただいて、地域の皆様からは、これもしっかりと理解を示していただいて苦情の声が上がっていない。そしてまた、何かあったときにはきっちりと見てくれる体制になっているから、安心して子育てできるんだという状況だということをご答弁いただいたと思います。
また、移転後の患者数は当然ふえていますけれども、地域の皆様も混乱することなく、安定した状況が続いているということも確認させていただきました。今後とも、この地域におきましては、多摩北部医療センターを中心として一次医療と二次医療の連携、二次医療と三次医療の連携をさらに、これまで以上に進めていただくことが大事だと思います。
そのため、小児総合医療センターが総合力を発揮しながら、特別連携病院であります多摩北部医療センターとの交流、医療連携をさらに深めていただいて、さらに地域の皆様から信頼される、安心できる医療体制を提供していただくということを要望したいと思います。
この地域の後医療体制をしっかりとやっていただいているということは、今後とも病院経営本部が行う都内の他の医療圏でのさまざまな事業、施策、これに対する都民の信頼感の源となるものでございます。
今後とも都民の命と健康を守るためにさまざまなご努力を一層していただくように改めてお願いいたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後四時十六分散会
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