平成二十二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

平成二十三年十月二十四日(月曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長岡田眞理子君
副委員長中谷 祐二君
副委員長橘  正剛君
副委員長小宮あんり君
くりした善行君
高橋かずみ君
滝沢 景一君
大松あきら君
たぞえ民夫君
宇田川聡史君
大沢  昇君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長野澤 美博君
次長中村  靖君
総務部長宮川  昭君
職員部長廣瀬 秀樹君
資産運用部長室星  健君
電車部長小泉  健君
自動車部長土岐 勝広君
車両電気部長石井 明彦君
建設工務部長廣木 良司君
企画担当部長広瀬 健二君
安全管理担当部長新名  丘君
バス事業経営改善担当部長岡本 恭広君
技術調整担当部長奥津 佳之君
技術管理担当部長川合 康文君

本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・平成二十二年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・平成二十二年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・平成二十二年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○岡田委員長 ただいまから平成二十二年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十二年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都交通事業会計決算、平成二十二年度東京都高速電車事業会計決算及び平成二十二年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮川総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料を、お手元の第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。都営交通無料乗車券の発行実績でございます。
 身体障害者、知的障害者ごとに、発行した枚数を過去五年間分記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。東京電力株式会社の所有株式数、配当金収入の推移でございます。
 東京電力株式会社の所有株式数と配当金として得た収入を過去五年間分記載してございます。
 次に、三ページをお開き願います。水力発電の販売電力量及び電力料の推移でございます。
 東京電力株式会社に対し販売した電力量と収入を過去十年間分記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。事業別職員数及び人件費割合の推移でございます。
 各事業における職員数及び経常費用に占める人件費割合を過去五年間分記載してございます。
 次に、五ページをお開き願います。都営バス、民営バス事業者の土休日等の子ども運賃の割引でございます。
 当局及び都内民営事業者が行っている運賃の割引について、事業者ごとにサービスの名称及び内容並びに実施時期を記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○岡田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中谷委員 私からは、高速電車事業と交通事業について何点かお伺いをいたしたいと思います。
 公営企業というのは、将来にわたって経済性を発揮しつつ、そしてまた、本来の目的である公共の福祉を増進していくために、経営の環境の変化に適切に対応して、公営企業のあり方を絶えず見直していくことが不可欠だと思います。
 そこでまず、高速電車事業、都営地下鉄についてお伺いいたしたいと思いますが、経常損益を見ますと、平成十八年度から黒字基調になっておりまして、平成二十二年度の決算状況では、経常損益は九十一億円の黒字を確保いたしております。ただ、平成二十年度は百四十億円黒字があったことと比べますと、若干、黒字の額は減っていると。ただ、経営状態としては非常に、着実に改善が進んでいるものと思われます。
 しかし、依然として、平成二十二年度末で四千二百十五億円に上る累積の欠損金があること、そしてまた、一兆円を超える長期債務を抱えておりまして、その解消には、まだまだ時間がかかるものであります。
 このような経営状況の中で、既存の路線の維持管理や、あるいは未着手路線の検討を進めていかなくてはなりませんけれども、昭和四十三年に全線開通いたしました浅草線については、トンネルなどの資産の老朽化が特に進んでいるものと思われます。
 その際、安全輸送を支える基盤として適切な維持管理が求められる中、次代への承継がしっかりとなされるように取り組んでいるとは思いますが、高速電車事業における構造物の維持管理のピークがいつごろ訪れるのか。それとも、ピークというのはなくて、平準化されているものなのか。そのことについて、計画と取り組みについてお伺いをいたします。

○川合技術管理担当部長 これまで、地下鉄構造物の維持管理につきましては、日常点検や定期検査を通じて、コンクリートの剥落対策を施すなど、安全レベルを維持してまいりました。
 今後、構造物の老朽化が進展するにつれ、維持管理費が増大していくことが予想されます。このような経費の平準化を図り、維持管理を計画的かつ効率的に行っていく必要がございます。
 このため、平成二十年度から、公益財団法人鉄道総合技術研究所や学識経験者を交えた委員会を立ち上げ、検討を進め、中長期的な維持管理を行い、長寿命化を図る手法として予防保全型管理を導入していくことといたしました。

○中谷委員 学識経験者などを交えた委員会を平成二十年度から立ち上げたということであります。ちょうどもう三年が経過をいたしております。そして、この委員会のメンバーというのは、鉄道総研の方、それから、東京都の職員の方はもちろん、横浜市の交通局、そして東京メトロの職員の方などで、十二名で構成をされていると。
 で、都は三年間で三千三百万円程度の費用負担をしているということでありますが、この委員会で具体的な提案とか、この三年間における成果についてお伺いいたします。

○川合技術管理担当部長 浅草線につきまして、平成二十一年度に、電磁波探査や化学的試験による鉄筋やコンクリートの劣化状況及びトンネル内の漏水の有無などについて調査、分析を行いました。その上で、二十二年度に、将来の劣化を予測し事前に対策を行う予防保全型の補修計画を策定いたしました。
 今年度は、浅草橋から蔵前区間において、構造物に悪影響を与える漏水をとめるための薬液注入や、コンクリートの劣化を防止する被覆材を表面に張りつけるなどの試験施工を実施し、その効果を見きわめながら、順次、全区間に展開してまいります。

○中谷委員 この分野での技術革新も相当進んでいると思いますので、ぜひこの維持管理については、安全性を求めながらも、その費用の削減というものをしっかりと意識していかなければならないと思います。
 続いて、平成十二年、運政審からの答申で、二〇一五年までに整備着手することが適当であるといわれている、いわゆるA2路線についてお伺いしますが、当然、これは交通局が事業主体として進めるものと思いますけれども、大江戸線の練馬の光が丘駅から西側の延伸についてお尋ねをします。
 現状の確認と、今後の国との交渉において、どうしてもかぎを握るのは採算性であるという文言がいつも出てくるんですけれども、公営交通に求められているその役割の観点から、都としての事業としての見通しを、再度、ここで確認をいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○廣木建設工務部長 大江戸線の光が丘駅以西への延伸につきましては、これまで、運輸政策審議会の答申などを踏まえまして、地質調査や周辺の土地利用の実態調査を実施するなど、基礎的な検討を進めてまいりました。
 鉄道事業法に基づく国への許可申請手続に当たりましては、先生のお話のとおり、事業の採算性などの要件を満たす必要がございます。このため、引き続き、地元区や関係局などと連携して、工事費や事業採算性などを含め、ハード、ソフトの両面から具体的な検討を進めてまいります。

○中谷委員 導入空間であります補助二三〇号線というのが、これ、笹目通りから大泉学園通りまでの道路でございますが、これは、昨年、すべての事業認可がおりまして、日々、道路整備が進んでいる中で、どうしても地元の住民の方は、道路ができると、一緒に地下鉄を掘っているんじゃないかと思っていらっしゃる方もいまして、期待も大変熱いものがあります。
 そして、今のご答弁で、答申を踏まえ、基礎的な検討を実施するとありますけれども、いま一度、その基礎的な検討とは何か、具体的な説明をいただきたいのと、事業の採算性を含め、事業化に向け、引き続き具体的な検討を進めるともありました。この具体的な検討ということもお示しをいただきたいと思います。
 といいますのが、三月十一日に震災が起きまして、このことが少なからず、この大江戸線の延伸についても影響があるのではないかと。なぜかといえば、きょうも新聞に出ておりましたけれども、国レベルでは、固定資産税の税収だけでも四千億円程度減収する見込みであると。これは、国レベルで四・四九%、固定資産税が下がるだろう、税収が減るだろうということであります。
 都も、今、年間一兆円以上、固定資産税収がありまして、四・四九%程度とすると五百億円程度になるんだと思いますけれども、要は、都財政も税収が減る厳しい中、まして、こういった鉄道の事業において、やはり震災前と震災後ではかなり状況が変わってきていると思いますので、その基礎的な検討であるとか、今おっしゃっていただいた具体的な検討ということは、もう少し掘り下げてご答弁いただきたいと思います。

○廣木建設工務部長 交通局としましては、工事区間や工事費用についてでございますが、現在、延伸ルート、駅の位置、トンネルの構造などの検討を進めております。
 さらに、事業化に向けた具体的検討についてでございますが、今後は、採算性も含め、事業化に当たっての課題であります駅やトンネル構造、周辺地域の状況を反映した需要予測などの検討を進めてまいります。

○中谷委員 既に開業している練馬-光が丘駅間の事業費は、一キロ当たり二百九十億円程度でありました。そして、光が丘-大泉学園間というのはおおよそ四キロでございまして、単純に計算すると一千二百億円程度の事業費が必要かと思いますが、シールド工法なんていうものが非常に、やはり技術的な進歩もあり、恐らく事業費については、ここまで見込まなくても大丈夫であるということの見通しもあります。この事業費については、国の補助率が二五%、そういったことを考えると、都は、大体、八百から九百億円程度の事業費であると推測されます。
 練馬というのは、毎年毎年、実は、まだ一万人ずつ人口がふえている区でありまして、世の中、一般的には人口減少社会であるかもしれません。ただ、東京都自体も、まだ人口がふえているという現実と、非常に交通過疎というか、交通の不便な地域だといわれ続けてきたエリアではありますので、ぜひ公営交通の使命、そして財政上の裏づけをしっかりとっていただいて、この大江戸線延伸については力を注いでいただきたいと思います。
 続いて、バス事業についてお伺いをいたしますが、この収支は、平成十六年から経常損益は黒字でありますけれども、営業損益は一貫して、大体、二十億円程度の赤字であります。経常損益が黒字なのは、東電の配当が寄与しているものでありますが、毎年、ここ五年間ぐらいは二十五億円程度の配当があったと記憶しておりますけれども、今年度以降、東電の配当が見込めないという状況下で、経常損益は、恐らく赤字になる見込みだと思います。
 一方、二十二年度の決算説明資料を見ますと、累積の資金残が三百億円以上ありまして、この東電の二十五億円というのが、ことし以降入りませんけれども、バスの運賃について、当面はこの累積の資金残を活用して賄うという判断でよろしいのか、バスの値上げについては検討しないのか、その点も確認をいたしたいと思います。

○宮川総務部長 東京電力の株式配当を見込めないことによる減収額は大きなものであることから、当面、経常黒字を確保することが難しい状況にございます。
 これまでも都営バス事業は、幾度となく困難な状況に直面してまいりましたが、その都度、局を挙げた経営改善により乗り越えてまいりました。
 今回についても、東京電力の株式配当が見込めないということだけをもって運賃を値上げするということはなく、数年にわたる地道な取り組みによりまして収支改善に努め、引き続き、都民の足としての役割を果たしてまいりたいというふうに考えてございます。

○中谷委員 ぜひよろしくお願いします。
 貸切バス事業についてお伺いしたいと思いますが、現在は保有台数が、これ、観光バスの五台と乗合バスを転用する形で営業していると。で、乗車料収入は、平成二十二年度で三億七千四百万円、前年比で約二千八百万円のプラスの収入でありました。
 五台という規模が、貸切バス事業の許可に必要な最低車両数であるというふうに伺っておりますけれども、実は、この貸切バス事業というのは、広く都民の皆さんに知られているかといえば、余り知られていない事業だと思います。しかし、限られた人々にとっては大変人気のあるのも事実でありまして、料金についてはなかなか、最近、民間のバス会社も安い料金で提供する傾向にはありますけれども、その競争も大変激しいとは思いますが、観光バス事業について、都としては拡大していく方向性であるのかどうか伺います。

○土岐自動車部長 都営バスでは、観光用車両による遠隔地等への貸し切り運行のほか、一般の路線バス車両を転用し、地域における小中学校の行事や、大規模施設でのイベントなどの際にも貸し切り運行を行っております。
 観光用車両は、最盛期には二十一両ありましたが、規制緩和による新規事業者の参入の増加など、厳しい事業環境の中、体制のスリム化を図り、平成十二年度から五両で営業しております。
 これらの観光用車両を使用いたしまして、先般の東日本大震災発生の三日後から、被災地への東京都医療救護班の派遣に協力を続けるなど、関係局と連携し、都の一員として役割を果たしたところでございます。
 今後とも、都営バスでは、現在の観光用車両の活用を図るとともに、引き続き、地域での多様な輸送のニーズにこたえられるよう、路線バス車両による貸し切り運行も行うことで貸し切り事業を継続してまいりたいと考えております。

○中谷委員 今のご答弁で、震災という際に、思わぬ用途もあったと伺っております。ですから、最低の五台という車両でありますけれども、ぜひこの観光バスの貸切バス事業については継続をしていただきたいと思います。
 そしてまた、バス路線についてでありますが、地下鉄の新線の開業、副都心線が開業いたしたことによって、いわゆる都のドル箱路線が非常に大きな打撃を受けたと伺っております。
 地下鉄と地下鉄をつなぐ路線であるとか、地域の再開発に合わせたバス路線の設定であるとか、また、都内は、環状線は確かにきっちりしていますけれども、南北の交通が多少不便なところがありまして、そういった利便性を図る意味で、新たなバス路線自体の見直しについて検討されているかどうか伺います。

○岡本バス事業経営改善担当部長 都営バスは、主として多くの人々が活動している地域と鉄道駅、あるいは鉄道駅同士を結び、鉄道を補完することにより、公共交通ネットワーク全体の利便性、効率性を向上させる役割を担っております。
 こうした考えに基づきまして、乗客潮流の変化を把握し、路線や運行ダイヤの見直しを行うなど、これまで適切に対応してまいりました。
 平成二十二年度には、大規模マンションの建設が進む中央区勝どき地区、大規模商業施設が開業した江東区北砂地区などにおいて輸送力の増強を図ったところでございます。

○中谷委員 その時代、時代でバス路線の見直しをしているということでありました。
 それでは、都バスと、はとバスの関係についてお伺いをいたしたいと思いますが、平成十五年から、はとバスに一部、都バスの運行管理を委託しているとのことであります。特に杉並区については、実際の運行ははとバスが行っていると。都職員が運転する路線、そして、はとバス所属の運転手の方が運転する路線が混在をし、仕事の技術的な難易度というのは同じなんだと思うんですが、その人的な処遇において大きな開きが生じております。
 人件費だけを考えれば、はとバスに委託をした方がはるかにローコストで済むのは承知をしておりますけれども、都として、運転手の方が退職をした際に新規採用で補充をしているという現状からすると、人件費削減の方向性が一貫しているわけではありません。
 今後の都バスの運転手の確保について、その方針についてお伺いをいたします。

○宮川総務部長 都営バス事業は、交通局がダイヤ、運賃等の決定権を留保しながら、運行業務全般を外部に委託する、いわゆる管理の委託方式を導入しまして経営の効率化を図ってきております。このため、都営バス路線は、交通局の職員とともに、局から委託を受けた株式会社はとバスの職員が運行を行っているという実情にございます。
 今後とも、直営と委託の最適な組み合わせによる経営の効率化を図るとともに、局と受託会社の双方が、それぞれバス路線の運行に必要な人員を確保してまいります。

○中谷委員 都と、局と受託会社の双方が、それぞれのバス路線の運行に必要な人員を確保していくということは、双方で採用していくということなんだと思いますけれども、公営バスについて、比べたときに完全にその人件費が、民間と比べると、どうしても公営バスの方が高いというのは日本総研なんかの統計でも出ておりまして、圧縮するとなると、やはりこの人件費になるんだと思うんですが、はとバスとの兼ね合いもよく熟慮して、今後、人件費削減について進めていっていただきたいと思います。
 平成二十一年四月から財政健全化法が全面施行されて、いわゆる公営企業が行っている事業そのものの意義でありますとか供給しているサービスの必要について、さらに検討をし、費用対効果をどうしても求めなければいけないところも多々あると思いますが、公営企業の抜本的改革を推進しつつ、さらなる経営の健全化に取り組んでいただくようにお願いをいたしまして、私の質問は終えます。

○高橋委員 平成二十二年度の交通局の決算審査に当たりまして、都営地下鉄事業と都営バス事業についてお尋ねいたします。
 交通局の歴史は、明治四十四年八月、東京市が電気局を設置し、路面電車を運行する軌道事業と、火力発電を行う電気事業を開始したときにさかのぼり、本年八月には創業百周年を迎えました。両国の江戸東京博物館では、記念の展覧会、東京の交通百年博が開催され、約二カ月の会期中に、当初の予想を上回る十四万人を超える入場者があったと伺っております。
 このように、本年は都営交通にとって記念すべき年ではありますが、あくまでも一つの節目、通過点であるととらえ、より一層、引き締めて事業運営に当たっていただきたいと思います。
 さて、平成二十二年度は、交通局が策定した経営計画ステップアップ二〇一〇の初年度でありますので、計画に掲げられた安全・安心の確保、質の高いサービスの提供など、さまざまな取り組みを進めてこられたことと思いますが、本日は、交通局の決算から読み取れる課題について、何点かお伺いいたします。
 まず、地下鉄事業についてでありますが、平成二十二年度決算説明書の七〇ページを見ますと、都営地下鉄の乗車人員は、大江戸線を除き前年度を下回っています。
 そこで、平成二十一年度と比較した平成二十二年度の乗車人員の動向や減少の要因について、まず伺います。

○小泉電車部長 平成二十二年度の都営地下鉄の乗車人員でございますけれども、一日平均約二百三十三万人であり、前年度と比べ約五千人、〇・二%の減少となりました。二月までは前年度と比べ増加基調であり、二月末時点の累計で〇・五%の増でありましたが、三月ひと月で見ますと、前年より、一日平均約十八万六千人、率にして八・一%の大幅な減少となり、その結果、平成二十二年度全体の乗車人員は、前年度より減少いたしました。
 これは、三月十一日に東日本大震災が発生し、その後、三月十四日以降に実施された計画停電などにより、社会経済活動が停滞したことの影響があったものと考えています。

○高橋委員 東日本大震災等の影響を受けたとのことでありますが、先日の委員会で局長からも説明があったように、今後、少子高齢化の進展により乗客数の減少も懸念する中で、積極的な乗客誘致対策を進めるべきと思います。
 次に、地下鉄事業の収支についてでありますが、平成二十二年度決算の高速電車事業会計の経常利益は九十億八千万円との報告を受けました。確認のため、最近の地下鉄事業の経営状況について伺います。

○宮川総務部長 地下鉄事業は、初期投資が多額であることから、収支を均衡させるには長期間を要するという特徴がございます。交通局においては、長年にわたり、資本費負担の低減や、増収対策による乗車料収入の確保、駅業務の委託を初めとした経営効率化などの取り組みを積み重ねてまいりました。
 こうした取り組みの結果、営業損益については、平成十六年度決算以降、黒字を確保してきてございます。また、経常損益につきましても、平成十八年度決算以降、二十二年度決算まで五期連続で黒字を確保するなど、地下鉄事業の経営状況は着実に改善をしてきてございます。長期債務につきましても年々減少してきてはおりますが、平成二十二年度決算においても、依然として一兆四百四十億円に上っております。
 今後も、増収対策に努めるとともに、経営効率化を進め、地下鉄事業の経営基盤の強化に努めてまいります。

○高橋委員 着実に経営改善が図られているとのことでありますが、私は、経営基盤の強化とともに、交通事業者として、安全・安心の確保を経営の根幹に据え、お客様サービスの向上に向けた取り組みを着実に進めていくことが最も重要であると思います。
 そこで、昨年度、安全対策やサービス向上策としてどのような取り組みを行ったのか伺います。

○広瀬企画担当部長 平成二十二年度の地下鉄事業における主な取り組みでございますけども、安全・安心の確保といたしましては、転落事故防止に有効なホームドアの大江戸線導入について、駅の電力設備の増強や車両改修などを行い、清澄白河駅に設置いたしました。
 また、より安全で正確な運行を確保するため取り組んでいる総合指令の整備につきまして、昨年度は庁舎の建設や運行管理システムの構築を行いました。
 このほか、お客様の安全確保のため、地下鉄各駅に設置しているAEDを増設し、すべての改札口に設置いたしました。
 一方で、環境に優しい都営交通の利用を促進する観点から、PASMOを活用したポイントサービスを構築し、各駅にポイントチャージ機の設置を開始いたしました。
 また、だれもが利用しやすい公共交通機関を目指して、エレベーターによるワンルートの確保やエスカレーターの増設など、駅のバリアフリー化を進めました。
 このほか、沿線の開発が進んでいる勝どき駅の混雑対策として、駅の出入り口を増設し、ホーム増設やコンコース拡張を含めた大規模改良に着手いたしました。

○高橋委員 安全対策やサービスの向上にも積極的に取り組んでいることがわかりました。その中で、特にホームさく、いわゆるホームドアの整備に関連してお伺いいたします。
 鉄道利用者がホームから転落する事故が新聞等で報道され、問題となっております。ホーム上の安全対策を推進するためには、ホームドアを整備することが最も有効な手段であると認識しておりますが、まずは、都営地下鉄におけるホームからの転落件数の推移について確認させていただきます。

○小泉電車部長 ホームドアの設置してある都営三田線におきましては、駅ホームからの転落は発生していませんが、他の三線における転落件数、これには、けがをされていない方も含めておりますけれども、平成十八年度以降で見ますと、十八年度は四十七件、十九年度は六十件、二十年度は五十七件、二十一年度は比較的多く八十六件、二十二年度は五十三件でありまして、おおむね五十件から六十件程度で推移しています。

○高橋委員 三田線の状況を聞けば明らかなように、ホームドアの設置は、安全対策の面では最も有効な手段であります。私は、平成二十年予算特別委員会においても、ホームドアの整備に係る工期や費用の圧縮など経営に与える影響を最小限にとどめる方策を講じた上で、早急に整備するように求めました。
 こうした中、交通局は経営計画の中で、平成二十五年度までに大江戸線全三十八駅にホームドアを整備するとしております。
 そこで、大江戸線ホームドアの整備について、これまでの進捗状況を伺います。

○奥津技術調整担当部長 大江戸線のホームドアの整備につきましては、昨年十二月に清澄白河駅に最初のホームドアを設置し、係員の取扱訓練などを経まして、平成二十三年四月から使用を開始いたしました。
 その後、順次ホームドアの設置を進めまして、現在、門前仲町、月島、勝どき、築地市場、汐留、大門の七駅で使用を開始してございます。
 今後、今年度末までに環状部南側十五駅の使用を開始いたしまして、その後、環状部北側、放射部の順に設置を進め、平成二十五年六月までに全三十八駅への整備を完了する予定でございます。

○高橋委員 大江戸線のホームドア設置が着実に進められていることが確認できました。今後は、昨年の第四回定例会の私の代表質問に対してご答弁いただいたように、都営新宿線への設置拡大を改めてお願いをさせていただきます。
 さて、交通局の経営計画の中には、私の地元でもあります練馬区の光が丘駅から大泉学園町方面への大江戸線を延伸する検討を進めていくと記載されております。大江戸線は、光が丘団地など周辺地域から都心方向に多くの通勤、通学客などを輸送するといった役割を果たしております。練馬区民にとって欠かすことのできない便利な交通機関として利用されているだけでなく、沿線地域のまちづくりや地域経済の発展にも多大に寄与しております。
 例えば、平成三年十二月に開業した練馬春日町駅周辺では、大江戸線の開通を起爆剤として周辺の再開発が進み、土地利用にも大きな変化をもたらしました。こうした地元の長年の悲願であるとともに、沿線のまちづくりに大きな変化をもたらすきっかけとなるものと確信しております。
 私は、この大江戸線延伸については区議会議員時代から推進にかかわっており、都議会議員になった直後の平成十三年十一月の公営企業委員会では、地元の強い要望を受け、提出された、延伸の早期実現と、導入空間となる補助二三〇号線の整備促進に関する請願について、所属委員として前向きな質問をさせていただきました。
 その際、交通局からは、地下鉄事業の推進に当たっては、導入空間である補助二三〇号線の整備と沿線のまちづくりについて、関係局が地元区との連携を密接に図っていくとの答弁をちょうだいいたしました。
 その後、本会議や委員会等で何度も事業化に向けた取り組みの状況についてお伺いしてまいりましたが、その中、本年五月には、練馬区土支田地区の土地区画整理事業区域内において、大江戸線延伸の導入空間となる補助二三〇号線の一部が交通開放されるなど、着実に街路整備なども進められております。
 折しも、あす二十五日には、練馬区長、区議会議長、地元町会長など大江戸線延伸期成同盟による東京都への要請活動が行われます。
 そこで、大江戸線の大泉学園町方面への延伸について、事業化に向けたこれまでの検討状況と今後の対応について伺います。

○廣木建設工務部長 大江戸線の大泉学園町方面への延伸につきましては、これまで、運輸政策審議会の答申などを踏まえまして、地質調査の実施、地形や地下埋設物などを考慮した駅やトンネル構造の検討、周辺の土地利用の実態調査など、基礎的な検討を進めてまいりました。
 一方、導入空間となる補助二三〇号線につきましては、街路事業などが順調に進んできております。
 このため、引き続き地元区や関係局などと連携して、工事費や周辺地域の状況を反映した需要予測、事業の採算性など、ハード、ソフトの両面から、引き続き具体的な検討を進めてまいります。

○高橋委員 多くの課題があることは理解しますが、大江戸線が延伸されることによって、沿線のまちづくりが促進されるなどの効果が期待でき、その結果として採算性を確保することが可能となるといったことも十分考えられると思います。
 繰り返しになりますが、大江戸線の延伸は地元の期待も大きく、沿線地域の発展にも寄与するものであることから、交通局としても、今後は、駅やトンネルの具体的な構造を踏まえた整備費の算定や、想定される駅の周辺状況及び地下鉄が開業することによる開発効果などを反映させた詳細な需要予測などを行い、採算性を検証するなど、より前向きな取り組みを進めていただくことを強く要望しておきます。
 次に、自動車事業についてお伺いいたします。
 都営バスは、身近な交通機関であり、都民の足として重要な役割を果たしております。これまでの決算の状況を見ますと、平成十六年度以降、経常黒字を達成しておりますが、営業収支は赤字であります。また、乗車人員については、平成二十二年度決算では一日当たり約五十五万一千人となっておりますが、ここ数年は毎年減少していると聞いております。
 そこでまず、乗車人員減少の要因について伺います。

○岡本バス事業経営改善担当部長 都営バスの乗車人員についてでございますが、過去五年間で見ますと、平成十八年度決算では一日当たり約五十六万四千人であり、それ以降、平成十九年度を除き年々減少し、平成二十二年度決算では一日当たり五十五万一千人と、五年前に比べて約一万三千人、約二%の減少となっております。
 乗車人員減少の主な要因といたしましては、平成二十年三月の日暮里・舎人ライナーや平成二十年六月の東京メトロ副都心線など鉄道新線の開業、平成二十年秋のいわゆるリーマンショック以降の景気の低迷、規制緩和による新規バス事業者との競争の激化等の影響を受けたものと考えております。

○高橋委員 ただいまの答弁では、鉄道網の充実、景気の低迷や新規参入等が影響しているとのことでありますが、収入の大幅な増加が見込めない中で、これまでもさまざまな努力を積み重ねてきていることと思います。その結果として、平成二十二年度決算においても経常黒字を確保しております。
 そこで、これまでの収支改善に関する主な取り組み内容について伺います。

○岡本バス事業経営改善担当部長 これまでの収支改善に関する主な取り組みについてでございますが、都営バスでは、経営効率化策の一環として、平成十五年度から、事業所における運行などの業務を外部に委託しております。平成二十二年度末までに五支所で三十九路線まで委託を拡大しておりまして、これは、全百三十九路線のうち二八%に当たる状況となっております。そのほか、平成十九年度には、バス運転手などの現業系職員の給与水準を見直すなど、人件費の削減にも努めています。
 一方、需要に応じたバス路線の見直しを適宜行うとともに、沿線の観光資源を活用したバス利用促進のためのPRなどの増収対策にも積極的に取り組んでおります。
 これらの取り組みの結果、都営バスでは、平成十六年度以降、経常黒字を維持してまいりました。

○高橋委員 ただいまの答弁では、鉄道網の充実、景気の低迷や新規参入等が影響しているとのことでありますが、収入の大幅な増加が見込めない中で、先ほどもそのお話をさせていただきましたけれども、大変ご苦労していると思っております。
 そこで、これまでもさまざまな収支改善に取り組んできたことは一定の評価をいたしますが、その一方で、決算説明資料の一七ページに記載されているように、都営バス事業には約二十六億円の受取配当金があり、そのほとんどが東京電力の株式配当と聞いております。
 このたびの震災の影響を受け、配当が見込めないことから、当面、経常黒字を確保することが難しい状況に陥り、今後のバス事業の経営は、これまで以上に厳しいものになることが予想されます。
 さきの第三回定例会における我が会派の代表質問に対して、配当が見込めないことによる減収額は大きなものであるが、今回のことで運賃を値上げすることなく、収支改善に努めていくと答弁されましたが、厳しい経営状況の中で、引き続き都民の足として役割を果たしていくための方策や取り組みの方向性について伺います。

○土岐自動車部長 都営バス事業は、ご指摘のとおり、一段と厳しい経営状況になるものと見込まれることから、まずは乗車料収入を増加させることが重要と認識しております。
 このため、オフィスや大規模住宅の開発などによる乗客潮流の変化を的確にとらえるとともに、新規事業者の参入状況や地元自治体の動向を見据え、地域ごとに路線の利便性、効率性を高める視点から、バス路線の見直しや運行ダイヤの適正化など、乗車人員の増加を図ってまいります。
 また、バス車両の使用期限の延長など既存のストックを有効に活用するなど、さらなる経費削減を実施いたします。
 これらの取り組みにより収支改善に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいります。

○高橋委員 これまで、平成二十二年度決算に基づき、地下鉄事業及び自動車事業の収支状況について確認してまいりました。
 交通局を取り巻く経営環境は今後とも厳しい状況が続くことが予想され、特に自動車事業については、厳しいかじ取りが必要になってくるものと思われます。そういう中にあっても、一日約三百万人が利用する都営交通をしっかりと運営していただきたいと思います。
 最後に、今後の事業運営に対する局長の決意をお伺いし、私の質疑を終わらせていただきます。

○野澤交通局長 交通局の平成二十二年度決算は、全事業合計で八十四億円の黒字となりまして、平成十八年度以降、五年連続で経常黒字を達成いたしましたけれども、東日本大震災の影響などもございまして、委員ご指摘のとおり、交通局を取り巻く環境は大変厳しい状況が続くものというふうに考えております。
 特に自動車事業におきましては、当面、経常黒字を確保することが難しい状況にございまして、より一層、経営改善の努力を続けなければならない、このように考えております。
 こうした厳しい状況にありましても、公共交通の最大の使命でございます安全の確保を最優先に、より快適に都営交通を利用していただけるよう、常に変化しておりますお客様のニーズに的確に対応した質の高いサービスを提供し、都民の足としての役割を着実に果たしてまいりたいと思っております。
 また、このたびの震災で明らかとなりました帰宅困難者対策など、新たな課題につきましても、今後策定が予定される都の防災対応指針等を踏まえながら、沿線自治体や他の事業者と連携して積極的に対応してまいります。
 今後とも、職員が一丸となりまして、お客様の期待にしっかりとおこたえできるよう事業運営に取り組み、お客様に一層信頼され、支持される都営交通を目指してまいります。

○橘委員 私からは、地下鉄事業を中心に何点か質問いたします。
 まず、収入の根幹となっているのは乗車料収入でありますけれども、先ほど高橋委員から、この収支についてはお話がございました。二十二年度の乗車人員について見ますと、対前年度比で〇・五%増という、そういうお話もございました。
 確かに、三月十一日の東日本大震災によって、東京でも余震が続いておりましたし、出控えるという、そういった傾向が社会的な現象ともなりました。その影響を受けての利用者減という、そして最終的には年度を通して減というふうになったと思うのですけれども、それにしても、三月の大震災前の利用者増というのは、少子化の中で働く世代が少なくなっている中で、利用者増というのはかなりの奮闘かなというふうに、私はいろんなデータを見まして思いました。
 そのいろいろな工夫というのは、今の時代というのは、工夫やアイデア、そういったものが利用者増につながると思いまして、何か原因があるのかなと思って、いろいろ駅でパンフレット等を見てみましたら、結構やっぱりおもしろいものがあるんですね。
 例えば、これはたまたま駅で持ってきたのですけれども、特典ガイド「いっとく」とか、それから沿線ガイド「ぴっく・あっぷ」とか、こういったものがかなりございまして、電車の車内でこれを見てみますと、かなり行ってみたいなとか、そういった動機に駆られるような、そんな内容もあって、こういうものもすごく影響したのかなというふうに私は思いました。
 そこで、まず初めにお聞きしたいのは、二十二年度、いろんな工夫をされたがゆえに一つの利用者増というふうにつながったと思いますけれども、どんな工夫をされてきたのか。
 それから、もしその工夫について、これが効果があったとか、そういった成果を検証または分析されている部分がございましたら、お答えいただきたいと思います。

○小泉電車部長 都営地下鉄では、安全・安心を最優先に、お客様に便利で快適にご利用いただくためのサービス改善に努めております。
 同時に、乗客誘致にも努めているところでございまして、その一環として、昨年度、浅草線、新宿線、大江戸線の三線で、混雑緩和や利便性向上のためのダイヤ改正を行いました。
 平成二十二年度におけます個別の乗客誘致の取り組みをご説明申し上げますと、先ほど副委員長からもご紹介いただきましたような、沿線の施設や観光スポットの情報をポスターや小冊子によりまして紹介いたしましたほか、各種施設や飲食店と提携し、一日乗車券を提示すると特典を受けられる、そういったガイド冊子を四半期ごとに発行いたしました。
 また、相互直通運転を行っております各社と協力いたしまして、企画乗車券や、季節ごとの休日などに都営地下鉄全線ワンコイン五百円でご利用いただけるワンデーパスといったようなものの発売もいたしております。
 このほか、一日乗車券を利用したスタンプラリー、鉄道の他社と共同のウオークイベントの実施、都営地下鉄開業五十周年記念フェスタの開催など、都営地下鉄のPRにも努めてまいりました。
 なかなか定量的な個々の検証は難しいところでございますけれども、こうした取り組みは今年度も継続して実施しているところでございまして、引き続き乗客誘致に積極的に取り組んでまいります。

○橘委員 交通局さんでは、さまざまな工夫、アイデアを凝らしておりますので、一つ一つの乗客増、利用者増の工夫というものを、少し検討とか分析をされた方がいいと思います。それによって、どれが効果があるのか、そういったものが見えてくると思いますので、要望として申し上げておきたいと思います。
 次に、都営地下鉄におけるバリアフリー対策についてお聞きします。
 交通機関のバリアフリーといいますと、今は普遍化されていまして、それが当たり前のようにいわれておりますけれども、実は、国レベルでございますけれども、平成十二年に交通バリアフリー法が制定される前の状況は、どの交通事業者も、また利用者の方も、バリアフリーが必要である、重要である、大事である、そういった声はたくさんございました。ところが、だれが主導となって、どの事業体が主導して整備をしていくのか、そして、その背景となる予算はどういうふうにして確保していくのか、この辺が明確でなかったために、声は上がれどもなかなか進まずという、そういった状況が続きました。そして、これはやはり事業の主体を明確にし、それから予算も確実に確保しなければ、この事業は進まないということがわかりまして、国レベルで、公明党も力を入れまして、交通バリアフリー法が制定されました。
 以来、急速に駅のバリアフリーが進むようになりまして、それから、平成十八年にはハートビル法と一体化させてバリアフリー新法というふうになって、現在のバリアフリーの普遍化という、もう社会に定着している、そういった状況を今あらわしているわけであります。
 その中で、交通局さんの方では、ホームから地上までのエレベーター等によるワンルートの確保、これに力を入れてきたわけでありますけれども、まず、二十二年度における都営地下鉄のワンルート確保のバリアフリーの実績と、それから、未整備駅の今後の整備見通しについて伺います。

○廣木建設工務部長 ワンルートの確保に当たりましては、市街化が進んだ地域における用地の確保や地元との調整など、さまざまな課題がございました。これら課題の解決に取り組みまして、二十二年度には板橋本町や芝公園など七駅でエレベーターの供用を開始いたしまして、二十三年九月末現在、都営地下鉄の全百六駅のうち、九十六駅について整備を完了したところでございます。
 現在、新板橋や志村坂上など八駅で工事を実施しておりまして、残りの駅につきましても、工事の着手に向け準備を進めており、二十四年度末までにすべての駅でワンルートの確保ができるよう、全力で取り組んでまいります。

○橘委員 今の答弁の中にございました新板橋駅、志村坂上、現在工事中ということでありますけれども、この工事が決まるまで、私もいろんな折々に説明をいただいてまいりましたけれども、私は何で早くやらないんだというふうに一方的にいってまいりましたけれども、事情を聞いてみますと、これはやはり大変なんですね。用地の確保、特に大きな幹線道路のところに都営地下鉄の駅というのはございますし、そこの大きな交差点あたりに用地を確保するとなると、至難のわざというのがよくわかりました。
 そしてまた、ようやく用地を確保したとなっても、工事が一年ないし一年半近くなりますと、人の流れがそれによって大きく変わってしまう、それによって商店街に人が流れなくなるという、そういった課題も出るということもよくわかりました。
 その中を工事着工にこぎつけた、そしてまた年度内までにめどをつけるという、そういった状況まで持ってきたこの努力というのは、私は高く評価しておきたいと思います。
 その途中途中の苦労を私も聞いているがゆえに、これは大変な事業だなという、ただ単にエレベーターが一基ついたというそんな簡単な問題じゃないなということがよくわかりました。これからも努力して、ワンルートの確保に全力で取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、このエレベーター、エスカレーターと同時に、バリアフリー化というのは、エレベーター、エスカレーターだけではなくて、駅の構内の至るところに、まだまだ気がつかないようなバリアというのは結構あります。障害というものはあります。
 例えば小さな段差であるとか、それから、手すりが連続的に設置されていない、一部のところで切れているとか、それから、足をつまずきやすいような傾斜があるとか、私たち利用者にとって、私も利用者ですけれども、普通は気がつかないようなことが、障害者であるとか高齢者であるとか小さなお子さんから見ると、これは本当に危険だと思うようなところも結構あるようでございます。
 この小さなバリア、プチバリアともいうそうですけれども、都の交通局では、平成十九年度からこのプチバリアの解消に取り組み、その過程の中で、私は、平成二十一年の第一回定例会で、この小さなバリアの解消ということを訴えました。
 そのときの交通局長が、計画的に毎年度取り組んでいくと、そういった答弁もいただいておるわけですけれども、そこでまず、二十二年度のプチバリアの解消の実績と、それから、もし数字が手元にございましたら、それ以前の、十九年度から取り組んだ事業の実績についても伺っておきたいと思います。

○廣木建設工務部長 交通局では、平成十九年度よりプチバリアの解消に取り組み、年度ごとに重点路線を定め、各駅の実情を詳細に調査して、手すりの連続化や小段差の解消をするなど、駅施設の改善をしてまいりました。
 二十二年度は、大江戸線の環状部など十四駅、四十六カ所を整備いたしました。当初の十九年度につきましては、やはり大江戸線の放射部など十五駅、二十三カ所、二十年度につきましては、新宿線など十五駅、十八カ所、二十一年度は、浅草線と三田線など十七駅、三十カ所、四年間の合計につきまして、六十一駅、百十七カ所でプチバリアとして施行してまいりました。
 引き続き、高齢者や障害者の方の目線に立ち、プチバリアの解消に取り組んでまいります。

○橘委員 このプチバリアというのは、言葉でいうと、いろんな障害があるんだな、小さなバリアがあるんだなということがわかりますけれども、実際に自分が歩いてみると意外と気づかないということに、それについて私は気づかされました。
 私も、二十一年の第一回定例会で質問したとき、その前後して、プチバリアというのはどういうものかというのは、自分で歩いてみないとわからないということで、板橋区内を走っております都営三田線の駅をずっと歩いてみました。そうしますと、幾つか気づいた点はございました。これは改修した方がいいなという幾つかの点はございましたけれども、これはやはり自分の感覚だけではバリアというのは気がつかないなと思いまして、昨年の六月でありますが、私、独自にアンケート用紙をつくりまして、都営三田線の利用者に配ってみました。
 どんな意見が上がってくるのかなと思って、九月に回収してみたんですけれども、そうしましたら、全く私も予想外の、自分が歩いて調べたところにもかかわらず、そこが指摘されたという点が幾つかありました。
 例えば階段の段差、普通だったら同じ等間隔の高さになっているわけですけれども、一カ所、高さがちょっと違うだけでこけるという、そういった指摘もございました。自分で実際に歩いてみますと、やっぱり危ないんですね。やっとそれで気がつくわけです。
 それから、先ほども答弁にありましたけれども、手すり、階段のところに手すりがついていればいいだろうと私は思っていたんですけれども、実際は、壁伝いにずっとなければなかなか安全に歩くことができない、そういう高齢者、障害者の方が多くいらっしゃるということもわかりました。それから、ほんの三段だけれども、その三段の階段の部分に手すりがないために、そこで難儀しているという姿もたまたま見ました。
 こういったのが、やはりプチバリアなのかなと。実際に歩いて自分で体験している方の声でなければわからないのかなということも気がつかされました。
 それから、意外だったのは、ある駅ですけれども、駅の構内に雨水を流すための溝が、ほんの浅い溝ですが、掘ってありました。その上に上ぶたがかぶせてあったんですけれども、そのふたが、水滴が全部、水がそこに流れるように小さな穴があけられておりまして、そこから水が流れるようになっていたんでしょうね。ところが、その小さな穴に、女性のハイヒールですね、小さなかかと部分がそこに入ってしまったことがあるという、そういったアンケートの回答もございました。
 それから、意外だったのが、トイレのドア、特に女性用のトイレのドアの内側の物をかけるフック、これが高過ぎて届かないという声もございました。実際、私が女性トイレに入るわけにいきませんので、男性のトイレでちょっと確かめてみたのですが、私の身長だとこの辺でかかるんです。何の支障もないなと思ったんですけれども、腰の曲がった高齢者の方、それから荷物をたくさん持った女性の高齢者の方、そういった方々は、そこに届かないために、地面のコンクリート部分といいますか、そこに置かざるを得ないといった声もございました。それはやはり私たちが、私たちというより私が経験したことのないような意外なプチバリアでもありました。こういったことというのは、やはりその立場でなければわからない、そういったバリアだと私は思いました。
 したがって、今後、駅のプチバリアの改善を進めていく上で、もっともっと生の声を吸い上げる、生の声をお聞きして、それを踏まえてプチバリアの解消に取り組んでいくという、こういう取り組みが必要であると思いますが、これについて見解を伺います。

○廣木建設工務部長 高齢者や障害を持つお客様にとって、わずかな段差などが障害となっております。これは、なかなか健常者では気づかないものも数多くあるものと認識しております。
 今後とも、高齢者や障害を持つお客様、さらにはベビーカーをお使いの子育て世代の方々などが利用しやすい駅となるよう、駅の現場や局のホームページなどに寄せられるお客様の声、また都営交通巡回モニターのご意見を聞くなどして、きめ細かな対応をしてまいります。

○橘委員 アンケート調査、アンケート用紙、いろいろな手段はございますけれども、生の声をいかに吸い上げるか、そういった点に注意をしてこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都営交通の環境対策について伺います。
 都議会公明党では、かねてから、都営交通が環境に優しい交通手段としてその利用が促進されるように、また利用者増という面に結びつくように、乗車に応じてポイントがたまるエコポイントシステムの導入を提案してまいりました。そして、ことし八月にようやくそのサービスが開始されたわけであります。
 公営企業がエコポイントシステムを導入するということは、民間の鉄道会社等とはまた違った難しさもあったように聞いておりますけれども、この導入に向けては、昨年度からしっかり取り組みをなされ、そしてまた検討してきたと聞いておりますけれども、昨年度の準備作業も含めまして、実施までの経緯について伺います。

○小泉電車部長 このサービスは、都営交通ポイントサービス、略してToKoPoというふうに申しております。乗車に応じてポイントがたまる仕組みを導入いたしました。
 このサービスは、より多くの方に都営交通をご利用していただくことを目的としておりまして、その結果として環境負荷低減にも寄与しているものと考えております。
 平成二十二年度から鋭意準備を進めてまいりまして、平成二十二年度は、会員にこの乗車実績に応じてポイントを付与するためのシステムの構築、また、PASMOにポイントをチャージするためのチャージ機の駅への設置、会員受け付け等を行うサポートセンターの開設準備などを行ってまいりました。
 また、広報活動につきましても、平成二十二年度から会員募集用のPRポスターの準備を行いまして、本年六月下旬から、地下鉄等各駅及び車内に一斉に掲出しております。また、七月からは専用のホームページを開設して、サービス内容や申込方法などをわかりやすく掲出いたしました。
 また、七月一日から八月三十一日までは、二カ月間、入会された方に五〇〇ポイントを進呈するキャンペーンを実施したところでございます。

○橘委員 取り組みの経緯についてはわかりました。
 きょう、実は私、都庁に来るときに大江戸線を使って参りました。そうしましたら、何げなしに見ましたら、電車の車内のドアの部分にこのToKoPoの広告が載っておりましたし、つり革にもToKoPoの宣伝が載っておりました。こういうムードづくりというのは非常に大事だと思います。
 最初、私は、ToKoPoというのは何の略だろうと思って随分考えてみましたが、何ということはない、都営交通ポイントサービスという、実に単純な、冒頭だけをとった略称みたいなんですけれども、この仕組みについてですけれども、このサービスの具体的な仕組みについては、まだちょっと浸透していない部分があると思いますので、まず一点目はサービスの仕組み、二点目は他社との違い、どの辺が都営交通として、都営地下鉄として工夫した点なのか、それから三点目、現時点のToKoPoの会員数、この三点についてお答えいただきたいと思います。

○小泉電車部長 ToKoPoのポイントシステムの概要でございますけれども、これは、ICカード、PASMOをお持ちの方が会員になっていただきますと、都営交通を利用した場合に、一回ごとに基本ポイントが付与されるという仕組みでございます。さらに、土休日に利用した場合や都営地下鉄から都営バスに乗り継いだ場合などには、加算ポイントが付与されることになっております。
 他社と異なる特徴ということでございますけれども、今申しました都営地下鉄、都営バス等を乗り継いだ場合の加算システムという点、また、他社と違う点と申しますと、このToKoPoのたまったポイントにつきまして、駅に設置してあるチャージ機でPASMOにチャージできるわけですが、十円単位でチャージできるということで、こちらが大変使いやすく、他社と違ってすぐれているというふうに評判をいただいていると考えております。
 それから、現時点でのToKoPoの会員数でございますけれども、これは、先ほどご説明申し上げました専用のホームページで、パソコンや携帯電話から受け付けをいたしました。また、各駅配布の申込書の郵送によっても受け付けておりまして、できるだけ申し込みしやすくいたしました。その結果、七月から会員受け付けを開始いたしまして、現在、約六万四千人の方、大変多くのお客様に会員になっていただけたと考えております。

○橘委員 八月からスタートですから、四カ月弱の期間に六万四千というのは、これはかなり都民から受け入れられたというふうに評価してもいいかと思います。ただ、全体からすればまだまだ少ないと思いますので、これからどういうふうにして宣伝し、また利用者をふやしていくのか。
 特に私は、チャージ、十円単位のチャージというのは、やはり魅力的だなと思いました。主婦でも、買い物に行くときに、一円、二円のポイントカード、日曜日二倍とか、そういったものに走るという、そういった状況もございますので、これは利用者にとっては大きな魅力かなと。その辺のことを宣伝していけば、これはまた進んでいくのかなと思いますけれども、今後のサービスの展開についてどのようにお考えなのか、今後の取り組みを含めてお聞かせいただきます。

○小泉電車部長 本年八月にスタートいたしましたこのサービスについて、より多くの方に会員になっていただくために、サービスの意義や内容、また、すぐれた特徴につきまして、引き続きしっかりとPRしてまいります。
 また、今後、ToKoPoの会員の方が環境に優しい都営交通を一層便利にご利用いただけるよう、魅力あるサービスを提供していきたいと考えておりまして、そのために、会員の皆様のご意見、ご要望も参考にしながら、サービスのさらなる充実に取り組んでまいります。

○橘委員 環境対策に関連しまして、駅の照明の省エネルギー化、これについて伺っておきます。
 ことしの夏の電力制限対応として、鉄道各社はさまざまな節電対策を講じました。都営地下鉄におきましても、節電ダイヤであるとか、それから駅の冷房の一時停止であるとか、駅の照明の間引き消灯であるとか、そういったさまざまな工夫をされていたというのは、私も利用者として実感しておりました。この点は、節電に強力に協力した、そういった点は高く評価しておきたいと思います。
 特にこの中で駅の照明でありますけれども、ちょっと私、気がついたのは、本来ならば、LED化とかそういったものも進めていいのかなと思いましたけれども、若干まだ進み方が鈍いのかなという気もいたしました。
 電力不足への対応、これもそうなんですけれども、照明器具の導入はどのように都営地下鉄では取り組んでおられるのか。照明の節電対策の基本的な考えはどういうふうになっているのか、これについてちょっとお聞きしておきたいと思います。

○石井車両電気部長 省エネ型照明器具の代表的なものとしましては、現在、都庁舎でも導入が進んでおります高効率の高周波点灯型蛍光灯、いわゆるHf蛍光灯がございます。Hf蛍光灯は、従来の照明器具に比べ、明るさを確保しながらも約三〇%の省エネ効果があるといわれております。
 交通局では、平成二十年から、駅照明器具の更新工事に合わせましてHf蛍光灯を導入してまいりました。この結果、これまでに約五千本分の取りかえを終了しております。

○橘委員 このHf蛍光灯、それからLEDというのと、この違いというのは、はっきりと私まだ理解できていないのですけれども、まちの中では、商店街もLED街路灯に順次切りかえておりますし、道路、それからトンネル内、そういったところでもLED化が進んでいるようであります。
 そういう中で、この都営地下鉄において、社会的にLEDというのが主流になりつつある中で、都営地下鉄の照明の節電の観点からも、LED照明の導入に対する基本的な考え方について確認しておきたいと思います。

○石井車両電気部長 LED照明につきましては、現在、器具の価格が高価などの理由によりまして、地下鉄におきましては導入実績が少ない状況となっております。しかし、地下鉄以外の事務所ですとか事業所などでは急速に普及が進んでおります。
 このため、交通局では、大江戸線の都庁前駅におきまして、LED照明を試験的に設置しまして、性能やメンテナンス性などの課題の検証を行っているところでございます。

○橘委員 大江戸線の都庁前駅、私もよく利用しますけれども、あそこの券売機の前に、たしか設置されておりましたね。あそこにLED照明点灯中という小さなレッテルが張られていまして、それが実験を示している内容というふうに思います。
 これは、実際に周りの蛍光灯とLEDの照明とを比べてみましたら、やはりLEDの方がすごく見やすいなと、文字としては見やすいなというふうな感じがしましたので、これも推進の観点から検討していただきたいと思います。
 次に、資産の有効活用について簡単にお聞きしておきますけれども、二十二年度の交通局所有の土地資産の運用状況、概要で結構ですが、この説明と、それから、特に都有地--交通局所有の土地というのは、結構小規模、中小規模の土地も多いように思います。特に端切れ地というのも結構ございまして、他の局におきましては、端切れ地のところを小さな駐車場に貸し出すとか、そういった工夫もされているようであります。
 土地がなかなか確保できないという中で、東京都の土地に対する注目度というのは非常に高くなっておりますけれども、その中で、交通局所有のこうした中小規模の用地あるいは端切れ地、特に端切れ地ですけれども、こういった有効活用をもっともっと進めるべきと思いますけれども、その現状とこれからの活用の方針について伺っておきたいと思います。

○室星資産運用部長 まず、土地の資産運用状況でございますが、交通局では、局所有の土地、建物の利活用に当たりましては、交通事業における必要性を十分考慮した上で利活用を行っております。
 具体的に申し上げますと、有楽町の旧庁舎跡地などを活用した市街地再開発事業への参画や、定期借地権の設定による土地の貸し付け、隣接地権者との共同開発などにより運用を行っております。
 平成二十二年度の決算においては、東京交通会館など所有している十九棟のビルのオフィス床などによる約二十六億八千百万円の収入を含めまして、土地、建物などの利活用により、合計で約五十八億四千六百万円の収入を得ております。
 次に、中小規模用地あるいは端切れ地の活用状況、方針でございますけれども、中小規模用地といたしましては、地下鉄建設時に事業用地として取得いたしました五百平方メートル未満の土地が四十六カ所ございます。このうち、地元区に駐輪場として貸し付けております八カ所を含めまして三十五カ所は、駐輪場、駐車場として暫定利用を行っております。利活用に至っていない残りの十一カ所につきましては、現在、定期借地権者を公募中の三件を含めまして、活用に向け取り組んでいるところでございます。
 今後とも、利便性や収益性が高い土地につきましては、定期借地権者を公開募集するなど、収益の確保に努めますとともに、土地の形状などにより活用が難しい、ただいまお話がございました、いわゆる端切れ地につきましては、地元区などの要望を踏まえ、適切に対応してまいります。

○橘委員 以上で私の質問は終わりますけれども、最後に一言、交通局が東京都内に避難していらっしゃる東日本大震災の被災者の方に差し上げております一日乗車券について申し上げておきたいと思います。
 板橋区内にも、少なからずの人数の被災者が今、仮住まいをしていらっしゃいます。避難生活をしていらっしゃいます。その方たちの中で、私、三人の方と懇談をしましたところ、東京に来て、少し生活もなれてきた。友人のところ、それから親戚のところにも行ってみたい。ところが、着のみ着のままで出てきたために、お金もなかなかない。そういう交通費すら心配になってきている。そういった声もございました。
 それから、障害者であれば、乗車運賃の割引であるとか無料という特典もあるわけですけれども、私が聞いたら、障害者手帳を持ち出せなかった、あるいは住民票を持ち出せなかったといった、さまざまな証明書類を持ち出せなかったためにサービスを受けられないという状況も当初ございました。
 そこで、私は、ことし六月の第二回の定例会におきまして、一般質問で、障害者の方、証明書がなくても、少なくとも都営交通においては無料で利用できるようにできないだろうかと。
 それから、高齢者の方、東京都民であれば希望者はシルバーパスを活用することができるんだけれども、同じ年齢であっても、避難者は都民ではないためにシルバーパスをそのまま利用することはできない、そういったこともございました。
 したがって、それを全部可能にするというのは無理な話ではありますけれども、少なくともそれに準じたような形で、被災者の方が東京で避難生活を送っている間は少しでも負担が軽減できるような、そういった配慮を都営交通としてできないものかということを訴えさせていただきまして、そうしましたら、迅速に、都営交通の方では、障害者であるとか、それから高齢者であるとか、そういった方々には一日無料乗車券を配布するようにしたわけです。
 その中のお一人の方が、この一日乗車券をいただいてすぐ利用してみた。その感想を聞いてみたら、もう本当にうれしかったと。電車賃といったら二百円、三百円かもしれない、けれども、私たち被災者にとっては、この二百円、三百円が、ずしっと重いんです、その中で無料券を利用させていただいた、本当に東京都の取り組みに感謝いたしますといった声も聞かれましたので、この場をおかりしましてお伝えしておきまして、私の質問を終わります。
 以上です。

○たぞえ委員 交通局の二十二年度決算について伺います。
 交通事業会計決算書の三七ページに記載されている営業外収益についてですが、款、項、目、節の節で、受取配当金として二十五億八千八百八万円の収益があったと記載がされています。これは、一般会計補助金十一億円の倍以上であり、営業外収益全体の三十八億円の約七割を占めています。
 この数値は、分科会要求資料として提出された二ページの東京電力株式会社の所有株式だというふうに思いますが、二十二年度では、東京都は東京電力の株式の保有数はどれだけ持っているのか。また、株式の簿価は幾らなのか。全株式数の保有割合では、株主順位はどうなっているのか。さらに、この五年間と二十二年度では、株配当は幾らであったのか。まず、説明をいただきたいと思います。

○宮川総務部長 東京都が保有する東京電力株式会社の株式数は、平成二十二年度末時点で約四千二百六十八万株でございます。
 株式の簿価は約百七十億円であり、東京電力によりますと、平成二十二年度末で、東京都の保有割合は約二・六六%、株主順位は第五位でございます。
 この五年間の株式の配当につきましては、平成十八年度は約二十五億六千万円、平成十九年度は約三十二億円、平成二十年度から二十二年度は、それぞれ約二十五億六千万円でございます。

○たぞえ委員 昭和十七年以降、約七十年にわたって株の配当を受け、その配当は、一株当たり、今お答えの二十一年度でいえば、六十円の配当があったというふうに思います。しかし、今回の福島原発災害を端に発して、東京電力の株は下落し、今後、株式配当は見込まれないと思います。
 同時に、原発が建設され稼働していた地域では、自治体に電力会社から交付金が配られ、自治体が自立して財政運営を行うのではなく、原発依存型財政になっていることについて、各地でこれから脱却していこうという動きが起こり、また、今後、原発を計画している地域でも、この脱却の動きが広がっています。
 一般会計補助金の二倍以上の配当を占めている株の所有について、交通局は、今後、株の増資をするのか、配当減額によって起こった経常収入の減収を来年度予算ではどうするのか、どう対応していくのか、説明いただきたいと思います。

○宮川総務部長 自動車事業につきましては、東京電力の株式配当収入が見込めないことから、当面、経常黒字を確保することが難しい状況にございます。
 先ほどもご答弁申し上げましたが、配当が見込めないことによる減収額は大きなものですが、今回のことで運賃を値上げすることなく、乗客需要に応じた路線再編による収入増や一層の経費削減など、地道な取り組みにより収支改善に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいりたいと考えております。

○たぞえ委員 路線の再編整備や経費削減に努めるというふうに述べられましたけれども、配当減のツケを、路線の再編整備によって都民の移動の足の路線が少なくなるなどの方向は、私は認めることはできません。
 同時に、都営バスの経常収入のうち、配当によって営業外収入の大半を支えるという、このやり方は転換が求められていると考えるものです。日本のエネルギー依存を原発から再生可能エネルギーに転換することが今、大きな世論になっている中で、都営交通の施設を活用した太陽光発電などの自然エネルギー活用に、どう踏み出そうとされているのでしょうか。

○広瀬企画担当部長 既に交通局では、最新の技術や仕組みを積極的に取り入れ、環境に最大限配慮した事業運営を行っております。
 具体的には、バス停留所の標識柱に太陽光パネルを順次設置しており、平成二十二年度末までに八十五基を設置いたしました。
 また、平成十九年度からは、東大島駅において太陽光パネルや小型風力発電機を設置いたしまして、平成二十二年度からは、同駅前の都営バスターミナルにおいても太陽光パネルを設置しております。
 引き続き、公営交通としての使命と社会的役割を十分に果たしまして、環境に優しい都営交通を目指してまいります。

○たぞえ委員 それをぜひ前向きに進めていただきたいと思います。
 しかし、これまでのように、東電株は安全というこれまでの神話は、もう通用しないわけであります。株依存に毅然とした対処が必要です。このことは求めておきたいと思います。
 次に、今回の二十二年度決算は、十九年度からの新チャレンジ二〇〇七の上に、二十二年度予算は、ステップアップ二〇一〇、この取り組みの初年度として予算が位置づけられています。
 この経営計画ステップアップ二〇一〇とは、どのような経営計画なのか。お客様への四つのお約束の中で、お客様に心から喜んでいただけるサービスの提供と述べている快適で利用しやすい都営交通、とりわけ二十二年度では、エスカレーター設置や駅の改良、新車の導入、ライナーのロングシートなどの利用者のサービスはどう向上したのか、その到達点について示していただきたいと思います。

○広瀬企画担当部長 交通局経営計画ステップアップ二〇一〇は、平成二十二年度から平成二十四年度を計画期間とし、前経営計画の成果も生かしながら、今後、交通局が進むべき道しるべとして、平成二十二年二月に策定いたしました。あわせて、中長期的な視点から、各事業が抱える課題解決に向け、今後の経営の方向を明らかにしているところでございます。
 お尋ねのサービスの提供に関する平成二十二年度の実績といたしましては、新宿線車両の一部の十両編成化、乗りかえ駅へのエスカレーターの増設、日暮里・舎人ライナーの車内のロングシート化などであり、おおむね目標どおり達成したところでございます。

○たぞえ委員 このほかにも、説明をいただきますと、勝どき駅のホームの増設や、二十四年度までに全駅を目指す冷房化、そして、先ほど質疑のありました大江戸線の可動式ホームさくについては、二十五年六月までに全駅設置を目指していく、トイレのリフレッシュ、ロングシート、低公害のステップバスの導入、本当にこういう取り組みについては感謝をしたいし、ぜひ頑張っていただきたいと思っています。
 先日、別件の用で、西新宿から大江戸線に乗る機会がありまして、一周しました。別に座って寝ていたわけではなくて、途中下車をしながら回ったんですが、清澄白河で可動式ホームさくを見まして、いや、すばらしいと。で、次の駅に行ってもついている、次の駅へ行ってもついている、六駅連続ついている。可動がしていない壁になっている設置駅もありましたが、そこにはきちんと警備員が配置されて、転落防止の対策が講じられていると。さすが交通局だなという実感をいたしました。これらについては、私は成果を大きく評価するものです。
 しかし、同時に、決算数値で見てみますと、二十二年度の高速電車事業、地下鉄でありますが、乗車人員は八億四千九百万人で、前年度に比べて百七十一万人の減少、乗車料収入は前年度比で八億九千百万円の減収という、こういう実態も一方であるわけです。自動車運送、都営バスで見てみましても、前年度に比べて三百三万六千人減少、乗車料収入は前年度比で五億二千八百万円の減収。都電、軌道ですけれども、前年度比五十三万六千人の減少。こういう実態を一方で見てみますと、決算年度が初年度であるステップアップ二〇一〇の中で、経営力の強化、そして増収だと、こういうふうに力強く書かれているんですが、現実には減少、減額と、こういう状況が決算では明らかにされているわけです。
 そのステップアップですけれども、読んで大変驚きましたのは、長期的には乗客数の伸びは期待できないと慰めているわけですね。でも、片方で増収だとこぶしを上げ、片方では減少で期待ができないと。これは一体、矛盾ではないかというふうに、それをふと思ったわけですが、このことは、都民にとっては説得力がないと思います。
 どういう認識で、増収と伸び数の期待ができないという立場に立っているのか、伺いたいと思います。

○広瀬企画担当部長 公営企業は、将来にわたりまして、企業としての経済性を発揮しつつ、公共の福祉を増進していくために、経営環境の変化に適切に対応し、みずから公営企業のあり方を絶えず見直していくことが不可欠となっております。
 したがいまして、今後の経営を考えるに当たりましては、やはり収入につきましては、収入要因について、なるべく厳し目な見通しを立てる、こういう形で計画をすることが肝要と考えておりまして、現計画のステップアップについても、同様の考えに基づいて策定したものでございます。

○たぞえ委員 都営交通は、もうけのための企業ではありませんけれども、しかし、赤字では困るわけで、黒字に前進をしていくためには、やはりその見通しであるステップアップ二〇一〇で乗客の伸び数は期待できないと、こういう後ろ向きな姿勢ではいけないと思いますので、ぜひ各年度予算では赤字にならないような取り組みについての都民へのアピールをしていただきたいと思います。
 次に、各事業の中でも、初めに、電気事業会計について具体的に聞きたいと思います。
 昭和三十二年以降、交通局は、多摩川の流水を利用した水力発電による電気事業を経営していますが、この三年間について、販売電力量、電気料収入の推移はどうだったのか、示していただきたいと思います。

○奥津技術調整担当部長 交通局では、多摩川第一発電所、多摩川第三発電所、白丸発電所の三カ所で、水力発電による電気事業を経営しております。
 この三カ所の水力発電所における過去三年間の販売電力量とその収入額でございますが、平成二十年度は、十四万五千百七十五メガワット時、九億七千百万円、平成二十一年度は、九万一千七百二十七メガワット時、八億五千九百万円、平成二十二年度は、十五万五千二百三メガワット時、九億五千五百万円でございます。

○たぞえ委員 二十二年度決算書での営業状況を見てみますと、水力発電によって生み出された電力を東電に販売した電気料収入は十億三百万円で、前年度比八千三百万円の増収です。自然エネルギーの活用と増収は、今後、大いに期待ができるというふうに思います。
 とりわけ、この水力の特徴は、安定性とエネルギー密度の濃さにあります。水の流れは、昼も夜も変動なく流れ、その変化は少ないわけですが、空気に比べて一千倍も密度が高く、一粒一粒の雨水のエネルギーは大変小さいものですが、地形が自然にこれらの雨水を集積してくれるので、非常に効率性の高い密度のエネルギーを取り出すことができます。
 同時に、最大の魅力は、燃料が要らないことです。しかも、地球の水循環が続く限り、永遠に採掘できる資源です。今後、予想される燃料の価格変動にも悩まされることがありません。
 ステップアップ二〇一〇のこの一七ページのところに、電気事業の現状と課題が記載されています。この中で、平成二十一年から十年間の電力受給に関する基本契約を締結し、電気の売却料金の算定を維持することにした、安定的に電気事業を経営できる見通しになったと述べています。これは、二十一年以降の十年間、具体的にはどう安定的にできるという認識なのでしょうか。

○奥津技術調整担当部長 電気事業法では、その供給電力が千キロワットを超えるものであって、十年以上の期間、一般電気事業者に電気の供給を行う契約を結んだ場合には、発電に必要な経費に適正な利潤を加えたものを料金とすることが認められております。
 交通局は、この条件に合致した契約を東京電力株式会社との間で締結しておりますことから、安定的に電気事業を経営できる見通しとなってございます。

○たぞえ委員 ところで、その同じページで、決算書の中にも出てまいりますが、この水力発電について、事業の方向性について検討を進めていくというふうに述べています。この検討とは、どのような方向について検討を行うということなのでしょうか。

○広瀬企画担当部長 経営計画におきましては、電気事業の今後の経営の方向について、奥多摩地域への安定的な電力供給という重要な役割と、環境に優しいクリーンエネルギーであることの意義を考慮いたしまして、引き続き、簡素で効率的な事業運営を図ることとしております。
 さらに、経営環境の変化を的確に把握しながら、民間企業に譲渡することも含め、事業の方向性について検討を進めていくとしており、決算書においても、おおむね同様に記載したものでございます。

○たぞえ委員 いわれた譲渡というのは、具体的にはどういうことを想定しているのですか。

○広瀬企画担当部長 先ほども一部ご答弁いたしましたけれども、経営計画におきましては、簡素で効率的な事業運営を図ることとしておりまして、民間企業に譲渡することも含め、事業の方向性について検討を進めていくとしたものでございまして、民間企業への譲渡を決めたものではございません。

○たぞえ委員 自前の重要なエネルギー生産について譲渡するということについては、いつまでに結論を出そうとしているのでしょうか。

○広瀬企画担当部長 公営企業は、将来にわたりまして、企業としての経済性を発揮しつつ、公共の福祉を増進していくために、経営環境の変化に適切に対応し、みずから公営企業のあり方を絶えず見直していくことが不可欠であります。このような考え方に基づきまして、経営計画では、電気事業については、事業の方向性について検討を進めていくとしているものでございます。
 今後とも、公営企業を取り巻く環境の変化を踏まえ、経営のあり方について、引き続き検討してまいります。

○たぞえ委員 いろいろいわれても、やはり譲渡というのは、将来、都直営の電気事業をなくすということにほかならないんじゃないでしょうか。どうですか。

○広瀬企画担当部長 一般論といたしまして、まず、この電気事業を譲渡する場合には、電気事業を営む事業者などに対して事業を譲渡することを想定されると思われますけれども、先ほど申し上げたとおり、現時点では民間企業への譲渡を決めているわけではございません。

○たぞえ委員 決めていなくとも、決めていようとも、どうしても、直営でやっている電気事業を譲渡するということは、相手があって、そこに譲るわけですから、これは都直営じゃなくなるということは明らかじゃないでしょうか。こんな大事なエネルギーをつくっている事業を検討していくと。時期は明確でないけれども、しかも譲渡だという、その具体的な方法についてまで、この経営計画でも踏み込んでいるし、決算書でもそこまで、今こういうエネルギー問題が大事なときに踏み込むべきなのかなということを、私はあえて申し上げたいと思うんです。
 きょう提出された委員会資料の、今度は四ページの事業別職員数及び人件費割合でも明らかにされていますが、電気事業での職員数の推移と人件費割合について説明をいただきたいと思います。

○宮川総務部長 本分科会要求資料の四ページにございます電気事業の職員数と人件費割合についてでございますが、電気事業における平成二十二年度の職員数は二十五人、経常費用に占める人件費の割合は二九%となっており、平成十八年度と比較いたしますと、職員数は十三人、人件費割合は一二%の減少となっております。
 過去五年間の推移といたしましては、平成十九年度から平成二十一年度にかけまして、職員数及び人件費割合が減少しております。
 この主な要因といたしましては、平成二十年度には、多摩川第一発電所の定期点検業務などを外部に委託するとともに、平成二十一年度には、三カ所の水力発電所の運転監視業務、発電設備の巡視点検業務など、委託の拡大を図ったことに伴う減少でございます。

○たぞえ委員 十八年度の電気事業の職員は三十八人、二十二年度は二十五人で、十三人の削減です。
 この事業は、発電に携わる計画部署と、専属専任職員でなければならないダムの管理部署は、この発電事業がある限りは、法律上、減らすことができないわけです。となりますと、残りは、発電運転管理の技術職員を定数を減らしていく、そういうことにならざるを得ないわけです。
 そのようにして今までも切り込んできた、これが事実じゃないでしょうか。どうなんですか。

○宮川総務部長 私ども公営企業でございまして、公営企業として、簡素で効率的な事業運営を行うことが求められており、また必要であるというふうに考えております。そういった観点から委託を行ってきているものでございまして、こうした委託について、私ども、経営上必要であり、当然のことというふうに考えております。

○たぞえ委員 三十八人の運転管理職員が、三年間で十三人も削減になったと。この職員の方々は、東京都庁の四大技術といわれている電気技術職で、なくてはならない職員の方々、まさに財産だと思うんです。
 民間委託の導入拡大だと、局はそういいますけれども、自治体である東京都が独自に行う、住民に対してよりよい良質なサービスを提供する、こういっても、これは、実態としては事業の厚みの後退だと私はいわざるを得ません。経営の健全化だ、効率化だといっても、実態は、厚い職員体制に切り込んでは、健全化どころか弱体化です。効率化とは、局内ではなくて、民間にとって仕事がふえる効率性の向上だと私はいわざるを得ないんです。
 交通局のパンフレットを見てみますと(資料を示す)、この東京都の電気事業という大変きれいなパンフレットですけれども、これを見ますと、地域に寄与するクリーンエネルギーだと、基本的な姿勢がこの中で述べられています。しかも、奥多摩地域を初めとする多摩西部の安定的な電力供給に貢献していますと、このように、みずからの事業に対して大変誇りを持って書かれているわけです。
 震災後、自然エネルギーの活用を推進して、一層これらを拡充していくということは、私は大変重要な東京都の課題になっているというふうに思いますが、一九五七年以来、半世紀以上にわたる、このような重要な役割を果たしている水力発電を、いとも簡単に民間に譲渡する。私は、そういう再検討は行うべきでないというふうに思いますが、見解を伺います。

○広瀬企画担当部長 今後とも、公営企業を取り巻く環境の変化を踏まえまして、電気事業につきましても、経営のあり方について、引き続き検討してまいります。

○たぞえ委員 ぜひ検討しないでいただきたいと思います。
 全国の自治体の多くで、自然エネルギー、とりわけ再生可能エネルギーの活用が始まっています。
 山梨県の都留市は、市制五十周年事業として、小水力発電のまち「アクアバレーつる」という構想を発表して、市役所と小学校付近を流れる家中川の落差を用いて発電事業を行っています。二〇〇六年四月から、直径六メートルの木製水車を回して、最大二十キロワットの出力で、都留市役所の電力の二〇%を賄い、年間百七十万円の節約になっている取り組みが行われているということであります。
 私も、この決算に向けて現地を訪ねてみました。力強い運転状況をつぶさに見て、町中に置かれた水車が、一つもリズムを壊さずに回転している、本当に壮大な姿でありました。かつて日本は、全国に三万二千の水車がありましたが、今はその多くが失われています。この水力発電は、単なる経費節約効果だけではなくて、市民の環境意識をつくり上げていく上でも大きく貢献しているというふうに思います。
 こういう都留市のような取り組みが進む中で、先ほどと重複しますけれども、このステップアップ二〇一〇で掲げたような水力発電を、譲渡を含む方向性の検討ということは具体化するべきでないことを改めて申し上げておきたいと思います。
 次に、都営地下鉄の学割定期についてです。
 都営地下鉄の運賃収入は、予算千三百三十三億七千八百万円に対して、二十二年度決算では千二百七十五億八千六百三万円で、増減では、乗車料は五十七億九千百九十六万円のマイナスです。乗車人員では、前年度比で、浅草線が九九・四%、三田線が九九・六%、新宿線が九九・九%、大江戸線だけが一〇〇・四%で、四線の年間利用の合計は百七十一万人の減少ですが、この乗車人員と運送収益の結果についてどのような総括をされているのか、見解を伺いたいと思います。

○小泉電車部長 平成二十二年度の都営地下鉄の乗車人員は、前年度と比べ〇・二%の減少、乗車料収入は〇・七%の減少となりました。これは、三月十一日に東日本大震災が発生し、その後、三月十四日以降に実施された計画停電などにより、社会経済活動が停滞したことによる影響と考えております。

○たぞえ委員 震災から年度内の日数は約二十日間でありますから、この二十日間だけで大きく後退したと。これは確かにあるでしょうけれども、私は、震災だけのせいにしちゃいけないというふうに思うんです。
 高速電車事業会計決算では、先ほど申し上げたように、事業環境は、少子化、高齢化の進展によって今後増加が期待できない、このようにずっといっているわけですよ。そこに震災が発生して、二十日余りの停電だとか何とかで減少が起こったから、これが原因ですという理由を決めつけることは適切ではないと思います。増加が期待できないという後ろ向きではだめなのです。どう増加させるか、より積極的な施策が大事なんじゃないでしょうか。
 そこで、具体的に聞きますけれども、都営地下鉄と都バス、都電、日暮里・舎人線のそれぞれの通学定期券の割引について、内容を説明いただきたいと思います。

○小泉電車部長 通学定期の割引でございますけれども、都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーにつきましては、通学定期の区分は、中学生以上の大人と小学生の小児の二つであります。都営バス及び都電の通学定期の区分につきましては、高校生以上の大人と中学生と小学生の小児、この三つとなっております。

○たぞえ委員 確認しますけれども、都バスの通学定期は、大人、中学生、小児に区分され、都電、路線バスは、通学定期は大人、中学生、小児、これでよろしいでしょうか。

○小泉電車部長 そのとおりでございます。

○たぞえ委員 都営地下鉄は、大学生、高校生、中学生、学生という名前がつく三つの層が同じ割引の枠の中に入っています。年齢が異なっているわけですが、これらを総体として学生割引の大人という印象が否めません。学割についてでありますが、小学生の定期額は、大学生の学割定期の半額という扱いだというように思います。都営地下鉄だけが中学生の割引の枠がありません。
 他線であるJRの山手線の通勤定期の分類では、この学割の分野ですけども、大学生用、高校生用、中学生用、この三つがあります。小学生はどう扱っていると聞いているでしょうか。

○小泉電車部長 JR東日本における小学生の通学定期は、中学生の半額となっております。

○たぞえ委員 JRの小学生定期額は、今いわれた中学生の半額という制度が設けられています。それに基づいて、実際にどうなっているか計算をしてみますと、JR山手線の場合、営業距離四キロで計算をしますと、中学生は一カ月、千八百十円の定期です。小学生はその半分ですから九百十円、三カ月間が五千百七十円で、その半分で二千五百九十円、六カ月が九千八百円で、その半分ですから四千九百円です。
 都営地下鉄はどうか。小学生は、例えば四キロの場合、通学定期での一カ月、三千八百三十円の半額で千九百二十円、これはJRの九百十円の二倍以上です。六カ月以上では、二万六百九十円の半額で一万三百五十円、JRの四千九百円の二倍以上です。
 中学生はどうかというと、JRは、中学生用は、四キロは一カ月が千八百十円に対して、都営を使う中学生は、四キロは三千八百三十円と、やはり高い料金になっています。
 先日、東京メトロに行って料金表をいただいてきまして(資料を示す)、こういうパズルみたいな料金区分が出ておりますが、この中のほんの一角に定期額が出ておりました。これを見てみましたら、メトロは、四キロの場合は、小学生は千六百九十円です。都営は千九百二十円です。メトロに比べても大変高い料金設定になっています。
 ですから、私、何がいいたいかというと、乗客人員をふやそうということならば、都営地下鉄にも、都バスや都電で設定しているように中学生枠を設けて、利用者を確保していく、こういう手だてをとることが必要だと思います。
 そういう検討に踏み出していくべきだと思いますが、どうでしょうか。

○小泉電車部長 通学定期の中学生区分につきましては、JR東日本では導入されていますが、首都圏の他の鉄道事業者では導入されているとは聞いておりません。
 都営地下鉄におきましては、通学定期に中学生の区分を導入しても、増客、増収につながるとは考えられないため、導入は考えておりません。

○たぞえ委員 乗客をどうふやしていくか、そして、それによって増収をどう図ろうかと。先ほど議論がありましたように、やはり私たちは、JRについていくわけじゃないですけれども、民営鉄道や公営鉄道の中でも、先駆的にその道を開いていく必要があると思うんですよ。余りふえない、余りもうからない、こういうステップでは、やはり都営交通の持っている魅力を都民の中に浸透させることはできないと思います。
 都電も都バスも導入している中学生枠を、これ、電車の中にも設けましたら、これまでメトロを使っている、JRを使っている子どもたちにも大いに利用してもらえる道が開かれていくんじゃないでしょうか。そういう、後ろ向きじゃなくて前向きな検討に私は進んでほしいということを申し上げたいというふうに思うんですね。皆さんとは意見が違うというふうになるかもしれないけれども、しかし、他社のやっていることをまねしてでも、やはりいいものは検討していくべきだと思うんですよ。
 私は、この都営地下鉄の乗客が全部中学生だなんていっていません。ほんのわずかな人数でしょうけれども、そこには家庭があり、経済があるわけです。ここに刺激を与えて、より多くの乗客を他の都民からも来てもらう、この努力は絶え間なく行っていく必要があるんじゃないでしょうか。
 最後に、都営バスの子ども運賃です。
 都営バスでは、「おでかけパスも」というのを発行しています。この制度は、大人一人と小児二人で、一日じゅう五百円で乗車できるというものです。往復すれば三人で八百円が、五百円で何回も乗れるわけですから、割り引いているなという実感がします。
 ただし、条件は、一年を通して夏休み期間中と限られていまして、この時期に大人と一緒といっても、子どもと同じように大人が夏休みを長期とれるわけじゃない。一緒に毎日五百円で乗っているような労働環境にないわけです。むしろ子どもが単独で動くのが夏の生活です。さらに、大人用のPASMOかSuicaを持たなければ子どもは利用できない。しかも現金は扱わない。こういう制度です。この制度を活用するために、わざわざICカードを購入するのは大変です。
 都内の民営事業者の子ども運賃の取り組みは、どのようなものだと把握されているのでしょうか。

○土岐自動車部長 都内の民営事業者の子ども割引の取り組みでございますが、京浜急行バスにおきましては、大人一名が現金またはICカードをご利用の場合に、小児一名が無料となるファミリー割引を夏休みなどに実施しております。東急バス、小田急バス、京王電鉄バス、関東バス、西武バスでは、名称は違うものの、現金での利用時のみ小児運賃を五十円に割引するサービスを夏休みなどに行っております。国際興業、東武バス、京成バスの三者につきましては、このような割引は行っておりません。

○たぞえ委員 今ご説明があったように、都内の民営事業者の子ども運賃の割引は、こども現金五十円キャンペーンとか、長期お休みキャンペーン、ちびっこ五十円、休み期間こども五十円運賃、こういうさまざまな、子どもだけを対象とした取り組みが行われています。しかも、その時期は、夏休みだけではなくて、ゴールデンウイークや春休み、冬休み、長期の期間すべてに射程を置いた制度になっています。
 このような取り組み、お話があったように、都内の九者のうち、東急、小田急、京王、関東、西武の五者が行っておりまして、京浜急行の場合は、大人一人が現金またはICカードを利用する場合は、子ども一人は無料というふうに今、お話がありました。
 先日、この民営バスに乗車しましたら、かなり目立つようなポスターが張ってありました。車内広告ですけども、ちびっこ五十円という見出しのポスターでした。内容は、パパの定期で一緒に同乗することができますというわけです。そのパパと一緒に乗るママさんですね、ママだけ、さんをつけちゃいけないんですが、ママの場合には半額の百円です。そして、子どもは、通常乗車するときは大人の半分の百円ですけれども、家族、ファミリーで乗ると五十円、しかも、使える時期は土曜、日曜、祭日、こういう内容で、ぜひ乗ってください、こういうポスターが掲げられておりました。幹線道路で都営バスと民営バスが競合する場合、これらの利用者にとっては、額の低額、そして便利さという点でも、大変利用が期待できるのかなというふうに思います。
 都営バスについても、こうした庶民の生活実態に合わせることが大事だと思います。この点でも、先ほどの都営地下鉄ではありませんけれども、バス事業についても、民営との競合を図るということは大変大事です。質を落とさず向上させていくという、このための検討をぜひしてほしいと思います。
 最後の質問ですけども、決算額では、決算書では、都営バスは、前年度に比べて一日平均八千人減少、前年度比五億二千八百万円の減収だと、このように指摘がされています。この状況をどう打開して、そのために、都民の生活に密着したバス経営にどう仕立てていくのか、そういう立場に立つことが必要だと思いますが、見解を伺います。

○岡本バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、これまでも、増客、増収のため、お客様のニーズに合わせた運行ルートの延伸、変更や増回などのダイヤ改正を適時適切に行うとともに、都営バスの情報提供サービスの改善などの取り組みを強化してまいりました。
 今後とも、ハード、ソフト両面から、増客、増収対策に積極的に取り組んでまいります。

○岡田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時十五分開議

○岡田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○くりした委員 私からは、都営地下鉄の民間委託事業に関連して質問をさせていただきます。
 都営地下鉄における駅務員の業務、つまり駅ホームにおける安全確保や改札の管理など、いわゆる駅務の仕事については、都内百以上ある駅の中でも、その一部は東京都が直接管理をして、そのほかは財団法人東京都交通局協力会と委託契約を結んで行っていると聞いております。
 そこでまず、確認をさせていただきますが、駅務もこの東京都交通局協力会に平成二十二年度に委託をした駅は、すべての駅のうち幾つあるのでしょうか、お伺いをいたします。

○小泉電車部長 平成二十二年度における都営地下鉄の委託駅数は四十七駅でございます。

○くりした委員 四十七駅、つまり約半数に近い駅では、都の直接管理ではなく、委託事業としてこの協力会に任せているということであります。
 それでは続けて、平成二十二年度、駅務のために、この交通局協力会に支払った委託費用総額と、駅で働く委託職員の従業員の数についてお尋ねをいたします。

○小泉電車部長 平成二十二年度における都営地下鉄の駅業務に係る委託金額は、消費税抜きの金額で約二十九億円です。
 また、平成二十二年四月一日現在、委託駅で働く財団法人東京都交通局協力会の職員数は五百五十二名と聞いています。

○くりした委員 駅務を行っている職員の方が五百五十二人、そして、お金が総額二十九億円ということですから、給与は人によって偏りがありますので、単純な計算はできませんが、一つの目安として、一人頭約五百二十五万円という金額を、東京都としては、この業務を一年間やってもらうために協力会に支払っているという一つのイメージになるのかと思います。
 実際にそこで働く事務職員の方々がどれくらいもらっているのかという点について目を向けると、以前の本委員会の質疑において、委託駅の係員と交通局の職員の勤務体系は、同様に朝九時から翌朝九時までの二十四時間で、隔日の勤務を基本としている、そして、交通局職員の新規採用で一年間業務を行った場合の給与については年三百十万円、そして、委託職員が年二百七十万円程度であるという試算をいただきました。二年目以降については、そのとき明らかにされませんでしたけれども、委託職員の方々を対象にした調査によれば、局職員の方に比べれば、昇給の幅は明らかに小さく、マネジャークラスになっても、年四百万円に届いている委託係員の方というのは決して多くはないということです。
 労働の内容は、聞く限り、職員と委託係員と、基本的には同等と聞いております。それを考えると、やはりモチベーションを保っていくのは、なかなか大変なのではないかなという気がいたします。
 実際に、委託の駅務人員については、都内で自立した生活を継続していくのがなかなか難しい給与水準にあるのではないかという声もありますけれども、それについて、交通局はどのようにお考えなのでしょうか、お伺いをいたします。

○小泉電車部長 財団法人東京都交通局協力会に働く職員の勤務条件につきましては、委託先で考えて決めるべき事柄でございまして、委託契約に基づく業務を発注しております交通局ではお答えすることはできないものと考えております。

○くりした委員 これについては東京都交通局協力会が決める話で、だから東京都は口を挟むことができないんだと、そういうお答えであったと思いますけれども、私は、この点については東京都も真剣に考えなくてはいけない問題ではないかと思います。
 実際に委託職場で働く方々は、その低労働条件から短期間で転職をされる方も多く、その結果、都営地下鉄の安全・安心を保障する上で重要な経験というものも、なかなか積もっていかないという現場の悩みもあるそうでございます。
 実際に、私も駅員さんに地下鉄で何か質問をしても、駅のことをよくご存じなかったのか、なかなかうまい案内をいただけない。また、先日の震災のときなど有事の際には、通常時の業務に加え、地下鉄利用者の避難をスムーズに進めるなど、そういった利用者の安全を確保する上で、一朝一夕には身につきにくい経験というものも大変大事になってくるのかなというふうに思います。
 高速電車事業会計は、貸借対照表によれば、現預金は一千九十一億円に上ると、良好な経営状況にあるわけであります。二〇〇九年五月に成立した公共サービス基本法の第十一条によれば、国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保、そのほかの労働環境の整備に関し、必要な施策を講ずるように努めるものとする、そういった文言もございます。
 全体としては決して楽観視できない、そういった財政状況の中、そもそも経営の効率化を目指して外部委託を進めているということですから、制約ももちろん存在をするわけでございますけれども、少なくとも、委託係員の方も安心して生活をできる、そして、より質の高いサービスを都民も享受することができるようになる、そういったところが都民の利益に最もかなったバランスなのではないかというふうに思います。
 それを実現するためにも、いま一度、都営地下鉄を初めとした委託費用の水準について再確認をすべきではないかと最後に意見を申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

○大松委員 私からは、決算資料をもとに、都営バス、都電荒川線について伺います。
 少子高齢化が進展する中にありまして、公営交通の課題は、減少傾向にある利用者をどう確保し、ふやし、経営を安定化させて、より良質なサービスをどう提供していくのかであります。
 都営バスにつきましては、これまでも交通局は、ノンステップバス導入に着実に取り組んでこられまして、二十二年度の決算書を見ましても、建設改良費の車両費の大半を充当して八十五両を導入、良質なサービス提供に力を入れておられます。そこで本日は、この車両費に次いで決算額の多い機械器具費について伺います。
 この機械器具費の中で一番金額が大きいのは、バス運行管理システム開発導入です。その概要について、まず伺います。

○土岐自動車部長 バス運行管理システムの開発導入は、交通局経営計画ステップアップ二〇一〇で計画している事業でございますが、その概要は、まず第一に、バスの走行位置をリアルタイムで把握することにより、営業所及び停留所においてバスの運行状況を表示し、運行管理の効率化、お客様の利便性向上を図ること、第二に、都バス運行情報サービスの機能を強化し、携帯電話で近隣停留所を案内するなど、新たな情報提供サービスを開始することでございます。
 開発導入のスケジュールにつきましては、平成二十二年度を初年度とし、平成二十四年度までの三カ年を予定しております。

○大松委員 走行位置をリアルタイムで把握をしてバスの運行管理を効率化して、さらに顧客サービスの向上を図るという新しいシステムの導入でございますけれども、まず、バスの事業者側から見ての、この新システム導入で期待できる効果、利点は何か、今回導入する運行管理システムの特徴について伺います。

○土岐自動車部長 今回の運行管理システムの特徴でございますが、バス車両にGPSを搭載し、バスの位置をリアルタイムに営業所のモニターの地図上に表示できるようになることでございます。これによりまして、バスの遅延状況や、終点までの到着予想時刻を迅速に把握でき、道路混雑時の運行間隔の調整など、状況に応じたきめ細かな運行管理を行うことが可能となります。
 また、バスの危機管理対策として、緊急時に乗務員がバスの車内でSOSのボタンを操作した場合に、現在は車体後部にSOSが表示されますが、今回のシステム再構築により、営業所のモニターが当該バスの位置を示す地図に自動的に切りかわり、迅速に初動対応をとることができるようになります。
 これらの機能につきましては、現在、都営バスの営業所に順次導入を行っており、平成二十四年度末までに整備を完了する予定でございます。

○大松委員 次に、利用者への情報提供サービスについて伺います。
 私は、議員になりまして六年間、リースの自動車を運転してきましたけれども、バスや地下鉄をうまく利用した方が便利ということがわかりまして、先週末、リース車両を返還したところでありまして、私の事務所は、JRの王子駅から徒歩五分弱で、駅前発のバスや地下鉄に乗れば、大体どこにでも行くことができるわけでございますけれども、ただ、バスはその弱点として、渋滞に巻き込まれ、時間どおりに走らないということがあります。朝は会社におくれそうだとか、夜は早く家に帰りたい、バスはいつ来るのかと、そわそわと、渋滞した道路の向こうを見詰める利用者をよく見かけるわけでございます。
 時間どおり走らないからといって、そのことでバスの魅力がなくなるわけではありませんが、バス優先レーンの拡大など、渋滞対策、運行の効率化は着実に進めなければなりません。その上で、さらに大切なことは、自分が待っているバスは今どこを走っているのか、いつ来るのかという運行情報を利用者にきめ細かく提供していくことです。
 都営バスでは、停留所の接近表示装置の設置を着実に進めておられまして、私の地元、北区におきましては、JR王子駅前に最新の運行表示装置もつけていただいておりまして、大変好評でございます。
 都営バスでは、これまでも接近表示装置の設置に取り組まれていますが、停留所での情報提供サービスの充実に関する取り組みについて伺います。

○土岐自動車部長 停留所での情報提供サービスの充実に関する取り組みについてでございますが、これまでバス停留所に設置している接近表示装置では、数字や矢印でバスの接近状況を表示しております。
 新たに整備する装置では、次のバスの発車予定時刻や終点までの所要時間のほか、遅延情報など、状況に応じて任意の文字を入力することにより、さまざまな案内を行うことが可能となります。現在、この新たな装置へのリニューアルを実施しており、平成二十二年度には、北区王子駅前を初め九カ所の整備を行っており、今後とも計画的に整備を進めていく予定でございます。

○大松委員 次に、携帯端末による新たな情報サービスについて伺います。
 ことし三月の内閣府の調査で、携帯電話の普及率は九三%、さらに、最近は高機能のスマートフォン、タブレット端末が急速に普及し、携帯端末を活用した情報サービスの充実が重要になっています。
 都バスでは、携帯への情報提供は平成十五年から開始をされ、私も使わせていただいております。例えば、王子駅前の停留所からバスに乗る場合、携帯サイトでバス到着が間もないということを確認してから事務所を出れば、いいぐあいにバスに乗ることができ、大変便利であります。
 先ほども答弁いただきましたが、今後はGPSを活用して最寄りの停留所を案内したり、さらにさまざまな情報サービスを充実していくことで、バス利用者をふやしていくよう役立てていただきたいと思います。
 都営バスがこれまで携帯電話を活用して提供してきたサービス、これから提供していくサービスの内容について伺います。

○土岐自動車部長 都営バスでは、ただいま委員お話しのように、平成十五年一月から、携帯電話やパソコン向けの都バス運行情報サービスを導入しております。このサービスは、停留所ごとの時刻表をごらんいただけるほか、停留所間を走行するバスの運行情報などを提供しており、現在、一日平均約四十五万件のご利用をいただいております。
 今後は、お客様の携帯電話のGPS機能を用いて、最寄りの停留所の位置をご案内するサービスを新たに導入する予定でございます。また、これまで都営バスを対象としておりました経路検索を、都営地下鉄など他の都営交通にまで対象を拡大して、利便性の一層の向上を図ってまいります。

○大松委員 次に、都電荒川線について伺います。
 都電荒川線は、北区にとりまして有用な交通手段であり、貴重な観光資源であります。都議会公明党の長橋議員の主張を受けまして、このたび花電車も復活をされ、都民は大変喜んでおります。
 そこで、都電のサービス向上、利用者確保、運行管理、効率化のためにも、都営バスと同様に運行情報サービスの改善をしていくべきです。都電荒川線の運行情報サービスの改善について伺います。

○小泉電車部長 都営バスの運行管理システムを現在更新しているところですが、路面交通という点では都電荒川線も共通しておりますので、このシステムを活用いたしまして運行管理装置を更新する予定になっております。
 現状を申し上げますと、荒川線につきましては、現在、三十カ所の停留場のうち十一カ所で、接近情報表示装置により情報提供しております。なお、現在は、運行情報をお客様のパソコンや携帯電話で見ることはできません。
 今後、運行管理装置の更新によりまして、全停留場に接近情報表示装置を設置し、案内の改善を行いますとともに、新たに車両の位置情報を含めた運行状況や時刻表案内をパソコンや携帯電話で見られるようにし、運行情報サービスを改善いたします。

○大沢委員 これまで六名の委員が質問をしてまいりました。私からは、重複を避けまして、平成二十二年度の交通局の決算審査に当たり、地下鉄事業について何点かお尋ねをしたいと思います。
 ことし三月十一日に発生した東北太平洋沖地震において、発生直後に東京の交通機関の多くが運行の休止事態に陥り、都内においては多くの帰宅困難者が発生したことは、我々の記憶に新しいところであります。
 そのような中で平成二十二年度の交通局の決算書を見ますと、都営地下鉄においては、地震の発生後から約六時間後の午後八時四十分に大江戸線で運転を再開したのを初めとして、午後十時前までには四路線すべてで運転を再開、当日は終夜運行を実施したということであります。
 また、都営バスにおいても、発生直後こそ運行を休止したものの、午後四時ごろからは順次運行を再開し、終夜運行を実施していただいたというところを聞いております。
 多くの交通機関が全面的にストップし、帰宅の足を奪われ、不安に思った多くの都民、そしてまた多くの国民にとって、都営地下鉄や都バスなど都営交通が早期に再開したことは、不安を大きく取り除いたと私は思っておりますし、その点については、私は高く評価をされてしかるべきであろうと考えております。
 都営地下鉄や都営バスなど都営交通が早期に再開したことは、改めて、交通局職員の方々が一丸となって、都民の足を守るという使命を果たしていたというところを証明したものであると私も思います。
 さて、都営地下鉄は、昭和三十五年十二月に、都営浅草線浅草橋駅から押上間の三・一キロメートルの開業に始まり、以来、四路線の合計で総延長百九キロメートルの地下鉄網を築き上げ、首都東京の大動脈に成長していると思います。
 先般の決算概要の説明の中で、局長からも、平成二十二年度の都営地下鉄四路線合計の乗車人員は、一日平均二百三十三万人であるとの説明がありました。とりわけ、平成十二年十二月に全線開業を果たした都営大江戸線は、都心部を環状に結ぶ機能を持ったことで、交通不便地域の解消や乗りかえ時間の短縮、そしてまた、私の地元でもあります江東区周辺を初めとする沿線地域の開発を誘致するなど、多大な整備効果をもたらしたと認識しております。
 そこでまず、都営大江戸線について、開業から平成二十二年度までの乗車人員の推移についてお伺いをさせていただきます。

○小泉電車部長 大江戸線は、平成三年十二月に練馬駅から光が丘駅間を開業し、その後、平成九年十二月に新宿駅まで延伸し、平成十二年十二月に環状部を開業して全線開業となりました。
 開業初年度の平成三年度の乗車人員は、一日平均約二万人でしたが、環状部が全線開業となった翌年度の平成十三年度は大幅に増加し、一日平均約五十一万人となりました。平成二十二年度は、一日平均約七十九万五千人となっております。

○大沢委員 ただいまの答弁にありましたとおり、都営大江戸線については乗車人員が順調に伸びているとのことですが、先日の決算特別委員会において、局長は、今後、少子高齢化の進展により、乗客数の伸びが期待できないとの発言がありました。そのことについて、先ほども、さまざまなところからご意見等が出されたようでありますが、しっかりとこの経営、そしてまた今後の収益の状況等というものに努力をしていただきたい、そのように思います。
 また、今後は、より安定的な地下鉄の経営基盤の確立に向けて、増客対策に加え、乗車料収入以外の収入確保にも、より一層努めていく必要があると私は思います。
 そしてまた、大江戸線につきましては、先ほど中谷副委員長、高橋委員からもございましたが、地元練馬区において、延長の要望というものが高まっているところでございますので、前向きにしっかりと取り組んでいただきたいと、私からもご要望をさせていただきます。
 さて、交通局が平成二十二年二月に策定した東京都交通局経営計画ステップアップ二〇一〇を見ますと、関連事業という項目で、今後の経営の方向として、事業用不動産や未利用地などを積極的に活用し、安定収入の確保に努めるというところがあります。
 先ほど、橘副委員長からも、端切れ地の有効活用というような形の中で質疑がされておりましたが、私も、この東京都交通局の未利用地の面積別件数、台帳価格及び活用状況というものを事前に皆様方からお示しをいただいておりまして、未利用地、合計で六十三件、そしてまた、台帳価格で百三十三億九千六百万円というデータをいただいております。
 私も、先日、きょうもそうでございますが、大江戸線を利用してこの東京都庁に来るときに、車内広告で、未利用地の貸し付けの募集案内を目にしたところでございます。先ほどの答弁では、未利用地、合計で五十八億円の収入があるという答弁があったようでございますが、地下鉄事業において保有する土地などの資産の活用による平成二十二年度の収入についてお伺いをいたします。

○室星資産運用部長 今後、乗客数の伸びが期待できない状況のもと、土地、建物の利活用を初めとする関連事業収入の拡大は、交通事業の安定的運営のために重要であると認識し、これまでも積極的に取り組んできたところでございます。
 高速電車事業の土地、建物などの利活用による平成二十二年度の収入でございますが、事務所、店舗の賃料、高架下の貸し付けなどにより、約三十九億五千八百万円となっております。

○大沢委員 先ほどの答弁、そしてまた、ただいまの答弁を聞きますと、都営地下鉄の経営状況も、大江戸線が全線開業して、平成十二年当時と比べると随分と改善してきているのではないか、そのように思っておりますが、また、今の答弁の、資産の活用による収入の確保といった経営基盤の強化も積極的に取り入れられているというところでございます。
 今後も、経営基盤の安定により一層努めていただきたい、強く要望するところでございます。
 さて、地下鉄事業の経営が改善傾向にあることを踏まえて、一層のサービス向上をするなど、利用者への還元を充実していくべきと考えますが、局の見解を伺います。

○広瀬企画担当部長 交通事業者にとりまして、安全で快適な輸送サービスの実現は不可欠でありまして、これまでも、ホームドアの導入による安全の確保や、車両増備による輸送力増強、エスカレーターやエレベーターの設置による円滑な移動の実現など、安全性の向上やサービスの改善に取り組んでまいりました。
 今後とも、増収対策や、今ご指摘の経営基盤の強化に取り組むことによりまして安定した経営を実現し、お客様がより快適に都営交通を利用できるよう、質の高いサービスの提供に努めてまいります。

○大沢委員 ぜひともご努力をよろしくお願いいたします。
 また、今、さまざまな質疑、答弁の中において、バリアフリーによるエスカレーター、エレベーターの設置、そしてまた、安全対策というところでホームドアの設置という言葉が出てきているところでございます。
 私たち都議会民主党も、これまで代表質問やさまざまな質疑の場で、ホームドアの導入などで安全確保、そしてまた、エレベーター、エスカレーターの設置によるバリアフリーの充実を求めてまいりました。今後とも、より一層のサービスの向上に努めていただくことを改めて強く要望させていただきます。
 さて、さきの東日本大震災においては、東北地方の鉄道を中心に甚大な被害があったと聞いております。交通局においては、これまでも、将来想定される大地震等に備え、都営地下鉄の震災対策を講じてきたと思うわけでございますが、そこで、平成二十二年度に実施した事業も含めて、これまでの都営地下鉄における震災対策への取り組みについてお伺いをいたします。

○廣木建設工務部長 交通局では、平成七年一月に発生しました阪神・淡路大震災を受けまして、施設の総点検を実施し、同規模の直下型地震にも耐えられるよう、国の基準に基づき、高架部及び橋梁の橋脚やホームの中柱の補強、橋げたの落下防止装置の設置など、耐震補強工事を実施してまいりました。
 二十二年度におきましては、新宿線東大島駅外二駅の高架部橋脚などで工事を行い、これにより耐震補強工事はすべて完了したところでございます。

○大沢委員 ただいまの答弁から、交通局では、地下鉄施設の耐震補強工事を中心に、これまで着実に震災対策を実施していたことがわかるわけでございますが、しかし、今回の巨大地震は、地震の揺れによる被害に加え、東北地方の太平洋岸地域では、駅施設や軌道、橋梁が津波で流されるなど、想定を超える被害も発生したところでございます。また、昨今、都市型水害が新たな課題として、この東京においても取り上げられているところでございます。
 こうしたことからも、今回の震災の教訓を生かし、より安全な都営地下鉄を目指して取り組まなければならないと考えております。どうかより一層の安全対策、そしてまた、震災対策に取り組んでいただくことを強く重ねてお願いするところでございます。
 そこで、東日本大震災における都営地下鉄施設の被害状況は、これまで想定をしていたものであったのかどうか。また、今回の震災等を踏まえた都営地下鉄における災害対策の課題について、都の見解を伺います。

○廣木建設工務部長 今回の東日本大震災では、都営地下鉄の構築に被害が発生しなかったため、委員からお話しいただきましたように、速やかに運行を再開することができました。
 しかしながら、仙台市営地下鉄の高架部などで被害が発生したことから、都営地下鉄におきましても、独自に高架部などの施設の耐震性を改めて検証し、安全性をより高めるための耐震対策を実施していくことといたしました。具体的には、これまでの国の通達において耐震補強の対象となってはいなかった、例えば高さ四メートル未満の柱などについて改めて耐震性を検証し、対策を実施してまいります。

○大沢委員 ただいまの答弁で、さまざまな対策や独自の対応をしていただいているということがよくわかったわけでございます。
 今後、利用者の安全を、交通事業、そしてまた高速電車事業のど真ん中に置いて、さまざまな角度から安全対策をしていただきますよう、私から強くお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○岡田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十九分散会

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