委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 石森たかゆき君 |
副委員長 | 山下ようこ君 |
副委員長 | 山田 忠昭君 |
山崎 一輝君 | |
斉藤やすひろ君 | |
星 ひろ子君 | |
島田 幸成君 | |
かち佳代子君 | |
原田 大君 | |
吉田康一郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 増子 敦君 |
次長 | 森 祐二郎君 | |
総務部長 | 福田 良行君 | |
職員部長 | 松宮 庸介君 | |
経理部長 | 松丸 俊之君 | |
サービス推進部長 | 高原 俊幸君 | |
浄水部長 | 酒井 晃君 | |
給水部長 | 今井 茂樹君 | |
建設部長 | 木村 康則君 | |
企画担当部長 | 黒沼 靖君 | |
サービス企画担当部長 | 吉野 明君 | |
設備担当部長 | 佐久間 勝君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 吉田 永君 |
調整部長 | 古澤健太郎君 | |
施設部長 | 佐々木史朗君 | |
技術調整担当部長 | 田村 聡志君 |
本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成二十二年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成二十二年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)
○谷村委員長 ただいまから平成二十二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から三日間にわたり、本分科会の所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十二年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十二年度東京都水道事業会計決算及び平成二十二年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○福田総務部長 さきの分科会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
一ページをお開きいただきたいと思います。水需要予測と実績でございます。
将来需要量と平成三年度以降の一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担でございます。
平成十八年度から二十二年度までの八ッ場ダム建設に係る総事業費、都の負担額、そのうち都水道局の負担額及びその他の負担額をお示ししてございます。
三ページをお開き願います。各浄水場における自然エネルギー等による発電状況でございます。
各浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備それぞれの設置年度、発電規模及び平成二十二年度の発電実績をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
平成三十一年度と二十四年度の耐震継ぎ手率の計画及び平成二十年度から二十二年度までの耐震継ぎ手率の実績値をそれぞれお示ししてございます。
五ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
平成十三年度から二十二年度までの十年間につきまして、未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。監理団体への委託料及び主な委託内容でございます。
水道局が所管しております東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの二つの監理団体について、東京水道サービス株式会社は平成十三年度から二十二年度までの十年間の、株式会社PUCは監理団体に指定された平成十八年度から二十二年度までの五年間の委託料と主な委託内容につきましてお示ししてございます。
七ページをお開き願います。収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
平成十三年度から二十二年度までの十年間につきまして、収益的収支、資本的収支、損益勘定留保資金のそれぞれにつきましてお示ししてございます。
以上をもちまして、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○島田委員 それでは、二十二年度の公営企業会計決算水道局関係について質問をさせていただきます。
まず、多摩地区の水道一元化について質問させていただきます。
東京都水道局では、平成十五年度に多摩地区水道経営改善基本計画を立てまして、事務事業の解消について推進をしてきたというふうに思います。
平成二十三年度末には、委託事業がすべて都に移行されるわけでありまして、一つ節目の二十三年度、ことしですけれども、節目の年ということもありまして、幾つか質問させていただきたいわけですけれども、水道局では、多摩地区水道の事務委託の解消を進めてきておりますけれども、解消によりまして、多摩地区水道の経営を一元化することで、経費の縮減を図ってきたというふうに思います。
まず最初に、その縮減の効果が図られたのか、そして図られたのであれば、その要因についてお伺いしたいと思います。
○古澤調整部長 当局では、平成十五年六月に策定をいたしました多摩地区水道経営改善基本計画に基づきまして、事務委託の解消を進めてまいりました。事務委託を解消し、都が一元的に多摩地区水道を経営することによりまして、各市町の管理部門における重複の解消、また徴収システムの導入等を実施いたしまして、人員削減を行ってまいりました。
また、市町から都へ移行される業務につきましては、水道事業者としての意思決定を必要とするなど、当局が対応すべき業務を除きまして、できる限り監理団体を活用してまいりました。
こうした取り組みによりまして、平成二十四年度の計画終了時におきましては、年間約四十億円の経費の縮減を達成する見込みでございます。
○島田委員 今、四十億円の削減があるということで、水道局さんのご努力でこの経費の削減というものは非常に大きいというふうに思っております。そうした改革は本当に必要なことだというふうに思っております。
ただ、その中でも幾つか課題があるのかなと思っておりまして、特に多摩地区水道経営改善計画の中で料金の未納の問題があります。この中では、料金の未納の問題で、多摩地区の料金の未納率が依然として区部と比較しまして高い未納率となっております。
この表によりますと、十六年度から二十年度までで区部は十六年度四・三八、十七年度四・三七、四・三五、四・四一、四・三七という未納率に対しまして、多摩の方は幾分未納率が下がっておりますけれども、十六年度から二十年度までで九・二九、八・四五、八・二九、七・九一、六・八六ということで、未納率に関しましては、まだ多摩の方が高いということで、そのようなところは今後改善すべきだというふうに思っております。
多摩地区、多摩の水道改革計画では、事務委託解消に伴い、市町から引き継いだ料金未納の課題がありますけれども、この課題を今後どう克服していくのかお伺いいたします。
○古澤調整部長 市町への事務委託中は、各市町で利用できる金融機関が限られるなど、料金支払いの利便性に難がございました。事務委託解消とともに、利用可能な金融機関の拡大やクレジット払いの導入などを逐次実施いたしまして、利便性を向上させてまいりました。こうした取り組みなどによりまして、料金未納率は改善傾向にございます。
また、利便性の向上とともに、解消に長期間を要する料金未納案件につきましては、目標を設定いたしまして、個別に対応策を検討するなど、きめ細かな進行管理を徹底してまいります。
さらに、困難案件解決のノウハウをマニュアル化いたしまして、料金徴収現場での対応力強化を図ってまいります。
こうした取り組みによりまして、引き続き料金未納率の改善に努めてまいります。
○島田委員 ただいま答弁いただきましたけれども、そうやって料金については、未納については努力をされているということでございますので、引き続き区部に比べてまだ高い未納率、多摩の方はありますので、ぜひその点に関しましては、今いったような努力で改善をしていっていただきたいと思っております。
次に、一元化と監理団体について質問させていただきます。
先ほど、一元化の中で、監理団体が非常に重要な役割を果たしているということでございます。経費の削減についても、監理団体がかなり頑張っているということでございます。
そういう中、監理団体であります東京水道サービス、あるいはPUCが大きな役割を果たしているわけでありますけれども、この事務委託解消とこれらの監理団体との関係について改めてお伺いいたします。
○古澤調整部長 事務委託中は、市町が水道料金徴収等のいわゆる徴収系の業務、施設の運転管理等の施設管理系の業務などを行い、検針業務や請負工事などにつきましては、民間事業者が実施をしてまいりました。
事務委託の解消後も、検針業務などは引き続き民間事業者が行いますが、市町の職員が担ってきた徴収系の業務や施設管理系の業務の大半は公共性と経済性を発揮する観点から、水道に関するノウハウや専門性を有する監理団体に順次委託を行ってまいりました。
○島田委員 前回、決算委員会でも我が会派の田の上議員等も質問していると思うんですけれども、なるべく民間でできる仕事は民間に任せるというような取り組みが必要だと思うんですけれども、その中で、監理団体と民間それぞれの業務があると思うんですけれども、監理団体に対して必要な業務もあると思いますけれども、その辺の区分けがなかなか難しいなというふうに思います。
私なんかは、まだまだ監理団体がやっている業務の中でも、そのうちの幾つかはもっと民間のところに任せていいのかなと、そんなふうにも思っているわけでございますが、先ほどの資料にもありましたが、水道局全体としてでございますが、監理団体に委託している委託の内容、それと委託料の推移についてお伺いいたします。
○福田総務部長 当局では、公共性を確保しつつ一層の効率化を図るため、平成十八年十月、監理団体を活用した一体的事業運営体制の構築について方針決定をしたところでございます。
この方針では、定型的な業務など民間にゆだねられる業務は、可能な限り民間事業者に委託するとともに、水道事業の基幹的業務をコア業務と準コア業務に分け、当局と監理団体が担うこととしております。
具体的には、給水装置工事の審査業務や配水管工事の設計審査、監督業務、浄水場等施設の運転管理業務などを東京水道サービス株式会社に、また、未納料金の徴収整理や総合受付業務などを株式会社PUCに委託しております。
なお、これらの業務は、民間事業者から独立した立場で行うべきものや給水安定性やお客様サービスに大きな影響を与えるものでございまして、これまで当局が直営で行ってきた業務であることを補足させていただきます。
この二社への委託料の推移ですが、東京水道サービス株式会社が平成十八年度の約五十六億円から平成二十二年度には約百二十八億円に、株式会社PUCが平成十八年度の約百億円から平成二十二年度には約百五億円に、業務の移行にあわせてそれぞれ増加しております。
○島田委員 先ほどの資料にもあったとおり、委託の内容についての区分けも今お伺いしましたけれども、それと推移のところで、特に東京水道サービスさん、平成十八年は五十六億円だったのに対して二十二年度は百二十八億円ということで、この委託の中身が非常にふえていると。倍以上になっているわけであります。
今こういうご時世でございまして、民間も仕事が欲しいというのが実情でありながら、繰り返しになりますが、そういうものをどんどん民間にも移譲していいのかなと、そんなふうには思っておりますけれども、この委託料がずっとふえておりますけれども、特に水道サービスさんについては倍以上になっております。その委託料がふえている要因というのは何なのかお伺いしたいと思います。
○福田総務部長 先ほど申し上げましたとおり、当局では公共性を確保しつつ一層の効率化を図るため、平成十八年十月、監理団体を活用した一体的事業運営体制の構築について方針決定をし、水道事業の基幹的業務をコア業務と準コア業務に分けて、当局と監理団体が担うこととしております。
特に、具体的に多摩地区の事務委託解消にあわせて、それまで市町職員が担っていた業務を順次監理団体に委託するとともに、区部においても、浄水場等の運転管理業務、それから配水管の設計審査、工事監督業務などを順次監理団体へ委託しております。監理団体、東京水道サービスですけれども、こうしたことから、方針決定後、監理団体への委託がふえているものでございます。
○島田委員 今、答弁の中にもありましたとおり、この一元化によって、市町がやっていた仕事を今までやっていたわけなんですけれども、監理団体の仕事がふえているんですけれども、監理団体のところに仕事が行っているというようなことで、その原因があるのかなと。要因の中で推移が本当に五十六億円から百二十八億円へふえているという中で、多摩の一元化のところがあると思います。
先ほども何回も繰り返し申し上げているところでございますけれども、監理団体に任せるのを民間に任せた方がいいのかなというふうに思っておりますが、その中で、平成二十二年度の業務委託の実績についてお伺いしますが、件数及び契約内容、契約の金額と随意契約の割合をお伺いいたします。
○松丸経理部長 随意契約は、地方自治法や地方公営企業法施行令に基づきまして、契約の性質または目的が競争入札に適さないものや、競争入札に付することが不利と認められるときなどに締結できるものでございます。
当局におきましては、主に水道施設の専門知識を有する施設管理業務や、システム開発業者による運用管理業務などに適用しております。
平成二十二年度の業務委託にかかわる契約件数は千五十件でございまして、金額は当初契約額で約四百四十二億円でございます。
また、随意契約の割合は、契約件数では六〇・七%であり、契約金額では九三・五%でございます。
○島田委員 契約件数では六〇・七%なんですけれども、契約金額で随契の割合が九三・五と。これは非常に高い数字かなと。ほとんどの業務委託契約は、随契で九三・五%ですから、行われているということで、もう少し競争性がないと、これはだめかなというふうに思っております。
そしてまたお伺いしますが、この随意契約が九三・五%あるわけですけれども、これらの中で監理団体へ占める割合についてお伺いいたします。
○福田総務部長 監理団体二社には、先ほどご答弁申し上げたとおり、水道事業の準コア業務である事業運営上重要な業務を委託しております。このため、平成二十二年度の両者、東京水道サービスと株式会社PUCですが、両者への随意契約の割合は、件数で見ると随意契約全体の一三・八%、契約金額で見ると同じく五八・三%でございます。
これらの業務は、水道事業の公共性にかんがみ、民間事業者から独立した立場で行うべきものや給水安定性やお客様サービスに大きな影響を与えるものであり、これも繰り返しになりますが、当局が直営で行ってきた民間委託になじまない業務であります。
このため、随意契約により、当局が過半数を出資し、適切な指導監督が可能な監理団体に委託しているものでございます。
○島田委員 先ほども繰り返してあるように、随意契約の割合が九三・五%で、その中で五八%が占めるわけです。要するに、だから、その委託料はほとんどが九割近くが随契であり、そのうちの六割近くは監理団体、水道サービスさんとPUCに行っているということでございます。
これは、平成十五年の包括外部監査でも指摘されていると思うんですけれども、この契約内容の一層の精査、そして可能な限り、競争性の向上を図るための入札方式を採用すべきだというような外部監査の指摘もあるとおりでございますので、この点はもう少しというか、民間でもう一回、この中の契約内容、そうやって仕事がコア業務ですか、そういうものもあるのはわかりますけれども、やはりその中でも一層精査して、民間に仕事を振り分けていくということも必要かと思います。
話によりますと、一回、この監理団体が引き受けて、その監理団体の中の仕事を民間にまたその中でも振り分けているというようなこともあるそうなので、そういうこともなく、しっかりもう少し民間に仕事を振り分けていくということをよろしくお願いしたいと思います。
たまたまきょう新聞の方で報道されておりますけれども、福生の方で水道管の誤接続ということで、井戸水を間違えて蛇口の方に行くところと接続して、そういうようなことがありましたが、これも話によりますと、審査したのは水道サービスさんということでございまして、要するに、仕事の内容がこれらに任せるということでございますけれども、そういうような不備もあるわけでございますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいというふうに思っております。
それと、水道業務とは違いますけれども、平成十五年の包括外部監査でも指摘されておりますけれども、水道局の駐車場の管理でございます。駐車場の管理を東京都市開発株式会社に委託しているようでありますけれども、平成二十二年度の収入及び管理費についてお伺いいたします。
○田村技術調整担当部長 ただいま先生からお話のありましたとおり、東京水道サービスに対しましては、給水装置工事の申請の受け付けや設計審査、配水小管からの分岐工事の立ち会い、完成工事の検査などについて委託をしております。
この東京水道サービス株式会社は、水道事業に関する豊かな経験と高い技術力を有した監理団体でございまして、多摩地区の水道におきましても、日々の浄水施設等の管理、管路施設の管理、給水装置系業務等を担っておりまして、業務を円滑に遂行しております。
このことから、東京サービスは十分な技術力、技術遂行能力を有していると判断しております。
○松丸経理部長 平成二十二年度におきます東京都市開発株式会社からの収入額は約一億七千六百万円で、その一八%に当たる約三千二百万円を管理費として支払っております。
○島田委員 先ほど水道サービスさんのこと、円滑に行われているということでございますが、たまたまきょう新聞に載りましたけれども、そういったところもあるわけですね。水道サービスさんがこれを実際監督して、実際、その監督がしっかり行えず、井戸水が水道水のところに行っていたわけですよね、一年間も気づかずに。これでそういえるんですかね。
多少、いろいろ間違いはありますけれども、やはりそういった不備もあるということは認識していただいて、そして私も確かに必要な仕事もあると思いますけれども、精査をしていただいて、そして民間にできるものもあると思いますので、この随契の率は高いですよね。それから、この占める割合も多いわけですから、そのうちの幾つかは、急にはできないと思いますけれども、徐々にでも結構でございますので、民間にできることは民間に徐々に振り分けていくと。
技術も自分たちだけで独占しないで、民間が育つのもなかなか時間がかかると思いますので、技術を徐々に民間にノウハウを与えて、そういったことをよろしくお願いしたいというふうに思っている次第でございます。
そしてまた、今の駐車場の管理でございます。駐車場の管理でございますけれども、これは平成十六年度の包括外部監査の意見を踏まえて、管理費についてどのように見直したのかお伺いいたします。
○松丸経理部長 平成十六年度の包括外部監査におきまして、東京都市株式会社、東京都市開発株式会社の管理費比率を検証すべきとの意見が付されました。このため、駐車場専門業者に対しまして市場調査を実施し、管理費比率を二五%から一八%に見直しいたしました。
○島田委員 管理費はいわれて、管理費を下げたと。一八%に下げたということはわかりますけれども、駐車場の管理というのは、民間でもできるというふうに思うわけであります。
ですので、その点もあわせて、全部監理団体等に仕事を回すのではなくて、民間にできる、例えば駐車場の管理はだれが見ても民間にできると、民間でもできる仕事であると思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
水道局さんからいただいた資料があるんですけれども、それぞれの、例えば東京水道サービスさんにおきましては、水道局から職員の派遣、OBの就職状況でございますけれども、役員が現職で一名、それからOBが二名、社員が水道局さんからの出向が九十六、OBが二百四十八名ですね。
それから、先ほどいわれました株式会社PUCにおきましても、水道局から役員が現職で二名、OBが三名、社員が現職で三十四名、OBが二十五名ということでございます。
こういったようなことから見ますと、先ほどもこれらの監理団体は、取引の依存度が大変高いと。そして、人間関係も深いと。これが現状だというふうに思います。これは、競争原理の導入が期待される民間セクターとはいいがたい状況でございますので、ぜひとも繰り返し先ほどもいっておりますけれども、民間の活用、それから監理団体に関しましては指導監督、そして透明性が十分確保されるよう要望をしておきたいというふうに思います。
二十二年度のこれらの会社の純利益を見ますと、水道サービスさんで二十二年度で三億、PUCで二億弱、二十三年度の予定でおりますと、利益の予想が水道サービスさんで八億、PUCが一億三千万というふうにあります。
こうした経費削減をして、そして、このような利益というのは、本来ならば水道料金の値下げに結びつく、あるいはそういったこと、あるいはそれらの将来のインフラ投資に回すような、そういうことが大切だと思うわけでございますけれども、これらの利益が会社の利益に行っちゃうわけですね、監理団体それぞれに。それではちょっとまずいというふうに思いますので、ぜひとも先ほど申し上げているとおりのことをよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
次の件でございますけれども、最後においしい水についてお伺いをいたします。
今、震災なんかがありまして、ミネラルウオーターの普及というものが急激に加速していると。いろいろな放射能の問題、放射性物質の問題とかで、さらにことしは、水道、蛇口から出る水よりも、一層ペットボトルを買う人が特にふえているのではないかなと思いますが、ミネラルウオーター類の売り上げについてお伺いをしたいと思います。
○松丸経理部長 先生からご指摘ありましたように、駐車場につきましてでございますが、包括外部監査等を踏まえまして、駐車場を管路の埋設地や配水池上部利用など、事業上の制約のあるものとそれ以外に区分しまして、前者につきましては水道事業に密接に関係しますので、引き続き東京都市開発株式会社に、それ以外につきましては、一般競争入札により業者を選定いたしまして、現在二社体制で一応運営管理をお願いしているところでございます。
○黒沼企画担当部長 ミネラルウオーター類の売り上げについてのご質問でございますが、ミネラルウオーター協会の資料によりますと、平成二十二年の実績では、ミネラルウオーターの国内生産数及び輸入数は合計で約二百五十二万キロリットル、金額にしまして約一千八百五十億円となっておりまして、過去五年間においてほぼ横ばいで推移しております。
○島田委員 横ばいということでございますけれども、ことしは先ほどいいましたとおり、かなり変わっているんじゃないかなと。そういう動向をしっかり水道局さんでも認識する必要があるのかなというふうに思っております。
次でございますけれども、水道水の一立方メートルの費用、それからおいしい水を推進するための高度浄水にかかる費用についてお伺いしたいと思います。
○黒沼企画担当部長 平成二十二年度の実績では、水道局がお客様に一立方メートルの水道水をお届けするのに約百九十九円を要しておりますが、このうち高度浄水処理施設の建設と維持管理等に要した費用は約十三円でございます。
高度浄水処理の費用、コストに関して申し上げさせていただきますと、先ほど先生からお話がございましたミネラルウオーター類は、主にペットボトル飲料水として製造、運搬されるわけでございますが、高度浄水処理を行った水道水よりも販売価格面で約七百倍の差がございます。
また、高度浄水処理を進めた場合を仮に各ご家庭で浄水器を設置するなどのいわゆる改善行動をとった場合と比較いたしますと、費用対効果の面で約三倍ほど高度浄水処理の推進に優位性がございます。
さらに、飲料水のみを高度浄水処理をしまして、他の水を別のシステムで供給する、いわゆる二重配管を実施した場合は、利根川水系全浄水場で高度浄水処理を実施する整備費用の約七倍の整備費用がかかります。
このように、高度浄水処理はコスト面においても優位性があり、経済性にもすぐれ、安全でおいしい水を供給できる事業として、現在当局は、利根川水系の浄水場全量導入に向けて着実にその取り組みを進めているところでございます。
○島田委員 高度浄水については、必要なところは必要だと。地域によっては、特に必要な場所もあるということはもちろんでございます。それは理解申し上げますけれども、水道水のうち大半がおふろ、あるいはトイレなどの雑用水に利用されていることや、そしてて、飲料、調理には大体二〇%ぐらいだと。
先ほど申し上げたとおり、放射能の問題で、ペットボトルの購入が今後加速していくのではないかなと思っております。個々の家庭で浄水器の取りつけというのも可能であると思いますので、先ほどお話を伺いましたけれども、百九十九円のうちの十三円かかるということでございますが、ある程度今、高度浄水の施設、設備は大分普及してきたということでございますので、今後は、震災の対応を含め防災対策が非常に重要であるというふうに思いますので、そちらの方を充実していく必要もあるのかなというふうに思っております。
そのことをご意見と申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山田委員 それでは、私から平成二十二年度水道局関係の決算に関する質疑をさせていただきたいと思います。
東京の水道は、百年以上にわたって都民生活と首都東京の都市活動を支えてまいりました。水道は最も重要なライフラインの一つでありまして、生命を維持するために必要な水を供給するのが最大の使命であります。
そのためには、災害対策、水源の確保、経営改善、財政運営などにかかわるさまざまな課題を乗り越えていかなければならないと思います。これまで我が党は、数々の施策を提案し、都における水道事業のあるべき姿を水道局とともに考え、そして実現してまいりました。
そこで本日は、水道施設の耐震強化、多摩地区での震災対策、そして財政運営等に絞って質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初に、水道施設の耐震強化についてお伺いいたしたいと思います。
私は、この四月から一週間、東日本大震災の被災地支援都民ボランティアの一員といたしまして、東日本大震災で大きな被害を受けました宮城県の気仙沼市、石巻市、東松島市で救援活動に従事してまいりました。
この大震災により、水道においても東北三県において大断水が起きました。私自身も実際、現地に、被災地に参りまして、その水のありがたさを改めて痛感いたした次第であります。まさに、日ごろからの取り組みの大切さというものを再認識させられたわけであります。
水道局では、昨年度から、従前の管路の耐震化計画を大幅に前倒しをするなど、震災対策に向けてさまざまな取り組みを積極的に進めてきておられます。
そこで、水道局の耐震強化に向けた取り組み状況についてご説明いただければと思います。
○黒沼企画担当部長 水道局では、地震による水道施設の被害を最小限にとどめ、都民への安定給水を確保するため、これまでも震災対策を局事業の最重要課題の一つに掲げ、水道施設の耐震強化に取り組んでおります。
この結果、平成二十二年度末現在の浄水場におけるろ過池の耐震化率は七六%、配水池につきましては五五%となってございます。
また、管路におきましては、耐震継ぎ手管への全面的な取りかえに向けまして、これまでの取りかえ計画を大幅に前倒しをします水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を推進しており、平成二十二年度末現在、二七%の耐震継ぎ手率を平成三十一年度には四八%に向上させます。
こうした取り組みに加えまして、本年五月に完成いたしました東京湾を横断します東南幹線を初めとする総配水ネットワークの構築など、万が一被害が生じた場合においても、断水区域や断水時間の縮減を図るためのバックアップ機能の強化についても積極的に進めております。
○山田委員 震災時における都民生活を第一に考えていただいて、耐震強化に全力で取り組んでおられるということで、大いに評価をいたしますし、都民も皆様方のご努力に高い期待を寄せているところでありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
また、管路につきましては、これまでの計画を倍増して耐震強化に取り組んでいるとのことでありますけれども、水道施設というのは膨大でもありますし、一朝一夕に進むものではありません。
震災時の被害軽減のため、今後も管路の耐震継ぎ手管への取り組みを着実に進めていっていただきたいと思います。
今回の東日本大震災を教訓といたしまして、より一層の水道施設全体の耐震強化を進めることが重要であると考えております。
そこで、これまで進めてこられました施策に加えて、今回の東日本の震災を踏まえ、現在、水道局が進めておられます新たな取り組みについてお伺いをいたします。
○黒沼企画担当部長 水道局では、東日本大震災で新たに浮き彫りになりました課題への対応策を検討するとともに、従来の概念におさまらない災害への備えに万全を期すため、発災後早期に大規模災害対策検討委員会を局内に設置いたしました。
この委員会におきましては、水道局がこれまで進めてきました予防対策等を総点検するなど、大地震のほか大規模かつ広域的な停電、洪水等による浸水被害など、さまざまな災害を想定し、全局的な検討を進めております。
具体的な検討内容の一例を申し上げますと、水量や水圧などを監視するテレメーターの無停電化を図るなど、広域的停電時におきましても安定的な水運用の確保に向けた対策を計画しております。
今後、現在都が策定を進めております東京都防災対応指針、仮称でございますが、こちらの指針で示す防災対策の方向性も踏まえまして、水道局における大規模災害対策の指針を来年一月を目途に策定をしてまいります。
○山田委員 今回の東日本大震災でのひどい状況を見ますと、常日ごろからの地震に備えることが、震災の被害を軽減するためには何よりも重要であるということを都民は再認識をしていることと思います。
ぜひ水道施設の耐震強化を局を挙げて全力で推進してもらいたいと思います。
次に、多摩地区での震災対策についてお伺いいたします。
水道施設の耐震強化について伺ってまいりましたけれども、昨年の第四回定例会の議決によりまして、いよいよ事務委託の完全解消が目前に迫った多摩地区の震災対策に絞って幾つか質問をさせていただきます。
先ほど島田委員からもいろいろご質問がされておりましたけれども、多摩の水道は各市町が創設した水道事業を昭和四十八年から順次都営一元化して、事務委託方式による事業運営が行われてきた経過がございます。それは、地形特性や歴史的経過など、区部と違った特色があるものであります。
こうした多摩の実情に合わせた震災への着実な取り組みについても私は必要だと考えます。
そこで、多摩地区水道施設の震災対策面での課題について、具体的にお伺いをいたします。
○田村技術調整担当部長 事務委託制度のもとでは、水道事業の運営はそれぞれの市、町にゆだねられておりまして、施設の整備は各市町単位で実施してまいりました。このため、市町域にとらわれない配水区域の設定ができておらず、災害時に市町を越えて相互に給水を融通する配水管のネットワークが不十分となっております。
また、耐震性や配水池容量が十分に確保できていない浄水所等も存在しております。
大規模な地震の発生に備えて、これらの課題への取り組みが重要と認識しております。
○山田委員 各市町単位で整備が行われてきた多摩地区の水道施設には、震災対策面で脆弱な部分もある、あるいは取り組む課題も区部とも違った問題もあるかと思います。
これからは、東京水道が蓄積をする高い技術力を駆使した一元的な施設整備ができるようになりますので、こういった広域水道としてのメリットを一層発揮していただいて、地震に強い水道システムを構築していただきたいと思います。
そこでお伺いいたしますけれども、今後の多摩地区の震災対策として、施設整備をどのように実施していくのかお伺いいたします。
○田村技術調整担当部長 災害時におきましても、可能な限り給水を確保するために、地震に強い水道システムを構築することは、水道事業の基本的な使命であると考えております。
ご指摘のとおり、市町への事務委託完全解消を契機として、今後、広域水道のメリットがさらに発揮できるよう、都営水道として一元的な施設整備を本格的に実施する必要がございます。
このため、昨年八月に策定をいたしました多摩水道改革計画に基づきまして、市町域を越えた配水管網の整備を進めるとともに、配水池の拡充や給水所の耐震工事等を計画的に実施をいたします。
さらに、広域的な幹線として、現在施工中の多摩丘陵幹線に加えまして、新たに多摩南北幹線の整備を進めて、多摩地区の給水安定性の向上に向けて、広域的なバックアップ機能を一層強化させてまいります。
○山田委員 多摩地域では、東日本大震災後の計画停電が実際に行われ、一部の水道施設が停止、断水、水が出ない、あるいは濁水、濁った水が発生したという事例がございます。
私が住んでおります西東京市にあります芝久保浄水所は、西東京市の西部約四万八千戸に給水をする、多摩地区の主要な施設の一つでもあります。この芝久保浄水所がある地域でも、当時、計画停電が実施されるのではないかという情報がございました。
仮にここで停電が実施されますと、大勢の都民が断水の被害を受けるということで、水道局でも給水車を用意するなどの対応に追われたとのことでございました。
電気も水道もとまるかもしれないという不安から、地元の市役所にも多くの市民から問い合わせが寄せられたとも聞いております。結果として、一部の地域は停電になりましたけれども、幸いにも芝久保浄水所のある地域は計画停電が回避をされ、大規模な断水を引き起こさずに済みましたけれども、もし停電されたならば、都民生活への影響ははかり知れないものがあっただろうと思っております。
やはり主要な水道施設等については、停電への備えもしっかりと対応していただきたいと思いますが、どのように取り組んでいくのかをお伺いをいたしたいと思います。
○田村技術調整担当部長 東日本大震災に伴います東京電力の計画停電では、自家発電設備のないポンプ所等が停止したことによりまして、多摩地区の一部で断水や濁水が発生し、その影響は延べ二十六万件に及びました。
また、西東京市の芝久保浄水所では、停電を免れたものの、仮に停電が実施されていれば大規模な断水が発生するおそれがありました。
こうした経験を踏まえまして、停電の影響が大きい芝久保浄水所等に自家発電設備等を新設することとし、さきの補正予算におきまして事業化したところでございます。
このような取り組みによりまして、震災による停電時においても、可能な限り給水を確保できるよう万全を期してまいります。
○山田委員 今の答弁を聞いて、大変力強く思った次第であります。今後も災害に強い水道の構築を目指し、全力で取り組んでいただければと思います。
次に、財政運営についてお伺いをいたしたいと思います。
これは、ある会派の方からのいろんなご意見の中では、利益を水道料金に還元をして、水道料金を値下げしろという主張をされる会派もございますし、私といたしましては、そういう見解については異にいたしております。
なぜかと申し上げますと、これまで述べてきたように、水道施設の耐震化、あるいは今後本格化する大規模浄水場の更新に巨額の費用がかかる、必要となることは自明の理であります。
その資金の調達手段を企業債、借金など外部資金に依存することは、私はいずれ経営が行き詰まることとなってしまう要素でもあると思います。
今後の施設の更新に当たっては、できるだけ借金のツケを後世に残さない確固とした財政運営を目指すべきと私は考えております。
そこで、今後の財政面での取り組みについてお伺いをいたします。
○福田総務部長 ただいまのご指摘を踏まえ、考えてみますと、水道事業の財政運営は大きな転換期を迎えているのではないかと考えられます。すなわち、昭和三十年代後半から四十年代の高度経済成長期には、人口、企業等が爆発的に増加し、当局では高まる水道需要に対応すべく、多くの水道施設を建設してまいりました。
そして、そのために要した資金は、将来の料金収入の増加の見込みと世代間の負担の公平という考え方のもと、企業債などで対応してきたわけでございます。
しかし、拡張期を終え、維持管理の時代に入った近年では、料金収入の大幅な増加というのは見込めない状況にあります。さらに今後、施設の更新期を迎え、巨額の財政需要が見込まれておりまして、企業債、すなわち借金に依存した運営では財政が硬直化し、経営悪化を招くおそれが生じている、そういう状況にあるのではないかというふうに考えます。
そこで、財政面での取り組みでございますが、企業債の発行を計画的に抑制し、元金償還金及び支払い利息の軽減を図ることで、可能な限り有利子負債を増加させない財政運営を実施してまいります。
さらに、将来の施設更新に備えた大規模浄水場更新積立金を積み立てるなど、資金確保に向けた取り組みを着実に行うこととしております。
○山田委員 将来負担を残さずに次世代に水道施設を引き継ぐということは、水道事業者として最大の責務ではないかと思います。
今後とも、震災時や事故時への対応、対策を着実に推進をするとともに、近づいてきた施設更新に向け、的確な対応を進めていくことを期待しておきたいと思います。
また、意見として申し上げておきたいと思いますが、これは別のことなんですけれども、八ッ場ダムについてちょっと一言申し上げておきますが、八ッ場ダムの建設につきましては、都の水源の脆弱な状況を考えますと、私は着実に推進していく必要があると考えております。
今後は、気候変動による水資源への深刻な影響も懸念されておりまして、将来にわたる水の安定した供給に向けて、八ッ場ダムは必要不可欠であることを改めてここで申し上げておきたいと思います。
それでは、最後に、局長に安定給水の一層の向上に向けた決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○増子水道局長 水道は、首都東京の基幹的なライフラインであり、震災時においても給水を確保し、都民生活や都市活動への影響を最小限に抑えることが水道事業者の責務であります。
今回の震災では、東京の水道も地震による揺れや計画停電などにより被害を受けたことから、現在、既存の震災対策を見直し、早急に取り組むべき具体的な対策の検討を進めております。
また、渇水や気候変動等、将来想定されるさまざまなリスクにも十分に対応できるよう、八ッ場ダムなどの水源の確保はもとより、より安全度の高い水道システムの構築を図ってまいります。
さらに、多摩地区では、昨年八月に策定した多摩水道改革計画に基づき、市町域を越えた施設整備や給水ルートの複数系統化など、都営水道としての一元的な整備を進めてまいります。
これらの取り組みを総合的に推進することにより、現在はもとより、将来にわたる安定給水を確保し、一千三百万都民の暮らしの安全と安心を支えてまいります。
○斉藤委員 私の方からは、これまで行われてきた水道局の広報活動を中心に、二十二年度決算の範囲内で質問させていただきたいと思います。
これまでも我が党は、水道事業における広報広聴の充実とサービスの向上を訴えてまいりました。私自身は、二十一年七月初当選でございまして、都議の歴史は短いわけでございますが、都議会公明党の歴史を学ぶ中でも、水道事業への取り組みは極めて都民生活を守るという意味で重要であるということも学んでまいってきたこの二年間でございました。
昭和三十九年、東京オリンピック開催に沸く日本でしたけれども、当時の東京は渇水が大変続きまして、東京砂漠という言葉も生まれていたということでございます。
首都東京の水の問題は、都を越えまして他県に水源を持つ利根川水系などを利用することを通じまして、乗り越えてきた歴史がそこにあるということを現地の視察なども通じまして認識をしてまいりました。
私は、区部二十三区、目黒区に住む者ですけれども、都民が日常的に水道事業に関心を持つために、時には新聞の折り込みなども利用しながら、「水道ニュース」という広報の用紙がありますが、そういったものが配布されたり、あるいは水道局の広報活動の一端を一都民として目にすることもあります。
また、私は小学生の長男がおりますけれども、地元の目黒区の小学校でも、広く水道キャラバン、こういったものの開催を実施しておりまして、子どもたちも大変楽しく学んでいるということを子どもからも聞いているわけであります。
このように水道局は日ごろから、水道事業のPRのためにさまざまな取り組みを行っているわけですが、一方、昨年の決算特別委員会でも我が会派から主張しておりますけれども、実際に目で見て、体験するといった水道への理解をしてもらうことも非常に重要ということで、このPR館による広報活動も重要であると考えるわけであります。
特に、水の科学館は、次代を担う子どもたちが学習施設として、貴重な施設として利用しておりますけれども、我が党では昨年のリニューアルオープンに向けまして、参加体験型の企画や環境に関する展示の充実などを提案してきたところです。これにこたえる形で、水道局でも参加体験型の施設などの機能充実を図ったことは評価をしたいと思います。
今後、さらに多くの人たちへそういったリニューアルの周知を通して、より一層施設の活用を図っていくことが必要であると考えます。
そこで、最初に伺いますが、昨年のリニューアルに際しまして、過去に利用した学校などを含めまして、その案内などさまざまなアプローチを検討するよう同僚委員が提案したところですが、その実施状況を伺いたいと思います。
○吉野サービス企画担当部長 水の科学館のリニューアルに先立ちまして、都内のみならず関東近県の小中学校や旅行代理店等に対して案内チラシを送付するなど、PRに努めてまいりました。
また、記者発表を初めプレオープニングイベントや内覧会を開催し、新しくなった水の科学館の魅力を積極的に配信してまいりました。
さらに、今年度は、新たに水の科学館において水道キャラバンを実施し、相乗効果を図ることで学習効果をさらに高める取り組みを行ってまいりました。
○斉藤委員 子どもたちへの学習効果を高めるという意味でも、水の科学館と水道キャラバンのコラボレーションといいますか、非常に大変よいアイデアであると思います。
小学生のいるご家庭では、子どもがむしろ知識が豊富になりまして、親が教えられることが多いのが実際だと思います。今後もこのような取り組みをぜひとも推進していただきたいと考えるわけでございます。
また、科学館の運営につきましては、民間の発想を生かした運営をより一層進めていくべきと、このように提案させていただいておりますけれども、水道局では、リニューアル後、館の運営全体を民間に委託したと聞いております。
そこで、この水の科学館の運営を民間に一括委託した効果を伺いたいと思います。
○吉野サービス企画担当部長 水の科学館の運営に当たりましては、三年間の複数年で民間事業者に委託したことにより、蓄積したノウハウを活用できるようになり、さらなるお客様サービスの向上を図ることができました。
具体的には、館独自のイベントの実施やシャトルバスの運行など、来館者数の増加を目的とした戦略的な営業活動を展開してまいりました。
また、アテンダントの提案によりまして、アクア・ラボラトリーにおける実験メニューを充実させ、楽しみながら水の不思議への関心を高めるなど、サービス向上を図ってまいりました。
○斉藤委員 この三年間の複数委託契約、三年間という期間をしっかり持って委託をするということは非常に重要であると思います。イベントの企画や近隣施設の協力など、民間ならではの発想を生かした運営の効果が出ているということがわかったわけでございます。
また、近隣施設というと、科学館は有明給水所の真上にあるわけでございますけれども、この給水所と科学館をつなげることで、ふだん見ることができない実際の施設を都民が、あるいは子どもが見学できるようにしたと伺っております。
そこで、給水所と併設されたという立地条件を生かし、さらに学習効果を高める工夫が必要と考えますが、水道局の見解を伺いたいと思います。
○吉野サービス企画担当部長 水の科学館では、現在一回約三十分間で給水所施設を見学してもらうアクア・ツアーを実施しております。
今後は、給水所の機能や水運用の仕組みなどについて、わかりやすく解説するため、給水所の模型や各種展示物を整備するなど、アクア・ツアーの一層の充実を図ってまいります。
○斉藤委員 私も今回の分科会質問を通じまして、水の科学館のリニューアル、過去の質疑なども確認をさせていただいて、大変勉強になったわけでございますが、水道局の事業のPR、あるいはさまざま歴史ということでいえば、例えば水道の歴史を、百年という山田副委員長からお話がありましたけれども、水の歴史を学ぶ意味では図書館的な歴史の蓄積というものを見ることができる水道歴史館、こういったものもあると伺いました。
こういった水道歴史館を含めまして、PR館は都民に水道事業への理解を深めていただく意味では大変効果的な施設であって、引き続き積極的に活用していくことが重要であると認識したわけでございます。
このような平時の教育の場なども利用した、平時の水道の事業のPRと同時に、今回は非常時における水道局の広報のあり方についてもしっかり検討していくことが必要であると思います。
これは、いうまでもなく東日本大震災の発災を受けての都民の暮らしの中で、非常にライフラインとして水道が重要であると都民が痛感したこともございましたし、またあるいは、原発の事故を見まして、質の高い水道というものを都民が求めていたと同時に、安全性につきましては、放射能の影響を水道という形で都民は直面するという事態にもなったわけでございます。
そこで、本年の三月十一日に発生いたしました放射能汚染の問題や、あるいは計画停電などにつきまして、これは想像でございますが、相当な情報が錯綜した形で、かなり都民が混乱をした、これは事実だというふうに感じております。
このような状況の中で、水道局へもかなりの都民からの問い合わせが寄せられた、あるいは要望があったのではないかと思いますが、どのような内容のものがあり、どのくらいそういった問い合わせが寄せられたかをお伺いしておきたいと思います。
○吉野サービス企画担当部長 三月十一日の地震発生から一カ月で、通常の約二・四倍に当たります二万二千件の問い合わせがございました。そのうち、発生当初は計画停電関係の問い合わせが約三千六百件、その後、放射能関係の問い合わせが約一万二千五百件ございました。
○斉藤委員 一万を超える数字、数字だけを聞いても実感がわかないわけですが、通常はない問い合わせ、非常に急激にその時期にばあっとふえたということだと思います。膨大な問い合わせの件数を伺いまして、当時の都民の不安、心配の大きさも再認識したわけでございます。
また、震災発災直後の三月二十二、二十三に金町の浄水場での水道水から、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値を超過する濃度の放射性沃素が測定された。これは記憶に新しいところでございます。
放射能汚染の問題は、都民が初めて経験するものでありまして、大変に不安に陥れられたわけでございます。乳幼児、特に乳児をお持ちのお母様から、数多くの相談を私自身も受けてまいりました。
そこで、放射能汚染に関する問い合わせ状況につきましてはどうであったのか伺いたいと思います。
○吉野サービス企画担当部長 当局のお客様センター等には、公表後三日間で約七千件の問い合わせが殺到し、すべての問い合わせに対応できない状況でございました。
また、当局のホームページにも、同期間で五十二万件ものアクセスがあり、一時アクセスしづらい状況にもなりました。
お客様からの問い合わせの主な内容でございますが、水道水の飲用の可否に関することや、自宅の水道水はどこの浄水場から来る水なのか等でございました。
○斉藤委員 私も問い合わせた都民の一人かもしれませんけれども、実際、目黒区の水が一体どこからどこの給水所からどのようなところを通じて来るのか、どのくらいの量水でどのくらいの水が流れていくのか、一体自分のところにはいつ汚染された水が来るのか、そういったことはなかなか想像することもできず、本当に不安に駆られた都民の方が、とにかく問い合わせされたということが容易に想像されるわけでございます。
都民の最大の関心は、特に不安の原因は水道水の安全であったということが改めて数字からもうかがい知れるわけでございます。
しかし、この放射能によります都民の健康影響までは、事業局、事業を中心とする水道局だけでは対応が大変難しかったのではないかと思うわけでありまして、水道局は福祉保健局とともに緊急の会見を開催したわけでございますが、こういった局間の連携というものが非常に重要である、これはどんどん進めていってもらいたいと思います。
都民からしますと、健康のそういった問題、安全に関することは福祉保健局であるとか、水道事業は水道局とか、そういった所管の組織の実態、所管の範囲まではわからないのが通常でありまして、都庁内部でしっかり連携をしていくことが重要であると思います。
今後も危機対応の研究などをしっかり取り組んでいただきたいと思います。
水道局では、このような都民からの放射能と水道に関する問い合わせに対しまして、どのような対応、電話がそれだけ殺到して、実際にはそれだけ膨大な数ですと対応し切れなかった部分もあろうかと思います。電話というのは大変錯綜するわけでございますが、どういった対応をとったのかということをもう一度お伺いしたいと思います。
○吉野サービス企画担当部長 当局では、できるだけわかりやすい情報提供を行うことで、お客様の不安の解消に努めてきたところでございます。
具体的には、ホームページに放射能の影響等に関するQアンドAを作成し、母乳を与えている母親の方や妊婦の方が飲んでも大丈夫かなど、お客様の関心の高い内容を中心に、具体的に情報を提供してまいりました。
同時に、水道水のくみ置きの方法を紹介し、空気に触れないよう、例えば容器の口元まで水をいっぱいに入れることなど、実用的な内容をわかりやすく提供してまいりました。
○斉藤委員 具体的なそういった対応について、丁寧にQアンドAなど、こういったことを見ながら対応を求めるということは、とても重要な対応の仕方であろうかと思います。
このように、局が事前にそういった問い合わせに対して対応の対策をとっていくということが非常に重要であると思うわけでございますが、実際に放射能汚染が発生した当時、地元でも乳児の飲用を控える対象地域ということで、目黒も指定されたわけでございまして、ここまで身近に影響が出るとはだれもが思っていなかった。また、現在も完全にはそういった不安を払拭できてない現実があろうかと思います。
そこで、現在の水道水の検査体制と、それから検査結果、こういった状況について確認をさせていただきたいと思います。
○酒井浄水部長 福島第一原子力発電所の事故発生以来、関係各局と連携し、水系を代表する浄水場におきまして処理した水道水、すなわち上水と、その原料となります河川水を毎日検査することにより、水道水全体の状況を把握するとともに、検査結果を即日公表してきております。
さらに、検査体制を強化するため、水質センターに放射性物質を測定する機器を導入し、八月からは検査対象を他の主要な浄水場や多摩地区の地下水を水源とする六十カ所の浄水所まで拡大いたしました。
他の主要な浄水場の浄水は週一回、多摩地区の浄水所の上水はおおむね月一回検査し、検査結果を公表しております。
現在では、水系を代表する浄水場を含め、すべての浄水所の検査について水道局で実施してきております。
検査結果でございますが、浄水における放射性沃素につきましては、四月五日以降現在まで不検出が続いております。また、放射性セシウムについては、検査開始以来現在まですべて不検出でございます。
一方、原料となります河川水の放射線沃素につきましては、四月二十四日以降現在まで不検出であり、放射線セシウムについては、不検出であるか、まれに検出されても極めて低い濃度となっております。
また、検出限界値についてでございますが、当初は、速報性を重視して、一キログラム当たり二十ベクレル未満を不検出としてまいりましたが、八月からの検査体制では、上水の検出限界値は一キログラム当たり一ベクレルを下回る状況となっております。
○斉藤委員 都民はもとよりですけれども、職員の皆さんもそのような都民への対応を大変情報が少ない中で大変だと思いますが、現在の取り組みより進化して、その後も継続してそのようなことを都民に伝達するよう努力されていることがよくわかったわけでございます。
都民の不安を少しでも和らげるために、水道局が検査体制を整え、その結果を迅速に公表するなど、そういった努力を私は評価したいと思います。
一方、地震直後には、携帯電話やホームページにつながらない状況、あるいは公的機関への問い合わせがつながらない、そういった状況は先ほど数字でも伺ったわけでございます。
さらにホームページによる情報提供の話等もございましたが、操作がふなれな高齢者や、視覚障害者への配慮などが必要であるということも聞いているところであります。
私は、政府、自治体、東京都、こうした非常時にあってこそ、情報を迅速に、適切に集約、整理して、都民に必要な情報を迅速に正確に伝えるよう努めていかなければならないと考えるわけでございます。
そこで、より多くの都民に確実に伝達できる、そういった情報提供の方法について、都はどのように考えているのか、それを伺いたいと思います。
○吉野サービス企画担当部長 非常時におきましても、同時に多数のお客様に情報を提供できますよう、ラジオの活用や問い合わせが殺到しても話し中とならず、お知らせのメッセージを流すことのできる電話情報サービスの活用を検討しております。
さらに、区との連携により防災行政無線を積極的に活用するほか、若者を中心に普及しているツイッターなど、多様な手段の導入を検討してまいります。
○斉藤委員 水道は都民生活に不可欠でございまして、非常時にこそ、断水の情報ですとか、水質に関する情報をすべての都民に迅速に正確に伝えることが必要でございます。ぜひ既存の情報伝達手段にとらわれずに、多様な手段の導入を、今お話ありましたようにお願いを推進したいと思います。
また、障害を持った方に対する情報伝達のあり方は、本日質問いたしませんけれども、何とぞ推進をよろしくお願いいたします。
ツイッターの話が出ました。ツイッター上のやりとりを私も利用して見てみますと、不正確な情報の拡散もまた見られるところでもありまして、都民の側、利用する側の情報の活用能力といいますか、リテラシーというものが重要である。情報のサイドからの正確な情報の迅速な伝達とともに、またそれを活用する側、都民の側の能力の向上ということも、車の両輪のように重要であると認識しているものでございます。
また、局の方でもよくフォローしていただいて、ツイッター上でのやりとりなど、話題になっているものを随時よく見ていただきまして、誤った情報があれば、それに対する対応も的確に打っていくということも、都民に対する正確な情報伝達という意味で重要であろうかと思います。
私は、本日、これまで水道事業のPRや非常時の迅速、正確な情報提供など、水道局の広報について幅広く伺ってまいりましたが、最後に、水道事業の責任者である局長に、真に都民に信頼される水道の実現をするための広報のあり方につきまして所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○増子水道局長 東京水道に対しまして、お客様の理解、協力を得るためには、広報を通じて当局の取り組みを積極的にお知らせするとともに、必要な情報を適時適切に提供する必要がございます。
平常時にありましては、お客様に水道事業への理解を深めていただくために、水道キャラバンや水道ニュース、PR館等を活用して、より親しみやすく、わかりやすい広報を行ってまいります。
一方、震災などの非常時には、正確かつ迅速に情報をお客様にお伝えすることが当局の重要な責務でございます。さきの東日本大震災の際、当局では、浄水場における放射能測定結果を即日公表するなど、お客様の安心・安全を確保するため、情報提供に全力を挙げ、お客様の信頼にこたえる努力をしてまいりました。
今後も、ただいま斉藤委員のご意見を踏まえまして、既存の手法にとらわれず、より効果的な広報手段を新たに活用するなど、的確な情報発信を行うことにより、お客様から信頼される水道を実現してまいります。
○かち委員 私からは、八ッ場ダムの利水と都の水需給計画について、また水道管継ぎ手の耐震化について、水道料金について、環境対策について、四点についてお聞きしたいと思います。
八ッ場ダムの建設の是非をめぐっては、昨年当時の馬淵国交大臣が予断なき検証をすると再三言明し、八ッ場ダム工事推進の当事者である国交省関東整備局によって検証作業が行われてきました。
現在、その検証報告に対するパブコメ中ですが、その意見を踏まえ、有識者会議の結果を経て、大臣が決定するという段取りになっています。
しかしながら、今回の検証作業では、利水についても何ら見直すことなく、これまでの各自治体の過大な計画をそのまま当てはめて打ち出した水需給計画であり、実態を反映し、科学的、客観的に検証したとは思えません。
そこで、改めて都の水需給計画について伺います。
資料を出していただきました一ページの資料をグラフにしました。(資料を示す)この間、二十年ぐらいのスパンがあるんですけれども、赤が最大配水量です。オレンジが一日平均配水量です。この二十年間、いずれも下降線をたどっているというのが実態だというふうに思います。
都の配水実績からすれば、一日最大配水量では約百十万トンの乖離があるんですけれども、計画と実績の乖離は埋まるどころか、さらに拡大する傾向です。にもかかわらず、今なお最大配水量が六百万立方メートル必要だというその根拠を改めてお聞きしたいと思います。
○黒沼企画担当部長 計画一日最大配水量を六百万立方メートルとしている考え方でございますが、まず将来の水道需要に関しましては、将来、実際に使われるであろう水量、すなわちメーターで計測される水量でございますが、これを一日平均使用水量として推計をしております。
この推計に当たりましては、生活用水、都市活動用水、工場用水の三つに分けまして、過去の使用実績や社会経済指標等を用いまして、統計的手法、いわゆる重回帰分析により行っております。
このようにして、まず一日平均使用水量を推計いたしておりますが、この平均使用水量には、漏水等によって実際に使用されずに消費する水量が含まれておりますので、これを考慮いたしまして、一日平均の配水量を求めております。
その配水量でございますが、日々、こちらは気候、天候、あるいは曜日、渇水の状況などにより、さまざまな要因で変動いたします。過去の一定期間において、変動した幅、配水量の変動幅をこちらは推計値ではございませんで、実績として考慮し、計画値としての一日最大配水量を六百万立方メートルと定めたものでございます。
ただいまご説明いたしました使用水量をまず統計的手法により推計いたしまして、これをもとに漏水ですとか変動実績、変動の幅を考慮して、いわば水道事業者の責務を果たすという観点からも、最大一日配水量を算出したことにつきましては、ご案内のとおり平成二十一年五月の八ッ場ダムの住民訴訟の中でもその合理性を認められているところでございます。
○かち委員 今、最大配水量などの算出根拠について、技術的な算出方法についてお答えがありましたけれども、しかし三十年、四十年のスパンで過去を見てみればわかりますように、気象条件や経済環境、人口動態、都市の発展段階等によって変わってくるということを見定めるべきだと思うんです。
東京は、もはや成長段階ではなく成熟都市です。産業構造も大きく変わっています。こういう状況の中で、今のお答えでは、平成二十五年、これから二年後に最大配水量が一気に、今四百九十万トンですけれども、これが六百万トンに上がるということは、どう考えても納得いかないんじゃないでしょうか。
それから、平均配水量は、皆様方の努力、技術の進んだということもありまして、漏水もかなり影響していて、どんどん下がっていることにもなっています。そういう意味からしても、今のお答えでは、二十五年に六百万トンが必要だという根拠にはなかなか行き着かない問題だと思います。
そして、東京都は、東京水道経営プラン二〇一〇というのを出しました。ここに何て書いてあるかといいますと、人口は全国的には減少傾向にありますが、東京都では、社会増により増加を続けている。また、経済成長については、平成二十一年十二月に政府の新成長戦略では、平成三十二年までに実質二%を上回る経済成長を目指すとした。これらのことから、今後、水道需要は増加するものと考えますと書いてあります。
しかし、人口は確かに増加しています。世帯数もふえています。しかしながら、平均配水量では減り続けているというのが実態です。平成十年度から十年間で、東京都の人口は八%もふえました。しかし、生活用水の使用量は三%しかふえていません。
この人口増がどこまで伸びるのかという点でいえば、東京都の予測でも、将来の世帯数のピークは平成二十七年度の六百三十六万世帯で、平成二十三年度現在の六百三十二万世帯から一%もふえない、こんな状況です。もはや上限域に達しているということではないでしょうか。
それで、経済成長についていえば、このグラフの青い線を見てください。(資料を示す)これは、都のGDP版です。〇八年のリーマンショックまでは、景気は上がり続けていたわけです。しかし、最大配水量も平均配水量も減り続けている。景気がよくなっても、配水量はふえていないというのが実態です。そういうことはもう明らかではないでしょうか。
もう一つ、節水型家電製品の普及や社会全体が節水型社会に変わりつつあるということでもあります。経済成長と人口増で東京の水需要がふえ続けるという根拠は成り立たないということだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○黒沼企画担当部長 先ほどもご説明申し上げましたとおり、委員にお示しをいただきましたパネルには、一日平均使用水量のトレンドはございませんでしたが、私どもが需要予測を行っているのは、まず一日平均使用水量を統計的手法により分析をしております。
こちらですと、先ほども言及がございましたが、生活用水としての使用水量は、実際には長期的にふえております。ということで、トレンドはまず相関があるというふうに考えておりますが、一日平均使用水量からさらに漏水量等を考慮した配水量が実績値として四百九十万トンとかあるわけですが、これが直ちに六百万トンにいくということで需要を考えているわけではございません。
私どもは、あくまでも需要予測に関しましては、統計的な手法で、まず将来の使用水量を推計し、そこから漏水量等を踏まえて、配水量は推計をしております。ここから先は、過去に実際にあった変動幅をいわば安全の備えとして、実際にそういう変動が起こった場合に給水ができるように需要を想定したものでございまして、繰り返しになりますが、これは訴訟の場でも支持されております。
○かち委員 事業概要にもありまして、使用水量は微増ですけれどもふえているというのも実態です。しかし、人口が八%ふえていても、使用水量は三%しかふえていないということと、もう人口増がこのままずっとふえ続けるということではないということは、東京都自身が推計しているものです。
そして、過去のものを参照にしてといいますけれども、過去に非常に配水量が高かった時代があったということと、今の時代、これからの時代との時代的背景、社会構造の変化、いろんなことをやっぱり加味しないと、過去のものがそのまま今のこれからの時代に合うというふうにはならないと思うんです。(「気候変動」と呼ぶ者あり)気候変動のことも後で申し上げたいと思います。
漏水化率は着実に減っているんですね。だから、使用水量も減っているという実態です。
それで、多摩地域の水道水源として重要な役割を果たしているのが地下水ですけれども、この一日最大配水量の実績はどれくらいあって、水源量はどのように推移しているでしょうか。
○黒沼企画担当部長 多摩川水系の水源量の前に、今の関係のご質問につきまして若干ご説明をさせていただきますと、私どもで今ご説明をしました最大配水量の考え方は、現在想定をしている最大配水量の考え方でございまして、もとより、需要予測に当たりましては、今後長期的な視点に立ちまして、例えば水源の確保、施設整備は数十年間から百年かかってまいりますので、長期的なスパンに立って需要予測を考えなければならないことは必然でございます。
そこに当たりましては、例えば気候変動ですとか、そういったいわゆる想定がなかなか困難である事象等を踏まえて、十分安全を考えた上で、高度防災都市の構築に向けて取り組まなければならないことはいうまでもないことだというふうに認識しております。
それでは、多摩川水系の水源につきましては、利根川水系と同様、首都東京の都民生活や都市活動を支える安定給水を確保する上で不可欠な、いずれも都の水源でございます。
多摩川水系の水源量につきましては、都全体の水源量に対しまして約一九%となってございます。
○かち委員 今、私がもう一度質問しますね。多摩地域の水道水源として重要な役割を果たしているのは地下水です。この一日最大配水量の実績はどれぐらいあって、水源量はどのように推移しているのか、もう一度お聞きします。
○黒沼企画担当部長 多摩地区の地下水の配水量、日最大の揚水量でご答弁申し上げますと、過去三年では、平成二十年度が約二十九万立方メートル、平成二十一年度は約二十六万立方メートル、平成二十二年度は約二十五万立方メートルでございます。
○かち委員 不安定水源だといわれておりますけれども、地下水量は二十数万立方メートルの揚水量を持っているわけです。都の保水水源に位置づけられていない多摩地区の地下水について、現実的に見直すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○黒沼企画担当部長 東京都土木技術支援・人材育成センターが公表しております地盤沈下調査報告書によりますと、過去の渇水年におきましては、揚水量が増加をし、地盤沈下が進行したこともあるため、今後も適切な地下水の揚水規制を図るべきであるとしております。
また、水質におきましても、トリクロロエチレン、1・4-ジオキサンなどが検出されたことから、一部の井戸の使用を休止してきた経過がございます。
多摩地区の地下水につきましては、可能な限り活用はしてまいりますが、ただいま申し上げましたとおり、地盤沈下や水質の面から見て、将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難であると認識しております。
○かち委員 過去に、確かにくみ上げ過ぎて地盤沈下が起きたという例はありました。しかし、その後の抑制対策や一部使用を禁止するとか、そういう対策をとってきた結果、十五年前から地盤沈下がとまっているという状況にもあります。
そういう意味で、地下水の安定的な揚水は欠くことはできない。これを無視することはできない状況だというふうに思います。
八ッ場ダムの開発水量は、都の利水量として一日換算でどれくらいになるんですか。
○黒沼企画担当部長 東京都が八ッ場ダムに参画をしております開発水量でございますが、日量約四十三万立方メートルでございます。
都の水源は、課題を抱える水源が八十二万立方メートル含まれている上、近年の少雨化傾向により、ダムなどからの供給能力が実質約二割ほど低下しているという極めて脆弱な状況にございます。
加えて、国土交通省によりますと、八ッ場ダムがもし完成していれば、平成八年から実施された六回ほど取水制限がございましたが、このうちの三回が回避をされ、また平成八年に非常に深刻な渇水がございましたが、取水制限日数百十七日が十七日と百日間減少するという試算が国交省から出されております。このように八ッ場ダムは、渇水に対して極めて大きな効果があるものでございます。
このように八ッ場ダムは、首都東京の安定した水源を確保するという面からも、また渇水への備えを十全に期すという観点からも、首都東京にとって必要不可欠なダムであると考えております。
○かち委員 過去に取水制限、給水制限があったという経過も私も承知しております。直近というか最近のものでは、今おっしゃられたように平成八年のものだと思うんですけれども、百日の給水制限があったということですけれども、実際に給水宣言に至った日数というのはほんのわずかだったというふうに思います。
取水制限というのは、ダムから水道のために取り込む水を一〇%とか一五%削減したということであって、実際に都民生活に大きな支障をもたらしたというものではなかった、その後、十五年間も全然そういうことはないというのも事実です。
既に六百三十万立方の保有水源を持ち、さらに不安定といえども、恒常的に二十数万立方メートル前後の地下水の揚水実績を持つ東京都として、その上四十三万立方メートルの八ッ場ダムからの利水が必要であるとはとても思えません。
長期的なことだというふうにおっしゃいましたけれども、国土交通省の気象変動等によるリスクを踏まえた総合的な水資源管理のあり方研究会の資料によりますと、将来の水使用量について、五十年後の利根川水系では、現在比では約六四%、百年後には三六・五%になるというふうに出しています。今よりも確かに減るということを示しているんです。
また、少雨、渇水についてですけれども、ことし三月に発表した気象庁の降雨に対する新平均平年値というのがあります。二〇〇〇年までの過去三十年間の平均雨量と二〇一〇年までの過去三十年間の平均雨量の比較では、全国的に見れば過去よりも近年の方が少雨になる地域も見られますけれども、関東、甲信、中部地方においては、近年の方が五から一〇%雨量がふえているというのが実態です。
さらに気象庁の予測では、百年後の降水予測では、ほとんどの地域で増加すると予測しています。
このような状況のもとで、もはや大幅な水需要の減少は無視できないのではないかというふうに思いますけれども、もう一度聞きたいと思います。
○黒沼企画担当部長 水需要予測につきましては、繰り返しのご答弁で恐縮でございますが、長期的な視点に立って将来の水需要を水道局としまして合理的な手法により推計した上で、首都東京を支える安全度を十分に踏まえて予測する必要があると考えております。
さらに、水源の確保につきましては、一度確保しますと十年ないし百年というスパンで必要になっております。長期的な視点で将来を見渡すに当たりまして、さまざまな事情を考慮する必要がございます。
先ほど委員からもご紹介がございました、例えば雪が三分の一に減っていくということも水道事業者としましては大問題でございまして、雪が減る、つまり雪ダムがなくなるということになりますと、本当に必要な時期にこれまでは雪が解けていって、農業用のかんがい水などに使われていたわけですが、これが早く雪解けをしてしまいますと間に合わなくなります。そうしますと、ダムからの補給が一気に始まりますので、夏場の本当に必要なときに得られなくなる。つまり、ダムは水利権のためだけではなくて、渇水のために何としても必要なダムだという基本的な考え方は認識する必要があると思います。
今後も、この需要予測の基礎となるさまざまな指標等につきましては、これまでも適宜適切に改定をしておりますので、東京都としましても引き続き注視をしてまいります。
○かち委員 合理的な手法によって打ち出しているんだというふうにおっしゃいましたけれども、とても私は納得できるものではありません。
工事経費の負担金は、過去五年間だけでも都全体で百九十五億円余り、水道局負担分で百四十六億円余を負担し、さらに負担を重ねようとしているわけですけれども、形式的な計算方法で計画配水量を割り出し、そこに固執して導いた結果が将来に禍根を残すようなことがあってはなりません。もっと科学的に、客観的に、現実に即した調査分析をすることを強く求めておきます。
そもそも検証作業を行ってきたのは、ダム建設を推進する国交省関東地方整備局であり、八ッ場ダム本体工事の再開を企図した形だけの検証作業だったといわざるを得ません。改めてこのようなむだで危険な八ッ場ダム建設は中止することを求めておきます。
次に、水道管の耐震継ぎ手化緊急十カ年計画について伺います。
都の震災時における断水率の想定では、都全体の平均で三四・八%、区市町村別の最大では八〇%が断水になると想定しています。特に東部地域では、液状化の発生により、管路への大きな被害が予想されるとありますが、ことし三月十一日の大震災はそれを予感させるものとなりました。
プラン二〇一〇に記述されていますが、平成十六年の新潟中越地震時に被災住民にとったアンケートでも、ライフラインの機能停止によって困難を感じた順位の一位が水道でした。断水によってふろに入れない、洗濯ができないなどということが最も困難な課題となっています。
私自身、東日本大震災の後、石巻の方に伺ってボランティアをやってきましたけれども、そこでも異口同音に被災者の皆さんから水道が何とか水が出るようにしてほしいと訴えられました。
都はこういう状況のもとで、継ぎ手化緊急十カ年計画で、資料のような計画と実績が出されているわけですけれども、断水防止のために重要な耐震継ぎ手化対策を前倒しでやっているともお聞きしましたが、今後七、八年で計画を完了したとしても、対象の半分に満たないということになるわけですけれども、これでは必要な対策に追いつかないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○今井給水部長 当局では、平成二十二年度より水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を立ち上げ、これまでの耐震継ぎ手管への取りかえ計画を大幅に前倒しして、管路の耐震化に精力的に取り組んでおります。
これにより、震災時における断水被害を最小限にとどめ、可能な限り給水を確保してまいります。
○かち委員 十カ年計画におけるこの面での事業費は幾らで、これまで費やした対策費は幾らでしょうか。
○今井給水部長 水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業の総事業費は約五千億円でございます。初年度となる平成二十二年度の実績は約二百七十五億円でございます。
○かち委員 今前倒しでやっているということですけれども、初年度で二百七十五億円ということは、十年で三千億円にも到達しませんけれども、これで目標を達成できるのでしょうか。
○今井給水部長 平成二十二年度は、水道管路の耐震化緊急十カ年事業の初年度でございます。管路の整備におきましては、まず設計を行います。それから契約して、それから施工ということになりますが、初年度でございますので、設計を中心に事業をいたしましたので、実績は上がっておりません。
○かち委員 今回の計画はマグニチュード七・三の想定ですけれども、東日本大震災の教訓からして、マグニチュード八クラスの地震の災害に備えた対策の見直しが必要だとして、都でも今見直し作業を行っているところです。
水道局としても、継ぎ手化の耐震率の目標もそれに見合って引き上げる必要があると思いますけれども、少なくとも局自身が見定めている現状の断水被害想定の最大規模八〇%に相当する対策が必要なのではないかと思いますが、目標を引き上げ、さらに緊急的に進めるべきだと思いますけれども、いかがですか。
○黒沼企画担当部長 水道管路の耐震継ぎ手化でございますが、こちらはご案内のとおり、継ぎ手部分だけを取りかえるということではなく、継ぎ手管管路自体を取りかえるものでございまして、掘削などの交通規制等を伴うものでございます。
したがいまして、工事を行うに当たりましては、まず周辺住民への影響などを十分に配慮する必要がございます。加えまして、道路管理者、交通管理者等とさまざまな調整を行いながら事業を進める必要がございます。
この水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業でございますが、これまでの取り組みを計画上ほぼ倍増させるという大規模でかつきめ細やかな調整を要する内容でございまして、現在、当局は総力を挙げてこの事業に取り組んでおります。
今後とも、引き続き我々が定めました計画の実現に向けまして、着実にその取り組みを進めてまいります。
○かち委員 総力を挙げてやっていただきたいというふうに思いますけれども、十年後に完成しても四八%ということでは、実態に追いついていないということも事実だと思います。
来年一月をめどに、新たな予防対策を進めていくという先ほどの質疑の中でお話がありました。推進のためにはさまざまな課題はあると思いますが、どこよりも人口密集地域の東京で、震災という極限状態の中で都民の命に直結する重要なライフラインの確保は、何よりも最優先に位置づけるべきだと思います。耐震化目標の引き上げと緊急に推進されることを強く求めておきます。
次に、水道料金について伺います。
給水原価と販売単価の推移について、平成十九年度以降、給水原価を販売単価が上回り続けていますけれども、平成十九年度と平成二十二年度の決算ではどうなっていますか。両者にどれぐらいの乖離があるんでしょうか。
○福田総務部長 水道水をお客様にお届けするために要する経費から、国庫補助金など水道料金以外の収入を差し引いた金額を対象水量で除して算出する給水原価につきましては、平成十九年度実績で一立方メートル当たり二百六円、平成二十二年度実績で百九十九円になります。
また、給水収益をお客様にお届けした水量で除した販売単価につきましては、平成十九年度実績で二百九円、平成二十二年度実績で二百七円となります。
したがいまして、その差額は、平成十九年度実績で一立方メートル当たり三円、平成二十二年度実績で八円となります。
○かち委員 結局、平成十九年度では三円の差額が、二十二年度、四年後には八円に広がっているんですね。こういう差というのは、それだけ収益になるわけですけれども、この四年間で一立方メートル五円もの差益が拡大しているんです。
一立方メートル八円といいますと、浄水水量が十五億余立方メートルでありますので、八円を掛ければ総額で百二十億円余の差益になります。これだけの差を出すのであれば、水道料金を引き下げて都民に還元すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○福田総務部長 水道事業の運営に当たっては、長期的な視点に立って、必要な施設整備を着実に実施していくことが重要であります。このため、販売単価と給水単価の差から生じる資金剰余は、大規模浄水場の更新のための積立金等となっております。
このようなことから、現在のところ料金を値下げするという考えは持っておりません。
○かち委員 財源には限度がありますので、維持管理、更新というのは当然必要なことではありますけれども、そうであればこそ、むだな公共事業というか、開発というようなことは、やっぱりもう一度検討し直すべきで、八ッ場ダムのようなことについても、もう一度検討し直すべきだというふうに思います。
しかし、水道事業は公益事業であって収益事業ではないのですから、使用料金収入が原価収入よりもふえ続ける、今まではそうじゃなかった--十九年度からこうやって広がり続けているんですよね。だから、それは是正すべきだというふうに思います。
同時に、使用料金の負担が重い世帯へ配慮を尽くすべきですけれども、これまでにも繰り返し求めてきましたけれども、給水条例及び付帯決議によって、福祉施設や生活保護世帯などへの減免制度がありますが、低所得の高齢世帯にはありません。今、高齢者の年金、八十万円以下の福祉年金世帯では生活保護水準以下であり、その生活実態は本当に厳しいものがあります。
下水道料金では、低所得高齢世帯への減免があるのですから、上水道においても配慮すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○福田総務部長 水道事業は、地方公営企業として独立採算のもと、受益者負担を原則として経営しております。このような観点から、料金の減免措置は基本的になじまないというふうに考えております。
現在実施しております生活保護世帯などに対する減免措置は、都議会の決議の趣旨を尊重し、減収分を一般会計が補てんすることを前提に、例外的に実施しているものであります。したがいまして、減免措置を拡大する考え方はございません。
○かち委員 とても冷たい答弁ですが、基本的にも福祉の問題だといわれましたけれども、現に水道局としても生活保護世帯への減免を行っているわけですし、下水道局がやっているわけですから、水道局でできないという理論は成り立たないというふうに思います。
しかも、該当する高齢世帯は、もはやほんのわずかであり、水道局が実施したとしても、体制に何ら影響を与えるものではありません。必要なのは、社会的に弱い立場にある方々への配慮だと思いますので、重ねてそのことを申し上げておきます。
最後に、水道事業における環境対策について伺います。
水道事業は、送配水過程において大量のエネルギーを消費し、環境に負荷を与えています。そのため、再生エネルギーの導入などで環境負荷を低減する必要があります。
現在実施している太陽光発電と水力発電の状況が示されました。水道局は、平成二十二年からの三カ年計画で、自然エネルギーによる発電規模を七千八百キロワットとし、CO2削減六千トンを目標にしていますが、それぞれ現在の到達点はどうなっていますでしょうか。
○黒沼企画担当部長 水道局におけます再生可能エネルギーの総発電規模でございますが、平成二十二年度末現在で累計約七千五百キロワットでございます。
また、二酸化炭素の排出抑制量でございますが、再生可能エネルギーや省エネ設備の導入などによりまして、平成二十二年度実績では三カ年計画の単年度の計画値でございます約一千五百トンを達成しております。
このように、いずれもそれぞれの計画の達成に向けて順調に進捗しております。
○かち委員 現在の再生可能エネルギーの発電規模による年間発電電力量は、水道施設の年間電力量の何%を占めるんでしょうか。
○佐久間設備担当部長 水道局で設置した太陽光発電や水力発電などの再生可能エネルギーによって発電された電力量は、平成二十二年度実績で約一千二百万キロワットアワーでございます。これは、平成二十二年度における水道施設全体の電力使用量は約七億八千万キロワットアワーでございますが、このうち約一・六%に当たります。
○かち委員 全体の電力量の一・六%ということでございました。
都は、二〇二〇年までに二〇〇〇年対比で二五%のCO2削減計画ということになっていますけれども、それに照らせば、水道局として、今後どれぐらいの削減目標になるのでしょうか。
○黒沼企画担当部長 東京都では、二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%の二酸化炭素排出量削減に向けて、五カ年ごとの都庁プランを定めまして、計画的に削減を進めてきております。
これを踏まえまして当局においては、個別の事業計画等を勘案し、平成二十二年度から三カ年でCO2の排出抑制量を六千トンとする目標を設定しているところでございまして、計画的に削減を推進しているところでございます。
東京都全体としての削減目標につきましては、ただいま申し上げましたとおり、五年ごとの都庁プランの中で具体的に検討している数字でございます。
○かち委員 東京全体では五年ごとのプランであって、水道局としては三年ごとで、今、二十二年が終わったと。二十三、来年度以降どうするかという点では、五年計画と照らし合わせなければ、はっきりした数字は出ないというようなことだったと思いますけれども、水道局自身として、やっぱり独自の計画をぜひ数字目標を立てていただきたいというふうに思います。
私も南千住給水所での小水力発電というのを見学させていただきましたけれども、小水力というイメージからするとちょっと違いまして、大変大がかりなパイプラインの設備でありました。
こういう大がかりな設備が本当に必要かどうかというのもあるんですけれども、小水力発電というのは今三カ所しかないわけですけれども、これをすべての浄水場でやっていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、その辺の見通しはいかがですか。
○谷村委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○谷村委員長 速記を再開してください。
○佐久間設備担当部長 水力発電設備をもっとやれというご意見だと思います。これまでもいろんなところに設置しているわけでございますが、今後とも水力発電につきましては、設置可能な給水所等に費用対効果を勘案しつつ、導入を検討してまいります。
○かち委員 水道局では、広大な水道水源林や水利用のための水利権を有していますが、このような資産を生かして木質バイオマスや小水力発電など、エネルギーの有効活用を行うことができる条件があると思いますけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○佐久間設備担当部長 水道水源林の管理作業に伴って発生する間伐材などは、これまでも森林保全作業等におきまして木酢や土どめ材に使用しているほか、森林内の斜面に配置しまして土砂流出防止等に役立てております。
また、先ほどもご意見ございましたが、小水力発電につきましては、平成十二年度に東村山浄水場と村山貯水池との間に千四百キロワットの設備を導入しております。また、さらに給水所につきましては三カ所小水力発電設備を導入しております。
○かち委員 先日、釣りの愛好家の方々から伺ったんですけれども、奥多摩湖に流入している川が間伐材などがそのまま放置されていて、土砂が川に入り込んで、環境が壊されているところがあるというふうにお聞きしました。
局の方でも努力されて防止策をとっているというお話がありましたけれども、水源林を保全するための枝落としや間伐というのが非常に重要なんですけれども、水道局として、そのことがうまく循環し切れていないものがあるんだというふうに思います。
こうした木材チップを使ってのバイオマスエネルギーの活用がCO2削減にも功を奏しているわけですけれども、下水道局では産業労働局とタイアップして、多摩川上流水再生センターでの汚水処理の燃料の一部に木質チップを使って、燃料経費の削減と環境対策に役立てているというふうに伺っております。
こうしたことも含め、それぞれの局が連携して多摩の水源林を守るという立場から、木質バイオマスなどを有効利用するということもぜひ今後考えていただきたいというふうに思います。
いずれにしましても、水道事業は本当に都民にとって大変重要な役割を持つ事業です。都民の生活にかかわるところだけに、その生活を守る立場に立って、ぜひ今後も努力をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時一分休憩
午後三時十五分開議
○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○星委員 それでは、よろしくお願いいたします。私からは、学校フレッシュ水道、貯水槽水道の適正管理、小河内ダムをめぐる水質管理、そして井戸について、四点にわたってお聞きをしたいと思います。
まず、学校フレッシュ水道についてですが、東京都では都民に安全でおいしい水を届けるため、平成十六年に都独自のおいしさに関する水質目標を設定し、においや味などに関する項目について、国が定めた基準よりも高いレベルの目標を設定し、高度処理を進める中で、東京の水道水の安心と信頼の向上を図ってきました。
しかし、貯水槽を経由する給水方式では、水の滞留時間が長くなる場合、おいしい水が蛇口まで届かないこともあります。近年では、水道管網の整備により、三階建て以上の建物であっても、ポンプアップにより直結給水ができるようになり、蛇口から直接東京のおいしい水を飲むことが可能になっています。
水道局では、おいしい水のPRや蛇口から直接水を飲む水道文化の継承を目的に、十九年から公立学校、二十二年からは私立学校で学校フレッシュ事業を進めてきたというふうに存じ上げております。このことについて質問をさせていただきます。
事前に全都的な資料をいただきましたけれども、この実施率に相当ばらつきがあるというふうに思います。全くしていない未実施のところから、八割近くも実施をされている町もあります。平均がとれないほどのばらつきなんですけれども、その原因はどうしてなんでしょうか。
○今井給水部長 本モデル事業は、蛇口から水を飲むという水道文化を次世代に引き継ぐとともに、貯水槽水道の直結給水化を促すPRを目的として、平成十九年度から実施しております。事業開始から五年目となり、事業目的は理解されてきております。
しかしながら、校舎の改修や耐震化等、優先度の高い計画を抱えている区市町もあることなどから、実施校数にばらつきが生じております。
○星委員 東京都水道局としては、市区町村教育委員会や私立の小中学校に具体的にどのような働きかけを行っているんですか。
○今井給水部長 本モデル事業の実施主体である区市町や私立学校への働きかけにつきましては、これまで副区市長会や教育長会等での説明や、個別訪問による区市町へのPRを実施しております。
また、パンフレットの送付や事業説明会の開催により、私立小中学校へのPRを実施しております。
さらに、区市町及び私立小中学校の実務担当者を対象とした設計、施工に関する説明会を開催するなど、きめ細やかな対応を行っております。
○星委員 二、三、学校に直接お伺いをしましたけれども、工事費を捻出するのに大変厳しいというようなお声が返ってきたんですね。金額的には数百万程度の持ち出しになるのかもわかりませんけれども、自治体の教育委員会の予算の範囲の中では、耐震化だとか限られた財源の中に優先順位みたいなものがあって、やっぱりなかなかその持ち出し部分が難しいというような声があるんですけれども、実際に学校と水道局との負担割合についてはどのような考え方なんでしょうか。
○今井給水部長 本モデル事業の費用負担割合につきましては、配管設備等が学校の財産となることから、区市町または私立学校法人が材料費相当分を負担し、それ以外の費用を水道局が負担することを基本的な考え方としております。
この考え方に基づく負担割合は、水道管の圧力で直接給水する直圧直結給水方式の場合は、区市町または私立学校法人が二割、水道局が八割でございます。また、増圧ポンプを使用する増圧直結給水方式の場合は、区市町または私立学校法人が四割、水道局が六割でございます。
○星委員 二割のところもあるし、四割持ち出させなければならないところがあるというお答えをいただきました。これは、本当に学校の位置とか設置状況とか施設の形態、ケースによってさまざまだと思うんですけれども、増圧ポンプにした場合はかなり持ち出しが高額になってしまうんではないかというふうに思われます。
これ、実はモデル事業でありまして、公営企業会計の中なので、やっぱり制約があるのは十分理解できるんですけれども、この事業をすることによって、塩素が低減をされるということだとか、蛇口から直接子どもたちが水を飲むという水道文化の継承など、子どもたちの健康や教育に大きくかかわってくる問題でもあります。
都内公立、私立それぞれ実際にはこの事業完成で、三割の子どもたちが学校で直接おいしい水を飲めるというか、恩恵に預かれるということになるわけですけれども、とてもいいことだと思うので、私からすると三割の子どもしかそういう体験ができないということがとても残念でなりません。
もっと何とか拡大していってほしいということもありますので、ぜひモデル事業ということではなくて、関係機関と検討していただきたいということを要望させていただきまして、次の質問に移ります。
次に、貯水槽水道の適正管理についてお伺いいたします。
東京水道経営プラン二〇一〇では、高度処理した安全でおいしい水の貯水槽の中での滞留時間が長いなど、特に残留塩素消費量が多いと推定される貯水槽水道について調査を実施し、適正な管理に向けたアドバイスや、今まで設置者の協力が得られなかった箇所についてもきめ細かく対応をし、設置者の適正管理を進めていくというふうにしております。
二十二年度の貯水槽水道点検調査の実施状況についてはどのようになっていましたでしょうか。
○今井給水部長 貯水槽水道の点検調査結果につきましては、平成十六年度から二十年度までのクリーンアップ貯水槽での調査結果を受け、残留塩素消費量が多いと推定される施設約二万六千件及び点検調査に協力を得られなかった施設約四万三千件、さらに所有者が特定できず調査ができなかった施設約一万七千件の計約八万六千件について、平成二十二年度から二十四年度までの三カ年で、貯水槽水道の適正管理に向けた調査を実施する計画でございます。
平成二十二年度につきましては、約八千五百件の施設について管理状況や設置環境、水質などの点検調査を実施いたしました。また、一万二千五百件につきまして、貯水槽水道の適正管理や直結給水への切りかえ促進について説明し、ご理解を求めました。
○星委員 今のお答えをいただきまして、大変努力をされたなというふうに評価をしたいと思います。引き続き、保健衛生行政などの関係機関を調整しながら連携を強めて、適正な管理に努めていただきたいと思います。
次に、水質管理について質問させていただきたいと思います。
小河内ダムなんですけれども、多摩川上流域を水源とし、集水域は奥多摩町、山梨県の丹波山村、小菅村及び甲州市の四市町村にまたがっています。面積は二百六十三平方キロメートル、蓄えられた水はダム直下の多摩川第一発電所で発電に使用後、多摩川に放流され、小作取水堰、羽村取水堰で水道源水として取水されています。
原水は、村山山口貯水池、玉川上水路などを経て、東村山、境の各浄水場へ導水ポンプにより小作浄水場へ送られております。また、東村山浄水場からは、原水連絡管により朝霞、三園の各浄水場へも送ることができます。
小河内貯水池の集水域面積ですが、その約六割が東京都の水源林というふうになっているというふうにお伺いしております。小河内ダムの完成当時、東京の水源は特に多摩川水系に依存していましたけれども、現在は東京都の水源の約二割というふうになっています。
しかし、小河内ダムは東京都の独自水源として、利根川水系の渇水時や事故時には放流量をふやすなど、住民の安定供給の確保に重要な役割を果たしています。
このように、唯一の自己水源であり、都民の生命線といえる水がめですけれども、報告にもありますように、十四、五年ごろから大量のアオコが発生し続けています。このことについて伺ってまいりたいと思います。
まず、今現在行っている小河内貯水池のアオコ対策は、どのようなことを行っているのでしょうか。
○酒井浄水部長 小河内貯水池内のアオコ対策としましては、平成十五年度からアオコの拡散防止を目的としました分画フェンス、またアオコの繁殖抑制などを目的としました表層水輸送装置を設置しております。
さらに、分画フェンスの効果を高めるため、第二取水口の放流ゲート操作による放流水深の調整を実施しております。
こうした対策により、アオコの繁殖抑制に一定の効果があると認められたため、これらの対策を継続して実施しているところでございます。
○星委員 一定の対策を行われていて、効果も出ているようですし、機会をとらえてというか、この間もいろいろな研究というか、調査みたいなこともされていると思うんですけれども、その原因はどういったことが考えられるんでしょうか。
対策は、技術的に進歩していくんでしょうけれども、根本的な原因みたいなところに強化していかないと、なくなっていかないと思いますので、どのような原因が主なものだというふうに水道局の方では見ているでしょうか。
○酒井浄水部長 貯水池の富栄養化や気候の変動など、自然の条件が複雑に絡み合って発生していると思われます。
○星委員 富栄養化や気候の変動、自然の条件が複雑に絡み合ってというのは、極めて何のことでもそういうふうにいい変えてしまうというか、それはそうなんでしょう。いろんな要因が複雑に絡み合っているその要因をもう少し解きほぐしていきながら、例えばこれはこうなんだというふうなお答えをぜひいただきたかったと思うんです。
これはかなり昔からなんですけれども、私がお伺いしているのは、やっぱりアオコの原因というのは窒素や燐など生活排水だとか、あとやっぱりあのあたりは上流域にいわゆる養魚場があるというようなこととか、そういうことがいろいろいわれているんです。
あとは、とてもたまりにくいんで、そしてまた、さらに水の流れが遅い、たまっている時間が長いというか、湖面が日光にさらされている時間がとても高いので、そういうことが複雑に絡み合って、アオコが出るというようなことも聞いたことがあるんです。
生活排水などのそういった点では、周辺自治体との協力が不可欠だというふうに思うんですけれども、周辺自治体の協力や、私はさらに発生原因の究明みたいなものもしていかなければいけないんではないかなと思うんですけれども、そのことについてはいかがでしょうか。
○酒井浄水部長 小河内貯水池の水質保全のためでございますけれども、昭和五十七年に山梨県の小菅村及び丹波山村と小河内貯水池の水質保全に関する協定書を締結いたしまして、下水道を整備しております。
さらに、平成六年には奥多摩町と水道水源の水質保全に関する協定書を締結いたしまして下水道を整備しており、これらの取り組みによりまして、貯水池の富栄養化の抑制を図っているところでございます。
また、発生原因の究明としてでございますけれども、流入河川における土壌由来の濁質ですとか窒素、燐、そういったものの流出に関する調査などについて、首都大学東京と共同研究を行っているところでございます。
○星委員 お答えをいただきましたが、引き続き研究をしていただくのと、あと生活排水などの流入がないように、徹底的な協力関係というか、そういうことも結んでいただきたいと思います。
あと、やっぱり大事なのは、水域の水源林の六割が東京の山林だということもお伺いしておりますので、その山林の保全についてはどのような対策を強化されていますでしょうか。
○酒井浄水部長 水道水源林を適正に保全管理することによりまして、健全な森林となり、良好な土壌が形成されることになります。良好な土壌は、雨水が浸透する間に窒素や燐などをろ過、吸着、分解する浄化作用が働くため、小河内貯水池の水質保全に寄与しているところでございます。
また、林業が不振等によりまして、荒廃した森林等につきましては、現在、多摩川水源森林隊等も活動しているところでございます。
○星委員 都民の大事な水がめです。これは、実は私ごとですが、昭和三十二年に小河内ダムが完成したんですが、私の生まれた年なんですね。それで、昭島なんですけれども、旧小河内村と山梨県丹波山村及び小菅村の九百四十五世帯、約六千人の方が移転を余儀なくされたわけですけれども、中でも旧小河内村はその大部分が水没いたしました。
また、建設中に東京都の職員や建設会社社員、下請作業員ら八十七名の方が殉死をしたというようなことで、碑もありますよね。ダム建設には長い紛争の経過や多大な犠牲もありました。
私の地元でも、実はこの地域から移転してきた方たちが、さまざまな技術を小河内村で生かしておりまして、現在でも建設職人や石材店などをなりわいとしながら、我がまちの発展に大変寄与してくださったこともありまして、今ではすっかり地域に溶け込んでおりますけれども、ふるさとであります奥多摩の自然ということを守ることにとても強い思いを持っています。
ぜひ大切に使われていくことがその方たちの願いにもこたえることにつながります。今後も上流の自然を守りながら、都民に良質な水を提供していただきたいということを要望したいと思います。
次に、地下水を活用し続けるために何点か質問をさせていただきます。
資料をいただきますと、休止中の井戸がかなりありますけれども、その休止中の井戸の原因と対策についてお伺いをいたします。
○田村技術調整担当部長 多摩地区には二百八十本の水源井戸がございますが、そのうち二十九本につきましては、水質悪化、地盤沈下、水位低下等の原因によりまして、現在休止をしております。
水質悪化によって休止中の井戸につきましては、汚染源の特定は困難でございますが、当面、水質検査は継続して、水質動向の把握に努めてまいります。
地盤沈下防止のために休止中となっている井戸につきましては、地盤沈下の再発が懸念されますことから、再開は困難であると考えております。
水位低下等によりまして休止中となっている井戸につきましては、再開の可能性を見き
わめつつ、更生工事や掘りかえ工事を検討しております。
○星委員 お答えをいただきました。二十二年度の事業概要を見させていただきますと、地下水に関しては、水道水源という位置づけがされていないということもありますけれども、項目としては、渇水に強い水源の確保という中で、多摩地区の地下水を将来にわたり活用し続けられるように検討を行うというふうな記述がされています。
今のお答えの中でありましたように、水質悪化している井戸なんですけれども、このような記述の仕方をされているんですけれども、二十二年度はどのような検討を加えていただいたのかなということをお聞きしたいと思います。
○田村技術調整担当部長 水質悪化している井戸につきましては、定期的に水質検査を行ってきておりますが、改善が見られない状況にございます。
原因物質の一つでございます1・4-ジオキサンにつきましては、従来の浄水処理方法では除去が不十分でございまして、現在では有効な除去方法が確立されておりません。このため、引き続き水質監視を継続するとともに、この1・4-ジオキサンの新たな処理方法につきまして、外部専門家の協力を得ながら検討をしております。
○星委員 それでは、二十二年度、井戸の水源の掘りかえについてはどのような状況だったのでしょう。
○田村技術調整担当部長 多摩地区の地下水につきましては、地盤沈下や水質の面から見まして、将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難でございますが、可能な限り活用していくこととしております。
しかし、井戸水源につきましては、その多くが昭和四十年前後につくられて、施設の老朽化が進んでおります。また、敷地面積が狭隘で、掘りかえが困難な井戸も多くございます。
このため、現在稼働中の井戸で施工スペースが確保できる井戸につきましては、経過年数、揚水能力低下等の状況を踏まえながら、平成十八年度以降、順次掘りかえを行っておりますが、今後とも適切にこの掘りかえを実施してまいります。
○星委員 地盤沈下のお話が先ほど来出ておりますけれども、清瀬など、あちらの方の一部の地域というふうに私は聞いているんですけれども、やっぱり貴重な水源として地下水を活用し続けるためには、ぜひ休止の原因を究明していただくこと、それと、ジオキサンも含めてですけれども、対策の研究を進めていただいて、少しでも再開をして利用し続けていただけるよう積極的な取り組みをお願いし、要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○山下委員 それでは、私からは、水道局の広報への取り組みについて、先ほどの斉藤委員とは別の角度から質問をさせていただきます。
通勤でJR中央線に乗っていますと、電車の中の映像媒体、トレインチャンネルで東京水の広報ビデオを見ることがあります。水道局が広報宣伝に力を入れていることがよくわかります。手元の決算説明資料によりますと、昨年度の普及宣伝費は九億円余りとなっています。
そこでまず、水道局は現在どのような方針で広報施策を展開しているのかを伺います。
○吉野サービス企画担当部長 安全でおいしい水を安定的に供給することが水道事業の使命でございます。当局はこれまでも不断の努力をしてきております。
その結果、近年では、お客様から東京の水道はおいしくなったという声を数多くいただいているところでございます。さらに、当局では、平成十六年から安全でおいしい水プロジェクトを立ち上げ、高度浄水処理の着実な導入などの施策展開を図るとともに、お客様満足度のさらなる向上を目的として、安全でおいしい水への取り組みを積極的に広報しております。
○山下委員 わかりました。顧客満足度のさらなる向上のためにというのが広報の第一の目的ということですね。
東京都民およそ一千三百万人、価値観も生活様式も多様化しているこの都会において、こちらの意図するものを的確にアピールしていくためには、さまざまな工夫が必要と考えられます。幾つかの方法を組み合わせることも当然必要になるはずです。
水道局は、私が先ほどお話ししたトレインチャンネルを初め、どのようなメディアを使って、どのように広報宣伝を行っているのか伺います。
○吉野サービス企画担当部長 当局では、広くお客様に対して効果的な広報を行うため、目的に応じてさまざまな手法を活用しております。具体的には、水道水のイメージ向上を図るため、広報用映像を作成し、トレインチャンネルなどで活用しております。
また、多くの情報量を確実に伝達できるという紙媒体の特性を生かし、年四回「水道ニュース」を発行するとともに、即時性というインターネットの特性を生かし、ホームページや携帯電話サイトの運営を行っております。
そのほか、メディア以外の広報として、水道水のおいしさを体感していただくため、ペットボトル「東京水」をイベント等で配布しております。さらに、地域に密着した広報としまして、営業所等による水道何でも相談を実施してきております。
○山下委員 確かに、映像メディアを活用しての広報CMや文字による情報提供は有効な手段と考えられますが、実際に東京水を飲む機会をつくるという体感型の広報イベントも効果がありそうです。
といいますのも、実は私自身、都庁内の会議の際、東京水のペットボトルが提供され、飲んでみましたところ、とてもおいしいことを実感いたしました。ですから、ただいまのご答弁の中にありましたペットボトル「東京水」の配布は、都民においしさを知らせる非常に簡潔なわかりやすい方法といえそうです。
そこで、昨年度の配布実績を伺います。
○吉野サービス企画担当部長 お客様に東京の水道水のおいしさを手軽に実感していただくことを目的に、ペットボトル「東京水」をイベント等で配布しております。また、購入をご希望するお客様のご要望にお答えするため、一部販売も行っております。昨年度の製造、配布数は、販売数の約四万本を含めまして約三十七万本でございました。
これらは、水道週間行事や水道何でも相談等の地域イベントのほか、より多くのお客様に水道水のおいしさを体感していただくため、東京マラソンやジュニアスポーツアジア交流大会などの外部の大規模なイベントでも配布を行ってまいりました。
○山下委員 これまでのご答弁を伺い、水道局がさまざまな工夫を凝らして、安全でおいしい水、東京水のアピールに取り組んでいることがよくわかりました。
ただ、その一方で、普及宣伝費というのは都民が支払った水道料金から運用しているわけですので、その効果の検証というものも必要です。
水道局は、広報施策の展開による効果をどの程度把握しているのでしょうか。伺います。
○吉野サービス企画担当部長 お客様のご意見やご要望を把握するため、従前から、お客様満足度調査やインターネット水道モニターを実施しております。
昨年度実施しましたお客様満足度調査によりますと、例えば高度浄水処理の認知度は、平成二十一年度の三八・二%から、二十二年度では四八・三%へと一〇・一ポイント上昇しております。
また、飲み水としての水道水への満足度は、安全でおいしい水プロジェクト開始前の平成十五年度の二八・一%から、平成二十二年度には五四・七%へと、ほぼ倍増しております。
○山下委員 当初の目的である顧客満足度の向上という点で広報施策の成果がはっきりとあらわれているのがわかりました。
今後、メディアも人々の暮らしもますます多様化することが想定されます。費用対効果を常に念頭に置きつつ、それでいて、いかに効果を大きくしていくかが課題です。
これまでの広報の効果を踏まえて、今後どのように普及宣伝に取り組んでいくのか伺います。
○吉野サービス企画担当部長 当局では、これまでもお客様満足度調査やインターネット水道モニターアンケート等を通じまして、広報効果の把握に努めてまいりました。
さらに、メディアや手法の異なる個別の広報施策につきまして、施策への関心度、認知度、行動の変化といった共通の指標を用いて検証するなど、より有効な効果測定の方法を検討し、今後の広報活動に生かしてまいります。
○山下委員 水道局は安全でおいしい水を都民に提供し続けることが基本的使命であるのはいうまでもありませんが、それだけでなく、安全でおいしいということを広く知らせる、つまり、都民にメッセージを送ることによって、人々の気持ちの中に今度は安心感が生まれるといえるのではないでしょうか。
先ほどの星委員のお話にありましたが、そのまま飲めるおいしい水が蛇口から出てくる、これは日本が世界に誇れるすばらしい文化です。この安全でおいしい東京水を都民にアピールすることは、世界への情報発信にもつながるものと思います。これからも適切で有効な普及宣伝の施策を展開されますよう要望して、質問を終わらせていただきます。
○吉田委員 皆様お疲れさまでございます。本日最後の質問者でございます。よろしくお願いいたします。
いうまでもなく、人間にとって、水の大切さ、貴重さということは本当に改めて述べるまでもないことでございます。日本は古来、水に恵まれてきたとはいえ、そのポテンシャルを人々の実際の生活に結びつけてきたのは、先達の営々たる努力のたまものであり、その遺産を受け継いで、たくさんの人の住むこの東京都においても、世界でも最も良質な水をしっかりと安定的に供給してくれています水道局の皆様のご努力に改めて心より感謝を申し上げる次第でございます。
こういう前提のもとで、まず、水道事業会計の平成二十二年度決算における財政状況についてお伺いいたします。
○福田総務部長 平成二十二年度は、東京水道経営プラン二〇一〇の初年度として計画に掲げた事業を着実に実施してまいりました。
その結果、平成二十二年度決算の収益的収支は、収入が三千三百四十四億円に対して支出が二千七百九十六億円であり、差し引き五百四十八億円の純利益となっております。
また、資本的収支は、収入が二百八十四億円、支出が一千三百七十四億円であり、差し引き一千九十億円の資金不足となっております。
○吉田委員 ありがとうございます。このようにお聞きしますと、順調に事業を行っていらっしゃるのかなと、このように受けとめるわけですけれども、この純利益の使途はどのようになっているのかお伺いいたします。
○福田総務部長 水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、将来にわたり安全でおいしい水を安定的に供給するため、長期的な視点に立った施設整備が不可欠であります。
このため、純利益五百四十八億円のうち四百九十八億円については、建設改良費や企業債償還金、すなわち、現在及び過去の施設整備の財源に充当しております。
また、残りの五十億円については、平成十九年度に創設した大規模浄水場更新積立金に充当し、将来の施設整備に向けた積み立てを行っているところであります。
○吉田委員 ご答弁をお聞きしますと、この純利益、五百五十億円弱出ておりますが、このうち五百億円弱は建設改良費や企業債の償還金など、水道サービスの提供のために必要な資金に充当してしまっていると。さらに、残りの五十億円についても、浄水場の更新の積立金として積み立てているんだと。要するに、乱暴ないい方をすれば、浮いたお金はないよというか、全部大切な事業のために使い切ってしまっていると、このように理解をしたわけでございます。
水道施設というのは莫大な、膨大な施設が必要なわけでございまして、なるほど、そういうことなのかと思いますが、また、水道局は、今回の震災もございましたが、震災対策を初め、さまざまな取り組みもあわせて進めているということを聞いております。
今回、公決でございますので、水道局が平成二十二年度に行ってきた主な施設整備の事業内容について、改めてお伺いします。
○福田総務部長 当局では、経営プランにおいて三つの主要施設整備事業を推進しているところでありまして、まず、水源及び浄水施設整備事業については、新規水源の確保、より安全でおいしい水を供給するための高度浄水施設の建設などを行っております。
次に、送配水施設整備事業については、安定的かつ効率的な配水の確保、バックアップ機能及び耐震性の強化を図るため、送配水管の新設や水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業などを進めております。
最後に、給水設備整備事業については、安定的な給水の確保を目的とした大口径給水管の耐震強化などを行っているところであります。
○吉田委員 いろいろ、本当に大変さまざまな事業を行っていらっしゃるということでございますが、この中で、先ほども質疑がございましたけれども、やはり今、震災の直後ということもありまして、現在水道局が推進している水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業に要する費用、五千億円というお話を聞いております。この金額をちょっと確認させていただいて、そして、その事業の効果についてまた改めてお教えください。
○福田総務部長 震災時における断水率の低減と復旧日数の短縮を図るため、平成二十二年度より、耐震継ぎ手管への取りかえを大幅に前倒しして実施しております。
総事業費は、平成三十一年度までの十年間で約五千億円を見込んでいるところであります。この事業は、平成二十二年度末の水道管路の耐震継ぎ手率二七%を平成三十一年度に四八%へ向上させるもので、大規模地震発生の際、想定される断水という事態に対し、平常給水までの復旧日数をこれまでの最大三十日、要するに、最も日数がかかる場合、三十日かかるところがあるということでございますが、これを二十日以内に短縮する効果をもたらす事業であります。
○吉田委員 ありがとうございます。さきの方の質疑でもございましたが、なるべく早くやってくれと。それはこれを受ける側の気持ちでありますが、局としても最大限、全力で早く達成しようとご努力されているということはよくわかります。
そしてまた、先ほど申し上げたように、今後、この水道の施設、膨大な施設産業でございますので、これは山田副委員長もご質問されましたが、今後、水道施設の老朽化が進みますと、一斉に浄水場の更新の時期を迎えるというように伺っております。
その費用も一兆円にもなると、非常に大きな金額をお聞きしているわけですが、この対象となる浄水場がどのぐらいあって、また、一兆円というのはどのような計算に基づいてこの金額を算出しているのかお聞かせください。
○福田総務部長 現在、水道局は十一カ所の浄水場を有しておりまして、これらの浄水場の多くは、昭和三十年代から四十年代の高度経済成長期に集中的に整備してきたことから、平成三十年代以降、一斉に更新時期を迎えることになります。
事業費の約一兆円は、最も建設年次の新しい平成五年度に完成した三郷浄水場の建設費、約一千五百億円を施設能力の日量百十万立方メートルで除した単価をもとに算出しているものでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。それだけの更新が必要だと。また、いろいろと均てんしてやっていかないと、一挙にこれを変えていくというのは不可能だと思います。
今後、浄水場の更新をどのように進めていくのかお教えください。
○黒沼企画担当部長 水道局では、これまで老朽化した施設の大規模改修や配水池及びろ過池の耐震化など、浄水場の改良に取り組んでまいりました。適切な維持更新や改良工事を行っていましても、浄水場の経年劣化を完全に防ぐことは困難でございまして、将来にわたって安定給水を確保していくためには浄水場の更新が不可欠でございます。
一方、更新は施設停止を伴うため、施設能力の低下を余儀なくされるのみならず、送配水管ネットワークや給水所等の大規模の運用変更及び増強などが必要になってまいります。
こうしたことを踏まえまして、安定給水に支障が生じることを防ぐため、今お話もございました、いわゆる更新の平準化、アセットマネジメント等を活用して延命対策を行うことなどによりまして、大規模浄水場の更新に先立ち、代替となる浄水場及び関連施設の整備を進めてまいります。
○吉田委員 本当にさまざまな現状に即して、工夫を凝らしてやっていかれるんだということがよくわかりました。とにかく、五百億円、順調にやっているように見えて、それだけではなくて、大変な膨大な資金を少しずつ捻出していく過程の中でやっていらっしゃるんだということがよくわかりました。
こうした中で、冒頭おっしゃっていただいた収益的収支、収入、三千三百四十四億円、この中の主たる収入源であります給水収益についてお伺いします。
過去十年間の給水収益の状況を見ますと、予算と決算では常に決算額が予算額を下回っております。この事業の主たる収入源について、事前にこれだけ収入があるはずだと、このように見積もっていながら、十年間連続で、実際にふたをあけてみたら、実際の収入はそれに足りないと。
これはちょっと問題ではないかと思うわけですけれども、予算時の見積もりの方法、あるいは見積もりが甘いのではないか、十年連続下回るというのはどういうことかと、こういうふうにも思うわけですが、これについてちょっとお教えください。
○福田総務部長 予算における給水収益は、給水件数や調定水量の過去の実績に基づくとともに、政府の経済見通し等を参考にして見積もっております。
給水収益は、その年の天候や景気動向等のさまざまな外的要因に左右されるものでありまして、例えば、平成二十年のリーマンショックは経済的に大きな影響があったわけですが、そのような中においても、給水収益における過去十年の予算額と決算額の乖離は平均で二・二%にとどまっております。
今後とも適切に見積もりを行うよう努めてまいります。
○吉田委員 乖離幅が二%ぐらいということで、大外れではないと私も思います。
ただ、下方に、必ず収入が現実には下回っている。つまり、毎年毎年みんな水を使わなくなっているんだと、こういう状況を考えますと、今後の見積もりということについて、今まで以上にシビアに考えていただかないといけないのかなと。これについてはもう少しまた調べさせていただきたいと思います。
また、収益を上げる一つの算段として、これまでいろいろな先生方が質疑されておられますが、主に広報、都民の皆さんに水道水の質がよいということを体感していただくためと、こういう目的で東京水をペットボトルで配布されたり、場合によっては販売もされているという状況でございます。
過去の例で、コストをざっくりと割り返すと八十五円ぐらいで、それを百円で卸して卸売をしているんだというような資料も見させていただきましたが、今後、もちろん広報目的という局のお考えはわかりますが、もうちょっと商売っ気を出して、販売の方にももうちょっと力を入れてはどうかというふうにも思うんですが、これはちょっと希望だけで、ご答弁は結構でございます。
次に、災害対策の方にご質問を移らせていただきます。
東京都では、従来、津波による最高潮位、潮の高さですね。最高潮位よりも、台風などによる高潮時の想定水位の方が高いと、こういうふうに考えておりまして、防潮堤により浸水を防ぐことができると、このようにしてまいりました。
しかし、東日本大震災で示されたように、想定外の事態が生じてしまったという場合には、特に低地部、特にゼロメートル地帯、こういう場所では浸水被害の可能性も懸念されるわけでございます。
そこでお伺いしたいんですが、ゼロメートル地帯を含む低地部には局所管の水道施設はどれだけあるのか。そして、そのうち隅田川以東の河川における計画高潮位、AP、荒川ペイルですね。APプラス五・一、AP五・一メートルよりも地盤の低い施設はどれだけあるのか。そしてまた、現在の被害想定では、水道施設にどのような被害が生じるというふうに想定しているのかお聞かせください。
○酒井浄水部長 水道施設では、金町、三郷、三園の三つの浄水場と十三カ所の給水所及び増圧ポンプ所がゼロメートル地帯を含む低地部にございます。そのうち、APプラス五・一メートルよりも地盤高が低い施設は、金町、三郷の二つの浄水場と、八カ所の給水所及び増圧ポンプ所があります。
また、国の中央防災会議の大規模水害に関する専門調査会が公表いたしました利根川及び荒川の洪水はんらんによる当局施設への被害は、一部の浄水場、給水所において若干の浸水被害が発生すると想定されております。
○吉田委員 ありがとうございます。結構多くの施設がやはりあるわけでございますが、施設には若干の浸水が発生するというご答弁、その場合、施設にはどのような影響が生じるのかお聞かせください。
○酒井浄水部長 水害による当局施設への影響でございますが、浄水場によっては機能が一部停止する可能性がありますが、応急的な防水措置を講ずることにより被害を防ぐことが可能と考えております。また、万が一これらの浄水場が機能停止した場合においても、他の浄水場からのバックアップにより対応が可能と考えております。
なお、給水所におきましては、浸水した場合でも、浄水場からの直送運転に切りかえることで給水が可能となっております。
○吉田委員 ありがとうございます。少なからず浸水被害を受ける可能性があるというこれらの低地部の施設に対して、現在、具体的な対策は検討していらっしゃるんでしょうか、お聞かせください。
○酒井浄水部長 高度浄水施設など、浄水場内に新設している施設ですとか、新たに建設している給水所におきましては、想定される浸水高さよりも出入り口を高くするなどの対策を既に講じております。
また、既存の施設につきましては、浸水を防止する方法につきまして現在検討中でございます。
○吉田委員 いろいろとお聞かせいただきまして、ありがとうございます。東日本大震災の重要な教訓は、深刻な被害をもたらす可能性のある事態を、確率が低いという理由で想定外だとして、対策を検討しないということはあってはならないんだということだと思います。
本日は細かくは申し上げませんけれども、我々が第三回定例会の代表質問でも質問を申し上げましたが、災害に関して最悪の事態だとして懸念をしておりますのは、これから政府が検討を初め、来年の四月に中央防災会議で結果というか、考えを示しますが、三連動、東海、東南海、南海だけではなくて、五連動の地震というのを想定するそうですが、そのような大規模地震の際に、実際に東北で起きたように、ゼロメートル地帯において地盤が沈下してしまうというようなことが万一起きて、そして本当に運悪く、満潮のタイミングで、地震による津波と台風による高潮が重なってしまって、従来の想定を超える、規模を超える津波、高潮が東京に達して、地盤とともに下がってしまった堤防を乗り越え、あるいは、堤防の破損してしまった部分や、実際今回もございましたが、閉じられなかった水門の間を、あるいは地中のどこかからを通って、地中内の構造物を通って、堤防の内側に流れ込んだ水が噴き出して、ゼロメートル地帯で洪水、冠水が起きると。こういう事態が大変、最も最悪な事態だというふうに考えております。
従来のように、まちに絶対水が入らないようにと取り組んでいくことはもちろん当然で、やっていただかなければいけないわけですが、想定外の事態が起きてしまったと、こういうときには、万々が一、津波、高潮などが侵入してしまった場合にお手上げだというのではなくて、それに備えて、低地部の施設について、抜本的な対策、これまでの想定に基づく対応をご答弁いただきました。しかし、代表質問へのご答弁でも総務局からお答えいただきましたけれども、抜本的な対策、これから想定を見直して講じていく必要があると考えております。
そしてさらに、最初の方の質問でお聞かせいただきましたが、浄水場等の施設の更新、一兆円にも及ぶというこの更新の計画を立てるに当たっても、この災害の想定、こういうものを織り込んでいったものとしなければいけないと、このように考えております。
また、先ほど、来年の一月を目途に災害に対する指針を策定されるんだと、こういうご答弁をお聞かせをいただいたんですけれども、中央防災会議のお示しする想定はさらにその後出てくる。ですから、この指針で打ちどめではなくて、さらなる取り組みをもちろん求めていかなければいけないと思うんですけれども、これらのことについてご見解を伺います。
○酒井浄水部長 想定外の災害に対する抜本的な対策でございますが、水道局ではこれまでも既存の被害想定に基づき、対策を検討してまいりましたが、これらの想定では、台風襲来時に大規模地震が発生するという複合的な災害は考慮されていませんでした。
現在、東日本大震災を教訓として、国では中央防災会議の地震・津波対策に関する専門調査会、また、都においても防災会議で、被害想定の見直しを始めているところでございます。今後これらの状況を見ながら、その結果に基づいて必要な対策を検討してまいります。
○吉田委員 大変この震災の教訓をしっかりと受けとめた前向きなご答弁をいただきました。今後も、都民のライフライン、命の次に大事なというか、命はこれとともにあるという水をしっかりと守って供給していただくために、また今後ともしっかりとご努力をいただき、私どももしっかりとそれを応援させていただくことを改めてお誓いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時十分散会
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