委員長 | 田島 和明君 |
副委員長 | 鈴木 章浩君 |
副委員長 | 野上 純子君 |
副委員長 | 大西さとる君 |
理事 | 田の上いくこ君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 神林 茂君 |
理事 | 神野 吉弘君 |
理事 | 中屋 文孝君 |
小林 健二君 | |
吉住 健一君 | |
桜井 浩之君 | |
小山くにひこ君 | |
西沢けいた君 | |
新井ともはる君 | |
佐藤 由美君 | |
中山 信行君 | |
西崎 光子君 | |
山口 拓君 | |
村上 英子君 | |
花輪ともふみ君 | |
泉谷つよし君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部長 | 川澄 俊文君 |
中央卸売市場長 | 岡田 至君 |
東京都技監都市整備局長兼務 | 河島 均君 |
港湾局長 | 中井 敬三君 |
交通局長 | 金子正一郎君 |
水道局長 | 尾崎 勝君 |
下水道局長 | 松田 二郎君 |
本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について(意見開陳)
・平成二十一年度東京都病院会計決算
・平成二十一年度東京都中央卸売市場会計決算
・平成二十一年度東京都都市再開発事業会計決算
・平成二十一年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・平成二十一年度東京都港湾事業会計決算
・平成二十一年度東京都交通事業会計決算
・平成二十一年度東京都高速電車事業会計決算
・平成二十一年度東京都電気事業会計決算
・平成二十一年度東京都水道事業会計決算
・平成二十一年度東京都工業用水道事業会計決算
・平成二十一年度東京都下水道事業会計決算
○田島委員長 ただいまから平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
これより決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
本決算につきましては、いずれも質疑を終了いたしております。
これより意見の開陳を行います。
順次発言を願います。
○神野委員 私は、都議会民主党を代表して、平成二十一年度公営企業会計決算の認定に当たり、意見を申し上げます。
まず、公営企業会計に共通する事項について申し上げます。
公営企業は、独立採算制による企業経営の健全性が求められる一方で、公共的な役割を担うことから、民間企業では容易に参入ができない、あるいは切り捨てられてしまうような不採算部門を抱えざるを得ないという側面もあわせ持っています。
しかし、こうした中にあってもなお、多様化する都民ニーズにこたえる質の高いサービスを維持しながら、経営基盤のさらなる強化に努められることを強く求めるものです。
加えて、総括質疑や各分科会において都議会民主党が個々具体的に検証してきたように、監理団体の活用について、都側のチェックが不十分な事例が見られました。
この間、るる指摘してきましたが、監理団体は、指定管理業務のほかにも、都からのさまざまな業務を受託するなど、都と密接な関係を持っており、むだの温床となることは許されません。
都においては、総務局と各団体を所管する各局とが問題意識を共有し、今まで以上に都民への説明責任を果たす観点から、都議会におけるこれまでの議論を踏まえ、経営の透明性の向上に取り組むとともに、団体が担う業務についても継続的に見直していくことを求めるものです。
以上の観点を踏まえ、各会計について意見を申し上げます。
まず、病院会計についてです。
一、がん治療体制強化のため、引き続き集学的治療体制整備を進めるとともに、通院による治療、療養支援として、外来化学療法の充実、緩和ケア医療を推進すること。
一、また、患者、家族への支援として、情報提供、相談支援体制の一層の充実に努めること。
一、ERについては、専用診療基盤の充実やトリアージなど、ERの特色に対応した機能強化を進め、引き続き患者受け入れ体制の強化を図ること。
一、引き続きボランティアの積極的活用を進め、患者サービスの向上を図ること。
一、患者の声相談窓口は、いつでも話せる体制整備を進め、患者の視点を取り入れた病院運営、患者、家族の心のケアにも生かす枠組みとなるようにしていくこと。
一、医療の複雑化、説明責任に伴う治療、看護の詳細な記録など、スタッフの負担が増加している現状にかんがみ、負担軽減、医療ミスの防止に効果があるとされる電子タグの導入を検討すること。
続きまして、中央卸売市場会計についてです。
一、大田、足立の水産市場や多摩ニュータウン市場を初め、各市場における今後の方向性を調査、検討すること。また、淀橋市場におけるリニューアル事業として、仲卸棟を整備するとともに、大田市場の老朽化した荷さばき場の建てかえを進めること。
一、財団法人東京都中央卸売市場環境整備協会との関係の適正化に努め、駐車場料金の引き下げなど、その利益を広く市場関係者に還元すること。
一、移転予定地である豊洲の安全性が確認をされず、関係者の合意も得られていない中にあって、築地市場の豊洲移転は強引に進めないこと。
次に、都市再開発事業会計についてです。
一、環状二号線地区都市再開発事業については、その進捗状況等に関して、地区内権利者及び周辺住民に対するきめ細かな情報提供に努めること。また、地区内地権者や周辺住民との連携や相互理解のもと、まちづくりが進められるよう支援をすること。
続いて、臨海地域開発事業会計及び港湾事業会計についてであります。
一、臨海ホールディングスの事業展開に当たっては、三セクの民事再生という過去の経験を踏まえ、子会社五社が相互に補完し、連携しながら経営の効率化を図ること。また、契約情報の公開については、引き続き透明性の向上に努めること。
一、有明北など臨海副都心地域の土地処分に当たっては、暫定利用や一時貸付などの工夫を凝らすとともに、良好なまちづくりという視点を踏まえ、売却先についても十分な検討をすること。
次に、交通事業会計及び高速電車事業会計などについてです。
一、都営地下鉄における安全・安心を確保するために、大江戸線への可動式ホームさくを整備すること。また、安全、正確な運行の確保や事故等に対する迅速な対応などを行う総合指令を構築すること。
一、都営地下鉄の駅ナカ店舗においては、業務を委託している東京都交通局協力会頼みの運営方式を改めるよう検討し、交通局の収入の向上とあわせて、都民への利益の還元に努めること。
一、東京交通サービスにおける契約情報の透明性の確保に向け、さらに取り組むこと。
続いて、水道事業会計などについてです。
一、将来人口推計や関連する社会指標、経済指標など、最新データを用い、水需要予測を見直し、八ッ場ダムへの必要性を検証するなど、これまでの水源確保のための施策を再検討すること。
一、広域的な事業運営を図るために、多摩地区水道の広域的な経営に取り組むとともに、国際的な水問題に対応するために、職員の海外派遣や技術、ノウハウの発信など、国際貢献を積極的に進めること。同時に、都民への説明責任を果たせる体制をつくること。
一、水道局とPUCとの委託契約や、PUC出資会社への再委託などのあり方については、都民に誤解を与えることのないよう見直すこと。
一、水の科学館については、水のたびシアターなどの施設の効果を検証し直すこと。また、虹の下水道館との一体化によるメリットを検討すること。
最後に、下水道事業会計についてです。
一、老朽化が著しい下水道管の再構築を計画的、効率的に実施するとともに、水再生センターやポンプ所を再構築する際は、省エネ化や雨水排除能力の向上を進めること。
一、東京都下水道サービス株式会社を活用するに当たっては、契約関係を初めとする透明性の確保に努めるとともに、土づくりの里は終了年度を明らかにすること。
一、虹の下水道館については、水の科学館との一体化によるメリットを検討すること。
一、下水道局の入札では、入札の公平性が保たれるよう、配置技術者要件の実態に応じた見直しなど、積算の改善などに取り組み、入札参加者をふやすよう努めること。
以上、申し上げまして、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。
○吉住委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、平成二十一年度公営企業会計決算について意見の開陳を行います。
最初に、病院会計について申し上げます。
一般会計繰入対象経費の算定方法及び負担区分の一層の明確化に努めるとともに、収入の確保や経費の節減などさらなる経営改善努力を行い、引き続き強固な経営基盤の構築に努められたい。
三百六十五日二十四時間の安全・安心を実現し、安定的で良質な医療サービスを提供していくため、次代を担う若手医師を育成、確保する東京医師アカデミーによる臨床研修の充実を図るとともに、事務作業の負担軽減や、医師不足が顕著な診療科の採用強化など、確保、定着に向けた取り組みを一層推進されたい。
小児医療や災害医療を初め、感染症医療、救急医療、周産期医療などの高水準で専門性の高い行政的医療については、将来にわたって安定的かつ継続的に公的医療機関としての役割を果たされたい。
都立病院の再編整備に伴う改築、改修及び運営に当たっては、医療環境の変化に柔軟に対応するとともに、民間事業者の業務履行状況を適切にチェックする体制を充実、強化し、サービスの一層の向上に努められたい。
患者中心の医療の実現と都民に対する医療サービスの向上を図るため、十九年度に策定した第二次都立病院改革実行プログラムの着実な推進に努め、東京発医療改革の核である都立病院改革をさらに進められたい。
次に、中央卸売市場について申し上げます。
中央卸売市場においては、安全・安心な生鮮食料品を都民に提供する役割を果たすため、品質管理の高度化、衛生対策の強化の視点からさまざまな取り組みに努められたい。
豊洲新市場の整備については、予定地の汚染物質処理に関する実験で有効性が確認された処理技術を適用し、平成二十六年度中の開場に向け、着実に推進されたい。また、個々の事業者の事情を聞き、きめ細やかな支援を行われたい。
環境対策の取り組みとして、場内搬送車両の電動化の推進や、太陽光発電設備の設置による再生可能エネルギーの導入など、「十年後の東京」計画の実現に向けた施策を積極的に推進されたい。
第八次卸売市場整備計画に基づき、引き続き着実に施設整備を進めるとともに、第九次卸売市場整備計画の策定を通じ、市場の機能強化や活性化への取り組みを着実に実施されたい。
市場財政については、コスト削減の徹底などの内部努力による経費節減に努めるとともに、施設の有効活用などによる新たな収入を確保することにより、強固な財政基盤の構築を図っていただきたい。
次に、都市再開発事業会計ですが、北新宿地区市街地再開発事業については、新宿副都心にふさわしい土地の高度利用と都市基盤の強化を図り、生活環境の改善と防災性の向上を推進されたい。
環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業については、都市の骨格を形成し、環境軸として位置づけられている環状二号線とその周辺を含めた一体的なまちづくりを行い、都市機能を再生し、魅力ある複合市街地の形成を推進されたい。
大橋地区市街地再開発事業については、ことし三月に開通した首都高速道路中央環状新宿線大橋ジャンクションと一体的にまちづくりを進め、合理的かつ健全な土地の高度利用と都市機能の更新を図るとともに、事業に協力してきた権利者の生活再建を早期に図られたい。
次に、臨海地域開発事業会計について申し上げます。
臨海副都心の開発は、東京の活力と創造力を生み出し、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業であります。
観光、交流のまちづくりを推進し、臨海副都心の一層の活性化を図るとともに、厳しい経済情勢の中においても民間事業者の積極的な誘致に努めるなど、土地処分に全力を尽くして、まちづくりの総仕上げに向けた着実な開発を進められたい。
臨海副都心地域と都心部とを結ぶ環状二号線など、広域幹線道路の整備を積極的に推進されたい。
また、有明北地区は、都心に近接した豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指し、積極的に事業を進められたい。
港湾事業会計については、東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動を支える物流拠点として欠くことのできない重要な社会基盤施設であります。このため、利用者ニーズに的確にこたえて施設を整備し、貨物誘致や事業運営の効率化を推進するなど、東京港の国際競争力の強化を図られたい。
次に、交通事業会計について申し上げます。
バス事業については、経常利益を維持したとはいえ、依然として予断を許さない経営状況であり、増収、増客努力を行うとともに、一層の経営効率化を図られたい。
バス停の上屋やベンチの整備、バス運行情報サービスの充実など、一層の利便性向上を図られたい。また、東京ならではの観光資源を生かした乗客誘致を図るとともに、外国人観光客にも使いやすいよう、バス停留所標識柱に外国語表記を進めるなど、バスの魅力向上に努められたい。
軌道事業については、安定的経営に向けて増収、増客努力を行うとともに、一層の経営の効率化を図られたい。また、安全対策やサービスの向上に資する施設の更新を積極的に進めるとともに、地域の活性化に寄与する取り組みを推進されたい。
新交通事業については、早期の経営安定化に向けて、乗客誘致や関連事業の増収を図るとともに、監理団体の活用により、安全と経営効率化の両立を図られたい。また、ラッシュ時の混雑対策についても引き続き努力されたい。
車両や施設のバリアフリー化、省エネルギー化など、福祉や環境にも配慮した取り組みを引き続き推進されたい。
次に、高速電車事業会計についてでありますが、経常利益を計上したことは評価しますが、累積欠損金の解消や長期債務の縮減に向け、増収、増客努力を行うとともに、監理団体も活用しながら一層の経営効率化を図られたい。
事故や災害、テロの発生に対し的確に対応できるよう、実践的訓練や危機管理体制の充実など安全対策の強化に取り組まれたい。特に、都市型水害への備えとして、最新ハザードマップに応じた浸水防止対策に取り組まれたい。
大江戸線への可動式ホームさく設置をできる限り早期に完了させるとともに、新宿線など他線の整備に向けた検討を進められたい。
地下鉄構造物の長寿命化を図るため、予防保全の考え方に立った管理手法を導入されたい。
エレベーター等の設置によるバリアフリー化の一日も早い整備完了に向け、より一層の事業促進に努められたい。また、駅のトイレをさらにグレードアップするなど、利用者サービスの向上を図られたい。
資産の有効活用など関連事業の推進に当たっては、公営企業としての経済性発揮と公共性の両立を図られたい。
電気事業会計につきましては、電気事業の規制緩和の進展を踏まえて、一層の効率的な経営に努力されたい。
次に、水道事業及び工業用水道事業会計について申し上げます。
安定給水を確保するため、水資源開発基本計画で予定している新規水源開発について、国等に一層の促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、関係自治体と連携してその推進に努められたい。
さらに、都民の貴重な水源地を守り続けるため、荒廃が進みつつある民有林への対策を進めるとともに、水道施設の整備に当たっては、将来の人口、経済、気候変動の状況なども十分考慮し、水需要と供給のあり方を踏まえた新たなプランづくりと都民へのわかりやすい説明に努められたい。
また、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業の推進、施設の耐震性の強化とともに、送配水管ネットワークの強化や私道内給水管の整備など、主要施設整備事業を推進し、災害、事故発生時の体制整備に万全を期されたい。
安全でおいしい水を供給するため、安全でおいしい水プロジェクトを推進し、高度浄水処理の着実な導入を進めるとともに、給水所における追加塩素注入設備の導入など、送配水段階におけるおいしい水対策を推進されたい。
また、小中学校水飲み栓直結給水化モデル事業や水道キャラバンを推進するなど、直結給水の普及に努められたい。
東京都水道局環境計画二〇一〇-二〇一二に掲げた水道水源林の保全、自然エネルギーの活用など、環境に配慮した施策をより積極的に推進するとともに、総合的エネルギー管理の実施や都民と連携したCO2削減など、環境負荷低減型都市づくりに努められたい。
東京水道経営プラン二〇一〇に盛り込まれた水道局及び監理団体による一体的事業運営体制の構築など、効率的で責任ある運営体制を構築し、経営基盤の強化を図るとともに、水道文化の継承など次世代を見据えた幅広い施策の推進に努められたい。
多摩水道改革計画(二〇一〇-二〇一四)に基づき、都営水道にふさわしい広域水道としてのメリットがさらに発揮できるよう、事務委託解消の過程で新たに顕在化した課題及び事務委託の解消を契機に本格的に対応すべき課題に積極的に取り組まれたい。
平成二十二年四月に都営一元化された奥多摩町水道事業について、安定給水を図りながら計画的に施設整備を進められたい。
諸外国の水事情改善に貢献するとともに、日本経済の活性化のためにも、東京水道の持つ技術、ノウハウなどの強みを生かし、監理団体を活用した新たな国際貢献に向けた取り組みを積極的に推進されたい。
水道局がこれまで培ってきた高度な技術を継承していくため、ナレッジバンクや東京水道技術エキスパート制度等から成るナレッジマネジメントシステムを活用し、将来にわたる水道技術の確実な維持、発展に努められたい。
大規模施設の整備に当たっては、事業評価制度の活用など事業効果の明確化を図るとともに、都民への説明責任を果たし、より一層信頼される事業運営に努められたい。
工業用水道事業については、安定給水及び施設の安全性を確保するとともに、効率的な事業運営を推進し、財政の安定化に努められたい。
最後に、下水道事業会計について申し上げます。
東京都下水道事業経営計画二〇一〇の達成に全力で取り組み、都民サービスの一層の向上と経営の効率化を図られたい。
老朽化した下水道施設の更新に合わせ機能の向上を図るなど、再構築事業を計画的に推進されたい。
浸水から都民の生命と財産を守るために、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水対策を積極的に推進されたい。
公共用水域の水質を改善し、快適な水辺環境を創出するため、合流式下水道の改善や高度処理を推進されたい。
また、地球温暖化防止のため、アースプラン二〇一〇に基づき、温室効果ガス排出量の一層の削減に努められたい。
下水汚泥の資源化、再生水の利用拡大など、資源の有効活用を進められたい。
多摩地域の下水道については、流域関連公共下水道を実施する市町村との協同を基本に、流域下水道事業を効率的、効果的に推進されたい。
下水道事業が直面する技術的課題を解決するとともに、将来的な課題を見据えた技術開発に計画的に取り組まれたい。
区部及び流域下水道において、より一層の経営効率化に取り組み、国費等の財源確保を図るなど、健全な経営基盤の確立に努力されたい。
以上、各会計に対する意見を申し上げましたが、公営企業は都民の生活に密着し、欠かすことのできない事業であります。安全・安心はもとより、一層の経営改善と都民サービスの向上に努められることを要望いたしまして、私のちょっと聞きづらい意見開陳を終わります。
○小林委員 都議会公明党を代表して、平成二十一年度の公営企業会計決算について意見開陳を行います。
初めに、共通事項について申し上げます。
まず、十一会計の経常利益及び経常損失の合計は一千二百十八億円となりました。四年連続で一千億円を超える経常利益を確保し、経営努力のあらわれとして評価します。しかし、利益額は三年ぶりに前年度比で減少しており、今後も不断の改善が求められます。
それぞれの公営企業が本来の目的である公共の福祉を増進していくためには、効率的かつ効果的な事業運営にあわせて、社会、経済の状況変化を踏まえ、都民の声を迅速かつ的確にサービスに反映させ、都民の信頼にこたえる取り組みが重要です。この点において、一層鋭敏な努力を各局に強く求めるものであります。
次に、各事業会計について申し上げます。
初めに、病院事業会計であります。
一、都立病院は、感染症、がん、難病、救急、周産期などの各医療分野において、都民が期待する水準の行政的医療を適正に提供するとともに、都内全体の医療の質的向上に貢献されたい。また、経営改善に向けた多様な努力を行い、安定した経営基盤を確立されたい。
一、東京医師アカデミーにおいて専門性の高い優秀な医師の育成、確保に努めるとともに、指導医へのインセンティブ付与や女性医師が働きやすい勤務条件の改善などにより、総合的な医師確保対策を推進されたい。
一、看護師や助産師などの看護臨床研修を実施するなど、その確保、育成を図るとともに、二十四時間保育や短時間勤務の導入などの多様な勤務体制を整え、女性の定着対策において模範の取り組みを示されたい。
一、周産期医療体制の充実を図り、医療連携を中心とした診療支援や役割分担、地域ネットワークの強化を推進されたい。
次に、中央卸売市場会計であります。
一、豊洲新市場への細やかな移転支援策を示すなど、市場関係者を初め、都民の理解が得られるよう整備を促進されたい。
一、第八次卸売市場整備計画に基づいて、都内の全卸売市場の活性化が図られるよう、施設の改修、整備に努めつつ、効果的な第九次卸売市場整備計画策定の検討を進められたい。
一、小型特殊自動車の電動化やアイドリングストップ対策の車両の充電設備の設置など、環境負荷の低減に努められたい。
一、市場業者がみずから取り組む先駆的な事業に積極的な支援を行うなど、市場業者の意欲増進につながる活性化策に努力されたい。
次に、都市再開発事業会計であります。
一、幹線道路とその周辺部の都市機能を再生し、生活環境の改善と防災性の向上を図るため、北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区及び大橋地区の市街地再開発事業を推進されたい。あわせて、事業に協力してきた権利者の生活再建を最優先に取り組まれたい。
次に、臨海地域開発事業会計であります。
一、臨海副都心の開発は、都内経済の未来を左右する意義の大きい事業であり、今後とも、環状二号線などの広域幹線道路の整備など、平成二十七年度の概成に向け、一層の工夫に努められたい。あわせて、臨海地域の土地処分を積極的に行い、効果的な開発を誘導されたい。
一、豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指す有明北地区については、新しい水際市街地の創造を目指して着実に事業を進められたい。
次に、港湾事業会計であります。
一、東京港のメーンポートとしての地位を今後も維持していくために、京浜三港連携の中で事業運営の効率化に努め、利用者ニーズに的確にこたえる施設整備を行い、貨物誘致などを推進されたい。
次に、交通事業会計であります。
一、ドライブレコーダーを早期に都バス全車に導入し、安全対策をさらに充実されたい。
一、都バス、都電の新たな情報提供サービスの導入など、運行情報サービスの充実を図るとともに、上屋やベンチの設置など利便性の向上に引き続き努められたい。
一、高齢者や身体障害者はもとより、すべての人々が利用しやすいハイブリッドノンステップバスの導入を進められたい。
一、ICカードを活用したポイントサービスなど諸施策に取り組まれたい。また、新しい低公害バスの開発に積極的に協力をされたい。
次に、高速電車事業会計であります。
一、大江戸線への可動式ホームさくの設置については、平成二十五年度までの全駅設置完了に向けて整備を進めるとともに、引き続きコスト縮減を図られたい。
一、地下鉄駅において、エレベーター、エスカレーターの整備、誘導チャイムや音声案内触知図の充実などに加え、サービス介助士の充実など、ソフト面のバリアフリーにも積極的に取り組まれたい。
一、外国人観光客が地下鉄を利用しやすくなるよう、外国人向け案内のさらなる充実を図られたい。
一、引き続き省エネルギー対策を進めるとともに、ICカードを活用したポイントサービスなど諸施策に取り組まれたい。
一、デジタルサイネージなど、新たな広告媒体の開発に積極的に取り組まれたい。
一、障害者の自立と雇用を支援するため、駅構内の障害者が働く店舗の拡充について、引き続き積極的に協力されたい。
次に、電気事業会計であります。
今後とも、経営の健全化及び効率化になお一層努力されたい。
次に、水道事業会計であります。
一、将来にわたる安定給水を確保するため、新規水源の開発促進を国などに対して引き続き強く要望するとともに、国庫補助金などの拡大導入に努力されたい。
一、水道水源の水質保全対策について、国に対し強く要望されたい。また、水質監視体制に万全を期し、高度浄水処理施設の建設を着実に推進するとともに、都独自のおいしさについての水質目標を達成するよう施策を推進されたい。
一、浄水場施設及び送配水施設の整備を積極的に推進されたい。また、災害時にも必要な水を確保できるよう、三次救急医療機関、首都中枢機関などへの供給ルートや地盤の脆弱性が指摘される東部地域の耐震強化に取り組むなど、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業の推進に努めるとともに、各区市町や他事業体などと連携した共同訓練の充実など、危機管理対策に万全を期されたい。
一、広報による節水意識の高揚、循環利用及び雨水利用の促進など節水諸施策を推進し、節水型都市づくりに努められたい。また、耐震継ぎ手管への取りかえを積極的に進めるとともに、腐食性土壌への対応や老朽管渠の更新など、漏水防止、震災対策を進められたい。
一、東京水道経営プラン二〇一〇に盛り込まれた経営努力や監理団体との一体的事業運営体制の構築など、経営基盤の強化に努められたい。また、事業評価制度の活用などにより、より一層信頼される水道を目指した事業運営に努められたい。
一、広域水道のメリットを発揮し、多摩地区水道事業のより一層の水道サービスや給水安定性の向上と効率的な事業運営を図るため、多摩水道改革計画(二〇一〇-二〇一四)に基づき、事務委託解消の過程で顕在化してきた課題、広域的な施設整備などへの取り組みを積極的に推進されたい。
一、自然エネルギーの有効活用や、発生土の再利用など資源リサイクルに努めるほか、東京都水道局環境計画二〇一〇-二〇一二に掲げた総合的な環境施策を推進されたい。
次に、工業用水道事業会計であります。
安定給水及び施設の安全性を確保するとともに、事業運営の効率化、財政の安定化に努められたい。
最後に、下水道事業会計であります。
一、東京都下水道事業経営計画二〇一〇を着実に実行し、一層の都民サービスの向上と経営の効率化に努められたい。
一、老朽化施設の再構築を計画的に推進されたい。
一、都市型水害に対処するため、東京都豪雨対策基本方針に基づき、ポンプ所、幹線管渠などの基幹施設を整備し、浸水対策を推進されたい。
一、公共用水域の水質を改善するため、合流式下水道の改善及び高度処理施設の整備を推進されたい。
一、管渠の耐震化などの震災対策を着実に推進されたい。
一、アースプラン二〇一〇を着実に推進し、下水処理の過程で発生する温室効果ガス排出量の削減に努められたい。
一、下水汚泥の資源化の拡大を図るなど、資源の有効利用を進められたい。
一、多摩地域の流域関連公共下水道を実施する市町村との協同を基本に、流域下水道事業を効率的に進められたい。
以上で都議会公明党の意見開陳を終わります。
○吉田委員 日本共産党都議団を代表して、平成二十一年度、二〇〇九年度公営企業会計決算に対して意見を述べます。
経済悪化が進み、都民の暮らしと雇用、営業の危機が深刻化する中で、公営企業がその設置目的の第一である公共の福祉の増進に努めることが、これまで以上に求められていました。都民のための医療の確保や安全な食の供給、さらに都民生活を支える公共交通や都市インフラの整備など、都の公営企業が本来の役割を果たすことです。
しかし、都が、小児医療、子どもの心の医療拠点として、なくてはならない役割を果たしてきた都立三小児病院の廃止を強行し、食の安全を無視し、東京ガス跡地への築地市場の移転を推進したことは到底許されません。また、公営企業として、都民、とりわけ生活困窮者に対し、利用者負担の軽減が求められたにもかかわらず、料金の見直しは行われませんでした。
その一方で、効率的経営の名のもとに、職員の削減や業務委託が引き続き継続されてきました。過大な投資も継続されてきました。
改めて、都の公営企業が、都民の願いにこたえ、安全・安心確保を最優先し、都民生活を支える本来の責務にふさわしい役割を発揮することを求め、以下、会計ごとの意見を述べます。
まず、病院会計についてです。
本決算年度に、八王子、清瀬、梅ケ丘の都立三病院の廃止、統合を強行したことは断じて許されません。とりわけ、幼児から青年期までの児童精神医療は、全国的にも都内でも専門病院が極めて少なく、専門医も不足しており、梅ケ丘病院廃止による治療中断、きちんと診てもらえる病院が近所にないなどの影響は切実なものです。
また、八王子、清瀬周辺地域を初め、多摩地域の小児救急やNICU、障害者医療についても、小児病院の廃止どころか、抜本的拡充こそ求められていることは明白です。都立病院における小児医療、周産期医療及び児童精神医療の拡充を強く求めます。
都立病院改革マスタープランを都民参加で再検討し、地域医療と高度専門医療の両面の拡充を進めること。
梅ケ丘病院を再開するとともに、多摩地域の小児医療、周産期医療を拡充すること。
医師、看護師等の確保、増配置を促進し、労働条件、労働環境の改善を進めること。臨時、非常勤職員の処遇改善を図ること。
PFI手法による病院の改築、運営は中止し、見直すこと。都立病院の運営は直営を堅持し、独立行政法人化は行わないこと。
次に、中央卸売市場会計についてです。
築地市場は、汚染が深刻な豊洲新市場予定地への移転を行わないこと。土地の購入は中止すること。
土壌汚染対策を初め、豊洲移転にかかわるすべての情報を公開し、環境学会など専門家の検証を受けること。
築地市場現在地再整備計画を早急につくるために、オール都庁体制で取り組むこと。
築地市場内の耐震改修が必要な施設、老朽化した施設は直ちに改修すること。
次に、交通事業会計、高速電車事業会計についてです。
地下鉄駅のバリアフリー、ホームさくの整備促進を図ること。バス停の上屋やベンチ、接近表示器の整備を図ること。
駅業務、バス業務の民間委託や非常勤職員の拡大を改め、公共交通の安全確保を最優先すること。
都営交通料金の引き下げを図ること。
次に、水道事業会計についてです。
過大な水需給計画やダム依存の計画は見直し、八ッ場ダム建設は中止すること。関係住民の生活再建、地域振興を図ること。
水道事業は一〇〇%普及しており、過剰投資を抑制し、料金引き下げを図ること。
高齢者の老齢福祉年金受給者も水道料金の低所得者減免の対象とすること。生活困窮者に対して料金徴収対策で給水停止をしないこと。
次に、下水道事業会計についてです。
排水施設の誤接合による汚水の河川放流の再発を防止するため、下水道施設工事に当たって管理を徹底すること。
局部的豪雨多発という状況にふさわしく、雨水浸透ますや貯留施設の整備促進など、豪雨対策を強化すること。
下水道料金の引き下げを図ること。介護福祉施設への軽減措置を拡大すること。
下水管補修の新たなシステムの導入に関しては、関係業者との協議を尽くすこと。
次に、臨海地域開発事業会計及び港湾事業会計についてです。
臨海副都心の未処分地の活用は、売却益確保優先、高額の分譲住宅優先でなく、都民が憩える公園や公的住宅など都民要望が生かされるようにすること。
臨海副都心開発のためのアクセス道路や環状二号線、南北道路などの道路計画は中止し、抜本的に再検討すること。
東京湾整備に当たっては、過大な港湾設備や道路整備は見直すこと。
最後に、都市再開発事業会計についてですが、北新宿、環二、大橋のそれぞれの地区は、道路建設と市街地再開発をセットとした再開発で、従前住民が住み続けられるまちづくりとはいえないもので、中止し、見直しすべきです。
以上です。
○西崎委員 私は、都議会生活者ネットワーク・みらいを代表して、本委員会に付託された平成二十一年度の公営企業会計決算について意見を申し上げます。
独立採算を旨とした公営企業は、企業としての経営努力が常に求められると同時に、公共の福祉に資する公的な役割、いわば不採算性を内包する公共性も求められています。
ますます深刻化していく地球温暖化に対して、企業は率先して環境対策の取り組みを進めなければなりません。公営企業の多くが、大量のエネルギー消費など環境に過大な負荷をかける事業を有することから、着実に目標の達成を求めるものです。
また、女性に対する深夜業従事制限の撤廃、男女共同参画社会基本法の成立から十年以上経過し、さまざまな分野で活躍する女性が多くなってきました。公営企業としても、女性が能力を発揮し、活躍できる職場となるよう、環境整備や安全対策などの充実を要望します。
企業としての社会的貢献と、公としての役割を精査し、透明性の高い契約、入札制度などをもって効率的な事業運営に全力で取り組むとともに、事業者としての危機管理の徹底、都民に向けた情報提供のあり方など、都民サービスの向上に不断に取り組むことを要望します。
それでは、個別の会計について申し上げます。
初めに、病院関係についてです。
一、周産期医療や小児医療に取り組む医師や看護師などの人材養成と確保、定着に努め、救急医療体制を整備すること。
一、地域の病院、診療所、助産所などとのネットワークづくりに積極的に参加すること。
一、都立病院が持つそれぞれの専門医療をさらに充実させること。
一、墨東病院におけるNICUからの円滑な退院に向けた取り組みへの支援を進めること。
一、松沢病院における長期在院患者の退院促進や包括的地域医療サービスの整備を進めること。
次に、中央卸売市場会計についてです。
一、築地市場の移転については、食品の安全性を第一に、長期的視野に立って、引き続き検討を行うこと。
一、食品安全条例に基づき、安全な食品の管理と未然防止の観点から、食品危害対策マニュアルを十分に活用して安全・品質管理者への研修を実施し、安全性に問題のある食品に対しては、市場に入れない、流通させないことを徹底して行うこと。
一、生産流通履歴、トレーサビリティーシステムを拡大活用すること。
一、有機農産物や特別栽培農産物等の供給拡大を図ること。
一、循環型社会づくりに市場として貢献するため、市場内の運搬車の電動化を図り、排ガス対策を進めるとともに、ごみの減量、減容化、再生利用に取り組み、市場活動に伴う環境負荷の低減に一層努めること。
一、各卸売業者や仲卸業者が自主的衛生管理を確実に行うために、品質管理マニュアルの作成を進めること。
次に、交通事業会計及び高速電車事業会計についてです。
一、大江戸線、都営新宿線などの災害時の対応マニュアルを徹底させ、非常時の実践的訓練を行うこと。
一、都営地下鉄において、ホームドアなどの設置を拡充し、ホームからの転落事故防止対策を進めること。
一、施設整備はユニバーサルデザインへの転換を進めること。
一、都営交通における女性職員の労働環境の整備を進めること。
次に、水道事業会計についてです。
一、過大な水需要予測は、実績と実態に合わせて再度早急に見直しを行うこと。
一、多摩地域の地下水源を保全し、水源水と位置づけること。
一、節水、漏水対策等を強化するとともに、都の独自水源の回復と保全に努め、適正、有効に利用して、ダム開発に頼らない水道事業の構築を図ること。
一、学校や民間住宅における直結給水を推進すること。
一、現在、工業用水のみを給水している玉川浄水場においては、多摩川中流の環境基準B類型達成後の再開を目指した計画モデルを明らかにすること。
一、無人化の進む浄水所や給水所などの安全対策を万全に行い、非常時には地元自治体との連携で対策を進めること。
最後に、下水道事業会計についてです。
一、水環境の改善と水循環の促進の視点から、着実に合流改善を進めること。
一、環境局と連携してオーバーフローの実態を調査し、対策を立てること。
一、再生処理水や下水熱などの未利用エネルギーの有効活用を進め、汚泥資源は、都や都関連の公共施設、都が発注する公共事業などへの利用促進を働きかけること。
一、区部における避難所からの排水を受ける下水道の耐震化を進めること。
以上で生活者ネットワーク・みらいの意見開陳を終わります。
○田島委員長 以上で意見の開陳を終わります。
なお、本決算を認定する際は、意見を付することといたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田島委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
また、意見案文の取りまとめにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田島委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時三十九分散会
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