平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

平成二十二年十月二十五日(月曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長大西さとる君
副委員長鈴木 章浩君
副委員長高倉 良生君
副委員長神野 吉弘君
小林 健二君
桜井 浩之君
西沢けいた君
新井ともはる君
山口  拓君
村上 英子君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長中井 敬三君
技監飯尾  豊君
総務部長山本  隆君
監理団体改革担当部長石原 清志君
港湾経営部長小宮 三夫君
港湾経営改革担当部長河内  豊君
臨海開発部長平林 宣広君
開発調整担当部長大和田 元君
営業担当部長延與  桂君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長大釜 達夫君
離島港湾部長平田 耕二君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君

本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について
港湾局関係
・平成二十一年度東京都臨海地域開発事業会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都港湾事業会計決算(質疑)

○大西委員長 ただいまから平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十一年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほど、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都臨海地域開発事業会計決算及び平成二十一年度東京都港湾事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山本総務部長 十月十五日開催の当分科会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり六項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
 有償処分予定地のうち、開発確定分といたしまして、処分済み及び処分手続中に分け、また今後開発予定面積といたしまして、公募中、今後処分予定に分け、昨年度末現在の面積をヘクタールでお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。2、臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
 平成十七年度から二十一年度までの土地処分の実績を、面積と百万円単位の金額でお示ししてございます。実績の内訳欄には処分方法と件数を記載してございます。
 なお、注記のとおり、暫定利用は除いております。
 三ページをお開き願います。3、臨海副都心地域暫定利用の状況でございます。
 臨海副都心地域において暫定利用されております表頭記載の四区画の昨年度末における状況につきまして、それぞれ表側の項目、敷地面積、事業者名、事業者決定日、施設概要及び開業時期をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。4、臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
 臨海副都心開発の基盤整備に係る企業債につきまして、平成元年度から平成三十二年度までの発行額及び償還額を百万円単位で記載してございます。平成二十年度までは決算額、平成二十一年度は決算見込み額、平成二十二年度は予算額、平成二十三年度以降は計画額でございます。
 なお、平成二十二年度に発行予定の企業債の利子につきましては、利率等が決定しておりませんので計上しておりません。
 五ページをお開き願います。5、臨海ホールディングス傘下の各子会社の資産状況についてでございます。
 東京臨海熱供給株式会社、株式会社ゆりかもめ、株式会社東京テレポートセンター、東京港埠頭株式会社、株式会社東京ビッグサイトの各社における流動資産及び固定資産の内訳につきましてお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。6、臨海関係第三セクターのビル入居率の推移でございます。
 平成十二年度から二十一年度までの各年度末における、ビルごとの入居率をお示ししてございます。
 以上をもちましてご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○神野委員 私からは、臨海地域開発事業会計についてお伺いをしたいと思います。
 平成二十一年度の決算説明資料によりますと、臨海会計の収入源でございます土地の売却、埋立地の処分収益は八十九億九千二百万円で、予算に対する収入率が五四・七%でございます。臨海副都心用地の処分収益は二件で二億五千三百万円と、同じく予算に対する収入率が〇・九%という非常に低い数字となっているわけなんですが、臨海副都心用地の売却が、昨年度、計画に対して大きく落ち込んでいるその原因について、まずお伺いをしたいと思います。

○平林臨海開発部長 都では、平成十七年度に策定した臨海地域開発財政基盤強化プランのさらなる取り組みに基づきまして土地処分の促進を図り、二十年度決算までにこの目標額の九〇%の収入がありました。ところが、平成二十年秋からの世界不況、不動産不況により、急速にオフィス、マンションの需要が低迷したため、公募した土地が売れなかったことが、二十一年度、土地売却が減少した原因であると考えております。

○神野委員 土地の売却というのはその時々の景気に大きく左右されるものではありますが、それでは臨海副都心用地についてなんですけれども、昨年度の処分原価が、この決算資料を見ますと、四億三千五百万円に対して処分の金額が二件で二億五千三百万円ということで、差し引きをいたしますと大幅な赤字となっているわけです。
 この説明資料にございます処分原価、この金額は一体どのような考え方で構成をされている数字なのか。そしてまた、昨年のこの赤字の原因は一体何なのかということについてお伺いをしたいと思います。

○平林臨海開発部長 臨海副都心の処分原価は、臨海副都心を一体といたしまして、基盤整備にかかわる開発者負担、建設改良費、旧埋立事業会計より移管した土地等の計画事業費を有償処分面積で割り返したものでございます。したがって、実際の売買に当たりましては、区画の用途、容積、形状、道路づけなど、その諸条件を勘案いたしまして、その時点での適正な価格により処分することとなります。
 お話しの平成二十一年度に処分した二件の土地は、いわゆる端切れ地でございまして、高速道路に囲まれた狭小な土地であり、地下埋設物のためのシールド工法の立て坑に使用するものなどです。したがって、価格が低くなりまして、説明資料の処分原価との間に大きな乖離ができて赤字額が生じたものでございます。

○神野委員 今のご説明、この臨海副都心地区の全体が有機的な一体性を有して整備開発されるということから、当該地区全体を一つの原価単位と見ているということのご説明でございました。だから、売却された土地が駅前の一等地でしょうが、いわゆる今のお話のような端切れ地でありましょうが、売却の原価というものはすべて等価で売却利益が算出されているため、場所によっては今回のような赤字が計上される場合があるということであります。しかし、あくまで決算という形でこの事業の公表がされているわけでありますから、原価が一律ですと、逆に一等地を売った場合には莫大な利益が出てしまうということで、長期にわたっての期間損益という、そういった視点から考えれば余り望ましくはありませんので、今後その辺のところを説明責任を尽くされることを要望したいと思います。
 次の質問に移ります。
 臨海地域開発事業というのは、一番、まずは良好なまちづくりを目指すという一つの大変大事な視点がございます。しかし、事業収支面でも、これ当然なんですが、都民の理解というものが得られなければいけないと思います。こういった両立ての視点で考えたとき、今回のこれまでの投資金額の総額というこの処分原価の回収をもって、一つの事業達成の目安だというふうにお考えになっていらっしゃるというふうに理解をしてもよろしいんでしょうか。

○平林臨海開発部長 臨海副都心の事業は、土地処分収入だけではなくて長期貸付等の運用収益でも賄われておりますので、処分原価と個々の土地の実際の売却額との比較のみをもって事業の成否を論ずることはできないと考えております。
 ほかにも、財政基盤強化プランのさらなる取り組みに見られますように、企業債の償還や資金繰りなども経営上重要な要素でありまして、臨海地域の開発という本来の目的を見据えながら、会計上のそれぞれの視点にも留意し、健全な経営を心がけているところでございます。

○神野委員 今のお話、これまで発行されていらっしゃる企業債の完済が、一つ、事業の達成の目安になるというお話であります。
 ならばお伺いしたいんですが、今後、残りの土地を一体幾らで処分をすればいいのか。これ、単純に割り戻しをして計算して、今後のいわゆる売却目標の目安というものを教えてください。

○平林臨海開発部長 支出におきましては、企業債償還だけでなく基盤整備関連経費などもございますし、収入におきましては、土地売却収入だけでなくて長期の土地貸付料もございます。したがいまして、支出の一項目である企業債償還と、収入の一項目のさらに内訳である売却収入を単純に比較することはできないのでありますが、仮に、ストックとしての両項目を比較するため、今後償還が必要な金額を今後処分予定の面積で割り返した数字をお示しするのであれば、一平米当たり約三十七万円となります。

○神野委員 今のお話でいきますと平米三十七万円ということですから、一般的に坪に直すと大体百万円から百十万円ぐらいになろうかと思います。この臨海の当該の地域内には駅前の一等地もあれば、また先ほどの端切れ地もあれば、また住宅地もあるのでありますけれども、この平米三十七万円で売るという一つの売却目標の目安というものの達成というものは大丈夫なんでしょうか。今後の見通しをお聞かせください。

○平林臨海開発部長 土地の価格は、それぞれの区画条件によりさまざまでありますので一概にはいえませんが、また先ほど二十一年度のところで、端切れ地であるというふうにご説明いたしました。しかし、その前年、例えば平成二十年度に売却予定契約をした土地の公募価格単価を見ますと、百二十七万円、百十一万円などとなっております、平米でございます。
 したがいまして、臨海副都心のポテンシャルはまだまだ高く、保有している土地を着実に処分していくことで、土地売却を含む都有地運用収入等の確保は可能であるというふうに考えております。

○神野委員 この臨海副都心の開発というのは、確かに、単純に、売った金額が原価よりも高ければいいということではなくて、やはり良好なまちづくりという視点が非常に大切であるということは理解をしております。
 ですから、ただ、売れ、売れというのではなくて、当然まちづくりという一つの観点を持って、売却先についても十分なご検討というものをしていかなければいけないわけでありますから、なかなか、この目標達成を含めて、事業というものが難しいのはわかりますが、今後とも引き続きどうか努力をしていただいて、すばらしいまちづくりを行っていただきたいということをお願い申し上げまして、私からの発言を終わらせていただきます。

○鈴木委員 それでは、私から、外貿コンテナふ頭の一元化についてお伺いいたします。
 これまで東京湾の港湾運営というのは、三港がばらばら、別々に行われて運営されてきたわけですが、それが、経済のグローバル化に対応するために一体となって取り組んでいこう、そうした方針が打ち出され、また、ことしにおいては国の戦略的スーパー港湾に位置づけられたということで、いよいよ世界の港湾との競争に勝ち抜いていくために、より利用者の利便性の高い運営が求められてきているということであります。
 私はそうしたことを踏まえて、今回、一元化についてお伺いするわけですけれども、今回の港湾事業会計の決算について、昨年度決算の収益的支出においては約二十三億円の特別損失が計上されているわけであります。これは先日の説明にもございましたけれども、東京港埠頭株式会社への建物等への現物出資に伴うものであり、同社による外貿コンテナふ頭の管理一元化のために実施した措置であると伺ったわけです。
 そこでまず、今回の外貿コンテナふ頭の一元化というのは、どのような目的で実施されたのかお伺いいたします。

○河内港湾経営改革担当部長 従来、東京港のコンテナふ頭には、大井ふ頭など、東京港埠頭公社が所有し船会社に専用的に貸し付ける公社ふ頭と、品川ふ頭など、東京都が所有いたしまして、利用者にその都度使用許可する公共ふ頭がございました。利用者に対する窓口が都と公社に二元化するとともに、管理運営に当たってスケールメリットが発揮できないなどの問題が存在しておりました。
 そこで、平成二十年度に東京港埠頭公社を民営化したことを契機にいたしまして、こうした問題を解消するとともに、よりユーザーのニーズにこたえやすい柔軟な対応を実現すべく、東京港埠頭株式会社によるコンテナふ頭の管理一元化を実施いたしました。

○鈴木委員 今ご説明いただきましたように、スケールメリットを発揮して利用者本位の対応を実現するという管理一元化の目的であったわけですけれども、埠頭会社への財産の現物出資という方法以外に、例えば他港で実施している指定管理者制度の導入などという方法もあったというふうに思うわけですけれども、なぜ今回、現物出資という手法を採用したのかお伺いいたします。

○河内港湾経営改革担当部長 外貿コンテナふ頭の管理運営を東京港埠頭株式会社に一元化する手法といたしましては、主に、ふ頭施設の現物出資及び指定管理者制度がございます。このうち現物出資につきましては、施設使用料の設定や設備投資などを同社の裁量により、柔軟かつ機動的に対応できるといったメリットがある一方で、収益性の低い財産を現物出資いたしました場合には同社の経営の足かせになるといったデメリットがあります。
 今般の一元化に当たりましては、施設使用料に占める割合が高く、設備投資を頻繁に行うガントリークレーンやコンテナターミナルの舗装などの上物施設につきましては、東京港埠頭株式会社の創意工夫を最大限に発揮させてコストの低減とサービス向上を図るため、同社に現物出資をする手法を採用いたしました。
 なお、世界の主要港におきましても、洋の東西を問わず、ガントリークレーンやコンテナターミナルの舗装などの上物施設を民間セクターが整備、所有し、整備に莫大な費用を要するとともに管理運営に創意工夫を行う余地の少ない航路やふ頭用地などの下物施設を国や自治体などの公的セクターが整備、所有する、いわゆる公設民営方式が導入されております。

○鈴木委員 世界的な流れで、公設民営の流れを踏まえて、そしてまた柔軟な港湾運営を実現するという目的で現物出資という手法を採用したということでありますけれども、実際に昨年一年間、東京港埠頭株式会社がもう一元管理を行ってきているわけです。昨年は、確かに世界同時不況という影響もありまして、定量的な成果を上げるというところまでは行かなかったのかもしれませんけれども、やはりそうした一元化によって何らかの変化があったというふうに私は思うわけです。
 それでは、現物出資による外貿コンテナふ頭一元化は、具体的にどのような効果を上げていると受けとめられているのか。また、利用者の評判というのは実際にどうだったのかをお伺いいたします。

○河内港湾経営改革担当部長 外貿コンテナふ頭の一元化に伴いまして、品川ふ頭や青海ふ頭などの公共コンテナふ頭におきましてサービスの向上と施設使用料の低減などを図っております。
 例えば、従前は公共コンテナふ頭の利用に当たりまして、ガントリークレーン、照明施設、冷蔵コンテナ用のコンセントなど、利用する施設ごとに利用の都度必要であった手続を、すべての施設を一括して三年に一回実施すれば済むようにするなど、大幅な簡素化を実現いたしました。
 また、ほぼ毎日現場を巡回いたしまして、利用者の施設補修などに関する要望を的確に把握いたしまして、迅速かつ柔軟に対応しております。さらに、取扱貨物量に応じて割引率が決定する新たなインセンティブ制度を導入することにより、施設使用料を低減いたしました。
 公共ふ頭の利用者の方々からも、利用手続が簡素化した、クレーンなどの補修についての対応が迅速かつきめ細やかになったなど、総じて従前よりもよくなったという評価を受けております。
 こうした評価に甘んずることなく、さらなる利用者サービスの向上やコストの低減に向けまして、東京港埠頭株式会社とともに積極的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 この一元管理というのはまだ始まったばかりのことでありますけれども、私も港湾利用業者からいろいろ話を聞いておりますけれども、今回の一元化というのは、上物施設の現物出資という手法を採用したことで東京港埠頭株式会社の創意工夫が発揮できる余地が生まれ、それにより一定の成果を上げているというふうに私も受けとめております。
 しかし、現実、港湾事業の中でも比較的採算性の高いコンテナふ頭であったからこその成果だというふうにも考えられるわけです。
 こうしたことを考えて、今後東京港においては、外貿コンテナふ頭以外のふ頭も含め、港湾経営の一元化をさらに進めるのであれば、他の港の事例なども十分精査し、移管するふ頭の特性を踏まえた最適な手法を用いて、より効率的な経営を実現してほしいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○高倉委員 私からは、臨海地域開発事業会計決算について質問をいたしたいと思います。
 去る十月の二十一日に、羽田空港の新滑走路と新国際線旅客ターミナルがオープンいたしました。羽田の国際空港としての機能が大きく拡充され、東京がアジアのビジネス拠点、観光都市として発展をする絶好の契機になっていくのではないかというふうに思います。
 臨海副都心は、羽田からのアクセスというものに大変恵まれておりまして、ポテンシャルというものも高まるというふうに考えておりますけれども、そうした一方で、先ほども質疑がございましたけれども、平成二十一年度の土地処分の実績を見ますと、例年と比べて極めて低い水準にとどまっているわけでございます。
 まず、平成二十一年度の土地処分の状況と、そのようになった要因について明らかにしていただきたいと思います。

○延與営業担当部長 平成二十一年度におきましては、二十年秋ごろからの世界不況の中、不動産市況全般としましてもマンション、オフィス需要が低迷いたしまして、土地取引も減少するなど、大変厳しい状況となっております。この状況を受けまして、臨海副都心におきまして、平成二十年十月以降、新たな事業者決定が行われていない状況になっております。
 その後、首都圏では、本年九月のマンション建て売り住宅の供給が増加し契約率が上昇するなど、住宅市況につきましては若干改善の兆しも見られますが、一方で都心三区のオフィスの空室率が依然として高く、商業需要も低迷するなど、不動産市況全般の先行きは大変、依然として不透明な状況と認識しております。

○高倉委員 ただいま答弁をいただきましたけれども、平成二十年の秋ごろからの世界的な不況の中で、マンション、オフィスの需要が低迷していると。そして、土地取引も減少している。企業の進出意欲というものが低下している。そうした要因によるという答弁だったというふうに思います。
 このことについて、去る第一回の定例会におきまして臨海地域開発事業会計の起債の借りかえというものが提案をされた際に、私は経済・港湾委員会において質疑を行ったわけでありますけれども、その際の懸念というものがそのとおりになったのではないかなというふうに思っております。その質疑に際しまして、起債の借りかえということについて、私は、厳しい経済状況の中で最も厳しい状況を想定して柔軟な発想で財政基盤の安定化を図っていくことについては、企業会計をつかさどっていく中で当然な判断であると、このように述べさせていただきました。
 財政基盤強化プランのさらなる取り組みにおいては、起債償還の第一の山とされている平成二十一年度及び平成二十二年度、これは先ほど提出をしていただきました要求資料を見ていただくと本当にわかるんですけれども、二十一年度と二十二年度に大変大きな償還の山があるわけであります。
 このうちの今回の決算の平成二十一年度については、借りかえをせずに、内部留保を活用することによって償還ができているわけでありますけれども、この二つの山のうちの二十二年度の償還の山については借りかえを行うということでありますけれども、この状況についてご所見を伺っておきたいと思います。

○平林臨海開発部長 今年度予算におきましては、約九百億円の都債の借りかえを実施することとしております。都債の発行は十二月まで数回に分けて予定されており、これまで約七百億円を調達いたしました。
 これまで調達した都債の利率は、最近の低金利の傾向を反映し平均で約一・〇八%であり、極めて有利な条件で借りかえを行うことができました。この借りかえにより、今後の臨海地域開発事業会計の安定的な運営を確保することができたと考えております。

○高倉委員 引き続き、安定した会計運営ということについては、慎重を期していただきたいというふうに思います。
 その会計を左右するのが、土地処分の動向であると思います。臨海副都心は豊かな環境に恵まれ、また、既成市街地にはないまとまった土地を確保できるといったことがありまして、ポテンシャルは大変高いというふうに思います。こうした不況の時期に安く売り急ぐ必要はないというふうに思いますけれども、優良な事業を誘致するためには、このまま景気の回復を待っているだけではなくて、土地処分に向けた一層の努力というものが必要ではないかというふうに思っております。
 平成二十七年度の臨海副都心地区のまちの概成というものを実現していくためには、今後、土地処分の促進に工夫が必要であるというふうに考えておりますけれども、その点についての取り組みをお伺いいたしたいと思います。

○延與営業担当部長 臨海副都心におきましては、これまでも区画の分割や土地売却代金の分納制度の改善など、事業者が円滑に進出できる仕組みづくりを進めてまいりました。
 本年七月から独立行政法人都市再生機構及び都市整備局と共同公募を実施している有明北三の一地区につきましても、過去二回公募を行いましたが応募者がなかったことから、今回、一部、事業用定期借地権を認めるなど、公募条件に新たな工夫を凝らしてまいりました。その結果、今月初めに応募申し込みを受け、現在、事業予定者の選定中でございます。
 今後とも、土地需要を見きわめながら、ニーズに合った区画規模やインセンティブの付与など、事業者が進出しやすい環境を整備し、積極的な営業活動を実施して着実に土地処分を進めてまいります。

○高倉委員 状況が大変厳しい中でさまざまな工夫を行っている、そういった答弁でございました。
 有明北地区の開発が進めば、臨海副都心全体の開発に弾みがつくだろうというふうに期待をいたしております。今後も需要を見きわめながら、すぐれた事業者を誘致するようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 臨海副都心開発については、ただ土地を売ればよいというわけではないと思います。優良な事業者がまちのコンセプトに合致した事業を展開し、まちづくりを進めていくことが重要であるというふうに思います。臨海副都心がこのポテンシャルを生かして発展してこそ、東京は国際都市としての地位を確立できるというふうに考えております。その絶好のチャンスとなるのが、今回の羽田空港の国際化と、このほど国から選定された国際コンテナ戦略港湾でありまして、その拠点となるのが臨海副都心であるというふうに思っております。
 さきの第三回定例会の我が党の代表質問においても、この臨海副都心につきましては、海外からの本社機能や投資を集積させ、新たな国際ビジネスチャンスの拠点となるよう思い切った税制優遇などの施策を講じ、経済特区としての政策誘導を図るべきであるといったことや、臨海副都心を国際ビジネスチャンスの拠点とするためには羽田空港と直結させる交通インフラの整備が不可欠である、さらには、京浜港を国際コンテナ戦略港湾に選定されたチャンスを最大限に活用し、利用者にメリットのある港湾整備とインフラ整備を加速させるべきだと、こうした主張もさせていただいたところでございます。
 国際都市東京を実現するために、臨海副都心における魅力あるまちづくりを積極的に推進していただくように強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○吉田委員 私からも、臨海地域開発事業会計について質疑をさせていただきます。
 臨海副都心開発に対しては、その計画段階から現在まで、我が党は繰り返し問題点を厳しく指摘し、ただしてきました。その過程で、知事は我が党の追及に対して、進むも地獄、去るも地獄というふうにいわざるを得ない局面もありましたが、結局、今日まで継続しているところであります。これまでの論戦を繰り返すことはいたしませんけれども、その結果現時点でどうなっているのかということを、この機会に質問させていただきます。
 まず、収支問題です。
 いうまでもなく当初計画では、土地は売却ではなく貸し付けで、地代は毎年八%上昇を見込むという計画を立てましたが、財政計画は見事に破綻をいたしました。そのために、三会計統合ということで、埋立会計、羽田沖埋立会計などの資産を臨海会計につぎ込むなど、貴重な都民の財産を臨海の穴埋めに投入するということがなされてきました。それでも過大計画に基づく過大投資のツケは、いまだに起債残高、莫大な借金として残されています。
 まず、その現状、見通しについて、これまでも質疑がありましたが、私からもただしたいと思います。
 起債償還の見通しについて、これまで、平成二十一年度、二十二年度、さらに二十六年度が山と、すなわち巨額な返済が求められているといわれてきました。昨年度の決算では計画どおり、企業債を一千六十二億円返済しています。その結果、臨海副都心に係る償還の残高が利息分も含めて総額幾ら残される結果となったのかということを、まずご答弁をお願いいたします。

○平林臨海開発部長 今年度予算におきまして九百億円を借り入れることにしておりますので、これからのお話として、あわせてお答えした方がよろしいかと思っております。
 その後、平成二十三年度、来年から平成三十二年度までの償還額というのは、元金が、今年度借入分を含めまして二千三百五十億円になります。また利子につきましては、今年度借入分につきましてはまだ確定をしておりませんけれども、それを除きますと約八十二億円となります。

○吉田委員 二千三百五十億円、それに新たな借換債を加えないで八十二億円ですか、利子分が。それで先ほども質疑がありましたけれども、結局、昨年度は借りかえなしで、主に減債積立金四百三億円、未処分利益剰余金三百七十七億円とを使って償還を果たすことができました。
 しかし、現在の状況からして、新たに九百億円の借換債を今年度発行するということがありました。極めて有利な条件で、ということが先ほどのご答弁でありましたけれども、これまでの経過からすると、約九百億円の都債に伴う利子の総額はどの程度、予想されるでしょうか。

○平林臨海開発部長 先ほどお話ししたように、まだ七百億円しか借りておりませんので正確ではございませんが、例えば今まで、今年度借りている一・〇八%というものを想定いたしますと、十年間でございますので約百億円に近くなると考えております。

○吉田委員 これまでの借金の残高がある上に、新たに借換債で九百億円を借りて、しかもそれに伴って、利息分だけで、たとえ十年とはいってもトータルで百億からの新たな支出が発生するということは、極めて、甘い事態とはいえないというふうに思いますし、多くの都民の皆さんは、利子だけで百億も新たに払うのかということで、きっと驚かれるというふうに思います。
 資料で、現在の有償処分地の中で処分済み及び処分中、そして今後の見込みということについて出していただきましたけれども、こういう、新たに百億もの利子分の負担が発生するわけですけれども、改めて私からも、現時点で土地処分によってどの程度の収入が見込まれるのか、ご答弁お願いいたします。

○平林臨海開発部長 財政基盤強化プランのさらなる取り組みの収支試算におきましては、平成二十九年度までの全体の資金繰りの見通しを立ててございます。
 平成二十二年度までの土地運用収入につきましては、今年度予算ベースも含めまして約九割の達成率となる見込みでございます。臨海副都心としてのポテンシャルは非常に高いと考えておりますので、二十二年度までに売却できなかった土地も含めまして、ニーズに合った区画規模やインセンティブの付与など、事業者が進出しやすい環境を整備し、保有している土地の処分を着実に進めることで収入額の確保ができると考えております。

○吉田委員 決意の表明というか、できる、というご発言がありましたけれども、先ほども話がありましたけれども、昨年度の予算比ではわずかに〇・九%という結果でした。かつ、売却された中でも、過去の本委員会の質疑でも答弁がありましたけれども、例えば嘉悦学園用地の場合は二・〇八ヘクタールで総額五十九億八千八百万円ですが、一平米当たりに割り返しますと極めて低い金額、二十九万円かというふうに思いますけれども、そういう状況からすれば極めて不透明だというふうにいわざるを得ないと思います。
 しかも、売れるかどうかが不透明というだけではなく、臨海会計の収入として見込まれる中に、今、いわば時の焦点となっている豊洲地域の港湾局所有の土地がありますよね。この豊洲地域の港湾局所有の土地が臨海会計の収入になるということが見込まれているというふうに聞いておりますけれども、なぜ、この豊洲地域の港湾局所有の土地が臨海会計に収入として見込むことができるのか極めて疑問なんですけれども、いかがでしょうか。

○平林臨海開発部長 今お話しの豊洲の土地でございますが、この土地は石炭ふ頭建設のために埋め立て、港湾事業に活用していたことから、港湾事業会計の所管としていたものでございます。
 それが、石炭ふ頭の用途廃止が行われまして港湾事業に使われなくなった。そこで、ほかの事例と同様でございますが、埋立事業を所管する会計、これは旧埋立事業会計でございますので、それを統合した臨海地域開発事業会計に引き継いだものでございます。

○吉田委員 聞いているだけではちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、結局、もともとは埋立会計によって造成した石炭ふ頭の土地だったと。そして、ふ頭ですから、これは港湾事業会計に所管されていたと。それが、ふ頭が廃止され、かつ埋立会計が臨海会計と三会計統合で合同したために、一円のお金もこの土地には臨海会計からは使っていないけれども、予定ではそっくり丸々六百億円、収入が土地代として臨海会計に入るというものですよね。
 しかも、もともとこの港湾局の豊洲地域の所有している土地は市場移転予定地ではなく、豊洲の、いわば根元の部分というところにあったにもかかわらず、なぜか区画整理の換地で全く反対方向の市場移転地に換地されるという結果、こういうことが裏で生まれるわけです。これでは、まさに豊洲市場移転を進めるという面と同時に、臨海会計を救済するというものではないかという声が上がるのも、私は当然のことだというふうに思います。
 次に、先ほども話がありましたけれども、大きな支出は、起債の償還、返済だけではなくて、今後もまだ基盤整備の関係の残高が残されていると思いますけれども、基盤整備関連経費の今後の残高見込みというのは、どの程度推計されているんでしょうか。

○平林臨海開発部長 広域幹線道路整備等の基盤整備に係る総事業費は二兆一千八百億円でございますが、このうち約九割が執行済みとなっておりまして、今後は約二千億円の事業費を見込んでおります。

○吉田委員 起債の償還での負担とあわせて、こうした、引き続きインフラ整備の残事業費というものが臨海会計にかかってくるわけですよね。今、総事業費ということで二千億円というふうにいわれましたから、それが即、全額臨海会計の負担というわけではないでしょうけれども、当然、開発者負担、その他負担というものが返ってくるということになると思うのです。
 次に質問をしたいことは、ただ借金を返済すればいいという問題ではないと思うんです。
 問題は、その莫大な借金の返済を背負い、さらなるインフラ投資をし、さらにさまざまな形での財政投入が行われるということを行った結果、この臨海副都心というまちが一体どういうまちに、今、なろうとしているのかということを、改めて現時点で見きわめることが必要だというふうに思います。
 当初の臨海副都心開発の開発方針と計画人口、その後手直しをされましたもの、そして現在の就業人口及び居住人口が、結果的にどうなっているのかということについてご答弁をお願いいたします。

○平林臨海開発部長 臨海副都心の計画人口は、当初、昭和六十三年三月の臨海部副都心開発基本計画では、就業人口十一万人程度、居住人口六万人程度としておりました。平成九年度の臨海副都心まちづくり推進計画におきまして、都民提案街区を除きまして、就業人口七万人、居住人口四万二千人としております。
 その後、平成十八年の土地利用計画の見直しの際に、除いていた街区を加えまして、就業人口九万人、居住人口四万七千人といたしました。

○吉田委員 現在は……。

○平林臨海開発部長 現在ですが、開発については、これまで台場、有明南、青海南など、業務・商業用地から先行して用地処分を進めてきたために、就業人口は四万八千人に対しまして、居住人口は一万人となっております。
 現在、有償処分面積の約七割について事業者が確定しておりますので、全体として開発は着実に進んでいるというふうに理解しております。

○吉田委員 我々は当初の計画そのものを肯定する立場ではありませんけれども、莫大なインフラに投資を行い、それに伴って、莫大な今でも背負い続ける過大な起債償還を背負い、しかしながら、皆さん方が計画をし、その後手直しをした例えば就業人口九万に対して、就業人口は現状で、もちろん今後土地の処分があったとしてもまだ約半分という状況ですよね。
 しかも、居住人口に至っては四万余の居住人口を計画しながらいまだに一万ということで、莫大な投資、借金をしながら、計画から現実の到達点は大幅に乖離をしているということも、改めて現時点で検証が必要だというふうに思います。
 これまでの委員会の中でも質疑をしておりますけれども、都民提案街区に対する都民提案では、もっと緑や自然、公園整備というものが共通しておりました。また居住という点では、今度の重点地区である有明北の民有地の部分は、文字どおり億ションという超高級マンションが林立をするような事業が既に進められております。
 いかに収支の帳じりを合わせるかということだけではなく、現時点で、どれだけ都民の要望に沿うものに、是正できることは大いに是正をするという都市のあり方ということが、改めて求められているというふうに思います。
 そこで、今後の重点的、最後の整備対象ともいえると思いますけれども、この有明北について質問いたしますが、極めて所得の高い限られた都民しか利用できないような、この民間分譲の億ション、超高層マンション、そういうものを誘導するのではなく、都民住宅、都営住宅などを含めた、都民が利用できる真のまちづくりを進めるという是正が求められていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○平林臨海開発部長 お話の中で、若干誤解があるやと思いますので訂正させていただきますけれども、臨海開発につきましては、それぞれの街区に、フレームとして就業人口、居住人口を割り当てております。それに対して進出事業者が公募してまいりますので、時点としてはおくれていますけれども、計画が大幅に、まちの概成のときに計画から外れるといったようなことはないというふうに考えております。
 また、これは民間事業者の方の名誉にかかわることなのでご説明をさせていただきますが、今、有明北につきまして億ションが林立するというお話がございました。しかし、今建っているところというのは、例えば、最も高いところを含んでいる区画でも、これは多様性ということで価格帯が二千五百三十万から九千万台のものが一棟ございます。しかし、それ以外は平均で四千九百万とか五千八百万とか、四千万といったところが中心価格帯でございますので、間違ったイメージを与えないように、この点についてはご理解いただきたいというふうに思っております。
 今お話のありました有明北の地区におきましては、住宅を中心とした複合市街地を開発の基本といたしまして、水辺や緑の空間に親しめ、多様なライフスタイルで生活ができるにぎわいのあるまちづくりを目指しております。これにつきましては、都民提案から受けました意見を受けましてマスタープランを策定させていただきまして、これによって開発を進めさせていただいております。
 なお、公的住宅の整備につきましては、世帯数より住宅数が上回るといったような現状もございますので、そういった諸条件を勘案いたしまして、それぞれの事業主体が検討しているものと理解しております。

○吉田委員 時間差があるからと--計画フレーム通り進んでいるんだというお話がありましたけれども、明らかに居住人口一つをとってみても、計画の四万七千からいまだに一万というのは現実の問題だと思いますし、かつ、億ションという私の指摘についてご批判がありましたけれども、これは、これまでの公営企業会計決算特別委員会でも具体的に民間が分譲する金額も示して質疑をしてきたという事実があるということを、私は改めて述べておきたいというふうに思います。
 最後に主張を述べさせていただきますけれども、やはり以前から我が党が主張してきたように、今からでも、第一に、過大なインフラ投資というものはストップさせるということを、現時点で立ちどまって検討することが求められていると思います。
 また、借金の穴埋めは、借りかえによって新たな利子負担も発生しますけれども、そうした負担による処理ではなく、我が党がかねて以前から主張しておりました、この臨海開発事業によって莫大な利益を受けている企業や銀行等があるわけですから、そういうところにも応分な負担を求めると。
 赤字が生まれたからといって、それで借金をまた繰り返して、結果的には公がすべて穴埋めをするというやり方は改めるべきだというふうに思いますし、同時に、今も主張しましたけれども、残された土地の利用は現時点でもできる限り都民の要望に沿うものに是正をするということこそが、私は港湾局としてとるべき態度ではないかということを述べまして、質問を終わります。

○山口委員 私からは、臨海ホールディングスグループの経営状況、またこれに係る事業等々について、幾つかの角度からお伺いをしてまいりたいと思っております。
 東京都は、平成十八年五月に策定をした持ち株会社構想に基づき、平成十九年一月に臨海ホールディングスを設立し、以降、都の監理団体を順次経営統合してきたわけであります。平成二十一年一月にはグループ五社の経営統合を完了されて、平成二十一年度からいよいよグループ経営が本格稼働したと伺っているところであります。
 この平成二十一年度は、グループ経営体制構築後、初めての通期で経営が行われた年度であるわけで、その取り組み成果については当然のことながら注目をしているところであります。
 そこでまず、この臨海ホールディングスグループ各社の平成二十一年度の経営状況についてお伺いをしたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 平成二十一年度決算におきますグループ各社の経営状況を当期純利益でお示ししますと、株式会社東京臨海ホールディングスは約二億円、東京臨海熱供給株式会社は約七億円、株式会社ゆりかもめは約六億円、株式会社東京テレポートセンターは約六十五億円、株式会社東京ビッグサイトは約三十四億円、東京港埠頭株式会社は約十三億円となっております。
 各社とも黒字を計上し、景気の後退する中においても堅実な経営実績となってございます。

○山口委員 今お伺いをしたとおり、グループ各社はいずれも黒字を計上され、良好な経営実績といえるのではないかと、このように思います。
 しかし、東京都もこれまで経験をされてきたように、先日政府が公表した月例の経済報告では景気の基調判断が下方修正されたところでありまして、依然として景気の先行きは不透明であります。
 臨海ホールディングスグループの活動拠点は臨海副都心が中心となっているわけでありますが、臨海副都心の来訪者数というものは景気の影響を受けやすいということは、東京都も既に経験をされているところだと思います。そういった意味においても、この結果に決して楽観をすることなく、臨海副都心のさらなる魅力向上に向けた取り組みというものを積極的に展開するとともに、さらなる経営基盤の強化に努めていく必要があると思います。
 取り組みに当たっては、各社の力を結集した効率的かつ効果的なグループ経営というものを行っていくなど、経営統合効果を発揮していくことが肝要であるというふうに考えるところでありますが、そこで、二十一年度におけるグループ経営の成果についてもお伺いしたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループでは、臨海地域の発展に貢献すべく、親会社の策定したグループ経営計画に基づき、臨海地域のエリアマネジメントとグループ経営を推進しております。
 平成二十一年度は、グループ内の連携はもとより、地域企業や臨海副都心まちづくり協議会とも連携して地域を挙げたイベントを実施するとともに、臨海副都心のポータルサイト、りんかいnaviを立ち上げるなど、地域に貢献する取り組みを積極的に実施いたしました。
 また、グループファイナンスや環境対策情報の共有など、グループ内の経営資源を相互に有効活用するとともに、グループ共同研修を実施するなど、効率的、効果的なグループ経営を展開いたしました。
 今後とも、経営統合効果の一層の発揮に向けまして、都としても適切に指導監督してまいります。

○山口委員 グループというものを、今、大変強調されたところであるわけでありますが、そのグループによる、例えばイベントを実施されたということでありましたが、その内容と成果についてお伺いしたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 平成二十一年度は、五月に、東京みなと祭と連動したスポーツイベントといたしまして東京港臨海ウオーキングを開催するとともに、十月には、「みんなで地球環境を考えよう」をテーマに、環境問題への意識啓発及び臨海地域からの文化発信を目的とした都民参加型イベントを開催いたしました。
 例えば十月のイベントにおきましては、「ゆりかもめ」に乗っての親子環境体験イベントを実施するとともに、東京ビッグサイトの展示スペースを活用いたしましてグループ各社の環境に対する取り組みを紹介するなど、グループの経営資源を活用したイベントを展開し、一万人を超える集客を得ることができました。

○山口委員 グループで、というところの解釈の問題なのかもしれませんが、後ほど少しお話をさせていただくとして、先ほどの答弁にも出てきました、りんかいnaviを立ち上げられたということであるわけでありますが、この利用状況と経費について伺いたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 りんかいnaviとは、臨海副都心のイベント情報や施設情報などを総合的に紹介するポータルサイトでございます。
 地域の特色を生かした観光振興を図るため、都や地域企業、臨海副都心まちづくり協議会、グループ各社等と連携いたしまして、臨海副都心を訪れる人や働く人にとって役に立つ情報をわかりやすく提供するものとして、昨年十一月に開設いたしました。
 現在のアクセス数でございますが、月、一万五千件程度でございます。平成二十一年度の経費につきましては、開設経費が約七百万円、更新等の維持管理経費が百万円程度となってございます。
 今後とも、地域の発展に貢献するため、機能向上を図るなど一層の利便性向上に努めていくこととしております。

○山口委員 港湾地域、特にこの臨海地域においては大変に日々進歩をされていて、さまざまなイベントも行われ、またさまざまな取り組みをされているということはさきにもお話があったようなところでありますが、タイムリーな情報発信というものは、これは臨海部においては欠くことができないことだと思っております。
 そこで、先ほどもいったタイムリーな情報発信に努めるという観点からなんでしょうが、ツイッターなどの最先端の情報ツールというものも、実験的なのかもしれませんが、このりんかいnaviでも導入されて、私も注目をしながら見ているところでありましたが、大変残念なことにほとんど更新はされておりません。
 情報発信という観点から、これは東京都の立場からはどのようにお考えになられているのか、お伺いしたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 お話しのりんかいnaviのツイッターにつきましては、試行的に活用しているものと聞いております。
 現在、ツイッターを初めさまざまな情報発信ツールが存在しておりますが、情報発信に当たっては、その目的やターゲットに合ったツールを有効に活用していくべきものと考えております。

○山口委員 あらゆる媒体というのは、その使い方、利用の仕方、求められる方にどのように提供していくかというのは、これは基本の三原則だと私は思います。ツイッターというのは、利用してくださる方をどのようにふやしていくか、そのためには中身をどのように充実をしていくのか、わかりやすくいえば発信する側の情報量というものも大変大きな意味を持つわけであります。関心度といった方がわかりやすいかもしれませんが。しかしこのツイートといわれる参加されている方は、まだ十六名しか及んでいない。
 発信する側の更新者も月に一遍その情報提供、一行四十文字ですから、四十文字以内で一回入れているか入れていないかというのは、情報発信を積極的に行っているとは、その情報を求めている方との、何というか信頼関係や人間関係ができているとは--これは実験に値しているのかどうかというと大変大きな疑問が私はあると思いますので、これは苦言として申し上げたいと思いますし、実験をするというのであれば、積極的に活用してこその実験であり、やりっ放し、置いておけば参加をする方がどんどんふえていくだろうというのは、これはツイッターではありませんので、しっかり、その辺も踏まえたあり方というものをもう少しご検討いただいた方がよろしいのではないかと申し上げておきたいと思います。
 次に、臨海ホールディングスグループでは、地域に貢献する取り組みやグループ経営というものを積極的に展開しているとのことでありますが、民間のグループ企業と比較をすると、これはまだまだ連携不足なのではないかと私は考えています。
 異質な業種の各社が、このままグループ経営として継続して臨海ホールディングスグループを維持していくことについて、東京都としてはどのようにお考えになられているのか、お伺いしたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループは、臨海地域のエリアマネジメントを推進し、臨海地域の発展の中核を担うことを使命としており、平成二十一年一月に経営統合を完了し、グループ経営を本格稼働させたところであります。
 これまで、「パーク&ゆりかもめ」やにぎわい創出事業、共同研修など、グループ各社がそれぞれの特性を生かし、連携した取り組みを順次実施してきたところでございまして、その取り組みは着実に成果を上げております。
 臨海副都心開発は総仕上げの時期に入り、まちの概成に向けて臨海ホールディングスグループの果たすべき役割はますます重要になっており、都として今後一層、臨海ホールディングスグループを有効活用していく考えでございます。

○山口委員 このホールディングスが設立されたときの経過、経緯の中の一つの大きな要因として、臨海三セクが経営破綻をし、経営効率化などの推進のための新しいスキームであるということは私も十分認識をしているところでありますが、そういった観点からも、さまざま、このホールディングスというものは検証というものが必要であると思いますし、先ほどもご答弁の中にありましたが、成果を上げられてきていると、これはもう、一つの実績であろうかと思いますので、短期に結論を出すということは難しいかとは思いますが、常にこういったところに注目をしていくことが重要だという提起として受けとめていただければありがたいと思います。
 続いて、契約情報の公開についてもお伺いしていきたいと思います。
 この臨海ホールディングスグループが都と密接に関係する企業集団である以上、事業実施に当たっては、その経営情報について、常に透明性を確保することが不可欠であることはいうまでもありません。
 中でも、効率的で公正な事業執行のためには、契約に関する情報についてできる限り開示をしていくべきであります。
 そこでまず、臨海ホールディングスグループの契約情報公開について、状況を確認しておきたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスにつきましては、監理団体として、全庁的な指導監督方針に基づき契約規程をホームページに掲載するとともに、毎年度の契約実績として件数及び金額を、競争契約、独占契約、緊急契約、少額契約及び特定契約に区分してホームページで公開しております。
 また、契約金額一億円以上の案件がある場合には、その契約方法や件名、相手方等を公開するとともに、そのうち特定契約につきましては、契約相手方における都及び臨海ホールディングスの管理職OBの再就職者数を公開することとしております。
 各子会社につきましては報告団体ではございますが、監理団体に対する指導監督方針を踏まえまして、子会社管理規程に基づく臨海ホールディングスの指導のもと、監理団体と同等の契約情報をホームページで公開しております。

○山口委員 私も各社のホームページ等を確認させていただきましたが、確かに、答弁された契約情報についてはホームページで公開されております。
 しかしながら、契約情報を三年間掲載されているところもあれば、一年間しか掲載されていないところもあり、統一性という点で考えると、情報量が全く統一をされているとは感じられませんでした。
 また、グループ経営計画には、積極的に経営状況等を情報提供すると掲げられているわけでありますが、とても、ホームページを見る限りにおいてだれもが見やすい--積極性が感じられない部分が見受けられます。
 契約情報や経営情報はもとより臨海地域の来訪者等に向けた地域の情報など、グループ全体として、より一層情報発信に努めていくべき、これは当然の義務と考えますが、都の所見を伺いたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 経営情報等の公開につきましては、都の全庁的な指導監督方針に基づきまして、子会社も含め、グループ全体として適切に対応しているところでございます。
 また、臨海地域を訪れる観光客やビジネス客を新たに獲得していくため、地域の情報やグループ各社の事業活動状況などを、先ほどお話しいたしましたりんかいnaviや各社のホームページを通じまして積極的に発信しております。
 都としても、引き続き積極的な情報提供が適切に行われるよう指導してまいります。

○山口委員 さて、この契約実績について伺いたいと思いますが、契約実績を個別に確認してまいりますと、会社によってばらつきがあり、特定契約の件数が相当数あることがわかりました。細かくは申し上げませんが、本来この契約は競争契約が原則であり、特定契約というものは限定的に行われるべきであると私は考えます。
 このような状況について、どのような理由によって行われているものなのかを伺いたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 各社が締結しております特定契約の多くは、技術的な理由や安全確保の観点によるものと聞いております。
 具体的には、グループ各社は新交通システムや熱供給システム、ビル設備など機械装置を多く抱えておりまして、各社の事業におきまして、こうした設備は顧客に対して安全・安心かつ高度なサービスを提供していく上で重要な役割を担っております。
 このため、その保守管理や改修には製造メーカーによる対応が求められるなど、契約相手に高度なノウハウや信頼性が不可欠となっていることから、特定契約を締結しているものでございます。

○山口委員 大変概括的なご答弁をいただいたわけでございますが、この各契約について個別に理由があるというお話でありましたが、現在、一億円未満の契約情報は公開をされていないわけであります。そういったことからも、本当に適切に行われているのか、外部の視点で検証することはできない状況となっているわけであります。
 団体の契約について説明責任を果たしていくためには、少なくとも特定契約については全件開示をするなど、公開範囲を拡大していくべきであると私は考えます。
 臨海ホールディングスグループ各社は、もともと監理団体であります。ホールディングス設立により、子会社の経営情報が見づらくなっているのではないかと私は危惧をしているところであります。万が一にも都民の誤解を招くことがないよう、広く情報を公開していくべきと私自身は考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループが担う役割をかんがみ、子会社化した後におきましても、引き続き監理団体と同等の情報公開が行われるよう指導しておりまして、各社においても適切に実施しているところでございます。

○山口委員 であるならば、少なくとも情報公開のあり方にばらつきがあったり、積極性にばらつきがあることは恐らくないんだろうと思いますから、東京都も、積極的にその辺の指導を、管理と申しましょうか、していただくべきではないかと申し上げておきたいと思います。
 また、先日策定をされた東京都監理団体活用方針において、今後は、都から特命で受託する事業等については契約情報の公開範囲を二百五十万円以上に拡大するなど、さらなる透明性の向上に取り組むとの方針が示されたところであります。
 こうした状況を踏まえ、臨海ホールディングスグループにおいても契約の透明性をさらに高めていくべきと考えますが、都としてはどのようにお考えになっているのか。また、先ほどと同様、どのような指導を行っていかれるのかお伺いをしたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループ各社は、都政を支えるパートナーとして都の政策との連動性が高い業務を担っていることから、できる限り透明性向上に努めるべきものと考えております。
 一方、情報公開に当たりましては、契約相手方に与える影響等に十分配慮する必要もございます。
 こうした基本的な考え方のもと、契約の透明性の向上につきましては、子会社も含めグループ全体として、都の全庁的な指導監督方針に基づき適切に対応していくよう指導してまいります。

○山口委員 先般、部長がご答弁の中でおっしゃられているこの臨海ホールディングスに対しては--取り組み体制を一段と強化するため、親会社による統一的な経営戦略のもと、一体的なサービスを提供する必要があり、持ち株会社である株式会社東京臨海ホールディングスを設立したと、こういったふうにご説明をされました。
 この臨海ホールディングスのあり方というものが、今後、都民もこれから先、臨海において大変注目をするところでありますので、大変大きな聞き方になるのかもしれませんが、この臨海ホールディングスのあり方について見解を伺いたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループは、臨海地域のエリアマネジメントを推進し、臨海地域の発展の中核を担うことを使命としておりまして、臨海副都心開発が総仕上げの時期を迎えた今、まさにこれから臨海ホールディングスの真価が問われるところであるというふうに考えております。
 このため、グループ経営のメリットを生かしまして、臨海地域のエリアマネジメント推進に向けて、都として引き続き臨海ホールディングスグループを最大限有効活用してまいります。

○山口委員 五つの基幹事業、本来それぞれ各社が果たすべき役割というもの、先ほどの言葉から引用させていただけば、一体的であるとか、統一的にというホールディングスとの関係性ということを、今後大きく注目をしていかなければいけないと私は思っております。
 当然、きょうは公営企業会計決算の範疇での質問でありますから、この点に踏み込んでの質問は避けたいと思っておりますが、この関係性についても一つ一つ少しずつ事例を挙げながらご説明を申し上げ、また質問もさせていただきましたが、今後、都としてはしっかり監理をしていく立場にあるのであろうと思っておりますし、この臨海という注目をされている場所--一方で、これは今後、大変な将来性というものもはらんでいるものでありますから、ホールディングスの経過と申しましょうか、設立された経過また失われた損失などを考えてみても、これからの、しっかりと、公開であるとか説明であるとか、こういった部分に関しても都民に示していくべきであると思っておりますので、すべての点を含めた上での今後のホールディングスに注目をしてまいりたいと思います。
 この点を表明して、質問を終わらせていただきたいと思います。

○小林委員 私の方からは、港湾事業会計の品川内貿ふ頭におけるユニットロードターミナルの整備について何点かお伺いをさせていただきます。
 東京港は、北海道から九州、沖縄の国内各港と広く結ばれております。北海道からは主に新聞紙として使われるロール紙が輸送され、また東京港からは北海道に向けて販売用の自動車が積み出されるなど、全国を結ぶ国内海上輸送拠点として重要な役割を果たしております。
 歴史をひもといてみましても、物資の輸送の中心は海の輸送であります。その拠点となる港の存在と発展が、歴史を織りなしてきたともいえるのではないかというふうに思います。
 今日においても、東京港と国内各港を結ぶ内航海運は、都民生活を支える不可欠の要素であります。
 内航海運については荷役効率の高いローロー船の大型化が進んでいると聞いておりますけれども、平成二十年度の公営企業会計決算特別委員会におきまして、我が党の伊藤興一議員が、このユニットロードターミナルの役割と整備の目的について質問をさせていただきました。
 当局の方からは、ローロー船を出入りするトレーラーがふ頭をスムーズに走行するための広いヤードの確保や、船の大型化に対応してユニットロードターミナルの整備を進めているとのご答弁がございましたが、平成二十一年度決算では、この品川ふ頭にユニットロードターミナル施設の整備費が計上されておりますが、まず初めに、この品川ふ頭でどのような課題があったのかをお伺いさせていただきます。

○小宮港湾経営部長 品川内貿ふ頭は、昭和四十年ごろに整備されまして、もともと在来貨物船の貨物をクレーンや人力で荷役するのに適したふ頭でございます。そのため、上屋と水際までの幅が狭く、シャーシーに貨物を積んだままローロー船を出入りするトレーラーの円滑な走行に必要なスペースを確保できないという課題がございます。
 また、船積み前に、貨物であります完成自動車を仮置きしておくスペースをまとめて確保できず、上屋周辺の通路や野積み場に完成自動車を分散して置かざるを得ませんでした。
 そのため、トレーラーが走行するためのふ頭内の通路が船積み前の完成自動車によって狭まることでの安全性や、完成自動車の積み込みに手間を要するなどの課題がございました。

○小林委員 安全性、それから利便性という点について課題があるというご答弁でございましたが、ことし三月に新上屋の建築工事の第一期が完成したようでありますけれども、この第一期工事における整備内容、また整備によって、先ほどのご答弁にありました安全性、利便性という課題に対して、どのように対応したのかをお伺いさせていただきます。

○小宮港湾経営部長 第一期工事では、既存の老朽化した上屋の建てかえに際しまして、新上屋を岸壁から陸側にセットバックして建てるとともに、岸壁を海側に前出しすることで、上屋から水際までの距離を約五十メートル確保いたしました。これにより、ローロー船を出入りするトレーラーがふ頭内で安全に切り回しするためのスペースを十分に確保することができました。
 また、新上屋の屋上には、船積み前の完成自動車を一時保管するための専用スペースを、乗用車で換算しまして四百四十台分確保いたしました。このスペースを確保したことで、船積み前の上屋周辺における混雑を緩和するとともに、完成自動車を屋上スペースにまとめて置くことで、効率的な荷役に寄与することができました。
 今後、平成二十三年度の完成を目指して第二期工事を進めることとしておりまして、第一期工事分と合わせて、新上屋の屋上にトータルで乗用車七百六十台分の専用スペースを確保してまいります。
 こうしたユニットロードターミナルの整備を通じまして、限られたふ頭用地の中から、円滑な荷役に必要なスペースを確保していきたいと考えております。

○小林委員 第一期のこの工事によりまして、安全性また利便性という課題について一定の効果が得られたというご答弁でございましたけれども、ふ頭機能の向上は、この東京港が、国内海上輸送拠点として、また物流のかなめとして、その使命と役割を十分に発揮していくためにも重要なことであります。
 第一期の工事で、この課題に対する対応が一歩前進したというふうに思いますけれども、平成二十三年度の完成を目指した第二期工事についても、輸送革新の動向や荷役ニーズに対応した着実な整備をぜひともお願いしたいというふうに思います。
 また、ふ頭整備に当たっては、物流の円滑化という最大の役割を果たしていくために、ふ頭機能の向上ということはもちろんでございますけれども、都が進める施策に当たってはあらゆる面において、環境という視点、配慮が求められていると思います。
 品川ふ頭ユニットロードターミナルの整備に当たりまして、この環境という面に対しては、どのような工夫、また配慮がなされているのかをお伺いさせていただきます。

○小宮港湾経営部長 ただいま小林委員がご指摘されましたように、ふ頭整備を進める上で、環境面への配慮も大切なことと考えております。
 新上屋の整備に当たっては、屋上や壁面の限られたスペースを活用して緑化を行っております。屋上等の緑化のために植えた植物に対しまして、雨水を集めて自動的に水まきできる施設を設けました。
 また、新上屋の屋上に太陽光発電設備を設けております。第一期工事では百キロワットの発電能力を確保しており、第二期とあわせまして、トータルで二百キロワットを発電できる計画としております。
 都としては引き続き、環境面に配慮した港づくりの取り組みを進めてまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 私、今回この質問をさせていただくに当たりまして、改めて東京港の歴史というものを確認いたしました。そうしましたら、この東京港の歴史、明徳三年、一三九二年、実に室町時代でありますけれども、この室町時代に、この品川湊というものが相当数の出入港船や問丸の活動などで活況を呈していたという記録から始まっておりました。そして江戸時代には、東京港の前身であります江戸湊が、物資の流通拠点として近世海運史における重要な役割を果たしてきていたというふうにございました。
 都民生活はもとより、これからの日本全体の発展を考えていったときも、東京港が内貿拠点港としての役割を十二分に発揮し、歴史にその存在と役割を刻印していくとの強い決意で整備に取り組んでいくことが重要ではないかというふうに思います。
 引き続き、東京港のさらなる発展における万全の努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○新井委員 私からは、東京テレポートセンターについてお伺いします。
 東京テレポートセンターはご案内のとおり、臨海地域においてビル事業を担っている都の第三セクターであり、現在は都の監理団体である東京臨海ホールディングスの子会社として運営されています。
 先ほど、我が党の山口委員への答弁でもありましたが、同社の平成二十一年度決算では当期純利益約六十五億円を計上するなど、堅調な経営状況にありますが、少し前までは非常に苦しい経営状況であり、平成十八年度に民事再生を申し立てたことは記憶に新しいと思います。
 一連の民事再生手続の中で、同社は一〇〇%減資と増資を行ったわけでありますが、この増資を行ったのが臨海地域開発事業会計であり、ビルの底地の現物出資を行い、経営基盤を強化したところであります。
 臨海地域開発事業会計の決算書を見ますと、投資明細書において、監理団体有価証券として東京臨海ホールディングス株式が三百十二億円計上されていますが、これは、先ほどの現物出資を都が行った後に、会社法に基づく株式交換により、経営基盤が強化された東京テレポートセンターを東京臨海ホールディングスの一〇〇%子会社としたことによるものと認識しております。
 このような経過を経て、東京テレポートセンターは現在臨海ホールディングスグループの一員となっていますが、そこでまず、東京テレポートセンターが臨海ホールディングスグループに参加している理由や、グループにおいて果たすべき役割について改めてお伺いをします。

○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループは、臨海地域のエリアマネジメントを推進し、臨海地域の発展の中核を担うことを使命としております。
 東京テレポートセンターは、臨海地域のまちづくりを先導する目的で設立され、その所有するビルはインフラ施設の管理や多様な企業集積の拠点となるなど、地域において重要な公共的役割を担っております。また、地域のにぎわい創出や地域管理事業など、臨海地域のエリアマネジメントを推進していく上で不可欠な機能を担っております。
 こうしたことから、東京テレポートセンターについて民事再生手続が終結して経営基盤が強化された上で、平成十九年八月に臨海ホールディングスの子会社化したところであります。

○新井委員 東京テレポートセンターの経営状況を見ますと、民事再生が終結した平成十九年度以降、毎期良好な経営成績をおさめているように思えます。このことは、民事再生による効果の大きさを物語っていますが、臨海ホールディングスグループに参画したのも平成十九年度であり、グループ化による効果というものもあると推察されます。
 そこで、東京テレポートセンターにとって、臨海ホールディングスグループへの参画により、どのような効果があったか、お伺いをします。

○石原監理団体改革担当部長 ご指摘のとおり、東京テレポートセンターが近年良好な経営成績をおさめているのは主に民事再生による経営基盤強化によるものでございますが、東京テレポートセンターの経営上、臨海ホールディングスグループへの参画により次のような効果が得られているものと認識しております。
 まず、グループ経営計画など、親会社の経営戦略機能が発揮されることで、東京テレポートセンターでは事業実施に専念することができ、機動的な運営を行うことが可能となっております。次に、グループ共同研修の実施や、総務、経理事務を臨海ホールディングスに集約することによりまして、業務の効率化も図られております。さらに、イベント情報や環境、防災対策など、グループ間での情報共有の推進や「パーク&ゆりかもめ」など、グループ間連携による効率的、効果的な事業展開が可能となっております。

○新井委員 臨海ホールディングスグループへの参画が、東京テレポートセンターの経営によい効果を与えていることがわかりました。
 しかしながら、同社の主要事業はビル事業でありますが、ご案内のとおり、昨今の都内ビル市況は景気悪化の影響を受け、依然として先行き不透明であり、厳しい状況にあると聞いております。このことは、東京テレポートセンターにおいても例外ではなく、堅調な経営状況の中においても決して楽観することなく、絶えず企業努力に努めていく必要性があると考えております。
 さて、同社の所有するビルの中にテレコムセンタービルがあることはご存じのことと思いますが、実は、私もかつてこのビルでIT関連の仕事でかかわった経験があり、入り口に入りますと広々としたアトリウムが印象的で、非常にオープン的なスタイリッシュなスペースになっておりまして、ちょっとした憩いの場となっていました。ビルのデザインというのは、ビルの格式をあらわす大切な要素の一つでありますが、最も重要なのはやはりその機能だと思います。
 IT関連企業にとって、このビルの優位性、特徴は、どういうところにあるのか、まずお聞きします。

○石原監理団体改革担当部長 テレコムセンタービルは、臨海副都心開発を先導する情報発信拠点として平成八年に竣工いたしました。
 ビル内には光ケーブルが敷設されるなど、情報通信インフラが整備されております。加えて、通信の品質を確保する耐震性能や、電力供給が万が一停止した際に給電が可能な無停電ビルといった特徴を持っております。

○新井委員 このビルは開設をしてから既に十四年を経過しており、当時のスペックとしては最新のものだったかもしれませんが、現在の状況では、大きな優位性というにはなかなか厳しいかもしれません。
 現在もそうそうたる企業が入居していると聞いておりますが、一番大事なことは、そうした有力企業が継続して入居をしてもらうよう、営業努力をしっかりと行っていくことと思います。
 それには、ビル設備の必要な維持更新を適切に行っていくことや、管理を含めたサービスの提供を満足できるレベルにしていくことが大切であります。それと同時に、新規テナント募集に際しては、ビルのメリットをしっかりと情報発信し、PRをしていくことが重要であると考えております。
 そこで、テナント確保のためにどのような営業活動を行っているのかお伺いをします。

○石原監理団体改革担当部長 東京テレポートセンターでは、ウエブサイトによる情報発信や大手不動産仲介業者によるあっせんにおいて、テレコムセンタービルの特徴をPRした新規テナントの募集を行うとともに、既存のテナントに対しましては、今後の入退去状況を見越した賃貸スペースの拡大を促すなど、IT関連企業を含めたさまざまな業種の企業の入居促進に努めております。

○新井委員 営業努力を強化することで、企業活動支援といった機能を発揮するとともに、臨海副都心のさらなる発展に一層貢献していくことが東京テレポートセンターに求められる役割であります。
 ぜひともしっかりと営業努力をし、テナントの皆さんの満足のいくサービスを行い、入居企業の方々の企業活動にプラスに働くよう努力していただきたいと思います。
 これで私の質疑を終わりにします。

○大西委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時三十五分散会