平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成二十二年十月二十五日(月曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長野上 純子君
副委員長田の上いくこ君
副委員長神林  茂君
吉住 健一君
小山くにひこ君
佐藤 由美君
中山 信行君
西崎 光子君
花輪ともふみ君
泉谷つよし君

 欠席委員 一名

 出席説明員
下水道局局長松田 二郎君
技監小川 健一君
総務部長石原 清次君
職員部長小山 哲司君
経理部長須田  潔君
計画調整部長松浦 將行君
施設管理部長黒住 光浩君
建設部長高相 恒人君
企画担当部長熊谷  透君
技術開発担当部長東郷  展君
施設管理担当部長尾崎 篤司君
流域下水道本部本部長細野 友希君
管理部長安藤  博君
技術部長渡辺志津男君

本日の会議に付した事件
 平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成二十一年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○野上委員長 ただいまから平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十一年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小山委員 下水道局の決算審査に当たりまして、私からは二件についてお伺いをさせていただきます。
 一件目は、多摩川の水質改善についてお伺いをさせていただきます。
 多摩川は、もちろんいうまでもなく、東京を代表する河川でありまして、都民にとっても、かけがえのない水辺空間であります。私の地元であります府中市では、毎年、多摩川の多摩川清掃市民運動として実施をいたしておりまして、これは自治会や住民、市民、企業が一斉に多摩川の河川敷でのごみ拾いなどを行うもので、今年は約四千五百名以上の方にご参加をいただいております。
 また、市民や各団体であゆの会という団体があったり、アユの稚魚の放流であるとか、遡上について、さまざま研究をするなど、こういった活動なども行われております。
 こうしたさまざまな取り組み、もちろん東京都の下水道局の取り組みもあって、多摩川の水辺環境は着実に改善されているものと認識をしております。
 一方で、多摩川を流れる水は、その多くを水再生センターからの処理水が占めており、多摩川の水質改善に対して、下水道事業が果たすべき役割は非常に大きいものがあると考えております。
 そこで、私の地元であります府中市には、北多摩一号水再生センターがありますが、北多摩一号水再生センターにおけるこれまでの水質改善の取り組み状況についてお伺いいたします。

○渡辺技術部長 北多摩一号水再生センターにおけますこれまでの水質改善の取り組みについてでございますが、北多摩一号水再生センターは、府中市を初めとする六市からの一日当たり約二十一万立方メートルの下水を処理している水再生センターでございます。
 流域下水道では二番目となる昭和四十八年から運転を開始しておりまして、長期にわたり水質浄化に取り組んでまいったところでございます。
 また、平成十一年度には、合流改善対策として、大雨の際に多摩川に放流されます、降雨初期の特に汚れた下水をためます四万立方メートルの貯留池を整備してございます。
 さらには、平成十六年度には、下水処理水の窒素や燐を大幅に削減する一日当たり約五万四千立方メートルの高度処理施設を稼働させております。これらの取り組みにより、多摩川の水質改善に努めてきております。

○小山委員 ただいまご答弁をいただいた中で、これまでの取り組みは理解をいたしました。
 特に、下水道局が高度処理などということで、多摩川の水質改善に貢献する取り組みを行ってこられたことは重々承知をしているわけであります。また、この経営計画の中にも、いずれこの高度処理を六〇%まで持っていくということも記載をされているところでございます。
 しかしながら、人々が、水質そのものの改善はもとより、やはりその水辺を楽しむことができる、そういった空間づくりを目指すことも必要なことではないかなと思っております。
 私も、地元の府中市の多くの昔の方々にお話を聞くと、多摩川でかつて泳いでいた時期、そういったお話も聞くことが多々あります。そして一時期、その水質が大変悪化をして、その後、東京都の努力でこれだけよくなってきているということは都民も十分理解しているところだと思いますが、そういった点で、この水辺空間づくりということも含めて、北多摩一号水再生センターにおいて、今後どのように取り組んでいくのか、その点をお伺いしておきたいと思います。

○渡辺技術部長 北多摩一号水再生センターにおける今後の取り組みについてでございますが、北多摩一号水再生センターでは、現在、平成二十三年度の完成を目指しまして、新たに約二万九千立方メートルの高度処理施設を建設しております。今後とも施設の更新に合わせて、段階的に高度処理施設の整備を進めてまいります。
 また、北多摩一号処理区の関係六市が進めております雨水浸透ますの設置などは、合流改善効果をさらに高めることにもなるため、引き続き連携して促進してまいります。
 こうした取り組みによりまして、今後とも多摩川における一層の水質改善に貢献してまいります。

○小山委員 お答えありがとうございます。
 今、主に水質の部分を中心にお答えをいただきました。もちろん水辺のことも、府中市におきましては水辺の楽校という事業も行っておりまして、そういった都民にとって親しみやすい水辺空間づくりということも、ぜひ念頭に置いた事業の展開を図っていただきたいというふうに思います。
 あわせて、ここで今お答えいただきましたように、平成二十三年度を目途にされるということですので、ぜひより一層のこちらの整備推進をお願いしたいと思います。
 さらに、雨水浸透ますの設置ということも関係市と連携をしてということですので、雨水浸透ます、それぞれの基礎自治体でも取り組みを大変進めているところがありますので、ぜひこちらの方に関しても、都のより一層の努力を求めておきたいと思います。
 そういった点からいいますと、下水道局には、地元関係市との協力体制をぜひとも強化した上で今後の多摩川の水質改善に取り組んでいただくことを要望しておきたいというふうに思います。
 続きまして、二件目といたしまして、下水道事業にかかわりの深い下水道局の監理団体でございます東京都下水道サービス株式会社について検証をしたいというふうに思います。
 この東京都下水道サービス株式会社につきましては、平成十八年の予算特別委員会におきまして、私どもの会派の花輪議員より、天下りや契約の問題等についての数多くの指摘と提案がなされております。
 そのときご答弁いただいたのは、時の下水道局長でございます。そして、その下水道局長は、今、この東京都下水道サービス株式会社の代表取締役社長に就任をされているということをあらかじめ申し添えておきたいと思います。
 それで、その後、四年が経過をいたしまして、改めてその後の対応を含めて質問をさせていただきたいと思います。
 もちろん、東京都下水道サービス株式会社は、この冊子の方にもございますように、会社案内の中にもありますように、社訓の中にさまざまな方針を掲げております。特にこの中で、東京都の下水道事業を補完、代行し、下水道サービスの維持向上を図る。そして、行政経験の活用と民間活力の結集により、安全性と信頼性を確保していくんだ、あるいは効率的に事業を展開していくんだということが掲げられております。
 これはこれで一つの方針だというふうに思いますし、また事業運営方針の中でも、それがさらに明確に示されております。
 そこで、東京都下水道サービス株式会社が昭和五十九年に設立をされておりますが、その設立当初の昭和五十九年、そしてその後の十年後、二十年後、そして現在の事業規模と下水道局の全体の事業費についてお伺いをさせていただきます。

○石原総務部長 当局の所管する監理団体でございます東京都下水道サービス株式会社、TGSは、局事業を補完、代行する団体として、局からの受託事業を主要事業とすることを目的に、昭和五十九年に設立されております。
 設立当初は、汚泥処理施設の運転管理業務などを受託しており、売上高の推移でございますが、設立初年度であります昭和五十九年度は約一億七千万円、設立十年後の平成六年度は約九十八億円、二十年後の平成十六年度は約七十五億円、平成二十一年度は約百四十二億円となってございます。
 また、局の区部における下水道事業会計決算額でございますが、昭和五十九年度は約五千六百六十億円、平成六年度は約七千八百五十一億円、平成十六年度は約七千八十四億円、平成二十一年度は約六千四百一億円となっております。

○小山委員 ただいまお答えをいただきましたように、設立当初の売上高から今日に至るまで、かなり大幅に事業予算も拡大をしているというふうに思います。特に売上高についても同様の傾向が見られると。当初の一億七千万から、現在では百四十二億円ということ。さらに、下水道事業としましては、昭和五十九年の五千六百六十億円から、平成六年、十六年度では上がっているんですが、二十一年度では若干下がっている。こういう傾向があるということは、よくわかりました。
 それでは、その設立時から現在に至るまで、東京都下水道サービス株式会社が大幅に事業拡大をしておりますが、下水道局と東京都下水道サービス株式会社の関係を明らかにするために、その契約内容について幾つか質問をしたいと思います。
 まず、東京都下水道サービス株式会社の売り上げのうち、下水道局からの発注に占める割合はどれぐらいになっているのか。売上高、それから契約額、そして占める割合、そういったことも含めてお答えをいただきたいと思います。

○石原総務部長 平成二十一年度のTGSの売上高は、約百四十二億円でございます。このうち、下水道局との契約に係る額は、約百三十六億円でございまして、売上高に占める割合は九五・八%となっております。
 同社は、局からの受託業務を主要事業として、局事業を補完、代行する目的で設立されたものでございますので、その経緯からも、おのずと売上高に占める割合は高くなっているものでございます。

○小山委員 今お答えをいただきましたように、二十一年度の状況がわかりました。今、答弁の中に、設立目的からこうなっていくのは、一つ自明の理だと。こういう方向になっていくのは、当然の帰結だということのお答えがありました。
 花輪議員が予算特別委員会で確認をしたとき、これは平成十六年度の決算値でございますが、当時は売上高が約七十五億円、そして、そのうち下水道局との契約に係る額が六十七億円、そして売上高に占める割合が九〇%という率でありました。
 今の二十一年度と比較をしますと、当時の売上高、七十五億円が百四十二億円になり、そして占める割合が九〇%から九五・八%になっているということでございます。
 確かにおっしゃられているとおり、そもそもこの監理団体は、局の方針どおり、そういった事業の規模の拡大に伴って売上高が上がり、そして東京都下水道局との関係の中で占める割合が高くなっているということも、これはこれで一つ承っておきます。
 しかしながら、当然、そういうことになってくれば、この監理団体の占める位置というか、東京都の下水道事業の中で東京都下水道サービス株式会社が占める位置というのは大変大きくなってくるということは、まずここで申し上げておきたいと思います。
 そこで、売り上げに占める割合の九五・八%が、先ほどもお答えにありましたように、下水道局からの受託事業ということでありますが、そのうち主なものをお答えいただきたいと思います。

○石原総務部長 平成二十一年度におきまして、下水道局からTGSに委託をした業務は、汚泥処理施設の運転管理業務、水処理施設の保全管理業務、管路維持管理、出張所で行いますが、その業務の委託などでございます。

○小山委員 お答えをいただいたのが主な事業ということでお伺いをいたしました。
 それら事業の、局から東京都下水道サービス株式会社への平成二十一年度の委託件数と契約方法について確認をさせてください。

○石原総務部長 平成二十一年度の下水道局からTGSへの委託件数は五十二件でございまして、すべて随意契約によるものでございます。

○小山委員 ただいまお答えいただいたのが平成二十一年度の委託件数、五十二件。そして、当然、契約金というのは、先ほどご答弁いただいた百三十六億円ということだと思います。そして、それすべてが随意契約であると。
 これも当時、花輪議員が質疑をされていたのが、平成十六年度の決算値では六十五件、そして額が七十一億円ということでした。件数自体は比較をすると減少しておりますけども、契約金の額は、二倍とまではいきませんが、二倍近く、七十一億円から百三十六億円になっているということです。
 つまり、ここでも明らかなように、この東京都下水道サービス株式会社の果たす役割が大変大きくなってきている。そして、さらにいうと、それがすべて随意契約であるということです。
 すべて一〇〇%随意契約というのは、そのときも、十六年度の決算値、つまり平成十八年度の予算委員会での質疑でも一〇〇%でありました。その契約が四年後の今日まで続いているということがわかりましたが、そのときも花輪議員の方から指摘がありましたとおり、民間でも十分実施可能な業務があるのではないでしょうか。先ほどのご答弁の主なものの中にも、そういったことが挙げられているんだというふうに思います。
 そこで、改めて、なぜすべて随意契約なのか、競争入札にはなぜできないのか、ご見解を承ります。

○石原総務部長 TGSへ委託しております業務は、都の下水道事業の運営と密接な関係を有するとともに、首都東京の大規模な汚泥処理施設の運転管理など、多岐にわたる複雑で、しかも専門性の高い困難な作業を束ねて、総合的かつ一体的に実施していく必要がございます。
 これらの業務を着実に執行できるのは、下水道事業に関する豊富な知識と技術を持った職員が多数在籍しているTGSだけであることから競争入札には適さず、地方公営企業法施行令第二十一条の十四第一項第二号に基づき随意契約をしているものでございます。

○小山委員 今、東京都の下水道事業の運営と密接な関係を有するということのご答弁がありました。そして、これは東京都下水道サービス株式会社でなければできない、まさしく東京都の下水道事業と一体不可分の関係にあるというお話であります。
 そこで、下水道局としての考えはわかりました。しかし、これがすべて随意契約で済まされるというのは、果たして都民に理解され得るでしょうか。現状のさまざまな説明の中で、それが都民に理解されるかというと、甚だ疑問といわざるを得ません。
 また、さきの十八年の予算特別委員会では、今度は東京都下水道サービス株式会社と民間との契約に関しても花輪議員は指摘をされております。
 その後、平成二十一年の東京都監査委員による財政援助団体等監査におきまして、東京都下水道サービス株式会社に対して、この会社が行う契約に対して、競争による契約を行うなど、契約事務手続を適正に行われたいという指摘がなされております。東京都監査委員からの指摘は、花輪議員からの予算委員会の指摘以後であり、改善が見られていないというのは、実に残念というほかありません。
 下水道局と東京都下水道サービス株式会社の契約はもとより、東京都下水道サービス株式会社と民間との契約も、競争原理かつ透明性を確保した契約となるよう、強く要望をしておきます。
 次に、この東京都下水道サービス株式会社の職員構成についてお伺いをいたします。
 設立時の昭和五十九年、そして先ほどと同様に、十年後、二十年後、現在の職員数ということで、推移がどのようになっているのかお伺いをいたします。
 そしてまた、あわせて、この東京都下水道サービス株式会社が監理団体である、その効果、その効用についてお伺いをさせていただきます。

○石原総務部長 TGSが設立されました昭和五十九年度の職員数は二十四名でございました。その後、下水道局からTGSへの業務委託の拡大などに伴いまして、設立十年後の平成六年度は二百十一名、二十年後の平成十六年度は二百七十一名、平成二十二年三月三十一日現在では六百七十八名となっておりまして、設立当初から比べますと、六百五十四名の増加ということになっております。
 お尋ねのTGSを活用した監理団体としての効果ということでございますが、増大する下水道施設の維持管理業務の効率的な執行を図るとともに、現場における工夫やノウハウを活用した技術開発、あるいは、きめ細かな下水道サービスの提供を下水道局と連携することにより、効果的に実現してまいりました。
 なお、昭和五十九年度に四千八百七十七名でありました下水道局の職員数は、平成二十二年三月三十一日現在で二千八百五名となっておりまして、二千七十二名、減少しております。

○小山委員 今、まず東京都下水道サービス株式会社の職員数の推移についてお答えをいただきました。当初は二十四名から、現在は六百七十八名、六百五十四名の増がされているということです。
 これは、先ほどのさまざまな質疑の中からも、東京都下水道サービス株式会社の事業の拡大とともに職員数もふえているということは当然のことだというふうには思いますが、これだけ職員数がふえているということは紛れもない事実でありますし、また、もう一方お答えをいただいた東京都の下水道局の職員数が、昭和五十九年当時から比べると、二千名以上減少しているということであります。
 このこと自体は、行政改革の一連の流れということで一定の評価をさせていただきたいとは思いますが、その減った分、今度は東京都下水道サービス株式会社に人員が増されているという事実があるわけであります。
 そこで、現在の東京都下水道サービス株式会社の社員の構成がどのようになっているのかお伺いをしたいと思います。都の派遣職員及び都管理職OBが何人いるのかお伺いしたいと思います。

○石原総務部長 TGSの社員構成は、東京都からの派遣職員、固有職員、嘱託職員の三者から成っております。
 平成二十二年八月一日現在の職員数は七百二名で、そのうち東京都からの派遣職員は百六十五名であります。また、東京都の管理職OBは、役員の三名を含めまして、二十一名となっております。

○小山委員 お答えの中にありますように、社員構成、都の派遣職員も含まれているということで、職員数の現状を八月一日現在でお答えいただきましたので、先ほどの決算値とは違うと思いますが、七百二名にさらにふえているということでありますが、その中で派遣職員が百六十五名、そして管理職のOBが二十一名、役員が三名いるということであります。
 そこで、百六十五名もの職員を東京都下水道サービス株式会社へ派遣しているということでありますが、この派遣の理由は何か、そして派遣先でどのような役割を果たしているのかお伺いをいたします。

○石原総務部長 安定的に下水道サービスを提供していくため、TGSへの委託業務は、下水道局と密接に連携して行う必要がございます。
 そのため、一定程度の局の現役職員をTGSに派遣し、同社の基幹的、中枢的な業務に従事させることで、局との連携を保ちつつ、委託業務の円滑な実施を確保しているものでございます。
 また、現場における工夫やノウハウ等を共有し、局事業に反映させるためにも、職員をTGSに派遣する意義があると考えております。

○小山委員 都の考えはわかりました。お答えをいただいたとおり、先ほどと同じように、局と密接に連携して行う必要がある、そういったところが述べられたところであります。
 そこで、管理職の方のOBが再就職をしておりますが、この管理職OBが東京都下水道サービス株式会社に再就職している理由については何なのか、これについてお伺いさせていただきます。

○石原総務部長 TGSには、汚泥処理施設の運転管理業務や管路の維持管理などの出張所業務、水処理施設のメンテナンス業務などを委託してございます。これらの委託業務は、都の下水道事業の運営と密接な関係を有するとともに、多岐にわたる複雑で専門性の高い困難な作業を束ねて、総合的かつ一体的に実施していく必要がございます。
 こういったことから、円滑に業務を進めていくためには、下水道事業に関する知識や経験が不可欠でございます。この点で、長年事業に従事し、東京都の管理職として現役時代に培ったすぐれた技術や豊かな経験、知識、あるいは管理能力を身につけている人材は、下水道事業にとって貴重な存在でございます。
 したがって、局と密接に連携して受託事業を実施していく必要のあるTGSで、これらのOBを即戦力として活用することは、事業の円滑な遂行に不可欠であるとともに、下水道技術の継承にも大変有益であると考えております。

○小山委員 お答えをいただきましたが、これも先ほどのお答え同様、密接な関係を有すると。この東京都下水道サービス株式会社は、東京都の下水道事業と一体不可分であるというふうな認識であろうかと、私は今までの答弁を聞いていると、そのように理解をさせていただきました。
 そして、先ほど来、ずっと質疑の中で私もいろいろ聞いておるんですが、もともと東京都下水道サービス株式会社がうたっている、冒頭に申し上げました方針の中で、民間との活力の結集で、より効率的な事業展開、そういったところをうたわれているわけです。
 また、さらにいうと、この下水道計画の中にも同じように、こういった役割分担をしていく中で、効率的、効果的、さらに最少の経費で最良のサービスを提供していくような、不断の見直しを行っていくんだともあります。
 こういったさまざまな民間活力を生かしていくんだということがありながらも、これまでの中で、その部分のお答えが、私は若干乏しいように思います。これだけ都の職員をそこへ派遣しておいて、その方々と民間とのどういった視点があるのか、あるいは経費面でどういった削減が図れたのか。その辺のところが、先ほど職員数のお答えはいただきました。職員数は確かに減っているということはわかりましたけど、いま一度、この監理団体を活用する意味合いというものを、これだけ一体的な運営、ほとんど都の管理職のOBがそのまま代表取締役社長になって、さらに多くの方々がそちらに行かれているわけですから、改めてそこは問い直していただきたいと思います。
 そこで、ここでも改めて聞いておきますが、役員についてお伺いしますが、都のOBの役員数、先ほどの答えの中でもありましたが、再度何名で、その報酬が幾らなのかお伺いをしておきたいと思います。

○石原総務部長 TGSの常勤役員のうち都のOBは、代表取締役社長及び専務取締役二名の合わせて三名でございます。
 報酬の平均額は一千二百三十一万七千円でございます。

○小山委員 今、OBの方々は三名ということで、平均額が一千二百万円余だということでお答えをいただきました。
 この間、ずっと質疑の中でお伺いをしてきましたが、これだけ東京都と、また契約が随意契約ばかりで、あるいは管理職OBが再就職をしていたりしますと、これは都民からすると、釈然としないものがあるんではないでしょうか。
 東京都下水道サービス株式会社を活用することが安定的な下水道サービスの提供に必要不可欠だとおっしゃるんであれば、これらの疑問を払拭していく必要、あるいは努力がさらに一層求められると思います。
 そこで、監理団体を活用していくに当たって、透明性の確保というものが最も大事だと思いますが、下水道局や東京都下水道サービス株式会社の取り組みについて、どのようにされていくのかお伺いをいたします。

○石原総務部長 これまで当局では、監理団体指導監督要綱に基づきまして、TGSを適切に指導してきております。TGSは、これまでも貸借対照表や損益計算書などの財務諸表や、あるいは職員数、平均給与、役員報酬などの人件費の状況を初めとした経営情報を公表してまいっております。
 さらに、TGSが発注者として締結する契約につきまして、契約に関する規程はもちろんのこと、契約件数、契約種別ごとに取りまとめた金額を公表するとともに、一億円以上のすべての契約について、契約相手方等の情報を公表しております。
 今後は、TGSの契約も含め、随意契約については、契約情報の公表範囲をさらに拡大するとともに、これまで管理職が退職し、TGSへ再就職した際の氏名等を公表してきたところではございますが、さらに全庁的な都庁版人材バンクの取り組みに合わせ、都管理職OBの民間企業への再就職状況を公表していくなど、一層の経営の透明性向上に努めてまいります。

○小山委員 今、最後、透明性の向上に努めていかれるということですから、その言葉を重く受けとめて、これだけ東京都下水道サービス株式会社と東京都の下水道局とは、もはや一体不可分の関係にあって、さらに将来にわたって効率的かつ効果的な下水道事業を展開していくためには、なくてはならないんだというお考えだというふうに思いますので、その点からしますと、今の管理職OBが再就職したり、あるいは多くの職員が派遣をされているという実態からすると、何としても透明性の確保というのは大前提だというふうに思います。
 契約について、一億円以上ということがありましたけども、これは都と同じ基準でやられるべきだと思いますし、より一層明らかにしていかなければ都民の理解というのはなかなか得にくいものがあるのではないかと私は感じます。
 さらには、契約のことに関しましては、先ほど来申し上げてまいりましたとおり、東京都下水道局から下水道サービス株式会社への契約はもちろんですけども、東京都下水道サービス株式会社から民間への契約についても、これは花輪議員から指摘があるように、もう一度改めて、さらに監査委員からも指摘をされておりますので、ぜひ一層この部分に関しては取り組みをお願いしたいと思います。
 これまで、るる申し上げてまいりましたけども、この東京都下水道サービス株式会社が、東京都下水道局がおっしゃるように、安定的な下水道サービスを提供するために必要だということは一定理解を示させていただきます。
 しかし、先ほども申し上げたように、都民の目から見ますと、東京都と監理団体の関係には、どうしても不透明感がある。そして、下水道局と東京都下水道サービス株式会社との関係も、この委託状況や再就職したOBとの関係には、どうしても不透明感があるといわざるを得ません。
 そうした不透明感をぜひとも払拭し、東京都下水道サービス株式会社も含めました下水道事業の透明性を確保していただくよう、さらに説明責任を果たすよう努力されることを求めまして、私の質問とさせていただきます。

○吉住委員 下水道事業といいますと、下水管を初め、施設の大部分が地下にあるため、意識しづらいところにあります。水道の蛇口の漏れに気づいても下水の漏れには気づきにくい。気がついたらアパートの通路の下がぐちゃぐちゃになっている、そんなようなこともあります。
 現代の都市生活を送る上で、衛生上の観点からも欠かすことのできない事業として、主要施策の取り組みについて全般的な質疑をさせていただき、続いて、全施策についての質疑をさせていただきます。
 下水道事業は、汚水の処理から浸水対策、老朽化施設への対応、さらには地球温暖化対策と、さまざまな課題に取り組んでおり、平成二十一年度の決算書を確認すると、区部の下水道事業における建設改良事業は千五百七十五億円にも達しています。大規模な予算を執行する事業である以上、その運営方針を明確に定め、都民や関係者にわかりやすく示していくことが必要であると考えます。
 そこで、改めて下水道事業がどのような方針のもとに運営されているのかお伺いいたします。

○石原総務部長 下水道局では、経営計画に基づきまして事業を運営してございます。
 平成十九年度から平成二十一年度を計画期間とする経営計画二〇〇七では、安全で快適な都市生活や都市活動を支える、良好な水環境を創出する、最少の経費で最良のサービスを安定的に提供するという経営方針に基づきまして、その具体化をお客様である都民の皆様にお約束してございます。
 この方針に基づき、老朽化施設の再構築や浸水対策、合流式下水道の改善、高度処理、地球温暖化対策などの主要施策に取り組んでまいりました。また、建設から維持管理までのトータルコストの縮減や職員定数の削減などの経営効率化を図ってまいりました。
 さらに、これらの取り組みを踏まえ、本年二月には経営計画二〇一〇を策定し、お客様の安全を守り、安心で快適な生活を支える、良好な水環境と環境負荷の少ない都市の実現に貢献する、最少の経費で最良のサービスを提供するという三つの経営方針に基づき、下水道サービスの向上に取り組んでいるところでございます。

○吉住委員 事業方針についてはよくわかりました。
 そこで、事業運営方針に基づいて実施されている下水道事業の主要施策について、取り組み状況を中心に伺っていきます。
 初めに、老朽化する施設への対応について確認します。
 現在、区部だけでも千二百万人近い昼間人口を抱えており、世界でも有数の大都市となっています。民間の研究所によると、世界の都市総合ランキングで、世界の都市の中で東京は、経済、環境ともにトップファイブにランクインしており、世界に比類ない、経済と環境を両立させている唯一の都市といえます。
 こうした地位を支えてきたのは、下水道を初め、都市のインフラ施設であることは疑う余地のないことだと思います。
 しかし、都のインフラ施設は老朽化が進んでおり、まさに危機的な状況を迎えています。区部だけでも既に一万五千八百キロにも延長が及んでいる中で、耐用年数を超えた下水道管が千五百キロにも達していると聞いています。しかも、今後、高度成長期に整備された大量の下水道管が耐用年数を一斉に迎えると伺っております。
 都議会自民党としては、都民生活の安全と安心を守るためには、下水道管の再構築が必要であると繰り返し訴えてまいりました。
 そこで、まず下水道管の再構築の取り組みについて伺います。

○松浦計画調整部長 下水道管の再構築についてでございますが、お客様の生活の安全性や快適性を維持向上させるためには、将来にわたって下水道機能を安定的に発揮させる必要があり、老朽化した下水道管を新しくつくりかえる再構築を進めていくことが重要であると認識しております。
 下水道局では、老朽化対策にあわせ、雨水排除能力などの機能向上を図る再構築を行い、特に整備年代の古い都心四処理区、一万六千三百ヘクタールにつきましては、再構築を平成四十一年度までに完了させるよう、鋭意取り組んでいるところでございます。
 下水道管につきましては、テレビカメラ等により健全度を把握、評価した上で、予防保全を重視した維持管理に取り組み、既設管の延命化や更新時期の平準化を図るなどのアセットマネジメント手法によりまして、計画的かつ効率的に再構築を実施しております。
 平成二十一年度には四百二十三ヘクタールの再構築を実施し、これまでに三千三百七十ヘクタールの地域が整備完了しております。今後は、整備ペースを二割アップして取り組むなど、計画的に再構築を実施し、お客様の安全を守り、安心で快適な生活を支えてまいります。

○吉住委員 計画的に再構築事業を実施していることは理解いたしました。とはいえ、今後も大量の施設が老朽化を迎えることになりますので、引き続き再構築事業を積極的に推進していただきたいと思います。
 さて、良好な下水道サービスを提供するには、維持管理の充実が極めて大事です。下水道局では、巡視や点検などの日常管理の充実を図るとともに、都民生活の快適性の向上に向け、下水道管の清掃や臭気対策の取り組みを強化していると聞いています。
 臭気対策については、私の地元である新宿区でも大規模な繁華街を抱えており、ビルピットを原因とする臭気の苦情を数多く聞いております。ビルピットの臭気対策は、一義的にはビルオーナーの責任ですが、下水道局も都民生活の向上のために、対策に取り組んでいると伺っております。
 そこで、下水道局の臭気対策への取り組みについて伺います。

○尾崎施設管理担当部長 ご指摘のとおり、臭気苦情の大半はビルピットが原因となっております。
 ビルピット臭気対策には、都市整備局、福祉保健局、環境局など、複数の局が関係するために、都ではビルピット対策指導要綱を策定し、役割分担をしております。
 下水道局では、関係局及び特別区と連携し、ビル管理者などに対しまして、ビルピット臭気対策マニュアルを活用した臭気対策の講習会を実施するとともに、個別のビルに対しまして、直接現地での改善指導を実施しているところでございます。
 これまで、臭気発生源ビルとして約千ビルを特定し、これらのビルへの改善指導を行いました結果、新宿区に所在するビルを含めまして、約三百のビルから改善策を講じたとの回答を得ているところでございます。下水道局では、引き続きその改善効果を検証してまいります。
 今後とも、お客様の快適な生活環境の向上を図るため、関係局並びに地元区と連携し、ビルピット臭気対策を推進してまいりたいと考えております。

○吉住委員 今お答えにもございましたが、複数の局が関係しますが、どうしても苦情は下水道局に寄せられることが多いと思いますので、本当に地道な取り組みが多いと思いますが、敬意を表します。
 次に、浸水対策について伺いたいと思います。
 IPCCの第四次報告書によると、地球規模の気候変動により、大雨の回数が増加し、台風も激しさを増しています。さらには、東京のような大都市では、都市化の進展に伴い、下水道管に流れ込む雨水の量が増加するとともに、人口、資産の集中など、都市構造の高度化が進み、内水はんらんによるリスクが増大しています。
 浸水対策の取り組みについては、さきの第三回定例会の代表質問で、我が党の三宅幹事長が下水道局の取り組みに言及し、都の豪雨対策基本方針に基づく対策促進地区の取り組み等、下水道局の取り組み全般について確認しました。
 例えば新宿区は、地下鉄や地下街などの地下空間の利用が大いに進んでいることから、一たび浸水が起きると、その被害は甚大なものになります。
 そこで、被害の早期軽減に向けて重点的な取り組みが必要と考えますが、対策促進地区として重点化した新宿区新宿地区の進捗状況について伺います。

○高相建設部長 平成十九年に策定されました東京都豪雨対策基本方針では、浸水対策の根幹をなします下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を推進するとともに、地形等の地域特性を踏まえた効果的な対策を進めることとしてございます。
 具体的には、浸水予想区域図などに基づきまして、浸水の危険性の高い地区を対策促進地区として、区部において新宿区新宿地区を初め二十地区を選定し、一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できる下水道施設の整備を進めてまいります。
 新宿区新宿地区の対策としては、口径二・四メートル、延長約一千六百メートルのシールド工事により、一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できる第二戸山幹線を整備し、同地区の雨水排除能力を向上させてまいります。
 現在、工事はシールド掘削機の製作とシールドの発進基地の施工準備を進めておるところでございます。今後も浸水被害を軽減するため、早期の完成に向けて、鋭意工事を進めてまいります。

○吉住委員 新宿地区はもちろん、各地の取り組みがスピード感を持って進んでいくことを期待しております。
 続いて、多摩地域の下水道整備について伺います。
 多摩地域には、都が管理する水再生センターが七カ所あり、一日当たり約九十万立方メートルの下水を処理しており、例えば、多摩川で流れる河川水量の約五割が水再生センターなどから放流される処理水だと伺っております。
 多摩川も高度経済成長期には異臭がするほど汚れていましたが、今ではきれいな川にすむアユが二百万匹も遡上するようになったそうです。ちなみに、新宿区の神田川にもアユが遡上してまいります。こうした河川の水質改善に下水道整備の果たした役割は非常に大きいものと認識をしております。
 現在、多摩川では、年間千六百万人もの人々が訪れ、都民の貴重な憩いの水辺空間となっていることから、こうした河川の水環境を維持し、さらに、水質を向上させる高度処理の取り組みが必要となります。
 そこで、流域下水道における高度処理の導入状況についてお伺いいたします。

○渡辺技術部長 流域下水道における高度処理の導入状況についてでございますが、流域下水道では、水と親しむことができる快適な水辺空間を多摩川などで創出するため、下水処理水の窒素と燐を大幅に削減する高度処理を順次導入してきております。
 平成二十一年度には、八王子水再生センターや浅川水再生センターなどで、新たに一日当たり六万四千立方メートルの施設が稼働し、合計で約三十九万立方メートルの高度処理が可能となりました。これは、流域下水道における下水処理量の四割を超える量に当たります。
 今後とも、全七カ所の水再生センターで高度処理施設の整備を推進いたしまして、多摩地域の水環境の向上により一層貢献してまいります。

○吉住委員 わかりました。下水道は都市にとって不可欠なインフラであり、今後ともその機能を十全に維持していく必要があります。これまでの質疑で確認してきたとおり、下水道事業として取り組まなくてはならないことは幅広くございます。都民としては、安全・安心な下水道サービスを期待しています。
 そうした中で、下水道サービスの多様なニーズにこたえていくためには、下水道局だけではなく、下水道事業にかかわるさまざまな団体と緊密に連携しつつ、効果的な事業運営体制を確保する必要があると考えています。
 その中でも、監理団体については最近いろいろな議論がありますが、下水道サービスを維持し、さらに向上させていくためには、有効活用をしていくことも大事だと考えております。
 そこで、下水道局の監理団体である東京都下水道サービス株式会社の有効活用について、改めて局の見解を伺います。

○石原総務部長 当局の監理団体でございます東京都下水道サービス株式会社、TGSは、局事業を補完、代行する団体として、局からの受託事業を主要事業とすることを目的に、昭和五十九年に設立されたものでございまして、効率的な事業執行に大いに貢献してきたところでございます。
 TGSには、これまで汚泥処理施設の運転管理業務や管路の維持管理などの出張所業務、水処理施設のメンテナンス業務などを委託してまいりました。
 ひとときたりとも停滞が許されない首都東京の大規模な下水道システムを十全に機能させ、確実に維持していくためには、委託業務に含まれる多岐にわたる複雑で専門性の高い困難な作業を束ねて、総合的かつ一体的に実施していく必要がございます。これらの業務を着実に執行できるのは、下水道事業に対する豊富な知識と技術を持った職員が多数在籍しているTGSだけでございます。
 経営計画二〇一〇におきましても、局、監理団体及び民間事業者がそれぞれの特性を生かした役割分担のもと協働し、下水道事業を運営していくこととしております。
 TGSは局と密接な連携を保ちつつ、下水道事業という強い公共性と高い専門性が求められる事業を確実に実施してきております。今後とも、さらにTGSを活用して、下水道サービスの効率的かつ安定的な提供に努めてまいります。

○吉住委員 今後とも監理団体と一体となった事業運営が下水道サービスの向上、そして都民生活の向上に役立つよう努めていただきたいと思います。
 最後に、平成二十二年度も半ばを過ぎました。既に経営計画二〇一〇に沿った事業運営が進められていることと思いますが、掲げられた事業を着実に実施し、都民の下水道サービスに対する期待にこたえていただきたいと思っております。経営計画二〇一〇の目標実現に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○松田下水道局長 東京の下水道、今さら申し上げるまでもありませんが、都民生活や都市活動を支える必要不可欠な都市基盤でございます。今後もその機能を十分に果たし、常に安定的に下水道サービスを提供していくことが求められております。
 これまで、汚水の処理による生活環境の改善や雨水の速やかな排除による浸水の防除、公共用水域の水質保全など、安全で快適な生活環境の確保に努めてまいりました。
 私どもでは、ただいまご質疑ございましたが、老朽化した施設の再構築、また近年多発する都市型水害への対応などに加えまして、温室効果ガスの削減など、新たな課題に的確に対応することが求められております。
 さらに、これまで積み重ね、培ってきた技術や、蓄積してきたノウハウなどを活用いたしまして、下水道事業における国際貢献、国際的な事業展開への支援などについての取り組みも期待をされております。
 下水道料金収入の減少傾向が続くなど厳しい経営環境の中にはございますが、資産の有効活用、あるいは業務執行体制の見直しなど、経営効率化に努めまして経営基盤の強化を図るとともに、お客様のご理解を深め、より多くの都民の皆様に下水道の応援団になっていただくための取り組みを進めてまいります。
 東京の下水道に期待されております役割を十全に果たしていくことはもとより、新たな課題にも積極的に挑戦をしていくために、私自身先頭に立って、局一丸となって全力を挙げてまいります。

○吉住委員 冒頭で述べましたとおり、下水道は直接目にすることが少ない施設であり、また事業です。下水道局のわかりやすく丁寧な説明により、事業の状況を確認することができました。
 古代の文明も、下水道を設備していないところは疫病がはやって滅んだこともあります。どうか東京の下水道が、経営計画二〇一〇の実現に向けて全力で取り組んでいただくことによって向上しますことを期待申し上げまして、質疑を終了いたします。

○中山委員 東京の下水道は、都民の安全で快適な生活環境を実現する上で欠くことのできない社会資本でありまして、大変重要な役割を果たしております。
 さきのご説明にございましたが、下水道事業の収益的支出と資本的支出の合計額、七千億円と、一つの県にも匹敵する年間予算によって事業が営まれております。首都東京の安全・安心を地下から二十四時間、三百六十五日支えていくことは大変な難事業でございまして、それをしっかりと遂行しているという意味では、心強い限りと評価させていただきたいと思います。
 この事業を適切に執行していくためには、公営企業体として、公営企業の経営の原則であります公共性と経済性を最大限に発揮することが求められることはいうまでもありません。先ほど来、外郭団体の話につきまして透明性のご指摘がございました。私は大変大事な点だと思います。と同時に、やはりしっかりと仕事をしているかどうかということをきちっとチェックをして、また、都民の方にもわかっていただくということが大事ではないかと思います。
 私どもも、会派内に外郭団体の見直しのプロジェクトチームを設置しました。私もその一員でございます。これからは、下水道サービスにつきましても、株式会社という一見民間会社というような形になっておりますけれども、それをなぜあえてつくらなければならなかったのかということをきちっと都民に説明していく、理解していただくことが大事だと思います。
 お話しのように、東京都がある面では直接経営してもいいような大事な仕事をやっているけれども、と同時に民間とも連携して柔軟に予算執行したり、経年的な計画をつくり上げたりとかいう面で、あえてそれを外に出さなければならなかった、それをどういうふうに都民に理解していただけるのか。そのことをきちっと説明していかないと、単に報酬が幾らだとか、都から行っている人が何人だとか、そういうことですべてが解決するものではない。それを通じて、やはりきちっと仕事をしているのかどうかという点で、頑張っているんだなと初めてわかっていただいてご賛同いただけるんだというふうに思います。
 そこで、まず経済性の観点から二点ほどお伺いしていきたいと思います。
 下水道事業の基本は、汚水を収集し処理することにあります。その事業の運営は、都民などからいただく下水道料金で支えられております。
 決算の説明では、平成二十一年度は、排水水量が減少したことに伴い、前年に比べ三十五億円も収入が減少していると伺いました。収入減の原因が何であるのか、私は定かにわかりません。景気後退なのか、水を取り扱う施設自体が、各省エネの取り組みによって排水量が減っているということが影響しているのか、それはわかりませんけれども、いずれにしても収入減の傾向というのは一定程度あって、これからも続く。
 その中で、今後の老朽化していく施設への対応や、あるいは気候変動などに伴う内水はんらんへの備え、地球温暖化対策などに取り組む下水道事業にとっては、たくさんの大きな課題を抱えていくことになります。
 そうした意味で、料金収入が減少する中でも多様化する課題に対応していくためには、徹底したコスト縮減など、可能な限りの企業努力を行い、経営基盤を強化していくことが必要と考えます。
 そこで、平成二十一年度におけるコスト縮減の取り組み結果をお伺いいたします。

○松浦計画調整部長 コスト縮減につきましては、限られた財源の中で効率的、効果的な下水道事業を行う上で必要不可欠であると考えており、平成九年度に建設コスト縮減に関する行動計画を策定し、それ以降、順次新たなコスト縮減の取り組みを定めるなど、計画的に進めてきております。
 平成二十一年度は、建設から維持管理までのトータル的なコスト縮減に取り組むことにより二十九億円のコスト縮減を行いました。この結果、経営計画の三カ年で目標としたコスト縮減額、百十八億円を上回る百三十四億円のコスト縮減を達成することができました。
 具体的には、地盤の液状化によるマンホールの浮上抑制対策としての非開削工法の採用、水処理の反応槽に低動力型の攪拌機を導入することなどを実施いたしました。

○中山委員 今のご答弁で、平成二十一年度は二十九億円の経費削減を実現したと。また、三カ年間の目標も大きく上回ったということでございまして、その努力は高く評価させていただきます。
 そうしたコスト縮減の取り組み内容の全体を理解した上で、さきの第三回都議会定例会の一般質問におきまして、私は都庁舎の省エネルギーへの取り組みについて質問を行いました。そうしたことから、下水道局はコスト縮減の取り組みの中で省エネについてどう取り組んでいるか、この点をお伺いしたいと思います。
 下水道事業は、汚水の処理や雨水を排除する過程でさまざまな設備を使用していることから、驚くことに都内の消費電力の一%を占めると聞いております。今後は、処理水質を向上させるために、高度処理の導入を行うことなどで、さらに電力消費量がふえることが見込まれる状況にあります。
 高度処理などの点において大いに効果を上げていくためにも、ある面では徹底した省エネルギーなどに努めて電力料金を削減していくことが、下水道事業の電力消費量、ひいてはランニングコストを抑えることになり、高度処理にも安心して取り組んでいける、そういう体制をとっていくことになると思います。また、温暖化防止にも寄与すること大であると考えます。
 そこで、平成二十一年度における電力料金の削減に関する具体的な取り組み結果についてお伺いいたします。

○松浦計画調整部長 電力料金の削減についてでございますが、水再生センターなどの下水道施設におきましては、水処理施設に空気を送る送風機や雨水をくみ上げるポンプ設備など、さまざまな設備が使用されていることから、電力料金の削減は重要であり、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー型機器の導入などに取り組んでいるところでございます。
 具体的には、安価な夜間電力を充電し、電力需要の大きな昼間に活用するNaS電池の導入や、処理水を放流する際の落差を利用した水力発電などを行っております。
 こうした取り組みと運転管理の工夫や電力契約条件の見直しなどによりまして、平成二十一年度は、区部において約百九億円の電力料金に対しまして、約十五億円を削減いたしました。
 さらに、老朽化による設備更新の際には、新たに開発した省エネルギー機器の導入などを進めております。例えば、汚水処理に必要な微生物の働きを活発にするために送る空気を水に溶けやすい小さな気泡にして、送風量を少なくする微細気泡散気装置を導入するなど、消費電力の抑制、削減に取り組んでおります。

○中山委員 二十一年度、消費電力の削減の点でも努力している点は、きちっと評価したいと思います。
 次に、公営企業の公共性の発揮の観点から質問したいと思います。
 繰り返しになりますが、下水道事業の本旨は、都民の日常生活や都市活動によって汚れた水をきれいにして川や海に戻すほか、道路や宅地に降った雨水を速やかに排除していくことにあります。
 そうした本来事業をしっかりと進めることはもちろんのことでありますが、公共性を発揮していく観点からいえば、本来事業に加えて地球環境への配慮など、事業者として率先的な取り組みが必要でございます。
 そこで、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
 地球温暖化防止は、都議会公明党が一貫して主張してきたテーマでもあります。下水道局は京都議定書に先駆け、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を策定し、温室効果ガス削減を率先的に取り組んできたと認識しております。
 都の事務事業活動で排出される温室効果ガスの約四割を排出するなど、下水道局には地球温暖化防止に大きな責任と役割がございます。
 そこで、これまで取り組んできたアースプラン二〇〇四の取り組み内容について改めてお伺いいたします。

○松浦計画調整部長 下水道事業におきましては、一日に東京ドーム約五杯分に相当する約五百六十万立方メートルの下水を処理する過程で大量のエネルギーを消費せざるを得ないことから、地球温暖化対策に積極的に取り組む必要があると認識しております。
 そこで、平成十六年度には、下水道事業において初めてとなる地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を策定したところでございます。
 アースプラン二〇〇四では、基準の年度である一九九〇年度の温室効果ガス排出量、百一・八万トンを二〇〇九年度までに六%以上削減して、九十五・六万トン以下にすることを目標に、さまざまな施策に取り組んでまいりました。
 これまでの取り組み内容といたしましては、下水を処理する過程で排出される温室効果ガスのうち、汚泥処理工程で発生する温室効果ガスと、水処理施設での電力消費に伴い排出される温室効果ガスの二つに着目して対策を行ってまいりました。
 一つ目の汚泥処理工程で発生する温室効果ガスの削減については、二酸化炭素の約三百十倍の温室効果を持つ一酸化二窒素を削減することを目的として、汚泥の焼却温度を上げる高温焼却や、汚泥を蒸し焼きにして炭化物を製造し、火力発電所における石炭の代替燃料として利用する炭化炉の導入などを行っております。
 二つ目の水処理施設での電力消費に伴い排出される温室効果ガスの削減につきましては、水に溶けやすい小さな気泡を発生する微細気泡散気装置の導入や、再生可能エネルギーの活用により行っております。
 その結果、二〇〇九年度の温室効果ガスの排出量は八十五・六万トンとなり、アースプラン二〇〇四の目標値である九十五・六万トンより少ない値に抑えることができました。

○中山委員 さまざまな施策を講ずることにより、アースプラン二〇〇四に掲げられた温室効果ガスの削減目標を達成したことは高く評価したいと思います。
 今の答弁で、再生可能エネルギーの活用について言及がございました。昨今の日本を取り巻く状況を見ますと、資源の限られた日本においては、エネルギー戦略上、こうした再生可能エネルギーを今後も積極的に導入していくべきと考えます。ましてや東京は、そうしたエネルギー戦略という面では、みずから模範を示していく必要があります。
 アースプラン二〇〇四における再生可能エネルギーの導入成果と、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○松浦計画調整部長 地球温暖化の防止に向けて、再生可能エネルギーの導入を進めることは極めて重要であると認識しております。
 再生可能エネルギー導入の具体的な取り組みとしましては、汚泥を火力発電所の代替燃料などとして活用する炭化炉を東部汚泥処理プラントで実施しております。
 また、処理水を放流する際の落差を利用した小水力発電を森ヶ崎水再生センター及び葛西水再生センターで実施しているところでございます。
 さらに、汚泥処理で発生するガスを燃料に利用したバイオマス発電の施設整備と運営を、PFIの手法を取り入れまして、森ヶ崎水再生センターで実施しております。
 その結果、これらの再生可能エネルギーの導入により、合わせて二・五万トンの温室効果ガスの排出削減を行うことができました。
 ことしの四月には、葛西水再生センターの処理施設の上部空間に太陽の動きに合わせてパネルが動く新型の太陽光発電設備を導入し、七月には、清瀬水再生センターに日本で初めての汚泥ガス化炉が稼働するなど、下水道局が民間等と共同して開発した新たな技術を導入したところでございます。
 今後とも、本年二月に策定したアースプラン二〇一〇に基づき、東部汚泥処理プラントに汚泥炭化炉を増設するなど、再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。

○中山委員 再生可能エネルギーに関する最先端の技術に積極的に取り組んでいらっしゃる点は評価したいと思います。
 また、汚泥については、エネルギーとして燃やすために乾燥させたりとかで四百分の一ぐらいになるんですよね。そういうのを本当に努力されているということを、すごく頑張っているんだなということを都民にももっと知っていただきたいなというふうに思います。
 次に、浸水対策についてお伺いしたいと思います。
 さきの第三回都議会定例会代表質問で、我が党の藤井議員が局地的集中豪雨への対応について取り上げました。都議会公明党は、都民の安心・安全を確保するため、浸水対策の推進が不可欠であると考えております。
 私の地元の足立区は東京都東部の低地帯に位置し、たびたび内水はんらんによる被害を受けてきました。私も足立区に住んでおりまして、昔の農家とか、学校とかには、必ずいかだがあったと。いかだで、いざというときには連絡に行ったり、物を運んだりとか、陸地であったところのはんらんしちゃったところにやっていたという話を伺いましたが、近年は、大規模な内水はんらんは減少してきておりますけれども、これは下水道局がこれまで行ってきた雨水整備クイックプランなどの取り組みの成果だと思っております。
 そこで、足立区でのこれまでの内水はんらんに対する取り組みについてお伺いいたします。

○松浦計画調整部長 内水はんらんの取り組みについてでございますが、都市化が進展した地域では、雨水が地中に浸透する量が低下したことによりまして、下水道への雨水流入量が増加し、既存の下水道の能力以上に雨水が流入することで浸水被害が発生しております。
 そのため、一時間五〇ミリの降雨に対応できる幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を進めてまいりました。
 しかし、下水道施設は一般的に、施設が大規模かつ大深度であり、整備に長い時間を要するため、すぐには効果が発現しないという場合が多くあります。
 そこで、頻発する局所的集中豪雨に対応し、浸水被害を早期に軽減するため、平成十一年度からは、できるところからできるだけの対策を行うという整備方針で雨水整備クイックプランを策定し、緊急的な対応を図ってまいりました。
 具体的には、足立区の栗原地区など三カ所で雨水ますを増設して、雨水を取り込みやすくする等の対策を図ってまいりました。
 また、千住地区で下水道管の部分的な先行整備を行い、七千二百立方メートルの雨水を暫定的に貯留する施設を整備いたしました。
 さらに、平成十九年に策定された東京都豪雨対策基本方針に基づき、くぼ地や坂下など、繰り返し浸水被害を受けている地区や、浸水の危険性が高い地区として、足立区小台地区や千住地区を含め、二十地区を対策促進地区に選定し、下水道幹線やポンプ所など、基幹施設の整備を重点的に進めているところでございます。

○中山委員 今のご答弁で、足立区の二カ所で対策促進地区を選定し、豪雨対策を重点的に進めていただいているとのことでございますが、対策促進地区の一つであります足立区千住地区、ここもまた雨水の問題については非常に困っているところでございまして、その現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○高相建設部長 対策促進地区であります足立区千住地区における対策として、基幹的な施設であります千住関屋ポンプ所と隅田川幹線の整備を進めてございます。
 千住関屋ポンプ所は、千住関屋町など約三百ヘクタールの地域に降った雨水を隅田川に放流するためのポンプ所であり、既存の千住ポンプ所など二カ所のポンプ所に加え、流域全体の雨水排除能力の増強を図るものであります。平成二十一年度に工事に着手し、現在ポンプ所下部躯体を構築する工事の準備を進めておるところでございます。
 また、隅田川幹線は、千住関屋ポンプ所へ雨水を流入させるための幹線であり、口径約四・七メートルから五・五メートルで、延長約三千六百メートルの幹線であります。工事は現在、シールド掘削機の製作とシールドの発進基地であります立て坑を掘削中であります。
 今後も地元住民のご理解とご協力を賜りながら、早期の完成に向けて鋭意工事を進めてまいります。

○中山委員 足立区での下水道局の重点的な取り組みというと怒られちゃうかもしれませんけれども、感謝したいと思います。
 ただ、これは私が頑張ったというよりは、私の前任の土持都議会議員とか、都議会議員になったときに、最初にいわれたことが、雨のたびにはんらんしちゃうところを何とかしてほしいということをいわれて、二十五年来の取り組みとか、地域の方々、下水道局の方々の取り組みであると思っております。
 ことしも中国甘粛省やパキスタンなど、世界各地で大規模な水害が発生しました。つい先日も、日本の鹿児島県奄美大島で記録的な豪雨が降り、三人の方が亡くなられました。
 こうした災害が続く状況を見ますと、東京の浸水対策は急務であり、対策促進地区の一刻も早い整備完了が必要であります。東京東部の状況が改善されたからといって、東京全体としては安心していられない状況がございます。最近は、板橋とか練馬の方に雲が発生しやすくなって、そこで一時間五〇ミリ、七五ミリ、時には一〇〇ミリというような雨が短期間であっても降るという状況がございます。
 今、ご説明にもありましたけれども、千住地域ではポンプを使って、それを強制的に河川に雨水を排出する、そういう取り組みがされていました。もともと東部の方は低地帯ですから、高さを利用して排出できないので、ポンプとかを使ったわけですけれども、そのポンプにつなぐための貯留管というのがあらかじめ埋設されていて、それを今回、ポンプの整備と同時に活用して、強制的に排水するということが、木造密集地域みたいになかなか上物が変わらない地域であっても、下水機能を高めていく秘訣として効果を発揮していくんだろうと思います。
 練馬とか板橋は土地が高いところですから、今までは雨水の河川への排出というのは自然に行っていたわけですけれども、その地下に大きな口径の貯留管等を設置して、あるいはポンプで強制的に排出する、そういうものも、千住地域でやっていらっしゃることが、これから大きな土地の改良がなかったとしても、下水道施設の機能アップということで一つのヒントになるんではないかと思いますので、ご検討をお願いしたいと思いますが、最後に、足立区千住地区を含めた対策促進地区、これは全体で二十地区の整備完了に向けた局長のご決意を改めてお伺いいたします。

○松田下水道局長 都市型水害から首都東京を守ることが下水道事業の重大な責務でありまして、局所的集中豪雨などがもたらす浸水被害などの災害にも対応できるように、下水道施設の整備推進が極めて重要でございます。
 そこで、ただいまご質疑いただきましたが、足立区千住地区など、対策促進地区として重点化を図った浸水の危険性の高い二十地区については、ただいまご指摘ございました下水道幹線、あるいはポンプ所などの基幹施設の整備などを行いまして、浸水被害の軽減を図ることといたしました。
 対策促進地区につきましては、今年度スタートいたしました経営計画二〇一〇の最終年度であります平成二十四年度末までに九地区で整備を完了させる予定でございまして、平成二十九年度を目標に、すべての対策促進地区で整備を完了させる予定でございます。
 整備に当たりましては、浸水被害からお客様の生命と財産を守るという下水道の使命を改めて肝に銘じまして、局一丸となって事業を積極的に推進し、一刻も早い完成を目指してまいります。

○中山委員 力強いお言葉、ありがとうございました。今後も最少の経費で最良の下水道サービスの提供に向けた経営の効率化をよろしくお願いしたいと思います。
 下水道サービス株式会社につきましても、都庁から行かれている方も、OBの方も、固有の方も、本当に胸張って仕事ができるように、少々解説が難しい事柄もあるかもしれませんけれども、逃げずに真正面から都民に説明をしていただいて、透明性の向上はもちろんですけれども、体質の改善等、課題があるときには、それは率先してやっていただく。
 そうした中で、首都東京の都市機能を地下から支えていくということは、ふだん目立たないお仕事ですから、そこに取り組んでいる人たちが本当に力を発揮できるように環境を整えていかなければいけないと思っております。
 今、局長の言葉にありました、局が一丸となって取り組んでいただかなくてはならない課題が山積しております。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○西崎委員 私からは、下水道事業における震災対策の取り組みについて、まず伺いたいと思います。
 震災対策については、一昨年の平成十九年度公営企業会計決算特別委員会でも取り上げて質問していますけれども、震災対策は、いつ起こるかわからない災害に準備するものでありまして、ややもすると、その準備が怠りがちになってしまうのではないかと思います。
 そこで、この二年間の進捗状況を確認する上でも、改めて震災対策の状況をお聞きしたいと思います。
 決算資料を見てみますと、平成二十一年度末には、下水道局が管理する施設は区部だけでも下水道管延長一万五千八百キロメートル、水再生センター十三カ所、ポンプ所八十三カ所と膨大な規模になっています。
 こうした下水道施設が地震により被害を受けますと、都民生活に大きな影響を与えることになると思います。首都直下型地震などが発生した場合でも、下水道の機能を維持して、都民の生活への影響を最小限にしていくためにも、下水道施設の耐震化を進めることが大変重要です。
 そこで、まず下水道局における施設の耐震化対策の基本的考え方と、これまでの取り組み内容について伺います。

○松浦計画調整部長 耐震化対策の基本的考え方と取り組み内容についてでございますが、下水道局では、首都直下地震など、震災時においても下水道機能やお客様の避難時の安全を確保することを目的に、施設の耐震化を実施しております。
 下水道管の耐震化につきましては、避難所や災害拠点病院などに指定されている施設のトイレ機能を確保するため、これらの施設から下水を受け入れる下水道管の耐震化を行っております。
 また、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路などの交通機能を確保するため、マンホールの浮き上がりを抑制する対策を実施しています。
 水再生センター、ポンプ所につきましては、震災時にも下水をくみ上げる最低限の機能の確保などや、上部が公園に利用されている水再生センターの安全性を確保するため、壁や柱を補強するなどによりまして、土木施設の耐震化を実施しているところでございます。
 また、停電時にも対応できるよう、非常用電源を確保するほか、断水時でも運転可能な無注水型ポンプの整備を進めております。

○西崎委員 今のお話ですと、下水道管からポンプ所、水再生センターまで、これまでもいろいろ耐震化に取り組んできている状況についてはわかりました。
 ここで、具体的な取り組みについてお伺いしたいんですが、区部の話が出て恐縮ですが、私の地元は世田谷区になりますので、世田谷区は八十四万人近く人口がおりまして、二十三区でも一番、人口規模でも大きい区になるのではないかと思います。
 下水道施設といたしましては、区部の一割に当たる千五百キロメートルを超える下水道管が整備されています。震災どきにおいては、避難所などに多くの人が集まることが想定されますことから、地震の後もトイレが利用できるよう下水道管の耐震化を進めていくべきだというふうに思います。
 ついては、世田谷区における避難所などからの排水を受ける下水道管の耐震状況についてはどのようになっているのかお聞かせください。

○高相建設部長 世田谷区におきます下水道管の耐震状況についてでございます。
 下水道管の耐震化を行う対象施設は、区部全体で約二千五百カ所でございます。うち世田谷区では百九十四カ所であり、平成二十一年度末までに七十七カ所が完了いたしてございます。
 経営計画二〇一〇で既にお示ししているとおり、平成二十七年度までに下水道管の耐震化を完了させるよう鋭意取り組んでまいります。

○西崎委員 世田谷区の耐震化状況は、百九十四カ所の対象施設のうち七十七カ所しかできていないということで、進捗率が約四割程度ということなので、まだまだ足りない状況にありますので、平成二十七年度の完了に向けて、ぜひ今後も取り組みを推進していっていただきたいと思います。
 下水道施設の耐震化の取り組みについては今のお話でわかりましたけれども、こういった施設整備、いわゆるハード対策はすぐに終わらないことだと思います。一方で、首都直下型の地震は、いつ発生しても不思議ではないというふうにいわれています。
 こうした状況にも対応するためには、耐震化とあわせて、震災どきにおいて避難所などで発生するし尿の受け入れの体制を確保していくべきだと考えます。世田谷区の状況とあわせて、区部の取り組みについてお聞かせください。

○黒住施設管理部長 避難所の仮設トイレから出るし尿は各区が運搬し、下水道局の水再生センターや、地震に対して比較的被害を受けにくい大口径の下水道幹線のうち、し尿を流すための水量が比較的多く、交通及び応急活動等の支障とならない箇所などにあるマンホールで受け入れ、処理することとしております。
 このし尿受け入れ用のマンホールは二十三区すべてにございまして、平成二十一年度には三カ所を追加しております。その結果、世田谷区の四カ所を含め、六十三カ所を指定しております。
 なお、し尿の受け入れにつきましては、東京都地域防災計画などに基づきまして、すべての区と覚書を締結し対応しており、区と共同でし尿の受け入れ訓練を実施するなど、発災時にも適切にし尿の受け入れができるようにしております。

○西崎委員 トイレというのは、何か災害があったときに一番対策が困るというような話も、私は世田谷区議会にいたときに、よくこういった問題を議会でも話していた記憶があるんですけれども、世田谷区では、早くから震災用のマンホールの設置に力を入れていたと思うんですけれども、今後、区などと連携して仮設トイレの確保も進めていくべきだと考えます。
 下水道局では、仮設トイレを設置可能なマンホールの指定を進めているようでありますけれども、その取り組み状況についてはどのようになっているのかお聞かせください。

○黒住施設管理部長 下水道局では、避難所内のトイレだけでは不足する場合に備えて、その周辺でし尿の収集運搬の必要のない仮設トイレの設置ができるマンホールを指定しております。
 このマンホールは、避難所の周辺において、下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、交通や応急活動などの支障とならない場所を区と調整し、指定しております。
 仮設トイレが設置可能なマンホールにつきましても、二十三区すべてにございますが、平成二十一年度に新たに二百三十一カ所を追加し、平成二十一年度末には、世田谷区の百五十九カ所を含め、区部全体で三千九百二十七カ所となっております。
 なお、災害時において、仮設トイレが設置できるマンホールを現地で速やかに確認できるよう、マンホールのふたには青色の目印をつけております。

○西崎委員 大分取り組みが進んできたということはよくわかりました。今後もぜひ世田谷だけではなく、全域にわたってこういったことを進めていっていただきたいと思います。
 次に、浸水対策に対して、行政と都民との協働という視点について伺いたいと思います。
 今、中山委員からもお話がありましたように、奄美大島で先週、大変な豪雨で、お年寄りの方が高齢者施設で亡くなるといったように、甚大な被害によって死者まで出ています。
 昨今の豪雨に対しては、下水道局では下水道管やポンプ所の整備などを進めていることは十分に理解していますけれども、こうしたハード対策だけでは、今、瞬間的に、一時間に一〇〇ミリ以上を超えるような豪雨への対応は大変厳しいんではないかというふうに思います。
 やはりそういった被害に遭わないように、都民側もしっかりと準備をしていくということが重要だと思いますし、ハード対策を補完する意味での都民の協力、つまり大雨に対する都民の備えが欠かせないというふうに思います。
 天気や天候や気候についての昔からの言い伝えがあると思うんですけれども、それを天気俚諺というそうです。よく聞く言葉は、雷が鳴ると梅雨が明ける。夕焼けは晴れ、朝焼けは雨など、これまで昔の人たちが自然を見ながら予知してきた部分がすごくあったと思うんですけれども、大雨に対する言い伝えとしては、ツバメが低く飛ぶと雨が降るというようなものがあります。
 このように、古くから日本人は五感で天気の移り変わりを感じて、時によっては、その変化に対応して突発的な風雨などをしのいできたと思います。
 しかし、多種多様な情報があふれる現代では、こうした天気俚諺が忘れ去られているようですし、また、それだけでは天候の変化や急激な異変に気づくことができないと考えます。行政としては、こうした都民の浸水に対する備えを補助する情報発信に取り組むべきだと考えます。
 そこで、公と民の役割分担を踏まえて、都民の浸水に対する備えを促すための情報発信に取り組んでいくべきだと考えますけれども、この点についての見解を伺います。

○松浦計画調整部長 平成十九年に策定した豪雨対策基本方針では、豪雨対策を推進するに当たり、公と民の役割分担を明確にするとともに、都民と目標を共有しながら、公助、共助、自助が連携していくこととしております。
 公の役割は、最も基本的な対策である下水道施設などの整備により、浸水被害の軽減を図っていくことであります。民の役割は、お互いに助け合い、浸水被害の拡大を防ぐとともに、みずからの生命や財産を守るため、豪雨時の情報を適時把握し、適切に避難することとしております。こうした共助や自助が促進されるための仕組みを構築することこそが重要であると認識しております。
 下水道局では、これまでもインターネットや携帯電話での東京アメッシュによる降雨情報の提供や、雨季前にお客様を戸別訪問し、浸水に対して注意喚起を図るなどの取り組みを実施してきました。
 今後とも区市町村と連携して、リーフレットの配布を行うなど、浸水に対する備えを促すための情報発信に努めてまいります。

○西崎委員 私も世田谷区の防災課から情報発信するアドレスは携帯に常に登録していて、地域で大雨とか洪水注意報があったら自分で気づくようには心がけていますけれども、今、インターネットとかアメッシュのお話がありましたけれども、携帯電話の情報提供は、かなり細かいところまで情報を瞬時に得ることができてとても便利だと思いますので、今後も浸水に備えるリスクコミュニケーションの充実を図っていただきたいと思います。
 浸水対策に限らず、下水道事業は再構築や合流改善など、取り組むべき事業は多岐にわたっております。こうしたさまざまな取り組みを効果的に進めるには、下水道局が単独で行うのではなく、区市町村など関係団体を初め、下水道を日々利用する都民や事業者との理解、あるいは協力が大変重要になってくると思います。
 都民の理解と協力を得ていくために、下水道局の取り組みについてお聞かせください。

○石原総務部長 下水道局では、ことし二月に策定をいたしました経営計画二〇一〇におきまして、良好な水環境を守り、お客様の安心で快適な生活を支える下水道サービスをさらに向上するために、お客様とのコミュニケーションを図る取り組みを充実させることとしております。
 まず、当局からお客様への働きかけといたしましては、下水道への関心を広め、下水道への理解を深めることを目指しまして、ホームページや印刷物等によるわかりやすい情報発信、「油・断・快適!下水道」キャンペーン等によるPRの実施、夏休み下水道教室など、子どもたちの環境学習の多様な機会の提供、水再生センターなどにおける地域のお客様との交流を深める取り組みなどを行っております。
 また、お客様の声を聞く取り組みといたしまして、各種アンケートや下水道モニター制度の活用、排水なんでも相談所による身近な相談窓口の確保などを進めております。
 さらに、今年度新たに、東京の下水道の実像を体感できる取り組みとして、工事現場や水再生センターを見学する下水道施設見学ツアーを実施し、参加者の方々から大変好評をいただいているところでございます。
 こうした双方向の取り組みを通じまして、より多くの下水道事業に理解、協力をしていただける応援団をつくってまいります。

○西崎委員 今ご紹介いただいた取り組みの中で、「油・断・快適!下水道」キャンペーンというのがあって、これがダイエットレシピというので、これをつくると本人もやせて、下水道管もきれいになるというので、私も見させていただいて、料理をつくった方はやせるそうです。
 これを生活者ネットワークでは早くから取り上げて、ぜひ積極的にPRをするようにということをいってきているんですけれども、今、どのように取り組みが進められてきているのか、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。

○石原総務部長 下水道に油を流しますと、下水道管の詰まりや悪臭の原因となるばかりではなく、川や海を汚してしまうため、下水道局では、ただいまお話がございました「油・断・快適!下水道」キャンペーンを展開いたしまして、下水道に油を流さないことを広くお客様に訴えてまいりました。
 毎年内容に工夫を凝らして実施をしておりますけれども、十回目となります今年度は、良好な水環境の再生と創造のため、お客様が実践しやすい、油汚れをふき取る行動を呼びかけるとともに、下水道局の環境への取り組みも紹介しております。
 具体的には、各区市が主催するイベントや、スーパーマーケットの店頭で職員が直接お客様に呼びかけているほか、商店街、あるいは金融機関等と連携してPRを行っております。
 これまでの成果といたしましては、昨年度の下水道モニターアンケートによりますと、油を直接下水道に流しているお客様はほとんどいなくなっておりまして、一定の意識の定着は確認できたと考えております。
 ただ、こうした取り組みは、常に継続して実施する必要がありますことから、今後も継続してお客様との協働の取り組みを進めてまいります。

○西崎委員 都民の意識も大変向上しているということがよくわかりました。
 きょうの質疑は、震災対策と都民との協働ということについて幾つか質問させていただきましたが、やはり都民との協働をつくっていくためには、下水道局に対する信頼関係というのは大変重要ではないかと思います。
 この委員会の冒頭に、小山委員から下水道サービスに対する質疑、それから、それに対して中山委員からも株式会社をなぜつくらなければいけなかったのか、どのような仕事をしているのか、都民に理解してもらうことが大変重要だというご意見がありました。私もそう思います。ぜひ透明性を持って、また今後の事業に当たっては、真摯な態度でやっていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○田の上委員 私からは、大きく二点にわたり質問させていただきます。さきの質疑におきまして、重複する内容のものもございますが、そのまま続けさせていただきますので、ご了承ください。
 節水などによる下水道使用が減少する中でも、自然環境による雨水については予測を超える事例も多々見られます。国土交通省のデータによると、一九九三年から二〇〇二年の十年間における被害額の割合は、東京都で八〇%が内水、二〇%が外水となっています。
 ここでは、区部下水道事業においての雨水による浸水対策について伺います。
 下水道局では、老朽化施設の再構築を進め、更新に合わせて管渠を太くすることで浸水被害の軽減を図ってきました。また、幹線管渠の整備延長はもちろん、雨水ポンプの設置台数をふやしてきています。
 最近では、局所的集中豪雨にも対応できるよう、幹線やポンプ所の整備で浸水対策を強化しています。東京丸の内などの地下街五地区では、一時間七五ミリの降雨に対応できる貯留施設を整備検討しています。
 雨水整備クイックプランでは、繰り返し浸水被害が発生している四十二地区や、大規模地下街を有する四地区などで暫定貯留管整備など、緊急的な対策を平成十一年から実施していますが、暫定的な対策を今後どのようにして長期的な対策にしていくのでしょうか。

○松浦計画調整部長 今後の長期的な対策についてでありますが、本来、浸水防止のために、雨水を速やかに排除させる下水道幹線の整備は下流から行うものであります。
 しかしながら、多発する局地的集中豪雨に対応し、浸水被害を早期に軽減するため、平成十一年度からは、できるところからできるだけの対策を行うという整備方針で雨水整備クイックプランを策定し、緊急的な対応を図ってきたところです。
 具体的には、繰り返し浸水被害が発生している地区などで下水道管を部分的に先行整備を行い、暫定的な貯留管として活用することなどにより、浸水被害の早期軽減を図ってきております。
 この暫定貯留管は、今後、下流部の下水道幹線の整備を行う際に接続させ、機能させることにより、浸水への安全性を一層高めていくこととしております。

○田の上委員 ご説明いただきました。長期的には、下流の整備に取り組んでいくということですね。
 一時間五〇ミリの降雨への対応は、現在、区部で六割を終え、今後、残り四割のうち、重点地域を対策促進地区として整備を行っていくと聞いております。この四割の整備をどのように行っていくのかお聞かせください。

○松浦計画調整部長 当局では、一時間五〇ミリの降雨に対応する施設の整備を進めており、整備が完了した面積の割合は、平成二十一年度末で区部において六〇%となっております。
 この整備には多大な費用と長い期間を要しており、進捗率は毎年約一%であります。このため、残りの四〇%につきましても長い期間が必要であると想定されることから、これまで以上に効果的に対策を進めていく必要があります。
 このため、浸水の危険性の高い地区に重点化して、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設を整備しているところでございます。
 このことに加えまして、下水道管の老朽化対策とあわせて、雨水排除能力の向上を図る再構築を実施することにより、一時間五〇ミリの降雨に対応できる地域の拡大に努めてまいります。

○田の上委員 年間一%程度ということで、進捗が遅いようにも思われますが、以前は年間〇・六%と聞いておりました。今後ともご努力をお願いしたいと思います。
 二〇〇四年の経営計画では、一時間五〇ミリの降雨に対応する幹線管渠の整備延長や、新宿、渋谷の駅周辺などが、場所によって一時間七〇ミリの降雨に対応する貯留管を整備するなどとしていましたが、二〇一〇年の経営計画では、七五ミリ降雨に対応する地下街も出てきました。
 最近では、先ほど来お話に出ていますけれども、一時間に五〇ミリ、七〇ミリどころではない集中豪雨が見られますが、今後、予測できない集中豪雨に対応するために、さらに対応降雨量の想定を大きくすることは考えていらっしゃるのでしょうか。

○松浦計画調整部長 今後の集中豪雨への対応についてでありますが、都では平成十九年に東京都豪雨対策基本方針を策定し、頻発する集中豪雨への対策の方向性を取りまとめております。
 同方針では、おおむね一時間七五ミリの降雨までは床上浸水や地下浸水被害を可能な限り防止することとし、また、一時間一〇〇ミリを超える大雨などが降った場合でも、生命の安全を確保することとしております。
 具体的には、一時間五〇ミリの降雨に対応できる河川や下水道の整備に加えまして、各家庭や公共施設に浸透ます等を設置し、雨水の流出を減らす流域対策を進めるとともに、高床建築や地下空間浸水対策などの実施を促すまちづくり対策を推進することとしております。
 なお、下水道施設の整備には多大な費用と長い期間が必要であるため、くぼ地や坂下など、地形的に繰り返し被害を受けている地区や、浸水の危険性が高い地区を対策促進地区に選定し、豪雨対策を重点的に進めているところでございます。

○田の上委員 長い年月と多くの事業費がかかるということでございました。なかなか大変な事業でありながら、さまざまな方法で浸水対策に取り組んでいることや、優先順位をつけて重点的に整備していくという方向性はよくわかりました。
 都市の駅周辺や地下街のみでなく、住宅街においてもさらなる対策が必要になってくると思われます。対応貯留容量の大きい施設を望む声も上がっております。今後の対応について、ご見解があればお願いいたします。

○松浦計画調整部長 今後の浸水被害への対応についてでございますが、一時間五〇ミリの降雨に対応する整備が完了していない地域につきましては、繰り返し被害を受けている地区や、浸水の危険性が高い地区から重点的に整備を推進していくこととしております。
 一時間五〇ミリを超える降雨への対応は、東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、河川や下水道の整備に加え、雨水の流出を減らす流域対策や、まちづくりの対策を推進していきます。
 これに加え、河川や下水道の能力を超えて水があふれ出した場合にも、生命、身体の安全を守ることを目的に、適切な避難を可能とするに必要な情報の提供をより一層充実していきます。
 具体的には、関係各局と連携し、お客様や区への情報発信として、東京アメッシュによる降雨情報や下水道幹線の水位情報の提供、浸水予想区域図の公表などを行い、避難に役立つ取り組みを行っていきます。
 今後とも下水道施設の整備を進めるとともに、お客様や区に適切な情報提供などを行い、浸水対策を着実に推進してまいります。

○田の上委員 集中豪雨などによる下水があふれる問題とか、雨水がたまってしまうなどという問題は、昔からよくありました。私が住んでおります江戸川区でもよく聞いたものでございます。多くを一度には望めませんが、生活に即した課題の解決に向けて、今後ともご努力をお願いするところでございます。
 続きまして、今後、耐用年数を超える下水道管が急増する中、幹線の再構築をするために、下水の流れを切りかえる新たな幹線が必要であるという課題や、減少してきているとはいえ、道路陥没の問題などがございます。
 下水道局の建設費は毎年ふえ、次年度の予算見積もりでは千四百五十億円とされており、今年度予算と比べても二百億円の増加となっています。課題に対応するための必要経費が今後も増加することが予想されます。下水道局では、サービスの向上のために経営効率化に努め、最少の経費で最良のサービスを提供するとされております。
 先ほど来、監理団体についての質疑がなされておりますが、都民が望む効率化とは何なのか、透明性とは何なのか、また公益性とは何なのか、あらゆる角度から考えていかなければいけないと思っております。
 つきましては、契約関連の努力も必要だという観点から、設備関連の契約について質問をさせていただきます。
 約一年間にわたり、公営企業委員会で契約締結報告書を見てまいりました。設備関係の契約において、改善の余地があると思われる事項について質問をしてまいります。
 議会にかかるのは九億円以上の案件ですが、このたびは九億円以下の契約についても一年間の経過調書を資料としていただきました。
 まず、指名競争入札の場合、公表をして入札参加希望する業者を募る際、十者程度は参加することが望ましい、五者未満になってしまった場合は下水道局側からも働きかけをすると聞きました。何者希望しているかはその都度確認をしているのでしょうか。また、一般競争入札の場合はいかがでしょうか。

○須田経理部長 入札参加を希望される業者さんからの工事希望申込書の受け付け状況の確認についてでございますが、工事希望申込書の受け付け状況につきましては、発注工事の予定表を公表している間も随時、申込者の書類等の確認等を行っており、公表期間中から申し込み状況を確認しております。
 受け付け終了後には、指名業者の選定を行っており、指名された業者さんが入札に参加しております。
 また、一般競争入札の場合も、申し込み状況の確認は指名競争入札と同様でございます。
 受け付け終了後には、資格確認ができた業者さんは、そのすべてが入札に参加することができるものでございます。

○田の上委員 五者未満になってしまった場合に参加業者をふやすためには、過去の実績などから業者に声かけをするのかと推測をいたしますが、どのような基準で選定し、参加を促すのでしょうか。

○須田経理部長 発注工事を希望される業者さんが十者に満たない場合は、下水道局工事請負指名競争入札参加者指名基準に基づきまして、補充して十者指名を基本としております。
 ただし、工事の性質、目的、その他の事由により十者指名とすることができない工事でも、補充による指名を行いまして、五者以上指名するよう努めているところでございます。
 補充による指名に当たりましては、指名基準に基づきまして、当該工事の業種や内容、規模などに見合うように、業者の格付や過去の実績等を勘案して適切に選定しております。

○田の上委員 指名競争入札に関しては、競争になるようにご努力されているとのご説明をいただきました。
 九億円以上は一般競争入札ですが、入札経過調書を見ていても参加者が少ないという印象ですが、下水道局は参加者が少ないことを認識されているでしょうか。また、なぜ参加業者が少ないのか、ご見解があればお聞かせください。

○須田経理部長 下水道設備工事のすべてにおいて入札参加者が少ないということではないと思っておりますが、工事内容によっては参加者が少ないものもあると認識しております。
 下水道設備の中には、特殊性があり規模も大きいものがございます。例えば発電機、監視制御設備、ポンプ据えつけ、焼却設備、送風機機械設備工事のように、これらの設備を製造し設置させる工事に一定以上の技術水準が求められるものがございます。
 これらの設備工事はそもそも受注可能な業者さんが少ないことから、入札参加者が少なくなる場合もございます。

○田の上委員 下水道設備は専門的で技術水準も高いということで、業者数が少ないのではないかということだと思います。
 下水道設備の特殊性というのはどのようにお考えでしょうか。また、どのような規模を指して大きいというふうにお考えになっているのかお聞かせください。

○須田経理部長 下水道設備の特殊性についてでございますが、下水道の設備は水再生センターやポンプ所等における設備でございまして、地域特性や施設の特徴に応じた揚水、下水処理、汚泥処理等の下水道特有の機能が求められております。
 また、下水道施設における電気設備やポンプ設備等は、一般的な建築物における電気設備や機械設備を用いることはできないものでございまして、当局のそれぞれの施設に適合する機器を製造し設置することが必要でございます。
 また、規模の面を見ましても、東京都の各水再生センターは日量十万立方メートル以上の計画処理水量を有するなど、全国的に見ましても大規模となっております。

○田の上委員 電気設備やポンプ設備も一般的な建築物の設備とは異なるというお話でございました。
 それでは、例えば専門性のある分野とそうでない分野というぐあいに、いわゆるCM発注といいますか、コンストラクションマネジメント方式で分類して発注することもできるかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○須田経理部長 当局におきましては、設備工事においては分離発注に努めております。それほど専門性を必要としない工事は比較的小規模な工事となるため、入札の参加希望者も多くなってございます。
 なお、先生ご指摘のコンストラクションマネジメント方式、いわゆるCM方式とは、工事に当たって発注者の立場に立つ代理人、第三者を介在させまして、業者の選定から価格交渉、資材調達、施工管理など、工事、コスト、工程をまとめて管理させるという手法のことであると理解しておりますが、当局の設備工事は地域特性や施設の特徴に応じた特有の機能が求められておりますことから、マネジメントが困難でございまして、現在のところ、CM方式を採用する予定はございません。

○田の上委員 九億円以上の案件につきましては、入札日時で申しますと、平成十九年六月二十二日から平成二十二年七月二十九日までのおおよそ三年間の入札経過調書を拝見させていただきました。
 また同時に辞退届もすべて拝見をいたしました。入札に参加する意思を見せながらも、辞退する業者が大変多いという印象でございます。パネルを出します。
 これはざっとデータをまとめたもので、グラフにしただけのものなんですけれども、このおおよそ三年間の入札の件数、九億円以上です。全部で四十六件でございます。
 そのうち落札者のみが入札し残りがすべて辞退になっている、一者だけ入札に参加したというのが五七%程度でございます。落札者以外に入札参加者が一者あったけれども、残りは辞退というものがこちらの一七%程度。それから、落札者以外に入札参加者が二者あった、だけれども、残りは辞退というところが大体四%。それ以上、落札者以外に入札参加者が三者以上あったものというのがここの二二%という形になります。非常に辞退が多いかなという印象でございます。
 下のものは、おおよそ三年間の間に参加業者数、これは落札者も含めて大体百十一業者あったわけなんですが、辞退者数を数え上げていきますと百三十程度あったということで、とても辞退が多いのかなというふうに私は考えております。
 電子入札の競争入札になっていながら辞退が多く、事実上競争になっていない案件が多くあるのではないかと思っております。入札辞退が多い理由について、下水道局はどのようにお考えでしょうか。

○須田経理部長 入札辞退が発生しております契約の多くは、一定以上の技術水準が求められる設備工事でございます。
 平成十九年度から二十一年度の三カ年で、一般競争入札において業者が入札を辞退した理由を調査いたしましたところ、土木、建築、設備とも業者さんが積算した金額が当局の予定価格を超過したためという積算超過や、予定していた技術者の配置が不可能となったためという技術者不足などが上位となっております。
 まず、積算超過につきましては、現在は入札予定価格を事前公表しておりまして、業者さんが行った積算金額との対比ができるようになったことから、業者さんが仕様書や図面等に基づき工事費を積算した上で、採算性を考慮して辞退することが多いのだと考えております。
 また、技術者不足につきましては、予定していた技術者が他の工事の専任となったため、必要な技術者が配置できなくなったということであろうかと推測しております。

○田の上委員 入札辞退に関しまして一定のご見解をいただきました。また、その理由について調査をされているものだと思います。辞退理由を調査しているのであれば、その調査結果を反映させる仕組みを考えるべきではないかと考えます。
 平成二十一年十月二十八日に東京都の財務局が公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針を発表し、発注者と受注者の信頼関係の醸成に触れて、業界団体との意見交換の場を設けるとしています。
 このような意見交換を行う場としての連絡会は、下水道局は設けているのでしょうか。お伺いいたします。

○須田経理部長 平成二十一年十月に財務局から出されました公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針では、契約制度や工事技術に関し定期的に意見交換を行う場として、先生ご指摘のように、業界団体の代表者、学識経験者及び都職員から成る連絡会を設置することといたしております。
 なお、下水道業界の各団体とは、定期的に要望活動を受け付け、意見交換を行っておりまして、下水道設備に関しては、東京下水道設備協会と定期的に意見交換を行っているところでございます。

○田の上委員 下水道局でも協会と意見交換を行っているということでした。財務局の示す連絡会とは異なるのでしょうが、そういった形で意見交換をしているということです。学識経験者など第三者の意見も取り入れられるよう、そんな形の連絡会を設置した方がよいのではないかと、意見だけ申し上げさせていただきます。
 下水道設備工事の特殊性というものがあるかもしれませんが、発注者としては、優良事業者の受注機会を拡大するために、よりよい公共調達の実現にさまざまな角度から取り組むべきだと考えております。
 視点を変えますが、もし業者数が極端に少ないのであれば、特命随意契約にするという方法もございます。地方公営企業法施行令二十一条の十四第一項には随意契約ができる場合が記されています。
 競争入札よりも工期の短縮、経費の節減が図れる場合もあります。一者入札で残り全部辞退の案件では落札率がおおよそ九五%、中には九八%、九九%を超えるものもあり、落札率が高い傾向であります。
 こうした中、さまざまな検討ができるのではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

○須田経理部長 地方公共団体の契約につきましては、地方自治法上も一般競争入札が原則とされておりまして、随意契約は同法二百三十二条第二項におきまして、政令で定める場合のみの例外規定として定められております。
 当該工事を複数の業者さんが受注できる可能性があり、工期の短縮や経費の削減等について、それぞれの業者側に工夫の余地がある場合には、入札の競争性や透明性を確保する観点から、競争入札によらなければならないものとされております。

○田の上委員 競争入札が望ましいのは当然のことでございます。もしそのように思われるのであれば、なおのこと発注者側の工夫を考えるべきではないかと申し上げます。
 この状況を見ますと、一者だけが参加し落札、そしてそのほかが辞退しているという件数がかなりありますので、この現実的な結果を見て改善に取り組んでほしいと思っております。
 例えば一者だけの入札であれば不調とする、再度入札を行うなどの工夫ができるのではないかと思いますが、ご見解を伺います。

○須田経理部長 先生のご質問が、一者のみの入札では競争が成り立っていないのではないかとのご趣旨でございますれば、確かに電子入札導入前の入札室において入札札を入札箱に投じる方式の入札では、入札を開札する前に一者を残して全者が辞退いたしました場合は不調といたしておりました。
 これは当該業者に競争相手がいないことが明らかとなることから、競争性を確保できないことによるものでございます。
 しかしながら、現在採用しております電子入札では、指名業者数を入札前に公表することはございませんで、応札する業者さんは当該入札に何者が参加しているかを知ることなく札入れをする仕組みとなってございます。
 したがいまして、競争性が失われることではないので、再度の公表や入札を行う必要はないと考えております。

○田の上委員 つまり、電子入札なので、あけるまで業者側の方は結果がわからない。結果的に一者のみの入札になっても競争性は保たれるということだと思います。
 契約制度の問題は古くて新しい問題であります。どこの自治体でもさまざまな努力を重ねて試行錯誤しながら改善を図ってきております。
 電子入札によって談合が少なくなるというメリットもいわれてきましたが、入札参加者の積算の努力がわからないとか、簡単に辞退できるといったことも新たな課題として取り組むべきではないでしょうか。
 いろいろ伺ってまいりましたが、あれもできない、これもできないというようなお答えでありました。ただ、東京都の下水道局の皆さん、とても優秀な方々ばかりだと思いますので、知恵を結集していただき、また、時には第三者、外部の知恵もいただきながら、もっと努力をしていただけないかと思っております。
 参加業者をふやす努力、そして真に公平な入札の確保に向けて、さらなる努力が必要かと思っておりますが、ご見解を伺います。

○須田経理部長 入札参加者をもっとふやし、真に公平な入札の確保に向けて努力をすべきとのご意見についてでございますが、下水道局では、競争性の確保と受注機会の拡大を図る観点から、一般競争入札の拡大や指名業者数の拡大に努めているところでございます。
 例えば、入札参加希望者が特に多い工事や、発注機会が特に少ない工事につきましては、指名基準では十者の指名を原則としているところではございますが、十者を超えて指名を行っているところでございます。
 さらに、発注に当たりましては、分離発注の工夫、発注時期や工期末の平準化、配置技術者要件の実態に即した見直し、見積もり方式を取り入れた積算の改善などの取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みをさらに進めまして、入札参加者をふやす努力を行ってまいります。

○田の上委員 設備以外の契約案件では熾烈な競争入札になっており、低入札価格調査や特別重点調査がなされ、低価格入札で失格になっているところが多くございます。
 もちろんこの状況がいいとは思っておりませんが、入札辞退が極端に多く、事実上競争入札になっていないことをもっと疑問視するべきではないかと考えております。
 公共調達は透明性、競争性、そして都民に還元する品質確保が必要であり、よりよい公共調達の実現に向けて、惜しみない努力がさらに必要であると申し上げて質問を終わらせていただきます。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十二分散会

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