平成二十年度公営企業会計決算特別委員会速記録第三号

平成二十一年十一月十六日(月曜日)
第四委員会室
   午後一時開議
 出席委員 二十三名
委員長樺山たかし君
副委員長早坂 義弘君
副委員長橘  正剛君
副委員長今村 るか君
理事伊藤 興一君
理事山加 朱美君
理事林田  武君
理事松下 玲子君
理事野上ゆきえ君
加藤 雅之君
野田かずさ君
関口 太一君
きたしろ勝彦君
星 ひろ子君
たきぐち学君
吉倉 正美君
笹本ひさし君
鈴木 勝博君
かち佳代子君
三宅 茂樹君
斉藤あつし君
くまき美奈子君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
都市整備局長河島  均君
港湾局長比留間英人君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君

本日の会議に付した事件
 平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
・平成二十年度東京都病院会計決算
・平成二十年度東京都中央卸売市場会計決算
・平成二十年度東京都都市再開発事業会計決算
・平成二十年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・平成二十年度東京都港湾事業会計決算
・平成二十年度東京都交通事業会計決算
・平成二十年度東京都高速電車事業会計決算
・平成二十年度東京都電気事業会計決算
・平成二十年度東京都水道事業会計決算
・平成二十年度東京都工業用水道事業会計決算
・平成二十年度東京都下水道事業会計決算

○樺山委員長 ただいまから平成二十年度公営企業会計決算特別委員会を開会をいたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 なお、去る十月九日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。

   〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕

○樺山委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従い運営してまいります。
 また、質疑を行う際は、平成二十年度決算の審査から逸脱しないよう、ご協力のほどよろしくお願いをいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせをいたします。質疑時間はお守りを願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いをいたします。
 なお、発言の際には必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いをいたします。
 これより順次発言を許します。
 大津委員の発言を許します。

○大津委員 水道の漏水率と温室効果ガスの削減について、そして、人と技術の総合力によるコストダウン及び環境、水道、都市間外交について総括質疑を行います。
 水道局では、これまで漏水防止対策に積極的に取り組み、平成二十年度末で漏水率三・一%という世界最高水準にまで改善をし、達成をいたしました。貴重な水資源の有効利用と水道事業経営の効率化を図る上でも、水道局は、漏水防止に向けてどのような対策に取り組んでいるのかを、最初にお伺いいたします。

○尾崎水道局長 水道局では、水資源の有効利用や漏水による二次災害防止の観点などから、積極的に漏水防止対策に努めております。
 具体的には、漏水を未然に防止するための管路の材質改善として、経年管や初期ダクタイル管の取りかえ、鉛製給水管のステンレス化などを実施しており、現在、送水管のダクタイル化率は九九%、公道内の給水管のステンレス化率は一〇〇%となっております。今後は、私道内の給水管の整備改善などに重点的に取り組んでまいります。
 また、昼夜を問わない即応的な対応といたしましては、地上漏水を速やかに修理する機動作業や、地下漏水を音聴技術などで調査発見する計画作業を行っております。
 さらに、高い技術水準を確保するため、漏水調査機器に関する技術開発に取り組むなど、引き続きこれらの漏水防止対策を推進してまいります。

○大津委員 水道事業が環境面に与える影響に着目をしますと、漏水防止対策に取り組むことによる環境負荷の軽減効果も重要な視点であります。水道事業は、送配水過程で大量の電力を使用しており、電力の使用によりCO2を排出をします。
 そこで、漏水率を低下させることによって、電力使用量やCO2排出量をどの程度削減できるのか、伺います。

○尾崎水道局長 漏水率は、平成に入ってからの二十年間だけでも、積極的な漏水防止対策により、平成元年度の一一・七%から平成二十年度の三・一%まで、八・六ポイント低減しております。この漏水率の低減によって、送配水等に必要な電力の使用量を年間約七千五百万キロワットアワー節減できました。これによって、約三万トンの二酸化炭素排出量が削減されたことになります。
 なお、この削減量は、当局の総排出量の約一割、自動車に換算して約一万三千台の年間排出量に相当するものであります。

○大津委員 漏水防止対策に取り組むことが、水資源の有効利用だけではなくて、地球温暖化対策にも資することが、数字の上からは確認できます。
 一方で、漏水率がここまで改善されてきますと、漏水防止にかかわる投資の効率性という議論も、一方では当然出てくるわけであります。
 そこで伺います。最近の漏水防止対策の実績はどのように推移をしてきたのか、お伺いいたします。

○尾崎水道局長 漏水率の改善幅は、年度により増減はありますが、対前年度比較で、平成元年度は〇・五ポイントでありましたが、平成二十年度では〇・二ポイントとなっております。
 また、地下漏水の発見効率におきましては、一キロメートル当たりの漏水発見箇所数は、平成元年度は二・四カ所でありましたが、平成二十年度では〇・六カ所となっております。

○大津委員 世界でも最高水準の三・一%の漏水率を達成をしてまいりました。しかし、この三・一%という数字を維持していくだけでも、大変な努力が必要となるところでもあります。そうした果てしない、これからも三・一%、そして、もっと低くなるような地道な努力を水道局には期待したいところでもあります。
 また、水道局の漏水防止対策の努力とともに、利用者としましては、都民としては、せめて、蛇口からうっかり垂れ流しや、また、水道水のむだ遣いをなくしていく、そうした努力との相乗効果を発揮をしていきたいと考えています。
 そこで、このように三・一%という世界最高水準の漏水率を実現した水道局としましては、費用対効果を見据えて、今後どこまで漏水防止対策に取り組んでいくのか、伺いたいと思います。といいますのも、三・一%を、さらに二%、一%、零%と限りなく近づけていくということは、その対費用効果、投資効果と、実際の漏水していく費用とのいろんな相関も関係してくるわけでありまして、その辺のことについてお伺いをいたしたいと思います。

○尾崎水道局長 漏水防止対策に費やした額と、漏水防止量分を水源開発で確保したと仮定して算出した額とを比較しますと、その費用対効果は、平成十二年度の約三百三十億円に対して、平成十九年度には約五十九億円と低減しているものの、十分な成果を上げていると考えております。
 一方、水資源の有効利用と道路陥没などの二次災害の防止を図る観点から、漏水の発生を未然に防止するとともに、新たに発生する漏水を速やかに修理することは、これからも必要であると考えております。
 今後とも、費用対効果を踏まえ、より効率的で効果的な漏水防止対策を実施してまいります。

○大津委員 東京の漏水防止対策は、今や成熟の域に達してもおり、限られた水資源を有効活用するとともに、今後とも費用対効果を踏まえた方針を立てていっていただきたいと思います。
 さて、この漏水率をここまで低下させてきたいろいろな背景としましては、漏水調査機器などの技術進歩もさることながら、漏水防止に携わる水道局職員のいろいろな熟練のわざも大いに貢献をしていたというふうに聞いております。熟練職員が、水道管から漏水するその漏水音を、職員が耳で聞き分ける技能というのは、機器にはかえがたい音のたくみわざであります。
 新聞でも掲載されたところですけれども、配管のひびを、人の耳で水の流れる音を聞き分けて漏水箇所を突きとめることができる漏水Gメン、漏水ハンターと掲載された新聞も目にいたしました。その漏水Gメンといわれる音のたくみの職員の方に、直接お会いをし、お話も伺ってまいりました。
 深夜、人も車も少なくなってから、そうした住宅の中、まちの中、道路の地下の水道管を流れる水の音を、音聴棒という、このくらいの長い棒を使って、そこから人の耳で聞き分けるというたくみわざでもあります。最初と最後は、やはり機械がどんなに発達をしても、人間の持っている耳の才能といいますか、人の耳というのは一番確かなものであるということが、非常に、まざまざとわかった次第でありますが、耳がいいのか、そうしたことができるのには、どんなポイントがあるのかお伺いしたところ、やはり日ごろからの訓練、聞き分けるのに十年の経験が必要でしたというふうに答えておられました。
 そこで伺いますが、熟練職員の技術、これをどのように活用しているのか、お伺いをしたいと思います。

○尾崎水道局長 効率的に漏水箇所を発見するためには、最新機器を取り入れ、豊富な経験により培われた職員の技術を生かすことで、より高い効果が得られると考えております。
 例えば漏水箇所の特定におきましては、職員が電子式漏水発見器を使用し、漏水の音を耳で聞き分けて位置を特定しております。また、車両などによる雑音が多い場所や交差点など作業に危険を伴う場所では、コンピューターを活用した相関式漏水発見装置を用いて、職員がデータを解析し、位置を特定しております。
 このように、調査対象や作業環境などに応じて最適な作業方法を選択し、効率的で効果的な漏水防止対策に努めております。
 引き続き、職員のノウハウを活用し、機器の特性を最大限引き出すことで、漏水防止作業を推進してまいります。

○大津委員 機械が進歩しても、それを使いこなすのは人でありまして、三百六十五日二十四時間体制で漏水防止に取り組むためには十分なマンパワーも必要で、このような漏水防止に携わっている職員は、現在、何名ぐらいいるのか、内容についても伺います。

○尾崎水道局長 水道局の全職員数は、平成二十一年十一月一日現在、約四千名でありますが、出先事業所には約三千名が配属されております。このうち漏水防止に携わっている職員は二百八十一名であります。これらの職員が、一人当たりにつき、配水管約六十キロメートル、貯水槽水道などを除く直結の給水栓約九千件を担当しております。

○大津委員 二百八十一名の方が漏水防止のために日夜働いているという水道事情であります。
 実は先日、私も、水道局の人材育成の拠点という研修・開発センター、これは世田谷区の玉川田園調布にありますが、研修・開発センターを実際に見学をし、そこにある漏水防止実習所で、実際に漏水の音を聞き分けるということをしてまいりました。まさに都市の地下音でありました。
 そこで、その給水管の漏水を一件調査するために、わかりやすく費用の比較をしてもらいました。人が音聴棒を使い、つまり熟練職員の経験を生かし、人の耳で漏水を聞き分ける調査が大体千百二十五円、電子式漏水発見器等による、機械機器による漏水調査が千四百八十二円という回答をもらったところでもあります。これらは、作業時間は、調査に必要な時間を設定し、人が十五分、機械式が五分とした場合の漏水調査のコスト比較でありました。意外にも、人の調査の方がコストがかからない箇所が相当あるわけで、一番確かな人の耳で調査できる給水管のような箇所は、たくみ職人の耳で、また、人が入り込めないような水道管の中は、管内ロボットや相関式漏水発見装置や投下式漏水発見装置など、調査箇所による効率的な人と機器の使い分けによる、そういった総合力でコストダウンが図れていくのだと判断をしております。
 しかしながら、二〇〇七年以降、熟練職員の大量退職が続く中、技術を伝承し、人材を育成していくのは、大変なことであろうとも思います。そこで、水道局のこうした漏水防止対策を進めていくためにも、技術の伝承と育成がこれからも重要であることはかわりません。
 そこで、漏水防止にかかわる人の育成と技術の伝承について、水道局の具体的な取り組みをお伺いします。

○尾崎水道局長 漏水防止に係る人材育成と技術の継承につきましては、重要な課題であると認識しております。このため、研修・開発センターにおきまして、実技フィールドを活用した実践的な研修を行うとともに、各職場におきましても、日々の実務を通じたOJTの充実を図っております。
 また、ベテラン職員の持つ技術やノウハウをデータベース化した、いわゆるナレッジバンクにより、職員が動画等で常時学習することができるシステムを構築し、活用しております。
 さらに、高い技術を持つ経験豊富な職員を東京水道技術エキスパートに認定し、実務指導や各種検討会のアドバイザーとして、後進の指導に努めているところでございます。

○大津委員 こうした専門性の高い組織を運営していくためにも、日々の訓練による職員全体の技術力の底上げは必要であり、今後とも、水道技術者の育成、そして、技術の伝承を進めていってもらいたいと思います。
 消防庁にも、困難な災害に迅速に対処する技術、能力を備えたハイパーレスキュー隊がおりますけれども、そのハイパーレスキュー隊員のベテランの人も、日ごろからの訓練が一番といっておりました。音のたくみ職人も、やはり日ごろからの経験が重要といっているように、本当に地道な日々の努力というのが、いざというときに力を発してくると考えます。水道局においても、震災時や突発事故における対応を強化するために、昨年度から、水道緊急隊を設置したと聞いているところでありまして、こうした全体的な、専門を持った人たち、組織を育てていっていただきたいと思います。
 さて、世界の主要都市の漏水率に目を向けますと、アジアでは、マニラ六二%、ジャカルタ五一%、上海一七%、台北三五%と、漏水率がまだまだ高くなっています。一方、ロンドンは二六・五%、ベルリン五%、アメリカ、ロサンゼルスは九%と、まだまだ世界的には漏水率が高くなっております。
 東京では、戦後、防止対策に積極的に取り組んだ結果、昭和二十五年度には三〇%であった漏水率が、五年後の昭和三十年度には二〇%まで改善したということであり、ようやく今は世界水準の三・一%を達成したというところであります。こうした貴重な経験や蓄積した技術力は、高い漏水率に悩む世界の国々にも、きっと役に立つことだと思います。そのために東京都では、既に多くの国々から技術協力が求められていると聞きますが、どのような対応を行っているのか、お伺いします。

○尾崎水道局長 水道局では、海外からの要望にこたえるため、主に研修生の受け入れを通じて、当局が有するすぐれた技術やノウハウの提供に努めております。
 昨年度は、全体では、四十七カ国、四百二十五人、そのうち漏水防止技術を内容とするものだけでも、十八カ国、七十六人の研修生を受け入れております。
 研修に当たりましては、実習フィールドを備えた研修・開発センターを活用し、講義による知識の付与だけでなく、漏水防止等の実習を行うことにより、より実践的な研修を行っております。

○大津委員 こうした漏水防止技術の供与を望む世界からの声が多いということで、これからも、都市間技術交流、そういったこともぜひ期待をしたいところであります。
 国は、日本の温室効果ガスの削減は、二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減を目標に掲げ、東京都は、温室効果ガスを二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減する目標を、国に先んじて掲げておりました。地球温暖化対策としても、世界の協力は不可欠であります。よって、CO2削減効果も高い漏水率防止技術、これを通して都市間外交という環境外交を進め、現地に確実に技術を形で残していくことが重要かと思っています。
 そこで、あらゆる機会をとらえ、漏水に悩む途上国の都市などへ、東京のすぐれた漏水防止技術を、相手国のニーズを的確にとらえて伝えていくべきと考えていますが、いかがでしょうか。

○尾崎水道局長 漏水防止対策は、経営効率の向上に資するだけでなく、エネルギー消費の削減に有効であり、地球温暖化防止にも寄与するものでございます。
 こうしたことから、当局では、昨年開催されたC40気候変動東京会議において、共同行動として漏水防止対策を提案するなど、さまざまな国際会議の場を活用して、漏水防止の必要性やノウハウをアピールしてまいりました。
 さらに、アジア、アフリカなどの諸都市から多数の研修生を受け入れるとともに、独立行政法人国際協力機構、いわゆるJICA等を通じて技術職員を派遣するなど、技術協力を行っております。その結果、台北市では、ステンレス製の給水管や計画的な漏水調査方法の採用など、当局を参考にした漏水防止の取り組みを行っていると聞いております。
 今後とも、当局が有する高い技術力を生かして、海外の諸都市の漏水防止対策に積極的に協力してまいります。

○大津委員 きょう、いろいろと質疑もしてまいりました漏水防止技術を通じて、世界の都市と都市との結びつきによる都市間外交を積極的に実行をし、今お話のありました台北市を皮切りに、大いに、漏水率三〇%を超える都市も多いアジアを中心に、ヨーロッパ、北米へと展開をしていってもらいたいと考えます。
 また、水道局だけでなく、下水道局を初め、この公決に参加をしている各局ともに、東京ならではの今まで培ってきた技術は既に持っているはずでありますので、ぜひオール都庁として、人と技術を通した都市間交流、これをぜひ実現をしていっていただきたいと思います。また、こうした都市間外交が、広い意味での国際世界平和にも貢献し得るものと確信をしています。
 最後になりましたが、再度、こうした水道漏水防止技術、さまざまな技術を通しての都市間交流について、局長の意気込みを答えていただきたいと思います。

○尾崎水道局長 東京の水道の持つ漏水防止技術力は、世界でも、最高の水準にあると自負しております。その技術力を海外でも活用してもらえれば、都の水道の非常に喜びであります。
 今後、海外への貢献をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○樺山委員長 大津委員の発言は終わりました。
 次に、早坂副委員長の発言を許します。

○早坂委員 それでは、都議会自民党を代表して総括質疑をさせていただきます。
 平成二十年度普通会計決算の実質収支は、ほぼ収支均衡となっています。しかしながら、平成二十一年度の税収は、二十年度決算比で、およそ一兆円もの減少が見込まれるなど、都財政は決して盤石なものではなく、社会状況のいかなる変化にも柔軟に対応できるような財政基盤を一層確立していく必要があります。
 ところで、公営企業会計は、東京都予算総額の二割近くを占めており、出資や補助、貸し付けなど、他会計とも分かちがたい関係にあり、公営企業の経営改革なくしては、将来にわたる健全な財政は実現しないといっても過言ではありません。公営企業は、常に企業としての経済性を最大限発揮するとともに、本来目的である公共の福祉を増進するという基本原則に立って、都民に信頼されるサービスを提供していく必要があります。このような観点から質問をいたします。
 最初に、交通局について伺います。
 都営交通の創立は明治四十四年、西暦一九一一年であり、再来年には創立百周年を迎えます。この間、関東大震災、戦災などの苦難を乗り越え、復興を果たした都営交通を待ち受けていたものは、モータリゼーションに代表される都市の変容であり、それがもたらした財政危機でありました。
 昭和三十五年度から継続的な赤字へと転落した交通局財政は、その後、累積赤字が雪だるま式に増加していったのであります。都営交通百年の歴史の後半は、財政再建の歴史といっても過言ではありません。再建の歴史の中では、都電やトロリーバスを廃止し、事業の中心を都バスへ、さらには地下鉄へとシフトさせていきましたが、地下鉄は建設費の負担が非常に重く、国鉄最後の年でもある昭和六十一年度の地下鉄の決算では、経常損益で二百六十八億円の赤字で、資金不足が一千四百二十六億円という破綻寸前の状況にまで陥りました。その後も厳しい経営状況が続き、大江戸線が開業した平成十二年度には、三百五十二億円の赤字、三百四十六億円の資金不足でありました。
 しかし、平成二十年度の地下鉄事業の決算を見ますと、我が党のきたしろ議員の分科会質疑にもあったように、十八年度に経常損益で三十一億円の黒字となって以来、年々黒字額が拡大し、経常損益で約百四十億円の黒字となり、資金残も三百五十五億円となりました。まさしく隔世の感であり、これまでの努力が結実したものだと考えます。
 しかし、財政の面の改善だけをもって、経営基盤が盤石であるとはいえません。交通事業者が最も重きを置くべき価値観は、いうまでもなく、安全・安心の確保であります。安全の確立こそが、社会からの信用を得る交通事業者の経営の根本であります。
 そこで、まず、交通局は、地下鉄事業における安全対策について、どのように取り組んできたのか、伺います。

○金子交通局長 交通事業者にとって、安全・安心の確保は最重要課題であり、ご指摘のように経営の根本であります。このため交通局では、これまで、ハード、ソフトの両面から、都営地下鉄の安全を確かなものにするためのさまざまな対策を講じてまいりました。
 ハード面の対策として、平成二十年度は、浅草線の改良型ATSへの更新や運転士異常時列車停止装置の改良を進めているほか、駅の火災対策の強化を目指した排煙設備の整備などを行っております。
 今後は、お客様の転落事故防止のため、平成二十五年度までに大江戸線のすべての駅にホームさくを設置してまいります。さらに、安全運行の確保と事故が発生した際の迅速な復旧を図るため、運転、電力、保守など、各部門の司令機能を統合した総合指令所を開設することにしております。
 次に、ソフト面では、JR福知山線の脱線事故を契機に導入された運輸安全マネジメント制度を適切に運用し、安全方針に基づく安全重点施策を実施するとともに、内部監査などを実施し、安全管理体制の水準向上にも努めております。
 今後とも、安全最優先の都営交通を目指し、安全対策のさらなる充実に向けて取り組んでまいります。

○早坂委員 ハード、ソフト両面で多岐にわたり安全対策に取り組んできたということであります。
 地下鉄事業には、多額の累積欠損金や長期債務があることは十分承知していますが、連続して黒字を出せるようになった現在、より高いレベルでの安全対策に取り組むべきであります。
 同時に、こうしたさまざまな安全対策を運用するのは、最終的には、現場で運行に携わる人であります。我が国の鉄道の安全性と正確さは、映画化もされた小説「鉄道員(ぽっぽや)」のような安全に対する強い使命感、また、高い技術力により支えられてきました。しかし、現在では、人々の人生観も多様化し、日本人の美徳ともいうべきまじめさや一生懸命さというものも、ややもすると軽視されがちであります。さらに、今後、これまで安全を支えてきた団塊の世代、特に技術者の方が多く退職時期を迎え、人材の育成は最も重要な課題です。
 そこで、都営地下鉄の安全を支える人材の育成について、どのように取り組んできたのか、伺います。

○金子交通局長 鉄道の安全は、仕事に従事する一人一人が、みずからの使命を全うすることによって支えられております。しかし、鉄道の仕事の多くは、日々地道な作業の連続であり、ややもすればマンネリ化し、事故につながりかねない危険性をはらんでおります。
 そのため、交通局では、施設、設備面での対策だけではなく、一定の経験年数を経た乗務員全員を対象に実施しております研修の中で、改めて指差確認喚呼など基本動作、基本作業の徹底を図るほか、幹部が現場に赴き、直接職員と意見交換をすることで、安全に対する意識を高め、仕事を再点検するきっかけづくりにするなど、さまざまな取り組みを進めております。
 また、安全を技術面から支える職員の育成、技術継承についても重要な課題でありまして、若手職員にOJTを行うベテラン職員の指導力強化に加えて、車両設備など、故障を想定した模擬訓練を実施するなど、実践力を養う取り組みを行っております。こうしたことは、職員のプロ意識を高め、安全面だけでなく、お客様への親切な案内など、サービスの向上にもつながるものと確信しております。
 今後とも、鉄道の安全を支える強い使命感を持った人材の育成に努めてまいります。

○早坂委員 先ほど、交通局の財政再建、経営効率化の歴史に触れましたが、現在では、多くの仕事が関連団体や協力会社などに委託されていると承知をしております。都営地下鉄の運営が、交通局だけでなく、委託先に支えられるようになったことを考えると、安全対策は、もはや交通局の中だけの取り組みや交通局の職員だけを対象にした取り組みでは不十分と考えます。
 そこで、交通局は、関連団体など委託先の安全対策の確立に向けて、どのように取り組んできたのか、伺います。

○金子交通局長 交通局では、鉄道における安全・安心の確保と経営効率化を両立させる観点から、業務内容などを踏まえまして、これまで、地下鉄車両や変電所設備の保守、駅業務などの一部について、関連団体などへの委託を進めてきておりまして、委託先に対しても、安全を確保するための必要な支援を行っております。
 具体的には、ノウハウを提供した上で、駅業務の委託先には当局職員と同等の教育訓練を委託先職員に実施させるとともに、保守業務を委託する関連団体には、安全マネジメント体制の確立を求めております。さらに、局職員を対象とした事故防止研修に委託先の職員の参加を求めるなどの取り組みも行っております。
 ご指摘も踏まえ、関連団体など委託先における安全確保に一層努めてまいります。

○早坂委員 今後とも、安全対策の徹底をお願いいたします。
 本日は、地下鉄の安全に絞って質問をいたしましたが、交通局が所管するすべての事業において安全対策に取り組むとともに、分科会の我が党の質疑のように、エレベーターによるワンルート確保や、バス停上屋、ベンチの整備など、輸送サービスの向上にもしっかりと取り組まれるようお願いをしておきます。
 最後に、これからの交通局の局事業運営に向けた決意を伺います。

○金子交通局長 交通局は、長年にわたる財政再建、経営健全化の歴史を経て、ここ数年、財務面では一定の改善が見えてまいりました。しかし、安全の確立こそが経営の根本であるというのは、まさしくお話のとおりでありまして、安全・安心の確保こそが、地下鉄の経営基盤をより確かなものとし、企業価値を高めることになると、改めて意を強くしております。
 ただいまの質疑で、さまざまな安全への取り組みについて答弁してまいりましたが、安全対策に終わりというものはないわけであります。このことを肝に銘じて、地下鉄だけでなく、都営バス、荒川線、日暮里・舎人ライナーなど、局が運営するすべての事業について、徹底して安全を追求してまいります。
 同時に、駅のワンルート確保など、お客様サービスの一層の充実を図るとともに、財務面での課題である地下鉄事業の累積欠損金の解消、長期債務の縮減などに向け、経営をさらに効率化し、これまで以上にお客様から信頼され、支持される都営交通となるよう、全力で取り組んでまいります。

○早坂委員 次に、中央卸売市場事業について伺います。
 我が党は、将来にわたり都民の食生活を支える新市場の安全性を確保する観点から、予定地の土壌汚染の問題に真摯に取り組み、本会議や委員会での質疑を通じ、安全性について詳細に確認してまいりました。
 土壌汚染の状況については、敷地全域にわたる詳細調査と、これに引き続き、昨年度から本年度にかけて行われた深さ方向の調査の結果により、汚染範囲は限定的であり、敷地全体に汚染が広がっていないことが明らかになっています。
 また、東京都の土壌汚染対策は、日本有数の科学者により構成された専門家会議と技術会議において、科学的知見に基づく多角的な検証を重ね、安全・安心のレベルをより一層高めた、極めて信頼性の高いものです。さらに、施設完成後も、地下水のモニタリングができるようにするなど、土壌汚染対策法の改正により、新市場予定地が新たに法の対象となることも視野に入れられており、この対策を確実に実施することで、新市場予定地の安全を揺るぎないものにすることができると確信をしております。
 新市場予定地は、現行の土壌汚染対策法施行以前にガス工場が廃止されていることから、法の対象外となっていますが、民主党は、法と同等以上の調査を求めていました。
 そこで、東京都が行った調査は、法と比べ同等以上のものであったのかどうか、伺います。

○岡田中央卸売市場長 現行の土壌汚染対策法で求められる調査でございますが、まず、調査区画につきましては、土地の利用状況及び有害物質の使用状況などを踏まえまして、汚染のおそれがない区域を除き、汚染のおそれの大小によりまして、十メートル、あるいは三十メートルに設定いたします。
 次に、調査手法についてですが、ベンゼンなどの揮発性物質について、地表近くの土壌ガス、あるいは地下水を分析し、その結果、基準を超えた場合には、深さ方向に土壌ボーリング調査を行います。また、シアン化合物及び重金属につきましては、地表近くの土壌を分析することとされております。
 これに対しまして、専門家会議の提言に基づき行った調査は、汚染の全容を的確に把握し、汚染状況に応じた土壌汚染対策を策定するため、土地の利用状況などにかかわらず、敷地全域を十メートルメッシュに区分した上で、東京ガス株式会社の操業に由来する汚染物質すべてについて、操業時の地盤面近くの土壌を採取するとともに、汚染物質が、程度の差はあれ地下水に溶け出すことから、地下水もあわせて採取し、分析してございます。これら調査の結果、土壌または地下水で環境基準を超えた場合に、土壌ボーリング調査を実施いたしました。
 このように、都が行った調査は、土壌汚染対策法で求められている調査に加えまして、地下水を採取、分析するなど、都市ガス製造に起因する汚染物質の特性を十分考慮したもので、土壌汚染対策法の調査に比べ、より手厚いものとなってございます。

○早坂委員 新市場予定地の土壌汚染対策についても、民主党は、現行法が定める指定区域の解除要件を満たす対策を講じることを求めてきました。
 そこで、東京都の対策は指定区域が解除できる内容であるのか、また、大規模な土地の改変を行うことから、新市場予定地は改正法の対象になるものと承知をしておりますが、あわせて改正法への対応についても伺います。

○岡田中央卸売市場長 現行の土壌汚染対策法が定めます指定区域の解除要件は、土壌中の操業に由来する汚染物質を除去した後、地下水を一年に四回以上、定期的に採取、分析し、二年間継続して環境基準以下であることとされております。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、操業に由来する汚染物質は、深さにかかわらずすべて除去するとともに、地下水につきましても、敷地全面にわたって、市場施設の着工までに環境基準以下に浄化することとしております。こうした対策の後、地下水を二年間、毎月採取、分析し、浄化されていることを確認することから、指定区域の解除は十分可能でございます。
 改正された土壌汚染対策法につきましては、解除要件が汚染物質の除去であることに変化はなく、地下水の採取、分析の頻度、モニタリングの期間など、具体的な技術基準を定める省令は現時点で公布されていませんが、都の対策は、汚染物質を徹底して除去、浄化した上で、地下水を毎月分析するなど、現行法の解除要件を上回る措置をとることとしており、対応可能であると考えてございます。

○早坂委員 現行法では、覆土を行うだけで建物は建てられると理解しておりますが、東京都の対策は極めて手厚く、さきの答弁にもありましたように、調査も含め、法が求める要件を十分に満たすものです。
 また、民主党は、液状化対策のための地盤改良工事に万全を期することも求めていましたが、新市場予定地では、阪神・淡路大震災でも実績が確認されている方法が採用されています。それでも、新市場予定地は安全性が確認されていないと、ご主張になるのでしょうか。もし疑義があるならば、本会議や常任委員会の場で、はっきりと根拠を示すべきであります。いたずらに都民の不安をあおり立てるような無責任な姿勢には、自民党を代表して憤りを感じます。
 先般の本委員会分科会において、卸売市場の安全性について、さまざまな角度から質疑が行われました。これらの質疑を通じ、耐震性やアスベスト対策に課題を抱え、交通事故件数も他市場に比べ極めて多いという、築地市場の問題点が浮き彫りとなっています。
 また、築地は、品質衛生管理や物流の面でも課題が山積みになっており、一刻も早い対応が必要ですが、狭隘な敷地で営業を継続しながら抜本的な施設改善を行うことは、現実的に不可能であることは明白です。築地の業界は、こうした状況を踏まえ、二十年もの長い年月をかけ検討を重ね、豊洲移転という結論に達しております。
 現在地再整備の検討を主張する民主党のある都議会議員は、業界誌のインタビューの中で、大切なのは市場の中のコンセンサスのとり方と発言されておりますが、そういう意味では、豊洲移転こそが、まさしく築地における市場の中のコンセンサスであります。こうした移転決定に至る経緯を無視し、改めて再整備を検討するということは、業界のコンセンサスをないがしろにする行為で、到底業界の理解を得られるものではないと考えます。
 東京都のご見解を伺います。

○岡田中央卸売市場長 築地市場の豊洲地区への移転につきましては、現在、六つの業界団体の中で五団体が希望しております。残り水産仲卸組合も、移転の可否について組合内の意見が拮抗してございます。
 こうした状況の中、昨年五月に業界団体の大多数から、計画推進の要望書、さらに、本年七月の都議選後にも、卸、仲卸業者、関連事業者、買い出し人などから、計画推進の嘆願書が提出されてございます。これらの要望書、嘆願書におきましては、現在地再整備につきましては、営業を継続しながらの工事の困難性や将来の発展の余地が確保できないなど、多くの問題を抱え、とんざした苦い経験があり、不可能といわざるを得ない。再整備は不可能であるとの結論に至り、苦渋の選択として移転を決定したと述べられております。
 このように、市場業者の多くは、過去に真摯に取り組んだ現在地再整備がとんざしたのを目の当たりにし、市場の将来を考え、移転整備を切実に望んでいることから、改めて再整備を検討することにつきましては、業界の納得は到底得られないものと考えております。

○早坂委員 新市場の整備に当たっては、実際に築地市場を利用する事業者や、市場流通に精通する専門家などの意見を計画に反映させ、よりよい施設にしていく必要があります。
 そこで、豊洲への移転決定や新市場の施設計画策定に当たり、どのように市場関係者や外部の識者などの意見を取り入れてきたのか、伺います。

○岡田中央卸売市場長 豊洲地区への移転は、都と市場業界の協議調整機関であります築地市場再整備推進協議会におきまして、さまざまな検討が行われ、最終的に、現在地再整備は困難であるとして、平成十一年に移転整備へと意見集約をしたものでございます。
 この結果を受け、学識経験者、都議会議員、業界代表、区市長と消費者代表で構成いたします東京都卸売市場審議会において審議が行われ、平成十三年四月に、早急に豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるべきとの答申がまとめられ、都は、この答申を受けまして、豊洲地区への移転を決定したものでございます。移転決定後、新市場の基本構想、基本計画の策定におきまして、業界と学識経験者による意見交換や、流通や衛生管理等の専門家へのヒアリングを行い、その意見を参考にするとともに、施設計画の具体化に当たりましては、新市場建設協議会及びその下に設置いたしました懇談会等において業界と協議を重ね、その要望を計画に反映してございます。
 このように、豊洲地区への移転及び新市場の施設計画は、市場業界や学識経験者などの意見を踏まえ決定したものでございます。

○早坂委員 昨今、築地市場には国内外から多くの観光客が訪れ、まるで観光目的の施設であるかのごとくの議論も聞かれますが、あくまで築地は市場業者がプロの買い出し人を相手に商売を行う業務施設であります。新市場においては、新鮮で安全な商品の品ぞろえや、スムーズな買い出しを望む利用者の期待にこたえられる機能を備えていくことが必要です。
 新しく就任した農林水産大臣は、食の安全や安定供給などの観点から、全国的に中央卸売市場を機能強化していく考えを示しています。生鮮食料品流通が大きく変化し、市場外流通が増加する中、市場機能の強化は東京都の中央卸売市場に共通に課せられた使命といえます。
 そこで、中央卸売市場における機能強化の必要性について、どのように認識しているのか、伺います。

○岡田中央卸売市場長 近年、卸売市場を取り巻く環境は、物流の効率化、食の安全・安心に対する意識の高まりや食生活の多様化など、大きく変化してございます。
 卸売市場を利用する出荷者や買い出し人などは、大量で多品目の商品を効率的に搬入し、仕分けして搬出するため、場内物流の効率化を求めてございます。また、消費者におきましては、食の安全・安心に対する意識が高まっていることから、その期待にこたえるため、市場内での品質管理、衛生対策を徹底することが必要であります。さらに、ホテルや飲食店等の外食産業、総菜や弁当等などを扱います中食産業などの事業者が必要といたします小分けや加工といった業務需要に対応することが求められています。
 このため都は、今後、迅速な搬入搬出を可能といたします荷さばきスペースの確保や、品質管理高度化のためのコールドチェーンの確立や、消費者が安心できます衛生対策の強化など、卸売市場の機能強化に取り組むことが重要であると認識してございます。

○樺山委員長 振鈴が二つ鳴りましたので、早坂副委員長の発言は終わりました。
 次に、野上理事の発言を許します。

○野上委員 まず初めに、築地市場の再整備に関して何点か伺います。
 私は、十月二十三日の第一分科会でも、この問題を取り上げましたが、市場会計の二十年度の決算で多くの不用額が出たのは、予算では購入予定だった豊洲の市場予定地十二・七四ヘクタール、七百八億五千四百万円の執行を見送ったことだという説明でございました。平成二十年度予算が成立した後の平成二十年五月三日には、豊洲地区から環境基準の四万三千倍を超えるベンゼンが検出されたことが明らかになるなど、移転予定地に対する都民の不安は、ますます高まる中で、予算の執行を見送ったことは当然であると申し上げてまいりました。その上で私は、用地取得を見送った二十年当時、現在地再整備を含めて、さまざまな選択肢を改めて検討すべきではなかったのかと考えております。
 そこで、まず、移転先として豊洲が選定された理由について伺います。
 市場当局は、この間、築地市場の移転については、平成十二年から平成十三年にかけて市場審議会で検討してきたとして、現地視察も行った上で、晴海や有明北など五地区を候補地として比較検討して、豊洲地区が最適との結論が出されたと答弁をされております。
 しかしながら、築地の再整備を検討してきた築地市場再整備推進協議会では、平成十一年八月十日に、一度だけ臨海部の大規模開発の状況を議題にしておりますが、それ以降は、すべて豊洲を前提として、協議、検討がなされております。
 こうしたことから、築地の移転は、まず豊洲ありきであったと思われますが、豊洲を選定するに至った時期及び経過について、改めて確認をさせていただきます。

○岡田中央卸売市場長 築地市場の現在地再整備が手詰まりとなる中で、平成十年四月に、市場業界六団体から、臨海部への移転可能性について調査、検討を求める要望書が出されました。この際、業界からは、臨海部は具体的には豊洲地区を想定しているという補足説明がなされております。この要望に対し、各業界団体の意思を改めて確認したところ、意思が一致しなかったため、本格的な検討の開始には至りませんでした。
 その後、築地市場再整備推進協議会の中で、複数の再整備案を検討いたしましたが、いずれも問題が多かったため、業界委員からの要望を受け、再整備と移転整備の両方を視野に入れながら協議を進めることとなりました。こうして比較検討を行った結果、再整備案は、いずれも合意に至らず、平成十一年十一月に、現在地再整備は困難であり、移転整備へ方向転換すべきとの意見集約がなされました。
 これを受け、平成十二年から十三年にかけまして、東京都卸売市場審議会で、四十ヘクタールの敷地の必要性、良好な交通アクセス、築地の商圏との継続性の条件のもとに現地視察も行った上で、晴海、有明北など五地区を候補地として比較検討いたしました。その結果、豊洲地区以外にすべての条件を満たす場所はなく、平成十三年四月に、早急に豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるべきとの答申がまとめられました。
 都は、この答申を受けまして、平成十三年十二月に、第七次東京都卸売市場整備計画において豊洲地区への移転を決定したものでございます。

○野上委員 今、平成十二年から十三年にかけて現地視察も行った上で、有明北など五地区を候補地として比較検討したという答弁でございましたが、例えば候補地の一つとした江東区の有明北地区については、平成十二年度に埋め立てに着手し、竣工したのは平成十七年、さらに、宅地部の盛り土が完了したのは平成十九年であったと伺っております。
 現地視察を行ったとき、有明北地区はどのような状況であったのか、伺います。

○岡田中央卸売市場長 平成十三年の現地視察当時、有明北地区につきましては、平成十二年より、護岸と幹線道路を含め、約三十五ヘクタールの埋立事業が開始されておりましたが、実際に埋め立ては、まだ行われておらず、海水面の状態でございました。
 埋立予定地の南側及び西側に隣接する区域は、既に市街地が形成され、土地区画整理事業によるまちづくりが行われており、北側及び東側は、運河等の水域に面しておりました。また、埋立予定地は、平成五年七月に都市計画決定された環状二号線及び晴海通りにより東西に三分割される計画となっており、周辺の未利用の都有地も既成市街地で分断され、市場用地として一体的な利用が難しい状況にございました。

○野上委員 今の答弁を伺っておりますと、海だった場所を視察して困難だと判断したとしか思われませんけれども、もう一つの有力の移転候補地であった中央区の晴海地区について、当時の候補地は、後のオリンピックメーンスタジアムの予定地のことであると思われますが、この地区は、そもそも平成十八年のオリンピック開催概要計画の際は、十七ヘクタールとなっておりました。
 市場の当局が、平成十二年から十三年にかけて検討した際に、利用可能な晴海の予定地は何ヘクタールだったんでしょうか。

○岡田中央卸売市場長 当時の晴海地区の状況でございますが、晴海ふ頭及び朝潮ふ頭、晴海客船ターミナル、晴海ふ頭公園などの用地として利用されておりまして、東側には、既に清掃工場が建設中であったほか、事務所、倉庫等の市街地が形成されておりました。また、晴海地区を貫通する補助三一四号線は、平成八年五月に都市計画が決定されており、東側の既存市街地から晴海客船ターミナルや晴海ふ頭公園までは、臨港道路が整備されておりました。
 市場として利用可能な都有地は、これら港湾施設や都市計画道路などを除いた土地となりますため、市場用地として必要な面積、約四十ヘクタールを確保することができないことは明らかな状況でございます。

○野上委員 今、私は、当時、使用できる用地、可能な用地は具体的に何ヘクタールだったのかというふうに伺ったんですけれども、その答弁がございませんでした。今まで検討したのであれば、きちんと数値を挙げて資料が残っているはずだと思いますし、そういったことがきちんとご説明できないのであれば、今までの検討はいかがだったのかというふうに考えざるを得ません。
 今、市場は、当時は事務所や倉庫などの市街地が多く形成されたというふうに答弁をされましたけれども、現在、その場所は多くが更地です。また、当初十七ヘクタールだったオリンピックメーンスタジアム予定地は、ことし二月のオリンピック招致立候補ファイルでは、三十八・一ヘクタールに拡大しております。うち都有地は、晴海五丁目だけでも約三十一ヘクタールを占めております。当時、本当に真摯に比較検討されたのかどうか、非常に疑問が残るところでございます。
 ところで、市場当局は、これまでしきりに四十ヘクタールが必要であるということを繰り返しております。この四十ヘクタールという広さについて、現在では、市場当局は、大田市場の取扱量を比較するなどとして、後づけでそれらしい根拠を述べておりますが、そもそも平成十一年の築地市場再整備推進協議会の段階で、既に豊洲地区を前提として、四十ヘクタール程度を想定した現在地再整備との比較検討がなされておりました。この平成十一年当時、新市場の敷地面積を四十ヘクタールとした根拠は何なのか、確認、お伺いさせていただきます。

○岡田中央卸売市場長 当初、築地市場の再整備基本計画では、取扱量の増加や駐車場の不足等に対応するため、築地で当時、延べ床面積約二十二万平方メートルだった施設規模を、立体的配置により約五十八万平方メートルの規模に拡大することを予定しておりましたが、平成八年に、東京都卸売市場審議会の答申を受け、平面的配置を基本として計画を見直すこととなりました。
 しかし、現在地の限られた敷地スペースにおける平面的配置による再整備では、施設規模が築地の現有規模を若干上回る程度にとどまるため、基幹市場としての機能配備が不十分となることが課題となっておりました。
 こうした中、平成十一年の築地市場再整備推進協議会におきまして、移転による市場の将来のあり方について検討が行われ、新たな首都圏の基幹市場としての役割を踏まえ、低温流通、高度な衛生管理等に対応できるよう、卸、仲卸売場を、現況の一・二倍から一・四倍程度に拡大すること、主要施設を一体かつ平面的に配置し、円滑な場内物流動線を確保すること、ピーク時に対応できる七千から八千台の駐車場を平面配置すること、新たに、加工施設、荷さばき場等を設置することなどが基本的な考え方とされました。
 この考え方に基づきまして、基幹市場としての機能が十分に発揮でき、将来の環境変化等に柔軟に対応できる施設規模として、当面、四十ヘクタール程度を想定して、新市場整備を検討することとしたものでございます。

○野上委員 当時も今も、豊洲の島のところは、東京ガスが所有する、いわば他人の土地でございます。買って四十ヘクタールが確保できればいいというのであれば、有明北の都有地に隣接する民有地を買い足したり、あるいは晴海の都有地に隣接する用地を買い足すことで、四十ヘクタールを確保できたように思います。なぜ豊洲に固執する必要があったのか、伺います。

○岡田中央卸売市場長 この当時、有明北地区や晴海地区につきましては、市場用地として利用可能な都有地が限られておりまして、既に市街化された地域など、隣接する民有地を買い足して四十ヘクタール確保するためには、多数の民間地権者の合意が必要となるなどの問題がございました。
 一方、豊洲地区は、当時既に土地区画整理事業が進行中でありまして、地権者が、東京都のほか、東京ガス株式会社、東京電力株式会社、東京鉄鋼埠頭株式会社などに限られ、交渉により市場用地として必要な約四十ヘクタールの敷地を十分に確保できる見込みがあったなど、必要な条件を満たす唯一の場所でございました。

○野上委員 しかしながら、残念ではございますが、豊洲は汚染地でございました。市場当局は、移転先用地の選択として三つの指標を示しております。一つは商業圏が近いこと、もう一つは、交通インフラが整備されていること、そしてもう一つが、四十ヘクタール近い敷地があることです。
 しかし、このような視点から、豊洲を適地と、適切な土地と決めた後、平成十四年五月には、土壌汚染対策法が成立するなど、市場予定地の条件に、食の安全・安心あるいは土壌汚染の有無といったことが大きく加わったものと考えます。ましてや平成二十年五月には、環境基準の四万三千倍を超えるベンゼンが検出されるなど、豊洲地区の汚染は、社会問題になるほど深刻になっている状況でございます。現時点で改めて市場の適地を選定するに当たっては、その地域が汚染されているのかいないのかということも条件の一つとして加わるのではないでしょうか、伺わせてください。

○岡田中央卸売市場長 築地市場の移転先の条件につきましては、平成十二年から十三年にかけまして、東京都卸売市場審議会で、築地市場が二十一世紀の中核を担う首都圏の基幹市場であるだけでなく、都心に集積する飲食店や小売店の仕入れの場でもあることから、先ほどお話しました三つの点、四十ヘクタールの敷地を確保できることや、交通条件の良好な位置にあること、築地の商圏に近く継続性が保たれることなど、市場としての立地特性を踏まえたものでありまして、検討した結果、すべての条件を満たすものは豊洲地区であり、豊洲地区と決定したものでございます。現時点におきましても、この移転先の条件をすべて満たす場所は豊洲地区以外にありません。
 また、土壌汚染につきましては、汚染物質の調査対策が法や条例に定められておりまして、これを遵守し、適切に対応していくことが当然求められているわけでございます。都といたしましては、万全な対策を確実に実施することで、新市場予定地の安全性を確保できるものと考えてございます。

○野上委員 過去に決めたことにいたずらに執着をして、社会状況が大きく変化しているにもかかわらず、改めて検討し直そうとしない行政の姿勢には大いに疑問を感じるところでございます。
 二十年度決算で執行を見送った豊洲の用地購入費については、二十二年度予算見積もりで千二百六十億円を要求しておりますが、これら関連予算については極めては認めがたい状況であるということを改めて申し上げ、次の質問に移ります。
 次に、交通局関連の事業について質問させていただきます。
 交通局の平成二十年度の決算は、全体で約百三十一億円の経常利益ということでございます。それ自体は非常に評価できるところでございますが、必ずしも将来にわたって安泰ということではないと考えます。短期的には、昨年秋以降の経済状況の変化により、最近では乗客数は伸び悩んでいるところでございます。また、長期的にも、人口減少社会と少子高齢化の進展によって、乗客数の増加を見込むことは、大幅に増加をするということは大変難しい状況にございます。
 しかしながら、一方で、高齢化の進展等を背景として、路線バス等は、あるいは公共交通を確保すること、社会的に不可欠な、不特定な人を対象とする集合的なサービスとして、広義の公共財として非常に大切にこれから運営をしていかなくてはならないという状況だと思います。
 今後も健全な運営を続けるためには、増収努力、経費の節減の取り組みが必要です。また、こうしたことは、公営企業であるがゆえに、単に経営面のみならず、環境面などの影響など複合的にも考えていかなくてはなりません。こうした視点に立って幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、経費の節減についてでございます。
 一般的に経費節減努力を行う場合、まず変動費で何とか工面をできないかというのが普通でございます。
 今回決算書を改めて見直して見ました。決算書を見て注目をしたのが、まず地下鉄事業の水道光熱費です。地下鉄の水道光熱費の多くが電気代となっており、五十三億円もの経費がかかっております。また、事業の性格上、電車を動かすための費用、電気動力費も多額に上っております。省エネを進めることは、経営面のみならず、環境にも好影響を与えることであり、経済性の発揮と公共性の両立が求められている公営企業の責務です。技術の発展などに伴って、工夫の余地があるのではないかと考えますが、都営地下鉄の省エネルギー対策について伺います。

○金子交通局長 鉄道は、大量の電力を使用しておりまして、電力使用量の削減など省エネルギー対策を進めることは、費用の節減に寄与するとともに、環境負荷低減にもつながることから、交通局ではさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 まず車両につきましては、平成二年度から環境配慮型の車両を導入し、二十年度は、導入開始年度比で、車両走行キロ当たり約三割の電力消費量を削減しております。
 また駅においては、お客様の利用が少ないエスカレーターについて、利用時のみ自動的に運転を開始するよう改修を進めるとともに、省エネ型のインバーター照明器具への切りかえを行っておりまして、今後とも順次切りかえを進めてまいります。
 さらに、電車の安定運行のため、現在変電所の設備更新を進めておりますが、その際には電力の損失が少なくなるよう最新機器を導入するなどの取り組みを進めております。今後とも公営交通としての役割を十分に認識し、経営と環境の両面から省エネルギー対策を積極的に推進してまいります。

○野上委員 次に、収入拡大のための努力について伺わせていただきます。
 広告つきバス停留所について伺います。
 バス事業は、乗車料収入の伸びも、先ほどもいった状況から、なかなか伸びが見込めない状況です。経営を改善していくためには、広告などの関連事業収入を確保することは非常に重要だと考えます。バス事業の平成二十年度の広告料収入は、約七億五千万円となっており、営業収益の二%を占めております。その中でも、新規媒体として、広告つきバス停留所上屋について期待するものでございます。
 広告つきバス停留所については、平成二十年度から広告を本格的に販売を開始し、平成二十年度では、五千四百万円の収入があったと伺っております。しかし私は、この事業の収益性について少し疑問を持っております。そこで、広告つきバス停留所の設置費の現在の状況はどうなっているのか、伺います。

○金子交通局長 今年度の設置費は、上屋の製作費に上屋周辺のガードパイプの設置や路面の復旧などの工事費を加えまして、一基当たり平均約五百万円でございます。

○野上委員 先般、平成二十年度の広告つきバス停留所の広告料収入は五千四百万円と答弁がありましたけれども、この収入がすべて交通局のものとなることではなく、支出は支出で広告代理店への手数料などさまざまな経費がかかるのではないでしょうか。そこで、この収入で、広告つきバス停留所の設置費が回収できるのか、伺います。

○金子交通局長 平成二十年度の広告料収入、先ほどの数字でございますが、ここから広告販売手数料と、それから維持管理費を除いた金額は約二千五百万円でございます。これを平成二十年度末現在の設置基数二十五基で割りますと、一基当たり約百万円となります。現時点での広告つきバス停留所の一基当たりの設置費用が約五百万円でありまして、今後は、おおむね五年で回収できる計算となります。

○野上委員 今後は、交通広告全体の市場規模が右肩上がりで伸びていくことは、なかなか期待できる状況ではないと思います。バス事業の安定的な運営のためには、新規媒体である広告つきバス停留所そのもの自体の競争力を向上させ、さらなる収益拡大を図る必要があると考えます。そこで、広告つきバス停留所のさらなる増収のために、今後どのような販売施策をとっていくのか、伺います。

○金子交通局長 広告つきバス停留所につきましては、現在、百基の設置を目指して整備を進めているところでございます。設置基数が増加することに伴いまして、広告価値が向上することから、今後販売方法や広告料金の設定の見直しなど、収益拡大に向けた取り組みを進めてまいります。

○野上委員 当時、この広告つきバス停留所導入時は、設置の価格が一千万円あったというふうに伺っておりますが、そういった意味では、経費の削減というか圧縮をして利益を拡大している状況であるということを今確認させていただきました。
 広告つきバス停留所を確実に整備していただき、そして都民に快適な環境を提供するとともに、販売方法を改善して、そしてバス事業の安定的運営に資するよう関係者の方のご努力に期待したいと思います。
 そして、さらにですが、広告事業に限らず、都営交通事業の経営力の強化、つまりは乗車収入以外にどういうふうに収入を確保していくかということでございますが、そのためには、現在持っている資産の運用、例えば土地建物の活用のさらなる推進など、関連事業の拡大というものが必要であると考えます。そこで、関連事業収入の拡大に対しての局長の決意について伺います。

○金子交通局長 今後は、乗客数の増加が見込みがたいという状況のもとで、関連事業収入の拡大は、交通局事業の安定的運営のために必要であるというふうに考えております。
 これまでも、駅構内店舗の設置やラッピングバス、有楽町の旧庁舎跡地の活用など関連事業収入の拡大に取り組んできたところでございますが、今後とも、広告事業における新規媒体の開発や自動車営業所跡地の活用など、経営資源を最大限に生かし、関連事業を積極的に展開してまいります。

○野上委員 交通局事業の安定的運営のためには、収入をいかにふやしていくか、つまりは、今注目しなくてはいけないのは、関連事業収入の拡大というものが必要でございます。さらなる工夫をお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○樺山委員長 野上理事の発言は終わりました。
 次に、橘副委員長の発言を許します。

○橘委員 初めに、下水道事業について質問いたします。
 下水道事業は、独立会計であるものの、雨水処理等のための負担金として一般会計から繰入金が一千八百億円以上あり、都財政の影響も少なくありません。都の今年度の税収が大幅に減少しそうな状況の中で、公営企業部門は、今以上に経営努力が求められることになると思います。そうした観点から、二十年度の区部下水道事業について、決算について何点か伺います。
 まず、二十年度の区部下水道事業がどのような財政状況なのか、収支の状況も含めまして、概括で結構でございますので、決算の特徴について見解を伺います。

○松田下水道局長 区部の下水道事業の決算では、収入面では、景気の影響などによりまして、下水道料金が、前年度対比で約三十七億円減となる四年連続の減少となっております。
 また、支出面では、維持管理費のうち、昨年の原油価格の高騰などにより、電力料金、燃料費が約十九億円増加した一方、企業債残高の減などにより企業債の利子支払いが約五十六億円減少しております。その他の収入や支出の増減も合わせ、平成二十年度の財政収支は約三十四億円のマイナスとなっております。
 区部の下水道財政は、下水道料金の減収傾向が続き、二兆円を超す企業債残高と、これに伴う企業債償還金などの固定的な経費が支出に大きなウエートを占めております。

○橘委員 十年前の平成十一年度決算と比較しますと、下水道料金収入は、百億円以上減少しております。一方、維持管理費を見ますと、十年前と比較して約二十五億円の増となっております。また、平成十二年度末に三兆円近くに達した企業債残高、これも着実に減少はしているものの、依然として二兆二千億円以上の残高があるわけです。ただでさえ厳しい財政の中で、収入は減少している、維持管理費等の経費は増加するという、こういう状況が続けば、ボディーブローのようにきいて、経営活力が失われかねません。
 収入に見合うコストの縮減などの企業努力をしなければ経営が成り立たないわけですけれども、これまでの下水道局の企業努力の取り組みについて現状をお聞きします。

○松田下水道局長 現行の経営計画期間におけるこれまでの企業努力の取り組みといたしましては、まず支出の面では、設備の仕様の見直しや新しい工法の採用などによる建設コストの縮減、運転管理の工夫に基づく電力契約条件の見直しなどによる維持管理コストの縮減で、約百五億円の支出を削減しております。
 収入面では、保有する土地や建物を貸し付けるなどの資産の有効活用により約五十七億円の増収につなげております。また、業務運営を見直し、簡素で効率的な執行体制の整備を行うことにより職員定数を六百人削減しております。これらにより、平成十九年度からの三カ年の成果は、計画を上回る約三百十五億円に上る見込みでございます。

○橘委員 計画を上回る経費削減努力は評価したいと思います。しかし、収入部門で料金収入が大幅に減少しているからといって、その減収分を他の収入項目である企業債であるとか、国庫補助金とか、一般会計繰入金等でカバーできるものではありません。したがって、支出部門を切り詰めるしかないわけです。
 その支出項目の主なものを見てみますと、維持管理費、企業債の償還金、建設費、改良費でありますけれども、耐用年数が過ぎている古い下水道管の再整備が急を要する状況の中で、建設費、改良費は削れません。それどころか、今後一段と必要性が高まってくるわけです。企業債の償還も着実に実行していかなければならない。
 そこで、今後何が大事かといいますと、維持管理費の節減の工夫、これに取り組むことが大事だと思います。維持管理費の項目を見ますと、人件費、補修費、電力料金、燃料費などとなっておりますけれども、膨大な下水道施設を適切に維持管理していくためには、一定の職員数も必要であるし、補修も先延ばしにはできません。こうして精査していきますと、電力料金などのランニングコストの削減に徹底して取り組むことが今後の焦点になると私は考えております。
 先ほど電力契約の見直しによるコスト削減という答弁もございましたけれども、電力料金は、維持管理費の中で約一割と大きな割合を占めております。平成二十年度決算で見ても一一・八%となっております。このため、契約電力の見直しとともに、電力量そのものを削減するなど、電気の使用方法を改善することも重要であると思いますが、具体的な電力料金の削減について伺います。

○松田下水道局長 下水道局では、これまで、新たな技術の開発や、それを活用した新たな施設の整備によりまして、電力費の削減に取り組んできたところでございます。
 具体的には、安価な夜間電力を充電し電力需要の大きな昼間に活用するNaS電池を導入しております。また、汚泥処理で発生するガスを燃料に利用したバイオマス発電の発電設備と運営を、PFIの手法も取り入れ導入をしております。ほかにも、処理水を放流する際の落差を利用した水力発電などを行ってきております。
 こうした取り組みや運転管理の工夫に基づく電力契約条件の見直しなどによりまして、平成二十年度は、区部において約十三億円を削減しております。さらに、老朽化などによる設備更新の際に、新たに開発した省エネルギー型機器、例えば、汚水処理に必要な酸素を効率よく送り込むための微細気泡散気装置などを導入するなど、消費電力を抑制し、電力費の削減に取り組んでいるところでございます。

○橘委員 公営企業は、いずれの部門もそうですけれども、特に下水道局の事業には、やるべきことが非常に山積しているんですね。例えば、老朽化した施設の整備であるとか、浸水対策、それから水質改善事業、さらには、最近は、下水処理に要するエネルギーから生じる温室効果ガスの削減、これにも取り組んでいかなきゃならない、これもかなり予算がかかっていくわけです。
 一方、経営環境は、料金収入の減少にあらわれておりますように、非常に厳しい状況になっていると思います。したがって、企業努力については、より一層細かな点まで目配りをして取り組んでいくことが求められると思いますけれども、下水道局としては、これからどういう対策を講じて対応していくのか、見解を伺います。

○松田下水道局長 ご指摘のとおり、下水道事業においては、多くの課題に対応するために、老朽化施設の再構築、浸水対策、合流式下水道の改善などを進めていくとともに、膨大な施設を適切に維持管理していくために多額の経費が必要となります。
 また中長期的には、企業債元金の償還は徐々に軽減されていく見込みではございますが、当面は償還の山が続き、財源確保や金利動向など、不確定な要素も多くございます。
 さらに、料金収入が低減していく見通しでもあることから、厳しい経営環境が続くものと考えておりまして、今後とも、施設の建設から維持管理まで下水道事業のすべてにわたって、コストの縮減などに、より一層努めていく必要があると認識しております。
 下水道局といたしましては、企業努力の手綱を緩めず財政基盤の強化を図り、新たな課題に的確に対応して、よりよいサービスをお客様に提供し、長期的な視点に立って安定的な経営を実現をしていく所存でございます。

○橘委員 やはり経費削減というのは、大まかな部門でごっそり削るというのは不可能だと思います。けれども、小さな部分でも、これを小まめに積み重ねていくことによって、これが経営の安定に資すると思いますので、その辺の努力をお願いしたいと思います。
 これに関連して、下水道事業への都民の理解を深めるための広報活動について伺います。
 下水道局では、水環境保全の取り組みの一環として、ダイエットレシピによる啓発活動を行っております。これは下水道へ、家庭から、それから飲食店等からの油が流入する、そして内管が狭くなっていくのを防ぐ、それから東京湾等の廃油ボール、これがふえていく、これも防止する、そういった観点から取り組みが始まったというふうに聞いております。
 これ、あのダイエットレシピが、下水道局さんでかなり普及をさせているようでして、最近は、主婦の皆さんからも、こういうダイエットレシピ、東京都で、下水道局で発行しているのですけれども、というような声も聞かれるようになりまして、かなり浸透してきているなということは、私も印象的に感じております。
 このダイエットレシピですけれども、さらに私は、これを宣伝に力を入れていって普及に努めるべきだと思っております。このダイエットレシピの最近の活用状況、今後どういうふうにして展開していくのか、見解を伺います。

○松田下水道局長 ダイエットレシピの最近の状況でございます。
 平成二十年度から、全国からレシピを募集しておりまして、今年度は千百十一件の応募をいただきました。その中から選ばれたレシピを含む六品を新たに追加をいたしまして、レシピの数は合計で二十五品となっております。ダイエットレシピは、各ご家庭で実際に料理する際活用できるように、メニューの写真やワンポイントアドバイス、カロリーなどをカードにしたもので、これまで公立小中学校に約二十万部配布したほか、銀行、指定排水設備工事事業者、都内区市町村や政令市を通じて広くお客様に配布をしております。また、各種イベント等においても配布をするとともに、下水道局のホームページに掲載しております。
 今後は引き続き、都内区市町村、政令市の窓口などで配布をしていただきますとともに、関係自治体や健康保険組合などと当局のホームページをリンクさせることなどによって、都民の皆様はもとより、全国にも発信をしていく考えでおります。今後とも、お客様との協働の視点から、ダイエットレシピを活用したPRなどを通して、良好な水環境の保全、創出に貢献をしてまいります。

○橘委員 次に、水道事業について質問いたします。
 将来にわたり安定した水道事業を運営していくためには、水道施設の整備、地震への備え、地球環境問題への対応、都民サービスの向上など取り組むべき課題は多いものと思います。
 水道局は、現在、東京水道経営プラン二〇〇七で、平成十九年度から二十一年度に実施する経営努力を都民との約束として事業運営を実施しておりますけれども、まず、平成二十年度における経営努力の内容とその達成状況について伺います。

○尾崎水道局長 水道局では、将来にわたり安定した事業運営を継続していくため、不断の経営努力を実施しております。平成十九年度から二十一年度を計画期間とする東京水道経営プラン二〇〇七では、経費の削減と料金以外の収入確保などにより、三年間で総額二百二十億円の可能な限りの経営努力を実施することとしております。
 経営プランの中間年である平成二十年度には、事業運営体制の抜本的な見直しにより、職員定数百五十人を削減し三十八億円、既定経費の削減により十五億円、資産の有効活用等により十八億円の、合計七十一億円を達成し、計画額五十七億円に対して十四億円上回る経営努力を実施いたしました。

○橘委員 計画を上回る実績を上げたとのことでありますけれども、こうした経営努力も含めまして、水道事業全体の財政状況が健全に保たれていてこそ将来にわたる安定供給の確保が可能となると思います。そこで、平成二十年度はどのような財政運営を心がけたのか、その状況を伺います。

○尾崎水道局長 平成二十年度は、高度浄水処理の着実な導入や水道施設の耐震強化など、経営プランに定めた、より安全でおいしい水の安定的な供給に向けた事業を確実に実施するとともに、徹底した内部努力を実施いたしました。その結果、平成二十年度決算の収益的収支は、収入が三千三百七十九億円に対して、支出が二千七百三十八億円であり、差し引き六百四十一億円の純利益となっております。
 また、資本的収支も含めた資金収支は、経営プランでは十五億円の資金不足と見込んでいたものが六億円の剰余へと好転するなど、健全な財政運営ができたものと考えております。

○橘委員 厳しい経営努力などもありまして、計画的に安定した財政運営が行われているということは理解できますけれども、今答弁に、六百四十一億円の純利益があったとありましたけれども、その使途は何か、これを説明していただけますでしょうか。

○尾崎水道局長 水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、施設を常に良好な状態で維持するため、長期的視点に立って適切な整備を行っていくことが不可欠でございます。
 こうした整備を行うための平成二十年度の資本的収支は、建設改良費や企業債償還金などの支出が千四百七十八億円、一方、企業債などの収入が二百七十一億円であり、千二百七億円の不足となっております。このため、収益的収支において生じた純利益六百四十一億円は、内部留保された減価償却費等六百二十二億円と合わせてこの不足額に充当いたしました。
 また、今後迎える施設更新に備えて、必要な資金を積み立てていくことも重要でございます。そこで、平成十九年度に創設した大規模浄水場更新積立金の財源として、純利益から毎年五十億円を充当し、代替施設の整備に向けた所要額の積み立てを行っております。
 このように、純利益を適切に施設整備の財源として活用することにより、将来にわたる安定給水を確保できるものと考えております。

○橘委員 この純利益というのは、浄水施設であるとか配水施設、そういった建設改良費、それから企業債償還等の財源になるということでありますけれども、これは、私は当然必要な経費であると思います。また、更新期を迎える施設の整備資金を確保することも大事であります。こうした財政運営が行われなければ、将来的に都民に大きな負担をかけることになりかねません。
 実は、第二分科会の質疑で、六百四十一億円もの純利益があるんだったらば、水道料金の値下げに使うべきとの一部会派の主張があったわけであります。公営企業会計の基本的な原則を無視した、これは私はちょっと乱暴な議論であるといわざるを得ないと思います。
 公営企業会計は、今がよければよいという単純な発想は禁物であります。常に、将来を見据えた経営的危機意識がなければならないと思います。人件費削減、資産売却等による予算の節減は、二十年度にできたからといって毎年度同様の規模でできるものではありません。したがって、計画的な施設運営、施設整備を行っていくことが、結果的に都民負担の軽減につながると考えます。
 今後も、あらゆる努力を積み重ねて、将来にわたる健全な財政運営を行い、極力水道料金を値上げせずに済むような経営努力を積み重ねていくことを期待しております。
 次に、水道局が実施しているPR事業について伺います。
 これまで、都議会公明党は、議会質問を通し繰り返し、安全でおいしい水の供給に向けた取り組みやそのPR活動の重要性を訴えてまいりました。アンケート調査によりますと、都民の水道水に対する満足度、信頼度が、ここ数年、着実に伸びているとのことでありますけれども、暮らしの安全度、それから安心度という観点から、水道水に対する安全・安心は、都民生活にとっても重要な部分だと思います。水道局が近年力を入れている各種PR活動の一つの成果が今あらわれているのかなというふうにも感じます。
 ところが、ある会派は、水道局の広報自体、PR自体が、全く意味がないと。電車の車内の乗降口の上にあるトレインチャンネル、それからまちの中の街頭ビジョン、こうしたPR活動も、あたかもオリンピック招致のために実施したものと、そういうふうないい方で批判をしているようですけれども、都民の理解の上に立つ公営企業の事業に対する理解を得ていくためには、PR活動は、私は非常に重要であるし、必要であると考えます。そこでまず、現在進めているトレインチャンネル、街頭ビジョンを実施した理由について、再度伺います。

○尾崎水道局長 当局では、お客様に安全でおいしい水をお届けするため、高度浄水処理導入の推進などに取り組んでおります。しかし、平成十八年度に実施いたしました水道事業に対するお客様満足度調査では、飲み水として満足と答えた方の割合は、前回調査に比べ着実に伸びておりますが、三六%と、半数にも満たない状況であり、不満な理由として、何となく不安との回答が多く見られました。このため、これまでの広報手法に加え、映像などにより、水道水のおいしさを直接的に訴えるなど、広報の充実に向けた新たな取り組みを検討してまいりました。
 さらに、平成二十年度には、三郷、朝霞など、利根川水系すべての浄水場で、高度浄水処理全量化に向けた工事に着手しましたことから、安全でおいしい水をより一層PRできる環境が整うこととなりました。
 こうした背景を踏まえ、多様な広報媒体を活用した広報活動を平成二十年度から展開しております。トレインチャンネルや街頭ビジョンはその一環であり、映像のすぐれた表現力を生かして、水道水のよさやおいしさを伝えているところでございます。

○橘委員 公営企業は、以前は、決められた計画に基づいて業務を黙々とこなしていけばそれで許された面もありました。しかし、時代状況はもうがらっと変わりまして、公営企業といえども、一般企業並みの宣伝、そして事業開示が求められるような時代状況になっております。したがって、PR活動も欠かせない重要な要素になってきているわけです。
 都民への説明責任を果たす意味でも、情報を届けたい相手を分析し、それに適したマーケティング活動を行うのは、公営企業としては当然であると思います。そこで、トレインチャンネルを実施した効果についてどのように考えているか、見解を伺います。

○尾崎水道局長 今年度実施いたしましたお客様満足度調査では、トレインチャンネルなどの実施に対して、知っていると答えた方の割合は約二七%となっております。世代別に見ますと、二十代の方が約三九%と最も高い割合となっており、従来の広報活動ではなかなか情報が届いていない状況だった若い世代の方を中心として成果を上げております。
 また、飲み水として満足と答えた方の割合は約四六%と、前回の十八年度の調査に比べて約一〇ポイント上昇しており、トレインチャンネルなどを実施した効果も、その要因の一つと考えております。

○橘委員 PRは、よくないとか、むだであると、そういうふうないい方をするのであれば、都民への公営企業の事業に関する広報、PR、それから事業の開示、そういったものはどうすればいいのかというふうになっていくわけです。
 やはり東京の水道水というのは世界に誇るべきものを持っているわけですから、むしろ東京都民が誇りに持てるような、そういったような状況になるためには、さらに積極的にPR活動を展開すべきと思いますので、どうか水道局さんは、自信を持って都民の理解を進めていくよう求めておきます。
 次に、八ッ場ダムに関し一点質問いたします。
 当委員会の第二分科会で、我が会派の加藤委員から、八ッ場ダムの必要性に関して、東京の渇水に対する安全度の低さや、気候変動のリスクを踏まえ、八ッ場ダムによる安定給水の確保は当然とする主張をさせていただきました。私が注目しているのは、実態として、東京というのは、構造的に渇水に対して脆弱な都市であるという点であります。利根川水系では、平均して、三年に一回は渇水状況が発生しております。また気候変動の影響によって、積雪量、これも少なくなっている、そしてまた、さらに少なくなっていくような状況になれば、水源への影響は深刻なものになると思います。
 したがって、都は、先頭に立って八ッ場ダムの必要性を訴えていくべき、もっともっと力を入れて訴えていくべきと考えますが、改めて、八ッ場ダムの建設事業の推進に対する水道局長の決意を伺います。

○尾崎水道局長 東京の水道は、一千三百万人の都民生活や、首都東京の都市活動を支える上で欠かすことのできない重要なライフラインであり、平常時はもとより、渇水時にも可能な限り給水を確保することは、水道事業者の重要な責務でございます。現在、都は、日量六百三十万立方メートルの水源を保有しておりますが、この中には、取水の安定性を欠く、課題を抱える水源が日量八十二万立方メートル含まれております。
 また、利根川水系では、渇水に対する安全度が他の水系よりも低い計画で進められてきたことに加え、実際の供給能力が、近年の少雨傾向により当初計画よりも既に約二割減少しております。こうした水源が脆弱な状況を踏まえますと、首都東京の安定給水のためには、水源の確保が極めて重要であり、八ッ場ダムは必要不可欠でございます。
 八ッ場ダムにつきましては、これまでも、都民並びに都議会のご理解を得ながら、国や関係自治体、地元とも連携して建設を進めてまいりました。今回の一方的な中止表明に対しましては、国に事業継続を強く要請し、建設推進に全力を挙げて取り組んでまいります。

○橘委員 次に、交通局関係について何点か質問いたします。
 最初に、地下鉄事業の財政状況について伺います。
 公営企業の資金の状況報告については、平成二十年度決算から全面的に施行されております財政健全化法でも義務づけられております。この法律は、ご承知のとおり、北海道夕張市の財政破綻を契機に、一般会計のみならず、公営企業や第三セクターも含めた地方公共団体全体の財政状況を的確に把握し、財政が悪化した場合は、早期に健全化を図るという、そういう趣旨で制定されたものであります。
 二十年度の決算における公営企業の資金状況については、各会計とも問題ないとの報告を受けておりますが、このうち交通局が所管する高速電車事業会計については、長年赤字が続いたことなどから、以前の資金状況は大変厳しかったと聞いております。
 そこで、高速電車事業会計について、財政健全化法に照らした平成二十年度の資金の状況について伺います。

○金子交通局長 地下鉄の建設には多額の資金を要することから、ご指摘のとおり、高速電車事業会計は、長い間、資金的に厳しい状況が続いてまいりました。しかし、平成十七年度からは資金残を確保できるようになりまして、二十年度決算でその額は約三百五十五億円となっております。公営企業は、いわゆる財政健全化法に基づき、資金不足額を算定することとされており、この資金不足額が営業収入の二〇%以上の場合には、経営健全化計画を策定し、資金不足の解消を図ることが義務づけられておりますが、高速電車事業会計の二十年度決算において、財政健全化法に定める資金不足は生じておりません。

○橘委員 投資と経営の関係については、民間企業の場合は、利益が出れば再投資に必要な分を残して株主に配当するということになります。公営企業の場合は、あえていえば、この株主はだれかというと都民になるわけです。したがって、運賃を下げて還元することも一つの選択肢ではあります。
 しかし、この地下鉄事業というのは、長らく赤字を出してきまして、そしてようやく長いトンネルを抜け出して、十八年度に初めて単年度の経常黒字を計上した。その後、十九年度、二十年度と黒字が拡大して現在あるわけですが、この地下鉄の事業は、建設に多大な資金が必要な事業でありまして、施設の老朽化もまた進んでいるというふうに聞いております。そこで、交通局は、地下鉄事業における投資と経営の関係について、どのような考えに基づいて運営していく方針なのか、見解を伺います。

○金子交通局長 将来にわたって安定的に地下鉄事業の経営を行っていくためには、収入面では増客増収努力などを行い、支出面では経営の効率化などを図ることで利益を生み出し、資金の状況にも配慮しつつ、その利益を債務の償還や安全対策、輸送サービスの充実に向けた投資に振り向けることが重要と考えております。
 地下鉄事業の二十年度決算は、約百四十億円の経常利益となり、必要な資金残を確保した上で企業債など債務の償還を確実に行う一方、輸送サービスの向上や安全・安心の確保などの改良費に二百三十九億円を投ずることができました。今後とも引き続き健全な経営に努め、利益を確保しながら、安全、サービスの両面で必要な投資を確実に行ってまいります。

○橘委員 次に、質の高いサービスについて伺います。
 とりわけ我が党が一貫して取り組んできている都営地下鉄の交通弱者対策についてであります。
 まず、プチバリアの解消でありますけれども、私はことしの第一回定例会の一般質問で、都営地下鉄の駅の小さな段差、それから滑りやすい通路の解消など、いわゆる小さいけれども障害であることは間違いないというプチバリア、これを解消すべきだというふうに提案しまして、交通局長からは前向きの答弁をいただいております。そこで、平成二十年度を中心に、最近のプチバリア解消に向けた取り組みの状況について伺います。

○金子交通局長 高齢者や障害を持つお客様が、安全で安心して地下鉄をご利用いただくためには、ご指摘のような小さなバリアの解消が必要と考えております。
 交通局では、経営計画に基づきまして、平成十九年度から計画的に取り組んできており、二十年度には、新宿線を中心に、小さな段差解消やスロープの拡幅、手すりの連続化など、十五駅、十八カ所の小さなバリアを解消いたしました。
 二十一年度は、浅草線、三田線を中心に、連続した手すりの設置や床の滑りどめ処理などを、十六駅、三十一カ所で実施する予定でございます。
 今後とも、高齢者や障害者などの目線に立ったきめ細かな対応に努め、小さなバリアの解消に取り組んでまいります。

○橘委員 このプチバリアというのは、私たち健常者はなかなか気づかないのですけれども、そうした人たちから聞きますと、ああ、ここも確かに障害だなというふうにして気づくときがあります。これはやはり細かい点でありますけれども、十分留意しながら整備をしていく必要があるかと思います。
 それからもう一点、サービスの面ですけれども、目の不自由な方が安心して利用しやすい地下鉄に向けた交通局が、これは一つの命題になっているようでありますけれども、これは、ホームまでたどり着くまで大変な危険を感じているという、そういったこともよく聞きます。この点につきまして、この目の不自由な方に安心して利用していただくための具体的な施策、どういうものをやってきたのか、伺います。

○金子交通局長 都営地下鉄では、これまで目の不自由なお客様が地下鉄を円滑に利用できるよう、いわゆるバリアフリー新法や東京都福祉のまちづくり条例等を踏まえて、施設、車両の整備に努めてまいりました。
 具体的には、駅において、視覚障害者用誘導ブロック、階段、手すりの点字シール、点字運賃表、誘導チャイム、音声案内つき触地図等を設置しております。
 また車両においても、連結部には転落防止用外ほろ、ドア付近には車両内の位置を示す点字シール等を設置しております。
 平成二十年度におきましては、十三台のエスカレーター及び十二カ所のトイレ出入り口に音声案内装置を設置するなどの取り組みを行いましたが、今後とも、目の不自由な方にも利用しやすい都営地下鉄の実現を目指してまいります。

○橘委員 今お話がありましたホームさくですけれども、この点につきましては、第一分科会におきまして、我が党の吉倉委員の方から、既に設置している三田線、この効果はどうだったのかという質問をさせていただきました。そうしたら、答弁として、ホームからの転落や車両との接触事故がゼロになったと答弁をいただいております。有効性が確認されたと思います。
 そこで、この三田線の設置の際にさまざまな工夫をされたというふうに聞いておりますし、その経験を生かして整備を進めていただきたいということが一つ、それからあわせて、この工事の経験から、さまざまなノウハウを得たというふうにも聞いておりますので、これが他の交通事業者にも役立つような情報提供をしていただきたいと思います。この二点について伺います。

○金子交通局長 営業中の路線に可動式ホームさくを設置する場合には、工事は終電から始発までの限られた時間内に行う必要がありますために、三田線におきましては、深夜に営業に使用する電車を使いましてホームさくを運搬するなど、工夫を凝らして整備を行った経緯がございます。
 大江戸線につきましては、三田線での経験を生かすとともに、既存のATO、自動列車運転装置の改修を行わずに、ホームさくを制御する装置を新たに追加する方式を導入し、工事期間の短縮と費用の圧縮を図ることといたしました。今後工事の実施に当たりましては、さらなる創意工夫を加えて、平成二十五年度の一日でも早い時期に、全三十八駅への設置が完了するよう整備を進めてまいります。
 また、大江戸線可動式ホームさくの設置で得られる技術情報につきましては、さまざまな場を通じて、他の鉄道事業者に積極的に提供してまいります。

○橘委員 次に、中央卸売市場の耐震対策について質問いたします。
 平成二十年度に各市場で行った主な事業を見ますと、昨年度に北足立市場において災害用発電施設の整備工事が行われております。私の地元であります板橋市場では、同じ工事が十九年度に行われたと記憶しておりますけれども、この災害用発電設備は、災害と市場機能の関係でどのような役割を果たすのか。また、他の市場における対応はどうなっているのか、伺います。

○岡田中央卸売市場長 中央卸売市場は、震災時におきまして、生鮮食料品の供給確保の役割を果たすことになっておりますため、震災時の停電に備えまして、災害用発電設備を設置し、震災発生時から初動体制が整えられるまでの三日間、卸売場や駐車場等の照明に必要な電力を確保することといたしまして、平成十九年度から順次整備してございます。
 お話がございましたように、十九年度には板橋市場、二十年度は北足立市場、二十一年度は足立市場について整備いたしました。その他の市場につきましても、今後防災上の位置づけや施設確保などの設置環境を考慮し、順次整備を進めてまいります。

○橘委員 築地市場の災害用の発電設備の対応、これはどうなっているのか。施設や設備の整備によって震災時の対応を充実させることが、この築地市場に整備することによって充実させることが可能なのかどうか、これについて見解を伺います。

○岡田中央卸売市場長 基幹市場であります築地市場の電力の供給は、常時二回線で受電し、どちらか一方で事故が起きましても、もう一方の回線で電力が供給される、いわゆるループ受電方式を採用してございます。このため、他の市場の一回線での受電方式よりも、震災時に停電が起きにくい受電方式となっております。
 さらに、築地市場の震災時の対応を充実するためには、お話の、災害用発電設備を整備する必要がございます。しかし、そのためには、現在、勝どき門駐車場にあります受電設備の付近に、燃料貯蔵用に数百平米の敷地を確保しなければなりません。築地市場内で、物流上、重要な役割を果たしておりますこの周辺で、市場業務に支障を与えずに敷地を確保することは、現在、困難な状況にございます。

○橘委員 今答弁で大体この概要は明らかになったかと思いますけれども、この築地市場の整備については、今まで、予算の面、それから面積の面、将来の流通形態、衛生、安全など、あらゆる角度から検討し、現在地整備は課題が多過ぎるということが鮮明になりつつありますけれども、今回、市場機能を維持する生命線ともいうべき震災時の電力の確保という点でも困難であるということが明らかになったと思います。
 こうした状況になっても、民主党さんは、現在地再整備の検討を主張しているようでございますけれども、先の見えない現在地再整備の検討を繰り返すことで、新市場の開場時期がおくれ、その間に、震災等によって築地市場の機能が停止してしまうようなことが起こることが、これがやはり最も心配されるところであります。震災時における生鮮食料品供給等の物流拠点としての卸売市場の役割を果たすためにも、築地市場の移転整備を進めることが必要であると思います。
 現在地再整備のその議論だけで時間を浪費すべきではないということを私の方から指摘をさせていただいて、質問を終わります。

○樺山委員長 橘副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十五分休憩

   午後三時十一分開議

○樺山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 林田理事の発言を許します。

○林田委員 初めに、病院事業について伺います。
 先般、本年度上期の医療機関と介護事業者の倒産が過去最高の計五十件に達したとの報道がありました。中でも、医療機関は前年度の二倍の三十件であり、競争激化や診療報酬の引き下げなどで経営が悪化しているといいます。
 また、全日本病院協会の平成二十年度の病院経営調査報告では、病院の収支は十九年度と比較して約二%悪化しており、特に大規模病院ほど収入が悪いとしております。このような状況が続けば、急性期病院を中心に、日本の病院が、そして医療が崩壊していくのではないかという懸念を抱かせる調査結果になっております。
 このような中、都立病院における収支の状況はどのようになっているかを伺います。

○中井病院経営本部長 都立病院の平成二十年度の経常収支比率は一〇一・二%でありまして、十九年度の九九・八%に比べ、一・四ポイント上昇しております。
 なお、病床利用率についても、お話の調査対象病院では十九年度と比べ一・二ポイント悪化しているのに対し、都立病院では〇・四ポイント改善しております。
 また、患者一人当たりの入院診療単価、外来診療単価についても、都立病院は同調査病院を上回っている状況にあります。

○林田委員 医療を取り巻く状況が厳しい中で、都立病院の収支は上向きであるとお伺いをし、安心をいたしました。しかし、救急医療や周産期医療など多くの人員や経費を要する行政的医療の提供という都立病院の役割そのものが経営を圧迫する要因になっており、都立病院の経営は非常に厳しい環境にあると推察いたします。
 とはいえ、病院事業は独立採算の公営企業として運営しており、厳しい経営状況の中にあっても、たゆまぬ経営努力が必要です。
 そこで、平成二十年度、病院経営本部はどのような経営努力を行ったかを伺います。

○中井病院経営本部長 平成二十年度は、経営戦略担当副院長を新たに任命して、経営改善のさらなる推進に取り組んでまいりました。
 具体的には、経営戦略担当副院長が財務指標の目標値を設定し、達成に向けた進行管理や課題分析を行うとともに、ヒアリングなどを通じて、各病院と本部が一丸となって課題解決に当たってきております。
 また、これまで継続してきた医療連携の推進により、地域医療機関との役割分担が定着し、急性期の患者に対して専門性の高い医療を提供するといった都立病院本来の機能を十分に発揮できるようになってきたといったことも、経営改善に寄与しているものと考えております。
 こうした取り組みにより、前年度に比べ、入院外来収益が約十二億円増加いたしております。一方、費用面では、医薬品、診療材料等の共同購入やESCO事業の実施により、実施前と比較して約七億円コスト削減となっております。
 今後も、七対一入院基本料施設基準の取得やDPCの適正化に向けた取り組みを行うなど、あらゆる経営努力に引き続き努めてまいります。

○林田委員 我が党がこれまで看護師確保の観点からも要望してきた七対一看護基準については、今年、新たに大塚、広尾病院で実施していると伺っております。その効果に大いに期待しております。
 また、都立病院が医療連携を推進することは、医療資源の有効活用であり、さらに都立病院の経営改善にもつながるものであります。確かに、不採算な面はあるものの、行政的医療への対応を充実させ、都民の皆様が安心して生活できる医療体制を構築することこそ、都立病院の使命であります。一般会計からの繰入金など財源を確保して、安定的に医療を提供していただきたいと思います。
 さて、決算における医業収支の状況について、平成二十年度決算説明資料の三ページで確認いたしますと、十九年度に比べ、医業収益、医業費用ともに一・九%増加しております。医業費用の中で給与費が増加しているのは、医師の処遇改善による影響が大きいのではないかと想像いたします。
 ここで、改めまして、これまでの医師の処遇改善の取り組みとその成果についてお伺いいたします。

○中井病院経営本部長 医師不足が深刻化する中、都はその安定的確保を図るため、総合的、重層的な処遇改善策を講じてきております。
 具体的には、平成十八年度に初任給調整手当を十四万六千百円から十七万五千百円に引き上げたのを初め、十九年度には宿日直手当を一万五千三百円から三万円に引き上げ、続く二十年度には、異常分娩手当や、医師アカデミー指導医に対する指導医業務手当の新設、さらに優秀な部長、医長の確保定着を図るための初任給調整手当の一層の引き上げ等の処遇改善を行っております。
 また、本年度は、救急医療業務手当、産科医業務手当、ハイリスク分娩手当の新設など、特に人材確保が困難な診療分野に配慮した処遇改善を行いました。
 こうした取り組みの結果、都立病院全体の常勤医師の充足状況は、平成十九年度の九三・四%から二十年度は九五・六%、二十一年度は九六・一%と、年々改善されてきております。

○林田委員 病院事業の根幹は人であり、医療人材の確保、育成が最も重要な課題ですが、いうまでもなく、処遇改善だけで解決できるものではありません。とりわけ総合診療能力と高い専門性を兼ね備えた若手医師を確保、育成するために病院経営本部が実施している東京医師アカデミーは、極めて重要な事業であると受けとめております。
 そこで、東京医師アカデミー開講の年である平成二十年度はどのような取り組みを実施したのか、お伺いいたします。

○中井病院経営本部長 ご指摘のとおり、東京医師アカデミーは、都立、公社病院が一体となって総合診療能力と高い専門性を兼ね備えた医師を育成するシステムであります。このため、内科、外科系のほか、医師不足が顕著とされる産科、小児科、麻酔科、救急科など十二診療分野の専門コースを用意いたしております。
 二十年度は、シニアレジデント一人一人に研修責任者を配し、学会専門医受験資格の取得、総合診療能力の向上を到達目標とした研修カリキュラムに基づき、シニアレジデントの希望や進捗状況に合わせながら、きめ細かな研修指導を行っております。
 また、病院ごとにシニアレジデントとの意見交換会を実施し、その結果をカリキュラムに反映させるなど、研修内容の充実を図っております。
 さらに、指導体制の一層の強化を図るため、医療教育に定評のある内外の大学等から講師を招聘し、指導医層に対する講習会も実施しております。
 今後とも、カリキュラムの充実や指導体制の一層の強化に努めてまいります。

○林田委員 我が党は、これまで、都立病院の医師の処遇改善や東京医師アカデミーの開講を全力を挙げて応援支援し、またその成果に大いに期待してまいりました。今後とも、ぜひ医療人材の確保、育成を着実に推進し、医療サービスの質の向上に取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、今、感染拡大が急速に加速している新型インフルエンザ対策など感染症医療も、法令等に基づき都立病院が担う代表的な行政的医療であります。
 本年四月にWHOが豚インフルエンザ患者を確認してから、急速に新型インフルエンザが世界的に流行し、我が国においても、五月十六日に初めて国内感染者を確認、そして今現在、感染拡大が急速に加速し、都内において流行警報レベルが続いております。
 新型インフルエンザは、都内すべての一般医療機関で診療をすることになっていますが、基礎疾患のある人などは重症化するおそれがあると聞きます。
 そこで、都立病院が平成二十年度はどのような感染症対策を講じてきたかをお伺いいたします。

○中井病院経営本部長 これまでも都立病院では、感染症の早期診断や入院診療を充実するため、感染症指定医療機関を中心に、施設及び備蓄品の整備や職員の訓練、研修を行ってまいりましたが、そのような取り組みに加え、二十年度には、鳥インフルエンザなど強毒型への対応に向け、新型インフルエンザに対する都立病院の対応方針を改定するとともに、都立病院の役割と行動を明らかにした都立病院新型インフルエンザ対応マニュアルを策定いたしました。
 また、開設予定の多摩総合医療センター、小児総合医療センター、さらに駒込病院において、感染症指定病床を補完する感染症緊急対応病床の整備を計画し、二十一年度に着手いたしたところであります。
 なお、現在流行している新型インフルエンザにつきましても、患者の発生動向等を的確にとらえながら、重症患者等に適切に対応できる体制を各都立病院においてしいているところでございます。

○林田委員 今回の新型インフルエンザへの対応にとどまらず、今後発生が強く懸念される強毒性インフルエンザを視野に入れた感染症対策を進めているとお聞きいたしました。安心いたしました。
 中でも、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターが開設することにより、多摩地域における感染症医療が格段に充実するということは頼もしい限りであります。また、両センターの開設により、周産期医療や救急医療など多摩地域の医療水準が格段に向上することはだれも認めるところであります。
 小児三病院の移転統合については、医療人材不足がおびただしい現状を見れば、多摩地域における医療水準の向上には、限りある医療資源を有効に活用し、医療連携のネットワークを充実強化することが何よりも重要であると、我が党は一貫して主張してまいりましたし、今後、その具体化を強く要望するものであります。
 多摩全域の新型インフルエンザ対策が充実すると伺いましたが、小児病院移転後の清瀬及び八王子における地域小児医療の一層の充実もまた重要であります。
 先日、インフルエンザ患者の年齢群別割合で、流行の中心が低年齢化しているとの報道がありました。地域住民の声にこたえるためにも、救急医療など小児医療体制のさらなる整備に向け、医療人材確保や医療連携の推進などに今後もしっかりと取り組んでいただきたい。そして、移転に当たっては、患者さんや地域に十分に情報を提供するよう、重ねてお願いを申し上げます。
 病院運営におきましては、全国一律の診療報酬や特定の診療科における医師不足といった、病院の経営の努力だけでは解決できない課題があることは理解しております。
 今後、都立病院の経営を取り巻く環境はますます厳しい状況になると想像いたしますが、感染症医療、救急医療、周産期医療など都内に不足する医療を充実させる上でも、一層の経営努力と行政的医療への一般会計繰入金確保の両面から、バランスのとれた確固たる経営基盤を確立してほしいと思っております。
 そこで、最後に、今後の病院経営に当たって、病院経営本部長の決意をお伺いいたします。

○中井病院経営本部長 お話のとおり、厳しい医療環境にあっても、都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を将来にわたり安定的かつ継続的に提供しなければならない使命がございます。それには、七対一入院基本料施設基準の取得やDPCの適正化等の経営努力を行うとともに、都内に不足する行政的医療に対しては一般会計からの適切な支援を受けるなど、経営基盤の一層の強化を図っていく必要がございます。
 また、病院事業においては、医師、看護師などの医療人材が事業の土台をなすものであることから、東京医師アカデミーのさらなる充実や看護師のキャリアアップを総合的に支援する仕組みづくりなど、人材の確保、育成にさらに力を入れていかなければならないと考えております。
 これらの取り組みにより、都立病院の事業基盤をさらに強固なものとし、患者中心の質の高い医療サービスを安定的に供給し、東京の医療をしっかりと今後も支えていく所存でございます。

○林田委員 次に、水道事業について伺います。
 私は、先日の分科会におきまして、八ッ場ダムについては、一方的に建設を中止し、その理由すら明らかにしない国、政府に対して、一都五県は声を大にしてダムの必要性を訴えていくべきだと主張させていただきました。尾崎水道局長からは、八ッ場ダム建設推進の強い決意を伺いました。この問題は、都議会でも何度も議論を重ねてきており、その必要性は明らかであります。
 都の水源は、その多くを依存する利根川上流のダムが、近年の少雨化によって既に約二割の能力低下を来すなど、極めて脆弱な状況にあります。さらに、将来は気候変動による渇水の危険性すら叫ばれております。ぜひとも都には、関係自治体と連携を密にして、国に八ッ場ダムの必要性を強く訴え、事業推進に全力で取り組んでいただきたいと思います。このことを改めて申し上げておきます。
 さて、平成二十年度は、東京水道経営プラン二〇〇七の中間年度に当たるわけでありますが、本日は、その実施状況などについて何点か確認しておきたいと思います。
 水道局では、平成に入ってから、安全でおいしい水の供給に極めて効果の高い高度浄水施設の建設に着手し、以来、約二十年にわたって着々と整備を進めてまいりました。平成二十年度には、利根川水系の高度浄水処理率は六二%となっております。経営プランによりますと、平成二十五年度までにはこれを一〇〇%にする計画になっております。あと五年ほどで残り四〇%を整備することになりますが、至るところで一斉に関連施設の建設が進められていることは容易に想像できることであります。
 こうした大規模工事は、各施設を部分的に停止させながら進めざるを得ないと思いますが、いよいよ追い込みの時期となり、都民へ十分な水道水を届けられるかということが心配になってまいりました。
 そこで、高度浄水施設の整備状況と工事中の安定供給の確保についてお伺いいたします。

○尾崎水道局長 当局では、平成四年度に金町浄水場の一部に高度浄水処理を導入して以降、順次、三郷、朝霞両浄水場の一部、並びに三園浄水場への導入を進めてまいりました。
 現在、平成二十五年度末の利根川水系浄水場における全量高度処理を目指し、東村山、金町、三郷、朝霞の四浄水場で高度浄水施設の整備を進めております。
 特に、今年度完成予定の東村山浄水場では、土木や設備などさまざまな関連工事が最後の追い込み時期を迎えております。
 こうした高度浄水施設の整備では、既存施設の一部を撤去する必要があること、加えて、浄水場の運営上、各種維持工事を施設の一部を停止しながら実施することが必要なことなどから、浄水施設能力の大幅な低下が避けられない状況にございます。
 そのため、各浄水場における工事の工程管理を綿密に実施し、施設の停止時期の重複を避けることなどにより、局全体としての浄水施設能力の低下を最小限にとどめるよう総合的な調整を図りながら、安定給水に支障のないよう万全の体制で取り組んでおります。

○林田委員 今後も大変厳しい状況だとは思いますが、平成二十五年度までの完成を目指して、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
 さて、安全でおいしい水を届けるためには、水道水の品質確保が重要であります。知事も、さまざまな機会を通じて、世界で一番安全でおいしい水とおっしゃっている東京の水道水は、都民の誇りでもあります。
 さきの分科会においては、奥多摩町の都営水道一元化への進捗状況を確認させていただきました。奥多摩町では、水質管理という面で、豪雨の際の濁水への対応や水質計器の整備などさまざまな課題がありますが、一元化後には、水道局が持つ水質管理を含めた総合力でこうした課題も解決されていく、そのようにお伺いいたしました。
 さらに、水道局では、水道水の品質確保における取り組みを一歩進め、水源から蛇口に至るまで水質管理の一層の向上を目指した取り組みを進めるなど、大変な努力をされていることであります。
 そこで、より一層の品質向上のためには、しっかりとした体制のもとで徹底した管理を行う必要があると思いますが、どのように品質管理の強化を行っているのか、お伺いいたします。

○尾崎水道局長 当局では、より高いレベルの安全性とおいしさを実現するための水質管理の強化策として、東京高度品質プログラムを策定し、その運用を行っております。
 具体的には、このプログラムの中で国が定めた水質基準よりも厳しい管理基準を独自に設定するなどして、わずかな水質の変化にも迅速かつ的確に対応しております。
 また、水質検査におきましては、常に最先端の分析機器を導入するとともに、検査結果の信頼性を保証する国際規格の認定を取得するなど、水質検査の精度と信頼性を確保しております。
 さらに、プログラムに基づいて毎年水質管理状況を検証し、必要に応じ見直すなど、継続的に管理の改善を図っております。
 これらの体制により、水質管理に万全を期すとともに、将来にわたって高い技術レベルを維持、向上するよう努めております。

○林田委員 都独自の水質目的に基づき、より高いレベルで常に品質管理の向上を目指し、努力を続けてもらいたいと思います。
 これらの事業を着実に推進していくためには、安定した財政基盤が不可欠であります。
 そこで、財政状況を見ますと、平成二十年度は収益の中心となる料金収入が三千百三十九億円にとどまり、平成二十年度予算に対して、七十四億円、率にして二%強の落ち込みとなっております。収入に落ち込みがあったとしても、今必要な事業は着実に実施していきませんと、将来の都民の暮らしに影響を与えることにもなりかねません。
 そこで、供給収益の落ち込みなどをどのようにとらえているのか、また減収をどのようにカバーしてきたのか、あわせてお伺いいたします。

○尾崎水道局長 平成二十年度における給水収益は、年度の後半からの景気の低迷の影響などにより、当初予算に対して七十四億円の減収となったものでございます。
 このため、緊急性に着目した工事案件の精査、庁舎の改修や補修の抑制、機械設備の更新時期の見直しなどのほか、資産の有効活用による収入確保を図るなど、効率的な事業運営に努めたところでございます。

○林田委員 これからも、直面する課題を一つ一つ乗り越えて、都民の期待に引き続きこたえていただきたいと思います。
 冒頭にも申し上げましたが、平成二十年度は経営プランの中間年度であり、そして今年度は総仕上げの最終年度となります。
 そこで、最後に、経営プラン二〇〇七に掲げている施策の達成に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○尾崎水道局長 東京水道経営プラン二〇〇七では、首都東京を支えるライフラインとして、将来にわたる安全でおいしい水の安定的な供給を目指し、より信頼性の高い水道システムを構築するとともに、質の高いサービスを展開していくこととしております。
 平成二十年度は、このプランに基づき、高度浄水施設の建設を推進するとともに、安定水源の確保、施設の耐震性強化、水質管理の徹底、直結給水方式の普及拡大など、さまざまな事業を着実に実施したところでございます。
 経営プランの最終年度に当たり、こうした取り組みをさらに加速させ、より多くの都民の皆さんが一層確かな安心・安全を実感できる水道サービスの提供を目指し、経営プランに掲げた施策の達成に向けて全力で取り組んでまいります。

○林田委員 申し上げるまでもなく、水道は、都民の暮らしを支える、まさにライフラインそのものであります。計画に掲げた施策を着実に実施するとともに、安全でおいしい水の安定的な供給をより確かなものにしていただくようお願いをいたします。
 次に、水環境の再生と循環型社会形成の観点から、下水道の取り組みについて伺います。
 経済大国日本の中心として発展してきた首都東京は、これまで多くの都市問題に直面してまいりました。その一つが水環境問題であり、多摩川や隅田川など都内各地を流れる多くの河川の水質は、高度経済成長期に著しく悪化いたしましたが、昭和四十年代後半から下水道の普及などにより大幅に改善されてきたと思います。
 しかしながら、現在の河川の水質の状況は、まだまだ改善すべき状況にあります。さらに、それら河川が流れ込む東京湾の水質も、同じく昭和四十年代後半に比べると改善されてまいりましたが、依然として夏場を中心に赤潮の発生など水質の悪化が見られます。
 世界の範たる環境先進都市を目指し、「十年後の東京」計画で掲げているとおり、水と緑に包まれた美しいまち東京を復活させるためには、水質改善にさらに取り組んでいく必要があります。
 そこで、水質改善を図るため、下水道局ではどのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。

○松田下水道局長 都の水再生センターでは、一日平均で東京ドーム約五杯分に相当する約五百九十万立方メートルの下水を処理し、川や海などに放流をしており、良好な水環境の形成に重要な役割を果たしております。
 しかし、お話にありましたように、東京湾では現在でも年間九十日程度赤潮が発生し、窒素や燐が発生原因の一つとされていることなどから、その除去を目的とした高度処理施設の導入を進めております。
 一方、区部の約八割、多摩地域でもその約二割が、汚水と雨水を同一の管で流す合流式下水道で整備されており、一定量以上の降雨があった場合に汚水まじりの雨水が川などに放流されるため、その改善対策に取り組んでおります。
 具体的には、川などに放流される汚水まじりの雨水の量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすための下水道の幹線の増強や、ごみなどの流出を抑制するための施設の改善、また降雨初期の特に汚れた雨水をためる貯留池の整備などを進めております。

○林田委員 ただいま局長の答弁にありました高度処理施設の導入と合流式下水道改善対策の二つの取り組みについて、具体的に伺っていきたいと思います。
 まず、決算書によると、平成二十年度には清瀬水再生センターで高度処理施設が増設され、稼働したとありますが、都における窒素や燐の除去を目的とした高度処理の導入状況についてお伺いいたします。

○松田下水道局長 昨年度には、お話の清瀬水再生センターを含め、三カ所の水再生センターで、日量約二十三万立方メートルの高度処理施設が稼働いたしました。今年度は、新たに昭島市の多摩川上流水再生センターなどで約十一万立方メートルの高度処理施設が稼働し、都の水再生センターにおける一日平均の下水処理量の約一三%に相当する約八十万立方メートルの高度処理が可能となりました。
 さらに、現在、砂町水再生センターや北区の浮間水再生センター、多摩川上流水再生センターなどで、合計約二十五万立方メートルの高度処理施設の整備を進めております。
 今後も、老朽化した施設の再構築などに合わせまして、高度処理施設の導入拡大を図ってまいります。

○林田委員 さきのご答弁で、一日に東京ドーム五杯分もの処理水が放流されているとのことでありますが、例えば多摩川中流部では、処理水が河川水量の約五割と多くを占めていることから、その水量を向上させることが水環境の再生に重要であります。高度処理施設の整備は、多くの費用と時間がかかると聞いておりますが、着実に進めていただくようお願いを申し上げます。
 次に、合流式下水道の改善について伺います。
 高度処理による窒素や燐の除去と同時に、雨天時の水質改善も極めて重要であります。先ほど答弁にもありましたが、一定以上の降雨があった際の下水道からの放流は、河川などの水質に影響いたします。下水道局における合流式下水道の改善に向けた取り組み状況についてお伺いいたします。

○松田下水道局長 合流式下水道の改善に向けた下水道の幹線の増強については、おおむね完了しております。また、ごみなどの流出を抑制するための施設の改善につきましては、区部では、対象となる七百三十三カ所のうち、平成二十年度末までに四百七十四カ所が完了しております。来年度末までに、おおむね完了する予定でございます。
 多摩地域においても、今年度、国立市の北多摩二号幹線で施設の改善を実施したことで、対象となる十一のすべての箇所で対策が完了いたしました。
 さらに、降雨初期の特に汚れた雨水をためる貯留池の整備については、区部では、約三百六十万立方メートルの計画のうち約八十三万立方メートルが完成し、現在、葛飾区の小菅水再生センターにおいて、約十二万立方メートルの貯留池整備を進めております。
 多摩地域では、約十万立方メートルの計画のうち五万立方メートルが完成し、今年度より、狛江市内で二万立方メートルの貯留池の工事に着手する予定でございます。
 引き続き貯留池整備のための用地確保などを行い、合流式下水道の改善を図ってまいります。

○林田委員 合流式下水道の改善のための貯水池整備なども、新たな用地の確保が必要となるものもあるほか、大規模な工事となり、多くの費用、期間が必要となると思いますが、良好な水環境を目指す上で非常に重要な取り組みであるので、引き続き着実に取り組んでいただくことを重ねて申し上げます。
 ところで、環境先進都市を目指す上では、さまざまな事業活動から生じる副産物を貴重な資源として有効利用するなどの取り組みを通じ、環境型社会を形成していく必要があります。
 下水道事業においては、下水道処理の過程で大量の処理水や汚泥などが発生することから、これらを資源として有効利用することに取り組んでおります。
 具体的には、多摩地域では、玉川上水などに清流復活用水として再生水を供給したり、汚泥の焼却灰から道路の舗装材などとして活用するブロックを製造するなど、平成二十年度末の資源化率は一〇〇%となっております。
 こうした資源の有効利用も含め、環境保全の取り組みをどのように進めていくのか、お伺いいたします。

○松田下水道局長 これまでにも、再生水の有効活用や下水汚泥の資源化などの資源の循環利用と、高度処理や合流改善による望ましい水環境の創出に努めてまいりました。窒素、燐を効率的に除去できる高度処理技術、下水汚泥を火力発電所における石炭の代替燃料として活用する汚泥炭化技術、より安価に再生水をつくる技術など、新たな技術を開発導入し、施設の整備を進めるなど積極的に取り組んでまいりました。
 さらに、都のスギ花粉発生源対策で生じる杉の未利用材などを下水汚泥と混合焼却する施設を局横断的な取り組みとして整備、稼働させました。
 今後とも、新たな技術開発や他の事業との連携を深め、環境先進都市東京の実現に貢献してまいります。

○林田委員 今ご答弁にあった下水汚泥と木質系バイオマスの混合焼却施設は、国土交通大臣賞を受賞しており、他事業と連携した環境保全の大変よい取り組みと評価されております。環境先進都市を目指すため、水環境の再生や循環型社会の形成をさらに推し進めていただきたいと思います。
 最後に、都市整備局が所管している都施行の再開発事業に関してお尋ねいたします。
 現在、公営企業会計による都施行の再開発事業として、三地区で事業が進められております。いずれも、東京の交通渋滞を緩和する上で重要な都市計画道路の整備に合わせ、周辺を含めた一体的なまちづくりが進められており、首都東京の都市基盤の強化と機能更新を図る上で極めて重要な事業であります。
 中でも、環状二号線新橋・虎ノ門地区と大橋地区は、区部の重要な幹線道路である環状二号線や首都高速中央環状新宿線大橋ジャンクションの整備だけではなく、再開発事業により権利者が入居する再開発ビルを整備することにより、地域に残って生活をし、あるいは営業を続けたいという権利者の願いにこたえられたことから、事業の促進が図られたものと認識しております。
 とはいえ、再開発事業は、事業の収支について均衡を図るということも留意されるべきところであります。公営企業会計を導入したのも、そこにねらいがあると聞いております。
 依然として、景気の先行きが見えにくい、厳しい経済状況ではありますが、引き続き積極的に民間の資金やノウハウを活用しながら、付加価値の高い魅力のある再開発ビルを整備し、事業を早期に完成させることが重要であると考えます。
 そこで、環状二号線地区と大橋地区の事業を推進するに当たり、都は、事業採算の確保について、現時点でどのような認識を持っているのか、お伺いいたします。

○河島都市整備局長 都は、再開発ビルの建設に民間のノウハウを活用することによりまして、事業費の縮減や保留床処分のリスクを回避することができる特定建築者制度を導入いたしまして、再開発事業の推進を図っております。
 環状第二号線新橋・虎ノ門地区につきましては、三つの街区すべてにおきまして、予定を上回る敷地譲渡価格をもって特定建築者を決定しておりまして、事業採算確保の見通しを得ております。
 また、大橋地区につきましては、二棟のうち、昨年特定建築者の公募手続を行いました再開発ビルにおきまして、厳しい経済状況を反映した敷地価格が提案されましたが、権利者の生活再建を早期に図る必要があることなどを考慮して、今後市況が回復した場合に敷地譲渡価格を増額変更する旨の条件を付して、特定建築者との契約を締結いたしました。
 今後も、特定建築者との協議を継続するとともに、事業コストの縮減や新たな収入を図り、事業採算の確保に努めてまいる所存でございます。

○林田委員 事業を推進していくに当たっては、権利者の生活再建を最優先に考えるべきでありますが、企業収支のバランスを図ることもまた重要であります。今後とも、バランス確保に最善の努力を払いながら、着実な事業推進を図っていただきたいと思います。
 さて、両地区に見られるように、東京を活力に満ちた魅力あふれる都市へと再生していくためには、専ら公共事業として行われる道路などの都市基盤の整備は、これを単独で行うより、周辺のまちづくりと一体的に進めていくことが効果的であります。その点で、再開発事業は、道路空間を確保し、権利者が入居する再開発ビルを同時に整備するものであります。その地域に残りたいと願う権利者の希望にこたえられ、地域の活力を創出し、環境改善などにも資する、非常に波及効果が大きい手法だと考えております。
 そこで、再開発事業は民間で行われるという選択肢もあるわけでありますが、都みずからが施行者となって再開発事業を行うことの意義について、改めてお伺いいたします。

○河島都市整備局長 都は、現在、環状第二号線新橋・虎ノ門地区や大橋地区など、三つの地区で都施行再開発事業を実施しております。環状第二号線地区は、立体道路制度を活用して、長年の懸案であった道路整備と権利者が入居する再開発ビルの建設を同時に進めるものでございます。また、大橋地区は、首都高速中央環状線の大規模かつ特殊な構造のジャンクション整備と、再開発ビルの建設を含む周辺のまちづくりを一体的に行うものでございます。
 これらは、いずれも都の重要施策である根幹的な幹線道路が計画された地区で実施するものでございまして、事業規模が大きく、関係権利者も多いことに加え、制度的にも技術的にも複雑で難度が高いことから、民間では事業の実施が困難でありました。このため、都みずからが事業主体となりまして再開発事業を実施することとしたものでございます。
 このことによって、関係権利者との合意形成が円滑に図られ、都市基盤の早期整備が可能となるとともに、魅力ある市街地の再編が実現されることとなりました。
 このように、都施行の再開発事業が東京の都市再生に果たす役割は極めて大きく、引き続き事業を着実に推進してまいります。

○樺山委員長 林田理事の持ち時間は以上であります。
 林田理事の発言は終わりました。
 次に、松下理事の発言を許します。

○松下委員 東京の水道は、欠かすことのできない重要なライフラインであり、日夜、都民の生命を守るために水道局の皆様がご努力されていることに敬意を表しつつ、質問をさせていただきます。
 まず、水源開発計画について伺います。
 利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画、通称第五次フルプランが平成二十年七月に閣議決定されています。その後、平成二十一年三月に一部変更があるようですが、この第五次フルプランの内容をどのように評価していますか。
 並びに、第五次フルプラン策定を受けて、東京都の水道需要予測をどのように策定しているのか伺います。具体的に、水道需要予測、一日最大配水量、給水人口などの指標がどうなっているか、含めてお答えください。

○尾崎水道局長 利根川、荒川水系の第五次フルプランは、近年の降雨状況の変化を踏まえた上で、従来、五年に一回程度発生する規模の渇水に対応するとしていた供給の目標を、他の水系と同程度の十年に一回程度といたしました。その上で、目標達成のために必要な八ッ場ダムや霞ケ浦導水などの水資源開発を行うと定めております。
 また、水道需要予測は、過去の使用水量実績や関連する社会経済指標を用いて、統計的手法により推計したものでございます。
 平成二十五年度における計画給水人口を一千二百三十九万人、計画有収率を九四・〇%、計画負荷率を八一・〇%、計画一日最大配水量を六百万立方メートルとしております。

○松下委員 私は、この第五次フルプランを受けて、東京都がどういった水道需要予測を策定しているのかと伺ったのですが、それに対してのお答えではないようであります。
 私自身、今回、改めて第五次フルプランや水道需要予測についていろいろと調べてみました。計画一日最大配水量とは、予測した一日平均使用水量を計画有収率で割り、さらに計画負荷率で割った結果出てくるようであります。
 負荷率とは、一年じゅうで最も水需要がある時期と平均的な時期との差をあらわすものであり、一日最大配水量と一日平均配水量にどのくらい差があるのかを見るものであります。
 この負荷率は、一日最大配水量に対する一日平均配水量の割合なので簡単に算出をすることができます。最近の実績値から計算をしてみますと、負荷率は八〇%台後半から九〇%となっていて、平成二十年度では八九・九%、約九〇%であります。負荷率を何%で計算したかによって、予測する一日最大配水量は大きく異なってきます。
 今お答えのとおり、負荷率を八一%で計算すると六百万立方メートルになるようですが、これは用いた負荷率が間違いなのではないでしょうか。計算間違いではないかと私は思いました。一日最大配水量はダムなどの水資源開発に大きく影響するために、事業概要の二六ページにも出ています実際のデータで計算した負荷率を用いて、再度、より正確な一日最大配水量を予測すべきであります。
 第五次フルプランの特徴として、水の用途別の需要の見通し及び供給の目標の中で、それぞれ見通しや目標を述べる前提として、経済社会の諸動向並びに水資源開発の多目的性、長期性及び適地の気象性に配慮しつつ、これらを必要に応じて見直すものとすると書かれています。これは第四次までのフルプランにはない文言であり、非常に特筆すべきものであると私は思いますが、この部分をどのように都の水道需要予測に生かしているのか、お答えください。

○尾崎水道局長 まず初めに、先ほど申し上げました第五次フルプランですが、評価していると答弁申し上げました。
 都の水道需要予測は、これまでも、経済社会の諸動向はもとより、水使用実態などを総合的に勘案し、合理的な手法により適宜適切に見直しを実施しております。
 なお、ご指摘のあった負荷率は、気象条件や曜日、渇水の影響等の社会条件など、さまざまな要因が影響し変動するものでございます。
 計画負荷率につきましては、最近の実績のみをもとに判断すべきものではなく、首都東京の安定給水を確保する観点から、予測の実績期間とした十五年間の最低値を採用し、八一%と設定いたしました。

○松下委員 第五次フルプランを評価しているのであれば、これらを必要に応じて見直すものとするというその文言も、しっかりと評価した上で計画をしていただきたいと思いますし、私は何も最近の実績のみをもとに負荷率を判断すべきとはいってはおりません。
 予測の実績期間が、昭和六十一年から平成十二年の十五年間であります。平成二十年の決算を行っている中で、そもそも予測した時期や予測に用いた指標が古過ぎるのではないかと指摘をしているのです。直近の十五年の負荷率の最低値は八六・五%です。そして、今、負荷率というのは変動するというご答弁もありました。そうであるならばなおさら、変動するのであるならばなおさら負荷率を今の現状に合ったものに見直すべきです。昭和六十一年の、今とはライフスタイルが全く異なる時代の負荷率をいまだに用いていることに、私は大きな疑問を感じます。五%の違いは、一日最大配水量で約三十五万トンにもなります。
 また、今の答弁でもお答えありましたが、過去の答弁の中でも、必要に応じて水需要予測を見直していると、何度も何度も答弁はありました。東京都の長期構想策定時に合わせて見直しているともありましたが、では、現在の東京都の中長期計画である「十年後の東京」策定時には、水道需要予測を見直していないのでしょうか、お答えください。

○尾崎水道局長 現在の水道需要予測は、平成二十五年度を目標年度として平成十五年度に作成したものであり、見直しは行っていません。

○松下委員 予測を行ったのは平成十五年度なのでしょうが、その基礎となるデータは平成十二年度のものであります。「十年後の東京」が公表されたのは平成十八年ですから、その時点で既に六年も経過をしています。
 そもそもこの計画の到達点が平成二十五年度であり、八ッ場ダムの事業認可は平成二十七年度に延伸していますので、その二年間分の予測もないことを指摘しておきます。
 さらに、途中の経過、一日最大配水量六百万立方メートルに到達するまで、どのように毎年毎年水道需要があるのかが不明ではないでしょうか。二十年の一日最大配水量は四百九十二万四千立方メートルですから、この予測六百万立方メートルとの差、百万立方メートル、どのように説明をされるのでしょうか。
 一日平均配水量、一日平均使用量に乖離がなくとも、負荷率を幾つと計算するかで、予測一日最大配水量は大きく異なってきます。最近の正確な負荷率を用いて計算し直すべきであります。
 都は、下水道事業の上位計画である多摩川・荒川等流域下水道整備総合計画をことしの七月に見直しをしています。この総合計画は都市整備局がまとめて発表したものでありますが、その中では、計画汚水量を一日当たり約千百七十二万立方メートルから約八百六万立方メートルに下方修正をしています。計画汚水量が三割も減少しているのです。
 この計画をもとに、下水道局は、今後、施設の整備等計画していくのだと思いますが、総合計画の下方修正を受けて、今後どのように下水道計画に取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○松田下水道局長 これまでの水再生センターの施設計画では、計画汚水量やセンターへ流入する水量の実績などを考慮して、効率的に施設を整備してまいりました。
 今回、平成十七年に、東京湾など閉鎖性水域の水質を改善するため下水道法の改正があったことなどから、流域別下水道整備総合計画の見直しが行われたところであります。
 今後の施設計画においても、計画汚水量などの見直しを踏まえつつ、急増する老朽化施設への対応や、さらなる水質改善のための高度処理の導入などの課題に対応するため、計画的かつ効率的に施設を整備してまいります。

○松下委員 下水道局は、今ご答弁のとおり、下方修正した計画をもとに計画的かつ効率的に施設整備に取り組もうとしているということかと思いますが、水道局は実際には見直しを行っていない。上水、下水と水は循環しているはずですので、上下水道一体として汚水量や水の需要予測の計画を立てるべきだと私は思います。
 そもそも計画汚水量を導き出すには、水道からの排出量が予測されていると思うのですが、三割も下方修正されているということは、今後の施設整備に大きく影響するはずだと私は思います。もし仮に、都の予測一日最大配水量が本当に正しいのであれば、今後、計画を下方修正する下水道局の設備では施設能力が足りなくなると、本当に六百万立方メートルが正しいと思っているならば、水道局として下水道局の計画の見直しには異議を申し上げるのが筋ではないかと私は思います。
 水道局は、公営企業として公共性と経済性を最大限発揮し、最少の経費で最良のサービスを安定的に提供することにより、安全で快適な都民生活や都市活動を支えるとともに、良好な水環境を創出することが仕事のはずです。
 これは、実は下水道局の経営方針に掲げられていることなのですが、同じく公営企業として、水道局も水道事業の経営方針がありますが、その冒頭には、「東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、効率経営に努めながら、一層確かな安心・安定を実感できる水道サービスを提供していく。」と書かれています。効率経営に努めていただくためにも、正確なデータ、現状の実績に基づいて水道需要予測を立てるべきであります。水源確保やそれに伴う施設整備も、当然、水道需要予測に基づいたものでなければならないはずです。
 平成十五年の水道需要予測を、都の中長期計画である「十年後の東京」が策定されても見直さない。八ッ場ダムの基本計画が変更されたとき、事業認可が延伸され工期が平成二十七年と五年も延ばされるときにも見直さない。下水道の計画汚水量が見直されても見直さない。その理由は一体何なのか、お答えください。

○尾崎水道局長 現在の水道予測は、先ほど申しましたが、平成二十五年度を目標年度として平成十五年度に策定したものであり、予測の基礎となる一日平均使用水量は、計画値と実績値との間に大きな乖離が生じておりません。ダム等の水源施設は、建設に長期間を要するとともに、完成後も長期にわたって使用するものであり、五十年、百年というスパンで考える必要があります。
 近年の少雨化によって、利根川水系のダム等では既に供給能力の低下が生じており、水源の確保に当たっては、需要の見通しはもとより、気候変動によるリスクなどを踏まえ、将来にわたる渇水に対する安全度という観点から、着実に確保すべきものであると考えております。

○松下委員 現在の水道需要予測は平成二十五年度を目標年度と、何度もお答えいただいておりますが、八ッ場ダムの工期は平成二十七年度です。平成二十五年度の予測からさらに二年後であります。そのことを改めてお考えいただきたいと思いますし、一日平均使用水量に乖離がなくとも、一日最大配水量には、先ほども申し上げましたが、平成二十年度と予測で約百万立方メートルも差があります。一日最大配水量の乖離を正すべきであると思います。
 事業の見直しはもとよりとおっしゃるのであれば、まず需要を先に見直すべきであります。最新のデータ、現状の水道需要の実績に基づいた水道需要予測をできるだけ早く出していただきたいと思います。そして、保有水源を分析する総合的な水資源マネジメントへの転換を図るべきであると私は考えます。その上で、水源施設の整備についてお伺いいたします。
 八ッ場ダム建設事業の事業主体は、国土交通省、国であります。都は、関係自治体とともに負担金を分担し、国のダム事業に参画をしてきました。都として八ッ場ダム事業の見直しは考えていないと、分科会の質疑も行われてきましたが、事業主体は国のはずです。これまでとは政権がかわりました。国が事業の見直しを考えたときに、都としてどのように対応するつもりなのか、お答えください。

○尾崎水道局長 繰り返して申し上げますが、首都東京の水源は、不安定な取水や渇水に対する安全度が低いなど、極めて脆弱な状況にあり、将来にわたって安定給水を行うためには、八ッ場ダムによる水源の確保は必要不可欠でございます。
 八ッ場ダム建設事業は、特定多目的ダム法に基づく手続により、国と関係自治体が協議を積み重ねながら、共同事業として進めてきたものでございます。今回の一方的な中止表明に対しては、国に事業継続を強く要請し、一日も早い八ッ場ダムの完成を求めてまいります。

○松下委員 必要不可欠で、一日も早い完成を求めていくとおっしゃいますが、そうであったならば、おととしの事業認可が変更となったときに、もっと抗議なり異議を申し立てるべきではなかったのですか。今回、事業認可の延伸は二回目です。一回目の事業認可延伸の際には、それよりさらに事業がおくれるとダム事業が不要となる可能性もあるという意見が付されていました。都は過去の経緯と現実にもっと目を向けるべきであります。
 仮に、見直しをせずに今の計画で事業が進められたとしても、完成予定は平成二十七年、二〇一五年です。完成予定までの六年の間、都としてどのように安定給水をするつもりなのでしょうか。ダム事業は、周辺工事は進捗していますが、本体はまだできていないばかりか、本体工事に着工もしていません。八ッ場ダムという、まだ完成していないダムに水資源開発を期待し、安定給水を求めることは、今の時点では誤っているのではないでしょうか。
 水の安定供給を責務としている水道局の今後六年間、平成二十七年までの責務とは一体何なのか、どのように都民に対して水の安定供給に努めるつもりなのかをお答えください。

○尾崎水道局長 先ほども申し上げましたとおり、首都東京の水源は、不安定な治水や渇水に対する安全度が低いなど、極めて脆弱な状況にあります。こうした水源状況において八ッ場ダムが完成するまでの間は、渇水に対して十分な安全度を確保できないことから、平常時の給水には支障がございませんが、仮に厳しい渇水が発生した場合には重大な影響が生じることとなります。
 このため、国に対して、建設事業の継続と一日も早い八ッ場ダムの完成を強く求めてまいります。

○松下委員 八ッ場ダムが完成するまでは、渇水に対して十分な安全度を確保できないと、今ご答弁のとおり、本当に思っていらっしゃるのならば、もっと都民に対して、安全度が低い現状、さらなる節水の取り組みを働きかけるべきではないでしょうか。
 きょう指摘させていただいたとおり、負荷率を幾つにするかで、この安全度も実は大きく変わってくるのではないでしょうか。現在、都の保有する水源量は日量六百三十万立方メートルで、今のご答弁の不安定な取水というのは、課題を抱える日量八十二万立方メートルのことかと思いますが、仮に課題を抱える量を保有水源量から引いたとしても、五百四十八万立方メートルの保有水源量は、平成二十年から過去十年間の一日最大配水量の実績値を上回っていることを指摘させていただきます。
 また、都の考える安定した水源は、八ッ場ダム完成時に確保できるのかもしれませんが、では完成までの間、実際に水が存在している、水を供給している暫定水利権よりも、保有水量にカウントもしてもらえない実際に水道水として利用している地下水よりも、まだ水が存在していないダムというのは不安定以前の問題だと私は思います。完成していない水が存在していない八ッ場ダムとは一体何なのか、都は水資源開発を他県のダムに過度に頼るのではなく、地下水を保全し、さらに調査を行った上で有効活用をすることや、不安定水源を安定水源とするよう国に求めるなど、今できることがもっとあるはずではないでしょうか。あわせて、八ッ場ダムの水質についても調査すべきであると指摘をさせていただきます。
 その上で、過大な水道需要予測を、特に過大な一日最大配水量と、それを導き出している昭和六十一年の実態をもとに計算した負荷率を改め、実態に合わせた需給計画をつくっていただき、長い間ダム事業に翻弄されて苦しまれたダム予定地の人々の生活再建策をしっかりと講じた上で、八ッ場ダム事業を都としても見直していただきたいと申し上げ、次の質問に移ります。
 次に、病院経営本部にお伺いいたします。
 都立病院の健全経営の観点から、個人未収金について幾つかお伺いいたします。
 決算書の貸借対照表の流動資産に未収金がありますが、医療未収金として幾つかの未収金が一緒になっているようであります。個人未収金の平成二十年度の金額と、これまでの累計額及び全医療費に占める割合と未収金額の多い診療科についてお伺いいたします。

○中井病院経営本部長 病院経営本部では、個人が負担すべき診療費のうち、年度末現在において発生日から一年以上経過したにもかかわらず未収となっているものを個人未収金としておりますが、平成二十年度に新たに未収金となった金額は約一億七千九百万円、これまでの累計額は約九億九千八百万円となっております。また、診療収益に占める割合は一・一一%であり、未収金額の多い診療分野は、救急部門と内科となっております。

○松下委員 単年度で約一億八千万円、累計で約十億円ということは、過去に発生して回収困難となっている未収金が多いということかと思いますが、個人未収金発生の原因をどのように分析をされているのでしょうか、お伺いいたします。

○中井病院経営本部長 未収金の発生を原因別に見ますと、経済的な困窮、患者さんの居所不明、交通事故で加害者との示談がまとまらないもの、支払い能力があるにもかかわらず支払いを拒否するものなどが挙げられます。

○松下委員 昨年、私自身、民間病院で出産をしましたが、その際、入院時にはまとまった預かり金を病院へ支払いました。退院時には、一連の流れがあり、会計を済ませて預かり金と実際の医療費の差額不足分を支払いました。民間病院では、預かり金を取り入れるなど、未収金対策が都立病院よりも厳しく行われているように思います。都立病院でも、民間ノウハウを取り入れて未収金対策に取り組む必要があると考えますが、例えば預かり金制度の導入についてどのようにお考えなのか、伺います。

○中井病院経営本部長 預かり金制度に関しては、国の検討会などでも言及はされてはおりますが、医師法第十九条、いわゆる医師の応招義務との関係などがあり、なお検討が必要であると考えております。
 また、預かり金制度の導入については、収納事務が煩雑になることや、公立病院ではまだまだ普及していない現状のもとで、患者さんの抵抗感などが懸念されるといった側面もございます。
 いずれにいたしましても、預かり金制度については、未収金対策を考える上での一つの手法として引き続き検討させていただきます。

○松下委員 例えば出産の場合、保険から一時金が支払われます。先ほどの答弁では、支払い能力があるにもかかわらず支払いを拒否する方もいらっしゃるとありましたが、都立病院の出産費用は出産育児一時金よりも低い金額かと思いますので、それでも支払わない、出ないケースがあるということかとも思います。
 出産育児一時金については、制度が改正され、直接病院に支払われる方法も新たに選択可能となっています。出産一時金の直接支払い制度を活用すると未収金対策として有効でありますが、どのように周知しているのか、お伺いいたします。

○中井病院経営本部長 本年十月から出産育児一時金の直接支払い制度が創設され、妊婦さんと医療機関が代理契約を締結することにより、出産育児一時金の受け取りを医療機関が行うことができるようになっております。都立病院では、制度開始前からパンフレットを作成して分娩を予定している妊婦さんに周知し、制度利用を積極的に推進した結果、現時点でほとんどの方に利用していただいている状況にございます。

○松下委員 出産の際、窓口で高額な医療費を支払う必要がなくなり、また保険から一時金が支払われるまでのタイムラグもなくなり、利用者にとっても利便性が高い直接支払い制度を有効に活用していただきたいと思います。
 今後の未収金対策についてどのように取り組んでいくのか、最後にお伺いいたしますが、未収金対策については、発生防止と回収向上、両方に取り組むことが大切だとは思いますが、発生防止を第一に、一たん発生した未収金を回収することは非常に困難なことだと思いますので、預かり金制度を導入するなど考えていただきたいという要望もし、今後の未収金対策についてどのように取り組んでいくのか、最後にお伺いいたします。

○中井病院経営本部長 昨年度から専門知識を持った民間の人材を本部に配置して、困難案件に取り組んでもらい、一定の成果を上げているところでございます。
 また、昨年作成した未収金業務マニュアルを活用して、患者さんの状況を早期に把握し、医療費助成制度等の紹介を行ったり、支払いの相談に応じるなどして、未収金の発生の一層の防止に努めるとともに、職員の回収ノウハウの向上も図っているところでございます。これらの取り組みの実情、成果を踏まえまして、今後もさらに効果的な取り組みが行えるよう引き続き努力してまいります。

○樺山委員長 松下理事の発言は終わりました。
 次に、かち委員の発言を許します。

○かち委員 まず、都立病院の病院事業について伺います。
 分科会でも質疑をしましたけれども、小児精神科専門病院である都立梅ケ丘病院の果たす役割について、再度確認したいと思います。
 現在、小児精神科の単独病院は、全国にたった二つしかないということが明らかになりました。一つは三重県立あすなろ学園で、八十床の思春期の児童を対象にした病院です。そしてもう一つは梅ケ丘病院です。病床数も、全部で三百四十二床のうち二百四十二床が梅ケ丘、ですからその七割を占めているんですけれども、幼児から青年期までの子どもの精神科専門病院は、全国唯一の存在だといっても過言ではありません。
 そこでお聞きしますが、平成十二年の都立病院改革会議に梅ケ丘病院から提出された意見交換のためのレポートで、梅ケ丘病院の組織的、物理的独立についてはどのように書かれているでしょうか。

○中井病院経営本部長 ただいまご指摘のございました梅ケ丘病院から提出されているレポートの中では、専門機能病院として小児精神疾患患者にとっての良好な治療環境を確保するためには、一般の小児病院や成人の精神病院とは組織的にも物理的にも独立していることが望ましいとしております。
 これは、当時の実情を前提とした一つの見解でございまして、その他いろいろな事情を勘案して別の考え方を問うことは当然あり得るわけでございます。
 なお、新センターでは、緑あふれる恵まれた自然環境の中にあって、子どもたちが自由に遊び憩える大規模なルーフコートやさまざまなスポーツができる屋外運動場、体育館、プール等が完備していることに加え、子どものアメニティーや安全への配慮、工夫が随所にされており、梅ケ丘病院に比べると、患者さんにとって格段に好ましい療養環境となっております。

○かち委員 書かれている内容はそのとおりです。
 小児精神科医療というのは、一般の治療医療とは異なって、やはりそこの場が生活の場であり療育の場であるという特殊性を持っている。だからこそ、組織的にも物理的にも独立していることが必要だといわれているんだと思うんですね。
 小児精神科の専門病院として、小児精神疾患患者の治療や社会復帰に常に先導的な役割を果たしてきたのが梅ケ丘病院であり、当該医療にかかわってきた関係者の皆さんから、重ねてこのようなことがいわれ、そのことについて議論を尽くされることを切望されていたわけです。にもかかわらず、都立病院改革実行プログラム、今の改革実行プログラムは三つの小児病院の統廃合が掲げられ、梅ケ丘病院も小児総合病院の一角にはめ込まれる事態となっているんです。この実行プログラムをつくるに当たって、そのベースとなったのが総合方針を示した都立病院改革会議ですけれども、この報告でさえ、小児精神科は、その特性を考慮し、診療を行う施設は一般の小児とは切り離した独立した施設にすることが望ましいといわざるを得なかったのです。しかし、それは生かされていないのが、今の小児総合医療センターです。
 同じくさきのレポートの中で、将来構想の中に東京のような大都市における小児精神科の方向としては、どのように書かれているでしょうか。

○中井病院経営本部長 ただいまの先生のお話ですが、小児総合医療センターになることによって、要は心の病気を持つ子どもたちの中には、体の病気を抱えるケースが多くあるわけでございまして、こうした子どもたちには、心と体の医療部門が併設されることによって、これまでにない高度で多様な医療が受けられるという、新たな、そして大きなメリットもあるということも指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 先生の今お話のあったレポートの中での引用の箇所はこちらかと思うんですが、東京のような大都市では、精神科救急医療に対応した幾つかの医療圏ごとに小児精神科の専門医療機関が立地していることが望ましいが、小児精神科における医療は、多くの専門的なスタッフを要することや、現行制度下では十分な収入の確保の面から民間部門にこうした役割を期待することは困難である。この意味で行政が中核的な役割を担うことが現実的であると書かれております。これも先ほど述べたとおり一つの見解でございます。
 なお、梅ケ丘病院から小児総合医療センターへの移転によって、医療スタッフ、施設のいずれの面でも質的な充実が図られることに加えて、大塚病院でも新たな小児精神科外来が開設されるなど、今回の再編整備は、あのレポートで述べられている、行政が中核的な役割を担うということに、まさにかなった取り組みであるというふうに考えております。

○かち委員 心と体の総合的な医療を目指すというのは、後からつけ加えられた理由ですよ。この当時、この病院三つを統廃合するというのが出されたその背景は、財政的な問題が、財政再建が背景にあるというのがその理由になっていたわけですから、それは全然今の状況とは違うということです。
 小児精神科医療に対応した幾つかの医療圏ごとに、小児科の専門医療機関が立地することが望ましい、そのように書かれています。そして、それは不採算であって、多くの専門スタッフを要することから、民間ではこの役割を期待することは困難である。だからこそ行政が中核的な役割を果たすことが効率的、現実的だと書かれているんです。小児の心をめぐる疾病は、多様化し増加しています。より専門的な医療、アプローチ、フォローが求められているんです。
 重症例、難治例に対応できる専門医は、今、日本の国では全国に二百名ほどしかおりません。国はようやく小児精神科医療が大きく立ちおくれている問題を認識し、専門医をふやすとともに、各県に拠点病院を整備する方向を進めています。全国的にも貴重な小児精神科専門病院である梅ケ丘病院の機能は現地に残しつつ、多摩地域の小児精神科医療にもこたえるべく、府中の小児医療センターにも段階的に拡大していくことが現実的だということを重ねて申し上げておきます。
 次に、交通局の地下鉄事業における安全性確保とバリアフリーについてお聞きします。
 平成二十年度の交通局の高速電車事業会計では、四路線のすべてにおいて乗客数が前年度を上回り、千四百六十六万人、一・七%増となっています。収支状況も十九年度に引き続き二百三億円余りの純利益で、資本的収支を合わせても五十六億円の資金剰余となっています。これらの収益は、利用者への安全とサービス向上に還元されるべきものと考えます。
 私どもにはさまざまな要望が寄せられていますが、まず、命の安全とかかわりのある問題として、地下鉄駅ホームの安全対策についてお聞きします。
 これは都営地下鉄ではありませんが、ことし九月、東急線多摩川駅ホームで、車いすに乗った八十一歳の女性がホームから転落するという事故がありました。鉄道駅のホームは、水はけをよくし、滑らないようにするなどの意味で、一定の傾斜がついています。新バリアフリー法の省令では、傾斜の基準は一%を標準とするとなっていますが、多摩川では二・五%の傾斜になっていたとのことです。ここでは、二〇〇七年にも転落事故が発生していました。東急では、全駅ホームの調査をし、二%以上の駅が七駅あったとのことです。今、さくの設置などに取り組んでいるとのことですけれども、それでは現在、都営地下鉄の駅ホームで二%以上の傾斜のある駅は幾つあるのか。また、その対策はどのようにやっているのでしょうか。

○金子交通局長 今回の転落事故を受けまして、当局では都営地下鉄で既に可動式ホームさくを設置してあります三田線以外の三路線の駅で、ホームのエレベーター出入り口付近の傾斜調査を行いました。
 東急線多摩川駅のホームのように、傾斜が二・五%以上の駅はありませんでしたが、二%以上の駅は二駅ありました。この二駅につきましては、念のため、エレベーター出入り口付近に防護さくを設置することとし、既に必要な工事に着手しております。
 また、各駅のエレベーターの室内やホームのエレベーター出入り口付近などに、注意喚起のステッカーを既に掲示したところでございます。引き続きお客様に安心してご利用いただけるよう、安全確保に努めてまいります。

○かち委員 局所対策として防護さくの設置、これは重要だと思います。しかし、各駅のホーム全体で見れば、黙視でも傾斜がかなりあることを、私は利用している中で実感しています。
 そして、健常者には気がつかないような傾斜でも、車いすは敏感に動くという実例は過去にもありました。傾斜が一・四%あるいは一・七%でも車いすが動き出し転落するという事故は、JRや東京メトロなどで起きています。車いす利用者や視覚障害者ばかりでなく、事件や事故など転落防止安全対策のためにも、ホームさくの可動さくは必然のものとなっています。
 我が党は、大江戸線の開通以前から、この可動さくの設置を求めてきましたが、ようやく具体化に着手の運びとなりました。改めてその進捗状況を伺います。同時に、残る浅草線、新宿線への設置見通しはどうでしょうか。

○金子交通局長 平成二十年度は、大江戸線の可動式ホームさくを制御する装置について試験を行い、正常に動作することを確認いたしました。今後は、ホーム補強などの関連工事や、ホームさく本体の製造に着手し、平成二十五年度までに全駅への可動式ホームさくの設置が完了するよう、計画的に整備を進めてまいります。
 なお、浅草線及び新宿線への可動式ホームさくの設置につきましては、相互直通運転を行っておりまして、車両規格の統一など、他の鉄道事業者との調整が必要であるため、現時点では解決すべき困難な課題があると考えております。

○かち委員 都営単独の大江戸線とは違い、他社との乗り入れ等々いろいろ困難な問題はあると思いますけれども、三田線での経験なども生かして、他社とも積極的に検討を進めることを求めておきます。
 新チャレンジ二〇〇七の経営方針では、お客様への四つの約束として、お客様の安全・安心を何よりも大切にし、事故のない都営交通を目指します。また、お客様に心から喜んでいただけるサービスを提供し、快適で利用しやすい都営交通を目指しますと掲げています。
 しかし、都営地下鉄では現在ラッシュ時以外はほとんどホーム要員を見かけることはありません。監視カメラを設置しても、未然防止にはなりません。ちょっと物を尋ねたい、ちょっと手をかしてほしい、また、高齢社会でもある今日、交通弱者とも思われる利用者への配慮がますます必要になっています。現在、駅ホームの人員配置はラッシュ時のみが基本であり、特別見通しの悪い駅などだけ終日配置とのことですが、先ほどの転落事故など、混雑時だけが危ないのではありません。人がいてこそ未然防止になるわけです。
 全駅にラッシュ時以外にもホーム要員を設置すべきですが、どうでしょうか。

○金子交通局長 駅のホーム上において、お客様の安全を確保するため、朝や夕方のラッシュ時間帯には全駅にホーム整理要員を配置しております。また、ラッシュ時間帯以外にも、乗降客数の多い駅、ホームが曲線状となっている駅、及び起終点となる駅につきましては、それぞれ駅の特性に応じてホーム整理要員を配置し、安全の確保を図っております。
 ホームに駅員がいない時間帯につきましても、駅務室においてホーム監視モニターによりホームの状況を把握するとともに、定期的に駅構内の巡回を行い、お客様の安全の確保を図っております。

○かち委員 駅務室で監視カメラを見ていても、落ちるときに手を出すことはできないんですよ。やっぱり人の手があって、人の目があってこそ安全確保ができるわけですから、ぜひ、平常時のホーム要員の配置、それを実現するように求めておきます。
 それでは、最後に、地下鉄駅におけるバリアフリーの推進について伺います。
 二〇〇〇年に交通バリアフリー法が制定され、その後、今日の新バリアフリー法に改定されて、全国の鉄道駅でのエレベーター、エスカレーターの設置などは七割の進捗状況だと聞いています。今後はさらにユニバーサルな対応が求められています。
 視覚障害者のためのバリアフリー対策として、誘導ブロックや点字などがありますが、音響、音声による案内も新バリアフリー法の省令に定められています。
 誘導ブロックは階段にしかなく、エスカレーターにはありません。エスカレーターに音声案内をつけてほしいというのは、視覚障害者の皆さんの長年の要望です。そればかりではありません。高齢者や案内不安の方々にとってもサービス向上になるわけです。既存施設については義務づけではありませんけれども、より積極的に対応すべきだと思いますが、都営地下鉄ホームのエスカレーターやトイレの音声案内の設置状況はどうなっていますか。

○金子交通局長 いわゆるバリアフリー新法におきまして、公共交通事業者は、旅客駅を新たに建設し、または大規模な改良を行うときには、公共交通移動等円滑化基準に適合させることとされております。これに基づきまして都営地下鉄では、これまで目のご不自由なお客様が地下鉄を円滑に利用できるよう、駅の音声案内装置の整備に努めてまいりました。
 平成二十年度末までに、四十六台のエスカレーター及び十四カ所のトイレ出入り口に設置したところでございます。
 大江戸線につきましては、エスカレーターが七台、トイレ出入り口が七カ所でございます。

○かち委員 今のご答弁は、いずれも新設か改修時につけるものですね。大江戸線についても、供用開始の後にエスカレーターをつけたものに設置をしたということです。
 最近、JRの品川駅のホームで、階段の下に鳥のさえずりが聞こえたり、エスカレーターには音声案内がついています。以前はついていませんでした。そこで、JR東日本に確認をしたところ、平成十六年からエスカレーターの音声案内について検討してきたと。十八年から既存のものにも取りつけることを始めている。そして来年度には、全駅のエスカレーターに音声案内の設置を完了する予定だと聞いております。
 後づけであっても工夫次第でできるはずです。大規模改修の時期までということになると、あと十年、二十年先になることです。都営地下鉄の既存エスカレーターへの音声案内について検討すべきですが、どうですか。

○金子交通局長 エスカレーターの音声案内につきましては、先ほどご答弁申し上げましたバリアフリー新法に基づく移動等円滑化基準の制定前から、既にエスカレーターの新設、更新、大規模改修を行う際に、内蔵型の装置を設置してきております。
 この音声案内装置の設置に当たりましては、安全性、安定性、及び確実な作動の確保などが必要でありまして、電源とか設置場所などの確保、あるいはエスカレーターも、時間帯によって上り方向と下り方向が逆転する場合もございます。こういった運転の変更への対応などを考慮しますと、エスカレーターと音声案内装置との連動を図ることができる内蔵型がすぐれていると、私たちは考えております。
 このため、今後ともエスカレーターの音声案内につきましては、法の基準に基づき適切に整備してまいります。

○かち委員 やらない方向での理由は幾らでも出てくるんですけれども、既に先行例があるのですから、それに見合って既存のものでもできるということになっておりますので、ぜひ積極的に検討することを求めて、終わります。

○樺山委員長 かち委員の発言は終わりました。
 次に、星委員の発言を許します。

○星委員 それでは私からは、下水道、水道、病院事業会計についてお伺いをいたします。
 公共下水道の社会的役割は時代により変化しています。汚水処理による環境改善、雨水の排除による浸水の防除、公共用水域の水質保全という三つの基本的な役割のほかに、下水道が持つ自然エネルギーの有効利用や施設の多目的利用など、良好な都市環境の創出という新しい役割も求められています。
 私は、多摩川流域の環境団体や市民とともに、毎年多摩川の水質や水生生物調査を行っており、水再生センターの放流水による一定エリアの水温の上昇や、生物の数や種の違いなどを実感しています。
 こうした河川の水質や生態系について関心を持つ中で、この下水熱についても非常に関心を持っています。省エネを進める観点からも、下水熱の有効利用というものは非常に注目をされる取り組みだと思います。水再生センターでは既に冷暖房用の熱源として有効利用していると聞いていますが、下水熱の利用状況と今後の取り組みについてお聞かせください。

○松田下水道局長 下水は、大気温と比べ、夏は冷たく冬は温かいという温度特性を持っていることから、この温度差を、夏は冷房に冬は暖房に活用することで省エネルギーを推進しております。
 具体的には、局内利用として水再生センター内の冷暖房用として、昭和六十一年に新宿区の落合水再生センターへ導入したのを皮切りに、現在では十二カ所の水再生センターで活用しております。
 また、東京下水道エネルギー株式会社が、下水の熱を利用して、文京区後楽一丁目地区や江東区新砂三丁目地区において、オフィスビルや病院などを対象とした地域冷暖房事業を実施しております。
 さらに、芝浦の水再生センターの再構築に合わせまして、その上部空間に大規模な業務商業系ビルを建設することとしておりますが、このビルは、冷暖房システムに下水の熱を最大限活用するなど、環境モデルビルを目指しております。

○星委員 ご答弁いただきました。今後もぜひ再生エネルギーである下水熱の利用を進めていただきたいと思います。
 次に、雨水浸透について伺います。
 東京都は平成十九年、都市整備局、建設局、下水道局が連携して豪雨対策基本方針を策定しました。その中で下水道局では、公共雨水浸透ますの設置を行って、雨水を地下に浸透させることを進めています。
 分科会の中で、これまでに五千九百基設置したという答弁もありましたが、二十年度の単年度実績をお聞きしたら、区部でわずかに八十四基という数字でした。過去五年の実績を見ても、十六年度の三百六十八をピークに毎年減っているようで、とても残念だと思います。
 質問といたしましては、公共雨水浸透ますの設置促進に向けて、これまで民間にどう働きかけを行っているのか、お伺いをいたします。

○松田下水道局長 都では、豪雨対策基本方針に基づきまして、公共施設や宅地内における雨水貯留浸透施設の設置促進に努めております。当局ではその対策の一環として、分流地区での雨水管整備などに合わせまして、公共雨水浸透ますを設置しております。平成二十年度は分流地区において浸透に適した地域での雨水管整備が少なかったため、公共雨水浸透ますの設置件数が一時的に減少したものでございます。
 一方、区部の面積の八割を占める合流地区で公共雨水浸透ますを設置するには、宅地内の排水管を新たに汚水管と雨水管とに分ける分流化が必要であることから、お客様の理解が得られたところから設置を進めております。
 このため、局のホームページにおいて宅地内の雨水浸透について協力を呼びかけるとともに、区役所や民間の建築確認検査機関、宅地内の排水管の工事などを行う指定排水設備工事事業者にリーフレット配布を行っていただくなど、さまざまな場でお客様への周知を図りながら、公共雨水浸透ますの設置に努めているところでございます。

○星委員 浸水被害の防止や下水道管への負荷軽減、地下浸透によるヒートアイランド防止など、雨水浸透ますの役割は大きいものがあると思います。市区町村でも進めていますが、都においても、下水道局を初め、関係各局の連携でぜひ今後も積極的に進めていただくことを要望いたします。
 次に、水道事業会計ですが、私も八ッ場の問題で利水計画の、いわゆる負荷率の問題を質問をさせていただこうと思っておりましたが、前段松下理事が丁寧に質疑をされましたので、私は重複は避け、質問に出なかった部分について、二点ほどお聞きしたいと思います。
 負荷率ですけれども、この東京都の基本的な考え方ですよね、八一%を用いている基本的な政策的な考え方についてお伺いをしたいと思います。
 それと、政令指定都市十三都市の状況なんですが、東京都同様の最低値というものを用いているのは幾つぐらいあるのでしょうか。

○尾崎水道局長 先ほど松下議員の質問にも答弁させていただきましたが、負荷率は、気象条件や曜日、渇水の影響等の社会条件など、さまざまな要因が影響し変動するものでございます。
 水道需要予測におきましては、一千三百万人の都民が暮らし、高度に都市機能が集積している首都東京の安定給水を確保する観点から、計画負荷率を予測の実績期間とした十五年間の最低値である八一%と設定しております。
 なお、計画負荷率につきましては、当局が行った調査では、政令指定都市等十三都市のうち、八都市が都と同様に一定期間の最低値を採用しております。

○星委員 ご答弁いただきました。
 東京都の場合は、ここ十年、八八%から九〇%で推移しているということにもかかわらず、昭和六十一年の八〇・七%、繰り上げて八一%という数字を用いているわけですけれども、今後は冷暖房の普及などの生活様式の変化や、水道局の努力による漏水率の減少などで、今後はさらにその高い数値で安定していくのが予想されます。
 東京は十五年間で一番低い数値を用いておりますけれども、たまたま私の住む昭島市では、十年間の平均という数字と、最も低かった年の数字と勘案をいたしまして、八四・六という負荷率を用いています。これは今の現状からすると低目の数値ですが、少なくとも平均という視点を採用しています。
 ですから、昭島でも現状と三ポイントぐらい差があるんですけれども、これは課題と思っていますが、東京都は現状とは七ポイントから九ポイントも違うという、こういう状況の中では、非常にこの利水計画が変わってきてしまうんではないかなと思います。
 先ほども五%違うと三十五万トンという、こういう数字も出ました。八ッ場の東京への配水というところ、配分というところの中では、四十三万トンという東京の水がめということですから、この辺のところでも私はやっぱり利水計画を今見直す必要があると思います。これは要望をいたします。
 次に、地下水源について伺います。
 多摩地域には多くの井戸水源があり、これら井戸は市町が水道事業を運営していた時代から貴重な水源として大切に利用されてきました。地下水がブレンドされ、それがおいしい水の要因になっています。しかし、井戸の現状については、目詰まりなどにより揚水能力が低下しているものが多くあると聞きました。地下水は地域の貴重な水源であることから大切にすべきものと考えます。そこで、これら揚水能力が低下した井戸の対策についてお伺いをいたします。

○尾崎水道局長 多摩地区の井戸は昭和四十年前後につくられた施設が多く、施設の老朽化が進んでおり、スクリーンの目詰まりなどにより揚水能力が低下しているものがございます。このため、経過年数、能力の低下などを踏まえ、平成十八年度から現在まで七本の掘りかえを実施しております。
 今後とも、地下水が貴重な水源であることを踏まえ、適切な維持管理に努めてまいります。

○星委員 地下水は、地震時の災害のときにも非常に利用可能な貴重な水源です。有効な水源として保有水源に位置づけ、将来にわたり適切に更新等を続けてもらいたいと強く要望をいたしたいと思います。
 次に、水道技術の継承についてお伺いをいたします。
 ベテラン職員の方々が大量退職する時代を迎えており、水道局においても、これまで培われてきた水道技術の継承をどのように進めていくのかが喫緊の課題になっているのではないでしょうか。水道局では技術継承の取り組みの一環として、昨年度、平成二十年度に東京水道技術エキスパート制度を立ち上げたと聞いていますが、この制度の概要と認定の状況についてお伺いをいたします。

○尾崎水道局長 これまでは日常業務において、各職場のベテラン職員が新人職員などを指導していく中で技術を継承することができておりました。しかし、ベテラン職員の大量退職時代を迎え、各職場ではそうした技術継承が困難な状況になっております。そこで、高い技術力を持つ経験豊富な職員を水道技術エキスパートとして認定し、効果的に技術の継承を進める制度を創設いたしました。
 同エキスパートは、自身が持つ経験、ノウハウを文章や映像等の形にして職員が活用できるようにするとともに、職場を超えて全職員に対する指導や助言を行い、各種検討会にもアドバイザーとして参加いたします。平成二十年度は、浄水、配水、水質など、水道技術の各分野から高い技術を持つ経験豊富なベテラン職員三十名を、東京水道技術エキスパートとして認定したところでございます。

○星委員 ベテラン職員の方々をエキスパートとして認定し、後進に水道技術を伝えていく取り組みは非常に意義があることです。今回創設したこの制度を積極的に活用し、今後とも水道技術の継承を進めていただきたいと思います。
 次に、病院事業についてお伺いをいたします。
 昨年、墨東病院で妊婦が亡くなった事件は、まだ記憶に新しく、非常に残念なことでしたが、それを契機に、都内の周産期医療体制が充実の方向に向かいつつあることというふうに、私は、そこにせめてもの救いを求めたいと思うんですが、それにしても現在、社会問題化している深刻な医師不足は、都市部においても、そして行政医療の最後のとりでともいえる都立病院においても、例外ではないということを実感しております。
 医師の絶対数が急速に増加する見込みがない中で、病院経営本部が処遇や勤務環境の改善に取り組み、医師の確保に全力を挙げていることは承知しておりますが、まず、都立病院の常勤医師、特に産科と小児科の医師の昨年度と今年度の充足状況についてお伺いをいたします。

○中井病院経営本部長 医師の十月一日現在の充足状況を申し上げますと、全診療科では平成二十年度が九五・六%、二十一年度が九六・一%というふうに改善をしております。また、産科医師は、二十年度六九%に対し、二十一年度は八七・五%と大きく上昇しております。さらに小児科医師につきましても、二十年度一〇一・二%に対し、二十一年度は一一八・二%と、さらに充足状況がよくなっております。

○星委員 厳しい医療環境の中で、充足環境が改善されているということは推察をいたします。今後の安定的な医師確保のために、大学医局に依存しないシステムというものが必要だと思います。それで、この東京医師アカデミーというものに対しまして非常に注目をしたいと思いますが、東京医師アカデミーの応募状況、採用状況について、開校から一年を経過した今、アカデミー生からの評価はどうなのか、お伺いをいたします。

○中井病院経営本部長 東京医師アカデミーが開校いたしました平成二十年度、そして今年度二十一年度も約百名の定数になっておりますが、これに対して、二十年度は百九十四名、二十一年度は百五十八名の応募がありました。また、二十二年度選考の応募は、現在継続中ですが、現時点で募集人員を大きく上回っている状況でございます。
 また、アカデミー生からは、豊富な症例を体系的に学べること、希望に応じて所属以外の都立、公社病院でも研修を受講できること、学会専門医の受験資格を取得できることなどの点が高く評価されているところでございます。

○星委員 不足しているといわれる産科、小児科について、アカデミーの応募状況はどうでしょうか。

○中井病院経営本部長 産婦人科コースは、平成二十年度選考、二十一年度選考とも六名の応募でありましたが、二十二年度選考は二十名と応募者が大幅にふえております。
 また、小児科コースは、二十年度選考が二十九名、二十一年度選考二十七名、二十二年度選考三十名の応募となっております。

○星委員 産科、小児科医師についても多くの応募があったということは、大変うれしいことだと思います。アカデミー生が現場で、さらにアカデミー修了後に都立病院を初めとする医療機関の専門医として活躍していくことを期待しております。
 最後の質問にしたいと思いますが、都立小児病院の移転統合に関連してお伺いをいたします。
 清瀬、八王子、梅ケ丘の三つの都立小児病院を府中キャンパスに移転統合し都立小児総合医療センターを二十二年度に開設することになっています。都はこの移転統合計画を作成して以来、小児病院が転出する地域とは、移転後の小児医療体制について継続的に話し合いをしてきたと聞いていますが、ことし三月、三病院の廃止条例が通った後もなお存続を求める地元の声はおさまりません。特に八王子小児病院は、多摩地域の小児医療の現状とあわせて非常に不安の声が今も私のところに届いています。
 そこで、八王子小児病院の移転に関して、地域の小児医療体制を確保するために、平成二十年度はどのような取り組みを行ったのか、改めてお伺いをいたします。

○中井病院経営本部長 地元八王子市とは平成十四年以来協議を重ね、移転後の八王子地域の小児医療体制の確保、充実に向けて、昨年九月に取りまとめを行ったところであります。
 その主な内容でありますが、初期医療は引き続き市内の診療所が、二次医療は市内の中核病院である二つの大学病院が、三次医療については小児総合医療センターがその役割を担うものとし、それぞれの連携体制を確立するとともに、救急医療に関しては、新生児も搬送できる小児ドクターカーをさらに一台配備し、二台体制で運行することといたしました。
 また、八王子小児病院移転後の跡地と施設を活用し、八王子市が小児外来診療、重症心身障害児通所事業、小児準夜救急診療事業を行うこととしております。
 このまとめに基づき精力的な取り組みを行った結果、昨年十二月より、東海大学八王子病院に対し、小児神経を専門とする医師の派遣を開始するとともに、二台目のドクターカーについては、本年中に稼働する予定となっております。
 また、二つの大学病院の小児病床についても、各六床を増床するということで当事者間の話がまとまっているところでございます。

○星委員 八王子市の協議がまとまっているといっても、実際に利用している方々に安心してもらえなくては何にもなりません。そのためには、こうしたさまざまな確保策が目に見える形となり、十分な説明を行うことが欠かせないと思います。ぜひ信頼される受け皿づくりにさらなる努力をされるように強く要望をいたします。

○樺山委員長 星委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りをいたします。
 平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定についてに対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○樺山委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月二十日の十二時四十五分から理事会を、また、一時から委員会を本委員会室で開会をいたしますので、よろしくお願いをいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十七分散会


平成20年度公営企業会計決算特別委員会 第1分科会審査報告書

 第1分科会で行われた平成20年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。

  平成21年10月30日
   平成20年度公営企業会計決算特別委員会
   第1分科会委員長  今村 るか

平成20年度公営企業会計決算特別委員長
樺山 たかし 殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
 (1) 本分科会は、平成21年9月25日に設置され、次の案件を審査した。
・平成20年度東京都公営企業会計決算中、中央卸売市場、港湾局及び交通局所管分

 (2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
      10月9日 (説明聴取・資料要求) 交通局、中央卸売市場、港湾局
      10月19日(質疑)        交通局
      10月21日(質疑)        港湾局
      10月23日(質疑)        中央卸売市場

2 本分科会における質疑の概要
 (1) 平成20年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
  〔1〕 自動車事業について
   ア 新チャレンジ2007の収支計画と決算評価について
   イ 経常利益の減少理由について
   ウ バスの乗客数の動向及び乗客数減少等への対策について
   エ 高齢者などの交通弱者対応について
   オ バス路線増強のための取組について
   カ バス停留所の上屋及びベンチの設置状況について
   キ 都市景観に配慮したデザインの上屋について
   ク 広告料収入の状況と増収に向けた課題について
   ケ 梅70系統の設立経緯及び運行状況並びに公費負担の内容について
   コ 不採算路線の特徴と黒字路線の収益向上策について
   サ ラッピングバスの広告料収入と今後の課題等について
  〔2〕 軌道事業(都電荒川線)について
   ア 新チャレンジ2007の収支計画と決算評価について
   イ 赤字決算になった理由と収支改善に向けた増客対策について
  〔3〕 新交通事業(日暮里・舎人ライナー)について
   ア 新チャレンジ2007の収支計画と決算評価について
   イ 乗客数の推移について
   ウ 増客への課題及び土曜・日曜日等の増客対応について
  〔4〕 自動車車両の環境対策について
   ア バイオ燃料導入実証運行の結果について
   イ GTL試験運行の状況について
   ウ 燃料電池自動車の実証運行の結果について
   エ 次世代電気自動車バスの実証運行の結果と導入について
   オ 車両導入と環境対策の方向性について

 (2) 平成20年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
  〔1〕 地下鉄事業について
   ア 新チャレンジ2007の収支計画と決算評価について
   イ 新チャレンジ2007に示した新規事業の取組状況について
   ウ 事業収支について
   エ 黒字拡大の理由について
   オ 人材育成の取組について
  〔2〕 バリアフリー対策について
   ア ワンルート確保の進捗状況と今後の整備見通しについて
   イ 曙橋駅のバリアフリー計画と取組状況について
   ウ 曙橋駅のエレベーター設置箇所決定理由と今後の見通しについて
   エ 三田線におけるホーム柵の設置効果について
   オ ホーム柵の設置経費節減対策について
   カ 五反田駅のワンルート確保の工事進捗状況について
  〔3〕 安心・安全対策について
   ア 安心・安全確保への投資経費について
   イ 都営地下鉄駅の火災対策及び浸水対策に対する取組状況について
   ウ 安全対策と人材育成について
  〔4〕 サービス介助士の配置状況及び活動内容とそのPRについて
  〔5〕 障害者が働く駅構内店舗の現状と今後の店舗設置における課題等について
  〔6〕 大江戸線について
   ア 乗客数増加と混雑対策について
   イ ホーム柵の整備状況と今後の見通しについて
  〔7〕 新たな広告媒体としてのデジタルサイネージの活用について

 (3) 平成20年度東京都電気事業会計決算(交通局所管分)
質疑なし

 (4) 平成20年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
  〔1〕 臨海副都心開発について
   ア 埋立事業の予算執行率について
   イ 企業債の今後の償還計画について
   ウ 臨海会計が公営企業会計として経理されている意義及び目的について
   エ 臨海副都心まちづくりにおけるこれまでの取組について
   オ 臨海副都心内におけるインフラの整備状況について
   カ まちの概成に向けた計画の達成と人口フレームについて
   キ 土地売却等の処分見込みと未処分地の活用について
   ク 平成20年度の土地処分状況と近年の特徴的な処分事例について
   ケ 平成20年度の土地処分単価の最高額及び最低額について
   コ 現在の不動産市況への認識と今後の対応について
   サ 有明北地区の造成目的と目的達成のための開発スケジュールについて
   シ 有明北地区の区画の売却に向けた取組について
   ス オリンピック招致が有明北地区埋立地の開発スケジュールに与えた影響について
   セ 大江戸温泉物語とパレットタウンの暫定利用終了後の利用計画について
   ソ 臨海ホールディングスグループの事業の統合効果について

 (5) 平成20年度東京都港湾事業会計決算(港湾局所管分)
  〔1〕 建設改良事業の予算執行率が低調となっている原因について
  〔2〕 ガントリークレーンの製作据付工事契約不調後の対応について
  〔3〕 外貿コンテナふ頭の管理業務一元化の目的について
  〔4〕 東京港の将来像と取扱貨物数増加への取組について
  〔5〕 インセンティブ制度について
   ア ボリュームインセンティブ、トランシップ輸送インセンティブの事業実績について
   イ トランシップ輸送インセンティブの件数の極少理由について
   ウ 今後のインセンティブ事業の展開について
   エ 東京港におけるインセンティブ制度のねらいと実施状況について
   オ インセンティブ制度がガントリークレーン等の使用料収入に与えた影響について
  〔6〕 内貿ユニットロードターミナルについて
   ア ユニットロードターミナルの意味と整備目的について
   イ 品川ふ頭ユニットロードターミナル再整備の概要と取組について
   ウ 品川ふ頭再整備計画における貨物の仮置きスペースの対応について

 (6) 平成20年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
  〔1〕 豊洲新市場について
   ア 平成20年度当初予算における用地取得予定について
   イ 豊洲地区の用地取得見送りの理由と今後の取得予定について
   ウ 用地取得見送りによる土地所有者との問題発生の有無について
   エ 用地取得、売却等に関する財産価格審議会の手続きについて
   オ 土壌汚染の有無及び土壌汚染対策費用の用地取得費への反映について
   カ 土壌汚染対策費の費用負担に関する東京ガス株式会社との協議の進捗状況について
   キ 土壌汚染の状況把握及び調査の目的とその結果について
   ク 土壌汚染対策の強化内容と確実性について
   ケ 土壌汚染対策工事における周辺環境及び住民への配慮について
   コ 技術会議の汚染対策方法の評価及び万全な対策について
   サ 品質・衛生管理のための施設整備と取扱数量の増加見込みについて
   シ 専門家会議の調査と明らかになった問題への対応について
   ス 農林水産大臣の新市場開場認可及び就任記者会見時の発言について
  〔2〕 築地市場について
   ア 営繕費における保存工事費の推移及びその内容について
   イ 市場内の交通事故発生状況及び他市場との事故件数等の比較について
   ウ 品質・衛生管理上の問題点と抜本的改善の可能性について
   エ 市場業者の豊洲移転に関する意向について
  〔3〕 中央卸売市場について
   ア 「緑の東京10年プロジェクト」の取組の進捗状況と今後の計画について
   イ 廃棄物の排出状況及び廃棄物削減への取組について
   ウ 廃棄物のリサイクルの現状及びリサイクルへの取組について
   エ 足立市場、北足立市場における取扱量の推移と減少原因について
   オ 足立市場、北足立市場の卸売業者及び中卸業者に対する経営基盤強化や活性化に向けた取組について
  〔4〕 築地以外の市場について
   ア アスベスト対策及び耐震対策の実施内容について
   イ 卸売場の低温化に対する取組状況について
  〔5〕 地方卸売市場への助成事業費の内容及び内訳について


平成20年度公営企業会計決算特別委員会 第2分科会審査報告書

 第2分科会で行われた平成20年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。

  平成21年10月30日
   平成20年度公営企業会計決算特別委員会
   第2分科会委員長  橘   正剛

 平成20年度公営企業会計決算特別委員長
              樺山 たかし  殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
 (1) 本分科会は、平成21年9月25日に設置され、次の案件を審査した。
   ・平成20年度東京都公営企業会計決算中、病院経営本部、都市整備局、水道局及び下水道局所管分

 (2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
      10月9日(説明聴取・資料要求)  水道局、下水道局、病院経営本部、都市整備局
      10月19日(質疑)        水道局
      10月21日(質疑)        下水道局
      10月23日(質疑)        都市整備局、病院経営本部

2 本分科会における質疑の概要
 (1)平成20年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
  〔1〕 水需要予測と水源の確保について
   ア 水需要減少に対する分析と今後の水需要予測について
   イ 節水PR活動と水需要減少の関係について
   ウ 利水面における八ッ場ダムの必要性と建設の推進について
   エ 利根川水系ダムの利水容量について
   オ 八ッ場ダムにおける都のこれまでの利水負担総額とダム建設中止に伴う利水負担金の返還について
  〔2〕 震災対策について
   ア 水道施設耐震化の取組と発災時の迅速な対応に向けた取組について
   イ 都市間の災害相互応援に関する覚書の締結について
   ウ 各都市等と連携した共同訓練と今後の震災対策の充実について
  〔3〕 多摩地区水道の経営改善について
   ア 経営改善に伴うコスト削減について
   イ 事務委託解消前と比較した住民サービスの違いについて
   ウ 経営改善の今後の課題について
  〔4〕 玉川上水の整備保全について
   ア 玉川上水整備活用計画の目的と施策について
   イ 玉川上水の整備活用に当たっての関係各局等との連携について
   ウ 羽村取水せき付近の整備に関する取組について
  〔5〕 奥多摩町水道事業の都営一元化について
   ア 都営一元化の実施とその後の水道施設整備について
   イ 都営一元化に向けた基本協定締結以降の手続等について
  〔6〕 水道料金について
   ア 料金未納数と給水停止件数の関係について
   イ 料金を支払うことが困難な人に対する給水停止について
   ウ 水道料金の減免及び値下げの実施について
  〔7〕 水道事業のPRについて
   ア PRの目的、実態及び経費について
   イ PR効果の検証及び今後の取組について
   ウ ペットボトル「東京水」の製造目的、単価及び効果について

 (2)平成20年度東京都工業用水道事業会計決算(水道局所管分)
  〔1〕 工業用水道事業について
   ア 水需要減少に対する分析について
   イ 今後の水需要予測と展望について

 (3)平成20年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
  〔1〕 温暖化防止対策について
   ア アースプラン2004の目標と具体的取組及び目標達成の見通しについて
   イ 再生可能エネルギー活用の取組について
   ウ カーボンマイナス東京10年プロジェクトの達成に向けた取組について
  〔2〕 平成20年度における震災対策の取組について
  〔3〕 浸水対策について
   ア 雨水整備クイックプランの対策内容について
   イ 東京都豪雨対策基本方針における取組について
   ウ 練馬区内での浸水対策の具体的取組と今後の予定について
   エ 公共雨水浸透ますの設置状況と効果及び普及促進策について
  〔4〕 下水道の老朽化対策について
   ア 下水道管の老朽化状況の調査及び調査結果の活用について
   イ 老朽化施設の再構築の状況と工事コストの縮減について
   ウ 下水道管の損傷による道路陥没の発生状況とその対策について
  〔5〕 雑司ヶ谷幹線再構築工事事故について
   ア 事故の状況、原因及び対策について
   イ 下請業者からの聞き取り調査について
   ウ 降雨による工期延長や経費増加への対応について
  〔6〕 再生水について
   ア 再生水の清流復活用水としての活用について
   イ 処理水の再利用について
  〔7〕 工事請負契約の入札不調件数増加の要因及び改善策について

 (4)平成20年度東京都都市再開発事業会計決算(都市整備局所管分)
  〔1〕 大橋地区市街地再開発事業について
   ア 再開発事業の状況について
   イ 高速道路ジャンクションとの一体的整備による事業効果について
   ウ 3回目となる1-1棟ビル特定建築者公募における実施時期、予定価格の考え方、選定の経緯及び公募結果の分析について
   エ 再開発ビルの事業協力者について
   オ 事業の採算ライン及び欠損金への対処について
   カ 今後の不動産市況の動向に応じた対策について
   キ 1-1棟へ入居予定の権利者数と60歳以上の高齢者数及び入居に向けたスケジュールについて
  〔2〕 環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業について
   ア 事業の進捗状況等の周辺住民への周知について
   イ 沿道まちづくりに関する権利者と沿道の地域住民との連携の状況について
   ウ 青年館街区及び新橋街区の整備状況について
   エ 虎ノ門地区の特定建築者の選定経緯及び今後の工事見通しについて
   オ 地上部道路も含めた環状2号線整備の今後の取組について

 (5)平成20年度東京都病院会計決算(病院経営本部所管分)
  〔1〕 都立病院の医療人材確保について
   ア 平成20年度における医師・看護師の確保、定着に向けた取組の状況と平成21年度の具体的対策について
   イ 今後の安定的な医療人材の確保に向けた取組について
   ウ 看護師の定着率の推移及び改善の要因について
   エ 都立病院における7対1看護職員配置基準の実施状況について
   オ 育児短時間勤務制度の概要と利用実績について
  〔2〕 東京医師アカデミーについて
   ア 設置目的と特長について
   イ 定数と応募人員、採用試験の状況について
   ウ 指導医の資質向上に向けた取組とインセンティブの維持について
  〔3〕 墨東病院の周産期医療体制について
   ア 東京緊急対策Ⅱへの取組及び進捗状況について
   イ 平成20年度と平成21年度の産科医師数の推移について
   ウ 産科医師の安定的な確保に向けた取組状況について
   エ 東京緊急対策Ⅱにおける助産師等コーディネーターの予算措置と位置付け及び職務内容について
   オ 正常分娩の受入再開についての認識及び院内助産所の開設について
  〔4〕 精神疾患を有する患者の救急搬送受入れについて
   ア 救急搬送による精神疾患患者受入れに対する課題と取組について
   イ 救急搬送時間の短縮化に向けた他医療機関との連携構築などの取組について
   ウ 都立病院における精神科身体合併症患者の受入件数及び収益について
   エ 救急搬送時間の短縮に向けた都庁横断的な対策について
  〔5〕 松沢病院における長期入院患者について
   ア 入院期間が長期化する場合の診療報酬単価の変化について
   イ 入院患者における生活保護受給者の割合について
   ウ 社会復帰支援事業における事業収支への考え方について
   エ 入院患者の社会復帰支援のための関係団体との連携と情報発信について
  〔6〕 梅ケ丘病院について
   ア 梅ケ丘病院の特長及び東京の小児精神科医療の課題について
   イ 全国の小児精神科専門病院の病院数及び病床数について
   ウ 梅ケ丘病院の組織的・物理的独立に関する認識について
   エ 国が実施するこどもの心の診療拠点病院事業の目的について
  〔7〕 都立病院における開業医との共同診療について
   ア 墨東病院における産科協力医登録制度の実施状況について
   イ 大塚病院と府中病院の小児科における実施状況について
  〔8〕 脳卒中に関するネットワーク構築の取組状況及び墨東病院の位置付けについて
  〔9〕 国立国際医療センター国府台病院が行う包括的地域生活支援事業に対する認識について

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