平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成二十一年十月二十三日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長今村 るか君
副委員長伊藤 興一君
副委員長早坂 義弘君
副委員長野上ゆきえ君
野田かずさ君
関口 太一君
きたしろ勝彦君
星 ひろ子君
たきぐち学君
吉倉 正美君
鈴木 勝博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場担当部長野口 一紀君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
参事砂川 俊雄君
参事黒川  亨君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○今村委員長 ただいまから平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○野上委員 市場会計の二十年度の決算書を見ますと、資本的支出の建設改良費の部分で、当初予算額八百五億七千六百二十八万円に対して、決算額は五十七億八千九百十七万円、不用額七百六十五億八千四百四十九万円となっております。
 この主な理由は、豊洲の新市場用地の取得を行わなかったことにより、七百八億五千四百万円の不用額が生じたことによるものと考えますが、まず、二十年度予算では、どこから何ヘクタールの用地を取得する予定であったのか伺います。

○後藤管理部長 平成二十年度中央卸売市場会計予算における豊洲新市場予定地の取得につきましては、港湾局より五街区二・六一ヘクタール、六街区四・〇三ヘクタール、七街区六・一〇ヘクタールの計十二・七四ヘクタールの用地の所管がえを予定しておりました。

○野上委員 私ども民主党は、平成二十年度予算の採決に当たりまして、豊洲新市場の用地取得について、少なくとも土壌汚染対策法と同等以上の調査を実施することや、土壌汚染問題の解決や関係者の理解がないまま強引な移転を行わないことなどの付帯決議を提案してまいりました。
 付帯決議は、当時、自民、公明によって否決をされましたけれども、予算成立後、平成二十年五月三日には、豊洲地区から環境基準の四万三千倍を超えるベンゼンが検出されたことが明らかになるなど、移転用地に対する都民の不安はますます高まっている現状でございます。このような中で、容易に用地取得をしなかったことは、当然であると考えますが、なぜ、市場当局は予算の執行を見送ったのか伺います。

○黒川参事 平成二十年度予算では、専門家会議において土壌汚染対策を取りまとめた上で、港湾局用地を取得することとしておりました。平成二十年七月には、専門家会議から土壌汚染対策に関する提言を受けましたが、その後、土壌汚染対策を具体化するために、新たに技術会議を設置し、検討することになりました。
 技術会議では、土壌汚染対策の新技術、新工法の評価、検証を行い、具体的な技術や工法について提言を取りまとめましたが、その検討が年度末までかかったことから、二十年度予算の執行を見送ることといたしました。

○野上委員 局は、平成十六年度から十八年度までの間に、東京鉄鋼埠頭株式会社と都市整備局の第一区画整理事務所から、計十四・八二ヘクタールの用地を取得しており、七百二十億六千八百九十五万円を支出しております。豊洲新市場の用地費は二千三百七十億円と見込まれておりますので、仮に今後も豊洲への移転を進めようとするのであれば、一千六百億円を超える用地取得のための予算要求が想定されるところです。
 今後、豊洲の用地取得については、どのような考えで、どのように進めていく予定であるのか、概算要求の発表前なので、考え方について確認させてください。

○黒川参事 用地取得に当たりましては、生鮮食料品を扱う市場として、食の安全・安心を十分に確保できる土壌汚染対策が必要でございます。
 本年二月、技術会議での評価、検証を踏まえた土壌汚染対策の具体的内容を定めた豊洲新市場整備方針を策定いたしました。またこの九月に公表いたしました環境確保条例第百十七条に基づく調査の結果から見ますと、技術会議が検討した際に前提とした汚染状況の範囲内であり、都の土壌汚染対策を確実に実施することで、市場用地の安全は十分確保できることが確認されました。今後、敷地内全面にわたって、土壌汚染対策工事を実施することから、工事着手の前に用地を取得する必要があると考えております。

○野上委員 今回、二十年度の予算を執行しなかったことで、相手先との関係で問題は生じなかったんでしょうか。例えば、二十年度予算に計上してあったということは、相手方の港湾局も当然収入を予定していたはずでありますし、特に公営企業会計である臨海会計は、資金繰りの面からも当て込んでいたことが考えられます。
 局は、用地購入費を予算計上するに当たって、相手先と合意書あるいは契約書のようなものを交わしているのでしょうか。また、二十年度予算においては、予算の執行を見送ったことで、相手先との関係で法的な問題も含め、何か問題が生じているのか伺います。

○黒川参事 平成二十年度に、用地購入費を予算計上するに当たりましては、港湾局と合意書等は交わしておりませんが、購入時期等について調整を進めておりました。また、平成二十年度予算執行を見送ることにつきましては、特に問題が生じたとは聞いておりません。

○野上委員 平成二十年度予算で予定しておりました十二・七四ヘクタール、七百八億円は、坪単価百八十四万円ですが、平成十六年度に取得したときの坪単価は八十五万円です。高濃度の汚染物質が検出された後にもかかわらず、坪単価が倍以上になるというのはいかがなものでしょうか。
 そこで伺いますが、用地の取得、売却などについては、東京都の財産価格審議会の議を経なければならないと思いますが、その手続はどの段階で行われるのでしょうか。
 また、今回のように、土壌汚染の有無や土壌汚染対策費の費用は、どのように用地の取得費に反映させているのか伺います。

○後藤管理部長 東京都では、用地の取得に係る予定価格の決定に際して、基本として、東京都公有財産規則第四十八条に基づき、東京都財産価格審議会の議を経なければならないとされております。財産価格審議会への付議は、用地の売買契約締結時点での適正な価格を評定するため、契約締結の直近に行うこととなっております。
 また、豊洲新市場予定地の予定価格でございますが、平成十四年七月に、東京都と民間地権者で取り交わした豊洲地区開発整備に係る合意書及び確認書におきまして、汚染土壌対策につきましては、各地権者が環境確保条例に基づき従前の所有地に対して責任を持って土壌汚染にかかわる調査を行い、調査の結果、汚染が判明した場合には、必要な処理対策を実施することとしているため、土壌汚染対策費については価格に反映させてございません。

○野上委員 局は、平成十九年六月二十一日の経済・港湾委員会などにおきましても、汚染物質の処理は、汚染原因者の負担だというふうに答弁しておりましたけれども、その後、ことし二月十九日に、副知事から東京ガスに協議を申し入れて以降、汚染原因者の負担だという声も聞かれず、東京都の姿勢は極めてトーンダウンしているように思われます。
 現在の土壌汚染対策費の費用負担のあり方について、東京都と東京ガスとの協議の進捗状況について伺います。

○黒川参事 東京ガス株式会社は、平成十四年に、環境確保条例に基づく処理計画を提出して対策を実施いたしました。その後、都と協議しながら、平成十七年から当初計画を上回る対策を実施し、平成十九年にすべての完了届を提出したことにより、条例に基づく手続を完了しております。
 一方、都の土壌汚染調査によって、操業に伴う汚染物質が存在することが確認されております。また、都が取りまとめた土壌汚染対策は、生鮮食料品を扱う市場用地という観点から、安全性を高いレベルで確保するため、法令が求める以上に手厚い対策になっております。
 費用負担のあり方につきましては、こうした状況を十分に踏まえまして、協議を行う必要がございます。このため、本年二月に、東京ガスに対して、土壌汚染対策経費の一部負担について協議の申し入れを行い、これまで都が行った汚染状況の調査結果など、事実関係について説明を行ってまいりました。引き続き、本年九月に公表いたしました豊洲新市場予定地における環境確保条例第百十七条に基づく土壌、地下水の調査結果も踏まえ、協議を進めてまいります。

○野上委員 二十年度決算では、用地購入費を執行しなかったところでございますが、相手先との関係で大きな問題は生じておりません。また用地の価格にも反映されておりません。土壌汚染対策費の費用負担については、引き続き相手方と協議している状況でございます。
 一方で、私たち民主党は、現在地再整備について改めて検討するということをマニフェストの中に盛り込んでおります。このような中で、豊洲移転を強引に進めようとするのであれば、その関連予算については、極めて認めがたい状況にあるということを申し上げて、私からの質問を終らせていただきます。

○きたしろ委員 今も新市場の話が出ましたけれども、私もそれに関して、今まで皆さん方が、いろんな場所、いろんな場面で説明をして理解を得るように努力をされてきたとは思うんですけれども、聞こうとする人と聞かない人と、もう話に乗らない人と、いっぱいいると思うのですけれども、そういう観点の中で、いま一度、改めて確認という形の中で質問をさせていただきたいと思います。
 近年、築地市場は、海外にも広く名を知られた東京を代表する観光スポットとなっておりますが、市場本来の役割は、生鮮食料品を円滑に小売店や飲食店に供給することであり、そのための業務施設であることについては十分理解されていない面も見受けられるというふうに感じております。
 築地市場は、施設の老朽化が深刻で、耐震性やアスベストの問題など、安全面からも既に限界に来ており、このままでは、近い将来、業務に支障を来し、都民に生鮮食料品を安定供給する役割を果たすことができなくなるおそれがあります。
 また、築地市場については、一心太助の江戸時代からこの場所にあったと思われている方もいらっしゃるようですけれども、開場は昭和十年のことであり、関東大震災により被災した日本橋魚市場や大根河岸といわれた京橋の青物市場の出店先として整備されてきたわけです。これに限らず、市場の歴史は、移転、統合の繰り返しであり、平成元年には、過密化した神田市場等を収容する新たな市場として大田市場を整備しました。この移転を契機に、大田は我が国最大の青果の基幹市場として大きく発展を遂げているところです。まさに今、築地市場は、移転により生まれ変わるべき時期に来ています。
 築地市場の移転問題に関しては、これまで都議会において、移転の必要性や新市場予定地の土壌汚染対策の万全性等について十分に審議を行い、あらゆる角度から詳細に確認してまいりました。
 しかしながら、一般の方にとってこういった過去の議論の内容を理解することは難しく、また、築地という名前が持つ観光的なイメージや土壌汚染への不安などから、移転に対する疑問の声が聞かれます。
 そのようなことから、本委員会では、本来、取引の場である築地市場が抱える課題や、新市場予定地の土壌汚染対策等について、決算の審査を通じて、改めて確認する意味で、質問をさせていただきたいと思います。
 まず会計決算説明資料で、営繕費における保存工事費の市場別内訳を見ると、築地市場は、市場全体の三分の一を超える約二億五千万円となっておりますが、主にどのような工事が行われているのか、ここ数年の状況についてお伺いをいたします。

○大橋事業部長 築地市場は、開場以来七十年以上を経過し、市場の施設、設備の老朽化が進んでおり、営業を行っていくのに必要な安全性、性能、機能を確保するため、他の市場と比べて多くの補修工事を実施しております。
 具体的には、建築物では、柱、床、壁の劣化、雨漏り、シャッター等建具のふぐあいなどの補修、機械設備では、冷蔵庫、低温設備の性能低下、給水管の漏水などの補修、電気設備では、劣化した配電設備の補修などを行うほか、場内通路の補修など、市場運営に支障を来さないよう、多岐にわたって補修工事を行い、五年間の累計で約十一億七千四百万円となっております。

○きたしろ委員 今お聞きしたように、築地市場では、施設の補修に多額の費用を必要とし、単に機能を維持するだけで、月に直せば約二千万円もの経費がかかっていることになります。これは、築地市場の老朽化の深刻さをあらわす一つの例ですけれども、これとあわせて場内の狭隘化の問題もあります。
 以前に比べ、車両の数が減少したとはいわれておりますけれども、今でも、深夜、早朝の築地では、入場待ちの車両が場外に列をなし、排出ガスや騒音など、周辺環境にも大きな負荷をかけています。またこのことに加え、場内の混雑や動線の錯綜による接触等の事故の発生も見逃せない大きな問題です。
 築地市場では、狭い場内に、人、ターレやフォークリフト、トラックなどの車両が入り乱れており、交通事故も多いと聞いておりますけれども、その状況について、事故件数など、他市場との比較も含め、お伺いをいたします。

○後藤管理部長 築地市場の場内及び周辺道路では、全国各地から多種多様な荷を搬入するトラック及び場内で商品を搬送し積みかえるために使用されているターレットやフォークリフト、さらに搬出するためのトラック、買い出し人などが、狭隘な場所で頻繁に行き交うことから、極めて混雑しており、交通事故が発生しやすい状況にございます。
 平成二十年の築地市場内における交通事故の取扱件数は四百六件であり、全十一市場の合計六百八十八件の約六〇%に上っております。このうち人身事故は百六十四件でございまして、青果の基幹市場である大田市場の四十六件と比較をいたしまして約四倍になってございます。
 都といたしましては、場内の関係者で構成する交通委員会で対策を検討し、第一に、場内動線の確保のため、巡視等による交通整理、第二に、場内交通ルールの徹底、指導、啓発活動、第三に、交通標識、路面表示の整備などの対策を講じております。
 また、周辺道路につきましては、地元警察署や地元町会とで構成する協議会におきまして対策を検討いたしまして、交通巡回、駐車違反の撲滅などの運動を行っているところでございます。

○きたしろ委員 今お伺いいたしましたように、場内の事故件数は、他市場と比べて築地市場がずば抜けて多く、まさに危険な状況にあるといえます。
 次に、今日、市場に強く求められている品質、衛生管理についてお聞きしたいと思います。
 近年、産地や小売店では、商品の鮮度や品質を保つため、流通の過程で途切れなく低温管理を行う、いわゆるコールドチェーンへの取り組みが積極的に進められております。しかし、せっかく産地から保冷車で商品が輸送されても、築地では、低温で保管する施設が不足し、屋外に長時間置かれている状況が見られます。これでは、商品の品質を重視する産地や顧客の評価は到底得ることはできません。
 こういった施設面での対応のおくれが築地の最大のネックであり、近年の取扱量の減少にも大きく影響しているものだと私は思います。そこで、築地市場の現状について、品質、衛生管理上の問題をどのように認識しているのか、築地市場で抜本的な改善を行うことができるのか、お伺いをいたします。

○大朏参事 築地市場は、施設が狭隘化しているため、一部の水産物や青果物が、卸売場などに収容し切れず、日常的に通路上で荷さばきなどをせざるを得ない状況となっております。
 また、大半の施設の基本構造が、柱と天井のみの開放型となっているため、温度管理の必要な生鮮食料品が外気温などの影響を受けやすく、卸売場の一部は低温化を行っておりますが、コールドチェーンを確保することが困難となっております。
 現状では、氷を使用した商品の保冷や、市場業者による清潔保持、及び迅速な荷さばきなど、作業上の工夫に努めておりますが、築地市場は、品質、衛生管理上の課題を抱えているといわざるを得ません。
 このような築地市場を、閉鎖型施設にするなど、抜本的に改善するためには、卸売場、仲卸売場等の基幹施設の大幅な改築が必要となります。しかし、日常の取引業務を継続しながらの工事となることから、築地市場での抜本的な改善は極めて困難でございます。

○きたしろ委員 今お話がありましたように、築地市場では、抜本的な施設改善ができないという報告ありました。市場業者の方々は、老朽化した施設の中で、苦労して品質、衛生管理に取り組まれていることと思いますけれども、運用でカバーできる範囲には限界があります。これからの首都圏の生鮮食料品流通を担う豊洲新市場においては、だれから見てもはっきりとわかる形で、品質、衛生管理の強化を実現し、産地や顧客にその姿勢をアピールしていかなければなりません。
 先ほどもお話をしましたけれども、狭隘化の問題で、交通事故が、多くの市場よりも六〇%築地でしている。そしてまた衛生管理と食料の安全・安心の面からも、非常に大きな問題を抱えていると、築地では、私はそのように思います。
 そこで次に、豊洲新市場では、品質、衛生管理のため、どのような施設設備を行っていくのか、またそれにより取扱数量を回復させることは可能なのか伺いたいと思います。

○砂川参事 豊洲新市場では、売り場などの基幹施設を閉鎖型として整備し、バースを介した荷の搬出入により、外気温やほこり、排気ガスなどによる影響を遮断するとともに、売り場全体を空調管理し、商品特性に応じた低温エリアを設けるなど、きめ細かな対応を図ることにより、高度な品質管理を行ってまいります。
 さらに、消費者がそのまま口にする食材を加工するスペースなどは、清潔の度合いを高めるなど、施設の使用目的に応じた区画管理を徹底し、衛生管理の強化を図ってまいります。
 最近、他市場で、閉鎖型で低温管理され、効率的な配送が可能な卸売場など、顧客ニーズに対応した施設整備によりまして、大幅に取扱数量が増加した例が見られます。具体的には、平成十九年九月に新たな施設を整備した葛西市場では、翌一年間で、取扱数量が約五〇%増加し、平成十八年から整備を行った横浜市南部市場では、整備前に比べ、約四五%の増加となっております。
 豊洲新市場では、品質、衛生管理の高度化を図ることに加えまして、物流の効率化や、新たな顧客ニーズに対応した加工、パッケージ施設の整備など、市場機能を強化することにより、集荷、販売力を高め、取扱量を増加させていくことは十分可能であると考えております。

○きたしろ委員 今お話がありましたけれども、これから基幹市場のあるべき姿を考える場合、閉鎖型施設の整備などによる品質、衛生管理の徹底は当然求められるものですので、豊洲新市場において、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 続いて、新市場予定地の土壌汚染対策について確認していきたいと思います。
 都では、昨年、敷地全域にわたる詳細調査と、それに続く深さ方向の絞り込み調査を行い、さらに今回、環境確保条例に基づく調査を行っております。これらの調査により、新市場予定地の土壌汚染の状況はすべて把握されたのか、都がこれまでに行った土壌汚染調査の目的とその結果についてお伺いをいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地における土壌汚染対策の検討に際し汚染状況を把握するため、敷地全域を十メートルメッシュで区分しました四千百二十二地点で、東京ガス株式会社の工場操業時の地盤面から深さ五十センチメートルの土壌及び地下水を採取し分析する詳細調査を実施いたしました。
 この手法は、専門家会議が科学的知見から定めたもので、汚染物質が地表から地下へ浸透していくことから、ガス工場操業時の地盤面付近の土壌を調査することで地表近くの汚染を把握することが可能であり、地表から深い場所の汚染につきましては、汚染物質が、程度の差はあれ、地下水に溶け出すことから、地下水中の汚染物質を調査すれば把握が可能であることによります。
 さらに、深さ方向の汚染状況を把握するため、詳細調査で汚染物質が検出されました一千四百七十五地点で、ガス工場操業時の地盤面から不透水層上端まで深さ方向に一メートル間隔で一万一千三百三十一検体の土壌を採取し分析します絞り込み調査、環境確保条例に基づく調査を実施いたしました。
 これらの調査の結果、平面方向の詳細調査では、四千百二十二地点のうち二千六百四十七地点、割合にしまして六四%が環境基準以下でありまして、詳細調査で汚染物質が検出された地点においても、深さ方向では、一万一千三百三十一検体のうち九千三百四十五検体、割合にしまして八二%が環境基準以下でありました。
 これらのことから、新市場予定地は、敷地全域にわたって汚染が広がっているわけではなく、汚染物質が検出された地点においても、ガス工場操業時の地盤面から不透水層上端まで全体が汚染されているわけでないことが明らかになっております。

○きたしろ委員 ただいま説明がありましたように、新市場予定地の土壌、地下水の汚染状況は、今までの調査により、平面方向にも、深さ方向にも、全容が把握できていると思います。また土壌汚染対策についても、技術会議による万全な対策が取りまとめられ、これを確実に実施することで、生鮮食料品を取り扱う市場用地として安全を十分確保できることが明らかになったところです。
 しかし、調査データや報告書の内容が非常に専門的で、一般の方には理解が難しく、また、新聞等で一部の高濃度データのみがセンセーショナルに取り上げられたところから、その安全性に不安を覚えることもいたし方ないところだと思います。
 そこで、土壌で環境基準の四万三千倍ものベンゼンが検出されておりますが、都の土壌汚染対策で、操業由来の汚染物質は、すべて確実に処理できるのか確認をいたしたいと思います。

○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地における汚染物質処理につきましては、汚染物質の種類、濃度、複数の汚染物質による複合汚染かどうかなどを把握した上で、実証データや施工実績に基づき、それぞれの汚染物質処理に最適な工法を定めております。
 予定地の都市ガス製造に起因する汚染物質は、ベンゼン、シアン化合物、砒素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムの七種でございます。このうちベンゼンの処理につきましては、栄養塩と空気を土壌中に供給することで、土壌中の微生物を活性化し、分解処理いたします。この手法は、全国のガソリンスタンド跡地の浄化に多くの実績があり、土壌中から検出された環境基準の四万三千倍のベンゼンであっても問題なく無害化できます。
 また、土壌中から環境基準の九百三十倍のシアン化合物を検出いたしましたが、土の粒子の表面に付着した汚染物質を、粒子同士を強制的にこすり合わせ分離する混合攪拌装置を用いたプラントで洗浄処理を行うことにより、確実に除去が可能であります。
 残る五種類の重金属、複合汚染、油膜が見られる土壌についても、汚染物質の種類や状況に応じまして、洗浄処理、中温加熱処理を単独で、あるいは組み合わせることにより処理してまいります。
 このように、新市場予定地の土壌汚染対策は、高濃度の汚染物質であっても、確実に除去、無害化できる技術、工法であります。

○きたしろ委員 市場用地に汚染物質が残ったままで移転が行われると誤解している方もいらっしゃるようですが、対策により、市場建設までには、環境基準を超える汚染物質はすべて除去、浄化されるわけですから、当然、移転時には安全性に何ら問題はないということになると思います。
 都の土壌汚染対策は、当初においても、土壌汚染対策法より手厚いものでしたけれども、専門家会議、技術会議の検証を経て、市場用地としての安全・安心をより高いレベルで確保する対策が取りまとめられております。具体的には、対策の中でどういった点が強化されたのか、お伺いをいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議開催前に予定しておりました土壌汚染対策と技術会議の提言を受け都が定めた土壌汚染対策の違いは、一つに、東京ガス株式会社操業時の地盤面下から二メートルまでの土壌につきましては、建物建設地で汚染が検出されなかった区域を除き土壌を入れかえることとしていたのに対し、敷地全面にわたって、すべての土壌を入れかえることにしたこと。
 二つに、ガス工場操業時の地盤面から二メートル下より深い箇所については、土壌中の環境基準の十倍以下の汚染物質は除去しないこととしておりましたが、すべて環境基準以下に除去することにしたこと。
 三つに、新たに地下水対策を加え、汚染地下水を建築工事着工前までに、敷地全域にわたり環境基準以下に浄化するとともに、施設開設後も、水位、水質を監視していくことにしております。
 このように、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策は、当初の対策と比べ数段強化されており、この対策を確実に実施することで、市場用地としての安全・安心を十分確保することができます。

○きたしろ委員 市場用地としての安全・安心は十分確保するというお話がございましたけれども、ぜひともそのようにしていただきたいと思います。
 今回の対策は非常に大がかりなものであり、汚染土壌の運搬などの処理を実施するに当たっては、周辺環境にも十分配慮しなければならないと思います。大規模な土壌汚染対策工事による周辺環境への影響が大きいことを懸念する声もあるようですが、住民に不安がないように配慮されているのか、お伺いをいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 土壌汚染対策工事の実施に際しましては、汚染物質を含む土壌の掘削、運搬、処理に際しての安全確保や、建設機械、工場用車両による大気汚染、騒音、振動の軽減に十分留意することとしております。
 汚染土壌を掘削し処理する際には、域内に複合汚染であっても確実に無害化できる土壌洗浄プラントなどを設置することで、環境負荷を最大限抑止してまいります。その上で、土壌を搬出する場合には防水シートで密封して飛散防止措置を講じるほか、特に揮発性物質、油臭が確認された土壌の掘削時には、掘削範囲をテント等で覆うとともに、運搬時にも密閉容器を使用し、揮発、拡散を確実に防止してまいります。
 また、建設機械につきましては、一酸化炭素や窒素酸化物などの排ガスの発生が少なく、低騒音、低振動型の機種を使用するとともに、工事用車両が市街地を走行することによる大気汚染、騒音、振動、交通渋滞を軽減するため、船舶輸送を積極的に活用してまいります。
 こうした措置をとることにより、汚染物質を含む土壌の拡散防止の徹底と、周辺地域への環境負荷の低減に万全を期すとともに十分な説明を行い、周辺住民の不安を払拭してまいります。

○きたしろ委員 新市場予定地の土壌汚染対策については、地元住民や関係者の方々の理解が得られるように慎重に進めていただきたいと思います。
 新市場の開場をめぐっては、最近新しく就任した農林水産大臣から認可に関する発言がありました。そこで、確認をしたいと思いますけれども、豊洲新市場開場に当たり必要となる農林水産大臣の認可手続とはどういったものでしょうか、お伺いをいたします。

○大朏参事 中央卸売市場は、卸売市場法第八条の規定に基づきまして、農林水産大臣の認可を受けて開設することとなっております。また既に開設している中央卸売市場の位置及び面積、あるいは取扱品目などを変更する場合も、同法第十一条の規定に基づき認可が必要となります。
 豊洲新市場の開場は、築地市場の位置及び面積の変更に該当しますので、農林水産大臣の認可が必要となります。その際の認可基準といたしましては、国が策定する中央卸売市場整備計画に適合するものであること、生鮮食料品等の卸売の中核的拠点として適切な場所に開設され、かつ、相当の規模の施設を有するものであること、などと規定をされております。

○きたしろ委員 位置及び面積の変更に該当するということで、農林水産大臣の認可が必要だということはわかりました。ただ、農林水産大臣が就任記者会見において、安全なものだと自分自身が納得できなければサインしないという発言をしております。都は、この発言について、どのように受け取っておられるのかお伺いをいたします。

○野口新市場担当部長 生鮮食料品を取り扱う卸売市場におきましては、食の安全・安心の確保は最も基本的な使命であると考えております。
 九月十七日の赤松大臣の就任記者会見における発言は、前大臣が安全が確認されない限り私はサインをしないというお話だったので、私も同じ考えであり、安全なものだということが自分自身が納得できなければ絶対にサインをしないと申し上げた、という内容でありまして、卸売市場の安全性に対する国の考え方を改めて示したものと受けとめております。
 新市場の開場に当たりまして、安全の確保は当然必要なことであり、この認識は、都も、国も変わりはない、そういうふうに考えております。
 都といたしましては、技術会議が科学的知見に基づき、あらゆる角度から詳細に検証した信頼性の高い対策、これを確実に実施することで、生鮮食料品を扱う市場用地としての安全を確保してまいります。
 さらに、豊洲新市場では、施設を閉鎖型とし、売り場全体の温度管理などにより、高度な品質、衛生管理を図っていくとともに、新しい施設が十分に機能を発揮できるよう、具体的な運用ルールづくりについて業界と協議をし、ハード、ソフトの両面から、食の安全・安心の確保に取り組んでまいります。このような取り組みにより、安全性に揺るぎのない豊洲新市場を実現してまいりたいと考えております。

○きたしろ委員 食の安全・安心というのは、都議会も皆さんも同じ思いだと思っておるのですけれども、そういった意味で、それこそ、安全性に揺るぎのない新市場を実現していっていただきたいと思います。
 次に、市場業者の声について確認をいたしたいと思います。
 築地市場では、業者の多くが移転に反対していると主張する声も聞かれますが、実際のところ、市場業者の意向はどうなのか、お伺いをいたします。

○野口新市場担当部長 築地市場の六つの業界団体の中で、水産仲卸業者の組合を除く五団体につきましては、豊洲への移転を希望しております。また、残る水産仲卸組合も、移転の可否について組合内の意見が拮抗しており、本年二月に再任されました理事長は、移転以外に方策はなく、現在地再整備は不可能としております。
 昨年五月には、業界団体の大多数から新市場建設計画推進の要望書が提出されまして、これに引き続き、本年七月の都議選後にも、水産、青果の卸、仲卸業者、関連事業者、買い出し人等の市場関係者約四千名の署名を添えました計画推進の嘆願書が提出されております。
 これらの要望書、嘆願書におきましては、築地での再整備は不可能であり、現実的に移転可能な候補地は豊洲以外に考えられない、豊洲への移転は、二十年の歳月をかけて業界が到達した結論であり悲願であるとし、移転を切実に望む業界の思いが述べられております。このように、市場業界の多くが移転を強く望んでいるというふうに考えております。

○きたしろ委員 築地市場の業界の大勢は移転整備で一致し、豊洲新市場の実現を強く願っているとお伺いしました。それにもかかわらず、一部の反対意見ばかり大きく取り上げた偏った報道等を通じ、都民に、まるで、業界全体が移転に反対しているのに、都が強引に進めているかのような実態とかけ離れた印象が伝えられていることには、非常に強い憤りを私は感じております。
 移転整備による機能強化が急がれるにもかかわらず、将来展望も持たず、全く実現性のない現在地再整備を改めて検討すべきと主張する動きもあります。業界は先行きの見えない状況に大きな不安を感じていることと思います。そこで最後に、豊洲新市場の実現に向けた市場長の確固たる決意をお伺いいたしたいと思います。

○岡田中央卸売市場長 築地市場は、基幹市場として、都民の食生活を支える役割を担ってまいりましたが、開場から七十年以上が経過し、老朽化、狭隘化が著しく、耐震性やアスベストなど安全性に不安がございます。さらに、高度な品質、衛生管理が困難など多くの課題を抱えておりまして、もはや一刻の猶予もない状況でございます。
 しかし、築地での現在地再整備は、工事に必要な種地が確保できないことに加えまして、工事期間が長期化し、市場業者の経営に深刻な影響を及ぼすことなどから、現実的には不可能でございます。
 また、市場業者の多くは、流通環境の変化に対応するための抜本的な機能強化に取り組むことができない築地市場の現状に強い危機感を持ち、豊洲への移転を切実に願ってございます。
 豊洲市場は、流通環境の変化を見据え、高度な品質、衛生管理や効率的な物流を実現するとともに、国内最大級の屋上緑化や太陽光発電の導入など、積極的な環境対策により、これからのモデルとなる先進的な市場として整備するものでございます。
 都は、万全な土壌汚染対策を確実に実施することで、安全性を揺るぎないものとするとともに、時代のニーズに対応する機能強化を実現いたしまして、都民や市場関係者の期待にこたえられる新たな首都圏の基幹市場として、平成二十六年十二月の豊洲新市場の開場に向けまして全力で取り組んでまいります。

○きたしろ委員 新市場の実現に向けた業界の方々のこれまでの努力を無にしないよう、整備を着実に進めていっていただきたいと思います。
 今日に至る築地が築いてきた歴史、伝統はすばらしいものでありますが、老朽、狭隘化施設では、もはや機能的に限界となっており、このままでは、市場そのものが廃れ、培われた伝統も失われてしまうおそれがあります。
 築地市場の役割と機能を確実に豊洲新市場に引き継ぎ、首都圏三千三百万人の食を支える新たな基幹市場としてさらに発展させていくことが、将来の世代に対する責任を果たすことになるものだと思います。新市場建設推進に向けた局長の強いお気持ちを聞かせていただきました。ありがとうございました。これで質問を終わります。

○吉倉委員 私からも、平成二十年度中央卸売市場の決算に関連して、何点かお伺いいたします。
 中央卸売市場は、都民に対し、生鮮食料品を安定的に供給する役割を担っております。近年、量販店等による産直が進むなど、市場経由率が低下しつつあると聞いておりますが、青果、水産とも生鮮食料品流通の、いまだ六割以上が卸売市場経由であり、都民の食を支える重要なインフラであることに変わりはありません。
 都は、今後とも、都民の信頼に引き続きこたえていかなければならないと考えます。その際、重要となるのが、食の安全・安心に係る対応であります。先日の経済・港湾委員会では、豊洲新市場の建設に向けて、築地市場の老朽化への対応が議論になりました。東京都の中央卸売市場は、築地市場だけではなく全部で十一市場あります。本日私は、築地以外の市場に係る施設整備状況について、食の安全・安心という観点から、平成二十年度決算内容に触れつつ伺いたいというふうに思います。
 まず最初に、アスベスト対策についてですが、築地市場では、これまでに全庁的方針に基づいて対策を実施してきたと聞いております。そこで、他の市場については、どのように対策が行われてきたのか、平成二十年度に行われた実施内容も含めて伺います。

○大橋事業部長 中央卸売市場のアスベスト対策につきましては、全庁的な方針に基づき、吹きつけアスベストや、アスベスト含有建材が使用されているおそれがあり、室内外に直接露出しているものにつきましては、調査を行い、施設の使用頻度、劣化や損傷の程度により段階的に処理することとしており、天井裏などに隠ぺいされて飛散のおそれのないものや、飛散のおそれのないアスベスト含有成形板につきましては、今後の改修工事や建てかえ時に除去することとしております。
 処理が必要な箇所を把握するため、都有施設について、昭和六十三年度から平成二十年度までの間に全市場で調査を行い、築地市場以外の十市場では、四十六カ所で調査を行ってまいりました。この調査の結果、アスベストの含有が確認されたのは、豊島市場など七市場で二十カ所でございました。
 対策が必要なものにつきましては、平成元年度から平成十九年度までに十九カ所のアスベスト除去工事を実施し、平成二十年度は、淀橋市場におきまして、卸売場ポンプ室のアスベスト除去工事を実施いたしました。この結果、築地市場以外の市場の二十カ所すべてでアスベスト対策は完了しております。

○吉倉委員 答弁をいただきまして、従来から憂慮されてきたアスベスト対策について、生鮮食料品を扱う卸売市場において十分に対策がとられていることを確認することができました。
 アスベストは日常、生鮮食料品に飛散することはあってはなりませんが、確実な対応がなされていることは安心であります。
 そこで次に、切迫性が指摘されている首都直下地震への対応として、災害時における都民の食生活を支えるため、築地以外の市場では、どのような耐震対策を行ってきたのか伺います。

○大橋事業部長 中央卸売市場では、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、これまで都有施設で千平米以上かつ三階建て以上の建物を対象に耐震診断を行ってきました。
 築地市場以外の市場では、診断対象施設は、大田市場、葛西市場を除く八市場十八棟で、診断の結果、耐震基準を満たさず耐震改修工事が必要な建物は、食肉市場、豊島市場など五市場十棟でございました。
 耐震改修を必要とする十棟につきまして、設計及び工事に先立って業界調整を行い、市場業務に支障のない補強設計、工事方法及び工事時期を選択し、業界の了承のもとに工事を進めてきており、平成八年度から十六年度までに、七棟の補強工事を実施いたしました。また二棟につきましては解体いたしました。残りの淀橋市場の仲卸売場棟は、リニューアル事業で新たな場所に新築し、現施設は解体する予定になっております。築地市場以外の市場では、耐震化が必要なすべての施設について対策が完了いたします。

○吉倉委員 私の地元の淀橋市場では、リニューアル工事が進められておりますが、ぜひ計画どおり実施していただきまして、できるだけ早く卸売市場の耐震化をすべて完了させていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 次に、食の安全・安心を確保する上で重要な生鮮食料品流通における品質管理という点からお聞きしたいというふうに思います。
 生産から消費に至る中間地点である卸売市場においては、コールドチェーンの保持が欠かせないと考えますが、市場の基幹施設である卸売場の低温化について、築地以外の市場ではどのように進められているのか伺います。

○大朏参事 これまで都は、生鮮食料品の流通に求められるコールドチェーンを確保するために、それぞれの市場の実情に応じまして、市場業者と一体となって、低温卸売場などの整備に努めてまいりました。
 現在、青果部九市場で卸売場面積の約三〇%が、また水産物部三市場で卸売場面積の約三五%が、低温化されております。なお、平成二十年度では、豊島市場や板橋市場青果部の一部で低温卸売場が設置され、今年度は、世田谷市場青果部で低温化を進めております。今後とも都は、市場業者と協力しながら、低温卸売場などの整備を進め、食の安全・安心を確保してまいります。

○吉倉委員 ただいまの、安全・安心をめぐる三つの観点、すなわち、アスベスト対策、耐震対策、そして低温化整備の点から、施設の整備状況を確認いたしました。
 卸売市場は、豊洲新市場だけではありません。他の市場においても、ぜひ、施設整備を着実に進めていただきたいことを要望しておきます。
 特に、卸売市場を取り巻く流通環境は厳しさを増しており、基幹施設である卸売場の低温化は、品質管理の高度化を図る上で極めて重要であると考えております。来年度より、第九次卸売市場整備計画の策定作業を始めると聞いておりますが、今後とも食の安全・安心という時代の要請にこたえながら、必要な整備を進め、生鮮食料品の安定的供給に努めていただきたいことを要望しておきます。
 次に、ただいま議論がございました、最も大切な、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、私からも、食の安心・安全の観点から、再度伺いたいと思います。
 土壌汚染対策については、専門家会議において、詳細な調査の実施を踏まえ、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての十分な対策が提言されました。そして、その後に設けられた技術会議においては、専門家会議の提言を確実に実現するとともに、さらに安全性にすぐれ、信頼性の高い技術、工法を採用した対策が取りまとめられました。
 こうした二つの会議体により、約一年十カ月もの期間をかけて重層的な検討が行われましたが、このような方法は、日本ではかつて例のないものであり、その結果、二重三重のチェックが働き、生鮮食料品を取り扱う市場用地として、不安のない万全な対策が取りまとめることができたと、このように考えております。
 しかし、専門家会議終了後、本年一月に、不透水層の欠落やベンゾ(a)ピレンの存在などの報道があり、本当にこれで大丈夫なのかといった、都民や市場関係者の不安や不信を招くこととなり、さらに、都議選や国政選挙で、これに輪をかけて移転の問題が政争の具とされたことについては、極めて遺憾であり、残念としかいいようがありません。
 そこで、まず専門家会議において、四千百二十二カ所に上る詳細調査が実施されたわけですけれども、対策の検討に当たって必要十分な調査が行われたのか、その後明らかになった不透水層の欠落の問題などにはどう対応をするのか、伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議では、敷地全域の汚染状況を把握する土壌、地下水の詳細調査、深さ方向の汚染状況を把握するため土壌をボーリングした絞り込み調査、地下水管理のため降水量の測定を含めた地下水位変動調査、さらには、土壌中の油分を把握する調査など、科学的知見から、土壌汚染対策の検討に際し、必要不可欠な調査を実施しております。
 これらの調査結果から、敷地全域に高濃度汚染が広がっているわけではなく、地下水位の変動につきましては降雨との相関関係があり、他へ地下水が流出している可能性は少ない。また、土壌中に油分が見られましたが、地表で油臭はせず、生活環境保全の観点からは支障はないと、そういうことを確認しております。
 これらの知見から、専門家会議では、対策は十分可能であるとし、生鮮食料品を扱う市場用地としての安全・安心を確保する観点から、土壌、地下水中の操業に由来する環境基準を超える汚染物質をすべて除去し、雨水の浸入を防止するため地表面をアスファルト舗装やコンクリート版で覆った上で、市場施設完成後も、地下水位、水質を監視していくなどの対策を提言しております。
 絞り込み調査では、二地点について不透水層が確認できませんでしたが、環境確保条例に基づく土壌ボーリング調査では、すべての地点で不透水層が確認できましたことに加え、当該二地点の周囲で行った不透水層を確認する調査でも、不透水層が確認できましたことから、当該二地点は特異な地点であると考えております。
 この二地点につきましては、対策時に汚染状況を深さ方向に確認しながら、汚染が検出されなくなるまで、不透水層下であっても土壌、地下水中の汚染物質をすべて確実に除去した後、セメント固化材等により人工的に不透水層を形成することで、対応は十分可能であります。
 また、ベンゾ(a)ピレンにつきましては、ガス工場操業時の地盤面から下の土壌二メートル、すべて入れかえることに加えまして、それより深い部分で油膜が見られた汚染土壌は、中温加熱処理することにより、健康影響のおそれのないよう対策を行います。
 こうした対策は、専門家会議及び技術会議において確認されておりまして、安全性は十分確保されます。

○吉倉委員 大変詳しい答弁をいただきました。
 また、専門家会議の提言を踏まえ、技術会議では、広く全国を対象に新技術等の公募を実施し、その評価、検証を行い対策が取りまとめられました。その検討の過程では、提案者の知的財産保護の問題や、将来の契約にかかわる内容も少なくないことから、非公開で進められてきたと、このように聞いております。
 もちろん、会議録、会議資料等はすべて公開しておりますが、検討の過程がクローズアップされていたことから、実績のない新技術や新工法が採用されることについての不安や、環境基準の四万三千倍もの汚染物質の存在が確認されていることに対して、どのように対策が万全なのか、一般の都民の感覚からすれば、疑問が完全に解消されているわけではありません。
 そこで、技術会議では、新技術、新工法をどのような方法で評価したのか。また、新市場予定地の調査結果を踏まえ、どのような対策が講じられることにより、不安のない万全な対策といえるのか、これを伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 技術会議では、専門家会議の提言を具体化するに当たりまして、広く民間企業等から新技術、新工法を公募し、その評価、検証を経て、実効性や施工性などにすぐれた対策を提言しております。
 公募で寄せられました提案の評価につきましては、各専門分野の委員が、豊洲新市場予定地の汚染状況、土質特性を踏まえた上で、提案書に記載されました実証データや施工実績の有無などを確認するとともに、必要に応じまして、提案者へのヒアリングを実施するなど、多角的に検証しております。
 こうした各委員による個別評価に基づき、実効性が確認され、確実に施工可能な技術、工法の中から、委員合議により、技術会議としての提言を取りまとめております。
 技術会議での技術、工法の検討に際しまして、土壌、地下水の調査により検出されました高濃度のベンゼン、シアン化合物の処理につきましては、環境を専門とする委員から、ベンゼンについては微生物を活性化することで分解することが十分可能であり、シアン化合物につきましても、濃度にかかわらず、洗浄プラントで処理することで十分対応が可能であるとの見解をいただいております。
 このように、技術会議の提言は、専門家が、新市場予定地で検出された汚染物質の種類や濃度などの汚染状況を正確に把握した上で、科学的知見から多角的に検討したもので、市場用地としての安全・安心に万全を期した、信頼性の高いものであります。

○吉倉委員 豊洲新市場予定地の土壌汚染の問題は、ごく一部の高濃度の数値や不透水層の欠落だけがマスコミにより取り上げられ、それを契機に、さまざまな風評や疑念を生み出しました。
 しかし、専門家会議では、この対策が実施されれば、人が一生涯この土地に住み続けても健康に影響はないと明言しているように、都の対策は、この専門家会議、技術会議という二つの会議体において、我が国有数の学識経験者が時間をかけて検証し導き出した結論を踏まえたものであります。
 食の安全・安心の確保という卸売市場の基本的使命を果たすため、豊洲新市場予定地において、このような万全の土壌汚染対策を確実に実施することはもとより、信頼性が高く安全性に不安がない対策であることを広く都民に説明をし、一層の理解を得ることを強く要望して質問を終わります。

○星委員 平成二十年度中央卸売市場会計決算の状況について、私からも何点かお伺いをいたします。
 私の住む昭島市には、四十年以上も前から東京青果昭島地方卸売市場という大きな青果物の市場があり、市場の存在は、生活にとてもなじみのあるものとなっています。学校や子ども会行事、あるいはお祭りなどで、ある程度多い量の食材の購入にも大変便利です。場内見学に行ったことがありますけれども、広い卸売場と大量の青果物、活発な競り売りの光景など、大変興味深いものでした。
 多摩地域全体では十五のさまざまな規模の卸売市場が点在し、各地域の生鮮食料品流通のかなめとなっています。地方卸売市場は、中央卸売市場と並び消費者に生鮮食料品を供給する拠点として卸売市場法や条例に規定されており、都知事の許可を受けて、民間企業等が開設しています。
 卸売市場は、地方、中央を問わず、都民生活に欠かせない食料品を安定的、継続的に供給する公的な役割があり、東京都は許可権者として、地方卸売市場の経営、運営が円滑に進むように支援していく責任があると思います。
 また、東京都の第八次卸売市場整備計画では、東京都が地方卸売市場に対し、生鮮食料品を安定的に消費者に供給できるよう支援していくとされています。毎年、東京都市長会からも、地方市場の整備、活性化について要望が出ていると思います。
 そこでお聞きしていきます。決算説明資料では、地方卸売市場助成事業費として約九千百万円が計上されていますが、その内容と内訳を、まずお伺いいたします。

○大橋事業部長 地方卸売市場は、生鮮食料品等を都民に安定的に供給する上で、中央卸売市場と同様に公共的役割を担っており、特に多摩地域の生鮮食料品流通につきましては、地方卸売市場が中心的役割を果たしております。
 そのため、都は、地方卸売市場における業務の適正かつ健全な運営を確保することを目的とし、地方卸売市場助成事業として、施設整備事業費補助及び管理衛生費補助を行っております。
 まず、施設整備事業費補助につきましては、多摩地域の青果、水産市場を対象といたしまして、地方卸売市場の開設者が市場機能の維持向上を図るための施設整備を行う場合に、経費の一部を助成するものであり、平成二十年度は、八王子魚市場の立体駐車場施設工事、東京青果昭島地方卸売市場の卸売場ほか衛生設備工事など、三市場の施設整備に対しまして約七千五百万円を執行しております。
 また、管理衛生費補助につきましては、都内の地方卸売市場を対象として、一般廃棄物の処理に要する経費の一部を補助するものであり、平成二十年度は十四市場に対して約一千六百万円を執行しております。

○星委員 ありがとうございました。
 地方市場に対して、特に施設整備やごみ処理の経費面で一定の支援がされているということは理解できました。
 事前にお伺いをいたしましたら、東京都は、こういった経費面の支援だけでなくて、地方卸売市場への巡回指導や公認会計士を伴った経理検査、経営指導などを継続的に行っているということです。
 しかし、今日、景気の低迷や流通の多様化、あるいは多摩地域にとても多く進出しているんですが、郊外型ディスカウントショップ、こういうものなどの影響もありまして、多摩地域の地方卸売市場の経営状況というのは、中央卸売市場以上に厳しいと思っています。民間企業である開設者の自助努力だけでなく、東京都の適切な指導、助言が今後も不可欠であると考えます。ぜひ、適切な指導、助言をお願いしたいと思います。
 そして、先ほど触れました昭島市場の卸売場では、卸売業者が地場野菜の流通拡大を目的として、近隣の出荷者から市場に持ち込まれる野菜を「武蔵野やさい」というブランドで販売しているということをお伺いしております。
 都内青果物の産地としての側面を持つ多摩地域の特性を生かし、地場の新鮮な青果物を扱い、こういった市場の付加価値を高めていこうとする、このような取り組みを、ぜひ昭島市場だけでなくて、ほかの地方卸売市場においても進めていっていただきたいと思いますので、ぜひ東京都においても、中央卸売市場においても、こういった情報をほかの地方市場にもどんどん提供するなど、こういったことをしていただきまして、経営、営業上のこういった充実に向けて、ハード、ソフト両面にわたってのさまざまな支援をぜひお願いをしたいと思います。
 次に、中央卸売市場の環境面での取り組みについて伺います。
 東京都は、平成十八年に策定した「十年後の東京」で、第一の柱に掲げられている水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活に向け、緑の東京十年プロジェクトを推進しています。
 そこでお伺いをいたしますが、中央卸売市場における緑の東京十年プロジェクトの取り組みについて、平成二十年度の進捗状況と今後の計画をお伺いいたします。

○横山参事 中央市場では、これまで施設整備に合わせて緑地の確保に努めてまいりましたが、このたび、全庁的な取り組みでございます緑の東京十年プロジェクトにつきましては、場内で可能な限り緑化が図れますように、従来からの植栽に加えまして屋上緑化を推進することにより、豊洲新市場を含めて十二・七ヘクタールの緑地を実現する計画でございます。
 平成二十年度の進捗状況といたしましては、葛西市場の管理棟に百三十九平米、足立市場の関連事業棟に百九平米、食肉市場の市場棟に百二十平米の屋上緑化の工事を、計画どおりに完了させました。
 今後の屋上緑化工事につきましては、平成二十一年度に板橋市場の管理棟、平成二十二年度に豊島市場の管理棟及び卸売場棟、平成二十四年度には、淀橋市場の仲卸売場棟に計画しております。食肉市場につきましては、市場棟に加えまして、水処理センターと小動物棟につきまして、平成二十年度から二十二年度まで工事を継続する予定でございます。
 さらに、豊洲新市場につきましては、ヒートアイランド対策に配慮いたしまして、屋上緑化を含め、敷地内に大規模な緑化を計画しております。

○星委員 ありがとうございました。
 二十年度の計画は完了、達成ということでございますので、引き続き緑の十年プロジェクトについては計画どおり、今年度も進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、環境対策の部分で市場の廃棄物対策についてお伺いをします。
 中央卸売市場では、日々、大量の生鮮食料品が取引され、相当量のごみが排出されていると聞いています。市場は公的な施設なので、当然最大限の減量、資源化が求められておりますけれども、二十年度の排出状況はどうなっていますでしょうか。また、削減のための取り組みはどのような状況でしょうか。

○横山参事 平成二十年度に東京都中央卸売市場から発生しました廃棄物の総量は約四万トンでございます。その内訳は、荷の傷みや商品を小分けする際に発生いたします野菜や魚くずなどの一般廃棄物が約七割であり、輸送に用いたパレットや使用済みの発泡スチロールなどの産業廃棄物が約三割でございます。
 都は業界と連携いたしまして、市場から発生する廃棄物を削減するため、ごみ処理における事業者処理責任の原則のもと、有料のごみ袋を導入するとともに、持ち込みごみや不法投棄を取り締まり、さらに、食品廃棄物や包装資材等のリサイクルを進めてまいりました。
 以上の取り組みによって、市場から発生するごみの総量は年々減少しており、五年前の平成十五年度と比較いたしましても、約九千三百トン減少しております。今後とも都は、業界と密接に連携して、廃棄物対策やリサイクルの推進により、廃棄物の一層の削減を図ってまいります。

○星委員 廃棄物も減少しているということなので、引き続き努力をお願いします。
 それでは、リサイクルについては現状どのような状況なのでしょうか。

○横山参事 中央卸売市場は、省資源や省エネルギーの要請、また、食品リサイクル法等に従いまして、市場から生じる廃棄物の減量に努めるとともに、可能な限りリサイクルに取り組んでおります。
 青果部では、野菜くずを、場外にございますスーパーエコタウンのバイオガス発電施設に運び込み、メタンガスの原料として活用するほか、木製の廃棄パレットをチップにいたしまして、合板等の建築資材にリサイクルしております。
 また水産物部では、魚腸骨を家畜用飼料やペットフード、油脂等の原料に転用するほか、使用済みの発泡スチロールを場内で溶融固化して、場外にてプラスチック製品にリサイクルしております。
 以上の取り組みによりまして、市場における廃棄物のリサイクル率は、現在約四〇%になっておりまして、五年前の平成十五年度における三一%と比較いたしましても大幅に向上しております。
 今後とも、ごみの分別指導を徹底することなどにより、さらなるリサイクル率の向上を目指してまいります。

○星委員 それでは、最後に意見を申し上げます。
 リサイクル率も現在は四〇%で、五年前よりも随分と向上しているということで、このことは喜ばしいと思いますが、大量の生鮮食料品を扱う公的な施設、事業なので、今後も目標を持って着実に減量、リサイクルを進めていただきたいと思いまして要望します。
 特に廃棄物減量やリサイクルに関して、今まで市場では実施スケジュールというか、実施計画というものは特につくられていないということをお聞きしておりますので、このあたりに関しましては、民間企業では当たり前にこういった推進のための実施スケジュール、実施計画というものはつくられているものだと思います。
 ぜひ中央卸売市場の社会的使命に沿って、こういったごみ減量リサイクルの推進計画というものをつくっていただいて進めていってほしいということを強く要望して、質問を終わります。

○鈴木委員 私の地元足立区にも二つ大きな市場がございますので、幾つか質問をさせていただきます。
 平成二十年度中央卸売市場会計決算の説明資料によりますと、収益的収入の主たる項目でございます売上高割使用料が、前年度決算額と比べまして約八千万円の減収となっております。これは、会計決算審査意見書の経営の概要にもありますように、平成二十年度の市場取扱量が減少したことから生じた結果でございます。
 先日、私は地元の北足立市場まつりに行ってまいりましたが、その様子を見ると、二万人を超える大勢の方々が市場に来場しまして、大変なにぎやかさでございます。そんな様子と取引との間には随分と実態と乖離があるなということを実感いたしました。
 そこで、まず私の地元足立区内の二つの市場、すなわち青果物を扱う北足立市場と水産物を取り扱う足立市場について、両市場の取扱量はこの十年間でどのように推移しているのかをお伺いいたします。

○大橋事業部長 平成二十年の北足立市場における取扱量は二十万六千トンであり、十年前の平成十年に比べて七万八千トン、率にして二七・五%減少しております。
 また、足立市場の平成二十年取扱量は三万トンであり、平成十年に比べて二万三千トン、率にして四三・八%減少しております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 この十年間で、両市場とも取扱量がかなり減少していることがわかります。特に水産物を扱う千住市場の取扱高が約半分に、この十年間で落ち込んでいるということは、驚くばかりでございます。
 私は、足立区内の商店街の状況がこの十年間で大変さま変わりしている、つまり、ほとんどの商店街がシャッター通りになっており、以前は商店街に複数の青果や水産物を扱う小売業者の方々がいましたけれども、近年は息子さんが会社に就職して後継者とならない、あるいはスーパーマーケットがどんどん進出する状況にあり、生鮮食料品の流通が以前とは随分と異なってきたなと感じておりました。
 都は、このような市場取扱量の減少について、何が原因と考えているのか、改めてお伺いいたします。

○大橋事業部長 市場取扱量が減少している原因についてでありますが、生鮮食料品流通が大きく変化していることが主な原因と考えております。
 具体的には、量販店や外食産業等が、市場からだけではなく産地から直接に商品を調達したり、商社から輸入品を購入するなど、流通チャンネルが多元化し、市場外流通が増加していることが挙げられます。
 また、市場の主要な利用者であった専門小売店が減少していることが原因として考えられます。

○鈴木委員 まさしく今、答弁がなされましたように、流通環境がこの十年で激変していて、量販店などによる産直の増加や専門小売店の減少などによって、市場流通そのものが減ってきたという実情はわかりました。しかし、安定的な生鮮食料品の供給という市場機能を維持していくためには、市場取扱量が減少していくという状況をこのまま放置することは許されないのではないでしょうか。足立市場、北足立市場を初め、市場というものは地域に根差した大事な都民の財産であり、今後の市場周辺地域の活性化を考えるに当たっても、都として何らかの対応をしていくべきであると考えております。
 先日、交通局の公営企業決算特別委員会でも、私の地元の日暮里・舎人ライナーの乗降者数をふやしていくためには、地元のイベントをふやしていくということがあるという答弁もございました。北足立市場に多くの都民に来場してもらうことは、市場の売り上げにも貢献するし、日暮里・舎人ライナーの収益にも寄与するものと考えております。
 そこでお伺いします。市場の取扱量が減少している中にあって、市場の活性化を図っていくために、都として市場業者の経営基盤強化、中でも卸売市場の中で中核を担う卸売業者と仲卸業者の強化が必要であると考えますが、従来どのようなことを進めてきたのか、お伺いをいたします。

○大橋事業部長 都は、市場取引において中核的な役割を担う卸売業者や仲卸業者が、みずからの経営基盤を強化し健全な経営を確立できるように、市場取引に精通した公認会計士とともに、きめ細かな財務検査及び経営改善指導を行っております。
 具体的には、経営状況を記載した事業報告書や財務諸表をもとに、経営上の問題点を明らかにした上で、個別のヒアリングにおいて収益向上策、販売管理費の抑制等、個々の業者の経営状況や事情に応じた改善指導、専門的助言を行っております。
 平成二十年度は、卸売業者について全市場業者数の半数に当たる十七社、仲卸業者について、財務状況が悪化している業者を中心に市場全体で九十一社を選定し、検査を実施いたしました。
 また、平成十八年度から、仲卸業者を対象として、公認会計士による相談窓口を開設して経営上の助言を行っておりますが、平成二十一年度からは、新規事業展開等の多様な相談ニーズにこたえられるよう、中小企業診断士の相談員を加えております。

○鈴木委員 これだけ取扱高が急激に落ち込んでいけば、卸売業者、仲卸業者の経営も非常に厳しさを増していることと推察ができます。そういう意味では、公認会計士の方々に、経営基盤の安定のためにご相談に乗ってもらえることは大変ありがたいだろうと思います。しかし、それだけでは経営はよくならないものでございます。市場の扱い高をどうふやすか、これに都がこたえていかなければ経営状況は改善されません。
 例えば、一つのアイデアでございますけれども、北千住駅付近には飲食店が最近多数できております。新しい店もできている中で、一般の消費者が家庭で食べる水産物が減ってきているとしても、このような飲食店が新たに卸売市場を知って業務用に買い出しに来れば、取引もふやせるはずでございます。地元足立市場から本日仕入れた魚という形で、築地との差別化を含め、商売上のメリットもあるんではないかと考えます。
 そういう意味では、卸売市場をもっと知ってもらうための取り組み、市場のPRも重要であり、また業者に対する指導、助言にとどまらず、市場活性化に向けた積極的な取り組みが必要であると考えます。
 そこでお伺いします。都は、市場業者の販路拡大などにつながるような、活性化のための積極的な施策を進めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○大橋事業部長 都は、平成二十一年度から、市場業者が新規の事業展開にチャレンジしやすいよう、卸売市場全体の活性化に向けた新規事業として、経営活性化支援事業を開始いたしました。
 これは、市場業界団体やグループ等が、小売業者と連携した新商品開発や販路拡大のための取り組み等、広くビジネスチャンスの拡大につながる事業を行う場合に補助をしていく制度であります。
 現在、卸、仲卸、小売が協力して販売力強化に取り組む淀橋市場の日事業や、築地市場の新鮮な季節商材を使った創作料理メニューを開発しレストランと提携して商品化に取り組むルネッサンス築地事業など、市場業者ならではのアイデアを生かした具体的な取り組みが始まっており、足立市場を含めた他の市場でも、新たな事業展開に向けた検討が進んでおります。
 平成二十二年度は、このような取り組み事例について、ホームページへの掲載や研修会を実施するなど、他の事業者にも積極的に紹介することにより、事業ノウハウの普及、市場業者のチャレンジ精神の醸成を図ってまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 ぜひ、そういった新しいチャレンジブルな取り組みを始めていっていただきたいと思っています。足立市場でも、地元との協力関係で取扱高が着実にふえる企画を早急に実現させていただきたいと思います。
 市場で取り扱う生鮮食料品などの流通経路が、都民の食の変化に合わせて大きく変わろうとしている現実を、しっかりと都も認識をしていただき、市場の新たな役割も含めて、行政は積極的に市場の活性化策を考えていくべきであります。それにより、本来の市場の役割であります生鮮食料品などの円滑な供給と、都民の消費生活の安定に資することになり、また日本の食文化を引き継いでいくことになると確信をしております。決して市場関係業界だけに任せるのではなく、都が率先して活性化策を検討し、計画的に各市場へのてこ入れ策を考えていただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時三十一分散会

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