平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十一年十月二十一日(水曜日)
第一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長今村 るか君
副委員長伊藤 興一君
副委員長早坂 義弘君
副委員長野上ゆきえ君
野田かずさ君
関口 太一君
きたしろ勝彦君
星 ひろ子君
たきぐち学君
吉倉 正美君
鈴木 勝博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長比留間英人君
技監飯尾  豊君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長石原 清志君
港湾経営部長小宮 三夫君
参事河内  豊君
臨海開発部長松岡 玉記君
参事平田 耕二君
参事延與  桂君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長成瀬 英治君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
港湾局関係
・平成二十年度東京都臨海地域開発事業会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都港湾事業会計決算(質疑)

○今村委員長 ただいまから平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都臨海地域開発事業会計決算及び平成二十年度東京都港湾事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○関口委員 両二つの会計について、それぞれお尋ねしたいと思います。
 まず、港湾事業会計についてお尋ねをいたします。
 決算書を眺めておりますと、建設改良事業の予算執行率、これが二三・九%と、極めて低調となっておりますが、まず、その原因を冒頭にお尋ねしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 主な理由としまして、十九年度から二十年度の債務負担行為で、品川ふ頭の外貿コンテナ貨物の荷役機械、ガントリークレーンと申していますが、の更新に係る製作及び据えつけ工事を予定しておりましたが、十九年度に世界的な鋼材価格の高騰によりまして契約が不調となり、二十年度の設備の完成、支払いがなくなったことによるものでございます。

○関口委員 今ご答弁にございましたように、ガントリークレーンというキリンのような大きな機械だと思いますが、この製作据えつけ工事契約が不調に終わったということでありますが、その後、これは今どのように対応されているのかお尋ねします。

○小宮港湾経営部長 必要な経費を二十一年度予算に計上し、事業を実施しております。当該クレーンにつきましては、今年度内に製作据えつけ工事が完成する予定でございます。

○関口委員 こうしたガントリークレーン等の外貿コンテナふ頭の管理業務に関しては、今年度より東京港埠頭株式会社に一元化していると所管から伺っておりますが、その一元化している目的が何であるのか、お尋ねしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 ことし三月まで、東京港の外貿コンテナふ頭は、東京都が管理する品川、青海の公共ふ頭と、東京港埠頭株式会社が管理する大井、青海の株式会社埠頭が併存いたしまして、都と同社が二元的に管理を行ってまいりました。これを改めまして、ことし四月から、同社に公共ふ頭を管理させ、外貿コンテナふ頭の管理の一元化を開始いたしました。
 その目的でございますが、スケールメリットを生かしたより効率的なふ頭運営を実現することであり、これによりまして、港湾サービスの向上と港湾コストの低減を図り、東京港のさらなる国際競争力強化を目指しております。

○関口委員 一元化の目的として、港湾サービスの向上とコストの低減、それが東京港のさらなる国際競争力強化につながっていくということを、期待をされての一元化だというご答弁であったと思います。
 私も、管理が、主体が二つばらけて、情報の共有が図れなかったり、あるいは意思疎通がうまくいかなかったり、それによるむだがさまざまなところで生じるということは、よく過去見受けられてきたことだと思いますから、この一元化という取り組みは、私自身も期待をしております。ただ、いわゆる一元化をしたからといって、その管理が局の手から離れ、以上終了ということではなく、引き続き局と埠頭会社との間の密な情報共有を図っていただき、局としてのチェックを怠らないように要望しておきます。
 また、冒頭に質問させていただきました予算執行率の件でありますが、今回は世界的な経済不況というような、なかなか予測しがたい事態であったかとは思いますが、とはいえ、その事業が当該年度内に必要な事業であるからこそ予算化をしたということを、しっかり再認識をしていただくと同時に、今後、契約不調という事態を避けるべく、こうして予算化をするに当たっては、各方面にアンテナを張って、さまざまな周辺情報を把握しながら予算化を図っていくという、このことに努めていただくように要望して、次の質問に移りたいと思います。
 決算の概要の中を見ておりますと、東京港の国際競争力に向けた取り組みの一つとしまして、ボリュームインセンティブという言葉とトランシップ輸送インセンティブという言葉が出ておりました。これは平成十六年度から実施をしていると伺っておりますが、十六、十七、十八、十九、二十と、丸五年経過をしている中で、この両事業の実績がどうなっているのかお尋ねします。

○河内参事 民間事業者の経営努力を引き出し、取扱貨物量を増加させる取り組みの一つといたしまして、都営の港湾施設使用料の減免措置を行うインセンティブ制度がございます。この一つといたしまして、ボリュームインセンティブ、トランシップ輸送インセンティブを、平成十六年度から二十年度まで五年間実施してまいりました。
 五年間の実績でございますが、ボリュームインセンティブにつきましては、合計一千六百二十七件、トランシップ輸送インセンティブにつきましては、合計で三十九件となっております。

○関口委員 両事業の中で、特にトランシップインセンティブですか、この件数が五年で三十九件と、極めて少ないという印象を持ちますが、その理由をお尋ねしたいと思います。

○河内参事 トランシップ輸送インセンティブにつきましては、公共外貿コンテナふ頭を利用する基幹航路の拡大を図るために、同ふ頭で海外からの貨物をほかの船に積みかえ海外に搬出した場合に、施設使用料の減免を行うものでございます。
 しかしながら、公共ふ頭に基幹航路を寄港させている船会社の利用船舶につきましては中型船が多く、積みおろしの貨物も日本発着貨物が大宗を占めていたことから、実績が低迷いたしました。

○関口委員 このトランシップ事業が五年で三十九件と少ない理由として、今この公共ふ頭に寄港している船が中型船舶が多く積みかえをする必要がないと。日本での荷物だけで十分満杯になるから実績件数が少ないということでありましたが、いずれにいたしましても、この東京港の荷物の取扱数をふやしていかなくちゃいけないという命題がある中で、今後、世界的に中型船から大型船に船がかわっていき、その大型船をどんどんどんどん東京港に引っ張っていくために、今、東京港、港湾局として、十六メートル水深のバース建設しているとも伺っておりますし、あるいは、両インセンティブ事業の目的が、貨物数をふやしていくということにあるわけですから、私としましては、今後のインセンティブ事業、三十九件と一千六百二十七件のこの量を、インセンティブ事業を今後この結果も踏まえて、どのように進めていくのかお尋ねしたいと思います。

○河内参事 今年度から、品川や青海の公共コンテナふ頭につきましては、東京港埠頭株式会社が一元的に管理することになったところでございまして、これらのインセンティブ制度につきましても、同社においてこれまでのこの制度の趣旨を踏まえまして対応しているところでございます。

○関口委員 先ほど出てまいりました東京港埠頭株式会社の方に、これは一元化をされて、両事業がこの趣旨を踏まえて対応されるということでありますが、冒頭に申し上げましたように、局としての情報の共有等々図って、趣旨がしっかりと生かされるように、チェックを怠らないように、改めてお願いをしておきたいと思います。
 そして、このインセンティブ事業及びバースを水深十六メートルにしていく等々の工事、これらは、取扱貨物をふやしていくということが大きな目的であろうかと思いますが、この取扱貨物数は極めて重要な数字であると、私は認識をしているんです。東京港の取り扱っている貨物数は、平成十八年で三百七十万個、十九年が三百七十二万個、昨年、平成二十年が三百七十三万個と、横ばいである一方で、例えば上海、ここは十八年に二千百七十一万、十九年が二千六百十五万、二十年に二千七百九十八万と、三年で六百二十七万個もふえている現状があり、この比較から見ても、東京港の国際的な地位が低下をしているのは火を見るより明らかでありまして、ここで注意をしなくてはならないのは、この取扱貨物数が国際的に低い水準にあることで、東京港、東京湾を発着あるいは経由していた国際基幹航路数が減少しているという点です。我々は、このことに強い危機感を持つ必要があると思います。
 国際基幹航路数が減るということは、東京に入ってくる輸入貨物や、東京から出る輸出の貨物が、韓国の釜山や、あるいは先ほど出た中国の上海経由となることを意味します。その結果、もちろん物流のコストは増加をしますし、それが商品価格に転嫁をされて、我々都民、消費者にとって大きなマイナスとなるわけです。
 また、ビジネスの観点から申し上げれば、私も以前、商社で輸出入商売をしておりましたが、海外直行便、この航路の数が減ることによるコスト高と、そして、どこかの港を経由することによる、いわゆる納期のおくれというのは、商売上も致命的な競争力の低下となり、商売上、ビジネスマンからすれば大きなハンディを負うことになるわけです。
 よって、東京港での取扱貨物数をふやすということは、単に東京港の収益がどうのこうのというレベルの話じゃなくて、都民生活を守るため、あるいは、さらには日本経済を強くするためには、何がなんでも実現していかなくてはならない課題であると、私は考えます。そこで、お尋ねします。
 東京港を所管する港湾局として、東京港のあるべき将来像をどう描いているのか、そして、一番大事な取扱貨物数をどのようにふやしていくつもりなのかお聞かせください。

○小宮港湾経営部長 東京港は、首都圏の海の玄関口として、これまでも重要な役割を担ってまいりました。釜山や上海を初めとしたアジア諸港が躍進する中で、東京湾に寄港するアジアと欧州、北米を直行便で結ぶ基幹航路数は減少傾向にございます。このまま放置いたしますれば、輸送時間の増加やコストの増加を招くなど、首都圏の住民生活や経済活動、ひいては日本経済に悪影響を及ぼしかねません。
 船会社は寄港地を選択するに当たりまして、より多くの貨物を集荷できる港を選択いたします。基幹航路の寄港数を増加させていくためには、できるだけ多くの貨物を東京湾に集めることが重要でございます。そのため、東京港としても、東京港埠頭株式会社と連携をいたしながら、インセンティブ制度の導入による貨物集荷力の強化や、外貿コンテナふ頭の管理の一元化によるふ頭運営の効率化など、さまざまな取り組みを進めております。
 さらには、現在、東京港、川崎港、横浜港の京浜三港が、こうした危機感を共有いたしまして、基幹航路の維持拡大に向けて広域連携強化に取り組んでおります。
 具体的には、入港料の一元化や内陸部の輸出産業集積地などでの京浜港利用促進セミナーの開催、あるいは京浜三港が、実質的な一港化に向けた取り組みを進めることで、スケールメリットを発揮し、港湾コストの削減や利用者サービス、貨物集荷力の向上を進めることとしております。
 今後とも、京浜三港が連携いたしまして、貨物量の増加を図るなど、東京湾の国際競争力強化を図る中で、東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとして、その機能を十分に果たしてまいりたいと考えております。

○関口委員 今も力強いご答弁がありました。国際基幹航路数をふやすためには、日本の、いわゆる東京港、東京湾の国際的地位を上げていくためには、私は、今もありましたように、京浜三港の連携強化が何よりも重要であると考えております。この京浜三港に関しましては、歴史的な背景などが異なるわけでありまして、この三港の連携事業、そういう意味で、私は、歴史的な大きな事業だと考えています。
 局の皆さん方には、このような大事業に取り組んでいるんだという気概を持って、東京湾が、東京港が、京浜三港が国際港として確固たる地位を得られるよう、さらなる努力をしていただきますように要望したいと思います。
 次の質問に移ります。
 次に、臨海会計についてお尋ねしてまいりたいと思いますが、まず冒頭に、決算書の中で、これも予算執行率でありますが、埋立事業の執行率が五四・四%となっておりますが、その理由をお尋ねします。

○松岡臨海開発部長 埋立事業費は、埋立地の造成、道路や上下水道の基盤整備、埋立地の開発を促進するための開発者負担、既設道路、橋梁等の改修に要する経費であります。
 執行残が生じた主な理由といたしましては、工事の支障となる想定外の地中障害物により工事を延期したもの、橋梁改修工事に関してJRとの工程調整の結果、工事を延期せざるを得なかったものなどが挙げられます。
 なお、平成二十年度に実施できなかった工事につきましては、必要に応じて、予算繰り越し等を行っており、平成二十一年度に着実に実施してまいります。

○関口委員 この予算執行率でありますが、先ほど港湾会計の中で申し上げましたとおり、その事業が、もちろん当該年度内に必要だからこそ予算化をしたわけでありますゆえに、都民生活に影響を及ぼさないように、周辺情報をしっかりと把握をされて予算化をするように、改めて強く要望しておきたいと思います。
 さて、この臨海会計でありますが、決算書の中で、最も私の目を引くのは、企業債の残高であります。現状、四千百三十三億円となっておりますが、今後のこの臨海会計としての償還計画、どうなっているのかお尋ねしたいと思います。

○松岡臨海開発部長 企業債の償還時期につきましては、大きな山が二つあり、第一の山である平成二十一年度、二十二年度におきましては、合わせて約二千五百億円、第二の山である平成二十六年度におきましては、約一千五百億円の償還を行うことになっております。
 第一の山につきましては、二十年度末現在で約二千三百億円ある内部留保金を有効に活用するとともに、土地処分を着実に進めることにより償還を行っていく予定であります。
 また、第二の山である平成二十六年度につきましても、今後、有償にて開発予定である約五十一ヘクタールの土地処分を着実に進め、都債償還を実施していく予定であります。

○関口委員 この償還計画でありますが、第一の山として、二十一年度、二十二年度、二千五百億円。これに関しては、これまで留保されてきた内部留保金を活用することで、解決の糸口が見えているわけでありますが、第二の山である一千五百億円の扱い、これは臨海会計の今後の大きな課題であろうと、私は思います。
 こうした、この第二の山の都債、この償還を確実にしていくためには、未処分地五十一ヘクタールの一日も早い売却が必要となりますが、これに関しての局の売却見込み、これをまずお尋ねします。また、売却されるまで、この未処分地はどのように、土地として、都民の財産として活用されているのか、あわせてお聞かせください。

○延與参事 今後、開発予定の土地につきましては、企業の進出状況や需要動向を見きわめながら、着実に処分を進めてまいります。
 また、未処分地につきましては、地域全体の土地利用状況を踏まえまして、事業者や来訪者のニーズを勘案して、暫定的に有効活用をしております。
 商業施設パレットタウン、温泉テーマパーク大江戸温泉物語、結婚式場のパルティーレ東京ベイウエディングビレッジ&スクエアなどにつきましては、おおむね十年間の期限を限定した事業用定期借地権等による暫定施設として、多くの来訪者に来ていただいているものであります。
 また、臨時駐車場やイベント用地として、一時貸付することによりまして、にぎわい創出に寄与しているところでございます。

○関口委員 この未処分土地の利活用や、あるいは売却について、先ほど答弁にありましたように、経済状況等に大きく影響を受けるわけでありますから、これまでもやられてきたと思いますが、さまざまなアイデアを講じて、例えば、これまで十年間期間を限定して貸し付けたり、こうしたいろいろなアイデアを総動員して利活用に取り組んでいただきたいと思います。今後、私も、アイデアをどんどんどんどん提案をしてまいりたいと思っております。
 また、臨海まちづくり事業に関しましては、平成二十七年度末を完了目標として、今、事業展開を行っているわけでありますが、この臨海事業が成功したかどうかの一つの目安として、今の四千百三十三億円の企業債務、これをしっかりと償還できるか否か、この点にあると私は思っております。借金が残って、一般会計から繰り入れせざるを得ない、つまりは税金投入をしなくちゃいけない、そういう結果にならないように、未処分地の利活用及び早急なる売却、これに鋭意取り組んでいただきまして、まさに局の総力を挙げて取り組んでいただきまして、まちづくり事業完了を果たしていただきますように、強く要望をいたしたいと思います。
 さて、臨海会計でありますが、これは、いわゆる公営企業特別会計でありまして、一般会計とは異なる性格を持ち合わせております。根本的に、その立ち位置を確認したいんでありますが、この臨海開発事業が臨海会計として経理されている意義及び目的をお尋ねします。

○松岡臨海開発部長 地方公営企業法では、地方公共団体の行う事業のうち、主としてその経費を当該事業の経営に伴う収入をもって充てるものについて、これらの収支を明確にするため、その経理は特別会計を設けて行うように規定しております。
 この規定を受けて、臨海地域において、埋立地の造成、整備及び開発を行う臨海地域開発事業につきましては、特別会計の一つである公営企業会計により経理をしております。これは、事業の独立採算制の確保と、経費の負担区分の明確化を図るとともに、公共性と効率性との調和を図りながら事業を推進することを目的とするものであります。

○関口委員 今、独立採算というキーワードが出てきたと思いますが、地方公営企業法の第三条には、こう書いているんです。地方公営企業は常に企業の経済性を発揮するとともにと、こういう文言がしっかりと明記されています。このことからも、臨海事業、臨海会計、いわば臨海ディベロッパーというような面があると、私は考えるわけです。
 そこで、この臨海会計からも出資をしている臨海ホールディングスについて、お尋ねしていきたいと思いますが、臨海三セクが経営破綻したことは記憶に新しいところです。東京都は、この三セク救済のために、債権放棄や出資金の一〇〇%減資をせざるを得なくなりました。これによって、都民の税金等が約三百八十億円失われることになったわけです。そうした過去を経て、経営効率化等を進めるための新たなスキームとして臨海ホールディングスが設立をされたなと、私は認識をしています。そして、本年の一月に、東京ビッグサイト、あるいは東京港埠頭株式会社が、このグループに加わりまして、本格的なホールディングス経営が始まったわけであります。そこでお尋ねします。
 過去の三百八十億円等々の都民の税金を損失するという、いわば苦い経験を踏まえまして、新たな三セク改革の手法としてのホールディングスの、都としてのグループ事業の統合効果、グループ事業を統合化するという、この新たな手法、これを今、効果をどのように見ているのかお尋ねしたいと思います。

○石原監理団体改革担当部長 東京臨海ホールディングスは、東京港の国際競争力の強化と、臨海副都心開発の総仕上げの推進体制を一層充実していくことを目的として設立したものでございます。
 本年一月には経営統合の完了を受けまして、平成二十五年度を目標年次とするグループ経営計画を策定し、グループ経営の本格稼動に向けた体制を整備したところでございます。この間、臨海ホールディングスグループでは、親会社の経営戦略のもと、ふ頭事業や交通事業等の基幹事業を機動的に展開するとともに、臨海地域の交通、環境対策の一環として、「パーク&ゆりかもめ」を実施するなど、グループ企業の経営資源を活用した事業を連携して展開しております。
 また、グループ各社の設備投資や、地域貢献の取り組みなどを積極的に進めていくために、グループファイナンスを効果的に活用し、グループ各社の資金需要へ対応するとともに、経営体質の強化に向け、グループとしての収益性向上、人的資源の有効活用など、さまざまな視点から事業、業務の効率化に取り組んでいくこととしております。今後とも、臨海ホールディングスグループが高い公共性を発揮しつつ、より一層の経営効率化を図り、地域の発展に貢献していけるよう、都としても支援してまいります。

○関口委員 臨海ホールディングス、本年一月に、グループ化を終えて、新たにスタートをしたということでありますが、過去の臨海三セクの失敗で三百八十億円にのぼる税金が失われたということは、高い代償を払ったということでありますから、そこで得られた経験をこれからのホールディングス運営に大いに活用していただき、三セク運営というのは都民の目も厳しいところがありますから、引き続き緊張感を持って、この三セク管理をしていただくことを、都議会議員として要望しておきます。
 最後に、有明北地区についてお尋ねいたします。
 この有明北地区でありますが、オリンピック選手村予定地ということで、にわかに注目をされている土地でありました。有明の北地区の土地、そもそもこの土地を造成した当初の目的は何であったのかお尋ねします。

○平田参事 有明北地区埋立地は、平成九年三月に策定しました臨海副都心まちづくり推進計画に基づきまして、現在は豊かな緑に覆われております旧防波堤や海辺の景観を一望できる潤い豊かな都市型住宅、また、ウオーターフロントの魅力を生かした店舗等の商業施設を配置するため、旧貯木場の水域を埋め立てたものであります。

○関口委員 今おっしゃられた当初の目的を達成していくためには、土地を埋め立てするなど、さまざまな工事等々が必要でありまして、一定程度の時間が必要になってくるわけでありますが、埋め立てから最終的に土地を処分していく、あるいは売却していく、それまでスケジュールがどのようになっているのかお尋ねします。

○平田参事 有明北地区埋立地につきましては、平成十二年度に埋立工事に着手しまして、平成十七年度に埋め立てが竣工しています。また平成十九年度に宅地部の盛り土が完了しまして、その後、二年程度をかけまして、現在地盤を安定させております。今後、下水道や区画道路などのインフラ工事を進めてまいります。このインフラ整備が終了した後、平成二十七年度のまちの概成に向け、適切な時期に土地処分を行う予定でございます。

○関口委員 今スケジュールをいわれましたが、平成十九年度に宅地部の盛り土が完了して、その後二年程度かけて、現在、地盤を安定させているということでありますから、今平成二十一年でありますから、そろそろ地盤が安定する等々になっていき、その後、インフラの工事が進められると思います。
 インフラ工事が数年程度かけられて終了したと考えれば、平成二十三年度あたりには、この土地をもう売れると、売却できるという状況になろうかと思います。
 この有明北地区の事業におきましても、臨海会計そもそもの意義であります経営的側面が求められます。よって、当該土地売却に関しましては、造成が完了後、即時売る、これがむだなコストを生まないという意味では必要不可欠なことになります。つまりは、土地が売却等の利活用すらなされない時間、いいかえれば、土地の塩漬け状態をいかになくしていくのかが重要になるわけです。そのためには、今埋め立てをしておったり、インフラ整備をしている、いわゆる準備期間中ですね、土地を造成する準備期間中に、いかに調整等々あるいは売却に向けた準備を行うか、これが大事であると考えます。そういう意味では、この有明北地区、まさに今その準備期間、大事な大事な準備期間だと思いますが、売却に向けた取り組み状況についてお尋ねいたします。

○延與参事 埋立地の処分につきましては、道路などのインフラ整備が終了した後、測量により各区画の面積や形状が確定いたします。それらを踏まえて、土地価格の評価、公募条件の設定等を行うことによりまして、公募が可能になってまいります。
 一方、円滑な土地処分を行うためには、公募を実施する前の時期におきましても、不動産市況の調査ですとか事業者等へのPR活動など、着実に取り組んでまいります。

○関口委員 有明北地区の土地に関しましては、公募が、公にこの土地を売りますよと公募するには、土地価格の財産評価等々が必要になってくるということでありますから、平成二十三年度に土地の工事が終了しましたから即その日に売るということがなかなかできない実情も、私は重々承知をしております。
 ただ、あくまでも、そういう状況を勘案しながらも、臨海会計は、常に企業の経済性を発揮することが求められておりますから、土地の利活用や売却というものは常に進めていくことが求められておりまして、当然、土地を寝かすようなことは決してしないという、局としての強い意識が必要であろうかと思います。
 例えば、この有明北地区に関しましては、オリンピック選手村に使うという話が降ってきました。そのことで、仮に、当該土地の利活用や土地売却に向けての準備に影響を与えて、売却時期などにおくれが出たということであれば、もちろんこれはその分土地が寝るようなことになるわけですから、その分の利息は所管局に請求していく、それぐらいの企業性の感覚を持つべきであると私は考えます。
 臨海会計が一般会計にぶら下がっているんだという感覚ではなくて、あくまでも、独立採算でやっているのだと、そういう強い意識を持って事業に取り組んでいくことが絶対に必要であると私思います。
 今後、そういう企業性を追求していくという意識を常に持っていただきまして、この臨海事業に取り組んでいただきますように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○早坂委員 臨海地域開発事業会計の二十年度の決算を踏まえ、臨海副都心開発についてお伺いします。
 臨海副都心開発は、環境に配慮した未来型の都市を実現するため、平成元年から開発に着手し、東京の新しいまちづくりを進めてきているところであります。近年では「ゆりかもめ」の豊洲延伸、晴海通りの延伸など、交通アクセスも充実し、我が国を代表する企業が集積するとともに、すぐれた都市環境や豊かな水辺環境などを背景に、国の内外から数多くの来訪者が訪れる観光スポットとしても成長するまでに開発が進んでいます。
 この夏、等身大ガンダム像や、フジテレビのイベントお台場合衆国に、それぞれ四百万人を超える人が訪れたと承知をしております。外国からの観光客も多数訪れ、今やお台場は世界に通用する一大ブランドとなっています。これは、臨海副都心の持つ大きな魅力が注目されているそのあらわれであります。豊かな水辺の景観や魅力あふれる商業施設は、さまざまな人々を引きつけ、今や東京の傑出した都市拠点になっていると考えています。
 平成元年からスタートした臨海副都心開発も、平成二十七年度の完成目標に向け、今後より高いレベルの成長と今日的な課題を踏まえ、どのような開発を進めていくのか、都民の大きな期待と関心が寄せられているところであります。そこでまず、臨海副都心まちづくりにおけるこれまでのコンセプトと取り組みについて伺います。

○松岡臨海開発部長 臨海副都心は、職、住、学、遊の機能がバランスをとって複合した魅力的なまちづくりを目指し、業務、商業、居住、文化、レクリエーションなどの多様な機能を備えるとともに、地域と来訪者のさまざまな交流によるにぎわい豊かな都市の形成を進めております。
 委員ご指摘のとおり、「ゆりかもめ」の豊洲延伸など、臨海副都心における交通基盤の整備とともに、安全で安心なまちづくりを進めてきた結果、臨海副都心の就業者や観光客などを含む来訪者は、平成二十年には、過去最高の年間四千七百六十万人を記録しております。さらに、臨海副都心では、環境先進都市を目指しまして、自然と共生する環境保全型の都市づくりを進めております。これからも東京の活力を牽引していく役割を果たしてまいりますとともに、環境と調和した先駆的な都市モデルを世界に発信してまいります。

○早坂委員 今、ご答弁いただいたように、臨海副都心の開発は、景観や環境などにも配慮したまちづくりをしていると承知をいたしました。また、この地区は、単なる箱物を建てるだけではなく、東京全体のモデルともなるような先進的なまちづくりの場所であり、それを支えるインフラ部分の整備も重要であります。特に、そこで暮らし働く人々にとって、機能的で安全で安定したインフラの整備は欠かすことのできないものであります。そこで、臨海副都心内におけるインフラの整備状況についてお伺いをいたします。

○平田参事 臨海副都心内では、機能的で安心・安全なまちづくりのためインフラ整備を行っております。道路につきましては、台場地区、青海地区及び有明南地区では完了しておりまして、今後有明北地区において、区画道路など、必要なインフラ整備を進めてまいります。
 また、都民生活及び都市活動を支える水道、電気、ガス等のライフラインにつきましては、安全で安定した供給処理システムを確立するため、共同溝を整備し、収容してきていますが、現在、青海地区北側では、平成二十四年度供用開始を目指し、共同溝を整備しております。この共同溝の完成により、臨海副都心内の共同溝のネットワークが形成され、安全で安心なまちを支える確固たるライフラインが確保されます。これらにより、臨海副都心地域内のインフラ整備はおおむね完成いたします。

○早坂委員 臨海副都心のインフラは、おおむね整備されていると理解をいたしました。特に共同溝は、耐震性にすぐれ、安全・安心の基礎となる施設であります。これらのインフラ整備は、土地処分の推進の上でも重要な事業でありますから、ぜひとも着実に整備を行っていただきたいと思います。
 さて、このような基盤整備、そして企業や商業施設などを誘致する港湾局の努力が、現在の臨海副都心のにぎわいにつながっていると理解をしております。そこで平成二十年度の土地処分状況、また近年の特徴的な処分事例についてお伺いをいたします。

○延與参事 臨海副都心における平成二十年度の土地処分実績でございますが、売却七件、底地売却一件、所管がえ一件、地上権設定一件の計十件で、金額は約九百十三億六千万円でございます。面積につきましては、前年度の約二倍に当たる十ヘクタールで、これは過去五年間における最高の実績となっております。
 土地処分に当たりましては、臨海副都心の開発コンセプトに沿って公募を行っておりまして、平成二十年度の主な進出事業者といたしましては、メディアコンテンツと融合した業務・商業機能を青海地区北側に展開する青海Q特定目的会社、ビッグサイトのコンベンション機能を補完する複合施設を建設する有明南A特定目的会社、また、八十年以上の歴史を持ち、有明キャンパスを開校予定の武蔵野大学などが挙げられます。これらの施設は、平成二十三年度以降順次開業する予定となっております。
 臨海副都心全体の有償処分面積は、昨年度、有明北地区で区域編入いたしました土地など約二十四ヘクタールを新たに加えまして、約百六十三ヘクタールとなっておりますが、そのうち、平成二十一年三月三十一日現在で約九十八ヘクタールの処分が済み、進出事業者が決定した土地を含めますと、約百十二ヘクタール、約七〇%の土地処分が確定済みでございます。このように、土地処分につきましてはおおむね順調に進んでおります。

○早坂委員 幅広い年齢層が集う広域型の業務・商業施設、ビジネス拠点となるコンベンション施設、大学キャンパスの進出など、職、住、学、遊の臨海副都心のコンセプトに沿った新たなにぎわいが創出される事業が展開されると理解をいたしました。このようにさまざまな機能を持つ施設の進出により、臨海副都心がバランスのとれたまちとして、ますます成熟していくものと期待しています。
 ところで、二十年度決算において、九百億円を超える土地処分収入があったとはいえ、一方で、昨年来の世界同時不況の影響は大きく、日本経済の先行きも依然厳しい状況にあります。不動産業界においても、オフィスの空室率の上昇など、先行き不透明な状況にあるといわざるを得ません。そこで、現在の不動産市況をどのように認識しているのか、またどのように対応していくのか伺います。

○延與参事 八月の都内の住宅着工戸数は、前年同月比で約四六%減少しておりまして、また、九月のオフィス空室率は、都心五区の平均で前年同月の約二倍に上昇するなど、委員ご指摘ございましたとおり、日本経済全体の先行きが不透明な中、不動産市況は依然として厳しいというふうに認識しております。
 一方、臨海副都心につきましては、都心に近接する広大な土地として希少であり、また道路等のアクセスも進み、豊かな水辺の環境にも恵まれておりまして、現在も、公募中の区画に関して進出を希望する事業者からの問い合わせをいただいておりまして、そのポテンシャルは高いというふうに考えております。
 厳しい経済状況ではありますが、臨海副都心のポテンシャルをアピールしながら、今後とも、経済環境や土地需要の動向を見きわめつつ、土地処分に着実に取り組んでまいります。

○早坂委員 現下の不動産市況は、決して楽観できる状況ではありません。臨海副都心といえども、経済全体の動向とは決して無縁ではなく、その影響を当然受けることになります。当面この厳しい経済状況は続くと思われますが、臨海副都心のポテンシャルの高さを十分に生かし、また、不動産市況にアンテナを張りめぐらせ、着実な土地処分に取り組んでいただきたいと思います。
 開発開始から二十年を経て、臨海副都心は、商業、業務、文化、コンベンションなどの施設が集積したまちに育ち、成熟してきているところです。先ほどのご答弁にもあったように、インフラ整備も着実に進んでいます。臨海副都心開発は、東京全体の活力向上に極めて大きく貢献していると思います。経済の変動の中にあっても、グローバルで中長期的な視点から情勢を見据え、臨海副都心をすばらしいまちとして、また次世代に残る財産として育て上げるよう、平成二十七年度の臨海副都心開発総仕上げに向け、鋭意取り組んでいただくようお願いをいたします。

○伊藤委員 それでは、私の方からは、先日も当委員会で説明がありました二十年度港湾事業会計決算の内容から、港湾局が行ったインセンティブ制度について、何点か質問させていただきたいと思います。
 東京港は、世界の基幹航路のコンテナ船が数多く寄港するメーンポートとして、首都圏約四千万人の生活と産業を支えております。しかし、近年、アジア諸港が躍進する中で、東京港に寄港する基幹航路の数は減少傾向にあり、この傾向が進めば、都民生活や首都圏の経済への影響も懸念されるところであります。
 こうした危機感のもと、東京港の基幹航路の維持拡大に向けて、取扱貨物量の増加を図るために、港湾管理者である都としては、これまでもさまざまな取り組みを積み重ねてこられたと思います。そのような取り組みの一つがインセンティブ制度であると思いますけれども、先ほども質疑応答がありまして、その実績等について報告がありましたけれども、私からは、改めて、その成果も含めて具体的に伺いたいと思います。
 初めに、確認の意味も含めまして、東京港におけるインセンティブ制度のねらいは何なのか伺いたいと思います。

○河内参事 東京港において、港湾の国際競争力を強化するためには、取扱貨物量の増加や港湾サービスの向上が重要でございまして、その取り組みの一つとして、港湾管理者の実施するインセンティブ制度がございます。
 東京都では、これまでも、港湾コストの低減や、ふ頭運営の効率化を促進し、使いやすい港づくりを目指して、さまざまな取り組みを官民が一体となって進めてまいりました。平成十六年度には、東京港振興促進協議会におきまして、新アクションプランを作成いたしましたが、本インセンティブ制度は、その中の一つの施策でございます。
 具体的には、公共外貿コンテナふ頭にかかわる港湾施設の使用料につきまして、民間事業者の経営努力を引き出す減免措置を講じるものでございます。

○伊藤委員 東京港におけるインセンティブ制度は、民間事業者の経営努力を引き出して、貨物量の増加や港湾サービスの向上を目指すものであり、それによりまして、基幹航路の維持拡大につなげていくための施策であるということはよくわかりました。
 それでは、東京港におきまして、インセンティブ制度が具体的にはどのように実施されているのか伺いたいと思います。

○河内参事 まず、港湾事業会計におけるインセンティブの対象となる港湾施設でございますが、公共ふ頭のガントリークレーンと、コンテナヤードでございます。
 ガントリークレーンとは、コンテナ船の貨物の積みおろしに使用する荷役機械でございますが、例えば、その使用時間が前年度を上回った場合に、その増加分につきまして、クレーン使用料を五〇%減免するボリュームインセンティブがございます。これは貨物量の増加を促すことを目的としたものでございます。そのほかに、海外からの貨物を他船に積みかえて海外に輸送する際、クレーン使用料を減免するトランシップ輸送インセンティブなどがございます。
 また、コンテナヤードにつきましては、複数の事業者が共同でターミナル運営を行った場合に、コンテナヤードの使用料を一〇%減免するグループインセンティブなどがございます。これはターミナル運営の共同化により、港湾サービスの効率化が図られることを目的としてございます。
 なお、今年度から、従来の公共外貿コンテナふ頭は、東京港埠頭株式会社が一元的に管理いたしておりまして、インセンティブ制度につきましても、埠頭株式会社において、これまでの趣旨を踏まえ、対応がなされているところでございます。

○伊藤委員 局の方から、港湾事業会計のインセンティブの内容についての資料をいただきました。七項目にわたるインセンティブ、さまざまな工夫をされておられるということで、日曜荷役インセンティブとか、日曜日にふだん港が開いていないようなときにも、こういうインセンティブを付して工夫をしているということでありました。
 東京港として、国際競争力を高めるために、貨物量の増加や港湾サービスの向上に努めるということは大事な課題であります。そのためにも実際に港を利用する民間事業者から支持され、また、具体的な効果が実感できる施策を打ち出すことが重要であります。
 一方で、港湾事業会計は、公営企業会計として独立した収入を確保することが求められております。そこで、このインセンティブ制度の導入が、使用料収入へどのように影響したのか。つまり、インセンティブによって減額した分と、またインセンティブによって収入が増加したことがつながっているのかどうか、そのバランスと成果について、対象の一つでありますガントリークレーンを具体例に伺いたいと思います。

○河内参事 インセンティブ制度の導入前の平成十五年度におけるガントリークレーン使用料収入は十三億六千万円でございました。制度を導入している平成二十年度には、この使用料収入が十四億九千万円になってございます。平成二十年度のインセンティブ制度による減免額が約七千万円ございますが、それでもなお、十五年度と二十年度の使用料収入の差額である一億三千万円ほどが増となっているところでございます。

○伊藤委員 インセンティブ制度は、民間事業者にとってメリットがあるばかりではなくて、港湾事業会計にも、結果的にメリットがある制度であるということがよくわかりました。
 ただいまの質問で、収支への影響を確認させていただきましたけれども、インセンティブ制度を導入する最大の目的は、やはり民間事業者の経営努力を引き出して、何といっても貨物量の増加に結びつけていくことであると考えます。そこで、インセンティブ制度について、貨物量に対する成果について伺いたいと思います。

○河内参事 インセンティブ制度導入前の平成十五年度と平成二十年度の貨物量を比較いたしますと、青海と品川の両公共コンテナふ頭の合計で約十七万五千個の貨物増がございまして、率にしまして二四%の増加となってございます。
 取扱貨物量の増加にはいろいろな要因がございますが、本インセンティブ制度の導入により、公共ふ頭の増加率は、コンテナふ頭全体の増加率である二一%を約三%ほど上回っておりまして、一定の成果があったものと考えております。また民間事業者の方々からも、貨物量の増加にはインセンティブ制度の効果が少なからずあったとの声が出ておるのを聞いております。

○伊藤委員 インセンティブ制度の導入前に比べて、二十年度の貨物量が増加しているという状況はよくわかりました。
 インセンティブ制度の導入によって、確実に民間事業者の努力が引き出され、このような貨物集荷の強化につながってきていると思います。都は今後も、東京港の国際競争力の強化のために、このインセンティブ制度のような有効な施策を打ち出して、東京港埠頭株式会社とも連携をして、より一層の効率化と貨物集荷に向けた対応を積極的に推進していっていただきたいと要望しまして、次の質問に移ります。
 東京港は、外国貿易のコンテナ貨物の取扱量が十一年連続で日本一となるなど、外国貿易港としてのイメージが強いわけでありますけれども、国内貨物の取り扱いについても食料品や衣料品など都民生活に欠かせない生活物資を扱う物流拠点として重要な役割を担っていると思います。内航海運では、貨物をトレーラーの台車に積んだまま、台車ごと目的地に輸送する効率的でスピーディーな貨物輸送の手法が進んでいると聞いております。
 先日の局からの決算説明の中に、こうした内航海運の輸送方法に対応して、ユニットロードターミナルといわれるふ頭の整備を、品川ふ頭で進めているとのことでありました。そこでまず確認の意味も含めまして、このユニットロードターミナルというターミナルはどういうものなのか、また、その整備の目的について伺いたいと思います。

○小宮港湾経営部長 国内海上輸送では、輸送革新が進みまして、ローロー船と呼ばれる船が主役となってきております。ローロー船というものは、貨物をクレーンや人力で荷役する在来貨物船と異なりまして、シャーシーと呼ばれる台車に貨物を積んだトレーラーが船内に直接乗り入れて、中でシャーシーを切り離して貨物を積載したシャーシーだけを海上輸送するものございます。近年さらに、荷役効率の高い大型のローロー船の投入も進んでおります。
 こうしたローロー船のように、ユニット化された貨物に対応した内貿ふ頭をユニットロードターミナルと申しております。ユニットロードターミナルでは、従来の在来船ふ頭に比べまして、ふ頭に求められる機能にも変化が生じております。例えば、シャーシーに貨物を積んだまま牽引して積みおろしを行う場合、貨物の荷さばきや一時保管のための上屋の必要性は低下いたしますが、その一方で、ローロー船を出入りするトレーラーがふ頭をスムーズに走行するための広いヤードが必要となります。また、船の大型化に対応した水深の確保も必要となっております。ユニットロードターミナルを整備する目的は、こうした内航海運の輸送革新に対応するためでございます。

○伊藤委員 国内海上輸送の革新に対応するためのユニットロードターミナルであるということがわかりました。
 ただいまの答弁の中に、ユニットロードターミナルは広いヤードが必要であるということでありましたけれども、新規のふ頭を整備する場合は問題はないと思いますが、品川ふ頭など既存のふ頭を再整備する場合は、十分なヤードが確保できないのではないかと疑問に思います。そこで、二十年度に取り組んだ、この品川ふ頭での具体的な再整備の概要について伺いたいと思います。

○小宮港湾経営部長 既存のふ頭をユニットロードターミナルに再整備する場合は、上屋と水際までの幅が狭く、トレーラーのスムーズな走行に必要なスペースを確保できないという課題がございます。
 そこで、品川ふ頭では、既存の老朽化した三棟の上屋を撤去して、新上屋一棟に集約し、セットバックして建てることでヤードのスペースを確保するとともに、岸壁を海側に約三メートル前出しすることで、上屋から水際までの距離をトータルで約五十メートル確保いたします。さらに、ローロー船の大型化に対応いたしまして、八メートルある水深を五十センチメートル掘り下げて八・五メートルといたします。平成二十年度は、上屋一棟を撤去した跡地に、耐震性を確保した新上屋を整備する工事と岸壁の前出しに着手いたしました。

○伊藤委員 トラックでの陸上輸送から船舶等による輸送に転換を図るモーダルシフトというのがあるわけですけれども、このモーダルシフトは、環境に優しい港づくりを進める東京港としても重要なテーマであると思います。
 ユニットロードターミナルの整備は、ふ頭機能の面から内航海運の新しい輸送を支える取り組みであり、このモーダルシフトの促進につながる施策であると考えます。
 貨物を台車ごと船に積み込んで輸送して、台車ごと積みおろす輸送方法だと、先ほどの答弁のようなトレーラーが走行するための広いヤードだけでなく、トレーラーが運ぶ台車そのものを仮置きするためのスペースも必要となるのではないかと思います。品川ふ頭の再整備では、この点どのように対応したのか伺いたいと思います。

○小宮港湾経営部長 東京港では、現在、長さ十二メートルのシャーシー約百三十台と普通自動車約六十台を同時に運べる大きさのローロー船が定期航路を持っておりまして、複数寄港しております。
 船の寄港時には、これだけの量のシャーシーなどを牽引車を使うなどして船に積み込み、また、船から積みおろすことになります。荷役作業を効率的に行うためには、積み込む順番を待つシャーシーなどを仮置きしておく広いスペースが必要になります。また、東京港で扱う貨物には販売用の完成自動車がございまして、これらの自動車を仮置きするためのスペースも必要でございます。
 そこで、品川ふ頭では、上屋の集約化によりあいた土地を活用してシャーシーなどを仮置きする野積み場を整備するとともに、新上屋の屋上には、販売用の完成自動車を一時保管するための専用スペースを設置することとしております。
 都としては、上屋の集約化と屋上の利用を図ることで、トレーラーのスムーズな走行やシャーシーの仮置きなどに必要なスペースを捻出するなど工夫を凝らし、内航海運の輸送革新に的確に対応してまいります。

○伊藤委員 既存のふ頭をユニットロードターミナルに再整備するに当たりまして、さまざまな工夫をされているということはよくわかりました。こうした民間事業者の輸送革新を支える取り組みを着実に進めて、使いやすい、そして東京港の発展に向けて、引き続き万全の努力をお願いをしまして質問を終わります。ありがとうございました。

○星委員 私からは、臨海副都心開発について何点かお聞きします。
 臨海事業はさまざまな変遷を経て今日に至っています。一九九五年、臨海事業や都市博覧会の批判が青島知事を誕生させました。都市博覧会の中止が、臨海での事業の負債を増加させたという意見もありますが、これはそのときはそのときの民意だったわけです。そしてだれもが予想しなかったバブルの崩壊、その中でも臨海開発は東京の発展のために必要だという位置づけで多額の税金を投入してこれまで生き延びてきました。
 今日、臨海を訪れる人は年間四千万人を超える一大プレースポットになっています。ここまできたら開発はもう後戻りできない仕上げの段階に来ているというふうに認識しています。
 ここで質問をいたします。平成二十年度の臨海副都心の土地処分実績は十件、金額にして約九百十三億六千万円ということですが、その平米当たりの処分単価の最高額と最低額は幾らになるのか伺います。

○延與参事 平成二十年に処分された土地十件の一平方メートル当たりの単価は、地上権設定を除きまして、約三十八万円から約百八十八万円となってございます。

○星委員 ありがとうございました。お答えいただきましたが、一平米当たり三十八万円から約百八十八万円ということで、条件によってさまざまなんでしょうけれども、随分と開きがあるというふうに感じます。私はより高値で売れることが望まれると思いますけれども、今後の経済の状況によりなかなか安心はできないと思います。
 それでは、次に、そもそもの計画のフレームと実績についてお聞きしたいと思います。臨海の開発は四つの街区に分かれておりますが、臨海副都心の人口のフレームについて、ホームページ上などでも公表されておりますけれども、平成二十年度現在の居住者が、有明南地区では、二千人の計画に対して六十人、達成率はわずか三%、有明北地区では三万八千人の計画に対して千四百三十人、達成率はこれもわずか三・八%、青海に関しましては千五百人の計画で、現在九百人ということで、六六%の達成率となっております。お台場地区だけが計画を達成しているのが現状だと思いますが、我々生活者ネットワークはこれまでこの計画の見直しを再三求めてきたわけですが、この状況で今公表されている達成率というところの中の部分で、二十七年度のまちの概成に向けて果たして計画を達成できるのか、そもそもこの居住人口のフレームは過大なものではなかったのかなというふうに考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○松岡臨海開発部長 今お話の、有明南、有明北、青海、台場四つの地区の臨海副都心全体の開発フレーム上の居住人口は四万七千人となっておりまして、平成二十年度現在の居住者は、合計で八千百人であります。
 今後のまちづくりの重点の一つとして有明北地区がありまして、この地区は、住宅を中心とした複合市街地として開発することとしております。この地区を含め、臨海副都心全体として、職、住、学、遊とバランスのとれたまちづくりを進めておりまして、引き続き着実に開発に取り組んでまいります。

○星委員 お答えいただきました。台場のにぎわいは、今日とても定着をしておりまして、理解するところなのですけれども、全体の開発コンセプトにもあるように、人が住まうというところの中の部分で、その意味では、住宅中心の複合地区、地域にしていくという有明北というところが、これから非常に注目をされていくんだろうと思いますけれども、この有明北に関しましては、オリンピック招致により、埋立地の開発スケジュールみたいなものが、実際、影響があったのでしょうか、その点についてお伺いをいたします。

○松岡臨海開発部長 有明北地区の埋立地につきましては、平成十二年度に埋立工事に着手し、平成十七年度に埋立竣工、平成十九年度に宅地部の盛り土が完了し、その後二年程度かけて、現在、地盤を安定させており、今年度から区画道路などの基盤整備工事を行う予定であります。
 この工事は、住宅として整備するにせよ、選手村として活用するにせよ、同様に必要なインフラ整備として進めることに変わりはございません。

○星委員 ありがとうございました。特に、オリンピック招致活動にかかわる影響ではないというようなご答弁でございます。
 最後に、暫定利用であります大江戸温泉物語とパレットタウンなどの暫定利用後の計画は、今どのようになっているのかお伺いしたいと思います。

○延與参事 臨海副都心では、当面処分を予定していない区画につきまして、その有効利用とにぎわい創出のため、おおむね十年間に期間を限定して、事業用定期借地権による暫定利用を行っております。
 現在、パレットタウン、大江戸温泉物語など四つの事業が展開されておりまして、地域のにぎわいと活性化に貢献していただいております。
 お尋ねのパレットタウンの区画につきましては、間もなく暫定利用期間が終了することになっておりまして、終了を見据えて公募いたしました結果、昨年の十月、新たに事業予定者を決定し、観光、交流をコンセプトとした幅広い年齢層が集うさらなるにぎわいを創出する業務・商業複合施設が進出する予定となっております。また、大江戸温泉物語も含めましたその他の暫定利用の土地につきましては、事業の終期と需要動向を見据えながら、恒久的な土地処分のために公募を実施していくこととしております。

○星委員 わかりました。それでは、一定のご答弁をいただきましたので、私の意見を述べさせて質問を終わらせたいと思います。
 この事業につきましては、処分可能な土地を一平米当たり百八十五万円として売却して初めて採算がとれると過去の議会答弁があったと聞いております。ところがバブル崩壊後から今日まで地価低迷が続き、土地の売却に対して厳しい状況が続いているんではないかと思います。
 二十年度の処分された土地は最高百八十八万円ですが、最低三十八万円ということであり、平均すると費用回収する水準にはとても及んでいないと私は思います。これまでの三会計統合、第三セクター破産による企業破綻の実態が、こういった事実経過によって私はほぼ示されていると思いますし、一兆円を超える救済を受けても、まだまだ事業の採算性に不安があるという厳しい現実があると考えています。
 しかも、臨海副都心がもう一度脚光を浴びるためのオリンピック招致ですけれども、これもなくなりました。平成二十七年には事業が終了する計画になっていますが、生活するまちとして機能し、成熟させていくためには、地元の自治体や都民参加で、私は全体計画の練り直しも含め再検討することを強く要望し、質問を終わります。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会をいたします。
   午後二時十三分散会

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