委員長 | 橘 正剛君 |
副委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | 林田 武君 |
副委員長 | 松下 玲子君 |
加藤 雅之君 | |
笹本ひさし君 | |
かち佳代子君 | |
三宅 茂樹君 | |
斉藤あつし君 | |
くまき美奈子君 | |
大津 浩子君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 松田 二郎君 |
技監 | 小川 健一君 | |
総務部長 | 細野 友希君 | |
職員部長 | 佐藤 仁貞君 | |
経理部長 | 須田 潔君 | |
計画調整部長 | 宇田川孝之君 | |
技術開発担当部長 | 東郷 展君 | |
施設管理部長 | 黒住 光浩君 | |
建設部長 | 松浦 將行君 | |
参事 | 小山 哲司君 | |
参事 | 尾崎 篤司君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 山本 洋一君 |
管理部長 | 梶原 明君 | |
技術部長 | 高相 恒人君 |
本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成二十年度東京都下水道事業会計決算(質疑)
○橘委員長 ただいまから平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○須田経理部長 さきの分科会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。
平成十六年度から二十年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。監理団体への委託内容と委託料の推移でございます。
当局が所管しております監理団体、東京都下水道サービス株式会社への主な委託内容と過去十年間の委託料をお示ししてございます。
三ページをお開き願います。入札不調件数の推移でございます。
過去五年間の入札不調件数につきましてお示ししてございます。
四ページをお開き願います。下水道局におけるオリンピック招致活動への協力でございます。
項目ごとに内容をお示ししてございます。
五ページをお開き願います。東京緊急対策Ⅱにおける年度内発注増加のための補正予算額と決算額でございます。
補正予算額十億円に対し、決算額は九億八千三百万円となっております。
六ページをお開き願います。区部下水道事業における収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
平成十六年度から二十年度までの区部下水道事業の収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○橘委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大津委員 平成二十年度の決算におきましては、予防保全、いわば計画修繕という点から、例えば早目早目の予防保全の修繕工事が都民の税金の負担軽減にもつながりますし、また予防保全工事が地球環境への予防にもつながりますので、そういった観点から、下水道管の老朽化対策と再生水の利用について質問をさせていただきます。
まず、下水道管の老朽化に伴う予防保全対策についてお伺いをいたします。
決算書によりますと、二十三区内に張りめぐらされました下水道管は約一万六千キロメートルに上っておりました。これは東京とオーストラリアのシドニーを往復した距離に相当する、人間の中でいえば、すごい長い長い腸の大きな役割をしている大切な管であります。これだけの膨大な施設を健全に維持するために、下水道管の維持管理費としましては、やはり決算書の中の下水道管理費の営業費用の中の管渠費として約二百八十億円余りを要し、大きなところを占めております。この中には工事費だけでなく、人件費ですとか、いろんな維持費用が入ってくるとのことであります。
こうした下水道管につきましても早目早目に予防のために手を打つ、日常からの小まめな手入れ、修繕、点検等の努力が、事故の発生を抑えましたり、施設や管の寿命も延ばしたり、ひいては都民の税金を有効に使うことになる、負担軽減が図れるものだと思いたいという点から、具体的に掘り下げていきたいと思います。
そこで、まず最初に、下水道管、これだけの長い、一万六千キロの下水道管の老朽化の状況というのを、どのように今調査をしているのか、まずはお伺いをします。
○黒住施設管理部長 下水道管の状況につきましては、敷設年度、道路陥没の発生状況などの情報に基づきまして優先順位を定め、計画的に実施しております。
調査に当たっては、人の入れる比較的大きな下水道管では、調査員が直接目で見ながら確認をし、小さな下水道管ではテレビカメラを用いて調査を実施しております。
平成二十年度には約九百キロメートルの下水道管を調査し、累計で約一万一千キロメートルを調査したところでございます。
○大津委員 調査はそのように行われているということでありますが、数年前にアメリカで橋の崩落事故があったことも報じられておりますし、例えば橋やトンネルや、ひいては東京のインフラでもある下水道も老朽化が進んでおりまして、一たん、そうしたものによる機能に支障が生じれば、道路陥没をしたり、また都民の生活に大きな影響も与えることになります。
では、そのしっかりと調査をしたデータ、調査結果をどのように活用して役立てているのか、お伺いいたします。
○宇田川計画調整部長 テレビカメラなどの調査結果は、下水道管の清掃など日常の維持管理に生かすとともに、単なる更新ではない、下水道管の能力不足の解消などを図る、老朽化した下水道管の再構築に活用しております。
○大津委員 それでは、その再構築への活用ですが、老朽化施設の再構築といいますか、工事に入るのに当たるわけだと思いますが、例えば下水道管を全部掘り起こしますと物すごい距離と交通渋滞と、コストも増大をいたすわけでありますが、これら老朽化施設の再構築の現在の状況と、あと工事コストの縮減も大切なことなので、それらの進め方の工夫についてお伺いします。
○松浦建設部長 再構築の進捗状況ですが、早くから下水道が整備され、老朽化した下水道管が多い都心部の一万六千三百ヘクタールを対象として、平成七年度から計画的に再構築に取り組んできました。平成二十年度には約三百八十五ヘクタールを実施、累計約三千ヘクタールが完了しております。
次に、再構築工事の進め方の工夫ですが、テレビカメラなどによる調査結果を活用して、下水道管の破損などの損傷度合いを把握するとともに、雨水の排除能力などを検討しまして、新しい下水道管に入れかえるものと既存の下水道管を有効活用するものとに分類しております。
有効活用するものにつきましては、健全であればそのまま活用し、損傷の程度が軽く、入れかえを必要としないものについては、道路を掘削せず、既設管を活用して補強することのできる更生工法を採用しております。また、雨水の排除能力不足を解消するため、バイパス管を入れ、下流の下水道管の負荷を軽減するなど、既設管をできるだけ活用するよう工夫しております。
これらの取り組みを進めることによりまして、事業全体のコストを約四割縮減するとともに、工期の短縮や道路上での工事の縮減により、お客様の生活への影響を軽減するよう努めております。
○大津委員 今、答弁の中にありました工事費が四割削減できたという、この数字については想像以上に結構大きな削減率だと思っております。
ようやく日本でも橋の平準化だとか寿命化のための予防修繕工事が始まって、多分まだ三年目ぐらいかと思います。「十年後の東京」に合わせてようやく始めたころなので、具体的な金額だとか、もっともっとこれから出てくるものだと思いますので、こうしたことの広報も都民にわかる形で工夫をして宣伝をしていくこと、それがひいては下水道事業へのご理解と、また一番身近な水回りへの興味がわいてくると思いますので、この辺も今後ぜひ組み込んでいっていただきたいと思います。
さて、高度経済成長期にたくさんの、いろんな建築物や水道管や、また下水処理センターとかも建設をされてきましたけれども、こうした再構築をしなければならず、また、コスト縮減もしなくちゃならず、これからも再構築を、早目早目の予防で手を打ちながら小まめに進めていっていただきたいと思います。
橋とかトンネルは、ある日突然、例えば腐食で崩れ落ちますと大社会問題にもなり、非常にわかりやすい形ですが、なかなか下水道管のこの状況というのは目に見えないがゆえに、理解もされない。幸い大きな事件がなかったから、まだいい部分であります。渋谷区の中では、初台で数年前に水道管が腐食で道路陥没しましてバスが立ち往生したという事件がありますが、今のところ、下水道管に関しましては、全国的に割と軽目の道路陥没という形であらわれてきている現象であります。
そこでお伺いしたいのは、この下水道管の損傷に起因する道路陥没ですが、都民の安全と安心という観点から、どのように即効性のある対策が施されているか。この下水道管の損傷による道路陥没の発生状況とその対策をお伺いいたします。
○宇田川計画調整部長 下水道管の損傷に起因する道路陥没件数は、ここ数年は約千件程度となっております。これまで道路陥没対策として、再構築クイックプランを平成十二年に策定し、陥没多発地区において枝線の再構築などを重点的に進めてまいりました。また、各家庭の排水設備と下水道管をつなぐ取りつけ管の損傷が道路陥没の原因のうち約八割を占めることから、陶器製の取りつけ管を、より衝撃に強い塩化ビニール製のものに取りかえる工事も進めてきております。
これらの取り組みなどによりまして、約十年前には千五百件程度の道路陥没件数がありましたけれども、現在は減少傾向になっております。
○大津委員 それでは、これからも予防保全、計画修繕工事の定性的な意義づけとか重要性を示していくとともに、定量的に数字や指標もあわせてどんどんご提示をしていっていただきながら、下水道事業の発展を示していっていただきたいと思います。
今後は、社会全体的な新規受注や建設というよりも、あるものを大切に寿命化して使っていくということになりますので、これからも安心・安全の確保に努めていただきたいと思います。
それでは、次のテーマとしまして下水再生水の活用についてお伺いをします。
この下水の再生水も地球環境保全という点で欠かせないものであります。渋谷区には「春の小川」のモデルになった河骨川を支川とする渋谷川というのが流れております。昔は水車があって、泳げたといわれている川が、今は東横のれん街の地下を暗渠に押し込められ、そして渋谷駅を出てから並木橋のあたりからまた地表に出て流れている、そんな渋谷川があります。やはりコンクリートで覆われているために、なかなか水が流れ込まず、水源が枯渇した都市河川となり、三面全壁コンクリートの川となってしまっていますが、実はこの渋谷川では、下水再生水を清流復活用水として導入をしております。この清流の復活は、都市化の中で失われた自然を復活させ、余りにも乾いてたので、ようやくそこから水が流れ、川として再出発するような地点にもなっております。
下水再生水のこうした清流復活用水としての活用状況についてお伺いしたいと思います。
○宇田川計画調整部長 再生水は、潤いのある水辺空間を創出するため、河川の清流復活用水として活用しております。区部では、落合水再生センターから、水の流れがほとんどなくなった渋谷川・古川、目黒川及び呑川の城南三河川へ再生水を供給しており、平成二十年度は毎日約七万七千立方メートルを供給いたしました。また、多摩地域では多摩川上流水再生センターから玉川上水などへ毎日約二万五千立方メートルを供給いたしました。
○大津委員 区部の方では渋谷川、多摩の方では玉川上水等にこうした下水の再生水が活用をされているとのことであります。
下水道局が管理をする水再生センターでは、毎日膨大な量の下水を処理していますが、この下水、一方、ごみもそうなんですけれども、こうした処理水は都市の貴重な資源として、これからも大いに活用すべき資源であります。
処理水の再利用の状況についてもお伺いします。
○宇田川計画調整部長 都の水再生センターでは、一日に東京ドーム約五杯分に相当する約五百九十万立方メートルの下水を処理しておりまして、このほとんどが河川など公共用水域へ放流され、良好な水循環の形成に重要な役割を果たしております。
処理水を高度に処理した再生水につきましては、先ほどお答えしましたように、清流復活用水のほか、ビルのトイレ用水などの雑用水、ヒートアイランド対策としての道路散水用水としても供給しております。このほか、処理水は局内の水再生センター、ポンプ所の洗浄用水、あるいは冷却水などに利用しております。
平成二十年度における再生水を含む処理水の利用状況は、一日当たり約五十二万立方メートルでございまして、全処理水の約九%となっております。
○大津委員 下水再生水、打ち水だとかヒートアイランド対策にも使われているようでありますけれども、こうした地球環境保全のための予防保全工事や、また都民の税金のむだ遣いやいろんな負担を減らす意味での下水道の管工事だとか、そういったことを認識に置きながら、これからも早目早目の予防、修繕計画工事で、地球環境や税金、管渠の保全に、下水道事業として努力をしていっていただきたいということを最後にまた申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。
○山加委員 私は、都民の安全・安心という観点から下水道局の浸水対策についてお伺いをしたいと思います。
きょうは二十一日ですから、つい二週間ほど前、この日本列島に台風十八号が上陸をしたわけであります。今回の台風は、日本に接近して上陸するまで、過去の伊勢湾台風とほぼ同じコースを進んでいたということで、非常に警戒を要する強い勢力を持っていたとされました。しかし、幸い東京では大きな被害はなかったわけでありますが、地球温暖化の影響からか、こうした大型台風の襲来がふえていくのではないかといわれているわけであります。
都内では、近年、ゲリラ豪雨といわれる、いきなり強い雨が降り出しまして、それが局所的かつ短期的に短時間の中で降るわけであります。一時間五〇ミリを超えるような雨が降る。地区によっては繰り返し浸水被害が発生をしております。
下水道局では、このような降雨状況、また浸水被害発生状況などを踏まえ、従来の雨水対策事業を着実に進めていただいている。これは先ほどの資料一ページの二十三区における主な浸水被害状況の推移、この表を見てもわかるわけでありまして、大変評価をいたしております。できるところから、できるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるというスローガンのもとに、緊急的な対応として雨水整備クイックプランを策定し、対策を進めてきたと思います。
確認の意味で、まず、このクイックプランの対策とはどのような内容なのか、お伺いをいたします。
○宇田川計画調整部長 下水道による浸水対策は、幹線やポンプ所といった基幹施設の整備が基本となりますが、大規模な施設を地下深く設置しなければならないため、その整備には長い時間を必要といたします。
下水道局では、平成十一年の浸水被害を踏まえ、雨水整備クイックプランを策定し、できるところから、できるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるという整備方針で、くぼ地や坂下など繰り返し浸水被害が発生している地域を重点地区とし、浸水被害の早期軽減に努めてまいりました。
重点地区につきましては、当初二十五地区でございましたが、その後、大きな浸水被害を受けた地区を四度にわたり追加いたしまして、品川区二葉・中延地区や、世田谷区松原地区など四十二地区を対象として貯留管などの整備を行うこととし、平成二十年度までに三十三地区を完了させております。
また、浸水が発生した場合に甚大な被害が予想される大規模な地下街を有する四地区を選定いたしまして、一時間七〇ミリの降雨に対応する対策を池袋駅周辺地区など三地区で完了させております。残る地区の来年度の完成に向けまして、全力で取り組んでまいります。
○山加委員 私の地元、練馬区内でも、大変たびたび浸水被害に見舞われてきた地域があるものですから、練馬区内のクイックプランの取り組みについて具体的にお伺いをいたします。
○松浦建設部長 練馬区内におけるクイックプランについてですが、大泉町地区、小竹町・旭丘地区、豊玉・中村地区の三地区を重点地区に位置づけ、事業を実施いたしました。これらの地区では、浸水被害軽減の効果を早期に発現させるため、浸水被害が発生している地区の主要枝線の一部を先行整備して貯留管として活用するなど、効果的な対策を実施することといたしました。
具体的には、大泉町地区では約六百立方メートルの貯留管、小竹町・旭丘地区では約四千五百立方メートルの貯留管、さらに豊玉・中村地区では約五千二百立方メートルの貯留管を、浸水被害が発生している地区の道路の下に整備いたしました。平成十七年度までに三地区ともすべて工事が完了しております。
○山加委員 今のご答弁で、クイックプランに基づいて可能な限り対応し、浸水被害の軽減に努めてきていただいたことがよくわかりました。
しかし、平成十七年の九月四日の集中豪雨がございました。クイックプランで想定している以上の、一時間五〇ミリ以上の降雨があったことから、再び私の地元の、この練馬区中村地区では大きな浸水被害が発生をいたしました。その様子は、当時、練馬の区役所からも確認できるほどでありました。都はこれを踏まえて、東京都豪雨対策基本方針を策定したわけであります。
この基本方針では、公助としての河川整備、また下水道整備に加え、自助、共助を促進するという視点に立って、民間施設などに貯留浸透施設を設置して雨水の流出を抑制する流域対策、そしてまた高床建築の推進など浸水被害を最小限にとどめるためのまちづくり、家づくり対策といった減災対策を一層推進をしていただいたわけであります。頻発する豪雨に総合的な対策でありますけれども、やはり下水道整備などインフラ整備を着実かつ効果的に進める必要があるということはいうまでもないことであります。
基本方針における下水道の取り組みについてお伺いをいたします。
○宇田川計画調整部長 豪雨対策基本方針では、浸水対策の基本であります下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を推進するとともに、地形等の地域特性を踏まえた効果的な対策を進めることといたしております。
具体的には、浸水予想区域図などに基づき、浸水の危険性の高い地区を対策促進地区といたしまして、練馬区中村地区を初め二十地区を選定し、一時間五〇ミリの降雨に対応できる下水道施設の整備を平成二十九年度までに完了させることとしております。
また、地下街などがあり、浸水時には重大な被害が発生する危険性が高い地区を六地区選定いたしまして、一時間七〇ミリメートルの降雨に対応できるよう施設を整備することといたしました。また、下水道の放流先の河川の整備の進捗に合わせ、雨水吐き口における河川への放流量を拡大することによる浸水被害の軽減にも取り組んでございます。
○山加委員 下水道の浸水対策の基本であります基幹施設の整備に重点的に取り組むということでありますが、都民の安心感を高める着実な対策につながっていくと思います。
さて、この対策促進地区として選定されていた中に、私の地元、たびたび恐縮でありますが、練馬区の中村地区が入っております。この具体的な取り組み内容についてお伺いをいたします。
○松浦建設部長 対策促進地区の一つであります中村地区では、豪雨対策基本方針の策定の契機となりました平成十七年九月四日の集中豪雨により、床上浸水を含む大きな被害が発生しております。この地域では、道路がなだらかに傾斜しており、周辺より低い土地に水が集まりやすいという地形的な特徴があります。この地域特性を考慮した上で、一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できる効果的な対策を実施することといたしました。
具体的には、集まってきた雨水を取水しやすい豊中通りの道路の下に、口径三メートルから四メートル、延長約二千四百メートル、貯留量二万五千立方メートルの大規模な雨水の貯留管を整備するものでございます。さらに、地盤の高低差などの地域特性が考慮できる設計手法を活用して、より効果的な貯留を行ってまいります。
○山加委員 この練馬区中村地区、繰り返し浸水被害が発生をしておりまして、浸水対策への地元からの要望は昔から大変多いわけであります。今回の下水道局の浸水対策に大いに期待を申し上げておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また最後に、この地域の現在の取り組み状況、今後の予定についてお伺いをさせていただきます。
○松浦建設部長 豊中通りは交通量が多く、道路幅員も限られているため、道路を掘削しないで済むシールドトンネル工法により貯留管を施工することとしました。シールドトンネル工法で施工するためには、立て坑や資材置き場などの作業用地が必要となるため、貯留管の路線上に位置する南蔵院の敷地の一部を借用し、平成十九年度から南蔵院の東側の貯留管の整備に着手しております。
現在、東側の貯留管の整備は、環七通り付近、延長約一千六百メートルのうち約一千メートルまで掘り進んでおり、平成二十二年度末までに完成させる予定です。また、引き続いて実施する西側の貯留管の整備については、平成二十二年度からの着手に向け、設計作業を進めているところでございます。
これらの対策による効果を早期に発現させるため、東側の貯留管の整備が完成した後、平成二十三年度から、完成した部分の約二万立方メートルを先行的に供用開始することとしております。
今後も地元住民からの理解と協力が得られるよう努め、平成二十六年度末までにすべての施設を完成させることを目指し、鋭意工事を進めてまいります。
○山加委員 私は今、直接お伺いをしておりますので、本当に頑張って一生懸命やっていただいているなということがわかるわけでありますが、どうか地元の皆様へのPRもしっかりと努めていただきまして、頑張っているということが地元に伝わるようにしていただきたいと思います。一刻も早く事業を進め、地域の浸水に対する安全度を少しでも早く向上させていただきたいと思います。このことを申し上げ、質問を終わります。ありがとうございます。
○加藤委員 私からは、地球温暖化防止対策についてお伺いをいたします。
温暖化防止は、ことしの第一回定例会で我が党の上野議員が質問しましたように、我が都議会公明党が一貫して主張してきたテーマであります。
都は、みずから先導的な役割を果たすため、実際に温室効果ガスを削減する対策に積極的に取り組み、中でも下水道局は、大量の下水を処理するため、大量のエネルギーを消費せざるを得ないことから、京都議定書に基づく六%以上の温室効果ガス削減に向け、率先して取り組んできたというふうにお聞きしております。アースプラン二〇〇四に基づきまして着実に削減してきたとのことですけれども、改めてこれまでの温暖化対策の内容、今後の見通しなどについて伺っていきたいと思います。
まず、アースプランの目標について再確認をしていきたいと思います。
○宇田川計画調整部長 下水道事業では、一日に東京ドーム約五杯分に相当する約五百九十万立方メートルの下水を処理する過程で大量のエネルギーを消費せざるを得ないことから、都の事務事業活動で排出される温室効果ガスの約四割を下水道局で排出しております。このため、自主的かつ積極的な地球温暖化防止対策を図っていくため、平成十六年にアースプラン二〇〇四を策定いたしまして、温室効果ガスの削減に取り組んでいるところでございます。
アースプランでは、基準年度でございます一九九〇年度の温室効果ガスの排出量百一万八千トンを、二〇〇九年度までに六%以上削減して九十五万六千トン以下にすることを目標にしております。
○加藤委員 では、次に目標達成に向けたこれまでの具体的な取り組みについて伺います。
○宇田川計画調整部長 下水道局では、下水を処理する過程で排出される温室効果ガスのうち、多くを占める汚泥処理工程で発生する温室効果ガスと、機器などの運転による電力消費に伴い排出される温室効果ガスの二つに着目いたしまして対策を行ってまいりました。
一つ目の汚泥処理工程で発生する温室効果ガスの削減につきましては、二酸化炭素の約三百十倍の温室効果がございます一酸化二窒素を削減することを目的といたしまして、汚泥の焼却温度を上げる高温焼却や、汚泥を蒸し焼きにして炭化物を製造し、火力発電所における石炭の代替燃料として利用する炭化炉を導入しております。
また、平成二十年度には、多摩川上流水再生センターにおきまして、都のスギ花粉発生源対策で発生する杉の未利用材などを下水汚泥焼却の際の補助燃料として活用する施設を建設いたしまして、本年五月に稼働したところでございます。本施設につきましては、温室効果ガス削減への貢献等が認められまして、国土交通大臣から表彰を受けてございます。
さらに清瀬水再生センターにおいて、汚泥からガスを生成して発電に有効活用する汚泥ガス化炉の建設にも着手したところでございます。
二つ目の電力消費に伴う温室効果ガスの削減につきましては、下水処理に必要な微生物の働きを活発にするための空気を送り込むための装置に省エネ型の機器を導入しております。
○加藤委員 発生する温室効果ガスをいかに削減するかということも大事ですけれども、化石燃料を使わず、その代替となる太陽光など再生可能エネルギーを利用、拡大していくことも非常に重要です。
下水道における再生可能エネルギー活用の取り組みについてお伺いします。
○宇田川計画調整部長 下水は、夏場は大気の温度より低く、反対に冬場は大気の温度よりも高いという特性を持っておりまして、この温度差を活用して冷暖房を行っております。また、水再生センター内の放流落差を利用した小水力発電や、汚泥から発生するガスを利用した発電を行いまして、電力や燃料の使用量を削減しております。
さらに昨年度、葛西水再生センターにおきまして、従来の太陽光発電と比較いたしまして発電効率の向上が見込まれる新型太陽光発電システムの共同研究を行いまして、一定の効果が認められたところでございます。
その結果を受けまして、五百キロワット級の実用規模の太陽光発電システムを同センターに建設中でございまして、今後、下水処理の電源としての安定性などについて検証することとしております。
○加藤委員 引き続き再生可能エネルギー活用の取り組みを充実させていただきたいというふうに思います。
そして、アースプランは今年度が最終年度ということですけれども、これまでの取り組みによりまして、どれだけ温室効果ガスを削減したのか、このアースプランの達成見通しについてお伺いをいたします。
○宇田川計画調整部長 先ほどお答えいたしました汚泥の高温焼却や汚泥炭化炉の導入によりまして、下水道事業からの温室効果ガスの排出量は、既に昨年度におきまして、今年度までの目標値の九十五万六千トン以下である約八十八万トンまで削減してございます。温室効果ガスの排出量は、降雨などの影響を受ける下水処理量に応じて増減がございますが、今年度末の目標達成に向けまして、着実に取り組んでまいります。
○加藤委員 国全体では、温室効果ガス排出量は減るどころかふえている状況にありますけれども、下水道局は着実に目標を達成されるということで評価したいというふうに思います。
一方、都では、カーボンマイナス東京十年プロジェクトとして二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%削減する目標を掲げています。その達成は容易なことではないと思いますけれども、次世代のためにもしっかりと取り組まなければなりません。
下水道局では、このプロジェクト達成に向け、どのような取り組みを行っているのか、お伺いします。
○宇田川計画調整部長 カーボンマイナス東京十年プロジェクトの目標は、これまでの目標を大きく上回るものでございまして、その達成には、新たな技術の開発や導入が不可欠となっております。
下水道局では、新たな技術として、先ほどお答えいたしました汚泥炭化炉や汚泥ガス化炉の導入、拡大を検討しております。さらに、新たな省エネ型の濃縮機、脱水機の導入も検討しているところでございます。
また、昨年七月には、研究開発の拠点といたしまして、下水道技術研究開発センターを砂町水再生センターに開設いたしまして、これまで削減対象としていなかった水処理で発生する温室効果ガス削減技術の開発を進めております。
こうした施策を今年度末までに新たなアースプランとして取りまとめ、引き続き温室効果ガス削減に積極的に取り組んでまいります。
○加藤委員 国に比べまして、東京都が持つ強みというものは現場を持っていることで、さまざまな課題を現場での実証を踏まえ解決していくことが可能なことにあると思います。下水道局は、これまで以上に下水処理の現場や研究開発センターを十二分に活用して、地球温暖化防止に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
最後に、震災対策の取り組みについてお伺いします。
東京では、マグニチュード七クラスの首都直下型地震が発生した場合、下水道管の被害率は約二〇%と想定されています。このため、地震に備え、都民生活への影響が最小限となるよう震災対策を確実に進めることが重要です。さきの決算説明の際に、避難所などの排水を受ける管渠の耐震化工事など震災対策の取り組みにつきまして報告がありました。
平成二十年度における下水道局のこれらの取り組み状況についてお伺いをいたします。
○宇田川計画調整部長 下水道局では、震災時に避難所や災害拠点病院などに指定されている施設のトイレ機能の確保を図るため、これらの施設から排水を受け入れる下水道管について、マンホールとの接続部を柔軟な構造に改良する対策を実施しております。
実施に当たりましては、区などが進める避難所の耐震化などにあわせまして、下水道管の耐震化を進めてきており、平成二十年度には百九十四カ所の避難所などについて耐震化を行い、平成二十七年度末までの計画、約二千五百カ所に対し、約五割の千二百五十八カ所の耐震化を完了しております。
また、液状化の危険性の高い地域におきましては、地盤の液状化によるマンホールの浮き上がりによって車両通行機能に支障となることが想定されますことから、救助や応急復旧活動などに支障が生じないよう、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路や避難道路でのマンホールの浮上抑制対策に、平成十九年度に着手したところでございます。平成二十年度には、対象道路約五百キロメートルのうち四十五キロメートルにおきまして対策が完了しており、平成二十二年度の完了を目指しております。
さらに、水再生センターやポンプ所において、停電時の雨水排除などの機能を確保できるよう、非常時の発電設備などの整備を順次進めており、平成二十年度には三河島水再生センターなど四施設において整備いたしました。引き続き、これらの震災対策に着実に取り組んでまいります。
○加藤委員 震災時の危機管理対応として、さまざまな側面から対策を着実に進めており、非常に心強く思いました。東京もいつ大地震が来ても不思議ではないため、今後も手を緩めることなく、着実な取り組みを期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○かち委員 私からは、資料を出していただきました、三ページにありますように、契約の不調について、まずお聞きします。
今日、経済不況が続いている中、公契約の中でダンピングや低価格入札が問題になっているときに、下水道局におきましては、入札不調件数が、五年前には七件、昨年度は百十三件とふえ続けているわけですけれども、これは、都の示す予定価格では割が合わないということで敬遠されていることだろうというふうに思います。中小の事業者は、今、仕事がないということが死活問題にもなっているとき、このような現象がなぜ起きているのか、局として、その要因をどのように分析しているのか、まずお聞きします。
○須田経理部長 入札不調の大半は、指名したすべての業者が入札への参加を辞退したことによるものでございます。入札への参加を辞退する場合には、事前に辞退理由を記載した届けを提出させることとしておりますが、平成二十年度に不調となった案件の辞退理由を見ますと、積算した金額が予定価格を超過したためと、予定していた技術者の配置が不可能になったため、この二つの理由で七割を超えてございます。その他の理由といたしましては、他の工事を受注したためなど、業者の都合によるものでございます。
○かち委員 下水道関係の仕事は、先ほど来の議論にもありますように、非常に大がかりであったり、専門的な技術が必要であったり、機器が必要であったりというようなことで、特殊性を要する職種であるとも聞いております。そのために比較的事業者が少ないとか、また比較的小規模な入札での不調が多いというのも特徴だと聞きました。しかし、このような事態は改善すべきだというふうに思いますけれども、局としてどのような対策をとられてきたのでしょうか。
○宇田川計画調整部長 積算価格について、鋼材など主要な資材につきましては、毎月価格調査を行いまして、これまでは設計単価を年四回改定し、適切な単価で契約できるよう取り組んできたところでございます。これに加えまして、平成二十年度からは、一定以上の価格変動があった場合、適時に改定を行っておりまして、平成二十年度では合計十一回の単価改定を実施しております。
また、不調の抑制を図るため、複数の企業から事前に見積もりをとりまして、それを予定価格に反映させます見積もり積算方式も一部導入しております。さらに、発注時期の平準化に努め、配置技術者の不足にも対応しているところでございます。
○かち委員 実勢価格に見合って適宜変動していると。昨年は十一回も変更したというような、いろいろな努力をされているにもかかわらず、依然として減っていないというのが現実だと思うんです。やっぱり実態に合っていないという問題があるんじゃないかと思うんですね。
下水道設備の事業には特殊な技術や機器も必要になるということで、例えば、今までアナログ式で行っていた管渠の診断方式をデジタル化するということを今進めておられますけれども、来年度から本格導入するということですけれども、この機械が一台二千五百万円するということです。業者がそれぞれ購入するということは大変困難だという声も聞いております。しかも、これが数台あれば、都内の下水道管の診断調査を賄えるということも聞いておりますので、都が必要分を保管して、受注する中小企業に貸与する方式なども検討する、そういうことも含めて、いずれにしても、局の積算根拠なり、入札の仕方を実態に合ったものに、さらなる改善をされることを求めておきます。
次に、下水道関係の工事による死亡事故について伺います。
昨年は、下水道局関係で死亡者が出る事故が相次ぎました。三月には葛西水再生センターで転落死、六月には森ヶ崎水再生センターで感電死、そして八月には雑司が谷の下水道工事中に急激な集中豪雨によって下水管内の増水に流され、五名のとうとい命が奪われました。このような事故はあってはならないことであり、これらの事実経過をつぶさに検証し、教訓を改善策に生かしていくことが求められています。
きょうは、雑司が谷の下水道工事中に五名の作業員が死亡した痛ましい事故についてお聞きします。
改めて、この事故はどのような事故であったのか。また、この教訓からどのような対策をとられたのか、お聞きします。
○宇田川計画調整部長 事故についてでございますが、この事故の状況でございますが、雑司ヶ谷幹線内で管渠更生工事を行っていたところ、幹線内の水位が一気に上昇して、管内に作業中の作業員六名が流され、うち一名は自力で脱出いたしましたけれども、残り五名の方が亡くなったものでございます。
この事故の原因についてでございますけれども、突発的な局所的集中豪雨による急激な水位上昇に遭ったものでございます。
なお、この事故に関しましては、東京地方検察庁におきましても同様の見解が示されまして、現場責任者等は不起訴処分になっております。
突発的な局所的集中豪雨に対応するために、下水道局といたしましては、作業の中止基準を見直すとともに、避難計画の作成、気象情報の把握を義務づけ、事故の未然防止を図ることといたしました。さらに不測の事態にも備えるため、作業に先立ち、万が一の際に作業員がつかまり、これを伝って逃げられるように、結び目や浮きをつけたロープをマンホール間に設置しておくことや、マンホールへの避難用縄ばしごの設置、安全帯の装着など、適宜、作業環境に応じた対策を組み合わせまして、安全対策の充実を図っているところでございます。
○かち委員 今回のような突発的な豪雨に対する気象変化を速やかにキャッチするということは非常に重要な課題だというふうに思いますけれども、この辺をもう少し具体的にどのような改善をされたのか、お聞きします。
○宇田川計画調整部長 気象情報を迅速に取得するため、請負者の携帯電話に自動配信システムの配備を義務づけたところでございます。
また、急変する気象や集中豪雨に関する基礎的な知識を習得するため、気象予報士によります講習会を定期的に実施しております。平成二十年度は九月に四回開催いたしまして、請負者、下水道局職員など合わせて約千四百名が聴講いたしました。本年も五月から七月にかけまして六回開催し、約千名が聴講いたしたところでございます。
○かち委員 最近の気象変動の中で予期せぬ集中豪雨によって起きた事故だろうとは思います。気候変動の影響もあるんですけれども、このようなゲリラ的集中豪雨、こういうものがいつどこに発生するかわからない、そういう意味では気象情報もかなり狭めた範囲での正確な情報が現場に伝わることが大事だと思います。
そういう意味で、今回、気象担当者に携帯で注意報や警報が自動配信されるシステムを義務づけたという点は大変重要だろうというふうに思います。
下水道局が発信するアメッシュもかなり確度の高いものにはなっていると思いますけれども、今や民間のモニターがさまざまなところで積乱雲の発生状況を携帯で撮影し、それを民間のセンターに集中して解析することで、より具体的に局所的豪雨の発生状況を予報することができるようにもなっています。こうした民間のモニターとの連携なども含めて解析し、より速やかに的確な情報提供ができるよう努力していただきたいというふうに思います。
この雑司ヶ谷事故の報告書を見ますと、現場ではどういう働き方をしていたかといいますと、元請がいて、一次下請、二次下請というふうになっているわけですけれども、当時は一次下請の職長一名と二次下請の作業員が、合わせて六名が管内に入っていたと。地上には五名いて、合わせて十一名の方がここで作業していたということなんですけれども、なぜこのような大惨事になってしまったかという点では、現場の実態をつぶさに局としてもつかむ必要があると思うんです。その点で、下水道局は聞き取りも行ったようですけれども、直接働いていた一次、二次下請の関係者からも意見聴取、事情聴取をされたのでしょうか。
○宇田川計画調整部長 今回の事故に関しましては、警察や労働基準監督署がそれぞれの権限に基づきまして事情聴取を行ったところでございます。
一方、下水道局といたしましては、再発防止の観点から元請業者から聞き取りを行っております。下請業者につきましては、下水道局が直接的な契約関係にないため聞き取りは行っておりません。下水道局として必要な情報につきましては、元請業者などから得られております。
○かち委員 契約のシステムということではなくて、事は人の命にかかわった事故だったという点では、それは、契約の関係がないから聞かないというようなことではなくて、二度とこういうことが起こらないために何をすべきかという立場、視点に立ってつぶさに実態を把握する必要があるというふうに思うんです。民間に発注した後はどうなっても局の関与するところではないというのは、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。
冒頭にも質問しましたように、今、厳しい経済環境の中で、契約期間とのこともあり、事業者は多少無理をしても仕事は続行したいと思うのが心情だと思いますけれども、今回の改善策として、一滴でも雨が降ったら中止、または再開をしないというような対策が出されましたけれども、これは少々画一的ではないかなというふうに思うんです。安全性ということから考えれば、それにこしたことはありませんけれども、雨の降り方にもいろいろあり、霧雨のような状況が続くという場合もあるわけです。その辺の見きわめもせずに、一滴主義を徹底されるのでしょうか。それは義務化するのか、だれの判断でそれを行うのか、そういうことも含め、そのために工期がかなり延びることもあると思うんですけれども、こういうことに対する契約金の対応はどのようにされるんでしょうか。
○宇田川計画調整部長 今回の再発防止策につきましては、突発的な局所的集中豪雨への対応といたしまして、新たな作業の中止基準など、人命を最優先するという観点から定めたものでございまして、当然、請負者には守っていただくものでございます。
この中止基準によりまして作業が中断して発生した必要な経費につきましては、請負者と十分協議の上、契約変更により対応することといたしております。
○かち委員 人命尊重の立場から徹底するんだということはわかるんですけれども、そうしたら本当に一滴でも降ったらもうやらないということで、そのために工事が延期した場合には請負者と協議をして、都も負担をするというお答えですけれども、それは具体的には、前に聞いたときには、一定雨が降る確率分も入れて契約をしているけれども、それ以上に降った場合には、それは都が負担するんですよというような話も聞いたんですけど、それでよろしいんですか。
○宇田川計画調整部長 積算の中には、雨が降るということも想定いたしまして、それを考慮した積算をしておりまして、それで工事を中止した場合につきましては、その日数を超えた分について協議を受けることにしております。
○かち委員 だから、積算の中には入っているんだと。しかし、それを超えた分については、義務化をするわけですよね、一滴でも降ったらやらない、やるなというふうに。そのためにやめた分については、協議をするというよりも--協議をするんだったら、じゃあ配分が出てくるということですか。東京都が責任を持つということではなくて、配分をするということですか。
○宇田川計画調整部長 協議の中では、先ほど申しましたように、一定以上の作業の中断の日数になりました場合には、機械器具損料であるとか、人手であるとか、そういうものを請負業者と協議いたしまして対応することといたしております。
○かち委員 幾ら聞いてもその辺がはっきりしないという問題があるんですよね。だから、雨が降ったらやらないんだということで徹底するという点では、それは、どんなことがあったってやるんだと、仕事はしないんだということでいいんですけれども、しかし、その後の対応については交渉するとかということになっていると、やっぱり業者さんはそこが、本当に自分の生活との関係があるから徹底することができるのかどうかという問題を、私は疑問を抱かざるを得ません。その辺は今後はっきりと対応していただきたいというふうに思います。
この工事現場では、二つのマンホールの間を、下水道管を補修する工事だったということですけれども、どうもこの記録を見ているとマンホールのふたは閉めたまま行っていたようなんですね。これってすごく不安もありますし、大体、事態をすぐに地上がキャッチできる状況にもないと思うんです。普通は、工事をしているんであれば、カラーコーンで周りを囲って、そこに警備員を配置して、安全確保でふたをあけてやるのが常識じゃないかと思うんですけれども、なぜここではふたをして工事をしたのか。そういうことはどこが判断をして、こういうことをやるのか、その辺のことをお聞きします。
○松浦建設部長 管渠内での作業を行う場合、マンホールのふたをあけておくか、閉めておくかは現場の施工条件によって異なります。マンホールのふたをあけておくためには、道路交通や作業の安全性が確保できるよう、カラーコーンなどにより作業帯を設置する必要があります。作業箇所の上流側のマンホールにつきましては、現場の状況から作業帯が設置できましたため、資機材の搬出入、作業員の出入り、換気等の目的で常時ふたをあけて作業を行っていました。
ご指摘のあった作業箇所の下流側のマンホールにつきましては、道路交通への影響や沿道の建物からの出入りに支障となり、作業帯を常時設置することが困難なため、通常はふたを閉めておき、作業員や資機材の出入りの場合のみ作業帯を設置した上でふたをあけるという作業方法をとっておりました。
今回の事故に関しましては、現場責任者等が不起訴となっておりますが、この作業方法について、東京地方検察庁から問題があるとの指摘はございません。
○かち委員 東京地裁の方から問題があるという指摘はなかったからいいんだという判断をされたというふうに受けとめましたけれども、私はこの報告書を見ていると、地上ではまだ雨が降り出したという状況の中で、既に下は増水しているわけですよ。しかも、作業をしている側の方が下流だから、どっと水を受けていたわけですよね。それで、あけてくれという声がして、あけるというようなことでは対応だっておくれるわけですよ。
そういう意味では、人命第一というのであれば、やっぱり作業現場がきちんと地上から把握できるような状況にしておく。そして、交通渋滞云々と、交通事情云々ということであれば、ちゃんと人を確保して誘導員を配置するというのが原則だと思うんですけれども、そういうことは必要ないんだ、現場の判断でいいんだという考え方なんでしょうか。局としてはどう考えているんですか。
○松浦建設部長 今回、作業箇所としていた下流側のマンホールのところにつきましては、もちろん雨が降り出して、中の作業員に注意喚起をするということを何回かやりまして、その際にはふたをあけるという行為をするわけですが、その場合には、当然のことながら作業帯を設けまして、また交通誘導員を配置しまして作業を行って、何かあればすぐに対応できるという対応をしていたわけでございます。
○かち委員 何かあればすぐ対応できる状況でやったんだというのであれば、なぜこんなことが起きたかということをもう一回検証していただきたいというふうに思います。
やはり、低い契約単価の中で誘導員を置くことが省略されたことが、このような状況を招いた一因でもあるのではないかと思います。そういう意味で、実態に合った契約価格、そういうものを引き上げるということも含めて検討していただきたいというふうに思います。
最後に、雨水浸透ますについてお聞きします。
近年、時間五〇ミリを超える降雨が増加しています。それが高層ビルや住宅が過密化する中で、東京の合流式下水道への負荷も大きくしております。昨年は降水量が多かったために、水再生センターでの処理に大量の電力も費やしています。同時にCO2も大量に排出することになるわけです。持続可能な都市づくりにおいて、水再生センターの負荷を軽減しなければなりません。そのためにも、雨水と汚水の分離、雨水の涵養、地下浸透を促進することが重要です。公的施設や開発地域、道路、そして宅地内雨水浸透施設の設置促進が求められているというふうに思いますが、下水道局としては、この間どのような取り組みをしてきたのか。特に宅地内浸透ますの実績はどのようになっているでしょうか。
○宇田川計画調整部長 都では、総合治水対策の一つといたしまして、公共施設や宅地内における雨水貯留浸透施設の設置促進に努めているところでございます。
当局では、その対策の一環として、公共雨水浸透ますを設置しております。公共雨水浸透ますを設置するには、宅地内の排水管を汚水管と雨水管とに分ける分流化が必要であることから、宅地内の分流化に合わせて公共雨水浸透ますを設置しております。平成二十年度末までに約五千九百個の公共雨水浸透ますを設置しております。
○かち委員 努力をされて五千九百個までつくってきたということですけれども、広い東京都内では、実効性を発揮するには余りにも少ないというのが現状ではないでしょうか。
実際、こういう対策がどれだけの効果をもたらすのかということが視覚的にも実感できる啓蒙啓発が必要だと思いますけれども、このような雨水浸透施設の普及が雨水流出抑制にどれだけの効果をもたらすのか、数字的に教えてください。
○宇田川計画調整部長 練馬区などで実施しております雨水流出抑制型下水道における雨水浸透の効果につきまして、当局が行った調査では、浸透施設設置後二十年を経過した状況で、雨水流出量の約二〇%が削減されるとの結果が得られております。
なお、雨水浸透の効果を継続するには、公共雨水浸透ますの目詰まりを防止するための定期的な清掃などの維持管理が必要でございます。
○かち委員 それを継続するためには目詰まりなどの維持管理が必要だということはあるにしても、今のご答弁では、二〇%の削減効果があるということです。今の雨の降り方にもよりますけれども、ゲリラ豪雨のような状況ではとても耐えられないとは思いますけれども、一般的に雨が降る場合に、一〇ミリなら八ミリに減らすことができる、五〇ミリなら四〇ミリに減らすことができる。そういう意味では、たとえ五〇ミリの雨が降ったとしても、合流式下水管の洪水を回避することもできるわけです。いかに重要であるかということが理解され、普及していくことが重要であると同時に、経済的な負担の軽減ということもあります。
個々の宅地内雨水浸透施設の設置促進とともに、面的な開発事業者においても積極的に公共雨水浸透ますを設置してもらうということが、その効果を一層高めることになると思いますけれども、局としてどのような働きかけをしてきているのでしょうか。
○宇田川計画調整部長 雨水浸透ますの普及促進についてでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたが、公共雨水浸透ますを設置するには、一般の宅地の場合には汚水と雨水に分ける必要がありますことから、お客様の理解が得られたところから進めております。
また、豪雨対策基本方針では、流域対策といたしまして雨水浸透ますなど貯留浸透施設の設置促進に取り組むということにいたしております。流域対策であります雨水の貯留浸透につきましては、総合治水対策の一環として、都市整備局が主体となりまして、区と連携して民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導などを行うとともに、公共施設への雨水流出抑制対策を進めております。
公共施設であります学校、公園、道路などにおける雨水の貯留浸透施設の設置については、それぞれの管理者が取り組んでございます。
先ほどお答えいたしましたように、下水道局では公共雨水浸透ますの設置を進めておりますが、その設置に当たりましては、宅地内の排水管を汚水と雨水に分ける必要がありますことから、区などと連携したPRを行いまして、お客様の理解と協力が得られるように努めておるところでございます。今後とも区などと連携し、公共雨水浸透ますの設置を推進してまいります。
○かち委員 下水道局がかかわる部分については、宅地内の雨水と汚水の分類のますをつくることなんだということではあるんですけれども、これはもう本当に東京都全体で豪雨対策も地球温暖化もやっていかなければならないことであり、こういう雨水対策については、本当に都市整備局も建設局も下水道局も一体となって取り組んでいく課題でありますので、それは積極的にもっとやっていただきたいというふうに思います。
都内の約半数の区市町村では、個人宅に浸透ますを設置する際、何らかの助成を区市が行っているということですけれども、それをもっと広げ、拡充していっていただきたいというふうに思います。
豪雨に対する浸水回避のためには巨大な管渠や貯留管の設置も必要ですけれども、同時に入り口のところで対策を面的に広げていくことが求められています。それが持続可能な都市づくりにもつながるというふうに思いますので、ぜひ下水道局のイニシアチブを発揮していただくよう求めて、質問を終わります。
○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後二時十五分散会
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