委員長 | 今村 るか君 |
副委員長 | 伊藤 興一君 |
副委員長 | 早坂 義弘君 |
副委員長 | 野上ゆきえ君 |
野田かずさ君 | |
関口 太一君 | |
きたしろ勝彦君 | |
星 ひろ子君 | |
たきぐち学君 | |
吉倉 正美君 | |
鈴木 勝博君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 金子正一郎君 |
次長 | 塚田 祐次君 | |
総務部長 | 野澤 美博君 | |
職員部長 | 佐藤 守君 | |
資産運用部長 | 廣瀬 秀樹君 | |
電車部長 | 室星 健君 | |
自動車部長 | 松下 義典君 | |
車両電気部長 | 室木 鉄朗君 | |
建設工務部長 | 吉原 一彦君 | |
企画担当部長 | 小泉 健君 | |
技術調整担当部長 | 広川 徳彦君 | |
技術管理担当部長 | 橿尾 恒次君 | |
参事 | 波多野正裕君 | |
参事 | 岡本 恭広君 |
本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・平成二十年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都電気事業会計決算(質疑)
○今村委員長 ただいまから平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
これより交通局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十年度東京都交通事業会計決算、平成二十年度東京都高速電車事業会計決算及び平成二十年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 私からは、公営企業会計決算特別委員会ということで、平成二十年度の交通事業決算について、何点かご質問をさせていただきます。
まず、交通局の決算概要説明の中にもありましたけれども、交通局には、平成十九年度を初年度とします東京都交通局経営計画新チャレンジ二〇〇七という三カ年の経営計画があります。その計画に基づいて各事業が、安全対策やサービスの向上などを進めているということでございますが、その中には、それぞれの事業計画だけではなく財政収支の計画もございます。今回審議の対象となっております平成二十年度決算は、計画二年目の決算ということになります。
そこで、まず確認でございますけれども、新チャレンジ二〇〇七で予定しておりました平成二十年度の収支計画と今回の二十年度決算の収支状況についてお伺いをいたします。
○野澤総務部長 交通局経営計画新チャレンジ二〇〇七と平成二十年度決算の収支についてでございますが、主な事業の経常損益について申し上げますと、まず地下鉄事業は、経営計画では四十五億円の黒字を予定しておりましたが、決算では計画を大きく上回り約百四十億円の黒字となりました。また、バス事業につきましては、計画では三億円の赤字を予定しておりましたが、決算では約七億七千万円の黒字となりました。また、軌道事業につきましては、計画では収支均衡という予定でございましたが、決算では四千五百万円の赤字となりました。平成十九年度末に開業いたしました新交通事業につきましては、計画では二十二億円の赤字を予定しておりましたが、決算では約十八億円の赤字となっております。
○鈴木委員 今、収支計画の損益の金額の差異の事実についてのご答弁をいただきましたけれども、要はこの決算について、交通局がどのようにこの損益を評価しているか、これが大事だと思っております。
そこで、お伺いをいたします。交通局は今回の決算をどのように評価しているのでしょうか、お伺いいたします。
○野澤総務部長 平成二十年度決算についてでございますが、地下鉄事業におけるお客様の増加に支えられまして、交通局全体といたしましては、過去最高の百三十一億円の経常利益となりました。
また、主要事業でございます地下鉄とバスにつきましては、経営計画新チャレンジ二〇〇七の収支計画を上回ったところでございます。しかしながら、バス事業と軌道事業につきましては、昨年度後半以降お客様が減少し、軌道では経常収支が赤字となるなど、厳しい収支状況になってきていると考えております。
また、二十年度が初めての通年の決算となりました新交通事業は、先ほどご答弁申し上げましたとおり、経常収支で約十八億円の赤字となりましたが、これは、開業後間もない減価償却費などの資本費負担が重いためであるというふうに考えております。
○鈴木委員 確かに、交通局全体で見ますと百三十一億円の経常利益となっております。公営企業として、できる限り民営化に近い事業の効率化を求められた結果であると思っておりますが、しかし、事業ごと一つ一つを見ていきますと、それぞれに課題が見えてまいります。
地下鉄事業は、乗車料収入が堅調であり、当初の計画四十五億円と比べても百三十九億円と大幅に収支がよくなっております。計画値より随分と収益が改善しております。しかし、もう一つの主要事業であります都営バスについては、計画と比べて財政収支が十億円よくなっているとはいっても、実は平成十九年度の決算と比べますと十二億円の大幅減収となっております。事実は事実としてきちんと受けとめて、よい結果と悪い結果を、その原因についてしっかりと把握されて分析していくことが重要だと思っております。
平成二十年度決算のバス事業の経常利益が、平成十九年度と比べて著しく減少している理由についてお伺いをいたします。
○野澤総務部長 バス事業の経常利益が、平成十九年度と比べて減少している理由についてでございますが、委員ご指摘のとおり、平成二十年度のバス事業の経常利益は約七億七千万円であり、十九年度の約二十億六千万円と比べて、約十三億円減少いたしております。
その理由といたしましては、まず収入面では、昨年秋以降の金融不安による景気の急速な悪化や、鉄道など新線の開業に伴いまして、年度後半を中心に乗車料収入などが落ち込み、経常収益で約十四億円の減少となっております。
また、支出面では、原油価格の高騰により動力費の増加があったものの、新たにバス営業所の管理の委託を行うなど経営効率化を図り、経常費用で約一億円の縮減を図りました。その結果、バス事業では経常利益を確保することができましたものの、十九年度と比べると黒字額が減少したところでございます。
○鈴木委員 私も分析をしてみましたけれども、昨年度の状況を見ますと、前半は非常に好調だったものの、後半以降、バス事業の乗客数は一日平均で一万人近く減少し不調となっております。
平成十九年度末に開業しました日暮里・舎人ライナーなどの新線開業の影響も受けておりますし、新線開通後であっても、前半好調で後半が不調になったというのは、アメリカ発の金融不安、こういったものが景気に悪化をしており、都民の生活環境も大きく変化をしたということだと思います。
「都営交通のあらまし」のグラフでもあるように、バス事業は、鉄道開業の影響により長期的な減少傾向にあります。このような状況下でバス事業を改めて成長させるためには、いろいろなサービスを都民に提供し、ニーズをいち早く察知して、都民の顧客満足を上げていく必要があります。鉄道事業の新規開通が当分ない中で、これからがバス事業の成長を本腰で検討できる時期に来たと思っております。
そこでお伺いいたしますが、都営バス事業の乗客数、乗車料収入が落ち込む中で、どのような対策をこれからとられるとしているのか、お聞かせください。
○岡本参事 バスの乗客数減少等への対策についてでございますが、委員ご指摘のとおり、相次ぐ地下鉄の開業などの影響により、長期的に乗客数は減少傾向にありましたが、都心回帰や大型開発による人口の増加などもあり、ここ数年乗客数はほぼ横ばいとなっており、ようやく長期的な減少傾向に歯どめがかかったと思われます。
今後は、地域の再開発、鉄道網の整備などによる乗客潮流の変化を的確に把握することに努め、需要に見合ったバス路線や運行ダイヤの見直しを行っていくとともに、路線のPRの実施や、ICカードの普及促進などにも積極的に取り組み、バス利用者の拡大を図ってまいります。
○鈴木委員 経営計画新チャレンジ二〇〇七の七ページにも、交通局を取り巻く事業環境の筆頭に、人口減少社会の到来と少子高齢化の進展というものがございました。
交通局の決算概要説明でも、金子局長から、交通局を取り巻く環境は、少子高齢社会の進展により、今後、乗客数の大幅な増加が期待できない中、安全対策や輸送サービスの向上、環境対策などの社会的要請への対応が強く求められるなど厳しさを増していると、そういう説明がございました。
東京の高齢化は加速度的に進んでおります。交通局もそれを十分認識し、今回の経営計画中でも、あらかじめその点を考慮してさまざまな政策をつくられております。
私の地元の話になりますが、日暮里・舎人ライナー開通後も、昼間の時間帯では、この日暮里-見沼代親水公園を結ぶバスの利用者はたくさんございます。お年を召された方など、いわゆる交通弱者の方が多く利用されております。バスは、高齢者など交通弱者の方にとっては、平面移動ということもあって安心して使える便利な乗り物だと思っております。これからの高齢社会で、バスの果たす役割が大きくなると思いますが、都営バスが、高齢者など交通弱者の方により利用しやすくなるよう、どのような取り組みを進めているのかお伺いをいたします。
○松下自動車部長 都営バスは、交通局では平成十一年度から更新するすべての車両をノンステップバスとするとともに、昨年度、車いすご利用のお客様が快適にご乗車いただけるよう、短時間で固定ベルトを装着するための改良を行いました。
停留所施設においては、ベンチの整備を進めるとともに、お客様が乗りおりしやすいよう、バスの乗降口と停留所の開口部のずれを改修しております。
また、営業所に車いすや高齢者体験器具を配置し、車いす固定方法の訓練や高齢者疑似体験などの実習を実施することで、乗務員の接遇能力と意識の向上も図っております。
今後とも高齢者や障害者など、だれもが安心して都営バスを快適にご利用いただけるよう取り組んでまいります。
○鈴木委員 私は、都営バスが乗客数、乗車料収入が落ち込む中にあって、少子高齢化社会は、バス事業にとっては、民間でいえばある意味ビジネスチャンスではないかと思っております。このことをあえてこれから申し上げたいと思っておりますが、高齢化社会に向けてのこのサービスの向上によって、バスを便利と感じる方がふえれば、当たり前ですが、乗客数はふえてまいります。ましてお年寄りにとっての第一の移動手段がバスであるというぐらいに定着をしていけば、これからむしろバス利用者は増大し、当然収益というのはもっとよくなるはずだと思っております。コミュニティバスなどとの上手な連携により、高齢社会の生活者に、バスは欠かせない乗り物であるというところまで認識させるような、地域密着型の細かなサービスの充実を実現いただければと思っております。
経営計画の最終年度である二十一年度は、バス事業は四億円の経常利益を予定しておりますが、乗客数が減少している中、計画達成に向けて都バスのサービスを向上させて、乗客数が回復することを願って次の質問に移らせていただきます。
次に、日暮里・舎人ライナーについてお伺いをいたします。
平成十九年度末に開業した日暮里・舎人ライナーは、足立区西部地域の住民にとって念願の開通でございました。この開通により、どれだけ多くの方が通勤や通学の朝の時間のストレスから解放されたかはかり知れません。この地域で生まれ育ちました私にとりましては、もう少し早く開通しておればと思っておりますが、地元選出の議員としては、非常に喜ばしいことであると思っております。
先ほどの決算の収益、損益の状況を見ると、日暮里・舎人ライナーは約十八億円の赤字となっております。平成十九年度末に開業したばかりであるので、減価償却費などの資本費負担が重く、交通局の経営計画でも、平成二十年度は二十二億円の赤字を見込んでいるようで、いわば想定された赤字でありますが、まず、確認のために聞きますが、初の通年営業となりました平成二十年度の日暮里・舎人ライナーの乗車人数と、交通局が当初想定していました一年目の乗車人員についてお伺いをいたします。
○室星電車部長 日暮里・舎人ライナーの乗車人員についてでございますが、通年営業となりました平成二十年度の乗客数は、一日当たり約四万九千人となりました。これは、一日当たり五万一千人と見込みました当初の計画と比べ、ほぼ想定どおりということでございます。
○鈴木委員 一年目は、今お話があったとおり、見込みどおりに順調であったということはわかりました。
次に、それでは最終的には何万人ぐらいの乗客数を都として想定しているのか、お伺いをいたします。
○室星電車部長 最終的な乗客数の想定、見込みでございますが、一般的に鉄道などの新規路線が開業したときには、その利便性が地域の方々に認知されるとともに、沿線の開発が進展し利用者が定着するまでには一定の時間がかかるとされております。日暮里・舎人ライナーの場合は、ご利用が定着した段階での一日当たりの乗客数は約七万人になるものと見込んでおります。
○鈴木委員 今お話がありましたように、一日当たりの乗客数を七万人想定しているということでございます。しかし、今回の二十年度の決算の一日当たりの乗客数は、一日平均四万九千人でありますから、七万人はかなり高いハードルであると思っております。
今後、乗客数をふやす上で、その七万人達成に向けて交通局としてはどのような課題があると考えているのか、お伺いをいたします。
○室星電車部長 乗客数をふやす上での課題でございますが、日暮里・舎人ライナーの開業後の状況を見ますと、定期のお客様は着実に増加しております。一方、定期外のお客様は、花火などのイベント開催時には大きく増加するものの、全体として伸び率が低くなっております。
路線の傾向といたしましては、平日の朝のラッシュ及び夕方のラッシュの時間帯にご利用が集中する、いわば典型的な通勤通学路線となっており、とりわけ朝のラッシュ時に見沼代親水公園から日暮里方向への電車が混雑しております。
ご質問の乗客数をふやす上での課題といたしましては、土曜日、日曜日及び平日の日中時間帯や通勤通学と逆方向の利用促進にあると認識しております。
○鈴木委員 ただいまご指摘がありましたように、確かに私も何度か朝の通勤ラッシュで日・舎ライナーに乗りましたけれども、非常に混雑をしております。特に去年の四月以降、朝のラッシュは非常に厳しく、ダイヤの改正なども急務となりました。しかし、朝の反対方向、見沼代親水公園方面は、朝はほとんど乗客がいないのも現状でございます。当たり前ですけれども、これは行ったり来たりで同じ経費がかかっているわけですから、片方向の乗客がいないのは大変もったいない話でございます。土曜、日曜日も、がらがらとはいいませんけれども、随分と乗客数はまだまだ足りないのが現状であり、その点の課題は私も同感でございます。この課題を克服することによって、日暮里・舎人ライナーの経常利益をどのように出していくか、これが今後の大きな課題であると私も思っております。
そこでお伺いをいたしますが、これまで交通局は、今いった土日あるいは昼間の乗降者数をふやすために、どのような取り組みをされてこられたのかお聞かせください。
○室星電車部長 交通局の増客に対する取り組みでございますが、日暮里・舎人ライナーの乗客確保に向けて、開業時には足立区さん、それから荒川区さんの区報で利用の促進に向けた特集号を発行していただくとともに、交通局といたしましても、沿線住民を対象とした利用状況調査を実施するなど、取り組みを通じて認知度の向上に努めてきたところでございます。
また、日暮里・舎人ライナーの集客を目指した取り組みといたしまして、ご乗車一千万人記念イベントや、区の花火大会に合わせた舎人公園での開業一周年記念イベントなど、各種イベントを実施してまいりました。
さらに、沿線の見どころを案内するパンフレットを、都電荒川線とあわせて作成するなど、都営交通のネットワークをアピールし、日暮里・舎人ライナーの増客対策を行ってまいりました。
○鈴木委員 ただいまお話があったように、確かに、イベントは乗客数をふやす上で大事なことだとは思っております。先日行われた北足立の青果市場祭りに私も参加しましたが、二万人を超える多くの都民が集まるイベントでございました。北足立市場を都民に開放することで、地元足立区でも商店街の方々、大変喜んでおります。
このようなイベントは、できるだけ地元と一緒になって、できるだけ数多く、ウイン・ウインの関係でとり行えることを求めていますが、地元のにぎわいにつながる、こういったイベント、それだけで十分かどうかということを少しお話ししますが、どうしても土曜や日曜などが中心となっているそういうイベントというのは、なかなか昼間の乗車数をふやしたり、あるいは往復の乗降者をふやすわけにはいかないと思っております。
そもそも鉄道などの交通インフラ、その効用というのは、単にその地域の方々が通勤通学に便利になったというものだけではございません。交通局自身も、経営計画の八ページに社会経済状況の変化の一つとして、東京の都市構造の再編と記載しているように、鉄軌道整備をきっかけにして、それをまちづくりへと有機的につなげていかなければならないと思うのです。民間鉄道会社で、鉄道などの運輸部門だけでなく、不動産部門もあわせて経営し、まちづくりと鉄道経営を一体的に進めていく。地域のブランドを創出して、全体としてその地域が付加価値を高めるべく努力をして利益を生み出しているのが鉄道経営の本筋です。
日暮里・舎人ライナー沿線沿いは、東京都の中でも開発がおくれ、まだまだ多くの土地利用がこれから行われるべき地域でございます。足立区でも、つくばエクスプレス開通による六町の開発のように、地域を都市整備することが重要であると思います。日暮里・舎人ライナーにより、この地域は皇居から二十キロ圏内にある、東京でも中心地として開発されるべきエリアとなりました。私としては、子育てのしやすい、少子化に対応できる教育エリアとしてこの地域が都市整備されていければと思っております。緑豊かな中で、子どもたちが安心して学び遊べる環境を、この地域でぜひとも実現し、このエリアが東京都の東の山の手ブランドとなるようなブランドづくりができればすばらしいと考えております。
交通局は、都庁という役所の中の一組織であるので、ディベロッパーになって開発しろということをいっているわけではございませんが、私は総務委員会に所属しておりますので、都区制度という東京特有の大都市制度の中で、特別区とともに大都市行政を担う東京都という立場として、日暮里・舎人ライナーの沿線のまちづくりが一段と進むよう、組織の壁を越えて都市整備局や建設局など、都庁のまちづくり部局や地元区にも働きかけていただきたいと思っております。
そのことによって、都心と逆方向、平日の昼間の需要などが高まって、ライナーの経営収支改善にも間違いなく貢献すると思っております。そのことを最後に主張しまして私の質問を終わります。
○きたしろ委員 交通局は地下鉄、都営バス、荒川線などの事業を行っておりますけれども、公営企業として企業の経済性を十分に発揮し、効率的な経営を行っているか、また、現状のみならず、将来を見据えて、地に足のついた経営を行っているか、都民を代表する議会としてしっかりチェックする必要があると思っております。
また、平成二十年度は、交通局が策定した経営計画である新チャレンジ二〇〇七の中間年度に当たります。安全対策や輸送サービスの向上など、都民にとって身近な施策の進捗状況についても気になるところです。私からは、交通局の主力事業である地下鉄事業及び都バスの運営の状況や事業の進捗状況など、幅広い観点から質問をしたいと考えております。
まずは、最大の事業である地下鉄事業の決算状況を中心に幾つかお尋ねをいたします。
交通局の地下鉄事業は、昭和三十五年度の開業以来、長らく赤字を計上し続けてきたところですが、経常黒字の達成が交通局の長年の目標であり、収支の改善を図るために、経営の効率化や増収対策を進めていると聞き及んでおります。
地下鉄事業につきましては、平成十八年度に初めて約三十一億円の経常黒字を計上し、その後、新チャレンジ二〇〇七の計画初年度の平成十九年度には百九億円、平成二十年度については、先日、百四十億円の黒字を計上したとの報告を受けたところです。
そこで、地下鉄事業の黒字が年々拡大している理由について、その所見をお伺いをいたします。
○野澤総務部長 地下鉄事業の黒字が年々拡大している理由についてでございますが、まず収入面では、沿線での開発の進展や区部への人口回帰が続いていることなどにより、年々ご利用いただくお客様の数がふえまして、乗車料収入が前年度と比べて、平成十九年度につきましては約七十一億円、二十年度は約十四億円増加をいたしました。
次に、支出面でございますが、駅業務の委託を進めるなど経営効率化に取り組んできたことや、施設整備の財源となる企業債の支払い利子が減少していることなどによりまして、前年度と比べて十九年度は約九億円、二十年度は約十七億円の費用が減少いたしました。この結果、十八年度以降、年々黒字が拡大いたしまして、二十年度決算では約百四十億円の経常利益となったところでございます。
○きたしろ委員 乗客数の増加が黒字拡大の一つの要因であるとの説明がありましたけれども、私の地元を走る大江戸線につきましても、「都営交通のあらまし」を拝見すると、まさに右肩上がりで乗客数がふえており、他の三線、浅草線、三田線、新宿線についても増加傾向が認められるところです。大江戸線については、私も都庁に来る際に、麻布十番もしくは大門からよく利用しておりますが、日中でもだんだん乗客がふえてきていると実感をしているところです。また、朝夕のラッシュ時間帯につきましては大変混雑していることから、早く電車の本数をふやしてほしいという要望も受けております。
そこで、地下鉄事業の乗車人員の状況と、大江戸線の混雑対策についてお伺いをいたします。
○室星電車部長 まず、地下鉄事業の乗車人員でございますが、平成二十年度は、前年度に比べ四線合計で一・七%増加しております。各路線別に見ましても、新宿線の二・三%を初め、三田線で二・二%、大江戸線で一・六%、浅草線で一・一%も増と、いずれも乗車人員は増加しております。
次に、大江戸線の混雑対策でございますが、当面の措置といたしまして、来年、平成二十二年三月には、車両の運用を工夫いたしまして、運転本数をふやすダイヤ改正を実施し、朝のラッシュ及び深夜時間帯の混雑緩和を図ってまいります。
さらに平成二十三年度中には、二編成の車両増備を予定しており、一層の輸送力増強を図ってまいります。
○きたしろ委員 一日も早く本数をふやしていただきたいと、これは強く要望しておきたいと思います。
次に、安全対策についてお伺いをいたします。
交通局では、地下鉄の安全対策として、万が一乗客がホームに落ちた場合、列車を緊急に停車させる装置である列車緊急停止スイッチをホームに設置するなど、一定の対策を進めているとお伺いをしております。
さらに、三田線に続いて大江戸線にも、ホームゲートの設置を決定し、全駅設置に向けて準備を進めているとの答弁を、平成十九年三定の自民党代表質問、吉野議員に対しての答弁もいただいておるところでございますが、ホームゲートの設置は、都民や乗客の要望も強いことから、一日も早い設置が求められているところです。
そこで、大江戸線におけるホームさくの設置のこれまでの準備状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
○広川技術調整担当部長 大江戸線のホームさくでございますが、平成十九年度に定めました整備計画に基づき、平成二十年度は、大江戸線の可動式ホームさくを制御する装置について試験を行い、正常に動作することを確認いたしました。今年度は、車両の改修及びホームの補強などの関連工事や、ホームさく本体の製造に着手いたします。
今後、平成二十二年度までにすべての車両の改修を完了させ、平成二十三年度から、設置の済んだ駅より順次ホームさくの稼働を開始する予定でございます。平成二十五年度までに、全駅へのホームさくの設置が完了するよう、計画的に整備を進めてまいります。
○きたしろ委員 繰り返しになりますけれども、ぜひ一日も早い設置、特に大江戸線の中でも乗降客の多い六本木駅や大門駅など、安全のために優先的に設置していただくよう強く要望しておきたいと思います。
次に、地下鉄事業におけるバリアフリー対策についてお伺いをいたします。
地下鉄の利用者にはいろいろな方がおられます。元気なビジネスマン、学生だけでなく、多くの高齢者なども利用されています。お年寄りや体が不自由な方にも地下鉄を便利に利用していただく上で、地下鉄の階段はまさにバリアであり、地下鉄の利用に二の足を踏む方も多いと思います。
交通局はこれまでも、だれにでも利用しやすい地下鉄を目指して、新チャレンジ二〇〇七で目標を掲げ、エレベーター等によりホームから地上までのワンルートの確保に取り組んでおられます。意義のある取り組みであると認識をしております。
大江戸線は、当初からすべての駅において、ホームから地上までのエレベーターが設置されているので便利ではございますが、新たにエレベーターの設置を計画した他の路線の駅につきましては、思うように設置が進んでいないように聞いております。
そこで、ワンルートの確保の状況について、新チャレンジ二〇〇七と比較した進捗状況と、おくれている場合は、その理由についてお伺いをいたします。
○吉原建設工務部長 交通局では、これまで、だれにでも利用しやすい地下鉄を目指しまして、エレベーター等によりますホームから地上までのワンルート確保に取り組んでまいりました。ワンルート確保の進捗状況でございますが、新チャレンジ二〇〇七では、平成二十年度末で、都営地下鉄全百六駅中、九十駅、八五%の完了を目標としておりました。実績としましては、八十六駅、八一%が完了し、目標より四駅少なくなっております。
整備のおくれた主な理由としましては、駅施設の配置上、エレベーター設置位置が限られておりますが、沿道の市街化が進んだ中で用地を確保しなければならず、想定以上の期間を要したためでございます。
○きたしろ委員 状況についてはよくわかりました。確かに後からエレベーターをつくるわけでありますから、用地確保など、簡単には整備が進まないことは理解するところです。しかし、努力目標とはいえ、バリアフリー新法を踏まえて平成二十二年の完了が望ましいことはいうまでもないところであります。
このことは、交通局も真摯に受けとめて、最大限早期完成に努めてきたと考えてはおりますけれども、しかし、残る未整備駅については、工事期間を考えると、これまで交通局が掲げてきた目標達成は難しいのではないかと思いますが、今後の整備見込みについてお伺いをいたします。
○吉原建設工務部長 残る二十駅のうち、十駅は既に工事着手をしておりまして、平成二十二年度までの完成を目指し工事を進めております。その他の駅につきましては、用地交渉や設計を鋭意進めているものの、平成二十二年度までの全駅のワンルート確保は困難な状況でございます。引き続き、用地確保や効率的な工事に全力を挙げ、一日も早い全駅でのワンルート確保に取り組んでまいります。
○きたしろ委員 駅のバリアフリーにつきましては、お年寄りや車いす利用者など多くの都民が、エレベーター等によるワンルート確保が図られることを待ち望んでおられます。局が目標達成に向け努力を行っていることは理解しましたけれども、一日も早く全駅での設置を目指し、より一層事業を促進されることを強く要望しておきます。
次に、自動車事業についてお伺いをいたします。
都バスは、通勤通学客はもとより、障害者や高齢者にとっても利用しやすい身近な交通機関であります。都民の足として重要であると私は考えております。自動車事業につきましては、平成十六年度以降、五期連続で経常黒字を達成しておりますが、営業収支については依然として赤字であり、経営状況は厳しいことがうかがえます。
まず、乗客数につきまして、平成十九年度と比較した平成二十年度の動向についてお伺いをいたします。
○岡本参事 乗客数の動向についてのお尋ねでございますが、都営バスの乗客数は平成十九年度決算では、一日当たり約五十六万七千人、平成二十年度決算では、一日当たり約五十六万三千人となっております。
平成二十年度は三月の日暮里・舎人ライナーや、六月の東京メトロ副都心線の開業による影響があるものの、原油価格の高騰などによる公共交通機関への回帰もあり、対前年度比では一日当たり約四千人の減少にとどまっております。
○きたしろ委員 いろいろな理由があって乗客数が微減をしているということでございますけれども、バスの路線やダイヤについて、次にお伺いをいたします。
都営バスにつきましては、乗客数が減少しているとはいえ、路線の増強に対する地元要望は強いものがあります。引き続き、路線やダイヤの見直しなどにもきめ細かく対応していただきたいと思いますが、交通局では、平成二十年度にバス路線の増強のためにどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。
○岡本参事 バス路線の増強についてでございますが、都営バスの路線や運行ダイヤにつきましては、再開発や鉄道網の整備などによる乗客潮流の変化を的確に把握し、需要に見合った見直しを行っております。
平成二十年度については、大規模マンションの建設などにより需要の増が見込まれました足立区新田地区から池袋駅までを運行している王55系統や、門前仲町駅から東京テレポート駅までを運行している海01系統などについて、輸送力の増強を図ったところでございます。
今後とも引き続ききめ細かな対応に努めてまいります。
○きたしろ委員 都民の足ですから、きめ細やかな対応というのは、ぜひとも心してやっていただきたいというふうに思います。
次に、バス停留所についてお伺いをいたします。
交通局は本年七月、私の地元からの要望にこたえ、これまで千駄ヶ谷方向のみであった青山陸橋下のバス停留所に横断歩道と信号機が設置されたことに伴い、目黒駅方向にもバス停留所を新設したところであります。地元の方々も大変喜んでおられます。バスの停留所は、バスを利用する際、乗客を迎え入れる重要な施設であり、日差しや雨を避けるための上屋やベンチを設置するなど、施設の改善にも積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
そこで、平成二十年度の交通局のバス停留所の上屋、ベンチの設置状況についてお伺いをいたします。
○松下自動車部長 都営バスでは、お客様にバスを快適にご利用いただけるよう、停留所における上屋、ベンチの整備を進めております。平成二十年度においては、上屋三十七棟、ベンチ五十基の設置を行ったところでございます。この結果、平成二十年度末における設置状況は、上屋千四百二十九棟、ベンチ七百四十四基となっております。
○きたしろ委員 上屋やベンチの設置に当たっては、道路上の制約や交通管理者、道路管理者等との調整が必要となり、設置が困難なケースもあると聞いております。このような制約がある中で、交通局は地元の要望にこたえ、積極的にその整備に取り組んできておることは高く評価したいと思います。上屋、ベンチは、今後高齢化が進むことから、利用者の快適性の確保を図る観点からも重要な施設であり、今後とも積極的に推進していただくよう、強く要望しておきます。
また、上屋は都市景観を形成する重要な要素であり、今後、整備していくに当たっては、都庁の前にあるような広告板がついている上屋のように、首都東京にふさわしい都市景観に配慮したデザインとしていく必要があると考えております。交通局では、二十年度からのバス停留所の上屋について、新たなデザインのものを設置していると聞いておりますが、どのようなものなのかお伺いをいたします。
○松下自動車部長 バス停留所の上屋は、委員ご指摘のとおり、都市景観上重要な要素と考えてございます。平成十九年度から設置を始めました広告つき上屋は、都会の風が緑の木陰を吹き抜けるイメージで、薄いアーチ屋根や柱と屋根の接合部にモザイク模様を使うなど、景観に圧迫感を与えない首都東京のまち並みにふさわしいデザインとしております。
また、平成二十年度からは、設置可能な場所について、広告つき以外の一般の上屋についても、同様のデザインのものを設置していくこととしております。
○きたしろ委員 これからは、環境とかいろいろな問題があるわけですから、ぜひともその辺の景観に配慮した上屋等バス停をつくっていっていただきたいと思います。
バス事業は、経済状況等に左右され、事業運営には難しさがあることは理解しているところです。今後、高齢化が進展していく中で、都バスは、だれもが利用しやすい身近な交通機関として、ますます重要性を増していくものと考えております。
私の地元の港区では、「ちぃバス」というコミュニティバスが運行されておりますが、大型の都バスが入れないような細い道路でも運行されており、地元の方の貴重な足となっております。交通局は、直接コミュニティバスの運営につきましても、ノウハウの提供など、一定の協力をしていると聞いておりますけれども、今後とも、地域の足を守るためにも一定の協力をしていただくよう要望しておきたいと思います。
次に、広告料収入についてお伺いをいたします。
交通局の主力事業である地下鉄事業及び自動車事業において、経営改善等の努力により黒字基調が続いていることは大変喜ばしいことと思っております。しかし、いうまでもなく、広告事業や不動産の貸し付けといった、いわゆる関連事業も交通局事業の重要な収入源であり、安定した経営を行うためには、収益を確保していかなければなりません。
最近、電車に乗ってみると、不景気の影響からか、広告掲出枠のあきが気になっているところでございます。そこで、平成二十年度の広告料収入の状況についてお伺いをいたします。
○廣瀬資産運用部長 平成二十年度の広告料収入でございますが、四十二億六千五百万円となりまして、平成十九年度比で九・七%、金額で四億五千六百万円の減となっております。
これは、世界的金融危機の影響で景気が低迷いたしまして、広告業界全体の売り上げが大きく減少したことが主な原因であるというふうに考えております。
○きたしろ委員 広告料収入は、経済の状況に応じて大変厳しいということはわかっておりますけれども、しかし、不景気の影響を受けているとはいえ、広告料収入を少しでも稼ぎ、収支の改善と乗客サービスの向上を図ることが必要であると思います。新規媒体の活用など、積極的な事業展開を図るべきと考えております。
そこで、広告料収入の増収に向けた課題についてお伺いをさせていただきます。
○廣瀬資産運用部長 交通局では広告料収入拡大のため、先ほどご指摘のございました広告つき上屋など、新規広告媒体の設置や既存媒体のリニューアル、広告主に向けた販売資料の整備、それから、各種販売促進企画などを積極的に展開してまいりました。しかしながら、広告業界全体の売り上げが大きく減少した現状におきまして、限られた市場規模の中から収入を確保していく必要がございます。このためには、同業他社に対する競争力を向上させますとともに、状況の変化にスピーディーに対応するため、人材の育成等が課題となっております。
○きたしろ委員 不景気とは思いますけれども、そういう中で、広告料収入の確保というのはなかなか難しいことだというふうには理解はしておりますけれども、ぜひ頑張って増収を図っていただきたいということを、お願いをしておきたいと思います。
これまで二十年度決算に基づき、交通局の主な収支状況及び利用者から注目されている事業の進捗確認を中心にしてまいりました。今年度は、新チャレンジ二〇〇七の最終年度であり、一番大事な締めくくりの年度に当たります。計画策定以降、さまざまな状況変化に対応しながら企業の効率性と経済性を発揮して、今後とも都営交通の利便性が高まるよう、さまざまな施策を実施していただきたいと考えております。
最後に、今後の事業運営に対する局長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○金子交通局長 交通局では、平成二十年度決算におきまして全事業の合計で百三十一億円の黒字となり、平成十八年度以降、三年連続で経常黒字を達成することができました。しかし、地下鉄事業では、なお巨額の累積欠損金を抱え、バス事業では営業赤字が続いており、将来的には各事業とも乗客数の増加が見込みがたいなど、都営交通を取り巻く経営環境は依然として厳しいものと認識しております。このため、各事業において引き続き経営改善を進めるとともに、乗車料収入や関連事業収入を最大限確保できるよう努めてまいります。
一方、お客様の安全・安心やサービスにつきましては、求められる水準がますます高まっていることから、大江戸線のホームさくの設置やノンステップバスの導入など、安全対策の強化や、お客様サービスの向上に必要な投資につきましては、引き続き積極的に行ってまいります。
今年度は経営計画新チャレンジ二〇〇七の最終年度として、計画に掲げた各事業や経営効率化の取り組みを着実に実施し、都営交通がお客様にとってさらに安全、快適で利用しやすい公共交通機関となるよう、全力で取り組んでまいります。
○きたしろ委員 今、局長の決意をお伺いさせていただきましたけれども、やはり公営企業としての、経営体としてのそろばん、あるいはまた乗客に対する安全・安心の確保という面も両方ありますので、ぜひともその辺のところを踏まえて、しっかりと努力をしていただきたいということをお願いをしておきます。よろしくお願いします。終わります。
○吉倉委員 私からも、平成二十年度交通局の決算について何点か質問いたします。
最初に、バリアフリー対策について伺います。
交通局では、障害者を初め、高齢者や幼児を抱えるお母様たちのために、だれもが利用しやすい駅を目指して、地下鉄全駅にエレベーター、エスカレーターの整備を進めていることについて、大変評価をし、期待をしているところであります。
しかし、先ほどの答弁にもありましたとおり、用地の確保のおくれなどが原因でなかなか計画どおりの設置が困難な駅が多いということでございます。この点を大変心配をしております。
私の地元新宿区の都営新宿線曙橋駅は、これまで長い間、エレベーターの設置を要望する声がありましたが、用地がないと、こういう理由ですべてかき消され、エレベーターを設置すること自体が不可能かと思われてきました。
この曙橋駅は、ホームから改札口までのエスカレーターはあるものの、改札口から地上までのエスカレーターは一部分で、途中から階段になります。この階段が長く、健常者であればともかく、高齢者やお体の不自由な方は、大変な苦労をして地下鉄を利用しているのが現状であります。
そこで、この曙橋駅について、地元の町会の方々、あるいは利用される多くの方々の要望を取りまとめ、ここ数年、繰り返し、繰り返し、エレベーター設置の要請を行ってまいりました。交通局は、こうした要請に対して、曙橋駅のバリアフリー対策についてどのように計画をされたのか、具体的にご説明をいただきたいというふうに思います。
○吉原建設工務部長 曙橋駅のバリアフリーの計画でございますが、本八幡方面行きホームと新宿方面行きホームからコンコース階まで、それぞれエレベーター一基ずつ、計二基、また、コンコース階から地上までは、市ケ谷駅寄りの北側にありますA3出入り口に、エレベーター一基を設置する計画でございます。
○吉倉委員 ご答弁いただきまして、全体の計画については確認ができました。それでは、平成二十年度における取り組み状況はどうだったのか、具体的に伺いたいと思います。
○吉原建設工務部長 平成二十年度の取り組み状況でございますが、曙橋駅のエレベーターによるワンルート確保につきまして、A3出入り口の改造も含め、先ほどご説明しました三基のエレベーター設置のための設計を行いました。現在、設計が完了し、工事発注に向けた積算を進めているところでございます。
○吉倉委員 答弁をいただきまして、一定程度準備ができていることは確認ができました。ところで、コンコースから地上部までのエレベーターは、A3出入り口に設置するということでありますけれども、曙橋には、ほかにも出入り口が三カ所あり、選択肢はいろいろあったというふうに考えられます。なぜエレベーターをA3出入り口に設置することにしたのか、その理由を伺いたいと思います。
○吉原建設工務部長 曙橋駅には出入り口が四カ所ございます。エレベーター設置に当たりまして、まず、利用者が多い新宿駅寄りの北側にありますA2出入り口付近への設置の可能性を検討しましたが、出入り口が民間ビルと一体構造であることや、駅施設の配置変更、地下埋設物処理等の課題が多く、困難であることが判明いたしました。
次に、A1、A4の出入り口につきましても同様に検討しましたが、駅換気施設と一体となった出入り口構造などから困難でございました。
また、駅出入り口以外の箇所のエレベーター設置につきましても検討しましたが、道路の両側はビルが建ち並んでおり、新たな用地取得は困難でございました。
残るA3出入り口につきましては、上部に併設されましたオフィス建物の処理や、限られた既設出入り口内での施工となるなどの課題がございました。
このため、出入り口の構造や工事方法等を詳細に検討するとともに、建物所有者との移転等の調整を図った結果、当該箇所にエレベーターを設置することとなりました。
○吉倉委員 大変詳しい答弁をいただきまして、エレベーターの設置にはさまざまな制約条件があるということ、よくわかりました。確かに用地がなければエレベーターも設置できないでしょうし、開発が進んでいる都心部において、新たに用地を取得することが困難が伴うということはよくわかりました。
曙橋駅のエレベーター設置の件につきましては、これまでの検討経過や現在の進捗状況についても確認することができました。ここまで準備ができているのであれば、もう早急に工事に着手していただきたいと思いますし、それが利用者や地元の方々の切なる願いであります。
そこで、エレベーターの工事方法と今後の見通しについてご答弁いただきたいというふうに思います。
○吉原建設工務部長 エレベーターの工事の方法でございますが、まず、ホームからコンコース階までのエレベーターを設置するには、コンコース階とホームの床の一部を取り壊します。その後、エレベーター設置空間を構築しまして、エレベーターなどの機器の設置や内装を行います。また、コンコース階から地上までのエレベーターを設置するには、A3出入り口の限られたスペースでの工事となりますため、まず、出入り口を閉鎖いたします。次に、エレベーターに支障となる構造物を取り壊し、エレベーター設置空間と階段等を構築いたします。その後、エレベーターなどの機器の設置や内装を行い完成となります。
現在、工事発注に向けて積算を行っているところでございますが、今年度内に工事に着手できるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
○吉倉委員 今、ご答弁のとおり、二十一年度中の工事着工ということですので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
地元ではエレベーターがいつできるのかという期待の声が大変強くて、工事の着工を待ち望んでおります。一日も早く工事に着手され、設置されることを強く要望しておきたいというふうに思います。
次に、地下鉄駅のホームドア、ホームさくについて伺います。
ホームさくは、駅のホームの安全対策の面から決め手となる施設であり、利用者の立場としてぜひ設置を進めていただきたい施設であります。特に目の不自由な方々にとって駅のホームは危険だらけの施設であり、さながらホームは欄干のない橋のようだと、このように日本盲人会連合の時任基清副会長も指摘をしております。もちろん、点字ブロックや、車両の間にある転落防止ほろの設置など、一定の対策は行っているとのことでありますけれども、目の不自由な方については、実に九八%もの方々がホームから転落した経験があると、このようにも聞いております。
また、ホームから転落した乗客を救おうとして線路におりた二人の男性が、転落した乗客とともに電車にはねられて死亡した、あの忌まわしいJR新大久保駅の事件から八年が経過いたしましたが、ようやくJRは、山手線にホームさくを設置することを発表したところであります。ホームさくの積極的な設置は、利用者が安心して鉄道を利用できるという利点があるばかりでなく、鉄道事業者にとっても、乗客の安全を守る姿勢を最大限にアピールすることとなり、企業価値の向上につながるものというふうに考えております。
都営地下鉄につきましては、営業中の路線としては全国の鉄道事業者に先駆けて、三田線にホームさくを導入したところですけれども、安全対策におけるホームさくの効果について、三田線の例により導入前と導入後を比較しながらご答弁いただきたいというふうに思います。
○室星電車部長 三田線におけるホームさく設置の効果についてでございますが、三田線では、平成十二年八月に、すべての駅で可動式ホームさくの運用を開始いたしました。三田線におきますホームからのお客様の転落件数でございますが、可動式ホームさくを導入する前の平成十一年度には六件、十二年度も導入前に一件ございました。導入後は、現在に至るまで転落事故は発生しておりません。このことからも、ホーム上のお客様の安全対策として可動式ホームさくは、ホームからの転落や列車との接触など、重大事故を未然に防止する上で効果があるものと認識しております。
○吉倉委員 ご答弁いただきましたとおり、転落事故がゼロになったということは大変喜ばしいことであり、ホームさくの導入効果は極めて高いということが確認できたというふうに思います。
しかし、あのホームさくの導入には莫大な経費がかかります。大江戸線のホームさくにつきましては、当初の概算の見込みで百九十億円との報告を受け、かなり費用がかかるものだなと、これでは、なかなか設置が進まないなという印象を受けたわけであります。大江戸線のホームさく設置費用に関しましては、昨年三月の公営企業委員会において、我が党の鈴木貫太郎議員から、少なくとも三分の二に圧縮できるのではないかという提案いたしましたところ、交通局から、可能な限り経費の節減に努めるとの答弁をいただきました。その後、交通局が策定された大江戸線可動式ホームさく整備計画においては、全費用で百二十億円となり、約束どおり三分の二のコスト圧縮を行ったと、このことは評価できるというふうに考えております。
多くの鉄道事業者が、ホームさくの設置を進めるためには、安全性を犠牲にすることなく、可能な限りコストを下げていく必要があり、三田線で経験を積んでいる交通局がお手本を示すべきだと、このように考えております。
そこで、ホームさくの経費節減対策について、どのような工夫をされたのかお伺いしたいと思います。
○広川技術調整担当部長 大江戸線可動式ホームさくの事業費に関するご質問ですが、自動列車運転装置、いわゆるATOによる運転を行っている路線に可動式ホームさくを新たに設置する場合は、既存のATOを大規模に改修する必要が生じます。これには莫大な費用を要するだけではなく、長期間にわたる改修工事が必要となります。そこで、技術的な検討を重ねた結果、大江戸線につきましては、ホームさくと車両のドアを制御する装置を、新たに追加する方式を導入することといたしました。この方式とすることで、ATOの改修を行わずに既存の設備を有効に活用することが可能となり、事業費を大幅に縮減することができました。
○吉倉委員 ぜひ、今後とも経費節減に努力をされまして、都営地下鉄全体にホームさくを設置されますよう要望しておきたいと、このように思います。
次に、障害者が働く店舗の状況についてお伺いいたします。
交通局は、経営計画新チャレンジ二〇〇七に基づき、障害者の自立と雇用を支援するため障害者が働く店舗につきまして、私ども都議会公明党の提案で、平成十九年度には浅草線の大門駅に、さらに平成二十年度には大江戸線の若松河田駅に設置されており、この実現を心から喜んでいるものであります。この店舗には、知的障害、精神障害のある方々が、障害を乗り越えて生き生きと働いている姿があり、このような店舗が、ますます広がることを期待しているところであります。
そこで、障害者店舗の営業状況について、平成二十年度を中心にご説明願いたいと思います。
○廣瀬資産運用部長 大門駅トロアの平成二十年度の営業状況についてでございますが、駅構内での販売に加えまして、地域のお祭り会場などでの出張販売や、本年三月には開店一周年記念フェアを開催するなど、さまざまな取り組みを行いまして、約五万二千人のお客様にご利用いただきました。
また、二十一年二月に開店いたしました若松河田駅エスポワールにつきましては、季節感のある商品を販売するなどの工夫を行いまして、二十年度は、約一月ではございましたけども、およそ五千人のお客様にご利用いただいたところでございます。
いずれの店舗も、パンがおいしいとの評判で、多くのお客様に喜んでいただいているというふうに聞いております。
○吉倉委員 ありがとうございます。現行の店舗の状況については、よくわかりました。
次に、障害者が働く店舗の今後の見通しについて伺います。
第一号店がオープンして二年半が経過いたしましたが、オープンまでの間を含めて、さまざまなご苦労があったことというふうに考えております。そこで、障害者が働く店舗の設置には、どのような課題があるのかお聞きしたいというふうに思います。
○廣瀬資産運用部長 障害者が働く駅構内店舗につきましては、交通局が出店場所を提供、消防など関係機関との調整を行いまして、区と障害者団体が、その設置運営を行っております。
課題といたしましては、駅構内は給排水などの設備条件や防火対策など、さまざまな制約がございまして、店舗を設置できる場所が少ないこと、また、多額の初期費用や運営費がかかりまして、区からの継続的な財政支援が必要であることなどが挙げられます。
○吉倉委員 答弁いただきまして、さまざまな課題があることがわかりました。
その中で、ことしの第一回定例会において、私が平成二十一年度の設置計画について質問したところ、三田線の高島平駅と浅草線の人形町駅の合計二店舗の設置を目指して、地元区との協議を進めていると、こういう答弁が局長よりございました。そこで、この二店舗の開設へ向けての今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
○廣瀬資産運用部長 今回、二店舗の設置に当たりまして、交通局といたしましては、関係機関との調整のほか、板橋区、中央区や障害者団体等と、さまざまな協議を重ねまして、ようやく開店の運びとなりました。
高島平駅の店舗は、本年十二月四日の開店を予定しておりまして、区内の障害者施設で製造いたしましたケーキ、パン、手づくり工芸品などを販売するというふうに聞いております。
また、人形町駅の店舗でございますが、本年十二月二十五日の開店を予定しておりまして、区内の知的障害者生活支援施設で製造いたしましたパンなどを販売するというふうに聞いております。
○吉倉委員 順調に調整が進んでいることをお聞きしまして、安心をしております。障害者の方々の働く場の確保が、さらに一歩、前に進められたことを大変喜んでいるところでございます。
最後に、利用者の声として、一つだけ要望しておきたいというふうに思います。それは、せっかくパンや飲み物を販売しているわけですから、小さくてもいいから、いすとテーブルを設置できないかと、こういうことでございます。スペースの問題、あるいは法令上の問題など、検討課題は多々あろうかと思いますが、このような声にも、ぜひ耳を傾けていただきまして、魅力ある店舗にするよう協力お願いしたいと、このように考えております。このような、大変意義深い施策につきましては、地元区や障害者団体とも協力をして、さまざまな課題を克服し、障害をお持ちの方々に働く場を確保して、自立を支援する役割を大きく担っていただきたいと、このことを強く要望しておきたいというふうに思います。
これまで地下鉄事業について、高齢者や障害をお持ちの方が、都営交通を快適かつ安心して利用できるような取り組みをいかに進めているのか、また、都営交通が、さまざまな要請に積極的にこたえているのかどうか、こうしたことについて、交通局の具体的な施策の取り組みについて、二十年度の実績を中心に質問をさせていただきました。バリアフリーに対する利用者や都民の要望は、まだまだたくさんありますし、交通局は、それにこたえていく責務があるものというふうに考えております。
そこで最後に、今後のバリアフリーに対する交通局の取り組みの考え方につきまして、局長のご所見をいただき私の質問を終わります。
○金子交通局長 交通局は、これまでも、東京都福祉のまちづくり条例や、いわゆるバリアフリー新法の趣旨を踏まえまして、だれもが安心して都営交通を快適に利用できるよう、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
具体的には、地下鉄の駅のエレベーター、エスカレーターの整備のほか、駅施設の小さなバリアの解消、ノンステップバスの導入など、ハード面の施策に加えまして、高齢者や障害者の立場に立った接客が行われるよう、高齢者の疑似体験研修やサービス介助士の資格の取得に取り組むなど、ソフト面での施策も推進してまいりました。
今後とも、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえながら、すべての人に優しい公共交通機関を目指し、ハード、ソフト両面から、都営交通のバリアフリー化を積極的に進めてまいります。
○星委員 私の方からは、平成二十年度交通事業会計の決算に当たりまして、都バスの事業について一点お伺いをいたしたいと思います。
都営バスの乗客数に関して、二十年度決算では、これは乗合自動車で二億五百五十七万一千人、一日平均五十六万三千人で、昨年より百八十五万一千人、一日平均四千人の減というふうにお伺いをしております。乗車料金から見ますと三百三十八億六千八百万円で、昨年より四億五千二百万円の減収となっています。交通局全体でも、昨年秋以降の金融危機による景気の後退に伴い、影響を受けているんではないかと思われます。
買い物やレジャーを控えるということや、特に、バスや都電の利用の方が、徒歩や自転車に乗りかえていくというようなことは、私どもの日常の生活の中で十分考えられることでございますけれども、不況による、この外出の減ということならば、それもそれで残念なんですけれども、都バスの使い勝手が悪いのでマイカーに切りかえていくというような、そういうような事態が起こらないように、都民の皆様の的確なニーズにこたえていっていただきたいと思います。乗りおりしやすいバスは、進行する高齢社会に備えての交通弱者の足、あるいは地球環境に優しい公共交通の手段として、これは採算性だけでは、はかり知れないものだというふうに認識しております。そこで、お聞きをしたいと思います。
私は多摩地域の選出なんですけれども、多摩は、民間のバスがとても発達しておりまして、都営バスというと、二十三区内を走っているというふうに認識していましたが、かなりの以前は、八王子や立川にも都営バス路線があったというふうにお聞きしました。経営改善などの再編から、廃止、縮小があり、多摩地域では、現在残っている路線として、梅70系統が運行をされています。この路線の沿線は、地元の自治体から分担金をいただいて存続しているというふうにも伺っております。この路線について、幾つか質問をさせてください。
まず、この路線の運行区間、運行距離、停留所の数、始点から終点までの所要時間、料金及び乗客数についての現状をお伺いいたします。
○岡本参事 梅70系統についてのお尋ねでございますが、梅70系統の運行区間は、青梅車庫前から西武新宿線の柳沢駅前までで、距離は約三十二キロメートル、停留所は九十三カ所でございます。全区間の所要時間は平均で約一時間五十分、料金は初乗り百七十円で最大五百六十円でございます。また、乗客数については、この数年間、一日当たり約二千二百人で推移しております。
○星委員 ありがとうございました。
今お伺いしただけでも、かなりの長い距離、そして、始点から終点までは一時間五十分ということですから、かなりの遠距離なんですけれども、この始点から終点まで、恐らく西東京市の柳沢から青梅までずっと乗っていらっしゃる方って、とても少ないと思うんですけれども、青梅街道を通過しているんですが、市域を越えて利用されているっていうふうに、私は認識をするんですが、乗客の皆さんのニーズは、どういったところにあるのでしょうか。そして、都内のほかの都バスの路線と異なり、私は極めて特殊な感じを受けるんですけれども、この梅70系統の設立の経緯についてお伺いできますでしょうか。
○岡本参事 梅70系統の設立の経緯についてのお尋ねでございますが、梅70系統は、戦後の復興期におきまして、多摩地域から都心地域への通勤通学客の増加に対応するため、昭和二十四年八月、青梅車庫前-荻窪駅前間で運行を開始したものであります。鉄道網の整備が進んだ現在でも、青梅街道沿いの五市一町を結ぶバス路線として、公立昭和病院へ通院される方を初め、地域の身近な交通機関として沿線の方々に利用されております。
○星委員 病院や通学など、地域の強い要望があって、この路線は存続をしているということですが、五市一町の、この公共負担の内容についてお伺いできますでしょうか。
○岡本参事 公共負担についてのお尋ねでございますが、著しい赤字系統となっていた多摩地域の都営バス路線については、昭和五十七年四月以降、関係自治体との協議を進め、昭和五十九年六月に、関係自治体の負担を前提に、地域住民の日常生活にとって必要な路線として存続を図ることにしました。公共負担の内容については、青梅市等の関係自治体と協定を定めており、関係自治体の負担額は、欠損額の三分の二でございます。
○星委員 それでは最後に、意見、要望を述べさせていただきたいんですけれども、今お答えをしていただきましたが、五市一町で、ことしの決算ベースでおよそ一億八千万円ぐらいの、これ、多分バスの折り返しの操車場というのかな、それの土地の賃借料も含んでのことですが、かなりの金額の分担金をいただいて、それでも、三分の二が欠損金で、三分の一が東京都負担ということで行われているようですが、六十年以上たっているということもあって、各自治体は、それぞれやっぱりいろいろな状況で、地域の住民の方たちの強い要望で、コミュニティバスをあちらこちらに運行をしているということだとかありますので、東京都は、三年ごとに各市の要請を受けて協定を行っているというふうにお伺いしましたが、今後は、私は、それぞれの自治体の実情や交通政策に合わせた路線のあり方について、中長期的な視点に立って検討していっていただきたいというふうに思います。このことを強く要望いたします。
それと、この分担金なんですが、今年度というか、例年の決算書をちょっと見ましたら、どこを見ても、なかなか見つからなくて、歳入が。お伺いしましたところ、営業収入の雑入のところに、どうやら含まれているということをお伺いしました。決算の説明書の方に、もう少しわかりやすい工夫で記述がしていただけるような、そういうことも、あわせて要望をしたいと思います。
終わります。
○たきぐち委員 たきぐち学でございます。よろしくお願いいたします。
まず、交通局の主力事業であります地下鉄事業について伺いたいと思います。
平成二十年度の地下鉄事業の決算は、経常利益が約百四十億円と十八年度から三年連続の黒字となったわけでございます。これまで毎年度赤字を計上していた状態を脱したことは、評価できると思います。しかしながら、累積欠損金については四千四百億円を上回っており、依然と高い水準にあるかと思います。経営計画新チャレンジ二〇〇七では、収支目標として、経常利益の拡大に努め累積欠損金の縮小を図ると掲げられているわけでございますが、二十年度決算の経常利益の結果、累積欠損金の状態が、三カ年の経営計画の中間の年として、目標に対してどのような水準になったか認識をされているのか、まず伺いたいと思います。
○野澤総務部長 地下鉄事業の経常利益、累積欠損金の経営計画の目標と、二十年度の決算についてでございます。
経営計画では、計画二年目となります平成二十年度の財政収支の目標は、経常利益が四十五億円、累積欠損金は四千七百二十二億円でございます。これに対しまして、平成二十年度決算では、経常利益が約百四十億円、累積欠損金は四千四百三十三億円となっておりまして、経常利益で約九十五億円、累積欠損金で二百八十九億円、経営計画の目標を上回っております。
しかしながら、ただいま委員ご指摘のとおり、依然として四千四百億円を上回る累積欠損金を有する状況に変わりはございません。引き続き経営効率化を進めるとともに、増客、増収に取り組む必要があると考えております。
○たきぐち委員 経常利益、累積欠損金とも、計画を上回る数字を達成したということは、評価できると思います。また、乗車料収入も、これも年々増加をしているということも、明るい材料かなというふうに考えております。
しかし、先ほど局長からもお話ありましたけれども、中長期的に乗客数の増加は見込めないという趣旨のご説明がございました。また、決算資料を見ますと、ここ数年、地下鉄事業を牽引してきたと見られます大江戸線の乗客数の伸びが、この二十年度決算に限っては、ややとまったかなという感じも見てとれるところでございます。これについては、昨年秋のリーマンショック以降の景気悪化の影響があるのかなと推測できるところでございますけれども、今年度に入っても、乗客数については伸び悩んでいるということを聞いております。こういう中で、引き続き経営効率化に取り組んで、経営計画の達成に向けて努力を重ねていただきたいと思います。
その際、駅業務の民間委託などを進めるということも課題になってくるんだろうと思いますが、一方で、委託を進めることによって、技術のノウハウが喪失をされたり、あるいは人材の育成が滞ってしまうというところも、一部指摘をされているところでございます。経営の効率化や健全な経営基盤の強化、確立という観点と、安全の確保と、この両面を両立していくためには、効率化一辺倒に偏ることではなくて、人材の育成という観点からも取り組みが不可欠ではないかなと考えております。顧客満足という観点からも、交通事業にとって人材育成という観点が大事だと思いますが、ここで、経営計画の中でも、経営改革の推進に当たって人材育成をテーマとして掲げられておりますが、これまで人材育成に関して、どのような取り組みをされてきたのか伺います。
○佐藤職員部長 人材育成の具体的な取り組みについてでございますけれども、まず、厳しい経営環境の中、交通事業者として生き残っていくためには、交通事業のプロフェッショナル職員の確保、育成が不可欠であると、そういった認識に立ちまして、平成十九年五月に、交通局人材育成方針を策定しまして、人材の育成に鋭意取り組んでいるところでございます。
それから、具体的には、地下鉄乗務員等に対します経験年数に応じた研修の拡充や、技術職員につきましては、技術の継承のために、実地に即した研修を実施するなど、研修の充実強化を図っています。さらに、平成二十年十一月には、交通局の、これは職場内研修と申しますか、OJT取り組み方針を策定をしまして、各職場の実態に合わせたOJTに取り組んでいるところでございます。
今後とも、この安全の確保を初めとしまして、交通局事業を支える人材の育成に最大限努力してまいります。
○たきぐち委員 人材育成に対する取り組みについて、ご説明をいただきました。顧客満足、顧客本位の観点から、意義のある人材育成について、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
また、こうした人材育成が、とりわけ安全対策、あるいはサービスの向上に結びついていかなければならないと考えております。そこで、新チャレンジ二〇〇七で掲げられております地下鉄の安全対策について、特に人材育成という観点から、どのような事業を推進をしてきたのか伺いたいと思います。
○佐藤職員部長 地下鉄の安全を支える上で、人材の育成は重要であるというふうに、十分に認識をしてございます。
このため、新チャレンジ二〇〇七では、事故から学ぶ展示室及び新型運転シミュレーターの導入の二事業を推進しています。また、この事故から学ぶ展示室につきましては、安全意識の高い職場風土をつくることを目指しまして、過去の事故事例をもとにしました教育用資料の展示室を研修所内に設置したもので、平成十九年十一月にオープンをし、各種研修に活用するとともに、この資料に基づくDVDを作成しまして、事業所等におきましても、それを使った安全教育をやっているということでございます。
また、新型運転シミュレーターにつきましては、新宿線型のもので、運転を基本としました従来型と申しますか、機能に加えまして、事故等の異常時訓練機能も備えまして、さらに、車掌業務の訓練にも適用できる、そういった機能も備えております。こちらの方は、平成二十一年二月に、研修所に設置をしまして、従来型の浅草線型シミュレーターに加えまして、乗務員の養成、それとまた、研修に十分活用しているところでございます。
○たきぐち委員 安全面に対する人材育成という取り組みについて、ご説明をいただきました。
きょうのところは、人材育成という観点からの安全対策にとどめたいと思います。先ほども、質疑の中でありましたけれども、さまざまな安全対策、JR福知山線の痛ましい事故を忘れることのないように、引き続き人材育成以外の安全対策についても、十分に取り組んでいただきたいと要望いたしたいと思います。
また、安全対策と同時に、サービスの向上によって収益力の確保を図っていくということが重要であることはいうまでもありません。新チャレンジ二〇〇七の中でも、安全・安心と並ぶ柱として、便利で快適なサービスの提供ということが挙げられております。そこで、新チャレンジ二〇〇七の中で、地下鉄事業の便利で快適なサービスの提供として、新たに八事業の新規事業を掲げられております。この新規事業につきまして、計画二年目である平成二十年度末現在の取り組み状況について教えてください。
○小泉企画担当部長 交通局経営計画新チャレンジ二〇〇七におきまして、地下鉄事業における便利で快適なサービスの提供の取り組みでございます。
輸送力の増強や、駅の利便性、快適性の向上、バリアフリーの推進など、さまざまな施策を実施しているところでございます。この経営計画における主な新規事業につきまして、平成二十年度末までの取り組み状況を申し上げますと、まず、乗客数の伸びが大きい大江戸線と新宿線の輸送力を増強し、混雑を緩和するため、平成二十年度に、大江戸線の二編成十六両、新宿線の四編成分八両を発注いたしました。
また、地下鉄駅の小さなバリアへの対応といたしまして、ぬれると滑りやすい一部の床や、トイレ内の小段差、通路上の小スロープ、こういったものの解消を目指しまして、平成十九年度は大江戸線を中心に十五駅、平成二十年度は新宿線の十五駅につきまして、改善を実施いたしました。
また、このほかにも、PASMOの導入や、サービス介助士の配置などについても、実施をしております。
引き続き、お客様に心から喜んでいただけるサービスを提供し、快適で利用しやすい都営交通を目指してまいります。
○たきぐち委員 新規事業に関しては、サービス向上に向けまして、一年一年、検証しながら、引き続き取り組んで進めていただきたいと思います。
以上、地下鉄事業について質問をいたしましたが、地下鉄事業につきましては、新チャレンジ二〇〇七を着実に推進をして、安全とサービスの両面を充実をさせ、増客、増収を図っていただきたいと要望をいたします。
次に、バス事業について伺います。
バス事業の平成二十年度決算を見ますと、乗客数の減少により乗車料収入が減少しております。経営計画においても、都バスの乗客数は、自家用車の普及や地下鉄網の整備が進んだこと等により減少が続いており、今後も、さらなる減少が見込まれると分析をされております。こうした分析に基づいて、計画でも収支目標を立てられているかと思いますが、経営計画で掲げた収支目標の達成に向けまして、二十年度は、どのような対策を講じたのか、また、収支目標の達成度について、このバス事業におきましては、どのように認識をされているのか伺いたいと思います。
○岡本参事 新チャレンジ二〇〇七の収支目標達成にかかわる対策等についてのお尋ねでございますが、平成二十年度は、日暮里・舎人ライナーや副都心線開業による収入減が見込まれましたが、新チャレンジ二〇〇七に掲げられた収支目標の達成に向け、増収対策や事業の効率化など、収支両面で取り組んでまいりました。
バス事業の効率化の一環として、平成十五年度より、運転業務、運行管理業務及び車両整備業務の管理の委託を行っておりますが、平成二十年度においては、四月から新たに、港南支所において管理の委託を実施いたしました。
また、新チャレンジ二〇〇七における収支目標は、平成二十一年度に経常損益の黒字転換を目指すものでございます。計画の中間年である平成二十年度の決算では、経常損益が約八億円の黒字となっており、厳しい事業環境ではございますが、収支目標は、どうにか達成できる見込みでございます。
○たきぐち委員 経常利益で黒字を計上したとはいえ、営業利益が約二十三億円の赤字を計上しているということからも、バス事業の経営環境の厳しさというのはわかるところであります。
こうした中で、バス営業所の管理業務の委託化などを進めて、経営の健全性を保つ取り組みを進められているということは、認識をいたしたところでございますが、都営バス全路線のうち、約七割近くが不採算路線であると聞いております。こうした不採算路線というのは、地域の住宅環境であったり、あるいは道路の環境とか、交通機関の、バス以外の交通環境の関係であったり、さまざまな要因があると思いますけれども、一般的に、どういうようなバス路線が不採算路線になる、そんな傾向があるのか教えていただきたいと思います。
○岡本参事 不採算になる傾向の路線についてのお尋ねでございます。
それぞれの路線は、さまざまな特徴を持っておりまして、一概に、どのような路線が不採算の傾向にあるかを把握することは難しいのですが、鉄道と競合している部分が多い路線や、距離が長く、お客様の乗りおりの頻度が低い路線などが、赤字となっております。
なお、平成二十年度決算では、都営バス百三十九系統のうち、九十三系統が赤字路線でございます。
○たきぐち委員 都営バスは、いうまでもなく公営交通でありますから、不採算であるからといって、その路線を安易に廃止をするという判断はできないと思います。とはいえ、不採算路線を黒字路線でカバーをしていくという姿になるのかと思いますが、公営交通だから不採算でも仕方ないということではなく、不採算路線に対しては、その要因を認識をして分析をし、少しでも赤字額が縮小するように取り組んでいかなければいけないと思います。そこで、不採算路線のてこ入れ策と、黒字路線の収益の拡大策について、どのように考えられているのかお聞かせください。
○岡本参事 ご質問にお答えいたします。
バス事業における採算性の確保を図ることで、赤字路線を含め、都民生活に必要な都営バスネットワークを維持していくことが、公営企業としての交通局の役割であると認識しております。
今後とも、地域の再開発や鉄道網の整備などによる乗客潮流の変化を的確に把握することに努め、路線の経路変更や運行回数の増回など、需要に見合ったバス路線の見直しや運行ダイヤの適正化を図ってまいります。
○たきぐち委員 引き続き取り組んでいただきたいと思います。
近年は、基礎的自治体によるコミュニティバス事業が、大変注目をされております。私の地元の荒川区でも、コミュニティバス「さくら」が運行をしておりまして、隣の台東区でも、「めぐりん」が三路線走っている。先ほども、コミュニティバスのお話が出ました。こうしたコミュニティバスというのは、福祉の観点からも、都バスが走行できないような狭い道を走行して、きめ細かなサービスを行っているところでございます。こうしたコミュニティバスと都営バスが適切な役割分担を行って、うまく協力、連携をしていくことが、都民にとっての利便性の高い交通ネットワークの構築につながってくると思っておりますので、そのことを要望をいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
最後に、私の地元である荒川区を走る都電の荒川線について、質問をいたしたいと思います。
都電荒川線は、荒川区にとってシンボルの一つでもありまして、区や民間の団体も都電を活用したイベントを催すなど、地域活性化としても力を入れているところであります。そういう中にありまして、軌道事業について、平成二十年度決算で経常損益が赤字となったことは心配の種でございます。この二十年度決算が赤字となった要因と、二十一年度の見込みについて伺いたいと思います。
○野澤総務部長 都電荒川線が平成二十年度決算で赤字となった理由でございますが、まず収入面では、昨年秋以降の景気悪化などに伴いまして、十九年度と比べ、乗車料収入などの営業収益が約三千五百万円減少いたしました。また、支出面では、車両の修繕費がふえたことなどによりまして、営業費用が約四千九百万円の増となっております。この結果、十九年度は約四千六百万円の黒字でありましたものが、二十年度は四千五百万円の経常損失となったところでございます。
次に、平成二十一年度の見込みについてでございますが、今年度も、お客様の減少傾向が続いていることに加えまして、荒川線では、現在、電車の安定運行に資する変電所改良工事や、より安全性を高め、環境面やユニバーサルデザインにも配慮した新型車両の導入を計画的に進めるなど、設備更新を進めておりまして、これに伴いまして、今後、減価償却費の増加が見込まれております。このため、今年度も厳しい収支状況になるものと見込んでおりまして、これまで以上に、増客増収対策を強化していくなど、収支改善に向けた取り組みを進める必要があると考えております。
○たきぐち委員 乗車料の収入の減少のほかにも、車両の修繕費の増加が収支に大きな影響を与えたということで、今年度も厳しい見通しということでございました。
都電荒川線は、荒川区の地元にとりましても、地域振興の重要な役割を果たしておりますので、ぜひ、引き続き都電の活性化についてはお願いをいたしたいと思います。
また、今ご説明がありましたとおり、新型車両の導入、レトロ車両であったり、あるいはローズレッドの新型の車両の導入がされておりまして、三カ年の計画のもとでも、さらに新車がふえると聞いております。ことし四月の新型車両導入のイベント、あるいは九月の都電荒川線の日のイベントに多くの人が参加をされたように、都電荒川線は、まさに都営交通を代表する乗り物だと、私は考えているところでございます。
そこで、最後に伺いますが、新型車両の導入をてこに、さまざまな増客対策を講じるべきだと考えておりますけれども、どのような方策を考えられているのか、お考えをお聞かせください。
○室星電車部長 都電荒川線の増客対策でございますが、都電荒川線は、一日平均約五万二千人のお客様が利用する地域に密着した交通機関としての役割を担っております。また、これまで観光資源としての活用も目指し、昭和初期をイメージしたレトロ車両の導入、三ノ輪橋及び庚申塚停留場のレトロ化、荒川電車営業所内における都電おもいで広場の開設などの活性化策を講じてまいりました。
ただいま委員からお話しございましたが、新型車両は大変好評でございます。荒川線の話題性は、一層高まっていくものと考えております。こうした機会をとらえ、今回、沿線の見どころを、もんじゃ焼き、居酒屋など、特定のテーマを決めて特集する「都電ごちそう停留場」を発行するなど、沿線での回遊性、にぎわい性を創出する取り組みを進めております。
また、手ごろな価格で都電を満喫していただける車両の貸し切り運行についても、これまで以上にPRしていくとともに、地元区とも連携した広報活動、イベントの実施にも努めてまいります。
平成二十三年には都営交通百周年を迎えることから、荒川線においても、これを盛り上げる企画を打ち出し、さらなる活性化につなげてまいる所存でございます。
○たきぐち委員 ありがとうございます。
都電は、都営交通の発祥の交通機関でもあります。また、近年は、LRT、ライトレールというのが注目をされ、次世代型の路面電車ということで、各地で復活をされたり、あるいは導入されたりということもありますので、ぜひ交通局として、引き続き増客増収対策を充実するなど、さまざまな工夫を凝らしていただきたいと思いますし、また同時に、沿線四区との連携、あるいは地域の団体との連携というのが重要になってくると思っております。
昨日も、子育て世代の利便性を高めるということで、ベビーカーを都電に乗せるという、そんな企画があったということも聞いておりますので、ぜひ利用者のさまざまな要望を聞きながら、利用客の利便性の向上を図って、そして同時に、地域活性化を図っていくということが、都電荒川線の収支改善にもつながると考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
以上で質問を終わります。
○伊藤委員 先日の本委員会におきまして、交通局の方から決算の説明をいただいたわけでありますけれども、昨年来の金融危機に端を発します経済不況の影響を受けて、乗車料収入が減少する中、二十年度の交通局経営は、かなり厳しいものがあったと思います。しかし、そうした中にあっても、局全体の経営努力によって健闘をされたことが、説明でよくわかりました。その中で、決算に関連して気になった点について、何点か、本日は質問をさせていただきたいと思います。
まず、資本的収支の差し引きとして示された金額は、すべての会計で不足となっておりました。例えば高速電車事業会計では、資本的収支の収支差引不足額が約六百五十一億円となっておりました。一見すると、この六百五十一億円、非常に多額の不足額が生じており、驚いてしまうわけでありますけれども、そもそも、資本的収支というのは、直接当年度の収益に対応しない設備投資などにかかわる金額であり、交通局では、差引不足額については、実際には現金支出のない減価償却費などで補てんをしており、むしろ健全な財務状態を維持しているといえると思います。
一方、この資本的収支に関して、私たち議会がチェックをしなければならないのは、どれだけの金額が有効な設備投資等に使われたのかという点でありまして、交通局にあっては、安全対策や都民の利用者サービスの向上に、どれだけ有効な投資がなされたかが重要なことと私は考えます。
そこで、まず、二十年度決算の概要説明において、都営地下鉄の安全・安心を確保するため、駅の火災対策を初めとしたさまざまな取り組みを行ったと説明がありましたけれども、都営地下鉄の安全・安心を高めるために投資した金額は、どのくらいになるのか伺いたいと思います。
○野澤総務部長 都営地下鉄の安全・安心を高めるための投資額についてでございますが、平成二十年度におきまして、都営地下鉄の施設、設備の改良のための投資額は二百三十九億円となっておりまして、そのうち安全・安心を高めるための投資に、その約半分となる百十五億円を投じております。その主な内容といたしましては、浅草線中延駅などの地下駅の火災対策に四十億円、新宿線東大島変電所の設備更新などの変電所設備の機能強化に二十三億円、新宿線荒川・中川橋梁の耐震補強などの橋梁等構造物の強化に六億円となっております。
○伊藤委員 先ほど申し上げました私たち議会が、しっかりとやっぱりチェックをしなきゃいけないことは、この設備投資に、都民の目線から、利用者の目線から、どのように使われているのかということだと思いますけれども、今ご答弁いただいたとおり、安全・安心を高めるために、しっかりと投資がなされているということについて答弁伺いまして、安心をいたした次第でございます。
以前、私は公営企業委員会に所属しておりまして、地下鉄の安全対策については特に関心を持って、例えば地震対策の一環として緊急地震速報システムの導入など、さまざまに質問、提案をさせていただきました。また、その当時、平成十五年の韓国大邱市の地下鉄火災事故の教訓を受け、都営地下鉄でも地下駅の火災対策の強化に取り組んでいると説明を受けました。
万が一、地下鉄の駅で火災が発生すれば、煙が充満したり、また、閉鎖された地下空間の中で、都民や利用者が非常に危険な状態になることが予測できます。今、安全・安心を高めるための投資の中で、都営地下鉄浅草線の中延駅の火災対策を行ったとの答弁もいただきましたけれども、都営地下鉄の駅では、これまでどのような火災対策を講じてきたのか、二十年度の取り組みも含めて伺いたいと思います。
○吉原建設工務部長 都営地下鉄の駅の火災対策でございますが、平成十五年二月十八日に発生いたしました韓国大邱市におけますガソリンの放火事件を受けまして、国土交通省は平成十六年十二月二十七日に、地下鉄道の火災対策基準について、いわゆる新基準を制定いたしました。
新基準の内容でございますが、ガソリン放火による火災に対応できる排煙設備の設置、二方向避難通路の確保、防災管理室の防災盤整備、屋内消火栓、スプリンクラー等の消防設備の配置などでございます。
都におきましては、平成十七年度から新基準に適合するように火災対策を行いまして、二十年度は、浅草線中延駅など三駅、三田線春日駅など四駅、合計七駅で整備が完了しております。
○伊藤委員 火災対策については、鋭意取り組んでいただいているということが、よくわかりました。今後も、ハード面の整備だけでなく、避難誘導訓練等も含めて、万全な備えを積み重ねていっていただきたいと要望いたします。
一方、地下鉄の駅の安全という観点からいえば、浸水についても心配をしているところであります。つい先日も、大型の台風が日本に上陸したわけでありますけども、加えて、最近は、いわゆる都市型集中豪雨への対応も喫緊の課題であります。集中豪雨により一気に地下街に水が流れ込んだというニュースも耳にする中、都営地下鉄は、都民の足として非常に重要な交通機関でもあり、交通局の経営方針にも、災害に強い都営交通を目指すとありました。そこで、改めて、災害時における都営地下鉄の駅への浸水を防ぐ取り組みについて伺いたいと思います。
○吉原建設工務部長 都営地下鉄への浸水経路としましては、駅の出入り口と通風口が考えられますが、駅の出入り口では、周辺の地形などを考慮しまして、浸水のおそれのある箇所に止水板を設置し、浸水を防止しております。
浅草線と三田線は自然換気を行っているため、歩道面に換気用の通風口を設置しておりまして、このうち、浸水するおそれのある箇所につきましては、浸水防止機を設置しております。豪雨が予想されるときは、駅からの遠隔操作によりまして、これを閉鎖し、浸水を未然に防止しております。万が一、通風口からの浸水が発生した場合には、これを感知し、自動的に閉鎖する仕組みとなっております。
また、豪雨に備えるため、都営地下鉄の各部門が、合同で年一回、自然災害防止訓練を実施しております。
○伊藤委員 自然災害等によって、この水の事故、昨年も下水道局の方で、大変な痛ましい事故があったのも記憶に新しいところであります。特に、この地下鉄、地下でございますので、万が一に備えて、せっかく、今ご答弁いただいたように、設置していただいた設備を有効に機能させていただいて、浸水による被害が絶対に出ないようにお願いをしたいと思うものでございます。そのためにも、今後とも継続して、先ほどの火災対策と同じように、訓練等を行うなど、日々、安全を守るための努力を重ねていただきたいと思います。
次に、決算概要説明の中にもありました社会的要請への対応について、何点か質問させていただきます。
まず、地下鉄事業における社会的要請への対応として、駅施設のバリアフリー化が代表例として挙げられておりました。東京の地下鉄は、網の目のように張りめぐらされておりまして、ダイヤも正確であり、非常に便利な公共交通機関であります。しかし、高齢者や障害者、また、ベビーカーを引いたお母さんたちにとって、地上、そして、ホームを上りおりするのに非常に大変であるという声も、たくさん届いているところであります。昭和の時代に建設された地下鉄につきましては、当時、高齢者の割合も少なかったということでもありましょうか、今ほどバリアフリーという発想がなかったのだと思いますけれども、現在スペースがない中、後づけでエレベーターを設置せざるを得ないという苦労は、十分わかっております。しかしながら、やはり高齢社会を迎えた今、エレベーターによるワンルートの確保は不可欠であります。
先ほど、きたしろ委員の質疑にも、また、答弁にもありましたけれども、計画よりもおくれているということがわかりましたけれども、私がよく利用する浅草線につきましても、最も古い都営地下鉄ということもあってか、ワンルートの整備率が低い状況にあると思います。その中でも、JR山手線との乗りかえ駅でもあります五反田駅につきましては、私は以前から、早期のバリアフリー整備をお願いをしてきたところであります。この五反田駅のワンルートの確保のための工事の進捗状況を伺いたいと思います。
○吉原建設工務部長 浅草線五反田駅のワンルート確保につきましては、既に、駅ホーム階からコンコース階へのエレベーター設置が完了しております。現在、浅草線からJR五反田駅東口への乗りかえ階段付近に、コンコースから地上までのエレベーター及びエスカレーターを設置する工事を行っております。
工事の進捗状況でございますが、現在は、地下のふくそうした埋設管を防護しつつ、軟弱な地盤の改良を実施しながら、掘削作業を進めているところでございます。平成二十二年度内の供用開始を目指し、鋭意工事を進めてまいります。
○伊藤委員 五反田駅も含めまして、ぜひワンルート確保の早期、目標一〇〇%達成を目指していただきたいと思います。
次に、安全・安心のためのソフト面について、何点か質問させていただきます。
先日、都営地下鉄の新橋の駅で、私は、視覚障害者の利用者の乗客の方を、職員の方であったんでしょうか、非常に上手に介助している姿を見かけました。対応がとてもスムーズでありまして、安心して見ておりました。その姿を見て、私は、交通局が経営計画に盛り込んだ都営地下鉄各駅に配置するとしていたサービス介助士だと思いました。サービス介助士というのは、高齢者や障害者等が駅を利用する際などに必要な介助技術に加え、おもてなしの心を習得した方が取得する資格であり、駅のサービスアップを図るとともに、利用者に安心感を持ってもらう上でも、サービス介助士の配置は非常に大事な取り組みであると、私も、その推進を提案をさせていただいたことがあります。
そこで伺いますけれども、都営地下鉄におけるサービス介助士の配置状況は、現在どうなっているのか伺いたいと思います。
○室星電車部長 サービス介助士の配置状況でございますが、都営地下鉄では経営計画新チャレンジ二〇〇七に基づき、高齢者や障害を持つお客様などが、いつでも、快適に、安心して利用できるよう、平成十九年度から、助役以上の駅員を対象にサービス介助士の資格取得を進めてまいりました。その結果、平成二十年度末までに、対象となります駅員四百五十九名中四百三十六名が資格を取得し、すべての駅に配置を完了しているところでございます。
今年度も、未取得者などを対象に、引き続き資格の取得を進めているところでございます。
○伊藤委員 二十年度までで、全駅に配置が完了したということを聞き、大変に安心をいたしました。
先ほどサービス介助士の役割について、私の方から少し簡単に紹介をさせていただきましたけれども、実際、駅などの現場で、サービス介助士の方々はどのような活動をしているのか、わかりやすくご説明いただければと思います。
○室星電車部長 サービス介助士の活動でございますが、サービス介助士の資格を取得している駅員は、資格を取得するに当たって、サービス介助の基本理念、接遇、介助技術などを学び、さらにさまざまな用具を用いた高齢者疑似体験や接遇訓練、車いす操作方法、視覚障害者への介助などを内容とする実技講習を受講しており、介助にかかわる専門的知識を身につけております。
駅における活動といたしましては、お年寄りや障害をお持ちのお客様のご案内、ベビーカーでご利用になるお客様の手伝いなどで身につけたサービス介助士の知識を生かし、お客様の立場に立ったもてなしの心を持って、親切丁寧な対応を実践しているところでございます。さらに、駅員がサービス介助士の資格を取得することは、職場全体のお客様サービスの意識向上に大きく寄与するものと考えており、先ほどもご答弁申し上げましたが、引き続き資格の取得を進めてまいる所存でございます。
○伊藤委員 ぜひ今後とも、サービス介助士の資格取得者をふやすとともに、資格を生かした実践的活動をしていただきまして、だれにでも優しい都営地下鉄を目指していただきたいと思います。
そこで、ただ一つ気になる点がありますけれども、サービス介助士が各駅に配置されているということについて、都営地下鉄の利用者やまた都民へのPRが、私は足りないんではないかと思います。せっかくサービス介助士の資格を持った職員を養成しても、利用者や都民が都営地下鉄の駅には介助技術を学んだ職員が配置されているということを知らなければ意味がないわけであります。せっかくよい取り組みをしているわけですから、サービス介助士の資格を持っている職員は、例えば腕章をつけるなど、もっと都民や利用者にPRすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
○室星電車部長 PRについてでございますが、これまでサービス介助士につきましては、すべての駅への配置を目指し、駅員の資格取得を積極的に推進しているところでございます。ただいまご指摘のとおり、お客様へのPRという点では不足していたことも事実でございます。今後、資格を持っている駅員がお客様から見てわかるよう、今年度中に、制服の胸につけるバッジを作成いたしまして、サービス介助士配置の取り組みをアピールしていきたいと考えております。
○伊藤委員 早速、バッジの着用を始めるというご答弁いただきまして、大変にありがとうございます。バッジのほかにも、地下鉄の入り口や切符売り場、あるいは改札口などに、例えばですけれども、当駅ではサービス介助士があなたのお手伝いをしておりますといった文言などですね、ポスターを掲示するなどのPRも積極的に進めるべきだと要望させていただきたいと思います。
次に、広告事業について、中でもラッピングバスについて伺いたいと思います。
ラッピングバスについては、導入に当たっては、屋外広告物に対する規制の問題など、苦労があったと聞いておりますけれども、今や都バスに限らず、まち中で頻繁に見かけるようになりました。交通局にとって、このラッピングバスによる広告収入は貴重な収入源になっていると考えますけれども、本業の交通事業を支える上でも、このような附帯的な事業を行うことは非常に有効だと考えます。そこで、ラッピングバスの広告料については、現在どのような料金設定になっているのか、伺いたいと思います。
○廣瀬資産運用部長 ラッピングバスには、車体全体を使いますフルラッピングと一部を使いますパートラッピングがございまして、その広告料は、営業所、路線ごとに七段階のランクを定め、料金を決めております。なお、製作料及び取りつけ撤去料金は広告料金には含まれておりませんで、広告主の負担となってございます。
○伊藤委員 料金設定の考え方についてはわかりました。それでは実際の収入はどれくらいになるのか、平成二十年度決算も含めて、ラッピングバスの広告料について、過去数年の収入の推移と、また傾向、そして、新たに見えてきた課題などがあれば伺いたいと思います。
○廣瀬資産運用部長 ラッピングバスは、平成十二年度に開始いたしました。その広告料収入は、平成十四年度の九億六千八百万円をピークに減少に転じまして、平成二十年度は四億七千九百万円でございました。これは新規媒体としての話題性や目新しさが薄れまして、大手広告主による発注が減少したことなどによるものと考えております。
これまでもラッピングバスの広告料収入を確保するため、パートラッピング販売などの取り組みを行ってまいりましたが、今後さらなる利用拡大に向けまして、新たな販売促進策を実施していくことが課題となってございます。
○伊藤委員 広告媒体としての目新しさが薄れるなどして、平成十四年、ピーク時には九億円あったこの収入が二十年度には四億円と、半分以下に落ちてしまったと、収入が減少しているということでありましたけれども、そこがやはり広告事業の難しさであるというふうに思います。
さらに、この不況が続く中、当然、企業も広告分野から経費を削減しているでしょうから、ますます交通局の広告事業も厳しくなるのではないかと心配をしております。今後、広告事業を盛り上げていくためには、やはり新しい広告媒体の開拓が不可欠ではないかと私は考えます。
そこで、私からの提案でありますけれども、デジタルサイネージというのがございます。日本語でいえば、電子看板ということでございまして、私たち山手線等に乗りますと、入り口のすぐ上のところに液晶画面が出ておりまして、さまざまなクイズや、あるいは広告等が出ている、あれがいわゆるデジタルサイネージ、紙を使わないで、情報と、また、通信と表示によりまして、このデジタル技術を活用して、平面ディスプレーなどによって映像や情報を表示する広告媒体でありますけれども、このデジタルサイネージは、今後の新しい広告媒体として非常に有効なものであると思います。そこで、このデジタルサイネージの活用について、交通局の考えを伺いたいと思います。
○廣瀬資産運用部長 デジタルサイネージでございますが、リアルタイムで情報表示ができまして、多数のコンテンツを提供できることなどから、今後広告媒体として有望であるというふうに考えております。
現在、交通局でもさまざまな検討を行っておりますが、現状では解決すべき課題が多数ございます。主な課題といたしましては、設備投資に多額の費用がかかること、また、デジタルサイネージシステムの規格が統一されていないことなどが挙げられます。交通局といたしましては、今後の動向を見ながら検討を継続してまいります。
○伊藤委員 デジタルサイネージにつきましては、さまざまな課題があることは私も各方面から聞いているところであります。しかしながら、時代の流れからすると、近いうちに課題は解決されまして、このデジタルサイネージが広告媒体として大きな位置を占めるようになると思います。交通局でも、こうした流れに乗りおくれることなく、ぜひ研究を重ねてもらいたいと要望させていただきたいと思います。
本日は、地下鉄事業と広告事業についてさまざま質問させていただきました。バスや都電荒川線、日暮里・舎人ライナーも含め、交通局の事業は、まさに都民生活に密着している事業であります。交通事業者としての最大の責務である安全・安心の確保はもとより、高齢者や障害者への対応も含めたサービス向上に積極的に取り組んでもらいたいと思います。また、広告事業などの附帯事業についても工夫を凝らし、収益向上に貢献できるよう努力してもらいたいと思います。
ここ数年、厳しい中にも交通局の財務状況は好転をしてきており、これまでの取り組みの成果が実ってきたものと評価をするものであります。事業環境は常に変化しているわけであり、油断することなく、より一層の経営努力を期待して、私の質問を終わります。
○野上委員 先般、九月二十二日に、ニューヨークで国連気候変動サミットが行われました。鳩山由紀夫首相は、二〇二〇年までに温室効果ガスを一九九〇年比二五%削減するという中期目標を表明しています。二〇〇五年二月の京都議定書の発効以降、公共交通機関においても、CO2排出量削減、NOxを初めとする汚染物質対策など、環境対策への社会的要請はより一層強く求められております。燃費向上やクリーンエネルギー車の導入、エコドライブ、交通対策に積極的に取り組む必要があると考えております。
都営バスでは、環境局と連携しながら、平成十九年度から、バイオディーゼル燃料導入の実証運行を行っていると伺っておりますが、そこで、バイオディーゼル燃料導入事業の実証運行の結果について伺います。
○松下自動車部長 交通局では、環境局と連携し、第一世代と第二世代のバイオディーゼル燃料による実証運行を行ったところでございます。第一世代バイオディーゼル燃料は、揮発油等の品質の確保等に関する法律により規格化されたバイオディーゼル燃料を五%まで混合した軽油燃料で、平成十九年十月から平成二十一年三月までの間、都営バス六十五台による実証運行を行いました。
また、第二世代バイオディーゼル燃料は、植物油等を水素化処理し、バイオディーゼル燃料をさらに高濃度で使用できるようにした軽油燃料で、平成十九年十月から平成二十年三月までの間、都営バス二台による実証運行を行いました。
実証運行の結果でございますが、第一世代バイオディーゼル燃料について、フィルター詰まりが一部に見られ、その対策が必要であることが判明いたしました。なお、第二世代バイオディーゼル燃料については、車両へのふぐあい等も認められず、問題なく実証運行を終了いたしました。
○野上委員 環境対策としては、バイオディーゼル燃料のほかに、軽油よりも燃焼時の排出ガス性能にすぐれているGTL燃料、天然ガスを原料とし、硫黄分や芳香族分をほとんど含まないクリーンな液体燃料でございますが、それについて、もう実証試験運行を行っていると伺っております。そこでGTL燃料の実証試験運行についての進捗状況も伺わせてください。
○松下自動車部長 GTL燃料は、天然ガスを原料として合成した石油代替の液体燃料でございます。交通局では、国土交通省の次世代低公害車開発・実用化促進プロジェクトに協力し、環境局などと連携して、都営バス二台によるGTL燃料の実証運行を、平成二十一年二月から二十二年一月までの予定で行っているところでございます。
○野上委員 バスの環境対策は、ただいま伺いましたバイオディーゼル燃料や、あるいはGTL燃料のような燃料の分野だけではなく、バス車両の分野においても推進する必要があると考えております。
例えば、燃料電池自動車です。水素と酸素が結合されて電力を得るもので、排出されるのは水蒸気だけという究極のクリーンエネルギーを用いたものですが、開発当時から、早期に実用化が期待されていたのは大型車両、中でも比較的市街地を走行することの多いバスと考えられておりました。これは大型車両の場合、エンジンに比べまだ不利な点がある燃料電池システムの重量、大きさを吸収しやすいこと、都市部の場合は、特に有害な排気ガスを低減できる効果が大きく、また、新たな燃料供給システムについても、地域を限定した構築が可能なことなどのためです。
そこで都営バスでは、平成十五年に、燃料電池バスの実証運行を実施したと伺っております。そこで燃料電池バスの実証運行、試験運行について伺います。
○松下自動車部長 交通局では、国土交通省のプロジェクトに協力する形で、平成十五年八月から平成十六年十二月まで、日本で初となる燃料電池バスの営業運行による実証運行を行ったところでございます。二百五十七日間にわたる営業運行の結果、乗車したお客様からは、静かで走りがスムーズ、乗り心地がよいなどの評価を得たところでございます。なお、燃料電池バスの普及には、コスト低減と耐久性の向上、燃料充てん施設の整備などの課題があるといわれております。
○野上委員 さらに、北京のオリンピックや韓国のソウルにおいて電気バスが運行されていると伺っております。神奈川県では、産学官で、神奈川初の電気バスを量産し、EV化社会の実現を目指すとし、意欲的に次世代電気バスの開発普及の検討会が設置され、電気バスの研究が着手されたと伺っております。
また韓国のソウルでは、先般、報道されたばかりですけれども、高価で重くかさばるバッテリーを搭載する必要がない、新しい充電技術により、絶えず充電される電磁誘導式の電気バスが初めて公共交通機関に導入され、そして来週、一般利用を始める予定だと伺っております。
都営バスでも、本年四月に、次世代型低公害車である電気式ハイブリッドバスの実証運行を実施したと伺っておりますが、そこで、次世代型電気自動車バスの実証運行の結果について伺います。
○松下自動車部長 交通局では、先ほどのGTL燃料についての答弁の中でもございましたが、国土交通省の次世代低公害車開発・実用化促進プロジェクトに協力し、本年四月に、約二週間、東京駅と晴海ふ頭を結ぶ路線において、非接触給電ハイブリッドバスの営業運行での実証運行を実施いたしました。このバスは、搭載しているバッテリーに、地上の給電設備から急速充電を行い、電気モーターのみで走行することが可能な次世代型の低公害バスでございます。充電一回当たりの走行距離が短いなどの課題がございますが、二週間の実証運行は支障なく終了いたしました。
○野上委員 環境と高齢化社会に配慮した電気バスは、現在、次世代公共交通機関の本命とされております。特に決算でも、車両の購入や、あるいは国庫補助金を使って、あらゆる実証試験をしておりますし、そういった中から、東京の次の交通機関、公共交通はどのようにあるべきかというものは、やはり首都東京の事業者である交通局がリードしていただきたいと思います。
特に、神奈川県では検討会も始められましたし、全国的に日本で初めて、もしかすると、電気バスが路線バスとして走るかもしれない。一方では、もうソウルでは、電気バスが走っているという状況でございますので、今後の車両の購入について、あるいはこれからのバスの運用についても、やはりこれを実証を踏まえて検討をしていただきたいと思います。
交通局では、バスの車両のほかにも、連絡や作業等に使用する自家用自動車を多数保有していると伺っております。交通事業者として、環境対策の面からも、こうした一般の自動車についても、電気自動車の導入を図るべきと考えます。そこで、交通局における電気自動車の導入についての認識を伺います。
○小泉企画担当部長 交通局は、平成二十年度末現在で、バス車両以外に九十七両の自動車を保有しております。これらは、更新時期に合わせまして東京都が指定する低公害車両を導入しているところでございますけれども、お話しございましたように、これらの車両は保守用機材等の運搬あるいは緊急工事への対応など、こういった用途に使用しておりまして、一方で、現在市販されております電気自動車はまだ車種が限られており、積載能力、航続距離といった点で、私ども業務上の使用には課題があると考えております。このため、現状では更新する車両をすべて電気自動車に置きかえるということには課題が多いという認識でございます。
したがいまして、今後、市販される電気自動車の性能と、それから業務への適合性、こういったことなどを勘案いたしながら、電気自動車も含め低公害かつ低燃費な自動車の導入を図ってまいりたいと考えております。
○野上委員 環境対策をさまざまな面で進めていることはよくわかりました。今後とも、環境対策の推進は重要でございます。都営バスにおいても一層環境対策に力を入れていかなくてはいけないと考えておりますが、最後に、今後のバス車両導入における環境対策の方向性について伺いまして、私の質問を終わります。
○松下自動車部長 都営バスは、乗合バス約千五百両を保有する大規模な公営バス事業者であり、環境対策を率先して行うことが重要であると認識しており、これまでもCNGバスなど最新の低公害バスを導入してまいりました。CO2削減に寄与するとともに、省エネルギーを推進するため、経営計画新チャレンジ二〇〇七において最新型ハイブリッドバスを導入することとし、平成十九年度に五両、平成二十年度には当初予定の十両を上回る四十三両の最新型ハイブリッド車を導入しております。
今後とも、ますます高まりつつある環境負荷低減に対する要請に対し、積極的に対応するため、バス車両の開発動向を踏まえ、環境に優しい最新型の低公害車両の導入に努めてまいります。
○今村委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
これで交通局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会をいたします。
午後三時二十二分散会
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