平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成二十一年十月十九日(月曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長橘  正剛君
副委員長山加 朱美君
副委員長林田  武君
副委員長松下 玲子君
加藤 雅之君
笹本ひさし君
かち佳代子君
三宅 茂樹君
斉藤あつし君
くまき美奈子君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
水道局局長尾崎  勝君
次長小山  隆君
総務部長森 祐二郎君
職員部長坂内 顕宏君
経理部長猪熊 純子君
サービス推進部長内海 正彰君
浄水部長吉田  永君
給水部長酒井  晃君
建設部長今井 茂樹君
企画担当部長高原 俊幸君
設備担当部長吉田  進君
参事松丸 俊之君
多摩水道改革推進本部本部長増子  敦君
調整部長大平 晃司君
施設部長野口 芳男君
参事木村 康則君

本日の会議に付した事件
 平成二十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成二十年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)

○橘委員長 ただいまから平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成二十年度決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都水道事業会計決算及び平成二十年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○森総務部長 さきの分科会におきましてご要求をいただきました資料を取りまとめ、お手元にお配りしてございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと思います。水需要予測と実績でございます。
 将来需要量と平成元年度以降の一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。一日最大配水量及び一日平均配水量の推移でございますが、平成十一年度以降の一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をグラフでお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担でございます。
 平成十六年度から二十年度までの八ッ場ダムの年度ごとの総事業費、都の負担額、そのうち水道局の負担額及びその他の負担額をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。多摩地区の地下水取水量実績でございます。
 平成十六年度以降の多摩地区統合市町における一日当たりの取水量が最大となった日付とその水量をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業の計画と実績でございます。
 平成十九年度及び二十年度は実績を、平成二十一年度は見込みを、平成二十二年度は計画をそれぞれお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。口径群別給水件数の推移及び主な使用者層でございます。
 口径群別に、平成十一年度から二十年度までの給水件数の推移と主な使用者層をお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 平成十一年度から二十年度までの十年間につきまして、未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。事務委託解消に伴う徴収系及び給水装置系の窓口業務コスト比較でございます。
 多摩地区における水道事業の事務委託解消前と解消後の窓口業務コストの比較をお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。ペットボトル「東京水」製造経費及び販売実績でございます。
 平成二十年度におけるペットボトル「東京水」の製造本数、無償配布数、販売本数、製造経費についてそれぞれお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。水道局におけるオリンピック招致活動への協力についてでございます。
 水道局では、オリンピック・パラリンピック招致活動への協力として、庁舎、イベント及び印刷物等を利用したPRを実施いたしました。
 一一ページをお開き願います。監理団体への委託料及び主な委託内容でございます。
 水道局が所管しております東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの二つの監理団体における、平成十一年度から二十年度までの委託料と主な委託内容についてお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。東京緊急対策Ⅱにおける年度内発注増加のための補正予算額と決算額でございます。
 補正予算額五億四千三百万円に対し、実績は五億二千二百万余円となっております。
 一三ページをお開き願います。収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
 平成十一年度から二十年度までの十年間につきまして、収益的収支、資本的収支、損益勘定留保資金のそれぞれにつきましてお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。工業用水基本水量の推移でございます。
 平成十一年度以降の工業用水道の基本水量の推移をグラフでお示ししてございます。
 以上をもちまして、大変簡単ではございますが、ご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議くださいますようお願い申し上げます。

○橘委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 それでは、私の方から質問させていただきます。
 今回、資料をお願いいたしまして、今の要求資料の方でも八ページ目に、これは特に多摩地域のというふうになりますが、事務委託解消に伴う徴収系及び給水装置系の窓口業務コスト比較を出していただきました。
 私の地元の小平市については、三年目から四番目に東京都の都営の一元化というもので市役所の方から水道担当がなくなって、東京都の方の合同庁舎の方にサービスセンターが移った市なんですが、以前、平成十七年度にも私は決算委員会で質問させていただいているんですけれども、私の地元市が一元化に加わった後、また二十一年までにかなり多くの市が一元化の方に参加をした形になっております。
 その後、実際に何年かやってみて、サービスの状況が問題なく進んでいるのかというのは大変気になるところでありまして、今回、それについて伺いたいと思います。
 多摩地区水道経営改善基本計画に基づいて、順次市が受託をしていた水道の利用者サービスの部門を東京都直轄に移していったわけですけれども、多摩地域の場合は、保健所とか、統廃合する中で市の方にサービスを移管したものというのはほかの部局で結構あるんですが、意外と保健所あたりになると、サービスの全体的な低下みたいなものも結構事業者からいわれたりして、その部分では多摩地域として大変心配しているものが多いんですが、水道については全く逆に東京都の方に一元化をしていくという話であります。
 内容的に見ても、日々生活をしている水道の利用者の皆さんがしょっちゅう水道の窓口の方に行かなければならないことというのは余りないな、ほとんどないんじゃないかなということで、ある程度の一元化というのは理解をしていたんですが、実際にその後どうなったかということで改めて伺いたいということになります。
 さて、この資料に見られますように、この表では、経費節減額、AマイナスBについては、二億三千三百万円というふうなことでマイナスが出ているんですが、一応この資料ではこうなっていますけれども、東京都としてコストが下がったというふうに認識をしているのか、そこを確認したいと思います。

○大平調整部長 現在、東京都では、市町への事務委託解消によりまして、業務の効率化を図りつつ、お客様サービスの向上も図っているところでございます。
 平成二十年度時点で、徴収系は二十市町、給水装置系は十七市町の窓口業務が都に移管をされているところでございます。このため都では、サービスステーション十二カ所及び多摩お客様センターを開設いたしまして、料金の徴収や給水装置工事の承認、電話による受け付けなどの業務を行っているところでございます。
 こうした業務に要する経費と各市町が行っている業務に要する経費等を同じレベルで比較をいたしますと、委員会の要求資料にもございますとおり、事務委託解消後の方が年間約二億円の節減となっているところでございます。

○斉藤委員 この資料の内容どおりということですけれども、住民に対して行うサービスについては、先ほど申しましたようにそんなにしょっちゅう一個人がやりとりをするような綿密な関係というのは、それほど事案として発生しない、よっぽどトラブルがない限りそういうことはないのかなと思うんですが、実際には住民に対するサービスについて、直接的なサービスとして以前との違いというのはあるのだろうかということで、そこを伺いたいと思います。

○大平調整部長 お客様に対するサービスのレベルアップといたしまして、資料に記載のございます夜間、休日の電話受け付けなどのほかに、水道使用の中止、開始の手続を一度の電話で済ませることができます、いわゆるワンストップサービスを実現いたしております。
 また、クレジットカード支払いの導入や利用できる金融機関の拡大など、支払い方法の多様化も図っております。
 これらの施策は、市町単独では実現できなかったものであり、都においてこういったメリットを生かして初めて実現できたものと考えております。

○斉藤委員 確かにクレジットカードや何か、市の方でやるには、小平市でも十八万人ぐらいですが、もっと小さな市がたくさんございますので、市の単位でやるとちょっと労多くして、なかなか制度がしっかりしないというふうな場合もありますので、その部分では確かに東京都の方でやるメリットというのはあるのかなというふうに思っています。
 実際にうちの方は平成十八年四月に移行してから、特に東京都の方にその後加えてこういうふうなことをしてほしいというようなことについて、私も具体的には聞いておりませんので、そういう点では水道事業がやっている住民サービスの内容とか量的なものからいえば、一元化をした部分でちょうどよかった部分というのはたくさんあるのかなというふうに思っています。
 その点では、今いわれている地方分権という中で、もちろん市区町村の方にちゃんと予算を伴って事業を割り振っていただければ問題ないことを、予算が伴わず、仕事だけは市役所に来てしまう、区役所に来てしまうということがあります。
 それに比べたら、今回の一元化についてはそれほど問題なく、経費が削減できていればかなりプラスということで評価ができるんじゃないかなというふうに思います。
 そうはいっても、今後、まだこれから移行していくという市もあります。実際に、今後サービスについて課題があるとしたらどのようなものがあるか、伺いたいと思います。

○大平調整部長 東京都では、これまで市町から移管される業務の受け皿となる執行体制を整備し、業務の円滑な移行に努めてまいりました。
 現時点で、事務委託の解消がなされていないところは二市だけとなっております。このため、今後は移管された業務のさらなる効率化と業務遂行能力の一層の向上を進めることで、コストダウンとサービスのレベルアップを図ってまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。この後、林田先生の方からまた多摩の話ということで出るかと思いますので、多摩の水道については以上にいたしまして、もう一方で私が資料要求をしました水需要について若干伺いたいと思います。
 前回の局からの説明にもありましたように、工業用水が需要減少しているということで、これについては単純に都内の工場の減少に伴うものというふうに考えていいのか、そのあたりを伺いたいと思うんですね。
 よく工場の中で、割と大きなプラントを持つ工場の話になるんですけれども、CO2の排出量を減らすなんていうのを工場で努力をしたりしております。私の地元の方にブリヂストンの東京工場というのがございまして、大変大きなプラントがあったんですが、CO2の排出量が多いよということで以前に指導を受けまして、その後、いろんなプラントの中のむだを排することでCO2の削減に取り組んだという話を聞いておりまして、これはいわゆる地球のことを考えた他人のためという単純な意味で、要するに自分たちの会社の方は無理をして、単純に他人のために削減をしているんだという、ちょっと恩着せがましいといっちゃいけませんが、そういうような感じの削減ということではなくて、結果的にはプラントのむだを減らす自社の節約対策として、CO2削減が結果としてその工場や会社にとってのコスト削減につながり、なおかつ地球環境に優しいというふうな一挙両得な結果になると。そういうような見方があって、そういう意味でこういったCO2削減を本当に計画的に、そしてまたプラントの工夫というところで、もしくは人の動きの工夫などの中で、CO2削減というのは会社のためにとってもいいことなんだというようなことが以前いわれたことがあります。
 これで、同様に考えて、工業用水の需要減については、水道会計的には、水を売って何ぼというところであれば、需要減はマイナスイメージになるわけですけれども、一方で漏水防止やプラントのむだ削減という努力の結果としての節水であるということがいえるんじゃないかと思います。これは、結局、会社にとってもコスト削減という点でいいことですし、そしてまた、それは結果的には地球を大切にするということにつながってくると思います。
 こういった企業努力としてある意味評価をすべきであろうというふうに考えるんですが、実際にはそういったことも含めて、需要の減少の背景についてどう分析をしているのか、伺いたいと思います。

○高原企画担当部長 まず、水道事業についてお答えをいたします。
 工場用水の需要は昭和四十年代から一貫して減少しておりまして、その割合は平成二十年度で全使用水量の一・二%というふうになっております。
 これは、ご指摘のとおり企業のコストダウンの努力というものも大いにあろうかと思いますが、主に我が国経済における産業構造の変化や都内の工場数の減少等によるものというふうに考えております。
 具体的に工業統計調査によりますと、都内の事業所数は平成二年度の七万八千百九十カ所から平成二十年度には四万百七カ所に、従業員数は八十万一千八百九十三人から四十万二千六百人というふうに、いずれも半減しております。

○吉田浄水部長 続きまして、工業用水道事業におけます需要について、私の方からお答えさせていただきます。
 工業用水道におけます需要でございますが、昭和四十九年度末の基本水量、日量三十七万立方メートルをピークといたしまして、平成二十年度末では約四万七千立方メートルにまで減少してございます。
 この背景には、国の産業立地政策や、各種公害規制の強化による工場の都外への転出、あるいは近年におけます景気低迷の影響によります生産規模の縮小や、需要者の企業努力による工場内の水利用の合理化促進などが主な原因であるというふうに考えてございます。

○斉藤委員 上水道、そしてまた、今回、会計上は別になっております工業用水道、聞けば二十三区内八自治体に限った部分が工業用水道の会計となるわけですが、こちらの上水道全体と比較した中での答弁をいただきました。ありがとうございます。
 さて、各企業の努力によって節水ができても、恐らく工場そのものが他県の方に、もしくは国外に行ってしまって、結局はそれ以上の減少になっていくということだと思います。実際に、企業の倒産や撤退も今後はしばらく続いてしまうというふうなことはあるんだろうと思いますが、景気に伴って、水需要も今後しばらく同じように下がっていくんだろうかというのが懸念されます。
 また、営業収益を見ても、前年度比四十三億円の一・三%マイナスというふうになっておりますので、いわゆる今後の需要予測について伺いたいと思います。特にこれについては、工業用水道の会計でいきますと若干狭い範囲になってしまいますので、上水道について伺いたいと思います。

○高原企画担当部長 都の水道需要でございますが、こちらの方は景気の動向にも一定の影響を受けるわけですが、ただ使用水量の七割以上は一般家庭の生活用水が占めておりますことから、都の水道需要は、景気だけではなく、人口、世帯数等の動向に左右されると考えております。
 今後は、世帯数の増加やこれに伴う平均世帯人員の減少等により、一人当たり使用水量の増加が見込まれることなどから、長期的には使用水量は増加傾向を示すと考えております。

○斉藤委員 それで、先ほどは上水道を伺ったんですけど、工業用水道の会計の方で対象になっている地域の工業用水の需要、年々減少傾向ということで説明があったわけですけれども、工業用水道の方の需要動向と、そしてその影響について伺いたいと思います。

○吉田浄水部長 都の工業用水の需要動向につきましては、今後とも、工場の都外転出、景気低迷の影響によります生産規模の縮小、あるいは企業努力によります水利用の合理化の促進などにより、引き続き減少が続くものと思われます。
 また、こうした需要の減少に伴います料金収益の減といった面からは、少なからず事業運営に影響を及ぼすものというふうに考えてございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。もともと工業用水道会計については、一般上水道の会計に比べて料金の単価が違って、工業用水道の会計の方が安いという背景があります。
 もともと地下水対策というふうに伺っておりますが、私の地元であります多摩地域から見れば、多摩シリコンバレー構想を東京都全体では「十年後の東京」などでうたっていただいていますので、なるべく工場に来ていただくというのが多摩の課題の一つでございますし、同時に撤退もしてほしくないなというのも大きな課題であります。
 その中で上水道については、願わくばなるべく多摩地域にとっても余り単価が高くならないように、できればその中で水道に関しては、公平性を保った水道単価になってほしいなというのが正直地元の思いだと思います。
 そういった中で、全体の需要は、そうはいってもなかなか景気の影響もあって、今後としては特に工場関係については需要が減ることが考えられるという話なんですけれども、全体的には、商売をやる会計としてはマイナスに見えますけれども、一方で水道局も節水コマを配布をしたり、節水PR活動も行ったり、家庭も含めて水需要が減ることに対して応援をしているわけですね。
 私から見ても、水需要が減るというか、むしろ水のむだ遣いが減るということは大変よいことだと考えますし、こういったPR活動を見ていると、水道局も恐らくそう考えているというふうに思われます。
 単純な会計上でいえば、自分の扱っている商品の需要がふえて、どんどん売れて収益の部分が大きくなるというのは、普通の企業から考えてみれば望ましい話ではあります。しかしながら、一方で東京都の立場としては節水をお願いするという、この辺でちょっと矛盾をしていますけれども、そういったことを、矛盾をしているのは承知の上で節水などを呼びかけていくというのが公営企業の難しいところでもあり、また一般の企業とは違うところだというふうに思っていいんじゃないかと思います。
 また、そういった立ち位置をしっかりととって努力をしていかなきゃいけないんじゃないかと思います。実際にこのようなバランス、売る一方で抑える努力をするという非常に難しいバランスを水道局自身がどういうふうに考えているのか、所見を伺いたいと思います。

○高原企画担当部長 今後の水道需要につきましては、先ほど生活用水を中心に増加傾向を示すというふうに考えているというのはお答えしたとおりでございますが、一方、将来的に懸念されますのは、渇水の頻発など、気候変動が水資源に及ぼす深刻な影響であります。
 このため、水資源の有限性という観点からは、ダム等の水源確保とともに、ご指摘の節水型都市づくりは重要な施策というふうに考えております。

○林田委員 東京水道の貴重な水源であります多摩川に関連した質問を中心に、平成二十年度の進捗状況を含めてお伺いいたします。
 まず初めに、奥多摩町水道事業の都営一元化ですが、これまでの都の努力に敬意を表するとともに、今後の取り組みについて伺っていきたいと思います。
 この問題につきましては、私は何度も都議会で質問をし、要請してきましたが、ことしの第一回定例会でも、奥多摩町水道事業の都営一元化の早期実現について、重ねて一般質問させていただきました。水道局長から、平成二十二年四月の一元化を目指すという力強いご答弁をいただいたところであります。
 ご答弁をいただく中で、都民の水がめである小河内ダムを支えてきた奥多摩町民の長年の悲願が実現に向けて大きく前進し、具体的な日程にのって動き出したことは、奥多摩町町民とともに私も正直安堵いたしました。
 その後、五月には石原知事が奥多摩町へお出向きいただき、河村奥多摩町長との間で一元化に向けた基本協定が締結されました。私も締結式に出席させていただきましたが、これまでの一元化に向けた経緯に思いをはせ、深い感慨を覚えました。今回の都の決断に対し、奥多摩町民は何より心から感謝いたしているところであります。
 申し上げるまでもなく、奥多摩町の水道事業は近年、森林の荒廃などによる原水の水質悪化が深刻化し、浄水処理や水質管理面においてさまざまな課題が顕在化しているのが実態であります。
 また、水道施設の老朽化が進み、奥多摩町自身の技術や体制だけでは解決が難しい課題もあります。
 そこで伺います。まず、都営水道一元化後には、都として具体的にどのように水道施設を整備していく考えなのか、お伺いいたします。

○木村参事 都営水道一元化後には、大雨のときなどに取水が困難となる取水施設や、老朽化が著しい浄水場等の基幹施設を中心に順次更新や改良に努め、給水安定性の向上を図ってまいります。
 また、施設の遠隔制御設備の導入などにより、平常時はもとより事故時等にも迅速かつ適正な対応を行えるよう、管理体制を整えてまいります。

○林田委員 東京都水道局がその持てる技術や体制を効果的に活用して施設整備等を行っていかれるとのことで、大変うれしく力強く思います。
 しかし、施設整備をいっときに行うと、すべての施設がストップしてしまうことになるので、順次計画的に進めていくことになろうかと思います。安定給水を図りながら、ぜひ施設のレベルアップに努めていただきたいとお願いいたします。
 次に、平成二十二年四月の都営水道一元化に向けて、本年五月の基本協定締結以降の手続等の進捗状況について確認しておきたいと思いますので、お答え願いたいと思います。

○大平調整部長 本年七月に基本協定の実施に関する細目協定を町との間で締結いたしました。現在は、業務や資産の引き継ぎなど事業統合のための具体的な準備を進めているところであります。
 また、国への水道事業の変更認可申請や給水条例等の改正に向けた作業を進めており、来年四月の都営一元化に向けて、その準備を着実に進めてまいります。

○林田委員 申し上げるまでもなく、水道事業は大切な基本的インフラでありますので、一日たりとも供給に支障を来すことがあってはなりません。町との調整を十分に行い、確実な業務の移行が行えるよう、しっかり準備を進めていただきたいと要望いたします。
 また、あわせて、今回初めてこうした手続等を行う奥多摩町に対しては、これまで二十五市町を統合してきた実績を持つ東京都から必要な支援、助言を行うなど、円滑に手続が進められますよう、適切な対応をよろしくお願いいたします。
 この件の最後に、奥多摩町水道事業の一元化を実施することについて、水道局長の決意を改めてお願い申し上げます。

○尾崎水道局長 奥多摩町には、都民の水がめである小河内ダムを多年にわたり守っていただいています。その町との長年の懸案事項である奥多摩町水道事業の一元化につきましては、関係各局の協力のもと、本年五月、町と基本協定を締結するに至りました。現在は、来年四月の統合に向けて、町と連携を密にして着々と準備を進めているところであります。
 統合後は、山間部であるという特性や施設の老朽化等の状況を踏まえ、これまで局が培ってきたノウハウと技術を駆使して、施設の更新、改良などの施設整備を順次行ってまいります。こうした取り組みによって、給水安定性を高めるなど、町の期待にこたえ、一層質の高い水道サービスの提供に努めてまいります。

○林田委員 どうもありがとうございます。事を進めていく上で難しい課題も多いと思いますけれども、小河内ダムの建設や管理において多大な貢献をいただいている奥多摩町町民のためにも、ぜひ東京都水道局を挙げて取り組んでいただきたいと重ねてお願いを申し上げます。
 次に、玉川上水について何点か伺います。
 水道局が平成二十年から策定していた玉川上水の整備活用計画が本年の八月に発表されました。まず、この計画目的についてお伺いいたします。

○猪熊経理部長 史跡玉川上水整備活用計画は、玉川上水を首都東京の誇る貴重な史跡として将来にわたり良好に保存するとともに、より一層都民から親しまれる水と緑の空間を形成し、次世代に引き継いでいくことを目的として策定したものでございます。

○林田委員 玉川上水の歴史的価値、貴重な史跡はだれもが認めるところであります。武蔵野の面影を色濃く残す玉川上水を将来にわたり良好に保存し、次世代に引き継いでいくことは、我々世代の責務であるということは申し上げるまでもありません。今、手を打たなければ、後世に重大な影響を及ぼすことが考えられます。
 そこで、整備活用計画ではどのような施策をまとめているのか、お伺いいたします。

○猪熊経理部長 本計画では、保全が急務となっております玉川上水中流部を対象として、史跡の所有者である水道局が実施する整備施策を明らかにしております。
 保存整備につきましては、のり面の保護や巨木の伐採などによる水路の保全及び補植場所の提供による名勝小金井桜の保存を実施してまいります。
 また、活用整備といたしましては、眺望の確保、説明板の設置、PR活動の強化などにより、史跡を積極的に公開してまいります。

○林田委員 ぜひ計画に記載された対策を着実に実施し、玉川上水を将来にわたって都民に潤いと憩いを与える水道遺構として大切に保存していかなければならないと思いますし、また活用も図っていただきたいと思います。
 さて、今回の計画は主に水道局が取り組む施策をまとめたということですが、玉川上水については、関係各局やもちろん地元自治体が、清流復活事業や桜並木の保存など、さまざまな施策に取り組んでおります。玉川上水の整備活用に当たっては、こうしたさまざまな取り組みと連携して相乗効果を上げていくことが肝要かと思います。関係各局や地元自治体との連携にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○猪熊経理部長 玉川上水を都民に親しまれる水と緑の空間として次世代に引き継いでいくためには、水道局が実施する事業の着実な推進とともに、周辺の植生管理など、さまざまな場面で関係機関との連携、協力を進めていくことが必要であると認識しております。そのため、関係各局や地元自治体などが参加いたします玉川上水緑の保全事業都区市連絡協議会を積極的に活用いたしまして、活発な情報交換を行ってまいります。
 さらに、今回の計画策定を契機として、関係各局との間で協議の場を設けることとしたほか、地元自治体との連携に向けた調整を開始いたしました。こうした取り組みを通じて、史跡玉川上水の良好な保全と活用をより効果的に達成してまいります。

○林田委員 玉川上水の良好な環境を守るために、関係局とも十分に調整して、円滑に保全事業を進めていただきたいと思います。
 ところで、この整備活用計画は玉川上水の中流部を対象としたものですが、玉川上水の史跡指定区間は上流部も含まれております。玉川上水の最上流部には、水道局の重要な施設であります羽村の投げ渡し堰や水門などがあり、これらは歴史的にも貴重な構造物となっております。このため、こうした状況を踏まえた十分な維持管理が必要であります。
 羽村取水堰付近では、維持管理のために車両通行によって一般にも開放している道路が傷んで、どうにかならないかという声を聞きます。
 そこで、羽村取水堰付近の整備に関する水道局の取り組みについてお伺いいたします。

○吉田浄水部長 ご指摘のとおり、羽村取水堰の周辺にございます管理用道路は、投げ渡し堰や水門などの維持管理及び補修工事を行う際の車両通行などに利用しておりますが、長年にわたります利用から道路に段差ができ、雨天時にはわだちに水たまりができるなどの老朽化が進んでいる状況にございます。
 一方、この管理用道路は一般都民などにも開放しており、一年を通じて堰周辺や史跡玉川上水沿いを多くの方々が散策や堰の見学に訪れております。
 そこで、平成二十一年度からの三カ年で、羽村取水堰から下流約四百メートルの管理用道路について、周辺環境及び景観に配慮した道路舗装や植栽などの整備を実施する予定であります。

○林田委員 玉川上水の水門、羽村取水堰には、私も地元でありますのでよく参ります。そのたびに、多くの都民が散策をし、水門やそばに立つ玉川兄弟像を小学生たちが社会勉強で大勢来られている姿を目にいたします。工事の実施に当たっては、都民への影響を十分に配慮して安全に進めていただくようお願い申し上げます。
 最後に、八ッ場ダム建設中止問題について水道局に伺いたいと思います。
 本日十月十九日、八ッ場ダムの事業費を負担する一都五県、すなわち東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県の知事が八ッ場ダム建設予定地を訪れ、地元自治体と意見交換されると聞いております。石原東京都知事も行くということであります。
 申し上げるまでもなく、八ッ場ダムは、治水や首都圏の水供給などを目的に、平成二十七年完成予定の多目的ダムであります。地元では、水没する五地区の住民の移転作業や道路のつけかえなど、工事は着々と進んでいるところであります。
 それがある日突然、政権が変わると、マニフェストに中止と書いてあるからということで、まさに一刀両断、八ッ場ダムはむだな事業である、公共事業はまかりならぬといって中止宣言をいたしました。過去の経緯や地元の声を全く無視して、マニフェストは国民の支持だといって、金科玉条として正当化する、これが民主国家のやることかと思います。
 都議会でも八ッ場ダムについては何度も議論を重ね、その必要性は明らかであります。それは関係する一都五県も同様であります。一方的に建設を中止し、その理由を明らかにしない国政府に対して、一都五県は協力し、声を大にして、八ッ場ダムの必要性を訴えていかなければならないと思います。水道局長の確固たる決意をお伺いいたします。

○尾崎水道局長 東京の水道は、一千三百万人の都民生活と東京の首都機能を支える上で欠かすことのできない重要なライフラインであります。現在、都は、日量六百三十万立方メートルの水源を保有しておりますが、この中には取水が不安定なものや、将来取水が困難となる課題を抱える水源が日量八十二万立方メートル含まれております。
 また、都の水源の約八割を占める利根川・荒川水系は、水源開発の困難性などから、我が国の他の水系に比べ渇水に対する安全度は低い状況で計画されてまいりました。
 さらに、利根川水系では、近年の少雨化傾向により、ダムなどの供給能力が当初計画に比べて既に約二割低下していることが明らかとなっております。
 こうした状況や将来の気候変動の影響等を踏まえますと、八ッ場ダムによる水源の確保は必要不可欠であります。今後とも関係自治体と連携を密にして八ッ場ダムの必要性を国に強く訴え、事業継続に向けて全力で取り組んでまいります。

○加藤委員 それでは、私からは、水道局の震災対策についてお伺いをいたします。
 平成十九年に発生しました新潟県中越沖地震におきまして、報道などによりますと、送配水管の被害が多数発生をして、ほぼ全域が断水したとありました。老朽化した配水管の破損に加えまして、送配水管の継ぎ手部分の抜け出しなどにより、多大な被害が出たと聞いております。
 都の被害想定を見ますと、地震が起きた際に水道が受ける被害により断水率が三割を超え、復旧にも三十日を必要とします。首都東京で一たび水道の供給が途絶えれば、国内のみならず、このグローバル化の進展によりまして、世界経済にも大きな影響を及ぼします。
 そこで、首都東京における耐震化の取り組みについてお伺いします。

○酒井給水部長 現在進めております東京水道経営プラン二〇〇七の施策の一つとして、水道管路全体の耐震性の強化に取り組むこととしてございます。管路の耐震化につきましては、経年管や初期ダクタイル管などを優先的に、震災時にも管の継ぎ手が抜け出すことのない耐震継ぎ手管へ取りかえております。
 都内水道管の耐震継ぎ手率は、経営プランの目標で、平成二十八年度、三五%に対しまして、平成二十年度末現在、二四%となっております。
 また、震災時における医療機関等重要施設への供給ルートの耐震化につきましては、平成二十八年度で完了の目標に対しまして、平成二十年度現在、二七%となっております。
 なお、重要施設のうち、首都中枢機関、三次救急医療機関、災害拠点病院への供給ルートの耐震化につきましては、平成二十三年度までに完了することを目標としており、今後も着実に取り組んでまいります。

○加藤委員 水道施設の耐震化に向けて着実な取り組みを進められているとのことですけれども、今後もさらなる水道施設の耐震強化に向けまして取り組みを進め、都民の安心につなげてもらいたいと思います。
 そして、万が一被災した際にあっては、飲料水などを早急に確保できる体制の充実が非常に重要であり、最近の震災事例でも、震災発生直後から生活用水の確保が最重要課題となっております。そのためにも十分な備えをしておく必要があります。
 発災時により一層迅速な対応をするために、水道局ではどのような取り組みを行っているのか、伺います。

○酒井給水部長 当局では、首都直下地震や水道管の突発事故の初期対応組織といたしまして、平成二十年度に水道緊急隊を設立いたしました。
 震災時の主たる役割は、発災後三日以内に、首都中枢機関、三次救急医療機関、災害拠点病院などへの供給ルートの確保と、都災害対策本部から特に要請を受けた医療機関等への応急給水を実施することとしております。
 そのため、日ごろから供給ルートの調査、確認を行うとともに、災害拠点病院などと防災訓練などの機会をとらえ、応急給水訓練を実施しております。

○加藤委員 震災時の迅速な対応について、我が会派がいってきたことが着実に実行されており、大変心強く思っております。
 また、ことしの九月末には、私の地元である墨田区の総合防災訓練におきまして、区内の小中学校、警察、消防、東京電力、東京ガスなどの各機関が連携して訓練を実施しました。私も参加し、拝見をさせていただきました。
 地域住民、区内企業などが一体となった実効性のある訓練が実施され、関係各機関相互の協力体制の確立、強化を図ったところであります。そこでは、水道局からも、水道緊急隊を初めとする職員の方も一体となって訓練へ参加されている姿を非常に頼もしく見させていただきました。
 水道緊急隊は、墨田区との共同訓練では具体的にどのような訓練をされていたのか、また、同様の取り組みを他の自治体とはどのように実施しているのか、伺います。

○酒井給水部長 本年九月二十七日に実施いたしました墨田区との共同訓練では、墨田区総合防災訓練実施要領に基づき、住民への応急給水や炊き出し用の水の供給、配水管の漏水を修理する応急復旧訓練などを実施いたしました。
 また、他の自治体との訓練につきましては、平成二十年度では、都区合同総合防災訓練を初め、都と八丈町や他の区との訓練など二十一回を実施いたしました。
 なお、平成二十一年度におきましても、同様の訓練を九月末までに十一回実施しております。
 これらの訓練を通じまして、それぞれの役割分担を確認するとともに、協力体制を確立することができ、地域住民や関係機関との連携を持った訓練が実施できました。

○加藤委員 こうした他自治体との共同訓練は、地域住民、地域にある企業、互いの自治体など、関係機関相互の緊密な協力体制を図る上で非常に有意義であると考えます。
 水道局がみずからできる震災対策に精力的な取り組みを行っていることがわかりました。今後も墨田区を初め各地域ともさらなる取り組みを進めていただきたいと思います。
 さらに、生活用水の早急な確保のためには、水道施設の早期復旧が急務となります。そのためには、他の水道事業体との人や機材の支援など、相互応援体制によるマンパワーも欠かせません。
 水道局では、都市間での災害相互応援に関する覚書を締結していると聞きましたが、具体的にはどのようなものか、伺います。

○森総務部長 都水道局では、大阪市や横浜市などの大都市水道局と、十七大都市水道局災害相互応援に関する覚書を締結しております。
 覚書では、災害が発生した際、飲料水や施設の応急復旧等に必要な資機材を提供することなどの相互応援について必要な手続等を定めております。
 また、各都市間の相互応援が円滑に実施できるよう、都市ごとに応援幹事都市を定めておりまして、この幹事都市が被災状況の把握を初めとした情報収集や応援要請に関する連絡調整等を担当することとしております。
 東京が被災した場合には、横浜市及び仙台市が応援幹事都市を務め、横浜や仙台が被災したときには東京が応援幹事都市になることとしております。

○加藤委員 大都市の水道事業体と覚書を締結し、いざというときに備えていることは、非常に心強く、評価するところであります。
 しかし、幾ら応援体制を構築しても、現地の情報や施設の状況を把握していなければ、実際に効果を発揮することは困難であります。実効性を高めるためには、平常時の訓練も含め、日常の活動が重要であると我が会派は常々申し上げてまいりました。
 そこで、平常時において実施した、各都市と連携した取り組みとその効果についてお伺いします。

○森総務部長 昨年十月、東京において応援幹事都市である横浜市及び仙台市と合同で情報交換会を実施し、水道施設の状況や図面の整備状況、被害想定、発災時の応急復旧の手順などについて情報交換を行うとともに、応援受け入れ体制などについて確認を行いました。
 また、本年六月には、水道緊急隊が仙台市総合防災訓練に参加し、応急復旧訓練等を仙台市と共同で行うとともに、医療活動の拠点となる仙台市立病院への応急給水訓練を行いました。さらに、水道管の配管図面の確認等も行ったところでございます。
 これらの取り組みの結果、東京と仙台で水道管の配管図面において同じ記号が別の意味に使われていたり、都の水道管のバルブを操作する開栓器が仙台市で使用できることなどが確認されるなど、応援活動にかかわる有意義な情報を得ることができました。
 両取り組みとも、実務担当者がじかに会したため、相互理解を深めるよい機会にもなりました。こうした取り組みが発災時における速やかで円滑な応援活動につながっていくものと考えております。

○加藤委員 各都市において水道事業における相違点は多々あると思いますけれども、まさに日ごろからの実戦的な訓練などにより、共通しているところや違いを明らかにして情報を蓄積していくことが、発災時にその能力を最大限に発揮することにつながります。こうした取り組みは何度も繰り返し、一歩一歩積み重ねて継続していくことが重要です。
 水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインであり、もし給水が停止した場合には、その影響ははかり知れません。震災への十分な備えが重要であります。
 先ほど仙台市への派遣、共同訓練のお話がありましたけれども、東京での受け入れということがまだなされていないということでありますので、この震災対策の項目の最後の質問といたしまして、東京での共同訓練実施を含む震災対策の充実に向けた取り組みについて、局長の決意をお伺いします。

○尾崎水道局長 震災時の備えに万全を期すためには、水道施設の耐震性強化を図り、被害の発生を抑制する予防対策、及び発災時に施設の復旧や応急給水等を迅速に遂行する応急対策を車の両輪として、ともに強化していくことが極めて重要であります。
 このため、予防対策につきましては、これまでも管材や継ぎ手部の耐震性を強化してきたところであり、引き続き基幹施設や管路の耐震化など着実な整備に努めてまいります。
 また、応急対策につきましては、応急復旧に必要な資材の備蓄を拡充するなどのほか、ご指摘を踏まえて、東京での共同訓練の実施に向けて関係都市と調整を行っていくなど、他都市との連携をより強化してまいります。
 このようなハード、ソフト両面からの取り組みを強力に推進することにより、地震に強い水道システムの構築に努めてまいります。

○加藤委員 力強いご決意を伺いまして、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、八ッ場ダムの方に移りたいと思います。先ほど林田副委員長の方からもお話がありましたけれども、私も少し質問をさせていただきたいと思います。
 都議会公明党では、先月、八ッ場ダムの現場を視察いたしました。町役場及び地元住民の方々の切実なお話を直接聞きまして、八ッ場ダム建設中止の不合理さを改めて痛感したところであります。
 役場、個人にかかわらず、メールや電話による誹謗中傷がひどいということもいっておられました。その多くが、ごね得は許さない、民意に逆らうな等、何らいわれのない内容だとお聞きいたしました。
 これは、一方的に建設中止を打ち出しておきながら、単にマニフェストにあるからというだけで、前原国土交通大臣が何らその理由を明確にしないことが原因であると考えます。そのため、この問題が、むだな公共事業とその犠牲になる地元住民という単純化された構図ばかりが注目され、ダムの受益者であり、中止の影響を受ける都など関係都県の問題が欠落しております。
 先ほど知事も視察に行っているというお話が出ておりました。そして、一都五県の関係の共同声明発表もあるというふうにお伺いをしております。
 そこで、都の利水面における八ッ場ダムの必要性につきまして、改めてお伺いをいたします。

○高原企画担当部長 八ッ場ダムの必要性でございますけれども、まず第一に、都の水源の約八割を占める利根川・荒川水系の水資源開発は、五年に一回程度発生する規模の渇水に対応することを目標に計画されており、十年に一回発生する規模の渇水に対応するべく計画されている全国の主要水系に比べて、渇水に対する安全度が低い計画となっております。
 その上、この計画に基づく都の水源量は、現在、日量六百三十万立方メートルでありますが、この中には、神奈川県等から毎年の協定で分水を受け、相手方の水事情によっては分水を受けられなくなる相模分水など、取水の安定性が低い、いわゆる課題を抱える水源が日量八十二万立方メートル、率にして一三%含まれております。
 さらに、利根川・荒川水系では、近年の少雨化傾向により、ダム等の供給能力が当初計画より既に二割減少しており、実際の供給能力は、先ほどの課題を抱える水源を含めても、現状の日量六百三十万立方メートルが日量五百五十二万立方メートルに低下しております。
 このようなことから、今後、気候変動による水資源への深刻な影響も懸念される中、首都東京の安定給水を将来にわたって確保していくためには、八ッ場ダムは必要不可欠であります。

○加藤委員 首都東京が地方よりも低い渇水に対する安全度で計画されていること自体が驚きであります。今後の気候変動リスクも踏まえ、八ッ場ダムにより安定給水を確保するのは当然のことであります。
 このことについて、中止を打ち出した国は説明責任を全く果たしていない。地元の方々は、一日も早いダムの完成と、ダム湖を前提とした生活再建を希望しております。同時に、一都五県はもっとダムの必要性を声高に国に訴えてほしいとも希望しております。その声を私も直接聞きました。
 そうしたことから、国の一方的かつ理由なき八ッ場ダムの建設中止に対しまして、都は先頭に立ってダムの必要性を訴えるべきであると、そのように思います。
 先日、都市整備委員会でも河島局長の方から、この事業の継続性、推進について決意表明がありました。先ほどもう既に林田副委員長の質問の中で局長の方からご答弁がありましたけれども、改めてもしあれば、水道局長としての決意を伺わせていただいて、質問を終わりたいと思います。

○尾崎水道局長 先ほども申し上げましたが、東京の水道は一千三百万人の都民生活や首都東京の都市活動を支える上で欠かすことのできない重要なライフラインであり、平常時はもとより渇水時にも可能な限り給水を確保することは水道事業者の重要な責務であります。このため水源の確保は極めて重要であり、水源が脆弱な首都東京にとって、八ッ場ダムは必要不可欠であります。
 八ッ場ダムにつきましては、これまでも都民並びに都議会のご理解を得ながら、国や関係自治体、地元とも連携して建設を進めてまいりました。今回の一方的な中止表明に対しましては、関係自治体と協力して、国に事業継続を要請していくなど、建設促進に全力を挙げて取り組んでまいります。

○かち委員 先ほど来、八ッ場ダムの建設推進の決意表明がされておりますけれども、私からも東京の水需要予測と八ッ場ダムについて、また違う立場から改めてお聞きします。
 九月に誕生した新政権のもとで、八ッ場ダム中止が打ち出されました。これはかねてから我が党も求めてきたところであります。例えば日本共産党都議団は二〇〇一年三月の予算特別委員会で取り上げ、事業の必要性や緊急性、自然との共生という観点からも再検討を求め、以来、一貫して見直し、中止を求めてきており、国会でも二〇〇五年の予算委員会で塩川鉄也衆議院議員が取り上げ、八ッ場ダムの治水と利水についてただしたところ、国交省河川局長は、カスリン台風のときのような雨の降り方にはダムの効果は期待できないと答弁し、八ッ場ダムが治水についてもその目的を果たせないことが既に国会答弁でも明らかになっております。そういう意味で、この中止については歓迎すべきものです。
 同時に、マニフェスト至上主義ではなく、また先に結論ありきではなく、まず半世紀以上に及びダム建設問題に翻弄されてきた関係者の皆さんの心労や実態に真摯に耳を傾けること、これまでの経緯を踏まえた上で、生活再建や地域振興への展望を示す中で、中止の必要性について関係者との十分な理解と合意を得ることが重要です。
 そこで、都の利水のうち八割を利根川水系から受けている東京都の水需給の現状と、将来推計の中で八ッ場ダムが本当に必要なのかどうかをただしていきたいと思います。
 改めてお聞きしますが、東京の保水水源は、日量ですが、六百三十万トン。二〇五〇年には六百万トン。これまでの最大配水量は、資料にも出していただきましたが、五百万トンを下り、近年、四百万トン台となっています。このほか地下水量の分も加えれば二百万トンの余力があります。
 しかも、かつて大量に必要とされていた工業用水は減少傾向にあり、今後人口減少時代に入り、都の人口推計でも二〇五〇年には二〇%の減少が見込まれています。これらの状況を踏まえるならば、将来東京の水需給がふえていく要素は考えられないことです。
 こうした状況の中で、新たに水源確保をしなければならない根拠はもはやないのではないでしょうか。見解を伺います。

○高原企画担当部長 まず、水道の需要見通しについては、先ほど斉藤委員のご質問に対して、生活用水を中心に今後とも増加を続ける傾向にあると見込んでいるというふうにご答弁さしあげたところでございます。
 また、八ッ場ダムの必要性につきましても、先ほど加藤委員にご答弁したとおりでございますけれども、繰り返してお答えさせていただきます。
 まず、東京の主たる水源である利根川・荒川水系の水資源開発は、そもそも全国の主要水系に比べて渇水に対する安全度が低い計画であること、これが第一点。
 その上、この計画により現在都が保有する水源量には、他県の水需要に左右されるなど、取水の安定性を欠く課題を抱える水源が含まれていること、これが第二点。
 さらに、利根川・荒川水系のダムは、少雨化により供給能力が当初計画より二割減少し、現在の六百三十万立方メートル、さきに委員の方からのお話もありましたが、この水源量は実際には五百五十二万立方メートルにまで低下していること、これが第三点。
 以上、このような脆弱な水源状況にあって、首都東京の安定給水を確保するためには、八ッ場ダムは必要不可欠であります。

○かち委員 確かに二、三十年前までは、最大配水量が六百万トンを超えることもありましたけれども、しかし、この十数年、平均一日配水量は減り続け、四百五十万トンを切っています。一日最大配水量というのは年間の中で一日ぐらいのものですよね。それが平成十九年には四百九十七万トン、二十年には四百九十二万トンと、五百万トンを割っているんです。改めて実態に照らして需給計画を見直すべきだと申し上げておきます。
 八ッ場ダムの利水の問題では、夏季の渇水の対応力が問われるわけですけれども、利根川水系では既に都の利水にかかわる八つの既設ダムがありますが、それらのトータルで渇水期における利水量はどれだけなのか、八ッ場ダムの予定量はどれだけを予定しているのか、伺います。

○高原企画担当部長 利根川上流八ダムの洪水期の利水容量は三億四千三百四十九万立方メートルであります。一方、これら利根川上流ダムにおいて都が保有する水源量合計の二一%に匹敵する日量四十三万立方メートルの水源開発が見込める八ッ場ダムの洪水期の利水容量は二千五百万立方メートルであります。

○かち委員 今のお答えでいきますと、八ッ場ダムができても渇水期には二千五百万トンなんですね。総利水容量の七%にすぎません。
 また、これまで、一九九四年、平成六年、二〇〇五年、平成十七年などの全国的な渇水期のときにも、首都圏では深刻な渇水被害は起きておりません。それに加え、東京では主に東京都民の水源である一万八千トン級の小河内ダムもあります。四千六百億円という全国最大級のダム建設費であり、治水の面でも、利水の面でも、費用対効果の観点からしても見直すべきだと思います。
 本体工事には着手していない今だからこそ中止することは可能であるとともに、このまま工事を続けていけば、貯水域周辺の地すべり対策や、東電への巨額の減電補償なども含め、事業費はさらに大きくかさむことは目に見えています。
 このダムの建設にかかわって、これまでの都の利水に関する負担金の総額は幾らですか。国庫負担分を除いてお答えください。

○高原企画担当部長 平成二十年度までに水道局が支出いたしました負担金の総額は、国庫補助金を含めますと五百三億円、国庫補助金を除きますと三百四十億円でございます。

○かち委員 都の利水に関する負担金は三百四十億円というお答えでした。ダム計画中止によって、関係自治体の利水分の負担金は、法的には返還されると判断してよろしいでしょうか。

○高原企画担当部長 都としては建設を推進すべきというふうに考えておりまして、あくまで一般論としてお答えをさせていただきます。
 特定多目的ダム法第十六条第二項は、国土交通大臣が基本計画を廃止したときは、ダム使用権設定予定者の設定の申請を却下しなければならないとし、同法第十二条では、ダム使用権設定予定者の設定の申請が却下されたときは、その者が既に納付した負担金を還付すると規定されております。
 したがいまして、国土交通大臣が基本計画を廃止した場合には、ダム使用権設定予定者である自治体等に対し、法に基づき、国は既に納付された負担金を返還しなければなりません。

○かち委員 少なくとも利水に関しての自治体の負担金は返還されるということです。
 今や、治水も利水もコンクリートでダムをつくるという発想は変わりつつあります。今後、気候変動によってますます水不足が生じるというようなお話もありましたけれども、今まで利水、治水といえばダムということで、自然を壊し、CO2を発散させてきた、その結果をこれ以上続けることは、やっぱり今こそ考えるべき時期に来ていると思うんですね。
 自然との共生、温暖化対策、持続可能な都市づくりという観点からしても、水源林の保全、管理強化や河川の堤防の改修の促進こそ進めるべきであり、都の水需給予測との関係でも八ッ場ダムの建設は見直し、中止をすべきだと申し上げておきます。
 次に、「東京水」についてお聞きします。
 この間、JRや地下鉄などでの動画や新宿アルタなどでのスクリーン広告で「東京水」のコマーシャルが行われてきましたが、その目的と実態はどういうものか、お聞きします。

○松丸参事 当局は、安全でおいしい水プロジェクトによりお客様に水道水を安心しておいしく飲んでいただくため、高度浄水処理の推進などの取り組みを着実に実施してまいりました。しかし、これらの取り組みに関しましては、お客様になかなかその情報が届いていない状況がありました。そのため、当局の取り組みや水道水がおいしくなっている事実をお客様に伝え、ご理解いただくために、従来にない新しい手法を用いて、わかりやすく共感を得られる広報に取り組んでいるところでございます。
 その一つとして、平成二十年十月より、JRのトレインチャンネルや駅前などにある街頭ビジョンにおいて、日常生活の中での水道水のよさやおいしさなどをわかりやすく表現した映像を放映しています。

○かち委員 私もJRなどに乗って時々見るんですけれども、十五秒間ということで、幾つかのパターンがあるんですけれども、そのうちの十四秒が水道の映像で、最後に東京オリンピック招致の画面がぱっと出て終わるんですけどね。このコマーシャルに一体経費はどれぐらいかかっているんでしょうか。

○松丸参事 平成二十年度は、映像作成費用として三千万、JR、東京メトロ、東急、西武線での放映費用として二千九百万円、都内十六カ所の街頭ビジョンでの放映費用として三千四百万円、合計で九千三百万円を支出しています。

○かち委員 昨年は下期だけということで、トータルで九千三百万円。ちなみに、今年度の予算では二億一千万円ということです。
 これだけの経費を費やして、あのコマーシャルを放映したところですけれども、都民に東京の水、水道水はおいしいということを周知するためとのことですけれども、このコマーシャル効果というものをどのように分析しているでしょうか。

○松丸参事 ことし一月、当局の広報施策に関する効果測定を実施いたしました。その中で、蛇口離れが著しく、今までの広報による取り組みではアプローチしづらかった二十代のお客様の約三〇%に認知されたとの結果を得ました。
 また、認知いただいているお客様の九〇%以上が放映内容に対して好感を持てると。また、八〇%以上のお客様に水道水はおいしいとのイメージがあるとの回答を得るなど、高い評価をいただきました。
 これらのことから、比較的若い世代に対する効果的なPR手段の一つであると認識しております。

○かち委員 私の見た印象では、これは何だろうと。中身はお水がふんだんに出ているというのはあるんですけれども、最後にぱっとオリンピック招致の画像が出て終わるという点では、印象的には、あ、オリンピックのコマーシャルかと思えるようなインパクトはあるというふうに思います。
 しかし、このオリンピック招致も十月二日で終わりましたけれども、今後、このコマーシャルは続けていく、今後の予定はどうなっているんでしょうか。

○松丸参事 映像による広報につきましては、これら新たな手法を取り入れたことにより、今までアプローチしづらかったお客様にも情報を届けられるなど、効果を上げてきています。しかし、当局のアンケートによると、依然として水道水を飲むことが全くないとするお客様も多くいらっしゃいます。
 このことから、当局の取り組みや水道水のおいしさなどに対してご理解いただくための広報の展開につきましては、今後とも重要であると認識しております。
 なお、実施に当たりましては、年齢層や性別などでターゲットを絞るなど、より効果的なものとなるように、これら映像広報も含めて検討を進めてまいります。

○かち委員 確かに、今日さまざまなミネラルウオーターのペットボトルが出回っているのも事実です。水道水を飲むか飲まないかという問題は、嗜好の問題が大きいのも事実です。しかし、公共の水道事業が、これに対抗して、これだけの経費をかけてアピールしなければならない問題でしょうか。水道水は、都民生活になくてはならないライフラインであり、必要な人に届かない状況がないかどうかにこそ視点を置いてほしいと思います。
 そこで、一本百円で販売している五〇〇ミリリットルの「東京水」のペットボトルの製造費用、それから利用状況などについて資料を出していただきましたけれども、このような使い方の目的と実際、効果をどのように分析しているのですか。

○松丸参事 ペットボトル「東京水」は、PR用として製造したものでございまして、お客様に高度浄水処理水を手軽に飲んでいただき、安全性やおいしさについて実感することにより、水道水に対する理解を深めていただくことを目的としております。
 また、あわせて、そのラベルを広報媒体として活用し、高度浄水処理水の水質や安全でおいしい水プロジェクトの取り組み等に関するPRを行っております。
 効果でございますが、これまでのイベントの中で実施いたしました市販のミネラルウオーターとの飲み比べアンケートの結果では、四二%の方から「東京水」の方がおいしいとの回答をいただいています。また、どちらも同じぐらいおいしいと回答した方も二四%ございまして、合わせると六六%の方から「東京水」がおいしいとの評価をいただいております。
 その他、「東京水」につきましては、新聞やテレビなどマスメディアの取材も数多く受けて好評を得ておりまして、効果的なPRができていると考えております。

○かち委員 資料の九ページに資料を出していただきました、ペットボトルの「東京水」製造経費と販売実績ということですけれども、この場合のペットボトルの卸単価というのは幾らになっているんでしょうか。

○松丸参事 提出した資料にございますとおり、製造費用につきましては、約三千二百五十万円でございます。そのうち三十四万本をPR用として配布し、約四万本を販売いたしました。単純に割り返しますと、一本当たり八十五円になります。
 また、卸売ですね、百円で売っていますので、卸売の単価につきましては、ボトルのラベルを局事業のPRに活用していることから、ラベル関係費をPR経費として製造原価から控除し、七十円としております。

○かち委員 製造経費は三千二百万余円ということですけれども、売り上げとすれば約一割程度。七十円単価でやれば一割程度ということですから、ほとんどがPR用料金ということです。
 しかし、CO2削減や資源利用のあり方が見直しを迫られている今日、ペットボトルに要するエネルギーコストや、冷やすためのエネルギー消費の負荷をかんがみても、水道料金収入の中から水道水を無償配布してPRしなければならない必然性は考えられません。この件についても見直すべきだと申し上げておきます。
 次に、給水停止状況について資料を出していただきました。近年、給水停止件数が増加の一途です。これも経済不況や貧困の影響が反映している事実だと思われます。
 また、水道料金の未納カードの件数が減っているのに、給水停止件数がふえているというのはどういうことなのか、ご説明いただきます。

○内海サービス推進部長 水道の未納料金を早く回収すべきであるという平成十六年度の包括外部監査の意見を受けまして、平成十九年度に、料金請求から水道の給水停止に至る期間を短縮いたしました。このため、給水停止をする機会は増加をいたしました。
 その一方で、民間委託による未納者の戸別訪問を導入いたしまして、より丁寧な料金支払い催告を行うことといたしましたので、その結果、給水停止の対象となる未納カードの発行枚数は減少したものでございます。

○かち委員 今のご説明では、未納カードの発行は、これまで四回の催告書を発行していたけれども、それを二回にして、戸別訪問をそこに入れて、給水停止も含めてかな、未納カード発行までを六カ月から四カ月に短縮したということですね。
 いずれにしても、支払い能力の弱い人に取り立てが厳しくなったといわざるを得ません。今日のような貧困格差の広がる中で、水道料金など公共料金の支払いにも困窮している実態は多々あるわけです。
 こういう中で、水道は都民にとって命綱であります。貧困ゆえに払えない家庭の水道給水停止は行うべきではないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○内海サービス推進部長 水道料金が未納のお客様でございましても、何かしらの事情がございまして、生活が苦しく、料金を支払うことが困難であるというような場合には、それぞれの事情を考慮いたしまして、納入期限の延長でございますとか、水道料金の分割納入などによりまして、きめ細かく対応しているところでございます。

○かち委員 払えない状況の人にさらに払えということではなく、それから、未納件数がふえているけれども、じゃ、その金額はすごい未納金が多いのかといえば、そうではないわけですよね。そういう意味では、都民の生活実態を本当にしっかりと見定めて、無理な給水停止に持ち込まないように努力をすべきだというふうに思います。
 次は、水道料金の減免制度についてですが、条例上定められているもののほか、下水道事業では、減免制度の対象に、高齢者の老齢福祉年金受給者や医療施設や染物、また生活関連事業など、多数が対象となっています。しかし、上水道の場合はそういうのがなくて、下水道とは違うんですね。少なくとも、低所得の高齢者については、下水道と同様に減免すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○森総務部長 水道事業は地方公営企業として、独立採算のもと、受益者負担を原則として経営しております。こうした観点から、料金の減免措置というものは、基本的にはなじまないというふうに考えております。
 現在実施をしております生活保護世帯などに対する減免措置は、都議会の決議の趣旨を尊重し、減収分を一般会計で補てんすることを前提に、例外的に実施しているものでございます。したがいまして、減免措置を拡大するという考えはございません。

○かち委員 同じ公営企業である下水道ができて、水道ができないという状況はないと思うんです。そういう意味では、やっぱり都民の切実な実態に即して考えていただきたいと思います。
 水道事業の収益的収支は黒字経営です。水道料金は値下げして、都民に還元すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○森総務部長 水道事業の運営に当たりましては、長期的な視点に立って、必要な施設整備を着実に実施していくことが重要でございます。特に、施設の建設改良におきましては、既存施設の機能向上などを勘案する必要があり、減価償却費等による内部留保資金だけでは、財源を十分に確保することができない状況にございます。このため、会計処理上生じる収益的収支の剰余金は、将来にわたって水道サービスを提供していくための建設改良費等に充当しているところでございます。
 このようなことから、現在のところ料金を値下げするという考えは持っておりません。

○かち委員 八ッ場ダムを中止すれば、その負担金が不要になるとともに、これまでの負担分も返還されます。
 また、一億、二億円の経費をかけてコマーシャルする財源があるなら、これらを勘案して、今後、都民の料金負担の軽減に反映されるよう強く求めて、質問を終わります。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会といたします。
   午後二時二十八分散会

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