公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十年十月二十九日(水曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長野上 純子君
副委員長伊藤 ゆう君
副委員長石森たかゆき君
副委員長松村 友昭君
西崎 光子君
中山 信行君
田中たけし君
吉原  修君
山田 忠昭君
大津 浩子君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長総務部長事務取扱泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事加藤 英夫君
理事河島  均君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長座間  充君
市街地建築部長河村  茂君
都営住宅経営部長清水 文夫君
企画担当部長横溝 良一君
民間開発担当部長石川  進君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
都市景観担当部長町田 修二君
参事瀧本 裕之君
下水道局局長今里伸一郎君
技監中村 益美君
総務部長細野 友希君
職員部長阿部 義博君
経理部長佐藤 仁貞君
計画調整部長小川 健一君
技術開発担当部長東郷  展君
施設管理部長宇田川孝之君
建設部長黒住 光浩君
参事小山 哲司君
流域下水道本部本部長新田 洋平君
管理部長梶原  明君
技術部長高相 恒人君

本日の会議に付した事件
 平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成十九年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
下水道局関係
・平成十九年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○野上委員長 ただいまから平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○只腰都市整備局長 過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介いたします。
 多摩ニュータウン事業担当部長の小澤弘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○野上委員長 紹介は終わりました。

○野上委員長 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○泉本次長 十月十五日の当分科会で要求をいただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます当局の平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の都市再開発事業会計施行三地区のこれまでの進捗状況と今後の予定外二件でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1の都市再開発事業会計施行三地区のこれまでの進捗状況と今後の予定でございます。
 北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区の三地区につきまして、平成十九年度末までの事業費、用地取得面積と今後の予定を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。2の三地区における特定建築者への未処分の建築敷地の現況でございます。
 地区ごとに、特定建築者へ未処分の建築敷地数と敷地面積を記載してございます。
 最後に、三ページでございます。3の大橋地区一-一棟敷地にかかわる用地費及び補償費の金額でございます。
 大橋地区一-一棟敷地にかかわる用地費及び補償費について、地区全体の用地費及び補償費約六十八億円を、一-一棟の敷地面積割合により案分して算出した金額を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○野上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 私は、大橋地区の再開発事業について何点かお伺いをいたします。
 石原都政の主要課題の一つに、三環状道路の早期整備が挙げられております。全国の自動車平均速度が約三十五キロに対して、東京は渋滞が大変多く、約十八キロといわれております。その原因は、東京を中心に放射状に道路整備がなされており、東京から他都市へのアクセスは便利ですが、他都市から別の都市へ移動する際も東京を通らざるを得ず、必要のない車まで都心に入り込んでしまうから渋滞が発生するといわれております。その解消のためにも環状型の道路整備が急務であり、他都市と別の都市を、都心を経由せずにつなげることにより、都心の渋滞を解消していくことが必要であり、早期に三環状道路の整備が期待されるところであります。そのためにも、多くの沿線住民の理解、協力が不可欠であることはいうまでもないと思います。
 私の地元品川区では、三環状道路の一つである中央環状品川線の工事が進められておりますが、沿線住民への配慮をぜひともお願いをしたいと思います。特に五反田地区では、排気塔建設予定地周辺住民の環境悪化に対する懸念の解消に向けて、引き続き全力を挙げていただきたいと強く要望いたします。
 大橋地区の事業は、中央環状線と首都高速三号線とを接続する大橋ジャンクションの建設に伴い、周辺地域と一体となって再開発していこうとするものであり、沿線住民の理解や協力のもと行われる再開発事業であると理解をしております。
 そこで、地域の利便性向上や環境改善にも寄与することが大いに期待されるところですが、その点における具体的な取り組みについて、まずお伺いをいたします。

○座間市街地整備部長 大橋地区周辺におきましては、再開発事業を契機といたしまして、東京都、目黒区、首都高速道路株式会社及び住民が一体となって、地域の利便性向上や環境の改善など魅力的なまちづくりに取り組んでおります。
 具体的には、利便性の向上を図るために、再開発ビル内に図書館などの公益施設を配置するとともに、国道二四六号で分断されている地域を連絡するための歩行者デッキの新設などを計画しております。また、ジャンクション屋上の公園化や再開発ビル屋上緑化による緑の創出や、分流式下水道の導入による目黒川の水質改善など、環境改善に配慮した計画としております。
 今後とも、関係者と連携を図りながら再開発事業を推進し、大橋地区の魅力を向上させてまいります。

○田中委員 大橋地区の地形から、中央環状線と首都高速三号線との接続となるジャンクション建設を大規模にせざるを得ず、周辺住民や地権者の理解、協力のもと、周辺地域と一体となった再開発事業は多くのメリットがあると強く期待をしております。
 一方、サブプライムローン問題から発した今日の金融危機は、日本経済にも多大な影響を及ぼしており、不動産市況にも大きな影響を与えております。都施行再開発事業にも少なからず影響を及ぼしているものと推察をいたします。現に北新宿地区の再開発では、昨年度、最大街区である一街区の敷地が予定価格の一・八倍の千百五十四億円で処分できた一方で、そのわずか半年後に行われた大橋地区の再開発事業では、特定建築者の公募に対して応募者があらわれず、いまだに特定建築者が決まらないといった事態に陥っております。
 不動産市況がここまで悪化するとはだれしも想像していなかったことであり、今後の見通しも、専門家によって意見が分かれるような先行き不透明な状況となっておりますが、都はこのような状況をどのように認識しているのか、お伺いをいたします。

○座間市街地整備部長 不動産市況の認識についてでございますが、首都圏の不動産市況をあらわします一般的な指標といたしまして、住宅系では新築マンションの発売戸数や契約率などがございます。また、業務系では空室率などが挙げられます。近年におけるこれらの指標の推移を見ますと、特に住宅系の契約率において乱高下が激しく、先行きが不透明な状況になっております。また、業務系においても、空室率が穏やかに上昇しており、住宅系ほどではありませんけれども、予断を許さない状況になっております。
 このような状況から、業務系の再開発事業に比べ、大橋地区のような住宅系の再開発事業にとっては、急激なマンション市況の悪化や建設コストの高騰などを背景に、依然として事業環境は厳しいものと認識しております。

○田中委員 今回の金融危機は甚大であり、先々全く予想もつかない状況だと認識しております。しかし、都として適切な判断ができるよう、今後の状況把握を期待いたします。
 私は、昨年、この分科会質疑において、特定建築者制度の導入効果について質問し、その効果を確認させていただきました。そのときの答弁では、導入効果として、事業費の圧縮と保留床の処分リスクの回避という点が挙げられましたが、現在、予定価格を下げても特定建築者がなかなか決まらないような状況のもとにおいても、やはり特定建築者制度を導入した方が効果が得られるのか、お答えをください。お願いします。

○座間市街地整備部長 特定建築者制度の導入についてでございますが、特定建築者制度につきましては、今委員ご指摘のとおり、事業費の圧縮と保留床の処分リスクの回避が施行者にとって効果がある。このほか、民間ノウハウを活用することによりまして、住宅ニーズに合った付加価値の高いマンションを提供するなど、権利者や保留床取得者にとっても大きなメリットがございます。
 大橋地区については、事業が既に始まっておりまして、これ以上事業がおくれることになれば、権利者に多大な負担を強いることになるほか、周辺のまちづくりにも大きな影響を与えることになります。このような状況で、都が改めて建築を行う場合、それに伴う実施設計や契約手続などに時間を要することから、事業期間内に施行を完了することは困難であると考えております。したがいまして、速やかに特定建築者を決定し、事業を推進していくべきと考えております。

○田中委員 ぜひとも最適の特定建築者によって再開発事業が遂行されることを期待しております。
 現在の社会情勢は大変厳しいものがあり、民間の事業であれば、状況が好転するまで様子を見ることもできますが、都施行再開発事業の場合は、権利者の再建を一刻も早く図らなければならないという公的使命があるため、そう簡単に待つということもできないものであります。
 加えて、大橋地区の再開発の場合は、中央環状新宿線を平成二十一年度に、また、品川線を平成二十五年度に完成させるためにも、事業を確実に進めていかなければならない事情があります。
 このような取り巻く状況が困難性を増す中で、事業のおくれが心配されるところですが、現在の大橋地区再開発事業の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○座間市街地整備部長 大橋地区の進捗状況と今後の対応でございますが、首都高速道路株式会社が施行しております大橋ジャンクション工事につきましては、中央環状新宿線の全線開通に向け、順調に工事が進んでおります。また、中央環状品川線との連結路と工事が競合する部分につきましては、品川線の工事に支障がないよう調整を図り、平成二十五年度の完成を目指してまいります。
 一方、再開発事業におきましては、二棟の再開発ビルのうち、既に一-二棟の躯体工事が完了しておりまして、平成二十一年四月末には権利者の入居を開始する予定でございます。残る一-一棟につきましても、入居する権利者との管理処分計画がほぼ完了しておりますので、今後速やかに特定建築者を決定して、平成二十四年度の事業完了を目指してまいります。
 このように市街地再開発事業を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっておりますけれども、今後は不動産、建設、金融など市場の動向をより的確に把握するとともに、事業収支やスケジュールなども総合的に勘案し、着実に事業を進めてまいります。

○田中委員 大橋地区再開発事業は、現在の厳しい状況下においても、特定建築者制度によって事業を着実に進めることが、そこにお住まいの権利者の生活再建のためになるばかりか、周辺住民の生活環境の向上や、高速道路ネットワークの整備という観点からも、最善の策であると改めて認識をしております。ぜひとも、今後もよりよいまちづくりに向け、積極的に事業に臨んでいただきたいことを強く期待をいたしまして、質問を終わります。

○伊藤委員 平成十九年度公営企業会計決算特別委員会におきます質疑をさせていただきたいと思います。
 私からも、今、田中委員からご指摘がありました大橋地区ジャンクション整備についてお伺いをしていきたいと思います。重複する箇所は余りありませんので、今、進捗状況についてお話がありましたので、それに沿ってお話を伺っていきたいと思っております。
 今、ジャンクション工事等の進捗状況についてはお話がありましたが、改めて用地取得の状況について、まず伺いたいと思います。

○座間市街地整備部長 大橋地区内の用地取得の状況でございますけれども、地区内の用地取得につきましては、ほぼ完了した状況にございます。

○伊藤委員 大橋地区のこのジャンクション整備については、私も慢性的な首都高の渋滞解消等に大きく貢献するものとして事業の推進に賛成をする立場でございますので、今後とも積極的な事業運営が図られることを心より要望したいというふうに思います。
 この大橋地区の今の整備の進め方の一つとして、中心点にループを設けるということで、そのループは屋上緑化を図って環境配慮をしているということで、大変先進的なループであるというふうに思っております。
 また、内部も、区の管理ということになるようですけれども、イベントスペースができて、今後、区の中でも、私の地元の目黒区ですけれども、地域のお祭りなどにこの場所が提供されていくことになるのではないか、こういうことについては非常に果敢な取り組みとして評価を申し上げたい、こういうふうに思っております。
 ただ、このループの周辺には二つの大きなマンション計画があって、一-二棟と一-一棟と呼ばれるものが計画をされています。当然この地域は、私も長らくこの地域に住んでおりましたので、よくわかるんですが、非常に小さいですね。木造等の密集住宅地域でございまして、それらの地権者の方々は、中には区外に転出をされた方もいますけれども、今でも権利を持っておられて、このでき上がるマンションに等価交換で入っていらっしゃるという方も大変多いようであります。
 そこで、一-二棟と一-一棟ですけれども、この一-二棟の方は平成十八年から売買が行われて、そしてマンションも建った、こういうことであります。ただ、その一-二棟よりも倍以上の広さを持つ一-一棟の敷地に建つマンションの建築事業者が決まらない、こういうことが今、田中委員からもご指摘があったとおりでございます。この点について特に伺うためにも、一-二棟との比較等をさせていただきたいと思っております。
 それで、一-二棟の特定建築者の公募にかかわる予定価格と応札額が、まず、当時幾らだったのか、いつだったのかということをお伺いしたいと思います。

○座間市街地整備部長 一-二棟の特定建築者についてでございますけれども、特定建築者につきましては、平成十八年三月に公募を開始いたしまして、同年の八月四日に決定をしております。
 一-二棟の保留床処分に相当する敷地の共有持ち分予定価格、いわゆる敷地処分予定価格でございますけれども、東京都の保留床等処分運営委員会に諮りまして、二十二億八千三百万と設定しております。これに対します応札額でございますが、三十四億六千八百万となっております。

○伊藤委員 一-二棟の方は、予定価格よりも約十二億円程度高く売れた計算になる。これがちょうど今から二年半ぐらい前のことだということであります。
 それでは、一-一棟の方の特定建築者の応募状況について伺いたいと思います。

○座間市街地整備部長 一-一棟の特定建築者の応募状況でございますが、一-一棟の特定建築者の公募につきましては、平成二十年四月八日から六月十日まで行いましたが、応募はございませんでした。その後、敷地処分予定価格などの募集条件の見直しを行いまして、六月二十七日から八月十二日まで再公募を行いましたけれども、同じく応募はございませんでした。

○伊藤委員 今、第一回、第二回の公募ともに応募がなかったということでありますけれども、一回目と二回目の公募の予定価格をまずお伺いしたいと思います。

○座間市街地整備部長 予定価格でございます。第一回目の敷地処分予定価格につきましては、百九十億円でございます。第二回の予定価格につきましては、七十九億円でございます。

○伊藤委員 第一回と第二回というのは、おさらいですけれども、第一回目が四月八日から六月、第二回が六月二十七日から八月ということで、ほとんど間を置かずにこの公募がされている。大体二カ月ぐらい、中があるといえばあるわけでありますけれども、その間に、百九十億円だった予定価格が、第二回のときには七十九億円という、百十一億円にも上る金額が減額をされて公募予定価格となって発表されている、こういうわけでございます。
 そこでお伺いをしたいんですけれども、一回目の予定価格である百九十億円に設定した根拠は何でしょうか。

○座間市街地整備部長 第一回目の予定価格百九十億円につきましては、不動産鑑定機関三者によります鑑定評価に基づき設定したものでございます。

○伊藤委員 今、不動産鑑定機関三者ということでありましたけれども、今度は二回目の予定価格が七十九億円になるわけですけれども、この減額をした、また、この金額の根拠は何でしょうか。

○座間市街地整備部長 第二回目の予定価格でございますけれども、第一回の鑑定評価による価格設定では応募がなかったこと、また、募集時点での不動産市況の動向などから、今後も鑑定評価では応募が見込めないと判断したものでございます。
 このため、二回目の敷地処分予定価格につきましては、事業収支などを勘案して、保留床等処分運営委員会に諮り、設定したものでございます。

○伊藤委員 百九十億では売れなかったということがあって、直後に、今度は大幅な値下げがあって七十九億円になりました。その大きな理由は、事業収支などを勘案ということですけれども、もうちょっとこれをわかりやすい言葉でいうと、事業収支などを勘案して設定というのはどういうことになるんでしょうか。

○座間市街地整備部長 事業収支などを勘案とはどういうことかということでございますけれども、事業収支はもちろんのこと、土地鑑定士や都施行の再開発事業に実績のある企業からのヒアリング等の結果、さらには建設コストの動向などを総合的に勘案して判断したものでございます。

○伊藤委員 ありがとうございます。わかりやすかったです。
 そうすると、今のお話は、つまり都に実績のある事業者にヒアリングをした、その方が今の市場動向というのが正確につかめる、それ等を総合的に勘案したということですが、一回目のときからそういう総合的な判断が働いてしかるべきじゃなかったのかなというふうに思うんですけれども、一回目のこの予定価格は実勢価格に見合った価格というふうに認識をしていたんでしょうか。

○座間市街地整備部長 第一回目の予定価格につきましては、不動産鑑定で評価した数字でございますので、その当時としては適正な価格と認識しておりました。

○伊藤委員 今、その当時はということなんですけれども、しかし、大幅に減額をされたということは、何をかいわんや、不動産鑑定士の鑑定評価額だけでは市場動向に見合った価格にならない、こういうことを当局も判断をされて、こういう第二回目の価格決定が行われたものというふうに推察をいたします。
 そこで、少し進めますけれども、一-一棟の用地費及び補償費というものが幾らなのかということを伺いたいんですけれども、この全体の地区整備の資金計画の中には用地費及び補償費というのがありまして、これが六十八億円だということが公になっております。これをこの土地の割合に割り返していきますと、大体八割ですから、五十五億円程度になるのかなと。この五十五億円というのが、いわゆる敷地取得の原価、総費用というふうに見ていいのかなと思いますけれども、その点について確認をさせていただきたいと思います。

○座間市街地整備部長 五十五億円につきましては、本日提出しました第二分科会資料に記載をされておりますけれども、この五十五億円につきましては、一-一棟にかかわる用地費及び補償費でございまして、敷地の総原価といたしましては、このほかに調査、設計費などの権利返還諸費並びに人件費などの事務費、これを含むものでございます。

○伊藤委員 つまりは、この一-一棟に相当する原価額、総費用といった方が、今の人件費も含まれますから、いいんだろうと思いますけれども、五十五億円であるということになるんだというふうに理解をさせていただきます。
 そこで、もう一つ伺いたいんですけれども、今現在、この一-一棟に入居しようと思っていらっしゃって待っている地権者の方及び当時営業をされていた方々がいらっしゃるというふうに思います。そして、既に仮移転をされて、仮住まいや家賃補償、その費用を東京都から補償されている、こういう方々がいらっしゃると思うんですけれども、大体一カ月当たり、こうした家賃補償や営業補償の総額というのは幾らぐらいになるのか、お答えいただきたいと思います。

○座間市街地整備部長 一-一棟に入居予定の権利者に対する仮住まいや家賃減収等の補償費につきましては、一カ月当たり約四千万円と想定しております。

○伊藤委員 一カ月当たり四千万円ということですから、特定建築者がなかなかあらわれずに、工事そのものの工期が延びていく。延びれば延びるほど、一カ月ずつ四千万円かかる。既に第一回の公募が四月八日から六月十日でした。ですから、六月に決定をされておれば、今、十月も末でありますので、約四カ月ないし五カ月、それをこの四千万円に掛け算していきますと大体二億円ぐらい、こういうことでございますので、この間にもう二億円の家賃補償と営業補償が消えてしまった、支出せざるを得なくなった、こういうことでもあります。
 そこで、もう一つ伺いたいんですけれども、一-二棟、もう既に平成十八年に売れましたこの一-二棟のマンションはでき上がって、それぞれのお部屋の売れ行きというのがわかると思うんですけれども、このマンション販売の売れ行き状況というのはどんなものなんでしょうか。

○座間市街地整備部長 この一-二棟のマンションの売れ行き状況につきましては、事業者の販売戦略にかかわることでございますので、具体的には数値を把握してございませんけれども、不動産市況の急激な変化もございまして、厳しい状況にあると聞いております。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 東京都が直接売っているわけではありませんから、事業者の販売戦略にかかわるということなんでしょうけれども、しかし、苦戦しているという話ですから、今の不動産市況、こういうものの厳しさが東京都にも、今現在というよりも、もうちょっと前から既におわかりをいただいていたのではないかなというふうに思います。
 そこで伺いたいんですけれども、今度は、第一回、第二回の公募を受けて第三回目の公募を次回せざるを得ない、こういうことですけれども、五十五億円という先ほどの敷地取得の総費用がありました。ですから、これが一つの目安にもなる、損益分岐点の目安だというふうにも思います。
 同時に、二回目の予定価格は事業収支などを勘案してということでしたから、この総費用のみならず周辺整備等を含めたときに、事業収支から見れば七十九億円というのがぎりぎりの最低ラインだったというふうにも、先ほどの答弁からは読み取れるわけでありますけれども、次回公募をかける場合には、この損益分岐点を割り込み、欠損を覚悟の上でも予定価格を設定することにならざるを得ないんじゃないかと思うわけですけれども、この点についてはどのようなご認識を持たれているでしょうか。

○座間市街地整備部長 次回の一-一棟の公募に影響を及ぼすおそれがございますので、現時点では、予定価格設定など募集条件にかかわる具体的な内容につきましてはお答えできません。

○伊藤委員 先ほど来からの質疑で、いずれにしても損益分岐を割り込まざるを得ない状況だということは、皆様の答弁から推察できるわけであります。そうしますと、もともとは不動産鑑定士というオーソライズされた立場の方々が百九十億ぐらいで、本来、通常の市況であれば売れたであろう価格が、七十九億円でも売れず、次回は損益分岐を割り込む可能性さえあるということになるわけです。
 そもそもそれは、東京都が特定建築者を募って施行させるという方式だから、こうした格安での公募というものをすることになるわけですけれども、東京都が建築事業者となって、この土地に建物を建て、そして保留床を販売していくということになれば、必ずしも大幅な減額をして公募にかける必要もなかろうと思うんですけれども、東京都が建築事業者となる、こういう可能性はないんでしょうか。

○座間市街地整備部長 都が建築事業者となる可能性があるかということでございますが、先ほどご説明をしておりますけれども、特定建築者制度につきましては、施行者にとってのメリットだけではなく、民間のノウハウを活用することにより、住宅ニーズに合った付加価値の高いマンションの提供ができるなど、権利者や保留床取得者にとっても大きなメリットがございます。
 大橋地区の事業は既に始まっておりまして、東京都が改めて建築を行う場合、それに伴う実施設計や契約手続などに時間を要することから、事業期間内に施行を完了することは困難となり、権利者に多大な負担を強いることになると考えております。したがいまして、今後速やかに特定建築者を決定し、事業を推進していくこととしておりまして、都が建築事業者となることは考えておりません。

○伊藤委員 先ほどの答弁の中でもう一ついわれていたのは、保留床を抱えるリスクを東京都が負うことは避けたいんだ、そして事業費の圧縮になるんだということでしたけれども、これは、正常な不動産の市況のときにはおっしゃるとおりだというふうに思いますけれども、今この不動産市況が悪化をし、ある意味では最悪だといわれているほどになっているときにおいていえば、東京都がこの財産というものを一定期間保有をして、そして土地価格が上昇したときに処分をしていくということも、通常のときとは違う判断というものが当然加わって、これも一つの妥当性が生まれてくると私は思います。
 同時に、都が建築事業者となる可能性が出てくるということは、選択肢が東京都にとってもふえるということでありまして、裏を返せば、今のままいきますと、東京都はつまり、この権利者がいますから、早期の建築をしなければいけないということになって、極論をすれば、幾ら安くても早く売らなければならない、それ以外の選択肢はない、こういうことになるわけであります。
 それを考えますと、都は建築事業者となる可能性も、過去にはあったわけですから、この状況というものを考えれば、私は今後検討をされるべきものだというふうに思っておることを、この場をかりて申し述べておきたいというふうに思っております。
 そして、先ほど、一回目の予定価格は実勢価格に見合ったものだったのかという質問をさせていただいた答弁の中に、三者による鑑定評価に基づいたもので、適正な価格と認識していますと、こういうお話がありましたけれども、もうその当時、ここにマンション販売半減という毎日新聞の記事がありますけれども、この記事を読みますと、不動産市況の悪化というものは報じられていました。
 これは最近の記事ですけれども、紹介をしますと、不動産経済研究所が十五日、これは十月十五日ということですけれども、発表した九月の首都圏の新築マンション販売戸数は、前年同月比五三・三%減の二千四百二十七戸だった。十三カ月連続の前年割れで、半数以下に減ったのは、九六年十月以来、約十二年ぶりだった。そして、同研究所は、バブル崩壊時をしのぐ市況の落ち込みだと分析していると、こういうふうに書かれておりまして、ここには、実は年を追ったグラフが同時に示されています。
 これを見ますと、〇八年、ことしの九月が前年同月比マイナス五〇%、つまり先月が最悪だったことがわかりますが、そのもう一つ、最もマンションの売れ行きが悪かったのは、マイナス四〇%以上を示しています〇七年の十一月なんです。この〇七年の十一月というのは、つまり一-一棟のこの不動産鑑定を始められた時期に符合をする時期でありまして、不動産鑑定が第一回目のために行われたのは〇七年の十二月からと聞いていますから、そういう意味では、去年の十一月の段階からマイナス四〇%の前年同月比で、ご記憶にも新しいと思いますが、このころ既に、東証に上場している不動産の会社も倒産をしたりしているということが報道されていましたので、この当時から、当然、百億以上の大規模な土地に関してはなかなか手が挙がらないということは、マンションディベロッパーやこの関係者においていえば常識だったというふうにもいえると私は思いますので、鑑定士が出した結果なのでこれが適正な価格だったというのは、余りにもこの実情とかけ離れているのではないかな、こういうことを一つは申し上げたいというふうに思います。
 それで、どうしても待つことは、今後、しかし、そうはいってもできない、そして特定建築者を活用していくということであれば、少なくとも不動産市況というものをもっときちんと見きわめて予定価格を設定する必要があるというふうに私は思います。
 現に百九十億円で出していた当時の方が、今よりはリーマンショックもありませんでしたから、もしあのころ、例えば百二十億とか百億とかで公募にかけていれば売れた可能性も、これは結果論といえば結果論ですけれども、やはりあって、民間の事業者でいえば、経営判断というのがそこに働く、こういうふうに私は思います。
 ですから、不動産市況が回復しない限り、今のやり方をこのまま続けていけば、いわゆる応募者からも足元を見られてしまって、結局、また低価格で売却をしなければならない、こういう事態にもなりかねません。当然税金で買いましたこの用地でありますから、都民の税金が最も安い時期に売られてしまう、こういうことにもなりかねないわけでありまして、今回の事態を踏まえた今後の改善策というものを伺いたいと思います。

○座間市街地整備部長 今回の事態を踏まえた今後の改善策についてでございますけれども、市街地再開発事業は、その事業の執行に一定期間を要することから、社会経済環境の影響を少なからずとも受けざるを得ないと考えております。
 今回の事態の背景には、急激なマンション市況の悪化や建設コストの高騰などの要因がございまして、これらが複合的に作用したものだと認識しております。
 しかし、こうした状況下におきましても、事業を着実に進めていくことが施行者としての責務であると認識しております。このため、引き続き、不動産、建設、金融など市街地再開発事業を取り巻く市況の動向をより的確に把握するとともに、事業収支やスケジュールなども総合的に勘案しながら事業を推進してまいります。

○伊藤委員 今、答弁にあったように、当局としてはいち早い事業の推進をすることが仕事なんだということでしたけれども、しかし同時に、都民の税金をお預かりし、それをいかに毀損させずに効率よく販売していくかということも、納税者の観点に立てば非常に重要なことだというふうに思います。
 特に局長、会社でいえば、いわゆる経営者がやはり市況判断というものをされて--不動産鑑定士が出した価格というのは、私は適正だと思います。しかし、それは適正だというのは、いわゆるそのときの路線価など書類を持ち合わせて、そして何人かで合議制で妥当金額が幾らだと、そういう意味では机上としてはそれで正当な価格だと思いますが、日々刻々変わる、特にことしは特別と、あるいは去年もですけれども、去年、ことしは特別と思いますが、特別なときほど経営判断というものが問われると思います。一億や二億のことではありませんで、事が百億円以上金額の変わっていることですから、これから特に環二の開発においても同じようなことが予想をされます。
 ですから、ここは、経営判断というのは局長しか極論すればできないわけですから、不動産鑑定士にやったからいいんだということではなくて、どうぞ市況判断はきめ細かく情報収集していただいて、適宜適正な価格設定をしていただきますように、心より要望を申し上げたいと思います。

○松村委員 私の方からも、大橋地区第二種市街地再開発事業について伺います。
 道路と一体の超高層マンションなどリスクの高い開発を自治体がやるべきではないのに、石原都政は何が何でも三環状を通すと急がせる余り、結局、都施行の事業としてしょい込んで強引に進めてきたものであります。
 そこで、都施行でやる最大の大義名分としていた従前居住者が住み続けられる再開発になったのか、従前居住者の生活再建がどうなったのか、まずご説明いただきたいと思います。

○座間市街地整備部長 大橋地区における従前居住者の生活再建についてでございます。
 大橋地区にお住まいの零細権利者の生活再建対策につきましては、資産の少ない権利者に対しては、権利者の要望に基づき権利者が取得できるよう小規模タイプの住宅を計画し、そこに三十九名の権利者が入居する予定となっております。
 また、住宅に困窮する借家人等に対しては、都営住宅等のあっせんに努め、これまで七名の方が都営住宅に入居しております。
 また、再開発事業の事業計画決定以前に首都高速道路株式会社が先行買収した大橋ジャンクション内の地権者で、再開発ビルへの入居を希望する権利者に対しては、権利床並みの価格で入居をさせる予定でございます。
 今後とも、権利者の意向を確認しながら、再開発ビルへの入居や、移転の際に必要となる移転資金の貸し付け、あるいは清算徴収金の分割納入のあっせんなど、権利者が円滑に生活再建できるように努めてまいります。

○松村委員 もう少し具体的に伺いたいんですよ。全体で従前居住者は、土地権利者、借地権者、それから借家人、それが何人で、この開発地域に残る方がどうなったのか。
 それから、具体的には一-二の建物、これに従前居住者の土地建物を持っていらっしゃる方が何人入るのか。土地だけの方は何人か。借地人と借家人はどうなっているのか。
 また、同じことを一-一の建物についてもお答え願いたいと思います。

○座間市街地整備部長 従前居住者の状況でございますけれども、土地建物所有者で一-一棟への入居権利者は三十七名、一-二棟への入居権利者は五十名、転出者は九十四名となっております。
 また、借家人につきましては、一-一棟への入居権利者は六名、一-二棟への入居者はございません。また、転出者につきましては百五十九名となっております。

○松村委員 事前に伺っていた、今の数字と大分ちょっと違うんですけれども、もう一回確認させていただくんですけれども、全体で三百四十六人の借家人を含めて関係者がいた。これはそうですね。それで、そのうち開発に残る方が九十三人、転出された方が二百五十三人ということでよろしいですか。

○座間市街地整備部長 ただいま副委員長ご指摘のとおり、権利者につきましては三百四十六人、譲り受け希望者が九十三人、転出者が二百五十三人でございます。

○松村委員 そしてもう一つ、もう大分完成して、私も現地に行ってきましたけれども、来春入居予定の一-二の建物は、土地建物を持っていた方は三十九人、土地を持っていた方は十一人、借地人と借家人は入居はなし。
 それから、一-一の、これから特定建築者を募集して建物を建て始める。しかし、既に管理処分計画、これが決定しましたよね。それによりますと、土地建物を持っていらっしゃる方で三十一人がそこに権利返還する。土地だけ持っている方は六人、借地人はゼロで、借家人は六人、これもそのとおりですね。

○座間市街地整備部長 一-一棟につきましては、譲り受け希望対象者が三十七名、借家人が六名、計四十三名でございます。
 一-二棟につきましては、譲り受け希望対象者が五十名、借家人がゼロ、合計五十名でございます。

○松村委員 一-二と一-一の建物が今、私がいっていたのは逆だということでいいんですか--。
 それからもう一つ、昨年のこの公営企業決算で、借家人百六十五人のうち、八%が残留できるんですよといったんですけれども、今、六人ということですから、これは八%じゃないですよね。さらに減ったということでよろしいんですね。

○座間市街地整備部長 借家人につきましては、現段階で六名、四%となっております。

○松村委員 いずれにしても、従前居住者の住み続けられる要望が強いから都施行だと。もう都施行の再開発事業はやらないというふうに決まっていたのに、あえてこういう形にしながらも、しかし、結果的には今ご答弁がありましたように、従前居住者で全体で引き続きお住まいになるのは二六・九%、約二七%ですよね。借家人に至っては三・六%、四%で、私は完全に住民を追い出すような形の再開発になったことは明白ではないかというふうに指摘せざるを得ません。
 そこで、次に、事業費などについても伺いますが、都は特定建築者制度というものをとって、特定建築者を公募で決定し、その特定建築者は施行者である都にかわって再開発ビルの建築や保留床処分を行うとしているものですけれども、まず、ほぼ完成し、来春入居予定となっている一-二棟について伺います。
 保留床が売れ残って苦戦しているということは、先ほどの質疑でもありました。これはどういう状況か、これから、都は施行者なんですから、引き続き一-二棟について、やはり市況をしっかりつかむためにも、これを把握すべきなんじゃないですか、どれぐらい売れ残っているのかを。再度お答え願いたい。

○座間市街地整備部長 先ほどご答弁いたしましたけれども、一-二棟の販売につきましては、事業者の経営戦略にかかわるものでございますので、お答えは控えさせていただきます。

○松村委員 いずれにしても、ホームページや、私も現地に行っていろいろ聞きましたけれども、苦戦というのはどのぐらいなのかといったら、半分ぐらいあるかもしれないというような話も聞きましたけれども、大変な事態だというふうに思うんです。
 そこで、特定建築者、ここは、一-二は東急不動産、東急電鉄、有楽土地などですけれども、公募条件の敷地処分予定価格、それから権利床など整備費は幾らか。また、実際の応札額、これについては既に先ほど答弁ありましたから、権利床等整備費について伺います。

○座間市街地整備部長 一-二棟の募集条件でございます。敷地処分価格と権利床整備費でございますけれども、敷地処分予定価格につきましては二十二億八千三百万円でございまして、これに対して応札につきましては三十四億六千八百万でございます。また、権利床整備費につきましては、二十億八千七百万に対しまして、応札額は十七億七千二百万円でございます。

○松村委員 敷地予定価格は二十二億八千三百万が、実際には三十四億六千八百万で応札があったと。権利床の方は逆に低く、三億二千万円ぐらい低いという数字で、これで特定建築者は採算がとれるとして、保留床の価格を決めて売り出しているけれども、現在大分苦戦して売れ残っているという状況ですよね。
 いよいよ今度は一-一棟、これは現在どうなっているかというと、先ほど来質疑がありました。この一-一の建物は、さらに高さ百六十メートル、戸数も六百八十九で、権利床二百四十六戸、保留床四百四十三と、大分容積率を事業の採算に合うようにということで割り増ししてやって、こういう結果となって、管理処分計画も決定している。しかし、これが本当に採算が合うのかという点では、応募者も二の足を踏んで、売れ残るんじゃないか、採算が合わないということで、応募が二回もなかった。
 それで、既に、敷地予定処分価格は百九十億、これは一回目で、第二回目は七十九億円としたということですけれども、もう一方の都が払うべき権利床など整備費は、第一回、第二回はどうなっているのでしょうか。

○座間市街地整備部長 権利床整備費につきましては、第一回、第二回ともに七十八億四千万円でございます。

○松村委員 従前居住者が権利返還する、そういう権利床の整備においては、今、建築コストの面がいろいろありますけれども、これは第一回、第二回の提示とも変わらない額だと。では、第三回目はどういう応募条件にするのかは、先ほどの敷地処分予定価格についてはいえない、検討中であるということなんですけれども、この権利床整備費などについての状況は第一回、第二回と同じなんですから、第三回も同じような条件で出すというように判断してもいいんでしょうか。

○座間市街地整備部長 次回の公募につきましても、権利床整備費につきましては同額を考えております。
 次回の応募の条件につきましては、まだ公募の前でございまして、この答えにつきましては控えさせていただきます。

○松村委員 まあ率直にお答えになったのが考え方じゃないかというように思うんですけれども、それで、専らその土地の敷地処分価格を下げることによって何とか応募者をという判断なんでしょうけれども、もし第三回目も応募者がなかったら都としてどうするのかを、私の方からもお伺いしたいと思います。

○座間市街地整備部長 ただいまご答弁いたしましたとおり、特定建築者の公募前でございまして、応募金額が確定しない段階では、想定の話になるお答えはできません。

○松村委員 第三回目はいつ公募にかけるんですか。

○座間市街地整備部長 現在検討中でございまして、近々に公募する予定になっております。

○松村委員 その結果を見てからでなければ、今後の対応が考えられないというのも、都民が首をかしげる事態だというふうに思うんですけれども、結局は敷地処分価格、既に第一回から第二回を見ても、その差百十億以上ですよね、半値以下にしている。結論からいえば、都民の税金をそれだけ持ち出すということになるのではありませんか。ここも確認の意味で伺っておきたいと思います。

○座間市街地整備部長 この大橋地区の事業につきましては、特定財源を使っておりまして、一般財源は投入してございません。

○松村委員 それは、事業の採算が合ったらという話ですよね。現に、私は素人というか、一般的に考えたって、先ほど、不動産鑑定士三者による、そういう審査委員会におけるこの一-一棟の敷地処分価格を百九十億円というふうに見ているんですよね。結局、都施行ですから、東京都は利益を上げる必要がありませんから、採算割れがしないようにということの全体から、こういう取得処分価格ですか、決めていられるといいますから、それを下げるということは、事業採算を、今後採算ベースを割るというふうになってきたら、やはり一般財源からというか税金投入と。これまでも隠れ借金、後でちょっと触れますけれども、隠れ借金の問題が大問題ですよね。あちらこちらのやはり再開発事業が焦げついて、それを、本当に都民の施策を犠牲にした上でこの隠れ借金を返したというか、終わった途端にまたまた反省もなくこういう借金をつくることは本当に認められないというふうに私は思うんですけれども。
 じゃ、一-一棟、それから完成が終わった一-二棟、この敷地処分の用地の取得額は幾らか。それは公有地を含めた、ここには、二つ合わせて六十八億というけど、この中には、区道であったりとか公有地などがありますよね。だから、ただ単に民間からの、または立ち退きしたとか、そういう費用だとかいう以外のものをきちっと示していただきたいというふうに思うんです。それぞれの管理処分計画での敷地の原価額は幾らになっているでしょうか。

○座間市街地整備部長 先ほどからもお答えしているとおり、特定建築者の公募に影響を及ぼすことから、現時点ではお答えできません。

○松村委員 今はこういう資金計画があっても、それがやはりこうした採算に合わないことをやったら、特定建築者の方は企業ですから、採算が合う、そのためには、だからもっと引き下げたりとか、条件がよくなければ応募できない、手を出さないという関係に現状においてもあるわけですから、結局は採算ベースを切って、都の税金投入というふうになることは、私は今、必至の事態にあるんではないかというふうに思いますし、事業的にも破綻していることは明確だというふうに思います。
 もう一つ、私、地元の方々からの要望もいろいろ伺ってまいりましたけれども、一つ紹介したいのは、百六十メートルと百メートルの超高層ビルを建てる。この再開発によっては、地元からも、やはり日照被害を出す超高層ビルの建設計画を見直してほしい、変更してほしいという四千人からの要望書が出されておりますけれども、当時それに対応した都の考え方は、もし一階でも下げた場合、その分が全部権利者に百万円ぐらいかかってくるというような形をいって、そういう要望を真摯に受けとめないで拒否しているということも聞いて、何だよ、今さら、百億以上も取得というか敷地処分の、東京都の、都民の税金を使って取得し、全体的には事業をやっていくことが、価格割れしたらちょっとおかしいんじゃないかというような意見も聞きました。
 これについては、そういう意見の紹介だけにしておきますけれども、今後やっぱり、今この時点に立ってもきちっとした見直しというか、検討が当然必要ですし、我が党は従来から、こういう道路計画と一体となった、しかも都施行でやらないという事業をあえて都でやった誤りがいよいよ明確になってきたということを指摘して、これ以上の切り口を広げることはやめるべきだと意見を申し上げて、終わりたいと思います。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○野上委員長 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。区部下水道事業における収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
 平成十五年度から十九年度までの五年間における区部下水道事業の収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。区部における浸水対策の計画と実績、雨水整備クイックプランの進捗状況及び下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 このページには、平成十九年度末における浸水対策の計画と実績、雨水整備クイックプランの主な進捗状況をお示ししてございます。
 次の三ページでございますが、公共雨水浸透ますにつきまして、平成六年度から十四年度までの九年間に設置した個数及び平成十五年度から十九年度までの五年間における設置個数の推移をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。東京アメッシュ(降雨情報システム)の概要でございます。
 東京アメッシュの目的、システムの概要及び局外への配信状況についてお示ししてございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 私からは、河川の水質浄化についてお伺いをいたします。
 私は、平成十八年第二回定例会におきまして、水の都東京の再生の観点から、水辺事業について質問をさせていただきました。水辺の再生には、親水性に配慮した河川整備などに加え、河川の水質浄化が欠かせませんが、都庁内では複数の局がその役割を担っているため、各局が連携して効果的に水質浄化を進めていく重要性を改めて訴えさせていただきました。
 下水道局は、公共用水域の水質保全を基本的な役割とし、これまでも水環境の保全に積極的に取り組んできたと思いますが、下水道局の河川の浄化に関する具体的な取り組みについて、私の地元品川区を例にとって何点かお伺いをいたします。
 地名の由来にはいろいろ諸説がありますが、我が品川区の品川の川の字は、現在の目黒川を指しているとの記述もあり、品川区にとっての目黒川は、ある意味、母なる川ともいえる川だと思っております。そのため、当委員会にもいらっしゃる目黒区選出伊藤委員同様、目黒川の水質浄化には強い関心があるところでございます。
 この目黒川は、都市化の進展に伴い、固有の水源が枯渇したことや、海からの潮の影響で流れが悪いため、水量が少なく、水質が大変悪くなった時期がありました。これに対し、関係機関が連携して、落合水再生センターで高度処理した再生水を活用し、水量をふやす取り組みとして清流復活事業が行われております。
 そこでまず、目黒川などで行われている清流復活事業の内容についてお伺いをいたします。

○小川計画調整部長 都市化により固有の水源が枯渇した河川の対策として実施しております清流復活事業では、環境局や建設局、地元区などと連携し、平成七年三月より、渋谷川・古川、目黒川及び呑川へ落合水再生センターの高度処理した再生水を供給しており、河川の水量確保や水質改善を図っているところでございます。
 平成十九年度の供給量は、三河川合計で一日当たり七万五千立方メートル、目黒川では二万六千立方メートルとなってございます。

○田中委員 清流復活事業は、潤いある水辺を創出するために一定の成果を上げていると思います。今後も引き続き、高度処理した再生水を活用し、河川の浄化に寄与していただきたいと思います。
 一方で、東京区部の下水道の約八割は、家庭からの生活排水と雨水を同じ下水道管で水再生センターまで運ぶ合流式下水道で整備されております。この合流式下水道は、一定以上の雨が降ると、汚水まじりの雨水が河川などへ越流する構造となっております。このため、この合流式下水道が河川の水質悪化の一因であるともいわれております。
 そのため、下水道局では、合流式下水道の改善対策として、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する貯留池の整備や、雨水時の下水をより多く水再生センターに送水するための幹線などの整備を進めるとともに、雨水吐き口からのオイルボールやごみなどの流出を抑制する対策を行うなど、さまざまな取り組みを実施していると伺っております。
 品川区は、目黒川、立会川、そして勝島運河など特に多くの水辺と接しておりますが、品川区内では合流式下水道の改善対策としてどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。

○黒住建設部長 品川区内の合流式下水道の改善対策といたしましては、目黒川や立会川、勝島運河などの水質改善を図るため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する鮫洲ポンプ所雨水貯留池の整備や、雨天時の下水をより多く森ヶ崎水再生センターに送水するための勝島ポンプ所などの整備を行っております。
 これらの施設につきましては、いずれも大規模であるとともに、幹線工事、ポンプ所工事、設備工事など多くの工事を実施しなければなりませんが、平成二十三年度末の一部完成を目指して鋭意工事を進めてまいります。
 このほか、目黒川では、雨水吐き口からのオイルボールやごみなどの流出を抑制する対策を実施しております。平成十九年度末までに、六十二カ所の雨水吐き口のうち、五十六カ所について完了しており、残る箇所についても引き続き対策を進めてまいります。

○田中委員 また、地表の多くがアスファルトなどに覆われ水源が枯渇している中では、下水再生水の活用とともに地下の未利用の水源の活用も重要と考えます。
 立会川の水質浄化は、JR東日本の東京駅総武線トンネル内のわき水を活用したよい事例の一つかと考えております。今後も、鉄道や道路など地下の高度利用が進んでいくであろうことから、地下鉄などからのわき水について、河川の浄化等に積極的に活用すべきだと考えております。
 通常発生するわき水であれば、下水道に排水することになると思われますが、下水道局としては、どのような条件が満たされたときに下水道への接続が免除されるのか、お伺いをいたします。

○小山参事 トンネルなどからの湧水についてでございますが、原則として排水設備を設置し、公共下水道に排除することとなっているところでございます。しかし、湧水の水質が、関係法令によって規制を受けております水再生センターからの放流水と同等以上であることが確保され、また、湧水の排水先が公共用水域であり、河川管理者などから湧水を環境用水として活用したい旨の要請がなされた場合には、下水道局では、トンネルなどの湧水を公共用水域の水質浄化に活用できるよう、排水設備の設置義務を免除しているところでございます。

○田中委員 東京駅の総武線トンネル内のわき水を活用して、立会川の水質浄化は大変進みました。当初は多くのボラが遡上してまいりまして、その多さに地元も大変驚きもありましたし、また、マスコミにも取り上げられるほどの改善がなされたということで、この取り組みは大変河川の浄化には有効なものと考えておりますので、そのようなケースには前向きなご対応を賜りますように、改めてお願いをいたします。
 都は、「十年後の東京」の八つの目標の第一に、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを掲げております。これは、東京都の水辺の再生についての強い意思のあらわれと受け取っております。
 この目標の実現のためには、河川や運河の浄化などに積極的に取り組む必要があると考えますが、改めまして、下水道局の河川などの水質浄化に対するご決意をお伺いをいたします。

○今里下水道局長 都が一昨年発表いたしました「十年後の東京」では、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることとしておりまして、下水道にもその一翼を担うことが求められております。
 先ほど来のご指摘にもありますように、河川などの水質浄化は下水道事業にとって重要な課題であると認識しております。これまでも清流復活事業や合流式下水道の改善などに取り組んでまいりましたが、今後とも貯留池の整備など合流式下水道の改善に努めまして、「十年後の東京」の実現に向け着実に事業を推進してまいります。

○田中委員 ただいま局長から、河川の浄化に対する強いご決意をお伺いいたしました。
 繰り返しとなりますが、河川の浄化は、環境局、建設局、そして地元区それぞれが単独で行っては効果が発揮できないものと考えております。今後もさまざまな機関が手を携えて水の都東京の再生に取り組んでいただきたいと強く願い、委員会運営に協力をいたしまして、質問を終わります。
 以上です。

○大津委員 私は、二定で一般質問のときに、阪神・淡路大震災の話を引用して、震災対策についてお伺いをしました。ことし、神戸市や神戸の消防署の方々とお話をしたことがありますが、そこから地震の教訓を何点かお伺いをいたしました。
 一つ目が七十二時間の法則ということで、生き埋めや行方不明になっている方々の救出は、発生後七十二時間、三日間がある意味限界でありまして、そのためにも初動態勢が重要であったとのことでありました。
 そして二つ目が、自衛隊、消防、警察、この三つの機関の連携がいかに重要かということであります。この三者のそれぞれの指示系統を尊重した三者の連携、これが重要になってくると思いますが、救助活動に重要な役目を担うということであります。
 そして三つ目には、これはハイパーレスキュー隊の、本当に一生懸命いつも救助をしている方々から聞いた言葉としては、意外と地道な、だけども大切な言葉で、日ごろの訓練が大切だということでありました。日ごろの訓練と日ごろからの予防ですか、日ごろからの備え、これが私たち全員の教訓であると感じております。
 六月の第二回定例会におきましては、こうした教訓や震災時の消火、救助活動などの初動態勢や、自衛隊、消防、警察の連携などについて質疑を行ってまいりましたので、きょうはもう一つの教訓でもありましたライフラインの被害についてお伺いをしたいと思います。
 電気や水道が使えないのはもちろんのことですけれども、下水道が使えない、つまりトイレが使えないということで大変苦労を強いられたということでありました。例えば、地中に埋めてある位置が、水道管やガス管などに比べ下水道管はもう少し地中深く埋設されているために、その分復旧にも時間がかかり、水道が使用できるようになっても下水道が使えない状況が長く続いたとのことでありました。
 さらに、きのうの朝刊で一斉に新聞に報道されたところによりますと、この東京に首都直下地震が、マグニチュード七・三の地震が起きた際には、帰宅困難者がたくさんおられた場合、トイレ不足により、一時八十万人以上がトイレを使えなくなるという、トイレ難民という一面の見出しで、国の中央防災会議の試算が具体的に公表されました。
 きょうは改めて、ライフライン被害の観点から、下水道の震災対策について質問をさせていただきます。
 下水道局としましては、これまで下水道管の震災対策としてどのような対策を進めてきたのか、まずはお伺いをいたします。

○黒住建設部長 震災時に避難所や災害拠点病院などに指定されている施設のトイレ機能を確保するため、区などが進めるこれら施設の耐震化に合わせて管渠の耐震化を進めております。
 具体的には、これらの施設から排水を受け入れる管渠について、マンホールとの接続部を柔軟な構造に改良する対策を平成十二年度から実施しております。
 また、液状化の危険性の高い地域におきましては、地盤の液状化によりマンホールが浮上し、車両通行機能に支障となることが想定されます。このため、救助や応急復旧活動などに支障が生じないよう、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路や避難道路のマンホールの浮上抑制対策について、昨年度から着手いたしました。

○大津委員 避難所などの排水を受ける管渠の耐震化や緊急輸送道路などのマンホールの浮上抑制対策を進めてきたとのことですが、それでは個々の対策についてもう少し詳しくお伺いしたいと思います。
 管渠の耐震化でございますが、本対策の十九年度の執行状況についてお伺いをいたします。

○黒住建設部長 平成十九年度の実施箇所につきましては、予算の百九十三カ所に対しまして、決算では百九十五カ所の対策を実施しており、執行率は約一〇一%となっております。事業費といたしましては、十九年度予算の約二十一億円に対しまして、決算では約十七億三千万円であり、執行率は約八二%となっております。

○大津委員 平成十九年度には百九十五カ所の避難所で排水を受ける管渠の耐震化が完了したとのことですが、それでは区部全体では対象箇所はどの程度あるのか。また、進捗状況と今後の予定についてお伺いをいたします。

○小川計画調整部長 対象箇所は、避難所や災害拠点病院などに指定されている約二千五百カ所であり、区などが進めるこれらの施設の耐震化に合わせ管渠の耐震化を進めております。平成十九年度末までに約千百カ所の耐震化が完了しております。残りの箇所につきましても、平成二十七年度までに対策を完了させる予定でございます。

○大津委員 それでは次に、マンホール浮上抑制対策についてお伺いをします。
 下町地域は特にそうですが、液状化の危険性が高い地域にある緊急輸送道路や避難道路にあるマンホールを対象に、マンホールが浮き上がってしまう、そうした抑制対策を今年度から本格的に実施をしているとのことですが、対象箇所はどの程度あって、いつまでに対策を完了させてもらえる予定であるのか、お伺いをします。

○小川計画調整部長 都の被害想定によりますと、液状化が発生する可能性の高い地域は、低地帯が広がる区部東部に広く分布しております。震災時の車両通行機能を確保し、救助や応急復旧活動などに支障を生じさせないよう、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路や避難道路約五百キロメートルにある約二千カ所の既設のマンホールを対象に、道路を掘削せず浮上を抑制する対策を実施しているところでございます。
 これらにつきましては、平成二十二年度までに完了させる予定でございます。

○大津委員 今年度始めまして、平成二十二年度までに完了ということであります。都民の安全・安心のためにも、今後も引き続き、ライフラインであります下水道の震災対策に着実に取り組んでいっていただきますようお願いをしたいと思います。
 さて、こうした震災対策、耐震化とともに、長い長い下水道管の老朽化対策も並行して重要になってくるかと存じます。聞くところによりますと、二十三区内には、東京とシドニー間を往復した距離に匹敵する約一万六千キロメートルもの下水道管が埋設をされております。このうち、千五百キロメートルの下水道管がそろそろ法定耐用年数五十年を超えてきているとのことであります。老朽化によりまして下水道管が破損をしますと、下水道が使用できなくなるばかりか道路陥没を引き起こす、そうしたおそれもあると考えられますので、都民の日々の生活にも大きな影響を与えているかと思います。こうした老朽化をしました下水道管の再構築の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

○小川計画調整部長 下水道管渠の再構築は、老朽化対策にあわせ、都市化の進展に伴う雨水排除能力不足の解消や耐震性の向上などを図る機能の高度化、維持管理しやすい下水道システムの構築などを目的に実施しているところでございます。
 この再構築は、早くから下水道を整備した千代田区、中央区、港区など、都心区を中心とした一万六千三百ヘクタールを対象に平成七年度より実施しており、平成十九年度末の進捗状況は二千五百六十二ヘクタールとなってございます。

○大津委員 まだ道半ばの段階であるかとは存じますけれども、効率的に管渠の再構築を進める上での工夫についてあわせてお伺いいたします。

○小川計画調整部長 管渠の再構築を進める上での工夫についてでございますが、管渠の損傷度合いを把握するため、事前にテレビカメラなどによる調査を行うとともに、雨水の排除能力などを検討して、新しい管渠に入れかえるものと既存の管渠を有効活用するものとに分類しております。
 有効活用するものにつきましては、健全であればそのまま活用し、損傷があっても入れかえを必要としないものにつきましては、下水道管の内面を塩化ビニール製の材料で巻き立て、新しい管渠と同様の性能を持つ管渠に再生させる工法などを採用しております。これらによって、工事によるお客様の生活への影響を少なくするとともに、コスト縮減や工期の短縮に努めているところでございます。

○大津委員 今後もこうした工夫をいたしました老朽化対策等を推進することで、震災対策とあわせ、老朽化対策ということで同時にあわせ、引き続き都民の安全・安心を支えていきます下水道事業としていっていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○野上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後二時三十四分休憩

   午後二時四十五分開議

○野上委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中山委員 私の方からは、三項目にわたって質問させていただきます。
 初めに、水再生センターの有効活用について伺います。
 下水道局では、地域に愛され親しまれる水再生センターとするため、施設の上部を公園などとして都民に開放するなど、水再生センターの有効活用を図っておられます。私の地元の中川水再生センターではどのような用途に活用されているのか確認をさせていただきます。

○小川計画調整部長 中川水再生センターは、足立区の大部分及び葛飾区の一部の地域から流出する下水を処理する、処理能力二十二万五千立方メートルの処理施設を有する水再生センターでございまして、全敷地面積は三十一ヘクタールございます。
 水処理施設が整備された箇所の上部など約十二ヘクタールについては、都立公園として開放しております。また、地元の方々のための駐車場として〇・六ヘクタール開放するほか、下水道工事の発生土を再利用するための土づくりの里、八・五ヘクタールなどとして活用しているところでございます。

○中山委員 用地の一部は、今ご答弁がありましたように、下水道工事での発生土を再利用する土づくりの里として活用されていますが、土づくりの里の設置目的と施設の現況などについてお伺いいたします。

○黒住建設部長 東京都では、東京都建設リサイクル推進計画などを策定し、埋立処分量の削減や建設資源の有効利用のため、建設発生土を再利用することとしております。
 下水道局におきましても、中川水再生センターに建設発生土の改良プラントを設置し、再構築工事などから発生する残土を改良し、埋め戻し材として有効利用を図っております。改良土は地震時の液状化の抑制にも効果があるため、この事業は地震対策を進める上でも重要な役割を担っております。
 土づくりの里の運営を含む中川水再生センターにかかわる諸課題につきましては、これまでも地元自治会、足立区、下水道局で構成する中川処理場連絡協議会におきまして解決を図ってまいりました。例えば、施設を地表面から五メートル低い位置に設置すること、周囲に防音壁や緑地帯を設置することに加え、土ぼこりの対策や緑化などにより、土づくりの里の環境改善を図ってまいりました。

○中山委員 土づくりの里で建設発生土が埋め戻し土としてリサイクルされることで、埋立処分量の削減が図られるほか、地震対策にもつながっていることがわかりました。埋め戻し用の山砂利の採取を防ぐという意味で自然環境の保全に役立つということにもなるかと思います。また、土改良の作業場所と下水工事箇所の近接化という点で、運搬用車両の走行距離を減らしてCO2の削減にも貢献しているのではと思います。
 施設の整備に当たっては、地元住民の要望を踏まえ、環境対策にも積極的に取り組んでいただいてきたことも理解しております。
 しかし、これは区部であれ、多摩地域であれ、同じ理屈になると思いますが、住宅街の真ん中に八・五ヘクタールもの土地が、直接的には地元に貢献することなく、これは下水道工事の全体の円滑化という点では大事な役割を果たしていることはわかりますけれども、土づくりの里という形で存在し続けるのは果たしてどうなんだろうかという感じがいたします。
 聞くところによれば、下水道局の掘削工事発生土のこのような改良施設は、多摩部では山間部にあり、二十三区でも、足立区など区部東部の八区の土改良は中川の土づくりの里で行われていますが、他の十五区の土改良は東京港中防の都市整備局が所管する東京都建設発生土再利用センターで処理されています。なぜ足立区だけが町中に土再利用センターを抱えていなければならないのかという声が地元から聞かれております。
 土づくりの里は、都の下水道事業全体の円滑な進捗のために重大であることは、繰り返しになりますけれども、十分に理解しておりますけれども、水処理施設の整備までの暫定施設であり、地元住民の立場からいえば、水再生センターの整備について決着がつき拡張される場合には、その上部が公園として開放されるということが望みであるかと思います。
 平成十年に設置された中川下水処理場周辺環境協議会は、俗に地域協議会というそうですが、平成十二年一月に、残土改良プラント、すなわち今日の土づくりの里の閉鎖を要望しております。私自身、直接地元町会の町会長さん、役員さんから強く要望を受けました。
 そこで、土づくりの里を含め、中川水再生センターの今後の上部利用のあり方についてお伺いいたします。

○小川計画調整部長 埋立処分量の削減や建設資源の有効利用をすることなどを目的に整備されました土づくりの里は、下水道工事の建設発生土を改良し、埋め戻しに再利用する大変重要な施設でございます。改良プラント用地として必要な規模、下水道工事現場からの運搬距離等を考慮し、暫定的に中川水再生センターの拡張用地に整備したものでございます。
 先ほどご答弁いたしましたとおり、これまでも中川水再生センターに関する諸課題につきましては、地元住民の代表や足立区、下水道局で構成する中川処理場連絡協議会において解決を図ってきたところでございます。今後とも中川水再生センターに関し、協議会において地元からの要望や意見について誠意を持って協議してまいります。

○中山委員 下水道局は、平成十三年三月に、建設残土プラントの集約化を図り、地元環境に配慮した施設に改良するとともに、新たに、当時の資材置き場などを整理して、都立中川公園に二・四ヘクタールの新たな公園用地として追加提供するなど、努力を講じられてきました。さまざまな地元行事等にもいろいろな形でご協力をいただいておるところであります。
 その後、平成十五年三月には、八・五ヘクタールに狭めた新しい建設発生土改良プラントを土づくりの里として完成し、その後、平成十七年七月には、先ほどの二・四ヘクタールの暫定公園の供用を開始しております。
 その上、今ご答弁ありましたように、誠意を持って今後の話し合いに臨んでいくとのことでございますので、土づくりの里についての質問はこれで終わりとさせていただきますが、建設発生土の問題は、単に下水道局だけの問題ではなくて、都庁全体の土木工事にかかわる大きな課題になるかと思います。今後、いろいろな要素があるかと思いますけれども、ふえていく可能性もありますので、引き続き都市整備局等との協議を前向きにお願い申し上げたいと思います。建設発生土の処分や再利用のあり方については、今申し上げましたように、東京都全体でご検討いただくことを地元を代表して強く要望させていただきます。
 次に、浸水対策について伺います。
 近年、東京都におきましては、局所的かつ短時間に集中して雨が降る、いわゆるゲリラ豪雨などにより浸水被害が多発しています。私の地元、足立区の千住地区でも、都市化の進展による雨水の流出量の増大などにより、繰り返し浸水被害を受けてきたところであります。こうした中、下水道局ではさまざまな対策を行い、浸水被害の軽減に努めてこられました。
 そこで、千住地区における浸水対策のこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

○黒住建設部長 足立区千住地区では、都市化の進展による雨水流出量の増加などにより、これまでも繰り返し浸水被害が発生しておりました。このため、雨水整備クイックプランを策定する以前の平成五年度から、既設管渠の能力を増強するための再構築事業を実施し、完成した施設を雨水貯留管として活用し、浸水被害の軽減を図ってまいりました。
 さらに、雨水整備クイックプランでも対策を加えまして、平成十九年度末までに約二万二千立方メートルの貯留能力を持つ施設が完成しております。
 引き続き、約七千立方メートルの能力を持つ貯留管の整備を進めているところでございます。

○中山委員 貯留管を先行的に整備され、浸水被害の早期低減を図っていらっしゃることが理解できました。
 一方、千住地区では、荒川、隅田川に囲まれた低地であり、抜本的な対策としては、ポンプ所などの基幹施設をしっかりと整備をすることが望まれます。
 そこで、この地区の抜本的な今後の対策についてお伺いをいたします。

○黒住建設部長 千住地区の下水道施設は、老朽化対策とともに雨水排除能力などの増強を図る必要がございます。このため、基幹的な施設である千住関屋ポンプ所や隅田川幹線の整備を計画しております。
 千住関屋ポンプ所は、千住関屋町など約三百ヘクタールの雨水を隅田川に放流するためのポンプ所であり、既存の千住ポンプ所など二カ所のポンプ所に加え、流域全体の雨水排除能力の増強を図るものでございます。
 隅田川幹線は、既存の千住東幹線などを増強する、口径四七五〇ミリから五五〇〇ミリ、延長約三千四百メートルの幹線であり、今年度中には工事を発注する予定でございます。

○中山委員 千住関屋ポンプ所や隅田川幹線は、この地区の雨水を排除する上で重要な役割を果たしております。両施設の早期着手を望むところであります。
 しかし、千住関屋ポンプ所は、地域住民から、工事や施設の稼働に伴う周辺環境への影響等についてさまざまな要望があり、調整が難航しているともお伺いしております。
 そこで、千住関屋ポンプ所の建設に向け、どのように地域住民との合意形成を図るために努力されているのか、お伺いをいたします。

○黒住建設部長 千住関屋ポンプ所の建設に当たりまして、平成十三年から、地元協議会と長年にわたって施設の必要性や高さなどについての協議を重ねてまいりました。懸案の一つでありました建設発生土の搬出方法につきまして、河川管理者との協議が調い、船を使った搬出が可能になりました。その結果、昨年末には設計を開始することで合意が得られたため、現在、具体的な設計を行いながら、引き続き協議を行っているところでございます。
 今後とも、工事の影響を軽減するため、施工方法や資材搬入方法に工夫を凝らすなどして、早期着工に向け地域住民の理解が得られるよう努めてまいります。

○中山委員 建設発生土の川を使った運搬等、工夫を凝らしていただいているということで、大変そのご努力を高く評価いたします。
 地域住民の方々に対しては、やはり浸水対策ということを進めていく上でポンプ所の建設が不可欠であるということを、丁寧に私ども自身もご説明させていただきたいと考えております。
 また、職員の方々の中には、コンクリートミキサー車の集中的な稼働を防ぐために、土台づくりの点などにおいて工夫を凝らすというような発想を検討されていらっしゃるとも仄聞いたしました。そうしたご努力をしていただくことで、さらに地元住民等の方々との話し合いを円滑に進めていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 最後に、工事入札の不調対策についてお伺いいたします。
 都が発注する公共工事で、業者が辞退し入札が成立しない入札不調が、都庁全体の問題かと思いますが、ふえているとお伺いしております。
 そこで、下水道局における過去五年間の不調件数の推移についてお伺いいたします。

○佐藤経理部長 工事の不調件数でございますが、平成十五年度は工事の入札件数千八十八件に対して一件、十六年度は千十二件に対して七件、十七年度は千四件に対して十一件、十八年度は千百三十七件に対して五十三件、十九年度は九百九十九件に対して百四件が不調となっております。

○中山委員 平成十五年度は千件に対して一件であったところ、十九年度は約百四件ということで、一割強の割合を占めているということでございます。こうした不調などにより工事などが停滞すれば、当然浸水対策や再構築事業が、工事が滞り、都民の安全・安心の確保のおくれにもつながりかねません。こうしたことからも、不調の原因を把握し、適切に対策を講じていくことが重要かと考えます。下水道局ではどのような対策を講じられているのか、お伺いいたします。

○小川計画調整部長 不調の主な原因といたしましては、資材価格の急激な変動により、積算価格と市場価格に差異が生じていることがあることや、道路規制や道路使用許可条件から施工時間が限られる場合があり、標準的な積算では施工環境を設計、積算に十分に反映することができない場合がございます。また、発注時期の集中により、専任を義務づけている監理技術者の配置が困難な場合もあることが考えられます。
 積算価格につきましては、鋼材など主要資材については毎月価格調査を行い、これまでは設計単価を年四回改定し、適切な単価で契約できるよう取り組んできたところでございますが、これに加え、平成二十年度からは、一定以上の価格変動があった場合には適時に改定を行っております。
 また、設計、積算を行うに際しましては、施工環境についてきめ細かに精査するとともに、発注時期の分散に努め、配置技術者の不足に対応しております。
 さらに、不調抑制を図るため、複数の企業から事前に見積もりを提出してもらい、それを予定価格に反映させる見積もり積算方式も一部導入いたしているところでございます。

○中山委員 今ご答弁いただきましたけれども、設計単価の改定を年四回から毎月に平成二十年度から変えているということでございまして、そうしたご努力が今後どのように反映されていくのか、それを大いに期待しているところであります。
 年度末に向けて契約の発注件数がふえていくかと思いますけれども、そうしたご努力の結果、また結果的に不調が減らないということになれば、せっかく努力していただいても実っていないという批判を受けることにもなります。そういう面で、都民の安心・安全を高めていくためにも、また、下水道工事に協力をしていただいてきた、都民でもある都内の事業者の方々の現在のいろいろな苦境を考えましても、適切な対応が必要ではないかというように考えております。
 適切な単価改定や施工環境を反映した設計など、さまざまな対策を講じ、不調の抑制に取り組んでいることがわかりましたが、さまざまな局でいまだに不調は続いているとも伺っております。
 そこで、最後になりますが、不調の発生の抑制に向けた下水道局長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。

○今里下水道局長 都民の皆様が安全で安心して生活できる「十年後の東京」の実現に向けまして、下水道事業はこれからも再構築や浸水対策などの施策を着実に推進する必要がございます。そのためには、計画された事業が確実に実施されることが何よりも重要になります。発注した工事の入札が不調となった場合には、速やかに必要な見直しを行うなどして再発注の手続をとり、できるだけ事業への影響が少なくなるように努めております。
 また、先ほど計画調整部長も答弁いたしましたが、入札の不調そのものを抑制するための対策も講じております。
 今後とも「十年後の東京」の実現に向けまして、着実に事業執行ができるよう努めてまいります。

○松村委員 水害対策における下水道の役割について伺います。
 ゲリラ豪雨とも呼ばれる局所的集中豪雨が都内で頻発しています。第三回定例会でも我が党から明らかにさせていただきましたが、これは建設局の方の資料によれば、東京の雨量は、この十年間で一時間一〇〇ミリを超えたのが十三回、その前の二十年間が二回ですから、これに比べても大変な激増の状況があります。
 東京都も、二〇〇五年九月四日の一〇〇ミリを超える豪雨被害を受けて、本決算年度に東京都豪雨対策基本方針を策定し、これに基づく対策が始まりました。この中でも、降雨をできるだけ河川や下水道に流さないための対策の強化や、また、都民などからの意見に基づく追加記載というのがなされまして、合流式下水道を、分流化の導入を進めていくことが打ち出された点は非常に重要です。
 しかし、そのための具体策といえば、公共雨水ます促進や、個人住宅への浸透ます設置に対する助成にとどまっていると思います。また、合流式下水道を分流化にと打ち出していますが、再開発業者と連携した分流方式の導入という、極めて地域が限定されたもので、まだ十分ではありません。
 私の住む練馬区では、かつて、河川に頼らず下水道普及を行うため、下水道局の努力で雨水流出抑制型公共下水道、練馬型下水道とも呼ばれたんですけれども、河川や下水道に降雨を流さない対策をとり、物の見事に成功したと評価されております。その雨水効果は今でも続いています。
 そこで伺いますが、降雨をできるだけ河川や下水道に流さないというなら、現在の合流式下水道を、練馬でやったような雨水流出抑制型公共下水道に切りかえていく対策が有効ではないかと思いますけれども、見解を伺います。

○小川計画調整部長 練馬型の雨水流出抑制型下水道は、石神井川、白子川流域の中上流部で、河川改修のおくれにより下水道整備が困難な地域におきまして、下水道の早期普及を強く望む地域住民や区の全面的な協力により整備を行ったものでございます。
 雨水の貯留浸透などにつきましては、現在都は、区などと連携し、民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導及び公共施設での雨水流出抑制対策を行っているところでございます。

○松村委員 今答弁にあったように、降雨が下水管を通して河川に流れ出ない、そういう点では本当に効果があったということですから、今のこの状況の中で、これが一つの、ゲリラ豪雨という集中的な局所的な豪雨に対しても同じ考え方をさらに発展させるというか、取り入れることは非常に有効ではないかというふうに思います。
 そこでちょっと、再開発業者と連携した分流方式ということをうたわれておりますけれども、これはどういう手法なのか伺っておきます。

○小川計画調整部長 下水道局では、下水道から河川などへ放流される汚濁負荷量を削減するため、合流式下水道の改善対策を進めてございますが、再開発事業者と連携した分流方式の導入といいますのは、その合流式下水道改善対策の一つでございまして、市街地再開発などの面的な開発行為によって既設下水道管渠を敷設し直す場合などに、事業者の協力を得て、開発区域内の排水管を汚水と雨水に分けて整備するものでございます。
 市街地再開発事業などの開発事業の中で分流化を進めるための条件といたしましては、道路に汚水と雨水の二本の管渠を別々に敷設できるスペースが確保できること、汚水を水再生センターへ送水するための遮集管渠が近くにあることなどが挙げられます。また、開発区域内から放流先まで雨水を導水することを考慮いたしますと、再開発事業が河川に隣接していることが望まれます。さらに、開発区域内の建物の排水管を汚水と雨水に分ける必要があり、事業者の理解と協力が得られることも条件となってございます。
 現在、新宿区北新宿地区、目黒区大橋地区での事業を進めているところでございます。

○松村委員 今答弁があったとおり、合流式下水道の改善対策といっても、現在、都内は合流式で一〇〇%基本的には概成している。これにさまざまな今課題があるということでの分流式をとるには、やはり多くの課題があって、限られた、今も答弁がありましたような開発地域になるということは私も理解できます。
 ですから、一般的に雨水分流管を新たに敷設するには、道路状況や建設財源も多額になり、困難が生じるのは、壁があることは当然ですけれども、私は、この練馬型雨水流出抑制型を合流式改善というふうに位置づけて、そういう取り組みを行うことが必要なんじゃないか、効果を上げるんじゃないか。というのは、下水道管に流れ込む雨水を、今やっていらっしゃる公共雨水ますとか、または民間に協力してもらって、民間の敷地のそういう雨水ますだけではなく、練馬の雨水流出抑制型公共下水道、これは後でも触れますけれども、雨水ますだけではなく、トレンチ管の敷設だとか浸透性舗装などの改善もいろいろ組み合わせているんですね。降雨をいかに土に、大地に浸透させるか、そういう総合的な対策によってかなりの効果が得られるということで、これを合流改善の取り組みの大きな柱というか、位置づけられるのではないか、位置づけるべきではないかというのが質問の趣旨なんですけれども、再度お答えいただきたいと思います。

○小川計画調整部長 練馬型の雨水流出抑制型下水道で整備します際にも、既に合流式下水道で整備された地区におきまして導入する際には、やはり宅地内の排水管を改めて汚水と雨水に分けることが必要でございますし、このため、地域住民の全面的な理解と協力を得ることが不可欠でございます。
 そこで下水道局では、宅地内を分流化していただいた際に、それに合わせまして公共雨水浸透ますの設置を促進するということを進めているところでございます。

○松村委員 この豪雨対策基本方針、ここの三八ページにも、私が今いう雨水流出抑制型公共下水道、このイメージ図というのが示されているわけですね。今部長さんの答弁があったように、民間の宅地に降った雨の水を下水道管につながないで、協力してもらうと。私はこれは十分、今都民の意識というのは非常に関心というか、そういう地球温暖化にさまざまな角度から、または貴重な水資源を活用する、地下水の涵養というようなさまざまな取り組みもありますから、協力いただけるというふうに思いますし、さらにそれを雨水ますだけではなく、トレンチ管だとか、それを公共道路の施設にも建設局と協力しながらやるような取り組みです。私の中のイメージは、この三八ページにも既に考え方としては取り入れているというふうに思います。
 さらに、施策の具体化として、この基本方針の四三ページにも、開発行為などに当たらない小規模開発や既存施設における対策を強化するため、個人住宅への浸透ますの設置などについて助成を行うとともに、要綱や条例等により、宅地内の汚水と雨水の分流化を促進するとともにと、そういう住民の、都民の協力を得るために、要綱や条例等も必要だ、促進をそういう方向で図るということも既にうたわれております。そして、雨水を受ける下水道公設ますの浸透施設化を進めていきますと。
 やはり下水道の対策、役割も明記しているというふうに思いますけれども、この点についての下水道局としてのとらえ方はどうでしょうか。

○小川計画調整部長 豪雨対策基本方針では、河川や下水道の整備のほか、流域対策として、貯留浸透施設の設置促進に取り組むこととしております。
 流域対策である雨水の貯留浸透につきましては、総合治水対策の一環として、都市整備局が主体となり、区と連携して民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導を行うとともに、公共施設での雨水流出抑制対策を進めることといたしております。
 公共施設であります学校、公園、道路などにおける雨水の貯留浸透施設の設置につきましては、それぞれの管理者が取り組んでいるところでございます。
 したがいまして、下水道局では公共雨水浸透ますの設置を進めておりまして、その設置に当たっては、宅地内の排水管を汚水と雨水とを分ける必要があるため、区などと連携し、お客様の理解と協力を得られるよう努めているところでございます。

○松村委員 学校とか公園とか、それぞれの管理者がこの方針に基づいて取り組む、そういう取り組みがあった場合は、下水道としても雨水ますなどをつくって協力というか、そういう取り組みは既にやっているし、やるんだというんですけれども、私は逆に、発想を転換し、下水道局がこの水害対策における、下水道は一〇〇%区部では概成しておりますから、その雨水を下水道処理するよりも、後から触れますけれども、雨水が流れ込むことをいかに抑えるかということは下水道にとっても重要な課題ですから、下水道局のそういうイニシアチブなども大いに発揮して施設管理者に促す、または民間の宅地にも呼びかける。
 そして、練馬のはまさにそうなんですね、下水道局がやったからこそできたんです。当時は下水道を普及するという大目的があったからでしょうけれども、下水道局がやって、各管理者とかそういうところに、受託事業というか、そういうのを受けながらやって、そしてそれをまた施設管理者に戻していくというような役割を果たしていただけたと思います。ただ、それぞれの役割分担だと書いても、ばらばらにというか、下水道局もそれぞれやったところについてはこちらとしても受けますよという姿勢というか、今これだけ大変な水害の状況で、特に下水道がその中でも果たす役割は大きいわけですから、ぜひ踏み込んだ検討を、イニシアチブをとるべきではないかということを受けとめていただきたいというふうに思うんです。
 それでは、要求資料で下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況が出されていますが、これを見ても、思ったより進んでいませんよね。私はこの点は、だから指摘したいんです。今後の計画はどのようになっているのでしょうか。

○小川計画調整部長 公共雨水浸透ますにつきましては、平成十九年度末までに約五千八百個を設置してございます。公共雨水浸透ますを設置いたしますには、先ほど来申し上げましたとおり、宅地内の排水管を改めて汚水と雨水に分ける必要があることから、お客様の理解が得られたところから、宅地内の分流化に合わせて進めているところでございます。
 このため、区の建築確認部署や環境部署等に雨水浸透促進の要請を行い、窓口でのリーフレット配布や区のホームページに掲載していただくとともに、民間の建築確認機関の機関紙による雨水浸透のPRも行っていただいているところでございます。
 今後とも区等と連携し、公共雨水浸透ますの設置に努めてまいります。

○松村委員 都民を啓発する、協力してもらう、またそういう点では、区とか関係部署にもそういう取り組みをやってもらう上で、雨水の流出抑制の効果を、やはり私は定量的にというか把握する必要があると思いますけれども、ちょっとこの点では事前にいっていませんでした。
 では、今皆さん方がやっておられる公共雨水ます、またはそういう浸透施設において、どのぐらい効果を上げておられるのか。そういう点を、もし都民とかいろいろなところに発表して啓蒙すれば、かなりそういう意味では都民の意識も違ってくるというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょうか、やっていられるんでしょうか。

○小川計画調整部長 雨水流出抑制の効果についてでございますが、当局が行いました調査では、浸透施設設置後二十年を経過した状況で、雨水流出量の約二〇%が削減されるとの結果が得られてございます。
 なお、雨水浸透の効果を継続いたしますためには、公共雨水浸透ますの目詰まりを防止するための定期的な清掃などの維持管理が必要となってございます。

○松村委員 私もみずから練馬の区民として、特に大泉方面でさまざまな水害があったりする中での、公共下水道に合わせたこの取り組みというのが効果を上げてきた。例えば公共施設、一番わかりやすかったのは、学校周辺に全部雨水ますやトレンチ管をやって、学校に降った雨は、屋根に落ちるあれも校庭に落ちるのも一切下水管には流さない、そういう仕組みというか装置をつくって、私も大雨が降るたびに学校に飛んで行きまして、その最終的なはけ口のところのふたをあけていろいろ見たりしましたけれども、結局一滴も出てこないというか、これは当初、浸透施設を入れたときです。
 最近では、同じ事例で、練馬の光和小学校というところも、学校改築をやったときに、全面的に練馬は努力して、さっき二〇%といいましたけれども、つくった当初は本当に一滴も出ないというような実体験があるからこそ、そういう思いは非常に強いわけであります。
 これをどう維持していくかは、きょうの質問には、また別の機会にしたいというふうに思いますけれども、今二〇%ということのあれを得ているというんですけれども、私は、オール都庁というか、全体はどこかで今のそういう仕組み、ここでも下水や河川に降った雨の水を流さないんだ、できる限り抑えるんだということならば、どこかそういうことをもっときちっと定量的にはかって、こういう効果があるんだということを都民に呼びかけて、そのためには都民の、個人でもこういう助成を行うから協力してほしい、上から要綱とか条例で規制する以前にも、そういう取り組みをやってほしいというふうに思うんです。
 その点で、だから下水道局というか、全庁的な協力体制の中で、こういう機関があるんですから、まず関東ローム層の浸透性の高い、また、やるからには水害常襲地域で非常に協力を得やすいところ、そういう地域をモデル地域に設定して抑制効果を把握して、モデルとして大々的に都民に、皆さん方の地域も、このように今の合流式下水道を改善してみませんかという呼びかけを行うなどやってもいいのではないかというふうに思いますけれども、この点はどうでしょうか。

○小川計画調整部長 新たにモデル地区を設定して流出抑制効果等を試行するということにつきましては、かなり広い範囲の地区で住民の方々に協力をしていただいて宅地内を分流化していただく、また、道路管理者等の協力もすべていただいて、広い範囲でそれを設置するというようなことが必要となりますので、実際にモデル地区を設定して行うということについては困難かと考えてございます。

○松村委員 要望ですけれども、ひとつ困難と決めつけないで、前向きに、今後の課題としても、ぜひ検討していただきたいというふうに思うんです。
 大体、経済効率からいっても、雨水を下水道施設で処理するのはやはりお金がかかりますよね。もったいない話だというふうにも思うんです。かといって、汚水が大量に川や海に流れるのは環境にとってもマイナスだというふうに思うんです。川や海の水質改善というのは、物すごく重要だと思います。今の合流式改善といっても、越流水を流さないということで、逆に、流れるものを絞って、より多く下水道処理場に回すということになり、経済性からいってもベストの施策ではないというふうに私は思います。
 今のこの合流式改善の越流水を流さないということと、逆に総合浸水対策に取り組んだほうがいいという、経済効果などは検討されていないんでしょうかね。--まあいいです。やはり川に汚水を流さない。雨水を取り入れて汚水処理をふやすよりも、決め手は雨水流出抑制型への切りかえだという点をぜひ受けとめていただきたいというふうに私は思うんです。
 そこで、雨水処理費の繰入金、この二〇〇七年、平成十九年度の決算では九百六十五億円ですけれども、この間の推移についても伺っておきます。

○細野総務部長 雨水処理費繰入金は、総務省の定める繰り出し基準に従い算出した雨水処理に要する維持管理費及び減価償却費等に対する繰入金でございまして、一般会計が負担することとなっております。
 平成十九年度決算における雨水処理費の繰入金は、先ほど先生がおっしゃいました約九百六十五億円となっておりまして、この間の十年間の推移でお話しいたしますと、平成十年度は約八百二億円、十五年度は約九百二十一億円、そして十九年度が九百六十五億円と、このような推移になっております。

○松村委員 この十年間で百六十億余確かにふえている。それだけ雨水の処理量もふえていると。それに伴うさまざまな雨水処理のための建設費用もふえてきているということだろうというふうに思うんですけれども、その算出根拠、これについても、どういう考え方のもとでこういう雨水処理費を一般財源から繰り入れることになっているんでしょうか。

○細野総務部長 下水道事業における経費の負担につきましては、雨水の排除にかかわる経費は公費、すなわち一般会計ですが、汚水の排除、処理にかかわる経費は私費、すなわち下水道料金によって負担することが原則とされております。
 雨水処理費繰入金など一般会計繰入金につきましては、先ほど申しました総務省から繰り出し基準が示されており、東京都においてもこの基準に従い、負担割合の算定を行っております。具体的な経費の負担割合については、雨水量、汚水量、あるいは建設事業費の構成比などを踏まえまして決定しているところでございます。

○松村委員 私が聞いている点でいいますと、もう質問というよりも、建設費は、汚水分が五九%、雨水が四一%の割合、営業費は七六%と二四%と。これで例えば十九年度は、建設費の四割、それから営業費は二四%で、九百六十五億円という金額になるというふうに思うんです。
 それで私、雨水クイックプランで実施している純然たる水害対策というか、雨水を処理する必要性上、下水道としてもやっている、例えば貯留管、こういう建設費も、この割合でやはり負担割合が決まっているというふうに思うんですよね。だからそれはきちっと一般財源で--過去の全体を積み上げたらそういう結果だから、その割合だということでずっと来ていると思うんですけれども、今は本当に下水道の役割、また都民の期待というのは水害対策も多いというか、持つ部分があるわけですから、そこはやはり、いつまでもこういう負担割合ではなくて、きちっと求めるべきではないかというふうに思うんです。
 例えばこの貯留管、水害対策としての貯留管ということならば、それこそ全額求めてもいいというふうに思います。逆に、それがそういう負担割合にとどまっているから、なかなか下水道事業として、先ほどいったような余計なことというか、水害対策もわかっているけれども、ほかのところまで手を出せないといってはおかしいんですけれども、そういうことだとか、それから今要望も出したいんですけれども、もっと水害を出さないための貯留管、こういう敷設も、なかなかそういう財源見合いから、必要な箇所にも取り組みが一気にというか、進まない点もあるのではないかと思いますけれども、この点はどうでしょうか。

○細野総務部長 まず初めに、具体的な負担区分の割合でございますが、現在、維持管理費につきましては雨水二四%、汚水七六%、それから資本費につきましては雨水六一%、汚水三九%という負担割合となっております。
 また、貯留管についてのご質問でございますが、下水道事業における経費の負担は、雨水の排除にかかわる経費は公費、汚水の排除、処理にかかわる経費は私費により負担することが原則であります。
 具体的な雨水と汚水の負担割合については、区部下水道の大部分が合流式であり、また下水道事業は管渠、ポンプ所、水再生センター等の施設が一体となって機能を発揮することなどから、個々の施設ごとに計算するのではなく、費用の発生する全体額をもとに算定する仕組みとなっております。雨水貯留管の整備に伴う財源も同様でございます。
 この考え方に基づきまして、今、下水道事業は必要な整備を着実に進めているところでございます。

○松村委員 そういう下水道の仕組みというのは十分わかります。ですから、余り建設をやれば、それが料金にはね返ってきてしまうから、私どもいつも抑えるべきだといっている。何か二律背反のように受けとめられますけれども、でも、これだけ今の水害対策が問題で、緊急な整備、一気にこれを解決するというふうな取り組みのときには、思い切って下水道関連施設も含めてイニシアチブをとって、一般財源も、都民や議会の同意というか、理解を求めてやるぐらいの意気込みで取り組んでいただきたいし、それが今の下水道局の、一〇〇%概成し、やはりこういう時期に取り組める条件があるというふうに思います。
 そういう点では--その前に貯留管についてちょっと一言伺わなきゃいけないんですけれども、江戸川区、貯留管、私はどちらかというと山の手というか、練馬とか城北部など、私の住んでいるところは練馬型公共下水道も相当水はけがいいというか、地質がいい、関東ローム層に覆われているということで、本当に効果を上げました。
 しかし、今は東京全体を見ても、より東京湾に近いような地域では、私もよくそういう話をするんですけれども、いや、松村、私の区の方はすごく水はけが悪いから、そういうようなことでは効果を上げられないと。そういう地域は、大いに貯留管などで水害を解消させる対策というのが効果を上げるという点では、やはり貯留管を必要な地域に入れていくと。
 江戸川区の中央、ここで長年水害常襲地域にようやく都の下水道局によって貯留管を入れてもらったところ、今までの中央三丁目あたりの水害が、本当に見事なようになくなった、解消されたと。しかし、まだ肝心の区役所周辺、計画としてはさらに南側に導入する計画はあるけれども、それが延び延びというか、一刻も早く入れてほしいという要望があるけれども、進んでいないということもお聞きしました。これはいつごろまでに完成させる--今この箇所についてですね、区役所の通り、今都市計画道路が予定されているところまで、現在敷設された北側地域の貯留管をどのように延ばす計画になっているんでしょうか。

○黒住建設部長 江戸川区中央付近では、低地部などにおきまして浸水被害が発生しておりました。このため、雨水の一部を貯留する貯留管を計画し、その一部につきましては平成十一年度に完成し、浸水被害の軽減に効果を発揮しております。
 完成した区間の南側に計画しておりました貯留管につきましては、平成十六年度に発生した浸水被害を受け、江戸川区と協議しつつ、道路状況などの地域特性を踏まえ、より効果的な対策となるよう計画の見直しを行ったところでございます。
 具体的には、区が計画しております道路事業に合わせて、拡幅される道路の中に貯留管を整備することといたしております。事業化につきましては、道路事業に合わせて効率的に整備するとしておるため、今道路事業が用地買収をやっているということでございますので、この事業に合わせてやっていきます。ただいま道路事業を行う江戸川区と協議を行っているところで、まだ時期については明確になっておりません。

○松村委員 もちろんまだ私有地というか、公有化されていない土地の下に入れるわけにいきませんから、これは道路ですから、建設局や地元区との協力というふうになると思いますけれども、そういう道路が完成してからということではなく、一刻も早く貯留管の敷設を要望しておきたいというふうに思います。
 今、本決算年度を見ても、収益的収支は上向いている状況にありますし、また、損益勘定留保資金も余裕があるのではないでしょうか。私は、財政面から見ても、そういう水害対策に下水道局としても全力を挙げることができる状況だというふうに思いますので、これは質問というよりも、先ほど来るるいっておりますから、また練馬型と強調してはあれですけれども、雨水流出を本当に抑制する公共下水道ということの改善をお願いしておきたいと思います。
 最後に、豪雨対策基本方針には、浸水被害から身を守るための情報提供の充実も課題に上がっています。降雨情報、東京アメッシュへのアクセス数の増加に対応するため、昨年サーバーの容量を増設したということも載っております。また、近隣県市などと連携して降雨レーダーのデータを共有化することにより、より精度の高い降雨情報を提供していくという方針も示されています。
 そこで伺いますけれども、我が党がこの問題についても、第三回定例会でシステムを確立することの必要性を提案しました。三定での、これは建設局長の方からの答弁でしたけれども、水防災総合情報システムや東京アメッシュでの情報提供をやっているんだという答弁がありましたけれども、私どもがこの質問で提案したことは、それらの建設局がやっている総合防災情報システムだとか、下水道局の東京アメッシュ、それからさらに気象庁とか、先日もNHKテレビでやっていました。ちょうど練馬区民だということから、私もちょっと注目してはっと見たんですけれども、携帯で雷雲が発生する状況を撮って、瞬時にそれを民間の情報センターに送って、そこが解析、そういうモニターですか、たくさんの方々を委嘱しておいて、すごい協力があって、それを瞬時に解析して、どのぐらいにそういう局地的豪雨が出るかということを逆に提供するというような、そこまで今進んできている。そういう民間とも提携して、本当にきめ細かな確度の高い情報を提供できるシステムを都がつくることを、私はというか、我が党は第三回定例会ではそういう趣旨で提案というか、要望したものであります。
 下水道工事中に不幸にも、本当にまだそういう雷雨情報も出されていないときに、瞬時にして発生した局所豪雨で工事関係者が亡くなられたという痛ましい事故も起きております。その対策として、さまざま皆さん方も苦労されて、一滴の雨が降ってでも工事を中止するというのは、今の場合、そういう対策しかとりようがないのか。さまざまな下請業者のかかわった問題もありますから、そういう点では私は逆に、的確な情報が現場にもいち早く届くことの方がより先決、有効じゃないかという立場からもそういう提案を行ったんですけれども、この委員会においても、そういう点での、これまた下水道局だけではありませんけれども、ぜひ呼びかけて、せっかくすぐれた東京アメッシュが、相当の期待、アクセス件数もありますから、さらにもう一歩それをネットワーク化させる取り組みについての考えをお聞きしたいというふうに思います。

○宇田川施設管理部長 東京アメッシュにつきましては、雷雨や集中豪雨の際にポンプ所や水再生センターの雨水ポンプを適時適切に運転するために、降雨の現況を的確に把握することを目的として設置しているものでございます。
 これにつきましては、お客様へのサービスの一環といたしまして、平成十四年度からアメッシュの降雨情報をインターネットや携帯電話に配信しております。また、東京都防災センターの災害情報システム、財団法人気象協会等へも情報提供を行っているところでございます。

○松村委員 ですから、それを私ども、専門家の、大学で研究されている方々にもお話を実は聞きに行って、今そのぐらいそれぞれがみんな情報を持って、それをシステム化、ネットワーク化すれば、もっと確度の高い有効な利用ができる。それができるのはやはり東京都じゃないかと。民間じゃなくてやはり都がやってほしい、そういう仕事というか、役割だという話も聞いてきました。
 それを何が何でも下水道局でやるというつもりはありません。せっかくこういう基本方針を持ち、総合的にさらに情報の提供をやっていこうというふうに決めているわけですから、もう一歩踏み込んで、設置目的を決して変えろというものではありません。アメッシュはアメッシュとしての役割でもってつくった大事なシステムですから、それをさらにもっと提供しながら、今私がいった趣旨に沿って発展させていただきたいことを強く要望して終わります。

○西崎委員 私からは、都民の安全・安心の確保という観点から、下水道の震災対策と浸水対策、これまでもお話が出ていますけれども、何点か確認の意味で伺います。
 まず、震災対策について伺います。
 大都市に大きな被害をもたらしました阪神・淡路大震災以降、ことしでもう十三年たつんでしょうか。それ以降も各地で大きな地震が発生しておりまして、ことしに入ってからも、中国の四川大地震、岩手・宮城内陸地震など、国内外で地震が続いています。これら地震による被害の状況をテレビや新聞などで見ますと、震災対策の重要性を改めて痛感いたします。
 こうした大地震に対しましては、建物の耐震化に加えまして、地震が発生した後、一刻も早く生活に戻れるようにするために、下水道などのライフラインの確保が肝心だと思います。過去の地震を見ましても、下水道が被災したことによってトイレが使いづらくなったことから、トイレを我慢して水分を控えたため、血液の循環が悪くなり、エコノミークラス症候群で亡くなった方もいたと聞いています。新潟中越地震に遭われた方から実際お話を伺ったことがあるんですけれども、避難所ではプライバシーに配慮することがなかなかできないために、特に女性は気にされて車で寝泊まりしていて、エコノミークラス症候群になったという話も随分聞いております。
 このように、ライフラインである下水道施設の被害によって市民生活に大きな影響を生じたわけです。東京は大都市で人口も集中していますので、仮に震災対策に十分に取り組んでいなかったとしたら、同じような地震が発生した場合には多くの被害が出て、その被害ははかり知れません。
 下水道局では、トイレ機能確保のため、避難所などから排水を受け入れる管渠の耐震化などを実施しているというお話がありましたけれども、実際に私の地元世田谷区ではどのくらい実施されているのか伺います。

○黒住建設部長 震災時に避難所や災害拠点病院などに指定されております施設のトイレ機能を確保するため、区などが進めるこれら施設の耐震化に合わせまして管渠の耐震化を進めております。
 世田谷区内の管渠の耐震化につきましては、予定されております百三十七カ所のうち、平成十九年度末までに五十カ所が完了しております。

○西崎委員 百三十七カ所のうち、平成十九年度末までに五十カ所ということで、考えてみますとまだ半分も至っていないということなので、少しでも早く対策を進めていく必要があると思います。
 しかし、こうした対応をとったとしても、大地震が起こればすべてが無傷で済むとは考えられません。減災という観点から、大地震に備えて準備を備えておくことが重要です。
 経営計画を見ますと、区との協働体制を充実させるなど、危機管理対応の強化が挙げられていますが、具体的にどのような対策を実施しているのか伺います。

○小川計画調整部長 地元区などと連携し、仮設トイレが設置可能なマンホールの指定や、水再生センター等でし尿を受け入れる体制を整備することで、震災時にもトイレ機能を確保できるよう取り組んでおります。また、専門技術を持った民間団体と協定を締結し、管渠や水再生センターなどを早期に復旧できる体制を確保しております。
 これらに加えまして、水再生センターやポンプ所では、停電時などにも対応できるよう、非常用発電設備を設置するほか、断水時でも稼働できる無注水型ポンプを導入し、危機管理対応の強化を図っているところでございます。

○西崎委員 震災時のトイレ機能や下水道の早期復旧のために、地元区や民間団体との協働体制を強化しているということですけれども、こうした準備を震災時に計画どおり行動できなければその意味がないと思います。
 そこで、これを防いでいくためにも、日ごろからの訓練が重要と思いますけれども、震災に備えてどのような訓練を行っているのか伺います。

○小川計画調整部長 東京都や下水道局の防災訓練などの機会をとらえまして、地元区や協定を締結した民間団体と連携し、仮設トイレからのし尿の受け入れ訓練や下水道管の応急復旧訓練などを行ってございます。
 また、大規模地震発災時には他都市からの支援も必要であることから、政令指定都市などと支援隊の派遣や受け入れについて相互に協定を締結するとともに、情報連絡訓練などを定期的に実施しているところでございます。

○西崎委員 世田谷区は八十四万都市で、政令都市にも匹敵するほどの人口がいますので、世田谷だけの問題ではありませんけれども、情報連絡訓練などを定期的に実施しているとのことですので、引き続き施設の耐震化と震災後の復旧体制の強化を並行して行って、安全なまちづくりのために震災対策を着実に進めることを要望しておきます。
 次に、浸水対策についてですけれども、これも先ほど来、いろいろな皆さんの地元のお話が出ておりますけれども、近年、局所的な集中豪雨が頻発しております。各地で被害が発生しておりまして、世田谷でも、二年前だったでしょうか、九月四日の豪雨がありまして、床上浸水など、かなりの被害を出しまして、たびたび浸水被害が起きているところがあります。早期に被害を軽減するためにはさまざまな工夫が必要だと思います。
 下水道局では、決算概要にもありますけれども、クイックプランを策定し、早期に浸水被害を軽減するための対策を行っていますけれども、世田谷区内ではどのような取り組みを行っているのか伺います。

○黒住建設部長 雨水整備クイックプランでは、世田谷区の千歳台地区など六地区を重点地区として雨水貯留管などの整備を行っております。このうち、平成十九年度末までに、下馬・三軒茶屋地区、用賀地区、千歳台地区、桜丘地区の四地区での対策が完了しております。

○西崎委員 九月四日の豪雨は三年前だそうですけれども、世田谷では平成十九年度末までに、六地区のうち、今お話がありました四地区が完了したということです。完了しました四地区の方は対策がとられて一安心されていると思うんですけれども、しかし、残りの二地区の方々は、工事が完了するまで、雨が降るたびに不安に感じているのではないかと思います。ことしの八月もかなりの大雨が降りまして、実は私の住んでいるマンションで雨漏りが起こりまして、近くの道路のマンホールから水が噴き出ている状況を見まして、私も大変、人ごとではないなというふうに思いました。
 そこで、残りの二地区の概要と進捗状況についてお聞かせいただけますでしょうか。

○黒住建設部長 平成十九年度末までに完了しておりません重点地区は、上馬四、五丁目地区と松原地区の二地区でございます。
 上馬四、五丁目地区につきましては、世田谷区立の小泉公園の下部に雨水調整池を整備するとともに、道路内に雨水貯留管を整備しておりまして、合計で五千七百立方メートルの雨水を貯留する計画でございます。全体の完成につきましては平成二十一年度末の予定でございますが、完成した調整池と貯留管の一部につきましては、既に昨年度から貯留を開始しているところでございます。
 一方、松原地区につきましては、流域の既設幹線の能力を補うための新たな下水管を整備しております。新たな下水管の整備は完了しておりまして、現在、既設の下水管から取り込むための取水施設を整備しておりまして、今年度末には完成する見込みでございます。

○西崎委員 今お話のありました上馬地域につきましては、たびたび被害も報告されている中で、ぜひ残りの松原地区とあわせて早急な対応を求めます。
 下水道局ではさまざまな工夫を行いまして浸水被害を軽減させる努力を行っているようですけれども、大規模な施設をつくるよりも、時間も費用もかかりますので、施設の整備とともに、雨水の浸透による対策、先ほども松村委員から随分お話が出ていましたが、近年頻発している豪雨による浸水被害を軽減する上で大切な取り組みではないでしょうか。世田谷でも、かなり一般家庭で浸透ますを設置している家もふえてまいりました。ぜひ地元区との連携などにより、都民みずからが浸水への備えが行えるよう、雨水浸透ますの設置を呼びかけるなどのPR活動を行い、今後もハード、ソフトの両面から十分に取り組んでいくことを要望して質問を終わります。

○伊藤委員 私からも合流式下水道の改善についてお伺いをしたいと思いますが、るる重複するような質疑がありましたので、私からは地元の個別具体的な対策についてお伺いをしたいというふうに思っております。
 特に目黒区内におきましては、目黒川の下流域に当たるわけですけれども、雅叙園観光ホテルというのがありまして、ちょうど品川区との隣接点になります。ここが少し川幅が広がるところでありまして、海からの潮の影響等もあって、ここに汚水がたまってしまうというようなこともあって、大雨が降ったことしなどの夏場には臭気が発生するということがありました。
 そこで、先ほど目黒川の清流化事業については答弁があったと思いますけれども、こうした合流式下水道の改善を含めて、これまでの目黒川の浄化についてどんな取り組みがあったのか、先ほどの答弁になかった部分があれば、お答えをいただきたいと思います。

○小川計画調整部長 目黒川の水質浄化につきましては、先ほどの清流復活事業のほかには、河川への放流負荷量を減らすため、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水するための幹線といたしまして、新駒沢・池尻幹線を整備いたしました。
 また、浸水対策としての役割を持つ東品川ポンプ所及び東品川幹線を整備し、目黒川下流沿いの一部の地域をポンプ排水区域への変更を行ってございます。

○伊藤委員 次いでお伺いしたいんですけれども、特に雅叙園では挙式、披露宴なども行っておりまして、野外で、屋外で式を挙げるということもありまして、これが臭気が漂っていると、せっかくのお祝いの場も台なしということもあるようですので、今いっていただいたような取り組みを積極的に行っていただきたいと思いますが、目黒川ではクイックプランとして具体的にどんな取り組みがこのプランの中で行われているか、お答えいただきたいと思います。

○黒住建設部長 目黒川流域におきます合流改善クイックプランといたしましては、まず、雨水吐き口からのオイルボールやごみなどの流出を抑制する対策を平成十九年度末までに五十六カ所実施しました。また、目黒区の大橋地区では、再開発事業者と連携し、汚水と雨水を分ける部分的な分流方式の導入を進めております。
 さらに、目黒川上流域におきまして、雨天時に目黒川に放流されている下水の一部を貯留する上目黒幹線の整備を進めております。

○伊藤委員 中長期的な対策を行っていただいているということはよくわかりました。これからもぜひお願いしたいわけですけれども、今お話にあった上目黒幹線というのはどんな施設なのか、伺いたいと思います。

○黒住建設部長 上目黒幹線は、目黒川の上流域から大雨が降ると目黒川に放流されている下水のうち、降雨初期の特に汚れた下水を貯留するための約九千四百立方メートルの貯留能力を持つ幹線でございます。貯留した下水は、降雨終了後に森ヶ崎水再生センターに送水し処理をいたします。

○伊藤委員 上目黒幹線がちょうど整備されようとしている場所は、目黒川でも大橋寄りのところでございまして、ちょうど小さな古着屋さんですとか、あるいは喫茶店なども最近は出てきていますし、その裏に行きますと、木造ないし住宅密集地域になっているところでありますので、地権者の方やら、そこで営業をされている方々がたくさんいる地域ではないかというふうに思うんですけれども、この工事の施工に困難も多々あるのではないかと思いますけれども、進捗状況はどうでしょうか。

○黒住建設部長 上目黒幹線につきましては、地元の理解を得るのに時間を要しましたが、平成十八年度に完成いたしております。しかしながら、既設の下水管から上目黒幹線へ下水を取り込むための取水管につきましては、地域住民の理解が得られず、まだ完成しておりません。その主な理由といたしましては、中目黒駅近くのスーパーや飲食店などへの営業面での影響や、住宅街におきます夜間工事などでございます。

○伊藤委員 貯留管そのもの自体はできていても、下水を取り込むための取水管というんでしょうか、これができないことには活用できないわけでありまして、こうした工事の一刻も早い完成を求めたいというふうに思いますけれども、今後どのように進めていくか、その予定を伺いたいと思います。

○黒住建設部長 これまで繰り返しご説明を行った結果、道路内に埋設している電気やガスなどの埋設物を確認する工事につきましては理解が得られ、既に実施いたしております。この試験掘りで得られました情報をもとに、できるだけ地域の要望にこたえられますよう、今年度内を目途にルートや施工方法などの見直しを行っているところでございます。
 今後とも目黒区とも連携し、地域住民の理解を得て早期着工が図られるよう努めてまいります。

○伊藤委員 最後に、区役所には相当、雅叙園周辺の方々から汚水の問題、合流式改善の問題の要望が上がっているようです。ですので、区役所としても早急にこの取水管の整備をして完成させたいという思いが強いようですから、どうぞ目黒区役所あるいは地元の方々と連携を強化していただいて、一刻も早い上目黒幹線の完成に尽力していただきたいということを申し述べまして、終わらせていただきます。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後四時六分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る