委員長 | 野上 純子君 |
副委員長 | 伊藤 ゆう君 |
副委員長 | 石森たかゆき君 |
副委員長 | 松村 友昭君 |
西崎 光子君 | |
中山 信行君 | |
田中たけし君 | |
吉原 修君 | |
山田 忠昭君 | |
大津 浩子君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 東岡 創示君 |
技監 | 尾崎 勝君 | |
総務部長 | 小山 隆君 | |
職員部長 | 森 祐二郎君 | |
経理部長 | 山本 憲一君 | |
サービス推進部長 | 内海 正彰君 | |
浄水部長 | 増子 敦君 | |
給水部長 | 吉田 永君 | |
建設部長 | 今井 茂樹君 | |
設備担当部長 | 吉田 進君 | |
参事 | 高原 俊幸君 | |
参事 | 坂内 顕宏君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 鈴木 孝三君 |
調整部長 | 大平 晃司君 | |
施設部長 | 佐竹 哲夫君 | |
参事 | 酒井 晃君 |
本日の会議に付した事件
平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成十九年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)
○野上委員長 ただいまから平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行います。
これより水道局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十九年度東京都水道事業会計決算及び平成十九年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小山総務部長 さきの分科会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
一ページをお開きいただきたいと思います。将来需要量及び配水量の推移でございます。
将来需要量と平成元年度以降の一日最大配水量及び一日平均配水量の推移をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。水源開発事業費及び財源内訳でございます。
利根川水系の霞ヶ浦導水と八ッ場ダム、荒川水系の滝沢ダムの三つの事業につきまして、施設概要、開発水量等をお示ししてございます。
財源の内訳としましては、企業債、国庫補助金、一般会計繰入金などでございます。
三ページをお開き願います。高度浄水施設の整備実績及び導入計画でございます。
それぞれの浄水場における高度浄水施設の導入規模、通水時期、処理方式及び事業費をお示ししてございます。
(2)の導入計画でございますが、東村山浄水場、金町浄水場の三期に引き続きまして、三郷浄水場の二期、朝霞浄水場の二期の整備を進めてまいります。
四ページをお開き願います。外部委託化の状況でございます。
委託業務の分野別に、平成十九年度の委託金額、その主な内容につきましてお示ししてございます。
五ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
平成十年度から十九年度までの十年間につきまして、未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。水道料金減免実績の推移でございます。
平成十年度から十九年度までの十年間につきまして、条例分、決議分のそれぞれの減免件数と減免額をお示ししてございます。
七ページをお開き願います。政令指定都市の水道料金及び減免制度でございます。
各都市の料金体系、基本水量、一カ月に口径二〇ミリで五立方メートル、二十四立方メートルを使用した場合の水道料金と料金の適用年月日、減免制度の有無をお示ししてございます。
八ページをお開き願います。収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
収益的収支、資本的収支、損益勘定留保資金のそれぞれにつきまして、料金改定を行った平成六年度以降の推移をお示ししてございます。
九ページをお開き願います。工業用水道の業種別、規模別事業者数でございます。
平成十九年度末現在の工業用水道の使用状況につきまして、業種別、規模別の事業者数をお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。工業用水道の年間使用水量別事業者数でございます。
工業用水道の年間使用水量別に、工業用水、雑用水のそれぞれにつきまして、平成十九年度の事業者数をお示ししてございます。
以上をもちまして、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○野上委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○石森委員 それでは、私の方から何点か質問させていただきたいと思います。
平成十九年度につきましては、水道局の経営の基本となる東京水道経営プラン二〇〇七の初年度でございまして、私としても非常に関心が高いところでありますけれども、質疑の時間も限られておりますので、幾つかに絞ってお尋ねをしたいと思います。
初めに、水道局が重点課題として取り組んでおります、安全でおいしい水の供給に向けた諸施策についてお尋ねをいたします。
水道局では現在、利根川系の浄水場の全量高度処理に向けて整備を進めておりまして、多摩地区におきましても、ただいま資料の中にございましたが、東村山浄水場で高度浄水施設の建設が行われております。高度浄水施設を導入することによる劇的な効果につきましては、我が党の先輩議員のかねてからの質疑の中で明らかになっているところでありますけれども、その高度浄水施設がついに東村山浄水場にも導入されるということに、大変大きな期待を持っている一人でもございます。
そこで、この東村山浄水場高度浄水施設の概要について、まずお尋ねをしたいと思います。
○今井建設部長 東村山浄水場の高度浄水処理施設は、通常の浄水処理では十分に対応できない臭気物質等の除去に高い効果がある、オゾンと生物活性炭を組み合わせた処理方法を採用した施設であります。処理水量は、利根川系原水の全量を対象とした日量八十八万立方メートルであり、平成二十一年度末までの完成を目指し施設整備を進めております。
○石森委員 この東村山浄水場は、主に多摩地区東部に配水している浄水場でありますから、この施設が完成されれば、私の地元、八王子市の一部にも高度浄水処理水が供給されることになります。ぜひ順調に工事を進めていただき、一日も早く供給開始ができることを期待しておきたいと思います。
次に、直結給水の普及に向けた取り組みについてお伺いいたします。
水道局では、今お伺いした高度浄水施設の建設を初めとして、安全でおいしい水の供給に向けた施策を精力的に進めておりますが、この水を蛇口まで届けるためには、貯水槽水道の適正管理とともに、直結給水方式の普及拡大が有効とされているところであります。
そこでまず、これまでの直結給水普及に向けた取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
○吉田給水部長 水道局ではこれまで、直結給水の普及拡大に向け、平成七年度に増圧ポンプ方式を採用することとし、平成十六年度には増圧ポンプの適用要件を緩和し、十六階程度、二百世帯程度までの建物に直結給水することを可能といたしました。また平成十九年度からは、直結給水への切りかえを希望されるお客様に対しまして切りかえ工事費を見積もりする直結切りかえ見積もりサービスを、民間事業者の協力も得て実施しているところでございます。
この結果、既存の建物におきましても増圧直結給水への切りかえが進み、平成十九年度には八百五十二件、平成七年度からの合計では五千六百五十六件が直結給水に切りかわっております。
さらに、次世代を担う子どもたちに水道水のおいしさを実感していただけるよう、平成十九年度から公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業も実施するなど、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。
○石森委員 水道局がこれまでもさまざまな手だてを講じて直結給水の普及拡大を図ってきたことは大変評価するところでありますが、昨今の住宅事情を見ますと、高層のタワーマンションなどが次々に建設されておりまして、当然、大規模マンションだけに住宅戸数も多くなります。先ほどの答弁では、現在の増圧直結方式を導入しても十六階程度が限界ということでありますから、タワーマンションなどは貯水槽水道方式をとらざるを得ないことになりますけれども、水道局として、こうした建物に居住する住民等の要望にもこたえていくことが求められていると思います。
そこで、十七階以上の建物や二百世帯を超える大規模集合住宅でも増圧直結方式を選択できるようにすべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。
○吉田給水部長 これまで直結給水が困難でありました地上十七階以上の高層建物につきましては、複数の増圧ポンプを地上と建物の中間層に直列に設置する方式、また、二百世帯を超えるような大規模な集合住宅などにつきましても、複数の増圧ポンプを地上に並列に設置する方式を採用することにより、直結給水のさらなる普及拡大を図ってまいります。
○石森委員 今お話があったとおり、増圧ポンプの直列多段設置や並列設置が可能になれば、ほぼすべての建物で直結給水方式を選択できるようになりますから、早期に実現できるように要望しておきたいと思います。
次に、多摩地区の経営改善についてお伺いいたします。
多摩地区では、平成十五年六月に多摩地区水道経営改善基本計画が策定されて以来、水道局、多摩地区市町双方の積極的な取り組みによって、順調に経営改善が進められているとお聞きしております。
そこでまず、これまでに多摩地区水道の経営改善を順次進めてきたことにより都民にどのようなメリットがあったのか、お伺いいたします。
○大平調整部長 経営改善のメリットといたしましては、第一に、市町域にとらわれずに水道使用の中止、開始の手続等ができることや、水道料金の支払い窓口が大幅にふえ、支払い手段が多様化することなどが挙げられます。現に水道使用の中止の約七割を多摩お客さまセンターで受け付けておりまして、ワンストップサービスの利便性をお客様に提供させていただいているところでございます。さらに、ご要望の多かったクレジットカード払いについても今年度導入するなど、都民サービスは着実に向上しつつあるものと考えております。
第二に、市町域にとらわれない広域的な施設整備により、事故時におけるバックアップ体制が強化されるなど、給水安定性が向上することが挙げられます。これにつきましては、現在、多摩丘陵幹線を初めとする施設整備に努めているところでございます。
このように、多摩地区水道の経営改善は、お客様サービスと給水安定性の両面で都民にメリットがあるものと考えます。
○石森委員 都民にも大変大きなメリットがあるということでありますが、今後も積極的にぜひ進めていただきたいと思います。
さらに、事務委託解消後の多摩地区における事業運営体制についても気になるところでありますけれども、水道局では多摩地区の水道を今後どのように運営していこうとお考えになっているのか、お尋ねをいたします。
○大平調整部長 当局といたしましては、広域的な水道としてのメリットを十分に生かした効率的な事業運営を目指していきます。このため、まず、料金等の収納業務や給水装置に関連する業務につきましては、十二カ所のサービスステーションで実施しているところでございます。また、水道施設の管理などにつきましては、多摩地区を四つのエリアに分けまして、それぞれに拠点を設けて浄水所等の施設を集中管理するとともに、水道管等の管理要員を配置いたしまして、集中的な管理を行っているところでございます。そのために、今年度から局の管理組織として給水管理事務所及び給水事務所を三カ所設けまして、適切で効率的な管理を行う体制を整えつつあるところでございます。
こうした体制のもとで、今後、施設管理、経営業務を中心とした市町からの移行業務の管理を確実に行うとともに、配水区域の見直し、その他の広域的な水道のメリットを生かすための施設整備を着実に進めてまいります。
○石森委員 私の地元の八王子市におきましても、管理拠点として元本郷庁舎が建設されまして、本年四月からそこに給水管理事務所が設置され、サービスステーションも開設いたしました。当初、四月こそ、事務手続が集中したために若干対応のおくれもあったようでありますけれども、現在は順調に推移しているようでありますし、心配しておりました市民に対しての対応についてもスムーズに運んでいるようであります。
こうした拠点施設を有機的に整備、活用することによりまして、効率的な事業執行体制を構築していってほしいと思います。
この問題の最後に、今後の多摩地区経営改善の実現に向けてどのように取り組んでいくおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
○大平調整部長 多摩地区水道経営改善基本計画の最終年度でございます平成二十四年度までには、残る三鷹市、青梅市、調布市、国立市、稲城市への事務委託を解消することとしております。このうち青梅市、調布市、国立市の三市につきましては、二十一年度の解消に向けまして取り組んでいるところでございます。
事業運営体制といたしましては、今後、西多摩エリアに給水事務所を設置するなど、市町から移行される業務を確実かつ一層効率的に実施する体制を構築する考えでございます。
今後とも、広域的な施設の整備を着実に進めるなど、経営改善基本計画の目標である、お客様サービスの向上、給水安定性の向上並びに効率的な事業運営を推進してまいります。
○石森委員 多摩地区の事務委託解消に向けた強い意気込みをお伺いいたしましたけれども、この十五年度にスタートした基本計画の計画期間も半ばを過ぎました。今後も気を緩めることなく着実に進捗を図っていただきたいと思います。
次に、震災対策についてお伺いいたします。
最近、新潟県中越沖地震など大規模な地震が各地で起きておりまして、首都東京も決して対岸の火事として安閑としてはいられない状況下にございます。文部科学省所管の地震調査委員会が行っている長期計画によれば、ご承知のとおり、首都直下地震など、南関東地区を震源とするマグニチュード七程度の地震が今後三十年以内に発生する確率は七〇%程度といわれておりまして、水道施設の耐震強化が急がれるところであります。
さきの第一回定例会で我が党の同僚議員が、利根川と多摩川の原水を融通する原水連絡管の耐震性についてただしたところ、これを二重化して、事故時、震災時の安定供給を確保するとの答弁がありました。こうした取り組みは我が党も高く評価するところでありまして、早期に実現していただきたいと考えております。
ところで、水道管は都内全域に網の目のように張りめぐらされておりますが、中には、一たび事故が発生した場合には、その影響が広範囲に及ぶ重要な幹線も存在いたします。そうした幹線についても早期に耐震性の強化、あるいは送配水管ネットワークの充実といったことが必要だと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○高原参事 浄水場と給水所を結ぶなどの主要な幹線は、震災時に断水の影響が広範囲に及ぶことから、バックアップ機能の強化を図るため、東南幹線や多摩丘陵幹線の整備を現在進めているところでございます。しかし、依然、浄水場や給水所から単一系統の送配水管により長距離の配水を行っている区域もございますし、また、多摩地区では各市町村単位で整備を進めてきた経緯から、管路のネットワーク化が十分に図られていないといったような状況にもございます。このため、事故時や震災時においても安定的な給水を確保できるよう、今後も信頼性の高い送配水管ネットワークの構築を進めてまいります。
○石森委員 水道局が先手を打って、事故時、震災時の対策を進めているということは、非常に頼もしく感じているところではありますけれども、一方で、そうした大規模工事を好機ととらえて、ぜひ取り組んでもらいたいことの一つに環境への配慮があります。
水道局では、送配水管ネットワークの強化に向けて幹線の整備を進めておりますが、先ごろ完成した東京湾を横断する東南幹線なども、標高が高いところを経由せず直接送水が可能となったため、エネルギー負荷の低減に効果があったと聞いております。
地球温暖化対策は、日本のみならず全世界共通の最重要課題でありまして、東京都としても、環境の危機克服に向けて全庁挙げてさまざまな取り組みを進めているところでありますが、水道局では水道の送配水過程で多くの電力を消費しており、都内の電力消費量の一%を占めていると聞いております。
そうしたことから、水道局にも積極的な取り組みが求められるところでありますが、既に太陽光発電や小水力発電などに取り組んでいることは承知しておりますけれども、最も電力を消費するのは送配水管のポンプ圧送だと聞いております。
そこで、今後の整備に当たっては、省エネルギーという視点もしっかり取り入れるべきだと思いますけれども、所見をお伺いいたします。
○高原参事 当局では、事業活動の中で多量のエネルギーを使用していることから、省エネルギー対策や自然エネルギーの活用など、これまでも環境負荷の低減に努めてきたところでございます。
しかし、今後、地球の温暖化が及ぼす深刻な影響が懸念される中、東京都においても環境確保条例を改正し、CO2排出量の削減を義務化するなど、今やあらゆる主体に地球温暖化対策の強化が求められております。
水道は、地球がはぐくんだ水を資源とし、地球温暖化の影響を最も受ける事業の一つでございますから、当局においても、従来の取り組みに加え、抜本的な対策を講じていく必要がございます。このため、多くの電力を使用している送配水過程については、今後、更新等の機会をとらえ、地形の高低差を利用するなど、環境負荷に配慮した送配水システムの構築を目指してまいります。
○石森委員 ぜひ東京都が経営する公営企業として、模範となる取り組みを行っていただきたいと思います。
次に、目標管理の観点から一点お伺いいたします。
きょうの質疑でも水道局の事業の幾つかについて質問してまいりましたけれども、こうした水道局が地道に積み重ねてきた成果を都民にアピールしていくことも重要であります。水道局として事務事業の成果をどのように打ち出しているのか、お伺いいたします。
○小山総務部長 水道局では平成十三年十月から、一つには目標管理における成果重視の徹底、二つには大規模な施設整備の事前評価と再評価、三つには内部管理、自己点検機能の強化、この三つの視点に立った、より総合的でわかりやすい事業評価制度を導入しております。
東京水道経営プラン二〇〇七の初年度である平成十九年度の事務事業の成果につきましても、この制度に基づき評価を行い、目標に対する達成度をグラフを用いて示すなど、都民の目線に立った工夫を行った上で、当局のホームページ上に掲載をしたところでございます。
さらに、他の水道事業体との比較、分析等を行う上で有効な百三十七項目の業務指標を定めた水道事業ガイドラインについても、あわせてホームページに掲載をしております。
こうした取り組みによりまして、水道事業の現状をわかりやすくお客様に伝え、当局事業に対する理解を深めていただけるよう努めてまいります。
○石森委員 都民に事務事業について理解を得ることが今後の事業運営にとって極めて重要となりますから、ぜひ積極的に成果を発信していただきたいと思います。
以上、本日は、安全でおいしい水の供給や多摩地区の経営改善、震災対策など、水道局の事業について包括的に質問してまいりましたが、最後に、本日ただしてきた質問を含め、水道局の事業運営について局長の決意を伺って、質問を終わらせていただきます。
○東岡水道局長 水道事業の最大の使命は、現在及び将来にわたり、都民生活や首都東京の都市活動に欠かすことのできない清浄な水を安定して供給することであります。このため、これまでも、利根川系浄水場の全量高度処理を目指して高度浄水施設の整備を進める一方、貯水槽水道対策を強化するなど、安全でおいしい水の供給のためにさまざまな施策を積極的に展開してまいりました。また、多摩地区の経営改善に取り組むことなどによりまして、簡素で効率的かつ、お客様のニーズを的確にとらえた経営を目指してまいりました。
今後とも、水道局の経営の基本計画である東京水道経営プラン二〇〇七に掲げた諸施策を確実に達成していくことで、将来にわたる安定給水の確保をさらに確かなものにするとともに、東京水道に寄せられているお客様からの信頼をしっかり守っていくことが大切であると認識しております。職員ともども、この大きな使命を果たすために全力を挙げて取り組んでまいります。
○伊藤委員 私からは、平成十九年度東京都工業用水道事業会計決算について質疑をさせていただきたいと思っております。
工業用水道事業については、現状と課題、東京都の方でまとめられておりますものがありますので、この中からも引用しながら質疑をさせていただきたいと思っておりますが、工業用水道はいうまでもなく、地盤沈下の対策として、昭和三十九年の八月から江東地区、また、同四十六年の四月から城北地区で給水が開始されました。しかしながら、使用時の、いっときの--昭和四十九年度をピークに毎年減少傾向が続いており、現在では事業経営は赤字基調になっているということでございます。
同時に、昭和五十年以降は地盤沈下が鎮静化し、工業用水道事業としての所期の目的は達成されているというふうに記載もされているところでございます。
そうした中で、特にこの冊子の中でも、最終的には、お客様への影響を調査するなど、工業用水道事業の廃止を含めた検討を都庁全体で進めてまいります、こういうふうに書かれているわけでございます。
この点についてお伺いしていきたいというふうに思っていますけれども、今回資料請求をさせていただいた中に、この工業用水道を使用されている方々の業種別、規模別事業者数というものを出していただいたわけでございます。これを見ますと、大企業がある一方で、中小企業の方が圧倒的に、この工業用水道の使用は多いという結果が見てとれます。大企業百二十九に対して中小企業は二百四十七の事業者数があったということでございます。つまるところ、中小企業者の皆さんの方がこの工業用水道を使われているということですので、今後、この事業の見直しなどが発生した場合には、特に中小企業、零細企業の皆さんの負担というものが懸念されるところであります。
そこで、お伺いしたいのは、この工業用水道を利用することで、事業者の負担軽減は一般上水道を使用したときと比べてどれぐらいになるのか、お答えいただければと思います。
○増子浄水部長 工業用水道の料金は、使用量によっても異なりますが、水道を利用した場合の料金と比較いたしまして、平均で約五分の一となります。
○伊藤委員 工業用水道を使った場合、上水よりも極めて安く、五分の一程度の負担になるということがおおむねわかるわけでありますけれども、工業用水道の年間使用量が一万トン以上の事業者が半数であることも、また今回の請求資料の中から読み取れるわけでございます。一方で、一万トン以上の中小企業者が百一件余りということでありまして、一万トン以上の使用者の数も大変多いことがわかります。
そこで、一万トン以上使用している中小企業と、五万トン以上この工業用水道を使用している中小企業の数はどれぐらいあるのでしょうか。
○増子浄水部長 年間一万トン以上工業用水をご使用いただいている中小企業は六十六件、うち八件は五万トン以上ご使用いただいております。八件の業種は、鉄鋼、食品などの工場でございます。
○伊藤委員 一万トン以上使っている中小企業は六十六件もあるということもわかりましたし、五万トンという大量の水量を使われている事業所も八件あるということがわかりました。
もう一つお伺いしたいのは、その中でも一万トン、この工業用水道を使っている方々が仮にも上水道に切りかわった場合は、おおむね幾らぐらいの負担増になるのでしょうか。
○増子浄水部長 工業用水道の料金は、契約している単価や水量によって異なりますけれども、口径二五ミリ、年間使用水量一万トンの工業用水道料金は約六十八万円、水道料金ですと約三百五十九万円となります。
○伊藤委員 つまり、六十八万円が三百五十九万円になるということでありますので、やはりおおむね五倍程度の金額差が生じるということになるわけであります。
実は、この地域の方々からもお話を少しお伺いしたわけでありますけれども、中小企業と一言にいっても、家族単位で経営をされているところも中にはあります。従業員数で見れば十人程度、こういうところもあって、そういうところでも一万トン以上使用されているところがあるわけでありますから、そういうまさに零細企業にとってみれば、一カ月にしても、五倍の水道料金のはね上がりにもし万が一なるということになれば、これは経営を直撃することになるんだろうというふうに思っております。
これらの中小零細企業にとっては、工業用水道は経営を支える生命線であります。現在、知事本局を初めとした関係各局で、今後のあり方について議論がなされているというふうに伺っていますけれども、こうした議論の中で、今申し上げたようなそれぞれの零細企業等の実情を十分に反映されるように、所管局として調整をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○増子浄水部長 工業用水道事業のあり方につきましては、事業者への対応も含めまして、その意向等も調査しながら、庁内横断的に検討を進めているところでございます。
○伊藤委員 ぜひ意向と、それから、経営状況や経営環境というものも同時に調査を行っていただいて、きめの細かい配慮のある議論をしていただきたいと思います。
同時に、ある使用者の方がいわれていましたけれども、この地域では、タクシー会社なども、この工業用水道があることを見込んで会社経営を始められたという方もいらっしゃるようであります。もちろん、上水道を使ってタクシーを洗車するよりも、工業用水道を使うことの方が、環境面からいっても今の時代にかなったものなんじゃないかという声もありました。万一これが上水道になるということになりますと、多くの水を使う事業者にとってみれば、環境面から考えても、これは大きな後退になるんじゃないかという懸念も聞きます。
また、この工業用水道が整備をされた背景として、地下水を使っていると地盤沈下が起こるという懸念から、東京都の施策として切りかわってきたということも過去にはあるようでありますので、地域の方にとってみれば、東京都の政策によって工業用水道が引かれ、そして、時代の変化でまた工業用水道がなくなってしまったり、あり方が変わってしまうということは、彼らにとっても大変大きな負担になる話だというふうに伺っておりますので、どうぞ、きめの細かい調査、議論というものをしていただきますように要望を申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
○中山委員 私は、水道局事業の技術継承と震災対策について質問いたします。
初めに、東京都のすぐれた水道技術を次の世代に引き継いでいくための取り組みについて伺います。
もともと水道事業の進展には、水道事業に特殊、固有な高度な技術の維持向上が不可欠、必要でございます。
我が党は平成十九年第二回定例会の代表質問におきまして、世界大都市気候変動サミットで石原知事が東京の水道の漏水率が三%台であることを紹介して参加都市からの驚嘆を呼んだことに触れ、世界で最も環境負荷の少ない都市を目指す東京が、水道技術の国際支援を通し、広く国際貢献に取り組むことを求めました。
東京都は、明治三十一年に近代水道としてスタートをさせて以来積み上げてきた、世界に誇る水道技術のレベルの高さを、将来にわたって安全でおいしい水の安定的な供給という形で継続させていかなくてはなりません。
団塊の世代の大量退職が進む中、日本産業の各界で技術の継承が共通の大問題となっております。そうした意味で、我が党は、水道技術の技術継承について、当分科会の委員長であります野上議員が平成十八年の公営企業委員会において質疑を行い、大量退職時代における技術継承の重要性や研修施設の幅広い活用について発言をいたしました。
水道局では、その技術継承に関して、平成十七年度にナレッジバンクを立ち上げたと聞いております。そこでまず、このナレッジバンクの概要についてお伺いいたします。
○森職員部長 当局におけるナレッジバンクとは、技術的業務に不可欠な技術情報について、ベテラン職員が今までの経験で培ってまいりました業務ノウハウも含めデータベース化し、継続的に蓄積していくものであり、当局のネットワークシステムで職員が常時活用できるようにしてございます。
このナレッジバンクは平成十九年四月から運用を開始いたしました。また、平成二十年七月から、高い技術を持つ経験豊富な職員をエキスパートとして認定して活用いたします東京水道技術エキスパート制度を立ち上げるとともに、これをナレッジバンクと有機的に連携させまして、全体として水道局版ナレッジマネジメントシステムとして活用しているところでございます。
○中山委員 今のご答弁によりまして、ナレッジバンクの概要と位置づけは理解できました。
技術の継承は、先輩職員の背中を見て学んだり、一緒に苦労する中で学び取ったりする要素も多く、すべてが研修という形で習得できるものばかりではないとは思います。しかし、その一方で、忙しい日常業務の中で、ともすれば技術継承のために情報を整理したり、他の人にもわかるような形に整えたりすることが後回しにされていくうちに退職を迎えてしまうというケースも起こりかねません。また、技術自体が個人の専売特許的な性格をもって秘匿され、後輩に情報公開されないなどの悪弊も、社会のさまざまな分野では聞かれることがあります。
そうした中で、特に水道技術は、安全性や効率性という具体的に数値的な結果としてあらわれる面で精度を高めていく必要があり、時代を重ねてその精度が高められていくためにも、できる限りデータ化して見える状態とし、共有化していく必要があります。そうした意味で、都のナレッジバンクの発想は、日本の産業経営者の実例としても極めて重要であると考えます。
そうしたナレッジバンク機能がより効果的に発揮されていくためには、何よりそこにおさめられているコンテンツの質と量が重要であります。そこで、どのようなコンテンツを収集し蓄積しているのか、お伺いいたします。
○森職員部長 ナレッジバンクに取り込んでおります情報量でございますが、平成二十年九月現在、映像ファイル二十四テーマ六十九本、その他マニュアル等が約五千件でございます。特に局が継承すべき技術のうち、専門性が高いあるいは熟練を要するなどの理由から文字情報にしにくいものにつきましては、写真、動画などを利用し、よりわかりやすい形で蓄積しております。
○中山委員 ナレッジバンクにおきまして着実に情報が蓄積されつつあることが理解できました。
ナレッジバンクは職員がネットワークで活用できるとのことでございますが、局として、その具体的な活用を職場内で導いていくことが大切であると思います。現在、具体的にナレッジバンクの活用がどのように進んでいるのか、お伺いいたします。
○森職員部長 ナレッジバンクの活用につきましては、各職場において、日々の業務遂行に当たり参考資料として幅広く活用しているほか、ナレッジバンクに蓄積された動画資料等を、漏水防止や給水装置、配管実務、機械保全などの実務研修に取り入れて活用するとともに、研修の予習、復習等でもナレッジバンクを参照するよう誘導しているところでございます。
さらに、こうした動画資料に加えまして、技術継承に関する実技研修テキストもナレッジバンクに取り込むことによりまして、常時学習できる環境を職員に提供し、OJTへの活用を図っております。
○中山委員 このナレッジマネジメントシステムは、これからの充実のさせ方によりまして、東京水道だけでなく、日本の水道界全体の財産ともなり得るものだと思います。今後、東京都水道局のナレッジマネジメントシステムを、八都県市の連携などを通し、日本の水道界全体のためにも役立てていくような方策を検討していただくことをお願いしておきます。
また、外国語翻訳などを進めて、アジア地域からの研修生の受け入れなどの際に教材として提供したり、インターネットを通し情報公開していくことなども検討するべきではないかと考えます。これらのことは要望として、今後の具体的な前進を期待しているものでございます。
次に、震災対策について質問させていただきます。
さきの第三回定例会では、小中学校等の耐震化対策として約三十億円の補正予算が組まれました。近年、首都直下型地震発生の切迫性が指摘されており、いつ東京に大地震が来るか予測できない状況にあります。平成二十年六月の岩手・宮城内陸地震の発生時も、水道施設が被害を受け、断水が続きました。
最も重要なライフラインの一つである水道が地震により被害を受けると、都民生活に大きな影響を及ぼします。平成十八年五月に東京都防災会議が発表した東京湾北部地震及び多摩直下地震の発災時の被害想定では、それぞれマグニチュード六・九から七・三の仮定で被害をこうむる水道施設の割合は、東京湾北部地震で、区部が三四・一%から四六・三%、多摩が四・六%から一〇・九%であります。また、多摩直下地震では、区部が二〇%から三一・四%、多摩が一二・八%から二四・五%となっております。特に東京湾北部地震では、被害の全面復旧は発災後二十一日から三十日を要するとのことであります。発災時には、一日、一刻も早く通常の給水を再開するために、被害箇所を急ぎ復旧することが大切でございますが、それと同時に、震災時における飲料水の確保をあらかじめ整えるということも重要であります。
去る十月二十一日には、水運用センターから、区部の二十三カ所の給水所のうち十八カ所で応急給水設備の整備が完了したとの発表がありました。震災時における都民への飲料水の確保のために、水道局はどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○小山総務部長 当局では、震災時の飲料水を確保するため、お客様の居住場所からおおむね二キロメートルの距離内に給水拠点を設けております。給水拠点として、浄水場、給水所のほか、避難場所となる公園や学校の校庭などに応急給水槽を設置しております。現在、区部、多摩地域合わせまして二百カ所整備しておりまして、確保している水量は約百三万立方メートルでございます。
○中山委員 百三万立方メートルというのは、一日にお一人三リットルとすると、千二百万人分の約四週間分ということになるのではないかと思いますけれども、応急給水拠点の整備が進んでいるということがわかりました。
震災時には、応急給水拠点において混乱なく都民に給水を実際に実施できることが重要であります。応急給水拠点における応急給水体制はどのように準備が整えられているのか、お伺いいたします。
○小山総務部長 東京都地域防災計画では、給水拠点のうち、浄水場と給水所におきましては、都が応急給水に必要な資器材を設置し、区市町が住民等への応急給水を行うことになっております。また、応急給水槽におきましては、区市町が必要な資器材を設置し、住民等への応急給水を行うことになっております。
また、当局では、勤務時間外の震度六弱以上に対応するため、浄水場や給水所の近隣に居住する局職員をあらかじめ拠点給水要員として指定し、区市町の職員と連携して応急給水活動を行うこととしております。
こうした応急給水体制が効果的に機能するように、拠点給水要員が実際に参集する訓練や、区市町と連携して応急給水活動を行う訓練を実施しております。
さらに、昨年度から、これまでよりも応急給水活動が迅速かつ容易に実施できるように、給水所の応急給水口付近に、ポンプ操作盤や給水活動に必要な資器材を収納した倉庫の整備を進めております。
今後も、より一層区市町との情報交換と連携の強化を図り、応急給水が効果的に実施できるように努めてまいります。
○中山委員 今、具体的に応急給水拠点での職員の方の参集訓練をされていらっしゃるということで、大変効果的な訓練であると思います。応急給水拠点の整備、そして、その拠点自体の確実な耐震化は極めて重要な課題であると思います。
と同時に、今のご答弁の中で、区市町との情報交換及び連携の強化を図り、応急給水が、効果を高めていくという趣旨のお話がございましたが、これは具体的に、私は、一つは給水車両の効果的な配車という視点が大事ではないかと考えます。給水拠点はおおむね半径二キロメートル以内に一カ所ずつ設けるとのことでございますが、障害者や高齢者などの生活弱者、災害弱者、最大で二キロメートルもの距離を、生活に必要な水の運搬を行っていくということは、自力では大変困難なことであります。神戸・淡路の大震災でも、避難所に集合せず自宅等で復旧を待つ人々の数が相当数に上ったと報告もありました。
障害者施設だけでなく、特に高齢化が著しい地域の集合住宅などでは、二キロメートル先に給水所があるからというだけでは済まない事態も容易に想像がつきます。当然、災害弱者を支援する町会、自治会やボランティアグループの方々との連携も、直接的には区市町村を通じて積極的に進めていくべきでございますが、地震被害は広域的に発生するものであり、広範な住民同士の共助を助けていくためにも、都内全域にわたり効果的に給水車を配置、運行していくための事前の準備が重要と考えます。
そこで、都内の広範な地域で断水被害が発生した場合の状況下で、給水援助策としての給水車両の確保に向けて都はどのような体制を整えているのか、お伺いいたします。
○小山総務部長 当局では、給水拠点からおおむね二キロメートル以上離れている避難場所や、あるいは後方医療機関となる医療施設及び福祉施設等につきまして、関係行政機関から都の災害対策本部を通じて要請があった場合、車両輸送による応急給水を行うこととしております。また、給水拠点以外の避難場所等で関係行政機関から要請があった場合などにつきましても、車両輸送により応急給水を行うこととしております。
そのための車両につきましては、当局では、水道緊急隊に給水車を、営業所に給水タンクを積載できる局有車を配備しております。これに加えまして、局有車が不足した場合に備えまして、民間の貨物運送事業者で組織する東京都庁輸送事業協同組合と災害対策用車両供給協定を締結いたしまして、必要な輸送車を確保するなど、応急給水体制を整備しているところでございます。
○中山委員 民間事業団体とも、応急給水車となる車両の確保に向け協定書を締結しているとのことであり、その努力を高く評価いたします。
今後は、そうした取り組みに加えて、応急給水車両の配置、運行の具体的な計画を準備する現場の区市町村に対し、地震発生時における東京都への給水車両の出動要請シミュレーションの準備を促す取り組みなどが重要であると考えます。
例えば、仮にある区に十台の給水車両しか配置できないと仮定して、自分の自治体の中で配車の優先順位をどう決めておくか、一台の配車で一日何回、何カ所の給水が可能であるのか、給水車両の出動要請を行う区市町村が事前に計画を練っておくだけで、発災時特有の混乱、錯綜を低減することになると考えます。
また、避難場所以外の給水車両の配置場所の事前策定も重要な視点です。地震による建築物の倒壊や火災の発生、さらには大勢の人の集合など、給水車による給水活動を展開する上で適した場所はある程度限られてまいります。中には、給水車を配置した場所が見当たらない場合には、そうした場所を確保するためにあらかじめ工夫を重ねておく必要もあります。
こうした区市町村との連携を前提とした取り組みは、水道局単独で行えるものではなく、災害対策を担当する局等を通じての協議が必要な側面もあると思いますが、そうした横の連携を図りながらも、水道局もみずから独自の努力として、地域に密接な営業所などを通して、区市町村の給水車両の配置計画の作成を支援する協力が大切と思います。
さらに、先ほどの給水車両の民間連携による確保でありますが、近年、大規模な防災訓練が実施されるたびに感じられることでありますが、運輸業界などにおいてはトラックの保有台数などが減少しております。あるいは、トラック等を保有する事業所数自体が減少しております。また、こうした運輸、建築事業者は、倒壊した建物や土木構造物の復旧や人命救助などに進んでご協力いただけるよう、各区市町村とも協力体制をしいていただいており、そうした中で、給水車両として出動できるトラック数というものが、一体何台確保できるのか。これは、適宜その実態を把握しておく努力が必要になると思います。
以上述べた各点について、今後の水道局の積極的な取り組みを要望として申し述べておきます。
また、水道局では、朝霞、登戸、町田の三カ所において近隣自治体との連絡管を整備していると伺っております。こうした都県境での水道事業間の協力体制の整備は、災害発生時の備えとして、我が党も進んで求めてきた点でございます。改めて、連絡管設置の目的と効果をお伺いいたします。
○高原参事 埼玉県及び川崎市との三カ所に設置してございます連絡管は、震災時や大規模な水源水質事故などの非常時に水道水の相互融通を図ることを目的として設置しているものでございます。
このうち東京・埼玉朝霞連絡管は平成十七年九月に完成したもので、約三十万人都市の水道使用量に相当する日量十万立方メートルの水道水を相互に融通することが可能でございます。また、東京・川崎登戸連絡管及び東京・川崎町田連絡管は平成十九年二月に完成し、登戸連絡管は日量十万立方メートル、町田連絡管は日量一万五千立方メートルの水道水の相互融通が可能でございます。これらにより、非常時における給水の安定性を高めることができるものと考えてございます。
○中山委員 連絡管の設置は、都民の安心につながる大事な取り組みでありますが、震災時等に機能を完全に発揮するためには、あらかじめ適切に運用されるよう準備を重ねておくことが必要であります。連絡管の運用に当たり、日ごろからどのような体制をしいて準備されているのか、お伺いいたします。
○吉田給水部長 朝霞連絡管につきましては埼玉県と、また、登戸及び町田連絡管につきましては川崎市と、それぞれ管理運用協定を結び、これに基づきまして相互運用を実施する際の連絡体制を定めるとともに、情報連絡及び弁操作などの訓練を毎年度実施してきております。
今年度、登戸連絡管につきましては、八月三十一日の八都県市合同防災訓練の中で、休日発災を想定いたしました訓練を川崎市と合同で実施いたしました。また、朝霞連絡管につきましても埼玉県と十月七日に、町田連絡管につきましては川崎市と十月十六日に、それぞれ合同で訓練を実施いたしました。
今後も、近隣自治体との情報連絡を十分に行うとともに、合同訓練を重ね、都民の安心につながる体制を整備してまいります。
○中山委員 具体的に他県の自治体と合同訓練を開催されていらっしゃるということで、大変に安心いたしました。
大地震時の水の確保に不安を感じている都民は多く、これは近隣都市の住民の方も同様であると思います。こうした大地震で水道施設が被害を受けたときに連絡管による他都市からの応援は非常に心強いものがございます。
そこで、いろいろな地域で連絡管を整備してもらいたいという都民の声も出てくるものと考えますが、連絡管を整備するに当たっての課題と今後の取り組みについてお伺いいたします。
○高原参事 震災時や事故時など、水道施設が被災し断減水が生じた場合において、連絡管による他都市からの応援は、給水車を使用する場合に比べ、大量の水道水を都民に供給できることから、非常時の給水方法の一つとして極めて有効であると認識してございます。
一方、連絡管の整備に当たりましては、双方の管が近接していること、双方の管が同程度の口径であること、また、自区内の配水に著しい支障を来さない範囲で相当量の水の融通がお互いに可能であることなどが必要となるものでございます。このため、水の相互融通を行うための連絡管の設置場所については、難しい面もございますが、今後も近隣事業体とのさらなる連携について検討してまいります。
○中山委員 お伺いしたところによりますと、朝霞連絡管の整備費用は一・七億円、登戸連絡管の費用は一・五億円、町田連絡管の費用は〇・九億円とのことであり、いずれも都は関係自治体と費用を分かち合って担っているというふうに伺っております。これらの工事の詳細を把握しておりませんので、こうした経費が高いのか安いのか、にわかには断じがたい面もありますが、答弁にありましたように、給水車による給水と比較しても、効果的に大量の水道水の確保が可能となるという点を考えますと、非常に効果的な施策ではないかと思います。
したがいまして、首都圏全域が被害をこうむって、互いに助け合う余裕がなくなるという事態となれば別でございますけれども、都下、他県下のどちらかの水道施設だけでも被害を免れることができた場合の応急給水の確保策として、都県境の相互融通体制の整備は極めて重要であります。
答弁にありました整備効果の問題や相手方の事情など、さまざまな課題があると思いますが、今後も引き続き、都民にとって頼りになります連絡管を拡充する方策について、多様な取り組みを進めていっていただきたいと要望させていただきます。
特に八都県市間で、水道整備におきまして、震災発生時の水道事業の協力関係の促進を目指して、例えば口径の大きさなどの違いから相互融通が進展しないなどの点は、少しずつでも解消して、いざというときに備えた体制を、一段と安心の高いステージに押し上げていっていただきたいと思います。
また、都県境での相互融通の必要性というものを都民に対してわかりやすく説明し、予算確保の努力をされていくことも大事であると思います。
こうした努力の積み重ねにより、現状では、さきの答弁にありました三カ所での相互融通が精いっぱいのところではあると思いますが、さらに他の地域でも相互融通が可能となりますよう、取り組みの拡大をお願いいたします。
一方、震災があった場合の水道施設への被害を低減するための予防的な取り組みも大事であります。我が党では、水道の復旧は都の震災対策の中でも重要な課題であるとして、繰り返し取り組みをお願いしてまいりました。
現在、水道局では、東京水道経営プラン二〇〇七におきまして、三次救急医療機関、首都中枢機関等への供給のルートの耐震化、耐震強化に取り組んでいらっしゃるところであります。
まず初めに、この事業の概要をお伺いいたします。
○吉田給水部長 平成十七年九月に国が定めました首都直下地震対策大綱におきまして、三次救急医療機関などへの供給ルートの重点的な耐震化等を図ることが示されました。このことを受けまして、当局では、三次救急医療機関、首都中枢機関、災害拠点病院、二次救急医療機関、区及び市役所、町役場、合計三百六十五施設への供給ルートにつきまして、平成十九年度から二十八年度までの十カ年で計画的に耐震化を進めていくこととしております。
これら重要施策への供給ルートは全体で百七十二キロメートルあり、そのうち約百三十四キロメートルは、震災時に管の継ぎ手部で抜け出すことが懸念されることがあることから、これらを耐震継ぎ手管に取りかえることとしております。事業費は約百六十五億円を見込んでおります。
○中山委員 平成十九年度から開始され、二十八年度を目指して整備されていくということでございますけれども、着実な取り組みの前進が大切でございます。
まず、初年度である平成十九年度の取り組みの実績と今後の実施予定についてお伺いいたします。
○吉田給水部長 計画初年度となりました平成十九年度は、災害拠点病院への供給ルート約一・四キロメートルの整備を行い、これにより、重要施設への供給ルート全体に占める耐震継ぎ手管の割合、いわゆる耐震化率は、平成十九年度末で約二三%となっております。
平成二十年度は、三次救急医療機関、首都中枢機関、災害拠点病院への供給ルート約十二キロメートルを、また、平成二十一年度には約十五キロメートルの整備を計画しており、今後も着実に事業を推進してまいります。
○中山委員 震災時におきましても医療救急活動が着実に行われますよう、三次救急医療機関等への水道水の供給ルートの耐震化の促進は、非常に大事な事柄であります。
東京水道経営プラン二〇〇七では、平成二十一年度末に、今ご答弁がありましたように、三八%の耐震化率を達成し、平成二十八年度までに耐震化を完了するということでございますが、むしろ前倒ししてでも一刻も早く取り組みを進める必要があると考えます。
そこで、事業を実施していく上での今後の課題はどのようなものか、また、その課題に対して水道局はどのように対処していくのか、お伺いをいたします。
○吉田給水部長 事業を実施する上での課題でございますが、まず、首都中枢機関が中央官庁街に集中しておりますため、道路管理上、短期間に集中して工事を行うことが困難な状況にございます。
また、医療機関等では、工事に伴い発生いたします断水が困難であったり、また、断水時間に制約を受ける場合がございます。
さらに、本事業で実施いたします水道メーターまでの耐震化に加えまして、メーター先の給水管をお客様に耐震化していただくことも必要となっております。
このため、工事の実施に当たりましては、十分に事前調整をするとともに、お客様の協力を得ることが必要だと考えております。
そこで、本事業の目的、重要性をわかりやすく説明するリーフレットを作成いたしまして、道路管理者やお客様に対し、この事業についてご理解いただけるよう働きかけを行っており、今後とも関係者と綿密な調整を図り、確実に事業を進めてまいります。
○中山委員 今ご答弁のありましたように、三次救急医療機関側におきます給水管等の耐震化も極めて重要であります。そうした面で、都全体の水道の耐震化を具体的に実効性あるものとするために、さまざまな働きかけが必要であります。
特に三次救急医療機関に対する耐震化につきましては、進捗状況等によりましては、震災時の医療体制の整備を、所管する局との連携も含めて、一層の工夫を凝らしていくべきであると要望いたします。
水道局では、首都直下地震の発生に備え、さまざまな施策に取り組んでいらっしゃることがわかりまして、大変安心をいたしました。都民が安心して暮らすことができるよう、震災に強い水道を構築していっていただきたいと願っております。
最後に、震災対策を進めていくに当たり、改めて局長の決意をお伺いいたします。
○東岡水道局長 今後の震災対策への取り組みについてでありますが、水道局では、震災に強い水道を目指して施設の整備強化に努めるとともに、ソフト面においても、災害時における各区市町との連携や大都市間の相互応援協定を締結するなど、ハード、ソフト両面にわたって対策に鋭意取り組んでまいりました。
新潟県中越地震や中越沖地震など、各地で頻発している大規模な地震では水道施設も大きな被害を受け、住民の皆様が大変不便な生活を強いられるなど、ライフラインの根幹としての水道の重要性が改めて浮き彫りにされたところであります。
東京は、我が国の政治経済の中心であり、一たび震災が発生した場合には、その影響ははかり知れないものがあります。
水道施設に関しては、首都中枢機関や三次救急医療機関等への水の供給ルートの確保や、甚大な被害が想定される東部地域の重点的な取り組みなど、震災に強い水道を構築するため施設の整備を着実に進めるとともに、万全の応急体制、万全の復旧体制を確立し、震災時においても都民の水を確保できるよう取り組んでまいります。
○松村委員 私からも何点か質問させていただきます。
今や全国では、川辺川ダムに熊本県知事が反対の態度を明確にするなど、ダムに依存することからの脱却の流れが強まっております。なのに、石原都政においては、相変わらず八ッ場ダムなどに固執しています。その根拠を、将来の水需要予測を過大に設定する一方、現在ある保有水源を著しく過小評価した上で、渇水に備えて都の使える水がめをさらにふやしておこうというものであります。
我が党は、これまでもその誤りをただしてきましたが、今、都民生活が本当に困難なとき、こうしたむだや浪費の投資に都民の税金を使うことを改め、都民生活を支援する方向に転換させることを求める立場から、以下質問してまいります。
そこで、都内の利用可能な地下水量はどのぐらいあるのか、また、なぜそれを都の保有水源としてカウントしていないのか、まず伺います。
○高原参事 二点のご質問があったかと思いますけれども、まず利用可能な地下水の量ということでございますけれども、未統合市も含めまして、多摩地区の二十八市町の地下水の取水量ベースでの実績でございますが、平成十九年度におきましては日最大で三十九万トン、日平均によりますと三十六万トン程度取水してございます。
一方、この多摩の地下水をなぜ都の保有水源に位置づけることができないのかというお尋ねもあったかと思いますけれども、これは従来から申し上げているところでございますが、例えば建設局土木技術センターの平成十九年地盤沈下調査報告書というのがこの夏に出てございますけれども、これによりますと、ここ数年の地下水位の変動状況は、必ずしも上昇ばかりではなく、一部には横ばい、低下傾向を示すものもあるなど、揚水規制の効果は頭打ちの状況にあることは明らかであり、平成六年を初め過去の渇水年の沈下状況が示すように、地域によっては地盤沈下の進行が予想されるというふうにされております。
また、平成十八年五月の環境局が出しました東京都の地盤沈下と地下水の現況検証についてという報告書では、平成十一年には環境局の方で地盤沈下を起こさないために維持することが望ましい地下水位というものを試算しているわけですが、この試算について検証を行ってございますが、この設定水位を維持しても、地盤沈下が全く起こらないとはいい切れないことが明らかになったとしてございます。
また、水質面でございますけれども、有機溶剤であるトリクロロエチレン等の水質汚染により休止している井戸は現在九本ほどございますが、休止期間は長いもので昭和五十七年以降三十年にも及んでおります。この地下水源は、地上での諸活動により汚染されやすい一方、汚染源の特定が難しく、一たん汚染された場合には回復に長時間を要するという特性を持っているものでございます。
ちなみに、ここ数日、報道をにぎわせております某大手ハムメーカーに、シアン化合物が含まれていたというのも、これも実は、柏市にある工場で取水した地下水が汚染されていたことが原因かということが判明されております。
したがいまして、多摩地区の地下水は、我々としても、平常時はもとより、震災時や渇水時において身近に利用できる貴重な水源として、可能な限り活用してまいることとしておりますが、今申し上げましたとおり、地盤沈下の状況ですとか水質の問題等から見て、将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難だろうと考えておるものでございます。
○松村委員 今、答弁の中に、建設局や環境局に基づく地下水の、または地盤沈下の状況の答弁がありましたけれども、それでも横ばいや低下。今後、やはり慎重の上にも慎重を期すのが、そういう立場のところの意見で、大いに参考にしなければいけませんけれども、実際、現実の実績で見ますと、多摩地区で地盤沈下による給水制限があったのは、十四年前の一九九四年です。それ以降は全くありませんし、三十五年前には年間最大地盤沈下量は五十センチという、そういう規模にもわたりましたけれども、五十センチメートルに迫る、そういう状況もつくられましたけれども、この十年間は一センチメートル前後と、十年以上安定しています。
また、水質上の問題の理由も述べられましたが、例えばトリクロロエチレンの濃度は、昭島の地下水に比べ多摩川上流は五倍以上、荒川中流の朝霞では十倍以上というデータもあります。多摩水道井戸の二百五十本のうち、水質関係で休止したのは九本であります。適切に地下水を、水質上、きちっと万全の安全を期すとともに、やはりこれらを有効利用するということは、今の技術上からも十分可能であります。
今、ハムの問題もありましたけれども、それはもう強い濃度をつくったところとか、原因はどこから流れてきたかわからないということもあり、また、豊洲のいろんな汚染問題の状況等もありますから、それは心配する面もありますけれども、今の技術上、十分そうしたことを点検すれば利用可能だということは明らかであり、東京近県では、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城でも、これまでの実績に見合った地下水の利用計画を持っております。
地下水を放棄しているのはまさに東京だけだというふうに思いますけれども、再度その認識を尋ねます。
○高原参事 地下水、先ほども申し上げましたとおり、平均で三十六万トン、昨年取水してございます。我々としても、今、副委員長の方からお話がありましたけれども、地下水を利用することを放棄しているわけでは一切ございません。非常時あるいは震災時において身近な水源としてこれを活用していくことについては、私どもとしてもできる限りの配慮、水質面あるいは地盤沈下の配慮を払いながらこれを利用していくことについては相違ございませんが、ただ、今申し上げましたとおり、確かに委員のおっしゃるとおり、地盤沈下そのものは全体としては鎮静化しているという表現はもちろんございますけれども、ただ、とまったとはいっておりませんし、昨年一年間でも沈下面積は一・一キロ平方メートルに及んでいる。
地下水による地盤沈下の場合は、単年度の沈下量がミリ単位のわずかなものであっても、水源の汚染事故などと違いまして不可逆的、すなわち一年で五センチ落ちようが、十年かけて五センチ落ちようが、これは戻ることがないということもございますので、私どもとしては、やはりこの地下水源については可能な限り利用、活用してまいりますけれども、一千二百万都民の生活並びに東京の首都中枢機能を維持していく上で、確実かつ長期的かつ安定的な水源としてこれを活用することについては、難しい面があるというふうに理解しております。
○松村委員 渇水時などの利用は、当然可能な限り活用するということで、前向きというか、今までにない答弁もあったというふうに私は思うんです。私も、ここで長期にわたる安定水源として直ちに位置づけをしろといっているのではなく、現在、都がいう安定水源、これは五百四十一万立方メートル、五百四十一万トンを前提にしても、二〇〇七年、この決算の平成十九年度の最大配水量の実績は四百九十四・三万立方メートル、つまり五十万トンも余裕がありますよね。
万一、現在でも、十年に一度の渇水に見舞われたとしても、利用可能な、今ご答弁がありました地下水三十九万立方メートル、これを活用すれば、都がいう取水制限九十万立方メートルをほぼカバーできるのではないでしょうか。
○高原参事 繰り返しになる部分がございますが、ご容赦願いたいんですけれども、基本的に私どもとしても、この地下水源については、利用できるうちについては、また他に影響を及ぼさない範囲においては、震災時あるいは非常時においての水源として利用していく。
ただ一方、水源開発あるいは水源確保という面から、じゃ、これを長期的に位置づけることができるかどうかということについては、ダムその他を含めて、そういった安定的な水源に比べてこの地下水源というのは、例えば地盤沈下についても、直近では昭和六十三年でしたか、環境局から水道水源の取水について抑制していただきたいという要請もたびたび受けてございますし、また、環境確保条例上も知事による減少勧告といったような条例も残されている中で、将来の東京を支えていく上で、水源確保と位置づけることについては難しいというふうに申し上げたわけでございます。
○松村委員 都がいう長期にわたる安定水源、この保有水源は、今指摘しました利用可能な地下水を入れていないなど、著しく過小評価しています。
そこで伺いますけれども、なぜ利根中央用水の七・一万立方メートル、八王子高月などの小水源五万立方メートルを水源として見ないのですか。
さらに、給水量ペース、給水量ペースというのは、取水してつくった水のうち、どの程度、実際いろんな漏水とか、これは何というんですか、有効--専門用語でもあると思うんですけれども、給水量ペース、これでも過小評価していると専門家も指摘しています。
これらを正当に評価すれば、都がいう保有水源より七十六万立方メートルも現に確保されているのです。八ッ場ダムに求める四十三万立方メートルは必要ないではありませんか。お答えください。
○高原参事 後段の何とかという部分がよくわからなかったのと、あと七十数万トンとした根拠を余り教えていただけなかったのですが、ただ一点、利根中央でしたか、あと多摩地区の小水源について、これをなぜカウントしないのかというお話がございました。
この利根中央事業という部分についての水源につきましては、これはそもそも、今、私どもの保有水源の中にカウントするべきものなんですが、かんがい期に使用します農業用水の合理化事業で生み出されたものでございまして、その転用水を年間通じて水道用に使うという場合には、冬の間、冬水の手当てが必要とされてございます。現在、この冬水の手当ての取り扱いについて、河川管理者である国土交通省と協議を進めている状況にあるということでございます。
また、あきる野などもそうなんですかね。沢水などのこの多摩上流部にある小規模な水源は年間を通じて流量が少なく、降雨時には濁度が急激に上昇し、取水停止あるいは取水量を大幅に制限する場合が間々ございます。また、降雨の少ない期間が続きますと流量が一挙に減少し、取水量の確保が困難なものも、実はございます。
したがいまして、これらの水源は、利根川等の河川水と比較して、取水の安定性の面から非常に不安定であるという状況にあることから、現在、保有水源に含めてはございません。
○松村委員 逆に質問されたので、最初にそちらの方をいいますと、例えば利根川系統、今現在、東京都は、利根川系統は四百五十一万立方メートルというふうにしているんですけれども、実際、利用量率を〇・九五という率で見ていると。つまり五%毀損されるのですか、毀損というか、実際の取水量ペースから。
ところが、やはり専門家が指摘するのは、それは利用量率は〇・九七だと。このいい方の方が正当な評価だと。そうしますと、都の給水量ペースよりも、東部が四百五十一万立方メートルに対して四百六十・五万立方メートルと、ここにおいても十万立方メートルぐらい違うんですよ。それに、今、かんがいとか冬水とか、いろいろ季節的なものもいいましたけれども、利根中央用水とか、今いった小水源、これは青梅市、あきる野市内などにもあります。それから、先ほどいいました多摩地域の地下水の国の認可基準である三十九万立方メートルを加えれば、現在、都がいっております給水量ペースの保有水源よりも七十六万立方メートル上回るではないかということを指摘させていただいたわけであります。
いずれにしても、先ほどの、なぜまだ水源が必要なのかということは、将来というか、ここで見ますと二〇一三年、平成二十五年度の水需要予測、これをやっぱり過大に見て、そのための安定水源だと、だから、足りないから八ッ場の四十三万立方メートルも必要なんだと、こういう主張だと思うんですよね。
私はそこで、水需要予測、この二〇一三年度、平成二十五年度の六百万立方メートルの根拠は何かを伺います。
○高原参事 六百万トンという根拠でございますけれども、これは水需要予測として平成十五年度に私どもの方で行いました予測の使用水量をベースに行っているものでございますけれども、まず一点、このお話をさせていただく前に、需要の問題、これは減少しているとかふえているとかという議論の前提として、何をもって需要と呼ぶかということをあらかじめ整理させていただきたいと思うんですが、まず一年のうちでピークを指す一日最大配水量というものは、これは需要のトレンドだけではなくて、曜日だとか気象条件、渇水の状況など、さまざまな要因によって変動するものでございまして、日平均の配水量が落ちた年でも上がるケースもあるようなものでございます。
また、その内訳として一日平均配水量というもの、これは年間のボリュームを示すものでございまして、ただ、この中には使われないまま消失してしまう漏水量というものが含まれております。
したがいまして、需要の増減を議論する場合に、真の需要として見るべきは、この一日平均配水量から漏水量を除いた、いわゆる一日の平均使用水量、いわゆるメーターでカウントされたその水量、これが需要であるというふうにまず考えていただきたいというふうに思います。
したがいまして、この六百万トンをどうやって算定したかといいますと、まず必要水量を生活用水と都市活動用水、これは事業所ですとか小売店舗等ですけれども、それと工場用水、この三つの用水に分けまして、それぞれを重回帰分析によって足し合わせることでこの全体の使用水量を見込みまして、その後、漏水対策の促進効果などを見込んだ計画有収率で割り返すことで計画の一日平均配水量を出します。
この一日計画配水量をベースに、調査、計画が予測時点での過去十五年間にさかのぼって、一日平均と一日最大のいわば幅を見て、これは負荷率と呼んでいるんですけれども、十五年間で最大の幅、いわゆる率にすると最小の率、これの負荷率をもって算定したのが、いわば将来の需要に対してその幅の負荷率でもって算定したのが、一日平均最大配水量六百万トンということになります。少々長くなりました。済みません。
○松村委員 一日の平均の水需要量と最大配水量が違うんだというふうなことを、最初、冒頭にいって、気候やさまざまな要因があるんだというんだけれども、私がいっているのは、その最大配水量、これを、だから平成二十五年度、二〇一三年度に六百万立方メートル、トンでもいいです、置いていると。
しかし、私も水需要予測の手順というのは持っているんです。逆にそれぞれの数字も聞きたいと思うんですけれども、きょうそうやっている時間もないと思いますので、私が今いった根拠、そういうことをもろもろ見込みながら出している数字ですといっても、私は、都民に納得されるご答弁ではないと思いますし、だから、よりはっきりしているのは、今までの過去の実績値、これを出されておりますよね、この間の平均配水量と最大配水量、これは全く乖離しているじゃありませんか。
二〇一三年度は六百万立方メートルとしていますけれども、この本決算年度、二〇〇七年の実績は、前年度よりもさらに下回って、五百万トンを切って四百九十七・三万トンですよね。あと五年後に百万トンも水需要がふえる。これは最大配水量でもいいですよ。先ほど気候だとかいろんな要因があるといったけれども、過去からいってもないし、やっぱり明らかにここで最大配水量の予測を見直さなければならないと。
今、コンピューターが物すごく発達しているんですから、いろんな今の経済動向とかを見て、私はもう年々というか、やっぱり分析してきちっと議会などに示して、じゃ、将来どういうことが必要なのかと。やっぱり都民の税金、水道料金もありますけれども、やはり公営企業局ですから、そこら辺はしっかり示していただいてもいいんじゃないかというふうに私は思うんですけれども。それでちょっと話を進めます。私がいいたいことは、後で一緒にお答えください。
先ほども答弁がありましたけれども、水需要が減少していますよね。この要因は何かとここで聞きたかったんです。お答えください。
○高原参事 水需要が減少しているというふうに副委員長の方からお話がありました。それで、本来、先ほど私がご答弁さし上げた需要の定義というのは、ここでご説明すればよろしかったのかと思うんですけれども、需要減少というので、今回の提出資料の中に、日最大と日平均、ボリュームをあらわすのは日平均だと思うんですけれども、一日平均の配水量の平成に入ってからの十八年間ですか、推移を数値で示してございますが、これを見ていただく限りにおいて、配水量は確かに約四十九万トン減少してございます。
しかし、この内訳を分析いたしますと、このうち約三十七万トンは漏水の減。私どもが積極的に進めてまいりました漏水対策の促進による漏水の減によるものでございます。
一方、じゃ、使用水量はどうなのかと。漏水その他いろいろなもろもろを除いた使用水量はどうなのかということでいうと、この同じ十八年間に使用水量は約六万トン、特にその大宗を占める生活用水は約二十四万トン増加してございます。
したがいまして、副委員長の方からは需要減少の要因というふうにお話がございましたが、私どもとしては決して需要が減っているというふうには考えておりません。近年の一日最大にしろ一日平均にしろ、この配水量の減少にあらわれておるのは、繰り返しになりますけれども、当局が積極的に進めてきました漏水防止対策の成果であり、漏水量の減少がその要因でございまして、真の実需という部分であるところの使用水量は増加しているものでございます。
○松村委員 本当に漏水率を減らしてきたというのはもう立派で、私はもう皆さん方の技術、水道局を挙げてこれだけのことをやってきたことについては、本当に高く評価したいというふうに思うんですよ。
それで今までも、じゃ、例えば節水器などの家庭への普及とか、それからさまざまな中水や再生水や雨水の利用だとか、そういう面での節水効果もやはりあったんじゃないですか。家庭の使う水需要について減少していないんだといっても、やはり少子化や、それからそれ以外の、生活用水だけではなく都市活動用水、それからまた工業用水、明らかにこれは減っていると思うんですけれども、今のご答弁はそういうのを無視して、生活用水面だけとって減っていないんだと、漏水率を減らしただけなんだと。現に、今の東京における水需要が減っている要因というのは、そういうことじゃないんでしょう。そういう点についてもどうなんですか。
○高原参事 今、数値でお示しをしましたけれども、これはどの期間をとっても傾向は同じなんですけれども、まず日平均の配水量があって、この中には漏水量があって、さらに局事業なんかで使う使用水量があって、それを引いたものの残りの部分が本当の需要をあらわす使用水量です。この使用水量については、先ほど申し上げましたとおり、トータルでは、この今のお示しした資料の期間で約六万ふえている。
確かに、この使用水量という需要の中には、工業用途もあり、事業用途もあり、また七割を占めているのがその生活用途なんですけれども、事業用途、工業用途というのは、いわゆる産業構造の転換部分などもあって減ってきているのは事実でございますけれども、それを打ち消してなおトータルを押し上げるだけの生活用水の増がその中にはあったということで、トータルの使用水量、需要はふえてございますよということでございます。
また、個人、家庭の節水効果につきましては、おっしゃるとおり、私どもとしても節水型都市づくりを目指して節水キャンペーンなども行ってきたところでございますから、その中には含まれているのは事実でございますけれども、それはむしろ、減るというよりも、伸びを緩やかにしたといったような効果としてあらわれていようかと思います。
○松村委員 私の手元に持っているデータでいいますと、二〇〇三年、それで十年後、二〇一三年、平成二十五年度、これに最大配水量六百という、私はこれは過大な見積もりではないかということの指摘の中で、例えばさらに、一日平均使う用水を見てもどういう形になっているかというと、皆さん方の予測値は、今いった生活用が三百三十二万立方メートルに対して--先ほど私は事前に聞きました。もう答弁をいただく時間よりも、私の方から聞いた数字をいいますと、これは三百五万立方メートルなんですよ。あと五年後に、生活用ですよ、三百三十二万が、実際はこの決算年度を見ても三百五万トン。それから都市活動用が百十九万、これに対して実績が百十六万。工場用七・一万、これが実績値では六万と。だから、これは平均使用水量ですけれども、過大な見積もりにしているんじゃないかと。さまざまな、そこの平均使用水量をベースにしながら、気候とかいろいろな今までの過去のデータから最大配水量も決めているわけですから、やはり過大な見積もりではないかということです。
それで私、先に進めますけれども、節水の効果もあるといいました。節水では雨水利用などの節水効果をどのぐらい見込んでいるのでしょうか。
また、水道局としてもどういう節水計画を持っているのでしょうか。
○高原参事 雨水利用ということで今おっしゃられましたけれども、その効果そのもの自体は、今までのいわば節水と同じですけれども、データの傾向の中であらわれているということもあって、特別それだけを取り出して予測値として用いているものではございません。
また、この雨水利用ですとか再生水の利用につきましては、当局といたしまして、水の有効利用促進要綱というものに基づいて、関係局と協力して推進しているところでございます。延べ床一万メートル以上の大規模建築物に対して、雨水ですとか循環利用をするようにというような指導も含め、推進をしてきてございます。
○松村委員 都の試算、水需要予測には節水化率というのがあるそうです。これは専門的な用語らしいんですけれども、その節水化率をどのように見て計算式に入れておりますか。
○高原参事 今、初めて私、節水化率という単語は聞きましたけれども、特段に節水化率といったものはその要素の中に入れてはおりませんが、要するに、重回帰分析でもって過去の統計データをベースに予測する際の過去の統計のトレンドの中に節水化部分も当然入っているという前提で、将来を予測してございます。
○松村委員 担当部長が節水化率というのは初めて聞いたということなんですけれども、ぜひこれは検討してみてください。
だから、やはりそこを見ていないというか、節水効果というのを見ているというけれども、やはり、その節水化率というのが出されて、それを恐らく掛け合わせていない、この都の試算には入っていないという指摘もございますので、やはりそういう点での過大見積もりということをいわざるを得ないというふうに思います。
そこでもう一点、家庭用生活用水の中での雑用水の割合はどうなっているでしょうか。
○高原参事 今のご質問は、一般家庭の中での生活用水の目的別の使用割合のお話かというふうに存じ上げますけれども、当局が行いました実態調査によりましては、トイレ用ということで整理してございますけれども、二八%というふうに調査をしてございます。
○松村委員 今、トイレなど、二五%、雑用水が。これをやはりいろいろな形で、雨水とか再生水、または庭にやる水だとか、いろいろ今、そういう点での墨田などでも区を挙げてのそういう取り組みもあります。私は、今いった家庭での二八%といわなくても、二五%ぐらいの雑用水の半分を雨水とか再生水にするぐらいの計画を持てば、これでまた八ッ場ダムに求める水量にも匹敵するものだというふうに指摘したいと思います。
以上、るる指摘しましたけれども、私は、八ッ場ダムは必要ないということをはっきり申し上げたいし、これまでこの八ッ場ダムなどの水源事業にどのぐらいの税金が投入されたのか。また、今後、幾らの税金、これは後で都の負担も聞きますけれども、全体の事業費、あと今後、幾らの事業費が残っているのかをお答えいただきたいと思います。
○高原参事 まず八ッ場の、今後、どのぐらいの金額の執行を予定しているかということでございますけれども、八ッ場の総事業費四千六百億のうち、平成十九年度末までには二千九百十七億円を執行してございますので、残の事業費は千六百八十三億円という差し引きになろうかと思います。
また今、委員の方で、雨水の利用その他を、例えば家庭で使われている部分のトイレ用水のその半分だけでも使えれば、八ッ場は不要になるんじゃないかというようなお話もございましたけれども、私どもがこの雨水も含めて再生水利用を進めておるのは、対象面積は先ほど申し上げましたけれども、延べ床面積一万平米以上の大規模建築物でございまして、当然、一般家庭は入ってございません。仮にこれを一般家庭で導入するとしても、個別に二重配管等の多額のコストが必要となるわけで、例えば一戸建てで試算すれば、通常の水道料金の二十倍のコストがかかるわけで、とてもペイするものではございませんし、また雨水の利用についても、降雨時期が日本の場合、偏りがございますから、冬場の間には水道水の補給が必要になるなど、家庭への普及については基本的にはかなり難しい部分があろうかと思います。
したがって、今後とも私どもとしては、水の有効利用そのものは進めてまいりますけれども、これをもって、ダムにかえて長期的かつ安定的な水源と位置づけることは非常に難しいものというふうに思ってございます。
○松村委員 実際に私たちの飲料用とか、それからまた、さまざまな生活の中でのよりきれいな、もちろん飲料用はおいしいというのを都民は求めますから、高度浄水というものを、確かに税金、費用対効果はありますけれども、都民の求める声がありますから、そういう方向も必要だという面もあるというふうに思います。
しかし、それが、実際つくられた水道水が飲料用に何%使われるのか。その他の、例えば洗濯とかさまざまな、どちらかというと、おふろの水とか、中水とか雑用水を使いたくないという方の気持ちもありますけれども、しかし、それらを除いても、今いったトイレなどはさまざまな形で、例えばおふろで使った水をもう一回使い直すだとか、あと車の掃除だとか、それから植木の水やりだとか、さまざまな用途にさまざまな工夫をして、そういう貴重な水をできる限り節水するということを、やはり私は、これからの時代は大々的に呼びかけて、少なくとも、今いった雑用水といわれる、二八%というんですか、それ以下でもいいですよ、その半分の半分でもそういうことに切りかえれば、八ッ場ダムに今求めている四十三万立方メートルにも匹敵しますよという指摘なんです。
結局、安定水源だ、まだ不安定水源があるんだとかということに関しては、もう前段で、私は地下水も含めたさまざまな取り組みがあるじゃないのということを指摘しましたので、そのことだけでも申し上げて、今の八ッ場ダムなどの財源問題に移りたいと思うんです。
今お話しのとおり、四千六百億円のうち三千億円が既に事業費として使われましたけれども、その大半が代替地の整備やつけかえ道路などでなくなっているというか、使われたんです。
ところが、地元の話を聞けば、移転地に移ったのは町長とお寺だけと。多くの住民は生活再建にも途方に暮れているような状態で、やっぱり全くのむだをやっているとしかいいようがない現状があるんですね。
本当に私は、直ちにやめるべきだというふうに思いますけれども、この面ではどうですか。やはりそういうのは今、税金の使い方についても大問題です。むだになっているんじゃないかと、やめるべきだという点についてはどうでしょうか。
○高原参事 八ッ場の移転その他も含めて事業進捗がはかばかしくないとか、そういうふうなお話がございましたけれども、例えば、今申し上げたのは、四千六百億のうち二千九百億というのは事業費で六三%でございますが、用地取得でいうならば、今全体の七三%、家屋の移転も、移転が必要な四百七十世帯のうち七〇%、代替地造成も五地区で今整備中、つけかえ道路の進捗も八一%等々、これは着実に進めておるわけでございまして、それをむだ遣いかどうかということについては、私どもとしては、一千二百万の都民の生活と東京が擁する首都中枢機能を将来に向けてずっと維持していくためには、ライフラインとして確保するべき水源として、この八ッ場は絶対に必要であるというふうに考えておりますので、これに使われた経費がむだであるとかなんとかということは一切思っておりません。
○松村委員 今、本当に自治体の税金の使い方において厳しい納税者の見方もありますし、ましてやこの吾妻渓谷の自然や環境も、ダムにはさまざまなもろもろの課題があり、決して今、これを--今、この時点で、本体工事はまだこれからなんだから、立ちどまって見直そうというような世論も、やっぱり私は、大きく高まっているというふうに思いますよ。やはり真摯にそれを受けとめて、石原知事のいうように何が何でもだめだとかということを、局としては、そういう知事のもとだから、そういう答弁にしかならないんでしょうけれども、実際やる事業を水道局としても真摯に受けとめて、さまざまな角度から検討すべきだと、私たちはやめるべきだということをはっきり申し上げたいというふうに思います。
そこで、最後の質問ですけれども、本決算年度もこのダム事業に五十九億一千万円出していますよね。これは決算で出ております。このことを初め、建設投資も相変わらず八百五十二億円と高どまりを維持し続けて、資本的収支は一千三百十七億八千三百万円の赤字となっています。
しかし、建設投資を抑えれば、収益的収支は六百八十九億円と、この出された資料でも最高ですよね。聞いてみたら、今までの水道局事業の収益的収支の過去においても、今回の決算年度の六百八十九億円利益が出たということは最高だそうであります。損益勘定留保資金も、今年度決算は六百四十五億円もあります。さらに安定しております。
今、都民生活はもう本当に大変で、毎日食費を切り詰める、そういう状況だといえます。資料を見ても、減免実績は、この平成十九年度、これ資料でも大幅にふえていますよね。また、給水停止件数も十二万を超える、そういう状況もあります。そこで、都民に水道代の負担を和らげる思い切った対策は十分とれるし、今とるべきではないかと思いますけれども、この点について最後に質問したいと思います。
○小山総務部長 水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、将来にわたり安全でおいしい水を安定的に供給する使命がございます。そういった意味では、現在の維持管理のためのコストだけではなくて、長期的な視点に立った施設整備というものが不可欠でございます。このため、今副委員長のご指摘にありました純利益が出ているじゃないかということですが、この純利益を、施設整備や企業債償還金など資本的収支の不足額に充当しまして、将来にわたって水道サービスを提供していく、そういうようなことで、すべてその資金については充当しているところでございます。
現在の水道料金は、徹底した経営努力を実施した上で、必要な事業を行うために必要な水準として設定しておりまして、平成十六年都議会第三回定例会において料金体系の見直しとして提案し、ご承認をいただいたものでございます。
現在、水道局では中期的な経営計画に基づく財政運営を行っておりまして、平成十九年度から二十一年度までの東京水道経営プラン二〇〇七におきまして必要な事業を行うとともに、料金水準を維持することとしております。現在、その達成に向けて最大限努力をしているところでありまして、料金の負担を軽減するというようなことは考えてはおりません。
○松村委員 先ほどの停止件数が十二万一千三十一件。少なくとも私は、今のこういう時代の中で、本当に給水停止などという、例えば突然リストラとなって、もう家計も大変になってきたという中でのご家庭も本当にある話も聞いております。今のやはりこの決算を見ても、生活保護家庭など、この減免額は二十一億でしょう。そういう点から考えれば、これをやっぱり倍ぐらいの対象件数というか、生活保護世帯だけではなく、これはもちろん一般会計から出されておりますからあれですけれども、水道事業においても、私は、今のこういう状況から見れば十分可能だというふうに思いますし、今まで本当に投資をふやしてやっていたのよりも、もう安定したそういう給水状態が皆さん方のご努力でつくられてきた。
私、これからの水道事業というものは、もっとやっぱり質を変えたというか、どういう立場から安い、おいしい、安心できる、そういう水道を、いかにやはり工夫して提供していくかということの切りかえといいますか、そういうことにも大きく踏み出すことができるし、踏み出していくべき時期ではないかというふうに思います。ぜひ、今大変な都民生活の状況がありますから、今の都民負担を少しでも軽くする対策を直ちにとるべきだと、水道局としてもそういう努力をすべきだということを強くして、質問を終わります。
○西崎委員 私からは、水道水の水質管理の新たなプログラムについて伺います。
現在、食品の分野では、中国産の冷凍食品からの高濃度の農薬により健康被害が発生するなど、消費者の食品への不安が高まっています。水道水も食品と同じように日常的に口にするものであり、安全でおいしい水を供給するため、より高度な品質管理が求められます。現在どのような取り組みをしているのか水道局にお尋ねしましたところ、平成十九年度に東京都版の水安全計画でありますTOKYO高度品質プログラムを策定して、より高い水準の水質管理に努めていることがわかり、パンフレットもいただきました。
そこで、この新たなプログラムについて伺います。
まず、このプログラムは、WHO、世界保健機関が提唱しています水安全計画を基本としていると聞いていますけれども、そもそもこの水安全計画とは何なのか伺います。
○増子浄水部長 WHOは、平成十六年に策定した飲料水水質ガイドライン第三版の中で水安全計画を提唱してございます。これは、食品の衛生管理手法であるHACCPの考え方を、水源から蛇口までの水質管理の手法として導入したものでございます。
HACCPは、予測可能な事故などを事前に分析し、対応する上で重要となる工程を継続的に管理することで、未然に危害を回避するという手法でございます。
水道局では、水道水に対する都民の信頼をより確かなものとするため、昨年、この水安全計画を策定し、今年度からすべての浄水場などで実行してございます。
○西崎委員 日本で初めてつくられた水安全計画ということで注目されていると思いますけれども、今答弁のありましたHACCPは、日本の食品分野でも、食品の製造や販売の事業者が厚生労働省から承認を得る制度として知られています。
食品における危害の例といたしましては、最近のカップラーメン、冷凍食品に毒物を混入することなどがありました。このところ次々と大手の食品会社から被害が報告されていますけれども、最近では、先ほどのお話がありましたハム、ソーセージの大手メーカーが工場で使用していた地下水からシアンが検出されており、消費者の不安は募るばかりです。
水道水が絶対安全だといい切れるのかどうか、その点も確認していきたいと思うんですが、何者かが故意に、製造や流通の過程で毒物を混入させることも危害の一つとして考えられますと、想定されます危害の種類や事業の形態は事業者によってさまざまでありますけれども、水安全計画にしましても、例えば、テロなど、万が一の毒物の混入なども含めて、各水道事業者の実態に合った、未然の危害を分析して、それに応じた管理対応マニュアルの作成が必要ではないかと思います。
そこで伺いますが、東京都水道局の場合、水源から給水栓までの危害の分析と対応のマニュアルの作成をどのように行ってきているのか、お聞かせください。
○増子浄水部長 水安全計画の策定に当たりまして、まず水源から蛇口までに至る過程で想定される約九十種類のすべての危害を抽出しております。例えば、万が一の毒物混入などのほか、比較的頻度の高い障害であるカビ臭の発生なども危害として抽出しております。
次に、これらの危害の発生の頻度と影響の程度を分析いたしまして、危害の重大さのレベルを五段階で設定しております。五段階のうち、レベル三以上は管理を強化する必要があるということで、この対応のために、浄水場などの事業所ごとに具体的なマニュアルを整備いたしました。
○西崎委員 かなり綿密な作業を経て対応マニュアルを作成しているということがわかりましたけれども、今、食品に対しても、こんなことは起きないだろうと思っているようなことが毎日起こっているような状況で、都民の不安が広がっている中で、水道水については絶対大丈夫だという安心感をこれから都民に持ってもらうためにも、WHOが提唱する水安全計画の内容だけで本当に十分なのかどうか、そういったことも検討する必要があると思うんですけれども、その観点で伺いたいんですが、このTOKYO高度品質プログラムには水道水の品質を保証するために何か特徴的なことを行っているのかどうか、お聞かせください。
○増子浄水部長 東京都のすべての浄水場、送水、配水並びに給水につきましては、先ほど申し上げましたように、水安全計画によるリスクマネジメントを行っております。これに加えて、浄水場におきましては、品質管理の国際規格であるISO九〇〇一に準じまして品質を管理してございます。
また、水質センターなどにおきましては、水質検査結果の信頼性を保証する国際規格でございますISO一七〇二五に基づきまして、精度の高い水質検査を実施しております。
これら三者を一体で運用して、総合的かつ高度な水質管理を行うことが都独自のTOKYO高度品質プログラムの特徴でございます。
○西崎委員 ISOとか、かなり国際規格を取り入れていることによって、水道局全体で極めて高度な体制を構築しているということはわかりました。
けれども、これほどの高度なプログラムを策定しても、きちんとそれに基づいた管理運営がされていなければ計画のみに終わってしまうのではないかと思います。
このプログラムを実効性の高いものにしていくために、どのように管理運営しているのか、伺います。
○増子浄水部長 TOKYO高度品質プログラムの管理運用を開始するに当たりまして、浄水場などの事業所ごとに職員全員に対する研修を行いまして、危機管理意識の向上を図ってございます。
また、浄水場におきましては作業グループを設置し、これを中心に水安全計画とISO九〇〇一に準じた品質管理を行っております。さらに、局内にプロジェクトチームを設置して、プログラム全体が的確に運用されるよう管理してございます。
○西崎委員 いつ起こるかわからない危機管理に対しては、職員の意識を向上させることが必要です。今後も引き続きしっかりと管理運用などの体制を維持していっていただきたいと思います。
最後に伺いますが、今後、TOKYO高度品質プログラムはどのように展開させるのか、お聞かせください。
○増子浄水部長 TOKYO高度品質プログラムの運用に当たりましては、プラン・ドゥー・チェック・アクションのいわゆるPDCAサイクルを実施いたしまして、毎年度、検証及び見直しを行ってまいります。これによりまして、将来にわたって東京水道の高い技術レベルを維持向上させるとともに、高度な水質管理を実施して、都民により安全でおいしい水をお届けしてまいります。
○西崎委員 いろいろ伺いましたけれども、TOKYO高度品質プログラム、初めて聞く内容だったのですが、東京都版水安全計画として着実に運用することで、より高いレベルの水道水の安全性とおいしさを実現し、水道水への信頼性のさらなる向上を目指していくことを要望して、私の質問を終わります。
○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野上委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたします。
以上で水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時四分散会
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