公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

平成二十年十月二十四日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十一名
委員長高木 けい君
副委員長原田  大君
副委員長小磯 善彦君
副委員長秋田 一郎君
菅  東一君
上野 和彦君
鈴木あきまさ君
大西さとる君
川井しげお君
清水ひで子君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長比留間英人君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
参事野口 一紀君
参事株木 孝男君
参事黒川  亨君

本日の会議に付した事件
 平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成十九年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○高木委員長 ただいまから平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成十九年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤管理部長 去る十月十五日の当分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布いたしてございます平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。中央卸売市場における取引方法別割合の推移(平成元年度から)についてでございます。
 水産物部、青果部、食肉部、花き部ごとの取引方法別割合の推移を記載してございます。食肉部を除き、競り売り及び入札の割合が減少し、相対取引の割合が高くなってきております。
 二ページをお開きいただきたいと存じます。豊洲新市場の整備に要した事業費及び今後の執行予定額(概算)についてでございます。
 平成十三年度から十九年度までの豊洲新市場の整備に要した事業費及び今後の執行予定額を区分ごとに記載してございます。
 なお、土壌汚染対策費につきましては、現在見直しを行っているところでございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○菅委員 それでは、最初に私の方から、最近の生鮮食料品流通の中で、中央卸売市場の置かれた状況と、活力ある市場のための課題についてお尋ねをいたします。
 委員会の資料を見ますと、平成十九年の生鮮食料品等の取扱高は、数量、取扱金額とも、青果が横ばいであり、そのほかはいずれの部類でも、数量、金額のどちらか、または両方でマイナスを計上されております。都の中央卸売市場は、首都圏における生鮮食料品の一大集散機能を担っておりますが、昭和六十二年前後をピークとして取扱量が減少の一途をたどっており、卸売市場を経由しない市場外流通がふえている、こういうふうに伺っております。
 全国の卸売市場経由率はどのように推移しているのか、またその原因について、まずお尋ねをしておきます。

○大橋事業部長 全国の卸売市場経由率について、直近のデータであります平成十七年度と、その五年前の平成十二年度とを比較いたしますと、青果物では、平成十二年度に七〇・四%、その後、平成十五年度まではほぼ横ばいで推移いたしましたが、平成十六年度からは低下して、平成十七年度は六四・八%となっております。また、水産物では、平成十二年度に六六・二%、その後、増減を繰り返し、平成十七年度は六一・三%となっております。
 近年の低下の主な原因といたしましては、量販店等や外食産業が産地から直接に商品調達を行ったり輸入品を商社から買いつけるなど、流通チャンネルが多元化することで市場を経由しない市場外流通がふえていることが挙げられます。

○菅委員 激動する流通環境の中で、卸売市場の厳しい現状ということが見てとれると思います。従来の卸売市場制度は、生鮮食料品の安定的な流通を確保するという観点から、長年にわたってさまざまな規定のもとに運営されており、こうした流通環境の変化に適切に対応できないできた、こういうふうに思います。
 卸売市場が今後とも生鮮食料品流通の中心的役割を担っていくためには、旧態依然とした制度や規制を見直し、卸売市場全体の活力を高め、流通環境の変化に柔軟に対応していくことが最も重要である、こういうふうに思っております。
 それを目指したのが、平成十六年六月の卸売市場法の大改正であり、法令改正に伴う都中央卸売市場条例の改正でありました。平成十七年の三月の条例改正では、品質管理の高度化や事業活動に関する規制の緩和等を行ってまいりました。また、同じく法改正に基づく平成二十年六月の条例改正では、卸売業者がみずから卸売手数料を設定し、知事に届け出る事前届け出制を導入し、来年、二十一年四月から実施するということであります。都はどのような考えから届け出制ということを採用したのか、この点についても伺っておきます。

○大橋事業部長 卸売業者の販売委託手数料率につきましては、従来、全国一律に定められておりましたが、法改正により、料率を開設者が定める、開設者が上限を定めた上で承認制とする、開設者が上限を定めた上で届け出制とする、卸売業者の届け出制とするという四つのパターンから開設者が選択して導入することとなりました。
 都は、卸売市場を取り巻く流通環境が大きく変化し、市場外流通もふえている中で、市場の活性化を図り、今後ともその機能を果たしていくためには、市場業界の努力、中でも中心的な役割を果たす卸売業者が自主的、自立的な経営努力を行い、適時的確な経営判断をすることが重要であると考えております。そこで、卸売業者がみずからの判断で、機能、サービス等取引実態に応じて委託手数料率を設定することができ、創意と工夫を生かした経営が可能となる事前届け出制をとることといたしました。
 ただし、運用に当たりましては、卸売業者が出荷者から集荷しやすくするために、無理な手数料率を設定することで経営が悪化し、市場取引に混乱を来すことのないよう、卸売業者の健全な経営を確保し、制度の安定的な運用を図る仕組みが必要であると考えております。

○菅委員 確かに、自由な手数料率の設定によって卸売業者の経営の健全性がかえって阻害されたり、頻繁な手数料率の変更によって出荷者が市場へ出荷することに不安を覚えたり、市場流通に影響を及ぼしたりしては、まさに本末転倒になってしまうのではないか、こういうふうに思います。
 そうした事態が起こらないよう、卸売業者の健全な経営を確保し、制度の安定的な運用を図るための仕組みはどのようになっているのでしょうか。また、現在の状況と今後のスケジュールについてもあわせてお尋ねをしておきます。

○大橋事業部長 卸売業者の健全な経営を確保するため、都は、届け出に際し事前調査制度を設け、卸売業者の経営状況、手数料率の根拠等の調査を行うことでその妥当性を確認することとし、特に手数料率の変更を行う場合は、専門的見地から検討を行うため、公認会計士等の専門家による調査委員会で調査を行うこととしております。
 また、手数料率の変更を行った後、それが原因で卸売業者の財務の健全性が悪化した場合等に、開設者が手数料率の改善命令を行うことができることといたしました。
 さらに、制度の安定的な運用を図り、出荷者が安心して市場に販売委託できる仕組みとするため、一たん届け出のあった手数料率は最低二年間固定するとともに、制度発足時は特例として三年間固定することとしております。
 都は、今月一日から十日までの期間で、全卸売業者からの説明資料の提出を受け、現在、事前調査を行っております。今後、平成二十一年二月一日から十日までの期間で、各卸売業者は都に対して手数料率の届け出を行い、出荷者への周知を行った上で、四月一日から新手数料率を実施する予定となっております。

○菅委員 わかりました。
 卸売業者が制度の改正点をよく理解し、十分に活用しながら自主的、自立的な経営努力を図り、卸売市場全体の活性化につなげていくこと、また、開設者の都も、制度改正が市場業者に最大限のメリットをもたらすよう、アドバイスを惜しまないでほしいと思います。
 ところで昨今、食品偽装や毒物混入事件など、食をめぐる消費者の関心はかつてないほど高まっていると思います。この点、中央卸売市場を経由した食品については安心・安全が確保されているとして、消費者から大変大きな信頼が寄せられていると思います。
 そこで、消費者の食への関心を呼び覚まし、安全・安心な食品を摂取し、健康な体をつくれる個人の力を育てる食育活動を推進することが、市場経由率を高め、中央卸売市場の活力を高めることにもつながるもの、こういうふうに考えられます。
 そこで、中央卸売市場では食育推進のため、どのような取り組みをしているのか、また、業界独自ではどのような取り組みをしているのかをお尋ねしたいと思います。

○後藤管理部長 中央卸売市場では、都民が食に関する知識を習得し、食を選択する力をはぐくむとともに、健全な食生活を実践できるよう、市場が持つ食に関する情報やノウハウを生かしまして、いちば教室や市場見学会、各種パンフレットやホームページによる普及啓発など、市場ならではの食育の取り組みを推進してございます。さらに、昨年度からは、市場関係者の中から適切な人材を登録し、学校や地域の食育活動における講師役として紹介する、いちば食育応援隊の取り組みも開始してございます。
 また、業界におきましては、市場や産地の見学会、お魚料理教室などの従来からの取り組みに加えまして、食育を基本テーマとした市場まつりを開催するとともに、新たに都民を対象とした食育講習会を企画するなど、独自の取り組みを進めております。
 今後とも、関係業界との連携を深めながら、市場の特性を生かした食育の推進に取り組んでまいります。

○菅委員 卸売市場が食育の拠点となり、多くの消費者が自分自身の食と食を通した生き方に関心を持つためにも、これからも市場ならではの食育をぜひ推進していただきたい、こう思います。そのためには都と業界との連携がぜひとも必要でありますし、これからも都は業界の主体的な取り組みに対し積極的に支援していただくように強く要望しておきます。
 さて、市場全体の活力という点では、産直などの市場外流通に流れている生鮮食料品を卸売市場に取り戻していくことも重要なポイントでありますが、その意味でも、首都圏の新たな基幹市場となる豊洲新市場建設は極めて重要な事業だ、こういうふうに思っております。
 しかしながら、ご案内のとおり、豊洲新市場予定地については土壌汚染問題があることから、対策経費が膨大となった場合には市場の会計にも大きな負担となる、こういうふうに思われます。新市場建設について都民の理解を得ていくという上では、生鮮食料品を取り扱う市場として、食の安全・安心を十分に確保できる万全な土壌汚染対策を行うことはもちろんといたしまして、同時に、経費を極力抑えるということも考えなければならない、こういうふうに思います。
 また、東京ガスとの負担協議も今後の重要な課題であると考えております。土壌汚染対策費用に関して、東京ガスとの負担協議の考え方について見解を伺っておきます。

○黒川参事 東京ガス株式会社は、平成十四年及び十七年に、環境確保条例に基づき計画書を提出して処理を実施し、平成十九年に条例に基づく手続を完了していますが、その後、都の土壌汚染調査により、操業に伴う汚染物質が存在することが確認されております。
 都では、食の安全・安心を確保する観点から、法令が求める以上に手厚い対策を検討しており、現在、専門家会議の提言に基づく土壌汚染対策を具体化するため、技術会議において新技術等を評価、検証しているところでございます。
 今後、都は、技術会議の検討結果に基づき土壌汚染対策計画を取りまとめた後、対策に必要となる経費、汚染物質の処理方法、さらには、過去の経緯や現に操業に伴う汚染物質が存在することなどを総合的に勘案した上で、費用負担について東京ガス株式会社と協議してまいります。

○菅委員 対策経費については都民の関心も非常に高いところだ、こういうふうに思います。費用負担については、都としての考え方をしっかりとまとめた上で東京ガスと協議を進めてほしいな、こういうふうに思います。
 都は、土壌汚染対策を具体化するために、専門家による技術会議を設置し、広く民間業者等から新技術について公募を行った、こういうふうに伺っております。この公募には、百二十事業者から二百二十一件の提案があった。都民のみならず、事業者からの関心も非常に高いということがうかがえます。
 しかし、技術会議が非公開ということもございまして、今までに発表されている簡単な概要でしか検討状況を私どもは知ることができません。特に、これだけの提案件数を評価するとなれば、事業に直接かかわる市場関係者はもとより、都民も作業が順調に進んでいるのかを知りたい、これは当然であり、その進捗状況について早く伝えていく必要があると考えます。技術会議の評価、検証の現時点における進捗状況についてお尋ねをいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 技術会議では、百二十事業者から応募のあった二百二十一件の提案について、各専門分野の委員に割り振り、現在、各委員が提案内容を概括的に評価しているところであります。
 今後は、まず概括的な評価結果を踏まえ、個々の提案について実効性や経済性、工期の面ですぐれた提案を絞り込むこととしております。次に、絞り込んだ提案をもとに、地下水の流出入を防ぐ遮水壁の設置から、汚染土壌の処理と地下水の浄化、液状化対策、地下水管理施設の設置までの一貫した対策を組み立て、対策全体としての評価、検討を行っていく予定であります。

○菅委員 技術会議を通じて、多岐にわたる提案内容を十分に評価、検証し、実効性が高く、経済性にもすぐれた対策を選定していただきたい、こういうふうに思います。
 豊洲新市場については、本年五月に、築地市場の業界から知事と都議会に対して建設推進の要望をいただいているところであります。築地市場は老朽化、狭隘化が限界に来ており、衛生面での課題やアスベストの問題もあり、一刻も早い対応が必要なことは明らかであります。業界からの要望にこたえるためには、技術会議における検討を踏まえ、早期に新市場開場までのスケジュールを示していく必要があると考えております。技術会議のスケジュール及び今後の全体のスケジュールについてもお尋ねをしておきます。

○宮良新市場建設調整担当部長 技術会議の検討スケジュールにつきましては、当初、十月下旬から十一月上旬までを予定しておりましたが、予想を大幅に上回る二百二十一件の提案があり、また内容も多岐にわたることから、予定よりおくれざるを得ない状況にございます。技術会議としては、現在、精力的に作業を進めておりまして、今後、提案内容の評価がより具体的に進んだ段階で検討期間の目途を定めることとしております。
 会議の運営に当たっては、各委員の専門分野別担当制や個別の打ち合わせの活用など、効率的に作業を進め、必要な検討期間を適切に確保した上で、効率性、実効性、経済性にすぐれた技術、工法が選定されるよう努めてまいります。
 また、全体スケジュールにつきましては、技術会議の結論に基づき、都として土壌汚染対策計画を策定し、土壌汚染対策の内容とともに、必要な経費、開場までのスケジュールを明らかにしてまいります。

○菅委員 豊洲新市場は、これからの首都圏の生鮮食料品流通を担う基幹市場でございます。市場活性化のためにも、生産者や消費者の期待にこたえられる機能の強化を図るとともに、都民や市場関係者が安心できる万全な土壌対策を講じ、早期の開場を目指してほしい、このことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○原田委員 では、私から質問させていただきます。
 まず、卸売業者の取扱数量を見てみましても、青果を除き、水産物、食肉、花きで平成十九年度はマイナスになっていると。また、金額ベースで見てみましても、花きを除き、水産物、青果、食肉でマイナスになっている、こうした中央卸売市場を取り巻く環境というのは厳しい状況にあるのではないかということをまず認識しております。
 その上で、平成十九年度中央卸売市場会計決算の損益計算書を見てみますと、約三十八億円の純損失を計上しているわけでございます。そして、前年度の繰越欠損金と合わせて、計約百八十五億円の当年度未処理欠損金を抱えるというような内容になってございます。
 このように純損失を計上し、未処理欠損金を累積させている決算の状況についてどのようにとらえていらっしゃるのか、まずお伺いします。

○後藤管理部長 中央卸売市場会計の営業収支につきましては、市場業者が負担する市場使用料を主たる収入としております営業収益では、人件費、施設の維持管理費、減価償却費などの営業費用を賄えず、赤字基調となっております。このように、市場会計の財政状況は、営業収支の赤字体質に加え、保有する資金の運用益の増減により経常収支が左右されるような不安定なものとなってございます。
 今後、豊洲新市場以外にも、老朽化する他市場の施設への対応や、流通環境の変化に対応した施設整備を進めていく必要があり、これに伴い、保有する資金は減少する見込みであり、また、市場使用料の改定についても慎重な検討が必要なことから、早期に経常収支を改善し、累積する未処理欠損金を解消することは困難な状況にございます。

○原田委員 こうした欠損金を累積させているというような状況は、まさに構造的な状況でありまして、そのことは前々から市場の方でも把握されていることかと思います。平成十四年に出された市場財政白書二〇〇二、少し前のものになりますけれども、これでも、経常損益は赤字基調にあり、市場跡地の売却によってしか累積欠損金が解消されない、こういった実態が示されておりました。ここ数年、経常収支は黒字基調とはいえ、とても累積欠損金を解消できるような状態ではないわけであります。いわば、ここに示されている市場跡地の売却代金で食いつないでいる状況に、今日でも変わりがないわけでございます。
 累積する未処理欠損金を解消することは確かに困難な状況とはいいましても、困難だからといって放置をしていいものではございません。そこで、市場の競争力強化に十分な投資を行い、市場跡地の売却代金に頼らない財務体質を築くべきでありまして、その方針を検討し、打ち出していくべきだと考えますが、所見を伺います。

○後藤管理部長 市場財政の健全化を図るためには、コスト縮減など内部努力に努めるとともに、市場使用料の改定による営業収入の増加など、赤字基調にある営業収支を改善していく必要がございます。
 そのためには、厳しい経営が続く市場業者の経営基盤の強化に向けた環境整備に努めていかなければならないと考えております。このためには、市場業者のビジネスチャンスにつながる荷さばき施設の拡大や、コールドチェーンに対応した施設整備をこれまで以上に進めていくとともに、市場業者の販路拡大につながるビジネスモデルの構築など、ハード、ソフトの両面から市場業者の経営に資するような積極的な支援策に取り組んでいく必要があると考えております。

○原田委員 まさに、そうしたハード、ソフト両面からの積極的な支援策といったものも、抜本的な対応のためには本当に必要になっていくのではないかなと思っております。
 こうした厳しい状況の中におきましても、積極的な未来に向けての投資という部分もありますし、また、施設の老朽化に対応した投資といったものもあわせて行っていかなければならないことかと思っております。都民の食を預かる市場として、老朽化する施設の更新というものをまずやっていくこと、そしてその上で、流通環境の変化に対応して、特に昨今、食の安全・安心といったものにも関心が高まっております。これを確保するための必要な施設整備は、築地以外のほかの市場においても進めていくべきだと考えておりますけれども、現在の主な整備状況についてお伺いいたします。

○大朏参事 都は、平成十七年度に策定した第八次東京都卸売市場整備計画に基づきまして、今日の卸売市場に求められる機能が十分に発揮できるよう、各市場において施設整備を行っております。
 主な施設整備といたしましては、現在、大田市場におきまして、青果の卸売り場の北側及び南側に、大屋根つき積み込み場を建設中でございます。この施設整備によりまして、大型車両への対応や雨天時の荷さばきなど、市場関係業者が仕事がしやすい環境を整えまして、場内物流の改善や商品の品質管理の向上を図りたいと考えております。
 また、食肉市場におきまして、仲卸業者の店舗、冷蔵庫などがある市場棟の改修工事を実施中でございます。この工事ですが、現在の市場棟は、建設後既に三十年以上経過しておりまして、施設設備の老朽化や衛生対策が課題となっております。このため、入退場時のエアシャワーあるいは手洗い消毒などの衛生設備の設置、施設全体の低温化、冷蔵庫等の基幹設備の更新を行いまして、食肉市場における食の安全・安心を確保していきたいと考えております。

○原田委員 まさに、こうしたさまざまな整備というのが本当に必要なわけでございまして、そのためには財源もかなり必要だというふうに考えております。今、とかく築地の方で莫大な財源が必要だということが議論をされておりますけれども、こうしたほかの市場に対する財源というのも目を配っていかなければなりません。
 そこで、貸借対照表を見てみますと、利益剰余金が約千四百六十億円というふうになっております。この利益剰余金についてはどのようにとらえていらっしゃるのか、まずお伺いいたします。
 そして、その使い道についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。特に、築地以外の市場の整備につきましても必要な資金がきちんと回っていくのかという点についてお答えいただければと思います。

○後藤管理部長 平成十九年度末に中央卸売市場会計が保有する資金は、利益剰余金千四百六十億円に損益勘定留保資金百九十億円を加えた千六百五十億円であります。これらは、豊洲新市場の整備を初め各市場の施設整備事業など、資産の維持拡大を図るための再投資の財源として活用していくこととしております。
 築地市場以外の市場は現在十市場であり、品質管理の高度化や衛生対策、老朽化施設の更新など、施設整備に要する経費として、今後十年間で約三百億円を見込んでおります。

○原田委員 まさにこうした整備というもの、ほかの築地以外の市場につきましてもきちんと進めていただければと思っております。
 次に、築地、豊洲の問題に移りたいと思いますけれども、豊洲の土壌汚染ということは、まさに我々東京の、というよりも日本じゅうの胃袋を満たす市場ということで、物すごく注目が集まっているわけでございますけれども、市場予定地として土壌汚染の問題が特別に扱われている側面があるかと思います。しかし、東京全体を見渡してみたときに、土壌汚染対策、特に土壌が汚染されているということが確認された土地であっても有効利用していくということは、東京都全体としても特に重要な一般的な課題であると考えております。よって、今回の取り組みについても、市場だけの取り組みにとどまることなく、広く東京のブラウンフィールド対策などへも活用する必要があると思います。
 通常、新技術を公共が採用するに当たっては慎重な検討が行われるわけでありまして、例えば環境省では、ここ最近、低コスト・低負荷型土壌汚染調査・対策技術検討調査及びダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査として毎年技術公募を行っているわけでございます。そして、学識者から成る検討会で評価をしているようでございます。東京都におきましても、土壌汚染の簡易な調査に対する技術公募というもの、これは環境局の方でやっていたかと思います。
 このような形で、公共が新技術を採用する際には、公募といったことを行い、きちんとした検討を行っていく、その上で実用化に向けて取り組んでいくということが通常だと思いますけれども、新技術の検討に当たっては、莫大な時間、労力、資金がかかるものでありまして、今回、技術会議による検討を、せっかく百二十業者、二百二十一件というような大きな提案が来たわけでございますから、単に豊洲のためだけにしてしまってはもったいないのではないかなというふうに思っております。
 そこで、この応募技術を広く東京の土壌汚染対策に活用できるようにしていくべきだと考えますが、所見を伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地における土壌汚染対策を具体化するため、民間事業者などから広く新技術等の公募を行い、百二十事業者から二百二十一件の提案をいただいております。技術会議では、これらの提案の中から最適な対策を選定してまいりますが、豊洲新市場予定地の土壌特性などから採用に至らなかった技術、工法の中にも、汚染状況や処理条件が異なる他の地域において有用なものがあると思われます。これらの貴重な技術、工法につきましては、今後の土壌汚染対策に広く活用されるよう、提案者の了解など、事業者の技術資産の保護に配慮しつつ、具体的な方策を検討してまいります。

○原田委員 今回の公募については豊洲に特定したということでありますので、広く活用していくといったときには、当然、クリアしていかなければならない部分というのは多々あるかと思いますけれども、せっかくのこれだけの提案をいただき、また専門家の方々にそれなりの時間をかけてしっかり検討をしていただくのでありますので、これを生かしていけるようにできれば、本当にいいなというふうに思っております。
 また、一般的な観点で豊洲の土地というものを見た場合に、処理費用がどれぐらいになるのか、どのぐらいであれば通常の感覚の範囲内なのかといったこともまた関心が出てくるわけでございます。
 環境省の方で、「土壌汚染対策をめぐるブラウンフィールド問題の実態等について 中間とりまとめ」ということで、平成十九年の三月に土壌汚染をめぐるブラウンフィールド対策手法検討調査検討会の方で報告書が出ておりますけれども、この中で行われた、報告されている調査によりますと、半数以上の企業が、経験上、土壌汚染対策費用が土地価格の二〇%から四〇%程度を超えると土地売買が不成立になるというふうに考えているようでございます。
 東京都におきましても、東京都の環境局が、ことし、平成二十年の六月にまとめた「東京都における土壌汚染の課題と対策の方向性について」という中でもこの見方というのを踏襲しておりまして、これが一つの目安になっていくのではないかなというふうに思っております。
 豊洲で考えてみますと、用地の取得額は約二千三百七十億円、これに対して二〇%から四〇%といいますと、約四百七十四億円から九百四十八億円ということになるわけでございます。対策費用がもしこれを上回ってくるということになれば、民間ベースでの評価ということでいうと、民間では利用がされずブラウンフィールドになる、つまり、利用がされずに塩漬けになるといった可能性が高い土地ということの評価になるのだと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、この対策費用ですけれども、どの程度までなら公営企業会計として許容範囲と考えていらっしゃるのか、伺います。

○後藤管理部長 現在、公募提案された新技術、新工法につきまして、経費などの面にもすぐれた工法を選定するため、プロジェクトマネジメント分野の専門家を交えた技術会議において評価、検証作業を進めているところでございます。今後、この技術会議において、経済性にもすぐれた土壌汚染対策工法を選定していただき、都としての土壌汚染対策計画を取りまとめ、対策経費についても明らかにしてまいります。

○原田委員 まさに、公営企業会計としてやるわけでございますので、こうした点についてもしっかりと目配りをしながら取り組みを進めていただければと思っております。
 こうしたことも踏まえて、市場全体の整備、築地以外への投資ということも含めて行っていくためには、土壌汚染対策費も含めて将来的な財政見通しを立てて、中長期的な市場全体の整備計画、投資計画といったものを策定していくことが必要だと思っております。
 例えば技術公募につきましても、予想を超える提案があったということから、当初想定されていた範囲内で取りまとめることが困難ということでございますけれども、こうしたことについても早目にめどを示していただきたいと思いますし、また、土壌汚染対策費用についても早急に明らかにしていただきたいと思います。
 また改めてお伺いいたしますけれども、こうした技術会議を含む豊洲、築地問題全体の取り組みのスケジュールについてどのように考えているのか、お伺いします。

○宮良新市場建設調整担当部長 技術会議の検討スケジュールにつきましては、当初、十月下旬から十一月上旬までを予定しておりましたが、予想を大幅に上回る二百二十一件の提案があり、また内容も多岐にわたることから、予定よりおくれざるを得ない状況にございます。技術会議としては、現在、精力的に作業を進めており、今後、提案内容の評価がより具体的に進んだ段階で検討期間の目途を定めることとしております。
 また、築地市場の豊洲移転に関する全体スケジュールにつきましては、技術会議の結論に基づき、都として土壌汚染対策計画を策定し、土壌汚染対策の内容とともに、必要な経費、開場までのスケジュールを明らかにしてまいります。

○原田委員 今回の応募のスケジュールについては、ほかのところで行われている技術公募のスケジュール等々を見てみましても、募集の期間についても若干短かったのではないかなというような気もしておりますし、また、当然、その検討にかかる期間についても、事前の見込みでは大分短かったのではないかなというふうに感じていたところであります。そうしたところも含めて、きちっとした対策というものをやっていくに当たり、本当にかかるものはかかるとして、これは資金についてもそうですけれども、時間の面についてもきちんとかけるべきものはかけていくといった点で、きちんとしたスケジュール立てをしていただければと思っております。
 また、予算についても、どのぐらいの範囲内であればというようなことでも、これも、実際に対策にどのぐらいの金額がかかるのかといったこともまた明らかになってこない。本当の意味では正確にはお答えいただきにくい部分かとも思いますけれども、これを本当に上回ってしまったときにはどうするのか、こういったことも含めて、また新たな課題として検討していかなければならない部分も出てくるといったことも踏まえて、しっかりとした取り組みをしていかなければならないのではないかなというふうに考えております。
 そうしたことをしっかりと行っていくためにも、とにもかくにも、まずは市場について積極的に黒字体質でいける、そうした財務体質の改善というのを行っていって、そのためにも恒常的に業者に対する積極的な支援もしていただけるというようなお答えでございましたので、こうしたことにも取り組んでいただいて、いろいろな、本当にやらなければならない問題に対応できる、そうした市場のあり方というものをこれからもつくっていっていただければと思います。
 以上で質問を終わります。

○上野委員 私からは、まず初めに、決算説明書の資本的支出及びその内容に伴う市場の環境対策について質問してまいりたいと思います。
 都では、平成十九年度事業内容としまして、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策を初め、各市場における品質管理の向上を図るための売り場の低温化や排熱換気設備などの整備、さらには、環境対策として、場内で使用されますフォークリフトやターレットといった小型特殊自動車の電動化などを進めてこられました。都として、生鮮食料品を安定的に都民に供給する上で、市場機能の向上を図ることは当然のことでありますが、その際、昨今の厳しい経済環境の中で、都民の目線は、効率的な経費の執行が十分になされているのかという視点で、今まで以上に厳しくなっているわけでございます。
 そこで、都の執行に当たりまして、流通環境の変化などを見据え、時代に求められるニーズに的確に対応した必要な経費が充てられているのかどうか、また、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策については、今後さらに上乗せ的な経費支出というのが見込まれているわけでございますが、食の安全を十分確保した上で必要な検証がなされているのかどうか、そういう視点から順次質問してまいりたいと思っております。
 そこで、まず初めに、決算説明書資料の二ページに記載されております資本的支出でありますが、建設改良費の予算現額約五百六十億円に対しまして、決算額が約三十三億円と極めて低い執行率となっているわけでございます。その主な理由というのを説明願います。

○後藤管理部長 平成十九年度の東京都中央卸売市場会計決算の資本的支出科目につきましては、建設改良費、企業債償還金及び国庫補助金返納金で構成されております。
 このうちの建設改良費につきましては、市場施設の整備拡充や改良に必要な経費でございまして、約五百六十億円を予算計上しておりました。その主な内訳は、新市場の用地取得費四百四十三億円、三一五号線の高架化に要する負担金四十四億円、大田市場大屋根駐車場等建設工事費十七億円、各市場の改修に要する経費十九億円などでございます。
 これに対しまして執行率が低い主な理由につきましては、用地取得費四百四十三億円の執行を見送り、大田市場大屋根駐車場等建設工事や食肉市場市場棟衛生対策工事等の二十九億円を翌年度に繰り越したことによるものでございます。
 このうち、用地の取得につきましては、豊洲新市場予定地の土壌汚染に係る詳細調査の結果や汚染対策の内容などの基本的事項を整理した上で用地を購入することとし、その執行を見送ることとしたものでございます。

○上野委員 次に、各市場施設の整備や改良のための施設拡張費についてでありますけれども、このうちの一部は、CO2の排出を抑制していくための取り組みの一つとして、場内を走り回っておりますターレットやフォークリフトの電動化を進めるために必要な経費が含まれているわけでございますが、資料一七ページを見ますと、築地市場では、施設拡張費として、充電設備電源工事ほかの執行率が約一七%と低くなっているわけであります。その主な理由をご説明願います。

○横山参事 築地市場の施設整備に係ります決算状況につきましては、約一億七千万円が不用額となっております。その主な原因は、電動化の小型特殊自動車に係ります充電設備工事が計画どおりに進められなかったということでございます。電動車の充電には数時間を要します。その間の駐車スペースの確保が前提になるほか、その位置につきましても、電動車の使用者の利便性に配慮することが求められまして、場内関係者との調整が必要となります。
 現在、場内が混雑して狭くなっております築地市場の場合、設置場所の確保に難航しました上、使用者の了解も容易に得られなかったということで、計画どおりに執行ができなかったものでございます。
 今後は、場内関係者に対して、電動化の推進には充電設備の整備が不可欠であるということを、一層理解を求めつつ、関係業界の協力を得ながら執行率を高めてまいります。

○上野委員 ターレットやフォークリフト、これの電動化を推進していくということは、いわゆる場内の衛生、また環境をよくする上からも大変重要なことでございます。東京都は、予算化した以上は関係業界の協力が得られるよう、事前調整をさらに十分に行って、執行率を高めていただくようお願い申し上げます。要望いたします。
 「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八の取り組みの一つとして、低炭素型社会の実現を目指し、カーボンマイナスの取り組みを全庁挙げて実施しているときに、それに逆行するようなことがあってはならないわけであります。
 そこで、現在の充電設備の設置状況及び小型特殊自動車の電動化の進捗状況についてお尋ねいたします。

○横山参事 市場では、従来から場内で使用する小型特殊自動車の電動化を進めてきましたが、平成十七年度には条例を改正いたしまして、新たに導入するターレットは電動車のみ、フォークリフトは電動車と低排出ガス車に限るものといたしました。
 電動化に対応いたしました充電設備の整備状況でございますが、平成十九年度末現在、全市場で四千百五十四口となっております。また、電動化の進捗状況につきましては、平成十九年度末現在で三千四百五台と電動化率が五一・七%となっており、条例改正前の平成十六年度末時点の二千二百一台、電動化率三二・九%と比較いたしまして、台数で千二百台、率でもって約一九%向上しております。特に、ターレットのみで見ますと、平成十九年度末で電動化率は六一%と着実に増加しております。

○上野委員 また、こうした取り組みのほか、市場ではCO2の削減に向けましてどのような取り組みを展開されているのか、また、その達成についての見通し、どうなっているのか、所見を伺います。

○横山参事 平成十七年度に策定いたしました中央卸売市場地球温暖化対策推進計画では、中央卸売市場全体として、平成十六年度と比べて、平成二十一年度までの五カ年において、七・八%、五千九百八十三トンの削減を目標としております。
 このCO2の削減に向けましては、目標のうち約六割を小型特殊自動車の電動化によって、残る四割を都と業界とが行います節電などの取り組みで削減することといたしました。
 計画の実施に当たりましては、小型特殊自動車については条例を改正して電動化を義務づけますとともに、補助金制度や各市場における充電装置の充実によりまして電動化を促進してまいりました。
 また、節電につきましては、市場内の照明や冷蔵設備を省エネ型へ切りかえまして、また、業界に対してきめ細かく節電対応を呼びかけてまいりました。
 小型特殊自動車の電動化は、予定どおりに進んでおりますが、一方で、品質管理の高度化を図るため、低温化施設の整備によりまして使用電力量が逆に増加する傾向にありまして、目標達成に向けてさらに一層の努力が必要と認識しております。
 今後は、引き続き従来の施策を進めてまいりますほか、「十年後の東京」で示されております施策の方向性に従って、太陽光発電の実施の拡大ですとか、停車中はエンジンをとめるといったアイドリングストップの推進など、新たな施策もあわせてCO2の削減に努めてまいります。

○上野委員 今お話があったように、中央卸売市場がCO2削減に向けまして積極的な施策を展開しておられる。また、着実にそれを実行していくために努力されていることに対しまして評価したいと思っております。ぜひ環境負荷の少ない市場づくりを推進し、あわせて食の安全・安心を確保していただきたいと思っております。
 次に、都政の重要課題となっております豊洲新市場建設に関しまして幾つか質問していきたいと思います。
 都は現在、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策を進めているわけでありますが、現時点で想定されております土壌汚染対策費は六百七十億円であります。さらに、現在、専門家会議の提言を踏まえまして、技術会議において新技術、新工法等の提案について評価、検証しているものの、さらなる対策経費の上乗せが見込まれている、このようになっている現状があるわけであります。
 市場用地の必要な対策として、食の安全・安心の確保はもちろんでありますが、これだけ巨額の経費が投じられる以上は、その経費支出が妥当であると都民に十分理解が得られるように、汚染対策の内容については、これまで以上に慎重な検討が求められることは当然のことであります。
 そのような観点から、何点か質問をいたします。
 初めに、都は昨年、専門家会議を立ち上げ、新市場予定地におきまして幾つかの土壌調査を実施してきましたが、これらにかかった費用はかなりのものであったと聞いております。
 そこで、確認する意味で、まず初めに、追加調査、詳細調査、絞り込み調査のそれぞれの目的と、かかった費用を説明願います。

○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議では、東京ガス株式会社が実施した土壌汚染調査などを評価した結果、平面的には科学的な方法で行われているが、一部、深さ方向の汚染状況の把握が必要であり、また、水に溶けやすく揮発性物質であるベンゼンに対する対策の検討には地下水の汚染状況等を把握する必要があるとし、追加調査として深さ方向の土壌調査や地下水調査等を実施いたしました。これらの調査に要した費用は約五千万円であります。
 また、追加調査の結果、ベンゼン濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から高濃度のベンゼンが検出されたことから、豊洲新市場予定地の汚染状況の全容を把握する必要があるとし、敷地全域にわたり十メートルメッシュで土壌と地下水の調査を実施し、さらに絞り込み調査として、詳細調査で一定の汚染物質が検出された箇所において深さ方向に土壌ボーリングを実施いたしました。これらの調査に要した費用は約九億円でございます。

○上野委員 トータルで約十億円近い金額が調査に投じられたわけでございますが、これらの調査を経て、敷地の一部から極めて高濃度の汚染の存在が判明いたしました。そうした汚染状況を踏まえ、食の安全・安心を確保するための対策につきまして専門家会議から手厚い提言がなされたことは、結果としてよかったということになると思います。
 しかし、追加調査一つをとったとしても、かなり時間をかけて実施し、膨大なデータを解析、検討した上で提言としてまとめられたわけであります。専門家会議では実に一年と三カ月もの長い期間をかけて検討を重ねてきました。都はこうした事実を重く受けとめるべきであります。
 そのような意味から、次に、現在検討が進められております技術会議について何点か伺います。
 都では現在、専門家会議の提言を踏まえまして、技術会議において具体的な対策技術などを検討しているわけでありますが、これまで広く民間事業者などから公募を行った結果、先ほどもありました百二十事業者から実に二百二十一件もの予想を超える多数の提案が寄せられてきました。この公募の結果からも、いかに関心が高いかということがわかるわけでありますが、技術会議自体は非公開ということでありまして、最近になって都から概要版がようやく出されるようになったものの、どのような具体的な検討が行われているのかということを知るすべがないわけであります。具体的な検討内容は、技術会議が終了した後、公表されると聞いておりますが、それからでは、実効性のほかに経費面なども含め、必要な検討がきちんと行われているのかどうかということの判断がなかなかできないわけであります。
 そこでまず、経費面からの検討に関しまして、この土壌汚染対策において最も経費がかかると考えられるのは土壌の入れかえであると考えております。専門家会議から提言された対策は、東京ガス操業時の地盤面から深さ二メートルまでは土壌をすべて入れかえることになっていると聞いております。
 そこで、入れかえ対象となっております土壌の汚染状況を確認の意味で説明願います。

○宮良新市場建設調整担当部長 敷地全域にわたる四千百二十二カ所の調査の結果、土壌で環境基準を超過した箇所、または地下水で環境基準の十倍を超過した箇所の計四百四十一カ所で、深さ方向に一メートル間隔で土壌ボーリング調査を実施いたしました。
 この絞り込み調査の結果、東京ガス株式会社操業時の地盤面から深さ二メートルまでの土壌につきまして、環境基準を超過したのは八百八十検体のうち百六十八検体で、その割合は一九%でございます。
 これらの調査結果から、詳細調査で汚染物質が検出された箇所においても、操業時の地盤面から深さ二メートルまで全体が汚染されているわけではございません。

○上野委員 ということは、汚染されていない、いわゆる再利用可能な土壌もかなりの量存在するということになるんでしょうか。確認の意味で再度お聞きしたいと思います。

○宮良新市場建設調整担当部長 今ご答弁申し上げまして、一九%というお話をしました。東京ガス操業時の地盤面から二メートルのところ、それ以外は汚れていない土の部分もございます。

○上野委員 汚れていない土も存在するということになりますと、入れかえ対象の土壌のうち、その汚染されていないといわれる土壌は、経費を抑える意味で有効活用を何か考えていかなければならないと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○宮良新市場建設調整担当部長 汚染土壌対策の実施に際しまして発生する土壌につきましては、土の有効活用や経費削減の観点から、土壌の再利用方法について検討を進めていく必要があると考えております。
 特に、東京ガス株式会社操業時の地盤面から二メートル以深の汚染土壌について、土壌中の汚染物質を処理した後に、無害化した土壌を現地での埋め戻し土として使用するなどの再利用を検討してまいります。

○上野委員 汚染されていないということが事実上確認できれば、有効活用して、少しでもコスト削減に努めていただくということをぜひともお願いいたします。
 次に、専門家会議で提言された対策を大きく分ければ、土壌処理や液状化防止などの工事施工と地下水の管理があります。工事施工におきますイニシアルコストは当然検討の中に含まれていると思いますが、地下水管理などは維持管理のための経費が将来ついて回ることになります。
 そこで、土壌汚染対策につきましては、工事施工のみでなく、地下水管理など将来の維持管理にも相当のコストがかかることを考慮いたしますと、ランニングコストも重要な要素として検討されるべきと考えますけれども、見解を伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 技術会議での検討に際しまして、維持管理費が問題となるのは、地下水のくみ上げ設備や地下水浄化施設などを含む市場施設完成後の地下水管理システムに関する提案を評価、検証する場合でございます。
 これら地下水管理システムを検討する際には、施設整備費だけでなく、設備の運転や施設の維持管理に要する費用についても考慮していく必要があると考えております。

○上野委員 ここは非常に大事なところで、評価、検証に当たりまして、地下水管理、これはどのくらいの期間まで管理するのか。この期間といわゆるランニングコストというのは非常に大事な部分でございますので、この地下水管理の期間をどのように考えているのか、お伺いします。

○宮良新市場建設調整担当部長 今後の地下水管理の期間については未定でございますが、ランニングコスト算定上は、施設設備の一般的な耐用年数である十年から十五年を基本に検討することになると考えております。
 なお、将来的な課題として、地下水浄化を進めた結果、汚染物質の濃度が環境基準以下で安定的に推移する状態になった段階では、その後の管理のあり方について見直しが必要となりますが、その場合には、今後設置する地下水管理のための協議会に諮るなど、慎重に対応してまいります。

○上野委員 この地下水の水位、水質の計測、管理、これは思った以上に高いものであります、私の経験からもですね。この管理を十年から十五年維持するだけでも莫大なコストが予測されるわけであります。そういう意味では、経済性、効率性の視点からもしっかりとそのあたり重視されますよう、重ねて要望いたします。
 次に、新技術、新工法の評価、検証に関連して伺いたいと思います。
 公募要領では、新技術、新工法のほか、既存の技術、工法であっても、他の工法に比べまして実効性や経済性が著しくすぐれているものなどが提案の対象となっております。既存の技術、工法だけであれば、これまでのデータがあり、評価、検証の期間もさして必要としないかもしれませんけれども、新技術、新工法となれば、新たなデータを評価、検証するため相当な期間を要することは、技術者であれば常識でございます。
 そこで、二百二十一件の提案のうち、新技術、新工法と呼べるものはどのくらいあるのか、質問いたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 公募によりいただいた二百二十一件の提案には、例えば遮水壁の設置方法に工夫を凝らすなど新しい発想による工法や、汚染物質を効果的に処理する浄化剤など最新の研究成果に基づいた技術に加え、ITを活用した地下水の管理システムなど斬新な技術、工法が含まれております。
 今後、技術会議でこれらの提案について評価、検証を進め、効率性、実効性、経済性にすぐれた技術、工法を選定してまいります。

○上野委員 確かに提案されている内容は、恐らく既存の技術、工法とか新技術、新工法とか、そのあたりを組み合わせたりとかさまざまな内容で、一概にどれが新技術、新工法だということをしっかりと分けるというのは非常に難しいかなと思っております。実際、本当に新技術、新工法だけだと、本当にそれが使えるものかどうかという検証がどこまでなされているかというと、なかなかそれは、そういうものがあれば、実際にもう既に発表されたりしているものでありますから、実際にそれを現場で使っていくということは相当なリスクがある。そのあたりはしっかりとまた検証しなきゃならないというふうになるかと思いますので、お答えづらいところだったと思います。
 この新技術、新工法というところで、以前からもいっておりますように、既存の工法と比べますとやはりデータが乏しいわけであります。そういった意味で、実効性や施工性などの評価、検証を行っていくのであれば、実験データはもとより、現場での施工に基づく実証データについても評価項目として考えていくべきである、このように思います。そういうものがないままに、この新技術、新工法というもの、あるいは既存の工法との組み合わせとか、そういったことで採用することは大きなリスクを抱えることにもなる。これは委員会でもずっといっているところでございますけれども、それこそ都民の不信、不安を増長することになるのではないか、このことを私は気にしているわけでございます。
 他局で同様に、技術の選定等について公募を行っているケースがあります。募集期間は約一カ月程度のものが見受けられますけれども、評価に際しては、実証実験の実施などを含めまして、結果に、数カ月から約半年、この期間をかけているわけでございます。しかも、この公募により提案を受けた件数というのは数十件。今回のような技術会議で二百件を超えるような、こういった数からすると、本当に比べていくと、今回は相当な期間がかかることが考えられるというふうになっているわけでございますけれども、そのあたりは、専門家の今回の技術会議の皆さんがしっかりと検証、実証もされながら、実効性も考えながらやっていかれるということで、どういうふうな形でそのスケジュール等も発表されるのか見ていきたいと思っておりますけれども、こうしたケースと比べまして今回のスケジュールは余りにも拙速過ぎる、この点についてはほかの委員の方々も思っているところだと思います。
 新技術、新工法の実効性の評価、検証につきまして、このリスクを軽減するためにも、十分な期間をとって、書類審査だけではなく、例えばヒアリングを実施するなど、都民が安心できるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いします。

○宮良新市場建設調整担当部長 新技術等の公募に際しまして、提案事業者に、技術、工法の効果や施工性についての実証データや科学的根拠を明示するように求めるとともに、豊洲新市場予定地の汚染状況、土壌特性を踏まえた内容であることなどを条件としており、実効性にすぐれた提案が相当程度あると考えております。
 技術会議において、これらの提案の中から最適な技術、工法を選定していく過程で、特に必要と認める場合には、実証データの詳細な内容や具体的な施工方法などについて提案事業者へのヒアリングを行うことなどを検討しております。

○上野委員 慎重かつ確実性、実効性のある検証、評価となることを期待しております。
 重ねて申し上げますけれども、食の安全・安心の確保を最優先、そしてまた都民の不安を払拭できるよう、そうした適正な期間をもって検討されることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○清水委員 決算年度である二〇〇七年度、十九年度は、豊洲新市場予定地の土壌汚染問題で、石原知事が都知事選挙の中で土壌汚染の再調査を表明したことから、昨年一年間は豊洲移転問題が都政の大問題となってきました。豊洲新市場予定地の土壌汚染が判明したのは、東京ガスが都の買収要請に合わせて土壌汚染調査を行い、環境基準を超える高濃度の汚染があることを二〇〇一年に発表したことによるものです。
 東京ガスの調査は、そもそも食品を扱う市場用地としては不十分なものでしたが、発表された結果は、ベンゼン最高千五百倍など深刻なものでした。東京ガスはこの調査に基づいて土壌改良を行いましたが、不十分なものでした。法にのっとっているとしてそのまま進めようとしましたが、知事選で大問題となったのです。
 選挙後、専門家会議が設置されましたが、この会議も、繰り返し指摘してまいりましたように恣意的な人選であり、また内容は、基本的に東京ガスの調査はかなりよくやっているので補完調査をすればよしとして、徹底調査にはほど遠いものでした。それにもかかわらず土壌でベンゼンが最高千六百倍が検出されるなどの結果となり、都民の批判がさらに広がることになったのです。
 そのため、専門家会議は、十九年十一月に十メートルメッシュでの再調査をせざるを得なくなりました。そして、その調査の結果、今度はベンゼン四万三千倍という驚くべき濃度が判明したのです。
 しかし、都は、高濃度汚染は限られているとして、対策を実施すれば安全だとして、都民やマスコミ、消費者団体、環境学会、科学者会議などの批判の声に耳をかすことなく、豊洲移転ありきの姿勢を続けています。
 伺いますが、昨年来、土壌汚染問題でとってきた都の対応は、食の安全を第一に考えなければならない市場の姿勢に反しているといわざるを得ません。伺いますが、どうですか。

○野口参事 食の安全・安心の確保につきましては、生鮮食料品を取り扱う卸売市場の最も基本的な使命であると考えております。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、対策を講じることによりまして、生鮮食料品を取り扱う市場用地として、食の安全・安心を十分確保できるとの提言を専門家会議からいただきました。
 現在、この提言を踏まえまして、専門家会議の土壌汚染対策を具体化するため、技術会議において新技術等を評価、検証しているところでございます。
 都といたしましては、この検討結果に基づき、土壌汚染対策計画を取りまとめ、万全な対策を講じてまいります。
 さらに、豊洲新市場では、閉鎖型施設により外気の遮断、そして温度管理、特に衛生管理を重視いたしました清潔ゾーン設置など、高度な品質管理を徹底する予定でございます。これを通じて食の安全・安心を確保していく、そういう考え方でございます。
 こうした万全な土壌汚染対策や品質管理の高度化を図ることで、豊洲新市場を都民や市場関係者が安心できる市場として整備してまいりたいと考えております。

○清水委員 食の安全というものをどういうふうに考えるのか、そのことについての昨年の一年間の反省がありませんでした。
 七月に出された専門家会議の報告書の後のマスコミの報道の幾つかを持ってまいりましたが、その報道の中でも、ある新聞の社説は、都は移転ありきを改めよ、豊洲移転、安全どう確保、都の専門家会議、あす最終まとめ案が出る、合理性評価も汚染に不安の声、築地市場、都は移転だけ考えるな、食文化守る仲卸の声を聞け、建てかえも検討すべし。週刊誌、過去最悪の土壌汚染、揺れる築地移転問題。これは専門家会議の報告書が出た前後の今の新聞の一部だけを私は持ってきて紹介しましたが、こういう批判を受けていることをもっと認識すべきだというふうに私は思うわけです。
 次に伺いますが、都は、「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議報告書のあらまし」を出していますが、このパンフレットは何部作成し、幾らかかって、どこに配っているのか、お伺いいたします。

○野口参事 「専門家会議報告書のあらまし」についてでございますが、これにつきましては、提言の内容のポイントをわかりやすいパンフレットの体裁にいたしまして、広く一般都民や市場関係者などに情報を提供することを目的として作成いたしましたものでございます。
 このパンフレット作成に要した費用でございますが、約百万円であり、六千部を用意してございます。
 パンフレットにつきましては、都民が多く集まる市場まつりなどの機会を利用し配布するとともに、一般都民がいつでも手にすることができるよう、各市場や都庁内にも配備しております。そのほか、市場関係者や都議会、マスコミ等にも配布してございます。

○清水委員 第三回定例会で我が党が繰り返し指摘してまいりました、高濃度汚染検出地点を基準の千倍以上として箇所数を出しているページがあります。汚染は限られたものなんだということで、ここに載っているわけです。我が党は、一千倍に法的根拠はなく、環境基準で考えるべきだと批判してまいりましたが、この反省もなく、また広く都民にこんなあいまいなことを流しているわけです。
 先ほど委員も、どなたかお話しされましたように、食に関する問題が次々起きて、国民は、例えばこれは健康に影響ありません、何十万のうちの一つだけが含まれていましたよなどといわれて、マスコミで、テレビなどで報道されても、それでも不安だと。そして、先日のテレビでも、関心を持つだけでなくて、自分が安心・安全を確保するために行動する家族、主婦などがふえているということが報道されていました。マンションの片隅に少しあいていたら畑をつくって、それを食料にするとか、産地宅配需要が倍増しているとか、そういう、関心というだけでなくて、もう行動するときになってきている。
 そういう状況の中で、環境基準でもない一千倍を基準にして、結論は、安全・安心で十分確保できるんだ、対策すればと。一生住み続けても健康影響が生じることはないなどというこのパンフレットが説得力を持つと考えているんですか。伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 環境基準の千倍の濃度を一つの目安としまして、土壌と地下水の高濃度の汚染状況を示したものであり、千倍の濃度を境にして安全であるか否か、それを述べたものではございません。

○清水委員 私は、説得力を持つと考えているんですかと聞いたんです。一千倍以下の理由についてお答えしましたが、それじゃもう一回聞きますが、一千倍以下というのは法的に安全なんですか。端的にお答えください。

○宮良新市場建設調整担当部長 ただいまご答弁申し上げましたように、土壌と地下水の汚染状況、高濃度の汚染状況を示したものであり、その際に、千倍というのは、その濃度を境にして示したものでございます。

○清水委員 私はここに書いてあることを今いったんですけれども、じゃ、これは書いてないとして、部長は、一千倍以下は安全だと、法的に安全だといえるんですかという、その質問に対してどうお答えになるんですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 今ご答弁申し上げましたように、千倍が、それをもって安全か否か、そういうことを述べさせてもらっているわけではございません。

○清水委員 安全か否かでないということは、安全でないと認めたことですよ。いいですか。安全でないか否かって、安全でないと認めたことですよ。それはお答えにならない。そうしたら、じゃ、あなたは認めたことになる、私はそう認識いたします。
 千倍は、三定で、百人に一人ががんになる確率でとんでもないレベルだと批判してきましたけれども、それだったら、ここに、千倍というのはどういうレベルなんだということを書き添える必要があるんじゃないですか。伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議の報告に関する結果をわかりやすく、あらましとして作成しております。その中で表示しておりますのは、汚染状況、今お話ししました千倍という濃度がありましたけど、そういった濃度の状況、それに加えまして、じゃ、環境基準というのはどういうものかと。環境基準というのは、人の健康を保護するために維持されることが望ましい目標であり、長期間継続的に摂取することを前提として設定される。それの事例等々を記載して、わかりやすく記載しております。そういったものを用いまして、豊洲新市場予定地における汚染の実態、それからそれに対する安全の対策、そういったものを表示しております。

○清水委員 環境基準とか一千倍以下とか、一千倍といわれたってどういう基準なのといわれたら、私たちがこういう基準だって、確率だっていったじゃないですか。百人に一人ががんになる確率だということをここに書くべきですよ。そうでないのだったら、このパンフの配布を中止すべきです。伺います。

○野口参事 専門家会議におきましては、今お話がありましたけれども、対策を講じることは可能であり、その上で、専門家会議の提言の内容をきちっと対策を施していくと、人の健康の被害の防止であるとか、また生鮮食料品を取り扱う市場用地として十分な対応ができますよ、そういったことを専門家会議から報告を受けております。
 この専門家会議では、これまでも公開をいたしまして、その議事録や資料につきましてもホームページで公開をして、都民への情報提供に努めてきたところでございます。
 そして、七月の専門家会議の報告書につきましては、これまでの取りまとめとなっております。その内容が極めて専門的なもので密度も濃い、そういった形になっておりますので、そのままでは非常に理解が難しい、そういう意見もございました。このため、広く都民の方々にその内容を的確にお伝えすることを目的に、今回、パンフレットの形にしてポイントをわかりやすくまとめたものでありまして、回収する考えはございません。

○清水委員 膨大な資料の中からこの部分を何ページかに抜き出して、一〇ページに抜き出して知らせるというんでしょう。それはもう、ここの土壌の汚染は限られているということを都民に宣伝する以外の何物でもないじゃないですか。ホームページを見ればわかると、そういうふうに常日ごろ皆さんはいわれるじゃないですか。百万もかけて配布をするというようなこと、私は、配布は即中止をしていただきたいというふうに思います。
 次に、技術会議の問題について伺います。
 繰り返し委員が質問しております。公募に当たって、現地での説明会も行われていなかったと聞いていますが、どうやって選定するのか。提出された書類で選ぶんですか。現地説明会なども行わなかった理由を伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 新技術等の公募に際しましては、提案を行う上で必要となる豊洲新市場予定地の土壌特性や汚染状況及び土壌汚染対策の内容となる情報をすべて公開し、また問い合わせにも応じることとしていたため、現地での説明会を開催してございません。

○清水委員 各企業は、今お話があったように現地説明会もしていないということで、書類で提案したわけですけれども、それでは、先ほどどなたかが触れましたけれども、現地での実証実験などを行うことは考えていないのか、お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 新技術等の公募に際しては、提案事業者に技術、工法の効果や施工性についての実証データや科学的根拠を明示するように求めるとともに、豊洲新市場予定地の汚染状況、土壌特性を踏まえた内容であることなどを条件としており、実証実験を実施することは考えてございません。
 技術会議においてこれらの提案の中から最適な技術、工法を選定していく過程で、特に必要と認められる場合には、実証データの詳細な内容や具体的な施工方法などについて提案事業者へのヒアリングを行うことなどを検討しております。

○清水委員 それでは、先になりますが、落札した企業に土壌汚染の調査をさせる機会はあるのか、伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議では、最新の科学的知見に基づき、敷地全域にわたり十メートルメッシュで土壌と地下水の詳細調査を実施し、さらに詳細調査で一定の汚染物質が検出された箇所において、深さ方向に一メートル間隔で土壌ボーリングを実施いたしました。これらの調査により、新市場予定地の汚染状況を的確に把握した上で、専門家会議において土壌汚染対策を取りまとめております。
 また、現在、技術会議において、豊洲新市場予定地の状況を踏まえた技術、工法について検討を行っているところであります。
 さらに、今後、環境確保条例に基づく調査も実施することとしており、対策工事の着工に際し、工事を請け負う業者が再度土壌汚染調査を実施する必要はないと考えております。

○清水委員 その業者が必要だといったらさせるのですか。それでもさせないのか、お伺いいたします。

○高木委員長 ちょっと待って。速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○高木委員長 速記を始めてください。

○清水委員 私が、技術会議の新技術、新工法の選定に当たってなぜそういうことをいうかという問題です。
 私たちは、技術会議の作業は直ちに中止すべきだというふうに考えています。しかし、しかし百歩譲って、あなたたちがこれからやろうとしていることに、都民がどういうところがおかしいのかという問題について見るためには、このことは必要だったわけです。
 私は、百二十一の業者ですか、その方々が、その方々といっても、どなたが企業が応募しているかわかりませんけれども、土壌や地下水の対策を行っているような企業をずっとホームページで見ていって、東京都にその企業が応募しているかどうかわかりませんでしたけれども、この企業にこの工法というのはどういう工法なのかなということを聞いてみようと思って、伺う機会があったんです。そこにお訪ねしました。そうしたら、たまたまその企業が東京都のこれに応募していたんです。で、私たちの目的とか、それをどういうふうにするとかということは全く関係なく、その企業はどういう気持ちで応募したのか、どういうふうにこれからやっていきたいのかということについて話を聞いたんですよ。私はそれを紹介したいと思うわけです。
 その企業は、現場も見ていないので、自分の企業が持っている工法を提案したが、提出した工法の実証実験が必要だと。現地で四、五カ月ぐらいの期間、予算もつけて実証実験するくらいのことはやらないといけないんじゃないかというふうにいっておられたんですよ。そして、調査のことですけれども、民間企業だったら、都の調査だけで対策を行うということはしないのではないかと。例えば濃度の濃いところ一カ所だけ行っても、地下水は動いている、その時点で調査をしなければならない。民間企業ならどの企業もそう思うのではないかと、その感想をいっておられました。全く調査しないでやるようなことはしないと思うというようなことをいっておられました。
 業者が調査するというのだったら、私は認める必要があると思いますし、私たちは、先ほど述べましたように、技術会議などの移転準備作業は直ちに中止すべきであって、現在地再整備に踏み出すべきだと考えます。しかし、先ほどいったように百歩譲って、それでもやるというのならば、これらの業者の最低の慎重な対応を求める要望というのを聞くべきではないかと。それさえ認めないというならば、私たちが指摘していたとおりに、まさにここを巨大な実験場にするものであるというふうにいわざるを得ません。
 次に移ります。
 築地市場と豊洲新市場の温室効果ガスの量について伺います。

○株木参事 築地市場は、東京都環境確保条例に基づく地球温暖化対策計画書制度の対象事業所となっておりまして、都が事業者として排出する年間の温室効果ガスの量は、平成十八年度の実績で約二万四千トンでございます。一方、豊洲新市場は、基本設計相当の作成時に取りまとめた温室効果ガス排出量は約三万三千トンと想定しております。
 今後、豊洲新市場につきましては、地球温暖化対策計画書制度に基づき、さまざまな環境対策による温室効果ガス排出量の大幅な削減に取り組んでまいります。

○清水委員 豊洲新市場が築地市場に比べて設計時の想定で九千トンも多いということになるわけなんですけれども、その要因というのは何ですか。

○株木参事 豊洲新市場では、新たな機能を盛り込むため、施設規模が築地市場と比べ増大いたします。また、品質管理の高度化や衛生管理の徹底を図るため、温度管理のできる閉鎖型施設としております。このことから、施設規模の増加に伴う照明設備等の整備や、閉鎖型施設での空調設備の整備を行う必要があり、温室効果ガス排出量が増加いたします。

○清水委員 先ほど他の委員の質問で、市場は、十七年度から二十一年度までに五千九百トン余りを削減する取り組みをしているというふうにいわれましたけれども、これで九千トンふえる予定になる、予想になるということの中で、都の環境の取り組みにも、時代の流れにも、市場を新市場に移転をして、ふえることを、どういうふうに考えていますか。逆行していると私は思うんです。

○株木参事 現在、確かに基本設計相当時には築地市場と比べて温室効果ガス排出量が増加すると想定してございますけれども、今後、太陽光発電等の自然エネルギーの利用、フォークリフトの電動化、あるいは搬出入車両のアイドリングストップ対策、空調の負荷に応じた適切な運転制御などに取り組むことによりまして、温室効果ガス排出量の大幅な削減は十分に可能であるというふうに考えてございます。

○清水委員 だって、ここには省エネ対策というので、もう八千トンの削減の対策をいってあるじゃないですか。今の部長のお答え、これからやるというんですか。どうやって九千トン減らしていくということなんですか。私は、先ほど、主な要因という中に--必要なものはあるでしょう、築地から新しい施設になった場合に。築地において現在地でやったって必要なものはあるでしょう。しかし、閉鎖型施設などと、CO2が一万トン近く増加するということは、計画を立てたときはこれほどまで問題になっていなかったというふうに思うわけです、このCO2の排出問題がね。もう数年たってきてしまって、何年かたってきてしまっているわけで、現在の時点で、これほどの負荷を負っても、この施設というの、これだけのCO2を排出する施設をつくらなきゃいけないと思いますか。

○株木参事 豊洲新市場におきましては、閉鎖型施設というものにしていくわけでございますけれども、これは品質管理の高度化やコールドチェーンの保持に必要な施設でございます。そういった意味では、新市場では不可欠な施設でございます。こういった施設を整備していく以上は、築地に比べまして温室効果ガスという面では確かに想定ではふえてまいりますけれども、先ほど申し上げましたように、その他のいろいろな環境対策、こういったものに積極的に取り組むことによりまして、温室効果ガスの削減は十分に可能であるというふうに私どもは考えてございます。

○清水委員 全く確証のない数字をいわれていると思います。
 私は、豊洲に移転すること自体も含めて、それから閉鎖型施設だとかいうこともあわせて、やっぱりもう一回見直す必要があるのかなというふうに思います。
 最後に伺いますが、今、豊洲の新市場を強引に進めるというのであれば、築地市場の跡地というのをどういうふうに考えているんですか。

○野口参事 今お話が出ましたけれども、現在、専門家会議からの提言を踏まえまして、技術会議において、確実でコスト面でもすぐれた土壌汚染対策について検討しているところでございます。この結果に基づきまして、都として、土壌汚染対策計画を策定して、土壌汚染対策の内容とともに、必要な経費、開場までのスケジュールを明らかにしていく、そういう考え方でございます。

○清水委員 私は、築地市場の跡地を、今までもお答えいただいていると思うんですけれども、どういうふうに考えているのかというふうに伺ったんですが、いかがですか。

○野口参事 築地市場の跡地につきましては、現在におきましてオリンピックのメディアセンター等々が計画をされております。中央市場といたしましては、現在、専門家会議の提言を踏まえまして、技術会議で新技術、新工法の検討を行っているところでございます。その検討結果を踏まえまして、都の土壌汚染対策計画を取りまとめ、その上で、先ほど申し上げましたように全体のスケジュールを明らかにしていく、そういう考え方でございます。

○清水委員 そのオリンピックのメディアセンターですけれども、多くの関係者から、築地ではなくて、築地はもうあきらめて、もう別のところにするという話を聞いております。そうなれば、築地市場は急ぐことなく現在地再整備の検討を始めることができるわけですよ。私は、築地市場の現在地再整備の検討を改めて行うことができるというふうに、この話を漏れ聞いて考えたわけです。
 それでも移転する、築地の跡地については、先ほど来いわれているように、メディアセンターにするんだ、なるんだ、オリンピックでそう書いてあるんだというふうにいわれているわけです。そのために、先ほどの土壌汚染の問題について急がないといけない、メディアセンターをつくる予定地なんだから急がなきゃいけないというようなことであれば、とんでもないと私は思います。
 改めて、築地市場の現在地再整備の検討を行うように要望して、質問を終わります。

○高木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十七分散会

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