委員長 | 野上 純子君 |
副委員長 | 伊藤 ゆう君 |
副委員長 | 石森たかゆき君 |
副委員長 | 松村 友昭君 |
西崎 光子君 | |
中山 信行君 | |
田中たけし君 | |
吉原 修君 | |
山田 忠昭君 | |
大津 浩子君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 中井 敬三君 |
経営企画部長 | 及川 繁巳君 | |
サービス推進部長 | 都留 佳苗君 | |
経営戦略・再編整備担当部長 | 黒田 祥之君 |
本日の会議に付した事件
平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
病院経営本部関係
・平成十九年度東京都病院会計決算(質疑)
○野上委員長 ただいまから平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行っていただきます。
質疑につきましては、平成十九年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十九年度東京都病院会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○及川経営企画部長 去る十月十五日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成十九年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、都立病院における経営指標の推移から、13、がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業に関するVFM(バリュー・フォー・マネー)の推移までの十三点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成十五年度から平成十九年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
なお、本資料から資料番号9までにつきましては、それぞれ同様に平成十五年度から平成十九年度までの推移をお示ししております。
二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち、施設整備関連経費についてその推移を記載しております。
三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外、病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載しております。
五ページをごらんください。5、各都立病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
産婦人科、小児科及び麻酔科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について病院別に記載しております。
六ページをお開き願います。6、都立病院における医師及び看護要員の採用数及び退職者数の推移でございます。
医師、看護要員の採用及び退職者数の推移を記載しております。
七ページをごらんください。7、都立病院における看護要員の中途退職者数の推移でございます。
看護要員の四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数について、その推移を記載しております。
八ページをお開き願います。8、都立病院の産婦人科入院延患者数の推移でございます。
産婦人科の入院延べ患者数の推移を記載しております。
九ページをごらんください。9、各都立病院における委託料の推移でございます。
各都立病院における委託料の推移を記載しております。
一〇ページをお開き願います。10、都立病院における共同購入及びESCO事業による削減額でございます。
共同購入及びESCO事業について、実施前と比較しました平成十九年度の削減額を記載しております。
一一ページをごらんください。11、がん・感染症医療センター(仮称)の整備に係るPFI事業の経過及び概要でございます。
がん・感染症医療センターの整備に係るPFI事業について、実施した年月と内容を記載しております。
一二ページをお開き願います。12、がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業入札公告時における参考価格でございます。
がん・感染症医療センター整備運営事業入札公告時における参考価格を費用別に記載しております。
一三ページをごらんください。13、がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業に関するVFM(バリュー・フォー・マネー)の推移でございます。
(1)は、特定事業選定時のVFM(推計値)を記載しております。
(2)は、落札時のVFM及び都の財政負担縮減額を記載しております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○野上委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山田委員 それでは、私から、平成十九年度東京都病院会計決算につきましての質疑をさせていただきたいと思います。
その質問に先立ちまして、今月四日に、都立墨東病院を初め八つの医療機関において搬送要請が拒否され、その後、二度目の依頼で受け入れた都立墨東病院において、患者さんが脳内出血で亡くなられた事態が起きました。このことについては、マスコミ等で大きく取り上げられたことであります。
お子様は無事に出産されたとのことでございますけれども、そのお子様の顔を見ることなく不幸にも亡くなられた患者さん及びそのご遺族に対しまして、心から哀悼の意を表する次第であります。
現状を見る限り、適切な医療体制が確保されていれば、このような事態が避けられたのではないかと思われるだけに、大変残念な思いをする次第であります。
しかし、本件に関しては、今後、全体像が明らかになるであろうことと、本分科会が平成十九年度決算の場であることからいたしまして、細かい質問は差し控えまして、墨東病院の十九年度の状況について何点かお尋ねをいたしたい、あるいは確認をいたしたいと思います。
これまでも我が党は、産科医が全国的に不足する中で、一人でも多くの産科医を確保し、一人でも多くの方が産科医を志せるようなことについて全力を挙げて取り組んでまいりました。都立病院の医師の確保、改善についても、さまざまな場面で応援をしてきたところであります。
しかしながら、今回の出来事で、改めて産科医確保が大変厳しい状態であるということを痛感いたした次第でございます。
そこで、まず初めに、墨東病院における産科医師の確保状況と、いつからこの通常分娩の受け入れを休止していたのか、また、分娩状況ですね、あるいは母体搬送、受け入れ状況の推移について、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○及川経営企画部長 墨東病院の産科医師についてでございますが、医師の定数は九人ということになっておりますが、各年度の十月一日現在で申し上げますと、その現員につきまして、十七年度は七人、十八年度は五人、十九年度は四人と、年々減少を続けておりまして、大変厳しい状況となりました。
このため、平成十八年十一月から通常分娩の受け入れを休止いたしまして、一時的には月三十件程度で受け入れを再開した時期もございましたけれども、平成十九年十月からまた改めて休止しております。
次に、分娩件数につきましては、平成十七年度が一千二百九十八件、十八年度が一千三百九件、十九年度は四百三十八件でございます。
また、ハイリスク分娩に対応いたします、いわゆる母体搬送の受け入れ件数につきましては、平成十七年度が百四十二件、十八年度は百六十六件、十九年度は百九十九件と増加しております。
○山田委員 墨東病院では、今ご説明いただきましたけれども、産科医師の減少とともに分娩件数が減少しているということでありますが、今回問題となっております母体搬送の受け入れに関しては、逆に件数がふえているということでありまして、都内九カ所あります総合周産期母子医療センターの中ではトップの受け入れ件数であると聞いております。
そうした周産期センターとしての役割を果たすために、分娩の受け入れを制限したり、あるいは少ない人数の中でハイリスクの分娩にこたえるために総合周産期母子医療センターの役割をしっかりと担ってきた努力が、今のご説明で明確になったと思います。
これも現場の医師の皆様の頑張りに、私は改めて感謝、敬意をいたしたいと思っております。
しかし、墨東病院での産科医師の確保は大変厳しいものでありますし、その対策も大事だと思いますが、十九年度はどのように取り組んできたのか、その取り組みと対策についてお尋ねいたします。
○及川経営企画部長 平成十九年度に病院経営本部といたしましては、墨東病院産科の欠員を埋めるために、大学医局や地域の医師会といったところに強く働きかけを行いますとともに、どんな勤務環境にしていったらいいんだと、勤務環境の改善のあり方ということにつきまして、現場の都立病院の産婦人科の医師から事情を聞いたり、また、大学医局等に行って、何度も訪問いたしまして、主任教授等のご意見も伺いながら医師の処遇改善のあり方について検討してまいりました。
その結果、議会での応援もいただきまして、医師確保対策として、今年度、各種の手当の改善や新設を行いますとともに、院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度の活用などの福利厚生の充実を図ったところでございます。
こうした都の取り組みにつきまして、各大学からは評価をいただいてはおりますけれども、産科医師の絶対数が不足しているという状況に変わりがないことから、大学医局といたしましても、やはり常勤医師をすぐに派遣するというのがなかなか難しい状況となっております。したがって、こうした中でも何とか、非常勤の医師の応援について、大学とか他の医療機関から、実情を説明し、応援をいただいているという実態がございます。
こうした採用環境は引き続き厳しい状況でございますが、何とか打開をすべく、大学医局と、常勤医師の派遣の要請を引き続き強く行っていきたいというふうに考えております。
○山田委員 今のご説明によりまして、病院経営本部といたしましても、医師確保に懸命に努力を重ねていると、懸命に取り組んでいるということはわかりましたけれども、一人でも産科医師を確保できるように、今後とも一層の努力をしていただければと思います。
今回の墨東病院での産科医師の不足が、これは第一の原因であると思いますけれども、このことが、この事件といいますか、この事柄というんですか、決して一人の医師に対しての責任を押しつけるということではなくて、そういう意味では、大変今回の産科医療体制の不備ということもあるわけでありますので、その点についてはぜひお願いいたしたいと思います。
先日、我が党が知事部局あてに提出いたしました周産期医療体制の強化を求める緊急要望でも述べておりますけれども、今回の件は、単に墨東病院の周産期体制の問題だけでなく、都内の産科あるいは周産期医療体制をいかに確保していくかということが大変重要な課題であると思います。
こうした悲劇が二度と起こらないように、各種医療機関の役割に基づく連携のネットワークを構築するとか、あるいは安全・安心の周産期医療を早期に確保するように強く要望いたしたいと思います。そして、私の次の質問に移りたいと思います。
次に、平成十九年度決算に関連いたしまして、多摩メディカル・キャンパスの整備と多摩地域の小児医療について何点かお尋ねいたしたいと思います。
多摩総合医療センターと小児総合医療センターの整備につきましては、これは平成十八年八月にPFI事業契約が締結されまして、平成十九年七月に本体工事に着手し、今現在、着々と建設が進んでおります。この整備事業につきましては、府中病院を多摩総合医療センターとして、また、清瀬小児病院あるいは八王子小児病院、梅ケ丘病院を移転統合いたしまして小児総合医療センターとして整備することになっております。
医療センターは、合わせて千三百五十床という巨大な施設でありまして、多摩地域の医療を担う拠点となる病院として大きな期待が寄せられております。建物の竣工は平成二十一年九月で、開設は平成二十二年三月と聞いておりまして、既に開設するまで一年半を切っておるわけであります。
そこで、改めてこの整備事業の意義を確認しておきたいと思います。よろしくお願いします。
○及川経営企画部長 多摩総合医療センターでございますが、三次救急医療を含む東京ERや小児総合医療センターと一体となりました周産期医療などの機能を有しておりまして、多摩地域の基幹的な医療拠点として地域全体の医療水準の向上を目指すものでございます。
また、小児総合医療センターは、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を移転統合し、小児の心から体に至る高度専門的な医療を提供する都におけます小児医療の拠点として整備するものでございます。
多摩メディカル・キャンパス内の多摩総合医療センター、小児総合医療センターに加えまして、神経病院、府中療育センターを初めといたしますさまざまな機能を持つ施設が相互に連携いたしまして協力し、人材、情報、技術などの集積のメリットを生かしまして、サービス提供のさらなる充実を図りながら、多摩地域全体におけます医療水準の向上を目指すといったコンセプトでございます。
○山田委員 これらの病院は、今、社会的に大きな問題となっております小児医療、あるいは周産期医療あるいは救急医療などの充実のためにも、大変不可欠な施設でありまして、一刻も早い開設が望まれているところであります。
私も、ことしの七月に、建設現場とモデルルームを都議会の仲間と一緒に視察してまいりました。地震対策で導入した病院全体を支える免震装置とか、あるいは多摩、小児、それぞれのセンターの四床室とか個室、あるいは診察室のモデルルームを見てまいりまして、大変期待が大きく膨らんだところでもあります。
ところで、この病院の整備は、PFI事業として行われておりまして、平成十九年度の決算報告の中で四十一億二千万余の費用が支出されております。
そこで、現在、この工事の進捗状況、そして、設計、施工に当たって、PFI事業ならではといった工夫をした部分があればお尋ねいたしたいと思います。
○及川経営企画部長 平成十九年度末の工事の進捗状況でございますが、一五・四%の出来高ということになっております。
また、直近のことしの九月末で、ご参考までに申し上げますと、出来高は三五・六%という数字になっておりまして、十一階建てのうち五階部分の躯体工事を施工しているというところでございます。
PFI事業としての工夫という面では、都が要求いたします施設の性能水準を満足させながら、民間の自由な発想を取り入れまして、自然との触れ合いを意識した場の提供や、明るい入り口広場の配置、病気の子どもたちが過ごす緑の多い中庭など、安らぎのあるすぐれた療養環境を実現しようとするものでございます。
また、先生にもご視察いただきましたモデルルームでございますが、医師や看護師が直接チェックをいたしまして、施設や設備につきましてさまざまな改善を提案し、それを実際の工事に生かしているというのも、PFI事業における工夫の一つではないかというふうに考えております。
○山田委員 ぜひ、ただいまの答弁にありましたように、PFIのメリットを生かしながら、利用しやすい施設づくり、病院づくりを目指していただきたいと思います。
さて、新しい小児総合医療センターは、各地区にあります三病院が移転し、そして統合されたため、現在、小児病院がある地域では移転に関する不安もあると思います。厚生委員会でも、この問題については継続的に審議されておると思いますけれども、平成十九年度の実績も含めて、確認の意味で幾つかご質問をさせていただきます。
私の地元西東京市は、北多摩北部医療圏に属しておりますけれども、この圏域では、小児医療に対して清瀬小児病院が大きな役割を果たしてきております。この小児病院の移転に当たりまして、緊急医療を初めとした小児医療体制の確保について、これまで都と地元自治体あるいは地域の医師会等との間で検討とか協議が重ねられてきたと聞いておりますけれども、この検討、協議を行う中で、これまでどのような取り組みが行われてきたのかお尋ねいたします。
○及川経営企画部長 清瀬小児病院移転後の小児医療体制の確保につきましては、北多摩北部医療圏域の地元四市が、五医師会の協力を得まして、都も参加する協議会を設置し、検討を重ねてまいりました。
その結果、先駆的な取り組みとなっております複数市によります共同事業といたしまして、小児初期救急平日夜間診療事業を、平成十七年六月から多摩北部医療センターで週二日実施してまいりました。その後、実施日の拡大、また新たな拠点整備につきまして、さらに協議会で検討した結果、現在では、多摩北部医療センターと、西東京市にあります佐々総合病院で、それぞれ週三日ずつこの事業を実施しておるところでございます。
地域の二次医療といった意味で、その責任を担います多摩北部医療センターにつきましては、平成十七年四月に小児科が設置され、六月から二次救急にも対応しております。
また、清瀬小児病院との医師の交流によりまして、平成二十年五月から小児神経及び内分泌の専門外来を拡充しております。
○山田委員 初期救急あるいは二次救急の取り組みが徐々に進んできたということは、今のご説明でわかりました。その中でも、清瀬小児病院移転後の北多摩北部圏域での二次救急施設として、特に多摩北部医療センターの果たす役割は大きいと私も思います。
そこで、平成十九年度の清瀬小児病院と多摩北部医療センターの小児救急患者の実績について、以前の状況と比較しながらご説明、ご答弁いただければと思います。
○及川経営企画部長 清瀬小児病院の小児救急患者数は、多摩北部医療センターの小児科が開始される直前の平成十六年度では、一万五千九百七十人、一日当たり四十三・八人でございました。これを平成十九年度で見ますと、一万四千三百三十九人、一日当たり三十九・二人でございまして、減少傾向にあるということでございます。
一方、多摩北部医療センターの小児救急患者数は、小児科を開始いたしました平成十七年度は二千七百三十九人で、一日当たり九・〇人、平成十九年度で見ますと四千四百六十七人、一日当たり十二・二人でございまして、増加傾向といったことでございます。
平成二十年、現在も同様の傾向でございまして、多摩北部医療センターの小児救急が徐々に定着しつつあるというふうに考えておるところでございます。
○山田委員 これまで高齢者専門の病院でありました多摩北部医療センターが小児医療を開始したことは、地域医療を守るという上でも画期的な取り組みだったと思います。その多摩北部医療センターが、北多摩北部地域の小児救急医療の施設として定着しつつあるということも、今のご説明でわかりました。
清瀬小児病院の移転まで一年半を切った現在の中で、多摩北部医療センターの小児科にはさらなる充実が期待されるわけでありまして、ぜひ、公社病院ともども協力して、医師の確保、そして体制の充実に努めていただければと思います。
次に、三次医療レベルの小児医療でありますけれども、周産期医療についてでございますが、清瀬小児病院にはNICUと呼ばれます新生児集中治療室が六床、また、八王子小児病院では九床稼働いたしております。NICUの数は区部に比べて少ない多摩地域の中で、重要な役割を果たしているわけでありますが、まず、これらの病床の平成十九年度の実績についてお尋ねいたします。
○及川経営企画部長 清瀬小児病院のNICUでございますが、平成十九年度実績といたしまして、延べ一千七百十四人、一日当たり四・七人となっております。
八王子小児病院のNICUでは、延べ三千二百八十一人、一日当たり九・〇人の患者さんを受け入れております。
○山田委員 NICUのニーズは非常に高いわけでありまして、特に多摩地域ではさらなる整備が必要であるといわれております。小児総合医療センターには、二つの病院のNICUを合わせた数よりも多い二十四床のNICUが整備されると聞いており、多摩地域の小児医療充実にとって大きな意義を有する取り組みであると思います。
多摩メディカル・キャンパスでは、周産期医療に具体的にどのような考えで取り組んでいくのか、改めてお尋ねいたします。
○及川経営企画部長 小児総合医療センターと多摩総合医療センターが一体的に運営いたします総合周産期母子医療センターは、二十四床のNICUと母体・胎児集中治療管理室、M-FICUを九床有する都内で最大規模の施設となります。
この新たな総合周産期母子医療センターにより、低出生体重児の出産等が予測される際には、産科医と新生児科医が連携するなど、母体と新生児を一貫して診察することが可能な体制が実現することになります。
また、地域の病産院で生まれました新生児にも対応できるよう、小児総合医療センターにおいて、新生児搬送のためのドクターカーを引き続き運用していく予定でございます。
こうした取り組みによりまして、多摩地域における周産期医療の拠点としての役割を果たしていきたいと考えております。
○山田委員 多摩メディカル・キャンパスでは、新生児だけでなく母体も管理できるようになるというメリットは非常に大きいと思います。
また、こうした内容を、小児病院が移転する地域にも説明していただきまして、安心していただけるように、総合周産期母子医療センターの整備をより一層しっかりと進めていただきたいと思います。
ただ、こうした医療を進めるに当たっても、やはり人材の確保が不可欠であるわけでありまして、全国的な勤務医の不足の中、特に産科医、小児科医は不足いたしているわけでありまして、また、看護配置基準であります七対一看護の影響で生じました看護師不足は今深刻な状況でありまして、都立病院も例外ではないと思います。
こうした中にあって、都民に対し安定的に医療サービスを提供していくためには、さまざまな工夫をしながら、優秀な人材確保あるいは育成をしていく必要があると思います。
今後、多摩メディカル・キャンパスの医師、看護師などの人材確保をどのように行っていくのか、病院経営本部長の決意をお聞かせいただければと思います。
○中井病院経営本部長 質の高い医療サービスを安定的に提供していくためには、先生ご指摘のとおり、医師や看護師を初めとする優秀な医療人材の確保、育成が不可欠であり、処遇の改善や働きやすい勤務環境を初めとする諸条件を整備することが重要でございます。
都立病院では、医師の確保のため、これまでも先生方のご協力もいただきながら医師の処遇改善を行ってまいりました。
また、育児のための短時間勤務制度の活用、院内保育室の充実など、女性医師等が働きやすい環境づくりにも努めてきたところでございます。
今後も、医師につきましては、大学医局への働きかけにさらに努めるとともに、東京医師アカデミーにおいて、各病院の医療の専門性や特色を生かした臨床研修の充実を図り、若手医師の育成、確保を図ってまいります。
また、看護師につきましては、実習等を通じて看護専門学校との交流をさらに深めるとともに、都外も含む採用選考の機会拡大、医療センターの医療機能を見据えた看護専門資格の取得への積極的支援など、看護師の確保、定着対策に手を尽くしてまいります。
さらに、交代制勤務の多様化や宿舎の確保など、勤務環境の整備も行ってまいります。
こうしたさまざまな採用活動、取り組みの強化、また、勤務環境の改善を積み重ねることにより、多摩メディカル・キャンパスを支えていく質の高い医療人材の安定的な確保、育成ができるよう、病院経営本部として全力で取り組んでまいる所存でございます。
○山田委員 私は、今後の医療提供体制を充実させていくためには、小児総合医療センターや多摩総合医療センターなど、再整備を行って施設を充実することはもちろん大切でありますけれども、いかに魅力ある医療を行い、人材を集め、育成していくかということが大きなかぎになると思うわけであります。
都立病院の大きな役割としては、都民の安全あるいは安心な医療を提供していくということは当然でありますけれども、人材を育て、さらに発展させていくことも、私は都立病院の役目の一つではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
その意味でも、ぜひこの多摩メディカル・キャンパス整備事業を着実に推進し、万全の体制で開設できるようにしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○伊藤委員 それでは、私から質疑をさせていただきたいと思います。
去る四日、お産を控える女性が七病院に受け入れを断られ、その後亡くなられるという痛ましい出来事がありました。亡くなられた方には、私からも、心より哀悼の意を表したいというふうに思います。
しかし、なぜ助かりたいと願う救急患者の受け入れ拒否が全国で繰り返され、そしてこの東京でも起きたのかと、こういうことに、都民もまた国民も、憤りと大きな不安を感じているところだというふうに思います。
そこで、亡くなられた方へのせめてもの慰めとして、二度と同じようなことが起こらないようにしなければならないというふうに思います。
しかしながらであります。事は、医療現場の人間はもっと頑張れというような精神論では解決しないのではないかというふうに思います。
そこで、今一体、医療現場では何が問題で何が必要なのかと、こういうことを中心に伺ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
その前提といたしまして、今日本の医療現場では、医師不足が再三指摘されています。これを諸外国と比較いたしますと、フランスやドイツは、人口の千人に対して三・四人程度の医師がいると。それに対して日本の医師の数は、人口千人に対して二人程度にすぎないということでありまして、先進国、いわゆる七カ国の中でも最低水準にあるといわれております。
特に産科医は、このところ、訴訟リスクの高さから、近年、医学部生からも敬遠されて、そして医師不足に拍車がかかっているということを伺っております。
そこで、今回の都立病院においても、こうした背景が根底にあるというふうにとらえられますので、この点について触れてまいりたいと思います。
都立病院における産婦人科医のいわゆる充足率、定員に対する充足率は、過去この五年間でどのような推移であったか、答弁してください。
○及川経営企画部長 都立病院の産婦人科医師の定数、現員につきまして、充足率で見ますと、過去五年間の推移は、平成十五年度が八八・七%、十六年度九二・三%、十七年度八八・五%、十八年度、十九年度ともに七四・五%でございます。数字から見ますと、十六年度をピークに下降しているといった状況でございます。
○伊藤委員 つまり、この五年間を通して見ても、都立病院の産婦人科医は一度も定員に達したことがないんだと、充足率一〇〇%を超えたことがないんだということがわかるわけでありますけれども、それでは、今回問題になった墨東病院の産科医の過去五年間の定員数と現員、つまり、実際に確保できた医師の状況はどうだったのでしょうか。
○及川経営企画部長 墨東病院の周産期センターでございます。これは、新生児科と産科から構成されておりまして、まず、センター全体でいいますと、定員が十七名のところ、現員が、平成十五、十六、十七、三年とも十五名、十八年度が十三名、十九年度十二名の状況でございます。
産科に限って申し上げれば、定員九名に対しまして、現員は、十五年度八名、十六、十七年度は七名、十八年度五名、十九年度は四名となっております。
○伊藤委員 今の答弁は、驚くべき数字だというふうに思います。
墨東病院は、小児科も含まれますから、産科に限った数字を見た方がわかりやすいと思いますけれども、つまりは、定員数が九名だったのに対して、定員に達したことは五年間一度もなくて、十五年が八名、その翌年が七名、さらに翌年が七名、そしてその翌年が五名、直近は四名ということで、まさに半減しているということであります。
そこで、疑問に思いますのは、これは都立病院だけの問題なのか、それとも全国のほかの病院でも定員割れが起きているということなのかということであります。今回の痛ましい出来事も、そもそも土日、祝日の当直医が二人いれば避けられたというふうにも考えられるわけであります。
そこで、墨東病院を含む都立病院の定員割れの要因をどのように分析されているでしょうか。
○及川経営企画部長 産婦人科医師の定員割れの要因でございますが、まず、分娩に伴います昼夜を問わない過酷な勤務状況といったものがございます。
そしてまた、福島での事件を初めとした訴訟といった、リスクが高いといったようなことがございまして、全国的に見ても産婦人科のなり手が少ないといった状況にございます。
加えまして、平成十六年度から導入されました医師の臨床研修制度でございます。これを契機に、派遣元でございます大学医局への入局者が減少いたしまして、新たに産婦人科医師を派遣できるといったような、大学の医局が余裕がなくなったということもございます。
加えまして、これまでは都立病院の給与水準が低いといったような状況もありまして、全般的に大学医局からも敬遠される傾向にあったといったことがあると思っております。
○伊藤委員 今、答弁にもありましたけれども、平成十六年当時に、いわゆる医局制度が研修医制度に変わって、制度自体が変わりました。
私の友人にも小児科医がおりますけれども、彼は、ちょうど医局制度の最後の医学部生でありました。最近、彼がこういうふうにいっていたんですけれども、僕だって、もし当時、研修医制度だったら小児科は選んでいなかったと思うよと。
それはどういうことかといいますと、つまり、医局制度時代というのは、医学部で六年間の履修を終えて、そして医師免許の試験を通れば、すぐに専門科を決めて大学の医局に入って、その医局からその専門科の地方の大学病院に勤務先が決まっていたというのが通例でありました。
ところが、新しいこの研修医制度というのは、一般的な診療で頻繁に行われる医療行為をどの医師も行えるようにしましょうと、こういう制度に変わったことで、大学を卒業してこの医師免許を取得後、二年間は内科や外科及び救急部門、小児科、産婦人科、そして精神科、地域保健医療をそれぞれ少なくても一カ月以上研修するように、これが必修化されたわけであります。それによって医学部の卒業生は、どの科が過酷な勤務環境になっているか、あるいはまた、どの科が緩やかな勤務環境なのかということを体感できてしまったわけであります。
友人がいっていましたところでは、まさに自分が卒業時に専門を決めて小児科に入ったけれども、もし研修医制度で各科を回っていれば、将来を考えて、勤務環境が緩やかなところに自分も行ったのではないか、あるいは開業しやすいところを選んだんではないかというふうにいわれていました。特に、小児科や産婦人科医療は、待ったなしの過酷な医療現場だというふうに思います。
そこで、産婦人科を希望する医師確保には、職場環境の改善が急務だというふうに思うわけでありますけれども、都立病院における産婦人科医の平均的な勤務形態をお伺いしたいと思います。
○及川経営企画部長 産婦人科医師の平均的な勤務形態ということでございますが、個々の病院の事情や、それぞれ医師の役割といったことによって状況が異なりますので、一概に示すということはなかなか難しいというふうに考えておりますけれども、例えば、広尾病院のある産婦人科医の一週間の勤務を見た場合にでございますが、月曜日は終日病棟業務、火曜日は終日手術、水曜日は午前外来で患者さんを診て、午後は病棟勤務、木曜日は終日手術、金曜日は午前中外来で、午後は夜間にかけて手術、隔週の土曜日の午前中は病棟業務を行いまして、日曜日には緊急手術が入れば出勤となると。そのほかに、週一回の当直、または月一回程度の土曜日または日曜日の当直があるといった状況でございます。
○伊藤委員 ここでパネルの使用をさせていただきたいと思いますが、まさに皆様にもお手元に配布させていただいておりますとおり、こちらを見ていただくとわかるのですけれども、これは、所管局にある都立病院の産婦人科医の二週間、こういうものを表にしていただきました。いかに休日が少ないかということがわかるわけですけれども、例えば水曜日をごらんいただきたいというふうに思います。
水曜日は、朝の九時から外来が始まって、そして午後からは病棟勤務になって、そして夜は当直ということになっておりますので、いってみれば、夕方の五時四十五分から次の翌朝の八時四十五分まで当直が続いている。そして、その次の日の木曜日では、朝の九時からオペの勤務がまた入っている。つまり、寝ないでそのまま勤務をされて、ようやくこの方が帰れるのは夜の六時ごろになっているということであります。
つまり、水曜日の朝から木曜日の夕方の六時までにかけて、三十三時間病院の中に拘束されることになり、ごらんのとおり、土曜日、日曜日も当直が入ったり緊急のオペが入ったりする、こういう極めて過酷な環境にあるということが、この表からもごらんいただけるのではないかというふうに思います。
そこで、この緊張感が続く医師にとって、休息の時間というのは何よりも不可欠なものだろうと思います。しかしながら、今の勤務環境が十分な休息時間を与えられているというふうにはいえないと思います。
こうした産婦人科医の過酷な勤務形態について、病院経営本部はどのように認識しているのか伺いたいと思います。
○及川経営企画部長 都立病院におけます産科医療は、地域の医療機関との連携のもとに、本来、多くのスタッフでリスクの高い分娩に昼夜を問わず対応することといったことが望ましいと考えておりますが、先ほど来申し上げておりますとおり、昨今の全国的な産科医師の不足の中にありまして、都立病院もその例外ではございません。このため、産婦人科医師の勤務状況につきまして、極めて厳しいというふうに私どもも認識しているのが現実でございます。
こうしたことから、平成十九年度は、そういった厳しい勤務に見合う給与や手当の創設など、処遇の改善を含みます医師の確保、定着対策に取り組みまして、本年度から実施いたしました。
しかしながら、依然として産婦人科医師の採用環境は極めて厳しいものがございまして、引き続き、一人でも多くの産婦人科医の定着、確保に努めまして、産科医療の充実に取り組んでいるところでございます。
○伊藤委員 どうしたら医師、特に産科医のように不足している医師を確保していけるかという議論がこれまでもずっとなされてきました。中には、地方の自治体で、法外な三千万とか四千万というびっくりするような年間の報酬を払って医師を確保したというような事例もあるようでありますけれども、しかし、お金を払って一方で医師を確保したとしても、もう一方では、また医師不足が玉突き現象で発生するということであります。
そこで、都立病院の産科医にどういう人たちが逆になりたいと思うのかと、こういうことも一つテーマだと思いますけれども、地元目黒でクリニックを経営されている医師に聞きましたところ、医師は働きたい病院をどのように決めるのかということを伺いました。実は、そのお医者さんがいわれていたのは、お給料の話は最後ですと、こんな話をされていました。
つまり、一番最初にどの病院で働きたいかの優先順位が高いのは、医師として高度な医療技術あるいは技能を身につけられる環境かどうかであると。その次に、休日、休息がどれぐらいとれるのか、そして最後に、お給料が幾らなのかと、こういうことが問われるんだというふうにいわれていました。お金の話も大事ですけれども、医師としては、医療技術の習得と休日の方が、より重要だというふうにとらえられているといえると思います。
本来、墨東病院や都立病院というのは、リスクの高い患者さんを受け入れる病院ですから、医師が求める高度な医療現場ということになるわけであります。ところが、今回のケースで驚いたのは、ハイリスクなケースだと思ったから、当初受け入れを拒否したということでありました。その最大の理由は、本来二人いるべき当直医がその日は一名であったと、こういうことであります。休日は少ない、そして医師不足で指導医から技能を得られるような医療機会に恵まれないのであれば、幾らお給料を上げても、これは医師の確保はできないのではないかと、このようにも思うわけであります。
そこで、墨東病院は、産婦人科の救急指定病院であるにもかかわらず、ことし七月に当直医が二人から一人にと縮小されました。妊婦にとっては、わらをもつかむ、そのわらさえこの産科医療現場にはなかったということになるわけでありますけれども、土日の宿直医を一刻も早く二人体制に戻すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○及川経営企画部長 墨東病院が、総合周産期母子医療センターとしてその機能を果たすためにも、当然のことでありますが、産科医師の確保、定着が何より不可欠でございます。
当本部といたしましては、先ほど来申し上げているとおり、大学医局への働きかけに加えて処遇の改善、それから先生も今お話しになった教育システム、若手の育成、そういったものを重層的、総合的に展開をしながら何とか確保し、育成にも力を入れていくということで取り組んでまいりました。
ただ、やはりそれだけですぐに医師を確保というのはなかなか厳しい状況でございまして、そういった環境の中でも、私どもとしましては、この墨東病院のセンターとして、一日も早く二人体制に戻れるよう、引き続きこうした総合的な対策を講じますとともに、非常勤医師も含めまして、その一人でも多くの確保をしていくといった取り組みを全力で行っていきたいというふうに考えております。
○伊藤委員 まさに、これは一刻を争う事態だというふうに思っています。今答弁にあったように、二人体制に戻すように全力を挙げて取り組むということでありますけれども、まさにそうでない限り、今週末も同じようなことが起きる可能性が今現在あるわけでありますから、早急な対応というものを、特に非常勤医師の確保等に努めていただきたいと、こう思います。
そして、それに関連しますけれども、今、産婦人科医の免許は持っているけれども離職されている方というのが結構いらっしゃるというふうに聞きます。特に女医さんの方で産婦人科医をされている方も多いわけでありますけれども、多くは、みずからの出産と子育てによって離職されて、そのまま、だんなさんがお医者さんというケースも多いでしょうから、医療現場には戻らずに、おうちの中で過ごされるという人も多いようであります。
そこで、産婦人科医に占める女性医師の割合が増加傾向にある中で、自身の出産後も働きやすい職場環境づくりというものが不可欠ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○及川経営企画部長 ただいまの質問につきましてですが、女性の医師が出産いたしましても都立病院での勤務を継続できると、このように私どももぜひしていきたいというふうに考えておりまして、平成十九年度には、その一環として院内保育室の運営の見直しを図りまして、対象児年齢を二歳未満から三歳まで拡大しますとともに、一部の都立病院において、午後十時までの延長保育を実施するといったことなど、育児支援の充実を図ったところでございます。
さらに、育児と勤務の両立に向けまして、利用頻度の高い一部の病院における院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度の導入につきまして検討を行っております。その結果、本年の四月、七月から、それぞれ実施しているところでございます。
○伊藤委員 ぜひこの女医さんの働きやすい職場づくりに努めていただきたい。特にこれは、現場の声をよく拾っていただきたいなと思っております。
もちろん、最も今回の議論の中で欠かせないのは、国の政策、支援であります。産婦人科医の増員に向けての長期的な施策が国には求められているところであります。それが前提にありますけれども、しかしそのことばかりをいっていても、まさに今週末も起きてしまう事態でありますので、短期的対策というのも考えなければならないんだというふうに思います。
分娩というのは、今、実は目黒のクリニックでも、区内で出産をさせてくれるところはたった一つしかありません。それ以外のところは、すべて分娩自体は大病院の方でお願いしますというシステムになっています。そういう意味では、分娩の集積医療、つまり大規模病院で産婦人科医を多数抱えて、チーム医療によって医師の負担を軽減する方法が重要不可欠だというふうに思うんですけれども、そのためには、子育てなどで離職した産婦人科医にぜひ職場復帰してもらうということが一つはあると思います。
同時に、都立病院は、集積医療の拠点になるスケールメリットを有しているわけですから、産科医に多様なワークスタイルを提案して、大学医局のみに頼るようなことではなくて、幅広く産科医を募る努力を強く求めてまいりたいというふうに思っております。
また、都立病院の標準の分娩費用というのは、実は、時間内なら二十九万円余、深夜でも三十三万円余と、民間病院のそれに比べて極めて安くなって、利用しやすい設定であります。民間産科医療機関が分娩を行わなくなっている中で、都が今後とも利用しやすい産科医療というものを継続し、拡充していく必要が私はあるというふうに思っています。
医師の確保と利用しやすい都立病院の産科医療の両立というのは、ある意味では、これはジレンマとして両立の難しいテーマだというふうに思いますけれども、その両立に努めてもらいたいというふうに思います。
そして、少子化が問題だ、問題だといいながら、医師不足を放置してきた国の責任は多大であります。特に、産科医を希望する医学部生に対する授業料の大幅な減免措置などを含めて、抜本的な産科医の拡充政策が必要です。都も、国に対する要望を強く行うようにお願いしたいというふうに思っております。
そして、きょう最後になりますけれども、実は、視察に先立って、閣議後の会見で舛添厚生労働大臣が、この事態を受けて、とても都には任せられないということを発言されたようであります。
しかし、任せられないのは、まさにこれまで医師不足といわれながら医師の確保に努めてこなかった国の方ではないかというふうに思わざるを得ません。このような発言の意図に、批判の矛先を国から都に向けたいという意図があるなら、国は、責任転嫁の前に医師の拡充をするべきで、このような発言は、産科医療従事者に怒りばかりを生むものだということを申し上げておきたいというふうに思います。
以上で私の質疑は終わらせていただきます。
○中山委員 初めに、救急医療体制についてお伺いいたします。
私は、かつて視察で訪れましたある地方で、うかつにも夜中に足を踏み外して、生まれて初めて救急搬送された思い出がございます。救急車の中で、最初の連絡で受け入れ病院が決まったときの安堵感とか、それから、地方ならではかもしれませんけれども、いろいろお世話をしてくださった方々、病院関係者、救急搬送班の方々の温かい人のぬくもり、心の触れ合いに深い感銘を覚えました。
と同時に、何事も慌ただしく、救急搬送される件数もけた違いに多い大都会東京におきましては、特に医療スタッフの十分な人員体制の確保が困難な環境の中にあっては、一人一人の患者さんに対する応対に振り向けることのできる物理的、精神的な余裕を持ちたくても持てない状況にあるのではと深い危機感を感じておりました。
今回の墨東病院で発生しました不幸な出来事につきましては、お亡くなりになられた方及びご遺族の皆様に対し、心から哀悼の意を表するものでございます。
本来であれば、新しい命をご自分の手で抱きしめて、その誕生を喜ぶはずでございましたお母様が亡くなられてしまったという事実は、言葉に尽くせないほど悲しい出来事であります。
こうした思いは、私だけでなく、墨東病院の関係者の方々、病院経営本部全体の職員の方のお気持ちでもあると思いますし、何よりも都民全体の悲痛として同じ感情ではないかと拝察するものであります。
今回の不幸な出来事については、今後、国と都の調査が進むということをお伺いしておりますので、軽々に原因、要因を断定するべきではないと考えておりますが、我が党といたしましても、来月にでも開催されるでありましょう厚生委員会での論議や第四回定例会等の審議により、本格的に原因の究明、対策の具体化に取り組んでまいりたいと考えております。
しかし、結果的に都の救急医療体制への都民の信頼を大きく損ないかねない事態を惹起したことは事実でございます。
また、墨東病院自体は、平成十三年十一月二十八日に東京ER墨東として、石原知事みずからオープニングに列席して開業した都の行政救急医療のシンボル的存在でもあります。当然、墨東病院を初めとする都立病院で救急医療に携わっていらっしゃる関係者の皆さんは、日夜全力を尽くして都民の救急医療の安全に努めていらっしゃるものと信じております。
現時点での個人的な見解ながら、今回の不幸な出来事は、産科医不足の解消という根本的な対策の必要性にあわせて、病体急変患者の方の搬送時における情報伝達や、搬送先を模索するための情報収集のあり方などの問題に再検討を要する必要性をあらわしているのではと感じております。
すなわち、もしこの亡くなられた妊婦さんが、何らかの方法によって直接墨東病院を訪れていることができていれば、墨東病院の医師や看護師による問診などによって、患者さんの病体の問題点が、周産期医療上の課題よりも脳外科上の症状のあることなどが看取されて、産科医師の宿直体制の過不足に左右されることなく、優秀な墨東病院の外科スタッフによって早期な対処が可能になっていたのではと考えております。
少なくとも、最初の連絡が産科医同士の連絡ではなく、救急救命士から墨東病院の救命救急センターに入っていれば、墨東病院が取り組んでまいりました初期、二次、三次の救急対応を判別する救急医療のコーディネート機能がより効果的に発揮されていた可能性があると感じております。
そうした意味で、救急搬送先を迅速かつ的確に確定していくためのネットワーク体制と、都の行政医療機関が独自で整えております救急医療のコーディネート機能とが効果的にマッチングされるための整備が課題となるのだと感じております。そうしたこのマッチングを充実させていくために、再発防止に向けて、今回の出来事を大きなきっかけとして取り組んでいただくことを要望として申し上げておきます。
その上で、三次、二次の医療機関として、都立病院が安全・安心な出産の確保に向け、どう取り組んできているのか、そしてその課題は何かということを探ってまいりたいと思います。
まず、都立病院は、都内だけではなく、近隣県などのハイリスクな妊婦を受け入れておりますが、平成十九年度決算ベースで、都立病院における産科医師の現員数と取り扱った分娩件数についてお伺いいたします。
○及川経営企画部長 平成十九年度におきまして、分娩を取り扱いました都立病院は、広尾、大塚、墨東、府中の四病院でございます。都立病院全体で同年、平成十九年十月一日現在、産婦人科医の現員は、定数四十七名のところ三十五名となっております。
平成十九年度にこの四病院が取り扱った分娩取扱実績は、二千八百十六件でございます。
○中山委員 平成十八年度の医師、歯科医師、薬剤師調査によりますと、都内の産婦人科医数は千二百三十七人ということでございまして、そのうち実際に分娩に携わっている医師の方は少なくとも千人前後と推測されているといわれております。
それに対して、都立病院の産婦人科医は三十五人と、約三%に当たりますが、東京都の人口推計によれば、平成十九年中の都内出生児十万四千五百三十七人のうち、都立病院の分娩件数は二千八百十六人と、二・七%程度に当たります。医師の占有率に比べ、分娩取扱件数の占有率が若干低いようにも感じられますが、先ほど来ご指摘がありますように、都立病院については、分娩においてリスクの高い分娩を取り扱う役割を担っており、その労働量は並々ならないものがあると推察しております。改めて、都立病院の産婦人科医の方々のご努力に敬意を表したいと思います。
さて、近年、女性医師が増加しているのは周知の事実であります。高いリスクと過酷な勤務状況の中で絶対的になり手が少ない産科において、女性医師の占める割合が三十代で五〇%、二十代で七〇%と、非常に高くなっております。病院経営本部に確認したところ、平成十九年十月一日現在での都立病院における医師総数八百八名に対し、女性医師は百八十六名と、二三%の状況にあります。
とりわけ産婦人科に関しては、同時点で現員三十五名のうち、女性医師十八名と、実に五一・四%と、半数以上になっております。都立病院産婦人科においても女性医師が多いということでございます。
こうした女性医師が結婚、出産などを機に、過酷な勤務状況から育児との両立ができず、勤務医をやめたりするということが問題であります。我が党はこれまで一貫して、女性医師対策として、院内保育室の充実や柔軟な勤務形態を可能とする制度の導入など、育児と勤務の両立が可能となるような対策を講じるべきと主張してまいりました。
病院経営本部では、平成十九年度より院内保育室の対象児年齢の拡大、運営時間の拡張など、さまざまな取り組みをされてこられましたが、十九年度における都立病院全体での院内保育室の利用実績及び墨東病院における利用実績、さらにはその充実に向けた取り組みについてお伺いいたします。
○及川経営企画部長 平成十九年度におけます都立病院の院内保育室を利用した医師数でございますが、二十二名でございました。このうち墨東病院では、三名の方が利用しております。都立病院全体の院内保育室の年間利用実人員は五百四十二人、このうち墨東病院は百五人となっております。
当本部では、女性医師が育児と勤務を可能とするための支援策といたしまして、院内保育室の充実や育児期間中における柔軟な勤務形態を導入することが不可欠と認識しております。特に、利用頻度の高い都立病院における院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度の導入を検討いたしまして、本年度から取り組んでいるところでございます。
ちなみに、育児短時間勤務制度を利用されている女性医師は既に二名おりまして、本来、この制度が導入されなければ離職したであろうといった方々と考えておりまして、都立病院医師不足の状況を少しでも解消したいといった点で成果が上がったというふうに考えております。
○中山委員 我が党の主張が実り、今年度から一部の都立病院で二十四時間の院内保育室の運営に踏み切られたことや、さらには育児短時間勤務制度を導入したことで、医師不足に向けて歯どめをかけつつあるということは大いに評価したいと思います。
都立病院が本来あるべき周産期医療体制を安定的に都民に対して提供していくためには、産婦人科医、新生児科医の確保が必要なことはいうまでもありません。そうした中で、病院経営本部としては、絶対的に少ない産婦人科医の確保、定着、とりわけ女性医師対策を充実されてこられましたが、このような効果が即時にあらわれるほど、全体的に見れば産婦人科の採用環境は生易しいものではございません。
こうした中にあっても、墨東病院は少ない人手を最大限活用してハイリスク分娩の受け入れを可能な限り行ってきており、まさに東京都の総合周産期母子医療センターとしての職責を果たすために懸命に尽力されてきたものと考えております。
それにもかかわらず、一部ではございますけれども、墨東病院の初期対応に、故意または怠慢により重大な過失があったのではとの見方があるようなこともお伺いしておりますが、一医師や一病院を非難することだけでは問題の解決にはなりませんし、関係者の血のにじむような努力を台なしにするものでもあります。ひいては、都立病院産婦人科医のモチベーションを引き下げ、都立病院における産婦人科医療の継続が危ぶまれることを強く懸念しております。
今回宿直になられた医師の方も女性の方でありますし、大変なご努力があったと思いますけれども、ぜひやめないで頑張っていただきたいというふうに思っております。
今回の不幸な出来事を通し、改めて、妊娠、出産という極めて神聖でとうとい営みにおいては、どれほどの危険が隣り合わせに存在するものであるのかを感じるとともに、極度に人口が集中しております都内において、安全・安心な医療を着実に提供していく上で立ちはだかっている壁、課題の大きさを実感しております。また、そうであるからこそ、今回起きました出来事を契機に、都立病院がより一層、公的救急拠点としての役割を積極的に担っていくべきであると考えます。
我が党としても、二十三日に緊急に申し入れを行いましたが、今回の事態を踏まえ、都立病院はもとより、東京都全体として産科医、新生児科医の確保、育成になお一層取り組まれるとともに、都内における周産期医療体制のさらなる強化、充実に向けて前向きにご検討いただくよう要望し、次の質問に移ります。
先日の決算特別委員会の説明の際、病院経営本部長より、薬品等の共同購入について、実施前と比較し、約三億三千七百万円のコスト削減効果が得られたとのご報告がございました。三億円を超えるコスト削減効果というのは、大変大きいものであります。
そこで、この薬品等の共同購入についてお伺いいたします。
たび重なる診療報酬の改定や特定診療科を中心とした医師不足、また看護師採用の困難化など、病院事業をめぐる経営環境は厳しい状況が続いております。そうした中にあって、患者サービスや医療の質を落とすことなく、都民に対して適切かつ必要な医療を提供していくことが都立病院の使命であります。
そのためには、少しでも費用を節減し、経営の効率化を図ることが必要であり、医薬品等の共同購入は、その効果の大きさからしても、経営の効率化に向けて大変有効な仕組みと考えております。
そこでまず、医薬品等の共同購入とは具体的にどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
○都留サービス推進部長 共同購入とは、これまで病院ごとに購入しておりました薬品や診療材料を病院経営本部において一括して契約し、購入数量を拡大することで、そのスケールメリットを生かしてコスト削減を図ろうとするものでございます。
平成十九年度におきましては、検査試薬は都立の全十一病院、薬品は総合六病院の大部分で共同購入を実施いたしました。診療材料につきましては、種類が非常に多いことを考慮いたしまして、三病院で先行的に共同購入を行いました。また、看護師が使用する診療材料につきましては、品目数を絞り込み、規格を統一化する標準化を行って、一層のコスト削減を図りました。
その結果として、合計で三億三千七百万円のコスト削減を実現いたしました。
○中山委員 各都立病院で個別に購入されていたものを一括して購入し、そのスケールメリットを生かしてコスト削減をすること、さらに購入品の標準化といった工夫を行い、一層のコスト削減を進めておられる点を高く評価いたします。
今後も着実に共同購入を実施するだけでなく、一層の充実を図り、病院経営に貢献されることが求められていると思います。平成十九年度は実施初年度でございますので、まだまだ解決すべき課題もあると思いますし、また見えてきた点もあるかと思います。
今後、共同購入を充実させていく上で、平成十九年度の実績を踏まえ、どのような課題があると認識されているのかお伺いいたします。
○都留サービス推進部長 単に共同購入を行うだけでなく、購入品の標準化を行うことで一層のスケールメリットが発揮されることが確認されましたので、既に標準化を行ったものに加え、他の診療材料や薬品についても標準化を推進していくこと。また、診療材料の共同購入については、平成十九年度は三病院のみの実施でございましたが、他の病院にも拡大していくこと。この二点が取り組むべき課題であると考えております。
○中山委員 今のご答弁で指摘されました課題、十九年度の実績に基づいて見えてきた点だと思いますので、それらを着実に解決して共同購入をさらに推進していただいて、コスト削減を進め、一層の経営の効率化に取り組んでいくことが都民の信頼という点で非常に大事であるというふうに思います。
そうしたことを要望させていただいて、次に、がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業についてお伺いいたします。
都立駒込病院は、昨年十二月に三菱商事株式会社を中心に設立された特別目的会社である株式会社駒込SPCと事業契約を締結し、平成二十三年九月の全面供用開始に向けて、診療を継続しながら病院全体を全面改修して、がんと感染症に関する最先端の医療機能を有する、がん・感染症医療センター(仮称)として整備されるものであります。
診療を継続しながら改修を行うということで、現在病院を利用されている地域の方々への影響を極力抑え、さらに改修後には最先端の病院に生まれ変わるということで、地域の皆様にとっても、また都民全体にとっても大変喜ばしいことであります。がん医療の充実を訴えてまいりました我が党の方針とも合致した取り組みであり、積極的に推進を願っております。
さて、今回の駒込病院の改修事業では、従来の公共施設の整備とは異なり、PFIという民間のノウハウを活用する新たな手法がとられております。この手法を活用した形で、高知県や滋賀県の近江八幡市などにおいて、既に取り組みが進められているようでございますが、ご存じの方も多くいらっしゃると思いますけれども、一部の報道では、あたかもPFIによる病院運営がすべての事例で失敗しているかのようなお話がある場合もあります。
同様の事態が都立病院でも起こらないかとの不安を感じている方もいらっしゃると思いますので、PFIという制度自体が新しいものという点もあり、なじみが少ないということから不安が高まっている面もあると思います。
そこで、まず初めに、PFIの仕組み、メリット、また先行事例との都の取り組みの違いなどがあればお伺いいたしたいと思います。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIの仕組み、メリット、また先行事例との違いについてでございますが、まずPFIとは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を、民間の資金、経営能力、技術力等を活用して行う手法でございます。
二番目のPFIのメリットでございますが、都の病院PFIでは、診療業務や経営など病院運営の中核部分は都が責任を持って担い、これまで個別に委託してきた施設の設計や建設、施設維持管理、維持業務等の医療周辺業務を、当該事業の実施を目的に設立されます特別目的会社、いわゆるSPCが包括的に行うこととしております。
これによりまして、例えばこれまで手術室において、空調や清掃、消毒、滅菌等をそれぞれの受託者に対して個別に依頼し、手術環境の整備を行ってまいりましたが、PFIにおきましては総合的に一括管理して手術環境の整備を行うことから、医師、看護師などの医療従事者が診療業務などに専念できることとなりまして、結果として医療サービスの向上が図れるものでございます。
また、都が直接実施した場合に比べまして、PFIで行った場合の財政負担は約四・三%、約六十億円縮減すると見込まれております。
三点目の先行事例との違いでございますが、先行事例では明確にされておりませんでした、個々の業務を行う協力企業を指導監督し、業務全体を統括する、いわゆるマネジメント業務をSPCの業務として明確に位置づけまして、それらが適切になされているかどうかをチェックする、いわゆるモニタリングの対象としております。
また、先行事例では、個々の業務や医薬品調達費など業務ごとの内訳を契約上固定しているため、業務を超えての執行が難しいということがございました。都では、業務ごとの内訳金額を固定せず、包括的な総価による契約としているため、さまざまな弾力的な業務執行を可能としているものでございます。
○中山委員 包括的に委託をすることで、医師や看護師といった医療従事者の方々の、患者さんに直接当たる医療以外の事務というものの負担を減らすということが可能になって、患者に向き合える時間をなるべく多くとれるようにするということでございまして、患者さんのことを第一に考えた取り組みとしても、また財政負担を縮減する取り組みとしても効果的であるということが、今のご答弁で確認できたと思います。
ただ、今ご答弁の中にもございました財政縮減効果をはかるVFM、バリュー・フォー・マネーは、PFIで行うか否かの大きな一つの判断材料となっていると思います。しかし、私も今回の質問に当たって少々調べてみましたけれども、VFMというのはただでさえわかりづらいものでございまして、PFI制度の中でも一般の方にはなかなか理解しにくいのではないかと思います。
そこで、VFMとはどういったものなのか、また、がん・感染症医療センターで具体的にどのようにVFMが算出され、どういったことから縮減の効果が見込まれているのかお伺いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 VFM、そしてVFMの算出、またどういった要素で縮減が見込まれているのかということについてでございますが、まずVFMについてでございますが、都が直接実施した場合とPFIで行った場合のそれぞれの財政負担のトータル額を比較しまして、どの程度縮減しているかを定量的に示したものでございます。仮称がん・感染症医療センターの場合には、約四・三%、約六十億円となっております。
都が直接実施した場合の経費とは、施設整備費につきましては、都の積算単価を基準としまして、また材料費、人件費、委託料等の運営費については、駒込病院の実績をもとに算出したものであります。
PFIで行った場合の経費とは、事業者の入札価格にアドバイザー経費等を加えたものをもとに算出したものとなっております。
続きまして、どういった要素で縮減が見込まれるのかという部分でございますが、都の病院PFIでは、業務ごとの内訳を固定しないことで医療環境の変化に柔軟に対応する総価契約としておりまして、事業期間全体をトータルで算出するものでありますことから、VFMの縮減効果を業務ごとに比較、評価するものではないというふうに考えております。
○中山委員 内閣府のホームページを調べてみますと、ことし七月に内閣府が作成しましたVFMに関するガイドラインが掲示されておりました。そこでは、入札等において正当な競争が阻害されるおそれがある場合等においては、PSC、都が直接実施した場合とPFI事業のLCC、PFIで行った場合との差または比によりVFMの程度のみを示すこととしても差し支えないとされております。都の事業は、これまでこのガイドラインに沿って行われてまいりました。
しかし、今般改定されましたガイドラインでは、その後に、なお、その場合は、事業者選定後の段階で同様式に基づき公表すべきであるとされております。事後的な公表を求める文言が追加されております。
そこで、都におきましては、このガイドラインの改定をどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 ガイドラインの改定についてでございますが、これまでの都の病院PFI事業におきましては、委員ご指摘のとおり、内閣府の作成しましたガイドラインを踏まえまして、VFMの考え方やVFMの程度を特定事業選定時に、これはPFI事業として実施すると決定した時点でございますが、公表してまいりました。
東京都におきましては、がん・感染症医療センターのほか、全部で三つのPFI事業をほぼ同時に進めておりまして、VFMの詳細な根拠など、都の考えることを事細かく示すことは、今後実施される他の事業における事業者との契約交渉等にも影響を及ぼすおそれがあると考えられることから、現段階では詳細な算定根拠を示すことは控えるべきと考えておるところでございます。
○中山委員 都の取り組みは、他のPFIの事例とは違う事情があるということ、ガイドラインの規定を画一的に適用すると事業に支障を来すおそれがあるということはわかりました。
しかし、一般の方々にとってみれば、そうした取り組みを行うということは縮減効果にこそあるわけでございますので、その根拠を示していくということが信頼を得ていくためにも大事なことだと思いますので、適切な対応を今後もお願いしたいと思います。
さて、通常の契約であれば、単年度ごとに入札などを行い契約を結ぶこととなりますが、PFIでは、長期間の契約となるということが大きな特徴の一つであります。特に病院の業務は、医療事務や滅菌消毒など専門的なものも多く、頻繁に業者が変わり、その業務が滞るようなことが発生しますと、現場が混乱するだけでなく、患者さんの安全にもかかわることになります。
PFIのような長期契約は、事業の安定性や継続性から考えると、病院運営自体にはふさわしいものだと思います。しかし、長期間事業者が変わらないことで、漫然と業務が行われるようになりますと、それぞれの業務が適正に履行されなくなるのではという懸念もあります。
そこで、がん・感染症医療センターにおきましては、それらの懸念に対してどのような防御策、対応策を行っているのか、お伺いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIが長期契約であることについてでございますが、病院PFIでは、長期契約であることによりまして、専門性の高い医療事務など医療周辺業務の熟練性、効率性を高めまして、サービスの向上が期待できるというメリットがあります。
その事業期間を通じて、都の求める業務水準を満たす履行を常に確保していくことが大変重要であるというふうに考えております。そのため、SPCが都の求める水準を達成できているかどうかをチェックする仕組み、いわゆるモニタリング制度を取り入れているところでございます。
具体的には、まずSPCみずからが個々の業務をチェックする、いわゆるセルフモニタリングの実施、報告を義務づけておりまして、変化する患者ニーズなどを敏感に察知することでサービスの提供方法を見直すこととしております。
都が行うSPCに対するモニタリングでは、SPCの統括マネジメント業務を含め、SPCが提供するサービスが要求水準を満たしているかを定期、随時にチェックいたしまして、仮に満たされていない場合には、SPCに対し業務改善勧告、サービス対価の支払い留保、減額などを行う仕組みとしております。
こうした仕組みによりまして、常に要求水準を満たす履行を確保しまして、長期契約の安定的、継続的というメリットを生かした業務運営を図ることとしているところでございます。
○中山委員 長期契約のメリットを最大限に生かしながら、適正な履行が確保されるようにモニタリング等の仕組みが工夫されていることは確認できました。しかし、PFIやSPCの導入に際しましては、そうした導入により、導入を図った部門だけでなく、業務全体にどのような影響が発生したのかということもきちっと評価していくことが、導入の功罪というものを都民に明らかにしていく上で大事な視点だろうと思います。
余りにも卑近な例を出して恐縮ですけれども、例えばSPCの社員の方がSPCの名刺を出すんだったらわかるんですけれども、ご自分のもともと関係していた企業の名刺を出したりとかして、出入りの方々に応対するというようなことが起きてくると、ある面ではそういう企業が仕切っているのかなみたいな認識が生まれてきたりとか、そういうことになりかねません。
SPCの権限の範囲の中で行われる契約と、それからSPCの範囲を超える契約、そういうものにSPCを導入することによって、どういう影響を与えてきているのかとか、そういうようなことも大事であります。
また、平成三十八年に一たん終了時を迎えるんだと思いますが、そのときにはきちっと次の事業者がどうなるのかということについて、あらかじめ体制を組んでおきませんと、SPCを継続する、今の業者を継続するということだけが前提で物事が進んでいくという不安感を与えることになりますし、そうしたことも対応策を考えておく必要があると思います。
今ご答弁の中で、SPCみずからがチェックするセルフモニタリングとか、都がチェックするものとかありましたけれども、ある面では、より一層そうした事柄に対して信頼を高めていくためには、第三者がSPCの業務の履行状況をチェックする仕組みを加えることで信頼が確実になるのではと考えております。そうした点も検討するべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 第三者評価についてでございますが、事業契約書におきまして、ただいま委員からお話のございました第三者評価も随時に実施できるモニタリングの項目の一つとして規定しておるところでございます。
第三者評価の例といたしまして、財団法人日本医療機能評価機構の行っている病院機能評価を示しているところでございます。今後、この規定を踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○中山委員 さて、これまでPFIの仕組みについて幾つか確認させていただいてまいりましたが、PFI制度そのものがなじみの薄い、新しい制度でありますし、一般的な理解がなかなか進んでいない状況にあります。そうしたこともあり、これまで常任委員会でも再三論議されてきているようでございますが、一部には、今回の改修を機に、駒込病院が都立病院でなくなってしまうような印象を与えるお話をされている方々がいらっしゃるような気がいたします。地域の方々の不安をあおっているのではと思います。
私の地元、足立区におきましても、都立駒込病院を守る足立の会という方々が署名活動を行い、先般、足立区長に対して懇談を要望し、そして対応された区の職員に対して、都立病院のまま継続してほしいとの要請があったと聞いております。ということは、何となく都立病院じゃなくなるということが前提であるかのような印象ですね。
こうしたことは、地域の方々や多くの都民の方に対して、また実際に病院を利用されている患者さん、現場で働いている職員や、先ほども医師不足の話がありましたけれども、医師の方も含めて、不安を与えるようなことではないかと思います。
そこで、PFIの正しい情報を初め、この事業に関して、これまで都は都民や患者さんに対してどのように情報を提供してきたのか、お伺いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIの情報提供についてでございますが、PFI事業の正しい情報を初め、都民や患者さんなどにこの事業の情報を提供していくことは極めて重要でありまして、整備方針の決定からPFI事業者との契約締結に至るまで、事業の進捗に合わせてホームページへの掲載などにより、適宜お知らせしてきたところでございます。
また、駒込病院の改修事業等に関するお知らせと題するパンフレットをことしの三月に作成いたしまして、患者さんがだれでもごらんになれるように、病院の外来待合ですとか食堂入り口等に置くとともに、病院内にも掲出しているところでございます。
駒込病院を利用していただいている皆様が多くいらっしゃる文京、北、荒川、足立の四区のご協力を得ながら、それぞれの区民の皆様がご利用になる施設にもそのパンフレットを置いていただくとともに、近隣の地域の方々には各戸に配布をさせていただいたところでございます。
さらに、病院経営本部や駒込病院のホームページにも掲載しまして、だれもが閲覧できるようにしているところでございます。
また、このパンフレットの最後のページには、例えばPFI事業によって駒込病院は都立病院ではなくなってしまうのでしょうかとの問いに対して、改修工事が完了しても、都立病院として都がみずから運営を行いますとの回答を掲載しておりまして、本事業に関する正しい情報の提供を行っているところでございます。
○中山委員 的確な情報提供がありましてこそ、都民の方々も正しい理解をすることができるのだと思います。これからも都民が不安を感じることがないように、正しい情報発信に適切に努めていただきたいと思います。
ところで、駒込病院は、現在の建物が昭和五十年に建設され、既に三十年以上が経過し、設備が老朽化し、現在の医療需要等を考えますと建物が狭隘化しております。地域の方々にとりましても、この駒込病院の改修は喫緊に進めていただきたい課題となっていると思います。
我が公明党も、これまでさまざまな機会をとらえて、がん医療の充実を訴えてまいりました。本来、先ほどから質問させていただいているようなPFIの制度に関する議論も大事でございますけれども、今回の改修を機に駒込病院をどのような病院としていくのか、今後どのようながん医療等が提供されていくのかということが最も大切でありますし、都民にとって関心の高い事柄であります。
そこで、駒込病院は、今回進められている改修により、具体的にどのような医療機能が充実した病院として都民のお役に立っていくことになるのか、お伺いをいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 駒込病院の改修によります医療機能の充実についてでございますが、がん・感染症医療センターの整備によりまして充実する主な医療機能としましては、まず手術室を九室から十五室にふやします。また、化学療法を行う外来治療センターを二十六ユニットから五十ユニットへ拡充いたします。また、緩和ケア専門病棟の新規整備に加えまして、体の奥深くのミリ単位の腫瘍も超早期に発見できるというPET-CTという機械、さらには腫瘍のみに放射線を集中照射できるサイバーナイフやリニアックといいました最新鋭の放射線機器を導入することとしております。
続きまして、複数の患者さんが入っている病室、いわゆる多床室でございますが、これは現在六床、一つの部屋に六つのベッドがあるという状況なんでございますが、これを六床部屋から四床部屋とするとともに、患者さんのプライバシーにも配慮した個室数の割合を現在の一五%程度から二〇%を超える規模へ高めることとしております。
また、患者さんの家族がくつろいで会話ができるような多目的ルームを全病棟に設置するなど、患者さんの療養環境の向上を図っていくこととしております。
そして、エイズ医療に関する都内病院の研修や情報提供などの中核拠点病院としての取り組みに加えまして、都道府県のがん診療連携拠点病院に指定されたことに伴いまして、都内全域を対象とするがん登録データの集計、分析、患者さんや地域の医療機関に対する相談、情報提供など、がん医療に関する都全体の拠点病院として新たな役割を担ってまいります。
○中山委員 今お話がございました、例えば緩和ケアというのは、やはり患者さんの治療に立ち向かう気力、体力を養うという面で非常に大事でありますし、ピンポイントで放射線を当てるというようなことは、手術が困難ながんに対して対応していくことができるという状況もあります。ぜひ医療機能が大きく向上する駒込病院の整備に期待してまいりたいと思います。
また、私は昨年の第二回定例会の一般質問におきまして、改修後のがん・感染症医療センターでの治療現場であります臨床部門と研究部門の連携について、それを整備していくよう質問させていただきました。
その際も申し上げましたが、外科治療や抗がん剤などの投薬治療、放射線治療だけでなく、臨床部門と研究部門とが連携する、いわゆるベンチ・ツー・ベッドにより、がん治療の効果はさらに向上するものと思われます。
そこで、がん・感染症医療センターにおけるベンチ・ツー・ベッドについてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 臨床と研究の連携についてでございますが、がん治療では、手術療法、抗がん剤治療などの化学療法、そして放射線療法を適切に組み合わせた集学的治療が大切でございます。医療技術の発展等に伴いまして、治療の現場と研究部門とが密接に連携しながら医療を提供していくことは、ただいま委員ご指摘のとおり、大変重要であると考えております。
がん・感染症医療センターの整備に際しましては、研究部門を設置することとしておりまして、これまで臨床医学総合研究所と、研究部門の基本設計など、施設整備を中心に協議を行ってきたところでございます。これからも引き続きこの研究所と協議をしながら、臨床と研究が連携する有効な仕組みづくりを進めてまいります。
○中山委員 臨床医学総合研究所や、研究所を所管している福祉保健局とも十分に連携を図りながら、着実に取り組んでいただきたいと思います。
ご答弁いただきましたように、駒込病院は、今回の改修事業により格段に医療機能が充実されるわけでございますが、それらに適応できる職員を適切に配置していかなければ、いかに手術室をふやし、外来治療センターを増床したとしても宝の持ちぐされとなってしまいます。
新たな機能を担う病院としての力をフルに発揮していくためには、施設整備により拡充された機能を最大限に活用できる体制整備が必要であります。
そこで、改修を機に、機能向上するがん・感染症医療センターにおける運営体制を今後どのように整えていくのか、病院経営本部長の決意を含めてお伺いして、私の質問を終わります。
○中井病院経営本部長 がん・感染症医療センターは、診療を継続しながら順次病棟を移転し、平成二十三年九月を目途に全館の改修を行うこととしており、これにより、先ほど答弁させていただいたとおり、患者さんの療養環境が向上するとともに、がん医療、感染症医療のセンター病院としてふさわしい医療機能の拡充を図ることとしております。
また、現在、駒込病院は、都道府県がん診療連携拠点病院、エイズ診療中核拠点病院に指定されており、今後、都の拠点病院としての新たな役割を引き続き担っていくこととなっております。そのため、こうした向上する医療機能を最大限活用できる運営体制の確保が極めて重要であるということは、中山委員ご指摘のとおりでございます。
全国的に医師、看護師など医療人材が不足する中でありますが、採用活動にさらなる力点を置き、優秀な人材の確保に努めてまいります。
また、人材確保の環境整備として、医師の処遇改善、また医療従事者が働きやすい環境づくり、さらに東京医師アカデミーによる若手医師の育成確保など、現在取り組みを進めておりますさまざまな施策を最大限に活用し、人材確保にさらに邁進していきたいというふうに考えております。
また、その一方で、本事業におけるパートナーとして医療周辺業務を担うこととなる特別目的会社である駒込SPCと的確に役割分担をしながら、密接に協働し、質の高いサービスを提供できる事業体制を整えてまいります。
こうした形で、都で確保した優秀な人材とPFIによる弾力的で効率的な事業体制が融合し、その相乗効果を発揮させることにより、駒込病院が都内のがん、感染症医療におけるセンター的医療機関として十全の役割を果たせる運営体制を実現してまいります。これに向け、病院経営本部は組織を挙げ、今後も全力で取り組んでまいる所存でございます。
○野上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十七分休憩
午後三時開議
○野上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続けます。
発言を願います。
○吉田委員 初めに、都立病院における周産期医療、産科医不足の問題についてただしたいと思います。
先日、都立墨東病院が江東区内の産婦人科医院から重篤な妊婦の受け入れ要請を受けながら、医師不足を理由に断り、他の七医療機関でも相次ぎ断られ、再度墨東病院が受け入れましたけれども、結果的に妊婦の方は脳内出血で死亡するという痛ましい事態が明らかとなりました。我が子を見ることもできずに亡くなられた方に対して、またご遺族の方々に対して、心から哀悼の意を表したいと思います。
私たちは、こうした悲劇を繰り返してはならないということが求められていると思いますし、また関係した方々や職員の皆さんも本当に無念な思いではないかと思います。
まず、墨東病院の総合周産期母子医療センターとしての機能について伺いたいと思います。
今回の事件を通じて都民の皆さんが何よりも驚いたことは、都立病院は、多くの皆さんは、都民の命や健康にとって、いわば最後の命綱という役割を果たすものだと期待していると思うんですね。しかも、墨東病院は、都立病院としては唯一、総合医療センターの指定を受けている。そのいわば墨東病院まで受け入れることができない事態が起きていたということは大変ショックであり、深刻な問題として私たちも受けとめなければならないと思います。
そこで、まず基本的な点をお伺いしたいんですけれども、総合周産期医療センター本来の機能と体制はどのように定められているのか。それに対して、この墨東病院の経過、現状はどのような体制だったかということについて、改めてまずご答弁をお願いいたします。
○及川経営企画部長 周産期母子医療センターとは一体何だという質問でございます。
周産期医療でございますが、妊娠後半期の二十二週以降の母体と胎児に対します産科的医療と新生児医療をあわせた医療ということが周産期医療でございます。常時、母体と新生児の搬入受け入れ体制を有しまして、リスクの高い妊娠や高度な新生児医療等に対する総合周産期母子医療センターの役割と、比較的高度な医療に対応可能な地域周産期母子医療センターの二種類がございます。
体制といたしましては、二十四時間三百六十五日、二名以上の体制で受け入れる用意があるという前提がございます。そうした体制のもとに、緊急の事態が発生した場合でも対応が可能といった状況でございます。
墨東病院の体制といたしましては、先ほど来、定数の話もございましたけれども、今現在、常勤医師が四名、それから、その他レジデントや非常勤の医師といった形の中で対応しているというのが実態でございます。
○吉田委員 私も改めて要綱等、調べてみましたけれども、医療従事体制という点では、二十四時間診療体制を適切に確保するためということになっておりまして、体制的には、二十四時間体制で産科を担当する複数の医師が勤務していることというのが東京都自身が定めた要綱で明記されているわけですね。
ところが、残念ながら二〇〇四年以降、定員の四名を割り込むという事態が慢性的に続いて、昨年十一月には新規分娩受け付けを中止する。そして、ことし六月には当直を担当されていた非常勤医師が退職し、ついに土日、祝日の当直時の母体搬送を受け入れることは困難という事態になったということが、改めて今回の事態から浮き彫りとなってまいりましたけれども、聞くところによると、この土日、祝日当直体制から母体受け入れが困難だということについては、文書で関係医療機関などに通達したということがいわれていますが、その具体的な内容についてご説明をお願いいたします。
○及川経営企画部長 ことしの話でございますけれども、平成二十年六月二十七日付と七月一日付で、それぞれ文書を出しております。
まず、六月二十七日付では、福祉保健局と各周産期母子医療センターあてに送付した文書でございまして、土曜、休日の対応が、これまで二系列、いわゆる二名体制から一系列、一名体制とならざるを得なくなったことから、土曜、休日の母体搬送の受け入れについて制限せざるを得ないということを報告したというのが二十七日付の文書でございます。
また、七月一日付で、墨田区、江東区、江戸川区の産婦人科医会の会員あてに送付いたしました文書は、土曜、休日の当直体制が一名となることに伴いまして、原則として母体搬送の受け入れを制限すること。常勤医師が土曜、休日に当直する場合には、緊急症例については相談に応じること。シニアレジデントが当直の場合には、母体搬送受け入れ可能な医療機関名をお知らせすることなどを周知したものでございます。
当然のこととして、文書を送付する前には事前に何度もご説明に伺っているということでございます。
○吉田委員 私も今回改めて文書を見させていただきまして驚いたんですけれども、土日、祝日の当直体制が複数体制がとれないというだけではなくて、六月末、七月一日で出された文書ともに、平日についても、しかし上席の医師が外部からの非常勤医師である場合は、ハイリスク分娩の受け入れが困難なことがありますということも示されているわけですよね。
そうすると、事態は単に土日、祝日だけではなく、そのときの体制によっては、ハイリスクの分娩を受け入れることができないという深刻な事態まで至っていたんだということを改めて認識いたしましたけれども、これは事実だと思うんですが、いかがですか。
○及川経営企画部長 平日についてのご質問だと思うんですけれども、読み上げます。平日は、二人当直体制を継続しますので、従来同様の受け入れ体制とします。しかし、上席の医師が外部からの非常勤医師である場合は、ハイリスク分娩の受け入れが困難なことがあります。また、産科医師の日常的負担を軽減するためにも、母体搬送が予想されるような症例については、できるだけ日勤帯での搬送をお願いしますという通知を差し上げております。
○野上委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○野上委員長 速記を開始してください。
○吉田委員 十九年度決算につながるということで質問させていただきました。
今お話がありましたけれども、東京都から、都立病院としては唯一、墨東病院が総合周産期母子医療センターの指定を受けている。しかし、現状からすれば、果たして総合医療センターとして標榜を続けることができるのかということが問われる事態まで、今日の状況というものは深刻な事態となっているということを改めて認識する必要があると思いますし、私は、福祉保健局は経過も含めてこのことを承知していたのかと思いましたが、先ほどのお話だと福祉保健局にも文書で通知をしたということだと思います。
これがその資格として当たるか当たらないかということを今議論しても、適切ではないと思います。やはり一刻も早く、当直複数体制は緊急課題としてとることが求められていると思うんですが、いかがでしょうか。
○及川経営企画部長 先ほど来から申し上げているとおり、私どもとすれば医師の獲得に万全の手だてを講じておりますが、それをさらに一層強化することによりまして、私どもといたしましても早く二人体制に戻したいというふうに考えております。
○吉田委員 次に、少し制度、システム的なことについて、この際、質問させていただきます。
東京都の総合周産期母子医療センターの要綱では、みずから受け入れ、もしくは何らかの対応により、これら患者の受け入れ病床を確保することとするというふうに書かれております。これは、意味合いとしたら、みずから受け入れると。もしくは、それができないときには受け入れ先をセンターで確保するというふうに読み取れるものなんですけれども、直接的には福祉保健局の所管ですけれども、都立病院として墨東病院が受けている、病院経営本部としてはそこはどういう認識をされているでしょうか。
○及川経営企画部長 何度も申し上げて恐縮なんですけれども、私ども、こうした要綱を十分承知の上で、その努力を日々続けてきておりますけれども、結果としてなかなかその体制が万全のようにいかない。だからこそ、現場の職員が必死に頑張って、この地域の周産期医療を守っていこうということで日々奮闘しているわけでございます。
したがって、この要綱どおりやるのは、私どもとしては当然目指しておりますが、現状としては、早く医師を確保して地域の皆様に期待されるセンターにまたなっていきたいということでございます。
○吉田委員 私の質問の趣旨は、体制を一刻も早く整えてほしいということは当然のことなんですけれども、みずから受け入れられないときは次の受け入れ先を確保するのは、依頼が来た先ではなくて、それを受けとめたセンターの仕事として受け入れ先の確保が要綱上では明記されているんではないかと、その認識を伺ったところでありますけれども、これ以上は質問いたしません。
次に、私は、もちろん皆さん方がご努力をされており、とりわけ最前線の職員の皆さんは、本当に必死の努力をされているのは当然のことだと思うんです。ただ、改めて、今回極めて痛ましい形で社会的にこの問題が浮き彫りになりましたけれども、果たして今までは実態としてはどうだったのかという問題を、私たちとしてはやはりたださざるを得ないと思うんですね。
もちろん、いろいろな理由がその時々あるかと思うんですけれども、意図的に拒むなどということは到底あり得ないと思うんですが、昨年度及び直近までの間で、都立墨東病院において母体搬送を断らざるを得なかったという件数というのは把握されているんでしょうか。
○及川経営企画部長 墨東病院における母体搬送の受け入れ件数と、それを断った件数というご質問でございますが、私ども、当然おおむね把握をしております。しかしながら、このデータというのは、統計データとして正式に外に出ていくということになれば、いま少し内容をよく分析して調査をしていかなければいけないというふうに考えております。
そういった前提で、まだ確定ということではないという前提で申し上げれば、墨東では、おおむね受け入れ件数の半分は超えた受け入れ、半分以上は受け入れているのではないかというふうに把握しております。
また、その結果として、先ほど来からお話がありますように、十九年度百九十九件ということで、都内に九ある総合周産期母子医療センターの中でトップの母体搬送の受け入れをしているということでございます。
○吉田委員 精査、もしできたら改めて正式にお伺いしたいと思いますが、要請のあった半分以上、半分程度というのが現実だということで、それぞれ当然、受け入れることができなかったときにはさまざまな諸要因があるかと思いますけれども、やはり総合センターとしての役割からすれば、極めて深刻な事態だという認識を抱かざるを得ません。
新聞のコメントで、坂本哲也帝京大学教授は次のように述べられていると報道されておりました。周産期センターの機能を果たせなくなるという状況にまでなるなら、社会の安全を保障できない、東京の福祉行政の責任にかかわるという旨のお話がありましたが、まさにそういう問題として受けとめることが求められていると思います。
私たち日本共産党は、昨年の第三回定例会でも小竹議員の一般質問で、荒川区の女性が妊娠中期で破水し、かかりつけ医が受け入れ先病院を探したけれども、十数件断られ、結果的にわざわざ川崎市の大学病院まで行って、そこでようやく受け入れられる。結果的には死産という事実を明らかにいたしました。実は、このときも都立病院に依頼しましたけれども、断られるという事例がその中にあったことも事実です。
先ほどから議論がありましたけれども、根本的にはやはり医師が確保されるということが何よりも優先的な課題だと思います。しかし、この間の経過から見て、一気に医師を確保するということは、同時に容易なことではないことが明らかです。それだけに、今の体制の拡充を図りながらも、できる限り受け入れることができるような手だてを尽くせないものかということが思いとして浮かばざるを得ません。
例えば、そこで、これはあくまでもマニュアル的にお伺いしたいんですけれども、当直医の体制としては不十分なんだけれども、そして特別の事由があった場合には、帰宅されているドクターを今回のように呼んで来てもらってでも対応するということは、マニュアル的にはあるということで理解してよろしいんでしょうか。
○及川経営企画部長 ございます。今回もそのようなケースで、オンコールということで、自宅から急遽医師を呼んで手術したということでございます。
○吉田委員 次は、いささか提案的な話になりますけれども、救急対応の必要性を、研修医の方が当直であったとしても、例えば的確に判断できるチェックシートを導入するとか、あるいは合併症の疑いがある場合は、救急救命センターなど、緊急診療部門や各専門医との連携を図ると、そういう体制整備、そうしたことが改めて必要となっていると思うんですが、これは現状的にはどのようになっているんでしょうか。
○及川経営企画部長 今回の事案でもございますとおり、上席の医師に問い合わせるというようなことはもとより、日ごろからそういったチームでいろいろなケースについて話し合いを行っていく、そういった取り組みは当然してございます。
また、マニュアルと申しましたけれども、医療はもう本当にさまざまなケース、それも時間との勝負の中で、どう患者さんの病態が変化していくかわからない。一朝一夕にこうすればこうだというのは大変難しい問題です。
また、研修医とは申しましても、大学で六年間医療の勉強をし、国家試験に合格し、二年間の研修を受け、それからまた三年の専門的な研修を受ける。まさに専門研修医で医師になって四年目、五年目ぐらいのレジデントでございますので、ある意味で立派な医師は医師ということでございますが、経験からいえばまだまだ足りない部分もございますので、それは当然、その病院の中のいろいろなカンファレンスといいますか、話し合いの中で、その技術については継承していく、共通認識にしていくという事実はございます。
○吉田委員 次にお伺いしたいのも、今回の事案と連動はしているんですが、制度論として伺わせていただきたいんですけれども、例えば当直医の体制が弱いときに、かかりつけの産科医の方が救急車に同乗して病院に来られたときに、その方からも医療行為に協力していただくということによって当直医の体制的な弱さをカバーして、緊急的、臨時的な措置でありますけれども、対応していただくということは現実的には一つのあり得る手段だと思うんですけれども、これは制度的にはどうなんでしょうか。
○及川経営企画部長 今回、墨東病院として地域の産科の先生方にいろいろ日々お願いをし、協力していく中で、できれば、例えば一緒に車に乗ってきていただいて、医師が一人の場合でもお手伝いいただいて、何とか救命を図りたいというようなお願いもしております。
その場合の制度ということでございますが、原則としては非常勤として登録していただいて、非常勤であっても都立病院の医師は医師ですから、それでご協力いただく。仮に登録がなくても、まず救命を図るという観点から一緒に診療協力していただいて、事務の手続的なものは、例えば事後に整理するといった方法も考えられると思います。
○吉田委員 今回のことについては、もう少し詳細な調査を受けてからということになりますが、今回なぜそのことが使えなかったのかという疑問は残りますけれども、いずれにしても、制度としてそうしたことが可能であるということならば、たとえ登録していなくても救命最優先ということで、ぜひそうした活用も臨時的、緊急的措置として生かされるようなご努力を改めてお願いしておきたいと思います。
次に、根本的な問題である医師確保の問題についてです。
医師不足の問題は、墨東病院だけの問題ではもちろんありません。我が党が要求して本委員会に提出していただいた資料四ページ、ここでは都立病院全体の医師の定員と現員ということで年度別に出されておりますけれども、今会計年度で見れば、四ページの医師の欄の比較をしてわかるとおり、五十六名、都立病院全体で医師が本来の定員に対して不足しているということですから、非常に数的には大きいものだと思うんですね。
次に、資料の五ページ、ここでは病院ごとに、先ほどもお話がありましたが、産科、小児科、麻酔科という、極めて今、不足が深刻になっている分野の方々の定員と現員について資料を提出していただきました。
見てわかるとおり、合計では、産婦人科については、四十七名の定員に対して三十五名ですから、十二名の不足、麻酔科については、五十七名の定員に対して四十名ですから、十七名不足をしているということが浮き彫りとなっております。
それだけに、病院経営本部はもちろん、知事を先頭に、私は、都の最重点課題として、やはり医師確保の問題に取り組むべき事態を迎えているんだというふうに思います。
自治体病院の医師不足打開のために、自治体によっては首長が先頭に立って大学病院を訪問しているというところもあります。
新聞報道でもありますが、都立病院側の関係者のコメントとして、大学や地元の医師会に医師の補充をお願いもし、実現できなかったということが報道されておりますし、また、処遇改善などの努力をし、打てる手は打っているということも、コメントとしては活字で紹介されています。
そうした意味では、もちろん努力はされていると思います。しかし、都立病院の使命を果たすという観点に立てば、私はやはり結果が今問われていると思います。
しかも、墨東病院の場合、地域的に見れば、特別の責任の重さがあると思います。第三回定例会で、河野議員が一般質問で指摘をいたしましたけれども、江東区、江戸川区、この二区で一年間に生まれる子どもは一万人です。しかし、分娩を扱う病院は四カ所しかない。
墨東病院は、墨田区を含む三区で唯一のセンターという役割が求められており、まさに命綱だと思うんですね。それだけに医師確保の特別の努力が求められていると思うんですけれども、今後、体制的にも強化をして努力をすることが必要だと思うんですけれども、この点、どのように考え対応していかれるのか、ご答弁をお願いいたします。
○及川経営企画部長 産科の医師の確保の問題でございますが、もう本当に何度もで恐縮でございますが、病院経営本部最大の課題ということで、これまでも取り組んでまいりましたし、今後とも取り組むつもりでおります。
その中で特に墨東病院につきましては、今回の事案を契機に、さらにその地域への協力体制、それから、もちろん非常勤医師も含めた医師の採用方法のさらなる強化、そして、処遇を含めたいろんな勤務環境の改善、そういったことを墨東病院だけというわけではございませんけれども、墨東病院は今回の事案を契機に、さらなるそういった医師の確保の強化に努めていきたいというふうに考えております。
○吉田委員 我が党は二十二日に緊急の申し入れを行いました。本部長に受けていただきましたけれども、その第一で要望したのも、知事が先頭に立って緊急に医師確保の努力をする、そうしたことが求められているのではないかということです。
やはり、もちろん本部長を先頭に、病院経営本部としてこれまで以上に努力をしていくということは当然ですけれども、私は、今の局面で見れば、墨東病院だけの問題じゃないわけですから、知事や副知事が何らかの形で、先頭に立って努力をするということが改めて重要になっているということを指摘させていただきたいと思います。
同時に、医師確保という点で、私は、国の責任ということについても改めて言及せざるを得ないと思います。病院側が大変今忙しい中で、舛添厚生労働大臣が訪問したということが伝えられておりますけれども、私はやはり、国自身が今日の事態をつくり出した責任をどう受けとめて反省し、努力をするのかということが何よりも最優先で問われていることではないかというふうに思います。
政府は、この四半世紀、医師がふえれば医療費が膨張するということを宣伝し、事もあろうに、閣議決定で医学部定員の削減まで決めて進めてくる。そして、医師の養成を抑制するということをやってきました。
その結果、世界的比較で見ても、人口当たり医師数は、OECD三十カ国中、日本は二十七位と極めて立ちおくれた結果となりました。しかも、医師不足を認めずに、偏在だということがいわれ、医師不足が顕在しても、なお一部の地域の問題であるかのような姿勢をとり続けてきたその政府の責任というのは重大だと思います。
したがって、もちろんこれまでも国に要望してきたと思いますけれども、私はやはり、東京都病院経営本部として、福祉保健局と連携し、改めて今日の事態にふさわしく、国に、視察に来るんじゃなくて、国は努力しなさいということで、やっぱり緊急の申し入れをする、首都圏の医師不足の実態を強く訴えて、医師確保の緊急要請を行うということが逆に求められているのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○中井病院経営本部長 医師の不足、とりわけ産科医師の不足につきましては、これまで答弁させていただきましたが、これまでも多くの努力をしているわけでございますが、その中でも、この四月から医師の給与の大幅アップ、年収にして三百万、これは公務員という世界ではいまだかつてない、まさに驚愕の額といってもおかしくない、ほかの自治体からもそういうふうに受けとめられておりますし、産科医学会等々からも、東京都はよくやってくれたという高い評価を得ているわけでございます。
この英断をされたのは石原知事自身でございます。それに当たりましては、昨年、石原知事は、日本産科婦人科学会理事長と直接お会いにもなっています。
また、医師の育成、確保という面で、この四月から、東京医師アカデミーが全国に先駆けて、東京都で都立病院でスタートしたわけでございます。これにつきましても、石原知事は、その推進を常々私どもに指示されていたわけでございます。
そういう意味で、これまでも東京都といたしまして、医師の確保、とりわけ産科医師の確保につきましては、都知事を先頭に組織を挙げて取り組んできた、それは紛れもない事実でございます。
残念ながら、そういった努力もしておりますが、現実には医師不足の解消ということになっていないというのはそのとおりでございまして、それは、一人の医師を確保する、大変な努力をしてやらなければなかなか実現しない現実があるわけでありますが、その一方で、周産期という非常に過酷なハイリスクなそういう勤務場所については、去っていく医師も後を断たないという現実がやはりあるわけで、一歩、歩を進めて、時にまた一歩後退するというのがこれまでの状況ということでございまして、我々としては、この現状をもちろん甘受するわけではなくて、一歩でも二歩でも前に出て、東京都の都立病院の医療体制の充実に今後も邁進をしていくつもりでございます。
それに当たっては、大学医局、そして地域の医療機関の協力もさらに求めていきますし、それ以外の国も含めた関係方面への働きも当然行っていくわけでございます。あらゆる手段を使って、この難局を乗り切っていきたいと考えております。ご支援、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
○吉田委員 本部長の発言は重いものだというふうに受けとめさせていただきます。
この問題の最後に、もう一つどうしても、これは病院経営本部にいわなければならないことがあります。それはやはり、都立病院の統廃合を進めるマスタープランの路線をぜひ再検討していただきたいということです。
政府が医療費抑制路線を続けて、現場は医療崩壊ということがいわれるような事態が起きています。そのときに都立病院の廃止や公社化を進めるということは、やはり再検討することが求められているのではないでしょうか。それを無視して進めるということになれば、私は、東京都の責任が問われると思います。
そもそも墨東病院の産科、周産期科は、皆さん専門家ですから、ご承知と思いますけれども、都立産院、この地域でいえば築地産院を廃止して墨東に集約をするということが行われました。
さらに、私は厚生委員会で厳しく反対を主張しましたけれども、貴重な組織である都立母子保健院を廃止し、これも産科を墨東に統合するということが行われてきました。墨東に統合するからいいではないかということで次々と切られながら、そのセンターとしての墨東が、役割を今、現状では十分果たし得ない。これは都立病院として、都民の皆さんに対する約束をたがえたということにもなりかねない問題だというふうに私は思うんです。
過去の問題ではありません。今現実を見ても、例えば都立豊島病院の周産期医療あるいはNICU、これはどういうふうになっていくんでしょうか。ご答弁をお願いいたします。
○及川経営企画部長 豊島病院についてでございますが、豊島病院は総合ではなくて、地域周産期母子医療センターに指定をされておりますけれども、産科医師につきましては医師不足のために、平成十八年八月から分娩を休止しております。十九年度におきましても、分娩は実施しておりませんでした。
また、新生児集中治療室でございますNICUにつきましても、新生児を担当する医師がいなくなってしまった。しかも確保困難となったことから、平成十九年十月一日より受け入れを休止している状況になっておりまして、いわゆる地域ではございますが、周産期母子医療センターとしての機能を休止しているところでございます。
今後の方向性ということでございますが、産科につきましては、おかげさまで、先ほど来、総合的な確保対策というところの効果の一つとして、医師がある程度まとめて確保できるようになりまして、この平成二十年十月一日から、ある程度リスクの管理が必要な妊婦さんについての受け入れを、一部でございますが、再開をしているところでございます。
NICUにつきましては、現在いまだ新生児医師の確保が困難ということでございまして、ただ、NICUを減らすわけにいかないということで、大塚病院と墨東病院にそれぞれ三床ずつ分けて機能を移転したところでございます。
今後は、豊島病院として産科の一部再開を受けまして、いわゆる小児科の新生児の医師の採用状況なども踏まえて、このセンターとしての機能については考えていきたいというふうに思っております。
○吉田委員 今もお話ありましたけれども、豊島病院のNICU、六床のうち三床は大塚に、そして三床は墨東に移転をするという計画になっていますが、今の墨東の現状からすれば、これが受け入れ先として、機能が極めて困難だということにならざるを得ないと思うんですね。
私はやはり、廃止をして都立大塚と都立墨東に移転するという計画ですけれども、このような事態になっているわけですから、公社化しないで、きちんとそこで継続、拡充されるような努力が必要だと思いますし、改めて今回の事態を通じて、都立清瀬、八王子、梅ケ丘病院を廃止し、府中にセンターとして統合するということの再検討が求められているというふうに思います。
改めていいますけれども、豊島病院についても、三定の厚生委員会で及川部長が答弁したように、歴史的には産科を中心とした病院だったわけですよね。そのNICU、周産期医療センターを廃止することはやめて、都立病院として拡充をするということを強く求めて、この都立病院における周産期医療、産科医不足の問題については終わらせていただいて、残る時間で、先ほども議論がありましたけれども、平成十九年度、本決算年度で行われた、がん・感染症医療センターのPFI事業契約を中心に質問をさせていただきます。
私たちは、これまで厚生委員会で、都立病院でのPFI導入の問題点について、具体的にただしてまいりました。それだけではなく、全国的なPFIの状況を見ても、今日都立病院においてPFIを導入することそのものが、私は再検討が求められる局面にあるというふうに思います。
まず、PFIをめぐる全体的な状況についてです。例えば、総務省が発表した、地方公共団体の行うPFI事業の事業者に関する調査報告というものがこの九月に発表されましたけれども、それを見ると、自治体PFIの事業数及び応札企業数というのは、若干のでこぼこはありますけれども、年々減少、後退している。例えば二〇〇五年には、自治体PFI事業五十一件、応募企業百七十六企業ありましたけれども、〇六年は三十二件、応札企業数は百七企業、〇七年は、途中ですけれども、二十二件、五十七企業というふうに減少している。ひところブームのようにPFI、PFIというふうにいわれましたけれども、私は、明らかにこの間の経過の中で減少しているのが事実だと思います。
さらに、先行事例として強調されました八尾市立病院にしても、高知医療センターにしても、近江八幡市民病院にしても、当初計画どおりの事態になっていないどころか、経営的には極めて困難な状況が発生しているということは、もう紛れもない事実です。
それだけでなく、都立病院におけるPFI事業も、私は、本来の計画から見れば大きな食い違いが生まれていると思います。
例えば、落札、応札企業についてです。一番最初に行った府中病院、多摩広域基幹病院ですか、これについては確かに入札企業は三者でした。しかし、その次のがん・感染症にしても、松沢病院である精神医療センターにしても、PFI事業というのは入札でコストを競うということが、その理念的なこととしていわれていながら、二つとも応募企業はたった一者だけだったわけですよね。競争は成り立たなかったわけです。
その結果、どういうことが起きたかといえば、厚生委員会でも明らかにいたしましたけれども、がん・感染症医療センターにしても、精神医療センターにしても、何と東京都の予定価格に対して落札価格の落札率は、二つとも九九・九九%という事態になったわけです。
いわば、競争する企業がなければ、参考価格にできる限り近い金額を提示しても、その企業しか受けることがあり得ないわけですから、安心して予定価格どおりのものを出すことができるというふうにいわざるを得ない事態がこの間生まれてきたということも、私は改めて見ておく必要があると思うんです。
次に、少し質問させていただきますけれども、先ほどの議論の中で、いわゆるバリュー・フォー・マネー、わかりにくい話ですけれども、コストの縮減率が、このがん・感染症医療センターの場合には四・三%、金額だと六十億円あるからコスト縮減効果が発揮されていて、PFIは意味があるんだということが強調されました。
しかし、一般の方もそうだと思うんですけども、四・三%のコスト縮減ということならば、これまでどおり都が直営で整備事業あるいは各種調達を行ったとしても、四・三%ぐらいのコストの縮減は十分可能ではないかというふうに思うのは当然だと思うんですね。
それで、ちょっと確認したいんですが、全国の自治体病院のPFIで、VFMがこういう四%台という、五%未満で、VFMですけれども、落札、ケースというのは一体どのぐらいあるんですか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 自治体病院のPFI事業におけるVFMの事例についてでございますが、落札者を決定した病院PFI事業の件数は、病院経営本部において現在把握しているところでは九件でございまして、VFMが五%である事例は三件でございます。
○吉田委員 三件といわれましたけれども、それは東京の二つの事例が入って三件じゃないんですか。東京を除いたら一件ではないでしょうか、五%以下という例は。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 五%以下のVFMの事例についてでございますが、高知医療センター整備運営事業、がん・感染症医療センター整備運営事業及び精神医療センター整備運営事業の三件でございます。
○吉田委員 ですから、VFMが四%台というところは、全国的に見ても、東京を除けば高知しかないわけですよね。しかも、その高知は、材料費等の見込みをめぐって予定よりも大幅にコストが上がったということで大問題になったことは、地元だけではなく全国的にも明らかな話です。
そこで、私は、四・三%程度だったら、従来型のやり方でも十分コスト縮減が可能だと思うんですが、例えば、都の大型公共事業等で落札率の実績ということで、ぜひこの間の経過をお示し願いたいんですけれども。
○都留サービス推進部長 病院経営本部といたしましては、東京都全体の大規模施設整備の最近の落札率は把握いたしておりません。ちなみに、平成十九年度に病院経営本部、これには病院も含みますが、契約を締結した工事の入札案件のうち、ごく小規模なものを除きまして、予定価格が二百五十万円を超える工事は二十八件でございまして、落札率は九三・〇九%でございました。
○吉田委員 金額が低いですから、単純比較は難しいかもしれませんが、今のお話だけでも、九三・〇%、少なくとも都が示した予定価格よりも七%ダウンしたということですよね。これは他の東京都の大規模工事については言及しかねるということですけれども、もしこれを調べれば、私は厚生委員会で事例としては紹介しましたけれども、それこそ一〇%、二〇%の落札率で見れば、予定価格よりも下げている事例というのは、この間、少なからず存在しているわけです。
調達についてもそのことがいえると私は思うんですよね。先ほどの質疑でも、単年度で、共同購入などのやり方によって三億円のコスト縮減を図ったということが強調されました。これは私も繰り返し要求してきたことですから、そういう努力というものは当然のことだと思います。
実は、三億円のコスト縮減というのがどのぐらいの比率かということはわかりかねます。ただ、単年度で三億円ですからね。しかし、これは都立病院共同での三億円ですから、一病院に置きかえればそう大きな金額にならないかもしれません。
しかし、内訳で見ますと、診療材料について見ると、一五%を共同購入の努力をした。その結果、決算ベースで十二億九千四百万円、その中のコスト縮減効果というものは、一億六千八百万円だったということが事前にいただいた資料でわかりました。これを私なりに計算すると、診療材料の共同購入によるコスト縮減率は、約一〇%程度ということになると思うんですね。
こういうことを見ても、別にPFIにしなくたって、東京都が努力するだけで十分できる。しかも、そのことはSPCの構成員になっている麻生グループの麻生氏が発表されている著作の中でも彼は、書いているんです。
どういうことをいっているかといえば、こういっています。大きな赤字を出し続けている公立病院が、公的病院がどうしてスケールメリットを使わないのかということは、民間から見れば考えられないことですというふうに述べて、共同購入によって、現在の診療材料の二割程度は下げることができるというふうに彼はいっています。もちろん、それがどれだけ正確かは検討する必要があるかもしませんけれども。
こういうことが指摘をされているわけですよね。したがって、VFM四・三%ということだけを強調してコスト縮減ということは、私は判断としては極めて不正確だと思います。
しかも、先ほども話がありましたが、四・三%がなぜ生み出されるのか。なぜ六十億円のコスト縮減になるのかということは、いろんな資料を見てもわかりません。
これも厚生委員会で繰り返しいってきましたけれども、私が厚生委員会で指摘をして以降、ガイドラインというものがその後改定されたわけですね、ことし七月に。そのガイドラインでははっきりと発表のフレームが示されて、少なくとも落札以降ならば、この様式でなぜVFMが生まれるかについて、透明性、客観性を確保しなさいということが書かれているわけですよ。
しかも、ことしの第一回定例会厚生委員会で、これは私への答弁だけではなく、自民党議員の質問に対する答弁でも、がん・感染症医療センターの場合、SPCが想定した金額が提示をされました。
例えば、医療機器の調達を含む施設整備費としては二百六十億円程度、次に医薬品費、診療材料費としては九百二十億円程度、そしてその他委託料としては六百八十億円程度、これがその総価として打ち出された金額の契約上の内訳であるということをご答弁されましたよね。
そしたら、それぞれについて東京都が直接行った場合、SPCじゃなくてPSCというんですか、ちょっと横文字はわかりませんけども。これはそれぞれ示すことができるんじゃないですか、今の項目に沿って。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 VFMについてでございますが、まず委員からお話のございましたガイドラインについてでございますが、ガイドライン、先ほどお話がございましたが、平成二十年、ことしの七月十五日に一部改定されております。参考までに読み上げさせていただきますが、VFMをどの程度まで詳細に公表すべきかは、事業規模や事業類型等によって異なるものであり、公共施設等の管理者等がみずからの責任において判断すべきであるというふうに述べられております。
また、先ほど前回の議会での委員会での質疑の中で、SPCが想定しているそれぞれ施設整備、診療材料費、委託料についての金額のお話もございましたが、そのとき、あわせて私どもの公表させていただいております入札説明書において、東京都が、参考価格ということではございますが、予定総額のうち、医薬品、診療材料等の調達費は約九百七十億円、維持管理費及び運営費は六百二十億円となっている。また医療機器を含む施設整備は二百七十億円ということで、参考価格については具体的な数字を挙げて示させていただいているところでございます。
○吉田委員 その参考価格なんですが、紛らわしいんですけれども、それはPFIで進めた場合の参考価格を提示されたわけでしょう。東京都が直で行った場合にはこれだけかかるという対比ができるものとしては、私は示されていなかったんだと思うんですよ。いや、それが参考価格ですよというならば、都直営の参考価格だということならば、じゃ、それを単純に比較すればいいわけですか。ちょっとそこだけ簡潔にお答えください。時間がありませんから。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 あくまで参考価格というものでございまして……
○吉田委員 都の直営なのか、PFIを前提とした参考価格なのかを聞いているんですよ。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIを前提とした参考価格でございます。
○吉田委員 それでは比較ができないわけですよ。PFIをした場合にはこれぐらいの金額になりますよということを出すんだったら、同じ項目で、都が直接行った場合だったら、このぐらいの金額になりますよということを項目別に出して、そしてその落札者が出した内訳を比較して、こういう理由で六十億円のコスト縮減になるんですよということを示さない限りは、私は、幾ら四・三%といっても、だれも確信を持って納得することはできないと思うんです。
もちろん、基本的には個々の自治体の判断にゆだねられますけれども、総務省がガイドラインを出したのは、VFMということについて何よりも透明性が確保されるべきだということが大前提としてあると思うんですよね。それはやはり、さまざま部分的な理由があったとしても、東京都としてそれに沿う努力をするということが改めて求められていると思うんです。
さらに、次の項目を質問いたしますけれども、PFI事業をすることによって、一部コストが減る面もあるかもしれません。しかし、逆に、都が直接行うよりもはるかにコストが上がる、かかるという問題についても、きちんと着目して検討することが求められていると思うんですね。
例えば、その一例が何かといえばコンサルです。これはもう厚生委員会で繰り返しいってまいりましたけれども、PFI事業というのは非常に複雑な作業のためかどうかわかりませんが、私は、優秀な皆さん方がやればいいと思うんですけれども、コンサルタントを使って初めから進めてます。
がん・感染症医療センターの場合では、既にコンサルに払った経費は四億四千七百万円、これからもコンサルを使うというふうにいわれています。年間当たり平均で計算すると、七千四百万円がコンサルへの支払いでした、この数年間。これを例えば今後、同じような金額で払うということになると、それだけでも二十億円近いコンサル料を払うのかということになります。例えばですけれども。そうすると、VFM六十億円の三分の一近くがコンサル料になりかねない。PFIをしなければこんな支払いは要らないわけですよ。
もう一つ、これは質問なんですけれども、このSPCを入れることによって負担増が避けられないということです。例えば、当然一定の利益を確保し、配当金を払うことが企業として求められます。
さらに、入札参加のための経費というのは極めて膨大なものだということがいわれていますし、そのためにSPCを法人として新たに立ち上げなければなりません。事務所経費も必要です。公租公課、税の支払いもあります。こうしたものが当然SPCのコストの中には入るわけですよね。
こういうもの全体でどの程度というふうに認識されているんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFI事業におきましては、SPCみずからが行う統括マネジメント業務に係る対価として、法人税等の経費がございます。
そもそもPFI事業契約は、SPCの活動も含めた総価による契約でございまして、業務ごとの内訳を固定しないことで医療環境の変化に柔軟に対応する制度でございまして、その内訳についてはお示しするものではないというふうに考えております。
なお、SPCの活動に要する経費も含めた総価によってVFMが出ているということでございます。
○吉田委員 問題は、その総価の中にSPC固有の費用がどれだけ入っているのか。当然入っているわけですから、そうすると、どこかにその費用を生み出すためにしわ寄せが生まれるわけですよね。それだったら、そんなことをしない方がはるかに直接的なコスト縮減に結びつく、あるいはサービスに結びつくという関係になると思うんですよ。
実は、委員会でも一度紹介したことがありますが、今回改めて質疑をするために調べてみましたら、伊関友伸さんという方が、「まちの病院がなくなる!? 地域医療の崩壊と再生」という本を出版されています。
その中に、高知医療センターに対して情報開示で入手をした内訳書というものを一表で紹介しています。そこでは、例えばSPC諸費として六十八億円余、固定資産税六億円余、法人税二十四億円余、配当金ですよ、企業ですから、三十三億円余とちゃんと書いてあるんですよ、内訳書の中に、契約の中に。これを合計すると百三十二億円余なんですよ。
契約金の総額が、高知の場合たしか二千億程度だと思うんですけれども、それだけで全体の七%近くがSPCのさまざまな固有のコストとして必要になってくるわけですよ。
そういう点で見れば、これはきちんと明らかにしない限り、真にコスト縮減に結びつくのか。あるいはコスト縮減やサービスの向上に結びつくお金が、SPCの利益やその関連経費のために使われるという、何のための負担なのかということになりかねないわけですね。
いや、そんなもうけ本位でやっているわけじゃないよというふうにいわれるかもしれませんけども、私は、企業というものの本来的な性格であり、三菱商事からすれば、当然このPFIに参画することによって新たな利益の拡大を図るというのは当然のことだと思うんです、企業的に見れば。
しかも、三菱商事は、医療周辺分野を新たな事業展開として重点事業に位置づけたんですよ。三菱商事は二〇〇六年末の経営戦略会議で、全社を挙げて取り組んでいく新たな重点分野として、金融、新エネルギー、そして医療周辺の三分野を挙げたんですね。二〇〇七年の社長あいさつでもそのことが明確に述べられています。
しかも、三菱商事は、商事会社だから当たり前かもしれませんけれども、医療機器の調達支援という分野でいえばアプリシア、医療材料調達ならば日本ホスピタル、経営支援ならメディカル・データ・ビジョン、給食ならオックス、売店ならローソン、調剤薬局ならクオールという関連会社を全部持っているわけですね。
したがって、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、今、調達だとか委託事業、それぞれ東京都が直接発注していますけれども、三菱系がすべて独占できるわけですよ。東京都が直の場合には、全部入札で競争によって相手を選びますね。しかし、SPCにゆだねられた場合には、SPCは調達をする必要はないわけですよ。自分が好き勝手な方向で、随意でもいいし、競争でもいいし。
したがって、三菱が三菱商事系の企業に全部発注、調達をするということだって可能になるんですよ。
そういうことから見ても、私はこの制度は疑問になると思うんですが、例えばの話ですよ、調達なり委託が三菱商事系によって全部独占されるというふうなこともあり得ると思うんですが、それでも何ら問題ないという判断なんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 PFIをそもそも導入した目的の一つとしましては、都と民間の協働による事業運営の効率化及びサービス水準の向上というものがございます。
先ほど来からVFMにつきまして議論させていただいておりますが、財政負担の縮減もその大きな目的の一つでございますが、やはり事業運営の効率化、サービス水準の向上というものがまた大きな目的の柱となっております。
なお、ご質問のありました協力企業の選定につきましては、SPCの判断によって行われるものであるというふうに認識しております。
○吉田委員 答弁として、私への答弁に、明確な形でお答えいただいたかなという疑問があるんですが、私は、状況としては、三菱がすべて独占するということも全くあり得ないことではないと思うんですよね。それも長期なわけですよ。十数年、二十年近くにわたって。これは極めて異常な事態だと思うんですね。
時間も来てますから、結論的に、私、要約してあと二つ聞きます。それで終わりますからね。
二つは、これもかなり圧縮するんですけども、一つは、SPCは、代表が、がん・感染症医療センターの場合には三菱商事ですよね。さらに、病院にかかわるということで麻生グループが参加をするというご説明がありましたよね。
ところが、三菱商事についていえば、最近の報道で、豚肉の差額関税を悪用して四十二億円脱税といえるような行為が行われて、東京税関から、加算税を含めて約四十五億円もの追徴課税を受けるということが報道されました。
また、驚いたことに、昨日の新聞夕刊では、この麻生グループ、九州新幹線の高架に、欠陥材を知っていながら販売したということが報道の限りでは伝えられております。
こういうことが行われている企業が都立病院のSPCの中心を担うということが何ら問われないのかということが疑問として起きるんですが、いかがでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 今回のPFI事業の事業契約書の第二条におきまして、事業者は本契約入札説明書及び事業者提案に従い、日本国の法令を遵守して本事業を行うとしておりまして、法令遵守、コンプライアンスの規定を定めております。
この法令遵守、コンプライアンスと申しますのは、最も重要な事項であるというふうに認識しておりまして、私どもが行うチェック、モニタリングの主要な事項でございまして、これら法令の遵守はなされるものと考えております。
○吉田委員 私は、一たん契約が過ぎたとしても、その後このような事態が明らかになれば、そのこと自身が問われないで不問に付されるなどということがあってはならないと思うんですよね。それは今後のためにもその点を強調しておきたいと思います。
最後に質問しておきたいのは、がん・感染症医療センター、国の指定も受けるということで、オペ室、内視鏡室あるいは外来治療室などの拡充が行われるということが既に発表されております。それ自身は重要なことだと思うんです。
先ほど来、PFI事業によって患者サービスが向上されるかのようなお話がありましたけれども、私は、患者サービスを向上するというならば、このような機能を拡充することとあわせて、それに当たる職員体制を厚くするということが、真に直接的な患者サービスの向上だと思うんですね。
逆に、PFI事業をすることによって、SPCが東京都と委託業者の間に入るというのは大変な混乱を招くということも、いろいろ調べたんですが、それは時間の関係で省略しますけれども、その点でいえば、例えば外来治療センターというものはどういうことを行うかといえば、抗がん剤治療を行っている方々の窓口というか、医療をする場所なんだそうですね。抗がん剤治療というのは非常にリスクがあって、例えば抗がん剤によるショックが発生するだとかいう問題もあります。また、内視鏡室の場合には、ただのぞくだけではなく、そこでかなり手術的な行為ももう既に行われるというふうにも聞いております。
そういうことになると、そういう分野を拡充するんだったら、それにふさわしい人員体制の強化ということが一体不可分の関係ではないかと思うんですが、その点どのように考えているのか。全体のがん・感染症医療センターの定数をどのように考えているかということも含めて、ご答弁お願いいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 がん・感染症医療センターにおきましては、手術室の拡充、外来治療センターの拡充、緩和ケア専門病棟の整備等、医療機能の向上を図ることとしておりますが、改修後の医療機能の拡充に応じた必要な体制を確保してまいります。
○吉田委員 終わります。
○西崎委員 私からは、都立病院の平成十九年度における周産期医療の実績等について伺います。
質問に先立ちまして、各委員からも述べられましたが、先日亡くなられましたご本人並びにご家族への、心から哀悼の意を表するものです。
二度とこのような痛ましいことが起こらないためにも、いま一度東京における周産期医療体制について検証する意味で何点か質問いたします。
現在、都内の周産期医療を取り巻く現状は、出生数は減少していても、高齢出産、不妊治療などによりまして、低出生体重児が増加しております。それによって高度な周産期医療が求められています。
さらに、ハイリスク妊娠の増加によりまして、NICUの満床が常態化しています。このために救急医療などで妊婦や新生児の救急困難な状況が続いています。
都はこれまで、NICU二百床の整備を目標に周産期母子医療センターの整備を推進し、平成十九年度現在で、周産期母子センター二十二施設、NICU百九十五床まで整備が進んだと説明を受けています。
地域では、小児科、産科を標榜する医療機関は減少しており、社会問題になっている状況下で、地域の中核を担う周産期母子医療センターを担っている都立病院の役割は重要になってくると思います。
そこで、まず、平成十九年度における都立病院の周産期母子医療センターの整備状況と、平成二十年一月に策定され、公表された第二次都立病院改革実行プログラムで示している今後の方向性について伺います。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院の周産期母子医療センターについてでございますが、まず、平成十九年度におきます都立病院の周産期母子医療センターの整備状況は、総合周産期母子医療センターには墨東病院が指定をされておりますが、M-FICUを九床、NICUを十二床有しております。
また、地域周産期母子医療センターに指定されておりますのは、大塚病院でNICUが十二床、清瀬小児病院でNICUが六床、八王子小児病院でNICU九床となっております。
続きまして、第二次都立病院改革実行プログラムで示しました今後の方向性としましては、大塚病院にM-FICUを六床新設、NICUを三床増設しまして総合周産期母子医療センターとして整備するとともに、墨東病院にもNICU三床を増設する予定でございます。
また、清瀬小児病院と八王子小児病院と梅ケ丘病院を移転、統合して整備いたします仮称小児総合医療センターでは、NICUを二十四床整備して、M-FICU九床を整備する多摩総合医療センターと一体となりまして、総合周産期母子医療センターとしていく予定でございます。
○西崎委員 今のお話ですと、NICUの病床数では、都内施設で百九十五床あるうちの四十五床を都立病院で占めている。割合としては約二三%ぐらいになるのでしょうか。それだけ都立病院の周産期センターの役割は大きいといえます。
平成二十年三月に東京都周産期医療協議会は、東京都における周産期医療体制について都に提言を出しています。この協議会のメンバーには都立墨東病院周産期センター部長、民間の大学病院の医療機関の関係者、さらには東京都の福祉保健局、病院経営本部の部長が入られ、検討されてきました。
この提言を読みますと、今の東京の課題がすべて書かれており、周産期母子医療センターの機能強化、周産期センターや大学病院、国立医療センターなどの三次医療機関を基幹病院と位置づけ、ハイリスクの妊婦、新生児への高度医療の提供、二十四時間体制の救急救命医療、搬送体制の改善が求められています。
提言が出され、ガイドラインが策定され半年経過いたしました今月に、緊急を要する妊婦が七つの病院に受け入れを断られ、搬送に時間がかかり、脳内出血を起こし、三日後に亡くなるということがありました。
このことは、東京の課題は関係者は認識しても、医療のネットワークが機能せず、解決に向けた取り組みが進んでいなかったということではないでしょうか。
地域における一次から三次までの連続した周産期医療の提供を行うためには、地域における診療所や病院との連携が不可欠です。これはいうまでもないと思います。
そこで、都立病院において、周産期医療についてこれまでどのような医療連携を行ってきたのか伺います。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 周産期医療におきます連携についてでございますが、都立病院ではこれまでも地域の医療機関と連携しまして、周産期母子医療センターである大塚病院や墨東病院では多くの母体搬送などを地域の医療機関から受け入れておりまして、平成十九年度におきましては、大塚病院で百九十九件、墨東病院でも百九十九件の母体搬送を受け入れております。
また、広尾病院や府中病院においても、ミドルリスクの妊婦の積極的な受け入れを行ってきたところでございます。
○西崎委員 産科において、地域の医療機関との連携により多くのリスクを持つ妊婦の受け入れを行っているということでしたけれども、それであるなら、もっと手厚い職員体制や二十四時間三百六十五日いつでも対応できる体制整備が必要であったと思います。それができなかったのは、単なる医師不足の問題なのでしょうか。私は行政の責任も大きいと思います。
今回妊産婦の救急搬送を断った民間の医療機関の中に、新生児のNICU、GCUがいっぱいであったことから搬送を断るという病院もありましたが、都立の大塚病院や墨東病院では、出産した後、どのくらいの新生児がNICU、GCUに入院しているのか、またNICUの病床利用率はどのくらいになっているのか、伺います。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 新生児のNICU、GCUへの入院についてでございますが、平成十九年度の実績で見ますと、大塚病院では、分娩件数千十五件のうち二百十人がNICU、GCUに入院しております。また、墨東病院では正常分娩の予約を休止していたという事情もございますが、分娩件数四百三十八件のうち二百七十七人がNICU、GCUに入院しております。
NICUの病床利用率につきましては、両病院ともほぼ一〇〇%となっているところでございます。
○西崎委員 常にNICUの病床利用率は一〇〇%ということで、常に満杯で、都立病院においてもそういう状況が続いているということなんですけれども、NICUの病床の不足の要因の一つに、周産期センターなどの長期入院患児の存在が指摘されています。
東京都の周産期医療協議会の報告では、平成十九年度三月一日現在、NICU、GCUのほかに小児病棟に八十二人いるとされています。限られた医療資源であるNICUを最大限有効活用していくためには、入り口である母体搬送の連携も重要でありますけれども、NICUから退院した後の連携が特に重要になるのではないでしょうか。
都立病院では、NICUに入院して長期入院となっている患者はどのくらいいるのか、またNICUにおける長期入院患者は、呼吸器障害など慢性疾患などに関連した医療的処置を引き続き必要とする場合が多いために、退院に当たっては、保健、医療、福祉の連携のもとに、在宅療育支援計画の作成、あるいは保護者への支援が必要になると思いますけれども、どのように取り組んできているのかお聞かせください。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 NICUに長期間入院されています患児さん、またその在宅移行についての支援についてでございますが、まず、都立病院においてNICUに入院し、その後九十日以上の長期入院となっていた患児さんは、平成十九年三月一日の調査では二十一人となっております。
また、退院に向けた支援でございますが、例えば墨東病院におきましては、NICU、GCUに入院している患児の母親の皆様を対象に、育児サポートネットワークを院内に設置しまして、退院された親御さんと成長された子どもさんが集まりまして、入院中の子どもさんを持たれている母親の皆様たちとの話し合いの場を設けております。
また、八王子小児病院ではファミリーケアパスを作成しまして、育児指導、退院指導を計画的に行っているところでございます。
さらに、各病院の医療相談室ではご家族に対する退院相談、援助を行っておりますほか、退院後のフォローアップ外来なども設置させていただいているところでございます。
○西崎委員 都立病院においても、NICUで長期入院となっている方が二十一人いるということですけれども、なかなか在宅へ戻れない理由としては、呼吸器障害など医療的なサポートが必要な慢性疾患を持つ患者が多いということも理由の一つに考えられるのではないかと思います。
生活者ネットワークでは、この夏、長野県立こども病院を視察しました。長野県では、大学病院で働いていた医師が長野県の地域で診療所を開業することもありまして、一次医療から三次医療の連携が進んでおります。長野県立こども病院から地域に出向いていって、診療所や病院の低出生体重児への対応や研修を行っており、信州モデルのプログラムまで作成されています。
今回の視察を通して指摘されましたことは、周産期医療において、NICUの箱物を用意するだけではなく、地域における在宅医療を支援するシステムの構築がこの東京にも必要だということです。
これは都立病院だけの問題でないとは思いますが、民間医療機関との連携、都全体として取り組むべき課題です。その中で、さらに都立病院は積極的な関与が求められていると思います。周産期のネットワークグループの構築とともに、地域の保健、医療、福祉の各関係機関との連携を強化することを要望しておきます。
次に、都立病院の医師確保対策についてですが、これについてはもう各委員触れていますので、一点だけ確認の意味で質問をしたいと思います。
全国的な医師不足は依然として続いておりまして、医師確保対策は喫緊の課題です。これはいうまでもないと思います。特に女性医師の割合が増加傾向にあり、医師国家試験合格者の三人に一人が女性、全医師の六人に一人が女性という現状の中で、産科医、小児科医にも女性が多いと聞いています。そのためには、女性医師の仕事と育児の両立支援を推進していくことが必要です。都立病院における女性医師の割合について、過去三年間の推移についてお聞かせください。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院における女性医師の割合の過去三カ年の推移についてでございますが、都立病院の常勤の女性医師の割合は、各年度とも十月一日時点の状況でございますが、平成十七年度は医師総数八百八十五人に対して百八十六人で二一・〇%、平成十八年度は医師総数八百十一人に対しまして百七十六人で二一・七%、平成十九年度は医師総数八百八人に対しまして百八十六人で二三・〇%となっておりまして、年々女性医師の割合は上昇してきているところでございます。
○西崎委員 都立病院においても、全国のデータを上回る女性医師が従事しているようですけれども、この春、厚生委員会で視察しました大阪の厚生年金病院では、子育て世代の職員に対して、当直の免除や柔軟な勤務体制、院内保育に加えて、チーム医療を行うことで一人の医師にかかる負担を軽減していまして、女性医師にとっても働きやすい病院として全国的にも有名になっています。
東京都の取り組みは、ほかの委員からも質疑がありましたので、あえて質問しませんけれども、東京都でもさまざまなことは取り組んでいますけれども、私はここでチーム医療ということが非常に重要ではないかと思います。長野県立こども病院でも、専門医療ではなく、総合的に取り組むチーム医療に取り組んでいました。
今、周産期にかかわる産科あるいは小児科の医師が訴えられたり、あるいは一人にかかる負担も重くなっていく中で、こういったチームで医療を見ていく体制というのはこれからの課題だと思います。ぜひこういったものにも東京都は積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。
○大津委員 病院経営本部は、渋谷区にもあります都立広尾病院を初め、十一病院を所管し、三百六十五日二十四時間の安全と患者中心の医療の実現を目指して都立病院改革を推進してまいりました。
このたびお亡くなりになりました方とそのご遺族につきましては、心からお悔やみを申し上げたいと思います。都民の命を守るべく、本日もたくさんの委員の方々から質問が出ましたが、そういった意見を即座に反映をしながら、一丸となって、きょうからでもそういう悲しいことが起きないように、今後、万全の体制を早急にとっていただきたいとお願いをしておきます。
あしたがまたその土曜日に当たりますけれども、先ほどご答弁の中で、二人体制にという答弁もちょうだいをいたしました。できれば今週末からそういった体制をとっていただきたい。仮にあした一人ならば、重症、緊急かつ即座に対応のできる医師と環境整備を早速お願いをしたいと思います。
今後万全の体制をとるという上で、私はきょうは、十九年度の決算につきましては、都立病院改革の事業計画、都立病院改革実行プログラムの都立病院の再編整備、これを進める中で、病院が持っております土地や立木、つまり樹林、緑等の資産の有効活用について質問をさせていただきます。
まず、病院の土地や建物等の有形固定資産の状況というのはどのようになっているのか、また、平成十九年度に新たに増加した財産について、お伺いをいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 土地、建物等の有形固定資産についてでございますが、都立病院の主な有形固定資産は、十一病院の土地、立木、病棟や職員宿舎などの建物、高額な医療機器等でございます。
平成十九年度決算における主な有形固定資産は、土地が十七億三千五百七十八万円余、立木が二億二千八百三十五万円余、建物が八百八十九億一千七百五万余円でありまして、有形固定資産の合計は一千二百七億九千八百七十四万余円でございます。
平成十九年度に新たに増加した財産は、改修工事等によります建物設備やMRI等の医療機械でございます。
○大津委員 以上を踏まえた上で、立木、木ですね、固定資産約二億三千万を管理しているんですけれども、この点にちょっと注目をしたいと思います。
現在、都立病院全体が管理している立木とはどのようなものをいうのか、概要を教えてください。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 現在都立病院が管理しております立木についてでございますが、まず、立木とは、取得時に地上高一・二メートルの位置における幹の周囲が三十センチを超える樹木のことであるという定義をされております。
都立病院の敷地の中には、この立木としまして、桜、松、ケヤキなどさまざまな樹木がございます。例えば先ほどお話がございました広尾病院には、四十本のソメイヨシノや二十一本のケヤキがございまして、また都立病院全体では、約八千六百本の樹木を管理しているところでございます。
○大津委員 都立病院の敷地の中の樹木というのは、患者さんや地域住民の心をいやし、緑の環境保全に貢献をしてきました、大きな都民、都の貴重な財産でもあります。首都東京の緑の役割というのは、都市の防災やヒートアイランド対策など、大きく効果が期待されるところであります。
一方、全庁的に見れば、「十年後の東京」ビジョンでは、地球温暖化ストップ、そして水と緑の回廊で包まれた美しい東京づくりを進め、二〇二〇年までにCO2を二五%削減という目標を画期的にことし立ち上げました。そして、屋上緑化や壁面緑化、校庭芝生化、緑の東京募金、そして、風を呼び込むグリーンロードネットワークの形成等、真剣な取り組みが始まっております。
実は昨年、檜原村の大滝の路という、これは東京で初めて森林セラピーロードに認定をされました。この大滝の路というのは、森林の持ついやす効果を科学的、医学的に解明をして、人々の心と体の健康維持増進を図ることのできる森ということで、片道二十分のコースがあります。ここを歩きますと、実際に血圧が下がる等、さまざまな医学的見地からも効果があることが認定をされております。
しかし、体調の悪い方には、都庁からですと車で約二時間近くかかるために、もっともっと身近に、しかも医療施設内にこういったミニセラピーロードがあってもいいのではないかと考えます。規模は小さくてもいいので、セラピー効果のある森と道は、都立病院に今ある木を利用して、少し整備をするだけで実現することができるはずです。回復期の患者さんには緑や森林の効果がありますし、そして、自然、医療の相乗効果のある都心に森を持つ病院、こういうのがもっとできてもいいかと考えております。
東京が緑あふれる都市になるためにも、都立公園や都立庭園と、さまざまなところを回廊でつなげていきますけれども、こうした病院を中心とした新たな緑づくりに東京全体で取り組む必要があると考えます。都立病院における今後の緑化の推進について、お伺いをいたします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院における緑化の推進についてでございますが、緑あふれる東京の実現を推進していくため、都立病院ではすき間や空間をも有効に活用しまして、緑の創出に努めているところでございます。
再編整備に伴いまして、新たに整備する病院におきましては、患者さんが自由に散策できる庭園の設置や屋上緑化などを進めているところでございます。
具体例を申し上げますと、平成二十二年三月に開設予定をしております、仮称でございますが、多摩総合医療センターと小児総合医療センターでは、森のホスピタルをコンセプトとしております。周辺の森との調和を図るとともに、多摩メディカル・キャンパス内に新たな緑のいやし空間である庭園をつくるなどしまして、患者さんや地域住民の皆様に潤いと安らぎを提供することとしております。
○大津委員 今後も緑を配置、充実されていくというご答弁を聞きまして、大変心強く感じます。
ところで、現在、病院経営本部が進めていられます都立病院の再編整備では、病院の移転、統合により、清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院の三つの病院を閉院すると聞いておりますし、きょうの委員会でも話が出ました。
この病院の立木の内訳を見ますと、清瀬小児病院では松が二百七十一本、ソメイヨシノ六十七本、サワラ四十六本、エゴノキ二十八本、梅十三本、そのほか五十五本の四百八十本を誇っております。また、松は療養にもいいとよくいわれております。梅ケ丘病院は合計二百六本のうち、ソメイヨシノ六十三本、梅三十九本を誇っております。八王子小児病院はケヤキが二本という少な目ではありますけれども、三病院合計し、帳簿価格は約八百万円となります。
例えば閉院後、そこで長年育ちました立木というのは、少し整備をすれば良好ないやし空間となりますので、ぜひ残して活用をすべきと考えます。貴重な財産を例えば売却してしまい、長年大切に育てた樹木が全部伐採をされ、高層ビルばかりが建つような、そんなまちになるよりも、ここに命と健康を守る都立病院の土地があったんだという、そういった縁を、病院がなくなった後もぜひ次の所有者に緑にかえて引き継ぎまして、その跡地を都民の健康づくりや地域のために使える、そんな土地にしてほしいと願います。
そこで、再編整備後の病院跡地の活用について、病院経営本部の考えをお伺いします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 再編整備後の病院跡地の活用についてでございますが、公営企業会計で経理しております病院経営本部としましては、病院の跡地は貴重な財産になるというふうに認識しております。跡地につきましては、地元区市の意向を伺いながら、財務局その他関係各局とも調整、連携し、その活用について検討を進めていくことが重要であるというふうに考えてございます。
○大津委員 病院経営本部が病院跡地の活用について、地元の意見や他局とも連携しながら進めていく答弁につきましてはうれしく、期待を申し上げたいと思います。
病院という都民にとってなくてはならない存在の跡地を、都民の命と健康のための有効活用をすることが都民の願いであると考えます。病院は命を守る施設であると同時に、資産としての緑は患者や周辺地域や都民にとってもセラピーの影響を与えることができます。病院の中にある樹木を活用して、既にある立木という財産を最大限にその効果を発揮してほしいのです。
小さいけれども、そんなセラピーロードを病院の中につくることは、例えば都庁内にたくさん造園専門家の方もおられますので、そうした専門の意見も取り入れ、少し整備すれば十分可能なものであります。そういうことはつまり、帳簿価格では立木が約二・三億の資産となっておりますけれども、有形無形の帳簿価格以上の価値を生むことのできる可能性のある資産であると、大きな価値を生む資産ということになると考えております。
この視点から病院を再評価、またセラピー効果のある良質で上等な緑をふやす空間、強いていえば、病院は、医療にも地域にも環境にもCO2にも貢献している施設であるということになってくるはずです。
最後に、本部長の有形無形の価値を生む病院について今後の抱負と決意を一言伺いまして、質問を終えたいと思います。
○中井病院経営本部長 病院の再編整備後の跡地の活用についてでございますが、いうまでもないことでございますが、跡地は、都にとっても、またその地域にとっても貴重な財産でございます。その財産をいかに有効に活用するかということにつきましては、それぞれの跡地の立地条件、また地域のニーズなどを十分に勘案していく必要があるわけでございます。
その過程では、地域の方々や地元の自治体、その他関係者の意見を十分に聞く必要もございますし、将来の東京都の構想というものについても考えを及ぼしていく必要があるわけでございます。また、先生ご指摘の緑、そういった環境面についても配慮を欠かさないようにしていく必要もあろうかというふうに考えております。
いずれにいたしましても、跡地の利用につきましては、多くの関係者、そして多くの選択肢があるわけでございまして、地元区市など関係者の意向、意見を十分に伺いながら、また庁内の関係部署との調整、連携を密に行いながら検討していきたいというふうに考えております。
○松村委員 提出していただいた要求資料二ページ、三ページに出ておりますけれども、都立病院事業補助が、平成十八年度までは、一般会計繰入金、これは減り続ける傾向にあると思いますけれども、本決算年度、平成十九年度は三十五億円、前年度に比べてふえていますが、どういう要因によるものでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 平成十九年度決算におきます一般会計繰入金についてでございますが、まず一般会計繰入金は、救急医療、周産期医療、小児医療などの不採算性の高い医療等に対して繰り入れることになっておりまして、増加した要因は、この繰り入れ対象事項の支出が増加したことによるものでございます。
なお、十九年度決算では、主に、診療報酬の三回連続のマイナス改定や特定診療科におきます医師不足の影響により収入が減少し、その一方で、祝日直手当の増額等、医師の処遇改善の実施や退職手当の増加などの影響により支出が増加したものでございます。
○松村委員 国の診療報酬の影響とか、不採算医療の繰り入れ対象がふえたことなどを挙げられておりますけれども、石原知事のこの間二度にわたる財政再建推進プランがやられてきました。経常経費削減がいわば至上命題になって、大幅に削減され続け、この財政再建推進プランは十八年度で終了しましたけれども、こういうプランによって病院事業補助も減りに減り続けて、もはや限界ということで、本決算年度は三十五億円余ふやさざるを得なかったというのが、私、正直、その実態というか実情なのではないかというふうに指摘せざるを得ません。
そこで伺いますけれども、財政再建推進プランが始まった九九年度、平成十一年度の病院会計の都の補助金は幾らで、それが、第二次財政再建推進プランの終了年度、この平成十八年度ですけれども、どうなりましたか。幾ら削減されてきたのでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 財政再建推進プランでは、施策の見直し、再構築を進める中で、経常経費を平成十五年度までに一般財源ベースで十一年度予算額の二〇%削減することを目標として経費の圧縮に取り組む、これが第一次プランの趣旨でございます。
ご質問のありました十一年度につきましては五百八億、第二次のプランの最終年度でございます十八年度は三百三十九億円でございまして、これを十一年度と比較しますと、百六十九億円の減少となっております。
○松村委員 もしそういう不採算医療を担うような都立病院の補助金が減らされたら一体どうなるかということを、今ここに速記録を持ってきているんですけれども、平成十三年の平成十一年度決算をやった委員会でも、当時私の地元の区医師会長が、本当に涙ながらに新年会の席上で、都立大塚病院を病診連携ということで見てきたけれども、妊娠六カ月の四百グラムの子どもが何とか育つようになったと。こういった医療にはべらぼうな不採算の医療費がかかり、そういった実態を見てまいりますと、本当に命を大事にしているということを痛感いたしましたと。それで、石原知事が五百億円もの、今の都立病院の補助を百億円も減らすという話を聞いて、どうぞ、石原知事やきょうここに来ている国会議員の先生方、都議会議員の先生方、あの大塚の新生児室を見ていただいて、いかに医療現場が努力しているか、それによってどれだけのお子さんがこの世に生を受け、立派に成長し、それによって人間の幸福も得られるんだということの実態を見て、本当にその補助金が減らせるのかどうか、この問題について考えていただきたいというので、みんな胸を打たれたことを紹介し、当時そういう削減計画はやめるべきだと。
確かに財政再建が出されておりましたけれども、私は当時、財政委員会の委員もやっておりましたが、財務局にただしても、全体で終了した事業だとかいろいろあると。そういうことの努力の積み重ねで、全体として減らすんだから、例えば都立病院の補助を一律毎年二〇%も減らすなどという、そういう指針ではないということを、私は財政委員会の場からでも確認しながらただしたわけですけれども、残念ながら当時の衛生局幹部は、石原知事に忠実に従って、都立病院への補助を減らし続けてきたというのが、私はこの間の本当に経過だというふうに思います。
さらに、都立病院改革会議の議論の中では、都立病院の院長が小児医療における都立病院の必要性を訴えていたのに、出された都立病院改革マスタープランによって、母子保健院が廃止され、大久保病院、多摩老人医療センター、荏原病院が公社化され、さらに今後、豊島病院の公社移管、清瀬、八王子、梅ケ丘病院の統廃合を行おうとしています。
しかし、今日改めて私、この財政再建推進プランがやってきたこと、毎年三千億円の税収不足で、このままいったら都は赤字団体に転落するなどと、本当に都民をおどかすようにして都民サービスの切り捨てを行ってきましたけれども、結果は、都税収入は大幅に伸び続け、今日、新銀行には一千四百億円もの浪費を行い、オリンピックの基金としては毎年一千億円もため込むような状態となって、今や基金は史上空前にまで膨れ上がっているではありませんか。
経営の効率化、資源の有効活用ということを病院経営本部もうたって、確かに現場はそういうしわ寄せの中で努力しておりますけれども、しかし、やはり財政再建の観点でしか取り組んできていなかったということは、私は今になってみれば明らかになってきているというふうに思います。
その結果、都立病院の役割が、一般医療機関では対応が困難な行政医療や不採算医療、高度専門医療を適正に提供するという本来の役割が果たせなくなってきているところまできているんじゃないか、こういう点をどう総括しておられるのか。先ほど来、産科、周産期医療の大問題が取り上げられてきましたが、この教訓からも、私は改めて、小児病院の統廃合計画、これはもう誤りになる、今こそ本来の都立病院のあり方に立ち戻るべきだというふうに思いますけれども、この点についてご答弁いただきます。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院は、その役割、使命としまして、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられました行政的医療を適正に都民に提供するとともに、他の医療機関との密接な連携を通じて、都における良好な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としておりまして、この都立病院の基本的役割に対する考えは現在も変わるところではございません。
現に、平成二十二年三月に三つの小児病院を統合しまして開設いたします小児総合医療センターにおきましては、例えば代表的な行政的医療であります小児救命救急とか周産期医療について申し上げますと、NICUにつきましては、現在の清瀬小児病院、八王子小児病院と比較しまして九床増加いたします。また、小児のICUについては六床増加するところでございまして、行政的医療はますます充実していくものと考えております。
○松村委員 先ほど産科や周産期医療について、この間の経緯も含めて吉田委員の方からもただして明らかにし、今の小児病院の統廃合が持つ課題についても指摘しましたから、改めてここでは繰り返しませんけれども、やはりきちっと総括というか、今の現状に立った見直しを行わなければならないというふうに思うんです。
そこで、具体的に清瀬小児病院など幾つかの問題を伺いたいと思いますけれども、我が党は練馬区で医療アンケートを実施しました。二千九百通近い回答がありました。このアンケートの質問項目に、都立清瀬小児病院の統廃合や都立病院の縮小していく動きについて、このように聞いたところ、二千六百五十四通の集計段階で、この項目に対する未記入が二一・六%ありましたけれども、それを含めても反対の割合は五二・四%で、やむを得ないが七・五%、進めるべきは一・三%でした。
この質問の回答者の未記入、記入されてなかったというのを除けば、回答してきた方々の六六・八%が統廃合や縮小に反対しているということが明らかになってきたというふうに私は思うんですけれども、こういう都民の声をどう受けとめますか。小児病院などの統廃合について都民の意向を伺ったのでしょうか。もしそうでなければ、この時点に立っても都民の意向を調査すべきではありませんか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を統合しまして、心から体に至る高度専門的な医療を提供します小児総合医療センターを整備することは、限られた小児医療資源を最大限に有効活用しまして、都における小児医療の拠点として、都民の皆様に小児医療を提供していくものでございます。
なお、この移転統合につきましては、都民の代表でございます都議会の皆様、さらには地元の自治体、医師会等の関係機関等々、十分説明し、協議してきているところでございます。
○松村委員 都議会、関係自治体、それに医師会ということでしたけれども、肝心のというか、都民というか、利用する患者さんを含めた都民の声は聞いていないということが明らかですけれども、先ほどいった二千九百通近い回答の中での重みを受けていただきたいというふうに私は思いますし、特に、練馬区民が清瀬小児病院などの存続を強く望むのも--私の区なんですけれども、人口七十万人をこの四月で突破しました。ところが、区内の病床は全都平均の三分の一以下で、引き続き全都最低の状態に置かれています。
都立病院はもとより、三次の高度救急医療を担う医療施設もなく、専ら周辺の都立病院などに大きく頼っているんです。私も、関係する、特に小児のドクターなどにいろいろ今の練馬の置かれている小児救急などについて聞きましたけれども、我々が頑張れるのも、身近に清瀬小児があるとか、それから豊島病院とかそういう都立病院の存在があって、先ほどの医師会長もそうですけれども、そのバックアップというか、その支えがあるからこそ我々も頑張れるんだと。
先ほど、限られた資源、しかも拠点をつくるんだということでの統廃合でしょうけれども、実際現場で医療をやり、または、かかる患者さんの不安の気持ちを、本当にその重みといいますか、実態を受けとめてくれるのかというか、おられるのか。そういう練馬の置かれた配置状況、適切な配置ということが私は都立病院の担わなければならない役割だというふうに思いますけれども、ひとつこういう練馬の置かれた状況の認識についても伺っておきたいと思います。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 地域医療政策の問題につきましては、私ども病院経営本部はお答えする立場にはございませんが、都立病院を所管する病院経営本部の立場から申し上げますと、練馬区の属する区西北部保健医療圏には都立豊島病院と大塚病院がございまして、広域的に行政的医療を提供しているところでございます。
○松村委員 地元区も本当に必死になって、公的な役割を果たせる二次医療ということで、この間、挙げて努力しているわけです。さらにそれを支える東京都の役割、三次や高度救急医療という要望も非常に強いんですよね。このアンケートでもはっきり、第一の願いはそういう救急、高度、特に産科、小児科を望む声が圧倒的多数でした。だから、私たちも、都知事や、また練馬区長にも、そういう医療機関をつくることを求めて、練馬区も努力するということになっておりますけれども、そういうときにこの清瀬小児病院や、または豊島病院の公社化とかそういう動きを非常に憤りというか、違うんじゃないかと、医療関係者も含めて不安に思っているということをお伝えしておきたいというふうに思います。
それでは、清瀬の小児病院が果たしていた二次の小児の医療資源をこの地域ではどう確保する計画でしょうか。先ほどもちょっと質問がありまして、ダブることになるかもしれませんけれども、お答えいただきたいと思います。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 地域の二次医療機関のお尋ねでございますが、清瀬市が含まれます北多摩北部医療圏につきましては、多摩北部医療センターがございます。こちらに小児科を設置しているところでございますが、この多摩北部医療センターの小児科をなお一層充実させまして、二次医療を担う機能を充実させていきたいというふうに考えております。
○松村委員 多摩北部医療センターの現在の小児科医師の定数と、それから本決算年度の現員はどうなっているんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターの小児科の常勤の医師の数につきましては、十九年度と二十年度では異なっておりますが、昨年度は常勤医師が二名、また三名の時期が両方ございました。現在は常勤医師は二名となっております。
○松村委員 先ほどもありましたけれども、多摩北部医療センターで小児を開設して以来、定数を五としながら、ずっと二で欠員となっております。小児だけではなく、現在でも多摩北部医療センターの医師不足は本当に深刻で、本決算年度の十月十日現在、全体定数六十二人に対して充足は五十人、何と十二人、二割が欠員状態です。
私も多摩北部医療センターのホームページを見て、本当にびっくりしました。ぜひ本部長も、もうご存じかもしれませんが、見ていただきたいんですよね。とにかく職員の募集で、内科担当当直専門医師、循環器常勤医師、麻酔科常勤医師、泌尿器科常勤医師、放射線科常勤医師、リハビリテーション科常勤医師、耳鼻咽喉科常勤医師、あと臨床研修医だとか、ずらっと並んでいるんですよね。麻酔科常勤医師までいなくて、手術ができるんですか。私は小児も大変心配しますが、本当にこれで病院としての体制がとれているのか。しかも、何度も何度も募集しても集まらない。
こういう状態なのに、もうあと一年ちょっとでその小児などを担う機能がなくなってしまう、移ってしまう。それを地元自治体や今いった関係機関と話し合って残すんだといっても、果たしてその保証があるんでしょうか、どうでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターにおきます医師の欠員の状況につきましては、本日の委員会でもたびたびご議論いただいておりますが、全国的な医師不足に起因するものでございます。
この中でも、特に小児科の不足は大変深刻な問題であるというところにつきましては、全国だけではなく、都立病院、公社病院共通の課題でございます。
なお、多摩北部医療センターの小児科の充実につきましては、第二回の定例会の本会議でも答弁させていただきましたが、地域の二次医療を担う多摩北部医療センターにつきましては、清瀬小児病院との医師の交流によりまして、既に小児、神経及び内分泌の専門外来を拡充したところでございます。
さらに今後、三次医療を担う小児総合医療センター開設一年前を目途に、清瀬小児病院からチームとして医師を派遣し、小児科の体制を充実する予定でございます。
○松村委員 そういう拡充計画があっても、現にその体制がとれなければ、本当に命が脅かされる問題にまでつながるし、先ほどの統廃合ですけれども、あと一年ちょっとですけれども、今現在深刻な実態を皆さん方が把握して、確かに努力されている。それをきちっと確保するというか、見通しとかそういうことを持って、私は統廃合をやるべきじゃないと思いますけれども、その上でなければ、これは都民というか、ましてや関係する地域の住民は認められないというふうに思うんですよね。少なくとも急ぐべきではなく、再検討ということをこの点についても私は強く求めたいというふうに思うんです。
多摩北部、現在の病床を十三床を四十床にすると伺っておりますけれども、これはいつまでに増床する計画ですか。この地域の医療圏は病床過剰地域ですから、これは来年度中に増床しなければ--過剰地域ですから、一たん廃止して出ていく、その後に増床計画、医師を確保してといっても、実際には過剰地域ですから、医療圏の関係から、都といえども病院をふやすことはできないと思いますけれども、この点についてはどうなんでしょうか。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターの小児科の増床についてでございますが、現在、保健医療公社では、この多摩北部医療センターにおいて病棟の工事を行いまして、この中で病床を確保していく計画でございます。
なお、北多摩北部医療圏は病床過剰地域であるというお話がございましたが、多摩北部医療センターの小児科の増床につきましては、地域の医療ニーズに合わせまして、病院全体の診療構成を整理していく中で対応することとしております。
○松村委員 確認しておきますけれども、じゃ、平成二十一年度三月末というか、四月一日からは四十床でいくということでよろしいんですね。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターの小児科の充実については、引き続き努力してまいります。
○松村委員 最後に、アンケートの中で強い改善要望があったのが、病院の高額な駐車場料金の徴収問題です。やめてほしいという声が圧倒的に出されました。
現在、都立病院、公社病院の駐車場料金の現状について、いつからどの病院で、また年間の収入額をお聞きします。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 病院別の駐車場の収容台数につきましては、広尾病院が七十台、大塚病院が九十九台、駒込病院が二百五十一台、豊島病院が百八十台、墨東病院が百九十三台、府中病院が三百五十五台、合計千百四十八台でございます。
有料化の開始時期につきましては、平成六年一月から、直近では平成十三年七月からということで、病院ごとに状況が違います。
なお、収入の状況の数字については、現在手元に数字を持ち合わせておりません。
○松村委員 私、台数までは聞かなかったんですよ。それで、年間の収入、これは駐車場公社へ土地を貸し付けるという形で、その賃借料を取っているということで、事前に約九千万円という答えを聞いていたから、それが出されるのかなと思ったんだけれども、逆に出てこないのが不思議だと思ったんですけれども。
それで、駐車利用を全部取っているんじゃないんですよね。精神、梅ケ丘とか八王子、清瀬などは有料じゃないんですよね。
そこで伺いますけれども、有料と取ってないところがある、これはどうしてなんでしょうか。その点を伺います。
○黒田経営戦略・再編整備担当部長 まず、先ほどの駐車場の行政財産使用の財産収入の状況でございますが、先ほどの広尾病院から府中病院まで合計いたしまして六千九百八十九万二千円ということになっておりまして、平成二十年の二月現在の数字でございます。
続きまして、都立病院の中で駐車場料金を取っている病院と取っていない病院があるということについてでございますが、駐車場料金の徴収は、駐車場管理等に係る費用につきまして受益者負担の適正化を図るとともに、公共交通機関利用者との公平性の確保の観点から行っているものでございます。患者、付き添いの方の料金設定につきましては、病院駐車場としての目的及び待ち時間等を考慮しまして、極めて低廉に設定しておりまして、必要最小限のものであるというふうに考えております。
ただし、駐車スペースが少ない病院や機械化整備等になじまない病院につきましては、いまだ有料化を行っていないということでございます。
○松村委員 私も知っている地元区にある民間病院でも、駐車場料金などを取っていないところも多数あるわけです。そんなことをしたら患者離れになるし、先ほど公共交通機関利用者との公平性の確保といいましたけれども、現に都立病院というか、スペースだとかいろいろいいましたけれども、これを始めてからどのぐらいになりますか。当時、有料化するときも私たちも大問題にしましたけれども、そういうところがあって、じゃ、そういうところを利用するのは、公共交通機関との公平性などということは全然問題となっていないというか、いかに今の理由が成り立たないかということを指摘せざるを得ないというふうに思います。
私は駐車場料金の徴収、再検討すべきことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
○野上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野上委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後五時十五分散会
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