公営企業会計決算特別委員会速記録第三号

平成十九年十一月十六日(金曜日)
第四委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 二十三名
委員長相川  博君
副委員長高橋 信博君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長大沢  昇君
理事たぞえ民夫君
理事秋田 一郎君
理事長橋 桂一君
理事いのつめまさみ君
理事高橋かずみ君
米沢 正和君
鈴木 章浩君
高倉 良生君
田中たけし君
原田 恭子君
佐藤 広典君
山口  拓君
橘  正剛君
くまき美奈子君
増子 博樹君
田島 和明君
野島 善司君
古賀 俊昭君
曽根はじめ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
都市整備局長只腰 憲久君
港湾局長津島 隆一君
交通局長島田 健一君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君

本日の会議に付した事件
平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
・平成十八年度東京都病院会計決算
・平成十八年度東京都中央卸売市場会計決算
・平成十八年度東京都都市再開発事業会計決算
・平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・平成十八年度東京都港湾事業会計決算
・平成十八年度東京都交通事業会計決算
・平成十八年度東京都高速電車事業会計決算
・平成十八年度東京都電気事業会計決算
・平成十八年度東京都水道事業会計決算
・平成十八年度東京都工業用水道事業会計決算
・平成十八年度東京都下水道事業会計決算

○相川委員長 ただいまから平成十八年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 なお、去る十月十五日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。

   〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕

○相川委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定いただいております委員会実施要領等に従い運営してまいります。
 また、質疑を行う際は、平成十八年度の決算の審査から逸脱しないよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いいたします。
 なお、発言の際には必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 鈴木委員の発言を許します。

○鈴木(章)委員 それでは、都議会自民党を代表いたしまして、最初の総括質疑をさせていただきます。
 平成十八年度予算は、二次にわたる財政再建推進プランの最終年度の予算として、財政構造改革の足取りを確かなものとし、東京のさらなる発展を目指す予算と位置づけられました。この十八年度予算の着実な執行に努めた結果、平成十八年度決算では二年連続の黒字となり、財政の弾力性を示す経常収支比率も八四・五%と、一・三%改善しました。
 しかし、景気の変動に左右されやすい法人二税に依存している都財政は決して盤石なものではなく、いかなる社会状況の変化にも柔軟に対応できるような財政基盤を一層確立していく必要があります。
 その中でも公営企業会計は十九年度東京都予算総額の約一六%を占めており、公営企業の経営改革なくしては、将来にわたる健全な財政は実現しないといっても過言ではありません。公営企業は、常に企業としての経済性を最大限発揮するとともに、本来目的である公共の福祉を増進するという基本原則に立って、さらに企業努力を徹底し、都民に信頼されるサービスを提供していくことが必要であります。そのような観点から質問いたします。
 最初に、交通局の各事業について伺います。
 地下鉄事業について、平成十八年度決算では、昭和三十五年の浅草線開業以来、初の黒字転換を果たしました。振り返りますと、東京都が最初に地下鉄建設を計画したのは大正八年のことでありますが、地下鉄は道路管理者である市が経営してこそ初めて本来の機能を十分に発揮できるという当時の東京市の反対にもかかわらず、政府主導で昭和十六年に帝都高速度交通営団が設立されました。
 その後、人口増加による殺人的な通勤ラッシュや、私鉄各社が競って都心に進出することによる交通網の不統一を来すことなどを懸念し、知事と都議会が一丸となって国に働きかけ、ようやく昭和三十三年に免許を取得し、悲願の都営地下鉄建設の実現を手中にしたのでありました。最初の計画から約四十年が経過しておりました。
 最初に建設に着手したのが都市計画高速鉄道第一号線、現在の浅草線であり、さらに四十年経過して、三田線、新宿線、大江戸線と次々と開業し、一日当たり約二百十六万人の輸送力を誇る関東有数の鉄道事業者にまで成長してまいりました。
 しかし、地下鉄は莫大な資本費の投下を必要とする事業であり、経常損益の黒字転換という歴史的ともいえる十八年度決算を迎えた時点で、累積の欠損金は、約四千七百億円に上る途方もないものとなっているわけであります。今後、交通局は、この欠損金を解消すべく、さらなる企業努力を継続していかなければならない新たな出発点に立ったととらえるべきと認識しております。
 こうした経緯に思いをいたしながら、改めて平成十八年度の地下鉄事業の決算についてのご所見をお伺いいたします。

○島田交通局長 地下鉄事業の収支は、初期投資が莫大で、かつ多額の減価償却費用が一定期間発生するため、収支を均衡させるのに長期間を要するという特徴があります。こうした収支構造でございますが、今回、減価償却等のいわゆる資本費負担の低減、乗客数の着実な増加及び長年にわたる内部努力などが相まちまして、平成十八年度決算において、昭和三十五年の地下鉄開業以来、初めて経常損益が黒字に転換したものであります。
 しかしながら、ご指摘のように、依然といたしまして四千七百億円もの巨額の累積欠損金があり、その解消にはなお相当の年月を要するものと考えております。
 今後とも、増客増収対策を行うとともに、一層の経営の効率化を進め、収支両面から財務状況の改善を図りまして、できるだけ早期の解消を目指してまいります。

○鈴木(章)委員 交通局は、明治四十四年に前身となる東京市電気局を創立し、市電と電気供給事業を開始して以来、関東大震災や第二次世界大戦によって壊滅的な被害を受けながらも、一日も欠かすことなく都民の足を確保してまいりました。
 しかしながら、大きな時代の変化の潮目の中で、その財政状況は憂慮すべき状態となり、昭和四十一年度から地方公営企業法の財政再建規定の適用を受けることとなりました。自主再建にとどまらず、法定再建を余儀なくされ、路面電車の撤去を含む東京都交通事業財政再建計画を策定し、不良債権の解消を図ってきたのであります。
 こうした交通局の努力の積み重ねがあって、今、局長からご答弁ありましたけれども、この平成十八年度決算でようやく交通局が所管する三会計五事業すべてにおいて経常黒字となったのであろうことは、評価に値するものといえます。
 しかし、地下鉄事業については、先ほども申し上げましたように、巨額の累積欠損金を解消して初めて事業として成り立つものであり、単年度収支の黒字転換は一つの節目にすぎないということを肝に銘じるべきであります。
 また、地下鉄以外のバスや都電などの事業も依然として予断を許さない状況にあると思いますが、この点についての認識をお伺いいたします。

○島田交通局長 バス事業につきましては、乗客数の長期的な逓減傾向がございます。加えまして、来年六月に予定されております東京メトロ副都心線の開業により、さらなる減少も見込まれております。原油価格の高騰による燃料費の増加などもございます。こうした外的要因に大きく左右される側面もございます。
 また、軌道事業、都電荒川線につきましては、一日約五万三千人のお客様がいらっしゃいますが、この乗客数が伸び悩む中、今後、本格的な車両更新を控えております。
 このため、増収増客に向けた努力を重ねるとともに、経営の効率化に努めてまいりますが、ご指摘がありましたように、財務状況は依然として予断を許さない状況にあると認識しております。

○鈴木(章)委員 まだまだこうした厳しい状況だからこそ、交通局は昨年度、バスの現業系給料表の見直しを行ったのだろうし、今後も管理の委託などの経営努力を進め、サービスの向上につなげていく必要があります。
 例えば、実際にまちを歩いてみると、バス停の上屋、ベンチなどは、都民からの要望が高いにもかかわらず、まだまだ十分行き届いていないのではないかと感じるのは私だけではないと思います。もちろん、歩道の幅員や地元の了解などのいろいろな制約があることは承知しておりますが、利用者の目に見えるようなサービスの向上にもぜひとも力を注いでいただきたいと思います。
 すべての事業で黒字を計上したからといって、ここで気を緩めることなく、先人たちの重ねてきた努力にも思いをはせ、手綱をいま一度引き締め、先ほどの局長答弁にもありましたように、一層の経営の効率化を進めるとともに、先日の分科会でも提言したように、基幹的収入である乗車料収入はもとより、広告料を初めとする関連事業収入の増収対策にも力を入れ、収支両面から財務状況の改善を図っていただきたいと要望いたします。
 次に、安全対策についてお伺いいたします。
 昨年十月には、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律、いわゆる運輸安全一括法が施行されました。これにより、運輸事業者は、輸送安全のさらなる向上に向け、みずから安全管理規程を作成し、これに基づき安全管理体制を確立し、運用していくことが要請されることとなったわけです。
 そこで、交通局における安全管理体制の整備状況は一体どうなっているのか、お伺いいたします。

○島田交通局長 交通局ではこれまでも、輸送の安全を第一として、マニュアルの整備、訓練の実施などを行ってまいりましたが、お話のありました運輸安全一括法に基づきまして、安全確保のための管理体制などを含めました安全管理規程を作成し、交通局の事業でございます鉄道事業、バス事業ごとに、それぞれ安全統括管理者を初め各部門の責任者を選任し、体制を構築しているところであります。
 具体的には、安全にかかわる基本的な姿勢を示した安全方針を定め、それを実行し、チェックして、改善を図る、いわゆるPDCAサイクルの取り組みを取り入れることで、安全マネジメント体制が適切に機能するよう、安全管理体制の整備を進めているところであります。

○鈴木(章)委員 それでは、具体的な都営交通の安全対策の取り組みはどのようになっているのでしょうか。お伺いいたします。

○島田交通局長 交通局は、輸送の安全確保に向けまして、ハード、ソフトの両面における安全対策に取り組んでおります。
 ハード面としては、韓国の地下鉄火災事故を契機としてつくられました国の新火災対策基準を踏まえ、駅排煙設備の整備、車両の不燃化を初め、JR福知山線の事故を踏まえた信号保安装置の更新、さらには早期地震速報システムの導入などを行ってきております。
 また、ソフト面としては、職員の安全意識の高揚を図るための安全輸送推進運動や、交通局独自の安全の日の設定、事故の際における的確な対応力の強化のためのマニュアルの整備、実際の事例を用いた事故防止研修、シナリオのない訓練の実施などを行っております。
 今後も積極的に安全対策を進めてまいります。

○鈴木(章)委員 良質な経営を進めるに当たっては、経営の効率化は不可欠であります。民間でできるものは民間へ委託することは、今や公営企業経営の基本であるといっても過言ではありません。
 大変残念な話ですけれども、今年度に入ってから、七月に浅草線、先月に大江戸線と、それぞれ委託に関係したと思われる事故が発生しております。この場は平成十八年度決算に関する質疑の場なので、これらの事故について直接は質問しませんが、こうした事故は委託そのものが原因ではありません。委託する側がいかに確認を行い、または確認させるかといったことを検証し、最良の方法をとることが一番重要であります。
 そうした意味において、事故、トラブルなどの情報を生かし事故の未然防止を図ることは、運輸の安全確保の上で極めて重要であり、リスク管理なくして安全管理体制は確立できないといっても過言ではないと考えます。
 交通局においては、こうした事故の原因究明をしっかりと行い、再発防止に努めていただきたいと強く要望しておきます。
 本日は、分科会での地下鉄事業に続き、バス事業、軌道事業、安全対策について質問しました。このほか交通局が経営している電気事業などを含め全事業において、十八年度決算で経常黒字を計上しています。都の交通局が公営交通のリーダーとして、事業の先進性、先導的役割に加え、経営面でも存在を全国にアピールできるよう、引き続き良質な経営に努めていただきたいと思います。
 最後に、平成十八年度決算を踏まえた今後の事業運営について、改めて局長の決意をお伺いいたします。

○島田交通局長 おかげさまで、平成十八年度決算におきまして全事業が経営黒字となりました。特に、昭和三十五年、浅草線開業以来、地下鉄事業が黒字転換をしたということで、交通局にも一筋ながらも明るい光が見えてきたという感がいたします。
 しかしながら、委員からご指摘のありましたように、さまざまな課題がなお山積していると認識しております。また、今年度は日暮里・舎人ライナーの開業も控えております。こうした事業環境や厳しい経営状況ではございますが、ご指摘の安全対策、お客様サービス、そして経営の効率化にも積極的に取り組んでまいります。
 このためには、本年二月に策定いたしました三カ年の経営計画、新チャレンジ二〇〇七を着実に実施していくことが重要であると考えております。今後とも、経営のトップといたしまして、職員七千人、一人一人のエネルギーを最大限に引き出しまして、全力で事業運営に取り組んでいく所存でございます。

○鈴木(章)委員 ただいま局長から力強い答弁をいただきましたけれども、山積している課題に今後とも果断に取り組んでいただきますよう要望いたしておきます。
 次に、中央卸売市場事業についてお伺いいたします。
 築地市場が移転する豊洲地区では、環状二号線や晴海通り、そして「ゆりかもめ」の延伸など交通インフラの整備が進み、ショッピングモールのにぎわい施設も、住宅の開発とあわせて段階的に進むなど、まちが徐々に熟成していく様子が手にとるようにわかるようになってまいりました。さらに五年先には都民の台所である築地市場も移転し、市場の活気を加えた複合空間が、この豊洲地区に形成されていきます。このような豊洲地区のまちづくりは、さらに都民に親しまれるものとして進展していくものと期待しております。
 しかしながら、一方で、一部の市場業者が、豊洲新市場予定地の土壌汚染を理由に築地市場の移転反対運動を行っていることは、既に新聞等で報道されているとおりであります。こうした一部の市場業者の反対運動に端を発して、昨年からにわかに土壌汚染問題がクローズアップされてきたことから、都では専門家会議を設置し、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策について科学的知見をもとに検証作業を進めております。こうした取り組みからも、都は真摯に土壌汚染問題に取り組んでいるということがうかがえます。
 一方、豊洲新市場の整備状況を伺うと、市場では、これまでに、防潮護岸の整備や用地の購入など、相当な事業費をかけて豊洲新市場の整備を進めてきておりますが、この土壌汚染問題から、豊洲新市場整備事業にかかわるPFI手続は延期されたままになっています。
 都は、開場を期待する多くの都民や市場業者のためにも、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策に万全を期して、これまで進めてきている整備事業を鋭意進めていくべきだと思います。
 そこで、まず、これまでにどのくらいの経費をかけてきたのか、想定する土壌汚染対策費を含めた豊洲新市場整備にかかわる全体の事業費とあわせて、ご所見をお伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 豊洲新市場の整備に要する事業費は、市場施設の建設や新市場予定地の取得、土壌汚染対策に要する経費など、開場後の運営に係る経費を除いた整備費の総額で約四千四百億円と見込んでございます。このうちこれまでに執行した事業費は、豊洲地区への移転を決定した平成十三年度から十八年度までの六年間で、用地取得費が約七百二十億円、護岸の整備費が約二百十億円のほか、環状二号線下の市場通路の整備などが約五十億円で、合計約九百八十億円となってございます。

○鈴木(章)委員 ただいまご答弁いただきましたように、これまで一千億円近い事業費をかけ、首都圏の基幹市場となる豊洲新市場の整備事業を進めてきているのですから、ぜひ都民が安心できる市場を開場させるために、必要な土壌汚染調査や対策を講じて、引き続き整備事業を進めていっていただきたいと思います。
 次に、十一月五日には五回目の専門家会議が行われておりますが、この中で、豊洲新市場予定地の全域にわたって土壌や地下水を調査する計画が取りまとめられたと聞いております。
 そこで、この専門家会議で取りまとめられた調査計画の具体的内容についてお伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 調査は、道路用地を含め、豊洲新市場予定地の全域を対象とし、十メートルメッシュで合計四千百カ所において、土壌と地下水の調査を行います。土壌につきましては、東京ガス株式会社が操業していた当時の地盤面下五十センチメートルから試料を採取いたします。地下水につきましては、地下水位の上端から不透水層までの中間地点で地下水を採取いたします。対象とする物質は、東京ガス株式会社の操業に由来するベンゼン、シアン化合物などの七物質でございます。
 なお、これらの調査方法につきましては、土壌汚染対策法と同等でございます。

○鈴木(章)委員 確かに、ご答弁ありましたように、今回取りまとめられた四千百カ所の調査において、土壌だけでなく地下水までも調査して、汚染の把握に漏れがないようにしている内容がわかりました。
 今後、この調査した結果をもとに、専門家会議で議論し、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策を考えていくということですが、現在、専門家会議で検討している土壌汚染対策の方向性はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 これまで都が予定しておりました対策は、自然的要因の物質の除去を含め、東京ガス株式会社操業時の地盤面から深さ二メートルの部分の土の入れかえ、その上に厚さ二・五メートルの盛り土、さらにアスファルト舗装やコンクリート盤による封じ込めでございます。
 これらに加え、現在、専門家会議では、地下水の管理が重要であるとの観点から、地下水の水平移動を遮断する敷地周囲への遮水壁設置、高濃度の汚染地下水のくみ上げ浄化、ベンゼンを対象とした微生物や分解剤による浄化、毛管現象による地下水上昇防止のための砕石層の設置を検討してございます。
 また、今後行います土壌、地下水の詳細な調査の結果、高濃度の汚染箇所や、地下水の上昇による健全土への影響が明らかになった箇所につきましては、土壌処理を行うことを想定してございます。
 震災対策といたしましては、地盤の締め固めや地盤改良材を利用した地盤の固化を検討しております。
 さらに、市場施設完成後におきましても、地下水位の上昇による土壌の再汚染を防止するため、水位及び水質を継続的に監視し、地下水位を一定に保つなどの対策を議論しているところでございます。

○鈴木(章)委員 なるほど、将来にわたって地下水を管理し、汚染物質の上昇による影響を防止していくなど、手厚い土壌汚染対策を検討している状況がわかりました。
 しかし、さきの都の土壌汚染調査においては、想定外の区域から高濃度の汚染物質が検出されております。こうした状況下で都民は、生鮮食料品を扱う市場の移転にも大きな不安を持つように思います。都民が安心できる市場として、その事業を進めていくためには、一刻も早く調査の結果や効果的な対策を都民に公表し、土壌汚染に対する都民の不安を取り除いていくことが、今、一番求められていることだと思います。そのためにも、速やかに土壌汚染調査を進め、土壌汚染対策に関する専門家会議からの提言を少しでも早く打ち出していく必要があると思います。
 そこで、調査結果を踏まえた専門家会議からの提言時期はいつごろを見込んでいるのかをお伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 今回、豊洲新市場予定地で実施いたします四千百カ所の土壌、地下水の詳細調査は、平成二十年五月ごろには終える見込みでございます。詳細調査におきまして高濃度の有害物質が検出された場合には、当該箇所でより詳しい土壌のボーリング調査を行います。このボーリング調査には約二カ月の期間が必要でございまして、すべての調査が完了するのは、おおむね平成二十年七月と見込んでございます。
 提言の時期につきましては、同様に七月を予定しておりますが、調査の進捗状況を踏まえ、できる限り早期に提言がまとめられるよう、今後、専門家会議と調整をしてまいります。

○鈴木(章)委員 なるほど、調査が四千百カ所と、極めてボリュームある詳細な調査となっていることから、これくらいの期間はやむを得ないと思いますが、しっかりとした調査を行い、都民が安心できる土壌汚染対策を講じていっていただきたいと思います。
 こうした調査にこのような期間を要するとすれば、その後の建設スケジュールにも大きな影響を与えるように思われますが、開場スケジュールは一体どのようになるのか、改めてお伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 平成二十年七月までに専門家会議からの提言を受け、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策の具体的な内容を明らかにしてまいります。専門家会議の提言後、特定事業の選定、入札公告、落札者の決定などのPFI手続を進め、できる限り早期に施設の建設工事に着手をいたします。
 開場時期につきましては、当初計画では平成二十四年度当初としておりましたが、四千百カ所の詳細調査や手厚い土壌汚染対策を実施することから、約一年程度おくれ、平成二十五年三月を予定してございます。

○鈴木(章)委員 これまで質問させていただきましたけれども、豊洲新市場の開場に当たっては、土壌汚染調査をきめ細かく行い、土壌汚染対策に万全を期すことが大前提であります。その上で、いまだに市場の移転に反対している水産仲卸業者も含め、市場業者に対して、移転に当たって必要となる経費の支援など、移転を円滑に進めるために必要なさまざまな方策を検討していただきたいと要望いたします。平成二十五年三月には、ぜひ都民が安心できる市場を開場させていただきたいと要望いたします。
 次に、臨海地域開発事業について質問します。
 都は昨年五月、臨海地域の機能強化を目指し、持ち株会社方式という新たな手法を活用した監理団体改革、持ち株会社構想を発表しました。この持ち株会社方式は、三セクでは全国初となるものであり、三セク改革の先進的な取り組みとして、他自治体などからも高い関心が寄せられていると聞いております。
 我が党は、臨海地域の主要課題に対応するために、持ち株会社である東京臨海ホールディングスを核として、グループの持つ資源や可能性を最大限活用すべきだと主張してまいりました。分科会でもただしましたが、まちづくりの総仕上げの時期においては、今までのような行政主導のまちづくりだけではなく、監理団体を含め、地域で活動する企業がより主体的にまちづくりに参加していくことも重要であります。
 そこで、臨海ホールディングスを設立した意義について改めてお伺いいたします。

○津島港湾局長 首都圏四千万人の生活と産業を支える大都市港湾である東京港と、開発の総仕上げに差しかかりました臨海副都心、この二つを擁する臨海地域は、港湾機能と都市機能とが交錯しておりまして、今後さらなる発展を遂げるためには、交通や観光、環境、防災など、多くの課題に取り組んでいく必要がございます。
 これらの課題に対する取り組み体制を一段と強化するため、これまで臨海地域を主な活動基盤として個別の政策目的の実現により地域の発展に貢献してまいりました各監理団体を経営統合し、親会社による統一的な経営戦略のもと、委員ご指摘のように、地域の活動主体としての視点を生かした一体的なサービスを提供する必要がありまして、持ち株会社である臨海ホールディングスを設立したものでございます。
 これによりまして、地域に密着した機動的な事業展開が可能となるとともに、経営資源の相互融通や事業連携によりまして、一体的、総合的なサービスを提供できるようになると考えております。

○鈴木(章)委員 今、答弁のありましたように、臨海ホールディングスが地域で活動する企業や都民の視点を生かしたまちづくりを積極的に行い、総仕上げの時期を迎えた臨海副都心にふさわしいまちづくりを実現してほしいと思います。
 さて、こうした取り組みを実現するため、十九年一月に持ち株会社東京臨海ホールディングスが設立され、同時に、東京臨海熱供給株式会社が子会社となりました。自治体において監理団体の持ち株会社化を図ることは初めてのことであり、さまざまな設立手法がある中で工夫をされたことと思います。
 そこで、臨海ホールディングスの設立の手法と、どのような考え方でその手法をとったのかをお伺いいたします。

○津島港湾局長 臨海地域の諸課題に速やかに対応し、臨海地域の機能強化を図るためには、早期に持ち株会社を設立しまして、団体の自主性を生かした取り組みを進めていく必要があると考えております。このため、団体の自立化の推進という監理団体改革の趣旨も踏まえまして、都の出資による準備会社の設立ではなく、グループ化する団体みずからが持ち株会社を設立することとし、さらに、設立に係るコストや時間を最小限とするため、東京臨海熱供給株式会社の単独株式移転によりまして、平成十九年一月に株式会社東京臨海ホールディングスを設立したものでございます。

○鈴木(章)委員 なるほど、株式移転という手法の採用により、これまで行われていた都からの出資という新たな資金投入ではなく、子会社化する団体みずからの資産を活用したことがわかりました。まちづくりの面でも手法の面でも、これまで以上に自主的、主体的な取り組みを進めていることは評価できます。
 このようなホールディングスグループの主体的な取り組みは大いに歓迎するところでありますが、一方で、持ち株会社のもとに監理団体が子会社化されることにより、これまでよりも我々議会や都民の目から見えにくくなるのではないかといった懸念も生じます。
 そこで、これまで臨海地域で活動してきた監理団体がホールディングスグループに参加し、子会社化されたときに、どのように説明責任を果たしていくのかをお伺いいたします。

○津島港湾局長 議会や都民に対する臨海ホールディングスグループの説明責任を果たすために、地方自治法の規定による報告義務の有無にかかわらず、親会社、各子会社の単体の経営状況と、グループ全体の連結した経営状況について定期的に議会にご報告してまいります。
 また、親会社である臨海ホールディングスは、各子会社が監理団体と同等の情報公開の推進に努めるよう、子会社管理規程を定めて子会社への指導を行うこととしております。これによりまして、子会社となった各監理団体も、これまでと変わらず情報公開に関する制度を維持し、情報公開に取り組んでまいります。
 都としても、それぞれの団体のホームページ上でも公開するなど、都民にわかりやすい形で情報提供に努めるよう指導してまいります。

○鈴木(章)委員 ただいま局長からご答弁ありましたように、ぜひとも透明性が担保できるような、説明責任が果たせるような取り組みを期待いたします。
 持ち株会社である臨海ホールディングスのもとに五社の経営統合が完了すると、臨海ホールディングスグループは、港湾経営や地域冷暖房、交通アクセスの確保、オフィスビルによる企業活動の場の提供、展示会ビジネスなど、臨海地域の発展に欠かせない広範な事業展開を担う企業群となります。
 港湾機能と都市機能が交錯するこの地域が、両機能の相互調和を図りながら、今後もさらなる発展を遂げていくためには、臨海ホールディングスグループが行政のパートナーとして課題解決に取り組んでいくことが不可欠であります。持ち株会社方式という新たな取り組みを必ず成功させるために、臨海地域で活動する臨海ホールディングスグループの主体性を尊重しつつも、都民の視点を忘れることのないよう、都もしっかりと指導監督を行っていただきたいと強く要望します。
 また、各グループを効果的に活用し、魅力と活力にあふれるまちづくりに邁進いただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○相川委員長 鈴木委員の発言は終わりました。
 次に、増子委員の発言を許します。

○増子委員 それでは、私からは、市場会計についてお伺いいたしたいと思っております。
 この決算の市場会計での一つのポイントだと私が思っておりますのは、区画整理事業と、鉄鋼埠頭から購入した土地が適正な価格であったのかどうかということだというふうに、一つ思っております。その意味では、この土地について、豊洲の土地についての今後の調査も含め、対策あるいは費用負担などなどが一つの議論の対象になるのかなと思っております。
 その一つの中に土地の評価ということがあるわけですが、これはこの委員会の担当ではないので、実は各会計決算の第一分科会の方の財務局に、評価ということについて、私どもの松下議員の方から質問をさせていただきました。
 その中で、土壌汚染の取り扱いについて、どのような評価条件をつけたのかという質問に対しまして、財産運用部長が、評価の条件といたしましては、土壌汚染については、土壌汚染物質が発見された場合には、従前の土地所有者が処理対策を実施することになっているとされていたため、土壌汚染は存在しない話として評価をいたしました、そういう答弁をしているわけです。
 この評価についてですけれども、土壌汚染対策法が成立して、国税庁としても、相続税の課税上、問題が発生する可能性もある、そういう意味から、土壌汚染地の評価方法の基本的な考え方というのをまとめているようですけれども、不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合に土壌汚染を考慮することというふうにされてはいるということですが、実はその評価方法についてはまだ確立されているものではないというようなことだそうであります。
 世界的には、土壌汚染を評価に反映させる、そういう手法もあるようです。例えば、土壌汚染があることで心理的にマイナスな要因があるので、土地の評価が下がるといったようなこともあるようですけれども、日本ではまだそういった評価方法になっていないということだそうです。
 だとすると、この汚染土壌が確実に処理をされていくということが、今回、適正な価格であったということの一つの前提条件になるんだというふうに思いますので、一つ伺っておきたいと思うのは、東京都と東京ガスが汚染土壌の処理などについて確認書を取り交わしていると既に報告されていると思いますけれども、その詳細な内容についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、この確認書というものが、今後、協議の行方によっては、場合によっては将来重要な書類となるということも予想されるわけですけれども、例えば正式な契約書として機能するのかどうかといったことも含めて、この文書の法的位置づけについて、どのようなものだと認識しておられるのかを伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 平成十七年五月に交わしました確認書は、豊洲市場予定地に関して、東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社の所有地における汚染土壌の処理方法などについて確認したものでございます。
 その内容は、両社が環境確保条例第百十七条に基づき、平成十四年十一月に東京都に提出いたしました汚染拡散防止計画書に記載されている事項に加え、処理基準を超える操業由来の土壌汚染については、道路の区域の下となる箇所及び地盤面から二メートルより下に存在するものを除き、処理基準以下となる対策を行うことなどを記載してございます。
 また、東京都と両社は相互に協力して、この確認書の内容が円滑に実施されるよう努力するものとし、内容に疑義が生じた場合は誠意を持って協議する旨もあわせて記載されております
 なお、法的な問題につきましては現在検討しているところでございます。

○増子委員 先々どうなるかわかりませんが、将来の費用負担ということも大きな議論になるかもしれません。そういう意味では、これまでいろんな関係者などから、契約の際の瑕疵担保責任をどうするんだといったような議論も過去にあったというふうに聞いております。議会でもそういった議論がされたというふうなこともあったと思いますが、都側としては、東京ガスの操業に基づく汚染物質が発見された場合については、契約書の文言は不確かだけれどと、これ、答弁されている部長さんがいらっしゃいますが、東京ガスが処理をするという了解は得ているというふうに答弁をしておられますので、そこのところはぜひしっかりと確認をしてやっていただきたいというふうに思っております。
 また、文書の法的位置づけについて検討中というご答弁でしたけれども、確かにその事例がたくさんあるのかどうかということも私もよくわかりませんけれども、過去の判例などを調べて、法律家の方とも協議をして、なるべく早い時期に確認書の法的な位置づけというものもぜひ明確にしていただきたいということは要望しておきたいと思っております。
 また、六月二十一日の経済・港湾委員会の質疑の中で、我が党の大沢議員の、新たに土壌汚染が見つかった場合、その処理についてはだれが行い、費用はだれが負担するのかという質問に対して、豊洲新市場予定地における汚染物質の処理等につきましては、汚染原因者の負担でございますと明確に答えていただいて、その確認もさせていただきましたけれども、その後の質疑の中で、都の調査で検出された有害物質が操業に由来し、かつ除去が必要になるものの経費につきましては、基本的に汚染原因者である東京ガスが負担すべきものであると考えておりますと答弁されています。他の委員の質問に対しても、この基本的ということの意味がどうだかわかりませんが、答弁の中身に若干変化が感じられるのかなということもありますけれども、この確認書の中で、疑義が生じた場合、協議するという表現がありますが、これまでの答弁の考え方と特に何か変化が生じているのかどうか伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 土壌汚染対策費のうち、都の調査で検出された有害物質が、操業に由来し、かつ除去等が必要となるものの経費については、基本的に汚染原因者である東京ガス株式会社が負担すべきであるという今までの考え方と違いはございません。

○増子委員 今、考え方は違いないというお言葉をいただきましたので、ぜひそこはお願いいたしたいと思います。
 疑義がある場合は協議すると確認書にある以上、場合によっては一定の協議も必要になるということは理解できますけれども、ここでもまた汚染原因者責任、その原則にはぜひ従って協議をしていただきたいということは要望しておきたいと思っております。
 次に質問いたします。分科会の中でも、移転等に要する経費の支援策や、市場業者の豊洲新市場での経費負担を極力抑える工夫を検討していくんだというご答弁をいただいておりますが、今、移転にせよ、現在地再整備であったにせよ、新市場に対応するために、業者の皆さんというのは大変多くの不安があるというふうに思っておるんですけれども、その辺についてどのようにとらえておられるのか伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 市場業者、特に水産仲卸業者の中に、新市場への移転に当たりまして、移転経費、施設使用料が負担となり、新市場で営業が続けられないのではないかという不安の声があることは承知してございます。その背景といたしまして、近年、販売先である専門小売店の減少や取扱物品の低価格傾向、冷凍品、加工品の市場外流通の拡大などにより、厳しい状況に置かれている業者が多数いることがございます。

○増子委員 今の答弁にもありましたように、一つは施設使用料が示されていないというのも、大変大きな不安材料だというふうに思います。家賃が決まっていないのに引っ越しだけ決まっているというような感じだというふうに思います。この点について、極力早い時期に示していくということも大変重要だと思っておりますので、その点、ご要望したいと思います。
 また、それらの今出てきたような問題点について、都として、それを解決するためにどのような取り組みをしておられるのか伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 新市場への移転に当たりましては、移転を希望するすべての仲卸業者が円滑に豊洲新市場での事業継続が図られるよう、大田市場開設時の事例等を参考に、移転資金の融資や利子補給など、必要な支援策を検討してまいります。
 あわせて、施設使用料や光熱水費など、市場業者の負担をできるだけ抑えるよう、さまざまな工夫や努力もしてまいります。
 さらに、スーパーなど量販店からの要請にもこたえるため、店舗ごとの仕分けなどにも対応できる、卸・仲卸売り場と一体になった荷さばきスペースや、加工、パッケージ施設などを整備し、仲卸業者のビジネスチャンスの拡大が図れるようにしてまいります。
 また、現築地市場におきましても、仲卸業者の経営基盤を強化し、健全な経営を確立していくために、公認会計士など専門家による相談窓口を開設して、助言、相談を行うなどの支援も行っているところでございます。

○増子委員 今、さまざまな取り組みをしておられるということで、仲卸業者さんの経営基盤の強化というのは大切なことだと思いますし、既にさまざまな形で支援が行われているということについて、これは評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 ただ、今もありましたけれども、財務内容に関する助言というのが、公認会計士さんなんかが入っているということでいえば、多分そういうことなんだろうというふうに思うんですけれども、私なんかが聞く限りでは、財務内容だけでなくて、どうやって販路の拡大だとか、あるいは、どういう工夫をしたら経営状態がよくなるのかといったような、かなり深刻な内容の、そういう経営状況にある業者さんもあるというふうにもお聞きしますので、要望があれば、経営コンサルタントのような方、そういった分野の専門家の方にも協力していただいて、例えばビジネスそのものに対する支援などの強化もできればいいのではないかなというふうに思いますので、この点、ご要望させていただきたいと思います。
 次に、今後行われる詳細調査について伺いたいと思います。
 今、概要についてはご答弁があったところでございますので、それ以外のところでお聞きいたしますが、今後行われる詳細調査の中では、旧地盤面直下の表層土壌を調査して、そこから不透水層までは地下水調査を行って、汚染が検出されれば土壌の調査を行うというふうになっていると理解していますけれども、いわゆる表層土壌の一部については、既に東京ガスさんの土壌汚染対策が行われていて、掘削あるいは盛り土が施されているところもあるので、土壌汚染が検出されないという可能性もあるのではないか。また、水だけをとるということの中で、深い部分について汚染土壌が見逃されてしまうおそれがあるのではないかというような見解の方もいらっしゃるようですけれども、その辺の見解を伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 今回行います土壌、地下水の詳細な調査では、東京ガス株式会社の操業時の地盤面下五十センチメートルの土壌を採取するとともに、地下水位の上端から不透水層までの中間地点で地下水を採取いたします。深層部の汚染につきましては、土壌の中に有害物質があれば地下水に反映されますので、地下水を採取、分析することで汚染状況を把握することができるという専門家の見解でございます。
 さらに、当該箇所で高濃度の有害物質が検出された場合には、詳細な土壌調査を行うことにしておりまして、汚染を見逃すことはないというふうに考えております。

○増子委員 今、汚染を見逃すことはないというお答えをいただきましたので、そこはいろんな方が不安を持っておられるようですので、確実な調査をお願いいたしたいというふうに思っております。
 地下水については、いわゆる地下水質が環境基準の十倍を超過した場合に土壌の調査を実施する判定基準とするというふうな判断をしておられるようですけれども、本来であれば、環境基準そのもので評価をすべきではないのかといったような意見もありますけれども、この点についての見解を伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 土壌、地下水の詳細な調査の結果、土壌につきましては、環境基準を超過した物質について、地表面から不透水層までのボーリング調査を実施することにしております。都といたしましては、地下水中のベンゼンなどにつきましても同様に取り扱うことにしております。

○増子委員 今、土壌については環境基準で対応するということとともに、地下水中のベンゼンなどについても同様に取り扱うということであれば、そこは一歩も二歩も前進したのかなというふうな思いで聞かせていただきました。
 もともと、いわゆる環境基準の十倍、つまり工場の排水基準というのは、特にその調査のために法的根拠があるわけでも何でもないので、そういう意味でいえば、ぜひ環境基準での調査というか、判定基準にしてもらいたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 なお、問題になりました大阪アメニティパークにおける土壌汚染あるいは地下水調査の中では、約二十メートルぐらいのところの第一粘土層付近が汚染されていて、よって、約四十メートルぐらい、粘土層内部も調査をされたという実績があるようでございます。
 そういう意味では、最初の調査の結果で高濃度で汚染されているということがわかった場所についてだけでも、粘土層の内部、どのぐらい掘るかはちょっとわかりませんが、内部についても調査が必要なのではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○比留間中央卸売市場長 今回行います地下水調査で、地下水中から高濃度の有害物質が検出された場合には、東京ガス株式会社の操業時の地盤面から不透水層を形成する粘土層の上端部分まで、一メートル単位で土壌の採取を行い、分析をいたします。粘土層内部の調査につきましては、専門家会議委員から、粘土層は水を通しにくく、汚染の可能性が低いため必要はないという意見をいただいております。

○増子委員 今のお話だと、専門家会議の委員の方からは、粘土層は水を通しにくいから汚染の可能性が低いので必要はないよといわれているけれども、粘土層の上端部ぐらいまでは、一メートル単位であれば、とって分析するよというふうに聞かせていただきましたけれども、そうであるとすれば、ぜひそのようにお願いしたいというふうに思っております。
 次に、関係者の皆さんの理解を得るためにも、詳細調査のデータの信頼性を高める必要があるというふうに思っております。専門家会議の中でも、精度管理を行うという旨の発言があったというふうに認識しておりますけれども、この点についてどのような形で確保していくのか伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 土壌汚染調査及び分析に当たりましては、調査事項や手法などを広く公開するなど、調査内容の透明性とデータの信頼性を確保していくことが重要であると認識しております。
 調査結果につきましては、専門家会議で公表をしてまいりましたけれども、今後実施する調査結果につきましても、同様に専門家会議において公表をしてまいります。
 また、分析は複数の機関に委託をせざるを得ないため、データの信頼性確保の観点から、物質の濃度を正確に測定した同一の試験体を各調査機関が分析し、その結果を照合することにより精度の確認をしていくことなどを考えてございます。

○増子委員 ただいまの答弁でも、どのくらいのサンプルを使って精度管理をしていくかというようなことなどは、まだ決まっていない部分も多いんだというふうには思っています。
 大切なことは、市場を含めて関係者の皆さんの理解をどうやって得ていくのかということだと思いますので、ぜひこれからも機会をとらえて、公開性や、あるいは信頼性を高めるご努力をいただきますように要望いたしておきたいと思います。
 次に、築地市場について幾つか伺いたいと思いますが、先ごろ、築地市場において外国人観光客の見学を制限するといったような内容の報道がありました。
 この新聞によりますと、本来、書類を提出して見学に来るべきという仕組みがあるそうで、そこには年間千人を超える人がいるけれども、それでも年間に千人だそうで、実際には毎日五百人くらいの外国人の方が見学に来ているのではないかということで、その背景には、この四、五年、外国ですしブームというのがあるそうで、築地は、その外国人の皆さんからは、すしの聖地と呼ばれているんだそうです。特にマグロの競りが好評で、こんな大きな魚は見たことがないとか、競りのかけ声が日本独特でエキサイティングだといったような、そんな評価があるんだそうです。ところが、平成十七年に見学者用通路をつくったにもかかわらず、そこからもはみ出してしまって、市場関係者も困っているということも書かれていました。
 一方、観光面から考えると、国土交通省などは、例のビジット・ジャパン・キャンペーンということで、今七百万人程度の観光客を平成二十二年までに一千万人にしたいということで、観光客の誘致を目指していて、そのために、協力団体である国際観光振興機構という団体も、何とか規制というよりはマナー向上で、マナー向上を訴えて対応していただきたいといったような、そんなコメントも紹介をされている記事でありました。
 そこで伺いたいと思いますが、築地市場には多くの観光客が訪れているということですが、このことは、千客万来を掲げる東京の産業観光振興の観点から見て、市場としてはどのようにとらえていらっしゃるのか伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 築地市場は、水産物の取扱規模が世界最大級でございまして、青果物も含めて商品が国内外から集まる市場でございます。また、壮観なマグロの競り、多種多量の生鮮食料品を取りそろえる仲卸売り場、鮮度のよい食材を使った飲食店など、観光的な魅力も兼ね備えてございます。
 このようなことから、築地市場は、食を通じて東京の魅力をアピールできる都内有数の観光スポットとして、国内はもとより、海外からもたくさんの観光客が訪れており、都の観光振興の面においても重要な役割を担っているものと認識してございます。

○増子委員 おっしゃるとおりだと思いますし、私も結構築地には行く方なんですけれども、本当に世界じゅうの言葉が飛び交っているというふうによく感じます。
 外国の市場というのは、見学はできても、築地のように接近して見ることができないんだという話も聞いたことがありますけれども、外国人の観光客の方には本当にエキサイティングなところなんだろうというふうには思っております。
 一方、報道にあるように、外国人観光客の方のマナーの悪さというのも指摘をされているわけですが、この新聞でも、競り場でマグロにさわるとか、そういうこともあるんだということで、しかし一方、余り規制をされると、観光立国を目指す日本にとっても、観光資源を失っちゃうというようなことが書いてありましたが、実際にどのような弊害が生じているのか伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 築地市場は、本来、生鮮食料品の卸売を行うことを目的とした市場でございまして、また、老朽、狭隘化して過密な状態にあることから、観光客の受け入れに関し、安全面、衛生面等で十分な対応がとれない状況にございます。
 こうした中、現状では、卸売り場について、冷凍マグロ売り場の見学者通路に限り立ち入りを認めたり、仲卸売り場は午前九時以降の見学を呼びかけたりするなど、市場の本来業務に支障がないよう、一定のルールを定め観光客の受け入れを実施しているところでございます。
 しかしながら、観光客の中には、立入禁止エリアに入り込み、荷物の運搬や通行の妨げとなる者や、フラッシュ撮影を行い競りの支障となる者、じかに商品に触れたりする不衛生な行為を行う者など、本来業務に支障を来す問題が生じてございます。
 また、足元が滑りやすいことや、狭隘な場内で搬送車両が多数走行していることから、観光客のけがや事故の心配もございます。

○増子委員 そういったような状態であれば、一定の対応が必要なのではないかなというふうに私も感じます。行動規制をどこまでするのがいいかという点もありますが、既に行っている対策に加えて、市場としてさらにマナーアップを訴えるいろんな努力が必要かというふうにも思いますけれども、その点について特に考えていることがあれば教えてください。

○比留間中央卸売市場長 海外の日本観光ガイドブックの多くに築地市場が紹介されていると聞いておりまして、毎日三百人から五百人の外国人観光客が築地市場を訪れていると推定してございます。
 しかし、外国人観光客の多くは、言葉の問題から、見学ルールの理解が不十分な状況にございます。これまで、英語、中国語などによる場内放送や場内掲示物での呼びかけ、英語版チラシの配布、ホームページの英語版による案内、旅行代理店や市場周辺ホテルに対する協力依頼など、外国人観光客に対する見学ルールの周知に取り組んでまいりました。
 さらに、より一層見学ルールの徹底を図るため、本年八月、都と築地市場関係団体とで構成する委員会を立ち上げまして、監視員制度の導入や、立入禁止エリアの効果的な周知方法などの改善策を現在検討しているところでございます。

○増子委員 多くの取り組みを行っていただいていることもわかりますし、今後も検討していくということです。これ、大変難しい問題だと思いますけれども、衛生面の確保あるいは市場本来の機能の確保ということも大変重要ですし、一方、観光面とのバランスということも考えていただきながら検討を進めていただけるとありがたいと思っております。
 また、新市場における観光客対策ということも大変必要だというふうに思っておりますが、新市場計画の中ではどのような計画になっているか伺います。

○比留間中央卸売市場長 豊洲新市場は、安全で安心な生鮮食料品を安定的に供給する基幹市場として整備を行うとともに、食を通じて東京の魅力を広く発信していく機能も不可欠であると考えております。
 そのため、新市場では、豊富な魚介類など生鮮食料品の魅力や活気ある市場流通の現場を体感できるような見学者通路を整備いたします。さらに、併設する千客万来施設に、生鮮食料品などに関する情報提供や日本の食文化の伝統を継承する拠点としての機能を持たせ、豊洲新市場を東京の新たな観光拠点としていく考えでございます。

○増子委員 よくわかりました。外国人の方にエキサイティングだと思っていただいているようですから、ぜひその点も考慮しながら計画していただければありがたいと思っております。
 先ごろ日本経済新聞に、中央卸売市場週休二日という記事が載っていました。現在は、多くの市場が日曜休みを基本に水曜日を隔週で休むという、いわゆる四週六休制がとられていますけれども、これを四週八休にしたらどうかということもあって、比較的取扱量の少ない三月と六月に休業の試行を行うということだそうですけれども、これらについてどういった理由で行うのか伺いたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 中央卸売市場の休業日は、条例で定める日曜日、国民の祝日及び年末年始の休み以外の扱いは、毎年、出荷者、市場関係者、買い出し人等の意見や要望を踏まえて、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会に諮り決定をしております。
 市場の休業日につきましては、従来から、開場日の増加を望む意見がある一方、従事者の労働条件の改善等を図るため早期に四週八休制を実施すべきという意見もございます。
 このため、平成二十年の扱いにつきましては、約九カ月間にわたり市場関係業界と協議を行った上で、三月と六月の二回、四週八休制の試行を行い、市場の取引や営業活動、市場利用者への影響等を検証することとしたものでございます。
 今後、この結果をもとに市場関係者等と議論を深め、適切な休業日の設定を検討してまいります。

○増子委員 そこはわかりました。
 今回の試行では、聞くところによると、他の休業日を利用して試行休業日に充てるといったようなことだと聞いているんですが、そうだとすれば、試行の中では特に休業日がふえるわけではないというふうに理解いたしますけれども、本格実施となれば休業日がふえるということになると思うんですね。
 昨今のいわゆる行政に求められる流れからすれば、行政機関は極力休みを減らして、職員や従業員の方が交代で休むのが基本だという流れになっていると思いますし、消費者の方からすれば、逆にいうと、ずっとあけてほしいというような声が普通なんだというふうに思います。
 また、休業日がふえるということになりますと、売り上げが減少するということにも当然つながってくる可能性もありますから、特に中小の仲卸さんなんかは影響が大きいのではないかなというふうに推察します。もちろん試行ですから、それはそれでやってみるということで結構なことだと思いますが、その点ぜひ慎重な対応が必要なのかなということも申し上げておきたいと思っております。
 また、この記事の中でも、労働環境を改善して人材確保につなげたいということもあるんだということがございましたけれども、そういうことだとすると、単なる休日増というだけよりも、あるいは給与面だとか、待遇にかかわる問題とか、さまざまな角度から研究してみることも必要ではないかというふうに思いますので、そのあたりの研究もぜひご要望させていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○相川委員長 増子委員の発言は終わりました。
 次に、田中委員の発言を許します。

○田中委員 先ほどの鈴木章浩委員に引き続きまして、都議会自由民主党を代表し、総括質疑をさせていただきます。
 まず最初に、病院事業についてお伺いいたします。
 近年、病院経営を取り巻く環境は厳しさを増し、経営の悪化や診療の休止などの報道に接する機会がふえております。中でも、全国的に、多くの公立病院がより厳しい経営環境にあると認識をしております。
 去る十月二十六日の日本経済新聞に、厚生労働省の調査として、国公立病院の赤字額が二年前の二倍に拡大し、その要因として、国公立病院が産婦人科や小児科、救急など、黒字が出にくい医療を求められることが多く、費用の圧縮が難しいためと見られると報じられておりました。このような全国的な状況が都立病院においてもいえることなのか、平成十八年度の決算の収支状況を見ながら確認していきたいと思います。
 平成十八年度の病院会計決算説明書を見ますと、前年度と比較して、全体収支では純損失が二十億円から六千万円に減少し、収支の改善が図られておりますが、病院経営本部が最も重要な指標としている、みずからの収入でどの程度費用を賄っているかを純粋に示す自己収支比率は、過去最高であった平成十七年度決算の七三・〇%から二・一ポイント悪化し、七〇・九%となっております。
 そこで、自己収支比率が低下した原因をどのように分析しているのか、お伺いいたします。

○秋山病院経営本部長 平成十八年度決算におきまして自己収支比率が低下いたしましたのは、収入が低下したこと、これが大きな要因でございまして、その原因といたしましては、平成十八年度の診療報酬改定が三・一六%という制度発足以来最大のマイナス改定になったこと、それから、医師の欠員等によります患者数の減少で診療収益が減少したことによるものでございます。
 また、費用面におきましても、定年退職者の増加に伴う退職手当などで若干の増嵩が見られたところでございます。

○田中委員 今ご答弁いただきましたように、収支が低下した要因としては、診療報酬の大幅なマイナス改定や医師不足が大きく影響したということでありますが、二年に一度改定される診療報酬については、十四年度以降、三回連続してマイナス改定であったと伺っております。特に、十八年度改定は全体でマイナス三・一六%で、制度発足以来最大のマイナス改定であったということでございました。こうした影響を受け、都立病院を初めとする公立病院だけではなく、民間病院も経営が悪化していると聞いており、病院経営をめぐる環境は厳しいといえます。
 診療報酬については、国が全国一律のものとして決めるもので、病院側は外的要因として受けざるを得ないという事情があります。そうとはいえ、マイナス改定という厳しい経営環境のもとにおいても、不断の経営努力が必要であります。
 そこでお伺いいたしますが、都立病院における十八年度の診療報酬マイナス改定の影響はどの程度だったのでしょうか。また、マイナス改定という逆風の中で、どのような経営努力をされたのでしょうか、お伺いいたします。

○秋山病院経営本部長 都立病院におきます診療報酬改定の影響につきましては、入院基本料や紹介患者加算など、項目ごとに試算をいたしました結果、平成十八年度では、入院、外来収益を合わせまして約二十五億円の収入減になったものと推計をしております。
 一方で、経営努力についてでございますけれども、これまでも経営努力を連綿と積み重ねてまいりましたけれども、収益面におきましては、各病院が急性期医療に積極的に対応いたしました結果、入院、外来とも患者一人当たりの診療単価が増加いたしまして、マイナス改定の影響を最小限にとどめることができました。
 また、費用面では、都立病院のスケールメリットを生かしまして、新たに診療材料や検査試薬の共同購入を実施いたしますとともに、広尾病院に引き続きまして大塚病院にいわゆるESCО事業を導入するなど、費用の節減に努めたところでございます。

○田中委員 診療報酬のマイナス改定の中でも経営努力を行い、厳しい経営状況を何とか打開しようとする姿勢、今ご答弁いただきましたが、理解をいたします。特に、高度医療の提供等による患者一人当たりの診療単価が増加していることに加え、診療材料等の共同購入による費用の縮減など、経営努力をしているということは高く評価できるものと思っております。
 しかし、こうした不断の経営努力にもかかわらず、近年、自己収支比率は七〇%台の前半を推移しております。これは、都立病院が赤字にならざるを得ない何らかの構造的な問題があるのではないでしょうか。それについてのお考えをお聞かせ願います。

○秋山病院経営本部長 都立病院は、高水準で専門性の高い幅広い総合診療基盤に支えられました行政的医療を提供していく役割を担っておりますけれども、行政的医療でございます救急医療、周産期医療、小児医療などは、手厚い人員体制が求められることなど、現行の診療報酬制度におきましては不採算性の高い医療分野でございまして、みずからの経営努力だけでは対応しがたいものがございます。
 また、病院収入の大宗を占めます診療報酬は、大都市部におけます高コスト構造が反映されておりません。全国一律に定められておりますために、大都市部における病院経営に不利な面があるということに加えまして、近年では、経営努力の積み重ねで改善した収支が、二年に一度のマイナス改定で吸収されてしまうといったことが繰り返されているという状況にございまして、これが、自己収支比率七〇%台でいわば伸び悩んでいるということの主な原因だというふうに考えております。

○田中委員 自己収支比率が七〇%台前半を推移しているのは、今お話しいただいたように、全国一律の診療報酬制度や、都立病院が提供している行政的医療の性格といった、都立病院を運営する上での構造的な課題が原因であるということでございました。
 現在、病院経営本部は都立病院の再編整備を進めております。荏原病院などの地域医療を担う病院は東京都保健医療公社へ移管し、行政的医療は都立病院が提供するとして、都立病院の役割のより一層の明確化を図っているところでございます。
 確かに行政的医療は不採算の面がありますが、採算性を重視する余り、こうした不採算な医療をおろそかにすることはできません。この不採算な医療分野ではありますが、都民の皆様が安心して生活できる医療体制の構築こそ、都立病院が担う使命であると考えております。
 しかし、一方、病院事業も独立採算を旨とする公営企業として運営している以上、こうした厳しい状況のもとでも、なお一層の収支改善への取り組みが必要であると考えております。
 次に、もう一つの経営のマイナス面であります医師不足の問題についてお伺いいたします。
 ことし八月、奈良県で救急搬送中の妊婦さんが死産したという痛ましい事件がございました。これは、深刻な医師不足や医師の過重労働を背景とした構造的な問題がこうした悲しい事態を引き起こしたということは、今年度の第三回定例会で我が党の代表質問でも指摘したとおりであります。
 また、この十月三十一日には、北区の総合病院、東十条病院が全科休診いたしました。この背景の一因にも医師不足があると報道されております。
 そこで、都立病院における医師不足の状況についてお伺いいたします。また、その原因は何だったのでしょうか。あわせて、医師の欠員による収支への影響はどの程度と試算できるのか、ご所見をお伺いいたします。

○秋山病院経営本部長 平成十八年度の医師定数と十月一日現在の現員を比較してみますと、医師全体の定数八百五十四人に対しまして四十七人、五・五%の欠員となっております。また、とりわけ産婦人科医師につきましては、定数四十七人に対しまして十二人、二五・五%と大幅な欠員となっております。
 このため、一部病院において分娩の受け入れ休止、一部診療科における入院診療の縮小などを行わざるを得ない状況にございました。これは、長期間の連続勤務を余儀なくされるなど、勤務条件の厳しさを背景とする、いわゆる勤務医離れの傾向に加えまして、平成十六年度から導入されました臨床研修医制度の影響で、全国的に大学医局でもマンパワー不足が生じまして、いわゆる医師の引き揚げが行われたということが主な原因と考えております。
 医師の欠員によります収支への影響でございますけれども、一つの試算でございますが、入院、外来収益を単純に医師の現員で割りますと、医師一人当たりで年間約一億円に相当する診療行為を行っていることになりまして、四十七人の欠員は、人件費や材料費の増加を考慮してもなお、自己収支比率で約二・六ポイント程度の影響があるというふうに推計をしております。

○田中委員 ありがとうございます。
 医師の不足は経営面に大きな影響を与えるということでございますが、病院は医師を中心として運営される業種であり、医師の欠員は、診療の休止や縮小など、都民に対する医療サービスの低下をもたらすだけではなく、患者数の減少を招き、病院の経営にも大きな影響を与えてまいります。
 また、都立病院の医師の給与は、病院を経営する六十一都道府県、政令市中、最下位と伺っております。また、民間との給与の比較ではございますが、民間の医師は、本来の医療勤務に対し公立よりも多いと思われます収入を得ており、さらに、時間外における他病院での夜間当直等による副収入を得ていると伺っております。
 一方、都立病院の医師は公務員であるため、他の副収入を得ることができません。また、都立病院の医師の給与は人事委員会の勧告に基づき決定されておりますが、人事委員会は、公務員である旧国立病院の給与を参考にし、行政職の給与の動向を踏まえて決定しているとのことであり、民間の医師の収入、また特に時間外の副収入は反映されておりません。まさに大きな官民格差があると私は考えております。
 しかし、このような厳しい状況のもとでも、都立病院の医師は日々都民の生命と健康を守るため頑張っていただいております。医師の確保と処遇改善に全力を挙げる必要があると私は考えます。
 そこでお伺いいたしますが、医師不足に対して病院経営本部としてどのような対応をとっているのでしょうか、お伺いいたします。

○秋山病院経営本部長 ただいま田中委員よりご指摘がございましたとおり、都立病院の医師の処遇は全国的に見ましても低い水準にございます。平成十八年度におきましては、この処遇を少しでも改善しようということで、採用確保の困難度を考慮いたしまして、医師等に支給されております初任給調整手当の引き上げを行いますとともに、非常勤医師の報酬の増額などを実施いたしました。
 また、大学医局へ医師派遣の働きかけを継続的に行いますとともに、非常勤医師の活用を図ることで、診療への影響を最小限に食いとめるという努力をしたところでございます。
 さらに、将来的にも大学医局の人員派遣機能が低下し続けるおそれが十分にありますことから、都立病院において次代を担う若手医師を育成、確保する体制の検討を行いまして、実はこのことが、来年度から開校いたします東京医師アカデミー構想に結びついたものでございます。
 こうした取り組みによりまして、総合診療能力と高い専門性を備えた医師の確保に努めてまいりました。

○田中委員 ぜひ医師の処遇改善に取り組んでいただきたいと思います。
 自己収支の悪化の原因が、診療報酬のマイナス改定や医師不足による患者数の減少といった病院経営の構造的な要因による面が強く、都立病院の経営努力だけではなかなか解決が困難な状況であることは理解しております。
 しかし、平成十八年度決算を見ますと、累積欠損金が五十八億円と引き続き増加傾向にあり、都立病院の経営を取り巻く環境は予断を許さない状況にあります。この厳しい状況の中でも経営努力を行うとともに、必要な一般会計繰入金を確保するなど、病院本来の事業収支である経常収支を改善し、早期に累積欠損金の解消を図り、安定した経営基盤のもとで、良質な医療サービスを継続的に提供していくことが必要であると思います。
 最後に、今後の病院運営に当たっての病院経営本部長のご決意をお伺いいたします。

○秋山病院経営本部長 たび重なる診療報酬のマイナス改定や特定診療科を中心といたしました深刻な医師不足など、病院経営を取り巻く環境は、先生ご指摘のとおり、大変厳しい状況にございます。
 こうした医療環境のもとで、病院経営本部と各都立病院が一体となりまして、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を都民の皆様に提供していくという都立病院の基本的役割、本来の使命を安定的に果たしていかなければならないというふうに改めて考えております。
 そのため、不採算の分野に対する適切な一般会計からの支援のもとに、不断の経営努力を行い、経営基盤の一層の強化を図ってまいる所存でございます。
 また、医師不足への対応が病院経営におけます喫緊の課題となっておりますことから、若手医師の育成とともに、医療の中核を担う中堅医師の確保と定着のために、勤務条件の改善、福利厚生の充実を図ることに加えまして、近年増加しております女性医師が働きやすい職場環境を整えていくという考えでございます。
 先ほど、田中先生より、処遇が低い中で働く医師に対する応援の言葉をちょうだいいたしまして、心を強くしたところでございます。今述べましたような取り組みによりまして、今後とも、安全・安心を支える質の高い患者中心の医療を実践しまして、都立病院に寄せられております都民の皆様の期待にこたえていく所存でございます。

○田中委員 ぜひ、本部長を中心に、本部の皆様のご健闘、ご活躍を期待しております。
 次に、水道事業についてお伺いいたします。
 先日、私は、東京都水道局三園浄水場の高度浄水施設の通水式に出席いたしました。完成した高度浄水施設を目の前にし、水道局が安全でおいしい水への取り組みを着実に進めていることを強く実感したところであります。
 我が党は、五、六年前から、あらゆる機会をとらえて、安全でおいしい水の供給に関する多方面にわたる施策を提言してまいりました。まさにおいしい水への取り組みは、他会派に先駆け、我が会派が水道局とともに一歩一歩つくり上げてきたものであると自負しております。
 例えば貯水槽水道の問題に対しては、水道事業者として積極的な関与に乗り出すべきだと提言いたしました。また、より多くの都民においしい水を味わっていただくためには、直結給水化を進めることが欠かせないとも申し上げました。
 さらに、水道のおいしさを子どもたちへ伝えることの重要性を取り上げ、小学校の水飲み栓を直結給水化することや、キャラバン隊を結成して学校を回ってはどうかと提案もしてまいりました。
 今回、我が党の提案に基づき行われたさまざまな施策の成果が随所に見られていると高く評価しておりますが、水道局では、こうした安全でおいしい水への取り組みを進めるため、これまで経営プランなどで具体化してきたと思いますが、その実施状況についてお伺いいたします。

○東岡水道局長 東京水道経営プラン二〇〇四におきましては、主要施策の一つとして、安全でおいしい水の安定的な供給を掲げ、高度浄水処理の導入を初め、管路の新設及び取りかえや水質向上のための施策などに取り組んできたところでございます。
 貯水槽水道対策につきましては、平成十六年九月から、都内に約二十二万件あるすべての貯水槽水道の管理状況等につきまして個別に調査、点検するクリーンアップ貯水槽を開始いたしました。平成十八年度末までに約九万四千件の調査、点検が終了しましたが、全体の六%の貯水槽において早期に改善が必要な箇所が見つかっており、これらにつきましては、その後もフォローアップとして改善指導を実施しているところでございます。
 さらに、既存の貯水槽水道につきましても、直結給水への切りかえを促進するため、貯水槽の点検、調査の際に直結給水方式のメリットを説明するなど、さまざまな施策を実施しております。
 加えて、配水管の水圧測定結果を踏まえた上で、建物の高さ、階高にかかわらず、直結給水できるようにするなど、直結給水方式の適用範囲を拡大してきております。
 また、直結給水化の普及促進に向けた社会的なムーブメントをつくり出していくために、小学校の水飲み栓を直結給水化するとともに、キャラバン隊を結成して学校を回ることとしております。

○田中委員 今ご答弁いただきましたように、我が党の主張にこたえる形で水道局が取り組みを進めてきたことは、改めて高く評価するところであります。
 また、最近、水道局の取り組みをテレビや新聞、雑誌などで目にすることが多くなりました。マスコミに取り上げられるということは、水道局の取り組みが注目されているあらわれだと思います。
 一方、都民からの水道水に対する評価はどのように変化したのでしょうか。状況をお伺いいたします。

○東岡水道局長 水道局では、水道事業に対するお客様の評価や要望を的確に把握し、質の高いサービスを提供していくため、水道事業に対するお客様満足度調査を定期的に実施しております。
 平成十八年五月に実施した調査において、飲み水としての水道水の水質に満足と回答した方の割合は三四・四%でありまして、前回の平成十五年五月の調査と比較いたしますと六・三ポイント上昇しております。
 このほか、水道モニターアンケートでも、満足と回答した方の割合は上昇しており、お客様の水道水に対する評価は確実に高まってきております。

○田中委員 ミネラルウオーターの一人当たりの消費量は、ここ十年間で約三倍といわれております。こうした現象を水道離れと見る向きもあります。しかし、ここ三年の間に満足度が上昇していることは、我が党の指摘を的確に取り組んだ水道局の取り組みが功を奏しているということではないでしょうか。
 実際、私の周りにも水道水を飲むようになった人がふえてきております。今後さらに水道水のおいしさをより多くの都民に知っていただくためには、こうした取り組みを継続していくこととともに、関係する多様な主体、例えば各区、小中学校、自治会などへの働きかけがまだまだ必要であると考えます。
 そこで、こうした多様な主体への働きかけをどのように進めていくのか、お伺いいたします。

○東岡水道局長 水道水のおいしさをより広く知っていただくため、今後も、区市町や自治会などが主催するイベント等へ積極的に参加するとともに、小学生に大変評判のよい水道キャラバンをさらに充実させてまいります。
 また、直結給水化の普及促進に向け、貯水槽水道の設置者に対しまして、個別に直結給水のメリットをPRしてまいります。
 さらに、営業所で発行しております地域水道ニュースの発行を拡充するなど、地域に密着したきめ細かい取り組みを進めてまいります。
 こうした取り組みに加え、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業についても、各教育委員会など関係機関との連携を進めてまいります。
 今後は、安全でおいしい水対策のために当局の取り組んでいるさまざまな施策を多くの都民の方々に知っていただくために、より戦略的な広報の展開に努めてまいります。

○田中委員 ぜひとも積極的なる取り組みを推進していただくように、重ねてお願いを申し上げます。
 続いて、水道局の環境への取り組みについてお伺いいたします。
 都においては、「十年後の東京」の中で、最先端の省エネルギー技術などを駆使し、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するとしております。とりわけCO2排出削減については、最重要課題の一つとして取り組むこととなっております。
 都は、都内最大規模の排出事業者として、みずから率先して削減行動に取り組み、民間企業等の取り組みを牽引していく必要があります。
 そこで、水道局のCO2排出削減に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○東岡水道局長 浄水場や給水所を初めとする各施設では大量の電力を使用しており、水道局は、都内の電力使用量の約一%に相当する大口の使用者となっております。
 こうしたことから、平成十六年度から東京都水道局環境計画を策定し、自然エネルギー等の有効利用や夜間電力の有効活用、庁舎の電力使用量の抑制など、さまざまな取り組みを推進してきております。
 しかしながら、高度浄水処理の導入等による電力使用量の増加に伴い、水道局のCO2総排出量は近年増加してきており、今後も、利根川水系の高度処理全量導入が計画されていることから、CO2総排出量の増加が見込まれます。
 このため、ポンプ設備等への小エネルギー型機器の採用などの取り組みを進めていくとともに、平成二十八年度までに、太陽光発電や小水力発電による自然エネルギー等を用いた発電規模を一万キロワット以上とする長期目標を設定するなど、最大限の取り組みを行ってまいります。

○田中委員 水道事業は、取水から給水までのさまざまな過程でポンプを使用するため、電力を必要としております。また、首都東京で一日に使う水の量は東京ドーム三・五杯分にもなり、これだけの水を供給していくためには、大量の電力を使用していかなければならないことは容易に想像できます。
 しかしながら、CO2排出削減が都政の最重要課題の一つとなっている中では、水道局も、これ以上絞っても一滴もとれないくらいの努力を行う必要があります。引き続き積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 一方、水道水の消費者である都民と連携しながら、CO2総排出量を低減させていく取り組みも重要なのではないかと考えます。
 そこで、都民と連携した今後の環境負荷低減に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○東岡水道局長 都民と連携した環境負荷低減に向けた取り組みについてでございますが、例えば貯水槽水道方式は、水道管の圧力を一たん開放し、再度ポンプを用いて給水する方式でありますことから、多くの電力を必要といたします。これを直結給水へ切りかえることにより、これまでお客様がポンプで使用していた電力量が大幅に軽減されますことから、全体としてCO2排出量を削減することができます。
 既存建物の貯水槽水道を直結給水方式へ切りかえることにより、お客様と連携したCO2排出削減の取り組みを推進してまいります。

○田中委員 都民一人一人の取り組みが大きなうねりとなって地球温暖化の防止に貢献することとなります。ぜひとも、今後とも積極的な取り組みを推進するようお願いいたします。
 水道局が安全、おいしさ、環境への配慮といった面で多大な努力をされてきたと、これまでの質疑を通じて高く評価をいたします。また、東京の水道は世界一だといわれておりますが、さらにそのレベルを一層高めていく必要があると考えます。
 そこで、世界に冠たる東京水道として、おいしい水対策や、より高い次元でのエネルギー対策に取り組んでいくべきと考えますが、ご見解をお伺いします。

○東岡水道局長 ご指摘のとおり、今後は、おいしい水への取り組みとして、高度浄水処理の導入など、水をつくる段階での取り組みに加え、管路の取りかえや貯水槽水道の適正管理など、水を配る段階での取り組みを強めてまいります。
 さらに、おいしい水対策として、残留塩素の低減化に向けて、送配水段階での追加塩素注入設備を整備していくとともに、より高い次元でのエネルギー対策として、水量、水圧をコントロールする水運用とエネルギー管理を融合した新たな水供給システムを構築してまいります。

○田中委員 ぜひ、引き続き安全でおいしい水への取り組みを全力で推進していただきたいと強く要望し、水道局関係の質問を終わります。
 続いて、下水道事業についてお伺いいたします。
 石原知事は、第三回定例会の所信表明の中で、ツバル、フィジー諸島の視察に触れ、地球温暖化により海面が上昇している現実は、国家中枢機能が海に面した東京に重大な警告を発しており、今、地球の異変による危機を先取りする必要があると言及していらっしゃいます。これは、地球温暖化防止に取り組むことが都政にとって重要課題であり、都が率先して行動をとることを意味していると考えております。
 また、先日には、ことしのノーベル平和賞が、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCと前アメリカ副大統領のアル・ゴア氏に授与されたと報道がありました。環境に関する行動に対しノーベル平和賞が贈られることは、地球温暖化が世界的な大問題であり、これを防止することが人類の安全と平和に欠かせない条件であることを端的に示しており、都が取り組むべき重要な課題であることを再認識させられたところであります。
 温室効果ガスの削減が世界的に大きな課題である中で、下水道事業に目を向けてみますと、下水道事業は、汚水の処理による生活環境の改善や、雨水の排除による浸水の防除、公共用水域の水質保全など、安全で快適な生活環境の確保や良好な水環境の形成といった重要な役割を担っております。
 その一方で、一日に五百七十万立方メートルという大量の下水を処理していることから、水処理施設や汚泥焼却炉など多くの施設を抱えており、都内の電力消費量の一%に相当する大量のエネルギーを消費しております。
 また、都の事務事業の中でも、下水道事業は最も多くの温室効果ガスを排出しており、地球温暖化防止に対し大きな責任を負っているといえます。
 こうした状況のもと、下水道局は、自主的かつ積極的に地球温暖化防止対策を図っていくために、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を他に先駆けて策定し、平成二十一年度までに温室効果ガスの排出量を京都議定書の目標値である六%以上削減する施策に先導的に取り組んでいると伺っております。
 このアースプラン二〇〇四は、策定してから三年経過しておりますが、現在までの主な取り組みとその効果についてお伺いいたします。

○前田下水道局長 アースプラン二〇〇四では、取り組みの柱といたしまして、下水処理により発生する温室効果ガスの削減と、温室効果ガスの排出が少ない資源・エネルギーへの転換の二つを掲げまして、平成二十一年度までの六年間で温室効果ガスを十八万八千トン削減することとしております。
 温室効果ガス削減の取り組みといたしましては、具体的には、下水汚泥の焼却時に発生する温室効果ガスは、高温で焼却することにより大幅に削減できることから、南部スラッジプラントなど五カ所で焼却炉の改良や建設を実施いたしました。また、水処理機器などの更新時には、新技術を活用いたしました微細気泡散気装置など、省電力型機器の導入などを推進しております。
 資源・エネルギーへの転換の取り組みといたしましては、汚泥の処理過程で発生いたします消化ガスを燃料にしたバイオマス発電を森ヶ崎水再生センターで行っているほか、三カ所で再生可能エネルギーの活用に努めてまいりました。
 この結果、アースプラン二〇〇四の三年目の平成十八年度末で、計画削減量の約五五%に相当いたします約十万トンの温室効果ガスを削減したところでございます。

○田中委員 下水道局が温室効果ガス削減に向けて積極的に取り組んでいることがよくわかりましたが、一昨年の第三回定例会で、我が党の当時の野村幹事長が汚泥炭化事業について代表質問し、国内で初めての取り組みとして当時話題になったことを記憶しております。
 この汚泥炭化事業が今月末に稼働すると伺いましたが、汚泥炭化物を初めて火力発電所の燃料とする汚泥炭化事業に取り組むことになった背景について、改めてお伺いいたします。

○前田下水道局長 下水道局では、下水を処理する過程で大量に発生する汚泥を焼却処理し資源化に努めてきましたが、その焼却過程で大量の温室効果ガスが発生することから、これを削減する必要がございます。また、資源化をより一層推進するためには、長期に安定した需要先の確保が課題でございます。
 一方で、地球温暖化防止の観点からRPS法が施行され、発電事業者には一定量のバイオマスなど新エネルギーの活用が義務づけられております。こうした背景のもと、汚泥炭化事業を行うことで、当局は、大幅な温室効果ガスの削減と安定した資源化を図ることが可能となります。また、発電事業者は、バイオマス資源である汚泥炭化物を用いることで新エネルギーの活用を図ることができます。
 このように、双方のニーズが合致したことから、当局と発電事業者との連携により汚泥炭化事業を実施することとなりました。

○田中委員 下水道事業と発電事業、双方のニーズが合致したということですが、民間と連携したこの取り組みは、地球温暖化防止に関心が集まる今の時代に合ったすばらしい事業だと思います。
 そこで、下水道局と発電事業者が連携したこの汚泥炭化事業の仕組みはどのようなものなのか、お伺いいたします。

○前田下水道局長 下水道局ではこれまで、汚泥の減量化などを目的に、脱水された汚泥を全量焼却し、発生した焼却灰の一部をセメント原料などとして資源化してきました。
 今回の汚泥炭化事業では、脱水汚泥を炭化炉内におきまして酸素の少ない条件下で約五百度の温度で蒸し焼きにすることで、炭化物を製造いたします。製造された炭化物には石炭の三分の一のカロリーがあり、全量を石炭火力発電所の代替燃料として発電事業者に売却いたします。発電事業者は、これを石炭と混ぜて燃やすことにより、化石燃料の使用量の低減を図るとともに、新エネルギーを活用することができます。
 この事業により、当局は二十年間の長期にわたり安定した資源化が図れることとなっております。

○田中委員 汚泥炭化事業が、今までにない新たな発想で、長期的視点を踏まえた安定的な事業であると理解をいたしました。
 先ほどのご答弁にもありました、汚泥焼却施設からの温室効果ガス削減が課題だとありましたが、この汚泥炭化事業の効果はどのくらいなのか、お伺いいたします。

○前田下水道局長 下水汚泥を焼却する過程では、二酸化炭素の三百十倍の温室効果を持つ大量の一酸化二窒素が発生いたしますが、汚泥を炭化することで、このガスを大幅に削減することが可能となります。
 この削減量を二酸化炭素に換算いたしますと、年間で約三万七千トンとなり、これは、山手線の内側面積の約二倍に当たる一万ヘクタールの森林が一年間で吸収する量に相当いたします。
 また、本事業で、年間約十万トンの脱水汚泥から炭化物を製造いたしますが、これは区部全体で発生する脱水汚泥量の一割に相当いたします。これによりまして資源化率が向上し、焼却灰の埋立処分量の約四分の一が削減されることから、処分場の延命化を図ることができます。

○田中委員 汚泥炭化事業だけで、温室効果ガスの削減量が三万七千トンもあるということでありますが、先ほどの答弁にあったアースプランの削減実績が十万トンでありますので、汚泥炭化施設の稼働により削減量が約四割も向上することとなります。汚泥炭化事業は、温室効果ガスの大幅な削減や資源化率向上など、一石二鳥の効果が見出せます。今後も、下水道局が本事業のような先進的な取り組みを推進し、地球環境の保全に向け大いに努力されることをお願いいたします。
 最後になりますが、「十年後の東京」で示された世界で最も環境負荷の少ない都市の実現に向けて、下水道局としてどのように取り組んでいくのか、改めてお伺いし、私の質問を終わります。

○前田下水道局長 下水道局は、積極的な地球温暖化防止対策を図っていくため、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を他に先駆けて策定いたしまして、温室効果ガスの削減に先導して取り組んできたところでございます。
 今後とも、日常の業務、運転管理における省資源、省エネルギーの取り組みを徹底するなどいたしまして、アースプラン二〇〇四の目標達成に努めるとともに、ご指摘のように、「十年後の東京」に示された世界で最も環境負荷の少ない都市の実現に向けて、民間と連携した新たな技術の導入を図るなど、温室効果ガスのさらなる削減に向けたさまざまな取り組みを局一丸となって積極的に推進してまいります。

○相川委員長 田中委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後三時三分開議

○相川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 長橋理事の発言を許します。

○長橋委員 公明党を代表いたしまして質問をいたします。
 まず、交通局長にお伺いをいたします。
 ホームでの安全対策についてであります。
 分科会におきましても、可動式ホームさく、これについて質疑をさせていただきました。その結果、ホームでの転落防止策として最も有効なのが、この可動式ホームさくである。そして、設置対象として総合的に検討した結果、大江戸線に設置することを決定し、早急に整備計画を策定する、こういう答弁をいただきました。可動式ホームさくについては、既に都営三田線に設置されておりまして、設置後は転落事故がなくなった。また、今度導入いたします大江戸線につきましては、乗客数が増加している。こういう中で、自動列車運転装置が装備されている、また、相互直通運転を行っていない、そしてまた、乗り入れ他社との協議が不要など、おおむね条件が整っている、こういうことでございます。
 そこで伺います。整備計画に当たっての方針、そして整備計画をいつ策定するのか、あわせてお伺いいたします。

○島田交通局長 ご指摘のありましたように、大江戸線は、乗客数が大幅に増加していること、相互直通運転を行っておりませんので他社との調整の必要がないこと、こうしたことから、可動式ホームさくを整備することといたしました。
 ホームさく整備計画の策定に当たりましては、既に営業を行っている路線でございますので、日常の運行に支障を来すことがないよう、また、ホームや車内の混雑への影響を少なくする工夫を盛り込みたいと考えております。さらに、交通局の厳しい経営環境を踏まえまして、設置コストもできるだけ抑えた計画としたいと考えております。
 なお、整備計画は、平成十九年度末までには取りまとめていきたいと考えております。

○長橋委員 年度内に策定をするということでございます。可動式ホームさくは、転落防止の決め手であります。ぜひとも交通局として事故のない都営交通を目指していただきたいと思います。
 次に、都営交通事業者としての自転車等の駐輪場整備についてお伺いをいたします。
 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる自転車法がございます。その第五条に、ご案内のとおり、地方公共団体または道路管理者から自転車駐車場設置に協力を求められたときは、積極的に協力しなければならない、このように定められているわけであります。また、特別区長会からも、毎年のように要望を受けているわけであります。特別区長会からは、都営交通事業者として鉄道用地等の無償提供など、より一層の協力をすること、こういうふうに出されております。
 放置自転車対策については各区市が大変努力をして、ご苦労されているにもかかわらず、交通局だけではなくて、鉄道事業者の協力がなかなか見えてこない、こういうのが現状ではなかろうかと思います。
 そこで、まず初めに、交通局が区市に対して貸している駐輪場用地の整備状況についてお伺いをいたします。
 まずは駐輪場の設置箇所数、設置している駅、広さ、そして駐輪場整備に対する考え方、あわせてお伺いいたします。

○島田交通局長 現在、交通局が区に貸し付けております駐輪場用地は、十九駅におきまして三十七カ所、約一万四千平方メートルであります。交通局は、鉄道事業者として自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる自転車法の趣旨を踏まえまして、区が駐輪場を設置する場合、可能な限り協力しているところでございます。

○長橋委員 可能な限り協力をしているということでありますが、その結果が十九駅であります。都営地下鉄の駅は百六駅、百六駅分の十九駅は二割にも満たないわけであります。この深刻な実情をしっかり直視して、前向きに取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、ご案内のとおり、私の地元は豊島区でございます。豊島区は、かつて放置自転車等対策推進税、これを打ち上げました。平成十五年のことであります。そして、区の中で議論をする中で、総務大臣も平成十六年には付帯をつけて、鉄道事業者との相互理解を図り、十分な協議検討を行うことということで、放置自転車等推進税が決められて、実施をされたわけであります。ただし、実施は一年間時期をおくらせまして、その間、引き続き鉄道事業者と協議をした。その結果、鉄道事業者から協力提案がさまざま出された。それを受けて、豊島区としては施行いたしましたけれども、この鉄道事業者の協力内容について、自転車法に基づく法的な義務が担保されるということで廃止をしたわけであります。その結果、豊島区は、かつて池袋がワーストワン、大塚がワーストツー、巣鴨はワーストスリー、こういう時代がありましたけれども、大きく前進をした経緯がございます。
 そこでお伺いをいたしますが、私もよくお伺いするのですが、巣鴨駅に巣鴨自動車営業所がございます。そこの敷地に、現在豊島区の駐輪場、百二十台の駐輪スペースが確保されています。これは非常に豊島区としては感謝をしているわけでございます。この巣鴨自動車営業所、今後老朽化に伴い建てかえが計画されていると聞いております。新チャレンジ二〇〇七には用地の有効利用ということでございますけれども、区は、建てかえの際、駐輪場用地として二倍の提供を受け、二百六十台の駐輪場として再整備したい、こういっているわけでございますが、局長、明確な答弁をお願いいたします。

○島田交通局長 現在、豊島区に対しまして、地下鉄三田線巣鴨駅に隣接いたします私ども巣鴨自動車営業所内で提供可能な用地をお貸ししているところでございます。
 今後、巣鴨自動車営業所の改修を行う際には、豊島区と協議を進めながら、平成十八年六月に同区が策定をいたしました豊島区自転車等の利用と駐輪に関する総合計画というのがございますので、これに沿いまして積極的に協力してまいりたいと考えております。

○長橋委員 明確に、さらに上積みをしていただけるということでございます。
 豊島区は、巣鴨駅に例をとりますと、文京区とも隣接をしているわけであります。駐輪場が三カ所ありますが、その中の一つは、豊島区内の利用者よりも、文京区、いますけれども、文京区の利用者が七割の駐輪場もあるんです。これは、どこの区もそういう状況であるわけであります。
 ですから、そのところがたまたま豊島区だから整備をするわけでありますけれども、他区の利用者が大変多い、二十三区はそういう状況があるわけでありまして、そういう意味では、地下鉄事業者、地上の用地はなかなか確保できないというのはもちろん認識しているわけでありますが、毎年区長会の要望に対して措置状況を交通局長がお答えしているわけです。協力してきていると。しかし--しかしとは書いていないけれども、また、交通局では、その土地建物の経営資源を最大限に活用し増収に努めるとともに、経費の削減を図ることによって経営力の強化を図るとしている。どうも読むと、駐輪場整備は増収にならないですから、後回しになるように聞こえるわけでありますので、ぜひ、今大きな課題でありますこの駐輪場整備の促進を積極的にお願いするものでございます。
 次に、中央卸売市場会計についてお伺いをいたします。
 豊洲新市場の整備についてでございます。
 昨年の十月、豊洲新市場の施設規模、配置などを取りまとめた基本設計相当について、市場関係業界との間で大筋の合意をした。その合意を受けて、都が市場関係者、市場業者に向けて配布したチラシがあります。その中には、豊洲新市場の予定地の土壌について記載をされてあります。これがそのチラシでございますが、このチラシの中を見ますと、一番下にとりわけ大きな字で、豊洲新市場予定地の土壌は安全です、このように昨年の十月にうたっているわけでありますが、安全宣言をされたその根拠についてお伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 東京ガス株式会社は、操業に由来する汚染物質について、環境基準の十倍を超える物質は深さにかかわらず除去するとともに、操業時の地盤面から深さ二メートルの範囲の環境基準を超える物質を除去してございます。
 これに加えまして、都は環境基準を超える自然的要因の物質の処理などにより、地盤面から深さ二メートルの範囲の土壌を入れかえ、全体を二・五メートル盛り土し、その上を二十五センチから四十センチメートルのアスファルト舗装やコンクリート盤で覆うなど、敷地全面にわたり現行の法と比べても二重三重の対策を行うことから、安全性に問題はないとしたものでございます。法令が求める土壌汚染対策の基準と照らし合わせれば、現時点においても安全性を確保する上で極めて手厚い対策であるというふうに考えております。
 ただし、本年八月から行った調査の結果、汚染濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から環境基準の千倍のベンゼンが検出されたため、市場用地としてより精度の高いリスク評価を行う観点から、専門家会議の意見を受けて、より詳細な調査を行うこととしたものでございます。

○長橋委員 今のご答弁で、安全宣言をした、しかし再調査をする、千倍のベンゼンを検出して、より高いリスクの調査を行うということでございますが、この調査結果の公表を受けて、このままでは食の安全は守れない、そういう声が起きたわけであります。また、専門家会議に対しても、まず移転ありきを前提にして関係者に安心について説明し、納得してもらう努力がない、こういう声も聞いているわけであります。
 今回、豊洲新市場予定地の敷地すべてにわたって、土壌、地下水を十メートルメッシュ、四千百カ所で調査するということでございますが、環境学会や、または仲卸業者でつくる市場を考える会などが土壌汚染対策法に基づく調査を求めているわけであります。
 先ほどの答弁で、この土壌汚染対策法と同等である、こういう答弁をいただきましたが、何が同等なのか、何をもって同等とするのか、お答えいただきたいと思います。

○比留間中央卸売市場長 豊洲新市場予定地は、土壌汚染対策法の対象となる用地ではございませんけれども、今回、専門家会議の意見を受け実施する土壌、地下水の調査は、敷地全面にわたって法が求める最小調査区分である十メートルメッシュを適用してございます。
 また、調査におきまして高濃度の有害物質が検出された場合には、東京ガス株式会社の操業時の地盤面から不透水層の上端まで一メートル単位で土壌の採取を行うことなどから、調査方法については結果として土壌汚染対策法と同等でございます。

○長橋委員 ぜひ今のご説明、さらにより詳しく関係者に説明をすべきである、このように思います。それが理解を得ていく方法でございます。
 また、専門家会議の議論、読ませていただきました。そうしますと、議論の中で、地下水のあるところは地下水で追い込んでいった方がより安定的な調査ができるというような議論をされております。地下水の調査を重視しているというふうに思うわけでありますが、今ご答弁がありました土壌汚染対策法とは同等であるということでございますが、今回の調査の特徴は何なのか、お伺いをいたします。

○比留間中央卸売市場長 今回行います地下水調査は、専門家の科学的知見に基づき選定された手法でございまして、地中に有害物質があれば地下水中に物質が溶け出し、この地下水を採取、分析することで、全敷地にわたる汚染状況を漏れなく把握することができます。土壌のボーリング調査では、汚染箇所を的確に把握することが難しい汚染物質も--この難しいというのは、ボーリングの場合、ポイントで限られた汚染物質に掘り当てねばならないという意味で難しいということでございますけれども、地下水調査を主体にあわせて土壌調査を実施することで精度が高まることから、専門家会議ではすぐれた調査であるとしております。

○長橋委員 今ご答弁いただきましたが、まだ難しい。もっとわかりやすく説明をしていただきたいと思います。やはり、きちっと都民や市場関係者に説明をしていく、この努力をさらにしなければならないと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、移転になると、市場業者の負担が大きなネックになるわけであります。特に、仲卸業者の皆さん方は中小零細の業者が多く、また、廃業も続いている。数字を見ますと、かなり減っている。また、経営が非常に厳しい。約半数は赤字経営である。このような中で努力をされているわけであります。逆に、今大手は卸会社から直接買いつける相対取引がふえていると思います。相対取引がふえれば、当然これは市場の評価機能が衰えるのは明らかであります。市場の花である競りによって、みんなが見ている中で、衆人環視の中で競ることで適正な値段がつけられていくからであります。
 築地市場の仲卸業者がすべて豊洲市場に移転できるよう、必要な支援を行うべきであります。そして、その際に大事なのは、先ほども議論がありましたけれども、仲卸業者の方々の要望をしっかり聞いて配慮していく、これが大事だと思いますが、市場長、ご答弁をお願いします。

○比留間中央卸売市場長 新市場の移転に当たりましては、移転を希望するすべての仲卸業者が円滑に豊洲新市場での事業継続が図られるよう、大田市場開設時の事例等を参考に、移転資金の融資や利子補給など必要な支援策を検討してまいります。あわせて、施設使用料や光熱水費など、市場業者の負担をできるだけ抑えるよう、さまざまな工夫や努力をしてまいります。さらに、仲卸業者の経営が活性化するよう、スーパーなど量販店からの要請にもこたえるため、店舗ごとの仕分けなどにも対応できる卸、仲卸売り場と一体になった荷さばきスペースや加工パッケージ施設等を整備し、仲卸業者のビジネスチャンスの拡大が図れるようにしてまいります。
 また、現築地市場におきましても、仲卸業者の経営基盤を強化し、健全な経営を確立していくために、公認会計士など専門家による相談窓口を開設して、助言、相談を行うなどの支援も行っているところでございます。
 今後、これらの支援策を検討するに当たりましては、市場業界の意見を聞き、その要望を十分考慮してまいります。

○長橋委員 仲卸業者の要望をよく聞いていくということでございます。あらゆる努力をしていただきたい。そうすることが、築地市場の移転問題のかぎともなると思うわけでございます。
 最後に、新市場開場、これは市場長から先ほどもご答弁がありました。しかし、食の安心・安全、これが確保されなければ開場はできないわけであります。知事も、定例の記者会見で、調査箇所をふやして都民が一〇〇%安心できるようにしていきたい、こういうふうにも知事みずからいわれるわけであります。都としての、食の安心・安全の確保に向けての取り組み、決意をお願いいたします。

○比留間中央卸売市場長 食の安全・安心の確保は、卸売市場の最も基本的な使命でございます。豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、従来からの都の対策に加え、専門家会議からの提言を確実に実施してまいります。さらに、施設整備の面では、閉鎖型施設による外気との遮断と温度管理、特に衛生管理を重視した清潔ゾーンの設置など、高度な品質管理体制を徹底し、食の安全・安心を確保してまいります。
 こうした万全な土壌汚染対策や品質管理の高度化を図ることで、豊洲新市場を都民が安心できる市場として、平成二十五年三月に開場させてまいります。

○長橋委員 改めて申し上げます。ぜひとも、市場関係者の方の意見をしっかりと受けとめて、開場に向けて努力をしていただきたい。食の安心・安全が、まず最優先事項でございます。
 次に、水道事業についてお伺いをいたします。
 震災復旧対策について、水道事業についてお伺いします。
 大規模な震災発生時、消火活動はもちろんでございますけれども、飲み水の確保など、水の重要性というのが飛躍的に増すわけであります。震災時の水の応急復旧は、大変に重要でございます。水道局は、本年七月十六日に発生いたしました新潟県中越沖地震については、被災自治体からの要請に基づいて、直ちに七月十八日、翌々日には現地への水道施設の復旧支援を行ったということであります。被災地である柏崎、そして刈羽村に向かったということでございますけれども、報道によりますと、送配水管の被害が多数発生をして、ほぼ全域が断水となってしまった。
 そこで、現地の被害状況と支援の内容、そして、支援に当たってどんな課題があったのか、お伺いをいたします。

○東岡水道局長 本年七月に発災した新潟県中越沖地震は、水道施設においても約六万戸が断水するなど、甚大な被害が出ました。当局は速やかに応急対策支援本部を設置し、現地に調査隊を派遣して被災情報の収集に努めました。その後、直ちに局職員と工事業者を合わせ、延べ五百八十一人の人員と二十九台の車両を七次にわたり派遣し、被害の大きかった刈羽村の全域の復旧に当たりますとともに、柏崎市の中心部におきましても、断水していた主要幹線の上流部から漏水箇所を確認しながら、高度な配管技術を要する大口径管の復旧を一つ一つ行ってまいりました。
 復旧支援に当たっての課題についてでございますが、現地では、修理に必要な資材の調達に時間を要したこと、また、水道施設の状況等基礎情報の入手に時間を要したことなどが挙げられます。

○長橋委員 都は、平成十八年六月、昨年の六月に震災応急対策計画をまとめました。そこを見ますと、首都直下型地震の被害想定としまして、復旧の目標日数を三十日以内と設定をしました。そしてまた、首都中枢機関等への供給にかかわる路線が被災した場合の復旧を、発災後三日以内と設定をしているわけであります。明確に日にちが設定をされてあるわけでありますけれども、今の新潟中越沖地震の支援に当たっての課題の中に、材料の確保に手間取ったとか、それから初期活動が、情報がなかなかとりにくくて難しかったということでございます。
 そこで、この新潟中越沖地震の教訓を生かして、材料の確保、そして初期活動の強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○東岡水道局長 東京が被災した場合の復旧材料の確保についてでございますが、首都中枢機関等への供給ルートを三日以内に復旧するために必要な材料は、常時保有しております。現在、その他のルートについても、緊急時対応のさらなる強化を図るため、備蓄材料の拡充と保管場所の再編整備を進めているところでございます。
 また、初期活動の強化についてでございますが、震災時の首都中枢機能維持の観点からも、一刻も早い現場状況の把握とともに、断水作業の迅速化など、首都中枢機関への供給ルートの早期復旧に向けた取り組みが重要であり、これらへの対応がより機動的にできる、いわば水道緊急隊ともいったような組織を来年度に設置する予定でございます。

○長橋委員 材料については、三日分以上確保する。また、三日以内に復旧するために新たな組織をつくると。水道緊急隊、こういう組織が今明らかにされたわけであります。水道局復旧体制の強化が図られているということがよくわかったわけです。
 しかしながら、水道局の体制をいかに強化したとしても、そしてまた材料を確保したとしても、復旧工事を実際に行うのは民間の工事事業者であります。工事事業者の確保はどのように考えているのか、伺います。

○東岡水道局長 東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生した場合、断水率は区部で四六・三%、都全体で三四・八%に上るものと想定しております。その場合、水道管の被害箇所数は約八千二百カ所になるものと推計しております。復旧工事には、一日当たり最大三千人の人員が必要となり、約四百二十社の工事事業者の協力が必要となります。このため、震災時には単価契約工事業者約五百社に、契約に基づき復旧作業に当たることを要請するとともに、他の管路工事契約事業者約三百社にも協力要請をすることとしており、復旧工事に必要な事業者数を確保できるものと見込んでおります。

○長橋委員 復旧工事には最大三千人の人員、四百二十の工事事業者が必要である、それを確保するというご答弁でございますけれども、工事事業者は被災に遭わないというわけではないわけであります。工事事業者も当然被災に遭う中でございまして、そういう中で確保していくということで、大変困難な事業でもあるかと思います。ぜひとも日ごろから連携を強化していただきたいと思います。
 ところで、東京が新潟に復旧支援に行ったように、東京で地震があった場合には、他県、他都市の支援が必要になってくるわけであります。そのためには、地震を想定して、また、新潟中越沖地震の教訓を踏まえて、連携方法、情報交換--教訓にもありましたけれども、そういった訓練が必要になってくると思います。
 ことしの九月に、東京都と神奈川県川崎市が水を相互に融通する東京・川崎町田連絡管の設置を行いまして、この九月二十日に初の運用訓練を行いました。これは、我が党の小磯議員が取り組んできた成果でありまして、相互にバルブをあけて融通をするということで、大変に大きな成果だったと思いますが、しかし、震災の規模が大きくなりますと、当然東京だけではなくて近県も被災を受けるわけであります。
 そこで、そうした大規模な地震があった際に、他県、他都市との復旧支援はどのようになっているのか。また、そのための合同訓練をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○東岡水道局長 震災時の相互応援についてでございますが、政令指定都市十五市及び社団法人日本水道協会との間で相互応援に関する協定を結び、応急給水活動、応急復旧活動などについての体制を整えております。東京が被災した場合には、横浜市と仙台市が応援幹事都市として各都市との調整を行うことになっております。現在、相互応援のための都市間の連携を効果的に機能させるため、資機材の備蓄状況や緊急時の連絡体制に関する情報を逐次交換しております。
 しかしながら、実際に被災した場合には相当の混乱が起きることも予想されますことから、新潟県中越沖地震の教訓を踏まえ、直ちに復旧支援活動を開始できるよう、ご指摘のとおり主要都市と連携した合同訓練を定期的に実施することを検討し、震災時の復旧体制に万全を期してまいります。

○長橋委員 今ご答弁で、水道局としてはこの震災対策についてあらゆる手を尽くしていることがよくわかったわけでございまして、東京の応援都市の第一順位が横浜市、第二順位が仙台市、私も初めて知ったわけでありますが、今いったとおり、そういった市としっかり訓練をやることが大事であります。ぜひとも早い時期に訓練を実施していただきたいと思います。
 次に、下水道局にお伺いをいたします。
 下水道管渠の老朽化対策についてでございます。
 区部下水道の概要というのがホームページに載っております。それを見ますと、区部の下水道は平成六年度末に一〇〇%普及概成したということでございます。そして、約八百六十五万人の都民が使用している。そして、十八年度末での下水道管の総延長は約一万五千六百キロ、一日当たり四百八十万立方メートルの下水を処理している。もう大変、物すごい大きな数字であるかと思います。ですから、この中で資料を見ますと、そのうち耐用年数五十年を超えた下水管渠は約二千キロある、全体の一三%あるということでございます。ですから、経営計画二〇〇七を見ますと、毎年老朽化に伴って管渠の損傷及び故障の現状というのが出ています。道路陥没件数は、過去五年間の平均で毎年千百件、臭気苦情なども九百八十九件、故障処理件数は千九百件、こういうふうにあるわけでありまして、この老朽化対策というのは不断に努めていかなければならないと思うわけであります。
 そこでまず、下水道管渠の老朽化の実態把握はどのように行われているのか、また、十八年度の調査実績はどのぐらいだったのか、お伺いいたします。

○前田下水道局長 東京の下水道には、地下鉄が楽に通せるような大きな口径のものもございますが、その大部分は、人が入れない中小径の管渠でございます。管渠の老朽化の実態につきましては、直接目で確認する目視調査のほか、管渠内にテレビカメラを挿入いたしまして調査を行い、損傷状況などを把握しております。平成十八年度には、延長約七百キロメートルの調査を実施したところでございます。

○長橋委員 テレビカメラを使用しているということでございます。ということは、管渠の損傷は故障のデータとしても活用できるわけであります。また、耐用年数を超えた下水道管渠二千キロメートルの調査は、当然優先的にやっているんだろうと思うわけでありますけれども、今ご答弁をいただきましたテレビカメラによる調査、これは最新式の調査だと思いますけれども、いつから行っているのか、そしてまた、耐用年数を超えた下水道管渠二千キロメートルの調査状況、全部終わっているのかどうか、お伺いいたします。

○前田下水道局長 テレビカメラによる調査は、日常の維持補修に役立てるために昭和五十七年から実施しております。平成六年度に区部下水道が概成いたしましたが、平成七年からは下水道管渠の老朽化対策と能力不足の解消をあわせて実施する再構築を進めておりまして、これを計画的に実施するため、テレビカメラによる調査をより詳細に行うとともに、データの蓄積及び分析などを行っているところでございます。
 法定耐用年数五十年を超えております下水道管につきましては、全延長の調査がおおむね完了したところでございます。

○長橋委員 平成七年からは、再構築に入っていると。経営計画を見ますと、アセットマネジメント手法を導入して進めている、いわゆる事業費を平準化して計画的に更新をしていくということであるわけですが、現在使っている下水道管渠の老朽化というのは、同じ年数であったとしても、当然老朽化の度合いはさまざまであるかと思いますし、その対応にも違いがあろうかと思います。また、交通量の多い幹線道路での工事も行われるわけでありますし、そうした場合に渋滞など都民への影響も配慮しなければならないわけでありますが、老朽化した管渠の再構築に当たってはどのように進めているのか、伺います。

○前田下水道局長 再構築に当たりましては、調査結果をもとに、事業を経済的かつ効率的に実施しているところでございます。具体的には、可能な限り既設管渠を活用することといたしておりまして、損傷度から判断しまして健全な管渠はそのまま使用し、老朽化しているが敷設がえを要しないものについては、道路を掘削せずに下水道管渠をリニューアルできる更生工法を積極的に採用しております。
 このようにしてコスト縮減を図るとともに、工事に伴うお客様の生活への影響を極力低減させることで、お客様の理解を得ながら事業を進めているところでございます。

○長橋委員 今ご答弁がありました、道路を掘削しないで工事が可能な更生工法を積極的に活用しているということでありますが、この再構築に当たって更生工法ということでありますが、この更生工法、工法と書いてありますが、どのような工法があるのか、また、それを事業者に発注するに当たっては、工法の選定はどのようになっているのか、伺います。

○前田下水道局長 更生工法は、既設管渠内面に新たな管を構築することで、強度及び流下能力の確保を図る工法でございます。新たな管の材料となる更生材や、施工方法の異なるさまざまな工法が開発されております。構造から分類いたしますと、更生材単独で強度を有する自立管構造と、既設管渠と更生材が構造的に一体となり強度を有する複合管構造の二つの形式がございます。
 工事の発注に当たりましては、既設管渠の損傷状況や必要な下水の流下能力などを考慮し、いずれかの構造形式を選定しております。

○長橋委員 今のご説明を聞いてもなかなか理解が難しいのでございますけれども、二つの工法があるということでございますが、東京の下水道は高度成長期に整備をされたわけで、今後膨大な下水道管渠が一斉に更新時期を迎えるわけであります。将来にわたって都民生活の安全、快適性を確保しなければならないわけでありまして、今お話のありました再構築に当たって有効な更生工法については、さらなる技術開発を行って、増加する下水道管渠の更新を効率的に進めるべきでありますけれども、最後に、今後の老朽化対策についての取り組みをお伺いいたします。

○前田下水道局長 下水道は、生活環境の改善や浸水の防除、公共用水域の水質保全など重要な役割を担っておりまして、こうした役割を果たすためには、下水道施設の適切な維持管理、計画的な再構築が必要となります。このため、今後更新を迎える膨大な下水道管渠に対しては、巡視や点検などの日常的な維持管理の充実を図るとともに、計画的な再構築による予防保全を重視した維持管理に努めてまいります。
 また、限られた予算の中で老朽化対策を効率的かつ着実に実施していくために、既設管渠の延命化などの工夫を行うほか、新技術、新工法の開発導入にも積極的に取り組み、一層のコスト縮減を図ってまいります。
 今後とも、お客様である都民の皆様に、将来にわたり安定した下水道サービスを提供するとともに、積極的に老朽化対策を推進してまいります。

○長橋委員 最後に、病院経営本部にお伺いします。ちょっと時間がありませんので、簡略して質問させていただきます。
 私が聞きたいのは、都立病院における看護師確保育成策についてでございます。
 昨年の四月に診療報酬が改定されまして、入院患者十人に対して看護師一人という配置基準が改められて、患者七人に対して看護師一人という新基準が設けられた。その結果、どういうことが起きたかというと、大学病院を中心、大規模なところを中心に、看護師の獲得競争が激化したわけであります。その結果、地域医療を支える民間の中小病院は診療を休止せざるを得ない状況に追い込まれて、私の地元でも、そういう状況で廃院になったところもあるわけであります。これは、本年第一回の定例会でも指摘をしたところであります。
 また、看護職員需給見通しも、診療報酬改定前の算定でございましたので、新たな策定を求めたところでありまして、このほど看護職員需給見通しが新たに発表になったわけであります。平成十九年には二千八百人看護師が不足する、このままでは平成二十三年には三千五百人以上が不足する、こういう見通しであります。
 また、看護師確保の大きな柱として、非常に離職率が高いということが挙げられます。都立病院においても、看護職員の充足状況というのは厳しいものがあろうかと思うわけでございますが、まずは都立病院の十八年度の看護職員の充足状況、あわせて都立病院での看護師の確保定着対策、さらには新人の看護師の定着対策、そしてまた、環境整備として二十四時間保育の実施をこの間の三定で求めましたけれども、まとめてご答弁いただきたい、よろしくお願いします。

○秋山病院経営本部長 一点目の都立病院の看護師の充足状況でございますが、平成十八年度におきます実態を見てみますと、定数四千六十三人に対しまして、四月一日の時点で四千百二十五人、十月一日では四千六十人、年度末には三千七百六十三人となっておりまして、年度当初は充足しているものの、年度後半にかけて欠員が生じているという状況にございます。
 このような状況を踏まえまして、都立病院では、まず看護師の採用方法につきまして、年度当初だけでなく、欠員状況に応じまして年度途中でも経験者を採用するなどの弾力的な方法を実施しているということでございます。
 また、新卒看護師は、看護学校卒業時の能力と現場に行ったときに求められる能力のギャップにかなりの悩みを感じて、実は短期間で離職するケースが多いということで、新卒看護師の定着に向けた取り組みとして、平成十八年度は都立三病院におきまして専任の指導担当者を配置いたしまして、心のケアを含めた指導を行うなど、看護臨床研修を導入いたしました。この結果、平成十七年度に一九・三%であった当該三病院の看護師の離職率が、十八年度には七%まで低下したということで、著しい効果がございますので、十九年度にはこれを五病院に拡大したところでございます。
 また、二十四時間保育についてのご質問でございますけれども、長橋理事ご指摘のとおりでございまして、都立病院に勤務する職員の四分の三は女性職員でございまして、とりわけ圧倒的多数を占めます看護職員や増加しております女性医師の確保、定着のために有効な方策の一つでございます。来年度からの実施に向けまして予算要求を行いますとともに、運営体制などについて具体的な検討を進めているところでございまして、来年度、ぜひとも実現を図ってまいりたいと存じます。

○相川委員長 長橋理事の発言は終わりました。
 次に、山口委員の発言を許します。

○山口委員 私からは、都立病院についてと交通事業についての二点について伺っていきたいと思っておるんですが、まずは、都営地下鉄の安全管理、危機管理体制についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 つい先日のことでありますが、十月二十三日の朝、都営大江戸線で停電事故があったことは各種報道でも大きく取り扱ったところであります。この件に関しては、その後原因の調査や今後の対策についての検討が進められていることと思いますが、確実に安全確保対策を実施していただきたいと思います。
 分科会では、我が会派のいのつめ委員から、地下鉄の安全対策に関連して幾つか質問いたしましたが、全局質疑の場ということで、少し違った観点から改めて地下鉄でのトラブル発生時の対応に関連をして質問させていただきたいと思います。
 まずお伺いいたしたいのが、都営地下鉄四路線において、昨年度一年間で定時運行が確保できないようなトラブルは何件発生をしたのか。また、それは過去数年間と比較してどのように推移をしているのか。増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、それとも年度によってまちまちなのか、お伺いいたしたいと思います。

○島田交通局長 都営地下鉄四路線におきます平成十八年度の定時運行が確保できないような運転事故等の発生件数は三十件でございました。過去五年間の発生件数は二十六件から三十一件であり、特に大きな変動はございません。

○山口委員 毎年三十件程度で推移をしているということで、当然ゼロというのが理想であるわけです。例えば、自殺目的の飛び込みなどは、完全にこれを防止するということが難しいことは重々承知の上で申し上げますが、これらをぜひ減らすべく、トラブルがなるべく発生をしないよう取り組んでいただきたいと思います。
 特に、ホームさくを設置した三田線では、ホーム上からの転落やホーム上での接触といった鉄道人身障害事故や、自殺目的による飛び込みが、ほぼゼロになったとも聞いております。九月の第三回定例会でも明らかにされたように、交通局では大江戸線でもホームさくを設置する方向で検討を始めるとのことであり、ホームさくの設置はぜひ早急に進めていただきたいと思います。
 少し話がそれましたが、それでは、定時運行が確保できなくなったトラブルの要因は主にどのようなものがあるのか、また、それらの想定されるトラブル発生時に対応するためのマニュアル等は整備をされているのか、お伺いいたします。

○島田交通局長 定時運行ができなくなる主な要因でございますが、委員からご指摘のありました投身事故、軌道への転落、列車への接触事故、車両故障、地震などの自然災害、こういったものがございます。また、これらの事故等に対しては、対応マニュアルは整備してございます。

○山口委員 頻発するトラブルがある程度想定できていて、それに対応するためのマニュアルはきちんと整備をされているということはわかりました。今回の大江戸線の停電事故での対応は、マニュアルに従い乗客の安全を最優先したものと聞いており、また、素早く着手できていたとも聞いております。それはそれで適切な対応であったとは思います。しかし、結果として乗客の救出に時間がかかってしまったことは反省材料であり、マニュアルの見直しも含めて改めて交通局全体で検討していただきたいと思います。
 次に、都営地下鉄における事故の情報提供についてお伺いいたします。
 事故等のトラブル発生時の情報提供は、乗客の動揺を防止するために有効であり、現場で適時適切な案内放送等を心がけていくのは当然のことであると思います。さらに、乗客だけではなく、駅に来た人、駅に向かおうとする人など、幅広く運行情報をお客様に知らせることも大切ではないかと考えています。また、鉄道事故が発生をした後に、事故の発生要因や事故原因究明後の対策をフォローし、お客様に積極的に公表していくべきであると考えています。
 そこで伺いますが、トラブル発生時にはダイヤの乱れに関する情報は、駅の改札口で列車運行情報として利用者に知らせることになっていることは承知をしています。しかしながら、その発生要因に関する情報に関しては公表しているのか、また、公表しているならばどのような形で公表しているのか、お伺いいたします。

○島田交通局長 事故時の発生原因等に関する情報につきましては、車内にいるお客様に対しては車掌や運転士による案内放送を行い、駅に見えたお客様には、駅の構内放送や改札口付近に私どもは四十インチの大型液晶ディスプレーを設置しておりますが、これにて情報を提供しております。また、駅以外にいる利用者に対しては、局ホームページや携帯電話のサイトで情報提供を行うとともに、影響の大きい事故につきましては、プレスに公表してございます。さらに、今年度からは交通局安全管理規程に基づき、毎年安全報告書を作成し、運転事故や輸送障害等の情報を含めた安全管理全般に関する情報を公表し、ホームページ上で閲覧できるようにしてございます。

○山口委員 この手元にも安全報告書があるんですが、この安全報告書について拝見をしたところ、事故発生の現状や安全対策の取り組みが非常にわかりやすくまとめられていると思います。都営地下鉄の安全・安心に対する都民や利用者の信頼性を確保するためにも、事故情報についてはぜひこれからもオープンに、正確で迅速な情報提供に努めていただきたいと思います。
 続いて、事故等のトラブル発生時の訓練や研修についてお伺いいたします。
 安全報告書の中でも、異常時対応能力の向上ということに触れられていますが、トラブルが発生してしまったときには、運転手や駅員等による対応が素早く適切に行われることが非常に重要であります。そのためにも、運転手や駅職員に対して、日ごろから緊急事態発生時への心構えや訓練を行き届かせておくことが非常に重要だと考えています。
 そこで、運転手や駅職員に対する緊急事態発生時の対応訓練や研修は、どのような内容で、どのように実施をしているのか、お伺いいたします。

○島田交通局長 乗務員や駅職員の事故等の対応訓練につきましては、迅速に事故の処置が行えるよう、職場単位で定期的に訓練を実施し、安全の確保に万全を期しております。さらに、大規模災害や事故などの異常時を想定し、駅部門、運転部門、保守部門の各職場が連携、合同した総合訓練を実際の車両を使用し実施しております。また、運転士に対するフォローアップ研修や、駅係員に対する救命講習等を行うことにより、安全に対する強い責任感と使命感を持った職員の育成に努めております。

○山口委員 訓練や研修をきちっと実施しているということは今確認ができたわけでありますが、一昨年のJR福知山線の脱線事故などといった想定外の事故というものは、時として起こり得るものであると思います。大きな事故につながるような前兆を見逃さず、事故の芽を摘むとともに、常に職員が安全管理と事故に適切に対応できるよう、日々努力を続けていただきたいと思います。
 先日の大江戸線のときもそうかもしれませんが、万が一とか、まさかとか、あり得ないということが重なると、事故というかトラブルというのは発生をするわけでありまして、これは、どんなことが原因であるにしても、起こるのはこれからも恐らくあると思います。そのための訓練がトラブルシューティング、シミュレーション、こういったことは常日ごろからどのくらいしておくのかが重要で、ぜひここにしっかり力を入れて、お客様にご迷惑がかからないよう、ましてけが人、病人が出ないよう努めていただきたいと思います。
 ところで、少し話は変わりますが、先日、JR京浜東北線の新橋駅で、電車が停止位置を約百メートル以上過ぎ、緊急停止をしました。電車はホームまで後退しようとしたが、後続の電車が近づいていたため、次の有楽町駅で乗客をおろしたという事故がありました。いわゆるオーバーランで、福知山線の脱線事故の後、大きくクローズアップをされているところであります。
 都営地下鉄でも、これまでにオーバーランしたことがあると、これは実際にその列車に乗り合わせた方からも聞いていますが、オーバーランして車両が停止した場合、通常はどのような対応をとることになっているのか、お伺いいたしたいと思います。

○島田交通局長 都営交通におきましては、これまで百メートルも行き過ぎまして緊急停止したという事例はございませんが、通常、オーバーランした場合の対応は、まず、運転士が状況を運転指令に連絡するとともに、車掌に停止位置修正の合図をいたします。次に、車掌が後方の安全確認をした後、ホーム上の旅客の状況を監視し、列車が所定位置に停止後、ドア操作を行い、お客様に降車していただくことになっております。
 なお、大江戸線はワンマン運転でございますが、その際は、車掌のかわりに駅係員が後方確認の作業を行っております。

○山口委員 今、オーバーランが起こってしまった事後の対応について質問いたしましたが、オーバーランの発生は、運転手のヒューマンエラーが原因となっていることが多いと聞いております。都営地下鉄でオーバーランが直ちに事故につながったりはほとんどないのかもしれませんが、ダイヤに乱れを生じたり、乗客に不安や不満を抱かせることにもつながります。また、運転事故には当たらないような距離の短いオーバーランでも大きな事故につながっていくこともあるという認識を持って、繰り返しになりますが、基本に従った適切な対応をお願いしたいと思います。
 これまでの質疑でも明らかなように、都営地下鉄の安全対策は非常に重要であります。分科会でも質問したところでありますが、最後に、改めて交通事業を経営するに当たっての局長の決意を伺いたいと思います。

○島田交通局長 交通事業を経営する上で、輸送の安全・安心の確保は最優先の課題であると認識しております。事故防止の原点は、日ごろからの地道な基本動作、基本作業の実施から始まりまして、訓練、研修の積み重ね、そして鉄道輸送業者としての職員としての規律ある職場の緊張感、こういったものが重要であると考えております。
 着任してから、百里の道を行くに九十九里をもって道半ばとすと職員にいい続けてまいりましたが、今回残念ながら事故が起きてしまいまして、責任を痛感しておりますが、今後も職員が一丸となって、交通局全体の安全対応策の向上を推進していく所存でございます。

○山口委員 ありがとうございました。
 それでは続きまして、都立病院について幾つかお伺いしてまいりたいと思います。
 まず、都立病院における個人未収金についてお伺いしたいと思います。
 最近、マスコミ報道でもよく取り上げられておりますが、医療機関、とりわけ公立病院の患者の個人未収金は、ここ数年増加傾向にあるといいます。都立病院についても、十七年度末には十三億円を超える個人未収金があったとの報道があり、経営への影響はどうなるのか心配しているところでありますが、そこでまず、本来、患者本人が負担すべき個人分の未収金について、十八年度末の現在高を伺います。あわせて、未収金となった主な理由についてもお伺いいたしたいと思います。

○秋山病院経営本部長 病院経営本部では、個人が負担すべき診療費のうち、年度末時点において発生日から一年以上経過したにもかかわらず未収となっているものを個人未収金というふうにしておりまして、この個人未収金の十八年度末の総額は約九億二千七百万円となっております。
 その主な理由でございますけれども、生活保護を受給するには至らないまでも経済的に困窮されている方、転居して居場所が不明な方、本国に帰国してしまい音信不通となった外国人、患者本人が死亡後、遺族が相続放棄し、支払いを拒否するケース、それから、支払い能力があるにもかかわらず支払いを拒否しているケースなどでございます。

○山口委員 今いただいた答弁により、依然として九億円を超える金額が個人未収金となっていること、また、さまざまな理由で未収金が発生していることがわかりました。ところで、病院の中にはさまざまな診療科があります。通常の診療科であれば、大抵の場合、予約をとり、受診をするのが基本的なルールでありますが、救急部門では事故や病状の急変など不測の事態で病院を受診するため、保険証や現金の用意ができないなどの理由で未収金になりやすいのではないかと考えます。
 そこで、個人未収金に占める救急部門の割合はどのくらいなのか、また、ほかに救急部門について特徴的なことがあればお答えをいただきたいと思います。

○秋山病院経営本部長 都立病院のうち、東京ERを有する広尾、墨東、府中、この三病院につきまして詳細に調査をいたしました十七年度分を見てみますと、診療収入に占める救急部門の割合は約七%にすぎませんが、未収金では救急部門が全体の約三〇%を占めておりまして、未収金の発生割合が極めて高くなっております。
 また、救急部門の未収金は、約五〇%が自費診療、自費受診をされた方でございまして、そのうちの約九〇%は保険証の確認ができない方、または無保険の方となっております。

○山口委員 今の答弁で、救急部門の未収金は三〇%を超すと、極めて高いということがわかりました。また、救急部門では自費の患者の割合が高いとの答弁でしたが、急な受診で保険証を持参できなかった方以外にも、そもそも健康保険に加入をしていない、あるいはできない無保険状態の方がこれほどいるということもわかり、非常に驚いたわけでもあります。
 無保険状態の方は、病気になっても医療機関への受診をためらって、相当重症になってから受診をして、結果的に高額な診療費が未払いの状態になっているのではないでしょうか。いわばこういった悪循環が考えられるわけでありますが、民間病院であれば公的補助が適用される場合もあるそうですが、都立病院の場合はないということであります。生活保護を受けていないけれども、ぎりぎりの生活を送っている経済的困窮者や、無保険の外国人を病院から締め出すということは、人道上、または医師法上、許されないことであります。
 しかし、どうしても払えない方や、先ほど答弁にありました帰国してしまった外国人の分、住所がわからない方の分は未収金となり、三年経過すると不納欠損として処理をされ、損金となってしまうわけであります。これは医療費だけの問題ではありませんし、もはや公立という立場でこういった患者を拒否できないのは当たり前のことであって、都だけで抱え込むのではなく、何らかの救済制度が国レベルで必要な部分だと私も思います。
 今後、ぜひ国とも協議をしていただきたいと要望しておきたいと思いますが、それにしても、これまで都立病院の個人未収金の額、発生理由、ERを含む救急部門の傾向等についてお聞きをいたしましたが、発生した未収金をしっかりと回収していくことも重要ですが、何よりもまずは発生を未然に防止する取り組みを進めることが重要です。どんな方でも受け入れなければいけない都立病院であるからこそ、都立病院では未収金に関しどのような発生防止策をとっているのか、お伺いいたしたいと思います。

○秋山病院経営本部長 都立病院におきましては、医療相談員が中心となりまして、日常的に患者さんと接している看護スタッフなどの医療スタッフと連携を図りながら、医療費の支払いが困難な方の早期把握にまず努めるとともに、個別に相談に応じているところでございます。
 具体的には、ご本人の申請によりまして、医療費が保険者から直接医療機関に給付される制度等の情報提供、それから各種の医療費助成制度、生活保護制度などに該当する場合には申請窓口を案内するなどの対応を行っているところでございます。
 また、これらの制度に該当しないなどやむを得ない場合の措置といたしましては、一時的に支払いが困難な方には支払い期限の延期の措置を、一括での支払いが困難な方には分割納付方法をご案内しているところでございます。

○山口委員 発生防止に関する取り組みはしているということはわかりました。しかし、こういった発生防止策の対策をとってもなお、それでもさまざまな事情でこれだけの未収金が発生をしているわけであります。中には経済的に苦しいなどのケースがあることは十分承知をしておりますが、診療を受けたからには診療費を払うのは当然のことでありまして、公平性の観点からいっても回収はきちんと行っていかなければいけないと考えております。
 そこで、都立病院では発生した未収金について、現在どのような回収対策をとっているのか、お伺いいたしたいと思います。

○秋山病院経営本部長 納付期限までに支払いがなかった場合、まず電話及び文書による催告を行い、さらに滞納が長期間にわたる場合には督促状を送付するとともに、個別訪問をして支払いの交渉を行っているという現状にございます。
 なお、各病院が有する回収困難案件につきましては、都債権回収事業を展開しております主税局都債権特別回収班に依頼をし、回収を進めているところでございます。

○山口委員 今の答弁の中で、特に回収困難な案件については主税局に依頼をしているということでありましたが、主税局の債権回収事業での実績はこれまでどのぐらいであったのか、お伺いしたいと思います。

○秋山病院経営本部長 主税局には、平成十六年度から十八年度までの三年間で約千二百人、約三億七千万円分の未収金回収を依頼しておりまして、その三年間に回収金額が約六千万円、二百五十四人の方が完納しているという実績にございます。また、裁判所への支払い督促の申し立てを百六十六人に対して行いまして、うち五人が給与差し押さえなどの強制執行の申し立てに至っております。
 なお、主税局による債権回収事業は今年度で終了するため、今年度は新たな案件の依頼を行わずに、これまで依頼した案件、その回収業務に従事をしていただいているところでございます。

○山口委員 今の答弁で、都立病院が抱えていた三億四千万もの困難案件を主税局が引き取って、約六千万円の回収実績があるということはわかりました。困難案件をこれだけ回収できるというのは、やはり都の徴収ノウハウは高いレベルに今あるのだろうと、これまで行われてきた都債権回収事業の効果があったことはよくわかりました。
 しかしながら、主税局による債権回収事業は今年度で終了し、新規の依頼はしていないということでありますが、今年度新たに発生した困難案件にはどのように対処していくつもりなのか、また、今後病院経営本部は未収金回収問題に対してどのように対応していくおつもりか、お伺いをいたしたいと思います。

○秋山病院経営本部長 現在、主税局の出張徴収や裁判所内での和解交渉の立ち会いに病院経営本部の職員を同行させるなど、主税局が持つノウハウの承継に努めておりまして、今年度新たに発生いたしました困難案件の一部につきましては、本部職員が督促状発送や電話催告、現地での交渉などの業務を行うとともに、主税局のノウハウを反映させた未収金管理回収に関するマニュアルの作成を進めているところでございます。
 次年度につきましては、本部内に債権回収班を設置いたしまして、各病院からの困難案件を一括管理できる体制の整備、これを進めたいというふうに考えております。

○山口委員 これまでの答弁で、さまざまな発生予防対策や回収努力を行っていることはわかりました。さらに、次年度は管理回収マニュアルを作成されて本部の体制強化をされるということで、効果的、効率的な対応を期待しているところであります。
 先ほどの答弁にもありましたが、支払いが困難な方には、各病院において福祉制度の紹介、利用といった支援を適切に行うなどの未収金発生防止策をしっかりと行うことがまず第一であろうかと思います。その上で、払うべき方にはきちっとお支払いをいただく、これは当然のことだと思いますので、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に一つ申し上げます。
 今回取り上げました九億二千七百万円の個人未収金については、決算書や決算説明資料を見ても記載はなく、医業未収金として百六十一億と記載をされているのみです。これは健康保険や社会保険に請求中の金額や、月をまたいで入院をしている方の医療費など、単に会計上のタイムラグから決算時点では未収金となっているものもありますが、後日ほぼ確実に回収できるものがほとんどです。
 病院会計だけではなく、ほかの公営企業会計も同様ですが、発行済み債券、つまり借金が資産として計上されるなど、一般の会計書類とは異なる点が多々あることから、経営状態が把握しづらいのではないかと感じます。都の一般会計においては、今回、史上初の決算参考書を用いた決算審査が行われました。他の自治体を例に挙げれば、大阪市ではことし、公営企業会計の決算書をわかりやすく説明したアニュアルレポートを作成しております。都立病院の独立行政法人化の検討が進んでいるようですが、こうしたさまざまな動きがある中で都立病院改革を論じていく上で、経営、財務の観点は非常に重要なポイントであると思います。
 関係局長がおそろいですので、都の公営企業会計においても経営状況をわかりやすく説明する取り組みをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○相川委員長 山口委員の発言は終わりました。
 次に、曽根委員の発言を許します。

○曽根委員 石原都政になって八年になりますけれども、財政再建推進プラン、都庁改革アクションプランが二次にわたって行われまして、公営企業局を含めて数百、細かくいえば千を超える事業が見直し、縮小、廃止。施設の多くも廃止、売却などがされてきました。特に公営企業局ではこの圧力がさらに強く、例えば九八年ごろだったでしょうか、都営バスの全面民営化の構想があるというようなことが報道されると、それを契機に民間バスの営業所ごとの民間委託が急激に進むというようなことが進められてきました。この流れの中で、今日、都が、都民に安心して利用されるよう、自治体として公共サービスを担っている上下水道や交通、病院、市場などの事業の本来の役割を大きく損ねる事態が起こされているんじゃないか、この問題について何点か質問したいと思います。
 最初に、都立病院から公社病院への移管問題についてお聞きします。
 昨年度、荏原病院、五百ベッドの大病院でありますが、公社化されました。しかし現在、産科、そのほかの医師や看護師不足のために経営が厳しいだけでなく、病棟閉鎖が相次いで、地域医療に深刻な影響が出ています。移管前には三百三十人以上いた看護師さんが現在二百八十人で五十人以上減り、一個病棟四十三病床分を一時休止している。同じように公社化されました多摩北部医療センターでも、看護師さんが減って、四十ぐらいのベッドが使えない状態です。
 都立病院も確かに医師、看護師不足があり厳しいというのは先ほどお話もありましたが、しかし、看護師さん確保の条件やノウハウという点では、東京都にはまだ力もあるし、十一の都立病院のネットワークも使えるわけです。私は、公社化したことが荏原病院にとっては、地域医療に責任を持つという東京都の立場から見て、昨年度の公社化は、やはりタイミングも含めて適切ではなかったんじゃないかと。公社化は適切だったといえるのかどうかについて、基本的な見解をお聞きします。

○秋山病院経営本部長 公社病院でございますけれども、これは地域の実情に応じて都民が身近な地域で適切な医療が受けられるような効率的な医療システムを推進するということを目的としております。一方、都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適切に都民に提供する役割を担っているところでございます。公社病院と都立病院はこうした役割分担を踏まえ、現在の厳しい医療環境のもと、限りある医療資源を有効に活用し、密接な連携を図ることで都民に対する医療サービスの向上を目指しているところでございます。
 これまで公社化、公社移管を行った病院では、それぞれの地域ニーズを踏まえました特色ある医療サービスを新たに提供もしてきておりまして、公社移管の意義は極めて大きいものと考えております。

○曽根委員 地域医療を担う公社病院の役割、そして都との連携、これが十分に果たせていないからこそ、大田でいいますと、人口六十万以上の大田区で今産科があるのは一病院だけという事態になっているんじゃないでしょうか。東京都が支援すべき医療公社の病院がこうした実態にあるというときに、今、荏原病院に派遣している都の看護師さんに加えて、場合によっては追加派遣ということも含めて、少なくともこの病床閉鎖を何とかするために手だてが打てないのかということであります。都立病院の看護師さんの異動は年間数百人あると聞いていますが、そうしたネットワークの中で追加派遣ということは考えられないんでしょうか。

○秋山病院経営本部長 管理団体への派遣職員につきましては、行財政改革実行プログラムに基づきまして順次縮減をしていくということが都全体の方針となっておりまして、また、公社の自律的経営を図る観点からしましても、公社病院の看護師は公社がみずからの努力により採用することが基本であろうというふうに考えております。
 このため、公社へ派遣している職員につきましては、公社における固有職員の確保の状況、各年度の事業計画等を総合的に勘案しながら段階的に解消することとしておりまして、ご質問のような追加派遣については考えておりません。もちろんのことではございますが、公社におきましても看護師の確保に向けてきめ細かな採用や定着対策にも取り組んでいるというふうに聞いております。

○曽根委員 先日、各決でお聞きしたときには、荏原病院は七対一の看護基準で苦しんでいるということも認めていたと思います。もともと五百ベッドもある荏原病院を公社化する際には、地元から、これだけの大病院を公社化して、しかも新たな医療機能まで持たせる、本当に大丈夫かという不安の声があったのに対して、東京都は、公社化した方が経営が安定するなどと答えてきたわけです。この責任を果たしていない現状は、やはり公社化は時期も含めて適切ではなかったといわざるを得ないと思うんです。
 これは、私は病院の経営本部を責めているというよりも、都立病院もこの間、行政医療、先ほどお話のあったように、不採算医療を担いながら東京都からの補助金も削られてきたし、ちょうど昨年度は国からの診療報酬削減のしわ寄せも受けているわけで、やはりこういう流れの中にありながらも、かなり地域医療の中核を担ってきた公立病院を無理やり公社化するという、この間の行革路線自体が問題だといわざるを得ないと思うんです。
 今私のおります北区で最大の病院であった東十条病院、三百五十床の病院が全科休診という話がありましたが、もう既に廃止を決定しまして、医療法人も解散というふうになりました。入院ベッド過剰といわれていた北部医療圏でも、八月段階で既に三百十一床のベッド不足が生まれており、今回三百五十マイナスになりますので、医療ベッドは六百五十も不足するという深刻な事態になってしまいましたが、東十条病院からは、毎年高額な家賃という形で利益を吸い取ってきた企業グループがあるわけです。ところが、最近病院の経営が赤字になったらもう利益が吸い取れないということで、地域医療への責任など全く放棄して法人まで解散するということで、これが企業の論理だと、私は地元で痛感しているところです。民間病院だから医師の確保がしやすいといったのは、民間病院が黒字を出せていたときであって、今、民間病院でも赤字です。そういうときこそ都立病院の役割がますます重要なときではないでしょうか。
 今、公社化も進めていますが、PFIによる民間企業の参入だとか独立行政法人化でもって、医師、看護師を公務員身分を取り去って人材不足に拍車がかかる危険を犯すなど、都民が自治体の病院に求めている方向とは全くあべこべだということを指摘しておきたいと思います。
 次に、都民の安全輸送を担う交通局でも、効率化の名でかなりの職員削減と民間委託が進められてきました。二〇〇〇年以降の交通局の職員削減は、バス、地下鉄それぞれ何人程度でしょうか。

○島田交通局長 十二年度と十八年度を比較してお話をさせていただきますと、バス事業では、十二年度、三千三百六十二人に対し、十八年度二千四百八十六人、八百七十六人の減でございます。地下鉄事業は、四千八十二人に対し三千五百六十九人、五百十三名の減少ということでございます。

○曽根委員 バス事業では二割以上、地下鉄でも一割以上の削減をしてきました。交通局長、率直にいって、これだけ直営職員を減らして交通局の安全輸送のレベルが落ちていないというふうにいい切れるでしょうか。

○島田交通局長 先ほどから私どもは、交通局の使命の第一は安全輸送にあるという認識がございます。加えまして、地下鉄事業並びにバス事業とも非常に厳しい状況にある。それが今回おかげさまで黒字になってきたといったことは、増客、増収対策、加えて経営の効率化にもあるというふうに考えております。
 そういった意味から、この経営の効率化についてはぜひとも必要であり、それで安全のレベルが下がらないようにというふうに努力をしているところでございます。

○曽根委員 四十数年来の悲願であった黒字実現と引きかえに安全のレベルが下がってはならないという認識では、局長と私も一致していると思うんですが、では、実際に大江戸線の事故の原因となった変電所の定期点検業務の委託、私が聞いたところ、監督を都の職員ではなく委託会社の職員が行い、作業は委託会社とは別の協力会社の社員が作業の大半を担っていたというふうに聞いていますが、事実でしょうか。

○島田交通局長 お尋ねの変電所保守委託に対する委託でございますが、統括的な管理は都が行っておりますが、現場での個々の作業については、国家資格の電気主任技術者などの技術と経験を有する者を責任者とする、これを条件に委託会社に出しているものでございまして、都の職員の立ち会いは省略しております。当日の作業は、委託会社のこうした責任者が二名、加えまして当該作業に必要な技術と経験を有する協力会社で行ったということでございます。

○曽根委員 今回の事故では、その委託会社の監督者の指示が、作業をしている別会社の社員に伝わり切れなかったのが原因ではないかというふうに現場の声を聞きました。別会社の社員をわざわざ委託会社がまた雇うということは、だれでも想像できることですが、人件費が安いからだと思います。安かろう悪かろうになっているのではないかという疑問が、やっぱりどうしてもわいてきます。
 これまで四割ぐらいの変電所の点検を委託してきたということですが、私たちは直営に戻すことも含めて根本的な見直しをすべきだと思いますが、せめて当面、すべての点検について都の職員が立ち会いをする、また、作業は同じ会社の社員が一括して行う、最低限必要だと思いますが、いかがですか。

○島田交通局長 ヒューマンエラーというのは、人間が作業を行う場合、直営、委託にかかわらず発生する可能性があるものと私は認識しておりますが、そのヒューマンエラーをいかにして出さなくしていくかが大きな課題であると考えております。
 なお、今回の事故発生原因につきましては、分科会でもお話をさせていただきましたが、現在調査中でありまして、その対策についても検討中でございます。

○曽根委員 都の職員の立ち会いぐらいは最小限の改善だと思います。一たん停電事故が起きれば、今回明らかになったとおり、影響は大きいものです。改めて要望しておきます。
 定期点検といえども、ミスすれば影響は大きい。ましてや、この定期点検を全面委託にしていくという今の流れでいくと、交通局のこうした電気技術の継承が非常に困難になります。基本部分まで委託するのは大きな間違いであるということを申し上げておきます。
 さらに、これまでの駅の委託化についても、いざというときに対応に大きな問題が起きることが今回明らかになりました。先日の事故で、停電で停止した電車まで駆けつけたのは都の職員だけであって、委託会社の駅の社員は駅から離れられなかったのが事実ではないかということを確認したいと思います。

○島田交通局長 事実関係ということでお答えをさせていただきます。
 先日の事故発生時、当該駅には都職員である助役のほか、委託係員が三名おりました。助役は、事故があった際、係員の配置を指示した後、直ちに列車に駆けつけ、隣の練馬駅、担当乗務区、本局から交通局職員十数名が応援に駆けつけ、また、警察、消防が多数駆けつけていただきまして、お客様の避難誘導に当たったものでございます。
 その間、当該駅の委託係員は、線路からホームに上がるお客様の誘導、改札口周辺での振りかえ乗車券の配布、旅客案内等の対応をしたものでございます。
 今回の事故に限りませず、直営駅、委託駅にもかかわりませず、駅係員は旅客対応に当たる役割となっているものでございます。

○曽根委員 委託契約の規定では、異常事態の場合は都の職員の指揮下に入って事故に対応することになっているというんですが、現場の方に聞きますと、ふだんは全く指揮命令関係がない、話をすることさえほとんどない。これが委託関係の限界なんですが、したがって、いざというとき事故現場に同行していくことなどできるわけがないし、実際、一人しかいない都の職員は大至急駆けつけてしまうから、残された社員は、それでなくても二、三人というぎりぎりの人数ですから動けるわけもない、これが実態だという話であります。
 駅の委託が今の四割ぐらいからどんどん進んだときに、地震その他で全線が停止したり、ましてや脱線などの事故が起きたらだれがどう対応するのか、私は駅の委託化の拡大を中止し見直すことと、駅職員が今のぎりぎりの人数ではなく、もう少しゆとりを持たせることが、いざというときの場合に必要だということを申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、築地市場の豊洲移転問題についてお聞きします。
 最後に、豊洲の土壌汚染問題ですが、この深刻さが次々と今明らかになっているわけですが、東京都は、追加調査も始まらないうちに六百七十億円という汚染対策費を発表していますが、とんでもないことだと思います。汚染の実態を見きわめないうちの勝手な限定や線引きは許されません。東京ガスの田町工場跡地では、不透水層の下までボーリング調査をして汚染が発見されています。もし豊洲でも不透水層の下まで汚染があれば、対策費は六百七十億円どころでは済まない。さらに膨らんで、豊洲への移転などは、この汚染対策費から見ても確実に不可能になってしまうと思いますが、いかがですか。

○比留間中央卸売市場長 まず、六百七十億円という経費でございますけれども、現時点までの専門家会議での議論の状況を踏まえながら、都として試算をしたものでございます。有楽町層についてでございますけれども、専門家会議から、有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いという意見をいただいておりまして、有楽町層より下について調査をする考えはございません。

○曽根委員 もし下に汚染があることが何らかの事実で明らかになった場合、処理費用は一千億円を超えるような規模になってしまうんじゃないですか、いかがですか。

○比留間中央卸売市場長 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、専門家会議を設置して科学的な知見をもとに必要な調査を実施しているものでございます。関東地方の地層や土質に詳しい委員からは、新市場予定地で粘土層を形成している有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いというご意見をいただいております。

○曽根委員 可能性が低いことしかいわないんですけれども、もし有楽町層の下に汚染があれば、これはもう既に田町の東京ガス工場跡地で不透水層の下に汚染が見つかっているというれっきとした事実もありながら、なお、その下の可能性を小さいといって調べないということは、率直にいえば、お金がかかり過ぎて、これがもし明らかになったらば豊洲移転がアウトになるからじゃないですか。明らかじゃないですか。しかも、だからこそクロスチェック、ほかのさまざまな立場の学者、専門家の調査も認めないというのは、まさにそこに原因があるというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 もともと東京都は二〇〇〇年六月に、さんざんお願いしていた東京ガスから東京都に対してあてられた申し入れにあるように、土壌汚染があるからと渋っていた東京ガスを説き伏せて、何が何でも豊洲への移転しかないと決めてしまったことが根本的な誤りだと思いますが、東京ガスからの東京都への申し入れについてどう認識していますか。

○比留間中央卸売市場長 東京ガスの田町地区のお話が冒頭出ましたので、その点についても触れておきますと、私どもが移転を予定しております豊洲は、有楽町層の深さが浅いところで大体五メートル、深いところで九メートルから十メートルでございます。東京ガスの田町の敷地は有楽町層の深さがおよそ十四、五メートルございまして、東京ガスはこの用地について土壌汚染対策法に基づいて約二十メートルのボーリングをしたと聞いておりますけれども、汚染物質が出てきたのは十五メートル付近のところであるというふうに聞いておりまして、有楽町層を汚染物質が汚染する可能性は低いという専門家の意見は妥当であるというふうに私どもとして考えております。
 それから、東京ガスからの申し出を断ったということについてでございますけれども、東京ガス株式会社は、平成十二年六月、豊洲地区への築地市場移転にかかわる東京都の考え方について文書で質問をしてございます。その内容は、豊洲地区への市場の移転そのものには理解を示しつつも、豊洲地区内での具体的な市場の立地場所について調整を要するとの申し入れを行うとともに、臨海部開発における市場移転の位置づけ、移転に向けた市場業界団体等との調整状況などについて、都の考え方を質問したものでございます。

○曽根委員 豊洲移転に理解を示したといいますが、この文書の冒頭にはっきりと、したがいまして、築地市場の豊洲移転は、弊社といたしましては基本的には受け入れがたいところでありますと、明確に結論が書いてあるじゃありませんか。
 しかも、私が問題だと思うのは、豊洲移転が難しいという理由の一つに、はっきりと、豊洲用地は工場跡地であり、土壌の自浄作用を考慮したより合理的な方法を採用し、長期的に自分の会社では浄化に取り組む予定だが、譲渡に当たり、その時点で処理ということになれば大変な改善費用を要することになりますということも明記されております。
 それで、今回、専門家会議で明らかになったタールのスラッジ、汚染が余りないと思われていた場所で、なぜ一千倍のベンゼンの地下水汚染が見つかったかと。よく調べてみたら、この周辺において石炭ガス製造で発生したタールスラッジを仮置きし、おがくずとまぜて燃料として都内の銭湯などに出荷していたことがあったという事実が出てきているわけです。
 ところが、平成十四年に東京ガスが東京都の環境局に提出した有害物質の排出状況の報告では、そういうことを業務として行っているということは一切書いていないんですよ。ここには、石炭ガスの冷却過程でベンゼンやシアン化合物を含む粗タールが生成されるが、通常は排水として処理されていた。しかし、装置の損傷等によって土壌中に排出されたものと考える。装置の損傷という例外的な事情で土に排出されたことはあっても、業務として仮置きして、おがくずとまぜて銭湯に売っていたと--売っていたかどうかはわかりませんが、銭湯に出していたと。私が聞いたところでは、当時の作業に当たった人は、そこで燃やしてもいたと。東京都はその隣でもって港湾事業をやっているわけで、よく知っているはずだというふうに話していました。
 これだけの事実の違いは、ちょっと調べればわかるはずだったにもかかわらず、なぜ無責任に豊洲の買い取りを決めてしまったのか、ここに大きな問題があるんじゃないですか。もう土の中はタールでさんざん汚されているという、恐らく日本で最も汚れた土と地下水の場所ですよ。そこに何でわざわざ生鮮食料品の市場を移転しなきゃならないのか。その点について全くちゃんと説明がされていないんじゃないですか。豊洲移転はあきらめるべきだと思いますが、いかがですか。

○比留間中央卸売市場長 豊洲の移転をあきらめるべきだというご指摘でございますけれども、現在、専門家会議で検討しておりまして、具体的な詳細調査に今後入っていく予定でございます。今後、詳細調査の結果に基づきまして、専門家会議の提言を確実に実施し、土壌汚染対策に万全を期すことによりまして、都民に安心できる市場として豊洲新市場を平成二十五年三月に開場させてまいります。

○曽根委員 生鮮市場は、先ほどどなたかもおっしゃったように、都民の食と安全にかかわる重大な疑念が持たれているし、これは一〇〇%都民が納得しなければ移転はできないということは明らかであり、今のような話では、移転に対する都民合意は得られないということも明確に述べて、質問を終わります。

○相川委員長 曽根委員の発言は終わりました。
 次に、原田委員の発言を許します。

○原田委員 多摩地区における水道水の多くは地下水がブレンドされ、それがおいしい水の要因の一つになっています。この地下水を少しでも飲みたいという思いのあらわれとして、毎年多摩の市町村から、休止している水源井戸の再開要望が出ています。生活者ネットワークも、地下水を身近な水源として丁寧に涵養しながら飲み続けることを望んでいます。
 そこで、一元化後の地下水の揚水量の推移をまずお伺いします。

○東岡水道局長 多摩地区統合二十五市町における年間揚水量は、一元化を開始した昭和四十八年度は約一億五千万立方メートルで、昭和六十年度以降はおおむね一億立方メートル前後で推移しております。平成十八年度は九千九百万立方メートルでございます。

○原田委員 いただいた資料にも、そのように、ここ十年間ぐらいは地下水の揚水量は安定しているというようなデータが出ています。これからもこの揚水量を保持しながら地下水をブレンドし続けてほしいと要望するものです。
 現在ある水源井戸の維持補修はどのように行われ、その維持補修費はどのぐらいでしょうか。

○東岡水道局長 井戸につきましては、月二回行う日常点検など定期的な点検を行い、必要に応じまして取水ポンプ取りかえなどの補修工事を実施しているところでございます。平成十八年度における点検及び補修に要した費用は、点検費用が年間およそ一億四千万円、補修費用は七億八千万円、合計で九億二千万円でございます。

○原田委員 地下水源井戸の点検、補修に関しては一元化後も丁寧に続けている様子で、安心しました。今後、東京都直轄の事業になるということですが、引き続き、水源井戸の丁寧なメンテナンスを続けていただきたいと要望します。
 それで、多摩地区における水源井戸の総数と休止中の井戸数、そしてその休止の原因をお伺いします。

○東岡水道局長 井戸の総数は二百九十本ありまして、そのうち休止中の井戸は二十九本でございます。また、休止の主な原因は、水位の低下や1・4ジオキサンなどによる水質悪化、地盤沈下防止対策でございます。

○原田委員 立川の三つの水源井戸が、1・4ジオキサン検出のため休止の状態が続いています。この経緯を見ると、平成十四年の休止以降も汚染は続いているとのお話です。地下水脈は汚染源を突きとめるのが大変難しいということのようですが、環境局、地元自治体と連携し、汚染源を調査することが必要と考えますが、ご見解を伺います。

○東岡水道局長 現在、立川の三つの井戸からは、依然として1・4ジオキサンが検出されております。当該井戸は深井戸であることや、汚染行為から長時間経過している可能性があり、汚染源を突きとめるのは難しい状況でございます。また、1・4ジオキサンの除去方法につきましては、現在のところ確立されておりません。したがいまして、当面は水質検査を継続し、1・4ジオキサン濃度の推移を見守りながら環境局や地元自治体との情報連絡に努めてまいります。

○原田委員 地下水は河川の汚染と違って原因究明が難しいということは承知しております。加えて、1・4ジオキサンの処理も大変悩ましいということも聞いております。しかし、このように自然に負荷を与える物質を扱う業者、また、仕事の過程で有害物質を生成してしまう業界への指導監督を強めることは大変大事なことだと考えますし、汚染井戸対策も環境局と関係者の連携でぜひ進めていただきたいと思います。
 汚染井戸対策は、その井戸の水をくみ上げていくこと、これが大事です。立川の井戸を初めとする、汚染のため休止している井戸を放置しないでくみ上げて、少しでも早く水質を回復させることを望みます。多摩地域のそれぞれの自治体が大事に管理し飲み続けてきた地下水の保全をこれからもしっかり継続していくことを要望します。
 さて、PRTR法では、家庭から排出される洗剤、殺虫剤、また、農地やゴルフ場から排出される農薬、都民が運転する、また事業者が運転する車の排出ガスなど、国が推計して公表しています。今、文科省のホームページに、PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック、平成十七年度集計結果からというホームページがアップされていますが、家庭から排出される物質の排出量は五万五千トンとされ、そのトップが衣類の防虫剤で三〇%、二位、三位、四位と合成洗剤の成分が続いていまして、二八%、二三%、三%になっています。合計すると半分以上、家庭から排出される合成洗剤の界面活性剤が占めているということです。このホームページは、大変難しい有害化学物質の話をわかりやすく掲載しているので、ぜひ皆さんも一度見ていただきたいと思います。
 先日、新聞の報道で、関東地方整備局、八都県市の、東京湾の水質改善への汚染物質流れ込みを制限しようと、下水道の整備、高度処理施設の充実、家庭での洗剤使用の削減などを盛り込んだ実施計画を作成しようとしている情報が入っております。公の場での洗剤使用は、その流れに配慮するものでなければならないと考えます。
 そこで、都立病院の厨房で使われている洗剤はどのような考え方で採用しているのか、お伺いします。

○秋山病院経営本部長 都立病院の厨房におけます食器洗浄につきましては、都が委託した民間事業者が実施しておりますが、委託契約の中で使用する洗剤につきまして、事前に都の承認を得ることを義務づけております。この承認に当たりましては、個々の製品の成分表示や危険有害性情報などを確認することによりまして、安全性に配慮するとともに、食器や器具の種類等も考慮しながら使用する洗剤を採用しているというところでございます。

○原田委員 いただいた全都立病院の厨房で使用している洗剤名の資料を見ますと、全部合成洗剤なんですね。大きな食器洗浄器になると、学校給食の場合でも純粋な石けん使用はノズルが詰まるということで、複合石けんの使用がほとんどです。しかし、手洗い部分は石けんが使用されています。公の病院での洗剤は極力合成洗剤を使わないような工夫をぜひお願いします。
 その次なんですけれども、市場での品質管理マニュアル作成の手引なんですけれども、場内での衛生管理など、項目を立てて内容を示しています。この中での洗剤使用はどのように表記されているのか、お伺いします。

○比留間中央卸売市場長 都は平成十八年度に品質管理マニュアル作成の手引を策定し、卸売業者が品質管理マニュアルをみずから定め、市場での食品の取り扱いや施設管理などを適正に行っていくよう指導してきました。この手引の中で洗剤の使用につきましては、卸売業者が陳列台やすのこ等の器具類や床面を洗浄する際に、器具類の素材や使用状況、床面の構造に応じた方法を選ぶことが必要とした上で、望ましい方法として中性洗剤を使用した後、水洗い、水切り等を行う例を示してございます。各卸売業者は、この手引の例を参考としながら、施設設備に適した方法をマニュアルで規定しているところでございます。

○原田委員 この中性洗剤といういい方は、石けんは基本的にアルカリ性ですので、中性洗剤は合成洗剤なんですね。聞けば、市場では水洗いがほとんどだというようなこともございますから、わざわざ中性洗剤というような記述もどうかなと、要らないのではないかと考えます。化学物質というと事業者しか出さないと思いがちですけれども、合成洗剤、殺虫剤など、私たちも知らず知らずに有害化学物質を使っているわけです。せめてこのPRTRに登録された有害化学物質を使用しても、今は問題ないとしても、二十年後、三十年後、安全といい切ることはできませんので、有害化学物質は予防原則からの対応が望まれると考えます。
 次に、東京都の交通局への質問に移ります。
 経営計画チャレンジ二〇〇一で頭出しをした駅構内への店舗展開、また、チャレンジ二〇〇四で打ち出された福祉環境対策など、社会的課題への対応を踏まえ、十八年度末に策定した新チャレンジ二〇〇七の中で社会的課題の展開についてお伺いします。
 まず、駅構内の店舗の設置は三十店舗増という方針を出し、この中で一店舗ずつが障害者の店舗として展開するようです。この施策は、障害者の働く場の確保という点で大変画期的なことではないかと評価するものです。これから自立支援法の成立を受けて、障害者の自立的な働きも問われていきます。障害者が働く構内店舗として、今年度に都営浅草線の大門駅に第一号店を出店する予定と聞いていますが、障害者店舗の設置について、交通局の認識及び検討過程をお伺いします。

○島田交通局長 駅構内に障害者が働く店舗を設置することは、公営交通事業者として重要な役割と認識しております。このため、交通局ではこれまでの都議会における議論も踏まえ、障害者が働く駅構内店舗の設置の実現に向け検討してまいりました。その結果、平成十九年度については、来年三月、大門駅構内に第一号店を出店することとなり、現在準備を進めております。

○原田委員 今後多くの駅で展開していただきたいと思うわけですが、設置までの手続とその過程についてお伺いします。

○島田交通局長 障害者が働く店舗の設置に当たりましては、交通局が出店の候補地を関係区にお示しし、運営する障害者団体の選定などについて関係区と協議しながら決定をしております。課題は、地下という限られた空間のため、出店者の希望と合致する場所、店舗スペースが少ないということであります。

○原田委員 賃貸の選考は一般と障害者用は違っていて、一般は公募、障害者用は交通局が決めた区画の自治体と協議して決定するというお話ですが、自立支援法はいろいろ課題を抱えているわけなんですが、この自立支援法の精神というのは、障害者が自立して地域で暮らし、働くことを目的としています。障害者団体が主体に手を挙げられる選考法にしていくことが法の趣旨に合っていると考えます。障害者の区画をまずは公募していくことが望ましいと考えますが、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
 また、三年間で三十店舗という、さまざまな地域での店舗が展開する中で、障害者のつくり出す製品を駅店舗の事業者で委託販売ができるような協力要請も、障害者へのささやかな協力として効果的と考えます。一つの店舗経営が困難でも毎日少しずつなら可能な団体も多い、そんな障害者団体の実態です。都営交通局の店舗展開のシンボルとして、これもぜひ考えていただければと思います。
 次に、温暖化への取り組み、各局の創意工夫で展開が行われています。公共交通はまさに今後市民の足として脱車社会のシンボル的な役割を担っていくと考えます。交通局においてはこれまでも環境への取り組みとしてどのような取り組みをしてきたか、また、新たにどのような取り組みをしていくのか、お伺いします。

○島田交通局長 地下鉄事業では、大量の電力を消費するため、交通局はこれまでも省エネルギー型車両の導入、消費電力の少ない照明設備の採用など、省エネルギー対策を実施してまいりました。また、現在、お客様サービスの向上のため進めております駅の冷房化、エレベーターの整備等に際しましても、消費電力の少ない設備を採用するなど、環境に配慮しております。都バスにつきましても、環境基準をクリアする最新バス、ハイブリッドバスの導入、そして先日スタートいたしましたバイオ燃料の使用なども行っております。
 加えまして、新経営計画におきまして、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用する駅エコプロジェクトを、地上駅の新宿線東大島駅で試行的に実施しております。

○原田委員 最後に、最近ベビーカーで移動する子育て世代がふえてきましたが、電車のドアに挟まれたという事故が報道されています。ベビーカーを押して乗車する場合、本人もそうですが、周りの人たちも、先に乗っていいか後がいいか、ちゅうちょすることも多くて、このベビーカーを押している人たちの対応、ちょっとしたタイムロスが事故につながると考えます。子育て支援、バリアフリーの促進の視点から一定のルールが求められると考えています。具体的には場内アナウンスで一言、ベビーカーをご利用の方は優先してご乗車くださいなどという案内が必要ではないかと思いますが、ベビーカーの優先乗車といった子育て世代への配慮について見解をお伺いします。

○島田交通局長 小さなお子様とご一緒のお客様には、安全で快適にご利用していただきたいということが交通事業者の重要な責務の一つであると認識しております。ベビーカーに関しては、これまでも関東の大手鉄道事業者と共同で車内転倒やドア挟みを防止するための啓発ポスターを掲載するなど、ご利用になるお客様に対し注意喚起を行ってきたところであります。ご指摘のありましたベビーカーの優先乗車についてでありますが、現時点では社会的なコンセンサスがまだできているとはいえず、検討課題も多いと考えております。
 引き続き、乗務員や駅係員の安全確認をこれまで以上に徹底させ、事故防止に努めてまいります。

○原田委員 これまで企業は、経済行為が最優先の中、社会の一員としての役割が薄くとも許されていたようです。今日、まちづくりの担い手として市民が主権者として浮上し、そのまちに住んでいる人だけでなく、働き、学ぶ人もまちづくりの担い手として位置づけられてきています。特に、地域にある企業の存在は大変大きいと思います。企業の社会的姿勢が問われてきています。特に、公の立場にある事業者は率先して社会的役割を果たして、社会のありようを牽引していく役割があると考えます。今後のさらなる取り組みを期待して、質問を終わります。

○相川委員長 原田委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定についてに対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月二十六日の十二時四十五分から理事会を、また十三時から委員会を本委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十二分散会


平成18年度公営企業会計決算特別委員会第1分科会審査報告書

第1分科会で行われた平成18年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。

平成19年11月1日
平成18年度公営企業会計決算特別委員会
第1分科会委員長 高橋信博

平成18年度公営企業会計決算特別委員長
相川 博殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、平成19年9月27日に設置され、次の案件を審査した。
・平成18年度東京都公営企業会計決算中、中央卸売市場、港湾局及び交通局所管分

(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月15日(説明聴取・資料要求)中央卸売市場、港湾局、交通局
10月24日(質疑)中央卸売市場
10月26日(質疑)港湾局
10月29日(質疑)交通局

2 本分科会における質疑の概要
(1)平成18年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
 〔1〕 豊洲新市場の整備について
  ア 豊洲新市場の整備に係る総事業費及び事業内容について
  イ 今後の建設スケジュールについて
 〔2〕 豊洲新市場予定地の土壌汚染について
  ア 環境基準を超える高濃度ベンゼンの検出原因及び高濃度のベンゼンがもたらす健康問題と対策について
  イ 東京ガス株式会社の土壌調査の妥当性について
  ウ 土壌汚染調査と対策に要する費用負担及び今後の土壌汚染調査について
  エ 都が行った地下水調査の結果について
  オ ボーリング調査について
  カ 第三者機関によるクロスチェックについて
  キ 健全土が再汚染されている可能性について
  ク 東京ガス株式会社が行った土壌汚染の処理について
  ケ 土壌汚染対策の抜本的な見直しについて
 〔3〕 築地市場の現在地再整備について
  ア 築地市場の現在地再整備計画について
  イ 移転反対運動が続いている中での移転について
  ウ 中央区等からの再整備プランについて
  エ 築地での再整備を断念した理由について
  オ 築地市場の再整備の可能性について
 〔4〕 中央卸売市場の活性化と食の安全・安心の確保について
  ア 生鮮食料品の市場経由率と取扱実績の現状について
  イ 計画的・継続的な施設整備の具体的な取組について
  ウ 流通環境の変化への対応について
  エ 市場の競争力強化のための情報化への取組について
  オ 「品質管理マニュアル策定の手引き」策定後の取組について
  カ 適切な産地表示の確保と対応について
  キ 市場の役割と小売店への支援策について
  ク 板橋市場でのロジスティクス構築の内容と都の支援について
 〔5〕 大田市場について
  ア 大田市場の青果物の取扱い状況について
  イ 大田市場が直面している課題とその対応及び施設整備計画について

(2)平成18年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
 〔1〕 臨海副都心の開発について
  ア 臨海副都心の今後のまちづくりと土地利用等の一部見直しについて
  イ 今後の開発を実現するために定めたガイドラインの内容について
  ウ まちづくり都民提案選定の優秀提案とガイドライン再改定への反映について
  エ まちづくり総仕上げにおける臨海ホールディングスグループの活動効果について
 〔2〕 臨海関係第三セクター等について
  ア 平成18年度決算における第三セクタービルの入居率について
  イ 平成17年度及び18年度の第三セクタービルの事業収入について
  ウ 当該出資等法人の内部規定の制定と情報公開への取組について
  エ 臨海ホールディングスグループの役員体制の概略と民間登用について
  オ 臨海第三セクターの経営状況の悪化と民事再生の申立て及び経営安定化策と民事再生による損失について
  カ 臨海第三セクターのビル事業収入と入居している都施設の賃料について
 〔3〕 臨海会計等について
  ア 売りに出されている都民提案街区の引き合いと利用計画の内容について
  イ まちづくり都民提案の求めていた内容と利用計画の変更について
  ウ 莫大な地球温暖化の負荷があるまちづくりの根本的な誤りについて
  エ 臨海部の住宅以外のビルの棟数、床面積、駐車台数について
  オ 臨海会計救済のための都の様々な財政支出や対策等について
  カ 臨海部広域幹線道路の事業費と負担区分について
  キ 臨海道路Ⅱ期工事と環状3号線の負担区分について
  ク 直近4年間の臨海部の土地処分箇所と額について
  ケ 埋立事業会計から臨海副都心事業会計への現物出資について

(3)平成18年度東京都港湾事業会計決算(港湾局所管分)
 〔1〕 港湾施設の耐震対策について
  ア 建設改良費における不用額の発生理由と執行率について
  イ 品川ふ頭ユニットロードターミナル整備工事の遅れと計画全体の進捗への影響について
  ウ 地震発生時の港湾労働者の確保について
  エ 東京港が地震発生時に緊急物資の海上輸送拠点として機能していくための今後の取組について

(4)平成18年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
 〔1〕 広告事業について
  ア 事業別の決算広告料収入の実績について
  イ 広告料収入における他社との比較について
  ウ 空きスペースの活用及び今後の広告事業への取組について
 〔2〕 バス事業収支における適正な黒字額と黒字の要因について
 〔3〕 管理の委託について
  ア 委託と直営の異なる点について
  イ はとバス運転手と都職員運転手に対する利用の声と事故発生率について
 〔4〕 ラッピングバス広告の決算額と広告開始以降の収入実績・台数の推移及び落ち込み原因と改善策について

(5)平成18年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
 〔1〕 地下鉄事業が黒字に転換した理由及び巨額の累積欠損金の解消について
 〔2〕 広告事業について
  ア 事業別の決算広告料収入の実績について
  イ 広告料収入における他社との比較について
  ウ 空きスペースの活用及び今後の広告事業への取組について
 〔3〕 都営地下鉄の火災対策について
  ア 駅の安全対策のこれまでの取組と今後の取組について
  イ 蓄光式避難誘導明示物の今後の整備状況と火災対策設備の整備状況について
  ウ 排煙設備や二方向避難路の確保における課題について
  エ 火災発生時の訓練及びマニュアルについて
  オ 大江戸線事故での避難・誘導について
 〔4〕 都営地下鉄の安全対策について
  ア 地下鉄各駅の配置人数決定基準について
  イ 駅の委託を拡大する上での安全対策について
  ウ 変電所設備保守委託の決算額について
 〔5〕 都営地下鉄のバリアフリー化の促進について
  ア 駅のバリアフリー事業の執行状況及び執行率が低い原因について
  イ エレベーター工事の実績と経営計画の目標達成について
  ウ エレベーター周辺の安全性について
  エ 用地確保の具体的取組と今後の見通しについて
 〔6〕 都営地下鉄ホームでの安全対策について
  ア 転落事故防止対策のこれまでの取組について
  イ 三田線に可動式ホーム柵を設置した理由について
  ウ バリアフリー新法に対する交通局の認識と検討内容について
  エ 大江戸線にホーム柵を設置する理由について
 〔7〕 障害者対策について
  ア 障害者が働く駅構内店舗の1号店と今後の設置計画について
  イ 福祉乗車証の概要と実績及び局ホームページへの掲載について
 〔8〕 地下鉄事故に対するこれまでの安全対策について
 〔9〕 ICカード乗車券「パスモ」について
  ア パスモのPRと発行枚数について
  イ パスモ導入の目的と効果について
  ウ 連絡定期券における不便さの解消について
  エ パスモの活用の可能性について
 〔10〕 浅草線と大江戸線の送電トラブル事故と委託の関連性について
  ア 砕石工事の委託状況について
  イ 電気設備の保守点検委託件数と電気関係職員の立会いについて
  ウ 保守点検時の指差し確認の有無について
  エ 委託会社に対する技術者の研修について
  オ 変電設備の保守点検と都職員の立会いについて
  カ 大江戸線放射部における委託駅数と委託体制について
 〔11〕 大江戸線の事故対応等について
  ア 事故に駆けつけた職員について
  イ ワンマンとツーマンの研修の違いについて
 〔12〕 地下鉄事故警告書と今後の対応について

(6)平成18年度東京都電気事業会計決算(交通局所管分)
質疑なし


平成18年度公営企業会計決算特別委員会第2分科会審査報告書

第2分科会で行われた平成18年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。

平成19年11月1日
平成18年度公営企業会計決算特別委員会
第2分科会委員長 鈴木貫太郎

平成18年度公営企業会計決算特別委員長
相川博殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、平成19年9月27日に設置され、次の案件を審査した。
・平成18年度東京都公営企業会計決算中、都市整備局、病院経営本部、水道局及び下水道局所管分

(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審議し、終了した。
10月15日(説明聴取・資料要求)水道局、下水道局、病院経営本部、都市整備局
10月24日(質疑)水道局
10月26日(質疑)都市整備局、病院経営本部
10月29日(質疑)下水道局

2 本分科会における質疑の概要
(1)平成18年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
 〔1〕 水道事業について
  ア 「東京水道経営プラン2004」の実施状況、財政状況及び評価について
  イ 漏水率低減目標達成の具体的取組について
  ウ 鉛製給水管解消の達成状況について
  エ 多摩地区におけるお客さまサービス向上の具体的取組について
  オ 多摩地区の経営改善による事業運営効果と民間委託の内容について
  カ 純利益の使途について
  キ 今後のアウトソーシングの取組について
  ク 水安全計画策定の策定状況と今後の予定について
  ケ 平成18年度の減免件数及び高齢者世帯の減免について
  コ 平成17・18年度の一般用の給水件数・料金収入、検針票について

 〔2〕 おいしい水の取組について
  ア 事業所における国際規格の取得状況について
  イ おいしさに関する水質目標達成状況と残留塩素の達成率向上の取組について
  ウ 主要水源河川の水質状況について
  エ 浄水場における一般的な浄水処理について
  オ 塩素の低減化について
  カ 三園浄水場への高度浄水処理の導入効果について
  キ 玉川浄水場の再開について
 〔3〕 水源の確保について
  ア 既得水源量と浄水施設能力について
  イ 河床低下により取水に支障が生じている水源状況について
  ウ 多摩地区の地下水が都の保有水源に含まれない理由について
  エ 都営一元化による統合市町の地下水の現状について
  オ 八ッ場ダムの工事進捗状況及び東京都の負担について
 〔4〕 水需要について
  ア 平成18年度の一日最大配水量及び一日平均配水量の実績と水需要減少原因及び水需要予測について
  イ 平成19年度の一日最大配水量について
 〔5〕 貯水槽水道について
  ア 都内で貯水槽のある建物件数と水道局のかかわり方について
  イ 貯水槽の点検調査対象件数・実績・点検内容について
  ウ 直結給水化の進捗状況及び切替工事費用、貯水槽と直結給水化との費用の比較について
  エ 直結化によるCO2削減効果と今後の見通しについて
  オ 災害時における貯水槽のストック機能について
  カ 給水方式の選択に関する都民への情報提供について
 〔6〕 経年管等の更新について
  ア 東京の水道における耐震化対策と具体的な耐震性について
  イ 経年管の取替状況と今後の見通しについて
  ウ 首都機能を守るための取組について
 〔7〕 土地の賃貸契約等について
  ア 水道局の保有する土地の賃貸契約の内容について
  イ 佐川急便案件の「固定資産管理運用委員会」での取扱いについて
  ウ 「固定資産管理運用委員会」の責任について
  エ 東京都市開発株式会社と佐川急便の契約について
  オ 境浄水場隣接地の共同ビル事業案件の建設業者の選定について
  カ 水道局の土地賃貸契約に関する東京都市開発株式会社の関与について
  キ 都の保有床からの収入について
  ク 局が保有している床や土地の適切な利活用について

(2)平成18年度東京都工業用水道事業会計決算(水道局所管分)
質疑なし

(3)平成18年度東京都都市再開発事業会計決算(都市整備局所管分)
 〔1〕 公営企業会計導入の成果と評価について
 〔2〕 都市再開発事業について
  ア 各地区の事業の進捗状況について
  イ 環境への取組について
  ウ 「10年後の東京」の実現のために事業が果たす役割について
 〔3〕 環二地区の都市計画変更の内容と手続きの進捗状況について
 〔4〕 大橋地区市街地再開発事業について
  ア大橋ジャンクションの建設に伴う再開発事業を都が行う理由について
  イ事業協力者制度や特定建築者制度導入の効果について
  ウ事業協力者について
  エ特定建築者グループ4社のそれぞれの出資割合、床の持分、保留床面積、負担する敷地代金及び建物工事費について
  オ 再開発ビル2棟の予定住宅戸数について
  カ 1-2棟の小規模住宅の面積及び戸数と内訳、都市居住型誘導居住基準より最小区画が小さい理由について
  キ 借家人の地区内入居割合が低いこと及び白鬚西地区の借家人の入居割合との比較について
  ク 零細権利者に対する生活再建措置の実施について

(4)平成18年度東京都病院会計決算(病院経営本部所管分)
 〔1〕 PFI事業について
  ア 都におけるPFI事業の仕組みと病院経営の関係について
  イ 医療環境の変化に対応する仕組みの構築、モニタリングについて
 〔2〕 精神医療センター(仮称)の整備について
  ア 整備計画の策定経過と今後の整備方法について
  イ 精神医療センターが今後担う医療課題及び具体的整備について
  ウ 医療観察法に基づく医療を松沢病院で提供する理由について
  エ 整備後の内科診療継続について
  オ 整備計画公表後の地元住民への対応について
  カ 正門の位置の変更に関する経緯について
  キ 医療観察法に基づく病棟施設配置と施設開放に関する住民への配慮について
  ク 医療観察法に基づく病棟の地方独立行政法人による運営について
 〔3〕 都立病院における医師の確保について
  ア 患者数の減少理由と医師確保の取組方法について
  イ 豊島病院の患者実績の減少及び現在の体制について
 〔4〕都立病院の公社移管について
  ア 公社化の意義と既に移管した三病院の医療サービス面の変化について
  イ 豊島病院の公社移管に向けた関係機関への対応について
 〔5〕 都立病院経営委員会からの報告書を受けた後の都の対応について
 〔6〕 都立病院における電子カルテシステムについて
  ア 電子カルテ導入の意義、導入経過・導入効果、課題について
  イ 電子カルテシステムの課題、情報セキュリティ対策、医師・看護師に対する操作支援について
 〔7〕 都立病院における未収金総額と医療費支払困難者への対応について
 〔8〕 都立病院の栄養部門について
  ア 栄養サポートチームの設置状況、活動内容等について
  イ 食材の安全確保基準及びチェック体制について
  ウ 食事療養のホームページの改良について
 〔9〕 平成18年度の医療安全対策の取組について
 〔10〕 病院ボランティアの活動範囲と病院との連携について
 〔11〕 医療メディエーターの導入について
 〔12〕 平成18年度の駒込病院の患者医療情報・相談室の利用実績及び重症の入院患者への対応、待ち時間解消対策について
 〔13〕 MRIの購入契約について
  ア 購入契約価格の内訳と明細書の必要性について
  イ 工事費、ネットワーク整備費の発注方法について
  ウ 入札参加者の限定と高額医療機器の複数台購入方法について

(5)平成18年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
 〔1〕 浸水対策について
  ア 雨水整備クイックプラン前期5ヶ年でのハード対策の評価と新クイックプランでの展開について
  イ 追加した重点地区の理由と具体的な対策内容について
  ウ 新クイックプランの重点地区等以外の浸水地域への対応について
  エ 浸水予想区域図の作成に当たっての前提条件について
  オ 平成18年度における排水設備計画届出数と区部の半地下建築物の排水設備計画届出数について
  カ 半地下建築物の構造上、排水上の問題点について
  キ 半地下建築物における排水ポンプ設置状況の確認及び未設置家屋への指導について
  ク 練馬区における雨水整備クイックプランの進捗状況及び中村地区周辺の今後の浸水対策について
  ケ 三軒茶屋二丁目周辺の浸水対策について
  コ 東京アメッシュのリニューアル内容とその他の情報提供について
 〔2〕 再生水利用の普及、拡大について
  ア 処理水有効利用の取組について
  イ 再生水利用事業の現状及び利用拡大に向けた今後の取組について
  ウ 再生水の清流復活用水への供給場所とその量及びヒートアイランド対策としての道路散水の取組について
 〔3〕 多摩地域の水環境の改善に向けた取組について
  ア 多摩川の更なる水質改善に向けた取組について
  イ 流域下水道における合流式下水道の区域の割合、改善の取組、新技術を導入した施設の概要と効果について
  ウ 平成18年度に都と市町村が共同で行った水質検査の実績について
  エ 都が市町村に支援している下水道台帳の整備について
 〔4〕 新河岸水再生センターの貯留池の整備効果等について
 〔5〕 下水に油を流さないための啓発活動及びダイエットレシピについて
 〔6〕 流域下水道幹線老朽化の現状と維持管理状況について
 〔7〕 下水汚泥及びその処理時に発生する熱の利活用について
 〔8〕 雨水浸透を推進するための取組について