公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成十九年十月二十九日(月曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長高橋 信博君
副委員長秋田 一郎君
副委員長長橋 桂一君
副委員長いのつめまさみ君
米沢 正和君
鈴木 章浩君
高倉 良生君
くまき美奈子君
増子 博樹君
田島 和明君
曽根はじめ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長島田 健一君
次長金子正一郎君
総務部長高橋 都彦君
職員部長柴田 健次君
資産運用部長佐藤  守君
電車部長高根  信君
自動車部長斎藤  信君
車両電気部長室木 鉄朗君
建設工務部長鈴木  進君
参事鈴木 尚志君
参事兒島 弘明君
参事松下 義典君
参事中島  保君
参事橿尾 恒次君

本日の会議に付した事件
 平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・平成十八年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○高橋委員長 ただいまから平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都交通事業会計決算、平成十八年度東京都高速電車事業会計決算及び平成十八年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。 

○高橋総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料を、お手元の第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄における災害対策の状況でございます。
 浸水対策と震災対策について、主な取り組みをそれぞれ路線別に記載しております。
 なお、資料の中でバーで記載してありますのは、設置または補強を要する箇所のないことをあらわしております。
 次に、二ページをお開き願います。都営地下鉄、バスにおけるバリアフリー設備の整備状況でございます。
 エレベーターを初めとする各設備について、整備済みの箇所と整備率を十七年度末と十八年度末との比較で記載しております。
 次に、三ページをお開き願います。
 平成十一年度から十八年度までの過去八年間に廃止、短縮した都営バス路線でございます。
 なお、路線名と運行区間を記載しておりますが、廃止した路線は旧運行区間を、短縮した路線は新旧で比較してございます。
 次に、四ページをお開き願います。バス事業における管理の委託の導入実績と委託効果額でございます。
 委託した支所名と系統数、並びに委託効果額を年度別に記載しております。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 交通局は、本年二月に経営計画新チャレンジ二〇〇七を発表しました。この経営計画の中で三つの取り組み方針を定めております。一つには、安全を最優先に、常にお客様の利点に立った質の高いサービスを提供する、二つ目に、公営交通としての使命と役割を十分に発揮する、三つ目に、財務体質の改善などを目指して経営改革を積極的に推進するというものであります。これらの取り組みは、この経営計画で初めて行うものではなく、公営企業として、公営交通事業者として、これまでも当然行ってきたものであると思っております。
 私は、こうした取り組みや公営企業経営の基本原則を踏まえ、独立採算のもと、経済性を十分発揮しているかどうかといった観点から、交通局の平成十八年度決算に関する質問をさせていただきたいと思います。特に、この経営計画や平成十九年度予算を一年前倒しして経常黒字となった地下鉄事業を中心に質問させていただきます。
 そこでまず、平成十八年度、約三十一億円、決算で黒字化したことは、大変喜ばしいことであると思っております。交通局は、都民や利用者に信頼され支持される都営交通を目指して、質の高い公共交通サービスの提供、自立的経営に向けた経営基盤の強化及び新たな課題に積極的かつ果敢に挑戦できる活力ある組織づくりのため、平成十六年度を初年度とする三カ年計画、東京都交通局経営計画チャレンジ二〇〇四を策定し、今決算はその最終年度の決算として大変評価できるものであると思っております。
 特に十八年度では、便利で快適なサービスとして、新しいICカードPASMOのサービスを開始したほか、ダイヤ改正により、新宿線では十両編成を増発し、三田線では東急目黒線の急行と直通運行を始め、新宿発の車両改良も完了しました。浅草線及び三田線各駅に列車運行情報表示装置の設置を拡大し、当局が管理するすべての駅で運行情報案内を迅速に提供できるようになり、また、ホーム案内板のデザインを東京メトロと統一し、これまで以上にわかりやすくなってきたと思っております。
 また、交通バリアフリー法や東京都福祉のまちづくり条例等の趣旨を踏まえ、エレベーターやエスカレーターを設置するなど駅施設のバリアフリー対策を推進し、また朝ラッシュ時に女性専用車両を新宿線の新宿方面に拡大し、利用者の感想も大変よい評価を得ていると思っております。
 加えて、経営のさらなる効率化を進め、駅業務の外注化を拡大するなど、我々の要望や意見を積極的に踏まえ、取り組んでいるものと歓迎しております。
 そこで、交通局として、今年度黒字化した理由をどのように考えているのか、まず最初にお伺いいたします。

○高橋総務部長 平成十八年度決算で高速電車事業会計の経常損益が黒字に転換した理由についてでございますが、減価償却費などのいわゆる資本費負担の逓減、乗客数の着実な増加、またこれまでの効率化策が実り、昭和三十五年の浅草線開業以来初めて経常損益での黒字転換となったものと認識しております。
 もう少し詳しく申し上げますと、地下鉄事業の特性といたしまして、開業後当分の間は、莫大な建設費から発生した巨額の資本費負担である減価償却費と企業債利子により収支が圧迫され、赤字が続き、巨額の累積欠損金が生じることは避けられません。一方、時の経過とともに資産の償却が進みますと減価償却費が低減し、また企業債も償還を続けていくことにより残高が減少し、そこから発生する企業債利子も軽減することになります。こうした収支構造から、今回まさに収支均衡の局面を迎えたものと考えております。
 また、乗車人員が堅調に推移していることも大きいと思います。特に近年、都心回帰現象や沿線の再開発の活発化、また、いわゆるネットワーク効果等もあり、地下鉄四線全体で前年度対比三・五%の伸び、とりわけ大江戸線は五・七%と高い伸びを示しております。
 さらに、長年にわたり経営の効率化を図ってきた内部努力が実を結んできているものと認識しているところでございます。

○鈴木委員 昭和三十五年の浅草線の開業以来、三田線、新宿線、大江戸線と順次開業してきたわけでありますが、地下鉄事業の特性として莫大な初期投資を要することから、経営的には長く厳しい時代が続いてきたものと思っております。交通局の長い歴史を振り返ってみますと、路面電車の撤去など地方公営企業法に基づく非常に厳しい財政再建などを余儀なくされてきました。こうしたことを思うと、今回の地下鉄事業の黒字転換により、交通局の所管する三会計五事業すべてが経常黒字となったことは、いわば歴史的瞬間といえると思っております。
 しかしながら、手放しには喜ぶわけにはいきません。地下鉄事業の収支は長期的に見ていく必要があり、単年度収支の黒字化は一つの節目にすぎないからであります。そこで今後は、巨大な累積欠損金の解消を進めていくべきと考えておりますが、どのような認識をお持ちか、お伺いいたします。

○高橋総務部長 先ほどご答弁申し上げましたように、今回ようやく収支均衡の局面に達したところでございまして、このまま順調に推移すれば、今後はさらに資本費負担が逓減し続け、安定的に黒字を確保し、累積欠損金を解消していくことになります。これにより初めて事業トータルとしての採算がとれ、事業の継続性が担保されるわけでございます。地下鉄事業につきましては、十八年度決算において単年度収支で黒字に転換したものの、依然として四千七百四十六億円もの巨額の累積欠損金があり、そうした意味で、その解消のスタートラインに立ったばかりであるという認識でございます。
 累積欠損金の解消には、なお相当の年月を要するものと考えておりますが、一層の経営の効率化を進めるとともに、増客増収対策を行い、収支両面から財務状況の改善を図り、できるだけ早期の解消を目指してまいります。

○鈴木委員 今ご答弁ありましたけれども、このようなことから、私は、地下鉄事業が黒字になったからといって即新たな投資等を行うことはまず慎んでいかなくてはいけないのかなとも考えております。しかし一方では、地下鉄事業開始当時は想定していなかった新たな社会的要請にも的確に対応していくことも重要であると思っております。そのためにも、乗車料収入以外の収入についても、これまで以上に増収に努める必要があるのではないでしょうか。
 そこで、乗車料収入に次ぐ大きな収入源としては関連事業収入が挙げられますが、その中でも広告料収入は大きな柱となっております。私は、広告事業については努力と工夫次第でまだまだ大きな収入の伸びが期待できるものと考えております。この点を踏まえながら、広告事業について何点かお伺いいたします。
 まず、平成十八年度の広告料収入の実績は平成十七年度と比べてどうなったのか、事業別にお伺いいたします。

○佐藤資産運用部長 平成十八年度の広告料収入でございますが、全事業合計で四十六億六千万円、対前年度比で二・二%の伸び率となっております。
 内訳でございますが、高速電車事業が三十六億九千万、対前年度比で三・〇%の伸び、自動車事業が九億円、対前年度比で〇・七%の減少でございます。軌道事業が七千万円、対前年度比で一・一%の伸びということでございます。

○鈴木委員 今のご答弁、全体で二・二%の伸びを示しているというのは大変結構なことだと思います。ただ、自動車事業が対前年度比で減少しているというのは若干残念でありますけれども、わずかな減少額ですし、ほぼ前年度実績と考えていいものと思っております。
 私が注目しているのは地下鉄事業でありますが、この広告料収入は対前年度比で三%伸びているということです。この伸び率はほかの交通事業者と比較したとき一体どうなるのか、最近の交通広告の動向とあわせて説明していただきたいと思います。

○佐藤資産運用部長 最近の広告の動向としましては、ターミナル駅やその周辺の商業施設が近隣に集積している、そういったところと乗降客数の一番多い駅、その駅に人気が集中する、そういった傾向がございます。一方で、車内広告ですけれども、主力商品でございます中づり広告、これが出版の不況の、そういった影響がございまして、ここ数年非常に厳しい状況が続いております。
 こういった中で、関東地区のJR、東京メトロや東急電鉄等の大手十一社の平均伸び率については二・六%になっておりまして、都営地下鉄の伸び率三・〇%というのは平均をそれよりも上回る、そういう実績になっております。

○鈴木委員 民間の鉄道会社と競合しながら事業者平均を上回る伸びを実現したということは、一定の評価ができるのかなというふうにも思います。しかし、答弁でもありましたように、広告需要が乗降客数の多い駅に集中しているということを考えますと、都営地下鉄は新宿や六本木や新橋など都心を走っているわけですし、駅構内の空間をさらに有効に使えば、私は収入を上げるチャンスはまだまだあるんではないかなというふうに思うわけです。
 例えば、駅の出入り口やエスカレーターわきの壁の部分などは、広告スペースとしてもっと活用できると私も思いますし、プロの方もそのように指摘しております。また、わずかなデッドスペースなど広告で活用しにくい場所について、自動販売機を設置するなどといった工夫もできるのではないでしょうか。こうした取り組みを進めることで、駅全体の価値の向上につながっていくものと私は考えております。ぜひとももっと積極的に検討していただきたいと思います。
 そこで、空きスペースの活用についてどのような方針で取り組んでいるのかをお伺いいたします。

○佐藤資産運用部長 先生ご指摘の新規の広告スペースの開拓ということでございますけれども、まず安全であるかどうか、そういった面から安全性、それからそのほかに、これをやってまず広告料収入といった観点から採算がとれるかどうかの採算性、それと、そこに物理的に設置が可能かどうかといった技術的な設置可能性等々を考慮しながら、さまざまな駅空間を活用しました広告展開を現時点で積極的にやっているところでございます。
 最近の例としましては、大江戸線の六本木駅で、エスカレーターわきの壁とかコンコース、ホームの柱を活用しましてセットで商品化をしまして、それが大変人気を博しているといったものがございます。
 そういった点から、今後ともスペースの関係で、駅のスペースにつきましては、この有効活用についてさらにまた再度工夫をしまして、最大限活用しまして有効活用を図ってまいります。

○鈴木委員 駅の空間の活用には、法令上とかいろいろな制約もあると思っております。難しいこともあると思いますけれども、ぜひとも今後とも一層の工夫をしながら頑張っていただきたいと思います。大江戸線を中心として、都営地下鉄の乗降客数は高い伸びを示していることから、それに伴う広告収入の増加が期待されると考えます。見通しは一体どのようなものか、また、今後の広告事業への取り組み姿勢についてもあわせてお伺いいたします。

○佐藤資産運用部長 先生今ご指摘のとおり、ここ数年来、大江戸線を中心に乗降客数は着実に増加をしております。また、広告販売にとってお客様の数が増加するということは、媒体価値の向上に大きく寄与するというものでございます。ぜひともこのフォローの風を生かしまして、私どもは広告事業の拡大にまずは結びつけていく。そして、広告販売に積極的に取り組んで、またその効果も着実にここに来て出てきているのかというふうに認識をしております。
 また、広告事業の取り組みの姿勢でございますけれども、従前から、広告媒体の価値向上、新規媒体の開発、それから販売促進に向けた、まず我々の努力といったことを三本柱にしまして活動してまいりました。
 今後とも、この基本方針のもとに一層の広告料収入の拡大に向けまして全力を尽くしてまいります。

○鈴木委員 ご答弁にもありましたように、先ほどより大江戸線を中心に乗客数が伸びており広告収入も伸びているという話でありますけれども、例えば浅草線など、利用者の立場から見ると何となく暗いというイメージが今もあるわけであります。最近はどの企業もブランド価値の向上に努めておりますし、交通局も民間のノウハウを積極的に活用するなどさらなる努力を期待したいと思います。交通局のブランド価値を上げることは、単に広告料収入の増加になるだけでなく、お客様のサービスの向上につながるということでございますので、総合的な見地からの取り組みをお願いしたいと思います。
 また、関連事業収入は、今回取り上げた広告料収入のほかにも賃貸料や構内営業料などの収入を上げています。広告事業以外についても、それぞれの事業において広告事業同様の努力を行い、増収を目指していただきたいものと要望いたします。
 次に、都営地下鉄の駅の火災対策についてお伺いいたします。
 先ほども申し上げたとおり、地下鉄事業収支が黒字になったからといっても、これからも堅実な経営に努める必要があるわけです。しかしながら一方で、だれもが安全・安心に地下鉄を利用できるような駅の安全対策への投資は着実にしていかなくてはならないわけであります。
 そこで伺いますけれども、都営地下鉄では、駅の安全対策としてどのような取り組みを実施してきたのでしょうか。また、今後どのような取り組みを行っていくのかをお伺いいたします。

○橿尾参事 駅の安全対策についてのご質問にお答えいたします。
 交通事業者としましてお客様の安全・安心を確保する上で、駅施設を安全なものとすることが重要と考えております。このため、これまでも国の法令や基準または社会的な要請などを踏まえ、駅の安全対策にかかわる事業を積極的に実施してまいりました。具体的には、地下駅の排煙設備の設置や二方向避難通路の確保などの火災対策や、中柱の補強などの地震対策、駅出入り口への止水板の設置による浸水対策などさまざまな対策を実施してきたところであります。
 今後は、これらの対策をさらに計画的に実施してまいります。

○鈴木委員 次に、駅の火災に関連する事業に絞って具体的にお伺いしていきます。
 先日、大江戸線の駅で気がついたんですけれども、ホームや改札口の周りの床とか階段などに、避難方向を明示した明示物が設置されているのが見受けられました。これは蓄光式避難誘導明示物というものだそうで、火災時に地下鉄の利用者が安全に地上の出入り口まで避難するための補助設備とお聞きしました。
 この明示物は本当に安心、そして実際に本当に災害が起きたときには大きな効果があるものと思うわけですけれども、今後の整備状況についてお伺いいたします。

○橿尾参事 委員ご指摘の蓄光式避難誘導明示物は、平成十六年の東京都火災予防条例の改正で平成二十一年度末までに設置が義務づけられました。交通局としましては、お客様の安全・安心をより一層高める観点から、この明示物の早期設置を図ることとし、平成十八年度には、局が管理する地下駅九十三駅のうち、大江戸線を中心とした四十七駅に設置いたしました。残る四十六駅につきましては、本年度内に設置をすべく、現在準備を進めているところでございます。

○鈴木委員 今ご答弁ありましたわけですけれども、これは火災時における避難、そして誘導のためにも私は大変有効な方策と考えております。条例では平成二十一年度までに整備すべきとされているものを今年度中に完了するということで、よいことはできるだけ早めに整備して、安全の確保を図っていただきたいと思います。
 次に、地下鉄の火災対策の強化についてお伺いいたします。
 まず、これまで地下鉄の火災対策の強化のために実際にはどのような施設設備の整備を行ってきたのか、その整備状況についてお伺いいたします。

○橿尾参事 都営地下鉄では、国の法令や基準に適合させて火災対策の推進に努めております。既に駅施設の不燃化、自動火災報知設備、非常照明設備のほか、消火活動のための屋内消火栓設備、消防用の無線通信補助設備、避難のための経路図の掲出などの対策につきましては、平成十七年度末までに完了しております。
 残る排煙設備と二方向避難通路につきましては、新宿線と大江戸線では、全地下駅で整備が完了しております。浅草線と三田線につきましては、全地下駅四十一駅中、排煙設備で二十五駅、二方向避難通路で三十四駅の整備が完了しております。
 なお、現在、十駅で防災改良工事を実施しております。

○鈴木委員 駅の不燃化とか火災報知機などについては完了し、そして排煙設備とか二方向避難通路の確保についてはまだ一〇〇%完了していないということであるわけですけれども、この排煙設備とか二方向避難通路の確保というのにはどのような課題があるのでしょうか。また、今後どのような課題を克服しようとしているのかお伺いいたします。

○橿尾参事 建設当時に設置されていませんでした浅草線と三田線の火災対策施設の整備に当たりましては、排煙口及び二方向避難通路の地上出入り口部分の用地、地下部分での新たな排煙設備の設置スペースなどが必要となり、その確保が課題となっております。この用地確保のため、民間の土地所有者、道路や公園の管理者、また再開発ビルとの合築の可能性について開発事業者などと鋭意協議を進めているところであります。
 今後とも、早期用地確保のため、土地所有者などとの合意形成や再開発ビルとの合築を推進するほか、国の補助制度を活用するなどして一日も早い整備完了を目指し、最大限の努力を実施してまいります。

○鈴木委員 今お話にありましたように、火災対策だけで一駅当たり約十億円の費用がかかると聞いていますし、さらに浅草線や三田線のように比較的古い駅で新たなスペースや用地を確保することは、建物がすき間なく建ち並んでいる都市部であることから、かなり困難な事業であると私たちも考えております。しかし、安心・安全、そして災害に強い都営交通を目指して一日も早い整備完了に向け努力をしていただきますよう、このことは強く要望しておきます。
 次に、利用者の立場から、駅における火災対策についてお伺いいたします。
 駅で火災が発生した場合、実際にどのような対応をすることになっているのか、また訓練とかマニュアルはどうなっているのか、改めてお伺いいたします。

○高根電車部長 駅におきまして火災が発生した場合、お客様の安全の確保を最優先に避難誘導を行うことが重要であると認識しております。火災発生時には、自動火災報知設備により自動的に非常放送が行われ、サイレンが鳴り、お客様にお知らせすることとなります。また、駅係員は、駅長事務室の防災監視盤により発生場所を確認し、直ちに排煙設備を起動させ、消防等への通報を行うとともに、お客様の動揺防止に努めながら、避難誘導と消火活動を行うこととしております。
 また、マニュアルにつきましては、非常時対応マニュアルを整備いたしまして、火災発生時などの緊急時に備えております。これに基づきまして、連絡通報、お客様の救護、避難誘導、消火活動を内容といたしました自衛消防訓練を消防と連携して定期的に行うことで職員の防災対応能力を高めてきたところでございます。
 今後とも、消防等関係機関と連携しながら実践的な訓練の充実強化を図り、お客様の安全確保に万全を期してまいります。

○鈴木委員 火災対策を初め、災害、そして事故対策では、未然防止とともに、万が一発生した際の迅速そして的確な安全確保が重要であるわけです。ぜひこの両面について今後とも万全を期していただきたいと思います。
 マニュアルの整備、訓練は大事ですが、実践の場面でいかに生かせるかが問われております。先日、大江戸線で発生した停電事故は、マスコミにも大きく取り上げられました。今回、大江戸線の停電事故では避難誘導に二時間もかかったとのことですが、もっとスピードアップできる方法を考えるべきではないでしょうか。見解をお伺いいたします。

○高根電車部長 今回の停電事故は八時八分に発生いたしまして、事故発生から十二分後の八時二十分に避難誘導を開始いたしました。しかしながら、事故がラッシュ時と重なり、多数のお客様を避難誘導させたことから、多くの時間を要したものでございます。
 交通局といたしましては、こうした事故の際は、隣接線路の列車確認の必要性や、隧道内施設等の危険性を回避するために、先頭車両の前面非常口からの安全な避難を原則としていたところでございます。
 今回は早期に判断し、避難誘導を開始いたしましたが、今後、異常時における安全かつ速やかな乗客の避難誘導方法につきまして検討してまいります。

○鈴木委員 今ご答弁ありましたけれども、今回のことは、都民の方、そして利用者の方も大変注目していることでありますので、ぜひともさらなる安心・安全のための取り組みを強く要望いたします。
 交通局では、平成十八年度決算においてすべての事業において黒字を計上しました。本日は地下鉄事業が黒字転換したことから、地下鉄事業を中心に質問してきましたけれども、ほかの事業についても引き続き頑張っていただきたいと思います。
 バス事業につきましても、引き続き経常黒字であったものの、本来事業である営業収支については依然として赤字であるわけです。営業収支均衡に努め、その他の収入を社会的要請にこたえるための経費に充てるのが望ましいと考えます。
 今後とも公営交通としての役割を果たしていくためにも、さらなる経営努力を行ってほしいものと思います。
 そこで最後に、今後の交通局事業運営に向けた局長の決意をお伺いいたします。

○島田交通局長 事業運営にかかわる答弁に先立ちまして、これまでの質疑に関連し、一言申し上げさせていただきます。
 先週、十月二十三日火曜日の朝、都営地下鉄大江戸線におきまして発生いたしました停電事故により、ご利用のお客様に多大なご迷惑をおかけいたしました。都営交通の経営を預かる者として、今回の事故を深刻に受けとめ、責任を痛感しております。
 今後、このような事故が二度と起こらぬよう、原因を究明し、再発防止のための対策を講じ、全力を挙げて事故防止に取り組む覚悟でございます。
 続きまして、今後の交通局の事業運営についてでありますが、交通局を取り巻く事業環境は、規制緩和の進展によりまして事業者間のサービス競争が激化しております。また、安全の確保、危機管理の徹底や環境対策など、社会的要請への対応が強く求められております。おかげさまで平成十八年度決算におきましては全事業が経常黒字となっておりますが、ご指摘のように四千七百億円を超える累積欠損金を抱える地下鉄事業、依然として予断を許さないバス事業など、公営交通事業の運営上のさまざまな課題が山積していると認識しております。
 こうした事業環境や厳しい経営状況を乗り越えるため、経営トップとして、職員七千人一人一人のエネルギーを最大限に引き出しまして、職員一丸となって全力で事業運営に取り組んでいく所存でございます。

○鈴木委員 今の局長の決意を信じて、そして都民、利用者のサービスの向上のための経営、さらなる経営努力を期待するものであります。
 地下鉄事業におきましては、累積欠損金の解消には長時間要するものと思います。引き続き経営努力に取り組むとともに、こうした社会的要請に積極的に対応していただくことを強く要望して、私の質問を終わります。

○いのつめ委員 まず、都営バス事業についてお伺いいたします。
 十八年度の交通事業会計の決算書を見ると、年間の乗車料収入は三百三十五億円です。一日当たりの乗客数は五十七万人、バスの総車両数千四百八十九両は、公営バスでは日本最大、民間バスも含めると日本で三番目の規模だと聞いています。バス事業の経常収支は平成十六年度から黒字に転じ、十八年度決算では約八億円の黒字となっています。都民の足を守る公営交通事業者として妥当な黒字はどの程度とお考えになりますか。お聞かせください。

○鈴木参事 都営バス事業の運営に当たりましては、公営企業経営の基本原則を踏まえまして、経営改善と増収に努めてきております。平成十八年度決算では経常損益の黒字を計上したところでございます。
 しかしながら、なお原油価格の高騰による燃料費の増加など、依然として予断を許さない状況にあると認識しております。まずは、事業の継続性が担保されるよう経常損益の黒字を確保していくということが重要であると考えてございます。

○いのつめ委員 民間の交通会社と異なりまして、利用者が少ないからと廃止するわけにもいかない路線もあります。また、バイオディーゼル車の導入などにより五%CO2を削減するなど、環境保全に対しても先駆的に取り組むことは公共事業としての責務だと思います。
 交通局に対するさまざまな使命を考えると、黒字を出すことはなかなか困難であると思いますが、どのような要因で黒字決算となったのか、説明をお願いいたします。

○高橋総務部長 平成十八年度決算において自動車事業の経常損益で黒字を計上した要因についてでございますが、管理の委託の拡大を進めることによる人件費の抑制などを図りました結果、経常損益で八億二千八百万円の黒字を計上することができたものと認識しております。

○いのつめ委員 決算特別委員会要求資料の管理の委託の導入実績と委託効果額を見ると、十八年度では委託効果額は約十億六千万円になっています。管理を委託するのと直営と異なる点は何かあるのでしょうか。

○松下参事 管理の委託は、運転業務、運行管理業務及び車両整備業務を委託するものであり、現在三支所で実施しております。
 管理の委託を行った路線についても経営主体は交通局であり、路線の設定やダイヤ、運賃の決定権など経営に関する事項は当局が責任を持って対応しております。
 さらに、契約に当たっては、安全運行の確保や接遇などについても直営と同様のサービスを提供するよう、研修や教育訓練を委託事業者である株式会社はとバスに義務づけており、管理委託と直営で異なる点はないと認識しております。

○いのつめ委員 それでは、はとバスの運行者ですけれども、委託している民間バスへの利用者の声と事故発生率はどうなっているのか、お伺いいたします。

○斎藤自動車部長 まず、はとバスに管理の委託をしている支所に対するお客様からの声についてでございますが、平成十八年度は五十七件の苦情が寄せられた一方、円滑な運転や丁寧な接遇などに対して三十七件の感謝をいただいております。
 次に、当方に責任がある有責事故の発生率についてでございますが、平成十五年度から十八年度までを平均いたしますと、走行十万キロ当たり約一件の発生でございました。

○いのつめ委員 それでは、東京都職員のバス運行者への利用者の声と事故発生率はどうなっているのでしょうか。

○斎藤自動車部長 まず、交通局の直営の営業所に対するお客様からの声についてでございますが、平成十八年度は四百八十五件の苦情が寄せられた一方、はとバス同様、円滑な運転や丁寧な接遇などに対しまして九十六件の感謝をいただいております。
 なお、交通局ではこれまで、管理の委託をしている三つの支所も含めてすべての営業所でサービスの向上に取り組んでまいりましたが、その結果、平成十八年度はお客様からの声の総数が千七百二十七件と前年度の千四百二十一件より大幅に増加したにもかかわらず、苦情は六百十一件から五百四十二件と、六十九件、率にして一一・三%減少いたしました。一方、感謝の声は、平成十七年度の九十九件が百三十三件と、三十四件、率にして三四・三%増加いたしました。
 次に、当方に責任がある有責事故の発生率でございますが、平成十五年度から十八年度までを平均いたしますと、走行十万キロ当たり約一件の発生でございました。

○いのつめ委員 私も町の中で、都営バスの運転手さんが険しい表情で運転しているところを見かけることがあって、ストレスがたまる職種なのかなと思ったりしておりますけれども、交通局職員、はとバス職員の運転手さんともサービスレベルは、今のお話だと、民間バス会社と遜色ない水準であると聞いています。しかし、感謝の声は、はとバスの運転手さんの方に多いような気もいたしますが、都民から運転しているところを見れば、はとバスの方なのか都の職員の方なのか区別がつきません。都営バス運転手さんは最高のサービス提供者であると評価されるよう、また、無事故を目指して一層努力をしていただきたいと要望いたします。
 また、私は民間委託すべてにノーというものではありません。例えば学校給食の調理師さんなど、実労働時間を考えると公務員の方にやっていただくよりも民間の方にお願いする方がよいと思われることもあります。けれども、先ほどの答弁にあったように、都バスの運転業務には官と民との差がありません。同じバスを同じように運転します。それなのに収入には大きく差があるのではないでしょうか。はとバスのホームページを見ますと、路線バス運転手募集のページがあります。給与は月二十五万円以上、諸手当、税金込みです。私たちは、低い賃金の底上げをし、所得格差をなくそうと訴えています。しかし、今年度から都職員バス運転手さんの報酬は一〇%カットになりました。今の流れは低い所得に合わせていく流れです。利益を上げるための民間委託で、同じ仕事をしているのに賃金格差が発生してしまっています。これでは、都が率先して格差をつくっていると非難されても仕方がない状況です。民間委託により、利用者サービスの向上が図られるのは大歓迎ですが、人件費の削減が大きな目的になっているのは納得できません。人件費削減以外の方法、営業努力で利益を得てほしいものであります。
 収入の確保策として、乗車料のほかに関連事業による収入があると思います。バス事業の営業収益、決算書の二九ページに載っていますけれども、そこには乗車料収入のほかに広告料収入があります。広告料収入は年間九億円と聞いています。都バスでは全国に先駆けてバスのラッピング広告を実施したことは私は大いに評価をしております。そこで、平成十八年度のラッピングバスの決算額と、平成十二年度ラッピングバス開始以来の収入実績と台数の推移についてお伺いいたします。

○佐藤資産運用部長 十八年度のラッピングバスの広告料収入でございますが、六億八千二百万円で、実施台数は三百五十八台となっております。
 ラッピングバス広告を開始しました平成十二年度以降の収入と台数の推移ですけれども、十四年度の九億六千八百万円、それから六百二十四台をピークに、その後は減少してございます。

○いのつめ委員 今の答弁ですと、ラッピングバス広告は最近減少しているということですけれども、この落ち込みの原因をどのようにお考えになっているのでしょうか。また、改善策をお聞かせください。

○佐藤資産運用部長 この原因でございますが、最初のような、当初の話題性による注目効果というのが最近は薄れてきているんじゃなかろうか、そういったこととか、インターネットがございますので、そういった新規広告媒体がふえてきたということが影響しているというふうに思っております。
 改善策としましては、費用対効果を広告主も高められるような、そういった商品開発を実施するとともに、デザイン性のすぐれました良質な広告を掲出しまして、まず媒体価値向上を図って、それで広告主の方がぜひとも出稿したい、そういうような広告の回復に努めていくということでございます。

○いのつめ委員 私も広告のスポンサーの選択は大切だと思っています。スポンサーの選択を誤ると、クオリティーが落ち、またさらにスポンサーが落ちてしまうという、広告収入が上がってこない負のスパイラルに陥ってしまいます。
 交通局では、バスの停留所の上屋設置で広告収入を検討されていると聞いています。ラッピングの二の舞にならないか、私は少し心配しております。ラッピングは都の支出はありません、入ってくるだけです。それでも売り方を間違えると収益が下がってきてしまいます。しかし、それに比較して上屋は、製作、設置費用が必要です。第一庁舎の前の上屋は一基千三百万円かかったと聞いています。民間委託すれば、製作、設置、維持管理費を民間が支払われ、税金の投入は一円もありません。利用者は、雨や日差しから逃れ、快適にバス停留所を利用することができます。移り変わりが早く、生き馬の目を抜くような広告業界です。広告業は行政にとって不得意分野ではないでしょうか。利益を見込んで失敗し、投資を償却できないようなことにならないようにしていただきたいと強く要望しておきます。
 次に、地下鉄の安全対策についてお伺いいたします。
 大江戸線のある駅でホームで人が倒れ、駅員さんを探したが、ホームには駅員さんの姿が見当たらず、インターホンで呼んだけれども応答がなく、結局急いで改札口まで上って伝えたと聞いたことがあります。大江戸線は特にホームが深い場所にあり、改札口まで上るのは大変です。最近、都営地下鉄の駅でホームに駅員さんがいないということを多く感じることがございますが、都営地下鉄各駅の配置人数決定基準はどのようにして定められているのか、お伺いいたします。

○高根電車部長 都営地下鉄各駅の配置人数につきましては、各駅の改札口数、ホームの数や形状、起終点であるかどうか、駅の乗降人員数等を勘案し定めているところでございます。

○いのつめ委員 現在、地下鉄の駅の民間委託は百一の駅のうち四十二駅で行われていると聞いていますし、これは法による規制がなく、一〇〇%すべての駅を民間委託しても大丈夫ということでございますが、今後も拡大していく予定と聞いています。人件費削減の民間委託がサービス低下や安全面の不安などを招いてはなりません。今後、駅の民間委託を拡大していく上で安全対策をどのように考えているのか、お伺いいたします。

○高根電車部長 駅業務の委託を行うに際しまして、委託駅係員に対し交通局職員と同様の研修や訓練を義務づけ、鉄道係員として十分な教育を実施し、安全性の確保やサービスの推進に努めているところでございます。
 さらに、交通局職員である助役を管理者として配置いたしまして、駅の安全確保やサービス提供などの業務運営を適切に行うとともに、非常時には助役の指示のもと、安全確保を最優先とした体制を整えるなど万全の措置を講じているところでございます。

○いのつめ委員 では、安全策の面でお伺いいたします。
 先日の大江戸線の停電の原因が点検業務の不備かといわれておりますけれども、十八年度の地下鉄変電所設備の保守委託の決算額はどうなっているのでしょうか。

○室木車両電気部長 平成十八年度都営地下鉄変電所設備ほか保守業務委託の決算額は、一億一千五百五十万円でございます。

○いのつめ委員 一億円以上の保守業務を委託している費用がかかっているわけですが、点検によってトラブルを起こすことになっては本末転倒だと思います。二度と点検によるトラブルが起こらないようにしていただきたいと強く要望します。
 そして、このようにバスの営業所も、そして地下鉄の駅もどんどん民間委託化が進められています。この民間委託をする中では安全が最優先と考えていますが、地下鉄の安全策も含めて、交通事業を経営するに当たっての局長の決意をお伺いいたします。

○島田交通局長 お客様の安全・安心の確保は、交通事業者にとりまして最優先すべきものであります。副委員長からご質問の業務委託につきましても、安全の確保が最も重要であると認識しております。
 業務委託に当たりましては、先ほど来部長が答弁しておりますが、これまでもさまざまな対策を講じ、安全の確保を図ってきたところであります。しかし、残念ながら、今回、委託業務に関連すると推定される事故が発生いたしました。今後、原因の分析を行いまして、二度とこうしたことが起こらぬよう、業務委託を含めたさらなる局の安全対策に取り組んでまいります。
 安全を語りますに、百里の道を行くに九十九里をもって道半ばとすという格言がございますが、安全を確保するためにはこれでよいということはございません。職員一同全力を挙げて事故防止に取り組み、都営交通の安全性の向上の推進に努めてまいります。

○いのつめ委員 ありがとうございました。
 シンドラー社のエスカレーター、エレベーターの事故もそうですけれども、何か事故があってから安全策をというのではなくて、事故を未然に防ぐという安全策をやはり考えていっていただきたいと思いますし、民間委託に当たっては、安い賃金を使って経費削減、利益を上げるのではなくて、民間委託による最大の効果はやはりお客様へのサービスだと思っていますので、その点も十分に考えていただいて、これからも経営、運営していっていただきたいと思って要望をして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

○長橋委員 私からも、平成十八年度交通局の決算について何点かお伺いをいたします。
 都営地下鉄を中心にお伺いをしたいと思います。
 まずは、都営地下鉄のバリアフリー化についてであります。
 交通局のホームページを見ますと、バリアフリー化ということで載っております。いわゆるエレベーター、エスカレーターの設置だけではなくて、トイレであるとか自動販売機の障害者等に対する対策、点字だとかさまざまな施策が講じられているわけで、私も改めて交通局のホームページを見まして、さまざまな細かいところで工夫がされているというふうに思いまして評価するところでございます。
 ところが、十八年度の高速電車事業会計決算の審査意見書によりますと、改良事業の執行率が低いのは駅のバリアフリー工事のおくれなどによるものである、こういう指摘が意見書にされているわけでございます。
 そこで、都営地下鉄駅のバリアフリー事業の執行状況、どうなっているのかお伺いをいたします。

○鈴木建設工務部長 改良事業のうち駅のバリアフリー工事の執行状況につきましては、平成十八年度予算額約三十一億八千万円に対し、決算額が約二十億三千万円で、執行率は約六四%となっております。

○長橋委員 執行率が六割ということでございます。バリアフリー化を進めていくに当たって、高齢者の方、また障害者の方、また乗客の利便性を考えますと、このバリアフリー化事業、予算に対して六割というのではなかなか厳しいのではなかろうかなと思うわけであります。
 また、思いますに、オリンピックを目指しているわけであります。東京は、この都営地下鉄、東京メトロ、世界一の地下鉄網であるかと思います。オリンピック招致ということになれば、世界じゅうから来るわけで、その中で東京都の地下鉄、大変にその利便性といい、またバリアフリー、さまざまな方に優しいという、そういうことを考えますと、ぜひこのバリアフリー化はしっかりと取り組んでいかなければいけないと思いますし、日本は先駆的に取り組んでいるわけであります。東京として模範をこの地下鉄でも見せていただきたい、こう思うわけであります。
 そこで、エレベーターの整備、エスカレーターの整備も含めてワンルートの確保が必要でございます。執行率が低い原因についても伺いたいと思います。

○鈴木建設工務部長 バリアフリー工事の執行率が低い理由でございますが、新たにエレベーターを設置するに当たりましては、出入り口用地の確保や、それからまた用地を提供してくれる関係機関との調整に大変時間を要したことに加えまして、工事契約の不調等により工事の完了が平成十八年度から平成十九年度にずれ込み、予算の繰越措置を行ったことが主たる理由でございます。

○長橋委員 まさに後からエレベーターをつくるわけでありまして、その出入り口の確保をするということは大変に労力が必要であると思いますし、地権者等も含めた関係者の調整も大変であると思います。また、工事契約の不調で十九年度にずれ込んだものもあるということでございます。決算委員会でございます。十八年度はこのバリアフリー化が六〇%、改良事業が六〇%あったということでございますが、チャレンジ二〇〇四、現在の交通局の経営計画のチャレンジ二〇〇七の前の二〇〇四、この最終年度であるわけであります。
 そこで、十八年度のエレベーター工事の実績、そしてチャレンジ二〇〇四では、全駅百六駅あるとお伺いしておりますけれども、達成率はどうだったのか、また目標に対してどうだったのか、これを改めてお伺いします。

○鈴木建設工務部長 平成十八年度は、三田線の西巣鴨駅や板橋区役所前駅など十六駅三十基のエレベーターについて工事を実施し、このうち十六基のエレベーターについて供用を開始しております。これにより八駅で新たにワンルートを確保しました。
 チャレンジ二〇〇四の達成状況についてでございますが、二〇〇四では、平成十八年度末で百六駅中七十七駅でワンルートを確保し、確保率を七三%目標としておりました。この目標に対しましては、七十八駅でワンルートを確保し、確保率七四%となりまして、チャレンジ二〇〇四の目標は達成いたしました。

○長橋委員 用地確保が困難な中で努力をされて目標を達成したということでございます。今ご答弁がありました西巣鴨駅も私の地元でございまして、大変に地域の方は喜んでおりました。長年の希望がかなったということで、地元の町会長初め多くの地域の方が集まって開通式をやったんです。交通局にいったら、交通局はそこまでやりませんということで、地元の行政が、行政の区長まで来て開通式をやりまして、大変に喜んでいるところでございます。ご報告をさせていただきます。
 そこで、今度はチャレンジ二〇〇七でございます。本年二月に策定、発表されたということでございます。三カ年計画で十九年度、今年度から二十一年度までに百六駅に対して今度は九二%、九十七駅を達成する、こういう目標を掲げているわけでありまして、さらにはこのチャレンジ二〇〇七には、二十一年まででなくて二十二年度までにはすべての駅でワンルート確保を目指す、こういうふうにいっているわけでありまして、二十二年度までには完成をする、完成といいますか、すべての駅でワンルート確保する、大変すばらしいことであると思います。
 困難が伴うかと思いますけれども、この二〇〇七に掲げた目標、ぜひ努力をしていただきたいと思いますが、チャレンジ二〇〇七で二十一年度までに九十七駅だと、二十二年度までには百六駅ですので九駅残るわけであります、どこの駅が残るかはまだあれですけれども。目標、チャレンジ二〇〇七を見ますと、十九年度は五駅、二十年度は六駅、二十一年度七駅と一つずつふえているんですけれども、二十二年度までにすべてできるのか。恐らく、用地確保が難しいところはおくれるんだと思います。調整がおくれたところが残るんだと思いますけれども、二十二年度に一年間では九駅やるということになるわけですけれども、これは本当にできるのかなと思うわけでございます。
 ぜひそこら辺のところは、計画をチャレンジ二〇〇七に明らかにしているわけでありまして、それに対する取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○鈴木建設工務部長 副委員長ご指摘のとおり、チャレンジ二〇〇七の目標達成、あるいは二十二年度までに一〇〇%ということにつきましては、出入り口用地の確保ということが大きな課題となっております。これまでも私どもは、駅周辺の用地に関する情報を集約し、民有地の地権者や公共用地の管理者との交渉を集中的に行ってまいっております。しかし、歩道や公園などの公共用地については設置条件が厳しく、許可を得るのになかなか難渋しているところがございます。このため、現在は民有地に重点を置き、用地の確保を進めております。
 具体例を申しますと、浅草線高輪台駅では、民間の再開発事業に合わせ、再開発ビルと合築して設置することで工事を進めております。また、三田線本蓮沼駅では、地権者に代替地を紹介し、用地取得の促進を図るとともに、取得した用地と隣接する区立公園を一体的に活用し、必要な面積を確保するなど、最大限の努力を行ってきております。
 今後とも、都営地下鉄における便利で快適なサービスの提供を図るため、引き続き用地の確保等課題の解決に努めるとともに、地元や関係機関との円滑な調整を進め、平成二十二年度末までにすべての駅でエレベーターによるワンルート確保を目指してまいります。

○長橋委員 非常に工夫をされて、また、今ご答弁がありました再開発ビルとの合築、代替地の紹介等、さまざまな手段を講じて一〇〇%を目指すということでございます。
 これだけ進んできますと、整備率がもう九割を超えると、整備されていない駅は、その地元の方は、うちはいつになったらできるんだろう、こういう不安が当然起きるわけであります。私の地元の西巣鴨駅でも、エレベーターの出口が、ちょうど区立、公立中学校が並行して、その一部にできたということで、区と都がお互いに協力してできたわけであります。どんどんとバリアフリー化が進んでいきますと、うちの区はいつになったら、こういう不安があります。ぜひそれにこたえていただきたいと思うわけであります。
 その際に、先ほどお話をいたしました西巣鴨駅エレベーターを、乗り初め式といいますか、上から下におりましたら、改札口の出口を出ましたら、改札まで少し距離がございました。通路を通って、そして改札まで行く。これは当然、用地の確保の観点から、その場所しかなかったんだろう、こう思うわけでありますが、その際に、細かいんですが、地下の出口を出る、それから細い通路を通って改札まで向かう際に、地下鉄は早朝から深夜まで営業して、エレベーターも動いているわけでありまして、時間帯によっては暗くなる時間、寂しい時間、人通りがない時間があるかと思います。
 その西巣鴨の駅長さんに、ご婦人とか障害者の方は、地下におりたら、もしかしたら、だれか人がたむろしているとか、怖いというようなお話も聞きまして、カーブミラーをつけたらどうかということで、すぐにつけていただきました。同じことは巣鴨駅でもありました。
 地上部へ出る場合もそうであります。地上部へ出て、いきなり歩道であったりすると、いきなり出てくると、歩道の人と事故になりかねない、こういうこともあろうかと思います。
 設置に当たって、そういった死角というものが生ずると思うわけでございます。そういったところをぜひ調査していただいて、お客様の安全性を確保してもらいたい。いかがでしょうか。

○鈴木建設工務部長 これまでも、駅構内において出会い頭でぶつかるおそれがある箇所などについては、カーブミラーを設置するなどの措置を講じ、死角の解消、お客様の安全確保を図ってきているところでございます。
 今後は、副委員長ご指摘のとおり、エレベーター周辺にも特に注意を払い、調査し、お客様の安全性を高めてまいりたいと考えております。

○長橋委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次に、ホームでの安全対策についてお伺いいたします。
 きょうの議論におきましても、安全対策については質疑がございました。特にホームでの安全対策は重要でありますし、ましてや、ホームから転落するとなると大事故につながるわけでございます。そこで、今までのホームでの転落防止対策、どのような取り組みを行ってきたのか、まずお伺いいたします。

○中島参事 これまで交通局では、ホームからの転落事故防止対策といたしまして、ホームへの点状ブロックの設置や、車両連結部のすき間へのお客様の転落を防止するゴム製の板、いわゆる転落防止用ほろの設置、また、ホームからお客様が転落した際に緊急に列車をとめることのできる列車緊急停止スイッチの整備などに取り組んでまいりました。

○長橋委員 転落防止策といたしまして、今お話のあった対策に取り組んできた。そういう中で、都営三田線に可動式ホームさくが設置されております。これも転落防止には最も有効な策であるかな、こういうふうに思うわけでありますが、都営三田線に可動式ホームさくを設置した理由についてお伺いいたします。

○中島参事 三田線におきましては、平成十二年に、東急目黒線との相互直通運転に合わせまして、ワンマン運転を行うことといたしました。三田線のホームは曲線となっているところも多いことなどから、ワンマン運転を導入するのに当たりまして、ワンマン運転支援設備として可動式ホームさくを導入することといたした次第でございます。

○長橋委員 今お話がありました都営三田線につきましては、ワンマン運転支援策として設置した。どちらかというと、安全対策というよりも、ワンマンに切りかえて、そのために、乗客の安全、乗降の安全の確保が難しいということで設置したということもあろうかと思います。
 そういう中で、昨年十二月に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法が施行されました。そして、その省令の中に、発着するすべての鉄道車両の旅客用乗降口の位置が一定しており、鉄道車両を自動的に一定の位置に停止させることができるプラットホームにあっては、ホームドアまたは可動ホームさくが設けられていること。一定の条件が整えば、すべてのプラットホームにホームドア、可動ホームさくをつけなさい、こういう省令であるかと思います。
 交通局は、チャレンジ二〇〇七で、ホームからの転落防止策について、大江戸線などを対象に、輸送面の影響、技術面の課題や投資規模など諸課題の対応を含め総合的な検討を進める、こういうふうにあります。そこで、まずは交通局といたしまして、昨年十二月に施行されましたバリアフリー法に対する認識と現在の検討状況についてお伺いいたします。

○中島参事 ただいま副委員長からお話のございました高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法では、既に営業を開始している路線でのホームさくの設置などを努力義務としておるところでございます。
 交通事業者といたしましては、ホームからの転落事故防止対策は重要な課題であると認識しているところでございます。このため、これまで、ホームからの転落事故防止対策について検討を重ねてまいりました。
 具体的には、ホームの固定さく、三田線に設置したような可動式ホームさく、カメラ映像の解析による転落検知システムや転落検知マットなど、さまざまな方式について検討いたしましたが、転落事故防止対策といたしましては、可動式ホームさくの設置が最も有効であり、各種の条件を考慮いたしまして、大江戸線に設置していくことといたしたところでございます。

○長橋委員 改めて、可動式ホームさくが転落防止に最も有効であるということでございます。私もそう思うわけでありまして、昨年十二月のバリアフリー新法を受けて、早速、大江戸線に設置するということでございます。今後、都営地下鉄ができるかどうかというのは、なかなか難しいと思うわけですけれども、現在ある都営地下鉄の中で大江戸線に設置するということでございますが、なぜ大江戸線に設置するのか、明らかにしていただきたいと思います。

○中島参事 大江戸線では、駅周辺の再開発が進むなど、乗客数が急増しているところから、さらなる安全性の向上が求められております。また、大江戸線では既に自動列車運転装置が装備され、ホームさくと車両ドアの位置を合わせやすいこと、さらに、相互直通運転を行っておりませんので、乗り入れ他社との協議が不要であることなどを考慮いたしました結果、大江戸線にホームさくを設置することといたした次第でございます。

○長橋委員 非常に条件が整っているということでございます。大江戸線の可動ホームさく設置に当たっては、今後、整備計画をまとめられると思います。ぜひとも早急に取りまとめていただきたい。いつからこの大江戸線にホームさくを設置するのか、ぜひ早急に検討をお願いしたいと思います。
 次に、障害者支援策についてお伺いいたします。
 本年の予算特別委員会におきまして、我が党の野上委員が、障害者支援の一つの方策といたしまして、障害者自立支援法が成立いたしまして、障害者の就労、我が党はこの課題について取り組んできたところでございますが、そういう中で、障害者が働く駅構内店舗についてお伺いいたしました。これはことしの予算特別委員会だけではなくて、平成十七年の第四回定例会でもこの課題を取り上げました。
 その結果、本年の予算特別委員会で、交通局長からは、都営地下鉄の駅構内において障害者が働く店舗を設置することは、障害者の自立した社会生活を支援する観点から、公営交通として重要な役割でありますと。そして、さまざま検討を重ねて、一定のめどが立ちまして、十九年度に第一号店を出店すべく、現在、準備を進めている、こういう力強いご答弁をいただきました。
 今回の、障害者の方が駅構内に出店する、画期的なことであるかと思います。その第一号店が決定したように聞いておりますけれども、その取り組みの経緯と、そして第一号店がどこにできるのか、明らかにしていただきたいと思います。

○佐藤資産運用部長 これまで、特別区、障害者団体などと、具体的な設置場所をどこにするか、それからまた出店条件等について協議をしてまいりました。その結果、平成十九年度につきましては、これは来年三月でございますが、大門駅の構内に、パン、コーヒーなどを提供する第一号店を出店することとしまして、そのために、現在、準備を進めております。

○長橋委員 第一号店が来年三月、大門駅にできるということでございます。我が党はお伺いしますので、そのときはよろしくお願いいたします。パンとコーヒーをぜひ食べに行きたい。
 私の地域でも、そういった施設で障害者のお店があります。お伺いしますと、地域の中にあっても大変好評であります。あそこのパンが食べたいという方もいらっしゃるぐらいで、リピーターができているわけでありますが、なかなか生産が間に合わないということも聞いております。ましてや地下鉄駅構内、大変多くの方がお店を訪れるのではなかろうかと思いますので、引き続き支援をお願いしたいと思うわけであります。
 まずは一店舗。これもお伺いしますと、都と、さらにはその選定に当たってご苦労したのは地元区である、このようにも聞いております。なかなか、そういったところにお客様が満足できる品物を提供するというのは、障害者にとっては大変大きな課題であるかと思います。地元区も苦労した。ぜひ東京都もこれについて支援して、大門駅だけじゃなくて、さらに引き続き拡充をすべきである、拡充してもらいたいと思うわけでありますが、計画について伺います。

○佐藤資産運用部長 今後につきましてですが、今年度、一店舗に続きまして、二十年度、二十一年度、各一店舗ずつ設置を計画しております。

○長橋委員 この課題につきましては、我が党は、地元区議会、各区議会とも連携をとりながら進めていきますので、一店舗で終わらず、ぜひ二店舗、三店舗目をお願いしたいと思います。
 障害者に関連してお伺いいたします。障害者のための無料乗車券があると聞いております。その無料乗車券、福祉乗車券ということであるかと思いますが、障害者の無料乗車券の概要と実績について、まずお伺いいたします。

○高橋総務部長 東京都が発行しておりますいわゆる福祉乗車券には、身体障害者及び知的障害者の方を対象とした交通局発行の都電・都バス・都営地下鉄無料乗車券と、精神障害者の方を対象とした福祉保健局発行の精神障害者都営交通乗車証とがございます。これらの福祉乗車券を提示していただくことにより、都電、都バス及び都営地下鉄に無料でご乗車いただくことができます。
 ご利用いただいている枚数は、平成十八年九月末時点で、身体障害者の方は約十二万六千枚、知的障害者の方は約一万八千枚であり、精神障害者の方については、平成十九年三月末時点で約一万一千枚となっており、合計で十五万五千枚となっております。

○長橋委員 ここまで障害者の方々の支援のために広域的な無料乗車券を発行しているところはない、このようにも聞いております。その周知についてもしっかりお願いしたいと思うんですけれども、今いった、交通局は、身体障害者と知的障害者の方を対象として都電・都バス・都営地下鉄無料乗車券。精神障害者の方を対象にしているのは精神障害者都営交通乗車証。これは福祉保健局がやっている。交通局と福祉保健局で両方でやっているが、身体、知的は交通局、精神障害者は福祉保健局。
 福祉保健局の方を見ましたら、東京都精神障害者交通乗車証の交付と、ホームページにきちっとその手続が載っているわけですけれども、交通局を見たら、ない。これはちょっと不親切じゃなかろうかと思うわけでありまして、ホームページで、こういった身体、知的の障害者の無料乗車券の交付についてきちっと載っけるべきだ、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

○高橋総務部長 当局が発行しております福祉乗車証につきましては、これまで、発行手続を委託しております区市町村の広報等で、発行時期等に合わせてお知らせしてきたところでございますが、より一層の周知を図るため、交通局ホームページによる広報についても早急に実施してまいりたいと考えております。

○長橋委員 早急に実施していただくということでありますが、それはそんな難しいことではなかろうと思うわけでありますが、どうしても縦割りで、福祉保健局に精神障害、そして交通局に身体、知的とあるわけでありまして、やはり、三障害といわれるわけでありますから、身体、知的、精神障害あわせて、交通局のホームページを見たらわかると。精神障害については福祉保健局でやっていますという案内でもいいんです。そしてまた、福祉保健局も、身体、知的がどうなっているのかと見れば、交通局の方を見ればわかりますと。きちっと、縦割りじゃなくて、福祉保健局と連携してホームページも完備してもらいたいというふうに要望しておきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 最後に、局長からも答弁がありましたが、事故対策についてお伺いいたします。
 十月十二日の自動改札機の故障、そしてまた十月二十三日にありました大江戸線の停電事故についてでございます。
 お伺いしますと、自動改札機の故障については、プログラムのふぐあいがあったというようなことを、報告といいますか、お話を聞いておりますし、また、大江戸線の停電事故については交通局のホームページのトップに出ております。点検作業時のミスと推定されますが、引き続き調査、検討中ですと。ただし、マスコミには、人為ミスだ、こういうふうに書かれてしまっているわけであります。
 事故は、もちろんゼロにしていかなければいけない。ただし、それを防止していくには、大変な日ごろの労力、また努力が必要であるわけでありまして、この二つの事故だけじゃなくて、今までも、さまざまな事故について、その教訓を得て取り組みをしてきたところであるかと思います。人身事故も含めて、安全対策、今新たに検討しているかと思いますけれども、今までの取り組みはどうだったのか、お伺いいたします。

○兒島参事 交通局では、お客様の安全・安心を何よりも大切にし、その基本的な姿勢を示した安全方針を定め、これを具体化した重点施策を策定し、安全の確保に努めております。
 具体的には、ハード面としては、駅の防災改良工事や信号保安設備の更新など、またソフト面としては、日々の朝礼時などでの安全用語の唱和、安全の日や安全輸送推進運動の設定、異常時総合訓練などの各種訓練を行うことなどにより、安全の確保に取り組んでおります。
 今後も、事故事例の教訓を事故防止に生かすなど、安全の取り組みに努めてまいります。

○長橋委員 ぜひ局長にもお伺いしたい。
 今までも取り組んできた。だけれども、私はやはり、局長以下、東京都の交通局の職員が同じ思いで、何よりも安全が第一である、これを徹底はしていると思いますが、もう一度、一人一人の気持ちの中へ、絶対事故を起こさない、こういう思いを再度この機会に徹底させることが大事であろうかと思います。局長のきょうの答弁が、我々だけじゃなくて、都民に対しても、そして交通局の職員に対しても、その決意であるかと思います。そういったことを含めて、局長の決意をお伺いいたします。

○島田交通局長 ただいま安全管理担当参事から答弁させていただきましたが、交通局としては、ハード面、ソフト面、両面にわたりまして安全対策に積極的に努めてまいったところでございますが、今回の事故等を踏まえまして、より一層の安全対策を推進する必要性を痛感しております。
 安全対策は、事前の予防策を万全にすることは大前提でございますが、事故が起きたときの現場の応急対応力を向上させること、先生からお話がありました局職員全員の安全意識の向上、こういったものが重要であると考えております。
 そのため、私、着任以来、でき得る限り多くの現場に足を運びまして、職員に対し、お客様のとうとい命をお預かりしている、この言葉だけをいい続けております。何よりも事故を起こさず、安全第一を心がけていてくれるように、職員にいっているところでございます。
 また、応急対応力向上のために訓練を行っておりますが、従来のようなシナリオどおりに終わるものでなく、シナリオをそのときに自由に書きかえる状況変化のある訓練、混乱してもいいぞということもいってございますが、こういった訓練も取り入れまして、職員の対応力を向上させたいと思っております。
 今後も、七千人の職員一人一人の安全に対する現場力を高め、交通局全体の安全対応力の向上を推進していく決意でございます。

○長橋委員 よろしくお願いします。
 以上です。

○曽根委員 先ほど来、都営地下鉄については、四十数年来の悲願である黒字転換を達成した一方で、今年度に入ってから、七月の浅草線に続きまして、改札のプログラムミス、そして十月の大江戸線の停電事故と立て続けに事故が起こっているわけで、都民の関心、不安は、やはり、効率経営を追求する一方で、安全が軽視されてはいないかという点にあると思います。
 そこで、私は、少し具体的にこの事故の経緯などについてお聞きしたいと思いますが、決算ですので、昨年まで取り組んできた委託業務の進捗、その中で安全問題がきちんと確保されているのかというところからお聞きしたいと思います。
 七月の浅草線事故の直接の原因となったのは、軌道の保守点検業務だといわれていますが、どういう業務を軌道の保守点検については委託しているのか、何件ほど委託しているのか、そして工事などの際の都の職員の立ち会いはどういう範囲で行われているのか、この点についてお聞きしたいと思います。

○鈴木建設工務部長 私どもは、砕石道床のつき固め工事を請負業者さんに委託しているところでございますが、都営地下鉄の砕石道床区間は四線で六十五キロございます。毎年、その五分の一ずつを機械あるいは大型機械、通常のタンパーと称する小型の機械もございますが、それと大型機械で実施しているところでございます。
 その砕石道床のつき固め工事は、各線の軌道保守その他工事工種別単価請負工事、ちょっと長ったらしいんですが、こういう工事に含まれております。
 同工事の主要な工種は、レールの交換、まくら木の交換、先ほど申し上げました大型つき固め機械による作業を含む軌道整備道床関係及び締結装置関係などがございます。
 このうち、当局職員が立ち会う工種は、レール交換とまくら木交換でございます。他の工種は、当局が認定する請負者の軌道施工責任者が立ち会うこととしております。
 この軌道施工責任者は、地下鉄の軌道工事に五年以上の実務経験があり、地下鉄関係の総合的知識を有する者を当局が認定したものでございます。

○曽根委員 報道の中では、事故の原因となったと思われる工事の際に、都の職員は現場にいたという話もあるんですが、ちょっと厳密にいいますと、大型のタンパーですか、機械を現場まで運転してくる、その同乗といいますか、立ち会いというか、これには都の職員がいたけれども、まくら木交換などではない砕石のつき固め工事については、都の監督はなかった、都が認定する委託会社の責任者がついていたということですね。
 七月八日の未明の工事は、このつき固め工事ですから、都の工事についての監督はなかったと思うんですが、当然、初歩的なこととして、砕石もしくはその近辺に電気ケーブルが走っている。それを傷つけ、未明の工事でしたから、その後、始発が走る際に、通電した際にショートを起こしたというようなことらしいんですが、なぜ傷めたことがチェックできなかったのか。この原因については、もう三カ月たっていますが、究明され、報告がされているんでしょうか。

○鈴木建設工務部長 当該事故の発生から一週間以内でございますが、私どもの方で、現場の作業を監督した者あるいは作業員あるいは私ども、現場で再現実験等を行いまして、いろいろ調査いたしまして、調べた結果、当日の作業の責任者、さっきの軌道工事責任者でございますが、ケーブルが収納されていたコンクリート製のトラフのふたが損傷しているのを発見したと。ところが、トラフ内の饋電ケーブルの損傷は見落としたということでございます。
 また、そのことについて、当該作業のときに、マルチプルタイタンパーという大きな車両があるんですが、それと、いろいろな資材を運ぶためのモーターカー二台が一緒に行っておりますが、それぞれその指揮をする、指揮をするというのは、具体的に、指令、いろいろ調整をしたりする職分でございますが、そういったものについて報告がなかったということでございます。

○曽根委員 初歩的なことかもしれませんが、しかし、そこに電気の技術の専門家がいなかったということで、ケーブルを保管している容器が壊れていることはわかったけれども、中のケーブルがどの程度傷んでいるかのチェックまではいかなかった。また、そのことについての報告が重視されなかったからこそ、届かなかったと。
 私は、都の職員がこの事故の場合も立ち会っていなかったことが大きな要因の一つではないかと。まくら木交換だけではなく、こうした、いってみれば小さい工事なのかもしれませんが、都の職員の立ち会いや、また、こういう初歩的なミスが起きないためのきちっとした委託会社も含めた研修を徹底する必要があると思いますが、いかがですか。

○鈴木建設工務部長 大型つき固め機械による作業、ほかでもやっておりますが、電気関係も含め、地下鉄関係の総合的知識を有する軌道施工責任者が立ち会い、確実な安全の確保に努めてきております。このため、電気関係職員の立ち会いは通常必要としておりません。

○曽根委員 こういう事故が起きなければ、必要ないということで済まされるかもしれませんが、一たんケーブルを傷つけた場合、それが本当に中でショートする原因になるのかどうかについては、初歩的なミスといっても影響が大きい問題で、これで全線がとまるわけです。そういう意味では、これはたしか始発から十一時間も動かなかったわけですね、浅草線は。都民への影響という点から、やはり真摯に検討すべきだというふうに申し上げておきます。
 今回、大江戸線についてもやはり停電事故が起こったわけですが、こちらの場合、私が思うに、非常に要素が絡んでいると思うんです。まず、変電設備の保守点検に不備があったということがいわれていますけれども、電気の保守点検の委託は何件あって、そのうち、都の職員が立ち会っていない件数は何件ですか。

○室木車両電気部長 平成十八年度に発注いたしました電気設備の保守点検業務委託件数は五十一件でございます。そのうち、当局職員が立ち会いを行っていないものは四件でございます。

○曽根委員 この事故が起きる原因となったミスのあった現場、練馬の変電所というふうにいわれていますが、この現場の立ち会いの有無、そして、四件というものがどういう工事について立ち会いがないのか、教えてください。

○室木車両電気部長 今回の都営地下鉄変電所の保守点検委託につきましては、当局の職員の立ち会いを行っておりません。

○曽根委員 四件の中身。

○室木車両電気部長 立ち会いを行っていないのが四件でございまして、今回の都営地下鉄変電所、変電設備ほかの保守委託業務、それから、三田線のホームゲート及び都電荒川線の保守委託、点検委託、あとは駅舎の照明点検清掃委託、これが駅の出入り口とホームと二件でございます。合計四件でございます。

○曽根委員 さすがに電気は影響が大きいですから、大半のところは工事に立ち会っているようですが、四件だけが抜けていて、そのうちの一件、変電所の設備点検で不備があった。先ほどの浅草線同様、やはりそこに都の職員がいなかったということは、私は事実として重いと思うのです。
 ホームゲートの点検や駅のいろんな清掃、照明ですか、そういったこともさることながら、変電所の設備点検にもしミスがあれば、今回のように電車がその線でストップするということは当然起こり得るわけで、なぜこれは工事の立ち会い、都の職員が必要ないのか大変疑問に思います。
 しかも、こういったものはマニュアルがあるはずで、大体、常識で考えても、指さし確認を全部きちっとやれば、最終的に電源を入れ忘れるというようなことは、今回それが原因というふうな報道がされていますが、あり得ないと思うんですが、この変電所の設備点検では、指さし確認というのは徹底されているんでしょうか。また、やられたんでしょうか。

○室木車両電気部長 ヒューマンエラー防止のために、指さし確認は非常に重要であるというふうに認識しておりまして、私どもも、職員に対して、基本動作の励行の中で、この指差確認喚呼をきちっとやるようにという指導をしております。今回、保守点検を委託した委託会社に対しても、同じように指導しているところでございます。

○曽根委員 実際にどうだったのかはこれからまだ調査だと思いますが、そういった委託会社の技術者に対する研修は都として直接行っているのか、それとも会社の方で行っているのか。

○室木車両電気部長 交通局は委託会社に対して、局の教育訓練実施要綱に準じた安全教育訓練を行うよう義務づけております。
 なお、この訓練につきましては、委託会社から提出される報告書により確認をしております。

○曽根委員 今度のことを見ても、重要な業務について、特に変電所の設備点検などは、一たんミスがあれば全線に影響するということから、本来ならば都の直営できちんとやるべきじゃないか。少なくとも都が直接研修したり立ち会いを行うべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

○室木車両電気部長 交通局では、局が主催している安全講演会への委託会社の参加、当局職員と委託会社の業務責任者をメンバーとした委託安全会議の開催、安全パトロールの共同実施など、必要に応じて委託会社の技術者に対し安全研修を実施しております。

○曽根委員 講演会の参加だけでいいのかと、やっぱり疑問は残ると思うのです。
 私、もちろん都の交通局ではありませんが、エネルギー供給関係の大手の会社の電気関係の技術者の方からちょっとお話を聞いたんですが、やはり委託で変電設備などを外注に出していると。この場合は、指さし確認をするだけじゃなくて、全部、札かシールを張って、保守作業にかかるときに、最初にずっとスイッチやドアの施錠などについて札をかけていく。作業が終わったら、全部その札を外して、もとのリストに戻していく。その札が抜けていたらば、要するにそこのスイッチを入れ忘れているか、切り忘れている。そういう徹底をやるそうです。今回の場合でも、そういったところまで研修なりマニュアルをきちっとつくるということは、都の直接の責任だと思います。
 その大手の会社でも、一たん事故を起こすと、その下請の委託会社はもう仕事がもらえない。したがって、ミスをした社員はいたたまれなくなって、しばらく後に自殺するというような悲劇もあったそうです。
 私は、委託会社またはその作業員の責任だけに帰することは絶対許されないと。これは、きちんとしたマニュアルで一〇〇%安全を確保するために努力をし尽くしたかどうかの都の責任の問題だと思いますが、いかがですか。

○室木車両電気部長 委託会社に対しましては、チェックリストにより作業手順をきちんと確認するように指導しております。今回もチェックリストを使って作業したという報告を受けておりますけれども、現在、原因を調査中でございます。

○曽根委員 くれぐれも都の安全確保、事故の未然防止の責任の重さを忘れないように、今後も対処していただきたいと思うのです。
 先ほど局長の答弁の中にも、事故が起こらないように未然の防止も大事だが、起こった後の対応力、この点でも重視しなければならないというお話がありました。この点でも、私、大江戸線の事故は、これまで取り組んできた効率化の中で問題を抱えているんじゃないかと思うのです。というのは、今度の事故が起こった駅の近くの駅が連続して外注になっているということなんですね。直近の新江古田駅から四駅、立て続けに全部外注駅なんですね。委託駅なんです。都の職員がほとんどいないという状況だったと思うんですが、その外注になっている駅の数は、大江戸線の場合は何駅中何駅なのか。放射部の中では何駅中何駅か。外注の駅には都職員はいるのか。体制についてお聞きします。

○高根電車部長 大江戸線の駅は三十八駅ございまして、そのうち、平成十八年度末で十五駅で駅業務の委託をしております。また、大江戸線放射部の光が丘駅から都庁前駅間は十一駅ございますが、そのうち四駅を委託しております。
 委託駅の体制でございますけれども、駅の責任者である助役は局の職員でございまして、駅係員の仕事を委託職員が行っているところでございます。

○曽根委員 この体制で、これは偶然だとは思いますが、新江古田駅手前で、今回、電車がとまった。普通ならば、停電しても次の駅ぐらいまでは惰性で届くはずなのが、ここはたまたま上り坂だったというようなことも聞いていますが、その新江古田駅の方から事故現場にはだれが駆けつけたのか。それから、ほかのところからの応援はどうやって、だれが駆けつけたのか。
   〔発言する者あり〕

○高根電車部長 停電事故発生後、運輸指令の指示によりまして、当該駅の助役が列車に駆けつけるとともに、隣の練馬駅、それから担当乗務区及び本局からも職員が直ちに応援に出向き、お客様の避難誘導に当たったところでございます。
   〔「逸脱しないでよ、逸脱」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員 それから、大江戸線の電車はワンマン運転ですよね。これは聞いてもいいと思うんですけれども、ワンマン運転の運転士とツーマンでやっているほかの線の運転士との研修に違いはあるんでしょうか。

○高根電車部長 ワンマン運転、ツーマン運転についてでございますけれども、研修については、運転士になるときの必要な研修は同じでございます。しかしながら、運転士につきましては、すべて車掌の実務経験を二年以上経験した者がなっております。さらに、ワンマン運転士につきましては、職場におきまして定期的に車掌業務に関する内容の研修を行ってございます。

○曽根委員 実は、この事故でとまった電車には、同僚議員であります松村友昭議員がたまたま乗車しておりまして、車内から彼自身が救出されるのに一時間ぐらい、全員が出てくるのにやっぱり二時間以上かかったんじゃないかということでした。
 そのときに、つぶさに運転士の方の動きを彼は見ていたんですが、研修は特別にワンマンだからということで若干多いようですけれども、たった一人で運転士と車掌の役割を果たさなければならないということで、応援が来るまでしばらく時間がかかる間、とにかく車内を走り回っているという状況だったそうです。大変な、もう電気消えちゃって、どんどん蒸し暑くなってくる、倒れる人も出てくるという中で、一人での対応をしばらくの時間やらなきゃならなかった。
 駆けつけた職員は、こういう外注が進んでいる中で、主にはタクシーで来られたそうですけれども、そういうときに、これまで進めてきた委託事業のあり方が、この事故を見てもやはり問われているということをいわざるを得ないと思うんです。
 そして、最後にちょっとお聞きしますが、警告書が二件の事故については出ていると思うんです、浅草線と大江戸線の。これの受けとめと今後の防止対策について、今、現状はどうなっているのか、お聞きします。
〔「それは本来、常任委員会でやることじゃないの。決算の場でしょう、ここは。逸脱しているよ」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 曽根委員に申し上げます。
 質疑につきましては、平成十八年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、答弁、よろしくお願いいたします。

○兒島参事 浅草線の事故と大江戸線の事故について、二件警告書が出ておりますけれども、浅草線の部分につきましては、原因の究明の徹底、障害後の早期復旧対策について報告されることが求められております。現在、これらの報告の内容について、国土交通省の指導を受けながら、取りまとめ作業を続けているところでございます。
 そのうち、再発防止策について、できることについては既に実施しており、既に保守作業者に対する教育指導の徹底や、停電時における作業マニュアルの変更などを行っております。
 また、今回の大江戸線の警告につきましては、交通局としては真摯にこれを受けとめ、今後、早期に原因を究明するとともに、再発防止に努めてまいります。

○曽根委員 先ほど来、私の質問について、決算の内容から逸脱しているんじゃないかというお話がありますが、とんでもありません。今回の事故にあらわれている内容をしっかり見ていけば、これまでずっと何年にもわたって急速に進んできた都営地下鉄の業務委託の問題が浮き彫りになるからこそ、今回の事故の問題を取り上げざるを得なかったわけで、まさにこれは決算の内容なんです。(発言する者あり)
 そして、今回の警告書について、今まで進めてきた効率化、これはもう事実として先ほどもお話がありました。これが行き過ぎて安全軽視になっていないかどうかについて、今お話を伺っても、真摯な反省というのが感じられません。
 これまでの取り組みについて、黒字を目指すということで、これまでの決算の中身で、黒字をついに達成したということの背景に、やはり問題がある。特に委託化の問題については、都の職員もしくは東京都がきちっとかかわるべきものまで委託に、言葉は悪いですけれども、丸投げにしていないかということについて、やはり私は警鐘を乱打したいし、もしこの点についてのきちっとした都の分析がなければ、こうした事故が繰り返されるおそれが高いといわざるを得ないと思います。
 停電というのは軽い事故じゃありません。震災などのときには、これは最も起こり得る事故の一つです。そういう点でも、もし全線でこれが起きたらどうするのか。都の駅の職員は確保されているのか、事故対応の駅の職員は。委託会社の社員は、今回は現場に行っていないわけですから、どんどん委託駅をふやしていっていいのかという問題が問われているということを申し上げて、交通局についての質問を終わります。

○高倉委員 十八年度決算につきまして、公共交通利用者の利便性向上への取り組みという点からお伺いいたします。
 平成十三年の十一月にJR東日本のSuicaカードがスタートしまして、最近では、電子マネーとしまして、Edy、nanaco、WAONなど、さまざまなICカードが使われております。
 交通関係では、十八年度末のことし三月十八日に、ICカード乗車券、PASMOのサービスがスタートいたしました。同時に、JR東日本のSuicaとの相互利用が開始されまして、関東圏の公共交通は一層便利になってきていると思います。
 そこで、ICカード乗車券、PASMOについてお尋ねいたします。
 PASMOは、ことしの三月登場したばかりの新しいカードでございますけれども、サービス開始に先立ち、どのようなPRをされまして、その結果、どれくらいカードが発行されたのか、お伺いいたします。

○高根電車部長 PASMOの発売開始に先立ちまして、テレビコマーシャルやポスター、駅頭でのチラシ配布など、PRを行ってまいりました。
 サービス開始の時点で四百万枚のカードを用意して、発売を開始いたしましたが、平成十八年度のPASMO全体の発行実績は、三月十八日からの十六日間で約二百六万枚となりました。予想を超える売れ行きのため、四月十二日から定期券以外の発売を中止せざるを得なくなりましたが、九月十日から発売を再開し、十月二十二日現在で発売累計は五百六十一万枚に至っております。
 現在、都営地下鉄を利用されるお客様の中で、PASMOかSuicaでの利用割合は、定期券の方も定期券以外の方もそれぞれ五割を超える状況にございます。

○高倉委員 今、ご答弁ございましたけれども、発売の累計が五百六十万枚を超えている。大変な発行実績であるというふうに思います。
 そこで改めて、ICカード乗車券、PASMOの導入の目的と効果についてもお伺いいたしておきたいと思います。

○高根電車部長 PASMO導入の目的でございますが、JR東日本のSuicaと相互利用を行い、一枚のICカードで首都圏のほとんどの鉄道、バスに乗車できるようにすることを目的としております。
 導入後の効果につきましては、まず、運賃表を確認する必要がなく、小銭を用意したり、券売機に並ぶ手間が省けることなどがございます。また、自動改札機の通過がスピーディーになり、鉄道においても、バスにおいても、乗りおりがスムーズになったことが挙げられます。
 鉄道事業者といたしましては、ICカードの普及により、改札機や券売機などの機器の維持管理コストの低減が期待できるところでございます。

○高倉委員 一枚のICカードで、首都圏のほとんどの鉄道、バスに乗車できるようになったということであります。利用者の方々には、幾つかの路線を乗り継いで利用している方がたくさんいらっしゃるはずであります。都営線ともう一つの鉄道会社との連絡定期券、これは一枚のICカードでできるというふうにされております。しかしながら、さらにもう一つの鉄道会社を利用する場合、その分の定期券は別にもう一枚持たなければならない、このように聞いているわけであります。
 先ほど申しましたように、複数の鉄道会社を利用して通勤している利用者、こういった方々は何枚も定期券を持たなければならない。これは本当に利便性の点からも改善が必要ではないかと思います。こうした不便をぜひ解消すべきではないか、このように思いますけれども、ご見解をお伺いいたします。

○高根電車部長 委員ご指摘のとおり、現状におきましては、三社以上の鉄道路線を利用するお客様の定期券につきましては一枚のICカードにすることができず、ご不便をおかけしているところでございます。このため、PASMO参加事業者及びJR東日本におきましては、三社あるいは四社にまたがるIC連絡定期券を早期に実現できるよう、現在、検討しているところでございます。

○高倉委員 ぜひ実現をお願いしておきたいと思っております。
 この件で最後に質問させていただきますけれども、特にPASMOでありますが、乗車券としてさまざまに考えていらっしゃるということでありますけれども、このICカードについては、今、乗車券以外の目的でも広く活用が始まっているところであります。
 これは先日の産経新聞にも報道されといいますか、紹介されていたことでありますけれども、例えばコンビニエンスストアam/pmは、首都圏約千店舗で来年一月からPASMOが使えるようになる。あるいは電子マネーの機能では、東武鉄道が沿線の獨協大学の学生食堂とか売店などにPASMOで決済できる販売機を導入する。これは電子マネー的な機能の活用だと思います。
 さらに、東急は十二月から、所有者の性別、生年月日、電話番号、こうしたものが登録される記名式のPASMOというのを使って、子どもさんがPASMOで駅の改札口を通りますと、保護者の携帯にメールで教えるサービス「キッズセキュリティ・駅」というんだそうでありますが、こういうものも始めるということだそうです。
 また、東武においては、PASMOをカードキーにしたロッカーを駅の中に設置したり、駅近くの駐輪場料金をPASMOで決済できるサービスを導入した、このような紹介もされているわけであります。
 自治体においては、横浜でありますけれども、公共交通を利用してデパートで買い物するとポイントがたまるといったような、横浜型環境ポイント社会実験、こういったものが始まっているようであります。
 今後、新しいサービスとして、乗車券や電子マネーとしての利用以外、いろいろと検討されているのではないかと思いますが、今後、PASMOカードの活用の可能性の広がりということも含めて、ご見解をお伺いしたいと思います。

○高根電車部長 横浜型環境ポイント社会実験につきましては、横浜市と東急電鉄が国と連携し、ICカードの機能を活用してポイントサービスを行い、公共交通の利用促進と環境活動へのつながりを検証するものでございまして、先月下旬から開始された取り組みでございます。
 交通局といたしましても、PASMOカードの乗車券や電子マネー以外の活用方法について検討してまいります。

○高倉委員 今、幾つか質問させていただきましたけれども、先ほど答弁にありましたように、五百万枚を超えるような発行がされている。これは、いわば一つのサービスを工夫していくに当たっての基盤が大きく整っているといったようなこともいえるのではないかと思います。事業者の立場からすれば、機器の維持管理コストの低減、こういったメリットもあるというご答弁がありました。また利用者からすれば、交通機関の乗りおりにとどまらない、さまざまな工夫によって、魅力あるそういった取り組みの可能性があるということであります。
 ぜひとも、今後、他の事業者との連携によりまして、より便利なカードになりますように検討を進めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後三時十分散会

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