公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十九年十月二十九日(月曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長鈴木貫太郎君
副委員長たぞえ民夫君
副委員長高橋かずみ君
副委員長大沢  昇君
田中たけし君
原田 恭子君
佐藤 広典君
山口  拓君
橘  正剛君
野島 善司君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
下水道局局長前田 正博君
次長今里伸一郎君
総務部長野口  孝君
職員部長阿部 義博君
経理部長佐藤 仁貞君
計画調整部長小川 健一君
技術開発担当部長高橋 良文君
施設管理部長桜井 義紀君
施設管理担当部長星川 敏充君
建設部長黒住 光浩君
流域下水道本部本部長中村 益美君
管理部長梶原  明君
技術部長宇田川孝之君

本日の会議に付した事件
 平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成十八年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○鈴木委員長 ただいまから平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の決算に対する質疑を行ってまいります。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行ってまいります。
 平成十八年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者からの説明を求めます。

○佐藤経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。区部における浸水対策の計画と実績及び雨水整備クイックプランの進捗状況でございます。
 平成十八年度末における浸水対策の計画と実績及び雨水整備クイックプランの主な進捗状況をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 平成六年度から十三年度までの八年間に設置した個数及び平成十四年度から十八年度までの五年間における設置個数の推移をお示ししてございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行っていただきます。

○野島委員 私の方から、多摩地域における下水道事業について何点かお伺いいたします。
 都市化が進みまして、河川が汚れ切った、こういう状態が長く続きました。私の住んでいるところも清流を誇っていたんですが、汚染が進みまして、最初は魚が消えちゃったかなと思ったら、ミミズとヒルだけになっちゃったんですね。ところが、ミミズもヒルもすみにくい河川になっちゃいまして、汚濁が進んじゃって、ちょっと段差があるところは石けんが泡立っちゃうのね。それが風が吹いてくるとばあっと散ったりして、ひどいものでありまして、河川というよりも都市排水路、そんな感が強くなっているわけでありますが、今日、各市町村、それから都の努力もありまして、下水道整備率も大きく向上いたしました。檜原村でも昨年の七月に供用が開始されまして、約四割の方がそのサービスを受けられるようになってきたというふうに伺っております。
 下水道の整備の促進は、実は多摩で一番進んだのは、市町村によって跛行性はありますけれども、おくれた地域というのは、宮澤内閣の、生活空間倍増プランというのがありまして、内需拡大で、あのときに物すごい国の補助金がついたので、調子に乗ってばんばんばんばんやった、こういう経過があるわけであります。それで今日に至ったわけでありますが、いわば建設の時代から、これから管理の時代になったなというふうに私は認識をいたしております。
 それから、実は下水道に関して、三多摩の市町村議員でつくる三多摩上下水及び道路建設促進協議会、こういう会がございまして、都市インフラをどうするということをここの委員会でやっているんですが、ここからもいろんな要望が提出をされております。財政負担の問題とか、あるいは建設局マターでの河川改修の促進とか、さまざまあるわけでありますが、下水道局所管で、かつ先ほどの管理の時代、こんな視点から整理統合していきますと、いわゆる合流改善の推進を進めてほしい、この一点と、それから、当然最後は河川を通じて海に行くわけでありますから、高度処理化の推進、これは環境の時代に必要な大変重要なマターだと思っておりますが、この二つが私は大きな課題だろうというふうに、この要望書から受けとめております。
 そこで、多摩川の水質改善について--一方、荒川の方もありますけれども、きょうは多摩川の方だけにしたいと思います。私どもは、荒川の方に最後はお世話になっていますけれども。その水質改善について伺っていきたいと思います。
 平成十三年には、多摩川中流部の水質が、コイがすめるということからアユがすめるという、こういうふうに改善されたと伺っております。
 一方、まだ多摩川中流部の水量の半分は下水処理水だというんですね。この間、水道局の質疑のときに、原田委員の方から、ぜひその水をとって使うようにというふうな話がありました。これ使うにしても、よっぽど水質改善していかないといけないわけですから、そういう視点からも大事なことだろうと思っております。
 そこで、多摩川のさらなる水質改善、こういったような課題に向けまして、流域下水道でどのように取り組んでいるのか、こんなところを伺っておきたいと思います。

○宇田川技術部長 流域下水道では、水処理施設の建設、更新に合わせまして、窒素や燐を大幅に除去することができる高度処理施設を順次導入しておりまして、十八年度には約二六%が高度処理されております。
 また、今年度からは、八王子水再生センターと多摩川上流水再生センターで、一日当たり約四万六千トン分の高度処理の能力増強が図られまして、放流水質の一層の向上が見込まれます。

○野島委員 ぜひ今後も積極的に高度処理の導入を進めまして、多摩川をよりきれいにする。最後は東京湾に行くわけですから、その富栄養化の防止、こういったふうなものに大変寄与すると思いますし、やっぱりきれいになれば、川に親しんで遊べる、こういうこともあるわけでございますから、コイがすめるようになって、アユがすめるようになって、その後は何がすめばいいのかわかりませんが、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
 それで、さらに伺っておきたいと思うんですが、いわゆる下水道には、汚水、雨水合流式と分流式という、この二つがあるやに伺っております。
 多摩地域の流域下水道は、一部合流式で整備されている。合流式ですから、雨が降ったときには、雨水が一緒になって入ってくるわけですね。そうしますと、処理能力に限りがあろうかというふうに思いますので、希釈されて、汚水の一部が川などへ放流されてしまう、こういう悩ましい問題も抱えているわけでございます。雨の降った後、川等を見ますと、はけ口からそういったふうなものではないかと思われるものが見受けられたりするわけでございます。
 テレビはこの間見なかったんですが、多摩川の河口には、何でこんなものが川を流れてくるんだぐらいの、そんなものがいろいろ流れてきていると聞いておりますけれども、その対策をしていかなければならない、そういうふうに思うのでありますが、流域下水道ではどのぐらいの区域が合流式なのか、それをどういうふうに改善していこうという取り組みをしているのか、こんなところを伺っておきたいと思います。

○宇田川技術部長 流域下水道区域の約二割に当たります一万ヘクタール余りが合流式下水道で整備されております。
 これまでも、野川第一幹線の九カ所のはけ口でごみ等の流出を抑制する対策を、北多摩一号水再生センターと北多摩二号水再生センターでは、降雨初期の特に汚れた下水を五万三千立方メートル貯留する施設を設置してまいりました。また、平成十八年度には、北多摩二号水再生センターに、効率的にごみ等を取り除く新技術であります高速ろ過施設が完成いたしました。

○野島委員 合流式をどう改善していくかというふうに伺いました。究極の話は、分流式にしちゃえば一番いいと思うんですけれども、恐らく合流式を計画した段階では、私は雨水の流出係数なんかをそんなに高目に見ていなかったんじゃないかと思うんですね。ところが、その後の都市化の進展の中で、流出係数がむちゃくちゃ高くなっている、こういう実情なわけです。
 仮に分流式ということになりますと、雨水管を入れていかなきゃいけない。一部河川等を放流施設として使っていくという計画が可能にせよ、雨水の管というのはばかでかいということと、それを入れていく財源というのは莫大なものじゃないかと思うんですね。雨水ですから、まさかおてんとうさまに、あなた方の受益者負担を出してくださいとか、下水道料金を取れるわけじゃないですから、雨水の処理は。そういう意味では、さまざまな今伺いました対策を組み合わせながら、さらに合流式下水道の改善を進めていく必要があるだろう、こんなふうに思っております。
 そこで、この改善のために新技術を導入したと伺っておりますが、その施設の概要と効果についてお伺いをいたします。

○宇田川技術部長 高速ろ過施設は、樹脂製の細かなろ過材を用いまして、省スペースで効率的に小さなごみや汚濁物を除去する施設でございます。
 本施設につきましては、大雨の際に水量が急激にふえても安定した処理ができるとともに、動力や薬品を使わないため、維持管理費も低く抑えられます。また、この技術の導入に当たりましては、既存の施設を工夫して活用することで、建設費の抑制と工期の短縮を図ってまいりました。
 今後も、新技術の導入などにより、効率的、効果的に合流式下水道の改善を推進してまいります。

○野島委員 ぜひそういうふうに積極的な取り組みをお願いしたいと思うんですね。東京都下水道局の技術というのは、日本に誇るのみならず世界に誇るもの、こういうふうに思っておりますので、新技術を導入して建設費を抑え込み、かつ維持管理費も低減する、こういう取り組みを高く評価しております。ぜひ今後ともお願いをしたいと思います。
 それで、水環境をよくしていく、最終的にはそっちにいくわけですから、今、流域下水道と市町村が管理する公共下水道がそれぞれの役割を担いながら、連携して維持管理をしていくことが必要だろうというふうに思ってございます。
 十二年度決算ですから、十三年度のこの委員会で、私、水質検査について共同で取り組んでいるという話を伺いまして、極めていい話じゃないかというふうにお話し申しまして、その後、積極的に進めていっていただいているというふうに思っております。
 そのときの答弁では、当初は我が東久留米市を含む五市で実施していたというふうに聞いておりますが、また、こういうふうなことを通じて--正直なところ、市町村の下水道事業の水質管理等のノウハウというのは、実はそれほど高くないんですよ。そんなことをいうと語弊がありますが、要するに、市町村で水質管理をするというところの意味合いは、どっちみち川に流れていっちゃうんだから、真剣にやっていないとはいわないですよ、ちゃんとやっているんですが、そんなに高いレベルのものを用いていこうとか、そういうところというのが私には余り感じられないんですね。
 こういうふうなことでノウハウを提供してもらう、アドバイスを受けながら業務を改善していく、そういうことで、結果として、共同して発注すれば価格も安くなるし、そういう意味では大変意義あるというふうに思っております。
 そこで、平成十八年度に都と市町村が共同で行った水質検査、その実績についてお伺いいたしたいと思います。

○宇田川技術部長 水質検査の共同実施につきましては、お話のとおり、コスト削減などに効果がありますことから、平成十二年度に開始して以来、順次拡大してまいりました。昨年度は新たに府中市が加わりまして、現在では十八の市町となっております。
 共同実施をしている箇所数は、当初の百四十一カ所から五百九十六カ所に拡大いたしました。

○野島委員 五市から十八市町に拡大したということのようでございます。
 先ほど申し上げましたが、専門家の不足、こんなことも考えますと、大変有意義な事業だろうと思いますので、なお着実に進めてほしいと思っております。
 ところで、水環境を確保していくためには、水質検査、今話がありましたけれども、これのみならず、台帳管理、管渠の維持管理面、全部つながっているんですね。一つの市の中で全部終わりましたというのはないはずですね。枝管から幹線に入って、処理場に行って、最後は川に出ていく、こういうわけでございますから、そんなところで、こういう維持管理の面においても、東京都が持つノウハウを積極的に生かして市町村を支援していっていただいている、こんなふうに伺っておりますが、下水道整備の台帳につきまして、どんな形で今進めておられるのか、こんなところも伺っておきたいと思います。

○宇田川技術部長 管渠の維持管理を適切に行うためには、管渠の埋設されている位置や構造、維持管理の履歴などの情報を適時的確に把握できる下水道台帳が必要でございます。
 しかし、ほとんどの市町村では、下水道台帳を紙ベースで保管しておりまして、台帳の更新や情報の検索に時間がかかるなどの課題がございました。
 そこで、下水道台帳の電子化を進め、十八年度末までに十七の市町で整備が行われてきております。これによりまして、東京都と市町村が同じ情報をタイムリーに得られるとともに、相互に利用することが可能になります。例えば、悪質汚水の流入による水質事故の際にも、水再生センターへの流入経路や到達時間が東京都と市町村の双方で把握できるため、流入水を一時的に貯留するなどの早期の対応がとりやすくなるなどの効果がございます。

○野島委員 ぜひ積極的な推進をお願いしたいと思います。
 この間、水道局の事業で、水道事業は都営水道に一元化を今後--多摩はまだ、平成二十何年で全部完了するんですけれども、進めているわけですね。下水道事業もそうなればいいなとは思いつつ、やっぱり下水道事業は都市計画事業ですから、事業主体の問題もあります。
 それから、多摩の各市町が、取り組みの時点が違うんですね。三鷹なんかはむちゃくちゃ早く終わらせちゃったんですね。設備投資額を抱え込んでいるところと、負担が、もうそれらが軽減化してきた、こういう市町村の跛行性もあるわけでございまして、私なんかからすれば、極めて大都市的な事業でありますから、これを一元化した方がいいんじゃないかなと思いつつも、そういう事業主体、財政の今の負担、それから特に悩ましいのは、市によっては受益者負担を取って整備に充てた市もあれば、それなしで整備した市もある。
 そうしますと、これは一元化するといっても、その辺というのは極めて困難な問題だろうし、都計法の改正、あるいは下水道法の改正もあるかというふうに僕は思いますので、そんなことは遠い将来の話としてそこにとどめまして、実は管理の中で、平成十四年三月に、多摩地域の下水道事業のあり方に関する検討会から、下水道事業のあり方の報告書が出ているんですね。そのあり方、目指す方向ということで、今も話しました、いろんな具体的な例も含めまして例示をされております。
 いわば、これから管理というのは、どうやってコストを圧縮して適切に管理をしていくかということになりますと、職員数の問題、こういったようなものも大きな課題になってくるわけでございます。また加えて、つくりっ放しというわけにいきませんから、行く行く更新時期を迎えてくる。
 そうしますと、それを全体としてどうやってトータル的にプランニングしていったら一番いいのか、そのことがしっかりしていれば、処理水も水質管理上も極めてプラスになるわけでありますから、そんないろんな課題はありつつ、これは質問じゃないんです、そういういろんな課題があるなというふうに思っております。
 その上で、最後にお伺いをしておきたいというふうに思っております。管理の適正化も含めまして--一元化なんていってないですよ、適正化も含めて、これから多摩地域の水質浄化の向上に向けて、流域下水道本部長の決意を伺って質問を終わりたいと思います。

○中村流域下水道本部長 多摩地域の水環境は、市町村が管理する公共下水道と都の流域下水道が一体となって機能することにより支えられております。
 私どもはこれまで、水質検査や下水道台帳の電子化など、関係市町村との共同の取り組みを拡大するとともに、合流式下水道の改善計画など市町村が取り組む下水道の計画策定を支援したり、対策手法についてアドバイスをするなど、積極的に技術支援を行ってきたところでございます。
 今後とも、多摩地域の水環境の一層の向上に向けまして、都と市町村が共同して、合流式下水道の改善、高度処理の推進、未普及地域の解消など主要な課題に取り組んでまいります。

○山口委員 私は、再生水利用の普及拡大について幾つか質問させていただきたいと思います。
 下水道事業は、一般都民にはなかなか気づいてもらえませんが、都民の生活を支える、いわば縁の下の力持ち的な存在であって、目立ちませんが、非常に重要な事業だということは私も認識をいたしております。
 私は、家庭で不用になったものをリサイクルしていただく、再生をしていただくというフリーマーケットの団体を主宰しておりまして、この市民活動を通じて、再生利用というものに対して強い関心を持っているわけなのでありますが、都民活動に欠かせない水についても、再生利用というものをしっかりと図っていくことが重要だと考えております。
 下水道局が管理運営をする水再生センターでは、毎日膨大な量の下水を処理しており、この処理水は、さまざまな用途に有効利用できる都市の貴重な水資源となっているところでありますが、そこでまず、下水道局では処理水の有効利用にどのように取り組んでいるのか、お伺いをしたいと思います。

○小川計画調整部長 下水道は、都民生活や都市活動によって汚れた水をきれいにして川や海に戻すことで、良好な水環境の形成に大きな役割を果たしているところでございます。
 東京都の水再生センターでは、平成十八年度に一日当たり約五百七十万立方メートルの下水を処理しており、この処理水は、清掃工場や局内の水再生センター、ポンプ所の洗浄用水あるいは冷却水などに利用しております。また、処理水を高度処理した再生水を、ビルのトイレ用水などの雑用水や清流復活用水として供給しているところでございます。
 これらによりまして、平成十八年度における処理水の利用状況は、一日当たり約五十万立方メートルであり、全処理水の約九%となってございます。

○山口委員 下水処理水が川などに放流されて都市の水環境に貢献をしているだけではなくて、有効利用されていることはわかりました。
 また、清流復活用水に活用しているとの答弁も今ありましたが、私の住む世田谷区には、北沢川や烏山川などの美しい緑道にせせらぎが整備をされておりまして、目黒川の清流復活に利用されている再生水の一部が活用されています。このせせらぎは、桜並木とともに四季を感じさせ、最近ではカルガモが帰ってきて話題となるなど、都会の中の潤いがある緑道として、散歩する人々が集うコミュニケーションの場となっています。
 私自身も、家の目の前にあることもあって、子どもをよく北沢川で遊ばせておりまして、その恩恵を享受しておりますし、日ごろからその価値も実感をしているところであります。
 このように、再生水は、清流復活用水として良好な水辺空間の形成に貢献をしているわけでありますが、現在、どのようなところにどれだけの再生水を清流復活用水として供給をしているのか、お伺いしたいと思います。

○小川計画調整部長 再生水は、潤いのある水辺空間を創出するために、水の流れがほとんどなくなった河川などに清流復活用水として活用しているところでございます。
 落合水再生センターから、目黒川、渋谷川・古川及び呑川の城南三河川へ供給しており、平成十八年度の供給量は一日当たり約八万四千立方メートルでございます。
 また、多摩川上流水再生センターからは、野火止用水、玉川上水、千川上水へ、一日当たり約二万五千立方メートルを供給しており、合わせまして約十万九千立方メートルとなってございます。

○山口委員 清流復活のために、目黒川のほかにも、いろいろなところで再生水が活用されているということはわかりました。
 ところで、最初の質問に対して答弁をいただいたんですが、再生水は、清流復活用水として環境改善に貢献をするだけではなく、ビルのトイレ用水など雑用水としても利用されているということでありましたが、この再生水利用事業の現状についてお伺いをいたしたいと思います。

○小川計画調整部長 下水道局は再生水利用事業として、ビルのトイレ用水や車両の洗浄用水あるいはヒートアイランド対策としての道路散水用水などに再生水を供給しております。
 昭和五十九年から西新宿地区に供給したのを初めとしまして、その後、臨海副都心地区、品川駅東口地区、大崎地区、汐留地区と順次供給地区を拡大し、平成十八年度には、これらの五地区で、百三十八施設に一日当たり平均約八千七百立方メートルを供給してございます。
 また、ことしの夏からは、永田町及び霞が関地区への供給を開始しており、現在六地区への供給となってございます。

○山口委員 道路への散水を行っているという答弁でありましたが、道路散水は、日射により熱くなった道路面の温度を低下させて、ヒートアイランド対策にも非常に有効なわけであります。そのような対策に再生水を利用することは、水の有効利用を考える面でも意義のあることだと私も思います。
 そこで、再生水を利用したヒートアイランド対策としての道路散水の取り組みについて具体的にお伺いしたいと思います。

○小川計画調整部長 再生水の道路散水への供給についてでございますが、夏場の道路への散水によりまして、路面温度が約十度程度低下することが期待できます。
 そこで、下水道局はこれまで、汐留や丸の内、内神田などで道路散水に再生水を供給してまいりました。ことしの夏には、永田町及び霞が関地区におきまして、国会議事堂に隣接する道路の散水に再生水を供給したところでございます。
 今後とも、採算性を踏まえつつ、道路管理者などがヒートアイランド対策として散水を行う際には、積極的に再生水を供給してまいります。

○山口委員 今答弁をいただきましたが、真夏に路面温度が十度も下がるというのは、大変大きな効果だと思います。
 ところで、ことしの夏は、雪不足の影響や空梅雨、猛暑の到来が予報されて、首都圏の深刻な水不足が懸念されたことは、幸い渇水にならなかったが、記憶に新しいところであります。
 再生水は、渇水時においても安定的に供給できて、ヒートアイランド対策としての効果も期待ができるところであります。最初の質問で答弁をいただいた、一日当たり五百七十万立方メートルという膨大な処理水量に対して、再生水の利用は、先ほど答弁をいただいたように、清流復活用水で一日十万九千立方メートル、雑用水としての利用が約八千七百立方メートルと、低い水準に今とどまっているわけであります。
 こうしたことから考えても、再生水の供給量はまだまだ拡大できる余地があるのではないかと思うのですが、今後も再生水の利用拡大を図っていくべきであると私は考えております。
 そこで最後に、再生水利用事業の拡大に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。

○小川計画調整部長 今後の取り組みについてでございますが、平成二十年度には、新たに八潮及び東品川地区で再生水を供給する予定でございます。
 再生水の一層の利用拡大を図るには、利用者を開拓することが重要でございます。このため、大規模な開発地域などを対象に供給地区の拡大を図るとともに、既に供給している地区内で再生水を利用するビルの増加に努めているところでございます。
 また、より安価で良質な再生水を提供することも重要であり、寿命が長く、経済性にすぐれ、色やにおいなどを除去できる新たなろ過技術の開発にも取り組んでいるところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に推進し、都市の貴重な水資源である再生水の利用拡大を図ってまいります。

○山口委員 例えば国内でも、雪の多く降る地域では、融雪用の水として既に再生水を利用しているところもあると聞いていますが、東京都という地域特性を踏まえながら、今後、再生水の新たな利用方法というものも考えていく、みんなでアイデアを出し合っていく必要性が私はあるのではないかと考えています。
 あくまで個人的な意見でありますが、例えば、将来的に再生水を工業用水であるとか農業用水へ活用するようなことも考えられるのではないかと考えています。もちろん、これを実現できるかどうかは、法的な課題もありますし、またコスト面での課題、再生水というのは非常にまだ高い状況もありますから、まだまだ課題はたくさんあって、クリアをしなければいけない部分もあると思います。そういうことを認識しておりますが、それにしても、再生水の利用を進めることは、私たち自身の世代の課題というよりは、将来の世代のための課題であると考えています。そのためにも積極的な活用というものの展開をまた図っていくべきだと思います。
 都民の皆様にしても、蛇口から出すときには、水の活用という点に関しては非常に強い認識も持っていますし、高い料金だとか、さまざまなことに認識を持っていますが、下水を利用しているという認識についてはまだまだ低いというのが僕は現実だと思っています。
 水はもともと自然が循環をしてきていたものでありますが、人間はそれが自然に返らないところまで汚してしまうこともあるわけです。その水を下水と今まで呼んできたわけなんですが、その下水という発想はもう終えなければいけない時代が来ているんだと思います。水を人の手によって再生をして自然に近い状態に戻すことは、必要以上に人間が使っているのであれば、その再生によって再利用をしっかりとしていくことが重要です。
 私も情報収集や勉強を重ねながら、この再生水の利用拡大に向けた提案を今後しっかりと行っていきたいと思っておりますが、都としてもぜひ研究を進めていただいて、下水道局という局が一日も早く水再生局というふうになることを願って、質問を終わりたいと思います。

○橘委員 三点お聞きします。
 初めに、十八年度下水道事業で取り組んだ主要な事業に関連し、合流式下水道の改善について質問いたします。
 下水道の整備状況が都民の目にもわかりやすく映るのは、河川の水質改善の様子からであります。私が住んでおります板橋区を流れる新河岸川を例にとりますと、以前は黒く濁った水が悪臭を発しながら流れ、ヘドロの中に卵を産みつけるといわれますユスリカが春と秋に大量に発生しておりました。この水が隅田川に合流し、東京湾に注いでいたわけであります。
 この新河岸川は、清流とまではいきませんけれども、下水道の普及とともに、近年著しく浄化されていることがよくわかります。
 ところが、大雨が降りますと、泥水が注ぎ込んで、水が濁るだけでなく、悪臭が漂うこともありました。その原因は、先ほど野島委員からも流域下水道の課題として指摘がございましたけれども、都内の下水道の大部分が合流式下水道で整備されているために、大雨が降ると、雨で希釈された汚水が河川に放流される仕組みになっているためであるということでありました。
 東京の水環境を向上させるためには、大雨の際に汚水がまじり込んでしまう合流式下水道の改善対策が必要であります。その対策の一環として、下水道局は貯留池の整備を推進し、板橋区内の新河岸水再生センターでも貯留池が整備されたと聞きました。
 そこで、この貯留池の仕組み、整備効果、十八年度の貯留実績についてまず伺います。

○小川計画調整部長 貯留池につきましては、大雨の際に雨水で希釈された汚水の一部が川などに放流される量を減らすために、降雨初期の汚れた下水を一時的にためるものでございます。貯留された下水は、降雨後に水再生センターで処理して、川などに放流されます。
 新河岸水再生センターにおきましては、約七万三千立方メートルの貯留池が稼働しております。平成十八年度の実績では、東京ドームほぼ二杯分に相当する約二百四十万立方メートルの降雨初期の汚れた下水を貯留しており、放流先の新河岸川の雨天時の水質改善に大きく寄与しているものと考えております。

○橘委員 貯留池施設を整備して河川等の水質の改善を進めていくことは、「十年後の東京」が目指す、水と緑の回廊で結ばれた美しいまち東京、この復活に大きく寄与するものであると思います。その観点から、貯留池施設の重要性は、今後一段と高まるものと考えます。今後の整備については、予算的なことも多々あると思いますけれども、意欲的に取り組んでいかれますよう要望しておきます。
 次に、水質改善、河川浄化に向けて、下水道局が都民への意識啓発を促しながら取り組んでいる事業について質問いたします。
 今の環境問題を突き詰めていきますと、日常生活や事業活動から生じる環境負荷が大きくなっていることに行き着きます。特に、環境負荷の軽減という視点からの日常の暮らしの見直しは、ますます大事になってきているように思います。
 その視点から、板橋区では、環境学習の拠点としてエコポリスセンターを設置し、日常生活と河川の汚れとの関係や、汚水を少なくするための暮らしの工夫を区民に考えてもらうなど、さまざまな環境学習事業を行っております。一つ一つは極めて小さな取り組みであるかもしれませんけれども、区民全体で取り組みが始まりますと、大きな力、大きな成果となっているようであります。
 これと同じ趣旨で、下水道局としては以前から、都民や飲食店などが下水道に油を流さないための啓発活動を行っているとのことですが、十八年度に行った啓発活動を中心に、その具体的な内容を伺います。

○野口総務部長 局独自のイベントにとどまらず、区市町村などの地域イベント会場でのリーフレットの配布や各種講習会でのPRなどの機会を通じまして、下水道に油を流さないよう啓発活動を実施しているところでございます。
 特に、毎年十月を「油・断・快適!下水道」キャンペーン月間として、ポスターの掲示や飲食店への戸別訪問指導などを集中的に実施しているところでございます。
 平成十八年からは、新たな取り組みといたしまして、家庭でよく調理するメニューでありながら、調理法を工夫することで油の使用を抑えたレシピ、ダイエットレシピでございますが、これを作成し、例えば金融機関の窓口などに備え、都民が気軽に持ち帰ることができるようにしてございます。
 また、さまざまなイベントにおきましても、レシピを都民に配布するとともに、適宜レシピの実演と試食会も行うなど、レシピを活用した啓発活動に努めているところでございます。

○橘委員 今の答弁にもありましたけれども、私がおもしろいと思ったのは、昨年から始めたこのダイエットレシピの取り組みであります。下水に油を流さない、それから油の量を減らす、それによって、大雨のときなどに河川や海に流れ出す油を減らすとともに、下水道管に付着して固形化して閉鎖してしまう、この油を減らすという目的と、それとあわせて、使用する油の量を控えた健康によいダイエット料理を結びつけるというコンセプト、これはこれまでにない発想であると思います。
 なぜ私が今これに注目したいかといいますと、環境対策というのはとかく、行政から見て必要であると思われる各種施策、これは暮らしに直接なじみがないと都民の協力が得られにくい傾向性があります。しかしながら、暮らしに密着して楽しみながら取り組める、そういう付加価値がありますと、対策が住民レベルで広がって、すそ野が大きくなっていく、そういう傾向があると思います。
 下水道局の新たな取り組みとして推進した、このダイエットレシピに対する都民の反応、浮き彫りになった課題などが多々あると聞いておりますけれども、それを紹介していただきたいと思います。

○野口総務部長 昨年の「油・断・快適!下水道」キャンペーン月間終了後、下水道モニターにダイエットレシピの認知度についての調査を実施いたしまして、五百五十名から回答を得ております。
 それによりますと、約九割の方から、ダイエットレシピはキャンペーンに有効だと思うとの回答をいただきました。また、約七割の方からは、下水道に流れる油を減らすために、ダイエットレシピの料理をつくってみようと思ったという回答をいただいております。
 さまざまなイベントにおきますレシピの実演と試食会におきましても、試食をした多くの方々から、油が少ないにもかかわらず、普通に油を使った料理と変わらないとの評価もいただいております。
 このため、ダイエットレシピは、下水道に油を流さないという意識を広め、都民を水環境のより一層の改善に向けた日常的な行動へと促すために効果的な取り組みであると認識しております。
 今後は、一層多くの都民にダイエットレシピの認知度を高めていくことが重要な課題であると認識しております。マスメディア、関係団体との連携も進めていきたいと考えているところでございます。

○橘委員 このダイエットレシピは、下水道事業の発想を変えるものであるとともに、健康に関心が高まっている時代状況とマッチする、取り組みやすい方策であると思います。さらに工夫し、今後も積極的に推進していくべきと考えております。
 例えば現在、小学校では、環境について学習する機会に、下水道局として、小学校に下水道に関する副読本を提供して環境学習を支援していると聞いておりますけれども、この副読本とあわせてダイエットレシピを子どもたちに配布して、楽しく学びながら環境問題を考えることができるようにしてはどうでしょうか。レシピを家に持ち帰ることによって、家庭における親の意識啓発にもつながると思いますので、このダイエットレシピの小学生に対する配布、これは今後の課題として提案しておきたいと思います。
 暮らしと環境対策と、暮らしの中でできる具体的な行動が連動する形の取り組みが大事であり、今後とも下水道局においては、水環境の改善に向けて大きな運動に展開していけるように推進していただきたいことを要望して、質問を終わります。

○たぞえ委員 私からは、浸水対策について伺います。
 地球温暖化が原因とされる集中豪雨が毎年のように日本各地に水害をもたらしておりますが、東京でも、二〇〇四年、二〇〇五年に連続して豪雨の被害が発生して、その後も、直近でも多摩川の増水など、都民にとって大変心配な事態が続いています。
 これを受けて、下水道局は新・雨水整備クイックプランを発表しましたが、その中で、浸水被害の状況に応じて事業を追加しています。そのクイックプラン前期五年では、ハード面での事業はどう評価したのか、二〇〇四年九月に策定した新クイックプランでは、十八年度、どう事業を展開しているのか、まず紹介いただきたいと思います。

○小川計画調整部長 下水道局ではこれまでも、一時間五〇ミリの降雨に対応するため、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を行ってまいりました。
 しかし、これらの施設は、完成すると確実な効果が得られるものの、事業効果が発現するまで、長い年月と多くの費用を要します。このため、従来の浸水対策事業に加えまして、できるところからできるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるという整備方針で、緊急的な対応を図る雨水整備クイックプランを平成十一年度に策定し、実施してきたものでございます。
 雨水整備クイックプランで対策を実施した箇所につきましては、お客様が実感できる浸水被害の軽減効果を短時間に発現できたと考えてございます。
 新クイックプランは、これまでの整備方針を引き継ぐとともに、新たに浸水被害を受けている地区につきまして、原因を分析した上で、重点地区や小規模対応箇所、ポンプ対策地区などを追加し、対策を速やかに実施しているところでございます。

○たぞえ委員 その新クイックプランでは重点事業を七カ所追加しましたが、これらの地区は、繰り返し浸水被害が生まれていた地域です。
 今回、その重点地域に設定した理由と、また、それぞれの事業に臨むに当たっての方針や具体的な対策内容を伺いたいと思います。

○小川計画調整部長 新クイックプランに当たりましては、最初のクイックプランを策定いたしました平成十一年度以降に新たに浸水被害が発生している地区を選定し、重点地区として追加したものでございます。
 具体的な対策といたしましては、全線が整備されるまでに長い年月を必要とする幹線の一部区間や主要枝線を先行整備し、ピーク時の雨水の一部を貯留する施設として利用するなど、効果的な対策を実施しているものでございます。

○たぞえ委員 近年の都市化による人口また資産の集中、地下空間の利用拡大の進展に伴って、都市における水害の対応が低下していると思います。
 また、ヒートアイランド現象により、極めて短時間に、一時間に一〇〇ミリを超える豪雨が局地的に発生する回数がふえて、都市部が水害に見舞われるケースが増加しているわけです。
 これらの水害の多くは、河川堤防の決壊ではなくて、都市部などで水路や下水管があふれて起こる浸水が極めて多いのが特徴で、都市型水害の八割から九割を占めているといわれています。
 その新クイックプランでは、重点地区や小規模対応箇所、ポンプ対策地区を設けていますが、それ以外の浸水地域についてはどのように対応をするのでしょうか。

○小川計画調整部長 下水道局ではこれまでも、浸水対策事業を重点事業の一つとして位置づけ、一時間五〇ミリの降雨に対応するために、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備などを精力的に行ってきております。
 今回、繰り返し浸水被害を受けている地区につきまして緊急的な対応を図るために、雨水整備クイックプランを実施することといたしたものでございまして、クイックプランの対象地区以外につきましても、浸水被害の軽減を図るために浸水対策事業を着実に進めてまいります。

○たぞえ委員 下水道は、下水分野という個別分野の取り組みではなくて、まちづくり全体で連携していく、そういう水害に対応していくという都市型水害対策の強化が必要だと思います。要するに、浸水地域をカバーしてまた新たに浸水地域が発生する、追われる対策事業から、先を見通さなければいけないと思います。
 特に、都内各地で行われております大規模開発に際しては、従来の治水対策や水害対策では限界があると思うんですね。そういう視点に立つならば、やはり下水分野から、下水管への流出の事前アセスメントを行うとか、その上で、必要ならば開発者に開発者負担の対策をとらせるなどの必要性もあるのではないかと思います。
 そういう対策をとっていかないと、目の前で被害が起こっている、この解消がなかなか進まない。それは結局のところ、都民が東京都への信頼を損なう大もとになるのではないかと思います。
 そんな意味で、浸水対策をとられる上で、やはり被害地域の解消という、そこに一目置いて全体を把握していくということが大事だと思います。
 そこで、十八年度、東京都と都内の中小河川地域の区市町村で構成している都市型水害対策検討会が浸水予想区域図を公表しました。これはもう完了したということでありますが、この浸水予想区域図の作成に当たって、前提条件にしたことはどういうことなのでしょうか。

○小川計画調整部長 浸水予想区域図は、平成十二年九月に名古屋地方を襲い大きな被害をもたらしました、総雨量が五八九ミリ、時間最大雨量が一一四ミリの東海豪雨が東京に降った場合を想定いたしまして、現時点での河川及び下水道の整備状況などを勘案して浸水の発生状況を予想したものでございます。

○たぞえ委員 浸水予想区域図は、過去の浸水被害や、都市化の進展による雨水や汚水の増加分を考慮するということなのでしょうか。

○小川計画調整部長 雨水につきましては、都市化の進展を考慮した雨水流出量の増加を考慮し、汚水につきましては、下水道の計画汚水量に基づき作成しております。
 なお、浸水被害のシミュレーションの際には、関係地元区の協力を得て、過去の浸水被害実績についても参考としております。

○たぞえ委員 もうちょっと具体的なことで聞きますが、十八年度に下水道局に届けられた、宅地開発や建てかえに伴う排水設備計画の届け出数の実績を伺いたいと思います。

○星川施設管理担当部長 十八年度の区部における排水設備計画届け出数は、一万六千六百七十一件でございます。

○たぞえ委員 かつて新宿区の落合や九州の福岡県で、住宅に大量の水が浸入して人が亡くなるという痛ましい事件がありました。これらの浸水住宅は、半地下式の構造を持つ住宅が極めて多いといわれています。
 建築基準法によると、半地下部分は建物の床面積の合計にカウントされないため、高さ制限があるところの住宅では、地下部分の床面積をふやすことが容易に行われている。基準法に定義がないわけですから、これらの半地下構造の住宅が本格的に全国に普及というか、広がったのは、やはり規制緩和の一つなわけです。販売する段階では半地下部分が総面積に加えられるけれども、建築する申請ではノーカウントだと。まさに建築基準法の盲点になっているわけです。
 十八年度における区部の半地下建物の排水設備計画届け出数の代表的な区と、それから二十三区の合計について、どういう実態でしょうか。

○星川施設管理担当部長 平成十八年度の区部における排水設備計画届け出のうち、半地下建築物の届け出件数の多い区は、大田区及び世田谷区でございます。
 大田区は、排水設備計画届け出数一千百九十五件のうち百二十二件、世田谷区は、排水設備計画届け出数一千九百五十六件のうち七十七件でございます。
 二十三区合計の半地下建築物は三百八十五件でございます。

○たぞえ委員 その半地下式住宅に浸水の被害が多いのは、構造上どういう問題があると東京都としては認識しているのでしょうか。

○星川施設管理担当部長 半地下建築物は、豪雨時に、ポンプ施設を設置していない場合、下水管内の水位の上昇により、地下の浴室などに下水が逆流することがございます。ポンプ施設を設置していない場合、ポンプ施設の設置を指導しておるところでございます。
 なお、半地下建築物は周囲の地面より低いため、道路からの雨水が浸入し、浸水することもございます。
 浸水対策強化月間等におきまして、止水板設置の必要性を説明するなどの注意喚起を行っているところでございます。

○たぞえ委員 そういう危険性が指摘されているわけですが、都市整備局に伺いましたら、建築確認申請の際に、受け付ける区市町村は、建設業者に水の逆流が起こらないよう注意を促す、これは下水道局が出しているパンフレットですが、「地下室・半地下家屋にご用心」と、これを業者に渡しているわけです。
 しかし、住宅を取得する買い手にはこれが渡らない。いざ浸水して被害が発生すると、今度は、区市町村が大変でしたねといってお見舞金を渡さなければいけない。つくった側の責任は何も、問題があるのにそこが明らかにされないで、自治体がかわってお見舞をしなければいかぬ、これは大変不都合な様相だというふうに考えます。
 こうした住宅構造は、排水についておろそかになりがちなことがあるのではないかと思いますが、どういうことが指摘されるでしょうか。

○星川施設管理担当部長 半地下建築物につきましては、経費や維持管理の面から、ポンプ施設が設置されていないことがございます。

○たぞえ委員 施設管理や経費の問題から、つけますといってつけていない、こういうことがあるわけです。
 東京都下水道条例施行規程によりますと、「地下室その他下水の自然流下が充分でない場所における排水は、ポンプ施設を設けてしなければならない」としています。
 確かにポンプ施設は設置するのですが、半地下式の住宅の下にある宅地内のますと、公道側にある公共ますの傾斜が緩い場合、下水管から逆流してくるケースがあるわけです。
 この傾斜のつけ方について、この条例施行規程によりますと、排水管の土かぶりについては、宅地内では二十センチ、管の上に土を盛らなければいかぬ。私道の中では四十五センチ以上、公道内は七十五センチ、こういうふうにしているわけです。
 しかし、宅地内と公道の差は五十五センチしかないわけですから、仮に半地下住宅が深ければ、当然、公道側の下水管との差がさらに縮まる。そのために現実何が起こるかといえば、地下部分のトイレやおふろから、水が下から噴き出してくる。いわば、排水ポンプは設置されているけれども、排水するポンプと公道側の下水管の傾斜が非常に甘いといいますか、こういうことを幾つも私、話を聞くわけです。
 そこで、排水設備の届け出に当たって、半地下建物に対してどう確認をして、どのような指導を局としてはされているのでしょうか。

○星川施設管理担当部長 排水設備計画届け出時に、届け出書により半地下建築物であるかどうかを確認した上で、ポンプ施設の有無を確かめ、設置計画のないものは設置を指導しているところでございます。

○たぞえ委員 排水設備計画届け出書というので、そう入り口のところでやっているわけですね。
 問題は、その排水設備届け出の施工後、半地下建物のすべてについて、排水ポンプが実際にどう行われたのか都として調査するよう、私、二〇〇四年度決算でこのことを要求しました。この提案についてどう対応されているのでしょうか。

○星川施設管理担当部長 現在、下水道局では、半地下建築物につきましては、排水設備の届け出があったものをすべて、施工後にポンプ施設設置の有無を確認しているところでございます。

○たぞえ委員 都内にある未設置家屋の掌握も欠かせないと思います。
 未設置の家屋については、設置を促す対応が必要だと思いますが、どうされているのでしょうか。

○星川施設管理担当部長 ポンプ施設が設置されていない半地下建築物に対しては、計画的に戸別訪問を行いまして、ポンプ施設の設置を指導し、浸水に対する注意を喚起しているところでございます。

○たぞえ委員 ぜひ強力に推進をしていただきたいと思います。
 最後に、浸水対策についての施設整備について伺いたいと思います。
 世田谷区三軒茶屋二丁目の地域は、記録的な大雨が降った場合だけではなく、たびたび浸水を繰り返している地域です。住民は家の玄関に土のうを置いて、懸命に水の浸水を防ぐ苦労は、本当に涙ぐましい状況です。雨が降ると、きょうは大丈夫かなと浸水を心配しているわけです。
 集中豪雨による被害を防ぐには、河川の整備や遊水池、調整池の増設や、雨水浸透ますへの補助の充実など、さまざまな対策を講じることが重要です。浸水被害は、行政の力で被害を最小限にとめることができると思います。
 不安を一刻も早く解消するために、どういう対策をこの地域ではされていくか、見解を伺います。

○黒住建設部長 世田谷区三軒茶屋二丁目付近の浸水対策につきましては、効率的に浸水被害を軽減するため、さまざまな対策案を総合的に比較検討いたしました。
 当該地区では、道路の幅員が狭いこと、バス路線があることなど、施工上の制約なども考慮する必要がございます。
 このため、これらの地域特性を踏まえつつ、事業効果や経済性、施工性などを総合的に比較検討した結果、管渠を大きなものに入れかえ、排水能力を増強する対策を実施することといたしました。

○たぞえ委員 今の説明は、既設の下水道管を大きなものに入れかえる対策をとるということでありますが、下水本管である蛇崩川幹線の容量にはやはり限界があるんですね。だから、幹線に入り切れない水が幹線から押し出されて住宅街に逆流を繰り返す。これではもう、浸水は解決しないわけです。こういう地域のピーク時の雨水の一部を貯留して雨水流出量を抑制するということは、極めて急がれていると思います。
 下水道局、先ほどどなたかの答弁でもおっしゃっておりましたが、新クイックプランで、できるところからできるだけ対策を行い、浸水被害を軽減させる、そういう整備方針を持っているわけですから、できるだけというならば、こうした繰り返し浸水が発生している地域への対策は速やかに行われるべきだと思います。
 一刻も早く、この蛇崩川に面する区立世田谷丸山公園の下に、効果が明らかな貯留管を埋設するよう強く要望して、質問を終わります。

○鈴木委員長 たぞえ副委員長の質問は終わりました。
 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○鈴木委員長 速記を再開して。
 質問を続行します。

○原田委員 多摩地域では、流域下水道事業の開始から四十年が経過し、現在では、下水道普及率、九七%まで向上しているそうです。私の住む多摩市では、市民のほとんどが下水道を使用できるようになるとともに、市内を流れる乞田川、大栗川の水質も、ひところよりは随分改善したということを実感します。
 一方、四十年という稼動期間を考えれば、市町村の汚水を集める流域下水道幹線の老朽化も確実に進んでいるはずです。その対応が適切になされているのか、大変危惧されるところです。
 管渠の耐用年数は五十年と聞いていますが、下水道は都市の重要なライフラインであり、生活排水や工場排水など、さまざまな種類の下水が流れる過酷な使用環境を考えると、耐用年数が経過していなくても、長期的な視点に立って、今から計画的に対応しておく必要があると考えます。
 そこで、流域下水道幹線の老朽化の現状と、維持管理の状況についてお伺いします。

○宇田川技術部長 流域下水道では三十四の幹線を管理しておりまして、総延長は二百十七キロメートルとなっております。
 これらの幹線につきましては、これまで巡視等の日常点検により管理しております。
 老朽化の現状についてですが、既に整備してから三十年以上経過した幹線が二割を占めており、今後は幹線の老朽化も進んでくることから、計画的に幹線内調査を実施いたしまして幹線の状況を把握し、予防保全の取り組みにつなげてまいりたいと考えております。

○原田委員 膨大な量の幹線の維持補修や更新には、計画的に調査を行い、優先的な対応が必要な箇所から実施していく必要があると思います。また、調査の結果から、予防的に対応するということも大変不可欠であると考えます。これから予防保全の維持管理に移行していくというようなご答弁なので、ぜひそういう視点で進めていただきたいと思います。
 一方、流域下水道と一体をなす市町村の管渠については、維持管理にかかわるノウハウも少ないことから、一部の市町村では、東京都のようにしっかりと管理をすることができないのが実態であると聞いております。
 一昨年のことになりますが、私の住む多摩市では、老朽化の進んだ管渠にひびが入り、汚水が下水管から流れ、河川へ直接流れ出るという事故が起きました。この事故は、多摩市が定期的に行っている河川の水質調査で大腸菌群が異常に高くなったということで、市議会等で大騒ぎになり、今度はふん便性大腸菌の検査をして、初めてわかったというようなことがありました。こうした事態を起こさないためにも、市町村による管渠の維持管理が適切に行われなければならないと考えております。
 管渠は、二十三区は下水道局の直轄で管理していますが、多摩地区の支線は市町村の管理であります。この不均衡を考えれば、多摩の市町村への経済的、技術的支援があっていいのではないかと考えます。
 先ほど野島さんの方への答弁で明らかになりましたけれども、下水道台帳システムの共同整備のように、都と市町村の役割分担はあると思います。下水道局としてできる市町村との共同や技術支援は非常に重要なことであると考えますので、東京都は積極的に取り組んでいただきたい。この点に関しては、前と同じようなご答弁になると思いますので、要望にとどめますので、よろしくお願いします。
 さて、私の住んでいる多摩市が、先ほど下水管にひびが入って汚水が流れていたというお話をしましたけれども、多摩市議会の今回のことしの決算審議のときに、この下水管の減価償却期間が過ぎることを見越して、下水管の交換、補修などの見込み額について明らかになったそうです。
 現在、多摩市では、コンサルに委託して下水管の状況調査を行っていますけれども、雨水管、汚水管合わせて五百キロメートル以上あります。交換ということで概算しますと、一メートルにつき十万円ということで、約五百億円を見込まざるを得ないという答弁があったそうです。五百億円というと、多摩市の財政規模を上回る額です。
 このコンサルの調査、いわゆる実態調査ですね、そのほかに自主的に行っている耐震補強の事業もあるのですけれども、その負担額を考えれば、当然のことながら、一自治体では負えない額になっています。お金の支援ということでは、下水道局ではないというお話を聞いておりますが、下水道局としても、都市整備との連携で、技術的、財政的面の支援を強く要望するものです。
 次に、下水汚泥の利活用についてお伺いします。
 下水の処理では大量の汚泥が発生すると聞いています。見方を変えれば、これは貴重な資源であり、有効に活用する必要があります。
 既に、汚泥の全量資源化を実現して十年間継続しているというお話でしたが、その取り組みについてお伺いします。

○宇田川技術部長 流域下水道では、汚泥を焼却して減量化した焼却灰を、セメントの原料などに全量資源化してまいりました。
 しかし、こうした資源化につきましては、利用先の状況により価格や利用量が変動しやすいため、資源化メニューの多様化に努めるとともに、安定した利用先を広く確保する必要がございました。
 そこで、利用先や販売方法を含めまして、民間の提案やノウハウを活用し、新たな資源化製品を開発してまいりました。さらに、公共工事で資源化製品の利用拡大を図るため、市町村を初めとしまして、都の関係機関への働きかけを行ってまいりました。

○原田委員 さまざまな工夫を積み重ね、全量資源化を継続してきたということですが、平成十八年度の発生量と利活用についてお伺いします。

○宇田川技術部長 昨年度には約二十六万トンの汚泥を焼却いたしまして、約八千四百トンの焼却灰にした後に資源化しております。
 その内訳でございますが、五割をセメントの原料、三割をコンクリートの骨材、一割をれんが、一割をアスファルト舗装の材料としております。

○原田委員 全量資源化については、まずは評価したいと思います。
 しかし、このセメントやれんが類は、建設材などで大変利用範囲が狭い上に、使用済みの場合、その後のことを考えると、やはり廃棄物として処理されるというようなことで、資源として循環させるということを念頭に再利用というものを考えていただきたいなと思っています。
 東京都は人口が集中し、電力などのエネルギーを大変遠くの方へ依存をしている、そんな状況です。加えて、廃棄物の問題も都市の大きな悩みです。しかし、視点を変えれば、効果的なエネルギーの原料でもあるのです。
 食品廃棄物や廃油、多摩の木材の端材、そして汚泥、このように、東京都がこれから抱えている廃棄物の処理ということでは、いろいろな意味で試みが広がっているとは思いますが、例えば下水道局でいうと、区部で事業を始めている汚泥炭化事業などのように、下水汚泥をバイオマスエネルギーとして活用するといった、新たな資源化にも取り組んでいただきたい。汚泥の全量資源化を、さらなる工夫を加えて継続していただきたいと要望しておきます。
 一方、汚泥を焼却する際に発生する熱の多くは未利用のままと聞きます。毎日大量に発生している熱であり、エネルギーとして有効利用しなければもったいない話です。
 こうした熱の一部は利活用されていると聞いておりますが、利用方法、効果についてお伺いします。

○宇田川技術部長 多摩川上流水再生センターを初めといたしまして、三つの水再生センターでは、汚泥を焼却した際に発生する熱の一部を冷暖房の熱源として有効利用しております。
 これによりまして、十八年度には、約九百万円の電力費が削減されるとともに、三百十トンの温室効果ガスの排出を抑制いたしております。

○原田委員 下水処理の過程で発生する焼却灰などの副産物や熱について、一部は有効利用を図られているということはわかりました。
 しかし、まだまだ利活用の幅を広げることができると思います。下水道事業には、利活用できる資源エネルギーがたくさんあるということを実感します。これからさらなる発掘に努め、今後も有効な利活用に努めていただきたいと思います。
 次に、雨水浸透の取り組みについて伺います。
 都市化の進展により、地面の多くはアスファルトやコンクリートで覆われて、従来の水循環は大きく損なわれています。基本的には、樹木などの緑をふやすことが大変重要ですが、健全な水循環を回復させる手段として、雨水浸透ますの設置など、雨水を地下に浸透させることが大変重要な施策になっています。雨水を積極的に地下に浸透させれば、結果的に管渠に流入する水量が減り、合流式下水道の改善を進める上で最も大きな効果がある、この質疑は今決算委員会で随分あった。そんなようなこともあって、雨水浸透というのは、本当にいろいろな意味で、都市生活、都市の下水道のあり方を考えるときに大変重要なことだと考えております。
 家庭と事務所において、屋根に降った雨水を地下にしみ込ませる雨水浸透ますの設置について、都は市町村と連携し、都民の協力を求めていく必要があると思いますけれども、広域下水道として、雨水浸透を推進するためにどのような取り組みを行っているか、お伺いします。

○宇田川技術部長 雨水浸透は、下水道としても浸水対策等に有効な取り組みであると考えております。
 流域下水道といたしましては、市町村の雨水排水施設の整備につきまして、雨水の流出を抑制できるように雨水浸透ますなどの整備を提案するなど、市町村への技術支援を行っております。
 さらに、雨水浸透を進めていくには、宅地内に雨水浸透ますを設置していく必要がありますことから、都民の協力が不可欠でございます。
 そのため、市町村と連携いたしまして、環境フェアや市民祭りなど、あらゆる機会を通じまして、宅地内への雨水浸透ますの設置を促す都民へのPRに努めております。

○原田委員 雨水浸透の取り組みは、市町村や都民が主体となって進めていく事業だと思います。ただいまのご答弁で、市町村への技術支援、都民へのPRなどのお話が出ました。雨水浸透などの取り組みがこれから広がるように期待するものです。
 また、広域下水道は、大体朝十時ごろまでのピーク時と、時間帯では処理水の量が大変差があり、これを平準化することも、下水処理効果を高めるという視点で大変重要だと考えております。
 ただいま取り上げた雨水浸透ますのほか、雨水利用などの雨水対策、洗濯におふろの水を使う、節水型トイレに切りかえるなどの水利用、すなわち節水ということですけれども、節水は節下水につながります。また、ダイエットレシピというようなお話も今回出ましたけれども、さまざまな工夫で下水処理の現状を市民に知ってもらい、市民、基礎自治体との連携でより効果的な下水処理事業を進めていく体制づくりを要望して、質問を終わります。

○高橋委員 本日最後でありますので、緊張して……。
 私からは、平成十八年度下水道事業会計決算書の二ページにあります、区部下水道事業の浸水対策の推進についてお尋ねいたします。
 梅雨や夕立といった季節を象徴する雨、本来の語感が、いつごろからか薄れてきております。そのかわり、集中豪雨などという味気のない言葉が目立つようになりました。
 近年は、地球温暖化が原因といわれる、大雨による被害が相次いで発生しております。東京においても、毎年のように集中豪雨に見舞われる浸水が頻発しております。浸水被害を繰り返さないためにも、都は浸水対策に最優先で取り組むべきだと考えております。
 下水道局では、先ほど計画調整部長の発言にありましたが、浸水被害を軽減するため、一時間当たり五〇ミリの降雨に対応する、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を行っておりますが、基幹施設の整備には多くの時間と費用を要します。このため、都民が実感できる効果を早期に発現させるという観点から、雨水整備クイックプランを策定し、対策を講じておるのは承知しております。
 私は、平成十三年の公営企業委員会で、この雨水整備クイックプランの内容について質問をいたしましたが、練馬区における雨水整備クイックプランのその後の進捗についてお伺いいたします。

○黒住建設部長 練馬区内における雨水整備クイックプランの進捗状況につきましては、練馬区大泉町地区、練馬区小竹町・旭丘地区、練馬区豊玉・中村、中野区江古田・沼袋地区の三地区を重点地区に位置づけ、事業を実施してまいりました。
 三地区ともすべて工事が完了しておりまして、練馬区大泉町地区では、平成十四年度に雨水貯留管が完成しております。練馬区小竹町・旭丘地区では、平成十七年度に雨水貯留管が完成しております。練馬区豊玉・中村、中野区江古田・沼袋地区では、平成十八年度までに雨水貯留管及び第二妙正寺川幹線が完成しております。
 なお、第二妙正寺川幹線につきましては、河川改修が完了するまでの間、約二万二千立方メートルの雨水の貯留を行っているところでございます。

○高橋委員 雨水整備クイックプランの実施により、以前に比べ被害が少なくなったと感じております。
 しかし、答弁にあった、第二妙正寺川幹線は雨水を貯留する方法をとっておりますが、より被害の低減を図るために、大変おくれております、一時間当たり五〇ミリの降雨に対応する河川整備との調整を進め、早急に河川へ放流できるようにしていただきたいと思います。
 また、練馬区中村では、対策を実施した地区の被害は軽減されているものの、その周辺では、集中豪雨により、いまだに被害が発生しているところであります。この中村地区の周辺でも、同様の対策を早急に行うべきだと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○黒住建設部長 中村地区周辺では、地盤の起伏が多く、地盤の低いところに雨水が流れ込みやすい地形であることなどの地域特性によりまして、地盤の低いところで浸水被害が発生しております。このため、実施した対策の効果を予測できる設計手法などを活用いたしまして、地域特性を考慮した効果的な対策を実施することといたしました。
 具体的には、内径が三メートルから四メートル、延長が二・四キロメートルの管渠を新たに設置いたしまして、流域の上流部の雨水を幹線に流れ込む以前に取り込み、河川まで直接導くものでございます。
 なお、河川改修が完了するまでの間は、約二万五千立方メートルの雨水を貯留する計画でございます。
 平成二十六年度の完成を目指し、既に工事を発注しておりまして、先般、地元説明会を開催したところでございます。

○高橋委員 新たな対策を実施するということでありますが、ぜひとも早期の工事着手に向け、全力で対応していただきたいとお願いしておきます。
 一方、集中豪雨による浸水被害の軽減を図るには、下水道局が行う施設整備に加えて、住民みずからが浸水に備えることが必要であり、そのためには、住民がより早く正確な降雨の状況を把握することが重要であります。
 下水道局では、雨雲の動きや降雨量などが一目でわかる降雨情報レーダーシステム、東京アメッシュにより降雨の情報を提供しております。この東京アメッシュがホームページで公開されるときに、議会で私も質問をいたしました。利便性の一層の向上についてお願いしたところでありますが、先般、この東京アメッシュがリニューアルされたと仄聞しております。
 そこで、この東京アメッシュのリニューアルについて伺います。

○桜井施設管理部長 降雨情報システム、通称東京アメッシュにつきましては、平成十四年度よりインターネットで公開しており、これまで多くのお客様にご利用いただいております。
 本年七月には、埼玉県、横浜市、川崎市との連携により降雨情報の広域化と精度向上を図り、表示面の改良や操作面の機能向上などのリニューアルを行いました。
 こうした改善により、降雨範囲の移動や降雨状況の把握が広く正確にできるようになり、お客様には、今までより早目に浸水への備えをとっていただけるようになりました。
 その結果、アクセス数は、リニューアル後の三カ月間で、昨年同時期を二五%上回り、着実に利用の拡大がなされております。

○高橋委員 近隣県市と連携し、これまで以上に広いエリアの情報を提供することは、都民にとって大いに役立つものと思います。
 東京アメッシュのほかにどのような情報提供を行っているのか伺います。

○桜井施設管理部長 浸水被害の軽減を図るためには、お客様みずから浸水への備えを行っていただくことも重要であると考えております。
 このため、情報提供の一環として、浸水予想区域図を作成、公表したり、幹線の水位情報を下水道管理用光ファイバーを活用して地元へ提供しております。
 また、毎年六月を浸水対策強化月間と定め、浸水の危険性が高い地下、半地下家屋を対象にリーフレットを配布し、お客様みずからが行える浸水への備えをお願いするなどの取り組みを行っております。
 引き続き、積極的にお客様への情報提供を図ってまいります。

○高橋委員 浸水予想区域図や幹線水位情報など、生活に密着した情報の提供があれば、みずから浸水への備えを行うことができ、被害の軽減が図れると思います。
 今後も、浸水対策に役立つ情報の提供をより充実させていただきたいとお願いをさせていただきます。
 現在、都では、よりレベルの高い政策目標を設定し、二〇一六年のオリンピック招致を実現できるような、さまざまな推進をしております。下水道局においても、「十年後の東京」に基づき、災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高めることを目指し、浸水対策を行うことが必要であると考えます。
 最後に、浸水対策の推進に向けた局長の決意を伺い、質問を終わらせていただきます。

○前田下水道局長 「十年後の東京」では、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活や、世界で最も環境負荷の少ない都市、災害に強い都市の実現などを目指して積極的に施策を推進することとしております。
 これまでも下水道局は、浸水対策を重点事業の一つとして位置づけ、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備や、クイックプランにより事業を推進してまいりました。
 今後は、経営計画二〇〇七にお示ししておりますように、基幹施設の整備を浸水が発生する危険性が高い地域などに重点化し、効果的に推進してまいります。
 また、総合的な浸水対策を一層効果的に行っていくため、都と地域住民が協力し、コミュニケーションの充実を図るとともに、河川管理者など関係機関との連携を図ってまいります。
 今後とも、浸水対策を推進し、都民が安全に安心して住める、災害に強い都市の実現に向けて、局を挙げて取り組んでまいります。

○鈴木委員長 本日、質疑を予定された方々、すべて終わりました。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 本件に対する質疑は終了いたします。
 以上で下水道局関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出をいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会といたします。
   午後二時三十分散会

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