委員長 | 鈴木貫太郎君 |
副委員長 | たぞえ民夫君 |
副委員長 | 高橋かずみ君 |
副委員長 | 大沢 昇君 |
田中たけし君 | |
原田 恭子君 | |
佐藤 広典君 | |
山口 拓君 | |
橘 正剛君 | |
野島 善司君 | |
古賀 俊昭君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長 | 只腰 憲久君 |
次長 | 泉本 和秀君 | |
技監 | 福島 七郎君 | |
理事 | 河島 均君 | |
総務部長 | 安藤 明君 | |
都市づくり政策部長 | 野本 孝三君 | |
住宅政策推進部長 | 松村 光庸君 | |
都市基盤部長 | 升 貴三男君 | |
市街地整備部長 | 宮村 光雄君 | |
市街地建築部長 | 金子 敏夫君 | |
都営住宅経営部長 | 小林 計代君 | |
企画担当部長 | 村尾 公一君 | |
住宅政策担当部長 | 瀬良 智機君 | |
外かく環状道路担当部長 | 遠藤 正宏君 | |
民間開発担当部長 | 座間 充君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 今井 光君 | |
都市景観担当部長 | 安井 順一君 | |
建設推進担当部長 | 山室 善博君 | |
参事 | 中山 正雄君 | |
参事 | 瀧本 裕之君 | |
参事 | 宇多田裕久君 | |
参事 | 庄司 貞夫君 | |
参事 | 小澤 弘君 | |
参事 | 並木 勝市君 | |
参事 | 清水 文夫君 | |
参事 | 荒川 達夫君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 秋山 俊行君 |
経営企画部長 | 及川 繁巳君 | |
サービス推進部長 | 都留 佳苗君 | |
参事 | 黒田 祥之君 |
本日の会議に付した事件
平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成十八年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成十八年度東京都病院会計決算(質疑)
○鈴木委員長 ただいまから平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行ってまいります。
これより都市整備局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十八年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
なお、本件につきましては、あらかじめ説明を聴取してございます。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
資料について理事者からの説明を求めます。
○安藤総務部長 十月十五日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
資料は、1の都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源及び施設建築物の規模外二件でございます。
それではまず、一ページをお開き願います。1の都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源及び施設建築物の規模でございます。
北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区の三地区につきまして、事業費並びに年度別決算の状況を記載してございます。
また、地区ごとの建物延べ面積と、その建物における住宅戸数について記載してございます。
次に、二ページをお開き願います。2の三地区のこれまでの進捗状況と今後の予定でございます。
地区ごとに、平成十八年度末までの事業費、用地取得面積と今後の予定を記載してございます。
三ページをごらんください。3の従前居住者などの生活再建の状況でございます。
事業計画策定時の権利者数につきまして、地区ごとに、予定者数を含む入居者数及び転出者数を記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行ってまいります。
発言をお願いします。
○田中委員 まず、都市再開発事業会計についてお伺いをいたします。
この都市再開発事業会計は、都市整備局が行っている数多くの事業の中の極めて限定された、北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区及び大橋地区の再開発事業が対象となっております。
従来からの都施行再開発事業であります亀戸・大島・小松川地区や白鬚西地区などの再開発地区については、道路、公園などの都市基盤を整備し、良質な住宅の確保や建物の不燃化を図るなど、良好な居住環境の形成に大きな役割を果たしてまいりました。しかし、バブルの崩壊による土地、マンションの価格の大幅な下落や事業期間の長期化による利子負担の増大などにより、厳しい事業収支を余儀なくされてまいりました。
再開発事業においては、事業収支の均衡は重要な課題の一つでありますが、従来の再開発事業は官庁会計である特別会計で処理されてきており、その経理方法では、資産価額の管理や長期的な収支管理が不十分であったとの反省から、収支をより明確にし、厳格に会計処理を行う目的から、北新宿を初めとする三地区について、公営企業会計として都市再開発事業会計で取り扱うようになったと伺っております。
そのような経緯からこの公営企業会計で処理を行うようになりましてから、五年が経過をしております。そこで、会計を官庁会計である特別会計から公営企業会計である都市再開発事業会計へ移してからどのような成果が出ているのか、お伺いをいたします。また、都市整備局としてどのように評価をしているのか、あわせてお伺いをいたします。
○小澤参事 公営企業会計を導入した成果としましては、敷地などの売却にかかわる営業収益と営業費用が損益計算上に示され、事業に投下された費用の累積額が貸借対照表上で地区別に明らかになるなど、財務内容をより明確に把握することが可能となったこと、また、事業実施過程におきまして職員のコスト意識の向上が図られたことなどがございます。
また、評価といたしましては、公営企業会計導入によりまして得られました情報をもとに、より採算性を重視した事業運営が可能となりまして、事業の透明性と信頼性が一段と高まった結果、都民への説明責任を一層果たせることになったと考えてございます。
今後とも、より経営的な視点に立ちまして、効率的な事業運営に努めてまいります。
○田中委員 今ご説明いただいたように、さまざまな視点での成果が上げられたと認識をしております。すべての事業は、都民の皆様からお預かりしている税金に基づいての事業でございますので、ぜひしっかりと、今の成果を踏まえて、また事業に取り組んでいただきたいと強く願っております。
次に、この三地区内の大橋地区事業についてお伺いをいたします。
この都市再開発事業会計で扱っております三地区の再開発事業を見てみますと、北新宿地区及び環状二号線新橋・虎ノ門地区の事業は、都が進めている放射六号線と環状二号線のそれぞれの都市計画道路の整備に伴い、その中核となる地区周辺を再開発するために都が事業主体として再開発に取り組む事業であります。
これは、その地域で引き続き住み続けたい、あるいは商売などの事業を行いたいという地権者の要望を満たすとともに、周辺のまちづくりを一体的に行うことによって、地域のポテンシャルを高めようという目的で実施されております。周辺市街地を都市計画道路と一体的に整備することによって、地権者の理解や協力も得られやすく、計画的に都市計画道路の整備がなされるなど多くのメリットがあり、都が積極的に再開発に取り組む意義は理解ができます。
一方、この大橋地区の再開発ですが、現在、石原慎太郎知事は、都内の渋滞解消のために、中央環状線、外かく環状道路、首都圏中央連絡自動車道のいわゆる三環状道路の早期整備を目指しております。中でも、全線がすべて都内を通ります中央環状線の整備が期待されるところでありますし、また、都心流入車両の削減のためにも、三号線、四号線と接続するジャンクションの建設も待たれるところであります。
三環状道路の整備には大きな効果が見込まれ、早期完成を願っておりますが、特に中央環状線は、首都高速道路株式会社が行う事業であります。先ほども述べましたが、三事業のうち北新宿地区、環状二号線地区は、都道建設に伴う周辺再開発事業であるために都の再開発事業として行うことの意味合いは理解できますが、首都高速道路株式会社が行う事業の中で、大橋ジャンクションの工事をなぜ都施行の再開発事業で実施することとしたのか、その理由を改めてお伺いいたします。
○宮村市街地整備部長 大橋ジャンクションは平成二年に都市計画決定をされ、平成六年から、首都高速道路公団が用地買収など事業を進めてまいりました。しかし、大橋ジャンクションによる地域の分断や、住みなれた土地からの立ち退き等を懸念する声が上がり、まちづくりの勉強会などを重ねる中から、地元権利者の当地区での生活再建を可能にし、また、大橋ジャンクションと一体となったまちづくりを行うことのできる再開発事業を望む強い要望が地元区及び住民から出されました。関係機関で協議をいたしました結果、ジャンクションの周辺を含め、再開発事業を実施することとなったものでございます。
この再開発事業の施行主体につきましては、当時の首都公団が民営化への移行を控え、施行主体となることが困難であったことから、地元や首都公団などからの要請を受けまして、大橋ジャンクション整備の緊急性を踏まえ、平成十四年に知事が、都が施行主体となるということを決断したものでございます。
○田中委員 今ご答弁いただきました大橋ジャンクションの整備については、道路事業にあわせて、ジャンクションを含めた周辺一帯を再開発事業として実施することによって、住民の理解が得られ、事業が進んだということであり、また施行についても、地元や当時の首都高速道路公団などの要請を受けて、再開発事業を熟知している都が主体となって行ったということであります。地域住民からも高い評価を得ての事業であると理解をしております。
この大橋地区の事例のように、再開発事業は、まちづくりを進める上で重要な役割を果たす事業でありますが、先ほども述べたように、もう一つの重要な要件として事業の採算性の確保があります。
幾らいいまちづくりの理念を掲げても、事業収支の均衡が図られなければ意味がございません。そのためにも、支出経費を抑制するとともに、収入を確実なものとする必要がございます。再開発事業は、地価の動向による影響を受けやすいほか、事業期間が長くなると収支に悪影響を及ぼす可能性があるなどの課題がございます。
都は、これらの課題を解決するために、事業協力者制度や特定建築者制度を導入していると伺っております。このことについて確認をいたしますが、事業協力者制度や特定建築者制度の導入による具体的な効果はどのようなものがあるのか、お伺いをいたします。
○宮村市街地整備部長 事業協力者方式と特定建築者制度につきましては、民間活力を活用して円滑な事業推進を図ることを目的として、都施行の再開発事業では積極的に導入しているものでございます。
事業協力者方式は、事業の早い段階から民間の豊富な経験とノウハウを活用して、再開発ビルの計画の提案や権利者の生活再建に関するさまざまな情報提供等を受けることによりまして、事業の早期完成及び権利者の円滑な生活再建を図ることを目的として、公募により決定をしております。
この方式によりまして、施行者である都は、事業スピードの向上などのメリットがあり、権利者にとっても生活再建の実現が図られるほか、ビルの価値が上昇することによりまして、結果として資産価値の向上等も期待できるものでございます。
また、特定建築者制度は、施行者である都が決定した事業計画及び管理処分計画に沿って、再開発ビルの建築と保留床の処分を行う制度でございまして、事業協力者と同様に公募によって決定をしております。
この制度の導入によりまして、施行者は事業費の圧縮を図ることができるとともに、保留床の処分リスクを回避することができます。
このように二つの制度は、施行者である都にとっても、また権利者にとっても、さまざまなメリットがあり、事業の円滑な執行に資するものでございます。都は、今後ともこの制度を活用してまいります。
○田中委員 再開発事業の収支確保などに向けて民間活力を活用して、その結果、大橋地区の事例から見ても、都はもちろんのこと、地権者あるいは地域住民にとっても、相当程度のメリットが目に見えて生じていることを改めて確認させていただきました。都と民間の役割分担を適切に行いつつ協力して事業を進めることは、よりよいまちづくりに結びつくわけですから、これからもこのような方針で事業を積極的に進めていただきたいと思っております。
次に、環状二号線に関連してお伺いをいたします。
環状二号線は、昭和二十一年に東京都戦災復興都市計画道路の一つとして計画された道路で、昭和二十五年には幅員を百メートルから四十メートルへと縮小するとともに、虎ノ門付近の線形も少し変更されました。現在では、神田佐久間町から虎ノ門までの区間は供用されているものの、新橋から虎ノ門の間は、関係権利者が引き続き現地での生活をしたいという強い要望があり、長年事業に着手できませんでした。
このため、平成元年に創設された立体道路制度を活用して、再開発事業によって同一敷地内で環状二号線を地下化するとともに、地上部で再開発ビルの建築を行い、権利者が希望すれば地区内に残ることも可能なまちづくりを進めることで、住民の理解を得ることができました。そのため、平成十年に再開発事業の都市計画を決定し、事業着手に至った事業であります。
その後、平成十四年に事業計画決定をするなど事業を進め、本年四月には、当地区最初の再開発ビルであるⅡ街区において地権者の入居が行われ、Ⅰ街区では、本年十月に特定建築者を決定し、来春の建築工事着工に向け準備をしていると伺っております。
残る最大街区のⅢ街区については、現在、都市計画変更と環境アセスメントの手続を行っております。このことについてお伺いをいたしますが、都市計画変更の内容と現在の手続の進捗状況についてお伺いをいたします。
○宮村市街地整備部長 現在進めております都市計画変更は、環状二号線地区最大のⅢ街区を対象といたしまして、都市機能の更新や魅力と活力にあふれた複合市街地とする目的で行うものであり、同時に環境影響評価の手続も行っております。
具体的な変更内容は、現在四棟計画されている建物を、超高層の複合ビルと低層の商業棟に集約し、風の道の確保に努めるとともに、ホテルやカンファレンスなどの地域を活性化する施設を導入することによりまして、国際性豊かな交流ゾーンの形成を図ることとしております。
また、敷地内には、現在の約二倍の六千平方メートルに及ぶ緑豊かな広場を確保し、本事業で同時に整備する環状二号線の地上部道路の緑とともに、グリーンロードネットワークを形成することといたしております。
手続につきましては、本年七月に都市計画案と環境影響評価書案の縦覧を行うとともに、住民説明会を実施いたしました。また、今月、環境影響評価書案への住民等の意見に対する事業者としての見解書を提出いたしました。
今後は、環境影響評価の手続の進捗状況を踏まえながら、来年春を目指しまして都市計画変更を行い、早期の事業完了に向けて取り組んでまいります。
○田中委員 今回改めて、都市再開発事業会計で行っております再開発事業の成果を確認させていただきました。もし再開発の手法を取り入れなかった場合、大橋ジャンクションの早期建設も不可能であったと思われますし、また、環状二号線の早期着工も不可能であったと思われます。
大橋地区においては、地元住民の要望も受け入れて、ジャンクションの屋上部や周辺を緑化すると伺っております。また、この再開発事業を契機に、地元目黒区が中心となり、再開発地域の外側周辺をさらに整備していくとのことであり、地域からも高く評価され、重要な役割を果たしていることが理解できます。
また、環状二号線は通称マッカーサー道路ともいわれておりますが、都市計画道路として線引きがなされたまま、長く事業化されなかったため、周辺での開発が進むのとは対照的に、計画線内に低層の住宅が取り残された状況が長く続いてまいりました。しかし、今回の再開発を契機に、住民の理解や協力を得て、住民の希望もかなう形で一気に事業が進むこととなりました。
この環状二号線の先には、二〇一六年開催を目指しておりますオリンピックの主要施設があり、環状二号線の早期開通は、さまざまな視点から期待されるところであります。再開発事業はすべて悪であるかのような主張をしている方々もいますが、決してそうではなく、地元住民の方々からの協力ももちろんありますが、住民の方々に喜ばれている事業であると認識を改めていたしました。
一般的に、再開発を行う際、なれ親しんだ環境が変化するため、不安心理が働き、反対しやすいわけではありますが、再開発がすべて悪では決してなく、今回の再開発事業を初め、地元住民からも高く評価されている多くの事例があります。今後の再開発を実施する際には、数ある再開発の評価事例を積極的に住民に示して、よりよいまちづくりに積極的に臨んでいただきたいと強く望んでおります。ぜひ今後も都市整備局の皆様のさらなるご尽力を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。
○橘委員 現在、公営企業会計で実施されている北新宿、環状第二号線新橋・虎ノ門、大橋の三地区は、広域的に重要な幹線道路と周辺市街地を一体的に整備することにより、東京を活力と魅力に満ちた都市へと再生するための一翼を担う事業という位置づけであると聞いております。この事業の取り組みについて何点か質問いたします。
まず、各地区の事業の進捗状況については、先ほどの資料説明で数字的な報告がありましたけれども、具体的な内容や完成予定、あるいは計画変更の有無などについて説明をお願いいたします。
○宮村市街地整備部長 各地区の進捗状況でございますが、まず北新宿地区は、平成十年五月に事業に着手いたしまして、平成十八年度末現在の進捗率は事業費ベースで八〇%でございます。これまでに三棟の再開発ビルが完成しており、この地区最大のⅠ街区につきましては超高層ビル二棟を計画しておりますが、本年九月に、公募により特定建築者が決定をいたしました。また、この事業の第一の目的であります放射第六号線につきましては、昨年度、暫定的に二車線での交通開放を行い、本年度末の四車線完成に向け整備を進めております。
次に、環状二号線新橋・虎ノ門地区でございます。平成十四年十月に事業に着手し、平成十八年度末現在の進捗率は事業費ベースで六四%でございます。本年三月に最初の建物であるⅡ街区が完成し、本年十月にはⅠ街区の特定建築者が決定をいたしました。残る最大街区のⅢ街区につきましては超高層ビルを計画しておりますけれども、来年春の都市計画変更を目途に手続を進めているところでございます。
最後に大橋地区でございますが、平成十七年三月に事業に着手し、十八年度末現在の進捗率は事業費ベースで一六%でございます。二棟の超高層ビルを計画しておりますけれども、そのうちの一棟は本年四月に着工いたしまして、残る一棟につきましては、来年度早々の特定建築者公募に向けまして、管理処分計画の作成などの作業を進めております。
○橘委員 各地区とも、計画によると、今後超高層ビルなどが建設される予定となっておりますけれども、民間による大規模再開発事業でも見られますように、開発と環境保全との関係が常に課題となります。
私は、再開発事業は、市街地の防災性や快適性向上の面で極めて効果的であると認識しておりますけれども、再開発事業というのは環境を悪化させるといった声が一部にあるのも事実であります。そうした懸念を払拭するためにも、再開発事業については、ヒートアイランド現象対策、風の通り道づくり、緑の確保、自然エネルギーの活用、さらには地球温暖化対策等も十分考慮した取り組みが必要であると考えます。
そこで、都施行の再開発事業において、今指摘したような環境対策についての取り組み、工夫、特徴などについて伺います。
○宮村市街地整備部長 都施行の再開発事業では、計画段階から、環境に優しいまちづくりに向けて、さまざまな創意工夫を行っております。
まずヒートアイランド対策につきましては、例えば環状第二号線地区では、最大街区であるⅢ街区の建物の配置計画を見直しまして、四棟から二棟に集約することにより、風の道の確保に努めております。
また、街区内に約六千平方メートルに及ぶ緑豊かな広場を創出するとともに、地上部道路を緑化することにより、臨海部から都心を緑で結ぶグリーンロードネットワークの形成の一部を担うこととなるものでございます。
また、北新宿地区でも、一番大きな街区のⅠ街区に約五千平方メートルの緑地を整備することとしております。
また、環境負荷の低減策につきましては、超高層ビルを計画する際にも、民間の豊かな発想力やノウハウを活用するため、特定建築者の公募において具体的な計画提案を求めております。例えば北新宿地区のⅠ街区では、熱負荷を低減させる高性能熱反射ガラスなどの使用や、エネルギー効率の高いシステムの導入などにより、単位面積当たりのCO2排出量を大幅に削減するほか、太陽光発電施設の設置や下水再生水の利用などによる環境負荷の低減に積極的に取り組むこととしております。
○橘委員 ただいまの説明で、環境対策に積極的に取り組んでいる状況はわかりましたけれども、環境対策の技術手法とか、それから研究成果というのは日進月歩でありまして、長期の事業となる再開発事業が完了する時点で、計画当初の対策が既に旧式になっているといった可能性もあります。
したがって、環境対策は、将来を見据えた取り組み、それから時代状況の変化、技術の進歩に弾力的に対応できるシステムの構築を想定しておく必要もあるかと考えます。その点、見解を伺います。
○宮村市街地整備部長 環境対策は、再開発事業を実施する上で最も重視しなければならない項目の一つであり、都といたしましては、再開発事業の実施に際し、建物計画等に先立って、可能な限り、その時点で最もすぐれた設備やシステムを取り入れることを目指しておりまして、特定建築者の選定におきましても、環境対策の提案内容を重視しているものでございます。
今後とも、委員ご指摘の点も踏まえまして、可能な限り、技術の進歩に弾力的に対応した再開発事業を推進するよう努めてまいります。
○橘委員 次に、都施行の再開発事業と、昨年十二月に策定された「十年後の東京」との関連について質問します。
再開発事業は早くから計画され、昨年策定の「十年後の東京」との整合性に関してはかなりのタイムラグがあるわけですけれども、再開発事業が活力と魅力ある都市への再生を目指す以上、整備の方向性は「十年後の東京」と調和がとれていなければならないと考えます。
そこで、「十年後の東京」に対するこの再開発事業が果たす役割、位置づけ等についての認識を伺います。
○宮村市街地整備部長 都施行再開発事業は、「十年後の東京」に掲げる幾つかの目標を実現する上で大きな役割を果たしております。
初めに、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるという目標におきましては、先ほど答弁申し上げましたように、環状第二号線地区の再開発事業が、臨海部と都心を緑で結ぶグリーンロードネットワークの形成のための重要な役割を担っております。
次に、三環状道路により東京が生まれ変わるという目標におきましては、三環状の一つである首都高速中央環状線の大橋ジャンクションの整備と一体的に大橋地区で再開発事業を行っており、このことにより地元の合意形成が促進されるなど、大橋ジャンクションの整備の進捗に大きな役割を果たしております。
このほか、北新宿地区では放射第六号線、環状二号線地区では環状第二号線など、地域の特性に応じ、再開発事業によりまして幹線道路の整備を図る役割を担っております。
そのほかにも、再開発事業によりまして不燃、耐震化が図られるということは、災害に強い都市をつくるという目標に寄与するものでございますし、また、ベンチャー企業を育成する施設を北新宿地区の業務棟に導入するという特定建築者の提案を採用することになりましたので、そのことは、都市の魅力や産業力で東京のプレゼンスを確立するという目標に一定の貢献をするのではないかと期待しておるところでございます。
○橘委員 東京が国際都市としてさらに発展していくためには、市街地の整備、とりわけ点から面的な都市基盤の整備、それから強化は不可欠であります。今行われている都施行の市街地再開発が、今後一層活発化が想定される民間事業者による再開発事業の模範となるように期待しております。
今、「十年後の東京」のあり方と、それから再開発の計画がかなり整合性のあるものになっている、そういった説明もございましたけれども、これがやはり大事だと思います。行政というのは、とかくばらばらに実施される傾向性がありますけれども、常に計画を見直していく、その中で整合性を図っていく、一体的に東京の整備を図っていく、そういった取り組みが必要であると思います。そうした弾力的な運営を期待しまして、私の質問を終わります。
○たぞえ委員 私からも大橋地区再開発事業について質問いたします。
十八年度決算によると、資本的収支の中の都市再開発事業決算額は百八十二億一千四百万円で、そのうち大橋地区都市再開発事業費は二十一億三千二百三十七万円と記載をしております。
先日、この支出を確認するために、東京都が進めている大橋地区第二種市街地再開発事業の現場を見て、大変驚きました。首都高速道路のジャンクション整備とあわせて、高さ九十九メートル、地上二十七階の超高層マンション、再開発地区内の建物一の二といわれているものですが、この建物は、事業の初期の段階から民間企業を事業協力者として呼んで選び、建築の企画、権利者への対応、権利者の意向把握などを行って進めているものです。こうした手法に基づいて、民間主導による都施行の開発工事が急ピッチで行われている事態を見てまいりました。
このマンションの仮称タワーレジデンスの販売案内を詳細に読んでみますと、この中に、官民一体の大規模開発が未来都市を象徴すると、このように誇らしげに書いています。計画段階から民間企業を舞台に登場させているわけですが、その事業協力者は、一の二建物建築の場合、どのような企業なのか。
また、一の一の建物は地上四十二階という超高層ですが、事業協力者にはどのような企業が参加しているのか紹介してください。
○宮村市街地整備部長 東京都は、事業の初期段階から特定建築者が決まるまでの間、民間の豊富な経験とノウハウを活用するために事業協力者制度を導入しておりまして、公募により決定しております。
当地区の事業協力者は、建物ごとではなくて、地区全体として二つのグループが公募の結果決まっておりまして、一つは、三井不動産レジデンシャル株式会社と株式会社大林組のグループ、もう一つは、東急不動産株式会社、東京急行電鉄株式会社、有楽土地株式会社、株式会社東急コミュニティー、大成建設株式会社のグループでございます。
○たぞえ委員 今いわれた事業協力者は、自分たちで描いたビルの企画を、今度は実際にビルを建築する自分の会社、いわば特定建築者に依頼ができるということでしょうか。
○宮村市街地整備部長 事業協力者の公募の際には、特定建築者として意欲のある方というのも条件の一つになっております。
ただ、事業協力者が必ず特定建築者になるものではなくて、特定建築者につきましては、改めて公募をして設定するものでございます。
○たぞえ委員 企画も建築も同じ企業で仕切れるということです。二つの建物とも、事業協力者の段階から東急や大成、三井などがカウントされ、しかも、開発敷地内で行っている中央環状品川線のジャンクション建設工事でも大成、鹿島というぐあいに、大手のゼネコンが集中しているわけです。
一の二の建物の、都にかわって建築を代行する特定建築者の企業のそれぞれの出資割合を示していただきたい。
○宮村市街地整備部長 特定建築者も公募により決定するものでございます。施行者である都にかわって再開発ビルの建築や保留床の処分を行うもので、都は事業費の圧縮を図ることができるとともに、保留床の処分リスクを回避することが可能となります。
ご質問の特定建築者の一の二棟の出資割合ですが、東急不動産株式会社が三〇%、東京急行電鉄株式会社が三〇%、三井不動産レジデンシャル株式会社が二五%、有楽土地株式会社が一五%でございます。
○たぞえ委員 この四者は、従来から土地の権利者だったのでしょうか。その権利者の床の持ち分はそれぞれどれだけあったのでしょうか。
○宮村市街地整備部長 一の二棟の特定建築者の四者は、いずれも従来からの権利者ではございません。したがって、権利床の持ち分はございません。
○たぞえ委員 そこでのマンションの総戸数は幾つか。そのうち四者の持つ保留床の総面積はどういう推移でしょうか。
○宮村市街地整備部長 一の二棟の住宅の総戸数は二百十三戸でございます。また、保留床の専有部分は約七千二百二十平方メートルでございます。
○たぞえ委員 それでは、特定建築者が負担する敷地代、建物建築工事代は幾らですか。
○宮村市街地整備部長 都と特定建築者が契約しております一の二棟の保留床分の敷地価額は三十四億六千八百万円でございます。
それから、特定建築者が実際に負担する保留床の建築工事費につきましては、都としては承知しておりませんが、あえてお答えするとすれば、特定建築者が応募したときに提出した資料に記載されている建築総工事費から権利床の整備費を差し引きますと、約二十七億五千七百万円という結果が出るものでございます。
○たぞえ委員 この大橋地区の分譲マンションは、一平方メートル当たり百万円から百十万円といわれています。計算すると、特定建築者の所有する保留床のマンション販売総額は約八十億円と試算されるわけです。専有面積百八・二二平方メートルの間取りの物件でいえば、約一億円という億ションが売り出される。
この二つの超高層ビルの住宅戸数は、当初の計画では七百六戸でしたが、今現在は幾つ建設する予定でしょうか。
○宮村市街地整備部長 現在の計画では、二つの建物を合わせて、住宅は九百二戸を計画しております。
一の二棟は当初と変更ございませんが、これから建てる一の一棟につきましては、当初、業務床として計画していた過半を住宅に用途変更したこと、それから、入居予定者からの要望を踏まえ、住宅の区画を分割して小規模化したことにより増加したものでございます。
○たぞえ委員 九百二戸になったということは、百九十六戸ふえたということです。どのようにして戸数がふえたのでしょうか。
○宮村市街地整備部長 その理由は、先ほど申し上げましたように、当初、業務床として計画していた部分がございますが、その過半を住宅へ用途変更したということと、入居予定者からの要望を踏まえて、住宅の区画を分割したという結果でございます。
○たぞえ委員 平成十九年六月に事業計画の第二回の変更を行って、一の一の戸数を四百九十三戸から六百八十九戸にふやしたわけです。ふえた百九十六戸のうち販売用は何戸ですか。
○宮村市街地整備部長 今、販売用というようなご質問がございましたけれども、現在、権利者の方たちがどこの床を取得するかという管理処分計画をつくっている最中でございまして、まだそれが決まっておりませんので、保留床のうちそれがどうだというふうなお答えは、ちょっとお答えしかねるところでございます。
○たぞえ委員 それでは、一の二の従前権利者分が八十二戸です。入居者数は合計で百十三人ということでありますが、従前の事業計画の四百九十三戸の中で十分賄えます。ということは、百九十六戸新たにふやした分、丸々処分可能な保留床になるということではないでしょうか。
事業計画の変更の再度の変更で、一の一棟、建ぺい率を四七%から五一%に、容積率を七九六%から八〇〇%にして、床面積は約三千平方メートルふやしました。また、二階から八階までの事務所だったのを、七階、八階の一部だけに絞り、三階から六階の一部が住宅用に転用されたわけです。百九十六戸が一番狭い五十平米のタイプとしても、合わせて約一万平方メートルです。一平方メートル当たり百万円と見積もっても百億円の販売収益をふやすことができると、そういうことじゃないですか。
この地区は、土地所有者が百四十三人、借地権者三十一人、借家人百六十五人、合わせて権利者三百三十九人が生活をしていた地域です。この事業によって、借地人、借家人のうち、開発に残るのは何%でしょうか。
○宮村市街地整備部長 まず、先ほどの戸数の話でございますが、先ほど申し上げましたとおり、保留床の戸数のことにつきましては、現在では、ふえた分のうちの保留床というふうな明確なお答えはできません。お答えいたしかねます。
ただ、それがすべて保留床になるということでも、もちろんございませんので、そこは実際に権利者の方が、さっきご説明したとおり、少し区割りで欲しいという方もいらっしゃいますから、その部分としてその人がたくさんとるというのは当然あるわけでございます。
今のご質問ですが、この大橋地区の借家人につきましては、事業計画決定時に百六十五人いらっしゃいましたけれども、平成十九年一月現在で、地区内に残る人は十四人となっておりまして、その割合は八%でございます。
なお、この大橋地区の特性といたしまして、都市型マンションの借家人が非常に多く、単身者の割合も高いと。一たん地区外に仮住まいをしていただくことが必要なわけですが、二回移転の煩わしさもあることから、現地に残る方が比較的少ないという状況がございます。
○たぞえ委員 残る方は八%ですから、九二%の方がこの大橋のまちに開発で残れない、こういう実態です。
土地所有者のうち、かつての従前権利者だけでは、権利床として取得できない人は何人でしょうか。また、その人たちのうち、再開発地内に残るのは何人ですか。
○宮村市街地整備部長 従前の権利者の方は八十五人でございますけれども、そのうち六十九人は入居をされます。八十五人のうち六十九人が入居されます。ですから、逆算しますと、十六人の方が外に転出をされるということでございます。
○たぞえ委員 かつての資産より、少ない人は外に出ていく人もいるというわけです。しかし、資産の少ない人は、何か資金の手当てをしなければ残るにも残れない、そういうことだと思います。
一の二の権利床の一番狭い住宅は何平米か、部屋の間取りを説明してください。
○宮村市街地整備部長 一の二棟における住宅の最小区画は三十一・七六平方メートルでございます。ワンルームというふうに理解いただいて結構かと思います。
○たぞえ委員 いわれた最小区画の三十一・七六平方メートルの住宅のうち、権利床と保留床はそれぞれ幾つですか。
○宮村市街地整備部長 三戸の内訳ですが、権利床は二戸、保留床が一戸でございます。
○たぞえ委員 東京都は、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な水準である最低居住水準に満たない世帯の解消に努める、こういうふうにいっています。ここで、単身者、二人、三人世帯の都市型居住誘導水準はそれぞれ何平方メートルでしょうか。
○宮村市街地整備部長 これは、現時点、平成十八年以降の今の住生活基本計画に基づきますと、都市型居住誘導水準の単身者の面積が四十平方メートル、なお、最低居住水準は二十五平方メートルでございます。
あともう一つ、ご質問ではないんですけれども、この地区はワンルームが非常に多くて、十五平米とか二十平米のマンションがたくさんあるという状況でございますので、そういう所有者を入居させるためには、大きなものをつくってしまうと転出しかなくなってしまうという実情がございますので、ご理解をいただければと思います。
○たぞえ委員 そういう小さなスペースに住んでいる方が多いから、それに合わせるみたいなことというのは問題だと思いますよ。やはり最低居住水準を決めてあるんだから、それを上回る程度の建物を提供しなきゃいけないと思いますよ。(「生活再建できないじゃない」と呼ぶ者あり)まあ、聞いてください。
十八年度決算で、関係住民の生活再建についてはどのように記載しているのでしょうか。
○宮村市街地整備部長 大橋地区における生活再建策の方針でございますけれども、資産の少ない零細権利者に対しましては、住宅を取得しやすくするために小規模区画を計画しております。これは、先ほど申し上げたような三十平米台の小規模区画を計画しております。さらに、従前資産がこの小規模区画の価額よりも少ない場合には、清算金の徴収が必要ということになるわけですけれども、その分割納付も実施することとしております。
また、住宅に困窮する借家人に対しましては、既存の再開発住宅及び一般公営住宅へのあっせんや、希望があれば保留床の優先分譲を実施する予定でございます。
そのほかにも、公共事業に伴う移転資金の貸付制度を活用することや、事業協力者による代替物件の情報提供及びあっせんを行うこととしております。
○たぞえ委員 東京都は、かつて市街地再開発事業では、そこに住んでいた住民が引き続き住めるように、かなりの施策をやってきました。
都施行で進めた白鬚西地区再開発事業では、従前の敷地に残った人の割合はどういう実績でしょうか。
○宮村市街地整備部長 白鬚西地区では、全権利者の約七割が地区内に残っておられます。この地区の特性はそれぞれあるわけですが、高齢の借家人の方が多いとか、それから地域内就労世帯が多いとか、そういうことから転出希望者が少なかったという事実がございます。
さらには、この白鬚西地区の再開発の中の市街地としては汐入地区というのがございますけれども、この地区は、隅田川で北と東に接して、その周囲もJRの貨物ヤードとか工場とかに囲まれた、周囲の市街地との連檐がちょっとあいてしまうような地区でございまして、その地域全体を再開発事業したということから、近隣に住みかえるというのがうまくいかない、そういう状況がございました。
そういうことから、多くの方が地区内残留を希望し、それに都としてもこたえてきた、そういう実績でございます。
○たぞえ委員 今いわれた白鬚西でありますが、再開発住宅を事業地内に何棟も建設して、所得制限もつけずに一千百戸の都営住宅に入居の道を開いてきたわけです。家賃は当初八年間は五割引きと、傾斜家賃を導入しました。地元の借家や零細な借地住民の、住み続けたい、高齢化だという状況も配慮して、そういう事業を展開したと聞いています。
それでは、この大橋再開発では再開発住宅はどう手当てしているのでしょうか。
○宮村市街地整備部長 大橋地区での再開発住宅のご質問ですけれども、大橋地区においては、地域特性の違い等から再開発住宅は計画しておりません。
ただ、現に住宅に困窮する借家人の方がいらっしゃれば、当然十分に話し合いをしながら、周辺の都営住宅へのあっせん等を行って、きちんとした生活再建対策をとっていくということで取り組んでおります。
○たぞえ委員 要するに、大橋地区内では再開発住宅はないということなんです。かわりに登場してくるのは分譲マンションで、それらの大半は、いわゆるディベロッパーが一括取得して不動産業を展開するもので、生活再建措置というのとはほど遠いと思います。
そのマンションを購入できる新しい住民は入居できる、これまで古くからの住民で資産や所得の低い人は出ていかざるを得ない状況であります。仮に入居するには、大きな借金をして床を買い足さなければならない。しかし、それは高齢者の場合に年齢的なことを考えると、到底不可能です。
私も現地へ行きまして、雨の日の夕方でしたが、お目にかかった高齢のある男性の方が、力なく、この目黒の地に住み続けたいと語っていました。この方は、小さな借地に建つ古い家に住んでいたそうです。今度の再開発で同じ土地に建設されるマンションに入居するためには、大きな借金をして床を買い足さなきゃいけない、それは到底不可能だと、こういうふうに語っていました。この方に対して都があっせんしたのは、はるか離れた、隅田川を越えた区の都営住宅をあっせんしました。一方、所得制限があって都営住宅に入居できない人もいたそうです。
これでは、東京都がかつて努力をして実現してきた数々の地域住民が住み続けるための生活再建が、この大橋地区では講じられていない。この整備方針を見ますと、住むことの豊かさが実感できるまちづくりと、こういうふうに、このマンションの販売のホームページから引っ張り出してみましたら書いてありましたが、そういう豊かさを実感できるという状況にはありません。
只腰局長が先日の決算委員会の冒頭に、安心な都市空間だというふうにこの事業について語られましたけれども、わずかな人しか残れない、これで本当に豊かな安心な都市空間といえるだろうか、このことを私は痛切に思います。
しかも、このマンションは戸数をふやしたわけでありますから、当然それによって周辺の保育園や目黒第一中学校の日照問題、こういうこともまだ解決がされないままに工事も行われています。住民の幸せを実現というふうにこのパンフレットの中ではいわれていますけれども、本当にそういうことを実現するのであれば、この地区内に零細地権者のための施設をきちんと手当てする、こういうことがあってこそ都施行の再開発であるというふうに私は強く思います。
以上です。
○宮村市街地整備部長 先ほど、二、三人世帯の標準的な面積ということで誘導水準のご質問があったとき、単身者だけお答えしたのですけれども、二人以上の世帯の誘導水準は、二十平方メートル掛ける世帯人数プラス十五平方メートルとなっておりますので、訂正させていただきます。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○鈴木委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十八年度東京都病院会計決算を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取してございます。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者からの説明を求めます。
○及川経営企画部長 去る十月十五日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、都立病院における経営指標の推移から、9、松沢病院における入退院延べ患者数の推移までの九点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成十四年度から平成十八年度までの入院、外来別の経営指標について、その推移を記載してございます。
それぞれの数字につきましては、下の(注)にございますとおり、平成十四年度までは母子保健院が、平成十五年度までは大久保病院が、平成十七年度までは荏原病院が含まれております。
なお、本資料より資料番号8までにつきましては、それぞれ同様に平成十四年度から平成十八年度までの推移をお示ししております。
恐れ入ります。二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、その推移を記載してございます。
三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費の推移を病院別に記載してございます。
四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
医師、看護要員及び医療技術員等の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について記載してございます。
五ページをごらんください。5、都立病院の産婦人科及び小児科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
産婦人科及び小児科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移について、病院別に記載してございます。
六ページをお開き願います。6、都立病院における医師及び看護要員の採用数及び退職者数の推移でございます。
医師、看護要員の採用及び退職者数の推移を記載してございます。
七ページをごらんください。7、都立病院における看護要員の中途退職者数の推移でございます。
看護要員の四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数について、その推移を記載してございます。
八ページをお開き願います。8、都立病院の産婦人科入院延べ患者数の推移でございます。
産婦人科の入院延べ患者数の推移について記載をしてございます。
九ページをごらんください。9、松沢病院における入退院延べ患者数の推移でございます。
平成十六年度から平成十八年度までの松沢病院における新入院延べ患者数、退院延べ患者数と、このうち、社会復帰支援室が退院に向けて取り組んだ件数を記載してございます。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行ってまいります。
発言を願います。
○野島委員 この十八年度決算に関して、PFI事業について何点かお伺いしておきたいと思います。
前回の委員会での概要説明の中で、平成十八年度には、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター、それぞれ仮称でありますが、この案件の事業契約の締結、それから、がん・感染症医療センター、これも仮称でありますが、落札者の決定があり、本年四月には精神医療センターのPFI事業としての特定事業選定を行い、これらの事業が順調に進められているというふうに報告を受けました。
実は、十月十七日の東京新聞の朝刊に、PFIに関する記事が掲載されておりました。読まれた方も多いかというふうに思いますが、高知医療センターの前院長が贈収賄容疑でサンズイを振ってしまったということに関連して、PFI手法による病院建設、運営について取り上げて、見出しはかなり否定的なというか、そんな感じの見出しになっているわけであります。
今申し上げた府中キャンパスのPFIによる整備というようなことで、実は二年前、私どもは、自民党の三多摩部会で、高知のこの実情を視察に行ってまいりました。そんなことで大変関心を持って、東京は大丈夫なのかなと、こんな不安にも駆られたところでありますので、お伺いするわけであります。
この前院長さんの贈収賄については、個人の資質の問題だというふうに思いますし、何もPFIをやったから起きたという問題ではないので、全く論外の話だろうというふうに思ってございます。
といいながらも、この中には「官民癒着の温床か」と、こんなことも書かれているわけですね。前段では否定しながら、関係者の声として、発注権者の官と受注権者の民の垣根が低くなって癒着が生じやすい、こんなことが書かれているわけであります。組織運営上の問題、人事管理上の問題だろうというふうに思いますので、私は今回、これは全くこっちに置いておきます。
そこで、この記事の中に、経営が複雑で、医師や看護師などプロ集団を抱える病院には向かないと思うと、こういう意見もある。それから、こんなことをいって、病院運営は失敗であるかのようにも読めるわけですね。
高知医療センターは、我々も視察に行ったわけでありますが、PFI手法による病院運営の先駆的事例でありまして、都においても同じ手法で、今冒頭申し上げましたような形で事業を展開しているわけでありますので、こんな事態にならないようにという懸念を持つ立場から確認をしていきたいというふうに思います。
まず確認のために、東京都においてPFI事業の仕組みと病院経営との関係はどのようになっているのか、こんなところを冒頭伺っておきたいと思います。
○及川経営企画部長 都の病院PFIにおきましては、病院運営のコア部分、いわゆる診療業務そのものといったことや病院経営に関すること、こういう根幹的な部分は都が責任を持って行うものでございます。
一方、これまで個別に、現在でも個別に委託をしてまいりました医事業務とか、それから建物管理、清掃も入るのですけれども、こういった医療周辺業務につきまして、この特別目的会社、いわゆるSPCが包括的に行うこととしております。
これによりまして、例えば、これまで契約の仕様書上で定められた時間外に病棟で汚れが発生をしたりして清掃作業が必要な場合、こんなときには、今では清掃委託職員は時間外ですから対応できない。また、ほかの清掃業務、特に仕様書上規定されていない他の医療作業、そういった委託職員の方もまた対応できないといったような場合には、現在、やむなく看護師あるいは事務職員が、そういった清掃も含めてやるというような状況にございます。
また、こういう医療周辺業務のいわゆるすき間といっているのですが、こういうすき間のような業務が生じた場合に、SPCに今回包括的に委託をする。こういった周辺業務の全責任を負うといった立場から、こういった業務が発生した場合にもSPCが対応できるようになるであろうと。
また、例えば手術室などにおきまして、空調とか清掃とか消毒、滅菌、それぞれ受託者に対しまして、個別に今は業務を委託し、指示をしておるんですが、PFI事業では、総合的に一括管理して手術環境の整備を行うといったような包括的に委託をしておりますことから、医師、看護師など医療従事者が診療業務などに専念ができるということになり、結果として医療サービスの向上が図れるものというふうに考えております。
さらに、今回のPFI事業におきましては、先行事例の課題も踏まえながら、SPCに対しまして、コスト管理など民間が持つ経営のノウハウ、それから業務プロセスの改善に関する助言、協力などを通じまして、病院経営についても支援する業務といったものも担わせておりまして、病院の健全経営に貢献をさせるといった仕組みも導入しております。
○野島委員 ありがとうございました。現行の病院運営のいろいろな課題といいますか、好ましくない形を、このPFI、とりわけ周辺業務を、SPCという特定目的会社といったものを入れて、それらを解消していくと、こういうことだろうというふうに思っております。そのことが医療サービスの向上や業務の効率化を図れることになる、こんなふうに受けとめました。
記事には「病院赤字でも、運営企業は黒字」と、こういうふうに書いてあるんですね。何か黒字を自分たちでストローで吸い取っちゃって、残りは赤字です、そっちに置いておきなさい、こんなニュアンスの記事なんですが、公立病院の経営では、東京都も行政的医療というふうにいっているんですけれども、不採算部分があることはむしろ当然だと思うんですね。
この決算書においても、科目はいろいろ違いますが、負担金とか一般会計繰入金とか、当然そういったものがなければ動いていかないわけでありますから、それを赤字といってしまったら、公立病院なんかやる必要ないんですね。それを入れながら行政的医療をやっていきます、東京の医療の質を高めていきますということの枠組みでありますから、赤字となる、不採算ということは当然のこと出てくると思いますし、公立病院が黒字でもうかっていますといった話はどこかで聞いたことがありますか、余り僕は聞いたことないんですね。それは運営の仕方もいろいろあるでしょうけれども、そもそも公立病院というのはそういう性格のものでありますから。
一方、企業が適正な利潤、要するに、周辺業務というのは黒字があって医療業務の赤字を埋めていたみたいなところで、そっちを企業が取っちゃったから、こっちが赤字になっちゃった、こういう書き方なのでありますけれども、仮にその企業が周辺業務も赤字だということになりますと、当然のことながらサービスの質が低下するわけでありますので、さっき直営の話があったんですが、それだって同じなんですよね。ただ、トータル的にどうやるかということの違いだろうというふうに思っております。
それで、私は、PFI事業の視点としてより重要なのは、十五年にわたる長期契約であること。その間には、社会経済情勢が目まぐるしく変化するわけですね。特に医療の世界においては、医療本体に技術革新であるとか新薬であるとか、あるいは機器の関係でもそういうことになるわけでありますが、そういうことに柔軟に対応しつつ病院運営を行って、いかに患者サービスの向上を図っていくか、こんなことが求められるからこそ、このPFIでやりたいと、こういうことだろうと思うんです。
こうした中で、こういうふうな医療環境の変化に対する仕組みをPFI手法の中でどういうふうに構築していくのか、こんなところを伺っておきたいと思います。
○及川経営企画部長 PFI事業におきましては、委員ご指摘のとおり、将来、医療環境の変化が生じた場合であっても、安定的かつ継続的に医療サービスが提供できるような仕組みを構築していくということが極めて重要であるというふうに考えております。
このため、例えば薬価改定や物価上昇、下落などによりまして医薬品費や材料費が変動するような場合に、この支払い額そのものを見直していくというようなことを契約の内容に盛り込むなど、医療環境の変化に適切に対応できる、そういった仕組みを構築しております。
また、患者ニーズの変化に対しましても柔軟に対応し、例えば病床規模の変更や新たな診療科の設置などがあった場合には、必要に応じまして委託の業務の内容を見直すこととしております。
こうした仕組みを通しまして、将来の医療環境の変化にも柔軟に対応できる病院運営を目指していこうと考えております。
○野島委員 去年の公決の議事録でも、及川経営企画部長から、この事業は性能発注となりますというふうな答弁もなされて、質疑が幾つか交わされているわけでございます。十五年を超えるということ、この中で業務の水準を示して、それで受注側、事業者の創意工夫によりそれを実現していく、こういう枠組みだろうというふうに思っております。
都が求める業務水準を達成できるよう、SPCの自由な発想で業務を行うということになって、その結果、効率化、患者サービスの向上が期待できるということでありますが、逆に業務の履行に目が届かなくなるのではないか、こんなことも懸念されるわけですね、全体の周辺業務をやっていくわけですから。一つ一つですと、あそこを掃除しろといったのに、ごみが落ちていたじゃないかとか、そういったようなことも、極めて単純にというか、わかりやすいわけでありますけれども。したがって、SPCの業務の履行状態をどうやって都がチェックをしていくか、こんなところが重要になろうと思うんですね。
今ありましたように、薬価改定、新薬の開発、こういったようなものは恐らく相当進んでいくだろうというふうに思います。また、医療機器も日進月歩でありますから、こういったふうなものがあると。その選定や調達をSPCにすべて任せる、こういういわば丸投げでなく、都が適切に関与をし、チェックすることが大切だと、こんなふうに思っております。
平たくいいますと、十五年以上の長期にわたって契約してしまうわけですから、その間、病院の業務との関係においては、受注業者、SPCの方はある種独占企業ですよね。したがって、競争性が働かなくなる。ど高目とはいいませんが、高目の業務に陥ってしまうと。こんなところが一つは懸念されるということと、ここにも書いてあるんですが、SPCが企業である以上、情報開示が必ずしも十分でなく、チェック機能が働きにくいというふうなことがあるわけですね。
それから、ここにも書いてあるんですが、協力企業というのがつきますよね。協力企業があって、またそこを受けるところがあるのでしょうけれども、そういったふうなことのふくそう化みたいな話の中で、これはSPC自体が持つ問題ではないんですが、下請泣かせになるんじゃないかとか、そんな懸念も示されていますが、こういったようなことに対して、最後の話はいいです、何もSPCだけの問題じゃないですから。チェックをどのように行っていくのか、こんなところを伺っておきたいと思います。
○及川経営企画部長 PFI事業におきましては、SPCが都の求める要求水準を達成できているのかといったようなことをチェックする仕組みといたしまして、いわゆるモニタリング制度というものを取り入れております。
具体的に申し上げますと、まずSPCみずからが個々の業務をチェックし、いわゆるセルフモニタリングを実施すると。そしてまた、その結果を報告するといったことを義務づけておりまして、変化します患者ニーズなどに関しまして敏感に察知をするということで、サービスの提供方法を見直すこととしております。
加えまして、今度は都が行うSPCに対するモニタリングでは、SPCの統括マネジメント業務を含めまして、SPCが提供するサービスが要求水準を満たしているかといったようなことを定期的あるいは随時にチェックをしまして、満たされていない場合には、SPCに対しまして業務改善勧告、さらにはサービス対価の支払い留保、減額などを行う仕組みとしております。
委員ご指摘の医薬品等の物品の調達につきましては、その調達品目を病院が選定した上で、SPCがあらかじめ定められた値引き率の範囲内で調達をすることとしております。
こうした仕組みによりまして、SPCに対してさまざまな過程においてチェックを行い、適切な業務運営を図ることとしております。
○野島委員 今までの答弁の中で、都における病院PFI、SPCが具体的には周辺業務をやっていくということでありますけれども、これらで医療環境の変化にも柔軟に対応でき、また、SPCの業務を適正に執行させる仕組みといったようなものについても構築をなされたというふうに思っておりますが、動き始めるのはこれからですから、今お話のあったような、大きな枠組みの中で細部にわたってチェックをしながら適正な執行をしていただきたいと思っております。
また、当然のこと、ここに至るまで、このPFIの導入に当たっては、さっき部長からもお話がありましたように、現行の病院経営を行っていた場合の課題をどうクリアするかということ、今までの形でこれからもやっていった場合との経済比較もやった上で、総経費の圧縮も可能だということで取り組んだだろうというふうに理解をしておりますので、なお一層の取り組みをお願い申し上げたいと思っております。
PFI手法が、小泉構造改革以降、相当進んできております。都においても、何も病院だけではなくて、八王子のユース・プラザ、生文所管でしたか、何かそういったものがあります。辰巳の方もやったというような経過もあります。さまざまな事例を踏まえながらしっかりと取り組んで、都立病院の再編整備を着実に進めてもらいたい、こんなことを要望しておきたいと思います。以上でPFI関係については終わります。
次に、松沢病院の関係でお伺いいたします。
実は六月二十八日、私ども自民党の厚生委員会のメンバーで、病院の現状をつぶさに視察してまいりました。施設の老朽化が極めて著しいと。患者の療養環境の改善の面でも、また質の高い精神医療を提供していく。日本に誇るという以上に、アジアで一番の病院であるというふうな評価もあるやに伺っております。そういったふうなことで、ぜひこの整備をしっかりやっていただきたいと、こんな感情を強くしたところでございます。
手法については、冒頭申し上げましたように、PFI事業となるわけでございますので、先行する事例も含めながら、円滑な整備を進めていただきたいと思います。
ところで、この整備計画の中で、精神医療センターは、精神医療の拠点としての役割を果たしていく、このことを基本的役割としていますというふうに伺っております。この精神医療センターの整備に当たりましては、施設整備の面だけではなく、都全体の精神科医療を質的に向上させていくという、医療機能の面でも充実したものにならなければいけないだろうというふうに思ってございます。
そこでまず、精神医療センターにおいて、この後、どのような精神医療を担っていこうと考えているのか、こんなところを伺っておきたいと思います。
○及川経営企画部長 松沢病院は、これまで精神科身体合併症医療や精神科救急医療、それから精神科特殊医療などを行うとともに、一般の精神科病院では対応が困難といわれておりますような専門性の高い精神科疾患に対しまして積極的に取り組んでまいりました。
昨今、精神科医療が入院医療中心から地域生活中心へと移行する中で、今後は急性期の精神科医療や重度の精神科疾患への医療に対応するとともに、患者さんの早期社会復帰を目指す医療や支援の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
さらには、医療観察法に基づく医療の提供も実施することとしておりまして、こうした医療機能の充実強化を図ることで、引き続き都におきます精神科医療の拠点としての役割を果たしてまいります。
○野島委員 入院とか通院医療のみならず、転退院の促進あるいは社会復帰支援においても、ぜひ患者さん一人一人にきめ細かく配慮して丁寧に進めていく必要があるだろう、こんなふうに思っております。
そこで、先ほどご説明のあった要求資料のうち、社会復帰室の話がございました。人数も増嵩しておりまして、しっかり取り組んでいただいているなというふうに思っております。
一方では、患者を無理やり地域に戻してしまっているのではないか、こんな声もあるやに聞いておりますので、その辺のところを改めて、社会復帰あるいは長期入院患者への対応に当たって、社会復帰支援室、先ほどお話もありましたが、どんな取り組みがなされているのか、そんなところもお伺いをしておきたいと思います。
○及川経営企画部長 松沢病院では、患者さんの早期社会復帰の促進と退院後の地域生活を援助することを目的としまして、専任の精神科医長を室長とし、精神科ソーシャルワーカー、看護師、事務職から成る社会復帰支援室を平成十五年度に設置いたしました。
この社会復帰支援室では、長期入院患者の転退院の促進や、退院患者が地域生活に定着するための支援や医療サービスなどを実施しております。具体的に申し上げますと、入院時から医療福祉相談、訪問看護やデイケアの充実、また、他の医療機関や保健福祉施設などとの緊密な連携によりまして、患者紹介、逆紹介などを推進する取り組みを行っております。
今後、精神医療センターの整備に当たりましても、既存の病棟を社会復帰支援専用の病棟に改修するなど、社会復帰を支援する医療を運営理念の大きな柱といたしまして、引き続き取り組んでまいります。
○野島委員 今お話を伺いまして、特に社会復帰への取り組み、要するに、地域で生活していきますよということをどうやって支援していくのかということだと思うんですね。
実は先日、東京の精神科病院協会というのがありまして、そこの役員さんと意見の交換をしたことがあったんですよ。そこで申していたのは、もちろん松沢病院との連携もその人たちはしておりますということも申しておりました。大変ありがたい話ですよというふうに、お互いにこうあったわけでございます。
実はこれは、ある市で社会復帰をどう支援していくのかというところで検討会を開いて、ある市というのは、細かく話を聞いていなかったもので、そういう表現で恐縮なんですが、詰めていったときに、社会復帰のときにそのケア体制、もちろん病院も診療行為をしていきますと。ここで、松沢訪問看護とか、そういったふうなもの、あるいは就労しましょう、あるいはNPO法人と地域の力がそれを支えていきましょうとか、これはそんなに実は--大変なことなんですよ。大変なことなんだけれども、それはそれとして可能ですというんですね。
実は私は東久留米市というところに住んでいるのですが、そういう精神科の社会復帰の人たちを対象に、NPO法人がパソコンの業務を積極的に展開しているんです。全く商店街の町中なんです。結構、商店街の人たちが発注したり、僕もそこに業務を発注しているんですね。そういう場というのはあるんだと。
何がネックになるかといいますと、居住の確保だというんですね。まだまだ理解が少ないといいましょうか、理解が得られにくいということで、家主さんがどうしても堪忍してくださいよというケースが非常に多いということでございまして、それならば、公的な保証が、保証人として可能なのかと。
実は、金銭だけの問題ではなくて、いろんな病から来るほかの課題もありますから、公的保証というのはどういうものなのかというのは、ちょっと難しい、重い課題だというふうに思っております。
あるいは、そういう人たちがグループで生活できるようなホームみたいなものの整備も必要だとはいえ、では銭金をどうするのという課題もあるわけでございまして、なかなか社会復帰事業を進めていく際にもこういう現実の壁があると思うんですね。
こうした問題は、何もここで答弁をもらおうとは思っていません、病院経営本部のマターに属する問題でもないわけでありますから。ただ、これをやっていくためには、やはり社会復帰に向けてのそういう条件整備というのが大変大きいと思いますので、ぜひ現場の声も上げていただきながら、福祉分野とも連携して、こうした課題を一つずつ解決していく必要があるだろうというふうに思っております。
最後にいたしますが、精神医療センターの整備は、施設建設のみならず、その運営のあり方についても、地域住民への十分な説明を行い、その理解と協力を求めながら進めていかなければならないことは当然のことだろうと思っております。この点について、整備計画の公表後に住民説明会を開催して、地域住民の理解を深めてもらっているという努力をなさっていると伺っております。
地域住民からもさまざまな要望もあると思いますが、ことしの八月には、正門をこれまでのとおりの位置にするということ、こういう報告も受けております。こうした地域住民の理解も進んできていると思いますが、引き続き丁寧な説明を行い、円滑な整備運営にお努めいただきたいと思っております。
ここまでPFI事業に関してお聞きいたしました。都民が安心して受けられる医療体制を整えていくことは喫緊の課題でもあり、都立病院の再編整備を着実に推進していく必要があるだろう、こんなふうに思っております。
そこで最後に、再編整備事業を進めるに当たっての本部長の決意を伺っておきたいと思います。
○秋山病院経営本部長 再編整備に向けた姿勢をというご質問でございます。近年、医療の専門化、高度化が急速に進みますとともに、情報の浸透によりまして、その質から信頼性まで医療全般に対する国民全体の関心が高まる中で、都民の皆様の医療に対するニーズも大変大きく変化しているという実感を日々の業務を通じて持っているところでございます。
また、相次ぐ医療制度の改革や診療報酬の改定、予想をはるかに上回る医療人材の不足の発生など、病院経営を取り巻く環境そのものが、旧来の経験でははかりがたい、そういったほどに激変を遂げているという認識を改めて深めております。
このような経営環境などの激変に適応しながら、都立病院が将来にわたりまして、その役割でございます行政的医療を、他の医療機関等との密接な連携のもとに都民の皆様に適切かつ効率的に提供していくということのためには、都立病院が都民医療に占めるシェアやその役割、それから各都立病院が有しております機能、さらに、将来にわたって都立病院に求められる医療サービスの内容などを踏まえた上で、医療機能の集約化とネットワークの充実強化を図る再編整備が不可欠であるという認識をしております。
ただいま野島委員から大変貴重な質疑とご意見をちょうだいいたしましたPFI事業につきましても、このような再編整備を進めるための手法の柱といたしまして、民間ノウハウを活用して効率的な経営を実現しながら、官民の適切な役割分担のもとに、将来にわたって質の高い医療サービスを都民の皆様に提供することを目指したものでございます。
以上のような都立病院を取り巻く現状認識に立ちまして、病院経営本部といたしましては、都民の皆様に対する総体としての医療サービスの向上を目指しまして、PFI事業を含めた都立病院の再編整備事業に全力で取り組んでまいる所存でございます。
○山口委員 平成十八年度決算に関連をいたしまして、私からは、松沢病院の整備並びに医療のIT化について幾つか質問させていただきたいと思います。
まず、続けてになりますが、この松沢病院の整備についてお伺いをさせていただきたいと思います。
東京都は、昨年十月に精神医療センターの整備計画を定めて、松沢病院で約四十年ぶりとなる大規模な改築を行っていくというふうに決定をしたところであります。私も松沢病院の現状を調べてみましたが、現在の施設は老朽化が進み、手狭でもあり、今後とも都の精神科医療を支える病院としてあるには、この整備が非常に大切であるという認識をしているところであります。
その意味においても、精神医療センターの整備は、計画を円滑に実施して、都民、地域住民のためにも、よりよい病院となるようにしっかりと進めていただきたいと思うところでありますが、このような観点からまず確認をいたしますが、精神医療センターの整備計画はどのような経過で策定をされ、今後どのように整備を進めていこうとしているのか、お伺いいたしたいと思います。
○黒田参事 精神医療センター、松沢病院の整備につきましては、平成十五年一月に策定いたしました都立病院改革実行プログラムの中で整備の基本構想を、その後の昨年十月に公表いたしました精神医療センター(松沢病院)の整備についてによりまして具体的なスケジュールを定めたところでございます。
今後は、この整備計画に基づきまして、PFIの手法を取り入れまして整備運営を進めてまいりますが、平成二十一年度中の開設に向けまして医療観察法に基づく入院施設を、平成二十三年度までに新館及び職務住宅を、平成二十四年度以降に社会復帰病棟を整備してまいります。
○山口委員 ところで、精神医療センターの整備というものは、施設の更新という面の意味合いが強く響きがちでありますが、実は、その中身、どのような医療を行っていくために整備をするのかという、その目的こそが本質的な問題として重要であると考えます。
そこで、精神医療センターはどのような医療を担っていこうと考えているのか、また、その考え方をどのように具体的な整備に反映をしていくのかについてお伺いいたしたいと思います。
○黒田参事 精神医療センターの医療機能につきましては、先ほども答弁がございましたが、精神科の急性期医療、救急医療、身体合併症医療及び精神科特殊医療をセンター的な医療機能として提供していくほか、社会復帰医療などの医療課題にも対応してまいります。
これらの機能を具体的な整備へ反映するため、医療課題ごとに病床規模を定めた計画を策定しているところでございます。
また、機能の向上と集約立体化を図りました新館の建設を行うほか、一部病棟につきましては、患者の療養環境の改善を図るために、設備の更新、改修といったものを行うものでございます。
さらに、医療観察法に基づく医療の提供に当たりましては、入院医療を行う専門病棟を設置するなど、都における精神科医療の拠点としてふさわしい整備を行ってまいります。
○山口委員 さて、今お話のあった医療機能のうち、特に伺っていきたいのが医療観察法に基づく医療についてなのでありますが、対象となる患者さんが傷害事件など重大な他害行為を行った方だけに、この法律に基づく入院病棟の建設や指定通院医療を精神医療センターで実施をすることについて、当然のことながら、地元の方ではさまざまな不安の声や心配の声があるのは事実であります。
私は、このような声に接するたびに、医療観察法に基づく医療がなぜ必要なのかということについて、地域住民の皆様に丁寧な説明を行って、十分な理解を求めていくことが必要不可欠であると思います。
そこで、改めてお伺いをいたしますが、医療観察法に基づく医療をなぜ松沢病院で提供するのか、その理由や必要性についてお伺いをいたします。
○黒田参事 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、この法律はいわゆる医療観察法と呼ばれているものでございますが、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対して専門的な医療を手厚く提供して病状の改善を図りまして、再び不幸な事態が繰り返されることのないように社会復帰を促進することをこの趣旨としております。
また、この法律に基づきます入院施設の設置は、国や自治体など国公立の病院に限定されておりまして、行政的医療の性格を強く有しているものでございます。
これらの理由から、医療観察法に基づく医療の提供は都の責務であるとともに、これまで長年にわたって専門的な精神科医療を提供してまいりました実績からも、松沢病院においてこそ実施する必要があるというふうに考えております。
○山口委員 松沢病院で医療観察法に基づく医療を提供していく必要性については改めて確認をいたしましたが、今後とも、安全面に配慮をして、地域住民の理解を十分に得た上で整備運営を行っていくよう、この際強く要望いたしておきたいと思います。
ところで、今お話のあった医療観察法に基づく医療の提供はいうに及ばず、精神医療センターの整備全体も、地域住民の理解、協力がなければ円滑に進まないことは、もういうまでもありません。
そこでお伺いをいたしたいんですが、都は、昨年十月の整備計画公表後、地元住民の皆様に理解を得るためにどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いをいたしたいと思います。
○黒田参事 精神医療センターの整備に当たりましては、地域住民のご理解、ご協力が不可欠であると認識しておりまして、これまでも、整備計画の公表後に三回にわたり住民説明会を開催してまいりました。このほか、地元の町会長さんへの説明なども行ってまいりました。
今後とも、施設建設時などにおいて地域住民の皆様への説明を行ってまいりたいと考えております。
○山口委員 都立松沢病院は、設立からは約百三十年、現在の場所で約九十年という長い歴史を持って、日本全体の精神科医療、精神医学研究のまさに核たる病院であるということは十分承知をいたしております。しかし、一方では、松沢病院のこのような成功は、この間の地域住民の協力や支援がなければ、決してうまく続いてこなかったということも忘れてはいけない事実であります。
また、今後の精神医療センターの整備運営もしかりであります。地元町会からは、精神医療センターの整備に当たり、幾つかの要望も出ていると聞いています。精神医療センターが地域に根差した病院として一層発展をしていくためには、その整備において、このような地域住民の要望にも配慮していく必要があると思います。
そこで、精神医療センターの整備に当たり、都は地域住民からの要望に対してどのようにこたえていくおつもりでしょうか、具体的にお伺いいたします。
○黒田参事 地域住民の皆さんを代表する形で、地元の五町会長さんなどからは、精神医療センターの整備を契機としまして、幾つかのご要望をお受けしているところでございます。具体的には、松沢病院の正門の位置を現在の位置のままにしてほしいとするものですとか、また、松沢病院と地域の住民の皆さんとの交流を一層深める取り組みをしてほしい旨の要望などがございました。
これらの要望につきましては、世田谷区などと調整しながら、整備計画全体との整合性なども勘案いたしまして、可能な範囲で対応していきたいというふうに考えております。
こうした中で、正門の位置につきましては、整備計画全体との整合を欠くことなく見直しが可能であると判断いたしまして、位置変更の要望におこたえしたところでございます。
○山口委員 今答弁をいただいた正門の位置の変更についてなんですが、どういった経緯でそういうふうに変更することになったのか、もう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
○黒田参事 詳細にとのお尋ねでございますので、先ほどの答弁と若干重なるところがございますが、精神医療センターの正門の位置につきましては、整備計画の中では旧正門を使用することとしておりました。しかしながら、地元の五つの町会長さんなどからは、正門の位置は変更しないでほしいという旨の強い要望がございました。
この要望を契機といたしまして、運営面、それから技術面の影響、こういったものを整備計画全体との整合性の観点から総合的に検討した結果として、見直しが可能であるというふうに判断したものでございます。
○山口委員 幸い、先ほど、今ご答弁もいただいたように、説明会の開催や、住民の声にこたえて正門の位置も決め直していただいたなど、東京都の取り組みもあって、精神医療センターの整備について地域住民の理解も進んでいるように私も感じているところでありますが、今後も地域住民への丁寧な説明を続けるとともに、住民のさまざまな要望にもしっかりと配慮をして、精神医療センターの整備というものを円滑に進めていただくことを期待しております。
特にこの正門の問題なんかも顕著にあらわれていると思うんですが、あらかじめ聞いておけばわかったこと、しかも、ましてや歴史が長くて、地域の住民の方々がこれまでこの病院を見守ってきた、通ってこられた方々をしっかりと見守ってきた経緯というのは、皆さんも十分ご承知だと思います。
その見守りというのも、皆病院を守っていこう、そこに通われている患者の方々と一緒に生活をしていこうという、その強い思いと情熱というものは、地域の皆様、伝えなくとも、さまざまな事件やさまざまなことと対峙をしながら今までやられているわけですから、ぜひそういった声を、こういうことを発表する前にでも聞けることはなるべく聞いて、計画に反映をしていただけるとありがたいと思いますので、今後もそういった地道な努力を進めていただくようにお願いしたいと思います。
続けて、患者サービスの観点という点から、医療のIT化について何点かお伺いをしてまいりたいと思います。
昨今、大学病院を中心に診療録、いわゆるカルテの電子化が進んでおりまして、今や電子カルテの導入は大病院にとって必須という感があるわけであります。
都立病院においても、IT化の推進を都立病院の改革の一つとして掲げて、電子カルテの導入を進めているところでありますが、そこで、まず基本的なことについてお伺いをいたしますが、電子カルテの導入の意義と、これまで都立病院に導入をしてきた経過についてお伺いいたしたいと思います。
○都留サービス推進部長 電子カルテシステムを導入する意義でございますが、医師の所見や検査結果など、医療活動に伴うさまざまな診療情報を正確かつ迅速に処理しながら円滑に診療を行うことによりまして、安心と信頼に基づいた患者中心の医療を提供することにございます。
電子カルテシステムは、平成十五年七月に府中病院、その後、十六年八月に駒込病院、同年十一月に大塚病院、平成十七年三月に広尾病院、八月に墨東病院に順次導入してまいりました。
○山口委員 電子カルテシステムは、平成十五年度の府中病院への導入を皮切りに、十七年度の墨東病院まで五病院に順次導入をされてきたという話でありました。そういう意味では、総合病院である五病院が年度当初からそろって稼働してきたのは、この平成十八年度が初めての年度となるわけであります。
そこで、電子カルテシステムの稼働が平年度化された十八年度の運用実績を踏まえて、具体的な導入効果にはどのようなものがあったのか、お伺いいたしたいと思います。
○都留サービス推進部長 電子カルテシステムの導入効果といたしましては、まず、診察室で医師と患者が電子カルテ上の同じ画面を見ながら、レントゲンや検査結果をわかりやすく説明することによりまして、患者の理解が深まるなどインフォームド・コンセントの充実が図られました。また、予約患者の診療待ち時間や会計窓口の待ち時間の短縮にも効果がございました。
さらに、医師や看護師だけでなく、薬剤科など院内の関連部門におきましても必要な患者情報を閲覧することができますことから、患者情報の共有化が図られ、これまで以上にチーム医療の推進が図られました。
○山口委員 確かに、電子カルテシステムの導入によって、インフォームド・コンセントの推進や待ち時間の短縮が図られるだけではなくて、医師を初めとして、薬剤科など院内の各部門においても情報の共有化が図られてチーム医療が推進されるなどの効果があるということはわかりました。
しかし、一方で、電子カルテシステムはまだまだ発展途上にある段階で、さまざまな課題があるやにも聞いています。
そこで率直に伺いますが、電子カルテシステムが抱える課題にはどのようなものがあると都は認識しているのか、お伺いをいたします。
○都留サービス推進部長 電子カルテシステムの課題といたしましては、例えばソフト面では、蓄積されるデータの増加に伴いまして、画面展開が遅くなってきているということがございます。また、医療の安全性の向上や業務の効率化を図るさまざまな機能を付加いたしましたために、操作を習得するのに時間を要するという、そういうような課題もございます。
また、ハード面といたしましては、フィルムレスの推進に効果がありましたが、新たに、より精密で鮮明な画面を表示するモニター画面の整備が必要となるなど、機器整備の経費が増加傾向にあることなどが挙げられます。
○山口委員 電子カルテシステムは、まだまだソフト面、ハード面ともに課題があるということを今鮮明にしていただいたわけなんですが、つい先日も、鉄道会社の自動改札機のトラブルなど、大規模な情報システムに関する事故というものが起こっているわけであります。
こうしたトラブルというのは、都民生活に大きな影響を及ぼして、企業活動にも深刻なダメージを与えます。都立病院の電子カルテシステムは、患者さんの氏名や病状など個人情報が網羅をされておりまして、その情報のセキュリティーは何よりも重要と考えます。
こういったことも踏まえて、都では電子カルテシステムの情報セキュリティーについてどのような対策を行っているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○都留サービス推進部長 電子カルテの情報セキュリティーに関する取り組みといたしましては、まず、インターネットなどの外部ネットワークに接続をせずに閉じられた専用回線とするなど、外部からの侵入を防いでおります。また、システムダウンが起きないように、処理装置やネットワーク機器を二重化いたしております。さらに、電子カルテシステム上の情報が消滅することがないように、毎日、情報を別の媒体に保存していること、また、限定された職員以外が利用できない仕組みとするなど、さまざまな対策を講じております。
○山口委員 具体的にどこで管理をしているのかとか、どういった仕組みなのかとかということを聞くと、またそれはセキュリティー上に問題があるのでしょうから、具体的にお伺いはいたしませんが、今、せっかくですので、このシステムでも十分安心だということでよろしいのでしょうか、確認をしたいと思います。
○都留サービス推進部長 先ほどもお話しいたしましたとおり、さまざまな対策を講じております。今後もセキュリティーに万全を期してまいりたいと考えております。
○山口委員 私も含めて、大変安心をされることだろうと思います。
ところで、先日、ある都民の方から都立病院についてのお話を伺う機会がございました。そのときのお話の中で、都立病院に電子カルテが入ったのはいいが、お医者さんが電子カルテの画面を必死に見ていて、なかなか患者さんの顔を見てくれないという感想をお持ちだということを漏らしておられました。電子カルテの操作に一生懸命になる余り、患者さんへの心配りが十分でなくなってしまうお医者さんはまさかいないとは思いますが、このようなお話が出る原因として、操作が不得意だったり、なかなか難しいということがあるのではないかと考えられます。
そこで、電子カルテシステムの操作に当たって、お医者さんだとか看護婦さんに対してどのような対策を講じているのか、お伺いいたしたいと思います。
○都留サービス推進部長 医師や看護師につきまして、採用時にあわせまして電子カルテの操作研修を実施しております。昨年度でもほぼ毎月実施しております。また、電子カルテの操作に当たりましては、診療科ごとにテンプレート、これはひな形と申しますけれども、テンプレートをつくりまして簡単に入力できるような、そういう工夫をいたしております。
さらに、導入済みの各病院におきましては、操作などの問い合わせやトラブルに二十四時間対応できますヘルプデスク要員を配置いたしまして、医療従事者の負担軽減に努めております。
○山口委員 こういった技術は日進月歩でございますが、ぜひ電子カルテの簡素化、簡便化とか効率化も進めていただいて、患者さんとのコミュニケーションも十分大事にしていただいて、充実を図っていただきたいと思います。
さて、先ほどもお伺いをいたしました精神医療センターの整備を初めとして、現在、PFI手法を用いた都立病院の再編整備が進められております。こうした新病院では、整備にあわせて救急などの個別のシステムの導入も検討されていると聞いており、今後、電子カルテシステムとの整合性といった新たな課題も発生をしてくると思いますが、これまでの質疑でも明らかなように、電子カルテシステムはまだまだ発展途上の段階でありまして、さまざまな課題がありますが、こうした課題について都立病院として今後どのように取り組んでいくおつもりか、お伺いをいたしたいと思います。
○都留サービス推進部長 電子カルテシステムにつきましては、まず府中病院から開発導入を進めまして、結果を検証しながら、順次、他の病院へと展開を図ってまいりました。引き続き、病院での利用実態を踏まえつつ、操作性の向上、医療環境の変化に対応した機能のアップなどシステムの改善に取り組んでまいります。
また、都立病院の再編整備に当たりましては、電子カルテシステムと新病院の個別のシステムとの整合性を図りまして、医療機能の向上に努めてまいります。
○山口委員 電子カルテシステムの導入は、患者さんへのサービス向上にも向けた取り組みであるということを常に意識していただきながら、今後とも積極的な取り組みが進むように期待をいたしまして、質問を終わります。
○鈴木委員長 山口委員の質問が終わったところで、十分間休憩をさせていただきます。
午後二時五十三分休憩
午後三時三分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
○橘委員 平成十八年度決算に関連して何点かお伺いします。
十八年度の事業実績を見ますと、全都立病院でのクレジットカードの決済方法導入による患者サービスの拡充、薬品や診療材料などの一括購入の一部試行によるコスト削減、災害発生時に使用する医療器材の整備など意欲的な取り組みが見られ、まずこの点については評価しておきたいと思います。
その上で具体的な項目について質問いたしますが、病院会計決算説明資料八ページから一一ページの記載によれば、都立病院全体の平成十八年度の診療実績は、入院患者数が約二十一万一千人の減、外来患者数が約三十一万四千人の減と、ともに前年度実績に比べて減少しております。
これは、荏原病院の財団法人東京都保健医療公社への運営移管と、松沢病院の長期入院患者の社会復帰促進等によるものであると説明されておりますけれども、都立の普通病院七、小児病院二、精神科病院二の計十一病院の多くが、入院、外来とも患者数が十七年度に比べて減少しているのは、診療休止や病棟閉鎖などの他の要因もあったのではないかと考えられます。この分析についてまずお伺いします。
○黒田参事 入院、外来患者数を病院ごとに個別に見ますと、お話のございました荏原病院や松沢病院のほかに、幾つかの病院で患者数の減少が見られます。
特に豊島病院におきましては、産婦人科医師の欠員によりまして分娩及び手術が休止となっておりまして、その影響で患者数の減少が大きくなっているところでございます。
○橘委員 今、豊島病院においては産婦人科医師の欠員の影響があったという要因を挙げられましたけれども、豊島病院の患者実績を見ますと、平成十八年度決算説明資料八ページと一〇ページによれば、前年度対比で、入院患者が一万五千七百二十六人の減少、外来患者が二万三千五百六十五人の減少となっております。
他の都立普通病院に比べますと、患者実績の減少幅が極めて際立っているように思います。このほかにも要因があったのではないかと思われますが、どうでしょうか。
○黒田参事 豊島病院におきましては、産婦人科と同様に、整形外科におきましても、平成十九年一月より常勤医師の欠員が生じたことなどによりまして患者数が減少いたしました。
豊島病院の入院患者数減少につきましては、先ほどの産婦人科の影響が最も大きく、減少数全体の五一%を占めております。続きましてこの整形外科が大きく、二三%を占めております。また、外来患者数につきましても同様の傾向にございます。
○橘委員 ただいまの答弁にもありましたように、医師の欠員の影響というのが診療実績に大きく影響するということ、これは豊島病院の例が如実に示していると思います。このことは、豊島病院に対する都民の期待に十分こたえられないという事態でもありますので、豊島病院に限らず都立病院全体ですけれども、十分に期待にこたえられない、そういった事態でもありますので、常に心していかなければならない課題であると思います。
もちろん、豊島病院としても医師確保に手をこまねいていたわけではなく、改善努力を進めてきたと聞いておりますけれども、その結果としての現状の体制はどのようになっているのか、これを伺います。
○黒田参事 豊島病院の産婦人科につきましては、平成十九年の一月に、部長級で医師一名を採用いたしまして、この四月からは婦人科の外来や手術も再開しておるところでございます。整形外科につきましては、平成十九年七月に、部長級を含めまして常勤の医師三名を採用いたしました。入院、外来患者数とも着実に実績を伸ばしつつあります。
今後とも、引き続き医師の確保に努めてまいります。
○橘委員 産婦人科の医師一名、特に産婦人科ですけれども、一名採用したと。これは確かに、本当に努力の結果だと思います。この医師不足の時期に医師一人を確保したということは、本当に大変なことだったと思います。
ただし、産婦人科というのは、特に分娩関係ではチーム医療が中心になっているとお聞きしましたので、この辺、やはり地元の出産を控えた方からは、いつ再開できるのかと、そういった要望も強くありますので、引き続き確保をお願いしたいと思います。
この医師確保の厳しさは豊島病院に限ったことではありませんが、保健医療公社に運営移管するとしている豊島病院の状況を考えれば、医師確保には十分力を注いでいただきたいと思います。特に都民の要望の強い産科の分娩及び手術の体制強化は少子化にもかかわる問題でもありますので、豊島病院、他の病院においても産科の医師確保に一層の努力を要望しておきます。
他の診療科におきましても、都立病院としての医師確保を着実に行っていくことは、都民への医療サービスの低下を招かないためにも喫緊の課題であります。そこで、医師確保のために病院経営本部が取り組む今後の具体的な方策について伺います。
○及川経営企画部長 医師の確保についてでございますが、ご指摘のとおり、全国的に特定の診療科の医師が不足をしておりまして、そういった中で、都立病院におきましても、その確保はまさに喫緊の課題だというふうに認識をしております。
このため、当本部では、現場の病院とも協力をいたしまして、大学医局への医師派遣の働きかけを行いますとともに、ホームページや雑誌への医師募集広告の掲載など、さまざまな手段を講じて常勤医師の確保に努めております。
しかしながら、医師の採用環境は極めて厳しさを増しているといったような状況にございます。このため、来年度、東京医師アカデミーを開講いたしまして、若手医師の計画的な育成と確保に取り組んでいくこととしております。また、医療の中核を担います優秀な中堅医師の確保と定着を図るために、勤務条件の改善や院内保育室の保育時間の延長等、福利厚生の充実などの医師確保対策も積極的に進めてまいりたいと考えております。
こうした総合的な対策を講じることによりまして、今後とも医師の確保に努めてまいります。
○橘委員 今答弁がございましたけれども、医師アカデミーというのは、独自の確保策として非常にやはり期待をされていると思います。これは大いに軌道に乗りますように期待しておりますので、よろしくお願いします。
次に、豊島病院の保健医療公社への移管方針に関して何点か質問いたします。
都立病院の公社への移管については、十八年度の荏原病院を含めてこれまで三つの病院の移管に取り組んでおりますけれども、公社に移管した病院は、基本的にその医療機能を引き継ぎつつも、地域のニーズに沿った取り組みを心がけてきたと承知しております。
公社化といいますと、とかく経営主体が東京都でなくなることに対して懸念の声があるのも事実であり、移管の目的をきちんと確認することから出発すべきであります。そこで、なぜ都立病院を公社化するのか、改めてその意義を伺います。
○黒田参事 都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられました行政的医療を適切に都民の皆様に提供する役割を担っております。一方、公社病院は、地域の実情に応じまして、都民の皆さんが身近な地域で適切な医療が受けられるような、効率的な地域医療システムを推進することを目的としております。
厳しい医療環境の中で、都立病院と公社病院がそれぞれの役割分担を踏まえまして密接に連携することを図ることによりまして、限りある資源を有効に活用し、都民に対する医療サービスの向上を目指していく必要があると考えております。
このような背景のもと、地元区の患者さんの比率が半数を超え、また、他の医療機関からの紹介率も六割に達するなど、地域に密着した運営を展開しておりますこの豊島病院を公社化することは、極めて意義のあることだと認識しております。
○橘委員 ただいまの説明で、地域の医療機関からの紹介率が高く、地元患者比率が高い豊島病院が公社化を目指すことにつながった背景は理解できますけれども、より重要なことは、患者さんにとって、公社に移管されて具体的に医療サービスがどのようによくなるのか、その点がきちんと説明がなされ、納得してもらうことが大事であると思います。
そこで、既に公社に移管した三病院における医療サービスの具体的な変化について伺います。
○黒田参事 既に公社移管した三病院でございますが、新たに取り組んだ医療サービスとしましては、まず大久保病院でございますが、多様化する医療ニーズに対応するために、平成十六年七月から女性専用外来を開設いたしました。また、平成十七年一月にはメタボリックシンドロームの週末短期入院を開始したところでございます。
次に、多摩北部医療センターにおきましては、地域の小児医療体制の確保を図る観点から、平成十七年四月に小児科を新たに設置いたしました。平成十七年六月からは、小児の二次救急医療も開始したところでございます。
荏原病院におきましては、公社化に当たりまして集学的がん医療、これは、がんに関してさまざまな専門家が協力して治療を進めることでございますが、集学的がん医療に取り組む、また脳血管疾患医療、こういったものを重点医療として掲げております。平成十八年四月より、リニアック、これはいわゆる放射線の治療装置でございますが、これを導入いたしまして、がんの放射線治療を開始したところでございます。さらには、総合脳卒中医療センターの充実を図っているところでございます。
○橘委員 今、公社化した病院のさまざまな取り組みのご紹介がありましたけれども、つまり、今までの都立病院が、公社化によって独自性を発揮して、そしてまた弾力的な病院経営がやりやすくなったと。その結果、医療サービスも充実することができるようになったというふうに理解してよろしいでしょうか。
○黒田参事 公社病院は、地域医療の中核を担うという役割を果たすとともに、先ほどご答弁申し上げましたとおり、それぞれの地域ニーズを踏まえました特色ある医療を行っております。
その点で公社病院は、ただいまご指摘がございましたように、公社ならではの経営上の弾力性を生かしまして、地域の皆様の期待にこたえまして多様な医療サービスの提供を行えるものと考えております。
○橘委員 よくわかりました。
公社移管に関しては、その特性から、地元自治体や地域の医療関係者など地元の意見を十分尊重することが必要であると思います。公社移管に向けた今後の段取りについて伺います。
○黒田参事 平成十九年三月に、病院経営本部の中に公社化検討委員会を設けまして、移管後に担うべき医療機能等につきまして検討を開始いたしました。
また、この十月に入りまして、地域のニーズを踏まえながら具体的に検討を行うために、豊島病院の中に運営協議会準備会というものを設けました。地域の自治体や医師会の代表者の方などによります検討を開始したところでございます。また、この準備会には地元の町会の代表者にも入っていただいておりまして、広く地域の意見を聞けるように配慮した取り組みを行っているところでございます。
○橘委員 豊島病院は、私の地元であります板橋区にございますので、この協議会の関係者にも、たびたび意見交換する機会がございます。大変大きな期待を持っている一方、まだどうなるのだろうという不安もやっぱりあります。そういった意味で、地域の声を十分に尊重して、信頼、期待にこたえられるように対応していただきたいということを強く期待しております。
次に、都立病院の患者の未収金について伺います。
マスコミ報道によりますと、医療機関、とりわけ公立病院の患者の未収金は、この数年増加傾向にあるとのことであります。都立病院も例外ではなく、東京都監査委員による十八年度病院会計決算審査意見書でも、各病院は不納欠損処分にかかわる事務処理を適切に行われたいと指摘しております。
そこでまず、十八年度の都立病院における患者の未収金の総額と未収になった理由について伺います。
○都留サービス推進部長 都立病院におけます平成十八年度の個人未収金の総額でございますが、約九億二千七百万円となっております。
その主な理由でございますが、生活保護を受給するには至らないまでも経済的に困窮されている方、転居して居場所が不明な方、また、本国に帰国してしまって音信不通な外国人、あるいは患者さんご自身がお亡くなりになり、そのご遺族が相続を放棄してしまい支払いを拒否されたケース、また、支払い能力があるにもかかわらず支払いを拒否されているケースなどが挙げられます。
○橘委員 支払い能力がありながら支払いを拒否するというのは、これは悪質なケースだと思いますけれども、診療を受けた人が、そのサービスの対価として個人負担金を支払わなければならないことはいうまでもありませんが、一方では、ただいまの答弁にもありましたように、都立病院を受診する患者さんの中には、経済的な理由から医療費の支払いが支払いたくても困難な、そういう方もおられます。公的医療機関である都立病院には、経済的に困窮している患者さんに対し、きめ細かな対応が求められていると考えます。
そこで、都立病院はこうした患者に対し具体的にどのような対応をしているのか伺います。
○都留サービス推進部長 各都立病院におきましては、医療相談員が中心となりまして、日常的に患者さんと接しております看護師などの医療スタッフと連携を図りながら、医療費の支払いが困難な方の早期把握に努めますとともに、個別にご相談に応じております。
具体的には、高額療養費や出産一時金の現物給付制度などについての情報提供、医療費助成制度や生活保護制度などについて個別にご説明した上で、該当する場合には申請の窓口をご案内するなどの対応を行っております。また、制度に該当しないなどやむを得ない場合の措置といたしまして、一時的に支払いが困難な方には支払い期限の延長の措置を、一括での支払いが困難な方には分割納付方法をご案内して対応しております。
○橘委員 特に経済的に困窮している患者さんに対しては、一人一人の状況に応じた丁寧な対応を引き続き行われるように要望しておきます。
中には、対応の仕方が少し雑であったり、そういうことによって、どう対応したらいいかわからないといったケースも私は耳にしたことがございますので、これは丁寧に対応していただくように要望しまして、質問を終わります。
○たぞえ委員 決算年度の二〇〇六年八月に、精神医療センターの再編整備について、施設の再編整備案が発表されました。この計画に当たって、府中病院と小児総合医療センター、駒込病院に続いて、PFI手法の導入を目指すことが示されたわけです。その後、ことし四月になって、直営に比べ、PFIの導入を行った場合には四・六%程度財政負担が縮減できるとしてPFIの導入が決定されたわけです。
しかし、全国的に初めて導入された高知医療センターでは、次々問題が生じております。我が党は、昨年の一月に高知に行って調査を行いました。問題点を指摘してまいりましたが、その後一年たっても、行き詰まりは一層はっきりしてきたところです。
病院へのPFI導入は、政府の審議会でオリックス会長の宮内義彦氏が率先して推進して、全国初の高知医療センターPFI特定目的会社の中核におさまったのがオリックスでした。
高知で大きな問題になっているのは、PFIで一番重視されている財政縮減効果が発揮されていないということであります。民間手法の導入によって材料の購入費を大幅に削減できるということでPFIが導入されましたが、実際には見込みを大きく上回っている。医療事務の請求ミスや請求漏れも多発しました。
その結果、高知医療センターでは、オープンした初年度の二〇〇五年度が十七億五千万円の純損失、すなわち赤字が出て、二〇〇六年度は二十二億円近い赤字で、純損失は増加傾向にあります。
そこで伺いますが、全国で初めての、病院にPFIを導入した高知医療センターが二年続けて赤字になっている現状をどう考えていますでしょうか。
○黒田参事 先行事例といたしまして、高知のPFI事業は参考にはしておりますが、その結果については評価する立場にないと考えております。
○たぞえ委員 特定目的会社が契約時に示した材料購入費が見込みを大きく上回って病院経営が赤字になっている一方で、特定目的会社自身は、初年度だけで一億六千万円の黒字を計上していることが昨今明らかになりました。さらに大きな問題になっている事態です。民間企業の利益だけはしっかり確保されている。
ところが、この問題に踏み込もうとすると、企業秘密ということでなかなかはっきりしません。契約書には情報の提供と明記されていますけれども、PFIの特定目的会社の経営実態がわからないことが、さらに問題になっているわけです。
また、特定目的会社の構成企業から他の企業への業務の下請、孫請がなされ、中間マージンもふえて、現場の労働者は賃金が減らされ、雇用の定着率が悪く、サービス向上になっていない、こういう指摘がされています。
特定目的会社の経営実態がわからないとか、下請、孫請で中間マージンがかさんでいるようなこういう現状についてはどう考えていますか。
○黒田参事 他の自治体が実施しておりますPFIにつきましては、経営の状態等の詳細につきましては承知しておりませんが、都のPFIにおきましては、特別目的会社の協力企業については企業名を登録させております。登録されている企業がさらにどこの企業と協力、提携等をするかということにつきましては、当該協力企業の裁量によるものと考えております。
○たぞえ委員 それでは、高知医療センターの贈収賄事件についてはどう把握をされていますか。
○黒田参事 当該事件につきましては、新聞報道等により承知しております。
○たぞえ委員 高知医療センターの初代院長で、PFI導入の旗振りをした瀬戸山前院長が、PFIの中核企業、オリックスグループの関係者から二百五十万円相当の家電製品や高級家具などを受け取っていたとして逮捕、起訴されました。
地元高知新聞は、PFI汚職と題する連載を、この十月三日から七回にわたって掲載をしています。十月十七日付の東京新聞は、「PFIの場合、発注権者である官と受注者である民間企業の垣根が低くなり、両者の境界があいまいとなり、癒着が生じやすくなる」との高知市の元職員のコメントも紹介しています。
今まで述べてきた高知の先行事例を重く受けとめるべきだと思います。高知では、この二年余りにわたってPFIに伴う問題が次々出てきて、本当に深刻な議論が行われています。これから何年この医療センターがもつのか不安に感じる、こういう発言が高知県では各会派から出ているわけです。それに加えて、贈収賄事件で初代院長の逮捕、起訴という事態です。
先ほどの十月十七日付の東京新聞は、PFI方式で開業した全国初の公立病院、高知医療センターは、構造改革による医療分野の規制緩和の目玉となるはずだったけれども、病院関係者から、早くも失敗だったと、こういう声が上がっていると報道されています。
こういう中で、東京都は、府中病院と小児総合医療センター、駒込病院、松沢病院と、次々に同時多発的にPFI導入を進めようとしています。都立病院のPFI導入計画は、私は抜本的に再検討するべきだと思います。少なくとも、松沢病院の入札はまだこれからでありますし、今立ちどまり、引き返すことができるときです。長い歴史である大規模な精神科病院で、人権への配慮など特別の難しい状況もありますが、松沢病院のPFI導入を改めて中止するように求めておきたいと思います。
次に、松沢病院の再編整備計画について関連して伺います。
松沢病院は精神科専門病院でありますので、内科の役割は、精神疾患に伴う内科患者の診療が中心です。精神科疾患でない方にも、紹介状があれば診療しています。内科診療は、ことしの四月の時点で四名の常勤医が体制をとって、こうしていざというときの体制に対応しているわけです。
今回のセンター整備案によりますと、専門性の高い急性期の精神疾患に対応する、このようにいっていますが、現在のこの紹介状に伴う対応、整備後、内科診療は継続していくべきだと思いますが、どういう見解でしょうか。
○黒田参事 昨年十月に策定いたしました精神医療センター(松沢病院)の整備についてでは、精神科身体合併症医療もセンター的な医療として位置づけておりまして、身体疾患を併発している精神疾患患者に対しまして、身体的、精神面をあわせた適切な医療を引き続き提供してまいります。
○たぞえ委員 私も、この松沢病院の再編整備に関する説明会に参加をいたしました。地域を担った医療機関としてもっと充実してほしい、災害時の東西道路を整備してほしい、建物の高さや施設の規模についてもたくさんの住民から声が出されて、本当にこの病院が地域の皆さんと一体化した施設だなということを改めて痛感しました。ぜひこの声に真摯に対応していただきたいと思います。
整備方針では、医療観察法に基づく病棟を建設するということが発表されましたが、医療観察法に基づくというのはどういう病棟なのでしょうか。
○黒田参事 平成十五年七月に制定されました、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、いわゆる医療観察法に基づきまして、対象者に継続的に適切な医療を提供し、観察及び指導を行うことにより、病状の改善と同様の行為の再発の防止を図り、その社会復帰を促進することを目的として設置する施設であります。
○たぞえ委員 この病棟整備計画に対して、地域の方からも、たくさん声がその場で寄せられました。街区道路を隔てて数メートルしかないこの建物の配置の説明がなかったと。自分の家から、その施設、病棟が丸見え。また病棟からも見られる。余りにも隣接し過ぎるのではないか、そのように今度の説明会でも住民は大変驚いています。
敷地内での高さの限度は四十五メートルとなっていますが、事業者の提案をまつまでもなく、実施者は東京都であるわけですから、病棟施設の配置については一般住宅に隣接しないよう配慮してほしいという、その声を尊重するべきだと思いますが、どのような見解か伺います。
○黒田参事 関係機関と協議するとともに、地域住民のご理解をいただきながら適切に進めてまいります。
○たぞえ委員 その適切が、当初の計画どおりの適切ということではないようにというのが住民の熱い思いです。ぜひそういう点では十分な検討をしていただきたい。
そして同時に、世田谷区は独自に--この大きな松沢病院の施設、正門、東門という門がありますが、この門以外は東西の通行ができない病院です。いざというときに東側から西側に抜けられる、そういう生活の通路を整備してほしいという声も寄せられました。
この病院の施設の中に将軍池というものがあります。東京都は一部開放するというふうにいっておりますが、開放するといっても、中を通る道が認められないということになりますと、この池には行けないわけです。ぜひ今度の整備計画の中で東西の通行ができるように配慮する必要があると思いますが、これについても考えを伺っておきたいと思います。
○黒田参事 将軍池の一時開放や、その際の通行の仕方を含む実施の方法につきましては、関係機関と協議しながら適切に対応してまいります。
○たぞえ委員 当初の計画どおりの適切な方向ではなく、住民の意向もよく取り入れた検討をしていただきたいと思います。
最後に、都立病院の経営形態のあり方の検討について伺います。
二〇〇一年十二月の都立病院改革マスタープランに基づいて母子保健院が廃止され、大久保病院、多摩老人医療センター、荏原病院が公社移管されました。今後さらに、豊島病院の公社移管、清瀬、八王子小児病院と梅ヶ丘病院の統合予定がされています。
それでもマスタープランでは、二つの広域基幹病院と六つのセンター機能的病院の、少なくとも八つの都立病院は直営で存続をさせると、これまで述べてきました。ところが、二〇〇六年七月に発表された東京都行財政改革実行プログラムでは、都立病院については、地方独立行政法人などを視野に入れて、新たな経営形態のあり方を検討するとの方針が出されました。
これを受けて、今、二〇〇六年度末に都立病院経営委員会が設置され、検討が進められています。都立病院経営委員会は十一月一日が最終回で報告書を出すとしておりますけれども、報告書を受けた後、東京都としての行政改革は、いつどういう形で具体化されるのか、お示しください。
○黒田参事 行財政改革実行プログラムでは、平成十九年度に第二次都立病院改革実行プログラムを策定することとしております。
○たぞえ委員 東京都はいつ発表するんですか。
○黒田参事 計画におきましては、平成十九年度に発表するということでございます。
○たぞえ委員 松沢病院の再編整備に伴い計画されている、先ほど伺った医療観察法に基づく病棟ですが、現行法のもとで非公務員型の独立行政法人は運営できるのでしょうか。
○黒田参事 現行法上は、医療観察法に基づく病棟は、非公務員型の地方独立行政法人が運営することはできないこととなっております。
○たぞえ委員 国立大学附属病院や、また国立病院は独立行政法人化されて、毎年、経営効率を進めるとの名目で、国から交付金が削減されています。このため、医療の質の低下が現実の問題になっていて、何のための独法化かとの疑問の声も出ているほどです。
今、診療報酬の大幅削減や深刻な医師の不足、看護師不足、医療をめぐる環境は、年を追うごとに厳しくなっています。都立病院が本来の役割を発揮するためには、都立直営を堅持して都の役割を拡充強化することこそ私は求められていると、このことを申し上げて、終わります。
○原田委員 患者中心の医療を実現するためには、医療従事者が質の高い医療を提供するとともに、患者サービス向上のため、医療従事者のみならず、院内の多様な立場の人々が役割分担を明確にして連携していくことが不可欠と考えます。加えて、医療現場においては、入院、通院している患者さんが病院内で安全かつ快適に過ごせるようなさまざまな工夫を行うことが求められています。そこで、患者の視点に立った満足度の高いサービスを提供していくための取り組みについて、幾つかの観点からお聞きします。
まず、都立病院の栄養部門についてお聞きします。
病気の治療は、手術を初めとするさまざまな処置、投薬ばかりでなく、食事から摂取する栄養素が回復を早めていくと考えます。都立病院には、術後の患者や褥瘡の患者の栄養管理を適切に行うため、栄養サポートチームという組織があると聞いていますが、平成十八年度における設置状況、チームの構成員及び活動内容についてお伺いします。
○都留サービス推進部長 平成十八年度におきましては、広尾、大塚、駒込、豊島、墨東、府中、清瀬小児の七病院に栄養サポートチームを設置しております。栄養サポートチームは、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士などの専門スタッフで構成しております。
その活動内容でございますが、食欲不振あるいは嚥下障害などで食事がうまくとれないなど、栄養管理が必要とされている患者をチームで回診いたしまして、栄養状態の改善のための支援を行うほか、感染の対策、褥瘡、床ずれのケアなどを実施いたします。患者の療養生活の改善や病状の回復に大きな効果がございます。
○原田委員 大変重要な取り組みだと思っております。引き続き頑張ってください。
次に、病院給食の安全性の確保についてお伺いします。
このことは、今後、民間委託というところをかんがみて、「病院管理の手引」というのを見させていただきましたが、委託の範囲を示す項目の中で食材の調達という項目があったので、ちょっと心配なのでお伺いします。
食材納入の安全の確保のための基準はどのようなものであり、基準を守るため、どのようなチェックを行うか伺います。
○都留サービス推進部長 調理部門を委託しております都立病院におきましても、献立作成や食材のチェックなどの業務は、栄養科の職員が直接行っております。
衛生的に管理された良質な材料を確保するため、給食材料の納入契約に当たりましては、仕様書の中に使用食材料品質基準を定め、食材の生産地、品質、分量、成分等を具体的に指示しております。納品に当たりましても、調達された食品がこの基準に適合しているか否か、都の職員が随時、品質、分量、衛生面などの検査を行っております。
○原田委員 確かに、この基準の表現はかなり細かな規定があるというので評価するわけなんですけれども、私どもは、子どもの学校給食の食材の基準というところでよくこだわっているのは、遺伝子組みかえ食品を使わないとか、輸入食品などは子どもの給食には入れないでほしいとか、そういうあたりで本当に頑張っているようなところがあるわけです。今、輸入食品というのは、大変いろいろ新聞紙上をにぎわせていまして、まだまだ安全の確保には遠いような感じもします。
食材の安全は、何よりも優先に考えなくてはならない要素であり、特に敏感な立場にある患者さんの回復に大きな影響を与える部分と考えます。食材の配慮は今もやっていらっしゃるでしょうけれども、今まで以上に、そのような視点も加えて考えていただきたいと要望しておきます。
次に、食事療法のためのホームページの掲載についてお伺いします。
病院経営本部は、ホームページ上に食事療養のコーナーを設け、調理や食材選びのポイント、献立などを掲載しています。これはことしからスタートしたということで、いろんな要望があってこの取り組みをしているということで評価します。こうした取り組みは、病院や施設から在宅に移った患者さんや家族にとっても、いいアドバイスになるだろうと考えております。
ただ、内容を見ると、専門家の記述のため、一般都民にはちょっとわかりにくいかなという感想があります。より多くの都民に利用してもらえるように、食事療法のページをもっとわかりやすい形に改良していくべきと考えるが、いかがでしょうか。
○都留サービス推進部長 病院経営本部の食事療養のホームページでは、患者さんを初め、広く都民の方々の食事療法の参考となりますよう、糖尿病や高血圧症などの症状に応じた食事のとり方、食品の選び方、献立例などを紹介しております。
平成十八年度におけますこのホームページへのアクセス件数は約三十九万件でございまして、多くの都民の方々に利用いただいております。今後とも、より利用しやすいものになるよう工夫を行ってまいります。
○原田委員 三十九万件のアクセスがあったということは、本当に多くの人がこの情報を求めているという証拠であると思います。
ここにピンクリボンキャンペーンのホームページからコピーしたものがあるんですけれども、とても明るい画面で、この画面の中に、実施しよう乳がん予防レシピというのがあって、そこをクリックすると、またおいしそうな献立の画面が出てくるわけです。こういうような工夫一つで、次に行こう、次に行こうと、こういろいろ、気持ちが先へ先へと情報をとるということもあって、例えば、実践しようメタボ予防レシピみたいに、一般の都民の人が楽しく実践できるような紹介をしたら、すごく楽しいと思います。
例えば、ご飯を何グラムとか、青い野菜を何グラムというような計量を、重さとか量を載せるのではなくて、例えばこのぐらいのホウレンソウとか、お茶わん一杯の何とかみたいな、そういうような、一々計算しなくても、ああ、そのぐらいかとわかるような画面も便利だと思います。
三十九万件のアクセスは、多分にいろんな、同じような病院関係の人とか業者の方とか、そんな方もいらっしゃると思います。そしてまた、一般の都民のために、栄養士さんの専門的な情報をぜひかみ砕いて、だれでも、お年寄りや子どもや男性もやりたくなるような工夫をぜひお願いいたします。
それでは次に、医療安全対策についてお聞きします。
東京都は、専任リスクマネジャーを配置し、安全管理体制の整備や医療事故予防マニュアルの作成など、医療安全対策に継続的に取り組んでいると聞いています。平成十八年度の取り組みについてお伺いします。
○都留サービス推進部長 病院経営本部におきましては、これまでも、医療安全対策推進委員会の設置、医療事故予防対策マニュアルの作成、また各病院への専任リスクマネジャーの配置などに取り組んでまいりました。
十八年度は、これまでに作成いたしました九種類の医療事故予防マニュアルを、職員がいつでも持ち歩いて読めるように、新書サイズのダイジェスト版として一冊にまとめ、研修医を含む医療関係職員全員に配布いたしました。
また、毎年二月を医療事故防止対策推進月間と定め、重点的な取り組みを行っております。十八年度におきましては、マニュアルの再確認を共通テーマといたしまして、全都立病院を挙げて取り組みました。
今後とも、安全で安心できる医療サービスを提供し、都民の信頼にこたえる努力を行ってまいります。
○原田委員 このリスクマネジメントというようなものは、本当にいろんな場面で今いわれています。ヒヤリ・ハットの実例をみんなで挙げて、そのリスクをどういうふうにカバーしていくかというような、そういうような課題の取り組みは大変大事だと思います。いろいろ、このようなリスクマネジャー配置によって問題が浮き彫りにされ、その工夫がさまざまなところで見られていることは大変評価するものです。完璧はあり得ませんので、しかし、職場の連携でミスを最小限にする努力は大変必要だと思います。よろしくお願いします。
次に、ボランティアの受け入れについてお聞かせください。
都立病院ではさまざまなボランティアの受け入れを行っており、不安な気持ちで病院を訪れる外来患者や入院生活を余儀なくされている入院患者にとって大変好評であります。いろんなボランティアの方々が活躍していると思いますけれども、院内で活動しているボランティアの活動範囲、そしてまた病院との連携についてお伺いします。
○都留サービス推進部長 すべての都立病院でボランティアを受け入れております。ボランティアには、個人のほか、大学やボランティア団体などさまざまな方々が登録していただいております。
その活動は、外来患者の案内などの受診サポート、入院患者の話し相手などの日常生活の援助、院内でのコンサート、クリスマスのキャンドルサービスなど多岐にわたっております。
今後も、ボランティアを受け入れるため、病院のホームページなどで募集を行い、連携体制の維持向上に努めてまいります。
〔発言する者あり〕
○原田委員 一般的になっているクリスマスというのも、今、お声がかかりましたけれども、一般的に皆さんが楽しんでいる行事ということで、それは私はいいかなと考えております。楽しいイベントをいろいろ企画して、さらなる広がりを期待したいと思います。
次に、患者、家族へのサポートについてお聞かせください。
患者は、病気そのものへの不安とともに、ふなれな療養生活の心配など、さまざまな不安や迷いを抱えていることが多いようです。こうした患者の気持ちを受けとめ、不安を和らげるための取り組みに対するニーズも高まっています。
その一つとして、患者の意向を聞き、医師の判断と家族の意向が食い違うときなどに仲介役を行う医療決断サポーター、医療メディエーターという存在が今注目されています。弱い立場の患者さんが気持ちよく病気と向き合うためにも、このような仕組みが必要と考えますが、見解をお伺いします。
○都留サービス推進部長 病院経営本部におきましては、患者あるいは家族からの相談、意見、要望などにつきまして迅速かつ適切に対応するため、平成十五年四月から、患者の声相談窓口を各都立病院に設置いたしております。
また、このほかにも、医療ソーシャルワーカーによる入院患者の経済面の相談や退院の援助、心理士による患者ご本人やご家族の心理的なサポート、看護師による在宅療養相談などを行っております。
今後も、病院職員が患者の立場や気持ちを理解しながら職務に当たるよう努力してまいります。
○原田委員 本当に大事な仕事なんですけれども、実はこれが、お医者さんや、また看護師さんの負担を重くしているという側面もあるとは思いますけれども、もう少しこういうような課題にしっかり取り組むためには、スタッフの充実ということがまず底辺にあるかとは思います。患者の立場に立ってさまざまな苦情に対応する患者の声相談窓口を設置して、そこで対応しているということですが、ぜひここのあたりの充実に取り組んでいただきたいと思います。
それでは、各論ですが、駒込病院に関して少しお伺いします。
患者医療情報・相談室についてですが、患者中心の医療を進めていく上で、こうした施設の設置は極めて有益なものと考えていますが、一方では、多くの人が利用しやすい環境を整えていくということも大変重要だと思います。
そこでまず、この駒込病院、平成十八年度における利用実数、相談実績についてお伺いします。
○都留サービス推進部長 駒込病院の患者医療情報・相談室、愛称「こまどり」と申しますけれども、そこにおけます十八年度の利用者は四千六百二十九人でございます。
内容は、図書の閲覧やパソコンによる情報収集、パンフレットの入手などとなっております。
なお、年間の実相談数は四百五十四人でございます。主にがんの症状や治療、検査のご相談を受けております。
○原田委員 多くの方が利用されているようで安心いたしましたけれども、この駒込の相談室というのは、病院の本館と渡り廊下で結ばれているとはいえ、病棟とは離れた場所にあるということで、重症の入院患者には利用しにくいというような声が上がっております。そのような重症の入院患者さんへの対応についてお伺いします。
○都留サービス推進部長 患者ご本人が、先ほどの「こまどり」にいらっしゃれない場合には、職員が病棟に出向いて必要な情報をお届けしたり、ご家族のご相談をお受けするという、そのような対応を行っております。
○原田委員 今お聞きした患者医療情報・相談室は、患者本人がみずからの病気に関して調査したり相談するのが主な役割であると考えますが、駒込病院には、その他にもいろんな方のご意見、苦情が寄せられていると思いますが、十八年度における実績はどのようなものかお伺いします。
○都留サービス推進部長 病院に寄せられる苦情や意見は、先ほどお話しいたしました患者の声相談窓口で主に受けております。
駒込病院の十八年度の実績は六十四件、主な内容は、医師の対応へのご不満、待ち時間への苦情などでございます。
○原田委員 十八年度の決算の中でトイレの改修が上がっていますが、建物の老朽化ということもあって、このトイレのにおいについての苦情が私のところにも寄せられているわけです。改修で、建てかえまでの緩和になったと思いますけれども、そういう、もうすぐ建てかえもあるというような情報もお伝えしながら、少し我慢してほしいというようなことをいっているわけなんですけれども、もう一つ、狭いので点滴を持って入りにくいというような声もありました。
これはやはり配慮すべきことだなと思いまして、ちょっとお聞きしたら、一階に一カ所、車いすトイレを設置したというような話もございました。この車いすトイレがあるということでお伝えしましたら、ちょっと見つからなかったというようなこともあって、見つかりにくい、わかりにくいような場所にあるのかもしれません。先ほど述べた相談室への渡り廊下の場所もわからなかったという人もございますので、改修まで、案内板などで丁寧にその場所をお知らせするということをぜひ要望したいと思います。
最後に、寄せられた意見の中で、待ち時間に関する意見、苦情ということがございましたけれども、十八年度決算によると、駒込病院では一日平均千二百五十二名の大勢の患者さんが外来を受診しているようです。これだけ多くの患者さんが受診していると、たとえ予約をしても、長い待ち時間を強いられることも多い。そしてまた、地元の方は別でしょうけれども、駒込病院まで行くということは、結構--地域の病院だけでは解決できなくて駒込病院を紹介していただくというような重症の患者さんも多いと思います。
こうした待ち時間の解消は、利用者の立場から見ると、必要な、大変重要なことと考えますが、現状を調査し、待ち時間解消の対策を打つべきと考えますが、ご見解を伺います。
○都留サービス推進部長 待ち時間の対策につきましては、診療の状況に応じた柔軟な予約枠の設定、電子カルテ導入による待ち時間の短縮などに取り組んでまいりました。
また、待ち時間を少しでも快適に過ごしていただくために、すべての患者にポケットベルをお渡しし、受診時間までは院内で自由に過ごしていただくなどの取り組みも行っております。
駒込病院では、予約どおりの診療に心がけてはおりますが、がん、あるいは感染症の患者さんが多いため、一人一人の診療に予想以上の時間を要することもございます。また、予約外の患者さんや急変患者への対応で時間をとられることなどの事情によりまして、お待たせすることもございます。
待ち時間を少しでも短縮していくため、予約枠の改善、待ち時間を有効に過ごすための工夫などに引き続き取り組んでまいります。
○原田委員 どこの病院でも、待ち時間の解消というのは本当に大きな悩ましい課題だということはわかっております。ましてや駒込病院は、いろんな方が救急で入られたり、難しい患者さんがいるということも承知しております。そういう範囲も考えて、なおかつ待ち時間を少なくするような、そのことは、いろいろこれから患者さんの方へのアンケート調査等も含めて、どうしたらいいか一緒に考えられるようなこともしていかれたらどうかなと思います。
ポケットベルの文字が小さく、特に眼科の患者さんはちょっと困ったというような苦情も聞いております。大変難しい問題ですが、さまざまな患者さんへのきめ細かな配慮が、心地よく治療を受けてもらえる大きな要素だと考えております。今後とも、都立病院の社会的役割をかんがみ、多様な試み、情報を発信していただければと思います。
質問を終わります。
○佐藤委員 平成十八年度決算に関連して、私からは医療機器の購入について何点か伺います。
今回の決算において、府中病院で使用する磁気共鳴断層撮影装置、いわゆるMRIが二億三千二百五万円で契約されておりました。入札経過調書を見てみますと、一者が辞退し、結果として株式会社自治体病院共済会という医療機器の販売会社のみが入札に参加し、落札しておりました。MRIの機器のメーカーはシーメンスです。
この二億三千二百五万円という金額は、MRI本体機器の金額のみになるのでしょうか、それとも、附属する工事費やネットワーク整備費も含めた金額でしょうか、お答えください。
○都留サービス推進部長 本契約の金額は、MRI本体に加え、既設のMRI装置の撤去工事費、給排水や空調設備工事、壁の補強工事など据えつけに附帯する工事費や、他の放射線システムなどと接続するためのネットワーク整備費などを含めた金額でございます。
○佐藤委員 附属する工事費やネットワーク整備費も含めた金額ということであれば、MRI本体の金額と、附属する工事費やネットワーク整備費など個々の明細書というのは出ているものでしょうか、お答えください。
○都留サービス推進部長 契約書には明細書の添付はしておりません。
○佐藤委員 明細書がないということであれば、今後、入札において明細書をつけてもらうことが必要だと考えますが、見解を伺います。
○都留サービス推進部長 本契約につきましては、所管の財務局が所定の手続にのっとり適正に契約書を作成しております。
明細書につきましては、必要の有無も含め、所管の財務局に相談をしてまいります。
○佐藤委員 今後、工事費やネットワーク整備費については別発注してはどうかと考えますが、見解を伺います。
○都留サービス推進部長 MRIなどの医療機器を購入する場合は、機器購入のみならず、先ほどお話しいたしました撤去工事、据えつけ工事、室内整備、他のシステムとの接続工事などが必要となります。こうした工事やネットワークの接続につきましては、複雑な機器の間の調整、設置作業工程の調整などもございまして、同一業者による施工が望ましいと考えております。
さらに、機器購入に関する総費用の低減を図るため、機器購入に加えて、工事費やネットワーク関連経費を包含する仕様内容といたしております。
○佐藤委員 先ほど申し上げたように、平成十八年には、府中病院で使用するMRIを二億三千二百五万円で契約されたわけですが、またさかのぼって実績を調査してみますと、平成十四年に約二億四千九百三十二万円で契約、機器メーカーはフィリップスで駒込病院に納入されております。同じく平成十四年に約二億四千九百三十七万円で契約、機器メーカーはシーメンスで広尾病院に納入されております。平成十五年に約二億二千八百三十七万円で契約、機器メーカーはフィリップスで松沢病院に納入されております。また、平成十六年に約二億四千百五十万円で契約、機器メーカーはシーメンスで荏原病院に納入されております。このいずれの契約も、株式会社自治体病院共済会が落札しておりました。
同じ性能である一・五テスラの機器について、価格の比較をしてみたいと思いましたので調べてみましたところ、公正取引委員会が調査し、平成十七年十二月に出した医療機器の流通実態に関する調査報告書に、平均販売価格の調査結果が出ておりました。今申し上げた公正取引委員会の調査報告書によれば、平成十六年の平均販売価格が一億四百五十五万円でありますから、都が契約した金額は、平均販売価格よりも高値で契約されているということがわかります。
先ほど伺いまして、契約金額には工事費やネットワーク整備費が含まれているということはわかりましたし、一つ一つの機器で要求される性能も異なるため、単純に比較するのは難しいですが、平均販売価格と比較して倍以上の価格になっているわけです。
ほかの自治体が行った医療機器の入札経過調書を調べてみましたが、一・五テスラの機器について静岡市と神戸市の入札経過調書が出てきました。静岡市の案件は、平成十八年十月十七日に、一億三千三百十四万円でシーメンス旭メディテック株式会社静岡営業所が落札しております。また、神戸市の案件は二台まとめて購入しておりますが、平成十九年四月十一日に、二億四千七百六十一万九千円でシーメンス旭メディテック株式会社神戸営業所が落札しております。いずれも、一台当たり一億数千万円で契約をしているわけです。単純に比較をするのは難しいですが、都の契約金額と比較をして、随分安い金額になっております。
また、静岡市と神戸市の二件はシーメンスが落札をしているわけですが、都の入札結果と比較をしてみて、若干疑問を覚えました。といいますのは、都の入札において、平成十四年、平成十六年にシーメンスの機器を契約した案件がありますが、いずれもシーメンス旭メディテック株式会社という製造販売会社が参加していながら、結果として株式会社自治体病院共済会が落札しておりました。また、平成十五年のフィリップスの機器を契約した案件も、フィリップスメディカルシステムズという製造販売会社が参加しておりましたが、結果として株式会社自治体病院共済会が落札しておりました。なぜ販売会社よりも、それをつくっているメーカーの入札価格が高くなるのか疑問ですし、メーカーとメーカーの機器を扱っている販売会社が争って適切な競争といえるのか疑問が残ります。
公正取引委員会の医療機器の流通実態に関する調査報告書によれば、業界の商慣行について指摘をされております。都の入札がそれに当たるのかどうかわかりませんが、都民に対して説明責任を果たすためにも、ぜひ静岡市と神戸市の事例を比較いたしまして調査を行うよう要望いたします。
医療機器の購入については、専門的な知識が必要であることや、一台一台求められる性能も異なることから、そのチェックは難しいのが現状です。つきましては、医療機器の調達について、病院経営本部の中に調査委員会をつくり、チェックを行うことが必要ではないかと考えます。包括外部監査などで、過去、調査を行ったこともあったようですが、やはり常日ごろからチェックをしていただくような仕組みをつくるためにも、病院経営本部の中に調査委員会をつくるよう要望いたします。
先ほど申し上げたように、神戸市が平成十九年四月十一日に入札したMRIの調達案件は、二台まとめて入札を行っておりました。過去における都のMRI調達実績を見てみますと、平成十年に三台、平成十四年に二台と複数台契約している事例もあります。複数台で入札を行った方が安く契約することができるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○都留サービス推進部長 お話の複数台契約を実現するためには、導入時期と仕様内容の一致が必要になります。
まず導入時期についてですが、同時期に複数の都立病院でMRIを休止することは、検査患者さんの紹介などが困難となる可能性も高く、難しいと考えております。
次に、仕様内容の一致でございますが、都立病院は、病院ごとに担う医療機能や建物の構造が異なりますために、医療機器の仕様内容を合致させることは容易ではございません。
○佐藤委員 検査に使う医療機器は、医療の現場にとって欠くことのできない大切な存在です。しかしながら、一つ一つの機器の価格は非常に高額でありますから、問題が起こらないように万全を期していただくよう要望いたしまして、私の質疑を終わります。
○鈴木委員長 お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はすべて終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会といたします。
午後四時十二分散会
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