委員長 | 高橋 信博君 |
副委員長 | 秋田 一郎君 |
副委員長 | 長橋 桂一君 |
副委員長 | いのつめまさみ君 |
米沢 正和君 | |
鈴木 章浩君 | |
高倉 良生君 | |
くまき美奈子君 | |
増子 博樹君 | |
田島 和明君 | |
曽根はじめ君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 比留間英人君 |
管理部長 | 大野 精次君 | |
事業部長 | 荒井 浩君 | |
市場政策担当部長 | 大橋 健治君 | |
参事 | 後藤 明君 | |
新市場担当部長 | 越智 利春君 | |
新市場建設調整担当部長 | 宮良 眞君 | |
参事 | 河村 茂君 |
本日の会議に付した事件
平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成十八年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)
○高橋委員長 ただいまから平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行ってまいりますが、質疑につきましては、平成十八年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十八年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しております。その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○大野管理部長 去る十月十五日の当分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布いたしてございます、平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
一ページをお開きいただきたいと存じます。市場別の建設改良費及び中央卸売市場会計の損益の推移、十年間についてでございます。
(1)は、建設改良費の推移を十年分、(2)は、損益の推移を十年分記載してございます。
二ページをお開きいただきたいと存じます。中央卸売市場会計から一般会計への貸付金の状況についてでございます。
平成八年度に四百億円、平成十一年度には二千億円の貸し付けを行いました。平成十八年度までにすべて償還されております。
三ページをお開きいただきたいと存じます。豊洲新市場予定地の土壌汚染調査及び対策の概要についてでございます。
東京ガス株式会社は、豊洲新市場予定地の土壌汚染状況を把握するため、平成十年から土壌汚染調査を実施し、この調査結果をもとに、平成十三年二月から土壌汚染対策を行い、平成十九年三月に完了しております。
三ページ及び四ページに土壌汚染調査の概要を、五ページに豊洲新市場予定地において東京ガス株式会社が行った土壌汚染対策及び東京都が予定している土壌汚染対策の概要を記載してございます。
六ページをお開きいただきたいと存じます。築地市場移転の経緯でございます。
昭和六十一年一月に築地市場の現在地再整備を決定いたしましたが、平成十年四月には、築地市場業界六団体から臨海部への移転整備に関する要望がなされました。
これを受け、平成十一年十一月、業界と都の協議機関である築地市場再整備推進協議会におきまして、現在地での再整備は困難であり、移転整備へ方向転換すべきと、意見集約がなされました。
平成十三年四月に、東京都卸売市場審議会の答申を受け、平成十三年十二月、第七次東京都卸売市場整備計画において、築地市場の豊洲地区への移転を決定いたしました。
七ページをお開きいただきたいと存じます。築地市場再整備基本計画概要についてでございます。
昭和六十三年十一月に策定した本計画における再整備工事対象床面積、駐車台数、施設別概要などを記載しております。
また、八ページ、九ページの別紙1及び別紙2に、それぞれ一階及び二階の施設配置図を添付しております。
以上、簡単でございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○高橋委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○米沢委員 都は、築地市場を首都圏の基幹市場として再生させるための豊洲地区への移転の計画を決定しました。整備事業を着実に進めているわけですが、私も、実は六カ月前まで江東区議会議員としてこの問題に対応してきたわけであります。
当時、中央区は絶対反対、江東区は、いろいろな諸般の事情の中で、都民のためということで何とか理解を示したいということで、江東区並びに議会は、賛成、反対という意思表示、表明をせずに、都及びその間に東ガスのいろいろな説明を聞いてきたわけであります。
もちろん、その出方を見守りながら、私たちは環境問題、特に道路問題、あるいは交通問題、土壌汚染の問題等について、都の発表を中心として対応を進めてきたということは、ご承知だと思います。
そして、都側の資料に基づいて、江東区並びに江東区議会、そしてまた同時に各連合町会長さんにこの点を理解させていただいて、数たびにわたる、もちろん議会では委員会を開きまして、平成十六年に賛成の方向を出したわけであります。
ところが、予期せぬ事情ができまして、いわゆる土壌汚染の問題、これが発生いたしましたことは、都の今までの説明、あるいは東ガス側の説明、うのみにしたというのは悪いのでありますが、これを一応私ども十分理解をしてきたつもりでありますだけに、残念のきわみだということを、まず冒頭に申し上げておきたいと思います。
さて、また同時に、市場業者の一部は、昨年からにわかにメディアを巻き込んで、豊洲新市場予定地の土壌汚染問題を取り上げて移転反対運動を展開しているという事情があります。
こうした状況から、都では専門家会議を設置をして、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策についての検討を進め、このたび、市場用地全面にわたって詳細な調査を実施することとした、との説明を受けておりますが、これは当然のことでしょう。
豊洲新市場予定地が生鮮食料品を扱う市場用地であることから、万全を期すために、こうした調査や対策は必要と考えますが、経費も大変大幅な額になると思います。こうした経費をかけて豊洲新市場を整備するのである以上、土壌汚染対策について最大限努力を払って、都民や移転を受け入れた江東区民の理解を得て、早期開場に向けて取り組んでいくことが必要ではないかと思います。
そこで、昨今の新聞等の報道で、都民の関心事となっている事項も含めて、豊洲新市場の整備に当たって、何点かお伺いをいたします。
豊洲地区の、半島部とあえていいますが、防潮護岸や三一五号線などのインフラの整備が着々と進んでいることは事実でありますが、質問の第一として、豊洲新市場の整備に向けて取得する用地や護岸などの基盤整備費を含めた総事業費はどれくらいを見込んでいるのか、また、これまでに執行した事業費並びに今年度の予算計上額はそれぞれどのくらいであるかということを、まずお尋ねしたいと思います。
○大野管理部長 施設整備や用地の購入など、豊洲新市場整備に要する事業費は、土壌汚染対策費を除いて、現在、全体の総事業費として約三千九百億円を見込んでおります。
これまでに執行した事業費でございますが、移転を決定した平成十三年度から平成十八年度までの期間で、新市場移転用地の購入経費が約七百二十億円、護岸の整備費が約二百十億円のほか、環状二号線アンダーパスの整備など、先行的に必要な基盤整備費として約五十億円、合計で約九百八十億円でございます。
平成十九年度の予算に計上している金額のうち、豊洲新市場整備に係るものは約四百九十億円で、内訳は用地購入費が約四百四十億円、補助三一五号線の高架化に要する費用の負担金が約四十億円などとなっております。
○米沢委員 大野部長からの説明、わかりました。
総事業費に対する執行状況からも、豊洲の新市場の整備事業が進捗しているという状況を十分認識いたしました。
その一方で、今回、豊洲新市場予定地の敷地全面にわたって、約十カ月程度の期間をかけて土壌汚染調査を実施したことから、今後のPFIスケジュールにも影響が出てくるんではないでしょうか。したがって、質問二は、十八年度までに行った事業及び十九年度に予定している事業の内容について、お伺いいたしたいと思います。
○越智新市場担当部長 豊洲新市場の整備事業につきましては、民間の資金やノウハウを活用いたしまして、柔軟かつ効率的な運営が可能となるPFI方式を導入することを基本としておりまして、昨年の十二月に実施方針及び業務要求水準書案を公表いたしました。
今年度は、その後のPFIの手続といたしまして、特定事業の選定や業務要求水準書の公表、入札公告を行う予定でありましたが、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策につきまして、専門家会議からの提言を受けるまで延期しているところでございます。
○米沢委員 豊洲新市場予定地の土壌汚染問題に絡んで、整備事業そのものが大変おくれているという状況ですね。
したがって、質問の第三としては、最近の報道によると、豊洲新市場予定地において都が八月から実施をした土壌汚染調査で、汚染濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から、環境基準の千倍という高濃度のベンゼンが検出されたということでありますが、なぜこのような高濃度のベンゼンが検出されたのか、その原因について、ご説明ができればしてください。
○宮良新市場建設調整担当部長 東京ガス株式会社が平成十年、十一年に行った地下水調査では、操業時の施設配置などから四十七カ所を選定した上で、過去に掘削した可能性のある地下三メートルまでの深さを基本として地下水を採取しております。
今回の都の地下水調査では、地下水の汚染状況を把握するため、不透水層のあるおおむね地下十メートルまでをボーリングし、五十六カ所の地下水を採取しました。
このように、都の調査と東京ガス株式会社の調査とでは、調査深度が異なっております。
この箇所は、東京ガス株式会社の操業当時の施設配置では空地となっており、さきの東京ガス株式会社の地下水調査では、ベンゼン濃度が環境基準の一・一倍でありました。
このような箇所から高濃度のベンゼンが検出されましたが、その原因については、再度、東京ガス株式会社に土地や施設の利用履歴の調査を依頼しているところでございます。
○米沢委員 それでは、質問の第四番目として、想定外の区域から高濃度のベンゼンが検出されたということは、東京ガス株式会社の調査自体に、先ほどもいったように問題があったということなんでしょうかね、お答え願いたい。
○宮良新市場建設調整担当部長 東京ガス株式会社は、土壌、地下水中のベンゼンについて、平成十年から十一年にかけて、当時の技術上の基準である環境庁の土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針に基づいて調査を実施しております。
平成十四年には、市場用地という特性から、当時の環境確保条例に対応して、ベンゼンの表層土壌ガス調査を八百三十一カ所で実施してございます。
これらの東京ガス株式会社が行った調査内容は、いずれも当時の基準や条例に沿った内容で実施されたものであります。
ただし、今回の都の追加調査で、ベンゼン濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から高濃度のベンゼンが検出されたため、豊洲新市場予定地の敷地全体にわたって詳細な調査を実施することとしました。
○米沢委員 しかし、環境基準の千倍もの高濃度のベンゼンということ、これは私ども化学、わかりませんで、人の健康にとって、これは問題はないのでしょうね。何らかの対策を講ずる必要はもちろんあると思いますけれどもね、その見解を伺いたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 環境基準一千倍のベンゼンは地下水中に溶け込んでおり、この地下水を直接飲用すれば人体への影響も危惧されますが、この地下水は封じ込められた状態にあり、直接飲用する可能性もございません。
また、土壌や地下水に含まれるベンゼンがガス状になって地表に徐々に出てくる場合も考えられますが、この場合は、空気中で拡散してさらに希釈されることから、仮に吸引した場合でも人体への影響があるような濃度ではないと、専門家からご意見をいただいたところであります。
現在、汚染箇所の絞り込み調査を行っており、今後、専門家会議の提言を受け、この箇所の対策を行ってまいります。
○米沢委員 いずれにいたしましても、生鮮食料品を扱う豊洲新市場予定地において、環境基準の千倍ものベンゼンが出たということですから、土壌汚染対策を万全にするということで、理解を示した江東区民にとっても、衝撃であったわけでありますから、ぜひともしっかりとした土壌汚染調査を行って、都民、区民が安心できるような万全な対策を講じていただきたいと思います。このために要する土壌汚染対策経費は相当な額になるわけでしょう、食の安全・安心を確保していくためには当然のことであると思いますけれども。
そこで、質問の六としては、これらの土壌汚染調査や対策に要する費用は一体どのくらいなのか、そして、その負担についてどのような考え方を持っているのか、お尋ねしたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地で行う土壌汚染調査については、十一月五日の専門家会議において調査計画として承認された後、実施することとしており、経費は約十五億円を見込んでおります。
土壌汚染対策については、最終的には専門家会議の提言を受けて確定いたしますが、現在、これまでの会議での議論を踏まえ、その費用を試算しております。所要額につきましては来年度予算に計上してまいります。
この土壌汚染対策費のうち、都の調査で検出された有害物質が操業に由来し、かつ除去等が必要になるものの経費については、基本的に汚染原因者である東京ガス株式会社が負担すべきものと考えております。
今後、費用負担の具体的な考え方について、東京ガス株式会社と協議してまいります。
○米沢委員 市場用地における土壌汚染対策費用等については、汚染原因者負担の原則を基本として、不必要な豊洲新市場の整備費を増加させることのないように、適切に負担の考え方を整理することは当然のことであるわけです。
豊洲新市場の開場は、一部の市場業者は反対しているものの、温度管理が徹底され、物流の効率化に対応した施設の整備については、多くの市場業者が待ち望んでいるということも忘れてはならないと思いますよ。
したがって、質問の七番目としては、最後ですが、建設スケジュールを含め、今後の開場時期についてどう考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
○越智新市場担当部長 豊洲新市場の建設スケジュールにつきましては、敷地全面にわたりまして詳細な土壌汚染調査を実施することとしておりまして、その期間を約十カ月と見込んでおりますことから、当初計画しておりました平成二十四年度当初の開場はおくれざるを得ない状況でございます。
スケジュールの見直しに当たりましては、開場時期が大幅におくれないよう、施設整備に係る諸手続や工事工程等の短縮につきましてさまざまな工夫を行い、できるだけ早期に開場できるよう努めてまいります。
○米沢委員 当たり前の要望をいたします。
豊洲新市場予定地でしっかりとした土壌汚染対策を講じて、都民が安心できる市場、そしてまた、多くの人々が期待できる市場を早期に整備していただくことを心から念じます。
以上、終わります。
○増子委員 私からも、豊洲新市場について幾つか伺いたいと思います。
平成十八年度予算における豊洲新市場予定地の購入予定価格は、四百十八億一千四百万円ということでありました。決算額が、ここにありますとおり三百六十七億三千六百八十四万余円ということでございます。
これらの土地の購入先は、区画整理事業の施行者であります東京都都市整備局、そして東京鉄鋼埠頭株式会社ということですけれども、そもそもこの区画整理の換地前には、この土地を使用していたのが東京ガスということでございました。
東京ガスが使用していた土地が汚染されているということはご承知のとおりですけれども、この土地が本当に市場として使うことができるのか、また、汚染処理の費用負担などについても納得のできるものでなければ、決算として承認しがたいということも考えられます。
都はこれまでも豊洲は安全だと位置づけてまいりました。ことし、十九年の予算委員会の中でも、豊洲新市場の予定地の全敷地にわたって二重、三重の対策、すなわち平成十五年に施行された土壌汚染対策法や、改正された東京都土壌汚染対策指針に照らしても十分な対策を講じるため、安全性に問題はございませんというふうに、何度も何度も答弁をしておられます。
しかしながら、既に報道のとおり、十月六日の第四回の専門家会議で、環境基準の千倍の高濃度のベンゼンが地下水から検出されたということが報告をされております。
そこで幾つかお伺いいたしたいと思いますが、まずこの千倍のベンゼンが検出された箇所、専門家会議の資料だと六街区の調査地点D-12というところですけれども、これについて、特にさらに詳細な調査を行ったことがあるのか、また、同じポイントで再分析を行ったということも聞きますけれども、このことについて確認をさせていただきたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 当該箇所につきましては、地下水調査の結果、地下水中から環境基準の千倍の濃度のベンゼンを検出しております。
このため、専門家会議の委員と取り扱いについて協議いたしまして、汚染範囲を特定するため、この箇所で土壌調査を行うとともに、周囲四方向について、五メーター間隔で十メーターまでの八地点で地下水及び土壌の調査を行っております。
また、極めて高濃度が検出されたため、再確認のため、さらに二回地下水を採取し、分析を行っております。十月六日に開催した第四回専門家会議では、これらの結果のうち、ベンゼンの濃度が一番高かった調査箇所を報告しております。
汚染範囲を特定するための八カ所の調査結果につきましては、十月六日の段階ではまとまっていなかったため、再確認のために行った二回目、三回目の地下水の分析結果とあわせて、油汚染状況調査の分析結果とともに、十一月五日開催予定の第五回専門家会議で報告する予定でございます。
○増子委員 今のご答弁で、千倍のベンゼンが検出された箇所については、二回目、三回目、同じポイントで地下水の調査を繰り返したというふうにご答弁がありました。
この場所以外にも、このように再分析というのでしょうかね、再確認というのかわかりませんが、そういった分析、調査を行っている箇所というのがあるのでしたら、あれば、結果についてもあわせてお伺いいたしたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 八月下旬時点で分析結果が得られた箇所のうち、地下水中のベンゼン濃度が環境基準の約四十倍及び三十倍という比較的高濃度が検出された二カ所についても、再確認のためにさらに一回ずつ地下水を採取し、分析を行っております。
十月六日に開催した第四回専門家会議では、これらの結果のうち、高濃度のものを報告してございます。
この結果につきましても、次回の第五回専門家会議で報告する予定でございます。
○増子委員 ほかの二カ所についても同じポイントで再分析を行ったということでした。そのうちの最も高い数値のものを専門家会議に報告したということですけれども、そもそも高濃度の汚染物質が検出された場合に、どういう調査を行う予定だったのでしょうか。その公表方法もどういうことだったのか、あわせてお伺いしたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 今回の追加調査結果では、東京ガス株式会社が実施した地下水調査結果を大幅に上回る濃度の有害物質を含む地下水の存在は想定していなかったことから、さらに追加の調査を実施していくことは特に考えてございませんでした。
また、調査結果の公表につきましては、一部のデータのみを公表するのではなく、一括して公表することで全体の状況の把握が可能となること、データ全体を把握した上で分析、評価を行うとともに、追加調査などの対応を考えていく必要があること、現地の地下水における高濃度のベンゼンについても、人体への影響があるような濃度ではないこと、これらのことから、調査結果全体がまとまった時点で公表いたしたものであります。
全体のデータがそろったのは九月二十八日でありまして、さらに整理がつきましたのは、十月六日の第四回専門家会議の直前でありました。
○増子委員 もともとは考慮していなかったんだけれども、しかし、再確認のためだということがわかりました。今後、専門家会議にまとまってご報告をしていくということですから、そこはぜひよろしくお願いしたいと思います。
また、今回の事態を受けて、専門家会議からは十メートルメッシュでの調査が提言されて、東京都は次回、十一月五日の専門家会議でその調査計画を提案するということになっております。
この計画では、ボーリング調査を不透水層の深さまで、深度まで行うのだというふうに私は理解をしておりますけれども、その不透水層のさらに下の有害物質の調査ということについては、それはするのかしないのか、どのように考えているか、お聞かせください。
○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議の委員から、ボーリング調査の深さは不透水層の上端までとし、不透水層を貫通することにより不透水層の下に有害物質が拡散しないようにすることが重要であると指摘されております。
したがいまして、不透水層下の調査をする予定はございません。
○増子委員 今、不透水層より下を調査する予定はないということのご答弁がありました。市場を建設するとなると、もちろん、くいを打つときは当然不透水層を突き抜けて打つんだというふうに思うのですけれども、そのこととあわせて、いわゆる側方流動も懸念をされていて、日本環境学会なども、これまでに強い地震が起こった際に、地盤の液状化現象が起こる深度を考慮すると、深さ二十メートル以上のボーリングが必要なのではないかということで、要望をされてもいます。
そういう意味では、ぜひとも専門家会議のメンバー以外というのでしょうかね、との議論あるいは意見もぜひ聞いて、深めていってもらいたいというふうに思っております。
それと、先ほど、同じ観測ポイントで二度、三度と繰り返した追加調査については、当初想定していなかった調査であったとの答弁がありましたし、この結果、次の専門家会議で報告するとのことですけれども、公表の仕方によっては、場合によっては、公表しなかったらどうするのだという疑念がわいても不思議はないというところも少しあります。
そういう意味では、追加調査も含めて、調査、分析の結果について、第三者によるクロスチェックを初め、あるいは公聴会などの意見も出たことがありますが、そういう内容の公開性が求められるというふうに思いますけれども、この点についてのご見解を伺いたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 土壌汚染調査及び分析に当たりましては、調査内容の透明性とデータの信頼性を確保していくことが重要であると考えております。
都が行う調査、分析につきましては、調査地点、調査方法、分析機関、調査結果等のすべての内容を公表しております。こういうことから、クロスチェックを行う必要はないと考えております。さらに、約四千カ所の調査を別の実施者が同時に行うことは、現実的とはいえないと考えております。
これまで行ってきた調査結果につきましては、専門家会議で公表してまいりましたし、今後実施する調査結果につきましても、専門家会議において公表してまいります。
○増子委員 今、クロスチェックということについては否定的な答弁をいただきましたけれども、今回、再分析を繰り返していたようなこともあって、やはり都民に対する説明も必要だと思いますし、そういう意味では、公開性ということについて、ぜひさらに配慮していただきたいというふうに、ご要望させていただきたいと思っております。
また今回、想定外の区域の地下水から環境基準の千倍のベンゼンが検出されたということで、であるとすれば、当初から東京都が信頼をしていた東京ガスの調査は何だったのかと、その東京ガスの調査の評価について、ぜひ見解を伺いたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 東京ガス株式会社は、土壌、地下水中のベンゼンについて、平成十年から十一年にかけて、当時の技術上の基準である環境庁の土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針に基づいて調査を実施しております。
平成十四年には、市場用地という特性から、当時の環境確保条例に対応して、ベンゼンの表層土壌ガス調査を八百三十一カ所で実施しております。
これらの東京ガス株式会社が行った調査内容は、いずれも当時の基準や条例に沿った内容で実施されたものであります。
ただし、今回の都の追加調査で、ベンゼン濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から高濃度のベンゼンが検出されたため、豊洲新市場予定地の敷地全体にわたって詳細な調査を実施することにいたしました。
○増子委員 当時の法令や基準、条例に従って行われた内容だというお話でした。詳細な調査を行うということですけれども、敷地全面にわたって詳細な調査を実施するということは、私たちが主張してきたところでもございますので、それは当然のことであり、ぜひ行っていただきたいと思っております。
ところで、この第四回専門家会議の資料を見ますと、東京ガスが掘削した場所からも環境基準を超える汚染地下水が検出されております。
地下水位の状況からしても、東京ガス株式会社が処理した土も含めて、健全土が再汚染される、地下水によって再汚染されている可能性もあるのではないかなというふうに思わざるを得ないのですけれども、その点についての見解を伺いたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 地下水位が、当初想定した水位より上昇して、盛り土のレベルまで来ているところがあるのは事実でございます。
今後実施する約四千カ所の地下水と土壌の調査で詳細に状況を把握し、汚染が確認された場合には、従来から予定している土壌汚染対策のとおり、環境基準の十倍を超える汚染土壌はすべて処理するとともに、地表面から旧地盤の下二メーターの範囲についても環境基準以下とするなどの必要な対策をとっていきます。
また、地下水の上昇により、対策した土壌が再汚染されないようにするため、地下水位を一定以下に保つ対策も行っていく予定でございます。
○増子委員 今、地下水位が当初想定していた水位より上昇して、盛り土のレベルまで来ているところがあるというご答弁がありました。ということは、つまり、地下水位が上昇して、一度処理した健全土も再汚染されている可能性はあるというふうに認識させていただきます。
また、今後の追加調査の中でも、新たに汚染土壌が見つかるということも否定できないことであるというふうに思っております。これらの処理費用についてだれが負担するのかということも、大変大きな問題だというふうに思っております。
先ほどの質問の中では、基本的に汚染原因者というお話もありましたけれども、私たちの大沢昇議員がことしの六月二十一日の経済・港湾委員会の中で、そのことについての質問もしておりますので、確認をしたいと思います。
東京都がこれから行う追加調査で「新たに土壌汚染が見つかった場合、その処理についてはだれが行い、そしてまた、その費用はだれが負担するのかをお伺いいたします。」という質問をさせていただいておりますけれども、そのときの答弁について確認をさせていただきたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 本年六月二十一日の経済・港湾委員会におきまして、「豊洲新市場予定地における汚染物質の処理等につきましては、汚染原因者の負担でございます。したがいまして、東京都は平成十七年五月、東京ガス株式会社との間で、処理基準を超える操業由来の汚染土壌について、同社が適切に処理を行うという内容の確認書を取り交わしております。」と、ご答弁させていただいております。
○増子委員 ということは、当然にして、ベンゼンなど操業由来に基づく汚染物質で再汚染された土壌についても、東京ガスが処理費用を負担すべきものだというふうに考えております。
東京ガスの操業に由来する有害物質について今後どのように対応していくのかについて、ご見解を伺っておきたいと思います。
○宮良新市場建設調整担当部長 土壌汚染対策費のうち、都の調査で検出された有害物質が操業に由来し、かつ除去等が必要になるものの経費につきましては、基本的に汚染原因者である東京ガス株式会社が負担すべきものと考えております。
今後、費用負担の具体的な考え方について、東京ガスと協議してまいります。
○増子委員 汚染者負担の原則をぜひとも貫いていただきたいというふうに思っております。
さて、千倍のベンゼンが検出されたことを受けまして、知事が、あるテレビ番組の中で、豊洲新市場の土地のことで、あるいは築地の移転をめぐっての番組の特集がございましたけれども、そのときに知事も、一つには、外環沿いの内陸はどうなのかということも、いったこともあるというようなこともおっしゃっていました。また、現在地の再整備を、半分ずつ工事をするというようなことができないのでしょうかというようなことを、キャスターの方が振ったわけですね。
知事は、まあ、いろいろ難しい問題があるのだということをいった最後の方に、そういったことも、いわゆるローリング方式というのでしょうか、今おっしゃったようなことも考えられてしかるべきというような発言をしていたというふうに思いますけれども、これらのことについて、ぜひ見解を伺いたいと思います。
○越智新市場担当部長 知事の発言についてコメントする立場にはございませんが、テレビ番組の中で、知事は、コストを考えると、今いわれたような案も、また考えられてしかるべきという感じもしますね、ただ、そのときに、これだけ膨大な人口をバックアップしている市場ですから、建てかえながら、そういったものをサポート、担保できるかということはとても難しい問題ですねと述べております。
○増子委員 そうはいいましても、水産仲卸の独自の調査によりますと、反対派の方はまだまだ多い。都の認識はどういうことかわかりませんが、何度か出ているかもしれませんが、市場を考える会の意向調査によれば、賛成が十、反対が五百八十六、その他二百くらいの結果が出たというようなことも、お聞きしております。
またその後、恐らく十一月に入ってから、東京魚市場卸協同組合さんから東京都あてに、そういった説明会の開催などを求める要望書も出されたというふうにもお聞きしております。
そういう意味では、関係者の理解なくして移転はあり得ないものというふうに思いますが、このような状態で移転ができるのか、今の時点での見解を伺いたいと思います。
○越智新市場担当部長 築地市場の場内六団体のうち、水産仲卸団体の一部の組合が反対しておりますが、この理由といたしましては、土壌汚染問題のほかに、築地ブランドへの愛着や豊洲での事業継続への不安もあるというふうに認識しております。
土壌汚染問題につきましては、本年五月から開催しております専門家会議におきまして科学的な検証を行っておりまして、敷地全面にわたる十メートルメッシュでの詳細な調査結果を踏まえまして、万全な対策を実施いたします。
また、こうした対策に加えまして、豊洲新市場におきましては、品質管理の高度化や物流の効率化など、顧客ニーズにこたえる施設整備を進めまして、ブランド力の向上を図ってまいります。
さらに、移転等に要します経費の支援策や、市場業者の豊洲新市場での経費負担を極力抑える工夫などを検討していく考えでございます。
このような東京都の考え方を、移転に反対する方々も含めまして、市場関係者に細かく丁寧に、わかりやすく説明することで、移転についての理解を求めてまいります。
○増子委員 それでは最後に、豊洲新市場への移転ということについては、まだまだ反対論が根強いのも事実だというふうに思っております。
また、だれからも疑いを持たれないような、公正かつ全面的な調査を実施するとともに、多くの都民が納得できる対策をぜひ示していただきたいということをご要望させていただいて、私の質問を終わります。
○長橋委員 私からも、平成十八年度中央卸売市場決算について質疑をさせていただきます。
今、豊洲新市場の件につきましては質疑がございました。我が会派も、決算委員会ではこの質疑について改めてさせていただきたいと思いますが、新たな調査結果もあるということでございますので、きょうはまず中央市場の活性化策について、私の方からは、この件についてお伺いをさせていただきたいと思います。
決算概要を見ますと、いわゆる中央卸売市場の取扱金額は若干ふえている。ただし、取扱数量は減っている。これはもうここ数年続いているわけでありまして、こういう議論は昨年の決算委員会でもあったわけでございますが、今回改めて第八次東京都卸売市場整備計画を読ませていただきますと、変革を迫られる卸売市場、こういうのが冒頭、序文で書いてあるわけでございます。
読みますと、近年、卸売市場を取り巻く環境の急激な変化の影響を受け、卸売市場経由率及び経由量の減少傾向と、生鮮食品の低価格化及びこれに伴う市場関係業者の厳しい経営状況が続いており、卸売市場をめぐる状況は深刻さを増していると。いいかえると、もう待ったなしではないか、こういうふうにも思うわけでありまして、そういうことで、まさに変革を迫られる卸売市場、こういうことでございます。
そういった意味で、この点についてご質疑をさせていただきます。
そこで初めに、今、序文にも書いてありました、生鮮食料品の市場経由率と取扱実績について、現状、具体的な数値をもって、まずはお答えいただきたいと思います。
○大橋市場政策担当部長 平成十八年度の状況は、花き部を除き、取扱数量は前年度より減少したものの、単価高の影響により、取扱高は若干増加しております。しかし、長期的に見て、市場経由率、取扱実績ともに減少傾向となっております。
全国における卸売市場経由率は、農林水産省のデータによれば、平成十六年度、水産物部で六二・九%、青果部で六五・八%であり、これは五年前の平成十一年度がそれぞれ水産物部で六八・八%、青果部で七一・四%であったことから比較すると、ともに五ポイント以上減少しております。
また、取扱実績で見ても、五年前の平成十四年度は水産物部で五千九百十六億円あった取扱金額が、平成十八年度には五千四百二十六億円に約八・三%減少しており、青果部でも、平成十四年度の五千六百八十六億円が平成十八年度には五千二百三十二億円と約八%減少しております。
○長橋委員 わかりました。
部長からは、過去五年間の中でどうだったか、国の調査では、市場経由率が五年前からともに五ポイン減少している、また実績も、五年前だと、いわゆる水産物で八・三%、青果部で約八%減っている、こういうことでございます。
この傾向は五年前から始まったのかというと、そうではないわけでありまして、この整備計画を見ますと、ここに資料がありますけれども、水産物ではピークでは取扱金額八千四百三十七億円あった、そしてまた、青果では七千七百五億円あった、それを現在と比較すると、ともに三割以上減少しているわけであります。
これだけ減ってきた原因は、さまざまあると思います。ピークは平成二年、それから青果では平成三年、こういうことでございますから、それ以降ずっと減り続けているわけであります。
これについて、市場として既に認識をしているわけでありますし、それに対して、対策は当然、整備計画を八次にわたってやっているわけでありますけれども、さらに減っているということで、その原因についてはどう考えているのか、お伺いいたします。
○大橋市場政策担当部長 市場経由率の低下、卸売市場の取扱高減少の主な原因といたしましては、量販店等の大口需要者が産地から直接に商品調達を行ったり、輸入農産物を商社から買い付けるなど、流通チャンネルが多様化し、卸売市場を経由しない市場外流通が増大していることが挙げられます。
また、加工・冷凍食品の利用が増加するなどの消費構造の変化も、市場経由率低下の一因と考えられます。
○長橋委員 今ご答弁がありました。市場外流通の増加であると。また、加工・冷凍食品の利用が増加することによって構造が変わってきていると。
市場外流通がふえている、これは私も実感としてよくわかるわけでありますけれども、もちろん減少の理由は、ピークの平成二年、平成三年から比べて、少子高齢化が進んで人口減少が既に始まっている、これも原因であると思うわけでありますけれども、やはりライフスタイルの多様化によって、家庭で食事をしなくなったということもあるのではなかろうかと思いますし、それからまた食育、きょうは食育の議論はいたしませんけれども、今、子どもたちの食事の教育、大人もそうだと思いますけれども、ファストフード、こういったことに頼ってしまっているというところも原因ではなかろうかと思います。
市場も、教育庁とか産労と連携をとって、食育についてもきちっと役割を果たすべきだ、こう思うわけでありますが、きょうは、お話だけしておきます。
そこで、こうしたいわゆる市場経由が減っている、取り扱いが減っている、これを食いとめるにはどうするのか。これはたびたび決算委員会で議論しているわけでありますが、もっと深めていかなきゃいけない、こう思うわけでございます。
まずは、今まで取り組んできた施設整備、もちろん計画的、継続的に施設整備をやってきたわけでありますが、具体的にどう取り組んできたのか、お伺いいたします。
○大橋市場政策担当部長 卸売市場の競争力を高めるためには、食料品流通の実態に見合った機能を備える施設を整備することが必要と認識しております。
中央卸売市場におきましては、仲卸売り場、駐車場などの基幹的な施設に加えまして、温度管理機能を有する施設、荷さばき施設、加工施設など、量販店等大口需要者などの需要に対応する施設を、市場関係業者と綿密な意見調整を行いながら整備を行っております。
こうした整備は市場を活性化し、質の高い商品が集まるようになる、品ぞろえが充実するなど、小売、売買参加者の方々にとっても有益なものとなります。
具体的な施設整備の例といたしましては、大田市場花き部の北側用地に、卸売業者二社が市場用地に商品保管倉庫等を整備したほか、葛西市場において、卸売り場におきまして温度管理機能を有する施設をつくった例などがございます。
○長橋委員 今、施設整備についてお話がありました。
やはり施設整備は、時代のスピードと変化、先ほど申し上げたとおりに大きく変革期にある、これに対応していくことが重要である。予算のこともあるし、コストの問題もあるでしょうし、市場との調整もあると思いますが、スピードが大事だ、こう思うわけであります。
私も、地元に豊島市場がございます。市場の関係者の方から、行くと、さまざまなお話を聞きます。今の現状認識は、市場の皆さんと同じように厳しい状況にある、同じ認識の中でも、やはり都民に安心・安全の生鮮食品を供給していくという大きな使命があると、取り組んでいるわけであります。
それに対して、細かくはいいませんけれども、市場に対する要望というのは、行くと必ず長時間聞かされてくるわけでありますので、綿密に意見調整を行っている、こういわれておりますけれども、さらにお願いをしておきたいと思います。
さらに、流通分野で施設整備、ハードな分野だけではなくて、流通分野では、現在、電子商取引、最新の情報技術を活用した取引形態の変化が急速に進んでいるわけであります。事務作業の軽減、情報の正確性の向上、時間やコストの節約など、可能となるシステムがどんどんと開発されているわけでありますが、そういう中で、市場はどう取り組んでいるのかということでございます。
流通環境の多様化、変化に対応していくには、まずはそのためのハードが必要であります。いわゆる遊休施設の積極的活用、さらには情報基盤の整備、こういったことを進めていく必要があると考えますが、具体的な取り組みを伺います。
○大橋市場政策担当部長 流通環境の変化に機敏に対応するため、貴重な市場用地を有効に活用して市場関係業者のニーズにこたえることや、取引に必要な情報化を支援することは、開設者の責務であると認識しております。
このうち、市場用地の有効活用につきましては、豊島市場におきまして、事務室や卸売り場の機能を市場内で再配置して生み出したスペースに、卸売業者が冷蔵庫及び荷さばき施設を整備した例や、葛西市場において、駐車場の一部を卸売業者に貸し付け、温度管理機能を備えた荷さばき施設を整備した例がございます。
また、大田市場では、市場用地の貸付制度を活用して、温度管理機能を備えた荷さばき施設を整備する計画が進行中でございます。
情報基盤の整備の取り組みといたしましては、板橋市場において卸売業者が計画している物流の高度化事業、いわゆるロジスティクス構築を支援するため、場内LANの整備を行いました。
○長橋委員 今、ご答弁がございました。
私は豊島区で、地元豊島市場がございます。遊休施設の活用--豊島市場は、道路で分断されている市場でございます。私もお邪魔するわけでありますが、そういう中で、敷地は今後ますます狭くなるわけでありますけれども、そういった整備においては、豊島市場の努力を非常に評価するわけでございます。
また、今、最後にロジスティクス構築、この答弁がございました。板橋市場でこのロジスティクス構築の事業に取り組んでいる、こういうことでございます。
私も、ロジスティクスという意味がよくわからなかったわけでありますが、板橋市場は、我が党の地元の橘議員が板橋市場で先駆的に取り組んでいるということで、本会議でも取り上げさせていただきました。
そのときに、市場の答弁は、ロジスティクスの機能が十分に発揮できるよう支援をしてまいりますと、こういうふうに力強い答弁をしてきたわけであります。
まず、先駆的な取り組みであると思いますので、ロジスティクス、その内容、効果、そういうことについて伺うとともに、ロジスティクス構築、卸会社が一生懸命これをやっていこうと--ほかの県の市場では、もう既にやっているところもあるわけです。やっていこうと、決意といいますか、取り組みを始めた。都はどこまで支援したのか、ご答弁をお願いします。
○大橋市場政策担当部長 卸売業者による板橋市場のロジスティクス構築は、情報技術を活用し、卸売業者が市場に隣接する自社地に整備している物流センターと市場施設との連携を図り、立地やアクセスのよさを生かして、物流の効率化、高度化を目指すものであります。
これによりまして、輸送時間の短縮、コスト低減、加工、パッケージへの対応のほか、入荷、出荷情報、顧客の販売動向などの生産、消費に関するデータを、卸、仲卸業者双方がリアルタイムで情報交換ができるようになります。
このため、都といたしましては、平成十八年度に場内のLAN回線を整備し、ロジスティクスの機能が十分に発揮できるような情報基盤を構築いたしました。
なお、ロジスティクス整備計画の具体化につきましては、現在、卸売業者がさまざまな検討を行っているところでございます。
○長橋委員 いわゆるロジスティクス構築、産地から市場を経由して、顧客、消費者に至るまでの一貫した物流システム、これを構築していく、この方式がロジスティクスである、こういうふうに思うわけでございます。
今お話があった本会議では、十分にこの機能を発揮できるよう支援をしていく、都としてもLAN回線を整備をしたと。ただし、地元板橋市場では、その具体化については今検討を行っている、まだ緒についたところである、まだ全面展開はしていない、こういうことであろうかと思うわけでありますが、ぜひともこういった物流システム、これは、東京都が、市場だけじゃなくて、東京都全体を考えれば、こういったシステムの開発は先駆的に、そういった優秀な人材もいるわけでありますから、取り組んでいただきたいと思いますし、そういう中で、市場は、こういった情報基盤の整備。これは、市場関係者の方々とお会いしても、なかなか得意な方は少ないわけでありまして、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、都は、ただLANの整備をしましたというだけではなくて、ソフト、ハードの面にわたってさらに支援をしていただきたいし、このロジスティクス構築、さらに広がるよう、私はお願いをしたいと思っております。
先ほど、市場外流通の増大、これが減少の原因である、こういっておりましたが、大口の需要者である生産者から直接買い付けをする、また最近では、インターネットで直接生鮮食料品も買っている人もいる、買うことができる、こういったことが原因であるわけでありまして、そういった中で、市場関係者の取引業務の情報化、これは大変大事であると思いますし、整備計画にもこのように書いてあるわけであります。
市場関係者の多くは、情報技術活用の必要性は認めている、認めているけれども、システム開発、費用の負担、技術習得、人材不足等問題であり、全面的な情報技術の導入をやっていない。やりたいけれども、いわゆる費用の面、コストの面、そういった面でなかなかまだ取り組みが始まっていない、こういうことであろうかと思います。
そういうことで、社会経済状況の変化は、この市場の整備計画にどう書いてあるかというと、これは有名なといいますか、最近よくいわれている、だれでもいつでもどこでもという、ユビキタス社会をもう現在迎えているのだ、こういうふうにいっているわけであります。しかしながら、市場の物流システム、開発がおくれているというのが、私の認識であります。
そこで、今後、市場の物流の効率化、高度化、情報化を図っていくことは、もう喫緊の課題である、こう思うわけであります。そのためには、流通環境の変化に対応していくための新たな物流システム、市場としても構築が必要だと思うわけでありますが、この中央市場の情報化への取り組み、力強い答弁をお願いしたいと思います。
○大橋市場政策担当部長 中央卸売市場における情報化の取り組みについてでありますが、中央卸売市場を経由する生鮮食料品流通における情報化は、全国の出荷者や多数の市場関係業者が取引にかかわっているために、統一的なシステム構築が難しいなどの理由により、ネットワーク形成という点でおくれていると認識しております。
現在、国では、ICタグを用いて、産地、卸売市場、小売の各段階における入荷、出荷、在庫状況確認など、物流の状況を一貫して管理する実証実験などを行っておりますが、統一したネットワーク形成の取り組みは端緒についたばかりの状況でございます。
産地から小売までの一貫した情報化は、取引の迅速化や物流コストの削減など、卸売市場の競争力強化に重要であることから、情報システム構築の主体は業界ではありますけれども、都といたしましては、国が行う実証実験に積極的に参加するとともに、情報化の推進に必要な場内の基盤整備を適切に推進し、中央卸売市場における情報化が推進されるよう取り組んでまいります。
○長橋委員 情報基盤の整備ということでありますが、今のところは、なかなか市場にあっては統一的なシステムの構築は難しい。難しいということでおくれているということでありますが、情報基盤の整備は、難しいからできないということはないわけでありまして、それはいろいろな課題があるかと思いますが、ぜひ克服をして、やはり冒頭申し上げました市場経由率の減少、それから取扱高の減少、これを回復をしていく。そして、さらには向上させていくということが、中央卸売市場の存在感を高めていくわけでありますし、都民の信頼を得ていくわけであります。
豊洲新市場、今議論をされました。老朽化したから移転するんじゃない。移転するだけでは通用しないわけでありますし、また、そういった意味では、こういった取り組みが都民の理解を得て、市場に対する信頼感を増すことによって、豊洲新市場への理解が広がっていくのではなかろうか、こう思うわけでありまして、豊洲新市場の開設、大きな課題でありますけれども、この課題についてもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
豊洲新市場が開場されれば、当然、世界一の市場になるわけであります。それは規模だけじゃなくて、情報基盤も含めたシステムも世界一のものにしようという意気込みがあろうかと思います。
そのためには、情報基盤の整備、難しいからおくれたというのでは、もう済まない時代であります。情報基盤の整備、生産地から顧客に至るまでのシステムを、さまざまなコストの削減、そんなことを含めて、当然、新市場で構築をしなければいけない。そのためには、今からそういった検討する部署、組織、市場の中につくってもらいたい。強く要望をしておきたいと思います。
次に、この活性化とあわせて大事なのが食の安全・安心でございます。
近年、ご案内のとおり、さまざまな食品事故、事件が多発しているわけであります。輸入野菜の残留農薬、まさにマスコミが毎日のように報道しておりますし、都民、消費者の関心も高まっているわけであります。
都は、そういったことも踏まえて、生鮮食料品の品質向上を図るため、品質管理マニュアルの手引を作成したと聞いておりますが、都として現在の取り組み、マニュアルを作成した後の取り組みについて、お伺いいたします。
○荒井事業部長 中央卸売市場が都民に安全・安心な生鮮食料品を提供していくためには、卸売業者や仲卸業者が、施設使用や生鮮食料品の取り扱いについての手法や手続、点検、記録の方法等を品質管理マニュアルとして定め、具体的に実施していくことが有効です。
東京都は、平成十八年度に、水産物部及び青果部の卸売業者に向けて品質管理マニュアル作成の手引を策定し、これをもとに各卸売業者がマニュアルを作成するよう指導して、現在では全卸売業者がマニュアルを整備いたしました。
本年度は、引き続き、仲卸業者について品質管理マニュアル作成の手引を取りまとめ、仲卸業者が品質管理マニュアルを作成して、これに基づいて品質管理を的確に行っていけるよう支援してまいります。
○長橋委員 今お話がありました、卸売業者はすべて品質管理マニュアルを整備した。卸売業者はそれなりに人員もまた規模もあるわけでありまして、それがすべて整備をしたということは評価するわけでありますし、さらに、今年度は仲卸業者向けの手引を作成する。
お伺いしますと、卸売業者は東京市場の中で三十六社ぐらい。だけれども、仲卸業者は千三百社もあると聞いているわけであります。しかも、その規模といい、さまざまでありますし、人員の面でも、これは大変に困難が伴うと思いますけれども、卸売業者はすべて完備した、仲卸業者も千三百社全部完備していくということでよろしいんでしょうか。ちょっとお答えいただけますか。
○荒井事業部長 仲卸業者につきましては、先生、今ご指摘のとおり、規模も、それぞれ得意とする分野も違いますが、私どもは、品質管理マニュアル作成の手引、これを充実させ、品質管理マニュアルを各仲卸業者が作成できるように支援してまいります。
○長橋委員 突然の質問でございましたけれども、この取り組みについては、ぜひ都としても一生懸命取り組んでいただきたい。一生懸命、私自身も支援をしてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。
さらには、食の安全・安心については、けさのニュースでもありました。マスコミを騒がせている食品表示の偽装問題がございます。社会的にも信頼が厚かった大手の企業が、また、長年にわたって愛されていたしにせのメーカーがこういった偽装問題を起こしているわけであります。こうなってくると、もう何を信じていいのか、また、氷山の一角ではないのか、本当にそういう不安が今高まっているわけであります。
そういう中で、卸売市場で扱われた生鮮食料品については、産地が明確に表示され、都民がその表示を信頼して買うことができるようにしなければならない。卸売市場のものは安心だ、こういう信頼をかち取らなきゃいけないわけであります。
そこで、卸売市場を経由する生鮮食料品について、正確な産地表示の確保について都はどのように取り組んできたのか、あわせてお伺いいたします。
○荒井事業部長 卸売業者は、東京都中央卸売市場条例に基づきまして、集荷した生鮮食料品について、原産地を確認して販売することが義務づけられております。そのため、産地からの送り状の記載漏れや不明確な記載等、原産地が不明な場合は、出荷者に確認した上、販売相手に対して原産地を正確に伝達することとしております。
東京都は、日常の取引業務指導のほか、定期的な巡回調査を実施する中で、販売物品の原産地表示が適正になされているか確認し、不適正な表示が発見されたときは改善指導を行っております。万が一、市場内業者が偽装表示等の事件を起こした場合は、条例に基づく改善措置命令や監督処分を行うなど、厳格に対応してまいります。
○長橋委員 もう時間も来ました。最後にお伺いいたします。
食品の安全・安心、これは市場の大きな役割でございます。ぜひしっかりと取り組んでいただきたいとお願いをいたします。
最後に、市場のもう一つの役割として、地元小売店への貢献、支援、これが重要であると考えます。今、大手スーパーや量販店に押されて、私の地域もそうですけれども、皆さんの地域も、八百屋さん、魚屋さんがどんどん少なくなってきているわけであります。高齢社会にあって、地域の中で歩いていける店がなくなってきた、近くにあった店がなくなってしまった、これは大変に不便でありまして、それがまた商店街のにぎわいにも大きく影響しているわけであります。
市場として小売店への支援を積極的に展開すべきであると思いますが、最後に、この小売店への支援策、お伺いしたいと思います。
○大橋市場政策担当部長 小売店の活性化は、地域にとって不可欠なばかりでなく、卸売市場にとっても、市場取引の拡大という観点から重要と認識しております。
卸売市場として小売店の活性化を進めるためには、都と業界が連携し、新鮮で安全・安心な青果物の供給や商品販売に有効な情報を提供することなどにより、店舗の魅力向上を支援することが有効と考えております。
このため、平成十八年度には、豊島、淀橋、北足立、葛西の各市場で、市場関係業者との連携により温度管理施設を整備し、品質管理への取り組みを強化いたしました。また、豊島市場では、場内業者で構成する豊島市場活性化委員会で、産地の視察、生産者との意見交換などを実施しているほか、月に一度、野菜ソムリエを市場に招き、仕入れを行う小売商の方に対し、野菜の調理法や店頭での商品陳列方法など、販売促進に役立つ情報の提供を行っております。
今後とも、小売店のニーズを機敏にとらえ、小売店の活性化を後押ししてまいります。
○長橋委員 ありがとうございました。
今ご答弁がありました。豊島市場のことも例を引いていただきました。お伺いすると、豊島市場では、活性化委員会、これを置いて、産地の視察とか意見交換、または野菜ソムリエというものまでやっているということでありまして、ここまで活発にやっている活性化委員会というのは、豊島市場のほかには余りないというふうにもお伺いしました。
小売店の支援に当たって、市場を挙げてこういった支援をしていくには、活性化委員会、きちっと各市場においても活発な議論を展開して、どうやったら小売店にお客さんが戻ってくるのか、こういうことまで含めて検討ができるよう、体制を支援していただきたい。お願いをいたしまして、質問を終わります。
○曽根委員 私からは、築地市場の豊洲移転計画に関連しまして大きく二点、一つは豊洲の土壌汚染の問題について、もう一点は、築地市場における現在地再整備の計画の問題について質問させていただきます。
ご存じのとおり、私、比留間市場長にも二月の予算特別委員会で、築地市場の再整備について、これが知事のトップダウンで、当時の濱渦副知事によって強引に推し進められたという経過についても質問させていただきました。
その際、私も問題にしましたが、豊洲の土壌汚染については、都は、古い指針の基準による東京ガスの調査をそのまま採用して都の対策を実施し、これで安全というふうに豪語してきたけれども、その後の事態の推移は、都民運動に押されて専門家会議が設置され、さらに、そこでの再調査の実施の結果、基準の一千倍のベンゼンが出てくるなど、新たに深刻な地下水汚染を初めとする汚染が発見され、東京ガスの調査だけでは不十分だったということも明らかになってきました。
そこで、最初に、東京ガスの調査の問題についてお聞きしたいんですが、この問題になっているD-12というポイントで、東京ガスの調査ではベンゼンについてどういう調査をしたのかということをちょっと調べてみたら、ベンゼンの地表でのガス濃度を測定して、これがほかの地表に比べて特に高くないと判断した場合には土壌の詳細調査はしないということで、土壌調査は行われていないポイントでした。
ところが、今回、地下水ではありますが、一千倍のベンゼン汚染が発見された。これは、東京ガスが行ったベンゼンの地下水調査の値と大きく異なるということが、先ほど質問でもありました。同じことを聞いてもあれなんですが、その際、お答えの中で、前回、東京ガスは三メートルの深さで調査したであろう、今回は八メートル程度の深さということですか、粘性土層のすぐ上、深さが違うんですよという話がありました。
それで、ちょっとお聞きしたいんですが、この専門家会議の記録によると、今回の地下水の調査は、きちっと調査しようということで、ボーリングにより観測井戸を設置して、濁りを含まないよう、観測井戸内の水量を三回から五回くみ上げることで入れかえを行い、スクリーン区間、要するに、地表から下の粘性土層までの中間深度において採水したと。これが八メートルということだと思うんです。すなわち、地下水全体について、水の入れかえも行って、全体を均等にするような調査の仕方をしているんじゃないかと思うんですが、そうすると、単に深さが違うというだけでは、千倍と前回の調査の一・一倍ですか、基準の、その違いは説明できないと思うんですが、いかがですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 都の行った地下水調査において、D-12の地点におけるベンゼン濃度は一〇ミリグラム・パー・リッターでございました。東京ガス株式会社が行った際の濃度は〇・〇一一ミリグラム・パー・リッターでございました。
この箇所については、東京ガス株式会社が平成十一年の地下水調査で、過去に土地を掘削した可能性のある地下三メートルまでの深さをボーリングし、地下水を採取してございます。今回の都の地下水調査では、地下水全体の汚染状況を把握するため、不透水層のある地下八・五メートルまでをボーリングし、地下水を採取しました。このように、都の調査が東京ガス株式会社の調査と比較して調査深度が異なっていることから、今回、ベンゼン濃度に差異が出たものと考えられます。
また、当該D-12地点については、委員のお話にありましたように、一回、地下水を採取しましたが、二回、三回と調査を再確認のためしております。
また、その結果、どういった原因、あるいはどういった科学的知見であるかは、そういったデータを専門家会議の皆さんにお示しして、照査願いたい、そういうふうに考えております。
○曽根委員 非常に深刻な問題だと、私、思うんですよね。というのは、前回、仮に三メートルではかった、そのとき攪拌したかしないかはわからない、しかし、今回は明らかに攪拌しているわけですね。その際に千倍が出たということは、攪拌して千倍になっているわけですから、深いところに、地下水汚染で千倍をもっと超えるような、さらに深刻な汚染濃度が、地下の粘性土層のあたりに存在する可能性があるわけですよね。その可能性がかなりの高い確率であるとすると、幾ら上の土壌を取りかえても、地下水に伴って非常に濃い汚染が絶えず上がってくるということが考えられるわけで、豊洲全体の土壌対策をどうするのかということについて、このデータというのは非常に問題を提起していると思うんです。
先ほど、東京ガスの調査は法令にのっとって行われているんだというふうにおっしゃいましたが、結果から見れば明らかに不十分。少なくとも、三十メートルメッシュだって不十分なんですが、それだって全部のポイントはやっていない。地表にガスが出ないところはやっていなくて、このD-12はやっていないわけです。それで、その地下に、深いところに汚染があった。これが発見できなかったわけですから、やっぱり不十分さがあったということは認めざるを得ないと思うんですが、いかがですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 東京ガス株式会社は、土壌、地下水中のベンゼンについて、平成十年から十一年にかけて、当時の技術上の基準である環境庁の土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針に基づいて調査を実施しております。平成十四年には、市場用地という特性から、当時の環境確保条例に対応して、ベンゼンの表層土壌ガス調査を八百三十一カ所で実施しております。これらの東京ガス株式会社の行った調査の内容は、いずれも当時の基準や条例に沿った内容で実施されたものであります。
ただし、今回の都の追加調査で、ベンゼン濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から高濃度のベンゼンが検出されたため、豊洲新市場予定地の敷地全面にわたって詳細な調査を実施することにいたしました。
○曽根委員 先ほどと一言一句変わらない答弁なんですが、じゃ、土壌汚染対策法の中で、当時の指針、今の指針でもいいんですが、土壌汚染については、上の封じ込めだとか、基準を超える高い濃度の汚染については入れかえとか、処理とか、いろんなことがあるんですが、地下水汚染についての対策は何かあるんですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 地下水の飲用がない場合につきましては、汚染物質の封じ込めということになりまして、盛り土であれば五十センチの厚さ、あるいは、アスファルトであれば三センチ以上、コンクリート盤であれば十センチ以上の封じ込め、そういう定めがございます。
○曽根委員 つまり、封じ込め以外は、地下水については対策がないわけですよね。
ところが、今回のポイントでさらに特徴的なのは、パネルをつくってきましたが、以前あった東京ガスの工場の中で、この場所、D-12は空き地になっていた場所だと。だから、東京ガスの調査でも余り心配していなかったんだろうと思うんですよね、恐らく。
私たちも、東京ガスで、この工場で働いていた方に何人もお会いして、この場所でなぜベンゼンが出たのか、地下の深いところですけれどもと、お聞きしましたが、やっぱりわからないんですよ。もし、何もなかったところの地下にベンゼンがあった、しかも地下水が汚染されていたということになると、これはまだ推測の域を出ませんけれども、地下水が垂直方向に移動するだけじゃなく、水平方向にも汚染とともに移動する、汚染を抱えたまま移動するということが可能性としては出てくるわけですよね。そう考えないと、どうしても、この場所でベンゼンが出た理由の説明が今のところつかないと思うんです。こういう危険性も、今回の汚染の問題として指摘しないわけにいかない。
だとするならば、今後の調査のやり方については、具体的に専門家からも指摘、提案が出ているわけですね、先ほどもちょっとお話がありましたが。十メートルメッシュで調査を行うこと、全ポイントについて、地下水も土壌も、考えられる各汚染物質についてもすべて調査をするということは当然だと思いますが、いかがですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 十月六日に開催されました第四回専門家会議で、今後行う調査について議論され、基本的な方向が示されております。内容は、十メートルメッシュを基本とし、地下水調査及び土壌調査を行うこととし、対象物質は、東京ガス株式会社が石炭ガス製造時に発生した可能性がある七物質としております。
法令では十メートルメッシュのボーリングを行うことまでとなっておりますが、今後予定している調査内容では、高濃度が確認された場合には、汚染範囲を特定するため、さらに詳細な調査を行うこととしておりまして、現行法令を上回る取り扱いだと考えております。
○曽根委員 それから、先ほど申し上げた地下水の動き、垂直、水平方向の動きをやはり正確につかむためには、これは環境学会の専門家の方が指摘していますが、例えば、雨が降った後、夏場と冬場では温度が違う、それから潮位による変化などを含めて、少なくとも一年間の継続調査を行わなければ、本当の意味で正確な汚染状況はつかめない。そのための準備及び測定したデータの分析で三年ぐらいはかかるはずだ、十カ月では到底できないという指摘があります。これは当然だと思いますが、いかがですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 地下水における汚染状況の時間的変動につきましては、それを把握していこうという方向で考えております。ただし、何年間あるいは何月か、そういった具体的な調査内容については、現在、専門家会議の委員の方と調整中であります。
○曽根委員 今、時間経過も見ていきたいというお話があったので、少なくとも一年間の調査期間、その前後の分析、準備期間、これを提案しておきます。
さらに、さっきこれも質問があったんですが、不透水層、粘性土層、いわゆる有楽町層ですね、この下まで汚染が行っているかどうかについての調査も必要ではないか、これも専門家から指摘があります。
先ほどは、ボーリングでもって穴をあけると、不透水層の下まで汚染が広がる可能性があると専門家会議で指摘があった、だから、それができない理由の一つになっているようですが、だとするならば、新しい豊洲市場を建設する際には、くい打ちは、この不透水層の上でとどめるんですか。そんなことがあり得るんですか、埋立地で。
○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議の委員から、ボーリング調査の深さは不透水層の上端までとし、不透水層を貫通することにより不透水層の下に有害物質が拡散しないようにすることが重要であると指摘されております。したがって、不透水層の下の調査をする予定はございません。
しかし、施設建設のときにはかなり深いくいを打ちます。豊洲新市場予定地の地層を見ますと、広範囲にわたりまして有楽町層という粘土層がございます。その粘土層の厚さは五メーターから十メーターと大変厚い層になっています。建設工事を行いますくいにつきましては、要は中が詰まっておりまして、専門家会議の委員の方からもお話を伺いましたが、そういったくいを有楽町層の中、それは厚さが五メーター、二十メーターもありますから、その間に貫通させても汚染の広がりはないだろうと。ただし、調査に関しましては、中空の管を打ちましてボーリングをしますので、そういった場合には、仮に上の地下水が汚染された場合には不透水層の下に汚染を広げる可能性がある。そういうことで、不透水層以下の調査をする考えはございません。
○曽根委員 私、ちょっと言葉は悪いですけれども、ほとんどへ理屈の世界だと思います。
くい打ちは少なくとも数十センチ、場合によっては一メートル近いくいを打たなきゃならないわけですが、ボーリングというのは、この間、私も豊洲に行って見学しましたけれども、数センチの直径ですよ。それでもって突き破って汚染が下に広がる危険性があるぐらい心配しているんだったら、くい打ちで、仮に中が詰まっているといっても、それに伴う汚染の拡散、これを心配しない方がよっぽど非常識ですよ。
もし、この有楽町層で汚染が上でとまっているのが実態だとすれば、ここに豊洲市場を移転して、豊洲に新市場をつくって、大きな穴を何百本もあけるということが、いかに汚染の拡散につながる危険があるかということになりますよ。
つまり、横は護岸でもって今のところは閉鎖されている、水平方向は汚染が閉鎖されている地域ですけれども、地下については、大きな穴をたくさんあけるということは、まさに海底の方向に汚染を拡散する危険があるし、しかも、先ほどのベンゼンの話、深いところに少なくとも千倍を超えるであろう汚染が現に見つかっているわけですから、そういう危険があるということは指摘しておかなきゃならない。根本問題ですよ、これは。あそこに市場をつくれるのかどうかという問題につながっているということを指摘します。
また、その調べ方についても、五メーターから十メーターもあるわけでしょう、粘性土層は。そこに汚染が浸透しているかどうかを調べるのに、何で突き破らなきゃ調べられないのか。そんなことはないわけですよ。上の方からある程度まで深さを調べれば、汚染が浸透しているのかしていないのか、わかるわけですよ、これは。いろんな調べ方があるわけで、当然ながら、汚染の粘性土層への浸透、また、その下に汚染が広がっている可能性については、科学的、合理的な方法で調べるべきだということを重ねて申し上げておきます。
最後に、こういうことも含めて、専門家会議の四人の方だけでは、やはり本当の英知を結集することにならないんじゃないかということから、環境学会の方々を中心にクロスチェック、つまり、一定の科学的な見解や立場を異にする科学者によるチェックを、先ほど四千カ所もできないという話でしたが、何も四千カ所全部とはいわないまでも、必要だと思われるところについて行う、これは科学界の常識だと思いますが、そんなことは常識じゃないんでしょうか。いかがですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 土壌汚染調査及び分析に当たりましては、調査内容の透明性とデータの信頼性を確保していくことが重要であると考えております。
都が行う調査、分析につきましては、調査地点、調査方法、分析機関、調査結果等、すべての内容を公表していくことから、クロスチェックを行う必要はないと考えております。さらに、約四千カ所に上る調査を別の実施者が同時に行うことは現実的とはいえない、そういうふうに考えております。
これまで行ってきた調査結果につきましては、専門家会議で公表してまいりましたし、今後実施する調査結果につきましても、専門家会議において公表してまいります。
○曽根委員 このクロスチェック一つとっても、いかに東京都が、自分が許す範囲の中でしかこうした調査もやる気がないのかということが明らかですし、しかも、事は土壌汚染対策法で想定した土壌の汚染という範囲を超えた、地下水によって汚染がどんどん拡大、移動していくという問題の可能性が高いわけですから、法で決められた調査の方法だけでは到底間に合わないということは、先ほどの対策のお話を聞いていても、都の方だって考えざるを得ないわけです。
したがって、これは、英知を結集して、何よりも最終的には都民の納得が得られる、関係事業者の納得が得られる方法に見直す。これからですから、つくっていく、方法を考えていくということを求めておきたい。
それで、今、調査の問題をやったんですが、さらに問題なのは、東ガスの調査が不十分だったために、その対策自体も不十分だということは、予算特別委員会で、私、指摘したんですが、実態はそのとおりになっているというふうにいわざるを得ない点です。
これもちょっとパネルを見ていただきたいんですが、先ほど再汚染という話がありました。土壌を入れかえたんだけれども、また汚染されている可能性があるんじゃないか。私、その具体的な例として、E-26というポイントについてちょっとお聞きしたいんです。
このポイントは、かつての工場でいうと、沈殿池のあったところ、またはその直近で、当然ながら汚染が予想されるところです。にもかかわらず、E-26の地表でガスが少なかったということで、ベンゼンの土壌調査はやっていないんですよ。その上と下、北と南になりますか、隣接ポイントはガスが出たらしくて、ここはやっていて、間のE-26だけ抜けているんです。こんなばかな調査は、私、ないと思いますけれども、しかし、地下水の調査では、東ガスの調査で基準の百倍の値が出ていますよね。今度の調査ではどういう値になったんでしょうか。
○宮良新市場建設調整担当部長 E-26の地点において、東京ガス株式会社が行った地下水調査で環境基準の百十倍の濃度が検出されましたが、地下水の飲用利用がないことから、地下水自体を対象とした浄化処理は行っておりません。
また、東京ガス株式会社が同地点で平成十四年に行った表層土壌ガス調査では、ベンゼン濃度が〇・三三ppmと、土壌調査を行う基準とした一ppmに達しなかったため、ベンゼンに対する土壌調査や対策を行っておりません。
○曽根委員 基準の百十倍が今回出た。東ガスの調査では基準の百倍。今回は百十倍。ほぼ同じ汚染の値が出ているということで、ここにもグラフがありましたけれども、要するに、前回と今回の調査を比べて汚染が高くなったか低くなったかというグラフでは、ちょうど線上に乗っている、同じでしたよという、一見、今回の調査の整合性を暗示させるようなグラフなんですが、実際はそうじゃないんですよ。
ここはベンゼンではなくシアンが出て、土壌の入れかえをやったんですよね。そうですよね。だから、E-26の土壌は健全化されているはずなんです。にもかかわらず、同じ場所でまたベンゼンが基準の百倍出た、地下水ですけれども。ということは、明らかに再汚染の可能性が高いと見ざるを得ないんじゃないですか。いかがでしょうか。
○宮良新市場建設調整担当部長 今ご答弁させていただきました、東京ガスの調査のことでございますが、東京ガス株式会社が行った地下水調査で、お尋ねのE-26、これは環境基準の百十倍でした。今回、東京都、私どもが行った調査では百倍でございます。
今お尋ねのことですが、地下水位が当初想定した水位より上昇して、盛り土のレベルまで来ていることがあるのは事実でございます。今後実施する約四千カ所の地下水と土壌の調査で詳細に状況を把握し、汚染が確認された場合は、従来から予定しています土壌汚染対策のとおり、環境基準の十倍を超える汚染土壌はすべて処理するとともに、地表面から旧地盤面の下二メーターの範囲についても環境基準以下とするなど、必要な対策をとってまいります。
また、地下水の上昇により対策した土壌が再汚染されないようにするため、地下水位を一定以下に保つ対策を行っていく予定でございます。
○曽根委員 あえて、ついでにいいますと、ここで対策を行ったのは、ベンゼンを除去したというよりは、シアン対策で土壌を洗浄したというふうに記録ではなっているんですね。
ところが、シアンについても見てみると、E-26は東ガスの調査では一・三。これは検出されないのが原則ですが、一・三ミリグラム・パー・リッター。今回は二・二ミリグラム・パー・リッター。東ガスの調査よりも今回の調査の方が高い。二倍近い濃度になっている。土壌の洗浄をシアンについてはやったにもかかわらず、シアンについても高い濃度が出ている。シアンとベンゼンで出ているということは、ここは砒素も高いんですけれども、地下水に乗って汚染が来ているという可能性が明らかに高いと思うんですよ。というのは、ベンゼンは液状物質ですし、シアンについては極めて水に溶けやすい物質ですよね。シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、どちらにしてもイオン化傾向が最も高い物質ですよ。ですから、水に非常に溶けやすいということから、地下水で汚染が拡大する危険が最も高いものですよ。
そういうものについては、何度土壌を入れかえてもまた汚染されるという可能性が、地下の深いところに非常に深刻な汚染がある限り、これは何度入れかえても対策にならないということになりかねないわけですが、先ほどのお話では、土壌の入れかえをやるんだ、地下水位が上がらないようにしたいという話がありました。地下水位が上がらないようにするということは、くみ上げか何かをして下げるということですよね。これは埋立地ですから、地下水位が下がれば地盤沈下の原因になるわけです。地下水のくみ上げで、かつて江東デルタ地帯が物すごい地盤沈下が起きたのと同じことが起きるわけですよ。ですから、新しい市場を建設するどころの話じゃなくなりますが、そんなことを、対策で本当に考えておられるんですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 当該豊洲地域の地下水位の経緯を調べますと、平成十一年、「ゆりかもめ」の建設の際、あるいは東京ガスが土壌対策を行いました十三年当時は、AP二メーター、旧地盤から約二メーター下、そういったところで水位が安定しておりました。
今回の調査で地下水位が上昇しておりますが、AP二メーターまでは従来の地下水位であり、そこまで水をくみ上げても大丈夫だ、そういうふうに認識しております。
○曽根委員 この地下水位問題というのは、今回の汚染の、いわば法律でも想定されていない新しい問題です。本当に地下水位を下げて、それでなくたって、不等沈下というのはどこの埋立地の建造物でも起きているわけですよね。そういう点からすると、上にコンクリートやアスファルトを相当厚く乗せるというふうなことをおっしゃっていますが、その重さによってまた沈下するんですよ。しかも、地下水位が下がれば、もうでこぼこになってしまうという危険だって当然あるし、それでできるすき間などから、地下水に乗ってベンゼンが上がってくるという危険性だってあるわけで、対策については本当に難しいと思います、はっきりいって。
よく専門家会議や東京都の説明の中で、リスクマネジメントということがいわれていますよね。封じ込めればリスクはコントロールできるんだというふうなことが強調されますけれども、どこまでのリスクを許容するのかということについては、最後に判断するのは都民ですよね。食品問題ですから、これは。
食品問題では、例えば、今、食中毒が起きていなくても、それを防止するためにみずから定めた消費期限や管理基準を自分が破る、企業が、こういうことに対して厳しい批判が出ているわけですね。食中毒が起きていなくてもですよ。それほど食品問題についての企業のモラル違反というのは批判があるわけで、それから見ると、都民がこのような対策で納得するのかという点ではいかがですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地におきましては、土壌汚染対策法の規定を上回る対策を行うことを予定しております。食の安全・安心を確保すべく、専門家会議の提言を受け、施設完成後についても地下水位を一定に保つなど、有害物質のリスク管理も含め必要な対策をとってまいります。
また、液状化の危険性については、サンドコンパクションパイル工法や深層混合処理工法などの地盤改良を検討しておりまして、十分な液状化対策も行います。こういうことで地震時のリスクも最小にとどめてまいります。
さらに、新市場において、生鮮食料品は閉鎖された施設内で取り扱うこととしておりまして、液状化の直接的な影響は受けにくいと考えております。
このように、万全な対策を講じ、豊洲新市場を都民が安心できる市場として開場させていきたい、そういうふうに考えております。
○曽根委員 いろいろ対策についておっしゃいましたが、私が見る限り、どんなに対策をとっても汚染をゼロにすることはできません。したがって、食品を扱う大規模な市場として、絶対に身動きがとれないんだ、豊洲以外は絶対にあり得ないというならまだしも、わざわざ築地で今やっているものを豊洲に移転させるという必然性は全くないと思います。何も、汚染がはっきりしていてゼロにできない、都民的にも大きな疑問が出ているところに移転する必要はないわけですから。
そこで、現在地再整備という問題について、先ほどの話では、知事もテレビ番組でちょっとそのニュアンスが出てきたようですけれども、私、何よりも現在地再整備について再検討を求めたいのは、豊洲移転について余りにもお金がかかり過ぎているということなんですね。土地の購入だけで、先ほど、七百億円余りですか。しかも、建設だけでも千数百億。これから汚染対策、恐らく調査が十五億円ですから、百億の単位になっていくと思うんです。臨海部で液状化対策をやったところから見ると、これまた数百億。莫大な費用をかけて市場を何とか安全だといって、つくっていく。物すごいお金がかかる。そのお金は、じゃ、どこに行くのかということですね。
先ほどちょっとお話がありましたが、結局は使用料、そこにはね返ってくるわけです。汚染対策をやって、これは東ガスが一部持つかもしれませんが、液状化対策も含めれば、そこにかかる莫大な費用は、最終的には利用料になって、事業者の方にはね返ってくるわけです。この点からすれば、現実的な現在地再整備の案をもう一度よく検討する必要があるということを申し上げたいと思うんです。
それで、ちょっと改めてお聞きしたいんですが、築地の市場関係者の大部分が求めている、現在地再整備の声が今非常に上がっているわけですが、さまざまなプランが出ているはずです。東京都の基本計画はきょう資料でいただきました。しかし、これは昭和六十三年ですか、これ以降にも、例えば中央区も現在地再整備促進基礎調査というようなものを行っております、平成十二年ですが。それから、事業者の関係の方からもさまざまな現在地再整備のプランが出ていると思うんですが、私が見るに、平成十一年の十一月ですか、東京都が豊洲移転を切り出した以降はまともに検討された跡がないと思うんですが、いかがですか。
○越智新市場担当部長 平成三年から実施いたしました築地市場の現在地再整備工事が行き詰まりましたことから、平成八年十一月の第六次の卸売市場整備計画におきまして、現行基本計画の見直しが決定されました。
これを受けまして、平成九年十月から築地市場再整備推進協議会を開催いたしまして、東京都から、立体整備から平面整備による規模縮小や施設の一部継続使用などを内容とする見直し計画素案を提案して協議いたしましたが、まとまりませんでした。
さらに、平成十年四月には、業界六団体から臨海部への移転の可能性につきまして検討の要望があったことを踏まえまして、平成十一年二月から、同協議会におきまして、東京都から新たに五つの再整備案を提案いたしまして協議するとともに、水産仲卸組合から出されました再整備案につきましても検討いたしましたが、いずれの案につきましても合意を得ることができませんでした。
このように、これまで考えられるさまざまな現在地再整備案を検討してまいりましたが、いずれの案も合意に達しなかったことから、最終的に現在地再整備を断念するに至りました。
なお、中央区が十二年十二月に築地市場現在地再整備促進基礎調査として調査検討を行ったことは承知しております。その内容につきましては、文献の調査やアンケート調査などによりまして、現在地の評価分析や現在地再整備の促進方策についてまとめているものでございまして、具体的な再整備のプランではございません。
○曽根委員 東京都として現在地再整備が困難であるという決断を下して、その後についても、現在に至るまで、豊洲移転がもとに戻ることはなかったわけですが、その最大の理由、現在地再整備がなぜ難しいのか、できないのかということについてはどうですか。
○越智新市場担当部長 現在地再整備に当たりましては、営業を続けながら工事を進めるために、活用できる空き地を種地といたしまして、そこに仮設建物を建設して仮移転し、さらに移転元の建物を取り壊して、再度そこに新たな建物を建てるというローリング計画を立てて実施いたしました。
工事は、まず、平成三年から、仮設工事といたしまして、駐車場や卸売り場、搬出入路などの建設から進めてまいりました。その後、現に営業している店の仮移転を伴います市場棟の建設工事に入るに当たりまして、仮移転先での営業の困難さや仮移転店舗の使いにくさなど、業界団体から営業活動への深刻な影響が懸念されるようになりまして、業界調整が難航し、ローリング計画を進めることができなかったということが最大の理由でございます。
○曽根委員 基本的には、資料でいただいた昭和六十三年の東京都の計画で進めようとしたが、ローリングが難しかったということだと思うんですが、私、当時のパンフレットを関係者からいただいて見たんですが、市場の規模としてはかなり大きくとっています。業者の方が特にあれしたのは、高層棟などもつくって、ビルをつくって事務部門を集約するとか、いろんな規模の拡大を図っているんですね。しかし、当時から見ても、もう二十年たって、築地市場の取引量というのはどうかというと、ピーク時の七割まで下がっているわけです。今後大きく伸びていく可能性は少ないといわれています。マグロその他も規制がかかってきています。
したがって、現状での取引量、これを前提としてつくれば現実的なローリングの案ができるじゃないかという案が、私、これ、たまたまいただいたんですが、平成十五年の十二月に、事業者の方々の知恵を集めて、専門家にもお願いして、こういうプランが出ているんですね、築地市場再整備基本計画策定業務報告書ということで。
これは専門家の、プロがつくった案ですが、この中には、築地で今やっている仲卸を初めとした方々の知恵ですね、実際に業務をやっている方が、何とかこれでやれるんじゃないかと。その大きな要因は、土台は、キャパシティーを無理に大きくしない。要するに、現状を再整備していくということによって十分できるんだという案が出ているんですが、この案についてはご存じですか。
○越智新市場担当部長 水産仲卸組合でございます東卸組合から、築地市場の再整備基本計画が検討されて、内部で理事会に報告されたということは聞いておりますが、東京都にこの件につきまして報告はございません。
○曽根委員 つくられたのは平成十五年、もう既に豊洲移転が正式決定されて、事業者との現在地再整備を前提とした協議はもうやっていないんですよ、東京都は。事実上、窓口がなくなっちゃっているということから、残念ながら埋もれていたんですよ。
しかし、ここには、今読んで、まさにこれこそが築地の現実的、実際的なあり方じゃないか、方向じゃないかというふうに思わせる問題が、事業者の知恵を集めたんですよね、よく出ています。汚染問題も既に東ガスの調査が出ていましたから、こんな汚染の高い豊洲に行くぐらいだったら、築地で再整備を頑張ってやろうじゃないかという中身も入っています。で、現在の築地のブランドですね、機能と、いわゆる市場の文化、これが一体となってこそ築地があるんだということも入っているし、交通機関の問題、私、予特でも指摘しましたが、交通機関という点でも、中小零細のおすし屋さんだとか魚屋さんにとってはやっぱり築地が一番なんだということも含めて、本当に事業者の側で考え抜いて知恵を集めた案だなというふうに思いました。
これは聞いていないということなので、こういうことも含めて、改めて豊洲とコストの点で比較してもいいと思いますよ。本当に事業者、都民の食の安全にとって何がいい、どちらがいいのかということをまじめに、公平に検討するというお考えはありませんか。
○越智新市場担当部長 築地市場の現在の取扱量は、再整備計画を策定いたしました昭和六十三年に比較して減少しておりますけれども、近年、多様化いたします顧客ニーズに対応することが必要なことから、きめ細かな仕分けや加工が求められておりまして、それらの作業を場内通路や荷物の保管スペースなどで行っている状況がございます。
加えまして、輸送車両の大型化などによりまして、駐車場や荷をさばくスペースも不足しておりまして、新たにローリング工事用の種地を確保することは当時以上に困難となっております。
また、現行の敷地面積では、温度管理の徹底など、品質管理の高度化や物流の効率化に対応した施設を整備することができず、基幹市場としての役割を果たすことはできません。
さらに、アスベスト対策として、現行施設の取り壊しに当たって、一定期間、広範囲にわたって市場機能の一部を停止せざるを得ず、市場業者の営業活動に深刻な影響を及ぼすということになります。
このような理由から、現在地再整備は不可能であるというふうに考えております。
○曽根委員 そういったアスベストも含めた問題についても十分熟知している事業者の方々が、これがベストだとは私もわかりませんが、しかし、一つの極めて現実的、実際的な案としてつくっているわけですから、これをぜひ検討していただきたいということを、最後ですから、比留間市場長にお聞きしたいんですが、公平な立場で、この際、改めて、豊洲にしがみつかないで、検討するというぐらいのことはあっていいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○比留間中央卸売市場長 築地の再整備の問題については、昭和六十三年に基本計画を策定して、平成八年にローリング工事が中断するまで、かなり築地の業界全体で知恵を絞って、業界だけではなくて私どもも含めて、築地市場全体で知恵を絞って、なおかつ解決案が出てこなかったという状況にあるというふうに考えております。
現在、築地の市場というのは面積が約二十三ヘクタールですが、今回、豊洲の新市場の予定地は約四十ヘクタールを予定しておりまして、これは大体大田市場と同じような規模でございます。大田、四十ヘクタール、あそこは、大田市場に移転したのは平成元年だったと記憶しておりますけれども、広大な市場というふうにいわれましたが、現在、大田市場、あれでも手狭になっている。
結局、物流の変化の中で新しい機能を設けていかなければならない。今、市場が全体として転換期にあるのは事実でござまして、築地がこれから将来にわたって首都圏の基幹市場として機能していくためには、新しい機能をあの中に何としても入れていく必要があるというふうに考えております。
それは、品質管理の高度化でございますとか、それから、顧客のニーズに対応した荷さばきのスペースでございますとか、そういう今、築地に決定的に不足している施設を持っていかなければ、長い将来、これから三十年、五十年将来を見据えた築地の発展はないというふうに考えておりまして、私ども、現時点で築地の再整備、これは現実的な案ではないというふうに考えております。
○曽根委員 最後に、これは意見にしておきますが、やはり市場長の意見は、東京都が持っている築地の市場の今後の構想に沿ったものだと思います。したがって、規模的にも、それから市場の持っている役割、大規模な流通業者に対応できるだけの物流も確保するというようなことも含まれてくるんでしょう。しかし、それが築地の今後のあり方の唯一の姿なのかという点では、私は、率直にいえば、私たちの町場で一生懸命頑張っている、魚介類を中心として扱う食品業者の方々の意見は違うというふうに率直に申し上げたい。
やっぱり東京で営業している、庶民の食を支えている中小零細業者の方々が、今の市場の役割を基本的に守っていくことが築地のあり方であってほしいという点から、この現実的な再整備案を出しているのであって、東京都の構想だけを押しつければ、築地市場が本当の意味で都民の役に立つものになるということにはならないということを最後に申し上げて、終わります。
○鈴木委員 中央卸売市場会計決算の中で、建設改良費が築地市場に次いで大きい大田市場について幾つかお伺いいたします。
東京都中央卸売市場九市場のうち、大田市場における青果物取扱高の割合は約四〇%を占めており、生鮮野菜の安定供給に果たす役割は非常に大きいものがあります。大田市場は、都心部に立地する築地、神田両市場の過密化を解消し、今後の都における生鮮食料品等の円滑な流通を確保するため、昭和五十六年度に策定された第三次東京都卸売市場整備計画において、青果物、水産物及び花きを取り扱う総合市場として、このうち青果部は神田市場、荏原市場、蒲田分場を移転統合し、水産部は大森市場を移転収容するほか、地域市場として整備され、青果部は平成元年五月六日、水産部は九月十八日に営業を開始し、開場から来年には二十年が経過しようとしております。
中央卸売市場が平成十七年に策定した、平成十七年度から平成二十二年度までの第八次東京都卸売市場整備計画によれば、大田市場は中核的な拠点市場と位置づけられておりますが、市場のにぎわいを見ると、確かにそうした機能を果たしていることが実感でき、この間の大田市場の歩みは、先日の市場まつりの盛会ぶりを見ても、おおむね順調であったと思われますが、大田市場が将来も市場流通の中核であり続けるために、市場が直面している課題について幾つか質疑を行いたいと思います。
そこで、まず、大田市場における青果物の取扱状況は開場時と比べどのように変化しているのか、お伺いいたします。
○後藤参事 大田市場の青果物の一日当たりの取扱数量は、開場当初の平成元年は二千九百八十四トンであり、平成十八年には三千百七十五トンとなり、約六%増加をしております。一方、東京都中央卸売市場全体の一日当たりの取扱数量は、平成元年は九千七百五十七トンであり、平成十八年には七千八百四十四トンとなり、約二〇%減少しております。
このため、東京都中央卸売市場全体に占める大田市場のシェアは、三一%から四〇%に上昇しており、東京の青果物取引の中核的市場としての地位は高まっていると考えております。
○鈴木委員 青果物の流通の中核的市場としての大田市場の位置づけが高まっているということでありますが、先ほどの質疑にもありましたけれども、近年、卸売市場を取り巻く環境は、卸売市場経由率、経由量の減少と、生鮮食料品の低価格化及びこれに伴う市場関係業者の厳しい経営状況、生鮮食料品流通の国際化、情報化の進展など流通環境の変化、食の安全・安心の確保、取引規制の緩和等を主な内容とする卸売市場法の改正など、大きく変化してきております。卸売市場は、生産、消費両サイドのニーズをいかに的確に把握し、時代の変化のスピードに即応すべきかが問われておりますが、そうしたことから、まさに変革が迫られているといわれております。
大田市場においてもさまざまな課題が指摘されておりますが、具体的に、青果物の流通に関し大田市場の直面している問題点について改めてお伺いいたします。
○後藤参事 大田市場では、複数の店舗を持つ量販店などの大口取引の増加により、大型車両による搬送が増加するとともに、市場内で各店舗向けの荷さばきを行うことが求められるようになっております。
しかし、現在の大田市場では、この増加した大型車両が、高さ制限のある既存の屋根つき駐車場を利用できないことや、荷さばき施設が不足していることから、やむを得ず屋根つき駐車場を荷さばき施設として代用していることなどから、駐車場に入り切れないこれらの車両が周回道路にあふれ、荷積みや荷おろしを行っており、夜間から早朝のピークの時間帯には市場内で車両の渋滞が生じております。
また、近年、生産者や消費者からは、生鮮食料品流通の適正な品質管理を求める声が高まっておりますが、大田市場においては、荷さばきを低温の中で行える施設がないなど、商品の品質管理に必要な施設が必ずしも十分とはいえない状況にあります。
○鈴木委員 一見盤石そうに見える大田市場でありますけれども、今の答弁にもありましたけれども、荷さばき施設の不足や交通混雑、品質管理の高度化に対応する施設不足など、問題点が幾つかあるわけでありますけれども、流通業界の動きは非常に激しく、出荷者や流通関係者は、大田市場に魅力がなくなれば、すぐに新たな拠点に移ってしまうと思われます。
そこで、これらの問題を放置したままでは、大田市場といえども今の地位が危うくなると思われますが、具体的に今後どのような対処をしていくおつもりか、お伺いいたします。
○後藤参事 これらの問題は、今後も大田市場が青果物流通の拠点市場としての役割を果たしていくために、ぜひとも解決しなければならない課題であると認識しております。
このため、東京都では、平成十九年十二月から平成二十一年十月にかけまして、卸売市場の南北にある駐車場を改良し、大屋根つき積み込み場を整備することとしております。この大屋根つき積み込み場は、従来の駐車場では対応できなかった大型車両も利用可能であり、周回道路上での駐車や荷積みが減少するものと見込んでおります。さらに、大屋根つき積み込み場では雨天時の荷さばきにおいて品物がぬれないなど、商品の品質向上にも効果があると考えております。
また、この都の整備に続きまして、平成二十一年十一月から約一年間をかけ、卸売業者などが青果卸売り場の北側に立体荷さばき施設を整備することを計画しております。この荷さばき施設の整備によりまして、現在、屋根つき駐車場などで荷さばきなどを行っている市場業者の作業場所が確保され、場内の混雑緩和が期待されます。また、この施設には温度管理機能の設置が計画されており、商品を低温で保管、荷さばきすることが可能になり、品質管理の高度化を図ることができると考えております。
○鈴木委員 現在の諸課題に対応するための施設整備が計画されているということで、評価できることでありますけれども、今ご答弁にありました、卸売り場の南北にある駐車場を改良し、大屋根積み込み場を整備することにおいては、従来の屋根つき駐車場では対応できなかった大型車両にも対応が可能となり、周回道路上での駐車、荷さばきが減少しそうであり、また、雨天でも荷さばきが行え、品質向上にもつながるなど、大きな効果があると思われますけれども、現在、買い出し人が使用している青空駐車場が完成後は使用できなくなることとなり、買い出し人のための駐車、荷積みスペースの確保ができるのか、若干不安な面もあります。この点においては、十分に市場関係業者と調整し、理解の得られる取り組みを要望するところであります。
そこで、確実に問題を解決するために、こうした施設整備が円滑に行われる必要があるわけでありますけれども、施設整備を行うに当たっての対応についてお伺いいたします。
○後藤参事 立体荷さばき施設は建築面積約一万七千平米、大屋根つき積み込み場は整備面積約二万八千平米と極めて規模の大きい工事であり、工事期間も、両工事合わせて約三年必要となり、市場業務に影響を与えることが懸念をされます。
これらの大規模工事を日々の取引に支障がないよう進めるため、工事の影響を考慮し、施工箇所を区分し、ローリング方式で順次工事を行うこととしております。また、工事の対象地域を駐車場として利用しております売買参加者の方々には、工事の期間中、一時的に他の駐車場へ移転していただくことになります。
こうした大規模な工事を円滑に進めるためには、先生お話のありました、売買参加者を含めて市場の方々の協力が不可欠であると考えております。このため、工事の内容や工程、施工方法などについて事前に十分説明を行い、市場関係業者の理解と協力を得られるよう努めてまいります。
○鈴木委員 混雑している市場の中で大規模な工事を行うことは容易ではないと思われますが、万が一、大田市場の取引に支障が出れば、その影響は直ちに都民の消費生活に及びます。ぜひとも、綿密な計画を立て、市場関係業者と十分に調整して進めていただきたいと思います。
ここ三カ年の中央卸売市場会計の中の建設改良費の市場別推移を見ましても、大田市場の建設改良費は、中核的な拠点市場との位置づけの中で、築地市場に次いで群を抜いております。そうしたことからも、現在行われている大田市場の整備については、だれもが納得できる、また、これからの競争激化の環境に十分対応できるようにしていただかなくてはなりません。
今後も、市場流通の中核を担えるような市場として、生産者や小売業者、消費者の意向を鋭敏にとらえ、的確に対応していくよう、しっかりと取り組んでいくことを要望いたします。
最後に、先日の市場まつりにおいて、食の安全・安心を毀損されるような期限切れの商品が売られたと報道されました。先ほどの答弁にもありましたが、品質管理マニュアルの充実に取り組んでいる最中に起こったことで、一つのイベントではありますけれども、大変に残念でなりません。
現在、連鎖的に幾つもこうした事件が起きておりますが、一事業者が起こした事件以上に、中央卸売市場で扱われた商品として重大な問題であります。失われた信用は小さくないとは思われますが、二度とこうしたことが起きないよう、しっかりとした対応を強く要望いたします。
以上をもって質問を終わります。
○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時十八分散会
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