公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成十九年十月二十四日(水曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長鈴木貫太郎君
副委員長たぞえ民夫君
副委員長高橋かずみ君
副委員長大沢  昇君
田中たけし君
原田 恭子君
佐藤 広典君
山口  拓君
橘  正剛君
野島 善司君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
水道局局長東岡 創示君
技監尾崎  勝君
総務部長鈴木 孝三君
職員部長小山  隆君
経理部長山本 憲一君
サービス推進部長内海 正彰君
浄水部長長岡 敏和君
給水部長増子  敦君
建設部長原薗 一矢君
企画担当部長鈴木 慶一君
設備担当部長吉田  進君
参事広瀬 敏弘君
多摩水道改革推進本部本部長滝沢 優憲君
調整部長大平 晃司君
施設部長今井 茂樹君
参事佐竹 哲夫君

本日の会議に付した事件
 平成十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について
水道局関係
・平成十八年度東京都水道事業会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都工業用水道事業会計決算(質疑)

○鈴木委員長 平成十八年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 質疑につきましては、平成十八年度の決算の審査から逸脱をしないように行っていただきたいと存じますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の決算に対する質疑を行ってまいります。
 早速、水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都水道事業会計決算及び平成十八年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者からの説明を求めたいと思います。

○鈴木総務部長 さきの分科会におきまして要求のございました資料を取りまとめまして、お手元に配布してございます。概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをごらんいただきたいと存じます。水源開発事業費と財源内訳でございます。
 利根川水系の霞ヶ浦導水と八ッ場ダム、荒川水系の滝沢ダムの三つの事業に分けてお示ししてございます。
 財源の内訳としましては、企業債収入、国庫補助金、一般会計繰入金などでございます。
 二ページをお開き願います。高度浄水施設の整備実績と今後の導入計画でございます。
 それぞれの浄水場における高度浄水施設の導入規模、通水時期、処理方式及び事業費をお示ししてございます。今月末には、三園浄水場の通水が開始することとなります。
 (2)の今後の導入計画でございますが、三郷浄水場の二期、朝霞浄水場の二期などの整備を進めていくこととしております。
 三ページをお開き願います。多摩地区の事務委託解消の状況でございます。
 平成十八年度末までに武蔵村山市外十四市町の事務委託を廃止いたしました。
 平成十九年八月には、八王子市外四市と事務委託廃止の基本協定を締結いたしましたことから、平成十九年第四回定例会に事務委託廃止の議案の提出を予定してございます。
 その他五市につきましても、平成二十四年度の業務移行に向けまして、順次、事務委託の解消を進めていくこととしております。
 四ページをお開き願います。収益的収支、資本的収支及び損益勘定留保資金の推移でございます。
 収益的収支、資本的収支、損益勘定留保資金のそれぞれにつきまして、平成六年度料金改定からの推移をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。政令指定都市の水道料金でございます。
 各都市の料金体系、基本水量、一カ月に口径二〇ミリで十立方メートル、二十四立方メートルを使用した場合の水道料金をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。基本水量内件数と超過件数の推移でございます。
 平成十四年度から十八年度までの五年間につきまして、基本水量内の水道料金の調定件数と、基本水量を超過した水道料金の調定件数をお示ししてございます。
 基本水量につきましては、平成十六年十二月までが十立方メートルで、平成十七年一月からは五立方メートルとなっております。
 七ページをお開き願います。工業用水道の給水件数の推移でございます。
 各年度末現在の工業用水、雑用水、集合住宅の用途別に給水件数をお示ししてございます。
 以上をもちまして、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 今説明をいただいた資料を含め、これより本件に対する質疑を行ってまいります。
 発言を願います。

○野島委員 何点かお伺いをいたします。質疑に逸脱がありましたら、委員長、ご指導のほどよろしくお願いいたします。これは私だけじゃなくて、ほかの委員もイコールですが。
 水道局ではかねてから、三から四年ぐらいのスパンで中期経営計画を策定いたしまして効率的な事業運営に努めている、このように承知をいたしております。
 平成十六年から十八年度にかけては、東京水道経営プラン二〇〇四に基づいて取り組みがなされ、この中には、首都東京にふさわしい水道サービスの実現に向けて多方面にわたる施策が掲げられているところでありますが、この十八年度決算は、ある種三年間の締めと、そしてまた次につながる計画への節目だと、こういうふうにとらえておりますので、まず最初に、このプランの実施状況についてお伺いいたしたいと思います。

○鈴木総務部長 東京水道経営プラン二〇〇四では、首都東京にふさわしい質の高い水道サービスの実現を目指しまして、質の高い水道サービスの提供、多摩地区水道の広域的経営、効率経営の推進に取り組んできたところでございます。
 具体的には、質の高い水道サービスの提供につきましては、施設の耐震化、高度浄水処理の導入や給水管の材質改善を行い、安全でおいしい水の安定的な供給を推進してまいりました。
 また、お客さまセンターの開設や口座割引制度を導入いたしまして、お客様サービスの向上を図ってきたところでございます。
 さらに、多摩地区水道の広域的経営につきましては、市町への事務委託を順次廃止いたしますとともに、効率的経営の推進につきましては、三百五十名の職員定数の削減を行うなど、計画に掲げた主要施策を実現してきたところでございます。

○野島委員 いろんな資料もいただきました。今日までいろいろ取り組みいただいているわけでありますが、漏水率についても相当よくなったのかなというふうに思っています。その辺のところはどうでしょうかね。

○増子給水部長 水道局では、水資源の有効活用や漏水による二次災害の防止等の観点から、漏水防止対策に努めてまいりました。
 漏水防止作業には即応的対策と予防的対策があり、これらを併用して漏水防止に当たってまいりました。
 即応的対策とは、昼夜を問わず発生する、地上に出てくる漏水への対応や、地下に潜伏する漏水を、深夜などに音聴技術等により積極的に発見し、修理する作業でございます。
 予防的対策とは、経年劣化した配水管を強いダクタイル鋳鉄管へ取りかえること、配水管の取り出し部から宅地内の水道メーターまでの鉛製の給水管を取りかえること、及び私道内に配水管を布設し、複数の長距離の給水管を整理すること等により漏水を未然に防止する作業でございます。
 平成十八年度末に漏水率三・六%を達成した要因は、これら漏水防止対策の継続的な実施による成果と考えております。

○野島委員 今、漏水率の問題を具体的にお聞きいたしたところでありますけれども、三・六%と。当初のプラン二〇〇四ですと、向こう十年間で四%を達成するというふうにうたわれていると思うんですね。これが結果として、年度を前倒しして、なおかつ三・六という、目標を上回るんですよね。よくなったんだから。そういう改善がされたというふうなことだろうと思っております。
 漏水率をいろいろ見てみましたら、知事も、気候変動サミット、ニューヨーク、あれで水道の問題を取り上げていましたけれども、国内主要都市でもランク的には上位と。海外に比べますと、海外というのは何でこんないいかげん--いいかげんなんていっちゃいけないですが、漏水率が高いのかなと思うぐらいの漏水率なんですね。そんなことを見ますと、極めて地道な取り組みがあったというふうなことを高く評価いたしたいと思っております。
 特に東京の場合は、地下埋設物が、水道管のみならず、かなり錯綜しているんじゃないかと思うんですね。それから、これだけ交通事情とかなんとかで負荷も高い、あるいは震災の問題、こんなこともありますので、万が一そういったふうな、アリの一穴じゃないですけれども、そういうふうなところを見逃しますと大事故につながったりするわけでありますから、ぜひ引き続き取り組みをいただきたい。
 と同時に、せっかくお金をかけてつくった水がお金にならないんだと、これじゃ水商売以下になっちゃいますから、ぜひちゃんとお金になって返ってくるように、かけた金はただでどこかに行っちゃわないように、引き続きお願いしたいと思っております。それはすなわち水資源の有効利用、こういうことだと思いますし、二酸化炭素の削減にもつながるというふうに思いますので、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、施設整備長期目標、おおむね十年間という目標というふうに承知をしております。鉛製の給水管の解消については、このプランですと、十八年度末までに一〇〇%にしますと。たしか十八年度末までで具体的な数値が入っているのはこのプランだけだと承知をしておりますけれども、その達成状況についてお伺いしたいと思います。

○増子給水部長 平成十八年度末において、対象となる給水件数約四百万件に対して、鉛製給水管の解消率は約九八%となっておりまして、おおむね解消してございます。

○野島委員 こだわるわけじゃないんですけど、九八%というと、本当におおむね一〇〇%と僕らは思うんですよ。ただ、一〇〇%とうたっちゃっているものですから、じゃあ何で一〇〇%にならなかったのと。その事情、何かありましたら、ちょっと教えていただきたいんですが。

○増子給水部長 配水管の取り出し部から宅地内の水道メーターまでの鉛製給水管につきましては、当局の費用負担で解消に努めてまいりましたが、宅地内において鉛製給水管が一部残ってございます。この主な理由は、お客様と連絡がとれないことや、工事についてお客様にご理解が得られないことなどによりまして、宅地内の工事ができないものでございます。
 これらのお客様には、今後、個別に広報を行いまして、情報提供と鉛製給水管の解消についてのご理解とご協力をお願いするとともに、これまで以上に工事方法についても工夫するなど、早期の解消に努めてまいります。

○野島委員 ぜひ計画的に--ここまで来ますと困難な事例が多いと思うんですね、残りの二%というのはね。ぜひいろいろ取り組みを、大変でしょうけど、お願いしたいと思います。
 それと、例えば私道の中の給水管というのがありますよね。それらについても取り組みをしていただいてきたと思うんです。
 これは質問じゃないんですが、どういう事例がありますかというと、多摩なんかの場合ですと、宅地開発。最近はいいんですが、昔のはなかなかよくないというところがあるんですね。特に農道なんかにセットバックして建てていって、ここまでとりあえず建てるんだから、水道管はここまでですよというふうなことで行きどまっているケースがあるんです。そこから各家庭に引き込みますわね。そうすると、恐らく古い段階では水需要をそんなに読んでいないんですよ、各家庭が。だから、口径だとかの問題もありますし、行きどまりだと圧力がこう--ループ状になっていれば、圧力がずっとかかっていくんですが。結果的に、例えば湯沸かし器のフラッシュがあかないというケースがあるんですね。
 かつ悩ましいのは、私道なものだから、関係者の了解を得てくださいといわれるんですよね。僕もその一つの事例に取り組んだんですが。そうすると、権利者は、この際だから、不謹慎にも印鑑代が欲しいとか、そういうケースも出てくるんです。これは窓口に相談に行きますと、その部分はお客様の方で対応してください、私権にかかわる問題ですからと、当然のことをいわれるんですね。
 そんな課題もありますから、民民のいろんな権利関係の整理について、役所の方から積極的に出ていってやりましょうというふうには、なかなかいかないと思う、それぞれ事情が違うから。だけど、そういう場合には、ぜひきめ細かな対応をお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、このプランの中では、多摩地区水道の広域的経営が掲げられているわけであります。実は、私は東久留米というところに住んでおりまして、いわゆる多摩の水道の一元化の対象になったところなんですね。僕は、この問題、実は高い関心を持っていたんですよ。それぞれの議会で受託水道事業特別会計というのがあるんですね。最後に何をいうかというと、予算説明をばあっとするんです。本件については多摩対とも協議が調っております、これだけなんです。質問も何もないんですよ。それはそうです、委託者がいて、受託者がいるわけですから。
 あと、もっと悩ましかったのは、実は私も執行側にいたんですが、予算を組む段階で、東京都は委託事業としてこれだけお願いしますとあるわけですよ。そうすると、人組みの問題なんかで、なかなかこれが難しいんです。都の方はこれでやってくれと、委託者として。受託者としては、ここでは申し上げませんが、いろんな事情があって、そこの人数の張りつきなんかが東京都の思い--委託側の部分の側にならないという、で、一々また交渉するわけですね。そんなしち面倒くさいことやっているのなら一元化しちゃった方がいいんじゃないのと、こういうふうにずっと思っていたんです。
 実は、思い出すに、僕、十三年の公決の委員になったんです。この一元化を取り上げようと思ったら、ちょうどその時期が、内々の検討が終わって、これから各市に事情を説明して、その後しっかりしたプランをつくるよということで質問をやめたという経過がありました。
 そんなことはどうでもいいんですが、いわば、一つそういうふうな--僕は、後ほども触れたいと思うんですが、極めて大都市事務だと思うんです、水道事業というのは。マスメリットの関係、それから、東久留米市に東京都から水が来ていて、それが東久留米だけじゃなくて清瀬へ行ったりしているわけですから。例えば、それぞれがやっちゃっていると、東久留米から転出するときに、東久留米市の水道にいって停止をするわけですね。転居先に行って、同じ東京でも、今度は開栓手続をしなきゃいけない。事業体が一つなのに、委託することによって、むしろ逆にサービスがマイナスになっているというふうなところを強く感じたんです。ただ、委託、受託の関係は、私もそのときいろいろ勉強したんですが、いろんな事情があったようでございます。
 そこで、資料によりますと、解消状況は、各市、今申し上げましたさまざまな事情があるんでしょう、平成二十四年度までには多摩の各市が業務移行しましょうと、こういうことで伺っております。そういう中で、この広域的経営の目的の一つに、お客様へのサービスを向上させていくということが挙げられているわけでありますが、具体的な取り組みの状況についてお伺いしたいと思います。

○大平調整部長 多摩地区では、事務委託により業務を行ってきた関係上、各種の届け出や相談、料金支払いは、お客様がお住まいの市や町に限定されるなど、サービスの向上を図る上で課題が多かったところです。
 このため、委員からのお話もございましたが、水道使用の開始、中止等の受け付け業務を一元的に行います、いわゆるワンストップサービスを実現する多摩お客さまセンターを平成十八年十一月に開設したところでございます。また、事務委託の解消にあわせましてサービスステーションを開設いたしました。さらに、ご利用が可能な金融機関も拡大しているところでございまして、お客様サービスは大幅に向上しているものと考えております。

○野島委員 うちの方も立派なサービスステーションをつくっていただきまして、ありがとうございました。事務委託の解消が着実に進んでいることを実感として持っております。
 効率的な事業運営を推進しまして、いわば水道も管理の時代。もちろんアセットマネジメントをやらなきゃいけないから、そこの設備投資も出てきますけれども、いわば企業体にとって何が一番必要かといったら、やっぱり管理コストをどう圧縮していくか。そのことで料金の低廉化を実現していく、あるいは、そのコストをもって、より質の高い水道事業に投資をしていく、こういうことが必要だろうというふうに思ってございます。
 そこで、その広域的経営、これの大きな目的が今申し上げたところにあると思うんですが、多摩地区水道の経営改善により、効率的な事業運営の効果についての基本的な考え方、今、私、管理費の圧縮とかそういうことを申し上げましたが、そんなところを一つ。また、これからの水道事業は、いわゆる民間への業務委託化を積極的に進めていくんだというふうな方向も打ち出されているわけでありまして、その辺についてのご見解をお伺いしたいと思います。

○大平調整部長 効率的な事業運営についてでございますが、多摩地区水道経営改善基本計画の中で、広域水道としての規模の利益を生かすこと及び新たな経営手法として民間活力の一層の活用を図ることとしております。
 こうした基本的考え方に基づきまして、市町の職員の削減や民間への業務委託などを行いまして、平成二十四年度の計画終了時には年四十億円程度の経費削減を見込んでいるところでございます。
 また、民間への委託につきましては、当局の一体的事業運営方針に基づきまして、多摩お客さまセンター及びサービスステーションの運営、浄水場等の施設の運転管理や管路等の施設管理など、水道事業運営上の重要な業務を当局所管の監理団体に委託しているところでございます。
 他方、水道メーターの検針等の定型業務につきましては、可能な限り民間事業者に委託して、事業の効率的な運営を図っています。

○野島委員 先ほど、委託、受託の関係で、いろんな具体的な事例を私の経験の中から申し上げたところですが、水道事業は、やっぱり私は広域的に運営を、事業をさせたほうが極めて効率的だと思うんですね。効果的だと思います。そういう意味では、極めて大都市事務だろうというふうに思っていますので、そんな思いを申し上げておきたいと思います。
 三多摩も、三多摩上下水及び道路建設促進協議会というのがありまして、これは三多摩の議会の皆さん方が、ライフライン、インフラ整備、こういったようなことについての協議会を持っているんですね。そこでもやはり、水道事業の事務事業の見直しに当たっては、各市町と十分協議をし--協議しながら計画を実施していくのは当然のことだというふうに思っていますが、安定給水及び住民サービスの向上を図っていただきたいと、こんな要望もございますので、今申し上げました、前提としての大都市事務、それから多摩の、現に委託を解消していくというふうなところの各市の要望もございますので、こんなことを含めながら、積極的な推進をお願いしていきたいと思ってございます。
 今、プラン二〇〇四について、施策の進行状況、こういったふうなものをお伺いいたしたところであります。着実に実施されているというふうなことを受けとめております。ぜひ今後とも着実に進めていただきたいと思っておりますし、施設整備長期構想としての東京水道長期構想STEPⅡ、こういったふうな構想も既にあるわけでございますし、それから、二〇〇四の次は、三年たちましたら二〇〇七ということで、十九から二十一年、十九、二十、二十一ですね、この策定もされているわけでありますが、ぜひ着実な推進をして、都民に安全なおいしい水の供給に努めていただきたいと思っております。
 東京の水は、世界に誇る安全でおいしい水だと。知事も本会議で「東京水」、かつてはペットボトルの中は水じゃなくて浮遊物だったんですが、水道の水を掲げて、これはもう飲まなきゃ、わざわざ買うことないということだと思うんですが、オリンピック招致に向けて、こういったふうな都市インフラのみならず、さまざまな分野でより高い行政サービスを提供していかなきゃいけないだろうというふうに思っています。「十年後の東京」を見ますと、そんなことが書かれているわけです。
 最後に、私、埼玉との境に住んでいるんです、東京都の。うちの裏は水道道路というんです。なぜ水道道路かというと、昭和三十九年のオリンピックのときに、水が足りないよということで、当時の河野建設大臣のツルの一声で、利根川から荒川に落として、荒川の朝霞のところから上げて、それをこうやったんですね。それまで水道道路といわなかったんです。昔、田舎道が走っていただけなんです。
 今度のオリンピックは水道の水が足りないということはないと思うんですけれども、いわばそういうようなことで、「十年後の東京」、安全でおいしい水の安定的な供給、これは何もオリンピックをやるのみならず、都市生活あるいは都市の産業にとっても大変重要なことでございますので、さらなる取り組みをお願い申し上げたいと思いますが、最後に局長の決意を伺って、質問を終わります。

○東岡水道局長 東京は、「十年後の東京」を策定いたしまして、二〇一六年のオリンピック招致に向けて、より高いレベルの成長を遂げるということを目指しております。
 水道は、そうした東京の都民生活と都市活動を支える重要なライフラインであります。安全でおいしい水を安定して供給し、東京がさらなる高いレベルの成長を遂げていくために、水道局は、ハード、ソフトの両面にわたり、より信頼性の高い水道システムを構築してまいります。
 利根川水系への高度浄水処理の全量導入や、直結給水管などの一層の促進に取り組むなど、水源から蛇口までの総合的な施策を進めるとともに、多摩地区水道の一元化など、行政区域を超えた広域的、効率的な経営を進め、今後とも、安全でおいしい水の安定的な供給に向け、さらに取り組みに努力してまいります。

○佐藤委員 水道局の保有する土地の利活用について伺います。
 まず伺いますが、水道局の保有している土地はどれくらいあるのか、また、そのうち貸し付けしている土地はどれほどになるのか、お答えください。

○山本経理部長 十八年度末の時点でございますが、水道局が保有する土地は二億三千百三十九万六千平方メートルとなっております。そのうち、水源林を除く面積は二千十七万五千平方メートルでございます。また、賃貸している面積は六万七千平方メートルでございます。

○佐藤委員 水道局が広大な土地を所有しているということはよくわかりました。
 それでは、水道局の保有する土地の賃貸について伺います。
 水道局の保有する土地の賃貸について、契約形態がどうなっているのか、契約形態と件数、そして相手方をお答えください。

○山本経理部長 将来、局事業で使用する可能性があるなど、事業上の制約がある土地につきましては随意契約を行っております。件数は三件で、契約の相手先は東京都市開発株式会社でございます。
 事業上の制約がない土地につきましては公募で契約をしており、件数は三件で、その相手先は、介護事業者、温浴施設事業者、駐車場事業者でございます。

○佐藤委員 賃貸している土地について、随意契約と公募、それぞれについて一平方メートル当たりの単価を教えてください。

○山本経理部長 随意契約の総面積は六万平方メートル、収入は三億五千九百万円でございまして、一平方メートル当たりでは六千円となります。
 公募の総面積は七千平方メートルでございますが、立地条件がよいことから、収入は七千二百万円となっておりまして、一平方メートル当たりでは一万円でございます。

○佐藤委員 状況はわかりました。
 随意契約で契約された内容のうち、水道局の土地賃貸に関して、東京都市開発株式会社を経由して佐川急便に賃貸した案件がありました。都と東京都市開発株式会社が契約を結び、そして、東京都市開発株式会社と佐川急便が契約を結ぶという形態になっています。
 普通財産の場合、貸し付けを行うに当たって、水道局固定資産規程によれば、固定資産管理運用委員会が貸付期間や貸付料を決めることになっています。今申し上げた佐川急便の案件について、固定資産管理運用委員会では、相手方を佐川急便として賃貸の検討をしたのかどうか、お答えください。

○山本経理部長 水道局固定資産管理運用委員会では、固定資産の効率的運用等についての方針を審議しております。
 本案件の土地につきましては、一部を局の緊急資材置き場として使用することが予定されていたため、将来の局事業に支障がないようにする必要がございました。このため、当局と信頼関係があり、かつ局事業に精通し、資産活用の経験とノウハウを持つ東京都市開発株式会社を相手方として、倉庫の建設を前提とする事業用定期借地権の設定を検討いたしました。
 佐川急便株式会社は倉庫の借り手でございますけれども、借り手につきましては、固定資産管理運用委員会で審議する運用方針に直接かかわるものではないことから、検討項目としてはおりません。

○佐藤委員 この案件については、公募はしなかったのでしょうか。していないのであれば、理由をお答えください。

○山本経理部長 本案件につきましては、公募は行っておりません。
 本案件の土地につきましては、将来の局事業に支障がないようにする必要があったため、東京都市開発株式会社と随意契約を行っております。

○佐藤委員 固定資産管理運用委員会は、水道局の固定資産について、その利活用の是非を議論する委員会です。そこで実際に利用する相手方を決めることなく、都と東京都市開発株式会社で賃貸契約を結び、東京都市開発株式会社が、実際に利用する民間企業を探させるというのは、固定資産管理運用委員会が責任を果たしていないと考えます。見解を伺います。

○山本経理部長 先ほどお答えいたしましたとおり、水道局固定資産管理運用委員会では、固定資産の効率的運用等についての方針を審議しております。
 本案件では、土地の特性を踏まえた効率的な運用方法として、事業用定期借地権の設定により、公営企業としての企業性を発揮していくことを検討いたしました。
 資産運用の基本的な枠組みを設定するという本来的な審議については、十分役割を果たしていると考えております。

○佐藤委員 東京都市開発株式会社が二十年の定期借地権を設定し、佐川急便に対して倉庫建物を貸すという契約を行っておりますが、相手方の選定方法はどういう経緯であったのか、お答えください。

○山本経理部長 東京都市開発株式会社が佐川急便株式会社を選定した方法でございますけれども、不動産専門業者としての情報を駆使して、立地特性や業種を考慮し、相手先としてふさわしい企業を選んだものでございます。局からの借地に当たっての条件を満たし、かつ高収益を上げられる相手方を選定したものと考えております。

○佐藤委員 今申し上げました、佐川急便が賃貸している案件について伺いますが、賃貸の際の保証金はどうなっているのでしょうか。
 都が東京都市開発株式会社からもらい、東京都市開発株式会社が佐川急便から保証金もしくは敷金をもらっているものでしょうか。それぞれの状況についてお答えください。

○山本経理部長 局といたしましては、定期借地契約に基づきまして、東京都市開発株式会社から保証金を預かっております。
 東京都市開発株式会社と佐川急便株式会社との間における保証金その他の条件につきましては、東京都市開発株式会社に任せているところでございます。

○佐藤委員 また、武蔵野市において水道局の土地を賃貸する際、同じように、都と東京都市開発株式会社が契約を結び、そして東京都市開発株式会社と、いなげやが契約を結ぶという形態になっております。
 武蔵野市の案件は共同ビル方式で施工されているわけですが、工事の施工について、建設業者の選定はどうなっているのでしょうか。また、選定した主体と選定方法、参加企業数、契約企業名等を教えてください。

○山本経理部長 ビルの建設は、共同事業者である東京都市開発株式会社の責任において行うこととしております。
 建設業者の選定につきましては、東京都市開発株式会社が、施工実績のある複数の企業を選定し、技術提案型総合評価方式により入札を行い、契約しております。

○佐藤委員 共同ビル方式については、東京都市開発株式会社が資金調達をして建設するため、東京都市開発株式会社が多くの床面積を得るような仕組みになっています。
 都が資金調達をし、ビルを建設すれば、都の保有する床面積が多く獲得できるわけですが、なぜ資金調達をあえて東京都市開発株式会社に頼る必要があるのでしょうか、お答えください。

○山本経理部長 公営企業が行う資産活用は、本来事業の収支を補完するために、安全確実に実施する必要があることから、建設資金を直接投資して事業リスクを負うことは必ずしも適切ではないと考えております。このため、建設資金の調達をしなくても確実な収益が見込まれる共同ビル方式を活用しております。
 また、共同ビル方式の相手方事業者でございますが、本案件のように、浄水場に隣接するなどの事業上の制約のある土地につきましては、当局事業に精通し、当局資産の管理運用に経験とノウハウのある東京都市開発株式会社を共同事業者として活用しているところでございます。

○佐藤委員 そもそも東京都市開発株式会社は、淀橋浄水場の跡地を使ってテナント運営をしておりましたが、いつから水道局の全域の土地賃貸にかかわるようになったのでしょうか、お答えください。

○山本経理部長 東京都市開発株式会社は、当初から不動産の管理、賃貸借や都市開発などを目的といたしまして、昭和五十五年十月に設立されております。
 実績としては、まず、昭和五十九年八月に新宿国際ビルが竣工し、その後、順次、当局資産の活用や賃貸管理業務を行っております。

○佐藤委員 相手方の選定を行い、契約を結ぶのは都の権限です。なぜ民間企業の東京都市開発株式会社が随意契約を結ぶ権限があるのでしょうか。
 また、都は、どういった手続で東京都市開発株式会社と民間企業との契約を承認しているのか、お答えください。

○山本経理部長 不動産の賃貸管理業務においては、優良なテナントの選定、賃料価格の交渉、ビルの適正な使用管理、賃料徴収その他、多くの経験とノウハウを要するものがございます。
 このため、当局の資産活用におきましては、当局が出資する不動産専門業者であり、当局資産の管理運用に経験とノウハウを有する東京都市開発株式会社を活用することとしており、その判断と責任においてテナントを選定し、契約するものとしております。
 なお、テナントにつきましては、東京都市開発株式会社から随時報告を受けております。

○佐藤委員 次に、水道局が保有しているビルの賃貸について伺います。
 水道局が保有している床を賃貸している契約について、契約形態がどうなっているのか、契約形態と件数、そして相手方をお答えください。

○山本経理部長 ビル等の賃貸についての契約形態でございますが、同じビルに床を所有している場合などは、スケールメリットが発揮されるため、すべて随意契約となっております。
 相手方は、東京都市開発株式会社ほか、民間の不動産専門業者など五社でございます。

○佐藤委員 契約方法はすべて随意契約とのことですが、局の保有する床について賃貸契約をしている一平方メートル当たりの単価を教えてください。

○山本経理部長 平成十八年度におけるビル賃貸の延べ床面積は九万六千平方メートル、収入は全体で六十三億六千七百万円でございまして、一平方メートル当たり六万六千円となっております。

○佐藤委員 一平方メートル当たり年間六万六千円ということは、つまり、一坪につき一月当たり約一万八千円で賃貸しているわけですね。
 都と東京都市開発株式会社の随意契約について、契約期限を教えてください。初めて契約をしてから何度契約更新を行ったのか、お答えください。

○山本経理部長 東京都市開発株式会社と当初契約をしたのは、新宿国際ビルが竣工した昭和五十八年度でございます。契約期間は一年となっておりますが、先ほどお話ししたとおり、東京都市開発株式会社は賃貸管理業務に多くのノウハウを有していることから、その後、毎年更新を行ってきているところでございます。

○佐藤委員 水道局が東京都市開発株式会社に委託契約している保有床からの収入総額は幾らになるのか、また、そのうち都の収入総額は幾らであり、東京都市開発株式会社に管理費相当額を幾ら支払っているものなのか、お答えください。

○山本経理部長 東京都市開発株式会社が管理している建物活用における収入は、約六十一億二千万円でございます。これは局の収入約三千億円の二%を占めておりまして、局の財政に大きな貢献をしているところでございます。
 建物活用収入、先ほど約六十一億二千万円と申し上げましたが、そのうちの収益は約五十八億九千万円でございます。管理費相当額は約二億三千万円となっております。

○佐藤委員 テナント運営の収入がふえているのであれば、賃貸契約を見直し、局財政に繰り入れてもらうことを考えることも必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○山本経理部長 管理費相当額はテナント賃料の四%の定率で契約しておりまして、賃料が上がれば、上がった相当分の収入が局に入る仕組みとなっております。この四%という数字は、業界の中でも低目のもので、妥当なものと考えております。

○佐藤委員 東京都市開発株式会社が民間企業と契約をしている契約書に関して、書類の保存状況はどうなっているのでしょうか、お答えください。

○山本経理部長 東京都市開発株式会社における書類の保管状況でございますが、テナントとの契約書につきましては、過去のものを含めまして、すべて適切に保管していると聞いております。

○佐藤委員 続きまして、テナントが契約の際に支払う敷金等について伺います。
 東京都水道局固定資産規程によれば、非常に多くの敷金を支払うよう規定をされているわけですが、テナントからの敷金はだれが管理をしているものか、また、敷金または保証金を集めて運用しているものかどうか、お答えください。

○山本経理部長 テナントからの敷金につきましては、東京都市開発株式会社が管理運用してございます。ただし、その運用益相当額につきましては、当局が収入しております。十八年度における運用益相当額は、約千六百万円となっております。

○佐藤委員 現時点で、敷金または保証金を預かっている東京都市開発株式会社が保有をしている資金は幾らになっており、どういう運用方法になっているのか、お答えください。
 また、東京都市開発株式会社の帳簿では、この敷金の扱いはどうなっているのでしょうか。

○山本経理部長 十八年度末の時点で東京都市開発株式会社がテナントから預かっている敷金は、約五十一億円でございます。
 その運用方法や帳簿上の扱いにつきましては、適切に行われております。

○佐藤委員 財務局の平成十五年の第二次財産利活用総合計画の取り組みの中に、都有財産利活用推進会議を設置して、会計を越えた財産の情報交換を行い、利活用を推進するという方針が打ち出されています。
 既に水道局として、財産の利活用を各局と相談して行っているようですが、水道局として保有している保有床や土地についても、局を超えた適切な利活用に努めるべきであると考えます。見解を伺います。

○山本経理部長 当局は、平成十六年九月に設置された都有財産利活用推進会議に参加するなど、知事部局等との情報交換を密に行ってきております。その結果、局の収益につながる旧庁舎の知事部局等への売却や貸し付けなどを実現しているところでございます。
 公営企業は、みずからの責任において、社会経済情勢の変化に柔軟かつ弾力的に対応できるよう体質を強化していくことが求められております。
 今後とも、知事部局等との連携を密にし、局財政の経営基盤強化につながる資産の効率的な活用を図ってまいります。

○佐藤委員 既に賃貸している土地や床についても、契約年度ごとに、各局と利活用を図り、見直しを行うよう要望しておきます。
 また、水道局の所有する床の売却や証券化を行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○山本経理部長 当局では、局の事業を安定的に運営していくため、不断の経営努力による効率的な事業執行を図っておりますが、さらなる企業努力の一環として、資産を貴重な経営資源としてとらえ、保有を原則といたしまして、安定的な収益を図ることとしております。このような考え方から、現時点では、一時的な収益となる床の売却や証券化は考えておりません。
 なお、今後とも、公営企業として、局財政の基盤強化を図るため、資産の効率的な活用を積極的に推進し、安定的な収益の確保に努めてまいります。

○佐藤委員 水道局は、保有床の賃貸によって収益を得て、水道料金を安くしていると見解を述べられておりますが、水道事業の効率化によって水道料金を安くする努力を重ねるべきではないでしょうか。
 多岐にわたって質疑を行ってまいりましたが、固定資産の利活用については、都と東京都市開発株式会社との契約があり、そして、東京都市開発株式会社と各企業との契約があるわけです。しかし、それらの契約は多岐にわたり、非常にチェックが難しい複雑な契約になっております。
 都民に対する説明義務がありますので、わかりやすい契約に努めていただくよう要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○橘委員 初めに、水道局が平成十六年度から十八年度までの三カ年を計画期間として取り組みました東京水道経営プラン二〇〇四について伺いますけれども、先ほど野島委員からも質問がありましたので、私の方からは、計画の財政収支状況に絞って質問をいたします。
 この計画は、将来にわたり東京の水道事業を健全に運営することができるよう強固な経営基盤を確立することを目指して、経営効率の向上、企業努力によって料金の引き下げを行った上で、平成十八年度末の累積資金収支を均衡にするというものでありました。
 十八年度決算がこの計画の最終年度に当たりますので、東京水道経営プラン二〇〇四で取り組んだ経営効率の向上、企業努力の実績と十八年度末の財政収支の結果について、まず伺います。

○鈴木総務部長 東京水道経営プラン二〇〇四におきましては、企業努力によりまして三百十五億円を確保した上で、平均二・二%の料金引き下げを実施いたしまして、平成十八年度末の累積資金収支を均衡させることとしておりました。
 職員定数の削減や工事コストの縮減、資産の有効活用等に最大限の努力をした結果といたしまして、計画期間における企業努力の額は三百四十九億円に達しまして、計画を三十億円余り上回る実績を上げました。これによりまして、平成十八年度の累積資金収支は十六億円の剰余となっております。

○橘委員 今、約十六億円の黒字というお話がありましたけれども、収支を均衡にするという、この計画の目的はおおむね達成されたといえるかと思います。また、料金体系の見直しにより、平均二・二%の水道料金引き下げも実施した。
 つまり、総括的に見れば、経営効率化や企業努力を料金引き下げにつなげつつ、将来にわたり強固な経営基盤を確立するという地歩も築いて、計画の当初目的はほぼ達成したということになろうかと思いますが、水道経営プラン二〇〇四の評価を、今私が申し上げたような、そのような見方をしていいのか、確認の意味で見解を伺います。

○鈴木総務部長 橘委員ご指摘のとおり、東京水道経営プラン二〇〇四におきましては、現在のみならず、将来にわたりまして東京の水道事業を健全に運営することができますように、最大限の企業努力はもとより、事業の広域化やアウトソーシングの推進などによりまして効率性の一層の向上を図り、強固な経営基盤を確立することとしておりました。
 計画を上回る企業努力の達成や料金体系見直しの実施など、経営基盤の確立に向けました取り組みを着実に実施しましたことから、東京水道経営プラン二〇〇四の目的は達成できたものと考えております。

○橘委員 水道経営プラン二〇〇四に関連して、もう一点伺います。
 十八年度の水道事業決算では、この経営プランの最終年度である十八年度の純利益が五百八十二億五千万円余となっております。この数字は、利益としてはかなり大きな額となっておりますが、この純利益の扱いといいますか、使途について伺います。

○鈴木総務部長 水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインといたしまして、将来にわたり安全でおいしい水を安定的に供給する必要があり、長期的な視点に立った施設整備が不可欠でございます。このため、純利益を、施設整備費や企業債償還金など、将来にわたって水道サービスを提供していくために必要な資金に充当しているところでございます。

○橘委員 ただいまの答弁を少し砕いたいい方をすれば、水道施設を整備することによって安全でおいしい水を都民に届けるということで、結果的に都民への利益還元になるということだと思います。
 公営企業の利益は料金の値下げに回すべきだと、そういう主張をする向きもあります。一見わかりやすい論法に見えますけれども、将来にわたる安定供給の重要性を考慮しない無責任な主張であると私は考えております。むしろ、世代間の負担の均衡化を図るとともに、長期的に安定した給水、安定した料金水準を確保する観点からの都民還元であると見るべきです。今後とも、効率的経営に努め、強固な財政基盤を確立するための努力を期待したいと思います。
 今取り上げました効率的な経営に関連して、アウトソーシングについて伺います。
 水道局は十八年度に、民間にゆだねることが可能な業務はできるだけ民間事業者に託するアウトソーシングの基本方針を打ち出しました。私は、その方向性については評価する立場でありますけれども、一方で、民間委託の無制限な拡大は、水道供給の安定性、安全性といった、水道事業の極めて高い公共性を損なうのではないかとの危惧もございます。
 アウトソーシングは、こうした課題解消と効率経営の推進のバランスであるわけですけれども、今後のアウトソーシングの進め方についての考えを伺います。

○鈴木総務部長 平成十八年十月に、東京都水道局におきます一体的事業運営体制の構築について方針決定を行ったところでございます。
 水道事業におきます基幹的な業務につきましては、水道局と水道局が所管いたします東京都監理団体が担いまして、定型的な業務を初め民間委託が可能な業務につきましては、可能な限り民間事業者に委託していくこととしております。
 これによりまして、公共性と効率性を両立させながら、将来にわたる安定給水を確保していきたいと考えております。

○橘委員 次に、水道局が力を注いでおります、安全でおいしい水づくりへの取り組みについて質問いたします。
 水道局では、以前から高度浄水処理を導入してきておりますが、今月末に、新たに三園浄水場高度浄水施設が通水開始になると聞いております。
 そこでまず、三園浄水場への高度浄水処理の導入効果について伺います。

○鈴木企画担当部長 三園浄水場は日量三十万立方メートルの施設能力を有しておりまして、これは一日に約五十万人に供給できる規模の能力でございます。
 このたびの高度浄水処理の完成に伴いまして、これまで通常処理では十分な対応が困難であったカルキ臭などの軽減に効果を発揮することとなり、板橋区などの給水区域のお客様に、より一層安全でおいしい水を供給することが可能となります。

○橘委員 水道水の水質に対し、都民はどう考えているかといいますと、安全なのか、またおいしいか、そういった基準で関心を持っていると思います。
 とりわけ水道水には欠かせませんけれども、カルキ臭の原因となる残留塩素は、都民の関心が最も高いものの一つであります。
 水道局では、東京都独自のおいしさに関する水質目標を設定し、その目標達成に向けて取り組みを行っていると聞いておりますけれども、達成状況は今どのようになっているのか伺います。

○長岡浄水部長 東京都独自のおいしさに関する水質目標は、味、外観及びにおいに関して八項目を設定しております。
 これらの達成率は、年間の測定回数に対して目標を満たした回数の割合であり、味及び外観にかかわる項目については、ほぼ一〇〇%となっております。においに関しましては、残留塩素が六三%、トリクロラミンが八五%、他の項目は一〇〇%でございます。

○橘委員 今、答弁にございましたけれども、例えばカビ臭物質、これはほぼ一〇〇%と。ほとんど一〇〇%という答弁がございましたけれども、それに比べますと、残留塩素の六三%というのは、やや低い水準にとどまっているのかなという印象を受けました。
 これは工夫によって達成率を上げることができるのかどうか、この辺について見解を伺います。

○長岡浄水部長 残留塩素の達成率向上のために、都内百二十三カ所の給水栓に設置した自動水質計器で常時残留塩素をチェックし、浄水場における適正な塩素注入管理を実施しております。
 さらに、浄水場と給水栓の中継点である給水所において塩素を注入できるよう整備することで、浄水場での塩素注入量を減らし、浄水場の近くでも低い残留塩素濃度の水道水を供給してまいります。
 このことにより、全体として塩素濃度を減少させ、今まで以上に安全でおいしい水を供給することとしております。
 今年度、三園浄水場の給水区域の給水所に塩素注入設備を初めて導入し、今後、平成二十一年度までに、八カ所の給水所において順次整備をしてまいります。

○橘委員 今、答弁がございましたけれども、簡単におさらいしますと、現在、浄水場で塩素をやや多目といいますか、下流に行けば行くほど、蛇口に近ければ近いほど塩素濃度は低くなるわけですね、いろんな物質と化合して。それで、少し多目にして、だんだん低くなって安全に飲めるようにしているわけです。ということは、単純に考えれば、浄水場に近いところの塩素濃度はやや高いという、そういう考えになるかと思います。
 今、答弁でおっしゃったのは、最初から浄水場での塩素濃度を低くして、そして徐々に濃度が低くなるそれを、給水所において追加することによって若干濃くなるけれども、また低くなるという考えでよろしいでしょうか。

○長岡浄水部長 先生のおっしゃるとおりでございます。

○橘委員 水道水のネックとなっている残留塩素への取り組みは、今わかりました。
 一方で、水道水の安全性をチェックするための水質検査については、水道局が自分たちの基準で安全だといっても、信頼性は確かなものではありません。したがって、検査手法の客観性を確保することが大事であるかと思います。この客観的な基準は極めて大事であります。
 昨年の予算特別委員会で、私が水道水の安全性への取り組みについて質問したのに対し、平成十六年に、全国の水道事業体に先駆けて、水質検査を客観的に保証する国際規格であるISOの認証を水質センターで取得したとの説明がございました。
 さらに、水質センターに加えて、その他の事業所においても国際規格を取得すると聞いておりますけれども、その後の進捗状況について伺います。

○長岡浄水部長 国際規格の取得状況でございますが、水質センターは、平成十九年三月に、ISO・IEC一七〇二五について、揮発性有機物まで認定範囲を拡大いたしました。また、多摩水質試験室におきましても、水質センターと同様の内容を平成十九年三月に取得いたしました。
 さらに、水道水の品質マネジメントシステムでありますISO九〇〇一の認証を、三郷浄水場で平成十九年二月に取得しており、今後は、こうした管理手法を他の浄水場に拡大して、より一層の品質管理強化を図ってまいります。

○橘委員 今、答弁がございましたけれども、浄水場における品質管理に加えまして、水道システム全体でリスクを防止する措置を講じることが重要であると考えます。
 このことに関しても、昨年の予算特別委員会では、水源から蛇口に至るまで、その間に発生する可能性のあるすべての水質悪影響要因に適応できる水安全計画を策定するとの答弁もございましたけれども、この策定の進捗状況と今後の予定について伺います。

○鈴木企画担当部長 当局では、全国に先駆け、平成十八年度末に三郷浄水場についての水安全計画を策定いたしまして、今年度から運用を開始しております。
 また、すべての浄水場を対象とした東京都版の水安全計画につきまして、来年度からの運用に向け、現在、策定作業を進めているところでございます。
 水安全計画の運用では、定期的な見直しを行いますとともに、同じ河川を水源とする水道事業者との連携の強化を図ることを検討してまいります。
 これらの取り組みによりまして、水道水の安全性を高め、都民の水道水への信頼性をより一層向上させていきたいと考えております。

○橘委員 市販されておりますミネラルウオーターであるとか天然水などの販売量というのは、近年、ウナギ登りのようでありますし、また、家庭用の各種浄水器の普及も進んでいるようであります。
 例えばミネラルウオーター、天然水なんかは、何となく水道水よりもおいしいみたいだ、安全みたいだ、そんな感性によるものだとは思いますけれども、こうした生活スタイルの変化を背景に、水道水を直接飲まない、いわゆる蛇口離れがあります。東京の水道水は安全である、あるいは、蛇口から出る水道水はうまいという認識が実感として都民に定着すれば、蛇口への回帰につながると思います。
 私の経験からいいますと、水源地から浄水処理施設まで、水道水ができるまでの過程を水の流れに沿って視察したことが、水道水の安全性や安定供給体制などに関心を持つきっかけとなりました。
 また、今月三十日に通水となる、板橋区内にある三園浄水場の高度処理施設を工事中に見学させていただきましたけれども、高度処理過程を直接自分の目で見ることによって、安心感、信頼感が肌感覚で高まります。
 といいましても、実際その過程を見ても、科学的にどれだけ浄化されているとか、おいしいとか、当然わかるわけはないんですけれども、担当者の方から詳しく説明して、ここではこういう処理をしているんですよということを全部説明を聞きますと、やっぱり信頼感というのは非常に高まったと私は実感しております。
 この三園浄水場の高度浄水処理施設には見学コースが設置されているわけですから、より多くの都民の方にこれを活用していただいて、水道水に対する理解を広げる努力も水道局に大いに期待したいと思います。
 こうしたことも含めまして、最後に、安全でおいしい水づくりに対する東岡局長の見解を伺います。

○東岡水道局長 当局では、平成十六年六月から安全でおいしい水プロジェクトをスタートいたしまして、国の水質基準よりも高いレベルの、東京都独自のおいしさに関する水質目標を定め、目標達成に向けて、高度浄水施設の導入や直結給水の促進など、水源から蛇口までの総合的な施策を行っているところであります。
 今後、塩素濃度の低減化に向けて、三園浄水場からの中継点である板橋給水所において導入する追加塩素注入システムを都内全域に拡大していくことによりまして、すべてのお客様に水道水のおいしさを味わっていただけるよう、関係する施策を強力に推進してまいります。
 さらに、安全でおいしくなった水道水をお客様に知っていただくため、浄水場の見学コースを整備して、多くのお客様に水の処理過程を見ていただく、あるいは小学生を対象にした水道キャラバンを行いまして、水道のことを勉強していただく、あるいは新聞折り込みによる「水道ニュース」の配布など、さまざまな媒体を使って、水道事業に関する積極的な情報発信を行ってまいります。
 こうした取り組みを進めることによりまして、世界に誇る日本の水道文化を守ってまいります。

○たぞえ委員 私からも十八年度水道事業会計決算についてお伺いいたします。
 今、都民のあらゆる年齢層に貧困と格差が広がっています。働いても働いても住宅を持てないネットカフェ難民は、東京で二千人もいると厚生労働省が明らかにしました。これは若者だけではなく、五十代という年齢層にまで及んでいます。さらに、高齢者の方も四割近い方が月収十万円未満で、老後の生活に不安を抱えて、暮らしを何とかしてほしいと、こういう悲鳴ともいえる声が聞こえます。
 初めに聞きますが、十八年度の条例分と決議分でのそれぞれの減免件数を紹介していただきたいと思います。

○内海サービス推進部長 平成十八年度末におきます給水条例に基づく減免件数は、生活扶助を受けるものなど約十四万五千六百件でございます。
 一方、平成十六年の第三回定例会の決議に基づく減免件数は、社会福祉施設に対するものなど約三千四百件でございます。

○たぞえ委員 合わせて十四万九千件もの減免を都民は受けているわけです。四年前の平成十四年度が十二万二千七十七件ですから、この決算では、何と二割急増した。これが都民の実態で、本当に今の都民の皆さんの暮らしというのは深刻だなということを、その数字から見ても実感します。
 よく景気が回復したと、こういうふうにいわれていますが、給水を停止された都民、十八年度は九万八千九百六十一件に上ります。生活が困窮になって料金が払えない都民の実態がここにも反映されています。自分の家庭の水道の蛇口から一滴も水が出てこない。全く悲惨な様相だと思うんです。
 私の地元の世田谷で、先日、私、ひとり暮らしの八十四歳の女性を訪ねました。一カ月の年金が約四万円という方で、そこから水道、ガス、そして電気代を払って、食費を捻出するのに大変苦労しているという方だったんです。買い物はスーパーの閉店時間間際に飛び込んで、お弁当を安く手に入れて、それを一日三回に分けて食べて、足らないものは、近所の八百屋さんで廃棄処分をした野菜をもらい受けていた、こういうふうにいっていました。なぜかと聞いたら、とにかく電気、ガス、水道、全部基本料金があって、お金がかかるからと。買ってくれば、そういうのはお金かからないから、それで自分は努力しているんだといっていました。そしてその方は、絶対にけがはしない、こうおっしゃるので、どうしてですかと聞いたら、けがをしたら、薬を病院でお金を払わなければいけない。大変日常生活に気を配っている高齢者でした。人生最期の時期にふさわしい、こうした高齢者が安心して暮らせないという社会に、私は改めて胸が痛んだ思いでした。
 都議会は、こういう状況、こうした都民を救済するために、平成九年には高齢者世帯の基本料金の減免を全会派一致で決め、水道料の減免を、都も、水道局も実施をしてきたわけです。これらの高齢者世帯や小口使用者への措置は今講じていらっしゃるのでしょうか。

○内海サービス推進部長 高齢者世帯に対する水道料金の減免等につきましては、平成十一年一月分より行ってはおりません。

○たぞえ委員 暮らしが今大変なときですから、救いの手を放してしまうと、本当に非情だといわざるを得ません。
 都民の暮らしのこういう実態からも、減免措置を復活するべきと思いますが、いかがですか。

○鈴木総務部長 水道料金の減免措置についてでございますが、水道事業は、独立採算のもと、受益者負担を経営の基本原則としていますことから、対象や期間を限定して実施をしているところでございます。
 ご指摘の高齢者世帯に対する減免措置につきましても、料金改定の際に付されました付帯決議の趣旨を尊重いたしまして、激変緩和の観点から例外的に実施してきたところでございます。したがいまして、減免措置を復活する考えはございません。

○たぞえ委員 ある特定期間だけの救済だという話でありますが、しかし今、実際、都民の税負担は、さまざまな税負担が拡大をしています。定率減税の廃止もありました。それに伴って六月からの住民税の引き上げ、そして来年四月からは後期高齢者医療制度の負担。この一年だけでも都民の負担は急増しているわけです。
 先ほど、質問の答弁で、公営事業は社会経済状況に柔軟に対応するべきだと、このように答弁されましたね。今のそういう社会状況をきちんと見るべきじゃないでしょうか。このことは指摘をしておきたいと思います。
 水道局長が、せんだっての公営企業決算委員会で、十八年度は、お客様サービスの向上として、施設、工場見学会、遊歩道の整備などに力を入れたと報告をしました。私は、一番の都民サービスは、低価格の水を都民にどう供給していくか、こういうことではないかと考えています。
 そこで、現在使用している都民の給水収益の十八年度決算と前年の十七年度を対比して、一般用の給水件数と料金収入の推移はどうだったか伺います。

○鈴木総務部長 平成十八年度の一般用の給水件数は六百六十八万件、給水収益は三千百七十八億三千百万円でございます。
 十七年度の同様の数字でございますが、一般用の給水件数につきましては六百五十五万件、給水収益は三千百八十五億四千八百万円となってございます。

○たぞえ委員 給水件数のうち、一三ミリ、二〇ミリ、二五ミリの口径を使用している小口の口径利用者は二%ふえました。その結果、料金収入も、十八年度、六億五千九百万円増加しているわけです。
 その中でも基本水量内で済ませている件数が百五十五万件、割合は全体として二三%を占めて、約四人に一人に及ぶわけです。基本料金の中で何とか今月の水道料金をおさめたい、こういうふうに頑張っているわけですが、しかし、基本料金の枠で頑張っても、その金額が定まっているために、努力のかいはない状況です。
 そこで、二カ月に一回、水道局が私のポストに入れていただける、この使用量のお知らせであります。大事なカードですので毎回持っておりますが(「ちゃんと払っているんですか」と呼ぶ者あり)払っておりますよ。口座振替できちんと払っております。料金のお知らせということであるんです。
 しかし、この中に、基本料金というのは使用者にお知らせされているのでしょうか。

○内海サービス推進部長 先生ご指摘の水道ご使用量のお知らせは、お客様への使用水量と料金をお知らせするためのものとして配布をしておりまして、基本料金は印字してございません。

○たぞえ委員 都民に欠かせない、そのほかの電気、ガス、これも私、自分のを持ってまいりましたが、ガスの基本料金、電気基本料金と、こういう表示があり、この基本料金以外が我が家で使った料金だなということが認識できるサービスが提供されている。
 今、答弁がありましたように、東京都水道局の使用量のお知らせにはそういう記載がないために、基本料金以上、幾ら自分が二カ月間使用したかという実態を把握できるサービスが提供されていない。
 十七年一月の料金改定の際に、水道局からのお知らせで新水道料金表というのが都民に配られました。しかし、それ以降、基本料金は三年間も都民には知らされていない。余りにも不親切だと思います。公共料金、ほかではこうしたデータを提供する。都民と東京都をつなぐ、たった一枚の心の手紙なんです。これがなければ、口座引き落とし額も自分で把握できないわけですよね。
 だから、そういう使用者と東京都との信頼関係がこの一枚の紙に語られているわけですから、十分な情報提供が必要だと思います。このお知らせに基本料金の記載を求めますが、どうですか。

○内海サービス推進部長 ただいまご説明申し上げましたように、水道ご使用量のお知らせは、お客様へ使用水量と料金とをお知らせするためのものとして配布をしているところでございます。
 これまでも、印字内容につきましては、お客様の要望を踏まえまして、例えば口座割引後の料金表示を追加するなど、必要に応じて改善を行ってまいりました。
 先生ご指摘の、基本料金に関するお客様への周知についてでございますけれども、本件につきましては、節水のPRとともに、日ごろからパンフレットや局ホームページ等で行っておりまして、お客様には十分ご理解をいただいているものと考えております。

○たぞえ委員 ホームページといったって、見る方は限定されていますよ。高齢化だと、たくさんのお年寄りが、毎日、皆さんホームページを見て、自分の基本料金は幾らだと見つけられるんですか。
 そんなサービスやっていないでしょう。少なくともガスや電気でやっているような、そういう情報提供で、基本料金をオーバーした分は、これだけ先月に比べてふえたな、減ったなと、そこに生活というのはあるんじゃないですか。もうちょっとまじめに検討してくださいよ。そういう皆さんの都民の暮らし実態に合わせて。要望しておきたいと思います。
 さて、十七年一月から口座割引制度がスタートしましたけれども、この制度はどういうサービスを提供しているものなのか、説明していただきたい。

○内海サービス推進部長 口座割引の制度は、払い込み扱いのお客様と比較をいたしまして、一件当たりの料金徴収経費が低額であるということで、口座振替扱いのお客様に対しまして、その差額相当分を還元し、費用負担の公平性を図るために実施しているものでございます。

○たぞえ委員 水道料金の割引制度の一つになっています共同住宅扱いの適用については、都民は多くは知りません。なぜなら、水道局が各家庭に届ける、先ほど示しました水道、下水道料金の使用量等のお知らせという伝票が年六回届きますけれども、そこには一度も料金の仕組みが解説されていないからです。
 共同住宅扱いの適用についてでは、こう述べているんですね、この中で。共同住宅扱い適用のお客様は、原則、世帯数分の割引になりますと、こう説明している。この共同住宅扱い適用のお客様は、どういう場合に該当するのでしょうか。

○内海サービス推進部長 共同住宅には、各部屋ごと、各戸ごとにメーターを設置している共同住宅と、一つのメーターでその共同住宅にお住まいの方々がそれぞれ分担をしていく、その二つのパターンがあるわけでございますけれども、共同住宅扱いとは、一つのメーターのみを設置する共同住宅は、各戸ごとにメーターを設置している集合住宅に比べまして、その口径も大きく、また使用水量が多いわけでございます。そのため、料金が割高となりますので、生活用水の低廉化、料金負担の公平化を図ることを目的に、特例扱いとして、水量を共同住宅の戸数で割りまして、それぞれが同じ水量を使用したものとみなすということで適用しているものでございます。
 また、口座振替につきましては、それぞれの住宅の戸数に応じた割引を行っているところでございます。

○たぞえ委員 要するに、簡単にいいますと、一つの家に四世帯の方が居住されている。その家庭、一つの建物がメーターが一個で、四世帯にかかってくる料金が二カ月八十トンだとした場合に、その場合の料金は一万三千四十一円です。ところが、個々に違う方が住んでいるわけだから、四世帯にこれを振り当てると、大体四人ですから、二千何百円という金額になるわけです。ところが、初めから、四世帯住んでいるから八十トンを四つで割っておくと、これが一世帯二千三十七円という格安になるわけですよ。そういう申請をすれば割引やりますよというふうに、この水道のお知らせに非常に簡単に書いてある。
 読みますと、共同住宅扱い適用のお客様は、原則、世帯数分の割引となります、たったこれだけ。私、読んでもわからなかったです。
 で、事前に聞きましたら、そういう申請をすれば負担の軽減になるんだと。しかも、それぞれ四世帯が口座割引が適用される。こういう形でも都民の暮らしを支援するということは大事なことだと思うんですね。
 こういうことを周知徹底する必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○内海サービス推進部長 検針票というのは大変小さなものでございまして、その裏面は非常に限られた紙面でございます。局からお知らせする内容を印字しておりまして、詳細な説明をするのには限界がございます。
 このため、説明が必要なお客様には、問い合わせ先として、私どものお客さまセンターの連絡先を記載しているところでございます。

○たぞえ委員 何でもかんでも都民お任せですね。努力をしない人はそういう情報を得られない。もうちょっと使用する側の立場で応援してあげる必要があるんじゃないでしょうか。
 水道事業を進めていく上で一番の基本は、水の需要計画、いわば予測をどう立てるかということだと思います。その水需要は、昭和六十一年のときは、平成七年には一日の配水量が六百七十万トンと予測されました。平成二年のときは、平成十二年には六百五十万トン、さらに平成十年には、平成十七年は六百三十万トン、こういうふうに予測を立ててきた。
 そして平成十五年には、予測を掲げましたけれども、平成二十五年の一日最大配水量予測はどういう数値を掲げたのでしょうか。

○鈴木企画担当部長 現行の水道需要予測では、平成二十五年度の一日最大配水量を六百万立方メートルと予測しております。

○たぞえ委員 平成十八年度決算での最大配水量と平均配水量はどういう実態でしょうか。

○鈴木企画担当部長 平成十八年度の一日最大配水量は五百五万立方メートル、一日平均配水量は四百四十九万立方メートルでございます。

○たぞえ委員 今いわれた数値は、未統合を含めている数字ですね。都が実際に供給しているのは、最大四百九十万トン、平均四百四十万トン、こういう数値です。指摘しておきたいと思います。
 平均配水量についていえば、十六年度は四百四十五万トン、十七年度、四百四十二万トン、そして、この決算、十八年度は四百四十万トンと減り続けているわけです。
 ことしは大変な猛暑でありましたが、この暑い時期に、最大配水量のあった日はいつで、その量はどうだったでしょうか。

○鈴木企画担当部長 平成十九年度におけるこれまでの一日最大配水量は、六月十三日の四百九十七万立方メートルでございます。

○たぞえ委員 本当につらい暑さの夏でありましたが、もう一日それに近い日があったわけですね。ただ一瞬、その日だけの配水だったわけですよ。あの暑い全期間の中で、今いわれた約四百九十万トンというのは、ほんの一瞬の出来事でありました。
 それらの水源開発既得水源量の日量と浄水などの施設能力の日量はどういう数値でしょうか。

○鈴木企画担当部長 平成十八年度末におきまして、都が保有する水源量は日量六百二十三万立方メートル、浄水施設能力は日量六百八十六万立方メートルでございます。

○たぞえ委員 十八年度の一日平均配水量は四百四十万トンですから、確保すべき水源量、確保すべき施設能力は、需要実態を明らかに上回っているということであります。
 この点で、十八年度に終了する東京水道経営プラン二〇〇四が、平成二十五年には一日配水量六百万トンとする予測は現実に合わないんです。十八年度も十九年度も現実性がない。大事なのは、人口や給水人口、世帯構成、雇用者所得に即して再検討するべきなんです。
 ことし一月一日現在の東京都の人口は千二百六十三万人で、二〇一〇年に区部の人口はピークを迎えますけれども、以降は減少に転じて、本格的な人口減少時代に突入します。そのことは、東京都自身が「十年後の東京」で二〇一五年の東京について書いています。長期的に急速な少子高齢化により労働力人口が減少して、七十五歳以上の高齢者が急増し、そのうち三割がひとり暮らしだと、このように東京都が見ているわけです。
 都民の所得推移も、年金額の低迷だとか、サラリーマンの平均給与が九年連続減り続けている。年収二百万以下の方が全国で一千万人を超えるなど、実質賃金も下がっていますし、そういう水需要の抑制が、社会的な大きな要因の山が現実あるということではないでしょうか。
 こういう点を考えると、水の需要計画の下方修正を行うべきだと思いますが、見解を伺います。

○鈴木企画担当部長 水道需要予測は、将来の人口や経済成長率などの基礎指標を用いて行うことから、それが示される都の長期構想の策定に合わせて適宜適切に見直しを行っているところでございます。
 平成十五年十二月に見直した、先ほどお話しした水道需要予測は、東京構想二〇〇〇に示されました基礎指標を踏まえ、合理的な予測手法によりまして適切に行ったものであり、一日最大配水量六百万立方メートルは妥当なものと考えております。

○たぞえ委員 六百万トンを掲げて、実際には四百四十万トン。十五年に見直して、もう既に四年目に入っているわけですよ。そういう数値が正しいと確信できると考えていらっしゃるんですか。もう一度答えてください。

○鈴木企画担当部長 現在、使用水量の七割を占めます生活用水は微増傾向でございます。一日最大配水量につきましては、気象条件あるいは渇水の影響など、さまざまな要因によって変動するものでございます。近年の一日最大配水量の動向は、そのため、横ばいもしくは減少傾向、こういうことであろうと思います。
 今後の水需要につきましては、世帯人員の減少による、ふろや炊事等の一人当たりの使用水量が増加すること、あるいは景気の回復が続くと見込まれること、これらのことから緩やかに増加をいたしまして、平成二十五年度の一日最大配水量は六百万立方メートルになると予測しているところでございます。

○たぞえ委員 余りにも現実を直視していないですよね。現に、六百目標で四百四十で、百六十差があるんですよ。これがさらに、需要が目の前に迫っているかのような、こういう想定の仕方というのは私は問題があると思うんですよ。(発言する者あり)
 なぜこのことを指摘したかということなんですが、この数値が、過大な需要計画、そして施設設備の土台になっているからなんです。人口もこれから減ると、東京都はいっているんです。所得も減る、不安定雇用が拡大する、しかし水だけはふえる。これ、本来じゃないんじゃないでしょうか。
 私は、これからは、水の需要から見ても、やっぱり水源開発のための設備投資はやらなくても賄える、こういう点で、最後にダムについて伺いたいと思います。
 東京都は、水源確保策として八ッ場ダム建設を進めていますが……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。現在の進捗状況はどうですか。

○鈴木企画担当部長 これまで、水没関係者の生活再建を最優先に、代替地の造成工事や、つけかえ道路工事等の進捗を図り、平成十八年度末現在、工事進捗率は五五%でございます。
 なお、先ほど先生の方から、日最大四百といいますが、あれは平均でございまして、一日最大、平成十八年度は五百五万立方メートルでございます。

○たぞえ委員 四百四十万ですよ、事実は。今、ダムの話をしているんですから。
 この八ッ場ですね、鉄道や道路の移設、そして人々の居住移転など生活再建をやっているという話でありますが、このダムを建設することによって、川原湯温泉がなくなったり、大規模な立ち退き、そして鉄道駅の移設、国道の廃止、たくさんの生活破壊と、自然環境、さらには酸性水の中和による吾妻川の水質悪化、多くの最悪の事態が今、目の前に迫っています。
 最大の問題は、このダムへの財政投資です。このダム計画は九千万トンもの水量を抱えるものですが、委員会に提出していただいている資料によりますと、総事業費四千六百億円、そのうち東京都水道局の負担額は、これまでに三百億円だという説明でありました。
 今後、完成目途である平成二十二年度までに、あとどれだけ負担をしていくのでしょうか。

○鈴木企画担当部長 八ッ場ダムの総事業費は、ただいま先生おっしゃったとおり、四千六百億円でございます。このうち、水道局の負担額は七百八億円。平成十八年度末までに三百九十八億円を執行しております。平成十九年度以降、三百十億円を執行する見込みでございます。

○たぞえ委員 平成十五年十一月に、国土交通省は、この八ッ場ダム計画の基本計画見直しを決定しました。計画期間の延長を行ったことから、全体の事業費はどう変わったのでしょうか。

○鈴木企画担当部長 八ッ場ダム建設事業の事業費の改定によりまして、それまで二千百十億円が四千六百億と、そういう事業費の変更がございました。

○たぞえ委員 そうですね。そのとおりです。
 東京都、茨城県、群馬県、千葉県等に対する建設に要する費用の負担額も、千分の五百二十五から千分の五百四十六に上がる。
 今後、平成二十二年完成の予定でありますが、今、何もないんです、そこには。これからつくる。しかし、もう十九年度はそろそろ先が見えていますから、あと二十年度、二十一年度、二十二年度、三年間で本体ができるという予測でありますが、しかし、そうはいかないでしょう。そうなれば、二十二年以降も投資せざるを得なくなる。十五年に見直しでしたから、もう来年度で約五年経過するわけです。こうして数次にわたって、この国土交通省の見直しは行われてきている。額が少ないという見直しじゃなくて、ふえるという見直しであります。
 八ッ場ダムと同様に東京都が負担している、秩父市の水量五千八百万トンの滝沢ダムまでにも水道局は投資をしていると、先ほどの資料で書かれていました。これらは本当に過大な投資だと私は申し上げたいと思います。
 その過大な規模の設備投資の財源はどこから出てくるかといえば、都民が払っている使用料ですよ。すなわち、私が一番初めに申したように、今、格差とか貧困とか、そういう中で苦しんでいる都民の皆さんの財布の中からその使用料が支払われて、そこに設備投資が行われている。過大な投資額がふえればふえるほど、財布は寂しくなるんじゃないでしょうか。
 今、全国の自治体で次々と脱ダム宣言の流れが広がっていて、見直しが行われています。平成元年から平成十二年の間で、全国で六十四のダムが中止になりました。東京都も参画していた群馬県片品村の戸倉ダム、これも見直しをされ、東京都は撤退をしたばかりです。
 先ほどいったように、東京都の八ッ場ダム建設、まだ工事は始まっていないわけですから、この計画の必要性をもう一度検証して、将来に続くことのないように求めておきたいと思います。
 いずれにしても、先ほどの質疑で、黒字であるわけですから、値下げは問題だとおっしゃっていましたけれども、取り過ぎているのならば、それをもとに戻してあげる、こういう努力が地方自治体としては必要じゃないでしょうか。減免制度の復活や料金の引き下げ、こういう対応をされるよう申し上げて、質問を終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩をいたします。
   午後二時四十二分休憩

   午後二時五十二分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き分科会を開きたいと思います。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原田委員 十八年度の決算書を見ますと、給水収益は、予算額に比べ六十一億円の減となっています。当初予算に比べ大幅減収になっていることは、給水実績の見込み減ということと認識していいのかと思います。
 そこで、二〇〇六年の一日最大給水量の実績をお伺いします。

○鈴木企画担当部長 平成十八年度の一日最大配水量は五百五万立方メートルでございます。

○原田委員 十八年度版の事業概要を見ますと、過去三年間である二〇〇三年度、二〇〇四年度、五年度、それぞれ五百六万立方メートル、五百二十二万立方メートル、五百八万立方メートルと、五百万立方程度の数値であります。さらに、答弁があった十八年度は、今お伺いしました五百五万立方メートルということですから、近年の最大配水量の実績は減少傾向にあると認識しています。そうだと思います。
 そこで、近年、このように水需要が減少している原因をどのように分析しておられるのか、お答えください。

○鈴木企画担当部長 お客様の使う水道の使用水量でございますが、これの七割を占めます生活用水は微増傾向でございます。ただ、一日最大配水量は、先ほどもお話ししましたが、気象条件ですとか、あるいは渇水の影響など、さまざまな要因によって変動するものでございまして、近年、最大配水量の動向は、横ばいもしくは減少傾向で推移しているところでございます。
 今後の水の需要でございますが、世帯人員の減少による一人当たりの使用水量が増加するですとか、あるいは景気の回復が続くですとか、このようなことから緩やかに増加をいたしまして、平成二十五年度には一日最大配水量が六百万立方メートルになると予測しているところでございます。

○原田委員 たぞえ委員のやりとりの中で随分わかってきましたけれども、私は、景気の回復とか人口増というのは、余り水需要と比例しないのが近年の実態かなと思っております。
 例えば給水人口、いわゆる人口でいいますと、二〇〇一年から十万ぐらいずつ増加しているということもありますよね。景気回復ということでいうと、随分、法人二税が増加しているというような中で、それでも給水量はふえていかない。そして、世帯数はふえているということなんですけれども、少人数の現象は、むしろ炊事などを省略している、そういうような傾向が進んでいるのかなと考えております。デパートやスーパーなどで総菜売り場が広がっているというのは、そういう実態を物語っていると思います。
 そしてまた、気象条件が随分あるのではないかと。私もそう思いましたけれども、いただいた事務事業のこの表を見ますと、昭和五十年からずっと三十年間の総配水量が記されているわけです。そこを見ますと、昭和五十年、この年は一日最大配水量が六百二十万立方メートル、そして平成九年度までは五百万立方メートルの後半で推移しているわけですけれども、その後は五百万立方メートルの前半で、まさに今、五百万立方メートルを切ろうとしている。こういう実態があるので、六年後、いわゆる平成二十五年度に六百万立方メートルにふえるというのは、今の時点で到底予測できない数字かなと思っております。
 生活者ネットワークも、この水需要の予測を見直すべきだと考えておりまして、この質問をするわけなんですけれども、もう、たぞえさんの質問の中でお答えがあったようなので、これはちょっと飛ばしていいます。
 水需要ということでいうと、重ねていいますけれども、この人口増や経済成長が必ずしも需要増につながっていない。一般家庭の節水意識、また企業も、やっぱり事業の効率化の中で、どんどんむだをなくしていく傾向は進んでいると思います。この水需要は、現実をしっかり見据えた対応が求められていくんだと思っております。
 過剰な需要は公共事業の規模を大きくしてしまいます。例えば、この水需要を満たすために、大きな公共事業であるダム建設をしなければならない、こんなことになり、都民、国民の負担が大変大きくなります。建設後の維持管理、補修なども考えれば、過剰な需要予測は大きなむだ遣いにつながると考えますので、見直しは早い時期に行うべきと考えております。要望しておきます。
 そしてもう一つ、水需要を考えるとき、地下水がどうなのかということがあります。地下水の質問をさせていただきたいと思います。
 現在、前の答弁でもわかりましたけれども、日量六百二十三万トンの水源を保有しているというようなお答えが出ました。そして、その中には、河床の低下により取水に支障が生じている水源があるということも報告書に書いてあり、この課題のある水源の現状はどうなのかということについてまずお答えいただければと思います。

○鈴木企画担当部長 課題を抱える水源には、砧浄水場及び砧下浄水所の水源、あるいは中川・江戸川緊急暫定水利、相模川の分水がございます。
 砧浄水場及び砧下浄水所の水源は、河床の低下によりまして、伏流水を十分取水できない状況にございます。また、中川・江戸川緊急暫定水利は、渇水等の緊急暫定措置として暫定的に許可を受けたものであり、将来、解消を図るものとされております。さらに、相模川の分水は、一年ごとの協定の締結によって分水を受けており、その取水の安定性は神奈川県内の水事情に影響されるものでございます。
 これらの課題を抱える水源は、合わせて日量八十二万立方メートルでございます。

○原田委員 砧の話は、運動している方からお伺いしましたけれども、多摩川の河床の下を横切って伏流水を取水する仕掛けが、河床低下によってむき出しになり、十五年ほど前に、大水のときにマイカーが流されたというような経緯もあるようです。砧浄水場の取水は、三本の立型井戸だけになり、原水として取水する水量が半減したということで、八万立方メートルの取水というような話に現状はなっているようです。
 また、江戸川、中川も、いろいろ緊急暫定という大変難しい立場だということも所管からご説明いただきましたけれども、ここからとれる水量が四十四万立方メートルという、ちょっと多量だということもあって、ぜひ今後、この課題ある水源に関して、交渉相手が国だったり神奈川県だったりするということもございますけれども、粘り強い交渉で身近な水源をぜひ守っていただきたいと考えております。
 さて、多摩地区では、日量三十七万立方メートル程度の地下水が揚水されていますが、その取水に、今ほとんど問題がないと私は考えております。ですから、これらの水源は、国の認可水源でもある都の保有水源にカウントされない、含まれないというようなことがございまして、隠れた水源ということで、水需要ということでいうと、少ないんじゃないかというような中で、この地下水の水源をきちっと保有水源に含むべきだと考えておりますけれども、多摩地区の地下水源が都の保有水源に含まれない理由についてお伺いします。

○鈴木企画担当部長 水道事業認可では、地下水が水道水として現在供給されているという実態があることから、認可対象として整理されたものでございます。
 しかし、地下水につきましては揚水規制が実施され、地盤沈下は鎮静化してまいりましたが、地域によっては依然として再発の危険があり、今後も揚水規制の継続が必要とされております。また、水質については、トリクロロエチレン、ジオキサンなどが検出されたことにより、一部の井戸の使用を休止してきた経緯がございます。
 こうしたことから、地下水は、今後とも、地盤沈下や水質の動向に十分配慮しつつ、身近に利用できる貴重な水源として可能な範囲で活用していくものの、長期的な視点からすれば、安定的な水源として位置づけるべきものではない、こういうふうに考えているところでございます。

○原田委員 地下水を将来にわたり安定的な水源として位置づけることは困難ということでございますけれども、トリクロロエチレンのお話もありましたけど、水質を見ながら使っていくということは大変大事なことじゃないかと思います。
 十八年度に環境局が出した、東京都の地盤沈下と地下水の現況検証について、この報告書が出ていますけれども、地下水を新たにくみ上げることについては慎重にすべきだというようなことがありますが、現状維持であれば支障がないというような記述もございます。より安定した水源であるといえます。可能な限り活用を図るというご答弁でございましたので、周りの水位を見ながら、ぜひ進めていただきたいと思います。
 それでは、今度、水道の一元化についてちょっとお話をさせていただきます。
 平成十五年六月、水道局は、多摩地区水道経営改善基本計画を発表いたしました。昭和四十八年から、区や多摩地区の市町村間の料金、また普及率などの格差是正が進められて一元化というのは打ち出されたわけなんですけれども、地方公共団体の事務委託方式のため、一元化のメリットが生かし切れなかった。そこで直営式という方針が出されたと思います。
 この方針に基づいて進められた一元化、資料を見させていただきました。二十五市町になっているようです。多摩地区の地下水は、都営水道に一元化する以前は水道水源として使用されてきた実績がございます。また、都営水道に一元化されていない昭島市、武蔵野市、羽村市は、地下水を水道水源として、一部だったり、随分多かったりしますけれども、使用しているという実態がございます。身近な地下水を水道水源として利用する方が、遠くのダムを水源とするよりも、環境に優しい水と考えられるといえるのではないでしょうか。
 水道事業の都営一元化によって都営水道に統合された市町村の地下水、現在どのような状況になっているのかお伺いします。

○佐竹参事 多摩地区の地下水についてですが、都営一元化の水道水として活用しております。
 以上でございます。

○原田委員 地下水位というものは、その利用分をカウントしていくことで管理、維持の財源補完の根拠になっていくというようなこともございます。地下水位を低下させない範囲での使用は、水道局が努力を積み重ねて確立していると、この面では評価しております。身近な水源として地下水源をぜひ位置づけてほしいと要望しておきます。
 その次に、おいしい水の関係で質問させていただきます。
 安全な水道水を供給するための基本は、良好な原水水質にあると考えています。
 そこでまず、東京都の主要水源、河川の水質状況の動向についてお伺いします。

○長岡浄水部長 東京都の水源は、利根川・荒川水系が約八割を占めております。この水系における水質汚濁を示す代表的な指標である生物化学的酸素要求量及びアンモニア態窒素の昨今の推移は、いずれも減少傾向にあるものの、依然として生活排水対策のおくれなどから、原水水質の急速な改善は難しいと考えております。
 なお、多摩川上流部については良好な水質を保っております。

○原田委員 BODやアンモニアが高い原水から安全な水道水をつくるために、いろいろな技術や薬品が使われています。一般的にはどのような浄水処理を行っているのか、お聞かせください。

○長岡浄水部長 河川水を浄水処理する場合は、一般的に急速ろ過方式が採用されております。急速ろ過方式は、原水にポリ塩化アルミニウムを注入して大まかな濁りを沈殿させ、その後、細かい濁りを砂でろ過し、最終的に塩素で消毒するものであります。

○原田委員 近年は、水道水の水質について、安全性に加え、おいしさも強く求められています。塩素を減らし、おいしい水を供給するために、水道局としてどのような取り組みを行っているのか、お聞かせください。

○長岡浄水部長 水道局では、より安全でおいしい水を供給するため、利根川水系の浄水場について高度浄水処理を順次導入しております。
 現在、金町、三郷、朝霞の各浄水場で高度浄水処理施設が稼働しており、今月には三園浄水場で通水を開始いたします。さらに、東村山浄水場でも高度浄水施設の建設を進めているところでございます。
 これら高度浄水処理の導入に伴い、塩素注入量を削減するとともに、給水所における塩素注入設備の整備を行い、給水栓における残留塩素を低減してまいります。

○原田委員 そもそも河川の水質がよければ、浄水場のいろいろな施設、多額の経費を投入して高度処理を導入する必要はないはずです。そして、十八年度決算でも二十三億円が計上されていますが、薬品も少なくて済むはずです。
 おいしい水を手に入れるために、川、地下水の水をきれいにしようというメッセージがまず要ると思います。いろんな市民の方々が、川を身近に感じるために、水質調査をしたり、また川で遊ぶ、川と親しもうというような運動をしながら、水を市民生活で感じられるような存在にしておこうという運動が大変盛んでございます。
 利根川水系の水というのは遠くから来ているというようなことがあって、きょうは一連の質問というのは、近くの水源をもう少し大切にみんなで使えるようにしていこうと。地下水も含めて、また、今とまっている取水の問題もありますけれども、それも含めて使えるようにしていくというのが、一番の大きな、水需要を身近なところで確保できる、そのような方法ではないかと考えています。
 ところで、玉川浄水場は、多摩川の水質悪化から、現在中止しているというふうに聞いておりますが、都内にある身近な水源を活用するという観点から再開が期待されています。このため、玉川浄水場の再開を早期に行うべきと考えますが、再開の条件についてお聞かせください。

○長岡浄水部長 玉川浄水場を再開するに当たりましては、原水水質が改善し、河川の水質に関する環境基準のB類型が達成されること、それと、浄水処理などの技術的な課題の解決が重要と考えております。
 これらの課題が解決した段階で安全性を客観的に評価し、その結果について都民の理解を得ることが必要だと考えてございます。

○原田委員 私の情報では、環境基準という点でいうならば、大腸菌群以外は、B類型どころか、それ以上のA類型も達成しているというような情報もございます。所管からそのあたりの話をお聞きすればいいのですが、質問としてお出ししていなかったので、私の情報をいわせていただきますと、そういうことです。
 それで、いろんな浄水技術の向上ということがおいしい水を生んでいるわけですけれども、そういうような技術を考えれば、浄水処理の技術というのはもうクリアしたのかなと思います。
 あとは、やっぱり大きいのは、周りの人たちのコンセンサスということであると私は考えております。
 生活者ネットワークがなぜ玉川浄水場の再開にこだわるかというと、その前にちょっとお話ししました、身近な場所の水源ということもございますけれども、近くの水を飲んでいくことは、その地域の環境が見えてくるというふうにいえます。繰り返していいますが、おいしい水を飲むために市民がみんなで川をきれいにしていく、そのことが大切なことで、実はそのことが環境を考えるすべてにつながっていくと考えております。市民自身の行為が自分たちに戻ってくる、こういうことを実感していくということが大事だと思います。
 水源を湯水のごとく使う時代は終わりました。もちろん、さまざまなエネルギーもそうです。身近な資源を大切に使うことこそ、持続可能な都市像を現実的なものにしていく、そのように考えております。
 これからぜひ、身近な水源ということで、地下水、そしてまた、とまっている施設を稼働するように、皆さんのお力をぜひ尽くしていただきたい。要望いたしまして、質問を終わります。

○高橋委員 私から、平成十八年度東京都水道事業会計決算書の一一ページに、配水管取りかえ費用として二百三十四億七千六百万余円が計上されております。このことに関連し、経年管の更新についてお尋ねいたします。
 ご案内のように、我が国は地震国であり、ここ数年を振り返ってみても、各地で大きな地震が多発しております。昨日でちょうど丸三年が経過した新潟県中越地震でも、水道管やガス管などのライフラインが大きな被害を受け、市民生活に多大な影響を与えたことはご記憶のことと思います。
 また、本年七月に発生した新潟県中越沖地震においても、ガス管の破断箇所から地下水などが浸入し、完全復旧まで一カ月以上を要したところから、ガス管の耐震化が急務であるとの新聞報道がされておりました。
 東京都からは、柏崎市及び刈羽村の水道施設の応急復旧を支援するため、七次にわたり、延べ五百八十一名の職員や協力業者の方々が派遣され、予想を上回る被害箇所にもかかわらず早期に復旧することができたため、地元からは大いに感謝されたと仄聞しております。
 ふだん、ガスや水道などは何げなく使っておりますが、ライフラインの重要性を改めて認識したところであります。そこで、東京の水道における耐震化対策はどのようになっているのか、まずお伺いいたします。

○原薗建設部長 水道局ではこれまでも、東京都水道局震災対策事業計画に基づき、施設の耐震化に取り組んでまいりました。また、東京水道経営プラン二〇〇七において危機管理対策を重要課題の一つに位置づけ、震災による水道施設への被害を最小限にとどめるため、水道施設の耐震強化を一層推進しているところであります。
 主な事業として、貯水池の堤体強化や浄水場、給水所の耐震化、送配水ネットワークの強化、経年化した管路の取りかえなどに積極的に取り組んでいるところでございます。

○高橋委員 さまざまな取り組みにより耐震化を推進しているところでありますが、具体的に水道管の耐震性はどうなっているのか伺います。

○原薗建設部長 お客様への安定給水を確保するため、送配水管の取りかえ及び新設に際しては、昭和四十年代から、耐震性の高いダクタイル鋳鉄管及び鋼管を使用しております。さらに平成十年度からは、阪神・淡路大震災においても被害を受けなかった、抜け出し防止構造の継ぎ手管を全面的に採用し、耐震性の向上に努めているところでございます。

○高橋委員 ダクタイル鋳鉄管の採用以前は、強度の低い管が用いられていました。そこで私は、平成十六年の決算特別委員会において、こうした強度の低い経年管の取りかえの取り組み状況について質問いたしましたが、平成十四年度にKケイ〇ゼロプロジェクトを立ち上げ、計画的に取り組んでいるとの答弁をいただいております。
 しかし、残念なことに、平成十七年三月に、私の住んでおります練馬区の有楽町線平和台駅近くの環状八号線交差点で、経年管の破損事故が発生いたしました。この事故により、近隣の住宅やスーパーマーケットが浸水し、道路陥没も発生するなど、大きな被害がもたらされております。さきの新潟県中越沖地震の報道などをあわせ、不安を感じているところであります。
 そこで、経年管の取りかえ状況について、今後の見込みについてお伺いいたします。

○原薗建設部長 経年管の取りかえにつきましては、平成十四年度にKケイ〇ゼロプロジェクトを立ち上げ、毎年、着実な推進を図ってきたところであります。その結果、平成十八年度末までに経年管の解消率は九六%に達しており、平成二十五年度末までに全廃する予定であります。
 また、経年管に次いで古く、強度の低い、異形管が混在した初期ダクタイル管につきましても、平成十七年度から本格的に取りかえを進めているところでございます。

○高橋委員 経年管の取りかえ状況についてはわかりました。今後も着実に推進していただくようお願いをさせていただきます。
 しかしながら、ダクタイル鋳鉄管の中には、いまだ耐震継ぎ手を有していないものがあり、震災時には抜け出し等による断水被害が生じるとも伺っております。
 昨年、都の防災会議から発表された被害想定では、首都直下型の東京湾北部地震発生時において、水道の断水率は区部で四六%と予測されております。首都中枢機関が集中している東京が大地震に見舞われ、大規模な断水が発生すれば、都民生活のみならず、我が国の政治経済に与える影響は、はかり知れないものがあるわけであります。
 資料によれば、東京都は約二万五千キロメートルの管路を有しており、緊急性、優先性を考慮した効率的、効果的な耐震化が必要であります。
 こうしたことを踏まえ、首都機能を守るための水道局としての取り組みについて伺います。

○鈴木企画担当部長 水道局では、震災時における都民生活や首都機能を支える観点から、三次救急医療機関、災害拠点病院といった人命にかかわる重要施設や、国会及び国政機関などの首都中枢機能への供給ルートにつきまして、抜け出し防止機能である耐震継ぎ手管への取りかえを実施しており、三次医療機関、首都中枢機関等につきましては、特に優先的に平成二十三年度までに、二次救急医療機関及び区市役所につきましては平成二十八年度までに完了する予定でございます。

○高橋委員 水道局は、経年管の取りかえを行うなど震災対策に強力に取り組むという答弁をいただき、安心いたしましたけれども、都は現在、二〇一六年のオリンピックの招致を目指し、さらに高いレベルの成熟へと新たな一歩を踏み出すこととしております。
 災害時のみではなく、平常時においても、先ほど取り上げた平和台のような事故が起こらない、レベルの高い、強い東京水道をつくっていくことが必要だと考えます。
 最後に局長の決意を伺い、質問を終わらせていただきます。

○東岡水道局長 都は、昨年末、「十年後の東京」を策定し、二〇一六年のオリンピック招致に向けて東京の都市の魅力を高めていくことを目指しております。
 東京水道は、こうした首都東京を支える最も重要なライフラインの一つであります。これまでも、老朽化した経年管の計画的な取りかえを進め、管路の耐震性の向上に努めるとともに、送配水管ネットワークの充実強化を図ることなどによりまして、バックアップ機能の強化など、安定給水の確保に必要な施策を進めてまいりました。
 今後は、浄水場など大規模施設の更新を含め、水道施設全般の耐震化や長寿命化、計画的な施設更新を着実に進め、震災時への備えを確かなものにしてまいります。
 また、これにとどまらず、平常時においても漏水などの事故や断水のない強い水道をつくっていくために、さらに努力してまいります。

○山口委員 本日最後の質問でございますが、私は、貯水槽水道の適正管理の促進及び直結給水方式の普及拡大について質問をさせていただきたいと思います。
 新聞報道などによると、水道局では、安全でおいしい水の供給を強化して、貯水槽水道の直結化を進めているということを聞いています。
 また、東京都では、高度浄水処理の導入など、水道水の水質の向上に努められているわけでありますが、私自身の経験を申し上げますと、実は以前に貯水槽の清掃業務に携わっていたことがございます。そのときに実際にこの目で見たわけでありますが、ビルやマンション、アパートなど貯水槽がある建物では、貯水槽の管理が不十分であるケースを多く目にしてまいりました。私の勤めたところに比べれば随分よくなっているのでしょうが、今もそのようなケースはまだまだあるんだろうと思います。
 せっかく水道局がよい水を浄水場から何十キロもわたって送ってきて、ユーザー、都民に届く手前のわずか数メートルのところ、貯水槽の管理が不適切なことで水質が台なしになってしまうことは、これは非常にもったいないことであると思います。
 そもそも所有者は、貯水槽の適切な管理を確実に行う義務があるわけであります。しかし、建物を管理する所有者などは、その局の思いや重要性を余りわかっていないのではないかと思うところが多いわけであります。
 そこで、貯水槽水道に関連して幾つか質問をしてまいります。
 まず、事実確認としてお伺いいたしますが、貯水槽のある建物は都内にどれぐらいあるのでしょうか、お伺いいたします。

○増子給水部長 都内の貯水槽のある建物、これを貯水槽水道と呼んでおりますが、この数は約二十二万件でございます。
 その内訳は、水道法で定期的な清掃や点検の義務づけがある貯水槽容量が十立方メートルを超えるものが約三万件、法規制がない十立方メートル以下のものが約十九万件ございます。

○山口委員 さて、この二十二万件に、安全でおいしい水プロジェクトの意味、都の思いというものがしっかりと伝わっていなければ、この意味がないわけなのでありますが、貯水槽は、水道法に基づいた行政による指導監督が重要だと非常に認識しております。
 また、最近、水道法の改正によって、貯水槽の大部分を占める十立方メートル以下の貯水槽に関して、その管理に対する指導監督に水道事業者が直接かかわることがようやくできるようになったと聞いております。
 そこで、現在、貯水槽の管理について、水道局はどのようにかかわっているのか、お伺いいたしたいと思います。

○増子給水部長 貯水槽水道の管理につきましては、平成十三年の水道法の改正によりまして、従来の衛生行政による規制や行政指導に加えまして、水道事業者も、貯水槽水道の設置者に対しまして、適正管理に向けた指導、助言、勧告を行うことができることとされております。
 都におきましても、平成十四年に給水条例を改正いたしまして、貯水槽水道の管理向上に向けて、平成十六年度から貯水槽水道の点検調査を実施しているところでございます。

○山口委員 水道局のホームページを拝見いたしたところ、貯水槽の点検結果の概要が公表されているわけであります。それによると、早期の改善が必要なものがおよそ六千件、約六%に達するということでありました。
 そこで確認しておきたいわけですが、都内の貯水槽の点検対象はどのくらいあり、また、これまでに調査した結果についてお伺いいたします。

○増子給水部長 都内にある約二十二万件の貯水槽水道を対象といたしまして、平成十六年度から平成二十年度の五カ年計画で点検調査を実施しているところでございます。平成十八年度末までに約九万四千件の点検調査を実施いたしております。

○山口委員 今の答弁によりますと、まだ調査対象のおおむね半分弱にしか達していないということでありました。計画期間は五年で、既に三年経過をしているわけでありますから、さらなる調査のスピードアップを図っていただきたいと思います。
 また、今後調査を進める中で、問題のある貯水槽六千件という数字は、調査の完了までにはさらにふえるであろうと予想されます。これは、あくまで調査をした貯水槽の数であるわけで、その多くが、ツーフロアもある事務所、複数世帯のマンション、アパートなどに設置されていることを考えれば、この数倍あるいは数十倍にも上る世帯や事業所に問題のある水が供給されることが容易に想像されるわけであります。下手すると、六%が一二%に、また二割にも達するかもしれないこの状況は、非常に多くの都民にかかわる問題であるのではないかと思います。
 もちろん、先ほどの答弁にもあったように、行政処分などの法制面から、水道事業者には限界があることは承知をしています。
 そこでお伺いいたしますが、この貯水槽の点検の際にはどのようなことを行っているのか、お伺いいたします。

○増子給水部長 貯水槽の点検の際には、管理者に対して適正管理に向けた指導を行うとともに、貯水槽が不要で、フレッシュな水を直接届けることができる直結給水化の促進に向けたPRを行っているところでございます。

○山口委員 では、今答弁のあった直結給水化はどの程度進んでいるのか、お伺いいたします。

○増子給水部長 既存の貯水槽水道の直結給水への切りかえにつきましては、当局が切りかえの促進を始めた平成七年度から徐々に増加し、直近の平成十八年度末までの実績では、約六千三百件の建物が切りかえられてございます。

○山口委員 今、数字を伺った限りでは、貯水槽水道から直結水道への切りかえというのは、まだそれほど進んでいないことがわかります。
 恐らく、既存の貯水槽水道から直結水道への切りかえには相応の工事費の負担が必要であって、その費用がネックになっているんだろうと考えられるわけなんですが、貯水槽水道から直結水道への切りかえの場合、どのくらいの工事費用がかかるのか、お伺いいたします。

○増子給水部長 建物の規模によりまして工事費用は異なりますけれども、例えば四階建てで十世帯の場合、およそ百十万円程度となっております。

○山口委員 四階建て十世帯の場合で約百十万円となりますと、一世帯当たり約十万円ぐらいになるわけでありまして、例えば今の答弁のような規模の、マンションというよりはアパートの住民にとって、この工事金額というのは決して安いわけではないと思います。
 しかし、直結化をした場合には、貯水槽の清掃費用であるとかポンプの運転のための電気代などが当然要らなくなるわけでありまして、そのような費用を含めた場合、貯水槽水道と直結水道との比較では、どちらの方が所有者にとって費用負担は少ないのか、お伺いいたします。

○増子給水部長 維持管理費につきましては、先ほどの規模の建物の場合、タンク清掃費、水質検査費、運転経費などで、年間十五万円程度負担が少なくなります。
 直結化する場合、その切りかえ工事費用が百十万円程度かかるわけでございますが、維持管理費の減によりまして、およそ八年間で費用回収ができ、トータルのコストで比較しますと、直結化が有利と考えられます。

○山口委員 トータルとして直結化の方が安くなるということはわかりました。
 ところで、貯水槽方式は、水道局が送った水を一たん受水槽にためて、それをまた一からポンプでくみ上げる方式なわけでありますが、これは二重に電気エネルギーを使っているわけで、当然、発電には石油などの化石燃料も使っており、CO2の発生原因となっていることから、電気エネルギーの消費という観点で、直結と比べればむだな方式であるともいえるわけであります。
 先ほどの答弁で、六千三百件が貯水槽方式から直結給水に切りかえられたということでありましたが、これによってどれぐらいCO2が削減できているのか、お伺いいたします。

○増子給水部長 切りかえ済みの六千三百件において省エネされた分をCO2に換算いたしますと、年間約一万二千トン、車に換算して約五千百台分のCO2になります。

○山口委員 それでは続けて伺いますが、今後、直結化が進んだ場合、水道局としてはどのくらいのCO2が削減できると見込んでおられますか。

○増子給水部長 今後も既存の貯水槽水道の直結給水への切りかえを積極的に促進することによりまして、十年後の平成二十八年度には、既存の貯水槽水道の約一割に相当する二万二千件の貯水槽水道が直結化されると推定しており、年間約四万一千トン、車に換算して約一万七千台分のCO2削減効果を見込んでおります。
 これは、当局の平成十八年度におけるCO2の年間総排出量の約一二%に相当いたします。

○山口委員 今の答弁での、直結化によるCO2の削減量というものは、絶対量としては必ずしも多いとはいえませんが、水道事業からの排出量削減という観点から見れば、非常に大きなウエートを占めるのではないかと思います。時間もかかるわけでありますが、こういった環境面からの取り組みも非常に重要だと思います。
 ここまでの質疑の中で、直結化の取り組みが、水質面のほかに、コストや環境面といったさまざまな面から有効であることがわかりました。こういった事業は、情熱や十分な説明をもって説得をしていくことが重要だと思いますので、ぜひ今後も継続していただきたいと思います。
 ただ、貯水槽水道が全否定されるかというと、必ずしもそうではないように私は考えています。特に貯水槽水道では、地震などの災害時に水がストックできるというメリットもあるわけです。ここ数年で大きな地震がたび重なり発生をしているわけですが、そのたびにクローズアップされるのが被災時の水の確保の重要性であります。
 貯水槽水道は、震災時のストック機能という面で有効であると思いますが、その有効性について都はどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○増子給水部長 貯水槽の貯留機能は災害時に有効でありまして、特に避難場所においては必要と考えております。また、病院など断水時の影響が大きい施設では、貯水槽の貯留機能は重要な役割を担っていると考えております。

○山口委員 繰り返しになりますが、水道の直結化は、安全でおいしい水の供給に向けて有効な手段であること、また、コスト面、環境面でもメリットがあることが今回の質疑でわかりました。しかし、一方で、貯水槽水道も、適正に管理をされていれば、衛生面で問題がないはずでありますし、今いただいた答弁のとおり、緊急時の生活用水の確保などにも活用できることがわかりました。そういった点も含めて考えると、貯水槽を維持していくか、直結化するかは、最終的には都民自身が選択をすべきだと私は考えます。
 これまでの答弁にあったようなメリット、貯水槽方式、直結水道方式のそれぞれのメリットについて都民が知らなければ、都民自身が自分にとって最もよい給水方式の選択ができないことはいうまでもありません。そのために、一番よい給水方式を選択できるように、さらなる情報提供に努力をするべきだと思いますが、この点について水道局の今後の取り組みを伺いたいと思います。

○増子給水部長 当局では、従来から、貯水槽水道の点検調査や「水道ニュース」などの広報媒体を通じまして、貯水槽水道の適正管理の重要性や直結給水への切りかえなどに関する情報を積極的に提供してまいりました。
 今後は、貯水槽水道の点検調査や「水道ニュース」、ホームページなどに加えまして、新たに作成した専用のパンフレットを用いまして、よりわかりやすく情報提供を行ってまいりたいと思います。

○山口委員 今回の質問を通して私がいいたかったことは幾つかあるわけなのでありますが、水道の難しいところは、実際に水道メーターを通って受給槽に入るまで、ここまでが皆さんの仕事であって、そこから先、受水槽であるとか貯水槽のメンテナンスや基準、この行政管理といったものは、実際には福祉保健局が管理をしているわけでありますから、この問題についても今後は深く追及していかなければいけないと思っておりますし、もっと細かな基準が必要になってくると思います。
 直結になれば、いずれにしても、水道局が、皆さんが自信を持っているこの水が蛇口までしっかりと届くということに関しては非常に大きな意味合いがありますので、ぜひその努力をしていただきたいと思います。
 先ほども述べたように、十立方メートル以下の貯水槽を初め、建物や貯水槽の管理者の自覚や、利用者、エンドユーザーの認識というものが不可欠であって、最終的にはこの方々に行動を起こしていただかなければいけないわけでありますから、さまざまな面での啓発や啓蒙というものにぜひ努めていただきたいと思います。
 局の皆さんが大事にしているこの水というものが、おいしくてきれいだということは、きょうの質疑を通じてもよくわかりました。しかし、皆さんの局にとっての水というものと、都民の皆さんの水というものの認識は違って、都民の皆さんは、蛇口をひねって出てくる水が都民にとっての水でありますから、この認識の差が一日でも早く埋まっていくことを切に願いまして、質問を終わりたいと思います。

○鈴木委員長 お諮りをいたします。
 ほかに発言がなければ、質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたします。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会といたします。
   午後三時四十三分散会

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