公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十八年十月二十七日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長東野 秀平君
副委員長臼井  孝君
副委員長松村 友昭君
副委員長大塚たかあき君
中山 信行君
高橋 信博君
山口 文江君
かち佳代子君
門脇ふみよし君
倉林 辰雄君
新藤 義彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長柿堺  至君
次長南雲 栄一君
技監福島 七郎君
技監只腰 憲久君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長石井 恒利君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画・技術担当部長村尾 公一君
開発プロジェクト推進担当部長戸田 敬里君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
区市町村調整担当部長中沢 弘行君
民間住宅施策推進担当部長山室 善博君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
都市景観担当部長安井 順一君
経営改革担当部長小宮 三夫君
参事並木 勝市君
参事笠井 謙一君
参事山口  明君
参事座間  充君
参事小澤  弘君
参事清水 文夫君
参事宇多田裕久君
病院経営本部本部長大塚 孝一君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長鈴木  茂君
参事岸上  隆君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について
都市整備局関係
・平成十七年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成十七年度東京都病院会計決算(質疑)

○東野委員長 ただいまから平成十七年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は都市整備局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 十月十六日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の平成十七年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。資料は、1の都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源外二件でございます。
 それではまず、一ページをお開き願います。1の都市再開発事業会計施行三地区の事業費と財源でございます。
 北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区、大橋地区の三地区につきまして、事業費総額並びに年度別決算の状況を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。2の、三地区のこれまでの進捗状況と今後の予定でございます。
 地区ごとに平成十七年度末までの事業費、用地取得面積と今後の予定を記載してございます。
 三ページをごらんください。3の従前居住者などの生活再建の状況でございます。
 事業計画策定時の権利者数につきまして、平成十八年三月三十一日現在の予定者数を含む入居者数及び転出者数を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○臼井委員 それでは私は、北新宿地区第二種再開発事業についてお尋ねいたします。
 北新宿地区市街地再開発事業は、放射第六号線の整備と安全で快適なまちづくりを一体的に行い、新宿副都心にふさわしい街並みへと変えていく重要な事業でございます。本年六月、放射第六号線が暫定ながらも二車線で開通したことや、既に新しい再開発ビルが二棟完成するなど、最近では再開発後のまちの姿がイメージできるぐらいになってまいりました。この地区を通る放射六号線は、多摩方面と都心部を東西に結ぶ幹線道路でありまして、新宿駅周辺の交通渋滞の緩和に大きく寄与するために、その早期完成に都民の大きな関心が寄せられております。放射第六号線の整備途上における暫定開通は柔軟な取り組みとして評価するものの、現在は二車線の上、工事中の仮設道路のような線形となっていて、間違いやすく、十分な効果が上がっていないように見受けられるのでございます。
 そこで質問ですけれども、放射第六号線は早期に四車線での整備、開通が重要と考えますが、現在の進捗状況と整備推進に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 放射第六号線は青梅街道のバイパスとして、新宿駅周辺の交通混雑の緩和を図り、新宿副都心の都市機能の更新に資する重要な幹線道路でございます。
 また、これは都道でございます。放射第六号線の未整備であった青梅街道の淀橋から小滝橋通りまで約一キロメートルの区間につきましては、淀橋から順に、都施行の再開発事業、組合再開発事業、そして都の街路事業という三つの事業が分担して整備を進めているところでございます。本年六月に全区間を二車線で暫定開放を行ったものでございます。
 このうち、都施行再開発事業で整備しております約三百五十メートルの区間につきましては、まだ二棟の建物が残っておりますが、この権利者と鋭意協議を重ねてきた結果、本年夏には建物の除却の見通しが立ったところでございます。現在は建物の移転に向けた準備を行っているところでございまして、平成十九年度末までに計画どおり四車線道路で完成させるように整備を推進してまいります。

○臼井委員 放射第六号線は三つの事業によって整備しているということを伺いました。
 そこで、この区間の街路でありますが、終戦後の二十一年、都市計画決定がなされまして、それからずっと停滞といいますか、計画が進められなかった。しかし、昭和五十六年、事業化を決めまして動き出したわけでございます。その後、平成六年に入りまして、再開発事業の都市計画決定が行われて、都施行の再開発事業で整備することとなったわけでありますが、その都施行で整備することになった、この再開発事業で行うということの理由についてお伺いしたいと思います。

○宮村市街地整備部長 現在整備中の一キロメートル区間のうち、都施行再開発事業で整備しております区間は、ほかの二つの事業の区間と異なりまして、全く現道がなく、また木造住宅が密集した防災上も危険な地域を、幅約三十メートルの放射第六号線が地区内を斜めに横切る形となっております。また、以前にいわゆる地上げなどが行われましたため、地域内には虫食い状の空地が存在し、防犯上の課題なども抱えておりました。こうした課題を解決するためには、都道の整備とともに周辺のまちづくりを同時に進める必要があったことから、多くの地域住民からの強い要望も受けまして、都施行の再開発事業によって整備することといたしたものでございます。再開発事業で行うことによりまして、地元権利者の地区内での生活再建が可能となるとともに、放射第六号線の整備が促進され、新宿駅周辺の交通渋滞緩和、新宿副都心にふさわしい土地利用への転換など、東京の都市再生にも寄与することとなると考えております。

○臼井委員 この六号線と青梅街道に挟まれた一街区、これは多摩地区から新宿方面に向かうと、ちょうど新宿副都心の入り口に当たり、まちづくりにおいて大きな役割を担っている重要な街区であるということを実感いたします。
 また、都心部に残されたここは希少なまとまりのある空間でありまして、現地を訪れると、既にほとんどの建物が除却されておりまして、改めてこの街区の広さがわかりますし、大変な土地だということを感じるわけであります。
 そこで、この一街区の事業の進捗状況についてお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 ご質問の一街区は、再開発事業に生み出された敷地のうち最も広い約一・四ヘクタールの面積を有し、両側が幹線道路に面した非常にポテンシャルの高い街区でございます。この街区には、新宿副都心の西の玄関口に当たるというコンセプトのもと、周辺の環境に配慮した二棟の超高層ビルを配置する計画であり、ビル建設や販売のノウハウを有する特定建築者を活用し、この計画を実現してまいります。
 ご質問の事業の進捗状況でございますが、これまで用地取得を鋭意進めてまいりました結果、平成十七年度末時点で、一街区全体の約九八%の用地を取得済みでございます。引き続き残る用地の早期取得に努めるとともに、特定建築者公募のための管理処分計画の作成などを進めまして、一日も早く再開発ビルの建設に着手できるよう努めてまいります。

○臼井委員 用地取得も九八%と、あとわずかということでございます。残る用地取得に全力を挙げて、一日も早い街区の整備が期待されるところでございます。
 そこで、一街区は今後どのような整備を、土地利用等を考えているのか伺います。

○宮村市街地整備部長 一街区には、延べ床面積約九万平方メートルのシンボル性を備えた業務棟と、職住近接を図る約二百五十戸の住宅棟の二つの建物を建設する計画でございます。また、街区内には広場や歩行者空間を整備するなど、敷地の六割以上のオープンスペースを確保するとともに、屋上緑化など、可能な限り街区内の緑化に努め、ヒートアイランド対策などの環境にも配慮した空間を創出してまいります。
 さらに、業務棟内には、一街区の規模と立地の優位性を生かしまして、社会貢献や都市の活力を高める機能を導入することとしており、特定建築者の公募に当たり、例えば子育て支援施設や産業振興施設など、導入する機能について具体的な提案を求めてまいります。
 今後とも、より魅力的で付加価値の高い、副都心にふさわしい街区となるよう整備を推進してまいります。

○臼井委員 北新宿地区は、放射第六号線の整備、そして新宿副都心にふさわしい街並みの形成、都市機能の更新といった非常に重要な役割を担った再開発事業だと認識しております。平成十四年に都市再生緊急整備地域に指定され、都市再生の拠点として緊急な整備が必要な地域であると考えます。一日も早くこの事業の効果を都民が実感できることを期待をいたしまして、私の質問を終わります。

○大塚委員 都市再開発の事業会計の三地区の中で、私は港区、地元の環状二号線の新橋・虎ノ門地区の再開発事業に関しての十七年度の決算内容や事業の進捗について触れたいと思います。
 いわゆるマッカーサー道路と呼ばれておりますこの道路は、いうまでもなく昭和二十一年、戦後間もなく都市計画決定され、道路幅の縮小はあったものの、長い間実現しないまま時間だけが経過していたわけですが、平成の時代に入り、立体道路制度などの新しい制度の導入や、都市再生の機運が高まり、地元の方々によるまちづくり協議会が発足し、平成十四年に再開発事業の事業決定がなされ、本格的に事業実施の第一歩が始まったわけですが、まず初めに、この道路整備事業を行うのに伴い、新橋から虎ノ門の区間で、環状二号線の整備を東京都の施行による再開発事業で行うことになった意義について、見解をお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 環状第二号線は、都心部の交通渋滞の緩和や都心部と臨海副都心とのアクセスの改善、沿道の機能更新を通じて東京の都市再生に大きく寄与する重要な幹線道路でございます。
 環状第二号線の新橋-虎ノ門区間につきましては、平成元年に立体道路制度が創設され、道路整備とビル建設を重層的に行う仕組みができたこと、さらには平成五年の環状第二号線の臨海部への延伸も相まって、早期整備への機運が高まったことから、ご質問いただいたように、権利者との話し合いが進み、立体道路制度を活用した市街地再開発事業による事業化が図られたものでございます。
 この新橋-虎ノ門間の再開発事業で整備することの意義でございますが、第一に、環状第二号線の整備と周辺のまちづくりを一体的、総合的に行うこと、第二に、権利者が希望すれば地区内での生活再建が可能であること、第三に、環状第二号線の整備により沿道の開発が誘発されることでございます。

○大塚委員 現地の新橋、西新橋地区では用地買収が進みまして、東京都の管理用地だとわかる看板があちこちに立っておりまして、また、事業用地とそうでないところの土地の利用度がかなりはっきりわかるようになってまいりました。今回、十七年度決算の質疑ですから、私が今いった用地買収や事業の進みぐあいについて数字的な面からお聞きしたいと思いますが、平成十七年度に用地買収がどれだけ進んだのか、見解をお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 平成十七年度の用地取得面積は約四千二百平方メートルであり、これに要した用地及び補償費は約百三十五億円でございます。これで平成十七年度末までの用地取得面積は合計約二万七千四百平方メートルとなり、全宅地の五四%を取得したことになるものでございます。
 なお、第二種市街地再開発事業では、一たんはすべての宅地を買収する仕組みでございますので、この五四%は、転出者のみならず、入居者の宅地の契約も含む数字でございます。地区外に転出する権利者の宅地だけを対象とした用地取得率は、約八一%でございます。

○大塚委員 今ご答弁のように、買収予定の全宅地の五四%の進捗率ということですが、事業が長い年月を経て始まったわけですから、まちづくりについて地元の方々は期待と夢を抱きながら、事業の完成を待ち望んでいると思います。予算に限りがあることや、相手があることですから、当然時間のかかることはよく承知をしております。道路部分は別として、再開発地域は、一たん移転して、仮住居や仮店舗で生活や商売をしている方も多くいると聞いています。これは要望ですが、事業の進捗を管理し、一日も早い完成に努力していただくようお願いをしておきます。
 さて、再開発事業の街区が三カ所あるわけですけれども、虎ノ門地区の青年館街区は平成十六年十月に特定建築者が決定し、十七年四月に建築工事に着手しており、現在、二十一階建ての予定の建物の半分ぐらいができ上がってきております。そこで、青年館街区の特定建築者は丸紅という会社が決定したと聞いておりますが、その選考に当たってどのように決めたのか、見解をお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 特定建築者は、都市再開発法に基づき、施行者である都の決定した計画に従って再開発ビルの建設と保留床の処分を行うものでございます。特定建築者制度を導入することによりまして、民間のノウハウや資金を活用し、事業費の縮減や保留床処分のリスクの軽減を図ることが可能となるため、当地区では三つの街区すべてでこの制度を活用することとしております。
 特定建築者の決定に当たりましては、必要な計画条件等を示して公募を行い、特定建築者等選考委員会で応募図書等を審査し、決定をしております。青年館街区は東京都施行の再開発事業として初めて権利床を含む再開発ビルで特定建築者制度を活用したものでございます。そこで、権利者の要求にもかなった、より質の高い再開発ビルの建設を目指しまして、従来の敷地価格のみによる入札方式にかえまして、建築計画等に関する提案の内容と敷地価格等を総合的に勘案して選定する総合評価方式を採用し、選定したものでございます。

○大塚委員 公平公正に総合的に決定されたということだと思いますが、今後、残り三街区のうち二街区におきましても、同様に特定建築者を決めていくわけですが、地元の要望として、特定建築者と地元は建物が完成した後には末永い、長いおつき合いをしていかなければなりません。例えば町会のお祭りや商店街の各種イベント、また、地震や火災時の防災訓練など、地域の活性化に大きな貢献を期待をしているわけで、今述べた地元要望の対応などについて、青年館街区の実績を踏まえて、残り二カ所の特定建築者の決定について見解をお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 青年館街区の特定建築者の公募の際にも、権利者への情報提供及び要望等に対する考え方について提案を求め、これを評価の対象としております。残り二つの、新橋街区、虎ノ門街区につきましても、公募に当たりまして、それぞれの街区の立地や特性に合わせて、権利者対応の方法などについてよりきめ細かに提案を求め、それらを含めて総合評価方式により特定建築者の選定を行う予定でございます。

○大塚委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
 さて、平成十六年の第三回定例会で、私の代表質問で、環状二号線の整備、特に地下道路の構造が掘り割り方式から完全地下化へ変更されるに当たり、その方針についてお伺いをいたしました。
 当時、地元町会の皆さんが都への要望書を提出したり、また熱心な議論がなされたことは既にご承知だと思いますけれども、換気塔の位置、形状などについてはまだ議論の残るところだと思いますが、改めて今回、環状二号線の道路構造がふたかけ式になった、現在に至る経緯についてお伺いをいたします。

○宮村市街地整備部長 平成十年に市街地再開発事業の都市計画を決定した際に、あわせて、環状二号線は本線を地下式とし、地下本線の上部には建物が配置され、新橋街区に換気塔が設けられる計画でございました。平成十二年の市街地再開発事業の都市計画変更の際に、環状第二号線に重複する建物や換気塔を取りやめるとともに、愛宕通りから汐留までの区間はトンネルの上部に開口部を設ける計画となったものでございます。しかし、地元からは、この開口部で地域が分断されるとして、ふたかけをしてほしいという要望が出され、地元との協議の場を設け検討してきた結果、このたび、換気塔の設置も含めて理解が得られる見通しが立ったことから、開口部を設けないトンネルとすることになったものでございます。

○大塚委員 そういった経緯がある中で、ふたかけ、完全地下化ということになったわけでございますけれども、地元としては、道路部分がふたかけ方式になったことによって、その上部のまちづくりが今後どうなるのかということに大きな関心があるわけでございます。イベントなどの開催や、にぎわいや活気のある商店街の形成、そして多くの緑を配置した環境面での配慮、そしてまた、今回景観条例が上程されましたけれども、景観上のまちづくりにも期待が集まるところでございます。
 そこで最後に、地上部の計画について地元の意向を、今私が述べた観点も含めて、十分に聞く必要があると思いますが、見解をお伺いして、私の質問を終わります。

○宮村市街地整備部長 環状第二号線のうち、本線が地下化される愛宕通りから汐留までの区間は、開口部をなくしたことから、二車線道路でございますが、幅員が四十メートルで延長一キロメートルという、例のない空間が都心部に創出されるということになります。地上部の道路は地域内道路としての性格が強いことから、地域の交流やにぎわいの創出などへの配慮が重要でございます。そこで地元からの要望にもこたえまして、本年六月、沿道住民の方々や港区などもメンバーといたしまして、地上部道路の計画についての検討会を立ち上げまして、継続的に協議を行っております。
 今後とも、地域の住民や港区、道路管理者など、関係者間で協議を進めながら、地上部道路の計画をまとめてまいります。

○中山委員 私からは、大橋地区第二種市街地再開発事業についてお伺いさせていただきます。
 首都高速中央環状線の整備と首都高速三号線とを結ぶ大橋ジャンクションが、首都高速道路株式会社により建設中でございます。私もことしの七月二十一日、外環議連の一員として、先輩議員の皆様とともにこの大橋ジャンクションの威容をこの目で視察させていただきました。その際には局の皆様にも大変お世話になりまして、ありがとうございました。
 このジャンクションは、高さ約三十メートル、百七十五メートルと百三十メートルの東西の直径を持つ楕円形のループ状の横断面を持つ構造物であり、横断面の面積はあの代々木の国立競技場を上回る面積だとお伺いしております。
 このように大きな施設を市街地の中で整備するためには、地域住民の理解と協力が不可欠であると思います。このため、ジャンクション建設と一体となったまちづくりを都施行の再開発事業として進めており、地元の方々はこの事業に大きな期待を寄せております。
 目黒区の大橋地区のまちづくり懇談会の模様が目黒区のホームページの中でも紹介されておりますが、今後大橋ジャンクションの建設により街並みが一変する、新玉川線の開通以来乗降客もふえてきたが、今後、都市計画事業を契機にさらにイメージアップを図り、街並みに合わせた商業ゾーンを形成する、そのため、各商店との連携と個店ごとの将来計画づくりに取り組むと紹介されています。このジャンクションを含む再開発事業による街並み再生を新たなシンボルとした、環境とにぎわいに配慮したまちづくりへの期待がふくらんでいると思います。
 そこで、大橋地区第二種市街地再開発事業の経緯と効果についてお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 大橋地区には首都高速中央環状線と首都高速三号線とを結ぶジャンクション建設が計画されましたが、地域住民から、ジャンクションによる地域分断や立ち退き等の影響を懸念する声が上がり、勉強会などを重ねる中から、地元及び地元区から再開発事業を望む強い要望が出されました。
 都といたしましては、中央環状新宿線大橋ジャンクションの整備の緊急性を踏まえまして、地域住民の長年にわたる議論の成果を実現すべく、ジャンクション整備と一体となったまちづくりを進めるため、平成十五年一月、都施行の再開発事業を行うことといたしたものでございます。この事業の実施によりまして、ジャンクション周辺の環境整備が図られるとともに、関係する権利者の当地区での生活再建を可能にしたほか、これまで地域の各所に分散されていた図書館等の公共公益施設の集約や、国道二四六号線に面して店舗を連続して配置することによるにぎわいの創出など、地域住民が期待する地域の活性化に大きな役割を果たすものでございます。

○中山委員 今のご答弁で、まちのにぎわいづくりに大いに役立つ計画というものが実施されているということがよくわかりました。この大橋地区では、再開発事業の実施による居住継続性の確保のほか、ジャンクションを生かし、ループ屋上や敷地の活用によるにぎわいの創出を図るなどして、大規模構造物と調和したまちづくりを進めていくことが必要と考えます。
 そこで、大橋ジャンクションループ屋上の活用方策について、どういう計画となっているのか、また、都はどのような貢献をしていくのかお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 東京都はこれまで目黒区及び首都高速道路株式会社とともに、ジャンクションのループ屋上やループ内側空間の活用策を検討してまいりました。これらのループ屋上やループ内側の空間は一体的な公園空間として活用することとし、目黒区が整備及び管理主体となる公園として活用する旨の基本的な方針を三者で確認をしております。
 都といたしましては、屋上公園にだれもがアクセスできるようルートを確保するため、再開発ビルとループ屋上を結ぶデッキや地上からの階段などを再開発事業の中で整備してまいります。これらのデッキなどは区が進める公園計画とデザインの調和を図るなど、一体的な整備に努め、触れ合いや交流の場の創出に寄与したいと考えております。

○中山委員 大橋ジャンクションのループ屋上やループ内側の空間を公園として活用していく方針について、よく理解できました。
 この地区では目黒川の桜並木がつとに有名でございまして、緑や景観に十分配慮した計画としていくことが重要と考えます。さらに、屋上の公園化や敷地の緑化につきましては、ヒートアイランド対策や大気汚染対策にも有効であり、環境に配慮したものとなっていると考えます。
 当分科会の委員長の東野委員長が目黒区選出都議でございますけれども、私も目黒区役所に勤めておりましたことがございまして、この大橋ジャンクションの建設構想の発表があり、都市計画決定やその変更などがあったことを懐かしく思い起こします。
 大気汚染への住民の心配がありましたけれども、ループ内に換気所を設けるなど、よく工夫されたと思います。緑を多く取り入れることは、こうした環境面でも地域住民の快適性を保つための方策としてぜひさらに充実をさせていただきたいと思います。
 また、今お話がございましたように、国道二四六号には再開発エリアと反対側の地域を結ぶ横断デッキがかかり、屋上公園ともつながると聞いております。こうしたデッキなども含めて、この地域のトータルなデザインに工夫を凝らし、親しみの持てるまちとしていくべきであります。ちょっとしたお散歩コースとしても楽しめるように、デッキを含めた外環整備を国や区と協力して進めていただきたいと思います。近くには保育園などもあるそうでございまして、いろいろご迷惑をかけた面もあるかもしれませんが、園児も安心して楽しめるようなデザインの工夫をお願いしたいと思います。
 そのためには再開発事業が、この再開発エリアの隣接地域をも含めて、魅力的な景観を生み出すなどの効果を後押ししていくことが望まれます。そこで、この再開発事業では、隣接地域への影響も含めて、景観に配慮してどのような取り組みが行われているのかお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 都はことし二月、隣接地域を含む地元住民からの要請を受けまして、この再開発事業の実施に合わせる形で、周辺地域を含む約十一ヘクタールを、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み景観重点地区に指定をいたしました。現在、地元住民による準備協議会が組織されており、都は目黒区、首都高速道路株式会社とともに、その一員として参画し、地域の特性を生かした魅力的な景観を形成するため、街並み景観ガイドラインづくりを支援しております。
 今後は、この街並み景観ガイドラインに沿いまして、個性あるまちを目指し、再開発事業によって敷地内の舗装等のグレードアップを図るなど、外構整備や建物の外観において良好な景観が形成されるよう努めてまいります。

○中山委員 今回の質疑を通しまして、この再開発事業の意義への理解が私としても深まりました。この地区では、迷惑施設ともいわれがちなジャンクションを逆に生かし、地域のメルクマールとして、その発展に寄与するよう、都は目黒区等の関係機関と連携し、その役割を十分に果たしていただきたいと思います。
 大橋地区が道路と再開発による共同型事業として、今後ともさらに地域住民の方々に喜ばれるような、先導的モデルとなることを期待しております。
 私の質問を終わります。

○かち委員 私からも、市街地再開発事業会計について質問させていただきます。
 この会計が公営企業としてスタートしてから四年目の決算ということになるわけですけれども、三年前に当委員会で私も質問させていただきましたけれども、そのときには、北新宿と環二の事業でした。今回は大橋地区も入るということなんですが、いずれも計画道路との一体整備ということなんですけれども、三事業合わせて二千三百九十六億円の総事業費を費やす事業です。この目的や意義が都民的に理解の得られるものであり、合理性があるかどうか、そういう視点から幾つか質問をしてみたいと思います。
 先ほど来出てはおりますけれども、三つの市街地再開発事業がなぜ都施行で行われなければならないのかをご説明いただきたいと思います。

○宮村市街地整備部長 三つの地区ともに、幹線道路やジャンクションなど広域的な都市施設の整備に当たり、その地域の特性から周辺のまちづくりと一体的、総合的に整備することが必要なこと、また、地区内で生活再建をしたいという権利者の要望にもこたえることなどの理由から、都施行再開発で行うことといたしました。
 例えば北新宿地区でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたが、北新宿地区の再開発事業で整備いたします、都道となる放射第六号線の三百六十メートルの区間は、現道も全くなく、また、この地区は狭隘な道路が多く、木造住宅が密集する防災上危険な地域で、その中を斜めに横切る計画となっております。このため、道路と周辺市街地の一体的整備を行い、防災性の向上や土地利用の転換等を図る必要があったことから、多くの地域住民からの強い要望も受けまして、都施行再開発事業で行うこととしたものでございます。

○かち委員 ご説明を聞いておりますと、広域的、一体的、総合的な整備が必要だということと、従前居住者が住み続けられる、そういうことが目的になっているというお話がありましたけれども、もう一つは、いろいろなそれぞれの理由、背景は違いますけれども、都としても急ぎ開発を進めるということがキーワードになっているかなというふうに思います。
 それで、市街地再開発事業というのは私自身否定するものではなくて、木造密集地域などの整備は進めていかなければならない、そういう認識には立っております。防災上や住民の安全確保の上でも、その地域でその地域の住民の皆さんが住み続けることができる状況を、住民の命と財産を守るという立場を第一にして、住民の合意と総意のもとで計画的に進めるべきだというふうに考えております。
 私は、計画道路の整備と木造密集地域の整備というのは分けて行うべきだというふうに思っております。それでこの放射六号線の整備なんですけれども、用地買収方式などにすれば、このように広い地域を、住民の皆さんの一人一人の生活、人生に大きく影響するようなことなくして、影響を最小限にして整備することができるというふうに思うんですけれども、この北新宿地区で放射六号線の整備--今回は六号線と一体で整備をするということで、総事業費七百六十三億円の事業ですけれども、もしこれを放射六号線の道路整備だけを考えた場合には、事業費は幾らになるのでしょうか。

○宮村市街地整備部長 北新宿地区の再開発事業の総事業費は、道路の放射六号線の整備と周辺の建物等の敷地整備、建物の建設等を含めまして、全体で七百六十億円というふうになっておりますけれども、このうち放射六号線の整備費用は約百四十億円でございます。この百四十億円は公共施設管理者負担金という形で一般会計から繰り入れているものでございます。街路事業で行った場合も同様の百四十億円というふうに見込まれます。

○かち委員 道路事業でやれば、百四十から百五十億円ということで済むわけですので、そういうことを兼ね合わせてぜひ考えていただきたいと思います。
 都の施行の再開発であるために、都が再開発ビルを建てて、権利床と保留床をあわせ持ったマンションを、この間、住宅棟をつくり上げましたね。一つは二年前にできて、もう一つがことしの九月に完成したということなんですけれども、都がみずから建設をして、保留床も含めて売却をしたというこの二-二A棟についてなんですけれども、この住宅棟二のAの保留床の売却単価というのは幾らでしょうか。

○宮村市街地整備部長 ちょっと今のご質問の前に、今ご質問の中でおっしゃった関係ですけれども、確かに再開発事業でやっておりますので、街路事業に比べますと、今の見込みですと、差額が約六百二十億円ぐらいございますけれども、これは主に敷地の整備などで、その財源は敷地の売却収入などで充てますので、再開発事業による都の財政負担、単独で行うものとしては、二%程度というふうに見込んでおります。一応念のためにお話をさせていただきます。
 それから、今のご質問は二-一棟……(かち委員「昨年できた……」と呼ぶ)そうですね。二-一棟でございますけれども、この保留床は平成十六年に販売をいたしておりまして、販売価格は一平方メートル当たり平均で約六十四万円でございます。

○かち委員 一平方メートル当たり六十四万円ということでございました。これを一つの建物をつくるときに、権利床と保留床を持っているわけですけれども、都としては、用地と建物の価格で幾らかかったか、そして保留床の販売額で幾ら入ってきたのかということの関係はどうなっているでしょうか。

○宮村市街地整備部長 今のご質問の二-一棟全体の原価、これは用地費とか工事費とかすべて含めますが、原価は約五十五億四千四百万円でございます。収入は、いわゆる営業収益というものでございますが、これは敷地処分の収益とか一般会計からの補助も含めまして、約五十七億六千三百万円でございます。

○かち委員 細かい具体的な数字は、入り繰りがあって簡単にいい切れないものはあると思うんですけれども、資料を出していただきましたように、いずれも内訳は企業債と敷地処分収益等というのが支出として出て、借り入れるわけですから出ていくわけで、後にそれを回収しなければいけないわけですけれども、そういう意味でいうと、今後、四区画かな、あるので、どういう展開になっていくかわかりませんけれども、このような一平米当たり六十四万円で売り出すのが高いのか安いのかとか、売れるのか売れないのかとか、売れ残ったらどうするのかとかいう、まさに不動産業的なことを東京都がやらなければいけないというのは、行政としてやるべきことなのかなというのを思います。
 北新宿地区では、この地区では以前からいろいろ経過のある地域だったということも、これはぬぐい去ることはできないんですね。そもそも民間が開発目的でバブルの時代に地上げで買い取って、本当に虫食いだらけになったような土地で、その後バブルがはじけて、そうなった状況の中でとんざをしていたのを都市再開発機構が買収したわけですね。それを東京都が汐留開発地区の一部と等価交換をしたという、いろいろな経過をとって、この地区を急いで開発しなければいけないという時点に至ったわけです。
 しかし、その等価交換をしたという用地費そのものは今も都の負担として残っていると思うんですけれども、現在企業会計で開発を進めていますが、当時の用地、汐留で取得した用地、この価格というのはどのぐらいになっているんですか。

○宮村市街地整備部長 今のご質問の前段の方でお話のあった件でちょっと触れさせていただきますと、保留床の販売価格というのは、私どもとしましても確かに非常に事業採算に影響があるわけですけれども、販売時点での不動産鑑定価格や近傍の取引事例などを参考に、委員会を設けまして、そこで決定をしておりますので、適正な価格というふうに考えております。
 また、北新宿地区の今後の事業の収支のいわゆる見通しについても、何か不安のようなお話もございましたけれども、先ほどの二-一棟も即日完売をして、収支も黒字でございます。また、一番問題というか、大きなものは、北新宿地区の収支を左右するものとしては、収入の約九割を占めます一街区の敷地の処分でございますけれども、これにつきましても、非常にポテンシャルの高い街区でございますので、十分収支は確保できるのではないかというふうに見込んでおりますので、一応念のためにお話をさせていただきます。
 それで今ご質問の、北新宿地区の事業用地と交換いたしました汐留の土地でございますが、これは平成三年から平成五年にかけて取得しておりまして、その価格は約四百五十億円でございます。

○かち委員 東京都が過去に、公営企業になる前にかかわってきた再開発事業がいろいろとうまくいっていないという経過の中での今日の課題でありますので、その辺を私は非常に危惧をしております。
 それで、今四百五十億円で取得したものを等価交換したんだということですけれども、それではこの用地費は今後どのようにこの企業会計の中で精算されるのでしょうか。

○宮村市街地整備部長 確かに汐留の土地については、平成三年から五年にかけて取得しましたので、それ以降、バブル崩壊等の影響を受けまして大幅な地価下落がございましたので、その影響は受けております。交換した時点での価格は約百六億円でございますけれども、この価格については、今後あくまでもその価格、その交換した時点での価格で再開発事業会計としては取得していきたいというふうに考えております。

○かち委員 そうすると、四百五十億円で東京都が取得したけれども、交換した時点では百六億円の価値になっていたので、それで企業会計としては一般会計から回収をしたいということになると、その差額三百億円ぐらいは結局都民の財源の損失ということになるわけですよね。
 経過的に見ても、民間企業が開発を進めて、それを失敗した。それを東京都が急いで開発をしなければいけないということで、こういう状況を生み出しているわけです。このような、一企業の後始末を都が請け負うというような開発のあり方というのは、やはり見直す必要があるというふうに思います。
 それから次に、大橋地区についてですけれども、この地域は、先ほどからお話がありますように、国道二四六号線と山手通りに囲まれた、道路が二重、三重構造になっている中での、首都高速中央環状新宿線が地下からジャンクションということで、二重ループで上に上がってくるという、大変巨大なジャンクションの地域の周りを、有効、高度利用活用しようということで出てきた開発なんですけれども、この最寄りの鉄道駅は東急の池尻駅があり、この開発地域の中に東急のバス本社ビルもあるという、こういう状況の中なんですね。この開発を進めるために、事業協力者と特定建築者制度を利用するというふうにいわれておりますけれども、もう一度改めてこの事業協力者と特定建築者制度というのはどういう制度なのかお聞きします。

○宮村市街地整備部長 今のご質問の前段でお話のあった件について、ちょっと私どもの考えを述べさせていただきたいと思います。
 まず、北新宿地区ですね、その交換した土地について、損失が出たのは都民の負担ではないかというようなことですが、事業に必要な用地といいますのは、それぞれ必要な時期に確保しなければならないわけで、これは再開発事業に限らず、道路事業なんかの代替地なんかも含めて、どういう事業手法でも同じことでございます。
 汐留の土地の場合は、確かに経済情勢の影響を受けまして、取得時期以降の土地の資産価値は減少いたしたわけですが、この用地を確保したことで再開発事業が進捗しているのも事実でございます。この土地がなければ、権利者の合意形成確保などに障害が生じ、事業は現在のように進んでいなかったのではないかというふうに考えます。土地確保の是非については、そのことが与えるさまざまな効果や影響を考慮して判断すべきであり、経済的要因だけを取り上げて、用地取得が間違っているようなご指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。
 それから、北新宿地区の再開発事業をやることが一企業の後始末というふうなご指摘もございましたが、その辺はちょっと事実と違うのではないかと。先ほど申し上げましたように、あくまでも放射六号線を整備する。そこの地域の状況を踏まえまして、周辺と一体的に整備する必要があるから、市街地再開発事業で行っているということでございますので、ご理解いただきたいと思います。
 長くなりましたが、ご質問の事業協力者と特定建築者の内容と意義でございますが、事業協力者とは、事業の初期段階から施行者と権利者の双方に対し、それぞれのパートナーとして必要な情報の提供や提案を行い、特定建築者が決まるまでの間、権利者調整や市場性の高い魅力ある再開発ビルの企画設計に関する協力を行うものでございます。その活用により、事業のスピードアップと、権利者にとって資産価値の向上が期待できるものと考えます
 一方、特定建築者は、都市再開発法に基づきまして、施行者である都の決定した計画に従って再開発ビルの建設と保留床の処分を行うものでございます。
 特定建築者制度を導入することによりまして、民間のノウハウや資金を活用し、事業費の縮減や、先ほど委員からご指摘のありました、東京都が比較的苦手な保留床処分のリスクの軽減を図るというようなことが可能となるものでございます。

○かち委員 事業協力者と特定建築者の関係なんですけれども、それぞれ公募で行うということです。しかし、事業協力者は特定建築者となってその地域を開発するような意識を持った人を都としては求めるというように聞いているんですけれども、それでよろしいんですか。

○宮村市街地整備部長 事業協力者の募集におきましては、東京都の要綱により公募を行うということが原則でございます。将来、特定建築者に応募する意思のある者という条件のもとで、企画提案能力、参画意欲や熱意、実績などを総合的に評価し選定をしております。

○かち委員 一般的に特定建築者というのじゃなくて、この地域で開発をするから事業協力者を公募する。その事業協力者は何を目的にやるかといったら、この地域の開発をして、こういうビルを建てて、こういうふうにまちづくりをしたいという意識のもとで応募してくる。そういうことで事業者を選ぶわけです。その事業者自身が今後どうなっていくかということなんですけれども、具体的にこの大橋地域で事業協力者というのはどこに決まったのか、また特定建築者はどこに決まったんでしょうか。

○宮村市街地整備部長 ちょっと前段で、今、事業協力者の募集につきましてはお話し申し上げましたが、特定建築者の募集につきましては、先ほどもありましたが、都市再開発法に基づいて公募で行うということが原則でございます。資力信用調査を行いまして、財務体力等のチェックを経た上で、都が不動産鑑定等を行って定めました適正な価格以上で、条件でございますけれども、土地の価格と建築計画等を総合的に評価して選定しております。先ほどの、こういう選定に当たりましては、庁内に特定建築者等選考委員会というのを設けて、公平かつ適正な審査を行って決定をしておるところでございます。
 具体的な事業協力者でございますが、大橋地区では、平成十七年三月に公募によりまして、三井不動産株式会社を代表とする二者のグループと東急不動産株式会社を代表とする六者のグループの二つに決まっております。また、現在特定建築者が決まっております一-二棟につきましては、平成十八年八月に東急不動産株式会社を代表とする四者のグループに決まっております。

○かち委員 事業協力者は三井不動産グループとおっしゃいましたが、大林組、それからもう一つは東急と大成グループですね。特定建築者は一-二棟については東急不動産、また東急電鉄、三井不動産、有楽土地、こういうところが入ってきているわけですけれども、大きくはほとんど東急と三井不動産が両方とも、選定の結果こうなったというご説明でしょうけれども、実際的には事業の最初から建築までこれらのグループがやるということは明らかですよね。
 それで、特定建築者の方に大林とか大成グループが出てきてはおりませんけれども、この特定建築者に決まったところが、建築については依頼をするということは可能なんですか。

○宮村市街地整備部長 今のご質問は、特定建築者が例えば建築工事の請負工事をどこかほかのところに請負をさせることができるかというご質問かと思いますけれども、それはあくまでも特定建築者がみずから判断されることですが、そういうことができるということでございます。

○かち委員 結果的にいえば、東急の大林組と三井不動産と大成グループと、本当に事業協力者から特定建築者まですべてを請け負ってやる事業だということになるわけですね。
 それで、この一-二棟なんですけれども、一-二棟の権利床と保留床の割合はどうなっていますか。

○宮村市街地整備部長 ちょっと今のご質問の前段のお話ですが、ほかの地区では事業協力者が特定建築者にならなかった事例もございますので、念のため申し上げます。
 今の一-二棟の権利床と保留床の面積割合についてのご質問ですが、占有部の床面積のうち、権利者が入居する床は約四割、保留床が約六割でございます。

○かち委員 ほかの地区ではならなかったところもあるというのは、多分環二の開発のことをおっしゃっていると思うんですけれども、あそこは事業協力者は森ビルと西松建設だったんですね。ところが、先ほどの建物については丸紅がとったということですけれども、メーンの大きなビルについてどこがやるかというのはまだわからない、残っているわけですから、今後、私はしっかりと見据えていきたいというふうに思っています。
 二つのビルが建つ予定ですけれども、この二つのビルの高さは四十一階と二十七階、再開発ビルの容積率が八〇〇%になるわけなんです。もともとはこの地域は商業地域ですから、五〇〇%が限度なんですけれども、この八〇〇%を得られるその根拠というのはどういうものでしょうか。

○宮村市街地整備部長 この地区はご質問のとおり、都市計画において、商業地域としての容積率五〇〇%に、高度利用地区としての容積率三〇〇%を加えまして、最高限度八〇〇%としております。
 高度利用地区とした理由でございますが、高度利用地区は、土地利用計画の位置づけに基づきまして、土地利用の状況及び将来の動向並びに周辺市街地の土地利用の動向等の地区の特性を踏まえまして、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的として指定するものでございます。当該地区は、ジャンクションという都市施設の整備と、地元住民の居住性確保の視点から、健全な高度利用を図るべき区域とするとともに、目黒区基本計画の中で広域商業・業務地の一つに位置づけられ、地域にふさわしい整備を進める区域とされていることから、高度利用地区に指定されたものでございます。

○かち委員 高度利用地区に指定したからということなんですけれども、これで一・六倍の容積率を得るわけなんです。
 もう一つ、立体道路制度というものも活用されているわけですけれども、それでは、立体道路制度というのは具体的にはどういうことで、それでどのぐらいの床面積がふえることになるんでしょうか。

○宮村市街地整備部長 大橋地区の再開発事業では、ジャンクション整備と一体となったまちづくりを進めるため、狭い再開発エリアでの有効な対策といたしまして立体道路制度を活用いたしました。具体的には、建物の敷地の中に一部、道路の区分地上権を設定いたしまして、ジャンクションにつながる地下のトンネルとか、上空の高速三号線につながるランプの部分ですね、そういったものが上空で飛ぶようなところ、それも含めて立体道路制度を活用しております。これによりまして敷地の重層活用が図られ、地域住民の生活再建に必要な床面積の確保が可能となったものでございます。
 もしこの制度を活用しない場合というご質問ですが、一-一棟については、敷地に対して立体道路の重複利用区域が約三五%ございますので、延べ面積にすると、単純に八〇〇%として、約二万平方メートルに相当する床面積がとれなくなります。一-二棟についても同様に、重複利用区域が約二〇%ございますので、延べ面積にしますと約三千平方メートル相当の床面積がとれなくなります。
 この区域で逆に立体道路制度を活用する理由でございますけれども、そのこととして、不整形な土地を整形とすることができるということ、それから、活用しなければ国道二四六号線に面しなくなってしまう敷地に店舗を配置するといったようなこと、店舗の権利者の生活再建やまちのにぎわいを確保する、そういうことから立体道路制度を活用しているものでございます。

○かち委員 立体道路制度というのは、これを見ても、要するにこのオレンジの、とにかくあいたすき間を全部立体道路用地に換算するということなんですけれども、用地といったって、これは地下から上がってくるつなぎの、本当にカプセルになった道路が走っているところなので、ほとんど何の利用価値もないところなんですけれども、そこを敷地としてみなすことによって、三五%増、二万平米ふやすことができる、あるいは三千平米ふやすことができるということで、実際、建築面積に換算したらどうなるかというのを計算してみたんですけれども、一-一棟の高い方で六階分上げることができるんですね。一-二棟で三階か四階か、そのぐらい上げることができるんです。だから、本来できないような建物、これだけ大きなものが建ってしまう。周辺環境と調和してというけれども、ちょっと個人の相違があるかもしれませんけれども、これが本当に調和になるのかなというのは、本当に私は疑問に思います。
 それで、いろいろお聞きしてきましたけれども、これだけ大きな物件を、先ほど、権利床と保留床の割合は四対六だというふうにいわれましたので、建築費用からすれば、六割の経費でこれだけ大きなものが建てられるわけですね、特建者にしてみれば。そういうことができる一方で、この地域に生活をしていた、借地やあるいは借り店舗で営業していた方などは、とても今の買収方式では見合わなくて、このできた建物に入ることは当然できないわけで、移らざるを得ない。この地域でおすし屋さんをやっていた方ですけれども、そこを立ち退いて、池尻の駅のそばに店舗を開いたんだけれども、結局それがうまくいかなくて、今は転職を余儀なくされるというような状況も生み出されているわけですね。
 資料でも出していただきました。この資料で、従前居住者と残る人がどうかというのを出していただいたんですけれども、大橋の用地取得はまだ数%という状況です。四〇%ぐらいの方がいますけれども、北新宿や環二、北新宿はもうほぼ完成なんです。では、ここでどのぐらいの方が残れるかといったら、六十五人ですよ。三百九十四人中の六十五人。約一六%です。大橋でも二十数%。こういう状況で本当に住み続けられるまちづくりになるのかどうかという点でも大変クエスチョンを持ちます。
 環二の点では、きょうは質問いたしませんけれども、住み続けられるまちづくりという点からすると、先ほど質問がありましたけれども、新橋-虎ノ門間の道路建設については、本当にいろいろ二転三転いたしました。最初はトンネルでやるといっていたんですね。それが開削で掘り割りになった。掘り割りになるときに、大気汚染の対策をどうするのかと聞いたんですね、これは建設局でしたけれども。それは土壌硝化でやるからいいんだといっていたんですけれども、結局そこも今度はふたかけして道路をつくる。あの区間に二階の道路をつくることになるわけですが、結局、換気塔を今度つくるというんですね。トンネルだから換気塔をつくるというんですけれども、その換気塔には浄化装置もないというふうにもいっております。そういう点で環境問題がどんどんどんどん後景に追いやられているという感は否めません。
 税金の使い方からしても、住民本位のまちづくりからしても、環境問題からしても、このような再開発計画は見直すことを強く求めて、質問を終わります。
   〔宮村市街地整備部長発言を求める〕

○東野委員長 質問してないでしょう。

○かち委員 していません。いいです。

○東野委員長 何かありますか。

○宮村市街地整備部長 済みません、お時間をいただきます。
 一つは、環二の換気塔のお話もありましたけれども、換気塔は換気塔としてきちんとした対応をしていくというふうなことを聞いております。
 それから、環状二号線のことで申し上げますと、例えば建物を既に青年館街区に今建てておりますけれども、そこに入居される権利者の方というのは、基本的にはすべて道路区域内の方です。もし再開発事業でなければ、全部皆さん、転出を余儀なくされる方が、再開発事業の結果として現に中に残れる、地域に住み続けられるという現実があります。それは、私も所長をやっていましたので、その辺は切実な声を聞きながら対応してきましたので、お話をさせていただきたいと思います。
 東京都は再開発事業に当たりまして、当然、地元の住民とか地域の皆さんとの連携をしてまちづくりを進めてきておりますし、追い出しのようなお話もございましたけれども、できるだけ個別の対応をさせていただきながら、例えば再開発住宅ができないところについては都営住宅をあっせんしたり、それから区の施設だとか区の住宅とか、そういうことをできるだけ努力してやってきておりますので、その辺もお話をさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、地域に住み続けたいと願う方々の生活再建を可能にするということ、そういうことから、こういう都市基盤整備をただ買収方式でなくてやっていくということの重要なメリットがございますので、改めてその辺はちょっとお話しさせていただいて、終わらせていただきます。

○東野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○東野委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 去る十月十六日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十七年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、都立病院における経営指標の推移から、8、看護要員の中途退職者数の推移までの八点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院における経営指標の推移でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの入院、外来別の経営指標につきまして記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について記載してございます。
 三ページをごらんください。3、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費について、病院別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移でございます。
 平成十四年度から平成十七年度までのそれぞれの定数と各年度十月一日現在の現員について記載してございます。
 五ページをごらんいただきます。5、各病院の産婦人科、小児科及び麻酔科常勤医師の定数及び現員の推移でございます。
 平成十四年度から平成十七年度までのそれぞれの科の常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員について、病院別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。6、各病院の平均在院日数の推移でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの平均在院日数について、病院別に記載してございます。
 七ページをごらんください。7、医師及び看護要員の採用数及び退職者数の推移でございます。
 平成十四年度から平成十七年度までの医師、看護要員の採用及び退職者数を記載してございます。
 八ページをお開き願います。8、看護要員の中途退職者数の推移でございます。
 平成十四年度から平成十七年度までの看護要員の四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数について記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○臼井委員 それでは、十七年度公営企業会計決算の質疑を行います。私からは、多摩地域の医療の中核を担っている府中病院について何点か伺いたいと思います。
 多摩地域における医療供給体制を概観いたしますと、区部に比べて、精神病院や老人病院などの療養型の病院は多いものの、急性期を担う大規模な病院は少なくて、このために、地域における医療を確保するために市町村立の公立病院を運営するという特徴があります。
 こうした中で、府中病院は、多摩地域における唯一の総合的な医療機能を持つ都立病院として大変な役割を果たしてまいりました。
 そこでまず、確認の意味を込めて、府中病院は多摩地域において具体的にどのような役割を担ってきたのか、また今後果たしていく役割は何なのか、伺いたいと思います。

○及川経営企画部長 府中病院は、主に多摩地域を対象としまして高度専門的医療を提供する病院として、救命救急医療を初め、精神科救急医療、結核医療等、複数のセンター的機能を有する多摩地域の基幹的病院としてその役割を果たしてまいりました。
 今後は、平成二十一年度末に開設を予定しております多摩広域基幹病院として改築、整備をいたしまして、医療機能の充実を図りますとともに、併設されます小児総合医療センターや神経病院、府中療育センター等との連携協力体制の強化を図ることによりまして、医療サービスのさらなる充実と多摩地域における医療水準のより一層の向上を目指してまいります。

○臼井委員 ただいま答弁がありましたように、府中病院は、多摩地域において唯一の都立総合病院としての役割を果たし、地域からも大変信頼をされている病院でございます。数々の実績も積み重ねてきたところでございます。
 しかし一方で、現在の府中病院の建物は、昭和四十年代以降増築を重ねてまいりました。そこで、施設全体としての動線は極めて複雑で、フロアには色ペンキで誘導表示するというような措置がとられたりしております。施設の老朽化も著しい病院となっているのでございます。
 今答弁にあったとおり、このたび、PFIの手法を用いて、新しい多摩広域基幹病院として整備することになり、十七年度には落札者も決定されたとのことです。そこで、新たに整備する多摩広域基幹病院ではどのような医療機能が充実されるのか、具体的にお伺いしたいと思います。

○及川経営企画部長 多摩広域基幹病院では、がん医療や骨髄移植医療、脳血管疾患医療など、高水準で専門的な医療に取り組むとともに、重症例や複数診療科にわたります三次救急医療に積極的に対応するなど、幅広い医療ニーズに対してこれまで以上に的確な医療を提供していきます。
 また、心臓血管外科の拡充や手術室の増設を図りますとともに、小児総合医療センターとの一体的整備を行うことによりますメリットを生かしまして、母体、胎児に適切に対応するためのM-FICU、これは母体・胎児集中治療管理室でございますが、こちらを整備いたしまして周産期医療の充実を図るなど、多摩地域におきます医療拠点となるように整備をしてまいります。

○臼井委員 府中病院の医療機能が強化されまして、多摩地域全体の医療水準が大いに向上することは大変頼もしいことで、期待されております。
 ところで、病院のPFI事業は、一事業者がさまざまな医療周辺業務を包括して行うという点で特徴があります。PFIは究極のアウトソーシングという手段でございますし、また、経営効率化の手法としても有効であるといわれております。清掃とか施設管理、設備管理、医療事務など多種多様の医療周辺業務を包括的に行うことでスケールメリットが発揮され、その効果として事業費の縮減を図り、また、各業種間で密接な協力連携によるサービス水準の向上が図られるというメリットを聞いております。
 私たちが視察をしてきた高知医療センターなどでは、ホテル業をやっている企業が入っておりまして、ホテルのロビー並みのサービスが窓口で行われている、受付の感じも大変いいというのを見てまいりました。
 そこで、PFIを導入することにより、医師を初めとする医療従事者にとってはどのようなメリットがあるのか、伺います。

○及川経営企画部長 PFI手法を導入することにより都と民間との役割が明確化されることによりまして、医師、看護師等の医療従事者は、これまで以上に本来の診療業務に集中することができ、より質の高い医療サービスを提供することが可能となると考えております。
 また、PFI事業では、求める業務の要求水準を明示しまして、その要求水準を達成するための業務設計や方法は事業者に任せるという手法でございます性能発注となりますことから、民間事業者が新たなアイデアに基づく手法を開発するなど、民間の持つノウハウや創意工夫を図りながら効率的に対応することとなります。全体としての医療サービスの水準の向上が期待できるものと考えております。
 例えば、これまで手術室におきましては、空調や清掃、消毒、滅菌等、それぞれの受託者に対しまして各仕様内容を示し、個別に指示を行い、手術環境の整備をしてまいりましたけれども、PFIでは、民間事業者が創意工夫を図りながら、各業務を総合的に一括管理して手術環境の整備を行うことから、医師、看護師等は本来業務に一層集中することが可能となる、このように考えております。

○臼井委員 病院事業にPFI手法を用いて整備、運営を行うという都立病院として初めての試みがあるわけでございます。この先進的な取り組みによって、ぜひこれまで以上に都民に信頼される病院としての整備を続けていくようにお願いをしたいと思います。
 ところで、府中病院においては、平成十四年度に救急医療に対応する東京ER・府中を開設いたしまして、患者さんが著しく増加したと聞いております。府中病院の救急患者さんの実績はどのようになっているのか、また、救急における産婦人科、小児科の患者実績はどうなっているのか、ER開設前の平成十三年度との比較でお答えいただきたいと思います。

○及川経営企画部長 府中病院は、救急患者が都立病院の中で最も多い病院でございます。平成十七年度決算では、入院、外来合わせて一日当たり百五十七人となっておりまして、ER開設前の平成十三年度と比較しますと、四十二人、約四割の増というふうになっております。
 十七年度救急患者実績のうち、産婦人科は一日当たり三人でございまして、平成十三年度と同数でございます。また、小児科は四十三人でございまして、比較しますと、数で十二人、約四割の増となってございます。
 平成十七年度における救急患者全体に占める産科、小児科の割合は、合わせて三〇%程度となっておりまして、平成十三年度と比較しますと、八ポイント増加をしております。

○臼井委員 お答えを伺いますと、府中病院の救急患者取り扱いは大きく増加しており、都立病院の役割とはいえ、この間の医師を初めとする関係者のご努力、ご苦労には本当に感謝するところであります。
 一方、平成十六年度の初期臨床研修の義務化などを契機に、これまでの大学医局中心の医師の育成派遣システムが大きく揺らぎまして、小児科や産科などの医師の不足が全国的に話題になっているところであります。この問題は、多摩地域における公立病院においても同様であります。私の近くの公立阿伎留医療センターにおいては、医師の欠員により診療を一部制限せざるを得ないという診療科が生じているようであります。まさに昨今の医師の不足、医師の不足というよりは偏在といった方がいいのかもしれませんが、地域の医療体制に深刻な影響を与えており、実際に患者さんと向き合い診療を行う医師の育成が喫緊の課題となっていると思うのであります。
 そこで、都立病院として、産科や小児科を初めとする優秀な医師の確保、育成を今後どのように行っていくのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 これまで都立病院では、免許取得後二年間のジュニアレジデントの受け入れを初め、一定の臨床経験を有する医師を対象に、産婦人科、小児科を初めとして、救急、精神など各専門分野における診療を目指しますシニアレジデントの育成に取り組んでまいりました。さらに十七年度からは、学会が認定する専門医資格を取得できる水準まで修練を積むサブスペシャリティレジデント制度を創設しまして、清瀬小児病院において二名の小児科専門医の育成を開始したところでございます。
 今後とも、経験豊富な指導医のもとで多様な症例を数多く経験できるという都立病院のメリットをこれまで以上に生かしまして、教育カリキュラムの充実や処遇の改善なども含めた総合的な臨床研修医制度を整備拡充しまして、医師の確保、育成に努めてまいります。

○臼井委員 大変ありがとうございます。期待をしております。
 最後に申し上げますが、優秀な人材の確保、育成は一朝一夕に実現できるものではありません。お話のありました処遇をよくするとか、人材を確保する地道な取り組みの積み重ねが目的達成のかぎを握っていると思うのでございます。今後は、公立病院が相互に連携し医療人材の育成や確保に取り組むなど、病院間の連携、支援体制づくり、あるいはシステムづくり、こういうものが有効なことだと思うのであります。
 こうしたことから、府中病院のような地域の中核基幹病院においては、これまで以上に施設面、人材面での充実強化が必要だと思います。今後とも、都立病院が地域に果たす大きな役割を踏まえ、中長期的な視点に立って、市町村の地域の公立病院の支援もしていけるようなしっかりとした取り組みをしてもらうことを切にお願いし、私の質問といたします。
 どうもありがとうございました。

○中山委員 本年八月、奈良の町立病院で分娩中に意識不明になった妊婦の方が、搬送先の病院がなかなか見つからず、県立医大附属病院を含む、報道によりますと十八といわれておりますけれども、医療機関から受診を断られたあげくに、六時間後にようやく六十キロ離れた国立病院に収容されたものの、一週間後にお亡くなりになるという非常に痛ましい出来事が起きました。先日報道されたばかりであり、背景など、まだ十分わかっていないところが多くありますけれども、救急医療のあり方が問われる出来事ではないかと考えております。
 救急医療は、医療の中でも特に生命に直接かかわることが多く、都民が安心して暮らしていく上でも重要なかぎとなる医療の分野でございます。本年五月に生活文化局が公表した保健医療に関する世論調査の結果におきましても、保健医療対策に関する行政への要望の中で、夜間・休日診療や救急医療体制を整備するが五七%でトップとなるなど、都民の救急医療に対する要望は非常に強いものがございます。
 東京都はこれまで、福祉保健局が中心となり、都内全域の救急医療体制の整備に尽力されてこられました。都内で奈良県のようなことが起きないと確信いたしておりますけれども、確認の意味も含めて、都立病院の救急医療への取り組みについて何点かお伺いしてまいりたいと思います。
 まず初めにお伺いいたしますが、東京都ではこれまでどのような救急医療体制を整備してきたのか、また、その中で都立病院はどのような役割を果たしてきたのか、救急患者の受け入れ実績とあわせて、お答えをお願いいたします。

○岸上参事 都の救急医療体制は、福祉保健局が中心となりまして、診療時間外における医療の空白対策や、通常の医療機関では対応できない重症者対策としまして、初期、二次、三次救急に大別して事業を展開しております。
 都立病院では、二次、三次救急に重点を置いて対応しておりまして、いわゆる総合病院では、すべての病院が二次救急として、休日・全夜間診療事業に参画しているところでございます。また、広尾、墨東、府中の各病院では、救命救急センターを設置しまして三次救急に対応しているほか、一次救急から三次救急まで総合的な救急診療を行う東京ERを開設しているところでございます。
 平成十七年度の都立病院における救急患者の総件数は二十二万九百九十六件となっておりまして、一日平均で六百五件の救急患者の診療に当たっております。

○中山委員 一一九番通報時などの救急活動時において、救急の医療的手当てを希望する患者を搬送する際に、移送先病院の受け入れ確定がスムーズにいかない事例の発生状況を確認いたしましたところ、五つ以上の医療機関に連絡をとってもまだ搬送先を確定できなかったケースや、搬送先病院の選定を開始してから確定できるまでに三十分以上を要したケースの発生件数が、十八年四月十七日から九月三十日までの期間ということでございましたけれども、都内全体で三千四百五十一件発生しているということでございました。
 東京消防庁では、交通渋滞の激しい都内での救急搬送という特殊性に配慮し、電話等で受け入れ先病院が特定されない限り救急車を発車させない方式をとっているそうでありますから、三十分以上という数字は、純粋に搬送先を探すのに要した時間を意味することになります。
 もちろん、この数字は、東京消防庁が同時期に傷病者を救急搬送した総件数が二十七万五千八百五十二件でありますことから、全体的には一・二五%という極めて低い発生頻度でございます。ある意味で東京の救急医療体制の優秀さを物語るともいえますが、それでもなお、約半年で三千五百件、すなわち年間で七千人以上の救急患者が、一刻を争う緊急事態において、何らかの事情から搬送先の特定がスムーズにいかず、一時的ではあれ、冒頭に述べました奈良県のような最悪の事態に結びつきかねないような状況に陥っているということになります。
 このデータは、統計をとり始めたばかりなので、まだ公表方法の詳細等は未検討であるそうでございますけれども、私も、近い将来の課題として、ぜひ精査をした上で公表をお願いしたところでございます。
 うれしいことに、今ご答弁にありましたように、都立病院では大変多くの救急患者を受け入れてくださっております。救急医療体制の充実は、実際に使える制度であることが重要なわけですから、こうした都立病院の率先垂範の姿勢は、今後もさらに充実させるべきでございます。
 ちなみに、都立病院における夜間の救急診療体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○岸上参事 病院によってそれぞれ体制は異なりますが、二次救急を中心に対応している大塚、駒込、豊島の各病院では、内科系、外科系、それから小児科などで可能な限り多くの当直体制をとっておりまして、おおむね毎日八名から十名の医師が当直しておりますほか、看護師、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師も二十四時間体制をとって救急患者に対応しております。
 さらに、東京ERを開設しております広尾、墨東、府中の各病院におきましては、おおむね毎日十五名から二十名程度の医師が当直しているほか、放射線技師等のコメディカルスタッフも複数体制で対応しているところでございます。

○中山委員 都立病院では実に多くの医療スタッフが救急医療に携わっていただいており、特に東京ERを開設している広尾、墨東、府中病院ではより多くの医療スタッフが従事されています。より安心して受診できる病院であることがわかりました。
 そこで、広尾、墨東、府中に開設した東京ERでございますけれども、改めて東京ERの具体的な内容と患者受け入れの実績についてお伺いいたします。

○岸上参事 東京ERは、都立病院独自の取り組みとして開設したものでございまして、三次救急に対応する救命救急センターと、初期、二次救急に対応する救命診療科とによって構成される総合救急診療科として、専任のスタッフの配置、専用の診察室と二次救急専用病床を整備し、いつでも、だれでも、さまざまな症状の救急患者さんに対しまして、診察、入院、緊急手術、救命措置などトータルな救急医療サービスを三百六十五日二十四時間提供しているものでございます。
 東京ERを開設している三病院では、ER開設前後で救急患者受け入れ件数が大幅に増加しておりまして、平成十七年度の救急患者受け入れ件数は、三病院合計で十三万三千六百三十一件となっております。

○中山委員 都立病院では、東京ERにおいても先進的な取り組みを進めていらっしゃることが理解できました。
 ところで、救急医療に関して少し視点を変えて申し上げますと、薬物の乱用などにより夜間に町中で暴れるといったことを聞くことがございます。なかなか病院で受け入れてもらえないということも警察からお伺いいたしました。また、精神疾患の患者を抱えたご家庭で、深夜に急激に症状が悪化して騒ぎ出し、家庭内で収拾がつかなくなるだけでなく、ご近所にも迷惑を及ぼすなどの事態が発生し、ケアをしているご家族が心身ともに憔悴し切ってしまう事例なども、私もよく耳にいたします。
 そこで、精神科における救急医療につきまして、都立病院ではどのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いいたします。また、実績もあわせてお示しください。

○岸上参事 精神科の救急医療体制につきましては、福祉保健局で夜間、休日の精神科救急医療事業を実施しております。この事業は、都内を四ブロックに分けまして、夜間及び休日における警察官通報等によります緊急の指定医診察、外来診療、入院加療を要する患者への対応を実施するものでございまして、豊島、墨東、府中、松沢の都立四病院で、毎日各四床の病床を確保して対応しているところでございます。
 平成十七年度の診療件数は、都立四病院合計で千八百二十四件となっておりまして、このうち緊急措置入院となった件数は六百六十五件でございます。
 このほか、精神科疾患とともに身体合併症がある患者に対応するため、精神科身体合併症診療委託事業につきましても、都立五病院、今の四病院に広尾を加えまして、五病院で実施しているところでございます。

○中山委員 都立病院ではさまざまな救急医療に対応していただいていることがわかります。
 その一方で、現在、小児科や産婦人科など、先ほどもお話がございましたけれども、特定の診療科においては医師の確保が非常に困難になっております。救急医療の分野におきましても同様で、医師の多くは、大変激務であるにもかかわらず、高い志を持って職務に従事していらっしゃることと思います。しかしながら、医師の志だけでは限界もあると思います。都立病院が今後もこれまで以上に都における救急医療に貢献するためには、専門性の高い医師を十分確保、育成していくことが不可欠であります。
 そこで、都立病院として、今後救急医療に携わる医師の確保、育成にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○岸上参事 救急医療体制を着実に運営していくためには、救急医療に携わる医師の確保、育成が最も重要でございます。
 これまでも都立病院では、経験豊富な指導医のもとで多様な症例を数多く経験できるというメリットを生かしまして、救急医療に携わる若手医師の確保、育成に努めてまいりました。現在、救急部門は、平成十六年度から必修化されました臨床研修制度の中で基本研修科目として位置づけられておりまして、さらに上位の課程として、東京ERを実施している広尾、墨東、府中の三病院では、こうした初期臨床研修を修了した者を対象に、救急の専門臨床研修医を受け入れ、きめ細かな研修を実施しております。
 今後とも、救急医療を提供できる優秀な医師の確保、育成に努めてまいります。

○中山委員 今後も救急医療に従事する医師の確保、育成にぜひ力を入れて取り組んでいただき、都立病院が引き続き都内の救急医療体制の中で中核的な役割を果たしていかれますよう期待いたします。
 聞くところによりますと、ジュニアレジデントの世界におきましては、短期間でさまざまな医療実例を経験でき、しかも一定程度レベルの高い医療技術にも触れることのできる都立病院は大変人気が高いというお話をお伺いいたしました。人気が高いということは、質の高いジュニアレジデントが都立病院に集まっているということでございます。大塚本部長を初め病院経営本部の皆様は、こうした質の高いジュニアレジデントが、できる限り長く都立病院にとどまってご活躍いただけるような、さまざまなアイデアを豊富に秘めていらっしゃるというふうにお伺いしております。ぜひ、都立医学研究機構の研究機関などとの連携を深めたりするなど、都の行政医療の魅力を積極的に活用してアピールしていただいて、人材の確保をお願いいたします。
 東京消防庁では、救急医療の乱用を控えるための都民意識の啓蒙活動や民間搬送の活用など、ありとあらゆる手段を講じて、十八年の現時点の昨年比で、救急車の出動件数は約一万五千件減少しているそうであります。例年の救急車の年間出動件数の実績で割り返しますと、約五台分の減少をおさめることができたそうでありますが、それでもなお、先ほど数字を挙げましたように、都内の救急医療の現実的な課題が残っております。でありますからこそ、救急医療という緊迫した場面におきまして、都立病院や公社病院などの行政医療が果たすべき役割と期待はまことに大きいと思います。
 病院経営本部は、今年度から東京都保健医療公社を所管しており、本年四月に公社に運営移管された荏原病院を含めた五病院に対しても指導監督する立場にあります。各公社病院も救急医療に重点的に取り組んでいるとのことでございますけれども、今後も都立病院と同様に救急医療の一層の充実に取り組んでいただくことを強く希望して、私の質問を終わらせていただきます。

○かち委員 私からも質問させていただきます。
 東京都病院会計決算審査意見書を見ますと、三ページの経営成績のところで書いてあるのですけれども、入院患者の実績について、当年度の入院患者実績は表2のとおり百九十四万九百七十人であり、前年度と比較して二万四千百六十三人減少している。これは主に、松沢病院において急性期精神医療を中心とした精神医療センター(仮称)へ再編整備するため病床数を段階的に減少させていることに伴い、長期入院患者の社会復帰を促進したことによるものであるというふうに書いてありますので、この松沢病院の社会復帰事業を中心に、ちょっと何点かお聞きします。
 それで、日本の精神保健医療における患者の人権保障と社会参加の促進への整備はまだ歴史が浅く、二〇〇二年の社会保障審議会障害者部会精神障害部会報告で、今後十年間に、条件が整えば退院可能な約七万二千人の患者の退院を目指す方針が出されました。東京都に換算すると、五千人の患者さんが病院から地域に帰ってくるということになります。それによって、国においても精神患者の退院促進モデル事業に取り組むような働きがありまして、東京都においても、〇四年、〇五年にかけて福祉保健局が取り組んできましたけれども、松沢病院ではそれに先駆けて独自に、〇三年から社会復帰支援室を立ち上げ、精力的に取り組んでこられました。
 そこで、何点かお聞きしますが、松沢病院は同時に病棟閉鎖も進めてきているわけですけれども、現在千六十三床のベッドを何ベッド減らすのか、現時点までに何ベッド減らしたのか。それと、社会復帰支援室としてかかわってきた患者さんの転帰といいますか動向はどのようなものなのか、お聞きします。

○岸上参事 平成十五年度末に一病棟四十九床、平成十六年度末に一病棟四十八床、それから十七年度末に五十床を休止しております。

○かち委員 一緒に聞いたのですけれども、この中で、社会復帰支援室がかかわって退院を促進されてきたわけですけれども、これらの退院にかかわってきた患者さんの動向あるいは転帰はどういうものなんでしょうか。

○岸上参事 平成十七年度におきまして、社会復帰支援室の支援を受けまして患者さん九百二名が退院されておりますが、自宅や社会復帰施設等への移動が六百十三名、約六八%となっておりまして、他の医療機関への転院が二百八十九名、三二%となっております。

○かち委員 今お答えいただきましたように、十六年と十七年合わせて千百三十八人の方が退院をして、支援室が特にかかわってきた方ですね、それで四百八十五人が転院をしているという状況ですけれども、ベッドはこの間二百床近く減らして、精神支援センターを目指す中では八百数十床になりますから、まだ相当数減らす傾向にあるのですけれども、こういうふうに、ベッドを減らすことと同時に、患者さんを、精力的に社会復帰支援をしてきたということなんですけれども、それでは、どのような人員体制で、どういう支援をしてきたのか。とりわけ退院後のフォローはどのようにされてきたのでしょうか。

○岸上参事 平成十五年に設置されました社会復帰支援室は、精神科医師の室長のもとに、医療連携、医療相談、訪問看護、デイケア部門を擁しておりまして、長期入院患者さんの退院促進を図ってまいりました。
 それから、患者さんへのフォローでございますけれども、具体的には、患者さん宅を訪問しまして具体的な生活指導を行う訪問看護や、デイケアのため通院していただくなどの取り組みを行いまして、精神疾患の再発を予防し、地域で生活できるように支援しております。

○かち委員 ドクター一名とケースワーカーが十二名、訪問看護が八名で行っているということですけれども、この体制で行ってきたこの三年間の取り組みの中での患者さんの特徴と課題はどういうものでしょうか。

○岸上参事 特色といたしましては、長期の入院の患者さんということで、家庭で受け入れができない、家族から断られるというケースもございますし、合併症等を抱えている、そういうような状況もございまして、いずれにしろ地域あるいは家庭で受け入れが困難だという状況、あるいは高齢化が進んでいるというような患者さんの特徴があろうかと思います。
 これに対する社会復帰支援の課題でございますけれども、精神疾患を有する患者さんに対する社会復帰を一層進めていくためには、患者さんが地域で暮らすことができる受け入れ施設の整備、それから福祉サービスの提供などとともに、関係機関との緊密な連携が必要だというふうに考えております。

○かち委員 この課題は、松沢病院の患者さんの退院促進というだけではなくて、都内、全国的にもそうなんですけれども、全体で精神患者さんをノーマライゼーションで地域の中で生活を可能にしようという全体的な取り組みなわけですね。
 そういうときに、都内でも最大級の精神科病院として、また全国的にも高度なレベルを持っている松沢病院としては、今お話を聞いたように千数百人の方を送り出して、また二百人からの方を地域の中で一応フォローにつなげているという経験もあるわけなんですけれども、実際にはこの取り組みを福祉保健局もやっているわけです。福祉保健局がやっている取り組みにも、一応協力病院の中には入っているのですが、これはほんのわずかなんですね。
 松沢でこれだけ取り組んできた、これだけの内容があるものであれば、今、特徴や課題を少しお話がありましたけれども、もっと綿密に、患者さんは年齢層がどうで、どのぐらいの入院期間があって、どういう人はどういう転帰をとるのかとか、そういうような次の医療の展開にもつながるものだと思うのですね。研究的な課題でもあると思うのです。それがなかなかまだまとまっていないというのか、まとめていないというのか、よくわかりませんけれども、なかなか資料として出していただけなかったのはとても残念なんですけれども、福祉保健局の方では、数は少ないのですけれども、一応こういうふうにまとめているのですね。こういうことが、全庁的な取り組みとして行う課題でありながら、なぜ一体的に協力できないのかな。これは、病院と福祉局だけの話ではなくて、これから受け入れる地域の福祉関係者の意識改革にもつながるし、まずは何よりも社会福祉の基盤整備、そういうものが整っていかないと、なかなか、送り出すだけでうまくいくとは思えないのですね。
 そういう意味で、精神分野ではなかなか日本の取り組み自身がおくれておりますし、東京都自身でもまだまだこれから取り組んでいかなければならない課題をたくさん抱えているわけですから、ぜひ福祉保健局とももっとタイアップしてこの事業に取り組んでいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

○岸上参事 松沢病院がこれまで行ってきた社会復帰の取り組みを効果的、継続的に実施していくため、福祉保健局、区市町村等の関係機関との連携は十分に行っております。

○かち委員 いや、そういうふうにはなかなか思えませんし、訪問看護で実際に退院された方をフォローもされていますけれども、その後、やはりずっと見ていくわけにいきませんので、地域の訪問看護につなげていったり、地域の福祉事務所との関係をつくっていったりと、いろいろと課題は出てきておりますので、そういうことが松沢ではやっているのであれば、それをぜひ全域的に広げていく、そういう意識にぜひ立っていただきたいというふうに思います。
 そして、病院自身は、今後再編整備の中で、長期入院ではなくて救急対応重視の医療の方に再編していくという流れがあるわけですけれども、そういう中で、先ほど質問がありましたけれども、救急や合併症を持った方の受け入れ体制にもこたえていると。もう一つは、今後の機能としてスーパー救急患者の受け入れという課題も出てくるわけですね。実際にはもう足を踏み出しているようなんですけれども、その認定を受けるには、かなり実績を積まないと指定されないということもあって、過渡期ではあるのですけれども、こういう患者さんを救急で受け入れて、それで短期間に自立まで持っていって送り出すというようなことは、かなり精力を要する中身でもあるわけですね。そういう意味では、受け入れの体制をやはり十分に整えなければ、難しい問題だと思います。現場からのいろいろな声も出ておりますので、ぜひ受け入れ体制、実態に見合う体制確保を強く求めておきます。
 それから次に、先ほど来、それから資料もいろいろ出していただきまして、ありがとうございました。何といっても医師、看護師の不足の実態というのは都立病院もほかならぬ状況だということがよくわかりました。この四年間だけでも、医師は採用した数よりも多く退職をしているということで、とても医師自身の転機が早いというのですか、本当に患者さんたちからも聞くのですけれども、主治医がすぐにかわってしまうというようなこともあって、こういうことが続いていくと、都立病院の医療への信頼というのもだんだん薄れていってしまう状況があります。
 そういう意味で、いかに医師を研修の充実や体制の確保で定着を促進するかということが求められていると思うのですけれども、いろいろ研修も充実してやっています、やっていますとおっしゃいますけれども、なかなかその効果が出ているように十七年度までの間では見えないのですけれども、その辺で、この状況をどのように分析されているのでしょうか。

○岸上参事 都立病院におきましては、診療に支障が出ないように、非常勤職員の活用を初めとしまして、医療体制の確保に努めているところでございます。今お話がありました初期臨床研修あるいは専門研修医を積極的に受け入れまして、若手医師の確保、育成に今力を注いでいるところでございます。

○かち委員 ぜひ抜本的な強化をしていただきたいというふうに思います。
 とりわけ、麻酔医の充足率は七二%、産科医は八八%という深刻な事態なんですけれども、麻酔医がいないということは、手術もできないわけですし、医療そのものに大きな影響を与えるというふうに思うのですね。産科医不足というのは、本当に少子化対策の中でも、やはり都立としてきちんと確保していかなければならないと思うのですけれども、どのような抜本的対策をとろうとされているのでしょうか。

○岸上参事 都立病院におきましては、今申し上げましたように非常勤職員を活用しているほか、卒後三年から五年までの医師を対象にしまして、専門臨床研修医の育成に取り組んでおります。
 産婦人科につきましては、平成十六年度から、墨東病院と府中病院において専門臨床研修医の受け入れを開始しております。また、麻酔科につきましては、平成十八年度から、駒込病院を初めとする五病院において専門研修を実施しております。

○かち委員 医師の実態調査というか、今後の見通しというか、そういうのが国において行われたときに、あと九千人ぐらい確保すれば充足するのだみたいな答申が出ていたと思うのですけれども、それは本当に実態に合わない考え方だと思うのですね。世界の患者さん一人に対する医師の割合からしても、日本の場合は非常に少ないというのは歴然としているわけですけれども、それで、どういう計算をしているのかといえば、当直なんかの場合は休んでいる時間はカウントしないのだみたいなことで、当直は働いている時間に見ないというようなカウントの仕方でやっているということで、実態には本当に合っていないのですね。今の定数が充足したとしても、今の病院、医療の複雑化、高度化、多忙化の中では、とても十分な医療を提供できる、次のエネルギーを持ちながら仕事に臨むことができるという状況ではない実態なので、その辺を、やはり実態に見合う体制の充実ということをぜひやっていただきたいと思います。
 看護師も同じなんですね。資料にも出していただきましたけれども、特に看護師の中途退職が年々ふえています。欠員状態というのも見えているわけですけれども、看護師も、やはり十数年前に比べると、医療の現場の仕事の多忙さ、複雑さは約二倍になっているというふうにいわれております。もちろん外国の基準からいっても、今の看護基準は大変低い。そういう中で、一生懸命働いても働いても仕事が終わらないということで、燃え尽き症候群でやめていってしまうというようなケースも本当に多く出ているわけです。
 とりわけ、意欲を持って入ってきた新しい看護師が、初期の研修が不十分な中で、不安の中でとても続けられないということで、一年以内にやめていくケースが大変ふえているのも特徴です。看護協会で調査したら一割弱、東京都でも同じぐらいだということですけれども、まず最初の初期の研修というのは大変重要だというふうに思うのですけれども、東京都で行っている新人ナースの初期研修は、今までどのようにやってきたのでしょうか。

○岸上参事 都立病院では研修体系の中で初期研修を行っておりますが、平成十八年度から、墨東病院、府中病院、八王子小児病院の三病院におきまして、試行的に看護臨床研修を導入いたしました。
 期間は、四月から六月の三カ月を二期に分けまして、段階的に習熟度を高めた後、スムーズに夜勤に入れることを目標に実施しております。また、先輩看護師でありますいわゆるプリセプターのほか、指導担当者を配置しまして、教育だけではなくて、精神的な面におきましてもきめ細かくサポートしております。

○かち委員 決算だったので、十七年度までどのような研修をしてきたのですかというふうに聞いたつもりなんですけれども、今のお答えは十八年度からということで、幾つかの病院でパイロット的に、拡充の方向で今説明されたのかなというふうに思いまして、それは大変結構なことだというふうに思うのですね。
 だけれども、今まではどうだったかといえば、初期研修というのは四月から五月の二カ月ですね。そして、指導担当者というのは今までなかったのです。夜間の訓練回数も一クールしかない。夜勤と深夜--一クールですかね。そんな状況になっておりました。それで、そのまま五月から夜勤に入る。これではやはり、経験の少ない新人ナースにしてみれば、大変きつい現場だというふうに思うのですね。
 いろいろ医療関連の労働組合がアンケートをとっておりますけれども、その中でやはり新人ナースの答えは、夜勤研修が二回しかない、とても不安で、医療ミスなどへの不安から退職を考えてしまう、そういうことがかなり多く声として出ています。それから、指導者自身も、指導するからといって保障されているわけではなくて、自分の仕事の合間に指導するという状況なものですから、十分な指導ができない、こういう悩みが七〇%を超えているという状況になっています。
 こういう臨床研修のあり方を改善しないと、なかなか新人ナースの定着には結びつかないと思うのですが、今、十八年度からの一歩前進のお答えがありましたので、ぜひこれを全病院へ波及されることを強く望んでおきます。
 それから、働き続けることを可能にするための一つの条件として、私もそうでしたけれども、子どもが病気になったときにどうしようかということがやはり問題になります。急に熱が出たりとか、大した病気ではなくても休ませなければいけないというような状況が出たときに対応ができないということが、働き続けることの大きなネックになっているのも事実です。
 東京都としては、病後児保育整備を着々と進めてきておりますけれども、病児保育というのがなかなか広がっていないのですね。病気のときに見てくれるそういう施設がない。それは、病院や診療所が併設でなければできないという条件があるからなんですね。ちょっと私、数カ月前に少子化問題で福井県に行ってきましたけれども、そのときには、共働きが非常にもう当たり前のようになっていて、その中で子育て支援に何をやっているかといいますと、病児保育を徹底してやっているということなんですね。各市に必ず一つの病児保育施設を設けていて、私も福井市の中の一つのところに行ったのですけれども、そこは小児病院なんですけれども、小児病院の一画に病児保育室を持っているのですね。これはすばらしい設備で、その日も七、八人のお子さんが利用されていましたけれども、そういうことが可能になれば働き続けることもできるということなんですね。
 そういう意味からして、今病院で働いている看護師さんや職員の皆さんのための保育室がありますが、この保育室の今の利用実績というのは大体どのぐらいなんでしょうか。

○岸上参事 平成十七年九月の実績でございますけれども、九カ所で三十八名の乳幼児が利用しております。

○かち委員 まだ三割台のような状況があるわけですね。そういうことの施設の有効利用、これは一つの局だけで決めるわけにはいかないとは思うのですけれども、社会資源の有効活用として、院内保育を病児保育室に開放したらどうかというふうに思うのです。それは、病院で働く人だけではなくて、地域の働く人の支援にもなるということで思うのですけれども、いかがでしょうか。

○岸上参事 院内保育室は、病院職員の確保、定着のために、都立病院独自の努力で設置しているものでございます。病児保育を行うためには、新たに安静室を設置したり専任看護師を配置することが必要になるため、物理的にも経済的にも困難であります。
 地域への開放につきましては、一般の保育は本来区市町村の責任において提供されるものでありまして、都立病院の院内保育室を地域保育室とする考えはございません。

○かち委員 次に、患者サービスの点からなんですけれども、私はこれまでにも何回か、患者図書情報室の拡充ということを求めてまいりました。十七年の二月に駒込病院に医療情報・相談室が開設されて、私も見学してまいりましたけれども、非常に明るい雰囲気でゆったりとして、コンピューターや図書やいろいろなものがあって、大変有効だなというふうに思うのです。ぜひこれを他の病院にも拡充してもらいたいと思いますけれども、この実績と、その考えはないかどうか、お聞きします。

○鈴木サービス推進部長 駒込病院の医療情報・相談室でございます。これの開設の目的のところなんですが、患者さん及びその家族の方に積極的に医療に参加していただこうということを目的で開設したものでございます。
 現在やっている内容につきましては、がん、感染症を中心とした医学図書だとか医学雑誌の閲覧とか検索、あるいは医療、健康法、介護ケア等のビデオ、DVD、あるいはインターネットを使って情報を検索していただくこと、また、がんの専門看護師等による専門相談、こういったことを行っています。
 また、この取り組みを今後ほかに拡大する予定はあるかというご質問ですが、今後の予定といいますか、現在、東京都の病院会計としましては、多摩の広域基幹病院、先ほどございました、あるいは小児の総合医療センターの整備の計画の中では、患者医療情報室といった名前のものを設置を予定しているところでございます。

○かち委員 意見だけにしますけれども、患者サービスについては、ほかにもNST、栄養サポートチームの拡充も求めてまいりました。これについても、当初は旧大久保病院でしかやっていなかったのですが、全病院に広がってきたということは大変うれしく思います。しかしながら、これを本当に内容的に充実させていくためには、まだ墨東や広尾病院からも栄養士の充実が必要だという要望も出されておりますので、ぜひ今後、実践効果を検証しながら体制の充実をしていっていただきたいというふうに思います。
 都立病院は、都民にとってかけがえのない命のよりどころでもあり、働く側にとっても働きがいのある職場環境の改善と患者サービスの一層の拡充に努力されることを求めて、質問を終わります。

○山口委員 病院経営本部の二〇〇五年度の主要施策として、都立病院改革マスタープランの具体的な内容を明らかにした都立病院改革実行プログラムが取り組まれてきました。
 実行プログラムの大きな柱の一つである安心と信頼の患者中心の医療を推進するためには、医療の質の向上とともに、患者サービスの向上が不可欠であると考えます。そこで、患者中心の医療の実現に向けた患者サービスの向上策について何点か伺います。
 各病院が患者から寄せられる意見を日々の業務に生かして病院運営に反映させる方法として、都立病院では、患者の声相談窓口の設置や患者満足度アンケート調査が実施されていますが、患者の要望によって改善された点はどのようなものなのか、また、その改善点についてはどのように患者に伝えられているのか、初めに伺います。

○鈴木サービス推進部長 都立病院では、各病院に設置されております患者の声相談窓口、これがございますが、そこに寄せられました患者さんやご家族などからのご意見は、患者サービス改善の契機となる貴重な情報ということで活用させていただいております。
 具体的な改善事例といたしましては、施設整備面では案内板や各種院内表示の改善、あるいはウォシュレット型トイレを設置したり、あるいはふやしたり、また待ち時間の対策としては、例えば患者呼び出し装置の設置とか外来進行表の状況表示、それから予約枠の見直し、あるいは支払い方法の多様化としましては、クレジットカードの導入といった例がございます。
 こうして実施しました改善策につきましては、院内掲示板等によりまして、患者さん等に広くわかるようなご説明といいますか広報をしている、そういう状況でございます。

○山口委員 都立病院は、患者の権利章典を制定して患者の権利を保障しています。患者は、病状、検査方法、今後の見通しを含めた治療方法について、納得できるまで十分な説明と情報を受けることが権利の一つとして掲げられています。
 都立病院の患者権利章典に規定しているインフォームド・コンセントについて、各病院においてどのようにその周知の徹底が図られているのか、また、技法の向上活動などが行われているのかを伺います。

○鈴木サービス推進部長 患者中心の医療ということをやるためには、インフォームド・コンセントということが非常に大事なものになります。病院経営本部や各都立病院では、医療従事者を対象としました各種研修の中で、インフォームド・コンセントの考え方やコミュニケーション技法等についての講義を行うなど、機会をとらえてインフォームド・コンセントの推進を図っております。
 また、ことしの十月、これは都立病院全体でサービスアップ推進月間というものを設けております。その中では、説明の充実を各病院共通のテーマといたしまして、全体でインフォームド・コンセントの周知徹底を図ってその充実に取り組む、こういったことを行っております。

○山口委員 患者中心の医療を実現するには、インフォームド・コンセントのさらなる徹底とともに、患者が治療方法などをみずからの意思で選択する権利が保障されていく必要があります。
 そのために、病院は患者に対して情報提供などさまざまな支援をしていくことが必要だと思いますが、インフォームド・コンセントの一環として、医師があらかじめ他院のセカンドオピニオンが受けられることを説明するなど、患者が相談しやすい環境が整えられているのか、伺います。

○鈴木サービス推進部長 セカンドオピニオンは、患者さんが主体的に治療方法を選択して、納得できる医療を受けていくためには有効な方法でございます。
 都立病院では、各病院の玄関などに掲示してございます患者の権利章典、この中に、治療方法などをみずからの意思で選択する権利というものを規定させていただきまして、セカンドオピニオンに対応することを明記するなど、患者の自主決定権や要望を最大限実現できるように努力しております。

○山口委員 医師と患者がなかなか対等な関係になりにくい日本の医療現場では、患者みずからの口から、他院の診察も受けた上で治療方法を決めたいといい出すことはとても難しいものです。都立病院では、患者がセカンドオピニオンを受ける権利についても配慮がされているということですが、今後も周知徹底が図られるよう要望いたします。
 次に、駒込病院で先駆的に実施しているセカンドオピニオン外来について、その開設の経過と昨年度の実績について伺います。

○鈴木サービス推進部長 セカンドオピニオン外来は、がん患者は治療の選択がとりわけ重要な意味を持ちます。そうしたことから、がん治療に多くの実績を有します駒込病院に十七年の一月に開設したものでございます。
 患者数は、月平均で見ますと、平成十六年度は三十五・四人、十七年度は四十九・八人ということになっております。

○山口委員 患者がセカンドオピニオンを受けるにしても、事前に自分の病気や治療方法を理解していることが重要ですし、患者が積極的に治療に参加するには、患者自身がみずからの病気や医療の仕組み、制度に関する知識を身につけておくことが肝心です。医師からの説明とともに、一般向けの書物や医療従事者向けに書かれた書物などの医療情報は非常に役に立つと思います。もちろん、書店や公共図書館などで医療関係の書籍、雑誌などから情報を得ることはできますし、今はインターネット上でもたくさんの情報を得ることができます。しかし、莫大な情報量の中から信頼できる情報を取捨選択することは容易ではありません。
 病気に関する正しい知識や情報を得るための方法として、現在いろいろな病院に患者情報室が設置されていますが、その現状と、ことし二月に駒込病院に開設された患者医療情報・相談室の開設の経緯と、また、あわせてここに図書館機能を持たせた目的について伺います。

○鈴木サービス推進部長 患者さんご自身が主体的に治療法を選択するためには、自分の病気や治療法について積極的に学ぶことが重要でございます。このため、都内でも、大学病院など大規模な病院を中心に患者情報相談室を設けておりまして、医療情報の収集、提供を行っております。
 都立病院では、患者さん及びそのご家族が積極的に医療に参加していただくということを目的に、がん・感染症医療を提供してセカンドオピニオン外来も開設しています駒込病院におきまして、本年二月に医療情報・相談室を設置し、最新、最適な情報の提供を行ってございます。
 医療情報・相談室の開設から十七年度末までの利用実績でございますが、資料の閲覧やインターネットの利用の方が延べ四百四十三人で、月平均にしますと二百九十五人、それから相談でお見えになった方が延べ百二十六人で、月平均八十四人というふうになっています。
 なお、この医療情報・相談室は図書館機能を持ちまして、司書の資格を持つ職員が常駐して、蔵書等の管理を行ってございます。また、患者さんのサービス向上を図るということを目的としまして、文京区立図書館から毎月百冊ずつの、比較的手軽に入院患者さんが読める本の貸し出しを受け、また患者さんにお貸ししている、こういう状況でございます。

○山口委員 患者にとって、自分の病気や治療に関して信頼できる情報を病院から提供してもらえることは大変心強いものです。専門知識だけではなく、闘病記のようなもので、自分と同じ病気の人がどのように病気と向き合ったのかを知ったり、同じ病気の人たちが集う患者の会の情報を得るのも大変有効ではないでしょうか。入院患者へのサービスとしても、先ほどここでは司書の資格を持った職員が配置されているということでしたけれども、こうした図書館機能として、都立病院でもぜひ今後充実させる取り組みをしていただけたらというふうに思います。
 次に、都立病院改革実行プログラムにおいては、都立病院の患者権利章典に基づく医療の推進の中で、小児病院、精神病院版の権利章典を制定するとしています。策定に向けた進捗状況について伺います。

○鈴木サービス推進部長 小児病院、精神病院におきます患者権利章典の策定につきましては、昨年七月に、学識経験者等から成ります都立病院倫理委員会に諮問したところでございます。
 小児病院と精神病院の患者権利章典を検討するに当たりましては、それぞれの病院の特性がございまして、検討の視点が異なることから、倫理委員会のもとに専門委員会を設置いたしました。そこで、まず小児病院版の患者権利章典について先行して検討を行っているという状況です。これまでに専門委員会では四回、それから病院視察を三病院で実施しまして、委員の方々に積極的にご検討いただいているところでございます。

○山口委員 子どもやその家族などの権利保障に向けて、一日も早く権利章典が制定されるよう取り組んでいただくことと、その理念の啓発にも努められるよう要望しておきます。
 ところで、都立病院ではテーマ別改善運動を毎年行っていると聞いています。患者サービスの向上や業務改善について職場からのさまざまな改善策が実施されていて、ほかに余り例のないユニークな活動としてとても評価できるものではないかと思いました。そこで、取り組まれてきた経緯と今年度の実施状況、また、その成果をどのように各病院に広げていくのか、伺います。

○鈴木サービス推進部長 テーマ別改善運動は、職場の活性化や職員の意識改革を促すことを目的として、病院職員が身近な課題の解決に取り組む自主的活動として平成二年度から実施しております。十七年度は、四月から十二月まで各病院においてサークル活動を実施いたしまして、一月に各病院を代表する十二のサークルによる全体発表会を開催いたしまして、最優秀賞等の審査を行っております。
 各病院を代表するサークルの活動内容につきましては、毎年報告書としてまとめまして、各病院へ配布しております。参考となる活動内容につきましては、各病院の実情に応じて、実際の病院運営に取り入れております。今後も引き続いて活動内容を周知することによって、この成果を医療現場の方に拡充していきたいというふうに考えております。

○山口委員 私も報告書をざっと見させていただいたのですけれども、テーマも本当に一つ一つなかなかユニークなテーマの題名がつけられていて、こうしたことによって病院の中の、看護師さんとかいろいろな方たちのコミュニケーションにも非常に役に立つのではないかというふうに思って、今後も期待をしていきたいと思います。
 より一層患者サービスを向上させるとともに、医療の質の確保、そしてまた医師などの医療人材の確保や育成を図って、患者の権利章典に基づく患者中心の医療の推進に努められることを要望して、質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承を願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時二十七分散会

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