委員長 | 三宅 茂樹君 |
副委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 山加 朱美君 |
副委員長 | 初鹿 明博君 |
伊藤 興一君 | |
きたしろ勝彦君 | |
早坂 義弘君 | |
泉谷つよし君 | |
植木こうじ君 | |
高木 けい君 | |
小沢 昌也君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 松澤 敏夫君 |
次長 | 金子正一郎君 | |
総務部長 | 高橋 都彦君 | |
職員部長 | 柴田 健次君 | |
資産運用部長 | 松村 光庸君 | |
電車部長 | 佐藤 守君 | |
自動車部長 | 遠藤 秀和君 | |
車両電気部長 | 室木 鉄朗君 | |
建設工務部長 | 鈴木 進君 | |
バス事業経営改善担当部長 | 斎藤 信君 | |
技術管理担当部長 | 高橋 康夫君 | |
参事 | 鈴木 尚志君 | |
参事 | 高根 信君 | |
参事 | 中島 保君 |
本日の会議に付した事件
平成十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・平成十七年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都電気事業会計決算(質疑)
○三宅委員長 ただいまから平成十七年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
初めに申し上げます。
本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行っていただきますが、質疑につきましては、平成十七年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、交通局関係の決算に対する質疑を行います。
これより交通局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十七年度東京都交通事業会計決算、平成十七年度東京都高速電車事業会計決算及び平成十七年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○高橋総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料を、お手元の平成十七年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
一ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄、バスにおけるバリアフリー対策の整備状況でございます。
地下鉄につきましては、駅施設、車両、エレベーターによるワンルート確保に区分し、それぞれの総数に対する整備数及び整備率を記載しております。
バスにつきましては、車両の総数に対して低床型車両の整備済み数、整備率を記載してあります。
括弧内の数値は、ノンステップバスの車両数でございます。
次に、二ページをお開き願います。都営地下鉄の地下駅における火災対策の整備状況につきまして、排煙設備と二方向避難通路の整備状況を路線別に記載しております。
下の注の1のとおり、整備の対象となる地下駅は、全百六駅中、地上駅を除く九十八駅であります。
また、注の2には、排煙設備と二方向避難通路以外の火災対策で、十七年度末までに全駅、すなわち一〇〇%整備を完了した対策について記載してございます。
次に、三ページをお開き願います。都営地下鉄における過去五年間の転落件数でございます。
路線別の転落件数を年度別に記載しておりまして、列車の運行に影響がなかったものについても、括弧書き外数であらわしてございます。
以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○三宅委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○早坂委員 先日の交通局の決算概要の説明では、平成十六年度を初年度とする三カ年の東京都交通局経営計画チャレンジ二〇〇四を策定し、計画の達成に向けて取り組んでいるとのお話がありました。
東京都では、安全・安心の確保を重要施策としていますが、交通局の経営計画においても、公共交通機関としての安全管理、危機管理の強化を重点課題としています。
この点に関して、都営地下鉄の取り組みを中心に、何点かお伺いをいたします。
昨年四月のJR福知山線の車両転覆事故などを契機として、昨今、公共交通機関の安全性に社会的な関心が高まっています。都営交通も、六月に発生した都電荒川線の車両追突事故を教訓に、安全対策の強化に取り組んでいると伺っています。
また、事故だけでなく、地震などの災害や火災、テロなどを含めて、鉄道事業者として安全管理、危機管理の強化が利用者から要請されている状況にあります。
安全な都営交通を実現するため、厳しい財政上の制約などの中にあっても、安全確保には優先して投資を行い、先進的な取り組みを行っていただきたいと思います。
そこで、まず最初に、平成十七年度において、安全の確保に向け、地下鉄事業として特にどのようなことに重点的に取り組んできたのか、お伺いいたします。
○高根参事 平成十七年度の安全対策といたしまして、浅草線のATS改良による運転保安設備の向上や駅排煙設備の整備などの火災対策など、ハード面における安全対策を積極的に進めてまいりました。
また、駅施設などにおける日常的な警備を強化するとともに、不測の事故、災害等に備え、異常時総合訓練や防災訓練、テロ対処訓練などの各種訓練を警察、消防と合同で実施するなど、安全管理、危機管理の対応を図ったところでございます。
○早坂委員 ただいまのご答弁で、浅草線の自動列車停止装置ATSを改良するとありましたが、福知山線の脱線事故を教訓に、速度超過を防止し、制限速度以下に列車を制御する装置の整備が喫緊に求められているところであります。機器を整備すればすべてが解決するわけではありませんが、安全性を確実に高める上で設備の機能強化は不可欠であります。
都営地下鉄では、自動列車制御装置ATCが設置されていない浅草線について、国が問題とする急カーブはないようですが、現在の自動列車停止装置であるC-ATSの整備状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
○室木車両電気部長 都営地下鉄の三田線、新宿線及び大江戸線の三路線では、カーブ等で自動的に速度制御を行う自動列車制御装置ATCを導入し、安全を確保してまいりました。
建設時期が古い浅草線につきましては、自動列車停止装置ATSにより安全の確保を図ってまいりましたが、さらに安全性を向上させるため、相互直通運転を行っている京浜急行電鉄、京成電鉄及び北総鉄道の各社と共同で新型のATSに切りかえ、ATCとほぼ同等の速度制御を行うことといたしました。
その整備状況でございますが、平成十八年度末までに新型ATSを一部先行して導入し、車両の最高速度を自動的に制限いたします。
さらに、今後、平成二十二年度末までに、全線にわたって新型ATSを導入いたします。
これにより、ATCとほぼ同等の速度制御を行い、安全性をさらに向上させてまいります。
○早坂委員 安全の確保については、設備面での対応を図るとともに、機器の運用を含め、日常の安全管理が適正に行われているか、厳しく検証することが重要だと考えます。国では、法律を改正して、この十月から安全マネジメント態勢を構築する仕組みを導入し、公共交通事業者が、経営トップから現場まで一体となって、安全意識の浸透や安全風土の確立を目指すこととしています。
そこで、交通局では、安全マネジメント態勢の確立のために、具体的にどのような対応を行っているのか、お伺いをいたします。
○高根参事 局におきましては、安全確保のための運営方針、その管理体制などを定めた管理規程を作成し、また、輸送の安全業務を統括する安全統括管理者を選任するなど、体制の整備を図ったところでございます。
今後は、安全に関する方針を立て、それを実行し、チェックして改善を図る、いわゆる安全マネジメントシステムを適切に機能させてまいります。
また、このシステムのもとで規程の遵守を徹底し、情報の共有化を図るとともに、安全・安心な車両、設備などの提供に努め、さらなる安全を確保してまいります。
○早坂委員 安全管理や危機管理の体制の充実に加え、実際に事故や災害が発生した場合に、鉄道事業者としてどのような対応力を持っているかも重要なテーマだと思います。
例えば、去る九月二十八日にJR京葉線で火災が発生して、二十万人を超える利用者の足に影響が出ましたが、こうした場合の乗りかえコースの案内なども含めて、利用者に対してどのようなサポートを行うことができるかという視点も必要です。特に最近では、インターネットの普及によって、利用者は事故に関する情報の速やかな発信を求めていると思います。旅客サービスという点からも、そうした利用者のニーズに的確にこたえていくことが重要なことであると思います。
都営地下鉄として事故発生時の情報提供などを的確に行うため、具体的にどのような取り組みを進めているか、お伺いをいたします。
○佐藤電車部長 交通、鉄道事業者としまして、都営地下鉄を利用されるお客様に対しまして、事故や災害が発生した場合に正確な情報を迅速に提供することは極めて重要であると認識をいたしてございます。
このため、交通局では、事故時等の列車の運行状況をお客様に速やかに伝えるため、駅構内放送や車内放送を確実に実施するとともに、ホームページや携帯電話から運行に係る情報を入手できる仕組みの充実にも取り組んでまいりました。
平成十六年度には、列車運行情報表示装置の開発に着手し、駅の改札口付近に四十インチの巨大な液晶モニターで情報を表示する機器の整備も進めております。
平成十七年度までに、大江戸線、新宿線の各駅に八十四台の設置を行いまして、十八年度には浅草線と三田線の全駅につきましても設置を完了する予定となっております。
交通局としまして、こうした情報提供の機能を高めまして、お客様にとって安全で安心できる都営地下鉄の実現に向けまして全力を尽くしてまいります。
○早坂委員 安全の確保には完璧というものがありません。絶えず安全管理のレベルアップに取り組んでいくことが必要であります。常日ごろから厳しい姿勢でみずからの事業運営のあり方を検証し、安全の確保に努めていただくことをお願いをいたします。
都営交通の安全・安心に向けた局長の決意をお伺いいたします。
○松澤交通局長 都営地下鉄やバス事業を運営する私ども交通事業者にとりまして、お客様への安全の確保、また危機管理の徹底は、サービスの基本でございまして、最大の使命でございます。
委員から先ほどお話がありましたように、昨年四月のJR福知山線事故以降、テロ、災害などを含めまして、お客様の安全に対する社会的な要請はこれまで以上に高まってきております。
加えまして、ことしに入って六月に私どもが引き起こしました都電荒川線の事故などを踏まえ、これらを教訓としまして、これまで以上に安全・安心の確保に積極的に取り組んでいかねばならない、このように思っております。
このため、ただいま各部長が答弁しましたように、ハード、ソフト両面から、今後、各種の安全対策を検証しながら、重点的に推進するとともに、十月から施行となりました新たな安全マネジメント態勢を適切かつ迅速に実施してまいります。
とりわけ事故防止につきましては、ハインリッヒの法則でいわれておりますように、大きな事故の前には、その背景として、日常的な多くのヒヤリ・ハットが必ずあるわけでございまして、日ごろからの事故の芽を摘むためには、ヒューマンエラー防止のための取り組みをあわせて確実に実施することが不可欠と考えております。
今後とも、安全最優先の都営交通を目指しまして、局一丸となって全力を挙げて取り組んでいく決意でございます。
○早坂委員 次に、資産の有効活用について伺います。
人口減少社会の進行などを背景に、今後、地下鉄やバスなどの乗車料収入の大幅な伸びが期待できない中、駅施設や電車、バスの車体など、交通局が保有するあらゆる資産を対象に展開するいわゆる関連事業は、地下鉄事業や自動車事業などの本来事業の経営基盤の強化及び質の高いサービスの提供のために欠くことのできない事業だと考えます。
交通局では、チャレンジ二〇〇四において、関連事業について安定的な収入を確保するため、経営資源を最大限に活用して関連事業を積極的に展開するとして、平成十六年度から資産運用部を新設し、関連事業を積極的に推進する体制を整え、これに取り組んでおられると承知をしております。
そこで、平成十七年度決算における関連事業収入の状況についてお伺いをいたします。
○松村資産運用部長 平成十七年度の関連事業収入は百六億二千三百万円で、対前年度三億一千百万円、三%の増となっております。
その主な内訳は、広告料が四十五億五千七百万円、構内営業料が五億七千七百万円、土地建物等の賃貸料が五十一億一千二百万円でございます。
○早坂委員 関連事業収入のうち、広告料収入が四十五億五千万と、かなり大きな割合を占めているということですが、景気も回復してきたといわれる現在、広告需要は高まっていると思います。広告の世界は時代の変化とともに流れが速く、ニーズをとらえて適切に事業を進めていくことは大変なことだろうと思います。
そこで、現在の交通広告の状況はどうなっているか、お伺いをいたします。
○松村資産運用部長 平成十七年の全国の広告事業収入を対前年比で見ますと、新聞、雑誌などのいわゆるマス四媒体広告は減少傾向にあり、インターネット広告が五〇%以上の大幅な伸びを示しております。
交通広告全体といたしましては約二%の伸びを示しており、都営交通におきましては、対前年度比で一・五%の伸びとなっております。
内訳を見ますと、集客力の高い駅を中心として、駅張りポスターボードなどの駅構内広告が一定の成果を上げている反面、交通広告の主力媒体であります中づり広告がインターネットの普及による雑誌業界全体の不振の中で全体的に出稿が減っており、都営交通においても、対前年度比で二・五%の減となっており、厳しい側面もございます。
○早坂委員 インターネットの普及が中づり広告にも影響しているというご答弁でありました。
それでは、落ち込みが厳しい中づり広告において、その活性化対策としてどのようなことを行っているか、お伺いをいたします。
○松村資産運用部長 中づり広告につきましては、その車内広告としての媒体価値の維持向上を目的といたしまして、東京都の観光PRポスターなどの確保により、空き枠を極力なくすなどの取り組みをいたしてまいりました。
そして、本年夏以降、新たに雑誌以外の広告主の需要を掘り起こすため、従来二日または三日単位のみであった掲出期間につきまして、新たに一週間及び一カ月単位を加えるとともに、複数枠をセットにして売り出す販売促進キャンペーンなどを実施しております。
今後、これらの販売状況も見ながら、多様な対策を講じてまいります。
○早坂委員 交通局としても、中づり広告を取り巻く厳しい状況の中で努力していることはわかりましたが、さらなる努力が必要だろうと思います。
一方、駅構内広告は一定の成果を上げているということでありますが、通行量の多い駅構内には、まだまだ壁や柱など広告に活用できるものがあると思います。ビジネス客あるいは学生が多く利用する駅など、それぞれの駅が持つ特性に着目して、柱や壁面のボードを活用したり、また、昨今人気のあるフリーペーパーを置くラックへのニーズが高いと聞きましたが、壁面の広告ボードやラックをセットで販売することで広告効果を高めることになるだろうとの思いがありますが、いかがでしょうか。
○松村資産運用部長 新宿線新宿駅におきまして、これまで業務用案内のみを表示していました柱を改修いたしまして、柱を利用した電飾広告を今年度新たに設置いたしました。これにより、平年度ベースで約四千万円程度の収入を見込んでおります。
また、先生がおっしゃられますように、駅の特性を生かして複数駅を組み合わせるとか、種々媒体を組み合わせるといった展開が必要だと考えております。
ポスターボードにつきましては、集客力の高い駅を中心に複数の駅を組み合わせるなど、セット販売の実施をしてまいりましたが、今後は、ご指摘のように、フリーペーパー用ラックと看板や柱などを組み合わせるなど、媒体や複数駅をセットにした販売にも取り組んでまいります。
広告展開につきまして、環境の変化やクライアントニーズを的確にとらえ、増収対策に取り組んでまいります。
○早坂委員 人口減少社会の到来で乗客数の大幅な伸びが期待できない状況の中、関連事業は創意と工夫によって収益を上げ得る分野であると考えます。引き続き新たなビジネスチャンスを生かせるよう、最大限の努力を払われるようお願いいたします。
以上です。
○小沢委員 私からは都営交通に関してお伺いをいたします。
平成十二年度に現在の大江戸線が全線開通いたしましてから、都営交通の利用者は増加しておると聞いております。現在、都営地下鉄、都バス、都電を含めますと、都営交通の一日の利用者は二百七十万人を超えるという、都民の生活、そして首都東京の都市の機能として、公共交通機関として非常に重大な役割を果たしておる、このように考えております。
そこで、どうしても公共交通ということで、お客様を安全にある場所からある場所へ輸送するという一次的なサービス、これは当然なされておるんですけれども、よく民間企業で取り組んでおります本来の利用者の顧客ニーズに合ったサービスというのが少し欠けているところがあったのではないか、こういうふうに感じる次第でございます。
そこで、本日は、サービスの推進という観点、顧客の満足という観点から、何点かお聞きしたいと思います。
まず最初に、交通局はこれまで、サービスの推進という観点からどのような取り組みをされておるのか、お伺いいたします。
○高橋総務部長 委員ご指摘のとおり、顧客満足への配慮、すなわち都民、お客様に便利で快適にご利用いただけるようサービスの向上に努めることは、交通事業者としての基本事項と認識しております。
交通局では、従来から、サービスの向上に取り組んできておりますが、平成四年には交通局サービス推進本部を設置し、その時点から通算しても十五年にわたり、サービス推進運動を展開してきているところでございます。
各事業所では、サービス推進チームを設置し、お客様満足向上の視点から、駅や停留所の点検や清掃、接遇の向上、お客様へのPR活動など、各職場実態に合ったさまざまな取り組みを実施しております。
特に、年二回設けているサービス推進強化月間においては、重点目標を定め、局が一体となってサービス運動を展開しているところでございます。
○小沢委員 現在、サービスの推進活動が十五年も続いておるとお聞きいたしました。継続というのは非常に重要なことではありますけれども、十五年たちますと、なれといいますか、また、世の中もいろいろな仕組みが変わってきております。
そこで、この十五年間にわたるサービス運動をどのように総括をされ、それを踏まえて今後どのように対応されていくか、お伺いいたします。
○高橋総務部長 これまでサービス推進運動に取り組んできました結果、お褒めの言葉をいただく一方で、依然として苦情の件数が減らないなどの実態もございます。こうした実態を局の課題としてとらえ、よい面も悪い面も含めまして正確につかんだ上で、効果的な対策をとることが不可欠であると考えております。
このため、今年度から、ふだん都営交通を実際に利用されているお客様の中から、具体的、継続的にご意見をお聞きするため、都営交通巡回モニター制度を開始し、事業運営に役立てようとしているところでございます。
○小沢委員 今、巡回モニターの制度を開始したというふうにお聞きいたしましたけれども、さまざまな民間企業等々でモニター制度というのは幅広く使われている制度でございますけれども、今の交通局の新設したモニター制度というのは、従来のモニターの制度と比較した場合、何か特徴があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○高橋総務部長 ただいまお尋ねの都営交通巡回モニター制度では、二百五十名という多くのモニターの方々に、駅やバス路線を細かく担当していただいているのが一つの大きな特徴といえると思っております。
具体的に申し上げますと、地下鉄では百六名の地下鉄モニターの方々に、それぞれ三ないし五駅の調査をお願いしています。
また、バスでは、百三十四名のバスモニターの方々に、十八ある営業所、支所ごと、路線の調査をお願いしております。
また、そのほかの特徴としましては、サービス内容の評価について、巡回モニターの名前のとおり、実際に担当エリアを巡回した上で行っていただいていること、また、この調査は年四回実施し、サービス内容の変化についてもわかる仕組みとなっていること、さらに、モニターの方々が調査した結果については、ブロックごとにこれを持ち寄り、職員と年二回、意見交換を行うこととしていることなどもございます。
このようなモニター内容が、他社にはない当局のモニター制度の特徴と考えております。
○小沢委員 ただいまお聞きしました交通局のモニター制度ですけれども、利用者のそういったニーズを、このモニターを利用して、一つの縮図としてとらえられておるのではないかと感じました。しかしながら、こういった制度というのは非常に重要で、直接的な大きなクレーム等に対する対応ばかりでなくて、やはり潜在的にお客様が持っているニーズというのがございます。こういったニーズを、見えない声、小さな声をくみ上げていくということが非常に重要であると思います。
四月からこの半年間、この制度が経過したとお聞きいたしましたけれども、現在、このモニターにどのような評価が出ておるのか、具体的に、いろいろあると思いますけれども、地下鉄だけでも構いませんので、ちょっとご公表いただきたいと思います。
○高橋総務部長 それでは、地下鉄の関係に限って、絞りましてお話しさせていただきたいと思います。
五月に実施いたしました第一回の地下鉄関係の調査結果から、評価の高かった項目を順に申し上げますと、職員の身だしなみが、満足あるいはある程度満足とを足した満足度で九四%、駅構内の空調が八八%、問い合わせへの対応が八七%の結果でございました。
一方、評価の低かった項目を満足度の低い順に申し上げますと、トイレの清潔さが五八%、駅構内のバリアフリーが五八%、職員のあいさつが六五%の結果でございました。
なお、評価の低かった項目については重点的に対応し、委員ご指摘のように、細かい点にもモニター等との意見交換を通じまして、サービス水準の向上に努めているところでございます。
○小沢委員 総務部長のご答弁のように、現在では利用者のサービスの向上に努められておるということがわかりました。ただ、問題は、今、ご指摘ありましたポイントの低い項目、トイレの管理ですか、それからバリアフリー、職員のあいさつ--職員のあいさつなんていうのは費用のかからないことですので、どんどん指導していっていただきたいと思います。
このサービスの調査を年四回実施すると先ほどお伺いいたしましたけれども、この制度を実施してから、まだ半年たったばかりではございますけれども、この評価の低かった点で、何かいい方向に変化があったものがあれば、お聞かせください。
○高橋総務部長 先ほど地下鉄の関係を申し上げましたけれども、例えばバス事業について申し上げますと、第一回調査で満足度が低かったマイクの活用は、第一回の満足度が六一%でございました。それが第二回目の調査で七五%と向上いたしました。
それから、発車します、曲がりますといった安全用語の活用についても、第一回の満足度は六一%でしたが、第二回では七三%となり、評価結果が向上しております。
こうした取り組みを重ねることにより、今後ともサービスの向上に努めてまいります。
○小沢委員 最後に、要望としまして、今、総務部長からいろいろご答弁いただきましたけれども、今のバスの件、運転手さんのマイクの優しい声--とかく今、電車に乗りましても、テープレコーダーでみんな済ましておるというのが非常に多うございます。やはり都民の近くで、本当に一緒に、例えばバスであれば、小さな箱の中で一緒に移動するわけですから、やはり生の声というのが一番やわらかく、そして優しく感じることと思いますので、その辺も今後も推し進めていっていただきたいと思います。
本当に都民にとって重要な役割を占めております都営交通です。今後も都民の信頼を得られるようにサービスアップにお力を尽くしていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○伊藤委員 私からは、公共交通を取り巻く厳しい事業環境の中、都民に信頼と支持される交通局を目指し、具体的に諸課題に対応すべく、東京都交通局経営計画チャレンジ二〇〇四を掲げ取り組んでいる、三カ年計画の中間となる平成十七年度の局の取り組み状況についてお伺いをいたします。
初めに、バス停留所改革について伺います。
自動車事業については、さきの分科会での説明にもあったとおり、平成十七年度においても、経常収支は黒字を確保したものの、営業収支は依然として赤字が続くなど、都営バス事業を取り巻く状況は依然として厳しいと認識しております。
このような状況の中にあっても、都営バスは、ノンステップバスの導入などバリアフリー等にも積極的に取り組まれているところであります。
交通局経営計画チャレンジ二〇〇四においては、バリアフリーの推進として、車両や施設等のバリアフリー化を積極的に推進し、どなたにも利用しやすい都営交通を目指すとして、バス停留所の改善も掲げております。車両の改善だけでなく、計画の中に掲げられたバス接近表示装置やバス停の上屋やベンチの増設などは、高齢者や障害者だけでなく、健常者にとっても利便性や快適性の向上に資するものであり、こうした計画を着実に実施していくことが、都営ならではのサービスにもつながるのではないかと思います。
私は、こうしたバス停留所改革は、すべての都営バスの利用者の日常生活にかかわることでもあり、積極的に推進すべきであると考えます。とりわけ私の地元の八潮パークタウン、人口約一万三千人の団地でございますけれども、八潮のように、鉄道がなく、公共交通機関を主にバスに頼らざるを得ない地域が都内にも数多くありますけれども、こうした地域では、バス停留所の整備はより一層重要な課題であります。
そこで、平成十七年度においては、バス接近表示装置、また、バス停の上屋やベンチの整備状況はどのようになっているのでしょうか、伺います。
○遠藤自動車部長 都営バスにおきましては、チャレンジ二〇〇四に基づきまして、お客様に快適にバスをご利用いただけるよう、バス停留所に上屋やベンチの設置を進めており、平成十七年度におきましては、上屋二十四棟を新設、またベンチ三十六基を設置しております。その結果、十七年度末の設置基数でございますけれども、バス停の上屋は千三百七十六棟、ベンチは六百二十四基というふうになっております。
また、従来のバスロケーションシステムよりも、機能を接近表示だけにいたしまして、安価に設置できる簡易型バス接近表示装置を開発いたしまして、平成十五年度から計画的に設置しているところでございます。
この簡易型バス接近表示装置につきましては、平成十七年度に百十基を設置いたしまして、十七年度末の設置基数は百七十二基というふうになっております。
また、従来からのバスロケーションシステムにつきましては、二百十四基というふうになっております。
○伊藤委員 先ほど触れました八潮パークタウンの中には十一の停留所がありますけれども、バス接近表示装置は、ちなみに一カ所も設置されていない現状でございます。バス接近表示装置は、バスの接近情報がわかり、バス停留所で待つ都民にとっては、待つ間のいらいら感も解消されるわけでございます。また、上屋やベンチの充実についても、バス停留所で待つ都民にとっては大変助かると思います。
バス接近表示装置、また上屋やベンチの設置に当たって、制約条件並びに局の設置の考え方を伺います。
○遠藤自動車部長 バス接近表示装置の設置につきましては、特に制約条件はございませんが、上屋やベンチにつきましては、道路占用許可基準におきまして、歩行者等の通行に支障がないよう、設置可能な歩道の有効幅員等が定められております。
また、これらについての設置の考え方でございますが、簡易型バス接近表示装置につきましては、運行間隔や乗降客数等を勘案し、さらに上屋及びベンチの設置につきましては、設置先の地権者等の方の了解を得る必要がございますが、道路占用許可基準を満たす停留所から選定して設置しております。
○伊藤委員 バスを待つ利用者にとって、少しでも待ち時間を快適に過ごせるバス接近表示装置、また上屋やベンチなどの充実は、乗客サービスの向上の視点から重要であると考えます。特に高齢化が進んでいる地域にとっては、必要不可欠なものと考えます。
今後のバス停留所施設の整備について、局の見解を伺います。
○遠藤自動車部長 十八年度におきましても、簡易型バス接近表示装置につきましては百十基、上屋につきましては、建てかえを含めて三十六棟、ベンチにつきましても三十五基の設置を計画いたしまして、順次、整備を進めているところでございます。
今後とも、バス停留所施設の整備、拡充につきましては、地域の状況等も踏まえつつ計画的に実施し、利便性の向上を図ってまいります。
○伊藤委員 バス停留所の整備については、説明をいただき、よく理解することができました。今後、拡充に当たっては、地元や利用者の声を十分反映していただきたいと思います。
また、昨今、多く報道されている通り魔事件などを防止する観点からも、公共交通機関の果たす役割は少なくないと考えます。特に照明のある停留所は安心感を提供するものであります。明るさを確保するとともに、日常のメンテナンスもしっかり行っていただきたいと要望します。
また、高齢者や障害者が安心して利用できるよう、細かい話で大変恐縮でございますけれども、時刻表の文字の大きさや取りつけ位置についても、見やすいものにしていただくよう要望して、次の質問に移ります。
交通バリアフリー法に基づくバリアフリー、特に地下鉄のバリアフリー化については、高齢者やベビーカーを引いた方々が階段の上りおりに苦労している姿を見るたびに、その必要性を痛感しておるところでございます。
私は、この件に関して本年の第一回定例会において質問させていただき、交通局は平成二十二年度までに、都営地下鉄全駅において、エレベーターによるワンルート確保を目指し、懸命に取り組んでいることは承知しておりますけれども、その後の対応についても気になるところでございます。
そこで、平成十七年度末のエレベーターによるワンルートの確保は、先ほどの資料によりますと、七十駅、六六%の整備を行ったとありましたけれども、平成十七年度に実施したエレベーターの整備の取り組みについて伺います。
○鈴木建設工務部長 交通局では、平成二十二年度までに、地下鉄百六駅全駅で、エレベーターによりホームから地上まで移動することができる、いわゆる一ルート確保を目指し、整備条件の整った駅から、順次事業を進めてまいりました。
平成十七年度は十四基のエレベーターを整備し、この結果、三田線内幸町駅など六駅において一ルートを確保するなど、着実に整備を進めてきております。
○伊藤委員 十七年度の状況について伺いました。
それでは、今後、平成十八年度のエレベーター整備の取り組みと、エレベーターによるワンルート確保の計画はどうなのか、伺います。
○鈴木建設工務部長 平成十八年度は、全体で四十基のエレベーター設置工事を進めております。この結果、新たに新宿線馬喰横山駅など九駅において一ルートを確保することができ、整備率は七五%となります。
○伊藤委員 バリアフリー化を進める上で用地の確保が大変に厳しい状況だと認識しておりますけれども、都営浅草線戸越駅、中延駅のエレベーターによるバリアフリー化についての現段階での状況を伺います。
○鈴木建設工務部長 浅草線戸越駅及び中延駅のバリアフリー化についてでございますが、戸越駅は、平成十八年三月、既にホームから地上までのエレベーター二基の設置工事に着手しており、平成十九年六月、供用開始の予定でございます。
また、中延駅は現在設計中でございまして、平成十九年二月には、ホームから地上までのエレベーター二基の設置工事に着手する予定でございます。
○伊藤委員 同じく浅草線五反田駅は、JR用地内に設置する計画と聞いておりますけれども、その後の状況を伺います。
○鈴木建設工務部長 浅草線五反田駅でございますが、ホーム階からコンコース階へのエレベーターは既に整備済みでございます。コンコースから地上へのエレベーターが未整備となっております。この整備計画につきましては、JR五反田駅東口に接続するA3出入り口わきに地上出入り口を設置することとし、JR東日本、それから東急電鉄のバリアフリー計画との整合を図った上で、平成十八年三月に、地元の方々にその計画案について提示をしてございます。
その後、道路管理者ほか関係機関との計画協議が調ったことから、平成十九年度着手に向け、現在、準備を進めております。
○伊藤委員 平成二十二年度を目指して、現在、エレベーターによるワンルート確保がされていない駅のバリアフリー化に、局は今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
○鈴木建設工務部長 エレベーターによる、いわゆる一ルート確保を進める上での課題といたしましては、地上の出入り口用地の確保が大変困難なことが挙げられます。このため、私どもとしましては、民有地の取得のほか、民間ビルとの合築、あるいは公園等の公共地利用など多様な手法を活用し、用地の確保に努めるとともに、地元や関係機関の協力を得るなどし、平成二十二年度までの全駅一ルート確保を目指してまいります。
○伊藤委員 ありがとうございました。
次に、日暮里・舎人線について伺います。
新交通日暮里・舎人線については、公営企業委員会においても、交通局が経営主体となることが適当であるとの考え方が明らかにされまして、平成十九年度中の開業に向けてさまざまな準備が進んでいることと思います。
区部北東部の交通不便地域を解消するため、新交通システムを整備することは、地元の長年の悲願でもあり、その経営を安定的に担っていこうとする交通局への期待は極めて大きいものがございます。
しかし、新交通システムに関しては、愛知県の小牧市の桃花台線が、需要予測など経営見通しの甘さから、開業後わずか十五年で、経営の悪化により、この九月末で廃止になったとの新聞報道が行われております。
そこで、安定した経営、安心の新交通を願い、何点か伺います。
日暮里・舎人線の需要については既に予測しているとのことでございますけれども、確実なものであるのか、また、交通局が経営することで安定した経営が可能になるのか、伺います。
○鈴木参事 日暮里・舎人線の経営につきましては、中長期を踏まえまして、安定的、効率的な運営を確保していく必要があると考えております。
乗客数の需要予測につきましては、社会経済状況の変化等を踏まえまして二度の見直しを行うなど、確実な見積もりを行ったところでございます。
これをもとに施設規模も見直しまして、事業費の圧縮にも努めております。
また、経営主体につきまして、交通局みずから経営に当たることによりまして、固定資産税などの税負担の軽減や都債による低利の資金調達が可能となりますことから、より経営の安定化が図られるものと考えております。
○伊藤委員 交通局が経営した方が安定した経営ができるということですので、ぜひ交通局が経営主体となるよう努力をしていただきたいと思いますけれども、軌道事業の特許の譲渡についての国との調整は現在どうなっているのか、伺います。
○鈴木参事 交通局が東京都地下鉄建設株式会社にかわりまして経営主体となるためには、国から事業譲渡の許可を受ける必要がございます。開業前の事業譲渡につきましては、全国的にも初めての事例となりますことから、現在、具体的な手続やスケジュールも含めまして、国と鋭意調整を行っているところでございます。
○伊藤委員 日暮里・舎人線が開業することによりまして、現状一時間かかっているところを二十分で到着できるなどの、数多くの利用者にとっての交通利便性が高まることは確実であります。
また、地域の特性などを踏まえると、通勤や通学で利用する方々が多いことが予想されることに加えて、当然のことながら、これまで都バスなどを利用していた高齢者の方の利用が進むことも見込まれるわけでございます。
現在の都営交通では、地下鉄、バス、さらには荒川線においてシルバーパスの制度が定着をして、高齢者が交通機関をより便利に、的確に使いこなすことが可能となっております。
日暮里・舎人線は、民間の第三セクターではなく、まさしく東京都交通局として経営していく方針が明確になっているわけでありますから、地元からの要望の強いシルバーパスの導入についても適用する方向で、ぜひとも取り組みを進めていってほしいと思います。
そこで、交通局が日暮里・舎人線の経営主体となった場合には、シルバーパスの利用は可能になるのでしょうか、伺います。
○鈴木参事 現在まだ、事業譲渡の許可を受けるべく国との調整を行っているという段階でございます。ただ、日暮里・舎人線へのシルバーパスの適用につきましては、利用者の方々の期待が大きいということは承知しており、今後、所管局等と十分な連携を図っていく必要があると考えております。
○伊藤委員 シルバーパスの導入等を通じて、利用者にとってより利便性の高い新交通システムを目指していくことをこの機会に強く要望して、私の質問を終わります。
○植木委員 私の方からは、最初に、地下鉄駅火災の問題について何点か質問したいと思います。
二〇〇三年二月の韓国の大邱市で、地下鉄中央路駅での火災は非常に衝撃的でした。死者が百九十六人、構内が停電する、運転手、駅員の誘導や指令などに混乱があった、排煙設備はあったけれども、可燃性の物質や有毒ガスの発生など多くの問題が明らかになりました。
その後、国土交通省で現地調査や国内の実態なども調査を行って、新しい地下鉄火災の対策の指針を出したわけですが、その基本的な内容について、まずお示し願いたいと思います。
○高橋技術管理担当部長 平成十五年二月に発生しました韓国の地下鉄火災事故を契機に、国土交通省では、地下駅の火災対策として、排煙設備及び二方向避難路等の早期整備を図るとともに、地下鉄道の火災対策基準を改正し、これまでの通常火災に加え、ガソリン火災などの大火源火災にも対応を図るものといたしました。
また、国は、平成十六年度から五カ年間の補助制度を創設し、排煙設備及び二方向避難路の整備などの火災対策を促進することとしております。
○植木委員 十六年から五カ年間の国の援助を受けながら、排煙だとか二方向ということなんですけれども、できるだけ早く対策をとって、国民、都民の安全のためにということだと思うんですけれども、都としての取り組みは、その後どうなっているでしょうか。
○高橋技術管理担当部長 都営地下鉄におきましては、国の法令基準に適合させて火災対策の推進に努めてきたところでありますが、既に駅施設の不燃化、自動火災報知設備等の対策は完了しております。
残る排煙設備と二方向避難路につきましては、新宿線及び大江戸線では全駅で整備が完了しております。
浅草線及び三田線につきましては、これまでも整備を進めてきており、排煙設備では二十二駅、二方向避難路の確保では三十四駅で、それぞれ整備が完了しております。
未整備の駅につきましては、国の補助制度を活用するなどして、早期整備を目指して努力しているところであります。
○植木委員 排煙、二方向以外は十七年度、昨年の決算年度に完了したということなんですが、問題は、排煙設備と二方向の避難通路の問題だと思うんですね。多分、未設置のところは古い基準で、地下鉄の火災対策基準という古い基準があると思うんですけれども、その基準の範囲で行っているということだと思うんですけれども、これを新しい基準に合わせてやるに当たって、今の整備率、五年間でやるには非常に低いと思うんですけれども、何か特殊な理由というのはあるんでしょうか。
○高橋技術管理担当部長 建設当時に設置されていなかった浅草線及び三田線の排煙設備や二方向避難路につきましては、新たな排煙口及び二方向避難路の地上出入り口部分の用地、地下部分での新たな排煙設備の設置スペースなどが必要となります。これらの用地や設置スペースの確保が、事業推進上、大きな課題となっております。
○植木委員 しかし、五年で何とかやろうということですけれども、都もそういう方向で努力しているんだろうと思うんですけれども、あと二年間でこの見通しを立てるという点で、見通しをどのようにお持ちなんでしょうか。
○高橋技術管理担当部長 都営地下鉄駅の火災対策につきましては、平成十七年度末で、排煙設備は七十九駅で完了しており、整備率は八一%です。
また、二方向避難路は九十一駅で完了しており、整備率九三%となっております。
残る駅の整備に当たりましては、主に排煙口及び二方向避難路の地上出入り口部分の用地確保が課題であることから、地元区や道路管理者、そして土地所有者とも協議を進め、地上出入り口の用地の確保に努め、平成二十年度を目標に事業を推進してまいります。
○植木委員 目標にというのはわかるんですけれども、二十年度を過ぎれば国の補助はなくなるわけですよね。そういう点で、努力されているというようなお話、繰り返しありましたから、そのことはわかるんですけれども、二十年度までに完了をする見通しというのは、どの程度感触を得ているんでしょうか。
〔委員長退席、山加副委員長着席〕
感触といういい方はおかしいですが、用地となると、当然、都の土地だけじゃない、皆さんのところの土地だけじゃない人たちにも関連してくるので、はっきりしたことはいえないという意味合いはわかるんですけれども、やっぱり都民の安全のために、しかも、全都的に見ても、新駅はどんどん進んでいますから、古い駅だけがおくれているんですよね。そこのところを一刻も早くやる努力という点で、完了するという方向でやっているのかどうか、それとも、努力したけどできなかったと、こういうことなのか、ちょっとその点についてお示し願いたいと思います。
○高橋技術管理担当部長 地上出入り口部分の用地の確保に当たりましては、道路の歩道部分や公園あるいは地下鉄駅近くのビルの建てかえ等によりまして、お願いしてあるわけでございますが、相手のあることでもあり、なかなか困難、苦慮しているのが現実であります。
我々といたしましては、ともかく国の指針に基づきまして、平成二十年度を目標に事業を進めているということでございます。
○植木委員 ぜひ、できない範疇なら--とにかく膨大に残ってできないというわけじゃない、旧線のところだけですから、それはぜひ鋭意努力していただいて、完了の見通しを一刻も早く立てていただきたいというふうに思っています。
それから、少し具体的な点についてお聞きしたいんですが、先日、中野の東京メトロで、やっぱり二方向の通路確保というのでいろいろ話し合いをしていたら、何とか場所を確保できそうなんだけれども、ふだんはそこは使わないんだと、こういう話で、住民の皆さんと一緒に行ったらびっくりしていたんですけれども。
現在、皆さんが管理されているところでは、多分そういうのはないとは思うんですけれども、もしそういう、ふだん使わないで、二方向確保のためにはどうしても必要だということで確保する、しかし、実際の運用はどうなるのかという点で、そういうことがあるのか、また、そうした場合、実際の、いざというときの誘導なんかどうなるのかということが一つと、それから、大邱市の地下鉄駅の火災のときは、有毒ガスもあったりして、煙の方向がいろいろあって、トンネルの中を歩いていった方がよかったとか、いろいろな事情があるんですけれども、今回、かなり排煙設備も充実してくるとなると、今度逆に、排煙設備の--地下の深度が深くなってきますから、強力なファンで多分吸引していくんだと思うんですけれども、そうすると、吸引の方が早いのか、トンネルが煙突になって、そっちの方から煙が進んでいくのかという問題も出てくると思うんですね。そういう点で、そういうときの具体的な対策はどうなのか、その二点、最初の方は現状がよくわからないので、ちょっと不的確かわかりませんけれども、わかりましたら、あわせてお願いしたいと思います。
○高橋技術管理担当部長 まず一点目の二方向避難路についてでございますが、二方向避難路は、地上へ出るのに階段を使って誘導するということになっておりますので、ふだん使われていない階段、非常時だけ使う階段というのは、都営地下鉄ではございません。
二点目でございますが、万が一地下鉄で火災が発生した場合は、天井に設置された煙感知器が煙を感知し、天井に格納された防煙火シャッターが作動することとなっております。
作動内容としては、まず、防煙火シャッターが床から二メートルの高さまで一たん下がり、火災が起きている区画から煙が他の区画に拡散するのを防ぎ、その間にお客様が避難することができるようになってございます。
その後、駅員がお客様の避難を確認してから防煙火シャッターを床まで下げ、延焼の防止を図る構造となっております。
また、煙を強制的に外部へ排出する排煙設備を設けております。
このようにさまざまな設備を設けており、火災時にお客様が安全に避難できるようにしております。
○植木委員 いろいろシミュレーションして対策を打っておられると思うんですが、いずれにしても、パニック状態になったときに安全に誘導するというのは、やっぱり非常に大事なことでありますので、ぜひ、今後、訓練などもいろいろやられると思うんですけれども、確実な方向性というのを示していただきたいし、また、二方向の避難路についても、もし用地の確保上、今後そういうことがあるとすれば、そういった対策も、誘導対策などもとっていただきたいということを要望しておきます。
次に、都営地下鉄における転落件数について資料をいただいたんですが、転落するというのはいろいろあるんだろうと思うんですが、想像するに、通勤帰りに一杯飲んで酔っぱらったのか、あるいは病気で貧血を起こしてなのか、いろいろ事情があるかと思うんですね。そういった要因がどの程度わかっておられるのか、それから、自殺については、これには入ってないというふうに聞いているんですが、それについても、実態について、わかる範囲で教えていただきたいというふうに思います。
〔山加副委員長退席、委員長着席〕
○佐藤電車部長 まず、十七年度におきます転落の原因としましては、やはりお客様の飲酒によるもの、これが一番多うございまして、五十六件中三十八件と、全体の六八%を占めております。
そのほかに、お客様の不注意とか、それから、目まい等によりますものを合わせますと五十四件でございまして、全体の約九六%というふうになってございます。
一方、投身の方でございますが、投身の方は、十七年度は合計で七件というふうになっているところでございます。
○植木委員 いろいろな原因にしろ、ない方がいいわけで、ましてや投身というのは、その人の、どういうお考えかわかりませんけれども、不幸なことでございますので、そういったことはできるだけない方がいいというふうに思います。
この転落事故についての資料で見ますと、でこぼこがあって、多くなったり低くなったりしているんですが、十三年度は非常に低いのに、十四年度はぐっと伸びたりしているということなんですが、それにしても、一たん起きれば、当然、職員の皆さんを初めとして復旧に大変苦労されるんだろうと思うんですけれども、この復旧に要した時間というのは大体どの程度かかるものなんでしょうか。長時間の場合、最長の場合もあるでしょうし、平均的にはどのくらいになるのか、両面からお示しいただきたいと思います。
○佐藤電車部長 転落して復旧に要する時間でございますが、平成十七年度の転落事故においては、平均でおおむね三分程度、最長でも十分、そういうことでございます。
○植木委員 最長で十分ということは、かなり短時間でやったというふうに思えるんだろうと思うんですけれども、いずれにしても、事故が起きたときに一時ストップする、通勤時期だと一定の混乱が生じることは間違いないんで、そういう点での努力というのは非常に大事なんですけれども、乗客の側面から理由は先ほど述べられましたけれども、この転落事故、ない方がいいわけなんですが、一定程度これだけあるということで、これがもっと減るのが一番理想的なんですけれども、なかなか減らない理由というのは、どんなところにあるんでしょうか。どういう認識なのか。
○佐藤電車部長 都営地下鉄では、お客様のホームからの転落事故を防止するために、ハード面では、誘導、それから警告ブロック、それからまた、ホーム端に固定さくというのがございます。その設置をきちんとやる。一方、ソフト面では、駅ホーム監視要員、そういった要員の配置をしたりとか、また、視覚障害者の方へは、駅員がちゃんとまずご案内する、また、職員による巡回等を通しまして対策を講じて、一件でも転落防止に努めているところでございます。
そういった点で、この実績と申しますか、転落の件数を見てみましても、ふえているといった面は見られないのかなと、そういうふうに思っております。
○植木委員 対策を聞いたんじゃなくて、どのように認識しているかをお聞きしたんですが、十四年度は、四十七と二十四で七十一件、十五年度は七十件、確かに十六年度、十七年度は、五十九件、五十六件となっていますけれども、十三年度は逆に五十四件だったわけですから、やっぱりでこぼこがあるんですよね。こういうことで、しかも三田線はゼロになっているんですよ、三田線はね。これはホームドア、ホームさくをつくっておられるからだと思うんですけれども、そういった点で、認識というのは、あえて聞いたのは、そういうことの意味合いをもって聞いたんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○佐藤電車部長 我々としましては、転落のこういった事故につきましては、極力減らしていくというのがやはり重要だというふうに一応認識をしております。(「一応」と呼ぶ者あり)大変認識をしております。したがいまして、今後とも、先ほど申し上げましたハードとソフトの、そうしたあらゆる対策をまずは講じながら、また一方では、お客様に対しましても、ホームにおきます安全に注意していただくといった観点からも、そのように働きかけていくといったような対策を講じながら、今後とも転落防止に最大限努めてまいりたいというふうに思っております。
○植木委員 一応なんて、ぜひいわないでください。
いずれにしても、先日も私、中野で区主催の障害者の企画があって、いろいろお話を聞いてきたんですけれども、そういう中で、やっぱり目の不自由な方から、危ない思いをしたというのが何度かあるんだと、目の不自由な方の中には、そういう経験は必ず一度や二度、みんなやっているという話をされて、ホームさくのことについても触れられておりました。
都内にはいろいろ地下鉄あるんですけれども、現状でホームドアや可動式のホームさくを実施している路線というのは、全体のうちどのくらいあるんでしょうか。
○中島参事 都内におけるホームドアまたは可動式ホームさくの整備状況でございますけれども、現在、新幹線を除いた都内七十路線中九路線、七百三十駅中百十六駅に設置されてございます。
○植木委員 全都的にまだまだということはあるんですけれども、やっぱり都として率先してこれをやるというのが非常に大事だと思うんですけれども、先ほど三田線の話をしましたけれども、三田線はずっとゼロなんですね。そういう意味では、事故がなければ一番いいわけなんで、これをやれるということが効果としては抜群なんです。
そういう点で、他の路線についての計画は、三田線以外ではどんなふうになっているんでしょうか。
○中島参事 三田線以外の検討状況でございますけれども、浅草線、新宿線につきましては、相互直通運転を実施している他社の車両の扉位置が異なるなどの課題について検討いたしているところでございます。
また、大江戸線につきましては、ホームさくの設置によるお客様の流動への影響について検討いたしているところでございます。
○植木委員 今、大江戸線だけについてはちょっとお話があったんですが、全体としてどんな課題があるのか、もうちょっと具体的にお示しできますでしょうか。
○中島参事 三線について申し上げます。
浅草線、新宿線につきましては、先ほど申し上げましたように相互直通運転を実施しているため、乗り入れ車両を含めた全車両の信号保安設備、それからドア位置などの統一をする必要がございます。そのような課題がございます。
また、大江戸線につきましてですが、設備面では、ホームさく設置によりホームの幅が狭まり、また、お客様の移動の円滑化に支障を生ずるおそれがあること、また、輸送面では、ホームさくと車両の扉を連動させる必要がございますので、それにより停車時分が長くなり、輸送力が低下いたしまして、お客様サービスが低下するという課題がございます。
○植木委員 具体的な検討をされているということはわかりましたが、大体目標として、いつごろまでにこれを具体的に着手できるようにというような計画というのでしょうか、その辺は具体的にあるんでしょうか。
○中島参事 繰り返しになりますけれども、浅草線及び新宿線につきましては、先ほどのような状況がございまして、相互直通運転を実施している相手先の車両を含めましたすべての車両の信号保安設備、またドア位置などを調整、統一する必要がございますので、ホームさくの設置は困難な状況でございます。
また、大江戸線についてでございますが、これも繰り返しになりますが、設備面では、ホームさくの設置によりましてホーム幅が狭まること、これによりお客様の移動の円滑化に支障を生ずるおそれがあること、また輸送面では、ホームさくと車両扉を連動させることにより停車時分が長くなるため、輸送力が低下し、お客様サービスが低下するという課題があるため、総合的な検討が必要であるというふうに考えております。
○植木委員 検討しているということと、だんだんトーンが下がってきちゃっているんですが、相手がいるから調整に時間がかかるというなら話はまだわかるんですけれども、不可能だという発言が今ありましたね。やらないということなんですか、それとも時間がかかるということなんですか、どうですか。
○中島参事 大変恐縮でございます。繰り返しになりますけれども、浅草線及び新宿線については、困難な状況でございます。
大江戸線につきましてですが、先ほど来申し上げている理由によりまして、引き続いて総合的な検討が必要であるというふうに考えております。
○植木委員 大分歯切れが悪いんですけれども、やはり転落事故というのはない方がいいわけですから、いろいろな課題はあると思うんですけれども、やっぱり最終的にはつけるというふうにきちっと、それは、きょうあすとか、そんな極端なことを私はいっているわけではないんで、そこのところはぜひ、全庁的に具体的な検討を--検討委員会をきちっとつくったらいいですよ、第三者も含めてね。あるいは相手との定期協議もやるとか、やることはいっぱいあると思うんですよ。やることを尽くした上でちゃんと具体的に示す、それから、技術的にももっともっと改良できる点なんかあると思うんですね。
例えば東京メトロなんかのホームを見てみますと、決して、大江戸線だとかほかのところと比較しても、広くないですよ。最初、どんな設備になるかなと、場所によっても違うんですけれども、私が見たところでは、苦労してつけていますよ。それは技術的に進歩する中でできることもあるんです。だから、最初から不可能なんていうことはやっぱりいうべきでないし、ましてや一応なんていう先ほどの発言は、やっぱりすべきでないということを重ねて強く申し述べて、終わります。
○三宅委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で交通局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後二時十九分散会
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