公営企業会計決算特別委員会速記録第四号

平成十七年十一月二十一日(月曜日)
第四委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 二十二名
委員長馬場 裕子君
副委員長花輪ともふみ君
副委員長ともとし春久君
副委員長こいそ 明君
理事山田 忠昭君
理事斉藤あつし君
理事東村 邦浩君
理事秋田 一郎君
理事古館 和憲君
小竹ひろ子君
大松  成君
坂本たけし君
石森たかゆき君
たぞえ民夫君
上野 和彦君
大西由紀子君
野上ゆきえ君
吉田康一郎君
松原 忠義君
田代ひろし君
神林  茂君
岡崎 幸夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
都市整備局長梶山  修君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君

本日の会議に付した事件
 平成十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について(意見開陳)
・平成十六年度東京都病院会計決算
・平成十六年度東京都中央卸売市場会計決算
・平成十六年度東京都都市再開発事業会計決算
・平成十六年度東京都臨海地域開発事業会計決算 
・平成十六年度東京都港湾事業会計決算
・平成十六年度東京都交通事業会計決算
・平成十六年度東京都高速電車事業会計決算
・平成十六年度東京都電気事業会計決算
・平成十六年度東京都水道事業会計決算
・平成十六年度東京都工業用水道事業会計決算
・平成十六年度東京都下水道事業会計決算

○馬場委員長 ただいまから平成十六年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 本決算につきましては、いずれも質疑を終了いたしております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○神林委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、平成十六年度公営企業会計決算について意見の開陳を行います。
 平成十六年度決算における全十一会計の損益の状況は、高速電車事業会計及び中央卸売市場会計が合わせて百十四億円の純損失、水道事業会計など八会計が九百五十億円の純利益を上げ、工業用水道事業会計が収支均衡となっております。
 また、十一会計全体のこれまでの累積欠損金は百八十九億円となっております。
 平成十六年度は第二次財政再建推進プランの初年度に当たりますが、コストや成果を十分に事後検証し、財政基盤を確固たるものにしていく必要があります。
 特に公営企業は、将来に向けた展望をしっかりと持って、独立採算制のもと、経済性を最大限発揮して、経営改善に一層努力する必要があります。
 また、肥大化した公営企業は、一般都民からその全体像や経営実態が見えにくいものになってきており、外部からの監査やチェック機能を強化して、理解しやすい透明性の高いものにしていく姿勢を常に心がけていかねばなりません。
 それでは、各会計について意見を申し上げます。
 まず、病院会計ですが、医療制度の改革など病院運営を取り巻く情勢に応じ、一般会計繰入対象経費の算定方式の精緻化を図るとともに、より一層、負担区分の明確化に努められたい。
 今後とも、経費の節減や収入の確保など、さらなる経営改善努力を行い、あわせて、一般会計から適切に財源を繰り入れることで欠損金の解消を図るとともに、健全な経営に努められたい。
 新たな病院整備手法であるPFIの導入に当たっては、長期にわたって医療環境の変化に耐え得るような工夫をされたい。
 また、SARSや鳥インフルエンザなど、新興感染症の発生動向に留意し、必要な感染症医療の提供に努められたい。
 さらに、患者中心の医療の実現と都民に対する医療サービスの向上を図るため、都立病院改革マスタープランの実現に努め、東京発医療改革の核である都立病院改革を着実に推進されたい。
 次に、中央卸売市場会計について申し上げます。
 食の安全と安心を確保するため、市場で取り扱う食品の品質管理の高度化を図り、都民に対して安全・安心な生鮮食料品が流通するよう努められたい。
 豊洲新市場については、将来の流通環境の変化を十分考慮し、首都圏の基幹市場としての役割を担うためのものとするため、策定した基本計画に基づき、着実に建設を推進されたい。
 また、市場内の環境改善を一層推進するため、関係者と協力しながら、場内搬送車の低公害化を積極的に進めるとともに、リサイクル行動の充実など、市場の環境負荷の軽減を図られたい。
 第八次卸売市場整備計画の推進に当たっては、卸売市場を活力のあるものとするため、特に市場業者の経営基盤の強化、市場施設の効率的な整備、運営などの取り組みを図られたい。
 市場財政の健全な運営を確保するため、内部努力の徹底など経営の合理化に努めるとともに、効率的な資金の運用や財産の有効活用など、財政基盤の強化を図られたい。
 次に、都市再開発事業会計ですが、北新宿地区市街地再開発事業については、新宿副都心にふさわしい土地の高度利用と、放射第六号線の整備による都市基盤の強化を図り、生活環境の改善と防災性の向上を推進されたい。
 環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業については、都市の骨格を形成する環状第二号線とその周辺を含めた一体的な都市機能を再生し、魅力と個性ある複合市街地の形成を推進されたい。
 また、大橋地区市街地再開発事業については、首都高速道路中央環状新宿線大橋ジャンクションの整備と一体的にまちづくりを進め、合理的かつ健全な土地の高度利用と都市機能の更新を図られたい。
 次に、臨海地域開発事業会計について申し上げます。
 臨海副都心の開発は、東京の活力と創造力を生み出し、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業である。
 東京の新たな観光地としても都民の間に定着しているこの地域の一層の活性化を今後とも図るとともに、売却方式などを活用し、民間事業者の誘致に努めるなど、土地処分に全力を尽くされたい。
 新交通「ゆりかもめ」の豊洲延伸、臨海副都心地域と都心部とを結ぶ晴海通りや環状二号線など広域幹線道路の整備を積極的に推進されたい。
 有明北地区は、都心に近接した豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指し、積極的に事業を進められたい。
 東京港の埋立地は、都民の貴重な財産であり、長期的な視点に立った着実な開発整備を推進されたい。
 また、都民のニーズに対応し、海上公園やスポーツ・レクリエーション施設の充実を図るとともに、自然の再生を図るなど、良好な都市環境の形成に努められたい。
 次に、港湾事業会計について申し上げます。
 東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動を支える物流拠点として欠くことのできない重要な社会基盤施設である。
 このため、利用者ニーズに的確にこたえて施設を整備し、内外の貨物誘致などを推進するとともに、事業運営の効率化を推進するなど、東京港の国際競争力の強化を図られたい。
 次に、交通事業会計について申し上げます。
 まず、経営計画に定められた事業計画の着実な事業執行に努めるとともに、組織の簡素効率化などにより徹底した経営の効率化を推進し、営業収支の改善に努められたい。
 バス事業については、需要に対応した路線の見直しや整備を図るとともに、簡易型バス接近表示装置の積極的な導入など、利便性向上のための方策を推進されたい。
 ノンステップバスや低公害型バスの導入に努めるなど、福祉や環境にも配慮した先導的施策を引き続き推進されたい。
 また、テロや災害に対し的確な対応ができるよう、職員の訓練や情報連絡体制の整備など、危機管理の強化に取り組まれたい。
 次に、高速電車事業については、次期計画の策定も視野に入れ、経営計画チャレンジ二〇〇四について着実な実施を図られたい。
 そのため、大江戸線を初め各線でより質の高いサービスを提供し、積極的な乗客誘致策を展開しながら、さらなる支出削減を図るなど、収支改善に努められたい。
 新たな広告媒体の開発に努めるとともに、駅構内の空間を最大限に活用した個性的な専門店舗などの大幅な拡大を図るなど、関連事業のスピーディーかつ積極的な展開を図られたい。
 テロや災害などに備え、駅の排煙施設などの整備を着実に推進するとともに、危機管理の強化に取り組まれたい。
 また、バリアフリー法の趣旨を踏まえ、エレベーター、エスカレーターの整備、車いす対応型トイレの設置などを引き続き推進されたい。
 電気事業会計については、電気事業の規制緩和の進展を踏まえ、一層の効率的経営に努めるとともに、長期的な経営のあり方について検討されたい。
 次に、水道事業会計ですが、安定給水を確保するため、水資源開発基本計画で予定している新規水源開発について、国などに一層の促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、その推進に努められたい。
 また、主要施設整備事業を推進し、初期ダクタイル管の取りかえや施設の耐震性を強化するとともに、災害、事故発生時の体制整備などに万全を期されたい。
 安全でおいしい水を供給するため、安全でおいしい水プロジェクトを推進し、高度浄水施設の建設を積極的に進めるとともに、鉛製給水管の早期解消や直結給水の普及拡大、貯水槽水道の適正な管理について必要な措置を講じられるよう努められたい。
 東京都水道局環境計画に掲げた、環境に配慮した施策への取り組みを積極的に推進するとともに、漏水防止対策などの節水諸施策を推進し、節水型都市づくりに努められたい。
 多摩地区水道事業については、より一層のサービスや給水安定性の向上及び効率的な事業運営を図るため、多摩地区水道経営改善基本計画に基づき、経営改善を円滑かつ着実に推進されたい。
 また、東京水道経営プラン二〇〇四に盛り込まれた企業努力の達成に万全を期すとともに、事業評価制度などの新たな経営手法や第三セクターの積極的活用を図り、経営効率の一層の向上と財政基盤の強化に努められたい。
 次に、工業用水道事業会計についてですが、安定給水及び施設の安全性を確保するとともに、効率的な事業運営を推進し、財政の安定化に努められたい。
 最後に、下水道事業会計について申し上げます。
 まず、区部下水道事業及び流域下水道事業経営計画二〇〇四の達成に全力で取り組み、都民サービスの一層の向上と経営改善を図られたい。
 区部下水道事業では、老朽化施設の更新にあわせ、能力不足の解消や機能の高水準化を図るなど、再構築事業を推進し、陥没対策や臭気対策などに重点を置いた新・再構築クイックプランを着実に実施されたい。
 浸水から都民の生命と財産を守るために、浸水対策を積極的に推進するとともに、新・雨水整備クイックプランを着実に実施されたい。
 公共用水域の水質を改善し、快適な水辺環境を創出するため、合流式下水道の改善や高度処理を推進するとともに、新・合流改善クイックプランを着実に実施されたい。
 また、震災時におけるトイレ機能の確保や施設耐震化など、震災対策に努められたい。
 多摩地域の下水道の普及促進に向けては、流域関連公共下水道の整備と整合を図りつつ、流域下水道建設事業を推進されたい。
 また、多摩地域の浸水被害を解消するため、市や町が行う雨水排水施設の整備との整合を図りつつ、必要な浸水対策を推進されたい。
 区部及び流域下水道において、より一層の経営改善に取り組み、国庫補助金などの財源確保を図るなど、健全な財政基盤の確立に努力されたい。
 以上で各会計に対する意見を申し上げましたが、公営企業は都民生活を基盤から支える重要な事業であり、安全・安心はもとより、一層の経営改善と都民サービスの向上に努められることを強く要望して、私の意見開陳を終わります。
 以上です。

○斉藤委員 私は、都議会民主党を代表して、平成十六年度公営企業会計決算について意見を申し上げます。
 初めに、公営企業会計に共通する事項について申し上げます。
 長期にわたる景気低迷の中で、回復傾向にあるといわれてはいるものの、依然厳しい景況感は否めません。各公営企業についても厳しい経営が強いられておりますが、公営企業会計全十一会計のうち、交通事業会計、病院会計は前年度の赤字から黒字に転じた一方で、中央卸売市場会計が五年ぶりに赤字に転じ、高速電車事業会計も前年度に引き続き赤字となっております。
 各公営企業は、独立採算制による企業経営の健全性が求められる一方で、公共的な役割を担うことから、民間企業では容易に参入できない、あるいは切り捨ててしまうような不採算部門をあえて抱えざるを得ないという側面もあわせ持っています。しかし、こうした中にあってもなお、多様化する都民ニーズにこたえる質の高いサービスを維持しながら、経営基盤のさらなる強化に努めることを強く要望いたします。
 ところで、我が会派の花輪議員が行った全局質疑においては、水道局が都の第三セクターに多額の業務を随意契約で委託し、契約額の総額が事前に見積もった予定価格の九九%を超えていたこと、その中には、一件の委託金額が十億円を超えるものが含まれていたことが明らかになりました。
 水道局長は、随意契約の決定率は入札契約の落札率に比べて高くなる傾向があり、仕方のないことであると答弁で強調していましたが、随契の決定率が一〇〇%に極めて近いという事実からは、安くできるサービスを高い値段で買わされているのではないか、あるいは都と第三セクターとの癒着があるのではないかとの疑念を抱かざるを得ません。
 また、十億円を超えるような高額の委託業務が特命随契となっていることについては、民間企業にはない高度なノウハウを持っていること、企業の安定性や継続性などをその根拠に挙げ、法手続上も全く問題はないと主張する一方で、業務を受託した第三セクターがさらに下請業務をどのように発注しているかについては、民間企業同士の取引であるから、都は一切関知し得ないし、する立場にないとの答弁でした。
 これでは、支払った委託料が適正な金額なのか、また、適正に使われているのかどうかもチェックすることができません。私たちは、現在都が導入を進めている指定管理者制度が、まさにこれと全く同じ構図になってしまうのではないかと危惧するものであります。
 逆に、民間企業を第三セクターも含めて競争させることにより、コストの一層の縮減も図るというような、従来からの発想の転換も必要なのではないでしょうか。
 先日来、入札契約における談合問題が話題となっておりますが、このような公営企業と都の第三セクターとの随意契約のあり方についても見直すべきであると考えます。
 また、港湾局の所管する臨海三セクはビル事業を目的としており、これらに対して、都は毎年、財政的支援を行っています。ところが、これら三セクの収支状況は、営業上の支障になるということを理由として公表されておりません。これでは、公益性を理由に都民の税金がつぎ込まれている一方で、民間事業者の論理によって、その使われ方がチェックできない、実に大きな矛盾を抱えているものと考えざるを得ません。
 こうしたことも含め、私たちは、ビル事業に限らず第三セクターの担うべき役割について再整理を行い、法的整理、民間事業者への売却も含めて抜本的見直しを行うことを強く要望いたします。
 以下、それぞれの企業会計について意見、要望を申し上げます。
 まず、病院会計についてです。
 一、高度化、専門化する医療技術の進歩に対応するために、看護師の習熟度別教育や専門教育などの一層の充実を図り、看護師の能力向上に努めること。
 二、魅力ある職場づくりに努めるなど、都立病院の職員定数の充足を図り、医療サービスの質の維持向上に努めること。
 三、精神科身体合併症医療や精神科の救急医療、精神科特殊医療など、精神医療センターの機能の充実と必要な施設整備を推進すること。
 四、精神障害者の社会復帰や在宅療養支援を一層進めるために、関係機関と十分に連携を図るとともに、ノウハウの積極的提供に努めること。
 次に、中央卸売市場会計についてです。
 一、市場財産を総合的に利活用する観点から、既存施設の時代の要請に応じた施設への転用など、遊休施設の積極的活用や多目的利用を図り、収入の確保に努めること。
 二、事業執行の効率化を図るために、職員定数や事業費の見直しによる経費の節減など、徹底したコスト削減に努めること。
 三、予約相対取引制度の活用や買い付け集荷の自由化など、業者の商品提供機能の強化を図り、市場取引の拡大に努めること。
 続きまして、都市再開発事業会計についてです。
 一、環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業においては、立体道路制度を適用することから、設計、施工段階から維持管理、更新に至るまで、道路管理者との十分な連携を図ること。
 二、大橋地区市街地再開発事業においては、周辺区域とのまちづくりの一体性や連続性の確保を図り、良好な景観づくりや住環境の保全に努めること。
 三、北新宿地区市街地再開発事業においては、事業地区内だけではなく、周辺地域の交通実態を十分に勘案した上で、必要に応じて都市計画変更も行い、新宿副都心育成整備の重点施策にふさわしい事業として、周辺地域の道路との連続性、整合性、一体性を持った道路整備を行うこと。
 続きまして、臨海地域開発事業会計及び港湾事業会計についてです。
 一、不動産流動化市場が拡大する中で、臨海副都心開発にふさわしい事業運営の安定性と継続性を確保しつつ、SPCを活用した事業者の積極的誘致に努めること。
 二、五年後に暫定利用期間の終了するパレットタウンを含む都民提案街区については、都民の理解と協力を求めつつ、早急に暫定利用終了後の利用計画の検討を行うこと。
 三、臨海副都心開発に当たっては、風の道の確保など、より一層のヒートアイランド対策に努めること。
 四、臨海三セクが行っているビル事業は、改めて法的整理、民間事業者への売却も含めて抜本的見直しを行うこと。
 続いて、交通事業会計及び高速電車事業会計についてです。
 一、安定的な地下鉄事業の運営を維持し、より一層のサービスの充実を図るため、累積欠損金の解消に最大限努めること。
 二、土地建物の活用や広告事業などの関連事業など、一層の営業努力に努め、収支改善を図ること。
 三、土地建物の有効活用においては、関連部局とも連携し、地域のアイデアを取り入れるなど、地域への貢献という観点からの事業展開を図ること。
 四、広告事業においては、各交通機関の特性に合わせ、広告主に対する周知方法や販売方法について創意工夫を凝らし、販売促進に努めること。
 五、犯罪防止ポスターの掲出や啓発放送、都営地下鉄における女性専用車両の拡大など、増加する痴漢犯罪対策に努めること。
 続いて、水道事業会計についてです。
 一、平成十六年度包括外部監査報告において付された指摘、意見について真摯に受けとめ、経営管理の改善に努めること。
 二、水道業務の外部委託に当たっては、民間企業の競争性を高め、より一層の合理化及びコスト縮減に努めること。
 三、多摩地区に残存するアスベスト管について、安全対策を施しつつ、着実にその解消を図ること。
 四、私道及び宅地内メーターまでの鉛製給水管について、着実にその解消を図るとともに、宅地内の鉛製給水管の取りかえについて、都民への啓発に努めること。
 五、都民に安全な水道水を供給するため、新たな科学的知見などを積極的に取り入れつつ、精度管理と技術力の向上など、水質管理に努めること。
 六、多摩地域の事務委託解消に当たっては、PR方法を工夫するなど、各自治体や都民に混乱を招かないように努めること。
 最後に、下水道事業会計についてです。
 一、用地や下水道管渠空間等の貸し付けに当たっては、地域の活性化に資するために、地元自治体の要望などを踏まえつつ、引き続き保有資産の有効活用を図ること。
 二、経営計画二〇〇四に基づき、下水道事業にかかわる建設費及び下水道施設の維持管理費の削減に取り組み、より一層の経営改善に努めること。
 三、区部下水道においては、再開発事業用地内等における部分分流化を推進すること。
 四、「油・断・快適!下水道」キャンペーンの強化を図り、簡便に設置可能で安価なグリース阻集器の開発並びにスーパーや飲食店等へのグリース阻集器の設置促進に努めること。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○大松委員 私は、都議会公明党を代表して、平成十六年度公営企業会計決算について意見開陳を行います。
 初めに、各公営企業会計に共通する事項について申し上げます。
 まず、経常利益及び損失を見ると、前年の平成十五年度には、全十一会計のうち四会計で経常損失が出ておりましたが、平成十六年度には、経常損失を出した会計が二つに減っております。全体として、経営改善努力による一定の成果があらわれているものと評価するものであります。
 その一方で、累積損益に目を転じると、全会計の合計で累積欠損金が百五十一億五千九百万円から百八十八億八千八百万円にふえています。財務状況は依然として厳しく、今後も不断の経営改善の努力が求められます。
 公営企業の事業は、都民の生活に大きな影響を与えるものばかりで、常にサービス向上に取り組むとともに、安心・安全対策も着実に進めていかなくてはなりません。時代や社会の変化に的確に対応しながら、都民サービス向上と事業の効率化に向けた各局の努力を求めます。
 次に、各事業会計について申し上げます。
 初めに、病院事業会計について申し上げます。
 一、都立病院は、感染症医療、救急医療、がん医療、周産期医療、難病医療などの行政的医療を適正に都民に提供するとともに、都における医療の質的向上に努められたい。
 また、このような役割を果たしていくために、PFI事業の推進など、経営改善に向けた多様な努力を行い、安定した経営基盤を確立されたい。
 一、小児医療機関の減少を踏まえ、都立病院における小児医療の充実強化に努めるとともに、周産期医療の充実に努められたい。また、小児医療を担う優秀な小児科医の育成と確保に努められたい。
 一、都立病院は、災害拠点病院として災害における中心的な役割を果たせるよう、医療危機管理ネットワークの構築を推進し、震災対策等災害対応能力の一層の向上に努められたい。
 一、引き続き、エイズや結核はもちろん、新興感染症など感染症医療について、患者が安心して適切な医療を受けられるよう、診療体制の充実に努められたい。
 一、病院運営において、医療安全の確保は最も重要な課題であり、専任リスクマネジャーの能力向上を図るなど、医療安全対策についてより一層強固となるよう努められたい。
 一、都立病院改革マスタープランに基づく病院改革に当たっては、小児救急医療システムの整備充実など行政的医療の充実について、引き続き都民の安心と納得を得るよう最大限努力されたい。
 次に、中央卸売市場会計について申し上げます。
 一、自然災害やBSE、鳥インフルエンザ等の発生を踏まえ、緊急災害時における生鮮食料品の確実な供給に努めるとともに、都民に対する食の安全と安心を確保するため、常に消費者の視点に立ち、安全・安心な生鮮食料品が流通するよう最大限の配慮をされたい。
 一、市場内の環境対策として、小型特殊自動車の低公害車化を推進するとともに、市場内関係者と協力しながら、ごみの減量化、減容化を図られたい。
 一、健全な市場財政の運営を確保するため、収益の確保、経費の削減による内部努力の徹底により、今後の施設整備に必要な財源を確保できるよう、適切な措置を講じられたい。
 一、食肉市場については、老朽化した衛生設備の改修に取り組むなど、衛生対策に万全を期し、より安全で安心な食肉の供給に努められたい。
 一、豊洲新市場については、豊洲地域の環境と調和を図るとともに、首都圏における基幹市場としての機能を持った市場づくりに努められたい。
 一、第八次卸売市場整備計画を実施するに当たっては、各市場がそれぞれの特性に応じて、その機能が十分発揮され、卸売市場の活性化が図られるよう努められたい。
 次に、都市再開発事業会計について申し上げます。
 都市の骨格を形成する幹線道路とその周辺部の都市機能を再生し、生活環境の改善と防災性の向上を図るため、北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区及び大橋地区の市街地再開発事業を推進されたい。
 次に、臨海地域開発事業会計について申し上げます。
 一、東京の活力と創造力を生み出す臨海副都心の開発は、首都東京の再生に資するとともに、中小企業に対する大きな生産誘発効果や雇用誘発効果をもたらし、都民生活を支える極めて意義の大きい事業であります。このため、今後とも、晴海通り、環状二号線等の広域幹線道路や新交通「ゆりかもめ」の豊洲延伸などの交通アクセス整備を推進するとともに、事業者ニーズに的確に対応した土地処分方式を推進し、着実な開発を進められたい。
 また、広域防災拠点として位置づけられている有明の丘が、その機能を確実に果たせるよう、地域内の都市基盤はもとより、アクセス道路などの施設を整備されたい。
 一、臨海副都心は、都民の新しい観光スポットとして定着してきていることから、観光まちづくりを推進し、一層の活性化に努められたい。
 一、豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指す有明北地区については、新しい水際市街地の創造を目指して、着実に事業を進められたい。
 一、東京港の埋立地の開発整備に当たっては、都市再生に寄与するよう進めるとともに、引き続き都民の要望に的確に対応して、海上公園等の整備や各種スポーツ・レクリエーション施設の拡充に努め、都民の多様な余暇活動にこたえられたい。
 一、臨海の第三セクターは依然厳しい状況にあるが、臨海地域のインフラ設備の管理を担う重要な施設であることから、今後もテナント誘致に向けて、港湾局だけではなく、関連各局と連携をとり、積極的な経営改善に努力されたい。
 次に、港湾事業会計について申し上げます。
 一、東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動を支える重要な物流拠点であり、今後もメーンポートとしての地位を維持していくために、事業運営の効率化に努めるとともに、利用者ニーズに的確にこたえる施設整備を行い、内外の貨物誘致等を推進されたい。
 次に、交通事業会計について申し上げます。
 一、経営計画に基づく計画事業を着実に執行するとともに、組織の簡素化、経費の節減等、徹底した経営の効率化を推進し、あわせて資産の有効活用や新規媒体広告の拡大等による増収対策にも積極的に取り組み、収支目標の達成に努められたい。
 一、バス事業、路面電車事業については、利用者ニーズを的確に把握し、運行ダイヤの見直しや新しいサービスの提供により、乗客の増加に努められたい。
 一、高齢者や身体障害者はもとより、すべての人々が利用しやすいバスとするために、ノンステップバスの導入を進められたい。
 一、排気ガス対策の一環として、引き続き低公害車車両の拡充に努めるなど、環境対策に取り組まれたい。
 一、都バスの公共交通としての機能を十分に発揮するため、バスレーンの拡大、駅ターミナルの整備及び違法駐車対策等、バス優先の走行環境の整備を推進するよう、関係機関に働きかけられたい。
 次に、高速電車事業会計について申し上げます。
 一、経営計画に基づく計画事業を着実に執行するとともに、組織の簡素化、経費の節減等、徹底した経営の効率化を推進し、収支の改善に努められたい。
 一、ナンバリングの活用など、駅における案内を充実させることにより、障害を持っておられる方や外国人を含めて、だれもが利用しやすくわかりやすい地下鉄にしていくこと。
 一、広告事業を初めとして、関連事業の積極的展開により、安定収入の確保に努められたい。
 一、地下鉄の快適性を増し、乗客数の増加に資するために、駅施設や車両、設備等のきめ細やかな点検に努められたい。
 一、地下鉄における垂直移動施設としてエレベーターを積極的に導入するとともに、オストメートにも対応した車いす対応トイレの設置推進等、バリアフリー化に向けて駅施設の改善を促進されたい。
 一、地下鉄における火災対策の積極的な推進とともに、その際、エレベーター工事等との一体的な施工により、工期短縮、工事費抑制に努められたい。
 一、AEDの設置とその使用方法の一般への普及に向け、積極的な広報活動に取り組まれたい。都営バスについても同様の取り組みをされたい。
 次に、電気事業会計について申し上げます。
 一、引き続き良好な経営成績を示し、財政状況も安定している中、今後とも経営の健全化及び効率化になお一層努力されたい。
 次に、水道事業会計について申し上げます。
 一、将来にわたる安定給水を確保するため、新規水源の開発促進を国等に対し引き続き強く要望するとともに、国庫補助金等の拡大導入に努力されたい。
 一、近年の水源水質の悪化にかんがみ、水道水源の水質保全対策について国に対し強く要望されたい。
 また、水質監視体制に万全を期すとともに、浄水処理の一層の徹底に努め、都民が求める安全でおいしい水を供給できるよう、高度浄水施設の建設を積極的に推進するとともに、引き続き鉛製の給水管の解消に努められたい。
 一、都民生活や都市活動を支えるため、浄水施設及び送配水施設の整備を積極的に進めるとともに、浄水場におけるろ過池の覆蓋化など、危機管理対策について万全を期されたい。
 また、事故時や震災時においても必要な水を確保できるよう、水道施設の耐震化等に努めるとともに、他の事業体間との水の相互融通など、連携体制をより一層整備し、震災対策を推進されたい。
 一、水資源の有効利用を図るため、広報による節水意識の高揚、循環利用及び雨水利用の促進など、節水諸施策を推進し、節水型都市づくりに努められたい。
 また、経年配水管の取りかえに引き続き取り組むとともに、漏水防止対策を引き続き推進されたい。
 一、財政の安定化を図るため、東京水道経営プラン二〇〇四に盛り込まれた職員定数の削減や工事コストの縮減、資産の有効活用などを行うとともに、新たな経営手法や第三セクターを積極的に活用し、一層の企業努力に努められたい。
 また、事業評価制度の活用などにより、都民への説明責任を果たし、より一層信頼される水道を目指して事業運営に努められたい。
 一、広域水道としてのメリットを発揮し、多摩地区水道事業のより一層の水道サービスや給水安定性の向上と効率的な事業運営を図るため、多摩地区水道経営改善基本計画に基づき、経営改善を積極的に推進されたい。
 一、多摩地域の水道経営改善における事業委託に当たっては、民間の活力を積極的に活用されたい。
 一、太陽光発電などエネルギーの有効活用や、発生土の再利用など資源リサイクルに努めるほか、環境会計の公表など、東京都水道局環境計画に掲げた総合的な環境施策を推進されたい。
 一、インターネットを活用したサービスの充実や水道施設の開放など、都民生活に密着したサービスの推進に努められたい。
 次に、工業用水道事業会計について申し上げます。
 一、工業用水道事業会計については、安定給水及び施設の安全性を確保するとともに、事業運営の効率化、財政の安定化に努められたい。
 次に、下水道事業会計について申し上げます。
 一、経営計画二〇〇四を着実に実行し、一層の都民サービスの向上と経営の改善に努められたい。
 一、老朽化施設の再構築を進めるとともに、新・再構築クイックプランを着実に推進されたい。
 一、都市型水害に対処するため、ポンプ所、幹線管渠などの基幹施設整備に加え、新・雨水整備クイックプランを積極的に推進されたい。
 一、東京湾及び都内の河川の水質を保全するため、合流式下水道の改善及び高度処理の促進を図るとともに、新・合流改善クイックプランを着実に実施されたい。
 一、区部に残る下水道普及困難地域を早急に解消されたい。
 一、多摩地域の流域関連公共下水道の整備と整合を図りながら、流域下水道建設事業を促進されたい。
 一、下水道事業の地球温暖化防止計画、アースプラン二〇〇四を着実に推進し、温室効果ガス排出量の削減に努められたい。
 一、下水汚泥の資源化技術の開発促進や有効利用の拡大を図り、リサイクルの促進に努められたい。
 一、再生水の活用や下水の熱、管渠内光ファイバーケーブルの利用等、下水道の新たな役割に積極的に取り組まれたい。
 一、国庫補助金の確保や起債における政府資金枠の拡大等、財政措置を国に強く要求するとともに、資産の有効活用など、企業努力を一層促進されたい。
 一、下水道事業を効率的に運営していくため、さらなるコスト縮減に努められたい。
 以上をもちまして意見開陳を終わります。

○たぞえ委員 私は、日本共産党都議団を代表して、二〇〇四年度、平成十六年度公営企業会計決算について意見を述べます。
 政府のリストラ応援政治のもとで、完全失業者は全国で三百万人に達し、パートなど非正規雇用が労働者の三分の一近くを占めた上に、社会保障の連続的な改悪などによって、都民の暮らしはかつてない深刻な危機に直面しています。さらに、九〇年代からの貧困と社会的格差の新たな広がりが重大な社会的問題となり、低所得者層の増大という傾向が顕著に進んでいます。
 こうした中で、東京都の公営企業事業がむだな大型開発となる公共事業を見直し、都民の暮らしや営業、医療と福祉、サービスを充実させ、公共料金の負担を極力抑えることが強く求められていました。
 水道料金については、都民の大きな世論によって基本的に食いとめることができましたが、むだな大型開発には歯どめがかからないなど、極端な都市再生に重点的に予算配分される逆立ち政治が引き続き進められています。
 我が党は、都民の視点に立ち、それぞれの事業会計決算審議に臨み、そのあり方をただしてきました。
 ここで主な課題について意見を述べます。
 まず、水道事業会計です。
 我が党は、都の水需給予測は、実態からも百万立方メートル以上の過大な予測があることを指摘してきました。予測が誤っているために、過大な投資が行われています。再度水需給計画を見直すとともに、節水型の都市づくりや地下水の涵養と活用などが求められています。
 この立場から、不要なダム開発の見直しや建設改良事業などの過大な公共投資をやめることを強く求めておきます。
 また、水源を確保するために、利根川水系及び荒川水系における水資源基本計画に基づく新規水源の開発促進や、江戸川、奥多摩湖等の水源確保対策も求めておくものです。
 次に、臨海開発事業会計についてです。
 臨海副都心開発への企業の呼び込みでつくられた臨海三セク三社救済のために、都は、経営安定化策、夢の島マリーナ無償貸与、未利用地の駐車場代など、あらゆる救済を行いました。にもかかわらず累積損益が九百十四億円、債務超過三百六十七億円と年々増加しています。出資者であり共同経営者である銀行に債権放棄させ、三セクビルを都民財産として活用するべきです。
 本体の臨海開発事業会計は破綻しており、埋立事業会計と羽田沖埋立会計を統合させ、その赤字の穴埋めに巨額の税金がつぎ込まれたことが審議でも明らかになりました。このまま開発を続けても、借金財政を解消することはできません。臨海開発をこれ以上続けることはやめ、国に責任を求めるとともに、銀行にも債権を放棄させ、都民参加で根本から見直すことを強く要求しておきます。
 次に、中央卸売市場会計では、築地市場の関係者全体の合意もないまま、移転先ありきで行われている豊洲新市場建設計画推進はやめるべきです。
 総事業費一千三百億円、市場規模四十四ヘクタールと過大投資による大型化、またPFI導入により、市場建設の公共性が縮小されています。市場業者の営業に困難を持ち込むものであり、本来の市場の役割を踏まえた見直しを求めるものです。
 交通事業会計については、大江戸線開通により、既存のバス路線が大幅な廃止変更されました。また、三十分以上の間隔の路線が三十六路線、二七%に上るなど、高齢者や障害者を初め都民生活に欠かせない交通手段の廃止縮小は認められません。
 高速電車事業会計についても、職員の大幅な削減によって、十五駅の駅舎管理が民間委託され、助役以外は派遣社員の職員になっており、公営企業としての役割の縮小は許されません。
 都営地下鉄のバリアフリーは緊急を要する問題であり、百六駅のエレベーター設置の促進と、人命を守るために転落防止効果を上げているホームさくを大江戸線に設置するよう、強く求めるものです。
 次に、都市再開発事業会計は、北新宿地区、新橋・虎ノ門地区、大橋地区ジャンクションの再開発で、いずれも放射六号線、環状二号線、中央環状品川線という幹線道路建設と一体となった都の施行で再開発を進めるものです。
 総事業費も三千百四十六億円という高額な財源を必要とするものであり、同時に、従前居住者は一割から二割程度しか残れない、まさに住民追い出しの再開発です。特定建築者制度や事業協力者制度などによって、結果的に大手ディベロッパーやゼネコンを利することになり、このような再開発のあり方はやめるよう求めるものです。
 下水道会計では、集中豪雨の際の排水体制が現行五〇ミリ対応では処理できない都市開発が連続的、多発的に進行するもとで、排水能力を超える新たな事態を迎えています。
 緊急に総合治水対策を確立するため、管渠、ポンプなどの施設の整備、半地下式住宅排水能力の改善、排水設備届け出指導の改善、下水道雨水貯留浸透事業の促進を求めておきます。
 最後に、病院事業会計について述べます。
 都立病院改革マスタープランに基づいて、都立病院を半減させる計画が推進され、都立母子保健院廃止に続いて、決算年度の十六年度には大久保病院が公社化されました。続いて、八王子、清瀬、梅ケ丘三病院の統合廃止が、そして十八年度には荏原病院の公社化が計画されています。豊島病院の区移管では、地元区の合意がとれず、計画の行き詰まりは明白となっています。
 さらに重大なのは、採算性重視のもとで、在院日数短縮や精神患者の転院が強制され、都立病院として本来の役割が投げ出されていることです。医師、看護師不足による過重労働、さらには、東京ERは体制不十分なまま推進しており、病院全体に大きな影響をもたらしています。
 安心していつでもかかれる都立病院を、との都民の声にこたえられない事態が生まれていることは、深刻そのものです。患者中心の医療に立ち返り、運営改善と病院統廃合計画は改めて見直すべきです。
 以上で、日本共産党の意見開陳といたします。

○大西委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、本委員会に付託された平成十六年度の公営企業会計決算について意見を申し上げます。
 国も地方も財政状況が大変厳しく、また、本格的な少子高齢社会の到来を目前にした今、大胆な行政改革、徹底的な効率化は不可避です。東京都でも、指定管理者制度の導入が始まり、今後は、市場化テストのような官から民への動きはますます拡大していくと思います。
 そのような動きの中で、官民の役割分担のあり方を議論する際、単に公共性が高いとか、公益に重大な影響があるなどといった抽象的な説明では、民営化を押しとどめることはできません。
 社会経済状況がどのように変わろうとも、住民に対して行政の果たすべき役割がなくなることはあり得ませんが、公共の福祉に資する公的な役割、いわば不採算性を内包する公共性や、企業としての社会的貢献と公としての役割なども精査し、検証を行い、都民との合意を高めていくことが必要です。
 まず、公営企業局に共通課題として申し上げます。
 これまでも、決算書については、その説明資料、事業概要など、一連の事業のつながりがわかるよう、だれが見てもわかりやすい決算報告とするよう改善を求めてきました。
 今回の決算委員会で、水道事業、都市再開発事業、臨海地域開発事業の取り組みを伺いましたが、引き続き各局の改善を求めるものです。
 契約・入札制度についても、透明性を高めるために、落札率の公表の徹底、都民が検索しやすい仕様に情報提供の改善、また、電子入札制度の導入に向け、セキュリティー機能等の条件整備を進めること、総合評価方式の導入に向け、多様な契約発注方式を検討、試行することなども引き続き要望いたします。
 それでは、会計別に意見を申し上げます。
 まず、病院会計についてです。
 一、都立病院の経営責任を明確にするため、負担金と補助金の区分はさらに精緻化を進め、都民への情報公開を進めること。
 一、都立病院にあっては、クリニカルパスの有効活用を進め、地域の各医療機関との連携と、予防を軸とした医療のネットワーク化への寄与を進めること。
 一、都立病院の患者の権利章典を、医療従事者及び患者へ周知を図り、患者へのサービス向上を進め、インフォームド・コンセントの原則を徹底すること。特に、小児医療については、子どもとその家族に向けた特有の権利を反映させた権利章典を作成し、患者中心の医療を進めること。
 一、セカンドオピニオン外来の対象疾病を拡大するなど、より多くの都民の医療ニーズにこたえられるよう、専門外来を充実させること。
 一、都立病院では、塩ビとフタル酸エステル製の医薬用具は使用しないこと。
 一、都立病院でのエイズに関する診療体制と骨髄移植についての医療体制を拡充すること。
 一、小児専門医を育成し、確保していくために、都立病院においての専門臨床研修制度を拡充すること。
 次に、中央卸売市場会計についてです。
 一、生産から消費に至るすべての段階での安全対策を進める食品安全条例に基づき、安全な食品の管理と未然防止の観点から、危機管理マニュアルを十分に活用し、安全性に問題のある食品に関しては、市場に入れない、流通させないことを徹底して行うこと。
 一、残留農薬が検出された農産物に関して、さかのぼって生産者名まで特定できるように、ICチップの導入などにより、生産流通履歴、トレーサビリティーシステムの開発を検討すること。
 一、有機農産物や特別栽培農産物等の供給を図る上での対策や取り組みをより一層進め、食べ物の安全性を確保するため、消費者の立場に立ち、独自対策の強化に努めること。
 一、循環型社会づくりに市場として貢献するため、生ごみコンポスト化を初め、ごみの減量、減容化、再生利用に業界とともに一層の取り組みを進めること。
 一、市場内の運搬車の電動化を図り、排ガス対策を進め、市場活動に伴う環境負荷の低減により一層努めること。
 一、都民・消費者への生鮮食料品の流通実態や食品に関する情報提供、意見交換を図るに当たり、都民意見の反映の仕組みを充実すること。
 次に、臨海地域開発事業会計についてです。
 一、開発計画全体の見直しを公開、参加で再開すること。これに伴い、広域幹線道路など交通アクセスについての整備量全体を縮減するとともに、公共交通を優先するなど、都財政の危機的状況や他の都内整備との均衡を考え、将来世代への負担を残さないようにリスクを最小限に抑えること。
 一、臨海関係第三セクターについては、一般財源の投入を抜本的に見直し、都の責任は出資の範囲内として、都民に経営状況を公開すること。
 次に、交通事業会計及び高速電車事業会計についてです。
 一、交通局は、広く東京の公共交通政策に的確に対応できるよう、長期的視点に立った体制の整備を図ること。
 一、防災、震災対策の強化とともに、テロ対策を進めること。
 一、LRTの導入に取り組むこと。
 一、ハイブリッド自動車や天然ガス自動車などの低公害バスをさらに積極的に導入すること。
 一、だれもが利用しやすいバスシステムとして、アクセスしやすい小型車両の導入、ノンステップバス等の導入は、全路線への早期配置に努め、施設整備の充実を図ること。
 一、都民サービスの向上に向け、相互利用ができるよう、ICカード乗車券の導入など整備に努めること。
 一、都営地下鉄において、ホームドアなどを設置し、ホームからの転落事故防止対策を進めること。
 一、大江戸線延伸については、情報を公開し、建設については費用対効果を考慮すること。
 一、施設整備は、ユニバーサルデザインへの転換を図ること。
 一、障害者、障害児のためのトイレのおむつかえベッドの整備を進めること。
 次に、水道事業会計についてです。
 一、水は限りある貴重な資源との観点から、節水、漏水対策等、再利用を強化するとともに、都の独自の水源の回復と保全に努め、適正、有効に利用して、ダム開発に頼らない水道事業の構築を図ること。
 一、認可水源となった多摩の地区水源を都の保有水源に組み入れること。
 一、地区水源の保全計画を立て、汚染に際しては、汚染物質の除去と継続的な揚水で再開を目指すこと。
 一、過大な水需要予測は、実績と実態に合わせ再度早急に見直し、ダムの本体工事に入っていない八ッ場ダム計画からの撤退を検討すること。
 一、自己水源である小河内貯水池などの水質保全対策に努めること。
 一、安全でおいしい水の確保のため、江戸川の水質改善を強化するとともに、生活排水対策を強化すること。
 一、現在、工業用水のみを給水している玉川浄水場については、多摩川中流の環境基準B類型達成後の再開を目指した計画モデルを明らかにすること。
 一、無人化の進む浄水所や給水所などの安全対策を万全に行い、非常時には地元自治体との連携で対策を進めること。
 一、環境負荷の低減に向け、環境会計の取り組みを進め、情報公開に努めること。
 次に、下水道事業会計についてです。
 一、水環境の改善と水循環の促進の視点から、着実に合流改善を進めること。
 一、新・合流改善クイックプランで示された部分分流の導入などとともに、雨水浸透を積極的に進めること。
 一、下水の再生処理水、汚泥の積極的活用など資源化に努めること。とりわけ、汚泥資源の有効的かつ積極的活用を進めるために、都や都関連の公共施設、都が発注する公共事業などへの利用促進を働きかけるとともに、低コスト化に努め、民間への普及を図ること。
 一、下水道管渠を利用した光ファイバーやマンホールアンテナ通信システムについては、下水道事業の厳しい財政状況を認識し、諸条件の整備など、早期の実用化に向けた研究開発を着実に進めること。
 一、奥多摩地域の下水道未整備地域については、下水道バイオマスの活用など、環境配慮と経済性から新たな整備方法を開発すること。
 一、単体ディスポーザーについての広報活動を強化し、販売自粛、使用自粛の取り組みを強化し、ディスポーザー排水処理システムの水質管理調査は継続すること。
 一、オイルボールの発生を防止するため、小規模店舗にも設置可能なグリース阻集器の普及を促進すること。
 一、未利用エネルギーの有効活用をさらに進めること。
 最後に、都市再開発事業会計についてです。
 一、事業収支を一層明確にすること。
 一、事業を進めるに当たっては、地域を区分し、優先順位を図り、整備に取り組むこと。また、一年ごとの具体的な目標を設定し、その達成度を評価し、見直しも含めて検討すること。
 以上で意見開陳を終わります。

○馬場委員長 以上で意見開陳を終わります。
 なお、本決算を認定する際は、意見を付することといたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 また、意見案文の取りまとめにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る