公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成十七年十月二十六日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十一名
委員長ともとし春久君
副委員長山田 忠昭君
副委員長斉藤あつし君
副委員長古館 和憲君
石森たかゆき君
たぞえ民夫君
上野 和彦君
大西由紀子君
吉田康一郎君
松原 忠義君
田代ひろし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
下水道局局長前田 正博君
次長今里伸一郎君
総務部長野口  孝君
職員部長石坂 景二君
経理部長渡辺  勉君
業務部長大西登喜雄君
計画調整部長中村 益美君
施設管理部長小川 健一君
建設部長伊東 三夫君
参事伊藤 英男君
流域下水道本部本部長只腰 憲久君
管理部長三浦  茂君
技術部長桜井 義紀君

本日の会議に付した事件
平成十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成十六年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○ともとし委員長 ただいまから平成十六年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○渡辺経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成十六年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。区部における排水設備計画届け出状況でございます。
 平成十五年度及び十六年度について、区ごとの宅地内における排水設備の計画届け出件数をお示ししてございます。
 二ページに参ります。区部における浸水対策の計画と実績及び近年の主な浸水被害状況でございます。
 平成十六年度末における浸水対策の計画と実績及び平成十四年度から十六年度までの三年間における大雨等に起因いたします浸水戸数をお示ししてございます。
 三ページに参ります。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 平成六年度から十年度までの五年間に設置した個数及び平成十一年度から十六年度までの六年間における設置個数の推移をお示ししてございます。
 四ページに参ります。区部下水道建設事業費の推移でございます。
 平成七年度から十六年度までの十年間における区部下水道建設事業費の推移をお示ししてございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○ともとし委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 下水道局、大変重要な仕事で、ある意味では日が当たらないといったら申しわけないんですけれども、大変地味なお仕事かもしれませんけれども、我々都民にとって最大重要な仕事の一つだと思いますので、心して質問させていただきたいと思います。
 時間の関係もありますので、きょうは一点、私が常々大変心配していることを質問させていただきたいんですが、最近、大変地震が多いですよね。ことしの七月二十三日に起きた地震でもかなり交通機関が麻痺して、最大七時間ストップ、エレベーターの中に閉じ込められた方もいる。それからもちょくちょく地震がある。
 いろんな説があるんですけれども、ああやってガス抜きをされていると逆にいいんだというのもあれば、もうきょうあした、とてつもなくでかいものが来てもおかしくないという意見もあるんですが、実は私、去年、中越の地震のときに、発生四日後に入って三日間救援活動をしてきたんですけれども、やっぱり一番困ったのはトイレなんですね。役場から放射状に一列に簡易トイレをつくりまして、電気がついている方から女性専用を三つ、僕が行ったところは残りの四つを男女兼用でやってくださいということになっていたわけですけれども、トイレが大変でした。
 阪神・淡路のときに比べると、うちの医師会がそのときに全国で二チーム、最初に我々は出したものですから、知事からも、当時の厚生大臣の小泉さんからも表彰はいただいたんですけれども、あのときのトイレというのはひどいものでしたが、今度の中越は、兵庫県の方には申しわけないけれども、越後の人というのは秩序正しいし、なかなか我慢強いな、あるいは学習しているのかなと思ったんですけれども、やはりトイレが非常に大きな問題でありました。
 翻って見たときに、当時エコノミークラス症候群というのが一番問題になったんですけれども、脱水になって、ある意味では血液がどろどろになって詰まってしまう、亡くなってしまう病気ですけれども、やはりトイレが嫌だということなので、医学的にいうと脱水症状を起こす方がたくさんいらしたんですね。水を飲まない、飲みたくない、水分のあるものをとらない、これじゃ困るのでありまして、東京にもしも直下型の大地震が来たときに、当然時間によっては帰宅困難者があふれ返るわけですから、今、おトイレの数が幾つある、どうするということは下水道局に直接お伺いすることはないんですけれども、やはり皆さん方のお力がなければ、これは対応が全くできないわけであります。
 そこで、この震災時にトイレの機能を確保するための対策、何かございましたら教えていただきたいと思います。

○中村計画調整部長 震災時にトイレ機能を確保するため、区部の避難所や災害拠点病院などに指定されております約二千カ所を対象に、これらの施設の排水を受け入れます枝線管渠について耐震化を進めております。
 具体的には、管渠とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更することによりまして耐震性の向上を図っているものでございます。このような取り組みを平成十六年度末までに約五百カ所実施しております。また、あわせまして、震災時に既設管渠を利用したトイレ機能を確保する取り組みを、区と連携いたしまして進めております。

○田代委員 今、最後に、区と連携がなされているということなんですけれども、これはとても大切なことで、当然区や市との連携というのをしっかりやっていきませんと、下水道局だけでこれは事足りるわけではありません。区とどのような役割分担や調整、今おっしゃられたようなこと、内容についてお話しいただきたいと思います。

○小川施設管理部長 トイレ機能の確保に関します下水道局と区役所との役割分担等でございますが、下水道局では、避難場所、災害拠点病院等の排水を受け入れる下水道管渠の耐震化並びに仮設トイレ等から出るし尿の受け入れを行うこととしておりまして、仮設トイレの設置、管理については区が行うこととなっております。
 そこで、下水道局では、避難場所等の排水設備の耐震化ですとか仮設トイレの整備が計画、実施されている場所から優先的に耐震化工事を行っておるところでございます。

○田代委員 そうすると、区の方の仕事も大変重要なわけですね。区がしっかり仕事をしていって、それにあわせて下水道局が分担をしながら設置の方向に向けて仕事を進めていくわけですけれども、特に管渠の耐震化は大切なことだと思うんですね。地震が来ちゃって、設置はしたけれども、使えなくなりました、これじゃ困るわけですから、そういうことをしっかりやっていただきながら、今お話にありましたように、直接設置できる箇所を区と連携して指定しているということなんですが、このような指定を受けているマンホールは幾つぐらいあるのか、あるいはまたどのような場所に設置しているのでしょうか。

○小川施設管理部長 仮設トイレを公共下水道のマンホールに直接設置できる箇所としましては、現在、各区役所と調整しまして、平成十六年度末で約四百五十カ所指定しております。
 どのような場所を指定しておるかといいますと、避難場所等の周辺において一定の水量が確保できて、交通及び応急活動等に支障とならない場所等を指定しまして、そこに設置することといたしております。

○田代委員 四百五十カ所、これが多いか少ないか、僕は単純に全然足りないと思っているんですけれども、これは今からどんどん取り組んでいただかなくちゃならないんですが、仮設トイレを設置するには、当然マンホールのふたをあけなくちゃいけないわけですね。このふたは、当然車の圧力によってはね上げられたりなんかしては困るわけですから、それなりの重さがあって、ある意味では安全を保障するための大切な重さがあるわけですね。逆にいうと、こういうときにはすぐあいて、すぐ設置できないと困る。ある意味では多少非力な方でも設置可能である方がいいわけですが、また、逆にいって、マンホールの中にお年寄りが、あるいはお子さんが、こういうようなこともないとはいえないわけです。
 この仮設のトイレは、だれがどのようにして設置するのかを教えていただきたいと思います。

○小川施設管理部長 ご指摘のとおり、公共下水道のマンホールぶたの開閉については、安全の確保ということが重要でございますので、マンホールぶたの開閉につきましては下水道局が行いまして、そこに区役所が仮設トイレを設置するというような役割になっております。下水道局、区役所、両者で連携を図りながら実施してまいることとしております。

○田代委員 マンホールのトイレは、一個当たり二十万円程度ということを聞いているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、トイレを確保することは震災のときの対策として非常に重要なことの一つなんですね。我々医療活動をやるにしても、やはり交通の便がまず確保されないとどうにもならない。物資の方ですね。と同時に、そこで最低限の生活をしていただくためには、まずトイレの設置ということがないと、心落ちついて避難生活というのを進めていくわけにいかないわけですから、区と連携して設置箇所をなるべく拡大していただきたい、これを要望として申し上げておきたいと思います。
 そして一方では、区では下水のマンホールに直接備えることができる仮設トイレよりも、まだ便槽つきが多いという現状を聞いているわけですけれども、この便槽つきの仮設トイレの場合、し尿の受け入れを円滑に行うための受け入れ体制の整備が重要だと思うんですが、これまでの取り組み状況を教えていただきたいと思います。

○小川施設管理部長 各区が収集運搬してきましたし尿の受け入れにつきましては、各水再生センターで受け入れることとしておりまして、受け入れ場所の確保を行っております。また、これに加えまして、下水道幹線管渠のマンホールからも受け入れができるようにということで、し尿受け入れ用のマンホールにつきまして、平成十六年度末で約六十カ所指定しております。これらについては、防災訓練等の際に区役所の職員とも位置の確認等を行っているところでございます。

○田代委員 先ほどから申し上げておりますように、昼間、最大限三千万人近い人が東京にいると予測されるわけですね。時間帯によっては帰宅困難者は大変大きい数に上ると思うんです。そうでなくても千三百万人弱の人口があるわけですから、この方たち、直下型ですから、全部が全部じゃないことはよくわかってはいるんですけれども、やはり数十万、数百万単位ということになると、先ほどの箇所の設置では足りようはずもない。やはりそのためには、一番最初にお答えいただいたように、区との連携、これが重要なわけですが、区が動くのを待っているのではなくて、もっともっと積極的に区とお話しいただいて、東京全体を下水道局が責任を持って守ってやるぞという意気込みで仕事を進めていただきたいと思うんですが、最後に、この地震による被害の軽減に向けた今後の取り組みの姿勢、どのように今から取り組んでいくかということをご質問させていただいて、質問を終わらせていただきます。

○中村計画調整部長 今後も、震災対策に当たりましては、震災時の拠点となる施設での排水の受け入れができるように、引き続き管渠の耐震化を図るとともに、震災時の速やかなトイレ機能の確保に向けまして、区などと連携をし、鋭意取り組んでまいります。

○斉藤委員 それでは、下水道局に対して質問いたします。
 平成十六年二月に刊行されております東京都流域下水道事業経営計画二〇〇四、ちょうどこの決算の年度の始まる前につくられておりますが、これを見ますと、冒頭五ページから八ページぐらいにかけて、かなり財政の逼迫を訴えております。大変お金の方が厳しいんですよと訴えています。また、それに呼応した形で九から一〇ページで財源確保について、大まかではありますけれども、今後の考え方を述べられております。
 これは流域下水道でございますので、この冊子が、この計画がだれに見せるためにつくられているかによっても大分受け取り方が違うんですが、考えてみれば、主に雨に関する流域下水となりますと、一般の都民にいっても、じゃ、都民がどうしたらいいかというと、これはなかなか答えられませんね。地球環境に配慮をして、なるべく異常気象にならないような、温暖化を防ぐというぐらいしか都民は間接的にかかわりようがなくて、じゃ、一体どうしたらいいかと都民に対して訴えかけているというふうなことではないのではないかと。
 そうすると、この訴えかけは結局東京都の方に戻ってしまうんじゃないか。いわゆる行政の方で上手に運営をしていかなければいけないというふうなことに答えがなってしまうんじゃないか。そんなふうなちょっと不思議な感じをこの経営計画二〇〇四を見て思いました。ということで、いっている方も東京都ですが、いわれている方も東京都という部分で、東京都は十六年度どのように頑張ったかというあたりをちょっと聞いてみたいと思います。
 平成十六年度から、これらのさっき述べた財源確保について施策対応をスタートさせるというふうなことであったわけなんですが、一年間でどの程度の節約、または財源確保ができたんでしょうかということで、質問の一番目、節約できたと考えられて、また有効と思われた施策について教えてください。

○三浦管理部長 今、先生ご指摘の節約と申しますのは、私ども、コスト縮減という形で経営計画に掲げてございます。コストの縮減につきましては、流域下水道事業にかかわる建設費及びさまざまな流域下水道施設の維持管理費の削減に取り組んでまいりました。このうち建設費につきましては、水再生センターを中心としました設備仕様の見直しですとか、あるいは下水道管を埋設する際のシールド二次覆工省略型セグメントの採用など、設計条件の見直し等によりコスト縮減に努めてきたところでございます。
 また、維持管理費につきましては、水再生センターの設備点検の内容や下水汚泥の資源化メニューの一つでありますメトロレンガの生産体制などについて見直しを行いまして、コストの縮減に努めたところでございます。

○斉藤委員 節約策については大変努力をされているようです。まだ検討ができそうな部分というのも何かあるようですけれども、これについても今後どのぐらい効果があるか、ぜひ見守っていきたいと考えております。
 今、施策のメニューについて少し説明いただいたんですが、金額的にどのくらい効果があったといえるんでしょうか、ここを教えてください。

○三浦管理部長 先ほど申し上げました建設コストの縮減につきましては、経営計画では、平成十六年度八億円の縮減を見込んでおりましたが、さらに執行過程で創意工夫を凝らすことによりまして十億円のコスト縮減を達成したところでございます。また、維持管理費につきましても、経営計画の縮減見込み額一億一千万円に対しまして、一億二千万円の縮減を図ったところでございます。

○斉藤委員 それでは、これは水道局の方でも割とよくやっているというふうなことを聞いているんですが、下水道局でも資産活用ということについて進んでいると思うんですが、この資産活用についてどのぐらい進んでいるか、どういう事例があるのか、そのあたりについて伺いたいと思います。

○三浦管理部長 資産の有効活用についてでございますが、用地等の貸し付けや下水道管渠空間、約六千九百メートルになりますが、光ファイバーケーブル用に貸し付けることなどにより、十六年度におきましては二千万円の収益を確保したところでございまして、経営計画の見込み額も達成したところでございます。

○斉藤委員 多摩地域の下水道については流域下水が中心なんですけれども、これについては一般の水道料金でお金を取れるというものではありません。どうしても一般会計の方から財源をお願いしていくようになるわけなんですが、今後の一般会計の繰り入れについてはどのようになりそうですか。特に下水道局については公営企業会計でありますが、流域の部分については一般会計の繰り入れを行っておりますので、ぜひ慎重な対応が求められるところだと思います。これについて教えていただきたい。

○三浦管理部長 流域下水道事業に対する都の一般会計の繰り入れについてでございますが、流域下水道事業に対します一般会計の繰り入れの仕組みでございます。
 まず、建設費につきましては、国庫補助金を除いた残額につきまして、都と関係市町村が二分の一ずつ、折半という形で負担することとなっており、この東京都の負担すべき二分の一相当額にかかわる企業債の元金償還金及び利子等の支払い額が、一般会計から流域下水道事業に繰り入れられております。
 また、維持管理費につきましては、関係市町村が基本的にすべて負担することとなっておりますが、先ほど申し上げました建設費のうち、都の負担すべき二分の一相当額にかかわる減価償却費等につきましては、当然のことながら一般会計から繰り入れられている、そういう仕組みになっております。
 このような仕組みでございますので、今後の国庫補助金の動向や財源となります企業債の利率等の企業債発行条件の推移等によりまして、一般会計繰入金はかなり変動することになります。したがいまして、その長期的な推計を行うことは困難であります。
 なお、先生ご指摘の経営計画の計画期間であります平成十六年度から十八年度の一般会計の繰入金について申し上げますと、それぞれ、十六年度決算額は九十億九千三百万円、十七年度予算額は七十六億九千万円、十八年度経営計画上の計画額は七十六億四千万円となっております。

○斉藤委員 今、十七年度、そして十八年度、十六年度の決算に比べれば、繰り入れの方の金額というのは少し抑えぎみにしたいということで、このあたり、決算の評価の部分で大変わかりやすいものじゃないかと思います。
 こういった中で、多摩の地域も、昨今の豪雨災害を受けて非常に浸水が多くなっております。たまたま小平の方でも、一部ちょっと市の方の動線がつないでない感じで、まだ残っているところがあるんですけれども、こういった都内の豪雨災害を受けて、今後財政的な負担に変化は出るんでしょうか。二十三区の方の方がこういった被害が大変大きいわけなので、余り細かい部分は私の方で質問しませんけれども、全体的な財政的な負担の変化について教えていただきたいと思います。

○三浦管理部長 浸水被害の軽減に向けた下水道の整備、例えば雨水管等の整備につきましては、一般的に汚水の対策に比べまして施設規模が大きくなりますため、多額の財政負担が生じることとなります。したがいまして、下水道局としては、関係市町村に対します技術的支援を引き続き行っていくほか、効果的、効率的な浸水被害の軽減方策について、関係市と検討をしてまいります。

○斉藤委員 最後にちょっと要望というか、意見を述べさせていただきます。幾つか伺った中で、さっき資産活用という話をさせていただきました。光ファイバーケーブルを埋めてという、私ども一般に歩いていてなかなかわからないところでも、下水道局はちゃんと、お金もうけといっちゃいけませんけれども、活用しているんだなと思います。
 あと、このほかでも、例えば下水処理場の上面なんかの活用についても、今後提案が上がってくるんじゃないかと思います。これについては、処理場そのものが国から補助を受けているところなので、国の方としては余り公的利用以外のものに使ってほしくないという、そういったストップがかかっているらしいんですが、ただ、現状を聞いてみると、そうなってくると、どうしても例えば公園とか、そういった割と当たりさわりのないものになってくるということはあります。
 ただ、場所によっては、恐らく近所に似たような公園があったり、もしくは公園をつくっても、余り利用者がいないと、かえって面積が大きいときには当然地元の自治体の方の管理費の部分で負担になってくる部分がありますので、このあたりについて、もうちょっと幅の広い活用なんかについても今後研究をしていただきたい部分かと思います。
 つまり、そういった限られた中で活用するというのではなくて、ある程度地元の自治体の要望を踏まえて、余り制限というのを加えずにやっていった方が、場合によっては、公園ではなくて、テニスコート、さらには最近はやりのフットサルコートなど、民間の方に任せる中で収益を上げていくということもあるんじゃないか。そういった中で地域の活性化という部分につなげていけば、余り限定された利用というよりは、地元の人もある程度理解ができるし、喜ぶし、また、大きな額ではないですけれども、多少の資産活用となるんじゃないかと思います。このあたりについては、ぜひ地元の方といろんな部分で接触があると思います。よく意見を聞いて研究をしていただきたいと思います。
 最後は、多摩地域と二十三区内では下水道の業務は大変違っております。多摩地域の業務については流域下水道が中心で限られておりますが、この流域については下水道局は公営企業会計の形をとっている一方で、一般会計からの繰り入れが、説明資料の概況のページを見たりする中で、区部においては営業収益だけで九百十九億円、営業外収益だけで五百七十九億円、出資金でも三百五十二億円、流域の方に至っては同様に四十三億、二十三億、二十四億と入れております。これはもちろん、さっきいったように、料金を取れない部分であるのでしようがないんですけれども、ただ、本当に効率よい、安全な運営を求めるということに限るわけです。ぜひとも今後一層の努力を内部の中で、また地元との研究を踏まえて一層の努力をしていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○上野委員 私からは、昨年九月に策定されました地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四について幾つか質問したいと思っております。
 地球温暖化につきましては、近年の様子を見ておりますと、予想を超えるスピードで進んでいるのではないか、このように思われるわけでございます。世界のニュースを見ておりましても、猛暑や洪水や干ばつ、こういった温暖化の影響による異常気象というものが頻発しているところでございます。
 我が国におきましても、そういった温暖化に起因するものではないか、このようにいわれております気候変動によるさまざまな問題が発生しているところでございますが、昨年は、この資料にもありますように、観測史上最多とされるような台風が上陸いたしましたし、また、東京におきましては、先月九月、中野周辺に時間最大一〇〇ミリを超える集中豪雨がありました。昔はというか、最近までは時間最大一〇〇ミリの豪雨というのは百年に一度、二度あるかどうか、このようにいわれたわけでございますけれども、今は本当にそういった五〇ミリを超えるような豪雨というのが頻繁に起きてきている、こういった状況の中で、やっぱり温暖化対策というのを本当に必死になって取り組んでいかなければならない、このように思うわけでございます。
 ことしの二月には京都議定書が発効いたしました。ご存じのとおり、議定書は、一九九〇年の排出量を基準といたしまして、先進国全体で五%、EUで八%、米国七%、日本は六%、このように国、地域別に削減率を定めまして、二〇一二年までに達成するよう義務づけているわけでございますけれども、二〇〇三年度の我が国の温室効果ガスの総排出量はどうなったかといいますと、減るどころか、逆に一九九〇年比で八%もふえているという状況でございます。ということは、六%削減の目標を達成するには、二〇一二年までに六プラス八の一四%の削減をしなければならないという大変に厳しい状況にあるわけでございます。
 我が国が環境先進国を目指していくならば、この京都議定書の義務を着実に実行することが何より重要でございます。そのためには、我々国民、産業界を挙げての意識改革や革新的な技術開発が不可欠でございます。私は、そうした取り組みの先導役として、ぜひとも東京都がよき模範を示していっていただきたい。特にそのかなめとなるのが下水道局だ、このように強く期待するものでございます。
 東京都は、本年三月、環境確保条例を改正し、これまでの地球温暖化対策計画書制度の強化を図っていくとともに、この八月には都庁全体で新たな削減目標を掲げた地球温暖化対策都庁プランを策定いたしました。このように、温室効果ガス削減に向けて積極的に取り組んでいるということでございますが、その中で下水道事業は、水再生センターやポンプ所といった多くの事業所を抱えているということから、都の事業活動で排出する温室効果ガスのうち、およそ半分が下水道局によるもの、このようにいわれているところでございます。
 そうしたこともあって、下水道局といたしましても、温暖化防止対策を図るに当たりまして、昨年の九月、いち早く、先ほどいいましたようなアースプラン二〇〇四というのを策定して、温室効果ガスの削減に積極的に取り組んでいるということでございますが、そうした取り組み状況などについて、これから幾つかお伺いしたいと思います。
 まず初めに、地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四の初年度に当たる平成十六年度の取り組みの状況についてお伺いいたします。

○中村計画調整部長 アースプラン二〇〇四の初年度に当たります平成十六年度でございますが、水処理施設にエネルギー効率の高い散気装置の導入や汚泥消化ガスを利用したバイオマス発電によります再生可能エネルギーの活用、さらには、夜間電力を活用しましたNaS電池導入によります新電源の活用などに取り組んだところでございます。
 これらの取り組みによりまして、初年度で計画しておりました年間約五千トンの二酸化炭素の削減を図ったことによりまして、これはアースプラン二〇〇四の削減目標、十八万五千トンの約四%に当たります。

○上野委員 今の答弁の中にもありましたけれども、局の温室効果ガス削減に関連いたしましては、既に昨年の予算特別委員会の一般質問で、我が党の鈴木貫太郎議員が、バイオマスエネルギーを活用した森ケ崎水再生センター常用発電事業の仕組みや事業効果などについては伺っておりますけれども、私も大変注目しておりまして、当選後、七月に早速現地を視察させていただきました。そこで、本事業が下水道事業として国内で初めてのPFI事業であるとともに、この温室効果ガスの削減に寄与するだけではなくて、電力コストの削減にも貢献されている、こういった状況を見ました。なるほど創意工夫を凝らしているんだなということがよくわかりまして、まさに今の時代に合った取り組みであると私は評価しているところでございます。
 そこで、改めてこの事業について幾つかお伺いいたします。
 まず、バイオマス発電の仕組みと平成十六年度の発電状況についてお聞きいたします。

○伊藤参事 発電の仕組みでございますが、バイオマスでございます下水道汚泥から発生いたします消化ガスは、メタンガスを主要成分といたしまして、都市ガスの約半分の発熱量を持っております。この消化ガスを燃料といたしましてガスエンジンを駆動させることによって発電させた、そういう仕組みになってございます。
 次に、平成十六年度の発電状況でございますが、一年間で一般家庭で使用する電力量の約五千世帯分に相当いたします一千八百万キロワットアワーを発電しております。このことによります環境効果は、代々木公園の森林が吸収する量の十三倍の量に相当いたします約二千五百トンの二酸化炭素が削減されたことになります。

○上野委員 本事業では、新たな制度であるグリーン電力証書システムを導入しているということでございますけれども、その内容についてちょっとお伺いしたいと思います。
 グリーン電力証書システムとはどのようなものなのか、また、下水道局が本システムに参入することでどのような効果があったのか、お伺いいたします。

○伊藤参事 グリーン電力とは、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能なエネルギーによりまして発電された電力のことでございます。二酸化炭素の削減や省エネルギー効果といった環境付加価値を有しているものでございます。グリーン電力証書システムとは、この環境付加価値をグリーン電力証書という形で具体化し、有価で取引するものでございます。
 具体的には、グリーン電力認証機構が認証いたしましたグリーン電力を企業等に販売し、証書を発行いたします。また、発電事業者は、グリーン電力証書の購入者より対価を得ることになります。一方、証書の購入者は社会に環境に配慮したことをアピールすることが可能になり、イメージアップが図れるということになります。
 次に、下水道局が本システムに参入した効果でございます。グリーン電力証書市場の信頼性が向上し、昨年度に比べ取引が約三五%増加しております。今後も需要の拡大が見込まれるというようなことから、市場の普及、拡大に貢献しているものと考えているところでございます。

○上野委員 ありがとうございます。下水道局がそういった参加をすることで市場の拡大に先導的役割を果たしているということがわかりました。さらには地球温暖化対策にも有効であるということもわかりました。
 そこで、森ケ崎水再生センター常用発電事業におきます発電量のうち、グリーン電力証書システムとして活用した平成十六年度の実績はどの程度か、お伺いいたします。

○中村計画調整部長 平成十六年度では年間で一千八百万キロワットアワーを発電いたしましたけれども、そのうちグリーン電力として活用した電力量は、約一五%に相当いたします二百六十万キロワットアワーでございます。

○上野委員 千八百万キロワットの発電量に対して二百六十万キロワット、約一四から一五%ということで、その割合というのは少ないように思いますけれども、初年度ということもあろうかと思いますので、本年度の発電量とグリーン電力証書販売見込みについてお伺いいたします。

○中村計画調整部長 本年度は約二千万キロワットアワーを発電する見込みでございますが、現時点で年間発電量の約半分に相当いたします九百万キロワットアワーが、都庁ライトアップなどのイベントとともに、東武鉄道株式会社や日本IBM株式会社などの企業に販売済みでございます。これは昨年度に比べまして約三・五倍となっておりまして、地球温暖化への関心が高まって、契約団体もふえておりますことから、今後も販売の増加が見込まれております。

○上野委員 大幅に増加しているということで安心いたしました。東京都庁のライトアップというものも非常に評判がいいということで聞いておりまして、これまで幾つかお伺いしてきましたが、下水道局がグリーン電力証書システムの活用、こういったもの、さまざまな工夫を積み重ねながら、そしてまた努力しながら、この温室効果ガス削減に取り組んでいらっしゃる、いわゆる都の先導的役割を果たしてきているということについて、私もきょうの話を聞いて高く評価するところでございます。今後とも下水道局は都全体の取り組みの牽引役として地球温暖化防止対策に積極的に努めていただきたく期待しております。
 最後に、今後はどのような具体的な施策を実施して地球温暖化対策を進めていくのかお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○中村計画調整部長 今後も、温室効果ガスの削減効果が高い汚泥の高温焼却や省エネルギー型機器の採用、新技術を導入した汚泥の炭化事業など、さまざまな対策を推進するとともに、維持管理上の創意工夫など、日常の業務での努力を一つ一つ積み重ねまして、総合的に地球温暖化対策に取り組んでまいります。

○たぞえ委員 私は、まず支出の内容から質問に入りたいと思います。
 平成十六年度下水道事業会計決算説明資料では、排水設備費は、予算二十億六千八百万円に対して、支出は十八億七千百九十四万円になっています。具体的にはどのような支出だったのか、まずご説明いただきたいと思います。

○大西業務部長 排水設備費の支出についてでございますけれども、家庭や事務所などから汚水や雨水を公共下水道へ流入させるための排水設備の計画届に対する事務、また、指定排水設備工事事業者に対する指導のほか、工場等に対する排水規制に係る業務の事業費、給与費などがございます。

○たぞえ委員 今の説明によりますと、排水設備費は給与費のほかにいろいろな事業費が含まれているという話でありました。都民にとっても快適な生活を維持することは、自治体の支援なくしてできません。そうした中で、九月四日の集中豪雨は、河川の決壊や冠水による浸水被害を生んで、東京でも五千戸以上の住宅が被害を受けました。これに災害救助法が十二年ぶりに都内で発動されるという、まさに大災害になりました。
 被害を受けた方からは、完成したばかりの家の建具と家財が全部使えなくなった、こういう声も随所から聞かれる事態でした。私の地元世田谷でも、床上二百六十五戸、床下百八十三戸、半地下式の住宅浸水は二十四戸で、どなたも生活再建について今でも大変苦しんでおられる。野川の流域にあります鎌田という町では約百七十地域が浸水し、現在も東京都建設局との折衝が繰り広げられている、こういう事態です。
 そこで、私は、この半地下構造住宅と下水道排水とのかかわりについて詳しく伺いたいと思うんです。この半地下式のマンションや戸建て住宅が本格的に普及したのは、平成六年六月に改正された建築基準法の改正で、地下住宅式の規制緩和が大もとになっています。国の河川局や下水道部は都市型水害の危険性を十分に承知していたようでありますが、都市の活性化の名のもとに、政府の建設規制緩和の声に押されて実施がされたと当時の新聞でも詳しく報道されていました。
 背景には、マンション需要が高まって各業者が土地を購入したために、エリアによっては用地の取得価格が高騰し、そのため、業者が半地下式などで戸数をふやし、売り上げをふやす、こういう必要性がありました。この住宅は雨水が流れやすいというだけではなくて、下水管から低い場所に台所やトイレなどの水回りがあるため、水圧の変化で下水管から下水が逆流する可能性がある、思いがけない被害を受ける住宅が増大したわけです。
 私も、あした、また区内の三宿の地域の浸水された方の自宅に伺うんですが、この方は一年前に建て売りの住宅を購入しました。わずか一年間に三度も半地下住宅で浸水があり、車も二台買いかえた。一階にあったタンス等は一回つかったらもう使えないというので、半地下の一階下の部分のスペースは今何も置かないようにしている、こんな暮らしをしているそうです。
 下水道局は、半地下式構造住宅の下水逆流の危険性について、都民にどのように周知をされているんでしょうか。

○大西業務部長 豪雨時に下水道管内の水位が上がりまして、排水ポンプをつけていない地下の浴室などが下水が逆流することがございますので、注意喚起するために、まず、指定排水設備工事事業者であるとか、区の建築確認部署及び民間の建築士事務所協会へ今申し上げた趣旨を説明いたしまして、「地下室・半地下家屋にご用心」というリーフレットをつくっておりますが、それを十分ご説明した上で窓口配布を依頼しているところでございます。
 また、毎年六月の浸水対策強化月間におきまして、街頭キャンペーンや、浸水地区を重点にしまして戸別訪問によりましてリーフレットを配布するとともに、各種イベントに参加いたしまして、直接都民の方へPRしているところでございます。さらに、局のホームページに掲載し、これも広く都民の方へ周知を図っているところでございます。

○たぞえ委員 住宅を購入されてからそうしたパンフレットをいただいても、もう手の施しようがない、これが多くの被害を受けた方々の悲痛な声なんです。
 先ほどお話ししましたように、平成六年の建築基準法の改正では、規制緩和で、建てやすい、つくりやすい、そういう状態で建設ラッシュの波が起こりました。そこで、東京都の下水道条例施行規程第五条を見てみますと、地下室などの排水について定めていますけれども、実は四十三年前の昭和三十七年に制定された施行規程があります。その五条をさらに見てみますと、「地下室その他下水の自然流下が充分でない場所における排水は、ポンプ施設を設けてしなければならない。」、「下水が逆流しないような構造のものでなければならない。」このように明記していますが、当時は地下室対策ということでの適用だと思います。
 ところが、今住宅を建設する場合、宅地内の下水を排水する施設、いわゆる排水設備の工事に当たっては、下水道条例第四条により下水道局にその計画を届けるということになっています。これに基づく区部での排水設備計画届の実績はどうなっているのか伺いたいと思います。

○大西業務部長 区部におきます排水設備計画届の件数でございますが、平成十五年度は一万九千十二件、平成十六年度は一万八千八百三十七件でございます。

○たぞえ委員 十六年度だけでも年間約一万九千件、膨大な建設が行われております。きょう提出されております資料で見てみましても、年間一千件を超える届け出の行政区は、大田区、世田谷区、杉並区、練馬区、足立区、江戸川区、まさに建設ラッシュであるわけです。世田谷区では、この表に出ておりますように、二千五百七十一件、区部二十三区の実に一四%を占める。
 そこで伺いますけれども、下水道条例施行規程第五条を踏まえて、この半地下新築住宅における排水設備計画届け者に対してはどのような指導を局はされているんでしょうか。

○大西業務部長 半地下部分を持つ住宅の排水設備計画届がございますと、まず、洪水ハザードマップやリーフレット等によりまして、浸水被害及びその危険性について十分ご説明いたしております。そして、設計図書によりまして、それに記載されています地盤高であるとか半地下の床面の高さ等々をチェックいたしまして、自然流下が十分に確保できている場所であるかの確認をいたしております。その結果、逆流のおそれがある場合は、逆流しない構造のポンプ施設の設置を指導いたしまして、あわせて文書により徹底を図っているところでございます。

○たぞえ委員 その排水設備計画書届け出の書類ですけれども、これは住宅の建設着工の何日前までにどこへ届けるということになるんですか。

○大西業務部長 工事着工の七日前までに、地区を所管しております当局の管理事務所に届け出ることになっております。

○たぞえ委員 着工の七日前までに住宅の排水設備の計画を届ける、工事に入る一週間前ですね。そして、受付でその設計図を含めた書類を審査すると、条例上それがクリアしていればオーケー、そういう事務になっているわけですか。

○大西業務部長 届け出られた書類につきましては、排水が公共下水道まで適正に排水できるかを審査いたしまして、記載内容にもし問題があれば指導いたしますが、書類の記載内容が法令に照らし要件を満たしていれば、受理いたします。

○たぞえ委員 新築戸建て住宅を購入された方が販売業者から説明を受けたときに、本管の方に家庭排水がきちんと流れます、安全です、こういって説明を受けて買われる方がほとんどだと思います。しかし、現実にこうした豪雨の場合に本管からの水が逆流をしてくる、さらに、家庭内の排水が本管に行かない、一体これはどうなっているのだろうか。届け出たときは、その書類が審査をパスするけれども、しかし、書類を出せばそれで済むのかどうか。その新築現場に管理事務所が出向いて、届け出どおりの設計に基づく工事が完了したのかどうか、そういう確認は行っているんでしょうか。

○大西業務部長 公共下水道の機能及びその構造を保全するために、それと指定排水設備工事事業者の指導、育成を図るという見地から、計画届があったもののうち一部につきまして、公共下水道との接続を主とした排水設備調査は行っております。
 しかしながら、宅地内の排水設備につきましては、土地や建物と同様、設置者の私有財産でございます。したがいまして、内容の強制には制約がございます。このため、先ほどもお答えしましたように、計画の届け時に逆流の危険性とその対策を十分指導しているところでございます。

○たぞえ委員 今までの答弁を聞いておりますと、排水の設備計画届は私有財産にかかわる届けのため、行政指導には限界があると、こういうふうにおっしゃっておりましたが、確かに個人の住宅地の中の排水管がどうなっているか、そこまで行政が立ち込むことはできないことかもしれません。しかし、家庭排水が公共下水道までに流れ込む、その境界線から公道までの間についての設置が正確に行われたかどうか、これは書類審査だけでなくて、やはり現場確認というのは大変大事だというふうに思うんです。
 私は決して東京都の指定排水設備工事事業者の仕事が怠慢であるといっているんではなくて、そういう方の努力は敬意を表しますが、ご存じのように、電気やガスのメーター等の設置が終われば、当然そういった企業が、設置が基準どおり行われたかどうか確認をして、使用者に受け渡すというんでしょうか、やるわけです。賃貸住宅の場合でも、ガスを使用するときには必ずガスの開口部分をあけて、本人の目の前でガスを点火して、そして確認をさせる。こうして初めて使用する側にとっての安全が確保されるわけです。届け出たからどうぞと、年間一万九千件に及ぶこうした建築届け出が書類だけの審査だけで済むような今のご時世ではないのではないか。
 世田谷区を所管する南部管理事務所ですが、この管理事務所は世田谷区など四区だけで年間五千百件もの排水設備計画の届け出を扱っています。公道の地中にある公共ますの深さと敷地内の排水設備とを設計どおり施工しているかどうか、確実に排水が行われるようになっているのかどうか、職員の現場巡回が仮にできないとしても、工事後の確認をできる、そうした事後報告書などの体制もつくらなければ、水害に対する都民の不安を解消することはできない、このように思います。このことについて最後にご感想をいただきたいと思います。

○大西業務部長 今までの答弁の繰り返しの部分がございますことはちょっと恐縮でございますけれども、今るるご説明いたしましたように、半地下を持つ住宅につきましては、下水逆流の危険性については、冒頭ご説明申し上げたように、日常から都民の皆様には繰り返し周知を図ってきているところでございます。また、当局だけではなく、建築確認部署、例えば区の建築部署でございますけれども、半地下についての指導の強化等々、依頼を強くしているところでございます。
 また、当局が届けを受けた際、これもまた先ほどお答えしたわけでございますけれども、浸水被害の危険性につきまして十分ご説明した上で、逆流のおそれがある場合にはポンプ施設の設置を指導し、あわせて、文書によりまして徹底を図っているところでございます。
 しかしながら、私有財産である排水設備につきまして、強制力を伴うということにつきましては一定の限界があることをぜひご理解いただきたいと思います。

○たぞえ委員 都民への周知も大変大事でありますけれども、浸水被害が起こる以前に、こうした住宅への基礎的な指導、また、その後の工事設置後の確認など、入り口から出口まで丁寧な行政指導が極めて今求められているというふうに思います。来年の予算編成に対しても、こうした排水対策については十分事後処理まで含めた対策を講じるよう要求して、質問を終わります。

○大西委員 合流改善について伺います。
 杉並区を流れます善福寺川は、善福寺池の湧水を源としておりますので、ふだんの流れは大変きれいです。しかし、大雨が降りますと、下水道の雨水吐け口から、雨水で希釈されているとはいうものの、未処理の下水がごみとともに流れ出し、川を汚しております。九月の台風十四号では、総雨量が二六三ミリという記録的な豪雨に見舞われたこともありますが、この浸水被害は、河川からの増水に加え、下水道管からの逆流が原因となったという面もあります。下水道局では、ごみを取り除くための装置の設置を平成十二年から順次行っていらっしゃるわけですが、そして徐々に成果を上げているとも聞いております。
 善福寺川を再生するには、今後、水質についても改善を図っていく必要があります。私どもネットでは、下水道を分流式にすべきということを長年いっているわけですけれども、これは莫大な費用がかかるところから、昨年の予算特別委員会で、初期の雨水を一時的にため置く雨水貯留管を埋設することを提案してきました。その際、前向きに検討するというような回答を得ているんですが、その後の取り組みについて伺いたいと思います。

○伊東建設部長 善福寺川流域での初期の雨水を一時的に貯留する施設の取り組み状況でございますが、平成十六年九月改定の新・合流改善クイックプランにおいて、善福寺川流域をモデル地区の一つに選定し、善福寺池から環状八号線までの上流部に貯留管を整備することといたしました。これまでに調査設計が完了し、本年六月に地元説明会を開催いたしました。現在、今年度の工事着手に向け、実施設計を行っているところでございます。

○大西委員 着手に向けて進んでいるということだと思います。区部の約八割を占めている合流式下水道を分流式に改める長期的な計画が必要と考えるんですが、それについてはいかがでしょうか。

○中村計画調整部長 合流式で整備された地区の全面的な分流化は、狭隘で多くの埋設物がふくそういたします区部の道路におきましては、汚水と雨水の二本の管渠を敷設するのが非常に困難でございます。また、お客様の宅地内やビルの排水管も汚水と雨水に分ける必要がございまして、大きな経済負担が発生するということなどの理由によりまして、非常に困難でございます。このため、降雨時に水再生センターで処理する下水の量をふやすための幹線管渠の増強や部分分流の導入など、分流式下水道から放流される汚濁負荷量と同程度にする対策を実施しているところでございます。

○大西委員 費用の面からも、それから技術的な面からも難しいこともあるということですが、せめて河川周辺の洪水が起きやすいような危険地域、こういうところの分流化については検討してはどうかというふうに提案をしておきたいと思います。
 そして、先ほどの答弁の中にも、狭い敷地に二つの管を埋設するのは難しいとかいうことがありますけれども、最近の都心の再開発は非常に大規模で行っているわけですから、先ほどの答弁にありましたような部分分流ももっと柔軟に取り組んでいただくように希望したいと思っております。
 次に、多摩地域の合流改善について伺います。
 多摩地域における下水道は、約七割が分流式下水道、残りの三割が合流式下水道を採用しております。合流式を採用している区域はどこなのか、また、これらの区域では今度のような問題が発生しているのかどうか伺いたいと思います。

○桜井技術部長 多摩地区における合流式下水道についてでございますが、多摩地区では、流域下水道の野川処理区、北多摩一号処理区、北多摩二号処理区及び八王子市、立川市、三鷹市の単独処理区で合流式下水道を採用しており、多摩地域の下水道計画面積の約四分の一を占めております。これらの地域では、大雨が降りますと、雨水で希釈された汚水の一部やごみなどが水再生センターに流入する前に河川に流出したり、水再生センターにおいても流入水量の増加により水質が悪化するというようなことで、区部と同じような問題が生じております。

○大西委員 そこで改善なんですけれども、多摩地域においてどのような改善を進めていっているのか、また、この改善は都と市が協力して対策を進めているというふうに事務事業の中にも書いてあったんですが、どのような対策を進めていらっしゃるのか、その辺伺います。

○桜井技術部長 多摩地区におきましては、都と関係十二市が共同いたしまして合流式下水道の改善計画を策定いたしました。これに基づきまして、公共下水道での雨水流出抑制対策や、雨水吐け口や水再生センターからごみなどの流出抑制をする対策などを進めておるところでございます。

○ともとし委員長 答弁漏れ。

○桜井技術部長 都といたしましては、これまでも水再生センターにおきまして貯留池を設置するなどによって、ごみなどの流出防止、あるいは放流水質の改善などに努めてまいりました。これに加えまして、北多摩二号水再生センターにおきまして高速ろ過施設を設置し、さらなる改善を進めることといたしております。

○大西委員 さらなる改善で高速ろ過施設を設置しというふうにあるんですけれども、以前私も北多摩二号水再生センターに行ったときに、ちょうど雨が降ってまいりまして、本当にはっきりわかるくらいに汚れた水というのを目にしたわけですけれども、この導入されます高速ろ過施設はどのような施設なのか、また期待される効果について教えてください。

○桜井技術部長 これまで雨天時に水再生センターに流入する晴天時の汚水量を超える水量につきましては、第一沈殿池を通すだけで簡易処理ということで河川に放流をしてまいりました。この簡易処理だけでは、雨天時の急速な流入水量の増大に対しまして適切に処理することが困難でありました。このため、微細なろ過材を使いまして、ごみや汚濁物を高速に除去するという高速ろ過を今回導入したものでございます。この高速ろ過を導入することによりまして、簡易処理の水質を向上することが期待できます。
 また、本施設は既存の水処理施設を活用して整備をするということで、建設費を大幅に抑えることもできます。さらに、今回の施設は処理過程で新たな動力や薬品を使わないということで、維持管理費も抑制できるというふうに見込んでおります。

○大西委員 余りお金もかけずに、そして動力や薬品などが不要であるということで、非常に期待できるのではないかと思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、浸水対策、雨水浸透ますの設置について伺いたいと思います。
 都市化の進展によりまして、道路や宅地内に降った雨は地中に浸透できず、河川に流出し、そして浸水による被害を大きくしています。雨水を浸透させていくことは、都市における水循環や水環境の改善を図っていくためにも重要な取り組みでありますし、私どもは、そのためにはこの雨水浸透ますの設置というこの事業を非常に高く評価しているわけですが、十六年度の区部の下水道局における雨水浸透ますの設置状況は、今いただきました資料の中に、十六年度は三百六十八基、そして十年間で五千二百十八基設置したということが書かれておりました。これをもっともっと進めていく必要があると思うんですが、浸水対策を効果的に進めるためにも、この雨水浸透ますの設置促進、このことについて下水道局の見解を伺いたいと思います。

○中村計画調整部長 雨水浸透ますの設置促進は、雨水の流出を抑制し、下水道への雨水流入量を低減させることから、総合的な治水対策の観点から重要であると考えております。当局が行っております公共雨水浸透ますの設置につきましては、主に宅地内の排水設備が雨水と汚水に分離されております世田谷区や大田区の分流地区において実施しております。
 なお、合流地区においても、お客様の理解と協力によりまして、主に新築あるいは改築時に宅内の排水設備を分流化する箇所などでも実施をしております。
 一方、宅地内の雨水浸透ますの設置につきましては、お客様への理解と設置の協力を求める必要があるため、区と共同いたしましてパンフレットの配布などを行っているところでございます。

○大西委員 パンフレットの配布ということなんですけれども、なかなかこのパンフレットを手にする機会がない。そして、工事事業者のところに置いてあっても、ほこりをかぶっていて、これをなかなか手にできないということで、まだまだそういう意味での広報活動というのには問題があるんじゃないかと思っております。
 都市型の水害対策として、そういう意味では雨水浸透ますは効果があるという評価はそちらもおありなわけですが、小金井市はこの雨水浸透ますが本当に多くの家庭でつけられています。これは、補助金の誘導ではなくて、市民と排水設備指定工事店、行政の協働によってこの取り組みが本当に進んでまいりました。特に小金井市で進んだのは、排水設備指定工事店の理解と協力が大きかったと聞いております。
 区部では都が定める指定排水設備工事事業者が工事を行うことになっていますから、事業者への啓発を都が責任を持って行うべきですが、その取り組みの現状と、局として雨水浸透ます設置などの普及啓発活動についてどのように取り組んでいるのか、具体的なPRとかも含めて教えていただけますでしょうか。

○大西業務部長 指定排水設備工事事業者に対しましてリーフレットを配布するとともに、雨水浸透事業に対する認識をより一層深めていただくため、講習会を年八回開催しているところでございます。さらに、指定排水設備工事事業者で構成しております東京都管工事工業協同組合の支部会におきまして、雨水浸透施設の設置の目的や意義について説明を行っております。
 また、下水道局の普及活動といたしましては、六月の浸水対策強化月間におきまして戸別訪問を集中的に行う一方で、区民祭りを初めさまざまなイベントに参加いたしまして、PR活動を展開しているところでございます。
 これらの活動に加えまして、区の建築確認部署及び民間の建築士事務所協会でのリーフレットの窓口配布や局のホームページにより、広く都民の皆様に周知を図っているところでございます。

○大西委員 指定事業者のうち、協力店と局との連携で排水なんでも相談所を開設していき、そこでもいろんなリーフレットとかを配布しているとも聞いておりますので、この雨水浸透ますの設置事業を、広く普通の一般の人々に向けても、ぜひ啓発をよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、再生水の利用拡大について伺います。
 限りある水資源を有効に活用するために、飲用以外の用途に、水道水ではなく下水道の再生水などの利用を進めていく必要がありますし、現に下水道局ではそのような取り組みをされておりますが、この再生水は、都市の貴重な水資源としてもっともっと利用拡大を進めるべきだと思っております。そこで、現在、再生水利用の状況がどのようになっているのか、区部の下水道について伺いたいと思います。

○中村計画調整部長 東京都区部の再生水の利用状況といたしましては、現在、西新宿、中野坂上地区、汐留地区などの五地区に、ビルの水洗トイレ用水などの雑用水としまして、日量約八千立方メートルを供給しております。また、清流復活用水といたしまして、渋谷川・古川、目黒川、呑川の城南三河川に日量約八万二千立方メートルを供給しております。そのほかに、ヒートアイランド対策として、NPOと連携した打ち水への利用や道路散水への利用を図っております。

○大西委員 トイレ用水として供給している地区は、再開発地域を対象に、現在一日八千立方メートルの供給量となっているということですけれども、再生水利用のPRなどをもっと進めることで、この利用が拡大できるのではないかと考えております。再開発地域への再生水利用の働きかけ、そしてまず東京都が行う都の再生地域というものもありますので、ぜひそういうところに働きかけていただきたいと思っておりますが、今後どのようになさるのか、最後にお聞きして、質問を終わります。

○中村計画調整部長 ご指摘のとおり、再生水は都市における貴重な水資源でございます。再生水の供給が可能な地区で再開発が計画されている場合は、事業者に対しまして再生水の利用の働きかけを行っているところでございます。また、地区外におきまして大規模な再開発があった場合、新たに供給管を敷設する必要も出てくることから、供給事業の採算性を検討し、事業が可能となったところでは再生水利用の働きかけを行っております。
 引き続き、このような点を踏まえながら、再生水の利用拡大に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。

○山田委員 私は、多摩地域の広域的な浸水対策についてお尋ねいたします。
 東京都の下水道普及率は、区部では平成六年度に一〇〇%の普及率ということでありまして、多摩地域では、奥多摩町とか檜原村等の地域事情によって普及率が極端に低い地域もありますけれども、平成十六年度末では平均九五%の普及率となっており、この下水道の普及効果によって、かつて家庭や工場の排水で汚れていた多摩川が、現在ではアユが百万匹も遡上する川に生まれ変わっております。そして、今では年間二千万人の人々が訪れる水辺空間になっております。公衆衛生の観点からの下水道の整備、汚水対策としては、個々についてはいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、おおむね達成されたといってもよいのではないかと思っております。これまでの関係当局の努力については高く評価をしているところであります。
 しかし、下水道は、汚水の処理による生活環境の改善のほかに、雨水の排除による浸水の防除や公共用水域の水保全の取り組みなど基本的な役割もあります。とりわけ雨水による浸水対策は、区部、多摩地区とも十分に整っているとはいえないと思いますし、大雨が降るたびに浸水被害が多く発生しております。特に昨年は台風の当たり年となり、史上最多の十個の台風が日本に上陸、一時間五〇ミリを超える豪雨によりまして、台風水害が東京都は三回も発生したということでございました。
 総務局の防災部が発表いたしました平成十六年度の浸水被害を見てみますと、区部では十月九日の台風二十二号の床上浸水が二百九十七棟、床下浸水は六百九十六棟、そして十月二十日の台風二十三号では、床上浸水が百七十三棟、床下浸水は二百二十九棟にも及んでおります。ことしに入りましても、九月四日の台風十四号の集中豪雨では、先ほどお話がありましたけれども、中野区あるいは杉並区を中心に大きな被害が発生いたしました。被害を受けられた方々につきましては、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。
 私の住む多摩地区におきましても、過日の集中豪雨を初め台風の上陸によりまして、広範囲にわたる浸水被害が発生いたしております。
 そこでまずお尋ねいたしますけれども、九月四日の集中豪雨で多摩地域で発生した浸水被害の状況についてご説明いただきたいと思います。

○桜井技術部長 九月四日の集中豪雨での被害でございますが、東京都災害対策本部の調べで、武蔵野市、三鷹市、調布市などの地域を中心に、床上浸水と床下浸水を合わせた家屋への被害が五百三十三件発生しております。

○山田委員 浸水被害によって五百三十三件が被害をこうむっているというご説明であります。多摩地区での下水道によります浸水対策は、市町村が主体となって行うべき事務となっておりますけれども、都市を浸水から守るというのは下水道の最も基本的かつ重要な役割の一つであると私は認識をいたしております。
 そこで、都が実施をしております流域下水道の雨水幹線の整備状況についてお尋ねいたします。

○桜井技術部長 多摩地域では、雨水の放流先となる河川がないなど、市単独で雨水排除が困難であり、かつ浸水被害が複数の市にまたがる地域において、関係市の強い要望を受けて流域下水道による雨水幹線事業を実施してまいりました。流域下水道による雨水幹線事業ですが、小平市、東村山市、東久留米市の三市から成る久留米川流域、青梅市、福生市、羽村市から成る多摩川上流域の二つの流域で実施してまいりました。いずれの流域の雨水幹線も十六年度末までにはほぼ完成をしております。

○山田委員 流域下水道の雨水幹線については、十六年度末にほぼ完成をしているというご説明でありました。それでは、九月の集中豪雨では、この整備によってどの程度の効果があったのか、お伺いいたします。

○桜井技術部長 流域下水道雨水幹線の整備区域におきましても、例えば東久留米市におきましては一時間当たり七四ミリの降雨を記録しております。雨水幹線に接続する市の関連公共下水道の整備が促進された区域では、これまでに頻発しておりました家屋への浸水や道路冠水などの浸水被害は大幅に軽減されており、雨水幹線の整備による効果は大きいものというふうに考えております。

○山田委員 雨水幹線が整備された区域では浸水被害は大幅に軽減されたということであり、こうした下水道局の取り組みについては、私は評価をいたしているところであります。
 しかし、一方で、先ほどもお聞きいたしましたけれども、多摩地域全体を見てみますと、浸水被害が発生する地域がまだ数多く残っております。多摩地域の浸水被害の解消に向けた課題とその対策について、どうなっているのかお尋ねいたします。

○桜井技術部長 多摩地域の浸水被害の軽減に向けましては、放流先となる河川整備のおくれや下水道の整備による市町村の財政負担など、多くの課題を抱えております。こうした地域で浸水対策を進める上で、下水道の整備のみならず、浸透貯留などの流出抑制施設を活用するなど、地域の特性に合わせた多様な施策を効果的に進めていくべきであるというふうに考えております。

○山田委員 浸水被害の解消にはなお多くの課題があるということは理解いたしましたけれども、先ほど説明をしていただきましたように、私の住んでいる西東京市でも、先ほど私が申し上げたように、毎年のように浸水被害が発生しているところもございます。市としてもその対策に最大限の努力はしておりますけれども、なかなか有効な対策が図られていないようでもありますし、また、それと同時に、西東京市以外の多摩地域でも、大雨のたびに恒常的に浸水被害を起こしている地域があると聞いております。
 流域下水道の雨水幹線整備にはいろいろと制約があるということは理解いたしておりますけれども、ぜひ多摩地域の住民が安心して暮らせるよう、都としても積極的な取り組みを願う次第でありますが、浸水被害の解消に向けた流域下水道としての今後の取り組みについてお伺いいたします。

○桜井技術部長 お話しのとおり、多摩地域におきましては、西東京を初めとして、流域下水道による雨水幹線を整備した地区以外でたび重なる浸水が起きているということについては認識をしております。こうしたことから、下水道局としては、これまでも当局の保有する浸水対策にかかわるさまざまな技術ノウハウを提供してきたところでございます。
 今後は、先ほどの浸透貯留などの流出抑制施設の整備のほか、水路等の既存排水施設の有効活用など、地域の状況に応じた浸水対策の効果的かつ効率的な施策について具体的に検討していくため、関係市の所管部門との検討会を早急に設け、浸水被害の早期解消に向けた取り組みを関係市と連携して進めてまいりたいというふうに考えております。

○山田委員 それでは、私は最後に意見として申し上げて終わりたいと思いますけれども、西東京市を含めた多摩地域について、各種の浸水対策の取り組みを効率的に進めるようぜひお願いいたしたいと思いますし、ご答弁のあったとおり、技術的な支援を継続するとともに、検討会を充実していただくなど、関係市とこれまで以上に連携を密にして、安心・安全なまちづくりを積極的に進めていくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○吉田委員 長時間、皆さんお疲れさまでございます。私からは、これまでの委員の方からご質問があったところを多少省きまして、合流式下水道の改善事業について幾つかご質問を申し上げます。
 私は中野区に住んでおりまして、中野区には妙正寺川、善福寺川、神田川と三つの河川がございます。私も川や池、湖といった水辺は大変好きですので、都内のみならず、あちこち出かけて、水辺、川辺を楽しんでいるのでございます。私が子どものころからおります中野のこの三つの河川、大変水量は少なくなったけれども、水質は大変改善されたというふうに思っておりますので、これは本当に下水道局の皆様のご尽力のおかげであると感謝申し上げます。
 新聞報道によれば、神田川にもアユが十年以上前から遡上しているというようなことでございます。残念ながら中野区にはまだ上ってきていないようですので、これは河川局等いろいろとご努力いただいて、いろいろな方が水辺、川辺を楽しめるような事業をしていただければと思います。
 しかし、これは晴天時のことでございまして、各委員のお話もありましたとおり、さきの九月四日の台風でも、中野でも二千戸以上の家屋の床下、床上浸水がございました。こういうときの川の状況は、私も夜中に現場へ行きましたが、大変汚い流れになるということでございます。この原因についてお伺いしましたら、区内の下水道の八割を占める合流式の下水道は、ある一定以上の雨量になりますと、汚水まじりの雨水が河川に流出する構造になっていると。お台場などに漂着して問題になっておりますオイルボールというものも、これは家庭や事業所で下水道に流された油が下水道内で固まって、大雨の際に海まで流れ出る、こういう被害が出ているんだというふうに伺っております。
 こういうことに対応するために、下水道局では合流式下水道の改善事業を進めておられると伺っています。まず簡単に、一般的にこの下水道の改善事業を改めて確認のためお伺いいたします。

○中村計画調整部長 合流式下水道の改善事業でございますが、一年間に合流式下水道から放流される汚濁負荷量を分流式下水道と同程度まで削減することを目標としております。
 具体的には、降雨時に水再生センターで処理します下水の量をふやすための幹線管渠の増強や、降雨初期の特に汚れた下水をためるための貯留池の整備を進めておりますが、完成までには長い年月と多大な費用が必要となります。そこで、短期間に事業効果が実感できる合流改善クイックプランを平成十三年の三月に策定し、その後、事業効果を検証した上で、新・合流改善クイックプランとして改定、充実いたしました。
 新クイックプランでは、下水道に油やごみを入れない、ためない、出さない、これを基本方針としまして、雨天時における雨水吐け口からのオイルボールやごみの流出抑制対策などのハード対策、さらに、お客様への協力依頼や関係機関との連携といったソフト対策の両面から対策を実施することとしております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 それでは、このクイックプランの中で、全面的な合流の分流式への変換というのは莫大なコストもかかって大変だ、なかなか難しいということでございます。ようやく都区内は、下水道の普及率が区部では一〇〇%、市部でも九十何%と大変上がってきたわけですが、まだまだ課題が多いということを改めて認識いたしました。この合流式の部分を分流式に一部でしておられる、例えば再開発事業等で部分的に分流式をしておられるということでございますので、この事業の内容と進捗状況についてお伺いいたします。

○伊東建設部長 再開発事業用地内を分流式下水道で整備するいわゆる部分分流化についてですが、現在整備中の都市計画道路放射六号線と青梅街道とが交差する神田川沿いの新宿区北新宿地区約四・七ヘクタールの再開発事業において導入を進めております。下水道の整備は再開発事業の工程に合わせており、完了の見込みといたしましては平成十九年度末となっております。

○吉田委員 先ほど大西委員の方からもご質問がございましたが、ぜひ積極的にこの再開発事業等における分流化を進めていただきたいのでございますが、どういうところであれば積極的に進められるのか、進める上で条件になる、ここは難しいというような条件づけがあるのか、それについてお伺いいたします。

○中村計画調整部長 再開発事業の中で分流化を進めます条件といたしましては、道路に汚水と雨水の二本の管渠を別々に敷設できますスペースが確保できること、それから、地形的に雨水を河川や海に自然流下により排除できることが挙げられます。このため、取り入れた雨水を区域内から放流先まで導水することを考慮しますと、再開発事業などが河川などの放流先に隣接していることが望ましいといえます。また、区域内の建物も汚水管と雨水管に分ける必要がございまして、経済的な負担が発生するため、事業者の理解と協力が得られることなどが必要となります。

○吉田委員 いろいろと条件が難しい地域、そういうこともあるようでございますが、ぜひ積極的に分流化を進めていただくようにご尽力いただければと思います。
 しかしまた、分流式の下水道につきましても万能ということではないわけでございまして、車道等雨水溝に入った水がそのまま川に流されるということで、今、区部では全部一度下水処理場に行くので、例えば酔っぱらった方が戻してしまったものとか、あるいは道の人がたばこの吸い殻を車道のところにぽんと入れてしまうというようなものは、全部平常時は下水処理場に行くけれども、これが分流式になりますと、そのまま川に流れてしまうという問題もございます。
 将来的には、費用の面、あるいはさまざまな面で問題があろうかと思いますが、平常時においては、分流式においてもいろいろ下水管の斜度とか、こういう問題で難しい面もあろうかと思いますが、可能なところでは、平常時においては雨水管の水を汚水管の方に流して処理できるような仕組みということも、部分によってはご検討いただくということが将来お考えいただければなと。これは意見でございます。
 それでは続きまして、「油・断・快適!下水道」のキャンペーン、これは私もポスター等で見かけたことがあるんですが、この内容について、まず目的と具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○野口総務部長 台所などから流されます油は、宅地内の排水設備や公共下水道管渠を詰まらせるおそれがございますし、おっしゃるように河川や海の汚濁の大きな原因ともなっております。このため、当局では、以前からお客様に対しまして下水道に油を流さないことをお願いしてまいりましたが、平成十三年度からは「油・断・快適!下水道」キャンペーンを展開いたしまして、取り組みを強化しているところでございます。
 今年度におきましては、金融機関、スーパー、鉄道の駅などにおけるポスターの掲示、主婦向けの雑誌などへの広告掲載、ラジオ放送の活用などを行うほか、NPOや消費者団体などと協働いたしまして、各種イベントにおきましてPR活動を行っているところでございます。
 なお、協賛企業には製品を活用したPRでご協力をいただいておりますし、大手スーパーには店頭でのPR活動を展開していただいているところでございます。また、下水道事業にさまざまな形でご協力いただいております下水道サポーターという制度がございますが、現在、百六十名余りの方がいらっしゃいます。この方たちにもスーパー店頭等でのPR活動にご協力をいただいているところでございます。

○吉田委員 いろいろの取り組みをされているということで、私も本当にご尽力に感謝を申し上げるんでございますが、このキャンペーンの中で、下水道に油を入れない、油というのが最も水に負荷をかけるということで、大変重要な要素だと思うんですが、この油を入れないために、都民や飲食店などへの働きかけが大変に重要な取り組みだと思います。この油について、特に都民の皆さんへ、あるいは企業、事業者などへの働きかけを今どのようにされているか、そして今後の取り組みの方向性についてお伺いいたしたいと思います。

○野口総務部長 おっしゃるとおり、油につきましては水に溶けないという性格がございますので、基本的には、処理場を通らなければ、そのままの形で流されてしまうということで、非常に注意すべき項目であると我々は認識しておりまして、お客様や事業者に対しまして、油を流さないということに対しまして、先ほど申し上げましたように、キャンペーンを中心といたしましてさまざまなPR活動を展開しているわけでございます。
 今後につきましては、協賛企業、NPO、消費者団体、スーパー業界など局外のさまざまな方々との協働の輪を拡大していくとともに、先ほど申し上げましたPR媒体として、さらにマスメディアやインターネットなどの活用も一層進めるなどいたしまして、手法の多様化を図りまして、下水道に油を流さない、この重要性をさらに強く訴えてまいりたいと考えております。

○吉田委員 キャンペーンのサポーターのボランティアの方が百六十人以上いらっしゃるということで、都民の認識も少しずつ高まっているんだなと思いますが、油を取るためのグリース阻集器というものがあるやに伺っております。これは、要するにラーメン屋さんとか飲食店とか、こういうところでそのまま水に流すということではなくて、建築基準法によりますと、そういうものを流す事業者さんというのは油の阻集器というのを一応設置しなければいけない、条文を追いかけていくとそう読める。しかし、罰則規定もありませんので、とにかく下水道局の皆様がお願いして、少しずつ少しずつ設置していただいている、こういう状況だと伺っております。
 この阻集器、大変に設備もお金がかかり、そしてなかなか使いにくいということもあるようでございますので、さらにこの阻集器を、利用者というか使用者が使いやすいもの、そして安いもの、このための技術開発というか、製品開発、こういうところに引き続き下水道局としてもご尽力いただいて、油を皆様が簡単に捨てずに、ちゃんと阻集器を通して、下水道に環境負荷を与えないようなやり方をやっていくということも含めて、キャンペーンの中でこれも従来以上に重視をしていただいて、皆様のご苦労は、キャンペーン期間中に戸別に訪問されてお願いして歩いたり、本当に頭の下がるご努力だと認識しておりますが、さらに一層、技術面も含めて一体的な取り組みを進めていただいて、都民が安心できるような下水道事業に引き続き邁進していただきますように、私も、あるいは我が党の仲間も含めて一生懸命に応援してまいりますので、引き続きのご努力をお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○ともとし委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ともとし委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十一分散会

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