委員長 | 馬場 裕子君 |
副委員長 | 真木 茂君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
副委員長 | 前島信次郎君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 酒井 大史君 |
理事 | かち佳代子君 |
理事 | 真鍋よしゆき君 |
理事 | 木内 良明君 |
谷村 孝彦君 | |
村上 英子君 | |
鈴木 一光君 | |
吉野 利明君 | |
執印真智子君 | |
土持 正豊君 | |
近藤やよい君 | |
和田 宗春君 | |
池田 梅夫君 | |
古賀 俊昭君 | |
立石 晴康君 | |
清原錬太郎君 | |
大河原雅子君 | |
渡辺 康信君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部長 | 押元 洋君 |
中央卸売市場長 | 森澤 正範君 |
都市整備局長 | 梶山 修君 |
港湾局長 | 成田 浩君 |
交通局長 | 松尾 均君 |
水道局長 | 高橋 功君 |
下水道局長 | 二村 保宏君 |
本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
・平成十五年度東京都病院会計決算
・平成十五年度東京都中央卸売市場会計決算
・平成十五年度東京都都市再開発事業会計決算
・平成十五年度東京都臨海地域開発事業会計決算
・平成十五年度東京都港湾事業会計決算
・平成十五年度東京都交通事業会計決算
・平成十五年度東京都高速電車事業会計決算
・平成十五年度東京都電気事業会計決算
・平成十五年度東京都水道事業会計決算
・平成十五年度東京都工業用水道事業会計決算
・平成十五年度東京都下水道事業会計決算
○馬場委員長 ただいまから平成十五年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
初めに、分科会審査報告書について申し上げます。
去る十月十五日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されました。
朗読は省略いたします。
第一分科会で行われた平成十五年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
平成十六年十一月二日
平成十五年度公営企業会計決算特別委員会
第一分科会委員長 中屋 文孝
平成十五年度公営企業会計決算特別委員長
馬場 裕子殿
1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十六年九月二十九日に設置され、平成十六年十月二十七日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
・平成十五年度東京都公営企業会計決算中、交通局、中央卸売市場及び港湾局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
十月十五日(説明聴取・資料要求) 交通局、中央卸売市場、港湾局
十月二十二日(質疑) 交通局
十月二十五日(質疑) 港湾局
十月二十七日(質疑) 中央卸売市場
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十五年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕はとバスの国際化対応について
〔2〕バス車両のリコール対策について
〔3〕都バスの管理委託について
〔4〕都バス路線の廃止・短縮について
〔5〕女性の採用と執務環境について
(2) 平成十五年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕駅バリアフリーについて
ア エレベーター、だれでもトイレ、駅トイレにおける障害児(者)用ベッド、ホーム柵等の整備状況
イ 色覚バリアフリーに関する取組
〔2〕関連事業について
ア 構内営業店舗の種別と新規出店の見込み
イ ラッピング広告に関する取組
〔3〕駅業務外注化について
〔4〕地下鉄の乗客数の推移及び増客対策について
〔5〕駅ナンバリングに関する取組状況について
〔6〕駅コンシェルジェなどの外国人案内について
〔7〕東京メトロとの乗り継ぎ割引の周知徹底について
〔8〕車内広告の在り方について
〔9〕避難訓練等の災害対策について
(3) 平成十五年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
〔1〕臨海副都心開発について
ア 土地の処分状況及び企業誘致への取組
イ 営業収入などの平成十五年度決算額と今後の収支
ウ 臨海副都心来訪者数
エ 開発の評価と東京全体の活性化に与える効果
オ 「臨海地区観光まちづくり基本構想」の活用状況
〔2〕第三セクターについて
ア 経営状況及び今後の見通し
イ 経営改善及び経営安定化策の実績と効果
ウ 損益計上における減価償却費の取扱い
〔3〕広域交通基盤の整備について
ア 開発者負担と広域交通基盤の今後の事業費
イ ゆりかもめ輸送実績の減少理由
ウ ゆりかもめの勝どき延伸など今後の計画の見直し
〔4〕環境対策について
ア 臨海副都心におけるヒートアイランド対策
イ 有明北地区埋立事業の進捗状況及び自然環境復元への取組状況
(4) 平成十五年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
〔1〕豊洲新市場建設について
ア 新整備手法の具体化
イ 市場関連事業者及び場外市場事業者等との協議・調整
ウ 一般会計への貸付金の取扱い
エ PFI導入の是非
〔2〕卸売市場法改正に伴う規制緩和について
ア 規制緩和の効果
イ 仲卸業者の財務基準に対する都の運用方針
ウ 法改正に伴う都の対応及び今後の支援
〔3〕南多摩地域における生鮮食料品流通の現状及び安定供給化策について
〔4〕財政収支の状況及び今後の取組について
〔5〕適正な使用料の在り方について
〔6〕危機管理マニュアルと食の安全・安心について
〔7〕男女平等推進状況について
〔8〕市場における環境対策について
第二分科会で行われた平成十五年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
平成十六年十一月二日
平成十五年度公営企業会計決算特別委員会
第二分科会委員長 前島信次郎
平成十五年度公営企業会計決算特別委員長
馬場 裕子殿
1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十六年九月二十九日に設置され、平成十六年十月二十九日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
・平成十五年度東京都公営企業会計決算中、水道局、下水道局、病院経営本部及び都市整備局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
十月十五日(説明聴取・資料要求)水道局、下水道局、病院経営本部、都市整備局
十月二十二日(質疑) 病院経営本部
十月二十五日(質疑) 水道局
十月二十七日(質疑) 都市整備局
十月二十九日(質疑) 下水道局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十五年度東京都病院会計決算(病院経営本部所管分)
〔1〕都立病院における電子カルテシステムについて
ア 電子カルテシステムの導入効果
イ 地域の医療施設との連携
〔2〕平成十五年度決算において純損失が圧縮された理由について
〔3〕都立病院における中長期的な経営目標について
〔4〕都立病院におけるジェネリック医薬品(後発医薬品)の採用状況と今後の採用拡大について
〔5〕「犯罪被害者支援マニュアル」の活用等、都立病院における犯罪被害者対策について
〔6〕都立松沢病院の精神医療センターとしての再編整備計画について
〔7〕都立大塚病院と(仮称)順天堂大学医学部附属練馬病院との小児救急医療の連携について
〔8〕都立病院における専任リスクマネージャーの配置について
ア 専任リスクマネージャーの具体的な業務内容
イ 各都立病院の専任リスクマネージャーの相互連携による機能強化
〔9〕都立荏原病院について
ア 感染症病棟改修工事の設計内容
イ 感染症医療の都立駒込病院への移転
(2) 平成十五年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
〔1〕高度浄水処理施設の整備等、「おいしい水」供給に対する取組について
〔2〕金町浄水場におけるテロ・毒物混入等の危機管理対策について
〔3〕水道業務手当の見直しと労使交渉について
〔4〕多摩地区における事務委託の解消による都民サービスの向上について
〔5〕漏水防止対策への取組について
〔6〕経年管の計画的な取替えと、第二城北線の整備について
〔7〕鉛製給水管の解消見込みについて
〔8〕水道需給計画の改定経過と実績等について
〔9〕水源開発計画の見直しについて
〔10〕高度浄水処理水のコスト等について
〔11〕多摩地区の地下水の取扱いについて
〔12〕玉川浄水場の再開について
ア 多摩川原水の浄水処理方法に関する調査・実験
イ 再開に対する都民の合意取得に向けた取組と今後の基本的考え方
(3) 平成十五年度東京都都市再開発事業会計決算(都市整備局所管分)
〔1〕北新宿地区市街地再開発事業について
ア 本事業の実施による防犯面での効果
イ 事業途中段階における防犯への取組
ウ 建設中の再開発ビルの入居状況及び入居時期
〔2〕環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業について
ア 事業の進捗状況と今後の見通し
イ 再開発事業における借家人の住居の確保
ウ 特定建築者制度の内容及び事業協力者と特定建築者との関連性
(4) 平成十五年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
〔1〕下水道事業における温室効果ガスに対する取組について
〔2〕高温焼却炉の整備計画について
〔3〕水再生センター及び下水道管等の耐震対策への取組について
〔4〕今後の震災対策に対する取組について
〔5〕経営計画における多摩地域全体の下水道事業の効率化と高度処理について
〔6〕単独処理区に関する問題と都及び関係市の対応について
〔7〕下水道の未普及地域解消に向けた今後の取組について
〔8〕地下室を有する家屋の浸水対策に関する指導について
〔9〕お台場海浜公園における海域浄化実験の効果について
〔10〕豪雨時のマンホール蓋浮上防止対策について
〔11〕不明水処理経費の下水道料金原価への算入と公費負担について
〔12〕ディスポーザ排水処理システムについて
ア 届出時における指導
イ 都が使用を認めていないディスポーザに対する指導
〔13〕「油・断・快適!下水道」キャンペーンの効果と阻集器設置の指導について
○馬場委員長 これより決算の審査を行います。
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
これより質疑を行います。
この際、一言申し上げます。
質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従い運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますようご協力をお願いいたします。
なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
次に、理事者に申し上げます。
答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いいたします。
なお、発言の際には必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
これより順次発言を許します。
吉野利明委員の発言を許します。
○吉野委員 それでは、総括の質疑をさせていただきます。
都は現在、第二次財政再建推進プランに基づき、財政の構造改革に努めておりますが、財政再建がいまだ達成できていないというのは紛れもない事実であります。景気は回復基調にあり、都税収入も増額となることが期待されてはおりますが、将来にわたって都民の必要とするサービスを安定的に提供するためには、執行体制の見直しなどの行財政改革に取り組み、施策展開の基盤を確固たるものにしていかなければならないのはいうまでもありません。
このことはもちろん公営企業においても例外ではありません。公営企業の経営改革は、都政の構造改革の中でも大きなウエートを占めております。都民の日々の生活に不可欠なサービスを安定的に、そして効率よく提供するためにも、経営感覚を最大限に発揮しながら、常に自己改革を行うことが重要であるということを改めて強調して、質問に入りたいと思います。
まず、東京都交通事業会計などにおける都営交通の安全対策について何点か伺います。
去る十月二十三日に発生した直下型の新潟県中越地震は、先月末現在で、死者三十六人、負傷者二千人を超える大きな被害をもたらしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災地域の一刻も早い復興を願い、都もできる限りの支援を行うべきと考えております。
さて、この震災で我々を驚かせたのは、時速二百キロで走行していた新幹線が脱線し、大きく傾きながら約一・六キロも走行したことであります。けが人がいなかったことは不幸中の幸いでしたが、新幹線の脱線は過去に例がなく、まかり間違えば大惨事につながりかねない状況であったと思われます。
その原因究明には時間がかかるようですが、新幹線も、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災を教訓に、柱の補強などの対策がとられてきました。また、この阪神・淡路大震災では、地震に強いといわれてきた地下鉄も駅舎、トンネルに被害を受けたため、国の耐震基準が変更になり、補強工事などが行われてきたと聞いております。
そこで、阪神・淡路大震災を教訓に、都営地下鉄では耐震補強工事などに取り組んでこられたわけですが、これまでどのような対策を講じてきたのか、改めて確認をしたいと思います。
○松尾交通局長 お答えいたします。
阪神・淡路大震災を契機として出されました平成七年八月の国の通達に基づきまして、交通局では、震度七程度の地震に対応できるよう、耐震補強が必要な地下鉄施設を対象に工事を実施いたしました。
具体的には、平成七年度から、新宿線の神保町駅など地下八駅の三百一本の中柱、それから、三田線などにおきまして三百十五本の高架部橋脚の補強を行うとともに、荒川・中川橋梁など十七カ所の落橋防止工事を行っておりまして、平成十三年度までにすべて完了しております。
○吉野委員 今お答えいただきましたように、ハード面の対策を講じましても、今回のような直下型の地震に対しては万全とはいえないのではないかという声が上がっております。上越新幹線の場合は、幸いにも横転せず、脱線だけで済んだわけですけれども、高速走行中の列車が被災すると被害が甚大なものになる可能性は大いにあります。
そこで、たとえ直下型地震によって脱線等が起きたとしても、被害を最小限にとどめるためのソフト面での対策が重要になってきます。
地震発生時は、運転中の乗務員は揺れに直ちに気づきにくいと思いますが、その際には、情報を乗務員に速やかに伝え、乗務員が適切な措置を直ちにとれるようにする必要があります。
また、地下鉄の場合、暗いトンネルの中で脱線等が発生すると、乗客はパニックに陥る危険性が大いにあります。特に大江戸線など、最近完成した地下鉄は地中深くを走るため、いざというときに迅速に避難ができるのかという心配もあると思われます。正確な情報伝達や迅速な避難誘導など、的確な対応が求められます。
そこで、都営地下鉄では、大規模な震災を想定した実践的な訓練を実施していく必要があると思いますが、所見を伺います。
○松尾交通局長 都営地下鉄におきましては、毎年、列車の脱線などを想定した異常時総合訓練、水害等を想定した自然災害訓練、それから、各駅ごとの避難誘導マニュアルに基づいた自衛消防訓練、警察、消防と連携した避難誘導訓練などを行っております。また、東京都総合防災訓練にも参加いたしまして、減速運転訓練、お客様の避難誘導訓練などを実施しております。
今後とも、ご指摘のとおり、実践的な訓練をより重ねることによりまして、お客様の安全確保に一層努めてまいりたいと考えております。
○吉野委員 ぜひ今後とも、訓練を積み重ね、いざというときに備えていただきたいと思います。
さて、こうした地震だけではなく、先月の台風による水害や、昨年二月の韓国大邱市での地下鉄火災、あるいはテロなど、都民生活の安全・安心を確保する上でさまざまな課題が存在します。
特にテロについては、ことし三月にスペインの首都マドリードで列車爆破テロ事件が起きてから半年以上が経過しましたが、東京も依然、アルカイダなど国際テロ組織の標的となっているといわれております。地下鉄やバスも、乗客の安全を守るため、日ごろからこうしたテロに備えておく必要があります。仮に地下鉄で、爆発物やいわゆるNBC、すなわち核物質や生物剤、化学剤によるテロが発生した場合には深刻な被害が出ることが確実であります。このようなテロに備えて、マニュアルづくりや、乗務員や関係者に対する訓練などを行うとともに、警察や消防など、関係機関との連携を一層強化する必要があります。
テロに備えた訓練としては、ことしの一月に、江戸川区の葛西臨海公園でバスジャックを想定した訓練が行われたところであります。そこで、お聞きしますが、このバスのテロ訓練を通してどのような課題が明らかになったのか、それをその後の対策にどのように生かしてきたのでしょうか。
○松尾交通局長 今回の訓練を通じて明らかになりましたことは、事件が起こったときの正確な情報の早期収集と、これをもとにした警察、消防との連携確保、マニュアルの習熟、並びに実際の現場を想定したより実践的な訓練の必要性であります。
このため、訓練終了後、連絡体制の整備強化を図るとともに、全自動車営業所において、訓練内容を録画したビデオ等により研修を実施し、職員の危機管理意識の向上を図ったところであります。
これらを踏まえまして、本年の十一月二十五日には、東京消防庁と連携した大規模事故を想定した訓練を予定しておりまして、危機管理への対応を一層推進してまいります。
○吉野委員 バスの訓練の状況などについては大体わかりましたが、地下鉄でも、駅や車内の警戒などを強化するとともに、ことしの春から夏にかけて、都庁前駅を初め十駅で、NBCや爆発物等の不審物に関する災害訓練を行ったと聞いております。今後とも、こうした訓練を積み重ねるとともに、地下を走る地下鉄の特性を踏まえ、より厳重な安全管理、危機管理をハード、ソフト両面にわたり講じていただきたいと思います。
また、このような震災やテロなどの非常時にはどのような対応をとるかをあらかじめ利用者によく周知しておくことも、安心して都営交通を利用してもらう上で必要だと思います。その際には、交通事業者みずからの責任、ある意味での公助はもとより、みずからの生命はみずからが守るという自助や、乗客同士が助け合う共助の考え方も踏まえ、非常時対応の方策を確立するべきであると思います。
そこで、都営交通の非常時の対策などについて、都民や利用者に対するPRを一層強化していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
○松尾交通局長 都営交通におきましては、非常の際にお客様に落ち着いて速やかに避難していただけるよう、駅の大型避難経路図の設置や誘導標識の改良、増設、それから、地元警察、消防と連携した沿線住民の参加による避難誘導訓練や、バスのテロを想定した訓練などを実施いたしますとともに、こうした取り組みをホームページやポスター、広報誌を通じて周知してきたところでございます。
今後とも、非常時対策のPRにつきまして、より一層工夫いたしまして、万全を期してまいりたいと考えます。
○吉野委員 さまざまな状況を想定した対策をとる上で、何かと難しい課題も多いと思いますが、安全こそが最大のサービスであり、地下鉄やバスなどの都営交通では、今後とも、それを最優先に取り組んでいただくようお願いをしておきます。
次に、中央卸売市場会計について伺います。
まず、卸売市場整備計画についてですが、我が国の生鮮食料品流通は大部分が卸売市場を経由しており、卸売市場の果たしている役割は極めて大きいものがあります。とりわけ東京都内の卸売市場は、小売商やスーパー等の店頭を通じて都民の台所を支えるのみならず、外食産業や総菜の原材料、また病院その他の給食施設における食材の供給など、さまざまな形で私たちの食生活を支えている、欠くことのできない、いわば社会資本としての大切な役割を果たしています。
ところで、都内における卸売市場の中には、いわば全国の建て値市場として価格形成に大きな影響力を持つ市場が存在する一方、地域の小売商や量販店等を通じて地元住民の生活を支えている地域密着型の市場が存在するなど、さまざまな特性を持つ市場があり、それぞれの市場において、市場を構成するさまざまな関係者の皆さんが頑張っておられるご様子を私もかねがね伺っております。
さて、国は、ことし六月に改正した卸売市場法の改正内容を踏まえ、既に第八次卸売市場整備基本方針を示し、来年三月を目途に整備計画を策定するようですが、都においても、第八次卸売市場整備計画の策定作業に入ったと聞いております。
そこで、卸売市場整備計画について何点か質問いたします。
都が第八次卸売市場整備計画を策定するに当たっては、最近における卸売市場をめぐる状況の変化に対する対応や国の整備基本方針等を織り込んで、時代の要請に合致した計画とすることが必要だと思います。
そこで、都における卸売市場整備計画の現在の検討状況はどのようになっているのか、検討内容とスケジュールについて伺います。
○森澤中央卸売市場長 都の第八次整備計画では、食の安全・安心を初めとする消費者のニーズに的確に対応できるようにするとともに、卸売市場を活力あるものとするため、市場の品質管理の高度化及び環境対策、市場業者の経営基盤の強化、市場の効率的な整備運営及び再編統合などへの取り組みを定めていく必要があります。
現在、整備基本方針の策定について東京都卸売市場審議会に諮問をしており、審議会のもとに計画部会を設置して、専門的にご検討いただいているところであります。平成十七年四月に基本方針の答申をいただくことになっており、その方針に基づき、十月を目途に整備計画を策定していく予定でございます。
○吉野委員 今ご答弁をいただきまして、幾つか注目すべき検討課題というものが示されました。その中で、品質管理の高度化について伺いたいと思います。
食品は直接消費者が口にするものであり、特に最近は、食肉の偽装表示、鳥インフルエンザ等、国内外でさまざまな食品事故や事件が発生しており、消費者は食品の安全性について今まで以上に敏感になっております。しかし、素人が鮮度や品質を確認しようとしても、なかなか正確には判断できません。だからこそ、流通過程における衛生対策や品質管理は大変重要であると考えます。
そこで、品質管理の高度化を図るため、都としてどのように取り組んでいくのかについて伺います。
○森澤中央卸売市場長 第八次整備計画におきましては、品質管理の高度化を図るため、使用施設ごとに品質管理の責任者を設置し、施設の温度管理や清潔、衛生保持を市場業者に義務づけるなど、品質管理の方法を具体的に定めます。また、施設整備面では、国の示すHACCP的な考え方を踏まえて、引き続き、各市場に低温卸売場や低温倉庫などの施設整備を進めてまいりたいと考えております。
また、食品の安全や信頼にかかわる事故が生じた場合には、既に各市場に設置している安全品質管理者を活用し、販売自粛など、迅速な対応を図ってまいります。
○吉野委員 さて、朝の卸売市場を訪ねてみますと、荷物が卸売場からトラックや荷さばき所、仲卸売場などへと搬送され、活気が感じられます。やはり市場はこれでなくてはと思ったりしております。
しかし、場内搬送車両が吐き出す排気ガスが大変気になります。ここで働く従業員の健康管理や周辺環境への影響はもちろん、生鮮食料品の品質管理の面から見ると、市場の場内搬送車両については、排気ガスを減少する方向で検討する必要があると考えますが、お伺いいたします。
○森澤中央卸売市場長 場内搬送車からの排気ガスにより悪化しています市場内の大気環境を改善するため、都では、電動化推進に向けた基本方針を定め、計画的に取り組んでいるところであります。
本年十月からは、これまでの補助制度による誘導策に加え、より一層の電動化を推進するため、冷蔵庫や低温倉庫等をクリーンゾーンと指定し、その中では電動車利用の徹底を図っているところであります。
今後、このクリーンゾーンの指定範囲をさらに拡大するとともに、第八次整備計画において、電動化に必要な充電設備を計画的に整備することとしてまいります。
○吉野委員 東京都は十一の中央卸売市場を計画的に配置してきたわけであります。これだけの配置があってこそ、町の八百屋さん、魚屋さんの仕入れに対応できているといえます。しかし、消費の質的な変化、輸送条件の変化などにより流通構造の多元化が進み、市場経由率は低下していると聞いており、現在の卸売市場の配置については、再検討すべき時期に来たと考えます。
国の整備基本方針でも、卸売市場がこれまで以上に安全・安心で効率的なシステムとなるよう、生鮮食料品等の流通の実態に即して卸売市場の再編について配慮する必要があるとしております。そこで、国の再編整備の考え方について伺います。
○森澤中央卸売市場長 国の卸売市場整備方針では、再編整備の指標として、取扱数量の最低基準や、一般会計からの繰入金が三年連続して総務省が定める基準を超えているかなどの四つの指標を定め、このうち三つ以上の指標に該当する場合には、地方卸売市場への転換、他の卸売市場との統合、市場の廃止、その他、市場流通の効率化などの五つの措置のうちいずれかに早期に取り組むこととしています。
また、三つ以上の指標に該当しない中央卸売市場であっても、市場機能の強化を図る観点から、必要に応じてこれらの措置に取り組むことが望ましいとしております。
○吉野委員 生鮮食料品の卸売市場経由率は低下傾向にあり、市場関係業者からも、経営状況が厳しい市場があると聞いています。国の示した基準に照らした場合、都の市場の該当状況と今後の都の取り組みの考え方についてお伺いします。
○森澤中央卸売市場長 都の中央卸売市場では、国の整備基本方針で示した再編整備の四つの指標のうち、三つ以上に該当する市場はありませんが、一つまたは二つの指標に該当する市場はございます。
こうした市場については、生鮮食料品の効率的な流通と安定的な供給を確保し、市場機能の強化を図る観点から、国が示した必要な措置に取り組むことを検討することも必要であるかと考えております。
○吉野委員 多摩地域には唯一の中央卸売市場である多摩ニュータウン市場が存在しますが、もともと多摩地域においては、地方卸売市場が中心となって生鮮食料品流通を担ってきた歴史があり、その中で多摩ニュータウン市場は、開設以来、取扱数量が低迷しております。今回の第八次整備計画において、多摩地域の卸売市場の整備について今後どのように対応するつもりなのか、伺います。
○森澤中央卸売市場長 多摩ニュータウン市場は、取扱目標数量が一日当たり七百二十トンに対しまして、開設以来、百トン未満で推移しているなど、集荷力と販売力が弱く、中央卸売市場として十分に機能していける状況にはございません。
多摩地域においては、これまで、集荷力や販売力のある地方卸売市場が生鮮食料品流通の大部分を担ってきた実態がございます。また、今回国が発表いたしました卸売市場整備基本方針によれば、市場流通量の見通しなどから、中央卸売市場の新設は行わないということが示されております。このため、今後、多摩地域の生鮮食料品の安定供給を図るためには、地方卸売市場を中心に流通機能の強化を図ることが重要であります。
今回の第八次整備計画の策定に当たりましては、こうした状況を踏まえ、多摩ニュータウン市場のあり方や、地方卸売市場の機能強化について検討していく必要があるものと考えております。
○吉野委員 多摩ニュータウン市場の現状については、運営上かなり厳しい状況であると私も認識をしております。多摩地域の生鮮食料品流通においては、卸売市場が重要な機能を有しており、多摩地域における生鮮食料品の安定的な供給を図るために、地方卸売市場の機能強化など、しっかりと対応していただきたいと思います。
そういう意味で、第八次整備計画の策定に当たっては、卸売市場の機能強化等を図るために、品質管理の高度化や環境対策、地方卸売市場の強化策等を積極的に推進していただきたいことを申し述べておきます。
次に、臨海副都心の開発について伺います。
先日の分科会において、臨海副都心の開発については、平成十五年度の決算に関連し、いろいろと議論のあったところですが、開発に着手して既に十数年が経過しております。昭和六十二年に策定された臨海副都心開発基本構想を初めとして、昭和六十三年に臨海副都心開発基本計画、平成元年に臨海副都心開発事業化計画と、事業実施に向けて具体的な計画を策定し、これまで開発を進めてきました。現在、平成九年に策定した臨海副都心まちづくり推進計画に基づき、開発も既に二期目の大詰めに入っています。
その間、社会経済の状況も大きく変化しました。開発初期のころはバブル景気の真っただ中で、社会全体が行け行けの雰囲気でありました。だれもが臨海副都心に大きな夢を描き、その成功を疑いませんでした。しかし、開発の途中でバブルがはじけ、社会全体が重苦しい閉塞感に包まれ、この臨海副都心も開発自体が危ぶまれた時期もありました。まさに臨海副都心は、時代の大きなうねりに翻弄され続けてきたといっても過言ではないと思います。
先日、港湾局長は、臨海副都心を人間に例え、現在、立派な青年期を迎えたといっていました。そういう意味では、まさに苦難の少年期を力強く生き抜き、今まさに雄々しい青年に成長したといえるのではないでしょうか。実際、臨海副都心に行ってみますと、東西、中央にプロムナードが広々としており、その緑豊かな中にさまざまな建物が建ち、台場地区や有明南地区も年々にぎわいを増してきており、よくこの時代背景の中、またこの短期間にここまで発展してきたものだと感動すら覚えます。
そこで、改めて、平成十五年度の決算の状況を踏まえて、臨海副都心の現在の整備、開発の進捗状況について伺います。
○成田港湾局長 臨海副都心では、共同溝や地域内道路を初めとした地域内都市基盤についてはほぼ整備が完了しており、また、広域幹線道路や「ゆりかもめ」などの広域交通基盤については、ほぼ七割の整備が終了しております。全体としては約八割の整備が終了しておりまして、臨海副都心まちづくり推進計画に基づき、ほぼ計画どおりに整備が進捗していると認識しております。
また、こうした都市基盤の整備と相まって、土地の処分につきましては、平成十五年度に計画を前倒しで処分することができ、既に八割の土地が有効に活用されております。臨海副都心の開発は順調に進められていると認識しております。
○吉野委員 確かに、都市基盤整備も計画どおりに進み、土地も八割が有効に活用されていることを考えれば、順調に開発が進められていると実感します。
しかしながら、平成十五年度決算で報告されたとおり、臨海副都心の土地の処分収入は予算を大きく上回るなど、前倒しで土地処分が進められてはいますが、一方で、経常利益は平成十四年度の額を下回っています。これは、土地の売却価格は駅からの近接性、容積率等を考慮して区画ごとに決定していますが、土地の処分原価は臨海副都心内ですべての区画を一律に計算しているため、売る土地により利益の幅が異なっており、たまたま平成十五年度は利益の幅の少ない土地が売れたためと考えられます。ということは、これから処分する土地の中には利益の幅の多い土地があるということであります。
ここで一つ気になるのは、利益の幅が多いということは、当然土地の価格が高いということになります。他の土地に比べて便利だとはいえ、土地価格が高ければ、なかなか処分することも難しくなると思いますが、どのように処分を進めていくのか、伺います。
○成田港湾局長 確かに、一般的に申せば、価格が高くなれば売りづらい、そういう側面はございます。しかしながら、社会経済状況も上向き傾向にございまして、その影響もあると思うんですが、今年度も引き続き、土地の引き合いもかなりございます。これらを一つでも成約に結びつけられるよう、鋭意営業活動を進めているところでございます。
現在都内では、汐留、六本木、品川など、大規模な都市開発が進められております。臨海副都心もそうした地域との競争にさらされておりますが、他の開発地域にはない水辺環境のよさを初めとして、今後国際化される羽田空港、霞が関や大手町への近接性等の魅力を最大限に生かしまして、青海、有明等、それぞれの地区の特性に合致するような企業等に照準を絞りまして、これまで以上に精力的に誘致をしてまいりたいと思っております。
○吉野委員 今後とも臨海副都心の開発を計画どおりに進めるためには、当然、土地の処分を順調に進めていくことが大前提であります。引き続き頑張ってもらいたいと思います。
ところで、先ほどから話しておりますように、平成十五年度は土地の処分が順調に進み、収入も予想を超えて入ってきているわけであり、これはこれで明るい材料ではありますが、ここでもう一つ気になることは、大量の起債の償還が目前に迫っていることであります。
そこで、今後償還しなければいけない起債の合計金額は幾らでしょうか。また、今後の償還の計画はどうなっているのか、伺います。
○成田港湾局長 現在の起債残高でございますが、合計で約五千二百億円でございます。このうち、平成二十二年までに、五割強の約二千九百億円の起債を償還する計画になっております。最終的には平成二十九年度に償還が完了いたします。
○吉野委員 今答弁のありました約五千二百億円もの額の起債を償還するのは並大抵のことではないと思います。しかも、平成二十二年度までに半分以上の金額を償還しなければいけないとなると、これは一港湾局の問題ではなく、都全体の問題として考えなければいけないと思います。我々都議会も、臨海副都心の開発については最大限の協力をこれまでにしてきたところであります。
しかしながら、先ほどから臨海副都心を人間に例えておりますが、立派な青年になったのに、こんなに借金を残して、一体いつまで親のすねをかじっているのかと怒りたくもなってまいります。そこで、これだけの借金を返すめどは立っているのか、伺います。
○成田港湾局長 臨海副都心は、先生お話しのように、これまでも時代のうねりに翻弄されてまいりましたが、その都度、都議会の皆様のご協力もいただきながら、何とか困難を乗り切ってきたところでございます。
先ほども申し上げましたが、平成十五年度は土地処分が前倒しで進み、また、今年度に入りましてもかなりの土地の引き合いがございます。今後着実に土地の処分を進めることにより、計画どおりに起債の償還をすることは可能であると考えております。
今後一層気を引き締めて、精力的に、土地の売却、貸し付け等によりまして収入の確保に努め、今後の起債の償還を確実に進めていきたいと考えております。
○吉野委員 引き続き、土地の売却等を進めて、確実に起債の償還を進めていただきたい。
こうして考えますと、何とか順調にここまで来た臨海副都心の開発ではありますが、これからまだまだもう一頑張りも、もう二頑張りもしなければいけないと実感します。その意味では、臨海副都心の開発はこれからがまさに正念場だと思いますが、最後に、開発にかける意気込みを聞かせていただきたいと思います。
○成田港湾局長 臨海副都心の開発につきましては、先生ご指摘のとおりに、今後、大量の起債の償還等、まだまだ財政的には厳しい局面を迎えることも事実でございます。しかしながら、平成十七年度には、「ゆりかもめ」の豊洲延伸、また晴海通りの延伸等、交通基盤の整備が大きく進む予定でございます。また、政府の月例経済報告や日銀短観等を見ておりますと、社会経済の状況も底を打ち、確実に上向いてきていると感じているところでございます。こうした臨海副都心を取り巻く明るい環境の変化を最大限に活用しまして、臨海副都心の開発を前進させたいと考えております。
今後も一つ一つハードルを乗り越えまして、臨海副都心を、都民の方々により身近なまち、また夢のあるまちに大きく成長させていきたいと考えております。引き続き、都議会の皆様のご理解とご支援をお願いしたいと思っております。
○吉野委員 今、最後に局長の決意をお聞きしまして、我々も身が引き締まる思いがします。臨海副都心の開発をぜひとも成功させ、東京だけにとどまることなく、日本全体を元気にする先駆けとなってもらいたいと思います。
今後とも、港湾局長を先頭に頑張ってもらうことを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○馬場委員長 吉野利明委員の発言は終わりました。
次に、村上英子委員の発言を許します。
○村上委員 都議会自民党吉野委員に引き続き質問をさせていただきます。
まず、水道事業会計の決算に関連して何点か質問させていただきます。
さて、これまで百年余りにわたり延々と築き上げられてきた東京の水道は、今日では世界に誇れる規模と内容になっております。しかし、地震や台風による被害あるいは渇水などにより、今や重要なライフラインとなっている水道が断水するようなことがあれば、都民生活に甚大な影響を及ぼします。また、首都東京での断水は都市活動を麻痺させ、国内はもとより、世界経済にも大きな影響を与えることが懸念されます。安定給水を実現していくことは、首都東京の都市活動を支えていく上で極めて重要な課題であります。
一部には、水源の確保を初めとする水道施設は既に需要に見合った規模となっているので、新たな施設整備は不必要であるとの議論がありますが、我が党は責任政党として、そのような無責任な議論にくみすることはできません。いっときの需要動向や外見のみをとらえた一面的な議論に終始するのではなく、今後百年をも見据えた長期的な視点が必要であることを忘れてはなりません。
そこで、水道局の施設整備の考え方について何点か質問いたします。
まず、水源の確保についてですが、都の水源量は日量六百二十三万立方メートルを確保しており、現在の水需要を十分満たしているように見えますし、加えて、我が国は、台風などにより降雨量が多く、水が豊かであるというイメージがあります。しかしながら、必要な水源を確保していても、日本の地形は急峻であり、雨が降ってもすぐに海に流れ出してしまうことから、しばらく雨が降らなければ、たちまち渇水という事態に陥り、取水する水そのものがなくなってしまうことになります。
そこで、まず、都の水源の現状と今後の水源確保の基本的な考え方について伺います。
○高橋水道局長 現在、都が保有しております水源量は日量六百二十三万立方メートルでございますが、この中には、河床の低下などにより取水の安定性に問題がある、課題を抱える水源が含まれております。また、都の水源の約八割を占めます利根川水系は、他の水系に比べまして渇水に対する安全度が低いという状況がございます。さらに、近年の少雨傾向によりまして、利根川の実際の供給能力が二割程度低下していることを勘案いたしますと、十分な水源量を確保しているとはいえない状況にございます。
このため、渇水に強い都市づくりを目指しまして、八ッ場ダム等による安定した水源の確保に努めますとともに、節水施策の推進や水の有効利用など、安定給水に向けた総合的な取り組みを進めてまいります。
○村上委員 次に、浄水場について伺いますが、これも既に日量六百八十六万立方メートルの施設能力を有しており、現在の需要量から考えると、十分であるばかりか、一見すると施設の縮小さえも可能であるように見えます。
しかし、一方では、都の浄水場の多くは昭和三十年代から四十年代にかけて集中してつくられ、既に四十年、五十年がたっておりますが、老朽化もかなり進んでいるのではないかと思います。当然、老朽化が進めば、補修などの経費も必要になってまいります。
そこで、現在の施設能力の実情について伺います。また、老朽化への対応についてもあわせてお聞かせください。
○高橋水道局長 現在保有しております浄水施設は、一時的な施設停止を伴う維持補修や改造が不可欠となっております。このため、過去五年間を見てみまして、能力の三割程度が稼働できない期間が毎年のようにあるなど、現有する施設能力を十分に発揮できていない状況にございます。また、今後、多くの施設で老朽化が進み、長期の施設停止を伴う大規模な補修や更新が増大することが予想されております。こうした状況を踏まえますと、現有の施設能力である日量六百八十六万立方メートルは決して過大であるというふうには考えておりません。
なお、大規模な補修等に当たりましては、老朽化の状況や施設の重要度などにより優先順位を定めるとともに、水運用などを総合的に勘案しまして、最も効率的で効果的な方法を検討して実施することで安定給水に万全を期してまいります。
○村上委員 それでは、管路についてはどうでしょうか。このたびの新潟中越地震では、水道施設を初めとするライフラインが大きな被害を受けました。特に水道管路の復旧には時間を要しているようで、各家庭までの給水が確保できないことから、自宅に帰れず、長期の避難生活を余儀なくされている被害者の方もおります。
地震などにより送水管や配水管が破損すれば、せっかく水源を確保し、浄水場で水道水をつくっても、住民にはその水が届きません。老朽化した送配水管は、地震にも強い、耐震性の高い管に更新していく必要があると思います。また、仮に送配水管の一つが破損した場合においても、断水することなく水が配れるようにバックアップの管が必要と考えます。
阪神・淡路大震災を契機として、さまざまな事業分野で施設の耐震化への取り組みが行われているようですが、そこで、送配水管整備の現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
○高橋水道局長 現在布設されております送配水管の中には、耐震性が低いばかりでなく、漏水や濁り水発生の原因ともなる経年管がございます。これを、おおむね十年後の解消を目指しまして、耐震性の高い管への取りかえを鋭意推進しております。また、経年管に次いで古い年代に布設をされました初期ダクタイル管につきましても、漏水などの原因となりますことから、今年度から取りかえを進めることとしております。こうした取り組みに加えまして、管路の二系統化やネットワークの構築を進めるなど、バックアップ機能の強化にも取り組んでおります。
今後とも引き続き、事故時や震災時にも強い、信頼性の高い送配水管の整備を推進し、安定給水を確保してまいります。
○村上委員 水源や浄水場はもちろん、送配水管についても今後なお整備が必要であることがわかりました。
ところで、さきの分科会質疑では、水道局が現在進めている高度浄水施設の整備に対して、水道水が飲み水として使用されている割合が低いのだから、各家庭に浄水器をつけた方が安上がりだし、効率的ではないかとの意見がありました。しかし、浄水器は、フィルターの取りかえなどについて適正な管理を怠ると、かえって不衛生であるともいわれております。また、洗面やシャワーについても、直接水が肌に触れるわけですし、食器を洗う場合にもやはりきれいな水が求められているのだと思います。そうしたことから、安全でおいしい水道水に対する都民の期待は大きいと聞きます。
そこで、水道水質に対する都民要望の状況と高度浄水施設整備の考え方を伺います。また、整備に当たって費用対効果をどう見込んだのかも具体的にお聞かせください。
○高橋水道局長 平成十五年度に行いましたアンケート調査によりますと、高度浄水処理の導入など、よりおいしい水の供給を期待する声は八〇%を超えております。また、飲み水以外の炊事やシャワーなどにつきましても、直接的、間接的に肌に触れますことから、より一層の水質の向上を望む声が多くございます。こうした都民ニーズにこたえるため、原水水質の早急な改善が期待できない利根川水系の浄水場に高度浄水処理を順次導入することとしております。
なお、高度浄水処理によるコストにつきましては、既に導入済みの金町浄水場で試算をいたしますと、一立方メートル当たり十円程度でございます。各家庭に浄水器を設置するより安いことなどを踏まえますと、費用の面からも有効であると判断をしております。
○村上委員 これまでのご答弁にもありますように、都の水道施設は、渇水や災害の備えを初め、質という面ではまだまだ脆弱なところがあり、これからも必要な施設については、これを着実に整備していってもらいたいと思います。これは、首都東京の重要なインフラとして欠かせない水道事業をゆだねられた者の責務であると考えます。もしこれを怠るようなことがあれば、必ず後世に憂いを残すことになります。
しかし、一方では、ダムの建設、管路の耐震化などには多額の経費がかかることも事実であり、独立採算で事業を経営する地方公営企業として、より一層の効率性の発揮による健全運営の確保が強く求められております。
そこで、こうした長期的な視点に立った事業の健全運営について、水道局のお考えを伺います。
○高橋水道局長 水道は首都東京の都市活動を支える重要なインフラでございまして、ひとときたりとも欠かすことのできない大きな責任を負っております。このため、ご指摘のように、長期的な視点に立った計画的な施設整備は大変重要な課題であると認識をしております。このたびの新潟県中越地震におきましても、ライフラインの寸断は住民の生活に多大な影響を与えております。改めてその認識を新たにしているところでございます。
今後とも、地震や渇水の不安に備えるため、必要な施策を着実に実施しまして、ハード、ソフト両面にわたり、より信頼性の高い水道システムを構築してまいります。また、同時に、都民ニーズに対応した質の高いサービスを展開し、都民の声に全力でこたえてまいります。
また、現在のみならず、将来にわたりまして水道事業を健全に運営していくためにも、強固な経営基盤を確立していく必要がございます。最大限の企業努力はもとより、アウトソーシングの推進などによりまして、効率性の一層の向上を図ってまいります。
○村上委員 次に、下水道事業における震災対策と浸水対策について伺います。
震度七の激しい揺れを記録した新潟県中越地震から三週間を迎えます。新潟県の発表によりますと、十一月十日現在で今もなお一万四千人余りの避難者が肩を寄せ合いながら避難所暮らしを続けております。
この地震による犠牲者は三十九人にも達しておりますが、このうち肺の血管に血栓が詰まる、いわゆるエコノミークラス症候群と思われる症状で七名の方が亡くなっております。エコノミークラス症候群を防ぐには適度な運動と水分摂取が必要といわれておりますが、亡くなられた四十八歳の女性が生前、トイレが気になる、なるべく水分をとらないようにしているなどと話していたことがわかり、トイレの問題は今や命にかかわる問題としてクローズアップされております。
我が党の高橋かずみ議員も先般の分科会で、避難所でのトイレ不足を指摘いたしました。依然としてトイレの問題は残っております。被災地では電気や水道が徐々に復旧するなど、避難所から自宅に戻れる人もふえていることを考えると、下水道の復旧も急がなければなりません。下水道局では十月二十八日から先遣隊を現地に派遣し、下水道施設の復旧のために施設活動を行っていると聞きますが、このような災害時に自治体間での協力は大変重要なことだと考えております。そこで、災害時における下水道局の対応について何点か伺います。
まず、二十八日以降の支援隊の派遣状況はどうなっているのか、また現地ではどのような支援活動を行っているのか、お伺いいたします。
○二村下水道局長 下水道局では、国土交通省からの要請に基づきまして十日町市と川西町への支援活動を行っております。近々津南町への支援も予定しているところでございます。
派遣状況につきましては、十月二十五日に職員一名を現地に派遣し、支援本部の立ち上げに従事いたしました。引き続き、先ほどお話のありました二十八日には先遣隊七名を派遣した後、支援隊としては、昨日派遣の第三次を含めまして七十七名を派遣しているところでございます。
なお、第二次支援隊からは下水道管渠の維持管理を専門に行っております下水道メンテナンス協同組合の技術者十九名も含まれているところでございます。現地では余震が続く厳しい条件のもと、職員がマンホールの中に入り、下水道管渠の状況をじかに確認するとともに、テレビカメラによる詳細な被害調査を実施しております。
また、被災した南部地域の市や町との連絡調整や支援都市の取りまとめ及び国や県との連絡調整などを行っているところでございます。
○村上委員 現在の支援の状況はわかりましたが、今後の支援の予定についてはどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
○二村下水道局長 阪神・淡路大震災を例にとりますと、被害調査に引き続いて国の災害査定を経て施設の復旧工事が実施されました。今回の震災においても、現在実施中の被害調査が完了後、災害査定に向けて、被害状況を示す写真や被害箇所図、災害査定設計書などの資料を作成する必要がございます。そのため、これらの資料作成の支援について、関係市町と協議中であり、支援要請があり次第、速やかに職員を派遣することとしております。
○村上委員 現地での復旧活動は大変でしょうけれども、引き続き下水道局の技術力を発揮して、被災した市町村のために頑張っていただきたいと思います。
一方で、東京では関東大地震以来、大規模な地震がなく、地盤のひずみが蓄積されてきて、地震活動が活動期に入っているという説もあるそうです。万が一東京で大規模な地震が発生した場合には、下水道施設にも大きな被害が想定されると思います。このような緊急事態に迅速に対処するためには、普段から自治体間で相互の支援体制を整備しておくことが必要と考えます。
そこで、下水道事業における相互支援体制はどうなっているのか、お伺いいたします。
○二村下水道局長 東京都は、政令市及び関東周辺の各県とそれぞれ災害時の相互支援に関する協定を締結しております。この協定を補完するため、都と政令市の下水道部局間におきまして、例えば区部の下水道が被災した場合には大阪市を情報連絡の総括窓口とするなど、発災時の連絡方法や、支援要請後の指揮連絡体制を具体的に定め、迅速かつ円滑な相互支援活動を行うことができることとなっております。
また、多摩地域の下水道につきましても、都と関東周辺の各県との間で災害時の相互支援体制を定めております。
○村上委員 自治体間の広域的な相互支援体制が整備されていると聞いて、少し安心をいたしました。しかし、壊れた施設を直すには、実際に工事をする民間団体などの協力が不可欠ではないかと思います。
そこで、震災被害を受けた下水道施設の復旧に関し、民間団体の協力が得られるようになっているのかどうか、お伺いいたします。
○二村下水道局長 大規模な地震によりまして下水道に甚大な被害が発生した場合には、自治体相互の広域的な支援体制に加えまして、民間の協力も得て、下水道施設を早期に復旧する必要がございます。そのため、水再生センターなどの土木・建築施設や機械・電気設備及び道路に埋設されている下水道管渠などについて、それぞれの専門的な技術を持った民間団体と局とが協定を締結いたしまして、早期に復旧できる体制を備えているところでございます。
○村上委員 自治体間の相互協力体制や民間団体との応急復旧体制が整備されていても、いざというときに機能しなければ意味のないものになってしまいます。
そこで、関係者間の連携を強化するための訓練など、これは実施しているんでしょうか、お伺いいたします。
○二村下水道局長 下水道局では、定期的な防災訓練のほか、民間団体の協力を得まして、下水道管渠や水再生センターの設備機器などの被害を想定した応急復旧訓練を実施しております。また、震災時のトイレ確保を目的として、地元区や地域の方々と連携し、マンホールを利用した仮設トイレの設置訓練などを実施しております。さらに、政令市や関東周辺の自治体間における相互支援体制の強化を目的として、被災都市を想定した情報連絡訓練を関係市とも実施しているところでございます。
○村上委員 次に、浸水対策について伺います。
ことしは地震だけではなく雨による被害も大変大きなものとなりました。新潟や福井、さらに兵庫などが豪雨に見舞われたほか、東京でも集中豪雨や台風二十二、二十三号の影響などで浸水被害が広い範囲で発生いたしました。十月の雨量は各地で観測史上最多を記録し、東京では平年の五倍に当たる七八〇ミリとなっております。そのために、下水道に収容し切れなくなった雨が至るところで床上床下浸水や道路冠水をひき起こしてしまいました。また、地下鉄や地下街、建物の地下室などにも雨が流れ込み、都民生活に甚大な影響を及ぼしました。
そこで、まず、下水道局が進めている雨水対策事業の基本的な考え方についてお伺いいたします。
○二村下水道局長 下水道局では、浸水被害からお客様である都民の方の生命と財産を守るため、三年に一回程度発生する一時間五〇ミリの降雨に対応できるようにするため、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を基本とする浸水対策を進めております。
○村上委員 一時間五〇ミリの整備を進めているということですが、最近は局所的に一時間五〇ミリを超える雨の降るケースが大変多くなっているようです。
このようなことを踏まえると、一時間五〇ミリでは、東京の浸水対策はうまくいかないのではないでしょうか。率直な感想をお伺いいたします。
○二村下水道局長 一時間五〇ミリの降雨に対応する下水道施設の整備を着実に実施していくことに加えまして、繰り返し浸水被害を受けている地域を対象とした雨水整備クイックプランを推進してまいりました。
しかしながら、最近では局所的に一時間五〇ミリを超える降雨がたびたび発生しております。このような降雨に今後どのように対応していくかが局にとっても大きな課題であるというふうに認識しております。
○村上委員 私の地元の渋谷駅周辺では道路冠水で車が立ち往生したり、通行人が膝まで水につかるなどの光景がたびたびテレビや新聞で報道、放送されました。このような光景を見るたびに、地下街が浸水し、大変なことになりはしないかと大きな危惧を抱いております。
地下街などの浸水は都市活動に大きな影響を与えるばかりでなく、人命も危険にさらされるなど、その影響ははかり知れないものがあります。ことし九月に発表した新・雨水整備クイックプランでは、浸水対策の重要な柱として地下街等対策地区を計画していますが、その内容についてお伺いいたします。
○二村下水道局長 大規模な地下街を有します東京、新宿、渋谷、池袋の各駅周辺では、浸水が発生した場合に甚大な被害が予想されることから、地下街等対策地区として選定いたしまして、一時間七〇ミリの降雨に対応できるように施設整備を進めております。
具体的には、新たに雨水を貯留するための下水道管を建設したり、あるいは排水能力が不足しております区間の下水道管をより大きな管に入れかえるなどの対策を実施しているところでございます。
○村上委員 東京や新宿、渋谷などの地下街が浸水したときの影響が大きいことを認識して、浸水に対する安全性を高めていることが理解できました。
それでは、渋谷駅では具体的にどのような対策を実施しているのでしょうか。また、進捗状況はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
○二村下水道局長 渋谷駅地下街の浸水対策として、二十五メートルプール約十三個分に相当します四千立方メートルが貯留できる雨水貯留管の整備を進めております。既に貯留管本体の工事が完成いたしまして、現在、雨水を取り入れる取水施設の工事を進めており、平成十八年度から貯留を開始する予定でございます。
この施設による雨水貯留と、区が進めております道路雨水ますの増設によりまして、当該地域の浸水被害の大幅な軽減が図れることができるというふうに考えております。
○村上委員 整備レベルを高くして安全性を高めているとはいえ、自然現象に対してはこれで万全ということではないと思います。いざというときのために情報提供などソフト面での対策もあわせて必要と考えます。
渋谷駅周辺では浸水に備えるためのソフト対策としてどのようなことを進めているのか、お伺いいたします。
○二村下水道局長 渋谷駅周辺では、地元区や町会と連携した道路雨水ますの点検、浸水対策強化月間におけます地元の皆様へのリーフレットの配布などを実施しております。また、今年度から周辺の幹線水位情報を光ファイバーによりリアルタイムで渋谷区の防災部署に配信いたしまして、初動態勢などの判断材料の一つとして役立てていただいているところでございます。
○村上委員 渋谷駅周辺の地下街対策については工事の早期完了を目指して、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
ソフト対策といえば、区などとの連携は大変重要だと思います。先日の台風二十二号のときに六百個準備していた土のうを、台風二十三号のときには三千個にまでふやし、区や消防団が事前に配布することで浸水被害軽減に効果を発揮したと聞いております。
自分の地域は自分で守るということが防災の原点です。都はハードとしての下水道施設を所管するとともに、ソフト対策に有効な情報を数多く有しています。地元の区などと連携をし、円滑な情報交換による効果的な予防策を実施することがますます重要になってくると思います。今後ともハード、ソフト両面の浸水対策を一層充実していただくように要望をして、私の質問を終わらせていただきます。
○馬場委員長 村上英子委員の発言は終わりました。
次に、木内良明理事の発言を許します。
○木内委員 既に分科会の質疑も終わっておりまして、同僚委員が二名、質疑を行われました。重複を避けながらポイントに絞ってお尋ねをしてまいりますので、簡にして要を得た答弁をお願いしたいと思います。
まず初めに、臨海副都心の開発についてであります。
今、都民の方々の精神世界の中に臨海副都心に対する大きな思いと期待が本当に光り輝いているというふうに私は認識をしているのであります。よく商業だとか経済だとか流通の面での喧伝が臨海副都心のキーワードとして行われるわけでありますけれども、実はそれ以上に、都民の生活と密接不可分な関係を持った未来都市に向けての都市機能というものがこの臨海副都心には内蔵されているわけであります。
今でも思い出すのでありますけれども、たしか平成九年の本会議で、私はこの臨海副都心にぜひ総合病院を誘致すべきだという主張をいたしました。当時、東部医療ゾーンといわれた下町の墨田、江東、江戸川などの地域では、住民一人当たりのベッド数、人口当たりのベッド数が極めて劣弱であった。したがって、この臨海に病院をということを提案した。最初、小規模な防災用の医療機能が想定されておりましたけれども、ここには既に、誘致の結果、大塚の癌研が、あの場所を撤収して、ベッド数七百を誇るすさまじい立派な病院が今立ち上がっております。これは、都民の生命と健康を守る大きな医療拠点として今存在しようとしているわけであります。
また、近年、多様化、凶悪化、国際化する犯罪が頻発する中で、治安こそ最大の都民福祉だと知事は標榜しておられますが、私も全く同感でありまして、警視庁の何番目かの警察署が臨海にできる。青海であります。仮称臨港警察署となっておりますけれども、私はこの警察署のネーミングとして湾岸警察とつけたらどうだ、こういうふうに主張しているわけであります。
実は、こういったさまざまな分野で都民生活と不可分の関係を持つ機能が充実をしてきているわけであります。したがって、今日までのさまざまな困難を乗り越え、克服をしながら、この成熟したまちづくりに向けて懸命なご努力をされてきた累代、歴代の港湾局長を初め関係者の方々にまず敬意を表させていただきたいのであります。
冒頭申し上げたように重複を避けたいと思いますので、そのとおりかどうかだけご答弁をいただければ結構であります。
十五年度決算であります。この十五年度の土地処分収入が幾らだったのか、また、土地処分が順調に進展した要因をどう見るかということが一つのポイントでありますけれども、この年における土地処分収入は約六百七十一億円。また、土地処分が順調に進展した理由としては、港湾局を初めとして関係者の方々が二千社を超える企業を訪問されて、そうしてこの誘致を図った。また、経済環境というものが回復傾向に差しかかってきて、さらに加えて契約方式の見直しや、あるいは交通アクセスの改善等による、いわば臨海副都心の魅力向上が行われてきた、こういうことではないかと思うんですけれども、認識だけ、そのとおりかどうかだけ、港湾局長お答えください。
○成田港湾局長 ただいま木内理事が申していただいたとおりでございます。
○木内委員 ところで、私も理事として参加しておりました、出席していたことしの予特におきまして、共産党から、臨海副都心の開発は支出が収入を上回り破綻をしている旨の指摘があったんですが、これ、客観的にどういう内容、主張を共産党はしていたんですか。
○成田港湾局長 予算特別委員会の当時の記録によりますと、共産党のご主張は、収入が、土地の売却収入四千五百三十億円、中期リース収入九百九十億円、手持ち資金六百七十二億円、合計しますと六千百九十二億円、支出が、元金債六千五百七十億円、臨海副都心建設の借入金三千六百五十一億円、今後の追加投資千五百億円、合計すると一兆一千七百二十一億円となり、土地が全部売れても到底借金返済はできず、収益が出るどころか債務超過で大変な財政負担が発生しかねないとの内容でございました。
○木内委員 大変妙な指摘をしているというふうに思うんです。この指摘だと確かに支出が収入を大きく上回り、臨海副都心開発は破綻してしまうことになる。
分科会におきましても、この開発は順調に進んでいるという答弁もあったし、私もそれについては同じ認識を持っているわけであります。共産党の指摘だと、破綻していることになる。果たしてどっちが正しいんですか。
○成田港湾局長 先ほど申し上げましたが、予算特別委員会における指摘を拝見しますと、まず、支出におきまして東京臨海副都心建設株式会社を初めとした臨海三セクの借入金残高約三千六百五十億円を含んでおります。これは、株式会社である臨海三セクが独自に返済するべきものでありまして、本来、臨海地域開発事業会計には計上すべきではない、そういう金額でございます。
また、土地の売却益等の金額が我々の試算額より過少に見積もられております。私どもの試算では、基準標準画地の価格を目途に街区ごとの条件を反映して個別に土地価格を推計し、積算したものでございまして、精度の高いものと考えております。実際、私たちの試算には、収入、支出ともに約八千四百億円でございまして、平成三十一年度に収支均衡する予定でありまして、臨海副都心の開発は全く問題なく進められるものと考えております。
○木内委員 今の答弁でもありましたように、収入、支出ともに約八千四百億円で平成三十一年度に収支均衡する予定、これに向けて努力している、またそのとおり進んでいる、こう私は見るわけであります。
そうしますと、共産党の指摘というのは全く見当違いな指摘である、こういうふうにいえるんじゃないかと思うんですね。局長、答弁できますか。そのとおりかどうか、あるいはもし答弁したくなければ、私が今ここで結論をつけて次へ進めてまいりますが……。(笑声)何かご発言--というのは、予特のときにも、牽強付会というか、こういう発言が共産党からあったときに、篤実で温厚な局長がえらい声を荒らげて答弁したのが印象的だったものですから、何かありましたら、おっしゃっていただきたい。
○成田港湾局長 実は予算特別委員会のときの資料に--先ほど申し上げましたように、臨海三セクはそれぞれのビル事業とその事業の収入をもって返済すべきものでございます。それの残高約三千五百億円を無理やり臨海事業会計にくっつけて、それがために足が出る。そういった資料は、やはり公正な議論をする上で、非常に私としては心外だと思いまして、予算特別委員会ではそういう発言を申し上げたところでございます。
○木内委員 ところで、平成十五年度の土地の処分が順調であったという社会環境の変化というものについて触れたわけでありますけれども、さまざまな要因というものが努力のもとに結合してこういう結果になったんだと思いますし、今日的な有利な状況を生かして、さらにこの土地処分というものが成功裏に進むように期待をさせていただきたいと思います。
また、平成十七年度には晴海通り、「ゆりかもめ」の延伸等が図られまして、臨海副都心は確実に交通アクセスが改善する。こうした追い風をもまた大きなファクターとして積極的な誘致を進めるべきだと思うんです。お尋ねしません。答弁、結構です。
それから、改めて確認するわけでありますけれども、土地の処分については先ほど来私が確認したとおり着実に進んでいるわけでありまして、今後も土地の処分を進めるということの大きな加速力になりますので、ぜひご努力を願いたいと思うのであります。
臨海副都心の開発の目的というのは、申し上げたように、職住学遊など、多様な社会的要素が機能として備わるということでありますので、ぜひよろしくお願いしたい。
それから、先ほども議論がありましたので避けたいと思ったんですけれども、若干異なる角度からお聞きをしておきます。
今後、大量の都債の償還を間近に控えているわけでありまして、そうしたことを考えると、臨海副都心開発も決して安穏といえる状況ではないわけでありますけれども、何といいますかね、計数的な問題でなく、いわば夢と希望を都民に与えるという立場からの港湾局長の抱負をお聞かせ願えればと思います。
○成田港湾局長 先ほども述べましたが、今日の社会経済の状況でございますが、長いトンネルがようやく脱却しようとしてきている。実際に民間におきましても設備投資の増加や大幅な収益の向上等が見られるところでございます。
こうした状況を追い風といたしまして、臨海副都心も他の地域と競いながら確実に開発を進める好機と考えているところでございます。もちろん、先生ご指摘のように、平成二十一年度以降の都債の大量の償還時期を間近に控えまして、決して楽観できる状況にないのも事実でございます。
しかしながら、開発着手から十六年が経過し、人間に例えるならば立派な青年期を迎えるこの臨海副都心は、どんな苦難にも負けることなく育ってくれるものと信じているところでございます。初心を忘れることなく、また都議会議員の皆様の大きな協力をいただきながら、さらなる開発の推進に邁進していく決意でございます。
○木内委員 最後に非常に心強い答弁を得ました。私ども都議会公明党も存分の応援をさせていただきますので、ぜひ引き続いてのご努力を要請したいと思います。
次に下水道局、お尋ねをいたします。
先ほど来、十五年度末の雨水対策事業あるいは平成十一年度から実施している雨水整備クイックプランについても言及がありましたので、お尋ねをしません。雨水対策事業では一時間五〇ミリの降雨に対応する下水道施設の整備を進め、平成十五年度末までに区部においては約五六%の区域について完了した。雨水整備クイックプランについては、平成十五年度末までに重点三十地区すべてで工事に着手し、そのうち十二地区が完了している。さらに小規模対応八十二カ所のうち八十一カ所、ポンプ対策九地区のうち三地区がそれぞれ完了しているという認識ですが、そのとおりかどうかだけ答えてください。
○二村下水道局長 ただいま先生のお話のとおりでございます。
○木内委員 今回の台風が下水道の整備水準を上回るものであったわけでありますけれども、先ほども議論がありましたように、決して十分ではなかったということであります。そこで、このクイックプランを既に整備完了しているところについては、その効果がどのようにあらわれていたのか、お答え願えますか。
○二村下水道局長 クイックプランの整備が完了いたしました重点十二地区のうち、今回の台風二十二号によりまして、中野区東中野・中央地区では床上浸水が、また、北区田端新町・東田端地区では床下浸水が発生しております。これまでと今回の雨の降り方とを単純に比較することはできませんけれども、クイックプランの整備前の状況と比較いたしますと、両地区ともに浸水の被害がほぼ半減しております。残りの十地区につきましては、ほとんど浸水被害が発生しておらず、各地区でクイックプランの効果が発揮できたものと認識しております。
○木内委員 明確に、工事が完了した地区ではこの結果が明らかになっているということは、逆にいえば、全地区について一日も早い整備を行わなければいけないということになると思うんですね。
当初のスケジュールどおりということは、行政の事業実施としては基本的なものであると思いますが、これを早める、あるいはこの全地区整備に至るまでの、例えばハード面だけでなく、ソフト面でのあらゆる可能な手だての浸水対策等を含めて行うべきではないかと思うんですね。この点についてはどうですか。
○二村下水道局長 台風二十二号は一時間に七四ミリという降雨を記録いたしました。この降雨に対しまして、下水道の整備水準であります時間五〇ミリを大幅に超える部分につきましては、現在の下水道施設では対応するのは困難でございます。そのため、浸水被害を少しでも軽減するために、これまで繰り返し浸水が発生しておりました地域におきましては雨水整備クイックプランを実施してまいりましたが、お客様みずからも浸水への備えを行っていただけるように、東京アメッシュによる降雨情報の提供や、浸水予想区域図の公表などによりますリスクコミュニケーションの充実を図っているところでございます。
○木内委員 確かにいわれるようにクイックプランの工事の成果というものは非常に大きなものがあるわけであります。
ちなみに、台風二十二号が来襲しましたとき、翌日、私は地元の深川二丁目というところから通報を得て、現場に足を運びました。明治小学校という古い小学校がありましてね、この北側道路に約二百メートルの取りつけ道路があるんですけれども、東西にわたっている。その東西の道路の端っこと、ちょうど傾斜しているすり鉢の底みたいなところとの高低差がわずか十五センチなんですよ、二百メートルの間に。ところが、大変な豪雨だったものですから、これがどんどんどんどんたまりましてね、地元では何と三十四センチ冠水しました。製本屋さんだとか、一般家庭の中までどんどん入り込んだというようなことがありました。
私はすぐ区の総務部長を通じて土木部長に会いまして、これ何とかしろということで、何とかすべきだということで話をいたしました。調べてみたんです。そうしたら、一つは、マンホールがコンクリートのふたで目が詰まっちゃってて排水機能がなくなっているということが一つ。それからもう一つは、申し上げた明治小学校のグラウンドの砂や土が、これまでのたび重なる雨で排水口、下水管にどんどん入り込んできてしまって、中が空洞化していなくて詰まっちゃっているというような原因が明らかになったんです。
それで私は、区の土木部長と話をいたしまして、今度こういう豪雨のときに被害が二度と起きないように何か当面の施策がないかどうか聞きました。下水道局と相談してくれた。数少ないマンホールに加えて、このマンホールに、コンクリートのところに、メッシュ式のをひとつ全部入れましょう。もう一つは、排水機能を倍加させるために、短い区間だけれども、マンホールをメッシュ式のをあと二カ所設けましょう。それから排水口、地下の下水管に詰まっている小学校から流れ込んできた砂、これを全部しゅんせつしますというのでやってくれた。これは何もクイックプランを待たないでも、こうした細やかな地方自治体、区や市との連携で可能なことなんですね。
ですから、今いわれた例えばリスクコミュニケーションの充実を図るということにはいろいろあるでしょうけれども、こういった半分ハード、半分ソフトのような施策の展開で幾らでも可能なんですよ。これもぜひ念頭において自治体、区市町村との連携を図るようにご努力願えませんか。一点だけ答えてください。
○二村下水道局長 下水道局も先ほど来申し上げておりますように、雨水整備クイックプラン等によりまして浸水対策に努めているところでございますが、地元区市町村とも十分連携いたしまして、私どもの、先ほど申し上げましたように、時間五〇ミリを超えますと下水道管でのみ込めないという事実はございますけれども、しかし少しでも被害を軽減するために、地元区市町村と協力をして、今後少しでも被害を軽減できるように努力してまいりたいと、こう思っております。
○木内委員 恐縮ですが、五〇ミリ、七〇ミリという基準の雨量とは関係なく、申し上げたように、日ごろの対策が講じられていれば浸水、冠水しないでも済むというケースが幾らでもあるわけで、これについてぜひ区市町村との連携をとっていただきたいということですから、私が申し上げたことを念頭において、指摘の趣旨を踏まえて、区市町村と連携をとる、一言いってくれませんか。
○二村下水道局長 これまでも区とも連携してまいりましたけれども、今後とも道路管理者との連携をより強化いたしまして、雨水の収容能力を高めるため、先ほど先生のお話のありました雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどを促進していきたいと、こう思っております。
さらに、区や町会と連携した雨水ますの点検や清掃などの取り組みを充実してまいりまして、浸水の防除に一層努力してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○木内委員 下水道局長、最後に一問。これは下水道局の所管にわたらないかもしれませんけれども、今回私、豪雨のときに都内を回って感じた、いわゆる社会環境といいますか都市構造、建物の構造の変化によりまして、新しい被害が実は出ている。埋め込み式、パレット式の駐車場。これには浸水、冠水の防止策が今ほとんどないんですね。このために排水機能も持っていないものだから、実はマンションなんかでパレットで三段になっていて、上の段、それから地面の高さ、それから地下に埋め込む。ここにどんどんどんどん水が入って雨水がたまって、そうしてエンジンをオシャカにしちゃうんです、車の。私も現場見たんですよ。そしたらね、こんなすき間から下見たら、地下に埋め込みのパレットに駐車している車のボンネットのすき間からばちばちばちばち火花が出てる。これ、私はどういう理由かわからないけれども、実はもうそこまで水が達しちゃっているんですね。このために実は電気系統に障害が出て、接触が悪くなったのか、その車はだめになりました、ということもあるんですね。
だから、これは下水道局長にお聞きするのは酷かなとも思うんですけれども、まちづくりの大きな視点からのやはり新しい課題だと思います。何か感慨があればおっしゃっていただけますか。この解決に向けての私は強い要請をするわけでありますけれども。
○二村下水道局長 近年では土地の有効利用を図るために地下室や半地下を有する建物が増加しておりまして、地下室等への浸水被害がふえていることを認識しております。このため、下水道局では排水設備の届け出時に、建築主や施工業者に対しまして、浸水の危険性を説明し、ポンプ施設の設置についての指導に加えまして、水の流入を防ぐ土のうや止水板などの準備について説明を行っております。
また、区などの建築確認機関に対しましては、地下室や半地下建物にポンプ施設の設置指導をお願いしますとともに、建築業界や建築事務所関連団体などにも、地下室や半地下建物への対応を要請しております。
さらに、毎年六月に実施しております浸水対策強化月間では、実物大の地下室浸水模型による浸水時の避難体験の実施や、戸別訪問による浸水対策リーフレットを配布するなど、啓発活動にも取り組んでいるところでございます。
○木内委員 水道局にお尋ねします。
新潟中越地震の当日に--御園技監、見えていますか--が地方へ出張された。飛行機で羽田に着陸をしようとしたところ、たまたま新潟中越地震とのタイミングのせいで着陸が差しとめられたりして、空港で技監の乗っている飛行機が旋回を何回かした。これ自体で、報道される以上に深刻な状況ではないかという判断をされた。で、東京に戻ったときに高橋局長に連絡を入れた。十二時間後、ほぼ半日後、いち早く対策本部を、高橋局長の英断で支援対策のためのスタートを切った、こういうふうに聞いております。
やはり指揮官の即断、迅速な判断というものが深刻な被害に対して実は大きなサポートになるということだと思いまして、高橋局長、本当にご苦労様でありますけれども、今回の中越地震における水道の被害状況と、水道局が実施している応援の状況、簡単に報告願います。
○高橋水道局長 新潟県の災害対策本部のまとめによりますと、発生直後には県内で合計約十万戸以上が断水をしておりました。昨日現在で、約四千戸がまだ断水中という被害の状況でございます。水道局では、震災発生の翌日でございます十月二十四日早朝から情報収集に努めまして、午前七時三十分、初動態勢を確保するための暫定の応急支援対策本部を設置いたしました。
続きまして、二十六日に応急復旧支援対策本部を本格設置いたしまして、小千谷市を中心に復旧支援活動を実施しておりまして、二十四日以降、第四次まで延べ十五名を派遣しております。
また、現地に応急復旧活動の拠点を設置いたしまして、これまで延べ八十七名を派遣して、精力的な応急復旧のための調査活動等を展開しております。
○木内委員 今なお不便な作業環境の中で、水道局の職員の方々は交代で向こうで常駐して頑張っておられるわけで、特にライフラインの中では水というのは最もやはり重要なものの一つであります。現地の期待もこれ以上大きな問題はないかと思います。
さて、さっき同僚委員の質問にありましたので、ポイントだけお答えいただけばいいんですが、全国の大都市と災害時の相互応援協定というのがあるわけですけれども、この主な項目と今回の中越地震から得た教訓をここにどう生かすかという二点について簡単にご報告願います。
○高橋水道局長 水道局では、政令指定都市十三都市をカバーいたします水道局との間におきまして災害相互応援に関する覚書等を締結しております。この覚書等におきましては、原則としまして、被災都市の要請によりまして、応急給水や応援物資の調達、その他必要な活動を行うこととしております。
また、災害時に迅速な対応がとれますよう、これは今回の教訓でもあるわけでございますけれども、各都市との間で平常時から活動の基本となります災害対策マニュアル等の情報交換を行っております。
なお、東京で発災した場合の対応でございますが、他都市からの応援者の受け入れ並びに支援拠点施設といたしまして活用できるように、港区にございます芝給水所の会議室や備蓄倉庫を整備しているところでございます。
○木内委員 水道局へのお尋ねは以上にいたしますけれども、時々刻々やはり社会対応必要だし、新しい教訓や体験のもとに新しいノウハウというものを今答弁されたようにつけ加えて、ぜひ都民が、あるいは国民が安心する事業の展開、災害支援をお願いしたい、こういうふうに思います。
最後に病院経営本部、お尋ねをします。
やはり、中越地震をどうとらえ、今後の発災時の都民の生命と健康を守るために対応願えるか、こういう話であります。
中越地震では死傷者は約四十人程度、負傷者はおよそ二千から三千人。さらに、各避難所におけるさまざまな不幸な出来事がありました。脳動脈塞栓症、いわゆるエコノミー症候群の多発が報告されるなど、災害時における医療面のケアというものが極めて重要である。検証すべき課題も多いんだと思います。
私ども都議会公明党は、石井幹事長を先頭にいち早く先に現地調査を行いました。で、被災地への支援に一層力を注ぐとともに、街頭募金等も党を挙げて東京都本部で行いました。これを、またさらに教訓を生かすための研究を今重ねているところでございまして、石原知事に対しましても、将来予測される東京における震災への万全の備えに全力を尽くすよう、先日、緊急申し入れを行ったところであります。
都立病院は、発災直後に府中病院から災害医療派遣チームとして三名、十一月二日には医療救護班として、広尾病院、墨東病院、駒込病院から医師、看護師、薬剤師など八名を派遣したと聞いています。医療スタッフの派遣はもちろん現地の被災者のためでありますけれども、こうした災害地での活動の経験は極めて貴重なものだと思います。申し上げているように、こうした経験を東京の災害対策のために鋭意役立てていただきたいと思うわけであります。
さて、都内には都が指定した災害拠点病院が六十一カ所あり、災害時にはこれらの病院が中心となって医療の提供を行っていくことになります。都立病院も八施設が指定されていますが、こうした都立病院が、拠点病院の中でも特に中心的な役割を今後果たしていくものと、こう私は認識しているわけであります。
そこで、これは確認でありますけれども、災害発生時の都立病院の役割と医療提供体制についてご報告をまず願います。
○押元病院経営本部長 災害時におけます都立病院の役割でございますけれども、災害拠点病院として指定されております都立病院は、災害が発生した場合、負傷者を受け入れ、適切な治療を行うとともに、必要に応じて迅速に被災地域に医療救護班を派遣する役割を担っております。そのため、災害医療用資器材の備蓄や自家発電設備の整備あるいは飲料水、医療用水の確保などを行いますとともに、あり得べき事態を想定して、定期的に防災訓練を行ってきているところでございます。
さらに、広尾、墨東、府中の各病院におきましては、核物質や細菌あるいは化学物質によります災害にも対応できるよう、除染テント、防護服等を配備し、きちんとした体制をとっているところでございます。
○木内委員 さて、平成十五年度には広尾病院救急災害対策用施設を建設した、こういう報告がありました。この広尾の機能はどうなっていますか。
○押元病院経営本部長 お答えを申し上げます。
平成十五年度、広尾病院に建設をいたしました救急災害対策用の施設の機能でございますが、職務住宅の一階部分に整備をしたものでございまして、災害用資器材の備蓄倉庫と研修室から成っております。
研修室には医療ガスの配管の配備をいたしまして、平常時には災害対策などの研修に使用をしておりますが、一たん事があった場合には、直ちに臨時病室として転用することができるようになっております。
また、この職務住宅に入居している職員につきましては、災害時における緊急対応要員として迅速果敢に救護活動に従事することとしております。
○木内委員 災害時には恐らく、今もいわれましたがベッドの増床等が必要になるわけでありまして、そうした場合でも重傷者に対応できるよう、医療ガスが配備され、臨時病室に転用できる施設というのは極めて貴重な位置づけになろう、こんなふうに思います。
災害時にこうした施設設備を十分に活用して、一人でも多くの都民がこれを活用できるよう、また都民の命が救済されるよう、同時に医療スタッフが十分な訓練、研修を受けて、即応体制というものを日ごろから準備しておく必要があるんじゃないか。このスタッフの育成というのは極めて重要だと思うんですが、どうですか。
○押元病院経営本部長 お答えを申し上げます。
災害対策に対応すべきスタッフの育成でございますけれども、平成十五年度から都立病院が独自に災害医療に関する専門知識を有します看護師を育成しておりまして、現在二十名を養成中でございます。また、広尾、府中、墨東の各病院では、災害派遣医療チーム・東京DMATの隊員を三十四名確保しております。引き続き全都立病院の職員を対象といたしまして、医療救護班研修など、災害医療に関するさまざまな研修を実施いたしまして、必要なスタッフの育成を図り、災害に対する対応能力を高めてまいりたいと存じます。
○木内委員 中越地震ではハイパーレスキューの存在が大きく顕在化したわけですけれども、実は、都立病院の所管でDMATが派遣されたことも現地では大変な救いの状況であったということも聞いております。ぜひ、今DMAT三十四名という話がありましたけれども、スタッフの育成に懸命なご努力を願いたい、こう思います。
それから、災害時には、病院の立地する地域周辺の被災者への対応がまず初期的段階はもとより、多くなるのではないか。そのため、周辺区やあるいは関係機関、地域との日ごろからの密接な連携というものが重要ではないか。そのために、継続的な連携体制の確認も含めて、情報の交換等、システムをさらに充実させるべきと思いますが、どうでしょうか。
○押元病院経営本部長 お答えを申し上げます。
ご指摘のとおり、災害時には地元の自治体やあるいは地域の医療機関などと密接な連絡、連携をとりながら対応することが極めて重要となります。そのため、救急災害医療センターである広尾病院では、地元区の防災体制の一翼を担いますとともに、定期的な連絡会にも参画をいたしまして、関係機関との密接な情報交換に努めているところでございます。
さらに、地元の区や消防署などと合同で防災訓練を実施するなど、実践的な取り組みを行いまして、先生ご指摘のような災害時における連携システムの構築に努めているところでございます。
○木内委員 個別的には広尾病院でそういう先進的といいますか、モデルになるような地域や関係団体との連携システムもできている。もとよりこの広尾病院は救急災害対策用施設という位置づけでありますから、そうした行き方なんだと思うんです。
最後にお尋ねをするんですけれども、いうところのこうした広尾方式、こうした広尾の取り組みというものを広尾だけで終わらせないで、他の都立病院にもこれを敷衍して、より量的、質的、地域的拡大を図って、発災時に備えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○押元病院経営本部長 ただいまご提言のございましたとおり、広尾病院の取り組みを私ども一つのモデルとしてまいりたいと思います。したがいまして、他の都立病院におきましても、災害発生時におきまして、その病院が立地をいたします地域の特性を踏まえた迅速かつ的確な行動を行えるような体制を構築してまいりたいと存じます。
○木内委員 きょうは約四十分間の質疑でありましたけれども、事実の確認、今後への方針、提案に対する姿勢、それぞれ大きな成果のあった議論だと思います。それぞれの局においては、ぜひ、申し上げたことをさらにひとつ肝に銘じていただいて事業の展開に反映をしていただきたい、このことを強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。
○馬場委員長 木内良明理事の発言は終わりました。
この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十五分休憩
午後三時三分開議
○馬場委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
真木茂副委員長の発言を許します。
○真木委員 民主党の真木でございます。私は第一分科会に所属をしておりましたものですから、本日は、第一分科会の管轄以外のところを中心にお伺いをさせていただきたいというぐあいに思っております。水道局、下水道局、ちょっと質問が多くなりますが、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、最初に、水道局についてお尋ねをいたします。
私にとりまして、この十五年度における東京都の水道関係の思い出といいますと、何よりもこの十五年の第四回定例議会におきまして、これは水道局予算ではありませんけれども、八ッ場ダムに対する追加出資をめぐって、民主党は全員議場から退席をするという極めて異例の行動をとらせていただきました。それだけ多くの議論があって、私たちもまじめに、本当に真剣に、多くの議員が現場に赴き、議論に議論を重ねて、そしてそうした中での窮余の策として全員が退席するということになったわけではございますが、それだけの議論を重ねてきた思い出深いものでございます。
その前提であります八ッ場ダムの追加出資の問題は、水道局の方で提出をしました水需要予測の見直しがございます。戸倉ダムを中止にし、八ッ場ダムについては引き続き建設をする、お金をさらに出してまで建設をするという、そのもとになりますのが水需要予測の見直しであります。
本日審議しておりますのは十五年度決算でございますが、その決算書にその水需要予測の見直しが一切書かれておりません。私はこれは非常に重要な、十五年度決算を語る上で、最も水道局として大切な事項であるというぐあいに認識をしますけれども、それが一切書かれておりません。この辺の認識につきまして確認をいたします。
○高橋水道局長 今回の水道需要予測の変更に関する決算の記載につきましては、平成二年度あるいは平成十年度におきます水需要予測の変更時の例にならいまして取り扱ったものでございますけれども、水道需要予測そのものは重要な事項であると認識をしておりまして、事業概要などにも将来の水道需要を公表しているところでございます。
なお、よりよい公表のあり方につきましては、今後検討課題としてまいります。
○真木委員 予算、決算というのはともに何も数字だけの問題ではないというぐあいに思います。予算にしろ、決算にしろ、これは何も私どもは会計監査をしているわけじゃありません。予算審議、決算審議、それぞれその年度の局のあり方、東京都の行政のあり方について議論をしているわけでございまして、その中でも最も今後の活動の基本となる、十五年度の活動の基本となりました、また、今後のまさに百年を見通した上での活動の基本となる水需要予測の見直し、これは数字には出てこないものでありますが、決算概要書というわざわざ文書までつけていただいているわけでございますので、ぜひこれは書くべきものである。何か書かないでいると要らぬ腹を探らなきゃいけない、やはりそんなことは触れたくないのかなと。でも、それはどんなに修正した、見直しをしたといっても、これは恥じることなく堂々とやはり書くべきものだと私は思います。ぜひ今後のあり方の見直しとともに、水需要予測というものが最も大切であるということの認識を改めて確認をしておきたいと思います。
続きまして、同じく決算書の事業概要の中にございました、十五年度の中に、多摩地区の地下水が予備水源から認可水源に位置づけられたということが触れられております。予備水源から認可水源に上がった、これは紛れもなくランクアップしたということでございまして、私どもとしては地下水の重要性などを主張させていただきました。歓迎すべき事態だというぐあいに思いますけれども、文字どおり東京都の認識が変わった、地下水源をランクアップしたというぐあいに考えてよろしいんですよね。
○高橋水道局長 平成十五年度末に受けました水道事業の認可変更では、地下水が水道水として現在供給されているという実態がありますことから、認可対象として整理をされたものでございます。多摩地区の地下水が、長期的に見まして、地盤沈下や水質の面から水源として不安定であるということにつきましては従前と同様でございまして、国ともこの基本的な認識は一致をしているところでございます。
○真木委員 不安定であるということに関しては、いろいろな議論があるんだと思います。それとともに、やはり地下水源というものをもうちょっと身近な水源として、そして今後の環境への問題、さらには危機対策、危機管理という観点からしても、さらなる位置づけを図っていただきたいというぐあいに思うところでございます。
そうした中で、私は、私の地元の町田市にございます原町田水源について、平成十五年の第一回定例会で一般質問の中で聞かせていただきました。私はこの原町田水源というものが、厚生労働省の通達一枚、地下三十メートルからの取水をしている浅井戸であるということによってのみ、それだけの、通達一枚の理由によってのみ--今までの水質が悪化したわけではない、ただ、アメリカにおいてクリプトスポリジウムという菌が出て、その危険性が指摘されるから浅井戸については見直すようにという通達一枚で、原町田水源が今休止に至っております。私は後で申し上げますが、この水源はやはり重要視--見直すべきだ、大変いい水だというぐあいに聞いております。それで水源の復活を求めました。
そうしましたところ、まさに最初にこの場に私たち議員が集まったときに、この平成十五年度予算の審議等における懸案事項の措置状況調、議会局の方でおつくりいただいております公営企業会計関係の調べを私は目にいたしました。ぺらぺらぺらとめくっていたら、私の質問を載っけてくれておりまして、その後どうなったかということで検討状況について議会局の方で水道局の方に聞いたものを記してありました。へえ、うれしいなと。こうして私は質問したままでございましたけれども、議会局の方がフォローアップをしてくださっているということで、本当に敬意を表するものであります。水道局が議会局に提出をした資料の中では、「原町田水源の再開については、今後とも水質の動向を監視していくとともに、給水の安定性や緊急度などを踏まえ検討していく」というぐあいに記されております。
そこでお尋ねをいたします。原町田水源の再開へ向けた取り組みについて、その後の状況はどうなっておりますでしょうか。
○高橋水道局長 原町田浄水所でございますが、井戸水源が三本ございますけれども、そのうちの一本の原水中から、クリプトスポリジウムによる汚染のおそれを判断する指標でございます大腸菌が検出をされました。クリプトスポリジウムは激しい下痢などを引き起こす微生物でありますことから、国の指針に基づきまして、平成十四年九月より当該井戸の取水を停止をしております。取水停止以降現在まで、大腸菌につきまして毎月水質検査を実施しておりますが、ことしの六月及び七月にも検出をされているという状況でございます。
○真木委員 クリプトスポリジウムについて検査しているわけじゃないわけですね。大腸菌は井戸水であればどこからでも出てくるわけであります。朝霞浄水場だって、その前のもとの水は大腸菌が当然検出されているはずであります。大腸菌は塩素で簡単に消えるわけでありまして、大腸菌が検出されたからといって、何も飲み水のもとの水として危ないことは全くありません。しかしながら、浅井戸であるならば、クリプトスポリジウムという、簡単なろ過装置であれば通ってしまう可能性があるので、その場合は膜ろ過装置をつけるなり、措置をしなければ停止をしなさいという国の指導であります。ですから、膜ろ過装置をつければ簡単に再開はできる。非常にこれは地元の皆さん、また業者の皆さんに聞いても、上質な水であるということで評判の水でございます。これは後でまた申し上げますが、ぜひ復活する方向で考えていただきたいというぐあいに思うわけでありますが、今後の再開に向けた展望はいかがでございましょうか。
○高橋水道局長 原町田浄水所につきましては、現在でも地域に必要な給水量が確保されておりますとともに、震災時に必要な飲料水も確保されております。
なお、多摩地区におきます井戸水源は、平常時はもとより、災害時におきましても身近に利用できる貴重な水源でありますことから、水質や地盤沈下の動向などを踏まえながら活用することとしております。お話の取水停止をしております井戸水源につきましても、今後の水源水質の動向等を勘案して対応を検討してまいります。
○真木委員 ぜひ再開に向けた検討をお願い申し上げたいと思います。大腸菌が出てきたからといって、決してこれは危険なものではありません。クリプトスポリジウムが仮に出てきたとしても、膜ろ過装置というものをつければ、今あちらこちらでつくられております膜ろ過装置をつければ、これは再開できるものなんです。原町田水源と同じ規模の深沢浄水所におきましては、膜ろ過装置を設置いたしました。その建設費用は四億五千万円でございます。
今、災害時における水は確保されているというお話でございましたが、これは理論値、一人一日三リットルという理論値だけでございまして、先ほど同僚議員からも、水を控えていてエコノミークラス症候群になったということでございますけれども、トイレの水も流せない、水を飲めばトイレに行く、そういったことであらゆる水を控えているわけですね。そういった一日三リットルでは、これは生き長らえていくことはできるだろうけれども、決して--災害時に文化的な生活とまではいわないですけれども、しかしながら、皆さんが少しでも安心できる生活になるレベルではありません。この理論値、一日三リットルを確保するというのは、総務局の総合防災部の一日三リットルという計算に基づいて応急給水槽が設置されているわけでありますけれども、その応急給水槽などの計算に基づいて、災害時の水は確保されているということでございますけれども、しかしながら、目の前が火事であったら、その応急給水槽の水は使わなきゃいけないんですね。これは消防庁からも補助金が出ているわけでありまして、目の前で火が出ていて、飲み水だから使わないということにはならないわけであります。
そして、町田市にあります一千五百トンの応急給水槽は建設費に九億円かかっております。そして、今度また町田市に百トンの応急給水槽を二つつくっていただきますけれども、百トンの応急給水槽でも一億三、四千万かかるわけですね。百トンなんていう水は、火が出ていれば、あっという間に消えてなくなってしまうわけであります。
そうしましたところ、やはりやりとりの中でも、これで膜ろ過装置、わずか七百トンのために四億五千万の膜ろ過装置をつければ、八ッ場ダムの水よりも高くなるというご説明をいただきました。しかしながら、一方の災害対策として考えるならば、使って、すぐあっという間になくなってしまう水の百トンのために一億三千万円のお金を使っている。この原町田水源は、休止した分だけでも一日に七百トンあるわけですね。そうすると、二日分で一千四百トン。だから、今一億三千万円使ってつくろうとしている百トン分の応急給水槽七個分、それが一日に水が出てくるわけであります。安全対策として、この応急給水槽をつくるよりも、井戸水源を確保している方がはるかに市民の安心につながるわけであります。
しかしながら、なぜ水道局が、この応急給水槽は総務局予算でつくってもらうけれども、水道局予算としてその四億五千万円が高いというぐあいに考えるかというと、私が考えるには、水をためておくという予算は総務局予算で応急給水槽をやってくれる。水道局がそっちの分には税金が入ってこない。だから、その水の備蓄の部分については総務局の予算でやって、自分たちの分はそっちには回さないというようなところになってしまうんじゃないかなということで私は推察してしまうわけであります。
ちょっと長くなりますが、あらゆるライフライン関係の公営企業体というんでしょうか、東京電力、NTT、東京ガス、これらはお客様からの料金、私たち市民からの料金でその危機管理分までやっています。なぜ水道局だけが危機管理のために税金がつぎ込まれるのか、私はこれ自体に疑問を持っておりました。
しかしながら、この間、水道局の皆様と議論をさせていただく中で、私たち水道局も、地震が起きたときに水がとまらないように、一生懸命水道局の料金、都民の料金の中でやっているということでございました。備蓄については全く別次元だという理論をいただきました。ああ、それもそうだな、備蓄については、確かに石油備蓄なども国の税金でやっている、わかったと。じゃあどんな地震が起きても壊れないようにするのは料金でやってくれ、でも、ためるのは税金でやろう、その理屈は僕は大いに納得できるところでございます。でも、そのためるための税金を、総務局で回ってしまうから、二キロ四方に、徒歩圏で行けるようにということで、百トンの使い勝手の悪い応急給水槽ばかりをつくってくるという形になってしまう。
そうじゃなくて、水道局に直接税金が入って、危機管理分、備蓄、水の備水の分まで水道局が使っていいよ、この金で、税金でやりなさいということにすれば、この四億五千万円で膜ろ過装置をつけて、井戸水の、地下の、自家発電装置もあるこの原町田水源で危機管理の機能も持たせていこうという理屈は容易に成り立つんだと思うんですね。
この辺の法律の絡みもあって、長期課題になるんだと思いますけれども、こうした水をためていくことに対する税金の使われ方について、水道局としてもぜひ、今のもう応急給水槽は九七%網羅されるわけであります。総務局との関係の中で、この水をためるということについて、その税金の使い方、ぜひ水道局が一元的にやるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
○高橋水道局長 お話にもございましたけれども、水道事業者としまして、震災時におきましても安定給水を確保することが何よりもまず必要だ、このことは十分認識をしております。そのため、浄水場、給水所及び配水管など、水道施設の耐震化を図りますとともに、非常時のバックアップ機能の強化に努めております。
また、応急給水拠点の整備につきましては、東京都震災対策条例におきまして、震災時の飲料水確保のための施設整備は、水道事業とは異なり、行政施策とされておりますことから、関係局との協議の上で実施をしているものでございます。
なお、ご意見につきましては、防災行政と水道事業の守備範囲のあり方を含めまして、今後の研究課題としてまいりたいと考えております。
○真木委員 総務局予算でついているこの応急給水槽の調査、また設置についても、実は全部水道局に丸投げされていて、水道局がやっているという実態があります。そうしたことならば、水道局が一元的に企画、運営した方が効率的なものができるというぐあいに私は判断をいたします。ぜひ、今最後、研究課題とするというご答弁をいただきましたが、飲み水の確保、そして有効的な地下水の活用、そして危機管理、一元的に水道局がやっていただけるような方向でご検討をお願い申し上げたいと思います。
引き続き危機管理についてお尋ねをいたします。
水が地震のときなどにとまってしまったというときに、他県から水をもらうということは大変有効な手段である。水道局が今その活動を進めております。平成十五年十月に埼玉との協定を結びました。十二月には川崎との協定を結びました。この相互融通の進捗状況はいかがでございましょうか。
○高橋水道局長 埼玉県との朝霞連絡管及び川崎市との登戸連絡管につきましては、整備につきまして協議が調いまして、お話にありましたように、平成十五年に基本協定を締結しております。このうち、朝霞連絡管につきましては、今年度中に工事着手をする予定でございます。
○真木委員 今着々と進めていただいているということでございますが、今融通水量は十万立米ということですね、一日当たり。これは三十万人分の水でございます。まだまだ足りません。さらに進めるべきだと思いますが、今後の展開、横浜水道局や他県、千葉県とかもございます。今後の展開はいかがでございましょうか。
○高橋水道局長 隣接をしております水道事業体間で送配水管を接続しまして、水道水を広域的に相互融通する体制が構築できれば、災害などの非常時における水の確保、さらにはバックアップが困難な地域への相互補完が可能になるなど、より一層の安定給水が図れるものと考えております。このため、引き続き近隣水道事業体との間で相互融通の検討を進めてまいります。
○真木委員 ぜひ積極的に進めていただきたいというぐあいに思います。
そうしたことを今後進めていく上で、今多摩地区におきましては、水道の一元化、事務委託解消が進められております。これはもう計画に乗って、多摩の方で、ほとんどの市区町村で一元化されていくことになりますけれども、今それぞれの市でやっている水道の事務、各市に一つずつ、ほとんどの市で一つずつ水道の事務所があって、そこでお客様との窓口、さらには業者との窓口が置かれているわけであります。
これが一元化された後、東京都はどのように給水管理事務、もしくはお客様との窓口、サービスステーションをどのような配置に、どのような業務をそれらの--今、給水管理事務所やサービスステーションを置くということでございますが、それらの業務内容をお伺いいたします。また、それぞれの設置予定数をお伺いいたします。
○高橋水道局長 給水管理事務所でございますが、サービスステーションを統括管理するとともに、管轄区域内の水道施設の維持管理業務を行うために設置をいたします。
また、サービスステーションは、各地域におきます料金の滞納整理業務や給水装置工事の立ち会いなどを行うほか、水道料金の窓口収納業務を行うために設置をいたします。
なお、設置箇所数につきましては、給水管理事務所は四カ所、サービスステーションは十二カ所程度を予定しております。
○真木委員 一元化の対象市区町村数は二十五市町ですね。今のご説明では、四カ所と、合わせて十二カ所。そうしますと、二分の一、二つの市町に一つのサービスステーションなり給水管理事務所ということになります。この具体的な設置の検討状況はいかがでございましょうか。
○高橋水道局長 サービスステーションは市町に対する事務委託の解消に合わせまして設置をするものでございまして、お客様の利便性、人口や地域のバランス、業務執行の効率性等を考慮いたしまして配置をすることが基本と考えております。具体的な配置につきましては、事務委託の解消状況に合わせまして今後検討してまいります。
○真木委員 二十四市と町の合計人口は三百七十二万人でございます。これを十二カ所で割ると三十一万人ということでございまして、手前勝手なことをいえば、私の町田市は四十一万人でございますので、当然一カ所来るなというぐあいに思うわけでありますが、しかし、サービスステーション、これは市民との窓口だけでございまして、今後の、先ほど私が質問させていただきました相互融通の話などにおいては、都県境の部分におきましても非常に重要な業務が行われます。そうした意味でも、ぜひ給水管理事務所を単に地理的にだけ考えるのじゃなくて、人口バランスや業務内容、そうしたものも踏まえてぜひバランスよく設置をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
地震が起きたら、総務局の想定では、水が復活するまで十五日かかるということでございます。朝霞浄水場から最も遠い、私の地元町田市では、その十五日目にかかるんじゃないかなということが危惧されているところでございます。そうした意味で、先ほどの相互融通などは非常に多くの市民が期待をしているところでございまして、その相互融通の仕事の重さというのは相当ある、そうしたことも踏まえてご検討をいただきたいとお願いを申し上げておきます。
最後に、水道局にお尋ねをしたいと思います。私は、今東京の水に関して非常に危機感を覚えております。と申しますのは、子どもが小学校三年生でございまして、町田市立の公立小学校に通っております。去年初めて私知ったんですけれども、小学校に水筒を持っていっていいということになったと。ええっとびっくりしたわけでございますが、お前は要らない、お前は水道の水を飲むんだといったんですけれども、友達みんな水筒を持ってきているといわれまして、水筒を持っていかないと親の愛情がないように思われる、もしくは金がないように思われてしまうなと思って、情けない時代、最初は我慢させたんですけれども、持っていきたいということを強くいわれて、そのまま今は毎日のように水筒を持っていっております。
これは多くの家庭で、私は水割りを家で飲むときも水道水で飲んでおりますけれども、そういうのは少数派になっているようでございまして、多くのご家庭ではお米を炊くのも水道じゃなくて、買ってきたお水を使うようでございますけれども、ただ、今の大人は水道水が飲めないなんということはだれも思っていないわけですね。おいしくはないとか、ちょっと危ないとか、いろいろいってはいるけれども、飲めないなんということは思っていない。みんな飲んで育ってきた。ところが、今の子どもたちは、水道水は飲めないものだ、飲んじゃいけないものだ、危ないものだといって育っている子どもが相当いるんじゃないかなということに関して、私は強い危惧を覚えるものであります。
今、東京都水道局ではおいしい水プロジェクトをやって、クリーンアップ貯水槽、こういった活動をやっております。これは高く評価をさせていただきたいというぐあいに思いますが、学校対策、これからも東京の水を飲み続けていっていただかなければならない、この学校の子どもたち、この子どもたちに、東京の水は安全なんだということをさらにしっかりとPRをして、おいしい水を学校でも飲んでいただけるように、学校に対する働きかけというものを水道局としてもしていかないといけないというぐあいに思うわけでありますが、子どもへの対策、学校への対策、局長の決意をお伺いしたいと思います。
○高橋水道局長 ただいまの点に関しましては同感でございます。次の世代を担う子どもたちが、水道水に対して正しい理解を持つことは大変重要なことでございます。これまでも小中学生を対象といたしました学習資料を作成しまして、配布をしておりますほか、学校に当局の職員が出向きまして、水道水の話をする水道教室を行っております。また、夏休みや春休みを利用しまして、親子水道施設見学会を開催しております。さらに、今年度にスタートいたしました安全でおいしい水プロジェクトにおきまして、小学生を持つご家庭を対象に水道親子サポーター制度を創設いたしまして、水道に対する理解を深めていただくよう努めております。
今後とも、水道水の安全性につきまして、子どもたちへの取り組みはもちろんでございますが、広く都民の方々に積極的にPRをしてまいります。
なお、直結給水への切りかえにつきましては、広く関係機関に働きかけを行っていくこととしております。
○真木委員 水道局長初め水道局の皆さん、本当にご苦労だと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、下水道局にお尋ねをいたします。
下水道局におきましては、小水力発電事業というものを始められました。この決算の事業概要説明の中でも局長が軽く触れられたかと思いますけれども、極めて謙虚に、二村局長のお人柄じゃないかと思いますが、謙虚にしか触れられておりませんでした。私はこの小水力発電事業は極めて画期的な事業だというぐあいに思っているところでございますが、下水道局としてのこの小水力発電事業の画期性についての認識をお尋ねをいたします。
○二村下水道局長 小水力発電事業は民間との共同研究の成果で得たものでございまして、わずかな放流落差と豊富な放流水量から電力を生み出す新技術を下水道事業として全国で初めて実用化して、二十年間の事業として行うものでございます。実施に当たりましては、設計から建設、運転管理までの分野に民間の資金や技術力を活用するなど、新たな事業手法を導入しております。
この発電の取り組みによりまして、電力コストの削減のほか、再生可能エネルギー活用による温室効果ガスの削減など、地球環境保全にも貢献できるものというふうに考えております。
○真木委員 私は、昨日、環境局に対する、今度所属をすることになりました環境・建設委員会におきまして、事務事業質疑の中で、東京都として、ロシアが締結をしたことによって発効することになりました京都議定書、東京都としても少々金がかかっても取り組むべきだということで昨日質問をさせていただきました。下水道局もそれを早速実践しているんだなと、少々金がかかっても、コスト増になってもやっているんだなというぐあいに私は思っておりました。
ところが、今ご答弁にありましたように、コストパフォーマンスがいい、経費削減になるということもわかりました。さらに、当然のことながら環境効果は高いわけであります。森ヶ崎水再生センターにおけるこの小水力発電事業で、今後二十年間、経済効果と環境効果をどのように見積もっているのかを確認いたします。
○二村下水道局長 本事業によります発電量は、二十年間で約千六百万キロワットアワーになります。これによります環境効果は、二酸化炭素に換算いたしまして、約六千トンの温室効果ガスを削減することが可能でございまして、これは代々木公園の約三十個分の森林が吸収する量に相当いたします。
また、経済効果といたしましては、電力コストの削減に加えまして、自然エネルギーの普及促進を目的としたグリーン電力基金の活用、さらには、二酸化炭素削減などの環境付加価値を有価で取り引きするグリーン電力証書の売却収入を合わせますと、約四千万円のコスト削減が見込めるということでございます。
○真木委員 まさに一石二鳥、私は環境効果だけで、経済的には余り割が合わないんだろうなというぐあいに思っておりましたら、何と経済効果もあるということでございまして、こんな一石二鳥の事業をやらない手はない。区部には十三カ所の下水処理場がございます。流域下水道には多摩地区に七カ所の水再生センターですね、下水処理場がございます。
この技術も、先ほど答弁の中にありましたように、共同研究で、東京都が率先して研究をしてきて、そして初めて開発した技術でございます。ある程度の落差と相当な水量がなきゃできないということでございまして、今の技術ではこの二カ所で打ちどめだということでございますけれども、技術開発の成果でできたこの技術、さらにまだまだ研究を重ねることによって、小水力発電、今申し上げました残りの十一カ所、さらに多摩地区の七カ所、この東京都直轄だけじゃなくて、各市が持っている下水処理場などにも展開ができていくものだというぐあいに思います。東京都は率先して、この二カ所で満足するのではなくて、技術開発を進めていただきたい。そうしたことも含めて、地球温暖化防止に向けて、局としてさらに取り組みを強化していただきたいと思うわけでございますが、局長のその決意、姿勢についてお尋ねをいたします。
○二村下水道局長 下水道局では、都内で使用されております電力の約一%を超えます膨大な電力を消費しております。また、都の事務事業活動に伴います温室効果ガス排出量の約四三%を占める最大の排出者となっております。さらに、今後、合流式下水道の改善でありますとか高度処理の推進に伴いまして、温室効果ガスの増加が見込まれております。そのため、一刻も早く総合的な対策を進める必要がございまして、「アースプラン二〇〇四」を策定したものでございます。
ご指摘のとおり、今後も小水力発電のような温室効果ガスの排出が少ない新技術の研究開発に努めるとともに、日常業務での努力を一つ一つ積み重ねまして、地球温暖化の防止に局を挙げて取り組んでまいります。
○真木委員 昨今の技術革新は本当に目をみはるものがございまして、できないと思っていたものが次から次にできてまいります。それは本当にちょっとの研究投資をしていくことで実現可能となっていく。こうしたことへの研究投資はやはり東京都が率先してやっていかなければ、ほかの、民間ではなかなかし切れない技術でございます。ぜひ東京都が率先して技術開発に取り組んでいただけるようにお願いを申し上げたいと思います。
続きまして、交通局についてお尋ねをいたします。
私ども民主党で、この総括質疑について、質問内容について議論をいたしました。そうしましたところ、複数の議員から、都バスが黒煙を吐いている、一体どうなっているんだというご指摘がございました。市民からも受けたという先生、議員仲間ですね、そしておれは直接見た、都バスが黒煙を出しているのを直接見たというご意見がございました。私も聞くところによれば、そういった--私は直接見ておりませんが、そんな声を耳にいたしました。そんなことはないと思うわけでありますが(「ありますよ、見ました」と呼ぶ者あり)東京都において、東京都交通局がどのように、この苦情とか来ているのかどうか、現状認識をお尋ねをいたします。
○松尾交通局長 交通局では、都営バスにDPF装置を装着いたしました後、一カ月ごとの定期点検整備時に、黒煙測定器による黒煙排出状況の測定を実施するとともに、エンジン調整、DPF装置のフィルター清掃等を実施し、装置の性能維持に努めております。
黒煙排出の通報につきましては、都営バスの関連で黒煙ストップ一一〇番に寄せられたものといたしましては、現在までで九件となっております。
○真木委員 環境局に寄せられたクレームだけでも九件。今この議場からも、見たというご意見をいただきました。こうした意見があった場合、指摘があった場合、交通局としてはどのように対応しているのでありましょうか。
○松尾交通局長 苦情を受けました場合には、対象車両を早急に車庫に入庫させ、黒煙測定器により黒煙の排出状況を確認しております。
黒煙ストップ一一〇番に寄せられた九件についてでございますけれども、該当車両が特定できなかったものが二件、道路運送車両法で定められた排出基準値を下回っていたものが七件でございまして、基準値を超えていた車両はございませんでした。しかしながら、黒煙排出防止に万全を期すため、これらの車両につきましては、エンジン部品等々の点検整備を実施したところです。
○真木委員 ちゃんと認可を受けたDPFをつけているということでございまして、いろいろ勉強させていただきますと、DPFの種類の中で、一時的に、一時間に一回程度黒煙をまとめて噴き出すような装置があるということでございます。しかしながら、それも基準値はクリアしているということでございまして、全体にならせばオーケーなんでございましょうが、しかしながら、やはり都バスでございますので、都民に大きな犠牲というんでしょうか、ご協力をお願い申し上げました東京都のその都バスが、黒煙を吐いているなどという指摘を受けること自体が、これは本来あってはならないことだと思うんですね。
その中で、環境局が指定したDPFの認可のあり方に問題があるのかもしれませんけれども、今後こういった--今後、DPFはもう問題にならないとは思いますけれども、こういったときに、率先垂範たる交通局が批判を受けないような装置開発に向けまして、今後は環境局かどうかわかりませんけれども、そういう視点でぜひ今後検討を進めていただきたいというぐあいに思います。また、私は環境委員会に所属しておりますので、この問題に引き続き取り組んでいきたいと思っております。
続きまして、都バスにおける危機管理の問題であります。
十月二十日、台風二十三号のときに、京都の舞鶴市由良川におきまして、国道で水がはんらんし、観光バスでございましたが、三十六人が取り残されて、屋根で過ごすという事件がございました。このときに報道されておりましたのが、バス会社においては運行基準があるというようなことでございましたけれども、東京都交通局では、台風や集中豪雨などのときに道路が冠水した場合、どのように対応しているのか、冠水した場合の対応方法について確認をいたします。
○松尾交通局長 交通局では、台風等による大雨が予想される場合、各自動車営業所の運行管理者は本局と連携をとりながら、運行区域における気象状況や道路状況等の情報収集に努めまして、あらかじめ乗務員に対し危険箇所や注意事項の指示を行っております。乗務員はその指示に従い運行するとともに、道路の冠水等に遭遇した場合は、MCA無線によりまして運行管理者の指示を仰ぎ、徐行、または運行の中止、迂回運行等を行っております。
○真木委員 そのバスを制限する具体的な基準はどのようになっていますか。そして今後見直す予定はございませんでしょうか。
○松尾交通局長 現在の基準では、冠水箇所の水位、路肩の状態、冠水道路の長さ等を考慮いたしまして、運行中止などの運行制限をすることとしております。
今後とも、異常気象時等の運行制限の基準につきましては、適宜必要な見直しを行いまして、お客様の安全確保にさらに努めてまいります。
○真木委員 今、見直していくということでご答弁をいただきましたが、都道だけでも、冠水で通行どめになっていること、十二年度では十二回ほどございます。また、都バスの異常気象時の処置要綱というのを見させていただきました。風が風速二十メートル以上に達した場合はとか、視界が三十メートル以内の場合はとか、視界とか風速については具体的な数字があるんですけれども、冠水については具体的な数字がございません。これはMCA無線で運行管理者に判断を求めるということでございますが、運行管理者だって、初めてのケースでどう判断していいのかわからない場合、緊急の場合に判断つきかねると思います。ぜひ具体的な数字を挙げてマニュアルをつくっていただきますことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○馬場委員長 真木茂副委員長の発言は終わりました。
次に、古賀俊昭委員の発言を許します。
○古賀委員 最近、病院に行きますと、都立病院に限らず、患者さんを呼ぶときは何々様ということで、様づけで呼んでくれます。これは公立病院、民間病院を問わず、それだけ公の病院だけではなくて、すべての医療環境の中で意識改革が進んでいる一つのあかしであろうというふうに思うわけです。
平成十五年度の都立病院会計を見ますと、総費用が一千五百億円を超えております。そのうち、一般会計からの繰入金が四百億円をこれまた超えておりますので、病院会計の実態は、約三分の一は他会計にお世話にならなければ運営できないという実態にあるわけです。都立病院のさまざまな経営診断の指標を見ますと、医療水準や医療体制は非常にいいということであると出てはいますけれども、経営の面では相変わらず課題が多いということが結論として私はいえるということをまず申し上げておきたいというふうに思うわけです。
この他会計からの繰入金、一般会計繰入金について絞ってお尋ねをいたします。
私はこれを、行政医療を都民に向けて提供していくために、全く無用だということをいっているわけではないわけです。その必要性に異論はありません。地方公営企業法では、第十七条の二において、第一号として「その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当でない経費」、それから第二号として「当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費」については、一般会計が負担をしてもいいということを認めているわけです。
しかし、都立病院では今日まで、従前、一般会計から必要な経費を補助金として一括して繰り入れてまいりました。自治体病院は公共性と経済性をともに発揮をしながら、住民の健康の増進と福祉の向上に寄与することが使命であるということは、だれしも異論がないところです。しかし、近年では、高齢化社会の展開、それから疾病構造の変化、医療技術が格段に高度化してきた、また、医療分野が専門化した、こういったことから、量的な拡大から質の向上へと大きな変化が今顕著なわけです。
一方、医療費を抑制するため、平成十四年度と平成十六年度と連続して診療報酬の減額改定が行われました。そういった病院経営をめぐる環境は、現在、順風とはいえない状況にあるわけです。都立病院は、医療の質を高めながら経営改善を進めるという、一見相反する二律背反的な問題を同時に克服しなければならないという宿命を持っています。
都立病院改革を着実に推進していくためには、今後とも自律的な病院経営の確立、それから責任の確立、明確化、こういったことが不可欠であります。そのために行政的医療に係る一般会計繰入金の負担区分の明確化を図るべきであるということを、私は公営企業の平成七年度の決算のときに、それから厚生委員会でもこれをたびたび指摘してまいりました。
そこで、病院経営本部、前は衛生局が都立病院を所管していましたけれども、健康局になって、病院経営本部というのが組織されて独立したわけです。経営本部ですから、経営ということを一つうたっているということをまず念頭に置いておかなければなりません。
この本部は、都立病院改革マスタープランの中で財政基準の見直しを掲げ、都立病院改革プログラムにおきまして、見直しの予定を、工程を示しています。平成十五年度から、今回決算審査を行っているこの会計年度から、一般会計繰入金については、負担金と補助金を明確にするために経理区分の変更が行われました。先ほど私申し上げましたけれども、地方公営企業法で定められているとおり、行政の立場で担わなければならない医療課題について、一般会計と企業会計との間で負担区分を明確化することは、自律的な病院経営を進める上で非常にこれは大切な前提となるものでありますので、病院経営本部が平成十五年度にようやくその第一歩を区分をして踏み出したということは、そのことについては少しだけほめておきたいというふうに思います。
今回の見直しでは、負担金と補助金の見直しに加えて、負担金の一部を医業収益に計上しているわけでありますけれども、その考え方は何に基づくのか説明してください。
○押元病院経営本部長 一般会計繰入金につきましては、先生ご指摘のとおり、これまで一括して補助金として経理をしてまいりました。平成十五年度からは、地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当ではない救急医療や感染症医療に関する経費などにつきましては、法の趣旨に基づきまして、一般会計負担金として医業収益に計上することといたしました。
また、高度医療経費、特殊医療経費などにつきましては、当面、従来どおり一般会計の補助金として医業外収益に計上しているものでございます。
○古賀委員 少しだけ改善をされたんですよね。ですから、これから病院の経営改善を進めていくためには、病院の主たる医療活動による収益であります医業収益及びその医業活動を行うために必要な医業費用、さらに、これを用いた医業収支比率による経営分析が病院経営の改善を図っていく上で非常に重要であるということも私主張してまいりました。
病院の健康診断を行うに当たって大切な指標というのは約百ぐらい、もっとあるかもわかりませんけれども、あるんですけれども、その中の医業収支比率というのは非常に大事な指標なんですね。ほかの指標を取り上げる時間もちょっときょうはありませんので、この医業収支比率についてお尋ねいたしますけれども、病院の主たる経営活動の結果を示す指標として、経営構造の弾力性がこれでわかるわけでありますので、この比率が低いと経営構造が硬直化しているということを意味するわけです。つまり、入ってくるお金と、それから出ていく医業費用の割合を示すわけですので、入ってくるお金が少なくて、かかるお金が、費用がたくさんかかれば、経営状態が非常に悪い、財政が硬直化しているということになるわけで、これは最も重要な指標の一つなんですね。
そこでお尋ねをいたしますけれども、一般会計からの繰入金の経理区分を変更したこの当該年度、平成十五年度における都立病院の医業収支比率、それからもう一つ指標を取り上げたいと思いますけれども、医業収益に対する職員給与費の比率はどのように変化をしたのか、変わったのかお答えください。
○押元病院経営本部長 その前に、先ほど私、お答えが不十分な点がございましたので、ちょっと補足をさせていただきますが、先ほど先生ご指摘のありました経理区分の変更によりまして、病院本来の医業における収入と費用の対比が明確になりまして、都立病院の経営改善に向けた取り組みが進めやすくなったというふうに考えております。
また、ただいまご質問のございました医業収支比率とそれから医業収益に対する給与費の比率についてでございます。
まず、医業収支比率についてでございますが、平成十三年度、十四年度、ともに七〇・一%であったところ、十五年度は八二・六%となっております。
また、医業収益に対する給与費の比率についてでございますが、十三年度は七三・三%、十四年度は七四・五%と推移をしてまいりましたが、十五年度は六二・六%に低下をしております。
○古賀委員 十三年度、十四年度、ともに七〇・一%の医業収支比率が、十五年度は八二・六%に改善をされたということですけれども、これは一〇〇を超えることが理想なんですね。まだまだ課題が大きい。
職員の給与費の比率も、六二・六%、十五年度。これは大体五割程度が基準だといわれていますので、まだ手綱を緩める段階では全くないということです。
先ほど申し上げた地方公営企業法の第十七条の二の二号、経費については、いまだに繰入金の大半が負担金ではなくて補助金のままというふうになっています。一般会計の補助金とされている高度医療とか特殊医療についても、さらに精査する必要があります。今後、繰り入れの基準を明確化した上で、一般会計が税金で当然見なければならない部分については、負担金として医業収益に計上することが理想的な姿であるわけです。それがまだできていない。繰入基準の明確化は、今後健全な病院経営を促す意味でも極めて重要でありますので、今後さらに取り組みを怠らないでもらいたいと思います。
都立病院の経営力の強化に向けて、病院経営本部が目指す繰入区分の見直しの方向、今後どのように改善に向けて一層取り組むのかお答えください。
○押元病院経営本部長 繰入ルールにつきましては、今後、新しい病院情報システムを活用いたしまして、一般会計繰入金の積算基準の精緻化を図ることによりまして、繰入ルールの見直しを進めてまいる所存でございます。
このことによりまして、地方公営企業法に規定をいたします一般会計負担部分と、企業の経済性を最大限に発揮すべき独立採算部門とをより明確に区分して、各病院の経営状況や課題を一層正確に把握し、経営責任の明確化と自律的経営の強化を図ってまいる所存でございます。
○古賀委員 都立病院の現在の健康診断をして、どの程度の健康状態かというのを知る上で二つの指標を今示しましたけれども、今、公立病院は大体全国に千七あるというふうに公営企業年鑑では出ております。この中で、今例えば東京都の大久保病院、これは平成十年度でないと比較できないものですから、十五年度ではありませんけれども、医業収支比率は、全国千七の病院の中で大久保病院は九百八十五番目、ほとんどドンケツ。それから、豊島病院についても九百二十二番目。そのほかの都立病院も大体だんごになって、この辺でうごめいています。
それから、医業収益に対する職員給与費の比率についても、例えば大塚病院は七百九十七番目、それから広尾病院が七百三十七番目。平成七年度のやはり順位を出したものを私、資料で前に用意してもらったんですけれども、当時と比べてほとんど変わっていないんですよ。だから、この七、八年、この順位はほとんど入れかわりなし、大体同じ位置に都立病院は低迷というか、金メダルにほど遠いところで、経営状態については、さきに申し上げましたように医療水準や医療体制はいいけれども、事経営の面になると、まだまだ課題は残っているという状態にあるということを、皆さん、ひとつ忘れないでいただきたいというふうに思うわけです。全国の公立病院のランクで何番目というのが今出るんですから、これで自分の健康状態をよく調べてもらいたいと思います。
新聞記事ですが、これも皆さんごらんになったと思いますけれども、これから病院会計も企業並みにしていくということで、厚生労働省が全病院に共通する新しい会計基準を示して、今年度から、平成十六年度から、官民を問わず、自分の病院の健康状態がわかるように、病院経営の効率化を図るためにこういった指標が今新たに定められました。ぜひこれを活用して病院の経営改善に取り組んでいただきたいというふうに思います。
それから、公立病院の経営比較診断というものも旧自治省が開発したものがありまして、こういうものを今まで使って病院の経営について見ていけば、自分の病院がどの位置にいるのかということもわかるわけですので、過去の指標、それからこれから新しく定められた会計基準等を参考にしながら、一層改革に取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
○馬場委員長 古賀俊昭委員の発言は終わりました。
次に、渡辺康信委員の発言を許します。
○渡辺委員 先ほど木内委員から、我が党に対する、いろいろな事実と違うかのような発言がありました。我が党は、臨海開発が行き詰まっていて破綻に直面しているとの立場から質問をいたしました。局長も答弁されましたけれども、臨海地域開発事業会計と三セク独自の事業会計をあわせて質問をいたしました。我が党は、臨海開発事業というのは、単に臨海地域開発事業会計だけでなく、三セクだって都が責任持ってつくったんだから、三セクの借金も含めて、均衡のとれた事業会計にしていかなければならないと考えていますから、あわせて質問をしたわけであります。臨海開発が思うようにいっていない、そういうことから、議会でもいろいろな支援策、こういうものをとってきたのではないでしょうか。
土地処分の件でいいますと、臨海開発用地の土地処分、これが進んでいるというような話ですけれども、これは遅々として進んでいないというのが現状だと思います。臨海開発用地の処分、これが進まない。累積赤字がふえるばかり。そういう中で臨海開発を救済するために、あの埋立事業会計あるいは羽田沖埋立事業会計、そして臨海会計、こういうものを統合して今の臨海地域開発事業会計にして、支援をしているんじゃないでしょうか。
十五年度分の収入のうち、百四十四億円の収入がありますけれども、これは臨海開発地域外の埋立用地処分の収入だということも述べておきたいと思います。
さらに、平成十年、無利子の貸し付け、これが二百七十億円、あるいは銀行からの利率の引き下げ、こういうものなどがいろいろありまして、こういう支援がなければ事業の継続は非常に困難なんだということだというふうに思っています。
また、土地の価格の問題についても、我が党はいろいろな資料を参考にしながら独自の積算をしてみたところであります。東京都のいうところの一平米八十万という、これは平均価格ですけれども、これであってもなかなか売れない。では、売れないからといってこの価格を引き下げるということになれば、どうするかといえば、採算はとれない。問題がいろいろあるんじゃないでしょうか。
それから三セクの企業債、これは三千五百億円ありますけれども、この償還の見通しも全く見えない。借りかえ、借りかえということで来ておるわけですが、いつかは償還できないときが来るというふうに私たちは思っています。そういう立場から質問した内容のものだということを申し上げておきたいというふうに思います。
次に、私はこれまでの論議で、基本問題は質問をいろいろなところでしてまいりました。私は具体的な問題で質問をいたします。有明北地区に進出が決定した嘉悦学園の公募対象あるいは用地、公募手続、これらについて質問をしたいと思います。
嘉悦学園に売却した公共公益用地でありますけれども、なぜ学校用地として公募したのか、お聞きをいたします。
○成田港湾局長 臨海副都心は、職住学遊の機能のバランスのとれた複合的なまちづくりを基本的なコンセプトとしております。有明北地区は住宅を中心とした開発を行うこととしておりますが、学の機能として学校の必要性を認め、ブランド校の先行的な誘致は、住宅を中心とする有明北地区の開発にとっても、地域ブランドを高めるという意味で有益だと判断したところでございます。その結果、進出しました学校は、中高一貫教育を行うなどユニークな教育方針で広く知られたところでございまして、誘致の趣旨は達成されたと考えてございます。
○渡辺委員 これまで、この地域に学校が進出するという話は、うわさにも聞いていなかったわけですね。本当に突如として出てきた、そういう感じなんです。
そこで聞きますが、有明北の区画整理事業が途中ですけれども、この途中の段階で、なぜ募集をしたのかということについて改めてお聞きします。
○成田港湾局長 改めて申すまでもございませんけれども、土地の処分というのは、これは非常にタイミングが重要でございます。そして、当該の土地につきましては、公共公益用地であることから、りんかい線の延伸などインフラの整備状況を踏まえると同時に、先ほど申し上げましたが、有明北の地域ブランドを高める、そういう学の施設として、先行的に学校用地を公募したものでございます。
○渡辺委員 区画整理事業で、都施行であればなおさらのことですが、本来、都は、公園用地や公共施設用地ということで民有地を買収して、そして民間負担が重くならないように、減歩率を引き下げる努力をするということでやっていかなきゃならないというふうに思うんですね。本来、区画整理事業というのは、都施行であれ、あるいは組合施行であれ、住民から選ばれた住民代表を含めた審議会の場で換地処分を決定するわけですけれども、今回の場合は、審議会の換地処分を決定する前に売却している。本来の趣旨になじまないと思うんですけれども、その点はどういうふうに思っておられるのでしょうか。
○成田港湾局長 繰り返しになりますけれども、土地の処分というのはタイミングが重要でございます。当該の土地につきましては、換地処分の前ではございますが、公共公益用地であることから、先ほど申し上げましたインフラ整備状況等を踏まえると同時に、地域ブランドを高める学の施設として、先行的に学校用地を公募したものでございまして、換地処分前に売却したことに何ら問題はございません。
○渡辺委員 売却したということについては何ら問題はないというのはわかるんですよ。だけれども、なじまないといっているんです、実際に。本来ならば、実際問題として、区画整理事業を進めるに当たっての心構えというか、心得というのはあるでしょう。そういう通常やっていることを踏まえてやってほしい、東京都がやるんだったら、ということでなじまないんじゃないかということを聞いたわけです。
そこで、お聞きしますけれども、この公募に対して何校応募されたんでしょうか。
○成田港湾局長 一校でございます。
○渡辺委員 土地処分までの手順のことでちょっとお聞きしますけれども、公募告示日が平成十五年一月二十四日、応募の受け付け期間が平成十五年二月十七日、締め切りが三月二十日ということで、ちょうど一カ月ということになるわけなんですね。売却費は五十九億八千八百万円、約六十億です。
六十億円もの資金を右から左へということで、今の経済情勢の中で、簡単に動かせる企業というのはそうそうあるものではないというふうに私は思っております。仮に買うというふうにしても、この目的というか、いわゆるどういうものにするかということとあわせて、採算ベースを考えますよね。そして、それを計算する。その上に立って、こういうところだから、取締役会とか、あるいは理事会とか、あるいは評議員会とか、そういうところの手順をきちんと踏まえなければならないというふうに思うんですね。一般的には、一カ月で応募できるというような状況にはないというふうに私はいわざるを得ないんです。だから嘉悦学園しか参加できなかったんではないかというふうに私は思うんですよ。
これは、秋葉原の開発によく似た話なんですね。秋葉原の開発というのは、公募で、検討期間がやはり短かったという中で、結果的には鹿島一社しか応募がなかった、こういうことで鹿島ということで決まったということがありましたけれども、内容的にはやっぱり同じものじゃないかというふうに私は受けとめておるんですけれども、その辺はどのように受けとめておられるんでしょうか。
○成田港湾局長 渡辺委員が秋葉原との対比でおっしゃいましたけれども、それは渡辺委員の一つのご判断だろうと思います。私どもといたしましては、先ほどのお話の中では、公募要項の公告から締め切りまでは、先ほど一カ月とおっしゃいましたが、約一・八カ月でございます。他の公募と同様の期間でございまして、募集期間としては短いとは考えておりません。
○渡辺委員 これは短いと思わないと。先ほど一・八カ月といったけれども、二月十七日から三月二十日でしょう。これは二月二十八日でしょう。だから、いっているのは、告示日ということからいっているんですか。告示期間でいっているんですか。それをちょっと聞かせてください。
○成田港湾局長 先ほどのお話の応募受け付けは、二月十七日から締め切りが三月二十日でございますが、やはり応募者にとってみると、応募するよと、そういう公告が出されてからご判断されるわけですから、そういう意味では、応募の受け付けが始まった二月十七日ではなくて、公募の事項の公告が行われた一月二十四日から、そこの土地を利用される方に対しては、私どもとしてはこのご利用についてアナウンスさせていただいた、そういう認識でございます。
○渡辺委員 そういう判断は局の判断であって、これがもっと期間が長ければ、学校用地ということだから、ほかの学校だって手を挙げたかもしれない。二つ三つ入ってくれば、これはどうするか知らないけれども、選考しなきゃならないという問題もあるわけですよ。いずれにしても、期間が短いから、嘉悦学園ただ一つ、こういうことになっているわけですから、そういう点で、やはり余り機械的にこの辺の問題は処理してもらっては困る、こういうふうに私は思います。
それで、時間の問題もありますから、もう一つ聞いておきたいと思います。
有明北地区における都市整備局が進めている区画整理事業と、港湾局の埋め立てている十六万坪の貯木場跡地の埋立事業とは、私も別の事業ということで考えておりますけれども、十六万坪の埋め立ての方の竣工後、都市整備局の区画整理事業にこれは編入されるということは考えられるんですか。その辺についてお聞かせください。
○成田港湾局長 区画整理事業につきましては、私どもが事業者ではございませんので、区画整理事業について編入する考え方がないという形で聞いております。
このように、区画整理事業と埋立整備事業は別の事業として実施されていくわけでございますが、有明北地域のまちづくりについては、埋立地も含め一体的に開発を推進していくということはいうまでもないところでございます。
○渡辺委員 この二つの事業は、どちらか、今の区画整理事業を進めている都市整備局の事業の方に編入するということはない、こういうことですね。それは確認しておきます。(「もう少し大きな声でいってくれる、聞こえないんだよ」と呼ぶ者あり)都市整備局が進めている区画整理事業があるでしょう、これに十六万坪の埋立地、ここのいわゆる埋立地が竣工後、この今進めている都市整備局の区画整理事業の中に一体的なものとして編入はしない、こういうことで理解していいんですか。
○成田港湾局長 ただいま申し上げたことと同じで恐縮でございますが、区画整理事業に編入する考え方はないというように私どもは聞いております。
○渡辺委員 では、そこのところは確認をしておきたいというふうに思います。これは今後の問題があるから、お聞きしておるわけです。
それでは次に、臨海開発について……(発言する者あり)黙ってくださいよ、伺いますが、臨海地域の開発事業会計の起債、これは現在の残高ということについては先ほど答弁にもありましたから結構ですが、現在五千二百億円だと。これは金額としては半端な金額ではないということですよね。これまでも、土地処分ができれば解決するんだということを繰り返し繰り返し聞かされてきました。それで順調に土地処分が進んでいるのかといえば、そうではない、なかなか思うように処分が進まない、これが現状だというふうに私は思うんです。
それで、十五年度の決算ですから、十五年度の決算ということでちょっと述べたいと思うんですけれども、土地処分の収入がどうかといえば、臨海地域外埋立地の処分で百四十四億円、それから臨海副都心用地処分が六百七十億円ですね。この六百七十億円の臨海副都心用地処分の中には、国の防災拠点用地の処分というか、これが三百億円入っておるわけですね。また、十六年度売却予定の臨海副都心用地処分は二百七十二億円が予定されておりますけれども、この二百七十二億円だって、実際には警視庁の警察署の用地二十一億円、都の防災拠点用地として九十億円、合わせて百十一億円、これでこの二百七十二億円の大体四割を占めるわけです。
この警察用地や防災用地はもともと、私からいわせれば東京都の土地であったんだし、これを東京都が買い戻しということで、これは臨海の救済のものでしかないといわざるを得ないというふうに思うんです。
そこで、十五年から十六年にかけては一定の土地処分が進んだように見える。先ほどからもいわれているように、売却そのものは進んでいるという話ですけれども、全体として、そのうちの四割は国と都への売却処分。
そこで聞きますけれども、売却用地は百三十九ヘクタールありますけれども、残りの五十三ヘクタールが未処分地、こういうふうにいわれているんですけれども、この売却完了目標、こういうところで見通しはどうなのか。そしてまた、平成二十九年度までの借金返済というのは可能なのかどうなのか、もう一度この辺をお聞かせいただきたい。
○成田港湾局長 ただいまお話しのように、開発予定面積は、これから約五十三ヘクタールございます。この土地につきまして、現在、社会経済状況、景気も上向きでございます。今年度も昨年度に引き続きまして、かなりの引き合いが来ているところでございます。こうしたものを一つ一つ成約に結びつけられるように営業活動を展開していきまして、この五十三ヘクタールの土地を確実に処分していきたいと思っておりますし、そういった処分の中で、先ほどの五千二百億円の起債の残高につきましても、平成二十九年度までにきちっと返済していきたいと考えております。
○渡辺委員 これもあわせてちょっと聞いておきたいと思いますけれども、三セクの借金ですけれども、十六年度に返済しなければならない企業債償還額ですね、これが一千四百五十億円ありますけれども、これの返済見通しというのはどうなのか、これをお聞きしたいと思います。
○成田港湾局長 ただいま先生の方から、臨海三セクの借金という形でお話がございましたけれども、臨海三セク、臨海副都心建設の借金は二つございまして、臨海副都心建設のビル事業経営等、いわゆる臨海三セクとしての事業活動に伴う借金と、この臨海開発を進めるに当たって一つの資金のスキームとして、臨海副都心建設にインフラを整備させて、それを東京都が買い取っていく、そういうスキームがございます。
それで、今先生お話しの千四百五十億円は、臨海三セクプロパーといいますか、それぞれのビル事業に係る借金ではございませんで、あくまでも臨海全体のインフラ整備、それを都が三セクから引き取る経費でございまして、その千四百五十億円の転貸債につきましては、十六年度に建設元利金債を発行して、きちっと返済できるものでございます。
○渡辺委員 いずれにしても、転貸債そのものを、借りかえということで先送りするということにならざるを得ないということですよね。
それで、私、思うんですけれども、これは全体でそうなんだけれども、とにかく借りかえ、借りかえということが通っているわけだけれども、結局、利息を考えると、借金返済額というのはふえるばかりで大変になる。
ところで、臨海の土地にまた戻りますけれども、東京都は土地処分について、りんかい線が全線開通すれば土地処分も進むということを、これも強調してきたところですね。ところが、りんかい線が全線開通したということになっても、この土地そのものが急激に売却できるというような状況はないし、そしてまた、いろんな土地の引き合いというか、そういうものもさほどふえているというほどではない、こういうふうにいわざるを得ないということなんですね。
私、ここに、きょう持ってきました。このパネルを見ていただきたい。これは、臨海どころか、都心を初めとして臨海以外の地域で超高層オフィスビルがどんどんと建っているということがよくわかる内容です。それで、これは〇一年から〇五年度までの建設ということになっておりまして、これは、これまで確認申請がおりたもの、そして建設をしているものと建設が終わったもの、そういうことになっています、この図は。
これを見ていただければわかりますが、臨海は、この〇一から〇五年の中でこれだけですよ、七万平米ですよ。ところが実際、都心の方からいうと、丸の内、大手町、有楽町、八棟で八十九万平米、それから六本木、赤坂は五棟、七十六万平米、汐留、六棟、百万平米、それから品川駅の東口、東品川ということで、八棟で九十四万平米、それから、こちらにいって秋葉原で二棟で二十一万、日本橋で三棟で三十三万、そして勝どき、晴海、三棟で九十一万、豊洲も、すぐそばですけれども、一棟で九万、こういう状況なんですよね、実態は。これは皆さんもご存じだと思いますけれども、これだけじゃありませんけれども、この時期というのは、バブルのときよりも約倍ぐらいの勢いでオフィスビルが建てられてきているという状況なんです。
しかも、それだけではなくして、二〇一〇年に向かって、今度は一〇年問題というふうにいわれておりますように、今のこれをさらに上回る大幅な建設計画というか、プロジェクト計画というのがどんどんどんどんメジロ押しに出ているということがいえるわけなんですね。この赤いところだけ足しただけでも、延べ床で約五百万平方メートルになっているんです。
だから、そういう点で、このままでは臨海というのはますます取り残されていってしまうんじゃないか。(「何でそういう展開になるのか、よくわからない」と呼ぶ者あり)いや、そうですよ。周りばかりどんどんどんどん開発されていくわけでしょう。臨海は、先ほどから、土地が売れている、売れているというけれども、実際問題としてはなかなか進んでいないんですよ、これは正直いって。だから、ほかのところへどんどん行けば、これは臨海のオフィスビルというのは必要なくなるんだ。そういう感じだから、取り残されてしまうということなんですよ。
そういうことで、局長に聞きますけれども、そういう状況を踏まえて、私たちは前からこれは主張してきたところでございますけれども、都民参加で本当に抜本的な見直し、こういうものが必要になってきているときではないのか、こういうふうに思うんですよ。そういう点で、どうですか。
○成田港湾局長 先ほど来申しておりますように、臨海副都心も、先ほどの資料にございますように、六本木であるとか品川とか、そういったところとの地域間競争、これはぜひ戦っていかなければいけないと思っております。ただし、先生お示しのこの資料は、一つは業務ビルに限っている点、私どもは、臨海副都心は、先ほどいいましたように、職住学遊、そういう多様なビル需要がございます。それからまた、高さ百メートルということなんですが、ご案内のとおり、臨海副都心のある部分は、羽田空港との関係で、高さが六十メートルの高度制限等もございます。ですから、そういった中で臨海だけが大幅に取り残されているかのような表でございますが、もう少し今いったような事情等も加味して検討する必要があるのかなと思います。
最後に一言申し上げれば、臨海副都心は、平成十四年の七月に、他の六つの地域と第一次の緊急整備地域、都市再生緊急整備地域に指定されました。そしてその中で、民間都市再生事業につきまして、国土交通大臣の認定があれば、それに対する融資であるとか、あるいは登録免許税、不動産取得税等も軽減措置がございます。こういった措置を活用することが、まちづくりの一つの大きな推進力になるかと思います。現実に臨海副都心では、この春に、認定事業ということで建設がスタートした事業もございますので、そういった点をご理解いただければと思います。
○渡辺委員 今お話がありましたけれども、私はオフィスビルだけを対象にしてきましたけれども、確かに住宅そのものも私は理解していますよ。それから高さ制限も、六十から百という数字は理解しております。
そういう中で、今、提起したわけですけれども、例えば住宅だって、実際問題として、有明の北地区というのは基本は住宅なんです。今でさえ、石川島播磨重工跡地の大規模開発、ここでは、学校や保育園が足りないということで、石川島播磨重工跡地の開発の中では、開発者負担ということで、小学校一つ、そして保育園一つをつくらざるを得ないような内容になっているんです。それだけ大規模なものがどんどん、住宅でも建てられているんです。そして今度、晴海もそうですけれども、勝どき、ここではまた百九十二メートルの、しかも二千八百世帯が入る二棟の超高層住宅棟、そういうものが建てられる。近所では、住宅棟ということでいえば、これまたいっぱいあるわけだ。そこにこの北地区でまた住宅棟を建てる。どういうことになるのかということも、ひとつ考えてもらわなきゃいけないんじゃないか。
それは実際問題として、今どちらかというと所得の少ない方、あるいは中堅層が入れるような、そういう住宅に限定してつくるというんだったら、話はまた別ですよ。だけど、そうじゃないでしょう、今の開発というのは。
ですから、そういう点では、本当に、実際問題として、今、住宅棟を指摘されたけれども、そういうものを建てていくという状況じゃないというふうに私は思います。
それから、緊急整備地域に指定されたということだけれども、私も知っていますよ。臨海の開発は全体の起爆剤だ、こういうふうにいわれているけれども、ここが緊急整備地区に指定されて、じゃ、どれだけ売れているのか、実際問題として。ほかのところは、そういう点で緊急整備地域に指定されたところでは、大規模開発というのがどんどん計画されているわけです。
だから、そういうこともやっぱり踏まえて、土地の売却そのものも考えていく必要があるんじゃないかというふうに思いますよ、とにかく売れないんだから。ということで、私は、先ほどもいったように、見直しをどうなんだと、こうしようじゃないかというふうにいったわけなんです。
そういうことで、最後にいたしますけれども、年々借金が増加していくということは事実だし、借金財政、こういうのが続けば続くほど都民負担が大きくなるということはいうまでもありません。
今、東京の借金というのは、都債、企業債合わせて十三兆三千七百億円、都民一世帯当たり二千三百三十七円、一人当たり千七十九円になるということであります。十五年度末の残高、主なものだけいいますと、一般会計で六兆九千六百四十億円、そして臨海地域開発事業会計、先ほどの五千二百億円、交通局も七千五百億、水道局は七千億、下水道局二千八百億、こういうような借金というのがあるわけですよね、実際。この借金というのは、基本的にはやはり主として公共事業のための借金なんです、これは。これらの借金のための利息を含めた償還額が毎年四千五百億円前後になっていまして、特に一般会計へ大きく圧迫している。都民にとってみれば負担が大きくなるばかりだということで、東京都はいわゆる公債費ということで、都民の施策を切り捨てたり、あるいはまた削減したり、こういうことで都民の施策に直結して切り込んできているということがいえるわけです。
したがって、今求められているのは、大型公共事業を徹底して見直しをすること、そして借金を最小限に減らすということでしかないんだということ、税金の使い方を抜本的に転換させるということが強く求められているんじゃないか、そのことを私は強く、公営企業の各局長を初めとした幹部の皆さんに、そういう点でひとつ公共事業のあり方を根本的に見直していただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○馬場委員長 渡辺康信委員の発言は終わりました。
次に、大河原雅子委員の発言を許します。
○大河原委員 私からは、東京の水環境の改善と水循環の推進という視点から、水道局並びに下水道局に伺っていきたいと思います。
ただ、一問目につきましては、本日の質疑の流れから水道局にお尋ねするわけなんですが、この問題は、すべての公営企業局に共通の課題として受けとめていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
さて、地方公営企業の経理というのは発生主義に基づく企業会計方式で、現金収入のみに着目するのではなく、すべての債権債務の発生及びあらゆる資産の増減、異動を総合的、一覧的に把握する必要があるとされております。地方公営企業の場合、決算は、単に予算の執行実績を示すというよりも、事業年度の経営成績、事業年度における財政状況を示して、経営状況を明らかにするものだというふうに考えられるわけです。
しかし、会計書式が定められているにせよ、決算書、予算書、そしてそれらの説明資料、事業概要など、一連の事業のつながりが大変わかりにくい状況があるのではないかと思います。だれが見てもわかりやすい決算報告にすべきと考えますが、まず見解を伺います。
○高橋水道局長 現行の決算でございますが、法令で定められました形式に従いまして、経営成績や財政状態などを調製いたしまして、議会の認定に付させていただいているものでございます。
しかしながら、公営企業会計のこれらの決算書類は、必ずしも都民の皆さんにとってわかりやすいものとはなっていないという状況にもございます。このため、水道局では従前から、定期的に経営計画を策定いたしまして、長期的な事業目標を設定するとともに、その成果を分析いたしまして公表するなど、料金の妥当性、効率化努力、サービスの質など、経営情報につきましてわかりやすい説明に努めてまいりました。
今後とも、議会を初めといたしまして、広く都民の皆様に対しまして一層わかりやすい説明を行うよう努めてまいります。
○大河原委員 同僚議員の皆さんにもご賛同いただけるんじゃないかと思うんですが、この特別委員会の冒頭に説明を受けますときに、本当に急いでページをめくりながら話を伺っても、別の資料との突き合わせというのに後から大変苦労いたします。今、水道局長のご答弁でも、今後とも一層わかりやすい説明に努めるというふうにお答えいただきましたが、多分、各局それぞれのポイントがあるのかと思いますので、ぜひ工夫をお願いしたいと思います。
さて、東京の水道需要は、昭和三十年代の後半から四十年代まで、いわゆる高度経済成長期には年々大きな増加をしてまいりました。しかし、昭和四十八年秋のオイルショック以降、長期にわたる景気低迷の影響を受けて、水道需要は減少傾向で推移してきております。そこで、平成十五年度、今回の決算に当たる年度は、先ほども委員が述べられておりましたけれども、将来の水需要予測を見直して、そして戸倉ダムは撤退を決め、八ッ場ダムの事業費は倍増という増額を受け入れ、そして多摩地区の地下水源を認可水源にするという、これまでにない大きな判断を次々とされてきた年というふうに私は受けとめております。
そこで伺いたいんですが、この水需要予測の見直し、どのような場合をとらえて、また、どのような手続を経て行われるのか、まずお答えください。
○高橋水道局長 水道需要予測でございますが、将来の人口や経済成長率などの基礎指標を用いて行いますことから、こうした指標が示されております都の長期構想の策定を踏まえまして適切に見直しをしてきております。平成十五年十二月に見直しを行いました水道需要予測は、東京構想二〇〇〇に示されました基礎指標を踏まえますとともに、過去の水量実績や、都心回帰による人口増加、長引く景気低迷等、社会経済状況の動向を見据えて分析をした結果、平成二十五年度の一日最大配水量、六百万立方メートルになるものと予測をいたしまして、局内におきまして決定をしたものでございます。
○大河原委員 東京構想二〇〇〇、これは平成十二年の十二月に発表されているわけなので、平成十三年、十四年と二年間、既に見直しの時期はあったはずなんですね。それが、水需要の予測見直しを表明されたのは昨年の十二月の議会答弁ということで、大変重要な事柄であるにもかかわらず、一方では、急に何か計画が変更されるわけではないというご認識があるのかもしれませんが、ここでこのような期間があいていることについて、私は疑問を持っております。
そして、しかも、人口の予測は都心回帰でふえているわけなんですけれども、一日最大配水量は減少傾向です。既にあった平成十七年には六百三十万トン、この予測も、実態として平成十五年は五百六万トンですから、大きく外れているんですね。それを今回、日量六百五十万トンから六百万トン、平成二十五年にはそのように予測されるだろうと修正しているわけですから、よりわかりにくいんじゃないかというふうに思います。もっと将来の水道需要を都民に丁寧に説明し、そして、疑問に対してしっかりと答えていくべきではないんでしょうか。この予測の見直しが戸倉ダム計画の撤退を決めたわけなんですから、その点は本当に疑問に思います。
平成二十五年における一日最大配水量が六百万トンに変更されたというのは、昨年の議会答弁でした。そして、この変更に関しての情報なんですが、先ほどもありましたが、決算書にも、それから今年度、平成十六年の事業概要にも記載されていません。変更にかかわる情報の公表方法について、私は大変不十分だというふうに思います。この点の見解をお伺いします。
○高橋水道局長 今回の水道需要予測の変更に至ります経緯等の決算書等での説明につきましては、これは先ほどもご答弁申し上げましたけれども、平成二年や十年におきます同様な性格の変更時の例に倣いまして取り扱いを行ったものでございます。しかし、水道需要予測そのものは、事業運営上重要な指標でございまして、これまでも事業概要などに、将来の水需要につきまして記載をしてきてございます。
なお、よりよい公表の方法につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
○大河原委員 ただいまのご答弁ですと、従前の変更の例に倣い取り扱ったということは、従前の例というのは、こういう変更については記載いたしませんということでなかったわけですから、それは物もいいようだなというふうに思いますけれども、変更については、計画を縮小するんだから報告の義務がないとでもいわれているように私は感じます。
十六年の事業概要なんですけれども、先ほど、この委員会の冒頭でもありましたけれども、ほぼ需要に見合った水源量と施設量を持っているというふうに、年度年度の事業概要の頭に書いてあるんですね。ところが、そこで目指される、予測される量は違うわけです。だから、去年もことしも、ここで、東京都の水源量は六百二十三万トンというふうにいわれていますけれども、平成二十五年度六百万トンという需要予測が成り立つときは、そのときに持っている水源量というのは六百八十万トンでしょう。私たちから見たら、それは隠されているというふうにしか思えないんですね。その点は今後工夫をしてくださるということなので、ぜひ丁寧にお願いしたいと思います。
それで、十五年度、私たちが長年求めてきました多摩の地下水、これを認可水源に変えるということで、これは国が、日常的にくみ上げ、給水している実態があるものについては認可水源とすべしという指導でした。十五年度末に変更申請が認可されたということで、この決算報告書にも、そのことだけ、変更申請をしたものが許可されたということしか書いてないんですね。それについては分科会でも私は疑問を呈してきましたけれども、当然、今年度の事業概要でも地区水源になっているわけですから、この地区の浄水所は、認可された水源の施設として、当然この事業概要に反映されるべきだと思いますが、どうでしょうか。
○高橋水道局長 多摩地区の地下水は、変更認可におきまして認可対象として整理をされましたけれども、水源として見ますと長期的には不安定であるということについて、国とも基本的な認識は一致をしておりまして、基本的な考え方は従来と変わっていないところでございます。
このため、多摩地区の浄水所の事業概要への記載につきましては、従来から記載されております浄水場と同等に扱うことは無理があると考えておりますけれども、今後、記載方法などを検討いたしまして対応してまいりたいと考えております。
○大河原委員 ただいまも、従来から記載されている浄水場と同等の取り扱いは困難とおっしゃりながら、それから一歩進めるという前向きのご答弁だというふうに思います。
多摩の議員さんも多いので、やっぱりちょっといっておかなきゃと思いますので、いいます。
これまでの水道局の事業概要には、多摩地域の水道という項がありまして、その章には、これまでの都営水道への一元化というようなことが書かれているわけなんですね。ところが、今、多摩地域全体の三分の一は、この多摩地域の水源で賄われている。ところが、そこの浄水所については、何の記載もこの事業概要にはありません。事業概要とは別に、水道局は年報というものも、事業年報というものを出しておられまして、これは、前の年に行われた事業について細かく書いてあるわけですね。こちらの年報には書いてあることが、事業概要には主要事業だから書かなくていいんじゃないかという認識を持っておられたということらしいんですね。
私は、この点は、都営水道の一元化について、この浄水所、各市にあったときは本当に正式な水源でしたけれども、東京都には、浄水所、たしか無償で譲渡されているわけですね。そのころから、各市から、この浄水所が見えなくなっている実態、こういったものが確かにあったと、私は認識していただきたいというふうに思います。
この九月までに、多摩の市、十市から、多摩地域の水道用の地下水源を水道水として飲み続けること、このことを求めるという意見書が出ているんですね。私は、ぜひ今後も記載を丁寧に、そして、一連の流れがわかるように変えていただきたいと強くお願いしたいと思います。
都営水道の一元化というところでは、地下水から河川水に水源を切りかえていく--地盤沈下という大きな問題がありましたので、当時は当然の結論かと思います。しかし、地盤沈下が鎮静化し、そしてこの地下水源も、貴重な水源、貴重な資源として使い続けていこうというふうに水道局も姿勢を変えられた。特に震災以降は、本当に身近な貴重な水源という位置づけが行われておりますし、渇水という大きな場合にも、実はよりたくさん、いつもよりもたくさんくむのは、この多摩の地下水なわけですよね。
私は、そういった意味でも、この地下水への認識が変わること--東京都水道局、たくさんいろんなパンフレットを出しておられまして、これは昨年、一昨年からもずっといってきたことが実ったと思いますが、この「東京の水道」にも、多摩の地下水、そのことが、予備的ではあるけれども使っているんだということを記載していただくことができた。今回は認可水源になったので、ここが変わったかなと思って、これは九月一日発行なんですが、期待をして待っておりましたが、予備的な活用のままでございました。もう一度これは、料金改定がありましたので、修正をする、刷り直すということなので、どのような対応をされるかというふうに期待をしますが、先ほどの局長のご答弁では、将来不安定なものは変えられない、認識は変わっていないということなので、ここにいらっしゃる多摩の議員さんにも、ぜひこの点ご確認いただいて、私がいっていることにもぜひ賛同をいただきたいというふうに強く思います。
さて、水道局は、今ご紹介しましたように、水道事業の最新の情報を紹介する広報誌として、さまざまなものを発行しているんですが、特にこのところ目についているのが、この「水道ニュース」かと思います。以前は六万四千部、小さなものを毎月発行しておられましたけれども、これをリニューアルされて、年四回、十五年度から新聞折り込みも始められております。都民に水道事業を理解してもらう、理解を深めてもらうためということなんですけれども、これの決算額と効果について伺いたいと思います。
また、あわせて、さまざまな媒体を持っておられまして、これも事業年報にずらりと出ておりました。私たちがよく使うのは、「東京の水道」ですとか、子どもたちが使っている、副読本になっている「わたしたちの水道」なんですけれども、これらの媒体についても常に適切な見直しが必要じゃないかというふうに思いますので、効率的な、効果的なPRのため--PR館も持っていますよね。そういった意味ではさまざまなものを持っていらっしゃるので、ぜひその点の見解をお願いします。
○高橋水道局長 お尋ねの点、大きく二点になると思います。
まず、当局では、昭和四十九年から営業所などで配布してまいりました「水道ニュース」を、より多くの都民の皆さんに確実に情報提供するために、平成十五年度から新聞折り込みによる配布を行っております。一回当たりの発行部数は四百三十五万部でございまして、お尋ねの決算額は一億一千四百万円でございます。アンケート調査の結果によりますと、多くの都民の皆さんが、新聞折り込みによる配布は必要であると回答をいただいております。また、「水道ニュース」で紹介いたしました施設見学会などの応募者数は、前年度と比較しまして倍増しておりまして、これも効果のあらわれの一端であるというふうに考えております。こうしたことから、水道事業に対する理解を深めていただく上で、広報効果は高いものと考えております。
次に、水道事業につきまして、都民の皆さんに対する説明責任を果たすということは極めて重要であるというふうに認識をしております。このため、従前よりさまざまな広報施策を展開いたしますとともに、その効果等を検証いたしまして、適切な見直しを図ることによって、説明責任の確保に努めてまいりました。平成十五年度に実施いたしました「水道ニュース」の新聞折り込みにつきましても、そうした観点から実施したものでございます。
今後とも、効率的で効果的な広報に努めていくために、広報のあり方につきまして適切な見直しを図りまして、都民に対する説明責任を果たしてまいります。
○大河原委員 水道局の広報費というのは約三億六千九百万円。下水道局のも見てみましたけれども、下水道局の方は一億二千七百万ぐらい。約三倍使っているんですね、水道局のPR費は。やっぱりそれだけの価値のある、効果のあるものにしていただきたい。
先ほど、子どもたちが水道水を飲まなくなっているという話がありましたけれども、広報の中には、蛇口をひねって、最初のバケツ一杯の水は飲まないようにしてくださいと書いてありますよね。そういうことが何で伝わっていないのかということが大事なんじゃないですか。そういった水は草や木にやる、そして、中に滞留していた水じゃない水から始めるというようなことが、こんな簡単なことが何で伝わらないということに、私はやっぱり広報のやり方、違うんじゃないかと思うんです。やっぱり管の中に長くとどまっていれば、ぬるくなりますし、塩素のこともありますし、そういった意味では、最初の蛇口の出だしの水を飲まないということも、局自身がおっしゃっているんでね、そうしたらもっとおいしく飲める、そういったこともぜひ細かく、生活密着型の広報をしていただきたいというふうに思います。
次に、下水道局に伺っていきたいと思うんですが、水循環の促進、それから水環境の改善というところから、合流改善について伺いたいと思います。
下水道局が進めている合流式下水道の改善対策の基本的な考え方をまずお聞かせください。
○二村下水道局長 合流式下水道の改善対策は、合流式の下水道から放流される年間の汚濁負荷量を分流式下水道と同程度まで削減することを目標としております。
具体的な対策といたしましては、降雨時に水再生センターで処理する下水の量をふやすための幹線管渠の増強であるとか、降雨初期の特に汚れた下水をためるための貯留池の整備などを進めております。
○大河原委員 本年の九月に公表された新・合流改善クイックプランですが、この中では、部分分流の導入ですとか、雨水吐け口の対策、また伏せ越しの構造改善、解消といった各種の対策が実施されるとうたわれております。
その中で、雨水浸透も推進するということが書いてありまして、私は、地下水の涵養ということに大変関心を持っておりますので、このことは大賛成です。合流式下水道の改善にどのように寄与するのか、この点をお伺いしたいと思います。
○二村下水道局長 雨水を浸透させることで、下水道への雨水の流入量が減少いたしまして、その分、雨水吐け口からの雨天時の放流回数と放流量が減少します。そのことから汚濁負荷量が軽減されることによりまして、雨水浸透が合流式下水道の改善に寄与することになるものでございます。
○大河原委員 そこで伺いたいんですが、下水道局では、宅地内の雨水を浸透させるための公共雨水浸透ますの設置を進めているというふうに伺いました。公共雨水浸透ますの設置の実績、そしてまたこれはどのような区域で取り組まれておられるのか、その点はどうでしょうか。
○二村下水道局長 公共雨水浸透ますにつきましては、世田谷区や大田区、練馬区などの十四区で設置しておりまして、平成十五年度に二百九十一個設置しておりまして、これまでの設置数は四千八百五十個となっております。このうち、特に世田谷区では全体の約六割を占めている、こういう状況でございます。
○大河原委員 ただいまのお話は、私や真鍋委員の選出の世田谷区が公共雨水浸透ますの設置が多いということなんですが、特にその理由はどうでしょうか。
○二村下水道局長 世田谷区の多摩川沿いの地区は、汚水と雨水を別々に収容する分流式の下水道が採用されているため、宅地内の排水管がもともと二系列になっております。改めて宅地内の排水設備を二つに分けずに、公共雨水浸透ますに接続できるという利点がございます。また、この地区は雨水が浸透しやすい地盤であるため、浸透ますの設置に適しております。さらに、世田谷区は、地下水を涵養するために透水性の道路舗装を行ったり、宅地内での雨水浸透施設の設置に対して助成を行うなど、雨水の浸透に積極的に取り組んでおりまして、公共雨水浸透ますの設置数が多くなっているものと考えております。
○大河原委員 今お話にあったように、分流式で整備されている地区が、このますの数が多いということです。しかし、通常、排水設備を雨水と汚水に分けるというのは工事の費用もかかりますので、浸透式に協力しようと思っても、二の足を踏むということがあるんじゃないかと思います。そのような事情もあって、都が浸透施設の補助制度を平成十一年で打ち切って以降、これも数字をいただきましたけれども、雨水浸透ますの設置個数が減少してきております。また一方では、区によって、東京都が補助制度を廃止した後も、頑張って助成制度を続けている区もあるわけなんです。
助成制度を持つ区と連携して、浸透施設の設置促進に努めるべきだと考えますし、また、助成制度のない区でも浸透設備の促進を促すべきだというふうに思いますが、ご見解はいかがでしょうか。
○二村下水道局長 従来から助成制度を持っております世田谷区や杉並区などの六区とは、検討会などを設けまして、助成制度をより効率的に活用するために、浸透施設の構造などの情報交換や、お客様や建築業者へのPRを行いまして、雨水浸透施設の設置促進に連携して取り組んでおります。
また、当局の働きかけもありまして、助成制度を平成十三年度に創設しました品川区におきましては、品川区とは協議会を設けまして、連携して促進キャンペーンを実施するなど、取り組みの充実を図っております。
また、助成制度を持たない港区、新宿区、目黒区とも連絡会を設けまして、区の公共施設での浸透施設の設置依頼や、普及に向けたPRをお願いしているところでございます。
○大河原委員 時間がなくなりましたが、宅地内の雨水だけでなくて、道路の雨水、浸透できるものはできるだけ浸透させていくというのが、水環境、また水循環の視点から重要だと考えております。区部では、雨水ますが約百十万個、そのうちの浸透ますは約六万個ですから、まだまだというところです。今、局長がお答えいただいた、浸透ます設置の促進、ぜひ強く進めていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。
○馬場委員長 大河原雅子委員の発言は終わりました。
以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
お諮りいたします。
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
なお、十一月二十二日の十二時四十五分から理事会を、また午後一時から委員会を本委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十九分散会
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