公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成十六年十月二十九日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十一名
委員長前島信次郎君
副委員長高橋かずみ君
副委員長酒井 大史君
副委員長かち佳代子君
村上 英子君
鈴木 一光君
土持 正豊君
近藤やよい君
池田 梅夫君
古賀 俊昭君
大河原雅子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
下水道局局長二村 保宏君
技監北川 知正君
総務部長今里伸一郎君
職員部長石坂 景二君
経理部長野口  孝君
業務部長渡辺  勉君
計画調整部長佐伯 謹吾君
施設管理部長中里 卓治君
建設部長中村 益美君
流域下水道本部本部長只腰 憲久君
管理部長三浦  茂君
技術部長伊東 三夫君
参事桜井 義紀君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
下水道局関係
・平成十五年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○前島委員長 ただいまから平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、下水道局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介のできませんでした幹部職員について局長から紹介があります。

○二村下水道局長 去る十月十五日の分科会を欠席いたしました幹部職員を紹介させていただきます。
 建設部長の中村益美でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○前島委員長 紹介は終わりました。

○前島委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○野口経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらん願います。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。区部における浸水対策の計画と実績及び主な浸水被害状況でございます。
 平成十五年度末における浸水対策の計画と実績及び平成十一年度から十五年度までの五年間における大雨等に起因いたします浸水戸数をお示ししてございます。
 二ページに参ります。大規模再開発による下水道施設への影響でございます。
 再開発事業等により建築物が新たに建築される場合などには事前協議を行い、下水道施設に影響を及ぼさないようにしておりますが、その事前協議の対象となる条件をお示ししてございます。
 三ページに参ります。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 平成六年度から十五年度までの設置個数の推移をお示ししてございます。
 四ページに参ります。区部下水道建設事業費の推移でございます。
 平成六年度から十五年度までの推移をお示ししてございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○前島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言願います。

○古賀委員 去る十月二十二日、私たちが長年廃止を求めてきました特殊勤務手当の一つであります下水道業務手当がやっとなくなることが決まりました。昭和四十八年以来三十年以上にわたった制度の見直しが一つ図られたということになります。
 平成十五年度の決算額で見ますと、約七億円、管理職を除く全職員約三千五百名に一律、本給の四%が支給されていました。職員一人当たり年額平均で約十七万円となっています。ただ、今回の見直しは、実施時期について、来年、平成十七年一月からということになっておりますけれども、五年間の経過措置がありまして、全廃されるのは平成二十二年ということであります。今後とも、社会それから労働環境の変化に応じたほかの特殊勤務手当の再検討も引き続き行うことを求めておきます。
 最近、局地的な集中豪雨、それから大型台風の来襲など、地球温暖化が原因と思われる異常気象が各地にさまざまな影響を与えています。私、先日ある雑誌を読んでおりましたら、大変衝撃的な内容の記事がありました。
 ちょっとご紹介いたしますと、アメリカの国防総省ペンタゴンがまとめた温暖化の影響に関する秘密報告書がイギリスのオブザーバー紙によってすっぱ抜かれたということですけれども、その報告書によりますと、今世紀に入ってからキリスト教歴の二〇三〇年までを十年刻みで分析しています。二〇一〇年には北極海の氷が夏になるとすべて解けてしまうという予想を立てています。既に四〇%の北極海の氷はもう解けているそうでありますので、この予想も極端なものとはいえないというふうに私も思います。
 もっと衝撃的な部分は、大西洋の海流循環に異常が生じて、その後いろいろ記述ありますけれども、南に向けて民族の大移動が起こるという予想も立てています。アジアにつきましては、干ばつと砂漠化、水不足、食糧難、エネルギー不足などが複雑に絡み合って、アジア地域の政情不安が深刻化するという大変ショッキングな内容になっているわけです。これは、前代未聞の脅威として危機が現実化するのはもはや防げないのではないか、しかし化石燃料の使用削減が効果的なのは明らかだということも記述してあります。
 それから台風のことを、ちょっと今、襲来が相次いでいるということを申し上げましたが、新聞にこういう台風の上陸の数が出ていました。
 ことしは過去最多の台風上陸十個ということです。上陸する台風の平均は、我が国の場合は二・六個だそうです、年間ですね。これまで最も多かったのは、平成五年と平成二年の六個だそうでありますので、既に十個が上陸しているということしの台風の来襲というのは、異常さが目立っているわけです。一般にいわれている異常気象によるさまざまな現象ありますけれども、こういったことでも、ただならぬ状況が進捗しているなということがわかるわけです。
 こういった地球温暖化あるいはヒートアイランド現象というものが我々のこの東京にも大きな影響を及ぼしているわけでありますので、早急な取り組みが今求められているということです。
 報道によりますと、ロシア連邦議会は十月二十二日の下院に続いて上院も十月二十七日、地球温暖化防止に向けた京都議定書の批准案を賛成の圧倒的多数で可決いたしました。これによって来年の初めにも議定書が発効する見通しとなったわけであります。平成九年、京都会議の議長国として京都議定書を採択した温室効果ガスの排出削減というものがいよいよ現実のものとなってきたわけであります。
 このような中で東京都は、地球を守る都庁プランの改定に着手いたしております。来年の二月には新しい計画が発表されるということです。一方、下水道局がいち早く、ことしの九月に、下水道事業における地球温暖化防止計画を策定いたしました。こういった問題に積極的に局が取り組むという姿勢を示したことを、私たちは期待を持って見ているわけです。
 下水道局と環境問題というのは、私、数字をいろいろ、決算の出されている提出資料を見ておりましたけれども、そういったこととは別に、数字は監査委員がちゃんと見ていますので、ほとんど間違いがないということを我々もそれほどには疑問を持ちませんけれども、勉強している過程で、下水道局というのが大変、地球温暖化に影響を及ぼすといわれている二酸化炭素とか一酸化二窒素と呼ばれるような温室効果ガスを出しているということを私、初めて知りました。今までは効率的な事業運営を行う公営企業としての、そういった効率の面を非常に我々重視して下水道局の事業を見てまいりましたけれども、こういった環境の面からこの下水道事業というものをもう一つ見なければならない、そういった時点に今我々立っているということを今回私感じたわけです。
 そこで、規模の大きな多くの施設を持っている下水道局の事業、どのようなところで温室効果ガスを排出しているのか、ちょっと説明してもらいたいと思います。

○中里施設管理部長 下水道事業は、ポンプ所や水再生センターにおきまして、汚水ポンプや大型送風機などの動力源として膨大な電力を消費し、これにより温室効果ガスを排出しております。また、汚泥を焼却する際にも、大量の温室効果ガスを排出しております。これらは、都の事務事業活動全体から排出される温室効果ガスの約四割を占めております。

○古賀委員 東京都が行っている事業活動の排出量の温室効果ガスの四割を下水道局が占めているということで、これも大変私、今までそういった知識なかったものですから、盲を開かれた思いがいたしました。これまでこういった温室効果ガスを排出しているという事業局として、どのような取り組みを現実には行ってきたのか、具体的な取り組みを説明してください。

○中里施設管理部長 下水道が保有しております再生可能エネルギーなどを省資源、省エネルギーの視点から有効活用を図ってまいりました。具体的には汚泥を処理する工程で発生いたします消化ガスを発電用の燃料として活用をしたり、下水熱や汚泥焼却廃熱を利用した地域冷暖房事業を行うほか、化石燃料の使用比率が低い夜間電力を蓄積できるNaS電池の導入など多様な取り組みを行ってまいりました。
 また、下水道事業として国内初めてすべての事業所で環境に関する国際規格の認証を取得いたしまして、日々の事業活動を通じて環境負荷の継続的な低減を図ってまいりました。

○古賀委員 これまでも下水道局でさまざまな努力をしてこられたということは今のご説明でわかりますけれども、地球温暖化防止というのは地球に住むすべての我々が真剣にこれから取り組んでいかなければならない課題でありますので、首都東京のそういう環境を担う、環境行政の一翼を担っているとも私はいってもいいと思う下水道局がさらに前向きに取り組んでいくことを求めたいというふうに思います。
 そこで、このたび、先ほど触れました下水道局がつくりました地球温暖化防止計画、この具体的な内容について説明をしてください。

○佐伯計画調整部長 地球温暖化防止計画の具体的な目標をご説明いたします。
 下水道事業から排出される温室効果ガスを平成二十一年度までに平成二年度比で六%以上削減することを目標としております。このための具体的な取り組みといたしましては、省電力機器の導入や汚泥の高温焼却の実施などによりまして、下水の処理工程で発生する温室効果ガスを削減してまいります。
 また、処理水の放流落差を利用いたしました小水力発電や下水汚泥の処理工程で発生いたします消化ガスを燃料としたバイオマス発電など、温室効果ガスの排出の少ない資源エネルギーへの転換を図ってまいります。

○古賀委員 地球温暖化防止計画というのは、急遽今までの取り組みを踏まえて策定されたものだと思いますけれども、よく具体的な数字を挙げて、目標というものを都民に約束しているというふうに思います。
 次の質問なんですけれども、今、汚泥の焼却温度を高くすると温室効果ガスが削減されるというご説明ですけれども、我々素人が考えますと、焼却温度を上げると燃料をたくさん使いますから、なぜ削減できるのかちょっと理解できないわけです。しかし科学的にはそうなるというのはわかっているんですけれども、この温室効果ガスの削減効果を、こういう焼却温度を上げることによってどの程度削減効果というものを見込んでいるのか、ちょっと具体的に挙げてください。

○桜井参事 科学的にはご承知だということなんでございますが、最初に原理的なところを多少ご説明いたしますと、下水汚泥を焼却いたしますと、二酸化炭素の三百十倍の温室効果を持つ一酸化二窒素が大量に発生いたします。この一酸化二窒素なんですが、汚泥焼却温度を現在の八百度Cから五十度C上げて八百五十度Cにすることで、燃料消費量はわずかにふえますが、この一酸化二窒素が窒素ガスなど温室効果の少ないものへの分解が促進されますことで、七割方削減できるということを実証実験で確認いたしております。
 このことにより、汚泥焼却による温室効果ガスにつきましては、平成十五年度に比べ平成二十一年度には、二酸化炭素に換算して年間約十二万トンの削減を見込んでおります。この温室効果ガスの削減量は二酸化炭素に換算して二十三区の半分の面積の森林が吸収する量に相当します。

○古賀委員 数字がいろいろ出てきましたけれども、要は汚泥を処理する際の今の温度は八百度でやっている。それを八百五十度に上げると、燃焼時に発生する温室効果ガスが減少するということなんですね。温室効果ガスの抑制には、焼却の温度を五十度上げるというのが大変--たかが五十度ですけれども、非常に大きな効果を持つということです。
 この焼却のための焼却炉を整備していくことがこれから重要になってくるわけですので、目標を上げたものを達成するには、具体的に高温の焼却炉をつくるということになるんですけれども、どのような計画にそれはなっていますか。

○佐伯計画調整部長 現在、下水道局では汚泥の焼却炉を全体で三十六基運転してございます。このうち九基で高温焼却を実施しております。
 今後、平成二十一年度までに残りの二十七基のうち八基を高温焼却のできるものに整備する計画であります。実施に当たりましては、既設の焼却炉につきましては、高温焼却に対応できるように耐熱性の向上や燃焼部分の改良を行います。また、老朽化した焼却炉につきましては、更新時に高温焼却炉を導入してまいります。

○古賀委員 下水道局は、私も最近まで、先ほど申し上げましたように事業系の部署としてこれだけ大量の温室効果ガスを発生させているということを熟知していなかったわけですけれども、具体的に局において取り組みや計画が既に動き出しているということは大変頼もしく思います。
 今、環境税を導入しようと。つまり、化石燃料の消費をいかに抑えるかということの切り札として、そういう新しい税の導入や創設も今議論されるようになってまいりました。水処理にはほかにも大量の電気を使っているわけですよね。曝気装置で空気を送るその必要性から電気も使う。その電気をつくるには化石燃料が大量に消費されているわけですので、それに今度は税金をかけて抑制しようという発想も今聞かれるわけです。
 京都議定書がいよいよ発効の見通しが立ったということを申し上げましたけれども、これによりまして日本の温室効果ガスの排出量は六%削減というのが国際法上の義務として確定するわけです。それを下水道局も踏まえて、これから浸水対策とか公共水域の保全とか、いろいろそういった従来からの課題はもちろんこれからも手を緩めることなく進めていかなければならないのは当然でありますけれども、下水道事業にとってもう一つ、地球温暖化防止策というのが大きな柱となってきたということでありますので、今後策定されました計画を局としていかなる意気込みを持って進めるのか、最後に局長にそれをお聞きして質問を終わります。

○二村下水道局長 下水道局は、都内で使用されます電力の一%を超える膨大な電力を消費しております。また、先ほどお話がありましたように、東京都の事務事業活動に伴う温室効果ガス排出量の四三%を占める最大の排出者となっております。今後さらに合流式下水道の改善であるとか、あるいは高度処理の推進などに伴いまして、温室効果ガスの増加が見込まれるなど、地球温暖化防止に大きな責務があるというふうに考えております。そのため、一刻も早くその対策を総合的に進める必要があり、地球温暖化防止計画を策定したものでございます。快適な地球環境を次世代に継承するためにも、新たな発想や新技術の導入など、さまざまな対策を総合的に推進するとともに、日常業務での努力を一つ一つ積み重ねまして、地球温暖化防止にこれまで以上に積極的に取り組んでまいります。

○酒井委員 私からは、多摩地域の水環境の向上について、平成十五年度、ことしの二月に下水道局が策定をいたしました流域下水道事業経営計画二〇〇四の内容等を中心に質問をさせていただきたいと思います。
 この経営計画には、多摩地域の下水道の整備状況について、流域下水道事業に着手をした、私が生まれた当時の昭和四十三年の下水道普及率といったものが二〇%であったということですけれども、平成十五年度末では九五%に達しているとありました。確かに私の子どものころの多摩川といったものは、洗剤の泡が飛び、また悪臭がするような状況でありましたけれども、現在では多摩川の水質といったものも改善をし、アユが百万匹も逆上するとともに、年間二千万人の人が訪れ、水辺に遊ぶ子どもたちの姿も見られるようになっています。
 この多摩川では水再生センターなどから放流される処理水が中流域で河川水量の五割を占めるということであり、下水道は多摩地域の良好な水環境の形成に大きな役割を担っていると思います。
 多摩川の近隣で暮らしています私といたしましても、これまでの東京都及び関係市町村の水環境の改善への取り組みといったもの、地道な努力に対しましては、大いに評価をさせていただいているところでありますけれども、この経営計画では、またより良好な水環境の形成に向け、今後取り組むべき多くの課題と、都及び市町村の財政が極めて厳しい状況に置かれている中にあって、多摩地域全体の下水道事業の効率化の必要性にも言及をしています。
 そこでまず、経営計画で示された多摩地域の下水道が抱えている具体的な課題と、それに対する施策はどのような内容なのか、改めてお伺いをいたします。

○伊東技術部長 多摩地域の下水道の課題といたしましては、下水道整備のおくれております多摩西部の普及促進や浸水被害の軽減、老朽化施設の増加、さらには環境確保条例の改正や水質環境基準の格上げなど、強化される放流水質基準への的確な対応などがございます。
 これらの課題に対応し、多摩地域の都民生活と水環境を守るための施策といたしましては、経営計画では未普及地域の解消、雨水対策の推進、老朽化した設備の更新及び高度処理の推進などの重点事業を引き続き着実に実施してまいります。

○酒井委員 ただいまご答弁いただきました重点事業の中でも、私は将来へ向けた前向きな取り組みとして、高度処理を進めていくことが重要であると考えております。
 そこで、多摩地域の高度処理の状況といったものはどのような形になっているのか、お伺いをいたします。

○伊東技術部長 高度処理の推進でございますが、今年度、北多摩一号水再生センターの高度処理施設が稼働いたしました。これにより流域下水道の七カ所すべての水再生センターで、それぞれ一部ずつではございますが、高度処理施設が供用開始となりました。
 なお、昨年度の高度処理水量の実績でございますが、一日当たりの平均で約十六万立方メートルとなっております。

○酒井委員 この高度処理施設といったものの整備には大変大きなコストがかかるということは承知をいたしておりますけれども、今後、下水道局としては、この多摩地域においてどのような方針なり、また目標のもとにこの高度処理といったものを進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。

○伊東技術部長 高度処理を効率的かつ経済的に推進していくために、流入水量の増加に対応した施設の建設のときや老朽化した水処理施設の設備更新時に合わせてその導入を図ってまいります。
 現在、八王子水再生センターでは一日当たりの処理能力が三万五千立方メートルの高度処理施設を建設中であり、平成十八年度末に完成予定でございます。加えて来年度に清瀬水再生センターに三万五千四百立方メートルの高度処理施設の建設に着手する予定でございます。

○酒井委員 今ご答弁をいただいた二つの施設が完成をしたときには、この流域下水道の水再生センターから排出をされる処理水の大体何%ぐらいが高度処理された水になるのか、お伺いをいたします。

○伊東技術部長 先ほどお答えいたしました八王子及び清瀬水再生センターの高度処理施設が完成した場合、流域下水道七カ所の水再生センターで処理される水量に対する高度処理水量の割合は約三〇%程度となる見込みでございます。

○酒井委員 今後とも計画的かつ着実にこの高度処理といったものを進めていっていただけるようお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 この多摩地域の下水道といったものは、都の流域下水道事業と市町村の公共下水道事業が一体となって運営をすることにより、その機能を発揮するものだと思います。その意味で、東京都と関係市町村が連携をし、多摩地域全体の下水道のあるべき姿に向けて積極的な取り組みを行っていくことが重要であると考えております。その一環として、経営計画で示されている多摩地域全体の下水道事業の効率化については具体的にどのような内容になっているのか、お伺いをいたします。

○伊東技術部長 お話にございましたとおり、多摩地域の下水道事業にかかわる都及び市町村の負担を可能な限り軽減するため、流域下水道はもとより、多摩地域全体の下水道事業の効率化が重要と考えております。
 具体的には、水再生センター間の連絡管を整備することにより、相互の融通機能を確保することや、市町村の公共下水道を含めた広域的な管渠維持管理体制の構築、八王子、立川、三鷹の各市が単独で運営しております処理区の流域下水道への編入など、着実に推進してまいります。

○酒井委員 ただいまご答弁をいただいた中でも、単独処理区の編入といったことについては私の地元の立川市もリストに挙がっているようでございますけれども、そもそもこの単独処理区といったものが結果として残っていった、その経緯についてお教えをいただければと思います。

○伊東技術部長 戦後の急激な人口増加と産業の発展により、早くから市街地が形成されました八王子、立川、三鷹の各市などでは、流域下水道制度が発足する昭和四十三年以前の昭和二十年代から三十年代にかけまして、各市が単独で下水道事業を進めてまいりました。その結果、立川市錦町処理場を初め、三鷹市、八王子市の単独処理場は、昭和四十二年から四十四年にかけて供用され、現在に至っております。

○酒井委員 各市における単独処理場の経緯等についてはわかったわけですけれども、現在、この単独処理区の抱えている問題にはどのようなものがあるのか、また、その問題に東京都及び関係市はどのように対処をしているのか、お伺いいたします。

○伊東技術部長 これまで多摩地域において下水道の早期普及に貢献し、生活環境の改善に大きく寄与してまいりました単独処理区の処理場でございますが、今日では施設が老朽化しているほか、多摩川の水質改善に欠かせない高度処理施設の整備に必要な敷地の確保が難しいこと、また、維持管理費用が流域下水道の水再生センターに比べて高いなど、その運営に当たりまして、さまざまな問題を抱えております。
 現在、経営計画を踏まえ、都と関係市により流域下水道区域への編入時期、受け入れ側であります水再生センターの整備計画、単独処理区の編入後の河川維持用水の水量確保策などについて具体的な検討を行っているところでございます。

○酒井委員 現在、具体的な検討を行っているということでありますけれども、この環境といったものを改善していくためには大変大きなコストがかかると思います。しかし、この環境改善については、さまざまな創意工夫や努力といったものを重ねることによって、今できることから一つ一つ進めていくことが、後の世代に対して良好な環境を引き継いでいく今の時代を生きる私たちの責務であると思います。
 下水道局においては、関係市町村との連携といったものをさらに一層強化をした上で、多摩川を初めとした河川の水質向上のためにこれからも果敢に取り組んでいただきますよう強くご要望申し上げ、今回の私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○土持委員 区部の下水道の概成一〇〇%を達成した平成六年、二十三区の雨水に対する対応が完備されたということは大変喜びを味わった経験がありますけれども、以後十年ぐらいたっているんですけれども、当時、概成一〇〇%なおかつ普及の困難地域というのが残っていたわけですけれども、平成六年当時どのぐらい残っていて、この十年間でどのぐらい未普及地域の解消がされたのか、示していただきたいと思います。

○中村建設部長 平成六年度末における未普及率の面積でございますけれども、約五百三十ヘクタールございました。平成十五年度末までに約三百四十ヘクタールを解消いたしまして、平成十五年度末現在の未普及面積は約百九十ヘクタールでございます。荒川以東の足立区、葛飾区、江戸川区に多く残っているという状況でございます。

○土持委員 足立区は大変残っているという状況ですけれども、足立区の普及を最後に概成一〇〇%ということになったわけですけれども、この地域ができない理由ですね、改めてお伺いをしたいと思います。

○佐伯計画調整部長 足立区内では花畑六、七丁目や江北五丁目などに未普及地域が残っております。これらの地域は土地区画整理事業区域内でありまして、下水道管渠を敷設する道路が整備されていないために未普及となっているものでございます。

○土持委員 区画整理事業が行われているということはよくわかるんですけれども、やはりことしのように大変に雨の多い、台風が何回も来るということになりますと、どうしても心配の種が消えません。区画整理の進行状況を見ながらでないと普及ができないという大変に難しい課題であると思いますけれども、今後どういう形で--もっとテンポを上げてやっぱり普及しなくちゃいけないと思うんですけれども、区画整理事業との関係をどのように解消していくか、また、普及を進めるに当たって、どのぐらいの計画で進めていくかというようなことがわかりましたら、教えていただきたいと思います。

○佐伯計画調整部長 どのような方法で、あるいはどのくらいの期間で普及を促進していくのかということでございますけれども、まず、区画整理事業を初め、他の事業と調整する必要がございますので、我々、事業者と今、早期普及に向けて調整を図っているところでございます。
 また、全体の目標といいますか、いつごろに解消するのかというものにつきましては調整中でございますので、今ここで数字をもってお答えすることはできない状況でございます。

○土持委員 昔、村田下水道局長のときに、未普及地域は十年間で解消するということを私何回か答弁で詰めたことがあるんですけれども、村田さんにそっくりな二村局長の決意も改めて伺わなくちゃいけないと思いますけれども、ぜひ、同じ二十三区に住みながら不安を感じるということはやはり非常にまずいことですので、目標年次が決まらないで進めるということほど厳しいものはないわけですから、改めて局長の決意を伺っておきたいというふうに思います。

○二村下水道局長 先ほど先生の方からお話がありましたように、平成六年度末に区部の下水道は一〇〇%普及概成したわけでございますけれども、さまざまな理由でいまだ下水道サービスを受けられない地域があるのも事実でございます。こうした未普及地域の解消を図るべく、これまでも努力してきたところでございます。また経営計画二〇〇四の中でも重点事業と位置づけているところでございます。
 お客様である都民の皆様方すべてに下水道サービスを提供するというのは、下水道事業者の責務でございます。今後とも関係機関と連携をとりながら、未普及地域の解消を図るべく努力してまいります。

○土持委員 あわせてちょっとお伺いをしておきたいと思いますけれども、ことしの台風の状況、大変に質疑の中でも取り上げていらっしゃる方が多かったわけですけれども、都内で地下室とか半地下家屋の被害が大変多く出ているわけです。今、下水道局からこういうチラシみたいなのが出て、啓蒙を図っています。この中で、特に、何かありましたら下水道に関することについては何でも結構ですから連絡をくださいということで各事務所が記載されていますが、平成十五年の相談の件数というか、いろんなお話が寄せられた件数、どのぐらいになりますでしょうか。

○渡辺業務部長 申しわけありません。今把握しておりません。

○土持委員 把握できますか。後からで結構ですけれども……。
 せっかくこのように都民の皆さんに通知をしているんですけれども、寄せられた声はやっぱり把握していると思うんですけれどもね。ぜひその中で、今、条例とかそういった規制がありませんので、都民は高さ制限の中でどうしても駐車場等を地下で確保するということが多いわけです。これに対して、今、東京都の指定排水設備工事事業者に一切ゆだねているというか、そういう形になっているわけですが、実際には自由につくっているというのが現状だと思うんですけれども、一たび雨が降って浸水しますと、下水道の責任というのはどうしても問われるようになってくるんですけれども、この辺の考え方、これから先やはり台風とか大雨の状況を考えますと、何らかの形の対応を考えていかなくちゃならない時期になっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。

○渡辺業務部長 把握に努めてまいります。後ほどまた先生の方に……。
   〔発言する者あり〕

○佐伯計画調整部長 委員おっしゃられるように、半地下の浸水対策というのは大きな問題でございまして、この半地下を有する家屋の指導というものにつきましては、まず建設につきましては、建築指導の中でもって確認を得られるときに、半地下を有する家屋につきましては、排水設備についてきちんとやってくださいというようなことを指導して--区と連携いたしましてやってございます。
 また、具体的にどのような排水設備を設けるのかということにつきましては、排水設備の何でも相談といいますか、指定の排水設備業者でもきちんと答えられるように、先生お持ちのそのパンフレット等あるいはもう少し細かい資料を通じて下水道施設の方から逆流を起こさないような、そういう排水設備を設けていただくように、施主の方にお願いしているというようなことでございます。
 このようなことでもって、半地下を有する家屋あるいは所有者に対する指導をしているところでございます。

○土持委員 地下室の水没は指導じゃなかなか難しいと思うんですね。何らかのもう少し強い形で規制をしていかないと、せっかくつくった財産が水に埋もれてしまうということになりかねないわけです。
 特に、公共ますよりも下に浴室とかあるいは水回りの設備をつくるというような場合は、当然ありますけれども、そういう場合、例えば明らかに業者の方と相談してこういうふうな工事をする場合、ますよりも下になるんだからということでいろいろ注意をすると思うんですけれども、具体的に業者はどういう注意をしているんでしょうか。

○佐伯計画調整部長 排水設備業者さんについて施主の方に指導ということはなかなか具体的には難しい部分がございます。ですから、技術的な指導でどのような排水設備にすべきかということを相談に乗っていただいております。
 それより前に行政的な見地からといたしましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、建築確認を得られるときに、建築指導を行っている区あるいはそういう機関と連携いたしまして注意を喚起しているところでございます。
 また、我々独自といいますか、下水道局の取り組みといたしましては、毎年六月を浸水対策強化月間としてございますけれども、そういう中で実際に浸水が発生する地域あるいは地下、半地下を有する家屋の多い地域につきましては、リーフレットを戸別に配布いたしまして注意を喚起している、そのような取り組みをしているところでございます。

○土持委員 設計者・建築主の皆さんへということで、「浸水被害のあった周辺の土地では、できるだけ地下室・半地下家屋等の設置はしないように、お願いします」というふうに書いてあるんですけれども、これは書いてあるだけで、浸水被害があった周辺というのは、業者は全部わかっているわけですか。

○佐伯計画調整部長 浸水被害の生じている地域につきましては、排水設備業者も情報は提供してございます。

○土持委員 下水道局だけを対象にこの問題を質問するというのは非常に厳しいかと思いますけれども、これは元来どことどこの局が一緒になって財産を守るという課題に挑戦していけるのか--いくとしたら、いけるのか、お答えいただきたいというふうに思います。

○今里総務部長 浸水被害の軽減につきましてはさまざまな努力をしておるわけですけれども、特に地下構築物等につきましては、下水道局だけでは、先生おっしゃいますように、なかなか万全とはまいりません。したがいまして、これまでも建築指導を所管している区ですとか都市整備局等とも協調してまいったわけですが、今後さらに徹底した協力関係を構築いたしまして、都民の財産を守ってまいりたいと考えております。

○土持委員 ぜひ、一度この問題は、今総務部長お話しありましたとおり打ち合わせをしていただいて、もう少し都民がわかりやすく、こうした方がいいという適切なアドバイスができるような方向を見出していただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

○池田委員 私の方からも、最初に浸水被害との関係で、クイックプランについての質問をさせてもらいます。
 先ほど来出ていますように、ことしは台風が例年になく日本を直撃する、こういう状況の中で、沖縄を初め、九州、四国から北陸地方、そして関東甲信越と、日本を縦断するような台風が各地に、がけや土砂崩れや、また河川のはんらん、家屋の倒壊、また浸水などによる多数の犠牲者と大きな物的な被害をもたらしてきました。
 先日のあの台風二十二号の被害はもとよりですけれども、東京でも近年、毎年のように集中豪雨による浸水被害が、いわゆる都市水害、こういうことで引き起こされているのが現在の状況だろうというふうに思います。
 資料で出していただきましたけれども、主な浸水被害状況を見ても、東京における浸水被害というのが、今までは余り出ていなかったけれども、二年に一回ぐらい、豪雨が来ると必ず出てくるというような状況が全都的にも広がっているんじゃないだろうか。
 先日、週刊誌でも、東京水害マップというんですか、東京水害マップ、危ない二十五地点、こういうようなことで、過去六年間のデータから危険な地域をマップに落として記事を書いているものがありました。特に九七年から二〇〇二年までの六年間のうちに、二十三区で二回以上の浸水被害を受けた、こういう主要な地域が二十五点あるというふうに挙げられていました。
 その中で、道路脇の側溝からあふれた水が、高台から道路を伝わって流れてきて家の敷地内に入る。そして、今もありましたけれども、道路より低い半地下の駐車場に水が流れ込んで乗用車がボンネットまで水につかってエンジンがかからなくなったと、こういうような都内の各地での被害が報道されていました。
 私の地元豊島区の状況がこのマップに挙げられていたんですけれども、従前は、豊島区では、神田川流系の高戸橋を中心にして高田地域というのが低い地域になっていて、神田川がはんらんすると必ず水につかるという地域だったんですね。しかし、河川の改修で一応、五〇ミリ対応が終わったというか、済んできている。そういう中で、河川からの洪水被害というのはこのところないんですね。豊島区の上の中野だとか杉並の地域の公園の下に一時貯水槽をつくるとか、いろいろそういう影響もいいことで出ているんですね。
 そういうことがあったんですけれども、やっぱりこの数年間、下水道の幹線沿いの低い地域、ここに水害が起きているということで、豊島区では下水道の第二雑司ヶ谷幹線、それから谷端川第一幹線などがつくられてきて、それで一時貯水、貯留ということで、効果を上げている。これは確かなんですね。
 しかし、今、地域的に、下水の主要枝線というんでしょうか、大きな幹線のところへ行く--主要枝線というんでしょうか、ちょっと専門的にはよくわからないんですが、そういうところを中心とした低地に被害が発生しているというのが状況なんですね。
 ですから、下水道局ではこのクイックプラン、雨水整備のクイックプランを新しくつくって、浸水被害を早期に軽減しようということで、具体的に出されている。私もこれ読ませていただきましたけれども、そういうクイックプランがこれからさらに五年、計画的に進められようとしている。
 そこで幾つか伺いたいんですけれども、先ほどもちょっと出ていましたけれども、最近ヒートアイランド現象などによって、都市型集中の豪雨が問題にもなってきています。東京における浸水被害の現時点での主な原因、これをどういうふうにとらえておられるか、まずお伺いしたいというふうに思います。

○佐伯計画調整部長 最近の浸水被害の原因でございますが、雨の降り方が過去に比べて変わったのかどうかということにつきましては、もう少し長期間の観測が必要だと思いますが、例えば下水普及した後の土地利用の高度化あるいは都市化の進展、こういうものによりまして、雨が流出する量が過去に比べて多くなっているといったことが主たる原因ではないかというふうに考えてございます。

○池田委員 このクイックプランの前書きの中で、東京都の区部では、都市化に伴う雨水流出量の増大、これが下水道が整備された地区でも浸水被害が発生する、こういう原因になっている。今のお話のとおりだと思うんですね。
 この資料の中にもありますけれども、雨水の浸透状況というのが、この間の都市化によって、昭和の五十年代は半分、まあ五〇%ちょっとぐらいだったと。しかし最近は七十数%、八割近くが浸透しないで雨水として流れてきていると。そしてこういう被害をつくっていくというふうなことだと思うんですね。
 今、こういう雨水を一時貯留する--以前よく下水道局でもやっておったというふうに思うんですが、公共的な施設、例えばグラウンドだとか学校だとか、さまざまな施設がありますね。そういうところに一時の雨水の貯留をつくって、そして、あの当時はよく川に流したというのが主要だったんですが、そういうやり方が今までいろいろ知恵を出し合ってやってくる。そして、雨水の公共ますをつくって、そしてそれも管理をしていくとかいうふうなことをやってきたと思うんですが、雨水の流出係数が高まっている中で、現在その辺の取り組みはどうなっているんでしょうか。

○中村建設部長 浸水対策といたしましては、幹線管渠の雨水排水能力の増強、それから幹線管渠の補完施設であります、お話しの雨水調整池の整備、これらを組み合わせて計画的に進めてきております。
 今、豊島区におきましては、東池袋雨水調整池をつくりまして、これは坂下幹線の能力を補完し、ピークをこれによってカットして負担を軽減し、浸水被害の軽減を図っているというようなものでございます。この両者を組み合わせて進めていくという状況でございます。

○池田委員 先ほど申し上げたように、豊島区では今話があった東池袋というのは、総合グラウンドの下に貯水槽をつくっているわけですね。そういうのはかつて東京都では、雨水の流出係数が問題になったときに、公共の施設、そこにはつくろうじゃないかと。また、民間のそういう施設なども含めて、雨水の一時の貯留槽をつくって、そして流出を一時抑えて、そして洪水を防止しようという取り組みがかつてやられていたんですが、今はそういう取り組みはないんでしょうか。この辺が一つ。
 それから、資料でいただきました浸水対策の計画と実績という中で、幹線の管渠、それからポンプ所、雨水調整池ということで出されてきているわけですね。これは、新クイックプランの前のクイックプランでやられてきた計画と実績を示しているんだろうというふうに思うんですね。それは間違いないんでしょうか。この二つ、ちょっと教えてください。

○佐伯計画調整部長 まず一点目の、大規模開発あるいは公共施設等に対する貯留浸透等の施設の状況はどうかということでございますけれども、これは大規模開発につきましては、所管が下水道局ではございませんけれども、従来どおり開発に伴って増大するであろう雨水を一時ためるということ、あるいは調整していただく、このような指導は都市整備局の方で従来どおり指導してございます。
 また、二点目の、この資料につきましてでございますけれども、ここに雨水対策の計画と実績というふうに示してありますものにつきましては、クイックプランではございませんで、我々クイックプランのほかに浸水対策として粛々あるいは着実にやっている部分がございます。そういったものの結果としてあらわしているものがこの資料に書いてある幹線あるいはポンプ所、雨水調整池の例でございます。
 じゃあクイックプランとはどういうものかといいますと、着実にやっているんですけれども、それの効果が発現するまでには非常に長い時間がかかりますので、現状の施設を対象といたしまして、できるだけの手段でできるだけの方法でもって浸水被害を軽減することをやっていこうということで取り組んでいるものがクイックプランでございまして、具体的には小規模の地域については、管渠のループ化であるとか、あるいは若干の枝線、今つくっている主要枝線というようなところに雨水を貯留することをやろうではないかと、そういったところを拾い上げたものがクイックプランの内容となってございます。

○池田委員 一点目の、一定の大きな開発だとか、巨大ビルをつくる場合に、一日あれは三十トンですか--一日五十トンですか、五十トン以上、それから敷地が千平米、床面積一万平米以上の基準を設けて、これは都市計画局としてやるんじゃなくて下水道局とやる協議、これは汚水の関係だけになるわけですね。
 私がいっているのは雨水の問題で、先ほど一定の規模のあるグラウンドだとか施設だとか、そういうところのやつはみんな都市計画局でやるんだと、こういう話なんでしょうかね。下水道局としてはそういう部分については直接的にはかかわってないからの答弁なんでしょうか。それが一つ。
 それから、クイックプランが緊急の今の雨水対策としてやられている。だから、先ほど資料で出していただいた浸水対策の計画と実績というのは、本来的な計画だと。しかしこれじゃあ時間がかかるから、今どうにかしなけりゃならない緊急のところをクイックプランでやるんだと、こういう理解でいいんでしょうか。

○佐伯計画調整部長 一点目の大規模開発等に伴いまして雨水の流出量がふえてくる。これに対して下水道局はその大規模開発者に指導しているのかということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、私どもの方から直接は指導はしてございません。開発を受けるほかの都庁の部門でそのあたりは指導をしてございます。
 それと、先ほど資料の中で申し上げました汚水につきましては、これは私どもの管轄でございますので、汚水が大量に出て、それが下水道の現在の管渠にのめるのかのめないのか、のめない場合には大量排水調整槽等を設けてくださいというような指導は下水道局がやっている部分でございます。
 それともう一点、クイックプランでございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、具体的にこの資料に載っかっている部分は、従来の雨水対策の中で我々が進めているものでございまして、クイックプランと申しますのは、そういうことは進めますけれども、早急に効果を発現させたい、あるいは都民の方々にその効果を感じるような施策を展開したいということで、たび重なって浸水の被害を受けている、あるいはそういう危険性のあるところにつきましては、できるだけの手当て、例えば枝線の先行の整備であるとか、あるいは先ほどいった管渠のループ化であるとか、そういった手だてを講じて浸水被害を軽減していこうというものがクイックプランの内容となってございます。

○池田委員 出していただいた浸水対策の計画と実績の、先ほど来お尋ねしている幹線管渠だとかポンプ所だとか雨水調整池の実績というのは、これはパーセントでいいますと、幹線管渠では約六六%、ポンプ所では七五%、雨水調整池では五八%。これは私の計算ですが、大体そういうことで来ているわけですね。しかし、これではなかなか、従来からの計画では長期かかるわけだから、今当面やらなきゃいけないということでクイックプランがやられてきているんだろうと思うんですね。
 そして、クイックプランの五年間の計画の中で、これ事業費を見てみましたら、五百二十億ですか、この新しいクイックプラン。これ間違いないですね。どうでしょうか。

○北川技監 先ほどの公園等を利用した調整池等についての所管の関係でございますけれども、これにつきましては、そこの管理者等と合意ができたものにつきましては、当局の池等も引き続き設置しているものは設置してございます。
 それから、クイックプランと雨水調整池との関係でございますけれども、この経過期間内の中で供用開始するような調整池等につきましては、クイックプランの中でその効果等についてはカウントして計上しておるものでございます。

○佐伯計画調整部長 先ほどのクイックプランの事業費でございますけれども、五カ年間で五百二十億、このようになってございます。

○池田委員 そこで、これも出していただいた資料で出ておりますけれども、区部の下水道建設事業費の推移を見てみますと、浸水対策の推進ということで、平成十一年からクイックプランを始めたと。十一、十二、十三、十四、十五と五年間努力をされてきたわけですね。それで、先ほど来私いうように、地域によっては一定の幹線が敷設されることによって、一時そこで貯留をされると。今まで常習的に出ていた洪水がそこで助かるというところも出てきているわけです。先ほど私の豊島区の例をいいました。
 しかし、残念ながら、クイックプランが始まった十一年度以降の事業費は年々下がってきているんですね。例えば平成十一年では五百五億二千七百万。ところが、十五年では二百九十一億八千百万。こう落ちてきているわけですね。それじゃ、こういうところとクイックプラン五年で五百二十億かけて、そしていろいろここで書かれている早期に軽減するためにやらなきゃいかぬいろんな仕事があります。そういうところで、実際にこの間の事業費が減額になってきている。そういう状況の中で、この新しいクイックプランをやり上げていくというのはなかなか大変なことだろうというふうに私は思うんですが、そのことについてはどういうふうに考えておられますか。

○佐伯計画調整部長 確かに全体の事業費としてはかなり厳しい状況にございます。こういう中にありましても、雨水対策といいますのは、局の重点的な事業でございますので、クイックプランの策定であるとか、そういった工夫を凝らしながら、予算を有効に配付して事業を進めてまいりたいと、このように考えております。

○池田委員 それから浸水対策では、最後にこれはぜひ下水道局としても、先ほど来私いうように、雨水の貯留をするようなグラウンドだとか一定の施設のある公共施設にはちゃんとやはり都市計--今は都市整備局に、担当に任せるということだけじゃなくてね、これはやはり下水道局としても当然この雨水処理の問題では汚水とのかかわり合いもあって大変な苦労をするわけですから、私はそれはやっぱりちゃんとやっていく必要がある。ましてや民間の一定の規模の持っている施設へも、かつてはやはりそういう問題はやっていたと思うんですよ。しかし、最近そういうものがどうも下水道局、自分のところじゃないよというようなことだけで思うんじゃなくて、都市整備局と都市計画、まちづくりとあわせてやってもらいたいというふうに思います。
 それから二つ目に、この決算意見書を見させてもらいました。この中で、二ページでありますけれども、区部全体の年間の下水処理量は、前年十四年対比で六千九十六万トン、約三・六%増加している。そして、十七億四千百八十三万トン、こういうふうになっています。そして、下水道料金徴収対象となる排水水量は十四年度と比較して六百五十八万トン、〇・六%減っている。十一億三千百四十六万トンと書いてあります。
 そして、排水水量についてお伺いしたいというふうに思いますが、傾向として、この間減っている傾向、これは事業概要にも出ていますけれども、そういうのが流れとしてあるのか、それともふえるような傾向なんでしょうか。その辺はどうでしょう。

○佐伯計画調整部長 量的な問題につきましては、最近の節水意識の広まり、そういったものも受けまして、横ばいあるいは若干の減少、そのような傾向と認識してございます。

○池田委員 これは事業概要を見ても、調定汚水排出量というのもちょっと減ってきていることを見ると、今部長いわれたように、全体としてやはり減る傾向にあるというふうなことだろうと思うんですね。
 汚水量が減るということと、雨水が比較的多かったから、先ほど審査意見書のところで二ページの意見を紹介したんですが、そういうことをこれはいっているわけでしょうか。

○今里総務部長 いわゆる料金対象となります水量が若干減ってきておるということは事実でございますが、いわゆるそのほかの水といいますか、そういったものがふえているのが、雨の量とイコールでふえてくるというふうなことまでははっきりは申し上げられませんが、従来に比べて若干ふえているという事実はございます。

○池田委員 下水道料金の対象になる排水水量というのは減少傾向か、もしくは横ばいというさっきの話だったと。そうすると今の話ですと、減少はしているけれども、その他のものがふえている。じゃ、その他の水量、排水というのは何でしょうか。

○今里総務部長 料金対象以外の排水といいますか、入ってくる水といたしましては、雨水及びいわゆる不明水というものがございます。

○池田委員 これは地方公営企業に対する一般会計からの繰出金、これについての基準なんですが、計画汚水量を定めるときに見込んだ地下水量を超える不明水の処理に要する維持管理費に相当する額というふうに書いてあるんです。ちょっと私ども素人にはわかりづらいんですが、今お話があったように、不明水というのが出てきている。不明水と地下水量というのはどういう関係にあるんでしょうか。

○佐伯計画調整部長 地下水量と申しますのは、地域の状況あるいは地下水位の高い低いによりまして、下水道施設の中に入ってくる水でございます。不明水といいますのは、先ほど総務部長の申しました、収益、料金に結びつかない、そういったものでございます。

○池田委員 今、繰り出しの基準のところで出てきているやつなんですが、計画汚水量というのは、現在、この東京の下水道では一日どのぐらいの計画汚水量であり、そして地下水量というのはどのぐらいであり、不明水というのはどのくらいであるというのを教えてください。

○佐伯計画調整部長 計画汚水量につきましては、平成九年に改定されました流域別下水道整備総合計画におきましては八百二十九万トン、これが一日の量でございます。
 地下水量につきましては、計画汚水量の約二〇%を見込んでございます。不明水につきましては、流入水量の約八から九%、このあたりではないかというふうに思われます。

○池田委員 いろいろ細かな話をしていると議論が不明になっていきますから結論だけちょっとはっきりさせたいと思いますが、不明水の処理経費というのは、下水道料金の原価に入れているんじゃないんでしょうか。

○今里総務部長 不明水の処理経費が料金原価に入っているかというお尋ねだと思いますが、料金の算定に当たりましては、業務量及び料金の算定基礎といたしまして、汚水量、雨水量を定めておりますが、不明水は汚水量として扱い、その処理経費は料金原価に算入させております。
 不明水は汚水の処理水から負担者が明らかなものを除いたものでありますが、公費負担の対象とならない不明水に係る経費につきましては、汚水処理サービスの供給に伴って必然的に発生するものという理解をしておりますので、料金対象とすべき性質だというふうに考えております。

○池田委員 簡単にいえば、不明水というのは汚水と同じように都民が料金として支払う、その原価の計算の中に入っている、こういうことだというふうに思うのです。
 それで、私、資料をいただきました。不明水の五年間の推移というのを見ますと、十一年が不明水量は全体処理水量の約九・四六%、これが十五年には七・二九%になってきているのですね。不明水というのは、そういう意味では、この間減ってきているということは明らかになっている。しかし、原価計算のときには、これは十年に見直しをやっていますから、そのときはこの原価がそのまま入っているのじゃないか。
 私は、そういう意味では、基本的に不明水というのは都民が料金で負担をするという性質のものではない、先ほど部長さんはそうではないという話をしていましたけれども、私はやはり一般会計等の繰出金なり、そういう公的な負担でやるべきだというふうに思っているわけなんです。その辺はどういうふうに考えておられるのか。
 それから同時に、不明水量そのものが全体として減ってきているという数字をいただいています。だとすれば、やはり今の汚水の処理にかかわる公費と、それから私費負担というか都民負担の部分、その見直しの条件になってくるのじゃないかというふうに思いますが、その辺はどうでしょうか。

○今里総務部長 不明水の処理経費は公費で負担すべきではないかというご意見だと思いますが、先ほど申し上げましたように、構造上不可避的に発生するものでございまして、これはきちんと繰り出し基準の中で、先ほど先生の方からもお話ございましたように、一定の見込んだ割合を超えた場合には公費で負担することができるとなってございますので、現時点では、基準内の不明水につきましては繰り出し基準に従いまして、私費で負担をしていただいているというのが実態でございます。
 その都度その都度動く数字等で一々料金を変えるというわけにはまいりませんので、不明水が継ぎ手等からの流入等を防ぐ等しまして減ってきておるのも事実でございますので、今後の料金の推移を見守りながら、その中で検討してまいりたいと考えております。

○池田委員 言葉じりをつかむわけじゃないけれども、その都度その都度変えろなんというようなことを、私、いっているわけじゃないですよ。
 ちゃんと下水道の方も公費と私費の負担、施設をつくる場合の資本費ということでも変えてきているじゃないですか。それから汚水、雨水の処理の負担割合も変えてきているじゃないですか。そういう点で、やはり検討することが求められているのだということをいっているわけです。
 ですから、私はそういう点で、本来、都民が下水道料金として負担させられている部分の中に、下水道料金の原価の中にそういう不明水が入ってきた、そしてそれが、先ほど来私がいうように、数字としては減っているわけですから、当然、処理の負担区分についての見直し、この中ではちゃんと位置づけてやるべきだということだけ申し上げて、終わりましょう。

○大河原委員 私からは、水質にかかわる問題をお尋ねしていきたいと思います。
 生活者ネットワークは、長期的な政策として、東京湾で泳げるようにするというのを、随分前から掲げてきました。近ごろ、東京都の方でも東京湾で泳げるというようなことを目標に掲げられたようで、臨海部の開発が進んで、水辺に行く人がふえたというところからも、本当にそのことを実現してもらいたいというふうに思っています。
 東京湾や都内河川の水質を改善していくこと、適切な水辺環境をつくり出していくためには、今、一生懸命やっておられる合流式下水道の改善とか、高度処理を推進することは当然の流れだというふうに理解はいたしますけれども、何分、莫大な費用と時間を要するものです。都民が排出する水の管理ということを考えれば、家庭や事業所からの排水であるわけですので、いわば家庭、また事業者が排出者責任を明確に自覚して、そしてこれらの方々の理解と協力を得て、ソフト面からの対策というのも欠かせないのだというふうに思っております。
 そこで、先年も生活者ネットワークの新井美沙子の方からもお尋ねをさせていただきましたが、まず、ディスポーザーの使用について伺っていきたいと思います。
 ディスポーザーというのは、本来生ごみ粉砕器でありまして、野菜くずだとか魚の骨とか、そういった調理のごみを砕いて水と一緒に下水道に流し込む機器の総称です。アメリカで普及したために、台所から生ごみが消えるというような、夢の厨房設備というような形で喧伝されておりまして、日本でも徐々に出てきているということがあるのですが、実態は、日本の下水道からいったら、私はこれは敵だというべき存在だと思っております。
 ディスポーザーを、私は基本的には使用を禁ずるべきだというふうに考えておりまして、これまでも使用自粛の強化を求めてまいりました。ところが二十三区では、下水道局はこれまでディスポーザーの使用自粛を長らく都民に要請してきたわけですけれども、数年前から下水道施設に負荷のかからない、少ないもの、つまりは排水の処理槽がついたものに限っては使用を認めるふうに、方針を転換しております。
 それで、この状況からまず伺っていきたいのですが、排水処理槽のついたディスポーザー、ディスポーザー排水処理システムですね、これは今どのくらい普及しているのでしょうか。過去三年の設置の届け出件数とこれまでの累計など、現状を伺いたいと思います。

○渡辺業務部長 ディスポーザー排水処理システムの過去三カ年の届け出件数でございますけれども、平成十三年度七十一件、平成十四年度八十九件、平成十五年度百十件でございます。過去三カ年の届け出件数の合計は二百七十件となってございます。
 また、使用を認めました平成十年度から平成十五年度末までの累計は、三百二十五件でございます。

○大河原委員 今三百二十五件といいますが、三百二十五処理槽がついているということで、各戸に直せばもっと多いわけですけれども、このディスポーザー排水処理システムというのは、下水道へ流す排水は、これまでの家庭排水から比べると格段に水質のいいものだということで、とめようがないというところがあったのだと思うのですが、これは適切な管理をされてこそ、この機能が働くわけなので、適切な維持管理を行うということが非常に重要なポイントとなります。
 下水道局が行われている指導ですが、届け出のときにはどのようなことを指導されているのでしょうか。

○渡辺業務部長 ディスポーザー排水処理システムにつきましては、排水設備計画の届け出の際に、維持管理に関する計画書をマンションの管理組合などの使用者に提出させております。
 計画の内容は、専門の維持管理会社と委託契約をすること、排水処理槽などの機器類の保守点検をすること、水質検査を年一回以上実施することにしておりまして、当局からの要請があれば、その資料を提出するように指導しております。

○大河原委員 私も六年くらい前でしたか、板橋の方で実験をしている、住都公団でしたか、そのシステムを見せていただいたのですが、本当に集合住宅の下に処理場があるというような大規模なもので、この維持管理をするのは非常に大変なことだろうというふうに思いました。
 マンションの管理組合がどこかに委託をする、あるいは販売したところが責任を持って最後までこのシステムの維持管理を行っていくということなんですが、こうした自主的な検査というのが、どのように適正に行われているのかということをチェックをしなきゃならないと思うのです。信頼の上にと、それからまた、いつも自主的な報告をもらうということでも、なかなか見切れないのかなというふうに思っておりますけれども、下水道局としては、この自主検査の状況を、現在どのように把握されているのでしょうか。
 それから、一緒に伺いたいと思うのですけれども、自主検査を徹底するということだけではなくて、東京都が直接こういった実態を把握されるということも必要だと思いまして、前回、新井が伺ったときには、このことを進めていくのだというお答えでございました。どのような調査を実施して、その結果についても、あわせて伺いたいと思います。

○渡辺業務部長 当局では、毎年、マンション管理組合など使用者に保守点検の記録や水質の自主検査資料の提出を求めております。そして維持管理状況を把握してございます。
 提出された資料によりますと、使用を認めるに当たりまして設定いたしました水質基準値をすべて満足しておりまして、適正な維持管理が行われていると判断しております。
 今後も維持管理が適正にされるように指導してまいりますが、先生おっしゃいましたように自主検査も大事でございまして、平成十四年度よりディスポーザー排水処理システムから下水道に排出されます処理水の状況を確認するため、直接、十四年度は十件、十五年度は二十件、抽出調査を行ってございます。
 調査の方法は、処理槽から排水された処理水を採取いたしまして、公的試験機関で水質検査を行っているところでございます。その結果でございますが、すべての箇所で水質の基準値を満足してございまして、適正な維持管理が行われていることを確認してございます。

○大河原委員 下水道局が抜き打ちというのでしょうか、無作為抽出で、これまで設置されたところに出向いて直接おやりになるということで、非常にこのことは評価をしております。
 それで、BODですとかSS、ノルマルヘキサン抽出物質ですとか、それぞれの基準が今の結果からは適正な維持管理が確認されたということなので、一つは安心をしております。
 ただ、いただいた資料を見ますと、やはり多少、基準以内ではあるけれども高いものが出ていたりもしまして、ここがいつ定期検査をやって、その定期検査の前だとこういうものになるのか、あるいは定期検査の後だったのだけれども、ちょっと高目の数値が出ているのかといったようなところも、実は気になるところです。
 自主検査で毎回定期検査の報告が出されるといっても、数値を上回った結果を、なかなか素直に報告書として都に上げてくるというのは想像しにくいものがあるものですから、この点も、今後の東京都の実態把握について工夫をしていただけたらというふうに思います。
 それで、ここまではいわゆる基準を満たしている、そういうディスポーザーについて伺ってきているわけなんですけれども、ディスポーザーといいますと、今インターネットで、どういうところで手に入るのだろうかとすぐに調べることができまして、これまで処理槽がついていない単体ディスポーザーと呼ばれるものについて、私たちも警鐘を鳴らしてきたわけなんですが、この単体ディスポーザーの実態というのは、いわば野放し状態ではないのかというふうに、改めて危惧を抱きました。
 ためしにインターネットを使ってこのディスポーザーを検索しますと、単体ディスポーザーの宣伝のオンパレードなんですね。しかも、十万円以内で買える、五万円とか八万円とか、それがアメリカからの直輸入である、自分でも、個人でも取りつけられる、それから、自治体でもこれが禁止されているわけではないと。おまけに、リンクする先が東京都の下水道局のホームぺージだったりして、有明の処理場が紹介されていたり、神田川の幹線が紹介されていたり、何か悪用されているのじゃないかと思うようなものまであります。
 そういった意味では、業者とも簡単にコンタクトがとれるような状況があるのじゃないかと思うのですが、こういったことについては、自粛を求めてはきたのだけれども、実際、どういう業者への指導をしていらしたのか。この点について、いかがでしょうか。

○渡辺業務部長 都が使用を認めていないタイプのディスポーザーにつきまして、これまで建築事務所とか関連団体、建築確認機関、建設業界、販売の団体等、関係業界に対しまして、文書による自粛要請を行ってきたところでございます。
 平成十五年には、使用自粛のリーフレットをわかりやすく見直しをいたしますとともに、要請する団体を拡大いたしまして、さらに、直接訪問いたしまして、自粛要請をしてきたところでございます。また、「広報東京都」など、都の広報媒体への掲載や区報などへの掲載を引き続き依頼いたしまして、使用自粛に努めてきたところでございます。
 先生ご指摘のインターネットでございますけれども、私ども定期的に検索をしてございまして、把握した販売会社につきましては、文書による販売自粛要請を行っているところでございます。

○大河原委員 これまでそういった業者に対しても自粛要請をして、販売も控えてほしいということを、多分いってこられたのだと思います。
 でも、やはりこういった中には、全国ネットでこれが売られていることとか、あるいはこれはすごいな、ひどいなと思うのですが、ディスポーザーを使用中、詰まらせて被害が出た場合は、周辺に迷惑がかかった分の保険を、掛金は弊社負担でやっておりますという形で、事故が起こっても何にも怖くありませんよというような形で宣伝をしておりますし、あるいは日本の著名な建築家から依頼を受けておりますとか、あるいはある区に至っては、区議会の元議長さんが、私も使ってますみたいなことを書いてあったりとか、それは業者がこのことを、ちょっと通常の商品販売では考えられない--消費者センターにもこれはいったらいいと思うのですが、自粛を要請するくらいのことでは、なかなかおさまらないのではないか。
 この単体ディスポーザーの業者への働きかけをお願いしたのは、もう二年から三年前になっておりますけれども、あれから余り変わってないのじゃないかというのが、申しわけありません、正直な感想です。
 それで、インターネットの時代ですから、それに対応するのは、やはり消費者もどうなっているのだろうと、実際、東京都のホームぺージにアクセスしてくるわけです。でもこの業者は、東京都が自粛を呼びかけているホームぺージにはリンクしないで、東京都が持っている巨大な立派な施設の方にリンクさせているわけなので、なかなか使用をしないというふうには、あ、いけないんだ、つけちゃだめだというふうには思わないわけですね。
 それで、ディスポーザー自粛のお願いは、東京都はこういうふうな形で、ちょっとおとなし目です。そして、何をつけちゃいけないのかがわからないんですね。単体ディスポーザーというものは、はっきりここに--出ている業者の、こんな物はつけちゃだめなんですというふうに、ホームぺージにはっきりと示されたらいかがかというふうに思います。
 いろいろな関係があると思うので、すぐにこのことについてお答えはいただけないかと思いますが、やはり都民にはっきり情報を渡すということが重要ですので、その点、ぜひご考慮いただきたいと、お願いをさせていただきます。
 そして、このような野放し状態の単体ディスポーザーだけではなくて、実はきちんと住宅メーカーなり電気メーカーが個人住宅、戸建て住宅向けに排水処理槽をつけたシステムももちろん開発しているわけで、これは値段的にも高価といいますか、三十万とか四十万とか、家を建てるときにつけるという形で行われますので、費用もかかりますけれども、安心ができるものというふうに理解はいたします。
 でもやはり、基本的には、これも同様に下水道局が利用者とか管理者へどれだけ丁寧に指導ができるか、それからもちろんメーカーが中間にあるわけですけれども、こういったことを適切な指導を行うということが重要ですので、個人住宅につけられたディスポーザー排水処理システムについての指導をどのように考えているのか、このことも伺っておきたいと思います。

○渡辺業務部長 ディスポーザー排水処理システムは、集合住宅や戸建て住宅にかかわりなく、統一した基準で指導しております。
 したがいまして、集合住宅も戸建て住宅も、先ほどご答弁申し上げましたように同一の指導内容でございまして、当局が行う水質検査につきましても、同じように抽出調査の対象としております。

○大河原委員 今、同じように調査の対象になるというお答えだったのですが、残念ながら十四年度、十五年度の中にはこの戸建て住宅は入っていないのですね。
 それで、今後、東京都が直接実態把握をされるこの調査は、ぜひ続けていただきたいと思うのですが、ほかの集合住宅がある中で戸建て一戸ということにはならないと思うので、次回の年度には、例えば戸建て住宅を中心に見てみるというようなことで、工夫をいただけないかというふうに思います。
 それから、このディスポーザーですけれども、各地でごみの有料化、特に家庭ごみの有料化まで生活課題になってきておりますけれども、ごみ処理として、ごみの有料化とかかわって、ごみが台所から消える、有料のごみ代を払わなくていいというような発想で広まりますと、もうこれは手がつけられないほど、この単体ディスポーザー、今も野放し状態ですから、広まってしまうと思うのです。
 ですから、きょうお願いをいたしました点、それぞれぜひご検討をいただき、東京都が発信するという媒体もさまざまありますけれども、効果的な発信をお願いしたい。そして、都民は排出者責任があるという、都民の自覚を促すようなこともお願いしつつ、さらに業者には、やはり厳しい対応が必要じゃないかというふうに思いますので、再度お願いをして、次に移りたいと思います。
 次は、私は東京都のいろいろな施策、キャンペーンでいいなと思うものがたびたびあるのですけれども、この「油・断・快適!」キャンペーンというのも、私が気に入ったキャンペーンのネーミングの一つなんですね。
 水を汚さない暮らしを進めるということで、私は合成洗剤を使わないで、生物分解がしやすい石けんを使おうという運動などもしてきましたけれども、油を下水に流す人がいるということに、非常に驚きを持っております。
 平成十五年度、下水道局はこの「油・断・快適!」キャンペーンということで、これまでも続けられてきましたキャンペーン、さらに充実を図られたようなんですが、まず、このキャンペーンの目的について伺いたいと思います。

○今里総務部長 「油・断・快適!」キャンペーンを始めた目的についてでございますが、台所などから下水道に油を流しますと、下水管の中で固まりまして、宅地内の排水設備ですとか、公共下水道の詰まりや悪臭の原因となります。
 そのため従来から、お客様であります都民の皆様や飲食店などに対しまして、下水道に油を流さないでほしいというお願いをしてまいったわけですが、平成十二年になりまして、下水道管から流出したと思われます白色固形物、いわゆるオイルボールがお台場に漂着いたしまして、社会的な問題となりました。
 このことを契機といたしまして、下水道に油を流さないことについて、これまで以上に徹底した都民の皆様からのご協力をいただくために、平成十三年度からキャンペーンを始めたものでございます。

○大河原委員 十三年度から始まったキャンペーンですけれども、中身は年々工夫されてきたというふうに思います。 
 都民一千二百万人、飲食店の数でも十万件を超えるわけですので、大変かなと思いますが、平成十五年度の取り組みというのはどのようなものだったのでしょうか。それからまたことし、新たな取り組みはどのようなものか、お尋ねします。

○今里総務部長 キャンペーンの取り組み内容についてでございますが、お話のとおりなかなか浸透いたしませんので、年々内容に工夫を凝らしてまいっております。
 当初は、職員だけで飲食店等を訪問してリーフレットやポスターを配布というふうなキャンペーンだったわけでございますが、その後、キャンペーンの場所を街頭や商店街、あるいは各種のイベント会場に拡大するだけでなく、趣旨に賛同いたしてくれましたNPOですとか、大手スーパーとの共同キャンペーンといったものを実施してまいりました。
 また昨年、平成十五年度には初めて大手スーパーのプライベートブランドの食用オイルに、下水道に油を流さないでといった趣旨のラベルを張りつけていただくというふうなことをいたしまして、実際に油を使う根元のところからキャンペーンを徹底してまいっております。
 また、本年度につきましては、これも初めてですが、協賛企業を受け付けまして、私どもとこれまで協力していただいたNPO、スーパーに加えまして、油こし器をつくっているメーカーや、油の吸収処理製品をつくっているメーカーと協力したキャンペーンも実施しております。
 今後とも、こうした努力を続けてまいります。

○大河原委員 いろいろな方との連携も進んできているようで、特にNPOなどは若い方々が多いというふうに伺いました。いろいろなご努力をされているわけなので、ぜひ効果が上がるように願うわけですけれども、実際のところ、このキャンペーンの成果、効果といった手ごたえはいかがなんでしょうか。
 例えばオイルボールの漂着日数ですとか、あるいは量ですとか、回収なども推移しているかと思うのですけれども、この点はどうでしょうか。

○今里総務部長 キャンペーンの効果についてでございますが、「油・断・快適!」キャンペーンと同じく、この時期に合わせまして、これまでも合流改善対策といたしまして、雨水はけ口へのろ過スクリーンの設置ですとか、目幅の縮小といった対策をあわせて行っておりますので、キャンペーンだけの効果とは申せませんが、先ほどお話がございましたオイルボールの漂着日数で見てみますと、キャンペーンを開始いたしました平成十三年度には年間二十七日ございましたが、これが十四年度は十九日、十五年度には十日と、着実に減少してきております。
 また、回収いたしましたオイルボールの量も、十三年度には一万五千六百リットルございましたが、十四年度には八千五百リットル、十五年度には一千八百リットルに減少しております。

○大河原委員 私、以前に墨田区の廃食油の回収業者さんと一度話したことがあるのですが、東京都内で年間に消費される、四十万トン廃油が出るそうなんですけれども、そのうちの半分の二十万トンは回収に回って、循環するわけですね。残りの二十万トンがどこに行くかわからないというようなことを、その方はおっしゃっていました。
 今伺うと、キャンペーンの効果だと、私はやはり思います。こうやって着実にオイルボールの漂着日数も減り、また回収量も減ってきているというのは、本当に地道なご努力のたまものだというふうに思うのです。これをさらに進めていくということが必要ですけれども、問題は、先ほどから申し上げていますように、東京という人の集中した場所、商業活動の活発なところで、飲食店、事業所などの対策がとても厳しいのじゃないかなというふうに思いますけれども、これまで下水道局はこういった飲食店や事業所などへの対策、どのような根拠に基づいてどんな指導を行ってきたのか、この点についてはいかがでしょうか。

○渡辺業務部長 昭和五十年に建築基準法に関する建設省告示がございまして、飲食店等から排出される油などを含む汚水によって配管設備の機能を妨げるおそれがある場合は、阻集器などを設置することが規定されました。阻集器が建築確認の対象となったということでございます。
 当局におきましては、阻集器が排水設備の一つとして位置づけられましたことから、排水設備計画の届け出の際に、宅地内の排水管を詰まらせることのないように指導してまいりました。
 平成十二年に、先ほど総務部長からご答弁申し上げましたけれども、お台場海浜公園のオイルボールの問題がございまして、環境上、衛生上の問題としてクローズアップがなされてきました。
 その原因としまして、下水道管に付着したラードなどの油脂類が雨天時に合流式下水道のはけ口から雨水とともに流出したと考えられることから、「油・断・快適!」キャンペーンの一環として、飲食店等に対しまして、グリース阻集器の設置要請と適正な維持管理の指導を強化することにいたしたところでございます。
 このため、平成十四年に東京都下水道条例施行規程を改正いたしまして、阻集器の設置を明文化いたしまして、指導を行っているところでございます。

○大河原委員 私、グリース阻集器という、阻集器という言葉を今回初めて知りまして、どんなものかも初めて知ったような次第なんですけれども、十四年には下水道条例の施行規程を改定されたということで、ともに床置き型の阻集器を共同開発して、こういったものも進めているということで、心強く思います。
 建築基準法などで規定されていたものというのは、やはり初めからの埋め込み型だったり、今の段階で普及しているとはなかなか思えないものでもありますし、商店街やお店の小さなところを見ておりますと、スケルトン方式で貸し店舗、ここは飲食店できるなんというところには、もともとそういったものはついていないので、こういったコンパクトな、そして願わくば値段も安くて、店に負担のかからないようなものが多分いいのだと思いますが、普及していないために、まだ高いといったようなこともあるのじゃないかというふうに思います。
 現在のこのグリース阻集器ですけれども、維持管理の面はどうなんでしょうか。面倒で適切に管理されていないところもあるというふうには聞きました。維持管理についてどのような指導をされているのか、そこも伺いたいと思います。

○渡辺業務部長 公設汚水ますや取りつけ管が油脂類により閉塞しました場合、原因者の特定が可能でございますので、個別に阻集器の設置、適正な維持管理について指導を行っております。
 また、飲食店の営業許可更新時に保健所が実施いたします食品衛生講習会などの機会をとらえまして、飲食業者に対しまして維持管理を適切に行うよう、指導しております。

○大河原委員 ちょっと前後しそうな話になってしまったのですけれども、比較的面倒なように見えますけれども、これはお店をやっていく上では当然のことだということで、管理しやすい機器を開発するということも、もちろんこれから進んでいくんでしょうけれども、小さなお店で、従来のような埋め込み型の阻集器は設置が困難ですから、やはり小型店舗でも容易に設置できるものの普及、これに東京都も力を入れていくことが重要だというふうに思いました。
 これまでもですが、今後も下水道局としてどのような取り組みを行ってきたのか、行っていくのか、この点もお答えください。

○渡辺業務部長 埋め込み型のグリース阻集器につきましては、厨房が手狭なために、設置することが確かに先生おっしゃるように困難なケースがございます。また、この阻集器は清掃や点検が容易でないため、維持管理が十分に行えないということも多々あると思います。
 このため、小規模な店舗にも設置が可能で、維持管理が容易な床置き型のグリース阻集システムというものを、平成十四年度に民間企業と共同して開発いたしました。このシステムは省スペース型でございまして、油脂類を吸着材で除去するものでございまして、維持管理も容易でございます。
 私どもといたしましては、東京都指定排水設備工事事業者に周知いたしますとともに、飲食店へのアンケート調査などする際に紹介するなど、さまざまな機会をとらえて、普及を図っておるところでございます。

○大河原委員 「吸着王」という立派なパンフレットをいただいたので、これは十四年度に民間企業との共同開発ですから、まだ日にちがたっておりませんので、これをご存じない方は本当に多くおられるというふうに思います。
 阻集器の設置が義務づけられていても、設置スペースがなかったり、また店舗の大改造をしなきゃならないというようなことではなかなか進まないわけで、こういった設置してある店がどのくらいあるのかというのも、私、行くところにはのぞいて、ここにいらっしゃる委員の皆さんも、自分の行きつけのところにあっただろうかと、ちょっと思い出していただければいいかと思いますが、ご答弁にありましたグリース阻集システムというのは、工事が簡単ですぐに設置できる、維持管理も楽だということなので、いい製品なんだろうというふうに思います。
 でも、やはりまだまだ設置の数というのは少なくて、値段もこれで四十万くらいとおっしゃっていましたか、まだ高いわけなんですね。でも、このグリース阻集器というのは東京だけではなくて、建築基準法ですから、全国で設置が義務づけられているわけです。東京が、都市に集中している飲食店の数を考えても、先頭に立って全国の飲食店にも広めていくくらいのことがなければ、これは進まないかなというふうにも思うのですが、東京にある飲食店の半分、三分の二というふうにどんどんふやしていけば、価格も、もっと違うメーカーが開発もするでしょうし、大量につくられればもっと安くもなる、それがまた相乗効果で普及も進んでいくのじゃないかと期待をいたします。
 下水道局は、この四月から処理場という名称を水再生センターというふうに変えました。その名に恥じないように、水質向上にしっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 最後に、東京の水環境向上に不可欠な、きょう私はソフト面からの対策の充実についてお伺いをしてまいりましたけれども、下水道局としての見解と決意を伺いたいと思います。

○渡辺業務部長 快適な水環境を実現していく上で、下水道の果たす役割は大きいものがございます。
 当局といたしましては、ディスポーザーの使用自粛を引き続き要請するとともに、使用を認めているディスポーザー排水処理システムにつきましては、適切な維持管理の充実に努めてまいります。
 また、油の問題につきましては、阻集器の設置の要請や維持管理の適正化、下水道に油を流さないよう都民や事業者に求めていくキャンペーンなど、多様な取り組みを進めていきます。
 今後とも、環境の視点からディスポーザーや油の対策など、ソフト対策を推進してまいります。

○高橋委員 私から、下水道事業における震災対策についてお尋ねいたします。
 十月二十三日に発生いたしました新潟中越地震は、震度六強という激震が三回も観測され、至るところで大規模な道路陥没や斜面の崩壊が発生してしまいました。また、開業以来初めて走行中の新幹線が脱線するなど、交通網は麻痺状態となりました。さらに、電気やガス、水道などの生活に直結するライフラインも一瞬にしてストップし、被災地を孤立状態にし、被災者は苦しい生活を強いられております。
 都は、既に効果的な支援として食料など二億円分の物資の支援を行うとともに、練馬区では周辺各区に呼びかけ、共同で物資を送るなどの支援が行われていると聞いております。
 最初に、阪神・淡路大震災では、東京都下水道局は神戸市に対し復旧支援を行ったと仄聞しております。具体的にどのような対応を行ったのか、お伺いいたします。

○今里総務部長 阪神・淡路大震災のときにおきます神戸市への支援でございますが、地震発生の翌日から復旧支援活動の準備を開始いたしまして、支援要請によりまして、被災地に職員を派遣いたしました。
 被災地での復旧支援活動につきましては、第一次から第三次までの支援隊を派遣いたしまして、被害を受けました下水道管渠の調査や、下水道管渠の中に詰まっておりました土砂を取り除くなどの応急復旧作業を実施しております。
 また、それに引き続きまして、災害査定のための設計書作成を含めて、約二カ月間にわたりまして支援を行いました。

○高橋委員 そこで、今回の新潟県中越地震では、国は、都道府県と政令市に対し上下水道の復旧に詳しい土木技術職員などの派遣を要請したと聞いております。東京都下水道局はどのような対応をとっているのか、伺います。

○今里総務部長 被災地からの支援要請に備えまして、これに速やかに対応できるよう、十月二十五日には当局職員一名を現地に先行派遣いたしまして、応急復旧に向けた県の下水道担当部署との事前調整を行ってまいりました。
 また、昨日十月二十八日には、支援要請に基づきまして、支援内容や支援範囲の確認を行うとともに、被災地におきまして下水道管の破損状況、必要な人員、機材等の確認作業を行うために、本庁管理職を含む七名の技術職員を派遣したところでございます。
 さらに、応急復旧作業を行う職員の人選や緊急資材の調達など、支援体制の確保に取り組んでおりまして、あす、第一陣といたしまして、十五名を追加で派遣する予定としております。

○高橋委員 次に、東京都における下水道の地震対策について、お伺いいたします。
 このたびの地震に見舞われた被災地では、電気や水道などのライフラインが徐々に復旧しておりますが、依然として広い範囲で停電や断水が続いているということであります。
 そこで、ポンプなどの設備を数多く抱える東京都下水道局にあっても、停電や断水対策は重要と考えます。このような場合に備えて、都ではどのような対策を実施しているのか伺います。

○佐伯計画調整部長 停電対策といたしましては、電力の供給が途絶えた場合でも雨水の排除機能が確保できますように、また維持できますように、ポンプ所や水再生センターでは自家発電機を設置しております。このほか、再生可能エネルギーを活用した発電や、大容量の蓄電が可能なNaS電池などを組み合わせて、電力の確保に努めております。
 また、断水した場合でも、冷却水を用いずに運転できる無注水ポンプの導入を進めているところでございます。

○高橋委員 東京都下水道局の耐震対策については、阪神・淡路大震災以降いろいろと対策を講じていると思いますが、水再生センターや下水道管などの耐震化対策としてはどのような取り組みを行っているのか、伺います。

○中村建設部長 耐震対策の取り組みでございますけれども、新たに水再生センターやポンプ所を建設する場合には、阪神・淡路大震災後に設定をされました耐震基準に基づき、設計をしております。
 次に、既存施設のうち主要な建築物は、壁や柱の補強などの耐震工事を既に完了しており、土木構造物は、基本的機能の確保や避難所などの安全性の確保の観点から優先度を考慮いたしまして、耐震補強を進めております。
 また、管渠につきましては、阪神・淡路大震災での被害が管渠とマンホールとの接続部に集中していたことから、その接続部に伸び縮みが可能な材質の樹脂を埋め込みまして、地震の動きをマンホールで吸収をする、そういう構造に変えるための耐震化工事を順次進めております。

○高橋委員 ただいま答弁にありました管渠の耐震化については、平成十四年に練馬区で行われた東京都・練馬区合同総合防災訓練でも、新しい工法として紹介されておりましたが、現在どのような場所を対象に実施しているのか。また、これまでに耐震化した箇所数はどれくらいなのか、お伺いいたします。

○佐伯計画調整部長 区部には震災時の避難場所及び災害拠点病院、これが約二千カ所ございます。これらの施設の排水を受け入れる管渠を対象に耐震化を図っているところでございまして、実施に当たりましては、地元区などの仮設トイレ設置計画と整合を図りながら行っております。
 平成十五年度末までに二百八十二カ所が完了してございます。

○高橋委員 新潟県中越地震による避難者は約九万九千人になっており、約六百カ所の避難所ではトイレ不足の問題が生じ、不自由な生活を余儀なくされていると聞いております。万が一、東京が大地震に見舞われたときのためにも、さらに積極的な対策を講じる必要があると思います。
 先ほど申し上げました防災訓練では、練馬区の光が丘第八小学校に集まった地元の住民と区、それに下水道局が一緒になって下水道マンホールを利用した仮設トイレの設置訓練を行いました。東京都下水道局では、避難所のトイレの機能の確保に向けてどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○中里施設管理部長 貯留式の仮設トイレにつきましては、たまったし尿を関係区がバキューム車で運搬しまして、水再生センターで受け入れることとしております。
 震災時には、水再生センターまで運搬することが困難な状況も想定されますことから、各区と調整いたしまして、直接し尿を投入できるマンホールを取り決め、ふたの改造を行うなど、平成十五年度末までに六十二カ所を確保してございます。
 さらに、マンホールを利用した仮設トイレの設置につきましては、関係区と連携した訓練を行うなど、被災時のトイレ機能の確保に向けた取り組みを進めてまいっているところでございます。

○高橋委員 最後に、今回の地震の教訓などを踏まえ、首都東京の都市活動や都民生活の安全性をより一層高めるためにも、今後も東京都下水道局の地震対策を進めていただきたいと思います。
 局長の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

○二村下水道局長 今回の新潟中越地震では、震度六強の直下型地震でございまして、現在調査に入っておりますけれども、下水道施設にも少なからず被害が発生したものと思われます。
 このような地震は、東京でも発生するおそれがございますので、震災時においても可能な限り下水道機能を確保していくことは、都市活動や都民生活にとりまして非常に重要でございます。当局に課せられた使命であるというふうに、強く認識しております。
 そのため、先般策定いたしました経営計画二〇〇四におきまして、震災対策を重点事業として位置づけているところでございます。これまでも、民間団体と早期復旧に向けた協定の締結や局独自の防災訓練を実施するなど、努力してきたところでございます。
 今後とも関係機関と緊密な連携を図りまして、局を挙げて震災対策に取り組んでまいります。

○かち委員 中越地震に対する支援体制に取り組んでいらっしゃるということで、本当にご苦労さまです。
 私の方からは、浸水被害時のマンホールふたの安全対策について、少しお伺いします。
 先ほど来の質問の中でもヒートアイランド、そして温暖化の中で雨の量そのものの、ふえたかどうかはまだ定かではないということですけれども、雨の降り方そのものが著しく変わってきているというのは、私ども実感をしているところです。
 今までは数年に一回の浸水だったのが二年に一回になり、最近は一年に一回になる、ことしはもう十日に一回というような状況で、非常にその間隔も狭まってきておりまして、浸水被害を受けるところはいつも決まった地域に起こるということで、ここの対策を本当に急いでやらないと、全体にはよくなってきているにもかかわらず、一定の地域がいつもいつも、この浸水の被害で悩まされている。財産の問題も非常に大きな影響を与えているということで、その問題解決のためには、先ほど建築時には半地下の建築物に対する指導強化をというお話がありましたけれども、私の区の、大田区ですけれども、区の中にも実際にそういう問題が繰り返し出ておりまして、区の建築指導課の方に指導強化をということを申し入れても、法的な規制がない以上、それはできないということでして、地域の皆さんは、あそこにあんな建物をつくったら絶対に被害に遭うよということがわかっていながら、建て売りをつくるわけですから、業者の方はもう売ってしまえば終わりということで、入居した方は本当に知らないで買って、とんでもないことになってしまったということで訴えられるわけですけれども、下水道局としても、こういうパンフレットを見なければわからないというのではなくて、自治体とももっと密に協力体制をとっていただきたいし、それだけではなく、建築基準法的な立場からも、やはりそういう規制をしていかないと、この問題、解決しないかなというふうに思っております。
 それで、ついこの間の台風でも、雨の降り方が、一時間雨量としては五〇ミリ以内、四〇ミリというふうに聞いておりますけれども、三十分に四〇ミリということで、一時間で八〇ミリなわけですよね。三年くらい前にも、十分間に七〇ミリというような状況がありまして、これはもう幾ら下水道完備をしていても、受け切れないというのが現状だと思うのです。
 マンションもどんどん高台にできてきて、そのために、それからコンクリートで埋め尽くされておりますので、雨を吸い込むところがないということで、ちょっと雨が降ると、あの程度の雨でも道路が川になってしまって、どおっというふうに流れてくるのですね。
 マンホールがあるのですけれども、私も直面したのですけれども、最初ごおっという音がして、そしてマンホールのふたがぽおんと飛び散るのですね。一メートルくらいはね上がって、その後から水がわあっというふうにわいてくるという、これは大変危険な状況だと思うのです。
 大田区でも、二十年くらい前でしょうか、このあいてしまったふたの中に人が落ちて死亡するという事故もありました。このマンホールのふたの安全対策というものが大変必要ではないかというふうに思うのですけれども、こういう、一見すると重たいふたがどうして吹き飛んでしまうのか、どういうところでこういう問題が起きるのか、その原因というものはどのように把握されているでしょうか。

○中里施設管理部長 管渠の能力を超えた大量の雨水が急激に管渠に流れ込んだ場合でございますが、管渠内が満杯になりまして、人孔内、マンホール内の水位が上昇いたしまして、この水圧がふたを持ち上げるというふうに考えられております。
 また、管渠内の空気が圧縮されることにより、ふたが飛散することもございます。

○かち委員 どこでもそういう問題が起きるというわけではないのですよね。やはり低地に流れてきて、どこかに抵抗があるというようなところで、そういう問題が起きるのかなというふうに思うのですけれども、こういう、ふたの飛びはねる状況を防止する対策というのはあるのでしょうか。

○中里施設管理部長 マンホールぶたの浮上を防止する方法でございますが、ふたをボルトで固定するとともに、管渠内の空気圧、水圧を外部に開放するタイプのふたに交換することで対応させていただいております。

○かち委員 東京都全体でどのくらいのマンホールがあって、そういう安全対策をとっているのは、どのくらい行われているのか、一つ安全対策をするために幾らくらいの費用がかかるのかということはどうでしょうか。

○中里施設管理部長 マンホールの数でございますが、平成十五年度末現在の設置におきましては、約四十七万五千個のマンホールがございます。現在、十五年度末までの浮上防止対策でございますが、約二万一千カ所のマンホールについて、その措置をとってまいりました。
 また、これらを設置する費用でございますが、これは舗装厚、アスファルトの厚さによって大分値段の差異はございますが、私ども、おおむね一カ所当たり八十万円程度というふうに考えております。

○かち委員 四十七万五千カ所全部が対象ではないとは思うのですけれども、普及率が、二万というのはまだまだ、もう少し早くやっていただきたいなというふうに思います。
 こういうものをやっていくという仕組みは、どういうふうになっているのでしょうかね。どの地域が危ないということでチェックをされているのか、そのチェック体制とか、どういうふうにこの設備を進めていくのかというのは、どうなんでしょうか。

○中里施設管理部長 マンホールぶたが浮上する現象でございますが、これは急斜面から緩斜面に変化する場所とか、それから下水の幹線と管渠とが合流する場所とかに発生しやすいというふうにいわれておりまして、こういうところを重点的に対応させていただいております。

○かち委員 私自身が住民の皆さんから苦情を聞いたのも、幾つかの場所があるのですけれども、そのことが東京都下水道局の幾つかの事務所の方で把握されている場所ともなかなか一致しなかったりして、情報が十分に伝わっていないというようなこともありますので、ぜひ未然にこういう問題を防ぐという立場で、情報収集とともに精力的に安全ぶたに切りかえることをやっていただきたいということを要望しておきます。
 それからもう一つですけれども、昨年、お台場で水遊びをしませんかということで、お台場の海域浄化実験が行われましたね。
 先ほど質疑がありましたように、ここ数年来、下水道の未処理水の問題、それからオイルボールの問題、それから雨天時、さっきのように急激な雨が降ったりすると、どうしても下水道で、ポンプ所ではけ切れないから、吐け口というのがあって、未処理水がもろにこの海域や川に流れてくる、流れ出すしかないというのが今の現状だと思うのですけれども、そういう問題から、お台場にオイルボールが浮揚してしまったり、それから雨天後の水質悪化、特に大腸菌が、本来一〇〇ミリリットル中千個以下ということですけれども、それが十万個とか三十万個とか、大変驚異的な数字で出てきたのは、センセーショナルな事件だったと思うのですけれども、こういう状況を改善しようということで、国と東京都などもかかわって、合流式下水道汚染の改善対策というのも進めてきたと思うのです。
 その中の一つの実験ということで、お台場の浄化実験が行われたというふうに聞いておりますけれども、これは有明西運河の水を吸収して、有明処理場で紫外線浄化をして、それをまたパイプラインで一キロくらいはわせて、お台場のちょうど角のところに紫外線処理をしたきれいな水を流すということで、ここの浄化を図るという実験がやられてきたわけです。去年の七月ぐらいからやられたようですけれども、これはまず、一体何日くらいやられたのでしょうか。

○桜井参事 昨年度、平成十五年度は先生ご案内のように七月ということで、七月十八日から十月いっぱい、十月の三十一日まで百六日間、プラント運転をし、浄水実験を行いました。

○かち委員 ことしはどうなんですか。ことしはやっていますか。

○桜井参事 本年度につきましては、ゴールデンウイークの前の四月二十三日から十月三十一日までの予定で現在行っておりまして、合計で百九十二日ということで予定をしております。

○かち委員 年間を通して百日、まあ二百日以内というような状況でありますけれども、施設をするのは下水道局が行ったということで、六億円かかったというふうに聞いておりますけれども、浄化装置を回していくランニングコストというのはどのくらいかかっているのでしょうか。

○桜井参事 建設費を除く浄化実験に要した経費については、環境局、港湾局及び民間の三者が負担をしております。
 平成十五年度におきましては、その総額は約六千万でございますが、このうち、有明水再生センターにある海水浄化プラントの動力費であるとか保守管理、あるいは運転にかかわる経費というものは、約一千百万円になっております。

○かち委員 直接の運転にかかわる費用としては、下水道局はわずかだとは思いますけれども、しかしランニングコストとしては年間六千万、三年間で一億八千万かかるという、総額約八億円弱かかるこの実験装置なんですけれども、これだけのお金をかけて、効果はどうなんだろうかというふうに、やはり思うわけですけれども、昨年の実験結果の状況はどうなんでしょうか。

○桜井参事 昨年度、平成十五年度ですが、実験期間百六日のうち、いわゆる人畜由来のふん便性大腸菌群数が、水浴場の水質判定基準であります一〇〇ミリリットル当たり千個を超えた日数というのは、実験エリア外が二十一日ございました。これに対して実験エリア内が十一日ということで、明らかに効果がございました。

○かち委員 実験結果を総合的に判断するのは、ことしの結果がまだ出ていませんし、来年ももう一回やるということですので、総合的に見なければいけないとは思うのですが、確かに二十一日と十一日の違いはあるというふうにいえるかもしれませんけれども、大腸菌の性格からいいますと、海に放流されても、雨天時、確かにすごいピークはつくるのですけれども、これは紫外線ですぐに死滅をするという状況も明らかになっていますよね。せいぜい一日か三日、長くても一週間というふうに聞いておりますので、大腸菌のふえて減る状況、そして、それが水浴基準以下になっているかどうかということが、やはり見きわめなければならない問題だと思うのです。
 私、事前にいただいた資料によりますと、水浴基準というのが、ふん便性大腸菌千個以下で、CODが八以下というふうになっておりますが、これをまとめた資料を見ますと、エリア外もエリア内もいずれも千以下、八以下という状況にあるわけですね。平均していますから、こういう数字になってしまうのだと思いますけれども、こういう状況の中で、本当にこれだけのお金をかけて、しかも、必要以上に無菌にした水を海に流す必要が本当にあるのだろうかというふうに思います。
 そういう意味では、今、下水道局として本当にやるべきことは、先ほど来いわれていますように、大もとのところ、油を使って流すところからきちんと指導強化をして、そこをやはり管理する、それから、はけ口のところの対応策をきちんとするということによって、東京湾全体の海域の水質の向上ということを、やはり進めていくべきではないかと思うのです。
 これは小さな実験ということではありましたけれども、来年の結果、これを続けるということは、私は、大変な費用ばかりがかかって大した成果にはならないのではないかというふうに思いますので、その辺をきちんと見きわめていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○前島委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもちまして終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出をしたいと思いますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時二十六分散会

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