公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成十六年十月二十七日(水曜日)
第一委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十一名
委員長中屋 文孝君
副委員長真鍋よしゆき君
副委員長真木  茂君
副委員長木内 良明君
谷村 孝彦君
吉野 利明君
執印真智子君
和田 宗春君
立石 晴康君
清原錬太郎君
渡辺 康信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長森澤 正範君
管理部長石川 俊一君
事業部長高津 満好君
調整担当部長岸  信子君
参事上田 良治君
参事大野 精次君
参事後藤  正君
参事戸田 敬里君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成十五年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○中屋委員長 ただいまから平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石川管理部長 去る十月十五日の当分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布しております平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。豊洲新市場建設に係る用地の取得についてでございます。
 平成十五年度以前は、用地取得の実績はございません。平成十六年度には、本年五月二十六日に契約しました一件の用地取得がございます。資料には、その用地の所在や契約金額及び契約の相手方などを記載しております。
 次に、二ページをお開き願います。中央卸売市場施設使用料改定の推移についてでございます。
 昭和五十年度から平成十四年度までの施設使用料改定の推移について、施行年月日順に決算額をそれぞれ記載しております。
 次に、三ページをお開き願います。中央卸売市場における危機管理体制の整備についてでございます。
 平成十五年五月に策定した危機管理マニュアルの概要と、平成十五年五月二十二日に設置した安全・品質管理者の目的や職務などをそれぞれ記載しております。
 次に、四ページをお開き願います。チャンス&サポート東京プラン二〇〇二における中央卸売市場の取り組み状況についてでございます。
 各局共通事項における当局の取り組み状況を、平成十四年度、平成十五年度に分けて記載しております。
 以上、簡単ですが、ご要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中屋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清原委員 初めに、豊洲新市場に関しての質問、いろいろと関連してお伺いしたいと思います。
 平成十五年度の決算におきまして、新市場の建設に関連し、防潮護岸工事が実施されました。五街区側の防潮護岸工事を、三十二億余円を投じて整備しています。さらに、本委員会での資料を見ますと、本年度、四・六ヘクタールの土地を購入しておりました。豊洲地区における新市場の用地の一部が確保されました。また、本年の七月には、新市場の建設に向けた基本的な枠組みを定めた基本計画が公表され、豊洲新市場の建設に向けての条件は整いつつあります。整備は着実に進められていると思います。
 一方、江東区及び江東区議会におきましては、新市場の移転が受け入れられたと聞いております。
 しかしながら、私が市場業界の方々などにお話を伺ったところ、新市場建設に向けてさまざまな要望が出されておりまして、こうした点を含め、私といたしましても幾つかの点について検討すべき内容があると考えております。特に、今般公表されました基本計画で明らかにされた民間活力の積極的な活用、千客万来の市場など、新しい整備手法は大いに評価をするものでありますが、これらの具体化に向けまして幾つかお伺いしたいと思います。
 まず、民間活力の活用の一つとして、市場用地の貸付制度を活用し、配送センターや冷蔵庫、加工施設などを市場業者が整備することとしております。これら施設は本来、開設者が整備するものという意見もありますが、市場業者が整備することで、市場業者の創意工夫が生かされ、むだのない効率的な整備が図られるという利点がございます。しかし、これらの整備には多額の資金を要しますので、こうした資金を確保するためには、市場業者の経営面での体力、銀行への信用力が大きく影響します。
 そこでお伺いしますが、市場業者が円滑にこれら施設を整備できるよう、開設者から金融機関に対し働きかけが必要と思われますが、いかがでしょうか。

○大野参事 転配送センターや冷蔵庫、加工パッケージ施設などを市場業者が整備する際には、市場業者の財政力などを踏まえ、将来の市場流通変化などにも対応できるよう、可変性があり、かつ効率的な施設づくりが大切と考えております。また、将来にわたり市場業者の負担の増加を招くことがないよう、整備手法や運営方法など、市場業者とともに十分検討していく必要があり、この検討の過程の中で、金融機関への説明など必要な対応をしてまいります。

○清原委員 市場関係業者が主体となって整備する施設については、今後とも、市場業者の経営状況を踏まえ、経営基盤の強化につながる効率的な建設が行えるよう、十分に指導されるようお願いをいたします。
 次に、これまでの市場にはない、にぎわい機能についてお伺いいたします。
 新市場のにぎわいを創出するためには、一般の人々が新市場ならではの食の楽しみを満喫できるような施設整備が必要だと考えます。新市場のにぎわいゾーンに、従来からのノウハウを持つ関連事業者の方々や場外市場業者の方々、そして専門小売店とか仲卸の一部などの人たちの出店がやはり大事ではないかと考えます。
 しかしながら、築地市場においては、営業時間を午後二時ごろには終了するなど、まち全体のにぎわいから見て必ずしも十分であったとはいえない点があると思います。
 そうした中で、多くの業者の方々からいろいろなお話を伺いますと、豊洲においては、これまでの営業形態を踏襲するだけではなく、例えば二十四時間営業のレストラン構想を持つ人や、そのほかさまざまな斬新なアイデアを持つ方も大勢います。にぎわいゾーンの開発に当たっては、これら斬新な発想を持った業者の方々も出店できるよう門戸を広げる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○大野参事 新市場におけるにぎわいは、まちづくりに貢献できるものであることはもちろんのこと、市場の活性化に貢献できる内容であることが必要と考えております。このためには、にぎわいゾーンにおける施設や機能の内容に、市場関連事業者や場外市場の事業者などが持つノウハウなどを活用していくことは大切であると考えております。
 にぎわい機能のあり方について、現在、開発条件調査を行っており、これら事業者のご意見を十分伺うとともに、さまざまな斬新なアイデアを持った方々が千客万来施設への出店などを希望される場合は、これら希望を視野に入れ、施設内容や機能、規模について検討してまいります。

○清原委員 新市場建設に当たっては、大切なのは交通問題であります。築地市場では、車両動線がふくそうし、市場内外で車両の混雑を引き起こしております。まして、新市場は島といってもよい形の位置にあります。交通アクセスには制約があると思われます。さらに、新市場では、水産物部の卸、仲卸機能を配置する六街区、七街区間が補助三一五号線で、また、七街区と青果部の卸、仲卸機能を配置する五街区が環状二号線でそれぞれ分断されております。六、七街区、五、七街区の接続に問題があるのではないかと考えられます。
 これらのことを考えたときに、新市場での交通動線は、築地市場に比較してもますますふくそうするのではないかと、こういうことが心配されます。この点についてどのような対応を検討しておられるのか。また、今後、業界の意見も取り入れて、できる限り柔軟な対応ができるよう、弾力的な対処を期待したいと思いますが、いかがでしょうか。

○大野参事 新市場が設置される豊洲地区は、公共交通機関として東京臨海新交通「ゆりかもめ」、広域幹線道路として晴海通り、環状二号線、補助三一五号線の延伸による交通基盤整備が進められております。これら交通基盤の整備によりまして、新市場までのアクセスは十分確保されることとなります。
 また、新市場において車両動線のふくそうを避けることは、効率的な物流のために必要不可欠の条件であります。このためには、各街区間を円滑に往来できる場内動線の確保や、入場車両が入り口で滞留しない動線の確保が重要であります。このことから、補助三一五号線を高架化すること、環状二号線の東雲運河寄りにアンダーパスをつくることで、幹線道路を横切ることなく、六、七街区、五、七街区を自由に行き来できる動線を確保することといたします。あわせて、各街区内に周回道路を確保することで、円滑な車両の動線を確保してまいります。
 こうした点につきまして、今後、業界の方々とも密接に連携してまいります。

○清原委員 築地市場では、荷積みや荷おろしが路上で行われております。施設内容や機能が新しい流通の変化に十分対応できていない実態がございます。新市場は、この築地市場が抱えている問題を解消し、首都圏の基幹市場として十分に機能を果たすよう、施設整備が求められております。施設整備に当たっては、物流の効率化の観点から、例えば出荷者の車が卸売場まで直接入れること、また、大手量販店の車が自由に出入りできること、共同配送ができることが必要と考えます。こうしたことに対応する施設整備を行うためには、業界関係者との十分な協議が必要であると考えますが、今後どう取り組むのか、具体的な答弁をお願いいたします。

○大野参事 ご指摘のとおり、築地市場では、他市場への転配送など、新たな物流に十分対応できていない状況にあります。新市場では、首都圏の基幹市場として、転配送機能などを位置づけ、このために、他市場への転配送品を仕分ける転配送センターや、量販店向けの商品の仕分けを行う荷さばきスペースを新たに設置することとしております。また、車両から卸売場などに直接荷の積みおろしができるバースの設置を行うこととしております。
 これら新たに整備する施設や設備について、効率的な物流の観点から、位置や形状、規模などについて市場関係業者と検討を重ねているところであります。
 今後とも、流通の変化に十分対応できる市場づくりを行うため、市場関係業者と十分検討を重ねてまいります。

○清原委員 築地市場は開場より七十年が経過し、老朽化も進み、新たな流通の変化に十分対応できていない状況であります。首都圏三千三百万人の基幹市場として再生を図るためには、移転整備は必要なことと考えます。しかし、新市場は単に築地市場の移転というのではなく、首都圏の基幹市場として再生することが重要であると思います。
 新市場は、築地市場の約一・六倍の敷地に移転いたします。新しい時代に見合った施設機能を整備するには十分な広さであると考えますが、グローバリゼーションや情報化の進展による流通環境の変化や、規制緩和の進展など、卸売市場を取り巻く環境は大きく変化しております。今、八年先の新市場開場時の対応だけを考えているならば、今後の時代の流れから大きく取り残される市場ができてしまうこととなって、新市場をつくる意味が全くなくなってしまうと考えます。
 新市場は、五十年、百年単位の将来に対応できるものでなければなりません。そのためには、新市場建設に当たっては、施設機能の更新や増改築などが容易にできる施設として、発展の余地を確保するなど、将来の流通の変化に弾力的に対応できるよう十分に検討を重ね、長い将来にわたって世界に誇れる市場をつくってほしいと考えます。このような市場実現に向けての市場長の決意をお伺いいたしたいと思います。

○森澤中央卸売市場長 生鮮食料品をめぐる環境が急速に変化しておりまして、市場外流通もふえているわけでございますが、卸売市場を経由する割合は依然として約七割近くを占めており、今日でも卸売市場は、全国から多種、大量の生鮮食料品を集荷し、都民に安定的に供給するという重要な役割を果たしているわけでございます。
 豊洲新市場は、首都圏の基幹市場として、新しい時代に見合った施設設備を備え、また、一般の都民や国内外の観光客が食文化を楽しめるような新しい市場として整備を図っていく必要がございます。
 このため、現在、基本計画に基づきまして、都と業界とで施設配置や効率的な物流システムなどにつきまして協議を重ねるとともに、千客万来を目指したにぎわいゾーンの具体化に向けて検討を行っているところでございます。
 委員ご指摘のとおり、新市場を世界に誇れる市場としていくためには、将来にわたり流通の変化に弾力的に対応できる市場を建設していくことが必要であり、その実現に向けて、市場関係者と協働して鋭意取り組んでまいる所存であります。

○谷村委員 それでは、本委員会に提出されました中央卸売市場会計の決算書を拝見いたしますと、平成十五年度は前年度に比べ、青果、水産、食肉、花き、すべての部門で市場取扱量が減少し、取扱金額も、食肉分を除き減少しております。卸、仲卸業者や買い出し人の方々の経営は依然として厳しい状況にあると思います。
 そのような状況の中で、本年六月には、卸売市場を安全・安心で効率的な流通システムへと転換することを目的に、卸売市場法が改正されました。都は現在、中央卸売市場条例の改正作業を進めている、このように聞いておりますが、今回の法改正の趣旨が実現し、卸売市場の活力が高まり、業界の方々が元気に活躍できるようになることを期待するとともに、一方では、規制緩和等が及ぼす影響をまともに受ける関係業者に十分配慮する必要があると思います。
 そうした観点を踏まえて、本日は質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この法改正の概要を確認させていただき、それに伴う都の対応についてお伺いしたいと思います。

○高津事業部長 卸売市場法の改正は、一つは、施設ごとに品質管理の方法を定めることを義務づけるなど、卸売市場における品質管理の高度化のための措置を講じること。二つ目は、商物一致の規制を緩和するなど、流通の効率化を図るための規制緩和をしたこと。三つ目は、卸売業者等の事業活動の自由度を高めるための規制緩和をしたこと。そして四つ目は、卸売市場の再編を円滑に進めるための措置を講じることなどについて行われました。
 都といたしましては、業務規定である中央卸売市場条例など関連規定を改正、整備する必要がありまして、その作業を進めているところでございます。

○谷村委員 卸売市場の仲卸業者は、小規模あるいは零細企業が多く、経営収支が赤字のところが約四割を占めているといわれておりますが、これはどういう状況でしょうか。
 また、先ほど、今回の法改正の概要をお伺いしましたけれども、大変厳しい状況にある仲卸業者の経営に関する改正項目があったかと思いますが、確認をさせていただきたいと思います。

○高津事業部長 平成十四年度の事業報告書によりますと、仲卸業者は、販売管理費を減少させるなどコストの削減に努め、営業利益率、経常利益率とも改善が見られますが、委員ご指摘のとおり、約四割が経常赤字と、依然として厳しい状況にございます。
 また、仲卸業者に関する改正についてでございますが、先ほど申し上げました規制緩和とともに、仲卸業者の財務改善措置を積極的に進めるため、改正法において業務規定に財務基準を定めることとなりました。

○谷村委員 今お話がありました、改正法における業務規定に財務基準を定めるという、こういうことですけれども、この財務基準に抵触すると直ちに即廃業勧告を受けるのではないか、こういう心配をする声もあるわけであります。都として、この財務基準をどういうふうに運用していくつもりなのでしょうか、確認をさせていただきたいと思います。

○高津事業部長 仲卸業者に対する財務指標の導入は、仲卸業者の業務の適正かつ健全な運営を確保することを目的としております。そのため、まずは経営の自己管理の目安となる財務基準を設定することにより、仲卸業者みずからの経営改善努力を促していくこととしております。その上で、財務基準に抵触する方々には専門家等による経営指導を行い、経営改善を促してまいります。それでもなお経営改善が見込めない場合には、早期改善措置を講じていく、そういうことになります。

○谷村委員 この財務基準に抵触すると即廃業勧告になるのではないと、経営指導、また経営改善を促していくステップがあるんだ、こういうことを確認させていただきました。
 そこで、もう一つ、財務基準の次にといっていいんでしょうか、業界の皆さんの関心が高いのは、先ほどもお話がありました規制緩和についてではないかと思いますが、具体的にどういう規制が緩和をされるのか、それは業界にとってどういう効果が期待できるのか、お伺いしたいと思います。

○高津事業部長 まず第一に、卸売市場へ荷をすべて集めて市場内で販売、分荷する、いわゆる商物一致規制、これを緩和しまして、卸売業者が電子商取引により市場内に現物を搬入しなくても卸売ができるようになります。第二に、出荷者からの委託による集荷を原則とする規制を廃止し、卸売業者が自由に買い付け集荷をできるようになります。第三に、卸売業者は仲卸業者と売買参加者以外には販売してはいけない、第三者販売の禁止というのがございます。逆に、仲卸業者は卸売業者以外から仕入れてはいけない、直荷引きの禁止がございます--の規制を緩和し、集荷力の向上を図るための市場間連携や、卸、仲卸業者と生産者、食品製造業者等が連携して新商品開発、新規需要の開拓を目的とする場合には、卸売業者の第三者販売や仲卸業者の直荷引きができるようになります。第四に、卸、仲卸業者が経営の多角化により収益構造の改善を図る等の必要性から、卸、仲卸業者の業務の規制を緩和し、開設区域内であっても、市場外で取引品目に当たる生鮮食料品等を販売することができるようになります。

○谷村委員 ただいまのご説明にありました、特に四番目の規制緩和の項目で、卸、仲卸業者が市場外で生鮮食料品等を販売することができる、こういうふうになるということでありますけれども、確認ですが、現状ではどういう規制があるのでしょうか。

○高津事業部長 卸売市場内の取引秩序が阻害されないように、開設区域内の市場外の場所において、卸、仲卸業者が取扱品目である生鮮食料品等を直接販売することを、別法人である場合を除き禁じております。

○谷村委員 市場外の開設区域内で、卸、仲卸業者が小売行為や卸売行為をできるようになるというこの規制緩和につきましては、市場の買い出し人である小売業者の方々は、これらの行為が安易に承認されることを大変に心配しておられます。規制緩和によるこの制度を都はどういうふうに運用していかれるのか、確認をさせていただきたいと思います。

○高津事業部長 この市場外での販売行為は、小売業者を含む市場関係業者で構成されます取引委員会の意見を聞いて知事が承認した場合に限られるものといたします。
 法改正の趣旨は、市場の通常の取引量が安定的に確保され、市場本来の取引秩序が維持できていれば市場外での販売行為を許すというものであり、都といたしましては、この法改正の趣旨を踏まえて運用していくことになります。

○谷村委員 取引委員会の意見を聞いて知事が承認した場合に限られるという、こういう縛りが入るということを確認させていただきました。安全・安心で効率的な市場流通システムを実現するだけでなく、地域に密着して消費者の食生活を支えている多くの中小小売業者の営業がより活性化することも極めて重要であります。そのためには、買い出し人である小売業界に対する支援等が何かできないものか、また、都としてどういう検討をされているのか、お伺いしたいと思います。

○高津事業部長 専業小売業者におきましても、流通の変化や多様化する消費者ニーズに的確かつ効率的に対応することが不可欠であります。そのため、例えば小売業者やその団体が卸売業者等と連携して、新しい時代を勝ち抜く小売業者のビジネスモデルの開発を行うような場合については、都として支援することを検討する必要がある、そのように考えております。

○谷村委員 規制緩和等の効果があらわれ、そして卸売市場が一層活性化することを期待するわけでございますが、そのためには、都と関係業界の方々が一体となって取り組む必要があるわけであります。今後、中央卸売市場条例等の改正を行う中で、関係業界の意見などを踏まえて市場の活性化に努力されることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○真木委員 市場の政策というのは、流通の基本であると思います。東京都政の重要課題の一つだと理解しております。しかしながら、公設市場におきましては、青果で見ますと、二十三区内には九の市場と一つの分場ということで、十の公設市場がある。三多摩の方では十一の市場があるけれども、公設市場は一つしかないということでございまして、私は、三多摩格差という言葉をほとんど使わないで政治活動をさせていただいておりますけれども、市場については明らかに三多摩格差というのが明白にあるんだなということを嫌というほど痛感いたします。
 しかしながら、今になって新しく公設市場をつくれというようなことは必ずしも申し上げるつもりはないのでありますが、一方、多摩ニュータウン市場、唯一の公設市場であります多摩ニュータウン市場が大変な苦戦をしておられるようでございます。その多摩ニュータウン市場に高い関心を持つ観点から、簡単に質問させていただきたいと思います。
 まず、東京都におけるというか、南多摩地域における流通機能の上で、青果物流通について、南多摩地域、十分な流通機能を果たしていると考えているのかどうか、南多摩地域における流通の状況について、東京都の認識を確認いたします。

○上田参事 南多摩地域には、青果物の専門小売店は約二百軒、食品等のスーパーは百六十軒余が存在し、これらの小売店が南多摩地域における生鮮食料品の提供を担っております。これらの小売店の仕入れ先となる卸売市場でありますが、南多摩地域には、中央卸売市場としての多摩ニュータウン市場と、地方卸売市場としての八王子北野市場の二つが存在し、南多摩地域に対しては、これら二つの市場が中心となって供給しているところでございます。そのほか、南多摩以外の多摩地域の地方卸売市場と、築地、淀橋などの中央卸売市場からも供給されているところでございます。
 このように、南多摩地域における青果物流通は以上のようなルートにより円滑に供給されており、消費者の皆さんの需要を充足していると認識してございます。

○真木委員 今の最後の部分ですね、淀橋からも築地からも来ているから満たしているというのは、私はちょっと認識としては違うんじゃないかなという気がいたします。近くになければ、淀橋に行くしかないんですね。築地に行くしかないんですね。世田谷まで行くしかないんですね。近くにないから遠くに行っている、遠くに行っているから満たしている、そういう理屈はちょっと違うんじゃないかなというぐあいに思います。
 町田や八王子から淀橋まで行く。朝、ラッシュの前に大体行くでしょうけれども、小売の皆さんなんかだったら、ラッシュの時間と重なります。毎日、高い高速料金。東名にしろ、中央高速にしろ、千円以上の高速料金。往復でいえば二千円以上の高速料金を払って、そして一時間、二時間かかるというところに行っている、その現状を列挙しながら、需要を満たしているという認識は、ちょっといかがかなというぐあいに私は思います。
 そうした中にもかかわらず、多摩ニュータウン市場が大変苦戦をしているようでございますけれども、公設であります多摩ニュータウン市場の状況について確認をいたします。

○上田参事 多摩ニュータウン市場の取扱状況は、昭和五十八年の開場当時から低迷し、これまでもさまざまな活性化に取り組んできたところでありますが、東京都中央卸売市場全体の取扱高に占めるシェアは一%程度にすぎない状況にございます。この状況は、本年十月一日に公表された国の第八次卸売市場整備基本方針の中で、市場再編基準の指標の一つとされている年間取扱数量六万五千トンに対し、多摩ニュータウン市場の現況は二万五千トンと、約四割弱の程度で推移しております。
 こうした中で、多摩ニュータウン市場の集荷力、販売力を高めるため、平成十二年度以降、外部から有力な仲卸業者の新規参入を図るなどにより、徐々にながら売り上げを伸ばしておりますが、仲卸が、その販売する品物の三分の二を市場外から直接仕入れを行い販売する形態にあり、他の中央卸売市場とは異なった販売形態となっております。

○真木委員 南多摩地域というのは、市でいえば八王子、日野、多摩、稲城、町田といった形で分類をされます。私はちょっと不勉強でして、日野の状況がわからないんでございますが、横に執印議員がおりますが、八王子、町田、多摩、稲城というのは、これは東京都じゅうでも珍しく、年によって違いますけれども、人口がふえているまちなんですね。(「日野もふえている」と呼ぶ者あり)日野もふえている。そうでございますか。中央区、江東区がふえていることは有名でございますけれども、町田市は毎年五千人ふえております。八王子市も減ったりふえたりしております。多摩や稲城なども、多摩はちょっと厳しい状況かもしれませんが、稲城などは大変ふえている。
 そういった南多摩、人口がふえ続けている南多摩において、流通機能をしっかりと安定供給を図っていく、さらにいえば利便性を向上させていくということは、遠くに行っているから供給は足りているということではなくて、重要な東京都の仕事だと思います。南多摩地域の安定供給に向けて東京都は今後どのような方策を考えているのか、確認します。

○上田参事 多摩地域の生鮮食料品流通については、現在、集荷力のある地方卸売市場を中心に、安定的に供給されているところであります。多摩ニュータウン市場については、今後は、こうした地方卸売市場との連携を図るとともに、市場関係業者とも十分協議を重ね、多摩地域の消費需要を踏まえた適切な市場運営を行ってまいります。
 また、東京都はこれまで、地方卸売市場については、地方卸売市場が行う施設整備に対する補助率をアップするなどにより施設整備の支援強化を図ってきたところであり、今後ともこの補助事業の活用により、地方卸売市場全体の活性化を図るとともに、あわせて国の中核的地方卸売市場及び地域拠点市場制度による国の支援策を活用するなど、多摩地域の地方卸売市場をより一層活力あるものとしていきたいと考えております。
 したがいまして、以上のような取り組みにより、南多摩地域における生鮮食料品の需要に適切にこたえてまいりたいと考えております。

○真木委員 近々答申が出るやに聞いております。市場も、まさに市場原理を無視して赤字を垂れ流して、いつまでも大きい公設市場をキープしろとは必ずしもいうつもりもございません。市場も市場原理にゆだねざるを得ないところがあります。しかしながら、南多摩全体の流通の確保という観点から、人口がふえているこのまちにおいて、東京都の責任というのはやっぱりあると思っておりますので、今後の答申を含め、特に多摩ニュータウン市場の動向に高い関心を持っておりますことを宣言申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○渡辺委員 私は、財政問題というか、そのことについて幾つかお尋ねをしたいと思います。
 私は、豊洲移転を認めているという立場ではありませんが、築地市場は豊洲移転の方向で進んでいると思います。都は、この新しい豊洲市場に必要な費用を、民間施設費用を含めて一千三百億程度と積算していると思いますけれども、都がつくる基幹施設はPFIの活用を予定しているようです。PFIとなると、当初予定していた額よりもはるかに大きくなるのではないかというふうに思うわけです。このことについて、市場としてはどのように理解しているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○大野参事 PFIの導入に当たっては、従来のように都が実施する場合と、PFIにより民間事業者が実施する場合について、建設費のみではなく、一定の期間にかかる維持管理費などの事業実施経費のすべてについて比較を行うこととなります。さらに、この比較に加え、サービスの質等を含め総合的に判断し、バリュー・フォー・マネーが出る場合にPFIを導入するものであります。
 本年度、都がつくる施設につきましてPFIの導入調査を行い、導入の可能性について判断することとしております。

○渡辺委員 ところで、現在、市場の一般会計への貸付金ですけれども、この残高はどのくらいあるのか、また、今後の返済される予定というのはどうなっているか、これも教えてください。

○石川管理部長 一般会計への貸付金の残高は、現時点で二千三百億円でございます。
 また、返済につきましては、今後の中央卸売市場の資金需要に応じまして全額返済される予定でございます。

○渡辺委員 この一般会計に貸し付けをしてから、市場としての起債、これはどれくらい発行しているんですか。

○石川管理部長 一般会計に貸し付けを行いました平成八年度以降、新規に百十五億四千九百万円の企業債を発行しております。

○渡辺委員 一般会計への貸付額に対する利息、この点についてはどれくらいなのか、これも聞かせてください。

○石川管理部長 平成十五年度決算における一般会計貸付金の利息収入は、三十五億九千八百万円でございます。

○渡辺委員 今お答えいただいたのは平成十五年度ということだと思うんですが、平成八年度から現在までの、いわゆる十五年度までの利息の合計、これは幾らになるんでしょうか。

○石川管理部長 一般会計貸付金の利息収入は、平成十一年度から収入いたしておりまして、その合計額は百五十四億九千七百二十六万円となっております。

○渡辺委員 先ほど答弁がありましたけれども、平成八年度から新規に発行した企業債、これが百十五億余あるという話ですけれども、今の答弁で、貸付利息だけでも、平成八年度から、これは百五十四億ということですから、いずれにしましても、この貸付利息だけでも、いわゆる平成八年度からの起債を上回っているということがいえると思うんですね。市場としては多額な起債を抱えているのですから、市場として、この起債というものを新たに起こす必要は全くなかったのではないか、私はこう思うんですけれども、それはどのように理解しておられるのでしょうか。

○石川管理部長 企業債は、整備に必要な財源の確保のために発行しておりますが、これは将来の利用者に対しましても整備に要した経費の負担を求めるものであります。こうした現在及び将来の利用者に対しましても負担の公平を求めるという観点や、市場財政の安定的な運営の観点から、これまで起債を行ってきたものでございます。

○渡辺委員 きょうはここで余りいい合いはしたくないというふうに思うんですけれども、今の話ですと、いわゆる将来の利用者に対して整備にかかった経費の負担の公平、こういう話ですけれども、この内容というのはいろいろと議論をするところがあると思っているんです。これは後に回します。
 いずれにしましても、仮に百歩譲って考えたとしても、市場は一般会計に貸し付けている多額の金があるんだから、二千三百億というお金があるんだから、その資金を活用することによって、PFIを活用せずに豊洲の新市場をつくることができるのではないかと、そういうふうに私は思うんですね。仮にPFIでつくるということになれば、施行者が管理運営する期間によりますけれども、建物が大きいだけに多額の費用がかかる。場合によっては、当初建設費の二倍をはるかに上回るというようなことになってしまうこともあるだろうというふうにも思うんです。市場をつくる場合は、そういう観点に立ってPFIは導入すべきではない、こういうふうに私は思うんですけれども、市場の再度の見解をお聞きしておきたい。

○大野参事 豊洲新市場の建設に当たっては、市場の活性化を推進するため、民間の創意工夫を生かし整備運営の効率化を図ることとしております。PFIにつきましては、都が直接に行うよりも、経費、サービスの質などが効率的で効果があると判断した場合に導入するものであります。本年度、都がつくる施設につきましてPFIの導入調査を行い、導入の可能性について判断することとしております。

○渡辺委員 今、ご答弁がありましたけれども、民間の資金を活用するということ、これが必ずしも効率的、効果的なものになるとは限らないというふうに私は思うんですね。これもまた具体的にPFIということで、そういうことで市場をつくるんだということが具体的になれば、その時点で改めてまた議論をさせていただきますけれども、いずれにしても、先ほどいいましたように二千三百億という資金を持っている。これは、ほかにはないですよね、そういうのは。
 ですから、そういう点で、都の計画でいえば、東京都がつくるのは九百六十億というふうにいわれているわけです。そして民間を含めると千三百億、こういうことですからね。二千三百億のうちの九百六十億、半分以下、そういう状況のこともありますので、それはPFIによらずに独自の資金でつくるということ、そういうことで再度検討するというか、まだ決めていないというふうにいっているんですけれども、どうもPFIでいく方向が強いというふうにしか聞こえてきませんので、その辺は本当に、今申し上げたような独自の立場でつくる、そういう方向で検討するというか、取り組むという方向で引き続き努力をしていただきたいというふうに思うんですね。
 今でも市場起債というのは多額な起債を持っておるわけですから、そういう点では本当に起債に圧迫されるということのないようにしていくためには、ぜひそういう立場に立っていただきたいなと、こういうふうなことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○執印委員 それでは、質問させていただきます。
 まず、市場というふうに聞きますと、だれでもが活気という言葉を思い出すと思いますし、大概の人は好ましく感じる場所であるというふうに私自身は考えております。
 そこで、市場がつくられてきたさまざまな経過もあると思いますが、卸売市場の取扱数量の現状と分析といいますか、余り短期で比べてもわかりにくいと思いますので、十年単位くらいで市場の取引というものがどのようになっているのかを伺います。

○上田参事 東京都中央卸売市場における青果物、水産物の取引に基づきお答えいたします。
 平成十五年度は、青果物では数量で二百二十五万九千トン、金額で五千三百七億円であり、水産物では数量で六十九万三千トン、金額で五千五百七十九億円でございます。ちなみに、これを十年前の平成六年度と対比してみますと、青果物は数量で九一・五%、金額で七八・八%、水産物は数量で八五・九%、金額で七六・五%と減少傾向にございます。
 次に、卸売市場における取扱数量減少の要因としましては、商社などが取り扱う輸入生鮮食料品の増加や、加工業者が取り扱う冷凍・加工食品の需要の増加、生産者から直接量販店などに販売されるケースの増加などにより、多様な販売経路が形成されてきたことがあると考えております。

○執印委員 今のお答えでは、この十年間で、青果物も水産物も大体二〇%ぐらい減少しているということなんだと思います。消費者という立場からすれば、さまざまな選択があっていいと思いますが、これからの市場というものを考えたときに、どういう役割を果たしていったらいいのかなということを、この数字から見ても感じてしまうところなんです。
 それで、危機管理マニュアルについて資料請求をさせていただきまして、ここにあるものだけではなくて、実際のマニュアルも読ませていただきましたけれども、この目的などについては、先ほどもお話がございましたので改めては聞きませんけれども、これによって平成十五年度、具体的に対応した事例の件数と、それから主なものについてお示しいただきたいと思います。

○高津事業部長 平成十五年度には、食品の安全性確保に関する事例十九件、感染症に関する事例三件、火災に関する事例二件に対応いたしました。
 また、主な対応事例としましては、他の自治体で発生したBSEに対して、当該牛と同じ地域で飼育された牛について、いわゆる非同居証明が提出されるまで、と畜しない、そういう措置をとりました。
 また、抗菌剤が検出された中国産ウナギかば焼きに対しましては、同一の輸入者、製造者、養殖池のものは、安全性が確認されるまでの間、販売を自粛するよう、卸売業者等を指導いたしました。
 また、鳥インフルエンザに対しましては、緊急に安全・品質管理者会議を開催し、移動制限区域からの入荷停止を要請いたしました。

○執印委員 食品の安全十九件と感染症三件で二十二件ですから、平均すれば月に一・八件ということで、消費者という立場で見ますと、次から次といろんなことが起きるんだなというイメージがするというふうに思います。
 市場というのが、もちろん国が検査したもの、または都が検査したものを受け入れている。だけれども、全品検査できないのでこういうものが生じてしまって、こういった危機管理マニュアルに沿って急ぎ対応するということになっているんだと思います。そういう市場が抱えている大変さも私もわからないわけではないんですが、消費者から見ますと、こうなる前に対応してほしいというような、そういった気持ちというのは当然あるというふうに思います。その中で信頼されるためには、消費者の声が反映されることが必要です。消費者の声を聞くシステムを市場もいろいろ持っていると思いますが、どのような意見が出されているかを伺います。

○石川管理部長 中央市場では、広く都民消費者の声を反映するため、消費者事業委員会や、同委員会のモニター委員としまして消費者の方々に参画いただいております。また、局広報担当や各市場におきまして、一般消費者からの意見等を、電話、郵便、電子メール等により受け付けております。
 これらの方法によりまして消費者から出されている主な意見といたしましては、生鮮食料品等の流通に関しまして、生産履歴やトレーサビリティーシステムの普及、原産地表示の徹底、あるいは、市場を経由している物品は安全であるというシステムの必要性といったような、食の安全・安心に関する事項が多うございます。
 そのほか、市場及び市場周辺での交通ルールやマナーに対するご指摘、市場内の大気汚染に関する意見、市場見学や料理講習会の開催など開かれた市場づくりの取り組み等の意見が出されているところでございます。

○執印委員 いろいろ意見が出されている中で、食というのは非常に難しいなというふうに思っているわけですけれども、その中で、今、消費者から出ているというふうにお答えいただいた中で、一つ具体的に対応できるものがあるとすれば、有機農産物ですとか特別栽培農産物を市場の中でもしっかり扱っていくということが一つの手だてかというふうに思いますが、この平成十五年度の実績と、対前年度比というのについてお答えいただきたいと思います。

○高津事業部長 特別栽培農産物につきましては、年二回のワンデー調査で、有機農産物とあわせて把握してきております。平成十三年から十五年までの取扱状況は、一日当たり、少ない日で三十トン、多い日では百トン程度で、これは、全体の青果物の取扱量に対する割合がそれぞれ〇・四%から一・六%という状況でありました。
 本年からは、特別栽培農産物と有機農産物を分けて調査を実施するようにいたしました。特別栽培農産物は、二月には五十六トン、八月には八トンの取り扱いがあり、全農産物に対する割合は〇・八%、〇・一%という状況でございました。

○執印委員 去年も同じような質問をさせていただいているわけですけれども、本当に毎年伸びないなというのが正直なところだというふうに思います。これは市場だけで解決できる問題ではないというふうにはもちろん思っているわけですが、今ずっとお話を伺ってまいりました中で、市場が二〇%、十年前から減少している。なかなか消費者の不安にこたえられるような生産状況がないのでこたえられないということもあるんだろうというふうに思いますが、今の市場が公設の市場である意義というのを将来的にどのように考えていくのかということと、今後の取り組みについて、ここで一回お伺いしておきたいと思います。

○上田参事 生鮮食料品を衛生的に安全な状態で消費者のもとへ届けることは、卸売市場流通にかかわる者にとりまして最も重要な使命の一つであると認識しております。このため、施設の低温化による品質管理の徹底を図ることにより、東京都が開設し運営する中央卸売市場として、生鮮食料品に係る安全・安心の確保を図ってまいる所存でございます。

○執印委員 公設の市場である意義というのは、私どもからしますと、もう少し積極的に、国の政策も先取りするような形で食品安全を進めてほしいというのがまずあるわけなんですね。それでなければ、別に公設の市場じゃなくても、民間に任せてもいいんじゃないかというような気がするぐらいのところなんでございますが、この点に関してはまた、一どきに解決できない問題というふうにも感じておりますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 資料請求で、男女平等について資料をちょうだいいたしましたので、それについて質問させていただきます。
 まず、チャンス&サポート東京プラン二〇〇二の各局の取り組みの中にも示されているわけですけれども、男女平等への取り組みという意義を、市場という立場ではどのように考えているか、伺います。

○石川管理部長 男女平等への取り組みについてでございますけれども、当局におきましても、東京都男女平等参画基本条例に定める基本理念にのっとりまして、男女平等参画社会の実現に向けた取り組みは必要だというふうに考えているところでございます。

○執印委員 必要だということで、それはそういうお答えで進めていっていただきたいというふうに思うわけですが、この資料の中のセクシュアルハラスメントの相談員の設置について、これは十四年度も十五年度もゼロというふうになっておりまして、このゼロということについては当然いいことだというふうに思いますけれども、これは本庁にあるもので、各市場ごとにあるわけではないという確認をさせていただきたいのが一点。
 また、事業所の中で起きたセクハラについてはその事業所の中で対応するけれども、東京都の職員と事業者の間にセクシュアルハラスメントが起きたときには、都の相談窓口で対応するという整理でよろしいんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○石川管理部長 セクシュアルハラスメント相談員の設置についてでございますけれども、当局といたしましても、人事主管課を局のセクシュアルハラスメント相談窓口といたしまして、相談員を男女一名ずつ選任しているところでございます。
 また、各事業所におきましては、各二級事業所の庶務担当課にそういった担当がございますので、それらを通じまして相談員につなぐといった形で対応しているということになろうかと思います。

○執印委員 各事業所、各市場ごとにセクシュアルハラスメントの相談の窓口が置いてあるという確認でいいんですかね。
 あと、事業者との関係というのをもう一点お答えいただきたいんですが。

○石川管理部長 相談員につきましては、先ほど申し上げましたように、人事主管課に局のセクシュアルハラスメント相談員としまして相談員を一名ずつ置いてございます。それで、本庁各部及び二級事業所には、セクシュアルハラスメント担当課ということで指定しております。したがいまして、相談員は、先ほど申し上げたような形で人事主管課に置いているということになります。
 それから、事業者との関係というご発言でございますけれども、事業者というのは各業界というふうに理解させていただいてよろしいんでしょうか。--私どもは、先ほど申し上げましたチャンス&サポート東京プラン二〇〇二に基づきまして、今申し上げたような体制を組んでおりまして、職員の研修等に当たっておりますけれども、あわせまして各業界の事業者の方には、そういった啓発という観点から、各種啓発パンフレット等については、職員への啓発とあわせて掲示等によって啓発をさせていただいているということでございます。

○執印委員 済みません、わかったらで結構ですけれども、二級事業所とおっしゃいましたか、そこが市場に当たるのかということと、それから、私が聞きたかったのは、市場と事業者の関係があると思うんですけれども、事業者は事業者の中でセクシュアルハラスメントが起きたときには対応してもらえばいいと思うんですけれども、例えば市場の職員がセクシュアルハラスメントの加害者になったとか被害者になったというときがあって、相手が事業者の方であったときには、今設置している相談窓口の対象事項になるんですねというふうに伺っているんですが、その点に関してお願いします。

○石川管理部長 今の事業所の点でございますけれども、二級事業所と申しますのは、築地、大田、食肉市場でございます。それ以外の各場は三級事業所ということになってございます。したがいまして、その二級事業所におきましては、先ほど申し上げたセクシュアルハラスメント担当課というものを指定しまして、そちらの方からの連絡を受ける、こういう形になろうかと思います。
 それから、具体的に各場の職員と業界との間でそういうふうなセクハラが起きたときに、どちらの窓口で--私どもの方の相談員のところで相談を受けるのかどうかということかと思いますけれども、それは、私どもの職員が加害者になって、私どもの方の相談窓口に持ち込まれれば、当然私どもの窓口の方で相談に対応する、こういう形になろうかと思います。

○執印委員 少し細かく聞かせていただきまして、ありがとうございました。多分、加害者だけでなくて被害者のときもそうなんじゃないかと思うんですが、これはこれで結構です。
 続いて、男女平等の研修の実施の数字を見させていただきましたところ、十四年度が六十九人で、十五年度は二十九人というふうに、この表だけ見ますと参加人数が落ちているように見えるわけですけれども、どのような理由なのかということと、今後に向けてお話しいただけるようでしたら、よろしくお願いいたします。

○石川管理部長 男女平等研修についてでございますけれども、これにつきましてはチャンス&サポート東京プラン二〇〇二を踏まえまして、局の研修計画に基づき実施しているところでございます。当局では毎年度、転入職員研修におきまして男女平等推進のカリキュラムを設定するなど、研修を通じた職員の男女平等参画の理解に努めておりますけれども、平成十四年度はチャンス&サポート東京プラン二〇〇二の計画期間の初年度ということもございまして、重点的に男女平等の研修を実施したことにより、このような参加人員になったものでございます。
 私どもとしましては、これら以外にも、人権研修の項目の一つといたしまして男女平等を位置づけて実施しているところでございます。今後とも、そういった形で引き続き男女平等の普及啓発に努めてまいります。

○執印委員 それでは改めて聞きますけれども、市場を利用している業者に対しての働きかけはどの程度行われているのでしょうか。

○石川管理部長 先ほどちょっと触れましたが、チャンス&サポート東京プランに基づきまして、各市場の掲示板、これは当然職員も業界も見えるようなところにありまして、そういった掲示板に普及啓発のポスターを掲示し、リーフレットを配布するなど、職員の啓発とあわせまして市場関係業者に対しましても普及啓発を行っているところでございます。

○執印委員 ありがとうございました。
 この公営企業の決算でチャンス&サポートについて伺ったのは、これまで余りなかったかと思うんですが、私も今回伺ってみまして、事業者とか第三セクター、これは港湾の関係ですけれども、そういったところへの働きかけをどのように進めるべきかということを、都全体でもう一度整理する必要があるかなというふうに感じましたので、この点については市場だけのことではないと思いますので、私どもも今後の懸案としていきたいというふうに思っております。
 次に、環境について質問いたしますが、東京都として、これまでの市場の大気の環境改善に向けた取り組みを伺います。

○岸調整担当部長 これまで二つの対策をとっております。
 一つは、小型特殊自動車の電動化の推進でございます。小型特殊自動車の大部分は排気ガス規制の対象になっていないために、排ガス規制の対象になっている一般の車に比べましてかなり濃度の濃い排気ガスが発生していることから、市場独自の取り組みといたしまして、小型特殊自動車の電動化を計画的かつ総合的に進めております。なお、平成十六年二月一日現在の電動化率は約三〇%となっております。
 また、もう一つの対策といたしましては、ディーゼル車対策がございます。昨年十月に開始されました東京都の条例に基づきますディーゼル車規制に際しましては、市場の内外の関係者に、規制の前にその内容を周知徹底させるとともに、規制への対応を促したところでございます。規制開始後は、市場独自に巡回指導等も実施しておりまして、現在、規制はおおむね遵守されているところでございます。

○執印委員 今のお答えの中にも一部あったのかと思いますけれども、大気の環境改善に向けた市場整備の状況について伺います。

○岸調整担当部長 大気環境改善に向けた市場の施設整備の状況でございますが、東京都は業界の協力を得て実施しておりまして、具体的には、小型特殊自動車の電動化に必要な充電設備の整備を行っております。また、冷蔵冷凍装置のついたトラックのアイドリングストップ対策といたしまして、外部から電源をとれる装置を設置しております。あるいは、荷おろしを速やかに行えるようにするために、市場内に低温施設の整備などを講じております。

○執印委員 市場の中で、今まだなかなか解決できない問題として、これも事業者がどれぐらい取り組んでくれるかということがあるというふうに思うんですが、特殊自動車の電動化に向けた総合的な取り組みと、また、毎年、環境調査を実施して公表することが必要かと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。

○岸調整担当部長 総合的な電動化の施策についてでございますが、これまで実施してきた電動車購入費に対する補助事業や、充電場所の使用料の減免策といった誘導策に加えまして、規制策も導入していく考えでございます。ことしの十月からは、低温施設内など閉鎖的な空間においては電動車以外を使用しない。その区域をクリーンゾーンとして設定いたしまして、電動車使用の徹底を図ったところでございます。
 今後とも、クリーンゾーン区域の拡大などを含む規制策の強化について検討してまいります。あわせて、充電設備を計画的に整備していきます。
 また、環境調査につきましては、引き続き定期的に実施いたしまして、市場環境白書などにより公表してまいりたいと考えております。

○執印委員 今後、定期的に調査ということですから、私の方は毎年調査というふうに質問させていただいたんですが、毎年というところまでまだ行っていないのかなと思いますが、先ほどの消費者の方の意見でも、環境についても意見が出されておりましたので、ぜひ十分に対応していただきたいというふうに思います。
 環境については最後の質問になりますが、市場の中の植木とかフラワーポットなどの農薬の散布状況というのを伺っておきたいと思います。

○岸調整担当部長 農薬の散布状況についてでございますが、市場により散布していない市場もございますが、散布している市場にあっては、害虫駆除のために年に一回あるいは二回、外部業者に委託して行っております。
 その際の留意事項といたしましては、人や生鮮食品などに影響を及ぼさないようにすることはもとより、農薬関連法規や農薬メーカーの定める安全基準を遵守するよう指示しているところでございます。

○執印委員 ありがとうございました。ずっと食品の安全、男女平等、環境というふうに伺ってまいりましたが、いろいろやりとりする中で、市場の役割が、場所の提供という意味が大きいために、消費者からすると歯がゆいところもあるなという感じがしているわけです。環境の面についてはもちろん、公設の市場の役割についてもご答弁いただきましたけれども、安全なものが欲しいなら市場外流通を選択するという都民も多いわけで、今後の推移を見ていく必要もあるかというふうに思います。
 そうはいっても、すべてが市場外流通になるというふうにも私自身も思えないわけでして、そうであるならば、やはり市場が食の安全の門番というような役割を十分に果たしていただきたいと思っているわけなんです。公設で市場があるのだから、食の安全はここにお任せというような、そういうような役割を果たしていただきたいというふうに期待をしているわけなんです。
 それから、昔、当時のダイエーの中内社長さんが--そうだったと思うんですけれども、日本じゅうの台所から包丁もまないたもなくしたいとおっしゃっていたことがあったんですよね。私、それを聞いて、そうはしたくないなというふうに思ったわけですけれども、日本の食の文化の継承とか、いろいろ今、食育ですとか食農教育ですとか、食べるものと農業と子どもたちを結びつけながら、生きるということを教えていくというようなこともある中で、やっぱり食事がきちんとつくられていくことが生きることにとって非常に大事かなというふうにも思っているわけなんです。
 先ほど、市場の取扱数量、金額が二割落ちているというところで、冷凍・加工食品の需要の増加などというような話もございましたが、日本の台所から包丁もまないたもなくすというようなことじゃなくて、男も女も包丁やまないたを使うことで、市場もまた発展していくのかなというふうに、私としては、すべての問題を関連させて考えているわけなんです。
 先ほど、民営化でもいいじゃないかというようなこともいいました。そういう話が出てくることもわからないでもないというぐらいの意味で聞いていただければいいかと思うんですけれども、今お話をしましたように、食品安全や男女平等、環境というところで、ぜひ市場の役割を果たしていただきたいというふうに考えるわけですが、市場長の決意を伺いたいと思います。

○森澤中央卸売市場長 ただいまご審議ありました男女平等参画の促進はもとより、卸売市場の環境改善、食の安全・安心の確保、これらはいずれも中央卸売市場の運営においてしっかり取り組むべき課題であると認識しております。その一層の推進に今後努めてまいります。
 とりわけ食の安全・安心の確保につきましては、当局では、各市場において安全・品質管理者を設置したり、また低温施設の整備などに取り組みますとともに、従来より、食の安全を脅かす事件が発生した場合には、速やかに市場関係者に対し販売の停止や自粛を求めるとともに、風評被害の防止等を踏まえた情報公開を行うなど、危機管理の観点から適時適切な対応を行ってきたところでございます。
 今後とも、中央卸売市場として消費者の信頼にこたえられるよう、関係業界と協力しながら、市場の安全・安心の確保などに全力で取り組んでまいる所存でございます。

○和田委員 私は、卸売市場、とりわけ整備基本方針を中心にして何点か質疑をしていきたいと思います。
 振り返りますと、昭和六十年のプラザ合意、それから六十一年のガット・ウルグアイ・ラウンド、それぞれ、経済的、農業的なダメージを我が国が甚大に受けた年がその年だったと私は思っているんです。そのいやしがまだできない過程の中で、経済もそうですし、それから農業の保護水準も、ガット・ウルグアイ・ラウンドによってぐうっと低下しまして、それに追われるような形で、今日の市場の運命もさまよっているというふうに私は規定したいんです。
 そこで、平成十三年の四月十八日に答申されております卸売市場の整備基本方針でありますが、これは十二年の六月に知事から審議会の会長さんに、審議してほしいという宿題をちょうだいしたものを出されたものです。
 この中の基本的な状況認識についてまずお伺いするわけでありますが、この答申の中では、転換期にある卸売市場、ということで規定して、三ポイント触れています。三つの点で触れているんです。それは、流通環境の変化への対応のおくれ、これはどうなんだということ、卸売市場取扱数量並びに金額の減少はどうなっているんだということと、三番目が市場間格差の拡大ということについて、冒頭にこの基本方針、つまり答申は触れているんでありますが、これについて、たまたまこれは十四年度に出されたわけでありますから、十五年度一年間、決算をしている間に、どれだけの努力をされてきたのか、また、される時間的余裕がなかったのか、この基本方針を受けての十五年度の皆様方のご努力についてお伺いいたしたいと思います。

○上田参事 流通環境変化への対応のおくれ、卸売市場取扱数量、金額の減少、市場間格差の拡大等の問題、これらの三点に対応するため、まず施設整備面におきましては、平成十五年度に築地市場の卸売市場の低温化及び施設の再配置、大田市場におきましては、花き部の定期借地権方式による商品保管施設の建設を行いました。同時に、各市場におきましても、これまでに、荷さばき施設等の整備、超低温冷蔵庫、低温卸売場などの整備を行うなどの対応を行ってきたところであります。
 また、卸売市場取扱数量、金額の減少への対応といたしましては、販売力の強化を図るため、仲卸業者の経営の近代化、財務体質の改善など、経営基盤の強化に向け、公認会計士の特別相談などによる指導の充実に加え、統合大型化を推進してまいりました。
 さらに、市場間格差の拡大への対応といたしましては、都として、卸売業者の買い付け集荷や、仲卸業者が直接産地から集荷する、いわゆる直荷引きなど、取引に関する規制の緩和を国に対しまして要望し、このたびの卸売市場法改正へと結びつけたところでございます。

○和田委員 確かに改正卸売市場法などのタイミングもあったりして、今ご報告いただいたとおり、整備面、それからソフト面ですね、公認会計士の特別相談の配置ですとか直荷引きなど取引に関する規制の緩和とか、国の法律の改正とたまたま相乗的な効果もあって、そのような努力の結果が出ただろうと思うんです。
 しかし、一年間の間に、十五年度の間に、これだけの成果が、目に見える形あるいは見えない形も含め出てきたというのは、極めて皆様方の努力がここに来て実ってきているのかなというふうに思います。それは逆に、褒めているというか、評価すると同時に、今までの努力が、停滞してきたということにもつながるわけでありますから、両方の言葉として受けとめていただきたいと思うんです。
 そこで、具体的になんですが、平成十五年度の水産物あるいは青果物、食肉、花き、その取り扱いの数量と取り扱いの金額、それからまた過去五年間の傾向はどういうふうになっているか、お伺いいたします。

○高津事業部長 平成十五年度の取扱数量と取扱金額の実績でございますが、水産物は、取扱数量六十九万トン、取扱金額五千五百七十九億円。青果物は、取扱数量二百二十六万トン、取扱金額五千三百七億円。食肉は、取扱数量九万トン、取扱金額九百七十四億円。花きは、取扱数量、切り花換算で二十億本、取扱金額九百五十五億円でございました。
 また、過去五年間の傾向でございますが、水産物では、取扱数量は横ばいながら、近年の低価格化傾向の影響等で取扱金額は減少しております。青果物では、取扱数量、取扱金額ともに減少傾向にあります。食肉では、十三年度には、BSEの発生により、取扱数量、取扱金額ともに減少しましたが、取扱数量は十四年度に、取扱金額は十五年度に回復いたしております。花きでは、十三年度の世田谷市場花き部開場などにより、取扱数量、取扱金額ともに増加が続いておりましたが、十五年度に若干減少いたしました。

○和田委員 決算資料を見ましても、大体白三角が並んでいますので、傾向とすると下降傾向といいましょうか、場合によっては現状維持もあるんですけれども、余りいい現象が出てきていないなというふうに思わざるを得ません。
 それと申しますのも、やはり市場そのものが、旧来型の市場から変性し始めているんだろうと思うんです。例えば我々の食生活を見ましても、加工品が多くなってきて、市場に入らずに直接我々の方に来てしまうとか、あるいは、今まで市場を通して消費者なり小売の方に行ったものが、経由率が下がってきて、そこのところを経過しないで直接消費者の方に行ってしまうとかいうような、そういう社会経済的な傾向から、市場を利用しなくてもいい、すなわち取り扱う量が少なくなってくるというような傾向が出てきているだろうと思うんです。
 このことを前提にしながら、各種いろんな基本方針なり改善計画などがこれから練られるだろうと思うんでありますけれども、現状の認識は正しくしておくべきだろうということで、この五カ年間の傾向をお聞きしたわけであります。
 それから、これは一つの提案にもなるんですが、豊洲新市場などで、賛否いろいろあり、具体的に中央区の対応なども変わってきているようでありますけれども、中央卸売市場を、今までは制限、閉鎖的でありましたけれども、一般客にも開放して、時には観光バスがそこに寄るとか買い物するとか、あるいは別なアミューズメントなるものを付設して、市場が、市場としての今までの旧態依然とした市場から脱皮、脱却をしていくというような方向は考えられないんでありましょうか。

○上田参事 卸売市場は、小売商、料理飲食店、加工業者などへ食品を販売することなどを業とする方々に対して卸売する場でございます。このため、衛生対策として食の安全の確保や、場内の混雑緩和の観点から、これまでは一般消費者に対しましては、小売行為をしないこととして制限してきたところでございます。しかし、築地市場のように都民や内外の観光客などに関心のある市場もありますことから、今後は、卸売市場の立地、安全性の確保などを検証した上で、市場を一般都民や観光客の方々が買い物や食事を通じて食文化を楽しめる場とすることも検討してまいりたいと考えます。

○和田委員 確かにあれだけの広い敷地面積と、それから、荷物が積んであるだけですから、それほど高くない空間があって--その上はすぐ屋根ですから、それだけでいいのかなという気がいたします。
 それと、さきに申し上げた十三年の基本方針にいたしましても、八年に出ています市場整備計画にいたしましても、ただ単に財政、財務の問題とか、あるいは食品の流れの傾向とかということが書いてあるんですが、あれだけの豊かな立地を利活用して、どういうふうに財務的に確保していくかという視点が欠けた計画案なり方針案がここに出されておりますけれども、これは後で触れますが、私は、あれだけのぜいたくなスペースがあのままでいいのかなという基本的な考えを持っておりますことだけ、まずここでは触れておきたい。後に触れます。
 そこで、地方財政法の六条では、公営企業の経営ということで、こんなことをいっています。公営企業で政令で定めるものについては、その経理は、特別会計を設けてこれを行い、その経費は、当該企業の経営に伴う収入をもってこれに充てなければならない。ただし書きもありますけれども、とりあえず基本的にはこういうことになっているんです。
 この中で、経営に伴う収入のうち、市場が主に依拠しなければならない使用料、これは経常費に占める割合はどのくらいになるんでしょうか。

○石川管理部長 使用料が経常経費に占める割合は、平成十五年度決算で約五七・六%となっております。

○和田委員 さきにも委員から質問がありましたが、一般会計に二千三百億余、貸し付けしていますね。一方で、その使用料収入の割合が六〇%に満たないということがあり、そして一般会計から見れば、これは隠れ借金という二千三百億なわけですよ。ですから、市場会計そのものは大いにゆとりがあるんだというような印象があり、一般会計に貸し付ける。しかしながら、後に触れますが、借金もあるんですね。借金というか、一般会計の補助金なども得ているということで、この卸売市場会計は、財務会計そのものは大変複雑になっているといわざるを得ません。
 でありますが、ここではあえてこれ以上深くは触れませんけれども、六〇%未満ということになりますけれども、この大宗を占める使用料収入のほかに、それではどういう収入が考えられるんでしょうか。

○石川管理部長 使用料以外の収入の主なものは、立てかえ払いいたしました業者からの光熱水費などを受けた雑収益、資金の預け入れ配当に伴います受取利息及び配当金、行政的経費に対する一般会計補助金などでございます。それぞれの経常経費に占めます割合ですけれども、平成十五年度決算で雑収益が約一四・五%、受取利息及び配当金が一七・七%、一般会計補助金が一一・六%となっております。

○和田委員 五七・六%が使用料の収入だと。その後、雑収益が一四・五、受取利息及び配当金が一七・七、一般会計補助金が一一・六ですか。ある一面で二千三百億貸し付け、一方では一般会計の補助が一一・六というふうに出入りがあるわけで、これは会計の妙味というか、そういうことでいえるのか、もう少しわかりやすくしたらいいのかという話になると思いますが、ここでは触れません。
 さて、今のように五七・六%の使用料収入、それから雑収益が一四・五とかってありました。一般的に、使用料の全体の収入に占める比率、この健全度というのはどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。

○石川管理部長 使用料の経常経費に占める割合が何%が適当かというふうなご質問と、あわせてお答えさせていただきますけれども、適正な使用料のあり方としまして何%というのは、なかなか難しい部分がございますけれども、人件費や施設管理費、減価償却費などの経費につきましてより一層の節減に努めました上で、市場運営に必要な経費を賄えるような使用料の設定が望ましいというふうに考えております。

○和田委員 なかなか難しいところです。例えば、先ほどちょっと触れましたけれども、スペースで使用料を取っているんですね。面積と空間なんですね。したがって、それを整備したり維持したりするのにはお金がかかるんですけれども、それを貸し出して回収する使用料なものですから、その比率というのは確かにはかりにくいものかもしれません。しかし、いつまでもそういう状態でいいのかどうなのかというのは、会計の専門家か何かにいわせると、違うんじゃないのという声があるかもしれません。でありますから、このことを私は是認しているわけじゃないんですけれども、その適正な使用料のあり方についての検討なり模索なども、これからしておく必要があるのではないかなということだけは申し上げておきたいと思うんです。
 それで、平成十二年に使用料を改定いたしておりますけれども、平成十五年度における中央卸売市場会計全体の収支では約五千万円の黒字になっています。全体としての取扱高が減少傾向にあって、市場業者の経営も厳しいというんですけれども、たまたま五千万の黒字にはなっていますが、今後の収支の見通しはどういうふうに立てていらっしゃるんでしょうか。

○石川管理部長 今後の収支の推移についてでございますけれども、市場業者の経営が厳しくなっていく中で、売上高割使用料が年々減少してきておりまして、今後も収入の確保は厳しい状況にあるというふうに考えてございます。一方、今後も、衛生環境対策や物流の効率化対策などによる費用の増加が見込まれますため、より一層、収入の確保や支出の抑制に努めていかなければ、赤字になることも予想されるところでございます。

○和田委員 資料要求させていただいた中央卸売市場施設使用料改定の推移の中の十二年度の売上高割使用料というのは三十六億六千万円弱ですね。十三年度は三十五億円弱、十四年度は三十五億円と、おおむね減ってはいないけれども、徐々に減りつつあるという現象です。ところが、面積割の使用料については、十二年が七十六億、それから十三年が八十二億、十四年が八十五億というふうに、面積割使用料の方は微増なんです。売上高割使用料の方は微減というか現状維持というか、どちらかというと流動的に三十五億円前後で動いているということでありますから、どちらかというと頼りになるのは、面積割使用料の方が、安定した収支を考えていくとなると、そこに力を入れていくべきではないのかなと思うんです。
 そこで、面積割使用料について、使用料を支払うことになる市場関係者は、どういうふうにこの面積割使用料について考えているんでしょうか。

○石川管理部長 昨今の市場関係業者の経営は、取扱量の減少などによりまして非常に厳しい状況にございますが、現時点では、面積割使用料を含めた使用料につきまして、業界から特段の要望はございません。

○和田委員 特段の要望はない。まさに安ければ安いほど使用者の方はいいわけですから、高くしてくれということは積極的におっしゃってこないのは当然だと思います。
 そこで私は、面積割使用料が、例えば多摩の方の卸売市場と、繁華街というか、にぎやかな築地の方の使用料が同じだというところに疑問を感じるんですよ。例えば、その同じな額というのは、卸売業者の売り場の使用料というのがあるんですが、それは一平米当たり、どこに行っても五百三十円。仲卸業者の売り場使用料というのは、多摩に行こうと大田に行こうと築地に行こうと、一平米当たり二千九十円。関連事業者の営業所使用料というのは、繰り返しませんが、どこへ行っても、一平米当たり二千三百二十円というふうに決まっているんです。どこへ行っても同じなんです。
 これは、私の想像するに、先ほどの基本方針を見るとわかるんですが、過去の経過からすると、大体昭和四十年代に、今、十一ある市場の多くは、備わるべき設備が大体整ったと。整った以上、例えば多摩の方にある市場と築地の差をつけるのはおかしいじゃないか。だったら一律に、今申し上げた仲卸のところの売り場使用料は、どこへ行っても一平米二千九十円で固定しちゃおうということで、どこでも、市場の立地など関係なく、一平米当たり二千九十円、二千九十円というふうにして使用料を払っているというか、要求してきたという経緯が過去にあったというふうに思うんです。
 これは、面積割使用料がなぜ市場均一なのか。これについて、私は不公平だろうなと思うんですが、当局はどういうふうに思うんですか。

○石川管理部長 面積割使用料につきましては、全市場の施設整備水準がほぼ格差がなくなったときに、全市場均一料金制を取り入れまして、それ以来、変更することなく今日まで来ております。しかしながら、市場ごとの整備水準や市場業者の経営状態に格差が生じておりまして、使用者の受益や負担能力に乖離が生じてきております。そのため、今後、これらの不公平感を緩和していくことが必要であるというふうに認識しております。

○和田委員 その時代認識といいましょうか、今日的認識といいましょうか、そこのところが今非常に問われてきているし、今のご答弁は、そのことに気づき始めていらっしゃるというふうに、僣越ながら評価をさせていただきたいと思うんです。
 別に市場がおくれていたとは思いません。思いませんが、しかし、今まで十一市場はどこの市場でも、仲卸にしろ卸売にしても、その差はあるにしても、平米当たり五百三十円、あるいは平米当たり二千九十円とか、平米当たり二千三百二十円とか、使用料が決められてきたというのは、過去のいきさつはともかくとして、早急にフェアな形で公平にしていくべきだというふうに私は思います。
 さて、これからの話になりますが、豊洲の新市場について、先ほども数字が出ました。面積については四万六千平米強。それから土地の買収費ですが、予算とすると大体百二十億。四万六千平米と百二十億というふうに出ています。これだけの新規の資産を買い取って、手に入れて、新しい市場をつくるわけです。これは築地と入れかえになりますから、市場そのものの箇所数は十一で変わりませんけれども、経緯、いきさつからすると、これだけ大規模な投資をしてつくる市場と、過去の小規模な市場と、これを同じに扱うということはまさかないと思うんですね。まさかないと思うんです。
 なぜならば、今までの思考回路からすると、一律、今申し上げた使用料で区切ってきたものですから、今度の豊洲にしても、新十一番目の市場だけれども、これも同じように面積割料金でいきましょうよというふうになって、どちらに合わせるのか。豊洲に合わせれば、ほかの十の方々は不満だろうし、今までどおり、ほかの十の方に豊洲を当てはめれば、四万六千平米を百二十億で買ったというような、その部分だけ見ても不合理じゃないのという声が必ず出てくる。
 今後、この市場の今までの積年のバランスといいましょうか、今までの弊害といいましょうか、おくれてきた面といってもいいでしょう、それをどういうふうに改善しようというふうに当局は思っていらっしゃるんでしょうか。

○石川管理部長 今後の使用料も含めた財政運営のことかというふうに思いますけれども、現在の均一制の使用料につきましては、先ほど申し上げたようなことで、いろいろと矛盾も抱えてきております。さらに、豊洲の新市場におきましては新しい整備手法なども導入するということでございますので、そういったことを踏まえまして、今後は、使用料の見直しも含めまして検討する必要があると考えております。
 今後の財政運営につきましては、厳しい経営状況のもとにありまして、収入の大宗を占めます使用料収入をふやすということは、卸売市場収入をふやすには、卸売市場の活性化を図り、市場業者の収益の向上が図れるようにすることが肝要でございます。そのために必要な投資は積極的に行うことが大切であると考えます。
 その上で、今申し上げました使用料の見直しにつきましても、さまざまな角度から、見直しを含めまして、国費の導入や事業収入の確保を図るなど、収入構造の改善に努めるとともに、経費の節減など、より一層の効率的な市場運営に努め、収益と費用のバランスのとれた財政運営を図っていきたいと考えております。

○和田委員 さきにご答弁いただいた中央卸売市場などの一般開放といいましょうか、そういう今まで制約的、制限的だったものを見直していきたいというふうな考え、それと、今まで固定的であった面積割使用料などについても、今日的な時代感覚で改良していくというような姿勢、私はそのことは結構だろうと思うんです。
 さきに触れましたが、あれだけの広い空間、スペースがあるわけでありますから、場合によっては合築も含めて、そこに食の文化を知っていただくための観光客の誘致ですとか、あるいは食の教育を前提にしながら、子どもたちをそこに招来して教育をするとか、あるいは場合によっては、そのロケーションにもよるんでしょうけれども、その建物の上とかわきに娯楽的なものを設けて、食の安全なり衛生をもちろん確保した上でありますけれども、あれだけの広いスペースを十二分に活用して、二十一世紀の卸売市場にふさわしいものにぜひしていただきたい。
 そのことが、公立論、私立論を含めて、公的設置、私的設置を含めて、新しい東京なり、日本を変えてきている、公的な市場の持っている前進的な一つの発展過程がそこに待っているだろうと思います。欧米風の私立というようなものにこだわることなく、公設の持っているいいものについての長所を伸ばしていくということを希望して、私の質問を終わります。

○中屋委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中屋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 以上をもちまして、第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時四十九分散会

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