公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

平成十六年十月二十二日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十一名
委員長中屋 文孝君
副委員長真鍋よしゆき君
副委員長真木  茂君
副委員長木内 良明君
谷村 孝彦君
吉野 利明君
執印真智子君
和田 宗春君
立石 晴康君
清原錬太郎君
渡辺 康信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長松尾  均君
次長谷川 健次君
総務部長金子正一郎君
職員部長坂上 信雄君
資産運用部長泉本 和秀君
電車部長市川 英治君
自動車部長遠藤 秀和君
車両電気部長中野 伸宏君
建設工務部長鈴木  進君
経営計画調整担当部長佐藤  守君
参事斎藤  信君
参事中村 卓也君
参事佐藤 純夫君
参事室木 鉄朗君
参事古川 俊明君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・平成十五年度東京都交通事業会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都高速電車事業会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都電気事業会計決算(質疑)

○中屋委員長 ただいまから平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行っていただきますが、質疑につきましては、平成十五年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、交通局関係の決算に対する質疑を行います。ご了承願います。
 これより交通局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都交通事業会計決算、平成十五年度東京都高速電車事業会計決算及び平成十五年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○金子総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料を、お手元の平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 初めに、一ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるエレベーター整備状況でございます。年度別の設置基数、累計設置基数及び一ルート確保駅数、その率を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。都営地下鉄における過去三年間の痴漢発生件数の推移でございます。
 なお、この数は、警察に一一〇番通報した件数となっております。
 次に、三ページをお開き願います。都営地下鉄における構内営業収入の推移を、区分別、年度別に、過去三年間にわたって記載をしてございます。
 次に、四ページをお開き願います。リコール対象バス車両についての国土交通省からの文書でございます。
 なお、別紙としまして、二枚目に、国土交通省から三菱ふそうトラック・バス株式会社にあてた文書及び三枚目に、リコール届出一覧表も添付してございます。
 次に、七ページをお開き願います。一般乗合自動車の購入状況でございます。メーカー別の購入台数を過去五年間にわたり記載してございます。
 次に、八ページをお開き願います。廃止、短縮したバス路線でございます。過去五年間において廃止、短縮したバス路線の路線名と運行区間を記載してございます。
 次に、九ページをお開き願います。組織変更した自動車営業所につきまして、年度別に組織名の新旧を掲げてございます。
 次に、一〇ページをお開き願います。運行間隔三十分以上のバス路線数を区分して記載をしてございます。全路線数のうち、運行間隔三十分以上の路線数を、終日と日中のみとに分けて記載をしてございます。
 次に、一一ページをお開き願います。深夜バスの運行状況でございます。路線別に、運行区間、始終発時刻、運行回数について記載をしてございます。
 次に、一二ページをお開き願います。都営地下鉄における転落件数と対策でございます。路線別の転落件数を年度別に記載してございます。
 なお、十三年度からは、列車運行に影響がなかったものについても、括弧書きで外数であらわしてございます。
 次に、一三ページをお開き願います。職員数の推移でございます。職員数を、年度別、事業別に記載してございます。
 次に、一四ページをお開き願います。駅業務の外注状況でございます。路線別に、駅名及び従事職員数を記載してございます。
 次に、一五ページをお開き願います。チャンス&サポート東京プランの取り組み状況でございます。交通局所管事項及び各局共通事項に分けて、取り組み状況を記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中屋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉野委員 交通局に対してお伺いをいたします。
 都営交通は、通勤通学はもとより、ビジネス、レジャー、買い物など、東京の都市生活や都市活動にとってなくてはならない存在であります。しかし、近年は、少子高齢化による通勤通学客の減少や、規制緩和による競争の激化など、交通局の事業環境はますます厳しさを増してきているというふうに認識をしております。
 こうした中で、利便性や快適性の向上など、顧客ニーズに合った安定的なサービスの提供と効率的な経営を推進していくことが、都営交通には求められております。
 また、公営企業として、安全管理や危機管理の強化、バリアフリー、環境問題への対応など、社会からの要請にも的確にこたえていかなければなりません。
 このたび、平成十五年度決算の審議に当たり、このような諸課題に取り組んでいる交通局の経営状況、経営基盤の現状について、特に局事業の主力である地下鉄事業に注目し、明らかにしてまいりたいと考えております。
 そこで、まず十五年度の地下鉄事業の収支について何点か伺います。
 十五年度決算を見ますと、地下鉄事業、すなわち高速電車事業会計の経常損益は百三十四億円余りの赤字となりました。引き続き赤字とはいえ、前年度が二百九十億円余りであったことを考えますと、相当に赤字幅が縮小したようにも思われます。
 そこでまず伺いますが、十五年度の地下鉄事業のこのような収支改善の理由を挙げていただきたいと思います。

○金子総務部長 まず収入について見ますと、前年度と比較して約百三億円増加をしております。これは、大江戸線の乗客数が前年度対比で一〇%以上ふえ、また、四線合計でも初めて一日当たり二百万人を突破するなど、乗客数の伸びによりまして、収入の柱でございます乗車料収入が二%強増加したこと及び、これまで資本的収支で経理しておりました特例債元金償還補助を、総務省の指導によりまして、収益的収支に組み入れたことなどが主な要因でございます。
 一方、支出におきましては約四十二億円減少しておりますが、これは減価償却費の減と、低金利によります利子取扱費の減が主な要因でございます。
 このように収入の増加と支出の減少が相まって、収支が改善されたものであると考えております。

○吉野委員 今のお答えの中で、特例債元金償還補助を収益的収支に組み入れたということですけれども、地下鉄特例債は過去の建設費の利息に対する地方債でありますので、その償還金に対する補助というのは、支払い利息の補助の性格を持つことから、収益的収支に入れることが適当という考え方のようであります。ただし、これは本来の営業活動で得られた収入ではありませんので、これをもって地下鉄の収益力が上がったとはいえないわけであります。
 そこで伺いますが、この特例債元金補助の十五年度の額はどのぐらいだったのでしょうか。

○金子総務部長 特例債元金償還補助の平成十五年度の決算額は、約九十一億六千万円でございます。

○吉野委員 これだけの額が収益的収入に入りますと、十五年度の収支を以前と単純に比較することはできないことがわかります。しかし、それはそれとして、その他の要因で六十億円以上収支が改善されており、乗車料収入も二十七億円伸びております。また、一日当たりの乗客数は二百二万人と、初めて二百万人を突破しております。
 こうしたことから、地下鉄事業全体では業績を伸ばしているというものの、累積欠損金が四千六百億円にも上っており、さらなる不断の収支改善を行っていってもらいたいと思っております。
 そこで、この地下鉄の各線についてどうなのかを、もう少し検証していきたいと思います。
 まず、大江戸線についてですが、大江戸線は、平成十二年度の環状部開業以来、毎年乗客数が増加しておりますが、大江戸線のこれまでの乗客数の伸びの推移はどうなっているのか明らかにしていただきたいと思います。
 また、参考までに、今年度の直近の状況についてもお知らせいただきたいと思います。

○市川電車部長 大江戸線の乗車人員でございますが、環状部開業後の平成十三年度、一日当たり五十一万人から、平成十四年度、五十六万八千人で一一・二%の増、平成十五年度、六十二万七千人で一〇・四%の増と、毎年増加してございます。
 また、今年度上半期までの状況では、一日当たり六十四万八千人となっております。

○吉野委員 大江戸線はこれまで着実に乗客数が伸びてきましたけれども、全線開業後四年が経過し、ことしはそろそろ伸びも鈍化してきているようであります。目標の八十二万四千人に達するかどうか微妙な状況かと思います。
 次に、大江戸線以外の浅草線、三田線、新宿線の状況についてでありますが、十五年度の実績は決算書にも載っているわけでありますけれども、改めて確認の意味で伺います。
 浅草線、三田線、新宿線各線の一日平均の乗客数は、十五年度決算では前年度と比べてどうだったのでしょうか。

○市川電車部長 十五年度の一日平均の乗客数でございますが、浅草線が五十八万人で前年に比べ一万三千人、二・三%の減少、三田線が五十万一千人で前年とほぼ同数、新宿線が五十八万九千人で前年に比べ七千人、一・二%の減少となっております。

○吉野委員 このように各線ごとについて見ますと、浅草線、三田線、新宿線はすべて減少しており、大江戸線がそれら三線の減を補うという状況であることがわかります。
 そこで伺いますが、浅草線、三田線、新宿線の最近の減少傾向の原因をどのようにとらえているのでしょうか。

○市川電車部長 浅草線、新宿線につきましては、平成十五年三月に開業いたしました東京メトロの半蔵門線の影響によるものでございます。
 なお、三田線につきましては、東急目黒線との直通運転による乗客増加があったものの、沿線の企業や学校の移転などにより、平成十四年度とほぼ同数となったものでございます。

○吉野委員 大江戸線全線開業後四年がたち、現在はいわば踊り場に差しかかっているように思われます。この先、大きな乗客の伸びも期待できなくなっている今、本腰を入れたさらなる増収対策が必要になってきたと思います。
 まず、営業収益を確保するため、乗客数を少しでも伸ばしていく必要があります。乗客が減少している浅草線、三田線、新宿線のてこ入れはもとより、稼ぎ頭の大江戸線についても、踊り場に差しかかっている現状を踏まえた、きめの細かい増客対策が必要になると思います。
 少子高齢化による通勤通学客の減少など、経営環境の大きな変化というものは確かにあるわけですけれども、そういう中においても、営業努力で挽回する余地はまだまだあるというふうに思います。もちろん、交通局としても現状に手をこまねいていたわけではなく、さまざまな取り組みをこれまで行ってきたことと思います。
 そこで伺いますが、昨年度、増客対策としてどのようなことに取り組んでこられたのでしょうか。

○市川電車部長 増客対策として、まず、都営地下鉄をより多くのお客様にご利用していただくため、お客様の需要に応じたダイヤ改正を行いました。浅草線につきましては、昨年七月、羽田空港への利便性向上を図ったダイヤ改正を、新宿線におきましては、昨年十二月に、朝夕ラッシュ時間帯に京王線からの直通急行列車を新設するとともに、笹塚駅での乗り継ぎ利便性の改善を図ったダイヤ改正を、大江戸線では、ことしの三月に、平日朝夕ラッシュ時間帯及び深夜時間帯に列車を増発するダイヤ改正をそれぞれ実施いたしました。これらのダイヤ改正に合わせて、新聞への折り込み広告も実施してございます。
 次に、営業活動としてでございますが、まず、ご利用しやすい運賃とするため、都営線内のワンデーパスや、私鉄との連携によるTOKYO探索きっぷなどの企画乗車券の発行、次に、大江戸線全線開業三周年や、鉄道の日などのイベントの開催、次に、都営ふれあいウォークや鳥取ウォークなど各種ウォークの開催、それから、各種ポスター、チラシなどによるPR活動をそれぞれ実施いたしました。
 今後とも、より一層多くのお客様にご利用いただくため、さまざまな増客対策を展開してまいりたいと思います。

○吉野委員 増客対策とともに、支出面では当然効率化を進め、経費縮減も図っていかなくてはなりません。その方策の一つとして、十五年度決算書の四ページに、駅業務の外注を行ったとあります。十五年四月一日から、内幸町、本蓮沼、浜町など六駅で、十六年四月一日からは十五駅で実施したとのことであります。
 そこで伺いますが、駅業務の外注化で、平年度ベースではどの程度経費縮減につながったのか教えてください。

○市川電車部長 駅の外注化についてでございますが、駅の外注化は、駅清掃や定期券発売の委託と同様に、駅における乗車券発売や案内などの業務を委託しているものでございまして、経営効率化のための施策として実施いたしました。
 委託する職員には、交通局職員と同様な研修を実施し、サービスや安全確保に遜色のないものとなってございます。また、運転取り扱い業務は従来どおり管理所長以下の駅務区長、助役によって行うなど、安全についても万全の措置を講じているところです。
 平成十六年度には十五駅の外注化を実施してございますが、これを平年度化した場合、約四億円、三五%の経費縮減につながるものでございます。

○吉野委員 今後とも、安全性の確保等、鉄道事業の専門性を担保しながら、駅の外注化を進め、地下鉄の収支改善を図っていただきたいと思います。
 続いて、関連事業について伺います。
 交通局全体の収支を改善するため、既存の資産等を活用し、安定的な収入を確保することも重要であります。その意味でも、関連事業を大きく育てていく必要があります。
 関連事業とは、土地建物などの資産の有効活用、広告事業などの収入であり、今までも力を入れて取り組んできた分野であると思います。決算の項目でいうと、広告料、構内営業料、賃貸料の三つが主なものであります。
 そこでまず伺いますが、十五年度の広告料、構内営業料、賃貸料、それぞれの決算額と対前年度比の伸び率はどうなっているのでしょうか。

○泉本資産運用部長 広告料につきましては、四十三億八千七百万円で対前年度比〇・八%の増、構内営業料は、四億五千六百万円で対前年度比七・三%の増、土地建物などの賃貸料は、五十億七千九百万円で対前年度比〇・三%の減となっております。

○吉野委員 広告料はほぼ前年度並み、賃貸料は前年度比マイナス、構内営業料は、新規出店に努力された結果、かなり高く伸びているものの、絶対額が少ないため、全体に与える影響は限られているという状況であります。
 そこで、規模は小さいものの可能性を秘めた構内営業について、まずお聞きします。
 今、駅が持つ不特定多数の人が集まる恵まれた立地条件に注目が集まっており、駅中ビジネスという言葉がはやっております。JRではICカード乗車券を駅売店等でも使えるようにしているほか、ことし四月に発足した東京メトロ、正式には東京地下鉄株式会社でも、構内営業など、資産の有効活用に力を入れていくとしているようです。こうした動きにおくれをとらないよう、都営交通においても関連事業収益をさらに伸ばしていく必要があります。
 そこで伺いますが、十五年度の新規出店数について教えてください。

○泉本資産運用部長 十五年度は新たに三店舗出店いたしました。具体的には、馬喰横山駅のお握り店、上野御徒町駅のミルクスタンド、日比谷駅の靴修理店となってございます。
 なお、小川町駅を初め数駅におきましても、出店に向けました準備を行っております。

○吉野委員 一年に三駅というのは、どうも少ないような感じがいたします。構内営業も多彩になっており、旧来からある売店のほかに、エステサロンですとか、英会話教室ですとか、非常に多彩な業種がJRや民鉄の駅で見られます。地下鉄駅特有の制約から、新規出店に時間を要するというお話を以前からされていたようですけれども、今年度から資産運用部を新たに設置し、強化された体制で取り組むことになったので、これからの展開に期待したいと思います。
 そこでまず、構内営業店舗にはさまざまな業種がありますが、交通局ではどのような業種があるのでしょうか。

○泉本資産運用部長 現在、構内営業店舗には、新聞雑誌などを販売しております一般売店と、宝くじを販売する宝くじ売店のほか、コーヒーショップなどの軽飲食店、コンビニなどの物販店、また、靴修理などのサービス店がございます。

○吉野委員 どういう業種を入れるかによって、局の収益も違ってくるでしょうし、店舗の利用客層も違ってきます。ひいては駅のイメージというものも違ってくるのではないかと思われます。また逆に、駅の立地や乗客の種類などによって、おのずと業種が絞られることもあるかと思います。少しでも収益性が高い業種を誘致することが基本でありますけれども、駅や路線のイメージ戦略というものもあわせて考えていくといいのではないかと思います。また、出店希望があればいいのですが、希望が少なければ、こちらから開拓していかなければならないということにもなります。いずれにしても、こうした事業のノウハウは、出店希望者である民間の方が豊富に持っていると思われます。
 そこで伺いますが、出店に当たってどのように民間のノウハウを取り入れているのでしょうか。また、今年度の新規出店見込みはどれくらいあるのでしょうか。

○泉本資産運用部長 出店に当たりましては、お客様の利便性の向上や安定的な収益の確保に加えまして、駅の特性や雰囲気を生かした店づくり、駅の立地や周辺地域の状況などを踏まえた視点が重要であると考えております。
 具体的には、計画立案段階からさまざまな事業者から幅広く聞き取り調査を行っております。あわせまして、選定方法としては公募制を取り入れ、多様な事業者の中から、その駅にふさわしい出店者を選定するようにしております。
 十六年度は既に三店舗を開店し、年度末までに合計十店舗以上の開店を目指しているところでございます。

○吉野委員 さて、先般、浅草線新橋駅の改良工事が完成し、コンコースやホームがリニューアルされるとともに、連絡通路なども拡張され、便利になったと聞いております。
 そこで伺いますが、今回の新橋駅改良工事においては、関連事業の観点からどのような点に配慮されたのでしょうか。

○泉本資産運用部長 新橋駅のコンコースは、流動人口が一日約十二万人と大変多く、また、都内で最も新しいまちの一つである汐留への入り口にも当たるため、明るい空間づくりにも配慮し、好条件を生かして大きな収益を生み出すように工夫をいたしました。
 具体的には、新橋駅改修工事に合わせて、改札外のコンコースにカフェベーカリーを開店いたしました。あわせてコンコースの柱を改修し、柱巻き広告や、内側から蛍光灯で照らす電飾ボードを新たに設置いたしました。これらによりまして、年間約六千万円の増収を見込んでおるところでございます。

○吉野委員 電飾を用いた広告は、単なる広告というだけではなくて、駅を華やかに彩る照明の役割も果たしております。昨年の新宿駅西口地下広場のリニューアルでも同様の広告装置が設置され、夜間になると非常に明るく、あの場所の印象がかなり変わったことはご存じのとおりであります。
 浅草線などの古い地下鉄の駅は狭く暗いイメージがあり、新橋以外でもこのような広告を設置すれば、広告料収入とリニューアルの一石二鳥が見込めるのではないかと思われます。しかしながら、ホーム階に目を転ずると、電飾広告にあきが目立つ駅が散見されます。
 そこで伺いますが、電飾を用いた広告の十五年度の掲出実績と広告料収入はどうなっているのでしょうか。また、電飾広告の空き対策についてどのように考えているのでしょうか。

○泉本資産運用部長 電飾ボードは、地下鉄のホームの壁や通路の壁に約二千四百個設置しておりますが、平成十五年度末においては掲出率約六〇%弱で、広告料収入は約九億円となっております。
 電飾ボードの空き対策といたしましては、広告媒体として魅力を高めるよう、照明の照度をアップさせる事業を進め、設備の新しい大江戸線を除きました三線で、これまで約一千個の改修に取り組んでおります。
 また、掲出率の低い駅を対象とした期間限定の販売促進キャンペーンの展開、広告主の要望の変化に対応した弾力的な対策として、電飾ボードのパンフレット類配布棚への転用などを行っておるところでございます。

○吉野委員 また、三田線大手町駅では、コンコース階の壁面をラッピングした広告が掲載されました。これは、新聞社がスポンサーとなって、スタジオジブリの人気アニメ作品の背景画などを描いたもので、広告と駅のイメージアップを兼ねた手法として、このようなものもあるのかと思った次第でございます。
 ラッピング広告といいますと、バスのラッピング広告が平成十二年から始まり、今ではすっかりまちの風景の一部として目になじんだ感があります。デザインの是非など、導入当初はマスコミの話題にもなり、広告料収入にも大きく寄与したのであります。それから三年たった現状はどうなのか、気になります。
 そこで伺いますが、平成十五年度決算のラッピング広告収入額と前年度比伸び率について教えてください。

○泉本資産運用部長 十五年度のラッピング広告収入は、バス、都電、地下鉄を合わせて七億五千七百万円弱で、対前年度比二四%の減少となっております。このうちバスが九九%と大宗を占め、対前年度では二三%の減少となっております。

○吉野委員 かなり大きく落ち込んでおります。目新しさが薄れてきて、クライアントが減ってきているということなのか、それともほかの原因があるのでしょうか。また、都営バスだけの減少なのか、気になります。
 そこで、十五年度におけるラッピング広告収入減少の原因と、今後回復を図るためにどのような取り組みが必要と考えているのか伺います。

○泉本資産運用部長 平成十四年度から平成十五年度において、ラッピングバス広告の掲出率におきまして約一〇%の減少があり、ラッピングバス広告減収の大きな原因となっております。これは、導入から四年目を迎え、広告媒体としての目新しさや意外性が減少したものと考えております。
 掲出率回復のための取り組みといたしましては、期間限定の割引による販売促進キャンペーンなどの対策を講じるとともに、ラッピングバスが高い広告認知度を持っているという、昨年行いました調査の結果を活用いたしまして、PR活動を実施しております。
 また、広告主からの掲出ニーズが高い路線と余り高くない路線とをセットにした販売、あるいはニーズに見合った販売価格の見直しを図るなど、さまざまな工夫も実施し、今年度の上期では、十五年度同期に対し一一%の増となりました。
 なお、東京都以外の各都市においても減少傾向が見られるところでございます。

○吉野委員 広告料収入を伸ばすのはかなりご苦労があるかと思いますけれども、媒体のリニューアルや新機軸を打ち出すなどして、頑張っていただきたいと思っております。
 最後に、賃貸料収入について伺います。
 十五年度の賃貸料収入が、前年度比でわずかに落ち込んでいるようですが、土地が微増している一方、建物の方がやや落ち込んでいるということです。一時的に空室状況が生まれたのか、それとも、ひところ盛んにいわれた二〇〇三年問題など、ビル賃貸市場の変化によるものなのか、決算書だけではよくわからない部分があります。
 そこで伺いますが、建物賃貸料の減少の理由と、土地も含めた賃貸料について、今年度以降どのような対策をとるのか、簡単に教えてください。

○泉本資産運用部長 平成十五年度の建物、土地の賃貸料収入は、対前年度比で建物が五・九%の減少、土地が二・一%の微増となっております。
 このうち、建物の賃貸料収入の減少につきましては、大規模な都市開発に伴ってオフィス面積の供給が急増し、都心の大型ビル間や中小ビルにも競合が生じました、いわゆる二〇〇三年問題の影響を受けて、東京交通会館など局保有建物における空室の発生や賃料の値下げが主な原因となってございます。
 今後は、駅に近いというビルの立地特性のPRや、ニーズの変化に対応した設備の機能改善などにより、新規テナントの確保に努め、収益の向上を図ってまいります。
 土地の賃貸料収入の微増につきましては、定期借地権を利用する事業者を公募していくなど、局保有地の有効活用の充実によるものでございまして、今年度も既に三件の公募を行っているところでございます。
 今後とも、地域のまちづくりに配慮しつつ、土地の積極的な利活用を目指してまいります。

○吉野委員 いずれにいたしましても、現状では、賃貸料収入が関連事業収入の半分を占めております。また、交通局の土地建物には限りがあるわけですから、資産活用をぜひ有効に行っていただきたいと思っております。
 最後になりますが、関連事業を乗車料収入に次ぐ収入の大きな柱に育てていくことについて、局長の意気込みと戦略を伺い、私の質問を終わりたいと思います。

○松尾交通局長 ご質問の中にもございましたけれども、少子高齢化や先行き不透明な経済状況等によりまして、乗客数の大幅な増加が期待できない状況にございます。こうした状況のもと、関連事業の持つ可能性や重要性が大きく増してきていると認識しております。
 交通局におきましては、これまでも、関連事業を乗車料収入に次ぐ収入の柱とするため、着実に取り組んできたところでございますが、今後、駅空間を活用したお客様ニーズの高い店舗の設置や洗練された広告等により、魅力的な駅空間の創出に努めるとともに、土地建物の有効活用を図るなど、安定的な収入を確保するため、経営資源を最大限に活用してまいります。
 本年四月には、関連事業の開発推進体制の強化のため、新たに資産運用部を設置いたしまして、事業の効率的、機動的な展開を支える組織体制を整備したところでございます。今後三年間の新規開店の店舗数や年度別の収入額につきましても、具体的な目標を掲げることによりまして、進捗状況を明確にしながら、これまで以上に関連事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。

○谷村委員 昨今の情報通信技術の進展、とりわけカラー印刷技術の向上により、多様な色彩による表現、表示区分が行われる時代になりました。こうした中で、男性で二十人に一人、女性で五百人に一人の割合で、色弱者、色覚障害の方がおられまして、全国で三百二十万人、都内には三十万人以上がお住まいになっているといわれております。こうした方々にとりまして、町中における識別しにくいカラー表示の存在が問題となっております。
 私どもも初めてご相談をいただきまして、都政の中でその象徴的な存在だったのが、この地下鉄路線図でございます。十三色で十三の路線を判別しているという、こういう地下鉄路線図に対して、一番わかりやすくご説明いただいたわけですけれども、一口に色覚障害といわれましてもいろいろ種類があるわけですが、最近のコンピューター技術の発展によりまして、色覚障害者の方から見て、この地下鉄路線図がどういうふうに見えるのかという、ビスチェックというソフトを使って拝見もいたしました。十三色だけで分かれている地下鉄路線図を、色覚障害の方々が見るとどういうふうに見えるのかというのを見させていただきまして、それを見て私も愕然としたわけであります。これでは、とてもではないけれども、地下鉄を利用されるのは大変ご苦労が多いだろうなというふうに実感をしたわけでございます。
 これまで我が党は、地下鉄の案内表示に関しまして、色覚バリアフリーの問題を取り上げて、いち早くこの対策に取り組んできたところであります。特に昨年の第二回定例会では、この地下鉄路線図を代表質問で取り上げさせていただきまして、この路線図を色だけで区別している、これは、色覚障害者だけでなく、一般の方にも非常に見分けが難しいとの指摘を行わせていただきました。また、昨年の決算委員会におきましてもこの問題を取り上げ、路線図内にも路線名を表記し、文字による路線の判別をできるようにしたことなどにより、色覚バリアフリーに対応した路線図に変えたという回答をいただいたところであります。
 そこで、昨年度の色覚バリアフリー対応路線図の印刷枚数、配布状況はどうなっているのでしょうか。また、決算特別委員会でもありますので、念のため確認しておきたいと思いますが、印刷費用はどれくらいかかったのでしょうか、あわせてお伺いしたいと思います。

○市川電車部長 まず、色覚バリアフリー対応路線図の印刷枚数等でございますけれども、色覚バリアフリー対応の配布用地下鉄路線図については、昨年度三百五十万部を作成し、都営地下鉄各駅や交通局総合案内所、東京観光情報センターなどで昨年八月から配布してございます。
 印刷経費につきましては、裏面へ広告を掲載しており、交通局の費用負担はございません。
 次に、駅や車内の掲出路線図など、交通局が昨年度に独自で作成いたしました九千部につきましては、百九十九万円を支出いたしました。

○谷村委員 色覚バリアフリー援助に向けてのこの地下鉄路線図の件における交通局の迅速な対応につきましては、六月の第二回定例会で取り上げて、八月に既に対応していただきました。この迅速な対応につきましては大変に感謝もいたしておりますし、高く評価をいたしております。
 また、都営地下鉄ではことし四月から、東京メトロと共同で、駅ナンバリングを導入しました。この際、路線図が新しいものとなり、都営とメトロ共通のものとなりました。
 そこでお伺いをいたしますが、本年四月から導入されましたナンバリングの路線図につきましても、この色覚バリアフリーの考え方が生かされていると思いますが、念のため確認をさせていただきたいと思います。

○市川電車部長 駅ナンバリング路線図につきましては、昨年度作成したバリアフリー対応路線図の特徴を生かすとともに、路線を色彩のみで表示するだけでなく、路線名や駅名に固有のアルファベットや番号を併記し、色覚バリアフリー対応のより一層のレベルアップを図っているところでございます。

○谷村委員 今後とも、路線図だけでなく、他のサイン、表記などにつきましても、色覚バリアフリーの観点から、より一層の研究を進めていただくようにお願いをしたいと思います。
 その駅ナンバリングにつきまして何点かお伺いをしたいと思います。
 この駅ナンバリングの導入の目的を改めて確認したいと思います。そして、その目的とメリットをお答えいただきたいと思います。

○市川電車部長 駅ナンバリングは、外国人旅行者を初め、だれにでもわかりやすく東京の地下鉄をご利用いただくことを目的に導入いたしました。これによるメリットといたしましては、乗りかえ駅や降車駅が記号と番号の組み合わせによって簡単にわかるほか、乗りかえ駅や降車駅までの駅の数が簡単にわかることや、行きたい方向に乗っていることが簡単にわかることなどが挙げられます。

○谷村委員 外国人旅行者にも非常にわかりやすくなるというお話でございますけれども、色覚障害者というのは世界では二億人、北欧を中心にいらっしゃるそうでございまして、東京都では千客万来の世界都市を目指して、観光産業振興プランにおいて、東京への外国人旅行者二百七十七万人を五年間で倍増の六百万人にするという、こういう目標を掲げております。
 外国人旅行者、特に個人旅行者にとりましては、地下鉄は都市観光の重要な交通手段となります。まちの息遣いまで観光していただけるには、こうした地下鉄をご利用いただくのが非常に効果が高いわけであります。この駅ナンバリングを導入して、利用者に地下鉄路線を乗りこなしていただき、東京の魅力を体験してもらう必要もあると思います。
 そこでお伺いしたいと思いますが、ナンバリングの普及につきましては、地下鉄路線図を外国人観光客に知ってもらうことが重要だと思いますが、今までに何カ国語でつくり、どのくらいの枚数配られたのでしょうか。また、ナンバリング導入後の利用者からの反響、評価はどうなっておりますでしょうか。掌握されていれば、お伺いしたいと思います。

○市川電車部長 駅ナンバリング路線図につきまして、交通局では、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ハングル、中国語と日本語、七カ国語で作成しており、本年十月現在、都営地下鉄各駅、東京観光情報センター、羽田空港及び成田空港やホテルなどで、これまで計三百二十二万部を配布してございます。
 また、駅ナンバリングに関し、本年八月に実施したアンケート調査では、とりわけ外国の方から、便利、どちらかといえば便利が五六%の評価を得るとともに、駅ナンバリングを実際に使って地下鉄を利用したことがあるという回答が四〇%に達するなど、駅ナンバリング導入に一定の効果が認められる結果となってございます。

○谷村委員 大変大きな成果を実感できるアンケート調査の結果が出ているようでございます。
 このナンバリングの路線図を見ますと、路線がふくそうし、東京の鉄道路線網がこれだけ発展してきたことに今さらながら感心もし、驚きもするわけでございますが、それだけ交通局の皆様の日ごろのご尽力には大変なものがあるわけでございまして、深く敬意を表するものであります。
 これまで色覚バリアフリーの問題に携わってまいりまして、私自身、世界の主要都市の地下鉄路線網を地下鉄路線図で確認をいたしました。ソウルとかニューヨーク、パリ、ベルリン、ロンドン等を確認いたしましたけれども、恐らく東京都の地下鉄路線網というのは世界一のものであるといっても過言ではないのではないかと思っております。それだけに、利用する側が一目で目的地を探すのには大変一苦労があります。今後とも、サインシステムを初め、駅デザインなどにさらに工夫をしていただくことを要望いたしておきます。
 さらに、この路線図の表示方法についてお伺いしたいと思いますが、ナンバリングの路線図では、乗りかえ駅では各線の番号が並んでいくわけであります。当然のことであります。発想からいえば当然そうなるわけでございますが、例えば大手町という駅でいきますと、三田線ではI09、千代田線ではこれがC11、東西線ではT09、丸ノ内線ではM18、半蔵門線ではZ08と、それぞれの路線で駅のナンバリングがされているわけですから、大手町といっても、これだけ五つの表記で駅が表示されることになるわけです。各駅に複数の番号があってわかりづらいという意見もあるようでございますが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

○市川電車部長 先生ご指摘のような、わかりづらいという意見もございますが、仮に乗りかえ駅を同一の番号とし、同じ名称の駅に一つの固有の番号を割り当てる方式をとりますと、駅番号だけでは路線の区別がつかなくなり、また、一つの路線で駅が番号順に並ばなくなるなど、わかりにくいものになると考えられますので、現在の方式がより利用しやすい方法と考えております。
 今後とも、利用者のご意見を踏まえ、よりよい方式を検討してまいります。

○谷村委員 私もただいまのご答弁には大変同感でございまして、考え方からいけば、こういう方法をとるしかないわけでございます。
 そこで、スペースをとるかもしれませんけれども、ローマ字駅名とこのナンバーを対照させた一覧表を掲出すれば、検索が容易になるという、こうした声もございます。また、ナンバリングの普及のためには、路線図だけでなく、さまざまな手法を工夫して情報提供を行うことも必要だと思います。
 駅名表へのこのナンバリングの併記、それから路線図の掲出、配布以外に、今後どのようなことを工夫し、考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

○市川電車部長 今後の駅ナンバリング表示につきましては、新宿線と大江戸線の駅名表の更新、浅草線車両の電光表示器の次駅表示への併記、局ホームページや局広報物の施設案内などでの最寄り駅のナンバリング表示の掲載などにより、より一層の普及を図ってまいりたいと思っております。
 さらに、今後、東京メトロとの調整を図りながら、駅ナンバリングを利用した乗りかえ検索システムの開発やサインの改善などについて検討を進めてまいります。

○谷村委員 着実に進めていただくことになっているわけでございますが、今ご答弁の中にありました、駅ナンバリングを利用した乗りかえ検索システムの開発、これは特にぜひとも進めていっていただきたいと思います。こうしたシステムができますと、さらにこの駅ナンバリングを進めてきた成果というものが大きく向上していく、出てくると思います。
 ところで、我が国への外国人旅行者数は、平成十五年度はSARSの影響もあり、平成十四年度をわずかに下回ったわけでございますけれども、政府のビジット・ジャパン・キャンペーンや都の観光施策が功を奏したためか、ことしは過去最高に達する勢いで伸びているとのことであります。ナンバリング路線図などの案内表示を設置する以外にも、駅員や乗務員の皆さんが直接外国人に対話しなければならない場面も今後ますますふえてくると思われます。また、ふえていかなければならないわけでございます。しかしながら、一般の駅員の皆さんがすべて対応するのは困難な面もあるかと思います。
 ことしの四月から民間会社として発足した東京メトロでは、乗客案内の新しいサービスとして、サービスマネジャーを銀座、上野、日本橋など主要六駅に十八名配置しております。一人一日平均百五十件程度のご案内やお問い合わせに対応し、そのうち、年配の女性への対応が六割を占めるというふうに伺っております。
 都営では、同様なものとして、東京メトロに先駆けて、既に平成十三年度から、駅を巡回するサービススタッフを置いているというふうに伺っておりますが、大きなホテルには、交通や観光、レストランの案内、予約などを一括して行うコンシェルジェが配置されておりますけれども、いわば駅のコンシェルジェとして、外国人観光客に質の高いサービスを提供できるスタッフを駅に配置することも考えられます。その際、このサービススタッフを活用、再編して対応するか、あるいは、新たな発想による専門スタッフの配置なども考えられると思います。
 そこでお伺いいたしますが、駅のコンシェルジェの設置など、外国人観光客に対する乗り継ぎ案内、あるいは観光案内など、幅広く行うための工夫を今後検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○市川電車部長 外国人旅行客に対する各種案内につきましては、外国人対応の指さし式コミュニケーションボードの活用のほか、ご指摘のサービススタッフによる案内についてでございますが、さらに充実を図るため、そのあり方について検討を進めているところでございます。
 さらに、本年十一月には、産業労働局が進める観光案内窓口を、都営地下鉄の三つの駅と交通局総合案内所に設置するよう調整を図っているところであり、今後とも幅広いご案内ができるよう、創意工夫を行ってまいります。

○谷村委員 さらにお願いをしたいと思います。
 外国人旅行者の誘致につきましては、他社も本腰を入れて取り組み始めたところであります。先月の新聞報道によりますと、東武鉄道では、日光や鬼怒川への外国人旅行者誘致のため、十月から外国人旅行客向け割引乗車券の発売を開始するとともに、英語で観光案内を行う外国人旅行センターを浅草駅に開設したとのことであります。こうした動きなども踏まえ、交通局としても、外国人旅行客の誘致にいよいよ本格的に取り組んでいく必要があるかと思います。これからも案内表示の更新や改良を進めることを要望しておきたいと思います。
 最後に、地下鉄の案内表示の改善を図り、外国人を含め、だれもが利用しやすくわかりやすい地下鉄にしていくことにつきまして、局長の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○松尾交通局長 都営交通は、国際都市東京の重要な公共交通の一翼を担う交通機関でございまして、その役割を果たしていくことが一層求められていると認識しております。
 これまでも、ピクトサインなど、東京メトロとの共通サインや、お話にもございました駅ナンバリングの導入や色覚バリアフリーへの対応などに努めてきたところでございます。どなたにとりましても、よりわかりやすく利用しやすい地下鉄とするためには、ソフト、ハード両面からの対策が必要と考えております。
 今後、駅の美化あるいは各種の情報提供設備の改善に努めます一方、ご指摘のございました案内表示等の施設面での改善に取り組んでまいります。
 また、職員によります対応能力の向上につきましても、一層努めてまいりたいと考えております。
 さらに、今後、関係局や関係機関とも協調いたしまして取り組んでまいる所存でございます。

○真木委員 町田市選出の真木でございます。当選をさせていただいてから三年ちょっとたつかと思いますが、交通局に初めての質問だと思います。なかなか都営交通、都営地下鉄、都バスとはなじみが薄いわけでございますけれども、だからこそ見えてくる問題もあろうかと思います。きょうは、たまに利用する人間として、二つほど問題を指摘し、ご提案をさせていただきたいというぐあいに思います。
 まず、この都庁前方面から大江戸線に乗って青山一丁目に行く。で、青山一丁目で渋谷方面に乗りかえたいというときに、私、表示どおりに向かって歩いていきました。そうしましたところ、私はふだん半蔵門線を使うことが多いわけですから、半蔵門線を使って銀座線に乗ることができることは知っているわけです。けれども、いい子で表示どおりに歩いていこうと思いました。そうしましたところ、何か外に誘導されたんですね。あれ、この改札を出たら外に出ちゃうじゃないかということです。
 私は、そのときに二つの問題を感じました。一つは、外に出た、で、多分中にもう一つ改札口があるんだろう、だから、それは別にいいやと思うわけでありますが、ただ、非常にわかりづらい。これはちょっと改善の余地があるんじゃないのかなというのが一つであります。
 そして、もう一つは、私はけちなものですから、都営交通と営団地下鉄を乗りかえると、七十円割引されることを知っております。あれ、誘導どおりに出たら--僕が持っていたのはパスネットだったんですね。切符を買っていれば、そのまま迷うことはなかったわけですけれども、これ、パスネットでそのまま通ったら、七十円引きがきかないじゃないかと、非常に腹立たしい思いをしながら、そのときはたしか急いでいたから、出たと思います。戻らなかったと思いますけれども、非常に腹立たしい思いをいたしました。
 二、三カ月前、交通局の方と話をしていたら、そういったところでも、パスネットでも割引がきくんだという話を聞きました。その後、都営交通と営団地下鉄を乗りかえたときに、パスネットの裏を見てみたけれども、何かよくわかりませんでした。だけど、割引はきくということでございますが、確認をいたします。

○市川電車部長 まず、青山一丁目駅のいわゆる乗りかえのご案内についてでございますが、こちらは駅の構内が大変複雑になっておりまして、なかなか表示がわかりにくいということもございますので、現在、よりわかりやすくなるように、表示の改善の検討を進めているところでございます。
 また、青山一丁目駅で東京メトロと乗りかえる場合、三十分以内であれば、先ほど申し上げました乗り継ぎ割引七十円引きが適用になります。

○真木委員 オレンジ色の改札口があって、乗り継ぎの方はこちらを利用してくださいというのがあります。そこを通せばオーケーなんだなというのはよくわかるわけであります。それ以外のところはだめなんだなと私は思っていたんですね。ところが、どの改札口を出ても、一回外に出ても、三十分以内であれば都営交通と営団地下鉄の七十円引きができる。まあ、物すごい機械だなということを改めて痛感するわけでありますけれども、問題は、私のように七十円割引されることは知っている、けれども、普通の改札口を出たら割引にならない、特にパスネットではならないと思っている方が多いんじゃないかなということであります。私は、そのことによって都営交通が損をしているんじゃないのかなということが考えられるわけであります。
 例えば大手町、大きな乗降客の利用される大手町に行くのに、営団同士で乗り継いでいくことができる。けれども、都営交通と乗りかえてパスネットだ。そうすると七十円引きがきかない。そうすると、営団同士の乗りかえで行くと時間が五分多くかかるけれども、七十円の問題というよりも、七十円引きの制度があるのにそれが使えないとなると、人間というのは非常にしゃくなんですよね。ですから、それをより周知を徹底していただきまして、パスネットでも、どの改札口を使っても七十円引きですよということをしっかりと知らせていただくということが、都営交通の営業努力をわかっていただくことにもなりますし、また、収支も改善され、よりよくなるんじゃないかと思われますが、いかがなものでしょうか。

○市川電車部長 パスネットでの運賃割引は、当局の営業案内、都営交通の案内等のパンフレットやホームページなどで周知を図ってきておりますが、今後、大型ポスターを作成し、さらに周知を図りたいと考えております。

○真木委員 お客さんを逃すことになりかねないと思っておりますので、ぜひポスター等による周知の徹底、そして、青山一丁目駅の乗りかえ、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、はとバスにつきましてちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。
 東京都は、今、シティーセールスもしくは千客万来ということで、外国人の問題を一生懸命、東京に来ていただくということでやっております。外国人向けのパンフレットで、東京をバスで見ようといったときには、今、営業で日常的に、定期的に外国人向け東京観光をやっているのは、はとバスだけだと思います。
 私も、ヨーロッパとかに新婚旅行以外行っておりませんけれども、行ったときには、やっぱり外国人向けの観光用バスに乗るわけであります。そういった意味で、外国人向けのバスのシティーセールス上の位置づけというのは非常に大きいと思うんですが、はとバスの外国人観光客向けツアーは一体何コースあって、どういった方が乗っておるのか、確認をいたします。

○金子総務部長 株式会社はとバスに照会をしましたところ、最初に利用人員の方ですが、平成十五年度の利用人員が約五万六千人でございます。内訳は、六割強が欧米系観光客、日本人観光客が二割強、残りがアジア系その他の外国人となっております。
 コースでございますが、午前中の半日のコースが二コース、午後の半日のコースが二コース、一日のコースが四コース、それから夜間だけのコースが二コース、合計で十コース、現在運行しておるそうです。

○真木委員 今、私も申し上げましたけれども、多くの方が利用されている。外国人が東京に来て観光したいといったときには、やっぱりバスに乗る。私の経験などからしても、ヨーロッパに行ったときには日本語向けというものがありませんので、英語向けのバスに乗ります。そうしますと、私のようにア・リトルしか英語がしゃべれない人間にすると--まあ、通訳の方も決して堪能な英語とは思えない英語をしゃべっていることが多い。そして、こちらも不十分であれば、一人の方がいっただけじゃよくわからない。近くにもう一人、サポートのガイドさんとかがいれば、個人的に聞くことができるけれども、五十人に一人しかバスガイドさんがいないと、私、乗っている方としても非常に心もとないわけですね。そんなことからしまして、ぜひ東京にある人的資材をこのはとバスにも活用されたらいいんじゃないのかなということを、一つご提案したいと思うわけであります。
 と申しますのも、観光財団の方で東京シティガイド検定というものをやっているそうであります。これに合格をしても、その合格をした人が何かお手伝いをしたいといっても、全然仕事がないんだそうです。これは、合格した人は、その語学を使って有償で仕事をしたいと思っているのかもしれませんが、無償でもいいという人もいるかもしれません。
 また、同じく産業労働局の方で観光ボランティアを、サッカー、ワールドカップのときに募集をして、多くの方が登録をされております。語学能力をはかった上で観光ボランティアを募っております。この方々は、ワールドカップのときは応援するけれども、一般の外国人観光には応援しないよというわけでは決してないと思います。
 そして、もう一つご提案申し上げたいのは、学生で多くの外国人と触れ合いたいと思っている方、また、社会人経験をしたいという方が多くおります。私も零細企業、議員一人の秘書一人ということで真木茂事務所というものを設けておりますけれども、大学の先生から、社会人研修の一環として真木事務所で学生を受け入れてくれというような要請を受けて、インターンとして、学校の授業として私のところでお引き受けしたりしています。それぐらい学生の方で、社会人経験をしたいというニーズがあります。そうした要請、私のところのほかにも、どこか、外国語を使って働けるところはないかななんていう話が来たりしております。
 そうしますと、学生さんの活用、さらには観光ボランティアの方々の活用、さらには検定試験合格者、そうした方々が東京にはたくさんいる。そういった方を使うことによって、東京のシティーセールスがさらに前進するんじゃないかというぐあいに思うわけであります。ぜひ大株主の東京都の方からはとバスに、そうした人材の活用を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○金子総務部長 ただいまのお話でございますが、一つは株式会社はとバスの方の受け入れ体制等の問題もあるとは思われますが、ただ、現在でも外国人向けのコースに現に日本人の学生さんなどが語学の勉強のためにご乗車になっている、こういう事実もございます。いずれにいたしましても、ただいまご指摘の趣旨については、会社にきちんと伝えていきたいというふうに考えております。

○渡辺委員 若干質問をさせていただきます。
 最初に、バス路線の問題ですが、これから本格的な高齢化社会を迎えるに当たって、公共交通機関の果たす役割というのはますます増大されるというふうに思いますし、高齢者だけでなく、だれもが自由に利用できる都民の足としてのバス、都営交通の果たす役割というのはますます重要になってきておるわけです。とりわけ、交通弱者といわれる方々にとって、平面移動の確保というのは大変重要な課題になってきている。私たちは、これまでも何回となく、都バス路線の充実ということに向けて、この委員会でも取り上げてきたわけですけれども、再度、このバス問題についてお伺いしたいと思うんです。
 まず一つは、平成十五年度決算における都バスの一日当たりの乗客数ですけれども、五十八万人、こういうふうになっていますが、都営地下鉄大江戸線の全線開業に伴う大きなバス路線の見直しを行った平成十二年の時点でも、七十万人を超える利用があったわけですね。ところが、ここのところ乗客数の減少が著しいというふうに、私、思うんですけれども、この五年間で乗客数ということの推移がどうなっているのか、ちょっとお聞かせいただきたい。

○遠藤自動車部長 都営バスの一日当たりの乗客数でございますけれども、五年前の平成十一年度には七十四万六千人のお客様に利用していただきました。その後、都営三田線の延伸、大江戸線の全線開業がございました翌年度の平成十三年度には、六十三万三千人となりまして、平成十五年度には、先生からお話がございましたように五十八万人というふうになってございます。
 これら乗客減少の理由といたしましては、先ほど申しました鉄道新線の開業のほか、長引く景気の低迷とか少子高齢化など、社会環境の変化が影響しているものではないかというふうに考えております。

○渡辺委員 資料をいただいたわけですけれども、この五年間にも多くの路線を廃止もしくは短縮しておる。こうした路線の廃止、短縮というものが、やっぱり利用客を減少させる最大の要因になっているのではないかというふうに思います。
 そこでお伺いしますけれども、どのような理由で廃止あるいは短縮もしくは削減ですか、こういうものを行っているのか、ちょっとお聞かせいただきたい。

○佐藤参事 バス事業におきましては、再開発や鉄道網の整備等、社会環境の変化に伴いまして乗客潮流も大きく変化することから、適時適切な運行形態の構築に向けまして、路線の新設や新たなバスサービスの提供を行う一方、廃止、短縮、経路変更など、路線の見直しを行っております。
 資料にございます路線の廃止、短縮の理由でございますが、バスと鉄道の役割分担の明確化という視点から、地下鉄等の鉄道整備に伴い乗客の減少が見込まれるものについて路線の見直しを行ったものが主なものでございますが、そのほか、乗客潮流の変化に伴い見直したものもございます。

○渡辺委員 私は、その辺がやっぱり問題だと思うんですよ。十二号線の開通のときに、十二号線に沿った路線バスが廃止された。これはまだ記憶に新しいと思うんですけれども、そういう状況の中で、住民はいうまでもなく、区議会でもいろいろ大きな問題になって、意見書まで提出されるという状況になったわけですね。
 ですから、地下鉄と並行しているバス路線、こういうものであって--地下鉄というのは駅の間約一キロぐらいありますよね。ところが、バスというのはそうではなくして、間隔が狭い、短いというか、大体平均しますと、お聞きしたところでは、三百七、八十メートルという話はお聞きしましたけれども、いずれにしてもそういうことから考えると、地下鉄というのは乗って運んではくれるけれども、実際に地下鉄に乗るまでが大変、また、上がるのも大変ということがあるわけですね。
 ですから、高齢者の方々にとってはやはりバスというのは重要な、貴重な交通手段になっているんだというふうに私は思うんですよ。ですから、それを廃止しちゃうということになったら、やはり高齢者の方々を初めとした弱者といわれる方々がバスから離れるということになるわけですから、そういうものがこのいわゆる減少ということにつながっているのではないかというふうに思うんです。
 ですから、例ですけれども、十二号線みたいな地下鉄が開通されても、それと並行して走っている路線バス、こういうものはやはり機械的に削るべきじゃないんだというふうに私は思うんですね。
 それから、もう一つは、資料をいただいた内容を見ますと、一時間に一本とか二本という運行間隔のところ、あるいは三十分以上のバス路線、こういうもの、全体を含めますと百三十一路線中三十三本あるんですね。私の地元である足立区においても、朝夕の運行のみで、日中は運行されない都バス路線というのがあるんです。これは足立区の宮城地区というところですけれども、ウイークデーで午前十時半から午後四時までは一本も通っていないんですよ。そういうような状況ですから、この地域の人たちはどういうふうにいっているかというと、一日せめて一本か二本でもいいから走らせてくれといっているんですよ。陸の孤島になっちゃっているんですから。隅田川と荒川に挟まれちゃっているんだから。そういうようなこともぜひひとつこれは考えていただきたい。これはあえて質問しませんけれども、ひとつ十二分に検討して、何らかの形で対応していただくということでお願いをしたい。強く要望しておきたいと思うんです。
 それから、いわゆる需要動向を勘案した路線の見直し、こういうことだと思うんですけれども、利用する側にしてみれば、一時間に一本から二本という状態は、地方へ行ったって、これは過疎地域ですよ、そういうのは。ですから、とても東京の交通手段としては考えられないというふうに思うんです。せめて一時間に四本、十五分に一本ぐらいは走ってもらいたい。そうすれば、お客は逃げないし、利用もできる。タクシーという話がありますけれども、タクシーに一々乗っていったら、もうたまらないという問題がありますし、まして弱者であるということから考えると、やはりバスというものを待ちに待っているということですから、そういう意味で、利用客をふやすためにも運行回数というものをふやすべきだというふうに私は思うんですけれども、いかがなものでしょうか。

○佐藤参事 バス路線を運行するに当たりまして、路線ごと、時間ごとに需要状況を把握いたしまして、それに見合った適正な運行回数を設定しております。日中の回数の少ない路線につきましても、このような実態を踏まえて運行しているものでございます。
 今後とも、乗客潮流の変化に適切に対応した運行回数の設定を行ってまいります。

○渡辺委員 そっけない答弁だなという感じがしますよ。やはり需要動向を勘案しながらということで、今のお話になるんだと思うけれども、そういう話を聞いて、答弁を聞くと、どっちかというと従来どおりの内容でいきますよと、こういうことでしかないなという感じはしますよ。
 いずれにしましても、先ほどいったように、やはり本当に高齢者を初めとした弱者という、そういう方々のことをもう少し考慮すべきだというふうに思います。ましてや先ほど私、足立区の話をいったけれども、本当に深刻なんです、それは。考えてみてください。これはひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、運行コストの問題で、厳しい面もあるというふうに私は思います、それは。しかし、交通局も公営企業として、採算性だけではなくして、都民の足を守るという観点というのは徹底して貫いていただきたいというふうに思いますし、バス路線をどうしても守るということだったらば、採算のことだけいうんじゃなくて、採算割れしたら一般会計から持ってくる、取ってくる、こういうことぐらいの姿勢だけは確立してもらいたいというふうに私は思うんですよね。そうして、やはり都民の足を守るということは大前提にしていただきたいというふうに思うんです。
 都民の足であるこの都バスを一層充実させていくということで、積極的に取り組んでいただきたい、こういうように思いますけれども、どうでしょうか。

○遠藤自動車部長 交通局といたしましては、これまでも、再開発等の新たな需要がございます場合には、路線の新設、延長等によりまして対応してまいりました。そうした方法で都バス路線の充実を図ってきたところでございます。
 今後とも、新たな路線につきましては、需要の見込みや採算性、既存の路線との整合性なども総合的に判断しまして、その設定を検討してまいりたいと考えております。

○渡辺委員 ひとつ十二分に対応していただきたいというふうに思います。
 最近、バス事業のいわゆる規制緩和ということで、都バス事業のエリア内においても、これはかなり進んできておりますけれども、区の行うコミュニティバスが新たなバス路線ということで出ていますね。このコミュニティバスというものは、また多くの地域の方々から非常に歓迎されているということもございます。だからといって、このコミュニティバスも採算性において、やはり私は厳しいと思いますよ、実際に。しかし、また、都バスの問題についても、厳しいということは、これはいうまでもないわけですけれども、いずれにしても、この厳しい状況の中で、コミュニティバスというのもいろんなところを走って、本当に住民にこたえるということで、何というかな、裏の裏から裏まで入っていくというような状況が出ているわけですね。
 したがって、都バスが本当に住民のニーズに対応するということでもっと積極的に取り組んでいかないと、取り残されてしまうというような状況も出てくると思うんですよ。そして、そういう状況を踏まえて、交通局としても、区のコミュニティバスに負けないように積極的に対応していっていただきたいと、こういうふうに思いますけれども、どのように受けとめるでしょうか。

○遠藤自動車部長 コミュニティバスにつきましては、基礎的自治体でございます区市町村が、その必要性の有無について検討し、導入を決定するものというふうに考えております。区市町村におきまして、導入につきましては、事業計画を複数の事業者に提案させまして競争させる、コンペ方式というものを採用する自治体が多くなっている状況でございます。
 交通局といたしましては、自治体から提案要請があった場合につきましては、既存路線との整合性や需要動向、それから採算性等につきまして総合的に検討し、個別的に対応してまいりたいというふうに考えております。

○渡辺委員 コミュニティバスということで要請が自治体からあれば、それにこたえていきたいということと、あわせて、コミュニティバスと違ったところというのは、有利な点というのは、都バスというのはいわゆる広域的といえば広域的なところを走るということですから、その点はやっぱりしっかりと、先ほどいったような立場で、これを守っていっていただきたいなというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、このバスの委託問題についてお伺いしたいと思うんです。
 現在、管理委託というものを行っておりますけれども、バスの営業所、これはかなり廃止したところがありますけれども、営業所何カ所で、委託している路線は何本あるかということをまずお聞きいたします。

○遠藤自動車部長 交通局におきます管理の委託の状況でございますけれども、平成十五年の四月から早稲田営業所杉並支所で、平成十六年の四月からは江戸川営業所の臨海支所におきまして管理の委託を実施しております。
 委託している路線でございますけれども、杉並支所におきましては二路線、臨海支所におきましては十二路線、合計十四本の路線を委託しているという状況でございます。

○渡辺委員 その委託した路線ですけれども、都バスの路線を民間に委託するということにした理由、これはどういうことですか。

○遠藤自動車部長 自動車営業所の管理の委託は、路線の免許、ダイヤ、運賃等の決定権につきましてはあくまでも交通局が保留しておりまして、都バスとしてサービス水準を維持しながら、効率的な事業運営を行うということを目的として実施したものでございます。

○渡辺委員 管理委託について、これからの考え方、それはどのように考えられるのでしょうか。

○斎藤参事 バス事業の管理委託の将来の考え方でございますけれども、都営バス事業を取り巻く厳しい状況を踏まえまして、今後とも、管理の委託を含め、経営効率化のための諸方策につきまして総合的に検討しまして、さらなる経営改善に取り組んでまいります。

○渡辺委員 早くいえば民間委託ですけれども、この民間委託をどんどん拡大していく。聞くところによると、現在の二分の一というところまでは拡大していって、そこには歯どめがあるというような話をお聞きしておりますけれども、それすらも外されるということになったらどういうことになるのかということを、私、ちょっと想像するわけなんです。どんどんどんどん拡大していく。採算ということか、あるいは効率性とかコスト削減とか、いろんなことを考えて、どんどん路線の委託化ということを考えていくということになると、本当に都民の足を守るということが危うくなるというふうに私は思うんです。行き着くところはやはり利潤追求、それが目的化される、こういうことにならないようにしなくてはならない。これはいうまでもないと思うんです。
 そういう意味で、都民の足をしっかり守るという観点に立って、これからも取り組んでほしいし、安易な形で民託という、そういう路線に切りかえるというようなことはしないように、くれぐれも、何というか、注意を申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、地下鉄のホームさくの問題で二、三お聞きします。
 昨年も、決算の交通局関係でうちの議員が取り上げていますし、うちの場合、何回も繰り返し繰り返しこの問題を取り上げているわけですけれども、高速電車事業について、国土交通省のホームさく設置促進に関する検討委員会、こういうものがつくられて、検討してこられたわけですけれども、その検討結果によると、ホームからの転落要因ということで、これはいろいろと私、考えられると思うんです。ここにも書いてありますけれども、酔っぱらいがその半分だと、一言でいってね。そういうことになっているんですけれども、その中で重視してほしいと思うのが、視覚障害者の転落事故ですよね。これはアンケートの結果ということで、この検討委員会の報告には書いてあるんですけれども、約五〇%が転落の経験があると回答されているんです。私たちが直接、東京都の視覚障害者団体から、みずからアンケートをとった内容なんかもいろいろとお聞きしているんですが、そこでお聞きしますと、そのほとんどがその危険性というものを感じ取っている。いつも危ないというふうに思っておるわけですね。
 そういう点で、交通局の場合、転落件数とその原因についてはどのように考えているんでしょうか。

○市川電車部長 過去五年間の転落件数は、四線合計で二百四十一件でございました。その主たる転落原因は酔客によるもので百六十三件、六八%で、その大宗を占めてございます。そのほか、不注意、目まいによるものなどがございます。

○渡辺委員 確かに酔っぱらいが多いというのはわかるんですけどね。ただ、それだけで片づけるということじゃなくて、やはり安全策というものはとらなきゃならないということで、この転落事故についての対策についてはどうですか。

○市川電車部長 都営地下鉄は、お客様のホームからの転落事故を防止するため、ハード面では、誘導警告ブロックやホーム端固定さくの設置などを行い、ソフト面では、駅ホーム監視要員の配置、視覚障害者への案内及び職員による巡回などの対策を講じております。
 万一お客様が転落した場合は、列車を緊急停止させる列車緊急停止装置などを設置するとともに、その使い方を説明するポスターや設置場所の方向を示すサインを掲出しております。幸い、これまでのところ重大事故には至っておりません。

○渡辺委員 ホームさくの設置についての課題については、難しい、難しいという点での繰り返しになっているわけなんですが、設備面の課題とか輸送面の課題、既にさくがついている三田線を除く都営三線、これについての設備面とか、あるいは輸送面の課題というのはどういうものがあるんですか。

○斎藤参事 設備面の課題でございますけれども、相互直通運転を実施している浅草線、新宿線につきましては、乗り入れ車両を含めた全車両の信号保安設備や扉の数、編成の長さなどを統一することは極めて困難な状況でございます。大江戸線では、新たな周辺開発に伴いまして、大幅な乗客増が見込まれる駅がございまして、現在は当該駅の利用増対策を検討中の段階でございます。
 それから、輸送面での課題でございますけれども、都営地下鉄は運転時分に余裕がないために、ホームさく設置による停車時分の増加がそのまま運転時分の増加になってございます。その結果、輸送力が低下いたしまして、お客様サービスが低下いたします。輸送力を低下させない方策につきまして、技術的に検討することが必要だと考えております。

○渡辺委員 今お話にあったように、技術面で難しさがあるということは、私も全然わからないわけではない。そういうものをつけるということになると、見通しがきかないとか、あるいは、停車時間が長くなるとか、いろんことをいわれているんですけど、私は、そういう点でいえば、人命を守るというのが最優先だという点からいえば、それは理由にならないということだと思うんです。
 いずれにしましても、今後のホームさく設置の取り組みについてはどうなんでしょうか。これは私は、ぜひ検討委員会を交通局の中に立ち上げてほしい。そして、調査研究を積極的に進めて、一日も早く対応できるようにしていただきたいというふうに思うんですけれども、それはどうでしょうか。

○斎藤参事 平成十三年一月にJR東日本山手線の新大久保駅におきまして発生した人身事故を踏まえまして、平成十三年二月の関東運輸局長通達、プラットホームからの転落事故に対する安全対策についてということで通達が出まして、交通局では同月中に、ホームさく等設置に関する検討委員会を局内に発足いたしまして、現在まで検討してまいりました。今後とも、ホームさく設置の諸課題に対しまして検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

○渡辺委員 ぜひ積極的に足を踏み出していただきたいと思います。技術的に私は難しい点があるとお話ししましたけど、技術的な面というのは、今この高度に発達した社会の中で、それを改善できないということはあり得ないというふうに私は思うんです。ですから、局の姿勢、それにすべてかかるということだというふうに思います。したがって、それ以上いいませんけれども、今後一層この問題については努力をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思うんです。
 最後になりますけれども、今度は駅業務の外注化についてお伺いをいたしますが、この資料をいただきましたけれども、現在、十五の駅の外注化を行っておりますが、これらの駅の選定に当たって、どのような考え方に基づいて選定したのか、これをお聞きいたします。

○市川電車部長 外注駅の選定に当たりましては、終点駅や車庫所在地駅でないこと、恒常的に折り返しのある駅でないこと、駅務管理所を設置していない駅であること、一日当たりの乗車人員が三万人以下の駅であることなどを総合的に勘案して選定しております。

○渡辺委員 今のような話だと、この十五の駅にはとどまらないよね。もっともっとふえていっちゃうということになるんじゃないでしょうかね。
 いずれにしましても、そういう一つの基準を設けてやっているということなんだけど、これがもっともっとふえるということだけは明らかですね、今の話だけでも。安全面の対策ですけれども、本当に大丈夫なのかどうかという問題も一つはやっぱり心配するところなんです。これからの業務の外注化ということに対して、この考え方、先ほどいったように、一層さらに広げていくのかということについて、ちょっともう一回お聞かせ願いたい。

○市川電車部長 安全面の対策は大丈夫なのかというご質問でございますが、外注駅の駅係員には、当局係員と同様な研修や訓練を実施しており、駅係員としての十分な指導、教育を行っております。
 なお、運転取扱業務につきましては、従来どおり、当局職員である管理所長以下の駅務区長、助役によって行われるものでございます。
 また、異常時、緊急時となった場合は、外注駅の駅係員は、当局の助役の指揮の下に入り、対処することとなっており、安全には万全の措置を講じております。

○渡辺委員 今お話がありましたように、外注化するというけれども、一定の研修や訓練を行う、こういうことですけれども、外注化ということでは、やはり人が交代するということもあるわけですよね。ですから、そういう人も含めて全部そういうことになっているのかというと、必ずしもそうじゃないというふうに私は思うんですよ。だから、そういう点で、やはり安易に外注化するということについては、私はもう絶対すべきじゃないというふうに思うんです。
 いろいろ競争が激しくなるというような状況の中で、特に採算を重視する余り、人命というものが軽視されてはならないというふうに思いますし、どんどん外注化していくようでは、都の交通局としての任務そのものはどうなるんだということだって問われざるを得ないですよね。ですから、そういう意味では、どんどん外注化して、そして、助役だけ残す。全体として、駅長というのもいるでしょうけれども、助役を中心にして、あとはもう外注化。そういうのがどんどん、どんどん広がっていったら、交通局の皆さんの仕事というのは何になるのということですよね。
 だから、そういう点では、私は本当に首脳陣がしっかりしていかないと、今問題になっている指定管理者制度というのがあるわけだから、こういうものもやはり交通局に指定しろとか、そういう話が出てこないとも限らなくなるんです。そういうことになったら、東京都民の足を守る、これを最優先して今までやってきておるわけですから、本当にその辺はしっかりと踏まえて取り組んでいただきたいと思うし、ほしいですね。このことをひとつ強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。

○中屋委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十一分休憩

   午後二時五十一分開議

○中屋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○執印委員 それでは、平成十五年度の決算ということですので、まず、この十五年度が最終年だったチャレンジ二〇〇一について伺います。
 計画年度が終了して、達成状況はいかがだったのか。また、この三年間が次に反映されることが必要かと思いますので、チャレンジ二〇〇四への反映はどのようにされていくのかを伺います。

○斎藤参事 平成十三年度から十五年度までの経営計画、チャレンジ二〇〇一の実施状況でございますが、事業計画につきましては、地下鉄の信号設備の更新などの安全対策はもとより、エレベーターによる一ルートの整備や、ノンステップバスの導入などのバリアフリー対策やCNGバスの導入など環境対策を計画に沿って実施いたしました。
 効率化計画につきましては、駅業務の外注化などにより、計画どおり五百名の職員定数を削減いたしました。
 これらの実施による財政収支計画につきましては、地下鉄事業は、経常収支が計画より改善し、財政収支の目標を達成いたしました。自動車事業は、消費税込みのベースで経常収支は計画を三億円下回り、五億円の赤字と計画を若干下回りましたが、目標はほぼ達成いたしました。軌道及び電気事業につきましても目標を達成いたしました。
 これを踏まえまして、チャレンジ二〇〇四は、厳しい経営状況が続く中、引き続き経営の効率化を推進するとともに、安全管理、危機管理の強化やバリアフリーの推進、環境負荷低減への取り組みなど、利便性、快適性の向上や、より多様化、高度化するお客様ニーズへの対応など、一層高まる社会的要請にこたえるため、これらの課題に的確に対応させた計画でございます。

○執印委員 さまざま、経営の点でも、乗客の利便性の点でも進められているということだと思いますが、資料請求もさせていただきましたけれども、東京都では、男女平等参画のための東京都行動計画、チャンス&サポート東京プラン二〇〇二というのを策定して取り組んでおります。この計画とチャレンジ二〇〇一、二〇〇四との関係がどのように進められているのか。また、交通局では、チャンス&サポート東京プランに掲げた事業について、達成状況をどのようにチェックされているのかを伺います。

○斎藤参事 チャンス&サポート東京プラン二〇〇二では、子育てに対する支援の中で、交通局関係の事業につきまして、福祉型バス車両の導入、地下鉄にエレベーターの設置、だれでもトイレの整備を通じたベビーキープの設置の三項目を掲げてございまして、これらの事業は、いずれもチャレンジ二〇〇四におきまして計画的に取り組むべき事業と位置づけております。これらの事業につきましては、定期的に事業の進捗状況を確認するなど、適宜進行管理を行ってまいります。

○執印委員 それでは、これから先、ハード面でいろいろ整備してきた十五年度の事業が、きちんと都民のために生かされているかどうかの視点で伺っていきたいと思います。
 まず、だれでもトイレの整備状況と今後の計画について伺います。

○古川参事 車いす使用者を初めとして、どなたでもご利用できるだれでもトイレは、平成十五年度末現在、都営地下鉄全百六駅のうち九十一駅で整備を完了しております。今年度はさらに九駅、累計で百駅が完了する予定でございます。
 今後、チャレンジ二〇〇四の計画期間中に、すべての駅の整備を完了いたします。

○執印委員 もう少しで全駅整備ということだと思いますが、それまでの間、どのような形で利便性を図っていくかという問題があると思いますが、ここでは、男子用トイレのベビーチェアについて伺いたいと思います。
 朝、若いパパが子ども一人をおんぶして、もう一人の手を引いて保育園へ向かう姿というのも目にするようになりました。大変時代がきちんと変わっているんだなというふうに思うわけですが、東京都の福祉のまちづくり条例の整備マニュアルでは、男子用トイレにもベビーチェアを設置することというふうにしておりますけれども、現在の整備状況はいかがでしょうか。また、今後の方針もあわせてお話しいただきたいと思います。

○古川参事 都営地下鉄では、ベビーチェアよりも高機能なベビーシートを備えただれでもトイレの早期整備を進めており、できるだけこちらを利用していただくよう考えてございます。
 一方、お客様サービスの向上の一環といたしまして、トイレのリニューアル工事を進めております。その際、スペースの余裕がある場合には、男子トイレ、女子トイレ、それぞれにベビーチェアを設置してまいります。これまで、女子トイレでは六十三駅、また、男子トイレでは六駅設置をしております。

○執印委員 この質問に関しては、三年前の決算委員会でも実は指摘をさせていただいております。そのときは、だれでもトイレの推進ということがまずあるということと、ベビーチェアは女性トイレに補助的につけるもので、男子トイレは研究の課題だというお答えでした。福祉のまちづくりのマニュアルに入ったということもあるのかもしれませんが、また、数は女性トイレの十分の一ということですけれども、取り組みについては評価をしたいと思いますし、今後もご努力をしていただきたいと思います。
 次に、だれでもトイレ、それから、ベビーチェアはついているわけですけれども、先日の新聞にこのような投書がございました。少し時間をいただきまして、読み上げさせていただきたいと思います。十月十五日の朝日新聞です。この方は千葉県の女性の方です。
 我が家には小学三年生の車いすの息子がいます。その子を通して日々いろいろなことが見えてきます。今とても困っていることは、トイレの問題です。まだ排泄の自立が出来ていないのでオムツを使用していますが、外出した時に息子のオムツを換える場所がほとんどありません。
 最近では公共施設やホテル、行楽地など、どこへ行っても車いす用のトイレが普及しています。しかし残念ながらベッド付きのトイレはほとんど見あたりません。広いスペースの障害者用トイレなのにベッドがないために息子を横たわらせることが出来ないのです。
 小学三年生となった今ではベビーベッドでは狭すぎます。不衛生とわかっていても空いたスペースにレジャーシートを敷いたり、便座のふたの上を使用したりして、オムツ換えをしたこともありました。しかし、何時間も交換せずに帰って来ることがほとんどです。
 施設を管理される方々には、このように切実に障害者用トイレに大きなベッドを必要としている障害児、障害者がいることを心のどこかにとどめておいてほしいと思います。
という、そういう投書でございました。
 これを読みまして、本当に人間にとって、排泄するということは人間の尊厳にかかわる問題というふうに思いますが、このような方は--この方は千葉県の方でしたけれども、当然東京都にもいらっしゃるわけでございまして、ベビーシートを使えない障害児や障害者の方のためのおむつかえのベッドの整備ということについては、どのようにお考えでしょうか。

○古川参事 現在のだれでもトイレでございますけれども、地下鉄駅構内の極めて限られた空間の中で整備しております。また、だれでもトイレには、車いす用の便器、あるいは手すり、手洗い器、ベビーシート、オストメート対応の設備など、多様な機能を備えており、スペース的には、新たな設備を導入することは非常に難しいというふうに考えております。しかし、今後検討の課題とさせていただきたいと思います。

○執印委員 今、検討課題ということでございますので、前回、ベビーシートについては研究課題だったんですけれども、進めていただいていることを考えますと、検討課題ですから、進めていただけるものだというふうに期待をしております。
 普通に考えれば、だれでも、今のベビーシートをもう少し大きくして、技術もいろいろ進んでいることですから、大きくできるような方法を企業の方にも考え出してもらって、それが一つの例えば中小企業の仕事になるというような発想もあってもいいのではないかというふうに思いますので、その点からもぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 もう一つ質問があるわけですけれども、先ほどの記事の方もおっしゃっていたように、トイレのシートとか便器の上で実際にはおむつをかえているということです。ぜひ皆さんに想像していただきたいんですけれども、自分の子どものおむつをかえるということを想像していただいて、それがトイレの床の上にシートだったり、それから便座の上だったりということを想像していただくと、この問題がわかるかというふうに思うんですが、どんなふうにお感じになるでしょうか。親でしたら、背中が痛いだろうとか、それから、窮屈だろうというふうに、ふびんに思うのが普通だというふうに思います。
 それで、私も子育てしながら、今はどうかわかりませんけど、新幹線にベビーベッドがなくて大変困りまして、車掌さんにいうと、シートなどを貸してくれるわけですね。車掌さんがいらっしゃるところのシートだったと思うんですけれども、そんなことがありまして、大変よかったな、ありがたかったなという記憶もあるわけですが、やはり公共交通、公営企業でございますので、利用者にせつない思いをさせないというのが最低限の公がやっている交通の責任だというふうに考えます。
 今、検討課題としますということで、ご答弁をいただいたわけですが、今困っている人にはそれでは対応できませんので、代替の措置として、都営地下鉄ではどのようなことが考えられるのかをお聞きしたいと思います。

○市川電車部長 お客様からのお申し出があれば、各駅には急病人用のベッドが備えられておりますので、このベッドをおむつがえのために利用することは可能でございます。

○執印委員 それで、そのような配慮をしていただくという気持ちが、都営交通、都営地下鉄の方にあったとしても、なかなかいい出せないということもあるし、利用したい側が思いつかないということもあるのではないかというふうに思います。
 私は、トイレの前にそういった案内を出すのが一番いいんじゃないかというふうに考えているんですが、これまでのやりとりの中では、いろいろ駅に張るものはたくさんはんらんしているので減らすというようなご説明もあったわけですけれども、先ほど来、必要な案内板は出すというご回答もございましたので、ぜひそういった必要な人に一番届く方法で案内をしていただきたいというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○市川電車部長 ただいま先生からご要望のありましたことにつきましては、先ほど先生の方から申されましたように、現在、駅の表示の内容につきまして全面的な検討をやっているところでございます。その中で検討をさせていただきたいと思います。

○執印委員 繰り返しますけれども、排泄の問題は人間の尊厳の問題ですので、ほかのもの、いろいろ必要なものもあるでしょうけれども、ぜひ優先してお願いしたいというふうに思います。
 次に、地下鉄のエレベーターの設置の現状と今後の対応については、資料でいただいてもおりますので、十五年度が八駅で十二基のエレベーターを設置して、年度末累計で六十七駅に百三十六基のエレベーターが設置をされているということ、それから、二十二年度までに地下鉄の全駅でエレベーターを設置するように取り組んでいくということを踏まえさせていただきまして、少し具体的になりますけれども、先日、ある車いすの利用者から、新宿西口駅のエレベーターが、店が閉まる時間に使えなくなってしまうという苦情を受けました。
 それで、その件を交通局に伺いましたところ、そのエレベーターというのは、地下鉄の通路に接するビルが持っているもので、結果として駅の利用者が使っているだけであって、地下鉄が近隣のビルの方とご相談して契約をして使っているエレベーターは、別の位置にあるという説明だったわけです。
 そういうふうにエレベーターが別にあるというご説明だったわけですけれども、それももう一回確認しましたところ、そこも実はあいていなかったというふうに車いすの利用者の方はおっしゃっているんです。ご説明では、地下鉄が話し合って使わせていただいているエレベーターは、都営地下鉄が営業している時間は必ず運行しているというご説明でしたけれども、車いす利用者の方は、そこもあいていなかったというふうにおっしゃっているわけなんですね。
 ですから、定期的な調査といいますか、本当にそこを約束どおり動かしていただいているかどうかの調査というのがあるのかどうか、まず伺いたいと思います。

○市川電車部長 まず、ご指摘のエレベーターについてでございます。これは具体的には新宿西口駅でございますけれども、こちらにつきましては、駅に接続している民間ビルのものがございます。こちらにつきましては、そちらのビルの営業時間内に利用が限られてございます。
 そして、私どもの新宿西口駅では、他のビルにおいて一ルートを確保してございまして、駅の方といたしましてはこちらをご案内しております。お尋ねの、こちらのエレベーターが営業時間内あいていなかったということにつきましては、早速調査させていただきたい、そういうふうに思っております。

○執印委員 調査をしていただくということと、大きい駅ですから、逆にすごくわかりにくくて、いろいろな表示を出していただいても、本当にわかりにくいということがあるのかもしれないんですが、私の質問の趣旨といいますのは、都営地下鉄の方も一生懸命いろいろ便宜を図っているにもかかわらず、それが必要な方のところに届いていないということが問題だと思いますので、その点について、どういう形でか当事者にうまく伝わる方法というのを探っていただきたいわけなんですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。

○市川電車部長 必要な方に必要な情報が伝わっていない、したがって、伝えるようにしていただきたいというご質問でございますけれども、交通局といたしましては、障害者団体の方々などと定期的に会合などをして、そちらと意見交換などをやっておるところでございます。
 したがいまして、そのような団体に入っていない方がいらっしゃるのであるならば、私どもに直接来ていただいて、聞いていただいて、私どもでご案内してきたい、そういうふうに思っております。

○執印委員 ぜひよろしくお願いします。
 それでは、次にバスの関係で、ノンステップバスの問題を質問させていただきたいというふうに思います。
 現在で五百九十台というふうに資料を見させていただいておりますが、まず、このノンステップバスの定義、目的をお伺いしたいと思います。

○遠藤自動車部長 ノンステップバスの定義でございますけれども、ノンステップバスは、乗降口や通路の床面に段差がなく、だれもが楽に乗りおりできる機能を備えたバスのことでございます。
 このバスは、床下の機材を主に車両の後方部分に集中させることで、床を地上から約三十センチメートルと低くしてございます。また、乗降口の階段部分をなくしただけではございませんで、空気圧で車体を下げる車高調整装置、いわゆるニーリング装置をつけまして、さらに車体を約七センチメートルほど下げることができる構造となっております。このように、床の高さを低くすることで、お年寄りや体の不自由な方だけでなく、どなたでも乗りおりが楽にできるバスとなっております。

○執印委員 今ご説明をいただきまして、だれでも乗りおりが楽ということだそうですけれども、しかし、道路のところというのは、歩道部のL字型というんですか、あれがありますので、正しく停留所にとめていただかないといけないと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○遠藤自動車部長 ノンステップバスに限らずに、すべてのバスにつきまして、停留所に停車する際には、バスの乗降口を停留所の位置に合わせ、道路の左側端に正しく停車させた後、お客様の乗降の取り扱いをすることとしております。
 しかし、都内のバスの走行環境は厳しいところもございまして、停留所によりましては、駐車車両等があって、正しくとめられないケースもございます。このため、交通局といたしましては、停留所位置の変更、それから、停留所のアクセス表示、ガードレールの切り開きを実施いたしますとともに、道路管理者等に要望いたしまして、歩道段差の切り下げを行うなどの整備改善に努めております。
 なお、駐車車両等がございまして、やむを得ず停留所にきちんとつけられない場合につきましては、車両の前後の交通の安全を確認し、なおかつ、お客様にマイクで案内をしまして、お客様の乗降の取り扱いをするように指導しているところでございます。

○執印委員 今いろいろ建築的にも見直しをされているということもお話しいただいたわけですが、私も結構都バスもほかのバスも乗るわけですけれども、このノンステップバスに一度乗りましたところ、雨の日だったんですけれども、バス停というか、歩道部L字型というんですか、そこから少し離れておりまして、三十センチくらい、もうちょっとあったかと思うんですけれども、ちょっとぽんと飛ばないと、おりられないような感じだったんです。雨の日ですから、床はぬれていますし、危ないなと思ったのと、私はそういうふうに対応できますけれども、高齢者の方とか、ちょっと足が不自由な方は、これでは一回水たまりにおりないと歩道部に乗れないなという感じだったわけなんです。
 それで、これだけ税金もかけてバスの整備をしていただいているんですけれども、もう少し研修を、都バスの場合も力を入れてやっていただく必要があるかと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。

○遠藤自動車部長 これまでも私どもといたしましては、乗務員に対しまして、運行管理者等が各営業所におきまして実施している点呼指導、それから、掲示等によりまして、停留所へ正しく停車し、お客様の乗りおりの取り扱いをするよう指導を行ってきたところでございます。
 ノンステップバスの機能を十分に発揮していない乗務員に対しましては、本局及び営業所職員によりまして添乗調査、それから、職場内研修を行う等によりまして、個別に厳しく指導、教育を徹底してまいりたいと考えております。
 今後とも、お年寄りや体の不自由なお客様が、安全に安心して都営バスをご利用いただけるように努めてまいりたいと考えております。

○執印委員 ぜひ整備にかけたお金が生きるような形で職員研修をお願いしたいというふうに思います。
 次に、チャンス&サポートの資料を請求させていただいたんですが、この際、男女平等という観点から、女性の採用及び執務環境等について質問させていただきたいというふうに思います。
 時折、私鉄などで見かけますけれども、女性の運転士さんとか車掌さんの人数や割合はどのようになっているのか。民間との比較ではどうか。また、これまで男性が多い職場だったと思いますので、女性が配属されるについてはさまざまな整えが必要だったというふうに思いますので、その点に関してどのように対応されているのか、お伺いいたします。

○坂上職員部長 平成十五年度末の女性職員数でございますが、地下鉄運転が一名、車掌が一名、路面運転が一名、バス運転が八名となっており、女性職員全体では百四十八名ということでございまして、職員全体六千八百四十四名でございますが、それに対する割合は二・二%という形になってございます。
 次に、民間事業者との比較についてということでございますが、一概に今申し上げるということはできないわけでございますが、いわゆる運輸事業の職場の実態等を踏まえてまいりますと、私どもと大きな差はないものかなというふうに考えているところでございます。
 また、施設面のご質問でございますが、これまでも、更衣室やトイレに加えまして、休憩室等を逐次整備をしてまいってきたところでございます。今後につきましても、女性職員数の推移等を見ながら、必要に応じて整備をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○執印委員 私も、ある私鉄の八王子管内の今の女性の職員の数字、聞き取りですから、きちんと企業が発表した数字ということではないんですけれども、そんなに間違っていない数字だというふうに思っているんですが、そこは四千三百人のうちに運転手が一人、それから、車掌さんはちょっと多くて、四千三百人のうち三十二人いるんだそうですね。
 先ほど、民間とそんなに違わないというようなお話もございましたけれども、車掌さんが運転手さんへ行くプロセスというんですかね、そういうふうに伺っておりますので、女性が働きやすい環境をつくって、もちろんご本人の意思もあるとは思いますけれども、女性もこれまでは行きにくい職場というようなこと、もしくは、女性が余りやらない職場というようなイメージだったんだというふうに思いますが、ぜひさまざまな整えをしていただいて進めていただきたいというふうに思います。
 あわせて、そういった女性が働く場所の環境の整備の一環としても、それから乗客の視点からも、車内広告について一点伺っておきたいというふうに思います。
 これは青少年の健全育成の議論のときにも、ほかの議員の方からも、車内広告でも随分どぎついのがあって、とても目を覆うようなときもあると。これは何とかならないかというようなご質問があったように思いますが、私、都営地下鉄に乗ったときには改善されているようには思うわけです。昔に比べればですね。ただ、やはり女性を商品化するような広告というのはまだあるかなというふうに思うわけですが、この種の広告の掲出に当たっては、どのような審査をしているのかを伺います。

○泉本資産運用部長 都営地下鉄に掲出する広告の審査についてですが、交通局広告取扱要綱や、関東地区の鉄道十一社が加盟いたします関東交通広告協議会が定める審査判断基準に基づいて行っております。
 性に関する表現につきましては、露骨または挑発的なもの、男女の別なく不快の念をもたらす表現、児童や未成年の性行動に関する表現などを掲出しないことにしております。

○執印委員 今基準があって、それに沿ってやっているということでしたけれども、これは審査をする方が男性、女性、どのようにいらっしゃるのか。また、広告を不適切と判断して掲載しない例というのは年間どれくらいあるものなのかを伺います。

○泉本資産運用部長 審査の体制につきましては、私ども資産運用部の担当課がやっておりまして、そこには男性、女性ともにおります。
 また、審査の段階で表現が適当でないと判断した場合には、広告主に修正をお願いいたしまして、適切な表現に修正されたものを掲出しております。都営地下鉄の中つり広告の場合、年間約四千件の審査を行っておりますけれども、性に関する表現について、修正の要請に広告主が応じないで掲出しなかった例はございません。

○執印委員 こういうものについては、表現の自由というふうにおっしゃいましたけれども--おっしゃっていないですか。表現の自由との関係もあって、なかなか難しいと思いますけれども、一つは女性の人権の問題という尺度を持つということと、それと、子どもと大人がすみ分けるという尺度を持ってやっていただかないと、こういったところを入り口にして、都が願わないところは切られるということになっても困るんですけれども、今の尺度というのを大事にしてやっていただきたいというふうに思います。
 それでは、最後のくくりの質問になりますが、災害対策についてお伺いいたします。
 私は市部に暮らしておりますけれども、皆さん、都営地下鉄など乗ると、深くてすごく怖いというお話をよく聞くんですね。何かあったら困るという、そういうお話なんですけれども、都営地下鉄で一番深い駅は六本木駅で、約四十二メートルの深さで、ビルでいえば六階建てに相当するというふうに伺っておりますが、昨年、決算委員会で、災害時にエスカレーターがとまっても、ラッシュ時に九分くらいで地上に出られるというふうなご質疑があったと読みましたが、この九分というのがどのように導き出された時間なのかを伺いたいと思います。

○古川参事 避難時間についてのご質問でございますけれども、これにつきましては、国土交通省の火災対策基準の根拠となった理論式をもとに算出したものでございます。具体的には、その建物内の位置、経路などになれていない一般の人が避難する速度を水平地で毎秒一メートル、階段で毎秒〇・五メートルとして、実際の駅のホームから地上までの避難距離を計測し、避難時間を算出いたしまして、さらには、改札口や階段など避難路の幅員が狭まることによる避難者のラッシュ時の滞留も考慮して導き出したものでございます。

○執印委員 この質問をするに当たって、何かしら実踏のようなものがあって、それで出したのかと思ったんですけれども、理論的なものであるということで、恐らく大人で健康といいますか、車いすを利用しているというような状況じゃなく算出されているものだというふうに思います。
 それで、続けまして、この六本木駅のピーク時の駅利用者というのはどのくらい見込んでいるのかということと、そのときの人員体制がどのようになっているのかを伺います。

○市川電車部長 六本木駅の平日の一日当たりの乗降人員は、十五年度実績で七万七千人のお客様にご利用いただいております。このうち朝八時から九時のピーク時には、一万一千人程度のお客様の乗降がございます。
 また、六本木駅の体制についてでございますが、助役二名、鉄道営業六名の合計八名で勤務しております。

○執印委員 今お答えいただきまして、子どもとか妊婦とか高齢者の実態に合った時間算出ではないこととか、一度に一万一千人が駅の中にいるということじゃないともちろん思いますけれども、相当な人数を八人の職員で、ピーク時に何かあれば誘導するということなどが考えられるわけで、消防もそれなりに早く来てくれるんだとは思うんですけれども、大変な状況であろうということは想定されるわけです。そこで、災害時の避難訓練がどのように行われているのか伺います。

○中村参事 都営地下鉄では、直下型地震や東海地震を想定した東京都総合防災訓練に参加いたしまして、減速運転訓練やお客様の避難誘導訓練などを内容とする訓練を毎年実施してございます。
 また、駅部門、運転部門、保守部門などが合同し、お客様の救出誘導訓練、施設復旧訓練などを内容といたします異常時総合訓練を毎年実施してございます。
 さらに、都営地下鉄の各駅では、異常時対応マニュアルによる避難誘導訓練や、警察、消防と連携いたしました各種訓練を実施しております。

○執印委員 防災の日などでは、都民を巻き込んだ訓練が行われておりまして、実際には現実的な訓練というか、訓練のために人が集まるというようなところがありますので、それがどれぐらい生きるのかということは指摘をされてもおりますけれども、しかし、例えば一度そこを通っておくとか、人がいっぱいになってエスカレーターがとまって、人だまりというんですか、できて、なかなか上がれないというような状態を都民が訓練しておく、体験をしておくということは非常に必要なことだと思います。都営地下鉄でも都民参加の訓練を行うべきだというふうに思いますが、今の状況と今後のお考えについて伺います。

○中村参事 都営地下鉄は、平成十五年十一月十四日及び平成十六年の三月七日に、都営新宿線の篠崎駅におきまして、地域の自治会及び小学校と連携いたしました避難誘導訓練を実施してございます。
 また、本年の九月一日の防災の日に、都営浅草線浅草駅で行われました東京都、台東区、墨田区、荒川区との合同訓練におきましても、地域のボランティアの方々と共同で避難誘導訓練を実施してございます。
 今後も地域の方々と一体となった訓練を実施してまいります。

○執印委員 地下鉄でも少し行われているようですけれども、やはり一番深い駅ということで、そこを利用している側はまたちょっと違う恐怖感というか、あると思いますので、ぜひこういった駅でも訓練ができるようにご検討していただきたいというふうに思います。
 最後に、いろいろご指摘、またお願いをさせていただきましたけれども、ぜひ公営企業であるということに誇りを持つとともに、他の公共交通の先頭に立つんだという気概を持って、ソフト面の対応を深めていただきたいというふうに思います。
 具体的にいろいろお願いをさせていただきましたので、また次回のときには、それが進んでいるようにということをぜひよろしくお願いいたします。
 終わります。

○和田委員 それでは私は、まず初めに都バスに乗って非常口のところで座ります。その後その都バスをおりて、地下鉄のバリアフリーのエレベーターでおります。さらに、そのホームを通って地下鉄の売店で品物を買い、さらに、女子高校生などを中心にした女性の痴漢犯罪被害などについて調べていきたいというふうに、以上、四つの課題について次々と質問をいたしますので、手際よくお答えいただきたいと思います。
 さて、今私どもが決算をしておりますこの都営交通でありますが、チャレンジ二〇〇一の最終年度に当たりまして、これを受けて、ことしの三月、二〇〇四が決まりました。その関連性、ただいま出ましたけれども、私たちは年を経るごとに、いろんな意味での財政の改善も含め行われてきているということを実感してまいりました。
 それが証拠には、このチャレンジ二〇〇四では、財政収支計画をこういうふうにいっているんですね。四つの事業があります。その中で、鉄道の事業については経常収支の改善を図る。同じく自動車事業についても経常収支の改善を図る。より改善を図るという意味で、前向きな形での目標を掲げられています。それから、軌道事業については経常収支の均衡を図る。事実上、十五年度で見ると、ほとんどもう均衡しているんですけれども、それをさらに前進させようという意気込みがここで見られます。最後の電気事業については、これは全く均衡しているわけでありますから、経常収支の均衡を維持するというふうに、四つの事業がそれぞれ、チャレンジ二〇〇四では、向こう三カ年間こういう目標でいきますよという形での積極性をここに示しているわけでありまして、私どもはこれを高く評価をしていきたいと思うんです。
 そういうことの前提に立って、平成十五年度の都バスにかかわる非常口、いわゆる三菱ふそうの事件なども含め検討していきたいと思うんです。
 この平成十五年度は、私の調査でも都バス一千五百台ありますけれども、そこでは一台も転倒事故は起こっておりません。そういうことを前提に、しかしながら、大阪で十月の六日に残念ながら直近の事故が起こりました。
 それを図にしてみますと、こういう形になるわけであります。(パネルを示す)バスが、これが進行方向だとすると、左側なんですけれども、そこに一番後ろに人が乗っておりまして、この非常口のところでは、ここが非常口ですから、ぐっと上に上がって、人がここから出れるようにならなきゃなりません。したがって、ここは前はとまっているんですけど、上はぴこっと上がらなきゃなりません。これが弱かったために、ここにぶつかり、この方が連鎖してぶつかって事故になったというのが、いわゆる三菱ふそうの事故なのです。
 しかしながら、私も十八日には渋谷の営業所に行って、三菱社製と、それから日野製を見ました。それから、きょうは北車庫、北区に行って、日産系の同じような非常口のわきの座席を見てまいりましたが、それぞれ手法は違うのでありますけれども、やはりここに一つ何か問題点があるというふうに私は思いますものですから、この機会に交通局で答えられるものであれば答えていただきたいというふうに思うんです。
 さて、資料要求をさせていただいた、国交省から日本バス協会にあてた文書というのがあります。これは十月七日に出されたものでして、実際の事故は十月の六日に大阪で起こっておりました。そこではバスの可倒式、前に倒せる座席の緊急安全対策として、国交省は全国のバス協会に、こういうふうにしなさいよというふうな指示を出しているんです。
 それから、もう一枚の資料では、リコールの届け出一覧表ということで、これは三菱ふそう側から出されたものがあります。
 これらをつぶさに見ていくと、私どもが考えている疑問点がはっきりするわけでありますけれども、まず、当局では、大阪で起こったこの三菱社製のバスの事故、これを同じバス--一千五百台保有して、なおかつ、資料でもありましたとおり、三菱ふそう社製を随分持っているわけですから、七十七台あるわけでありますけれども、どういうふうにしてこの事故を考えているのかということをお伺いしたいと思います。

○遠藤自動車部長 このたび大阪市交通局で発生いたしました、三菱製バス車両の非常口横の可倒式座席の事故につきましては、交通局で、私どもでも三菱製バス車両を導入していることから、重大に受けとめまして、事故の情報を入手した翌日には、当局の自動車営業所の整備担当職員及び自動車工場の職員が、三菱製以外の車両も含めまして、在籍する全車両について一斉総点検を実施して、安全性の再確認を行ったところでございます。
 この点検の結果ですが、大阪市交通局と同様の事故に結びつくような異常は発見されておりませんでした。

○和田委員 それで、確かに私も調査したところ、ありませんでしたが、しかしながら、私が指摘をしたいのは、国交省は、道路運送車両法、これは昭和二十六年に制定されたものでありますけれども、そこで自動車の保安基準というものを決めています。バスの保安基準というのを決めているんですが、それによると、この非常口付近にある座席は、脱出の妨げとならないように、容易に取り外し、または折り畳むことができる構造であることという一項目が、その保安基準に書かれているだけなんです。
 ということは、この座席というのは、結局取り外すことだけができればいい、固定することは義務づけられていないというふうにも受けとめられるんですね。したがって、例えばこの座席はあるときは、普通、通常の運行をしているときには、きちっと微動だに動かないような役目をしなきゃならない。しかし、一たび火災があったり何かしたときには、すぐにこの非常口から、(パネルを示す)ここから人が出なきゃなりませんから、すぐここのピンというんですが、これを外さなければならない。
 この座席はあるときは強固に、あるときは極めて敏感にこのピンがはね上がって脱出しなきゃならないという、二つの役目をこのピンというのはしょうわけですね。それで、その道路運送車両法では、ただ単に、非常口付近にある座席は、脱出の妨げとならないように、容易に取り外し、また折り畳むことができるようにしなきゃいかぬということだけなんです。したがって、固定しろとは書いていない。
 ですから、そこの交通局にも出された資料の中にもあるんですけれども、(パネルを示す)いわゆる非常口の扉の内側にこういう板がついていまして、それがこのわきにきちっと入って、そして、ふだんはこれが緩がないような固定がしてあるんですけれども、これを転倒防止金具というんですが、これは義務づけられていません。義務づけられていないで、いつでも外せることだけを考えて、道路運送車両法はそういうふうに決められているわけですね。
 ですから、今回のこの改善策を--リコールされた三菱ふそうが国交省に出したリコール一覧表の中にもこういうふうに書いてあります。バスの非常口横の前転倒式座席において、座席を固定するピンの保持が弱いため、また、転倒防止金具の取りつけばらつきにより、ひっかかりが不足しているものがある。そのために、急ブレーキにより乗客が後方より当該座席に倒れかかると、ヒンジという、このいすの固定が外れて、最悪の場合、座席が転倒するおそれがあるというふうに書かれています。
 改善措置の内容がここであるんですけれども、全車両非常口の横の、(パネルを示す)ここですね。座席を点検し、対象となる座席において転倒防止金具がない車両は転倒防止金具を追加する、こうなっている。義務じゃないんですね。ないのもあったわけです。今までなかったものが、これをしっかり、転倒防止金具でこのいすを押さえるように追加しなさいよと。
 そしてまた、転倒防止金具がある車両は、転倒防止金具のかかりぐあい、これはかみ合いですね。それを点検し、かかり代が不足している場合、溶接などをしてかかり代を適正に、しっかりこのはりに食い込むようにしなさいよということが、業者側、いわゆる三菱ふそう側から国交省に、そうしますというふうに出てきているわけです。
 要するに僕が申し上げたいのは、国交省の方の安全基準の中に、固定をする、この転倒防止金具というのを義務づけていなかったために、業者はつけなくてもいいという自由裁量もあり、つけてもつけなくてもいいよというような自由判断で、今回のような事故が起こってきたんではないかなというのが僕の結論なのです。
 したがって、もちろん業者にも責任があることは否めませんけれども、国交省の昭和二十六年に定められたこの安全基準そのものが、このような事故がいっぱい起こってきながらも、全然改善されずにそのまま残存されていたということが、大きな原因の一つに考えられるというふうに思うんです。これについて当局の感想がもしあれば、お伺いいたしたいと思うんです。

○遠藤自動車部長 私どもで使用するバス車両につきましては、平均十二年ほどの長期にわたって使用しております。私どもといたしましては、経年の変化などによりまして、座席の固定力が弱まることもあるんではないかと考慮し、転倒防止の措置を講ずるため、すべてのバス車両につきまして転倒防止金具を設置するとともに、定期の点検整備におきましても、座席の固定力等について確認を行っているところでございます。

○和田委員 このバスの非常口については、私どもは貴重な経験をしているんですね。昭和五十五年と記憶するんですが、京王バスが新宿でガソリンを車内にまかれて、七人が死亡、二十人近い人が重軽傷、重体になって、大きなバスの延焼事故がありました。
 そのとき、もしもこの非常口が開かれていれば、それだけの事故になったのかどうなのかなという、そういう気持ちもあります。したがって、この非常口の取り扱いというのは、あるときは簡単にあいちゃいけませんけれども、あるときは簡単にあかなければいけないという二つの機能を、相反するものを持っている場所がこの非常口であり、この前の座席なんですね。
 そういうことの意識を、当局はもとよりそうですけれども、国交省なども、ここは固定するべき転倒防止金具を義務づけていなかった。そして、先ほど申し上げた車両法の保安基準のところでは、自由に容易にこれが前に出ていくことだけを強調してきたというところに、今回のように、どん突きゲームで前へ行ってしまうというような残念な事故が起こってきている。
 それに加えて、四つの主要バス会社は、それぞれ転倒防止金具を国が決めなくても自分たちのアイデアで、もうつけ始めています。したがって、私は余分なことなのですけれども、三つの会社の同じ非常口横の座席を見てきましたけれども、取り組み方は違うんだけれども、なぜ三菱ふそうだけに事故が多発するのかというのは疑問です。ほとんど同じような転倒防止金具の機能でいながら、なぜ三菱だけなのか。これは僕は探偵でもありませんし、スリラー作家じゃないからいいませんけれども、少なくとも奇態なことだなという印象だけは申し上げておきたいというふうに思います。
 さて、次でありますけれども、この事故後、同種の七十七台、三菱ふそうの車はありましたけれども、この形のリコール対象となった車について、当局はどういうふうに時間を含め対応されたのか、時系列的に対応策をご説明いただきたいと思います。

○遠藤自動車部長 十月七日には国土交通省から、座席使用の見合わせ等の措置をとるよう、バス事業者に対しまして文書が出されたことから、交通局といたしましては、メーカーによる改善措置が完了するまで、一つは、非常口横の可倒式座席及びその後部座席の計四席につきまして、使用中止としました。
 また、過ってお客様が当該の座席に着席しないよう、ビニールテープにより隔離を行いました。
 また、お客様への周知といたしまして、座席使用中止の張り紙、乗務員によるマイク放送の実施等の対策を講じたところでございます。
 なお、十月十二日からメーカーがリコールに基づく点検及び改修を実施してまいりまして、十月十八日にすべての点検、改修が終了しております。

○和田委員 私はそのことにもちょっと注文をつけたいんですが、結局、先ほどから申し上げているとおり、極めて簡単な構造なんですよ。だから、大阪で事件があったからといって、同種のものを何も調べないで、ただ何でもいいからベルトをかけちゃえ、テープを張っちゃって立入禁止というのは、余りにも稚拙ではないんですか。
 もっと具体的に一台一台の車両を見て、それで--簡単なんですから。(パネルを示す)ここが上がるか、転倒防止金具がつかないかだけなんだもの。ほかのところの理由は何もない。それなのに、何で付和雷同して、大阪がそうだから、じゃ、同じ種類のやつは全部やめにしちゃいましょうというふうになるのか。
 確かに国交省は、自分たちが転倒防止金具を義務づけしないかわり、事故が起こったからといってバス協会に通達を出しましたよね、緊急通達を。これは、自分の今までの転倒防止金具の措置をごまかすためにといってもいいくらいに、バス協会に何とかしなさいと、こういってきた。それを受けて、当局の方もですよ、右から左に、じゃ、これをテープで張って近づかないでください。余りにも原因に対して追及の姿勢というのがなさ過ぎるんじゃないかと私は思うんですよ。
 周りが動いたからそうじゃなくて、簡単なんだから、理由は。二カ所ポイントを締めれば、もう全然動かないいすなんだもの。そういうことも含め、安易に--別に僕は三菱ふそうを擁護するわけじゃないんですよ。だけど、原因が簡単なところから出ているとなれば、それをいかにおさめることによって都民の不安を静めるかということが大事なんで、テープを張ったって、まだまだここは改善されていないよということにすぎないじゃないですか。
 テープを張ること以上に、ここは安全なんですよと独自の安全宣言を東京都が出すぐらいの信頼性を保たなければいけないというふうに、私は強くそういうふうに思うんで、今の経過については、それはわかるんだけれども、その中身については、もっともっと自信を持って、一千五百台扱って、何十年も一般車両を動かしてきているノウハウがあるわけですから、どこにポイントがあるかという話をきちっと東京都なりに出していくべきだというふうに、私は強くそのことは指摘をしておきたいと思うんです。
 さてそれで、日常、私、渋谷に行き、また北車庫に行って、作業をする人をよく見てきましたけれども、極めて精緻な安全確保をしていると思うんですが、それについて、具体的に東京都の交通局の姿勢についてお答えいただきたいと思います。

○遠藤自動車部長 交通局では、整備担当職員が、道路運送車両法で定められております日常点検や三カ月ごとの定期点検整備に加えまして、一カ月ごとに局としての自主点検整備を実施しております。日ごろからバス車両の適切な保守管理に努めているという状況でございます。

○和田委員 私、渋谷に行ったときもそうでしたけど、一台一台、座席をこう押したりして、がたついていないかなとか、あるいは、さび、都民の方の雨のときに使ったりした傘からの滴で鉄がさびていないかなということで、極めて丁寧に見ているところを私も立ち会いましたけれども、それほどまでに東京都の交通局の働く人たちは一生懸命やっているんですね。だから、事故が起こってこないし、事故を未然に防げる。
 現場の声を聞くと、大阪を批判するわけじゃないんだけれども、日ごろ自分たちの扱う車にいかに愛着心を持って、さわったり、たたいたり、音の変化だとか、あるいは、タイヤなどについても摩耗はどうなんだろうかということで、本当に自分の自家用車のように愛情込めて交通局の人たちはやっているわけですよ。
 それがゆえに事故などは起きないし、お客様にも不愉快の念をだんだん少なくしているんですよということを聞くと、もっとその現場の声を受けて、この処置についても毅然として、大阪はそうだけど、東京は大丈夫ですよと。一千五百台、とりわけ七十七台の対象車については大丈夫ですよというくらいの安全宣言をいち早く出せるくらいに積極性を持っていただきたいというふうに、私は重ねて申し上げておきたいと思うんです。
 それから、このバスの問題で、最後のお話、質問をしたいと思うんですが、私のところに取り寄せた資料では、十八営業所があります。品川、渋谷、新宿、それから深川までですね。その中で、それぞれ保有しているいすゞ、日野、三菱、日産というバス四社、大手四社ですが、これを見ると、奇態なことがわかるんです。
 例えば品川は、いすゞはゼロです。日産はゼロです。日野が百七十七台、三菱が四台。二社ですね。それも日野に偏っています。それから、渋谷を見ましょう。渋谷もいすゞゼロ、日産ゼロです。日野が二十五、三菱が九十三。これは三菱に偏っていますね。そして、小滝橋を見ると、いすゞ四十八、日野二十、三菱と日産はありません。そして、杉並を見ると、これは一極集中で、日野の二十九台だけ。いすゞも三菱も日産もありません。青梅も日野が三十三台だけ。いすゞも日産も三菱もありません。練馬もそうです。日産四十八台だけです。いすゞも日野も三菱もありません。このように、バス一千五百台のメーカー別の表を見ますと、奇態な現象があるわけです。
 バスは少なくとも二千万はすると思われる買い物で、それが一千五百台というと、多分三百億ぐらいになるんでしょうか、一遍に買いかえれば、と思います。そのぐらいの高いものなのでありますけれども、このように十八営業所に偏ってメーカーがあるというのはどういう理由なんでしょうか。

○遠藤自動車部長 バス車両につきましては、各メーカーごとに車両構造や装備などに特色があり、使用する部品もそれぞれ異なっているために、車種が混在することになりますと、修理用の部品、工具及びそれらの格納スペースがふえるなど、経済性と能率性に欠けるため、原則的に各営業所ごとに車種の統一を図っているところでございます。

○和田委員 別に私はすべて競争入札とはいいません。しかし、これは明らかに随意契約であるがゆえの結果だと思うんですね。でありますが、今、答弁のとおり、交通、それも大量輸送機関としての交通、バスの持っている属性といいましょうか、そういうものゆえに競争入札はなじまないという今のお答えだろうと思うんです。機敏に、不足した機材、器具を特定の自動車会社からすぐ持ってくるというようなことも含め、がたいも大きいですから、そういうことも必要なのかなと思いつつ、あえて偏っているメーカー別在車車両というものをご披露申し上げて、これにとどめておきます。
 次は、都営地下鉄のエレベーターの整備状況であります。
 これはもう重複もありますから、長くはしませんけれども、いわゆるエレベーターによるワンルート確保が、平成十五年度では百六駅中の六十一駅で五八%になっていました。しかし一方では、平成二十二年度までに全駅でワンルート確保するよというふうに、交通バリアフリー法では交通事業者に義務づけがなされているんですね。十五年度で五八%、まあ六〇%とすると、平成二十二年までに一〇〇%確保することはできるのかなという疑問があるわけです。この見通しについてはどのようにお考えになっていますか。

○古川参事 交通局では、これまでも交通バリアフリー法の趣旨に基づきまして、ホームから地上までエレベーターで移動できる、いわゆるワンルートの確保を目指して取り組んできております。交通バリアフリー法の施行されて以降、一ルート確保率は、要求資料にもございますように、各年、着実に整備を進めてきております。
 今後引き続き、平成二十二年度までに都営地下鉄全駅において、原則としてエレベーターによる一ルートの確保を目指してまいります。

○和田委員 それでは、二十二年度までに向けての積極的な努力をぜひ期待もしたいし、折に触れて、私や私の同僚議員がこれについてはチェックをさせていただきたいと思うんです。
 さて、取りつけてほしいと私ども思うんですけれども、実際的に地上の出入り口の用地確保などができないということによって、随分、つけたいんだけれどもつけられないよというような状態があると思うんですが、こういう場合、具体的にどういうふうに取り組んでいかれるんでしょうか。

○鈴木建設工務部長 地上の出入り口の確保が最大の課題だと私ども考えております。これまでも歩道の設置につきましては、道路管理者に対して、道路への新たな出入り口敷設にかかわる基準の緩和を強く求めてきております。
 また、公園や区施設の整備にあわせて新たな出入り口用地を確保するとともに、区役所など管理者に対して、エレベーター設置の協力を積極的に働きかけてきております。
 さらに、民間ビル等の合築に向けて、東京メトロと共同し、区に、駅周辺における建築物の建てかえ情報の提供などの協力要請を行ってきております。
 引き続き、さまざま努力と工夫により、地上出入り口用地の確保を図り、平成二十二年度までに全駅における一ルートの確保に取り組んでまいります。

○和田委員 確かに道路構造令などの縛りもあってなかなか、建設省のルールもあったりすると思うんです。しかし、自治体によっては、そこのところをうまく隘路を縫って、残余幅員などを利用しながら協力してくれるというところもあるわけでありますから、積極的にぜひ二十二年度を待たないうちに完成するようにお願いいたしたいと思うんです。
 次は、専門店舗のことについて触れておきたいと思うんです。地下鉄の構内ですね。よろしいですか。
 地下鉄の構内を歩いていますと、一般売店のほかに専門店舗があります。これも今年度から三年で三十店舗という目標を掲げているわけでありますけれども、この目標について可能性はいかがなんでしょうか。

○泉本資産運用部長 専門店舗の新規開店の目標達成に向けましては、今年度、技術スタッフを含む組織の充実を図ったところでございまして、既に一日当たりの乗降客四万人以上の駅、四十駅を中心に、出店可能なスペースの洗い出し調査を集中的に行いました。
 あわせて、店舗設置に必要な給排水や防災上の設備に関する課題など、地下鉄駅特有の各種設備の技術的検討を積極的に進めているところでございます。
 これらの取り組みを踏まえまして、今後、消防、建築確認などの関係部署との円滑な調整も含め、三年間に三十店舗の新規開店の実現を目指してまいります。

○和田委員 そのはっきりいい切った姿勢、姿を印象としてしっかり心にとめておきますので、期待いたします。
 さて最後は、女性専用車両の問題です。
 これは私も公営企業委員になって三年、四年ぐらい前に取り上げまして、それに先立って、私どもの近くの女子高校生にアンケート調査をいたしました。二校にしました。そうしましたら、実に八五%の女子高校生が痴漢犯罪被害に遭っているという驚くべき数字を私は手にし、それを委員会でも披露して、何とかしなきゃだめじゃないのということを申し上げ、そして、そのときに大阪の方と、関西の方と東京の側の取り組みの問題などを申し上げました。
 今は申し上げませんけれども、特徴的なことを申し上げましたが、今手にしている資料要求した中に、十三年度は六十六件、列車内外を問わず四線であったと。十四年度には七十五になり、十五年度は実に百件近い九十八になってきている。これはもう警視庁に通報されただけでこうでありますから、この五倍、十倍あるといっても過言じゃないでしょう。
 こういう一方における痴漢犯罪の発生、私どもは当時、痴漢は迷惑行為だという規定がありましたけれども、私は痴漢は犯罪であるという用語を使いました。痴漢犯罪ということを主張しました。議会も、それまで罰金三万円を五十万というふうに、ほぼ二十倍近く罰金刑を上げたという事例もあります。
 それほどまでに痴漢というものが、今まで隠れていた行為そのものを、嫌なことでありますけれども、しっかり市民、都民の前に出して、これをすると、こういうペナルティーがありますよ。そして、万々が一、それを避けたいという、心と体に傷を負った女子高生や女性の方々が別なところで、区別されたところで自分たちは通勤通学したいという場合には、その自由も保障しようということで私は指摘しました。現にJRの埼京線も、それから京王線も十一時以降は、人気高く今やられているようでありますけれども、女性専用車両が走っているわけです。
 さてここで、この九十八件、十五年度あった、目に見えるだけでも四線の痴漢犯罪の発生件数を把握しながら、当局は女性専用車両をどのように計画をし、どのようにこれから具体的に対応していこうというふうになされようとしているのか、この数字をしっかり頭に入れながらお答えいただきたいと思います。

○市川電車部長 都営地下鉄への女性専用車両の導入につきましては、専用車両以外の車両がラッシュ時にはより混雑することなどから、一般乗客対策として、車両の増備などによる電車の増発が必要であること、専用車両の運用や具体的な運行方法について、相互乗り入れ他社との合意を得ることが困難な状況にあること、お客様の多い駅や主要な駅に案内整理要員を配置する必要があることなど、解決すべき課題がございます。
 今後とも犯罪防止のポスターの掲出や啓発放送などを実施するとともに、これらの課題を踏まえながら、女性専用車両の試行的導入の可能性について引き続き検討してまいります。

○和田委員 この前の事務事業説明のときには、この女性専用車両について、新宿線というふうに特定して試行的導入をというふうに書いてありましたよね。それは私からいわせると、新宿線にこだわるべきではない、あらゆる線に、四線に向かってダイナミックに大胆に柔軟に試行していくべきだと。新宿線がだめなら、ほかはだめだよということじゃ困るのでありまして、そのあらゆる可能性を追求して早急に答えを出してほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○中屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中屋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る